1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年四月十九日(水曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 森下 國雄君
理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君
理事 砂原 格君 理事 丹羽喬四郎君
理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君
理事 岡本 隆一君
池田 清志君 大野 明君
吉川 久衛君 谷垣 專一君
森山 欽司君 早稻田柳右エ門君
渡辺 栄一君 阿部 昭吾君
井上 普方君 勝澤 芳雄君
工藤 良平君 福岡 義登君
渡辺 惣蔵君 内海 清君
小川新一郎君 北側 義一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 西村 英一君
出席政府委員
首都圏整備委員
会事務局長 鮎川 幸雄君
建設政務次官 澁谷 直藏君
建設大臣官房長 鶴海良一郎君
建設省計画局長 志村 清一君
建設省都市局長 竹内 藤男君
建設省河川局長 古賀雷四郎君
建設省道路局長 蓑輪健二郎君
建設省住宅局長 三橋 信一君
委員外の出席者
専 門 員 熊本 政晴君
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三月三十日
能登半島横断北陸運河建設に関する請願(小川
半次君紹介)(第二二三号)
特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験の特例に
関する請願(荒木萬壽夫君紹介)(第二二四号)
鹿児島、水俣間地方道の国道編入に関する請願
(池田清志君紹介)(第二四二号)
駐車場整備事業促進に関する請願(中村梅吉君
紹介)(第二四三号)
都市計画街路補助第一三三号線国電阿佐ケ谷駅
より補助第七四号線間等の拡幅に関する請願
(岡崎英城君紹介)(第三〇三号)
公営住宅の収入超過限度額引上げ等に関する請
願(野田卯一君紹介)(第三三五号)
都市計画道路建設に伴う用地買収及び補償に関
する請願(四宮久吉君紹介)(第三六一号)
建設機械等購入代金支払保険の立法化促進に
関する請願(金丸信君紹介)(第三九八号)
建設機械貸与公社の公共用務就業に関する請願
(金丸信君紹介)(第三九九号)
建設機械取得の助成等に関する請願(金丸信君
紹介)(第四〇〇号)
建設機械貸与制度の振興強化に関する請願(金
丸信君紹介)(第四〇一号)
建設機械貸与業法制定に関する請願(金丸信君
紹介)(第四〇二号)
四月七日
特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験の特例に
関する請願(野田武夫君紹介)(第四三六号)
同(大久保武雄君紹介)(第五四九号)
京葉国道改築工事に伴う用地買収に関する請願
(鯨岡兵輔君紹介)(第四九七号)
同(島村一郎君紹介)(第四九八号)
同月十四日
特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験の特例に
関する請願(多賀谷真稔君紹介)(第七九三号)
同(松野頼三君紹介)(第八二八号)
同(天野光晴君紹介)(第八二九号)
同(松前重義君紹介)(第八六二号)
藤沢市日本住宅公団辻堂団地に生鮮食品販売店
新設に関する請願(平林剛君外二名紹介)(第八
六三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第三七号)
住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三八号)
建設行政の基本施策に関する件
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001・森下國雄
○森下委員長 これより会議を開きます。
道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案、住宅融資保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。西村建設大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/1
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002・西村英一
○西村国務大臣 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府におきましては、現行の道路整備緊急措置法に基づきまして昭和三十九年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を策定し、これにより道路整備事業を推進し、今日まで相当の成果をあげてまいりましたことは御承知のとおりであります。
しかしながら、交通需要は現行計画策定当時の予想をはるかに上回って増大してきており、その増大する需要に対処し、あわせて国土の総合的な開発と効率的な利用をはかるためには、道路投資の画期的拡大をはかり、道路整備事業をさらに推進することが必要となってまいりました。
このような観点から政府といたしましては、現行の道路整備五ヵ年計画を改定して、昭和四十二年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を樹立することとするため、ここに道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の要旨を申し上げます。
第一に、現在実施中の道路整備五ヵ年計画を改定して、新たに昭和四十二年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を策定することといたしました。
第二に、積雪寒冷特別地域の道路交通確保に関する計画につきまして、道路整備五ヵ年計画の改定に伴い、昭和四十二年度以降の毎五ヵ年を各一期とする積雪寒冷特別地域道路交通確保五ヵ年計画を策定することといたしました。
第三に、奥地等産業開発道路整備臨時措置法につきまして、その有効期限を昭和四十七年三月三十一日まで延長することといたしました。
その他これに関連いたしまして道路整備特別会計法の関係規定の整備を行なっております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
次に、ただいま議題となりました住宅融資保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
住宅融資保険制度は、住宅の建設及びこれに必要な土地の取得造成等に必要な資金の融通が民間の金融機間から円滑に行なわれるようその貸し付けについて住宅金融公庫が保険することを目的とするものでありまして、この制度の活用により民間における住宅建設の促進をはかってまいったのであります。
住宅建設五ヵ年計画で予定しております民間自力による住宅の建設をはかりますためには、この制度を一そう強化拡充する必要がありますので、この法律案においては、住宅融資保険制度を利用できる金融機関の範囲を拡張し、資金量の増大と利用層の拡大をはかりますとともに、保険事故が発生した場合の保険金のてん補率等の引き上げ及び保険金の支払いを請求できない期間の短縮とについて所要の改正を行ない、関係金融機関がこの制度をより一そう利用できるようにし、もって住宅の建設の促進をはかろうとするものであります。
次に、その要旨を申し上げますと、第一は、住宅融資保険制度を利用できる金融機関が現在、銀行、保険会社、無尽会社、信用金庫、労働金庫及び信用協同組合に限られておりますが、住宅融資の実績を勘案し、新たに農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫連合会並びに信用事業を行なう農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会を加えることとするものであります。
第二は、保険料算定の基礎となる保険金額の保険価額に対する割合及び保険事故が発生した場合のてん補率をそれぞれ現行百分の八十から百分の九十に引き上げることとするものであります。
第三は、保険事故発生後三ヵ月間は金融機関が保険金の支払いを請求することができないこととなっておりましたものを一ヵ月短縮し、二ヵ月を経過すればその請求をすることができることとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/2
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003・森下國雄
○森下委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
質疑は後日に譲ります。
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004・森下國雄
○森下委員長 建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。井上普方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/4
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005・井上普方
○井上(普)委員 大臣を初めといたしまして、しばらく質問をいたしたいと存じておるものであります。
まず本土・四国連絡橋につきまして、現在いかなる進捗状況にあるかをお伺いいたしたいのでございます。と申しますのは、昭和三十八年以来、ルート決定は、三十八年の八月であるとか、あるいは十二月であるとか、また、昭和四十年の十二月に決定すると申し、かつまた、昨年度におきましては、八月までに決定するといい、また、昨年の十二月までに決定する、あるいはまた、ことしはまた延びておるようでございます。いつもルートを決定するときには何か政治的な理由がありまして延ばされておるようございますが、この点いかがなものでございましょうか、現在の進捗状況をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/5
