1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年四月十九日(水曜日)
午後一時五十一分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 藤井 勝志君 理事 三池 信君
理事 毛利 松平君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君
足立 篤郎君 大村 襄治君
小峯 柳多君 小宮山重四郎君
河野 洋平君 砂田 重民君
西岡 武夫君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
山中 貞則君 渡辺美智雄君
阿部 助哉君 只松 祐治君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
柳田 秀一君 山田 耻目君
横山 利秋君 竹本 孫一君
田中 昭二君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
労 働 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主計局次
長 武藤謙二郎君
大蔵省関税局長
事務代理 細見 卓君
運輸政務次官 金丸 信君
委員外の出席者
日本国有鉄道副
総裁 磯崎 叡君
専 門 員 抜井 光三君
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四月五日
委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として
田中昭二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員永末英一君辞任につき、その補欠として和
田耕作君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十九日
日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
四月三日
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四九号)
同月五日
昭和四十二年度における旧令による共済組合等
からの年金受給者のための特別措置法等の規定
による年金の額の改定に関する法律案(内閣提
出第七五号)
同月十一日
所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
めの日本国とブラジル合衆国との間の条約の実
施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関す
る法律案(内閣提出第八七号)(予)
同月十八日
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
石油ガス税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
三月三十日
貸金営業法制定に関する請願外二件(小川半次
君紹介)(第二二五号)
同(小川平二君紹介)(第二二六号)
同(野田武夫君紹介)(第二三六号)
同(安倍晋太郎君紹介)(第二四四号)
同(井村重雄君紹介)(第二四五号)
同(鴨田宗一君紹介)(第二四六号)
同(黒金泰美君紹介)(第二四七号)
同(砂田重民君紹介)(第二四八号)
同(田中榮一君紹介)(第二四九号)
同(高橋清一郎君紹介)(第二五〇号)
同(田川誠一君紹介)(第二六〇号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第二六一号)
同外一件(小川半次君紹介)(第二七三号)
同外一件(黒金泰美君紹介)(第二七四号)
同(倉成正君紹介)(第二七五号)
同(大久保武雄君紹介)(第三三二号)
同(長谷川四郎君紹介)(第三六七号)
同(三池信君紹介)(第四〇三号)
燃料関係税の増税等反対に関する請願(關谷勝
利君紹介)(第二二七号)
同(原田憲君紹介)(第二七八号)
同(工藤良平君紹介)(第三一八号)
支那事変賜金国庫債券の償還に関する請願(田
澤吉郎君紹介)(第二二八号)
邦楽器の物品税撤廃に関する請願(永山忠則君
紹介)(第二二九号)
音楽、舞踊、演劇、映画等の入場税撤廃に関す
る請願外四件(松本善明君紹介)(第二三〇
号)
同(麻生良方君紹介)(第三〇四号)
入場税撤廃並びに労音、労演の非課税等に関す
る請願外五件(松本善明君紹介)(第二三一
号)
同外一件(谷口善太郎君紹介)(第二三二号)
同(竹本孫一君紹介)(第三〇五号)
労働者の自主共済活動規制反対に関する請願(
横山利秋君紹介)(第二六二号)
同(横山利秋君紹介)(第二七九号)
バナナの輸入関税据置きに関する請願(倉成正
君紹介)(第二七六号)
同(笹山茂太郎君紹介)(第二七七号)
同(仮谷忠男君紹介)(第三〇六号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三〇七号)
同(田澤吉郎君紹介)(第三〇八号)
同(平等文成君紹介)(第三一九号)
同(倉成正君紹介)(第三三四号)
同(小川平二君紹介)(第三六五号)
同(關谷勝利君紹介)(第三六六号)
社会福祉事業に対する免税措置に関する請願(
藏内修治君紹介)(第三三六号)
四月七日
バナナの輸入関税据置きに関する請願(金丸徳
重君紹介)(第四二三号)
同(大村襄治君紹介)(第五〇七号)
貸金営業法制定に関する請願(田中正巳君紹
介)(第四二四号)
同(船田中君紹介)(第四二五号)
同(天野光晴君紹介)(第五八〇号)
同外一件(地崎宇三郎君紹介)(第五八一号)
入場税撤廃並びに労音、労演の非課税等に関す
る請願(稻村隆一君紹介)(第四五六号)
同(江田三郎君紹介)(第四五七号)
同 東海林稔君紹介)(第四五八号)
同(楯兼次郎君外二名紹介)(第四五九号)
同(平林剛君紹介)(第四六〇号)
同(帆足計君紹介)(第四六一号)
同外一件(玉置一徳君紹介)(第五一〇号)
同(永末英一君紹介)(第五一一号)
同(山下榮二君紹介)(第五一二号)
音楽、舞踊、演劇、映画等の入場税撤廃に関す
る請願(阿部昭吾君紹介)(第四六二号)
同(井上泉君紹介)(第四六三号)
同(井上普方君紹介)(第四六四号)
同(稻村隆一君紹介)(第四六五号)
同(江田三郎君紹介)(第四六六号)
同外一件(小川三男君紹介)(第四六七号)
同(木原実君紹介)(第四六八号)
同(久保三郎君紹介)(第四六九号)
同(栗林三郎君紹介)(第四七〇号)
同(柴田健治君紹介)(第四七一号)
同(東海林稔君紹介)(第四七二号)
同(千葉佳男君紹介)(第四七三号)
同外一件(西宮弘君紹介)(第四七四号)
同(堀昌雄君紹介)(第四七五号)
同(安井吉典君紹介)(第四七六号)
同(渡辺芳男君紹介)(第四七七号)
同(玉置一徳君紹介)(第五〇八号)
同(永末英一君紹介)(第五〇九号)
同外一件(石橋政嗣君紹介)(第五八四号)
同(神近市子君紹介)(第五八五号)
同(工藤良平君紹介)(第五八六号)
同(黒田寿男君紹介)(第五八七号)
同(河野密君紹介)(第五八八号)
同(下平正一君紹介)(第五八九号)
同(東海林稔君紹介)(第五九〇号)
同(田邊誠君紹介)(第五九三石)
同外一件(西宮弘君紹介)(第五九二号)
同外一件(芳賀貢君紹介)(第五九三号)
同(帆足計君紹介)(第五九四号)
同外三件(細谷治嘉君紹介))第五九五号)
同(堀昌雄君紹介)(第五九六号)
同(山内広君紹介)(第五九七号)
同(山本政弘君紹介)(第五九八号)
公認会計士特例試験制度延長に関する請願(坂
田道太君紹介)(第五八二号)
同(中村梅吉君紹介)(第五八三号)
邦楽器の物品税撤廃に関する請願外百七十二件
(永山忠則君紹介)(第六〇二号)
同(井出一太郎君紹介)(第六〇三号)
同(上村千一郎君紹介)(第六〇四号)
同(大久保武雄君紹介)(第六〇五号)
同(岡崎英城君紹介)(第六〇六号)
同(菊池義郎君紹介)(第六〇七号)
同(藏内修治君紹介)(第六〇八号)
同(四宮久吉君紹介)(第六〇九号)
同(砂田重民君紹介)(第六一〇号)
同(田中伊三次君紹介)(第六一一号)
同(永田亮一君紹介)(第六一二号)
同(原健三郎君紹介)(第六一三号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第六一四号)
同月十四日
公認会計士特例試験制度延長に関する請願(相
川勝六君紹介)(第六七二号)
同(伊能繁次郎君紹介))(第六七三号)
同(稻村左近四郎君紹介)(第六七四号)
同(臼井莊一君紹介)(第六七五号)
同(大久保武雄君紹介)(第六七六号)
同(岡崎英城君紹介)(第六七七号)
同(神田博君紹介)(第六七八号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第六七九号)
同(小平久雄君紹介)(第六八〇号)
同(小峯柳多君紹介)(第六八一号)
同(小山省二君紹介)(第六八二号)
同(河野洋平君紹介)(第六八三号)
同(佐藤洋之助君紹介)(第六八四号)
同(四宮久吉君紹介)(第六八五号)
同(始関伊平君紹介)(第六八六号)
同(砂田重民君紹介)(第六八七号)
同(中野四郎君紹介)(第六八八号)
同(中村庸一郎君紹介)(第六八九号)
同(野田武夫君紹介)(第六九〇号)
同(福田篤泰君紹介)(第六九一号)
同(福永一臣君紹介)(第六九二号)
同(藤井勝志君紹介)(第六九三号)
同(藤田義光君紹介)(第六九四号)
同(毛利松平君紹介)(第六九五号)
同(山下元利君紹介)(第六九六号)
同(渡辺美智雄君紹介)(第六九七号)
同(麻生良方君紹介)(第七三八号)
同(池田禎治君紹介)(第七三九号)
同(稲富稜人君紹介)(第七四〇号)
同(内海清君紹介)(第七四一号)
同(受田新吉君紹介)(第七四二号)
同(岡沢完治君紹介)(第七四三号)
同(折小野良一君紹介)(第七四四号)
同(春日一幸君紹介)(第七四五号)
同(神田大作君紹介)(第七四六号)
同(河村勝君紹介)(第七四七号)
同(小平忠君紹介)(第七四八号)
同(佐々木良作君紹介)(第七四九号)
同(鈴木一君紹介)(第七五〇号)
同(曾祢益君紹介)(第七五一号)
同(田畑金光君紹介)(第七五二号)
同(竹本孫一君紹介)(第七五三号)
同(玉置一徳君紹介)(第七五四号)
同(塚本三郎君紹介)(第七五五号)
同(中村時雄君紹介)(第七五六号)
同(永江一夫君紹介)(第七五七号)
同(永末英一君紹介)(第七五八号)
同(西尾末廣君紹介)(第七五九号)
同(西村榮一君紹介)(第七六〇号)
同(門司亮君紹介)(第七六一号)
同(本島百合子君紹介)(第七六二号)
同(山下榮二君紹介)(第七六三号)
同(吉田賢一君紹介)(第七六四号)
同(吉田泰造君紹介)(第七六五号)
同(吉田之久君紹介)(第七六六号)
同(和田耕作君紹介)(第七六七号)
同(天野公義君紹介)(第七九四号)
同(床次徳二君紹介)(第七九五号)
同(松野頼三君紹介)(第七九六号)
同(森下國雄君紹介)(第七九七号)
貸金営業法制定に関する請願外四件(川野芳滿
君紹介)(第七三五号)
同(箕輪登君紹介)(第七八〇号)
同外三件(鴨田宗一君紹介)(第八三〇号)
同(田澤吉郎君紹介)(第八三一号)
音楽、舞踊、演劇、映画等の入場税撤廃に関す
る請願(河村勝君紹介)(第七三六号)
同外一件(本島百合子君紹介)(第七三七号)
同(麻生良方君紹介)(第八三四号)
同(春日一幸君紹介)(第八三五号)
同(小平忠君紹介)(第八三六号)
同(曾祢益君紹介)(第八三七号)
同(門司亮君紹介)(第八三八号)
同(本島百合子君紹介)(第八三九号)
邦楽器の物品税撤廃に関する請願外二十九件
(永山忠則君紹介)(第八三二号)
同(宮澤喜一君紹介)(第八三三号)
入場税撤廃並びに労音、労演の非課税等に関す
る請願(内海清君紹介)(第八四〇号)
同(吉田賢一君紹介)(第八四一号)
協同組合等の共済事業育成に関する請願(山中
貞則君紹介)(第八六八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四九号)
国の会計に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
関税定率法等の一部を改正する法律案及び交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案、右両案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/1
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002・内田常雄
○内田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。小沢政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案並びに交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
最近における経済情勢の変化に対応するため、関税率及び関税の減免税制度等について所要の調整を行ない、また、旅客の通関の迅速化をはかるためその携帯貨物について適用する簡易税率の制度を設け、さらに万国博覧会の開催に備えて保税展示場制度を新設するほか、開港の追加、関税罰則の合理化をはかる等のため、関税定率法、関税法、関税暫定措置法についてそれぞれ所要の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一は、関税率について必要な調整を行なうことであります。すなわち、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて四十八品目の実行税率を変更いたしますとともに、暫定税率の適用期限が本年五月三十一日とされている九十四品目の適用期限を延長することといたしております。実行税率を変更する四十八品目の内訳は、税率を引き下げるもの三十五品目、関税割り当て制度を新設するもの八品目、スライド関税制度を新設するもの一品目、暫定税率の適用期間等を政令に委任するもの四品目となっております。また、暫定税率の適用期限を延長する品目につきましては、石炭対策特別会計の財源に充てるため、昭和四十五年度まで適用期限を延長することとしております原重油関係の七品目を除き、すべて本年度末まで適用期限を延長することといたしております。
第二は、本年五月三十一日に適用期限が到来する重要機械類の免税、肥料製造用揮発油にかかる関税の還付等十四の関税の暫定減免税及び還付制度の適用期限を本年度末まで延長することであります。これらのうち、石油化学製品等製造用触媒免税制度の対象として重油脱硫用触媒を追加し、また、製造用原料品の減免税制度の対象としてアルコール製造用の糖みつ及びカーバイド製造用の石油コークスを追加することといたしております。なお、適用期限が本年三月末とされている電力業等用の重油にかかる関税の一般還付及び特別還付制度に関する規定は石炭対策特別会計の設置に伴い、同会計からの交付金制度に吸収されますので、この際削除することとしております。
第三は、外国から入国する者の携帯品について、酒、たばこ等特定の物品を除き、関税及び内国消費税を統合し、かつ、これをできるだけ少数の税率区分にまとめた簡易税率を新設することであります。これは、最近における旅客の入国の激増に対処して、簡易な税率を設けることにより、携帯品の通関の迅速化をはかろうとするものであります。
第四は、万国博覧会の開催に備え、展示等のため一時輸入される外国貨物について保税展示場の制度を新たに設けることであります。この制度は、万国博覧会の規模、輸入される貨物の種類及び外国での開催の際の取り扱い等を考慮し、外国貨物を簡易な手続により展示し、または使用することができることとするため設けるもので、万国博覧会のほか、国際見本市についても適用することができることといたしております。なお、このほか博覧会関係といたしましては、観覧者に無償で配布される見本品、記念品及び博覧会の建設、維持または運営等のため消費される貨物について所要の免税規定を設けることといたしております。
第五は、開港の指定であります。最近における港湾施設の整備状況、外国貿易船の入出港状況及び輸出入実績等を考慮いたしまして、新たに開港として、岩手県の大船渡港、宮城県の石巻港、茨城県の日立港、大阪府の阪南港及び佐賀県の伊万里港を指定することといたしております。
第六は、関税罰則の合理化であります。現在関税法は、関税の逋脱犯等につき、その犯則の態様にかかわらず犯罪にかかる貨物をすべて没収することとしていますが、このような現行法のたてまえが実情に即さない面があることに顧み、必要没収は、麻薬等の輸入禁止品、非自由化物資、高関税物資等に限ることとする等、罰則規定の整備をはかることといたしております。
このほか、各贈物品についての免税制度の整備、保税制度の円滑な利用のための簡素化その他関税制度の簡素化及び合理化をはかるために所要の整備をはかることといたしております。
次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
昭和四十二年度におきましては、地方財政の健全な運営に資するため、別途今国会に昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案を提案し、四十二年度限りの措置として臨時地方財政交付金百二十億円を交付することとし、このうち九十五億円は、第一種交付金として、普通交付税の配分方式に準じて地方公共団体に交付し、また、二十五億円は、第二種交付金として、市町村道の延長に案分して市町村等に交付することとしているのであります。
