1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年四月四日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 臼井 莊一君
理事 小渕 恵三君 理事 大平 正芳君
理事 竹下 登君 理事 丹羽 兵助君
理事 帆足 計君
大村 襄治君 北澤 直吉君
小平 久雄君 古屋 亨君
山田 久就君 門司 亮君
渡部 一郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
総理府総務副長
官 上村千一郎君
総理府特別地域
連絡局長 山野 幸吉君
外務政務次官 田中 榮一君
外務省北米局長 東郷 文彦君
外務省欧亜局長 北原 秀雄君
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三月二十七日
北方領土の日本復帰促進に関する陳情書外十七
件(第
一〇号)
同外五件
(第八一号)
小笠原群島の日本復帰促進に関する陳情書
(第一一号)
沖繩及び小笠原群島の日本復帰促進に関する陳
情書(第四七号)
沖繩の日本復帰促進に関する陳情書
(第四八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措
置法案(内閣提出第二四号)
沖繩その他の固有領土に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/0
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001・臼井莊一
○臼井委員長 これより会議を開きます。
この際、総理府総務長官、同副長官並びに外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。塚原総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/1
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002・塚原俊郎
○塚原国務大臣 総務長官の塚原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/2
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003・臼井莊一
○臼井委員長 上村総理府総務副長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/3
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004・上村千一郎
○上村政府委員 総理府総務副長官の上村千一郎でございます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/4
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005・臼井莊一
○臼井委員長 田中外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/5
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006・田中榮一
○田中(榮)政府委員 外務政務次官の田中榮一でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/6
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007・臼井莊一
○臼井委員長 なお、この際、委員長から政府委員を御紹介いたしておきます。
山野特別地域連絡局長。
〔拍手〕
東郷北米局長。
〔拍手〕
北原欧亜局長。
〔拍手〕
御紹介、以上でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/7
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008・臼井莊一
○臼井委員長 これより、沖繩その他の固有領土に関する件について調査を進めます。
まず、総理府の所管事項について説明を求めます。塚原総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/8
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009・塚原俊郎
○塚原国務大臣 このたび沖繩問題等に関する特別委員会が設置され、現在国民の最も関心の深い問題の一つである沖繩等に関する諸問題について審議が行なわれることとなりましたことは、沖繩等に関する政府施策の推進の上におきましてきわめて有意義なことと存ずる次第であります。
私は、この機会を拝借いたしまして、従来政府として沖繩に対してとってまいりました施策の概略について御説明申し上げますとともに、沖繩問題等に対する私の所信の一端を述べさせていただきたいと存じます。
まず、沖繩に対する政府の施策の基本といたしましては昭和四十年一月の佐藤総理・ジョンソン大統領の共同声明において述べられているところでありまして、同共同声明におきましては、「総理及び大統領は、沖繩における米国の軍事施設が極東の安全のため重要であることを認め、大統領は、施政権返還に対する日本の政府及び国民の願望に対して理解を示すとともに、極東における自由世界の安全保障上の利益がこの願望の実現を許す日を待望していると述べ、次に、両者は、沖繩住民の福祉と、安寧向上のため今後とも経済援助を続けるべきことを確認するとともに、日米協議委員会が経済援助の問題にとどまらず、沖繩住民の安寧の向上をはかるため、その他の問題についても協議し得るよう機能を拡大することに意見の一致をみた」としております。
申すまでもなく、沖繩は平和条約第三条により便して米国の施政権下にありますが、一方、沖繩が日本の領土の一部であり、かつ、沖繩住民は日本国民であることは明らかな事実であります。そして、九十七万の沖繩住民を含めた一億日本国民が沖繩の祖国復帰の念願を戦後二十余年を経た今日まで抱き続けていることも、厳粛な事実であります。
しかしながら、共同声明にうたわれているごとく、現在沖繩がわが国を含む極東の安全保障上の見地からきわめて重要な地位を占めていることは無視することはできないのであり、このきびしい現実を認識しますとき、沖繩の本土復帰をいま直ちに実現することには困難が伴うこともまた率直に認めざるを得ないところであります。
したがって、沖繩の本土復帰の問題は、高度の政治的配慮を加えつつ、今後ともあらゆる機会をとらえてその実現に努力すべきことは言うまでもありませんが、沖繩が本土に復帰するまでの間、政府の当面の施策といたしましては、日米協力して沖繩に対する経済援助を拡充することにより、沖繩の教育、社会、福祉、産業経済等、各分野における本土との格差の解消につとめ、沖繩住民が本上における日本国民と同様な民生福祉を享受できるようにし、沖繩と本土との一体化を促進することであります。
