1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月六日(火曜日)
午前十時二十七分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 佐々木義武君 理事 齋藤 邦吉君
理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
理事 河野 正君 理事 田邊 誠君
理事 田畑 金光君
天野 光晴君 菅波 茂君
田中 正巳君 地崎宇三郎君
中山 マサ君 増岡 博之君
三ツ林弥太郎君 粟山 秀君
山口 敏夫君 渡辺 肇君
淡谷 悠藏君 枝村 要作君
加藤 万吉君 島本 虎三君
西風 勲君 八木 一男君
山本 政弘君 本島百合子君
浅井 美幸君 大橋 敏雄君
出席国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
警察庁警備局長 川島 広守君
防衛施設庁長官 小幡 久男君
防衛施設庁労務
部長 江藤 淳雄君
労働大臣官房長 辻 英雄君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
委員外の出席者
外務省北米局安
全保障課長 浅尾新一郎君
専 門 員 安中 忠雄君
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六月二日
委員菅波茂君、伊藤惣助丸君及び北側義一君辞
任につき、その補欠として佐々木秀世君、大橋
敏雄君及び浅井美幸君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員佐々木秀世君辞任につき、その補欠として
菅原茂君が議長の指名で委員に選任された。
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六月一日
精神薄弱者福祉法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一三九号)
同月五日
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(大原亨君外四十一名提出、衆法第一
四号)
同月三日
健康保険制度改悪反対に関する請願(堂森芳夫
君紹介)(第一〇八七号)
同外八件(松前重義君紹介)(第一一一六号)
国立病院、療養所の医師等増員に関する請願
(帆足計君紹介)(第一〇八八号)
同外二件(成田知巳君紹介)(第一一六三号)
栄養士法第五条の二改正に関する請願外一件
(池田正之輔君紹介)(第一〇八九号)
同外一件(小沢辰男君紹介)(第一一一八号)
同(佐野憲治君紹介)(第一一一九号)
同(大橋武夫君紹介)(第一一六二号)
同外二件(川野芳滿君紹介)(第一二〇三号)
同(亀山孝一君紹介)(一二三二号)
同(増田甲子七君紹介)(第一二四一号)
同外一件(床次徳二君紹介)(第一二五二号)
戦争犯罪裁判関係者の補償に関する請願外一件
(池田正之輔君紹介)(第一〇九〇号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第一一七八号)
バーテンダーの国家試験実施に関する請願(増
田甲子七君紹介)(第一一一五号)
ソ連長期抑留者の補償に関する請願(野田卯一
君紹介)(第一一一七号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一一四〇号)
同(原健三郎君紹介)(第一二七八号)
心臓病の専門病院増設に関する請願(荒木萬壽
夫君紹介)(第一一二二号)
同(佐野憲治君紹介)(第一一二三号)
同(畑和君紹介)(第一一九八号)
同(愛知揆一君紹介)(第一二二三号)
心臓病の子供の育成医療助成拡充に関する請願
(荒木萬壽夫君紹介)(第一一二四号)
同(佐野憲治君紹介)(第一一二五号)
同外一件(畑和君紹介)(第一一九九号)
同(愛知揆一君紹介)(第一二一二四号)
心臓手術のため供血制度改善に関する請願(荒
木萬壽夫君紹介)(第一一二六号)
同(佐野憲治君紹介)(第一一二七号)
同外一件(畑和君紹介)(第一二〇〇号)
同(愛知揆一君紹介)(第一二二五号)
日本土建労務相互会設立に関する請願(森下國
雄君紹介)(第一一二八号)
健康保険制度改善に関する請願外一件(堀昌雄
君紹介)(第一一四一号)
同外八十四件(永江一夫君紹介)(第一一四九
号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一二三八号)
同(石田宥全君紹介)(第一二七九号)
引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願(
田畑金光君紹介)(第一一四八号)
同(菅波茂君紹介)(第一二〇七号)
同(川野茂滿君紹介)(第一二〇八号)
同(中野四郎君紹介)(第一二〇九号)
保健所栄養指導員の定員増加等に関する請願(
大石武一君紹介)(第一一五一号)
厚生年金保険法の特例老齢年金制度改善に関す
る請願(河野洋平君紹介)(第一一五二号)
医療保険制度改悪反対に関する請願外一件(島
本虎三君紹介)(第一一五九号)
同(河野正君紹介)(第一一七七号)
同(神門至馬夫君紹介)(第一一九三号)
健康保険、厚生年金等の制度改悪反対に関する
請願(島本虎三君紹介)(第一一六〇号)
児童福祉施設最低基準の改訂に関する請願(後
藤俊男君紹介)(第一一七五号)
同(中野四郎君紹介)(第一一七六号)
同(西風勲君紹介)(第一一九二号)
同(加藤万吉君紹介)(第一二〇五号)
同(菅波茂君紹介)(第一二〇六号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第一二一九号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第一二二七号)
同(藤本孝雄君紹介)(第一二二八号)
同(藏内修治君紹介)(第一二三三号)
全国全産業一律最低賃金制確立等に関する請願
(河野正君紹介)(第一一九〇号)
同(西風勲君紹介)(第一一九一号)
同外三件(加藤万吉君紹介)(第一二〇四号)
同(加藤勘十君紹介)(第一二二六号)
同(西風勲君紹介)(第一二三九号)
同外三件(平林剛君紹介)(第一二四〇号)
全国全産業一律最低賃金制及び医療保障の確立
等に関する請願(神門至馬夫君紹介)(第一一
九四号)
季節保育所開設の補助基準緩和に関する請願(
川野芳滿君紹介)(第一二〇二号)
衛生検査技師法の一部改正に関する請願(中野
四郎君紹介)(第一二一〇号)
農協及び生協の共同利用施設の理容事業規制に
関する請願(關谷勝利君紹介)(第一二三四
号)
療術の新規開業制度に関する請願(河本敏夫君
紹介)(第一二三六号)
同(永江一夫君紹介)(第一二三七号)
同(加藤六月君紹介)(第一二五三号)
同(河上民雄君紹介)(第一二五四号)
同(田中武夫君紹介)(第一二五五号)
同(中川俊思君紹介)(第一二五六号)
同(堀川恭平君紹介)(第一二五七号)
同(島本虎三君紹介)(第一二七一号)
同(鍛冶良作君紹介)(第一二七二号)
同(砂田重民君紹介)(第一二七三号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一二七四号)
同(内藤隆君紹介)(第一二七五号)
同(西村榮一君紹介)(第一二七六号)
同(原健三郎君紹介)(第一二七七号)
戦後長期抑留者の処遇に関する請願(松浦周太
郎君紹介)(第一二四二号)
人命尊重に関する請願(床次徳二君紹介)(
第一
二五一号)
健康保険法改悪反対に関する請願外一件(岡本
隆一君紹介)(第一二五八号)
同外二件(柳田秀一君紹介)(第一二五九号)
同(玉置一徳君紹介)(第一二八一号)
戦傷病者等の妻に対する特別給付金の不均衡是
正に関する請願(粟山秀君紹介)(第一二六八
号)戦没者等の妻に対する特別給付金の不均衡
是正に関する請願(粟山秀君紹介)(第一二六
九号)
日雇労働者健康保険法の一部改正に関する請願
(島本虎三君紹介)(第一二七〇号)
精神衛生思想の普及等に関する請願(本島百合
子君紹介)(第一二八〇号)
戦傷病者に対する傷病恩給等を生活保護法の収
入対象より除外に関する請願(粟山秀君紹介)
(第一二八二号)
東京都内湾のハゼを守るため環境保持に関する
請願(佐藤觀次郎君紹介)(第一二八四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四三号)
失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を
改正する法律案(内閣提出第一〇四号)
雇用促進事業団法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九三号)(予)
労働関係の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案及び予備付託の雇用促進事業団法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/1
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002・川野芳滿
○川野委員長 提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣早川崇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/2
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003・早川崇
○早川国務大臣 ただいま議題となりました失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
失業保険法及び労働者災害補償保険法は、いずれも、昭和二十二年に制定されて以来、数次の改正により逐次その内容を整備してきたところでありますが、現在までのところ、両保険とも、労働者五人未満の事業所の大部分については未適用のままとなっており、これらの零細企業に働く恵まれない労働者に両保険を全面的に適用し、その福祉の増進をはかることは、労働政策上の多年の懸案であったのであります。
また、失業保険につきましては、低所得層を中心に給付内容を改善し失業者の生活の一層の安定をはかる必要があると考えるのであります。
さらに、失業保険におきましては、近年、いわゆる季節的な短期循環受給者が著しく増加し、昭和四十年度において五十八万人、給付額は三百億円に達しております。全被保険者の三%にすぎない五十八万人の人々が全給付額の三割を受けるという不均衡な状態が毎年繰り返され、他の被保険者及び使用者に多大の負担をかけるという状態にあるわけであります。したがって、この際このような不均衡を是正するために、短期循環受給者の生活に激変を与えないよう十分配慮しつつ、給付日数の合理化をはかる必要があると考えるのであります。なお、最近不正受給が著しく増加し、かつ、悪質化しておりますので、この際、その防止をはかる必要があると考えるのであります。
このような事情にかんがみ、政府といたしましては、ここに失業保険制度及び労働者災害補償保険制度の適用の拡大、失業保険における給付内容の改善及び短期循環受給者にかかる給付日数の合理化等を行なうことを主とした失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、失業保険及び労働者災害補償保険における適用の拡大であります。まず、失業保険につきましては、労働者五人未満の事業主に雇用される者を当然被保険者とするとともに、あわせて、従来、当然被保険者とされていなかった教育、研究または調査の事業に雇用される者も、政令で定める場合を除き、新たに当然被保険者とすることといたしました。なお、労働者五人未満の事業であっても、短期間の臨時的なもの等保険制度を適用するに適していないものについては、政令により、当分の間、当然適用としないことといたしました。
次に、労働者災害補償保険につきましては、労働者を使用する事業は、すべて当然適用事業とするものでありますが、失業保険と同様に、政令で定める事業は、当分の間、任意適用事業とすることといたしております。
第二は、失業保険における給付内容の改善であります。
その一は、一般失業保険の失業保険金の日額の引き上げでありまして、配偶者にかかる扶養加算の日額を現行の二十円から三十円に引き上げることといたしました。また、告示の改正により賃金の比較的低い等級の日額を十円引き上げることといたしております。
その二は、日雇い失業保険における給付の改善でありまして、現行の二段階制の失業保険金の日額を三段階制に改め、新たに第一級七百六十円の日額を設け、これに伴い、保険料の日額及び保険金日額の等級の決定方法等について所要の改正を行なうことといたしました。
第三は、失業保険における給付日数等の合理化、不正受給を防止するための新たな制度の創設等であります。
その一は、短期循環受給者、すなわち、一年に満たない程度の短期間の雇用を三回繰り返し、一回目及び二回目について保険給付を受けたことがある旨の所定給付日数は、現行法では、通常の場合には、九十日となりますが、これを三回目から四十五日とすることとして、他の被保険者との均衡をはかることといたしたことであります。しかしながら、すでに短期循環受給をしている者については、その生活に激変を与えないため、従来どおりの給付を行なうこととするとともに、今後新たに短期循環受給者となる者についても、季節的に失業者が多発する地域に居住し、かつ、就職が特に困難な者、すなわち、三十五歳以上の中高年齢者及び三十五歳未満の扶養親族を有する者については、四十五日を限度として給付日数を延長することとして、実質的に給付の減少とならないよう配慮いたしておるのであります。なお、この措置により所定給付日数が四十五日となる者の就職支度金についても、所要の改正を行なうことといたしております。
その二は、被保険者であった期間が通算して二十年以上である場合の所定給付日数を、現行の二百七十日から三百日に改め、これらの者の生活の安定をはかることといたしたことであります。なお、これに関連して広域職業紹介地域にかかる給付日数の延長措置を受ける者について、受給期間を延長することといたしました。
その三は、詐欺その他不正の行為によって保険給付の支給を受けた者がある場合には、現行の不正受納金の返還命令制度に加え、その支給を受けた者に対して その詐欺その他の不正の行為によって支給を受けた金額の二倍以下の金額を納付すべきことを命ずることができることとし、また、その不正受給について事業主にも責任が認められる場合は、その事業主に対しても本人と連帯して、その金額の納付を命ずることができることといたしたことであります。
その四は、失業保険における健全な運用を確保するため、被保険者期間の算定の基礎となる賃金支払い基礎日数を、現行の十一日から十六日に改めることといたしたことであります。また、これに伴い、五カ月以内の期間を定めて雇用される季節的労働者を被保険者から除外することといたしました。
次に、この法律案の施行期日につきましては、失業保険及び労働者災害補償保険の適用の拡大は、実施準備に万全を期するため、この法律の公布の日から起算して二年をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとし、一般失業保険の失業保険金の日額の引き上げ等は昭和四十二年六月一日から、日雇い失業保険における給付の改善は七月一日から、失業保険における給付日数等の合理化は昭和四十二年十一月一日から、それぞれ施行することといたしております。
以上のほか、本改正案の附則におきまして、国家公務員等退職手当法及び炭鉱離職者臨時措置法について所要の改正を行なうこととしております。
以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました雇用促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
今後のわが国の雇用の動向を考えますと、技能労働者等生産部門に従事する労働者の不足が一そう深刻になることが予想される反面、中高年齢者、身体障害者等の就職問題が懸念されるところでありますが、このような情勢に的確に対処し、すべての労務者がその能力と適性に応じた職業につくことができるようにするためには、企業における労働者の受け入れ体制を整備することが有効かつ適切な方策であると考えられるところであります。このためには、企業が能力の正しい評価の上に立った雇用慣行を確立するとともに、身体障害者等の雇用に伴う負担を軽減することができるように、企業に対する援助を強化することが必要でありますので、ここに雇用促進事業団の業務を拡充し、企業に対する援助体制を強化することにいたしたいと考え、この法律案を提案した次第であります。
次に、法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
改正の第一は、職業安定機関が雇用に関する事項につき事業主に対して行なう援助について、雇用促進事業団が必要な協力を行なうことでございます。
事業主が行なう労働者の雇い入れまたは配置その他の雇用管理については、雇用対策法に基づいて、職業安定機関が助言その他の措置を行なっているところでありますが、企業、特に中小企業において、労働者の適正配置が十分に行なわれていないために、労働者の能力と適性に応じた雇用が実現されていないきらいもありますので、職業安定機関の行なう援助を強化するため、新たに雇用促進事業団に雇用相談員を置き、必要な協力を行なわしめることにしようとするものであります。
改正の第二は、身体障害者を雇い入れる事業主に対して、身体障害者の作業を容易にするため必要な作業施設及び作業設備の設置整備のための融資を行なうことであります。
身体障害者については、身体障害者雇用促進法に基づいて、職業紹介の充実、適応訓練の実施、雇用率の設定等により、その雇用の促進につとめているところであり、企業における身体障害者の雇用率は、全体としてみれば、法定雇用率に達している状況にあります。しかしながら、身体障害者については、通常の作業条件のもとでは作業を行なうことに支障があるため、企業がその雇用にあたって困難を感ずる場合が少なからず見受けられますので、企業の雇用意欲を高めるため、事業主が身体障害者の作業を容易にするために必要な作業施設及び作業設備を設け、またはそれらを改善する場合に、雇用促進事業団がこれに必要な資金を長期かつ低利で貸し付けることにしようとするものであります。
以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。
何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/3
