1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十二日(木曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 多賀谷真稔君
理事 神田 博君 理事 藏内 修治君
理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君
理事 岡田 利春君 理事 八木 昇君
理事 池田 禎治君
佐々木秀世君 進藤 一馬君
田中 六助君 中村 寅太君
野田 武夫君 井手 以誠君
石川 次夫君 木原津與志君
芳賀 貢君 細谷 治嘉君
田畑 金光君 大橋 敏雄君
出席国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
出席政府委員
林野庁長官 若林 正武君
通商産業省石炭
局長 井上 亮君
通商産業省鉱山
保安局長 中川理一郎君
委員外の出席者
通商産業省石炭
局計画課長 佐藤淳一郎君
運輸省海運局次
長 高林 康一君
運輸省鉄道監督
局民営鉄道部長 山口 真弘君
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六月二十二日
委員渡辺惣蔵君辞任につき、その補欠として芳
賀貢君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として石川
次夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/0
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001・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま審議中の法案に関連いたしまして、まず通産大臣にお尋ねしたいと思います。
問題の点は、四月二十一日の予算第三分科会の際に、石炭合理化政策の一環といたしまして、閉山の問題について私が質問を行なっておるわけであります。内容につきましては御承知のことでありますが、北海道の留萌市に本社が所在する天塩炭礦鉄道株式会社経営の住吉炭鉱並びに日新炭鉱の閉山に伴って、これが法律の規定に基づいて合理化事業団の買い上げ措置、あるいは炭鉱労働者の離職者対策を進める、あるいはまた炭鉱に付随した輸送施設である鉄道の買い上げ並びに今後の交通並びに輸送施設の確保の問題等については、閉山とあわせて地元の影響というものが非常に甚大でありましょう。これらの問題に対して、政府としてはどのような措置を講ぜられるかということについて具体的な質疑を行なったわけでありますが、政府としては私が指摘した問題の大部分については明確な措置の内容を示す時点でないということで、十分実態を調査した上で緊急に方針を定めて報告するあるいは善処する、こういう答弁が通産大臣はじめ各政府委員からなされておるわけであります。でありますから、この住吉炭鉱閉山に伴うもろもろの問題の措置について、この際明確に政府の責任ある答弁を願いたいわけであります。
問題を整理いたしまして私から質問いたしますが、第一の点といたしましては、住吉炭鉱並びに日新炭鉱の企業の実態からいたしまして、出炭した石炭を輸送する鉄道施設というものは、これが鉱業施設として運営されてきたわけであります。事業団が閉山に対する買い上げの発動をする場合に、当然法律に基づいた鉱業施設とこれを判断して買い上げの措置が妥当であるということについて私が尋ねたわけでありますが、これらの事例は政府としても初めてのケースと考えられるので、早急に現地の実情等を調査した上で、これを鉱山施設として事業団の買収対象にできるかどうかという点についても善処する、これは通産大臣から直接の答弁でありますので、この点についてまずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/2
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003・菅野和太郎
○菅野国務大臣 問題は鉄道事業とそれから石炭企業とが密接離るべからざる関係にあるかどうかという見通しをつけることが大事だと思うのです。したがいまして、石炭のほうが閉山するということであれば、これは密接な関係であればそれに応じて鉄道の関係もまた考えなければならぬ。その関係について詳細にわれわれのほうも調査して、つとめて善処したいということをこの前お答えしたと思うのでありますが、その点でいま石炭鉱業合理化事業団のほうで現に調査をしてもらっておりますので、その調査の結果によってひとつこの問題を解決したい、こう存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 炭鉱並びに天塩鉄道が事業の廃止を行なって、あらゆる従業員に対して解雇通告を行なったのは四月十六日であります。これは炭鉱に付随した鉄道施設でありますからして、従業員の解雇ということになると、これは同時的に全面的に四月十六日に会社は通告しておるわけであります。それから私が予算委員会で取り上げたのは二十一日、もうすでに二カ月を経過しておるわけです。ですから事業が廃止されたという直後の質問の場合には直ちに具体的な答弁や措置ができないとしても、その後二カ月を経過しておるわけですからして、いまだに四月二十一日の時点と同じように実態を調査しなければわからぬなんていうものじゃないのです。何もこれはむずかしい調査じゃないじゃありませんか。ですから、もう少し誠意のある、調査検討の結果この鉄道施設というものは当然のことして鉱業施設としてこれは合理化事業団が買い上げ対象にすべきであるという結論が出てもしかるべきであると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/4
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005・菅野和太郎
○菅野国務大臣 今日までの調査の経過については、政府委員からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/5
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006・井上亮
○井上(亮)政府委員 前回、先生から本件につきまして御質問があったわけでございますが、ただいま大臣が御答弁されましたように、私どもも調査をいたしましたが、御承知のように天塩炭礦鉄道株式会社は、先生おっしゃったように、すでに炭鉱は閉山し、解雇の通告も出されておるわけでございますが、実はこの炭鉱会社から三月の時点で新方式によって買い上げ申請が出されております。買い上げといいますと語弊がありますが、買い上げではなくて、要するに鉱業権を消滅登録をして、そうして交付金交付の申請を出されておるわけでありまして、ただいま私どもは先生からかねて問題を提起されました検討とあわせまして、この申請に基づく交付金交付に際する事業団調査というものを並行して行なっておるわけでございます。そういう実情でございます。
ところで、本件の鉄道につきましては、ただいま大臣がおっしゃいましたように、炭鉱と全く密接不可分の一体的な形のもの、たとえば炭鉱の坑内にある鉄道施設、たとえば本線までの引き込み線というような形の鉄道でありますと、事柄が比較的容易に判断されるわけでございますが、この天塩炭礦鉄道の場合の鉄道部門は、これはそういった必ずしも炭鉱と密接一体ということも言い切れない点があるのではないか。たとえばこの鉄道営業収入の割合、この実態を見てみましても、これは昭和四十一年度の実績のようでございますが、会社からとった資料でございますが、旅客輸送が一六%、貨物が八二・二%、そのうち石炭部門は七四%、石炭部門七四%のうち、天塩炭礦の炭が三二%、他社の炭が四二%というような割合であります。その他周辺の木材その他の輸送関係が七・三%というような実態でございまして、ほかに収入としましては雑収入が一・八%程度あるようでございますが、そういうような実態でございまして、この鉄道は地方鉄道営業法ですかの認可を受けてやっておるわけで、そういう程度でございまして、いわゆる法律でいっております鉱業施設といいますか、あるいは炭鉱労働者、鉱山労働者、この鉄道の従業員が鉱山労働者という定義に入るかどうかという点につきましては、そいった意味から依然として疑義があるわけでございます。しかし私どもとしましては、実情もわかっておるわけでございますし、炭鉱の閉山に伴って、炭鉱がつぶれたために、一緒に経営しておりますから、鉄道もまるで経営不可能という形になっておりますので、そういう実態も考慮して何とか好意的な解釈、判断はできないものかということで苦慮しておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/6
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007・芳賀貢
○芳賀委員 その問題に関連して、先般の質問の際にも私は事例をあげて、石炭輸送だけを行なっておる専用の鉱業施設、これは北海道の日曹炭鉱の場合、山元から豊富駅まで約十五キロの延長を、これは立地条件から見てもどうしてもそこまで輸送しなければ積み出しができないわけです。こういう事例もあるが、これとあわせて石炭局としてはどう判断するかということを私は十分配慮して質問をしておるわけです。これは全く一般の私鉄法の規定も受けておらぬし、もちろん乗客とかその地元の産物の輸送もやっていないわけです。ですから、こういう場合は延長の長短にかかわらず、これはだれが見ても純粋な鉱業施設と判断できる、そういう実例もあるわけです。先般の答弁は、この種の事例に基づいた事業団の買い上げ措置というものはいまだ行なわれていないので、当然これを取り上げる場合には初めてのケースになるので、特に慎重に事態を判断して、そうして誠意のある措置をしたいということを言っておるわけですね。ですから、いま局長が言われた石炭輸送に付随して——もちろんこれは鉄道ですから私鉄であっても公共性というものは多分に持っておるわけですから、それが地元あるいは公共のために活用されるということは望ましいことだと思うのですよ。乗客を乗せてはけしからぬとか地方の産物を輸送してはいけないというようなことは、趣旨に反すると思うわけです。ただ実態は、全体の輸送のウエートの八〇%以上が石炭の輸送のために、その目的で施設されておるわけですから、炭鉱の閉山と同時にこの鉄道施設が必要なくなったのですよ。経営できないでやめるのじゃないですよ。炭鉱が閉山になるから自然にその石炭を輸送する設備が要らなくなるわけですね。これはもう明らかな事実だと思うのですよ。石炭輸送に依存しなくて、同一会社であっても独立の経営とか運営をするということであれば、炭鉱が閉山になっても、その鉄道の企業というものを独自のものとして、これは存置するということも可能であるかもしれぬが、これはそういう目的で敷設された施設でないですからね。ただ、たまたま公共の利益にそれをある程度供与する、そういう意味で石炭の貨車に、たとえば一両の客車をつけるとか、あるいは終点の炭鉱の地元の達布、ここに国有林の営林署があるわけですから、当然これは国の国有林事業としては歴史的にも活用されておるわけです。この鉄道というものは、さかのぼれば、帝室林野局というものが昔あったのですね。国有林の広大な面積、皇室の財産であったという時代があるわけですね。そういう沿革が実はあるわけなのです。それが今度は大蔵財産に継承されて、それから北炭あるいは現在の天塩鉄道というふうに、その持ち株というものは所有形式が変遷しておるわけです。ですから、一部お客を乗せておるから、一部産物を乗せておるか、これは鉱業施設とみなせぬということは全く当を得ない判断で、これは実態を見ていないからそういう答弁しか出ないと思うのですが、そんな答弁なら四月二十一日にできたのじゃないですか。もう少し熱意のある答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/7
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008・井上亮
○井上(亮)政府委員 本件につきましては、私どもの所管しております範囲では問題が二つあろうかと思います。
