1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十二日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 森下 國雄君
理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君
理事 砂原 格君 理事 丹羽喬四郎君
理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君
理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君
伊藤宗一郎君 大野 明君
吉川 久衛君 佐藤 孝行君
田村 良平君 谷垣 專一君
森山 欽司君 早稻田柳右エ門君
渡辺 栄一君 阿部 昭吾君
井上 普方君 勝澤 芳雄君
工藤 良平君 佐野 憲治君
福岡 義登君 内海 清君
小川新一郎君 北側 義一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 西村 英一君
出席政府委員
建設政務次官 澁谷 直藏君
建設省住宅局長 三橋 信一君
委員外の出席者
建設省住宅局住
宅総務課長 角田 正経君
住宅金融公庫理
事 岡本 静雄君
専 門 員 熊本 政晴君
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五月十日
奈良バイパスの平城宮跡通過反対に関する請願
外七件(長谷川正三君紹介)(第九一四号)
同外五件(斉藤正男君紹介)(第九三五号)
地代家賃統制令撤廃に関する請願(早稻田柳右
ェ門君紹介)(第九三六号)
県道大分、西庄内、湯布院線の国道編入に関す
る請願(工藤良平君紹介)(第九九三号)
飯山市の千曲川堤防工事計画変更に関する請願
(中澤茂一君紹介)(第九九四号)
杉並区内の都市計画街路補助第一二八号線拡幅
促進に関する請願(岡崎英城君紹介)(第一〇
二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/0
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001・森下國雄
○森下委員長 これより会議を開きます。
住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/1
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002・勝澤芳雄
○勝澤委員 住宅政策につきましてはまた別の機会に私は質問さしていただきまして、とりあえず住宅融資保険法について法律上のこまかな諸問題につきまして質問をいたしたいと存じます。
まず最初に、融資保険の対象である金融機関の範囲を拡張した理由は、どういう理由であるかという点からお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/2
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003・三橋信一
○三橋政府委員 ただいまの御質問の金融機関の範囲を拡大した理由は何かということでございますが、これにつきましてはすでに提案理由等において大臣から申し上げましたように、従来銀行、相互銀行、無尽会社、このようなものを対象といたしまして取り扱い機関にしておったわけでございますが、最近の傾向から見まして、やはり零細な住宅金融、つまり協同組合等によります住宅金融がかなり行なわれております。と同時に、私どもの住宅対策の一環といたしまして、やはり農山漁村の住宅というものに相当程度力を入れていきたい、それによって農山漁村の住生活というものを安定させてまいりたい、向上させてまいりたい、そういうような意味におきまして、それらの農山漁村あるいは中小の商業等を営んでおりますものに対して融資をするような金融機関、そういうものを含めまして、金を貸しやすくする、かつ金を借りやすくしたい、そういうことによりまして、民間の住宅建設の促進をはかってまいりたい、そういう趣旨で拡張したいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/3
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004・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、一応農林中金あるいは商工中金、信用金庫連合会についてはわかりますけれども、信用事業を行なっている農協なり漁協の問題につきましては、最近各所で金融の問題につきまして事故がときどき起きておるわけでありますけれども、これらについてはやはり監査というものが十分行なわれていないということではないだろうかと私は思うのですが、こういう点については、やはりこのような住宅融資保険の対象にしても、別に十分な監督ができる、こういうようにお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/4
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005・澁谷直藏
○澁谷政府委員 ただいま御指摘になりましたように、協同組合、あるいは漁業協同組合の一部におきまして、確かに不当融資あるいは不正融資というような事件が発生しておることは、私も承知をしております。しかし、言うまでもなく、漁業協同組合にしても農業協同組合にいたしましても、法律に基づいたこれは機関でございまして、しかも農村あるいは漁村の金融の面におきましても非常に大きな役割りを果たしておることは言うまでもございません。したがって、当該の法律に基づいて責任を持った機関が厳正な監督、指導をしていくのは、これは当然でございまして、私は、そういう点は遺憾なくやるということを前提にいたしまして、ただいま住宅局長からお答えいたしましたような趣旨で、ぜひこの際そういった金融機関を拡大いたしまして、農山漁村の住生活の改善に資してまいることが適当であろう、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/5
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006・勝澤芳雄
○勝澤委員 この金融機関の範囲の中で、労働金庫だけが労働金庫連合会ということが入っていないのですが、その理由は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/6
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007・三橋信一
○三橋政府委員 この制度によりまして保険をいたしますのは、金融機関が、家を建てましたり宅地を取得したり造成したりいたします者に金を貸して、それに対して保険するという制度でございます。したがいまして労働金庫の場合には——労働金庫はこれは金融機関でございます。したがいまして労働金庫の連合会は労働金庫に金を出したりいたしますけれども、労働金庫の連合会そのものが直接に個人に、家を建てるために金を貸したりすることはない。したがいまして、そういう意味合いにおきまして、労働金庫の連合会につきましてはこれを入れなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/7
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008・勝澤芳雄
○勝澤委員 労働金庫の連合会もほかの連合会と同じようなことになるならば将来は入れる、逆に言うと、こういうことでよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/8
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009・三橋信一
○三橋政府委員 労働金庫がみずから家を建てましたり、そしてそれでその会員に住宅を供給するというようなことの業務ができるということになりました場合、その労働金庫に連合会から金を貸すということになりますれば、これは連合会も入り得ると思いますが、そういうことにはなかなか、まずならぬだろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/9