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004・川野芳滿
○川野委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。西風勲君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/4
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005・西風勲
○西風委員 すでに新聞で御承知のように、ここ三、四日前から連続して大阪の愛隣地区、昔釜ケ崎といわれていたところで事件が起こっているわけであります。この問題は、あそこにたくさんの固定した職業を持たない、失業したたくさんの労働者が流入してきておりまして、これらの問題は当然労働政策の基本的な問題と関連した点でありますから、そういう意味からこの問題について労働省、政府の見解をただすために若干の質問をしたいと思います。
まず第一に、今度の事件は一体どういう内容、どういう原因で起こったかという点について、説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/5
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006・有馬元治
○有馬政府委員 詳報はまだ書面で入っておりませんけれども、電話連絡等によりました状況によりますと、二日の日に東入船町の丸福という食堂で、労務者が三百七十円の食事をとったにかかわらず、三百円しか持っていないということで三百円を払ったところが、無銭飲食であるというふうになじられた。これがきっかけであの暴動が起こったわけでございます。二日、三日と起こりまして、四日は一応平静に返ったのでございますが、また再び暴動の様相が、昨日あたりから起こっておる、こういう状況でございます。
そこで、この暴動といいますか、騒動自体は、これは警察当局の治安の問題とも関連する事案だと思いますが、私どもといたしましては、あの地区に、五千人をこえる日雇い労働者の日々の青空市場における就労という実態がございます。もちろん、安定機関の出先もございまして、約千五百人については、日雇い労働者に対する紹介をやっておりますけれども、五千人をこえる路上の紹介については、これは、就労秩序の上から見ましてもゆゆしき問題でございますので、私どもとしては、この地区に対する本格的な対策を今年度において講じてまいりたい。マンモス安定所を中心といたしまして、福祉施設を付置いたしまして、これに要する労働省の予算総額が四億二千七百六十九万円、これに地元負担として土地を提供する、こういうことに相なっておりますので、全体の予算規模は土地を入れればさらに数億ふえる、こういう規模の施設を講じました。これらをもってあの地区に対して本格的な対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/6
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007・西風勲
○西風委員 同じように、神戸の弁天浜で、港湾労働法に基づく問題と関連して、労働条件、賃金の条件が悪いというので若干の紛争が起こっておりますけれども、この実情についてもあわせて御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/7
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008・有馬元治
○有馬政府委員 神戸港における弁天浜の日雇い労働者の問題につきましては、詳しい情報がまだ入っておりませんが、御承知のように、港湾労働者の賃金日額につきまして、現在労使間で交渉を重ねておる段階でございます。いままで大体平均して千三百円という日額であったものを千六百四十円に改定すべきであるという労働側の主張によって、現在交渉が重ねられておるということは承知いたしておりますけれども、弁天浜の、御指摘の事案が詳細はどういうふうな状態になっておるか、私いま承知いたしておりませんので、後刻調査いたしまして、別の機会に御報告さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/8
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009・西風勲
○西風委員 労働大臣にお願いしたいのですけれども、やはり日本の労働行政の一番重要な点は、非常に恵まれた職場、雇用条件の中にある労働者の問題を取り上げることではなくて、恵まれない、底辺の中でまじめに努力しようとつとめている労働者に対して、どのように具体的な行政施策をやっていくかということが問題なんです。したがいまして、今度のような事件が起こった場合には、役所が下から上がってくる文書あるいは電話連絡によってその実態をつかむ、あるいは新聞によってその事実を知るというような消極的な態度では、これは問題解決に当たることはできない。愛隣地区の問題にしても、問題は政府が金をかけて若干の事業をするということも、あの地区の改善の問題について大きな影響力を持つわけですけれども、もっと重要なことは、疎外されておるあの地区の住民や労働者に対して行政がほんとうに裸であの地区に飛び込んでいくというような姿勢が、東京の山谷の問題なり、大阪の愛隣地区の問題を解決していく基本なんです。そういう点で、ああいう事件が起こったら、何千人かの人が騒いだわけですから、労働省なり関係機関は現地に行って事実調査なり、あるいは事実確認をやったかどうかということを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/9
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010・早川崇
○早川国務大臣 労働行政の基本に解れる問題でございますが、御指摘のように、いわゆる底辺といいますか、恵まれない勤労者諸君に労働行政の恩沢をあまねく及ぼしていくということは、私の労働行政の姿勢の根本でございます。そういう立場から今回御提案申し上げた五人未満の事業所の勤労者に対する失業保険あるいは労災保険の適用もその一環でございますし、本年の正月三日に、正月を返上いたしまして愛隣地区にみずから参りまして、つぶさに愛隣地区の実情を視察をいたしました。その結果、画期的な施設を設けることになりまして、先ほど有馬局長が御答弁しましたとおりに、マンモス職安を設けよう、それから建設省のほうで予算を十数億かけまして、同時に勤労者アパートをつくろう、いわゆる愛隣地区の福祉センターと称せられる計画がすでに予算が通りまして、本年から実施されることになりつつあるわけでございまして、そういう意味では、この人たちにもたいへん喜んでいただいておると思います。私が正月に行きまして、あの本田良寛さんなんかに会いましたときもずいぶん喜んでおられました。
問題は、今回の事件ですけれども、三百七十円の飲食をして三百円より払わなかった。それがきっかけとなって、食堂付近に二千人寄ってきた、こういうことがきっかけの一つの暴動的なものでございますので、これが面接労働行政に結びつくかどうか、これは御指摘のようにむしろ別の観点から考えなければならない問題ではなかろうかと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘のように底辺層の方々、たとえば炭鉱離職者とか、あるいは家内労働に従事する低賃金の方々とか、そういったものに対しましても、家内労働法の制定も審議会で二年かかるものを一年繰り上げて審議してくれというので一年繰り上げさせました。そういう方向で一生懸命やっておりますので、どうかひとつ御鞭撻を賜わりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/10
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011・西風勲
○西風委員 あれは丸福食堂で何十円か不足があったから起こったというのは、これは直接の部分的な契機であって、実際はやはりあそこの地区の人々が疎外されておることに対する抵抗、そういう潜在的にある底流が——行政なんていうのは大体信用していないわけですね。信用していないというのは、一般的な行政の責任という意味ではもちろんありませんけれども、あの人々が置かれている条件の中で疎外に対する抵抗として、そういう潜在的な条件があるわけですから、それが、八十円か七十円払わなかったためになぐられたというような問題を契機にして爆発するわけです。これは、労働大臣、今度の事件は政府がちゃんとした施策をしたにもかかわらず起こった、いままでの問題と異なった原因からこういうことが起こったというようにお考えになったら間違いではないか。やはり従来の事件の一環としてこういう問題が起こったというふうに私どもは考えるわけですが、そういう点でお聞きしたいのですけれども、三十六年に大きな事件が起こったわけですね。あの事件と今度の事件とどういうふうに違っているのか、それをまず聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/11
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012・有馬元治
○有馬政府委員 三十六年当時の暴動と比較して今度の騒動がどういうふうに違うかという点の分析は、まだ私どももやっておりませんけれども、昨日あたりの状況を電話等の連絡によって判断いたしますと、いままでの一般的な条件、原因のほかに、暴力団関係者が入り込んでおる、こういう情報も一部ございます。
これらにつきましては、私どもの立場からいたしますならば、あの地区に、御承知のように港湾並びに建設、運輸関係の日雇い労務者の手配師というものが相当数おるわけでございます。これらの方々が、港湾労働法の施行に伴って最近バス輸送等も円滑に実施されるようなことになりまして、逐次生業を奪われるというふうな事態も一面においてございます。したがって、これらの暴力団に一部つながっておると思われる手配師層の介入ということになりますと、これは従来と違った場面が出てまいりますので、私どもとしては、あくまで実態をよく分析した上で、さらに万全の対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/12
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013・西風勲
○西風委員 神戸の弁天浜の事件は、湾港労働法ができたことによって、それが直接の動機かどうか別にして、従来よりも労働条件が非常に悪くなったという点でああいう事件が起きているわけです。前より労働条件が悪くなったという事実はありますか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/13
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014・有馬元治
○有馬政府委員 港湾労働法の施行前後の比較はなかなかむずかしいのでございますが、私どもがずっと各港ごとに調査しておるところによりますと、従前、施行以前よりも悪くなったということはまずないと思います。ただ、技能程度の格づけが必ずしもうまくいっていない、したがって、賃金額が平準化されておるという点では、従来、よりいい技能を持っておった者が賃金において低い線に均一化されておるというふうな事例が施行当初にはございましたけれども、私どもも、その後の紹介方法の改善等によりまして技能程度をある程度重視していく、そして、従前の賃金を下回らないようにというふうな積極的な指導も加えておりますので、最近においてはそういった事例はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/14
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015・西風勲
○西風委員 局長、これは愛隣地区へ行きましても、弁天浜へ行きましても、あそこの現場の労働者は、大部分の人が収入が下がったと言っていますよ。だから、そういう点で、上がってくる報告はどうか知りませんが、現場で働いている労働者が、港湾労働法ができたことによって——全部とは言いませんけれども、そういう現象が起きているわけです。
同時に、早川労働大臣が正月か何かに行かれたそうでありますけれども、そういう時に行かれる熱意を、私どもはこれは認めるものでありますけれども、問題は、こういう問題が起きたときに政府が単身乗り込んで、これに対して積極的にあそこの地区の労働者と話し合うというような態度が必要ではないかと思うわけです。現に、港湾労働法の問題をとっても前と同じ状態になっていますよ。西成でも築港でも同じですよ。手配師がおって堂々とトラック、バスを乗り入れまして、港湾労働法ができたためにそれが改善されたというような状況に現場はなっていない。そういう点から、一年に一回くらい行ってもたいして役に立たぬわけです。そのときの舞台というものはつくられるわけです。そういう予測した、つくられた舞台の上に乗っていくのではなく、突然行ってごらんなさい。同じ条件です。
そういう点で、港湾労働法その他の問題についてはきょうの本旨ではありませんから、日にちを改めて、資料その他をそろえて聞きますけれども、そういう状況になっているということを御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/15
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016・早川崇
○早川国務大臣 西風さんのお説のように、血の通った行政ということで、必要があれば現場に行き、また、私が行かなくても、出先の安定所はじめ労働関係の県庁の責任者がおりますので、お説の線に沿いまして、あくまで実態を把握していくということにつきましては、今後とも努力してまいりたいと存じます。
港湾労働法の問題は、あれができましたことによる近代的労働秩序への前進だという長所があるわけであります。他方、あれに登録することによって、せっかく臨時の仕事があっても行けない、いろいろな支障の点も承知いたしております。まだあれが実施されて日も浅いものですから、そういう実態を見きわめまして、改むべきところがありましたならば、これは検討してまいりたいと思いまするが、港労法の問題につきましては、今後ともひとつよく実際の状況を調べて、労働者がそれによってむしろ不利にならないようにするのはもちろん当然でございます。大いに検討してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/16
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017・西風勲
○西風委員 三十六年の事件が起こったときに、橋本官房長官ですか何かが提唱されて、あそこの地区の皆さんを含めた、あそこの問題を解決するための懇談会ですか、審議会ですか何か、正確に知らないのですが、そういうものができたと私記憶しているのですけれども、あれはその後どうなりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/17
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018・有馬元治
○有馬政府委員 橋本建設大臣の時代、昨年の夏だったと思いますが、大臣の懇談機関としまして、関係者を構成員とする懇談会ができまして、私どもも関係各省の一員としてこれに参画をいたしました。愛隣地区の対策について各方面から検討が加えられたわけでございますが、その結果、先ほど大臣から答弁がありましたような、総合的な施策を講ずる——建設省は不良住宅の改良という立場から、労働省は就労秩序の正常化という立場から、警察は警察、社会、民生部面は民生関係ということで、あらゆる角度から政府として全力をあげて対策を講じようという結論が出まして、懇談会はそのことによって解消いたしたかっこうになっておりますが、懇談の結果は、いま申し上げましたような具体的な施策として本年度の予算にも計上されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/18
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019・西風勲
○西風委員 いつ解消したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/19
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020・有馬元治
○有馬政府委員 もともとこれは臨時のものでございましたから、橋本大臣がかわられてからは、私どもも懇談会の開催された記憶はございませんし、懇談会の目的は十分達成して、解消といいますか、解散されたのではないかと思います。これは建設省の所管でございますので、私どもは一構成員として承知している範囲のことを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/20
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021・西風勲
○西風委員 労働大臣、万国博の建設がこれから急テンポで進むわけですね。そうしますと、いまならまだ秩序を持った労働者が、外からぐっと出てくる力によって、再び秩序を失うどころか、従来起こったよりもずっと複雑な事件が起こる可能性をいま内包しているわけですね。そういう点に対して、何かお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/21
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022・早川崇
○早川国務大臣 愛隣地区の方々が五千人以上、港湾労働あるいは土木建築あるいは大工、左官等、たいへん日本の経済発展に寄与しているという事実ははっきりいたしております。現在、雇用関係では仕事にあぶれている者はほとんどありません。大体職安で千五百人ほど扱っておりますが、そのほかの方々もみんなそれぞれお仕事をされておるわけでございます。
