1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月八日(木曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 藏内 修治君 理事 佐々木義武君
理事 齋藤 邦吉君 理事 竹内 黎一君
理事 橋本龍太郎君 理事 河野 正君
理事 田邊 誠君 理事 田畑 金光君
天野 光晴君 大石 武一君
菅波 茂君 世耕 政隆君
田中 正巳君 地崎宇三郎君
中野 四郎君 藤本 孝雄君
増岡 博之君 三ツ林弥太郎君
山口 敏夫君 渡辺 肇君
淡谷 悠藏君 枝村 要作君
川崎 寛治君 佐藤觀次郎君
島本 虎三君 西風 勲君
八木 一男君 山本 政弘君
受田 新吉君 浅井 美幸君
大橋 敏雄君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 坊 秀男君
出席政府委員
大蔵省国有財産
局長 松永 勇君
厚生政務次官 田川 誠一君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省援護局長 実本 博次君
委員外の出席者
議 員 大原 亨君
議 員 山田 耻目君
総理府恩給局恩
給問題審議室長 大屋敷行雄君
専 門 員 安中 忠雄君
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六月八日
委員淡谷悠藏君及び和田耕作君辞任につき、そ
の補欠として栗林三郎君及び受田新吉君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員栗林三郎君及び受田新吉君辞任につき、そ
の補欠として淡谷悠藏君及び和田耕作君が議長
の指名で委員に選任された。
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六月七日
駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案(山
花秀雄君外十二名提出、衆法第一七号)
国有林労働者の雇用の安定に関する法律案(河
野正君外十一名提出、衆法第一八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(大原亨君外四十一名提出、衆法第一
四号)
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
改正する法律案(山田耻目君外四十一名提出、
衆法第一五号)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第七九号)
戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案(
内閣提出第八〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/0
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001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
大原亨君外四十一名提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。び公務員関係を除外すれば決して援護不可能な人数ではありません。また防空従事者扶助令の障害扶助の対象として「女子ニシテ其ノ外貌ニ醜痕ヲ残シタルモノ」という項目があり、原爆によるケロイドの外傷により結婚、就職など一生を犠牲にした者に対する救済は当然のことであります。
戦後二十年余を過ぎ、経済的にも社会的にも面目を一新しているとき、戦傷病者等の援護措置も拡充強化されただけでなく、二回にわたる地主報償や在外財産補償も実施された今日、これら防空業務に従事した者で死亡した者の遺族やいまなお傷病に苦しむ傷病者に相当の処遇を与えることは当然のことといわなければなりません。
よってこれら防空法関係の犠牲者を準軍属として処遇するためこの法律案を提案することといたした次第であります。
以下この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正して、「旧防空従事者扶助令第二条に規定する者で、旧防空法の規定に基づき、防空の実施若しくはその訓練に従事中又は応急防火若しくはその訓練に従事中若しくは協力中のもの」を準軍属として処遇しようとするものであります。ここで旧跡空従事者扶助令第二条に規定する者とは、第一に防空監視隊員、第二に警防団員、第三に防空法第六条第一項に規定する防毒、救護等の特殊技能を有する者と同条第二項に規定する特別の教育訓練を受けた者、これは別紙の資料にございますが、医師、薬剤師、看護婦、助産婦、保健婦などをさすのであります。第四に防空法第九条第一項により緊急の必要ある場合に地方長官や市町村長から防空の実施に従事することを命ぜられた者、第五に第三と第四に掲ぐる者を除き地方官庁または市長村長のなす防空の実施または訓練に従事した者のうち内務大臣の指定するもの、第六に防空法第八条ノ七に規定する建築物の管理者、所有者、居住者等の応急防火もしくはその訓練をなしまたこれに協力した者、これは別紙の資料にありますが、隣組の防空等の地域防空をさしておるのであります。
第七に防空法第三条第一項の規定により、工場、学校等の防空計画の設定者の従事者等でその防空計画に基づいて防空の実施または訓練に従事したものであります。これはいわゆる職場防空といわれるものであります。
以上述べました者が防空法に基づく防空の実施もしくはその訓練または応急防火もしくはその訓練に基づき死亡した場合または負傷しもしくは疾病にかかった場合には、その死亡した者の遺族には遺族給与金及び弔慰金が支給され、また、負傷しまたは疾病にかかってこれにより身体に障害がある者には障害年金が支給されることとなります。
第二点は、戦傷病者特別援護法を改正して、さきの戦傷病者戦没者遺族等援護法の「準軍属」として加えました防空の実施の業務に従事した者等を、この法律の「軍人軍属等」に加えて処遇しようとするものであります。これにより、防空の実施等の業務に従事中、その業務により負傷し、または疾病にかかり現在なお療養中の者は、療養の給付をはじめとしてこの法律に規定する援護の措置を受けることができることになるわけであります。
なお、第三点としては、戦没者等の妻に対する特別給付金または戦傷病者等の妻に対する特別給付金——その下に現在審議中の改正されるものを加えるのでありますが、つまり、「及び戦没者の父母等に対する特別給付金」の支給を受けることができるよう措置した次第であります。
最後に、社会党といたしましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきまして、軍人軍属と準軍属とを差別して取り扱っていることば賛成しかねるものでありますが、今回の改正では、この点は一応差しおいて、とりあえず、防空従事者を準軍属の範囲に加えて処遇するにとどめた次第であります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
以上でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/1
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002・川野芳滿
○川野委員長 次に、山田耻目君外四十一名提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/2
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003・川野芳滿
○川野委員長 提案理由の説明を聴取いたします。山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/3
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004・山田耻目
○山田(耻)議員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げたいと存じます。
昭和二十年八月六日午前八時十五分、人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして広島、長崎合わせて三十数万の人たちの生命を奪い去り、そして両市を焦土と化したのであります。幸いにして一命を取りとめた人たちも、四十一年三月三十一日現在の手帳交付者総数が二十八万一千五百九十五人の多きにのぼっております。昨年政府の御理解で、初めて実態調査を行ないまして、昨年二月に中間報告が出ました。この十月を目途に最終報告が出るようでございますが、推計されます数字は、約一万三千五百人の手帳交付者総数がふえてまいりました。約二十九万六千人に推計されるに至りました。なおそのほかに、原爆被爆者ということを言うことによって子供の結婚のことを考え、いろいろな事情で手帳の未交付者が約四万人と推計をされるに至りました。合わせますと約三十三万六千人の多きにのぼるものと判断されます。
このようにして、この世のものとも思われない焦熱地獄を身をもって体験し、原爆の被爆という一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負わされ、あるいは原爆熱線による痛ましい傷痕のゆえに結婚もできずに悲歎にくれ、あるいは放射能の影響による造血機能障害、原爆後遺症に悩まされるなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら、だれに訴えるすべもなく、ただ、黙って歯を食いしばり今日まで生きてまいったのであります。あれから二十一年、きのうは一人、きょうも一人とくしの歯のこぼれるように、生命の灯が吹き消されてゆく中で、白血病、貧血症等の発病の不安、生命の不安と焦燥におののきながらも働かなくては生きていけないという実態が原爆被爆者の今日の姿であるのであります。