以上の措置に対応して、交付税及び譲与税配付金特別会計法においても、昭和四十二年度の臨時地方財政交付金の交付に関する政府の経理を同特別会計において行ない、臨時地方財政交付金に相当する金額は、予算で定めるところにより、一般会計から同特別会計に繰り入れることができることとする等、所要の改正を行なおうとするものであります。
以上が、関税定率法等の一部を改正する法律案並びに交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/3
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004・内田常雄
○内田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/4
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005・内田常雄
○内田委員長 次に、国の会計に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/5
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006・堀昌雄
○堀委員 本日は、現在非常に逼迫をしておりますところの国鉄の経理の状態について少し分析をさせていただく中で、健全な国鉄経理を運営していくためには、特に大蔵省としては今後どういう角度からこの国鉄の問題を見ていくのかということを中心に少しお伺いをいたしたいと思います。
そこで、最初に国鉄のほうにお伺いをいたしますけれども、私、少し資料をこまかく拝見をいたしておりまして、非常に長期の、先のことになればまた別の問題があると思いますが、ここ数年間は国鉄の経営というのは正常な運輸収入だけでは少なくとも直接経費、間接経費の経費の全部がまかない切れないような状態のところにきておるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点からひとつ伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/6
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007・磯崎叡
○磯崎説明員 ただいま御質問の点でございますが、国鉄におきましては、昭和四十年度を初年度といたしまして現在七カ年にわたる長期の国鉄の整備計画を立てこれを実行いたしておりますが、これには約三兆円近い資金を必要とするわけであります。したがって、現在の収入状態が続く限りにおきましては、その三兆円の資本費の負担だけでも非常に大きくなりますので、近い将来にただいまお話のように、直接費で資本費のカバーができないという事態が残念ながら参るだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/7
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008・堀昌雄
○堀委員 そこで、いま申し上げたように、確かに経費がまかなえなくなる見通しが非常に明らかになっておる。その原因をひとつ収入面と支出の面で——収入面は何が伸びにくいのか、支出面は何がふえてくるのか、その点を少し具体的にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/8
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009・磯崎叡
○磯崎説明員 国鉄の財政状態を、遠い将来は別といたしまして、ここ数年間を展望いたしますと、ただいま御指摘のとおり、まず収入の面に非常に大きな問題がございます。次に支出の面でございますが、まず収入の面から御説明いたしますと、これは見通しでございますので、必ずしも正確な数字とは申し上げられませんが、現在の諸般の趨勢から推察いたしましたものでございますが、収入につきましては、ここ、大体昭和三十七、八年ごろから伸び悩みの姿を見せております。これにはいろいろ一般的な景気の停とんその他の理由があるにいたしましても、やはりある意味で道路の発達あるいは内航海運の復活等による輸送構造の変化、大きく申しますとそういうものも相当大きく影響していることと思います。
一方、国鉄におきましては、慢性的なやはり輸送力不足状況並びに大都市における非常な人口の急激な稠密化によるところの通勤輸送の増加ということに非常にウエートがかかってきますので、投資をいたしました投資がすぐ収入になって戻ってこないというところに、やはり投資と収入の関係において非常に大きな問題があるというふうに考えざるを得ないと思います。
これは一つの推定でございますが、大体通勤輸送に対する投資は、やはり投資いたしまして十五年から二十年いたしますれば大体その収入が戻ってくる、それから中長距離の輸送、現在やっておりますところのたとえば幹線の複線電化というものにつきましては、投資を始めましてから大体十年、ただ新幹線のような特別のものはこれは三年目から収支が合っておりますが、全般的に申しまして、鉄道投資というものは、御承知のように投資いたしましてから有効需要となり、それが収入に返ってくるのには非常に手間のかかる事業でございまして、大体最低十年、最高二十年という推定ができますので、投資が非常にふえておるそのわりに収入がふえない。しかも、ことに問題となりますのは、大都市におきます土曜、日曜日のいわゆる近距離交通の自動車への転化でございます。これは、大都市付近の近距離交通と申しますのは、ほとんど現在新しい投資を伴わない通勤輸送の余力で収入をあげておりますが、それが、非常な最近の道路の発達、自動車の増加によりまして自動車にかわっておりまして、現に東京大阪等におきましては、土曜、日曜日のレジャー客が国鉄から自動車にかわっておるということは旅客収入上の非常に大きな問題でございます。
それから貨物につきましては、どうやら最近前途に明るさを見出したのでありますが、一時非常に輸送力がなく、輸送サービスが悪くて、あらゆる貨物輸送のしわを荷主に寄せてしまったために、運賃の高い高等級の貨物がトラックに逃げまして、そうして鉄道に残るのは石炭以下の砂利とかあるいは木材、こういった非常に運賃の安い、しかも足の長いものが鉄道に残るという貨物輸送の中身の変化によりまして、収入自体が非常に能率が悪くなっておる、こういう意味で、いままで昭和三十年以降三十六、七年までは、大体最小自乗法によって計御したラインに乗って収入がふえておりました。しかしながら、四十年度以降はそれがだんだん鈍化いたしまして、今後ともそう急激に伸びる見込みはないというふうに、収入の面では、先行きここ十年くらい非常に急激によくなるという見通しは実は持てない状況だというふうに考えております。
一方、経費のほうは、つづめて申しますと三つ問題がございます。
一つは、まず人件費の問題でございます。これは御承知のとおり、もう毎年ベースアップがございます。ことに国鉄におきますいわゆる人員構成の面から申しまして、現在四十歳前後の職員が非常に多いのでございます。したがって、たとえば同じ六%のベースアップをいたしましても、去年の六%とことしの六%では絶対額は数十億円ふえておるというようなことで、人件費の増加は、年間大体全部はね返りその他を入れますと四百億円近い増加、したがって、収入増加でやっと人件費だけの増加がカバーできるという程度でございます。
それから、第二点といたしましては、ただいま申しました資本費の増加、これはことに問題は利子の増加でございます。現在国鉄は一兆三千億円の長期負債、をかかえておりますが、現在御審議いただいております予算が通過いたしますと、四十二年度末には一兆六千億円強の長期負債、これが大体平均利率は七分になるわけでございます。ことしの予算でもごらんになりますとおり、利子がすでに千億円をこえておるという点が第二の点でございます。これはやはり経営費のほかに自動的にふえてくる費用でございます。
もう一点は、やはり資本費の問題でございますけれども、借り入れ金の返還金が非常にふえておるということでございます。いままでは大体国鉄の設備増強の資金を主として財政投融資、ことに財投の中でも非常に長期低利の資金運用部資金あるいは簡易保険の金を貸していただいておりますけれども、いまの一兆六千億円の中でそういう純粋な財投と申しますのはわずか四分の一でございまして、あと四分の三は全部鉄道公債、その中でも政府保証のあるものもあれば、また政府保証のございません縁故債とか特別債とか、いろいろございますが、それらを全部平均いたしますと、利率が七分をちょっとこえております。そういうことでその利率が高いほかに、返還期間が非常に短かい、大体二年据え置きの五年償還、七年間に返さなければいけないということになりますと、ことしの予算でも約八百九十億円の借入金の返還を計上いたしております。したがいまして、ことしの予算で自分の調達資金と合わせまして約四千億円近いものを借りますけれども、そのうち九百億円近いものは右から左に返してしまう、したがいまして、実際の借金は返還金を返しました約三千億円ちょっとしかできないということで、今後ますます短期の金がふえるに従いまして借入金の返還がふえてまいるということが次の閥起点でございます。したがいまして、借金がふえてもそれだけ稼働しないという点が問題の第三点でございます。
いろいろございますが、大きく分けますと、その三つになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/9
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010・堀昌雄
○堀委員 大蔵大臣、ちょっと初めに国鉄の分析を国鉄側から少し伺いますが、これはあとでみんなあなたに聞きますから、よく頭に入れておいていただきたい。
いまのお話のように、国鉄の収入の、将来赤字がどんどんふえてくるであろうものの中には幾つかのファクターがはっきりしておるわけであります。その幾つかのファクターをもう少しこまかく伺っておきたいと思うのですが、私はいまの副総裁のお話のように、いま一審国鉄の当面しておるものは、日本全体の都市化、近代化というものにつれて、国鉄というものはかつての独占企業的であったころから、いまそのウエートがどんどん低下しつつある。独占企業なら独占企業としていけるわけですが、新たな競争相手がいろいろなところに出てきたということが、国鉄収入がこれまでのようなかっこうで伸びない大きな問題点になるだろうと思っておるわけであります。
その中で私どもが考えてみなければならないのは、国鉄で一番先にお話のあった旅客の問題でありましょうけれども、旅客の問題の中では、やはり都市化の問題から通勤輸送という問題が依然として一つのネックのようなかっこうになっておるわけだし、もう一つは、中距離はいろいろな点でバスがいまとってかわりつつある、非常に長距離は依然として国鉄に残る、こういうことでありましょうけれども、いずれも問題がかなり出てきておると思います。
もう一つは、やはりいまのタイムラグ、投資が収入化しないタイムラグの問題がある。これも国鉄という性格上の問題でありましょうけれども、ここに一つの問題があるわけです。
私、この資料をずっと見て感じましたのは、最近の傾向は、ともかく黒字の路線と、それから経費の中の直接費はまかなえるけれども間接費はまかなえないというものと、段階はいろいろありましょうけれども、その状態がいい方向へいくのじゃなくて、どうも収入面から見てだんだん悪い方向にシフトしつつあるということが非常に歴然としてきているわけですね。
ちょっと国鉄のほうからお答えをいただきたいのですけれども、昭和三十七年から四十年の間の黒字線、それから赤字線で直接費がまかなえる分と直接費がまかなえなくなった分というもののシフトの姿を答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/10
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011・磯崎叡
○磯崎説明員 私のほうの黒字線と赤字線の過去数年間における推移でございますが、黒字線と赤字線の分け方にはいろいろ問題がございますけれども、一応私ども従来やってまいりました分け方で御説明させていただきます。多少学者の間には議論がございますが、一応過去においてやってまいりましたやり方によってお答え申し上げます。
昭和三十七年から三十八年、三十九年、四十年、まず結論的の赤字の絶対額でございます。昭和三十七年度が赤字線の赤をカバーしまして六百二十億円の黒字、三十八年度は六百七十億円の黒字、それから三十九年度に急激に悪くなりまして二百十四億円の赤字、四十年度には千九十億円の赤字というふうに、この数年間で非常に急激に悪くなりました。
赤字線から発生いたします赤字の絶対額は、昭和三十七年度は四百七十四億円、昭和三十八年度には五百十五億円、昭和三十九年度は千十三億円、昭和四十年度は千四百四十億円になっております。この赤字線の中にも、ただいま御質問の中にございましたとおり、いわゆる直接費はまかなえる線と、それから直接費もまかなえない線とございます。一応一緒にして御答弁申し上げましたけれども、大体昭和四十年度には赤字線から出ます赤字の合計が千四百四十億円、赤字線の数が二百三十一線、全体で二百四十二線ございますが、九五%も実は赤字である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/11
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012・堀昌雄
○堀委員 そこで、これまでの運輸委員会なり予算委員会の論議を私少し調べてみたのですが、そこでよくいわれてきていることは、国鉄というのは公共企業体だから、独立採算制という問題と公共性の問題を一体どう考えるかということなんです。佐藤総理を含めて政府側は、常に調和を保つことによって適当にやっていきたい——日本語というのはたいへん便利にできていますから、調和を保つというのは何とでも言えるわけですが、私はきょうはひとつ大蔵大臣に、そんな調和を保つなんという答弁は何回も出ていますから、少し具体的に計数的に詰めて伺っていきたいと思います。
そこで、いまのお話のように、国鉄が言っています経費の中の直接費と間接費というのがあるわけですが、企業として見ると、ともかくもそこまではがまんができるというのは、赤字であっても直接費はまかなえるということが企業というものの限界だと思うのですが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/12
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013・水田三喜男
○水田国務大臣 企業の限界は、直接費はまかなえるというのが限界、それがまかなえないということではもう企業にならぬ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/13
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014・堀昌雄
○堀委員 私と同じだと思います。
そこで、いま国鉄副総裁が答えられました直接費をまかなえない線、それが昭和三十七年には線数で百二十二あって、赤字が二百四十八億円だったのですね、あなたの言う論外の部分が。それが三十八年にきますと、百三十一線にふえて、赤字が二百八十九億円にふえる。三十九年になりますと、これが百七十八線にふえて、六百三十二億円という赤字になってくるわけです。それが四十年になりますと、これは何と百九十九線——全部で二百四十二線の大体八二%の百九十九線というのが直接費をまかなえない線、こうなっているわけです。赤字金額が九百二十八億円。企業というのは、いま大臣がお答えになったように、何にしても直接費をまかなえるところまででないと企業としてはおかしいわけです。しかし、その直接費もまかなえない線が八二%の百九十九線もあって、その赤字が九百二十八億円も出ているにもかかわらず、国鉄は依然としてそれを続けていかなければならぬというのは、なぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/14
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015・水田三喜男
○水田国務大臣 国鉄が企業である以上は、の中にまかなえない線が幾つかあることも、これはあたりまえでしょうが、全体として企業がどうやっていけるかというやり方を考えるのが企業の経営であって、その中にまかなえない路線が多く出た、出たら出たに対応して全体の赤字を減らす方法というものは企業として当然考えられるということで、その線が多く出たから、もうそれは企業にならないのじゃないかと、簡単にそういうふうには言えないのじゃないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/15
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016・堀昌雄
○堀委員 いや、そんな飛躍しないで、私はそんなことはあとから触れます。そうじゃないですよ。三十七年に百二十二線で、全体の五四%しがなかったのですよ。半分はまかなえていたわけです。直接費すらもまかなえない線、あなたの言う限界外のものが半分あった。それが三十八年、三十九年、四十年ときて、八二%になってきた。これはもう一つのトレンドですからね。これはさっきのいろいろな話、構造的な変化、近代化の影響を受けていますから、このトレンドというものは逆転しないですよ。この形というものはずっと伸びていくわけですね。おそらくいまの不採算路線の赤字というものはふえこそすれ減ることはないと思う。
国鉄副総裁どうですか。いまのどんどんふえてきているトレンドが逆転しますか、この二、三年で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/16
