1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年三月二十二日(水曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 島村 一郎君
理事 天野 公義君 理事 小川 平二君
理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君
理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君
理事 麻生 良方君
稻村左近四郎君 小笠 公韶君
岡崎 英城君 岡本 茂君
神田 博君 齋藤 憲三君
坂本三十次君 櫻内 義雄君
白浜 仁吉君 丹羽 久章君
武藤 嘉文君 石野 久男君
岡田 利春君 佐野 進君
多賀谷真稔君 中谷 鉄也君
永井勝次郎君 平岡忠次郎君
古川 喜一君 塚本 三郎君
吉田 泰造君 近江巳記夫君
岡本 富夫君
出席国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 北島 武雄君
土地調整委員会
委員長 黒河内 透君
経済企画庁長官
官房長 鳩山威一郎君
経済企画庁長官
官房会計課長 財前 直方君
経済企画庁国民
生活局長 中西 一郎君
通商産業政務次
官 宇野 宗佑君
通商産業大臣官
房長 大慈彌嘉久君
通商産業大臣官
房会計課長 矢島 嗣郎君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
中小企業庁長官 影山 衛司君
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三月十六日
プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第五号)
中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第六号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第五号)
中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第六号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第七号)
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
鉱業と一般公益との調整等に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/0
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001・島村一郎
○島村委員長 これより会議を開きます。
通商産業大臣、経済企画庁長官の出席がありますまで暫時休憩いたします。
午前十時四十六分休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/1
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002・島村一郎
○島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
菅野通産大臣から通商産業の基本施策について所信を承ることといたします。通商産業大臣菅野和太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/2
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003・菅野和太郎
○菅野国務大臣 私は昨年十二月、はからずも通商産業大臣の大役を仰せつかったのでありますが、まことに浅学非才でありまして、はたしてこの大役を果たし得るかどうかということについて非常に反省もいたしておりますが、委員各位の御支援、御協力を特にお願い申し上げたいと思います。
本日のこの委員会に際しまして、今後の通商産業政策の基本的方向と重点施策について御説明申し上げますと同時に、御理解と御協力を要請するものであります。私も着任以来責任の重大さを痛感いたしており、今後とも全力をあげて努力いたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
最近のわが国経済の動向を見ますると、景気はきわめて順調に上昇を続けており、工業生産の伸びも引き続き高水準で推移しております。このような経済拡大の背景としては、個人消費の堅調や在庫投資に加えて、特に民間設備投資の急速な立ち直りを指摘することができますが、この経済の上昇基調は、昭和四十二年度にも引き継がれ、さらに拡大の方向をたどるものと考えられます。反面、卸売り物価は強含みに推移しており、消費者物価の騰勢には依然無視できないものがあります。また、貿易の動向を見ますると、輸出の伸びの鈍化、輸入の増加という最近の動きには注意を要します。
したがって、今後わが国経済が長期にわたり安定した発展成長を維持していくためには、国際収支及び物価の動向に細心の注意を払うとともに、情勢の推移に応じて適時適切な措置を講じ、経済がいたずらに拡大し、過熱の弊害を招くことのないようにすべきだと考えております。ただ、これに関連して申し上げたいのは、民間の設備投資は、操業度の現状から見て、物価の騰勢を押え輸出余力を確保するため、また資本自由化を控え国際競争力を強化するため、さらには中小企業、流通機構の近代化をはかるために、不可欠なものが少なくないので、これを一律に抑制するような措置はとるべきでないと考えております。しかしながら、こう考えるだけになおさら民間経済界におかれましても、良識ある投資態度をとられるよう強く期待するものであります。
このように経済が運営されることにより、わが国経済は引き続き順調な成長を遂げ、産業の長期的発展と国民生活の一そうの充実が実現することを確信するものであります。
当面の経済情勢及びこれに対する考え方は以上のとおりでありますが、次に昭和四十二年度の通商産業政策について申し上げたいと存じます。
昭和四十二年度における通商産業政策は、激動する内外の経済情勢に対処し、特に資本取引の自由化をはじめとして一そうの進展が予想される開放経済体制下において、わが国経済の発展成長をはかるため、長期的な構想の上に立って産業発展の基礎を固め、国民生活の充実に資することをその基本方針として、各般にわたる施策を進めたいと考えております。
このため、通商産業省の一般会計予算につきましては、四十一年度の約八百三億円に対し、昭和四十二年度におきましては、約四〇%増の約一千百二十五億円を計上するとともに、通商産業省関係の財政投融資計画につきましても、四十一年度当初計画に比べ約二三%増の約七千三百十五億円を計上することといたしました。また、所要の法律案を御審議いただくべく、すでに一部のものは国会に提出いたしており、その他のものにつきましても現在準備いたしております。
