1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十日(水曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長代理 理事 三池 信君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 武藤 山治君
理事 春日 一幸君
足立 篤郎君 奧野 誠亮君
小峯 柳多君 小宮山重四郎君
河野 洋平君 笹山茂太郎君
砂田 重民君 永田 亮一君
西岡 武夫君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
山中 貞則君 渡辺美智雄君
阿部 助哉君 只松 祐治君
野口 忠夫君 広沢 賢一君
広瀬 秀吉君 堀 昌雄君
村山 喜一君 柳田 秀一君
横山 利秋君 竹本 孫一君
永末 英一君 田中 昭二君
出席政府委員
内閣法制局第一
部長 関 道雄君
外務省経済局長
事務代理 鶴見 清彦君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省関税局長
事務代理 細見 卓君
農林省園芸局長 八塚 陽介君
食糧庁長官 大口 駿一君
通商産業省通商
局長事務代理 原田 明君
自治省財政局長 細郷 道一君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
農林省農林経済
局参事官 内村 良英君
自治大臣官房参
事官 鎌田 要人君
専 門 員 抜井 光三君
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五月九日
印紙税法案(内閣提出第三四号)
登録免許税法案(内閣提出第七四号)
通関業法案(内閣提出第一一三号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/0
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001・三池信
○三池委員長代理 これより会議を開きます。
本日は、委員長が所用のため出席できませんので、私が委員長の職務を行ないます。
小委員会設置の件についておはかりいたします。
昨日、理事会で御協議いただきましたとおり、税制及び税の執行に関する調査、金融及び証券に関する調査並びに財政制度に関する調査のため、それぞれ小委員会を設置するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/1
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002・三池信
○三池委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、各小委員の員数は、それぞれ十四名とし、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任、補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/2
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003・三池信
○三池委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
では、後刻、委員長において小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/3
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004・三池信
○三池委員長代理 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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所得税法の一部を改正する法律案
法人税法の一部を改正する法律案
相続税法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/4
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005・三池信
○三池委員長代理 政府より提案理由の説明を聴取いたします。小沢政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/5
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006・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、本年二月税制調査会から提出された昭和四十二年度の税制改正に関する答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和四十二年度におきましては、最近における国民負担の状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的として、所得税の減税を中心とし、これに加えて相続税の減税、企業減税、印紙税、登録税の全面改正、税制の簡素化その他当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうこととし、国税において平年度一千五百五十億円にのぼる減税を行なうことといたしたのであります。
今回は、これらの税制改正のための諸法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかっていることであります。
すなわち、基礎控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、配偶者控除を二万円引き上げるとともに、給与所得控除について、定額控除及び最高限度額をそれぞれ四万円引き上げ、また、これらの控除の引き上げと関連して、最低税率を八・五%から九%に引き上げることとしております。なお、これらの諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦と子供三人の給与所得者を例にとりますと、現在の約六十三万円が約七十四万円となるのであります。
さらに、永年勤続者の退職所得の課税最低限を五百万円程度に引き上げることを目途として、現在勤続年数一年につき一律五万円となっている退職所得の特別控除をその年数が長くなるに応じて五万円ないし三十万円に引き上げることといたしております。
第二は、中小企業の体質の強化に資するため、専従者控除制度の改正を行なっていることであります。
すなわち、青色事業専従者給与の必要経費算入制度について、昭和四十三年分からその限度の法定を廃止し、専従者の受けるべき給与の実態に即するよう制度を整備いたしております。
第三は、税額控除制度の改正を行なっていることであります。
すなわち、私学の振興に資する等の見地から、寄付金控除について、現行の税額控除を所得控除に改めるとともに、控除足切り限度額を現在の三十万円から二十万円に引き上げるほか、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除について、これらを税額控除から所得控除に改め、その額を扶養控除と同額とすることとしております。
第四は、少額貯蓄非課税制度の適用要件の緩和をはかっていることであります。
すなわち、少額貯蓄非課税制度について、現行の一種類一店舗の要件を緩和し、貯蓄の種類が一種類でなくとも、また、店舗が一店舗でなくても、元本の合計額が百万円をこえない限り、その利子所得を非課税とすることとしております。
以上のほか、配偶者控除及び扶養控除の適用条件である所得限度を給与所得等については現行の五万円から十万円に引き上げること、小規模企業共済制度のうち事業廃止に備えるものの掛け金の全額について所得控除を認めること、山林所得、譲渡所得及び一時所得の特別控除を一律三十万円に引き上げること、資産所得の合算課税を行なう所得限度を現行の二百万円から三百万円に引き上げること、源泉徴収を行なう報酬等の範囲を拡大すること、小規模な事業を営む青色申告者について現金主義による所得計算方法を導入すること等、所要の規定の整備合理化をはかることとしております。
次に、法人税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、法人の解散、合併に際して行なわれる清算所得に対する法人税課税の仕組みの合理化をはかっていることであります。
すなわち、解散、合併の場合には、清算に伴って生ずる法人所得についてのみ法人税を課税することとし、清算分配金は、これを受け取る株主の段階において配当所得として課税することとしております。これに伴い、清算所得に対する法人税率を普通法人については四一%から三〇%に、協同組合については三五%から二一%に引き下げることといたしました。
第二は、主として中小法人に対する税務申告の手続の簡素化等所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
すなわち、一年決算の法人について中間申告とこれに伴う納税を要しないこととされている限度を現行の二万五千円から三万円に引き上げ、また、被合併法人について控除できることとなっていた外国税額等を合併法人においても控除できることとするほか、法人税の課税所得に関する会計慣行の尊重等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
次に、相続税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、被相続人の配偶者である相続人に対する相続税の減税であります。
すなわち、配偶者に対する相続税につきましては、現在遺産額三千万円までの相続分については半額課税の制度を設けておりますが、夫婦間における財産形成及び相続の実情等を考慮して、この半額課税を全額免税にすることとしております。これにより、夫婦間の相続は、ごく限られた高額財産階層を除いて非課税となります。
第二は、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額の改正であります。
すなわち、生命保険金は、現在、各相続人が受け取った保険金で、一人当たり百万円を限度として非課税としておりますが、この限度額を各相続人の受け取り金額のいかんにかかわらず、百万円に相続人数を乗じた金額とするものであります。
また、死亡退職金につきましては、現在、五十万円に相続人数を乗じた金額のうち、受遺者が取得した死亡退職金に相当する部分を除いた金額を非課税限度としておりますが、これを受遺者による取得の有無にかかわらず、五十万円に相続人数を乗じた金額まで非課税としようとするものであります。
その他、相続税の総額を各相続人に案分する際の計算の簡素化をはかることとしております。
以上、三法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/6
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007・三池信
○三池委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。
各案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/7
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008・三池信
○三池委員長代理 関税定率法等の一部を改正する法律案、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/8
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009・堀昌雄
○堀委員 本日は、関税定率法の法律に関する質問といたしまして、三点お伺いをすることにいたします。
最初に、実は、昨日の朝日新聞にも出ておりましたけれども、最近北ベトナムでのいろいろな爆撃、これは南ベトナムにおける問題も含めてでありますけれども、このベトナム戦争に関するいろいろな資料について、東京税関がこれについて、関税定率法二十一条を発動して、そのパンフレットなり写真を差しとめるという問題が昨年及び最近と引き続いて二回ございました。ちょっと最初にこの問題を取り上げたいと思うのであります。
