1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月九日(火曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 藤井 勝志君 理事 三池 信君
理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 武藤 山治君
理事 春日 一幸君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 鯨岡 兵輔君
小宮山重四郎君 河野 洋平君
砂田 重民君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 山中 貞則君
渡辺美智雄君 阿部 助哉君
只松 祐治君 野口 忠夫君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
柳田 秀一君 横山 利秋君
竹本 孫一君 永末 英一君
田中 昭二君 広沢 直樹君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省関税局長
事務代理 細見 卓君
農林省園芸局長 八塚 陽介君
通商産業省通商
局長事務代理 原田 明君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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五月九日
委員鈴切康雄君辞任につき、その補欠として広
沢直樹君が議長の指名で委員に選任された。
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五月九日
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/1
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002・平林剛
○平林委員 きょうは私は、関税法の改正案の中でバナナ関税の問題についてお尋ねをしたいと思っておりますが、その前に、園芸局長が見えるまで、もう一つの問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
それは重要機械類の免税の延長の問題についてです。
ことしの五月三十一日に適用期限が到来する重要機械類の免税につきましては、この法律案によりまして本年度末まで延長することになっておるわけでございます。この問題については本委員会でもしばしば取り上げられたことがありますけれども、きょう、私あらためて重要機械類とは一体何ぞやという問題について、少し当局のほうの御説明を聞かしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/2
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003・細見卓
○細見政府委員 重要機械で考えておりますのは、暫定措置法二条で取り上げておる重要機械でございますが、これはわが国の産業の近代化に不可欠のものであって、しかも、国産困難なものという条件で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/3
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004・平林剛
○平林委員 いまお話しになりました産業の近代化に必要なものであって、かつ、国産不可能なものというのは、つながっているのでしょうか。要するに、並列なのか。たとえば、国産不可能でなくとも、産業の近代化に資するものというならば重要機械類の指定に入るのでしょうか。そこの辺は一体どうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/4
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005・細見卓
○細見政府委員 それは両方合わせて考えまして、したがいまして、いかに近代化に役立つものでありましても、国産可能なものはこれの扱いにはいたしませんで、国産困難だということと、あわせ二つの性質を持っているものに限っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/5
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006・平林剛
○平林委員 この認定はどういうふうにして実際上おやりになっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/6
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007・細見卓
○細見政府委員 それぞれその機械を所管しておられます産業官庁がございまして、具体的に申しますと、一般の製造業及び鉱山業でございますと通産省、それから土木機械等がございますとこれは建設省、それから医薬品などにつきまして特殊なものがございますとそれは厚生省というふうに、まだ運輸省等もございまして、それぞれその所管しておられまする産業の近代化に重要な機械が、それぞれの所管官庁の窓口で一たん審査を受けられて、それぞれの所管庁において、これは免税の特例に浴すべきものだというふうにお考えになったものについて御相談をして、協議の結果、政令にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/7
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008・平林剛
○平林委員 その場合、たとえば、製造関係のものであれば通産省、土木関係であれば建設省ということで審査を受けて、その主務大臣で認定をするのですか、それとも、最終的に合議する機関というものがあって、そこでまとまったものをやるという仕組みになっているのでしょうか。私は、それぞれこれは、やはり自分の所管になりますと、我田引水とまではいかなくても、いろいろな事情がございますから、どうしても甘くなりがちだと思うのです。こうした各省がかってにそういうことをやりますと、またそのワクの縮小というようなことも困難であろうし、あるいは、いま大ざっぱに産業の近代化並びに国産不可能というようなことになりましても、いろんな理由がつきまして、拡大して適用されるおそれがあるのではないかと心配をするものですから、最終的けじめはどこでつけているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/8
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009・細見卓
○細見政府委員 大体、機種を変更いたしますようなものには、それぞれの省から申請がございまして、最終的には政令という形で告示いたしますので、その意味におきまして、各省で最終的には政令をきめる段階で合議という形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/9
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010・平林剛
○平林委員 そうすると、各省でいろいろ審査をされたものが合議をされる、そうして、合議をされて、よいときまったものが政令で定められるということになりますと、従来どういう状況にあったのでしょうか。たとえば、こうした問題は重要機械として指定してもらいたいという申請がありますね。それを各省の間で精査して、これはだめだ、これはよろしいといくものがございましょう。その割合はどうなっておるのか、各省間にもしわかれば、それをお聞かせ願いたい。
それからもう一つ、第二段階になりまして、各省でよろしいということになりまして審査を通過いたしましても、合議の際に、これは適当でないのではないかということで、はねられるものがあるのかないのか、その二つの経過措置の中の状況について御説明をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/10
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011・細見卓
○細見政府委員 実は、各省段階で落ちておりますのは各省でわれわれのところとの折衝に持ってこられませんので、各省の状況について、もし御必要でございますれば申し上げますが、現在われわれの手元ではわかっておりません。ただ、私どものほうで審査をいたします場合には、これは全部通すというようなことでございませんので、あるときには三分の一になり、あるときには半分くらいが落ちることもございますが、それは一にそのとき出てまいりました機械によることでございますので、申し上げられることは、全部うのみにするというようなことでなくて、かなり時日をかけまして審査をいたしておるということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/11
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012・平林剛
○平林委員 統計はとってないのでしょうか。たとえば、こういうものを審査するときは、たとえば一年の間のいつの時期に行なわれるか、あるいはまた、それは一回なのか、二回なのか、そのつどなのか、そしてまた、年間の統計は、いまのお話ですと、政令を出すまでの間にはある場合には二分の一、ある場合には三分の一ということになりますと、かなり大ざっぱに出てきているということがうかがえるわけです。そういうことから考えますと、個々の合議の段階というものはきわめて重要に考えていかなければなりませんので、やはり統計をとっていただきたいと私は思うのですが、統計の数字があれば、お知らせを願いたいと思います。
〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/12
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013・細見卓
○細見政府委員 ただいま手元に総統計は持ってまいっておりませんが、非公式のものでございましたら、後日整えまして提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/13
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014・平林剛
○平林委員 後日でけっこうですから、提出をしていただきたいと思います。
私は、この重要機械類とは何ぞやという解釈につきましては、いまお話がありましたように、民間においてこれはひとつこの条項に認定してもらいたいという請求のあるものが、おそらく各省においても取捨選択をされて、審査の結果、合議の段階に持ち込まれる。しかし、その段階でも相当程度がこれは適当でないということになりますと、この認定につきましては、かなり私は、今後といえども注意をしていってもらわねばならないと思うのです。そこで、どういう状況であるか知りたかったわけですが、後日でけっこうですから、資料をいただきたいと思います。
さて、そこで、いわゆる重要機械類の輸入の総額と免税額は、大体どのくらいになっていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/14
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015・細見卓
○細見政府委員 昭和三十四年度からの数字を申し上げてみますと、政令別表第一と告示の合計で申し上げますと、五百三十四億円が三十四年度の輸入額でございまして、免税額が八十二億円になっております。それから、三十五年度が五百八十億円の輸入額でございまして、免税額が八十八億円、三十六年度が四百四十億円の輸入額でございまして、免税額が六十八億円、三十七年度が、輸入額が四百三十五億円で、免税額が六十七億円、三十八年度が五百九十一億円の輸入額でありまして、免税額が九十億円、三十九年度が、輸入額が三百九十六億円で、免税額が六十億円、四十年度が、輸入額が二百二十三億円でありまして、免税額が三十三億円、それから四十一年度、これは見込みでございますが、輸入額が百四十億円で、免税額が二十二億円、ごらんになるように著減いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/15
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016・平林剛
○平林委員 このいわゆる重要機械類の輸入が最近総体的に少なくなって、したがって免税額も、三十四年当時は八十二億円あったものが、昭和四十一年度見込みにおきまして二十二億円と、大体四分の一に低下をしてきたということは、私は、やはり、これに関するいろいろな審査がかなり厳密になったことと、もう一つは、わが国の産業界においてこうした機械類の国産化ができてきたということでございまして、これからも減少する傾向には向かうであろうと感ずるわけでございますけれども、私、この問題を考えておりまして、一体、重要機械類と銘を打ち、そうして基本税率を掲げておいて、一定の期間に限って免税にしていくということは、もしどうしてもこれが必要であるならば、初めから免税にしておいて、一々基本税率をきめておいて、延長をするなんというめんどうなことをしなくてもよさそうなものなんですけれども、これは免税にするのがほんとうなのか、基本税率をかけるのがほんとうなのかというようなことは、良心的に考えると、一体どっちがほんとうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/16
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017・細見卓
○細見政府委員 非常にむずかしい質問なんでございますが、それは、理想といたしましては、日本の工業の近代化に必要な機械が全部日本で国産できるというのが理想でございます。しかし、御案内のように日進月歩の技術革新時代でございますので、日本の産業では予期もしておらなかったいろんな分野での技術革新が行なわれておるというようなことになりますと、どうしても輸入機械にたよらざるを得ないということがあるわけです。
そういうわけで、これを、おっしゃるように、法律にきめておいて、それでやったらどうかというお話でございますが、どのような分野で新しい技術革新が行なわれるかというのは実はよくわからない、予期できないというようなこともございまして、半年ごとに見直して、そのつど、当時の日本の工業技術水準などを考えまして、あるいは製造水準などを考えまして、そこで審査いたしておる、その場合、これはぜひ申し上げておかなければならないことなんでありますが、国産機械のメーカーとしましては、できることなら、新しい技術、新しい機械にいどんで自分でやってみたいということを強く申してまいります。したがいまして、これは主として通産省になろうかと思いますが、通産省においては、そちら側からの、おれたちでできるものをなぜそういう無税で輸入をさすのかというプレッシャーもありまして、その辺の調整が行なわれて、その間、審査ももちろん丁寧にいたしておりますが、そういうことでこういうことになって、先ほど平林先生おっしゃるように、日本の技術水準の向上というものがこの現象につながっている重要な一因であることは間違いない事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/17
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018・平林剛
○平林委員 私は、この重要機械類というものを初めから免税にせよという主張をしておるのではございません。この重要機械類を免税にすることが妥当なりやいなや。たとえば、同じ重要機械類でも、合理化といいましても、それが利潤を目的とするものである場合もありましょう。その機械を輸入することによって、非常に生産コストが下がって企業の利益につながるものもあるとすれば、基本税率がきまっているならば、やはり本来基本税率を課すべきものであって、軽々に免税にするということはどうか。これが利益につながらない、ほんとうに研究的なもので、わが国の産業の発展に、だれが見ても社会的に、公共的によいものであるならば話は別ですけれども、やはりそういう区分けは厳格にやっていってもらいたいということを強調したいので申し上げたわけなのでありまして、これは初めから免税にせよ、こう言うわけではございません。
しかし、いずれにいたしましても、今後も漸次縮小傾向になっていくだろうという私の観測は間違っていないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/18
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019・細見卓
○細見政府委員 一がいに予断はできないことでございますが、方向としましては、平林委員のおっしゃる方向に向かうだろうと思います。
なぜこういう重要機械類を免税にしてまで輸入をするのかと申しますと、それの見返りとしまして、大体こういう機械は、原則として一号を重要機械として免税で輸入いたしまして、その機械を公開させまして、そして国産メーカーに、それを刺激として二号機以降は国産でつくらせるというようなやり方を現実的にとっておりますので、大体減っていく方向だとは思いますが、外国のほうは非常に技術が進歩してきて、とても追っつかぬということになり、どうしても緊急に投資をしなければならないという場合には逆のことも起こり得るかと思いますので、そこのところは予測のことで、ちょっと申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/19
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020・平林剛
○平林委員 途中で園芸局長が戻ってくるでしょうから、重要機械類はこの程度にしまして、バナナの関税につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。
最初に、バナナの関税を、初めの年に五%、二年後に一〇%、現行の七〇%を六〇%に引き下げていくという政府の提案につきまして、消費者の立場からこれを考えてみたい、こう思うのであります。このバナナの関税が引き下げられることによりまして、消費者価格というものはどういうふうに変化していくであろうか、つまり、七〇%の関税がかけられておるために、国民は割合と高いバナナを食わせられている、この関税引き下げによってバナナの消費者価格が安くなるのだろうか、消費者としては、そうした問題について関心を持つことは当然だと思うのであります。
そこで、このバナナの関税が引き下げられることにより、消費者価格は、それでは同じように低くなって、消費者はこれによって安いバナナを食えるかどうかという問題が、私がきょう最初に取り上げてみたい問題なんであります。
この結論に行く前に、まず、バナナの輸入量につきまして政府から一応説明をしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/20
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021・細見卓
○細見政府委員 三十八年からの数字を申し上げます。
最初に台湾ものを申し上げます。三十八年が五万一千六百十七トン、三十九年が十八万六千九百九トン、四十年が三十一万五千二百九十トン、それから四十一年が三十三万六千六百五十五トンとなりまして、合計で申し上げますと、エクアドルその他が加わりまして、三十八年が二十五万五千六百四十八トン、三十九年が三十五万一千八百四十七トン、四十年が三十五万七千六百十三トン、四十一年が四十一万六千二百四十六トン、エクアドルものがそれぞれ若干入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/21
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022・平林剛
○平林委員 バナナの輸入量、それから台湾ものの御説明をいただきました。これは、またあとで私繰り返して、この問題に関連をして最初のテーマに基づいてお尋ねしていきますが、一応承っておきます。
その次に、バナナの輸入に伴う関税収入は、これに七〇%をかければわかるのですけれども、いまお話しになったのは昭和三十八年からですから、昭和三十八年以降バナナの輸入に伴う関税収入は幾らであったかということをちょっと御説明願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/22
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023・細見卓
○細見政府委員 申し上げます。
三十八年が百五億五千九百万円、三十九年が百三十七億三千一百万円、四十年が百五十八億五千五百万円、四十一年度はちょっとわかりませんが、百五十億円を上回る数字になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/23
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024・平林剛
○平林委員 昭和三十八年が百五億円、三十九年が百三十七億円、四十年が百五十八億円、四十一年が百五十億円を上回る。
そうすると、今回のバナナの関税引き下げによる関税収入の減少はどういうふうになりますか。これも五%、一〇%をかければわかるのだけれども、もう一度ひとつ念のために聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/24
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025・細見卓
○細見政府委員 先般、たしか平年度十四億円、初年度四億円と申し上げておりましたが、若干精査いたしますと、平年度が十三億五千万円であり、初年度が四億円前後ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/25
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026・平林剛
○平林委員 五%引き下げることによりまして、平年度十四億円、初年度約四億円、こういう関税収入の減少になるわけですね。
そうすると、五%、あるいは二年後には一〇%引き下げられることになりまして、これだけの関税が、結局輸入業者のほうとしてはまずかからないで済むわけでございますから、その分がそのまま消費者に行く。これは、この間のいろいろこまかい御説明で必ずしもそうはならないと思いますけれども、しかし、浜相場あるいは加工業者、小売り、消費者、こういう段階を行く中におきまして、多少は、消費者にこの結果こうなりますというようなめどというものはついておるのでしょうか。この点、私は、消費者にはどういう影響を与、えるか、いまお話しになったようなことを前提にして御見解を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/26
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027・細見卓
○細見政府委員 これは御承知のように公定価格でございませんので、いろいろな要素が働いて価格がきまることになりますから一がいに予測することはむずかしいかと思いますが、たまたま手元に四十年と四十一年におきまする推移がございますので申し上げますと、先生御案内のように、このときにちょうど台湾ものが一ドル価格が下がりましたときの結果が出ておるわけですが、これによりますと、一ドル下がりまして、四十年度がキログラム当たり六十一円であったものが、四十一年には五十六円になっております。それが消費者に参りますと、二百十七円であったものが二百九円と、いわば輸入価格と消費者価格の差額というものが関税を込めました中間利潤であるわけですが、この間関税は動いておりませんので、それが即中間流通業者の手元に残ったとお考え願って、その消費者価格から輸入価格を差し引きますと、四十年が百十三円、四十一年が百十三円、あまりにもぴったりしておりまして、つくった数字じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、これは実際にありました数字がたまたまこうなっておりまして、さらに年度で見てまいりますとこの傾向はさらに顕著になりまして、同じように輸入価格が、これはほかのものも入っておりまして、エクアドルものも入っておりますので、先ほどは六十一円と申し上げましたが、年度で見ますと六十円になっておりますが、これが消費者価格は二百十八円であり、その差額は百十六円、それが四十一年度になりますと、五十六円の輸入価格に対して消費者価格が二百八円と、その差額は百十三円、むしろ中間的なコストその他は減っておるという形に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/27