これらの施策によりまして、私は、ようやく長い不況を脱却して一そうの発展への段階にあるわが国経済の基盤を固めて、産業の国際競争力の強化につとめ、開放経済体制下において、長期にわたる経済の発展成長を維持してまいる所存でございます。また、これと同時に、経済の発展に伴い、国民生活の一そうの充実をはかるべく、公害対策、流通、消費者行政等の充実にも力を注いでまいりたいと考えております。
それでは以下重点項目ごとに施策の概要について御説明申し上げます。
重点の第一は、資本取引の自由化を控えていることでありますし、産業の構造改善であると考えております。
わが国産業の現状を見ますると、企業規模、設備規模、技術水準等の面において、欧米諸国に立ちおくれを示している分野が多く、また過当競争から設備能力の過剰、企業体質の弱体化を招く等の問題を内包しており、加えてわが国は、国際経済社会の一員として、経済の全面的な国際化に対応していかなければならない立場に置かれております。他方、最近の欧米諸国は、国際競争力の強化のため、産業の再編成、合理化投資、技術開発を広範かつ大規模に進めつつあります。
このような内外の諸情勢に対処して、わが国経済が長期にわたり安定した発展成長を維持していくためには、産業全体の構造改善を積極的に促進し、わが国産業の国際競争力を格段に強化する必要があります。もちろん、構造改善を推進する主体は、産業界自体でありますが、政府としても、国民経済的視野に立脚して、その向かうべき方向を示すとともに、財政、金融等の面で所要の促進措置を講ずるものとします。
このため、四十二年度におきましては、産業の構造改善に必要な資金を供給するため、乗用車工業、特殊鋼業、石油化学工業等につきまして、日本開発銀行融資の強化拡充をはかることといたしております。
特に繊維工業につきましては、予算を大幅に増額するとともに、繊維工業整備促進協会を改組してその組織、機能を強化し、その施策を統一的効果的に行なわしめることとする等、画期的な構造改善対策を講ずることといたしております。
重点の第二は、中小企業対策であります。
わが国の中小企業は、国際的には発展途上国の激しい追い上げ、国内的には労働力需給の逼迫等、きびしい環境にさらされており、これに加えて消費者物価の安定のためにも、強力な中小企業対策が望まれております。このため、従来の諸施策を一そう推進するとともに、新たに中小企業構造の高度化のための画期的施策を展開することといたしております。
すなわち、現行の高度化資金特別会計と特殊法人日本中小企業指導センターを発展的に解消し、両者を統合して中小企業振興事業団を設立し、協業化、共同化を中心とする中小企業の構造改善事業に対し、啓蒙指導、資金助成等の措置を総合的に投入して、構造改善を強力に推進することといたしております。また、政府系中小企業金融機関に対する財政資金の大幅な投入、信用補完制度の整備充実、個人事業者における完全給与制の実施、協業組合制度の創設等、中小企業対策を画期的に拡充強化することといたしております。
重点の第三は、技術開発の問題であります。
本格的な開放経済体制下において、産業の国際競争力の真の基盤をなすものは独創的な技術開発力であると信じます。欧米諸国はすでに第二、第三の技術革新を進めつつありますが、これに対処して、わが国産業の自主性を保持しつつ、その国際的地位を高めるためには、独自の技術開発力をつちかうことが何にも増して必要であります。
このため、四十二年度におきましては、四十一年度から発足した大型プロジェクト研究開発制度につきまして、予算規模を十億円から二十七億円に引き上げるとともに、新規テーマとしてオレフィン等の新製造法を追加する等、これを拡充強化することといたしております。また、民間の試験研究を拡大するための新たな税制上の助成措置を講ずるとともに、国立試験研究機関を充実することとして、中でも自動車安全技術、産業公害防止技術等について特段の措置を講ずることといたしております。
さらに、昨年来国際的な評価を得つつあるYS11の量産対策の推進、日本電子計算機株式会社に対する開銀融資の特利適用等を通じて、いわゆる技術的最先端産業の育成振興をはかる所存であります。
重点の第四は、貿易と経済協力であります。
流動する国際経済環境のもとで、わが国経済が持続的発展を遂げるためには、貿易の振興により国際収支の天井を高めることがどうしても必要であります。特に最近の経済動向は、一段と輸出の伸長につとめる必要性を増大しております。また、先進国の一員としても、発展途上国側の片貿易是正及び援助の増大についての強い要請にこたえていかねばならないと考えます。
このような観点から、日本輸出入銀行資金の拡充、日本貿易振興会の事業の充実等により、輸出の伸長につとめるとともに、新しい時代の世界貿易体制に即応する人材を養成するため、昭和四十三年十月開校を目途に、貿易大学校の設立準備を推進することといたしております。
また、経済協力につきましては、海外開発輸入促進事業の拡充をはじめ、引き続き施策の充実につとめたいと考えております。
重点の第五は、産業立地、産業公害の問題であります。
御承知のように、大気汚染や水質汚濁などの産業公害は、大都市や工業地帯を中心に大きな社会問題となっております。政府が公害対策基本法案をこの国会に提出することといたしておりますのも、公害問題の解決に本格的に乗り出そうとしているからにほかなりません。通産省としても、経済の発展と国民生活の調和をはかるという観点から、本法案の策定に積極的に参画してまいったところであります。公害対策を真に実効あらしめるため、産業界の実態を的確に把握した上で、必要な規制は行なうが、思い切った助成措置もあわせ講ずるという基本的態度で、今後とも積極的に公害防止のための施策を進める所存であります。
公害問題と関連する重要な問題に工業立地の適正化があります。産業の特定地域への集中または無秩序な立地により生ずる過密、公害等の諸弊害を防止、解消し、国民生活と調和のとれた産業の発展を確保することを目的として、工業立地適正化法を制定することとし、現在関係各省との意見調整その他準備を進めております。
また、工業用水道事業費の補助率の引き上げ、超先行的な水源確保に対する補助制度の新設等立地環境の整備をはかることといたしております。
重点の第六は、総合エネルギー政策であります。
産業の発展と国民生活の向上のための基礎であるエネルギーにつきましては、その低廉かつ安定的な供給を確保するため、長期的、総合的観点に立った総合エネルギー政策を推進する必要があります。このため、先般の総合エネルギー調査会の答申の趣旨に沿って、各般の施策を講ずることといたしております。
まず石油につきましては、エネルギー供給の中で圧倒的地位を占めておる事実と、そのほとんどすべてを海外に仰いでおる状況にかんがみまして、石油開発公団を設立して海外石油開発を強力に推進する方針であります。また、わが国石油産業の自主性を確保するための施策を充実させてまいる所存であります。
石炭鉱業につきましては、その長期的安定をはかるため、昨年七月の石炭鉱業審議会の答申及びこれを受けた閣議決定に即して、新しく石炭対策特別会計を設けて、経営基盤の強化、安定需要の確保等につきまして、抜本的対策をとることといたしております。
原子力につきましても、その準国産エネルギーとしての地位、最近における経済性の向上等から、その積極的な開発につとめる必要があると考えます。
重点の第七は、流通、消費者行政であります。