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010・勝澤芳雄
○勝澤委員 あとのほうが、局長、余分なんです。連合会もほかのようになったらやります、これだけでいいのです。私がかわって答弁するわけじゃないですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/10
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011・森下國雄
○森下委員長 岡本委員に関連質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/11
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012・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いまそういうふうな局長の御意見でありますと、昨年の国会で日本勤労者住宅協会法というのが成立いたしておりますね。そして労働金庫の連合会のような形のものとして労働金庫が融資し、それでもって家を建てる。それに対して、それと同じような業務を勤住協というのがやることになりましたが、それが今度入ってないのはどういうわけですか。うっかりして抜けたのですか、それとも何か特別の理由ではずしてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/12
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013・三橋信一
○三橋政府委員 お答え申し上げます。
これは日本勤労者住宅協会法の三十九条という条文がございまして、労働金庫の業務等がきめてございますが、この日本勤労者住宅協会に対しまして資金の貸し付けの業務を行なうことができるということが書いてございます。したがいまして、日本勤労者住宅協会はここから金を借りられるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/13
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014・岡本隆一
○岡本(隆)委員 第二十三条で、協会は「一 勤労者のための住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行なうこと。」となっておりまして、この譲渡というのは、やはり長期分譲でございますから、したがって、いわゆる金融といった形になるわけでございますね。だから、そういう意味では、これは同じように扱われるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/14
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015・三橋信一
○三橋政府委員 お答え申し上げます。
確かに勤労者住宅協会は譲渡を行なうということになっておりまして、これが長期の譲渡であるということはございますけれども、しかしながら、預金を入れまして、そしてこれを貸すという制度には、勤労者住宅協会はなっておりません。したがいまして、この譲渡というのは、貸し付けであるというふうには書いておりません。物の分譲でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/15
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016・岡本隆一
○岡本(隆)委員 もう一ぺんよう研究してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/16
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017・勝澤芳雄
○勝澤委員 わからぬね。
それでは次に、この融資保険を一応予定した計画ですね、言うならば保険の予定価額といいますか、それと成立した保険額というものを比べてみますと、実績が、比率が低いわけですね。いうならば、三十九年度の保険契約の予定と実際に成立した保険、こういうものが低いわけです。それを三十九年、四十年、四十一年、三年度にわたって、予定と契約実績、パーセンテージ、これをちょっと示してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/17
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018・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。
三十九、四十、四十一年度を申し上げますと、予定をいたしました保険価額合計額は、三十九、四十年度は五十七億円、四十一年度は七十六億円でございまして、これに対しまして付保いたしました保険価額は、三十九年度は十四億三千四百万円、四十年度は十四億九千百万円、四十一年度は二十六億七千二百万円でございます。率につきましては、三十九年度は二五%、四十年度は二五%、四十一年度は四〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/18
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019・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは次に、これはちょっと数字は無理かとは存じますけれども、各金融機関の住宅貸し付けと、それから融資保険で貸した分、この比率はおおむねどのくらいになりますか、おわかりになりましたらひとつ、おおむねでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/19
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020・岡本静雄
○岡本説明員 現在のところちょっと資料をそろえておりませんので、まことに恐縮でございますが、わからないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/20
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021・勝澤芳雄
○勝澤委員 いまの保険の計画からいいますと、三十九年度、四十年度は二五%しか保険をかけてあるものがなかった、四十一年度は四〇%。しかし一方、金融機関の住宅貸し付けの量というものは相当な部分だと思うのです。パーセンテージはわからないにしても、住宅貸し付けに相当部分出しておきながら、保険にかけているものはほんのわずかしかない。これは常識的に考えてみても、パーセンテージとしては相当低い。ですから、融資保険を受けている住宅貸し付けというものはほんのわずかしかない。しかし一方、融資保険をかけられるワクはある。そのワクが消化されていない。それは一体どこに原因があるのか、これは公庫より建設省ですか、どちらですか、その点ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/21
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022・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この点はいろいろとその原因があると思うのでございますが、まず一番大きな原因といたしましては、従来の保険のてん補率が八
〇%であったということ、これは金融機関のほうからは、八〇%ではやはりそこに非常に危険度が高い。そこで、できればこのてん補率を一〇〇%、少なくとも九〇%程度に引き上げてもらいたいという強い要望があったわけでございます。そこで、今回の改正案におきましては、てん補率を九〇%に引き上げることにいたしておるわけでございますが、これが利用度が少なかった一つの大きな原因であったと考えております。
それから第二の原因といたしましては、今回の改正案で提案いたしておりますように、これを利用する金融機関が限定されておったということ、これが第二の原因でないかと思うのでございます。
