1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十七日(水曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 多賀谷真稔君
理事 神田 博君 理事 西岡 武夫君
理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君
理事 八木 昇君 理事 池田 禎治君
佐々木秀世君 進藤 一馬君
菅波 茂君 野田 武夫君
廣瀬 正雄君 井手 以誠君
細谷 治嘉君 渡辺 惣蔵君
田畑 金光君
出席国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 真田 秀夫君
通商産業省石炭
局長 井上 亮君
通商産業省鉱山
保安局長 中川理一郎君
労働政務次官 海部 俊樹君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業訓練
局長 和田 勝美君
委員外の出席者
通商産業省石炭
局炭政課長 村松 寿君
自治大臣官房参
事官 鎌田 要人君
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五月十六日
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第二七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/0
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001・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/1
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002・細谷治嘉
○細谷委員 まずお尋ねしたいのでありますが、今度の法案では自営支度金と債務の保証、こういうものをやることになっておるのでありますが、これは一体どの程度の具体的内容なのか、まずお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/2
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003・有馬元治
○有馬政府委員 自営支度金は雇用労働者になる場合の再就職奨励金と同じような基準で、自営する場合に支度金として支給するという考え方でございます。すなわち、一年以内に自営をした場合には七十五日分ということになるわけでございます。金額は、最高の場合が大体いま五百七十円に扶養加算が平均三十円ついたとしまして六百円の場合の七十五日分としますと四万五千円見当になります。
それから、債務保証は、雇用促進事業団が債務保証をするわけでございますが、金融機関としては国民金融公庫その他一般の市中銀行も考えておりますが、産炭地が大体地域的に限定されておりますので、産炭地に最も便利な銀行を指定していきたいと思っております。そこで保証の限度でございますが、一人当たり百万円を限度といたしたいと思います。それから、債務保証の範囲は元利の合計額、それから保証期間は五年間、それから保証の財源といたしましては今年度予算に四百四万円を計上いたしております。
概略、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/3
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004・細谷治嘉
○細谷委員 前回、昨年の暮れにもこの改正が行なわれたと思うのでございます。従来、具体的な内容というのは政令にゆだねないで、法律で書いてあったのでありますが、最近は全部具体的な内容を政令にゆだねているのでありますが、何か理由がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/4
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005・有馬元治
○有馬政府委員 現行法で就職促進手当が五百七十円というふうに法定されておるわけでございますが、これは御承知のように、この措置法ができるときにいろいろ経過がございまして、法律自体で金額を明記したという経緯がございます。この種のものとしましては、法律でこのように金額を明示しておるものはほかに例がないわけでございますので、私どもとしましては、今回の改正にあたって、金額は政令で定められるように政令に委任する、そうして予定としましては五百七十円を六百十円に引き上げよう、こういう考え方をとっておるわけでございます。このことによって、今後は法律改正をまたずに時宜に適した措置がとれる、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/5
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006・細谷治嘉
○細谷委員 政令にゆだねるのは他意はない、時宜に適した措置をとれるように、こういうことのようでありますが、お尋ねいたしたい点は、今度の炭鉱の生産量なりあるいは労働者等の計画からいきますと、かなりの離職者が四十二年度も生まれるわけでありますけれども、どのくらい見積もっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/6
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007・有馬元治
○有馬政府委員 閉山規模は三百三十七万トンで、新しく新規に発生すると予想される離職者は一万四百人と予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/7
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008・細谷治嘉
○細谷委員 あなたのほうの大体再就職の計画によりますと、四十二年三月に九千人残っておりまして、新しく一万四百人の求職者ができるわけで一万九千四百人、こういうことになるわけです。優先的に再就職ということでやってまいるわけでありますが、私もこれに関連した質問はお聞きしましたけれども、最初から最後まで聞いているわけじゃありませんので、的確ではないかと思うのでありますが、この表を見ましても、どうもありきたりの数字のごまかしという感があって、ほんとうに安心できるような体制にはなっておらない、こう思うのでありますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/8
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009・有馬元治
○有馬政府委員 私どもの計画は、この合理化が始まった三十七年度から再就職計画と実績を積み重ねて今日に至っておるものでございまして、今日までの累計で申し上げますと、離職者で求職申し込みを行なった者が三十七年以降十三万二千二百八十人ございます。このうち安定機関とそれから会社あるいは自己開拓等によって再就職が行なわれておるわけでございますが、安定機関の紹介による分が七万四千五百八十人、それから会社並びに自己開拓によるものが四万八千七百人、合計いたしますと十二万人見当になりますが、パーセンテージで九三・二%というものがすでに再就職をいたしておるのでございます。もちろんその後離職をした者もございますけれども、一応こういう実績があがっておりますので、私どものこの四十二年度の計画は、単に数字の上の計画ではなくて、大体この計画に従って今年度は実績をあげていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/9
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010・細谷治嘉
○細谷委員 九三%程度の実績をあげておるわけでありますけれども、それにしても七%程度、一割近い実績見込みの食い違いがあるわけですね。そうしますと、来年の三月末の未求職者というのが六千五百という計画でありますけれども、へたをしますと七千五百か八千人近い未求職者もできることになるわけですね。そうしますと、へたをしますと、あまり進まぬ。ことばでは何とかなるだろうということのようでありますけれども、安心がいかない、こういうことになるように思うのでありますが、その点は大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/10
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011・有馬元治
○有馬政府委員 この点は、大体計画どおりにやるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/11
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012・細谷治嘉
○細谷委員 ところで、この離職者対策の一環として行なわれておりますいわゆる緊就事業でありますが、四十二年度の計画は、前年より減らしまして五千二百人と、こういうことになったわけです。そして事業単価というのは二千百円、こういうことなんでありますけれども、私は、一万四百人も離職者が出るというこの段階において、事業規模を前年よりも減らしたということについてはやっぱり問題があるのじゃないか、事業費単価自体にもなお問題があるのじゃないか、こう思うのでありますけれども、労働省としてはどうお考えになるのか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/12
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013・有馬元治
○有馬政府委員 緊就事業は、御承知のように三十七年の第一次答申に基づきまして、それまで緊就事業を行なっておったわけでございますが、この答申の結果、手帳方式に切りかえろという答申が出ましたので、現在の離職者対策の基調は手帳方式に転換をいたしたわけでございます。したがいまして、緊就事業はその以前から継続しておったものを今日まで踏襲しておる。新しく離職者を緊就事業に吸収するということはいたしていないのでございます。したがって、年々自然減耗がございますので、事業規模は自然減耗に見合う程度ずつ縮小しております。
事業費単価のほうは、いろいろな公共事業その他の関係も考えまして、毎年単価を引き上げて実情に合うようにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/13
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014・細谷治嘉
○細谷委員 実際に事業をやっておるところの地方公共団体等からは、どの程度の事業費単価の要求があったのですか。御記憶ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/14
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015・有馬元治
○有馬政府委員 今年度の予算編成にあたりましては、現地関係者からはたしか二千五百円くらいの要望があったと思います。それを、昨年からいたしますと二百円単価アップをいたしまして、二千百円というふうな予算になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/15
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016・細谷治嘉
○細谷委員 二千五百円という単価が、私は現実に妥当じゃないかと思うのです。いままでの経緯を見てみますと、大体毎年毎年二百円くらいずつ上げてきているわけです。きわめて機械的なんです。
大体、炭鉱離職者の多いところは、申すまでもなく一般失対も多いわけです。ですから、やれるだけは一般失対でやっているわけです。一般失対では、資材費等で無理なものについて緊就事業で経済効果をあげよう、こういうことでやっておるわけです。そういうことでありますから、私は、二千百円というのは低きに失するのではないか、賃金のほうは労働省がきめるものじゃないと言いますけれども、実際は労働省がきめるわけですが、二千百円の内訳はどうなっておりまりか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/16
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017・有馬元治
○有馬政府委員 これは平均的な内訳でございますが、労力費が千五十円、資材費が七百七円、その他の費用が三百四十三円、合計二千百円、こういう内訳でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/17
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018・細谷治嘉
○細谷委員 労力費が千五十円、資材費七百円といいますと、これはたいした事業はできないですよ。
そこでお尋ねするのでありますが、労働省でまとめていらっしゃると思うのでありますが、緊就事業として各地方公共団体がやっている中において、どの程度の地方公共団体の継ぎ足しというのが起こっておるのか、いわゆる超過負担というのが起こっておるのか、これをひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/18
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019・有馬元治
○有馬政府委員 私どもが報告を受けておる限りにおきましては、緊就事業については超過負担の御迷惑はかけていない。一般失対については若干ございますけれども、そういうふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/19
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020・細谷治嘉
○細谷委員 自治省いらっしゃっておりますね。緊就事業については継ぎ足しが起こっておらぬ、超過負担が起こっておらぬ、こういうことでありますが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/20
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021・鎌田要人
○鎌田説明員 私のほうで実は昭和四十年度につきまして調べたわけであります。緊急就労対策事業費として北海道外七県から報告を徴したわけでありますが、これによりますと、法定地方負担三億八千八百万に対しまして、超過地方負担一億二千万という数字の報告がございます。ただ、この超過地方負担というもののつかまえ方につきましては、全般的ないわゆる地方財政の超過負担の問題と共通する問題でございますが、その対象のつかまえ方、内容をもう少し精査しなければならぬだろうと思います。報告として来ておりますのは、一億二千万という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/21
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022・細谷治嘉
○細谷委員 安定局長さん、自治省は超過負担があると言っておりますが、あなたのほうはないとおっしゃる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/22
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023・有馬元治
○有馬政府委員 北海道は緊就事業をやっておりませんし、いまの自治省の数字は私も初めて聞きまして、少し内容を詰めてみないとわかりにくいのですが、これは御承知のように五分の四の高率補助でございますので、あとの五分の一の地方団体負担というものは、これは当然あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/23
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024・細谷治嘉
○細谷委員 私が言っているのは、二割の地方負担があるということは、その法定負担が三億八千八百万、そういうことでしょう、二割相当分が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/24
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025・鎌田要人
○鎌田説明員 そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/25
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026・細谷治嘉
