1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月三日(金曜日)
午前十時二十八分開議
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○議事日程 第三十四号
昭和四十一年六月三日
午前十時開議
第一 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第二 中部圏開発整備法案(衆議院提出)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 郵便法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
一、日程第二 中部圏開発整備法案(衆議院提
出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長野上元君。
〔野上元君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/2
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003・野上元
○野上元君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案につきましては、去る四月十三日、本会議において政府より趣旨の説明を聴取いたしておりますので、ごく簡潔にその要旨を申し上げます。
郵便料金は、昭和三十六年に第三種以下に若干の手直しを行なったのみで、その最も重要な第一種の封書及び第二種のはがきは、昭和二十六年以来、今日まで、十五年間も据え置かれてまいったのであります。その間に、諸物価は高騰し、特に、事業支出の八〇%を占める人件費の増高は著しく、ついに、昨年来、赤字経営を余儀なくされてまいっております。
本法律案は、その赤字経営を正常化し、あわせて事業の近代化をはかるため、若干の郵便料金の改定を行なおうとするものであります。
次に、改正点のおもなものは、第一種の封書と第五種の印刷物、開封の書状等を統合して、新たな第一種として十円を十五円に、第二種のはがきの五円を七円に、また、第三種郵便物のうち、新聞紙等は二円を三円に値上げするほか、事務処理を円滑ならしめるため、所要の改正を行なおうとするものであります。
逓信委員会におきましては、本法律案の重要性にかんがみ、去る四月二十一日以来、佐藤総理並びに郵政省、経済企画庁等に対し、熱心な質疑を行ない、その間、物価等対策特別委員会との連合審査を行ない、また、東京において公聴会を、名古屋においていわゆる地方公聴会を開催し、広く各方面の意見も聴取いたしました。
次に、質疑のおもなものを申し上げますと、一、料金値上げに踏み切った理由。すなわち、一般会計からの補てんか、利用者負担か。一、料金改定の幅の問題。一、郵政事業内で、すなわち、郵便貯金事業または簡易保険事業から繰り入れる方法はとれなかったか。一、総括原価主義というが、郵便物の各種別における不均衡の問題、等につき、慎重審議をいたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して横川委員より反対、自由民主党を代表して西村委員より賛成、公明党を代表して田代委員より反対、第二院クラブの石本委員より反対、各派に属しない鈴木委員より反対の発言があり、討論を終え、直ちに採決の結果、本法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/3
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004・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。横川正市君。
〔横川正市君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/4
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005・横川正市
○横川正市君 日本社会党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部改正案に対し、私は反対の討論を行なうものであります。
まず、郵便事業の実体を今日の状況からたとえてみますと、旧家に縛りつけられた長男のごときものでありまして、社会的には強く公共性を押しつけられ、体面もあることから、他の企業と肩を並べなければならないために、経費倒れや出費が多く、加えて、高度成長経済のあおりを受けて、名はあっても内容は火の車の旧家の運命に似ていると思うからであります。しかし、旧家の長男に比べて、次男、三男に該当する電電公社その他は、その企業性を縦横に駆使して、国鉄とともに国民サービスの先駆的な開発を実現しているのであります。これらの対照的存在から企業を直視いたしてみますと、郵便事業の現状というものは前途全く苦難が予想される企業であると言わねばなりません。経営当事者に対して、名家の長男である自覚をもって、今日落ち込んだ企業の原因を突きとめ、時代の進展に伴いこれらを解決する気魄が強く要求されるところであると思うのであります。