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028・平林剛
○平林委員 私は、関税が引き下げになりましても、浜相場の現況、いまお話がありましたが、長期的に見ますと、そのときのバナナの輸入量の増減によって変動しておる。つまりバナナの輸入が非常にふえたときは浜相場も下がる。それは中間のマージンの取り方によっても変わってくるでしょうけれども、大体バナナの輸入量の増減によって価格の変動が起こり、そうしてまた、消費者にもそのはね返り、おこぼれといいますかがいく、そういうことは、逆に言えば、操作をすれば——これは人為的な操作もあるだろうし、やむを得ないところの輸入量の増減もあるだろうけれども、操作によってもバナナの価格の変動はあり得る。バナナ価格というものはそういうものである。で、長期的に見ますと、私は、今度の関税引き下げによりましても消費者価格にはあまり影響がないというふうに感ずるのですけれども、逆に言えば、関税の引き下げで関税収入の減があるということはこれは間違いない事実だ。それから、関税率が低下をすることによりましてバナナの輸入量はある程度ふえるだろう、ふえる傾向になるだろう、こういう感じはいたします。その次に、現在の輸入業界の現状から見まして、この間からも御説明がありましたような輸入業界の現状から見ましても、私は、主としてそれらの業者の利潤が増加をするということの結果に終わらないか、そうして、その陰で消費者価格には影響がないということになりはしないか、こう思うのですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/28
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029・細見卓
○細見政府委員 もちろん、価格のことでございますから、特に生鮮品の価格のことでございますから、輸入量に応じまして価格が変動することは事実でございます。しかし、先ほども数字で申し上げましたように、四十年、四十一年を見まして、趨勢としてバナナは高い価格で云々することでなくて、趨勢的にやはり輸入価格の差がそのまま消費価格に出てきておるような、そういう輸入の勢いといいますか、国内需要に対する供給量がほぼ確保されておるようでありますので、そういう意味で下がっていくだろうということを趨勢的に申し上げたのと、それから第二点は、おっしゃるように、浜相場その他のところにおきまして人為的なことが行なわれては断じてならぬわけでございますので、その辺につきましては、たとえば、バナナの加工業者の地位を強化して、組合の一体化をはかるとか、そのほか適切な指導がそれぞれ農林省なりあるいは通産省なりで御指導願うことをもちろんお願いしなければならぬと思いますが、しかし、そういうことをお願いすればこの趨勢は維持できるのではないかと思います。
ただ、先ほど平林委員がおっしゃったように、輸入だけがふえることになるのじゃないかという点につきましては、台湾におきましては、生産量におのずから限度もございまして、このことによって急にそう輸入がふえるというようなことではなくて、むしろフィリピンとかあるいはエクアドル、そういったような後進国におきまして日本向けのバナナというようなものができてくることになってまいりますと、台湾の一種の独占的な地位が脅かされて、輸入価格その他については好影響が出てくるという方向は出ようかと思いますが、輸入量が著増するというようなことはないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/29
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030・平林剛
○平林委員 私が最初に取り上げたのは、消費者価格にどういう影響を与えるかという点でございまして、いま結論的に言うと、趨勢的には値下がりの傾向になるだろうということをお答えになったわけです。
しかし、いろいろこの問題について各党とも検討しておるわけでございますけれども、バナナ関税のこの程度の引き下げではほとんど流通段階で吸収されてしまって、消費者価格の引き下げにはならないという見方が非常に強いわけですね。私も、この現状をいろいろ調べてみますと、やはりそういうことになるのではないか。趨勢的には値下がりになるというようなことは、一体どの程度保証されるのか。いまお話によりますと、適切な指導をしなければいけないということですが、どんなことをおやりになるつもりなのか、ひとつ聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/30
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031・原田明
○原田政府委員 園芸局長がまだお見えになっておりませんので、私のほうから、考えましたところだけを御説明申し上げたいと思います。
確かに、先生御指摘のとおりに、趨勢的には輸入価格の値下がり、または関税の引き下げというものは消費価格の値下がりというものにつながるというふうに考えられます。ことに最近、昔と違いまして、供給が需要に比べてかなり潤沢になってまいりました。需要が非常に強いところに供給が非常に少ないという場合には、御指摘のように、輸入価格ないし関税が下がっても消費価格は下がりにくいという情勢があるかと思います。バナナもだいぶ輸入量がふえてまいりました。需要がフルに満たされたかどうかというところまでいっているかどうかは、必ずしも保証はしにくいかとも思いますが、もう少しふえればかなり余ってきて、値が下がる、輸入業者も損をするような情勢のところにきておるというように考えられております。
と申しますのは、昨年の十一月、現に輸入価格はあまり下がりませんのに、消費の需要が伸びませんで値下がりをいたしまして、輸入業者もかなり損をしたという状況が現実に起こったように聞いております。したがいまして、今後輸入が漸増をするというような状態のもとでは、やはりある程度関税を下げるというような状態が起これば、それはかなりの程度に消費価格が下がるということに反映をする情勢が熟成していくというように私どもも考えております。
ただ、この点につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますとおり、やはり輸入の段階とか、そういうところだけの操作では非常に困難という点もございます。まず、輸入業者が、加工業者、つまり室に入れまして熟成をする方々のところへ売るわけでございます。その加工業者が、さらに小売り業者を経て消費者に売っておるわけでございますので、そういう流通段階全体が合理化されていくという状態が並行して進む必要があるかと考えております。
この点につきまして、現在のところ一番問題となっておるように感じますのは、浜相場制度という問題でございますが、浜相場制度も、これはやはり商取引の実際のやり方を業者自体が合理化しようという努力の中から生まれた自然な制度でございまして、この制度があるためにきわめて円滑に取引が行なわれているという面もあるかと存じます。しかし、また他方におきまして、もし需要が非常に強くて供給がそれに足りないというような状態のもとでは、どうしても売るほうの立場が強くなりまして、買うほうの立場が弱くなって、高く売られる傾きがないではないということになろうかと存じます。
したがいまして、輸入業者のほうは幸い輸入組合という形で一本化された状態がほぼ実現しておりますので、この次には加工業者というものが全国的な組織として一体化いたしまして、輸入業者とか加工業者の団体がお互いに対等な立場で話し合いをして、あまり高く売られるという状態を防止するというような仕組みに持っていくのが適当ではないかというふうに考えております。
ただ問題は、これでもちろん終わるわけではございませんで、そういうふうにして合理的な価格で買いました加工業者、卸売り業者が、さらに小売り業者を通じて末端の消費者まで合理的な安い価格で売っていくという体制をつくらなければならないというふうに考えておりますが、これはくだもの屋さんはバナナだけ売っているというわけではございませんので、青果物全般の流通機構の合理化というむずかしい問題かと存じます。そういう問題をこれから農林省あたりでお進めになるものというふうに了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/31
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032・平林剛
○平林委員 私は、バナナの消費者価格につきましては、むしろ浜相場に一番問題があるという見方をとっておるわけでございまして、ここの近代化、合理化というものをはかっていく必要があるというように思うのでございます。
しかし、今回の場合、関税率引き下げによって消費者価格にはどういう影響があるかという点については、私はまだ非常にぼやっとしたものであって、趨勢的ということだけで、他の事情に影響されることが多い現状から見ますと、消費者はそんなに期待できない問題である。しかし、それにしても、これだけの関税収入の減を諸般の事情から行なうことになりますと、ある程度、どういう影響があるのかということは、消費者がこの法律をながめる場合にやはり一番関心を持つだろうと思うのです。
何か、話によりますと、この関税率を引き下げた時期にもよりますけれども、その時期に、浜相場についてはそれに見合ったようなことの措置をとらせるような行政指導、つまり、念書をとるというようなことをやるお考えがあるとかないとかいう話を聞きましたけれども、そんなお考えはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/32
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033・原田明
○原田政府委員 浜相場というものは、確かに世間の御批判をだいぶ浴びておるようでございます。私どももこの制度のあり方につきましては、農林省と御相談をいたしまして検討してまいっておるわけでございます。
現在の浜相場制度で問題になっております点は、委員があらかじめ業界の中から選定をされておりまして、これはバナナのことに関する専門家——、昔からやっていらっしゃる古い方々でございまして、知識、経験その他非常に優秀な方々でございます。しかし、だれでもなれるという制度にはどうもなっていないような傾きがございます。したがいまして、しろうとのだれでもなれるというのでは困りますが、少なくとも、商取引に関する知識、経験、熟練というものをお持ちの方々で、皆さんが御納得いただけるような方であるならばどなたでも委員になれるというような、公募制というようなものをとることが適当ではなかろうかということで、一部の浜相場制度につきましてはこの公募制をやろうということを、たしか決定されたところもあると聞いております。
それから、さらにはっきりいたしました方法は、こういう相対の商取引によって価格をきめるという制度ではございませんで、せり、入札というものによって、だれでも一定の価格さえ出せば手に入るという制度をとるというのが適当ではないかという考え方でございます。
この制度につきましてもなお検討中でございますが、バナナという青果物の特性から申しまして、浜にあげましてからせりをするのに一日、二日の時日をどうしても要するのであります。そうすると、腐らない前に一日でも早く店頭に飾って消費者に届けたいという要求が無視されることになりますので、実際問題としてはなかなか技術的にも解決が困難ではないかという問題も一つございます。それからまた、品物が不足の場合には、むしろせりをやるということによって値が上がってしまうという傾向もあるのではないか。浜相場制度というのは一種の標準価格みたいなものでございますので、その意味で、品不足の場合には、せりにするとかえって上がりはせぬか、したがって、今後、需給の関係を見た上で、やはり適当な時期に移行するにしても、しないと、問題がかえって逆効果を呈するのではないかというような問題もございますので、いまのところは、そういう問題全般を含めまして、こういう浜相場制度のあり方というものを検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/33
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034・平林剛
○平林委員 私、念書をとるとかとらないとかいうことがあるかないかということを聞いたのですけれども、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/34
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035・原田明
○原田政府委員 念書でございますが、これは、私ども先般今期の輸入の割り当てをいたしたわけでございます。そのときに、いままではそういうことをやっていなかったのでございますが、輸入業者が輸入の割り当てをもらいまして、その割り当ての利権の上に、まあいわばあぐらをかきまして、需要が強いならば幾らでも高く売る、加工業者の立場やまたは消費者の立場を考えないでやるという事態はもはや許されないと考えます。したがいまして、私どものほうから、輸入業者に対しまして、流通業者としての使命を自覚されて、合理的な値で販売をして、世間の非難を浴びないような方法をとっていただきたいという御要望を申し上げました。したがいまして、念書という形ではございませんが、明確な形での御要望を申し上げた次第でございます。ただ、これは、浜相場は幾らで売れというふうな明確な価格統制的な念書というものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/35
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036・平林剛
○平林委員 ただ、私は、バナナをめぐる問題については、いろいろ議会でも議論をされておりますだけに、関税引き下げの機会に、世間から批判をされるようなことが業界の中に起こらないように、それだけは行政指導をしっかりやってもらわなければならぬと考えておるわけでございまして、この点は、くどいようですけれども、念を私のほうからも押しておきたいと思うのです。
さて、そこで、園芸局長も見えられたようでありますから次の問題に移りますが、いま私がお話をしておりましたのは、バナナの関税の引き下げは、国内消費者価格にはあまり影響がない、あったとしても、長期的に見て趨勢的に値下がりになるだろうくらいのことしか言えない状況でございまして、その意味では、消費者としては、つまり一般の国民としてはあまり魅力がないバナナ関税の引き下げであるということが、私は結論的に言えるのではないかと思うのであります。
さて、そこで、そういうものであるならば、バナナ関税の引き下げが国内の果実にどういう影響を与えるかという立場からこの問題をとらえて考えていかなければならぬと思うのであります。
私は長野県に生まれましたので、やはりリンゴの問題につきましては、同じ長野県の者として関心が深い。私のいまの選挙区は神奈川県ですから、ミカンが非常に多い。そういう意味では、バナナ関税の引き下げが国内産果実にどういう影響を与えるかという問題は、非常に重大な関心を持っておるわけでございます。
そこで、この問題についていろいろと当局のほうのお考えを聞いてまいりたいと思うのでございまして、まず総括的に伺いますけれども、バナナの輸入が、先ほどの御説明によりますと、昭和三十八年が二十五万六千トン、三十九年が三十五万二千トン、四十年が三十五万八千トン、四十一年が四十一万六千トン、年を追うに従ってふえておるわけでございます。おそらく関税の引き下げは別な形において輸入量の増加を招くだろう。先ほどお話がございましたけれども、台湾ものはその生産量あるいは輸出量に限界がありますから、今日のような独占的な立場を確保することができないにいたしましても、フィリピン。エクアドルその他の方面から、関税の引き下げが好影響をもたらして輸入量の増加という面はある程度予想される、したがって、四十二年、四十三年と、次第にバナナの輸入量は増加していくだろうと私は見ておるわけでございます。そうなると、このバナナの輸入量の増加によりまして、国内果樹にどういう影響を与えるだろうか、総括的にあなたのほうの一お立場から見通しにつきまして聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/36
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037・八塚陽介
○八塚政府委員 バナナの輸入増加に伴う国内産果実に対する影響ということでございますが、これは一般的にバナナ、それから他の果実とのいわば代替関係というものがどうであろうかということについては、実は計数的な数字がないわけでございます。と申しますのは、自由化後間もないわけでございますので、十分なデータがとれない、したがって、価格、数量等との関係からそういう検討を計数的にと申しますか、式として出すのはなかなかむずかしいのでございます。もっとも、国によりましては、これはオランダについてある学者が出したわけでございますが、別に国としてどうこうという権威があるものと考えられないのでありますが、一つの計算としましては、バナナと国民所得の関係というものは非常に相関が深い、しかし、たとえば、一定の国民所得まで上がると、もうバナナの消費量は伸びないというようなことを言っておる人もあるわけでございますが、いずれにしましても、こういうものは、性質上、国民の嗜好と申しますか、そういうものが非常に関係が多いので、他の国の例を持ってきて直ちに日本の国に当てはめるわけにはいかない、といたしますと、ただいま申し上げましたように、自由化されてから比較的期間が短いものでございますから、代替関係を、直にどの程度影響があるというふうに算定するのはなかなかむずかしいのでございます。
ただ、常識的にいいまして、それでは影響がないかといえば、これはもう当然影響があるのであって、くだものを消費者が買おうという気持ちになった場合、これはどれを選ぶか、あるいはもっと広く、くだもの、あるいは菓子を買おうとした場合にどういう影響があるかということになれば、バナナというものが一つのアイテムとして入ってくれば、これは当然影響がある、そういうことでございます。
遺憾ながら、計数的には出てまいりませんが、ただ、そういうことになりますと、私どもといたしましては、やはり戦前の自由であった時代のパターンというものを、一応頭に置かざるを得ない、そういたしますと、昭和の初期と申しますか、戦前の台湾からのバナナの輸入量というのは、大体国内産のくだものの一〇%ないし一一%くらいで、ずっと推移をいたしておったわけでございます。したがいまして、もちろん、台湾についてはある程度のコントロールがきき、その他の諸国については自由化されておりますから、十分なコントロールというわけにはまいりませんけれども、ただいまお話しになりました約四十一万六千トンというのは、そのときの国内産の果実は四百五十二万三千トンという合計の中での四十一万六千トンということで、大体一〇%未満ということになっておるわけでございます。もちろん、戦前の、そういうバナナが一〇%程度を占めておった時期には、たとえばリンゴとミカンとのシェアも現在と違っておりますが、一般的に一〇%以内であるからほぼ戦前と同じ影響であろうといっても、果実の中では影響が違ってくるということも考えられる、それから、国内産果実に対する影響も、バナナだけではなくて、やはり、これは釈迦に説法でございますけれども、一般的に所得の伸びがかりに鈍化すれば影響が強くなりますし、それから、供給が非常に急激に多くなればバナナの影響というのが顕著になるということで、一義的に申し上げることはなかなかできないと思いますが、影響がないとも決して申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/37
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038・平林剛
○平林委員 バナナ関税の引き下げは国内果実にどういう影響を与えるかという答えとして、影響がないかというと、影響があるという程度のお話でございますけれども、いまの御説明は、確かに、私も政府の資料をいただいて検討してみますと、国内で消費する果実の消費に占める割合が、戦前九%であったものがいま八%ないし九%くらいであるから影響ないとは言いませんけれども、あまり影響ないというような印象を数字的には与えておることは事実でございます。
しかし私、別な資料でこの政府の資料などを検討さしてもらいますと、大体消費面で考えてみて、全都市一世帯当たりの果実の消費が、昭和三十五年に七千二百二十円あったわけであります。これが昭和四十年になりますと一万四千三百七円と、一世帯当たりの果実の消費は二倍にふえておる。したがって、この五年間の統計を見ますと、日本国民の傾向値としては、三十五年から比べますと約二倍にふえておる。ところが、それでは果実別に消費をしておる支出を、同じ政府の出した資料、統計で調べてみますと、バナナの消費量は、昭和三十五年に、大体全消費量を一〇〇とすれば一七・三%であったのが昭和四十年には三〇・九%に伸びておるわけであります。ところが、リンゴはどうかというと、昭和三十五年には二二・四%を占めておったのが四十年は一四・四%に激減をしておる。ナシとかカキとかブドウなどは、これは三十五年当時は三〇・八%であったのが四十年は二三・一%と、これまた減っておる。ミカンの場合は、三十五年、四十年、大体三〇%前後を横ばいをしておりますけれども、傾向的に見ますと、バナナの輸入量の増加、あるいはいろいろな最近の傾向から見まして、消費がふえるに伴いまして、リンゴあるいはナシ、カキ、ブドウの消費の占める分野というものは狭まっておる。これは国内果実は非常に圧迫を受けておるのではないか、そして、これは影響がないかと言われると、影響があると答える程度のものではないのじゃないか、こう思うのですけれども、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/38
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039・八塚陽介
○八塚政府委員 ちょっと、数字につきましては、あるいは少し聞き漏らしたと申しますか、聞き誤ったことがあったかと思いますが、確かに、一般的にリンゴは、たとえば支出割合の中では三十六年が二一・四%、それが四十年は一四・四%というふうになっており、ミカンはほぼ三一%で持ち合いになっておるのじゃないかと思います。それからバナナにつきましては——バナナだけということでは私の手元にございませんけれども、バナナを含んで——ミカン、リンゴそれからナツカンとかナシとかカキ、ブドウ、スイカを除いたその他の桃であるとかその他を含めて、その中に当然バナナが入っておるわけでございますが、三十六年では一八・五%、それから四十年では、バナナを一四・三%含みまして三〇%ということでふえておるわけでございます。ただ、これは先ほども申し上げましたように、私ども決して影響がないとは申しておりませんけれども、たとえばリンゴにつきましても、やはり五千五百七十八円から四十年は六千七十九円ということで、そういうふうにウエートは減っておりますが、絶対量としましては微増でございます。そういうことで、影響なしとは申しませんが、それはそれでふえております。
実は、私ども、昨年度末と申しますか、四十二年の三月三十一日に各果実についての今後の需要の見通しをやったわけでございます。この場合には、とりました期間の関係からいいまして、全部がバナナの自由化の影響が入っておるとは言いませんが、相当程度それがファクターとして入っておるくだものごとの需要の見通しというのを、それ自身でやってまいったわけでございます。そういたしますと、たとえばミカンについては、今後十年間で三十九年の約三倍近くになるのではないか、これは国民所得の伸びをどういうふうに見るかということによりますが、かりに八%の成長率であるというようなことにおきますと三倍になるだろう、リンゴにつきましては一五二%ぐらいではないだろうか。これはただいまも申しましたように、他のくだものの影響その他もいろいろ入っておると思いますが、一応、趨勢と、それから現在における国民所得各階層間における消費の相違ということのクロスセクションと、両方でくだものごとに計算をいたしたわけでございます。そういうことで、ものによりまして、それぞれ実は需要の伸びというものがございます。
