1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年三月二十八日(火曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 三池 信君 理事 毛利 松平君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 春日 一幸君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 菅 太郎君
鯨岡 兵輔君 小峯 柳多君
河野 洋平君 笹山茂太郎君
砂田 重民君 永田 亮一君
西岡 武夫君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
山中 貞則君 渡辺美智雄君
阿部 助哉君 只松 祐治君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
柳田 秀一君 山田 耻目君
横山 利秋君 竹本 孫一君
永末 英一君 有島 重武君
広沢 直樹君
出席国務大臣
外 務 大 臣 三木 武夫君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
通商産業大臣 菅野和太郎君
出席政府委員
内閣法制局第三
部長 荒井 勇君
外務政務次官 田中 榮一君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省証券局長 加治木俊道君
国税庁長官 泉 美之松君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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三月二十六日
委員川崎秀二君辞任につき、その補欠として鯨
岡兵輔君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員西村榮一君及び田中昭二君辞任につき、そ
の補欠として永末英一君及び有島重武君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月二十五日
期限の定めのある国税に関する法律につき当該
期限を変更するための法律案(内閣提出第二号)
は本委員会に付託された。
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三月二十七日
たばこの値上げ反対に関する陳情書外一件
(第一二号)
日本銀行の支店設置に関する陳情書
(第一三号)
納税協会法の早期制定に関する陳情書
(第五七
号)
燃料関係税の増税等反対に関する陳情書
(第六〇号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源
泉徴収の臨時特例に関する法律案(内閣提出第
一号)
期限の定めのある国税に関する法律につき当該
期限を変更するための法律案(内閣提出第二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源泉徴収の臨時特例に関する法律案及び期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案の両案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/1
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002・内田常雄
○内田委員長 まず、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につき、政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
内国税及び関税について設けられている特別措置は、それぞれ租税特別措置法及び関税暫定措置法に規定されているところでありまして、これらの措置のうち適用期限が到来するものについての今後の存続、内容の改正等につきましては、別途これらの法律の改正案を提出して御審議を願うことといたしておりますが、とりあえず、その間に期限の到来するものにつきまして、期限を延長することが適当と考え、この法律案を提出いたしました次第であります。
この法律案によって適用期限が延長されるものは、一租税特別措置法及び関税暫定措置法に規定されている特別措置のうち、昭和四十二年四月三十日に期限の到来する配当所得の源泉選択課税のほかは、同年三月三十一日までに期限の到来する特別措置でありまして、内国税においては、利子所得に対する所得税の分離課税、配当所得に対する所得税の源泉徴収税率の軽減、法人税における交際費の損金不算入措置、新築住宅の保存登記に対する登録税の軽減、航空機の乗客に対する通行税の軽減等二十八項目の措置、関税においては、重要機械類の免税、給食用脱脂粉乳の免税、肥料製造用揮発油にかかる関税の還付等十二項目の減免税措置のほか、米、小麦、バナナ、原油等百二十品目に対する暫定税率の適用がその内容となっており、これらの措置について適用期限をいずれも同年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
なお、来年度新設予定の石炭対策特別会計からの交付金に移行することが予定されている電力業等が使用する重油にかかる関税の還付制度等は、今回の延長の対象から除外することといたしております。
以上、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げましたが、何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/3
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004・内田常雄
○内田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/4
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005・内田常雄
○内田委員長 次に、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/5
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006・永末英一
○永末委員 今回の総選挙は、何か政界に黒い霧がただよっておったというようなことが国民の頭にあって選挙が行なわれたようであります。その黒い霧の一つは、政治家の収入というものがまことに正規のものではないのではないかというような点が一つ、もう一つは、その収入した政治家が正当に税金を払っていないのではないか、分ければこういう二点について黒い霧というようなものがうたわれたように思います。それかあらぬか、今回の総選挙では百三十名以上の新人代議士が出てくるというような、何か、それまでの国会を構成しておりました者にそういう黒い霧がかかっておったかのような予断を与えるような雰囲気、これが総選挙の前にただよっておったのではないか。ところが、こういう現象について国税庁はキャンペーンを開始したのではないかと思われる節がある。
たとえば、昨年十二月十日付の朝日新聞に、「政治家の脱税許さぬ、国税庁追及に立上がる」、「過去三年間で数億円、悪質な数十人を再調査」というような見出し——見出しは国税庁には関係ありません。しかし、その内容はどこかから取材をしなければならぬのでありますから、こういうような一つのキャンペーンに至る材料というものは、これは国税庁もまた全く関係なしとはしない、このように思うわけでございます。
そこで、ひとつこの機会に、政治家と税金という問題に関して、国税庁なり大蔵省が考えている考え方を明らかにしていただきたいと思います。
最初に、東京国税局で、特別管理班なるものをつくって、そして議員の所得の調査をやった、こう伝えられておりますが、その事実があれば、どういうことをやって、その結果はどうかということをこの際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/6
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007・泉美之松
○泉政府委員 ただいま昨年の十二月十日付の朝日新聞の記事に関してお話がございましたが、永末委員もおっしゃったとおり、あの見出しは私どもの関知するところではもちろんございません。私どもといたしましては、昨年来、おっしゃるように、黒い霧ということに関連いたしまして、国民の間に政治家の所得について適切な課税が行なわれているかどうかということについての疑惑が出ておりますので、そういった点から、また、森脇文庫の脱税事件、あるいは田中彰治前代議士の脱税事件というようなことに関連いたしまして、大口の脱税に対する追及が十分行なわれていないのではないか、こういったような世間の批判がありますので、私どもといたしましては、そうした大口の脱税について従来の税務署だけの調査ではなかなか調査が十分にいかない点につきまして、と申しますのは、そういうものが一つの税務署でなしに数署の税務署にわたり、あるいは数個の国税局にわたって課税対象があるというような関係がございますので、国税局に特別管理班というのをつくりまして、その特別管理班におきまして、そうした税務署だけで調査しにくいような大口の脱税のものを追及するという体制を整えてきておるわけであります。こうした特別管理班でそういった大口脱税を追及しておるわけでございますが、その調査をいたしておるときに、政治家についての問題が出てまいりました。
政治家の方の申告状況及びその課税の状況につきまして、これは特別管理班ではございませんで、税務署を通じて国税局に資料を求めて、私どものほうで資料を集めたわけでございますが、その結果によりますと、これは中にはケアレスミステークのものがあると思うのでございますが、配当あるいは給与の資料があるにもかかわらず申告に漏れがある、こういう向きが若干ございました。これらにつきましては、新聞では悪質というふうになっておりますが、私どもは決してそう思っておるわけではございませんけれども、そういった漏れがあることは好ましくございませんので、それについて修正申告をお願いする、こういうふうにお願いして、今回の四十一年分所得の申告の際にあわせてそうした修正をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/7
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008・永末英一
○永末委員 新聞記事はあなたのほうに責任はないと私も思います。ただ、しかし、いま申しました記事の中に、要するに、調べたその結果、議員のほとんどが税金をごまかしていることがわかった、こういうことになっておるわけです。そうしますと、私は、同僚議員はほとんど、いや、もうその大部分がこんな意思も何もないと思います。ところが、この新聞を一般の国民有権者が読むわけでございますから、ああ、政治家というものは税金をごまかす動物かというような予断を与えては、選挙の結果にこれはきわめて重大な影響を及ぼす。私は、選挙というものは事実の認識の上に立って有権者が判断を下すものであろうと思いますが、こういう議員のほとんどが税金をごまかしておるというような感覚でもし選挙が行なわれたといたしますと、これは重大な問題じゃないかと思うのです。その点についてひとつ御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/8
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009・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの集めました資料によりますと、当然申告すべき所得を申告していない方が若干名おられましたけれども、ほとんどの議員がというようなことは非常な間違いでありまして、私どもは、そのときに新聞に対しまして、そういう間違った報道をされるのは非常に迷惑するということを申し入れた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/9
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010・永末英一
○永末委員 共和製糖事件でも、わが党の春日一幸議員が予算委員会で数字のことを聞きましたが、なかなか出ませんでした。しかし、これは税務のことでありまして、別段何ということはないのでございますから、若干というのは、何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/10
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011・泉美之松
○泉政府委員 各税務署に対しまして、そうした申告漏れがある向きについては修正申告を提出していただくように慫慂するようにということを指示したのでありまして、私どもが税務署から聞きました数字でございますと、六十人程度というふうに聞いておりますが、その具体的な内容につきましては、まだ修正申告がどのようになされたか集計いたしておりませんので、判明いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/11
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012・永末英一
○永末委員 六十人というのは、その当時の衆議院議員、参議院議員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/12
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013・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/13
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014・永末英一
○永末委員 地方議員はおりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/14
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015・泉美之松
○泉政府委員 そのとき集めましたときには地方議員は入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/15
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016・永末英一
○永末委員 第一に伺いたいのは、お調べになりました衆議院議員、参議院議員、つまり国会議員の所得というものは一体どういう内容のものとお考えになっておるか、どういうものを所得として、課税標準として把握されたか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/16
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017・泉美之松
○泉政府委員 御承知のとおり、現在の所得税法におきましては、所得の種類を十種類に区分しております。そのうち利子所得、配当所得の一部及び山林所得、退職所得は、これは分離課税でございます。それ以外の所得につきましては総合して申告していただく、こういうたてまえになっております。政治家の方の場合に、総合して申告すべき所得には、たとえば配当所得の申告をしなければならぬ分、あるいは給与所得、事業所得、譲渡所得などおありの方もおありかと思いますが、政治家として特有の問題は、いわゆる政治家としての活動に伴う収入の問題だと思います。これにつきましては、所得税法の九条一項二十二号に、公職の候補者が選挙運動に関して取得して同法の規定によって届け出たものは非課税という規定がございます。それと、相続税法のほうに、個人からもらった分について同じように非課税の規定がございますが、その二つの非課税の規定のほかには非課税の規定はございません。したがって、政治家の政治活動に伴う収入支出につきましても、その収入に対して、必要経費として認められるものを支出して、もし残りがあるならば、その残りの分については雑所得として課税すべきである、こういうふうに思っております。
ただ、実際問題といたしますと、政治家の収入支出の内容にはなかなか明らかにできない部面がございまして、調査にあたっては非常に困難でございます。私どもといたしましては、そうした余りは、結局私的な財産の形成あるいは御本人並びに家族の方の私的な消費、こういう形になっておるものと思います。したがって、調査にあたりましては、そうした私的財産の形成あるいは私的な消費に使われた面について調査をする、こういうことにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/17
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018・永末英一
○永末委員 これまた新聞を引き合いに出して恐縮でありますけれども、「ゴマカした所得金額は百万円以下から数千万円におよび」、こういうことが書いてあるわけです。そうしますと、いまおっしゃったように、所得というのはなかなか把握は困難だと言われましたが、その困難な意味合いは、いまあなたのおことばを繰り返しますと、明らかにできない部面がある、こういうことをいまあなたが言われたわけです。明らかにできないというのは、実態上明らかにできないのか、それとも、法律、つまり税務行政上所得と考えておる、そこのルートに乗らない、こういう意味なのか、そこのところをひとつ伺いたい。それから、金額についてどれくらいあったかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/18
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019・泉美之松
○泉政府委員 所得と申しますのは、もう皆さん御承知のとおり、収入があって支出がある、その残りが所得になるわけでございます。したがって、その政治家の場合に、政治活動に伴う収入支出があって、その残りということになるわけでありますが、実際問題といたしましては、そうした残りは生じない方が多いわけであります。政治活動に伴って支出されてしまう。ただ、時に、家をお建てになる、あるいは自動車を購入される、レジャー用のいろいろな消費を行なわれる、こういったことがありました場合におきまして、その部分にもし政治活動に伴う収入から使われておる向きがあれば、これは所得になるものだと思っておるわけであります。いま申し上げましたようなかっこうからいたしますと、収入と支出はそれぞれあるけれども、所得になる姿というものがなかなか調査しにくい、こういうことでございます。
それから、どうも新聞記事を引き合いに出されるのははなはだ迷惑なのでありまして、私どもといたしましては、個人の秘密を守る義務が課せられております。したがって、そういう調査の結果どのような所得の脱漏があったかどうかということは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/19
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020・永末英一
○永末委員 あなたはいま新聞を引き合いに出されるのははなはだ迷惑だとおっしゃったが、私はちゃんと断わってある。それはあたりまえのことである。ただ、私が申し上げたいのは、知る由がないから、これは明らかに国民にみられた文字でありますので、それを国民がそのとおり受け取っておったのでは、これは政治一般に対する不信になる、こういうので私はお伺いをしておるわけであります。
そこで、あなたのお話を伺いますと、所得というのは収入から支出を引っぱった残りだ、こういう話でございますが、収入というものの判定がつかぬのではないですか。税法上つかまえられない、こういう意味なんですか。そこのところを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/20
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021・泉美之松
○泉政府委員 収入の中には、御承知のとおり、政治資金規正法によって届け出ておられる収入もございます。しかし、実情をいろいろお聞きいたしますと、その政治資金規正法によって届け出ている収入以外にいろいろな収入があるようでございます。その調査が非常にむずかしいということはお話のとおりでございます。しかし、多くの場合は、収入もあるけれども、それは同時に政治活動に伴って支出されておるのであります。したがって、その残が所得になるわけでございますから、その残として所得になるのは、収入の割りには意外に少ないものである、したがって、それが私的財産の形成なり、あるいは私的消費の姿になった段階で初めて所得として把握し得る、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/21
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022・永末英一
○永末委員 いまおっしゃったことでわかるのでありますけれども、収入があって支出がある、その支出の面で私的消費の面と政治的消費の面とがある、政治的消費の面は当然それはその収入に見合うものであるから、引っぱって残りが所得だ、こう伺うわけですね。
一体政治的消費というのはどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/22
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023・泉美之松
○泉政府委員 これは私が申し上げるよりも永末委員のほうがよく御承知のはずでございます。政治活動をやっておられますれば、国会、国から給与を支給される秘書二人のほかに秘書をお使いになる場合もございましょうし、あるいは事務所を設けて、そこでいろいろ活動をされる場合もございましょうし、国会から支給される通信交通費以外の費用も要するわけでございます。あるいは、国会の報告演説を行なうということで選挙区をいろいろかけ回られる、そういったいろいろな必要な経費が支出されるわけであります。私よりもむしろ永末委員のほうがよく御存じだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/23
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024・永末英一
○永末委員 私はそんなことを聞いておるのじゃない。国税庁がいまのようなことを、たとえば税務計算する場合には、必要経費というものをどう考えるかというのは重要な問題である。政治家はそれぞれ消費をしていますよ。しかし、たとえば青色申告の事業者の場合、その専従者に対して給与制をとろうというのが新しい制度でございますが、それなら、政治家が秘書を二十人雇っておる場合にそれに対して給与を出す、たとえば永末政治事業会社というようなものをつくって、会社なら別でございますが、個人営業だ——営業じゃないですわね、政治は。そして給与を出しているとすれば、源泉徴収をやるかやらぬか、こういう問題になるわけですね。したがって、われわれは全部政治活動をするためにいろいろな消費をしておるには違いございません。政治家の政治活動の中で収入がある。しかし、その中で、これは当然政治活動のためだから必要経費で落ちるのだと税務署が御判定になるものを聞いておるわけです。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/24
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025・泉美之松
○泉政府委員 それが、先ほど申し上げました秘書の給料であるとか、事務所の経費であるとか、通信交通費であるとか、あるいは演説会場の経費であるとか、そういったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/25
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026・永末英一
