1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十九日(水曜日)
午後零時四十五分開議
出席委員
委員長 山下 榮二君
理事 大久保武雄君 理事 大竹 太郎君
理事 木部 佳昭君 理事 登坂重次郎君
理事 堀川 恭平君 理事 太田 一夫君
理事 山田 耻目君 理事 春日 一幸君
大石 八治君 加藤 六月君
河野 洋平君 丹羽 久章君
広川シズエ君 古川 丈吉君
井上 泉君 後藤 俊男君
松本 忠助君
出席国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
運 輸 大 臣 大橋 武夫君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房陸上交通安全
調査室長 宮崎 清文君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
通商産業政務次
官 宇野 宗佑君
労働政務次官 海部 俊樹君
建設政務次官 澁谷 直藏君
委員外の出席者
議 員 古川 丈吉君
通商産業省重工
業局次長 赤沢 璋一君
建設省計画局参
事官 大津留 温君
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七月十九日
土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の
防止等に関する特別措置法案(大久保武雄君外
十名提出、衆法第四二号)
は本委員会に付託された。
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七月十三日
交通安全対策推進に関する陳情書
(第三三七号)
同外一件
(第四一四号)
児童生徒等に対する交通安全対策推進に関する
陳情書
(第四一三号)
同月十七日
交通安全対策推進に関する陳情書外九件
(第五〇〇号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の
防止等に関する特別措置法案(大久保武雄君外
十名提出、衆法第四二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/0
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001・山下榮二
○山下委員長 これより会議を開きます。
本日付託になりました大久保武雄君外十名提出にかかる土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/1
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002・山下榮二
○山下委員長 まず、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。古川丈吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/2
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003・古川丈吉
○古川(丈)議員 ただいま議題となりました土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、私からその提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
わが国経済の驚異的発展に伴い、建設工事は年々増大の一途をたどっており、建設工事量の増大は、これらの建設工事に必要な土砂等を運搬するダンプカー等の大型自動車の交通量の著しい増大をもたらしております。ところで、これらの土砂等の運搬に関する事業を行なう者は、その大部分が零細規模の事業者であるため、自動車の安全運転管理等が十分に行なわれておらず、また、これらの零細事業者の過当競争は、土砂等の取引価格または輸送料金の低落を招き、その結果、これらの事業者の使用する大型自動車によるスピード違反、過労運転、積載制限違反等の交通違反が増加しているのが実情であります。これらの交通違反は、一方において、国民の社会生活に大きな不安を与えるとともに、他方において、昨年来の愛知県猿投町における悲惨な事故のような重大事故の頻発をもたらしているのであります。
したがいまして、これらの土砂等を運搬する大型自動車による交通事故を防止することは、今日の社会における急務であると考えられるのでありまして、そのためには、土砂等を運搬する大型自動車の使用について必要な規制を行なうとともに、土砂等の運搬に関する事業の育成をはかること等が何よりも必要とされるのであります。
以上申し述べましたような見地から、このたび土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を提出いたすこととした次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明いたします。
第一に、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故を防止する見地から、その実態を把握するため、土砂等の運搬の用に供するため大型自動車を使用しようとする者は、氏名または名称及び住所、当該自動車の自動車登録番号、行なう事業の種類、主として運搬する貨物の種類、雇用運転者の労働条件等を運輸大臣に届け出なければならないことといたしております。
第二に、土砂等の運搬の用に供する大型自動車を容易に認識することができるようにするため、右の届け出の際に、当該自動車一台ごとに運輸大臣による表示番号の指定を受けさせることとし、指定を受けた表示番号は、自動車の外側に見やすいように表示しなければならないことといたしております。
第三に、土砂等の過重積載を防止するため、土砂等の運搬の用に供するため大型自動車を使用する者は、通商産業省令、運輸省令で定める技術上の基準に適合する積載重量の自重計を当該自動車に取りつけなければならないことといたしております。
第四に、土砂等の運搬の用に供する大型自動車が悪質な交通違反をし、よって交通事故を起こして人を死傷させた場合または土砂等の運搬の用に供する大型自動車の使用者が運転者の過労運転等をもたらす労働基準法違反の摘発を受けた場合において、当該自動車の使用者の使用する大型自動車による交通事故の発生を防止するため、運輸大臣は、当該自動車の使用者に対し、六カ月以内の期間を定めて、大型自動車の使用を制限し、または禁止することができることといたしております。
第五に、土砂等の運搬に関する事業の協業化及びその経営の近代化を促進するため、国及び地方公共団体は、中小企業近代化促進法、中小企業近代化資金助成法等により、税制上及び金融上の措置その他必要な措置を講ずるものといたしております。
第六に、土砂等の運搬に関する事業を行なう者が、交通事故の防止に関する事業を行なうことを主たる目的として組織する団体の実態を把握するため、当該団体が組織された場合には、当該団体は、その成立の日から三十日以内に、内閣総理大臣または都道府県知事に政令で定める事項を届け出なければならないことといたしております。
