1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十六日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 臼井 莊一君
理事 小渕 恵三君 理事 竹下 登君
理事 丹羽 兵助君 理事 帆足 計君
理事 永末 英一君
内海 英男君 大村 襄治君
小坂善太郎君 小平 久雄君
橋口 隆君 古屋 亨君
細田 吉藏君 山田 久就君
石橋 政嗣君 穗積 七郎君
美濃 政市君 横山 利秋君
門司 亮君 渡部 一郎君
出席国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 真田 秀夫君
総理府総務副長
官 上村千一郎君
総理府特別地域
連絡局長 山野 幸吉君
外務省北米局長 東郷 文彦君
労働政務次官 海部 俊樹君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
委員外の出席者
総理府特別地域
連絡局参事官 加藤 泰守君
外務省北米局北
米課長 枝村 純郎君
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五月十六日
委員北澤直吉君及び森清君辞任につき、その補
欠として内海英男君及び橋口隆君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員内海英男君及び橋口隆君辞任につき、その
補欠として北澤直吉君及び森清君が議長の指名
で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措
置法案(内閣提出、第二四号)
沖繩その他の固有領土に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/0
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001・臼井莊一
○臼井委員長 これより会議を開きます。
沖繩その他の固有領土に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/1
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002・穗積七郎
○穗積委員 担当の長官として塚原さんにお尋ねをしたいのですが、実は私は、きょうは時間がありませんから、施政権の返還の問題と、沖繩における米軍基地の問題について、二、三お尋ねをいたしたいと思います。
この問題は、国会内外における発言が御承知のような経緯でありますので、本来は総理にお尋ねすべきでありますけれども、あなたが政府部内における担当の長官、責任者でありますから、政府を代表してお答えをいただきたい。足らざるところは、また総理なり外務大臣に出席を願ってお尋ねをいたしたいと思います。
最初にお尋ねいたしますが、前任者の森総務長官の提案されました教育権その他の分離返還の問題です。これはその後どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/2
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003・塚原俊郎
○塚原国務大臣 機能別分離返還について、教育あるいは社会福祉あるいは産業経済等、いろいろな問題が党の沖繩対策特別委員会でも論議されておりまするし、また、前任者の森君は、そのうちの教育権の問題を取り上げまして非常に御熱心に推進されておったわけであります。私も森君からこの問題は事務引き継ぎの際にもよく承りまして、その当時までの経過等についてはよくお話を承ったのであります。今日どうなっているかという問題でありまするが、これは御承知のように大浜さんを会長とする沖繩問題懇談会というものが総理府に設置せられておりまして、主として教育全般の問題を中心とした問題等について論議が今日までかわされておるわけであります。その間全体会議あるいは小委員会等に分かれて開会されておりましたが、いま大浜さんはアメリカのほうに行っておられますので、やや中断ぎみになっておると思います。六月末ごろには答申が出るのではなかろうかというふうにも伺っておりまするので、その答申を拝見いたしまして、外交折衝に移すべきような場合には、関係省である外務省と連携をとりながら、ひとつその答申の線に沿って対処していくべき問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/3
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004・穗積七郎
○穗積委員 経緯はあなたも御承知だと思うのですが、前任の森長官が教育権その他の分離返還、職能別分離返還について提案をされたときには、佐藤総理もこれに対して非常にアクティブな態度をとり、あるいはこれを支持し、あるいはこれを
鞭撻する態度をとった。ところが、御承知のとお
り、外務省は、職能別分離返還というものは不可能である。実は私は前の国会におきまして、法理的に統治権の分離返還ということは間違いである
ということ——これに対しましては、国際法学者の中にもあるいは公法学者の中にも両論ございます。私どもの解釈ではこれは法理的に不可能であるというふうこ考えましたが、外務省は、必ずし
も法理の点だけを問題にしたのではなくて、政治的な困難——というよりは、不可能であるという判断に立っておる。ところが、その後総理の態度が急変いたしまして、幾たびか、分離返還はしない、全面返還であるという態度を表明されたわけです。その間の矛盾はどう政府の中で解決されておるか、ちょっと伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/4
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005・塚原俊郎
○塚原国務大臣 機能別分離返還について外務省がどういう態度をとっておるかは私はまだ正式に交渉いたしておりませんが、今日まで特連局を持った総理府と外務省との間に意思の疎通をやや欠いた点があったということはあるいは認めなければならないのじゃないか、こうも思っておりますが、いまの大浜さんの委員会等においては、穂積さんはこれは不可能であるという解釈をされておられるようでありますが、やはり両論がありまして、だいぶ議論に花を咲かしておるというふうにも聞いております。いずれにしろ、これは結論を得ましてから外務省とよく連絡をとりたいということは、先ほど申し上げたとおりであります。
なお、佐藤総理の今日までの発言との関連についての御質問でありますが、大津における談話がいかにも教育権の分離返還を否定するようなものではないかということをしばしば各委員会において御質問を受けるのでありますが、私はあの直後、もちろん選挙中でありますので私も全国を回っておりましたが、日米協議委員会の開かれる関係もありまして、急遽東京に戻りまして総理にお目にかかり、総理の真意をただしたわけでありますが、決して新聞に伝えられておるごとく教育権の分離返還というものを打ち消したものとか否定したものとは私は考えておりません。結論からいうならば、教育権の分離返還を含めて施政権の全面返還に進んでいただきたいという従来の方針には変わりはないという総理の考え方を私はキャッチいたしたのでありますが、その後も沖繩の施政権の返還等についていろいろ政府の見解も外務省あるいは総理とも御相談いたしておりますが、機能別分離返還の問題を含めまして施政権の全面返還ということで政府はこの問題に対処していくということが政府の見解であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/5
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006・穗積七郎
○穗積委員 それでは、いまのファンクション別の返還、それからもう一つは、外務省から提案されました基地の自由使用を前提とする、すなわち、日本領土内に核兵器を持ち込まないという原則を沖繩に関しては適用除外して特例を設けてそして返還を求めるという意見が、いわゆる下田次官を通じて外務省の意見として発表された、この問題はその中へ入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/6
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007・塚原俊郎
○塚原国務大臣 私の所管いたしている限りにおきましては、機能別分離返還については大浜委員会の結論が出たらということを再三申し上げておりまするが、その中にはいま穗積委員のおっしゃったものは含まれておりません。これは下田発言によって政治問題化したと申しましょうか、国会でもたびたび問題になっておりまするが、佐藤総理は御承知のような答弁をいたし、三木外務大臣も答弁いたしておりまするが、私のところで所管いたしておる限りにおきましては、その問題は含まれていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/7
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008・穗積七郎
○穗積委員 沖繩問題については、あなたは政府を代表して全体を統括しておられるわけです。総理府の中で過去においてどういう意見があったかということを私は聞いているわけではないのです。政府を代表するものとしてお尋ねしておるのですから……。
いまの基地の自由使用を認めた譲歩条件つきの返還、これもあり得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/8
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009・塚原俊郎
○塚原国務大臣 私は、沖繩の百万に近い方々の悲願、本土の一億の方々がこれだけ強い悲願を持って沖繩の返還を考えておりまするときであるだけに、あらゆる角度からあらゆる問題に対処して検討すべきが至当であろうと考えております。大浜委員会につきましては、いかにも機能別分離返還だけのように私申し上げましたが、過般総理が予算委員会等において答弁いたしておりますることから考えましても、この答申が出ましたあと、政府にやはり沖繩に関する諸問題を検討する一つの機関を設けて御検討を願うということを大浜さんとも話し合っているという御答弁をなさっておることは、穗積委員御承知のとおりだと思いますが、私は、これだけ重要なときであるだけに、あらゆる角度からあらゆる問題をとらえて検討すべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/9
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010・穗積七郎
○穗積委員 それであれば、検討の中に、基地の自由使用を認めた返還も含まれておると理解していいわけですね。結論は別ですよ。結論は別ですが、政府の中には、基地の自由使用を認めた返還もまだ打ち切っていないということですね。それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/10
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011・塚原俊郎
○塚原国務大臣 もちろん、極東の情勢あるいは核の問題等から、いま直ちにこれについてどうこう言うことは早計かもしれませんが、先ほどから繰り返しておりまするように、あらゆる問題をとらえ、あらゆる角度から検討するということになれば、私はそのように解釈して差しつかえないんじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/11
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012・穗積七郎
○穗積委員 それからもう一つ、ちょっと質問を進める前に政府のほうにお尋ねいたしておきますが、沖繩の本島内における米軍基地、特に核基地、その地域だけを残した地域分離返還ということは、いままでは政府部内あるいは懇談会の中においても議論はなかったようですけれども、これは理論的にはあり得ることですね。それは問題になるのか、全然ならぬのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/12
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013・東郷文彦
○東郷政府委員 先ほど来の総務長官の御答弁を一言補足さしていただきます。
穂積先生のおことばでございますけれども、外務省が教育権分離返還というのは反対である、あるいはいわゆる基地の自由使用を含む返還ということを外務省の結論として出した、こういうお話がございましたが、前者につきましては、法律的にこれが分離できるものか全然できないものか、その点法律的に全くこれは不可分であるという考えは持っておりませんが、実際上の問題として相当な困難があろうということは、率直に申しまして、感じておりますが、しかしながら、これに反対であるという結論を出しておる次第ではございませんので、これは総務長官のお話のように、やがて懇談会の結論が出ました上、それを十分参考にして、総理府当局とも御相談の上研究したいと考えておるわけでございます。
また、後者の点につきましては、これは下田前次官が、国民の前に問題を提起する、こういう形でお話しになったものと了解しておりまして、したがって、あれが外務省の結論であるということではない点を御了承願いたいと存じます。
それから最後の、基地を地域的に分離した返還のことはどうかというお尋ねでございますが、これも可能性としては当然われわれあらゆる可能性を研究、勉強するのは義務だと存じますし、その意味において研究はいたしますが、これについても、いかなる意味でも結論は出ておる次第ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/13
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014・穗積七郎
○穗積委員 私はいま例示として、機能別の分離返還、それから基地の自由使用を含む分離返還、それから核基地を除外した地域的な分離返還、こういうことがいままでもその一部は提案され、あるいは問題提起があり、さらに理論的にも考えられるところであろう、こういうことで三つを例示したわけですが、いままで苦心をしておられる総理府並びに外務省でそのほかの方式が多少でも考えられる点がありましょうか、それがありましたら示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/14
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015・塚原俊郎
○塚原国務大臣 先島だけを切り離した返還論というようなものも検討いたしたことがございまするが、いま御質問のようなことで新しい問題の提起というようなものは、現在のところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/15
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016・穗積七郎