この悲惨な現実をもたらした原因が、原爆の被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年、主として原爆症の医療について、現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、が制定され、その後、三十五年の一部改正以来、四回にわたり、対象範囲の拡大、医療手当の所得制限緩和と増額もはかられてまいりました。しかしながら、今日なお、原爆を受けました被爆者の肉体的、精神的障害をぬぐい去ることができないばかりか、消費者物価の上昇のもとでその生活の苦しみを訴える声は、日ましに高まっているのであります。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上、生活上の不安を除去するために、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応させ、かつ生活援護をはかるべく、一そうの拡充がはかられるべきであると考えるのであります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一は、援護手当の支給であります。認定被爆者はもとより、特別被爆者のうちそれに近い、いわゆるボーダーライン層も含めて、これらの人々が被爆によって生じた身体障害のために労働力稼働日数が減退し、それにより収入が激減した場合、政令の定めるところによりまして最高月額五万円までの援護手当を支給することにいたしたのであります。概数で見ますと、今日厚生大臣認定の認定被爆者が四千二百二十人余りでございます。それに加えまするに、冒頭申し上げました被爆者総数が三十三万六千人に及んでまいりました。大体、日本の国民全体のボーダーライン層、社会保障援護を受けているパーセントは約一八%程度でございますので、三十三万六千人の約二〇%程度をボーダーライン層と推計をいたしますならば、合計七万六百二十人あたりが、この援護手当の対象人員になるものと判断をされるわけでございます。
第二は、障害年金の支給であります。被爆に基因した身体障害の被爆者に対し、それが外的、内的障害たるを問わず、年額十二万円を限度とする障害年金を支給することにいたしたのであります。なおこの障害年金は、国民年金の無拠出年金を除き、他の増加恩給その他障害年金に相当する給付とは併給することができないものといたしております。この対象となるべき概数につきましては、いろいろと御意見もあるかと存じますけれども、今日、日本の総人口に対する障害者の比率を算出してまいりますと、障害年金を受けております国民は約三十万八千人でございます。そういたしますと、国民対比は〇・三%に相当いたします。被爆者が三十三万六千人でございますので、この対比率をそのまま当てはめますと、低きに失するおそれがございますので、おおむね〇・五%程度に引き上げて障害年金を受ける対象者の概数計算をいたすことが正しいと判断いたしまして、約千六百五十人程度が該当人員になるものと判断されるのであります。
第三は、医療手当の月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。医療手当は、昭和三十五年の改正によって新たに加えられたものでありまして、現在は、認定被爆者が医療の給付を受けている期間中、毎月三千四百円を限度として支給することになっておりますが、この月額を、さきに申し上げました援護手当の額と勘案いたしまして七千円に引き上げるとともに、医療手当のかかる所得制限を撤廃することにより、これら被爆者が、安んじて医療を受けることができることといたしたのであります。
第四は、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者が、日本国有鉄道の鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令により身体障害者福祉法に基づく運賃割引を行なうことにいたしたのであります。
第五は、被爆者が死亡した場合に、その葬祭を行なうものに対し、葬祭料として三万円を限度として支給することであります。なおこの葬祭料は、本法が施行された昭和三十二年四月までさかのぼって支給することといたしたのであります。
第六は、以上のような措置を講ずることにより、いわゆる医療法から援護法へ移行するものとし、法律の題名を原子爆弾被爆者援護法に改めたのでございます。
以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改めるとともに、委員の数を十名増員して三十名といたしました。また都道府県が設置する原子爆弾被爆者相談所の費用の一部を国が補助するなど、被爆者の援護に関して必要な措置を講ずることといたしております。
また特に、沖繩に在住する約八十名の原爆被爆者が、今日まで専門医の診断を受ける機会も与えられず、何らの援護も受けていないまま放置されている現状にかんがみまして、政令により本法を適用することとしたのであります。
原爆の被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題でございます。被爆後二十一年を経過した今日、救済さるべき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して、肉体的にも、精神的にも、はたまた物質的にも苦痛と困窮の度を深めているのであります。いまにして救済しなければ、悔いを千歳に残し、政治はそのかなえの軽重を問われると申しても、決して過百ではありません。しかも、最近に至りまして、いわゆる戦争犠牲者に対する救済の措置は次々と講ぜられてまいっておるのであります。今国会においても恩給法の一部改正、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正、戦傷病者の父母に対する特別給付金支給法、あるいは引き揚げ者特別給付金支給法など、一段とその拡充がはかられているのであります。したがいまして、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろおそきに失したものであると確信をいたしております。
また、このように被爆者に対する援護を一そう拡充すべきであるという考えは、ひとり提案者のみならず、昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所の判決理由の中にも見ることができるのであります。同裁判所は「被爆者に対する救済策をとるべきことは多言を要せず、それは立法府である国会及び行政府である内閣の職責であり、終戦後二十年を経て、高度の経済成長を遂げたわが国において、国家財政上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはいられない」と判決をいたしております。また、このようにして国の責任を厳しく裁判では指摘をいたしておりますが、幸い、昭和三十九年四月には本院におきまして、三月には参議院におきまして、原爆被爆者援護強化に関する決議の可決をみております。また、本年二月には厚生省の原爆被爆者実態調査の基本調査の概要も発表され、来たる十月には最終報告も行なわれるやに聞き及んでおるのでありまして、必ずや被爆者の援護をはかろうとするこの法律案の趣旨に御賛同いただけるものと確信いたしておる次第であります。なお、これに要する費用は、平年度約七十八億五千万円の見込みであります。
以上がこの法律案の提案の理由および内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決せられますように、心からお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わりたいと思います。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/4
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005・川野芳滿
○川野委員長 次は、内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案の両案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/5
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006・受田新吉
○受田委員 議題にされておる戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに他の法案に関しましてお尋ねをします。
私、基本的な問題としてお尋ねをしてみたいのでございますが、公務によって死亡し、あるいは傷病の身となったという形の、この法律の対象にされておる方々、それは大東亜戦争あるいはそれ以前の支那事変、満州事変等の分かちなく、これが等しく恩典に浴せしめらるべきものであると思うわけであります。この基本的な考え方に対する御答弁をまず願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/6
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007・実本博次
