1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十七日(金曜日)
午前十時二十五分開議
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○議事日程 第三十二号
昭和四十一年五月二十七日
午前十時開議
第一 土地調整委員会委員長及び同委員の任命
に関する件
第二 漁港審議会委員の任命に関する件
第三 鉄道建設審議会委員の任命に関する件
第四 電波監理審議会委員の任命に関する件
第五 日本電信電話公社経営委員会委員の任命
に関する件
第六 土地収用法の一部を改正する法律案及び
土地収用法の一部を改正する法律施行法案
(趣旨説明)
第七 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時
措置法の一部を改正する法律案(衆議院提
出)
第八 公認会計士法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第九 行政相談委員法案(内閣提出)
第一〇 畜産物の価格安定等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出)
第一一 失業保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、裁判官訴追委員辞任の件
一、裁判官訴追委員、検察官適格審査会委員予
備委員、台風常襲地帯対策審議会委員及び北
陸地方開発審議会委員の選挙
一、日程第一 土地調整委員会委員長及び同委
員の任命に関する件
一、日程第二 漁港審議会委員の任命に関する
件
一、日程第三 鉄道建設審議会委員の任命に関
する件
一、日程第四 電波監理審議会委員の任命に関
する件
一、日程第五 日本電信電話公社経営委員会委
員の任命に関する件
一、日程第六 土地収用法の一部を改正する法
律案及び土地収用法の一部を改正する法律施
行法案(趣旨説明)
一、日程第七 特殊土じよう地帯災害防除及び
振興臨時措置法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
一、日程第八 公認会計士法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、日程第九 行政相談委員法案(内閣提出)
一、日程第一〇 畜産物の価格安定等に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
一、日程第一一 失業保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/0
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001・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/1
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002・河野謙三
○副議長(河野謙三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
館哲二君から病気のため会期中、小野明君から海外旅行のため明二十八日から二十日間、中沢伊登子君から海外旅行のため明二十八日から二十二日間、春日正一君から海外旅行のため十四日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/2
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003・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/3
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004・河野謙三
○副議長(河野謙三君) この際、おはかりいたします。
岸田幸雄君から、裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/4
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005・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/5
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006・河野謙三
○副議長(河野謙三君) つきましては、この際、日程に追加して、
裁判官訴追委員、及び、欠員中の検察官適格審査会委員予備委員、台風常襲地帯対策審議会委員、北陸地方開発審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/6
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007・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/7
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008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 各種委員の選挙は、その手続を省略して、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/8
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009・栗原祐幸
○栗原祐幸君 ただいまの柳岡君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/9
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010・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 柳岡君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/10
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011・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、
裁判官訴追委員に源田実君、
検察官適格審査会委員予備委員に松澤兼人君、
台風常襲地帯対策審議会委員に森中守義君、
北陸地方開発審議会委員に山崎昇君を指名いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/11
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012・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第一、土地調整委員会委員長及び同委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、土地調整委員会設置法第七条第一項の規定により、黒河内透君を土地調整委員会委員長に、安平鹿一君を同委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/12