○穗積委員 返還方式については、実はこの三つとむ少なくとも私個人としては不賛成でございます。いままで政府は、なしくずし返還あるいは条件つき返還というようなことで、いささかやすきにつこうとして、それがあたかも現実的な可能性が多いかのごとき錯覚をもってお考えになったと思うのです。私はこれだけではないと思うのですね。いままで政府部内で問題になったのはこういうものが問題になっておる、それ以外に何かないかといえば、何にもないということなんですね。そういたしますと、ちょっと先ほど長官も言われたように、熱烈なる一億日本人の願望なわけですね。民族の統一、完全独立、並びに、沖繩県人からいえば祖国完全復帰ということは、これは単に沖繩県民百万の願望だけではありません。そういう意味でいうならば、しかもこの特別委員会が沖繩問題に限って特に力を入れ、そしてあなたを担出者としているのに、政府部内において用意ができてないというのはおかしいですね。これが実現するしないは別問題ですよ。実現するしないは別問題ですけれども、こういう場合、こういう場合という多少のプログラムがなくて、いまだに、国民の要望にはこたえたい、県民の熱烈なる要望も十分承知しておる、そして、沖繩復帰こそが戦後の終わりである、こういうことを口では言っておられますけれども、いま伺ってみると、何もないということでしょう。無責任に、思いつきに政府部内の一部の人が提案をしたり、あるいは沖繩懇談会に責任を転嫁してみたり、そういうことをやってどういうことがあるのでしょう。どれでもいいですよ、これこれ、これこれの可能性を大体頭の中に置きながら、こういう順序でものを整理し、実現に当たってみようという熱意が何もわれわれには感じられない。沖繩施政権返還の問題というのは、これはまるで政府のタブーになってしまっておるわけですね。実情はそうじゃないでしょうか。いままで伺ってみたところで明瞭だと思いますがね。これは長官並びに外務省からお答えいただきたい。何があるでしょうか。外交上の執行権を持っておるのはあなた方ですよ。われわれは、その執行について希望を述べ、条件を述べ、そして促進の協力の立場をとって、側面からの協力をしようとしておるにすぎないわけです。決定権、執行権は政府にあるわけですよ。無責任きわまると思うのですね。何で一体この沖繩委員会ができて、しかもこれは幸か不幸か、地方選挙その他連休が重なりまして、非常に時間の余裕があったわけです。にもかかわらず、再開されたこの委員会で、まだ具体的なものは何も用意してない。沖繩懇談会のみに問題が提起されて、これだったら委員会を開く必要はないと私は思うのですよ。外務委員会からこれを切り離してそしてこの委員会をつくったということは、沖繩問題を日本の外交の中において眠らす結果になるだけです。われわれははなはだ心外に思うわけです。具体的にひとつ今後のプログラムを示していただきたい。むろん、一々検討されたことが実行されない、情勢や相手のあることでありますから、実行されないからといって、私は何も責任を問うという態度でお尋ねしておるのではないのです。私のみならず、全国の国民、沖繩県人がこれを聞いて、不信と失望を抱くだけではないでしょうか。総務長官の反省を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/16
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017・塚原俊郎
○塚原国務大臣 具体的なプログラムを示せというお話でありますが、繰り返して申し述べておりますように、また、今日まで本会議あるいは予算委員会において政府の見解が示されておりますように、極東の安全保障、極東の情勢というものがありまするために、何月何日にはどう、何月何日にはどうという具体的なプログラムを示すことができないことは、もうおわかりいただけると思うのであります。それだけに、復帰の日に備えまして、本土との格差の是正その他にできるだけの努力をいたしておるのであります。これは施政権返還と関連かないというような御批判がよく伺われるのでありますけれども、政府といたしましては、あくまでも全面返還ということを念願といたしまして努力していく体制をとっておるわけでございまして、なお、当特別委員会ができました経過は、これは国会のほうのことでありまするので、政府は介入すべきでないと私は考えております。
いずれにいたしましても、政府は、いまのような、穗積委員のように、はっきりしたスケジュールを示せないという歯がゆさはあると思いますが、(穗積委員「スケジュールではない、プログラムだ」と呼ぶ)プログラムというものを示してくれないという歯がゆさはあると存じまするけれども、極東の情勢の変化というか、これが非常に重要なウエートをなしているということは御承知いただけると思うのであります。そういった面で、あくまでも全面返還に向かって努力を続けていくという態度を堅持していくのがたてまえであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/17
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018・穗積七郎
○穗積委員 あなたにのみ苦言を言うわけではない。佐藤内閣全体の姿勢の中からこういう問題が出てきておるわけですから、申し上げますけれども、私どもは、あなたの発言といえども、総理の発言といえども、政府の統一見解、政府を代表する意見として軽重はないと思っているのです。そういう意味で、敬意を表してあなたに聞いておる。
それで、伺ってみますと、森長官が提案された教育権その他の分離返還、これは佐藤総理によって否定された。国会でも問題になった。そのときに、これは大体いままでの経過からいいますと、否定をして、全面返還に政府の指向は進んでいるというふうに内外の人はみな理解しているわけでしょう。ところが、いま伺うと、それは消えていないのだ。それから外務省提案にかかる——外務省提案にかかるというのは、実はアメリカの提案なんですが、アメリカが一月末にこの提案をして、そうして核基地の自由使用がなければ問題にならぬと言い、あるいは民間ではライシャワー、マンスフィールド等からも、核基地の自由使用でなければ施政権返還は不可能であるような意向が示されている。これを映して発言したのが下山発言なんです。それも消えていない。あるいは消えておるかのごとく、消えておらざるかのごとく、国会においてそのことをお尋ねすれは、ここで私は一々言いませんけれども、佐藤総理の答弁も、一日違いで違っているのですね。非常に違っている。あいまいになっているのです。こういうことでは何のことかわからないわけです。これでは審議の進めようがない上に、われわれは、たよりなさというか、無責任さを痛感せざるを得ないわけです。
そうなりますと、もう一ぺんお尋ねいたしておきますが、政府の方針はあくまで全面返還を指向している、しかしながら、段階的には分離返還もあり得る、あるいは条件つき返還もあり得る、こういうことでしょう。特に、ファンクション別の分離返還、あるいは自由使用を含む分離返還、これは検討の対象になって、いまだ生きている、こう言っているわけでしょう。われわれも、これは国会内外における佐藤総理の発言で消えたと思っていた。そうしたら、それはまだ生きているというのが、政府を代表する担当責任大臣のお答えであるということであれば、何が何だかわからぬということですね。熱意がない、無責任の一語に尽きると思うのです。私はスケジュールを示せとは言いませんよ。具体的なプログラムを示してもらいたい。いまのお話はどういうことですか。全面返還を政府は指向しているとおっしゃいますが、それはダイレクトな全面返還のことですか。過渡的な分離返還、条件つき返還も含む不完全返還のことを言っているのですか、どちらですか。ことばでごまかさないようにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/18
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019・塚原俊郎
○塚原国務大臣 施政権の全面返還を政府は方針といたしております。その間、日本政府が責任を持って行ない得る教育行政の問題、あるいは教育の面における日本と沖繩との格差をなくするというような問題、つまり教育権とでも申しまするか、そういったものは、先ほどから申し上げているように、ファンクション別ですか、沖繩の大浜さんの委員会の結論を待っているところであります。ですから、施政権の全面返還、これが政府の基本方針であり、目標はもちろん——目標と申しますか、政府の基本方針は全面返還でありますが、その間にあってあらゆる角度からすべての問題を取り上げていくことが、この沖繩の方々、または日本の方々の熱願と申しますか、悲願となっている問題だけに、それらを真剣に検討していかなければならないということを私は申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/19
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020・穗積七郎
○穗積委員 そうすると、これは非常に大事ですから、逆にもう一ぺん確かめておきたい。そうでないと、去年から外務委員会、予算委員会で何回この問題をやっても、ああでもないこうでもないと、いつも答弁が違っているのです。不確定ですから、この特別委員会に臨む以上は、われわれもここで総括をしたい。今後この問題を、ことばの上のやりとりだけでなくて、現実の問題として発展せしめるためには、この特別委員会は重要な任務を持っていると思う。そういう意味で、あなたは責任長官としてここへ来ていただいたわけです。私はそういう立場で質問をしているわけだ。いやがらせのために質問をしているのではないのです。
だから、お尋ねいたしますが、目標は全面返還であることは言うまでもないことであるけれども、その途中において、いままで問題になった二つの分離返還または条件つき返還というようなその他のものが出てきたときには、それもすべて継続議題として、継続した検討の政策として今後これを取り上げる場合もあり得るということですね。それをちょっと伺っておかぬと、このあとの進めようがないんです。それでいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/20
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021・塚原俊郎
○塚原国務大臣 あらゆる問題をあらゆる角度から検討しなければならぬということを私は申し上げておるのでありまして、いま御指摘のように、その問題がどういう形で出てくるか、たとえば教育に関する問題は、これは大浜さんの委員会から一つの答申となって出てくると思う。これをやるというのがあるいは法理論的に無理だというのか、その場合に関係省と相談しなければならないし、また、その他の問題等についても提起されたときには、やはりそれぞれの関係省と打ち合わせながらこれは取り上げていかなければならない問題であると私は考えております。とにかく、こういう大事な問題でありまするから、あらゆる角度から検討していくという体制をとっていくことが一番必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/21
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022・穗積七郎
○穗積委員 大浜さんのワシントンにおける新聞発表をごらんになったと思うのですね。施政権返還に対する方針については、私は大浜さんとはいささか違っておりますけれども、あの人は、この問題を促進するためには、結論としては、政府の総合的かつ具体的な対策なくしては、ものは進まない、そういうことを言って、政府に対する批判的かつ激励的な意見が結論になっておるわけですね。その点については私も同感です。ですから、先ほどから伺っておるわけです。この点は私は実は委員長にもはかっていただいて、大浜さんが帰ったら、向こうにおける報告をこの委員会で聞くべきであると考えておりますけれども、それはさておきまして、それじゃ話を前へ進めましょう。
この過渡的または全面返還、いずれにいたしましても、施政権の返還について障害になっておるのは核基地である、アメリカの核基地である、そういうふうに私は理解いたしますが、政府は、この返還の要望が実現するための困難なネックはどこにある、何にあるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/22
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023・塚原俊郎
○塚原国務大臣 私は、極東の情勢、極東の安全保障の問題が一番の中心であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/23
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024・穗積七郎
○穗積委員 極東の安全保障だけではありませんよ。日本は極東の安全保障のために安保条約を結んでおるでしょう。日本の領土であるということを認めるならば、沖繩もその中に含んで何ら差しつかえないわけでしょう。問題は核基地ですよ。本土と沖繩との違いというものは核基地だけですよ。ほかにないです。何がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/24
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025・東郷文彦
○東郷政府委員 施政権返還問題についてどういう点に問題があるかという点に関しましては、まさしく沖繩が日本及び極東の安全維持のために果たしておる役割りということが大きな問題でございます。それならば、それがただいまの核基地だけかということになりますと、やはり沖繩の占めております地理的位置からしまして、沖繩の役割りというのは、核攻撃という意味のみならず、前進補給基地として、あるいは通信の中心としていろいろな役割りを果たしておりますので、核だけの問題ではないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/25
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026・穗積七郎
○穗積委員 それではそのほかに何がありますか。安保条約によって日本本土をアメリカは基地としておる、そうして日本政府はこれに協力を約しておるわけですね。そのときに、沖繩がその中に含まれて何か差しつかえがありますか。差しつかえのあるものは、安保体制の中においても、日本は核武器の持ち込みをしない、核武装をしない。それだけに差しつかえがあるから沖繩は返せない、こういうことになっておるじゃないですか。スパイその他の心配があるからということですか。あそこにおける行動の自由あるいは言論の自由が日本本土と同様になれば、いろいろな基地反対闘争がより高まったり、あるいはアメリカの情報が日本国民の中へより流れたり、そういうことの心配からということでしょうか。アジアの情勢は一つですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/26
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027・東郷文彦