○細谷委員 そのほかに超過負担として、一億二千万円超過負担が起こっておると自治省は言うのですよ。超過負担が起こっておらぬなんて、あなた認識不足ですよ。七百円くらいの資材費でどんな事業ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/26
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027・鎌田要人
○鎌田説明員 私どものほうで調査をとりました結果で一億二千万という数字が出ておるわけですが、これについて若干補足いたしますと、北海道、茨城では超過負担が全然ございません。それから熊本県で百万、山口県で七百万、福島県で八百万、こういう数字でございまして、福岡県が九千四百万、佐賀県が一千万、こういうところでございます。これを見ておりまして、先ほど申しましたいわゆる超過負担とせられておるものの中身というものが終局数字だけでございますので、もう少しこれを当たってみなければならぬだろうと思います。その具体的なやり方の内容、こういった点につきまして、先般も地方行政委員会でも御説明申し上げたわけでございますけれども、関係各省でこの超過負担の中身をどういうふうにしてつかまえていくか、その内容につきまして関係各省の主管課長で一種の幹事会的な勉強会を持っております。これでこの内容を一つ一つ洗っていこう、こういうことに相なっておるわけでございますので、報告イコール超過負担、こういうことには若干まだ内容を精査しなければならない点があることを補足させていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/27
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028・細谷治嘉
○細谷委員 この場合は、あなたがいう地方財政法に基づくような国が負担すべきものを負担しておらない、こういうような意味における超過負担でないかもしれぬ。法定負担というのは二割、五分の一ですから八割やっておる。二千百円というものの二割が負担なんです。しかし二千百円では事業はできないですよ。いまあなたが指摘したように、たとえば福岡県には一億円近い超過負担というものが起こっておるわけです。労務費に千五十円出して、資材費が七百七円しかない工事なんかろくなものができませんよ。土工しかできない。簡易舗装をやっても相当の継ぎ足しが起こりますよ。下水道の管渠を埋めるんでも超過負担が起こってきますよ。私の承知しておる範囲では、八割だ八割だと言っておりますけれども、現実にはこれは大体五割程度の負担にしかならないのです。これは超過負担でしょう、やれないんだから。一般失対でやれるだけのことをやって、もっと経済効果をあげるような形で、一般失対でできないようなものをちょっとやらせますと、七百七円じゃできないですよ。ですからはっきりしなさい。これは明らかに超過負担ですよ。それは文部省がやっておるように、廊下のついておらない学校を建てろとか便所のない学校を建てろとか、こういうものとはちょっと違いますよ。これでは事業はできないんだ。八割負担なんと言っておりますけれども、実際は、私が経験したところでは大体四割五分か五割くらいにしかならない。たとえば下水道のほんの三十センチくらいの鉛管をいけておる、こういう材料なんかは別に買って工事をやらせる、そういう形になりますと、これはみんな半分以下になってしまう。たいへんな超過負担ですよ。一方では経済効果をあげろと言う。緊就事業の効果はあがったと労働省もおっしゃっておるでしょう。その労働省は超過負担がないんだ、こういう認識はこれはたいへんなことなんです。自治省、もっとはっきり超過負担というものを言いなさいよ。超過負担はあるのですよ。これは少し内輪の数字だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/28
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029・鎌田要人
○鎌田説明員 答弁の繰り返しになるわけでありますが、この超過地方負担として報告をされてあります内容の中に、たとえば賃金等を大目に出しておる、こういったものが入っておるのではないだろうか、こういう意見もあるわけでございます。そういったものの内容をやはり労務費なり資材費なりもう少し精査をして、どこまでを超過負担としてきめつけるかどうか、この作業がいま申しました数字には残っておるわけであります。そのことを先ほど申しました関係各省の担当官でもっと煮詰めまして、超過負担の解消をさらに進めてまいりたい。この超過負担の解消ということにつきましては、自治省といたしまして、昨年来、各省の御協力をいただいて、昨年で三百億余り、今年も二百六十六億という超過負担の解消をやっておるわけでありまして、当然その一環として来年度以降においてもこれを続けていかなければならぬと考えておるわけでございますので、その点御了承をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/29
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030・細谷治嘉
○細谷委員 ことばが、少し悪いけれども、自治省の超過負担解消の意欲なんというのは私はあまり買ってないのだ。今年は二百何十億ということでしょう。去年は二百五十億と言っておったと思ったら、一年たったら三百三十億解消したと言っているのだ。三百三十億というのは大蔵が言っておったんであって、自治省が二百五十億しか四十一年は解消しておらぬと言ったら、一年たったら三百三十億解消した。帳面だけあれされておる。今年は百六十億くらいだと言われておったものが二百億になっておる。二カ年計画で解消するのだと言っておると、いつの間にか三カ年計画、三カ年計画と思ったら、これからまた計画を立てると言う。今度からは公共事業をやるたびにチェックするのだと言っておりますけれども、一向現実には進まない。全然とは言いませんけれども、あまり進んでいない。この緊就の場合は、賃金に対する超過負担というのはあまりないですよ。それは盆暮れに若干の包み金はあるでしょう。これは主として材料費である。資材費なんですよ。この辺は安定局長さん、超過負担はあるのだ。法律違反をやっているような超過負担だと私は言っていない。少なくとも緊就という形であなた方が指導したような方向で事業をやる限りにおいては、八割なんという補助率ではなくて、大体二分の一と思えばいいわけですよ。そういうかっこうになっているのです。
そこで、せっかく大臣がいらっしゃっておりますし、自治大臣もやっていらっしゃるし、いまは労働大臣でありますから、この辺のことはよく御存じのことでありましょうから、私があえてこの単価について申し上げておる点は御理解いただけると思うのであります。これについてひとつ大臣の所感といいますか、所信というものをちょっとお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/30
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031・早川崇
○早川国務大臣 もし法定の負担をこえた超過負担を、緊急就職労事業をやることによって自治体に負担をかけるということは許せないことでございます。ただ、先ほど自治省の御説明の一億何千万というものの内容につきましては、あるいはその中には就労者に対する夏期手当とか、あるいは年末手当等も入っておるかもしれません。こういうのは超過負担とは言えないわけであります。問題は、緊急就労事業をやるための材料費とか事業費の面で、どうしても必要経費を自治体が超過負担するという実情が明らかになりましたならば、これはひとつ単価の是正ということについて検討をいたしたい、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/31
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032・細谷治嘉
○細谷委員 大臣にお願いしておきたい点は、地方団体は二千百円という事業費単価でくくられておりますので、できるだけ持ち出しが多くならないようにという形で、資材費のかかるような事業をやった場合には、同じくらいの人間を消化する土工工事、たとえば、あまり急ぎもしない学校の地ならしをやる土工工事でありますなら資材費は要りません。資材費の要る事業をやったとしますと、そういう百人は全く資材費の要らないようにして、そうしてならしてやっておるわけです。ですから、自治体がほんとうに要求する、住民がほんとうに要求する事業計画からいきますと、この単価というのがずいぶんワクをはめておる。本来の緊急よろしきを得た順位で事業が進められておらない。こういう苦労をしながら事業費単価のワクで資材費の要るものと要らないものとの混合でいまやっているという実態なんであります。それでも現実には相当の超過負担が起こっているという実態であります。ですから、機械的に去年二百円だからまたことしも二百円上げようという形じゃなくて、もっと突き詰めた形で単価はひとつ決定していただきたい、こう私は特に強く要望しておきたいと思うのです。
ところで、手帳方式によったわけですけれども、一万四百人も出てまいる離職者がおって、なおかつ七千人近い未就職の人が残るということがはっきりいたしておるわけであります。どうせこれは時限立法でありますから、やはり緊就のワクなりなんかについては時宜に即した決定をなさるべきじゃないかと私は思うのであります。この点いかがでございましょうか。ずっと見てみますと、三十五年をピークといたしましてずっと大体毎年毎年減ってきている、一方単価は二百円ずつくらい上げてきている、こういうかっこうになっておるわけですが、抜本策という石炭対策が講じられるこの段階では、これはやはりワクの問題も検討すべきであったんじゃないかと思うのでありますが、あくまでもやはり手帳方式にこだわらなければならないのでありますか。この辺わからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/32
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033・有馬元治
○有馬政府委員 細谷先生のお話で、一万四百人出て、七千人来年度に積み残しになるというふうな御指摘ですが、そうじゃなくて、前年度からの積み残しが九千人でございますから約二万人の求職者を対象に今年度の再就職計画を立てておるわけでございます。そうして次年度に六千五百人繰り越す、こういう計画でございますので、ゼロでない限りにおいては何がしか未就職のまま残るということに相なるわけでありますが、これは御承知のように、三十八年当時は繰り越し自体が二万人あった時代がございます。繰り越しをいきなりゼロにするということは非常にむずかしいと思います。計画よりも下回った数字になるようにわれわれも努力はいたします。
そこで緊就に吸収すべきだという御意見のようでございますが、これは先ほども申しましたように、三十七年以来現行の離職者対策法の基調は、手帳方式によって三年間手厚い援護措置を講じながら、広域を含めて再就職の確保をはかる、促進をはかる、こういう体制に相なっておりますので、これをまたもとの事業吸収方式を復活するということは、離職者対策の基調に非常に大きな影響が出てくるわけでありまして、私どもとしては、いまの緊就事業を、自然減耗程度の縮小をはかりつつ継続をしていく、新規にはこの事業吸収方式を採用しない、こういう考え方で今後も離職者対策を展開してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/33
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034・細谷治嘉
○細谷委員 この緊就事業というのはあとまた三年延長するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/34
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035・有馬元治
○有馬政府委員 三十九年の閣議決定によりますと、一応本年度限りということに相なっておりますが、事実問題として五千人をこえる事業規模を持ちますので、これをいきなりやめるということはできないと思います。さらに石炭の合理化措置が三年間延長になりまして、離職者対策もこれとうらはらの関係において三年間期限延長をする体制をお願いいたしておりますので、今後も緊就事業としては何らかの形で継続をしなければならぬだろう、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/35
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036・細谷治嘉
○細谷委員 この法律ができたときには三十九年の末にやめることになっておったんでしょう。そうでしょう。それが閣議決定で来年の三月まで延ばされたわけでしょう。それをまた三年延ばすというわけでしょう。そうでしょう。二度変更するわけでしょう。計画どおりいっておらぬという証拠じゃないですか。ですから、抜本策といわれる今度の石炭対策が講じられる段階においては、一万四百人の新規の離職者ができる。ですから時限立法である限りにおいては、この場合もやはり緊就事業というものを手帳方式——いや事業吸収方式から手帳方式に変わったんだからだめだと言われますが、そのときだけ起こすのがあたりまえの公平なやり方じゃないですか。これも二度延長しようとしておるわけですね。三十九年から今日まで、これからまた三年延長しようというわけでしょう。今度また起こすのは、どの程度のワクにするかは別として一つの段階なんですから、そう私は思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/36
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037・早川崇
○早川国務大臣 基本的な考え方を申し上げますと、いずれにいたしましても緊就事業というのは不正常な就業でございますので、手帳制に変えましたのはいわゆる正規の通年雇用的なものに失業者を吸収していくという考えでおるわけでございます。したがって、失対事業とか緊急就労事業というのは、非常に失業者がはんらんしておるという時代にはさらにこれを拡張するということも考えられますけれども、御承知のように現在は人手不足で、むしろ先ほど局長からお答えいたしましたように九三%がいわゆる再就職しておる現状でございますので、われわれといたしましてはやはり正規の手帳制度に切りかえていっておるわけでございます。ただし現に緊急就労事業に五千二百人ほど就労していらっしゃいますし、またこの緊就事業は実際にはわりあい評判がいいのです。ですから、来年三月に期限が切れますけれども、そのときにはこれを打ち切るということはいまから予想できないわけでありまして、ただ打ち切らないでまた延長するとも申し上げかねる、こういう実情でございますので、その点は御理解賜わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/37
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038・細谷治嘉
○細谷委員 その大臣のことばは、来年の三月で打ち切るとは言わぬけれども延長するともきまっておらぬ、こういうことでしょう。緊就事業というのは、大臣のことばにもあったようにわりあいに評判がいいのです。大臣自体もそう思っているでしょう。評判がいいのは何かといいますと、やはり地方があえて超過負担も甘んじてやっているということですよ。ですから事業ができていっているのですよ。たとえば簡易舗装道もどんどんできていっている。雨が降っても長ぐつをはいていかぬでも行けるような道になりつつある。これはいろいろな事業というのが進んでいっております。そういうことから、評判がいいのでありますから、労働省は逃げ腰でいる必要はないと思うのです。
もっとも労働省の考えている炭鉱離職者というのは、まず安定所等の窓口というものを通じて職業紹介のラインに乗せていく。その間の過渡的な措置としての炭鉱離職者の緊就事業だという考えを私は否定しているわけではないのですよ。それはけっこうなんです。けっこうなんですけれども、今日いろいろな事情においてそれが必ずしもスムーズにいっていないものですから、三十九年十二月というのを閣議決定で延ばしてきた。そうしてこれからもまた三年間延ばさなければいかぬということですよ。三年間延ばすということであるならば、これが最後の石炭対策だと言われておる今度の機会に、やはり九千人残っているのが六千五百人残るという計画でありますから二千五百人減っているのであります。私の理解が違っていると言うけれども、私の理解が違っているわけはないですよ、安定局長。九千人残っておったら二千五百人減るけれどもやはり六千五百人というのは残るという計画になっているんじゃないのですか。へたをすれば一割くらい誤差が起こるわけでありますから、七千人以上焦げつきもまだあるわけなんだから、やはりこの機会に、最後の石炭対策が講じられるこの段階において緊就事業というのは取り上げるべきではなかったか。もっとすっきりとした形で取り上げてもいいんじゃないか、あくまでも時限立法なんですから。そういうことを私は申し上げているのですよ。そのとき取り上げられて、そうしてその緊就事業というのは延期してきたわけです。今度どうして取り上げなかったか。これについては労働省が逃げ腰であって、これは私どもに納得できるような答弁はできないんじゃないかと思いますよ。このことは何べん聞いてももう同じことでありますから……。何か言うことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/38