第三の原因といたしましては、こういう制度があるということが周知されておらなかった、PRに欠ける点があったわけでございます。こういう点も第三の原因ではないかと思うのでございます。
そこで、ただいま申し上げたような主要なる原因と考えられておりまするてん補率の引き上げ、それから、これを利用する金融機関の拡大、これを今回の改正において実現をしたいということで御審議をお願いした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/22
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023・勝澤芳雄
○勝澤委員 まあ私はおおむね妥当な解釈のような気がいたしますけれもど、そこで、保険の契約をした実績、それから保険金を支払った実績、こういうことから見てみると、まず第一の保険のてん補率八〇%が九〇%になれば、少しはよくなるでしょう。少しはよくなるでしょうけれもど、実質的にいままでの保険金支払いの実情から考えてみると、何といいますか、相当銀行は貸し付けについては渋い立場でやってきていることは間違いないわけですね、回収率がいいということを見てみれば。
そこで私は、最初回収の問題から聞いてみますと、この法律制定から今日までの保険金支払いの実績、それが回収された状況、件数と金額、こういう点について御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/23
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024・岡本静雄
○岡本説明員 御説明申し上げます。
住宅融資保険制度が改正されましてから現在まで——現在というのは四十二年の一月末ございますが、保険金を支払いましたもの五十四件、五千四百三十二万二千円でございます。そのうち、一たんこれは支払いまして、また銀行が貸し付け金を回収いたしますと、分納で私どもが受け取ります。それが戻りでございますが、その回収したもの、件数にいたしまして四十六件、二千九百十四万一千円になっております。なおそのほかに利息といたしまして七百五十三万九千円を回収いたしております。したがいまして、残額といたしましては現在のところ、今年の一月末でございますが、二千五百十八万一千円が回収未済、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/24
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025・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、この法律ができて十年の余たって、保険金を支払って、いま未回収になっているのは二千五百十八万円、これでいいわけですね。そうしますと、これは掛け金から考えてみますと、なかなか危険率が低いわけですね。そういうことになりますと、私は、逆に言うと、この保険会計はもうかっている。国が保険をやる姿勢としてやはり少し問題ではないだろうかという気が実はするわけです。そうすると、やはり掛け金を下げる必要があるのではないだろうか、こう思うわけであります。しかも、この二千五百十八万円にしても、全部とれないかというならば、担保をしっかりとってあるわけでありますから、またこれが減っていくことは間違いない、回収されていくことは間違
いないわけです。そうしますと、いま八〇%でありながらなおかつこの程度だということを考えてみると、やはりこの際この掛け金の問題は少し考えるべきじゃないだろうか。そこで、この保険掛け金というものは、実は金融機関が払っているの
ではなくして、やはりお金を借りる人が払っていると私は思うのですが、お金を借りる人が払っているという立場ならば、今度の法律改正によって、お金を借りる人がどれほど金利が軽減されるの
か、これはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/25
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026・澁谷直藏
○澁谷政府委員 ただいまの御指摘の点非常にごもっともな御意見だと思います。先般も岡本委員から同様な御質問があったわけでございます。確かに御指摘のように、利用者の負担というものをできるだけ軽減することが望ましいことは言うまでもございません。そこで今回の改正案におきましては、従来の百万分の三十から百万分の二十六に軽減の措置をいたしておるわけでございます。ただ、先般の岡本委員の御指摘にもございましたように、この軽減の措置が少し足りないのじゃないか、もっと大幅に軽減をしたらどうかという御意見があったのでございます。確かに一つの考え方だと思います。ただ私どもの立場といたしましては、できるだけ安全率を見て、堅実な態度で漸次改善をしていくことが適当ではないかという考えに立ちまして、とりあえず今回三十から二十六に軽減の措置をとることにいたしたわけでございます。これで実施いたしてみて、さらにこれを軽減する余地があるということになりました場合には、さらにさらにこれを漸次軽減の措置をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/26
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027・勝澤芳雄
○勝澤委員 政務次官にお尋ねしますが、百万分の三十から百万分の二十六に下がりましたね。掛け金は百万円で幾ら下がったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/27
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028・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。
料率が従来は百万分の三十でございましたが、これは保険金額に対して百万分の三十でございますので、貸し付け金に対しますと、貸し付け金にまず〇・八をかけまして、つまり八掛けにしまして、それに対して百万分の三十、今度は貸し付け金の九掛け、〇・九をかけまして、それに対して百万分の二六でございますので、保険金としましては大体貸し付け金百万円当たりはあまり変わらないわけでございます。ただし事故が起こりましたときに支払う保険金の額は、従来は貸し付け金の八割でございましたのを今度は九割にするわけでございますから、その点で金融機関としましては保険が有利になる。したがいまして、貸し付け金も貸しやすくなる。従来は危険率が非常に高いものは貸しにくかったのですが、危険率が実際は下がったような作用をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/28
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029・勝澤芳雄
○勝澤委員 私の質問は、いま政務次官に聞いてあなたがかわりに答弁したのですが、百万円借りて従来は金利が幾らだったけれもど、今度の改正で幾らになった——軽減された、軽減されたと言うけれども、利用者の利子負担は幾ら減ったのですか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/29
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030・岡本静雄
○岡本説明員 いまは概数を申し上げましたが、こまかく申し上げますと、百万円について一日六十銭は減ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/30
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031・勝澤芳雄
○勝澤委員 いや、百万円で年幾らであったのが今度は年幾らになったか、こういうことを聞いているのです。一番簡単でしょう。百万円で年幾ら払っておったけれども、今度は百万円で年幾らになったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/31
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032・岡本静雄