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006・西村英一
○西村国務大臣 井上さんもよく知っておられますように、政治的な理由というものはあまりないんですが、事柄が非常に重要な問題でございますので、建設省といたしましても、やはりいままでルートにつきまして、相当いろいろ調査をしておったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、昨年の四十一年も相当な調査費をかけてやっておりましたが、まだことしもやはり相当に補完的な調査をしなければならぬと思っております。つまり、やはり技術的な問題につきましても、いまは土木学会でまだこれを委託をいたしまして、その最終的な決定を見ておられないわけでございます。これはまた、技術的な問題がわかりましても、それのみから全部をきめるというわけにはいきませんで、やはり経済的な問題もありますし、また社会的に非常に大きい影響を及ぼす問題でございまするから、とにかく慎重に検討を続けなければならぬ。いままでも相当に大きい大事業というものはやはり相当に長期間が要るわけでございまして、慎重にやっておりますので、いまここでいつまでにこうして、いつまでにこうするというスケジュールは、いまのところ確たるスケジュールを持っておりませんが、御希望のようになるべく早くひとつこれを決定したいという気持ちだけは十分持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/6
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007・井上普方
○井上(普)委員 大臣から御説明がございましたけれども、昭和三十七年の参議院選挙当時に池田前総理大臣は鳴門に来られまして、明石・鳴門ルートを優先にやるのだということをはっきり明言せられておるのでございます。また三十八年の衆議院選挙の直前におきましても、河野一郎さんは建設大臣でございましたが、この方も徳島の公会堂で、私から直接聞いたのでございますが、胸をたたいて、自民党内閣であれば必ず明石・鳴門ルートを優先する、こういうふうな発言をなされておるわけでございます。大臣は技術屋出身とか承りますけれども、むろん政治的なものが非常に優先しておるこの問題でございます。しかも佐藤総理大臣は四十年の六月に、明石・鳴門というのは歴史があるし、これをまず最優先的に考えるべきである、こういう発言をされておるのでございます。これまた参議院選挙の途中でございました。こういうように常に言われておりまして、私ども四国に住む者といたしましては、実際迷わざるを得ない。一体、政治的に配慮しないとおっしゃいますけれども、現在まで政治的に配慮してこられたのではないか。あるいはまた、その他の人々、住民に対して、こういうような政治的と考えさせられるような状況をつくってきたのではないか、このように思いますので、自民党の大臣といたしまして、先般の委員会におきまして小川委員の質問に対して、大臣は昔からの大臣の所管事項の重要な問題についてはずっと連絡を続けてそれを継承していくのだ、こういうお話でございましたので、その点についても河野一郎大臣がこう言ったし、また瀬戸山さんもこう言っておりますし、そうしてまた佐藤さんもそうおっしゃっておられます。これらの問題について大臣はいかにお考えになるか、ひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/7
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008・西村英一
○西村国務大臣 私が歴代大臣のあれを継承していくということは、大体の方針としてものごとをやる考え方としては継承していくと言ったので、事柄それ自身につきまして、個々のことについてどの大臣がどう言ったから私がそれをすぐ守らなければならぬというようなことは、私も言ったつもりはないのでございますが、いずれにいたしましても、政治的と申しましてもこれは御承知のように技術的にも非常にむずかしい問題がありますし、またどのルートを通るかということで経済的な問題も非常にあるわけです。またそれの社会的な影響も非常に大きいというようなことで、とにかく前の総理がどう言ったからというようなことは、それは言ったか言わないか私は存じませんけれども、最善な方法でやはりきめなければならぬ、私としてはそう考えておるわけであります。そのためにはせっかくいま調査研究をされておりまする結果も待たなければなりませんし、またさらにその結果が出ますれば、その上にさらに調査をする段階のこともあろうかと思われるのです。これは非常に大きい問題でございます。さように私は考えておる次第でございまして、独自の方法と言ってはいけませんが、やはり私は私としての立場でひとつ考えたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/8
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009・井上普方
○井上(普)委員 大臣は佐藤総理の腹心とかいうことを私承っておるのでございますが、佐藤さんも四十年の六月には言われておるのでございます。それなのに大臣が、総理がどう言ったか知らぬと一いうようなお話では、ちょっと私は話がおかしいと思う。また各建設大臣がそういうように公表し、そうして新聞発表もなさっておるし、私自身も聞いておることです。それにつきまして、私は白紙でございますというような態度では、私はおかしいと思う。これは佐藤さんと一応御連絡いただきまして、ひとつ御答弁いただきたいと思うのであります。後ほどでもよろしゅうございますが、この点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/9
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010・西村英一
○西村国務大臣 実は正直なところ総理と話したことはないのです。話すというからには、私としてはこうこうこういう理由でもっていいならいいということをきめてやらなければならぬ。ただ単に私がここがよさそうだということで茶飲み話にも話したことはないのです。ほんとうの調査研究をして私が自信を持たなければ話せない。もちろんこれは決定する段階になりますれば私だけでは決定はできません。それはもちろん総理の了承を得なければならぬというようなことは当然でございますけれども、いままでのところ現に話したことはないのです。こちらに話す確信がまだついておらないのです。おらないのを、これはこうですよ、ああですよなんて先入観を総理にもあまり与えたくないから、総理は総理の独自の考え方で、どういう言い方をしたのか私は知りませんけれども、それは私自身としては自分でやはり自信を持たなければならぬ、こういうようにいま考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/10
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011・井上普方
○井上(普)委員 大臣は、いままでのあれでは技術的に見まして自信が持てない状況である。こういうときに大臣あるいはまた総理がこれらに対して発言をし、明確なる発言を住民に対してするということにつきましては、私は大きい問題があると思う。あるいは選挙のたびごとにこういうことをおっしゃられることは利益誘導にもなりかねぬおそれがある。大臣がいまおっしゃられるのがほんとうの現状でございますれば——これは佐藤総理及びなくなられましたけれども、大臣からそういう話があるわけです。なくなった方はやむを得ぬと思いますけれども、現在の総理がそういうような話をなされて、しかもあなた御自身、佐藤内閣の閣僚でございますから、佐々木内閣の建設大臣でもなければ何でもございません。ここいらあたりは茶飲み話というような話ではなしに、真に大臣が言ったかどうか。総理が言っておるか、そういうところの話を、これだけ重要な問題でございますので、ひとつかっちりとやっていただき、後ほどまた御答弁いただきたい、このように思う次第であります。
次にお伺いするのでございますが、建設省は今度市町村道の補助に八十八億を予定しておるようでありますが、どういう形で出されるのかお伺いしたいのでございます。これは補助金の形で出されるのか、どういう形で出されるのか。大臣でなくてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/11
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012・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 ただいまのお話は、道路整備として四十二年度で行ないます市町村に関する事業のうち、これは街路事業は別でございますが、道路事業としてやりますもののうち、市町村道に対する補助金の分が事業費として百二十五億内外だと思います。これをどういう形で出すかは、県からいろいろ申請をとりまして、その中で一つ一つを選びまして、補助という形で、改築であれば大体三分の二を国が補助し、三分の一を地元が出し、また特殊改良であれば二分の一を国が出し、二分の一を地元が出すということになっております。
なお、その市町村道の補助対象の内容でございますが、これは山村振興法に基づく北海道の開発道路、そういうものが大部分でございまして、そのほか、現在の交通の状況からいいまして県道の代替になるようなものとか、また団地の関連の道路とか、そういうような特殊の立法に基づくようなものを主体として補助の対象をきめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/12
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013・井上普方