そういう意味で、先ほども実は申し上げたのでございますが、全体としましては、バナナは約一割程度にとどまっておりますけれども、その中にあるくだものによっては、確かに需要の伸びの力というものは異なります。あるいは、それを規制する需給の状況というのが異なりますので、影響はそれぞれ区々であろうというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/39
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040・平林剛
○平林委員 私が先ほど示したのは、総理府の家計調査から見た消費量の趨勢でございまして、それから見ると、明らかに国内果実が消費の面においては圧迫をされているということなんです。大蔵省のほうからもらった資料ですと、あまり影響ないように見える。これはどこの資料とも書いてないからわかりませんけれども、非常に資料のとり方が違う。大蔵省の資料を見ると、三十六年と四十年の比較で見ていますし、私が取り上げたのは三十五年から四十年で、こんなに違うし、これは一体どれを信用していいかわからないのです。しかし、総理府統計のこの家計調査をもし信頼するとすれば、国内産果実は非常な圧迫を受けているということが明瞭に出ておるわけですね。大蔵省のほうのやつは、これは何ですか、どこの消費量の推移ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/40
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041・細見卓
○細見政府委員 数字のことでありますから申し上げます。
大蔵省のほうが出しましたのは平均全生産量でございまして、いま平林委員がおっしゃったのは、家計の中でなまの果実の消費という形になっておりますので、そこの食い違いだと思います。したがいまして、生産でございますから、輸出と加工品が大蔵省のほうの資料には入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/41
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042・平林剛
○平林委員 いずれにしても、私は、国内消費にどういう影響を与えるかという立場からいいますと、むしろ、この総理府統計の家計調査にあらわれた数字から見ますと、少なくとも、バナナその他の果実がふえるに従いまして、リンゴ、ナシ、カキ、ブドウあるいはミカン、それぞれが市場におきまして圧迫を受けておるというような指摘をしておかなければならぬと思うのです。
それから今度は、これを価格の面から見ましても、一応検討してみてもらったのですけれども、この三十五年から四十年まで大体五年間のうちに一般の農産物というものはかなりの値上がりを示しておることは、これは御承知のとおりですね。まあ、米にいたしましても、その他の農産物にしても、三十五年から四十年の間にかなり急速に農産物の価格も上昇をしております。ところが、果実の場合、バナナのほうは、昭和三十四年ないし三十六年平均でキロ当たり百六十六円であったものが、三十七年に百六十七円、三十八年には自由化の影響を受けて百十九円に下がりましたが、三十九年は百十八円、四十年は百三十三円と、また少し値上がりの傾向を示しておるわけです。しかし、三十四年ないし三十六年平均が、バナナ百六十六円が現在百三十三円と下がっておるのに対しまして、ミカンはどうかというと、ミカンのほうは、昭和三十四年ないし三十六年平均が六十一円であったのが四十年に約八十円、ある程度値上がりを示しております。リンゴはどうかというと、リンゴは一キロ当たり三十四年ないし三十六年平均は四十四円であったのが、昭和四十年には五十五円となっております。
この値上げ幅を見ますと、他の農産物価格の上昇の中で占めるリンゴなりミカンなりの値上がり幅というのはそう高くないわけです。これは、バナナの自由化による値下がりの影響その他もありまして、国内産の果実の価格——これはまあ消費者の立場からいうとなるべく安いほうがいいわけですけれども、今度は生産者の立場から見ると、国内果実のキロ当たりの平均単価から見まして、私はかなり伸びがおそいのではないだろうかと思う。しかも、果実の生産費は、私の選挙区でもミカンの栽培その他がございますからある程度のことは知っておるわけでございますけれども、生産費そのものは、労賃にしても資材にしても流通経費にしても、三十五年から四十年の間におおよそ五〇%程度は値上がりをしておるわけです。
そういうことを考えますと、リンゴにしてもミカンにしても、現在の価格の分は、この生産費その他の上昇分から見ますと、いわば利益率といいますか、そういうものは総体的に低下をしておる、こう考えるのでございますけれども、こうした点についてはどういうふうに御判断なさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/42
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043・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいまもお話がありましたように、平林先生は果実の東京市場におけるいわゆる卸売り価格をおっしゃったと思うのであります。これはやはり一般的な傾向をあらわしておるわけでございまして、一般的にいいますと、私どもの所管いたしておりますくだものにつきましては、大体、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、四十年でおおむね五〇%全体として上がっております。それから野菜は約一九七%、これは約倍近く上がっておるわけでございます。そういう意味におきまして、労力が集約的であればあるほど、あるいは需要の強いものほど、あるいは供給がなかなか追っつかないものほど、これはあたりまえでございますが、価格は上がってまいっております。
そういうことで、その中で、一体リンゴなりミカンなりはどうかということでございますが、私どもの感じといたしましても、リンゴはやはり比較的価格が低迷いたしており、かりに上がっても、やや微増でございます。ミカンのほうは比較的順調、というと、あるいは生産者サイドのみの言い方になるかと思いますけれども、たとえば、四十一年産のミカンは約三割増であろうといわれたので、私どもといたしましては、価格の値下がりというのをある程度懸念いたしたわけでございますが、それほど下がらないというようなことで、ミカンは現在の段階ではまだリンゴより比較的強い。バナナはまあ下がっておるわけでありますが、ただ、バナナの価格水準というのは、これは先ほども申し上げましたように、自由化になってからあまり期間が長くない、三十四−三十六年というのはまだやや希少的な価値があった時期を多少反映しておるだろう、これもいろいろ、国民の嗜好なりそれから供給の状況が違いますから、あるいはこんなものを出しても、そのままですぐそうだからこうだということではございませんけれども、たとえば、戦前のリンゴ、ミカン、それからバナナの価格比率というのは、バナナを一〇〇にいたしまして、リンゴが一二六・五、それからミカンが一〇七・五というようなことで、昭和九年、十一年は、いわば価格関係が、同じ一キロでございますが反対であったわけでございます。ですから、これに比べてこれがどれだけ高いかというのはなかなかむずかしいわけでございますが、平林先生もおっしゃいましたように、しからば、絶対的な生産費に比べてどうだろう、確かに、端的にいいますと、昭和二十年代あるいは三十年の初めのころは、果実の生産者は他の農産物生産者に比べてかなりよかったという印象があるわけでございます。これはそう言っても過言ではないだろうと思います。その後、三十五年以降やはりそれほどのシチュエーションにはないということがいえるわけでございますが、私どもの統計調査部の生産費調査によりますと、ミカンは、たとえばこれは一番端的には、家族労働報酬が十アール当たり幾らなのかというようなことでいいますと、ミカンは三十五年以降、家族労働報酬が十アール当たり八万円、その年の価格いかんによりますけれども、反当四十年が十万円程度の家族労働報酬があるというかっこうになっております。それに対しまして、リンゴは三十五年に約四万円、四十年には四万六千円ということで、反当労働報酬というのは、ミカンに比べますとやはり低い。一日の家族労働報酬にいたしますと、ミカンは四十年で約三千円でございます。手間賃が一日八時間労働として三千円、リンゴは千三百円ということでございますが、今後とも雇用労力その他は値段が上がっていくでございましょうし、それから価格は、先ほど申しましたように、だんだん供給がふえてまいりますので、国民所得の伸びにもよりますし、需要は全体としてふえましても、やはりそれほど急激に価格が上がっていくこともないかと思いますので、そういう意味では、私どもといたしましては、やはりいかにして労働時間を切り下げていくか、あるいは生産を合理化していくかという点で一段と今後努力していかなければならない状況にあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/43
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044・平林剛
○平林委員 結局、私の言いたいことは、バナナ関税の引き下げが国内産果樹にどういう影響を与えるかという点で、消費の面とそれから価格の面で統計に基づいていろいろ政府にもお尋ねをしてまいったのでございますけれども、私が数字をあげて指摘をいたしましたように、消費でも価格でも私は相当程度の影響が国内産果樹には来ておると思う。
そういう段階におきまして、私は政府にお伺いしたいのですけれども、一体、国内産果樹の対策について政府はどんな考えを持っておるか。いまのような点が、関税を引き下げる引き下げないにかかわらず起きておるときに、国内産果樹対策にどんな手を打っておるのかということを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/44
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045・八塚陽介
○八塚政府委員 御承知のように、果実が、いわば農産物の中で成長作物である、いわば基本法の選択的拡大にふさわしい作物であるということがいわれてまいったわけでございますが、一方、果実の生産そのものは、これは御承知のように、農業生産一般がそうでございますが、永年作物であり、相当まわりの条件あるいは技術的な問題等で、なかなか一朝一夕にその施策の効果があらわれるものではないわけでございます。
御承知のように、昨年果樹振興法が改正になりまして、そして昨年度中に、果樹農業振興基本方針ということで、これは各界の権威者あるいは加工業者の代表の方にお集まりいただきまして、今後の需給の見通し、あるいは今後生産をしていくいわばモデル的なといいますか、代表的なもの、あるいはそれに対する考え方というものを政府といたしましても打ち出しまして、そして、ただいまそういう基本方針に基づいて各府県ごとにひとつ計画をお立て願う、そうして、来年からそういう中央・地方を通じた生産合理化の歩みを踏み出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
もちろん、従来とも、たとえばリンゴあるいはミカンにつきましても、たとえば五ないし六、七年に反当四百三十時間ほど時間がかかったのが、現在では平均しまして約三百十時間とか二十時間ということで、農業関係において、この程度の期間でこの程度の労働時間が短縮できたいわゆる合理化というのは、私は相当なものだと思います。これは政府の施策よろしきを得たということよりも、むしろ生産者のほうが、まわりの条件といいますか、経済与件に対応して率先して努力された結果であろうと思います。そういう趨勢から見ると、今後ともいろいろ規模拡大につきましては障害もあるであろうと思いますし、資本の導入についても問題があろうと思いますが、それにいたしましても、こういう実情から見れば、私ども一段と力を入れればその方向へ歩むことは不可能ではないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/45
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046・平林剛
○平林委員 いま、果樹対策についてどういう考えを持っておるかということを聞いたわけですけれども、幾らしゃべったって、これは実際上予算がどういうふうにつくかということになるわけで、昭和四十一年度の果樹予算というのを調べてみると一億九千九百万円でしょう。四十二年度のいま審議されている予算案の中でも二億六千万円にしかすぎない。バナナの関税が百五十億円をこえるような時代において、これに対する果樹対策の予算というのは四十二年度の予算で二億六千万円程度である。
いまのお話は、これは別の省から説明がなければならぬのだけれども、それでは輸出を振興するためにどれだけの手を打っているかというと、たとえば、ミカンを中心にいま打たれているのは、おおよそ昭和四十二年で千六百万円だけジェトロに補助されているだけでしょう。大蔵政務次官、これはどうなんですか。いま、私、消費面やあるいは価格面における国内果樹の現状について申し上げましたけれども、関税の引き下げに伴い、かなり国内の果樹栽培の人たちは大きな不安を抱いておる。選択的拡大ということでやたらに——消費の見込みなんというのはどのくらいあるか、それは見通しでありまして、一生懸命つくれつくれということでいまやっているし、まだでき上がっていない、ミカンだとかリンゴなどを考えますと、先行き不安で不安でしようがないというのが私は実態だろうと思います。ところが、こういう関税の引き下げの問題が起きて、こういう現状にありましても、大蔵省のさいふが、私は率直に言って、やたら開き放しにしていいわけのものでもないけれども、それにしても、国内果樹の対策として四十二年度にわずか二億六千万円程度では少な過ぎるのではないかと思うのですけれども、大蔵政務次官、どういうふうにするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/46
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047・小沢辰男
○小沢政府委員 平林委員るるお述べになりましたことを私どももよく理解をいたすわけでございますが、御承知のとおり、昭和三十九年の予算、三年前の果樹関係の予算プロパーのものを拾い上げてみましても、大体当時は一億一千万円ぐらいでございました。それが二億六千万円、確かにまだ御不満だとは思いますけれども、三年間に倍増いたしておるわけでございまして、これでは不十分だとは思いますけれども、私どもとしては、できるだけ農林省のほうと御連絡をいたしまして、今後とも大いにひとつ果樹振興——大事な成長産業でもございますので、努力をいたすようにいたしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/47
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048・平林剛
○平林委員 政務次官、これ以上言ってもあれですが、私はここで、やはり果樹対策としての予算というものは相当考えなければならぬ段階に来ておると思うのです。
通産省の方、お見えになっていますか。——輸出の問題も、私は国内果樹の問題では重要視すべき段階にあると思うのでございますが、いま例に申し上げたように、ミカンが輸出振興についてわずか千六百万円しかもらえていない。私はいま国内における、ミカン産地の状況を見ましても、このミカンの輸出の将来についてかなり検討してもらわなければならぬと思うのですけれども、現状はどうなんでしょうか。ちょっと御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/48
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049・原田明
○原田政府委員 先生御指摘のとおり、果樹を含めまして、農産物の輸出は、わが国の一般的な輸出の伸びに比べまして非常に伸びが低うございます。こういう農産物、果樹等の輸出を何とかして伸ばしてまいりたいと考えておるわけでございます。
ミカンは、温州ミカンそのままの形と、それからかん詰めと、両方で輸出をされております。三十八年に総計で四百二万九千ドル、三十九年が四百十九万六千ドル、四十年が四百四十五万一千ドル、四十一年が四百七十八万九千ドルでございまして、このうち、大部分といいますか、非常に大きな部分がカナダに輸出されております。それから、ミカンのかん詰めのほうは、同じ三十八年が二千百三十一万六千ドル、三十九年が二千六百九十七万五千ドル、四十年が二千九百三十九万九千ドル、四十一年になりましては二千九百四十九万七千ドルと横ばいになっておりまして、私どもとしては頭を痛めておるところであります。こういう果樹の振興につきましては、果樹の特性というような点から、集荷資金その他の金融面やその他についても、普通の輸出金融よりは若干特別な制度を必要とするのではないかというようなことで考えておるわけであります。
また、温州ミカンのなまのほうは、先ほども申し上げましたように、カナダが主市場でございます。カナダのすぐ隣のアメリカはもっと大きな市場であり得るのではないかということで、年来、温州ミカンをアメリカにも買ってもらいたいという交渉をやっております。アメリカは植物検疫上の技術的な理由から輸入を認めておりません。この問題につきましては、合同委員会その他あらゆる場合を通じまして交渉いたしました結果、昨年来やや交渉が進展いたしまして、アメリカ側で公聴会などを開催いたしました。植物検疫上の技術的な問題を解決できる方法を何か講じまして、太平洋岸の数州において輸入ができますように、農務省で輸入検疫規則を改正しようかどうかということを検討中であるというふうに聞いております。もしこれが実現をいたしますと、アメリカはかなりの市場として輸出の飛躍的増大が期待できるのではないかというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/49
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050・平林剛
○平林委員 国内果樹の輸出の問題は、ミカンに限らず、リンゴでも考えていかなければなりませんけれども、いまミカンの話が出ましたから私ちょっと申し上げておきますけれども、いま主としてカナダ向けに行なわれておる、アメリカは植物検疫の点から渋っておって、技術的にいろんなことを検討して、これからあるいはできるかもしれぬというお話がございましたけれども、実はアメリカでは、カリフォルニアを中心にサツマミカンですね、いわゆるサツマミカン、こう言っておるようですが、日本人二世の人あるいは三世の人たちが相当大規模な農園をつくりまして、大量な耕作を始めているんですよ。もうすでに始めているんですよ。そして、おそらくあと三年後ぐらいになりますと、カリフォルニアを中心にして大ミカン産地ができ上がる。ですから、いまの状態でおりますと、アメリカに期待を抱いているようですけれども、そういうことを考えますと、私は必ずしも楽観を許さないんじゃないかと思う。特に輸出の面で申し上げておきますけれども、向こうの人たちの意見を聞くと、国内の輸出態度にも問題がある。国内の需要が強くて、そちらの値がいいときには国内に向ける、そしてまた、そのときは輸出のほうについては、キャンセルとまでいかないけれども、ワクを狭めてしまう、このことが、結局北アメリカのミカンを愛好する消費者に影響を与え、あるいはそれを輸入する業者のマージンとの関係もあって、これではならぬというので、自力でもってカリフォルニアを中心としたミカンの栽培に乗り出してきてしまっているわけです。これは輸出態度にも問題がある。しかし、同時に、現状はそういうところにありますだけに、ミカンの輸出は、私はアメリカに期待をかけることは困難ではないかと考えているわけであります。しかも、そういう状況の中で、ミカンの輸出に対する補助が千六百万円ということであなた方が満足しているのでは実際は困るんですよ。私は、ここ一、二年が勝負どころだと思う。いま、神奈川県に限らず、静岡県、あるいは九州にまで一生懸命になってミカンの転換を行なっているやつが、この輸出の問題についても、現況を考えてみますと非常に心細いものがある。ここ一年に勝負をつけなければならぬという段階において輸出振興策が何にもなっていないじゃないか、ミカンの輸出にたった千六百万円、こんなものでは、私は、国内果樹の、特にミカンについても非常な危機が訪れるということを感じておるわけです。これはひとつ大蔵省も十分考えておいてもらわなければならぬし、関係者のほうもこれについては検討を加える必要があると私は思うのです。
リンゴの問題だってそうです。リンゴでも、関係者の話を聞きますと、最近政府は台湾のほうに何とか少し輸出したい、こういうことですが、一体、台湾へのリンゴの輸出は可能なんですか。私はその点ちょっと聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/50
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051・小沢辰男
○小沢政府委員 ちょっと、事務的にいろいろ説明申し上げる前に申し上げておきたいと思いますが、台湾に対するリンゴの輸出につきましては、私ども、今度の関税定率法の改正からみまして、与党のほうからも非常に強い要望がございましたので、御承知と思いますけれども、この前台湾の李経済大臣が日本に来られましたときに、本来主管は私ども直接ではありませんけれども、大蔵大臣として特にこの問題に関心を持ちまして、大臣と相当突っ込んだ話し合いをいたしまして、善処を強く要望いたしました。李経済大臣もよく理解をして帰られました。なお、追っかけまして、外務省の協力を得まして、私どもの国際金融局の課長を近く派遣する予定にいたしております。当初は今月半ばごろというふうに考えておりましたけれども、ちょっと向こうの事情等もありまして、六月早々にはぜひ立たせたいと考えておるわけでございます。
最善の努力をいたすように大蔵省みずからもすでにアクションを起こしていることを私から申し上げまして、なお、詳しい事務的な説明は主管庁からさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/51
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052・平林剛
○平林委員 台湾のリンゴのこともそうだが、どうせ答えたなら、ミカンのほうはどういうふうにするか、ちょっと言ってください。ひとつ公平にやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/52
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053・小沢辰男
○小沢政府委員 先ほどお尋ねの、ミカンの輸出に千六百万円の費用というものは少ないじゃないかというお話、先生、専門家でいらっしゃいますからよく御存じのとおり、輸出振興につきましては政府をあげまして非常な力を注いでおりますけれども、輸出振興のために直接国費を出すということは、これは実は他の分野につきましても非常に少ないといいますか、やはり筋からいいましても、国費でそういうことをやっていくということにつきましては、よほどの理由でないと、直接的な費用というものはあまり出しておらないわけでございまして、むしろ、いろいろな税の制度なり、あるいはまた、それぞれの主管官庁においての経済政策というものによって、私どもは国の経済の振興というものをはかりつつ、それが輸出の増進に沿うような方向でいろいろ予算を編成をいたしておるわけでございますので、ただ、ジェトロ関係でミカンのものが千六百万円だから力を入れてないというふうに言われますと、たいへん私どもとしても残念であるわけでございます。
しかし、おっしゃるように、わが国のくだものの輸出ということは、先ほどの説明もありましたように、まだまだ他の分野に比べますと非常におくれておりますので、それぞれの主管省とよく御連絡をいたしまして、できるだけ私どもも努力をしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/53
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054・平林剛
○平林委員 それで、台湾向けのリンゴの輸出の件についていま政務次官から特にお話があって、六月早々、こうした問題について話が進むということを私聞いたわけですけれども、別に疑うわけではないのですが、台湾側の受け入れ態勢だとか、あるいは韓国のリンゴとの競合などからいって、いまのお話に大きな期待をかけることができるのですか。