一つは天塩炭礦鉄道株式会社がつぶれましたことに伴いまして、合理化法によりまして、炭鉱に閉山交付金を交付する。その中から炭鉱離職者に対しまして交付金を交付するという問題があるわけでごごいまして、この炭鉱離職者に対して交付金を交付する際に、鉄道の従業員にまで交付金を配分できるかという問題これが一つの問題であろうと思います。この点につきましては法律によりますと、鉱山労働者に対して交付金を交付するということに、つまり炭鉱労働者に対して交付金を交付するということに相なっておりまして、その鉱山労働者ないし炭鉱労働者、この範疇の中にこの私鉄の労働者が入ると解釈できるかどうかという点に重大な疑義があるわけでございまして、そういう意味で私ども苦慮していると申し上げたわけでございます。ただ、さっき先生もおっしゃいますように、実態はいわゆる構内的な引き込み線的な意味の鉄道であれば、これは対象になる。しかしそれが相当遠隔の地に、しかも当該炭鉱の品物だけでなしに、よその炭鉱の炭も——当該炭鉱の炭は三割程度でございますが、炭だけでも他社のものがより多いというような形、そのほかに旅客とか木材とか、いろいろなものをやっているという実態があるものですから、ただいま申しましたように、こういう鉄道の実態について、その鉄道の従業員に対して炭鉱労働者、鉱山労働者という判断ができるかどうかということで苦慮いたしておるわけでして、ただ私先ほども申しましたように、そうは言いますものの、先生おっしゃるように相当密接な面もあるわけでございますから、いまはそういう、ただいま申しましたように当該天塩炭礦の炭は営業収入のうちに三割程度でございますけれども、沿革等の事情を考えると、まあどの辺まで判断ができるかということについてただいま苦慮いたしておる、実情がわかりますだけに苦慮しておるというのが率直な私の意見でございます。それからもう一つ、第二の問題といたしましては、炭鉱離職者の問題でなくて、今度は鉱業施設をこの合理化法によって買えるかという問題でございますが、この点につきましては、天塩炭礦株式会社では三月に合理化事業団に対しまして閉山交付金の交付の申請を正式に出しておるわけでございます。これはいわゆる旧方式でなくて新方式の形で出しておられるわけです。新方式でお出しになりますと、私ども交付金を出す範囲というものは、これは法律に基づいて鉱業施設までは入らないというのが法律のたてまえでございますので、鉱業施設を買い上げるという手段はできないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/8
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009・芳賀貢
○芳賀委員 それでは先ほど言いました、——そういうことは好ましくないことであるが、日曾炭鉱がかりに一つの事例として閉山した場合、鉄道施設はどうなるのですか。これは鉱業施設とみなさないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/9
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010・井上亮
○井上(亮)政府委員 日曹炭鉱につきましては、過般事故を起こしまして、一部買い上げといいますか、交付金交付の措置をやろうということでおりますが、これはあくまでも新方式でございますから、鉱業施設買い上げの問題は今日起こっておりません。ただしかし、先生の御質問は、かりに全部やめた場合というお話でございますが、日曹のほうは全部やめませんで、なお、隣接の三菱の鉱区、これを私どもはあっせんいたしまして、鉱区調整をいたしまして、そちらで活路を見出すというような再建計画でやっておりますので、まだつぶれることはないわけでございますが、まあかりに万一全部やめる——これは仮定の議論でございますが、その場合にも新方式で閉山処理をされます場合には、鉱業施設の買い上げはいたしません。しかし、かりにこれを旧方式でやった場合にはどうかということになりますと、それはやはり先ほど来お話しいたしましたように、その鉄道の実態が、天塩炭礦の炭をほとんど一〇〇%ないしそれに近く、全くそこに依存した形で一体的なものであるかどうかということの判断によりまして考慮したいというふうに考えておりますが、今日日曹の場合には新方式で来ておりますから、鉱業施設買い上げの問題は起こっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/10
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011・芳賀貢
○芳賀委員 私の聞いておるのは、日曹炭鉱がいま合理化事業団に買い上げをしてもらいたいという、そういう具体的な事実でなくて、日曹炭鉱のような経営の実態があるわけですね。山元から炭を出すのに、どうしても輸送施設が十五キロあるいは二十キロ必要である。この事実というもの、これは日曹に限らぬですよ。こういう形態が他にもあると思うのですね。そういう場合、この現実の事象をとらえて、これは鉱業施設でないというつもりか、施設と認めるというつもりなのかどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/11
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012・井上亮
○井上(亮)政府委員 日曹の場合は、いまちょっと担当課長から実情を聞いてみましたら、日曹の鉄道の場合は一〇〇%日曹の炭のみに使っておる鉄道のようでございまして、一〇〇%ということになりますと、やはり一社独占的に使っておる、一体的にやっておる地域の関係その他もありましょうが、という場合には、これは相当広義に判断、解釈ができるんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/12
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013・芳賀貢
○芳賀委員 それでは日曹の場合は鉱業施設になるわけですね。これははっきりしてもらわぬと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/13
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014・井上亮
○井上(亮)政府委員 いまにわかになるという断定はできませんけれども、相当解釈としては有利に解釈できやすいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/14
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015・芳賀貢
○芳賀委員 解釈としては成り立つと言うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/15
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016・井上亮
○井上(亮)政府委員 考えやすいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/16
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017・芳賀貢
○芳賀委員 これは大臣から答弁してください。そういう遠回しの逃げ腰の答弁じゃ何にもならぬですよ。何のためにあなた局長をやっているのです。もう一回やってください。何もおどおどすることはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/17
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018・井上亮
○井上(亮)政府委員 これはやはり日曹の実態を調べませんと、法律解釈の問題でございますから……。
天塩炭礦につきましては、いろいろ問題があるわけでございますので、私どもも調査さしておりますし、それから事業団にも現在調査さしておりますから、先ほど来申し上げましたような意見を申し上げたわけでございますけれども、日曹の問題はきょう突然出た問題でございますし、また事は相当重大な問題でもありますので、もう少し現地の実態を精査いたしませんと、正確なお答えは差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/18
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019・芳賀貢
○芳賀委員 日曹の問題は、突然ではなくて、四月二十一日の予算の第三分科会で、私は、天塩炭礦の場合は鉄道の延長も相当長いし、敷設状態というものは地方の部落とか市街を通じておるわけで、二十六キロの炭鉱専用の鉄道が敷設されている。これは地元としても国としてもやはりその余力をさいて、住民を客としての輸送の扱いあるいは地元の産物の輸送をあわせて行なうということが当然だと思うのです。それが経営収支の面から見て何%かあるとしても、石炭以外のものを輸送したら、これは絶対否定するということは、非常に狭義の判断ではないかと思うわけです。もちろん買収する場合は、全体の何割というものを価値的に鉄道施設と認めて買い上げ措置をする等のことであれば、これは話はわかるが、一部他の物資を運んでおるからこれは認めないとか、みなさぬというような、そういう解釈は間違いだと思うのです。
それでは石炭局には日曹炭鉱の実態を知っている人は一人もいないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/19
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020・井上亮
○井上(亮)政府委員 それは担当官はみんな知っております。知っておりますけれども、日曹炭鉱はいま閉山の意思は全くございませんので、これも議論はちょっと差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/20
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021・芳賀貢
○芳賀委員 閉山の意思のある、なしではないのですよ。石炭を運んでおる日曹炭鉱の鉄道施設というものは一〇〇%石炭専用に用いておるわけですし、延長も十五キロ以上あるわけで、これはだれが考えても鉱山施設じゃないですか。これがなければどうしようもないのです。ですから、日曹のような場合には当然、これは延長が相当坑内の線よりも長いとしても、これは純粋にいわゆる合理化法にいうところの鉱業施設として認めるべきではないかということを、私は四月二十一日に言っておるわけですよ。それだから日曹のほうはどうせいと言うのではないですよ。事例としてこういう場合にはみなすわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/21
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022・井上亮
○井上(亮)政府委員 みなしやすいと思います。ただ、鉱業施設の買い上げにつきましては、先生いま買い上げのお話をしておられるわけでございますが、先ほど私御答弁申し上げましたように、本件に関して私どもの所管でなし得る点がこれに関連して二つあるわけでございまして、一つのほうは、鉱山労働者、石炭の労働者という交付金の配分の問題これの対象に私鉄の問題も理由になるかどうかという問題もう一つは、買い上げの問題ですが、買い上げのほうは、新方式でいま天塩炭擴が交付金交付の申請をしておられますので、これは鉱業施設の買い上げということはないということでございます。
ただこれは議論として日曹のほうはどうかというお話でありますれば、それは私わりあいに考えやすいということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/22
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023・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 それでは本論に戻して、天塩鉄道の場合局長が非常に強調している新方式ですね。これは鉱業権の減消登録をして、それを基礎にして申請する場合、これは鉱業権でしょう。しかし租鉱権とか採掘権とかいうのはこれはもちろん権利があるが、財産権であるが、施設ということになるとそれは同じ権利とか財産権であっても実態が違うでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/25
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026・井上亮
○井上(亮)政府委員 そういう場合に鉱業施設を買うという制度がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 買う買わぬじゃなくて、鉱業権と鉄道の現存している施設というのは、同じ財産権でも実態が違うじゃないですか。そういうのはどう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/27
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028・井上亮