そこで、愛隣地区の問題は、一労働省を越える非常に大きな問題があるわけであります。一つは、住民登録をしたがらない人がたいへん多いわけです。したがって、有権者としての投票権を持っておらぬ方が非常に多い。そこで府会議員や市会議員のつながりというものがつい薄れてくる。そこで政治家がそこへ入り込んで、府会、市会で愛隣地区の問題と真剣に取り組むという点において、あるいは欠ける点が出てくるとか、しかし、いろいろの過去を持たれる方もおられまするし、前歴を知られることを好まない方もたくさんおられるわけでございます。そういった大きい問題をどうするかという問題もございます。
それから医療関係にいたしましても、あそこに本田病院がありますが、非常に狭い。とてもさばき切れない。医療施設をどうするかという問題。しかし、万国博を控えまして、断然愛隣地区の方々の労働力というものを大いに活用しなければならぬことはもう明らかでありますし、これにつきましては、私はあそこの方々が労働者として非常に秩序がないとは思っておりません。非常にいい労働者だと思っております。したがって、今回の事件と直接結びつけて、愛隣地区の労働者は非常に無秩序だということは私は考えないわけでございまして、万国博は当然土建業者も、宿舎施設あるいは働く場へのバスとか交通機関をどうするとか、今後の問題といたしまして、この労働力というものが秩序あるりっぱな労働力として活用されることを指導してまいりたいと思います。
しかし、結論から申しますと、理屈よりも目にもの見せるということですね。したがって、労働省といたしましては、正月に参りまして以来、目にもの見せる——りっぱなマンモス職安もつくる、それから労働福祉センターもつくる、アパートもつくるということで、もうすでに土地も確保して発足いたしております。この問題は厚生省も関係するし、建設省も関係するし、府、市の問題でもあるし、そういう前向きに目にもの見せていくということによりまして住みよい労働者の町にしようじゃないか、私はこういう点を提唱いたしておるわけでございますので、その事件を契機に、一そうそういう方面につきまして、労働省所管につきましては前向きにひとつ努力してまいりたい、こう私はお答えいたしたいと思います。
〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/22
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023・西風勲
○西風委員 私が聞いているのは、労働大臣が言われたようなことももちろんですけれども、万国博で事業が拡大したときにあの地区がどの程度の大きさになるというふうに推定しておられるかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/23
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024・有馬元治
○有馬政府委員 愛隣地区は、御承知のように四万七千人ほど人口がございます。大臣から御答弁がありましたように、日雇い労働者の青空市場だけで五千人をこえるという労働者がいるわけですが、そのほか大工、左官等の技能労働者も相当住みついております。総数一万五千人の労働力の給源地帯となっておるわけでございます。
そこで、これから三年間にわたる万博の工事に伴う労働者の確保の問題とつながるわけでございますが、私どもは八千億にのぼる工事計画をいま時期別、種類別に検討いたしまして、どの時期にどういう種類の労働力がどの程度要るか、それをどういうふうに確保するかという詳細な検討をいたしておりますが、総括的に見まして、ピーク時に現在近畿地区に入り込んでおる建設関係の労働者の総数プラス新規需要が三万人程度要るであろう、こういうふうな大ざっぱな推定はいたしております。これを受け入れる場合に、もちろん愛隣地区にも多少流れ込んでくると思いますけれども、やはり愛隣地区以外の正規の受け入れ施設を整備いたしまして、これによって所要の労働者を確保していくという基本的な対策を講じなければならぬと思います。愛隣地区の状況、御承知だと思いますが、土地柄からいっても、また簡易宿泊所の施設の数からいいましてもそんなに無限に流れ込めるような状態ではありませんし、また、無理にあの地区に割り込んでくるということになりますと、いろいろな問題が発生いたしますので、私どもとしては別の受け入れ態勢を整備いたしまして、そこで所要の労働力を確保していくということを基本線に考えてまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/24
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025・西風勲
○西風委員 なぜそういうことを聞くかといえば、労働大臣が常日ごろ言われているように、先手先手と問題を解決していかなければ——あそこの労働者の人が言うておるわけですね。わしらが人間として扱われるのはああいう事件を起こしたときだけや、新聞もテレビも役所も初めてあのときにわれわれを認めてくれるんだ——こういう意見が正しいかどうかは別にして、そういうふうに言うておるわけですね。ああいうことがなければ、政府も府もなかなかわれわれに対してあたたかい手を差し伸べてくれないんだというふうなことを言っておるわけです。そういう点では万国博でかなり大きくふくれるわけですから、そのふくれることに対して、再び大きな事件が起こってから反省するのではなくて、多少金が要っても、そのふくれる規模に応じて、それを処理することのできるような施設とかさまざまな施策をやっていく必要があるわけですね。そういう点で、労働省は——もちろん労働省だけの問題ではないでしょうけれども、万国博その他で流入してくる諸問題に対して、自信を持って解決するというきちっとした見通しを持っておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/25
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026・早川崇
○早川国務大臣 万国博を契機にして、さらに一そう愛隣地区の労働者がよき収入を得、また秩序ある労働者になるように、府の労働部長へもよく連絡いたしまして努力をいたしておりますので、十分自信を持っておるわけでございます。
同時に、先手先手を打て、まさにそのとおりでございまして、現地に参りますと、健康保険にもなかなか入りたがらないようになっておるわけですね。そこであそこの愛隣病院はもう医療費はただでやっている。ほんとうの医は仁術だ。そこで府のほうから何千万か補助をもらっている。これではやっていけぬ。そこで、医療施設をもっと済生会でやってくれとか、いろいろ要望がございますので、よくそういうことを含みまして、先手先手とやってまいりたい。同時に、愛隣地区の人たちのいままでの考え方、住民登録もしたくない、健康保険にすると名前が出るとか、そういう根深い問題がございますので、粘り強くわれわれはそういうことを説得して、ほんとうに住みよい労働者の町にしようじゃないか、こういうことで努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/26
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027・西風勲
○西風委員 労働大臣、最近は有権者の登録もだいぶ進みまして、政治的自覚が高まって、二万人ぐらいの人がおるわけですね。だから、従来のような状況じゃないのです。たとえば、健康保険でも入ろうという意欲を持っていても、これは労働省だけの問題じゃないでしょうけれども、役所へ行って申し込むという手続の時間がないわけですね。だから、たとえば郵便局へ払い込むことができるとか、一定の日にちをきめて路上で受け付けるとかいうようなあれが出てこぬと、なかなかあそこの人を一定の社会保険のワクの中へ入れて、政府がその中で徐々に解決していくということにならぬわけですから、そういう点では、これは役所の縦の系列ももちろん大事ですけれども、あそこの現場で仕事している、たとえば診療所とか愛隣館とかいうような心の友、生活の友になっている人々と皆さんが直接連絡をとってあそこの問題の処理に当たっていく。東京の山谷の場合も一緒だと思いますけれども、そういうふうなことをやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/27
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028・早川崇
○早川国務大臣 従来ともよく連絡をとってやっておるようでございます。特に、労働省の出先機関といいますか、地方事務官制をとっておりますので、府のほうの労働関係をはじめ、安定所はこっちの直属でございますが、そういうところはしょっちゅうそういうことで、関係者、特に社会事業関係の方は非常に一生懸命やっているのですね。これは厚生省の所管でございますけれども、相互によく連絡をとりながら努力いたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/28
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029・西風勲
○西風委員 大阪府、大阪市とこの問題について定期的な協議とか連絡とかいうのをやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/29
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030・早川崇
○早川国務大臣 定期的なのはやっておりませんが、正月三日に参りまして、大阪府の知事、市長、関係局、部長、それから出先のそういう社会事業家、愛隣病院の本田先生、その他幅広く寄っていただきまして、府庁で正月にもかかわらずいろいろな懇談会を催しました。そういう機会に常に現地の方の声を吸収いたしまして、それを直ちに実行に移すということをやっておりますが、定期的には、出先の機関がございますので、労働省としてはやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/30
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031・西風勲
○西風委員 何か、労働福祉センターの上に本田良寛さんなどが中心になって病院をつくるという話がありますけれども、これも何か大阪府と大阪市と政府との間に十分な意見の一致を見ていないというようなことを聞いているのですね。これは厚生省の所管かもしれませんけれども、そういう点で、やはり病院なんかも時期がおくれればおくれるほど意味がないわけですね。こういうものは、やはり一時間でも一日でも早いほど問題を解決していく上には役立つわけですね。そういう点で、そういう関係はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/31
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032・有馬元治
○有馬政府委員 いろいろ風評が立っておるようでもございますけれども、私どもとしては、昨年来建設省、厚生省、それから現地の府、市当局と打ち合わせた線で、いま土地の買収方針を決定しつつあるわけでございます。マンモス安定所、福祉施設の上に住宅を積み上げるという線は既定方針でございますので、できるだけその線は貫いていきたいと思います。
問題は、あの地区に大体三千坪は必要だと思いますが、その土地をどうやって即刻確保するかという点にかかっておるわけであります。これはやはり府、市の緊密な連絡によってこの問題を解決する以外にはないということで、現地当局を督励しておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/32
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033・西風勲
○西風委員 これはいつごろまでにその話が終わって、いつから着工できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/33
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034・有馬元治
○有馬政府委員 これは正月に大臣が現地に行かれたことを契機といたしまして、府、市の連絡体制ができたわけでございますが、その間選挙等がございまして、最近ようやく具体的な問題について府、市の協議が開始されておるようでございます。私どもは、施設の性質からいいまして、期限としては、来年の下期からはマンモス安定所の機能が開始できるようにしてもらいたいという時期的な条件を現地側にはつけております。それ以上のことは、やはり現地で土地の確保についてはいろいろな問題がございますので、現地当局にまかせる以外には方法はないと思いまして、そういう時期的な目標を置きながら現在督励をしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/34
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035・西風勲
○西風委員 警察庁は来ていますね。——今度の事件はどういう原因で起こったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/35
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036・川島広守
○川島(広)政府委員 新聞等にも報道されておるわけでございますが、六月二日に、丸福食堂というところで、労務者の飲食代が六、七十円か少ないために、食堂経営者との間に口論が起こってなぐり合いが始まりまして、それが騒動の原因であるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/36
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037・西風勲
○西風委員 警察は、この事件を解決するために、どういう対策、どういう方法で処理に当たったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/37
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038・川島広守
○川島(広)政府委員 昨年のそれと比較して申し上げますればおわかり願えるかと思うのでございますけれども、幸いにして、今回の場合は昨年と違います。昨年は放火事件がございましたし、さらに拳銃奪取事件、警察官に対するいろいろな抵抗も、投石等は雨あられのごとく降るというような次第でございましたが、今回の場合は、第一日目第二日目とも、初動体制はきわめて迅速に行なわれたものと考えておりますし、さらにまた、検挙者も初日が十六名、二日目が十四名というふうなぐあいでございまして、なかんずく昨年と比べて違った体制をとりましたのは、制服だけではなく、私服員を群衆の中に入れまして、そこで最初検挙するということを徹底して行なったわけでございます。したがって、これまた御案内のとおりでございますけれども、大体二百名から三百名程度の暴徒が国道二十六号線を渡りまして各地であばれ回るというふうな事件が不幸にして起こったのでございますが、そこで十五名の検挙をいたしまして、第四日目は、三日目の経験に照らしまして警察官も大量に動員いたしまして、現場に四千八百名の警察官を配置し、そのうち千三百名を私服特科隊といたしまして、先ほど申しましたように群衆の中にばらまいて、制服はそれぞれ要所要所にグループで立てまして警戒に当たる、こういうことで昨晩は終わったわけでございます。したがって、今後の見通しはなかなか困難でございますけれども、今晩も、昨晩とほぼ同様の警備体制をとって問題の解決に当たりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/38
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039・西風勲
○西風委員 組関係、暴力団、そういうものが組織的にこれに関与しておるというようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/39
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040・川島広守
○川島(広)政府委員 そういうふうな事柄が新聞等にも一部報道せられておるわけでございますけれども、警察といたしまして、今日まで逮捕いたしました者を取り調べましたが、そのうちに元極東組の者が一名だけ入っております。それ以外には、西成地区の住民以外の者が相当数参加しておったという事実はございますけれども、いわゆる暴力団が組織的、計画的に事を運んだというようなところは、目下の段階ではまだはっきりしておりません。したがって、今後さらに諸般の過程を通じましてその問題を徹底的に追及してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/40
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041・西風勲
○西風委員 向こうの労働者は、警察官は顔を見ただけで腹が立つ、顔を見ただけで石を投げたい衝動にかられる者もおるわけです。それが正しいかどうかということは別にして、そういう者がおるわけです。そういう考え方、疎外感を持っておる労働者は、警察官に対してもう本能的な嫌悪感を持っておるわけですね。そういう人々に対して、警察としてはああいう事件が起こってから処置するんではなくて、それを未然に防ぐために——これは警察の問題じゃもちろんないと思いますが、警察として事前にどういうふうな調査とか体制をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/41
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042・川島広守
○川島(広)政府委員 先ほど私ちょっと会議でおくれましたので、あるいは関係各省のほうからお答えがあったかもしれませんが、警察といたしましても、現地でそれぞれ関係機関の協議会というようなものもございまするし、その中でいろいろと関係機関に対して申し上げるべきことは申し上げておるつもりでございます。さらにまた、いま御指摘のように、警察独自としては、その中におりますいろいろな問題を起こすような、いわゆる扇動者、首謀者と申しますか、そういう者に対しては、過去の事案の経験の中でたまたま資料もございますので、それぞれ適当な方法あるいは機関を通じて対策を事実上立てておるというようなことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/42
