1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十八日(水曜日)
午後零時十五分開議
出席委員
委員長 森下 國雄君
理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君
理事 砂原 格君 理事 丹羽喬四郎君
理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君
理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君
天野 光晴君 伊藤宗一郎君
池田 清志君 吉川 久衛君
田村 良平君 高橋 英吉君
谷垣 專一君 森山 欽司君
早稻田柳右エ門君 渡辺 栄一君
阿部 昭吾君 井上 普方君
勝澤 芳雄君 工藤 良平君
佐野 憲治君 内海 清君
小川新一郎君 北側 義一君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
建 設 大 臣 西村 英一君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省国有財産
局長 松永 勇君
建設政務次官 澁谷 直藏君
建設大臣官房長 鶴海良一郎君
建設省計画局長 志村 清一君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
会計検査院事務
総局第一局長 斎藤 実君
専 門 員 熊本 政晴君
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本日の会議に付した案件
土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六一号)
土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内
閣提出第六二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/0
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001・森下國雄
○森下委員長 これより会議を開きます。
土地収用法の一部を改正する法律案、土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。北側義一君。
〔委員長退席、廣瀬(正)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/1
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002・北側義一
○北側委員 先般に引き続きまして、同改正案について若干の質問をさせていただきます。
同改正案は、近年の地価の高騰の実情から総合的な地価対策の一環として国民大衆の願いとするところの住宅用地、また道路、河川、鉄道その他の公共事業のための用地取得制度の改善のための措置であろう、このように私は思うわけですが、同改正案の状況を見ますと、補償額の算定される時期が、裁定時をさかのぼって事業認定時、このようになっておるわけです。この面につきましては先般も質問いたしましたとおり、裁決時でも正当なる補償、認定時でも正当なる補償、このような憲法の正当な補償、この問題につきましては認定時と裁定時いずれも同じような趣旨で扱われておるわけでありますが、起業地におきますところの用地を買収されるいわゆる用地所有者にとりましては、財産権侵害のおそれもないか、このような疑問もわいてくるわけであります。そのような改正案が出されておるある一面におきましては、公共用地を数千坪数年間無断で使用され、また不法活用されておる、このような実態が出てきたわけでございます。国民の希望と信頼を裏切るようなことが起こっておりますが、大臣はこのことについて聞いておられる、このように聞きましたが、どのような感じ方をなさっておられるか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/2
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003・西村英一
○西村国務大臣 公共用地が無断で使用されておるということは、きょうちょっと事務当局から聞きまして、あなたのおっしゃるところは例の大阪付近の富田林市のことであろうかと思われます。この問題につきましては、そういうこともありましたので、大体は大阪府に建設省としては全部委託しておるのでございます。大阪府といたしましては、すでに国の責任のある土地につきましては用途廃止の手続をしまして、——手続をしますと、結局今度は大蔵省のほんとうの意味の国有地になるわけであります。手続だけをいま済ましたところでございます。そういうようなことがあってはならないので、この事務につきましては急に進めておるわけでございます。なお詳しいことは事務当局から説明させてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/3
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004・北側義一
○北側委員 私は、同改案、これが国民大衆の要望のあるところの空地や安い土地、このようなものを与える方向にいくならば当然賛成であります。公共事業の推進、またその推進のために安い土地を買う、そのための土地収用法の一部を改正する法律、このように一方でやっておいて、ある一面ではいまお話ししましたとおり何千坪というような公共用地が数年間無断で使われておる。全くこれは逆の面が出てきておるのではなかろうか、このように私は思うわけなんです。現にただいま大臣は、用途廃止の手続を行なったとおっしゃっておられますが、一体いつ行なわれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/4
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005・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 お尋ねの点でありますが、用途廃止の手続を行ないましたのはことしの六月二十四日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/5
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006・北側義一
○北側委員 六月二十四日といいますと、きょうは六月二十八日でありますので四日前であります。私がこのことを調査し出しましたのは約半月前からであります。ということは、私の調査の動きを見て、それから手続をとったと思われてもいたし方がない、このように私は思うのであります。また、このために、会計検査院から六月の十二日に国有財産検査課の課長さんと安部さんという方が現地へ行っておられるわけです。その状況を少し聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/6
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007・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 用途廃止の手続を行ないますために、これは道路法による道路というふうに、はっきりした公物管理体系のない昔ながらの里道でございまして、官民境界の確定という仕事に非常に長い時間かかったわけでございます。昭和三十七年から官民境界の確定を進めまして、三十八年の六月までかかっております。ところが官民境界の確定ができましたあとも、問題の敷地の一部にまだばらばらに民有地が残っておる。民有地が残っておりますと、それに通じます里道は、そこへ通う人がございますから存続しなければならぬ。そういう問題がございまして、どの範囲で用途廃止すべきかということで非常に時間がかかったわけでございます。手続が非常におくれまして、つい最近、一部につきまして用途廃止をいたしたわけでございますが、急に用途廃止をしたということではなくて、前々から手続をしながら、むしろ非常におくれて用途廃止をしたという経緯でございます。その間、検査院の方も見えておられますが、一般に道路法であるとか河川法であるとか、そういったはっきりした公物管理の法律のない昔ながらの細い道あるいは細い水路等の管理につきましては、建設省といたしましては都道府県知事に仕事を委託して、知事が管理をいたしておるようなわけでございますけれども、非常に人手が足りないとか件数が多いということで、不十分な面が多々あろうかと思います。逐次改善をはかってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/7
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008・北側義一
○北側委員 会計検査院の斎藤第一局長もお見えになっておると思うのですが、ひとつ、現地へ調査に行かれた実情をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/8
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009・斎藤実
○斎藤会計検査院説明員 ただいまのお話、富田林の件につきましては、私の局で国有財産検査課長ともう一人、この二人で十二、十三、十四日と三日間にわたって検査をいたしたわけでございます。まだ何ぶんにも今月のことでございますので、帰ってまいりましてから報告を受けておりませんし、申報書もまだ出ておらないような状況でございますので、具体的な事態につきまして御指示をいただければ、説明を聴取いたして、御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/9
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010・北側義一
○北側委員 行かれた課長さん、安部さん、これらの方は大体の坪数、またどのようになっておるかということは目で見てこられたわけです。その上司の局長さんがここへ出席なさるというからには幾ぶんか聞いてこられたのじゃないかと思うわけです。ただ時間がなかったからまだ報告を受けてない、これでは私は委員会に出席なさるのに非常にまずいのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/10
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011・斎藤実
○斎藤会計検査院説明員 ただいま課長は研修に行っておりまして、課長からは直接聞いておりませんが、昨日の夜私のところに電話がかかってまいりまして、きょう委員会に出ろということでございましたので、けさほどちょっと聞いただけでございますが、約一万五千平米ぐらいの里道、畦畔がPL教団に使用されておるということを聞いたわけでございます。それについてどういった処置をとるべきか、照会を出して注意すべきかどうかということにつきましては、まだ何も会議を開いておりませんし、けさほど聞いただけでございますから、はっきりお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/11