第七に、右により内閣総理大臣または都道府県知事に届け出をした団体が十分に交通事故の防止に寄与することができるようにするため、国及び地方公共団体は、これらの届け出のあった団体の指導及び育成につとめるものといたしております。
第八に、安全かつ合理的な土砂等の輸送体系の整備をはかるため、国及び地方公共団体は、土砂等の輸送について、鉄道または船舶による大量輸送を促進すること等につとめるものといたしております。
第九に、この法律案の規定に違反する行為について、所要の罰則を設けることといたしております。
最後に、附則といたしまして、この法律案の第六条以外の規定は、公布の日から六カ月をこえない範囲内において、この法律案の第六条の規定は、公布の日から九カ月をこえない範囲内において、それぞれ政令で定める日から施行することとするとともに、所要の経過規定を設けることといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞすみやかに御審議の上、御可決くださるようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/3
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004・山下榮二
○山下委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/4
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005・山下榮二
○山下委員長 次に、本案に対する質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。大久保武雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/5
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006・大久保武雄
○大久保委員 総理府発表のダンプカー関係資料によりますと、昭和四十二年三月末現在のダンプカーは十四万台、その九一・八%の十三万台は自家用ダンプ、いわゆる一匹オオカミともいわれるものでありまして、昭和四十一年中のダンプ事故による死亡は五百九十一人、重傷千五百九十一人、軽傷四千二百八十七人、合計六千四百六十九人でありまして、毎日に換算いたしますと、一日に十八人もの死傷者を出しておる次第であります。これを、一日十二時間人間が街頭を歩いていると考えますならば、実に毎時間一・五人、ダンプによって死傷者を出しておる、こういう次第でございまして、まことにおそろしいことであるといわなければなりません。さきに愛知県において起こりました学童多数をダンプがひき殺したといったような事故に至りましては、ほんとうに世の人に悲しみと憤りを覚えさしたような次第であります。
そこで、今回、本委員会は、このダンプを中心とした交通事故の防止に関する特別立法をいたすわけでございますが、第一に私がお尋ねいたしたいと考えますことは、ダンプ自動車、この一つの許可または登録という問題がございます。この事業に対しまして、本来ならば、免許または登録によってこの事業を開始さして行政の完ぺきを期すべきであると考えております。今回の法律におきましては届け出主義をとりました。これは形式審査ではありますけれども、これはわれわれの終局の目的ではございません。この法律による届け出主義は、届け出ではございますけれども、従来の法律とは別に法律に特別に明定してございますから、言ってみるならば、新しい届け出制度であるといっても差しつかえなかろうかと考えております。すなわち、この届け出にあたりましては、命令に関する事項といって従来掲記してありましたものを、法律に列記いたしております。列記した中におきましても、たとえば悪質なる労働基準法違反の問題でありますとか、あるいは一匹オオカミの無暴なる暴走を規制することも、届け出事項に含んでおるような次第でありまして、届け出されましたものは、プロ野球選手のゼッケンナンバー、背番号のように、自動車にはっきりとした番号を表示さして、ダンプを運転する者の事故意識とまた事故の予防に備えたい、こういうことを考えると同時に、虚偽の届け出をした者に対しましては、罰則を適用するといったような新しい届け出制度をつくっております次第でございます。これは、従来の届け出から考えましたならば、私は、明らかに一歩前進した一つの制度がここに創設される、このことを運輸大臣はとくと銘記していただきたいと考える次第であります。
しかしながら、私たちは、これでもって満足しておるわけではありません。先ほど申しましたように、十四万台のうちの十三万台は一匹オオカミである個人ダンプである。こういうことからいたしまして、これらが相当な事故を起こしておるという実情から見ますならば、これらに対する実態把握をして安全管理を備えた免許というところに将来踏み切ってもらいたいというのが私たちの終局的念願であります。しかしながら、今日一挙にそこまではまいれませんから、新しい届け出制度をつくりまして、この法律を緊急に立法いたしたいと考える次第でありますが、このダンプの免許制度に対する運輸大臣の将来の考え方を承りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/6
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007・大橋武夫
○大橋国務大臣 ダンプの危害を予防する方法として御提案をいただいておりますこの法案の中に定められた届け出及び表示番号の指定という手続について、立案者の深い意味のあることを承りまして、十分に趣旨に同感をいたしておる次第であります。
私ども、現在の段階で、この問題について、免許制度の採用ということに踏み切るにはいまだ準備が十分ではございませんが、この法案が幸いにして成立いたしましたならば、これが運用に習熟することによりまして、将来必要ならば免許制度への準備体制かようなつもりで、立法の趣旨を実現するように専心努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/7
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008・大久保武雄
○大久保委員 ただいま運輸大臣の、とりあえずこの新しい届け出制度に慣熟をして、逐次個人ダンプをはじめ免許制度に進んでいきたい、こういう意見の開陳がございましたから了承をいたします。