○岡本説明員 計算いたしますから、ちょっとお待ちください。——申しわけございませんが、いま一日だけの計算ができましたのでお答えいたしますと、一日について百万円について従来の保険料は二十四円でございましたが、今度は二十三円四十銭になりまして、結局六十銭だけは下がっておる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/32
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033・勝澤芳雄
○勝澤委員 ですから、それは一日六十銭ですけれども、年で計算してみてくださいよ、別にそうむずかしいことではないのですから。それでいま政務次官の認識のとおり掛け金を下げたという認識になるかならないかということを考えていただいて、それから次に進みますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/33
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034・角田正経
○角田説明員 お答えいたします。
百万円につきまして、従来は八千七百六十円でございましたのが八千五百四十一円になりまして、二百十九円の減になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/34
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035・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、利用者は年に二百十九円金利負担が減った。銀行のほうは二十万円の危険負担が十万円になった。こうなるわけですね。そうですね。百万円についていままで二十万円の危険負担があった。それが十万円になった。そうするとこの改正というものは、利用者に対して借りやすくするよりも銀行が貸し出しやすくなったということだけですね。ですから、これは金融の立場からものを見ているわけです。銀行が貸し出しやすくなった。しかし利用者の負担というものは何も変わらぬ。これは政務次官、そうなんですからね、あなたが言っている、百万分の三十が百万分の二十六になった、だから掛け金が減ったという認識とは違うということだけをあなたが知ってもらえばいいわけです。私も実は掛け金が減ったと思ったわけです。減ったと思って計算をしてみたら、百万円かける百分の九十かける百万分の二十六になったわけです。いままでは百万円かける百分の八十かける百万分の三十だったわけです。ですから、百万分の三十が二十六に減ったからといって四減ったかと思ったら、四減っておるわけではない。八十というのが九十に上がったわけですから、結局その分を合わせるためにちょこっと操作をしただけであって、銀行そのものは二十万円の危険負担が十万円になった、そういうようになっているのです。ですから、これは借りる人が借りやすくなったという金利負担から私は見ているわけですが、銀行の立場からいうならば、いままで八割の保証だったのが九割保証になったから貸し出しやすくなったということは言えます。しかし今度は借りる立場からものを考えてみると、金利負担というものはそう減っていない。言うならば年に二百十九円減っただけだ、こういう認識に立つわけです。それでいいわけですね。もし違っておったら言ってください。それでよければいいと言ってください、次に進みますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/35
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036・澁谷直藏
○澁谷政府委員 確かに御指摘のとおりでございます。ただし、確かに御指摘のような問題を含んでいることは事実だと思いますが、ただ住宅あるいは宅地を取得するに際してどうしてもやはり金が必要なわけでございますから、その金を借りやすくするということがやはりこの住宅建設を進める上において大事なポイントだと私どもは考えておるわけであります。したがって今回の改正案におきまして、金融機関が従来よりも安心して貸しやすい、こういう条件をつくっておることは事実でございます。それから利用者の手数料あるいは金利負担といいますか、これの軽減が非常に少ないということは御指摘のとおりでございますが、ただいまお答えいたしましたように、私どもはこれで十分だと考えておりません。とりあえずこの改正案で実施をいたしてみまして、その実績を見た上でさらにさらにこれを漸進的に軽減の措置をやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/36
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037・勝澤芳雄
○勝澤委員 政務次官もこの百万分の三十と百万分の二十六のマジックがおわかりになったようでありますから、私はわかっていただけばいいわけであります。
ただ、金融機関として貸し出しがしやすくなったということは認めます。そこで私は、九十になったからといって貸し出しがしやすくなったという銀行の姿勢について、やはり住宅貸し付けをやる建設省の立場からこれを考えなければならぬと思うのです。住宅金融公庫というものは窓口を持っていないわけで、各金融機関に窓口を持っているわけですから、逆に言うならば保険をつけるような貸し出しをしない。金融機関については、住宅貸け付けという片方のワクの問題があるわけですね。ですからこれは両刃になているわけですよ。もっと住宅融資保険をかけるような貸し付け条件の悪いもの、こういう自力で建設をしたいという意欲がありながら金に困っている人たち、それをなかなか金融機関が保険を利用しない。それを積極的に利用させるような、逆に言うならば片方の住宅金融公庫の貸し付けでこれは調整できるのです。やろうと思えばいいか悪いかは別としてできるわけです。私はそういうことになると思う。ほかにみんな住宅金融公庫の代理店業務を扱っているわけです。ですから、いままでの姿勢から考えるならば、この保険というものはあまり所期以上の目的に従って自力建設というものを住宅建設の総ワクの中で果たしていないということを言うならば、これは金融機関の姿勢がこういう保険までつける金融についてはなかなか出しにくかったということが言えると思うのです。その姿勢をいまここでしっかり直さなければ、九割になったからといってやはり危険負担はあと一割分あるわけですから、それは住宅貸し付けという片方の問題がある。片方が保険という、だから両方の刃でもってこれはやはり保険を進めて、五十七億の予定をしたのに十四億しかなかったということを考えてみて、過去の実績から考えてみましても、たとえば三十五年のときには四十九億の計画で五億しかなかった。三十六年は五十一億でたった八億、三十七年は四十五億だという実績の状態から見てみれば、これは保険という法律をつくっただけであって、それを使って住宅貸し付けを促進しようとする態度は、いままで十年間何にも見られなかったということは、私は言っても極端ではないと思う。ですから、政府は自力建設のために保険制度までつくってやっているのだ……。制度だけつくったけれども、これを国民の中に積極的にPRし金融機関を指導する力が欠けておったということは私は言えると思うのです。今度はそれをやろうとして、いままで八割であったやつを九割にした。しかし掛け金は同じですよ。同じと言えばおこられるかもしれぬけれども、二百十九円下がったですよ。銀行のほうは十万円下げたけれども、片方は二百十九円ですぞ。しかしそれでも私は、やはり金融機関としては姿勢を直さぬ限り、この保険というものは進んでいかないと思うのです。
そこで、今度は次にじゃ八割がよかったか、九割がよかったか、もうちょっと考えてみればなぜそれじゃこれを八割、九割でなくて十割にできないかということです。十割にしたとしても、いまの住宅貸し付けの実績から言うならば、ちゃんと土地と建物を担保にとって六掛けか七掛けして、その上保険をかけているんじゃありませんか。長い将来に立ってみれば、いままでの十年間の実績で言うならば、たった二千七百十八万円です。二千七百十八万円というならば、それは八十を九十にしただけで、もっと政府が住宅建設を積極的に取り組むとするならば、九十を九十五、百に近づける数字が私は出てくるはずだと思うのです。(「逐次やるべきだ」と呼ぶ者あり)ですから、逐次やるべきだといま言っている方もありますけれども、私の言っているのは、十年前の法律をつくったときに、三十年の法律をつくったときの議論を、与党の人たちが言ったやつを私言っているだけであります。何も変わなない。十年前の議論をいまここで蒸し返して私言っているわけです。ですから、かりになぜ九割にしたのだ、九割の根拠は何か、九割の根拠を私は建設省の住宅局長に聞いても、たいへん申しわけない話ですけれども、あまり数字はわからない。おれは大蔵省と住宅金融公庫にええようにやられちゃって、まあしょうがないから向こうがそう言うからそうしようじゃないかということじゃないかという気がしてならない。ですから、私は九割をいまここで一段階経なくて、もうちょっと九割を十割に上げることによって住宅建設についての政府の姿勢が変わると思うのです。その点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/37