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017・磯崎叡
○磯崎説明員 非常にむずかしい御質問ですが、あらゆる努力をいたしましても、全体の傾向としては逆転することはむずかしい、ただ運賃を値上げしていただきますので、多少の出入りはございます。赤字路線だったものが黒字線になることはございますが、それでも全体の傾向が全般的に変わるということはちょっとむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/17
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018・堀昌雄
○堀委員 私もそうだと思うのです。これは運賃の問題とか、いろいろありますが、私こまかく調べてみて、旅客運賃のほうは、あるいはいまのようなかっこうでなしに考えれば——これは物価問題とかいろいろな問題を離れて、ただ国鉄の経理という面だけから考えてみるならば、それは運賃の上げ方を、一番よくいっているところだけを上げるという手があるかもしれん。
たとえば、新幹線はいま非常に利用度が上がってきた。あそこだけ運賃をぽんと上げますと、それは確かにプラスにぐんとはね返るでしょう。それは国鉄全体にはね返る。しかし、少なくとも、いま不採算路線になっているところの運賃を上げたところで、これは逆に減りこそすれ、私はそこで収入が上がるとは思えないわけです。副総裁どうですか。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/18
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019・磯崎叡
○磯崎説明員 実は、昭和三十六年度に運賃を上げましたときに堀先生のおっしゃったとおりのことを一ぺんやってみたことがございます。そしてそのとき、たしか福井県の越美北線と、それからちょっと忘れましたが、二線ほど特別運賃をつくりまして、そこだけ高い運賃にいたしたことがございます。多少それは運賃法に反するという議論がございましたが、一応やらしていただきましたけれども、やはりその程度の運賃を上げたところでほとんど収支全体に影響がない、逆に、それ以上上げればバスのほうが安いということで、やはりおのずから限界があるということと、ことに、未開発の地域の方々から運賃をよけい取るのはおかしいじゃないかという二つの議論で、わずか半年でもってその措置をやめた、そういう実例が実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/19
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020・堀昌雄
○堀委員 ですから、いまの収入をふやすという問題は、単に運賃だけを上げたから収入がふえるということにはならない。それはさっき私が申し上げたように、独占企業であった時代と比べて、いまはバスが競争する、また、都会地へくれば自家用車で競争がある、私鉄電車その他の競争がある。あらゆるものがあるのですよ。片一方、飛行機もあるわけですからね。あらゆる競争の中でやっておる。この国鉄のかつての独占企業としての性格がいろんなところにいまそのまま残されていて、国鉄にすれば、制約というかっこうで、実は手かせ足かせがされていると思うのです。だから、経済的な面だけでいま私は割り切って言っているわけで、これは物価問題と離してのことですけれども、純経済的に見ても、私はこれから国鉄の収入を、たとえば貨物収入を上げるとすれば、これはますますトラック輸送へ行ってしまうわけです。
国鉄の監査報告を読んでみますと、昭和四十年の国鉄の貨物の輸送量は減った、それはなぜ減ったのか、不況だから減ったのだ、こう書いてある。ところが、営業用トラックの資料を調べてみますと、なるほど減っていますよ。なるほど減っていますけれども、ふえているわけです。伸び方が減っているだけのことで、やはりトラック輸送のほうはふえているわけです。同じような不況のときに貨物輸送のトラックは、ふえ方が減っただけで、ふえているのに、国鉄はストレートに減ってしまうのですよ。前年度比で減ってしまうという条件が出てくるわけですからね。
だから、もうすでに、貨物の問題も中身をこまかく調べてみると、国鉄で輸送するほうが得なものだけですよ。いま運輸収入の主たるものは、ほかのほうにいったほうが得なものは全部トラック輸送に切りかえられて、要するに、国鉄の公共性の名において奉仕的料金をやっているものだけで、ここだけどんどん荷物が来ている。逆選択を国鉄はいま貨物輸送でさせられていると私は思うのです。これでは貨物収入の伸びる見込みはどうしたってないわけです。
いま資料をずっと調べてみると、とにかく砂利運賃の値上げのところで、砂利をそんなに値上げしたら中小企業の土建業者が困るじゃないかとうちのほうの委員が言っているわけです。そのとおりだと思うのですけれども、まあ、国鉄の側にしてみれば、とにかく収入を上げるとすれば、その奉仕料金のものを少しでも上げさしてもらわなければ、経済性の問題から割り切りますと、もうほかには上げる手はないのだというところに落ちつかざるを得ない。ここらは、旅客収入の面から見ても貨物収入の面から見ても、いまや国鉄の収入というものは非常に困難なところにきている。どっちにしても、あまり大きく伸びることは期待できない。運賃を値上げしたらいいじゃないかというような、そんな問題じゃないところにきていると私は思うのですが、大蔵大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/20
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021・水田三喜男
○水田国務大臣 この前の運賃の値上げの結果を見て、所期しただけの運輸収入が得られなかったということは事実でございますので、線によっては、運賃によってある程度解決される赤字線というものがまだあるにしても、全体として、運賃政策だけでは国鉄のいまの問題は解決しないというところにきていると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/21
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022・堀昌雄
○堀委員 収入面は、あなたのいまおっしゃったとおり、これはずいぶんはっきりいまお答えになったからそれでけっこうです。
それで、支出の問題ですが、いまの支出の問題の中で、実は、昭和三十六年から四十年までの国鉄の営業経費に占める直接費、間接費、いろいろな費目別に私は寄与率をちょっと調べてみたのです。
この寄与率を調べてみますと、昭和三十五年から三十六年で経費が五百九十五億円ふえたわけですね。その中の寄与率として、そのときは一番大きかったのは、何といっても減価償却が四一・七%、これが一番大きいのです。その次が人件費で三五%、こういう状態であったわけです。その次の三十七年、これは私よくわからないのですが、これは毎年ベースアップしているのに、この年の人件費というのは前年より減っているのですね。二千六十八億円というように三十七年は減っている。ですから寄与率はマイナスが出てきて、この年は修繕費だけがべらぼうに高く出ている。どうしてこういうことになっているのかよくわかりませんが、それから三十八年にきて、前年が全然上げていないわけだから、ここでぽんと人件費の増加が二百二十五億円と出てきて、ここでは寄与率が六一%にはね上がっている。三十九年が三七・四%、四十年が二八・五%と、この二カ年は、人件費の伸び率は、少なくとも経費全体の伸び率のウエートから見ると、三十九年、四十年は漸減している、こういうことになっているのですよ。さっき副総裁は人件費が非常に大きなウエートであるとおっしゃっております。確かに人件費の伸び方はかなりありますが、経費全体の伸びの中に占める寄与率というものはそんなに大きくないのです。かえって、この中にわりに大きいものは、減価償却なり、今度新たに出てきた利子及び債務取扱諸費というのが、三十九年は一丁三%、四十年は二〇・九%となっている。これは私のほうに資料が四十年までしかないものだから、四十一年、四十二年はこれは一体どうなっているだろうか、こう思うのですが、ちょっといま計算が間に合っていないようですが、これは国鉄では、いまの人件費の伸び率の経費の伸び率に対するウェートと、いまの利子その他の資本費のほうの伸び率のウエートとでは、私は利子のほうがずっと急激なカーブでいま伸びつつあると思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/22
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023・磯崎叡
○磯崎説明員 これは比較基準年次にもよりますけれども、一応前年比の伸び率でございますか、絶対額でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/23
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024・堀昌雄
○堀委員 要するに、経費の伸びに対する人件費と利子の寄与率です。対前年比の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/24
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025・磯崎叡
○磯崎説明員 ちょっと寄与率の数字をここに持ってこなかったのでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/25
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026・堀昌雄
○堀委員 では実額でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/26
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027・磯崎叡
○磯崎説明員 大体、実額で申しますと、人件費の伸びのほうが多うございます。利子の伸びが、たとえば四十一年度と四十二年度とを比較いたしますと、利子の伸びが約百五十億円、それから人件費で申しますと約三百五十億円で、実額で申しますと、元が大きいものでございますから人件費が圧倒的に多くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/27
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028・堀昌雄
○堀委員 それはいまここで私が言っておるところでも、実額でいえば問題にならないのです。人件費のほうが大きいのです。ただ、経費の伸びの総額の中に占める比率を毎年前年比でとってきて、寄与率をとって、それの前年対比を比べてみると、片一方のほうがこうなってくる、片一方は寄与率としてはやや停滞ぎみになっているのです、実額は大きいけれども。
だから、私が言いたいことは、支出面における今後の問題は、人件費も確かに一つの問題点ではあるけれども、この利子その他の資本比、これが今後の国鉄の支出の最大の問題点になってくるんじゃないか、こう思いますが、大蔵大臣、ここはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/28
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029・水田三喜男
○水田国務大臣 さっき副総裁からお話がありましたように、最大の問題点ではありますが、しかし、企業でございますから、企業に必要な投資についての利子というものが年々加わっていくということは、これは別に差しつかえないことでございまして、そういう投資というものがどういうふうにペイしているかいないかという企業の分析が問題であって、私は、国鉄がいま年々必要な投資をすると、それに対する利子の負担が多くなるということは、企業としてはあたりまえであって、それをどうまかなっていけるかという全体の経営がいま問題になっているんだというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/29
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030・堀昌雄
○堀委員 もちろん、企業が黒字でずっといけるのなら、利子の負担が幾らになろうと、それはあなたのおっしゃるとおりでしょう。
しかし、すでに副総裁が最初に答えておられるように、国鉄というのは、すでに現在赤字になっておるわけですね。運輸収入その他でまかなえない部分がすでにあるわけですから、赤字になっている企業がさらに借り入れをしなければならぬ。資本主義の民間ベースなら、こういうことは常識からいって私は銀行で金を貸さないと思うのです。水田さんどうですか。大体資本主義社会で銀行が——これは公共企業体、国だと思っているから別ですが、そうではなしに、民間企業で、ともかく毎年赤字が出ます、そうして金を貸してください、設備投資をやります、タイムラグが十年なり二十年あります、二十年先には何とかお返しできるでしょう、しかし、当分の間、十年から二十年は毎年赤字でございます、そのうちにはともかく借金の利子も借金でまかなわしてもらわなければまかなえません、こういう民間企業があったとき、あなた、銀行の立場に立って金を貸せますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/30
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031・水田三喜男
○水田国務大臣 私なら貸せません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/31
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032・堀昌雄
○堀委員 貸せないでしょう。資本主義というのはそういうものですね。
だから、いま国鉄が何とか成り立っているのは、要するに、国というものが背景にあるから、企業ではあるけれども成り立っていると私は思うのですね。しかし私は、やはり公共企業体というのは、独立採算とかいろんなことばがありますけれども、この問題には二つの側面があると思う。やはり公共企業体には経済的な側面と政治的な側面というのがこういうふうにくっついている。だから、いまの赤字不採算路線が百九十九線になっておるならば、本来これは民間会社ならやめるのですよ。経済的側面からいえば、やめるべきなんです。やればやるほど損になるのだから、やめるのがたてまえなんです。大蔵大臣、そうでしょうね。経済的側面だけから見たら、これはやめさえすればいい。要するに、直接費をまかなえるところだけ、黒字のところと直接費をまかなえるところだけやる。設備投資をやっているのはそこだけしかやっていない。不採算路線の赤字のところに設備投資を国鉄はやらない。もうかっているところしかやらない。それだけ収縮して、そして設備投資をやっていけばタイムラグはずっと縮まります。ところが、赤字のつまらないものをかかえているから問題が残っている。経済側面からいえば、百九十九線一ぺんにやめるかどうかは別にしても、要するに、国鉄が二〇何%かの黒字と直接経費をまかなえる路線だけに圧縮してくれば、経済的側面としては問題がないのではないか。経済的側面から見たらそうじゃないですか。政治の側面についてはあとから聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/32
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033・水田三喜男
○水田国務大臣 黒字路線だけで経営するということは、これは問題はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/33
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034・堀昌雄
○堀委員 赤字であっても直接費はまかなえる、ここまではさっきあなたのおっしゃったように限界だと思います。そこからあとはやめればいい。
ところが、政治的な側面があります。国あるいは公共性の問題として、しかしそう簡単にはやめられないという側面がある。そうすると、そのやめられない側面の政治的な問題については、これは国の面からする拘束性でしょう。そうじゃないですか。国の政治面からする拘束性でしょうね。大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/34
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035・水田三喜男
○水田国務大臣 それは企業の公共性によっての拘束だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/35
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036・堀昌雄
○堀委員 企業の公共性というのは、それでは何ですか。それからちょっとおっしゃってください。企業の公共性というのは、私どもは、民間の都市銀行一つをつかまえても企業の公共性があるといっているのですが、国鉄の公共性というのは何ですか。ちょっとその中身を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/36