○井上(普)委員 私、市町村道の補助金が今年初めて予算化されておるようでございますが、非常に不可解に存ずるのでございます。と申しますのは、これ以上に市町村道に対する補助金を出すということになりますと、一々県から補助金の陳情に来ざるを得ないというような結果に相なります。これだけの財源があるならば、何ゆえに道路財源として府県に付託するなり、あるいはまた市町村に対しまして、道路財源としていきなりそのままストレートに渡さないのか。建設省があまりにもこういうような市町村道の補助金を持つということは、自治権に対する大きな圧迫になりはしないか、私はこのように考えるのでございますが、道路局長のお考え方をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/13
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014・西村英一
○西村国務大臣 地方道のことですが、いま来年初めてということですが、いままでやっておるのです。ずっとこの特定の法律に基づいたものは去年も、四十一年もあったわけです。つまり特別な山村振興とか奥地開発とか、それからまた緊急を要する場合に補助金として補助方式をとってやっておるわけで、新しいわけではありません。そこで、問題は何かというと、いまおっしゃいましたように、補助方式でやらずに特別の財源を持たしたらどうだということが、やはり議論として起こるわけなんですが、御承知のように、道路は、まだ一級国道も全部完成したわけではありませんし、いわんや地方道のうちでも府県道は非常におくれておるのです。したがいまして、それのほうの完成がある程度目鼻がつけば、これは市町村道にぜひかかりたいと思っておるわけです。そういう時期になりますればまた特別な財源を考えたかもしれませんが、いま少ない特定財源を市町村まで割愛するということは、一方におきまする道路の非常な財源難になるわけであります。私のほうで、建設省といたしましては、これは地方道を早く急がなければならぬという考えはいたしておりまするけれども、いま市町村道で八十五、六万キロメートルの道路があるといわれておるのです。しかし、これもしっかりした調査ができておらないように私は感じられるわけです。したがいまして、この市町村道といっても、井上さんも知っているように、道路はピンからキリまでありますね。したがいまして、そういう道路を一応調整して、市町村道でも非常に重要な、府県道に準ずる道路もあるし、またほんとうの小道もありますし、いろいろありますから、調査を急いで、そうして重要なものから着手していかなければならぬと考えておりますので、いま直ちにこれに特定の財源をやるといいましても、非常にキロメートルが多いから、ほんとうにばらばらの予算になりまして、効果をあげ得るかどうかということは非常に疑問であろうと思うわけであります。市町村道の補助方式というものは、来年からではない、いままでやっておるのでありまして、それを四十二年度は少し拡大していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/14
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015・井上普方
○井上(普)委員 ただいま大臣からのお話で、ある程度は納得するのでございますけれども、しかし一般市町村道に対しまして、このたび補助金を出すわけでございます。こういうようなことになりますと、それほど重要な道路でありますれば当然府県道に昇格させて、そうしてそれに補助金を与えるというような方式がとれないものかどうか。市町村道にまで与えることにつきましては、私は問題があると思うのです。少なくともそれほど重要な道路でございますれば府県道に昇格させて、そうしてそれに対して補助金を与えて道路の整備をやっていく、このように思うのでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/15
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016・西村英一
○西村国務大臣 それは一つの考え方でございまして、私もその方式をとるべきじゃないか、補助方式は必ずしもいいというわけにいきませんから、現在の府県道でも重要なものは、国道に匹敵するようなものもあるから、現在の府県道の一部をやはり国道に上げる、また市町村道で府県道に劣らないような重要なものもありますし、ことに府県が合併いたしましてから重要な路線が相当に市町村道にもありますから、それは府県道に昇格いたしまして、現在の府県道に対する補助方式でやるという方法は十分考えられまするから、いずれ関係省と話し合いまして、そういう方法をとることがあろうかと私は思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/16
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017・井上普方
○井上(普)委員 私は、道路の整備を促進するためには自治体が主体になってやるのがほんとうだと思います。いまの大臣のお話によれば、府県道に昇格さすという考え方もある。そのような方向に進むというので、一応了解いたしますけれども、ともかく町村長あるいはまた町村の議会議員まで建設省に来て、金魚のうんこのようにぞろぞろつながって陳情しなければならない現状を一刻も早くやめさせて、陳情政治を一刻も早く解消させたいために私は申し上げる次第でございます。ひとつ財源を自治体に与えて、そうして自治体自体実力を涵養さすように御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。
次の問題といたしまして、今度一級国道、府県道の管理を強化するために道路占用をすべて建設省が握る、こういうお話でございますが、この内容は一体いかがなものでございますか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/17
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018・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 実はいままで国が管理いたします道路として、大ざっぱに言いますと、約一万キロくらい四十二年度に考えておるのでございます。これがいわゆる指定区間という制度でございます。この中で四十一年までは維持修繕及び災害復旧工事を国が直接引き続きやってまいったわけでございます。そのほか道路の占用に伴う占用料の徴収、一応こういうものは都道府県に委任いたしまして、都道府県が占用許可を与え、占用料を微収しておったのでございます。これが都道府県のほうに占用の願いを出していきますと、やはり直轄の指定区間でございますと、維持修繕等の関係がございまして、都道府県からさらに地方建設局のほうに協議がございます。それによって差しつかえないということになれば、都道府県が占用認可をしたというような状況でございまして、これは占用を受ける利用者のほうからいいますと、都道府県に行ったり、地方建設局に行ったりすることで非常に煩瑣になっております。また都道府県自身も、いわゆる指定区間以外の道路の占用はやっておりまして、その事務も非常にふえてきております。都道府県も、国道の指定区間については国が直轄してやってくれ、そのほうが地方自治体も非常に手数が省けるというような要望がございまして、われわれといたしましては、四十二年から占用の事務まで全部地方建設局のほうでやることにしたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/18
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019・井上普方
○井上(普)委員 これは全国では特殊な例かもしれませんけれども、私、徳島の建設省の出張所の例を一つ二つ申し上げまして、ひとつ御参考に供したいと思うのでございます。
いま現在徳島出張所で道路をやっておりますけれども、特に河川でございますが、河川占用料といたしまして、一反歩当たり年間五百円取っておるわけでございます。ところが、これの書きかえに際しまして、実は一筆当たり七通の書類を出させるわけでございます。あるいは五万分の一の地図であるとか、あるいは二百分の一の地図であるとか、あるいはまた横断面であるとか、あるいは水平面であるとか、そういうようなものを書かしますと、いま農家の人々ではそういう手続ができません。したがいまして、どうしても河川の占用許可につきまして代書人に頼まざるを得ない。しかも、これは極端な例ではございましょうけれども、一字間違えるとすぐ突き返される、こういうような事態が実は徳島では起こっておるのです。それでその代書料が実は千五百円かかるのです。一反歩当たりの占用料が五百円であるのに対し、一筆——一筆といいますと三畝から四畝くらいの大きさです。それに対して千五百円の代書料を持ってまいらなければ占用許可がとれないというのが徳島における河川行政の占用許可の実態で、住民は非常に迷惑いたしておるのでございます。こういうようなことが道路占用許可におきましても行なわれるとするならば、私はこれは住民にとりましては非常に大きい迷惑だろう、このように考えますので、ひとついかなる方針でやられるのか。と同時に河川局長さんにもどういう方針でいままでやられておるのか、お伺いいたしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/19
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020・古賀雷四郎
○古賀政府委員 お答えいたします。
河川の占用につきましては、占用させるかどうかというような問題がまず治水、利水上の観点から検討されなければならない。したがいまして、ただいま占用の許可につきましては建設省で一級河川についてはやっておりますけれども、占用料の徴収その他につきましては、河川法の法令の制定時にその収入が府県に帰属する。したがいまして、その占用料金等につきましては、ただいま府県が従来からやっておった占用料につきましてやっておるわけでございまして、占用料につきましてはいろいろ検討する問題があろうかと思います。