○実本政府委員 先生御承知のように、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、支那事変以降の戦争または事変について対象といたしておりまして、それ以前の、たとえば満州事変といったようなものについては、原則として対象といたしておりません。ただし、恩給法に基づきます遺族扶助料、その他の傷病年金といったようなものにつきましては、それ以前にさかのぼるということを承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/7
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008・受田新吉
○受田委員 私がお尋ねしておることと違った御答弁があったわけなんです。私は、基本的な考え方としてのお尋ねをしておるわけなんです。公務基因による死亡もしくは傷病ということは、別に大東亜戦争と限定するまでもなく、すべての戦闘を公務という関係で処理すべきものではないかと、基本的な考え方をお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/8
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009・実本博次
○実本政府委員 基本的な考え方といたしましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、主として大東亜戦争のあと始末というような意味がございます。その大東亜戦争につながります直前の支那事変というものについては、その原則に取り入れて考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/9
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010・受田新吉
○受田委員 満州事変、支那事変、これはもう一貫して事実問題としては大東亜戦争の前提の戦争ですよ。それを大東亜戦争に局限をしないで、同じ系列の事変、戦争に関与して、公務性に基づく死亡もしくは傷病の身となった人を救うという原則を前提として考える時期が来てはいないか。坊厚生大臣の御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/10
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011・坊秀男
○坊国務大臣 満州事変、支那事変等の戦争に参加したということは、確かに公務で、公務でないということは私は言えないと思います。ただ、戦傷病者戦没者遺族等援護法というものは、その戦争に参加した方々の遺族等についての措置を国がやるということ、それに該当するかどうかということでございますが、公務だという事実には変わりないと私は思いますけれども、その公務と、あとの大東亜戦争に参加した公務、そこに若干の差異があるのではなかろうか。そこで、いま局長が申しましたとおり、今度の法律は、大東亜戦争のあと始末ということできめられた法律でございまして、直ちにこれをその以前の事変等に適用するということにつきましては、これはその性質を根本的に検討してみなければならない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/11
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012・受田新吉
○受田委員 私は、この戦傷病者戦没者遺族等援護法のすべての規定を支那事変もしくは上海事変、満州事変にさかのぼって律せよという考え方が基本的にはございますけれども、個々の問題で扱いがたいへん困難であるから、たとえば今度改正案として出されている戦没者の妻の給付金もしくは戦傷病者の妻の給付金、前に出されたものもあるし、そういう特別の措置をする問題は、これは満州事変まで、関連した一貫した事変、戦争でございまするから、拡大をしていいんじゃないかという具体的な問題として提案をさせてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/12
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013・実本博次
○実本政府委員 仰せのように、援護法に並行して、いろいろ遺族援護の一環として考えられております戦没者の妻に対します特別給付金とか、あるいは戦傷病者の妻に対する給付金、さらには今回お願い申し上げております戦没者の父母等に対します特別給付金につきましては、支那事変以前のケースも考えてはどうかという話だと思いますが、いま申し上げた、従来特別法を設けて給付いたしております給付金は、いずれも大東亜戦争という負けいくさ、あるいはその直前につながっております支那事変という戦争による、あるいは事変による犠牲者というものを取り巻きます社会環境、特に終戦直後のそういった人たちに対する社会環境、そういうものを考えます場合に、やはり満州事変等の犠牲になられた方々を取り巻く当時の環境、全体の雰囲気と比べますと、そこにはやはり相当な差がある。そういう差に着目いたしまして、負けいくさである大東亜戦争とその以前というものに限った次第でございまして、今回の戦没者の父母等に対します特別給付金も、そういった従来の特別給付金に対します根本的な態度で、そういう区切りをつけて提案をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/13
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014・受田新吉
○受田委員 区切りをつけて提案しておられるということですが、私は、すでに満州事変当時からの、国家に捧げたとうとい生命、身体の障害に対して、何らかの措置をする時期に来ていると思うのです。それらのまだ現に生存しておられる人たちは、いずれも相当の老齢に達しておりましても、大東亜戦争と同じような立場で、満州事変などで国家の戦闘公務に参加して犠牲を払った方々である。それらも一連の問題として、いまのような特別措置についてはひとつ前進して考える時期に来ているのではないか。大臣、援護法にも、大東亜戦争に限定しておったのが、今度日支事変につながってきて、範囲を満州事変まで拡大した措置が出ているし、この特別措置法にも出ている。満州事変というのは、大東亜戦争を引き起こすまでの一つの前提の戦争であったわけです。満州事変から支那事変まで、それは一貫した戦争体系と言っていい。失礼ですが、その戦争の一つのひもの中に入るとうとい犠牲者です。そこで特別措置については考慮する時期に来ているのではないか。該当者の数も膨大なものではありません。生存者も、現時点において考えるとき、少数です。御考慮いただく時期が来ていると思います。英断をふるわれて——国民は決しておこりません。歓迎してくれます。予算措置はわずかで済みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/14
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015・坊秀男
○坊国務大臣 一連の事変なり戦争というものを歴史的に考えてみますと、何も大東亜戦争は大東亜戦争として突如として起こったものではない。その前に支那事変といったものがあり、支那事変の前には満州事変あるいは北支事変、上海事変といったようなものがありまして、そういった過程をたどって大東亜戦争というものが最後に起こって、負けいくさになった。これはおっしゃるとおりでございます。
そこで、戦傷病者戦没者遺族等援護法というものを今日つくっておりますのは、国家補償的なものでございますけれども、大東亜戦争ということでつくった。ところが、それにきわめて近接いたしております支那事変まで及んでいっているわけでございますが、それならば、もっとさかのぼっていって、満州事変あるいは北支事変といったようなところまで当然いくべきだという議論は——私は、それだから、ずっと初めまでさかのぼっていくべきだということは、それはそういう議論もおありになろうと思います。歴史的に見て一連のものでありますから。しかし、これに対して援護の措置を講ずるという立場から考えてみますと、先ほど局長が申し上げましたとおり、個々の戦争の性質、事変の性質、その当時における国の環境と申しますか、そういったようなことともいろいろ勘案してみなければならない問題であるというところから、直ちにそこまでお説のごとくさかのぼるべきだということにつきましては、私は相当の検討を要する問題ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/15
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016・受田新吉
○受田委員 現に戦傷病者のこの援護法においても、支那事変にさかのぼって措置をされる部分が入ってきておる。それから特別給付金支給法の関係の中にも、これは現実に入っておるのです。そうすると、日支事変を加えた措置をとっている以上は、満州事変と日支事変の相違をどこへ持ってくるかというと、それ以前の事変、戦争はちょっと形態が違うとして、満州事変までは、これは一連の事変、戦争です。支那事変を加えている以上は、満州事変をはずしている理屈が成り立たぬと私は思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/16
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017・坊秀男