○永末委員 おそらくこれは、各政治家というのは個人の所得の申告をしなくてはなりませんね。三月十五日には一斉にみんな確定申告をされるわけです。そうしますと、あなたのお話では、大体雑所得というところに入ってくる。雑所得のところに必要経費を、これは小さい欄でございますけれども、書かなくてはならぬ。その場合に、いまおっしゃったように、その政治家が雇用をしておる秘書の給与、それから事務所の経費、通信費、演説会場の会場費とおっしゃいましたが、事務所の経費といったって、これは一体何ですか。家賃と光熱、水道料ということだけではないと思います。演説会の会場費だけではなくて、演説会を設営するためにはいろいろなものが要るわけであります。そういうようなものを全部必要経費として国税庁はお認めになる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/26
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027・泉美之松
○泉政府委員 必要経費の具体的な中身になりますと、法律に特別の規定があるわけでございませんから、したがって、政治活動に伴う必要経費とは何ぞやということを判断していかなければならないわけであります。私は、やはり、そうした必要経費には、そのほかの所得の場合の必要経費と同じように、おおむね常識をもって判断し得る部面が多いと思うわけであります。したがって、個々の経費について、これが必要経費になるかどうかという判断はなかなかむずかしい問題でございますけれども、しかし、多くの場合は、そういう常識をもって判断して差しつかえないようなものではないか、消費されていることは事実でございますから、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/27
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028・永末英一
○永末委員 党費はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/28
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029・泉美之松
○泉政府委員 個々におっしゃいますと、党費といいましてもいろいろな性格のものがございますので、一がいに党費ならすぐ必要経費といわれるかといいますと、なかなか問題があるようでございます。というのは、各党によりまして、党費として徴収しておられる内容がいろいろ違っております。したがいまして、各党にそれぞれどういうものを党費として徴しておられるかということを詳しくお聞きいたしませんと、なかなか一がいに申し上げかねます。しかし、概して、党費として各議員から一律に徴収されているものは必要経費になるものが多いと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/29
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030・永末英一
○永末委員 その常識でものがわかればいいのでありますけれども。みな常識の線によって動いておるわけです。しかし、事、一たん税の問題になりますと、一体国税庁当局はどういう判断をするかということはやや明確にしておきませんと、常識の線が大幅でございますと、やはりそこに疑いを持たれる点がある。たとえば、事務所の設営とかなんとかというようなことになりますと、それは個々の事業所のように証憑書類をつけなければ必要経費として認めないかというような問題が起きてくるわけです。個人的な秘書に対しましても源泉徴収をして届けなければならぬ、こういうことになりますね、雇っておれば。雇用して源泉徴収しなければ税法違反でしょう。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/30
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031・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、秘書に対して給与を払っておられる場合には、給与所得を支給しておるわけでございますから、それにつきまして源泉徴収をしていただく必要がございます。もちろん、その源泉徴収を要しない非課税の限度内の給与でございますと、これは源泉徴収は必要ございませんけれども、独身者であれば一万数千円、その非課税の限度をこえる給与を支給されておられれば、当然源泉徴収の義務があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/31
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032・永末英一
○永末委員 あのころ、この新聞だけでなくて、いろいろな新聞に出たわけですね。そして一応確定申告も終わり、あなたのほうが調査されて、その資料に基づいてそれぞれどうされたかわかりませんが、それぞれの当たった人には連絡をされて、修正申告、その部分を今度確定申告をしておられると思うのです。こういうことを明らかにされる御用意がございますか、決着がついてから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/32
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033・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは、所得税法に基づきまして、一般の国家公務員とは特別の守秘義務を負わされております。したがいまして、その趣旨からいたしまして、そういう内容を明らかにすることは、秘密を守る義務に違反することになりますので、お許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/33
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034・永末英一
○永末委員 個々の人について内容を明らかにする、これは高額所得者でも普通は公にはしない、こういうことになっておるわけです。しかし、いまふわっとした疑いの念を、政治家が税金を払うということに対して国民が持っておるとするならば、そういう空気を起こさせる一つの原因は、私はあなたのほうにあると思うのです。であるならば、その原因を除くことくらいはしなければならぬと思うのです。ですから、政治家の収入というものが、概括的にこういうものであって、しかし、政治家の収入の中でこういうものは必要経費である、このくらいの基準を天下に明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/34
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035・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおり、申告納税のたてまえからいたしますと、どういうものが必要経費になるということの詳細を明らかにする必要があろうかと思います。ただ、今回の場合におきましては、いろんな支出がございまして、その一々につきましてこまかく判定することはなかなか容易でございません。時間的な余裕もございませんでしたので、まあ代表的な事例をあげまして、それ以外につきましては、各個の議員の方から国税庁なりあるいは国税局の所得税課のほうに御相談をいただくようにお願いしたわけでございます。その結果といたしまして今度の申告が行なわれておるわけでありますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、必要経費というのはおおむね常識をもって判断し得るものでありまして、特殊のケースにつきましては、あるいはそれを明らかにする必要があろうと思いますが、すべての点につきましてどれが必要経費であるということは必ずしも明らかにしなくても、おおむね政治家の良識に従って御判断いただければいいのではないか、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/35
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036・永末英一
○永末委員 国会議員の場合には、いまおっしゃったようなことが行なえるかもしれません。しかし、政治家というのは国会議員に限りませんで、山ほど地方議員がおるわけでございます。だから、国民のほうからいたしますと、事、政治に関与している者一般について、やはりふわっとした明確でない空気を持っておるのじゃないか。いま地方選挙の最中でございますけれども、地方議員に対しても同様なことをおやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/36
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037・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、政治家の方はひとり国会議員に限らず、各地方議員の方、あるいは地方団体の長という方も政治家の方であるわけであります。したがいまして、そうした申告につきましては、同じように申告していただかなければならぬわけでございます。ただ、今回はとてもそこまで手が回りかねましたので、とりあえず国会議員の方にその申告についてお願いしたわけであります。いずれ、地方議員の方にもそういった面については連絡をする予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/37
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038・永末英一
○永末委員 私どもは、政治家というものの身辺が明るく、そうして透明に選挙民に映っておる、こういう状態が民主主義をささえる背骨だと思うのです。したがって、これらの問題につきましては、これがはっきりしてきませんと、国民の方が代議政体による民主主義というものに対して不満やら不安を抱いてまいります。その意味合いでは、税務当局の果たす役割りもまたきわめて私は重大であると思う。各報道機関というのはそれぞれの角度から問題を取り上げるのでございますから、その報道機関に対してあなたのほうが処置をされる目標をはっきりさせるとともに、その内容についてはやはり相当正確なものを知らして、国民の側から見た場合に、自分たちの代議政体というものの姿が正確に映るように、そういう御努力をひとつ今後とも願っておきたい、こう思います。してくれますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/38
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039・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおりであると思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、私ども秘密を守る義務がありますものですから、内容を申し上げかねます。申し上げかねておりますと、揣摩憶測でいろいろな記事を書かれるのでございます。それが違うということを言おうとすると、つい秘密を守る義務を侵さなければならぬ、非常なジレンマにおちいっている次第でございまして、非常に困っておる実情でございます。
御趣旨の点はごもっともでございます。したがって、秘密を守る義務に反しない限度において、そういった報道について正確を期するように私どものほうでいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/39
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040・永末英一
○永末委員 それは個人の秘密を暴露せよなんということを言うておるのじゃないですよ。しかし、税務の問題は、抽象的、一般的の問題じゃなくて、それぞれの一人一人の問題があるわけです。政治家というのは日本の国に何万人おるか知りませんけれども、しかし、政治家一般として扱われるならば、はっきりと透明な姿勢をとっておる人にまで疑いがかかる。したがって、その辺のところは、やはりいままでの個人の秘密を守る税務行政とは一風変わった役割りがあるんじゃないかとぼくは思うんです。やはり報道機関を通じて正確な姿を伝える。大臣がおりませんから、これは大蔵省全体のかまえだと思いますから、この点について、ひとつ次官からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/40
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041・小沢辰男
○小沢政府委員 政治家の所縁、それに対する支出、さらに課税の問題、おっしゃるように、これが明らかになりまして、国民に疑惑を持たれないように、また大部分が——先ほど申し上げますように、六十人といいますと、全国会議員の一割にも満たないわけでございますから、大部分の方がちゃんと申告をして一般国民の納税義務を果たしておられるわけでございますので、今後一そう私どものほうではおっしゃる点に留意いたしまして、国民の信頼というものが、あるいはまた逆に言いますと、不当な疑惑が生じないようにいたすべきだと思います。そういう意味で、できるだけ御趣旨に沿うように検討も進め、また、いろいろ法律上の秘密保持義務その他等もよく勘案いたしまして、政治的な配慮を加えて、おっしゃるような措置を検討いたし、とっていきたいと考えております。
ただ、私自身も、現実に、また毎日そういう問題にぶつかっておるわけでございますが、とにかく、国会議員全体の給与問題、あるいは政治活動の、これを税法上経費と見る範囲というものは、なかなか税の立場だけでこれを考えていきますと、国会議員の活動なり政治活動なりの常識と現実とまた相反する面も出てまいります。その辺のところは、今後大いに検討といいますか研究を進めてまいらなければいかぬ問題だと思いますが、先ほど長官から答弁がありましたように、国会議員なりあるいは政治家の方々それぞれが、自分のお立場で常識をもってお考えいただいて、そして、政治家としての政治活動の常識の範囲で経費と考えられるものを私どももすなおに受け取っていこう、こういう気持ちで申し上げたわけでございまして、いまのところはそれしか道がないんじゃないかというふうに考えております。ただ、これが徹底されておりませんと、ある方は経費として申告し、またそれに伴って、ある税務署ではそれを認定し、ほかのほうではそれは経費でないだろうと思いながら、それは申告がない、それがそのままいくということで、公平な課税というものが行なわれないというような結果になってもいけませんので、将来検討し、また、先生方とも十分——私はやはり現実の政治活動をおやりの方々の御意見も十分聞きまして、また、実態もよく勉強いたしまして、全国的に公平な取り扱いができるようにしていくべきものと考えておるわけでございます。
今後御趣旨に沿うように、よくひとつ検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/41
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042・永末英一
○永末委員 政治家が政治をやっておってとんでもない大所得者になるというような印象を国民に与えておる間は、日本の民主主義はちゃんとならぬのである。アメリカでも、ニクソンとケネディの大統領選挙のときに、ニクソンが自分の所得をテレビを通じて明らかにした、こういうこともありました。これは自発的にやったわけでございます。しかし、政治家と税金という問題につきましては、ぼやっとせずに、やはりそのけじめということをはっきり国民に知らす、こういう態度を大蔵省としては堅持をし、それを実行していただきたいと存じます。
次に移ります。
四十年に配当所得の源泉分離というのがわが党の反対にもかかわらず成立をいたしましたけれども、それ以来、配当支払いというのは、日本の経済から見まして私は増加しているのじゃないかと思います。ところが、この制度が実施せられたために、配当申告というのは減っているような気がするのです。この実態を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/42
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043・塩崎潤
○塩崎政府委員 数字のことでございますので、数字でお答え申し上げたいと思いますけれども、全体といたしまして支払い配当金額はふえておりますし、源泉分離選択制度も一つの限界がありまして、たとえば五十万円あるいは保有限度というようなものがございますので、そんなには減ってないような傾向でございます。
永末委員のおっしゃったのは、確定申告で申告される配当金額でございましょうか、支払い配当全体でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/43
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044・永末英一
○永末委員 要するに、その前からあったでしょう。どれとどれと見合ったらいいか、見合った数字を並べていただきたい。そうしないとわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/44
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045・塩崎潤
○塩崎政府委員 おそらく、分離課税ができたこと、さらにまた少額、配当五万円までは支払い調書の提出が要らないし、また申告が要らない、この関係で、すでに三月十五日までに総合課税を受けておりました支払い配当の所得に合算される金額がどの程度減ったかという問題でございます。資料でお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/45
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046・永末英一
○永末委員 その資料はいつ出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/46
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047・塩崎潤
○塩崎政府委員 さっそく手配いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/47
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048・永末英一
○永末委員 そうすると、この点につきましては、その資料が出てからまた質問します。
次は、税務関係で、大体どの程度の所得から大資産家と考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/48
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049・塩崎潤
○塩崎政府委員 大資産家あるいは大所得者ということばは、税法上定義はございません。まず私ども頭にまいりますのは、税法では、たとえば資産合算の限度が二百万円、今回の所得税法の改正案では三百万円ということに引き上げをいたしておりますが、これも一つの目安でございます。さらにまた、所得の公示は、五百万円を公示の限度といたしております。その五百万円も一つの限度かと思いまするけれども、私どもは、画一的な大所得者あるいは大資産家の基準はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/49
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050・永末英一
○永末委員 大資産家というのが税法上のことばでないことは、私もよく了承しております。そこで、税法上やっておられるのは、いままでは五百万円以上の者ということは、一応税務署から公表しておるのかどうか知りませんが、みんな知っていますわね。そうしますと、五百万円以上刻んでけっこうですから、それの所得内容というものはわかっていますか。給与所得、利子所得、いろいろございますね。配当所得、譲渡所得とございますが、特に配当所得、利子所得、ここに重点を置いて、一体五百万円以上の者で、給与所得はこれくらいで、配当所得はこれくらいの比率になっておるというのはあると思うのですが、それをちょっと知らせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/50
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051・塩崎潤
○塩崎政府委員 もちろん、私どもには申告書の中に所得種類が書いてございますので、中身は持っておりますが、私どもその内容については公開いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/51
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052・永末英一
○永末委員 この利子、配当の分離という問題を考える場合に一番重要なのはその点なんですね。一体だれが得をしているのかということをわれわれは知りたい。あなたが公表しないというと、一体だれに影響があり、効果があるかわからぬわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/52
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053・塩崎潤
○塩崎政府委員 所得金額ごとの階層別に、どの程度の所得者にはどの程度の配当金額が集中しているかということは、これはもちろん私どもは資料として出してございます。先ほど御要求の資料の中にはそれが入っていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/53
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054・永末英一
○永末委員 それもあわせて出していただけますね。
それでは、四十年に源泉選択制度が配当にできましてから、それまでにはそうでなかった配当金額が、選択で分離されたとみなされる金額は幾らか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/54
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055・塩崎潤
○塩崎政府委員 私の記憶するところでは、源泉選択課税制度が採用されまして、総合課税と比べました場合の減収額は、四十五億円というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/55
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056・永末英一
○永末委員 この四十五億円の減収を生ぜしめた相手方は何人ぐらいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/56
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057・塩崎潤
○塩崎政府委員 源泉選択を選んだ方は二十八万六千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/57
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058・永末英一
○永末委員 計算したら出ますが、一人当たり平均何ぼになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/58
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059・塩崎潤
○塩崎政府委員 二十八万六千人の方が、配当金額二百九億円につきまして源泉選択にいたしております。一人一万五千円ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/59
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060・永末英一
○永末委員 あの源泉分離をやったために、株式を分散をすると税金を納めなくてもいい度合いが非常に高まってくる。そこで、おそらく株式はどんどん分散したのではないかと思われます。そこで、あなたのほうで、四十五億円というのが前から比べて減った、こういうことでございますが、どの程度一人当たり分散しておるかという資料はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/60