それから手続については、代書料として千五百円要るとかいろいろな問題につきましては、事務が十分簡素化できて、その占用許可の目的が十分達せられるようなことになれば、簡素化するということを検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/20
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021・井上普方
○井上(普)委員 いまおっしゃいますけれども、この一級河川の占用は、実は知事が持っておりましたときはしごく簡単にいままでできてきておったのです。ところが一級河川になりましてからむずかしくなったわけです。占用料の問題を私は言っておるのではない。占用許可の手続が非常にむずかしくて七通から十通の書類をつくり上げなければならない。それについて一字間違えば突き返される、もう一度書き直してこいというようなことが現在のあなたのほうの出先、建設省の出先においては行なわれておるのです。たとえば竹やぶが洪水防止に役立っておりますけれども、これを年間ある程度切らなければなりません。それを切る際に直径四センチといいますと、直径四センチで一々はかってやらなければそれを取り消すというようなどうかつまで実は建設省の出先において行なわれておるわけであります。こういうような手続について非常に非民主的でございます。
もう一つ例を申し上げますと、いま役所に入るのに一々一般人が入っていく場合に必ず入ってくる時間、目的、会う人、これを書かします。そしてまた出張所から出てくる場合に必ずその時間まで書かすのでございます。徳島県の県民はこう言っております。国会の面会所よりもきびしい、こう言っておるのです。国会の議員会館に入るときよりもさらにひどいと言ましたから、私は建設省へ参りましたらどんなおそろしいところかと思いまして、本省に参りまして皆さんが非常に温和なので私も安心したのでございますが、とにかく徳島においてはそういうことすら行なわれておるのでございます。これは非常に悪い例かもしれません。一例かもしれませんけれども、そういう非民主的な行政が実は建設省の出先においてやられておる。これ自体から考えても、道路占用につきましてもまだまだきびしい規制が行なわれ、住民といたしましては非常に迷惑するのじゃないか、こういう憂いがございますので、お伺いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/21
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022・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 道路の占用の許可につきましては、いま御質問ありましたように、これは国民へのサービスだと思います。そういう意味で非常にかた苦しい手続を踏むということはやっぱり望ましくないと思います。われわれいま占用について考えておりますのは、大体占用の許可の申請書に簡単な位置図を書く程度で占用を許可しようということを考えております。いまおっしゃいましたことは十分心に入れまして住民に迷惑がかからないようにやっていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/22
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023・西村英一
○西村国務大臣 建設省の下部組織でたいへん非民主的なところがあるという話ですが、私はそれはいけないと思います。しかしここであなたに聞くのもなにだと思いますから、あとからでもひとつその場所を、どこの事務所であるかひとつ言ってください。ここであなた発表されるとまた差しつかえがあるでしょうから、あとでそっと言っていただければ私も注意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/23
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024・井上普方
○井上(普)委員 続いて私は河川の問題につきまして少しお伺いいたしたいのであります。
このたび四、五川の河川を水資源公団に移管するようでございますが、これはどういうような関係でございますか。特に吉野川の早明浦ダムを水資源公団ですかに移したのはどういうような理由でございますか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/24
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025・古賀雷四郎
○古賀政府委員 吉野川は四国の相当の部分を占めておりまして、四国が将来の発展をはかるためにはどうしても水資源の開発と国土保全をやらなくてはならぬということで、吉野川の開発という問題は四国の従来からの大問題でございます。ところが各県の利害がまちまちでございまして、特に財政上の負担の問題でなかなか問題がまとまらなかったわけでございます。今回ようやくまとまりまして、その重要な基幹事業である早明浦ダムをやれることになりました。ところがこれは従来建設省としましては多目的ダム法に基づく事業としてやるわけでございますが、その際に各年度ごとにアロケーションに案分した事業費を各県から納入していただかなくちゃできないわけでございます。ところが、実際各県の財政事情から考えまして、毎年度着実にそういうものをいただくということはかなりむずかしい。したがいまして、先行投資ができるということのために、水資源公団でそういう制度がありますので、たとえば水資源公団の公募債とか、いろいろなものがありますし、そういうものが先行投資資金となってダムが計画どおりできる。そうしてあとでそういう資金の返還をやってもらえばいいということになりますので、そういう制度の設けられておる水資源公団でやってもらうということにいたしたわけでございます。これは従来から各県と打ち合わせまして、四十二年の四月一日に水資源公団に移すということで、各県と十分協議した上できめた問題でございまして、水資源の開発をスムーズに進めるためにはどうしてもそういう方法がよろしい、そういうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/25
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026・井上普方
○井上(普)委員 私はこの問題につきまして問題が一つあろうと思うのでございます。と申しますのは、この吉野川は昭和二十一年に岩津におきまして計画洪水量が一万八千トン流れたということで、八十年に一回の洪水量であるということで改めたようでございますが、しかし、下流におきまして実は塩害が非常に起こっておるわけであります。この塩害をどういうようにして直すかというようなことも全然計画には考えられていない。ところが水利用の方法につきましては、昭和二十八年から三十八年、十年間のうちの一番渇水時のときは、これを抜きにいたしまして、そしてひどい渇水の二年目を基礎にいたしておるようでございます。そういたしますと、統計学上十年に一回は計画が計画どおりいかないということになるのでございますと、どうなるのでございますか。どういうような方式でやられようとするのか、この点をお伺いいたしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/26
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027・古賀雷四郎
○古賀政府委員 お答えいたします。
通常先生がおっしゃったような基準をとりまして利水計画を行なっておりますが、最近、徳島県の吉野川下流流域で非常に塩害があるというお話をお聞きしております。これは一つは河床が下がった、これは何で下がったか、あるいは砂利採取で下がったとか、そういったような問題もあろうかと思いますが、これらの塩害を除くためには、どうしても水をよけい流すか、あるいは塩害防止の施設をするかという二つの問題があります。早明浦ダムは、水を十分つくれるダムでございます。下流にできるだけ塩害のないようないわゆる塩害防除に主眼を置いて水をできるだけ流していくという問題もありますし、さらにただいま私のほうで、それに伴うて調査をいたしておりますのは、たとえば第十せきの問題であるとか、あるいは旧吉野川の河口ぜきによる塩害防止の問題とあわせまして、高潮に耐え得るせきをつくったらどうかというそれらの問題も調査いたしております。したがいまして、そういった問題が、調査の結果、だんだん出てきますれば、おそらく吉野川の総合開発の一環としまして、そういう問題を取り上げていかざるを得ないのではないかというふうにただいま考えております。調査を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/27
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028・井上普方
○井上(普)委員 いま河川局長から、河口ぜきというような、そういうふうなことをお考えになっておるということを承りまして、私も安心いたしておりますが、年々歳々塩害はひどくなり、かつまた河川利用時に第十のせきは漏水がはなはだしいというような現状でございますので、この点もう少し——このごろは科学も非常に進歩しておるようでございますから、十分なる御調査を願い、そして塩害が少なくなるようにお願いしたい、このように思う次第でございます。