内閣法制局にお伺いいたしますが、関税定率法二十一条一項の三号「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」と、こうありますが、国内法との関連で——これはやはり一つの法律の体系である以上、国内の法律と見合って問題が処理をされなければならない。そこで、この前段のほうの「公安」という部分ですね。これは国内法ではどの部分とどの部分とに該当するのか。それから「風俗」というのは、国内法ではどれとどれに該当するのかをちょっとお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/9
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010・関道雄
○関政府委員 初めに、この三号の趣旨から御説明をしたほうがいいと思いますが、三号の趣旨は、先生の仰せのごとく、国内の一般の出版物とか文書、図画その他と非常に異なった取り扱いのものであるはずがないわけでありますから、これはおのずから国内法との見合いにおいて判断をされるべきものと思います。ただし、何しろ外国から入ってくる貨物に関するものでございますから、ぴったり国内法に定めてあるものと具体的に一々該当するかといいますと、その点は予断ができない、そのために、「公安又は風俗を害すべき」というきわめてばく然たる、いわば、あまり正確でない書き方がいたしてあるわけでございます。したがって、その範囲は、明確に国内法で現に禁圧している文書、図画と正確に一致するというわけにはまいりませんが、これに準ずるような程度までは含ませるにしても、それ以上にいろいろなものがここに入ってくるということはないというふうに考えます。
そこで、まず「公安」につきましては、破防法において禁圧されておりますところの文書、図画が当たるということは、まず言えると思います。
次に「風俗」につきましては、御承知のごとく、刑法においてわいせつ物についての禁止がございます。それがまず正確に当たると思います。
それから、先ほど私が申し上げましたような趣旨によりまして、これに準ずるようなもの、つまり、それがわが国内において多発的に流布されるようになりますれば、わが国法として当然にこれを禁止しなければならぬというような、これに対して罰則をかけるとか、そういうような必要が出てくるであろうと思われるに足りる、そういうものがこれに準ずるものとして入るのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/10
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011・堀昌雄
○堀委員 刑法は百七十五条で「わいせつ文書頒布等」という目的で、これはわいせつの問題だけここに取り上げられておりますね。だから、「公安」はもうはっきりしていますから、この問題は一応ここで除外をしますが、「風俗」の中で国内法の対象になるものはわいせつであって、まあわいせつをある程度拡大解釈するということはあり得ると思いますが、わいせつでないものは、そうすると関税定率法二十一条で拘束するのは行き過ぎじゃないですか。この百七十五条、ちょっとあなた読んで、この百七十五条の解釈をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/11
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012・関道雄
○関政府委員 百七十五条は、御承知のごとく、「猥褻ノ文書、図画其他ノ物ヲ頒布若クハ販売シ又ハ公然之ヲ陳列シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金若クハ科料ニ処ス販売ノ目的ヲ以テ之ヲ所持シタル者亦同シ」こういうふうに書いてございます。わいせつの意味につきましては、累次の判例もございまして、羞恥嫌悪の情を催させるようなもの、そのようなものであるということになっております。性的なる刺激によりまして、一般の神経において羞恥嫌悪の情を催させる、こういうものであるというふうに考えます。
そこで、いま先生のお尋ねの問題は、たとえば、いまの問題に引きつけて考えますれば、非常に残虐なることを示した写真であるとか、そういったものがどうかということがあります。(「そんなことはまだ聞いていない」と呼ぶ者あり)いまの問題は、わいせつの問題は、いまのような趣旨である、百七十五条の趣旨はそういうものであるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/12
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013・堀昌雄
○堀委員 聞いてから正確に答えてください。
実は、昨日問題になったものは、「アメリカン・クライムズ・イン・ベトナム」という冊子の問題です。これは国内に数千冊実は発売されておって、これを私は、一部は知っている人から、それからこれはきょう本屋で二部買ってきたわけです。市内で公然と販売されておる。すでにこれは数カ月にわたって各大学その他が購入して、大学ではテキストに使っておるところもある、こういう実情にあるわけです。この中にいろいろな写真があります。いま私、横におられる吉田委員にもちょっとお目にかけてみたのです。
私は、実はこの前の戦争のときに海軍の軍医として作戦に参加をしました。ちょうどセネター軍港が落ちて、昭和十七年の二月の中旬にこの軍港に入って、御承知のシンガポール華僑の大虐殺というのを、船の中から双眼鏡で、対岸でやっておるのをかなりつぶさに見ました。われわれ日本人が、何の罪もないあの華僑をおそろしい手段と方法によって大虐殺をしたというのをまのあたり見た経験があるわけです。われわれはこの問題について、当時世界各国に南京事件等は非常に広く報道されておったけれども、国内におった者については、実は御承知の検閲によって、日本人がそのような残虐非道な行為をしておるということは伏せられておった。しかし、その伏せられておったことが世界の目でどういうふうに見られておったかということが、私は、現在の憲法二十一条が検閲をしてはならないといっている問題に関係があると思うわけです。
現在ベトナムにおいてアメリカが行なっておることは、まさに、かつて日本軍が中国の大陸で行なったと同じことを現実にやっておるわけです。これらの事実を広く、すべての人が知ることによって——嫌悪の情の問題ではないのです。そういう残虐な行為をやめさせなければならぬという正当な思想の表現の自由を、単に税関が現在の関税定率法二十一条によってこれをともかく差しとめるなどということは、大体、ものの性質からしても問題があるし、第一、あなたはわいせつの定義を一ぺんに飛躍をして、残虐なものまでがわいせつだと言うけれども、そんなものをわいせつだなどということは、これは一般的な通念として——この写真にあるこれをあなたはわいせつだというわけですか。私どもはこれを見て、おそらく委員の諸君もごらんになるとわかると思うが、こんなものはわいせつでも何でもなくて、まことにひどいことをやっておると思うにすぎないことであって……。(「そこまでは答弁していないよ」と呼ぶ者あり)いや、言いかけた。言いかけたから言っている。だから、私どもが言いたいことは、これまで私は昭和三十五年に、実は輸入審議会の問題をここで取り上げました。三十七年には参考人をここへ呼んで、この問題についてもつまびらかに問題を明らかにしてきておるわけです。ただ、一般的な問題として、映画の問題は、これは非常に多数の公衆に一度に観覧に供するために、やや私は影響については広い範囲の影響力を持つと思うけれども、こんなパンフレットを一つ国内に持って入ることについて、これまで没収して取り上げるということが、はたして現在の関税定率法二十一条の趣旨にそのまま沿っておるかどうかについては、前回の婦人団体が北ベトナムから寄贈されたものについての問題があったときも私は取り上げたいと思ったけれども、国会情勢がそういうふうな時期になっていなかったしするからそのままになってきたわけですが、今回は、われわれの手元に十分入るものがこういう対象になっておるというようなことは、これは私としては、相当考えてもらわなければならぬ問題だ、こう思っておるわけです。
だから、法制局に伺いたいのは、この「風俗」の問題は、やはり原則的には狭義に解釈をして、刑法百七十五条に適応するものについては望ましくない、これなら私も理解ができるけれども、法制局が幾らでもそんなことを拡大解釈をするようでは、法律の適用というものは適正に行なわれるわけにいかぬので、ちょっと法制局側の見解をもう一回伺って、大蔵省側にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/13
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014・関道雄
○関政府委員 先ほどお尋ねにないことまで申し上げかけたのでございますが、これは、必ずしもその場合残虐なものが百七十五条のわいせつに当たるということを申し上げようと思っておったわけではございませんので、一言釈明いたしておきます。
仰せのごとく、先ほども申し上げましたように、関税定率法の規定は、公安または風俗ということでかなり広く読めますことですが、もちろん、先ほども初めに私が申し上げましたような趣旨によりまして、国内において現実に行なわれておる法制との厳格なる比較においてものを考えていくべきだというふうに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/14
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015・堀昌雄
○堀委員 いまの見解で、私もそれならば同意をいたしたいと思います。
それでは大蔵省にお伺いをいたします。
皆さんのほうでは、税関のあの窓口でおそらくこれをチェックをしたのだと思うけれども、私はいま羽田税関の実情はよく承知をしておりますけれども、羽田税関の一番前に出ておる人たちというのは、必ずしも年齢的にそんなに経験者でなしに、比較的若い人があそこの前に出ておる。私はこれは反対なんだ。できるだけ古い経験者をあそこの前に出してもらいたいと言っているんだが、必ずしも制度的にそうなってないという問題があります。あるけれども、ともかくも私どもは、与える問題の影響の範囲なり、いま法制局が答えたように、国内法との関連において問題の基準が考えられるような指導がもう少し行なわれるべきではないのか。もちろんこれは輸入映画等審議会等にかけるというような問題にしたところで、たった一冊のパンフレットを、輸人映画等審議会を開いてそれにかけなければならないほどのものであるのかどうかという判断は、私は当然税関長なりそういうところで処置をして、あそこの通関のところでは多少そういうことがあるということになっても、やはりそれは直ちにそういう処置をして、その程度のものならば、事実上国内法等の関連から見ても、別に著しく風俗を害することにならぬという判断が行なわれるべきではないのかという感じがしてならないわけです。
これが二回続きましたから私、きょう特にこの問題を取り上げておるわけですが、このことはこのこととして、今後の取り扱いについて、現在の関税定率法二十一条は、拡大解釈をするほうではなくて、やはり問題は、憲法との関連で、検閲をしてはならないという前段があるのですから——ここでいまその議論をすれば時間がかかるから私もしませんけれども、やはりその点を考慮に入れた中で、正確にこの関税定率法二十一条の処置を行なうという形であるべきだと思うのだけれども、大蔵省側としての答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/15
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016・細見卓
○細見政府委員 御指摘の点、一々ごもっともでございまして、三十六年にこの定率法が改正になりましたときに、こういう言論の自由につながるような非常にむずかしい問題を一行政官庁が取り扱うだけでは適当でないというので、輸入映画等審議会というのを特に設けまして、第一義的には、多数の旅客なりあるいは荷物が来るところをチェックするのが税関でありますが、そこで一応の決定をいたしたものをその行政庁が最終的に判断するというのは適当でないから、そうした識者をもって構成いたしまする輸入映画等審議会で十分再検討をしてもらうような組織を考えろということでございまして、委員の人選にあたりましても、極力、広い意味の常識をお持ちの、健全な御判断のできる方々にお集まり願いまして、従来とも慎重に運営してまいったわけです。