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012・北側義一
○北側委員 約一万五千平米、そうしますと約四千坪ですね。そのようにPL教団によって里道、水路が取りつぶされて、そしてさくがされておる。その中にはゴルフ場もあるわけです。これは相当大きなゴルフ場であります。国有財産法の「処分等の制限」というところを見ますと、「行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができない。」とあって、三項に「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。」このようにあるわけです。これは大臣どのような見解になっておられるのでしょうか。これといまの関係の見解ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/12
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013・西村英一
○西村国務大臣 それは大阪府とその教団とがいま交渉をして、そういう土地は用途廃止をすれば国有地になりますが、国有地といっても里道のことですから、ばらばらに国有地を持っておってもしようがありませんから、教団のほうと交渉がまとまって、教団と土地を交換して、国有地がある面積になれば、それは国有地として保管し、また国有地として用途がなければ他に払い下げるとかいうふうにしなければならぬとは思っておるのです。ただ、さいぜんも官房長が言いましたように、非常におくれておることは事実でございます。しかしあれを見ますと、どういうことで行なわれたか知りませんが、まだ人家も残っておるというのです。売っていない民有地があるわけですから、民有地に対して道をつぶすわけにはいかないわけです。非常に複雑でございます。しかし私のほうといたしましては、これは大阪府を督励いたしまして早く手続をやって、国の管理に所属することになりましたならば、一日も早く交換の手続をとりながら整理の方法を講じたい。かりそめにも寸土といえどもそれを私有に帰してはならない、かように思っております。また、いま会計検査院も調べに行ったと申しますから、もう少し詳しいこともわかると思いますが、私のほうもこれは力を入れて整理のほうにかかりたい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/13
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014・小川新一郎
○小川(新)委員 関連。いまお聞きしたところによりますと、会計検査院が出ていったというのは、何かそこに不正な事実というものをお感じになられて出られたと思うのですが、その点についてまずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/14
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015・斎藤実
○斎藤会計検査院説明員 大阪に参りましたのは、決してそういった具体的な問題について不正があったから参ったということではございません。私のほうでは実は昨年から行政財産につきまして、用途廃止を本来すべきであるのに、行政上の目的に使っていないのに用途廃止をしないで不正使用されておるものがあるというようなうわさも聞いたりしております。本来私の局では、大蔵大臣の直接所管に属しております普通財産しか検査をいたしておらないわけであります。行政財産につきましては、たとえば建設省所管であれば建設検査課、局でいいますと第三局、農林省所管でございますと第四局が所管しておりまして、それぞれの局、課でもってその行政の財産を見ておるわけなんです。しかし総括大臣としての大蔵大臣ということになりますと、行政財産も全部総括大臣としての大蔵大臣が総括的には見ておられることになりますので、そういった立場から、本来なら用途廃止をすべき手続をして、普通財産にしておくべきもの、そして売却すべきものなら売却すべきでございましょうし、不法占拠されておるようなものは排除しなければならぬ、そういうような状態もございましょうから、一体行政財産がどうなっておるかということを見ようということで、昨年から検査を始めたわけでございます。
この行政財産につきましては、こういった道路法であるとか、河川法であるとか、あるいは海岸法によって規定された財産もございますが、そうでなくて、いわゆる法定外公共用財産といっておりますが、たとえば山の奥の河川敷であるとか、あるいは畦畔とかいったようなものについて一体どういうぐあいにしたらいいのか、こういうようなこと、日本全国あらゆるところにあるものについて、たいへんなお金もかかる、それから人間も必要だというものを、しかもその価値はまことに少ないというものを、お金をかけて全部調べるべきかどうかというようなこともこれは考えなければならぬ。
〔廣瀬(正)委員長代理退席、委員長着席〕
いずれにしてもそういった財産についてどういった方向に国として向いていったらいいかという足がかりをつかまえようじゃないかという考え方で、実は去年から始めまして、去年は七都県について検査をいたしまして、引き続きことしもまた検査を続行しておるという事態でございまして、特定の目的を持ってやっておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/15
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016・小川新一郎
○小川(新)委員 いま会計検査院のほうからも、そういったうわさを聞いておる、地元ではそういうことが評判になっておる——そういうことは建設省当局のほうでは察知しておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/16
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017・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 法定外の公共用財産につきまして、管理が非常に不十分であるということはわれわれも前々から察知いたしておったわけであります。ただ問題の富田林の事件につきまして、そういううわさがあったということは聞いておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/17
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018・斎藤実
○斎藤会計検査院説明員 うわさを聞いておると申しますのは、富田林の問題についてではなくて、そういった廃川敷でございますとか廃道について、不正使用されておるとか不法占拠されておるというような事態があるようだということを聞いておるということの意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/18
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019・小川新一郎
○小川(新)委員 六月二十四日にやったということはそういううわさがあったので早急に何か手続上のことをやったということじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/19
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020・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、昭和三十七年ごろ調査をやりまして、境界の確定も行なって逐次手続を進めたわけでございまして、それが非常におくれてつい最近供用廃止の手続をとったわけでございますから、うわさが出たから急にあわてて処置したというふうなものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/20
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021・北側義一
○北側委員 国有財産法の十四条の七号にはこのようにあります。国有財産を国以外の者に使用させまたは収益させようとするとき、このときは十四条の一項に「左に掲げる場合においては、当該国有財産を所管する各省各庁の長は、大蔵大臣に協議しなければならない。」このようにあるわけです。それが結局なされておったかどうかということですね。国有財産局長の松永さんはこのことについてお聞きになっておったかどうか、それをひとつ知りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/21
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022・松永勇
○松永(勇)政府委員 本件につきましては、けさほど先生からお話があって、私どもいままでは存じませんでしたので、大阪の財務局のほうに至急照会いたしまして、いままだ調査中のところでございますが、いままで調べた限りにおきましては、本件については財務局は事情をよく知らなかったということが実情のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/22
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023・北側義一
○北側委員 これは大蔵省に対して毎会計年度会計報告がなされるようになっておる、このように私は思うのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/23
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024・松永勇
○松永(勇)政府委員 私のほうで国会に提出いたします国有財産の現在額報告書というものを、全省庁のものを取りまとめておりますが、その際に無償貸し付けをいたしましたものにつきましては無償貸し付けということで報告が参るわけでございます。本件につきましては、それがその中に報告になっているかどうか、ちょっと正確につかんでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/24
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025・北側義一
○北側委員 毎会計年度そのような国有財産は全部報告をとる、このようにいまお話しになっておられるわけですが、そうしますと、このPL教団がここを整地し開墾し出しましたのは昭和三十二年ごろから大体三十五年。三十六年には練成会館というりっぱな建物が建っております。また三十年当時には青年道場というようなりっぱな大きな建物が建っております。また宝生病院ですか、そういう病院も建っておるわけです。そうしますと、すでにそのときから里道、水路、そのようなものが逐次されておった、不正使用されておった、このように見ても私は間違いないのではないか、そのように思うのです。その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/25