昭和四十年八月、佐藤総理の沖繩訪問後編成さされました昭和四十一年度の対沖繩援助費は、五十八億九十七万円と、前年度の二十八億六千五百六十三万円に比較して一躍倍額以上となったのでありますが、援助の対象事業といたしましても、義務教育教職員給与費の半額援助、義務教育教科書無償給付、医療保険、公務員退職年金、先島テレビ放送施設等多くの新規事業を取り入れ、質的にも格段の充実をみたのであります。特に義務教育教職員給与費の半額援助は、沖繩の学校教育が、沖繩の教育基本法の規定に基づき日本国民としての教育を実施している点にかんがみ、本土都道府県に対する国庫負担制度とほぼ同様な援助を実施することとしたものであります。
さらに、昭和四十二年度——一部昭和四十三年度に支出を予定されるものを含んでおりますが、この対沖繩援助費は、去る三月一日に開催された第十二回日米協議委員会において百三億五千二百七十六万円で日米間の合意をみましたが、前年度に比較してさらに大幅な増額となっております。
なお、その内容につきましても、社会福祉対策、先島テレビ放送施設、極超短波電話回線建設費等、質的な充実強化をはかることといたしております。
さきに触れましたように、沖繩に対する経済援助は、沖繩住民の福祉と民生の向上のために日米相協力して実施すべきものと考えるのでありまして、このような日本側の対沖繩援助費の増大に対応して、施政権者である米側においても沖繩援助の増額をはかるよう、政府として強く要請している次第であります。
次に、沖繩住民の自治権の拡充について申し上げます。
政府といたしましては、民主主義のたてまえからいって、沖繩住民の自治を拡充し、かつ琉球政府の権限を強化すべきであるとの見地から、自治権の拡大強化について日米協議委員会その他の外交ルートを通じて努力してまいっているのであります。
米国政府におきましても、昭和三十七年ケネディ大統領声明において、必ずしも米国が保留しておく必要のない行政機能を琉球政府に委譲し得る時期等について検討する旨を明らかにしたのでありますが、特にワトソン前高等弁務官の就任以来、自治拡大の方針に沿い、各種の改善が行なわれてまいりました。すなわち、同高等弁務官のもとにおきまして、琉球政府行政主席の任命方法を改善し、従来琉球政府の行政主席は「立法院が行ない且つ高等弁務官が受諾し得る指名に基づいて、高等弁務官が任命する」ことになっておりましたのを、今後は「立法院の全議員の過半数によって選挙される」ことに改める等の措置をとったほか、相当数の布令・布告を廃止して琉球立法院の民立法にゆだねる等の措置を講じたのであります。
また、アンガー現高等弁務官も、自治の拡大につきましては、ワトソン前高等弁務官と同様な方針をとっており、すでに昨年十二月米国民政府布令による立法院議員の被選挙権の制限規定を廃止したのでありますが、本年二月の立法院定例議会におけるメッセージの中においても、琉球政府の権限拡大については最高度の協力をすることを明らかにしております。政府としましては、今後ともこのような方針が持続され、自治権の拡大が行なわれることを期待しております。
この間、沖繩における特殊な事情から、たとえば裁判移送問題等の好なしくない事例も生起したのでありますが、政府としましては、そのつど米側に善処方を強く要望してまいりましたし、今後とも、日本国民である沖繩住民の民生福祉の向上を妨げる諸問題の解決に積極的に努力してまいりたいと存じます。
昭和四十年一月、佐藤・ジョンソン共同声明に基づき、沖繩に関する日米協議委員会の権限が拡大され、経済援助以外の沖繩住民の民生の向上をはかるために日米両国が協力し得るその他の問題についても協議できることとなったのでありますが、昭和四十一年五月の第九回日米協議委員会において、沖繩住民が海外及び日本本土へ渡航する際の旅券等を南方連絡事務所で発行する件、沖繩からの移住者を含む在外沖繩住民の保護権を第一義的に日本政府が行使する件及び沖繩船舶に日の丸を併揚する件が議題とされ、これらの議題のうち、旅券等の発行及び在外沖繩住民の保護権に関しましては同委員会において日米の合意をみ、沖繩船舶に日の丸を併揚する件については、米側において検討の上、去る三月一日の第十二回日米協議委員会において合意が成立したのであります。これらの案件はいずれも沖繩・本土間で多年懸案とされてきたものであり、その解決をみましたことは従来にない実質的な成果といえると思うのであります。さらに、去る三月三十一日には、アンガー高等弁務官は、日本航空株式会社の先島航路乗り入れについて地元会社と日本航空の合弁方式で認可したのでありますが、このことは、地元はもちろん、本土側としましてもその実現を要望してきた経緯にかんがみ、きわめて適切な措置として歓迎している次第であります。
次に、沖繩と本土の教育の一体化をはかる見地から、沖繩の教育について日本政府が責任をもって実施していくという考え方に立った沖繩の教育権の分離返還の問題については、目下沖繩問題懇談会で鋭意検討中でありますが、政府としましては、沖繩問題懇談会が沖繩と本土の教育の一体化に関し広い角度から検討され答申されることを期待いたしております。いずれにしましても、答申の結果を十分参考にしてまいりたいと存じます。
以上、沖繩問題について申し述べましたが、次に、小笠原問題につきましては、沖繩と同様、小笠原の早期返還の実現について要望をいたしてまいる方針でありますが、当面、引き揚げ島民の帰島の促進をはかる一方、帰島が実現できるまでの間、島民代表による墓参の実施を行なっている次第であります。
また、北方問題につきましては、歯舞、色丹及び国後、択捉等の北方地域はわが国固有の領土であるとの立場から、北方領土の返還につき折衝を行なってまいっておりますが、今後も引き続き努力を重ねてまいりたいと存じます。
以上、沖繩問題を中心に政府の諸施策について申し述べましたが、当特別委員会が設置されましたのを機会に、当特別委員会を通じて各位の御意見を承り、これを政府の施策の上に反映してまいりたいと存じますので、各位の御協力をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/9
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010・臼井莊一
○臼井委員長 これにて塚原総務長官の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/10
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011・臼井莊一
○臼井委員長 この際、帆足君より発言を求められておりますので、これを許しますが、理事会のときの取り決めどおり、総務長官の退席の時間等も考慮の上御発言を願います。帆足計君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/11
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012・帆足計
○帆足委員 国会で再度にわたりまして沖繩祖国返還の決議が満場一致でなされましたが、いまや、党派を越えて沖繩県民に対する同胞愛の見地から、また、国際連合世界人権憲章及び新日本憲法の規定する国民の自由人権の立場から、沖繩特別委員会を設け、沖繩県民の祖国復帰並びにその施政権の返還について、このような特別委員会が構成されまして今後これを促進する審議が行なわれますことを、党派を越えて感謝し、喜びにたえぬ次第でございます。何とぞ政府におかれましても、各委員の意見を十分に参考にせられましてその促進を一そう強化せられんことを望みます。
多くの問題がありますが、いずれ議事の順序に従いましてそれぞれ専用の項目について問いただし、また協力し、また推進する順序になっておりますから、きょうはとりあえず、委員長のお許しを得て、緊急に起こりました事件につきまして、すなわち、沖繩人権協会の福地事務局長が一暴力団によりまして短刀で刺されました事件につきまして御質問し、政府の格段の注意を促したいと思います。