それからもう一つ、台湾にリンゴを輸出する場合に、話を聞きますと、関税率が非常に高い。バナナの七〇%どころじゃない。実質的には二〇〇%ぐらいになるというような話を聞いておるのですけれども、そういうようなことを考えますと、台湾だけに局限するのはおかしいけれども、時間もありませんからそれにしぼって聞きますけれども、一体、大きな期待をかけることができる成算があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/54
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055・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃるように、私ども、そういうような経過を経たから直ちに成果があがるかどうかということにつきまして、いま具体的にそうした期待がどの程度あるんだという見込みをつけたわけじゃありませんけれども、しかし、私どものそうした努力をできるだけ重ねまして、できるだけ成果をあげていくようにいたしたいという気持ちでございます。それが具体的な行動にあらわれているわけでございますので、いまそう申し上げて、直ちに、お前どのくらいの効果があると期待しているのかといわれますと、もちろんこれは相手方のある問題でございますし、いろいろな制約もございます。しかし、そうかといって、やはり座しているわけにいきません。今度の問題、法律改正を契機にして、非常に強い要望もございますので、私ども関税の今回の法律改正の主管官庁としてもできるだけ努力をしたいということでそういういろいろな措置を考えておるわけでございますので、この点だけは御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/55
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056・平林剛
○平林委員 私は、いまの努力だとか誠意だとか願望だとかいうことだけでは国内産果樹対策にはならぬと思う。バナナの関税を引き下げる場合に、国内果樹に与える影響ということを考えますと、やはり政府は、たとえば台湾政府との間にリンゴ輸出に関して政府間取りきめを行なうことができるとか、はっきりした見通しを立てて言わなければ、これはこの結果国内産果樹対策の一助になるかと期待している人にうそをついたことになるわけですよ。私はそういう点ではいまの答弁では不満ですから、またあとでもう少し推移を見なければならぬということだけは申し上げておきたいと思うのです。
もう一つ、先ほどの国内産果樹の消費の面で考えなければならぬことは、学校の給食などにリンゴとかミカンとかを使うことによってその果樹の需要を伸ばしていくというような考えは、この際妥当な意見だと思うのです。こうしたことについて政府は何かおやりになる気持ちがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/56
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057・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほど来申し上げておりますように、果実の需要をどういうふうに見通していくかということにつきましては、方法論としてはいろいろ問題点があるにいたしましても、今後相当ふえるであろうという見込みは一応立っておるわけでございます。ただ、供給量のほうが、しからばそれとうまく合っていくかという問題がもちろんございますから、そういう点から考えまして、政府といたしましても、できるだけ需要供給の調整をはかっていく、のみならず、果実は永年作物でございますから、ある一定の時点でそれを計算上合わせましても、やがてイナーシャがつきまして供給のほうがオーバーするということもあり得るわけでございます。できるだけそういう点をも考慮いたしまして、一般的にそういう需要供給の均衡を果実の種類ごとにはかっていくという考え方を持っておるわけでございます。かつ、それをできるだけ実行をし、効果をあらしめたいというふうに考えておるわけでございます。
一方、そういうふうに全体としてのワクなり方針なりを示しましても、しからば、それさえやればいいかということになりますと、もちろんそうではなくて、われわれといたしましては、たとえば需要の拡大ということにも努力をいたしていく、需要の拡大をいたす場合には、端的にいえば、もちろん生産者のコストどうこうということを十分ペイした上で、消費者が価格的に安いものを食べる、あるいは、現在のような消費の態様が、たとえば学校給食だとかあるいは工場の給食だとかいうことでだんだん大型化していく場合には、それなりの供給の体制を整えていくというようなことが必要であろうというふうに考えております。
したがいまして、本年度も四十二年の予算要求といたしまして、これは全国販売農業協同組合でございますが、たとえば東京都のような大口の需要者のいるところへ一つ配給をする、それを生産地から計画的に集めるというようなセンターをつくって、そういうまとまった、かつ安定的な方向への供給をできるだけ合理化していくということを考えておるわけでございます。具体的には、たとえば学校給食、これは実は長野県等で長野県の生産者団体が東京都その他の学校と、あるいは給食会と話をして安定的な供給をする、それに対して運賃の補助ということをやっておられる例があります。これを学校給食という制度としていいか、つまり、たとえば小麦粉であるとか牛乳であるとかいうそのものについてのいわば財政負担をして、基本的な物資としてのせていくというものと同じであるといっていいかどうか、多少そのアプローチが違うのではないかと思います。それからまた、それでは豚肉はどうだ、魚はどうだ、もちろんくだものも——これは園芸局長がこういうことを言うのはなんでありますけれども、くだものと同様に子供にとって必要な物資——まあほかにもあるだろうと思いますが、そういうものとの関係はどうか、あるいは、制度的に全般的な学校給食にのせてやるには、たとえばそれなりの学校給食用向けの小粒のというとなんでございますけれども、リンゴをいわば安定した価格で供給するという約束をしなければならない。それから一方、リンゴについていいますならば、いまのところ、やはり大きくて見ばえのいいリンゴが高く売れる、あるいは価格がそう安定していない、約束した場合よりも高く売れるというようなことで、現に、いわゆる学校給食ということでやっておられる例はございますけれども、全般的な問題として取り上げるにはまだいろいろ技術的な問題があろうと思います。
ただ、私ども当初申し上げましたように、くだものの需要の増大ということにつきましては、先ほど輸出について、あるいは需要の増大について、財政的にまだ不十分である、あるいは体制として不十分でないかというお話がございました。私どもいろいろやっておるつもりでございますが、今後とも、一般に需要増大について大いに努力していかなければならないというふうに思っておりますので、そういうものの一環として、いわゆる学校給食的なものについても今後検討はしなければならぬ、あるいは検討をいたしたいというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/57
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058・平林剛
○平林委員 私は、これは風のたよりで聞いたのですけれども、わが国の大臣が学校給食の助成については一つの公約をしたということまで聞いておるわけです。ですから、私は、やはりこの関税の引き下げに伴って、国内産果樹の対策についてかなりまだおくれておる面があるし、それから、この際いろいろ考えなければならぬ点があるときでありますから、やはりある程度約束をしたことなどはこの際実現をするというような積極的態度をとらなければならないのではないかと考えるわけであります。
きょうは、いずれにしても、バナナの関税の引き下げによりましての国内産果樹の問題について、いろいろな角度から議論をしてまいりましたけれども、私がいま質疑応答した中で、特に政府に十分積極的な姿勢を示してもらわなければならぬ、それからまた、やはりこれについては相当な決意をもって委員会としても対処すべきものであるということを、私は強調しておきたいと思うのであります。
最後になりますけれども、このバナナ関税の実施の時期について、政府の説明書によりますと、こまかいことを書いてありますけれども、実施の時期についても相当検討しなければならぬのではないだろうかと考えるのですけれども、政府の考えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/58
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059・細見卓
○細見政府委員 実施の時期につきましては、最盛期をなるべく避けたいということと、それから、先ほど来農林省あるいは通産省からいろいろお話がございましたように、関税引き下げの効果が一般消費者に均てんできるような各般の施策を講じていただく、それと見合いながら慎重にきめたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/59
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060・平林剛
○平林委員 私は、きょうは関税の中で特にバナナ関税の問題で、国内産果樹の対策につきまして政府の考えを聞いてまいりました。これは、私は単に議論をしただけでなくて、実行の伴う結論として、委員会で何らかの措置をとっていくべき必要があるということを強調いたしまして、きょうの質問はこの程度で終えておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/60
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061・武藤山治
○武藤(山)委員 いまのにちょっと関連して。
実施時期はいろいろ輸入の情勢を見てというけれども、この法案の発効するのは、四十三年三月三十一日までにおいて政令で定める日までに輸入されるものは七〇%という意味は、来年の三月三十一日までは現在の税率でいくわけですね。そうでしょう。
それで、もう一つ、四十三年四月一日以降一年間は六五%、その以後四十四年三月三十一日までに輸入されるものは六〇%。だから、一年間に五%ずつ率を下げていく、一番最初の年度はこの六月一日から来年の三月三十一日まで、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/61
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062・細見卓
○細見政府委員 いま後ほどおっしゃったとおりに、明年の三月三十一日までの政令で定める日から五%下がる、こういうわけでございます。その来年度さらに五%下がるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/62
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063・内田常雄
○内田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後二時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/63
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064・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/64
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065・村山喜一
○村山(喜)委員 関税定率法の改正の中で、四十八品目の実行税率の変更がなされるわけなんですが、これに伴って、先ほどの説明では、バナナ関税の平年度化による関税収入の減は十三億五千万円で、本年度は四億円程度見込んでおるのだというお話でありましたが、基本税率の引き下げ品目等によります関税収入の減がどういうふうに見込まれておるのか。全体的には石炭対策特別会計への振りかえ等の分もありますが、前年度との比較表は、総体的の数字としては出されておりますけれども、この法律改正をすることに伴ってどういうふうに変化していくのかという基礎的な数字については説明資料は出されていないわけなんですが、これについてはどういうような内容になっていくのか、当局のほうから説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/65
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066・細見卓
○細見政府委員 今回の関税率の改正によりまして生じます減収は、先ほど申し上げましたバナナが一番大きなものでございまして、十三億五千万円程度と申し上げたわけですが、それから一部糖みつの減税がございまして、これが三億九千六百万円——おもなものだけでごさいますと、バナナが先ほどのように十三億五千万円、初年度が約四億円、それから糖みつが、いま申しました三億九千万円、初年度が一億九千万円、約二億円である、そのほかナイロンの原料でありますシクロヘキサンというのがございまして、これの減税が、平年度が一億八千万円、初年度が一億五千万円というようなことで、そのほかこまごましたものを全部寄せ集めまして、減税額は、平年度四十三億四千百万円、初年度が二十三億六千七百万円、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/66
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067・村山喜一
○村山(喜)委員 これらは当局のほうで資料をお出しになるように、委員長のほうから要請を願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/67
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068・細見卓
○細見政府委員 資料を提出いたします。
なお、一言訂正さしていただきますが、いまのやつには増減税——厳密な意味におきましては、電力の還付が廃止になりますので、その分も通算いたしておりましたので、いまの点を訂正さしていただきまして、減税だけで申しますと、平年度二十一億円、それから初年度十億円の減収でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/68
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069・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで私は、やはり基本的な大蔵省としての関税に対する考え方、まあ、ことしは二千四百十八億五千万円の関税収入が予算に見積もられているわけでありますが、いまケネディラウンドの名のもとに推進されております先進国間の多角的な関税一括引き下げの問題等もございますし、あるいは、日本の貿易政策の上から見ましての関税政策というものもあろうかと思いますが、今後の方向としてどういうような方向を関税政策の中では基本的にお持ちになっておるのかということについて、やはり政務次官のほうからお答えを願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/69
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070・小沢辰男
○小沢政府委員 簡単に言いますと、ただいま行なわれております関税一括引き下げ交渉というものに協力をいたしまして、長期的に見てわが国の経済発展を促進するような考え方が基本的な考え方だ、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
なお、詳しい点につきましては、さらに事務当局から補足説明をさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/70
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071・細見卓
○細見政府委員 いまの政務次官の御説明に尽きるおけですが、基本的に申しまして、日本の貿易政策は、いわば無差別で自由な貿易政策をとるということが基本になろうと思います。その意味におきまして、相手の国に対して極力関税の引き下げ、あるいはそのほかの貿易障害の撤去を要求してまいるということが一方にございます。
他方、わが国といたしましては、日本の産業構造の近代化あるいは合理化と相まちまして、わが国には他国にない中小企業の問題等がございますから、それらに対する保護は十分にいたしながら、あわせてわが国の産業の合理化、近代化に役立たせるために必要な国際競争にはさらすというような意味で、漸次国内の関税も、相手国に対して引き下げ要求をするのに見合って引き下げながら、全体として世界貿易の拡大、その中にあって、日本の場合は非常に国際競争力に富んでおりますから、そのことが即わが国の利益になる、そういう立場でまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/71
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072・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、基本的な態度はそういうようなことだろうと思うのですが、今回一番問題になっておりますバナナの問題です。これは何のためにおやりになるかという、やはり政策目標というものが明らかにならなければ、国民、特にバナナの関税率を引き下げることによって果樹生産農家が大きな打撃を受けるのだといって主張しておる人たちを納得させることはできないと思うのですが、その目的というものをこの際明らかにしておいてもらわなければならないかと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/72
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073・細見卓
○細見政府委員 これはなかなかむずかしい問題で、十分に御説明できるかどうかわかりませんが、一方におきまして、後進国の重要な輸出産品でございまして——後進国ということばは、いまは開発途上国といっておりますが、開発途上国の重要な輸出産品で、国によりましては、その半額近い貿易もこれに依存しておるような国もございまして、そういうことから、バナナの関税が高過ぎる国に対しては、いろいろな国際会議等におきまして関税の引き下げということが非常に強く要望され、いわば一種の国際世論——御案内のように、最近は発展途上国の国際世論におきまするウエートが非常に高くなっておりまして、いわば世界の世論というような形で日本に関税引き下げを要求しておる面が一つございます。
それからもう一つは、関税率といたしましても、七〇%というような関税率は他のどのような品物をとりましても、たばことかウイスキーとか酒類といった特殊なものは別でございますが、およそ製造品、原料品を含めまして七〇%というような関税は飛び抜けた関税で、その意味におきましても、いま申した国際会議等におきまして日本の後進国貿易に対する姿勢そのものをも疑われる、そのようなことがたびたびあるわけでございます。そういうことを考えまして、この際は、やはりわが国としても後進国貿易に対する理解を示すということはぜひ必要なことでもあろうか、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/73
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074・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、やはりこの問題は南北問題の一つとして国際的に問題をとらえるというのが一つ、それから一つは、関税政策の中で七〇%というようなあまりにも高い関税率そのものをこのままの形に据え置くべきではない、やはり暫定的な措置を基本的な税率に近づけていかなければならないという政策、こういうようなものだ、これはやはりそのとおりの形として受け取っていいのですか。——しかしながら、後進国、開発途上国の問題を取り上げて説明がございましたが、日本がバナナを輸入している先を考えてみれば、台湾が一番多いわけですが、台湾は決して後進国でもないし、中進国だろうと思うのです。エクアドルが一つは大きなバナナに依存する貿易構造を持っておりますけれども、しかし、そういうような点から考えていけば、その他の地域につきましても、バナナに依存をする度合いというものは、日本の輸入先の問題から考えていけばさほど全体的な問題にはならないのじゃないかと思うのですが、これがやはり南北問題として世界の世論となっているという例証はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/74
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075・細見卓
○細見政府委員 そのことを御説明申し上げる前に、諸外国がバナナに対してどういう関税をやっておるかということを一言申し上げておきたいと思います。
アメリカはバナナに関しましては無税でございます。それからイギリスは、御承知の英連邦から来るものにつきましては無税で、それ以外のものには約一二%程度の関税をかけております。それからフランスは、やはりかつての植民地でありましたEEC連合に属しておる国々からのものにつきましてはゼロないし九%程度、その他のものにつきましては二〇%ということにいたしております。従来西ドイツ、イタリア等は若干違った関税構造をとっておりましたが、現在は御承知のEECが域内一本ということになりましたので、西ドイツ、イタリアあるいはEEC六カ国は大体無税、北欧諸国につきましても大体これに近いような関税になっております。
そういうわけで、世界的に、日本を除きます先進国の関税は比較的安い、あるいは無税ということになっておりまして、このバナナが発展途上国の非常に重要な関心品目であるという意味におきましては、昭和三十九年の十月にエクアドルで開かれました世界バナナ特別会議というものがございまして、そこの席におきまして、日本のバナナの高率関税が指摘されまして、日本は後進国に対して実に酷なやり方をしておるというような非難を受けております。なおこのほか、確かに先生おっしゃるように、日本の輸入先はエクアドル、あるいはむしろ台湾ではございますが、ケネディラウンド等の、あるいはそのほかのガットの交渉の場におきまして、バナナと、いずれ議題に出ようかと思いますが、紅茶につきましては、日本はいろいろなことを言うけれども、われわれに対して実に理解を示さない国だということで、会議のたびに、公衆の面前といいますか、多数国の前で日本代表は必ず非難される、いわば年中行事になっておるというような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/75
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076・村山喜一
○村山(喜)委員 三十九年十月のエクアドルにおける国際会議——バナナ会議ですか、それで指摘をされた。これはたしか、前に、三十九年に法律改正が出されましたね。しかし、これが国会で修正をされて、またもとのとおりになったというふうな経過があるわけですが、その会議の模様その決議なり等を受けて三十九年には提案をされたものなのか、それとも、今回は経過的な措置をとりながら漸次七〇%を六〇%に下げていくという移行措置を緩慢な形でとられておるわけですか、一挙に下げるという形ではなしに。それは一体どういうような理由から生まれてきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/76
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077・細見卓
○細見政府委員 おっしゃいましたように、前回は一挙に二〇%の引き下げということをいたしたわけですが、そのときに、国内果実に与える影響等の点を考えて、国会としてはそういうことは困るというお話でございました。したがいまして、今回はあまり大幅な引き下げをいたしまして国内果実業界に影響を与えてはいけないということも考えまして、同時に、しかし南北問題が非常に大きなトピックスになっておりますから、日本としては前向きの姿勢をとっておるということをこの際示す、しかも、それも一挙に一〇%でなくて、両年度にわたって五%ずつ引き下げ、しかもその間、広範な施策をとっていただきまして、国内の果実業者に与える影響につきましてもそれほどのことにならないような緩慢な措置をとった、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/77