さきにも申し上げましたように、国民生活を充実させるため、経済の発展と国民生活の調和をはかることは、通商産業政策の基本であります。来年度におきましても、物価対策の観点を中心として、流通部門の近代化等の施策を強力に推進するとともに、消費者保護のための行政をさらに拡充いたしたいと考えております。
このため、流通機構の近代化、割賦販売制度の整備、商品取引所制度の改善等、流通、消費者行政を推進することといたしております。
最後に、日本万国博覧会について、一言触れておきたいと存じます。御承知のように、日本万国博覧会はアジアで初めて開催される文化的大事業として、ぜひとも成功させなければならない行事でありまして、政府としてもできるだけの協力をしたいと考えております。このため、会場建設の補助金として事業費の三分の二を計上いたしておりますほか、財政、税制面等の措置をとることといたしております。この世界的行事をそれにふさわしい企画と規模で成功させるよう、関係各位の御協力をお願いする次第であります。
以上、今後における通商産業政策の重点事項を中心として、私の考えを申し述べたのでありまするが、今後ともわが国の産業経済の発展と国民生活の充実のために全力を傾注する覚悟でございます。一そうの御協力、御援助を特にお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/3
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004・島村一郎
○島村委員長 次に、宮澤経済企画庁長官から経済総合計画についての所信を承ることといたします。経済企画庁長官宮澤喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/4
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005・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先般経済企画庁長官に就任いたしました。何とぞよろしくお願いいたします。
最近の経済情勢並びに今後の経済運営については、先般の経済演説において明らかにいたしたところでございますが、本委員会において、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
わが国経済は、昨年来、予想を上回る拡大を続けておりますが、四十二年度におきましても、個人消費支出、民間設備投資、在庫投資など、国内需要の堅調が予想され、鉱工業生産もかなりの伸びが見込まれるなど、根強い上昇基調にあると考えます。
今後の経済運営にあたっては、物価及び国際収支の動向に細心の注意を払い、機を逸することなく、金融面、財政面その他の施策を講ずることにより、経済の過熱を未然に防止する考えでございますが、民間経済界においても、特に設備投資について、節度ある態度をとられるよう強く期待いたすものでございます。
このように経済が慎重に運営されるならば、四十二年度においても、実質九%程度の安定した成長を期待することができるものと存じます。
わが国の輸出は、近年目ざましい伸展を示し、いまや年間百億ドルの規模に達しました。しかし、四十二年度においては、世界貿易の拡大の鈍化、国際競争の一そうの激化などにより、従来のような輸出の伸びを期待することはなかなか困難でございます。一方、国内経済の拡大に伴い、輸入は引き続き相当の増加が見込まれますので、国際収支の先行きには注意を要するものがございます。
為替銀行の対外資産、負債の状況は、三十九年秋以来著しく改善されておりますので、今日の国際収支の問題には、数年前とは異なったものがあるということもできましょう。しかし、為替銀行は、いまだ対外的には負債超過の状況にありますし、また、今後、輸出延べ払い信用の増大が見込まれ、さらに、対外経済協力を積極的に推進していかなければならないことを考えますと、貿易収支では相当の黒字を継続的に確保していく必要がございます。このような観点から見て、国内の景気動向に左右されず、安定した輸出市場を確保するよう、輸出の振興には、今後とも格段の努力が必要と存じます。
当面、最も問題となっています消費者物価につきましては、本年度は、ほぼ五%の上昇にとどまる見込みでありますが、その上昇基調には依然根強いものがございます。四十二年度におきましては、物価対策を一そう強力に推進することにより、四・五%程度の上昇にとどめたいと考えております。
物価を安定させるためには、農業、中小企業など生産性の低い部門の生産性の向上、流通機構の改善、公正な価格形成のための競争条件の整備、労働力の有効利用など、各般の施策を総合的に実施する必要がございます。四十二年度予算においては、農業の生産基盤の整備と構造対策の拡充、中小企業の近代化、協業化の推進などの施策を充実するとともに、競争条件を整備するため、公正取引委員会の機構を拡充することといたしております。当面重要な農林水産物の価格安定につきましては、野菜の集団産地の育成、肉牛対策の拡充、中央卸売り市場及び公設小売市場の整備、産地及び消費地向け流通情報の提供などの施策を推進することとしております。さらに、中央、地方を通じての消費者保護及び消費者教育を一そう充実したものにするため、消費生活モニターを設置することといたしております。
卸売り物価につきましては、本年度は、非鉄金属、木材等の値上り、さらには、景気上昇に伴う工業製品価格の値上りなどにより、四%程度の上昇になると見込まれますが、四十二年度におきましては、供給力の増大等により、比較的安定した推移をたどるものと考えます。
総理大臣は、先般の施政方針演説において、賃金と生産性、賃金と物価の関係についても真剣に考えるべき段階にあると申されましたが、名目賃金よりも実質賃金を重視し、国民経済的視点に立って、物価、賃金、所得の問題を考えることが必要になってきているのではないかと存じます。
しかし、この問題は、なかなかむずかしい問題でございますので、今後慎重に検討してまいる所存でございます。
なお、政府は、今般、各界の学識経験者からなる物価安定推進会議を設けまして、総理大臣を中心に、関係大臣が一体となって、物価安定対策を強力に推進することといたしました。
次に、地域開発について申し上げます。
国土の均衡ある発展と地域格差の是正をはかるため、政府は、地域開発諸施策を総合的に進めております。特に、地方における工業拠点として、新産業都市や工業整備特別地域の育成につとめていることは、御承知のとおりでありますが、これらの地区の工業生産や施設整備などは、基本計画に示された線に沿って、おおむね順調に進んでいると存じます。一方、山村、離島などにつきましては、地域の特性に応じた産業の振興をはかるとともに、特に、道路、漁港、国土保全施設、生活環境施設などの社会資本の充実に重点を置いて施策を進めております。
しかしながら、これらの地域開発施策の基本となる全国総合開発計画は、策定後五年を経、その後の地域経済の動向は、計画策定時とかなり異なってきておりますので、長期的な視点に立って、新しい全国総合開発計画の策定を行なうとともに、地域開発制度の体系的な整備充実にもつとめてまいる考えでございます。