それから、先ほど先生のおっしゃったことでただ一つだけ違う点は、第一線の税関官吏がいきなりこうしたむずかしい判断をいたすというのは適当でないので、こういうことに関する専門官をそれぞれの税関あるいは支署に置きまして、その者が統一的に見まして、従来の例あるいは輸入映画等審議会等において行なわれました議論等を参酌いたして統一的に判断をいたすということだけはいたしております。しかし、にもかかわりませずこうした問題は非常にむずかしい問題でございますので、いやが上にも慎重を期せなければならぬと思います。そういう意味におきまして、従来もできるだけ慎重にいたしてまいったつもりではございますが、御趣旨を体しまして、さらに一そう慎重にやってまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/16
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017・堀昌雄
○堀委員 事は、たとえば興行的なもので、特に残虐なものを見せることによって利益を得ようというような目的があるものについては、それは残虐という問題についても私はまた別途の判断があろうかと思います。しかし、問題はそうじゃないのです。昨年の北ベトナムの写真といいこれといい、何も嫌悪感を人に与えることを主たる目的としておるわけじゃないです。ともかく、戦争をやめてもらいたい、平和にしてもらいたい、こんな残虐なことは繰り返してもらいたくないという訴えなのですから、これは基本的に考え方が違うわけです。この点を度外視して、ただ単純にその写真なら写真だけを引き出して、ここに書いてあることをおそらく読んでないと思うのだ。私は、ほんとうを言えば、いまのあんたの言う統一的判断をする専門検査官にちょっとここへ来てもらって、あんた、このパンフレットを読んだのかどうかと聞きたいのだが、読んでないと思うのだ。私、これは写真だけを見て問題にしていると思う。そういうことが私は事の本質を誤る最大の原因になると思う。そういう意味では、まさに私は、思想に対する、言論に対する不当なる検閲行為の象徴的な一つの問題としてこの問題は出ていると思う。いま、事務当局のほうで今後慎重にやるという答弁がありましたから、特にこういう、問題の性格が残虐を売りものにして利益を得ようというものでない、ほんとうに純粋に思想的、特に平和を願うという基本的な流れにある問題については、今後そういうことのないような措置を十分考えてもらいたい。
ひとつ小沢政務次官、政府を代表して御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/17
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018・小沢辰男
○小沢政府委員 私どもは、憲法の条章に従いまして、自由を守り、人権を尊重し、言論、出版の自由というものをあくまでも守っていかなければならぬと思っていますので、御意見に従いまして慎重に今後も取り扱いを進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/18
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019・堀昌雄
○堀委員 法制局、けっこうです。
何か、参議院のほうでケネディラウンドをやるからということのようですので、先にケネディラウンドを伺って、最後に食糧庁のほうにこの前の懸案の問題を伺うことにいたします。
けさのラジオ放送を聞いておりますと、昨日来行なわれておるところの八音会談でありましたか、主要国会議は依然として結論が出なかった、こういうことのようであります。この間、宮澤企画庁長官が主要国閣僚会議ということでジュネーブへ行かれたようでありますが、私が三月二十九日でありますか、この委員会でいろいろと議論をしました中の穀物協定の問題については、やはり筋を通していきたいということをはっきり言って行かれたことは、私は、少なくともわれわれの考え方が正しく政府にも反映したということで、けっこうだと思うのですが、私がこの中でこの前特に強調いたしました非関税障壁の問題ですね。特に関税法四百二条のa項でしたか、そのほか新聞で承知をしておるところでは、アメリカン・セリング・プライスはどうやら少し引っ込めるというような傾向もあるようです。この前いろいろな角度から実はこのアメリカの非関税障壁の問題を取り上げたのですが、今日時点でこの非関税障壁で前進をしたものは何があるのですか。ちょっと先にこれを答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/19
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020・鶴見清彦
○鶴見政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘のとおり、三月の当委員会の際に私のほうから、政府といたしましても関税の引き下げのみでなく、非関税障壁についてもこれを撤廃あるいは削減するという方向で努力をいたしておるということを申し上げたわけでありますが、ただいま御指摘のとおり、非関税障壁といたしましては、大きくあげられるものといたしまして、御指摘のアメリカン・セリング・プライス、いわゆるASP、化学製品についての問題、それから関税評価の問題に関連いたしまして四百二条a項の問題、これは日本の場合、真空管が問題になっているわけであります。このほかアンチダンピングの問題、それからさらにはバイアメリカンの問題、ヨーロッパの諸国にいたしますると対日差別の問題、大きく分けますとこの五つくらいのものが非関税障壁となりまして、われわれが従来二国間交渉あるいはケネディラウンドにおきます多角的な交渉におきましては追及してまいった点でございます。
そこで、ASP——アメリカン・セリング・プライスにつきまして、これが関連するところ、アメリカとEECとの間は非常に大きな問題になっておりまして、先ほど御指摘のとおり、この問題につきましてもアメリカとEECとでけさの三時半ごろまでやったようでございますが、まだ話がつかない。しかしながら、これは非常に関連するところ大きくございまして、アメリカの場合にいたしましても約五億ドルというような関税の問題もございますので、私自身の観測といたしましては、これは十一日、EEC閣僚理事会がございまして、そのあと十二日からまた再び猛烈な、夜を徹したような交渉があると思いますけれども、その際にASP問題はアメリカとイギリス間に何らかの妥協が出てくるという感じがいたしております。そうしますと、ASPにひっかかっておるから、そういう点につきましても、したがって、何といいますか、プラスの面が出てくるというふうに考えておる次第でございます。
四百二条a項につきましても、これはこの前先生すでに御指摘のとおり、内容については御存じのとおりでございますが、やはりケネディラウンド交渉に関連いたしましてアメリカ側と折衝いたしておりまして、そのファイナルリストというものはやめるようにということで、これも日本側が希望するはっきりした形で、この段階で生まれるとは必ずしも申し上げられませんけれども、相当見込みが濃くなってきているということだけは申し上げられると思います。
それから、アンチダンピングにつきましては、現在ケネディラウンドの中に取り上げておりまして、一種のアンチダンピングに関するコードというものをつくることにほとんど成功いたしまして、日本の主張もかなり織り込まれる、もちろん全面的ではございません。かなり織り込まれた形が出ております。そういうことではこれも進歩だと考えております。
バイアメリカンにつきましては、別途、たとえばOECD等におきまして、いわゆる政府調達物資の調達のしかたということについて、ひとつ一般的なコードをつくったらどうかという動きがございます。ケネディラウンドの場合におきましては、そういったコードをつくろうという動きはいまのところ出てまいっておりません。これはケネディラウンド以外におきましても常々日本が、われわれがアメリカに対しまして主張いたしておる次第でございます。
それから、ヨーロッパ諸国の対日差別でございますが、これは先生もすでに御存じのとおり、一番日本に対して差別が……。(「全然わからぬですよ、委員長」と呼ぶ者あり)イタリアでございます。イタリア、それからあとフランス、ドイツ、それからベネルックスというところがございますが、いま一番集中的に努力をいたしておりますのはフランスでございます。これにつきましては、近い将来相当な差別の品目の削減が実現するのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/20
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021・堀昌雄
○堀委員 実は、この前の委員会で通産省の通商局の次長の答弁の中に、たとえば四百二条aのようなものが取り払われないような場合には対抗措置も考えざるを得ないという答弁が実は速記録にあるわけですが、私もどうも、この前から申し上げておるのですけれども、わが国の貿易構造自体は無税品及びこれに類したもの、原料品を輸入して、加工品を輸出するという傾向のたてまえに国がなっておって、それで今度ケネディラウンドをやることには、なけなしの有税品を提供して二国間交渉をやるというところにきておるときに、やはり向こう側が依然としてこのような非関税障壁、いまのお話もありましたが、まだ私は実は釈然としていないわけです。
具体的にいまのような、たとえばアンチダンピングのコードができた。それでは自主規制品目のようなものが少しゆるくなるのかといったら、それはそれ、これはこれだというようなことで、必ずしも実効がどういう形で出てくるかを確実に測定することはなかなか困難な現状ではないのか。だからわれわれは、なけなしの関税品を下げようというかっこうで問題の処置をしておるのにかかわらず、依然として、この間からのアメリカの状態はオファーしていたものを次々と引っ込めるというのが現状ですから、私は何も縮小均衡することがいいというわけではありませんけれども、なぜアメリカがオファーしたものをどんどん引っ込めてくるのかといえば、アメリカのナショナルインタレストを守るために引っ込めているということにならざるを得ない。ということは、それでも依然としてこの間の二千二百万ドルですか、ハードコアの品目だけは譲れないというけれども、どっちかというと、すぐ手放しで譲るほうに傾くという交渉態度が見えてしかたがない。だから、ここでひとつ、向こうも向こうならこっちもこっちだという考え方が多少あってもいいのではないか。アメリカが日本の大きな市場であることに間違いありません。しかしまた、日本もアメリカの市場であることに間違いないわけですから、その点はやはり私はもう少し対抗的な措置を、とるとらないは別として、とるだけの用意が十分整えられてしかるべきじゃないか、こう思うのですが、この点、通産省どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/21
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022・原田明
○原田政府委員 まさに、いま先生御指摘になりましたような点を、私どもジュネーブにおきましてアメリカ側に対しまして主張して、できるだけの譲歩をアメリカからかちとりたいということでやっておる、一番重要なことであると考えております。
