1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年七月十五日(金曜日)
午後三時五十三分開会
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委員の異動
七月十一日
辞任 補欠選任
木暮武太夫君 近藤英一郎君
七月十五日
辞任 補欠選任
林屋亀次郎君 任田 新治君
西川甚五郎君 田村 賢作君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳永 正利君
理 事
青柳 秀夫君
日高 広為君
藤田 正明君
柴谷 要君
中尾 辰義君
委 員
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
栗原 祐幸君
小林 章君
近藤英一郎君
西郷吉之助君
田村 賢作君
任田 新治君
木村禧八郎君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野溝 勝君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
外務政務次官 正示啓次郎君
外務省国際連合
局長事務代理 滝川 正久君
大蔵政務次官 竹中 恒夫君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省国際金融
局長 鈴木 秀雄君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
案(第五十一回国会内閣提出、衆議院送付)
(継続案件)
○アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法
律案(第五十一回国会内閣提出、衆議院送付)
(継続案件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/0
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001・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。去る七月十一日に木暮武太夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤英一郎君が選任されました。また、本日、林屋亀次郎君が委員を辞任され、その補欠として任田新治君が選任されました。以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/1
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002・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の以上両案を一括して議題とし、審査を進めます。
両案につきましては、前国会におきましてすでに提案理由の説明を聴取し、質疑を続けてまいりましたが、継続審査となり、本国会に引き継がれましたので、これより前国会に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/2
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003・瓜生清
○瓜生清君 インドネシアの経済援助について質問したいと思うのですが、この間、インドネシアの第四副首相ですか、あれが来ましたときに、結局最終的に三千万ドルの援助をするということが総理の裁断によってきまったわけですね。その過程において、大蔵省と外務省と通産省との間に援助する金額で相当大きな食い違いがあったということを聞いているのですが、そういう事実があったのかどうか。あったとすれば、その内容をひとつ教えてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/3
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004・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国内におきましても、あるいは国外に対しましても、金を出すという際には関係者の間で意見が違うことは、これはもう常則でございます。大蔵省はなるべく出さぬ、こういうふうに言いまするし、また外交上出さなければならぬというふうな立場で、大きな金額を言う立場に立つのが外務省であります。通産省は、通商上の見地からたいへんいいようだというので、なるべく出してもらいたいというようなことが通産省でございますが、結局においては、違った意見を言いながらも、話し合いの当事者も落ちつきはこうだという見当をつけながら話し合っておるようなわけであります。意見が違いがあったかと言われると、あったとも言えるし、なかったとも言える、そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/4
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005・瓜生清
○瓜生清君 そこで、その三千万ドルの経済援助の内容というものはもうきまったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/5
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006・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) きまったのであります。まだそれが実行されるまでは至っておらないかと思うのでありますが、中身は大体詳細にきめられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/6
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007・瓜生清
○瓜生清君 ちょっと、事務局でもけっこうですから、大まかなやつを教えてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/7
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008・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) 六月の十四日の閣議決定に基づきまして、七月一日に両国政府間で書簡が交換されました。同時に、輸出入銀行とインドネシア政府の間で借款契約が調印されたのでございます。償還条件は、四年据え置きの五年ということでございます。金利が五・五%、対象品目は衣料、繊維品、紙、医薬品、機械部品等、緊急の民生安定に必要なものと、こういうものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/8
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009・瓜生清