なお、産業の開発と人口の増加に伴い、水資源の確保並びに水質保全の必要性がますます高まってきている現状にございますが、今後、特に、重要河川における水資源の総合的な開発を積極的に推進するとともに、公共用水域における汚濁防止のために一そうの努力をいたす所存でございます。
政府は、去る十三日、経済審議会の答申に基づき、経済社会発展計画を決定いたしました。
この計画は、昭和三十年代の成長過程において生じた各種の不均衡を是正しながら、経済の国際化、労働力不足の本格化、都市化の一そうの進展という四十年代の内外にわたる環境変化に適応して、経済の一そうの発展と国民生活の充実、向上を実現することを目的としております。この計画におきましては、昭和四十二年度から四十六年度までの五カ年間に、年平均八%程度の経済成長を維持することとし、計画期間の終わりには消費者物価の上昇を年三%程度までに低下させるとともに、経済の効率化と社会開発の一そうの推進をはかることを重点政策課題としております。さらに、輸出の振興、自主技術の開発、人的能力の向上等の施策を推進し、経済の長期的成長条件の整備につとめることといたしております。
政府は、この新しい計画を、今後長期にわたる経済運営の指針とし、各界の御理解と協力のもとに、諸般の施策を進めてまいる所存でございます。
以上、最近の経済情勢と今後の経済運営について所信の一端を申し述べました。
今後とも、何とぞよろしくお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/5
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006・島村一郎
○島村委員長 この際、通商産業政務次官宇野宗佑君を御紹介いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/6
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007・宇野宗佑
○宇野政府委員 先般の改造にあたりまして政務次官に任命されました。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/7
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008・島村一郎
○島村委員長 去る十六日付託になりました内閣提出、プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案、同じく中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/8
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009・島村一郎
○島村委員長 まず、通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することにいたします。菅野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/9
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010・菅野和太郎
○菅野国務大臣 まず、プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を説明いたします。
最近における東南アジア諸国等のいわゆる発展途上国における経済開発計画の進展等に伴い、世界の貿易構造が重化学工業品の輸出にその重点を移しつつあることは、御承知のとおりであります。
このような情勢に即応してわが国の輸出を一そう拡大していくにあたって最も重要な役割りを演ずるものは、プラント類の輸出であることは申すまでもありません。すなわち、プラント類の輸出は一件当たりの契約金額が巨額であるのみならず、技術の輸出を伴うものとして外貨手取り率、付加価値率ともにきわめて高く、また、相手国に与える経済協力効果、市場開拓効果も、きわめて大きいものがあり、その意義ははなはだ重要であると申せます。
このようなプラント輸出の重要性にかんがみ、政府といたしましても、日本輸出入銀行による融資、輸出保険制度の活用、租税特別措置法等による技術輸出所得の控除、延べ払い条件の緩和等の諸措置を講じ、その推進に努力しておる次第でありますが、ここに一つ注目すべき点としてあげられるのは、ブラント類の輸出につきましては、一般の商品の場合と異なり、いわゆるコンサルティング、すなわち、工場の建設計画の立案、機械装置の設計などの業務が伴うものであるということでありまして、わが国のプラント輸出の本格的伸長をはかるためには、欧米諸国に比べて著い立ちおくれを示しておるわが国のコンサルティング体制を整備強化することが、不可欠の前提条件となるのであります。政府は、このような見地から昭和三十四年にプラント類輸出促進臨時措置法を制定し、プラント類の輸出者等がプラント類の輸出に関して性能等の保証を行なった場合その計画、設計の欠陥によって相手方から違約金等を要求される事態に立ち至ったときには、その損失の一部を政府が補償するという制度を設け、わが国コンサルティング体制の不備を補強してまいった次第であります。
当初、本法は、四年間の限時法として制定されましたが、昭和三十八年に同法による補償の対象となるプラント類輸出契約の範囲の拡大等を内容とする一部改正が行なわれるとともに、その有効期間が昭和四十二年までに延長され、プラント輸出の増大に寄与してまいったものであります。
しかしながら、同法制定以来八年の歳月を経過した現在、わが国の技術水準ないしコンサルティングの体制は、次第に整備強化されてきているものの、なお欧米諸国に比べて万全とは言いがたく、今後ますます激化するものと予想される国際競争場裏において新機種の開発、新市場の開拓につとめつつプラント輸出の伸長をはからねばならないわが国の立場を考えますと、その強化の必要性は従前にも増して強く感ぜられるのであります。
このため、政府といたしましては、わが国のコンサルティング体制が十分確立されるまでの間におきましては、なお本制度による補強措置の存続が必要であることから、この三月末をもって失効することになっております本法の有効期間をさらに四年間延長し、昭和四十六年三月三十一日までとすることといたしたく、ここに本法律案を提出いたした次第であります。
以上が本法律案の提案理由およびその要旨であります。何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。
次に、ただいま提案になりました中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年の中小企業を取り巻く経済環境は、労働力需給の逼迫、技術革新の進展、市場条件の変化等により、一段ときびしさを増しつつあることはすでに御承知のとおりであります。政府といたしましては、このような事態に対処するため、政府関係中小企業金融機関の資金量の確保、金利の引き下げ等につとめる一方、信用補完制度を充実して中小企業者向けの金融の円滑化を推進しているところであります。
しかしながら、中小企業者は、物的担保に乏しく、金融機関からの借り入れを困難とするものが多く、また、親企業等取引の相手方たる事業者の倒産等によって経営の安定に支障を生ずる場合も少なくない現状にあります。