○東郷政府委員 現在の内地の体制をそのまま沖繩にかりに移すといたしますれば、もちろん、御指摘のように、まず核に関する事前協議の問題、あるいは施設を直接戦闘作戦行動に使う場合の事前協議の問題等々、違いがございます。現在の沖繩のいわゆる自由使用とはそういう点において違いがございますし、また、米軍の基地の使用ぶりにつきましても、施政権をみずから持っておる場合と、安保条約地位協定による場合と、そこにはいろいろ違いがございます。しかしながら、それらの軍事的の面から見まして核の問題が非常にウエートを占めておる、それはそのとおりだと存じます。しかし、その核の問題並びにその他の基地使用の問題につきまして、先ほどからお話のような条件つき返還というような問題をかりに研究いたします場合にも、そういうことがむろんわが国民の受け入れるところにならなければならぬわけでございますから、われわれも、研究をいたしましても、にわかに結論を出せないのはむろんのことでございます。核以外に何があるかということは、いま申し上げたようなことでございますが、この中で比較的核が最も大きなウエートを占めておる、これはそのとおりだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/27
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028・穗積七郎
○穗積委員 これは外務省の専門家が、しかも責任局長がお見えになっておられるので、しろうとの方なら別ですが、返すか返さぬかはアメリカですよ。そのアメリカの最近の、たとえばライシャワー大使の「フォーリン・アフェアーズ」における所見、あるいはマンスフィールドの上院外交委員会における所見、全部これはいまの与党民主党を代表して言っておることがこのことなんです。核の基地でなければいつでも返せる。したがって、逆に言えば、核の持ち込みを日本自身が認めれば返せる、その点が施政権の返還の条件であり、時期である、こういうふうに言っておるわけです。明瞭じゃないですか。返すほうのアメリカで言っておるのですよ。われわれは返してもらうのに何のちゅうちょがあるのですか。そのほかに何かいろいろな条件があって、それを解決しなければ返さぬなんといって国民に向かって間違って教えておるのは、誤りですよ。返さないように努力しておるのは日本じゃないですか。長官、あなたは在野精神も強いし、学問はしておるし、思想と見通しはあるはずだ。そんなさっきのような小役人のような答弁じゃだめですよ。たとえば、ぶつかって、相手があることですから直線には解決しないにしても、その担当大臣——大体総理府の長官なんというのは、国民の目から見れば、そんなものは実はその存在すら知らなかったのです。ところが、森さんが施政権返還問題を取り上げてから、何だ、そういう大臣があったのかといって初めて気がついた。総理府長官の地位というもの
に対して関心と期待をかけるのは、この問題ですよ。ほかにないですよ。勲章や恩給の話なんというのは属吏にまかしておけばいいんで、大臣を必要としません。今日の情勢の中で、総務長官の責任、総務長官に対する期待、これはこの問題ですよ。さっきから伺ったら、何もないじゃないですか。核基地問題ですよ。だから、核基地を日本が認めるか、アメリカが撤去するか、そのいずれかでなければ返りませんよ。そのいずれかで返るのです。それ以外に道はありません。寄せて二で割ったような議論というものは、あらゆるときに観念的な小ブルジョア的な評論家のやることであって、そんなことが実現されたためしはないのだ。ベトナム戦争に対する和平解決でもそうです。これ以外にありません。アメリカが核基地を撤去するか、その条件をつくるか、しからずんば、日本が核基地、核武器の領土内持ち込みを認めるか、それ以外にありません。御感想を伺いたい、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/28
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029・塚原俊郎
○塚原国務大臣 たいへんいろいろ御高説を承りまして、ありがとうございました。何しろ守備範囲が広いからどうこうというわけではございませんけれども、私に与えられた仕事のうちで、この仕事は非常に大きなものでございます。至らない者ではございますが、一生懸命勉強して取り組んでおるつもりでございます。あくまでも、極東情勢が好転いたしまして、いわゆるブルースカイになる、そういうふうに心から期待しておるわけであります。政府は施政権全面返還に向かって努力いたす覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/29
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030・穗積七郎
○穗積委員 実は極東情勢を険悪にしておるのは沖繩なんですよ。極東情勢が緊張して沖繩が必要になってきているのじゃない。沖繩が極東情勢をアジテートするために逆に使われておるのです。今日のベトナム戦争あるいは仮想敵国中国、北鮮に対するアメリカの戦略体系から見て、沖繩が一体どういうふうに使われており、かつ使われようとしておるか、明瞭じゃないですか。アジアにおける平和の危機を招いておるこの根源が沖繩基地ですよ。そういうふうに使われておるのです。アジアにおける情勢を、いま言うようにブルースカイにしようとするならば、日本のなし得ること、なさなければならぬことは、沖繩の核基地撤去並びに施政権返還です。それ以外にありません。ことばで、やむを得ざるものだということで、ネセサリーイーブルのごとく国民に言うことは誤りなんです。事実は逆じゃないでしょうか。したがって、施政権返還の法理解釈あるいは具体的な進め方に対するプログラムは、あなただけでなくて、総理並びに外務大臣も熱心に関与しておることですから、きょうの段階では、私はこの問題に対してはこの委員会で初めての質問ですから、まあ前奏曲ぐらいのつもりで、もう時間もありませんから、これでやめておきます。
ところで、お尋ねしたいのは、実は緊急な問題でございますが、ベトナム戦争の情勢が、ソビエトの分析も、国連におけるウ・タント事務総長を中心にする分析も、われわれの分析も、全く重大な危局に達したと思うのです。そうなりますと、この戦争は長期化し、拡大をするという不安——歓迎はしませんけれども、遺憾ながら、そういう情勢もわれわれは考えて沖繩のことを考えておかなければならない、そういう段階に来たと思います。そこで、たとえば北ベトナム、あるいは北ベトナムを通じてベトコンに、中国あるいはソビエトのもっと高度の武器が援助された場合、あるいは中国の言っておるような四つの場合で中国の戦争介入が起こった場合、その場合に問題は、沖繩の基地が使われておることはもう明瞭であります。沖繩の基地を使って作戦、オペレーションをやっておるわけですね。そのアメリカ側の攻撃に対して、正当なる報復的攻撃として沖繩基地に対して攻撃が行なわれる場合があり得るわけですね。しかも現実の問題としては非常に危険な状態に差し迫ってきたと思うのです。このときの報復攻撃は侵略行為ではありませんね。これは外務省から答えていただいてもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/30
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031・東郷文彦
○東郷政府委員 現在のベトナム戦争に関しまして、これは南ベトナムの侵略戦争であるというふうには解しておりません。あくまでも北からの侵入に対して南ベトナムが自分を守る、そのために米国の援助を求めておるという意味の南ベトナム及びアメリカとの集団自衛権の発動である、かように解釈しておりますので、今後さような場合が、万一いまの仮定のようなことがありましても、その関係は同じであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/31
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032・穗積七郎
○穗積委員 そうすると、この報復攻撃に対して、日本は防衛の権利と義務はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/32
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033・東郷文彦
○東郷政府委員 沖繩がいまのお話のような場合に攻撃を受けた場合には、この施政権を持っておる米国が守るということは当然であると考えております。現在の状態におきましては、わがほうが出ていって直接どうこうということにならぬのはお話のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/33
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034・穗積七郎
○穗積委員 総務長官にお尋ねいたします。
一昨年、六五年に日米協議委員会の権限が拡大されたことがありましたね。そのときの文書の中に「安寧」ということばが入ってきておるわけです。沖繩の安寧についても日米両方で協議するということになっておる。この「安寧」はどういう意味であるか、「協議」は何を意味するか、その点を所管の総理府のほうから明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/34
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035・塚原俊郎
○塚原国務大臣 その当時使われた「安寧」というのは、民生の向上を意味しているものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/35
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036・穗積七郎
○穗積委員 民生の向上に支障を来たすような外からの攻撃、それによって生じた混乱、あるいは民生の安定あるいは福祉をはなはだしく阻害された場合は含みませんか。当然含みますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/36
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037・東郷文彦
○東郷政府委員 この協議委員会の任務は、もっぱら経済的その他社会的福祉の問題でございまして、ここに「安寧」という字が出てきましたのは、実は英語を使って恐縮でございますが、「ウェルフェア」と並んで「ウェルビーイング」という字を使いまして、従来のこの沖繩に対する経済援助以外に、たとえば自治権の拡大の問題とか、単にその経済的問題だけでない分野の問題もここで扱うようにしようという意味で「ウェルフェア・アンド・ウェルビーイング」、「安寧」という字はその意味では必ずしも適訳でないものがあったかもしれません。こういう意味で実は使ったわけでございまして、ただいまお話のような問題は、むしろ安保条約に関します合意議事録のほうの問題になるかと存じます。沖繩に一たん事があった場合には、米国としてその沖繩の人を守るために全力を払うという趣旨の合意議事録ですか交換公文かの問題になるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/37
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038・穗積七郎
○穗積委員 私がお尋ねしているのは、当時それが極東の安全、セキュリティーというように——沖繩のセキュリティーの問題であれば字句は明瞭です。そうなれば、むろん日本としては協議の対象にはならぬわけですね。そういうことは、セキュリティーについて協議したり責任を分かつということはあり得べからざることですから、ありませんから、ウェルフェアあるいはウェルビーイングということばが使ってありますけれども、私のおそれるのは、これがいまの情勢の中で、沖繩におけるアメリカのアジア作戦の重要性から見て、それがはね返りがあったときに、それを拡大解釈することを私はおそれておるわけだ。絶対ありませんね。長官からどうぞお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/38
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039・塚原俊郎
○塚原国務大臣 そういう事態は私は予想いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/39
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040・穗積七郎
○穗積委員 日本の軍隊の出動ということは、この場合においても、御承知のような国会における質疑と政府の答弁によって明瞭になっておる。これは海外派兵に属することである。したがって、憲法上許すことができない、許されざることである。さらに、沖繩の船舶が今度日章旗をつけた。これはごまかしですけれども、しかし、その海上安全についても、日本の海上自衛隊が何らこれに対して手を出すことはできないし、手を出さない。これも明瞭になっておる。ところが、国民の生活または福祉が脅かされる段階になったときに、これに対して、軍隊ではないけれども、警察的なものですね、これは対外的なものではない、国内的なものでありますけれども、そういう名目
でも絶対にあり得ませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/40
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041・東郷文彦
○東郷政府委員 日米沖繩協議委員会において扱いますことは、いまお話のようないわば非常事態の問題ではございませんので、平時における沖繩島民の福祉、安寧ということを対象としておることでございます。いまお話のような問題は、先ほども申しましたように、安保条約に関する合意議事録、その中で、一たん緩急の場合には、日本国としても、島民の福祉のためにとることのできる措置を合衆国とともに検討する、また、これに対して、合衆国は全力をあげて島民の安全を守る、こういうことになっておりますので、そちらのほうの問題になるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/41
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042・穗積七郎
○穗積委員 そうすると、あり得ないわけですね。あり得ないと理解していいですね、御答弁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/42
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043・東郷文彦
○東郷政府委員 恐縮でございますが、ちょっと意味がわからないのでございますが、とにかく、この日米沖繩協議委員会においてそういう問題を扱うということは予想されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/43
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044・穗積七郎
○穗積委員 おりませんね。それはアメリカ側から要請があり、あるいは琉球政府から要請があっても、日本政府はそれに応じない、これでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/44
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045・東郷文彦
○東郷政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/45
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046・穗積七郎
○穗積委員 大臣、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/46