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026・西村英一
○西村国務大臣 事務当局の話によりますと、二十八年から三十八年の間において教団が民有地を買収した、したがいまして、その間にいろいろ、道路法に基づかない、その資格のない道、里道があり、また道路法に基づく道もあったと思うのであります。したがいまして、いまから申しますと、その所管であります大阪府と教団との間の話し合いがどう行なわれておったのか、なかなか教団が話を進めようとしていなかったのかあるいは大阪府も怠慢であったのかもしれませんが、現在におきましては、大阪府もこれに対して非常な関心を示してやっておるようだし、教団もその話し合いには応ずるというような態度を示しておるのでございます。したがいまして、用途廃止になりますれば、それははっきり国有財産にもなりますから、今後は非常にスムーズに進捗していくのじゃないかと思います。ただしまだ買収しない民有地等もありますから、どこまで道を廃止するかというようなことは、現地でその関係当局はよく話し合わなければならぬと思っております。教団が悪意を持っていろいろやるのだったら、これはまた別な方策をもって臨まなければなりませんけれども、教団が話し合いに応ずる、こういっておりますから、私たち監督官庁といたしましても、現地を督励してこれを整理したい、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/26
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027・北側義一
○北側委員 私は教団が話し合いに応ずるのは当然であろうと思います。すでにもう十年近く土地を買収して、そうして里道、水路をつぶして話し合いに応じないようなばかなことは、これは常識で考えたらできないわけです。
それからまた、民有地がある、このように言われますが、私の調べたところによりますと、その民有地というのはごくわずかです。あの大きな七万坪からある中でほんのわずかが民有地で残っているだけです。あとはほとんどPLの敷地になっています。昭和三十七年申請が出た、また境界の確定が三十八年、このようにおっしゃっておられましたが、三十八年境界決定してからすでにもう四年たっておるわけです。そのようなものであるならば四年間何をやっておったのかということを私は言いたいわけなんです。またいままでそのように整地して使用されておった里道、水路はやはりざっと一万五千平米、四千坪、これのいままでの使用料、このようなものは一体どうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/27
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028・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 里道のうち廃止できるものと廃止できないものがあることは先ほどお話しになったとおりでありますが、どの範囲で廃止すべきかというのは、PL教団の買収進捗とあわせまして検討しなければならぬ事項であったわけでございます。といいますのは、その区域全体が買収されまして一団の土地になりますれば、その中の里道は将来用がないわけでございますから全部廃道にできるわけであります。そういう関係で買収の進捗等とも一にらみ合わせまして、廃止できるもの、廃止できないものというのをきめる作業に非常に手間どったというのが実情でございしまて、現在、この区域の中に里道が一万三千五百三十四平方メートルございますが、そのうち一万二千四百二十三平方メートルにつきましては廃止いたしました。残りはその区域の中に介在いたしております従来からの買い付け民地ということで、引き続き国有財産として管理いたすということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/28
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029・北側義一
○北側委員 これは順序が逆になっておるのですね。まずその用途の廃止手続を行なって、それから買収するなら買収して、整地して、ゴルフ場なり何なり建てるのが当然であるわけです。用途廃止の手続も一行なわず、そのままもうすでに一部はゴルフ場、全部敷地内でさくがしてある。これでは完全な不法占拠だと私は思うのです。順序が逆になっていると思うのですね。これはもう幾らここで私がお話し申し上げても明らかになったことはいたし方ありませんが、すみやかにこのことはやっていただきたいと思うのです。
これといま一つお聞きしたいことは、けさほど大蔵省国有財産課のほうに私お話し申し上げたのですが、富田林の新堂の二千百七十二番の二、ここに五畝三歩、また二千百七十四番の二は二畝二十二歩、また二千百七十五番の二は三畝二十一歩、二千十四番の二には三畝二十五歩、私、法務局に行って調べますと、このようにずっと国有財産として残っておるわけです。これを地図の上で私記入してみますと、このように国有地がこま切れの用地になっているわけです。登記上では財産として残っているわけです。この財産につきまして現在どのようになっておるか、それをちょっとお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/29
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030・松永勇
○松永(勇)政府委員 ただいまのお話をけさ承りまして、地域の財務局と電話で一応応答したわけでございます。ちょっと正確にわかりかねるのでございますが、いま先生が御指摘になった土地は昭和七年に内務省名義の登記になっております。大蔵省としてはこの財産はまだ管理いたしておりません。けさ調べたところによりますと、どうもこの土地は昭和七年にこの地区に道路を建設する際に旧内務省で一括購入したものではないかと思われます。もと道路の敷地あるいは道路の敷設に関連して買収したというふうに考えられるわけです。現在はその道路を他につけかえが行なわれています。したがって、旧道路敷になる土地ではまだ建設省が所管をしておる。この道路が廃止された場合には、この道路の敷地をどう処理するか。これは道路法九十四条の一項によって処理が行なわれることではないか、こういうふうに思われるのでございますが、何ぶんにもけさ聞きまして電話で確かめたので、正確にそのとおりであるかどうかということはまだ確認はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/30
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031・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ただいまの松永局長の答弁に若干つけ加えておきたいと思います。
ただいま先生が御指摘になりました地番の土地が全部もとの道路敷であるかどうか確認しておりませんが、あの土地におきまして、大阪府道の堺−富田林線というのが拡幅になった際に国有地になったのだろうと思います。この大阪府道堺−富田林線につきましては、昭和三十六年に、問題のゴルフ場等の建設に伴いましてつけかえを行なっております。その際に道路法上の交換手続が終わっておりまして、土地が国有地で登記されておりますけれども、実際は国のほうではなくて新しい道路のほうに国の土地がいっておるわけであります。ただ登記法上の手続がおくれておるというのは事実でありますが、相当部分は登記の手続は終わっておるのでありますけれども、新しい道路敷地になりましたところの民有地の相続関係等がありまして、交換の登記がまだ終わってないというのが数筆残っておるというふうに聞いております。したがいまして、登記の手続はおくれておりますけれども、国有地として登記されておるその土地につきまして、もはや国が所有権を持っておるという状態ではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/31
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032・北側義一
○北側委員 道路を交換した、このようにおっしゃっておるわけですが、その交換するについては、これは当然建設省の行政財産だろうと思うのです。または一度これは大蔵省に戻して、そしてPL教団と交換すべきだと思うのです。そのように法律ではなっておるのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/32
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033・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この点につきましては道路法の九十二条四項に特別の規定がありまして、道路管理者におきまして関係当事者の同意を得た上で交換ができる、もちろん差額等ございますれば金銭調整の問題が起こりますが、交換ができるように規定されておりまして、その規定によりましてすでに三十六年に交換が終わっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/33
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034・北側義一
○北側委員 三十六年に交換が終わっておりまして、私が一週間ほど前に調べに行ったときにはいまだに国有地になっておる。これではだれが見ても、もう六年になっておるわけですから、国有地であると思うのは当然だろうと思います。またその上には車庫も警備室も全部建っております。また一部はPL教団の野球場にもひっかかっております。また大きな私道の中にも入っております。現在かようになっておるわけです。かようなこま切れの土地が昭和七年に道路として購入されたというのはどうも納得できないわけですね。これは法務局の完全無欠なものを私はそのまま写してきたのです。道路敷にするようなあれではない。しかもそれが交換されて登記が終わっておらない。このような実情を見ますと、PL教団がなぜそのような登記をなさないのか、これはわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/34
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035・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 登記手続が非常におくれておりますことは遺憾でございます。ただ、新しい道路敷地につきましては、そのもとの所有者の相続関係等が複雑な例がございまして、登記がおくれているという報告を地元から受けております。こういうことはほうっておくことはいいことではございませんので、登記手続の促進につとめたいと思います。