確かに、日本の国は貿易構造上無税品目がたくさんございます。数億ドルにのぼっております。したがいまして、この無税品目をこれから関税を上げないという約束をするということ自体にかなり意味があるとわれわれは考えておるわけでございますが、アメリカのほうの側では、それはもともと日本がほしい原材料その他を無税で輸入しているのであって、それが上がらないからといって、ケネディラウンドが目的とする貿易の拡大効果というものはほとんどないように思われる、関税がある程度高いものを下げればそれだけ貿易がふえる、しかし、関税がかかっていないものを別に上げないから——上げればもちろん非常に障害が生ずるわけでございますが、上げないからといって貿易は拡大しないわけだから、ケネディラウンドの目的とする貿易拡大効果から見たら、われわれはこれを評価できない、したがって、そういうことからいくと、アメリカのほうのケネディラウンドにおける譲歩が非常に大きくて日本は非常に小さい、こういうのが向こうの主張であります。これに対しまして私どもは、それでは、もともと関税を下げて、非常に行儀がいいという国がどうしようもないということになるわけで、わが国は貿易構造上そういう特性を持っているのであるから、したがって、そういう日本の貿易構造の特性を考慮に入れた上での交渉をやってもらいたいということで目下交渉をしております。
これが日米間の最大の論点でございます。この論点に基づきまして、ほとんど徹夜で向こうで交渉をいたしております。その中に、先生御指摘のような各種の関税でない貿易障害を排し、改善をやってもらわないならば一そういう貿易障害と関税引き下げというものを、全体を含めたバランスでわれわれはやはりこれに対抗しまして、もちろん拡大均衡という精神は維持しながら、しかも、見合う線で落ちつけたいというために、いま代表が鋭意努力をしている最中であると了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/22
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023・堀昌雄
○堀委員 鋭意努力はしていると思うのです。鋭意努力はしていると思うけれども、やはり努力するためには多少てこが要るわけですよ。切り札も要るし、てこも要るのだけれども、見ていると、日本の場合は、切り札もなし、てこもない、こういうかっこうで努力をしている感じがしてしかたがない。だから私は、何も必ずしも対抗措置というものをやりますというようなことではないが、最悪の場合にはやらざるを得ないですよというものを持っていない。切り札なしにゲームをやっている弱さ——相手が、これは切り札があるんだということにならなければ、ゲームにならないわけですよ、これはどっちから見ても。やはりゲームをやるならやるように、かまえがきちんとしていなければならないのではないか。
だから、この問題は通産省だけの問題ではありません。大蔵省としても、大蔵省側として考えられる、要するに、日本なりの非関税障壁といいますか、対抗措置というものを、少しここらで真剣に考えてみる必要がある。日本は、そういう関税交渉の場合には、構造的に不利な立場に初めから立っているという問題の認識がこれまであまりなかったのではないか。いま次長が答弁されたように、ガットでは、無税据え置きということは、これはやはりメリットなんだということを明らかにしておりながら、この前もちょっと触れましたけれども、アメリカは、あたりまえだという言い方ですよ。この前、私がアメリカへ行っておったときも、綿製品協定の問題でも、日本がかってに自発的に規制しているので、アメリカは別に何もしてないんだという言い方ですからね。この言い方の中で、常に日本は、はあそうですかと言ってきているのじゃないかという感じがしてしかたがない。それならばというものが一つあるべきだと私は思う。
だからこれは、事務当局だけの問題ではありませんが、政府として当然考えなければならない問題だと思うので、小沢政務次官、あなたひとつ政府を代表して、日本のナショナルインタレストをいかにして守るか、特にこの貿易は、日本の発展のためには欠くべからざる大きな要素でありますから、その点を踏まえて、ひとつ前向きの発言をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/23
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024・小沢辰男
○小沢政府委員 御承知のように、私ども、日本の経済発展といいますか、日本という国の存立のためには、無差別で自由な貿易の拡大というものが不可欠な要件でございます。ケネディラウンドは保護貿易主義と地域化の排除を目的とするものでございますから、やはり私どもの、日本の置かれている立場、方針とは、私は方向において合致するものだと思うのでございまして、したがって、この交渉には積極的に私どもも非常な熱意を持って進めているわけでございます。しかし、その場合に、特定国に追従いたしましたり、あるいはまた、その力といいますか、そういうものに、気持ちの上でもあるいは実際上の交渉でも、あまり強くこちらの立場を主張しないというような態度はよくないと思います。やはり、あくまでも自国の利益というものを中心にしながら進めていかなければいけないことは当然でございますので、いままでの御意見を聞いておりますと、ほんとうに日本の立場、貿易の発展、経済の発展というものに真剣に思いをいたされた御発言、私、まことに傾聴いたしておったわけでございます。御趣旨に沿うように、私もできるだけそういう方向で善処するように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/24
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025・堀昌雄
○堀委員 事務当局に特にお願いをしておきますけれども、やはり作業なんというものはしていいのですよ。私は、常に最悪の事態に備えるというのが人生訓だと思っております。最悪の事態に備えておいて、それを使わなければたいへんけっこうなんです。やはり、常に備えあれば憂いなしです。ところが、どうもいまの関税問題なんかを見ておると、文句を言われたら、すく一たとえば、この前の租税特別措置法の輸出の取り扱いのようなものは、向こうから文句を言われたらすぐはずす、何というか、常に裸で戦場に臨むというような感じがわれわれしてならぬのです。もう少し日本なりの武装をして——相手も武装をしておるのだから、こっちも武装をしてやるというかまえをとってもらって、事務段階ではそういう作業をひとつ進めてもらいたい。これはやるかやらぬかは別ですよ。あるとないとでは、こっち側だって心理的に、武器なく戦場に臨むのと、よろい、かぶとに身を固めて臨むのとでは臨む態度が違ってくる。いつも、さあ殺せ殺せだけでは現在の近代的社会では通用しないのですから、その点を特に要望しておきます。
特に、もう一つ申し上げておきたいことは、あなた方にいまここで言ったからどうなるわけではないけれども、あまりケネデァラウンドに固執する必要はないような気がしてしかたがない、ここまでくると。その点は、政府、大臣に来てもらわないと意味がないけれども、あまりこだわって、失うもの多く、得るもの少ないような交渉なら、何もドゴールじゃないけれども、日本の栄光をもう少し考えてもいいのではないか、こう思いますから、その点はっきりしておいてもらいたいということをひとつ要望しておいて、時間がありませんからちょっと穀物協定関係に入ることにいたします。
穀物協定の問題は依然としてだいぶ難航しておるようでありますが、日本としては、この前私が申し上げておったような線で、特に後進国援助の問題については、宮澤長官もこれだけは筋が違う、どうしてもがんばる、こういう話のようであります。いまの問題はオール・オア・ナッシングの問題でありますけれども、この前からここで私が議論しておったその他の二つの問題、要するに、自給量の決定とそれから価格帯の問題、これはその後の経過はどうなっておるか、ちょっとお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/25
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026・鶴見清彦
○鶴見政府委員 ただいま御指摘の穀物協定の三つの要素の最後の食糧援助につきましては、おっしゃるとおりだと思います。
最初のほうの自給率というものにつきましては、日本の場合は自給率というものをきめるということには応じられないということは、従来ともはっきりしております。それぞれ関係国もそれには賛成いたしておりまして、日本の場合には、そのかわりにいわゆるアクセスの保証ということでもって関係国に対して説明しておりまして、大体それは認められてきておるという状況でございます。
第二の要素の、いわゆる価格帯の問題でございますが、これにつきましては、この前たしかとちらで御報告申し上げたかと存じますが、輸出国のうちで、たとえばカナダ等は、価格帯のうちの最低価格のところを一ブッシェル当たりハードウインター一ドル八十セントということを言っておるわけでございます。日本の場合におきましては、当初からそれは一ドル六十セントであるということで、若干の引き上げはやむを得ないけれども、あまり恣意的な、人為的な引き上げはいかぬということでずっとがんばってきております。最近の状況におきましては、日本が一ドル六十九セントくらいまで——若干上げて一ドル六十九セントでございますが、歩み寄りをいたしておりますけれども、まだ輸出国側が下げてくるという段階に必ずしもなっておりません。ただ、御承知のようにEEC諸国は一ドル七十二セントないし七十四セントという線を出しておりますし、アメリカは一ドル七十セントないし七十五セントという線を出しておりますので、これは先ほどちょっと御指摘がございましたが、穀物協定に関しましては、アメリカとEECとの間で自給率と食糧援助のからみ合いでもって、やはりいろいろと難渋、困難を続けておるようでございます。したがいまして、最終的に価格帯をどうするかというところまでは進んでいないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/26
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027・堀昌雄
○堀委員 この穀物協定の問題は、EEC、ケネディラウンドにひっかかってはおるけれども、本来的には別の協定ですよ。だからこれは、たしか、あれではないですか、穀物協定そのものは今月で一応継続か何かになるので、向こう側としては、ともかく価格問題については触れないで、行政的部分の協定だけはひとつ延長したい、こういうことになっておるというように承知をしておるのだが、そこらの関係を、穀物協定の側だけから見て、ケネディラウンドに関係ある部分とない部分とあるのだけれども、その点がどうなっておるかということをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/27
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028・内村良英
○内村説明員 ただいまお話のございました点は、小麦協定、すなわち一九六二年にできました小麦協定に関する御質問だと思います。
小麦協定は期間が三年間ということでございまして、六五年に一応期限が来たわけでございますが、加盟国が同意いたしまして期限を延長してまいったわけでございます。その結果、今年の七月末まで期限が延長になっていたわけでございますが、今度のケネディランドの穀物協定の問題と関連して、これをどうするかということが、四月の国際小麦理事会で問題になったのでございます。その際、日本はなお延長すべきであると主張したのでございますが、輸出国のほうが、いや、ケネディラウンドで話が進んでいるのだから、もう延ばす必要はないという立場をとりまして、最後に、輸入国であるイギリス等も同調いたしましたために、現在の一九六二年の小麦協定は、理事会その他行政規定と申しますか、理事会がいろいろ小麦貿易の統計資料を集めたり、そういうことをしておりますから、そういう機能だけを残しまして、いわゆる経済事項という最低価格、最高価格の規定は今年の八月以降なくなる、こういう状況になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/28
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029・堀昌雄
○堀委員 そうすると、結局ケネディラウンドで話がつけば、おそらくその部分が小麦協定の中にまた織り込まれるということになるのではないのかと私は思うのですが、ケネディラウンドはあと十四日くらいでおしまいになるのでしょうが、ここで話がつかなかったら、それじゃどうなるのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/29
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030・内村良英