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078・村山喜一
○村山(喜)委員 そういう論理から出発をいたしてまいりますると、やはりバナナの輸入の量なりあるいは価格によっては国内の果樹業界に大きな影響をもたらす、したがって、二年間にわたって五%ずつ、計一〇%引き下げていく、その間に国内的な果樹振興の対策を別途講じていくのだというふうになるわけですね。
そうなりますと、バナナのいわゆる国内果樹に与える影響というものは、その輸入量あるいは価格その他の条件によってどういうふうにこれが変化をしていくのかという、そういうような一つのとらえ方を科学的になさっていらっしゃるはずだと思うのですが、それはそのように受け取っていいですか。それとも、バナナというものの嗜好性から考えて、やはり国内の果樹、リンゴ、ミカン等に与える影響というものは、これははたしてバナナを輸入しなかったから価格が保持されるものなのか。そういうような関係において代替性というものがはたしてあるものかどうかということについて疑問を持っておるのですが、いまの説明では、バナナを輸入をしたら日本のくだものの価格は下がる、だからこれに対応する政策を片一方において行ないながら漸次これを下げていくのだという政策論のように受け取れるのですが、そのとおり受け取っていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/78
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079・小沢辰男
○小沢政府委員 私どもは、先生がただいまおっしゃいましたように、果実の消費につきまして、バナナが入ってくる、したがって、それが他の果実との代替性というもの、したがって消費に非常な大きな影響を来たすというふうには、実は率直に言って見られないんじゃないかと思うのでございます。先生のおっしゃるような見解のほうがむしろ基本的には正しいのじゃなかろうかと思います。したがって、バナナの輸入ということが国産の果実に対する影響、これを常識的に考えまして、そう相関関係が密接にあるとは考えたくないのでございますけれども、ただ、何ぶん国会の御意思——前回法律改正を出しましたときの御修正が七〇%になりましたときの国会の御意思が、おそらくは日本の国内の果実関係に与える心理的な影響というもののあることをお考えになりまして、国民の代表としての国会の御意思で七〇%にお上げになりましたことも考え合わせますと、ただ単に常識的に見て、しかく相関関係があるとは思われないというだけでは、この問題を割り切って考えていくわけにも政治的にまいらぬだろう、こういうことを考えまして、しかし、一方、先ほど来事務当局から説明を申し上げましたように、ガットあるいは関税一括引き下げのケネディラウンドの交渉の場合でも、この一事を例にとられまして全体のわが国の姿勢というものを批判されるというような結果にもなっております。
それから、御承知のとおり、私ども役所といたしますと、審議会の意向というものが非常に強く、また、合理的な結論としてお出しになった場合にはこれを尊重してまいらなければならない立場でございます。審議会の多数意見、ほとんど全員の方々の御意見があまりこれは非常識じゃないかという意見でございます。あれやこれや考えますけれども、やはり政治的な国会の御意思というものをそんたくをしながら、しかし、一方、やはり前向きで善処をしなければいけないという理論上合理的な要請というものにこたえるということと調和点をどこに見出すかという点が一番苦しいわけでございまして、今回、ようやく関係方面のそれぞれ御理解を得つつ、五%ずつ二年間でというようなことをやることによりまして、一方、国際間における日本の前向きな態度というものを理解をしてもらう、同時に、そういう引き下げをあまり大幅にやりまして国内産果実に与える心理的な大きな影響というものも回避していくというようなことで今回のこういうような措置になりましたことを御了解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/79
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080・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、やはり心理的な相関性はあると思うのですけれども、現実的に国内産のくだものの価格というものがきまるのは、生産と需要の関係だと思うのです。このバナナを入れたから、あるいは入れないからということによって国内の価格がきまるという証明ができないのじゃないかと思うのです。立証できないと思うのです。それよりも、日本の国内における消費需要というものを拡大をし、それだけでなしに、外国に輸出をしていく、そういうような努力をしていく中から、全体的な需要というものを多くしていく中で価格を保証する、私はこういう政策がとられなければ、国内の果樹の生産者の生活を保証することはできないと思うのです。そういう立場こそ、まさに前向きの形でとられる必要があると思うのですが、先ほどの関税局次長の説明を聞きますと、そこには相関性があるのだというふうに受け取れましたので、はたしてそういうような受け取り方で差しつかえないかどうかを政務次官に尋ねたわけです。政務次官の答弁は私も了承いたしますが、そういうようなことから、この問題は、やはり基本的には国内における生産と需要との関係において果樹振興対策というものとどのように対置さしていくかということの基本的な問題ではなかろうかと思いますので、その立場から私は二、三にわたってお尋ねをしてみたいと思うのです。
これは農林省になると思いますが、本年出されました農業白書を見てまいりますると「農業の動向に関する年次報告、四十一年度」この中で、四十年度の果樹園経営計画が、認定件数が六百であり、その対象面積が一万四千ヘクタールであった、こういう報告が出されているわけでございます。
ところが、今度果樹農業振興特別措置法に基づきまして、「果樹農業振興基本方針」なるものがことしの三月三十一日付で出されておる。この中から資料として拾い上げてみますると、昭和四十年度の実績は、植栽面積二万二千五百六十六ヘクタールということに相なっているようでございます。そうなってまいりますると、いわゆる四十年度の果樹園経営計画で政府が認定をいたしまして何らかの措置をとったものはそれの約六二%程度であります。言うならば、最近の実際の植栽面積というものは政府計画を上回ること六割余り、こういう実情がはっきり出ているのではなかろうかと思うのでありますが、そういう状態に相なっているのかどうか、この点について、まず現状の認識から始めなければなりませんので、この点を明らかにしてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/80
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081・八塚陽介
○八塚政府委員 一点だけ最初に申し上げておきたいことは、公庫資金の認定対象面積というのは、こちらのほうから計画的に、何の件は何町歩がよろしい、したがって、そのうちの内訳をして何町歩であればいいという形で認定をいたしておる、そういういわば計画的な認定ではございませんで、たとえば十町歩程度の集団化をしておる、あまり散在した、将来とも合理的に近代化が可能であると思われない形で果樹園が造成されることは好ましくない、したがって、十町歩程度に集団化して、そうしてこういう形で合理化された果樹園の集団地ができ上がりますということに対して、いわばこちらとしては一応受け身で認定をする、したがいまして、個別の件数の認定のときは合理的であるかどうかということを積極的に認定をいたしますけれども、全体といたしまして何町歩ということについては、特別に計画的なものは必ずしも持っていないという性質のものでございます。
ただ、まさにいま先生の御指摘になりましたように、全体の植栽面積、かりに約四十二年度二万町歩程度、そのうちの全部がいまのような形で、つまり、合理的な集団化された園地になるであろうというような認定の対象にならないところは、おっしゃるように相当ございます。まあ、達観しまして、ここ数年約五割程度がそういう制度金融の対象になる、五割弱が制度金融の対象にならないで、自発的に植栽をされているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/81
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082・村山喜一
○村山(喜)委員 私も、だから果樹園経営改善資金の貸し付け実績というものを調べてみたのですが、いわゆる認定件数六百で対象が一万四千ヘクタールです。それに対しまして、四十年度の実績が二十二億二千二百万円、それが今度は昭和四十一年度の計画によりますると、融資計画ですが、これは五十億円ということで計算をして公庫は処理をしようとしたわけです。ところが、四十一年度の果樹資金の実績は、計画の五十億円に対しまして二十一億四百万円というものが消化されたにすぎないというのが明らかであります。これに対しまして、四十二年度の予算説明書を見てみますると、幾ら消化する見込みかというのに対しましては、ことしは四十億円消化するんだというのが基本計画として出されているわけです。これは国会に提出をされました政府関係機関の予算説明書の中に四十億円というのが出ている。
そこで、今度出されました長期振興基本計画ですか、これによりますると、ことしの四十二年から四十六年までの植栽面積は、年平均一万四千九百八十ヘクタールということになっておるのですよ。これを達成するために、昭和四十年度においては二十二億二千二百万円という資金を使って一万四千ヘクタールをやっているわけです。それを四十一年は五十億円の金を使ってやろうとした。しかしながら、これが五分五厘でありますから、この資金が今度は農業構造改善資金等のもっと安い、三分六厘くらいですか、そちらのほうの資金に流れていった。したがって消化ができなかった。できなかったことをとらえて、大蔵省の銀行局のある課長は、こういうような金の使い方が足らないところに日本の農業の今日の構造の問題があるんだということを対外的に意見発表しているじゃありませんか。そのことについては、後ほど名前をあげて申してもよろしいのですが、そういうような感覚でこの問題に取り組んでいらっしゃる。ところが、実際は二十一億四百万円しか消化できなかった。じゃ、ことしはもっと新植をやりましょう、植栽をやりましょうということで、資金は四十億円を用意しているのですよ。そうなってきますと、二十二億円で一万四千ヘクタールの新植をやったのです。そして去年はもっとそれを引き上げようとした。しかし前年並みであった。ことしはそれを約二倍に引き上げて植栽をやろうとした。しかしながら、農業省がやろうとしているところのことしの植栽計画は一万四千九百八十ヘクタールにすぎない。そのほかにもまだあるでしょう。この果樹園経営改善資金のほかに、まだ主産地形成のためのいわゆる農業近代化の資金を使いまして、そして利子補給をやっている分があるでしょう、局長。それからまだあるでしょう。農業構造改善事業に基づいて長期低利の資金を使いながら、果樹を中心にする、基幹作目を中心にする、そういう経営拡大政策もとられておるでしょう。
だから私は、この制度金融の上から見ましても、三つくらいの方向でやっているのじゃないかと思う。そうなれば、あなた方が計画をしておられる一万四千九百八十ヘクタールというものを達成をするためには、資金のほうがオーバーしてしまって、そうして盛んに生産への拍車をかけていらっしゃる、こういうふうに受け取らざるを得ないと思うのですが、これについてどういうような説明ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/82
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083・八塚陽介
○八塚政府委員 確かに、従来実績と融資のワクとの関係から見ますと、たっぷりあったわけでございます。そうして、それがもちろん果樹新植につきまして、先ほども申し上げましたように、制度金融的なものが約五〇%、それがたとえば四十年度でいえば大体一万ヘクタール余、したがって、今度私どもが立てました基本方針による植栽目標の十年のうち、四十二年から前半の五年間の平均面積とほぼ見合うかっこうになっておるわけでございます。たとえば四十年度、制度金融で申しますと、制度金融の対象になったのが一万四百八十ヘクタール、そのうちで公庫資金のいわゆる経営改善資金といいますのが三千七百六十ヘクタール、二〇%等々で、制度金融の対象になったのが一万四百八十ヘクタール、そういたしまして、過去三十八年から四十年度の栽培面積の年平均が二万ヘクタール、それを今後約五年間は一万二千ヘクタール何がしに落としていくという計画でございますから、計算のとおりにまいりますと、全体の制度資金は先ほど申し上げましたように、五〇%よりもかなりなカバー率になるわけでございます。ただ一つは、そのうちでも近代化資金あるいは農業改良資金、構造改善推進資金、経営改善資金、約四種類あるわけでございますが、それぞれ条件が異なります。単に利率、償還の条件だけではなくて、構造改善資金の場合は構造改善地区であるとか、いろいろ変わるわけでございますが、そのうちの現在約二〇%を占めております経営改善資金、これが五十億円ないしは四十二年度四十億円のワクをお願いしておるということでございます。ですから、計算上は直には結びつかないわけでございますが、私どもとしましては、これだけ金があるから、この金を全部フルに消化して、不合理でも非合理でも何でもやれという指導体制はもちろんとる気はございません。制度金融のうちの主要な部分ではございますが、一部でございます。そういう意味で特につじつまが必ずしも合わないというふうにも考えられないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/83
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084・村山喜一
○村山(喜)委員 この農林漁業金融公庫の構造改善事業として取り組んでおる融資関係の事業、これを見てみますと、未墾地取得資金というのがあります。これは三十九年度の総額が二十五億円あったうち、果樹園としていわゆる未墾地取得資金として使いましたのが十八億五千九百万円、全体の七五%です。四十年度の総額二十三億円のうちやはり十七億三千三百万円、四十一年度はこれはふえていますね。総額三十七億円のうち、果樹園としてやはり全体の七五%の二十五億円程度の資金がこれに使われているわけですね。
そういうようなふうにして未墾地を取得をし、おもに地目は山林原野、こういうようなところを新しく開墾をしまして、そこに新植をしていくわけです。それが、やはり先ほどお話し申し上げましたいわゆる植栽育成資金として使われている分が、こういうようにして未墾地を取得をした上に積み重なって新しく耕地化されて、そこに植栽をされている。これが一つのケースとしてあろうと思うのです。そのほかに私はやはり構造改善事業としてやっておられるものがあるのじゃないかと思うのです。したがって、われわれの国会に報告されております資料にありますように、いわゆる植栽育成資金として使われたものは一万四千ヘクタールだ、こういうことがはっきり言えるのではないかと思うのですが、それは間違いですか。先ほどのお話では全部で一万四百八十ヘクタールだ、これが制度金融の対象として取り扱いをされておると言われる。しかし、われわれのほうに出されました農業の動向に関する年次報告によりますとそのようになっておりませんが、それはどういうふうに説明されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/84
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085・八塚陽介
○八塚政府委員 ちょっと私どものほうの手元に、はなはだ申しわけないのでございますが、動向の白書がございませんので、私どもの現在こちらのほうにあります数字を申し上げますと、果樹園経営改善資金、それから農業構造改善推進資金、農業近代化資金、農業改良資金、いずれも制度金融でございます。ただ、先ほどの未墾地取得資金は入っておりません。それによって四十年度に植栽されたと考えられる数字が合わせて一万四百八十ヘクタールというふうになっています。そして、そのうちにいわゆる経営改善資金というのが三千七百六十ヘクタール、一九%、農業構造改善、いわゆる構造改善推進資金、これが一七%ということで、そういうものを合わせて一万四百八十ヘクタールというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/85
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086・村山喜一
○村山(喜)委員 ではいいです。資料は後ほどお調べいただきたいと思います。
いずれにいたしましても、こういうようなふうにして、あなた方が制度金融の上にのっけて果樹振興農家というものの基盤整備並びにその生産地帯の育成というような形でこれから推進をされようという計画が出されてきたわけですが、しかし、適正規模の濃密生産団地を形成をするという仕事もことしから始まるわけですね。四十六都道府県に一カ所ずつ設けて、一カ所四十万円の資金でそれをつくらせるわけでしょう。そういうようなテンポなんですね。
そこで、一体いままで、まあミカンであるならば二十ヘクタール程度くらいでなければだめだというようなことで推進をされてきたわけですが、そういうような構造改善事業なり、あるいは経営近代化のための経営改良資金、こういうようなものが一つの生産団地としての集落を形成をして、その中でやはりあなた方が計画の中に定めておられるように、生産量は総体的にいえば十年後には九割六分ふえる、そしてその労働生産性というようなものも引き上げていきながら、そして生産量も引き上げる中で生産費を節減をし、農家の所得をふやしていくんだという一つの果樹の長期計画が立てられておるわけですね。そうなっていきますと、たとえばミカンであるならば、病虫害の共同駆除作業から、あるいはその管理から、あるいは収穫をしたものを品質の区別をしたり、あるいは保管をしたり、いろいろな作業形態があり得るわけですが、そうなってくると、共同選果場から貯蔵所、そういうようなものまで設ける地帯形成を考えた場合には、五百ヘクタールないしそれ以上の一つの生産団地というものを中心にして考えていかなければ、とてもじゃないが、こういうような生産性を引き上げながら、しかも果樹農家の所得を引き上げていくということにはならないだろうと思うのです。そうなってまいりますと、そこにはやはりそれだけの政策目標に対する具体的な農業政策というものがこれから実施されていくわけでしょう。そうなってまいりますると、いままでは増産体制だけは制度金融の上においても、非常につくれ、つくれの形の中でつくらせた。ところが、ミカンがいい、くだものはこれから成長作目だからやれ、つくろうという機運は大いに盛り上がって、あなた方が予期していない以上の実績としてあらわれてきた。二万二千五百六十六ヘクタールも昭和四十年度はつくった。四十一年度はもっと多いでしょう。それを今度四十二年度になると、一挙に一万五千ヘクタールくらいに縮めるわけですね。そうして、ミカンなどは一万一千七百ヘクタールのものを六千ヘクタールに縮めるわけですから、大体半分に圧縮をするわけです。半分に圧縮をする計画を持ちながら、なお資金量的には昨年を上回る資金を貸し出そうとしておる。
一体、こういうような農業政策というものがはたしてあるのか、また、そういうような金融政策を行なわしめようとするところに、私は大蔵省の果樹農業に対する無定見さ、無計画性というものがあるのじゃないかと思うのですが、その点は両方からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/86
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087・八塚陽介
○八塚政府委員 私どものほうの果樹生産、特にいわゆる生産の需要に合わせた調整のしかたにつきましては、従来需要の長期見通しということで、いわば間接的に生産に対する調整のガイドポストを三十七年度に一応出したわけでございます。そういうことで、もちろん単にこういうものを出したからということではなくて、むしろ与件のそういう変化と申しますか、それらのほうが響いたと思いますけれども、リンゴ等につきましては、それまでの勢いがそのころからかなりゆるく、なだらかになってきた。その後ミカンについては、いまのところかなりな勢いで確かに伸びております。そういう中で、各生産地においては、もちろんそういう点でこのままでいいだろうか、全体として調整をするということがなくちゃいけないのじゃないかということが一般的に起こりまして、昨年のいわゆる果樹振興法の改正になったわけでございます。
そういう意味におきまして、私どもが従来の一万ヘクタールを六千ヘクタールに落としたほうがいいだろうという線を出しましたことは、かなり大きなブレークダウンと申しますか、引き下げではございます。しかし、一方、産地のほうにおきましても、もうある程度そういうことをやってもらわないとまずいのじゃないかという機運もあるところでございますので、今後生産の各府県とよくお話をいたしまして、そういう線でできるだけ影響を少なく、かつ長期需要を見込んだやり方でやってまいりたいと思っております。すでに四十年が全部で二万二千五百六十六ヘクタールということで、これが大体近年の新植の伸びのピークでございますが、四十一年になりますと一万九千五百四十九ヘクタール台ということで、いま申し上げましたような機運を反映いたしております。そういう線に乗って、私ども適当な植栽面積になるように努力をいたしたいと思います。
再々御指摘になります、いわば昨年の実績よりもより多くの融資ワクをつけるということでは、そういう線と反対で、むしろ野放図に伸ばせという姿勢を別途に示しているんじゃないかという御指摘でございますが、これは実は、ちょっと私先ほど申し上げましたように、現在私どもの手元にあります資料では一万四百ヘクタールというのが制度金融であって、そのうちの一部である二割程度が四十億円、いわゆる五十億円から四十億円にしたその公庫資金に対応するものであるというふうに考えますと、その限りでは昨年よりたくさんついておるわけでございますので、もちろんもっと下げてもよかったんじゃないかということは依然として残ることでございますから、その点についてあまり強弁する気はないのでございますが、計算上はその内数である。しかも、私どもとしましては、資金としては用意があっても、全体として新しく示しました植栽面積の線に沿っていくように今後努力をいたしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/87
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088・小沢辰男
○小沢政府委員 大蔵省の担当の者がいま参っておりませんが、私ども大蔵省といたしますと、制度金融の中で農林省なりそれぞれの金融機関から協議を受ける場合、それからそうでない場合というのがございます。協議官庁でございますので、実施官庁でございます農林省の意向に沿いまして、できるだけ私どももそうした面で行政を伸ばす方向に協力するという側でございます。いま農林省のほうから述べられましたような状況であるわけでございますが、実施にあたりましては、先生御趣旨の点もよくわかりますので、農林省側とよく相談をしながら、いやしくも放漫でないようなそういう配慮を十分いたしてまいりたいというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/88
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089・八塚陽介
○八塚政府委員 ちょっと補足いたしますと、もう一つ数字について、私どものほうでいま手元にございませんからあれですが、認定面積がかりに十ヘクタールだといたしますと、その面積を合計すると、あるいは白書に書いてあるような数字になると思うのですが、そのうちのたとえば十ヘクタールを認定しましても、改植、新植面積は十ヘクタールということじゃなくて、つまり、いままで七ヘクタールまわりにある、そこへもう三ヘクタール植えたいというときには、その十ヘクタール全体の計画を持っていらっしゃいというルールになっておりますから、あるいはその差になっておるかもわかりません。いずれにしましても、手元にないので推測の説明を申し上げて恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/89
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090・村山喜一