なお、登記がおくれておりますけれども、所有権は変わっておるわけでございまして、ただ登記ができないために第三者に対抗できないという問題はあろうかと思いますけれども、国有地と書いてありますけれども、もうすでに国有地ではないということになっておりますので、新たに取得した者がその目的に使うなりその他に使うなり、これは自由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/35
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036・北側義一
○北側委員 この問題につきましても、私はこのように思うのです。と申しますのは、富田林−堺線、あそこはそう交通がひんぱんな場所ではないわけです。ところが、昔の府道というのは幅員が非常に狭くて——狭いといいましても、交差するような幅員は十分あるのですが、今度の分はずいぶんと広い場所をとってなされておるわけです。これはもう当然府のほうがこの工事はやったと思うのですが、そこらの問題についても、これは疑問を抱けば抱けるような状況ではないか、私はこのように思うわけです。
いずれにいたしましても、そのような問題が、この土地収用法の一部を改正する法律案、これを見ますと、当然土地所有者にとっては開発利益というものが周辺部にあってもいままでに比べると非常に少ないわけです。少ないというよりもむしろ、事業認定時から裁決時まで平均約三百日、このように聞いておりますが、その問うんと開発利益が出てくるわけです。その当時に比べますと、土地を収用される人にとっては幾ぶんか不利になってくるわけです。ところが、ある一面では、そのような公共用地がずさんなことが行なわれておる。これでは私は相ならないと思うのです。私はあくまでもそのような問題につきましては、公共用地、これはもういままで国有財産の問題についてはたびたびいろいろな事件が起こってきているわけですから、特にその管理をなさる方は、私はがっちりと管理をしていただきたいと思うのです。国民大衆はわずか五坪か十坪の土地を買うのに汗水をたらして、そうして食いたいものも食わないでそういう土地を買っておるわけです。いわゆる公共用財産はそのようにずさんな管理をされておる。一方では、公共事業の推進のために土地収用法の改正案が出てきておる。全く私は矛盾しているんじゃないかと思うのです。この問題につきまして、一体これは府が責任があるんですか、それとも、どこが責任をとるんですか、一体こういう責任は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/36
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037・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 府道管理につきましてはもちろん府でございます。なお、里道等の法定外の公共用財産につきましては、これは国の財産ということになっておりまして、その管理は都道府県知事に委任いたしておるわけでございますが、国有財産の管理の一端としてやっておるわけでございますから、これは国の責任だと思います。しかしながら、この公共用財産のうち法定外のものにつきましては、それは種々雑多なものがございますし、非常に件数も多いわけでございまして、現実の問題といたしまして、都道府県の現在の体制をもってして十分な管理ができる状況にないということは十分認識しておりまして、検査院におきましても、その問題をどう処理するかということを研究しておられますし、建設省におきましても、調査費をつけて実態調査をいたしました上で、将来立法が必要でありますれば立法もしていきたいということで、管理の強化をはかってまいりたいと思っております。さような考えでつとめてまいりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/37
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038・北側義一
○北側委員 では、最後に、公明党のほうは、御存じのとおり、住宅難の解消のために公共用地を利用しなさい、このように私たちは言っておるわけでありますが、いま官房長が言われましたとおり、国有財産、この問題につきましては、各所管によってもこれはもうずいぶんばらばらになっておるわけです。そういうあれをできるならば台帳だけでもはっきりとつかんで、そうしてその土地利用計画、これを完全に私は行なっていただきたい、このように思うわけです。
どうかひとつ、きょうはいろいろ質問いたしましたが、この点につきましてあくまでもこれは私は、建設省及び大阪府、これは知らなかった。知らなかったからおくれたのか。この問題につきまして、いずれにしても、これはもう土地の不正使用です。ゴルフ場というものは、これは金もうけになるのですから、こういう問題をしっかりとひとつ管理をしていただきたい、このように要望しまして、私の質問は終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/38
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039・森下國雄
○森下委員長 関連質問を許します。小川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/39
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040・小川新一郎
○小川(新)委員 いままでの話は要約は出たのですが、これはPL教団の不当占拠と認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/40
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041・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 この問題は、これは私のほうで調べました範囲におきましては、手続は先ほども御指摘ありましたように逆になっております。供用廃止をいたしましてからゴルフ場にするなり何なりに使うということがもう当然のことでございますから、手続が逆でございます。そういう面におきまして正当ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/41
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042・小川新一郎
○小川(新)委員 そうすると、重ねて申し上げますが、不当占拠であるとして処置していくわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/42
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043・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 違法な状態にあるわけでございますから、これを正当な状態に戻す必要があるわけでございます。したがいまして、供用廃止いたしました上で大蔵省に引き継ぎまして、それを教団に売るなりしなければならぬと思うわけでございますが、現在建設省といたしまして大蔵省に引き継ぐというところまで進めつつあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/43
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044・北側義一
○北側委員 ちょっと……。先ほどの登記の面で、三十六年に交換した、このように言っておられますが、法務局にいま問い合わせしていたださましたら、一ぺんもその登記のことではPL教団は来ていないらしいのですよ。これはいかんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/44
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045・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 府道の交換の問題につきましてただいま御指摘がございましたけれども、府から聞きました話によりますと、相手方の新しい道路敷のほうの相続関係等でまだ登記はできないという報告でございますが、ただいま伺いました範囲ではPL教団は何もしていないというお話でございましたので、十分調査いたしまして登記の手続の促進につとめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/45
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046・北側義一
○北側委員 この問題につきましてはいまこれで終わりましたが、私はもう一ぺん深く調べます。その後においてこの問題についてもこの次の機会に質問させていただきますから、そのようにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/46
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047・森下國雄
○森下委員長 関連質問を小川君に許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/47
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048・小川新一郎
○小川(新)委員 そうすると、その土地は不法建築になるのですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/48
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049・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 交換を済ませたものにつきましては、登記面は国でありましても、所有権は向こうへ移っているわけでございますから、それで直ちに不法建築にはならぬと思います。それは手続を一刻も早く急ぐということにつきまして努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/49
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050・森下國雄
○森下委員長 この際、午後四時十分再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
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午後四時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/50
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051・森下國雄
○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/51
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052・岡本隆一