自由人権協会と申しますのは、国際連合世界人権憲章に従いまして、いわばその民間の外郭機関として各地にございまして、日本においては日本自由人権協会というべきな機構がございまして、不肖私はその常務理事の一員をいたしております。沖繩におきましても沖繩人権協会、それからアメリカにおきましても、あの有名なボールドウィン氏を理事長としておりますアメリカ人権協会——各国の人権協会は互いに協力し、国際連合の世界人権憲章の普及につとめ、人権の擁護に党派、信条を越えてつとめておる機関の一つでございます。
そのような機関の事務局長が、突如として暴力団に襲われた。実は沖繩県におきましては、従来人の心はなごやかで快活で、そして犯罪は本土に比べて昔は非常に少なかったのでございます。御承知のごとく、沖繩に参る者はだれしも守礼之門をくぐりますが、守礼とは、礼節を守るという意味でありまして、守礼の国といわれた国でございます。こういう国に不幸にして軍事基地の退廃が波及しまして、犯罪はふえる、また、極東の戦火が激化するたびごとに人心の退廃した兵士が集まりますから、自然犯罪が激化する、また、占領軍当時のアジア人に対する白人の優越感、無教養な錯覚が、教養の低い兵士の間にはいまだに強烈に残っておりまして、酒など飲みましてめいていした場合にはそれが爆発するというようなことのありますことも、御承知のとおりでございます。いずれ、沖繩における各種の犯罪の実情並びにその防止方につきましては、この委員会においてとくと懇談いたしますが、とりあえず、沖繩の外国の軍事政権下のところにファッショ的な団体があり、暴力団がばっこするという徴候は、まことに憂慮すべきことでございますから、まずこの福地事務局長が暴力を受けたことの実情、それから何名拘引したか、その背後関係、さらに、沖繩のごときなごやかな場所についに暴力団体並びにファッショ団体が相当発生しておるとするならば、その概要、それから、本日問いただしまして不完全な点は、十分お調べくださいまして、この島に暴力団がばっこし不幸な状況に置かれており、また複雑した国際情勢の中にあるこの島の治安状況を一そう複雑にすることのないように、ひとつ政府側において格段の御注意あられんことを切望する次第であります。
右に対しまして要点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/12
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013・塚原俊郎
○塚原国務大臣 ただいま御指摘の福地氏に対する事件は、まことに遺憾なことでありますが、私も根本から暴力を排撃する立場から、非常に重大な関心を払っておる次第であります。
御質問の段階に応じて御答弁いたしますが、まず、事件の概要は、三月二十九日午後二時過ぎ、那覇市松尾の沖繩教職員会館付近の路上で沖繩教職員会政経部長福地氏が暴漢に襲われ、福地氏は右大腿部を短刀様のもので刺された。犯人は犯行後逃走した。福地氏は刺傷により静脈を切られ、輸血をした。重傷ではあるが、生命には別状はない模様である。那覇署においては、直ちに市内に検問所を設け、聞き込みを行なうなどして手配したが、犯人を逮捕することはできなかった。以上が事件の概要で、これは那覇事務所から私の特連局に参りました報告でありますが、その後参りました犯人逮捕につきましては、福地事件を捜査中の琉球警察は、一日、これは別件——脅迫で容疑者二名の逮捕状をとり、同日午前九時ごろ那覇署に任意同行し、令状を執行し、取り調べた結果、同日午後四時ごろ犯行を自供した。被疑者は、東声会——これは東亜友愛生活協同組合沖繩支部の所属会員、琉球私立探偵社社員金城義夫、二十二歳、野原林一、二十歳の両名である。犯行については、動機は、本年三月初旬に、東声会支部長、前の琉球私立探偵社の社長宜保俊夫宅に脅迫電話があったことを、福地昿昭が指示したことによるものと思い、福地をおどかすつもりでねらったと自供している。犯行は、金城がバイクを運転し、後部座席に同乗した野原が、刃渡り十五センチのあいくちで刺したと供述している。現在の段階では、被疑者両名の所属団体から、教公二法問題をめぐる計画的犯行と認められるが、政界とのつながり、背後関係等については、今後の警察の本格的な取り調べにより多少判明するものと思われる。なお、凶器は、金城が友人の仲本某宅に隠してあったものを警察が押収し、現在鑑定中である。こういう第二報が入っておりまするが、いま仰せられた背後関係については、いまのところ詳報が入っておりません。
それからなお、私が聞いたところでは、琉球の警察としては犯人の逮捕はかなり早い時期に行なわれた。それだけ重大な関心を持っておったと思うのでありまするが、やはりこちらが知りたいのは、背後関係がどうなっているか。なお、右翼団体云々のお話がございましたけれども、現在の段階では、どういう右翼団体の組織があるのかも私つまびらかにいたしておりませんので、これはひとつ調査いたしまして、後刻御報告申し上げたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/13
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014・帆足計
○帆足委員 非常に敏速な処置を琉球警察においてしていただきまして、その点は満足ですが、従来沖繩には暴力団及びファッショ団体というものは非常に少ないように聞いておりました。したがいまして、この際、暴力団及び沖繩における暴力を武器とする右翼団体等をお調べくださいまして、私どもにその一覧表を提出しておいていただきたいと思います。なお、今後の成り行きにつきまして格段の御注意を促し、二度とかくのごとき不祥事のなからんことを期しますように中央から十分に御通達のほどお願いし、同時に、アメリカの治安当局にも注意を促していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/14
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015・塚原俊郎
○塚原国務大臣 冒頭に申しましたように、私は暴力は絶対に排撃するものでありますから、御趣旨の線に沿って、われわれのなし得る限度において万全を期していきたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/15
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016・臼井莊一
○臼井委員長 次に、総理府所管事項について詳細に特連局長から説明を求めることといたします。山野特別地域連絡局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/16
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017・山野幸吉
○山野政府委員 ただいま総務長官からごあいさつがございましたが、私から補足しまして、沖繩の経済事情、日本政府の沖繩に対する財政援助、民生福祉、自治権拡充等の諸問題につきまして概略御説明申し上げたいと存じます。