○井上(亮)政府委員 実態はお説のように違いますけれどもただ合理化法で言っております閉山交付金を交付するということは、閉山をいたしましたときに山の鉱業権の消減登録をする。消減登録したものに交付金を国が交付します。これは要するに炭鉱離職者の退職金等はなかなか閉山山では払えませんから、そういうことで交付金を出す、こういう制度でございまして、鉱業施設の問題とはちょっと制度的に結びつかないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 結びつかないということになれば、鉱業権の減消の範疇に付随する鉱業施設は入るとみなさなければならぬですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/29
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030・井上亮
○井上(亮)政府委員 鉱業権と鉱業施設は全く別なものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/30
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031・芳賀貢
○芳賀委員 別だからぼくは最初から聞いているじゃありませんか。ですから新方式だけでいった場合、それに付随した鉱業施設があるという場合、施設だけでは買い上げの対象にならぬでも、ほかに処分の方法はあるにしても、この施設に従事している従業員というのはおるわけでしょう。そうでしょう。しかも同一会社の、石炭鉱業の対象になって働いておる労働者がある。それを今度は新方式だけでこうなんだということになると、直接出炭部面で働いておる諸君は交付金によって賃金とか退職金が確保される、あるいは離職対策の対象になるという場合、鉱業部面の施設で働いておった諸君の措置というのは、新方式でいった場合どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/31
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032・井上亮
○井上(亮)政府委員 要するに炭鉱労働者の範囲の問題になろうかと思いますが通常の選炭場だとか鉱害施設、そういう鉱業施設で働いております者については、鉱山労働者として交付金の交付はできるわけであります。ただこの場合、そこまで解釈できるかどうかについて、もうしばらく、私ども何とか好意的に考えたいと思うがために、いまだめだという結論をできるだけ避けて、できるだけ好意的に判断できるようにということで、さらに事業団等にも調査をさせておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 これは大事な点ですが、いまの局長の答弁は、この場限りのおざなりではないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/33
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034・井上亮
○井上(亮)政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 そういう重要な点が、新方式の実施だけではなお欠けた点があるように思われるので、最大の配慮と努力をして、この私が指摘しておる鉄道部分ですね、これはわれわれとしては鉱業施設と固く判断しておるわけですから、その点にも十分及ぼせるような方法を考究して善処する、こういう趣旨ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/35
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036・井上亮
○井上(亮)政府委員 できるだけ先生の御意見のように、好意的に判断するように、実態の調査とあわせまして、できるだけそういうふうに努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 その結論はおよそいつごろ出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/37
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038・井上亮
○井上(亮)政府委員 急がせれば七月末ないし八月の初めごろまでに事業団の調査を終えたいという予定でやっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 それでは結論が出たらまた委員会等を通じて明らかにしていきたいと思います。
次に、これは運輸省の鉄道監督局民営鉄道部長にお尋ねしますが、天塩鉄道というものが御承知のとおり廃止になるわけです。これは会社が廃止することはいたし方がないとしても、長年の歴史的な鉄道施設、いわゆる運輸施設というものが地元になくなる、撤去されるということになると、これはたいへんなことになるわけでして、この点については先般の予算委員会の際も、これを国鉄が買い上げするようなことはできないかという点を検討してもらうことにしてある。さっそく現地の調査等を行なって可能であるかどうかという点についても研究するという鉄監局の答弁があったわけですけれども、その後の検討の結果というものはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/39
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040・山口真弘
○山口説明員 お答え申し上げます。
先般の先生の御質疑以来、当省といたしまして現地の札幌の陸運局長等に命じまして、数回調査をさせました。また本省からも係官を出張させまして、現地の内情等をいろいろ調査をいたしました。この地区の実情あるいは輸送事情の内容あるいは輸送の現実の状況、これを廃止した場合の代替施設の状況並びに道路等の施設の状況、これらに対します道当局の考え方等につきましていろいろと調査をしたわけでございます。それで、その後会社からは五月十二日に札幌陸運局経由で、当該鉄道の廃止申請が提出をされました。私どももこれを受理した上、現在審査をいたしておる段階でございます。
そこで、その廃止並びに国鉄への買収の問題でございますが、廃止の問題につきましては、手続的に申しますと運輸審議会という諮問機関がございまして、この運輸審議会の議を経まして、運輸大臣がその許否を決定するということになっておりまして、私どもいま準備をいたしておりますが、これにつきましては先ほど申しましたような調査の実情、あるいは地元の地方公共団体等の御意見、あるいは労働組合その他従業員の方の御意見というようなものを十分に参考にしつつ、これを審査するわけでございます。地元の方々は、この鉄道に対する長年の利用ということに対しまして、非常な愛着を持っておられまして、地元の方といたしましては相当の方がこれを存続していただきたいという意向が強いのでございますが、一方会社の実情等を見まして、やむを得ないというような考え方もございまして、これについて町議会等においてもいろいろと御検討していただき、それに対する御意見というものも出ておるようでございます。
それから国鉄による買収の問題でございますが、これはこういった調査と関連をいたしますが、国鉄当局におきましても別途検討をいたしております。ただ国鉄の買収ということになりますと、鉄道建設審議会という諮問機関がございまして、鉄道建設審議会の議を経るということに相なるわけでございます。そこでこの鉄道建設審議会におきまして予定線それから調査線、工事線というような段階を設けまして、いろいろと審議をして鉄道建設をやってまいるわけでございます。従来もこの鉄道を国鉄線にするという考え方はなかったのでございますが、今後はこの鉄道建設審議会におきましてそういう議論の対象としてこれを措置するという必要があるわけでございまして、その点につきましてわれわれもただいま事務的にはいろいろと準備を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/40
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041・芳賀貢
○芳賀委員 いまの御答弁によりますと、それでは国鉄としてこれを買収して地元の利益を存続させる、そういうことについても、これはもう不可能だということでなくて、準備を進めているということなんですか。鉄道建設審議会にかけるようにするというのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/41
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042・山口真弘
○山口説明員 国鉄が新しい新線建設をいたします場合、これは買収を含めてでございますが、鉄道審議会の議によりまして予定線になり、調査線になり、工事線になって、そして、これを建設し、運営をするということになっておるわけでございます。その意味におきましては、いわば国鉄の意思ということもございますが、それ以上に国としての意思ということの決定として鉄道建設が決定されるわけでございます。そういう国としての意思という意味におきまして、鉄道建設審議会がこれを対象としなければならぬということになるわけでございまして、従来は鉄道建設審議会におきまして問題になることは全然なかったわけでございますが、今後事務当局といたしまして、これを十分検討いたしまして、鉄道建設審議会にこれを諮問いたしまして、その予定線の中に編入することが適当かどうかというような問題につきましても十分検討を進めてまいるということになろうかと思います。そういったようなことで、鉄道建設審議会までに私ども結論を出したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/42
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043・芳賀貢
○芳賀委員 そこで手続上の問題ですけれども、天塩鉄道が廃止されるという場合、これを国鉄が買収して運営するという必要性について、運輸省が取り上げて審議会にかけるようにしてもらえるのか、あるいは地元の小平町とか留萌市とか、地元の公共団体等が中心になった強い要望とか申請を待って取り上げるということになるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/43
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044・山口真弘
○山口説明員 鉄道建設審議会にどの鉄道を予定線として編入をするか、あるいは調査線に格上げするか、それからあるいは工事線にするかということにつきましては、もちろん鉄道建設審議会自体の御決定にまつわけでございますが、一応事務当局といたしまして運輸省から原案を提出をいたします。その原案によりまして通常鉄道建設審議会に御審議をいただく、こういう段階の手続になっております。鉄道建設審議会自体のほうで建議をいたす場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 わかりました。
次にお尋ねしたいのは、鉄道抵当法というのは、運輸省の所管なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/45
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046・山口真弘
○山口説明員 登録等を運輸省でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、天塩炭礦鉄道株式会社が鉄道財団の組成を行なって登録しておると思うのですが、その事実はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/47
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048・山口真弘
○山口説明員 天塩炭礦鉄道株式会社所有の鉄道財団につきまして登録されまして、それにつきます抵当権等の設定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 この鉄道抵当法によると、鉄道財団の設定が行なわれ、それから内容については、鉄道抵当原簿あるいは鉄道財団目録というもの、これが登録されるわけです。この内容は、閲覧あるいは謄本等の請求には応ずるということになっておるわけですが、たとえば国会でこれらの問題を審議して、抵当原簿あるいは財団目録の内容を知りたいという場合は、これは資料要求をすれば、その必要な部分については、資料としてわれわれが知ることができるものか、あるいはこの法律に基づいた手続で閲覧の要求とか謄本の請求をしなければならぬか、その点はどういうふうに事務的に処理しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/49