次に、自重計の問題であります。自重計は本法施行の日から九カ月の間に実施をするということに相なっておりますが、聞くところによりますと、自重計は目下製作の過程にあって、その完成の日がとかく不明確であるといったようなことも政府から聞くわけであります。私たちがこれほど熱心に、このおそるべき事故対策をやっておるのでありますから、通産省は、少なくともこの法律に規定されました九カ月という時期におきましては自重計を完成して、必ずこの自動車に取りつけさせる、こういうことに対しても確信があるかどうか、この点についての通産省の見解を承りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/8
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009・宇野宗佑
○宇野政府委員 自重計に関しましては、現在某社と電機メーカーが共同いたしまして研究中でございます。したがいまして、はたして九カ月に間に合うか間に合わないかということに関しましては、率直に申し上げますと、非常にむずかしいのではないかと思いますが、重工業局の次長が参っておりますから、具体的にその状況を説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/9
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010・赤沢璋一
○赤沢説明員 自重計につきましては、ただいま政務次官からお話し申し上げましたように、現在試作品をとりつけまして実験中でございます。なるべく精度のいいものでかつ構造上将来あまり故障が起きないような、また、経費もあまり高くないものということでございますので、いろいろ問題点はございますが、法律で九カ月と定められておりますので、極力メーカーを促進いたしまして、時間的に間に合うように私ども努力し、指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/10
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011・大久保武雄
○大久保委員 これは法律がざる法になってはいけませんので、私たちは絶対にこの法をざる法にはしないという確信を持って委員諸君が立案しておりますので、ぜひとも間に合わせるように手配を願いたいと思っております。
次に、お尋ねしたいのは、ダンプカーの使用規制等の緊急対策は、この法律とともに強力に推進する必要がございますが、根本的には、ダンプ輸送から鉄道または船舶による大量輸送に転換する必要があると思っております。骨材需要は現在三億トン台の需要がございますが、四十五年には実に五億トンになんなんとする骨材の需要があるといわれております。そうしますと、現在でもダンプがこれほどの人命事故を起こしておりますのに、需要が三億トン台から五億トン台にふえるということになりましたならば、町にダンプのはんらんはおそるべきものがございます。そこで、私どもといたしましては、このダンプをできるだけ少なくし、また、その輸送距離を少なくし、また、従来川砂利が非常に遠隔の地しかないというので、ダンプの輸送が非常に遠くなっておりますから、何とかこれを大きな砕石の山の開発に切りかえて、そうして鉄道あるいは船、こういった輸送力に切りかえる方法はないか。ただいままでの貨物輸送、特に骨材輸送の状況を見ますと、鉄道と船の輸送シェアというものはほとんど変わっていない。九十数%はダンプが運んでおるということでございます。石炭も斜陽といわれておりますし、船にも国内輸送につきましては若干の余裕船はあるようでありますから、これを何とか鉄道並びに船に転換することについて運輸大臣はどう考えておられるか、見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/11
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012・大橋武夫
○大橋国務大臣 お話のとおりに、現在骨材の輸送量は国内総貨物輸送量の四分の一にも及ぶ大宗貨物でありますが、この九四%がダンプ、トラックによる輸送となっております。ダンプカーの事故防止には、使用規制など緊急対策が必要なのはもちろんでありますが、根本的には、ただいまお話しになりましたとおり、このような大宗貨物は鉄道及び船舶輸送を主力とするように現状を改善しなければならぬと考えます。
そこで、今後砂利資源が枯渇化し、砕石への転換が進められることを考慮すると、改善の方向といたしましては、第一には大量輸送を行なうに適した地点に大規模な砕石生産地を開発するということ。第二には、生産地並びに消費地に基地を建設し、基地と基地の間の輸送を鉄道または船舶によるピストン輸送にいたすこと。第三には、大口需要者が率先してこのような骨材を利用する協力体制を確立することであります。このように、問題は生産、輸送、消費にわたっておるのでありまして、運輸省一省だけで解決できるものではございませんが、今後関係各省の協力を得てこのような改善策を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/12
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013・大久保武雄
○大久保委員 ただいま運輸大臣から適当なる砕石の産地を開発したいという答弁がございましたが、これは、こういうような業者が中小企業であるといったような関係から、なかなか並みたいていのことではなかろうと私は思っております。通産省はこれに対していかなる対策をお持ちであるか、お考えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/13
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014・宇野宗佑
○宇野政府委員 産業構造審議会の骨材小委員会におきまして、いま先生御指摘のとおり、昭和四十五年には砕石の比率を五一%まで持っていきたいというような考え方をいたしておりますので、この見当をつけますと、約一億トンの砕石を新しく早急に開発をいたしていかなくてはなりません。当然その業者は、ほとんどが中小企業でございますので、昨四十一年度に近促法の指定業種に指定いたしまして、今後協業化を進めるなり、あるいは施設、設備の近代化を進める等、鋭意努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/14
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015・大久保武雄
○大久保委員 次に、需要者の中心である建設省にお尋ねしたいと思っております。
いま運輸大臣も、この問題は需要家の協力が必要であるという説明でございましたが、何と申しましても、道路公団あるいは国、地方団体の公共事業、そういうような面におきまして、新しく開発された砕石の山から鉄道あるいは海送、そういうものによって公共事業を進めるという体制をつくって協力してもらわなければならぬわけであります。とかく川砂利でなければならぬというような仕様書を建設省が出しておるといううわさもございますが、そういうことではなくて、できるだけ砕石を、いま言ったような需要に合わせて使っていく、こういうことについての建設省の考え方、並びに運輸省も、これは輸送関係の監督と同時に、また新しい大口需要の監督もしておられる。たとえて申しますると、新国際空港公団、これあたりはたいへんな、二千数百万トンの骨材の需要があるといっておる次第であります。運輸省も、運輸大臣も、どう考えておられるか、建設省と運輸省から、この点についての見解を承りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/15