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061・塩崎潤
○塩崎政府委員 その確たる数字はございません。源泉選択のみならず、分散の要素は、もう一つ、御案内のように、少額の配当につきましては申告は要らない、あるいは支払い調書は出ない、このほうによる分散のほうが私は多いかと存じますが、資料が出ない関係上分散の程度がまだはっきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/61
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062・永末英一
○永末委員 少額配当の問題につきましても、この分散し得る能力を持つ者というのは、相当な人だと思うのですね。普通の少額株主のためにこの制度ができたようにいわれている面もありますけれども、実態は、そういうものもございましょう。しかし、そういう制度があるから、これを利用して自分の株を分散して、申告しなくてもいい、こういうことをやっている人々もあるのではないかと思われる。この税制の害悪はまさにその点にあります。したがって、その御調査はあなたのほうとしてやっておられるのじゃないかと思いますが、もう一ぺんお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/62
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063・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かにそういった傾向もございます。しかし、一方、議決権行使の関係でなかなか分散できない方々も相当あるわけでございます。そういった方々を二つに区別することもなかなかできませんので、私どもはどの程度の方が分散したかということは明瞭につかめないわけでございますが、四十年度の実績におきましては、申告分の金額が配当で百九十二億円ばかり、個人については推計されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/63
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064・永末英一
○永末委員 その百九十二億円というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/64
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065・塩崎潤
○塩崎政府委員 支払い配当金額で、個人株主に帰属するものであって、申告の要らない少額配当に属するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/65
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066・永末英一
○永末委員 その金額はわかりますが、それが何人ぐらいかということはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/66
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067・塩崎潤
○塩崎政府委員 数は私どものほうではつかめません。これは調書が出ません関係上どの程度かわかりませんが、支払い配当総額から個人の株主分を推計し、私どもに総合申告された分からだんだんと分析したその残り、いわばかすみたいなもので推定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/67
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068・永末英一
○永末委員 この点につきましては、あとで資料が出ましてから伺うとしまして、資料が出ないと正確なところがわからないのでございますが、わが国の所得税制は累進税率をとっておる。ところが、資料が出てからでないと言えぬのでありますけれども、ずっと上のほうへいきますと、この特別措置のおかげで、配当または利子に関する部面はきわめて税率が安くなっておる。そうしますと、いわゆる累進の効果というものは、上のほうにいくと、ラフな考えですけれども、逆に薄れてきておるのではないか、そのように私は思われる。その点について、ひとつ累進税率の効率というものはどの辺からぼけておるかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/68
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069・塩崎潤
○塩崎政府委員 永末委員も御存じのように、所得税の最高税率は七五%まで累進しております。源泉選択一五%ということは、その累進を回避する道でございます。しかしながら、配当につきましては、御案内のように、一五%の税額控除がございます。したがいまして、一五%の源泉選択ということは、三〇%の上積み税率、これより上回る方が源泉選択をとったら得だ、こういう結果になると思います。現在の所得税法では、課税所得が百八十万円をこしますと三〇%でございます。二百二十万円をこしますと三五%でございます。したがいまして、二百二十万円をこえるような方々が源泉選択をとれば得だということにもなりましょうし、さらにまた、もう一つ目立つ現象は、資産合算を受けるために、親族の方が持たれる株式を源泉選択にするということでいかれる、それも上積み税率、課税所得二百二十万円以上の方々になろうと思いますが、そういった方々が源泉選択の適用を受けて累進税を回避する、こういった結果になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/69
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070・永末英一
○永末委員 あなたはいま、税を払うほうの立場で答弁をされましたが、そうじゃなくて、制度として私は伺っているのであって、つまり、いま二百二十万円ということばが出ましたが、先ほど伺った、一般に資産家と称せられる、あるいは五百万円か、一千万円か、二千万円か、いろいろございましょうが、その中で、その人の所得構成が配当並びに利子に多く依存しておるという場合には、実際は総合所得税であるならばそこには累進率がどんどんどんどん上がって七五%までいくことになるべきである。一般の低額所得者からすれば、なるほど日本の国では高額所得者は税金を取られるものだと信じておるわけですね。社会福祉国家というのは累進税率が一つの柱だ、こういわれておる。ところが、いまのように、日本の国のいわゆる高額所得者の所得内容を見てみれば、何のことはない、配当については三〇%でパア、利子については一五%でパアというようなことになっている。それが分離されておる。こういうことになりますと、総合所得の累進税率というのは、その高額所得者の所得構造によってきわめてぼけてくるのではないか。そのぼけてくることを判定する基準は、先ほど申しましたように、所得構造がわからぬとわかりませんが、その辺のところを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/70
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071・塩崎潤
○塩崎政府委員 総体的にごらんになっているのだろうと思います。
私どもは、これは三十九年分の所得階層から見まして、そのときまで総合でございましたので、配当の上積み税率がわかるわけでございます。総所得で見まして、三〇%以上のものはやはり二百万円をこえるところだというふうになっております。総所得のうち配当所得が占める割合は、だんだんと上にいくにしたがって高くなることは御案内のとおりでございまして、総所得が二千万円をこしますと、そのうちの配当所得は三五・七%、こんなふうな構成をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/71
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072・永末英一
○永末委員 私どもは、この制度の効率を測定したいので、いままでは総合の場合のものでございますが、その後のものも試算ができますか。分離したあとのもの、四十年以降。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/72
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073・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、どの程度の階層の人が源泉選択を選んだかということは、頭の中ではいま申し上げましたように、課税所得二百二十万円ということはできますけれども、どういった方が源泉選択をしたかということがわかれば——これは源泉選択をする意味が税務署にわからない形において源泉選択しておるわけでございますので、そういった階層分布はございません。私どものわかりますのは、源泉選択をした配当所得はこれくらいのものであろう、それから、先ほど申し上げましたように、少額配当について申告不要の金額はこれくらいであろうという推計の金額しかございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/73
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074・永末英一
○永末委員 源泉選択をしたこっち側の分は別として、いま三十九年度までやられたようなこと、いまあなたのわかっている場合だけでいいです。金額は出ておるわけです。税金は事実納めているわけだから、それをいまの所得階層別で所得構造と並べ合わせていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/74
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075・塩崎潤
○塩崎政府委員 私が御提出申し上げると申し上げました資料は、三十九年の総合でございましたが、このときの配当課税の状況と、四十年の分離以後の配当課税の所得階級別に見た資料を御提出申し上げまして、それが三十九年から四十年とどういうふうに推移したか、こういうことを御提出申し上げたい、こういうふうに申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/75
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076・永末英一
○永末委員 けっこうです。それでは、この辺に関しましては、その資料を見せていただいてからまた御質問申し上げるといたしまして、もう一つ、この制度をとられたのは、わが国においては資本が足らぬから、資本をつくるのだ、あるいはまた、こういうことをやれば貯蓄が伸びるのだ、こういうようなことがうたい文句になっております。そこで、実施されて、貯蓄とこの措置をとられたことに相関関係があると御判定になっているかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/76
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077・塩崎潤
○塩崎政府委員 永末委員のおっしゃる点は、配当の点だけであるか、あるいは利子の問題を含めてであるか、いまのお話では利子、配当を含めて貯蓄総額がどういうふうになったかという問題でございます。
貯蓄につきましては、御案内のように、税だけの効果を抜き出してこれを見ることはなかなかむずかしいということは先般来申し上げているつもりでございます。しかし、二十八年以来利子につきましては一〇%の分離課税をいたしておりますし、二十八年以後の貯蓄の増加は非常に目ざましいものがございます。その背後には、税金の作用というよりも、むしろ国民所得、国民総生産の上昇、経済成長が背景になっていることは事実でございます。税制の動きと、貯蓄の動きと、国民総生産の動きを比較してみますと、むしろ国民総生産の動きのほうがより大きく影響しているように見受けられるというのが税制調査会の答申であることは事実でございます。そのあたりの資料をいまつくっておりますので、近いうちにこれも出してみますが、これが税の効果と言えるかどうか、考え方はいろいろでございます。なお、利子、配当につきましては、もちろん株価の状況を気にいたしましたときの特別措置でございますけれども、その背後には、ここに証券局長もおりますけれども、利子と配当の受け取り者側においての課税のバランス、言うならば、直接投資と間接投資との関係からきた問題でございまして、これは貯蓄間のバランスの問題で、別の問題かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/77
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078・永末英一
○永末委員 そうすると、貯蓄とこの特別措置の関係も資料の御提出があってからまた伺うことにいたします。
いま、次に伺うべき株価の問題にちょっと触れられましたが、その直接投資、間接投資の前に、株価というものは、この特別措置をとったために株価が維持され、上がったというようなことが言えるかどうか、証券局長から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/78
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079・塩崎潤
○塩崎政府委員 私ども、これは当然今回の租税特別措置法の期限延長法案ではなく、本法律案のときに御議論になると思いまして調べたものがございますけれども、この特別措置の提案が伝えられまして若干下がってまいりまして、その後だんだん上がってきたということのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/79
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080・永末英一
○永末委員 証券局長、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/80
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081・加治木俊道
○加治木政府委員 たまたま四十一年一月からの東証第一部のダウの推移がありますが……。
〔堀委員「もっと前からやれ。要するに、法律ができてから値段がどうなったのか、五%が一〇%になったから上がったのか下がったのか、法律ができてから上がったかどうか、そこからいこう」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/81
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082・永末英一
○永末委員 前から言うてください。法律の効果を聞いているのだ。四十一年からは関係ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/82
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083・加治木俊道
○加治木政府委員 たまたまこちらに持ってきております資料は、円十一年以前は年別になっておりますので、ちょっと的確なお答えはできないと思いますが、いずれにしましても、株価が需給関係によって支配されることは事実でございます。税制が受け取り側にとって従来よりも改善されたという点は需給関係にプラスしたであろうということは、当然考えられるわけでありますけれども、しかし、より多く株価というものは経済の実態、企業の収益状況というものに支配されるわけであります。したがって、四十年というのは、企業の財務状況というものが非常に悪化した時期でございます。したがって、むしろ株価への影響は、その点の影響のほうが強くあらわれておる、かように考えるべきでありまして、したがって、もし理論的に言うならば、あの措置がとられなかったならばもっと悪化したであろう、需給関係がそれによって若干改善された、こういうふうに考える以外に、具体的に税制と株価というものを数字の上で証明することは非常に困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/83
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084・永末英一
○永末委員 いまの御答弁は、げすな言い方を申しますと、助平根性です。数字上きちっと判定できないものはできないと表現せられるのが正確な御見解ではないか。しかしながら、もしこれがなかりせばもっと悪かったであろうというような、これはだれもわからぬこと、予測でありますからね。だから、私は、この点についても、ひとつ五%、一〇%、そしてその中にまた源泉分離が加わったりというような一連の歴史がございますから、その辺に重点を置いた株価の変動と、この制度の変更の時期、そこに重点を置いた資料をひとつ見せてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/84
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085・加治木俊道
○加治木政府委員 タイムテーブルに沿った、これをどういうふうに関連づけるかは別としまして、事実というものは、資料として出せます。
一応手持ちの資料で申し上げますと、三十九年十二月の月中平均旧ダウ、これが一二一五・五〇、それから次、飛んでおりますが、四十年三月は月中平均で一一七五・一四、それから六月は、この辺が最低でございますが、一〇九〇・八八、それから九月が一二五一・二九、十二月は一三六七・二四、あと四十一年に入りましてからは月別の資料がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/85
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086・永末英一
○永末委員 いまの数字をお知らせ願っただけでいきますと、四十年に新しく制度ができたというときにはちょっと下がっていますね。それから、もうちょっと前からのことを調べてください。判定するに重要な標識だと思います。
そこで、これも資料をいただいてからもう一ぺん御質問申し上げることにいたしまして、その次は、利子の分離課税、それから百万円以下、前は五十万円以下、これは無記名、匿名、そんなものを認めておる。だから森脇事件なども起こったんだろうと思いますけれども、これは税務のほうから見ますと、所得の捕捉ができないというような状態に立ち至っている。といたしますと、これは単に所得税のみならず、他の税金にも影響を及ぼしておると思いますが、所得税も取られないし、他税も取られない、その辺の見込みをひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/86
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087・塩崎潤
○塩崎政府委員 少額貯蓄あるいは無記名預金あるいは匿名預金、こういったものが税務の障害になっていないか、申告する所得者の申告に障害を与えてないか、こういう御質問でございます。
少額貯蓄につきましては、これまでの制度は、自分の住所、氏名を出しまして、一店舗、一種類ということで届け出があり、これが税務署に届け出されることになっておりますので、私はこの制度が大きな障害となって申告納税を害しておるというふうには考えません。
問題は、無記名預金あるいは匿名預金の問題でございます。これは税には非常な問題があり、私どもとして決していい制度とは思わないわけでございます。これはおそらく税ということが大きな要因ではございましょが、その他、債権者とかいった別な方々に対する配慮からこんなような制度があろうかと思うわけでございます。したがいまして、税だけの見地でこういったものをやめろということはなかなかむずかしいと思います。
しかしながら、幸いにいたしまして、無記名預金の制度は現在そんなに伸びていない、全体としてのウエートといたしましては伸びてない状態でございまして、むしろ仮装名義預金のほうが私は国税庁の執行にとりましてむずかしい問題であろうかと思いますが、これはひとつ私どもの税務調査の努力あるいは今後の納税協力の向上によって解決すべき問題ではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/87
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088・永末英一
○永末委員 少額の預金、それから少額の配当、これは、その点だけをとりまして、これが零細な大衆の小さな預金あるいはまた受けた配当ということであれば、私どもは直ちにいかぬとは思いません。それは税務行政上も意味のあることだし、特に零細な所得を持っておる大衆側からすれば、そんなものまで一々という気持ちに私はなるのではないかと思います。問題はその制度を悪用してごまかしているやつがいる。これは、国税庁長官、つかまえる方法はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/88
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089・泉美之松
○泉政府委員 少額貯蓄につきましては、御承知のとおり、現在は一人一種類、一店舗に限って百万円までということになって、その非課税貯蓄の申告書を出していただくということになっておるわけでございます。ただ、これを受け付けた金融機関のほうにおきまして、前に非課税貯蓄の申告をしているかどうかということを確かめた上で受け付けるようになっておりますが、そこのところが必ずしも十分円滑に行なわれておらないために、一人で二口も三口も出てきておる場合がございます。したがって、これらにつきましては、名寄せを行ないまして、そして、そのあとから受け付けたものにつきましては、これは非課税貯蓄としては認めるわけにまいりませんので、源泉徴収をしていただくという措置をとっております。
それから、同一人でなしに架空名義を使ってやっておる場合もございます。それらにつきましては、住民票と突き合わせまして、やはりこれは架空名義である、その住所地にそういった名前の人はいないということが確認されますと、金融機関に通知いたしまして源泉徴収をしていただく、こういう措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/89
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090・永末英一
○永末委員 いま、とっておりますと言われましたが、その架空名義というものは現実につかまえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/90
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091・泉美之松
○泉政府委員 現実につかまえておるわけでございますが、ただ、非常に多くの種類の非課税貯蓄の申し込み者がございますので、その全部までチェックすることは、現状としてなかなかできておりません。ただ、われわれが過去に行ないました調べによりますと、そういう架空名義のものもかなり見つかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/91
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092・永末英一
○永末委員 そういうことをやれば税金がのがれられるのだということを国民が思えば、これはもう税制一般に対して私は非常な悪い空気をかもし出すと思う。
そこで、あなたはかなりと言われましたけれども、架空だからなかなかこれをつかまえることはむずかしい。配当の場合と同じことだと思うのです。一体、あなたのことばでは、かなりだけれども、かなりしかつかまえられない原因はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/92
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093・泉美之松