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050・山口真弘
○山口説明員 従来抵当原簿に記載されておりまする内容につきましての、国会の御要求による資料の提出という例はなかったように思いますから、十分検討させていただきたいと思いますが、閲覧に供しまた謄本をつくるというような内容のことでございますから、したがいまして御要求があれば資料の提出が可能である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/50
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051・芳賀貢
○芳賀委員 これは先ほど石炭局長に私が質問したとおり、結局合理化事業団が鉄道施設を事業団の買上げ対象にするという解釈の上に立って措置されれば、これは鉄道部門の労働者も離職者として炭鉱部門同様の取り扱いを受けられるわけですね。ただこの扱いの結論がまだ善処を約されただけで出てこないので、私のほうから先ばしった発言はできませんが、この天塩鉄道は、鉄道関係の施設を、財団目録の内容を見ればわかるわけですが、相当の資産を持っているわけですね。土地あるいは鉄道の軌条であるとか停車場の施設とか、相当の財産なわけです。これはもう鉄道抵当法に基づいて登録されておるわけです。ですから特に私たちとして顧慮している点は、長年の間天塩炭礦鉄道会社の従業員として真剣に働いた労働者の諸君が、会社の経営不振あるいは事業廃止によって、全面的に同時的に離職したわけですから、賃金の未払いとかあるいは退職金、離職手当の支給等については、事のいかんにかかわらずやはり平等な処遇がされるような具体的な条件をつくってやる必要があると考えるわけです。ですから抵当関係の財産内容とか債権債務の関係とかいう点も、これは通産省としても石炭局としても、ひとつ関心を持ってこれを総合的に検討をしてもらいたいと思いますが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/51
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052・井上亮
○井上(亮)政府委員 要するに、退職者に対しまして退職金を会社が支払わなければいけないわけでございますが、その際やはり財産処分というような問題が当然一つの問題になろうと思います。そういう際につきましては、私ども運輸省その他関係各省ともよく相談しまして、善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/52
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053・芳賀貢
○芳賀委員 念を押すようですが、新方式で炭鉱のほうは交付金交付が行なわれて、鉱山施設は対象にしないということになるわけですね。結果はその施設だけ会社の財産としてこれは残るわけですからね。従業員の場合は、炭鉱離職者とみなされる範囲までは法律上の処遇を受けるが、はみ出た分に対しては何ら保護されない。会社は今度は自己の保有している財産というものを、これは抵当権法に基づいて債権債務の関係がどういう優先順位になっているか、また内容を見ないとわかりませんが、その場合にも労働者が未払い賃金とか退職金というものを優先的に正当に受けることができないような事態になればたいへんなことになると思うのですね。こういう点は抵当法から見た場合、会社が解散するとか事業廃止をするという場合の労働者の賃金関係というものは、この法律から見た場合どういう優先的な措置を受けることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/53
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054・山口真弘
○山口説明員 抵当法のたてまえは財産抵当として鉄道施設を全体として把握いたしまして、それによって債権てん補の目的を確保するということでありますので、そういう形で全体を構成をいたしておるわけでございますから、これはある意味では一つの抵当法、担保法でございます。
それで、問題の賃金の問題につきましては、むしろ私どもの感覚では、事業廃止の場合に労働者の地位がどのように十分に考慮されて行なわれているかということの審査の場合に考えるべきことであろうと思います。それによりまして労働者が非常に不満があるというような場合に、一体役所としてそういった事業廃止の取り扱いをどうすればいいのかということにつきまして、十分の考慮を払うということで解決すべきことではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/54
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055・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、いまの点については通産大臣も出席しておられますので、この炭鉱の合理化法の運営と合わせて、この天塩鉄道の鉄道財産としての財産処分等についても、これは関連事項としてぜひ運輸省、通産省、よく協議をしてもらって、そのことに備えてもらいたいと思いますが、これは大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/55
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056・菅野和太郎
○菅野国務大臣 ただいまのお尋ねの件でございますが、抵当権処分の結果によっていろいろ離職者の離職手当や何かの問題あるいは賃金の問題というのは解決されると思います。そこで、これがやはり石炭企業とも関係がありますので、われわれ通産省としてもその賃金の支払いその他の処置については十分関心を持っていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/56
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057・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、炭鉱離職者のその後のいわゆる再就職等の動向はどうなっておるか、ごく最近の状態を御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/57
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058・佐藤淳一郎
○佐藤説明員 最近私、山へ行って、山の社長からお聞きした話でございますけれども、炭鉱部門の方々は、大体労働者不足が相当高まってきておりますので、石狩方面の炭鉱にすでに就職されている方が相当多い。それから鉄道部門の方は、苫小牧の臨港鉄道のほうへ経験を買われまして一部もうすでに就職されているというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 林野庁長官、この炭鉱の廃止に伴って、地元の達布という市街を中心にして非常に大きな影響を受けるわけですが、達布には林野庁達布営林署が所在しておりますが、炭鉱が閉山になっても直ちに営林署あるいは国有林事業を廃止することにはならぬと思いますが、今後やはり営林署が中心になったような状態で、市外の形成とか地元産業の振興発展とまではいかなくても、何とか過疎状態にならないように、生産面においても経済面においても現状を維持させる、そういう国の配慮も必要だと思いますが、この点は全部林野庁の責任というわけではないが、どういうような対策を講じておられるか、所見を尋ねておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/59
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060・若林正武
○若林政府委員 先生も御承知のように、達布営林署は小平町所在の国有林野を管理いたしておるわけでございます。面積が三万四千五百メートルでございまして、小平町林野面積の六四%を占めております。今年度の当営林署の事業分量でございますが、収穫事業におきましては約六万三千五百立方メートル、造林事業におきましては千五百五十八ヘクタールを予定いたしております。その他の事業もございますが、今年度の事業を執行いたしますのに、顧用労働力といたしましては延べ約二万二千名というものを予定いたしております。労働給源といたしましては、その大部分は、九八%ぐらいになりますか、これが地元の小平町でございます。今年度の事業を執行いたしますための支出予算といたしましては、約一億七千万という計画で現在事業の執行を進めているところでございます。
そこで天塩鉄道が廃止されます場合に、私どものほうでどういう影響を受けるかという点でございますが、現在、日用品雑貨、食料品、こういったものはほとんどこの天塩鉄道によって輸送されているようでございます。さらにまた通学通勤者合わせまして約三百五十名、沿線住民六百名というものはこの鉄道の便益を受けているわけでございますが、これが廃止をされるということに相なりますと、当然バスなりトラックなりの自動車にかわってくるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、そういうことになりますと、運賃が相当上がるであろう、あるいはまたこの鉄道の場合でございますが、運行距離が二十五キロメートルでございますが、自動車にかわりますと約十キロふえまして三十五キロというふうなことで運行距離が延びるというふうな問題があるわけでございます。こういうことに伴いまして運賃等が上がるということになりますと、直接生活にいろいろ影響を及ぼしてくるわけでございます。先ほど申し上げましたように、労働給源のほとんど大部分が地元の小平町に求めておるような関係もございまして、将来生活環境というものはだんだん悪くなっていくというふうなことに伴いまして、だんだん住民が、流出していくというふうなことになりますと、労働力の確保という面におきましていろいろ問題が出てくるのではなかろうかというふうに心配をいたしておるわけでございます。そういった面で何とか国有林野事業というものが今後におきましても運営ができるように、実は私どももそういう点につきまして期待をいたしておるわけでございます。現在さしあたってどうするんだという問題につきましては、まだ具体的には持っておりませんが、さしあたっていま直ちに国有林野事業の運営に支障を来たすという点はあまりないんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 以上で本日の質問を終わりますが、最後に委員長に申し上げます。先ほど運輸省の山口部長から説明のありました鉄道抵当法に基づく天塩炭礦鉄道株式会社の鉄道財産としての鉄道抵当原簿並びに鉄道財産目録等の関係の書類を参考資料として要求していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/62
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063・山口真弘
○山口説明員 ただいまの御要求のありました資料でございますが、内容が非常に膨大なものもあろうかと思いますので、そういった点は概略にまとめましてお届けさせていただくようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/64
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065・岡田利春
○岡田(利)委員 大臣が時間がないそうですから、大臣の質問を先に行ないたいと思います。
昨年の六月に当委員会で、これからの石炭事業対策として石炭火力の建設が八基決議されておるわけです。今日磯子、竹原の二基が追加をされて、一応五基建設のめどがついた。そういたしますと、あと三基、当委員会の決議に基づけば建設をすべきではないか、こういうことになっておるわけですが、その後この磯子、竹原の二基以外の石炭火力について、一体どう考えられておるのか所見を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/65
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066・菅野和太郎