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016・澁谷直藏
○澁谷政府委員 骨材問題でございますが、御承知のように、砂利資源そのものが払底をいたしておりまして、しかも、ただいま御指摘のように、需要は年々非常にふえてまいっております。したがって、建設省といたしましては、骨材として砂利に重点を置くという方針はとっておりませんので、適当な砕石所があればこれを十分に活用してまいりたい、こういう方針で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/16
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017・大橋武夫
○大橋国務大臣 新東京国際空港の建設には約二千三百万トンの骨材が必要と見込まれております。当省といたしましては、この輸送を極力鉄道または船舶による集約輸送によって安全かつ合理的に行なうよう、骨材供給地の選定の問題をも含めまして、輸送体制の整備を現在公団と打ち合わせ中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/17
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018・大久保武雄
○大久保委員 次に、私がお尋ねしたいと思いますのは、骨材輸送にあたりまして、ダンピング等によって非常に低廉な運賃でこれを引き受けて、それをカバーするために、トンボ返りでスピード違反をやる、あるいは積載の制限違反をする、そういったようなことが大事故の原因になっておるようであります。
そこで、そのもととなっておるところの取引の公正ということを保護してやる必要があります。ダンプ業者が零細な、あるいは個人ダンプであって、大企業から非常な低廉なる運賃でこれを押しつけられる、こういうことに対しましては、これは何としても、ある程度保護してやらなくてはならぬ面があります。そこで、個人ダンプ業者が協業化していくという過程において、そういう協業化した母体が大企業と一定の取引をするといったような運賃について、これを大企業の圧迫から、零細企業、中小企業を保護する、そういったような形の取引の公正化ということについて、これは通産省か運輸省か存じませんが、政府はいかなる対策をお持ちであるか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/18
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019・大橋武夫
○大橋国務大臣 御指摘の問題につきましては、中小、零細ダンプ業者の協業化を促進することによりまして、その経済的地位を向上させ、価格及び運賃を適正化させ、ひいては交通の安全が確保されますよう、行政指導をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/19
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020・大久保武雄
○大久保委員 次に、個人ダンプ等でありましても、そういったような非常に不公正な取引、非常にたたき売りをして、そうしてトンボ返りをするというようなことを常習としておって、よって事故を起こして人を死傷に至らしめた者というのは、第七条によって罪状を重くすべきであろう、かように考えておる次第であります。
次に、私は刑法の改正について法務大臣にお尋ねしたいと思っております。
この国会におきましては、通学路の緊急整備でありますとか、道交法の改正でありますとか、あるいは今回のダンプ対策でありますとか、交通事故に対する一連の緊急立法が次々と成立いたしておるのであります。しかるに、ひとり刑法の改正だけが、承るところによりますと、これは今国会で成立しないということで、きわめて私たちは遺憾であると考えておる次第であります。とうとい生命を失い、あるいは一生を不具廃疾に泣いておる人はたくさんあります。これは、言ってみるならば、命を落としたのだから死刑にもひとしい、あるいは一生不具廃疾になれば無期刑にもひとしい、そういう被害を与えておきながら、与えた運転者は三年以下の禁錮あるいは五万円以下の罰金ということである。これは明治四十年、東京に自動車が十六台しかなかったときの法律であります。現在日本に九百万台からの自動車ができた、こういったような時代において、こういった罪と罰とのアンバランスをそのままにおいてこの国会を終わるということは、われわれ交通安全、交通事故対策に取り組んでおります者といたしましては、まことに残念千万なことである。
そこで私は、法務委員会におきましては、毎国会で努力されて継続審議にされながら、これが次々の国会に延びていくということは遺憾でありますが、継続審議としておるうちにこれが消えてなくなるということでは、私たちは、法律のバランスからもおかしいし、あるいは交通事故被害者に対して申しわけないと考えております。国民もこれを要望しておると考えております。法務大臣は、今後この継続審議の案件に対していかなる考え方をもって今後対処されるか、明確な所信を表明されたいと考える次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/20
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021・田中伊三次
○田中国務大臣 私の所管であります刑法の一部改正の法案は、ここに御審議をいただいておりますダンプによる交通事故の防止に関する特別措置法と並んで重要な交通対策に意義を持つ法案である、こう私は信じております。かく信じておりますがゆえに、今国会早々より、三度目の法案を提出いたしました。すでに委員会に出まして答弁をいたしますこと十回近くに及んでおります。十分時間をかけて審議を尽くしていただくように、法務大臣といたしましては、全力を傾けて、お願いもし、苦心も重ねておるわけでございますが、申しわけのないことには、私の努力足らずの結果、昨今に至りましてこれは継続審査としよう、衆議院の継続審査という方針が理事会において昨今取りきめられたのでございます。この方針のごとく本会議で議決をしていただくことができますならば、今国会は継続審査ということにならざるを得ない見通しでございます。