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013・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/13
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014・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第二、漁港審議会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、漁港法第九条第一項の規定により、井出正孝君、家坂孝平君、黒田静夫君、林眞治君、向瀬貫三郎君、鈴木常松君、大野宇与茂君、吉村直之君、落合勝郎君を漁港審議会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/14
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015・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意するごとに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/15
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016・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第三、鉄道建設審議会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、鉄道敷設法第六条第二項の規定により、鈴木清秀君、根津嘉一郎君、永野重雄君、芦原義重君、西村健次郎君、柳満珠雄君、麻生平八郎君、加藤閲男君を鉄道建設審議会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/16
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017・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/17
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018・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第四、電波監理審議会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、電波法第九十九条の三第一項の規定により、古賀逸策君、藤井崇治君を電波監理審議会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/18
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019・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/19
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020・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第五、日本電信電話公社経営委員会委員の任命に関する件を議題といたします。
内閣から、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により、萩原吉太郎君を日本電信電話公社経営委員会委員に任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/20
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021・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/21
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022・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第六、土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案(趣旨説明)。
両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。瀬戸山建設大臣。
〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/22
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023・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 土地収用法の一部を改正する法律案及び同法施行法案について、その要旨を御説明いたします。
近年の地価高騰の実情にかんがみ、政府は、総合的な地価対策を逐次実施しつつありますが、その一環として、公共事業のための用地取得制度の改善をはかる必要があります。
すなわち、公共事業における用地費は、事業費のうち大きな割合を占め、しかも年々増加の一途をたどっておりますが、公共事業のために値上がりした、いわゆる開発利益を含む土地価格で用地を買収することは、公共事業の施行が国民全体の負担において行なわれているものだけに、きわめて不合理であり、何らかの改善措置が早急に講ぜられる必要があります。
現行の土地収用法は、収用する土地の損失補償について、収用の裁決の時の近傍類地の取引価格等を基準とすることとしておりますが、裁決時においては、事業が実施されることによる値上がりの期待をもって近傍地の地価は著しく騰貴しております。収用の時期がおくれれば、それだけ値上がりを招き、いわゆるゴテ得の弊害を生じ、早期買収について協力を得ることが困難であったのであります。
そこで、このような現行制度を改正して、開発利益の帰属の合理化をはかることが、社会の要請にこたえる至当な措置であると考える次第であります。
すなわち、今回の改正案におきましては、収用する土地に関する補償額の算定の時期を原則として事業認定の告示の時とし、また、このような補償額算定の原則をとることに伴い、被収用者は、収用裁決前においても起業者に対し補償金の支払請求を行なうことができることとし、その利益の保護をはかるための措置をとることといたしました。
次に、土地収用法の一部を改正する法律案の主要な点について御説明申し上げます。
第一に、収用する土地に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じた額とすることといたしました。
第二に、右の改正に対応して、土地所有者等の利益の保護をはかるため、事業認定の告示があった後、土地所有者等は、いつでも起業者に対し、補償金の支払いを請求することができることといたしました。
第三に、大規模な事業等におきまして、全体の用地取得を初年度に完了することができない場合等を考慮いたしまして、起業者は、事業認定の申請にあたって、起業地の全部または一部について、収用手続を一時保留することができることといたしました。起業者は、この保留した土地について、必要に応じ都道府県知事に対し、収用手続の開始の告示を申請するものとし、補償額の算定、補償金の支払い請求等につきましては、手続開始の告示の時を事業認定の告示の時とみなすものといたしました。