○菅野国務大臣 いままでにもお答えしたと思っているのですが、今後の一般炭の需給状況をよく見まして、その上で共同火力なりあるいは電源開発とか火力発電について考えてみたい、こう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/66
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067・岡田利春
○岡田(利)委員 これからの需給状況を十分検討して、そういう問題について具体的にさらに検討を加えていきたい、こう言われますけれども、いろいろすでに電発火力によらざる九電力を対象とする新たな火力発電所の建設、あるいはまた今年度の予算で電発火力の建設予算がついたわけですが、来年度からこの方針を変えるとか変えないとか、いろんな角度から、実は情報を得ているわけです。伝え聞くところによりますと、関西電力が尼崎に——非常にロードが低いわけですが、一〇%あるいは五%程度の尼崎の火力が近い将来廃止になる。したがってこの地点に対して関西電力の協力を得て石炭火力を新たにつくりたい、こういう点についても意向の打診が行なわれておるとかいないとか聞きます。国会では大臣は、いやいろいろ今後時期を見ながら検討すると言いますけれども、すでにそういうペースでは進んでいるんではないか。どうも大臣の答弁と食い違っているんではないか、このように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/67
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068・菅野和太郎
○菅野国務大臣 関西電力の話は全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/68
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069・岡田利春
○岡田(利)委員 火のないところに煙は立たずといいますから、少なくともわれわれの耳にそういう話が入るということは、全然動かないということにはならぬと私は思うわけです。ただこの際今日の需給の見通しからいって、さらに火力発電所の建設に踏み切るべきではないか、こういう積極的な立場を、実は私どもはとっているわけです。
そこで問題になっておりますのは、本委員会でたまたまいままで質問が行われましたように、常磐共同火力の一基追加の要請、さらにまたすでに電発が火力発電所の建設に踏み出したときの若松火力は実は一基で終わっているわけです。しかも敷地はすでに確保されており、二基分に対しては相当な先行投資がすでに行なわれておるわけです。この発電コストの面でいっても現在三円四十銭をこえている。もしこれをもう一基建設することによって、すでにもう先行投資をしておるわけですから、大体三円を切るくらいのコストになるのではないか、実はこう言われておるのですが、これもそのまま放置されておる。一方においては三池炭鉱に二百万トンの膨大なる貯炭を抱えており、一方においてはすでに二基分の七割の投資が行なわれておるのに、この電発の二基については依然としてその後そのままの状態に置かれておる。この二つの点は非常に大きな問題点だと思うわけです。すでに敷地もあるわけです。ですから今日の需給状況から考えれば、この際さらに火力発電所の建設について踏み切るべきではないか、こう私は思うのですが、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/69
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070・菅野和太郎
○菅野国務大臣 お話しのとおり常磐にしてもあるいは若松の問題にいたしましても、敷地もあるし、そこへ二基設けたほうがコストも安くなるというようにわれわれも考えておりますので、いよいよそういう火力発電を必要とするということになれば、この二つの場所は最初に出てくる候補地だ、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/70
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071・岡田利春
○岡田(利)委員 大体今後の火力発電所の建設の要請をする、あるいはまたそういう方針をきめるというのは、さらに需給関係についての石炭鉱業審議会の検討を待って通産省としては方針をきめるのか、それともすでに需給部会ではある方向を出しているわけですから、今後は通産省のペースだけで、行政ペースだけでこの問題について踏み切っていく考え方なのか、いずれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/71
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072・井上亮
○井上(亮)政府委員 やはり最終的にきめますのは、何と申しましても通産省が関係業界と話し合いまして決定するということでございます。共同火力の場合にはやはり関連いたします九電力の関係があるわけでありますが、そことやはり十分打ち合わせませんと一人相撲になりますから、そういう関係業界といいますか電力業者と通産省との間で十分意見を詰めてつくっていただくように努力するということになろうと思います。電発の場合は、これは電発と私どもの関係で話をきめるということになろうと思います。しかし石炭鉱業審議会に全然タッチしないかといいますと、やはり石炭鉱業審議会の需給部会が今後の需給のバランスのとれた需給のあり方ということを御検討いだいておりますので、もちろんこの石炭鉱業審議会の需給部会の意見も聞きまして、政府として決定する、こういうことにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/72
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073・岡田利春
○岡田(利)委員 今年度の石炭特別会計によれば、電発に対して新たに二十億出資したわけです。これは来年度の予算と、電発方式を採用する場合には当然関連を持ってくるのではないか。あるいはまた九電力もしくは共同火力の場合といえども利子の問題とかいろいろな面で予算と関連を持ってくるのではないか。そういたしますと予算要求というものが八月末に各省から大蔵省に出されるわけです。したがって引き続き火力発電所、石炭火力をつくる場合は、そのめどは大体八月一ぱいぐらいにその方向がほぼ出なければならぬのではないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/73
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074・井上亮
○井上(亮)政府委員 全く仰せのとおりでございまして、先ほど大臣がお答えいたしましたように、やはり今後の需給の推移をよく検討いたしまして、それに照らしまして、どうしてもさらに五基以上新設する必要があるということであれば最適の地点を選びまして、また最も経済的な、しかも効率的な地点を選びまして建設に着手する、また、そういう折衝をするということになるわけでございます。
実はただいま通産省の部内でも、まだ大臣の段階に至っておりませんけれども、事務的にはいろいろ検討を進め、また関係局ともいろいろ相談しておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/74
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075・岡田利春
○岡田(利)委員 なお本件は、いずれ需給問題については委員懇談会で具体的にいろいろ意見を聞く、こういうことに理事会では申し合わせになっておりますから、その席に具体的な問題については譲りたいと思います。
これに関連して、大臣にお聞きいたしたいのは、磯子の電発火力に対する炭の各社別の納炭比率というものは大体内定いたしておるように聞いているわけです。特にそこで問題なのは、これは炭鉱会社から直接電発に納められるのではなくして、炭鉱会社から納める以外に石炭商社を経由して納炭をされる。伝え聞くところによりますと、大手は三井、三菱、さらに燃料商社としては三省石炭、常盤商事、三光石炭、北星燃料、こういう各社を経由して石炭が納められる。しかし、この電発というのは少なくとも政策火力なわけです。しかも石炭特別会計から金も出しているわけです。こういう政策火力までも従来の九電力と同じようにこういう商社の介在を認めざるを得ないというのはどういうわけなんですか。これは政策火力なんです。流通の合理化をしなければならぬと、大臣はいつも所信表明では言われているのに、そういう流通の合理化ができ得るチャンスをむしろ放てきして商社の介在を認める、私はどうも納得がいかない。この点についてどういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/75
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076・菅野和太郎
○菅野国務大臣 石炭の流通機構については委員の各位からいろいろ御質問があって、またそれに対してわれわれもお答えをしておるのでありますが、石炭の流通機構が複雑であるということはわれわれもよくわかっております。もう少し簡素化をすればあるいは石炭の価格が安くなるというようなことも考えられると思いますが、御存じのとおり石炭の流通機構というのは非常に伝統的なものでありまして、したがって、これをにわかに改善するということは非常に困難を伴うことではないかと思います。しかし、時勢は流通機構の簡素化ということを要望しておりますから、おいおいそうなると思います。
そこで電発の問題ですが、電発が石炭を購入するについては、これはもうわれわれのほうでは一切関与せずして電発自身がやっておることでありますから、電発としてはそういう商社を通じたほうがあるいはより安くまた有利に入手しやすいということで、やっておるのではないかと思いますが、御趣旨の点はわれわれも同じように考えておりますから、今後また電発の石炭購入のやり方についてもわれわれのほうでもできるだけひとつ注意したい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/76
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077・岡田利春
○岡田(利)委員 いま石炭の流通問題が通産省が介入しないできまりますか。絶対きまらぬですよ。やはり通産省が積極的な指導をしないで、少なくとも新規に対して電発の納炭の各社別の割り当てがきまるはずはないわけですよ。私に言わせると、むしろ通産省がそのことを認めておるわけです。そこにやはり通産省の責任があると思うのです。もちろん電発側の言い分としては、これは九社並みの方式でやりたい、なぜそう言うかということは、やはり単価が安いからですよ。しかし、単価が安いといっても、実勢価格として認めれば、少なくとも商社を通さないで直売で納めれば、その石炭の流通経費がトン当たり百円なり百五十円というものが当然浮いてくるわけですね。山元手取りとして返ってくることは間違いがないわけです。この程度のことができないので、どうして石炭の流通対策をやるのですか、どうして流通合理化に手を触れることができるのですか。ここが私は非常に問題だと思うのです。ですから電発の担当の理事は、この交渉をめぐって、われわれは少なくともこういう流通関係の該当者ではない、九電力に追随をするのだ、こういうことが堂々と述べられて、そうしてそういう中から先ほど申し上げた商社を経由して入れる、こういうことが承認をされているわけです。通産省はらち外にあると言われる大臣の考え方が私は納得できない、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/77
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078・菅野和太郎
○菅野国務大臣 九電力がどこから石炭を買うかというようなことについては、通産省が一々指図することはどうかと私思うのです、そこまで通産省が出しゃばることは、九電力会社から見れば非常な介入だ、職権介入というような気持ちを持つと思いますから、これはもう電力会社は彼らの手腕によって、それぞれ安く石炭を買うというようにまかせたほうが私はいいと思うのです。電発もやはり九電力のやり方にならっておるのでありまして、したがいまして、電発自身もまあ自分らの思うとおりにやらしてもろうたほうが、石炭が安く買えるということであれば、それ以上私のほうからこれはここから買えとかあるいはどこから買えとかいうことは、私は政府としてはとるべき策ではないと考えておりますが、しかし、根本問題は石炭の流通機構が複雑であるということです。これはもう長い間の伝統でそういうことになったと思うのでありまして、その点において、これはもう石炭に限らず、日本のすべての商品についての流通機構が複雑であるというところに日本の物価の問題が伏在しておると私は思うのでありまして、そういう意味で、この際流通機構も改善しなければならぬということは、通産省の政策として考えておることでありますからして、そういう根本問題からこの問題はわれわれがひとつタッチしてみたいと、こう存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/78