ただ、継続審査でありますが、いろいろ法務大臣からも所見を皆さんに申し上げまして、野党の皆さんにもお願いをしたところでございますが、次の国会においては優先的に審議に入っていただく、こういうことで、いままでの審議を無にしない、生かしていただくという方針をほぼ取りきめをいただいておるわけでございます。という事情でございますから、おくれはいたしますが、国会の情勢はこれで会期の再延長がないものといたしますならば、非常に近い時期に臨時国会を開かざるを得ない場合に立ち至るかと存じます。そういう情勢で、近く開かれるであろう臨時国会においては成立の見通しは十分に立っておる、こういう了解のもとに、継続審査という理事会の御決定はやむを得ないものと私は承知した次第でございます。申しわけのない点でございますが、それで安心をしませんで、来たるべき臨時国会において最善を尽くして審議を促進をしていただき、御期待に沿うべく、本件の法案とともに肩を並べて交通対策の事故防止にお役に立ちますように、この法案を生かしていくことに最善の努力を尽くすことをお誓いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/21
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022・大久保武雄
○大久保委員 ただいま法務大臣の、来たるべき臨時国会におきましては必ず通過させるように最善の努力をするということを信頼いたしまして、期待を申し上げておきます。
最後に、お尋ねしたいと思いますのは、この法律の実効を確保いたしますためには、あるいは届け出の受理、表示番号の設定、事故を起こした使用者に対する罰則の適用等、いずれも相当重要なる業務が関係当局に課せられることになるわけであります。この法律は、人命にかかわる重要なる法律案件でございまして、法律は通ったけれども一向に実効があがらないということになりましては、これはまことに申しわけない次第でございます。そこで、私どもといたしましては、この法律が実効を確保できるような、それに必要なる定員、あるいは予算措置というものは、当然私はつけなければならない。本来ならば、この法律に関係省の設置法の改正の定員まで明文化して私たちはこの法律をつくりたかったわけであります。しかし、国会末期におきましてその時期がございませんので、やむを得ず私たちはこの定員の明記ということはこの法律には書かなかったわけであります。
そこで、この点に関しましては、私は関係大臣におきましてぜひともこの法律の実効を確保するために必要なる予算なり定員の措置を講ずるということ、並びに、先ほど運輸大臣からお話がありました鉄道並びに船舶に転移していきます、あるいは、砕石山の開発をするという際におきましては、それに必要なる融資その他の助成措置が必要だろうと私は思っております。そういう点もあわせまして、この法律の実効を確保するに必要なる定員その他の予算、金融、税制の措置というものに対して、いかなる考え方を持っておられるか、それに対する気がまえにつきまして、統一して総理府総務長官から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/22
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023・塚原俊郎
○塚原国務大臣 ただいまの御質問につきましては、この法律の実効を期するよう努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/23
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024・大久保武雄
○大久保委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/24
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025・山下榮二
○山下委員長 次に、山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/25
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026・山田耻目
○山田(耻)委員 ただいま大久保委員のほうから重要な点について大体質問され、答弁がございましたので、時間もございませんから、数点について政府側の見解をただしておきたいと思います。もちろん、この法律は議員立法でございますので、そういう立場で政府の見解を強くただしておきたいと思います。
いまも大久保さんのほうからお話がございましたように、非常に苦労してつくった法律でございますし、また、今日の交通戦争と呼ばれるほど激しい被害を受けております。この被害の現状をこれ以上放置することはできない。むしろ交通事故は、天災ではなくて人災なのであるから、これは当然政府の行なう施策の中において解決する以外にないという立場で立法されておりますので、政府としても十分実効があがるように、しり抜けにならないように協力をいただく立場から御答弁いただきます。
まず最初に、労働省からお伺いいたしますが、この法律のたてまえの中に、第七条で、事業所いわゆる事業主に対して、運転者と同様にやはり制裁を加えるという立場を取り上げております。しかし、これは道交法上の違反を犯した結果に対して、六カ月以内の禁止並びに制限を行なうというものでございます。したがいまして、それだけでは不十分でございます。本法律の基本の精神というものは、事故を起こさないように、未然に防ぐ、予防することがきわめて大切であるという立場に立っておりますから、当然事業所に対しては、労働基準法上の順守という立場をとらざるを得ません。そこで第八条を起こしまして書き上げてございますが、五条の強制労働、三十二条の労働時間、三十五条の休日、三十七条の夜間の勤務に対する賃金の割り増し、五十一条の就業の禁止、四十条の労働時間と休憩の特例、これだけを八条の中に挿入をいたしまして、この事項に違反をしたときには、七条一項に示す六カ月以内の事業の禁止を行なうことになる、こういうふうに事故を防ぐための事業主の規律というものを確立をいたすことになりました。
そこで、お伺いしたいのでございますが、今日の基準監督を監督署が中心になってやるわけでございますが、そういう労働省所管の出先をうんと強化をしていただいて、指導なり監督というものを十分していただかなければなりません。せんだってお流しになりました二・九通達というものが名目上にとどまっておるというそしりすらあるのでございますから、この法律の趣旨に従って思いきった指導監督の強化、ときによっては立ち入り検査、こういうものをおやりになって、法律の趣旨にお沿いいただけるかどうか、その決意と見解を述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/26
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027・海部俊樹