まず、沖繩の経済事情の問題でございますが、御承知のとおり、沖繩は高温多湿の亜熱帯地域に属する台風の常襲地帯でございまして、その上天然資源に乏しく、戦前におきましては産業らしい産業もなかったのであります。さらに、この地域は太平洋戦争の末期におきまして未曽有の激戦場となりましたために、産業経済はほとんど壊滅的ともらうべき打撃を受けたのでございまして、戦後におきましても、しばらくの間は、米軍の米麦、医療等の現地給与に依存していた、こういう状態であったこともすでに御案内のとおりであります。
しかしながら、戦後、復興に対する沖繩住民の熱意と努力によりまして、そのような悪条件の中から沖繩の経済は漸次立ち直りまして、さらに近年に至りましては日米両国の援助を得まして順調な経済成長を遂げておるのであります。すなわち、琉球政府の資料によりますと、一九六六年度における国民総生産は四億三千五百五十万ドル、これは邦貨で千五百六十八億円でございますが、前年度の三億六千九百十万ドル、約千三百二十九億円に対しまして一八%の伸び率を示しております。また、一人当たりの名目国民所得も一九六六年度におきまして四百二十八ドル、すなわち十五万四千八十円に達しまして、前年度の三百六十七ドル、十三万二千百二十円に比べ約一七%の伸びを示しております。
ただ、これらの内容を検討してみますと、いろいろ問題を含んでおります。
まず、沖繩の産業別就業人口から見ますと、一九五六年度において、第一次産業約三九%、第二次産業が約一四%、第三次産業約四七%でございますが、一九六六年度の産業別国民所得の面から見ますと、第一次産業が約一三%、第二次産業が約一七%、第三次産業が約七〇%の割合でございまして、第三次産業に依存する部分がきわめて多いわけであります。
また、一九六五年度の国際収支の面から見ますと、受け取り総額が二億三千九十万ドル、約八百三十一億円でございますが、これに対しまして、支払い総額が二億三千八百四十万ドル、約八百五十八億円、差し引き七百五十万ドル、二十七億円の赤字となっておるわけでございますが、受け取り総額のうち、四三%強に当たる一億ドル、三百六十億円は米軍関係からの収入でございまして、また、輸入に対する支払い額二億一千七十万ドル、約七百五十九億円であるのに対しまして、輸出額は七千九百四十万ドル、二百八十六億円にすぎませず、貿易上一億三千万ドル以上の赤字という、輸出入貿易上のアンバランスがございます。
輸出の大宗をなすものは砂糖とパインアップルでございますが、これとても、本土の特恵措置に依存しましてようやくその産業が維持されておると言ってよろしいのであります。したがいまして、将来の沖繩の産業経済の振興方策をどうするかということがきわめて重要な課題でございます。昨年七月、日本本土と沖繩双方の民間経済の指導的な地位におられる方々によって沖繩経済振興懇談会が設けられ、本土経済界と沖繩経済界の相互理解と相互協力を進めようとしておられますことは、この意味においてまことに意義のあることと考える次第でございます。
沖繩経済振興懇談会は、昨年七月の第一回の会合に引き続きまして、去る三月二十七日から四日間、沖繩現地の那覇市におきまして、主として観光事業、畜産業の振興策、融資問題、経済総合開発計画の策定等の問題を議題といたしまして第二回の会合を開催したのでございますが、今後ともこの懇談会は継続的に開催されまして、沖繩経済の当面する諸問題はもとより、本土経済の一環としての沖繩経済の将来のビジョンについて検討を続けることとなっており、政府としてもその成果に大きな期待をかけておる次第であります。
次に、沖繩に対する日本政府の財政援助の問題について申し上げます。
昭和四十二年度の日本政府の対沖繩援助費——一部四十三年度に支出予定のものを含みますが、これにつきましては、お手元に簡単な資料を配付してございますが、これを要約して申し上げます。
日本政府の沖繩援助は、昭和二十七年度から開始されたのでありますが、当初は沖繩の教員を本土に招致して研修させたり、沖繩の学生に国費を与えて本土の大学に進学させる等、教育訓練のための技術的な援助でございました。次いで、昭和三十一年度から、特殊法人南方同胞援護会を通じ、沖繩の民間団体あるいは個人に対する援助が行なわれ、昭和三十四年度からは総理府を通ずる一般技術援助が開始されたのでありますが、当時は、援助の規模、内容ともに不十分なものでありました。その後、昭和三十六年の池田・ケネディ会談を契機といたしまして、昭和三十七年度から琉球政府に対する本格的な財政援助が開始されたのでありますが、特に昭和四十年の佐藤総理大臣の沖繩訪問以後、沖繩に対する財政援助は、その総額、内容ともに飛躍的に充実強化されてまいっているのであります。
昭和三十七年度以降の援助額を申し上げますと、昭和三十七年度は約十億一千万円、昭和三十八年度は約十八億三千万円、昭和三十九年度は約十八億七千万円、昭和四十年度約二十八億六千万円でありまして、総理訪沖後の昭和四十一年度におきましては、災害関係援助費を除いても、前年度の二倍以上の約五十八億円となったのであります。
さらに、昭和四十二年度におきましては、ただいま総務長官が述べられましたように、第十二回日米協議委員会において、一部昭和四十三年度に支出予定のものを含めまして、援助費百三億五千二百七十六万円の合意をみたのでありまして、琉球政府の会計年度との関係で、このうち、昭和四十二年度において約八十二億円を計上し、残り約二十一億円を翌年度予算に計上する予定でございますが、大筋の考え方といたしましては、教育関係の援助と民生福祉に対する援助を中心にいたしまして、産業開発、交通土木、技術援助等に分けることができます。
教育関係の援助といたしましては、義務教育教職員給与の半額相当額の援助、教科書無償給与、学校施設及び備品の整備充実、育英資金の援助等のほか、沖繩教員の資質の向上をはかるための教育研修センター、学生文化センター等に対して援助することといたしております。
民生福祉等に対する援助といたしましては、沖繩住民の医療問題の解決のため、政府は従来から、医師、歯科医師の派遣、無医地区診療対策、結核、精神病、ハンセン氏病対策にあわせて、病院、診療所等の整備を実施する一方、児童保護、生活保護、公営住宅の建設、農山漁村の電気導入等に対する援助を行なってまいっておりますが、この種の分野におきましては、本土と比べ相当の格差が見られますので、特に重点を置いておるわけでございます。本年度においては、生活扶助費及び児童措置費に対する援助費は、本土において政府から地方団体に支出される額に相当する額にほぼ近いものとなっております。また、最近発足をみました医療保険、公務員退職年金及び本年七月実施予定の老齢福祉年金制度に対する財政援助費も計上されております。
産業開発、交通土木関係の援助につきましては、道路、港湾、漁港、治山治水、土地改良、家畜増殖、農林漁業及び中小企業に対する融資金、水産資源調査、漁業海岸無線局、臨時糖業振興助成のための援助等を予定しております。
なお、先島テレビ放送施設については、現在工事が順調に進捗しておりまして、本年十一月に完成をみる予定になっております。また、本島と先島間の電話回線整備のため、極超短波による電話回線施設の設置に対する援助費を計上しております。
技術援助につきましては、沖繩への専門家の派遣、沖繩からの技術研修生の本土側への受け入れ、その他各般の技術援助を実施することとしております。
また、昨年九月沖繩を襲いました第二宮古島台風による台風災害に対しましては、予備費を支出して緊急援助を行ないましたが、さらに、昭和四十一年度補正において三億六千万円の住宅建設融資金を援助いたしましたが、昭和四十二年度予算にも必要な援助費の計上をいたした次第でございます。
第三に、沖繩における民生福祉の現状について御説明いたします。