さて、反対の第一は、佐藤総理のさきの施政演説、あるいはまた国会の答弁等を通じて、明らかにされておりますところは、福祉国家の建設であり、経済のひずみの是正であり、その政策目標は広く国民の利益を代表することをもって任じておったのであります。また、福田大蔵大臣は、豊かな家計を目標にいたしまして、国民に多くの公約を最大限に振りまいたのでありますけれども、現実の国民生活からこれらの問題を考えてみますと、これはあくまでも国民に対してのゼスチュアにとどまり、現実的には、生活危機の赤信号は、つきっぱなしで、施政方針演説や財政演説での公約は、演説のための飾り文句であったことを、思い知らされているにすぎないのであります。昭和四十年以来、国民生活は、物価高と所得の伸び悩みで、苦しい家計をしいられてきております。国民にとっては、まことに、はた迷惑な問題であると言わねばなりません。当時、総理、大蔵両大臣の約束した問題等は、その案件として国民から強く期待されておったのでありますけれども、これらは相次いで裏切られ、公約の実現ではなくして、与えられたものは、公共料金の値上げと、これらの呼び声にこたえる消費物価の値上がりであった、ということを知らねばならぬと思うのであります。すなわち、早春早々に消費者米価の値上げ、松の内もようやく明けた十五日には大手私鉄運賃の値上げ、さらに国民の足ともいえる国鉄運賃の値上げ、加えて地方公営企業である水道料金、私学の授業料、そしてただいま議題となっております郵便料金の値上げと、全く息つくひまもなく、国民は公共料金の値上げ攻勢を受けているのであります。物価対策総元締めである経済企画庁は、政策努力を織り込んでも相当の上昇は避けられないと悲観的で、政府の物価対策に対する無策を露呈いたしております。佐藤内閣に対する世論の批判はきわめてきびしいものがあるわけであります。最近出されております新聞等の世論調査を見ましても、物価の上昇に対する無策を攻撃する比率は、かつての岸内閣に比較してまさるとも劣らない状態にあるということは、これは保守政党にとって大きく反省をいたさねばならぬ点であると思うのであります。
ことに郵便料金の値上げというものは、これは単に郵便料金の値上げにとどまるものではありません。料金の家計に占める影響というものは、数的には〇・一四%程度とあげているのでありますけれども、家計というのは、一つの収入によって数多くの支出をまかなっているものでありますから、少なくとも、上昇率というものは、これはまとめた総額で計算をいたさねばならぬところであります。この点から考えてみますと、郵便料金の値上げは単に〇・一四%ではなく、何もかにもが値上がりをした上にプラスされるものでありまして、私どもは、三十五年以来、経済の毎年六%以上の伸びや、あるいは消費物価の上昇に見舞われて、不況と不安と物価高、この異常現象を、私どもは国民生活の中から軽視してみることはできないのであります。このとどまるところを知らない公共料金の値上げそのものは、保守党政府の体質的な欠陥からくるものであるということを指摘いたさねばならないと思うからであります。
反対の第二は、郵政事業が今日でも、個人と個人間の意思を疎通せしめる、言うならば単純な仕事で、現実的には幾年経過をいたしましても、これは変わるところのない仕事であることは論を待ちません。しかし、実社会における個人はきわめて高い次元での複雑な環境を増し、そういう形での関係は、これは経済社会や社会文化の進展に対して、個人の意思の疎通をはかるということが、いかに重大な問題であるか、通信業務は、その間の媒介体としての基礎的要因としての責任を果たさなければならないというところに、その公共性は高く評価され、重要さにこたえなければならない企業としての問題があると私は思うのであります。また一方、郵便事業は、近代社会の発展や合理化、機械化の著しい進歩がありましても、企業としては人力にたよるしかない運営の特徴を持ったものでありまして、この郵便事業の体質的な状況から考えてみますと、今日の郵便事業は、一般社会から見てこれにこたえるというこたえよりか、きびしい批判を受け入れなければならない多くの問題をかかえていると言わねばなりません。まことに現状残念な状態にあると思われるわけであります。
これらの問題に対して、この改正案は全くこたえておらないという点に問題があろうと思います。たとえば、郵政審議会が問題の提起をいたしました評価の中に、はしなくも指摘をいたしましたとおり、事業の現状は救済の必要があるというのであります。これは並みのとらえ方でありません。おそらく比類のない、審議会の答申の中では最も大きく表現をされた点であろうと思うのでありまして、この点をとらえてこれにこたえるのでなければ、私は今日の事業経営者の責任が果たされたとは思わないわけであります。今日、事業がじり貧状態となり、単に提案の説明の中に明らかにされたようなことでは解決されない、そういう重大な問題があることを知らねばならぬと思います。郵便の社会全体の評価が、企業経営者の熱意のそのあり方に対して大きく疑問を持ち、また郵便物の利用者が、郵便物の排送その他に対して、きわめて大きな不信感を持ち、その上に料金の値上げという問題が加味をされているということになりますと、私は企業全体の経営から考えてみまして、ゆゆしき問題であると言わなければならぬと思うのであります。
さらに料金の決定はきわめて作為的でありまして、黒字の種類に対して、さらにこれを値上げをし、赤字であって解決しなければならない点を、ますます赤字を是認をするという改正案になっている点について、これは、私は値上げの理由をさえ失わしめている原因であろうと思うのであります。
第三の反対の理由は、郵便会計のいわゆる現状についてであります。