○岡本(隆)委員 きょう総理にお出まし願いましたのは、御承知のとおり、土地収用法は地価問題と非常に関係の深い法律案でございます。同時にまた、地価が暴騰いたしておりますのは、国民の住生活を脅かすだけでなしに、国民経済全般に非常な影響を及ぼしておりますので、昭和三十九年に、衆議院では地価安定施策の強化に関する決議をいたしました。
それは、土地収用法によって土地の収用権を強化することは公共の福祉のために必要なものであればよろしい。しかしながら収用された隣地がどんどん上がっていくようでは、収用された者はばかを見るだけではないか。同時にまた収用権を強化するというふうなことの前には、収用権を強化することによって公共用地の取得を安上がりにしようというふうなことの前には、国民全体が住宅地とかその他の用地を取得するのに必要な地価をもっと押える手段を講ずべきではないか。こういうところから土地収用法の採決の前に、地価安定施策の強化の決議をやるのでなければ採決には応じられない、こういうことを社会党の私どもが強く主張いたしました結果、地価安定施策の強化に関する決議ができたわけです。
その後四十一年、昨年までの間政府はあまり目ぼしい地価安定施策というものを国会に出してまいりませんでした。しかしながら昨年土地収用法の改正をまた出して、しかも認定時価格でもって収用しよう、こういうふうな収用権の強化をやってこようというのについては、三十九年の院議を無視するわけにいきません。
そこで、昨年は土地収用法を建設委員会に付託してくるのと一緒に、租税特別措置法の改正案を大蔵委員会に付託いたしまして、一方では土地収用を認定時価格で行なうということによって用地取得を低く押える。そのことは、開発利益を用地取得の価格の中に織り込むということはおかしい、公共事業をやるのに。その公共事業に伴うところの開発利益まで含めた価格で用地取得をするのはおかしいから、やはり認定時価格で収用する。しかしながらそのときにはやはりその近傍の土地が開発利益を享受するということは、収用される者と近傍地の人との間に非常な不均衡があるから、近傍地のそういうふうな開発利益も譲渡所得税として国に吸収しよう、こういうふうな二本立てで昨年は法案が出てまいりました。
私はその採決の前に、総理に特に御出席を願いまして、総理からお約束を願ったのです。土地収用法だけはきょう採決する、しかしながら大蔵委員会のほうでいま同時に出ておるところの、おみきどっくりとして、一対のものとして出てきておる開発利益の吸収をそのまま流すようなことはないでしょうな、こういうように私は強く総理に念を押しました。そのときに総理ははっきりと、いや、そんな食い逃げするようなひきょうなことはいたしません、こういうことをはっきりお約束を私にされました。昨年の私の質問は、単に私一人の意見ではございません。これは社会党を代表するだけでなしに、建設委員全体の意向を代表して私はお尋ねをしておったのです。建設委員全体の考え方が一致しておったわけです。そのことが瀬戸山構想となって出てきておったのです。だからそういう意味で私がお尋ねいたしましたのに対して、いや、食い逃げは絶対にいたしません、こういうことでございましたが、昨年は残念ながらそれが食い逃げになりました。土地収用法は通ったけれども、租税特別措置法は廃案になった、こういうことなんです。土地収用法は、なるほど衆議院は通過いたしましたけれども、参議院で租税特別措置法と一緒に廃案になりました。しかしもしことし収用法を再び同じ形で提案されてくるならば、租税特別措置法の税制の問題もやはり同じように一緒に提案してきてもらわなければならぬ。ところが税制のほうは知らぬ顔で、それで収用法だけ出してこられた、これは非常に私は遺憾に思っておるわけなんです。あえて食い逃げしないという約束をしておきながら、法律案提出の現実の形は食い逃げという形がはっきりしておるのでございますが、それはどういうところにあるのか、ひとつ事情を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/52
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053・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは別に食い逃げはしていないし、また岡本君もその経過をよく御承知だと思います。確かに私この席に参りまして、税の問題とあわせて収用法も通すということでお願いをしたのでございます。
その際に問題になりましたのは、いま御指摘になりますような開発利益、これはやはり何が開発利益かという、またどれだけが開発利益というのか、こういうたいへんな問題があるわけであります。そこで御承知のように、衆議院はでき上がりましたが、参議院にまいりまして、これについての批判がなかなかきびしかった。結局この法律は成立を見なかったという経過がございます。
そこで私ども、今回ぜひこの土地収用法といいますか、宅地開発もする、また土地の利用計画も立てる、同時にまたその取得の円滑化もはかる、そういう意味から土地収用法はぜひとも今回は皆さんの御賛成を得たい、こういって重ねて出しましたが、この前の審議の経過、実は私どもも深く反省をした。したがって在来のような考え方ではいけないのだ、今回は税の問題としてただ単にこの収用にかかった人、その収用費、買収費というか、その所得について税の優遇措置を講ずる、こういうことだけ皆さん方におはかりをしておるわけであります。私、いわゆる土地の税の問題あるいは今後問題になるだろうと思いますが、そういう問題について早急の間にもきめたいことでございますけれども、過去の御批判の経験等に徴しまして、やはりこれは慎重にやるべきだ、いまの収用法から見て一番待遇上優遇しなければならないのは、とにかく買収されたその土地の旧所有者、それが所得に対して非常に不幸な目を見る、これでは買収されたこと自身が非常に不幸なんだが、その上また所得にまで課税がかかる、これは二重にたいへん御迷惑だろうというので、今回はその点だけ実は触れたのであります。
私はこの土地というものが、いろいろな見方がされると思いますけれども、私有権、そういうものは尊重されなければならないのですが、土地に関する限りいわゆる不動産というような表現がされておりますね。この不動産のうちでも、建物は別にしまして、土地の場合、これは人間の生活から見まして、その基盤をなすものだ、これはなければならない。しばしば言われることですが、どうもあの議論は地についていないとか、どうも土地と離れているのではないか、地と離れているのではないかというような表現があるように、土地はほんとうに不可欠の基盤だ、こういうことを考えますが、同時にそれが非常な公益性がある、また公共性がある、そういう意味で私有権の万能とかりに申すが、やはり公益性、同時にまた公共性、それを十分考えて使わないといけないのじゃないか、実はそういうように思います。
ただいま話を極限されてお尋ねでございますが、経過はたいへんよく御承知のとおりでありますし、私自身も三十九年にどんな決議がなされたか、これもよく知っております。今回はその決議の趣旨を尊重して、所得についての一つの方法を考えてみよう。それも土地の特性、それから十分考えて、これが効果を十分発揮するよう、またその所有者自身が特別に非常な損害を受けることのないように、どちらかといえば優遇措置をとるべきではないか、かように思っております。
その他の問題について、これは税制調査会のほうでも各方面の御意見を聞いて慎重に決定すべきものじゃないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/53
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054・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いまの総理のお答えによりますと、前回の参議院で非常に反対が強かったから成立しなかったということでございますけれども、これは野党の反対で沈没してしまったのじゃないのです。与党の参議院のしかも建設畑出身の理事諸君の反対、しかも野党のほうは祝日法案を強行突破されました。だから、ちっとでも佐藤のやろう、痛い目に会わしてやれということですから、そしてまたそういうことが予想されていますから、それに対する準備工作としてこの審議の引き延ばしをしていくということは当然考えられる。それに便乗してアベック闘争をやっておったのです。経過は御存じだと思うのです。衆議院でわれわれは土地収用法の成立にこれだけ協力しておるのに、参議院の連中は何をしておるのだ、アベックでもって審議サボタージュをやっておるではないかということを私は時の田村委員長に申しましたら、田村委員長かんかんになっておこって参議院にどなり込んでいきました。そういう経緯もあって、衆議院の大蔵の諸君、さらに参議院の建設の諸君が相呼応してこの法案をつぶしたのです。だから土地資本、土地ブローカーの圧力が相当あって、この法律案の開発利益の吸収という問題は難航するというふうにある程度私は予想しましたから、私は佐藤総理に念を押したのです。そしてまたそういうことがないようにということで、ちょっとでも早く地価を安定させなければならぬ、それに役立つならば土地収用権の強化も協力しよう、こういうことで、衆議院は与野党で一致してこの法律案を成立させようと努力しておったにもかかわらず、衆議院の大蔵と参議院の建設とが寄ってかかってこれをつぶしてしまったのです。だからそういう意味で、私は前回総理としてのあなたにお尋ねしたのではなしに、自民党の総裁としてのあなたに、この法律案をつぶすようなことはしないでしょうな、また片一方、租税特別措置法を開発計画に適用して、これは別のなにをすれば、いわゆる上がった分を吸収するという土地の増価税、この土地増価税的な税制を必ず成立させてもらえるなということをあなたに念を押したのです。だからそういう意味では、佐藤総裁としてのきちんとした姿勢をもってやっていただかなければならなかったと私は思います。しかしながらああいう混乱した国会のことでございますから、混乱した国会で流れたということはやむを得ないといたしましても、今国会に提出されるにあたりましては、やはりあれだけ与野党の議員を代表して私がここで御質問申し上げ、それに対して——いまおっしゃる優遇措置は取得を容易にするために、また土地を提供した人に対するところの優遇措置であります。そして公共事業、たとえばまた道路が敷かれる、鉄道で駅ができた、そういうことに伴うところのその周辺のばく大な地価の値上がりというものをやはり抑制しなければいけない。そういうような措置の一つとして、開発利益の吸収としての特別措置法が出てまいったのでありますから、今国会では当然それは出てくるもの、出していただかなければならないものと心得ておりましたのに、単に参議院の反対がきつかったからやめた——しかし参議院の反対がきつかったというのは、いま私が御説明したような土地資本の暗躍によるところの、これはおしかりを受けるかもしれませんが、やはり黒い霧がただよう中で廃案になっているのですよ。それを今国会でもそのまま提案してこられないということは、私は非常に残念に思うのでございます。また先ほどの総理の御答弁は、私のお尋ねいたしましたことに対するお答えになっておらないように思いますので、もう一度お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/54