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039・早川崇
○早川国務大臣 細谷さんのだんだんの御意見を拝聴してまいりますと、いわゆる緊就事業というものを何か失対事業のような消極的な事業と考えないで、もっと建設的な事業として内容を充実しろ、こういう御意見だと思うわけでございます。そういう関係で事業単価をだんだん二百円ずつ、ずっと上げていく。これはもうネセサリーイーブルだというようなうしろ向きではなくて、いい仕事をしているんだから少し内容を充実して、ついにほんとうの意味の建設事業みたいな姿に持っていけ。これは私は国としては非常に必要なことであると思います。そこで何でもそうなった場合に自治体というものが五分の一負担でいいかどうか。県あたりがほんとうに建設的な事業主体と考えるならば、国だけに負担というのもどうかという御意見も出てくるわけであります。今後の問題として、非常に評判のいい緊就事業でありますから、これがほんとうに建設的に、また住民の福祉につながるような事業主体になるような配慮につきましては、せっかくことし二十八億円も出している。来年もまたふえるわけでありますから、十分御趣旨に沿って来年度の問題として、期限がまいりますので、十分労働省といたしましても前向きに検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/39
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040・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、お断わりしておきますがね。私はこの緊就事業を戦前の線でやっていけということを言っているんじゃないですよ。何でもかんでも緊就事業というものを積極的に前向きでやれというようなことは言ってないですよ。現に積極的に安定所を通して職業紹介をやっていってもこういう人が残っているんだから、過渡的な措置ししてやっているこういう事業というものをやはり経済効果をあげるようにしなければならぬじゃないか。いままでの実績はやはり経済効果をあげてきた。したがって評判もいいんだから、評判のいい緊就事業というものはやはりこういう炭鉱離職者が緊急事業をやる限りにおいては経済効果をあげるように、もっと評判がよくなるように、未来永劫といっているわけじゃないですよ。時限立法の許す範囲内においておやりになることが妥当ではないか。そういう点については炭鉱の問題もきわめて不十分だ。しかも不認識もはなはだしいのは、超過負担が起こっておらぬなんということを労働省自体が理解しているなんということは、これはけしからぬ話だ。同時に第三度目の答申に基づいた抜本策が講ぜられるこの段階においては、やはり一つのポイントでございますから、この時期においてはワクも考えるべきであったじゃないかということをまた私は申し上げておるわけです。何でもかんでもこれを恒久的なものとして積極的にやれなんということを私は申し上げているわけじゃないのです。その点はひとつしっかり答弁をお願いしたいと思います。
この際はっきりしていただきたいのでありますが、四十三年の三月三十一日以降はむにゃむにゃと言っているのですが、どうなんですか、はっきりしてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/40
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041・早川崇
○早川国務大臣 常識的には御推察のとおりこれは閣議決定でどんどん延ばせるのです。ただお金を出す大蔵大臣のこともありますから、私から引き続き三年延ばすとか一年延ばすとか言えないだけでございまして、その辺のことはひとつ常識的にお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/41
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042・細谷治嘉
○細谷委員 これは閣議の決定でありますので、いずれ閣議の決定といたしましてされるでありましょうが、常識的に判断しろということでありますから、大臣の決意のほどは三カ年引き続いてやるということだと理解いたしましてこれ以上申し上げません。
法制局にお尋ねしたいのでありますが、この炭鉱離職者臨時措置法という法律がございまして、そうしてその第四条に「炭鉱離職者緊急就労対策事業」というものがあるわけなんですが、いまはこの法律は消えてしまっているらしいですね。いまはこの部分は消えてしまっている。そして三十九年一月二十一日の閣議決定に基づいて三十億になんなんとするこの緊就事業が行なわれておるわけでありますが、こういうやり方は正しいやり方でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/42
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043・真田秀夫
○真田政府委員 ただいま御指摘の四条の適用関係でございますけれども、これはこの法律の当初の附則の第十六条にこの旨の規定がございますので十分適法な措置でございます。そういうことが一体許されるかどうかという御質問でございましたけれども、それは事は実体の問題でございまして、そういう労働省の政策どおりに法律が書いてあるというだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/43
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044・細谷治嘉
○細谷委員 この炭鉱離職者臨時措置法第四条に、炭鉱離職者緊急就労対策事業費というものについての規定があって、それが三十八年の三月の改正で附則の十六条というのがついて、これは廃止されたわけですね。効力を失った。そこで三十九年の一月二十一日に閣議決定をいたしまして、「炭鉱離職者臨時措置法附則第十六条の規定により昭和三十九年十二月十八日以降法律の適用が受けられなくなる炭鉱離職者緊急就労対策事業の就労者については、これらの者の再就職の状況にかんがみ、同日以降昭和四十三年三月三十一日までの間に限り、予算措置によって、現行法の例により、なお引き続き炭鉱離職者緊急就労対策事業を実施するものとする。」こういうふうに書いて、いまは閣議了解事項によりまして緊就事業というのが行なわれておるわけですね。そしてこれが来年の三月三十一日までは続いていく、こういうかっこうになっておるわけでありますけれども、私はおかしいと思うのですよ。この法律は全然維持せられておらないですよ。附則の十六条で大切なやつはばっさり切っているわけですね。こんな法律のかっこう、よろしいでしょうか。財政法やなんかには、法律に基づかなければ支出ができないなんて書いてありませんけれども、ずいぶん——違法と申し上げておるわけじゃないですよ。しかし適当なやり方ではないということは少なくとも言えると思うのですよ。どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/44
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045・真田秀夫
○真田政府委員 御指摘の附則十六条の関係でございますけれども、この十六条のただし書きにごらんのとおりの規定がございまして、五年経過後は一定の関係においてのみ適用すると書いてございますので、もちろんいまおっしゃいましたような第四条の規定はもう適用がないというふうに言わざるを得ないわけでございますが、ただ四条が残っておるではないかというような御感覚かと存じますが、それは御指摘のとおりでございまして、もし理論的に申しますと、削ってもいいということに相なろうかと思いますが、この附則十六条ができましたときにはまだ四条は働く期間が残っておった関係で、こういうことに相なっているのだろうと思います。法令の形式の点について、それじゃもっとよく整備してはどうかという御意見でございますと、まことに反省すべき点があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 大体この附則の十六条なんて、これはあたりまえの人が読んだのではわからぬことですよ。大学の法科を出た人だってわからぬですよ。ましてやわれわれみたいなしろうとが読んだって、何が書いてあるか一向わからぬ。聞いてみてもわからぬというような附則の十六条の書き方——法律というのは国民のものであって、法制局や労働省のものじゃないわけですよ。そう思うのですよ。このあれが三十八年の三月でありますから、そのころまではまだ生きておったわけですから、第四条が残っておったのは妥当でありますけれども、この附則ができてから半年ばかりはまだこの四条は生きておったわけですからいいわけですが、それから炭鉱離職者臨時措置法というのは、毎国会のように法律案の改正が出ているのですよ。毎国会のように出ておりますよ、三十八年以降。そのとき修正も何もせぬでまたぞろ出てきたか、こういうことですよ。これはおかしくないですか。いま大臣は以心伝心、あとまた三年延ばすと言っておるのだから、ぴしゃっと法律を整理したらいかがですか。炭鉱離職者緊急就労事業というものはあるわけですから、同じように三年間延ばすわけですから、十六条なんというものは削ってしまって、あと整理してしまって、昭和四十六年三月三十一日までこの臨時措置法をやろうというのでありますから——法律法文を読んで、ただし書きとか附則で法律全文あるいは法律の重要な柱が消えてなくなるなんという、そういうかっこうの体裁におやめになったほうがいいかと思いますが、いかがですか。法制局と労働省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/46
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047・有馬元治
○有馬政府委員 現行の炭鉱離職者臨時措置法は、三十四年に制定されて、自来数次の改正を経て今日に至っておるわけでありますが、その間において一番大きな改正は、御承知のように三十七年の第一次調査団の答申に基づきまして現行の措置法の骨子が改正されたわけであります。その過程におきましていまの附則十六条の問題が出てきておるわけでございますが、私どももあとから読んでみますと非常にわかりにくいので、おそらく多賀谷委員長ぐらいしかよくわからないのではないかと思いますが、いろいろな経過がございまして——そこで要するに現在の緊就事業に就労しておられる方々は、三十七年の合理化以前の離職者を吸収しておる緊就事業でございまして、この四条にいう緊就事業ではないわけでございます。そこで四条に基づく緊就事業じゃなしに、閣議決定に基づいて、現在、従前の例にならって緊就事業を、閣議決定を根拠としながら踏襲しておるわけでございます。そこで三十七年以降に発生した離職者にはなぜ緊就事業をやらぬか、こういう理屈になるだろうと思いますが、そもそも三十七年の答申は先ほどから申し上げておりますとおり、事業吸収方式を改めて手帳方式によって広域職業紹介を含めて正常な雇用に紹介をしろ、こういうことが基本になっておりますので、その後の炭鉱離職者は全部手帳方式によって職業紹介方式によって、あるいは訓練を加味しながら再就職をはかってきておる、その実績が九三・二%、こういう実績に相なっておるわけでございます。私どもは、この離職者対策の基調を今日変える必要はない、今度の抜本策についてもその点については従前の考え方をそのまま踏襲いたしておりますので、この点を改正するつもりはないわけでございます。そこでいま残っておる三十七年以前の離職者を吸収しておる緊就事業の存続問題については、先ほど大臣が申し上げましたように、閣議決定の期限が来年の三月三十一日でまいりますので、その後どうするかということが問題なんですが、これは事実上打ち切るわけにはいくまい、こういうのがわれわれの現在の見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/47
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048・真田秀夫
○真田政府委員 十六条と四条との関係がかようになっておりますいきさつにつきましては、ただいま職安局長から御答弁があったとおりだと存じます。
附則十六条のただし書きによりまして四条の適用がなくなった現在においては、四条の規定を整理して削除してはどうかというようなことに相なろうかと思いますが、もちろん本質的には削除してしまってもいいものだと思います。ただ現在法律の制度としては四条は働いておりませんけれども、なお行政上閣議決定によってその例によるという制度を考えておりますので、その場合のよりどころと申しますか、指針と申しますか、そういう意味合いで残っておるものというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/48
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049・細谷治嘉
○細谷委員 私が言うのは三十八年の三月に十六条ができたわけですから、そのときはまだ四条が生きておったわけです。これが十二月に四条が死んだわけですよ。何が生きたかというと閣議決定が生きてきたわけですね。ところが、現実には緊急就労事業という四条に基づいたものは、吸収方式であろうと、同じ形でやっておるわけです。切れておらぬのです。内容も変わっているわけじゃない、性格も変わっているわけじゃないです。そういうことでありますから、それは三十九年の一月なら一月にやるとすれば、附則は生きてきたんだから、法律を整理して、第四条を削り取ってしまうというのが、あるいはそのときは妥当だったかもしれませんけれども、その後ずっと続いて今日まできているのですね。そして来年の三月にまた三年延長しようというのでありますから、四条が依然として生きているわけですから、附則で殺さないで、この附則をはずしちゃったらいいじゃないか。これが今日の実態でしょう。そういうふうに法律をやったほうが、法律としては明確じゃないか。何かえたいの知れない——えたいの知れないなんて失礼でありますが、閣議決定でありますけれども、こういう炭鉱離職者という一種のスペシヤルケースですよ。そういう特殊な場合においては、法律に基づいて事業をやり、法律に基づいて補助をやっていくというのがあたりまえのことなんですよ。でありますから、私は、いままでの経過からいって、炭鉱離職者というのは毎国会出てきたことでありますから、いまおっしゃったような形の修正なら過去にやれたことですよ、それもやらぬでおいて、これからまた三年延ばそうという時期に、こういう変な形で閣議決定というのをまた三年間延ばすというのはおかしいじゃないか、法律はぴしゃっとすべきじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。
法制局は何も主管省に牛耳られる必要ないですよ。法律というのはどういうていさいであるべきか。大体ただし書きで本文を抹殺しちゃうとか、附則で本法を抹殺しちゃうなんて、これはおかしいです。あくまでも附則とかただし書きというのは特殊な場合だ、法律はこういうふうな形であるべきだと私は思うのです。ですから、いまの答弁納得できぬのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/49
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050・真田秀夫
○真田政府委員 ただいま御指摘の点は立法政策の問題でございまして、法律の規定はやはりその政策を実現するために条文をつくるわけでございますので、政策にわたりましては労働省のほうからお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/50
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051・細谷治嘉
○細谷委員 私は立法技術上のことを尋ねておるわけですよ。閣議決定で政策として行なわれておるわけですから、法律の裏づけをしたらいいじゃないか、過去に裏づけしてあったし、現に四条も法律の中にあるわけですから、そうしたほうがいいじゃないか、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/51
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052・真田秀夫