続きまして、住宅関係につきましてお伺いいたしたいのでございますが、本年度の公営住宅につきまして補助率を一五%上げておるようでございますが、しかし、これでも自治体の持ち出し分がかなり多いのではないか、このように思うわけでございます。何を申しましても、庶民大衆は公営住宅が非常に望ましいのでございまして、いままで政府が考えておる——あるいはまた府県で、財源の非常に乏しいところでございますというと、財源の乏しい府県は分譲住宅を主眼に考えがちでございます。と申しますと、分譲住宅でございますと、百万から百二、三十万円の頭金が要ります。これを借りれる、あるいはまた持っておる住民は数少のうございます、勤労者一般といたしまして……。それで、そういうような観点からいたしますれば、公営住宅に主眼点を置くべきでございますが、貧乏なる、財政の非常に貧弱なる府県でございますと、どういたしましても公営住宅で持ち出し分が多くなる、ために、公営住宅に主眼点が置かれなくなってきておる、このように思う次第なのであります。四十一年度におきましては、どれほど公営住宅の消化があったか、お伺いいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/28
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029・西村英一
○西村国務大臣 いまお尋ねの地方公共団体の超過負担の問題は、これは実は建設省のみならず、政府の問題でございまして、住宅のみならず、その予算単価と実費との非常な違いで地方に御迷惑をかけているのは、政府の問題といたしましても、相当にただいま重視いたしているところでございます。建設省の公営住宅につきましては、予算折衝のおりにも、私たちも単価の引き上げを相当にがんばりましたのですが、思うように一挙に解決することはできなかったような次第でございまして、いま申されましたように、工事費については一五%、用地費については二%の引き上げが認められました結果、昨年は公営住宅で百二十五億くらいの予算負担超過でございましたが、ことしは、いまの計算で推定いたしますと、六十八億くらいでなかろうかと思う次第でございまして、約半分くらいに減ったと思うのでございます。しかしこれも十分ではございませんので、引き続きまして、逐次地方の超過負担の問題を解決したい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/29
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030・井上普方
○井上(普)委員 本年度の予算を拝見いたしましても、非常にインフレ含みの予算のようでございます。昨年度の予算折衝の時期の建設単価と本年度の予算折衝の単価におきましては、おそらく骨材にいたしましても、木材にいたしましても、あるいは労務賃金にいたしましても一五%以上値上がりしておるのではないかと私どもには考えられるわけでございます。そういたしますと、これまた、大臣はいま六十何億とかおっしゃいましたけれども、まだまだ大きい持ち出しが行なわれて、地方財源をまた圧迫する。圧迫するどころか、また公営住宅が足りなくなってくる、こういうおそれが私はあると思うのでございます。この点、四十一年度の予算の策定時の単価と四十二年度の策定時の単価にどれくらいの差があるのか、お示し願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/30
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031・三橋信一
○三橋政府委員 お答え申し上げます。
ただいま大臣からお答え申し上げましたように、四十一年度におきましては、建設工事の総額が八百一億でございました。これに対しまして持ち出し、いわゆる超過負担分と称しますものは百二十五億ということでございます。ところが四十二年度におきましては、九百四十億程度の総工事費になりますが、これに対しまして、現在の段階で推定いたしますところでは、六、七十億の持ち出しになるであろうということで考えております。したがいまして、全面的にこれを解消することはできませんでしたが、ただ御存じのとおり予算と申しますものは、将来の値上がりを加味して予算を組むということはとられておりません。これは、あらゆる事業につきましてそういう編成のしかたをしております。したがいまして、私どものこの予算の超過負担がこれだけになると申し上げております根拠といたしましては、四十年度の実行単価、それから四十一年度の実行単価、これの値上がり率、それをいかにしてカバーするかということに主眼を置いてこの解消をはかってまいったということでございます。したがいまして、将来物価がどういうふうに上がっていくかということにつきましては、実はこの予算の中には含まれておりません。したがって、ただいま御指摘のような問題点は確かにあるのでございますけれども、しかし物価が必ずしもいままでの傾向で上がるか、あるいは横ばいになるか、これは何とも保証の限りではございません。予算というのはそういう組み方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/31
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032・井上普方
○井上(普)委員 骨材にいたしましても、あるいはまた木材にいたしましても、あるいはまたあらゆる手間代にいたしましてもかなりな値上がりをいたしておりますし、値上がりの傾向にあります。私どもおそれますのは、これで一世帯一住宅の政府の公約、すなわち四十五年までの五カ年計画がはたして完成できるかどうかという点につきまして、私は大きい疑問を持つわけでございます。ぜひともこれを実行させるには、もう少し地方自治体を圧迫しないような単価を出してやらなければならない。それでなければ公営住宅が建たぬじゃないか。一部中級所得者のみに分譲住宅が当たるような結果になりまして、低所得者層である公営住宅はなかなか当たらないというような結果になりはしないかということを私はおそれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/32
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033・三橋信一
○三橋政府委員 ただいまの御指摘ごもっともでございます。ただ、たとえば鋼材につきまして申し上げますと、住宅でおもに用います鋼材は十九ミリ程度の丸棒でございます。これが一ころトン当たり六万円程度をこえました。しかしこれが現在では三万八千円見当まで落ちてきております。それで四十一年度の予算上の丸棒の単価というのは三万一千円でございましたが、これを三万七、八千円の実行単価でやっておったのでございます。それを四十二年度、今年度におきましては大体四万円見当の単価でできるであろうということで私ども胸算用をしておりました。六万円ほどしておりました丸棒の相場も、いろいろの関係もございまして現在三万八千円見当に落ちてきております。したがいまして、先ほど申し上げましたように物価が必ずしも上がるものじゃない。したがって、そこいらで私ども、今後いろいろ努力いたしまして、地方公共団体の持ち出しをできるだけ解消いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/33
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034・井上普方
○井上(普)委員 ただ鉄鋼のみをおっしゃっておりますけれども、砂利にいたしましても砂にいたしましても、非常な暴騰をいたしております。木材にいたしましても昨年の十一月からものすごい暴騰をいたしております。こういうようなことを考えますと、公営住宅もしくは普通の政府関係の住宅というものはかなり私は本年度削減が予想されるのでございます。一世帯一住宅、こういう自民党さんの公約でもございますし、私どもといたしましてもそれを実現させていただきたい、このような願いから私は申しておるのであります。特にそれは公営住宅におきまして府県の持ち出し分が非常に多い、多くなってくる予想がある。それは富裕府県でございますと消化できますけれども、財政力の貧弱なる府県におきましてはそれができない、こういう点を大いに憂えるものでございます。この点ひとつ十分なる御配慮を願いたい。建設省としては、あるいは政府部内においてもあらゆる施策を講じて、とにかく国民の願いであります住宅問題について御努力願いたい、このように考える次第でございます。
次の問題といたしまして、これは計画局になりますかどこになりますか存じませんが、徳島市におきまして国道拡張工事に伴いまして魚勘事件というものが起きまして非常に全国的な問題になったのであります。魚勘事件というのです。一件の国道拡張事件につきまして四千三百万円の補償金が払われた、他の住民の大体十倍見当の補償が行なわれた。これにつきましてはいろいろ検察当局も手を入れまして調べ上げたのでございますが、大山鳴動してネズミ一匹で、ネズミも県庁の下級職員に全部そのしわ寄せがまいったわけでございます。ところの住民はまことに善良でございまして、県庁の役人が言うのであるからということで判を全部渡しておるわけです。これは御承知のように建設省の機関委託事務になっておりますのであえてお伺いするのでございますが、そういうように判を渡して実は住民が契約をいたしておる。ところが実はその契約内容を十分に住民に知らしていない。判を押すときにはいかにも見なければ正規の契約ができないというようなことでございましょうけれども、内容を知らしてない事件がある。それについて県当局の言うのには、建設省の指示によって住民にその現在結んだところの契約を見せてはならないということで見せないのだという、こういう発言をいたしておるのでございますが、真相はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/34
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035・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 すでに補償を受けまして移転した者に対しまして、補償契約の内容を提示するように被補償者が要求しているということは聞いておりますし、徳島県の当局におきまして、それに対しまして直ちに内容を提示するという措置をとっていないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/35
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036・井上普方