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055・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまのお話、これはもう私と岡本君とあまり食い違っているとは思わないのですが、いまここで申しましたのは、だれがどうこうしたという責任を言っているわけじゃございません。とにかく衆議院で、私は岡本君にも誠意をもって私の決意を披瀝して御協力を得た、かように確信しております。
ただいまもお話しのように、この問題はずいぶん入り組んだ問題がございました。これは必ずしも黒い霧云々ではないだろうと思いますけれども、新しい行き方でございますから、関係方面からいろんな意見の出るのはもっともだと思います。しかし私は今回御審議をいただく場合に、いま問題になっております税の問題、これは全然放棄した、こういうのではございません。ただ、もっと慎重に、ただいま申しましたように税制調査会に十分はかって、そしてみんなが納得いくようなりっぱなものを考えよう、こういうことを実は申しておるのであります。
きょうも物価安定推進会議、それに実は先ほどまで出ていたのであります。これがいろいろ各部会で中間報告をしておりますが、その中の第三部会ではやはりこの土地が問題になっておる。これは御指摘になりましたように、物価にたいへんな関係のあるものなんだ、しかも今日どうも政府自身が公共事業だという名目でつり上げてやせぬか、こういうたいへんなおしかりまで受けて、いまそこからおひまをもらってきたばかりでございます。しかしこれという名案が実はあったわけじゃございません。しかしただいまのは中間報告でありますから、土地の扱い方についてのいろいろの不都合が現状では次々に起こりやすいという点の御指摘であります。
これはいま岡本君が御指摘になりますように、私は適正な妥当な税制と結びつけて初めてその公益性、公共性が生かされるのじゃないだろうか、かように実は思っております。そういう意味でございますから、私はこの際に土地の開発利益、それに全然目をつぶって通すという考え方ではございません。その点は、私の答えがあるいは不十分で誤解を招いたかもわかりませんが、積極的に土地の問題に取り組む税制、ことに物価に関係を持つ地価、こういう観点に立ちましていろいろ税制を——ただ単に売却所得だけでなくあらゆる面からひとつ税制を検討しよう、かように実は考えておるのであります。その点では、あるいは時期的にややおくれているじゃないか、同時に並行してなぜ出さないのか、こういうおしかりは私も受けますけれども、全然やらない、こういうものではないことだけこの際に重ねてお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/55
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056・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いまのお答えによりますと、とにかく開発利益を吸収するといった税制が必要であるということは総理としてもお考えになっていらっしゃる。しかしながらその手法その他について検討した上で税制調査会に諮問するなり、もっと十分な措置を講じた上で提案したいというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/56
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057・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/57
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058・岡本隆一
○岡本(隆)委員 しかしながら地価の値上がりが非常にいま国民経済に大きな影響があるという点、それからもう一つ、国民のほとんどの人が住宅に困っておる、ということは土地に困っているということですね。だからそういう意味においては一日も早い解決がなくてはならない。相当急がれる問題であろうと思われるのでございますが、委員会に諮問いたしましてもその審査がのらりくらりであって答申がなかなか出ないというふうなことであっても困ります。あるいは答申が出ましても骨抜きになってしまったんでは何にもならない。たとえばこの間の本会議における御答弁を承っておりましても、政治資金規正法の審議会の答申は小骨一本抜きません、こう総理は大みえを切っておられますね。ところがわれわれの見方からすれば、小骨どころか背骨まで抜かれておるというふうなものでありまして、しかも大骨まで抜かれているじゃないかということに対して、抜かれているかいないか委員会で審査せよ、こういうふうな御答弁、きわめて人を食ったふまじめな御答弁でございますね。だからいまお約束をされても、私どもの心配いたしますのは、そういうふうな税制の改革の諮問に対する答申が税制調査会から出てまいりましても、総理のほうで、総理のほうというと語弊があるかもしれませんが、政府のほうでいろんな方面の圧力でまた大骨、背骨まで抜いてしまうというふうなことにまでされたんでは、これは国民の側からすればたまらぬと思うのでございますが、その点は税制調査会の答申を十分に尊重するというよりも、もう答申そのままずばりで実施する、こういうふうにお答えを願えますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/58
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059・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 政治資金規正法に対する答弁がふまじめだというおしかりを受けましたが、それとこれとは結びつきはないのでございます。この土地の問題ではいま言われます宅地、これが大体足らないのだ、そういうところでこの決議にもありますように、やはり積極的に宅地の造成もしなければならない。もう一つは、やはり土地の利用計画を立てないと税だけで云々いたしましても実は困る、こういうものでございます。したがって、いま別途皆さんに御審議いただこうとする都市計画法なるものも法案を急いでおります。要綱はもうすでに閣議決定しました。そうしていまここで議論しておりますこの税の問題、こういうものがやはり並行されて考えられなければならない。そしてただいままで税制調査会というものを私どもほんとうに尊重してまいっておりますから、いままでずばりそのままやっている。これを変えたのはきわめてレアケースだ、かように実は思っております。この前特別な経済事情から特別措置をとったことはございますけれども、その他の場合につきましては全部全面的にそのものずばりということでございます。これなどは、ことに地価の問題は一般物価に影響する。今日一番問題は物価の問題ですから、そういう意味で積極的にこの問題と取り組む、そういう意味では岡本君ただいま御指摘のとおりだ、かように私は思っております。ことに大蔵大臣、建設大臣も同時に伺っておりますので、私の気持ちはよく両大臣も理解してくれるものだ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/59
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060・岡本隆一
○岡本(隆)委員 もう一つ、地価の抑制にはいまの開発利益の吸収だけでは——なるほど開発利益の吸収は買いあさりと買い占めの防止にはなるので、土地でもうけようと思って買ったところでその値上げ分の利益をごそっととられれば、土地を投機的に買いあさるということが無意味になってまいりますから、そういう意味では非常に役に立つと思いますが、同時に、土地を持ってぽかんと遊ばせておる人たちが非常にあるわけです。六月二十三日の毎日新聞の記事ですが、これは、「新駅をつくったが街づくりはさっぱり」という記事。総理もごらんになったと思うのです。中央線の東小金井で国鉄が駅をつくった、そうすると宅地として開発されるのはそこから数百メートル離れたところだけがだんだん宅地化されていって、駅の周辺の便利なところはばっと地価が三十倍、五十倍に上がってしまったから買い手がつかない。呼び値が高いから買い手がつかない。だからそこのところはペンペン草がはえて駅の周辺は土地が遊んでおる。そうしてはるかかなたに町づくりが行なわれる。これは新小金井の例だけではございません。至るところでこういうふうな駅のターミナルの近くが空洞化されてくるという現象が現在出ております。だからこういうふうな土地の売り惜しみというようなものを防止する、そして便利なところほど早く開発さるべきである。だからそういう意味では土地の有効利用を促進するといった形の制度をつくらなければいかぬ。そういう観点からいわゆる未利用地促進税という制度、たとえば宅地審議会なんかの答申を見ましても、そういう利用促進税をかけるべきだ、それには国定資産税を農地も宅地並みにかけるべきだ、あるいはまた時価を適当に評価して、その評価並みにかけるべきだというような意見が出ております。そうしてまた、先ほど総理がお話しの都市計画法の改正の考え方の中にもそうした考え方が織り込まれておるわけです。だから土地利用計画は何のために立てるのだ、これはやはり空閑地というふうなものの定義を容易にするためという考え方も一つはあるわけです。そういう意味においてはやはり利用促進税という制度をつくる必要があるのではないか、そしてまた財産としての土地の特色には、いまの日本の土地に対する固定資産税というものは非常に安い、管理費がかからない、さらにまた土地というものは腐ったり変質したりしないというようなことから、金を土地にしておけというふうなことでじっと土地のまま値上がりを待つということが行なわれておりますから、したがってそうした形のことをあわせて考えていただかなければならないのじゃないか。現にいまの宅地審議会の答申の中にはそういう構想が入っておるのです。そういうことはやれます、やるべきだ。最初の建設省がつくりました都市計画法の骨子にもそういう制度が織り入まれております。政府部内からもそういう声が出ておる。至るところにそういうものが世論として定着してきておる、こういう段階になってまいりましたから、単に開発利益の吸収といった形だけでなくて、二つの方針をあわせて行なうことによって地価の安定に大きく働きかけていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、総理のお考えいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/60
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061・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これが三十九年の決議の趣旨だ、かように私理解しております。ただいま言われますように、やはり土地の利用計画を立てなければ何が空閑地かという問題はすぐ議論になりますから、ただいま御指摘になりましたとおりにやはり空閑地に定義を与えるためにも、利用計画を立てる。そしてあわして利用を進めるためにいまのような税などもいろいろくふうさるべきではなかろうか、こういうわけです。これは先ほど税制調査会に諮問しよう、これは簡単に税をとってもそれだけは価格に吸収されて買い主が払うんだ、負担するんだ、こういうような議論もございますから、そこらはやはり利用計画をきちんとして、そしてその上でいかにすれば安定するか、こういう方向で掘り下げて検討しないと、なかなかいかないのじゃないか。これは、そこらは専門家にまかしたほうがいいんだ、実はかように思って大蔵大臣ともいろいろ話しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/61