○海部政府委員 山田委員御指摘のとおりに、自動車の事故発生の防止のためには、労働基準法に定めております、たとえば労働時間であるとか、あるいは賃金体系等にいたしましても、未然に事故予防の観点から、労働基準行政において徹底的にやらなければならぬことは全く同感でございます。特に、今回労働基準法のこういったいろいろの労働者保護の規定が有効に措置されるような法律ができるということは、まことに時宜を得たものであると私どもは考えておりますし、現に二月九日に出しました自動車運転者の労働時間等の改善基準に関しましても、その後一斉に一万二千事業場にわたる実施をいたしておりまして、監督もこれからできるだけ強化をして、法律の趣旨に沿うように、労働省といたしましては全力をあげてやっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/27
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028・山田耻目
○山田(耻)委員 事業所の労働基準法違反は、統計によりますと六割近くなっておりますので、重ねてその点については答弁は要りませんけれども、十分指導監督を強めて、事故を未然に防ぐように、ひとつ強い指導をお願いしたいと思います。
次に、建設省にお伺いいたしますが、これも大久保さんの質問の中にございましたが、若干付言をいたしておきますと、いわゆる大手業者が最近みずからの代車として一匹オオカミを使っておるわけです。そこに一つの料金引き下げの実態なり、あるいは過当競争の実態が起こっております。この中から事故を誘発いたしております。こういうことをこれからどのような形で取り締まりを検討なさるか。いわゆる事故を防ぐという立場に立って、建設省の見解を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/28
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029・澁谷直藏
○澁谷政府委員 いわゆる一匹オオカミのような業者の協業化あるいは近代化ということにつきましては、先ほど運輸大臣から答弁があったわけでありますが、ただいま御指摘のように、大手の業者がいわゆる一匹オオカミのダンプ業者を使って、それが過当競争になっておるというような実態もございますので、取り締まりという立場にはございませんけれども、行政指導を通じまして、できるだけ大手業者のそういった事故の発生を防止できるように、極力強力な行政指導を行なってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/29
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030・山田耻目
○山田(耻)委員 この国会には間に合わないかもしれませんが、そういう行政指導の基準と申しますか、通達の写しを本委員会に御提出いただくようにお願いいたしておきたいと思います。
それから、運輸大臣にお伺いいたしますが、さっきからもしばしばやりとりがございましたように、この法律の実効をあげるためには、運輸省の格段の御努力をひとついただかなければなりません。具体的にそのことを大久保委員も指摘をいたしておりましたが、人の問題であります。全国九陸運局、五十二陸運事務所、これだけの事務所で大型トラックなりダンプカーについてのいろいろなこの法律に基づく措置を行なうわけでありますが、いろいろと運輸省も、法律は通った、六カ月後に施行される、さて何にもできない、こういう関係になったのでは、これだけ交通事故で国民に心配をかけておるのを、紙をつくって法律を書いて、そうしてアリバイをつくったということにとどめてはなりませんから、具体的に実効あるものにいたさなければなりません。そのためには、当然いわゆる設置法の改正をして、定員を充足していかなければなりませんが、大体どれくらいの要員が必要と思われるか、その立場をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/30
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031・大橋武夫
○大橋国務大臣 本法案の実施につきましては、陸運局、陸運事務所を通じまして、少なくとも百名以上の大幅な人員の増加が必要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/31
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032・山田耻目
○山田(耻)委員 私もこういう仕事について過去に経験がございますし、私が考えてみましても、やはり最低百名はどうしても補強しておかなければ、この法律の実効をあげることはできないと判断いたしております。
そこで、ひとつこの法律の施行がなされますのは、自重計を除いて六カ月以内でございます。ちょうど六カ月以内には、これも間違いない方向として推測されますのに、補正予算を組む時期がございます。この時期には、責任の省として当然補正予算を組み、そういう定員措置を御要求なさるものと私は判断いたしますが、そのような手続をおとりになる御決意でございますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/32
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033・大橋武夫
○大橋国務大臣 来年度の予算要求につきましては、ぜひ本法実施に必要な人員は計上いたしたいと思っておりますし、また、本年度の人員につきましては、よく大蔵省と協議をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/33
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034・山田耻目
○山田(耻)委員 最後に総理府長官にお伺いいたしますが、交通安全の主管の大臣として、ただいま私が申し上げました幾つかの事柄の中で、特段、政府の筋として実現のために御努力をいただかなければならないのは、いまの予算の問題であります。大蔵省との相談も当然必要だと思いますけれども、総理府長官として、政府をその意味で代表する立場から、少なくとも補正予算の際にあたっては、この法律がみごとに、しり抜けにならないように、充足された形において政府が責任ある措置をする、こういうふうな決意を伺っておきたいものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/34
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035・塚原俊郎
○塚原国務大臣 この特別委員会が超党派的に非常に熱心に論議され、法案を二つまでもお出しになりましたことに対しまして、私は心から敬意を表するものであります。交通対策本部長といたしまして、総合調整の立場から、各省と緊密な連絡をとりながら、非常に大きくなりつつある政治問題としての交通問題に対処しておるわけでありますが、この法律ができました以上、この実効をあげるための努力をいたすことはもちろんでありまするが、いま御質問の趣旨に関しましても、関係省庁とよく連携をとりまして努力していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/35