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037・水田三喜男
○水田国務大臣 国鉄が公企業体として持っておる公共性でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/37
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038・堀昌雄
○堀委員 中身を聞いているのです。ことばを聞いているのではない。中身は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/38
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039・水田三喜男
○水田国務大臣 国民に対する輸送のサービスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/39
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040・堀昌雄
○堀委員 国民に対する輸送のサービスということは、私鉄だってバスだって同じじゃないですか。相手は国民です。私鉄やバスは国民に対する輸送のサービスじゃないですか。同じでしょう。どこか違いますか、国民に対する輸送のサービスという点で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/40
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041・水田三喜男
○水田国務大臣 輸送のサービスである限りにおいては私鉄も国鉄も同じだと思います。ただ、これは私営という形をとらないで公営の形をとっておりますから、いま言ったように、ただ採算というだけでこの仕事をやめたり路線を廃止するということはできない。これは公共性に拘束されておるのだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/41
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042・堀昌雄
○堀委員 だから、私鉄と国鉄の相違は、要するに国がやっているということなんでしょう。ちょっとはっきりそこを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/42
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043・水田三喜男
○水田国務大臣 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/43
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044・堀昌雄
○堀委員 だから、国鉄に対しての最終責任は国が持っておる。これをいまあなたははっきり答えられたわけです。
そうすると、要するに、私鉄との違いというのは、私が言うような政治的側面で採算をはずれてもやらなければいかぬというそのことの最終責任は国にある。だから、国鉄としては、経営を合理化していこうと思えば不採算路線をやめたい、しかし、国はやめてはならぬ、こうなるわけじゃないですか。そうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/44
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045・水田三喜男
○水田国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/45
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046・堀昌雄
○堀委員 そのとおりですね。そうすれば、国鉄としては、その不採算路線をやめれば何とかなるけれども、国がやめるなという以上は、国として、やはりそのやめるなということに対する反対給付が何かなければいけないのではないですか。国というのは、不採算路線がある、国鉄は経営上これをやめたい、しかし、おまえやめるな、そう言うだけでいいのですか。国というのはそんな無責任なものでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/46
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047・水田三喜男
○水田国務大臣 そのためにこれを公企業体にして、国はいま御承知のようなできるだけの援助はやっておる。そうして、独立採算制を主体にして経営をやる企業体をつくっておるということでございますので、最終的には国がいろいろのめんどうは見ておりますが、直接責任は公企業体がこれに当っておる。その責任はやはり混同しないで、はっきりこれを分けられるべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/47
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048・堀昌雄
○堀委員 実は私もちょっとかぜを引いているものだから、声が出なくなってちょっとあれですが、この前の国会で昭和四十一年二月十四日、予算委員会でうちの安井君がこういうふうに言っているのですよ。国鉄は特別利用債を発行して、都道府県にも出しているが、地方ではその処理に苦しんでいるのが実情である。地方財政が逼迫しているおりから改めるべきではないのか。そうしたら、福田さんはこれに対して、四十年度に運賃の値上げがストップしたから、それで特別利用債が出た、しかしこれは激減するはずだ、こう言っている。そうして、国鉄の特別利用債は四十年度で千百七十六億円、四十一年度では六百五十億円くらいになる、これは激減です、こう言っている。これはあなたそのときは大臣じゃないと言われればそれまでかもしれないけれども、うしろにいる主計局のほうでは大臣にこういう答弁をさしたのは間違いではないのか。いいですか、水田さん、現実には四十一年の特別利用債は幾らになったのですか。大臣幾らになりましたか、国会で正式に大蔵大臣が六百五十億円になる、激減だなんて言っておいて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/48
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049・水田三喜男
○水田国務大臣 千百億円くらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/49
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050・堀昌雄
○堀委員 いまのはどういう状態ですか。横ばいですな。激減というのは、福田大蔵大臣の失言でしたね。どうですか、水田さん、失言でしような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/50
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051・水田三喜男
○水田国務大臣 失言かどうか知りませんが、そうはならなかったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/51
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052・堀昌雄
○堀委員 四十二年の特別利用債は今度幾らになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/52
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053・水田三喜男
○水田国務大臣 百億円くらいたしかふえておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/53
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054・堀昌雄
○堀委員 千二百七十億円からでしたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/54
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055・磯崎叡
○磯崎説明員 特別利用債といたしましては千二百三十億円でございますが、そのほかにいわゆる利用債、縁故債という名目で、従来大体、先ほどお話のございましたとおり、市町村その他の消化も大体限度にきておりまして、大体毎年二百八十億円が利用債、縁故債の消化限度でございますが、これに二百八十億円積んでございますので、これもある意味では、名前は縁故債になっておりますけれども、やはり特別債的な扱い方をしなければだめじゃないか、そういたしますと、やはり千五百億円ちょっとこすようなかっこうで、これはやはりこれからの消化の方法でございますけれども、金額的にはそういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/55
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056・堀昌雄
○堀委員 あまり激減しないですね。水田さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/56
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057・水田三喜男
○水田国務大臣 これは私が説明するまでもなく、皆さんのほうがもうすでに御存じだと思いますが、問題は、国鉄につきましては、これはどうしてもことし一年くらいかかって、根本的に国鉄当局とわれわれのほうでも検討しよう、いまの収入がふえない状態が一時的の問題であるのか、そうでない、もう構造的な問題だとするならそのように考えなければならぬ。ただ、何年計画はできておるからといって、もうすでに出発しても、なかなかその計画どおりの収入というものが得られないで、そこに狂いがきているのですから、これをいまの形で投資を進めるのか、そうでない形でこれは考え直さなければならぬのかという問題は、これは根本的にここらで検討する必要が出ておると思います。
たとえば、一級国道をどんどん私どもがよくして整備するというと、逆に国鉄は貨物輸送をトラックに奪われてしまうというようなことになりますので、われわれの道路の整備の問題ともこれは実際は関係しますので、私は、これは個人の考えで、いままで一ぺんも出たことはないのですが、道路公団というようなのを、場合によったら、こういう形の仕事を国鉄がやるというようなことになったら……。(「ならない」と呼ぶ者あり)かりにです。なったら、鉄道をこれからつくっていくのか、いま鉄道をつくってくれと要求されているところがこういう有料道路になって、鉄道のバスも通るかわりに、一般のトラックも有料でいくというような形でやれば、この鉄道のやる分野というものがまだ今後いろいろ考えられるかもしれぬ、そういうようなものを洗いざらいひとつここで考えて善処しよう、それには、鉄道がことし非常に熱心に要望したいわゆる出資の問題も、ここで八、九百億円の安易な出資ということで片づく問題かどうか、これを一年ひとつ検討して、そのあとの問題にしましょうということで、この出資の問題も待つ、それから、事業にしましても、当初の予定の事業よりも少し事業量を削りました。そうして、ことしは事業量も若干減らしておいて、でも昨年よりはふやしてありますが、そう大きくふやさない形においてことしだけは一応切り抜けてみようということから、いまの利用債の問題も本来なら減らすべきですが、これは来年へいって本格的な解決をしようから、ことしはやはり従来どおりのこういう形にしておいてもらいたい、それじゃ国鉄もことしはそうしましょうというようなことで、すべてを来年にかけて、今年度は今年度だけの措置というようなことで解決したのが今年度の予算でございますので、この国鉄問題について解決のしかたについては、私ももう全部がことしは徹底していない、不徹底だということは認めますので、そういう意味でこの利用債を来年も再来年もさらにこれをふやしていくというようなことはいま考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/57
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058・堀昌雄
○堀委員 ちょっといま大臣重要な御発言が幾つかあるのです。
いま国鉄がやっている第三次輸送計画に基づく設備投資ですか、これについては、あなたのほうではこれを少し手直しするという考えなんですね。いまの五カ年計画か何かでやっているでしょう。これを途中でちょっと、いまのあなたの話の感触から聞くと少しスローダウンする、あるいは考え直すというのか、そういうことを含めての御発言と、いまのは理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/58
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059・水田三喜男
○水田国務大臣 まだこれから国鉄当局と相談し、検討する事項ですから、何も結論ではございませんが、計画どおりの収入というものがなくて、狂ってくるということになりますと、財源に当然変更がきておりますので、これをどう解決するかということは、いずれにしろこれは検討しなければならぬ問題だと私は思います。その場合に、ほかの方法で計画だけはもう必要だから遂行する、財源の問題については別途にこういう方法を立てるという考えが出れば、それは計画変更しなくても済むということになりますが、その辺どういうふうにやるかということは、まだ私どもこれから考えたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/59
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060・堀昌雄
○堀委員 いまわりに率直にお答えをいただいたので、今度いろいろ問題の非常に矛盾に満ちておるという点はあなたもお認めになったと思うのですが、私はそれじゃここで一つはっきりお答えをいただいておきたいのは、いまの御発言の中で特別利用債というか、非常に問題のある債券ですね。これが出たときに、実は四十年のときですよ。国鉄側としては、日銀の適格担保にしてもらいたいという要求があった。しかし、私はここで当時佐々木直さんを呼んで、そんなものを適格担保にすべきではないとぱちんとやって、だいぶ国鉄は困ったろうと思うのですが、私がなぜそんなことを言ったかというと、そんなものがどんどん出るべき性格のものではないのですから、そんなものを適格担保にしたら、あなたのほうは楽な姿勢になって、どんどん出せ出せということになる。そんなことになっては困るから、そんなものは適格担保にしてはいかぬ。これは特別なもので、正常な状態で出るべき債券ではないぞということで、歯どめをかけたつもりでおったわけですよ。だから、そのときに運賃値上げを予定していたけれども、運賃値上げができなかった。計画よりギャップがあいだがら、このときだけの問題だと思って私はそう理解しておったら、何の何の、毎年毎年千億円ずつも出してくるというようなこんなばかなことはないと思うのです。私は、これは単に国鉄の問題でもあるけれども、これは債券のあり方としても大蔵省の問題になると思うのです。
いま国鉄で一体どれだけの種類の債券を出していると思いますか。大体、一つの企業がいろんな条件の債券をばらばらに出しているじゃないですか。一番金利の安いのが、まあ表面の利回りでしょうけれども六・七%、その次に七%あり、七・三%あり、七・五%あり、期間でもばらばらで、一つの企業たるものが出す債券がこんなにばらばらになっているということは、債券の出し方に無理があるからですよ。大蔵大臣、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/60
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061・水田三喜男
○水田国務大臣 ここに副総裁がおりますが、この話をきめるときに総裁が終始渋った問題でございまして、それは私どもも無理だと思っていますが、しかし、そうかといって、これにかわる安易な、ことし問題になった出資ということに踏み切るについてはいろんな問題がございましたので、これを次の検討事項に国鉄と相談して残したことによって、従来のこういう縁故債のようなものは今年度は一応この程度で切り抜けるよりほかはないという考え方でやった仕事でございますが、これは私どももあんまりいいこととは思っていませんし、国鉄もこれはだいぶ渋った問題でございまして、当然と思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/61
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062・堀昌雄
○堀委員 それでは大蔵大臣、ここで一つだけ約束してください。
ともかく、縁故債とか、これまでのいわゆる利用債というか、ありますね。その程度のものは私はこれはやむを得ないと思うのです。いまの国鉄の事情からあれもこれもやめろというわけにはいかない。これが昭和四十年に出てきて、それのもとは何かといえば、運賃値上げを本来やるべく政府も考えておったし、全部考えておったけれども物価対策としてやれなかった、緊急処置として行なったところのこの特別債の問題については、来年はひとつやめましょうといって約束してください。これだけ約束してもらったらあとはけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/62