○坊国務大臣 要するに、この援護法は大東亜戦争のあと始末だ、こういうことで立法せられた法律だと私は思いますが、それなら、その大東亜戦争にきわめて近接しておるというところで打ち切るということも、一つの措置の行き方であろうと私は思います。それだからといって、その前その前へとさかのぼっていく、こういうことも、それは考え方によりましては、私はそれは全然否定されるべき問題ではないと思いますけれども、要するに、法律のできました経過は、大東亜戦争のあと始末だ、こういうことでできた法律だと理解しておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/17
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018・実本博次
○実本政府委員 大臣の御説明に補足して御説明申し上げますと、大臣の申されておりますることを裏から申し上げますと、何と申しましても、この大東亜戦争、支那事変というものによりまして戦争犠牲者になられました軍人軍属の遺家族というものを取り巻きます当時の社会環境というものは、満州事変によります犠牲者の方々の御遺族を取り巻く社会環境なり社会的処遇というものとは相当差があった。やはり日支事変、大東亜戦争と続きましてすぐ敗戦につながる国内の大混乱、特に戦争犠牲者に対します社会的な処遇というものは非常にひどくて、たとえば軍人恩給などというものはストップされた、こういつたような遺族が社会的環境から受けられました処遇を比較してみますと、前者と後者との間には相当な差があるのではないか。そういう意味で、あとの方が受けられました精神的痛苦に対しまするいろいろな措置というものは、満州事変のときに比べますと、何かやはり国家として特別な処遇をするに値するものではないかというふうなことがあるものでございますから、そこに差をつけた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/18
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019・受田新吉
○受田委員 その問題はちょっと感覚のズレがあります。日支事変の前の上海事変というのがある。上海事変と日支事変と全く連絡しておる。日支事変、上海事変、満州事変、これは相当の感覚の差があるとおっしゃるけれども、これはもう一連のものなんですよ。それはそういうお考えでいまやっておられることでございますが、私が指摘した問題は、差はない、これはもう一連の事変、戦争である、こういう感覚で御処理を願うべきものであるということを申し上げておきます。
同時に、改正案の個々の問題に触れますが、一つ一つすかっとお尋ねし、すかっとお答えを願うようにお願いをしておきます。
今後の改正措置で、私がしばしば指摘している恩給法との関係、三段階に分けられた遺族年金の扱い方、これは恩給法でも暫定措置として恩給審議会の中間答申に基づいてこういう措置がされ、それに基づいてこの援護法の改正措置がされておりますが、現時点における暫定措置による三段階の扱い方で、公務扶助料と遺族年金の差が依然としてできておる。昭和三十三年の改正のときには、公務扶助料の最下位と遺族年金とは同額であったものが、その後この差をつけられて、今日依然としてその差を残された改正案が出されておるのです。これは公務に基因して死亡しあるいは傷病の身となられた方々に対する遺族年金、障害年金の支給というものは、恩給法の公務扶助料及び傷病増加恩給、傷病年金というものとなぜ差をつけなければならないか。最下位の基準には、せめて援護法の遺族年金と障害年金をぴしっとひっつけていくべきである。他の文官との関係があるという理屈は、戦傷病者であって文官じゃないのですから成り立たぬと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/19
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020・坊秀男
○坊国務大臣 改正案によると、遺族年金は、これはもう御存じのとおりでございますが、現行法による遺族年金額に恩給並みのベースアップ率を乗じて得た金額、それについて千円未満の端数は切り上げて千円にする、こういうようなことにいたしたのでございまして、そこで、現行法におきましては、そのベースになった遺族年金の額と公務扶助料の額とは差異がある、それがやはり結果において作用いたしました。恩給のベースアップのその率を用いたために、若干の差異が出てきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/20
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021・受田新吉
○受田委員 この三段階で千二百円ないし八百円の差ができておる。この差ができておることは厳然たる事実です。今度の改正案に三段階の差異がついておる。ところが、大臣、昭和三十三年に厚生省が出された案には、公務扶助料の最下位と遺族年金とは、三万五千円で同額だったんです。そのときは厚生省がすかっとしたものを出しておられたのを、いまなぜこういうものを差をつけてお出しになるか。厚生省の方針がぐらりぐらり変わっておる、それがおかしいですね。九年前には同じ額で出しておる。公務扶助料の最下位と遺族年金とが同額であったのです。大臣、これはどうですか。九年の歴史にこういう変遷があったということは、遺族の立場から考えてみても、同じ戦闘に参加して、恩給法の適用を受ける者と恩給法の適用を受けることのできない者との事情の違いは、つまり法律的ないろいろな要件の点の違いであって、実質的には同じものが差をつけられておるのであって、このことは、遺族の場合から見ても、戦傷病者の場合から見ても、耐え得ないものがあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/21
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022・実本博次
○実本政府委員 その問題につきましては、改正がありますたびごとに、特にベースアップがありますたびごとに、いろいろな先生方からも御意見をいただいております。特に受田先生から、そのお話はもう歴代の局長がずっと聞いてまいっておるわけでございます。御指摘のように、昭和三十三年のベースアップのときに、公務扶助料と遺族年金とに差ができてしまいまして、公務扶助料の兵が五万三千二百円、それから遺族年金が五万一千円ということで、それまでは差がないできておりましたのが、三十三年のベースアップ以降二千二百円の差ができてしまった。このときの差のつきました理由は、やはり恩給法の場合には、主として軍人というものが対象であり、援護法の場合は、最初軍人軍属一緒に発足しました二十八年以降、恩給法の復活に伴いまして軍人が全部抜けていったあと、軍属、それからあとからつけ加わりました準軍属、そういった人たちが主たる対象になりました関係上、軍人と、それから軍属、準軍属、特に動員学徒とか徴用工とかいったような方々の準軍属がつけ加わりました現在におきまして、その身分からくる差額というものがこの三十三年にあらわれてきた。そのあと、そういう根本的な身分差に基づきます差を、援護法の立て方としてどう切りくずしていくかということは、いろいろ努力してまいったわけでございますが、残念ながら、この十年間、三十三年から四十二年に至ります間に、そういう根本的な態度をはっきり打ち出すことができずに、ベースアップがある場合には、恩給法のベースアップの率に従って上げてきた。こういうことで、ただその際、御意見に沿い得ますかどうですか、なるべくその実際上の差額の縮小ということをはかってまいったわけでございまして、今回の法律改正におきましては、六十五歳未満の者に対します例をとってみますと、公務扶助料十万二千八百十六円、遺族年金のほうが十万二千円というふうに八百十六円の差に縮まってまいった。そういった努力をいたしております。ただ、われわれ援護法の側におきましても、別にこの差自身を将来も続けていこうということではございませんで、援護法といたしまして独自の年金額というもののきめ方をしていく時期にきているということは言えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/22
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023・受田新吉
○受田委員 八百円に差が縮まっておるというけれども、高いほうは千二百円違っておる。あなたは少ないほうだけを指摘されたが、やはり千円をこえているのがあるのです。そういうことで、なぜこのわずかな差をつけなければならないのか、私は理由が聞きたかったのですが、その理由がどうもはっきりしません。このあたりで、今度の改正には直してくださるだろうと私大いに期待しておったのですが、依然としてこれを残しておる。困ったものですね、これは。これは大臣、あなたが大臣になられた機会にぜひやっていただくように、私は個人的にも注意したかったのだが、やはりこれを残しておられる。次回の改正のときにはこれを完全に解消して、三十三年当時に、厚生省のもとの姿に戻ってもらいたい、要望しておきます。
次に、具体的な問題で、時間の関係で一言ずつ答えていただきたい。
この援護法で当然改正しなければならない問題で援護法へはね返る問題は、たとえば高順位者に対する遺族年金の支給などは、恩給法を直さなければ——皆さんのほうは直されぬという理屈かあるから私は質問しません。援護法だけで改正できる問題がある。たとえば婚姻によって氏を改めた父母、これなどは当然救っていかなければならない問題である。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/23