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036・山田耻目
○山田(耻)委員 以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/36
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037・山下榮二
○山下委員長 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/37
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038・春日一幸
○春日委員 いまや交通禍の問題がだんだんと激甚の度合いを加えてまいりまして、これが生活不安、社会不安の高まりを見せてまいりました。本委員会は、設置されまして以来、ここに政策論議の重点を置いて、各党とも熱心に御努力、御検討を賜わってまいったのでありまするが、ここにその交通禍の大いなる部分を占めておりまする土砂等を運搬する大型車の操業並びに営業状態等について、特に安全操業を確保することのために必要なる措置としてこの法案が提出をされましたことは、これまさしく全国民の輿望、負託にこたえるものといたしまして、同僚各位とともにまことに欣快にたえないところでございます。したがいまして、私は、ただいま法の条文以外に若干残されておりました疑義については、大久保委員並びに山田委員の質疑によって明確になりましたが、なお一点だけお伺いをいたしまして、その点を明らかにしておきたいと存ずるのでございます。
その問題点は、いわゆる業者団体の機能並びにそれに対しまする国、公共団体の助成についてでございます。御承知のとおり、このような法律によってさまざまな安全規制がされるわけではございまするが、ただ法律や行政庁だけによっては、なかなかその政策目的を十分に遂げることはできない。そのようなおもんばかりから、この第十二条、すなわち業者団体みずからが安全確保のための自主的な措置をとることがここに明示されておるのでございます。ここに示されておりまする事柄は、みんながどうしたら事故を未然に防止することができるかというような業者責任感の上に立っての事務措置、また、国並びに公共団体の行政措置に対する協力ということがうたってあるわけでございます。この業者団体が、業者責任の上に立ってそのような貢献をなしまするならば、私はこの法の目的はさらに完ぺきを期し得るものと考えられますので、この団体の活動にも多くの期待が寄せられておると思うのでございます。かくて第十四条にはこれに対しまする指導及び育成ということが書いてあるのでございまするが、この中身は、具体的にどのようなことが構想されておるのであるか、この点を古川議員にお伺いをいたしたいと思うのであります。育成いたしまするためには、何といっても先立つものはそれらの事務経費でございましょう。集会をいたしましたり、研修をいたしましたり、あるいはまた、さまざま伝達をいたしましたり、これには先立つ事務経費もかかるでございましょうから、そういうものに対して、このような国家的、民族的使命をになわせようといたしますれば、国は、当然の事柄として、それに必要なる助成が行なわれてしかるべきものと考えるのでありまするが、提案者はこれについてどのような事柄を構想しておられるのであるか、この一点についてお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/38
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039・古川丈吉
○古川(丈)議員 春日さんも御承知のとおりに、土砂等の運搬に関する事業を行なうものは非常に零細企業が多いわけでありまして、経営の面からいいましても、協業化を十一条でうたっておりまするとおりに、奨励しなくてはなりませんし、それと同時に、零細企業でありまするために、みずから交通事故防止に関するいろいろな対策を講ずるということはむずかしいことで、これらの零細企業者が互いに集まって団体を組織して、そして交通事故防止に関する事業を行なうことを主として目的として団体を結成されるということは、まことに望ましいことでございます。したがって、十二条の規定は、そういう趣旨でこの団体に関する規定を設けてあるわけですが、御指摘の十四条につきましては、「国及び地方公共団体は、第十二条第一項の規定による届出をした団体の指導及び育成に努めるものとする。」こういう規定になっておりますから、もちろんその事業の内容につきまして、文字どおり指導育成することも一つの大きな仕事だと思いまするが、さらに、ただいま御指摘のありましたとおりに、こういう団体が健全に運営されるためには、やはり事務費その他の経費もかかりますし、他の団体につきましても、こういう団体には国が補助金を出す、こういうことがあるわけでございまして、われわれといたしましても、そういう方向に向かって努力いたしたい、そういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/39
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040・山下榮二
○山下委員長 丹羽久章君。
丹羽君に申し上げますが、本会議が定刻より始まるそうでありますから、それまでの間に議決を行なわなければなりませんから、そのつもりで質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/40
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041・丹羽久章
○丹羽(久)委員 委員長のことばを了承いたしまして質問いたします。
建設省に特にお尋ねをいたしたいと思いますことは、こうしたいい法案がつくられたことにつきまして、私ども特に喜びにたえない次第でありますが、いままでの大型ダンプといったような土砂運搬に対しては、それぞれがかってというか、ある程度の積載量のオーバーを見込んで、そして単価を争ってやったのですけれども、こういう規制がきちっとされ、そして人命尊重の上から、それぞれが自粛をいたしてまいりますると、相当大幅な値上がりというものを考えなければならないようになってくるけれども、いままでどおりのような予算単価を計上せられておっては、業者も非常に迷惑をするし、またもぐり的な運営をするような状態になってくると、罰則はいかにきつくても、それをあえてしてでもやっていかなければならぬというような事態になっては、この法律ができても、法律の趣旨が徹底しない。そういうようなことになりますけれど、それについて、今後の設計単価に対しては、いままでよりは上回ったこれに対するある程度の設計増額を考えられる考えを持っておられるのかどうかという点だけをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/41