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063・水田三喜男
○水田国務大臣 約束するよりも、来年は根本問題についてこれはほんとうに真剣にやらなければなりませんので、その過程において私は合理的に解決したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/63
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064・堀昌雄
○堀委員 合理的に解決したいということは、やめたいということでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/64
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065・水田三喜男
○水田国務大臣 これはそういう御趣旨に沿った方向で解決したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/65
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066・堀昌雄
○堀委員 少なくとも、また福田前大蔵大臣のように、六百億円に減らすなんて言っておいて、あとからまた委員会で——ここにいないからどこかでくしゃみぐらいしているかもしれないけれども、一千百億円からにふえておる、そういうことのないように、ひとつ水田さん、この点ははっきりしてもらいたいと思うのです。
ということは、やはり国鉄といえども、企業であるならば、それは健全な経営ができるような処理を考えてやる。そのために問題になっているのは、私はここで国鉄にひとつ資料を要求しておきますけれども、政治的な側面のために、本来なら国鉄として取れるべき収入ですね。たとえば、ここらにある中でちょっと疑問がある問題もあるのですけれども、こまかくいろいろ調べてみていると、新聞や雑誌というのが、これは何か小包と一緒になっているのですね、値段が。だから、幾ら遠距離へ送っても値段が一緒だ。国鉄の運賃というのは、たしか距離によって運賃がふえるようになるのですけれども、新聞と雑誌というものは幾ら距離がいこうと何しようとこれは全部値段が一緒だ、公共性という側面で制限されているものだから。こういう式のもの、通勤通学定期、学生運賃、貨物運賃の割引、いろいろなもののそういう側面、政治的な側面、経済性の側面から解き放されて、しかし、現行法がありますから現行法のワクの中でこれだけは取れるものというものを四十二年度ベースで一ぺん出してもらって、それが公共性によって制限されて、本来なら国鉄が経済性の上でなら収入としてあるべきものが取れてない、その公共性の制限によって取れないものは、やはり国が公共性の拘束を課しているのなら、その拘束に基づく反対給付として国が当然考えるべきではないか。これはやはり私は公共性というものの責任の問題ではないかと思うのです。
だから、いろいろなものがあるでしょうが、そういう問題をひとつ一いま申し上げたのは運賃の関係の問題だけですが、あとはいまの赤字の不採算路線の問題なんというものは、これはもう明らかになっていると思いますから、資料として当然出していただきたい。要するに、四十二年度における直接費でまかなえない赤字路線における赤字額というものはそれじゃ幾らになっているか。それからもう一つ、いろいろ話を聞いていて私もちょっと感じたわけですけれども、市町村の納付金というのがかなり負担になっているようですね。
そこでちょっと伺いたいのですけれども、現在全国の固定資産税の都道府県市の総収入というのは大蔵大臣幾らあるのでしょう。——調べている間に、労働大臣がお見えになりましたから労働大臣にお伺いをいたします。
実はこの間、今年の春闘に関して鉄鋼のほうから回答が一応出たようです。これまでの慣例によると、大体鉄鋼の相場をにらみ合わせながら順次これからいわゆる春闘のベースアップの賃金に対する各種回答が出てくるだろう。
私は実は公労協の春闘問題はもうこれで三回この委員会でやるわけですが、仲裁裁定によってでなければ回答が出せないというようなことでなくて、組合側もひとつ調停段階で結論が出るようにしてもらいたいという希望でもあるから、何とかひとつ、調停段階の中で話ができれば、ストライキのようなことも避けられて、国民も何ら失うことなく合理的に問題が解決するのではないか、こういうふうに思っているものですから、労働大臣としてはこれに対してどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/66
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067・早川崇
○早川国務大臣 本年は民間関係の賃上げの決定がどんどんできておりますので、民間の給与を参考にしてというか、法律に基づきまして、調停段階におきましても極力労使が話し合って、実質的に妥結するようにわれわれは希望し、また、三公社五現業の労使ともにその線を労働大臣としてはお願いをしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/67
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068・堀昌雄
○堀委員 ところが、いろいろ調べてみますと、いま国鉄も経理問題をやっているわけですが、何しろ国鉄の経理はにっちもさっちもいかないところにきているのです。大蔵大臣も認めたのですから間違いありませんが、不本意ながら望ましくない特別債を出したり、いろんなことをしているわけですから、ことしは、そういう意味では、国鉄としては春闘の賃上げについてはなかなかたいへんだろうと実は私も思います。しかし労働大臣、公共企業体ですから、一応収入がこういう状態ですから、ことしはあなた方だけは、物価が上がっていますけれども賃金は上げられない、がまんしてくださいというわけにはいきませんね。労働大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/68
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069・早川崇
○早川国務大臣 これは民間の給与を参考にしてという趣旨からいいますと、全然上げないというわけにはいかないのが常識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/69
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070・堀昌雄
○堀委員 ですから、常識的な賃上げというものは、これは当然行なわれるべきものだろう、私はそう思います。そこで、しかしそうなると、おそらく国鉄側としては財源がないというようなことで、いろいろ問題も起こると思うのです。
しかし私は、いろいろ国鉄は事情があろうとも、今度はひとつ何とか仲裁へいかないうちに話が終わるように——なぜかというと、仲裁で出る額が調停段階で出されれば話はつくわけなんですからね。それを、ただ単に形式的に仲裁にしたからといって、それじゃこれまで補正予算を組んだかといったら、実はこれまでそのことのために補正予算を組んだことはないわけです。過去の国鉄の経理を少しこまかく調べてみましたが、いろいろなところから削ってきて、これまでともかく何とかやってきているわけです。やってきているわけですから、ことしだってその問題はあり得る。そこで、さっきも大蔵大臣がはっきり、第三次長期輸送計画については、収入がある程度思うようになかったのだから、これは計画の変更もあり得るのだということを答えておるとすれば、これはやはり国鉄としてはたいへんかもしれないけれども、ある程度工事費から持ってくるなり予備費から持ってくるなり何なりして、私は、少なくとも人並みのベースアップというのは政府は考えるべきだと思いますが、労働大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/70
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071・早川崇
○早川国務大臣 それぞれ独立採算制でやっておりますし、経理内容の特殊事情もございますから、三公社が全部同様にというわけにはいかないだろうと思います。おのずから妥当な常識的な線というものは出てこなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/71
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072・堀昌雄
○堀委員 そこで、しかし労働者の立場に立って考えてみると、国鉄の経理がよくないから、よその公社よりもおまえのところは月給をたくさんあげられませんよ、こうなったとしましょう。しかし、国鉄の職員は一生懸命事故を起こさぬように、非常に緊張して汽車や電車を動かしているわけでしょう。いいですか。仕事をしている分というのはよそに遜色ないだけしているわけですね。その赤字の原因は、それじゃどこにあるのか、こういっていまこまかく分析をしてみると、企業体なら企業体のように割り切れば黒字でいけるものを、国の責任で、国が公共性の名のもとに拘束をして、収入を上がらさないようにして、収入のできないように国が押えつけておいて、そのはね返りが労働者へ返ってきて、一生懸命やっている者が、給料はおまえのところは赤字だから上げられない、これはちょっと労働大臣、筋が通らないように思いますが、あなたはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/72
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073・早川崇
○早川国務大臣 まだ調停段階でございますから、全然上げないとか、非常に常識から逸したような、原資がないから非常識な線でしんぼうしろというような調停案は出ませんでしょうし、あるいは、調停でまとまらなければ仲裁裁定ということになろうかと思いますが、まだいまやっておる最中ですから、いまから予測もできませんし、労使の健全化という点では、できるだけ調停で腹を出し合って話す、そこで財源という問題なんかも出てくるのでございまして、いま予測をすることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/73
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074・堀昌雄
○堀委員 私、幾らにしなさいとかどうとか言っているのじゃなくて、筋のことを聞いているわけです。
国鉄が赤字になっているのは私どももわかっているわけですよ。ただ単なる企業ということなら、はっきりいいましたら、民間の会社で、赤字で金がないのです、ですから払えませんといったら、これは労働者はしょうがないですよ。労働者はストライキをやって会社をつぶす場合もあるでしょう。それはしかたがないわけです。これは民間の会社の経営が悪いのだから、その場合はしかたがないですね。しかし、国鉄の場合はそうではないということをさっきからずっとやってきたわけです。要するに、公共性という国の手かせ足かせで、本来経済的にはもっと収入が上げられるものすら上げられないというところに追い込まれている。国がそういう制限を加えておって、その結果起きておる赤字を、労働者に対して、うちの国鉄は赤字だからよそよりは賃金が安いのだぞということは、筋としてはおかしいのではないか、こういうことを聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/74
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075・早川崇
○早川国務大臣 国だけの責任もありましょうが、あるいは人員が多過ぎるとか、経営のずさんとか、国鉄自身の合理化の努力もするとか、そういうものも総合して判断しなければならないのでございまして、そういうものが非常にぎりぎりだ、ただ国で押えているという結論であれば、むろんお説のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/75
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076・堀昌雄
○堀委員 まあ、合理化もそれはやるべきでしょう。だから、それはやったらいいと思いますが、国鉄もやれることはやっているのでしょう。だから、いまは国鉄とすればぎりぎり合理化しているつもりだ、しかし、今後もしなければならぬということで、この間おそらく発表したのだと思います。それはそれで、その方向としてあり得ると思いますけれども、しかし、それで浮かせ得るものはごく小さなもので、今日一番大きなものは、さっきもちょっと話しましたけれども、とにかく赤字路線だけで一千四百四十六億円の赤字が出ている。しかし、これも国のいろいろな問題でやめるわけにはいかないのだというようなことになっているわけですし、あるいは定期の問題も、これはとにかく物価問題がありますからね。法律がこうきめてあるから法律の限度一ぱいやれなんといったって、これは国としては、物価の情勢があるからそうはいかぬぞといって押えざるを得ないと思うのです。
だから、いろいろな点で国が制限を加えているのですから、それは資料であとから出てくるからいいと思いますけれども、そういう問題があるとすれば、私は、まず国としてやるべきことをやったあとでものを言うなら話はわかるけれども、ことしはすべてペンディングにしていこう、こう言っている以上は、ことしのいろいろな問題についてはそういうものがペンディングになっている以上は、やはり従来どおり常識的な措置が行なわれるのが筋ではないか、こう考えるわけです。労働大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/76
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077・早川崇
○早川国務大臣 先ほどから申しましたように、常識的、しかも良識的な結論が出てくるだろう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/77
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078・堀昌雄
○堀委員 何か人ごとみたいに、出てくるだろうと思いますなんて言いますが、やはり労働大臣というのは、労働者が少なくとも十分働くに足る賃金その他が確保されることがあなたの立場でしょう。それは、政府の一員だから、政府のいろいろなやることについて責任はもちろんあるけれども、あなたと大蔵大臣とは、ちょうど立場上は逆の立場でしょうね。そうじゃないですか、労働大臣。まあ、できるだけ賃金を出してやりなさいというほうでしょう。労働大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/78
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079・早川崇
○早川国務大臣 労働大臣としては、労働者の福祉向上というのが私の心から念願するところでございますが、同時に、内閣の国務大臣として、総合的な立場に立たなければならぬ、二重人格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/79
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080・堀昌雄
○堀委員 まあ、内閣の一員ではありますが、専門はともかく大蔵大臣のほうがやはり財政なりその他の面ではできるだけ出したくないというほうで、あなたのほうは出しなさいという立場だろうと思うのですね。
ですから、どうかひとつ——あなたにここでどうこう言質をとろうとか、そんなつもりは私はひとつもありません。ただ、少なくともいまの国鉄のそういう状態の原因の中で国鉄自体だけに問題があるのなら、何も私はここの委員会でやる気はないのです。運輸委員会でやっていればいいわけです。しかし私は、どうもこまかく調べてみると、やはりこれはこの委員会でやらなければならぬ問題がかなりあると思ったから、これを予算委員会の分科会でやらないで大蔵委員会でやっているわけです。それにはそれだけの理由が私としてはあるわけです。
ですから、どうかそういう意味で労働大臣も——私が念願しておりますのは、昨年からこれはやっているわけです。調停でひとつ話をきめようという問題は、ことしの委員会になってからこれで二回目です。つまらないストライキが起きている。仲裁で出る同じ額まで調停の最終段階で出したら、それで話はきまるのだからストライキは起きない。そんなことをやれば、国民は迷惑するし、労働者はあとで処分を受けるし、国鉄だって運行上困るし、だれ一人それによってメリットのあるものはない。全部が損をすることがわかり切っておるものなら、何とか回避したいということが、やはり近代的な政治家として当然やるべきことじゃないかと思うのです。
そういう意味で労働大臣も、そういう国鉄の経理の問題を明らかにしながら、やはりそういうあなたのおっしゃるような良識的な常識的な線で処置されるように、特に調停段階で話がつくようにあなたの立場をフルにひとつ使っていただいて、この問題で国民に不測な被害を与えることのないようにしていただきたい、こういうことをお願いしたいのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/80