このため、四十年十二月に、中小企業信用保険臨時措置法を制定し、物的担保を提供させないで行なう中小企業者の債務の保証にかかる無担保保険の制度、及び取引の相手方たる事業者の倒産等に伴い、経営の安定に支障を生じている中小企業者の経営の安定に必要な資金にかかる保証についての保険特例措置を設けた次第でありますが、同法は限時立法で、昭和四十二年三月三十一日には失効することとなっております。
このため、政府といたしましては、中小企業信用補完制度を整備し、中小企業者に対する資金の融通の円滑化をはかるため、無担保保険制度及び倒産関連保証の特例措置を恒久化することとし、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、その成立を期している次第でありまするが、前述いたしましたように、臨時措置法は、本年三月末をもって失効することとなっていることにかんがみまして、中小企業の信用補完に遺憾なきを期するため、中小企業信用保険臨時措置法の有効期限の延長を行なう必要があると考え、同法を三カ月延長するものであります。
これが、この法律案を提案する理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
最後に、ただいま提案いたしました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
中小企業を取り巻くきびしい経済環境にかんがみ、昭和四十年十二月に、無担保保険の制度及び倒産関連保証の特例措置を主たる内容とする中小企業信用保険臨時措置法を制定したところでありますが、同法が本年三月三十一日限りで効力を失うこととなっております。しかしながら、今後とも中小企業者の経営の安定をはかりつつ事業の振興を促進するためには、この両制度を恒久的な制度とする必要があると考える次第であります。
また、信用補完制度の拡充については、国はもとより、各地の信用保証協会においても、逐年その強化につとめておりまするが、中小企業者の信用補完制度に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府といたしましても、中小企業信用保険制度の整備拡充により、信用保証協会の保証機能を一段と強化する必要があると考える次第であります。
このような趣旨に基づきまして、今回中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。
第一は、無担保の保証をより一そう推進するため、無担保保険制度を恒久化するとともに、その付保限度額を二百万円から三百万円に引き上げることであります。
第二は、無担保保険の恒久化及び付保限度額の引き上げに伴い、第一種保険を廃止し、もって保険体系の整備をはかるとともに、第二種保険を普通保険と改称し、その付保限度額を中小企業者については一千万円から一千五百万円に、中小企業者団体については二千万円から三千万円にそれぞれ引き上げ、中小企業者一人当たりの借り入れ規模の増大に対処せんとするものであります。
第三は、不測の事態に備えて倒産関連保証の特例措置を随時機動的に発動し得るよう、同措置を恒久化し、中小企業の連鎖倒産の防止等に遺憾なきを期そうとするものであります。
第四は、中小企業構造の高度化に資するため、近代化関係中小企業者の定義を拡大し、中小企業高度化資金の貸し付けを受けた者すべて及び中小企業共同工場の貸与を受けた者を近代化保険の適用対象に追加するものであります。
以上がこの法律案を提案する理由及び要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/10
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011・島村一郎
○島村委員長 次に、公正取引委員長から、公正取引委員会の業務概況について説明を聴取することにいたします。北島公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/11
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012・北島武雄
○北島政府委員 昭和四十一年における公正取引委員会の業務の概略につきまして、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点につきまして御説明いたします。
まず、昭和四十一年には、本委員会で御審議いただきました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律が施行され、広島地方事務所の設置、定員三十名の増加などにより公正取引委員会事務局の機構も漸次拡充されてまいりました。
次に、独占禁止法の施行に関する業務といたしましては、まず国際契約等の届け出は、五百八十七件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術契約が大部分を占めております。
会社の合併、営業譲り受け等の届け出は、それぞれ九百五十九件、二百三十八件となっており、前年に比較して届け出件数が増加しておりますが、その内訳を見ますと、中小規模の会社が近代化合理化のために合併するケースが大部分であります。
再販売価格維持制度の規制につきましては、物価対策の見地から、その運用の強化をはかることとし、まず昭和四十一年二月公正取引委員会の指定する商品のうち雑酒、キャラメル、既製えりつきワイシャツにつきましては、その指定を取り消し、写真機につきましては、その範囲を海外旅行者向け免税品のみに限定いたしました。また、再販売価格維持契約の実施状況を的確に把握するための昭和四十一年七月、再販売価格維持契約の届出に関する規則の一部改正を行ないました。
さらに、再販売価格維持行為に対する規制を強化するためには、立法措置によることを適当と認め、目下検討中でありまして、成案を得次第御審議を仰ぐ予定であります。
なお、昭和四十一年における再販売価格維持契約の成立届けは三十件、累計百三十九件であり、また新たに契約を実施した製造事業者は二十二社となっており、十二月末現在八十三社が契約を実施しております。
次に、昭和四十一年は、その前半においては前年に引き続き不況カルテルの申請が多く、軸受鋼をはじめ十三品目につきまして不況カルテルを認可いたしましたが、公正取引委員会といたしましては、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害さないよう特に慎重な検討を加えた上、必要最小限度の範囲に限って認可をいたしました。
その後、景気の回復に伴い、不況カルテルも漸次廃止され、昭和四十一年十二月末現在では精製糖、外装用ライナー及び綿スフの三品目を残すのみとなりましたが、本年二月末には精製糖が期限切れとなり、三月六日には綿スフが期間の中途でカルテルを廃止し、残る外装用ライナーも三月末をもって終了する予定であります。