○村山(喜)委員 わかりました。
それで、私が見ましたものは全体的な統計数字でありますから、年次報告の中で、四十年度の果樹園経営計画は、認定件数が六百件で、対象面積が一万四千ヘクタールであった、こういうふうに書いてあるから、その区分けについてはいま技術的な問題がその中にあるかもしれません。その点はそれでよろしいわけですが、問題は、そういうような果樹振興計画のもとにとられております一連の金融政策というものの中で、実績が四十年度においては二十二億円あったものを四十一年度は一挙に五十億円に引き上げる。ところが、実際問題としては、五分五厘ではもっと有利な三分五厘あたりの構造改善資金のほうがあるから、そちらのほうに農民が手を出すのはもっともなことなんで、これが消化できなかったということをとらえて、今度は大蔵省の銀行局のあるあたりでは、こういうのに力を入れなければならないのに実績が悪いとは何事だとおこっているわけです。今度は四十二年度はどうかということになってくると、四十億円の資金量を用意しているわけです。その中で、四十二年度は植栽面積も減らさなければならないという果樹農業の長期計画とマッチしない資金対策というものを打ち出している。そこに問題があるということを私は言っているわけです。ですから、この点については小沢さんが答弁をなさったように、もう少し——そういうような問題は、ただ二億六千万円の園芸局の中にあります補助金、そういうような予算額、それだけじゃないと思うのです。これはそういうような農業構造改善事業に伴う資金は一体どうなっているのか。特に利子補給等も近代化資金等を導入をしまして、この実績調査によりますと約四億四千万円というものを利子補給しているというような年次報告になっているのですが、そのほかに計画を五十億円も立てるような金融措置がなされておるわけですね。こういうような全体の問題の中から、日本の果樹経営の方向は将来どういうふうに持っていくべきなのか、それに対する資金の裏づけなりはこういうふうにあるべきだ——特に今日ミカンの場合は、一日の労働費に計算をいたしますと三千円、リンゴは千三百円、こういうような状態になっているときには、特にリンゴ経営の果樹農家というものが経営上非常に苦しい立場にあるということがこれでもわかるわけです。そうなった場合にはいまの品種を更新しなければならないというときにきているでしょう。そのミカンの新植のほうは抑えて、リンゴの品種の更新のほうに切りかえていく場合に、資金の面においても金利の面においても、同じ果樹といいましても、それぞれ対象ごとにその果樹を生かしていく政策がとられなければならぬ。もちろん五分五厘一律でやっておられるものとは思いませんけれども、そういうようなきめのこまかい農業政策というものがとられているものかどうか。この点は私は必要だと思うのですが、そういうようなリンゴの改植資金等についてはどういうような資金の手当てをしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/90
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091・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、リンゴについて、四十年、五十年あるいは七十年、八十年——八十年というのはあまりないと思いますけれども、非常に古くなった部分の改植というよりも、問題は、国光であるとか紅玉であるとかいう消費指数弾性値が〇・三というような、いわば問題になっておる品種から、ゴールデンデリシャスであるとかスターキングであるとかいう非常に弾性値の高い、いわば需要が高い品種に変えていくということがリンゴ業界の問題になっておるわけでございます。ただこれは、御承知のように、かりに国光、紅玉が安くても、とにかく実がなって収穫されて、それで販売されて一応収入がある。それを一時やめて、何年かしないと結果しないデリシャスとかそういうものに変えるということは、当業者としてはなかなか飛躍を要する問題でございます。したがいまして、そういう問題がございますから、そう急激にそれが進捗しておるとは申し上げられませんし、それから、たとえば長野県と青森県とを取り上げますと、長野県のほうがいま申し上げましたゴールデンとかスターキングとかいうものの割合が大きく、したがって、より問題になるのは青森県であるというような地域的な差もございますが、そういう点に着目いたしまして、ここ両三年品種更新について、新しいそういう品種について生産者の方が共同で苗木を養成してやっていくというようなことについては、国のほうも補助をいたしておるわけでございます。なお、そういうことについての、品種更新をして改植する資金というものはいわゆる育成資金の中に入って、そうして見られておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/91
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092・村山喜一
○村山(喜)委員 だから、制度金融の中で五割程度も植栽資金その他の長期経営資金が出されておるとするならば、それで需要が規制ができないものは論議は別といたしまして、これ以上植えては困るんだというようなものに対して、安い金利の資金を貸す必要はないわけですからね。そして、これは品種の更新をやらなければならないというようなものについては低利の資金を与えていくという一つの政策をとらなければ、植栽育成資金というものは五分五厘なんだということで、ごちゃまぜのそういうような資金対策というものでは、私は政策的な制度金融としては意味がないんじゃないかと思います。ですから、そういうような点については、もう少し差をつけるなり何かする方法をとると同時に、もう一つ問題がありますのは、そういうようなふうにして制度金融のルートに乗って措置がされるものは、政府の誘導政策の中で、あるいは県や市町村のそういうような中で、一つの濃密生産団地を形成ができる方向に指導ができると思うのですが、自主的にミカンがいいぞというようなことで、ネコもしゃくしもミカンを植えるというようなことに対してはどういうような指導をなさるのですか。自己資金でやれば自由だから、それはやむを得ないということで放置する手もなかろうと思うのですが、それについてお答えを願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/92
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093・八塚陽介
○八塚政府委員 いまおっしゃるような事例は、やはりあり得るわけでございます。ネコもしゃくしもというと、これは非常に言い過ぎになろうかと思いますが、たとえば、従来はもっと粗収益の低かった地域、あるいは、従来は家族労働の関係でほったらかしてあった土地、そういう地域になりますと、収益についての、あるいは期待収益についての考え方がそれぞれ違うと思います。
そういう意味におきまして、もう全体としては植栽面積がそうふえては困るという場合にでも、個別の地域の個別の生産者をとりますと、計算上期待する水準が低い場合にはやはりやってみようということは、これはあり得ることでございまして、私どもとしましては、正直に結論を申し上げますと、どうしてもそういう方がやりたいとおっしゃる場合に、とめる手段は実はないというふうに言って白状せざるを得ませんが、ただ、先ほども申し上げましたように、各県におきましても、あるいは各町村におきましても、やはり生産の成り行きについては、いわば十分理解がある、あるいは理解せざるを得ない状況になってきておりますので、計画を強制することはできないにしても——歩どまりはあると思いますが、その線には、できるだけ各方面の御協力を得て、ある程度やっていけるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/93
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094・村山喜一
○村山(喜)委員 私は鹿児島なんですが、最近歩いてみると、どの山を見ても、どの丘を見てもミカンばかり植えている。それが産地として五百町歩くらいの一つの生産団地を形成するようなふうにまとまれば私はいいと思うのですが、あっちのほうに二十町歩、こっちの丘のほうに五十町歩、こっちのほうに十町歩というような団地形成をしておったら、やがてこれが成木になり、そして収益があがるころになりますると太刀打ちができなくなる、こういうようなことになるわけです。だから、もう少しこの問題については徹底した指導をやっていただかないと、将来大きな問題が残るのではないかということを考えますので、資金対策の問題やら全部含めまして、果樹農業振興基本方針の計画ができたのですから、これをどのようなふうにして裏づけをしながら、どのように誘導していくかということを、もう少しきめのこまかいことを生産官庁と大蔵省のほうと十分——これは省だけじゃなしに、そういうような農業金融機関等とも打ち合わせをしながら措置してもらいたいということを要望申し上げたいと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/94
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095・八塚陽介
○八塚政府委員 私どものほうの果樹振興対策につきましては、正直に申し上げまして、やり出しましてから期間も短い、かつ、どちらかといいますと、いままで相当な勢いで伸びておりまして、そういう意味で、逆に、しまったと申しますか、きめのこまかな、矛盾のない行政体系に必ずしもなっていないという点があるのではないかと私どもは考えて、そういう意味におきまして、ただいま先生の御指摘になりました点につきましては、十分に玩味すべき点、あるいは今後ともその線に沿って検討すべき点が多いというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/95
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096・小沢辰男
○小沢政府委員 村山先生の非常な卓見だと私、思いますので、大蔵省といたしましても、きょうは担当者が来ておりませんが、私、帰りまして、早急にひとつ十分検討するようにさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/96
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097・村山喜一
○村山(喜)委員 もう終わりますが、もう一つ。先ほども触れられておりましたけれども、現在この長期計画の中でも三万八千トンの生果輸出量が基準年次においてある。これを六万トンに引き上げるのだという目標が出されておりますね。これについては、果樹の輸出の問題でありますから、もちろん相手国の関税政策の問題等もありましょうし、あるいは外交ルートを通じてのお話ももちろん必要でありましょうし、あるいは、その輸出に耐え得るだけの品質なりあるいは保管についての保存方法の開発とかというような問題もあわせ行なわなければ達成ができないだろうと思うのですが、そういうようなものに対するいわゆる長期計画の裏づけ、並びにこれは通産行政との関係が生まれてくると思うのでありますが、その見通し等は一応立てられたとしても、現実には、たとえば六万トンの生果をどういうふうな方向に、どういうふうに——いま実績として一応の線はあるわけですから、それを拡大をする方向でやられるものなのか、この達成の目標に至るまでの一つの具体的な問題の提示というものがありましたら、この際お示しを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/97
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098・八塚陽介
○八塚政府委員 一般的な国内におきます需要動向をどういうふうに見るかということもなかなかむずかしい問題でございますが、これはまあ一応いろいろな約束をおけばある程度計算で出てまいるわけでございますが、ただいまお話しになりましたように、生果輸出の問題は、むしろ相手国の制度等いろいろございまして、過去におきましても必ずしも趨勢的に伸びておるとか、あるいは趨勢的に落ちておるとかというふうではなくて、何らかの政策的な問題が入りますと、とたんにがくんと落ちるというようなこともございまして、生果輸出の見通しというものは最もむずかしいわけでございます。
私どもとしましては、端的に申しますと、この生果輸出の見通しにつきましては、どちらかというと、業界等のいわば経験的感覚、あるいはこれぐらいはひとつやってみようということをもしんしゃくをいたしましてつくったものでございまして、たとえばここ三年先にはこの問題が解決する、あるいはここ五年先にはこういうことになるだろうというふうなことまで、実は端的に白状いたしますと、やっておりません。したがいまして、いろいろな問題があろうかと思います。しかし、こういう事情にかかわらず、私どもとしては、外交ルートを通じて、そういう外交上あるいは制度上の障壁があればできるだけ解決をはかっていく、あるいは、たとえば国内についての体制が整わなければ、それはそれで解決をはかっていく、生果輸出の問題もございますが、たとえば加工をいたします場合も、生果が年々高くなっていくのに対応して加工原料が高くなっていく、そうしますと、国際市場ではいろいろ問題があるということで——加工等についてもるる申し上げますとまた長くなりますが、もちろんいろいろ問題は含んでいる、そういう問題につきましては、できるだけ一つ一つ解決をはかって、こういう目標を達成していくように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/98
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099・村山喜一
○村山(喜)委員 日本の果樹の品質なりあるいは現在の価格などというものは、国際的に比較をしてどの程度の競争力を持っているかわかりませんけれども、やはり国内における需要の見通しというものは、長期的に見たら現在の二倍程度のものは当然確保できるだろうと私は思うのです。ただその場合に、生産と需要との関係で価格がきまってまいりますから、生産がふえてくればそれだけ需要が伸びてくると同時に、やはり一般的に価格は下落する方向に行かざるを得ない、そうなれば、やはり生産性を高めなければいけない、これは当然であろうと思うのですが、その中でやはり農家の所得を保証するためには、現在のようないわゆる規模面積の中ではこれは確保できない。そうなれば、やはり経営面積の規模の拡大も必要であろうし、それは単なる農家の自立経営農家という形だけでなしに、全体的な一つの生産地帯を形成していかなければならないという点にも当然出てくるでありましょう。そういうような問題も考えながら持っていかなければならないのであって、やはり関税政策だけでこれらの問題を処理すべきでないという基本的な考え方を私は持っている。しかしながら、この国内産業の保護という立場も考えなければなりませんので、ただ生産と需要との関係を無定見な形の中で、これは成長作目だからこれに重点を置いてやるのだということでなしに、その全体的な生産と需要との関係を考えながら長期的なやはり一つの見通しをつけて、それに必要な資金の手当てをしたり、あるいは需要の開拓、拡大をはかるなど、いろいろな方法、特に日本のくだものはそう品質は劣っておりませんから、外国にこれを伸ばし得る点も将来においてはあり得るわけですから、そういうような点も考えながら、全体的な問題としてこの果樹振興という問題を取り上げてもらいたい、こういうような立場から意見と質問を申し上げたわけでありますが、よろしくお願いしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/99
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100・内田常雄
○内田委員長 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/100
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101・武藤山治
○武藤(山)委員 今回の関税定率法の一部改正は、いろいろ広範な問題を含んでおりますが、大体、基本線としては関税率審議会答申の線に沿った改正、さらに答申にはないけれども、手直しをした、そういう問題があるのかないのか、ちょっとそれを先に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/101
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102・細見卓
○細見政府委員 原則として関税率審議会の答申によっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/102
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103・武藤山治
○武藤(山)委員 この答申によると、たとえば、重油関税の場合、昭和四十五年まで現在の税率を延長するという改正が出ているわけでありますが、答申案を読んでみると、原重油からこういう高率関税を取るのは、原則的には好ましくない。ただ、石炭の今日の状況から見てやむを得ないが、四十五年以上これが延長されるようなことがないようにという意見が答申の中で述べられておるわけですね。
そこで大蔵省は、本定率法改正にあたって石炭業の今後の見通しですね、答申案に出ているように四十五年までの間で、大体石炭産業というものが意図する方向に改善をされ、整備されて、心配のない体制になるのかどうか、大蔵省は一応どのような検討をなされたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/103
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104・細見卓
○細見政府委員 その石炭産業はどういう形で再建されるかということは、これはなかなかむずかしい問題でございますが、一応石炭鉱業審議会の答申にのっとりまして、その期間、財源としては重油財源を使う、そうして、われわれはその石炭のほうの審議会の答申に想定されております形での再建がなし遂げられるであろうということを予想して今回の改正をお願いしているわけであります。
ただ、この関税のほうの審議会の中に、ときどき見直せというのが入っておりますが、これは先生御案内のとおり、所要額と、それから最近非常に重油の輸入などが伸びておりますので、歳入額とがほんとうにマッチするかどうか、場合によっては税率の見直しというようなことも考えるべきだ。それからいま一点は、石炭産業の再建の問題は、それ自身非常にむずかしい問題でありますが、その財源を重油に求めるということが、今後引き続き、今回の石炭のほうの答申以後の——石炭にかりに財源が要るといたしましても、そのときに重油財源にその財源を求めるのが適当かどうかというのは、関税率審議会としては十分考えたいという意図がにじみ出ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/104
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105・武藤山治
○武藤(山)委員 この問題については、あとで石炭特別会計が本委員会にかかりますから、詳細にまたそのときに質問をいたしたいと思います。
次に移りますが、今回の改正で、実質犯につき従来没収をされてまいりました品目が、今度は没収品目というものが非常に狭くなって、好ましい改正が行なわれるわけでありますが、参考のためにちょっと伺っておきますけれども、従来一年間の没収数量、金額というのはどのくらいに達したもんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/105
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106・細見卓
○細見政府委員 従来は、原則的に犯則の場合は没収が行なわれておったものと想定いたしまして、反則件数で申し上げますと、四十一年中に関税法違反として処分をいたしましたものは、総件数が四千六百十九件ございます。そのうち密輸犯等が三千二百五十四件ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/106
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107・武藤山治
○武藤(山)委員 その没収された品物は、どういう方法でずっと長い間処分してきたのですか。これは競売ですか、それとも何か政府指定商みたいなものがあって買い上げるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/107
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108・細見卓
○細見政府委員 原則としてというか、競売に付しております。物によりましてどうにもならない物は別でございますが、原則として競売でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/108
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109・武藤山治
○武藤(山)委員 それは金額にしてどのくらいずつか、過去二、三年の実数をひとつ示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/109
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110・細見卓
○細見政府委員 没収のない場合について追徴金などを取っております。その追徴金が五千一百七十八万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/110
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111・武藤山治
○武藤(山)委員 没収されたもので公売されたもののほうの数は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/111
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112・細見卓
○細見政府委員 その数字はいま手元に持っておりませんので、調べまして御連結いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/112
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113・武藤山治
○武藤(山)委員 それはあと三年間くらいの——まあ大切に娘のみやげにと買ってきた指輪なども没収されて、どう処分されたのかわからぬというような問い合わせなどもぼくらのところに来ているが、今回改正されるまでの間の旅行者の不満というものはかなり強いものがあったと思うんですね。そういうような点で、ひとつ参考にしたいと思いますので、あとで資料をお願いいたします。
それから次に、午前中から議論されているバナナの問題ですが、いま日本が輸入をしているバナナの輸出国ですね、日本の輸入相手先、これをひとつちょっと言ってみてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/113
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114・細見卓
○細見政府委員 大体同じ傾向なんでございますが、自由化以後ということで、二十八年から申し上げますと、全体の輸入数が二十五万五千六百四十八トンで、そのうち台湾が五万一千六百十七トン、それからエクアドルが二十万三千四百二十三トン、その他が六百八トンということになっております。三十九年になりますと、全体が三十五万一千八百四十七トンで、うち台湾が十八万六千九百九トン、それからエクアドルが減りまして十六万五百五十四トン、その他が四千三百八十四トンということになります。四十年になりますと、全体が三十五万七千六百十三トン輸入いたしておりまして、そのうち台湾がずっとウエートが大きくなりまして三十一万五千二百四十トン、エクアドルが三万四千二百三十六トン、その他が八千百三十七トン。四十一年になりますと、総体で四十一万六千二百四十六トン輸入いたしておりまして、そのうち三十三万六千六百五十五トンが台湾、それからエクアドルが七万一千四百二十三トン、その他が八千百六十八トンになっております。これを構成比で申し上げますと、三十八年は、全体を一〇〇といたしまして、台湾が約二〇%であり、エクアドルが七九%であったわけでありますが、四十一年になりますと、台湾が八一%、それからエクアドルが一七%ぐらいになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/114