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042・大津留温
○大津留説明員 御指摘のとおり、発注単価が適正でございませんと、そのしわが砂利業者のほうにまいりますから、発注者といたしましては適正な価格で積算いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/42
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043・山下榮二
○山下委員長 他に質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/43
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044・山下榮二
○山下委員長 次に、本案を討論に付するのでございますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入りたいと存じます。
大久保武雄君外十名提出にかかる土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/44
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045・山下榮二
○山下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/45
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046・山下榮二
○山下委員長 この際、大久保武雄君、山田耻目君、春日一幸君及び松本忠助君から、四派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。大久保武雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/46
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047・大久保武雄
○大久保委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかる、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
土砂等を運搬する大型自動者による交通事故の防止等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、本案施行にあたり、次の事項について必要な措置を講ずべきである。
一、本法の実施による陸運事務所等の事務量の増加については、本法の効果的な運用を確保するため、必要な予算及び定員の確保に努めること。
二、土砂等の価格が、大型自動車による交通事故に関係する実情にかんがみ、土砂等の取引関係の適正化について、必要な対策を検討すること。
決議案の内容につきましては、ただいまの質疑等で明らかになったことと思いますので、説明を省略いたしますが、何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/47
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048・山下榮二
○山下委員長 本動議について採決いたします。
本動議のとおり決するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/48
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049・山下榮二
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は、大久保武雄君外三名提出にかかる動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、政府当局から発言を求められておりますので、これを許します。塚原総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/49
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050・塚原俊郎
○塚原国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府としても、御趣旨に沿うよう、十分検討し、努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/50
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051・山下榮二
○山下委員長 大橋運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/51
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052・大橋武夫
○大橋国務大臣 ただいま慎重御審議の上御採決の運びとなりまして、まことに喜ばしく存じます。
本法の実施につきましては、政府当局といたしましては、その趣旨を尊重し、誠意をもって御期待に沿うべく努力する所存であります。しかしながら、附帯決議にもありますとおり、本法の実効をあげるためには、陸運事務所等の定員予算につきましては、十分な措置を講ずることが絶対に必要であると考えます。この点、運輸省におきまし
ても極力努力いたしますが、なお、本委員会にお
かれましても、今後とも一そうの御協力をいただきますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/52
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053・山下榮二
○山下委員長 おはかりいたします。
ただいま議決されました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/53
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054・山下榮二
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/54
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055・山下榮二
○山下委員長 次会は、公報をもってお知らせするこことし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504199X01519670719/55
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