○真田政府委員 第十六条のただし書きの読み方でございますけれども、部分的に効力を及ぼさないという関係に相なっておりますので、その部分につきましては閣議決定で就労事業をやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/52
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053・細谷治嘉
○細谷委員 第十六条の部分的なものというのですが、この緊急就労については四条の規定どうりやっているわけでしょう。何が根拠かというと閣議決定ですよ、法律の根拠じゃないでしょう。だから、法律で根拠を求めるように過去にやっておったんだから、現に同じような形でやって、これからまた三年間引き続いて延ばそうというのですから、法律を整理なさったほうがすっきりするんじゃないか、こう私は申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/53
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054・真田秀夫
○真田政府委員 十六条のただし書きの規定によりまして、適用のはずれた分について閣議決定で同じようなことをやっているではないか、したがいまして、それに見合う規定を法律上設けてはどうかという御趣旨だと承りましたので、その観点からお答えを申し上げますと、そういう四条方式の制度を法律として設けておくか、閣議決定でやるかということが、すなわち政策の問題である、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/54
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055・細谷治嘉
○細谷委員 法制局にお尋ねしますが、大体法律上——この場合もそうでありますけれども、沖縄等に百億くらいの金を出しているでしょう。あれは何の法律に基づいてやっているんですか。ああいうのが正しいと思うのですか。やはり法律に根拠を求めるのが妥当ですよ、原則ですよ。これはここに関係ないけれども、沖縄に補助金を六十億、百億近く出しているでしょう。何の法律か、閣議決定でしょう。国会は要らぬですよ。そんなことなら、予算さえ取っておけばいいということになる。やはり支出の根拠というものは法律に基づくというのが原則ですよ。いまそんな答弁を法制局から聞こうとは思わぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/55
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056・真田秀夫
○真田政府委員 沖縄援助の問題につきましては、財政法上予算に基づいて支出することができますので、しいて法律をつくる必要はないということでございます。
それから、ただいまの第四条の閣議決定の問題は、これは本来閣議決定でやってよろしいことでございまして、必ずしも法律の根拠を必要とする事項ではございません。法律の根拠を必要としない事項について、しいて法律をもって規定することにするかどうかということは、それは労働省の政策にわたることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/56
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057・細谷治嘉
○細谷委員 あまりくどくなりますけれども、さっき冒頭お尋ねしたときは——違法だと私は言っているんじゃないのですよ。四条を削除してないんだから、しかも、同じような形でやっているんだから、よりすっきりとした形は、附則で四条を消しているんじゃなくて、法律でぴしゃっとやった形で、閣議決定よりも、過去には法律根拠に基づいてやったわけですから、そういう形のほうがいいだろう。あなたも言っておったね。違法とかなんとかじゃないけれども、好ましい姿じゃない、よりいい姿というのは法律に書いたほうがいい、こういうあなたの冒頭のお答えがあった。私もそういう観点からものを申し上げているわけですよ。ですから、これ以上申し上げませんが、局長どうですか、またぞろ閣議決定で三年延ばすなんというそういうやり方でなくて、せっかく抹殺してないわけですから、しかも時限立法でしょう、ですから、もとの姿に返して、その間に緊就事業は四十六年になったらやめるという形に、そういう形にすっきりなさる御意思はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/57
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058・有馬元治
○有馬政府委員 現在の緊就事業は、三十九年の閣議決定に基づいておるわけでございますが、これは経過的に申しますと、いまの十六条の関係で、三十七年以前の離職者についての措置として閣議決定を根拠にやっておるだけでございまして、これは当時三十八年改正によりまして、事業吸収方式を手帳方式に改める、こういうことからそういう経過があったわけでございまして、閣議決定の根拠をさらに法律に根拠を新たにつくって、またもとの根拠を復活しろ、こういうふうな御意見のようでございますが、私はそれは政策的には、何といいますか、基調としては逆行していくんじゃないか。現実に、実際問題としては、現在も閣議決定でやっておりますので、わざわざ法律をまたいじらなくても閣議決定で踏襲できますので、そういう形で来年度以降は考えていくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/58
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059・細谷治嘉
○細谷委員 それじゃお尋ねしますが、有沢第二次答申の中に「緊急就労対策事業は、本来、離職者が安定職場を得るまでの応急的対策であるので、産炭地域振興事業の進展に応じ就労者の常用雇用への就職を促進して、既定方針どおりこれを漸減する。」既定方針というのは、これは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/59
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060・有馬元治
○有馬政府委員 既定方針どおりに漸減すると当時言っておる調査団の結論は、三十四年から始まったこの離職者対策措置法に基づく緊就事業は、そのときに手帳方式に切りかえられたわけでございますが、当時緊就事業としてはあくまでこれが安定職場ではない、応急的な臨時的な職場であるという意味において、漸次正常雇用へ復帰していただくという意味で漸減をするといいますか、減らしていく、将来は緊就事業を廃止してもよろしい、こういうことでこの事業自体を始めたわけでございますので、既定方針どおりに漸減をしていくということが当然のことではなかったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/60
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061・細谷治嘉
○細谷委員 既定方針というのは、手帳方式を厳守してやれという意味を含んでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/61
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062・有馬元治
○有馬政府委員 この答申は別の個所で手帳方式を新たに創設すべしということをうたっておりますので、自今新規の離職者については手帳方式による再就職を確保する、こういう考え方を貫いておりますから、勢い緊就事業の就労者としては、漸減をしていくということは当時のこの答申の時代からはっきりとわかっておったことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/62
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063・細谷治嘉
○細谷委員 しかしこの既定方針というのは、この「既定方針どおり」の中身は手帳方式だということを断定して言っておるわけじゃないでしょう。そうじゃないのですか。事業吸収方式という意味を持っているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/63
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064・有馬元治
○有馬政府委員 もともと当時の緊就事業といえども、ここへ固定するために事業を起こしたわけではございませんので、あくまで民間の正常雇用のほうへ再就職をさぜるという前提のもとに緊就事業を起こしておりますので、そういう意味ではもう漸減が当然だというふうに、事業の性質上そうなっておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/64
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065・細谷治嘉
○細谷委員 ぼくはこの答申の漸減というのは認めるのです。既定方針というのは、手帳方式だということをはっきり確認した上での既定方針なのか、そういう点を聞いているわけですよ。漸減するということを否定しているわけじゃないのですよ。言ってみますと「就職を促進して、既定方針どおり」というのは、別な意味でいえば手帳方式によりこれを漸減する、こういう内容なのかどうかということを聞いているわけです。そうじゃないだろうと私は思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/65
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066・有馬元治
○有馬政府委員 この答申を受けた現行法の八条の規定を見てみますと、三十七年の三月三十一日において云々というふうに、手帳の発給要件が掲げられております。したがってこの既定方針というのは緊就事業本来の性格からくる漸減でございまして、当時緊就に従事しておる者を新しくできた手帳に吸収するということではなかったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/66
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067・細谷治嘉
○細谷委員 私はこの既定方針というのはどういうことかといいますと、緊就事業に長くおらせないで、第一には職業紹介によって定職につかせる、そういう有澤調査団の方針ですね。それは労働省の方針でもあるわけです。そういうものによって緊就事業の就労者を逐次漸減していく、こういうことで言ったのであって、あなたは冒頭に既定方針とは手帳方式なのだと言うから、それは手帳方式によりこれを漸減するということはないじゃないですかと、こう私は言ったわけです。
それならば、労働省の考えというのは、やはり実情はどうあろうとも、どうしてもしゃにむに、緊急就労事業というのは第三次の答申だろうが何だろうがもういやなのだ、口ではなかなか評判がいいなんて言っておりますけれども、こんなものはやりたくないのだと逃げ腰で、そういう実態に即した対策というのを講じようという意思はないのだ、こういうふうにしか理解できないのです。
私が冒頭言ったように、最後の石炭対策といわれるこの国会、その中において離職者対策法が出るわけですから、法のていさいもまた、やるからにはその部分については前向きに、経済効果が上がるような体制でやっていくべきじゃないか、こういうことを私は主張しておるわけです。ですからあなたと見解が違うわけですけれども、法律もきちんと、閣議決定ではなくて、法律的な根拠を明らかにした形において緊就をやる。それを四十六年のこの三カ年延長という形でやるということにすべきだ、こう私は思っておるわけです。しかし、あなたのほうはしゃにむに変なかっこうだけれども、閣議決定でやるのは合法だからやるのだ、違法ではないのだ、こういうことと、緊就事業については前向きだという形容詞であって、ほんとうはもうやりたくないのだと、こういう態度としか理解できないのですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/67
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068・有馬元治
○有馬政府委員 これは私個人の見解ではなくて、第一次答申、第二次答申、それから今度の抜本策と、三つの段階を経て、それぞれの段階で、現行の緊就事業についてはいろいろと検討されたわけでございます。その結果、第一次答申の考え方をそのまま踏襲していって差しつかえない、こういうことが前提になって——何とも書いてありませんけれども、もしこれを再度、緊就事業を離職者対策に拡充すべしということで考え方を改めるとするならば、今度の抜本策の中に必ずうたい込まれたはずでございます。審議の過程におきましてはその点がいろいろ議論されたのでありますが、既定方針でよろしいとこういうことに相なっておりますので、私どもとしては、先ほど大臣が申し上げましたように、超過負担だとかあるいは事業効果だとかいうことは、存続さぜる以上考えなければいかぬと思いますけれども、これを離職者対策の柱に新しく復活させるということは、これは答申にもうたっておりませんし、それは従来どおりの方針でいくという考え方で答申ができておりますから、私どもとしてはそういう方針といいますか、考え方は採用できないというふうにお答え申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/68
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069・細谷治嘉
○細谷委員 ぼくはいまの答弁にはどうしても納得できないから、これは留保しておきます。
最後に、鎌田さんにちょっと聞きたいのだけれども、減収については、残りの五分の一については地方債または特別地方交付税で補てんしている現状である、こういうふうに労働省の資料はいっているのでありますけれども、地方債というのはどのくらい充当しているのですか。特別交付税というのはどのくらい補てんしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/69
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070・鎌田要人
○鎌田説明員 緊急就労対策事業につきましては、ただいまございましたように五分の四国庫補助、残りの五分の一が地元負担になるわけでございますが、そのうちの県分につきましては八割を地方債充当といたします。市町村は六割充当いたします。残りの府県にございましては二割、市町村につきましては四割というものを特別交付税で見る。そのほかに特交がいまの六割なり八割分の、元利償還分の二割八分五里になりますかをあわせてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/70
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071・細谷治嘉
○細谷委員 そうしますと、あなたのほうも言っているんだけれども、超過負担が相当ありますね。この超過負担というのは四十二年度は単独事業について相当見る、起債の充当率を上げるということだが、超過負担というのは地方債で必然的に起こっているわけだから、この辺の起債を見てやる意思はありますか。これは労働省は補助事業であって超過負担はないといっているんだから、あなたのほうの単独事業として見なければいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/71
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072・鎌田要人
○鎌田説明員 超過負担の点につきましては、労働省のほうの御認識と私のほうの認識とに若干の差異がございます。それからその超過負担とされるものの中を洗い分けまして、真に超過負担——真に超過負担というのはちょっと妙な表現でございますが、間違いなしに超過負担である分につきましては、これは労働省、大蔵省で超過負担の解消の努力をしていただかなければならないと思います。それを起債で見る、こういうことになりますと超過負担の解消というのはいつまでたってもできない、こういうような問題に相なるわけでございます。その分はやはり本来の筋道で解決をしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/72
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073・細谷治嘉