合理化カルテルにつきましては、自動車タイヤなど五品目につきまして、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み両建て預金につきまして、昭和四十一年五月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先の中小企業者を対象として、その実態を把握するためアンケート調査を実施いたしましたが、五月末現在においては、従前に比し相当改善のあとはうかがわれるものの、まだ十分満足すべき状態ではなく、また十一月末の結果につきましては、ただいま集計中でありまして、追って御報告できるものと考えております。公正取引委員会といたしましては、調査の結果を慎重に検討するとともに、大蔵省の行政指導の成果をも勘案した上、適切な措置をとってまいりたいと考えております。
次に、独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十一年中に百八十一件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとったものは、審判開始決定六件、勧告二十件、審決十七件となっており、セメント、カラーテレビ、プロパンガス等の価格協定事件、粉ミルク等の再販売価格維持事件などがおもなものであります。
次に、下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務といたしましては、昭和四十一年中に下請代金の支払い状況を中心に二千八百十五の親事業所の調査を行ない、そのうち十件につきまして法第七条の規定に基づく勧告を行ない、二百六十七件につきまして行政指導による事態の改善措置をとりました。
また、手形期限の短縮を促進するため、主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得て、その周知徹底をはかりました。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する業務といたしましては、同法第三条に基づき、即席めん類業における景品類の提供に関する事項の制限を告示し、また不当な景品類の提供を行なった販売業者五名及び不当な表示を行なった宅地建物取引業者十五名に対して排除命令を行ないました。そのほか観光みやげ品製造業並びに販売業、即席めん類製造業、写真機類卸売り業につきまして公正競争規約を認定いたしました。
また、同法の運用に資するため、消費者モニターを選定し、景品つき販売、不当表示等についての意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、昭和四十一年における経済実態の調査といたしましては、企業間信用調査、鉄鋼業の系列化による生産集中の実態調査、管理価格の調査等がおもなものであります。
最後に、昭和四十二年度の公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会関係の予算は、総額三億五千八百六十七万円でありまして、昭和四十一年度と比較いたしまして五千二百六十三万八千円の増額となっており、高松地方事務所の設置、事務局定員二十九名の増員がおもな内容となっております。機構、定員の拡充につきましては、独占禁止法の一部改正案を今国会にお願いいたしますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
今後、公正取引委員会の業務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに重要性を増すものと考えられますが、皆さま方各位の御支援を得まして重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。
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013・島村一郎
○島村委員長 次に、土地調整委員会委員長から、土地調整委員会の事務処理の概要について説明を聴取することにいたします。黒河内土地調整委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/13
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014・黒河内透
○黒河内政府委員 御指示によりまして、ただいまから土地調整委員会が昭和四十一年中に行ないました所掌事務の処理の概要を説明するにあたり、当委員会の所掌事務の大要について簡単に申し述べます。
第一は、鉱区禁止地域の指定等でありまして、各省大臣または都道府県知事の請求に基づき、聴聞会を開いて一般の意見を求め、利害関係人を審問し、当該地域の鉱物の掘採と、一般公益または農業、林業もしくはその他の産業と対比して、鉱区禁止地域の指定またはその解除を行なうのであります。その指定の場合、鉱物の掘採が著しく公共の福祉に反するようになっていると認めるとき、その鉱業権の取り消し等を通商産業局長に対し勧告いたします。
第二は、鉱業権または採石権の設定等及び鉱業または採石業のための土地の使用、収用またはその他利用に関する異議の裁定でありまして、鉱業法、採石法、森林法、農地法、海岸法、自然公園法、地すべり等防止法及び河川法に規定する特定の行政処分に対する不服に関し、鉱業、採石業及び砂利採取業と、一般公益または農業、林業その他の産業との調整をはかるため、行政不服審査及び行政事件訴訟の特例として、特に当委員会が、公開審理等準司法的な手続により、異議の裁定を行なうのであります。当委員会の裁定または裁定申請の却下の決定に対して不服のある場合に、初めて当委員会を被告として、直接東京高等裁判所に訴えを提起することとなっております。
第三は、土地収用等の不服審査等に関する意見でありまして、土地収用法及び森林法に規定する事業認定、収用裁決等の行政処分に対する行政不服審査等に関し、主務大臣があらかじめ当委員会の意見を求め、これに対し回答を行なうのであります。
第四は、その他の事務で、以上三種に属しない各種の法律に規定されている事務等がございます。
次に、以上の各種類ごとに事務処理の概要を簡単に申し述べます。
第一に、鉱区禁止地域指定等でございますが、昭和四十一年中に当委員会で処理手続を進めましたものは十一件で、いずれも鉱区禁止地域の指定請求事案であり、その解除の請求はありませんでした。その十一件のうち七件は前年から係属中のもので、四件が昭和四十一年新たに請求のあったものであります。
個々の事案について申し上げることを省略して総括的に申し上げますと、その請求理由は、ダム関係のものが八件で大部分を占めており、その他は、景観、温泉、水道水源、ワサビ田、漁業等の保護に関するものであります。請求者別に見ますと、建設大臣五件、農林大臣一件、都道府県知事五件でありまして、請求面積は最小のものでも百二十四・五ヘクタール、最大のものは二万六千ヘクタールにのぼり広大であります。
これら地域の各部にわたって、具体的に地形、地質、鉱床及びその他各般の関係を調査、検討し、決定をするのには、時日を要するのであり、ことにダム関係には、往々計画の確定を待つ必要とか、用地取得または補償交渉等の推移に応じて措置を進める必要等により、当委員会の処理手続を進めがたい場合もあって、処理を了したものは五件で、六件は目下審議中であります。
なお、その指定に際し、通商産業局長に対して、鉱業権の取り消し等の勧告を行なった事案はありませんでした。