○内村説明員 その場合のことは、まだどうなるかということをはっきり申し上げることはできないわけでございます。と申しますのは、小麦協定には四十何カ国入っておりますので、それらの国が集まりましてどうするかということを相談することになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/30
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031・堀昌雄
○堀委員 そうすると、四十何カ国が集まって、ケネディラウンドは御破算になって、この七月で一応小麦協定が終わる、次の小麦協定を新たに結ぶということになると、過去の沿革からして、正式に価格帯その他についての協定が、小麦協定として拘束力のあるものができるのは、時間的に見ていつごろになったらできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/31
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032・内村良英
○内村説明員 その点も交渉事項の問題になってくるわけでございます。かりにケネディラウンドで穀物協定ができて、そこで小麦の貿易を自由に放置しておくことが小麦の貿易上非常に悪いということになりますれば、何とかしなければならぬということで、また国際的な相談が始まるわけでございますが、その相談がいつまとまるかとか、あるいは、それがいつから発効するかということにつきましては、この段階では予測が全くつかぬという状況だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/32
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033・堀昌雄
○堀委員 そうすると、ケネディラウンドでまとまるかまとまらないかわからない仮定の問題についての質問ですから、私も深く追う意思はありませんけれども、しかし、まずまとまらない場合についても、どっちにしてもわれわれとしては小麦を買わなければならないわけでしょう。
ともかく、ことしは、この前もちょっとここで議論をしましたように、三百十六万トン余りを買い付けることにしているわけですね。だから、これはやはりいまの問題として、そういうことになった場合には、現状では買い手市場なんですか、売り手市場なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/33
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034・大口駿一
○大口政府委員 小麦が買い手市場か売り手市場かということを端的にきめることは非常にむずかしいと思いますが、数年前と申しますか、十年くらい前に、非常に小麦が過剰時代でありましたときには、常識的にこれは買い手市場であるということは言えたと思うのです。最近の国際的な小麦の需給事情は、ソ連、中共の作柄並びにソ連、中共の世界市場における買い付けの状況等によって非常に違っておるのは御承知のとおりでございまして、最近はむしろ小麦全体の需給事情はややタイトであるというのが一般通念ではないかと思いまするので、昔ほど買い手市場ではないということが言い得るかと思います。
しかしながら、日本が買っておりまする小麦の輸出国は、御承知のように、アメリカ、カナダ、豪州でございまして、品質的にもいろいろ違った小麦がございますと同時に、相競合する小麦も輸出しておりますので、私どもとしては、相手国がお互いに競争の立場から日本に売り込むというような事情をできるだけ買い付け面に生かしたいと思っておりますので、純然たる売り手市場であるというふうにも思っておりませんが、ちょっと端的なお答えはむずかしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/34
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035・堀昌雄
○堀委員 それでは、そこまでにいたしまして、この前ペンディングにしておりましたことをちょっとお伺いしておきたいと思います。
私、資料を見ておりまして、輸入のときには小麦を買って、国内に売り渡すときには小麦粉を売り渡しておるということが予算書に出ておるわけですね。そこで、一体小麦粉にした場合の小麦換算量というのはどういうことになっておるのか。四十二年、四十一年、四十年について輸入小麦を小麦粉で売り渡した数量ですね。四十二年十八万八千トン、四十一年十八万七千トン、四十年十七万二千トンですか、これを小麦換算にしたら幾らになるか、ちょっと答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/35
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036・大口駿一
○大口政府委員 いまの小麦換算にした数字を調べてすぐ申し上げますが、この数字は、実は学校給食用の小麦で、学校給食会に委託加工をして売り渡す数量に限定をしております。
原麦の数量は、いますぐ計算いたしまして、申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/36
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037・堀昌雄
○堀委員 そこで、私ずっとこまかく調べておると——なぜ私がいまそのことに触れておるかというと、輸入小麦の買い入れと売り渡しには毎年数量の差があるのですね。この差は一体 キャリーオーバーになっておるのだろうと思いますが、どういうふうになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/37
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038・大口駿一
○大口政府委員 小麦の輸入量を決定をいたしまする場合には、もちろん内外麦を通じましての需給計画を策定をいたしまして、まず需要の推定をし、それから内麦の供給可能量を押えまして、さらに年度の初めの持ち越し量というものを押えまして計算をいたしました結果、さらに年度末にどれだけの持ち越しを持つ必要があるかということを押えました上で最終的に要輸入量というものを出す、こういう方式をとっておるわけでございますので、実際に輸入したものを売ります数量と輸入いたします数量には、持ち越しの差とか、そういうことで必ずしも一致をしない。買ったものを全部その年度内に売るということになっておりませんが、需給計画の策定の順序は、ただいま申し上げたような順序でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/38
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039・堀昌雄
○堀委員 さっきの小麦換算は出ましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/39
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040・大口駿一
○大口政府委員 四十年度が小麦で二十五万二千トン、それから四十一年が二十八万一千トン、四十二年はすぐ出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/40
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041・堀昌雄
○堀委員 それなら、いまのお話でちょっと伺いたいのは、要するに、四十年の期初の輸入小麦と国内小麦の在庫からずっと一ぺん言ってもらいたいのです。その次、期中の払い出し、四十年の期末在庫、これは四十一年の期初の在庫ですが、それから四十一年の期中の払い出し、四十一年の期末在庫というように、期初と期末の在庫、年間の払い出しを輸入小麦と国内小麦でずっと言ってください。四十年からでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/41
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042・大口駿一
○大口政府委員 ちょっと、いま四十年から用意しておりますが、四十一年から先に申し上げさせていただきたいと思います。
四十一年の期首の持ち越し——四十一会計年度の予算に提出をいたしました基礎になる数量で申し上げますが、期首の持ち越し量が、内麦で三十三万四千トン、外麦で四十七万三千トン、両方合わせまして八十万七千トン、これが期首の持ち越し量でございます。それから買い入れ量、これは内麦で七十二万トン、それから外麦で二百六十六万三千トン、それから売り渡し数量——売り渡し数量というのはつまり需要ということでございますが、内妻が七十五万九千トン、それから外麦が二百六十三万二千トン、その結果、年度末の持ち越しが内麦で二十九万五千トン、外麦で五十万四千トン、これが四十一会計年度の基礎数字でございます。
それから、現在御審議願っております四十二会計年度の数字を、続いていまと同じ要領で申し上げます。内麦の期首持ち越し二十四万七千トン、それから外麦が五十四万八千トン、それから買い入れ数量が内麦で六十四万トン、それから外麦で三百十六万四千トン、それから需要として、内麦六十一万六千トン、外麦三百十一万五千トン、この結果、期末持ち越しの見込みが内麦で二十七万一千トン、外麦で五十九万七千トン、それから四十年はすぐ調べて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/42
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043・堀昌雄
○堀委員 じゃ、とりあえずいまの問題だけでちょっと伺うのですが、ちょっとここでわからないのは、いまのお話では、四十一年の期末在庫の内麦が二十九万五千トンでしょう。それから外麦が五十万四千トンですね。四十二年の期首が内麦二十四万七千トンで、外麦が五十四万八千トンと、こうなるというのは、期首と期末はくっつかないのですか、今年度では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/43
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044・大口駿一
○大口政府委員 御説明を途中を若干省略した感がございますが、実は四十一会計年度の予算を編成をいたしますときに、ただいま申しました計画でもって発足をいたしておるわけでございますが、私ども、その後予算が国会に提出され、さらに実行いたしました結果、当初の計画と実行見込みとが若干狂った、いわゆる実行見込みというものを四十二会計年度予算編成をするときに立てまして、その実行見込みに基づいて期末の持ち越し数量を修正をいたしまして、それを四十二会計年度予算編成の際の需給計画の期首に持ってきておりまするので、その間のつながりを申し上げるために、四十一会計年度の先ほどの当初予算計画と比較をする意味で実行見込み計画というものをつくっておりまするので、それをちょっと念のために読み上げさせていただきたいと思います。先ほどの順序で申し上げますが、内麦の期首持ち越しも、当初予算を組んだときと、また実際に会計年度末と違っておりまするので、これも食い違っておりまするが、内麦が三十四万九千トン、それから外麦が三十五万三千トン、それから買い入れ数量は内麦が六十一万七千トン、外麦が三百六万一千トン、それから売り渡し数量が内麦が七十一万九千トン、外麦が二百八十六万六千トン、その結果、期末の持ち越し見込みが、内麦で二十四万七千トン、外麦で五十四万八千トン、こういう実行見込み計画を立てました上でこの期末持ち越し量を期首に持ってきて、現在の予算の基礎になっている需給計画を立てている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/44
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045・堀昌雄