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043・西風勲
○西風委員 これは、労働大臣、いま警察の発言でも明らかになりましたように、丸福食堂で金を払ったとか払わなかったとかいうようなことじゃなしに、潜在的に労働不安、生活不安というようなものからこういうものが起こっておるわけですね。だから、そういう点で、政府としては、労働省としては、もっと抜本的な対策を講じる必要があるわけですね。いまやっておる事業を着実にやっていけばそれで問題が解決するという問題じゃないのです。そういう点では、この前の橋本官房長官ですか、建設大臣ですかのときにつくられた審議会を、恒常的な機関としてつくられて、単に大阪の問題だけではなしに山谷の問題も含めて、こういう問題を根本的に解決していくような総合的な施策をつくるような、あるいは民意を反映するような、そういうものをつくる意志はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/43
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044・早川崇
○早川国務大臣 御承知のように、同和対策協議会というのがございますけれども、これは全国的な広がりを持った同和対策として設けておるわけでございます。愛隣地区だけについて特別なそういう審議会をつくるという考えはいま持っておりません。要は、先ほども申しましたように、どんどん実行することなんで、すでにそういう面では、労働省といたしましては、思い切った対策を今年度予算に盛りましたし、そういうことをまず実行するということを主に考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/44
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045・西風勲
○西風委員 それじゃ有馬局長にお尋ねしますけれども、先ほどちょっと部分的には聞いたのですけれども、愛隣地区に対する事業とそれに対する予算の内容ですね、それからその事業は大体いつからかかっていつごろ完成するかというような点をできたら報告してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/45
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046・有馬元治
○有馬政府委員 先ほど概略申し上げましたが、内訳について申し上げますと、いわゆるマンモス安定所、これは労働安定所というのが正式の名称でございますが、この施設に要する経費が三千百一万円、それから労働福祉センターを新設いたしまして、併設するわけでございますが、この施設が三億五百万円、それから建設省で建てる住宅のほかに、労働省におきましても簡易宿泊所を増設いたしたいと思いまして、この経費が九千百六十八万円、こういったものが施設費の概要でございます。このほか、行政事務費といたしまして、実地指導に要する経費が三百十六万円、それから安定協力員、四百五十名ほどの協力員の活動を期待いたしておりますが、この活動費が百二十五万円、合計いたしまして四億三千二百十一万円という金額に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/46
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047・中山マサ
○中山(マ)委員 関連質問をさしていただきます。
いまは釜ケ崎、いまの愛隣地区でございますが、これはそういう騒ぎの労働者のためにのみの質問が多かったように思いまするが、私が聞き及ぶところによりますと、ちょうどあすこは休火山みたいなものでございまして、ときどきああいうふうなことが勃発いたしますと、それを取り巻くところのいわゆる商売人——私も大阪の人間でございまして、あの近くに住んでおりますので、よくわかっておりますが、その人たちの被害というのが非常に甚大なものでございます。それでその人たちの声を聞きますと、警察に連絡をとってもなかなか来てくれなかった。事が大きくなってから来てもらったので、もっと早く来てもらったらこれだけの騒動にはならなかったであろう。われわれは店をつぶされても、それを言うていくところがないのだと言って嘆いております。いわゆる中小企業者の店でございますので、一度店をつぶされたりしますと、立ち上がりがたいへん困難であるということをしきりに訴えておるのでございますが、労働省にこれをお尋ねするということは、あるいは筋が違うかもしれませんけれども、再々起こるこういう労働者の、わずかのお金を払ったとか払わなかったとかいうようなことから大事件になっておりまするが、こういう被害者の嘆きというものは、政府としてはどういう対策をとっていただくか。そういうものは全然いわゆるつぶされ損になるのでございましょうか。もしそういうようなことになりますると、やはり警察に対する不信もございましょうし、いろいろな面で自分たちの生計を立てていく面での困難から、いわゆる一般的な政治不信が起こるのではなかろうかということを私は気づかうものでございますが、労働者のこういう事件によってこうむった顕著な損害に対する何かの手だてというようなものがあるのでございましょうか、ないのでございましょうか。いわゆるつぶされ損のなぐられ損で、善人が弱い立場に立たされておる。このごろ参議院のある先生が「善人よ強くなろう」というパンフレットまで出していらっしゃるのでございますが、善人を強く守ってあげるという方法があるものかないものか。あまり大阪の声が私にじゃんじゃん響いてまいりますので、ちょっとそれを参考のためにお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/47
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048・川島広守
○川島(広)政府委員 いまの最初のお尋ねの、警察に連絡してもすぐ来てくれないというお話でございますが、先ほど西風委員の御質問のときにもお答えしたのでありますが、大阪の府警察本部といたしましても、愛隣地区治安対策委員会というものを部内につくりまして、いろいろと過去の経験等を資料にいたしまして、常時調査研究を実は進めてまいっておるわけでございます。その中の第一の問題といたしましては、何と申しましても、いま御指摘のような迅速なる初動体制をとること、これ、かまず何よりも住民に対して安心感を与えることでありますから、それを目途としていままで努力してまいっておるわけでございます。いま御指摘のような問題も過去にあったかもしれませんが、警察といたしましては、そんなことのないように努力してまいっておる次第でございます。
ただ、もう一つの問題は、いまの問題とうらはらあるいは逆になるかもしれませんが、従来とかく、愛隣地区のみならず山谷の場合も同じでございますが、いま申されましたような商店街の人たち、こういう人たちの言動というものが、えてして住民に疎外感を与える端緒になっておる。でございますから、それは警察だけの問題ではございませんけれども、むしろそういうふうな方々に住民に対しまして、より親切に、あるいはまたより身近な態度で接していただけるよう、ふだんから、実は警察としましても、防犯協会その他の民間機関を通じまして、連絡をとっておる次第でございます。御参考までに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/48
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049・中山マサ
○中山(マ)委員 損害はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/49
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050・川島広守
○川島(広)政府委員 損害につきましては、もちろん、だれがそういうことをしたかということが捜査の過程ではっきりいたすことになろうかと思うのでございますけれども、そういう場合には、私、実際のこと実は詳しく承知しておらないのでございますが、それぞれいわゆる関係機関と相談の上で適当な措置がとられるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/50
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051・中山マサ
○中山(マ)委員 済みませんけれども、もう一点だけ言わせていただきます。
それで、言うていくところがないと言うておるのです。だから、言うていくところはどこかということをここで聞かせていた、だけないでしょうか。どんな損害を受けても損害の受けっぱなしだ、言うていくところがないと声を大にして言うております。だから、いわゆるああいう騒動の最中ですから、戦争と同じで殺された者が損だとかいうことで、そういう状態のことを言いに行って何とか処置してもらえるかどうか、そういう機関はあるのかないのか、それが聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/51
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052・早川崇
○早川国務大臣 理屈から言いますと、器物破損という問題は刑事事件でありまするし、損害賠償は民事事件で、その加害者に損害賠償させるのが本筋でございますけれども、御承知のように、愛隣地区の方はとても賠償するだけの力もない、そこにむずかしい問題があるわけでございます。したがって、これは法律上の理屈だけでは解決しない。そういう場合に国なり自治体が持てといっても、それは無理な話でございます。要は、私は愛隣地区を二回、自治大臣のときにも参りましたし、労働大臣のときにも正月に参りまして感ずることは、これは全国からいろいろな過去を持った人が来てやっているわけです。たとえばお相撲さんのあまり出世しなかった人がずいぶん来ておるのですね。あらゆる層の複雑な人が来ておるわけです。そこで問題は、国なり市なりでいろいろな施設をやりますよ。どんどんやっておるし、職業紹介もやって、とにかく雇用はあるわけですが、問題はやはり心の救いというもの、これは私はそれこそ宗教団体の活動分野はここだと思うのです。キリスト教にしても、本願寺にしても、創価学会もちょっと出ておりますけれども、これは社会事業、いわゆる宗教団体、そういう面の活動が、はっきり、言ますと非常に鈍い。ですから、そういう魂の問題、心の問題と物質的な施設の問題、こういうものが全部からまなければなかなかこの問題はむずかしい問題で、私は宗教団体に、本来の宗教活動ならもっとこういうところで活躍しないとどなりつけたことがあるのです。ですから、みんな寄って、政治だけの問題では解決しませんとはっきり申します。これは心の問題。ですから、労働大臣が、たとえばどこへ行け、どこへ行けと労働力を移動する独裁政治みたいな権限を持っておるとすれば、また方法はありますよ。それを分散させてやることもできましょう。しかし、自由民主主義におきましてはそういうことはできない。自由な意思というものを尊重しなければならない。ですから、この問題は、先ほどから申しましたように、労働省としてやり得る、政府としてやり得る限界というものはあるわけです。
それから、器物を破損したときには損害賠償と法律だけでいっても、ない人は賠償しようがないわけですから、したがって、私は現地をつぶさに見ましたが、厚生省の関係、労働省の関係みんな大いにやっております。それから、さらにもっと深いところは、宗教団体にも活動をお願いする。それから済生会もよくやっておりますよ。済生会病院も、本田さんもよくやっておられます。ですから総合的にひとつやる。先ほど住民登録二万ほどできたと西風さんは言うけれども、無籍者というものが過半数を占めておるということは、たいへん問題のむずかしさを証明しておるんじゃないでしょうか。そうすると、政治というものとは結びつかない、投票権とは結びつかないこの問題の深刻さを私は痛感しておりまするが、先ほども申しましたように、もう理屈よりも労働省としてはやることはやる、目にもの見せるということでやっておりますから、ほかの問題はひとつ所管の大臣に御質問いただいて、総合的な御検討を賜わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/52
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053・中山マサ
○中山(マ)委員 くくりにひとつ……。それじゃ処置なしということなんですね。もういわゆるそこの人たちを相手に裁判するわけにもいきませんし、また家をつぶされて裁判の費用もないでしょうし、それじゃ処置なし、あきらめろということなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/53
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054・早川崇
○早川国務大臣 処置なしじゃございませんので、そういう方法はあり得るわけですけれども、そういう損害賠償の方法は法律上ありますけれども、根本のことは、そういう乱暴をしないような愛隣地区に持っていく。迂遠のようですけれども、それ以外にちょっと名案が私も——処置は法律上はございます。ございますけれども、根本はそういう無法なことをやらぬような仕組みにしてまいりたいと、かようにお答えするよりお答えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/54
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055・中山マサ
○中山(マ)委員 それじゃ解決はできないということにさせていた、だきましょう。そうしないと、御回答が、いわゆる労働者の精神問題に結局——あの人たちは精神問題なんか考えるだけの余裕がないと私は思うのです。ですから、流れてくる人たちが多いし、あれは犯罪の温床になったり、いつかの人殺しの歯医者さんもここに隠れて長いことわからないでおったところでございますし、それじゃもう被害は受けっぱなしといってあきらめなければならぬということに解しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/55
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056・早川崇
○早川国務大臣 たいへん誤解を招くことになりますので……。無法なことをやる、法律を犯して器物破損あるいは傷害は、警察当局は法に照らして断面として処分をしておるわけでありまして、その点は決してもうほうりっぱなしているというわけじゃございません。ただ、民事訴訟、損害賠償となりますと、当然これもできるわけでありますけれども、相手がその支払い能力がないとかいうような問題がからみますので、なかなかむずかしい問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/56
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057・西風勲
○西風委員 私は、中山さんのように、善玉、悪玉ということで二つに分けておりませんから、誤解のないようにしておかなければいかぬと思うのですけれども、やはり宗教の手をかりなければいよいよの問題は解決しないんじゃないかというようなことを、労働大臣が、一国の労働行政の責任者がかりそめにも口にすべきことではないと思う。やはり政治の責任にある者が、その政策とその政治の姿勢において、この問題を根本的に解決するというような積極的な意欲を持ってもらわぬといかぬ。端々にもそういう考え方が出るということは、たとえば私がきょう皆さんに質問いたしましても、あの問題に対する深刻な反省というものが全然ないですね。やはりああいう問題が起こったらいち早く何とかしなければならぬ、われわれが要求する先に、労働省なり厚生省なりが、こういう事件が起こりましたのでこういうように処置します、社会労働委員会で皆さん何かいい知恵があったら出してくださいというような、積極的な政府の姿勢というものが必要なんです。そういう決意が全然見られなかったですね。そういう点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/57
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058・早川崇
○早川国務大臣 私は、宗教団体の助けをかりなければ救えないと言ったんじゃないのです。みんなが力を合わす問題である。労働行政としてやれることは、魂の救済なんかできません。われわれはあくまでも施設の問題で、その心の問題まではタッチできないということを言っているのです。ですから、いろいろ過去を持った方の気持ちをいやすというようなそういう面は、宗教家の活動に期待すると申し上げたので、決してたよらなければ解決できないという意味ではございませんので、その点は誤解を招かないようにはっきり申し上げておくわけであります。
それから、愛隣地区の問題ではたびたび申しましたように、先手を打ってやっておるのです。そのやっておることがまだ足らぬというおしかりならわかりますけれども、少なくともあの地区に私も参りましたし、そうして府や市のやることより率先して——このほかに建設省予算が十五、六億あるわけです。あの一地区にそういうことを先手を打ってやっておる。これでもまだ足らぬのだ、こういう御批判ならわかりますけれども、やっておらぬという御批判は、私はどうかと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、当委員会でこの問題を契機としていろいろ御意見が出ましたことは、行政の大いなる一つの参考として、今後ともこの問題は真剣に取り組んでまいりたいということはお約束をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/58
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059・西風勲