まず、公的扶助及び社会福祉施策の面から住民の生活水準の現状を見ますと、昨年九月現在で、生活保護対象者は、人口千人対二三・五人でありまして、本土の一五・九人に比べ非常に高い比率を占めております。生活保護、老人福祉、身体障害者福祉、児童福祉等の社会福祉制度におきましては、おおむね本土法に準じた立法が行なわれておりますが、その実施の状況を見ますと、その実態は本土に比較して相当の格差があると言えます。
次に、社会保健の面におきましては、さきに触れましたように、医療保険と公務員退職年金制度がようやく昨年七月から施行され、また、老齢福祉年金制度が本年七月から発足することになりましたが、国民健康保険、国民年金等の制度の実施はなお将来の問題として残されておるわけでございます。
医療、公衆衛生の面におきましては、医師をはじめ医療従事者が著しく不足しておりまして、医師の数は人口千人当たり三・九人で、本土の相当県の九・三人に比べ約三分の一という状況であり、医療機関その他環境衛生施設等の整備もおくれている状況であります。
なお、本土政府といたしましては、昭和三十六年度ごろから今日まで、財制的、技術的両面の援助によりまして急速にこれらの整備に協力してきたのでございますが、さらに今後とも民生福祉の面における格差解消のために重点的に援助を行なってまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、最近の沖繩における自治権拡充等の動きについて御説明申し上げます。
総務長官のごあいさつの中にもございましたとおり、琉球政府の権限強化につきましては、一九六二年のケネディ大統領の声明の中にうたわれているのでありますが、ワトソン前高等弁務官は、就任後この米国の基本的な方針を熱心に推進されましたし、アンガー現高等弁務官もこの基本的な方針を継続しているわけでございますが、以下、最近までの事情についてその概要を申し上げます。
まず、布令、布告等の廃止及び民立法への移しかえが積極的に行なわれてきております。さきに総務長官から御説明のありましたように、琉球政府行政主席の任命方法に関する大統領行政命令の改正並びに行政副主席任命制の廃止、琉球政府職員の任命に関する高等弁務官の認可制の廃止、及び立法院議員被選挙権の欠格条項の廃止の措置がとられましたが、さらに、出版許可制にかかる布令条項の廃止、交通規制に関する布令条項を廃止して民立法に譲ったこと、琉球船舶規制中の大部分の規定を民立法の関係法令に譲ったこと、宮古用水管理局の設立に関する布令、及び、麻薬類及び或る特定の薬品類の取締りに関する布令の廃止等により、ワトソン前高等弁務官就任当時百四十五を数えておりました布告、布令等が、現在では九十程度に減少いたしております。また、アンガー高等弁務官は、本年二月三日琉球政府立法院第三十三回定例議会に送ったメッセージの中で、さらに廃止し得る布告、布令二十九のリストを琉球政府行政主席に送付した旨を明らかにしているのでありまして、このような自治権拡充に対する米民政府の態度はきわめて歓迎すべきものと存ずるものでございます。
このほかにも、琉球政府裁判所への裁判権の一部委譲を行なったこと、法案審査促進委員会を設置して米国民政府と琉球政府との法案の調整を容易にしたこと、非琉球人の雇用並びに外資導入許可権限を琉球政府に委譲したこと、永住権を取得するための資格、条件等を緩和する措置がとられたこと等も、沖繩における自治権拡充のためにとられた措置ということができると思います。
次に、渡航手続の簡素化、迅速化についてでありますが、昭和三十九年九月以来現在まで三回にわたり渡航手続の簡素化、迅速化のための措置がとられました。すなわち、米民政府在京機関の権限を拡大し、同機関限りで許可し得る範囲を広げて、入域許可に要する時間を短縮したこと、沖繩を経由して海外旅行をする通過旅行者のために、七十二時間以内の沖繩滞在は、在京機関限りでほとんど許可できるようにしたこと、入域許可申請書様式の簡素化、入域許可書の有効期間の延長、日本政府職員に対する数次往復入域許可証の発給その他の改善措置がとられたことでございます。
最後に、最近沖繩において問題となっております教公二法案をめぐる動きについて御説明申し上げます。
現在沖繩におきまして、地方教育区公務員法及び教育公務員特例法の、いわゆる教公二法の立法をするかどうかということについていろいろ問題が起こっております。沖繩におきましては、琉球政府立の中学、高校、大学については、教職員の身分関係を規律する法規として一九五三年に琉球政府公務員法が制定されておりまして、これによって身分関係が確立しておるのでございますが、本土における市町村立の小学校、中学校等に相当する地方教育区立の小学校、中学校等の公立学校に勤務する教職員につきましては、身分関係を規律する法規がないのでございます。そこで、これらの教職員の身分関係を明確にする目的で立法勧告を行なったのが地方教育区公務員法案でございます。また、琉球政府と地方教育区立たるとを問わず、これらの全教育公務員について、その職務の特殊性に基づき、中央、地方を通じて教育公務員の任免、分限、服務等に関して特別の措置を講ずる目的をもって本土の教育公務員特例法にならって勧告されたのが、教育公務員特例法案でございます。
この教公二法について問題となっております点は、主として、政治的行為を制限すること、及び争議行為を禁止することの規定に関してでありまして、立法院内部におきましては与野党が激しく対立しており、また院外におきましては、教公二法阻止共闘会議というのが組織されて前記二法の立法化に反対しておりまして、去る二月二十四日には、教公二法についての文教社会委員会発議案の本会議上程をめぐって院の内外において混乱が起こり、現在沖繩における大きな政治問題となっているのでございます。
本土政府といたしましては、沖繩の立法院が一日も早く正常化されて、当面の諸問題についての審議が開始されることを期待しておる次第であります。
以上、簡単でございますが、私の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/17
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018・臼井莊一
○臼井委員長 総理府所管事項についての説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/18
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019・臼井莊一
○臼井委員長 次に、去る三月二十三日本委員会に付託されました、内閣提出第二四号、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取することといたします。早川労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/19
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020・早川崇
○早川国務大臣 ただいま議題となりました沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、本邦と沖繩との間における労働力の交流が活発となっておりますが、昭和四十年において、沖繩から本邦に就職のため移転した者についてこれを見ますと、約九千四百人の多きに達しております。また、これに伴い沖繩に帰郷する者も増加しており、同じく昭和四十年には約三千八百人となっております。