○井上(普)委員 住民は善意から、この契約につきましては県庁の役人が言うのだからというので、判を渡したままやっておるわけです。ところが、その内容を知らしてくれといって県のほうへ行きましても、実は建設省の命令によって見せられないのだ、こういう話が伝わっておるわけでございます。契約は個人の秘密ではございますけれども、こういうような個人に対しまして自分の契約がどうなっておるかが実はわかってない、それらにつきましては建設省といたしましては、もし建設省がそういうような指示を県に対しまして与えておるのでございましたら、これは私はたいへんなことだろうと思うのです。そういうような指示があるのかないのか、もしないとするならばその契約の内容を住民に知らせるように、個人個人でよろしゅうございますから知らしてやるような方法をとれないものかどうか、お伺いいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/36
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037・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 建設省といたしまして、補償の内容について契約の相手方から申し出があった場合にその当事者に対して内容を提示するなと、あるいはすべきでないというような判断を下して指示したことはございません。
後段の問題でございますが、補償をいたします場合には当然これは双務契約でございますので、お互いが内容を知って調印しているのが普通でございますので、当然そういうことを、私どものほうから内容を知らすなというふうなことの指示はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/37
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038・井上普方
○井上(普)委員 そういうような問題がございまして、徳島県民の間におきましては現在補償につきまして非常な疑惑に包まれている。どういうようにすればいいかというように実は迷っておる。またあらゆる建設事業につきましても支障を来たしておるのが実態でございます。私どもといたしましては個人個人に納得させて、たとえ双務契約でもございましょうけれども、しかしそれは善意で、あなたのところの補償金はこれだけだと言ったときにはそのまま判を渡して、それでよろしゅうございますと言うて判をついておるわけです。契約書は本人持っていないのです、住民は。そしてその内容を今度知らしてくれと言ったら知らしてくれない。ただそれはごね得するやつが文句を言いましてそれでたくさんの補償金をもらう。これは許せないことです。事実そういう善意でもって補償を受けた人たちの中でも当然補償されるべきところが私らが見まして落ちておるのがたくさんあるのです。ところが再補償につきましてはすでに四軒やっておるのです。一たん契約をしましてから、その後に四軒だけ再補償をしておる例もあるのです。その後これが政治問題になりますというと、契約の内容を見せない。と言いますのは営業補償であるとか、あらゆる問題について削っております。こういうようなことで非常に迷惑いたしまして、道路局長も御承知のように、残る三十三軒の補償問題が難航いたしまして、そうして現在あのりっぱな国道の三十三軒分の道幅が狭くなっております。これではたして道路行政として、ああいうように道幅が三メートルないし四メートル狭くなったのでいけるのかどうか、それは将来どういうようなおつもりでこれをやるつもりなのかどうか、拡張を将来やるつもりなのかどうなのか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/38
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039・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 引き続いて私どもといたしましては一応やってまいりたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/39
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040・井上普方
○井上(普)委員 三十三軒もやるつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/40
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041・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 やるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/41
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042・井上普方
○井上(普)委員 三十三軒の拡張をやる、あるいはまた将来の補償問題をスムーズにし、また建設事業をスムーズにするためにも、どういたしましても住民の納得というものがなければならないと思います。したがいまして、自分自身が善意をもって判こを預け、やった契約内容というものは、個人個人にはどういうような内容であったかということは知らして、再補償すべきところがありましたならば当然再補償すべきだ、このように私は考えるのでございますが、局長の御意見はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/42
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043・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 先ほどもお答えしましたように、任意買収の場合でございましても、当然補償の内容につきまして相手方に知らしめるべきであるというふうに考えております。また、再補償の問題につきましては、これは一たん契約を結びました後でございます。特に重大な錯誤があるというような場合には別だと思いますけれども、それ以外の場合には、本人がそこで承諾しておるわけでございますので、再補償というのは、特別な場合以外は行なわないでいいんじゃないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/43
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044・井上普方
○井上(普)委員 私はその四軒の実例を知っておりますけれども、いずれにいたしましても、これは六月に申し出て、そして十二月に再補償の契約をした、こう言っております。実際の問題は、十二月に再補償を、契約も全部やっておるわけでございます。言いかえますならば、文書偽造の疑いまでも出てくるような再補償のやり方をやっておるわけであります。こういうようなことをやられますというと、あとあとの建設事業に大きい支障を来たすものであると私は思います。双務契約ではございましょうけれども、ごね得、ごねる者は得をするというようなことでは、私はこれは公平さを欠いてくると思います。また将来の問題につきましても、ごね得は得するということになりかねないと私は思うのです。そういうような意味からいたしまして、正当に押しておる者は押しておる者として、これは再補償してやるべきではないか、このように思うのでございますが、双務契約で、それだけで局長さんは推し進めるお考えかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/44
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045・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、補償契約が締結されたあと、しかも物件がすでになくなっているというような段階におきまして、特別に重大な錯誤があったという場合以外は、一応再補償というようなことを考える必要はない、そういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/45
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046・井上普方
○井上(普)委員 それじゃ、特別な、重大な錯誤であればお認めになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/46
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047・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 特に重大な錯誤があれば、これは再補償する場合がございます、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/47
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048・井上普方
○井上(普)委員 場合があるとおっしゃいますけれども、それならば営業補償を全然出していないというような場合でありましたらどうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/48
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049・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 営業補償を当然出すべき場合に、全然営業補償を出してないというようなことになれば、本人がその場合に契約の段階におきましてそういうものについて了承しているということがありました場合は特別でございますけれども、通常の場合ですと、出す必要が出てくるのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/49