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115・武藤山治
○武藤(山)委員 これは担当は通産省かどっちかわかりませんが、エクアドルが約八〇%を占めていたのに、わずか三年間で一七・二%に激減をしている。この原因は一体何だと判断されているわけですか。台湾がずっとふえてエクアドルが減った最大の原因です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/115
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116・原田明
○原田政府委員 先生御指摘のとおり、まことにふしぎな現象のように見えますが、実はエクアドルのバナナはそうたいして日本にはたくさん入っておらなかったわけでございます。三十七年度は台湾から百八万かご入りましたのに対しまして、全体の輸入が百八十万かごでございまして、大部分の輸入先は台湾であったわけでございますが、三十八年にバナナの輸入が自由化をされましたので、そのころまだ国内の需要がかなり強かった関係もございまして、輸入業者が輸入に殺到いたしたわけでございます。ところが、三十八年日本側は輸入を自由化しましたにもかかわりませず、台湾側は依然として統制を続けておりましたので、台湾からの輸入をふやすことができなかったわけです。したがいまして、新たなソースを求めて、その当時一番可能性のありましたエクアドルに殺到いたしました。その結果エクアドルの数字がその当時非常にふえたわけでございます。そのほかに、三十八年には、台湾の生産量も急にふやしてこちらの需要にミートするという情勢になかったこともございます。しかし、その後エクアドルに殺到いたしました結果、船賃も上がりますし、かたがた航海日数が長い関係もございまして、日本の国民の嗜好にはやはりなかなかミートしないという面がございましたので、台湾からの輸入可能量が増大するに伴いまして、急速にエクアドルのほうは減りまして、いわばもとへ戻ったという形になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/116
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117・武藤山治
○武藤(山)委員 それは、遠い、日数が五倍もかかる、いろいろそういう条件からエクアドルが減るということもわかりますが、もう一つは、バナナの味というか、リンゴがだいぶ追い詰められるというので農業団体が盛んに反対をしているわけですが、台湾バナナのほうが、味とか——滋養は同じようなものなんでしょうが、やはり鮮度が落ちるから、滋養の点からも台湾のほうがいいでしょうか。それは専門家から見てどうでしょうか。園芸局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/117
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118・八塚陽介
○八塚政府委員 私もほんとうの意味の専門家ではございませんけれども、ただ、確かに日数がかかりますから、それだけ青いうちにとらなければならないというようなことで、こちらに持ってきても熟成がなかなかむずかしいということもあるようでございますが、一つはやはり品種で、台湾の品種が戦前日本向けの品種であったキャベンディッシュという品種なんですが、当時から日本人の嗜好をねらった品種でございますから、やはりそういう意味で日本人の嗜好性に合うんではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/118
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119・武藤山治
○武藤(山)委員 園芸局長、安くて、うまくて、滋養のあるものがどんどん入ってきたら消費者は喜ぶのですが、園芸局長の立場から見たら、どの程度で何とかチェックしなければ困るという、農林省側の見解というのはどの程度をめどにしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/119
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120・八塚陽介
○八塚政府委員 私ども、もちろん果樹の生産者——園芸部所管物資の生産者の行政をやっておるわけでございますが、一面、やはりそういう物資についての消費者に対する行政上の責任も持っておりますから、その間の調和をどういうふうにとっていくかということで、一般論から言いますならば、消費者に対して安いくだものを供給する、それに対して生産者側は十分にコスト等から見て耐えられるようにするということ、しかし、一面からいえば、コストを下げるといっても、規模の拡大はなかなかむずかしい、労賃は上がっていく等々で、やはりそうはいかないという問題がございますから、その間の調和をどう考えるかということになるわけでございます。かたがた、私どもの扱っております果実というのは、戦前は、いわば嗜好品といいますか、極端に言いますならば、お見舞い等に使うというようなところに非常に意味があった。しかし、最近になりますと、そういうぜいたく品ではもちろんございませんし、国民のいわば日常の必需品、つまり、時間の変化とともに消費者に対するウエートという意味も違ってまいりました。それだけにいろいろな問題もあり得るわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、バナナとその他の果実の代替性がどうあるかということによって、国内に対する影響の度合いがいろいろ論議されるわけでございますが、それはなかなか計数的にむずかしいということになりますと、条件は変わっておりますから、必ずしも、すぐ持ってきてどうかという問題があるということを前提にいたしまして、大体、戦前は国内産果実の一割程度であったわけで、それくらいであれば、両方からも、つまり生産者のサイドからも、消費者のほうのサイドからも、一応お互いにがまんをしていただけるころ合いではないだろうかというふうに考えております。ただ、一般的にバナナについては、いま日本人が平均約三・三キロぐらい食べております。他のくだものも、先ほど申し上げましたように、今後十年ぐらいの間には倍ぐらいの消費量を全体として示すであろう、そういう趨勢の中でやはり三・三キロ程度でいいというふうには、各国の例を見まして、なかなかいかないだろうと思います。全体の果実の需要量、生産量の伸びる範囲で今後も考えていくということに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/120
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121・武藤山治
○武藤(山)委員 大蔵省、バナナは基本税率三〇%ですね。その基本税率三〇%がいま七〇%になっている。これをあなたの先ほどの答弁の中では、後進国の輸出品という観点から関税引き下げを迫まられるという国際世論もあって、いじらざるを得ない、もう一つは、南北問題がうるさい、あるいはエクアドルのバナナ会議があった。この三つの論拠から今回七〇%をいじる。本来基本税率三〇%ですから、さらにそれは下げたいという気持ちがあるんだと思うのですね。
そこで、最終年度をどのくらいのめどにして、基本税率どの程度まで近づけていこうとしているのか、大蔵省側のスケジュールがある程度あると思うのですが、そこらを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/121
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122・細見卓
○細見政府委員 非常にむずかしい御質問で、スケジュールは立てておりません。この法案を御審議いただくことを第一として考えておりまして、それから先は実は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/122
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123・武藤山治
○武藤(山)委員 なかなかうまい答弁で、法案を上げることしか考えておらぬとおっしゃいますが、しかし、大蔵省としては、当面三〇%に近いうちに近づけることはむずかしいだろうが、どの程度までは国際環境からいってやむを得ないんだ、そこははっきり言ったほうが、農林省としても、これからの態度をきめ、あるいは補助、助成する上からも、この法案だけ通ればいいんですよというようなことでいたんでは、あとの対策も立たぬし、農民も安心できぬと思うのです。それは国際環境からいっても、この程度までは何年間以内にやらざるを得ないんだ、そうしためどを明らかにしたらどうですか。そうしたらぼくは園芸局長に質問するんですから。それを明らかにしなければ、対策を立てろといっても、今度みたいに、七〇%をちょっといじって、二年ちょっと、約三年間で一割下げるということについても、農業団体はまっこうからわっさわっさ反対してくるんですから、それを初めから大蔵省は、国際環境の中からこうせざるを得ないんだと、一つの国家的見地に立ってぱっと言えば、それは生産者団体も、あるいは農林省団芸局長も、本腰を入れてそれに対する対策を考えますよ。だからぼくは、やはり大蔵省のほんとうの気持ちを、本音をここで明らかにしたほうがいいと思うのですが、もう一回明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/123
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124・細見卓
○細見政府委員 今回、バナナにつきまして、とにもかくにも、五%ずつでございますが、二カ年にわたって一〇%下げるということをいたしますと、これはいろいろな会議その他で、来年の二月には例の国連の貿易開発審議等がございますが、そういう際におきましては、日本は、熱帯産品については、国内にいろいろ議論のあるところを非常に苦労して下げておるということで、言いわけが立つだろうと思います。そういうことを考えまして、当面はこれを下げていただくことに実は全力をあげておったわけで、将来の問題といたしましては、国会でおきめ願った基本税率は三〇%になっておりますが、これからまた、国会の皆さま方が、これはしばらく暫定税率でいくべきだということでございますれば、例年暫定税率を出しまして、皆さま方がそれは本来の基本税率に戻るべきだというときまでお待ちいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/124
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125・武藤山治
○武藤(山)委員 それは国会審議にまかせておいて、また議員修正で七〇%にとにかく戻そう、農民がとにかく不安だ、こういうことになれば修正されてもやむを得ぬ、大蔵省もあまり抵抗もしない、その程度の国際世論、国際環境と心得ていいですね。というのは、ぼくら農林と連合審査をやりますからね。そのときにいまのあなたの発言は重大な発言になりますので確認しておきたいのですが、議員修正でやろうということに与野党きまったら、それほど率にはこだわらぬですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/125
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126・小沢辰男
○小沢政府委員 私どもは五%を二年間にわたりまして一〇%引き下げをお願いいたしておるわけでございますから、これを戻すということは、これは国際的な世論の上から見ましても、わが国全体の貿易の政策からいろいろ見ましても、決して好ましくないのでございまして、この点はぜひ御了解願いまして、本案の御審議を進めていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/126
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127・武藤山治
○武藤(山)委員 だいぶん違うね、いまの答弁。これは政府部内の不統一ですよ。(細見政府委員「同じでございます」と呼ぶ)
それでは、いまのは勇み足ということで一応それ以上追及しないことにして、園芸局長、どうですか、五%ずつ二年間関税率が下がった場合、日本の果樹生産者に対する影響、あるいは消費の拡大に対するストップの度合い、いろいろ農林省として検討はしたと思うのですが、五%ずつ二年間下げられた場合どういうふうな影響があると大体推測されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/127
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128・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほど来申し上げておりますように、これが現実に影響があるのは、たとえば小売り価格がどれくらい下がって、それが他の果実の売れ行きにどういうふうに影響したかということが具体的に計数的に出るか出ないかという問題でございますが、たとえば、その他の果実の供給の状況、それから需要者のいわば所得の状況、しかも、果実といたしましても年じゅう同じものがあるわけではございませんから、それぞれ季節的に違うわけでございます。それから各果実につきましてそれぞれまた嗜好がある。中には全然違ったものであると考えてもいいようなものもあれば、非常に似てきて、いろいろ対抗関係が生ずるというものもございます。一がいに果実全体にどれだけの影響があるかというのは、これはなかなか困難であろうかと思います。ただ、とにかく輸入なかりせばほかのものがそれだけ高く売れるということは言えるわけでございます。しかし、それでは、なかったら、たとえば私どもが役所から帰りますときに、帰りに子供にみやげを買おうという場合に、八百屋の前でバナナがなかったら、それではリンゴを買うか、ミカンを買うか、場合によっては隣の店で大福もちを買うか、これはなかなかむずかしいと思います。そういうあたりは、もう少し自由化以後の期間が長くなればそれなりの計測もできようかと思いますが、いまのところは計数的に出すのはむずかしい。ただ、私どもとしましては、やはりショックというものはできるだけ果樹生産者のために少ないほうがいい、国際的ないろいろな状況からいって、どうしても下げるという姿勢を示すことが必要であるならば、そういうものがなだらかに、できるだけショックがショックでないようにということが望ましいという立場でおりますので、政府が現在出しております二年かかって五%ずつというのは、まあ考えられる比較的ショックをなだらかにする考え方であろうということで、ぜひこの程度でひとつごかんべんを願いたいというふうな気持ちを持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/128
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129・武藤山治
○武藤(山)委員 園芸局長は、大蔵省から予算をぶんどるために遠慮しておるのか、何か非常に控え目で、農民の立場を代表するような発言は出てこない。総理府の家計調査、消費支出金額の一世帯当たりの数字などが参考資料として手に入っているのですが、これを見ますと、ミカンの場合、昭和三十年一世帯当たりの消費支出金額の中に占めるパーセントが二九・三%だった。それが四十年には三一・六%で、ミカンはまあまあ横ばいをずっと続けてきた。リンゴの場合は、三十年二五・五%だったものが一四・四%、半減している。バナナをそれに対応して見ると、三十年に一四%だったものが、四十年には三〇・九%になった。これはたいへんバナナの占める比率が多くなった。こういう数字を、全国農業協同組合中央会が統計局の統計の中から取り出してわれわれの手元に陳情に来て配付された。こういう数字は、大体信用するに足りませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/129
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130・八塚陽介
○八塚政府委員 そういう金額については、別に否定すべき数字ではないと思います。
ただ、先ほど来も申し上げましたように、私どもの立場は決して影響ないということを言っておるのではなくて、影響がどの程度にあるかということは、これは非常に計測が困難である、ただいま申されました数字の中でも、しからば、リンゴとしてウエートは減っておりますけれども、絶対値はやはりリンゴもふえておる、ふえ方がほかのものに比べて小さいということは否定できないのでありますが、やはり金額はふえておる。これはやはり、一般的にくだものに対する支出を所得の伸びと同時にふやしていくという中で、微少ではございますが、リンゴにも分け前はあるというふうに見て差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/130
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131・武藤山治
○武藤(山)委員 それから園芸局長、先ほど、国内産の果実の一割程度の輸入というのが戦前の大体ウエートだった、現在のバナナの四十一年輸入数量が四十一万六千二百四十六トンという話だったが、これは国内産に占めるパーセンテージは大体どのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/131
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132・八塚陽介
○八塚政府委員 四十一年のくだものの総生産量即供給といたしますと、約四百五十万トンでございます。大体八%ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/132
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133・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、現在のバナナの輸入よりわずか二%程度の量は戦前と比較して多くはない、こういう御判断で農林省は指導されておるわけですか。一割程度は差しつかえないという先ほどの答弁から見るとですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/133
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134・八塚陽介
○八塚政府委員 バナナの輸入につきましては、御承知のように、一般的には自由化がされております。ただ、先ほど来お話がありましたように、台湾ものについて日本人がわりに嗜好性が強い、四十一万トンのうち三十三万トン程度は台湾バナナだ、その台湾については、ただいまの段階では暫定的に割り当てがある、今後輸入組合ということになりましても、調整規定等で私どものほうの意見を申し述べる機会はあるのではないか、その場合に、私どものめどとしましては、大体一割前後を頭に置いてものごとを考えていきたい、ただ、その年によって、向こうが不作である、あるいは私どものほうのほかのくだものの生産状況がどうである、こうであるということで、一義的に何%であればいいということは必ずしも言えない、たとえば八%であるからもう二%はいいとか、そういうふうに、そんなミニットには考えておりませんけれども、一割をめどにしておいて、ここ数年の私どもの考え方は、そういうことでやってまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/134
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135・武藤山治
○武藤(山)委員 先ほど自由化ということばが今回も出てきて、三十八年から自由化だということになっておるのですが、ほんとうの意味の自由化ということは、いまの割り当てをするような体制がほんとうの自由化なんですか、どうなんですか。ほんとうの意味の自由化とは一体何ぞやということを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/135
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136・原田明
○原田政府委員 ほんとうの意味の自由化と申しますと、やはり輸入をしたいという方は、自由にどこからでも買える体制に持っていくのが自由化であろうと思います。したがいまして、現在台湾バナナについてとられております割り当ての制度は、完全な意味における自由化とは申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/136
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137・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、国際会議の席上では、日本はバナナを自由化したという発言をしておられるわけですか。日本はバナナを自由化しておりません、割り当て制度である、国際会議の席上ではこういう発表をしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/137
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138・原田明
○原田政府委員 現在行なっております制度は、自動割り当て制度のもとにおける割り当て制度という形をとって、台湾のバナナだけについて数量割り当てをいたしております。現在台湾との間では、割り当てをやるということについて了解をいただいておりますので、その意味で、台湾から、日本が割り当てをしているということについて、政府からの抗議といったようなものを受けたことはございませんで、了解済みで実施をいたしております。その他の国は文字どおりの自由化が行なわれておりますので、そのような説明を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/138
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139・武藤山治
○武藤(山)委員 自由化をしたということになれば、自由化という概念がすべての業者に均てんされた、平等に取り扱われなければいかぬと田ふうのです、自由化をしたというからには。それを三十八年から自由化をしておきながら、特定の業者だけは割り当てを認めて、特定の業者には認めないというのは、これは法のもとの平等の精神に反しますね。それは、自由化は法のもとではなくて行政指導かもしらぬけれども、それにしても私は、いまの通産省のとっておる態度はまことにふに落ちない、理屈の通らないやり方をしておると思うのです。だから変な文書がわれわれのところにも舞い込んでくる。この問題について、きょうは根本的に質問をする時間がありませんので、あとで輸入業者の一覧表をどうしても出してもらいますから、それをもとに質問をすることにいたします。
一つ園芸局長にお尋ねいたしますが、農業団体が強く要望しておる中の一項目に、リンゴの輸出を大いに振興してほしい、こういう問題が入っておりますが、現在のリンゴの仕向け国、輸出先、どういう国にどの程度出ているか、園芸局長認識しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/139
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140・八塚陽介
○八塚政府委員 リンゴにつきましては、一番大きいのはフィリピンでございます。それからあと琉球あるいは台湾、ソ連に出ております。大体順番に申しますとそういうことになります。フィリピンが一万八千トンのうち約七千トンということで、現在一番多いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/140
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141・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで園芸局長、フィリピンのリンゴに対する関税はどうなっておるか、台湾のリンゴに対する関税はどうなっておるか、それをひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/141