ところで、これら沖繩帰郷者の中には、本邦の失業保険法による失業保険金の受給資格を得て帰郷する者もかなり多数にのぼるものと推定されますが、沖繩地域では、その受給資格に基づく失業保険給付を受けることができず、したがって、その者が沖繩地域において失業している場合に失業期間中の生活が保障されないうらみがあるのであります。また、船員保険法による失業保険金の受給資格を得て沖繩地域に帰郷する者についても、これと同様の事情が見られるのであります。逆に、沖繩地域に施行されている失業保険法による失業保険金の受給資格を得て本邦に移転して来る者についても、その数は比較的少数と推定されますが、やはり失業保険給付を受けることができない状態に置かれているのであります。
この問題の解決につきましては、国会をはじめ、琉球政府その他関係各方面から種々の要望があり、政府といたしましても、長年の懸案であったこの問題を解決するため、琉球列島米国民政府及び琉球政府との三者間で協議を続けてまいったのであります。その結果、本邦及び沖繩において、それぞれ特別の立法措置を講じて、それぞれの政府が失業保険給付に相当する給付を行なうこととし、当該給付及び給付事務の執行に要する費用は、給付を行なった相手方政府にそれぞれ交付するという相互主義の考え方で、三者間の意見の一致をみたのであります。
政府といたしましては、右の経緯にかんがみ、沖繩居住者等に対する失業保険の特別措置につきまして、ここにこの法律案を提出することといたした次第であります。
次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
第一に、琉球政府が、本邦失業保険法の規定による失業保険金の受給資格者で沖繩地域において失業している者に対し、その者が本邦において受けることができるものと同内容の給付、すなわち失業保険法相当給付を行なうときは、政府はその給付に要する費用及び給付事務の執行に要する費用を琉球政府に交付することとしております。
第二に、船員保険法の規定による失業保険金の受給資格者が沖繩地域で失業している場合にも、さきに述べました失業保険法の規定による失業保険金の受給資格者と同様の取り扱いをいたすこととしております。
第三に、沖繩の失業保険法においては、船員をも含めて取り扱っているところでありますが、同法の規定による失業保険金の受給資格者が本邦において失業している場合には、政府は、その者が沖繩地域において受けることができるものと同内容の給付、すなわち沖繩法相当給付を支給することとしております。
この場合、沖繩法相当給付の支給は、原則として、母法である沖繩失業保険法の定めるところによることとしておりますが、ただ、支給が本邦において行なわれます関係上、他の受給資格者との調整をはかりますためにも、支給にあたっての単なる手続や支給処分についての不服申し立て等は、失業保険法の定めるところに準じて行なうことといたしております。
次に、沖繩法相当給付の支給に要する費用及び当該給付にかかる事務の執行に要する費用は、琉球政府からの受け入れ金をもって充てることとしております。
第四に、この法律案の制定に伴いまして、失業保険特別会計法、船員保険特別会計法その他の関係法律につきまして、所要の改正を行なうこととしております。
第五に、この法律案の施行期日につきましては、別途政令で定める日から施行することといたしておりますが、政府といたしましては、琉球列島米国民政府及び琉球政府との三者間において、本措置の実施に必要な取りきめを行なうとともに、その他の準備事務をできる限り早期に行なった上、本年七月一日から施行することにいたしたいと考えております。
以上、簡単でございますが、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/20
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021・臼井莊一
○臼井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/21
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022・臼井莊一
○臼井委員長 次に、外務省の所管事項について説明を求めます。田中外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/22
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023・田中榮一
○田中(榮)政府委員 私から簡単に一言申し上げておきたいと存じます。
沖繩におきまする種々な問題がございますが、これから当委員会におきましていろいろ御審議を願うことに相なるのでございますが、とりわけ施政権問題につきましては、これからもいろいろ御審議にあずかるものと考えております。政府といたしましては、できる限り早期に日本に返還されることに、沖繩住民をはじめ日本国民といたしましてもかねがね強い要望がございますので、外務省といたしましても、外交経路を通じまして沖繩施政権返還につきましては常に努力を重ねてまいっておるのでございます。
なお、住民の自治権の拡大と福祉向上のためにさらに諸施策を進めていくことはもちろんでございまするが、これらの諸施策を進めるということは、将来の施政権の返還とあわせ考えますと一そう必要でございまするので、特に住民の民生福祉の向上、それから本土との格差の是正、充実をはかるということは、特にこうした将来の施政権の返還を行なうという場合におきましても、こうした下地をつくるということが最も必要であろうと考えまして、常に米国とも協力いたしまして対沖繩援助の充実をはかることに努力をいたしておる次第でございます。
なお、沖繩問題は極東の安全保障の関係ともあわせて考えていく必要がございますので、本件に関しましては、高度の政治的配慮のもとに今後検討を加えていく必要もあるのでございます。
なお、小笠原の施政権の返還あるいは島民の帰島の問題等も、これも外交経路を通じまして常に折衝を重ねて努力いたしておる次第でございます。
こうしたいろいろな問題の堆積いたしております現状におきまして、この沖繩問題の特別委員会が開かれまして、いろいろ本問題を一つ一つ取り上げて解決していただくように持っていかれることは、問題解決に一歩を進められたものと考えておりまして、外務省側といたしましても、今後さらに関係省とも十分に連絡をとりまして善処する考えでございますので、この上とも御指導、御協力のほどをひとえにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/23
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024・臼井莊一
○臼井委員長 東郷北米局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/24
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025・東郷文彦
○東郷政府委員 沖繩の問題は日米、日本と沖繩、それからアメリカと沖繩、この三つの面がございますわけで、そこで、そのうちの日米関係を主といたしまして、多少の重複をお許し願いまして、若干補足的に御説明させていただきます。