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047・塚原俊郎
○塚原国務大臣 日米協議委員会においては、そういった事態は私は予想することができないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/47
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048・穗積七郎
○穗積委員 それでは、もう一つだけで——委員部のほうから、労働大臣が時間をお急ぎだそうですから、一ぺん打ち切りますが、関連してもう一つだけ。
最近のベトナム戦争の拡大に伴いまして、アメリカ側の特に兵隊の一部に、沖繩県人を労務者あるいは志願兵あるいは義勇兵、名目は何でありましょうとも、そういうことで戦争に協力させたいという意向が台頭しつつあることは、御承知のとおりです。そういう情勢を考えて、せんだって、タグボートですかに対してすら、戦争に近づく、戦争に協力することになるというので、立法院は全会一致でこれの乗り組み反対の決議をして、それでアメリカにこのことを申し入れをしておるわけです。今後この情勢というものはさらに危険が拡大されることが予想されるわけです。それに対して日本政府はどうお考えになっておられるか、どういう態度で臨まれるつもりであるか。それから、事前に事務当局から先にお尋ねしたいが、先ほどのタグボート乗り組み反対の申し入れをした結果はどうなっているか、それをちょっと報告していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/48
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049・臼井莊一
○臼井委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/49
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050・臼井莊一
○臼井委員長 それでは速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/50
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051・塚原俊郎
○塚原国務大臣 ただいまの点は私はまだ伺っておりません。ですから、お答えのしようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/51
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052・穗積七郎
○穗積委員 それでは、もし起きたときはどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/52
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053・塚原俊郎
○塚原国務大臣 あまり好ましいことではないと存じまするので、よくひとつ検討しなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/53
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054・穗積七郎
○穗積委員 政府としてはどういう態度で臨むかということを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/54
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055・塚原俊郎
○塚原国務大臣 そういった事態は私全然聞いておりませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/55
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056・穗積七郎
○穗積委員 聞いておらんて、あなた、やっていますよ。立法院は全会一致で決議していますよ。タグボートの乗り組み拒否すら決議をして申し入れをしているのです。それで、アメリカの兵隊なんというものは、日本人なんというものはあそこの島で工ンクローズしてしまって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/56
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057・塚原俊郎
○塚原国務大臣 それは立法院のいつの決議……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/57
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058・穗積七郎
○穗積委員 これは、決議は六五年の五月です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/58
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059・塚原俊郎
○塚原国務大臣 五月何日……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/59
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060・穗積七郎
○穗積委員 六五年です。その決議が行なわれたのは一昨年の五月です。その後の実情を聞いておるのです。それで、その後の情勢を見ておると——われわれは非常な関心を持って見ておった。そうしたら、労務者の名義で、あるいは義勇兵の名義で、沖繩県人のベトナム戦争への協力の要請というものが軍部の中で台頭しつつあるのです。六五年の五月ですから、調べてください。これは御承知のとおり、立法院は決定権がありませんから、それから琉球政府もないわけだから、したがって、向こうの民政府あるいは司令官がこれをどう処理したか、これは大事なことですから、ぜひ。したがって、そういう問題が起きたときに日本政府はどういう態度をとるか。これは事実ですから、またさらにこういう方式が拡大する危険があるから言っているのです。そのとき日本政府はどういう態度をとるか。ベトナム戦争に協力する、ベトナム戦争は聖戦だ、アジアの平和並びに日本の安全保障のために必要だというようなことで、いままでそういうことを言われたのだから——さっきも東郷局長は言われた。そんな解釈で戦争を見ておるなら、そうしたら日本政府は、軍隊の出動以外のものであるならばけっこうだということになるでしょう。沖繩は、さすがに、与党保守党の諸君まで含めて、これは全会一致で反対決議をしておるわけです。それを申し入れておる。そのことを御存じないというのは、聡明な日本の官僚にしてはおかしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/60
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061・山野幸吉
○山野政府委員 当時の事情並びにその後の経緯をよく調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/61
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062・臼井莊一
○臼井委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/62
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063・臼井莊一
○臼井委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/63
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064・塚原俊郎
○塚原国務大臣 おしかりを受けましたけれども、私は実は初耳であります。山野特連局長が答えましたように、一九六五年ということでありますから、これは資料はあるでしょう、それを調べましてからお答えしたいと思いますが、そういう場合にはどうかという仮定の問題ともとれるような御質問がありますが、私がいま答えられることは、その場合に日本政府としては、米国政府に対しまして、住民の多数の意思を尊重するよう強く要望する、このことが正しい、また、そういうふうにしなければならないと考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/64
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065・臼井莊一
○臼井委員長 この際、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/65
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066・門司亮
○門司委員 ごぐ簡単に労働省にお聞きしたいと思います。
かねてお話をいたしておりましたので、大体調査もできておるかと思いますが、この法案を審議するにあたって、沖繩の諸君の気持ちになって考えてみると、たとえこの法律が施行されても、これは法に定めた期間であって、それ以前に遡及するわけにいかないと思いますし、なかなかむずかしい問題だと思う。しかし、住民の感情としては、法律のでき方が非常におそいので、早くできておれば自分たちもこれの恩恵に浴したんじゃないかという感情があることは事実だと思う。それらの諸君に対する調査が一体どのくらい進んでいるのか。
それから、一緒にお尋ねしておきますが、何らかの政治的配慮は一体できないものであろうかということ。たとえば、失業の期間が一年なら一年と定められております。しかし、失業した時期は、この法律の適用を受ける時期ではないが、事実上失業しているというような事実が私はないとは限られぬと思う。それらの問題に対してこの法律で配慮ができるのかどうか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/66
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067・早川崇
○早川国務大臣 せっかくの沖繩島民に対する御配慮でございまするが、この特別措置が法律として成立して後、公共職業安定所に求職の申し込みを行ない、しかも正規の手続きで失業したというような者に限ってやらざるを得ないたてまえになっております。したがって、労働省といたしましては、法案成立後できるだけ早くこの措置が実行に移されるようになりまして、成立後一人でも多くの者が対象になるように最大限の努力を払ってまいりたい、それがぎりぎりできる限界だと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/67
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068・門司亮
○門司委員 政府としてはこの法案を出された以上、そういう答弁になろうかと思います。しかし、先ほどから私が心配いたしておりますのは、法律自体の解釈はそういうことにならざるを得ないであろうと思いますし、また、そうなるのが当然だと思いますが、しかし、先ほどから申し上げておりますように、ここは特別の地域でありまして、従来長い間同じ日本人であって、そうして本土の産業に協力してきた諸君が、ただ郷里の沖繩に帰ったからというこの事実だけで従来の法律の適用を受けていなかった、そういう片手落ちがあったと私は思うのです。そういう片手落ちがあった者について、特別法をこしらえて、そして特別措置によってこれを補っていこうとする政府の意図に反対するものではありません。しかし、せっかくできた以上は、やはりいままでの雇用関係についても、職安その他を通じたものであることには間違いはないのであるから、したがって、法がほんとうに沖繩の諸君の利益を守っていこうとするには——事実は私はわかると思うのです。わからないはずはないと思のです。職安を通じてのすべての就職関係でなければならないことは当然でありますから、過去一年なら一年さかのぼって、この法律の適用と同じような時限をかりに一年前に適用しておったならば、これらの人がこれに適用される数というのはかわらないはずはないと思う。したがって、私の心配いたしますのは、そういうものがあるはずでありますから、しかも、現在就職しておるから、お前さんは、この法律がかりに適用されておっても、その恩恵に浴さないのだという人もあろうかと思いますが、まだ依然として失業しておる諸君もないわけではないと考えておる。したがって、こういう特別法をこしらえる場合には、でき得るだけ法の恩恵に浴する、法によって救われる範囲を広げていくことが、この種の法律をこしらえる政府の配慮として、またわれわれも考えなければならないことではないかと考えられますので、以上聞いたのですが、これは大体どのくらいの数がありそうですか。そうばく大な予算措置を必要とするようなものではないと思います。調査にしても、たいしてめんどうな問題は起らないと考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/68
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069・有馬元治
○有馬政府委員 門司先生から御指摘がございました、この法律がせっかくできて、これまで資格を持ちながら沖繩へ帰郷した方々がどれくらいあったかという御質問でございますが、これは私どもも、いままで法律の適用がございません、向こうではもらえなかったものですから——実は帰郷者の数は、三十四年から四十年までの累計をいたしますと、一万四千三百五十五名という数字が出ておりますが、このうちどの程度受給資格を取得して帰郷したか、ここは調査がございませんのでわからないのであります。したがって、この特別措置法をできるだけ早く施行いたしまして、かりに七月一日という施行になりますと、失業保険は御承知のとおり短期保険でございますから、一年間の給付期間がございます。したがって、さかのぼり得る限度といたしましては一年間、こういうのが限度でございます。これは本土の受給資格者の場合においても、権利がかりにあっても、一年間行使しなければ保険金は受給できない、こういう仕組みになっておりますので、この場合においても一年間の受給資格期間は、七月一日の施行をめぐってさかのぼり得るわけであります。問題は、現在もうすでに沖繩に帰っておる方々もございますので、早くこの特別措置の恩典のあることを関係者に周知させなければならない、こういう問題のほうが先決ではないかと思います。したがって、先ほど大臣から御答弁がございましたように、われわれとしては、最も有利な時点にできるだけ早く施行いたしまして、そうして関係者に周知させて権利を放棄するようなことのないように指導してまいりたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/69
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070・門司亮