この会計が人力による企業の会計として独立採算で成り立つものであるかどうかについては、これは多くの論議があるところだろうと思います。しかし、法律の第一条にありますように、低廉な料金であまねく国民にサービスをするという本旨から考えてみますと、体質的に、これは独立採算制ではまかない切れない企業であるということは明らかであります。企業が今日落ち込んで国民からの不信を受けているという、そのことが、私はこれを裏づけていると思うのであります。十五年にわたって改定ができなかったというようなことは、実は私は、この料金改定の理由とはならないと思うのでありまして、今日、問題をかかえて、企業がいかにあるべきかについて思いをいたさねばならぬのは、とこにあろうと思います。しかも、かつて逓信省で運営をされておりました当時、もちろん当時の労働条件その他は、他省と比べて、きわめて劣悪なものではありましたけれども、しかし、国庫納金をするに足る黒字会計であったわけであります。今日、電電公社、あるいは国際電電等々、黒字である会計を全部部外に持ち去られ、まるはだかの事業で独立会計ができるということは、これはとうてい考えられないところでありまして、今日赤字を累積する会計であるということは一目りょう然であります。しかも、これが個人負担によるところの料金改定によってまかなうということは、その法律の趣旨からいきましても、あるいは独立企業のあり方からいきましても、これはもう限界に達していると言わねばなりません。しかし、郵便事業は、一つの郵便会計だけで持っているのではないのであります。貯金会計、保険会計等、言ってみますと、政府の国策にこたえて動いている会計でありまして、その会計の置かれている立場というものは、きわめてこれは不合理そのものであります。歴代の郵政大臣がこの点を認めて、これらに対して改正の意欲を燃やしますけれども、皮肉なことに、それらの人たちが大蔵大臣になりますと、これを解決する意欲を失う等、全く矛盾に満ちた経過をたどっているわけであります。しかし、今日なお、貯金、保険の会計の中から運用利益金を投資させる等の、企業の基盤強化の方策がとられるならば、私は、低廉でもってあまねく国民にサービスされる郵便事業が、これが維持できないというふうには考えられないのでありまして、この点から、これらに対する解決のない法律案に対して、反対の理由とするわけであります。
以上、三つの反対理由を述べましたが、このほか、具体的に郵便の現状を認識し、これに対処すべき問題が数多く、しかも、それが多岐にわたってあるにもかかわらず、これらの問題は法律案の中では全く度外視されているわけでありまして、私は、それゆえに、郵便事業の経営に当たる当事者の強い反省を要請をしながら、反対討論を終わりたいと思う次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/5
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006・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 西村尚治君。
〔西村尚治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/6
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007・西村尚治
○西村尚治君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するものであります。
この法律案は、政府の提案理由の説明にもありましたように、郵便事業の円滑な運営と、これに要する財源を確保するため、郵便料金を改定するとともに、業務の能率化、事業の近代化を促進し、あわせて利用者に対するサービスの改善をはかろうとするものであります。
郵便事業は、その特色としまして、人力に依存する度合いがきわめて強く、経費の約八〇%が人件費であります。これは世界各国の郵便事業に共通するいわば宿命的な特質でありまするが、近年、特にわが国におきましては、相つぐ増員とベースアップのために、人件費は上昇の一途をたどり、事業財政は極度に逼迫するに至ったのであります。この増員は、年々激増する郵便物の処理のために必要不可欠な措置ではありましたが、それがために、局舎の増改築、局内作業の機械化等、作業施設を整備する資金的な余裕がなく、事業の能率化と近代化の面におきまして時代の趨勢におくれをとってきたことは、いなみ得ない事実であります。この点を解決し、近代化を推進することが、郵便事業に課せられた当面の緊急課題であるといわなければなりません。
ところが、他方におきまして、郵便料金は、昭和二十六年に全面的な改正が行なわれまして以来、三十六年に一部の料金についてのみ若干の調整が加えられましたが、第一種と第二種、すなわち書状とはがきにつきましては、今日まで十五年間据え置かれたままであります。もちろんこの種の料金は、長期間にわたって安定させることが望ましいことは言うまでもありません。しかしながら、安定した料金というものは、事業が確固たる健全な経営基盤に立っていてこそ初めて意義があるのであります。かりに、それが不健全な経営の基礎に立ち、サービス低下という犠牲のもとに維持されるものであるならば、これは決して歓迎すべきものとは申せません。郵便事業は昭和四十年度においてすでに数十億円の赤字経理を余儀なくされております。もしかりに、現行料金をこのまま据え置くとしますならば、今日の急務たる事業の機械化、近代化が不可能になるのみならず、人件費に著しい不足をきたしまして、過日、仲裁委員会から出されました仲裁裁定すら、これを実施することがはなはだ困難な状態におちいるのであります。本案に対する反対意見の中には、料金改定を避けんがために、一般会計から繰り入れてまかなうべしとか、郵便貯金事業の剰余金をもって充当すべしとかの論がありまするけれども、これは全く一時的なびほう策にすぎず、抜本的な対策とはなり得ません。しかも、郵便事業特別会計のたてまえ、並びに、過去においてこれが特別会計制度をとるに至った経緯などから見まして、この会計本来のたてまえをくずすがごとき安易な措置をとることは、厳に慎むべきであると考えます。あくまで独立採算の妙味と長所を生かし、自前の会計として、責任を持って経営していく方針を堅持すべきでありまして、そのためには、この際、料金改定によるほかないと考えるのであります。