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079・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭の流通問題は、過去は非常に複雑だったんですが、これからは非常に簡単になるのですよ。それを複雑に理解するところに理解のあやまちがあると思うのです。大臣御存じのように、昭和四十五年には、一般炭の場合三千万トンは電力へいくわけでしょう。あと七百万トンだけを各社が自分の努力で売るわけです。三千万トン全部電力にいくわけです。需要構造が大きく変わったということは、流通関係の合理化が非常にしやすくなったということですよ。そこで問題なのは結局商社を経由して電力会社にいくのをやめれば、三千万トンの石炭は山元から直接電力会社にいくわけです。こんな簡単な問題はないと私は思うのです。しかし、商社から言わせれば、まあ長い歴史の間、商社も石炭をかき集めて、石炭のないときに電力会社に協力したではないか、こういう言い分もあることは間違いがないわけです。しかし、昭和四十五年度には三千万トンの一般炭は電力に向けられるわけです。ですからこれをいますぐ変えろといっても困難が伴うと思うのです。ですからこれも昭和四十五年度までを目途にして、直売方式をとる。商社もそういう準備かすればいいわけです。三井物産、三菱商事がこの程度の石炭を扱わなければつぶれる会社でもないわけですから、そういう政府の保護政策に対してこたえるべきではないか、協力をすべきではないか。むしろそういう要請を通産省は積極的に進めて——私は別に来年からやれと言っているではないのです。少なくとも昭和四十五年度を目途にして三千万トンの石炭の流通は当然改善されなければならない。これはやはり積極的に進める決意をまず持っていただかなければ、幾ら私どもが提案をしても前進をしないと思うわけですね。大臣の決意のほどをひとつ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/79
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080・菅野和太郎
○菅野国務大臣 即時ではなくして、時をおいてやれということであれば、これは先ほど申し上げましたとおり、流通機構全体について、通産省としてはこの際思い切った改善をやりたい、これは石炭に限らず、そういう考えをしております。
そこで石炭問題については、いまのお話のとおり、電力会社がかつて困ったときにはそういう商社に非常にお世話になっておるし、そういういろいろな関係があると私は思うのです。金融上の関係もかつてはあったと思うのです。だから、そうにわかにいままでの好意を無にするということもできないという事情も私はあると思います。したがいまして、これはやはり時をかしてもらわなければ、電力会社自身も解決ができないことだ、こう思っておりますから、お話のとおり、私がそういうことを決意するというようなことをここではっきり申し上げること自体はどうかと思いますが、まあそういうように、より安くより容易に売るように、石炭を買うように、こっちが勧誘することはやってしかるべきことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/80
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081・岡田利春
○岡田(利)委員 御存じのように、いま電力用炭販売株式会社が設立をされて、代金決済というのは全部ここで行われているわけです。負担増の問題についても、この会社で全部消化をされておるわけです。電力会社に直接いっているわけではないわけです。しかも、いま申し上げましたように、三千七百万トンのうち三千万トンはすべて関係電力会社で一般炭は使用する、こういう政策需要をやっている。そうして一方において、その対策のために石炭特別会計を設けて今年度五百二十億の予算を計上した。ですから、大臣、これは普通の流通問題とは違うわけですよ。国が石炭産業の安定のために膨大な税金を使って対策を立てている。ですから普通の流通問題とは違って、それなるがゆえに、流通問題については政策需要なんですから、いま商社がかってに自分の能力で石炭を売って歩く時代ではないわけです。あくまでも発電なら電発の火力をつくってやって、そこに石炭の需要を確保するから、その商社はあるワクをもらって、自分の系統の山の炭を買って納めるだけなんです。税金を使って政策需要をつけておるわけなんです。ですから、一般流通と違ってこの面は解決をするという腹をきめれば解決できる。しかしながら、いますぐ解決をするというと若干の混乱もあるでしょう、歴史的な経過もあります。われわれもこれは認めておるわけです。ですから、少なくとも昭和四十五年まで三年あるわけですから、昭和四十五年を石炭政策の一応自立安定のめどとして定めている限りは、それまでにこの問題も同時に解決しなければいけない。それにはやはり二年ないし三年前からそういう方針を出して、そうしてこれに協力をしてもらう。漸減をして直売で炭を売らせる。天下の三井鉱山の石炭までが、なぜさらに三井物産の手を通して、電力会社から割り当てをもらって石炭を入れなければならぬのか、ふしぎでしょうがないわけです。ですから、決意というよりもこの方向はどうですか、お認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/81
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082・菅野和太郎
○菅野国務大臣 そういう方向であるということは先ほどから申し上げておるとおりでありますから、そういうような時期が一日も早く実現することはわれわれも期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/82
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083・岡田利春
○岡田(利)委員 この問題はさらに詰めてこれからも議論を進めなければならぬ問題点だと思うわけです。先般の委員会でも問題になって大臣からも答弁をいただいておるのですが、この際、重ねて見解を承っておきたいと思います。
それは、原料炭は御存じのように北海道が重点になって、大体一千万トン近い石炭が北海道で生産される。九州が五百七十万トン程度である。この問題をめぐって流通問題を一体どうするのか。それと、実際問題として手取り減になっていく傾向にあるわけです。この対策を一体どう立てるのか。そういう中から、従来の石炭専用船をさらに大型化してつくらなければいかぬのではないか。そのことによってある程度流通経費を浮かして、それでもなおかつ、おそらく関西方面に北海道から原料炭を持っていく場合には運賃補給等も考えざるを得ないのではないか、こういう意見も関係方面からいろいろ出ているわけです。また審議会の内部でも、この点についていまから対策を立てなければならないという御意見もあるようです。
ところが、先般一応運輸省の見解は聞いたわけですが、この専用船の問題については通産省当局としては踏み切っているのかどうか。一応、第一次二十九隻が終わったわけですが、今度は聞くところによると七千五百トンかあるいはまた一万トンクラスの専用船というものをつくってその対策を立てなければならない、こういわれておるのですが、通産省内部ではその意思統一をして、そういう政策を具体化する方向に踏み切っているのかどうか、この面を明確にひとつお聞きいたしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/83
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084・菅野和太郎
○菅野国務大臣 石炭専用船をもっとつくりたい、そういうようにわれわれは決意をいたしております。しかし、これは運輸省とも相談してきめるべきことでありますからして、今後運輸省と相談してきめたいと思います。
なお、先ほどのお話で、原料炭が北海道で出るということにつきまして、まあ製鉄所などは関西、瀬戸内海にたくさんできるようになっておりますが、今後この製鉄所が関東方面にいまできる計画があります。それなどはやはり北海道の原料炭を使用するのが便利だという意味で関東方面に製鉄所ができるような計画を立てておると思うのでありまして、そういうことでできるだけ運賃を安くして、安い原料炭を使うということをそれぞれ計画しておるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/84
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085・岡田利春
○岡田(利)委員 いま大臣はそう言われましたが、いまの見通しからいって、昭和四十五年度にはこの北海道の原料炭の運賃で、いままで関東におさめる場合には一番手取りが高い、それから中部から関西にいくに従って手取りが下がるわけです。ですから、運賃が高くかかって手取りが下がるという二重の問題が出るわけですね。たとえば新しい高炉が千葉とか関東方面に建設をされても、この傾向だけは私は改まらないと思うわけです。ですから、二重の手取り減になる。単に遠くなって運賃がかかるというだけの問題じゃないのです。従来の実勢価格からいえば、関東から関西に移るということは、関西のほうが炭価が安いわけですから、北海道の遠いところから運んでいって安いところに売らなければならない。結局これは政策需要なんですから、当然供給をしなければならぬということになるわけなんですね。ですから、この問題というのは、ほんとうは専用船だけではもう解決しないわけです。まして専用船の問題は、流通合理化の面が消化されないとすれば、この二重の手取り減の問題は依然として解決されないわけですよ。石炭局長、大体見通しとして、この運賃と手取りでどのくらいの差があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/85
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086・井上亮
○井上(亮)政府委員 関東から関西までの運賃差は、大体二百円近いのではないか。したがいまして、私どもとしましては、ただいまし申しましたように、これから原料炭は北海道にやはり重点的に移行しますので、北海道の原料炭の増産ということが期待されておりますから、これが関東から関西、さらには関西でも福山ぐらいまで行かざるを得ないというふうに考えます、そうしますと、やはり運賃差の問題で、専用船も従来の五千トン程度でなくて七千トンクラス、ないしはそれ以上のものにして、できるだけこの運賃差を詰めるという努力はしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/86
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087・岡田利春
○岡田(利)委員 私の手元にある数字では、四十一年度の原料炭は北海道は七百万トン、九州は五百二十万トンなんです。四十五年度は北海道は九百三十万トン、九州は五百七十万トン、そういう比率になっているわけです。ですから北海道では二百三十万トンの原料炭が四十五年度まで増産をされ、そしてその分の需要先は西下をする、こういう一応の見通しになっていると思うわけです。そこで内航の問題は、専用船建造をめぐってもなかなか問題がございましたけれども、石炭専用船の建造をした実績がすでにあるわけなんですが、この功罪といいますか、この点は運輸省当局ではどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/87
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088・高林康一
○高林説明員 石炭専用船の、ことに近代化資金を投入いたしました石炭専用船、たとえば先ほど御指摘がありましたように大体二十九隻だったかと思いますが、そのほかに、たとえば東北開発公庫あたりの資金によりますところのもの、全体で大体五十数隻の石炭専用船が現在あるかと思います。