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024・実本博次
○実本政府委員 氏を改めました婚姻につきましては種々問題があるわけでございますが、現在の他の年金制度にも、そういった婚姻解消というものはすべて失権事由の対象になっておりまして、いろいろ考えて検討してみておりますが、やはり援護法のたてまえもこういう年金の一種である場合、婚姻というものをすっかり失権事由から除いてしまうということについては、いろいろな他のケースとのバランス上、できかねておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/24
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025・受田新吉
○受田委員 一括してあとからまとめた御所見を聞いてもいいわけですが、勤務関連でなくなった軍属、準軍属とかいうものに対する措置は、今後遺族給与金でどう扱おうとしておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/25
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026・実本博次
○実本政府委員 お説の準軍属に対します勤務関連の処遇をどうするかというお話でございますが、動員学徒なり徴用工なり準軍属といいますのは、軍人軍属と比較してみます場合に、その間におきます国との雇用関係、身分関係というものが、やはりそこに一線画されておるものでございますから、軍人軍属の場合と同様に直ちに勤務関連を準軍属に及ぼして処遇するということは、他との関係の均衡上、いま直ちにできかねておるわけでございますが、しかしながら、これはやはり何かの処遇を考えなければならない。現に四十二年度の予算要求の中に、政府としては一時金の処遇をしてはどうかというふうな考え方もあったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/26
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027・受田新吉
○受田委員 死亡について公務性の立証が困難だということに該当して一時金を支給する例の特例公務というものがある。恩給特例法によって内地平病死の六割の支給を受けている。遺族給与金もその恩給特例法に準じて、七割の六割という計算をした措置をすべきではないかと思うのです。そのほうが筋が通る。つまり、遺族給与金は一般の遺族年金の七割だが、その七割を受ける者が、恩給特例法で公務扶助料の六割を受けた者に準じて、七割の六割の支給を受ける、これは筋が通る。これは当然、準軍属に遺族給与金としてそういう制度を、昭和三十一年の恩給特例法に準じて扱うべきものだと私は思うのですが、それを勇敢に踏み切ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/27
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028・実本博次
○実本政府委員 お説のような処遇のしかたが、軍人軍属と準軍属との処遇としては筋の通ったやり方であろうと考えられます。ただ、先ほどから、ベースアップの場合とか、いろいろ申し上げておりますように、軍人軍属というものは国との身分関係においてはっきりしている。ところが、動員学徒、徴用工という準軍属の場合には、国家との身分関係がないものでございますから、そこで根本的にいろいろの取り扱いの分かれが出てまいるわけでございまして、四十二年度の予算要求当初におきましては、政府といたしましてはそのことに着目いたしまして、一時金の処遇ということを考えた次第でございますが、これはまた今後いろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/28
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029・受田新吉
○受田委員 私もう一つ、これは非常に切実な問題であるのですが、満州に勤務した満州開拓青少年義勇隊その他の職員は、ソ連が参戦して以後において特別の措置をすることになりました。ところが、その参戦の前日までに、訓練中などになくなった人は何ら処遇を受けておらぬ。これは参戦があろうと参戦がなかろうと、そうした勤務形態というものはちっとも変わっていないし、またその死亡も障害も——ソ連の参戦というのはただ偶然の問題であって、それを契機に、それ以後の者を救ってそれ以前の者を残しておくということは、私はあり得ぬことだと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/29
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030・実本博次
○実本政府委員 満蒙開拓青年義勇隊の場合につきまして、御指摘のように、ソ連参戦、具体的には昭和二十年八月九日以降の者につきましては義勇軍の処遇をいたしておりますが、その理由といたしましては、やはりソ連の参戦以後は、全く軍と一体になりまして活動し、そして国のためになくなった、こういう事実に着目いたしまして義勇軍の処遇をいたしたわけでございますが、それ以前の満蒙開拓青年義勇隊につきましては、具体的の軍の活動協力要請とか、そういった戦闘参加の要請があった者につきましては個々にとっておりますが、それ以前の人たちにつきましては、参戦以後のように、軍と表裏一体になって活動したという事実と比べますと、そこに一線を画すべきものがある華僑にかんがみまして、参戦以降を処遇した、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/30
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031・受田新吉
○受田委員 それに対して、参戦以前の分の扱いを考えることにしておるのかどうか、それをひとつお答え願いたい。理屈は成り立たぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/31
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032・実本博次
○実本政府委員 参戦以前の者につきましても、個々に戦闘参加の要請があったとかいったような者につきまして、いま処遇いたしておりますが、そのいろいろな従来の処遇からはみ出ている者につきましては、やはりある一定の時点を限って、そういう参戦以後の人と同じような実態があると推定される者については、やはり同じような処遇を考えなければならないじゃないかという意見もございます。したがいまして、これについては検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/32
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033・受田新吉
○受田委員 この戦傷病者の妻に対する特別給付金で、私はこういう事例を指摘したいのです。学徒動員などで公務に従事中に空襲等で死亡しあるいは身体障害になった人、特に身体障害の傷病の身となった女性が非常に多い。非常に優秀な女性が傷害の身となった。そこで結婚をしました。そのときに、片足を失い、片手を失い、不自由なその学徒動員で障害を受けた奥さんを持った御主人の御苦労は、たいへんなことだと思うのです。現に、そういう当時の障害の身となった奥さんたちが子供さんを何人かかかえて、御主人が洗たくをし、走り使いをし、その国家のためにからだをささげた大切な妻のために全く犠牲的に奉仕している御主人がたくさんある。この御主人に対して、妻だけの措置でなくして、そういう国家のためにからだをささげたりっぱな奥さんを持った御主人に対して、何らかの特別給付金を支給すべきではないか。これは現実の問題として全国に各所に起こっているのです。その御主人の御苦労はたいへんです。また、その奥さんには、御主人に対するすまなさ、感謝という気持ちにあふれたりっぱな夫婦愛を構成しているのを、私は幾つも事例を知っている。その御主人に対する国家の処遇が欠けているのではないか。いかがでしょうか。男性は実力があるからというわけにはいかない。その国家のためにからだをささげた奥さまに奉仕する御主人に、国家の名において特別給付金を支給する。配偶者という名においてこれを救われると思うのですが、御答弁を願いたい。大臣からもあとから所信を表明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/33
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034・実本博次
○実本政府委員 いまお述べのような方々の御心痛はもっともなことだと思いますが、特にいままでのケースといたしまして、妻につきましていろいろ処遇しております理由は、やはり日本のいまの家庭生活を営みます上におきまして、妻につきましてはやはり生涯の伴侶であり、かつ一家の主柱であるというのはやはり夫でありまして、それが不具廃疾であるという特別の痛手があって、単に夫の日常生活における介護とか看護だけでなくて、子供を育てるとか、とにかく家庭の維持のために費やします妻の精神的苦痛あるいはそういった御苦労というものは、やはり夫の場合と比べまして、特に社会的評価としてもまだそこまで熟さないということで、妻のみを対象とした措置を行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/34