○細谷委員 労働省はひとつ詰めてくれませんか。これは鎌田さんもあなたの前で遠慮して言っているのですよ。これはもう盆暮れの手当てとか賃金の面じゃないです。この超過負担というのはたいへんな負担になっているわけですね。ですから詰めてください。これは大蔵省も加えて。補助事業という形でこれほどの超担負担があるのに、自治省としてはほんとうの単独事業として起債を充当してやるにしてもやれないわけだ。あなたのほうは断固もの超過負担がないんだというわけであれば、これは単独事業という形が自治省に考えられるというのです。自治省のほうはあなたのほうになすりつけているのですよ。超過負担の問題で若干の考えの違いがございます。若干の違いじゃないですよ。根本的に一方はありませんという、一方はあるはずだ、あるはずである以上はこれは補助事業なのだから、そっちのほうに詰めてください、これは逃げているわけだ。だから地方団体は迷惑な話で、どこへなすりつけていいかわからないわけです。区切りをつけてください。あなたのほうはないというなら、単独事業ですから単独事業として何らか考えてもらわなければ、このような重要な段階の石炭政策ですから、いずれひとつ早く結論を出していただいて結論を聞かせていただきたい。待っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/73
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074・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/74
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075・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど来の質問に対する答弁を聞いておりますと、石炭対策の抜本対策が打ち出されて一応昭和四十五年度で自立安定をしていく、したがって石炭特別会計も昭和四十五年あるいはまた今回の期限の延長についても四十五年ということになっているわけです。しかし今回行なわれる合理化閉山あるいはまた合理化による炭鉱離職者、これに対する対策はその後長い時間をかけて進められ、なおかつ高年齢層を中心にして離職者というものが滞留している、こういう経過をたどっているわけです。ですから今年三百三十万トン閉山をする、年次計画で閉山は組まれているのです。さらにまた条件悪化等においてどうしても炭鉱経営が困難であるという場合には、そこにまた失業者が発生をしてくるわけです。ですから石炭自立安定のめどである昭和四十五年、それに対して労働省のほうも、炭鉱離職者対策もドンピシャリ合わせて四十五年という考え方はおかしいではないか。むしろ一、二年必ずあとに離職者の措置についてはその対策を進められるのがいままでの経過でもあるわけです。機械的に昭和四十五年というぐあいに合わせているのはどうもその間の炭鉱離職者に対する認識がずいぶんあまいのではないか、こう考えるわけですが、この点の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/75
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076・有馬元治
○有馬政府委員 離職者対策は通産がやっております合理化対策とうらはらの関係でございますので、一応期限はうらはらの関係で四十五年三月末日というふうにいたしておりますが、これで予定どおりに再建ができれば、あとは御指摘のように若干の経過措置だけが必要になると思います。したがってその時点において必要な経過措置は立法的に、法律的に講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/76
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077・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭特別会計の審査の場合でも意見を述べておいたのですが、通産省はとにかく昭和四十五年度までに答申に基づいて実施しようという方針で進んでおりますけれども、現実の石炭企業の実態、また昭和四十五年後を展望してまいりますと、私は必ず合理化をさらに余議なくされる、あるいはまた閉山の予定はないけれども閉山せざるを得ないという、そういう事態が必ず起きてくると想定をするわけです。ですからいま有馬局長は一応通産省の示している合理化政策、こういうものに基づいてあとはその時点で残った部面について経過措置として処理をされる、こう言いますけれども、私はそう簡単に、単なる経過措置という面だけで処理することは非常にむずかしいのではないか、そういう意味では四十五年に限っておりますけれども、合理化政策によって出てくる炭鉱離職者については最後まで示している離職者対策の諸施策をもって解決をするのだ、一年かかるか二年かかるか、あるいは場合によって新たな合理化が起きればさらにその時期が延長される場合もあると思うのですが、それに対しては確たる自信を持って、この対策は万全にします、こういう確信を持っていま答弁をされておるのかどうか、伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/77
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078・有馬元治
○有馬政府委員 今回の第三次答申が抜本策と銘打っておりますので、これがさらに四十五年を越えて、いまの段階で、延びるとかなんとかいうようなことは、私どもとしては一応想定いたしてないのでございますが、かりに合理化対策がさらに延長になる、あるいは新しい合理化対策を必要とするという段階になりましたら、これは当然離職者対策も、これとうらはらの関係において、さらに延長なり、あるいは新しい離職者対策を講ずる。もし予定どおりに四十五年で終わりになった場合といえども、離職者対策については、暫定的な経過措置が要るということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/78
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079・岡田利春
○岡田(利)委員 抜本策でも、最近ろいろありまして、抜本策という名前を使っても、解決策のない抜本策というのもあるようですが、実は私はどうもそういう気がしてならないわけです。
次に、この法改正に附則2が新たにつけ加えられたわけですが、これをはずしたらどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/79
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080・有馬元治
○有馬政府委員 現在の法律につきましては、手帳の保持者は、三年間、期間満了までは有効であるという措置が講ぜられておりますので、四十五年の三月末ということで、機械的にかりにいったとしても、そういう救済規定はあるわけです。そこで、四十五年でうまくいくかいかぬかという問題は、これまた別の問題じゃないかと思います。
附則の2は、今度の改正が加えられるわけでございますので、当然書いておかなければならぬ、当然のことを書いただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/80
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081・岡田利春
○岡田(利)委員 これを書かなければどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/81
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082・有馬元治
○有馬政府委員 書かないと、ちょっとおかしくなるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/82
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083・岡田利春
○岡田(利)委員 本文で五百七十円を、今度六百十円ですか、上げるわけですから、したがって、今国会のように、不意に衆議院の解散が行なわれて、特別国会の開催というのは、毎年度で見れば、非常にアブノーマルなわけなんです。しかも、石炭対策については答申がなされ、それに基づいて離職者対策、こういうものが法改正となって出てきているわけですよ。特殊な国会であるわけですね。アブノーマルなるがゆえに、これを書かなければいいんじゃないですか。四月一日に遡及すればいいじゃないですか。補正予算についても、予算はそのように計上されているわけですから、その差額を出せばいいじゃないですか。普通の正常な場合は、われわれとしてもあまり目くじらは立てたくないと思いますが、特別国会というのは、非常に正常性を欠く状態で、国会で法案の審議が行なわれるわけなんです。そういう意味で、何も附則につけ加える必要はないじゃないか、こういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/83
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084・有馬元治
○有馬政府委員 これは現行の五百七十円を六百十円に改定をするわけですが、それは法律が施行になった日から改定をしようという考え方でできておりますが、それを四月一日なら四月一日まで遡及しろという御意見だと思いますけれども、私どもは、いままでの事例から見ましても、社会保障的な給付については、こういった遡及適用なり、あるいはバックペイみたいなことはやっておりませんので、今回も、その慣例に従って、法律施行の日から値上げをするということでいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/84
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085・岡田利春
○岡田(利)委員 ですから、従来であれば、年内もしくは一月当初に予算がつくられ、それが国会に付託になり、それに基づく関係法案の改正についても付託になるわけです。しかし、今国会というものは、石炭答申が出されて一年間こういう政策を具体化しないで、推移してきた。しかも、その間に自民党佐藤内閣の国会解散によって、選挙が行なわれてきた。そうして特別国会の中で予算が審議され、暫定予算が二カ月に限って決定をされ、いま本格予算が参議院を通過、成立する状態になりつつある。しかも、その政策というものは一年前に出ておるわけです。ですから、そういう状態で開かれておるこの特別国会の審議状況から考えるならば、特例ということもあるわけですから、むしろその附則は四月一日から実施をする、こうして何ら差しつかえないと思うのですが、こだわる必要はないのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/85
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086・有馬元治
○有馬政府委員 私どもも、この法案を三月に提出いたしまして、できれば、四月一日からと、こういう問題が予想されましたので、そういう尽力もいたしたのでございますが、なかなか国会の御都合で今日までになっておりますので、やはり法律が成立いたしましてから、成規に値上げをするというふうにしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/86
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087・岡田利春
○岡田(利)委員 三月に出して、衆議院で審査をし、参議院で審査をして、四月一日から実施できるようにということを考えること自体がおかしいじゃないですか。正常の場合は、当然先に急がれて、予算提出と同時に出されたんだと思うのです。そうしますと、これは間に合いますよ。それを労働省は三月に法案を出して、何か四月一日までに上げないほうがむしろ悪いような印象を受ける発言は、納得できないわけです。ですから、そういうアブノーマルな状態に国会の開会の時期というものはあるわけですから、したがって、石炭抜本策がせっかく出て、総体の政策を今国会を通じて進めていき、そうして四十五年度には石炭産業というようなものを安定させようと政府は考えておるわけです。だから、今回の場合に限って、この点については四月一日に遡及することについてそうこだわらなくともいいんです、予算もついているわけですから、それはどうですか。大臣と相談されて、検討されてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/87
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088・有馬元治
○有馬政府委員 この促進手当の金額というものは、先ほども申しましたが、法律で明記してある例外中の例外的な規定でございます。したがって、これを政令に委任していただいて、今後時宜に適する措置をとりたい、そういうことを含めて考えておるわけでございます。
私どもとしては、この促進手当の日額が三十八年当時もみにもんでできた現行法でございますので、国会の御意思を最大限に尊重して、法律が成立してから着実に実行をしてまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/88
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089・岡田利春
○岡田(利)委員 国会の意思を尊重する、もちろん当然のことでございます。ただ私は、せっかく抜本策といわれる石炭答申が行なわれ、その中において一連の炭鉱離職者の政策も答申され、それに付随して現在の社会経済情勢に見合ったそれぞれの改正が行なわれるということなんですから、そういう意味で法案は上げなければなりませんが、もう一度最終的にこの面について、きょう大臣おりません、政務次官ですけれども、ひとつ検討してもらいたい。そして、その答弁を聞いた上で、この法案についてどうするかという措置をきめたいと思います。その点特に要望しておきたいと思います。
炭鉱は去っていくのも地獄だけれども残るのも地獄だ、こういうことばを述べた人がございます。離職者対策をさらに具体的に進めてまいらなければなりませんが、いま炭鉱に残っている労働者は一体どういう状態で働いているのか。石炭企業安定という名目で合理化が鋭角的に進められている。そして採算ベースというものを常に考えなければならない。だから、労働時間というものが、基準外労働というものが延長されていく、あるいは休みと定められている公休日、これらについても、保安出炭もしくは正規の採炭ということで、休日出勤が行なわれている、私はこういう傾向にあると思うのです。したがって、いまの炭鉱労働者の労働時間、特に基準外の状況、大手、中小を別にして、一体どういう実情であると把握されておるか説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/89
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090・村上茂利
○村上(茂)政府委員 非常に広範な御質問のようにも理解されるのでございますが、問題は労働時間を中心にしぼってのお説のように理解いたしまして御答弁申し上げたいと思います。
労働時間の最近の傾向を見ますると、石炭鉱業におきましては若干増加の傾向にございます。毎月勤労統計によりまして申し上げますと、三十八年におきましては平均して月間一九〇・九、三十九年におきましては一九三・一、四十年は一九一・一でございましたが、四十一年は一九五・〇時間になっておりまして、一日平均約九時間、こういうことになっております。これは坑内夫についての傾向でありますが、ただ私のほうは、こういった労働時間一般ということだけではなくして、労働基準法違反の事実はないかという観点から、石炭鉱業の労働時間については特別に力を入れて従来監督指導してまいったところでございます。特に三十九年の秋ごろから、炭鉱災害の問題と関連いたしまして、炭鉱災害の発生については長時間労働に基づく労働者の疲労などがあるのではないか、こういうような観点から、特に直接夫の連勤といったような法違反については厳重にこれを是正する、こういう立場から、石炭協議会などとも連絡を密にいたしまして、計画的にそういった長時間労働の是正方を実施してきたわけであります。三段階に分けまして逐次監督指導いたしてまいった結果、直接夫の連勤等につきましては大手、中小とも非常に減ってまいりました。間接夫につきましては、人手不足等の関係もありましてまだ若干の違反がございますのは遺憾でございますけれども、数年前と比較いたしますと、労働基準法違反は非常に目立って是正されたというふうに私どもは感じておる次第でございます。そのようなことで一般的には労働時間がやや長くなっておりますが、一方労働基準法違反につきましては厳格に監督をいたしまして是正してきたというのが最近までの姿でございます。しこうしてその面が一面においてはいわゆる出炭率の上昇となってあらわれており、従来、一般産業に比しまして炭鉱労働者の月間稼働率というのは非常に低うございました。それが最近だんだん高まってきた、一方においては法違反が少なくなった、こういうことでございまして、連勤はやめよう、そうして出勤は確実にやろう、こういう傾向が助長されておるように私ども見ておりました。その点は改善のあとがあるという理解を私どもは持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/90