○門司委員 そうすると、この法律の予算的措置については、ほとんど何も資料がないと言ってもいいのですか。私はそうじゃないと思うのですがね。わかっておるはずです。だから、どのくらい受給資格のある方々があるか調べられておらなければならないはずだと思うのですが、これから調べるということになりますと——これは特連局で調べればわかるのじゃないですか、事実上この法律を出されておるのですから。私の知りたいのは、この法律の恩恵を受ける人が、いま現実にどのくらいあるかということ。それから、先ほどから申し上げておりますように、もしかりに法律が施行されてから一年さかのぼるということは日本の法律と同じような形で行なわれていきましても、さらにその法律の適用外にごくわずかな期間で漏れたような人がないとは限らないのであって、それらの問題に対する配慮をやはり法律の制定の際にはしておくことが私は必要じゃないかと考える。現実の問題としてこれを考えてまいりますと、たとえば病気で帰った人がある、それらの人はおそらく就職は困難であろうと私は考える。そうすると、困難であるが、この法律を施行して一年なら一年効果があるからといって——さかのぼって日本の法律は施行されるから、日本本土におる場合は私はそれでよろしいと考えられる。しかし、本土以外におるこれらの諸君が病気その他で帰って、法律が去年施行されていれば当然それの恩恵に浴することができているはずだ。にもかかわらず、これがことしできたためにそれからはずれておるという問題があろうかと思う。この種の法律をこしらえる場合にはそれらの配慮がぜひ必要ではないかと考えているから、執拗に申し上げているのであります。
それからここで聞いておきたいと思いますことは、数がわからぬというお話でありますが、特連のほうではわかりませんか。これは私は数がわからぬはずはないと考えておるのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/70
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071・有馬元治
○有馬政府委員 わからぬというのは、非常に受け取り方が、何といいますか、全然わからないようにお受け取りになったかと思いますが、私どもはある推定をいたしておりまして、四十年の帰郷者三千七百六十二名、約四千名ございますが、大体六割見当は受給資格をつけておるだろう、こういう推定をいたしまして、年間に二千四百名、こういうことで、月割りで二百名という計算をいたしております。そして予算的には、これの給付に要する予算を全部特会に組んでおりますが、もしわれわれの見込みが食い違ってよけい出た場合においても、全体の給付千四百億円の中の一部でございますから、そこは対処できますし、いよいよ足りなければ予備費も使えますので、この点は心配要らないと思います。ただ、最初にも御答弁申し上げましたように、一年間適用をさかのぼるのじゃなくて、七月一日から適用すれば、すでに資格を持って沖繩に帰郷した者のうち、一年間給付期間がございます者については資格が出てくるので、早くこの特別措置を関係者に周知徹底させる、棄権者をなくするというふうに私どもは努力したいと思います。御指摘のように、一年さきにできておれば一年早く救済できたということはもうそのとおりでございますけれども、何せいままで適用になっておらないためにできなかったわけでございますので、一刻も早く施行をして、適用を完全にしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/71
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072・門司亮
○門司委員 あまり時間もないようですが、もう一つ二つだけ聞いておきたいと思います。
これは一つの沖繩在住の同胞に対する法的の保護の進歩だと思いますが、このほかに労働関係の幾つかの社会保険があるはずでありますが、これらの適用はいつごろからできるようにされる予定であるか、もしあるとするなら、ひとつはっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/72
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073・有馬元治
○有馬政府委員 現在社会保険が四つばかり種類がございますが、健康保険については、現在保険給付が行なわれておりません。それから船員保険につきましては、失業保険給付だけが行なわれていなかったわけでございますが、今回の特別措置によりましてこの点は全部解決を見るわけでございます。それから厚生年金につきましては、保険給付は全部の給付が行なわれております。すなわち、日本で資格を持てば、沖繩へ帰っても日本の本土の厚生年金がもらえる、こういう状態になっております。それから国民年金のうちで無拠出年金を除きましてこれは給付が行なわれることになっております。それから労災保険は、保険給付について全給付が行なわれる、こういう状態になっておりまして、結局、今回の特別措置で残された問題は、健康保険給付について若干問題がある程度に相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/73
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074・門司亮
○門司委員 私の聞いておりますのは、それらの見通しですね、いつごろから全部が適用できるようになるのか、政府の考え方があり、また具体案があったら、ひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/74
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075・有馬元治
○有馬政府委員 健康保険の問題か残るわけでございますが、これは失業保険と違いまして、ほとんど医療給付については保険給付を相互主義の考え方によって行なうという必要性はないわけでございますけれども、資格喪失後にいわゆる継続医療給付というふうな問題が一つございますのと、それから本土から琉球へ一時的に渡航した場合の医療給付、こういう若干の問題が残るわけでございます。これらについては目下厚生省のほうにおきまして検討が進められておるというふうに仄聞いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/75
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076・門司亮
○門司委員 そうすると、それは厚生省に聞かなければわからないですか。要するに私の心配しておりますのは、たとえは法の五十五条の適用が全体の受給資格を持っておる者に適用されているかどうかということについて、いままで私どもが沖繩の問題で聞いた範囲においては、さっきのお話のように、適用されていないようであります。これは保険でありますから、やはりかけっぱなしにさしておくということはあまりいい形のものではないと私は思う。保険である限りは、やはり適用は全部になされることが私は必要だと思うのです。したがって、五十五条の問題については、いろいろな問題があろうかと思うけれども、これが労働省でわからないというなら、厚生省に聞かなければならないかと思いますが、労働省、そこまで逃げなくてもいいじゃないですか。同じ一つの問題で、保険だけが、所管が向こうだから、向こうさんに聞かなければわからないということでは、労働省、困るじゃないですか。もしそうだとすれば、労働省の意見だけでもひとつはっきりさしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/76
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077・有馬元治
○有馬政府委員 健康保険の医療給付の場合には沖繩の健康保険法がございますので、本土から向こうへ移った者が琉球の健康保険の被保険者となった場合は、琉球の制度による保険給付を受けることができることに相なるわけで、先ほど申しましたごく例外的なケースについて若干問題がある、この問題については厚生省で検討を進めておるというふうに承知しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/77
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078・門司亮
○門司委員 これ以上聞いてもわからないかもしれない。しかし、私は、一つの大きな課題——というよりも、日本政府のいままでこれらの問題に手をつけなかったこと自体が一つの怠慢ですからね、そのそしりを免れないと思うのです。同じ日本の国民であって、同じように保険という制度のもとに行なわれて、義務は果たさせる、権利は満足に行使することができない、それがしかも地域の関係だという。その地域も、何も外国に入ったわけでもない。同じ領土の中で、日本人の権利である。ただ、現状が施政権だけはアメリカさんがお持ちになっておるから、どうも日本の法律の適用が非常に困難だというなら、そういうことは私はわからないわけではない。しかし、もしそうだとするならば、明らかに日本政府の怠慢であって、いままでそういうことを交渉あるいは話をしなかった結果だと思う。したがって、いまのお話のようなことがこれは厚生省でなければわからない、あるいは厚生省においてそんなことが進められておるようだということで私どもは満足するわけにはまいらぬと思うのですが、私は、せっかくこういう法律をこしらえて、そうして法の適用を平等にしていこう、いわゆる日本人としての権益を平等にしていこうという政府の考え方があるならば、それらの問題もあわせてやはりこの際解決するということが、こういう法律を出されるのに望ましい姿であると実は考えておる。これについて明確な答弁が得られないことはななはだ残念でありますが、大臣、どうですか。最後にあなたからひとつ、努力して必ずそれをやるという言明だけでもしておいていただかぬと、どうも法律を小刻みに通すような気がしてならないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/78
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079・早川崇
○早川国務大臣 よく門司委員の御意見を厚生大臣にもお伝えいたしまして、実現のできることであれば側面から努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/79
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080・門司亮
○門司委員 私、最後に聞いておきますが、先ほど答弁の中に、健康保険については沖繩は沖繩でというような問題があります。沖繩にも健康保険があることは私も存じ上げでおりますが、それは実際は横べすりしてこのままできるようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/80
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081・真田秀夫
○真田政府委員 私からお答え申し上げます。
今回、失業保険に関しましてのみこういう特例措置を立法化する理由いかんという御趣旨の御質問だと思いますので、その観点からお答えいたします。
いろいろ社会保険がございますけれども、健康保険あるいは国民健康保険というような医療保険につきましては、一定の資格要件、被保険者である期間を資格要件とするというような仕組みになっておりませんので、被保険者になれば即日疾病、負傷についての医療の給付が行なわれるというのが医療保険のしかけでございます。したがいまして、沖繩に日本の人が参りまして、そこで、雇用されれば、被用者保険である健康保険が即日給付の中身をもって適用される。それから、そこの住民になりますれば、国民健康保険の給付が行なわれるという関係に相なります。ところが、医療保険でございません厚生年金保険とかあるいは失業保険につきましては、被保険者であった期間が幾ら幾らである者に対して支給するというしかけに相なっておりますので、日本で被保険者の資格をかせぎまして受給資格がついて、それで沖繩へ行った場合にどうなるかという問題になるわけでございますが、そのうちで、厚生年金保険につきましては、日本の厚生年金保険の被保険者期間を要件を備えまして沖繩へ参りますれば、給付はついて回る。もちろん、年齢要件がございますから、年齢六十歳になれば、沖繩におりましても支給が行なわれる。ところが、失業保険につきましては、同じように一定の期間被保険者であることを要するというふうに要件がございますが、そのほかにさらに、離職者としまして失業の状態になければならないというふうに、要件が二つにまたがっているわけでございます。つまり、被保険者の期間としての資格要件と、それから給付を受ける際には失業状態にあるというふうに、要件が二つにまたがっておりますので、それで、日本で失業保険の受給資格をつけた人が沖繩へ参りましても、いきなり従来の失業保険法では支給することはできないということに相なっておったわけでございまして、その間のつなぎをしようというのが今回の特別立法でございます。したがいまして、ほかの保険にも一々これと同じようなことをすべきではないかというふうには相ならないというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/81
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082・門司亮
○門司委員 いまの御答弁、要領を得ないので、ちっともわからない。私の聞いておりますのは、たとえば失業保険にしても厚生年金にしても、いろいろな社会保険の問題について、そしていまのお話のように、たとえば健康保険の問題、これは非常に大事な問題でありまして、おのおの条件が違うんですね。たとえば、本土に来てある会社に雇われておって、そこから帰られる。しかし、その当時疾病しておればその治療はできる、いわゆる法の五十五条の適用は行なわれるはずなんですね。その場合に、政府管掌のものもありましょうし、あるいは各企業関係のものもございましょうし、健康保険というものはいろいろなケースがあると思うのです。それらの問題に対して完全に行なわれておるかどうかということになりますと、私は必ずしも——いま沖繩にも健康保険はあります。あることはありますが、しかし、沖繩の健康保険に横すべりするのではなくて、さっき申しました日本の企業が責任をもって五十五条の適用を看視しておるかどうかということがそのまま横すべりするようになっておるかどうかということなんです。これはどうなっておりますか。やはり日本の企業は、沖繩から疾病に対して請求があればこれを払わなければならないというようなことに取り扱いをしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/82
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083・臼井莊一
○臼井委員長 答弁はひとつ簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/83
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084・真田秀夫
○真田政府委員 日本の健康保険法によりますと、被保険者が国外におります場合には給付をしないという規定がございますので、いわゆる継続給付の要件に当たっておっても、沖繩は外国に準ずるという扱いで給付が受けられないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/84
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085・門司亮