○瓜生清君 そこで、インドネシアの場合ですね、非常に政情が不安なんですけれども、最近だいぶん落ちつきつつありますけれども、大体インドネシア自体として対外債務というのはどのくらいあるのですか、わかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/9
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010・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、長短合わせまして二十六億ないし二十七億ドル、こういうふうにいわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/10
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011・瓜生清
○瓜生清君 そこで、もう一つインドネシアの問題で聞きたいのですが、今度スカルノさんが退陣して新しい体制に移ってきつつあるわけですが、聞くところによりますと、今度の内閣の経済政策といいますか、そういう経済に対するものの考え方というのは、いわゆるインドネシア的な従来の社会主義経済から、どちらかといえば西欧的な自由経済の方向に歩むんじゃないか、歩もうとしておるようなそういう様子が見られるわけでございますが、そういうふうな、考え方が食い違ってくる、あるいは変更されるということになりますと、それが一応完全なものに移行するまでにある程度の期間がかかると思うのですね。その場合に、何といいますか、混乱が起こりはしないかというふうな感じがするわけですけれども、そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/11
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012・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年の九月の三十日に政変が始まって、インドネシアの政情は一変してきている、こういうふうに見ておるわけであります。それで、その一変された政局が安定するかしないか、こういう問題は非常にインドネシアとの関係を考えていく場合に重要な問題なんでありますが、新しい体制がだんだんと新しい方向で固まりつつあるという半面におきまして、この政局の安定が実は経済の安定と非常につながりが深いように見ておるのであります。九月三十日以前のインドネシアの経済情勢、これがかなり極端な飢餓状態——もう食糧にも不足をするというような状態であったわけであります。それを引き継いだ新しい政権が、その政局を安定するというためには、どうしても当面した経済危機を打開しなけりゃならぬと、こういう問題に当面してるわけです。そこで、新しいそういう意味の政府は政策の大きな転換をいたしつつあるわけでございます。つまり、何とかしてまず財政の均衡をはかりたいと。そこで、不要不急というか、新しい国の施設というようなものはほとんど総なでというような停止を断行いたしますとか、あるいはいわゆるマレーシア・コンフロンテーション、こういうことで軍備にずいぶん金を食ったわけでございますが、そういう政策の転換と並行して軍事費も節減をいたしておる。それからさらに、国際収支対策、これにも非常に熱心でございます。不要不急の物資の輸入を抑制するという反面において、輸出奨励の政策をとり出すと。
ところが、それだけの政策をとっても、ともかく緊急事態のインドネシア経済というものはもうどうにもならぬ。そこで、国際援助を取りつけなきゃならぬ。国際援助を取りつける前提条件としては、まず国際経済社会に復帰しなきゃならぬというので、ただいまIMFへの復帰を交渉しておるようでございます。それからなお、国際連合への復帰も考えておるというふうに見ておるわけであります。それと並行して、先進各国、また利害関係諸国に対しましても、経済援助を求めなきゃならぬ、こういうような考え方のもとに、そういう方策の第一歩として、わが日本にただいまお話のあったようなブオノ第四副首相を派遣するというようなことになってきているわけであります。
政局が安定するかしないか、安定化の方向だといいますが、その最後のけじめをつけるものはインドネシアの経済がこの危機を突破し得るかいなかという一点にかかっているように私は観測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/12
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013・瓜生清
○瓜生清君 けさの新聞だったと思うんですけれども、何か、近くといいますか、今秋ですか、秋に日本でインドネシアの債権十カ国会議ですか、そういうようなものが開かれるというようなことが載っていましたが、あの会合の目的とするところは何ですか、わかっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/13
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014・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) インドネシアに対しましてわが日本は緊急に三千万ドルの借款を与えるということを約束したわけでございますが、ところが、インドネシアの問題というのは一国で処置し得るようななまやさしい状態じゃないのであります。結局、これは利害関係国が集まって、つまり債権国が集まって、そして債権国が共同で処置しなければ片づかないというくらいに深刻な状態にあるわけであります。で、ブオノ第四副首相が来日いたしました際に、日本は三千万ドルの緊急借款を与えますと。与えますが、まず国際社会に復帰するように努力せられたい。同時に、すみやかに、しかもブオノ副首相が日本におる間にも債権国に呼びかけて、そして債権国会議を開催して援助措置を講ずるようにせられるべきであるという意見を申し述べたわけであります。ところが、インドネシア側の意見では、それはそのとおりでありますと。IMFへの復帰については交渉をするといいますけれども、しかし、第二の問題である債権国会議については、まだ日本に来たばかりだ、ほかの債権国であるソビエトだとかアメリカだとか、あるいはオランダ、そういう国々に対しましては、まだこちらから接触していないんだと。債務者がまだごあいさつもしないうちに、日本からそういうことを言いふらされるというようなことだと、ちょっと都合がかえって悪くなるような面がありますので、まあ、いずれマリク外務大臣がソビエト等にも参りますし、私は西欧諸国に参ります、そういう措置を踏んでから、債権国会議を開いてくれと、こういうような話だったわけです。しかし、債権国同士の間では、そういう話はあるけれども、事は火急の問題になっておるというので、インドネシアを除外いたしまして、債権国だけの間で、寄り寄りどういうふうに会議を招集したらいいだろうかということを集まって相談をしようと、こういうことにいまなっております。その寄り寄りの相談の結果をインドネシア政府に伝えまして、そして正式の債権国会議ということになるだろうと思うわけであります。