○西風委員 労働省がいろいろ施設をつくって問題解決のために当たろうという熱意は買いますけれども、そのことだけで問題が解決するという考え方をしていたら、これは間違いなんです。あそこは、たとえばマンモスアパートをつくったら、極端なことばでいえば、その近代的なマンモスアパートがそのまま釜ケ崎のあれになりますよ。建物がきれいになるだけです。問題は、やはりそれに照応した行政の側のあの人たちに対する精神的な対応のしかたといいますか、もっとあの人たちが労働者として、ほんとうの新しい労働者としてやっていくことのできるような行政の積極的な姿勢、そういうものが必要なんです。だから、そういうことと照応して、施設とそれとが一体になったときに、労働大臣はそれを宗教的なんとかいうことで一部分表現されたのかもしれませんけれども、こういう事件が起こったときに、われわれが率先してそういう姿勢を示すことが重要ではないか、こういうことを言うておるわけです。どうですか、そういう点、間違っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/59
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060・早川崇
○早川国務大臣 こういう事件を契機に、社労委員会で真剣な対話がなされるということは、まことに私もけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/60
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061・西風勲
○西風委員 時間がないようですからあと二、三問で終わりたいと思うのですけれども、愛隣地区の問題は、労働大臣が言われたように、単なる大阪の問題じゃないのです。全国的な問題なんです。だから、できましたらこの問題について、審議会とかいうむずかしいものが困難であれば、この前、橋本さんがつくられたような機関をつくって、恒常的に、特に万国博を契機にしてこういう問題が解消される——あの千里の丘でどんなお祭りがあっても問題にならぬわけですから、そのことを通してああいう大きな問題が解決されていくということが必要なんですから、そういう点で懇談会でもけっこうですから、常設の連絡機関、ああいう問題を扱う機関、この機関には現場で実際苦労している人を入れなければいかぬと思うのですけれども、そういう機関をできたらつくってほしいと思うのですが、検討の余地は全然ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/61
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062・早川崇
○早川国務大臣 よく関係閣僚とも御相談をいたしまして、検討をいたしたいと思っております。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、審議会をつくるということで、もう何かそれだけで済んだような気になることを私は好まない。ですから、そういう意味じゃない意味での審議会ということでありましたら、よく関係団体とも御相談いたしまして、検討をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/62
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063・西風勲
○西風委員 これは愛隣地区の現場で働いている政府出先、大阪府、大阪市、それから民間の機関ですね、こういう機関で働いている皆さんは、たとえば政府の出先では、超過勤務手当とかなんとかいうことを度外視して、かなりな奉仕をやっているわけです。そのことによってこれらの係官が労働者の信頼を得て、問題が起こったときに解決するかてになるわけですね。そういう点で政府は特にこういう現場で実際にこの人たちと接触している人たちをもっと大事にしてもらいたい。この人たちに対して仕事がしやすいような条件をぜひつくっていただきたいというふうに思うのです。
それからもう一つは、先ほど有馬局長から報告されました事業計画については、先ほども申し上げましたように、すみやかにこれを実行してもらう。同時に、こういう施設をつくるときにも役所だけで机上プランをつくるのじゃなくて、たびたび申し上げますように、現場でやっている人の意見を聞いて、あそこにおる労働者が愛情を持ってこの施設に来ることができるようなものをつくってもらう必要があるわけですから、そういう人との連携を密にしていただきたいというふうに思うのです。特にこの地区にはたくさんの病人がおるわけですから、社会保障の外側におる人がおるわけですから、病院建設その他については、大阪府、大阪市を督励して、すみやかに計画を立て、この病院がつくられるように善処していただきたいと思うのです。再びこういう事件が起こって、この社会労働委員会でまたこの問題でこういう質疑が行なわれるということは、日本の政治にとって大きな悲劇になるわけですから、こういうことが再び起こらぬような処置を労働大臣に特に要請したい。その点に関する決意を伺って、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/63
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064・早川崇
○早川国務大臣 現場で働いておる職安の所長にしましても、厚生省関係あるいは社会事業関係の方々にしましても、ほんとうに涙ぐましい社会奉仕の気持ちでやっておられることは、よく承知いたしております。これらの人たちにさらに愛隣地区のために働いていただくために、処遇その他では十分検討いたしまして、配慮をいたしてまいりたいと思っております。
なお、本日の御意見に沿いまして、愛隣地区という問題につきましては、一そう政府としても真剣にこの問題を検討してまいりたい覚悟でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/64
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065・佐々木義武
○佐々木(義)委員長代理 内閣提出の駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。枝村要作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/65
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066・枝村要作
○枝村委員 先週の当委員会で加藤君からいろいろ質問いたしました。政府も誠意ある答弁をされておったようでありますが、質問漏れ、あるいはもう少しいろいろお尋ねしたほうがいいという点もたくさんありますので、その部面について、私いまから質問したいと思います。
まず第一に、駐留軍関係の健康保険の問題についてお尋ねしたいと思います。この健康保険の料率の負担……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/66
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067・佐々木義武
○佐々木(義)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/67
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068・佐々木義武
○佐々木(義)委員長代理 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/68
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069・枝村要作
○枝村委員 では、いまから始めますが、その前に、私がこういう質問をするというのは、きのう、おとといから関係者にはちゃんと知らせてあるのです。にもかかわらず関係者がおらなかったということは、私としては非常に不満であるし、この委員会そのものを軽視しておるというように見るわけなんですが、これに対するひとつ関係者のはっきりした所見をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/69
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070・小幡久男
○小幡政府委員 実は政府委員室で待っておったのですが、先ほど緊急質問がありましたものですから待機中のところ、ただいま連絡がありましたので直ちにはせ参じた次第でございますが、しばらくお待たせいたしましたことまことに申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/70
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071・枝村要作
○枝村委員 駐留軍関係の健康保険について質問をするわけなんですが、いまの駐留軍の健康保険は、これは組合管掌の健康保険でありますが、この負担割合が非常に悪い。いわゆる使用者のほうが被保険者よりも比率が高いのが通例でなければならぬのに、いまの駐留軍関係の健保では反対であるように聞いておるわけなんですが、この事実についてひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/71
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072・小幡久男
○小幡政府委員 ただいまお話がございましたように、大体、一般の民間の保険組合の料率は使用者のほうが高いのが多うございます。しかしながら、駐留軍のほうは特殊な事情がございまして、法律上に定められた限度一ぱいの五対五という比率で七十までは算定しておりますが、現在は七十一でございまして、相互の負担割合は三十六対三十五となっております。
なお、あわせまして、この問題は料率だけでは健保の赤字が解消しないということを、われわれも常々からいろいろ組合の陳情を受けて同情しておりましたので、赤字対策といたしまして、別途四十一年、四十二年につきましては七千万円政府が補助をするということをやっております。その結果、幸い最近赤字がだんだん解消してまいって非常に健全な方向に向かっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/72
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073・枝村要作
○枝村委員 駐留軍関係では、これは創立以来組合会で大体三対二の比率でいこうという申し合わせがされておるようでございます。しかし、いまのお話にもありましたように、私どもが調査したところからしても、これは完全に実施されていない。これはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/73
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074・小幡久男
○小幡政府委員 三対二という御意見はいろいろあったようですが、正式に組合会で議決したことはございません。われわれも、これについては内内組合の意向を伺いまして米側と折衝いたしましたが、どうしても七十以下では五対五という原則を譲らぬという状態がはっきりいたしましたので、一昨年でございましたか、組合の了解を得まして七十一にいたしまして、米側が一だけ余分に持つということで、当面の赤字対策として緊急の処置をとったというのが実情でございます。
なお、あわせて、先ほど申し上げました七千万円というものを、別途政府から組合のほうに補助金を出すということで、当面の組合の保険財政を乗り切るということで、いま再建を実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/74
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075・枝村要作
○枝村委員 三対二の比率でいこうというものをきめたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/75
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076・小幡久男
○小幡政府委員 組合の規約としてそういう改正案を議決したことはないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/76
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077・枝村要作
○枝村委員 いわゆる健康保険組合の何かの機関、会があるのでしょう。だから、労働組合が一方的にきめたのではなくして、そういう労使が入っておる保険組合で、創立当時か、時期は私は知りませんけれども、そういうことをきめたということになっておるのですけれども、それはあなた、そういうことはないと言われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/77
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078・小幡久男
○小幡政府委員 そういう要望のあることはきめたことがあるわけでございます。正式にやる場合には組合会で議決してやりますが、そういうための料率としての議決はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/78
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079・枝村要作
○枝村委員 まあそれはそれでいいですけれども、この負担率に反対、いわゆる使用者が高いものを払うということに対して、それは一体だれが抵抗しているのですか。政府ですか、それともアメリカ軍側なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/79
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080・小幡久男
○小幡政府委員 一般の会社のほうですと、会社の利潤がありますので、いろいろ労組との話し合いで、ときには使用者側が持つということもございますが、米軍のほうは軍隊でありまして、御承知のように予算で仕事をやっておりまして、法律に違反せぬ限りにおいては、使用者側が出すということについて米軍としては非常に手控えるようでございます。これはいろいろ折衝したのですが、やはり法律上そういうことも許されておりますので、法律違反でないというたてまえから、七十以下につきましては五対五というものを固守する原則が、ここ十数年変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/80
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081・枝村要作
○枝村委員 そうすると、アメリカが法七十二条を理由にして、いま言ったような組合会がほぼきめた三対二を頑強に否定しておる、こういうことなんですね。それに対して日本政府は、何らか米軍に対して善処の申し入れとか、あるいは三対二なら三対二の比率でやるということを強くいろいろ折衝する、こういうことはなかったわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/81
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082・小幡久男
○小幡政府委員 先ほど申しましたように、組合からは議決はありませんでしたが、要望としてはそういう強い要望がありましたので、そのことにつきましては何回も折衝しております。しかしながら、七十以下の範囲では五対五という原則は非常に強いものですから、せめてというので、一昨年でしたか、七十一にいたしまして、一だけとりあえず米側が持ち分を負担するということを実現したわけでございます。それで組合側の了解を得まして今日になっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/82
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083・枝村要作
○枝村委員 昨年ですか、いわゆる赤字が出たために財政的な危機におちいったからということで、いまあなたが言われたように、軍側が千分の三十六、被保険者側が千分の三十五にした、一の違いでまあいいところだということになったわけなのでしょうが、しかし、それにしても千分の七十一というのは、民間の平均比率からするときわめて高いわけなんですね。大体、去年の四十一年九月に調べたところによりますと、そういう組合管掌の料率は平均で千分の六十八・四三というふうに示されておる。これは厚生省かどこからかとったのでしょうが、そうなると、七十一というのはずっとこれよりも大きいということになるわけですね。そういうことから見ましても、いわゆる最高の比率がやはりこれに適用されておる、こういうふうに見られるわけなんです。ですから、アメリカ軍がそういうふうに頑強にいろいろの理由をつけて拒否するといたしましても、直接雇用しておる日本の政府がその労働者を守るという意味から、いま単に七千万円ですかをちょっと出して一時をごまかす、一時を乗り切るということだけであっていいものかどうか、こういうふうに私どもは考えるわけです。ですから、いまは赤字はないと言いますけれども、また今度政府管掌の健康保険がああいう調子になってまいりますと、労働者に対するしわ寄せというものはどんどんふえていくわけでありますから、この際少なくとも全国平均の比率にまで下げる。しかも使用者と被保険者との割合は、当初お互いに確認し合った、議決はしてないかもしれませんが、三対二に戻していく、こういう努力をするというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/83
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084・小幡久男
○小幡政府委員 現在三十五を負担しておる組合も全国で六十二ぐらいございまして、法律的にこれは違法じゃないものですから、やはりこの点につきましてはどうしても法律に違反するというふうな立場で米軍を追及することはできないのでございます。いろいろ折衝いたしまして、その結果七十一になったのですが、御承知のように米軍は法律上七十一以上は負担することになります。だから、これ以上かりに保険料率を上げることがあっても、これは米軍だけが負担するわけであります。ただいまのお話の、なるべく下げたらどうかという御意見もごもっともな御意見で、われわれもこの健保の財政状況が好転しますれば下げたいという気持ちでおりますが、そのときに負担割合の問題はできるだけまた折衝したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/84