○泉政府委員 先般、私お答え申し上げましたが、少額貯蓄の制度ができまして以来、私ども四次にわたって名寄せを行なったわけでございます。その名寄せの結果、この少額非課税貯蓄の制度は三十八年の四月に始まったわけでありますが、その秋に調査いたしましたときは、調査対象の一〇%が二重、三重に非課税貯蓄の申告を出しており、それによって徴収し得ました額は一億七千八百万円、それから、第二次名寄せは三十九年春に行ないましたが、そのときは調査対象の二一%がダブっておりまして、それによって納付を求めた税額が一億六千三百万円、それから、第三次名寄せのときは二八%が重複しておりまして、その税額は一億四千七百万円、第四次のときは一四%がダブっておりまして、これによって徴収し得た税額は、近く報告を求めることになっておりますが、まだ集計ができておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/93
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094・永末英一
○永末委員 いまのこれは少額ということでございますが、架空も調査をされた場合に、架空のやつをつかまえてわかったというのはどういう度合いになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/94
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095・泉美之松
○泉政府委員 先ほど申し上げましたのは非課税貯蓄のダブっておるほうでございますが、架空名義のほうにつきましては、現在までに二回実施いたしておりまして、二百六十四万枚の非課税貯蓄の申告書を抽出して住民登録票と照合したわけでございますが、その結果、第一回分につきましては一八%符合しないものがございましたが、第二回分につきましては減りまして、八%が符合しない、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/95
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096・堀昌雄
○堀委員 ちょっと関連。
それは、抽出は何%の抽出ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/96
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097・泉美之松
○泉政府委員 これはアトランダムに抽出したものでございますが、この制度ができましてから四十一年十二月に提出されました非課税貯蓄の申告書の総数は四千四百三十万枚でございまして、そのうち架空名義のものを調査いたしましたのは、三十九年七月に調査いたして、その後はまだ調査をやっておらないわけでございまして、三十九年七月ごろまでに提出された枚数からいたしますと三千万枚程度でございますので、その約一割程度を調査した、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/97
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098・永末英一
○永末委員 主税局長、大体この特別措置というのは、本則があって特別措置をとるわけですね。そうしますと、大体目標があるでしょうな。こうしたいけれどもいろいろな事情で特別措置をやるのだ、三年間延長する、こういいますと、期限は三年だけれども、またもう一ぺんやるというのか。この制度に対するよしあしの判断がまずあるだろうと思いますけれども、三年たったらやめる、こういうなら、三年間のいろいろな措置も考えられる。一体、いまのこの提案の趣旨は、ともかく三年だ、あとは考えない、こういうのですか、それとも、これは何とかしていこうというのか。税制調査会は、これは大体やめなさいという意見で思想は流れております。表現はいろいろ変わっておりますがね。その辺の考え方はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/98
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099・塩崎潤
○塩崎政府委員 御質問のように、確かに、目標のございますものもあれば、また、目標と申しますか、一つの時期を画しまして、その効果を見てまた判断しようというものもございます。全般的には必ず目標があるというものではございませんが、三年間延長いたしまして、その効果を見まして、その延長あるいは廃止、これを決することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/99
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100・永末英一
○永末委員 わが党は、安保条約に対しましては段階的解消ということで立党以来今日に至っておる。この利子、配当分離課税も、段階的解消をすべきではないかと思うのでありますけれども、そんな気持ちはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/100
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101・塩崎潤
○塩崎政府委員 税の見地から申せば、おそらく段階的廃止よりも早くやめたほうがいいということに私は考えております。しかし、経済政策的な意味がかなり重視される今日でございます。貯蓄心理にも長らく食い入った面もございますので、必ずしも簡単に税の見地だけを主張することもできない、こういうところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/101
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102・永末英一
○永末委員 私は、この点につきましては、もう段階がきておる、こう思うのですね。その点、あなたと一緒だ。廃止すべきだ。いろいろな事情の勘案については、あなたはそれをまだ認めておるから期限延長を出してこられたのだろうし、われわれのほうはいろいろな事情の判定が違いますからやめるべきだと思いますが、しかし、きょうは、資料提出が四件ほどありますから、それを見せていただいてから質問いたすことにして、とりあえずそれを留保いたしまして、質問をとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/102
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103・内田常雄
○内田委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/103
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104・内田常雄
○内田委員長 速記を始めて。
この際、暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。
午後零時十分休憩
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午後五時五十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/104
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105・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/105
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106・平林剛
○平林委員 本日の午前中に本委員会に付託となりまして、すでに提案趣旨の説明がありました期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、私どもとしては、この法律案の内容をまず検討してみましたところ、重大な誤りがあるのではないか、したがって、この法律案は、政府の説明も十分聞かなければなりませんけれども、われわれの見解によれば、むしろあらためてこの法律案を書き直して委員会に提出すべき性質のものである、それをそのまま内容の質疑に入ることは、委員会としての権威にも関する、そこで、まず、内容のこまかい審議に入る前に、この法律案についての取り扱い、この疑義をわれわれとしては晴らしていかなければならぬ、こう考えておるのでありまして、まずそのことを委員長にも申し上げ、また、提案責任者である大蔵大臣に見解をただしたいと考える次第であります。
申すまでもなく、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案とは、銀行の利息、株の配当など、租税上の特別措置を与えるものがことしの三月三十一日に期限が切れる、そこで、特別国会において、暫定的に四月、五月だけは延ばしていきたいというための措置をきめる法律案であります。つまり、租税特別措置法の中で、銀行の利息、株の配当金を中心とした、三月三十一日に期限の来る租税特別措置法を暫定的に延ばそうという法律案になっておるわけであります。もちろん、この法律案の中には、ただ条項が書かれておるわけでありますけれども、そこに内容とするものは、国民から見ますと、きわめて重大な要素が含まれておる。たとえ暫定的なものでありましても、これをそのまま暫定的として認めることが適当であるかどうか、いろいろな議論がある法律案でございます。
しかし、中身の問題は、いずれわれわれの質疑を通じて明らかにしてまいりますけれども、われわれがここでまず指摘をしなければならぬことは、この当該期限を変更するための法律の第一条にこういうことになっております。「租税特別措置法の一部を次のように改正する。」といたしまして「第三条第一項から第四項まで、第七条の二、第八条の二第一項から第四項まで、」と、続いて「第九条第一項、第十二条第一項、」というふうに、租税特別措置に関する各条項が列挙されております。その列挙されておる条項の中に第八条の四というのがすらりと書き加えられておりまして、第八条の四をそのまま四月、五月まで延ばしていきたいということに法律案はでき上がっておるわけであります。
そこでわれわれが問題にするのは、他の法律の延期もいろいろ議論はあるけれども、特に八条の四をそのままこの中にすらりと書き加えてくることに対しては重大な疑問がある、こういうことであります。
重大な疑問とは何であるかというと、第八条の四というのは、株の配当に対して一銘柄年五万円以下の配当所得については確定申告を要しない、また、会社の支払い調書を税務署に提出しなくてもよいという条項が八条の四になるわけであります。ところが、この八条の四の期限というのは、昭和四十一年十二月三十一日、つまり、こういう特別の措置は、法律によりますと、昭和四十年一月一日から昭和四十一年十二月三十一日までの措置であると書いてあるわけであります。四十一年十二月三十一日は、御承知のようにすでに過去であります。過ぎ去ったものであります。過ぎ去った法律案、すなわち、われわれの見解に従えば、第八条の四は昭和四十一年十二月三十一日をもってすでに期限切れになっておって、法自体は存在しないという解釈をとっておるわけであります。法自体存在をしないというものを、そのままこの暫定法案によって四月、五月まで延長することができるのかどうか、われわれは非常に疑問があると思う。つまり、去年の十二月三十一日に死んだ子供をこの法律案によって生き返らそうというわけでありまして、私どもはこの法律案提出そのものに疑問がある。ですから、どんな法律を幾らつくっても死んだ子供が生き返らないのと同じように、ない法律案を延ばすことは不可能である。そういう立場から、法律案自体はあらためて提出をしなければならないのではないか、こういうことが一つの重大な疑問でございまして、まずこのことを解明していただかないと法律案の内容の審議に入れない、これに入ることは私は適当ではないと考えるのであります。
そこで、この問題についてまず解明を求める。なお、まだ疑問がありますけれども、この問題について明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/106
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107・塩崎潤
○塩崎政府委員 立法趣旨について御説明申し上げます。
平林委員御存じのように、昭和四十一年及び四十一年分の配当所得の課税におきましては、少額配当、つまり、五万円以下の配当につきましては申告を要しないということにいたしました。そのうらはらといたしまして、それに関する支払い調書は提出しないこととなったのであります。それが、御案内のように昭和四十一年十二月三十一日で期限が切れるということでございますが、政府といたしましては、これもまた今回の期限延長法案にありますように、四十一年の十二月三十一日を四十二年の五月三十一日までに、四十一年分を四十二年分までに延長する法案を出しまして御審議を願っておる次第であります。
そのことは、一−三月につきまして、先ほどおっしゃったように結果としてはなりますけれども、これは所得税が暦年課税の結果でございまして、暦年課税の所得課税につきまして、実際に、特別に支払い調書を出さすことも非常に納税者に不安を与え、さらにまた、会社に対しまして煩瑣な手続を要することになると思いますので、一−三月分の提出義務を消滅させよう、こういった趣旨からこの法案を御審議願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/107
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108・平林剛
○平林委員 私どもは、この配当の所得について特別な措置を講ずることは前々から賛成しない。そうして、こうしたものは課税の公平の原則にも反するから、すみやかにこれはやめるべきであるという主張をしてきたことは御承知のとおりであります。そこで、この法律案については、そういう意味では重視しておったのでありますが、納税者にいろんな混乱が起きるか、起きないかという問題はありますが、まあ、これに関係するものは、私ども従来主張してまいりましたように、二千万納税者の中でも三十万人に該当するかどうかという程度のものでございまして、そういう意味では、多くの納税者と、これの恩典を受ける納税者との間にいろいろな意味で不公平であるという議論があったわけであります。そうして、いま私が指摘をいたしましたように四十一年十二月三十一日に期限切れである、それを延ばさないことは適当でないというふうにいまお話がありましたが、私は、どうも理由として納得できないのです。
それからもう一つは、これと同時に問題にしなければならないことは、実はこの十二月三十一日に期限が切れたものでありますから、ことしの一月十日になって国税庁はこれに関する通達を出しておる。この法律が十二月三十一日に切れたものですから、国税庁は昭和四十二年一月十日付をもって国税庁長官名において「少額配当所得の支払調書の取扱いについて」という通達を出しておる。これは私から説明するより、国税庁長官、どういう趣旨でこういうものをお出しになったのか、そうして内容はどんなものであるか、国民の前に明らかにしてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/108
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109・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、国税庁長官名をもちまして本年一月十日に通達を出しております。
その内容は、ただいまお話がございましたように、租税特別措置法の八条の四の規定は、昭和四十一年十二月三十一日までに支払いの確定した配当所得について適用されることになっております。したがって、それが終了した四十二年一月一日以降の分につきましては、改正法案が提出されて改正が行なわれるかどうか、それが本ぎまりになるまでははっきりしないことになるわけでございます。そこで、配当支払い会社のほうからいろいろ問い合わせがございまして、支払い調書を提出しなければならぬか——法律上は当然提出を要することになるわけでありますが、それについて、実際上提出を督促されるかどうかというような話がありまして、私どものほうとしましては、主税局とも打ち合わせました結果、政府としてはこの少額配当の申告不要の制度は、法律案を提出して延長したいという腹であるということがわかりましたので、その点について国会で決定があるまで当分の間は従来どおりの提出を見合わせておいて差しつかえない、その法案がきまり次第、それによって確定的に処理をする、こういう意味で通達を出したわけでございます。
まあ、ことばが足らない点がございまして恐縮でございますけれども、われわれとしましては、法律を制定するのは、これは国会の権限でありまして、行政権がそれに介入するとかいうようなつもりは毛頭ございません。ただ、法律案がどういうふうになるかはっきりするまでは——その間、法律に従って支払い調書を提出せよと言いますと、配当受領者にいろいろ不安を生ぜさせます。また、支払い調書の提出をしなければならない配当支払い会社にいろいろ手数をかけることになります。しばらく法案がどういうふうになるか見守りたい、こういう意味で出した通達でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/109
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110・平林剛
○平林委員 そこが問題だと思うのですよ。少なくとも八条の四は、昭和四十年一月一日から昭和四十一年十二月三十一日までの期限において一つの行為を許す、確定申告をしなくてもよいとかあるいは支払い調書を税務署に提出しなくてもよいという一つの行為を法律できめたわけです。したがって、昭和四十一年十二月三十一日以降はどうするかという問題は、これは国会の意思がないのですよ。どういうふうにするかと、だれが問い合わせてきたって、株の配当をしなければならぬ人たちが問い合わせてこようと、あるいは内閣総理大臣が問い合わせてこようと、アメリカの大統領が問い合わせてこようと、日本国国会の意思はきまっていないのですよ。そのきまっていないものを国税庁長官が通達をもって当分の間そうするということがどうして許されますか。法治国家の日本においてその意思がきまっていないものを、あなたはどういう権限でそういう通達を出すことができるのですか。われわれはそれを重視するのですよ。
しかも、大体五万円以下の株の配当所得は確定申告をしなくてもいいとか支払い調書を出さなくてもいいとかいうことは、これはことばはきれいだけれども、国民の、いわゆる一般の納税者から見ると、株の配当に対しては相当恩典を与えておる、しかも、これは裏を返していえば、これはもう申告をしなくてもいいのだということで、税金を納めなくていいという合法的な脱税だとみなしている。そういう批判がある。それを国会の意思もないのにあなたが通達でもっておやりになる権限がどこにあるのか。越権行為です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/110
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111・泉美之松
○泉政府委員 法律的にやかましく申しますれば、平林委員のおっしゃるとおり、八条の四の第一項の本文のほうがどうなるといなとにかかわらず支払い調書の提出はさせるべきだという御意見もあろうかと思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、この問題については、政府としては八条の四の第一項の期限を延長するという法律案を提出する用意をしておる、そういう点からいたしますと、その法律案の提出によって国会がどういうふうな意思決定をされるかがはっきりきまるまでは、当分の間支払い調書の提出は見合わせておいて、無用の混乱が起きて、株価などに変動が生ずることを避けるべきではないか、そういうことに判断をしたわけでありまして、もしこのまま提出をさせますならば、かえってそういう不安を感じて売りに出る株主も出てきましょうし、株式市場に与える影響も無視することができないということでございますので、いろいろと打ち合わせました結果、このような通達を出したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/111
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112・平林剛
○平林委員 国税庁は株の上がり下がりを心配する官庁じゃないじゃないですか。経済政策だとかその他のことはあなたの権限の外のことですよ。なぜそんなことを心配して通達を出す必要があるのですか。そういうことは、国会というものを無視して、国税庁長官が独走したということになる。そういうことを許したら、国会というものは一体何ですか。われわれはこういうことを考えると、この問題についてはやはり許すことはできないと考えておるわけであります。
特に、大体政府の腹はこういうことであるからと言うけれども、あなたが通達を出した一月十日はどんな日だか覚えていますか。つまり、この前の国会が解散をされて、これから国民の意思が全般に問われるべき段階であったのですよ。場合によっては、社会党が大幅に進出して、自民党は内閣を投げなければならぬということにならないとは限らぬですよ。自由民主党、佐藤内閣の意思だけ聞いてものごとをきめるということもおかしいことですよ。大体、選挙の結果は、自由民主党は国民全般の四八%の支持を得たにとどまった。議席の数は多いかもしれないけれども、国民の支持は四八%であった。これは別にいたしましても、いずれにしても国民全般の意思を問うというような時期でございまして、そういうときに、国税庁長官が、政府の腹はこうだから、株の値段の上げ下げのことも心配してこういう通達を出したということは聞こえません。そういうことは、私は国会を無視するものであると考えるわけでありまして、これは許すことができないです。
それから、第一、こうした期限のある租税特別措置という、一部の人たちの利益のために——一部の人たちの利益ですよ。一部の人たちの利益のために、通達をもって、国会の意思がないのにかかわらずそれをかってにするということが許されますか。大蔵大臣いかがですか。そういうことを許されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/112
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113・水田三喜男
○水田国務大臣 確かに、十二月の臨時国会のときにこの延長法案を提出するというようなことができたら、疑義を残さないで、事態はよかったのではないかと私も思います。しかし、御承知のようにああいう解散があって、事実上これを出すことができませんでした。
そこで、政府としては、いずれにせよ改正法案の提出は予定しておりましたので、この予定がある以上、国税庁としましては、調書を出さなくてもいいというようなことじゃなくて、国会の審議の成り行きもわからないから、その間しばらく様子を見ておれという意味の通達を出したということでありまして、これはそういう意味でひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/113
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114・平林剛
○平林委員 どんな事情があっても、そういうことをやるということは、私は政府はいけないと思うのですよ。これは、いまあなたがおっしゃったように、十二月三十一日に期限が来るならば、その前に気がついて、解散する前の国会に緊急的にこの提案をして国会の意思を確かめるというのが、わが国国会の慣例であるし、そういうやり方をとらなければならない性質のものなんですよ。あなたももうそれは暗々裏に認めたので、したがって、そういう意味では、現在のこの法律案の提出のしかたは間違っておる。第一、租税特別措置というものは、国民からいろいろな批判が出てきているものだ。この租税特別措置の期限を延長するとか、それを何とかしなければならないというときは、われわれ国会において十分審議をして、租税公平の原則に反するか、国民全般の利益に反するか、経済政策上どうだとか、いろいろな角度から議論してやるべき問題だ。従来もこの租税特別措置の期限が来た法律については、その事前に国会に意思を問う。いわんや、総選挙があったから、大体そうなるだろうということは、そんなことは許せないですよ。