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081・早川崇
○早川国務大臣 全く同感でございまして、その線で全力をあげて努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/81
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082・水田三喜男
○水田国務大臣 先ほどの固定資産税は、四十二年度の地方財政計画の中で三千三百五十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/82
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083・堀昌雄
○堀委員 四十二年度に国鉄がこの固定資産に見合うもので支払うのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/83
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084・磯崎叡
○磯崎説明員 いわゆる固定資産税の身がわりは百三十三億円です。そのほかに普通の固定資産税が約六億円ぐらいございますので、合計で約百四十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/84
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085・堀昌雄
○堀委員 国鉄がいまのものに支払う対価としての面積、それから、いまの三千三百五十億円、これに見合う面積——これは国全体ですからね。固定資産というのは、評価ももちろんあるけれども、面積が関係があるわけですから、これは一体どのくらいの比率になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/85
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086・磯崎叡
○磯崎説明員 実は、私のほうは土地の評価といたしましては八百五十億円ぐらいのわずかなものでございます。ちょっと品目別のあれは持ってまいりませんでしたけれども、私どもの簿価で計算しておりますものでまいりますと、減価償却費の引き当て金を引きまして一番財産価額の高いものは、何と申しましても、線路、トンネル、橋梁、駅、それから車両、こういうものがいまの納付金のほとんど主たる内容でございます。土地のほうは、面積は実はちょっと記憶いたしませんが、四十年度の簿価二兆二千億円の正味資産の中で土地は千四百億円くらいでございます。あとは全部、いま申しました直接輸送に必要な線路、トンネル、橋梁とか、それから車、そういうものがほとんど大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/86
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087・堀昌雄
○堀委員 最近の状態を見ますと、これもだんだんふえてくるわけですね。これはもちろん設備投資をこれからどんどんすれば、おそらくますますふえることになるのでしょう。さっきの話ではないけれども、収益のほうは十年なり十五年のタイムラグがあるけれども、いまの固定資産に見合うやつというのは、線路ができてしまえばすぐそこから取られていくということになるのです。だから、この問題について国鉄の話を聞くと、簿価で処置がしてあるためにこれが非常に高くなっているのだ、こういう話で、二分の一になっているということなんですが、これは、地方財政との関係があるでしょうけれども、ここらはもう少し何か合理的な処置がされて——何も私は、それは地方財源を減らせということじゃないのですけれども、そうでなくても赤字がどんどん出てくるところで、そういう地方税的なものを——収益が出たものから取っていくというならまだ話はわかるけれども、収益も出ないものから次々と取っていくというこのあり方はちょっと検討を要する問題じゃないかと思いますが、大蔵大臣、どうでしょうか。
要するに、いまの市町村納付金ですけれども、一種の固定資産税みたいなものですよ。国鉄のほうは、これからまた山陽新幹線なら新幹線をつける、そうすると、ついてしまえば、とたんにまた支払わなければならぬ。山陽新幹線のようなものなら三、四年で収益が出るからいいですけれども、一般的に言って、さっきの話のように、収益が投資に見合うようなかっこうになるのは十年ぐらいかかるんだ、長いのは二十年くらいかかるんだ。片方は収益はあとから来るのに、この納付金
のほうはすぐたったかたったかふえてくるという、こういうタイムラグに逆になってしまうわけですね。これもいまの赤字の問題の支出面から見るとちょっと検討を要する問題じゃないかと私は感じているわけです。特に、全体が三千三百五十億円に対して国鉄の百三十億円というのは、幾ら何でもウェートが高過ぎるような気がするのです。大臣、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/87
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088・水田三喜男
○水田国務大臣 これは国鉄と自治省とのいままでの話し合いでなかなか決しませんでしたが、すでに私鉄はやはり固定資産税を払っておりますし、鉄道のほうは、たしか新設の分は私鉄と同じように固定資産税をそこまでおろすというような話がついているというふうに聞いております。ことしから、だそうで、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/88
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089・堀昌雄
○堀委員 ことしからそうなっても、またどんどんふえるのでしょう。このふえ方の見通しというのはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/89
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090・磯崎叡
○磯崎説明員 いま大蔵大臣がおっしゃったとおり、ことし大蔵省に中に入っていただきまして自治省といろいろ話をいたしまして、新線、もちろん複線化も含めまして、新線の部分につきましては、いままで二分の一で評価いたしておりますそれを三分の一の評価にするということで、本来ならば百三十六億円計上すべきものを百三十三億円、三億円だけ減ったわけであります。しかしながら、去年は百二十四億円でございますから、絶対額はやはり九億円ばかりふえる、ふえ方が、十二億円ふえるべきところが九億円で済んだ、こういうことでございますので、これから投資してまいりますと、いまのままではやはりふえていく傾向になります。
しかし、今後とも自治省といろい折衝いたしまして、この減額を、せめて現状維持でとめていただくというような努力をできるだけしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/90
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091・堀昌雄
○堀委員 時間もだいぶんたちますからあれですが、こまかい問題はいろいろあると思います。
私は、その一つ一つの問題は、やはり集約的にも判断をしなければならぬ問題だと思うのですけれども、少なくとも、いまのところまでの国鉄の内容分析を私なりにずっとこまかくしてみたところでは、どう考えても合理的でない点が非常に多い。
その合理的でない点というのは何かというと、やはり国による制約ということがいま矛盾の一番大きな点に来ていると思う。しかし、国は、われわれが主張するように、物価対策というものが国民生活に非常に重要ですから、物価対策の面としてはそう簡単に運賃を上げるわけにいかぬという問題が一つありましょう。さらに、都市化の問題がここまで激しくなってくると、要するに、通勤輸送の問題というのは、今後ますます比重が高くなりこそすれ、低くなることはあり得ないわけですね。
だから、いろいろな経済の構造的な問題と、そういう人口動態といいますか、そういう構造的な変化とか、いろいろなものがここへずうっと来て、国鉄問題というものは、ほんとうに皆さんのほうで一つ一つをこまかく分析をした上に、その矛盾のよって来たるところで問題を解決をしていくような考え方を出していかないと、そんな安易に、ちょっと一年延ばしたから問題がどうこうなるというものではないし、それだからといって、じゃ国鉄も民営にしたらいいと、そんなことになりっこない問題ですからね、この問題というのは。私は、この問題を特に大蔵委員会でやっているのは、やはり大蔵省がその気になって、一体国鉄をどうしていくか、簡単に企業性と公共性を調和すればいいなんて、これは数の上でこまかく分析してみれば、そんなのりとみたいなことを言って解決する問題じゃないですからね。
そこで、ひとつ考えてもらわなければならぬのは、私は、ある程度不採算路線のような問題は少しドラスティックに考えていいのじゃないかと思っているのです。やはり必要なところは、いま大蔵大臣が言われたように、ともかくその路線をはずしちゃって、そのかわり国鉄でそこは道路をきちんとして国鉄バスはちゃんと通しますというように、ともかく何らか前向きにやはり基本的な問題の解決も考えていかないと、毎年毎年不採算路線がふえていくのに、ただ公共性だといってそんなものをいつまでも残しておく、それは私どもやはり近代化の中で考えるべき問題で、そういう政治的な制約というもの——やはり国会議員は、どこかの線路をはずすというと反対するかもしれないけれども、住民のためにより便利になるなら、私は何も反対することはないと思う。ちゃんときちんとした道路を引いて国鉄バスが十分通りさえすれば、何も石炭をたいてガッタンゴットン走ることはないわけですから。新線をつけるところだって、何も鉄道でなくたって、貨物だって何だって、場合によっては、新線をつけるところを、国鉄の貨物輸送を、線路でなしにバス輸送で何らか道を開いてやったっていいわけですよ。
だから、やはり政治そのものが近代化していく中で、もう少しそういう経済合理性のほうに政治のほうも合理性を高めていくような考え方を根本的に入れていかなければ、ただ路線があるところをはずしちゃいかぬとか、そんなことが十年一日のように言われていたのでは国鉄問題は解決しない。私は、ただ単に国が金を出したらいいという簡単なものではないと思うのです。しかし、それをやってもなおかつ不採算路線は一ぺんにどけられませんからね。それについては、やはり国としては、考えなければならぬものは当然考えていく、考えていくけれども、いつまでものんべんだらりんでなくて、不採算路線をだんだんはずしながら合理化をしていって、それが採算ベースにかわってぐれば、問題はやがて解決つくのじゃないか、方向だけぱ少し明らかにしながら……。
大臣、これはやはりここで腹をくくって考えてもらわなければならぬ。いまのように安易に特別債、だけ出しておけばいいということだったらたいへんですよ。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/91
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092・水田三喜男
○水田国務大臣 そうだと思います。
国鉄で問題なのは、確かに公共負担というものが国鉄経済には大きい影響を持っておるとは思うのですが、はたしてそのものが一番影響を持っているのか、事実上は、実際においてバス、トラックに負けておるのか、今後さらにそういう傾向が強くなるものかというふうなことをここでもう少し徹底的に考えないと、私、ほんとうの対策は立たないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/92
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093・堀昌雄
○堀委員 それは考えるのはけっこうですけれども、ことし一年じゅうに結論出ますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/93
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094・水田三喜男
○水田国務大臣 出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/94
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095・堀昌雄
○堀委員 それでは最後に、さっき労働大臣のお話にあった問題でありますけれども、ことしの賃上げの問題ですが、大体いまの人並みの線でいくと——専門家に聞くと、大体いまの民間相場を直すと一一%くらいということのようですが、そうすると、原資はどのくらい要るでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/95
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096・磯崎叡
○磯崎説明員 たいへん大きな数字で、ちょっと申しかねますが、大体私のほうでは一人千円で百億円、ですから、組合の要求が現在約一万円でございますので、一万円でございますと一千億円になるわけですが、いまもし鉄鋼四千円といたしますれば一これは定期昇給が入っておりますが、定期昇給を除きますと三千円何がし、そうすると、やはりいまの計算でいきますと、年間、ことしの所要経費だけで、三千円で約三百億円、どうしてもこれははね返りがいろいろございます。来年度、退職金その他に全部はね返りますので、それらを入れますと、やはり五百億円前後の増加になる、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/96
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097・堀昌雄
○堀委員 予備費は百二十億円ありますね。どうせこうなると、百二十億円の予備費だけでは足らない。これまでの決算を調べてみますと、いろいろなところから少しずつ減らしてありますが、けたが大きいから、そうなると工事費でも削らなければどうしようもないですね。どうでしょうかね、副総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/97
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098・磯崎叡
○磯崎説明員 工事費を削るということにつきましては、私としては絶対に工事費を削ることはできない、現在やっております工事は、通勤輸送の緩和とか、あるいは保安対策とか、全くいわば人命に直接関係するような仕事をいたしておりますので、工事費を削ることは非常にむずかしゅうございます。
それからいまおっしゃったように、実はおととしまでは確かに部内で流用をいたしました。予算委員会でもそういう御答弁を申し上げましたが、去年からは実は政府に特別な御措置をお願いしなければできないという御答弁に変わったわけでございます。それによりまして、去年、形は違いますが、補正予算を組んでいただきました。ことしはすでにいまの段階ではどうにもならないという状況でございまして、いまおっしゃったような膨大なことは、とても、目のくらむような数字で、私といたしましては全くお答えしかねるようなけたの違う話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/98
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099・堀昌雄
○堀委員 もうここではこれ以上申しません。大いに労使でやっていただいていいのですが、大蔵大臣も時間があるようですから終わるようにいたしますが、ひとつ国鉄にもお考えを願いたいし、運輸省にもお考えを願いたいし、大蔵大臣にもお考えを願いたいことは、私は何もむずかしいことを言っておるわけではないのですよ。
要するに、結局仲裁で出る。しかし、もしかりに財源がなくて補正を組む場合でも、現行法でとりあえず出しておいて、そうして年度の終わりごろに補正を組んだって、年度内の描置だったらちっともかまわないのではないかと私は思うのです。毎年、現在のところは御承知のように補正予算のなかった年はないのです。毎年必ず補正予算を組むのですからそういう観点に立てば、どうせ仲裁で出してくるなら——それは補正の問題もあるでしょうが、仲裁で出すものなら、最終的に調停段階で仲裁で出るであろう額をひとつ出して一そうして話がついて、もし資金上のやりくりがどうにもならないときには、十二月ごろにもう一ぺん補正を組むということだってちっともかまわないのではないか、こう私は思うのです。大蔵大臣、ことしの場合はそうするより手がないと思うのですが、この前も申し上げたように、私たちの気持ちはそういうことなんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/99
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100・水田三喜男