沖繩問題は、当面日米間の最も重要な問題でございまして、さればこそ、歴代の総理も、ワシントンに行かれたような場合には、必ずこの問題についてアメリカ側とお話をしていらっしゃるわけです。現在の双方の考え方が比較的はっきりしておりますのは、先刻総務長官から御披露のございました、一昨年、六五年一月の佐藤総理・ジョンソン大統領の共同声明にあらわれております。総理大臣のほうから、施政権ができるだけ早い機会に日本に返還されることを希望する、同時に、沖繩住民の自治の拡大、沖繩住民の福祉の一そうの向上に対し重大な関心を表明した。これに対して、アメリカ大統領のほうからは、極東における自由世界の安全保障上の利益がこの願望の実現を許す日を待望していると述べた。これが現在の日米双方の感度であると思います。
そこで、日本を含む極東の安全保障という問題に関しましてアメリカの沖繩の軍事施設に対する考え方は、そういう点から非常に固いものがあるわけでございます。その一つの例としまして、一九五七年の行政命令を改正するに際して故ケネディ大統領が発表した声明の中にも述べられておりますが、それをちょっとここで御披露申し上げますと、「これらの基地に展開されている兵力は、極東の平和に対する脅威にかんがみ、われわれの阻止力を維持する上で最も重要なものである。琉球諸島の米国基地は、日本から東南アジアにかけて大きな弓形になって横たわる同盟諸国に対し、一たん事あるときは米国は援助に赴く意思も能力もあるのだということを保証するのに役立っている。」こういうふうにケネディ大統領も言っております。すなわち、アメリカの考え方としましては、沖繩の基地は、極東における前進基地として、ここにいかなる事態にも対処し得るよう即応兵力を配置し、また、前線基地としての兵たん補給の中心をここに置いているわけでありまして、こういう状態がすなわち極東における平和維持のために抑止力になる、こういう考え方でございます。
このことは、同時に、米国の沖繩に対する施政権は、施政権自体が目的なのではなくて、日本を含む極東の安全保障という一つの目的のための手段であるということであります。ある条件が成就すれば、アメリカとしては、平和条約上与えられた施政権を日本のために放棄する用意がある、こういうことになると思います。そのことは、同じく先ほどのケネディ大統領の声明の中で、「私は琉球が日本本土の一部であることを認めるもので、自由世界の安全保障上の考慮が、沖繩が完全に日本の主権のもとに復帰することを許す日を待望している。」と述べている点からも明らかであると思います。
そこで、現在のアメリカの沖繩統治の形でございますが、御承知のように、この統治の基本法は、一九五七年の大統領行政命令でございます。その後、六二年、六五年と若干修正を加えております。この行政命令によりまして、沖繩の統治の責任は国防長官に授権され、国防長官は、この沖繩の統治に当たって、民主主義の原則に基礎を置き、健全な財政機構を持つ、責任ある琉球政府を盛り立てていくことになっております。なお、行政命令は、国防長官のもとに高等弁務官というものを置いて、それが当面の責任者として沖繩の統治に当たり、またさらに、琉球政府の行政、立法、司法三権の形もここに規定されておるわけであります。
かような状態で、現在、戦後二十一年たってなおわが沖繩が外国の施政下にあるということは、実はまことに遺憾なことでございまして、われわれとしては、この不自然な状態を何とか是正したいと考えるわけでありますが、わがほうのこの問題に対する基本的な態度は、すでに総理も外務大臣もたびたび御説明をされておりますように、沖繩はわが国を含む極東の安全保障のため重要な役割りを果たしているという事実を念頭に置きながら、施政権返還の問題については、極東の安全保障上の要請と、沖繩の中期復帰に関する日本国民の願望とをいかに調整するかについて、日米間において絶えず協議検討をしていくということでございます。
そこで、この返還が実現するまでの間、沖繩住民の福祉の向上をはかり、沖繩の本土復帰の際の困難を少なくするため、今後とも、教育、社会、経済の各分野における本土との格差是正と各種機能についての本土との一体化を促進するということが当面の仕事になるわけでございまして、そこで、この返還が実現するまでの間、米国の施政権というワクの中においてやり得ることは、そこでおのずからいろいろ制限もあるわけでございます。その点に関しまして、先ほども総務長官からお話がございました日米協議委員会のことをちょっと御説明申し上げます。
なくなりました池田総理がワシントンを訪問された際、三十六年の六月に共同声明を出されました。そのときの共同声明には、「大統領は、米国が琉球住民の安寧と福祉を増進するために一層努力を払う旨確言し、さらに、この努力に対する日本の協力を歓迎する旨述べた。総理大臣は、日本がこの目的のため米国と引続き協力する旨確言した。」この了解から発しまして、その後、昭和三十九年、東京において、わがほうは外務大臣と総理府総務長官、アメリカのほうは在京米大使を委員とする協議委員会を設置することになりました。その仕事は、その後、佐藤総理訪米の後若干拡大されました。先ほど特連局長から話のありました経済援助のみならず、沖繩住民の安寧に関係あるいろいろなことをそこで取り上げられるようになったわけでございます。
そこで、昨年来その委員会の場において合意された若干の問題を御説明申し上げます。
一つは、海外にある沖繩住民の外交的保護の問題でございます。これは、海外にある場合には外交的保護が日本の保護権とアメリカの保護権と競合するわけでございます。これは昨年五月の合意によりまして、日本人である沖繩人が外国にある場合の保護は、第一義的に日本政府の外交保護が行なわれる、こういうことでございます。
同時に、沖繩住民が海外に旅行する場合の旅券の問題についても、従来は、沖繩住民が海外に参ります場合には、日本人でありながら、アメリカの高等弁務官が発給した身分証明書を持つ、また、日本人といわずに、琉球住民という身分証明書を持って出たわけでございます。そのために往往にして、第三国で、これは何だかわからぬといわれるようなこともあって、まことにまずかったわけでございます。それを、昨年の協議委員会における合意によりまして、沖繩の出入の許可の権限はアメリカ側に留保するけれども、しかし、堂堂とした日本政府の旅券を沖繩において発給してもらってどこへでもいける、こういう形になったわけでございます。
次に、移住の問題に関しまして、従来、沖繩からの戦後の海外移住は米国民政府の責任において行なわれたわけでございます。そのために、とかくボリビアなどに行きましても問題があったということでございます。この問題につきましても、同じく去年のその委員会におきまして、沖繩からの移住について、今後は日本政府及び日本の海外移住事業団が、琉球民政府、それから琉球政府及び琉球海外移住公社、琉球海外協会と協議の上、計画をつくり、実施するということになりました。準備が整えば、本年の夏くらいからわがほうの移住事業団が沖繩に出張所を設けまして、従来の沖繩関係の移住公社等を吸収いたしまして、全部日本側の責任において行なうということになるわけでございます。
その他、船舶に掲げる旗についても、先ほど総務長官からお話がございました。
かようなわけで、施政権返還の実現に至るまでは、何といっても米国の施政権というワクがありますものですから、現在なし得ることにもその制約はあるわけでございますが、かような形で、できることは一つ一つ実現して施政権返還の日に備えたい、こう考えるわけでございます。
最後に、小笠原のことでございますが、これも先ほど総務長官からお話がございました。これは施政権のみならず、帰島もまだ実現していないという情けない状態であります。三十六年に、旧島民が帰島できないためにこうむっている損害に対する補償、見舞金として六百万ドルを受領したことは、御承知のとおりでございますが、その後帰島の話はなかなか実現せず、ようやく一昨年から墓参が実施されておる、こういうことでございます。