これは第二十六回衆議院総選挙後の第十六回国会、つまり昭和二十八年の五月十八日から八月十日、第五次吉田内閣の時代に、やはり選挙中に同じような状態で租税特別措置法の期限が来たことがあった。そのときどういうことやったか、大臣知っていますか。そのときどういうことやったら一番よかったか、こんなふうにわれわれに追及されないで済んだかということです。おわかりでなければ、私が申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/114
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115・水田三喜男
○水田国務大臣 どうぞ御教示願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/115
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116・平林剛
○平林委員 いまのは正式な発言ですか。——では、このときは大臣、こういう措置をとった。
二十八年の三月十四日に衆議院が解散されたので、有効期限等の定めのある法律で、次の国会の開会までの間にその期限等の到来するものが生ずることになったので、そのときは参議院で緊急集会を開いて、そして必要な措置をとった。その結果、四月、五月分の暫定予算と一緒に期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律案が可決をされている。参議院の緊急集会でこれは可決されている。そこで、同月二十六日公布、即日施行された。そうして、そのあとで第十六回国会が召集された後の五月二十七日に、これに対して憲法第五十四条第三項の規定に基づく衆議院の同意が与えられた。これをやるべきなんです。これをやらないで、法律案をちょこちょこと書いて、八条の四などを書いてほおかぶりして通せると思ったら大間違いだ。われわれがちらちらと見れば、どこにあるかちゃんと見当がつく。こういうものをほおかぶりして通そうということは大間違いだ。
したがって私は、この法律案というものは、従来の慣例もあり、それからまた、この法律案の国民各位に与える影響も考え、法律自体の提出のし方が間違っておるのだから、あらためて再提出をすべきだ、こう思うのですが、大蔵大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/116
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117・水田三喜男
○水田国務大臣 先ほど申しましたように、この疑義を避けるためにはそうしたほうがよかったろうと私も考えておりますが、さっき主税局長が説明されたように、こういう出し方が違法というふうには私は判断しませんでしたから、それでこの御審議をお願いした次第でございまして、これをあらためて出し直して御審議願うということは、別に必要ないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/117
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118・平林剛
○平林委員 誤りがわかったならば、それを改めるにはばかることなかれですよ、そんなにむずかしい問題ではないですから。この国会の審議の歴史に汚点を残してはならぬ。これがほかの問題ならまたいろいろ議論の余地はあるでしょうけれども、とにかく、株の配当とか銀行の利息に対する免税なんというものは、国民注目の的です。そういうようなものは、いままでの慣例や、それから常識から考えてみても、別な法律案の提出をこの件についてはしなければならないのを、誤りがあるけれどもこのままなんというわけにはいきません。いわんや、国税庁長官は、租税法定主義という原則に反して、これを通達でもって通そう、そういうことは私はかんべんできないわけでありまして、これは何とも承知できませんが、委員長、いかがですか。これは委員会の権威にかけても、この問題は決着をつけて、国民の前に筋の通ったたてまえで審議に入ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/118
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119・荒井勇
○荒井政府委員 この法律案につきましては、内閣法制局として審査をいたしておりますので、その観点からちょっとふえんさせていただきます。
このように、国民にある種の義務を課する規定があるという場合に、その義務について、さかのぼってそれを免除するという形で立法するという場合と、国民に義務をさかのぼって課する形で遡求適用ということを書く場合と、二つあり得るわけでございますけれども、その国民の義務を免除する形でさかのぼって適用するということは、従来の立法例として、それは国民に不利益に法律によって定められるべき要件をさかのぼって適用するものではないという意味で、それは一般的に適用しているわけでございまして、その点につきまして、昭和三十年に同様に、期限の定のある租税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案というものを国会に提出いたして、可決されておりますが、これは昭和三十年三月三十一日、法律第八号として公布されております。
これによりますと、当時の租税特別措置法第二条の二の第一項で、同様に、本件と同じような分離課税及び課税率の特例並びに支払い調書等の提出についての特例が昭和二十九年十二月三十一日まで適用があるという規定がございまして、それを、昭和三十年の三月三十一日に可決成立さしていただきましたところの期限の定ある租税に関する法律につき当該期限を変更するための法律の第一条におきましてその規定を変更して、昭和二十九年十二月三十一日というのを昭和三十年六月三十日に改めております。そうして、その法律の附則の第二項におきましては、改正後の特別措置法第二条の二第一項の規定で昭和三十年一月一日から適用するということを書いて、公布されておるわけでございます。
これの考え方は、その分離課税ということは、そもそも暦年で所得税が課税されているというたてまえからいきますと、その途中において変更するというか、適用関係を異にするわけにはいかないということが一点、それから、法律的に考えますならば、その義務の免除という形で書いてございますが、義務がなかったのに、さかのぼって一−三月に義務を規定するということは、内閣法制局としては、そういうことは、よほど何らかの合理的な理由がなければ認めないということで審査をいたしておりますけれども、そういう義務をさかのぼって免除するという立法例はいろいろあります。
たとえば、今回大蔵委員会にも提案されておりますが、所得税法の一部を改正する法律案で、実は一月から以降、たとえば納税義務者が死亡した場合には準確定申告書を提出しなければならない、これを六月一日から施行することを予定して提案しております法律案で、実は申告書の提出義務がさかのぼって免除される、これは四月以内に準確定申告書を提出しなければならぬという義務が法律上あるわけですけれども、それを昭和四十二年分の所得税について適用するといって、さかのぼって適用する結果、その義務が飛んでしまうわけでございますけれども、それはやはり本質的に申告義務というような義務規定を軽減する、あるいは免除するという形のものであるならば、従来の立法審査の例に従って、別に妨げるということはないということで、そういう義務規定をさかのぼって免除する規定は他の法律案におきましてもいろいろ設けておるわけでございますけれども、まさに昭和三十年の法律第八号の例と全く一致するということでございまして、それは国会でも一応御可決いただいておるということで、そういう例に従ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/119
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120・平林剛
○平林委員 大体、法制局ともあろうものは、こういうことを言ってもらいたい。少なくとも国会の意思は去年の十二月三十一日ということになっておる、その間に通達を出すということは好ましいことではない、それをまず前提に置いてからいろいろなことを言うてもらいたいと思う。けじめはつけてもらいたいですよ。あなたのところがそんなことで、先にべらべらしゃべったら何になりますか。法律の筋が通らぬ。ですから、要するに、私ら言っておりますことは、まず十二月三十一日、もうすでに過去においてこの法律案についての期限は切れてしまっておる、その間国会の意思が定まっていない、定まっていないときに通達を出すことは間違いである。あなたのほうは、少し緩和してもいいや、好ましくないぐらいのことは言うてからものを言うてもらわないと、けじめがつきませんよ。法制局というのは、やはりそういう筋を立てていかないと、そうでなくても、法律案をだんだんゆがめて、拡大解釈になる時期ですから、そういうことは私は注意してもらいたいと思うのですよ。
それからもう一つ、あなたは、国民の利益になるものだ、義務を免除するものだと言う。その考え方、それは法律のほうばかりだから全般のものごとの判断がよくわからぬということは、私はよく理解します。理解はしますけれども、しかし、われわれここで議論をしておりますのは、この義務を免除する、五万円までは申告しなくていいとか、支払い調書を出さなくていいということは、国民だれでもいいことじゃないと思っています。大蔵大臣だって決していいと思ってやっちゃいませんよ、ただ、諸般の事情でやむを得ずというようなことでおやりになっていることで、決していい法律ではないのですよ。それをあなたは、何かいいことだからさかのぼってやっていいような考え方は、これは私は、政策という問題で、それはあなたのほうの権限外のことだからこまかいことは御存じなくてもいいと思います。いいと思いますけれども、決してほめられる法律措置ではないのです。それをさかのぼるということは、私は国民の利益に反すると思う。それは、一応三十万人ぐらいのこれに該当するような人たちについては、これはうまいぐあいだな、こういうふうになるでしょうよ。いい通達を出してくれたなということになるかもしれませんけれども、租税の公平、あるいはいまの税金が非常に重い重いと考えて、そしてそれで呻吟している国民全般から見ると、こういうことを法律によらず、さかのぼってやらせるということは、いい措置だとは絶対考えてはいません。国民全般の見地から考えると、悪い措置である。それをさかのぼってやらせることはいかぬというやはり筋道を立ててお話いただかないと、みんな間違えて、法制局ともあろうものがそう言うんだから間違いない、こう思ってしまう。やはり筋を立ててもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/120
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121・荒井勇
○荒井政府委員 まず、この租税特別措置法の第八条の四の規定は、期限切れで失効しているということでお話を願っておりますけれども、八条の四の規定をよく読んでいただきますと、それは昭和四十年分及び昭和四十一年の所得税についてはこういう規定を適用することができるとしておりまして、その四十一年分の所得税についての申告規定でありますとか、課税に関する根拠規定を引いて、その適用の一種の特例を書いておりますが、所得税の納税義務というものは、御案内のとおり五年間その時効消滅というものがあるまでの間は有効で、その間の更正決定ということは常にできるということでございますから、その租税特別措置法で一定の期限を画して規定されているという立法でございましても、それはその期限が到来したから直ちに失効するというものではございませんで、それはなお課税期間が残っているという限りにおいて有効な規定であるということをまず御承知いただきたいと思うわけでございます。
それから、その場合に、こういう法律案を従来の先例もありまして提出いたしておりますけれども、これはもちろん唯一の立法機関としての国会がおきめになることでございまして、その決定の結果、遡及適用しないんだ、あるいは四十二年分につきましてはこういう特例をしないということになれば、いま一時的な差しとめをしているんだと思いますけれども、そういう一時的差しとめはもちろん一月から解除して、直ちにその申告あるいは支払い調書の徴取というようなものを始められるべきであることはもちろんで、それまでの間のつなぎである措置が法律的にりっぱなものであるとは、これは法制局の立場から申せませんが、それはもちろんそういう国会での御決定のあるのに従って行政は執行されなければならぬと基本的に考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/121
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122・平林剛
○平林委員 いずれにしても、今回提出の暫定延長法案、この成立をあらかじめ予測して、そしてこの措置をとるということは、国会の意思を無視するものであることは間違いありません。そういう趣旨から見ても、私はただいまの御説明では納得できない。そこでやはり法律案の提出のし方は、政府に筋の通ったやり方をとってもらいたいということを要求します。
同時に、私、大蔵省にちょっと聞いておきますけれども、大体こういうような通達とか政令の重要な問題については、本委員会のほうに説明をするということになっていたはずです。この特別国会が召集されて、理事会において他の法律に関係のある政令その他については説明がありました。なぜこの通達に関してはわれわれに説明しなかったですか。これはいかなるわけですか。意図的に隠しておったのですか。説明しましたか。私は理事会に出ておりまして、政府のいろいろな政令その他については逐一こまかく説明を聞きました。これはどうして説明しなかったのですか。ここにも私は意図的なものがある、こう思うのであります。なぜ説明しなかったか。少なくとも、かっては参議院の緊急集会まで開いて、あとで憲法の定めに従って衆議院の同意を求めるというくらい厳格な措置をとっておる。その問題は私ら理解できませんけれども、同時に、せめてそういうことならば、国会の理事会でもって、政令やその他についてはこういうことを出しましたので、ひとつ選挙中にこういうことがありましたから御了承くださいと言ったときに、なぜこれを出してこなかったか。私はそこに意図的なものあり、こう見るわけです。みなが気がつかなければそのままほおかぶりして通ってしまうということにして、死んだ子が生き返ってくる、こういうことに疑いを持たざるを得ない。なぜ御説明をしなかったのですか。それを聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/122
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123・泉美之松
○泉政府委員 本国会が始まってから、まだそういう通達について説明を許される機会を与えられておりません。それともう一つは、この通達は、御承知のとおり執行に関する通達でございまして、いままで国会に提出いたしまして御説明申し上げておりますのは、法律の解釈に関する通達を提出申し上げております。それ以外の執行に関する通達については御説明をいたさないという慣例になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/123
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124・平林剛
○平林委員 私はそこが認識が違うと思う。これはきわめて重要視すべき性質のものである。これは通達以上のものです。実際効力は法律と同じようなことになるじゃありませんか。そういうことを考えれば、まずまっ先に、進んで、こういうことがありますと了承を求めるというのならば、罪一等を減じてもいいわけですよ。しかし、今日われわれが指摘するまで何ら説明もしないということは、これはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/124
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125・泉美之松
○泉政府委員 先ほども申しましたように、私どもは、国会の意思がはっきりするまで、しばらく様子を見るという意味で、その様子を見る間に、もし支払い調書の提出をしなければならぬということになりますと、配当を受け取る者はいろいろ心配もするでしょうし、配当支払いをする会社のほうではいろいろな手数を要することでありますので、そういうことで、しばらく国会の意思が明らかになりますまで様子を見る、こういう意味でございますから、われわれは通達によって、本来国会の制定する法律によってきまるべき支払い調書の提出義務を免除するとか、そういうことは毛頭考えておらないのであります。その点をどうか御了承いただきたいと思います。
なお、国税庁は他部課のことについて心配することはないわけでありますけれども、この通達は国税庁長官でないと出せないのであります。ほかの人が出すわけにまいりませんので、省内の各方面と打ち合わせをいたしました結果このような通達を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/125
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126・武藤山治
○武藤(山)委員 関連。
それでは泉さん、ちょっとあなたの見解をお尋ねしますが、あなたの発した一月十日のこの通達によると、前段のほうはしごくごもっともな、正しい判断が書かれている。ちょっと読んでみましょうか。新聞記者の方もみな初めてで、ちょっとややこしい問題だから通達を読んでみます。大臣、大きい声で読んでみますからね。「少額配当所得の支払調書の取扱いについて」。「現行の租税特別措置法第八条の四(総所得金額に算入しない配当所得)の規定は、昭和四十一年十二月三十一日までに支払の確定した配当所得について適用されることになっており、したがって、本年一月一日以降に支払の確定する配当所縁については、所得税法の規定どおり一回に支払を受けるべき金額が一万五千円をこえるものは、配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書の提出を要することとなる。」ここまででいいんですよ、行政府のやることは。これなら泉さんを別に責め立てしなくてもいいんです。当然一月一日以降のものは申告義務を負わせるべきなんです。それを今度あなたのほうの行政府の判断でけしからぬのは、その次の「しかしながら、」から始まって一番下の行の「従来どおりに取り扱うよう指導されたい。」——従来どおり取り扱うということは、法律的に十二月三十一日で切れたものですから、本来なら一月一日からはきちっとやるべきことをやらずに、従来どおり特別措置の形を認めた取り扱いをあなたの通達でやっている。これは越権ですよ。だから私は、前段の提出を要することとなるまでなら、通達としてもこれは間違いないと思う。あなたはまだ越権でないと言いますか。弁解しますか。もう一回ひとつはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/126
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127・泉美之松
○泉政府委員 たいへん恐縮でございますが、その最初の段はおっしゃるとおりでございます。その中ほどのところに、「従来どおり」という前に「さしあたって何分の指示があるまで、」こう言っております。ということは、いま申し上げましたように、国会の意思によって法律の決定がどうなるかはっきりするまでは、という意味でありまして、当分の間見合わせておる、こういうだけでございます。その証拠に、その後段のほうには「提出義務者からすでに提出された少額配当にかかる支払調書については、」云々というふうに書いてあります。ということは、提出があった場合も想定して書いておるわけであります。
したがって、ことばが足りない点がありましておしかりを受けるのは恐縮でございますけれども、私どもの趣旨は、国会の意思がはっきりするまで当分の間見合わせておる、こういう趣旨でございますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/127
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128・武藤山治
○武藤(山)委員 国会の意思ははっきりしているじゃありませんか。十二月三十一日で切れたということは、国会の意思が表示なかったのですから、その時点で一回法律は、主観的な判断を入れずにその法律だけを考えた場合には、当然そこで切れるのですよ。だから、一月一日からは当然その法律どおりのことをやるのが忠実な行政官じゃないですか。もし国会で議決されるならとか、予定される法律が出るならという仮定が、もうすでに立法府の権限をあなたの恣意によって侵しておることになる。そういう恣意的な判断で、こういう重大な、税金を取るか取らないかの問題に関連する問題を処理することは越権ですよ。越権じゃありませんか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/128
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129・水田三喜男
○水田国務大臣 それは、先ほど申しましたように、いずれ政府が改正案を出すという予定を持っておる、これを国会の御審議を願って、何分の審議が行なわれて結論が出る、これを待って指示するから、しばらくそのままにしておってくれと国税庁長官が通達したのは、国会の審議を無視したのじゃなくて、むしろ国会の審議に従って、その結果を見てからほんとうの指示をするということで、私は、少しも国会を無視したのじゃなくて、国税庁長官としては、その間の手続の問題で混乱を避けるために、むしろ国会を尊重して、いずれ法案がここで審議されるのですから、もうそれは政府として予定しているのですから、その審議をまってということで、私は、国会を無視した気持ちは国税庁長官には全然なかったと思います。それはむしろ逆です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/129
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130・平林剛
○平林委員 しかし、いずれにしても、私は、この八条の四については、理由はいろいろお答えになりましたけれども、四十一年の十二月三十一日をもって国会の意思はないということははっきりしています。
それからもう一つは、法律案の提案の責任者である大蔵大臣も、ほんとうは、去年の十二月三十一日までの間に何らかの措置をとるべきであった、それがほんとうであるということを認められております。
それからもう一つ、法律案というものは、もうこれは出しておるから通るだろうという予測のもとでおやりになるなら、何もこうやって審議をする必要はないのですよ。国会でどういうようにきまるか、いま審議をしている最中で、予測をもって一つの独断を押しつけるということは、大蔵委員会あるいは国会を無視する政府の措置である。そういうことから考えますと、私はただいままでの説明は納得できない。
そこで、この問題については政府の考えを改めてもらいたいと要望しておるのでありまして、委員長もひとつこの取り扱いを与党、野党と相談をして、いずれにしても結論をつけるようにして、しかる後に審議を軌道に乗せてもらいたい。これを要望をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/130
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131・内田常雄
○内田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/131
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132・内田常雄
○内田委員長 それでは、速記を始めてください。
この際、大蔵大臣並びに国税庁長官から発言を求められております。順次これを許します。大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/132
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133・水田三喜男
○水田国務大臣 仰せのごとく、今回の法律の提案については適切でないので、今後は期限に関係のある法律については期限前に改正手続をとるようにいたします。
なお、この直所5−1の通達については、仰せのごとく、行政の行き過ぎであると認め、遺憾の意を表するとともに、今後このようなことを繰り返させないように善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/133