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085・枝村要作
○枝村委員 それだけではなく、最近米軍側から保険料の比率を引き下げよう、こういうふうな動きがあるように承っております。いわゆる米軍側の率を引き下げて、できれば五対五、同率にしようという動きがあって、それを施設庁に申し入れたとか申し入れないとかいう話が流れておるのですが、それは事実かどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/85
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086・小幡久男
○小幡政府委員 まだそういう正式の申し入れはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/86
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087・枝村要作
○枝村委員 まあ申し入れがないと言われれば、こっちはわからぬから、はいということになるわけですが、しかしそういう動きがあることは確かなようでありますよ。私どもはもう一度何かの機関を通じて調べていきますけれども、もしそういう申し入れが事実あったとするならば、政府のほうはどうするお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/87
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088・小幡久男
○小幡政府委員 私のほうでは、現在のところはもう少し一般の健康保険組合の情勢等もよく見た上で考えたいと思っていますが、当面は現状のままいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/88
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089・枝村要作
○枝村委員 現状のままにしたいというのは、米軍側からそういう申し入れがあっても断固拒否するというふうに私ども承ってもいいわけなんですね、あなた方の決意として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/89
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090・小幡久男
○小幡政府委員 現状のままいきたいという相当強い熱望を持っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/90
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091・枝村要作
○枝村委員 先ほどちょっと言いました政府管掌の健康保険がああいうふうに悪くなっていくわけなんであります。おまけに、いま言いましたように五対五にするという動きがある。幸い政府がそんなことは断固させぬという決意をされたので、ちょっぴりうれしいところなんですが、それにしても、駐留軍の労働者の唯一の保護法はこれとは限らぬかもしれませんけれども、いろいろの面でまあこれぐらいなものだと思うのです。ですから、ほんとうにいまから駐留軍の労働者が不安な状態にますます置かれていくと思うのです。いわゆる雇用の安定がありませんから、そうなりますれば、この面だけでも本人あるいは家族を含めてやっぱり利益を守ってやるように特別の取り扱いをしてもらわねばならぬというように考えておるわけなんでありますが、施設庁としてはそういう基本的な保険の問題を中心とする今後のいろいろな態度というようなものに対する方針をこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/91
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092・小幡久男
○小幡政府委員 健康保険につきましては、いまおっしゃいますように、非常に不安定な職場にあります駐留軍の労務者の一つの有力な厚生的な組織でございますので、ぜひこれは健全にしたいと考えております。
経緯を申しますと、一時赤字を出したときには、相当経費節約というような点に重点が置かれ過ぎまして、相当組合も苦しんだということを私も聞きました。私も着任しましてから六千万円であった補助金を七千万円にいたしまして、自来ずっと七千万円で来ております。今後もその料率と政府の補助金と両方で、付加給付等も一たん切り下げたのを復活いたしましたし、将来だんだん赤字が解消いたしまして若干でも余裕が出ますれば、つとめてひとつ従業員の福祉のほうに振り向けていくような面を拡大していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/92
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093・枝村要作
○枝村委員 次の質問ですが、板付における人員整理の問題です。これはその後米側がこれを撤回したようでありまするから深い質問はこの際避けますが、しかし、当時出してその行なおうとする行為がどうも不当労働行為的なにおいがする、そこで労働者が非常に腹を立ててこれに対して猛烈に反対の行動を起こそうとした、こういういきさつがあるわけなのです。今回撤回されたということはたいへんいいことなんでして、これは喜ぶべきことであると私ども思っておりますが、一たん出したのですから、ただこれを不問に付しておくわけにいきませんので質問するわけなのです。出しておきながらどういう理由で撤回したのか、こういうことを追及する意味で言っているのではないのですが、ちょっと聞いておいたらよかろうと思いますので伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/93
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094・小幡久男
○小幡政府委員 板付の整理案が出ましたときは、その職場の定員が削減された関係で一時そういう案が出たのでありますが、その後鋭意折衝の結果、他の欠員の部面に振り当てをするということで大多数の者がそういうふうにならずに済むという結果になりまして、その点は内心喜んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/94
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095・枝村要作
○枝村委員 では、この問題は質問はその程度でやめます。
その次に、空軍基地の施設中隊における大幅な機構改革が行なわれようとしておるとかあるいはすでに発表されたかというように聞いておるわけなのです。特に三沢、立川、横田、板付、ジョンソンなどであるということなんでありますが、これは事実でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/95
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096・小幡久男
○小幡政府委員 在日米空軍基地のいろいろなそういった問題につきましては、機構改革は日本のみならず各地の米軍に一貫して施策として行なわれる予定でありまして、そのうちの一つとして日本にもそういう機構改革があるということは事実であります。このことにつきましては防衛施設庁ではすでに内報を受けておりまして、労務上の問題につきましては現在協議中でございますが、現時点で申し上げられるのは、この機構改革の実施に際しましては従業員の人員整理を行なわない、しかし最小限度の配置転換等は行なうことがあるかもしれない、こういう見込みを現在では了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/96
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097・枝村要作
○枝村委員 現地ではすでにそういう構想に基づいて具体的に計画が進められておるわけなんですね、いまのお話を伺いますと。それで、それぞれ関係者にそれは通告ないしは発表しておるという段階になっておるのですか、どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/97
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098・江藤淳雄
○江藤政府委員 これは先ほど長官から御説明しましたように、米軍におきましては、必ずしも在日米軍に限らず、各地の米軍の施設内において実施されておる機構改革でございます。すでに米軍のほうも大体の案ができておりまして、それをわれわれのほうにも通知がありましたし、また現地の渉外労務管理機関と米軍との間におきまして具体的な話し合いをいたしております。と申しますのは、これは人員整理はございませんけれども、ある程度配置転換がございまして、一部の者は職位が下がる、不利な扱いを受ける者もございますので、そういう点なるべく不利な処遇のないようにすでに協議いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/98
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099・枝村要作
○枝村委員 そういうふうに進んでおるということですが、いままでの機構改革では必ずと言っていいほど人員整理があるわけですね。今回はない、ないと言っておりますけれども、ないことはないというので、労働者側は非常な不安を持っておる。必ず今回もあるだろうというふうに見ておる。この不安を具体的に解消するためには早く話をするということが一番大切だと思うのです。
それはそれとして、そういう機構改革の問題についてのいわゆる協議権というものは、労働協約か何かでいまの労使の間ではないわけですか、あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/99
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100・江藤淳雄
○江藤政府委員 今回の機構改革は、いわゆる米軍のチェック・アンド・バランスの横割りシステムは基地単位の小さな規模においては非常に不便であるということで、縦割りシステムに切りかえようということでいまやっているわけであります。その結果職位の変更等が伴って、ある者は職位が下がるということも起きます。したがって、そのような労務管理上の問題になりますので、当然日米間で協議の対象になるわけでございまして、これは従来から基本労務契約に基づきまして日米間で事前に協議し、調整しながらその機構改革を実施していくということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/100
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101・枝村要作
○枝村委員 これは今度の機構改革で、当然身分の変更が伴うわけですね。身分の変更が伴うということになれば、労使の間で十分に協議を必要とするようにいまの協約か協定かではなっておるんでしょう。そうすれば、やはり早くそういう問題について労使の間で話し合いをし、協議を進めて不安解消をはかってもらいたいということになるわけなんですが、そういう意志ありやなしやということです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/101
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102・江藤淳雄
○江藤政府委員 今回の機構改革は縦割りシステムになります結果、管理者のポストがある程度減る。その結果、職位がランクダウンする人が出る可能性があるわけであります。そうなりますと、これをそのまま放置しておきますと、やはり労働紛争の事例も起きるわけであります。当然このような問題は事前に十分協議しまして人事措置をしなければならないというふうに考えておりますので、現在現地の渉外労務管理機関と米軍との間におきまして、その具体的な人事措置をどうするか、人事発令をどういうふうにするかということについて協議いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/102
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103・枝村要作
○枝村委員 人員整理、首切りの問題になるわけですが、いまこれはないと言われましたので、ひとつ施設庁ははっきりこの保障をしてもらいたいと思うのです。
〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕
先ほど言いましたように、労働者は、そうはいってもいつやられるかわからぬといういままでの例がありますから、施設庁として、時期を明示せよといってもそれは無理でしょうけれども、この問題については絶対にそういうことがない、もしあったらどうするかということはまた別にして、ないという保障がはっきりできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/103
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104・小幡久男
○小幡政府委員 御質問の、在日米空軍基地の機構改革ということに関して、その理由による整理は行なわせないということは、それは保障いたします。しかし、最小限の配置転換というふうなことはあり得るということはひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/104
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105・枝村要作
○枝村委員 それでは、いわゆる離職者に対する政府の対策ですが、これについて質問いたしたいと思います。
駐留軍労働者は、この二十有余年にわたって基地の中で働いてきておりましたが、たびたびの人員整理によってやむなく離職させられる、そういう状態にあります。ですから常に不安定な雇用関係に立たされておると見ても、これは間違いないと思うのです。ですから、政府は、これらの不安をなくするために、長期に安定させるという計画を立てるべきであると思うのです。この長期計画、安定計画ということに対して、加藤君から質問があって、お答えがあったと思うのですけれども、そういうものがあるとするならば、ひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/105
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106・有馬元治
○有馬政府委員 駐留軍労務者の雇用関係は、米軍の駐留に伴う問題でございますので、永遠に安定をしておるというわけにはいかないと思います。そこでいろいろと離職者の対策を、特別措置法をつくって講じてきておるわけでございまして、私どももできるだけ雇用の安定ということについては、施設庁を通じて米軍側にも要望しておるわけでございますが、ほかの企業と違って、永遠に続くというわけにはいかないだろうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/106
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107・枝村要作
○枝村委員 それはそうでしょう。永遠に続くわけはないわけなんです。これは一九七〇年の時点との問題もあります。これはあとから質問いたしますが、さしあたり当面は離職者の再就職について全力をあげる、あるいはいろいろのめんどうを見る、そのためにいまの臨時措置法ですか、この法律があるわけなんですから、そこで、いまのこの臨時措置法でいろいろ定められておるわけなんですね。それは実際にどういうふうに行なわれておるかという点について、ひとつ質問していきたいと思うのです。その前に、その臨時措置法ができたときには、大体労働省が主管でやったのか、それともほかのところがやったのかということなんですが、いま中央協議会ができておりますが、その会長は総理府の総務長官で、労働大臣じゃないわけなんですね。そうなると、できた当時はそういうふうにどこかがやって、いまごろになって労働省が主としてやっておるということなんですが、一体これはどこが中心になってやっておるか。もちろん労働省と言われるでしょうけれども、いままでの歴史的な経緯から見まして、どうもずっと変わっていっておるような気がするわけなんです。ですから、政府としてはこの問題にほんとうにどういうふうにいわゆる腰を据えて取り組もうとしておるのか、こういう点についてまず第一に聞きたいわけなんです。しっかり取り組む気持ちがあるのかないのか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/107
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108・早川崇
○早川国務大臣 離職者対策につきましては、当然労働省が全責任を持って対策を講じていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/108
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109・枝村要作
○枝村委員 先ほどちょっと言いましたように、中央には離対協があります。それから都道府県、市町村にも地方協議会がそれぞれ設置されておるわけなんですが、今日その協議会がどのように活動しておるのかということを聞きたいわけです。今回のこの臨時措置法の一部を改正する法律案は、そういう協議会を通じて相談をしたり協議したりという経緯を通ってこの国会に提出されておるように聞いておらぬわけなんです。それは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/109
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110・有馬元治