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038・澁谷直藏
○澁谷政府委員 確かに考え方といたしましては、一〇〇%保証する、てん補するという制度も十分これは考えられるわけでございますが、一〇〇%に引き上げれば、当然これはその手数料もふえることは、もう数理上当然でございます。一方において利用者の負担の軽減をはかりながら、同時にまたてん補率も引き上げたい。この両方の考え方を調整いたしまして、今回の改正案においてはとりあえず百分の九十にてん補率を引き上げよう、こういうことで落ちついたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/38
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039・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、今度は政務次官に経理のことを聞きますよ。経理のことを聞くと、政務次官わからないですよ。私は経理を見てみると、それを一〇〇%にすることが可能だと思うのですよ、私も数字を見て言っているのですから。これは住宅金融公庫なり大蔵省が答弁することであって、あなたがそれは九十でなければならぬと言う根拠というのは、そんなにしっかり持っていないと思うのですよ、たいへん失礼な言い方かもしれませんけれども。ですから私は、建設省が住宅を建てようという気になれば、大蔵省なり住宅金融公庫に国の政策として九十を九十五なり百にすることができると言っておるのです。できるのですよ。中の計算をひとつやっていきましょう。
次に、住宅融資保険基金というものは一体何のためにあるのですか。積み立ててあって利子をかせぐためにあるのか、何のためにあるのか、ひとつこの辺——いま四億、今度五億になったわけであります。基金の性格とは何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/39
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040・三橋信一
○三橋政府委員 基金は、損害をてん補するための基金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/40
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041・勝澤芳雄
○勝澤委員 損害をてん補するための基金が四億あった。それが、法律が三十年にできて十年間やってきたけれども四億そのまま残っておる。何も基金は取りくずしをされていない。そして今度はその基金を一億足して五億の基金になった。これは利子をかせいでおるだけだ。住宅金融公庫の金融状態をよくするためにあるだけだ。極端な言い方をするとおこられるかもしれぬけれども、実際の経理がそうなんですね。予算書を見てみるとそう書いてあるわけですから間違いないと思うのです。そうすると、基金がいま四億、それに融資保険の積み立て金がありますが、一体積み立て金は何のためにあるのか。四十年度決算で一億三千八百万、四十一年度の予定で一億六千万、こうあげてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/41
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042・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。
住宅金融公庫法に規定がございまして、住宅融資保険の勘定で利益が生じましたときはこれを住宅融資保険積み立て金に計上しておけ、そして今度損失が生じましたらその基金を取りくずして経理しろ、そういう規定がございます。したがいましてその規定から考えますと、基金というものは、住宅融資保険はかなり長い制度でございますから、毎年度におきましては利益を生じたりあるいは損失を生じたりする可能性がある。したがいまして、これは利益が生じたときに積み立てておきまして、損失が生じたときにはこれから取りくずして使う、そういう趣旨でできておるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/42
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043・勝澤芳雄
○勝澤委員 そのことは私もそのとおりだと思うのですよ。取りくずしをするために積み立てておる。しかし基金は保険金の支払いにあてるためにあるのだ。毎年の利益が上がってきていま一億六千万もある。四億基金があって一億六千万もとにかく十年間でもうけをした、もうかった。その上にまた一億基金を入れた。そしてまたことしも来年も計算からいけば大体もうかることになっている。そういうことになると、一体国でこの融資保険をやる意味というものはあるのですか。国としてこういう保険経理をやる意味というものがあるものか。何もないじゃありませんか。一般の会社と何も変わらないじゃありませんか。四億の出資金をもらって、そしてちゃんと採算がとれるように掛け金をとっておる。保証しておる。そして毎年の上がりは、毎年二千万ぐらいずつ上がり、利益があって、そいつが積み立てになっていまは一億六千万もある。四億の基金はそのまま積み立てて、それを今度は五億にもした。そして住宅五カ年計画をうたって二年度を迎えて、住宅建設を一挙にやろうやろうと言っておりながら、民間建設をふやそうとしていながら住宅融資保険では金もうけをしておるじゃありませんか。融資保険の積み立て金をとやかく取りくずすぐらいの貸し付けをやることが住宅が建たることですよ。そうじゃありませんか。それがもうかっておるというのはどういうことですか。もうかっておるということは、民間の一保険会社と住宅融資会社と何も変わりがないということになる。国の保険経理の考え方としては、国としてこういう保険をやる考え方の基本は、何か住宅の建設を促進しようとするのか、住宅建設の促進をするよりも住宅建設で貧乏な人がうちを建てるときに保険をかけさせて金もうけをするのがこの融資保険じゃないか、極端に言うとこうなるじゃありませんか。ほかにはないですよ。そうしてまいりますと一体掛け金は何のために徴収するのか。掛け金は何を根拠に徴収するのか。それから掛け金額の根拠というのは、一体百万分の三十なり百万分の二十六というのは、何を根拠に行なわれているのか、こういう点について御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/43
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044・澁谷直藏