○堀委員 わかりました。それは、いま私計算しているのは予算ベースだけで計算しているから、決算書を見ても金額しか出ていないから中身がよくわからない。だから、いまのあなた方の実行のあれでよくわかったのですが、それにしては狂い方が大きいのですね。
いまの数で見ると、四十一年の期首の在庫が、外麦は当初の見積もりが四十七万三千トンという見積もりがしてあったものが三十五万三千トンと、十二万トンもここで違っておるわけですね。これは四十年中の消費が大きかったということであるかもしれないけれども、ここに非常に大きな誤差があるのがいろいろな関係で出てくるのだと思うのですが、この前あなたのほうで、予算委員会で武藤君の質問に対して、私がこの前指摘をした五十万一千トンの内訳としては、三十四万トンが需要の増加である、こういう答弁をしておるわけですね。ひとつ、四十年、四十一年のあなたのほうの当初の需要増加見込みは幾らだったのか、ちょっと答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/45
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046・大口駿一
○大口政府委員 四十一年度の当初予算と、それから先ほど中間的に申し上げました実行見込みを比較いたしますと、需要の増は十九万四千トンというふうに私どもは計算いたしております。それから、その実行見込み計画と、現在の四十二会計年度の予算の需要量、これが十四万六千トン増、それで合わせて三十四万トン、したがって、当初予算とそれから四十二会計年度の予算とを直に比較いたしましたので三十四万トンというきわめて大きな数字が出たのでございますが、簡単に実行見込みと比較をいたしますと、いま申しましたような数字の関連になってまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/46
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047・堀昌雄
○堀委員 実は私、三十四万トンというのは、皆さんのほうの、要するに輸入小麦と国内小麦の売り渡しの総計が小麦の需要だということで、予算上あなたのほうは出しているはずだから、これを比較をしてみると、三十九年−四十年の間では予算上では十四万四千トン、それから四十年−四十一年の間は予算上では十七万四千トンというのが、当初予算における内外小麦の売り渡し総量の年度別比較ですからね。これをみな予算ベースだけの比較をしているから、いまの実行見込みとは差があるにしても、ちょっとここのトレンドを見ると十四万トン、十七万トンぐらいになっているのが、いきなりことし、四十二年に三十四万トンの消費というのは、これはわれわれから見ると、一ぺんに倍以上になっているという感じがするものだから、これが、この前私が指摘をしたように、こまかくこの統計を調べてみると、これまであまりふえていなかったのがいきなり五十万トンふえるという問題につながってくる。この五十万トンふえるという一番問題の大きいのは、あなたのほうの需要測定が一ぺんに三十四万トンになったというところが一番大きな原因ではないか、こう思っているので、はたしてそれだけふえる理由が一体何にあるのか。これまで予算上の見積りをあなた方がしたときに、去年の当初とおととしの当初との差が、私がいま言ったように十七万四千トンですからね。三十九年と四十年の間が十四万四千トンという程度の需要の増加をしておるというのが二年続いておって、三年目にはそれより倍ふえるんだというのは、ちょっと私ども意味がよくわからないんだが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/47
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048・大口駿一
○大口政府委員 前回の委員会の際に、小麦の需要の最近の動向についてお答えをいたしたところでございますが、繰り返して申し上げたいと思います。
小麦は、もちろん戦後非常に粉食の普及その他で、戦前と比べて問題にならないくらい需要がふえたことは御案内のとおりでありますが、四、五年前まではやはり小麦というものの消費は米の代替である、したがって、米の作柄が非常に豊作である場合には小麦の売れ行きはそれほど伸びない、しかしながら米が凶作になると小麦が伸びるという、やや米の豊凶とうらはらの関係を持っておったのでありますが、つい最近の三、四年間の傾向からいたしますと、おそらく、経済の高度成長等で国民の所得水準が上がりまして、国民の食生活全体の構造が非常に高度化をしたということに伴って、都市、農村を通じまして、小麦の消費、つまりパン食あるいはめん食の消費が、それ自体の食形態としてやや固定をしたのではないかというふうに思われる節があるのでありまして、最近は、現に昨年産米のごときは作柄は平年作でございますが、政府に集まる米の数量も相当順調にいっておりまして、むしろ米が非常に豊作という形になっておりまして、従来の傾向からすれば、むしろ小麦の需要の伸びは頭打ちになるということが見られるはずでありますにもかかわらず、毎月の売れ行きはきわめて順調でございまして、その意味から、先ほどの四十一会計年度の当初計画を実行見込みですでに相当量の需要増を見込まなければならないという事情になりました。その後さらに依然として売れ行きが好調でありますので、四十一会計年度の実行見込み計画と四十二会計年度の計画とは、さらにふやすというかっこうで、去年とことしの予算ベースで直に比較をいたしますと、三十四万トンというきわめて高い需要の伸びが見込まれる結果になっておるのでありまして、私ども、小麦の需要がかくも伸びておりまする事情は、いま申しましたような事情が最近あるのではないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/48
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049・堀昌雄
○堀委員 まあ、需要があって、消費があるのならいいのですけれども、結局問題は、この前のケネディラウンドの問題に関連があるのではないかという問題については、こまかい検討をしてみた結果、それほど大きなアローアンスがそこにとってあるのでないということは、大体私も承知をいたしました。
ただ、今後の問題としては、これは食糧需給の問題はいろいろありましょうけれども、やはり外貨の面でいまわが国が食糧に対して払っておる外貨というものはきわめて大きなものがありますから、この点については、先ほどの小麦協定なり穀物協定の問題もありますけれども、やはり日本の国際収支のバランスの上からいっても、いろいろな面で努力をして、できるだけ外貨が節約できるような方向で、政府としては、いまのケネディラウンドを含め、今後の小麦協定を含めて、ひとつ十分ナショナルインタレストを前へ出して努力をしてもらうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/49
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050・三池信
○三池委員長代理 阿部助哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/50
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051・阿部助哉
○阿部(助)委員 交付税法の問題について御質問をいたしますが、その前段として、大臣がおられませんので、大蔵省を代表して次官にお伺いしたいのでありますが、いま大蔵省は予算のたびにいろいろな査定で非常な苦心をされておると私は思います。各省からいろいろな要求が出てまいります。しかも、そのいろいろな要求が重複をしないように、そうして、つまるところ、最少の経費で最大の効果を発揮しようということで査定をされることであろうとは思いますが、それにしても、その査定の場合には、この政府の基本的な考え方、政策、そういうものを勘案しつつやられることだろうと私は思うのでありますが、それはそのとおりやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/51
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052・小沢辰男
○小沢政府委員 御質問の御趣旨は、四十二年度予算編成にあたって、いろいろ各方面からの要望がたくさんあるが、それを四兆九千億円の予算の範囲内に縮めるためにいろいろと査定をする、その査定の方針いかん、こういうような御趣旨だろうと思うのでございますが、特にその場合に、予算の効率的な使用という問題を重点に考えるんじゃないか、こういう御意見といいますか、お尋ねではないかと、そういうふうに承ったのでございますが、私どもは、各省の要求につきまして、できるだけ主管官庁の重点的な考え方、優先的な考え方を中心にして予算査定をいたします。もちろん、一定の税収見込みというものがございますので、しかも相当硬直した経費というものがたくさんございます。そういうものを除きまして、新規の財源というものが、自然増収の範囲内で、しかもそれを公債の償還に充てるということを考えまして一定のワクがそこにでき上がっているものですから、当然そのワクというものをめどにいたしまして査定を進めてまいるわけでございます。
その際に、必ずしもただ単に予算の効率的な使用だけを主として査定の基準にいたしませんで、やはり地域開発の問題、先行投資の問題等もございますし、それぞれ各般の各省の要求というものを中心にいたしますと同時に、国民生活全体のバランスを考えながら、効率ある運営と同時に、やはり地域開発の面から、将来に向かっての先行投資も考えつつ、まあ、あれやこれや万般を満たすわけにはいきませんけれども、そうした考え方で予算を編成しているわけでございます。
なお、御質問があればまた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/52
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053・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまの御答弁ではさっぱりわからないのですが、この査定をされるには査定をされる理由がある。各省から非常に大きな要求が出ておるのですから、それを査定されるには、ただ大なたをふるわれるのじゃなしに、何らかのやはり基準があると思う。特にいまそれをお伺いしても出てこないようでありますから、次に移ります。
地方自治の場合、地方財政の場合、これは日本の民主主義の基礎だといわれ、憲法でも規定をされておる。しかし、今日の地方自治は、一般に三割自治とかなんとかいうけれども、予算面からすると、むしろもうそれ以下のところに落ちておるのではないか。小沢次官御承知のように、新潟県の予算一つ見ましても、一千億円という大きな予算であるにかかわらず、県知事がほんとうに独自で裁量し得るものは五十億円前後じゃないかということになってくると、予算面からすると非常に窮屈なものになっている。あとは中央からの仕事に関連した経費ということになってくるわけであります。昔でありますれば、内務省が任命した県知事をみな掌握してやっておるのだが、今日では財政面から制約をされておるということになってまいりますと、大蔵省がむしろ昔の内務省的な役割りも果たしつつ、何か地方自治というものが狭められてきておるような感じもするわけであります。
そういう点で、財政面からいろいろな制約もあろうが、何としても地方自治を育成する、伸展するということだけはお考えであろうと思うのでありますが、その辺はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/53
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054・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃるように、地方自治の育成強化ということは当然私ども考えてまいらなければいけません。したがいまして、御承知のとおり、毎年自主財源の強化という点と、特に地方の超過負担の問題等につきましても十分配慮をいたしてまいっておるわけでございます。
なお、その点の詳しいことは、事務当局もおりますので、問題によりましてお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/54