第四に、収用の裁決を権利取得裁決と明け渡し裁決とに分離いたしました。
土地に関する対価補償を、物件移転料等の補償と切り離し、すみやかに権利取得の裁決をすることとし、起業者が、実際に土地を必要とするとき、または土地所有者等が希望するときに、あらためて、移転料等の損失の補償、土地・物件の明け渡しの期限等を内容とする明け渡し裁決を行なうこととしたものであります。
なお、補償金の支払い請求の制度を設けたことに伴い、事業認定において起業地を確定することとし、そのため不要となる土地細目の公告の手続は廃止することといたしました。
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次に、土地収用法の一部を改正する法律施行法案の主要な点について御説明申し上げます。
まず、改正法は、公布の日から起算して八月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。
第二に、改正法の施行の際すでに現行法による事業の認定を受けている事業については、土地細目の公告を終わったものは現行法の手続によることとし、その他のものは改正法による手続保留の事業の認定を受けたものとみなすことといたしました。
第三に、土地収用法を適用して収用または使用をする旨を定めた都市計画法等の各種事業法及び公共用地の取得に関する特別措置法、不動産登記法その他の関係法律について、必要な規定の整備を行ないました。
以上が土地収用法の一部を改正する趣旨でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/23
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024・河野謙三
○副議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。竹田現照君。
〔竹田現照君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/24
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025・竹田現照
○竹田現照君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました二法案に関し、若干の質問をいたします。
今回の土地収用法の改正の目的は、「近年の地価高騰にかんがみ、政府は総合的な地価対策を逐次実施しつつありますが、その一環として、公共事業のための用地取得制限の改善をはかる必要があります」と、土地対策の大前提を強調しております。総理も、今国会の冒頭、施政方針演説の中で、社会開発を力説され、「すべての国民が希望に満ちた明るい生活を営むことができる豊かな社会をつくり出すこと」を約束なさいました。社会開発の具体的な目的であります住宅対策の確立は、土地政策の確立によって初めて現実化するものであります。今日まで歴代内閣が、繰り返し、住宅対策、土地対策の確立を言明しながら、何ら見るべきものがありませんが、この際、佐藤総理は、いかなる決意をもって土地対策を確立なさるお考えであるのか。さらに、政府は、昨年八月十七日、地価対策閣僚協議会を設置されましたが、国民の切望してやまない地価安定対策が、本改正案によって確実にはかられるものなのかを、あわせて総理の明確なるお答えを承りたいのであります。
次に、建設大臣にお尋ねをいたします。総理にお尋ねをいたしましたように、建設大臣からも、この土地収用法改正によって、地価安定が確立されるものであるかを確約していただきたいことであります。建設大臣は、今国会の審議にあたり、建設行政の所信を表明された際、次のような土地対策、すなわち、地価高騰を生み出す住宅用地、公共用地の確保の障害を取り除き、地価安定をはかる緊急措置として、宅地開発の推進、既成市街地の高度利用による土地の有効利用、土地取得制度及び税制の改善など、総合的施策を実施することを明らかにされたのであります。本改正案が、このような総合的施策の全面的な実施に沿って提案されたものであるかを、明らかにしていただきたいのであります。
わが党は、土地政策の基本的な理念を、「土地は、私有財産としての権利とともに、国民全体の福祉のために有効に活用する義務を伴うものである」と定めております。建設大臣が、建設行政の所信表明の立場で約束されましたように、本改正案が、真に有効適切な効果を果たすものであるならば、私どもも、その趣旨に反対するものではありません。しかし、地価安定対策には、提案理由で述べておりますように、総合的な地価対策が実行されることが、何よりも大前提とされなくてはならないのであります。いまさら申し上げるまでもなく、法律が提案されるときは、あたかも、その法律ですべての矛盾が解決されるかの錯覚にとらわれるものであります。
土地収用法の改正を振り返りますと、たとえば、三十六年の公共用地の取得に関する特別措置法が提案されましたときも、この特別措置法によって、収用手続の円滑化、補償に対するごね得の防止に伴う投資効率の有効化等が解決するかのごとく、政府は答弁なされたはずであります。その後、三十九年の土地収用法改正の際、国会は、地価安定対策の強化に関する決議案を満場一致で可決せざるを得ない事態を迎えたのであります。今日、再び地価が驚くべき高騰にあることは、あらためて申し上げるまでもないことであります。収用法が数度にわたって強化されながら、砂上楼閣のごとく、地価安定が実現できなかった基本的な原因はどこにあったのか、政府は、まず、これを深刻に反省すべきことであります。特に、総合的な地価対策に目をつぶり、安易な強権力の行使にのみとらわれていたことが、今日の地価の混乱を生み出したものと思うのであります。
建設大臣が、所信表明で明らかにされた土地対策で、今国会に提案されたものは、本改正案と、これに関連した税法の一部改正法律案にとどまっております。総理が施政方針で強調された住宅対策の土台となります住宅用地の確保を、どのようにして実現なさろうとするお考えでありますか、総理並びに建設大臣の御見解をお聞きいたします。
さらに、地価高騰の基本原因であります投機対象、思惑買いを、どのように規制されようとしているのでありますか。本改正案は、土地収用の対象から除外される周辺部、すなわち近傍類地の地価を規制する働きを持っておりません。地価高騰を野放しして地価安定を強調されても、それは絵そらごとと言うほかはありません。近傍類地の起業利益を社会に還元させ、土地の有効利用を促進する施策の実施こそ、まず取り組まねばならぬ土地対策でありますが、建設大臣並びに大蔵大臣のお考えはいかがでありますか。