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091・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、若干の基準法違反という面はあるけれども、一応現行法の範囲内において炭鉱労働者は、いわゆる労働時間の面から見ればよく働いている、こうなると思うのですが、そういう認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/91
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092・村上茂利
○村上(茂)政府委員 よく働いておるという度合いはちょっと法律問題でございませんので、私どもも何とも申し上げかねておるのでございますが、それよりも最近一人当たりの出炭率などを見ましても非常に伸びてきておるわけでありますから、客観的に見ましたならば非常によく成績をあげてきておる、こういうことは言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/92
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093・岡田利春
○岡田(利)委員 普通、一般労働協約の場合には、炭鉱労使で一時間の昼食時間というものが設定されているわけです。しかし出来高払い制の場合にはほとんどめしを食う時間だけであとは働いている——賃金の関係が出てまいりますから。そういう労働実態が今日の炭鉱労働者の状況ではないか。もちろん出来高払い制でない現場については、たとえば一時間であるけれども、これを三十分ないし二十分にして、あとの時間は買い上げて実際労働している、こういう実情にあると私は認識をしているわけです。それは一般的であると認識をいたしておるわけです。基準局のほうではそういう点についてはどう理解をしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/93
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094・村上茂利
○村上(茂)政府委員 ただ、先生御承知のように、坑内の場合には労働時間の計算につきましても基準法上三十八条の特例があるわけでございます。休憩時間を含めて計算する、こういうことになっておるわけでありますから、この基準法の関係からは格別問題はないと思いますけれども、ただお説のように、きめられた休憩が十分とれないといったようなことにつきましては、労働協約なり何なりで定めがある場合には、そういった関係から問題になろうかと思うわけであります。一般的に申しまして休憩時間というものはやはり労働者にとって必要な時間でございますから、食事その他適正な目的のための休憩時間、これが必要であることは申すまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/94
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095・岡田利春
○岡田(利)委員 最近非常に話題になっております地下労働における、一言で言えば連続操業という問題です。これは一日九時間三十六分ですか、働いて、一週は四十八時間である。ですから原則として一週間で二日休むわけですね。こういう問題が非常に注目をいま浴びているわけです。私はこれが労使間で取り上げられて具体化されていく場合には、相当の炭鉱にこういう制度というものが取り入れられていくのではなかろうか、こう見ているわけです。普通、地下労働と地上の労働の場合の相違というものは、法律でもそういう立場でいろいろ規定が違うわけですから、地下労働なるがゆえに、特に炭鉱災害が多いという現状の中で、この問題を重要視しなければならないと思うわけです。したがって、この制度は、まず法律的に問題はないのか。
それから、現在の炭鉱労働者の雇用の安定という面から考えて、安全の問題は鉱山保安局が所管でありますが、鉱山保安という見地から見て、こういう勤務状態というのは問題がないのか、こういう点についてそれぞれの立場から見解をお聞かせ願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/95
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096・村上茂利
○村上(茂)政府委員 炭鉱における労働時間につきましては、これも先生御承知のように八時間、それ以上延長するには、延長の限界は二時間、しかも協定が要るわけであります。ただ、鉱山それぞれによりまして条件が違いますから、一口に労働時間と申しましても、その労働の密度がどうかということになりますれば、御承知のように、切り羽までの距離とか、その他によりましてかなり違ってこようかと思います。したがいまして、労働時間の中における労働態様というものについては、法律も触れておりませんし、私どももかれこれ申す筋合いでないと思いますが、ただ一日九時間三十六分働かして、一週間に二回休みをとらすといったような制度はもちろん協定をまって初めて法律上可能なわけでございますから、いま私がここでかれこれ申し上げますよりも、そういった協定が締結されれば労働基準法上は可能になるということであり、一、二例を聞いておりますが、かなり慎重に労使がお話し合いをなさっておるという情報も耳にいたしておるような次第でございます。したがって、まだ協定も締結されておりませんし、それが実施されておるわけじゃありませんから、基準法違反かどうかというような判断はいま下すことができないわけであります。しかし、山それぞれの条件がございますので、最も合理的な——最も合理的なという意味は、労働者の労働力の使用、労働力の保全という観点から見ましても、合理的であるといった観点から、いろいろ配慮がなされるべきものというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/96
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097・中川理一郎
○中川(理)政府委員 いま岡田先生おっしゃいましたような動きがちらほら出ておるということも承知しております。またそういうことがあるせいでもございましょうか、ごく最近開きました中央協議会でも労働時間という問題を少し取り上げてみたらどうであろうかという意見も一部委員からは出されております。たいへん迂遠なようなことを申しあげるようで恐縮でございますけれども、私どもも私どもなりに、いままでいろいろやってまいりましたけれども、たいへん残念ながら炭鉱の災害必ずしも絶滅できない状態になっております。迂遠なようでございますけれども、やはり予防という観点で、法律的にやりますためには、従来の災害の要因の分析ということを、じみではございますが、やはりやっていかなければいかぬのじゃなかろうか、こういう角度で、かなり技術的な問題も、いまガス突出、自然発火が頻発しているような事態が起こっておりますので、自然発火の状況をも踏まえまして、科学的、技術的な検討を突っ込んで始めておりますと同時に、いまおっしゃいましたような労働時間の問題、あるいは年齢構成の変化等の問題、あるいはまた頻発災害がよくございますような、ごく特定の人が非常に繰り返しエラーを起こしやすいというような問題、こういう問題を総合的にひとつ勉強していきたい、こう考えておるわけでございます。ただ何せ、性質上こうすればこうなるということが定量的に出てくるわけでもございませんけれども、どの程度のファクターだと考えるべきかということについては、いろいろ議論のあるところだと思います。これは幸い私どものほうも、中央協議会というところで、それぞれ専門の方々も網羅しておりますし、もし不足がございましたならば、いまの労働時間というような問題になりますと、医学的の問題も入ってまいりますので、特別の方に御委嘱申し上げるということもさらに考えて、全体的な問題として、ひとつ検討してまいりたい、こう考えております。
基準法その他の関係のことは、いま労働省からお話がございましたようなことだと私どもも承知しております。基準法の法律関係、あるいは労使の協定関係というものは、私どもの直接の担当ではございませんので、災害防止ということで、要因の一つということで、今後できれば勉強をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/97
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098・岡田利春
○岡田(利)委員 いま、都市の過密化の問題で、非常に通勤時間が長くかかります。遠いところは往復二時間も三時間もかかるというために、事務所に来たら非常に疲れて仕事ができない。だから、むしろ時間を延ばして働いて、二日休んだほうが能率があがるのではないか、こういう問題がずいぶん議論として出ているわけです。しかし、炭鉱の場合は、坑内の往復時間も拘束時間に入るわけですね。都市の場合には、通勤時間というのは別ですが、しかし、炭鉱の場合には坑口から坑口まで八時間ですから、これは当然拘束時間内に入るわけです。したがって、連操方式で九時間三十六分働くということは、実労働時間というものを高めるというところにねらいがあるのですね。したがって、一日の往復時間が三時間かかるとすれば、あとの六時間が実労働時間になる。一日の八時間というものはすべて実労働になる。こういう意味で連操方式で一日九時間三十六分働く、拘束をする、こういう考え方が生まれてくるわけです。ちょうど都市の問題とは別なわけですね。したがって、労働密度というものは高まってくることは間違いがないわけです。一日当たりで見ると、一時間三十六分というのは、完全実労働として、いままでの八時間の労働に追加される、こういう内容のものだと思うのです。しかし、炭鉱の労働実情から見れば、もちろんこれは基準法違反ということはしないようにするでしょうから、何か保安上突発的なことであるというようなことで、依然として、やはり残業が行なわれないでサイクルが円滑にいくということは非常にむずかしいと私は思うのです。ここにまた、この連操方式による作業態様をとれば非常に問題点が出てくるのではないか。しかし、それは保安上やらなければならぬ緊急の仕事であるということになれば、二時間をこえても残業はできるわけですから、そういう点で一日の労働密度というものが非常に高まるのではないか、それからくる保安上の問題、こういう点を慎重に扱わなければいかぬのではないか。こういう意味では、労働省と、通産省鉱山保安局、この面で、これらの問題が出た場合には、相互に十分連絡をとって対策を立てるべきではないか。これが一つのケースになると、いろいろ日本の各炭鉱で行なわれる可能性が非常に強いわけです。なぜかなれば、相当古い炭鉱ばかりですから、切り羽までの時間というものは当然逐年延びてまいるわけです。そうすると、実労働時間を高めるという意味でこういう連操方式というものが採用される、各企業でどんどん取り入れられていくということが予見されるものですから、特にこの石炭産業がいま重要な政治の課題になっている場合に、この問題の扱いというのは、慎重にそういう連絡をして対処すべきではないか、こう思うのですが、この点の見解を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/98
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099・村上茂利
○村上(茂)政府委員 非常にむずかしい問題を含んでおりまして、先生御承知のように、労働時間の考え方も、一日単位と一週単位の二つの面があるわけでございます。特に労働者の疲労という面を考えた場合に、一日をとらえるか、一週間全体をとらえるのか、これはいろいろ見方があろうかと思います。しこうして、交代制の場合におきましても、一般的には三組の三交代制よりも四組の交代制のほうが疲労度が少ないといわれております。しかし、それを一日単位にとれば、先生御指摘のように、労働時間が長くなるわけですから、疲労が多くなる。しかし週二日休みだということで、週全体をとらえてみれば、肉体的にも精神的にも、影響というものはプラスの面もあるということで、総合的に判断せざるを得ないというふうに私どもは考えておるわけであります。非常にむずかしい問題でございます。しかし、お説のように、私どもも非常な関心を持ってこの制度をいま見守っておるところでございまして、これが労働基準法違反といったような形で問題が起こらぬように、現段階におきましても十分注意を払っておるところでございます。しこうして、具体的なことは私どもより当該、山の労働者がよく承知をしておるわけでございますから、労使の交渉の過程におきまして、合理的な観点からそれぞれ話し合いが進められることを、私ども心から期待をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/99
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100・岡田利春
○岡田(利)委員 この際、せっかく保安局から来ておりますから、一つ聞いておきたいのですが、保安法の改正に伴って、三池災害を契機にして、保安監督補佐員制度が生まれたわけです。これは保安技術職員の体系の中に完全に組み込まれているわけです。しかも労働者側の推薦に基づいて保安監督補佐員制度ができたわけです。保安員の場合には、委員会に出て、諮問事項について意見を述べるということですから、原則としてはそれぞれの職場におるということになるわけですが、たまたまこの制度ができて、労働者側が推薦をし、保安監督補佐員に選任をされる。保安監督補佐員という身分は、監督員を補佐するわけですから、そういたしますと監督員というのは保安管理者と対等の者がなるべきであるという行政指導が行なわれているわけです。そういう理由からいいますと、監督補佐員というのは、その保安管理と対等な監督員を補佐する立場にあるわけです。であれば、当然この補佐員の待遇の問題は、それに見合った待遇というものがなされなければいかぬのじゃなかろうか、こう考えるわけです。たとえば、西ドイツのように経営参加で、経営組織法で、労働者側から推薦された重役に選任される。その労働者側から推薦された重役は、他の重役と同じように重役報酬が与えられるわけです。鉱山保安法の中に組み込まれておる監督補佐員なんですから、当然その待遇についても、監督員に準ずる待遇というものがなされてしかるべきだと思うわけです。この点が、制度をつくってもこの面はそのまま検討されないで、ほぼ私の調べたところでは、その選ばれた人間が選任される前の職場の賃金が払われている。採炭であれば採炭、あるいは、悪いことばでいえば、坑内雑夫から来れば雑夫の賃金。これでは保安法の体系から見てもおかしいではないか。資格は最低坑内係、保安職員の資格がなければいかぬわけです。選任は鉱業権者がするわけですから、この点は私は抜けていると思うのです。少なくとも諸外国のように、労働員あるいは労働監督員とか、いろいろ名称は違いますけれども、そういう場合のように、経営体系に組み込まれている部面についてはその待遇がなされてしかるべきだというのが原則でなければおかしいのではないかと思うわけです。この点の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/100
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101・中川理一郎
○中川(理)政府委員 ただいま岡田先生からお話しございましたように、三十九年の末に保安法を改正いたしましたときに、鉱山側の管理機構についてたいへん根本的な改革をいたしたのでございます。保安統括者から一連の係員に至るまでの一定の資格要件の備わった方々を、ことばはあるいは適切でないかもしれませんが、かりに保安についての執行機関だと考えますと、いまお話のございました監督員及びそれの補佐員と申しますのものは、それに対する一つのチェック機関であろうかと思います。そのほかにもう一つ、保安委員会という二者構成による総合的な調査審議、勧告をいたす機関をつくるということでいま動いておるわけでございます。動き始めましてから約二年間でございまして、私も先生御承知のように、就任しまして日が浅うございますので、ほかからの話を聞いて申し上げるということでございますが、監督員制度等のほうも、鉱山によって多少の差はございますけれども、いいところではたいへんな成績をおさめておる。むしろ劣っておるところにいいほうの運用状態というものをよく見習ってほしい。全体としてこの制度はよかったのではなかろうかという評価に相なっておるようでございます。そこで私どもの立場は、鉱山内における、いまの統括者から係員に至る一連の系列、監督員と補佐員、それから委員会という三つを柱にいたしておりまして、こういう機構で山の保安の確保をはかってもらいたいということを、法律的に強制しておるわけでございますが、それらの方々の身分的な取り扱いと申しますか、待遇的な取り扱いということについては、特に研究はいたしておらないわけでございます。