債権国会議の目的は二つあるのです、一つは、いまお話しの二十七億ドルにも及ぶ債務、これは逐次履行の期限がやってくるわけです。その債務の償還を繰り延べる、元利償還を繰り延べるという計画をどういうふうにきめるかと、こういう問題。それから、それだけでは足らない。新しい投資を必要とするわけであります。あるいは融資を必要とするわけであります。それを債権国がどういうふうに分担し合っていくか。こういう二点が中心となるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/14
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015・瓜生清
○瓜生清君 それでは、インドネシアの問題はそれでけっこうですが、次に、この間のどなたかの質問で、ソビエトが加盟しない理由については答弁されたように私記憶しているのですが、フランスの場合何か入っていない特別の理由はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/15
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016・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) 特別に……。フランスは、御存じのように最初からこの設立準備委員会にも入っておりませんし、またエカフェが招集いたしました政府代表者会議にも出ていないわけでございます。したがいまして、そういった場面で、ソビエトはそういった会議には出ておりましたから、私どもは少なくともソビエトが入らない公式な理由というのは聞いておりますが、フランスについては、渡辺顧問が当時エカフェの準備委員会の副委員長だったわけでございますが、バルマセダというフィリピンの商工大臣が委員長で、バルマセダが、こちらからいいますと、アメリカとかカナダとか、そういったところを回ったわけでございますが、渡辺副委員長が、要するに、域内のエカフェを代表いたしまして加盟を要請するために欧州各地を回りましたときに、ただ、フランス政府としては入らないんだと、こういうことを言っただけでございまして、その後について、どういう趣意でそういうことになったのかということは、想像すれば想像できないことはありませんけれども、少なくとも公式の発言はございません。ただ一言申し上げておきたいのは、フランスの実業界の中では、当然こういったものに入るべきだというプレッシャーが政府に相当かかっておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/16
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017・瓜生清
○瓜生清君 もう一つお伺いしますが、数カ月前からインドが非常に、何といいますか、食糧危機で、暴動などが起こっておりますが、各国にも援助を要請しておりますけれども、アメリカあたりは、たしか余剰農産物を千五百万トンですか送ったと思うのですが、インドの食糧危機に対して日本がいまどういうふうな援助といいますか、そういうような要請を受けておるのか、その内容がわかったら知らしてもらいたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/17
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018・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お話のとおり、インドが非常に困窮状態である。つまり、インドが五カ年計画がなかなかうまくいかないんです。それで、したがって、国内におきましては、経済が非常な逼迫状態にある。それで、昨年もコンソーシアムが相当援助をして、わが日本もこれに参加したわけでございますが、ことしも相当大規模な援助をしなければならぬというのが国際経済社会における世論になってきておる。そこで、ただいま世界銀行が中心になりまして、インドに対し借款を与えようじゃないかという構想を打ち出しまして、わが日本にも世界銀行から接触があるのであります。いずれもこれは非常に急がれている問題なんで、わが日本も何がしかの協力をしなければならぬということを考えておるわけでございます。非常に差し迫った問題で、近く何らかの結論を得たいと、かように考えておる最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/18
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019・瓜生清
○瓜生清君 いままだ結論は出ておらないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/19
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020・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/20
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021・瓜生清
○瓜生清君 最後の質問ですが、これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、日本から総裁を出すというようなお話があって、立候補したが、現在のところ対立候補がないので、たぶん十月ですか、総会かなんかできまるのじゃないかというようなお話がこの間ございましたが、今日でもそういう情勢には変わりございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/21
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022・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 実は、通常国会におきましてアジア開発銀行関係の協定また国内法が成立を見ず、また承認を得られずに終わった関係で、若干関係国の間で、日本はどういうのだろうというので不安を持つような空気が一時はありましたが、総裁問題に大きな影響のあるような事態に至らずに済んでおる、こういうふうに思っております。渡辺候補に対し各国は期待をしておる、こういう状況におきましては、今日まで前国会の情勢と大きな変化はない、このように判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/22
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023・瓜生清
○瓜生清君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/23
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024・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/24