次に、土地利用計画についてであります。統一を欠いた今日の土地法体系のもとにあっては、土地利用の混乱がもたらされるのは必然であります。特に大都市及びその周辺部におきましては、あらゆる機能が集中し、土地利用も多面に及んでおり、将来の発展をも予測した、広域的、総合的な土地利用計画の策定が絶対に必要であります。しかるに、わが国の土地利用に関する規制は、法制的にも行政的にも不備であり、特に都市地域においては、無計画に造成開発される宅地化は、がけくずれ等の危険な宅地造成をはじめ、交通、衛生、教育等の環境劣悪な市街地化が進められています。特に大きな問題は、建設、農林両省間の調整のないままに、無秩序に広がる農地へのスプロールであります。これは、国の基本産業であります農業を荒廃させているものでありますが、基本的には、土地と産業の有効利用を高める土地利用区分の計画が何ら顧みられていないからであります。一体、国土総合開発法に基づく地域総合開発計画、都道府県総合開発計画は、どうなっているのでありますか。これらの開発計画が有機的な結合をはかり、具体的な事業計画が民主的な機関で十分な検討を経て策定をされ、その事業遂行のために当該土地がどうしても必要であるなどについて、客観的に証明され、初めて公共事業の方向は確立をし、国民の理解と協力が得られることと思うのであります。首都圏整備計画や幹線自動車道計画の変更など、土地利用計画のあいまいな事例を多く見るのでありますが、公共性のもとに策定し、収用権という国家権力を発動しようとする事業計画が簡単に変更されている事実は、納得できないところであります。真に公共的な不動の土地利用計画が確立されて、初めて、国家権力の発動も理由づけられると思うのでありますが、この改正案がどのような役割りを果たすものであるのか、その位置づけを、経済企画庁長官、建設大臣並びに農林大臣から明らかにしていただきたいのであります。
次に、今回の土地収用法改正案について具体的な疑問を若干質問いたします。
第一は、土地の補償額の決定であります。真に公共性を持った事業であっても、その遂行にあたっては、国民の公平な負担のもとに行なわれなければならないことは当然のことであります。土地に関する法体系が整備されていない現在、公平な負担の実現をはかる損失補償の決定は非常に困難であり、それが用地取得の長期化現象となってあらわれていることは事実であります。政府は、これらの原因を、単なる被収用者側のごね得横行のためであるときめつけるのでありますか。不動産の鑑定評価制度が十分に確立されていない現在、収用補償は一方的に起業者の裁量によってのみ見積られるのであります。資本主義経済体制のもとにあっては、国民は、お互い、しのぎを削り合う生活を余儀なくされているのが実態であり、自己及び家族の将来の生活をも左右する土地の譲渡は、土地所有者にとってはまさに重大な問題であります。事業の早期完遂にのみ奔走するのではなく、その前に、国民即被収用者の立場を十分に考慮した生活再建保障の基準確立や現物補償の徹底など、損失補償体系の整備をはかることが必要であると思うのでありますが、憲法の規定する「正当な補償」との関連のもとに、その具体的な方法についてお答えをいただきます。
第二は、物価スライド制の採用についてであります。当初、建設省は、「土地は商品ではない」という、いわゆる瀬戸山構想に基づいて、補償額を事業認定時の価格に凍結する方針であったはずであります。しかるに、提出された法律案が物価スライドを取り入れたことは、土地はやはり商品であるということを政府みずからが明らかにしたものであり、この点について建設大臣はどのように説明をなさるのか。構想変更の経緯とその理由を明らかにすると同時に、政令で定める修正率はどのような内容を持ち、不平等を生じない算定であるのかを、あわせてお答えをいただきます。
第三は、現行土地収用法の運用についてであります。
公共事業件数は、年間五万件とも十万件ともいわれておりますが、収用法に基づく事業認定にかかるものはわずかに四百件にすぎないのが実態であります。すなわち、大部分の事業は、任意協議によって用地取得交渉が進められ、それが難航してはじめて収用法を適用する状態であり、任意協議開始より収用裁決を得るまでにはかなりの期間が経過し、いわゆるごね得もこの過程であらわれるのであります。このように、用地取得が長期化する現象は、まさに法適用の回避と運用の不徹底に基因することは明らかでありますが、現行法の運用がこのように不十分のままに法改正をのみ急ぐことは、全く理解に苦しむところであります。現行法適用の実態についての見解を承りたいのであります。
第四は、収用委員会の性格についてであります。
収用委員会は、従来より、収用制度の中枢的機関としての大きな役割りを果たしているのでありますが、特に、今回の改正によってその役割りはさらに重大なものとなるのであります。しかしながら、収用委員会の中立公正な裁決を求めるための制度上の保障は一体どこにあるのでありましょうか。収用委員会委員の任命について、たとえ都道府県議会の同意を経るにしても、公共事業の施行者となることの多い都道府県知事が任命することになっているため、被収用者にとっては中立公正な裁決が期待できず、まず最初から不信の念を抱かざるを得ないのであります。これは、ひとり用地取得の円滑化が阻害されるのみにとどまらず、土地収用制度全般への不信となるのであり、収用委員会の権限がより大きな意義を持つことになる今回の改正にあたって、その性格について建設大臣の見解を承ります。
最後にお尋ねいたしたいことは、改正法施行法案についてであります。
従来ばらばらでありました土地収用法規を整理統合することは必要なことでありますが、ただ一つ納得のできないことは、施行法案の第二十二条に当たります日米安保条約に基づく土地収用の特別措置であります。土地収用法の目的は、国民の私権を尊重しつつ公共の福祉の増進を同時に実現しようとする、憲法の精神にのっとったものでなくてはならないのであります。それゆえに、米軍基地に土地収用法を適用することが日本国民の福祉の増進に役立つとは考えられないのであります。さらに、本改正案の提案目的にありますように、上地安定策に寄与するものが、この米軍基地の提供によってどのように生ずるものなのでありましょうか。米軍基地への安価な土地提供は、何ら日本の地価安定をはかるものではなく、むしろこれによって、狭い国土がさらに狭くなり、必然的に地価上昇を引き起こすおそれがあります。さらには、米軍基地の拡張、補償も、この土地収用法の強権によって日本国民になお一そうの犠牲をしいるものとなるおそれは、過去の軍事基地反対の幾多の経験からかんがみまして十分に生ずるのであります。従来の安保条約に基づく規定を、今回の地価安定をはかり公共の福祉を目的とした土地収用法改正に関する施行法に挿入しようとすることは、いままでの私生子を公に認知しろというものでありまして、法の目的に違反するものと思うのでありますが、これにつきまして総理の御見解を特に承り、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/25
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026・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
土地の問題、これは地価そのものにも問題がありますし、また、土地取得もたいへん困難でありますから、この二つの面で非常な重大な問題であり、国民生活を圧迫し、ときに公共事業の円滑な遂行を妨げる、こういう事態が起きているのであります。ところが、この問題を解決することは非常にむずかしい問題であります。ことに、戦後の私権第一といいますか、そういう立場からこのことを考えてみますると、たいへんむずかしい問題です。したがいまして、早急に解決をしなければならないことはわかっていながらも、それぞれの立場におきましてそれぞれの議論をするので、結論を見出すことがいままで困難でありました。しかし、昨年来、政府の中におきまして、地価安定のために、またその取得を容易にするために、閣僚懇談会を開いて、そうして急いで結論を出したわけであります。お説にもありましたように、これは総合施策、総合対策を立てない限り、もう土地の問題は解決はできない、かように思って、政府もさように考えておりますが、その総合施策の一環といたしまして、今回土地収用法を改正する、また同時に、税制も改正いたしまして、土地の譲渡益に対しても、課税方式を変えることによって、今後特殊な者だけが利益を受けるというようなことのないように実は処置したつもりであります。もちろん、お話にもありましたように、法律だけでかような問題が解決するとは私は思いません。国民各界各層の方々の積極的な協力がない限り、十分の成果をあげ得ないと、かように思っておりますので、法律並びに税制を改正するこの機会に、国民各界の理解ある協力を求めたい、かように思っておる次第であります。