当面の問題について見ましても、先般出されました仲裁裁定は、三公社四現業には実施可能とのことでありますが、郵政関係のみ資金不足のために実施が困難であるということは、従業員の士気に影響すること甚大なるものがあるといわなければなりません。そう見てきますると、ひとり政府のみならず、三十一万の郵政従業員も、ひとしくこの法律案の可決を、旱天に慈雨を望むがごとき気持で待ち望んでいるのではないでしょうか。(拍手、発言する者多し)料金改定は郵便の利用者にはある程度の負担をかけることにはなりまするけれども、生活費の中に占める郵便料金の割合の零細な点などから見ましても、改正案の程度ならば、大方の理解と協力が得られるものと考えるのであります。
しかも、本案は、単に料金改定のみを意図するものではありません。郵便物の種類、体系等を整備して、業務の能率化を目ざすとともに、通信教育用の郵便物は低料金のまま据え置くとか、あるいは学術雑誌の範疇を新たに設けて、学術奨励のための優遇措置を講ずるなど、きめのこまかい配意が数多くなされているのであります。料金改定そのものは決して好ましいものではありませんけれども、しかし、これによって郵便事業が確固たる基盤に立ち返り、従業員の士気と能率が上がり、さらに待望の近代化も促進されまして、政府のたびたび言明するごとく、よりよきサービスが約束されまするならば、本改正案は、まことにやむを得ない、むしろ当を得た改正案であると私は信ずるのであります。
さような観点から本案に賛成するものであることをここに申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/7
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008・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 田代富士男君。
〔田代富士男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/8
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009・田代富士男
○田代富士男君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、公明党を代表して、強く反対するものであります。
まず第一に、政府は、物価安定対策に対して、事あるごとに、極力努力を傾けていると言いながら、実際には、ことしに入っての一連の公共料金の値上げは、言行一致であり、国民の期待をはなはだしく裏切るものであります。政府の物価対策は机上の理論を並べ、国民生活を無視した以外の何ものでもありません。この姿は、四十年度の消費者物価指数が、実に過去十年間の最高の値上がり率、七・六%と上昇したことであります。このことは、物価騰勢に拍車をかけ、米価、私鉄、国鉄、さらには保険料等、軒並みに公共料金の値上げとなってあらわれてきております。このようなときに郵便料金の値上げを強行するならば、必ずや一般物価の高騰を続発させ、国民経済生活を大きく圧迫することは必至であります。今回の郵便料金値上げに対しても、その家計に占める生計費の割合は、〇・一四%にすぎず、また、物価に及ぼす影響は微々たるものであると、総理みずから公言しておりますが、実際は、それ以上になることは明らかであり、全く国民大衆の実生活を顧みないものであり、国民生活をあまりにも無視したもの、断じて許せないところであります。必ずや郵便料金値上げに便乗して、他物価の値上げを刺激し、物価上昇の誘因となると言わざるを得ません。よって、郵便料金値上げは、国民すべてが反対であり、私は強く反対を表明いたします。
次に、反対の理由は、改正案の中において、第三種の政策料金として、直接原価をはるかに割る低料金を審議会の答申を無視して設定したことであります。五十六億の郵便事業の赤字の原因は人件費にあるといえども、実に、赤字の原因は、第三種の低料政策料金が最大のガンになっていることであります。今回の改正案の内容を見たときに、多くの不合理な問題点があり、矛盾を認めざるを得ません。政府は、あくまでも郵便事業の独立採算制のたてまえを徹底しようとするならば、収支均衡の原則に従って、原価を基準にした料金設定が必要であります。しかしながら、あくまでも総括原価主義を主張する政府は、単位原価の黒字である第一種の書状、書留、その他の特殊取り扱いの郵便物に対して、大幅な値上げを強行しております。また、単位原価から大幅な赤字を出している第三種低料扱いの料金に対しては、一円値上げしただけにとどまり、その他は現行のままの料金にしていることは、一部の大口利用者が負担すべき料金を一般利用者が負担するということは、まことに不合理であり、断じて許すわけにはまいりません。郵便事業の健全化を最大の目標とするならば、まず政策料金の再検討を早急に進めることが急務であるとともに、料金全体に対しての原価理論、料金決定基準を明確にすべきであります。これなくして健全化は断じて行ない得ないと断言しておきます。
さらに、第五種郵便物が廃止され、第一種郵便物に統合されることにより、今後の経済発展に伴い、従来のダイレクトメール等が、第一種の定形郵便物として多数差し出されることが予想されると考えられます。したがって、郵便事業本来の目的である書状、はがき等の配達が著しく阻害されるおそれがあるにもかかわらず、書状、はがき等に対しての優先送達の配慮が全くなされていないのであります。
また、料金値上げによって、郵便事業の近代化、航空機搭載によっての送達等を促進することによって、サービスの徹底も十二分にでき得ると言われるが、表面上の近代化、航空機搭載等をしたからといって、必ずしも送達促進とはなり得ないところに大きな問題があります。すなわち、住居表示制度が確立されていないわが国は、世界的にも有名な迷路の国であります。この迷路の解消なくして、サービスの徹底、配達のスピード化等はあり得ません。諸外国においては、住居表示は街路式であることは常識であります。わが国においても、すみやかに街区式から街路式に改めるべきであります。このような根本的問題を解決せずして、ただ航空機搭載をすれば送達等において一般大衆にサービスが徹底されるとしていることは、はなはだ軽率であります。