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050・井上普方
○井上(普)委員 そういう場合の再補償はされますか。いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/50
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051・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 相手方、被補償者のほうが、そのことを認めて契約をしているという場合におきましては、それは錯誤ということは言えないのではないかと思います。したがいまして、その場合には契約の更改という問題は起こってこないのではないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/51
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052・井上普方
○井上(普)委員 それと全く正反対の事柄が魚勘事件でございます。魚勘に対しましては、これは執行権者のほうが錯誤をしたからといって、あるいは詐欺を受けたからといって、実はいま訴訟を起こしておるようでございます。片一方に対しましては十倍に余る補償をやっておる。これでは住民はたまったものではありません。同じような規模の人たちが五、六軒あるわけなんでございますが、これに対しましては五、六百万円しか補償をやってない。片一方では、魚勘に対しましては四千数百万円の補償金を与える。これは錯誤であった、あるいは詐欺にかかったのであるということで、いま訴訟を起こしておるようでありますが、これだって黙っておればそのまま過ごす問題です。この問題を摘発いたしましたのは実は私なんです。それで私申し上げるのです。善意の人たちに対しましては、これは当然補償すべき問題に対しても補償してない。ところが片一方においては、あるいはごますったかどうか知りませんけれども、ごね得のほうに対しましてはその六倍、七倍の金を補償しておる。その理由は錯誤であったあるいは詐欺にかかったというようなことで済まされますか。しかも、住民に対しましては、善意で——全くいなかの町村に住む者といたしましては、県庁の役人が言うのだから、お役人さんが言うのだからというので、双務契約にいたしましても判こを渡してめくら判を押しておるのです。これでいいのだろうということで押しておるのです。ところが、その内容すらも、この魚勘事件が出まして、私たちもひとつ知らしてくれぬかといって県に行きますと、契約の内容を見せない。これでは住民の不満はつのるばかりです。同時に、こういう建設行政の今後の補償問題につきましては大きい支障を来たしてくる、私はこのように考えるから、あえて、不利なるところに、善意をもってやって一ごね得に対しましては、これは私どもといたしましては全然同情の余地もなく、これは摘発すべきであると思います。しかしながら、善意をもって、そして建設行政に協力した者に対して、手落ちがあったあるいはつけ落ちがあった場合は、これは私は当然再補償という問題を考えてやるべきだろうと思う。それが親切なる行政でなかろうかと思うのです。それにつきましても、一般にも全然知らさず、その内容につきましても、個人に知らしてない。こういうことで住民が一体納得すると思いますか。機関委託事務ではございますけれども、建設省のお考え方といたしましては、善意をもってそして契約し、そしてつけ落ちがあった場合、当然再補償してやるべきだ、私はこのように考えるのでございますが、大臣いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/52
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053・西村英一
○西村国務大臣 いまのお話を聞いておりますと、どういう場合であったかよくわかりませんが、一方においては不当な取り扱いをした、一方においてははなはだ満足しないような状況が起こっておるようでございます。いずれにいたしましても、いま訴訟を起こして裁判というようなこともありますが、建設省の出先機関の関係しておる仕事としてこういうことが行なわれるのは、はなはだ私遺憾に思います。したがいまして、井上さんその間の事情をつぶさに知っておるようでございますから、建設省といたしましてはよく事情を調べまして、また現在訴訟が起こっておるということでございますから、私がここで簡単に、それは再補償しますと言うことは、事柄を知らぬで言うわけにはまいりませんが、少なくとも私としては公正な取り扱いをしたい、絶対に国民をいじめてはいけない、かように考えております。なお、私といたしましても、詳細に調べまして、その上でまた御回答申し上げたい、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/53
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054・井上普方
○井上(普)委員 大臣よく御調査を願いまして、不公正な取り扱いのあった人たちに対しましては適正なる取り扱いをやっていただきたい。それと同時に、いま国道がせっかく広がっておるのに、三メートルないし四メートル道幅が狭まっておるのです。それを正規なルートにするように——住民の方々だって、正当な補償をやれば決していやとは言いません。それを、片一方においては不当なる高額な補償をやり、片一方では不当に押えつけた補償をやるがために、あの人たちは不満を持つわけなのであります。どうか公正なる取り扱いをされ、一日も早くあの道路を拡張されまして、交通が便利になるように御努力をお願いしたい、このように思う次第でございます。
次に、談合罪という罪が刑法上にございますが、建設業界におきましては談合ということが非常に多く行なわれておるように思うわけでございます。常識になっておるようでございます。これは競争入札ということが原則になっておるはずでございますけれども、現在では談合がはなはだしい。これに対して大臣は一体いかなる態度をもって臨まれるのか、お伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/54
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055・西村英一
○西村国務大臣 私たちずいぶん若いころ、談合ということが土木業者の間に行なわれておった。それからそれがやかましくなってだいぶんよくなったということを聞きますが、最近の状態は私は実はよく知らないのです。ただし、指名された方々の中にはやはりいろいろな話し合いが、同業者でありますから行なわれる。その間に話し合いが行なわれるということでは、いわゆる談合という昔の言い方ではないわけであります。昔の談合というのは、話し合いが行なわれる中において金銭の授受があるということであったようであるが、いろいろ仕事の点について話し合いを行なうということは、それを談合と言えば談合——まあ十数社の指名をされましたものの間で仕事の関係の話し合いはやるかもしれませんが、昔の談合というのはちょっとその意味が、ただ話し合うということだけじゃなかったのです。それがやかましくて相当に矯正されたと私たちは思っておるわけですが、いまはまたその話し合いの中にいろいろなことがあるということについては、私はあまりつまびらかじゃありません。知りません。むしろそういうことは、直接その間においていろいろ金銭の授受があるというようなことは私はあまり想像したくないし、またないのじゃないかというふうに思うのです。事実、私どもも立ち会うわけじゃありませんから知りませんけれども、昔のような談合はいまはない、よほど矯正されておる、仕事の話し合いだけはある、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/55
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056・井上普方
○井上(普)委員 それは表だけの話でございまして、県によりましては談合というのが公然と行なわれております。建設業関係の仕事にいたしましても談合が行なわれておるのです。建設業協会の中に談合屋が嘱託としておるわけです。そして談合金をピンはねするというのです。しかもそれは暴力団です。こういうような事態があるのです。建設省の方々がこれを御存じないというようなことは、私はあり得ないと思うのです。いままで談合問題については、建設省はあまり摘発したことはないようでございますけれども、もう少し手きびしくやっていただきたい、こうように思うわけでございます。大臣、御存じないというのでございますから、官房長からでもひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/56
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057・志村清一
○志村政府委員 先ほど大臣からお話がございましたように、話し合いが行なわれていることは事実のようでございますが、刑法の九十六条ノ三にございますように、「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者」は刑法に適合するわけでございます。私どもといたしましては、刑法の刑に該当したような場合におきましては、建設業法に基づく措置をいたしております。これにつきましては、何年だかちょっと覚えておりませんが、一、二件処置の指示その他の処分をいたした状況でございます。公正なる価格を害し、不正な利益を得るような談合はまことに不適当でございますので、かようなことのないように業界等にも連絡をつけておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/57
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058・井上普方