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035・受田新吉
○受田委員 これで質問は終わりますが、大臣にお尋ねしたいのは、いまの局長の御答弁でもの足らないのです。いまの援護法では五項症までが今度七項症まで救われておる。これをせめて三項症、四項症あるいは五項症、症状の重い人を中心に特別措置をするということも考えられると思うので、それを含めていまの配偶者に対する措置としての所信を表明していただいて、あとの質問は、きょうは時間の関係で、残された大事なことは、出席者の方に申しわけないが別の機会に御苦労願うことにして、質問の時間が切れたようですから、大臣の御答弁で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/35
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036・坊秀男
○坊国務大臣 戦傷病者を夫に持っておる妻でございますが、その戦傷病者の介護をするために妻に対して処遇をやったわけであります。同様なことで、動員等で戦傷を受けた婦人を妻に持っておる場合、夫が妻の仕事の分までやることによって非常に苦労をしておる、そういった場合には、その夫に対して——戦傷病者の妻にやったのだから、そこでその場合の夫に対して何か処遇をしないか、こういう御意見でございますが、今日の日本の家庭生活、社会生活というような観点に立ちますと、一家の中で、もちろん男女平等でございますけれども、いろいろな社会生活、家庭生活の支柱になっているものがやはり夫である。その夫が戦傷病でからだの自由がきかないとか、非常に勤労能力が足りないとか、そういう場合と、いまの社会から見ますと、少し私は趣が違うかのように思いますけれども、御指摘の点は非常に大事なことだと私は思いますので、検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/36
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037・川野芳滿
○川野委員長 大橋敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/37
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038・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 たいへん時間がないようでございますので、ごく要点を申し上げますから、答弁のほうも要点をつかんで、明快にいただきたいと思います。
ただいまもお話になっておりましたが、満州開拓青年義勇隊の問題に関連をいたします。この法律の条文を見ますと、この開拓義勇隊の隊員は準軍属として援護法の恩典に浴しておりますが、私が聞きたい点は、義勇隊から開拓団に自動的に移動していきますが、その開拓団になった者はなぜこの恩典に浴さないのかというのが一つであります。
それからもう一つは、第二条第三項の四の中の「昭和十四年十二月二十二日の閣議決定満州開拓民に関する根本方策に関する件に基いて組織された満州開拓青年義勇隊の隊員」、これは準軍属であるということになっておりますが、聞きたいところは、「根本方策に関する件に基いて」というのは、国策に沿ってということだと思いますが、この点について二つお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/38
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039・実本博次
○実本政府委員 最初の御質問の満州開拓民については、青年義勇隊員が処遇されておるのにどうして処遇していないのかという御質問だと思いますが、満州開拓民であっても、日ソ開戦に伴いまして、戦闘参加の要請があってそれに参加した、あるいはまた終戦後ソ連等に抑留された者につきましては、特別未帰還者としてそれぞれ援護法上の準軍属の扱いをやっておりますが、そういったものに該当しない一般の満州開拓民につきまして、これを処遇しておりません理由は、こういった満州開拓民と同じように外地にあった他の一般邦人との均衡もありまして、処遇をしていません。青年義勇隊のほうは、先生先ほど御指摘の二条三項四号に規定されたような方策に基づいて義勇隊員として満州におもむいていった。ところが、開拓民のほうは、これは全く一本立ちになりまして、自作農というかっこうで、普通の農民としての身分であるということでございますので、そこが処遇する者としない者との差でございます。
それから、あとの問題でございますが、お話しのように、二条三項四号の「満州開拓民に関する根本方策に関する件に基いて」という意味は、そういう閣議決定に基づきます国策、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/39
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040・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 ですから、開拓団も国策に基づいて組織されたものと考えたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/40
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041・実本博次
○実本政府委員 ここに書いてございます文言の中に、「閣議決定満州開拓民に関する」云々と書いてございますが、この満州開拓民に関する根本方策の中に二つのカテゴリーがございまして、そして普通の満州開拓民というものと満州開拓青年義勇隊の二つが書いてございます。そのうち満州開拓青年義勇隊員だけをとるというのは、先ほど私が申し上げましたように、片っ方のほうは全くの自作農で、何と申しますか、企業主と申しますか、事業主と申しますか、そういうかっこうでおられたということでございますので、そこに差ができたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/41
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042・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 私が聞いておるところは、もっと奥のほうの問題なんです。当時の状況を調査したわけでありますが、義勇隊の募集目標は、大体二百万人としたそうでありますけれども、実際に組織されたのは約三十万人だ。それからこの三十万人のうちの約八万人が、昭和二十年八月の日ソ交戦の際に、軍隊のほうから動員されて、戦後において戦傷死したということでございます。ここに問題点と思われるのは、その戦死者のうちに、義勇隊に所属していた者の遺家族に対しては援護法の恩典がある。ところが開拓団に所属していた者には、その一部を除いて放任状態である。この一部というのは、特別未帰還者扱いと、それから死亡公務性ありとした戦闘参加者ということのようでございますけれども、問題点は、この開拓者の中の一部分のみが救われて、他のほとんどの者が放置されておる、この点であります。この不合理性を見のがすことはできないと思うのですが、この点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/42
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043・実本博次
○実本政府委員 満州開拓民一般につきましては、先ほど申し上げましたように、全く自作農民として活動しておられた。これは、こういった種類の方々といたしましては、他に南方進出企業の従業員とか、その他こういった国策あるいは国策に準じた当時の政府の施策に基づいた企業の従業員といったようなものが、やはり南方その他の諸地域で満州開拓民と同じような状態で犠牲になられたという人もたくさんあるわけでございます。ですから、そういう人たちのうちで、先生御指摘のように軍からの戦闘参加要請というものがあったもの、あるいは終戦後ソ連等の地域において特別に抑留されておりました方々といったものだけは、これは特別未帰還者なり準軍属として処遇いたします。しかし、それ以外の方々につきましては、これはさっき申し上げましたような人たちとの均衡もございますし、そういう意味で処遇をしてないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/43
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044・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これはもう時間がないので次に移りますけれども、義勇隊は昭和十三年から第一次から第六次まで編成されたと聞いております。ところが第一次から第四次までは、すでに卒業して開拓団に移行していた。残っておる第五次と第六次の者は訓練所にいたわけですが、そういうことから考えましても、もう三分の二はこの援護法の適用を受けない立場に置かれておるわけです。私は、その点が政府の冷い施策ではないか、こう指摘したいのであります。つまり開拓団員といっても、当時の関東軍の補助要員として働いていたわけでしょう。いわゆる屯田兵で、昼間は農作業をしながら、いざというときのことを考えて、背中には銃を背負っておった。そういう立場から考えていきますと、もう開拓団の人たちはりっぱな準軍属だ、このように見なさなければならないと思うのですけれどもこの点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/44