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025・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 たいへん幼稚な質問かと思うんですが、アジア開発銀行の出資額は私は十億ドルというふうに記憶しておったんですが、そうしましたら、払い込み額は五億ドルで、そのうちの一億ドルが日本の割り当て額、あとの一億ドルは要求に応じて払い込むんだ、こういうシステムになっておるということなんですが、そのような事実でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/26
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027・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいま御質問のありましたとおりでございますが、出資額として計算いたしますのは二億ドルでございますが、そのうちの一億ドルは、請求払い込み資本と申しまして、何らの金を払わなくとも済む。それはどういう目的でできておるかと申しますと、アジア開発銀行が将来、たとえばいま世界銀行がやっておりますように、世界のいわゆる資本市場で資本を調達する、アジア開銀債というようなものを出した場合に、それの見返り担保的なものとして、もしそういうたとえばニューヨークなり何なりでアジア開発銀行が外債を出す、そのときに、その金で低開発国に貸すわけでございますから、ニューヨークとしては若干そういったものをたとえば民間の人が持つというときに不安があるわけでございます。したがいまして、そういう各国が五億ドルを、ともかくそういったものを出すという約束をしておる、それをカタにしてそういったものを出す。したがいまして、もしそういった外債でできました資金で低開発国に対し貸しまして、それが返還不能のようになった場合のみそういった請求が各国に来る、こういうかっこうのものでございます。しかし、それは出資であることには変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 このアジア開発銀行の貸し付けは、加盟国にもちろん貸し付けるのは当然でございますが、その団体にも貸し付けられる。加盟国だけではなしに、その団体ですね、団体にも貸し付けられる。その団体というのは一体どういう団体なのか。私がこれを質問したいと思いますのは、たとえばインドネシア等においては仏教徒のような団体がありますね、こういうようなところでも、必要な場合には、アジア開発銀行に借り入れを申し入れた場合には貸すんですか、それをひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/28
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029・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいまの団体というのは、いま現在世界銀行が貸しております場合と同様なわけでございまして、たとえば道路公団が世界銀行から借りる、そういったことをいっているわけでございまして、まあ訳が団体というのはいいのかどうかわかりませんが、オーガニゼーションということでございまして、政府それ自身ではないけれども、たとえばその国に開発銀行がある、そうすると、こまかな、たとえば中小企業に対する貸し出しを、アジア開銀が直接やるよりも、そういった開発銀行に金を貸して、その開発銀行がまた又貸しをするというほうがいい場合もあるわけでございます。そういういろいろなことを考えまして、必ずしも政府だけではなくて、そこの中におります公団であるとか、開発銀行であるとか、あるいは場合によっては民間の会社の場合もあるかもしれませんが、そういったものに対して貸し付ける、こういうことでございまして、いまお尋ねのような仏教団体といったような、それが開発事業をする場合もあるのかもしれませんが、通常の常識ではそういうことはとうてい考えられない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/29
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030・柴谷要
○柴谷要君 表現のしかたは、日本流には、集団的または個別的と、こうなっているんですがね、集団的ということになりますと、これは幾とおりもあると思うんです。ですから、それが開発事業を行なうということになれば、仏教徒の団体であろうと、ベトコンであろうと——これはベトコンにはなかなか貸さぬだろうと思いますけれども、ベトコンでも団体ですから、あるいはこれは一国というかもしれませんが、こういうものにも貸すのかどうか、こういう点をはっきりお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/30
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031・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) いま柴谷委員のおっしゃったのは、一条の目的のところでございます。「共同的な又は個別的な」というのは、一カ国に関係するだけの場合を個別的と申しまして、たとえば、もし東南アジアにマイクロウエーブ網をつくるといった場合には、その関係する国はタイ国であるとか、マレーシアとかフィリピンであるとか、みんなに一つの開発が関係してくる。そういったものを集団的あるいは共同的というふうにいっているというのが実情でございまして、いま私が申しましたような意味の共同的ということでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/31
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032・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ただいま委員の異動がございましたので、御報告いたします。
西川甚五郎君が委員を辞任され、その補欠として田村賢作君が委員に選任されました。以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/32
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033・柴谷要
○柴谷要君 大体いまのこの開発銀行の融資の対象は農業、工業向けに援助を行なうというのが主目的だと思う。そうなりますというと、タイやビルマは米ができますから、これは農業開発のために援助するというようなことで貸し付けができる。その他の東南アジアの国に対しては工業ということで、工業発展のために融資をする、こういうことになるんじゃないかと思う。それが日本にとって一体どういう利益をもたらすのか、この点についてひとつ、幼稚な質問かもしれませんけれども、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/33