政府は確信があるかというお話でありますが、私は、ただいま申し上げるように、総合的な施策を必要とする、その意味において積極的に協力を求める、その方法として、ただいま改正をお願いしておるわけであります。なお、社会党におきましてもいろいろ御議論のあることだと思いますが、その詳細等は、十分、委員会において御審議をいただきたいと、かように思います。
次に、住宅用地の問題でありますが、これは申すまでもなく、社会開発の面から見ましても、また、国民生活を向上さす面から見ましても、住宅問題は大きなただいまの政治上の課題であります。そういう意味で、日本住宅公団や住宅金融公庫等で宅地を公的に提供するばかりでなく、やはり民間の開発助成につきましても積極的に政府が手を伸ばす、そうして、官民一緒になりまして宅地の確保に努力するつもりでございます。
また、土地の高騰についてのお尋ねがありましたが、申すまでもなく、需給の不均衡が今日の地価を上げておる一番大きな原因だと思いますが、同時にまた、土地は高くなるものだと、こういうことで投機的な投資をする者もあるわけでありますから、そういうものを十分ふさぐと申しますか、そういう者の投機的な活動の余地のないように、今回の税制の措置でもいたすつもりでございます。
最後に、駐留軍の基地の問題がございました。そうして、駐留軍反対という立場からただいまのお話を述べられたように思いますが、今回の施行法の改正などは、ただいまの土地取得の面における容易さ、こういう点に重点が置かれたのではございませんで、いわゆる私有財産が収用された場合に、その損失の補償をいかにするかと、こういうことを考えてみなければならないのであります。いかなる場合においても、その補償原則は同一でなければならない、これは私有財産の所有者に対する補償でありますから、駐留軍の場合に収用された、そういうものは特別に安く売ってもいいというわけにはいかない。また、これこれで収用したものは特別に高くするのだ、こういうわけでもない。これは国が行なう補償原則でありますから、その理由のいかんにかかわらず、収用の場合の補償の原則、これは同一であるべきだ、かように考えて、今回同一の取り扱いをする意味の改正をいたしておるわけであります。これは誤解のないようにお願いいたします。(拍手)
〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/26
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027・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) お答えいたします。
いま収用法の改正に伴いまして、竹田さんが御議論なさったことは、率直に言って、私は同じような気持ち、同じような心配をいたしております。総合的な問題については総理からもお答えがありましたが、これは全くそう簡単なものではございません。基本的には、正直なところ、地価対策あるいは土地制度というものについての施策は、やや手おくれであります。手おくれでありますけれども、皆さん御承知のような事態であるし、弊害がきわめて大きくなっておりますから、私どもは、今日あるいは今後の施策として、この際、ぜひ、やはり相当強力な地価対策あるいは土地制度の確立をはかるべき段階に来ている、かような判断に立って、微力ではありますけれども努力しておるということを、ぜひ御了承願いたいのであります。
そこで、大局的なことは総理からお話がありましたし、なお、委員会等で御審議を願うことといたしますが、この改正案についていろいろお話がありました土地の補償の問題というものは、なかなかむずかしい問題であります。私は、憲法二十九条の中で、私有財産権を保障するという場合に、土地の問題と、その他の一般財産の問題とを、同列に考えるということは間違いである、という基礎的な考えを持っております。こまかくは申し上げませんが、土地は人間が共通して使うということが前提である、かような考えをもって土地制度を確立し、また地価の補償というものを考えるべきである、という基本的な態度を持っておる、それが正しいのである——評価の場合は、あるいは、原価の問題、あるいは利用度の問題、あるいは付近の土地の価格の問題、いろいろ総合してきめることになっておるわけでありますが、基本的な考え方はさようなことである。土地によって特別の不当な利益を得るということは憲法は保障しておらない、かような考え方でございます。
そこで、現行制度では、まだそこまでいっておりませんが、この評価の問題を鑑定士によって公示するという制度を進めるべきである、こういう態度をとっておりますが、まだ鑑定士自身がそれほど充足するだけの人員がそろいません。いま約九百人ぐらいおると思いますけれども、やはりそういう制度をすみやかに確立して、地価の公示制度というものを制度として確立すべきであるという考え方をもって進めておるわけでございます。
なお、この収用される場合に、生活の問題を考えなければならない。ただ土地の対価を払いさえずればよろしいと、こういう考え方は根本的に間違いではないか、私どもはさような考えを持っております。従来、ややともいたしますと、土地の対価さえ払えばそれでよろしい、あるいは土地を高く売ってそれの補償を得さえすればいいという思想が、日本にはやや支配的でありましたが、それは多くの混乱を招いておる。したがって、土地の値段でもうかるということは私は適当でないと思いますが、生活を破壊するということは土地収用法のねらいでありませんし、また公共事業のねらいでもないという原則に立って、進むべきものであると考えております。
それから、今度改正案に盛りましたいわゆる裁決時の価格ということは非常に弊害があるから、事業認定の価格にすべきであると、こういう私どもの最初の原案であったのが、今日、スライド制と申しますか、実際収用裁決があるまでの間の物価の修正率を掛けてこの案になっておるのは、後退ではないか、間違いではないか、こういうお尋ねであって、御議論の点はごもっともであると思います。しかし、これはぜひ御理解願いたいのは、裁決をいたしまして、——実際裁決する場合は比較的少ないのでありますけれども、話し合いでけっこうでありますが、その際に、今度の法律は、提案しておりますように、事業を認定した際の価格に固定いたします。したがって、その際、その日に払えば問題ないのでありますけれども、裁決時までの間にやや時間がかかります。今度の改正では手続を簡素にしておりますから、従来のように長くかかりませんけれども、いずれにいたしましてもそこに期間がある。物価等の変動によりまして、その日に払ってもらえばけっこうでありますけれども、やや後に残るということになりますと、やはり、たとえばその日に払って、あるいはほかのものを買うとか、あるいは銀行に預けておけば、ある程度の金利等の利益があるのに、補償される場合だけが固定されるということは、憲法の正当な補償に反するのではないかという考え方があります。これも私は、しごくもっともであると思いますので、これは地価の高騰をスライドするということでなしに、この基準はいま検討しておりますけれども、政令で一定の率をきめておくと、こういう方式をとりたい。これは憲法二十九条の解釈の問題から来ておるということを御理解願いたいのであります。