沖繩、小笠原の状態決して満足すべきものでなく、非常に問題がございます。われわれといたしましても、施政権全面返還に備えて事務当局としても最善を尽くしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/25
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026・臼井莊一
○臼井委員長 次に、北原欧亜局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/26
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027・北原秀雄
○北原政府委員 塚原総務長官の北方領土に関しましての御説明を補足さしていただきます。
サンフランシスコ条約におきまして、日本は南樺太と千島列島を放棄いたしました。その後日ソ間に領土に関する平和条約がまだできておりませんので、南樺太につきましては、これは帰属未決定という立場をとっておるわけでございます。千島に関しましては、サンフランシスコ条約によりましてわが国が放棄した千島の範囲は、サンフランシスコ条約でははっきりと明記しておりません。そこで、どの範囲までの千島を放棄したかということでございますが、わが国といたしましては、歯舞、色丹、国後、択捉、これはいまだかつてわが国以外の国の領土になったことはないという歴史的事実に基づきまして、なおかつ、一八五五年の日魯通好条約、それと、一八七五年の千島樺太交換条約、日露間の交換条約でございますが、これによりましても、国後、択捉というものはいまだかつて対象になったことはないという歴史的事実に基づきまして、国後、択捉両島はあくまでも日本の領土であるという立場をとっておるわけでございます。
そこで、かかる認識、基本的立場の上に、昭和三十年よりロンドンにおきまして日ソ国交回復のための交渉を始めました。領土問題が満足に片づきますれば平和条約まで発展すべき交渉でありましたが、ソ連側はどうしても国後、択捉の返還をがえんぜず、ついに昭和三十一年に平和条約にかわる日ソ国交回復宣言というものをつくりました。そこで、北方領土問題に関しましては、国後、択捉に関しましてはついに触れることができませんで、歯舞、色丹につきましてのみこれをソ連は日本に返す、ただし、現実の引き渡しは、平和条約が後日できたときに現実に引き渡すということでやむなく妥結した次第でございます。
以後、機会ありますたびに、北方領土返還をソ連政府に対して申し入れております。その間、日ソ関係もいろいろ消長がございました。一時は、一九六一年、グロムイコ外務大臣は、日ソ共同宣言の規定にもかかわらず、米軍が日本から撤退するまでは歯舞、色丹は返せないというふうな政治的宣言をしたこともございます。それから、一九六四年でございますが、わが国議員団の訪ソに際しまして、フルシチョフ当時のソ連首相は、やはりあらゆる国の軍隊が日本から撤退すること、並びに沖繩が日本に返還されるまでは歯舞、色丹は返せないというふうな、談話の中でそういう声明を行なったこともございます。しかし、その後日ソ関係も漸次よいほうに向かいますとともにこの態度はだいぶソ連側として撤回してまいったようでございます。昨年一月の椎名外務大臣の訪ソのときには、非公式会談の中で、ソ連側としては日ソ共同宣言の文面のとおりに歯舞、色丹を返す用意ありということを申しました。暗にそれまでの種々なる政治宣言は取り消すという態度に出た次第であります。昨年一月の椎名外務大臣の訪ソ、それから昨年七月のグロムイコ外務大臣の訪日等の機会にも、われわれといたしましてはこの領土問題を絶えず強く先方に申し入れておるわけでございまして、わが国の立場は、平和条約が日ソ間にないというゆえんのものは、領土問題が日ソ間に解決していないから平和条約がないのだというのでございますが、先方は、領土問題は、日ソ間においてすでに第二次戦争中の国際条約、戦後の一連の国際条約によって解決されているという立場を固執するわけでございます。そこで、全く日ソ間の主張は国後、択捉の帰属をめぐってまっこうからぶつかっておるわけでございます。たび重なる会談におきまして、椎名外務大臣も、それ以前の外務大臣におかれましても、この問題については、機会あるごとに、あらゆる角度から、何とかこれを打開する、日本の主張を通すようにという努力をしていただいてまいったわけでございますが、不幸にして現在まで何らの進展がないわけでございます。
ちなみに、ソ連という国は、歴史上、戦争その他の行為を通じて獲得いたしました領土をいまだかつて寸毫といえども返還したことのない国でございます。フィンランドとの間に一つ例外的に非常に小さな地方を返還することをいたしました。しかし、これは非常に特殊な歴史的経緯のある土地でございます。一般には返還に応じたということがないわけでございます。
ソ連の立場といたしまして、中共その他あらゆる国と非常に大きな領土問題をかかえております。ソ連の立場からいたしまして、たとえこの国後、択捉がソ連の目から見れば非常に小さな島でございましても、たてまえ上、これを返すということが非常にむずかしい。その点を何とか話し合いでソ連にとってものみ得る方策はないものかということから、いろいろ私どもも苦心しておるわけでございますが、現在までのところ何ら進展はないわけでございます。
ちなみに、この歯舞、色丹、国後、択捉に関しまして、現実の施策といたしまして、私どもといたしましては、これはもともと日本の領土である、特に歯舞、色丹については平和条約ができれば返還すると約束しておるのであるから、この沿岸における漁業をひとつ特殊な水域として認めてくれ、いわゆる安全操業の主張をしてまいっております。
それからもう一つの点は、国後、択捉、歯舞、色丹に対する引き揚げ者の墓参の問題でございますが、これは三年来非常に進捗を見まして、歯舞、色丹については三年来、昨年初めて国後、択捉についての墓参を先方は認めてまいりました。
私どもといたしましては、結局、この領土問題はあくなでも国民の強い世論の上にこれを推していくよりしようがないではないか、幸いに北方領土復帰期成同盟というものがございまして、政府からも幾ぶんの補助をいたしまして国民の世論喚起につとめていただいております。
以上、簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/27
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028・臼井莊一
○臼井委員長 以上をもって総理府並びに外務省所管の説明は終わりました。
次会は公報をもってお知らせいたしますが、実は理事会においては、十九日水曜日午後委員会を予定いたしておりますけれども、予算審議の関係上延期することがあることを御了承願いたいと存じます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/28
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029・臼井莊一
○臼井委員長 速記を始めて。
それでは、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00319670404/29
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