これの功罪でございますが、まず功から申し上げますと、確かにこれは非常に運賃の低廉化といいますか、従来の運賃水準を一〇〇と考えまするならば、大体八〇を切るくらいの水準になったかというふうに考えております。そういう意味では石炭の流通経費の合理化というような点には相当大きな寄与をしたのではないかと私どもも考えております。
しかしながら、この石炭専用船によりましていろいろ影響というものが出ております。その影響につきまして考えてみますと、第一には大体石炭輸送というものが内航海運のいわば大宗でございます。もちろんその比重というものは逐次下がっておりますけれども、現在におきましても石油製品と並んで最も大きな比重を持っております。従来の内航海運企業というものは、大部分これも石炭輸送によっていわば企業を営んでおったというものが多いかと思います。ことに機帆船と称する一ぱい船主が大部分でございます企業におきましては、この石炭輸送によって経営していたという実態かと思います。それが石炭の輸送料の減少ということと、また石炭専用船の能率化というような現象によりまして、従来の輸送分野というものが既存企業には非常に小さくそってきたという影響が出てまいったわけであります。こういうようなことのために、大体この機帆船という企業は一ぱい船主でございます。しかも多くは家族労働によっておるというような極端な零細企業です。そういうような企業に対しまして非常に市場分野と申しますか、そういうものを狭くしたというような影響が出てきたかと思います。もちろんこの過程におきましては、通産省ともよく御連絡を申し上げまして、そういうような既存の、ことに機帆船に対するところの悪影響を極力避けるというような趣旨で、そういうような機帆船の集合体によるところの企業、一船だけではとてもそれだけの能力を持ちませんが、ある程度の集約合併をいたしますことによって、そういうような石炭専用船という輸送にたえられるような体力をつけ、そういうようなものによって輸送をやっていくことをいろいろ通産省にもお話申し上げまして、また一部そういうような方針で実施してきた次第でございます。ただそういうような企業というものを大企業というものから見ますと、やはり資産、信用力というような面からいって、機帆船船主というものが非常に弱いというようなことのために、やはり多くのものが圏外にあるという結果になりまして、そういうような過程で、かなり機帆船経営等においては大きな影響を及ぼしてきたかというふうに考えます。
大体私どもはそのように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/88
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089・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、機帆船関係の問題以外には、内航運賃、内航船の各社との関係では別に問題ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/89
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090・高林康一
○高林説明員 かいつまんで申しましたので、あるいは落としたのかもしれませんが、一般的に申し上げますと、いわば機帆船運賃というものは、内航運賃の指標になっておる運賃であります。それで、機帆船運賃が近代化専用船、これはいわば無利子融資でございます。この無利子によりますところの近代化専用船というものによる運賃というものが、いわば運賃市場というものを大きく左右してきている。したがって従来借金によりましてやっておりましたところのものにとりましては、この種の無利子融資によるところの運賃水準まではなかなかやっていけない、そういう意味で、運賃市場には全般的には影響を及ぼしてきたかと思います。
それから第二には、冒頭の近代化専用船以外に石炭専用船というものが、たとえば東北開発公庫等の融資によりまして二十ばいくらいあるいはできておるのではないかと思いますけれども、それらのものも石炭の専用船のいわば就航見込みといいますか、それが当初計画よりはかなりシェアとして大きくなっておるというようなこともありまして、そういうような従来の近代化専用船以外の石炭専用船と称するところのものにも、やはり市場という面では窮屈になってきたような傾向はあるかと思いますが、やはり一番顕著なのは機帆船問題だろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/90
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091・岡田利春
○岡田(利)委員 大体いまの答弁で理解できるわけですが、しかし石炭そのものが、御存じのように四十五年まで膨大な政府の予算を計上して安定しなければならない。そういう点で各山元では非常に他の産業では見られない合理化が進んでいる。そしてまた新たに国策に基づいて原料炭は増産をしなければならない。むしろ原料炭は不足ぎみでいくだろう、こう実は見通されるわけです。そしていま申し上げましたように原料炭の供給範囲が北海道から関東を越えて、おそらく水島まで輸送しなければいかぬだろう、こう見通されておるわけです。そういたしますと、この対策として石炭産業を安定させる、しかも原料炭はできるだけ国内で生産をし、国際収支の面からも当然その増産をはかっていかなければならぬという政策もあるわけです。ところが先ほど申し上げましたように、運賃はさらにトン当たり二百円もかさんでいる。また炭鉱側からいえば、関東が一番手取りが高いわけですが、関西に行くに従って手取りが減ってくる、この二重の問題があるわけです。その一つを解決するためには、やはりある程度運賃を、いままで東京まで持ってきた価格と、将来関西まで持っていってもあまり差がない体制にするためには、どうしても専用船の大型化の問題もあるし、専用船をさらに建造しなければならない、こういう問題が至上命題として私は出てきたと思います。この点についての理解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/91
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092・高林康一
○高林説明員 いま御指摘のございましたように、石炭のほかにも当然同じような問題があるかと思います。費用の低廉化ということ、これは今後におきますところのいわば産業政策といいますか、それの基本的な命題になると思います。私どもといたしましても、そういうような観点から、内航海運企業というものは非常に零細企業であり、かつぼろ船が多くて非常に経費が高い。そういう意味で低廉化の要請には、いまの時代においては容易に応じがたいというような実情もございます。そういうような観点から、昨年五月に内航海運対策要綱というものを閣議決定いたしまして、それによりまして、いわば内航企業の集約をはかり、また老朽の不経済船を解撤いたしまして、経済的な性能の高い——たとえば石炭専用船というようなものだと思いますけれども、こういうような性能の高い船をつくっていく、それによって流通費用の低廉化という要請に応ずるように、その閣議決定に基づきまして、各種の法律によりまして現在それを実施しつつある段階でございます。したがいまして、そういう目標につきましては、私どもも全くそういうふうに考えております。
ただ、その実施の過程におきまして、既存企業に対するところの悪影響というものは、ある程度は出る場合もありますけれども、そういうようなものをどういうふうにして避けていくかということは、これはやはり非常な零細企業であります内航海運というものを考えていきます場合に、あわせて考えていかなければならない点だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/92
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093・岡田利春
○岡田(利)委員 内航海運の近代化整備計画の中には、私がいま質問している石炭専用船の問題は含まれておりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/93
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094・高林康一
○高林説明員 いわゆる近代化資金によりますところの石炭専用船というものは、これは含まれておりません。さらにこれが、鋼材専用船あるいはタンカーというようなものが、現在の応募状況のもとにおいては非常に多いということも事実でございます。これはもちろん、その計画がございますれば、当然計画としては考えていくものではございます。ただ、近代化資金の面は、当初からこの中には入っていなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/94
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095・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、近代化資金による石炭専用船をつくるという場合には、いまの計画のワク外でやはり考えていかなければならぬ問題ではないか。含めて考えることはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/95
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096・高林康一
○高林説明員 もちろん、財政当局との交渉の問題にもなるかと思いますが、いままでの考え方では含めては考えておらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/96
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097・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、この政策を具体的に、石炭専用船を建造することにさらに踏み切る、おそらく、私はこれをやれば、流通関係の最後の合理化の問題として、専用船建造に計画はなるのではないかと思うのですが、その場合には従来の実績は二十九はいあるわけですが、特に何か問題点が起きますか、近代化資金でさらに石炭専用船を建造していく方式で。いまの近代化整備計画を進める観点に立って、特に何か問題点がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/97
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098・高林康一
○高林説明員 問題点といたしましては、やはり現在の既存の零細企業というものが、いわばどのように職業転換といいますか、そういうようなものができるか、それを具体的に考えてみるということだろうと思います。おそらくこの問題が、従来二十九はいの過程におきましても、あるいは今後におきましてもやはり問題になってくるだろうというふうに予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/98
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099・岡田利春
○岡田(利)委員 しかし、石炭輸送の機帆船関係については、これは相当割り当てもしましたし、一部転換もしましたけれども、炭鉱もあれだけ合理化されて、そのものすごい合理化の波の中で、労働者も離山をしなければならない、いわゆる雇用の再転換をしなければならない、こういう犠牲を払っているわけですね。その面から見れば、石炭専用の機帆船関係の問題については一応一段落したのではないか、こう私は見ているわけです。ですから、前の二十九隻の石炭専用船建造のときと、これから新しい政策で石炭専用船を建造する場合と、そう前ほどの影響はないと私は思うわけですね。一応落ちついた、こう見ているわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/99
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100・高林康一