○澁谷政府委員 御指摘のように、利益金が一億数千万計上されておる。しかも、基金は手つかずに残っておる。これでは国が政策としてやっておるその意味がないじゃないかという御指摘は、現状においては私はそのとおりだと思います。ただ、この制度本来のねらいとするところはそうではないのでございまして、できるだけこの制度を大ぜいの国民に利用していただいて、大ぜいの方が利用すれば当然そこに相当の危険が発生してくるわけであります。その危険が発生した場合には基金を取りくずして充当しようというのがこの制度のねらいであるわけでございますが、先ほど来の御指摘にもございましたように、遺憾ながら、この制度が発足して十年たっておりますけれども、現実にこの制度を利用される方が非常に少ないわけでございます。それからもう一つは、てん補率が従来八〇%であったということから、先ほども先生御指摘になったように、金融機関がこの制度の利用について積極的な姿勢に欠ける点があったということも私は事実だと思います。そういうことで、金融の貸し付け自体が非常に厳正な態度でやってきたのではないか。したがって、危険の発生が少なかった結果として利益金が計上されておる。これが現実だと思うのです。したがって、結論的に申し上げますと、制度のねらっておるところと現実の運営というものがマッチしておらぬ。ここにただいま御指摘のような点が出、結果が出てきておるわけであります。そこで、私どもはこの現状ではいけない。これを改善して制度本来の目的を達成するように、国民の多くの方がこれを利用できるように、金融機関もまた、あま安全第一主義ということだけではなしに、積極的な姿勢でこの制度をどんどん利用させるような努力をしていく、そういうことになってまいりますと、当然危険度も高まってくるわけでございます。そういうことになりますと、この利益が計上されるどころではなしに、逆に欠損が出てくるということも当然予想されるわけでございまして、そういう事態には、この基金を取りくずしてこれに充当していこう。利度本来のねらいとするところまでこの制度が現実に運営されておらぬ。そこで、制度本来の目的の方向に向かって大きく前進していこうというのが今回の改正のねらいであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/44
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045・勝澤芳雄
○勝澤委員 それは改正のねらいは違います。あなたの言っている改正のねらいとするならば、それはやはり百分の八十でなくて百分の九十に上げた程度ではだめです。これは十年間の実績が物語っているじゃありませんか。金融機関の態度というものが問題になっている。これは百分の九十なり百分の百にしなければ貸し出しが促進されないというのは明確なんですよ。それからまた掛け金の率の問題です。百万分の三十を百万分の二十六にした。掛け金は下がったとあなたは錯覚しておったけれども、説明を聞いたら二百十九円、私も聞いて錯覚しておって、どうもおかしい。掛け金が下がっておるじゃないかと思っておったところが下がっておらない。掛け金が最後に二百十九円だ。それじゃ下がったことにはならぬ。こういうふうに考えてみると、制度そのものについてはよかった、しかし現状が悪いということになれば、やはりそのてん補率を、九〇を一〇〇%に近づけるということは、やはり掛け金をもっと下げてやる、銀行も貸し出しよくなるし、一般の人も金利負担が少なくなるということを、両面やらなければいかぬわけです。もしあなたの言うことが是とするならば、これから十年間のこの保険経理の試算を一応してみていただきたいと私は思う。試算をしてみて、そうして基金が取りくずしになります、積み立て金が取りくずしになりますという計算をしてみてもらいたい。いまここで無理だとしても、これはことばでもいいです。農協を入れたあるいは漁協を入れたから、非常に危険ですから、あぶない貸し付けをしますから、これは取りはぐれになります、そういう答弁でもいいですけれども、しかし、それでも住宅資金というものは担保をしっかりとっているわけですから、担保をしっかり見ておれば、土地なり建物なり担保をとっているならば、そんなに危険負担は、ないと思うのです。いままでとそう変わらない危険負担になる。危険負担があるかないかということは、それはことばではなくて、それは住宅金融公庫でも、よその金融機関でも、これは実績として十分数字があるはずだと思う。これは大蔵省で見る見方、住宅金融公庫で見る見方ではなくて、建設省が住宅建設という立場から住宅建設の危険負担というものがどのくらいあるかということを精査する。住宅金融機関の言いなりに、大蔵省の言いなりに住宅建設を進めておったらいつまでたっても問題は解決しないと思う。これは私の意見ですからよく聞いておいていただいて、それから、それではなぜ掛け金が下がらないか。たとえば事務費の点を一つ取り上げてみる。事務費の詳細について計算を聞きました。この事務費を保険経理の中でそのまま住宅金融公庫が吹っかけているわけですから、民間の考え方と何にも変わりはない。国として融資保険をやる考え方というものが民間の保険経理の計算と何ら変わりのない計算をしている。その点、国として融資保険をやる特質がどこにあるのか。その特質があることによって民間の住宅の建設が促進されるのだ。その点をひとつ御説明していただきたい。国として融資保険をやっている。その現状から見て、これは一般ではできないことを国がやっているのだ、経理計算の中で。そのことが民間建設を促進しているのだ、こういう御説明をしていただきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/45
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046・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。
住宅融資保険につきましては、政府が無償で出資をいたしておりまして、普通の民間の保険会社がやる場合におきましては、基金に相当する部分につきましても、相当利潤がなくてはできないわけでございます。ところが国が出資いたしておりますので、その分は見なくてもいい、そういうような点がございます。
なお、御返事があと先になりましたが、住宅金融公庫が普通の金融機関、保険会社と同じような経理をしているという御指摘がございましたが、これにつきましては、住宅金融公庫法第二十六条の二に、保険の勘定を別に経理しろ、融資保険を住宅貸し付けと別に経理しろという規定がございまして、この規定からいたしまして、融資保険の収入、支出、収益、損失はそれぞれ独自として経理するということになっているわけでございます。したがいまして、この点は法律におきましても予想しているところでございまして、それは問題はないのではないかと考えております。
そこでまた前の問題に戻りますが、結局、政府がやっている意義はどうかということは、政府が基金を無償で出資して使わせるということと、それから政府が基金を出資しているということで保険の信用度が非常に高まって活用しやすくなる、そういうことが国がやっている意義かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/46
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047・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで、四億なり、今度は五億基金があるわけですから、それから積み立て金が一億から一億三千万、今度は一億六千万となるわけですね。この基金なり積み立て金の運用利回りは私は低過ぎると思うのですね。単独で運用利回りをした場合と、住宅金融公庫の中で運用利回りをした場合、住宅金融公庫の利回りは幾らですか。これと、かりに一般の利回りとして——一般の利回りといいますか、別の政府機関の利回りとして計算した場合、どういう差額が出てまいりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/47
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048・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。
現在、住宅金融公庫が住宅資金の貸し付けをいたしておりますが、これの平均の運用利回りは五分八厘でございます。それからこの基金のほうは、年四分七厘四毛で計算してございます。公庫の資金運用の経費は約一分でございます。したがいまして、公庫の利益と基金の利回りにはそうたいした違いはないというか、そのときどきの決算によりまして若干の端数は出ますので切ったり何かいたしますから多少違うことはありますが、大体そういうことでいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/48
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049・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、基金は年幾らに回っているのですか。基金なり積み立て金は利回りは幾らに計算されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/49