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034・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま世界に一つの大きな潮流があるわけでございます。それは後進国援助——まあ後進国というと語弊があるかもしれませんが、発展途上の国に先進国が援助しよう、こういうことであります。これはもうたいへんな国際的潮流と申すべきかと思うのでありますが、経済関係の国際会議でも開かれますと、もうこの空気に全体がおおい尽くされる、こういうような状態であります。つまり、これは南北問題ともいわれるような問題でございまするが、そういう世界的潮流の中で、わが日本は先進国の中に数えられておるわけであります。先進国わが日本として国際的な責任を果たす、こういうことが第一点であろうと思います。
第二の問題は、これは日本の立場、つまり、国際的な立場よりも一段下というか、次元の低い立場、日本の国益というようなことを考えてみますときに、わが日本は貿易によって生きていくほかない国柄でございまするが、今日非常に貿易が伸びておる。しかし、その貿易が今後さらに伸び得るかということを考えてみますというと、わが日本の貿易構造がその四割までが発展途上の国に対するものであります。この発展途上の国に対する貿易というものをさらに伸ばしていくというためには、日本の力もこれに加えまして、これらの国々の経済がわが日本の輸出を受け入れ得るような国柄にしていく、それが回り回ってまたわが日本の輸出となり国益となって返ってくる、こういう立場に置かれておると思うのであります。もとより、大事な国費を使うことでございまするから、軽々に、安易にこれを行なうことはできませんけれども、しかし、そういう気持ちをできる限り国の政治の上でやっていかなければならない、こういう考え方に基づくものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/34
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035・柴谷要
○柴谷要君 目的なり理想はだいぶ大きいのですけれども、一体アジアの開銀というものがわずか十億ドルでそんな目的が達せられるものかどうかということが言えると思うのです。大体、アジアの諸国が借り入れをしたいと申し出る額は膨大なものじゃないかと思うのです。そういう場合にはどういう処置をされるのか、そのしかたをお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/35
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036・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 最近におきますおくれた国々に対する経済協力援助の仕組みとしては、二つの行き方があるのです。一つは、先進国と発展途上の国との二国の間で経済援助の協定をする、こういう行き方でございます。また同時に、もう一つの行き方は、多角的な方法、つまりこれは国際協力的な機構を通じてやる仕組みでございます。今日、世界銀行があり、また第二世銀がありまして、そして後進諸国の援助をやっておりまするが、またこれと同じような目的を持ちまして地域的な後進国援助機構もあるわけであります。あるいはアフリカあるいは南米に対して存在することは御承知のとおりであります。今度それと同じような仕組みがアジア地域に対してアジア開発銀行としてできる、こういうことであります。この二国間の援助方式とただいま申し上げたような国際的な立場における経済協力方法、こういうものがあるわけであります。
申し落としましたが、国際的立場につきましては、機構というようなものを通じないで、コンソーシアムというような仕組みで行なわれる場合もあるわけでありますが、要するに二国間の援助と国際的援助と、こういう二つの行き方があるだろうと思うのであります。ずっと流れを見ておりますると、だんだん国際的協力の仕組みによって発展途上の国々を引き立てていこうというふうな動きをしておるというふうに見ておるんですが、いま御審議をお願いしておるアジア開発銀行もその流れに沿う一つの試みであり、私は、今後の経済協力の方向というものは、そういう国際的機構を主軸にし、二国間の協定による援助はこれを副次的なものとしていくという気がまえで臨むことが適当である、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/36
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037・柴谷要
○柴谷要君 世界銀行が各国に融資をしておるわけですが、これは事務当局でけっこうですけれども、お尋ねしておきたいんですが、アジア圏に対しては非常に少ないと見ておるわけです。各国別とは言いませんけれども、地域別に一体世界銀行の融資額というものはどうなっているのか、アジアが一番低いということだけは私も承知しておるんですが、ヨーロッパ方面、あるいはアメリカ、南米その他を比較をして、一体どのくらいになっておるのか、その比率、それからできることなら融資額のパーセンテージをひとつ教えていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/37
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038・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ちょっといまパーセンテージその他ここに資料を持っておりません。計算すればすぐできるわけでありますが、確かに先生のおっしゃるように、アジア地域に対する融資というものは一応数字的には大きいわけでございますが、その中に日本とインドとパキスタンという大口が含まれておりますために、実際現在のアジア開銀の加盟国である国に対しては必ずしもそう大きくないというのが実情でございます。
地域別に申し上げますと、世銀発足以来、一九六四年、六五年度の世銀の財政年度でございますが、年末までの数字を申し上げますと、アフリカが十一億ドル、アジア中近東が三十億ドル、大洋州が四億五千七百万ドル、ヨーロッパが約二十億ドルでございます。それ以外の西半球、これはラテンアメリカなど二十二億ドルということで、アジアは数字的には多いわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/38
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039・柴谷要
○柴谷要君 いまの御説明だというと、アジアが三十億ドルということで、非常に他の地域から見ると多い。多いのは、大口である日本、インド、パキスタン、こういう状態になっておるから多いんだ、こういう説明になろうかと思うんですが、この三十億の内訳をひとつお聞かせ願いたい、国別で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/39