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134・内田常雄
○内田委員長 泉国税庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/134
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135・泉美之松
○泉政府委員 ただいま大臣の仰せのごとく、行政当局として行き過ぎでありました。
ここに深く遺憾の意を表しますとともに、今後再びこのようなことのないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/135
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136・平林剛
○平林委員 私のこの法律案の取り扱いについていろいろ政府の見解をただしてまいりましたが、ただいまのような大臣の釈明並びに国税庁長官の言明がありましたから、私もまだ釈然としないところがありますけれども、三党と相談した結果、これをもちまして、一応了承しようということにいたしまして、質疑を続けるということにいたしたいと思います。
私は後ほど質疑をいたしますので、一応次の質問者である阿部さんに譲ることにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/136
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137・内田常雄
○内田委員長 阿部助哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/137
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138・阿部助哉
○阿部(助)委員 私、この総選挙で初めて出てまいりまして、大蔵委員会へ所属をいたしました。とりあえず三十九年からの速記録に一応目を通してみました。租税特別措置法に関しまして論議された速記録に対しては、特に注意をして目を通してまいったわけでありますが、私が日常活動をいたしておりましても、また選挙においても、国民の大多数は、この物価の問題と同時に、重税の問題に一番大きな悩みを持っておるのであります。財政は、国の政治の物質的な裏づけでありますだけに重大な問題であり、これが狂ってまいりますと国の政治も狂ってまいるわけであります。幸いにこの委員会は、租税を一つの中心といたしまして論議されておる委員会でございます。
私がこの委員会の速記録を読んで一番感じますのは、質問のほうは明快に私もよく理解ができるのでありますけれども、政府の答弁のほうはというと、なかなか理解ができない。おそらくは国民の大多数の人たちも、この政府答弁を読んでもなかなか理解ができないのではないかという感じがするのであります。
〔委員長退席、三池委員長代理着席〕
ただ一つ、この中で租税は公平でなければならないというこの一点についてだけは、与野党も政府もこれは一致しておるようであります。ところが、先ほどから論議されておりますように、公平でなければならないという点では一致をしておるのでありますけれども、実際問題として不公平なものが多々あるのではないか。そうしますと、公平という解釈自体にいろいろな解釈があるのかどうかというところに問題があろうかと思いますので、私、この委員会へ出てまいりました冒頭でありますので、この公平というのは、一体どういう形で公平を期しておるのかという点、まことに原則的なことでありますけれども、それだけにお伺いをしたい。
税の公平という問題は、おそらくは古くからの問題でありましょうけれども、また、絶えずこれは新しい問題であるというふうに私感じますので、幸い大臣もお見えでありますので、まず大臣からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/138
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139・塩崎潤
○塩崎政府委員 税制の負担公平という用語の定義でございますので、主税局長からお答え申し上げたいと思います。
おっしゃるように、根本的な点から出発されておるわけでございますが、各種の租税の教科書あるいは理論的な書物の教えるところでは、同じ経済的な地位にある人に対しましては同じ負担というのが、租税負担公平の考え方のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/139
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140・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお答えでありますと、同じ地位にある人からは同じだというだけであります。となると、所得を受ける層はいろいろ階層があるわけですね。その間にいろいろな不平不満が出るというところに一番大きな問題があるのではないか、こう考えるのでありまして、それには累進であるとか、いろいろな取り方があると思うのであります。できるだけそういう人たちに不満のないようにということを考えておられると思うのでありますが、層の同じ人たちに同じだというだけであれば、これは国民の立場では少しおかしいのではないかという感じがするのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/140
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141・塩崎潤
○塩崎政府委員 前段に御指摘の、同じ経済的な状態でない人、つまり、異なる経済状態の人に対しましてどの程度の負担を求めるか、これはまた別の考え方が必要であることは御指摘のとおりだと思います。累進税率というものは、そのような要請を満たす意味で生まれたのだと思いますけれども、少なくとも同じ経済状態にある人に対して同じ税負担、これは私は非常に大事な原理だと思うのでございます。
いまいろいろな解釈があります。同じ経済状態とは何ぞやという問題、非常に違っておると思います。たとえば、よくいわれておりますように、五十万円の所得者は同じ負担でなければならぬ、しかし同じ五十万円でも、勤労所得の五十万円と資産所得の五十万円では同じ負担でいいかどうか、このような疑問がございます。さらにまた、同じ勤労所得の中でも、障害者あるいは老年者が受ける五十万円と若い時代に受ける勤労所得の五十万円、これが同じ負担でいいかどうか、このあたりにも非常な疑問があり、議論が繰り返されるところでございますが、一般的に言って私は、同じ経済状態にある人に対しましては同じ税負担ということは、所得税のみならず、法人税あるいは間接税全般について非常に大事な原理だ、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/141
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142・阿部助哉
○阿部(助)委員 私がお伺いしておりますのは、国民の中には、大きな所得を得ておっても、いまの特別措置法のような形の中で税負担が軽い、それに比べて、若い学校出たての、もう洋服をつくるにしても親がかりだというような人たちまで税金を取られるとか、あるいは、そういう低所得であるにかかわらず税金で苦しまなければならない事業者であるとかということで、不満があると思うのです。そういう点で、税金は、機械的に同じ金を取ったから公平だということじゃなかろうと思う。そういう点で、いままでいろいろ考えられ、また、税金の取り方というものはどこでも考えられてきておると思うのですが、ただ、あなたのおっしゃるように、同じ所得のところ、同じ条件のところからは同じに取るのだというだけでこの公平の問題が処理されておるわけですが、どうもその点がすっきりしないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/142
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143・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にむずかしい問題の御提起でございまして、私もそういった哲学的な問題に十分なお答えができないかもしれませんけれども、先ほど前段の御指摘の、非常に高額な所得者が時によって軽い負担を受け、低額所得者がそれよりも重い負担を受けることがあり得るといったようなことは、私はこの特別措置の事項についての御指摘かと思うのでございますが、そういった問題についてはどう考えるか、まさしくそれが負担公平の原則の例外だろうと思うのでございます。しかし、その問題は、負担公平の原則と、そういった特殊な誘引措置を与えることによって、より国民経済が発展する、このことを通じてすべての国民経済の各層に影響をするから、そういった特別措置あるいは税制上の優遇措置が時間を限ってでも行なわれているのだ、そういった意味で、負担公平の原則と、言うならば、経済政策的、傾斜政策的な措置との調和を求めて税制ができ上がっておる、こういうことに理解されるのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/143
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144・阿部助哉
○阿部(助)委員 私は、これから大蔵委員会で勉強し、いろいろ論議をしていきますためには、どうしてもこの問題がすっきりしておりませんと、なかなか先へ進まないのじゃないかということで、まあいろいろな速記録を読んでみたわけでありますが、どうもその辺で私にはすっきりしないわけであります。
いま局長のお話のように、経済全体の問題であるとか、あるいは、場合によれば資本自由化のためであるとかいうようなことを言ってまいりますと、これまた別な問題に発展してくるわけであります。私たち、前に、東洋平和のためだとかなんとかということでひどい目にあってきた経験を持っておるだけに、税金の場合には、できるだけすっきりした、みんな納得するような政策でなければならぬ。今日まで税金をかってにしぼり取られてきたところにいろいろな問題が歴史的に出てきておるわけでありまして、この問題がやはり政治の場の一つの大きな中心だという点からいくと、この税金のあり方というもの、しかも、みんながことばの上では公平でなければならぬということで一致はしておるけれども、実際は国民は公平だというふうには考えておらない。そういう点で何かいまの局長のお話だけでは私にはすっきりしない。
この問題はまた繰り返して私質問したいと思いますが、そういう観点から租税特別措置法とも比べてみつつ、まず農業課税の問題を一つ見ましべても、何か違っておるのじゃないか。
いま農業課税の問題では、青色申告と白色申告の問題についてこの前も横山さんが多少触れられておりましたけれども、特に農民の場合等において、青色申告と白色申告の場合においては控除額が違いますね。これはなぜこれだけ控除額を違えなければならないのであるかという点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/144
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145・塩崎潤
○塩崎政府委員 おそらく基本的には負担公平の原則からこの問題を取り上げられておると思うのでございます。同じ五十万円の所得階層で専従者控除の金額が青色申告者と白色申告者でどうして違うのか、こういう問題かと思うのでございます。この問題は、先般横山委員にもるる御説明申し上げたところでおわかりのとおり、理論的にと申しますか、事業所得、つまり企業面で発生する所得と、その発生する所得が個人家計に帰属する面と、二つ分けて考えてみますと、企業面におきましては、まさしく労働した者に対しましての対価は、すべて費用として考えられると思うのでございます。そういたしますと、事業の形態が法人の形態であれ、個人事業の形態であれ、私は費用として認識されると思うのでございます。そういった意味では、家族労働者、専従者につきましても、適正なる給与の報酬が客観的に支払われておる限り、これは費用として認識せざるを得ない、こういうことを申し上げたつもりであります。しかし、個人家計と事業との分離、それが完全に分離されておればそういったことが言えるわけでありますが、そういった分離が十分でない面が日本の社会面で多々あるわけでございます。それは法人形態よりも個人形態に多いし、また個人事業形態の中でも、農業のような面にはそれが強いということが言えるかと思います。現在、個人事業につきましては、青色申告というものが、法人形態に次いで事業と家計とが分離したものと見ておるわけでございます。そういった意味で私どもは費用性を強く認識しております。
しかしながら、先般も申し上げておりますように、給与給与といいながら、そこは親子の関係あるいは配偶者、夫婦間の関係でございますので、厳密なる給与についての認識があるわけでもない場合もございますし、さらにまた労働法規が支配する部面でもございません。それは多分に、私どもが見ておりますと、一つの扶養義務の履行であるとか、あるいは財産の贈与といった形のものが含まれる場合が、家計と事業との分離が不十分なだけに見られる、そういった意味では、私は、青色申告者と白色申告者の区別をつけまして、青色申告者のほうに多くの控除を認めることも、これはいままでの観点から考えられるのじゃないか。さらに、農業一つとりましても、ここでもずいぶん議論になりました農業所得の水準から見ますと、十五万円という家族専従者の給与基準、農業所得水準は、残念でございますが、企業の水準よりも低いわけでございます。労働の対価として農業で支払われる他人労働に対する対価でも、都市で支払われる対価と違っております。
そんなような関係で、青色申告者なら二十四万円、白色申告者なら十五万円でございます。しかしながら、私どもは、できるだけ青色申告者になっていただくことでこの問題は片づけるべきであるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/145
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146・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお話でも、同じような条件にある農家に例をとりますと、二軒ある農家が、片方は青色申告をしておる、片方はしてないというだけで控除額が違ってくるということは、先ほどあなたのおっしゃった理論からいけば、これはやはり不公平じゃないか。そうすれば、青色申告をすすめるというが、なぜ青色申告をすすめるのか。また、すすめるということならば、どのような手段でこの啓蒙をやっておるのか、その辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/146
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147・塩崎潤
○塩崎政府委員 御案内のように、青色申告制度は昭和二十五年からできました制度でございまして、私どもは、簡易簿記を入れながら、できる限り青色申告が普及するよう、何回も帳簿の簡素化をいたしまして、すすめてまいりました。今回も現金収支を中心とするような記帳の仕組みにして青色申告を普及して、できる限りその範囲を広げよう、そしてまた専従者控除の範囲拡大による利点を享受していただきたい、かように考えております。
同じ所得でありながらなぜ青色申告と白色でこう違うかという問題、これは先ほど御説明したとおりでございます。それが帳簿がつかないからということで白色になっておるということでは問題でございます。現在程度の帳簿で努力していただければつく面があろうかと思うのでございます。そういうことによって個人家計と事業とが分離した姿を出していただいて——何も家族労働者に対する給与だけでございません。収入支出あるいは減価償却その他につきまして、やはり企業と家計とを分離する、これをひとつやっていただきたい、そのあらわれが現在のところは青色ではないかと思います。
すでに先生御案内のように、法人形態となりますと、完全給与の形をとっております。法人と個人でなぜ違うのかという御疑問がまずその前にあるわけでございます。それは私は、法人形態をとっているということが、家計と事業とが分離したことのあらわれであり、世の中もそういったところで是認されておるのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/147
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148・阿部助哉
○阿部(助)委員 青色申告をとらせたい、こう言うけれども、実際いまこの税法をごらんになって、皆さんは専門家でおわかりかしらぬが、これを見たってわかりませんよ。とても農民でこれを見て理解するなんということはない。また、帳面をつけておりましても、税務署へ参りますと、実際問題として、いや、これがどうだ、あれがどうだということになりますと、つけたものはみんなはずされてくるというようなことで、実は、青色をやっておったけれども、いま青色は減っておると私は判断をしておるわけです。あなたは、最近税務署がすすめておるので、青色申告の農家はだんだんふえておるというふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/148
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149・塩崎潤
○塩崎政府委員 この問題は、もう先生御案内かと思いますが、昭和三十五年に問題になりまして、農業所得者で青色と白色との間の差が非常に大きいということで、昭和三十五年に初めて、青色申告でなくても、家族労働専従者につきまして白色専従者控除を認めるということにいたしたのでございます。それは主して、先生のおっしゃったように、農業には青色をすすめてもなかなか普及しない、こういった点を着目いたしまして、扶養控除じゃなくて、家族専従者に対する専従者控除を概括的に認める、青色となりますと、いろいろな意味においてほんとうの給与の実態を備えなければならぬと、むずかしいことを言っております。しかし、農家にそういったむずかしいことも適当でないという点も認められますので、行政上、先生のおっしゃったように、税務署と納税者とのトラブルを避けたいという意味で、概括的な専従者控除を設けていまに至っております。現在これは十五万円でございますけれども、一般的に申して、これは農村における他人労働に対する平均支払い労賃を基準ときめているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/149
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150・阿部助哉
○阿部(助)委員 家計と企業とを分離したいということはそれなりにわかりますけれども、実際問題として、私が先ほど申しましたように、農民には、一つは帳面をつけるくせがないというのもありましょうけれども、税務署での交渉がむずかしい。それで、一般の人たちは、税務署で標準をつくりまして、それで取っておるわけでしょう。そうすれば文句を言ってもしようがないけれども、帳面をつけて、文句を言われて突っ返されるよりはめんどうくさくはない。税務署や警察はおっかないところだから、なるたけそこでいざこざはやりたくないということで、だんだん白色になってきておると思う。
いま皆さんのところで調べた、白色で所得税を納めておる人、また青色で納めておる人の人数をちょっと教えてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/150
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151・塩崎潤
○塩崎政府委員 事業所得者について、四十年度で申し上げますと、青色申告者の数は七十七万七千人でございます。白色者について申し上げますと、四十年度におきまして百六十八万六千人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/151
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152・阿部助哉
○阿部(助)委員 それは事業所や何かも全部ひっくるめてでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/152
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153・塩崎潤
○塩崎政府委員 この中には専従者控除等の結果失格する者が入っておりますけれども、少なくとも専従者控除の適用の意味におきましては、青色申告をしていなくてはいかぬ、こういうことになっておりますので、そうなっております。白色も同様に失格前の納税者でございますから、の専従者控除の適用の結果、事業者の数はこれより若干減る見込みでございますが、事業所というよりも、個人事業者、独立の事業主の数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/153
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154・阿部助哉
○阿部(助)委員 それは農家だけの場合の数字はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/154
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155・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十年度の青色申告者の数は、国税庁の統計によりますと、これは専従者控除の結果もございますから、控除失格者を入れたらいいと思いますが、それが一万八千で、そのときの納税者の数は二十四万九千でございますから、白色者の数は二十三万一千となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/155
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156・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、農家の場合には特に大きな差があるわけですね。そういう点で、やはり農家の場合にはなかなか無理がある。それならばなおさら同じような条件にある。すすめるにはすすめるで啓蒙をもっとされなければいかぬだろうし、この法律自体が一度や二度読んでもなかなかわからない。新聞の表現によりますと、一読難解、二読誤解、三読迷宮入り、四読了解不能というのが日本の法律だと言っているのだけれども、実際にこれはむずかしい。そうすると、いまの農民に青色をしろと言っても、よほどわかりやすくしてやらないといかぬだろうし、また、それを持って税務署へ行っても、この領収書は不備であるとかなんとかいうことではねられますと、これはもう青色をやめて税務署のあてがいぶちで標準課税で納めるということになろうかと私は思いますが、その辺のことも何とかもう少し親切にやらないと公平にはならないんじゃないかという感じがするわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/156
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157・塩崎潤
○塩崎政府委員 私も先生の御指摘、非常に同感でございますし、注意していきたいと思います。
ただ、税法は確かに複雑でございまして、私どももときどきわからなくなることがあるのでございますが、これは例外的な規定が多いことに多分に原因するものでございまして、一般の事業所得者の方々あるいは農民の方々は、税法というよりも、むしろ所得計算になれていただくこと、これは税法以前の問題のような気がいたします。
そういった意味では、私どもの青色申告の様式はもう少し検討する必要があると思いまして、今度は現金収支でもいいというようなことでいたしております。それでも農民の方々は、現在の収穫主義に基づきます標準率課税のほうが便利だというような——これはいいかどうか反省すべき点が多いと私は思います。その点はひとつ行政上全部の問題を片づけながら、できる限り家計と企業が分離し、すべての方々が青色申告者になりまして、家族専従者というものがいわゆる完全給与の形態を受けるような、しかし、それも恣意に流れることのないような給料の支払いが行なわれることが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/157