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062・岡本隆一
○岡本(隆)委員 この空閑地税構想ですね。これにつきましては、前の福田さんあるいはその前は田中角榮さんなんかとも予算委員会で議論いたしました。いつの場合にも空閑地の定義がむずかしい、こういうふうな逃げ口上なんですね。しかし私に言わしたら、とにかく遊興飲食税というようなきわめて捕捉しにくい税金でもとっている。それから所得だってなかなか佐藤総理の所得は捕捉できてない模様でございますが、しかしながら、なかなか捕捉困難な所得も税務署はちゃんとじょうずに捕捉いたします。目に見えて遊んでいる土地、それが空閑地なりやいなやの認定問題、これは査定委員会をつくって、審査機関をつくって審査すれば容易に捕捉できるのです。それをあえて空閑地の定義が困難だとか捕捉しがたいとか、そういうようなことは理屈にならぬと思う。理屈にならぬ理屈を並べ立てて、いままでは大蔵当局はこれをことさらに避けてまいられましたが、しかし大蔵大臣、いま総理のそういうふうな、先ほどのような御答弁がございましたし、もう従来の大蔵大臣とは少し姿勢を変えていただけるのではないか、こういうふうに期待するのでありますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/62
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063・水田三喜男
○水田国務大臣 いま総理がお答えしましたように、この土地に対する税金の問題は、一括税制調査会に特別部会を設けてここで十分に検討してもらうという方針をいまとっております。と申しますのは、いままで確かにいろいろな空閑地税とかいうような構想が出てきましたが、私はやはりこの前の国会でこれが通らなかったことも、実際はこの法案が未熟だったためというふうに考えております。と申しますのは、土地が非常に高くなるということは、国民経済にとって非常に大きい支障になる。ですから地価を上げるということは、国民経済のために避けなければならぬ。地価を下げる、上がらないためにどうするかといったら、結局は土地の需要に対して供給をもってこれを調整すること、安価な大量な土地を供給するといういわゆる土地対策をどうするかという対策の問題の中で、税制の果たす役割りというものがどういうことであるかということを、ここで考え直さなければいけないのじゃないかと思います。従来は土地利用の効率化とか土地の流動化の促進、こういう立場から土地に対する税金というものを検討したことが実際にはなかったということでございますので、はたしてこの土地に対するいまのような譲渡課税方式をただ強化するというようなことでは、土地を安価に供給することと矛盾しないかという問題が現実には出ておりますので、極端なことを言ったら、税制をさわらぬほうが土地は流動化し得るということも言えるというようなことから、いろいろな批判が出ておりますので、この際、土地を供給するという立場からの土地対策と、この具体化の過程で、同時に土地対策という面から税制をどうしたらいいかということをはっきり一つのテーマとしてこれを税制調査会で取り扱ってもらう。私はこういう考えでございますので、今度そういう角度から検討された税制については、私どもも十分尊重してこれを取り上げることができるだろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/63
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064・岡本隆一
○岡本(隆)委員 どうも大蔵大臣の御答弁は非常に回りくどくて、頭の悪い私にはわかりにくかったのですが、しかし、私がお尋ねしていますのは、地価安定策としてなるほど国がいろいろな土地の大量供給などをすることはもちろん必要であります。売り惜しみや買いあさりというものをなくさなければあかぬ、その買いあさりをなくするためには、思惑買いをなくするためには、譲渡所得税の強化ですね。それから売り惜しみをなくするのには、はき出させる方法をやる、土地の管理費を高くする、それにはやはり遊ばしている土地について固定資産税を特別に高くするという方針を考えなければだめなんだ、これは通説になっているのですよ。そんなもの、地価問題のことを書いたいろいろな論文をお読みになったら、どれだってみんなそれを書いている。だから、そういうものから従来の大蔵大臣は逃げ回っておったが、あなたはお逃げにならぬでしょうなと聞いておりますから、逃げませんとはっきり言うてもらえばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/64
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065・水田三喜男
○水田国務大臣 いま通説になっていると言われたのですが、それが通説ならそう心配はないと私は思っております。現に需給のバランスがくずれている。こういう形の上に立っての税制ということになると問題でございまして、土地が需要を満たすだけ供給されているというようなときには、税制によって相当これを促進することはできると思いますが、このバランスがとれていないための土地の値上がりが起こっているときに、その基礎条件を整えないで税制の強化ということをやったら、これが流動性の促進になるのか、逆に売り惜しみになったり、売られる場合には税金が全部地価に組み入れられているという現象が起こるか、そういう問題が出てきましたので、税制以前に根本の対策が必要だ、これとからまなければいかぬということを私は申しているので、いまのままにおいて税制の強化をやっても、私はあなたの所期するような効果は出てこない、これを心配しますから、そういう問題の研究を進めて、土地に対する税制の問題を取り上げたい、こう言っておるのでございます。何も逃げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/65
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066・岡本隆一
○岡本(隆)委員 いまの総理の御答弁と大蔵大臣の答弁と食い違うておりますよ。総理は、買いあさりや売り惜しみをなくするように、税制についてはいまの税制調査会に諮問して善処していきたいというような意味のことをお答えになっている。ところが大蔵大臣は、そんなことやったかてどうなるやらわからぬ、地価の安定に役立つのやら、役立たぬのやらわからぬ、こういう御答弁です。二人がそんな食い違うた答弁をされておったら、五時に総理に電話があるとか、よそからかかってくると言われますけれども、そんなのにはこっちから電話をかければいい。そんな食い違うたことを言われておっては、総理に退席してもらうわけにはいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/66
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067・水田三喜男
○水田国務大臣 食い違っているわけではございません。そういう意味ではございません。たとえば条件が整わなくて売り惜しみしておればおるほど土地が上がってくるという状態に置いたら、税の追い打ちをかけたらだめだ。だからこれを売り惜しみしたらどんどんよそのほうが供給してくるからこれ以上がんばれないという、そういう条件をつくっていくことが土地対策の根本問題だ。そういう意味で利用計画もつくらなければなりませんし、土地の造成計画も円満にやらなければならぬ。そこにそれに伴った税制を加えたら有効に促進する税制になるということを言っているので、税制が一切役に立たぬということを言っているのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/67
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068・岡本隆一
○岡本(隆)委員 私が申しますのは、それじゃ税制の問題はまた後ほどもう一度議論するといたしまして、とにかく土地利用計画を策定しなければだめだ、総理はそういうふうにおっしゃいましたが、きょうこんなにおそうから委員会を始めたということは、これはわれわれ早くから与野党の理事間で約束があったわけです。土地収用法の審議に早く入ってくれ、こういうことでございました。私のほうは、土地収用法が地価対策として出されてきた、そのことは提案理由の説明にもはっきり書いてあるわけですね。提案理由の説明の冒頭に、地価対策を逐次実施しつつあるが、その一環として、用地取得の改善をはかるために土地収用法を出した、こういうことですね。だから地価対策として土地収用法が出てきたのなら、地価対策としての他の部隊を一緒に連れていらっしゃい。それには税制があります。土地利用計画があります。そのことははっきりともう衆議院の院議にも、決議でもきめられていることである。ですから、それを一緒に出していらっしゃい。こう言ったところが、片一方はオミットになっておる。ことしは出せない。しかし、総理の御答弁のように、調査会の諮問を待ってりっぱなものを出したいから、一年待ってくれ、こういうことでございました。もう一つは、土地利用計画策定のための都市計画法は今国会に必ず出す、こういうお話でございました。しかしながら、私はそのときに心配したんです。とにかくいまどきに、かたかなで残っているところの法律というのはこれは改正が非常に困難な法律ばかりです。だから、それをひらがなに直すなんてことはなかなかそんなに簡単にできようはずがない。これは河川法も同じことです。だからそのような作業がはたして今国会に行なわれるかどうか私は心配をいたしました。だから、よろしい、それなら都市計画法を出してくるというのなら、その顔を見てから採決に応じる。それから、審査に入ってくれというのなら、われわれはそのために国会へ出てきているんだから、審査に応じましょう。しかしながら、都市計画法の国会への提案、都市計画法の顔を見ずしては採決に応じませんよ、よろしいな、そういうことを条件に審査に入ったわけです。そして今日まで審査を続けてきているわけです。待っていても待っていても都市計画法は出てこない。与党の理事さんからはやいのやいのの催促ですわ。しかし、それから早く都市計画法を出してこいということから、どうにもならぬから、大綱の閣議決定でしんぼうしてくれ、こういうことで大綱の閣議決定が行なわれ、それに基づいて金曜日には採決に応じましょう、応じてもよろしい、しかしながら、それには総理からはっきり約束してもらわぬと困る。つまり、三本立てで、土地収用法——耕地制度もありますが、それは別にいたしまして、土地収用法と税制と、それから都市計画法と三本立てとするなら、とにかくそのあとの残り二本の柱について、必ずその柱は立てます、だから今国会に必ず提案いたします、こういう総理からの言明がなくてはとても採決には応じられませんということから、けさ総理に来ていただくということになっておったんです。それがいま時分に延ばされちゃって、総理の御都合で延ばされて、われわれはなはだ迷惑なわけでございますが、しかしそれにいたしましても、とにかくそういう経過で本日総理に来ていただいておりますので、だから、都市計画法は必ず今国会に提案できるか。それはもうできないんだというふうなことでなしに、それはできないんだからしようがないなんと言われたら困るんですね。必ず提案されますかどうか、それをひとつ総理から御言明をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/68