それから、現行収用法の運用が適当でないじゃないか——全く適当でありませんから、今度の改正をいたした。従来は、ただ公共事業であるという認定をするだけの効果しかありません。それと、もう一つは、今度の場合、この事業認定がありますと、そこで価格が固定される、一面においては税制のほうで利益がある、こういう効果がありますので、今度はこの収用法を適用いたしませんと、価格の問題がきまりません。固定されません。そういうことがありますから、今度は、そういうことのないようにする。と同時に、従来、収用法に対する考え方が、行政府も、一般国民の方にも、非常に私は誤解があったと思う。先ほどおっしゃったように、年間四百件そこそこというようなことでは、法律を運用しない責任は行政府に多くあったと思いますので、今度は、原則として収用法によってやるべきであると、かような考え方を持っておるわけであります。
それから、収用委員会の問題に触れられました。全く現在の収用委員会は必ずしも適当ではありません。けれども、制度といたしましては、先ほどお話になりましたように、これは都道府県議会が承認をして、そして知事が任命するということになっております。もちろんその個人の選任のよしあしは、これはいろいろ議論がありますけれども、制度といたしましては、ちょうど裁判官の任命を政府がいたしますけれども、これは全く独立な行政機関でありますから、収用委員会は独自の見解で、何にも左右されないで、その学識経験によって価格を評価する、こういう性質のものでありますから、制度自身には問題はないと思います。しかし、おっしゃるとおりに、必ずしも適切に行なわれておるとは思いませんから、今後はもっとその運用と申しますか、本来の使命を果たせるような収用委員会にすべきであるということは、お話のとおりに伺っておきたいと思います。
まだあると思いますが、これで御答弁を終わりたいと思います(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/27
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028・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の土地収用法の改正にあたりまして、土地の売買に関する税法の改正の御審議をお願いいたしております。その趣旨は、従来の土地収用におきましては、収用価格が収用時の価格になっている。今度はそれを改めまして、計画発表時の価格に物価のスライドをさせたものと、こういうふうにいたします。実際から見ますと、収用価格が従来に比べまして相当下がる、そういうふうに思われるわけであります。そういうようなことを考えますときに、従来のその収用価格と取得価格との差、つまり土地の売買に対する取得であります。それに対する課税、これについて、従来よりもこれを軽くしたほうがよかろうという、その軽課の措置をとったわけであります。ところが、収用される人は、今度は軽課の措置をとるにいたしましても、もとの収用される価格がずいぶん安くなってしまう。それにもかかわらず、隣地の人々、これは従来どおり高い値段で土地を売買できる、こういうことになる。そこに大きな不均衡が出てくる。そういうようなことを考えまして、収用される土地以外の一般の土地の売買につきましては、この際、重課をする、こういうふうにして権衡をとろうという考えであります。また、この重課の改定におきましては、土地価格の安定というようなことも考えまして、従来の課税が所得を中心に課税するというのに対しまして、土地の増価益、これを中心にして課税をしようという改正をいたしておるわけなんであります。したがいまして、今回の改正ができますれば、値上がり待ちで売り惜しみというような傾向に対しましては、相当ブレーキがかかると思います。また、値上がりによる利得を目的といたしまして投機的な土地の買収を行なうというような意欲に対しましては、水をかけるという、こういうことになると思いますので、税法改正は、そういうような意味から地価の安定にかなりの貢献をする、かように考えております。ただ、地価問題というのは、税の問題というのは、ごくこれは瑣末な問題であるというふうに考えております。根本は、やはり地価といえども、これは価格の問題である。これは需給の関係でありまして、どうしても基本的には、地価で一番問題になっております住宅地の価格、こういうことに思いをいたして、大量の住宅地を造成し、供給力を増加する、そういうところに主眼を置いた総合的な施策、これがなければこの問題は解決しない、かように考えまして、昭和四十一年度の予算におきましても、御承知のように、住宅公団、住宅金融公庫、そういうもののほうを強化する、あるいは事業量を拡大するとか、あるいは民間の宅地造成に対しましては信用保険制度を強化するとか、あるいは過密都市対策、そういうような見地から都市開発特別会計を設置するというようなことを進めまして、宅地の供給をふやすというところに、きめこまかい努力をいたしているのでありますが、今後とも、総合的な見地からこの問題の解決に当たっていきたい、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/28
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029・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 農地につきましては、現在、無計画に潰廃することのないように、農地法による転用の規制を行なっているわけでございます。今後もその適正な運営につとめてまいりたい、かように存じております。
それから、土地を計画的に利用することにつきましては、これはきわめて重要なことでありまするが、国土の計画的、合理的な利用に資するため種々の調査が行なわれておるところでありまするが、土地利用計画を全国にわたって制度的に確定することには、農業のみでなく、各種の産業施設、公共施設の利用も含めて、総合的に検討する必要があります。技術的にも種々困難な問題がありまするので、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
なお、当面の措置といたしまして、首都圏整備計画その他の地域的な市街地開発計画等が存する場合には、建設省その他、関係省との協議によりまして、土地利用の計画について調整を行なってまいりたい、かように存じております。(拍手)
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/29
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030・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国土の総合開発計画につきましては、御承知のとおり三十七年閣議決定をいたしまして、その後、国土総合開発審議会で計画の推進をいたしておるわけでございます。しかし、同時に、御指摘もありましたように、地方住民の意思を十分に反映さしてまいらなければなりません。したがいまして、地方開発計画が、東北、九州、四国、北陸、中国等にそれぞれできております。それらの意見等も十分に実施計画に取り入れてまいらなければなりませんし、また、特定地域の開発計画が、御承知のとおり、新産業都市なり、あるいは工業特別地域なり、低開発地域工業開発促進法なり、種々ございます。それらとの内容的な案も考えてまいらなければならぬと思います。同時に、都府県の計画、これは法律では定められておりませんけれども、今日おおむね多くの県におきまして、県の財政に基づく五カ年程度の計画が立てられつつございます。これらにつきましては、それぞれ建設省並びに企画庁等に報告を受けておりますので、それらによって地域におきます住民の計画等も参考にいたしながら、総合的な方向に向かって進んでまいらなければ万全を期し得ないと思いますので、そういう点についていま十分の配慮をいたしております。