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040・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいま国別の資料を全部持っておりませんので、後刻御返事をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/40
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041・柴谷要
○柴谷要君 それでは、あとでまたゆっくりお尋ねいたしますが、日本自体が東南アジアの諸国に相当借款を与えているんじゃないか。何といいますか、むしろ貸している——インドネシアあるいはビルマその他の国に対して日本自体が貸し付けている金があると思います。その内訳が知りたいのです。
ついでですから、その上にお尋ねをしておきたいと思うのですが、一体その金がどのような動きをし、どのような各国に好影響を与えているのか、これを、わかりましたら、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/41
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042・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいま手元に一九六三年から六五年のわが国の主要アジア国に対する資金供与の額がございますが、六三年の数字を申し上げますと、ビルマが二千七百万、カンボジアが八十万、セイロンが二十万、台湾が二百七十万、インドが四千七百四十万ドル、インドネシアが三千二百三十万ドル、マレイシアが一千万ドル、パキスタンが七百万ドル、フィリピンが八百万ドル、韓国が五百万ドル、ベトナムが七百万ドル、ラオスが三百万ドル、アフガニスタンが五十万ドル、ネパールがゼロ、タイが千六百万ドルでございます。六四年を飛ばしまして、六五年を申し上げますと、ビルマが千二百五十万ドル。カンボジアが四十万ドル、セイロンが十万、台湾が四十万、インドが六千八百万、インドネシアが四千五百三十万、マレイシアが、これはシンガポールを含んでおりますが、九十万ドル、パキスタンが二百三十万、フィリピンが五千八百万ドル、韓国が四千七百万ドル、南ベトナムが七十万ドル、ラオスが六十万ドル、アフガニスタンが十万ドル、ネパールがゼロ、タイが六百四十万ドル、こういうふうに資金の流れがあるわけでございます。この中にはいわゆる賠償その他の贈与的なものも含まれております。その年々の流れでございます。
総計を申し上げますと、一九六三年には一億八千万、一九六四年には一億九千九百万、一九六五年が二億七千万ドル、これの数字は二国間の贈与、直接借款、五年以上の延べ払い輸出及び直接投資、そういったものの合計額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/42
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043・柴谷要
○柴谷要君 ただいまの説明でわかりましたけれども、一番多いのがインドネシアでございますね。このインドネシアの大体七千六百万ドルですかに近い金額、賠償額がこれの中にどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/43
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044・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) インドネシアにつきまして、先ほど申しました一九六三年の三千二百万ドルのうち、千八百万ドルが賠償等でございます。それから、一九六五年の四千五百万ドルのうち、二千百五十万ドルが賠償でございます。
ただいまインドネシアが一番多いと仰せられましたが、インドが一番多うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/44
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045・柴谷要
○柴谷要君 このように、賠償は別問題として、融資をしてあります各国の経済援助を行なった成果というもの、それは一体どういうふうな成績をあげておるか。これはお調べになったことがあるのですか、それとも全然無関係なんでございますか。この点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/45
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046・鈴木秀雄
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいま申しましたような賠償あるいは直接借款、五年払いの延べ払い輸出、直接投資等につきましては、特に直接投資と民間のものにつきましては、いずれも報告を出させてその後の事業がどうなっているかということを調べております。ただ、借款でございますとか延べ払い輸出というものは、単純なる貸し付け債権でございますから、向こうの仕事がどうなっているかということについて、もちろん大きなものについての調査はしておりますが、すべてのものについてしているわけではございません。一応向こうに対しまして貸したということであります。それから、賠償につきましては、賠償ミッションというのを外務省で派遣いたしまして、その工事がどうなっているかということを毎年調べております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/46
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047・柴谷要
○柴谷要君 私も勉強不足でわかりませんが、きょうちょっと書類を持ってきませんので、次回の委員会で質問を続けたいと思うのですが、いま一問だけで終わりたいと思います。
そのことは、いま日本が東南アジアに援助というかをしておる額でも、相当膨大な金額なんです。ところが、アジア開発銀行が発足しても、まあたかだか十億ドルである。こういうことでは実績にはならぬというふうに思うわけです。で、このことは、むしろ十億ドルぐらいの金はアメリカがぽんと東南アジアに貸したらどうなのか、こんな感じがするのです。こんな銀行なんかむずかしいものをつくらないで、ほんとうに開発のために必要ならば、アメリカがぽんと貸してやったならばいいじゃないか、そういう感じがするのです。そういう早道ができないのか。こういうアジアの開銀のようなものをつくっても、貧乏国が金を出してやるわけにいかないから、ある国が金を出さなければ——結果的にはアメリカなり日本なりその他が金を出して後進国を援助していく、こういう形のための銀行だと思う。そういうことならば、むしろアメリカが直接後進国に農工業の発展のために必要な金を貸し付けてやる、こういう姿のほうがすっきりしているような感じが私はするのですが、この点はどうお考えになっておられますか、最後に大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/47