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142・八塚陽介
○八塚政府委員 フィリピンは、制度としましては自由化しておりまして、これは百キロで十五フィリピンペソということで、約二五から三〇%の税率になっております。台湾につきましては、御承知のように、これは午前中にも御説明申し上げましたけれども、いわゆる管制品でございまして、中央信託局というのが外貿会のコントロールのもとに国家貿易として買うということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/142
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143・武藤山治
○武藤(山)委員 これは大蔵省でもどっちでもいいですから確認をしたいのですが、台湾の場合、リンゴに対しては輸入税六〇%、防衛税一二%、港湾局税三%、差益金一〇〇%、合わせて大体二〇〇%になるのですね。税金が倍です。
そこで、大蔵省の細見さんにぜひ聞いていただきたいのは、台湾から来るバナナは七〇%にしろと日本の国内生産者が主張する。あなたは、国際世論で、国際環境の中から税率を下げなければいかぬと言う。相手の台湾は、日本の農民がリンゴを買ってもらいたいといって一生懸命知事を派遣したり何かして騒いでいる、その相手国はリンゴに対して二〇〇%、これでは私は、一方的に台湾から買うバナナの関税率を下げることに対しては農民は納得せぬと思うのですよ。だから、問題はここにあると思う。台湾はOECDにも加盟していない、だから、ケネディラウンドも何も影響ないわけです。ここらの問題をがちっと政府は本腰を入れて打開しようという姿勢をとらない限り、リンゴ生産農民は、政府は思いやりがないと言って非難をするのですよ。だから、いまの台湾の関税障壁、いまの数字は間違っているかどうか、これをまず確認を大蔵省から先にとりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/143
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144・細見卓
○細見政府委員 およそそういうことになっておると私どもも了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/144
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145・武藤山治
○武藤(山)委員 大体細見さんもそのような税率になっていると思うと言うのですから、この資料は間違いない。そうなると、日本の青森や長野の農民が憤慨する理由も私はよくわかると思うのです。大蔵省も大体その数字でわかると思うのですね。
そこで、附帯決議の中に、何とか、輸出振興に政府も本腰を入れてほしいということをわれわれはいま望もうとしているわけですが、この障壁を打ち破るには何か大きな障害があると思いますか。だれかわかっている人、通商局長かだれか、一ぱい課長がうしろのほうにおりますが、この障壁を、日本のバナナが六〇%になったら台湾のリンゴもひとつ六〇%にしようじゃないか、相互関税にしようじゃないか、こういう外交折衝というのはむずかしいのか、可能性があるのか、そこらはどうですか、見通しとしては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/145
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146・細見卓
○細見政府委員 台湾との間には一つ基本的な問題がございまして、それは日本が非常な出超になっておるわけなんです。そういうものでございますので、リンゴとバナナというかっこうでリンクするという議論が比較的しにくい相手になっていることは事実でございます。しかし、にもかかわりませず、午前中私どもの政務次官が申し上げましたごとく、近く台湾との間に事務レベルによります協議会を開きまして、日本と台湾と相互の間に存在する貿易上のいろいろな問題について話し合って、事務レベルで片づかないものは閣僚レベルに上げていこうということを提案いたして、向こうもそれに賛成いたしておりますので、この機会に、そうした問題も含めまして台湾側に強く要望するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/146
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147・武藤山治
○武藤(山)委員 政務次官、事務レベルで十分この点を話し合うということは約束されましたね。
そこで、事務レベルのその折衝にさらに政府の態度をはっきり反映させるようにひとつ閣僚の耳にも入れて——貿易振興の面からは通産大臣、農業振興の面からは農林大臣、国際的世論の中における日本の立場からは大蔵大臣というように、ひとつ政務次官から十分これらの閣僚にもお伝え願いたいが、今日全国の農家が非常に強く政府に要望している点を勘案して、あなたとしても、この際真剣に取り組むという御意思があるかどうかを明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/147
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148・小沢辰男
○小沢政府委員 先ほども申し上げましたように、この法案作成の過程におきまして党から強い要望がございまして、党の指示にもございましたので、大蔵大臣みずから台湾の経済大臣にも会いまして、また、大蔵省側からは強く外務省にも農林省にもそれぞれ連絡をいたしまして、できるだけの努力をしよう、こういうことになっておりますが、なお先生の御意見もございますので、早急にひとつ関係省に政治的なレベルでも真剣に取り組むように私のほうからもお願いするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/148
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149・武藤山治
○武藤(山)委員 それから細見さん、政令の制定がいつごろになるかがやっぱり農民の一つの問題点ですね。五%下げられるのはしようがないと腹をかりにきめるとしても、できるだけ先に延ばしてほしいというのが人情の常ですね。そこで、あなたは、先ほどの答弁の中では、日本の国内生産とうまく見合わして、なるべく競合しない時期に税率を下げた輸入割り当てを認めていこう、こういう意味の答弁をされた。
大体目安は、来年度に近づくほうなのか、本年度のほうへうんと近寄っているところあたりで出そうとしているのか、思い切って、できれば来年一月一日までは現状のままでいこうとはっきりここで言える段階なのか、そこらをひとつ農民の不安解消のために明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/149
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150・小沢辰男
○小沢政府委員 非常に政治的な問題でございますので、十分ひとつ、先生方の御意思なり、あるいは当然政府としては党のほうとも相談いたしまして、政治的配慮をした上でその時期はきめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/150
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151・武藤山治
○武藤(山)委員 その政治的配慮が農民の期待するような形であらわれるかどうかは、かかって小沢政務次官の双肩にあるのであります。あなたの力ありやなしやはこれによって判定されますから、ひとつ、真剣に農業団体や生産者の立場を頭に入れて、各機関と十分話し合いをして政令を公布してもらいたい。強くそれは要望しておきたい。
それから、園芸局の後手後手に回る施策がけさからだいぶ指弾をされているわけですが、自由化されてバナナがじゃんじゃん入ってきやせぬかという心配は、もうずっと前からわかっているわけですね。
そこで、園芸局長はいつ園芸局長に就任されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/151
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152・八塚陽介
○八塚政府委員 日をはっきり覚えておりませんが、昨年の九月の十六日か十五日です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/152
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153・武藤山治
○武藤(山)委員 それじゃあなた責めても無理ですね。昨年九月の就任では、予算の要求が大体出始めるころの月のような気がしますね。
そういたしますと、あなたが就任されてから、果樹生産について大蔵省に予算をどの程度要求してどの程度ものになったか、パーセントはどのくらいか、打率を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/153
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154・八塚陽介
○八塚政府委員 ちょっと、要求がどれだけであったかというのは手元にございませんが、果樹の関係の予算というのは、朝からいろいろ申し上げておりますが、昨年の七月に果樹振興法が改正になりまして、スケジュールとして申し上げますと、昨年が長期的な見通し等を含んだ基本方針の樹立、本年はそれに基づきます各県ごとの果樹振興計画というものをつくってまいる、そして四十三年度にそういう線に沿った、いわば事業実施の時期に移っていくという段取りでございます。ただ、別に大蔵省におもねるわけではございませんが、四十二年度の予算要求としましては、私どものそういう段取りに沿って、もちろん歩どまりがございますが、そういう予算要求の形になっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/154
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155・武藤山治
○武藤(山)委員 農業団体としては、まずうまいリンゴ、滋養のあるリンゴ、バナナに負けないようなリンゴ、なかなかむずかしいとは思うけれども、そういう品種改良を大いにやらなければだめだ。品種改良について、リンゴの場合どの程度の予算をとってありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/155
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156・八塚陽介
○八塚政府委員 多少おことばの線にそれますが、品種改良につきましては、たとえば園芸試験場等でやっておりますが、ちょっと所管部局が違いますので、いま私の手元にはございません。
ただ、具体的に、すでに需要の多い品種、これに更新をしていくという事業をやっております。これは三年来の事業でございますが、三年積み重なりまして今年では四十五カ所、そのうち十五カ所が今年、四十二年度にやる新しい事業ということになっております。予算の総額は、それにつきましては約一千万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/156
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157・武藤山治
○武藤(山)委員 リンゴの場合は、つぎ木をすれば大体品種改良ができるわけですね。したがって、年数はそうかからないでしょう。たとえば、品種改良したら、果実になってとれるまでに何年くらいかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/157
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158・八塚陽介
○八塚政府委員 初めから新しいといいますか、好む品種を植えていくという場合には、経済的に、当年度の費用を当年度の収穫でほぼペイするというのには、リンゴの場合は八年ないし九年かかります。ただ、品種更新をするやり方としましては、たとえば三年生の苗木を植えれば短縮ができる、それから、いわゆる高つぎと申しますか、根っこからかえないで枝のほうで植えていくというようなことになりますと、もっと早くなるわけでございます。しかし、それにしましても、その新しく植える、ないしは穂木をとるというのにも、いわゆる母樹と申しますか、あるいは苗木が必要になりますので、そのための品種更新用の苗木を育成していくということは、それの根幹になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/158
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159・武藤山治
○武藤(山)委員 いま、すでに果実がとれるリンゴの木というのは、大体全国に何千万本、何億本あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/159
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160・八塚陽介
○八塚政府委員 未成園を除いたいわゆる成園が約五万六千ヘクタールになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/160
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161・武藤山治
○武藤(山)委員 本数は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/161
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162・八塚陽介
○八塚政府委員 本数は、これはちょっと数えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/162
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163・武藤山治
○武藤(山)委員 園芸局長がリンゴの本数くらい頭に入れておかないようだからだめなんです。というのは、牛の例でやっぱり農林省が後手を食ったのは、牛が何年前に手当てしなければ肉として食えないかという計算なんかで、農林省なんというのはまことにずさんであって、肉がなくなってから大騒ぎして子をつくろうといったって間に合わないのですよ。リンゴだって、いまうまい、いいリンゴをつくろうというからには、国が思い切って、何千万本のうち何百万本をひとつ国が何年間で苗木をだっと委託してつくってやろう、そのくらいの対策を立てなければ、バナナの関税率を動かすたびにわあわあ騒いでいたのでは手おくれなんですよ。ですから、私は、国が思い切って、こういう品種なら需要もある、うまくて売れるのだというものを、もっと積極的に国の予算をかけていいのじゃないですか。思い切ってバナナの関税収入を大蔵省からもらって、ばちっとした苗木を育成して、農民の古いものから片づけていく、そういう生産対策に直接局長あたりのところから案をつくっていかぬことには、資本主義の自由競争なんだから、農民が品種改良を好きにやるのを待とうというようなことでは、泣き言ばかり出てきて対策にはならぬです。そこらは、やはり園芸局としては抜本的な品種の育成まで考える。
局長、そういう方向でこれからひとつ品質改良については本腰を入れて取り組んでもらいたいと思うのですが、あなたの御見解を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/163
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164・八塚陽介
○八塚政府委員 本数がわからないということで、私どものほうのデータの集め方の不備を御指摘いただいたわけでございますが、私どものほうの本年度果樹基本方針をつくりました際には、もちろん、樹齢別の——未成園と成園だけが問題ではなくて、つまり樹齢別の構成というのが問題になるわけでございます。十年なりあるいは十五年先にどれだけの生産量になるかという場合には、年相応のなりを示すわけでございますから、そういう点につきましては、ただあまり詳しく一年ごとにはできておりませんけれども、各府県からいただきまして、五年刻みの樹齢別の園の構成比率を求めまして、それの上で今後の生産量の推定をやったわけでございます。そういう意味で、本数を直にお答えができませんでしたが、それに近い形でやることは御指摘のとおり必要でございますので、私どものほうはそういう点でやったわけでございます。
それから、それに関連いたしまして、いわゆる品種更新についてどう準備体制ができておるか、考えておるかということでございますが、一般論として申し上げますと、リンゴについて言いますならば、比較的新しい産地はいわゆる成長作目的な品種が比較的割合が多いわけであります。それから、古い産地はそういうものは比較的少ないということでございますが、先ほど申し上げましたように高つぎという手はございますけれども、やはり更新をする場合にはそれなりに収量が落ちる、それに踏み切るというのはそれなりに農家の方にとってもなかなか決心を要する、そういう問題がございますから、一挙には品種更新ということも進まないと思いますが、そういう線に沿って今後努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/164
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165・武藤山治
○武藤(山)委員 そういう問題は、あとで農林との連合審査会があるかもしれませんから、そういうところで農業専門の立場から議論があると思います。
いずれにしても、そういうリンゴが押されるというのは、おいしくて滋養があって、だれでもバナナよりこっちがいいなと思えば、リンゴはどんどん売れるので、やはり品種がいまのままのすっぱいようなリンゴがあるようではだめだから、そういうものもだんだん政府自身が指導する。農民は、収量が減る、収入が減るというのでちゅうちょするでしょう。それをやはり大きな声を全国に広めて指導するところに今日の農業担当者のむずかしさがあるわけだが、熱意の入れ方がここになければ、日本の農業はだめだと私は思うのです。農産物は大量生産、薄利多売の競争で勝てないのですから。そこらをやはりひとつ基本的に踏まえて、指導方針というものを、ほんとうにわれわれが納得するような指導方針をあとで今度聞かしてもらいたいと思う。
それから最後に、中央卸売り市場における果実の手数料ですか取り扱い手数料、これはいま何%くらい取られておりますか。担当官はどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/165
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166・八塚陽介
○八塚政府委員 中央卸売り市場は農林省の担当でございますが、局は農林経済局でございます。ただし、私のほうも青果物をお願いいたしておりますので、私のほうからとりあえず申し上げますと、果実につきましては、手数料率は七%、野菜につきましては八・五%、それから魚につきましては五・五%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/166
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167・武藤山治
○武藤(山)委員 一番高いようですが、どうして七%も卸売り市場で手数料を取らなければならないのか、その理由がどうも私は納得いかぬのですが、七%の積算の基礎は農林省としても十分監督をしているわけですか。やむを得ざるパーセントでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/167
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168・八塚陽介
○八塚政府委員 昭和三十八年であったかと思います——この年数はちょっとあれですが、昭和三十八年当時は、果実につきましては八%でございました。野菜につきましては一〇%。それをそれぞれ七%ないし野菜については八・五%というふうに下げて現在に至っております。もちろん、この中から、卸売り会社は産地に対する交付金あるいは仲買いに対する交付金等を出しておるわけでございます。この七%あるいは八・五%の手数料で卸売り会社がどういうふうに経営をいたしておるか、これは私どもの園芸局では所管いたしておりませんのでお答えしにくいのでございますが、農林省のほうとしては、原価計算を監査しておるか、あるいはよくわかりませんけれども、問題点として検討はいたしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/168
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169・武藤山治
○武藤(山)委員 特にいま流通の合理化が叫ばれ、消費者価格の高騰を防ごうという見地から見ると、この七%はかなりのウエートを占める手数料だと私は思うのです。これにひとつメスを入れて、もっと引き下げられるような行政指導をやれるのではないか。というのは、農協が取り扱っている他のいろいろなそういう青果物にしても、イチゴや他のくずれやすい品目を見ても、この手数料はどうも高いような気がするわけです。だから、中央卸売り市場のいまの機構というものの不備があるならば、そういう点の改善策をひとつ考えなければいかぬ。これは園芸局の担当じゃないというのですが、ひとつ、これは農林政務次官とも話し合ってみて、七%というものはちょっと高過ぎはせぬかということでメスを入れてもらいたい。それで、後刻、特に大蔵委員会でその答えを小沢政務次官から発表してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/169
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170・小沢辰男
○小沢政府委員 政府部内のことでございますから、私どもよく政務次官あるいは担当の責任者に連絡いたしまして、検討さすようにいたします。また、その可否につきまして、後刻答弁さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/170
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171・武藤山治
○武藤(山)委員 最後に、園芸局長に、今回の関税率引き下げによる農民の不安を解消するために、消費の拡大の方策は何か、それから生産者に所得が保障される生産体制が維持されるためにはどうしたらいいか、端的にあなたの構想を、大きなビジョンでもいいからひとつ御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/171
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172・八塚陽介
○八塚政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、結局消費がふえること、あるいは消費者が買いやすくなること、これは非常に必要なことであり、望ましいことである、同時に、それに応対できる生産体制がとれるということ、これがお互い生産者にとっても販売量がふえ、それだけ収益がふえるという意味で一番いいことであろうと思います。そういう意味におきまして、私どもは、今後安くてうまいくだものというものをつくっていけるための生産の合理化について特段の努力を払う、そういうことが結局消費の拡大の基本的な解決になるだろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/172
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173・内田常雄
○内田委員長 次会は、明十日、水曜日、午前十時より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00919670509/173
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