○水田国務大臣 いまの法律で仲裁による以外に給与総額を直す方法というものはないのですから、補正予算をやる以外にはないのですから、そう簡単にはこの問題はできません。まあ、いろいろ財政支出で合理的にやらなかった場合には相当厳密に突っつくあなた方のほうが、こういう問題だけ簡単にゆるやかにやっておけという御意見もどうかと思われますので、あくまで合法的にやるべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/100
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101・堀昌雄
○堀委員 いや、私は違法なことをしなさいというのではないのですよ。違法なことをしなさいというのではないのです。しかし私は、実はやり方はあり得ると思うのですよ。
要するに問題は、調停では一切いまの総額は動かせないということは、あれじゃないですか。いまの、双方で認めれば、法律的にだって可能ではないですか。全然だめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/101
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102・水田三喜男
○水田国務大臣 いや、補正しなければできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/102
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103・堀昌雄
○堀委員 要するに、給与総額をきめておるのは、あなた方一年間の分をきめておるのでしょう。毎月のものをきめておるわけではないでしょう、予算書の中にあるものは給与総額一年分きめておるのだから。そこで、ともかくぽんと上げちゃったって、いまは給与総額の中としては国鉄は支払われるわけですよ。ただ十月になり十一月のところにいったら、今度は給与総額は穴があいてくるにきまっておるわけだから、そこのところで補正予算を組んで、あとで給与総額を動かせばいいのであって、月ぎめで給与総額をきめてあるのですか。ちょっとそこから聞いてみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/103
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104・武藤謙二郎
○武藤政府委員 技術的なことですから……。
給与総額をふやさないで先の分を食うということは、予算としてはむちゃくちゃになるので、給与総額は年間分でございますが、その年間の分が明らかに不足するとわかっていることをほおかぶりでやってしまって、あとで補正で給与総額を直すということはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/104
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105・堀昌雄
○堀委員 それは法律のどこに書いてありますか。法律の条項でちょっと答えてください。そういうふうにワクがあるやつを、そんなことはしょっちゅうあることで、それがあるから予備費をそこへ流用するはずなんで、それじゃ予備費というものは使えなくなるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/105
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106・武藤謙二郎
○武藤政府委員 給与総額をきめている趣旨はそういうことでございますので、そういう意味だという条文はございませんけれども、これは従来からはっきりした解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/106
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107・堀昌雄
○堀委員 条文はそうなっていないけれども解釈がそうだというならば、それじゃこれまでのやつは給与総額が動いてないのですか。どういうことでそういうことになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/107
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108・武藤謙二郎
○武藤政府委員 最近の例を申しますと、ずっと調停でまとまったことはございませんでしたがって、給与総額の制限というのは、仲裁ですから制限がなくなる、こういう形になっております。要するに、最近はみんな仲裁でいっておりますから、給与総額の制限ということはきかない形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/108
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109・堀昌雄
○堀委員 法律でそれの根拠になるところの法律をちょっと言ってください。法律何条同項か。予算総則だけじゃ、それは法律じゃないのだから、それはかってにそういうことで運用しているだけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/109
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110・武藤謙二郎
○武藤政府委員 これは予算総則にも財政法に基づいて拘束力があるわけですが、予算総則のほうの条文を読んでみますと「給与に関する公共企業体等労働委員会の裁定を企業経営に及ぼす影響等を考慮した上で実施することが適当であると認められる場合において、」給与総額を動かせる、こういう形になっております。
それから法律のほうですが、これは国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法というのがございまして、その第五条に給与総額のことが書いてあります。それでいま読みましたと同じようなことが書いてあります。全部読みますと「職員のうち国の経営する企業の業務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員に係る給与準則については、その給与準則に基いて各会計年度において支出する給与の額が、その会計年度の予算の中で給与の総額として定められた額をこえないようにしなければならない。但し、職員の能率の向上により収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合において、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、特別の給与として」、これは業績手当なんでございますが「支給するとき、及び公共企業体等労働委員会の裁定があった場合において、」これが関係のところでございます。「その裁定を実施するために必要な金額を、予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認を受けて、給与として支給するときは、この限りでない。」こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/110
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111・堀昌雄
○堀委員 それでは、結局のところ、いまの法律そのものが書いておることがはっきりしてくるとすれば調停なんというものは要らないということですね。大蔵大臣、どうですか。調停というのは、あれは見せかけでやるということになるのですか。団体交渉も要らなければ調停も要らない。要するに、公共企業体の労働者というのは、仲裁がない限りは何もできないんだ、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/111
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112・水田三喜男
○水田国務大臣 予算上、資金上可能な範囲においては調停も協約も政府は別に拘束しないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/112
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113・武藤謙二郎
○武藤政府委員 一言だけ。給与総額の関係を動かすことは仲裁でないとできませんけれども、その他、先生御承知のように、いろいろな旅費とか、いろいろなことは、これは国鉄の副総裁のほうが詳しいと思いますが、団交でいろいろと話をしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/113
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114・山田耻目
○山田(耻)委員 関連。
非常に専門的なところに入ってきてなんですけれども、仲裁でなければ、資金上、予算上、こえて支出する決定を見た場合は仲裁でなければ拘束性がない、こういうふうな、あるいはそれでなければ資金の支出ができない、こういうふうにいまのお話では若干受け取れるのですけれども、実際の公労法十六条にはそのことを明らかに書いておるわけですよ。
公労法十六条では、資金上、予算上こえて支出をするいかなる協定も、政府を拘束するものではないと、こういうふうに書かれております。だから、いま国鉄当局と国鉄の組合とが予算総則をこえた金額を労働協約で締結しても金を支出するという拘束性はないぞと、こういうことを十六条は言っておるわけですね。ところが、賃金にしても退職金にしても、団体交渉の対象になっておる。交渉しなさい、交渉してきめなさい、こうなっておる。きまらぬときには仲裁に持っていきなさい、こういうふうになるわけですね。
ところが、十六条ではきまらぬ先のことも書いてあるのです。資金上、予算上こえるような協定を結ぶことはとめていないのです。結んでよろしい。結んでよろしいが、それは次のような手続を経なさいよ。その協定を締結したときには、国会開会中は十日以内に国会に付議するようになっている。そこで国会がよろしいといえば、仲裁できめたことと同じ効力が発生するわけです。そういうことをいままでやらなかったから、団体交渉の否認と言われたり、調停なんて意味はないじゃないかということを言われたりすることになったと私は思うのですよ。
一体この十六条をどのように解釈されておるか、これはひとつこの際武藤さん話してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/114
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115・武藤謙二郎
○武藤政府委員 十六条でございますが、「予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。
前項の協定をしたときは、」先生おっしゃられるのは、このしたときのことだと思います。「したときは、政府は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」そのときにもし国会で、これはその前に仲裁のときに例がございますけれども、施行をずらせるとかなんとか国会できまりますと、それに応じて必要な補正予算を出す、そういうことをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/115
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116・山田耻目
○山田(耻)委員 それなら、仲裁が出ました場合、もちろん仲裁の金額は予算上、資金上こえておりますからね、その場合の手続は十六条に基づけと書いてあるでしょう。十六条に基づくなら、団体交渉の協約を締結したと同じ手続を経るわけでしょう。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/116
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117・武藤謙二郎
○武藤政府委員 仲裁のほうは三十五条に書いてございまして「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」この書き方は調停と違っておるわけでございます。「ただし、公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」ということで、先ほどと同じように国会に議決案件を出しまして、その結果によっては、あるいは補正を出す、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/117
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118・山田耻目
○山田(耻)委員 そうなりますと、調停の段階で——いま堀先生の話が進んでおるのですが、調停の段階というのは、そこで労使双方がまとまりますと、調停の段階からはずれて、労使双方で労働協約を締結するわけですね。それを十六条ではさしておるわけです。これが資金上、予算上をこえて締結した場合においては、国会の承認を経なければそれはだめですよ。ところが、仲裁も、資金上、予算上こえて仲裁裁定が出たときには十六条に基づいて手続を経なさい。——だから、調停の段階で協定書を締結したその効力も、仲裁裁定を経てその結論が出た効力も、資金上、予算上こえておるときには国会の承認を経る手続を経ることになっておるわけです。同じことができるようになっているのです。だから、調停の段階ではいけませんということは、私はあなた方の一方的な理解のしかたじゃないかという気がしますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/118
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119・武藤謙二郎
○武藤政府委員 一つだけはっきり違うところがございますのは、給与総額のところだけが、仲裁裁定が出れば国会に対して何も手続をとらぬでも実行できますが、調停では、給与総額のところは、先ほど来御説明いたしておりますような手続をとらないとできないことになっております。
ですから、予算上、資金上と一般的に申しますと、条文をごらんになりますとわかりますように、非常に、同じじゃないかという印象を受けられると思いますが、給与総額の制限というところだけは違うわけでございます。仲裁と調停とが違う、あるいは団体協約と仲裁とが違う、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/119
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120・山田耻目
○山田(耻)委員 その給与総額の一つの効力と、それから公労法の十六条でいっていること、八条でいっていること、これは明らかに、労使関係は、団体交渉権というのは非常に大事にしなさい、よく相談をして、できるだけけんかをせぬように、国民に迷惑をかけないようによく話し合いできめていきなさいよということで八条でやっておるわけですから、それが、一つの結論を経たものが、賃金関係では給与総額をこえるのはわかり切っておることですから、わかり切った、こえた金額で協定を結んだときには十六条の手続によって国会の承認を経なさいよとなっておる。これがスムーズにやられておったら、私は、今日の公労協関係の労使関係はうんと変わってきて、民主的なものになっていると思うのですよ。それもできるのですよ。やっていけないということはないのです。それを、何でもかんでもストレートに仲裁にいくものですからいろいろと混乱が起こってきておる。
ですから、ことしの場合は、この調停段階でひとつまとまって労働協約を結んで、十六条の定めに従って国会の承認を経る、こういうふうに進めることをあなた方が妨害するようなことをしてはいけないと私は思うのです。法律上できるのですから、それを妨害しますと、団交権否認ということになりますからね。
だから、やはり団体交渉で調停の段階でまとまって協定を結んで、労使双方責任を負ってもらって、争いを起こさぬように責任を負ってもらって、十六条の承認手続を経てもらうように指導するのが、近代国家における民主的な労働運動のあり方だと思いますから、そういうふうにひとつ大蔵省も指導していただくことが私は大切だと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/120
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121・水田三喜男
○水田国務大臣 要するに、調停までは、予算上、資金上可能であるなら、当事者が十分に相談でやれる。しかし、給与総額をこえてやろうとすれば、いま言ったような法律的な制限があるということでございますので、いまの法制からいったら、事実上は、もう最低両方とも追い込まれなければ実際には解決しないというようなたてまえになっているので、これが私は問題であって、そうしないでいく方法がこれから考えられやせぬかというのが、また皆さん方の問題であって、研究すべき問題だと思うのですが、いまのたてまえでは、予算総則できめられた給与総額の中において解決するのならこれはできますが、そうでない解決というものは、たとえ仲裁の場合と同じだといっても、私は違うので、予算上、資金上不可能だというものを、経営者のほうでかってにきめるということは簡単にできないので、やはりいまの法制がある以上、公企業体のこれだけの制限がある以上は、これは調停できめるということはたいへんむずかしいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/121