なお、今回の法改正によりまして、国土総合開発計画にどういう利益があるかと申せば、申すまでもなく、総合開発計画というものは土地利用が大きな部面を占めておりますので、その前提となります地価の安定でありますとか、土地取得の円滑化という問題は、国土総合開発の上において大きな力になり、有効に運営されることだと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/30
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031・河野謙三
○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/31
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032・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第七、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長松永忠二君。
〔松永忠二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/32
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033・松永忠二
○松永忠二君 ただいま議題となりました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本改正案は、現行法の有効期限が昭和四十二年三月三十一日までとなっているものを、さらに五カ年間延長しようとするものでありまして、衆議院建設委員長の提案にかかるものであります。
この臨時措置法は、議員発議によって昭和二十七年に制定され、三十一年及び三十六年に期限延長の改正が行なわれ、特殊土じよう地帯に対し、治山、砂防、河川改修、農地保全等の対策事業を実施し、特別な助成を行なうなど、災害防除と農業生産力の増進に効果をおさめてきたものであります。
本委員会における質疑のおもなものは、過去十五年間の実績及び今後の計画について等でありますが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して小酒井委員から、本案に賛成の旨の発言があり、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/33
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034・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/34
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035・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/35
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036・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第八、公認会計士法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長徳永正利君。
〔徳永正利君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/36
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037・徳永正利
○徳永正利君 ただいま議題となりました「公認会計士法の一部を改正する法律案」は、最近における企業規模の拡大と経営の多角化等に対応して、公認会計士の業務の改善進歩と地位の向上をはかり、監査体制を充実するため、所要の改正を行なおうとするものでありまして、その骨子は、
第一に、公認会計士の自主責任体制を確立するため、すべての公認会計士を会員とする特殊法人日本公認会計士協会を設立し、会員の指導、連絡及び監督、並びに公認会計士等の登録に関する事務等を行なわせ、監査証明業務に関する紛議の調停や公認会計士制度に関する建議、答申等を行なうことができることとし、
第二に、監査証明業務を組織的に行なうことを目的とする公認会計士の協同組織体として、新たに監査法人制度を設けることとし、その設立認可の要件、業務の執行方法等の規定を設けようとするものであります。
委員会の審議におきましては、企業経理の健全化のため、公認会計士の規制のみではなく、被監査法人の責任体制の確立が必要ではないか。公認会計士の監査対象の拡大をどう考えるか。監査日数等に見られる実態からして、監査内容の充実を今後どのように指導するのか等の諸点について、質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、青柳委員より、自由民主党を代表して賛成意見が述べられるとともに、「日本公認会計士協会の発足にあたっては、全員の加入が円満に行なわれるよう配慮すべきである。公益的な性格の法人をも監査対象とするよう検討すべきであり、また、監査内容充実のため、監査日数や報酬等の面で、自主性や独立性をそこなうことのないよう検討すべきである」という趣旨の、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。
討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定され、青柳委員提出の附帯決議案は、多数をもって委員会の附帯決議とすることに決しました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/37
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038・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/38
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039・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/39
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040・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第九、行政相談委員法案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長熊谷太三郎君。
〔熊谷太三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/40
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041・熊谷太三郎