○有馬政府委員 地方協議会は御承知のように都道府県に八府県、それから市町村で十八市町にございますが、今回の改正につきましては、この地方協議会から意見の具申という形できたわけではございませんで、石炭の離職者対策が一方において進んでまいりまして、これとの関連におきまして今回の駐留軍の離職者対策につきましても、石炭離職者対策と平仄をできるだけ合わしていこう、こういう考え方で今回の法改正をお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/110
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111・枝村要作
○枝村委員 お願いをしておるわけなんですが、その手続として中央協議会あたりに一応相談するとかいろいろはかってみるというようなことは元来すべきではないのですか、たとえ簡単な問題であっても。そういうことを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/111
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112・有馬元治
○有馬政府委員 昨年の法改正によりまして、これは衆議院の修正によりまして労働省に離職者対策の審議会ができました。この審議会には今回の法改正の考え方について十分おはかりを申し上げて、そして法案の作成をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/112
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113・枝村要作
○枝村委員 それなら、中央協議会とか地方協議会というのは一体どういう仕事をするのですか。ひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/113
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114・有馬元治
○有馬政府委員 昨年労働省の諮問機関として審議会ができましたので、離職者対策につきましてはこの審議会が中心になって諮問機関としての活躍をするわけでございますが、御承知のように従来から中央離対協というのがございます。これはさらに広い立場に立って、国有財産の活用だとかあるいは資金のあっせんだとか、いろいろな離職者対策法に書いてありまする事項がございますが、そういった問題を含めまして、総理府に置かれておりまする中央離対協において審議をする。それからさらに先ほど申しました都道府県並びに市町村に置かれておりまする地方協議会は現地的な具体的な離職者対策について協議をする、こういうふうな三本立てになっておりますので、それぞれの審議機関の御意見は十分に尊重してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/114
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115・枝村要作
○枝村委員 まいるつもりはわかるのですが、実際に活動しておるのですかどうですか、中央地方を通じてこの離対協は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/115
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116・有馬元治
○有馬政府委員 それぞれの審議会、協議会は実際に活動を、審議をいたしております。中央は中央なりにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/116
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117・枝村要作
○枝村委員 私のほうでいろいろ聞いたところによれば、どうもこの活動が次第に鈍ってきておる。ということは、労働省とは言わぬにしても、いまの政府が離職者に対して真剣になって対策に取り組むということでなく、次第に冷淡な態度になりつつあるというように見受けられるわけです。そうでないとすればたいへんけっこうでありますが、いろいろあとから申し上げますような理由もありまして、どうも調子がおかしくなってきておるというように見るわけですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/117
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118・有馬元治
○有馬政府委員 従来に比較して低調になったというような傾向はないと思います。特に、昨年労働省に設けられました審議会は相当活発に御意見も出ておりますし、それから現地の状況も具体的に検討をいたしております。そういう傾向は全然ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/118
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119・枝村要作
○枝村委員 それで、もう少し具体的に聞いていくわけですが、この三章の十条によって職業訓練等についての特別の措置をするようになっておるわけですが、今日のその状況をひとつ私にわかるように説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/119
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120・有馬元治
○有馬政府委員 三十五年度あたりから離職者も一段と減少してまいっておりますが、これに伴いまして訓練の実施状況は数の上では多少減りつつございます。すなわち三十九年度におきましては七百四十七人でありましたが、四十年度は三百十六人、四十一年度は百十三人、こういうふうに訓練の実施状況としましては訓練生の数が減ってまいっておりますが、これはもちろん離職者の状況によって訓練をいたすわけでございますので、最近は多少数が減っておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/120
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121・枝村要作
○枝村委員 それだけの原因ではないと思うのですが、ほかに何かその原因をあなたのほうでつかまえておれば報告をしてもらいたいと思います。数が減ったということだけでなくて、その他のいろいろ環境とか施設の問題とか事情はあると思うのですが、何かほかに事情があるならば知らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/121
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122・江藤淳雄
○江藤政府委員 ただいま労働省のほうから御答弁がありました実施人員につきましては、御説明のとおりでありますが、そのほかに、私のほうが基地内において現職者に対して職業訓練を上実施いたしております。これが大体年間予算約二千万円程度でやっておるわけでありますが、これらの人員がおおむねと申しますか、かなり基地内における職業訓練が浸透してまいりました結果、離職後の職業訓練を受ける人の数が逐次減っておるのではないかということも、一つの原因として考えられるのではなかろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/122
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123・枝村要作
○枝村委員 就職指導がやはりいまのような調子のものもいろいろ行なわれておるわけですが、労働省としては具体的にどのように行なっておるか、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/123
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124・有馬元治
○有馬政府委員 この三月末現在におきまして、就職指導の認定件数が千百二十七人でございます。そのうち就職した者が百九十四人で、この三月末現在において指導票を持っておる者が八百九十二人、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/124
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125・枝村要作
○枝村委員 次にいきます。離職者のために住宅を与えるという便宜措置があるわけなんですが、いままでいろいろアメリカが使っておって、それが返還されて国有財産になっておる住宅をどのくらいこの離職者が使用しておるか、利用状態をひとつ知らせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/125
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126・江藤淳雄
○江藤政府委員 具体的な数字をいま持っておりませんのでお答えしにくいわけでございますが、従来米軍が基地を持っていた当時に国有財産の宿舎に入っておった者が、その後基地が閉鎖になりましても、そのままその宿舎に残っておるというケース——北海道の場合藻岩あるいは千歳等すでに離職した人でまだその宿舎に残っておるというケースは若干ございます。戸数にしまして、そうたくさんはないと思いますが、大体百世帯前後の見込みじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/126
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127・枝村要作
○枝村委員 それはそういう返還された建物がないから百くらいというのか、それともほかの事情があって、あいておっても入らぬというので、結局百世帯くらいしか入っていないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/127
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128・江藤淳雄
○江藤政府委員 従来提供しておった施設の中に旧陸軍の宿舎がございました。その宿舎に当時在日米軍が従業員を雇用した場合に、なかなか住宅がないということでその住宅を一部改装しまして、従業員を入れた。ところがその後基地が閉鎖になりましたけれども、その宿舎に入っておる従業員が他の住宅に移転するということが非常に困難であるということで、そのまま居残っておるというのが約百世帯くらいございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/128
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129・枝村要作
○枝村委員 それではここに規定されておる、いわゆる住宅を与えるように配慮するというこの項目は、実際には何にも行なわれていないということになるわけなんですね。この条文は有名無実で存在しておるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/129
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130・江藤淳雄
○江藤政府委員 大体において駐留軍従業員には国設宿舎が一般公務員のように提供されておりません。大体現地採用ということになっておりますので、従来から国設宿舎というものがほとんど整備されていないのが実情であります。ただ、いま申しましたのは、たまたま従来の旧陸軍の宿舎が残っておったということで、便宜提供の意味でその宿舎に居住を許可しておったというものが、その後基地が閉鎖になった後におきましても、あるいは退職した後におきましても、他に移転する場所がないので、そのまま残っておるというのが実情でございまして、もちろんそれらのものにつきましても、漸次市町村当局と話し合いまして、なるべく市営住宅等に移ってもらうというような措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/130
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131・枝村要作
○枝村委員 今回の臨時指貫法の改正によって、あるいはまたいろいろ関連の法律があるのですが、この適用を十分にすることによって、あるいはまた行政指導の面を非常に強化することによって、いまの駐留軍関係の離職者が少しでも生活の権利が守られていく、こういうふうになるようにお考えになっておるようでありますが、しかし、実際に地方に参りますと、そうはいかないということになっておる。これも加藤君からそういう意味の質問が行なわれたと思いますが、とにかく駐留軍の離職者は中高年齢層の人が非常に多いのでありますから、再就職といってもきわめて困難である、こういうことはお認めになると思うのです。そういう離職者がどういうふうに就業したか、就職したか、あるいは失業状態にあるかということについて調査はされておると思いますが、最近の統計で明らかにされておるものがあればひとつ明示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/131
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132・有馬元治
○有馬政府委員 三十二年度から四十一年度までの離職者のうちで、安定所に求職を申し込んで来られた方々の人数は十七万八千人でございます。これらの方々に対しまして、安定機関が就職のあっせんをいたしまして就職した者が四万九千人ございます。就職率は二七・五%、こういう状態に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/132
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133・枝村要作
○枝村委員 四十一年七月一日現在で向こう一年間調査した資料があるわけなんですが、確かに就職率は以前よりよくなっておるように思います。九百六十九名を対象として調査した結果、明らかにされておるのは就職者が四五・二%、それから就業者が一〇・七%、失業中である者は四四・一%あるわけなんです。問題は失業の問題です。確かに最近の三年間では年々減少の傾向を示しておって、非常に明るい面が見られるのでありますけれども、この比率がそうなっておるからといって、全面的にこれはよろしい、回復してきたというわけにはまいらぬのであります。それはなぜかというと、先ほど、言いましたように中高年齢者、三十五歳以上の人たちが非常に多いわけなんです。この者たちだけでも確かに若干の失業者が減っておるわけなんです。確かに三十九年の調査では七四・一%に対して、この調査では七一・二%ということで、若干の減りはありますけれども、大差はないということなんです。そう見ますと、やはりそういう人たちに対する離職者対策というものは特に政府として考えていかなければならぬのじゃないかと思いますが、この点について政府は、そういう人たちに対しどういう心あたたまる対策をとるかという点について、その方針を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/133
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134・有馬元治
○有馬政府委員 駐留軍離職者の方々の年齢構成は、中高年者、特に五十歳代の高年者が相当大きな比重を占めております。従来から雇用労働者としての職場をあっせんすることを中心に援護対策を講じてきておったのでございますが、これだけではどうしても不十分な面がございます。現に帰趨調査あるいは自営の希望調査等をやりますと、調査の対象によって違いますが、東京都の場合は九・五%までが自営をしたい、こういうふうな数字が出ております。施設庁の調査によりましても、四・六%程度の自営業開始の実績がございます。そういった観点からいたしますならば、今回改正をお願いいたしておりますような、自営業のための援護対策を十分考えていく必要があるのではないか。このことによってさらに離職者の就業対策が一歩前進するという考え方で、今後離職者の就職対策の万全を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/134
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135・枝村要作
○枝村委員 今回の法改正で、そういう措置がされるということはたいへんいいことなんでありますが、しかし、いまのような社会情勢では、焼け石に水ということばを使ってはたいへん失礼にあたりますが、ちょっと間違えば、百万円の融資をしても、何にもならなくなるというおそれがあるわけです。いままで自立営業を行なっているのは二百六十社で約一万人の人たちが従事しておるということは私存じておるわけであります。これらの人たちいわゆる業者に対して援助をしていらっしゃるわけですが、しかし、それはきわめて微々たるものだと思う。しかも、やっておるのは地方の行政機関かやっておるので、国として——今度から、いま言うような調子で法改正してやるけれども、いままではあまりなかったのではなかろうか、こういうふうにわれわれは見ておるわけなんです。ですから、今回の改正に伴って、一つの糸口というか窓ができたのですから、もう少し積極的にこういう自立営業をやっておる経営体に援助していくべきであるというふうにわれわれ考えておるわけなんですが、その点について御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/135
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136・有馬元治
○有馬政府委員 従来からも離職者のために融資のあっせん等はやっておりますし、その実績も相当ございますけれども、御指摘のように、地方団体が営業資金あるいは設備の助成金という形で援助し、援護しておるという、実績も相当ございます。これらに加えて、今回債務の保証制度を創設するということに相なりますので、さらに一段と融資が受けやすくなるということになろうかと思います。地方団体のやっておる助成制度も、われわれとしてはできるだけ拡充していきたいというふうに考えておりますので、両々相まって、自営業対策としての万全を期していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/136