そういうことで法律的にどうこうということではございませんが、執行機関のやっておることを内部的にチェックして、アドバイスをしていくという立場でございますので、これは私どもの会計の仕事でいえば、会計検査院みたいな仕事だとも言えないこともありませんし、あるいは行政管理庁みたいな仕事だということも言えないこともないという性格であろうと思います。それにふさわしい人選が必要である。特に法律の中で、わざわざ補佐員のうち一人は、鉱山労働者の過半数の人の推薦をもって充てなければならぬというふうにきめておるのはその趣旨でございます。それらの身分上のと申しますか、待遇上の取り扱いをどうするかということは、どちらかといいますと鉱山側で自主的に考えていただくべきもの、そういうふうに考えておりまして、実際問題として監督員なり監督員補佐の仕事というものが、いま私どもが申しましたように、大方の評価を得て、非常に大切な職務だということが漸次認識されるに至りますならば、それにふさわしい待遇というようなことも当然に鉱山側で自主的に考えられるのじゃなかろうか。私ども鉱山保安という立場でものを考えておりますので、たとえば労使間の賃金というような問題にあまり深入りすること、関係することは、保安の中立性を貫くと申しますか、そういう角度からなるべく差し控えたいという感じでおりますので、全体としてこの制度がうまく働くようになってくれば、いま先生御指摘のような問題も、事実上解決していくのではなかろうか、こういう角度でむしろ運用の適正化、普及の徹底ということを保安局としては考えるべきじゃなかろうか。やや個人的な意見でもありますが、私はそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/101
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102・岡田利春
○岡田(利)委員 これは局長、ひとつ十分検討てもらいたい。もう二年も経過しておるわけですから、このいきさつは、労働者側推薦の保安監督員をつくろう、それが問題になって、副保安監督員だ、それがまたそれぞれ関係の中で問題になって、なくなった川原局長時代に編み出して監督補佐員ということになったのです。そうしますと、別な監督補佐員もおる、このほうは高級技術者であって、賃金が非常に高い。労働者側が推薦して、選任者が同じなのにかかわらず賃金が低い。これではやはり監督補佐員としての立場を守り職務を遂行するという面で問題点があるのではないか、法律上問題がなくても。大体諸外国の場合には、法律できめた選任をした場合にはそれにふさわしい待遇をするというのが原則だと思うのです。私はそういう点において、この問題はひとつ十分検討されて、二年もたっておりますから、総括的にこの面についても、好ましい状態、あるべき姿という点について指導すべきではないか、こういう意見を持っておりますので、この点十分検討していただきたいと思います。
次に、通産省来ておりますから、ちょっと聞いておきたいのですが、いまの請負組夫ですね、請負組夫というのはこれからさらに急激に減る見通しがあるかどうか。今日それぞれ施業案が出され、再建計画というものが示されて、掘進の展開や坑道展開についてはいろいろ詳しくデータが出されておると思うわけです。そういう意味で、企業工事、政令で定められている面については請負組夫を使わざるを得ないわけであります。この数字が急激に減ると思われるか、やや漸増、横ばいの傾向にあると考えられるか、見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/102
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103・村松寿
○村松説明員 お答え申し上げます。
先生お話しのとおり、組夫につきましては、石炭局といたしましては、できるだけ常用労務者のほうに回っていただくというのが本旨でございまして実は今般坑内労働者につきまして年金制度を設けるということもその趣旨のあらわれであるわけでございます。御指摘の組夫が将来どうなるかというふうな御質問でございますが、これにつきましては現在早急にこれが急激に数字が下がる、こういうふうな見通しはございませんで、この二、三年、当分はやはり横ばいの形でいかざるを得ないのではないか、こういう見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/103
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104・岡田利春
○岡田(利)委員 大体現在の請負組夫というのはやや漸減する可能性はありますけれども、ほぼ横ばい状態でいく、私はこう見ているのです。ですから、現在の組夫程度はどうしてもこれからの炭鉱経営に必要だ。しかもこれはすべて基準に基づいて保安局に届け出をし認可をされておるわけです。ですから炭鉱労働者の中にこの請負組夫というものが入り、重要な役割りを現在しておるわけですね。企業構造の展開というものはほぼ組夫の手によって進められておる。中小炭鉱のような場合には経営をささえる大きなにない手にもなっておるということが私は偽らざる実態だと思うわけであります。したがって請負組夫は、そういう意味において、労働条件その他についてずいぶんアンバランスがあるわけなんですが、ただ法律違反という立場だけでなしに、この労働力の確保ということは、直轄従業員ですらもなかなか確保が困難でありますから、請負組夫の確保も当然困難になるのです。そういう意味で、請負組夫がなくなることが望ましいのですが、現実の問題としては長期的にこの労働力は確保しなければならない、こう思いますので、特に請負組夫のそういう実情から考えて、労働条件の改善、そういうものを通じてある一定の組夫労働力を確保するということを、やはり労働省としても考えていかなければならぬのではないか。そうしてできるだけ直轄にできるものは直轄に切りかえていくというのが原則でありますけれども、なかなか一ぺんにはまいりませんから、そういう点で請負組夫に対する施策というものも考えるべきではないか。こう思うのですが、この点についての見解を聞きたいと思います。もちろん答申は漸次漸減をしてなくなることが望ましいという方向を示しておりますけれども、現実はある一定期間どうしても請負組夫が残りますので、この面についての見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/104
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105・有馬元治
○有馬政府委員 組夫の問題は非常にいろいろな問題があるわけでございますけれども、従来からの答申の線もございまして、規制については十分監督指導を加えていきながら、現実に一万八千人にのぼる組夫がございますので、この方々の労働条件の改善、あるいは安全の確保ということ、あるいは今後組夫についても必要な面については労働者を確保していくという先生の御指摘でございますが、これはわれわれも全くそういう方針で対処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/105
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106・岡田利春
○岡田(利)委員 現在の炭鉱労働者の賃金の問題ですけれども、最近の資料で、若干数字は違うかもしれませんが、全国平均で見て、基準賃金が大体大手は二万五千円から二万七千円くらい、中小の場合には二万三千円くらい、基準外が、大手は一万一千五百円前後、中小の場合には七千五百円程度、その他給与が大手七千円程度、中小四千円程度ございますから、すべて含めて大手の場合には四万五千円、中小は三万四千円程度、こう私は理解をしておるわけです。大体そういう炭鉱労働者の賃金の実態については間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/106
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107・村上茂利
○村上(茂)政府委員 ただいま中小、大手別の資料はございませんけれども、労働省が実施いたしております毎月勤労統計調査によりましても、四十一年の石炭鉱業における現金給与総額は四万五千五百三円になっておりまして、先生がいま御指摘になりました大手の数字はほぼこれに近い、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/107
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108・岡田利春
○岡田(利)委員 基準賃金で比較をして、炭鉱労働者の賃金は他産業の労働者に比べてどういう水準にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/108
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109・村上茂利
○村上(茂)政府委員 ただいま基準賃金別の他産業との比較を申し上げる資料はちょっとございませんけれども、一般的な傾向を申しますと、たとえば三十五年当時におきましては石炭鉱業の賃金が二万六千円、製造業における賃金総額が二万二千六百三十円、こういったことで、石炭と製造業との賃金の差はかなりあったわけでございますが、その後、御承知のように賃金の上昇が、一般産業に比較いたしまして、製造業と比較いたしまして、伸び率が低かった。その結果、四十一年の時点について見ますと、石炭鉱業は先ほど申し上げましたように四万五千五百円でありますが、製造業のほうは四万円というように、かつての時点と比較いたしますとその差が縮まって、石炭産業のほうが追い上げられてきている、こういう状況にございます。しこうして労働の態様などを比較いたしますと、石炭産業における賃金は、製造業等に比較いたしましても、伸びが低かったというのが事実であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/109
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110・岡田利春
○岡田(利)委員 炭鉱は、御存じのように基準外賃金、その他の賃金——基準外々賃金というか、こういうものが多いわけです。ですから総収入で単純に比較はできないと思うのです。いずれにしても地下労働である炭鉱労働者の賃金というものは、基準外もしくは基準外々賃金にささえられながらも、決して高くはない、むしろ低い、こういう傾向にあることだけはいなめない事実だと思うのです。しかし、御存じのように、すでに本年の春闘では、他産業の場合には一二、三%から一四、五%の賃上げが決定をしておる。しかし炭鉱は、原則としてこれからの再建整備計画の中で毎年七%である。しかも管理炭鉱について三%を見込む、こういうことで再建計画が立案されておるわけです。今日の他産業の賃金上昇の傾向、そしてまた物価上昇の実態、また十月からは米価も上がるというファクター等を考える場合に、この五千万トン——四十五年、私企業樹立のセットに和まれた七%及び三%にその基準を置いて、ここに無理やり炭鉱労働者の賃金までもセットしてしまう。もちろん答申は一応の目安である、こういっておりますけれども、そこに非常に無理があるのではないかと思うわけです。すでに春闘も山を越して、民間の関係についてはそれぞれ決定も見ているわけですから、私は、そういう点でこの五千万トン樹立計画に組まれた七%、三%というものが、大臣としては今日の時点で妥当と思われているかどうか。それとも、これは労使の問題であるから、それを一応目安で示しておるのであって、きまればその実勢で考えなければならないという立場に立って認識をされているか。いずれにしても、石炭産業樹立のための一つの重大前提でありますから、私はきわめて重要な問題だと思う。ぜひこの点について大臣の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/110
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111・早川崇
○早川国務大臣 賃金はますます上がってくれることを望むのですけれども、昨年の例をとりましても、石炭鉱業は対前年増が一〇・四%で、製造業の平均は一一・六という上昇率でございます。管理炭鉱というのは、なかなかむずかしい問題でございますが、その他の七%というのは第三次答申の一応の目安でございます。その産業の収支の状況等、これは使用主と労働者が交渉してきめるべきものだと考えております。現在労働組合のほうからは中労委のほうに提訴、調停を申請しておるように聞いておりますが、使用者側はまだ応じておらないようでございます。今後、民間企業でもございますので、労使間でできるだけ妥当な賃金ベースアップの妥結がはかられるように念願いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/111
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112・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭産業は純然たる民間企業でございますけれども、すでに管理炭鉱という炭鉱があり、国はこれに対して経理規制まで加えるわけです。そして一方の再建整備計画では、いまでは考えられないような、賃上げは年率三%というのが目安に置かれておる。また石炭政策から見れば、石炭特別会計は五百二十億にのぼる会計を組んだわけですが、五千万トン、トン当たりに直しますと、千円をこえる石炭対策費を出しているわけです。こういう点から考えれば、石炭労使の問題というのは、単なる普通一般の成長過程にある企業の労使関係の態度で政府が労働政策上接することは間違いではないか。やはり重大な関心を払わざるを得ない立場に、政府も、労働省も立っておるのではないか。こう私は考えるわけです。しかもいま大臣が言われたように、労働者側は、ここで力関係できめなさいということで、もし力関係で紛争が起きていきますと、それだけ再建整備計画は、逆に紛争によってくずれるわけです。今日の炭鉱の場合にはあまりにもすきっと五千万トンにセットして、賃金から何まで再建整備の方針が示されておりますから、余裕、弾力性というものに欠けておる。それだけにこの炭鉱労働者が石炭産業の安定というものを考えつつ、できれば今日のこういう社会経済情勢の中で調停申請をしたいという態度をきめて、調停に持っていこうといたしておるわけです。しかし経営者側は、調停に応じたくない、応ずるという態度は示しておりませんから、これはもう経営者側が調停に応じない限り調停は申請できないわけです。不成立に終わってしまうわけです。そういたしますと、あとは必然的に職権あっせんになって、政府はこれに対して紛争を起こさないように、そして今日の客観的妥当な賃金を労使に示すという方向が望ましいと思われるのですが、この点は、やはり単に普通一般の私企業と同じように考える、こういうことは間違いではないか、しかもそういう労使の動きというものが具体的に出ておるわけですから、したがって労働大臣としても、この問題には重大な決意をして、この解決について積極的に指導すべきではないか。そういう決意を大臣としてお持ちになっておられるかどうか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/112
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113・早川崇
○早川国務大臣 これはなかなか頭の痛いむずかしい問題でございまして、ある中小企業が、非常に斜陽産業でどうにもならぬ、鉄綱その他の賃上げどおりにやれば、会社はつぶれるというようなときに、人間の立場から言いますと、同じようなベースアップというように労働大臣としては望むわけでありますけれども、企業がそれでどうにもならなくなるというのでは、国家がしりぬぐいもできないわけであります。まあそういう立場がございますので、民間企業ではストライキ権というものを認めておるわけでございまして、炭鉱の場合におきましても、御承知のように、保安要員以外はスト権を持っておるわけであります。昨日も石炭協会の会長が参りましたが、労使間の問題は、自分たちで解決すべきものであると言っておられましたし、また労使で煮詰まった話が進んでおらないようでございます。したがって、官公労あるいは公労協のような政府機関と違いますので、労働大臣としてむろん介入する意思もございませんが、先ほど申し上げましたように、労使間でその事業の経営状態、また労働者の生活状態等をお互いに話し合い、労使間で妥当な結論を望む以外にいまのところはないわけでございます。御指摘のように、労働大臣が介入する権限もございませんので、いましばらくこの労使間の交渉というものを見守ってまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/113