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045・実本博次
○実本政府委員 この二条三項四号につきましては、形式的に準軍族の定義が書いてございますが、こういったところに書いてございます方が、具体的に公務によって死亡し、また傷病を受けたということがもう一つの要件でございまして、満州開拓青年義勇隊員だからといって、あるいはその他の準軍族だということで定義が書かれておっても、それは、公務によって死亡し、また傷病をこうむったという条件に該当しない場合は、これは準軍族として処遇することができないわけでございますが、ただ、開拓民につきましては、先ほどから申し上げておりますように、あくまで形が自作農ということでございますので、そこは青年開拓義勇隊との差がございますから、処遇を別にいたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/45
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046・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 実は、義勇隊のほうは、もう当然援護の恩典を受けておるわけです。私がいま言いたいところは、国策遂行上という、その観点から見た場合は、むしろ義勇隊員としての訓練生よりも、そこを卒業して開拓団に移行した人のほうが実質的に国策の上に立って働いているんじゃないか、だから私はそちらのほうを重きを置くべきじゃないかと、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/46
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047・実本博次
○実本政府委員 それは、一つの身分関係に強制がないということでございまして、開拓民は、これは自作農でございまして、形の上ではやはり自由にそこに農業を営んでおられるという形になっておりまして、それ以外の処遇をされている者は、みな総動員法に基づく徴用令がかかったということで、そこの職場に落ちつくのに国家の強制命令がかかっておる、そういう者との差があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/47
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048・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 もう時間がないようでございますので、結論を言いますが、義勇隊から開拓団に移行したあとで戦死した遺家族の人たちに対して、義勇隊の遺族と同等の援護措置をとる考えはあるかどうか、その辺をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/48
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049・実本博次
○実本政府委員 満州開拓青年義勇隊と同じような状況にあるものにつきましては、今後検討に値すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/49
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050・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 では、次の問題に移ります。
これは恩給に関係いたしますが、この義勇隊の募集にあたっては、まず水戸の内原で二カ月間内地訓練をして、それから満州に渡って、大訓練所、小訓練所と、一年、二年の訓練経過を過ぎて卒業していった。ところがそのときに、内地から学校の先生もその国策に沿って相当数転進していった。私がここで問題にしたいことは、その小訓練所の中に甲種と乙種とあるわけですね。その甲種のほうは問題外としまして、特に乙種のほうでございますけれども、訓練生と一緒に先生も現地へ行ったということで恩給の通算の対象にならない、こういうところに問題があるのですよ。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/50
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051・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 お答えしますが、訓練機関等の特殊機関は、恩給法では甲乙の区別なく見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/51
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052・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 訓練機関はわかっているのです。いまいう乙種のほうは、その訓練生とともに移動するわけですよ。いわゆる訓練生の訓練を一緒に終わるわけです。ですから、一般の開拓民になるわけです。そういうことで不合理があるんじゃないか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/52
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053・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 ただいまの先生の御質問では、乙種訓練所におる期間は認めないのじゃないか、こういうお話でございましたので、訓練機関におる者は特殊機関と認める、こうお答えしたわけでございますが、先生の御質問は、そこからいわゆる開拓団に出まして、その開拓団員、いわゆる隊員にくっついていったという方は認めておらない、こういうことでございますね。現行法ではそのとおりでございます。これらの認めておらない趣旨と申しますのは、恩給は御承知のように公務員を主体として考えておるわけです。しかしながら、戦後、公務員が、いわゆる外国政府とかあるいは特殊法人、訓練機関の場合は特殊機関と称しておりますが、こういうものの在職期間も全面的あるいは制限的に認めておるという場合がございます。この認めております趣旨は、やはり公務員と同じような状態で勤務しておるのだということがあくまでも恩給法では主眼になるわけでございます。したがいまして、いま御指摘ございました開拓団と申しますのは、いわば一般の開拓農民について指導される、こういう意味で公務員の職務とは若干違うのではないか、こういう点で現在認めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/53
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054・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それはよくわかります。わかりますが、満州のその当時の実情に即して、やむなくそういう立場になって行った先生なんですから、その点は生きた政策で救ってあげられないか、こういうふうに言っておるわけです。何とかこれも考えてもらいたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/54
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055・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 実情はよくわかりますのですが、やはり恩給制度と申しますと、制度の趣旨というのがあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、純粋の公務員以外にも通算関係を認めておりますが、やはりその限度が恩給制度の上からも問題になるわけでございまして、そのほかに満州にございましたいろいろな公社とか、そういう機関がたくさんあるわけでございます。そういうものとのからみ合わせで総合的に検討しなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/55
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056・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これはちょっと立場が変わりますけれども、昭和四十年の九月に、満蒙関係恩給法改正期成同盟という会の会長さんから、当時の鈴木厚生大臣に陳情された中に、おそらく御承知と思いますけれども、満州国等官吏の方々に対する恩典を与えないか。はっきり言いますと、「国内事情も安定し、恩給法、共済三法、援護法等数次に亘って改正せられ近くは満鉄職員等九特殊法人職員も軍属として処遇されるに至ったにも拘わらず、独り満州国等官吏の殉職者の遺族のみが属家的保護救済の時外に放置されていることは道義上黙視するに忍びないところであります。」これを何とかひとつ頼むという陳情があったと思いますけれども、その後の状況はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/56