第二に異議の裁定でありますが、昭和四十一年中当委員会に係属した事案は四件で、そのうち一件は昭和四十一年新たに係属したものであります。
これら事案のうち、二件は通商産業局長の処分に、一件は建設大臣の処分に、他の一件は河川管理者である東京都知事の処分について、それぞれ取り消しを求めるものでありまして、そのうち一件については請求の理由なしとして棄却の裁定をいたしましたが、他の三件は、申請人が審理の保留を求める等の事情もあり、目下継続審理中であります。
第三に、土地収用等の不服審査等に関する意見でありますが、昭和四十一年中に当委員会で処理手続を進めましたものは十三件で、いずれも建設大臣が意見を求めてきたもので、そのうち七件は昭和四十一年の新たな事案で、他の六件は前年から係属中のものであります。
これ等の事案の個々について申し上げることは省略して、総括的に申し上げますと、道路関係七件、地方鉄道関係二件、空港関係一件、合計十件が交通関係で、その他三件となっており、その過半数は東京都と大阪府に集中しております。これら事案の大部分は、収用委員会の収用裁決を不服とするもので九件を数え、事業認定等の不服に関するものは四件であります。しかし、収用裁決に関するものも同時に実質的には事業認定に対する不服をも包含しているものが相当あり、昭和四十一年新たに意見を求められた事案には、収用の時期について争っているものが三件もありました。
これら事案のうちには、裁決書及び弁明書等のみでは事案の解明、適切な意見の決定が困難であり、さらに資料の収集、現地調査等を要するものが相当ありました。
これら事案のうち六件については回答済みであり、一件は審議中取り下げがあって処理済みとなりましたが、自余の六件については引き続き検討中であります。
第四に、その他の事務でございますが、首都圏近郊緑地保全法の制定及び土地収用法等の一部改正法律案並びに公害基本法案等について、当委員会関係の法令の改廃、制定等に関連して必要な措置をとりました。その他については、この際特に申し上ぐべきものはありませんでした。
以上をもちまして、当委員会の昭和四十一年中の事務処理の大要を申し述べた次第であります。
なお、土地調整委員会設置法に定められた所掌事務処理状況の報告書を目下印刷中であり、でき次第所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/14
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015・島村一郎
○島村委員長 この際、昭和四十二年度通商産業省関係予算について説明を聴取することにいたします。通商産業大臣官房長大慈彌嘉久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/15
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016・大慈彌嘉久
○大慈彌政府委員 昭和四十二年度の通商産業省関係の要求予算について御説明申し上げます。
お手元にお届けしてございます昭和四十二年度一般会計予算要求重要事項表に即して説明をさせていただきますが、予算要求の総額は前年度を約三百二十三億円上回ります千百二十五億四千六百万円となっております。
第一の産業構造改善の促進関係でございますが、四十二年度要求額は前年度を七一%上回ります二十三億二千二百万円でございます。特に重要なものといたしましては、繊維工業の構造改善関係でございまして、転廃業者の設備の買収費、織布業の産地の構造改革事業費等の予算計上が行なわれております。また、鉱業につきましては、探鉱促進が体質強化のきめ手であることにかんがみまして、金属鉱床の広域調査費以下が増額をされております。
第二の中小企業対策の画期的拡充強化でございますが、まず、中小企業振興事業団の事業運営費といたしまして百七億九千七百万円の要求がございます。中小企業高度化資金融通特別会計は、振興事業団の創設に伴い廃止することとなっておりますが、事業団創設までの必要資金としまして十億円が計上されております。中小企業指導費以下中小企業対策費はごらんのとおりでございますが、中小企業対策費は合計で二百四十億四千万円、ほかに中小企業信用保険公庫の出資といたしまして九十五億円が大蔵省に計上されております。
第三の技術開発力の培養と技術的最先端産業の振興でございますが、大型工業技術研究開発費、いわゆる大型プロジェクトでございますが、これに二十七億四千万円、前年度に比較して大幅な増額を試みてございます。それから三ページに移りまして、特許行政の強化を引き続き行なうため、二十億三千百万、それから日本航空機製造株式会社が製造いたしますYS11の量産対策費といたしまして五億が計上されてございます。
それから第四の貿易振興と発展途上国に対する経済協力の推進でありますが、日本貿易振興会事業費補助四十三億一千七百万、それから開発輸入促進事業費としまして三億九百万がございます。さらに、新しい貿易に関する人材を養成するための貿易大学校を設立する予定でございますが、貿易大学校への交付金として一億が要求計上されております。さらに、万国博覧会開催準備費といたしまして五十三億六千九百万がございまして、開催準備を積極的に行なうことになっております。貿易振興と経済協力の予算は合計百三十五億百万円でございます。
第五の産業立地の適正化と立地環境の整備でございますが、工業立地適正化対策費といたしましては、今年度は調査費にとどめまして三千万の計上でございます。それから工業用水道事業費といたしましては六十一億八千六百万計上いたしてございまして、工業用水道事業の拡充をもくろんでおります。それから、産業公害対策費は一億四百万円でございます。立地関係につきましては合計六十四億五千三百万が計上されております。
第六の総合エネルギー政策の推進でございますが、まず、石炭につきまして、抜本的施策を推進するものとして、新しく石炭対策特別会計が設置されることになっておりますが、石炭関係の予算要求は、四百二十一億六千万円でございまして、炭層探査及び坑道掘進費、それから元利均等償還補給金、安定補給金、石炭増加引取交付金等というような項目が計上されております。
次のページにまいりまして、鉱山保安関係は四億五千万円、特に鉱山保安センターの建設費が含まれております。
それから、石油及び電力につきましてはごらんのとおりでございますが、エネルギー関係合計しまして四百三十九億七千万円、前年度に比較しまして倍増以上ということであります。
それから、第七は流通消費者行政の拡充でありますが、物価の安定に資するため、流通機構の合理化と商品テストの充実、モニター制度の強化、そういう項目を含みまして、またLPGの保安及び生産流通対策費が含まれてございますが、合計九千六百万円でございます。
その他の項目も含めまして、通商産業省関係は全部で千百二十五億四千六百万円、そのうち石炭対策特別会計への移行分が四百二十三億九千八百万円でございますので、一般会計としましては七百一億四千八百万ということに相なります。
何ぶんよろしくお願いをいたします。
引き続きまして、通商産業省関係の財政投融資計画について、あらましだけ申し上げます。