○熊谷太三郎君 ただいま議題となりました法案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、行政管理庁が昭和三十六年以降実施してまいりました行政相談委員の制度を、より効果的なものとするため、これを法制化しようとするものでありまして、そのおもな内容は、
第一に、行政相談委員は、国の行政機関等の業務に関する苦情の相談に応じて、必要な助言をし、及び、これを関係行政機関等に通知し、その解決の促進に資することを、その主たる業務とすること。
第二に、行政相談委員は、苦情相談を受けた体験に基づいて、行政運営の改善に関する意見を、行政管理庁長官に述べることができること。
第三に、行政相談委員は、業務上知り得た秘密を他に漏らしたり、その地位を政党または政治目的に利用してはならないこと。
第四に、行政相談委員の業務は、行政管理庁長官が民間の有識者に委嘱することとし、委員の性格は名誉職的なものとすること、等であります。
当委員会におきましては、行政相談委員の性格、業務の範囲、その処遇、行政不服審査法の施行状況、行政手続法制定に関する政府の所見、臨時行政調査会の改正意見の措置状況等について、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/41
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042・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/42
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043・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/43
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044・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第十、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長山崎斉君。
〔山崎斉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/44
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045・山崎斉
○山崎斉君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、最近における牛肉需給と国際市場の動向にかんがみ、国内における肉牛の生産対策等と相まって、輸入操作により牛肉需給の安定化をはかるため、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ及び売り渡しの業務を行なわせ、この業務に関する経理は特別の勘定を設けて他の業務と区分して行ない、利益金が生じた場合、一部を積み立て金とするほか、肉用牛の生産振興等の事業に助成できることとし、また、事業団の監事の権限を強化する等、規定の整備を行なおうとするものであります。
委員会におきましては、畜産の振興と事業団の業務、農山村における肉牛飼養の動向とその対策、及び、土地改良長期計画と草地造成、従来の牛肉の輸入と本法による輸入との関連、並びに食肉の流通等について、質疑が行なわれました。
質疑を終了し、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
続いて、矢山委員より、自民、社会、公明の三党共同提案として、肉用牛の改良増殖等、生産対策の推進、牛肉の輸入の適正化、輸入差益、並びに輸入方式の改善等、四項目にわたる附帯決議案が提案され、これまた、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
右御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/45
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046・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/46
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047・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/47
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048・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 日程第十一、失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長千葉千代世君。
〔千葉千代世君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/48
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049・千葉千代世
○千葉千代世君 議題の法律案は、失業保険制度の中の日雇い労働者にかかる部分を改善するものでありまして、保険金額の引き上げと、それに見合う保険料額の改定を内容とするものであります。すなわち、被保険者たる日雇い労働者について、六百六十円以上の賃金日額を得る者は第一級の保険金を受けるものとし、それ未満の者は第二級の保険金を受くべきものとして区分し、保険金の日額を、第一級五百円に、第二級を三百三十円とすることに改め、これに伴って、納付すべき保険料の日額を、それぞれ二十四円と十六円に改定することといたしております。
社会労働委員会においては、一、従業員五人未満の事業所に対する強制適用の見通しについて、二、失業の認定に関する基準とその運用について、三、国、労、使間における費用の負担区分及び割合について、四、制度全般にわたっての給付の率及び期間の改善について、五、日雇い労働に関する労働条件の改善及び出かせぎ者留守家族の援護について、等を中心として、審議が行なわれました。
質疑終了後、鹿島俊雄委員から、「実施期日を一カ月おくらせる」旨の自民、社会、公明、民社各派共同の修正案が提出されました。
二十六日採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決しました。
以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/49
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050・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/50
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051・河野謙三
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正どおり議決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02919660527/51
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