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158・阿部助哉
○阿部(助)委員 そういう御意図は御意図といたしまして、それならば、とりあえず専従者控除という控除の額は青色と白色とを同じようにされるのが当然だと思うのでありますが、なるたけそれを近づける、また一緒にするというほうが私は一番正しいのだと思いますが、そういう御意図はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/158
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159・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は、税制上の仕組みといたしまして、青色申告とか白色申告という制度が並立していること自体、おっしゃるように、日本の税制と申しますか、税務執行と申しますか、全く現状を反映しているような気がいたします。将来の理想といたしましては、もうすべての方が青色申告者になっていただき、青色申告者の特典のようなものがなくなるというのが税制の理想だと思うのでございます。どこの外国でも、青色申告制度、白色申告制度はございません。しかし、個人家計と企業とが分離してない現在におきましては、何とかこれをひとつ理想の方向に持っていきたい、それはやはり青色申告についての啓蒙を深め、さらにまた私どもも反省いたしまして、帳簿についての簡素化、あるいは税務の指導についての親切、こういったことを念願いたしまして、できる限り青色申告者に持っていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/159
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160・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、これをすすめるのはすすめるが、まだ差はやはりつけておくということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/160
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161・塩崎潤
○塩崎政府委員 完全給与制となりますと、たとえば十五万円という控除金額とこれが差があるかないか、このあたりが非常に問題だと思うのでございます。給与として適切なるものを家族専従者に与えるならば、これを事業所得の段階で控除するという問題でございますので、私は、絶対額的な制限をやめるということだけであって、はたしてこれが二十四万円でなければならぬとか、あるいは三十万円でなければならぬという問題ではないと思うのでございます。今後白色者につきましては、行政上の理由、あるいは、いま申しました企業と家計との分離の不十分ということがまだ残りますけれども、これはしかし、だんだんと今後の状況を見て、ひとつできる限り青色申告者のほうに持っていきたい、すべての事業所得者、少なくとも所得税の納税者は、家族専従者に給与を払うならば、それが妥当なる限り、事業所得の計算上は費用となるような方向に進めるのがいいのではないか、絶対額を何万円にするというようなことははたして進歩の道であるかどうか、疑問に思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/161
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162・阿部助哉
○阿部(助)委員 これはなかなかあなたのほうも説を曲げないようでありますが、やはり指導は指導にしても、不公平な取り方だという点では、私はどうも納得ができないわけです、差をつけるということには。だけれども、いまあなたとこれをやってもなかなか追っつかないようでありますので、次へ移りますが、私が見るところ、農民の間でもなかなか公平にはいかない。しかし、いまここで提案されております利子、配当等の特別措置ということになると、大衆との間にはまことに大きな差別待遇がなされておる、不公平がなされておるというふうに感ずるわけであります。この問題に対する答弁は、先ほど申し上げましたように、私が何ぼ速記録を読んでみましてもなかなか理解ができないわけであります。このようにいろんな新聞雑誌等も非難をしておる、また、国民の数多くが不満を持っておる、それにかかわらず、なぜこれを強行して通さなければならないのか、それがわからないのであります。
それで、まず最初に、いま国税庁長官をやっておられます泉さんが前に主税局長でありましたとき、詳しく申し上げれば、三十九年の十一月の三日号の「エコノミスト」の誌上で御意見を述べておる。この問題については、前に藤田委員から何ぼか質問がなされておるわけでありますが、その御答弁はどうも私には理解ができない。しかし、この雑誌に載っておる限りにおいては、私は非常にりっぱなことをおっしゃっておると思う。そういう点で、いまでもそのお考えどおりであるのかどうか、そこを少しお伺いをしたいのでありますが、記憶がはっきりしておるならばいいのでありますが、だいぶ前の話でありますので、この項を読んでみたいと思います。この記事のまま読みます。
本誌 特別措置の整理は増税するということになるわけでしょうか。
泉 あれは増税とは言えないでしょう。平たく言えば、補助金を出しているということですね。
本誌 その点、思い切って整理するところは。
泉 それが、利子五%分離課税、それとの関係で、配当も分離課税しろというのです。利子の分離課税を止めるとか、あるいは今の五%税率を一〇%にするというようなことで相当増収になる。だから、本当はそういう増収を財源に使って減税をやりたいところだが、利子、配当については、なかなか金融界、証券界が強い政治力をもっているので、大変です。
本誌 むしろ、両方止めてしまえば公平なのでは。
泉 結局、利子が五%だから配当もという関係なんですよ。本当は結局そういうことは止めて……。
本誌 そうすると資本蓄積を阻害するというようなことが言われていますが。
泉 だけど、貯蓄というのは、経済学で認められている通り、可処分所得がふえることによってできるので、税制が分離課税になっているから、蓄積がふえるというものじゃない。
だれも、分離課税になっているから余計しようなんていう気を起すよりも、やはり自分の老後が心配だ、病気になったときが心配で貯金するので、何も税金が五%だから貯金しようというようなものじゃないと思う。
新制高校出で、サラリーマンになりたての人が、いきなり所得税納めているんだから、それくらい資産持っている人なら税金をちゃんと納めてもらってもいいんじゃないかと思うんですよ。元本に対する税金ではなくて、利子に対する税金ですから。こういうふうに、あなたは、私どもも賛成する、だれしもが納得することをおっしゃっておるわけでありますが、いまでもこのお考えのようにお考えになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/162
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163・泉美之松
○泉政府委員 それはエコノミストの記者がたずねてこられましたときの一問一答だと思います。確かに私その当時そういうことを申した覚えがございます。また、税の立場からいたしますと、私はそういう立場が正しい立場と思います。ただ、先ほども主税局長が申しましたように、利子、配当の問題は、単に税の立場だけでなしに、日本経済全体の広い視野に立って考えなければならぬ場合があるわけです。そういう点から、私は当時主税局長でありましたから、税の立場から言いますとこういうことになります、こういうことを申し上げた記憶がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/163
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164・阿部助哉
○阿部(助)委員 念のために塩崎局長にお伺いしますが、いま泉さんがおっしゃったわけですが、あなたの御意見はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/164
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165・塩崎潤
○塩崎政府委員 私も長官と同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/165
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166・阿部助哉
○阿部(助)委員 幸い大臣がおられますので、あなたの部下はお聞きのとおりのことをおっしゃっておるわけですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/166
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167・水田三喜男
○水田国務大臣 私は税制調査会の答申も受けておりますので、やはりこれを漸進的に改善したいと考えて、今度は御承知のように五%アップのこの法案を出して御審議を願うということに私は裁断をしたものでございますので、大体それでおわかりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/167
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168・阿部助哉
○阿部(助)委員 泉さんは、いま日本経済全体、こうおっしゃったわけでありますが、前のときには、ここに藤田さんの質問に対しまして、税制の立場ではそうでありますけれども、世の中には税制の立場だけでは処理できない問題がある、それで、より高い立場からこういう特別措置法をやらなければならないのだというようなことをおっしゃっておるわけですが、いまの日本経済全体云々ということは、そういうことをおっしゃっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/168
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169・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/169
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170・阿部助哉
○阿部(助)委員 そういたしますと、昔から税の問題は、取り立てられる——ある意味で昔の殿様の時代であるとか封建時代等は、取り上げていく、そういうところから、あるいは農民一揆であるとか、いろいろヨーロッパにおいても抵抗があって、だんだん民主的な政治というものに変わってきたと私は思います。そういうところで、この税金というものはやはり今日でも国民にとっては大きな負担になっておる。それが高い立場だ、日本経済全体だということになっていきますと、これはやはり非常に問題があろうかと思う。昔といっても、つい二十数年前には、勝つためにということで、あるいは国債を買わされたり、お国のためだということですべてが回転をしていってあの不幸を見たわけでありまして、いまも日本経済全体のためなんという抽象的なことで税制が片寄った形をとるということは、これはやはり大きな間違いじゃないか。しかし私は、この問題に関しての議論は、またゆっくり時間をいただいたときに論議をしたい。
特に、いま私たちが一番心配しておりますのは、やはり第三次防衛計画、そういうものがだんだん発展していきますと、この防衛産業自体はひとりでに回転をしていくわけです。ある段階までまいりますと、今度は問答無用で再軍備政策というものが行なわれていくのは、どこの国でも例があるわけであります。
〔三池委員長代理退席、委員長着席〕
しかも、それに国債という政策がプラスをしていきますと、どこまでこの防衛産業あるいは軍事産業というものが発展していくかわからないという不安も私持つわけでありまして、この問題はいずれまた時間を見て論議をしたいと思いますが、どうも私には、あなたのその高い立場というのが、経済全体というだけでは理解ができない。
この前、主税局長は広沢委員から資料の要請をされておるわけですが、あれはまだ出ないわけですか。この前広沢委員は、この資料が十分に出そろってこないとこの審議には応ぜられないということで、強くこの資料の要請をしておったわけでありますが、これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/170
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171・塩崎潤
○塩崎政府委員 お待たせいたしました。やっと作成できまして、ただいまお配りしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/171
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172・阿部助哉
○阿部(助)委員 いま、経済全体、こうおっしゃるのは、もう少し具体的におっしゃってくださいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/172
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173・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほど長官も私も、負担の公平と経済政策全般との調和というふうに申しましたけれども、先般も御議論のありましたように、租税特別措置の効果がどういうふうにあらわれるか、その資料を出せというふうなお話がございました。本日、その関連資料という形で出してございます。経済全体という意味は、私は、租税負担の公平の原則はある程度犠牲にしても、特殊な誘引措置あるいは特別な減免が国民経済全般にいい影響を来たして、経済成長がより安定かつまた大きくなる、こういう意味だと思います。非常に抽象的でございますが、一般的にはそういうことでございます。
利子、配当にかこつけて言いますれば、御案内のように、現在の日本の企業の資本並びに資金需要の状態、それとまたあるいは資本構成のあり方、これらの問題が利子、配当についての特別措置の要請が常に言われておるところではないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/173
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174・阿部助哉
○阿部(助)委員 どうもその辺が私たちにはわからない。やはり国会の答弁は、国民がわかるように、納得のできるようにしていただかないと困ると思う。いまのようなお話で、国民全部が、なるほど局長はいまのようなことをおっしゃったが、利子、配当のほうは特別措置でこれだけの税金をまけてやるのは当然だというふうに考えると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/174
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175・塩崎潤
○塩崎政府委員 その心理的な問題とからみますと、非常にむずかしく、私だけが言いましても、なかなか御信頼を得ない問題だと思うのでございます。先般も御説明申し上げましたが、非常に輸出が伸びております。この輸出を伸ばすために、海外市場開拓準備金あるいは輸出割り増し償却制度——その前には所得控除があったが、これがガットで問題になりました際に、所得控除は輸出に非常に支障があるということを盛んに言われ、輸出については各方面からの強い要望もあってこういった措置が設けられた、さらにまた、農民の予約米減税措置にいたしましても、これはなかなか御議論があるところでございます。予約米減税をやめたところで米を予約しなくなるかといったら、そうでもないと言われる方もありますが、しかし、大方の方々は、予約米減税を続けていったほうが予約米の集荷において効果的である、さらにまた、米価の問題についても有利に働く、さらにまた、農業の所得水準から見ても適当である、こんなような意見があり、特別措置の効果についても、一各人各様に非常に幅広く意見が分かれるところだと思うのでございます。そんなような意味で、ひとつ国会の御論議を通じ、あるいは各方面の御討議を通じて常識的に決定すべきではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/175
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176・阿部助哉
○阿部(助)委員 しかし、その利子、配当のほうについては、この前からの永末さんの御質問でありましたかでも、また、いままでの速記録を見ても、なかなか数字的には説明ができない。まあ誘引措置だというふうなお話だけにしか私は見ていないわけでありますが、これだけの問題をやるならば、やはり少なくとも国民全部といいたいけれども、せめてここへ出ておる与野党の委員くらいには納得のできる数字というものを示すのがほんとうではないかと思うのです。非常な御無理をなすっておるというふうに考えられるのですが、その辺どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/176
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177・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃるように、この特別措置の効果の評価の問題は非常にむずかしい問題でございますので、なかなか完全な御理解を得るということはむずかしいと思っております。しかし、いままで長年のこの制度についてのいろいろな批判も受けながら、あるいは修正も加えながら、あるいはこれについて仕組みも変わってまいりましたけれども、国会で慎重な御審議の結果この制度があることを考えますと、これは私は税の立場だけで否定することも問題があろう、そういった意味で国会の御論議を十分尊重していきたい、そのことによってこの制度が国民経済全体の中にとけ込む、特別措置についての根本的な欠陥は、慢性化し、既得権化することであろうと思いますので、やはり経済情勢に応じまして適切なる措置を講ずる、今回、貯蓄につきましては五%の税率引き上げが行なわれておるということは、やはり新しい事態に応じては新しい状態に席を譲るというような特別措置の流動改廃ということが行なわれる、このことが大事なことではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/177
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178・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお話はどうも少し私にはわからないのですが、大臣はこの前の、たしか二十四日の委員会で広瀬委員の質問に対しまして、今年はほんとうは減税すべき年ではないのだ、むしろ企業の過熱というような心配があるだけに、減税なんというものをすべき年ではないのだという答弁をされておるわけですね。たしかに百万円まで減税すべきじゃないかという質問に対して、そういう意見をここで答弁しておられるわけです。そうすると、これは話が少し矛盾するのじゃないか。過熱の心配があるならば、なおさらこういう利子、配当などということの減税はすべきじゃないのじゃないかと思うのです。大臣のお話は少し矛盾しておるように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/178
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179・水田三喜男
○水田国務大臣 個々の問題はともかくとして、私の申しましたのは、こういう経済の動向のときに、大きい減税と、そうして公債発行額をふやすという政策はとるべきじゃない、本年度は両方ともほんとうはそれを圧縮する年である、しかし、税制の現状を考えて、所得税の減税はもう一歩やる必要があると私どもは認めて、所得税中心の減税をしておる、こういうふうに答弁したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/179
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180・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすれば、過熱の心配があるとなれば、ことしは減税なんてしないで、むしろ公債発行額を減らしたい、こうこの前おっしゃったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/180
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181・水田三喜男
○水田国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/181
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182・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、いまの利子、配当の特別措置などいうものは、まずまっ先にこれをやめるべきじゃないかということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/182
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183・水田三喜男
○水田国務大臣 ですから、この間も申しましたように、もうすでに昭和二十八年以来十何年というふうに続いてきた制度であって、国民の貯蓄心と事実上結びついた一つの制度になっておりますので、これを一挙にやめるということが非常に影響が大きいだろうと思うので、徐々にこの問題を解決していこうということで、私は本年度漸進的な方法として従来の措置に改善を加えたということでございまして、ただ、これを一挙にやれないというので、徐々に私どもは解決しようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/183
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184・広沢賢一
○広沢(賢)委員 関連質問。
大蔵大臣が言われたこの前の大蔵委員会における説明でございますが、あれを読むと、自己金融力が非常に大きくなった、こう申されておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/184
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185・水田三喜男
○水田国務大臣 企業の自己金融力というものは、ここ一、二年の間に非常に大きくなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/185
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186・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その自己金融力が中心になって現在景気過熱の心配がある。それは設備投資だと思います。そうすると、この設備投資というのは、これは主として個人所得から出るのじゃなくて、企業の所得からどんどんと出る、これが心配だという、そういう御意見ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/186
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187・水田三喜男
○水田国務大臣 設備投資の意欲というものが非常に強くなってきていることは御承知のとおりであります。そうしますと、企業が自己金融力をいま持っておりますから、かりに設備投資をするというときには、自分の金で投資をする。ですから、銀行でいいますと、銀行の預金がだんだんに減るという形になってはきますが、その設備投資の資金需要というものが銀行に集中してくるということはよほど先である。だから、いますぐそういう面から過熱するというような現象は出なくても、その動向を絶えず見ておって、事前に私どもがいろいろな機動的な運用をする必要があるということを申したのであって、自己金融力がなければ、設備投資が始まったらすぐ銀行の資金需要となってあらわれてくるのですが、これがすぐあらわれてこないということを言ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/187