四十二年度の通商産業省関係の財政投融資計画は七千三百十五億円で、前年比二三%強の増加となっております。輸出振興、中小企業対策等に大幅の伸びが予定されております。お手元の資料中最初の日本輸出入銀行でございますが、運用規模は三千億円ということになっておりまして、四十一年度当初計画に比較いたしますと二八%ちょっとの増加ということでございまして、資金コストの上昇を押えるために出資四百三十億円が予定をされております。
次に、中小企業金融三機関がございますが、融資規模といたしましては、全部で前年度の一八%増というのを見込んでおりまして、所要資金の確保をはかることにしております。
次のページは日本開発銀行でございますが、日本開発銀行につきましては予算の伸びはあまり大きく見られませんが、電子計算機株式会社に対する特利の適用であるとか、あるいは産業構造改善金融ワクの拡充であるとか、重点的な施行を考えております。
第六の電源開発株式会社以下は、一般会計のほうとも多少重複いたしますので省略いたしまして、四ページにまいります。
十六の過剰紡機一括処理特別金融措置、これは興長銀債引き受けによりまして四十八億円の融資をしております。これは過剰紡機の買い上げ廃棄をいたします場合に、買い上げ資金は残存業者から長期分割で納付することになりますが、そのつなぎ資金といたしまして四十八億円、こういうことでございます。
それから、次の中小企業振興事業団でございますが、事業規模は百七十八億、公募債借入金等が五十八億ございまして、一般会計等からの出資分というのが自己資金といたしまして百二十億円、こういうことでございます。
それから、十八は石油開発公団でございますが、前年度石油資源開発株式会社についておりました二十億の倍に当たります四十億を財政出資をいたしまして、在外探鉱事業の飛躍的な発展をいたそう、こういうことでございます。
たいへん簡単で、ほんのあらましでございますが、以上、予算関係とそれから財政投融資計画の説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/16
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017・島村一郎
○島村委員長 次に、昭和四十二年度経済企画庁関係予算につきまして説明を聴取することにいたします。経済企画庁長官官房長鳩山威一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/17
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018・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 お手元にお届けいたしました資料によりまして、昭和四十二年度経済企画庁予算要求及び財政投融資計画につきまして御説明申し上げます。
昭和四十二年度の経済企画庁予定経費要求額は三百十七億四千四百七十四万一千円でございまして、前年度予算額二百六十六億一千百六十三万九千円に比較いたしますと、五十一億三千三百十万二千円の増加となっております。このうち、行政部費の要求額は二十七億八百三十二万二千円でございまして、前年度予算額二十二億二千九百五十七万一千円に比較いたしますと、四億七千八百七十五万一千円の増額と相なっております。これに対しまして、公共事業費の要求額は二百九十億三千六百四十一万九千円でございまして、前年度予算額二百四十三億八千二百六万八千円に比較いたしますと、四十六億五千四百二十五万一千円の増額となっております。
まず、行政部費の増加額のうち、おもな施策といたしましては、第一に、物価安定対策及び消費者行政をより強力に推進するため、新たに物価安定推進会議の開催及び地方公共団体の消費者行政を円滑に実施するための地方公共団体に対する補助金等四千五百万円を計上しております。
第二に、最近の地域経済社会の動向に対処し、地域開発対策を強化拡充するため、全国総合開発計画の策定、地域開発制度調査、離島振興の助成、豪雪山村地帯における総合センターの建設などに関する新規経費八千五百万円を含めます国土総合開発関係の経費といたしまして二億八千二百万円を計上いたしております。また、国土調査及び水資源開発経費、水質保全調査の強化促進をはかるための経費を前年度より二億三千三百万円増額いたしまして、十三億四百万円を計上いたして
おるのでございます。
次に、公共事業費のおもな増加内容について申し上げます。
第一に、国土総合開発事業調整費及び地域開発計画調査調整費の要求額は、両者を合わせて五十九億円でございます。前年度予算額に比較いたしまして、七億円の増額と相なっております。
第二に、離島振興事業費の要求額は百三十六億四千五百九十三万六千円でございまして、前年度予算額に比較いたしますると、二十二億三千七百五十六万八千円の増額でございまして、離島と本土との格差を是正するため、災害復旧等を除いた全国公共事業費の伸び率一七%に対しまして、約二〇%の伸びと相なっております。
第三に、水資源開発事業費の要求額は九十四億九千四十八万三千円でございまして、前年度予算額に比較いたしますると、十七億一千六百七十八万三千円の増額となっております。
この内容は、水資源開発公団が、利根川水系及び淀川水系における既着工の継続事業を既定計画どおり実施いたしますほか、新たに筑後川、木曽川及び吉野川の三水系におきます建設事業を同公団が施行いたすものでございます。
最後に、当庁関係の財政投融資計画につきまして御説明申し上げます。
まず、海外経済協力基金につきましては、わが国の対外経済協力政策の活発に伴い、海外経済協力基金の業務は最近急激にその業績を高めつつありまして、四十二年度は韓国、台湾等への直接借款が増加いたしますので、一般会計からの出資金九十億円のほか、同額の財政融資を計上して所要原資の確保をはかっております。
次に、東北開発株式会社につきましては、四十二年度におきましても、前年度に引き続き会社の再建をはかることに重点を置くことといたしておりまして、事業資金の総額は三十六億五千万円といたし、産業投資特別会計からの出資金十六億円と公募債等二十億五千万円を計上しております。
次に、水資源開発公団につきましては、その事業の拡大に伴い、総事業費は、前年度の二百五十四億円から、四十二年度は四十七億円増の三百一億円を確保することとしております。
また、北海道東北開発公庫につきましては、北海道及び東北地方における産業の振興開発を一そう促進するため、運用資金は前年度の三百八十五億円に対しまして、四十二年度は十五億円増の四百億円を確保することといたしております。
以上をもちまして、経済企画庁の一般会計及び財政投融資計画の御説明を終わります。
何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/18
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019・島村一郎
○島村委員長 次会は明後二十四日午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504461X00219670322/19
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