○井上(普)委員 現在建設業界におきまして談合をやられておるというのは常識になっております。たまたま私どもの知っておる範囲におきましては、建設業協会の中に暴力団の組員が嘱託として入り、そして談合を強制しておるということが実はあるわけでございます。ひどいのになりますと、千五百万円の工事に対して四百万円もピンはねしておるというような事実もあります。こういうようなことで血税が暴力団の資金源になるということにつきまして、私はおそるべきものがあると思うのです。この点について建設省としてはもう少し強い姿勢で建設業界に対しまして是正を望むべきではなかろうか、このように思うわけでございます。また大手業者におきましても、このごろ、私承りますと、共同企業とかなんとかいいまして、五社なら五社が入札に加わりますと、第一年度はAがとる、第二年度はBがとる。継続事業でございますが、このAとBとは経理内容までも全部同じくしてやっておる。そういう共同企業とかなんとかいうようなことが行なわれているようでございます。これにつきまして、計画局長もう御存じでございましょうが、これは一体談合につきましての考え方とどう違いますか、ひとつお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/58
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059・志村清一
○志村政府委員 ただいま先生からお話がありましたのは、いわゆるジョイントベンチャーというものかと思います。このジョイントベンチャーにつきましては、よその国でもずいぶん大きく行なわれておりますが、相当大規模な工事であったり、技術的にむずかしい工事であったりする場合に、数社が組みまして危険負担をするなり、大きな仕事につきまして分担をしてやっていくほうがより合理的であるという場合に使うわけでございます。その意味で初めからAなりBなりという会社がジョイントを組みまして、そして仕事をやるわけでございますので、いわゆる談合というのとは性格が異なるかと思っております、また、大企業につきましてそういったジョイントベンチャーの問題がございますが、私どもといたしましては、実は中小の建設業者の問題がございます。だんだん工事規模も大きくなってまいります。と申しますのは、いかに経費を節約していくか、能率をあげていくかというふうな問題等に関連いたしまして、あるいは技術の進歩に伴いまして工事の規模がだんだん大きくなってまいります。さような場合におきましては、中小企業が一社ではそれを受けられないわけでございます。さような情勢に対応いたしまして、一本の矢ではすぐ折れてしまうが、三本の矢では折れないというたとえもございますように、中小企業はジョイントベンチャーを組みまして、共同企業体ということで仕事をさせるという方向をとっておるわけでございます。さような意味でそのようなジョイントベンチャーはいわゆる談合の性格とは異なるかと存じます。
また、先ほどちょっと申し上げるのがおくれたわけでございますが、公共事業に関しましては予定価格というのがございまして、予定価格の範囲内でおさまるということでやっております。予定価格の範囲内で入札をいたしましても落ちない場合には、場合によりましてその予定価格を、全く不当なものであれば別でございますが、計算し直しても間違いのない妥当なものである場合には、指名を組みかえるというような方向で実施しているのが通例でございます。また、落札いたしました価格も、大体予定価格の範囲内で全部おさまっているというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/59
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060・井上普方
○井上(普)委員 いま局長からいろいろ御説明がありましたけれども、ジョイントベンチャーなるものを結んでおります者は、大企業です、大土建屋です。しかも日本で十指の中に組み入れられる方方の間で行なわれておるわけでございます。おそらく技術にいたしましても、これらの人がなにができぬはずはないのです。ところがそれらの人たちの間にジョイントベンチャーなるものが結ばれておる。しかも入札には必ずそれらが加わっておるのです。五社入れた場合にはAとBとが入って、Aが初年度とり、またBが次年度はとるというふうなことをしてジョイントベンチャーなるものを結んでおるわけです。当然私は、これはあなたのおっしゃる中小企業の能力のない人たち、業者がジョイントベンチャーを結ぶなら、ある程度見のがすこともできると思います。しかし能力もあり、しかも遂行するだけの技術も持っておるそれらがジョイントベンチャーを持つことは、私は談合とある程度通ずるのではなかろうか、このように思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/60
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061・西村英一
○西村国務大臣 まあいずれにいたしましても、私はそういう話し合いがいろいろ行なわれておると思いまするが、金銭授受とか、そういう悪い意味においての談合があるということになりますれば、それは業者を矯正していかなければならぬと思っております。しかしそれは、私の知っておるのは一部分でございまして、中小企業としては大分県の業界を言っておるのでありまして、その他の業界のことを全部私は知っておるわけじゃありません。したがいまして、もしそういうようなことが、いまあなたが言われるように、どこの県もここの県も、大手も中小企業もみなそんなことをやっておるのでは、知らぬのは大臣ばかりじゃないかということになれば、私も十分今後気をつけて指導に当りたい。いずれにいたしましても、公正な入札ということは、十分私たちとしては心がけなければならぬ、かように思っておりまするが、せっかくの御注意でございまするから、私ももう少し実情をやはり調べたい、こう思っています。私の県なんかは、前は相当にいろいろなことを言っておりましたが、いまではそんな話をあまり聞かないものですから私は申し上げただけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/61
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062・井上普方
○井上(普)委員 計画局長さん、いかがでございますか。大手業者の間でジョイントベンチャーを結んでおることにつきましては、どうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/62
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063・志村清一
○志村政府委員 ジョイントベンチャーと申しますのは、先ほども申し上げましたように、当初からA、BあるいはCという数社が組みまして、一つの企業体をつくって応札することでございます。先生のおっしゃったのはA、B、Cがジョイントを組まないで、A社が落札して、そして適宜B社と裏で組む、そして来年度はB社が落札したら、適宜裏で組むというように伺いますが、いわゆる正式なジョイントとは違うと思います。正式なジョイントでございますれば、先ほど申し上げましたように技術的な問題とか大規模な工事とか、あるいは危険が多いので、お互いに利益もあるかもしれないが、危険も相当多いのでお互いに分散しなければならぬというような場合に組むわけでございます。さような意味における正当なジョイントベンチャーというのは、私は別に談合と直接関係はなかろうと思うわけでございますが、いま先生のおっしゃったようなAがまず第一年度受ける、次にBというふうな問題でございます。この問題等につきましては、いわゆる話し合いというふうなことでございましょうが、それがいわゆる予定価格を上回るような価格で受けるということになりますと、確かに不正なり、あるいは公正なる価格を害するということになろうかと思いますが、そういった問題にならず、しかも通常の話し合いで進められるということでありますならば、この刑法の規定には直ちには該当しないのではないかと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/63
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064・井上普方
○井上(普)委員 ただいま局長から承りましたけれども、予定価格より下回れば、大体それくらいであればいいというようなお考え方は私はおかしいと思う。少なくとも入札というのは競争入札が原則です。それを局長さん自身の口から、予定価格に大体適合しておれば、ジョイントベンチャーを結んでおってもかまわぬというような考え方は、私はおかしいと思うし、先ほど私が申しました大手のメーカーで能力もあり、技術もある人たちが、こういうような第一年度はAがとり、第二年度はBがとるというようなことがたくさん行なわれておるじゃないですか。危険防止なんて言いますけれども、予定価格の中には当然危険率も見込み、利益も見込んで予定価格というものを出しておるはずです。そういうようなことについてもう少し建設省自体で、談合という問題に手きびしく目を光らせていただきたい。そうして血税がむだづかいにならないようにひとつお願いいたす次第でございます。大臣も先ほど言われましたが、ひとつ実際の問題をよく調査していただいて、どしどしときびしい態度を持ってやっていただきたい、このようにお願いする次第でございます。
私、以上をもって質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/64
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065・森下國雄
○森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月八日月曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00419670419/65
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