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122・堀昌雄
○堀委員 ちょっと国鉄副総裁に伺いますが、そうすると、昭和四十二年度の給与総額というのは、ベースアップの原資が入っておるのですか。どうなっておるのですか。そこのところをちょっとはっきりしてください。幾らのベースアップの原資が入っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/122
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123・磯崎叡
○磯崎説明員 ベースアップの原資は全然入っておりません。これは毎年の例でございます。
ただし、いわゆる定員と現在員に若干の差がございます。これは各省でもそうでございます。その分でいわゆる定員に対する給与総額というふうになっておるわけでございますから、現実の給与総額とは少し違っておりますけれども、とてもベースアップの余地などのある給与総額ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/123
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124・堀昌雄
○堀委員 そうすると、給与総額をきめるときに、これだけ物価が上っておるときに仲裁によらなければ動かせないような給与総額を組んでおる政府のほうに問題があるじゃありませんか。これは裏返して言ったら、仲裁以外に何もないことにしておいて、そうして給与総額にはベースアップがゼロで、物価が五%も六%も上がっておるときに、そんなことで済むような予算を組んでおる政府がおかしいのじゃないか。
どうですか、大蔵大臣、これはゼロなら問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/124
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125・水田三喜男
○水田国務大臣 御承知のように、一昨年のいわゆる政府関係次官会議できまったことは、この問題を解決するためには、公企業制度全体の問題をここで広範に研究をしなければ結論はでない、だから、ILOできめられておる公務員制度審議会でこれを検討する、それまでは現行制度を合理的に活用していくよりほかないということになっておりますので、当面の問題としては、現行法をどううまく活用するかということが……。(「うまく活用されていないじゃないか」と呼ぶ者あり)だから私は、そういう点から見ますと、現行法では、実際に調停段階で片づくような仕組みになっていないのじゃないかと考えておりますので、改善の問題は、その点にも今後あろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/125
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126・堀昌雄
○堀委員 私は、いま政府がそこまではっきり、仲裁でなければ給与総額を動かせないことを百も承知しておって、一円たりともベースアップの原資を組んでいないというのは、それじゃ政治的責任があるのじゃないかと思うが、どうですか。
公労法というものは、やはり団体交渉権を認め、調停という問題を認めておる。片方の法律の側面が認めておって、片一方で仲裁でなければだめだというのは、——金額はいいですよ。それがたとえ三%であろうと二%であろうとやむを得ない。これはやむを得ないけれども、それが組まれておるのなら、これは問題は別だ。全然組んでいないというのは、政府の責任ですよ。そんなばかなこと——それで仲裁でなければだめだといったら、一体何をやらしておるのですか。団体交渉をやらして、それから調停をやらしておるというなんて、これほど人間を——それは公共企業体の経営者に対しても、労働者に対しても、そんな子供だましのような、サル芝居のようなことを毎年やらせるような政府の責任というのはどうなるのですか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/126
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127・水田三喜男
○水田国務大臣 これは一般公務員のほうも同じでございますが、定期昇給の原資というものは、これは当然見込んでおりますが、そのほかに、今年度はこういう勧告があるだろうというような見込みをつけた予算をあらかじめ盛っておくということはなかなかむずかしい問題であって、一般会計においてもそういうことをしていないと同じように、やはり公企業体もその余裕を見ておくということは、実際問題としてはなかなかむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/127
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128・堀昌雄
○堀委員 国家公務員と公労法の場合とは全然違うでしょう。国家公務員が団体交渉をできるのですか、国家公務員に調停というのはあるのですか、国家公務員は労働協約を結べるのですか、違うでしょう。国家公務員についても、少なくともあなた方が政府として経済見通しを書く以上、物価は四・五%上昇するのなら、それに見合う部分くらいのものは当初予算に組むのが政府の責任だと私は思うのです。それも組まないでおいて、ゼロにしておいて、そうして補正予算のところにいって、財源がないから、ともかく九月実施でなければだめです、こう言う。私は、財源は必ずある、こう言ってきたが、ないないと突っぱねてきて、どうなんですか。昭和四十一年度の自然増収というのは、私が言ったよりはるかに上回ったじゃないですか。それほど見通しも立たない大蔵省なんですか。だから、少なくともいま私が当委員会で言ってきたことは私のほうに筋がありますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/128
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129・武藤謙二郎
○武藤政府委員 公務員もそれから公共企業体もベースアップの分は見込んでないことは同じでございますが、それじゃ、全然同じじゃないかというお話がございますが、全然同じではございませんで、先ほどのように、公共企業体の場合には、仲裁裁定があればそれで給与総額が動かせる、そういうことになっております。人事院勧告のほうは別でございまして、勧告があっても、法律を出さないと給与は変わらない、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/129
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130・堀昌雄
○堀委員 それは法律的に言えばあなたの言うとおりです。しかし、たてまえは違うのですよ。
たてまえは、国家公務員というものは、人事院の勧告だけで処置することになっているわけです。片方は、ともかく団体交渉をし、労働協約が結べて、調停という段階があり、仲裁の段階もあるわけです。そういう段階を、はなから、ともかく仲裁しかできないというふうにわかっているのなら——それは大蔵省ははっきりわかってそう理解しているわけだから、そう理解しておいて、それでゼロだということは、仲裁以外には何もないということじゃないですか。一円も上がらないということじゃないですか。さっき労働大臣は何と言ったですか。ともかく、常識的、良識的な金額が出るのは当然だと言っているじゃないですか。政府部内でそれだけ違うのですか。大蔵大臣、あなたのほうはゼロでいいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/130
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131・水田三喜男
○水田国務大臣 ゼロでいいとは言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/131
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132・堀昌雄
○堀委員 それじゃ、ゼロでよくなければ、仲裁以外にはふやす方法はないと言うのでしょう。
それじゃあなたは政府の大臣として公労法は完全に無視をして——要するに、ゼロではよくない。ゼロでよくないというなら、仲裁だと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/132
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133・水田三喜男
○水田国務大臣 調停段階において話がきまり得るものであったら、きめられる道はあるのですから、国会の補正によってやれるという道はあるのですが、これは両方の意見が妥結しなければ、仲裁になる前の調停でこれができないということで、事実上は仲裁に追い込められているというのがいままでの実情だと思います。両方で話がきまれば、調停の段階できめられる道はりっぱにあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/133
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134・堀昌雄
○堀委員 調停できまれば、給与総額を上回った額がきまってもいいわけですね。
それじゃ大蔵大臣、労使双方で調停段階でまとまれば、給与総額をこえた額が出たとしてもいいんですね。補正すればいいん、だから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/134
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135・水田三喜男
○水田国務大臣 だから、それは公共企業体の判断の問題でございまして、なかなかそういう判断ができないのが過去の実情だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/135
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136・堀昌雄
○堀委員 わかりました。
それでは、公共企業体のほうが判断をすれば、労使間で話がついたときに、給与総額がふえても、それは大蔵省としてはかまいません、ただし、それは当然補正予算になりますから、あとで補正予算を組みます、と、これでいいですね、大蔵大臣。(「そのとおりと答えればいいんだ、十六条はそれを書いておるんだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/136
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137・武藤謙二郎
○武藤政府委員 先ほどから法律の話が出ておりますので、私から申し上げます。十六条には、いまおっしゃったような協定も、政府を拘束するものではない、こう書いてあるわけです。それから、国会によって所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない四そこで、前項の協定をしたときにはどうするかということが次に書いてありますけれども、したがって、仲裁とは別な書き方をしておりますから、こういう条文の趣旨に沿って公共企業体としてどうするかということを第一次的に判断する、そこで、公共企業体のその判断の結果によって、また政府としてどうするかということを判断する、そういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/137
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138・堀昌雄
○堀委員 だから、私の言っていることは、べらぼうな額を調停で出しなさいなんて一言も言ってないのですよ。
どうせ仲裁で出る額というのは、ある段階にくればきまっているわけだから、それがもし調停段階で出たとするならば、要するに、形式は調停という形式ですが、中身は仲裁と同じことなんだ。それが仲裁で出ようと調停で出ようと、補正を組むということになるときは同じように補正を組まなければならないし、補正を組まないで済むのなら、そのようにすればいいのだし、だから、そこのところは、私は中身のことを言って、形式のことを言っているわけじゃないのだから、それができる道があるのなら、そうしたらどうか、そのことが国民にも迷惑をかけることなく、みんなが損しないでいける道だ、それが政治というものではないのかと、去年から何べんも言っている。
だから、いま大蔵大臣が答弁したように、それがどうしてもだめだというのなら、私は政府は重大な責任があると言うのですよ。それができないような仕組みにしておいてサル芝居的なことを毎年やらせるのはひどいということになる。それは事務当局は事務当局の意見があろうけれども、大蔵大臣としてこれを政治的に処理する道はあるのじゃないですかと聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/138
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139・水田三喜男
○水田国務大臣 いま言ったように、処理できる道がふさがっているわけではございませんが、過去の例から見ましても、なかなか公企業側の判断においても、調停段階でそういう妥結ができるという例がいままでないということ自身は、これが実際においては、公企業の判断でその段階ではいままできめられなかったということで、あなたのおっしゃられるのは、事実上は裁定できまるのがあらかじめわかるのだから、やってもいいじゃないかというのですが、そこまでの話し合いがついてきておった例はあまりないということだろうと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/139
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140・堀昌雄
○堀委員 だから、これをことしやってみようと言っておるのですよ。
いいですか。あなたのような言い方をしていたら永久に何もできないわけです。過去にこうだったから、ことしもこうだといえば、できないわけです。だから、それを打開することが、国民のためになることではないのか。政治というものは、国民のためにあるのです。何も国のためにだけあるわけじゃないし、国の会計のためにだけあるわけじゃない、国有鉄道のためにだけあるわけでもない、国民のためにあるのだから、国民に迷惑をかけないような道が検討されるなら、過去にこだわらずに一それは労働者側もそれだけの自覚を持ってやってもらわなければいけません。それはいまお話のように、一万円だということでどうしても動かなければこれはどうにもならぬことです。だから、そこにはおのずから良識的な範囲というものに話し合いが煮詰まってきて、それが当然仲裁でも出るということになるのならそれを考えるのが政府の責任じゃないかと私は思う。
だから大蔵大臣、あなたの答弁をずっと聞いていると、えらいいいほうへくるかと思うと、武藤君が法律的な話をするとまた逆戻りをしたりしているわけだ。あなたも政治家だからやはり政治的な判断というものがあっていいと思う。私が本日国鉄の経理問題を含めてやっているのは、何も私は春闘の問題だけをここでやっているわけじゃないわけで、やはりいまの日本のそういう仕組み全体の中で、政府は政府として考えるべきことをよく考えてもらわないと、そのひずみがいろいろなと
ころへいって、その結果、被害を受けるのは国民だなんということは困るから、その関係にある者は、こまかい現状分析の上に、そういう構造変化なりいろいろな問題を十分分析の上、しかし合理的な解決をする、そのことは給与についても同じ
ではないか、こういうことを言っているわけです。
これは幾らやってもここから前に進まぬと思いますから——国鉄側も仲裁へ持っていけば一番簡単だなんて安易なことをやるなら、国民のためにならぬですよ。あなた方だってストライキが起きて列車ががたがたするのはいいとは思っていないでしょう。そういうことが起きれば、それによって国鉄も被害を受けるか知らぬが、一番被害を受けるのは国民なんですよ。国民が迷惑を受けないようにするためには、仲裁へ持っていく前に何とか調停段階で解決する、そういう姿勢で大蔵省も話してもらいたいし、大蔵省もそういう真意のあるところについては、当事者側がそう考えるんなら自分たちも協力しよう——そういうところから政治というものが発展するのだから、過去にやってきたとおりをやっていればいいなんて、それじゃ政治なんて不在ですよ。
そういうことで、これは何回でもまたやりますからね。次の委員会も、ひとつ法案審議は当分お預けで、もう一ぺんこれをやらせてもらいますから、その間十分皆さんの御検討をお願いしておきます。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/140
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141・内田常雄
○内田委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後四時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00719670419/141
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