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055・阿部助哉
○阿部(助)委員 逐次その問題をお伺いしたいと思いますが、自治省のほうにお伺いしたいのでありますが、今年度は、昨年度非常に不調でありました事業債、これが廃止になったというようないろいろな関係もあり、また一面では自然増が非常にふえてきたというような面もありましたが、本年は大蔵省に対して千四百二十億円というものを特に強く要請されたと聞いておるのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/55
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056・細郷道一
○細郷政府委員 昨年、本年度の地方財政見通しをつくりました当時、千四百億円の収入不足ということが見通されましたので、それに対する措置を要求をいたしました。しかし、その後経済情勢その他が非常に伸展をしてまいりまして、歳入の面におきましては、地方税あるいは地方交付税等の増収が見込まれるようになりました。その結果、約七百億円くらいの収支の不足というふうに見込まれるに至りましたので、それに対する措置をそれぞれとって明年度の地方財政の見通しをつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/56
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057・阿部助哉
○阿部(助)委員 あなたのほうが先に言いわけをされるわけですが、私の聞いたのは、当初要求したのは千四百二十億円じゃなかったか、こういうことを聞いておるわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/57
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058・細郷道一
○細郷政府委員 先ほど申し上げたとおり、最初の要求としてはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/58
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059・阿部助哉
○阿部(助)委員 それがこの査定の段階の一カ月かそこらで七百四十九億円程度で十分でございます、こういうことになったわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/59
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060・細郷道一
○細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年から今年にかけましての経済情勢の動きが非常に予想外に急速でございました。その後におきまして、国税におきましても地方税におきましても相当の収入増が見込まれるに至ったわけでありまして、そういった面からの是正も必要でございました。また、歳出の面におきましても、国の公共事業費の要求に対しまして、最初は各省の要求を基礎としてこれを要求をいたしておったわけでありますが、国の予算が進むに従いましてそれに移動を生じまして、そういった面もございまして、結果において七百億余りということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/60
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061・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、いろいろな過程で経済が急速に変わってきたとか、いろいろおっしゃるけれども、この間どれだけの期間があるのですか。ごくわずかな期間じゃないですか。そうすると、自治省の要求した千四百二十億円というもの自体が初めから水増しだった、大蔵省の査定が正しかった、こういうことになるのですか。しかし、一方では、やはり地方自治体からの要求はまだ非常に強いものがある。たとえば道路の二十五億円なんというもので地方の市町村道が直るとは思えない。そういう問題はあとでお伺いしますけれども、そういう問題が多々ある。ただそれを、不足だけれども国の予算がなかったのでがまんするというなら私もわかるのですが、自治省自体、地方の財政を見てやろう、また、これを健全化そうという立場にある人たちの答弁としては、私にはどうしても理解ができないのであります。しかし、要求は強くしておるのだけれども、国のほうで金がないのだ、それで、がまんして、これで何とかやりくりをつけようということなら、それなりで、私は不満ではあっても理解せざるを得ないわけですが、何かあなたの話を聞いておると、もうその間に事情が違ってきた。その間というのはごくわずかな期間であります。一カ月か二カ月の間で事情が違ってきたということになると、自治省の計算はまことにずさんだ、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、その辺どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/61
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062・細郷道一
○細郷政府委員 確かに御指摘の点があるわけでございますが、経済回復に伴います税収の移動につきましては、これは地方税のみに限らず、国税につきましても、去年からことしにかけては非常に異常なものがあったわけでございます。その点、私どもの見通しが十分でなかったということになりますれば、いろいろ御批判もあろうかと思いまするが、そのときそのときの情勢がいわば日に日に変わるというような実は情勢であったという点は、御理解をいただきたいと思うわけであります。
ただ、いま私どもが手元に持っておりまする昭和四十年度におきます地方財政全体の決算というものを見てまいりますと、四十年度におきましては、御承知の税収の年度途中におきます減に対して、地方債というような臨時の措置をとったような関係もございまして、そういった点を考慮に入れますと、地方財政の中で赤字の団体の赤字額は約五百数十億円にのぼっておる、こういうような収支の状況を示しております。かつ、歳入の面におきましても、国庫補助金あるいは地方債といったようなものが、わずかではありますが、ウエートをだんだんに増してきておるという点で、歳入の構成の面においていま少しく健全性を確保しなければいかぬじゃないかといった問題も決算上出ております。反面、歳出の面におきましては、公共事業につきましては、国に協力をいたしまして、地方団体もそれぞれその完全消化をはかっておりますが、そのために、住民福祉に直接つながる単独事業につきまして、十分な措置が行なわれていない。四十年度決算におきましては、前年度に比べて単独事業についての伸びがほとんど見られなかったといったような問題もあるわけでございまして、地方自治のたてまえからいたしますれば、やはり私どもは住民に直結するような行政あるいは事業というものが、地方団体の判断においてこれが行なわれるような財政構成にすべきであろうというふうに考えておるのでございます。
昭和四十二年度のただいまつくっております財政計画におきましては、本年度の見通しとしては、まずまずこれで国の公共事業も消化し、単独事業も去年よりは多少の伸びを示すことができるとは考えておりまするけれども、なお、住民の要望その他を見てまいりますと、実態においては不足する面が多々あるのでございまして、そういう面につきましては、私どももやはり今後さらに努力をして改善をしなければならない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/62
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063・阿部助哉
○阿部(助)委員 将来はこういうふうにしたいというお話はそれなりにわかるのですが、何か、自治省では今度の予算で非常に満足しておるようなお話であると、話が違うのではないか。要求した額の大体半分ぐらいしか予算はついていないで満足しておるということになると、当初の計画がずさんであるか、あるいはまた、希望とは全然違った方向で未解決の問題を一ぱい残しておるということにならざるを得ないのではないか。たとえば、昨日も総理は、答申を忠実に行ないます、こう答弁しておられるわけでありますが、この「地方税財政に関する当面の措置についての答申」という当面の問題の答申を見ましても、まだ残された問題が非常に多いんじゃないか。
私は大蔵政務次官にお伺いしますが、やはりこれは大蔵省といえども、金の問題だからといっても、法律を守るという義務はおありだと思うのです。もしどうしてもそれができないとなれば、やはり法律を改正して、法律はつくったらやっぱり守るということが大切だと思うのですが、それはどうなんですか。財政の面からは、もう法律はしょうがないのだ、守らなくてもいいのだということには私はならぬと思うのですが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/63
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064・小沢辰男
○小沢政府委員 阿部先生がおっしゃいますように、最初千四百二十億円の要求があった、それが七百億円ちょっとでおさまった、それは計画がずさんであるのか、あるいはまた、それだけ地方にしわ寄せをしたのか、大蔵省のわからず屋の査定によってそういうようになったのかどちらかだというお話でございますが、御承知のとおり今年度の予算は、石炭特別会計を除きまして一四・八%の増でございます。ところが、各省の要求、八月に出ましたのは、各省ともそれぞれ一応三増刷以内の予算を出してくれ、こう言っております。したがいまして、当初自治省の歳入歳出のいろいろ地方財政の計画、見込みというものを持っておいでになりますと、大蔵省は大蔵省で、それぞれいろいろな経済の趨勢というものからこれをお互いに議論いたしまして、落ちつくところに落ちついているわけでございますが、ただいまおっしゃった法律違反の問題、おそらくその御趣旨は超過負担の問題だと思うのでございます。
たとえば、国民年金なりあるいは国民健康保険の事務費、実際にかかっておるものよりもうんと少ないようなかっこうじゃないか、これは地方の超過負担になっておるじゃないかというような点、その他、たとえば、予算単価が低いために、学校の建築等について地方の負担があるじゃないかというようなことでおっしゃるんじゃないかと思うのでございますが、この年金の事務費にいたしましても、国保の事務費にいたしましても、それぞれ私どもが考える基準というものと地方の実態が合わない面もございますけれども、また、地方によりましては、非常に少なくやっているところと、意外に一件当たりの費用をかけ過ぎているところもございます。こういうような意味で、一体どこまでが超過負担であり、どこまでが適正であるのかという点について、なおやはり自治省、大蔵省、厚生省、それぞれの立場でよく検討し、調査をして、正しい基準というものをつくり上げるということもやはり必要でございます。地方のほうで使ったもの、そのものを国のほうで認めていくというわけにもこれはまいりません。あるいはまた、いまの単価の問題にいたしましても、確かに、現実に合わぬ面が、あるいはそれぞれの地方で考えてみますとあると思いますけれども、これはやはり、御承知のとおり建設省が専門的な役所でございますので、建設省の標準単価というもので、国の財政となりますと、一定の統一的な単価で組んでいかなければいけない点もございます。
しかし、そういう言いわけばかり申し上げておりましても、現実にそういうような超過負担があって、地方財政にそれの負担がかかってくる、こういう面を私どもとしても当然重視しなければいけませんので、毎年、超過負担の解消につきましては、御承知のように、相当私どもも協力を申し上げて解消してきておるところでございます。今後とも、一そうのひとつ努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/64
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065・阿部助哉