○門司委員 これは外国人ではないで、日本人ですから、そうしてこういう法律が適用されるのですから、そういう社会保険は全部解決したらどうかということなんです。こういう法律をお出しになるならば、それと一緒にそういう法律も全部、日本政府として、沖繩の住民——外国人ではないでしょう。いままで外国人のような取り扱いをしておったほうが間違いであって、外国人ではないのですから、こういう法律を出されるときには、やはりそういう問題もすべて一緒にして解決してもらいたいというのが私たちの一つの考え方でありまして、これに対して政府の答弁、お考えをお聞きしておるのであって、いまの御答弁ではちっともわからぬ。答弁にはならぬと思いますが、委員長えらく急がれておるようでありますから、これ以上私から質問するのもいかがかと思いますので、一応これで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/85
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086・臼井莊一
○臼井委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/86
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087・永末英一
○永末委員 外務省の方がおられますのでちょっと承りたいのでありますが、過般のこの委員会で沖繩船籍の船舶に日の丸を掲げる件について外務省としてアメリカ側と折衝するところがあり、大体において結論に達しておると伺っておりますから、この委員会においてその結果をひとつ御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/87
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088・東郷文彦
○東郷政府委員 船舶旗の問題につきまして話ができましたのはすでにもうだいぶたっておりますので、自来たびたび督促してまいりまして、ことに前回のこの委員会でもお話が出まして、また重ねて、日は一体いつかということを申し入れました。その結果、七月一日目標に準備を進めておるということで——その後那覇のほうで、そういうことは知らぬという情報もあったようでございますけれども、われわれ外交ルートを通じて確かめたことでありますので、七月一日に実施されるものと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/88
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089・永末英一
○永末委員 この法案について質問いたしますが、この法律によって権利を持つもの、すなわち、第一条によりますと、内地において受給資格を持っておる者が沖繩地域において失業した場合、こういうことが一つの場合ですね。そうしますと、沖繩地域における個人がこの法律によって権利を持っておる、このように解釈いたしますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/89
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090・有馬元治
○有馬政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/90
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091・永末英一
○永末委員 いままでの法律の形式は、いろいろ沖繩の地域の方々に対するものがございますけれども、大体において、法律の立て方としては、本法においては除外しておいて施行規則ないしは政令においてこれを準用するような形でやっておる。援護法関係その他そういうことだと思うのです。そこで、法律によって直接に沖繩地域の個人に対して権利を取得さしたというのは今度が初めてだと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/91
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092・真田秀夫
○真田政府委員 私からお答え申し上げますが、先ほど、この法律によって沖繩で個人が権利を取得するのかという趣旨の御質問でございましたが、これは取得いたしません。これは沖繩の国内法で取得するならば、取得するというかっこうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/92
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093・永末英一
○永末委員 いまお二方の御意見違いますね。どっちがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/93
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094・有馬元治
○有馬政府委員 真田部長が答弁したとおりで、向こうの法律によって取得するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/94
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095・永末英一
○永末委員 この法律には二つ場合があるのである。すなわち、沖繩における法令によって受給資格を持っておる者が本邦において失業した場合が第二の場合ですね。そうしますと、その人はこの法律によってわが本土内で受給資格、つまり権利を得る、こういう解釈ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/95
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096・真田秀夫
○真田政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/96
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097・永末英一
○永末委員 そうしますと、第二の部類に属する人々は、もしその権利に対して侵害を受けたという場合には、わが内地の裁判所に権利回復の訴えをする、こういうふうになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/97
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098・真田秀夫
○真田政府委員 日本の失業保険法による受給資格者が沖繩に参りまして沖繩の相当法令によって支給が行なわれるわけでございますけれども、それは沖繩の施政権の実現である、かように考えますので、その給付について不服があっても、日本の裁判所に訴えを提起する限りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/98
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099・永末英一
○永末委員 私が聞いているのは逆を聞いているのであって、沖繩法によって受給資格を持つ者がわが本土において失業した場合には、本法によって失業保険金を出す。これは本法でしょう。だから、その人がもし自分の持っている権利に侵害を受けたと判断する場合には、わが本土の裁判所に権利回復の訴えができるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/99
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100・真田秀夫
○真田政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/100
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101・永末英一
○永末委員 だとするならば、権利回復の手段をそういう部類の人に認めておいて、そしてあなたが言われたように逆の場合、わが本土の失業保険法において受給資格を持っておる者については、日本の裁判所は権利回復の相手方にならぬということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/101
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102・真田秀夫
○真田政府委員 その点は実は本法のしかけの基本にわたる事柄でございますけれども、本法におきましては、先ほども申し上げましたように、沖繩において行なわれる給付は沖繩の国内法の作用である、かように仕組んでおりますので、それは沖繩の裁判所で救済をするであろう。それから、わが国としましては、そのような給付に対する費用を負担するということで給付の中身が現実には行なわれることを期待するというのが、この法律のしかけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/102
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103・永末英一
○永末委員 この法律は、本土において失業をした者については財政措置だけをしていくとあなたはおっしゃるけれども、その財政措置をやるためには、その者が本土の失業保険法において失業保険金の受給資格の権利を持つ者だという認定があって、それがたまたま住居を沖繩に移しておる、そのものをにらみつつ財政負担をやるのでしょう。したがって、そういう一群の人々、先ほどの御答弁では、二千四百名程度が四十年度もあるだろうというようなお話であったが、その数をつかんでおるから、すなわち、これは権利の主体者であるから見なくちゃならぬ、これが本法の趣旨ではないか、私はそう思います。全然それと無関係に、いままでの法律のように沖繩の人々の政府に対する財政措置とは意味が違うと思う。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/103
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104・真田秀夫
○真田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、失業保険の保険給付は、受給資格をとったということだけではまだ発生しておりません。その人が現実に離職後失業状態にあって、そこで権利が発生するわけでございますので、ただいま先生の仰せになりました例からいきましても、まだ権利を日本で認定してから沖繩に行ったということにはならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/104
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105・永末英一
○永末委員 この法律の第一条では、受給資格者というものは本邦の失業保険法できまるわけだ。それが沖繩に行って失業した場合、こうなるでしょう。そこまで日本国の法律できめておるわけだから、したがって、そういうことならば、そういう人は沖繩におってもこの法律による権利主体だということを認めておるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/105
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106・有馬元治
○有馬政府委員 実質はそのとおりでございますが、法域が違うために、この特別措置法と同じものを裏返しにしたものを沖繩でいま立法をしております。したがって、日本の失業保険法で受給資格を得た者が沖繩へ帰った場合には、そちらの沖繩の特別措置法によって失業の認定をして受給資格を現実に得る、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/106
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107・永末英一
○永末委員 私が申し上げたいのは、いま具体的な財政負担だけの援助計画に沿う法案なら、いま申しましたように、本邦における受給資格であるとか、あるいはまた、沖繩において失業した者という限定をなぜわが国の法律でやらねばならぬのか。相手方の沖繩における法律によってそういうものをきめた場合に、概括的にわが国の政府がそれに対して失業保険金の給付をやるということなら、それはわかりますよ。しかし、わざわざこの特別措置法で二つの要件を規定しておるのは、われわれすなおにこれを読みますと、いまのような要件に該当する沖繩におる人、これが権利の主体だということをこの法律で認めたとわれわれは解釈する。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/107
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108・真田秀夫
○真田政府委員 繰り返して申し上げるようでございますけれども、失業保険の受給資格と申しますのはまだ権利じゃございません。将来一定の期間内に離職をして失業した場合に失業保険金がもらえるという、抽象的と申しますか、潜在的と申しますか、そういう資格にすぎないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/108
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109・永末英一
○永末委員 そうしますと、わが内地において沖繩から来た人が失業して、失業保険金の給付を開始する、給付が開始されて一月たって沖繩に帰ってしまった、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/109
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110・真田秀夫
○真田政府委員 その場合には、沖繩の失業保険
法で残りの分をもらうということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/110
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111・永末英一
○永末委員 法律的に言いますと、その人は、特別措置法に関係なしに普通の失業保険法で受給資格を持ち、そしてその権利を主張し得る段階に立ち至っている人々ですね。それが沖繩に行った瞬間にその権利はなくなった、こう見るのですか、日本の法律に関する限り。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/111
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112・真田秀夫
○真田政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/112
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113・永末英一
○永末委員 特別措置法は、なくなったと見るのではなくて、橋をつなぐのだという意味でこういう規定がしてあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/113
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114・真田秀夫