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057・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほども申し上げましたように、恩給制度で受け入れる面といいますのは、やはりその趣旨から制限があるわけでございまして、外国政府職員等の在職年を認めます場合にも、必ず前かあとに日本の公務員をやった、こういうような要件が現在は必要とされておるわけでございます。それで、お話の点は、満州国の政府職員のみの在職年でその間に殉職されたというような方の処遇であるというぐあいに理解しておりますが、この点につきましては、恩給制度の趣旨そのものからやはり検討しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/57
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058・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 では、最後に恩給室長にお願いします。
恩給事務の簡素化についてでありますが、現在のところ、恩給の申請の基礎資料というものは厚生省の援護局だと聞いております。その裁決は総理府の恩給局、また証書の発行は大蔵省、こういうふうになっていると思いますが、特に申請から裁決に至るまで半年から一年の日数がかかっておる。こういう現状について、これはどうしても改善されなければならない。申請の手続もきわめて複雑化しておりますし、関係者の悩みはこの一点にあるわけであります。したがいまして、恩給事務はすべて総理府の恩給局で取り扱うように改善する意思はあるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/58
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059・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 ただいまの先生のお話の中で若干誤解の点がございますので申し上げますが、現在の恩給の事務の現状を申し上げますと、最近の公務員は、これは恩給制度ではございませんので、共済組合制度というものに移管しておりますので、恩給につきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/59
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060・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 恩給の全般的なことを言っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/60
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061・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほど恩給証書は大蔵省というお話がございましたが、恩給そのものにつきましては、証書の発行は恩給局でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/61
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062・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 いずれにしても、事務の簡素化のために総理府恩給局一本にやるように進んでください、進むべきである、こう言っておるわけです。
それじゃ時間がないようでございますので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/62
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063・川野芳滿
○川野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/63
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064・川野芳滿
○川野委員長 次に、両案を討論に付するのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
まず戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/64
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065・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/65
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066・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/66
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067・川野芳滿
○川野委員長 この際、藏内修治君、河野正君、田畑金光君及び大橋敏雄君より戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について附帯決議を付すべしという動機が提用されております。
その趣旨説明を求めます。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/67
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068・河野正
○河野(正)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議について御説明申し上げます。
その附帯決議の案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、左記事項につき速やかに実現するよう検討、努力すること。
一 わが国経済成長の実情にかんがみ、援護の最低基準を大巾に引き上げ、公平な援護措置が行なわれるよう努力すること。
二 満洲開拓青年義勇隊員の募集の実情及び課せられた任務等の実態にかんがみ、昭和二十年八月八日以前の死没者の遺族の援護は勿論、その他の場合においても必要な援護措置を講ずること。
三 わが国が世界唯一の原爆被爆国である事実にかんがみ、原爆被爆地において、旧防空法等による国家要請により、防空等の業務に従事中死亡又は身体に障害をこうむった者に対し、昭和四十三年度を目途として援護措置を講ずること。
なお、被爆地以外の地域についても必要な措置につき検討すること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/68
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069・川野芳滿
○川野委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/69
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070・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よって、本案については、藏内修治君外三名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。
この際、坊厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。坊厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/70
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071・坊秀男
○坊国務大臣 ただいまの決議にりきましては、政府といたしまして、その御趣旨を十分尊重し、できるだけ努力したい所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/71
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072・川野芳滿
○川野委員長 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/72
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073・川野芳滿
○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/73
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074・川野芳滿
○川野委員長 次会は、来たる十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504410X01819670608/74
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