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137・枝村要作
○枝村委員 何回も言うようですが、いまの社会情勢では、中小企業あたりは戦後破局と言われるほどどんどん倒れておるのですから、これを政府はわずか百万の融資ですけれども、他の地方団体がそれに勇気を得て、いままでより以上な額を融資するというようになってくれば、それはけっこうなことでありますけれども、それにしてもいま言いましたように世の中がこういう非常に困った状態であるだけに、よほどの援助、よほどの指導、そうしてあたたかい手を伸ばさない限りにおいては、いつつぶれるかわからぬということになると思うのです。ですから、せっかくこういう法改正ができたのですから、離職者対策をますます強化するためにも、先ほどから言いましたように、臨時措置法を徹底的に守っていく、これによる行政をしっかりやってもらいたいと思うわけでありますが、その点についての政府の姿勢を労働大臣から聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/137
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138・早川崇
○早川国務大臣 中高年の方がたいへん多うございますので、枝村委員の御指摘のように今回の法律を契機といたしまして、自営業の方面に大いにチャンスを与えていくということを今後とも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/138
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139・枝村要作
○枝村委員 その次に、駐留軍労働者の将来、といってそう遠い将来ではありませんが、いまからの生活不安を解消させるためにひとつ明らかにしてもらいたい点があるわけなんです。それは簡単にいえば、一九七〇年で安保条約が改定される時期になります。それから駐留軍労働者は、安保条約第六条に基づく地位協定の第十二条の二項あるいは四項、これによって労務に従事するようになっておるのでありまするから、もし、安保条約がなくなれば、地位協定もなくなり、それから労働者も必要なくなる。そうなりますと、駐留軍労働者の生活権に及ぶ問題になってくるわけなんです。ですから、どうしてもこの安保条約と切り離して駐留軍労働者の生活権のことは考えられないわけであります。しかも、それがあと数年に迫ってきておりますので、その点について質問いたすわけでありますが、先ほどちょっと言いましたように安保条約、地位協定、それによって労働者がおる、こういう関係については間違いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/139
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140・小幡久男
○小幡政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/140
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141・枝村要作
○枝村委員 ですから、先ほどから言いますように、安保条約が廃棄されたら、地位協定、労働者の存在もなくなる、こういうことになるわけです。そうなると、一九七〇年までの期間は一応保障されるということになるわけなんですが、しかし、いまの臨時措置法では、三十三年ですか、できて十年間の効力ですから、来年の五月にはこれは失われるわけなんです。いまの臨時措置からいえば、来年までということになるわけなんですが、この問題については、またあとから質問いたしますが、いずれにしてもいま言いましたように安保条約があるまで一応駐留軍の労働者というものはある。それに対していろいろな保障がされるわけなんであります。ですから、いまの段階では一九七〇年のことがわかりませんので、労働者が非常な不安を持っておるというように私どもは見ておるわけなんですが、政府当局もそういうことに関連して、いま置かれておる労働者の状態というものをそういう意味で不安を持っておるということを認めるかどうか。ちょっとおかしな質問になりますけれども、そういう関係で、労働者が非常に不安な感じを持っておるということを政府は認めるか認めぬか、こういうことを質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/141
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142・早川崇
○早川国務大臣 労働者が一九七〇年で安保が切れるのではないかということで非常に不安を持っておるということのようでございまするが、佐藤総理が予算委員会あるいは本会議において、たびたび言明されておりまするように、日米安保体制は、自由民主党政府が健在である限り長期にその体制は固定すると言っておりますから、その限度において、何ら不安がないと考えていただきたいと望むものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/142
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143・枝村要作
○枝村委員 それは、佐藤さんが政権を担当している限りということなんですけれども、それで、ほかにだれかかわって政権を担当して、こうした安保条約を廃棄するということになるとも限らぬわけなんですね。そういう場合には、やはり一応考えておかなければいかぬのではないでしょうか。だとすれば、この安保改定期におけるそのときの措置、それから以後の駐留軍労働者に対する対策というものをやはり考えておかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。ですから、佐藤さんのときは、安心してよろしい——これも安心できるかどうかわかりませんけれども、よろしいということですが、政治の情勢はそううまいこといかぬかもわかりません。そういうことを考えた場合に、政府としてちゃんと考えておかなければならぬのではないかということをお聞きしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/143
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144・早川崇
○早川国務大臣 佐藤政権が続く限りというだけのみならず、自由民主党の基本政策が日米安保体制の堅持となっておりますから、いま党内のいろいろ御議論を聞きましても、一九七〇年で安保を廃止すべしという意見は少しも出ておらない。自動的に延長するか、あるいは十年か、こういうわけでございまするから、安保廃棄を目的とする社会党政権ができるという場合なら別ですけれども、自民党政権が続く限り、当分長期にわたって御心配はないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/144
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145・枝村要作
○枝村委員 政府の態度はそういうことであります。しかし、時間があればもう少し突っ込んでいくわけなんですけれども、時間もあまりありません。それで、とにかく佐藤さんもそれ以前の人たちも、この安保の問題についていろいろ態度表明をされてはおりますが、具体的に、ではどういう取り扱いをするか、こういう問題についてははっきりしておらぬと思います。いま労働大臣も言われたように、十年にするかあるいは十五年に固定するか、あるいは自動延長で知らぬ顔をして通すか、こういう点がはっきりしておりませんので、この際、先ほど言いいましたように——この問題だけでいろいろ論議し、質問をいたしますと、これは場が違うといってけられるかもわかりませんが、少なくとも、先ほど言いましたように、駐留軍関係につとめておる労働者の生活権にかかわる問題でありますから、それの関連として質問していかねばならぬと思います。
それで条約の十条の解釈については、これはいろいろあると思うのです。ここへ外務省の安全保障課長いらっしゃいますか。——では、もう一度聞きますが、いま言いましたように、政府としてどう取り扱うかというはっきりした統一見解というものはないと見てよろしいのですね。ただ、十条の解釈については、政府の公式な見解として受け取ってもいい、こういうことが、外務委員会あたりでは三木さんから説明されておりますし、佐藤総理そのものも、そういうことをしばしば言っておるようでありますが、いまから、一九七〇年にはそれをどう取り扱うかということについての統一見解というものは、政府にはいまのところはっきりしていない、党内にはいろいろな論議はありますけれども、はっきりしていないというように見てよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/145
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146・早川崇
○早川国務大臣 私は、予算総会の総理の御答弁は、長期にわたって日米安保体制を堅持するというお答えであったと思うわけでございます。ですから、それをどういうこまかいいろいろな方法——方法論はまだきまっておりませんが、それだけで駐留軍の労働者の方々が相当心配をされることもないではないだろうか。しかし、一挙に世界平和が実現するとか、あるいは安保廃棄の社会党政権ができるとか、そういうことになればこれは別個の問題ですけれども、自民党政権が続く限り、日米安保体制は世界の平和が確保されるまではという意味だと思いますが、これが公式の総理大臣の御答弁だったと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/146
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147・枝村要作
○枝村委員 その問題、またちょっと留保しておきますが、そうだとすれば、今度は現実の問題になるんですけれども、先ほどちょっと言いましたように、臨時措置法が来年の五月で切れるんですね。失効するわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/147
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148・早川崇
○早川国務大臣 お説のように昭和四十三年五月で失効することになっておりますが、その時点において、離職者の発生状況等を総合的に勘案いたしまして、当然期間の延長等につきましては検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/148
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149・枝村要作
○枝村委員 それでは、来年に失効する段階になったら、その時点で考えるということでなく、臨時措置法をさらに延長さしていくというふうに受け取っていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/149
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150・早川崇
○早川国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、その時点において離職者の発生状況をにらみまして、全然発生しないような状況であればこれは別ですけれども、良識的に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/150
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151・枝村要作
○枝村委員 それで、先ほど、自民党政府が続く限り、佐藤内閣が続く限り絶対に安心していらっしゃいませと、こういうことをはっきりおっしゃいましたものですからね。ですから、その時点になろうがなるまいが、離職者に対する対策というものはちゃんと持つということでならねばならぬ、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/151
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152・早川崇
○早川国務大臣 自民党内閣である限り、佐藤内閣がかわりましても、そのときの大臣の答弁というものは連続性を持っておりますから、私が労働大臣でなくなった場合でも、やはりいまお答えしたような趣旨で、離職者の発生状況をにらみまして十分検討をいたします、こういうことをお答えいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/152
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153・枝村要作
○枝村委員 まあ私どもとすれば、何年で失効するということでなくして、たとえば、安保条約によってこれがあるんですから、それに伴って駐留軍の労働者が生まれてきて、それから離職者という現象が起きてくるわけなんで、できるならば、これはもう自民党であろうが何であろうが、安保条約が廃棄されるまで——廃棄されても、その後数年間はこの離職者臨時措置法を適用する、生かすというような考え方を持たぬと、先ほどから言うように、駐留軍関係の労務者は非常に不安を抱くということなんです。安保がなくなればおれたちも職場がなくなるんだということ、これははっきりしております。しかし、それも三年か四年後にこの法律というものはなくなっていく、こういうようなことがされれば安心して仕事ができるということになっていくのじゃないか、これは子供でも考えることなんです。そういう決意——と言ってはおかしいのですが、政府の態度を実は明らかにしてもらいたいと思っておるわけなんですが、そういう考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/153
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154・早川崇
○早川国務大臣 世界情勢が激変してくるという場合なら別でありまするし、また安保廃棄を唱える社会党政権ができるとかというような場合は別ですけれども、いやしくも自民党内閣が続く限り、佐藤さんの御言明のとおり、長期に日米安保体制を堅持すると申されておるわけでありまするから、一九七〇年以後どうなるかという御心配はそういう意味ではないのではないか、私はかように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/154
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155・枝村要作
○枝村委員 いま労働大臣は佐藤さんの最も信任の厚い方でありますだけに、この際、安保の条約をどういう形で一九七〇年には取り扱いをするか、方法ですね、方法についてひとつ開いてみたいと思うのですが、お答えできますか。いまあなたのほうの党内にいろいろ事情があることは知っておりますが、その中で労働大臣はどういうふうな見解を持たれておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/155
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156・早川崇
○早川国務大臣 自動延長か十年の再延期かということはその時点で考えるべきことでありますが、私も自民党員あるいは現在の国務大臣として、佐藤総理の言われるように、長期に安保体制は堅持するというお答えだけは申し上げられると思うわけであります。それ以外はちょっとまだ考えておりませんし、そういう時点ではございませんので、御答弁のできないことをまことに残念に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/156
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157・枝村要作
○枝村委員 それはおれは答えられぬ、こう申されればしかたがないわけなんですけれども、少なくとも片や国民の中には、この改定期において廃棄すべきだという大きな世論があります。片やいまの自民党、佐藤さんを代表とする人たちは、これは長期に結んでいくべきだというのがあるわけです。そういう争点に一九七〇年はなるわけなんですから、どっちになるかならぬか、それはやってみなければわからぬことなんですが、そういうことになることが当然予想されますので、この際、政府もはっきりどこの委員会であろうが一つの統一見解というものを述べて、これはもう通告によって一年後に失効するとかいうようなことでなく十年も十五年も固定したものにするという意見ならばそういうふうに述べてもらいたいし、とにかく騒動を起こさぬために自動延長で知らぬ顔をしてやろうという考え方であるならば、それというような態度をはっきり今日の段階で表明すべきだと思う。それにはいろいろな資料をわれわれも持っております。これは単に外務委員会とか予算委員会とか本会議だけの質問でなく、あらゆるところで生じてくる問題なんです。とりわけこの駐留軍労務者の問題を抱いておる社労委では、それだけはっきりした考え方を述べていただくならば、それがよかれあしかれ一定の方向として労働者がつかんで安心して生活ができる、あるいは仕事ができるということになるわけなんであります。ですから、私はまだ引き続いてその問題についていろいろ資料を出してあなたの御意見なりを聞きたいと思っておりましたけれども、時間もきましたので、一応ここで質問は終わらずに留保しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/157
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158・川野芳滿
○川野委員長 次会は、明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01619670606/158
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