○真田政府委員 なくなったという表現があるいは正確でなかったかもしれませんが、おっしゃいましたような例の場合には、日本で失業している期間中この特別措置法で沖繩相当額を給付するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/114
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115・臼井莊一
○臼井委員長 永末先生に申し上げますが、労働大臣は十二時半に退席したいということでございますので、その点御承知の上で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/115
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116・永末英一
○永末委員 大臣は御自由にされてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/116
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117・臼井莊一
○臼井委員長 ただ採決のあとの関係がありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/117
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118・永末英一
○永末委員 採決は委員会の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/118
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119・臼井莊一
○臼井委員長 大臣がおられぬとまずいものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/119
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120・永末英一
○永末委員 それは委員長の配慮です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/120
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121・臼井莊一
○臼井委員長 どうぞお進めを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/121
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122・永末英一
○永末委員 重要な問題であって、日本国政府は沖繩に潜在主権を持っている、こういうことになっておるわけだ。ところで、いまのような失業保険金の給付が現実に沖繩から本土に来た人に対して開始をされた。その人が沖繩に行くやいなや——たとえば一月で行ったとしましょう。そうすると潜在的には日本政府に対して権利を持っておるのでしょう。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/122
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123・真田秀夫
○真田政府委員 沖繩で資格をつけて日本に参りまして、一カ月なら一カ月、特別措置法によって給付を受けるかということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/123
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124・永末英一
○永末委員 逆だよ。おわかりにならぬようだが、私は第一グループについて質問申し上げておる。あなたは第二グループばかりお答えになりますが、第一の場合、沖繩の人が日本に来て就職する、失業をする、その人はわが国の失業保険法によって受給資格があり、そして支給が実際に開始をされ、開始をされたあとで、なおあと五カ月あるのに沖繩へ行ってしまった。その人は、先ほどのあなたの御説明では、沖繩法によって沖繩における受給が新たに開始するのであって、その財政負担だけをこの特別措置法で見る、こう言われた。私の申し上げておるのは、この法律に、二つの資格、すなわち、本邦における失業保険法の受給資格者であることと、本邦において失業してそれが沖繩に行った場合には、沖繩法においてはそういう者に対しても失業保険金を給付するということになるのでしょう。ならなければおかしいと思う。それはどういう意味かといえば、われわれの内地において権利主体となった者が、沖繩に行った場合にもそれが権利主体であるということが頭になければ、そういうことはできないでしょう。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/124
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125・真田秀夫
○真田政府委員 沖繩の人が日本に参りまして就職いたしまして、相当期間雇用関係が続きまして、日本の失業保険法による受給資格がついた、そこで離職いたしまして、若干期間日本の失業保険法によって給付を受けて、その後沖繩に戻った。沖繩に戻りますと、その人の失業は沖繩における失業でございます。離職は日本でいたしましても、日々の失業は沖繩における失業でございまして、日本の失業保険法では、沖繩における失業を理由として給付をするということはできませんので、給付は打ち切られてしまう、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/125
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126・永末英一
○永末委員 これは重大なことですね。そうしますと、一体、沖繩から内地に就職してきた人は、就職したままで沖繩へ帰ってから失職する人だけにこれは適用されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/126
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127・有馬元治
○有馬政府委員 それはいま真田部長から答弁がありましたように、日本で取り残した残日数分は、沖繩に帰った場合には、沖繩のこれに対応する特別措置法によって失業の認定を受けた場合に、日本の失業保険法による相当給付分を沖繩で受給する、こういうかっこうになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/127
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128・永末英一
○永末委員 まあ職安局長が言われましたが、私もそうだと思う。しかし、そういう発想になる根拠は——その受給資格を持っている者の権利というものは、いまの沖繩と日本との法律関係では法域が違うわけだから、一応断絶があるわけだ。しかし、沖繩の人々の権利、これは基本的人権です。その人権を守ろうという日本政府の意思がこの特別措置法をして、たとえいろいろのケースはあろうとも、日本の本法によって権利をちゃんと持ったものはそれは沖繩においても続くべしというので、この特別措置法で橋をかけたのでしょう。だからこそ、沖繩の人が内地に来て退職すれば失職ですよ。しかし、いよいよその補給金がもらえるかどうかということは、あなたの解釈では沖繩の法律によってと言うけれども、日本のこの特別措置法においてそういう権利がこの人々にあるぞよ、その権利を日本の政府は認めておるのだから、それをセットで要求していきなさい、その財政措置はいたしましょうというのがこの特別措置法の精神ではないですか。したがって、この法律の一番根拠には、沖繩のその人一人一人に対する権利を私はこの法律によって認めたと解釈いたしますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/128
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129・有馬元治
○有馬政府委員 それは、沖繩の人が日本の失業保険法による給付を受ける権利といいますか、これはあくまで沖繩の特別措置法によって認めておるわけでございます。逆に、沖繩から沖繩の失業保険法を受ける権利を持って日本本土に来た場合には、この法律によって日本政府が支給するわけですが、給付内容は日本の失業保険と沖繩の失業保険と若干違いますので、向こうのほうが若干給付内容が悪いわけでありますが、その内容の悪いままの失業保険受給資格を本土へ持ってきてその内容の給付を受ける、こういうことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/129
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130・永末英一
○永末委員 アメリカの民政府は、いつでも、いろいろなことが起こりますたびに、施政権は担保してあるということを一行必ず入れておりますけれども、私は、この法律というものは、沖繩の人の個人的な権利というものについて、アメリカの民政府の施政権に対してへこますわけでもなく、これは何ら侵害を与えていないケースであって、われわれの同胞に対する権利をいかに担保するかという意味合いの法律だと思うのです。さればこそ、この第一条に二つの要件が書いてある。沖繩における失業ということを日本国の国会できめる法律に規定する以上は、沖繩におる人に対するある状態に対してこの法律が要件としておるのでしょう。それは、日本の法律によって沖繩のある一定の資格を持っている人に、この法律が潜在してではあるけれども及ぶんだ。顕在化するときには沖繩法を媒介にしなければできない。しかし、この法理は、沖繩の一定要件を持っておる人に対してこの特別措置法が及ぶのである、こういうたてまえなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/130
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131・有馬元治
○有馬政府委員 思想はわかるのですが、法制的には法域が違いますので、沖繩に帰った場合には、沖繩の特別措置法によって失業の認定という行為がなければ、現実の失業保険の受給資格が得られない、こういうことに相なっておるわけでございます。逆の場合も全く同じでございまして、そこで相互保障という相互主義の考え方に立っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/131
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132・永末英一
○永末委員 それでは端的に質問しますが、この第一条のところで「沖繩地域において失業し、」という要件をなぜ入れられた。全然法域が別であるというのなら、われわれ日本国の法律において、沖繩の法律がきめるであろう資格要件について一つ注文をつけているじゃないですか。相互主義ではないじゃないですか。もしあなたの言われるようなら、沖繩法でどうきまるかわからぬけれども、それであがってくる沖繩の失業保険金給付の総額について財政負担をいたしますという法律だけでいいわけだ。ところが、その沖繩の権利主体に対してある注文をつけておるというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/132
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133・有馬元治
○有馬政府委員 これは失業保険法でございますので、失業という認定がなければ失業保険の給付はしない、これは沖繩法においても同じでございます。この失業という事実といいますか、失業の認定に基づいて相当給付を支給した場合にのみ、日本政府は初めて沖繩政府に必要な経費を交付する、こういう考え方でできておりますので、失業なしに沖繩に帰って就職した場合にも日本の相当給付を受けられるという仕組みにはしてないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/133
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134・永末英一
○永末委員 おっしゃるとおりだ。しかし、それは純法律的に見ますと、沖繩における人個人に対してある資格要件をこの法律が限定しているのでしょう。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/134
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135・真田秀夫
○真田政府委員 沖繩における人に対してこの法律が限定をするとか適用するという関係ではございませんで、琉球政府が先ほど来仰せられているような条件のもとに給付を行なえばその費用を交付するという、交付の条件として書いているだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/135
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136・永末英一
○永末委員 これは日本の法律ですよ。そこに沖繩において失業しという要件を書いている以上は、この法律を見る沖繩の人、この要件に該当する人は、この特別措置法において当然沖繩におけるわれわれのほうの政府がきめるであろう法律に対してある請求権を期待しますね。その根源は何か。あるいはこの法律と無関係に沖繩における政府がきめる法律だけが根拠ではなくて、これに橋をかけて、私は期待権を持つと思う。これは期待権を持たしているんじゃないですか。違いますか。持たしていないとするならば、この要件を書く必要はないわけだ。この要件を書いたというのは、沖繩における個人に対して、日本国の本土に妥当する法律についてある期待権を与えるわけだ。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/136
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137・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のように、期待権はあると思います。しかし、現実の法律上の権利は、先ほどから申しますように、沖繩の立法による特別措置法によって具体的な権利が発生する、こういうふうに私ども解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/137
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138・永末英一
○永末委員 私は、あなたのおっしゃるとおり、やはり期待権を持たしておる法律だと思う。ただ現実の法律関係は、それぞれ別の、沖繩における法律を媒介にしなければ顕在化しないというだけの話である。そこで、先ほどちょっと申し上げましたように、その権利を侵害された場合、たとえば、あなたがおっしゃったように、この本土における給付金と沖繩の給付金とは違うのだという場合に、これは沖繩において問題が起こりますね。第二のグループ、沖繩で受給資格のある人が本土に来た場合には、沖繩の法律によって支給せられる金額以上のものは期待できない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/138