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048・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げたのですが、いま世界的な潮流といたしまして、後進国を先進国が援助しよう、こういうことになってきております。その仕組みといたしましてどうするかというと、これは二国間でやるという形よりは、先進国が共同して仕組みをつくって、そうして後進国を援助しよう、こういうことになってきておるわけであります。たとえばインドなんかをとってみますと、これはたいへんな金が要る。おそらくことし一カ年でも十数億ドルぐらい援助がなければやっていけないような状態じゃないか、こういうふうに思いますが、これを一体一カ国でやるか、こういうことになると、それはとうていできない。やはり国際的ベースでやる。
それから、これは私の個人の考えでございますが、一国が援助する、つまり二国間方式でやると、やはり政治的な関係にどうしても結びつくような傾向があるんじゃないか。やはり国際社会における先進国が相携えて後進国のめんどうを見る、こういう潮流そのものを組織化した形で援助を行なうというほうが、これは近代的な形じゃないか、そういうふうに思うわけです。
今度アジア開発銀行ができましたのも、そういう趣旨でございます。私は、歴史の流れと申しますか、そういう上から見まして適切な考え方であるまいかと、そういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/48
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049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は後刻別な機会に質問いたしますので、きょうは簡単に、いまの柴谷委員の質問に関連して伺いますが、いま大蔵大臣は、二国間の援助であると政治的ないろいろなひもがっくおそれもあると、そういうので、このアジア銀行の場合は二国間の融資ではなく、アジア・エカフェに加盟しておる国及び域外ヨーロッパ諸国が集まって、特に先進国が共同して貸し付けるということになっている、こういうお話ですよ。
ところが、このアジア銀行の業務を見ますと、二つあるわけでしょう、業務は。通常業務と特別業務がありまして、特別業務につきましては、特にソフトローンといいますか、特別に安い金利とか非常に緩和した条件で貸し付けると、そういう貸し付けなんですけれども、この特別基金の中に二つありまして、大臣御承知と思いますが、その一つはアジア銀行の払い込み資本の一割以内で設定される基金と、それから信託基金と二つあるわけですよ。この信託基金のほうはアメリカが一億ドル出すわけですよ、払い込みと別に。それは域内の加盟国に対する二国間援助を信託基金の形で銀行を通じて行なう場合もあるわけです。そうしてまた、この場合はアメリカが指定できるのですよ、東南アジアでなければこれは貸してはいけないと指定できるのですよ。そうすると、これはジョンソンの十億ドルの東南アジア開発のああした構想の基金の一部なんですよ、これが。非常にはっきりしているのです、これは。前に渡辺武君ですね、今度アジア銀行の総裁の候補になっている渡辺武君が、日本のエカフェの協会でいろいろこのアジア銀行について、何というか、レクチュアをして、講演をして、その中ではっきりこの信託基金というのはジョンソンの十億ドルの東南アジア開発の考え方の一部であると言っているのですよ。そうなると、これは非常に政治的な、二国間の援助という形の政治的なひものつく可能性は非常にあるのですよ。
さっき柴谷委員が、それならばアメリカが直接貸したらいいじゃないかという御質問をしておったのですが、それはアメリカが直接貸しますと、これまた新植民地主義との非難を受けるから、そこで、われわれから見ればカムフラージュなんですよ、日本を入れて、日本を先頭に立てて、アメリカはうしろに引っ込んだような形で、東南アジアに対するアメリカの、何というのですか、経済的支配を行なうという、そういう構想になっているのです。それは米州銀行を調べればはっきりしているのですよ。米州銀行と同じ構成になっているのです。そういうところもわれわれ見のがしてはいけないと思うのですよ。大蔵大臣は簡単に、これは二国間の援助と違うのだということを言われたから、これには二国間援助と同じ性格のものが信託基金という性格で入っているのですよ。その点は、大蔵大臣、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/49
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050・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) アジア開発銀行ができますが、アジアの域内国は幾ら努力してみても、この銀行に金を出し得る、これはもうわが日本ぐらいしかないのです。どうしてもこれは域外国から資金を求めるということを考案しなければならぬわけであります。この間南米の米州開発銀行の総裁が来まして、今度アジア開発銀行の一部に域外国をも加えて、広く域外国からも資金を調達するということも考えておるが、もし米州根行が今日できたら、同じようなことをやっただろうと思う、しかし、域外国を入れられないで残念なことだったということを申しておりましたが、やはり域外国に先進諸国というものが多いのですから、これから金を集めることを考えなければ、これは幾らアジアで自主独立精神を発揮いたしましても、その精神だけじゃやっていけない、こういうふうに私は思うのです。さればこそ、域外国からも出資を求める新しい機構を取り入れるということになったのですが、そういう趣旨のこの銀行に対して、こういう目的の金を預けてやるから運用してくれ、こういうふうに依頼があり、そうしてその依頼を受けた銀行が、アジアについてはよく知っているわけであります。一番事情が詳しい立場にあるわけでございますから、それがそういうものはお預かりいたしませんというのも私はアジア開発のためにはならぬ、こういうふうに考えます。まあおおらかな気持ちで金を受け入れて、そうしてアジアの開発発展をさせるという考え方をとるのが妥当な考え方である、すなおな考え方である、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/50