以上のような諸点が解消されないまま、政府は郵便事業の経営上発生した赤字を補てんする方法として、郵便料金の値上げのみを考えることが、独立採算制の鉄則かのごとく盲信していることは、はなはだ不合理であり、このことは国民不在の政治を強めるばかりであります。
私は、以上の諸点より、政府の原案に対し強く反対して、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/9
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010・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/10
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011・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/11
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012・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、中部圏開発整備法案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長松永忠二君。
〔松永忠二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/12
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013・松永忠二
○松永忠二君 ただいま議題となりました中部圏開発整備法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、中部圏の開発及び整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、わが国の産業経済に重要な地位を占める中部圏の建設と、その均衡ある発展をはかり、あわせて社会福祉の向上に寄与しようとするものであります。
本法案にいう中部圏とは、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県及び滋賀県の区域を一体とした広域をいうものでありまして、内容のおもな点を申し上げますと、
第一は、その事務を所掌するため、総理府の機関として中部圏開発整備本部を設置し、長官には国務大臣をもって充てることとしております。また、総理府に中部圏開発整備審議会を設け、総理大臣の諮問に応じ、計画の策定実施に関する重要事項を調査審議することとしております。
第二に、関係県は共同して中部圏開発整備地方協議会を設置し、中部圏の開発整備に関する重要事項を調査審議することとしております。
第三に、基本開発整備計画については、関係県の協議により、中部圏開発整備地方協議会の調査審議を経てその案を作成し、これを中部圏開発整備長官に提出し、同長官はこの案に基づいて基本開発整備計画を作成、内閣総理大臣が審議会の意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議して決定することといたしております。
第四に、内閣総理大臣は、事業の実施にあたって、各地域の特性に応じ、都市整備区域、都市開発区域及び保全区域を指定することができるものとし、各区域の整備開発に必要な事項は別に法律で定めることにしております。
その他、中部圏開発整備計画と北陸地方開発促進計画、近畿圏整備計画との調整等について規定しております。
本委員会における質疑の内容については、会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して須藤委員から反対、日本社会党を代表して小酒井委員、自由民主党を代表して稲浦委員から、それぞれ賛成の旨の発言があり、小酒井委員からは、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の共同発議にかかる附帯決議案が提出されました。その内容は、
本法の実施に当つては、その立法の趣旨にかんがみ、中部圏開発整備審議会並びに中部圏開発整備地方協議会の委員のうち学識経験者の任命について、政府及び関係県の知事は、地域住民各層の意見が十分に反映されるよう特に配慮すべきである。
というものであります。
かくて討論を終局、採決の結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
続いて討論中の附帯決議について採決の結果、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/13
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014・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/14
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015・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X03119660603/15
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