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139・有馬元治
○有馬政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/139
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140・永末英一
○永末委員 いま日本と沖繩の関係がきわめておかしげな関係になっている。わが国は潜在主権、しかし個人は、いま言われたようにやはり日本国の法律によって、ある期待権を持たせる、その法律が初めてできたと私は思うのです。今度は法制局に伺いますが、こういう種類の法律は初めてでしょう。いままでは政令、施行規則でそういう似たような援護関係の受給をやったことはあると思いますが、ストレートに法律でそういうことを認めたのは私は初めてだと思いますが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/140
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141・真田秀夫
○真田政府委員 今回の特別措置法のようなしかけの法律をつくったことはまだございません。今度が初めてかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/141
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142・永末英一
○永末委員 お急ぎのようですから、結論に入りますけれども、私はこの法律はその意味合いで重要な法律だと考える。それは、アメリカが持っておる沖繩地域における施政権というものの性格を——今回のこの法律によって、沖繩における人々の権利、そういうものに対して日本政府はコミットした法律だと私は思う。なるほど、それを現実化するためには、沖繩の法律がなければ実施できません。しかし、ここに二つの要件を書き上げたというのは、明らかに、わが内地における政府、並びに国会がこれを通過せしめるとしますと、沖繩の人にあるコミットをした法律だと思うし、沖繩の人もそのような意味合いでこれを受けると思う。その意味合いでは重要な法律だと思う。
そこで労働大臣、あなたは閣議へ出られて、いままで施政権返還についていろいろな意見がございました。しかし、こういう法律が出る限りにおいては、アメリカの施政権という、抽象的、一般的な、統括的な権利の主張をアメリカはしておりますけれども、しかし、沖繩の人々の個人的な人権の尊重、そしてその生存の安定、こういうことを考えていくならば、私は、徐々にこの種の法律を日本政府としてはつくるべきだと思うし、そういう取りつけをたとえば日米協議会等においてやる、こういう御意思はあなたにはありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/142
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143・早川崇
○早川国務大臣 だんだんの御意見の交換を聞いておりますと、やはり潜在主権は日本にある、しかし、現実に法域が違うというところから、こういう法律の形ができたわけでございます。これが沖繩における施政権の一歩一歩積み重ねの実現であるとは、法律解釈からは出てこないと思いますけれども、そういう政治論を離れまして、労働省といたしましては、沖繩同胞に対する同胞感から出た法律であるということだけははっきりいえるわけでありまして、ただいま永末委員から、たいへん前向きのいい法案だと言われたことを非常に感謝いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/143
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144・永末英一
○永末委員 外務省、この法律の法理的意義について私はいま労働省なり法制局と議論をかわしたのですが、あなたはいよいよアメリカ側といろいろな折衝があると思いますが、この法律の意義をどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/144
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145・東郷文彦
○東郷政府委員 いまのお話のように、この問題は、日本の法域の中の法律と、沖繩の法域の中の法律と二本立てでございます。そこで、それを結びつけるものは、両者間の話し合い、了解、そういう基礎の上にその両方の法律がそれぞれ働くものだと私は了解しております。このほか、戦後処理等の関係で日本の法律で直接沖繩の住民を受益者としたものもあったと記憶いたしますが、ともかくそういうことで、同じことをやるにいたしましても、法域が違うために二本立てにならなければならぬという点は非常に残念でございますが、いまのような御趣旨で住民の福祉の増進、日琉一体化、これに寄与することは、いろいろ問題をさがしましてできるだけ進めるべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/145
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146・永末英一
○永末委員 私はこの際希望しておきたいのですが、この施政権の問題を上から解決することはなかなかむずかしい問題もございましょう。しかし、われわれとして一日もゆるがせにできないのは、沖繩の県民の人々の権利、これを一体日本政府がどう見るか、これをてこにして一つ一つ日本政府としてはアメリカ政府にやはりしっかりと交渉して、それはひとつ譲らないようにする、そういう努力は、私は施政権返還をもたらす一番早い道だと思っております。せっかくの精進を強く期待をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/146
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147・臼井莊一
○臼井委員長 他に御質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/147
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148・臼井莊一
○臼井委員長 これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、これを許します。小渕恵三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/148
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149・小渕恵三
○小渕委員 ただいま議題となっております沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を申し上げます。
近年、沖繩から本土に就職のために移転する人が増加しておりますが、反面、本土で離職されて沖繩に帰郷される方もふえております。しかし、
これらの沖繩帰郷者は、本土の失業保険法による保険金の受給資格を持っておりましても、沖繩ではその資格による保険給付を受けることができません。したがって、沖繩地区で失業している場合には、失業期間中の生活が保障されなかったのであります。
この問題の解決につきましては、これまで長いこと関係各方面からその実現力について強い要望が寄せられておりましたが、政府が今回この法律案を提出して問題の解決に踏み切ったことは、まことに時宜に適した措置であると考える次第であります。
また、本院において特別委員会が設置され、このような問題の解決促進の役割りを今後ともに進めるべきであると痛感いたしておるものであります。
なお、本案がすみやかに施行されるよう要望するとともに、今後ともこのような沖繩と本土の間に存在する問題の解決に一そうの努力を期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/149
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150・臼井莊一
○臼井委員長 穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/150
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151・穗積七郎
○穗積委員 社会党を代表いたしまして、一言賛成の趣旨を明らかにいたしておきます。
いまもお話がありましたように、沖繩県民の日本本土への就職者の数あるいは希望者の数を調べてみますと、逐年増加いたしておるような次第であります。そこで、日本本土において失業いたしましたその沖繩県民、あるいは沖繩法によりまして受給資格を得た者が日本へ参りました場合、この取り扱いの地ならし、そして両者一体の取り扱いをするということは、この法案の趣旨でありまして、相互保障のたてまえについてはわれわれ賛成をいたします。そして、このことがいささかおそきに失するようにわれわれは思うのでありまして、政府においては、他の沖繩住民の福祉、生活の向上のために逐次拡大をして努力されんことを期待しつつ、本案に賛成をいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/151
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152・臼井莊一
○臼井委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/152
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153・門司亮
○門司委員 民社党を代表いたしまして、一言だけ本案に対するわが党の態度を明確にしておきたいと思います。
本案に対しましては特別反対の理由もないかと思いますが、先ほどからいろいろお話のございますように、本案提出の時期については、何といっても、日本政府の今日までこれをこういう取り扱いをしなかったということについては、私は怠慢のそしりは免れないと考える。私は、少なくともこの種の法律は、同じ国民である沖繩の住民が、しかも本土で労働に従事してその義務を果たして、沖繩に在住したからということだけでその権利がすべてなくなるというような今日までの取り扱いについてはいろいろ問題がある。おそまきながらでもこういう法案の出たことについては、別に異論を申し上げるわけじゃございません。これには賛成をいたすのでございます。
ただ私は、この際政府に一言、ほんとうに厳重に申し上げておきたいと思いますことは、御承知のように、沖繩には約百万の日本人がおって、そしてここに日本の憲法の適用が行なわれておらないわけですけれども、日本人として少なくとも法のもとに平等でなければならないという日本国憲法の所在する限りにおいて、本土と沖繩と居住の場所が違うからといって本土と同じ義務を果たしたものについて適用ができない、まだ幾つかの問題が残されているわけであります。これらの問題は、やはり日本国憲法のたてまえの上から申し上げましても、すみやかにこれの実施に踏み切っていただきたい。そうしてほんとうに沖繩の百万の日本国民に、やはり法のもとには平等であるという日本国憲法の趣旨を私は生かしていきたい。このことが、この種の法案を作成いたします場合の、私どもにとっての非常に大事な問題だと考えておりまして、おそまきではあっても、まずそれの一つの足がかりと申しますか、拠点のようなものをここにつくり得たということについては、私どもその意味においてこの法案に賛成の意を表したいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/153
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154・臼井莊一
○臼井委員長 渡部一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/154
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155・渡部一郎
○渡部委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案に対し賛成するものであります。
今日まで、日本の失業保険法あるいは船員保険法の適用を受ける者が沖繩におきまして失業している場合、また、沖繩失業保険法の適用を受ける者が日本国内において失業した場合、保険給付が受けられませんでした。日本が潜在主権を持つところの沖繩に対し、むしろ一歩進んで言うならば、日本の一部である沖繩におきましてこのような差別が行なわれておったということは、まことに納得のいきかねることでございました。幸いにして、このたびこの法案によりましてこの問題が解決の一歩前進へ向かいますことは、まことに喜びにたえないところであります。
しかし、現在本土と沖繩との間には多くの問題がございます。いろいろ質疑の間にも明らかにせられましたとおり、健康保険をはじめとして、社会福祉の問題一つを取り上げてみましても、日本本土と沖繩における日本人との双方の間には、依然として多くの差別と多くの権利の不平等が存在するのでございます。私は、この際、政府は、この法案にとどまることなく、さらに一歩前進せられて、その全般的な解決に努力をしていただきたいと痛感するものでございます。
最後につけ加えて申し上げますが、法の運用は人によると申すのでありまして、この法案の運用は、今後行政府の沖繩の人々に対する、また、この適用を受ける人々に対する十分な慈愛あふれる態度というものが必要であると考えるのであります。それに対して要望をいたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/155
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156・臼井莊一
○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案を採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/156
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157・臼井莊一
○臼井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/157
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158・臼井莊一
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決します。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/158
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159・臼井莊一
○臼井委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。
これにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503909X00719670516/159
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