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051・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私の質問に対して答弁になっていないんですよ。私は何も、域外国の、エカフェに加盟以外のたとえばヨーロッパ、アメリカのそういう先進諸国の資金を後進国、低開発国の開発援助のために使うことについて、反対しているわけじゃないのですよ。ただ、さっき大蔵大臣は、二国間の援助という形だと政治的ないろいろな支配的な影響力の及ぶおそれがある、アジ銀についてはそういうおそれがないということを言われたから、そうじゃないのであって、アジ銀の中には信託基金という形ではっきりそういう性格のものがあるのじゃないか。しかも、政治的、軍事的色彩の強い融資をしようとすれば、信託基金においてはできるのですよ、指定できるのですから。アメリカが東南アジアだけにしか貸さない、それ以外には貸さないということをすれば、そういうアメリカの意思によって貸さなければならぬのですよ、信託基金は。そういう性格のものなんですよ。だから、やはり政治的、軍事的に使われる資金がこの中にはあり、しかもアメリカの信託基金として、アメリカの意思に従わなければ貸さないという金がちゃんとここにあるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/51
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052・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま木村委員から御指摘の点は、これは協定においても非常に意を使っておるのであります。つまり、この銀行が受ける信託基金を管理する場合におきましては、特に特別基金の項におきまして一項を設けまして、「特別基金は、銀行の目的及び当該特別基金に関する合意に矛盾しないいかなる方法及び条件によっても使用することができる。」、こういうふうに非常に制限的な文章を置いて、二国間援助の色彩をここで分断する努力をいたしておるわけです。もとより、信託基金でありますから、あなたのおっしゃるような趣旨が全然ないとは私は言えないと思います。そうでございますが、しかし、そういうことがあってはならないという趣旨をこの特別基金に関する十九条においても特に一項を設けてやっておるという配意をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/52
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053・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはまあ私の質問じゃないので、まあ長くは言いませんが、外務省で出している資料にちゃんと書いてあるのです。お見せしますよ、必要ならば。ちゃんと外務省のに非常に詳細にこの特別基金の解説を行なって、それには二つあって、さっき言った払い込み資本の一割以内で設定される基金と信託基金の二種類であるといっておる。問題はこの信託基金のほうなのです。それはアメリカが一億ドル出すやつで、これについては政治的、軍事的に使われる場合も、政治的、軍事的色彩のきわめて強い援助もでき得るように解されるし、また二国間援助を信託基金の形で銀行を通じて行なう場合もある、こういうふうになっているのですよね。これだけではないのですけれども、そこが——このアジ銀について、単に低開発国を援助するということについて、だれも反対する者はありませんよ。だけれども、このアジ銀についてはそうした政治的な問題があるのですよ。そこが問題なのであって、ただこの銀行をつくって後進国を援助するという、そういう簡単なものなら、だれも反対する者はないと思うのですよ。政治的背景というものをもっとはっきりつかまなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/53
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054・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいま外務省に言及されましたので、お答え申し上げますが、私どもの調査月報でも、「ただし、政治的・軍事的色彩のきわめて強いような場合を除き」と、こういうふうにちゃんと書いておることが一つ、それから、先ほど大蔵大臣が十九条の三項を御指摘になりました。私はさらに、この一項の(ii)、「銀行の目的に役だつことを意図し、かつ、銀行の任務の範囲内に入る」と、こういうふうに限定をしております。したがって、どこまでもこれはこの銀行の目的及び銀行の任務という点で限定をしておること、これは十九条の第一項の(ii)にはっきり書いておるわけであります。
それから、先ほど大蔵大臣がお答えになりましたように、いわゆるバイラテラルとマルティラテラル、これが私ども経済協力の趨勢であるというふうに一般的に理解をしておりまして、やはり木村委員も、バイラテラルな融資よりは、経済協力よりは、マルティラテラルな協力、こういう方向に進む、それがまたいわゆる政治的、軍事的、そういうふうな色彩を払拭するという方法論的な考え方には御同意であろう、かように考えますので、外務省の立場もはっきり申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ぼくは同意しませんがね、きょうはぼくの質問じゃないのですが、ただ最後に一つだけ。さっき瓜生さんが質問したインドネシアの融資に対して、もう三千万ドルまた融資するということがいわれているのですが、それは事実かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/55
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056・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま、この間出した三千方ドルのほかに幾らを出そうという予定はしておりません。ただ、いずれ近い機会に債権国会議が開かれ、その債権国会議の場におきまして、先ほど申しましたが、債務のいろいろな問題と新規借款の問題が論議されるわけであります。その論議の次第によりましては、コンソーシアムの一員として新規借款を仰ぐことがあり得る、こういうふうに御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/56
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057・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/57
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058・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
両案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
なお、次回の委員会は七月十九日(火曜日)午前十時からとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105214629X00219660715/58
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