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188・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その問題はあとで議論することにしまして、租税特別措置というのは企業減税でございますね。これはお認めになりますね。租税特別措置というものは各種ありますね。ここへ資料が出てきておりますが、大蔵大臣にお聞きしているのですが、これは主として多くは企業減税でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/188
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189・塩崎潤
○塩崎政府委員 本日お手元にお配りいたしました資料に、私どもその数字を、租税特別措置の減収額による企業分が幾ら、個人家計分——貯蓄でございますが、これが幾ら、その他が幾らというふうに分析してございますが、二千三百八十五億円のうち、企業関係は私どもは八百一億円と見ております。貯蓄関係が千四百五十四億円、これが最大でございます。その他、航空機の揮発油税の免税等百三十億円がわずかございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/189
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190・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、この中に書いてあるのが、大企業中心にしても三百六十四億円、これは企業減税でございますね。大蔵大臣に質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/190
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191・水田三喜男
○水田国務大臣 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/191
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192・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、先ほど減税はすべきではないと言われた。非常に困った人がずいぶんいます。所得税が納められないで困っている人がいます。ところが、企業減税は三百六十四億円やるということになるわけでございますが、これは矛盾しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/192
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193・水田三喜男
○水田国務大臣 これは過去の法律に基づいてこうやっておるということで、新しくこれだけの減税をしたというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/193
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194・広沢賢一
○広沢(賢)委員 過去にやっているからと言ったって、やはりこれを、たとえば国債の減債に充てるとか、設備過熱でもって設備競争が非常に激しいときですから、あらゆる手だてをもって景気調整するときに——税制改正の答申案が出ていますね。そうすれば、やはりこれを国債の償却に充てるとかなんとかということをやるくらいのことをしなければ、これは趣旨に合わないでしょう。どうです、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/194
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195・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、特例措置は政策的な必要があって特に措置したものでございまして、自由化を迎えたり、あるいは資本自由化を迎えて、日本の企業の体質をよくして国際競争力をつける、そのためにはこういう措置が必要だというような、かりに問題が起こったときに特に一番政策的に必要だと思った措置をとっている、これを過去から積み重ねてきているということでございまして、それじゃ現状においてみんな廃止できるかといいますと、効果がどのくらいいま続いておるか、むずかしい問題ではございますが、少なくとも無効果でなかったことははっきりしておりますので、一挙にこれを廃止できないことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/195
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196・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうしますと、たとえば、効果があるかないかで一つ申し上げますと、自己資本比率というのはどんどん下がっておりますね。そうすると、体質改善といっても、これはやはりほかの要因が一ぱい働きます。目に見えてちっとも効果があがっていない。
第二番目に、先ほど言われましたように、貯蓄の増強というのは、国税庁長官は非常にりっぱなことを「エコノミスト」で言われておりますね。あの貯蓄というのは、よその要因がいろいろ積み重なって、それで上がったり下がったりするわけですね。それが何ら役に立っていないとはっきり「エコノミスト」で言っておりますね。それで主税局長もそのとおりだと思うと言っている。あたりまえです。常識です。それから株だって、この前も御質問申し上げましたが、この株の上下というのは、ほかの大きな経済要因で変わるわけです。貯蓄も同じですね。物価が上がれば貯蓄心が減る。そういう大きないろいろな要因があるのです。はっきりと自己資本比率は下がっています。これは当然ですね。そうすると、どこにこの経済的な効果があったかということをばく然とお答えになっているから、私は資料を出せと言った。その一つの資料として、自己資本比率は下がっているのだから、企業体質改善にはなっていない。そうすると、たとえば、自己資本比率の改善のため相当の額の減税をなさっておるが、景気過熱の矛盾した問題といい、それから一つ一つの例といい、もっと厳密に一つ一つ検討しなければ答弁になっていない、こういうふうに私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/196
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197・水田三喜男
○水田国務大臣 資本構成が悪くなっている、その場合に、ここまでのいろいろな措置をとってやってもこうなんだから、とらなかったらもっと悪くなっているかというと、これはなかなかわかりません。と同時に、これは効果があったのであるが、ほかの要因からこの資本構成が悪くなっているかという問題もございましょうし、この分析は非常にむずかしいのでございますが、少なくともこの措置がそういうものに効果を持っておったということは、これはもうはっきりしておることでございまして、もしその資本構成がそれによっても悪い、よくなるはずが悪いということでしたら、この措置が悪かったか、そのほかに全部抜けている問題があるのかということは問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/197
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198・阿部助哉
○阿部(助)委員 先ほどの局長の話といまの大臣の話では、どうもやはり理解がつかないわけですね。そのときどきの経済情勢で変えていく、一〇%は一五%にする、五%は今度また上げるということで、それで糊塗しておられるようでありますが、どうもその辺明快でないと、片っ方では生活に苦しい中から税金を納めなければならぬ苦しい立場にある、そういう者をほうっておいて、非常に高額な所得の人たちにはさらにこれで税金をまけてやるということでは、これはどうしても国民は納得しないと思う。そこをやはり明確な理解のできるような理論的なものか、あるいは数字でお示しいただかないと、これはおかしいのではないか。日本経済のためだとか、全体のためだとか、いまの資本自由化を控えてなんということを言っておれば、これはいつになったってやめるわけはないですよ。これは局長が慢性化することが心配なんだと言ってみたところで、既得権のような形で慢性化しておるじゃないですか。だから、口では慢性化することが心配ですなんて言ってみたところで、大臣、これはもう慢性化しておるのでしょう。やはりこの辺で思い切って、期限が来たのだからやめるということが正しいと私は思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/198
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199・水田三喜男
○水田国務大臣 今回私どもがとろうとする措置は、まあ、この十二、三年のあれを見ますと、あるときは一〇%だったり、または五%のときがあったりしましたが、結局、平均して一〇%の分離課税ということでこの十何年来きたと思いますが、そうしますと、その中で、そのときに五%の税率を上げるということは、五〇%の増税ということになりますので、相当大きい増税だ。今度の措置は前進であるとは言いますが、相当大きい増税措置だと思っておりますので、これはやはり実施してみて、その影響を見てからまた次の改正をはかるというふうにするために、その三年くらいの期間を置いてやるのが一番いいんじゃないかというので三年の期間を置いたのですが、この結果を見て私どもはまた次の改善策を考えたらいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/199
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200・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまの答弁もおかしいじゃないですか。実際はなかなか効果はわからないのだ。だけれども、これがなかったらもっと悪くなったのじゃないかという程度で、数字的にも理論的にも一つも解明されないで、それで三年間やってみて様子を見るなんて言うが、様子を見たって、またひとつも納得するような理屈が出てこないのじゃないですか。その理屈があるならば、十何年間もやってきた今日、もうそれだけの理屈をちゃんとわれわれに出してくれなければいかぬ。出してないじゃないですか。三年間やってみて、理論的に数字的にその理論が出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/200
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201・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、日本の貯蓄というものはずっと順調にふえております。はたしてこの特例が寄与しているかどうかということは簡単に言えないかもしれませんが、これについて税制を変えるということをやってどれだけの影響があるか見て、あまり影響がないということでしたら、この特例もいまもう政策的な効果を別に発揮してないという断定がつきましょうし、やはりこれをやって様子を見ることが私は必要だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/201
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202・阿部助哉
○阿部(助)委員 だから、様子を見るというけれども、もう十何年間様子を見てきたでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/202
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203・水田三喜男
○水田国務大臣 十何年間様子を見た結果、いま順調にこの貯蓄は伸びておるのでございますから、これをやめるというような方向をとった場合にどういうことが起こるか。相当長い間もう制度になっております以上、国民生活をその中で国民がしております以上、やはり相当影響があるのじゃないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/203
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204・阿部助哉
○阿部(助)委員 専門家であります泉さんも、先ほど読み上げましたように、これは特別措置法があるから貯蓄が伸びておるのじゃないのだ、可処分所得がふえたから貯蓄があるので、そんなことは理論上、学問上もあり得ないのだ、こう言っておるのですよ。だけれども、大臣はそうではないと言う。だから、それならば、もういままでやってきたんだから、もう少し明快な理論、数字的な説明がなされるべきなんです。幾らこれは言ってみたって、あなたには出てこないでしょう。そうすれば、この答えを出す一番明快なのは、これは一ぺんやめてみれば一番よくわかるわけです。やめてみて、二、三年たって今度はどうなるかということで、どうしても必要だというなら、もう一ぺん提案されるということ、それならばわれわれも納得をするわけでありますし、国民も納得するでしょう。だけれども、いままで十何年間もそれをやってきたけれどもさっぱりわからない。しかも、あなたの部下であるけれども専門家である泉さんも、塩崎さんも、これはそういうことじゃなしに、可処分所得がふえたからこの貯蓄がふえたのであって、特別措置法があるから貯蓄がふえたのではなかろう、こう言っておる。大臣とあなたの部下の専門家とは意見が違うと私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/204
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205・塩崎潤
○塩崎政府委員 私はもう先般広沢委員の御質問に対して答えておりますように、なかなか経済的な評価はむずかしいし、特別措置の効果だけを抜き出して見るということはむずかしいということを申し上げたわけでございます。確かに、貯蓄の増加は国民総生産の増加に最もささえられることは間違いございませんが、しかし、利子所得に対する特別措置は全く効果はないということはないと私は思いますし、その例といたしまして、利子所得の控除制度、これが輸出伸長に非常に効果があったという方もおり、また、数字的には輸出は相当伸びてきたわけでございます。利子も、結果的に見て全く効果としてないと言えるかどうか、これはまた、ないとは言えないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/205
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206・阿部助哉
○阿部(助)委員 ですから、これ何べん言っても尽きないわけでありますけれども、やはりあなたの説明を聞いておっても、それでは、これだけのものをやって、収入のごく少ない人に減税をしてやらなければいかぬ、片方では苦しい人があるのだということで、国民大多数が納得するわけはないと思うのです。効果がなかったとは言えないという程度であって、何ぼかあるかもしれない。しかも、これだけの大きな減税をしてやるということについては、これは筋道の通った説明というものがなされない。しかも、税の体系というものがこうやって乱されてくる。あなたの先ほど心配されているように、だんだん既得権化して、これは慢性化してくる、こういう心配がある。そうすれば、これはその程度の説明で——あなたはやはり国民の公僕なんですね。あなたは、とにかく利子、配当の恩典を受けるごくわずかの人たちだけの役人ではないはずなんです。そうすれば、当然国民全部の声も聞かなければならぬと思う。そういう点で、その説明がいまのような説明では、これだけ大きな金をごくわずかの人たちに減税してやらなければいかぬという根拠には私はならぬと思う。これは何べん聞いてみても私には納得ができない。おそらく国民の大多数は納得できないと思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/206
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207・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かに数字をあげて例証することがむずかしいので、そのような御議論が出るのも私はごもっともだと思います。しかし、私どもも、利子所得者あるいは配当所得者について租税を軽減し、その人たちだけの資産をふやすことが目的でないのでございまして、こういった特別措置を通じて貯蓄がふえ、あるいは自己資本が増加し、その利益が国民経済、国民全体に及ぶことをねらってこういった措置が設けられる、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/207
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208・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお話は、そういう人たち、資本家が大きくなってきて、それが国民にだんだんいい影響を及ぼす、これは少し飛躍があり過ぎるんじゃないですか。現実に、今日までこれをとってきて、いまの所得の格差は私は開いておると思う。それならば、これだけ何年間かとってくれば、むしろ所得の格差は縮まって、一般の生活はどんどん上がってこなければならない。ここにむしろ一番危険な問題があるのではないか。それで、そういう御議論をなされば、やはり今度とられる第三次防衛計画との関連であるとか、そういうものとこれはかみ合わせて御質問しなければならなくなるわけです。そういういま言われる波及効果なんということは、これは時の金持ちに都合のいい論法であって、国民全体のものでは決してあり得ないと私は思うのですが、おかしいんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/208
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209・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は答弁を繰り返すようでございますが、そこが特別措置の特別措置たるゆえんだと思います。そういった意味で限時法にし、皆さま方の非常に痛烈なる御批判を受け、さらにまた、仕組みにおきましても、できるだけ国民大衆に影響を及ぼすような誘引措置を考えるべきであるといったようなことにこの特別措置の意味があるかと私は思うのでございます。そういった意味で、常に御批判があることが私は非常にいいことだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/209
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210・阿部助哉
○阿部(助)委員 そういうふうに、限時法だとか、こう申すけれども、いつまでもいつまでも続けておる。
それで一番私がおそれるのは、お話のように、経済全体のためであるとか、経済の発展であるとか、あるいは資本自由化のためであるとかいうふうな形で理屈づけされるのが、実は私は一番おそろしいわけであります。これがやはりにしきの御旗になってくれば、必ず次にはとんでもない方向に国の政策が曲がっていくという心配がいたしますだけに、そういう形での答弁が実は私は一番おそろしいわけであります。高い立場だ何だということになりますと、私はこの新聞の報道を見ましても、私にはむしろここらあたりにほんとうの問題があるんじゃないか。東京新聞ですが、ここには「この問題は、結局十九日夜水田蔵相と福田幹事長らの政府、与党首脳会談で、税率は答申どおり五%引き上げるが、二年延長を三年延長に改め、あわせて党が反対していた」云々という形で出ており、さらに、これを全部読みませんけれども、何か自民党の幹部と財界との間に話し合いがなされたとか、あるいは大蔵省の段階でもこの問題について非常にもめたとかいうことがこれで報道されておるわけでありますが、そういう点の危惧を感ずるわけであります。高い立場であるとか、あるいは全体の経済のためであるとか、こうおっしゃいますけれども、その実はそういうところでの問題が一番大きな力となってこの法律を強行しようとするんじゃないかというところを私たちは一番おそれるわけでありまして、その辺は、財界との話であるとか、そういうことでありますならば、私はやはりこれは国民が不満を持ち、疑惑を持つことは、これまた当然だと思う。
そういう点で、今日のように、いままで幾ら説明を聞きましても、私もまだ来たばかりでありますが、それだけに、三十九年からの、ことに租税特別措置に関して論議された速記録は全部一応読んでみましたが、中でどうしても私には政府側の答弁がふに落ちないのは冒頭に申し上げたとおりであります。そういう点で私はどうも合点がいかない。やはりこれだけ不明朗ないろいろな問題があり、さらに、これだけ答弁のできない、明確でない問題は、この際、幸いに三月一ぱいで期限が来るわけでありますから、一度ここで取りやめる、そうして、むしろその効果を確かめるということこそが、今日最も大事なんじゃないか。しかも、先ほどの景気の過熱云々という心配もあるようですから、これを取りやめられるのが一番正しいと思いますが、大臣はそういう意思は毛頭ないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/210
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211・水田三喜男
○水田国務大臣 さっきお話ございましたが、やはり与党の名誉のために一言申しておきますが、与党と財界が話し合いをしたとか、政府とこの問題の対立があったというような事実は一切ございません。われわれの政府案をもって与党と相談したときに、完全に意見が一致して法案になったということで、そういう対立は一切ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/211
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212・阿部助哉
○阿部(助)委員 先ほど読みました中にも、証券界の強い力ということを泉さんは数年前におっしゃっておりますし、私たちが調べた範囲内でも、昭和四十一年十一月の末には、大蔵省は税制調査会に対して、利子、配当優遇の取り扱いを試案として提出した。一二月十七日には福田幹事長が経団連の植村甲午郎副会長と懇談して、国民協会への献金をお願いしたり、十二月二十日には経団連は政治献金倍増を応諾して、自民党政調に証券小委員会を設置して、福田証券業界の連合会長が自民党に招かれて、いろいろ株式配当の問題等について話をしたというようなお話を聞いておるわけであります。そういうことから、高い立場であるとか、あるいは経済全体、こういう抽象的な表現をされておりますけれども、どうもその辺にむしろ国民の疑惑の目がいくのではないか。大臣が幾らそうお話をなすったところで、新聞等にもいろいろこうやって報道されておるわけでありまして、私は、この利子、配当をめぐって、どうも明朗でない、理論的にも明朗でないし、今日までの経過そのものにもまた明朗性がないという感じを強く持ちますだけに、重ねて私はこの提案を引っ込められることを希望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/212
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213・内田常雄
○内田委員長 次会は、明二十九日、水曜日、午前十時より委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。
午後十時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00519670328/213
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