○高林説明員 もちろん、全般的に考えまして、前回の場合に比較いたしまして、内航海運対策というものも実施しておる、それによりまして逐次企業の、何といいますか、近代化体制というものが生まれつつあります。そういうようなことを前提にいたしまして、私どもは大体四十三年度くらいまでにある程度の企業体制、それからまた老朽船、あるいはまた現在全般として過剰船腹でございます。そういうような過剰船腹の状況というものを、大体三年間におきまして逐次整理してまいりたいということで、いま計画をやっておるわけであります。したがいまして、もちろんこれは北海道炭が関東からさらに関西方面に伸びる。北海道炭の場合におきましては、機帆船よりも鋼船、これは構造的にそうならざるを得ない。そういうことになってまいりますけれども、全般的にはやはり内航船舶というものが非常に過剰であるという状況のもとで、現在私どもは、船舶をこれ以上ふやさせないということで、内航海運業法によりまして船腹量の最高限度というものを決定しておるわけです。この船腹量の最高限度というものは、現在以上に船舶をふやさせないというようなことをやっておるわけです。こういうような点で、専用船というものが非常にいわば高能率で、それだけまたメリットも非常に大きいということでございますけれども、逆に輸送需要と輸送供給力と、私どもはトータルの見方をする点で、地域的な需要というような点から見ますと、またいろいろ、もっと分析しかたもあるかと思いますが、全体的にはやはり船腹量というものが過剰になるおそれがある。そういうような点と、それから、やはり全体的にそういうような運賃マーケットというものが下がるというようなことによりまして、まだ体制が整っていない現在の企業のもとにおいては、それについていけないというものが多く出る可能性はあるかもしれないということをいまおそれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/100
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101・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭産業の置かれている実態というのはよく御存じだと思うわけです。一方、内航海運対策を進める側から見れば、いま言われた問題点もあると思う。しかし日本の産炭構造は九北にとにかく偏在をしておるという特殊な条件では、しかも昭和四十五年度までにとにかく石炭産業を安定させなければならない。そのために石炭特別会計をつくり、今日まで政策を進めてきたわけです。ですから、いまあなたの言われた問題と至上命題とどう一体調整するのか、ここに問題があるんですね。だから、言うなれば、多少問題があってもこの政策というものは、いま進められている計画に包括をして、どうしても実現されなければならない問題だと私は思うわけです。大臣も、いま、通産省側としてこれはどうしてもやらなければならない問題だ、こう言明されておるわけですが、その点の調整はさほど問題がないと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/101
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102・高林康一
○高林説明員 もちろんその計画、私ども先ほど申しましたように、流通費用の低廉化という目標につきましては全く同感でございます。したがいまして、目的が同一でございまして、そういう意味におきましては、私どもの考えておりますところの内航海運対策というものと石炭対策という至上命題というものとは、究極目標におきましては必ず合致し得るものだというふうに考えております。ただ、計画の具体的な内容によりまして、やはりその内容ないしは計画を実施する過程におきまして、いろいろの摩擦というものを生じ得る可能性はございます。そういうような点は、私どもよくまた通産省とも御連絡申し上げまして、そういうような摩擦、もちろん合理化のためにある程度の摩擦はやむを得ないという面もあるかもしれませんが、やはり極力摩擦を少なくしながら進めていきたい。またそういうためにいろいろ御相談を申し上げていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/102
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103・岡田利春
○岡田(利)委員 私は、昭和四十五年年度までの石炭政策でこの問題は重要な柱だと思う。これが解決できなくて、石炭政策というものが一応ピリオドを打つということは私は不可能だと思うわけです。もちろんこれ以外に先ほどから質問いたしておりますように、流通機構の合理化もしなければいけない。そしてできるだけ手取りをふやすという方向も解決していかなければならぬわけです。しかしいずれにしても、特に石炭の中の戦略的な原料炭の問題が当面の日程にのぼってきたわけですから、この点十分ひとつ理解をしていただいて、通産省当局とも今後打ち合わせがあろうかと思いますけれども、そういう趨勢であるということを十分ひとつ御理解願っておきたいということを強く希望いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/103
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104・八木昇
○八木(昇)委員 いまの岡田委員の質問と直接の関連はないのですけれども、この機会にちょっと運輸省の方に聞いておきたいと思うのです。
いまの問題については北海道のいろいろな事情から、岡田委員の主張、私ももっともだと思うのですけれども、九州あたりで炭鉱が非常に不況になって、そして石炭輸送専門の機帆船がどうにもならなくなってきておるということは先ほど言っておられたとおりであります。そこでそういった廃業をするというような機帆船等について、それが解撤をするものについては相当の価格で運輸省が買い上げるという措置をやってこられたわけです。何もそういう石炭専用機帆船に限ったわけではありません。それが昭和四十二年度一ぱいで相当数量を、解撤するものについて買い上げるというような措置をやられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/104
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105・高林康一
○高林説明員 機帆船に限りませんけれども、内航船は非常に老朽船が多くて、まず過剰船腹であるという状況から見まして、船舶整備公団というもの、これはおもに内航船の船主との共同建造によりまして、七割船舶公団が持つ、まあ融資みたいなものでございます。それから三割を事業者が持つという船舶整備公団のシステムがございますが、この過剰船腹の状況から見まして、船舶整備公団におきまして船腹を建造いたします場合、一のトン数に対しまして一・五のトン数をつぶすということにいたしまして、船腹量を減らすということをやっておるわけであります。したがって、その一・五の船腹量をつぶします場合、そのつぶす船のいわば乗り組み員、あるいはつぶす過程におきましての借金といいますか、そういうふうないわば事業をやめること、あるいは逆に自分の持ち船をつぶしてつくります場合は、その新船というものができますまでの生活継続資金というような意味で、船舶整備公団におきまして解撤融資、スクラップ融資というものをやりまして、それは年三分五厘の金利になりますように利子補給をするというようなことをやっておりまして、事実上は公団によるところの買い上げに近い性格は持っておるかとも思いますけれども、これはあくまでも解撤手当てのための融資というような姿になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/105
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106・八木昇
○八木(昇)委員 そうすると機帆船が——石炭専用の川船みたいなものですが、そういうのが百隻なら百隻、そのうち三十隻はそれぞれ船主がおるわけです。それがこの際もうやめるというような場合に、それを買い上げているというような形はないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/106
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107・高林康一
○高林説明員 たとえばいまの例で申しますと、現在やっておる人、そういう人が自分で船をつくらない、事業も継続しないというような人でございます場合は、新たに船を建造する人におそらく売ることになると思います。売りまして、それが結局解撤船に引き当てられますので、そこで新たに建造する人が事業を廃止するような人からその船を買い入れる。それについて公団から融資ないしは利子補給をやるということでございますから、直接には新造船をつくる者がその船を買い上げるのですが、間接的に公団がそれをバックアップする、こういうようなシステムになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/107
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108・八木昇
○八木(昇)委員 それの期限といいますか、それが昭和四十二年度までということはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/108
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109・高林康一
○高林説明員 昨年五月十日の内航海運対策の閣議決定におきまして、このスクラップをいたしますことは当時は四十一年度以内——実は予算のおくれによって本年度に入りましたが、四十一年度内にやる。それから建造は四十一、四十二、四十三の間に行なう。したがって建造計画といたしましては一応三年計画で、ただその建造をする船主を決定いたしますのは四十一年度で一ぺんにきめる。これが先ほどの予算のおくれで四十二年度に入ったということで、時日的には四十二年度で四十一、四十二、四十三年分を一括船主をきめたということでございます。閣議決定は、その後のことについては触れておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/109
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110・八木昇
○八木(昇)委員 この一問で終わりますが、まだまだ非常に迷っているというような船主が相当おる場合でございますね。炭鉱そのものがまさしく気息えんえんもうつぶれそうだという状況等があって、しかも現在でもかろうじて——ともかくそれだけでは食えないのだけれどもやめるわけにいかないというような形で、非常に迷っておる船主たちが相当おるわけです。そういった特殊の事情については若干先まで、昭和四十三年、四十四年くらいまでそういった措置を続けるわけにはいかないかということを伺いたかったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/110
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111・高林康一
○高林説明員 閣議決定の考え方が、三年間におきまして古い船をなくして、そして競争力の基盤を一応はっきりさせる、そして経済的鉄船ができるようにする、また企業をある程度集約する、それを大体四十三年度末までにやりたいというふうに考えておりまして、そういうための資金手当てあるいは利子補給、あるいは政府保証その他一連の措置をとったわけでございます。この場合に当然私ども予定しておりますことは、そういうようないわば内航海運業が成り立っていく基盤が出てきた後において、また今後の輸送需要は全般的には伸びていっております。おそらく今後ともまたそういうふうに当然推移すると思います。そういうような老朽過剰船を一応三年のうちでなくして、そして今度は新しい輸送需要に対応するようなそういうような船腹整備というものは、当然その後の段階においては考えるべきではないかということで、私どももいま部内では打ち合わせはしておりますけれども、現在の段階はいま閣議決定の内容を実施することに手一ぱいと申しますか、もちろん今後におきましていろいろ予算その他の形で検討を進めてまいらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/111
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112・八木昇
○八木(昇)委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/112
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113・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 次会は明二十三日午前十時十五分から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X01919670622/113
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