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069・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 簡単にいま法制局長官とも相談しました。必ず出す、かように申しております。
私は、そこで、いま岡本君たいへん御協力いただいておりますが、いまの土地収用法、また都市計画法、税制、こういうものはとにかく三つといいますか、あるいはそういうものはそろってやらなければならない、これはもう確かにそのとおりだと思います。しかし、その他のものができないからそれまで土地収用法も待て、こういうことになると、いつもおそいほうに何もかも足を引っぱられるということになるのです。ところが、いまの物価安定、土地の価格安定、これはたいへん急を要する問題だ。そうすると、やはりできたものにおくれているものを引き上げていくという、こういう努力を政府はもちろんする。また与党もそういう立場でございますので、いまの基本的な線に御賛成をいただけば、ひとつ政府を鞭撻をしていただいて、ただいま私が法制局長官と話し合ったように、どうかおくれているものを引っぱり上げていく、こういう方向で御協力を願いたいと思います。たいへんありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/69
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070・岡本隆一
○岡本(隆)委員 そこで、都市計画法の大綱を見ますと、市街化区域、開発地域ですね、それから市街化調整区域、開発を抑制する地域とに分ける、こういうことでございますが、これは開発抑制地域になるということは非常な私権の抑制になってくるわけですね。だから、そのことが当然というふうに総理はお考えになればこそ要綱を承認されたと思うのです。そういうことになれば、一応土地に対するところの私権の抑制というものは今後相当強力に進められてもやむを得ない、こういうように考えられますから、総理はそういうふうな土地というものについての性格について、私権は相当押えられることはやむを得ないというふうにもう今日では腹をきめられたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/70
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071・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、私権が制限されてもやむを得ないと、かようには実は思いません。ただ、先ほど来申しますように、土地の持つ意義というか、その価値というかそれは、やはりその公共性、公益性、これを生かさなければなりません。そういう意味で公共性、公益性、これはここでいろいろ御審議をいただいておる、そういうことが世論を形成していると私は思います。したがいまして、かつてのように所有権万能、こういう考え方ではなくて、やはり公共の用に優先的にそういうものを考えるべきだ、こういう方向へ向いておると思います。今回法制局でもいろいろこういう問題と取り組んでおりますが、基本的にあるいは憲法違反じゃないだろうか、そういうこともいろいろ考えておりますけれども、これはやはりその時勢に大衆がつくり出す観念というものが、これはその所有権万能じゃなくて、土地の性質から見ましてある程度の制限を受けること、これはどうもやむを得ないのじゃないか、かように思います。ただ、そこで問題になりますのは、その点に便乗をいたしまして、そうして何でもかんでも公共だというそういうところで私権を侵害するような、そういう万能を振り回しても実はいけないと思いますが、これはやはり節度ある行動だろうと思っております。やはり所有者自身にも、ただいま申し上げましたような観念が醸成されておりますし、また、政府におきましてもそういう点に節度を守るという、そういうことが必要じゃないか、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/71
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072・岡本隆一
○岡本(隆)委員 もう一点、それじゃ総理何か御用——しかし約束は、総理にそんな時間の制約を受けるのはごめんだというふうにきょうは木村さんともお約束していたので、ここで電話をかけられたらいい、そんなこと私は知ったことじゃないのです。そんなことならもう来て要りません、それよりも都市計画法を出してください、こういうことだったのですよ。それを、時間や、こんなことを言われると、落ちついてお尋ねできないです。(佐藤内閣総理大臣「相当落ちついてやっておりますから、だいじょうぶです。」と呼ぶ)
それじゃもう一つ、重要な問題だけお尋ねして総理にお帰り願いますが、開発地域になるということ、抑制地域になるということは、これは地方自治体にとったら税収にたいへんな違いがある。自治体の税収入が御承知のように、固定資産税や償却資産税に非常に重点を置いているから勢い、工場奨励条例とかいうふうなものをつくって産業誘致をやるというふうなことをやらざるを得ぬというのが今日の自治体の財政のあり方ですね。だから、シャウプ勧告があったのはいまから十五年前、日本の経済がいまだ戦後の荒廃の中にあって非常に沈滞しているときに今日の地方財政制度というものができたんです。ところが、昭和三十年を契機に四十二年の今日までものすごい経済の成長があった。だから、その経済の成長に見合って、地方財政制度というものは変わらなければいかぬのです。ところが経済の非常に沈滞しておる時期のままの地方財政制度が今日まで踏襲されておるから、いろいろな矛盾が出てくるのです。だから団地をつくって千葉県へ持っていこうとすれば、友納さんから団地お断わりだと、団地は断わられる。団地を持ってこられましても住民サービスばかりふえて税収はない、だからお断わりだ、こういうふうなことが出てくるわけです。だから地域指定をやって、ここは住宅地域だというふうに非常に広範な範囲が住宅地域に指定されたら、そこはまた住宅地域としての税収で自主的にその財源がまかなえるような地方財政制度というものを確立してやらなければいかぬ。むしろ今日の日本の税制というものは、一部住民税はありますが、所得税だとかそういうふうなものはうまいこと全部政府が吸い上げてしまって、そうして自治体に対しては固定資産税や、ことに償却資産税に相当たよらなければならぬというふうなことになっておるから、勢い自治体によって経済力に大きな開きが出てくるわけです。だからこれはやはり住民サービスに必要な財源、団地が来ればその団地に応じて、住民の数に応じて、たとえば保健的なサービスあるいは環境整備的なサービス、いろいろなサービスをしなければなりません。教育ももちろんそうでございます。そういうようなサービスができるだけの財源を与えるというふうに、地方財政制度を根本的に変える必要があるのではないか。だから土地利用計画の策定、都市計画法を今度制定されようとするなら、それに見合ったところの地方財政制度の改正ということをやらずしては、私は都市計画というものが円滑に進まない、こう思うのでございますが、そういうふうな御用意が政府のほうにおありかどうか、総理にお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/72
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073・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 御心配のような点がございます。
まず第一は、先ほど来ここで議論いたしましたのは所有権は万能なのか。所有権は万能ではない。これは大体片がついたようですが、その次の第二の問題は、地方財政を一体どうするか。これはたいへん幸不幸を生ずるだろう、そういう点もやはり大蔵省でも十分見まして土地の利用計画を立てて、それが地方の開発をおくらすというようなことになったらこれはたいへんだと思いますから、十分注意していくことでございます。
それからもう一つ、お尋ねがございませんけれども、利用計画でやはり食糧の問題といいますか、農地との調整の問題、これらで特に私どもが頭を悩まして、土地の利用計画を立てるときにはこういう点を十分考えろ、こういうことを実は申しておりまして、これらの点は、もし時間があれば次にお尋ねだったろうと思います。政府も政府なりに、及ばずながらいま考えられることをいろいろくふうして利用計画を立てよう、こういうのでございます。またそういう点で法案を提案いたしましたその暁において、いいものをつくって、そうして土地の公共性が、また公益性が生かされる、また幸不幸がないように税制でも十分めんどうを見る。これは個人の問題ばかりでなく、国と地方との財源の問題でも調整をはかる、また食糧自給度を高めるというような意味におきましても、農地との調整もはかっていく、こういうことをしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/73
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074・岡本隆一
○岡本(隆)委員 では私の質問はこれで終わりまして、あとは他の方に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/74
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075・森下國雄
○森下委員長 暫時休憩して、緊急理事会を開きます。
午後五時十五分休憩
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午後五時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/75
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076・森下國雄
○森下委員長 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
本日はこの程度にとどめ、次会は明二十九日木曜日午後一時より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後五時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504149X01819670628/76
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