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050・岡本静雄
○岡本説明員 お答えいたします。基金は年四分七厘四毛、日歩一銭三厘でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/50
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051・勝澤芳雄
○勝澤委員 この問題はあまり長くなりますから、それでは大臣に最後に一つ伺います。
いま質問を聞いておったと思うのですけれども、今度の政正というものは、いままで百万円に対して八十万まで保証しておった。それを九十万まで保証するわけですね。それからその保証料はだれが払うかといったら、金融機関が払うのではなくして借りる個人が払っておったわけですね。それはいままで百万分の三十払っておったのを百万分の二十六に変えた。変えたけれども、掛け金は一年に、政務次官は大幅に減ったようなことを言っていましたけれども、実際には年に百万円で八千七百六十円の利子が八千五百四十一円で、二百十九円利子が減った。借りる人は百万円で二百十九円金利負担が減った。しかしいままで八十万まで保証しておったのを九十万円まで保証したということで、銀行は貸しよくなったことは事実だと思うのです。しかし貸しよくなったけれども、住宅というものから考えてみると、ちゃんと土地なり建物の保証をとっておるわけですね。それから、いままで十年間の実績を見てみますと、十年間の結果として、保険金を払ったものは回収を含めて二千七百十八万円だけだった。二千七百十八万円だけがいま未回収になっている。約百十五、六億、延べで貸してあるわけです。そうなりますね。そのうち返っていないのは二千七百十八万円、それが十一、二年間の実績なんです。こういうふうに考えてみると、民間の住宅を建設するという立場から言うと、金を借りられない人について積極的に金融機関として金を貸してやる、少しの保険料は出すということを考えてみれば、まず掛け金を下げる、金利負担を少なくする、これは政令できめることです。法律事項ではありませんで政令できめることですから、私は大臣に答弁を聞きたいのです。ですから、掛け金を下げることをまずやるべきだ。それと同時に付加率は九十万円までの保証でなくてもっと九十五万円なり百万円の保証をすべきだ。担保というのはしっかりとってあるじゃないか。この二つを考えに入れて——掛け金を下げるということと金融機関の負担をとにかくもう少し軽くしてやるということ、もう一つは、金融機関に対してもっと積極的に、融資保険の適用のあるものには少し危険度のあるような融資をやれるという指導をする。このことは行政的な措置で、片方で住宅の一般貸し付けをしているわけでありますから、そして融資保険という両刃を持っているわけだから、それでできるわけなんです。ですからそういうことをやるべきではないだろうか。そうしてなぜかというならば、基金が四億ある。その分を今度五億にふやした。なおかつ、いままで十年間の利益が一億六千万もあるというならば、五億の基金に一億六千万ですから、六億六千万という金がある。極端に言えば、これが五年間、十年間にパーになったって積極的に住宅建設を進めようとするならば、民間の自力建設というものは進むわけです。政府が一世帯一住宅というものをほんとうに考えて、ほんとうに住宅を一軒でも余分につくろうとするならば、この国会で私が質問をしたために五軒でも十軒でも住宅がふえたというだけで、私は国民に大きな利益だと思うのですよ。それにはどうしたらいいかというのは、この三つの、一つは掛け金を下げること。一つは付加率をもう少し上げてやる。銀行の危険負担を少なくしてやる。もう一つは、金融機関の姿勢を正して、あまり貸さないようなところについては、危険がないわけだからもっと積極的に貸すような指導をしてやること。しかし担保とかその他というのは金融常識に従ってしっかり立てておくべきだと思う。そこで私は、こういう問題については政令もまだこれからでしょうから、やはり前向きで検討して善処していただきたいと思う。なぜ私がこれを言うかと言いますと、この法律をつくったのは三十年です。三十年に法律をつくったときの建設委員会の議事録を見てみますと、与野党含めていろいろな議論が出ておるが、そうしてその当時竹山建設大臣は、私は年百分の三と法律できまっておるけれども、百分の二にしたいと思っております。そして実施は百分の二でやったわけです。しかし二よりも一にもしたいと思いますと竹山建設大臣は答弁しておる。ですから竹山さんのそのときの姿勢というのは、掛け金を百分の二を一まで下げてもとにかく積極的にやってやりたいという気持ちがあったわけでありますから、十年たってもまだそこまでいっていないということになれば、それでは恥ずかしい限りだと思うのです。
そこで大臣にひとつ見解を承りたい。十年前に百分の一といいますと、さっき計算をしてもらったわけでありますけれども、ひとつこれは研究なんということではなくていまやらなければ、政府は民間自力建設住宅を促進するということにならぬわけです。一世帯一住宅なんというのはそれはうそのことだ、かって気ままに民間は自分で銭を集めてやれなんということになるわけでありますから、ひとつそういう点でしっかりと答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/51
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052・西村英一
○西村国務大臣 私はこの法律案を提案するときにいろいろ住宅局から説明を聞いたのであります。ところがいま申しますように、資金を要した割りには実績が非常に悪いのですね。どうしてこんなに悪いのか。しかもそれになおかつ資金増をしよう、四十二年度は十億増して八十五億にしよう、こういうのですから、非常に疑問でもあったわけであります。しかし少なくともこの制度ができたゆえんは、私はその当時は知りませんけれども、政府は、住宅を建設するのにつきまして、金融公庫が直接貸しもいたしましょうが、また保険をつけて貸すというあらゆる方法をとって進めようとしたのであろうと思います。したがいまして、これはいまたとえばてん補率にいたしましても、勝澤さんはいきなりいまの経理を見てさっそく一〇〇%に飛び込めばいいじゃないか、こう申します。まさに建設省としてはそういうことでやはりてん補率を迫ったのでございますけれども、大蔵省といたしましての調整がなかなか——やはり一歩は進めまして、八十から九十になったのでございます。また掛け金の問題等もいままでの状態を聞きますと徐々に下がっているのです。一番初め四、五回ずっと下げていっていると思います。今回だけではないのです。徐々にやはり下がっておるわけです。したがいまして、現状をもって十分だというわけにはいきません。今後とも保険料のてん補率の引き上げ、保険料の引き下げ等については、やはり十分留意したいと思います。基金があるからずいぶんもうかっておるじゃないか、それも国家事業だからどんどん取りくずせ、こう言いますけれども、基金というものは、あらゆる事業の場合にでも、取りくずすという場合もありますけれども、そうむやみやたらにいつも取りこわすということでなく、きちんきちんと積んでいかなければなりませんから、それは程度の問題もございます。したがいまして、ここでやはり基金もふやしてくれたのでございますから、将来に向かって力がついたということになるのではなかろうかと思っております。いずれにいたしましても、この制度のPRをもう少しやらないと、いまのような実績では、どうも金がありながらうまくいかないということでございまするから、せっかくの御意見もいろいろ含めまして、私もこのほうはあまり詳しくありませんが、政令等をきめる場合にはただいまの御趣旨に沿うて、十分利用者の便をはかりたい、かようなことをお約束申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/52
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053・勝澤芳雄