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114・岡田利春
○岡田(利)委員 今日の政府の行なっている石炭政策を十分理解をし、そして客観的な情勢等も勘案をして、できるだけ紛争を避けたい。そういう点で、炭鉱労使が自主的に解決する能力というものについては、なかなか弾力性に乏しいわけですから、この実態認識だけは大臣と私は一致するのではないかと思います。
そういたしますと、そういう考え方に立って、労働者側が、できれば公正な第三者機関である調停にかけて、そしてそのきまったものでお互いに納得して再建整備に向かおうではないか、あるいはまた、調停がどうしてもできぬという場合にはまた方法もあるわけですから、そういう方法に向かって努力をしているいまの労働者側の動き、こういうものについて好ましいと大臣は思われておりますか。そういう点は好ましいとも好ましくないとも、それは普通一般の、その辺の中小企業と同じようなものですという認識を持っておられるのですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/114
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115・早川崇
○早川国務大臣 調停に持ち込むという前段階の労使関係が、聞いてみますとあんまり煮詰まっていないようですね。そういう点で、これは石炭全体が斜陽産業になってきているわけですから、経営者、労働者ともどもの一つの共通の課題だろうと思うわけでございます。そういう関係で、石炭労使間の交渉というものがほとんど煮詰まってない段階におきまして、いまの労働組合が中労委に調停を申請したということがいいか悪いかということは、もう少し実情を調べまして判断をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/115
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116・岡田利春
○岡田(利)委員 しかし、国がこれだけの石炭政策を進めて、抜本策である、こう言っているわけですが、そういう立場からいえば、いま現行法が定めている第三者中立機関を活用して平和的に賃金問題というものは解決したいという、こういう考え方ついては、大臣、望ましいのじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/116
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117・早川崇
○早川国務大臣 非常にけっこうだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/117
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118・岡田利春
○岡田(利)委員 もちろん労使の問題もございますから、それぞれ交渉の過程、さらにまた折衝も深められると思うのですが、やはり労働者側にすれば、基幹産業であり、もちろん石炭全体が斜陽であるとはいえ、ある一面においてはいまの労働力を一体どう確保するのか。さらにまた、新しい労働力を確保しない限り石炭というものは安定しないわけです。その積極的な政策として、炭鉱労働者に対して特別年金制度までつくる。そして本委員会にこの法案が付託になるわけです。私はこういう面から考えて、やはり最小限度炭鉱労働者が安定的に確保できる、こういう賃金というものは当然保障されていかなければならぬと思うのうす。経済情勢が変わってまいるわけですから、一応の目安、これだけにこだわっていたのでは、炭鉱労働者の労働力は安定的に確保していく、新規労働力を吸収していくということは、非常にむずかしいと思うわけです。そういう面において、大臣として、もちろん労使の交渉の経過もこれからさらに具体化するでありましょうけれども、石炭対策を進める、特に労働政策を担当する大臣として、重大な関心を持ってこの点について対処されていくおつもりなのか、それとも、普通一般労使と、同じ斜陽中小企業もあるのだからそういうものと同じような態度をもってこれに対処されるのか、この態度によってずいぶん違うと私は思うのです。その点について承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/118
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119・早川崇
○早川国務大臣 国策として五千万トンという石炭を確保しようというわけで、現在千億をこえる二千億になんなんとする資金を出してまいりました。また離職者に対しましては、御承知のように労働省が本年も五十億近いお金をかけまして配慮いたしておるわけでありまするし、また炭鉱に残る方に対しましては、特別年金の制度を推進しておるわけでございます。問題は、炭鉱労働者が来なくなる。これは一番使用者、経営者が考えておることなんで、非常に心配しておるようでございます。ですから、炭鉱労働者が居つかない、逃げていく、食えないというような状態に置くことは、経営者としてするだろうか。ここは経営の立場に立った場合に当然考えなければならぬ問題でございまして、そういう立場から、石炭産業の危機にあたりまして経営者はほんとうに真剣に考えておるのじゃないか。ですから、労使でもう少し煮詰めて話し合いをしていくという努力をしろという勧奨といいますか、アドバイスは幾度でも私はやってみたいと思います。ただ民間企業であるという性質上から、それでも解決しない、ストライキに訴えるあるいは仲裁機関に持ち込むか、こういう段階が次にくるわけですから、いましばらく推移を見て労働大臣としても考慮をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/119
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120・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、特に石炭政策を進めるいままでのいろいろの政策審議の参与者として、非常に重大な注意を払ってこれは見守らなければならないと思うわけです。特に今年度は新しい政策に基づく初年度でございますから、そういう面で、特にこの面について労働省としても重大な注意を払うべきであるということを申し上げておきたいと存じます。
時間も過ぎてまいりましたので、最後に一点お聞きしておきますが、いま中小企業あるいはまた職能的なきわめて技能を要する特殊な場合には、企業内訓練あるいは共同訓練等が行なわれておるわけです。炭鉱の場合にも、鉱業学校をつくるというような形で、新たな労働力の確保という面についても積極的にある程度の手当を出しつつ努力をしているというところも実はあるわけです。こういう前向きな政策を強めていくべきではないか。そして安定的に質のいい労働力を確保する。五千万トンを維持していくのですから、そういう積極的な政策というものが労働省として考えらるべきではないか。労働力が転換するだけを考えるのじゃなく、新たに安定的に労働力を確保していく、新規の労働力を確保する、こういう意味で制度的に労働省としても前向きの政策を考えるべきではないか。あるいはまた既設のそういう企業内の学校等があれば、これに対してある程度の援助をするとか、あるいはまたそれを単に企業内に押し込めないで、地域別、炭田別に共同的なもので、安定、新規労働力を確保していく。これはもちろん学校形式でいくか、職業訓練形式でいくか、いろいろ方法はございます。そういう前向きの政策を打ち出さない限り、やはり炭鉱は斜陽なんだということで、労働力の確保もできないし、ずんずん平均年齢というものは上がっていく結果に終わってしまうのではないか。ドイツなどの場合には、炭鉱労働者の訓練というものは、昔から徹底して行なわれているわけです。先山になるのに先山試験が行なわれる。一切はそういう訓練、教育を通じてむしろ職種も決定をされている。ここまで徹底をして長い歴史の間進めてきているわけですから、今日の五千万トン確保、石炭産業の安定という面から考えれば、そういう政策について労働省は検討し、しかるべき方針を出すべきではないか、そういう積極面をこれから取り上げていくべきではないか、こう考えるのですがこの点についての考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/120
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121・早川崇
○早川国務大臣 離職者に対する職業訓練は相当やっておるわけですが、ただいま岡田委員から労働省のやっておらないことに対する御指摘がございまして、恐縮いたしておるわけでございます。私は大局的に見て、炭鉱事業は労働力の面で行き詰まってくるのではないか。いまのように炭鉱災害が一般の産業の災害率の十二倍である、非常に危険だという状態、また先ほども御指摘がございましたように、賃金の問題、いわゆる手のかかるヘビー・ワークであるという時代におきまして、現代の青年がもっと楽なホワイトカラーになっていくような傾向からいって、直ちにではございませんが、ほんとうに心配しておるわけでありまして、イギリスの炭鉱夫が喜々として家庭に帰っていく。非常に愉快な事業のような印象を受ける。私も現地を見ましたし、ドイツでもそうでございまするが、何かそういう面で、石炭事業というものが、いわゆる産業という面だけではなくて、むしろ、雇用面から魅力のある産業である、また職場であるというようなことを根本的に考えなければ、ここ十年後中高年の方が非常に多くなるわけですから、必ず行き詰まると思っております。そういう面で、その一つとして、炭鉱の、いわゆる職業訓練ということも取り上げ、また通産省とも御相談をいたしまして、目先のことではなくて十年後のこととして御意見を拝聴して、愉快な誇りのある職場であるという、炭鉱労働というものについてじっくりひとつ検討してみたいと思っておった矢先でございまして、まことに貴重な御意見として拝聴いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/121
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122・岡田利春
○岡田(利)委員 その場合、坑内労働というのは、大臣御存じのように、満十八歳に達しなければ、坑内労働には従事できないわけです。これがほかの一般企業との違いなわけです。高校を出ますと、ほぼ満十八歳になるわけですが、中学校を卒業したのでは、坑内労働には従事できないわけなんです。したがって、訓練というものは、どうしても満十八歳に達するまで、中学を出て、炭鉱企業に就職をする。しかし、坑外は、御存じのように就職の余地というものはもうほぼございませんから、満十八歳に達するまで訓練をしなければならない、教育をしなければならないという、こういう特殊性があるわけであります。そこが普通一般の職業訓練との違いでございますから、たとえば、国立の職業訓練の出先としてそういう制度をやるとか、あるいけ道府県立の職業訓練所に、そういう科目を設けてやるとか、そういう方法では私は消化できないと思うのです。したがって、この面は、むしろ経営者自体も労働力の確保に、極端なのには一人採用するのに三十万も金をかけて歩くとか、二十万かかったとか、こういう話すら聞かれるわけでありますから、当然企業主負担があっていいわけです。そして、それを政府は政策として制度的に展開していく、こうあらねばならないと思うわけです。その点、大臣の答弁をいただきましたけれども、専門的に職業訓練局のほうでそういう点について検討されたことがあるかどうか、また、そういう特殊な訓練についても考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/122
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123・和田勝美
○和田(勝)政府委員 ただいま岡田先生から御指摘のございましたように、坑内労働におきましては基準法で特殊の制限がございます。ただ一定の条件を満たす場合においては十六歳になりますと坑内での作業ができる。ただ問題は、御存じのように、人の生命危険の問題と年少者の労働に関することでもございますので、なかなか従来の経験からいたしますと、いろいろ各方面の意見が食い違ったりなんかいたしまして、的確な職業訓練基準というものをつくる、安全基準をつくる、こういう状態にいままでなっていないことは、先生御存じのとおりでございます。ただ、これからの炭鉱のことを考えますと、ただいま大臣から御答弁を申し上げましたような観点でものを考える。しかし、そのためには、関係労使の方の十分な御意見の一致とか、そういうものがないと、なかなかむずかしいことでございますので、そういうことを考えながら、今後訓練基準、安全基準というようなものについて検討を進めてまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/123
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124・岡田利春
○岡田(利)委員 現在の国立職業訓練所がございますね。炭鉱離職者は漸次減ってきておるわけですが、いままでの経験から考えて、新たな科目の新設ですね、需給情勢が変わってきていますから、そういう点で新たな科目の新設あるいは訓練期間の延長ですね、特殊なそういう問題について、積極的に解決するような考えで検討されていますか。それとも一応既設の関係等については、従来の方針どおりを堅持されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/124
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125・和田勝美
○和田(勝)政府委員 私どもの訓練所につきましては、一応設備をつけますと、ある程度の期間、その設備でやっていきたい、投資効果の上からいたしましても、そういうことになるだろうと思います。しかし、もちろん職業訓練は労働市場の状況にマッチしていかなければならないことは、ただいま御指摘のあったとおりであります。そういう意味からいたしまして、公共職業訓練所として重視して、ある程度その施設でまいりますが、それ以外のものにつきましては、委託訓練、速成訓練、こういうようなものを活用いたしまして、そのときどきの労働市場の状況に応じた措置を講じたい。四十二年度におきましても、全部で四千百六十人の計画規模でございますが、そのらち四百八十人くらいは、ただいま申しましたような委託訓練とか速成訓練とかいうようなことで訓練を実施したい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/125
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126・岡田利春
○岡田(利)委員 大臣に最後にもう一問だけ聞いておきたいのですが、これから四十五年度を目ざしてこれだけの政策が打ち出され、これがさらに具体的に展開されていくわけです。もちろんやめていく者も、やめる瞬間まではそれぞれの組織に入っておる労働者、炭鉱の場合には大体組織がございますから、労働者でございますから、そういう意味で炭鉱の労使と労働省、政府ですが、三者の炭鉱労働問題の懇談会ですか、こういうようなものを置いて、積極的にお互いに意見を交換をしていく。四十五年を目途にしてとにかく政策はすべり出しておるのですから、労働面で私はそういう積極的な態度が望ましいのではないか、こう思うわけです。そういう点について、そういう積極的な姿勢を大臣としておとりになる方針でございますか、そういう点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/126
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127・早川崇
○早川国務大臣 非常にけっこうな御提案で、労働省としては、鉄鋼、繊維では連絡協議会といいますか、そういうものを設けようと思っておりました。ただいま炭鉱の労務問題はたいへん大きな問題でございます。十分労働省といたしましては検討し、労使、通産、労働省というようなものが、そういう問題につきまして懇談する一つの場ができれば非常にけっこうだと思っております。よく検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/127
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128・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 次回は、明十八日午前十時三十分から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X00819670517/128
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