○勝澤委員 私の言っておるのは、建設大臣のような気持ちで言っているのですよ。あなたの答弁は大蔵大臣の答弁ですよ。それでは大臣、住宅建設が進まないのです。ですから私は経理を計算してみたわけです。日歩を百万分の一下げるにはどうしたらいいか、百万分の二下げるにはどうしたらいいか、計算したら計算が成り立つのですよ。その下げること、あるいはてん補率、付加率を、百分の九十を九十五なり百にすることによってどうなるかということを考えてみると、それは大蔵省の言っているようにはならぬです。住宅金融公庫のやっているようにはならないのです。かりに極端な例を言って一〇〇%見ますといっても、金融機関が無限にどんどん金を貸すかというとそうではない。必ず土地なり、あるいは建物なり、その評価を六割なりあるいは七割しか見てないわけでありますから、長い将来かかってくれば返ってくることは間違いないわけです。ですから、そういうふうに考えていけば、それは大臣、あまり財源がどうとかこうとかいうことではなくて、いまの日本の政治というものは大蔵大臣があって、あとの大臣はその下にあるような気がするわけです。あと道路問題で質問をしますけれども、七兆六千億の計画になっておるわけでありますから、大蔵省は道路、住宅のことはわかっていない。そういうところがものをきめておるのだから、大問題だと思うのですよ。そういう点で特に大臣にも政務次官にも住宅局長にも、大蔵省の言いなりになっちゃだめだ、住宅金融公庫の言いなりになっちゃだめだ。計算してみればもっと下がるではないか、それが下がるか下がらないかが、建設省としての住宅計画ができるかできないかということです。極端に言いますと、いまのこの融資保険の考え方では、これは大蔵省の住宅政策であって、建設省の住宅政策じゃないのです。掛け金が何も変わっていないのですよ。何もこれでよくなるということはないわけですから……。まあ一年か二年、私のほうは十年間の実績がありますから、実績を見るまでもなくわかっていますが、皆さんのほうは見なくてはいかぬ。ひとつ大蔵省の建設省でなくて、建設省の立場でやっていただきたいと思います。
そのくらいで、あと住宅政策その他は別の機会にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/53
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054・西村英一
○西村国務大臣 勝澤さん、それだけ言いますと私もちょっと言いたいのです。てん補率も八十であったのが、これは現在のてん補率の最高まで引き上げたのです。これからも努力すると言っておるのです。だから、大蔵大臣の立場でなく、私は家を建てればいいのだから、だから十分計算はいたします。あなたのようにとことんまで計算はいたしませんでしたが、せっかく御協力賜わりまして、住宅の建設に努力したい、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/54
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055・森下國雄
○森下委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/55
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056・森下國雄
○森下委員長 速記を始めてください。
岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/56
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057・岡本隆一
○岡本(隆)委員 ただいま勝澤君の質問によりまして明らかになったことでございますが、この法律案の改正というのは一応てん補率を上げることによって融資の安全性を高め、それによって住宅融資を促進しようという考え方に立つものでありますが、しかしながら保険料の引き下げが、百万分の三十から百万分の二十六に料率は下がっておりますけれども、しかし実質的にはてん補率が上がったことによって引き下げにはほとんどなっておらない。しかしながら一面、これはこういうふうな保険を金融機関のほうでつけなければならぬという債務者が、住宅は建てたいがしかしながらどうも資力の点で銀行からも信用がない。そういう人であればあるほどやはり利率が高ければよけい苦しいのです。だからその利息の上に保険料がかぶさるわけでありますから、その料率を下げてやるということも、今度は銀行は一応安全性が高まることによって貸しやすくなる。しかしながら一方では、料率を下げてやることによってまた家を建てようとする者も借りやすくなる、家が建てやすくなるということでございますから、これは住宅建設の促進のためには両面の改正をやらなければいかぬと思います。したがいまして、ひとつこの際、せっかく百万分の三十から二十六まで下げられるのでございますが、これをもう一歩引き下げることによりまして、融資を受けようとする者の立場も十分配慮するよう、政府がこの法律を施行されるときにそういう政令改正の際に、そういう措置を講じていただきたいと思うのでございますが、この際大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/57
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058・西村英一
○西村国務大臣 最も建設省といたしましては重大な事項であります住宅の問題でございますので、ただいま皆さま方から強い御要望もありますし、また私もそう思いますから、極力努力をいたしたい、かように思う次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/58
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059・岡本隆一
○岡本(隆)委員 これは、ただいま理事会を開いて附帯決議をつけたいというわれわれの要望にかえて大臣の言明をしていただくという与野党の理事間の申し合わせに基づくものでございますから、十分このただいまの御言明は附帯決議にかわるものというふうな御理解の上で善処していただくよう、特にその点強く御要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/59
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060・森下國雄
○森下委員長 これや本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/60
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061・森下國雄
○森下委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/61
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062・森下國雄
○森下委員長 これより討論に入る順序でありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
住宅融資保険法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/62
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063・森下國雄
○森下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
おはかりいたします。
ただいま可決されました本案に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/63
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064・森下國雄
○森下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決します。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/64
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065・森下國雄
○森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くことといたし、これにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X00719670512/65
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