○阿部(助)委員 次官は頭がいいので、私の聞きたいことをみんな大体言いわけをされたみたいですが、それだけおわかりになっておるならば、やはり各県において多少のアンバランスがあったら、それは皆さんのほうで指導されるのが当然であって、やはり法律があるならば、法律を守るということだけは必要なんじゃないですか。どうしてもそれがだめならば、やはり法律を変えていく以外にない。そうでないと、金の面からということで、大蔵省、政府みずからがこうやって法律を破っていくということになっては、議会の権威もなくなりますし、法律の権威もなくなってくる。きのう広沢氏が本会議で言っておられますように、これは執行機関の独善的な姿に入っていくという危険すらあるわけです。そういう点で、やはり国民年金事務の問題であるとか、健康保険であるとか、いまもう次官はそれを十分承知しておられる。その承知しておられるものは、やはりすみやかにやれとこの答申にも出ておるわけです。そうすれば、これはもう長い間陳情やらいろいろ政府のほうに要請しておる問題なんだから、もうこの辺できちっとした体制をとるべきじゃないか。ただ希望だけ聞いておって、何とかやりたいと思うというだけでは地方のほうでは困るので、いつになったらこれはやるというような線を明確にすべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/65
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066・小沢辰男
○小沢政府委員 阿部先生のおことではございますが、私どもは法律違反をしているとは思っていないのでございます。御承知のとおり、必要な事務に要する費用、これを負担する、あるいはまた補助率にいたしますと、必要な経費の三分の一、二分の一あるいは三分の二というもので法定をいたしておるわけでございますが、その必要な経費の認定ということについては、これはやはり私どもの行政庁のほうで必要なる経費の基準というものをきめているわけでございますので、私は法律違反ではないと思うのでございます。ただ、法律違反ではないが、地方の実態というものに照らして考えてみますと、なお地方の要望に沿うように、予算の範囲内ではございますけれども、できるだけ毎年努力をして、この超過負担の解消というものをはかっていかなければいかぬというので善処をいたしておるわけでございますので、そういう意味におきましては、御承知のとおり、毎年毎年、年金の事務費あるいは国保の事務費あるいは単価の問題についても改善をいたしている私どもの誠意といいますか、努力のあとは認めていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/66
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067・阿部助哉
○阿部(助)委員 まあ、補助単価の問題は多少あれでありましょうが、年金事務の取り扱いだとか、国民健康保険の補助費の負担というものは、これは当然国が負担すべきである。ただ、その県や何かでむだに使っているとか、そういうものは指導することが正しいでしょうけれども、これは原則として国が負担するということであると私は考えるのですが、それは違うのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/67
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068・小沢辰男
○小沢政府委員 必要な年金の事務費というもの、あるいは国保の事務費というものについて負担をする考えで、いま私どもは予算編成をしているわけでございます。ただ、その必要な事務費というものが一体どれくらいかかるかということについての判断は、これは地方の個々の要求そのものを全部とるわけにはいきませんので、中央で一定の基準を設けているわけでございます。しかし、毎年人件費その他いろいろな増加要因というものもありますので、その点を十分調査もし、検討もいたしまして、毎年事務費の引き上げをはかっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/68
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069・阿部助哉
○阿部(助)委員 毎年ある程度はかっておる、こうおっしゃるけれども、これはもう長い間の問題でして、去年おととし始まった問題じゃないので、この辺でもうけじめをつけなければならない、きちんとしなければならない問題だろうと思うのです。この答申書でも、「当面の」とは書いておるけれども、それを強くうたっておるわけです。当面でもこれくらいのことはしなければならぬ。長期に至っては、地方財政の根本から建て直すという問題が出ようかと思いますけれども、この答申にもちゃんとそれくらいのことはうたってある。そうすれば、この四十二年度にはもうそれくらいのものを解決するということが当然であって、何か、いまのお話だと、逐次努力はしておるから認めてくれということだけでは困るのじゃないかと思います。
次に、ことしから道路の五カ年計画がまた始まります。それで、全体としては六兆六千億円と聞いております。そうしますと、それに基づいて第一年目の予算がきめられておるわけでございますが、この計画というものは、第一年目は少なくともでき上がっておるわけですか。でき上がったから予算をつけたわけなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/69
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070・小沢辰男
○小沢政府委員 簡単に言えばそういうことでございますが、なお、御質問の御趣旨がちょっとよくつかめませんので、六兆六千億円の五カ年計画に沿って市町村道の整備の費用というものを計上したのかという御趣旨であれば、もちろんその五カ年計画を頭に置いた、私どもはそういうお考えをせざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/70
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071・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、昨日も大蔵大臣は、これを具体化したときにこの市町村道の二十五億円じゃ不足だろうから、これに対して検討する、こういうお話だったと私聞いておるわけです。ところが、この具体化というのは、一体いつなのか。具体化さないと予算がつけられないのかというと五カ年計画自体も問題であるし、それに基づいて建設省の予算を査定されたと思う。そうすれば、当然これももう具体化しておったはずなんじゃないか。当初の自治省との折衝、藤枝さんと水田さんと自民党の西村政調会長との話し合いで、自主財源については新道路五カ年計画の内容の際に検討するという申し合わせがあった、こう聞いておるわけであります。きのう大臣も、関係大臣との話をしておられるというようなことだったわけでありまして、もうそれは検討をされておるべき段階だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/71
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072・小沢辰男
○小沢政府委員 五カ年計画、六兆六千億円というのは、御承知のように、予算編成のときに私ども建設省と決定をいたしたわけでございますが、なお地方の単独事業等、こまかい点につきましての六兆六千億円の計画はまだコンクリートにはなっておりませんので、そういう点が固まりましてから、当然、五カ年間の所要の地方に対する財源その他についてさらに来年度の予算編成等の際に十分検討してまいる、こういうことになろうと思いますが、当面、四十二年度の予算編成にあたりましては総額六兆六千億円ということで、その大要といいますか、それについては、建設省からのいろいろな要求、打ち合わせによりまして、大蔵省との間ではほぼ見当をつけておりますので、そういう観点から、私どもは、地方道その他についても、いまの市町村道につきましても検討した上で、自治省当局と協議の上で二十五億円ということに決定をいたしておるわけでございます。
しかし、昨日大蔵大臣が答弁をいたしました御趣旨は、ちょうど質問の中にもありましたように、一体、地方の市町村道路の自主財源というものをもう少しはっきりした形で認めるべきじゃないかというような御趣旨の御質問等もございましたので、それらについては、将来、これからどういうような形で考えていくか。御承知のとおり、予算編成のときには、一定の自主財源を地方に与えるべきだという主張と、総体的な道路計画に対する建設省の御意見というものとがまだはっきり政府部内において統一見解ができるまでに至っておりません。そういう事情もございましたことは御承知のとおりでございます。今後それらが政府部内においてはっきりしてまいりますと御趣旨のような線に向かっていくのではないかと思うのでございまして、そういう趣旨の答弁を、含みをもって大臣がされたものと御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/72
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073・阿部助哉
○阿部(助)委員 どうも、その辺になるとおかしいのじゃないですか。大体、国のほうの道路の関係は、何か当初七兆三千億円と聞いておる。それが六兆六千億円に査定をされた。しかもその場合に、一般道、有料道のほうは、それなりの割合で大体減っておった。ところが、この地方単独事業のほうは、むしろ当初の計画よりも百億円ばかりふえておる。これは国のほうの予算があまり関係がないから、道路整備ということとつじつまを合わせるためにやられたのかどうかはわかりませんが、国の負担でないほうだけが少しふえておると聞いておる。そうしますと、もうすでに二十五億円というのが今度の予算に出ておるわけでありますが、いつ、具体的な査定によって検討する、検討したら、今年度補正予算という形でつけるのかどうかというのが、やはりいまの市町村にとっては大きな関心であろうと思うのです。
そういう点からいって、一体、いつやるのか。これではいつやるかわからない。今年度はとにかく二十五億円でがまんせいと、こういうことになれば、それなりに、あきらめるところはあきらめ、計画をやらないところは計画を立てないでしょうけれども、いまのお話のように、何か、やるような、やらないようなことをやっておっては市町村の計画は立たないじゃないですか。そういう点で、それならば、いつ検討し、場合によったらいつこれを補正する、こういうことなのか、その辺をはっきりすべきだと思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/73
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074・小沢辰男
○小沢政府委員 市町村道の整備についての交付金の二十五億円につきましては、これは四十二年度は確定をいたしておりますので、これをさらに補正でどうこうということは私ども考えておりません。したがいまして、計画はその線で自治省のほうでも進められるわけでございます。
なお、先生御質問の先ほど来の詳細な点につきまして、担当の主計官がおりますので、私ちょっと不十分な点がございますので、主計官をして答弁をさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/74
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075・秋吉良雄
○秋吉説明員 こまかな点の説明をという政務次官の御要望でございますが、いまの政務次官の御答弁で尽きておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/75
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076・阿部助哉
○阿部(助)委員 この二十五億円をきめる段階で、市町村ではもっと大きな、百三十三億円というものを財源としてくれ、これはキロリットル当たり千円程度のものを出してくれ、自主財源にガソリン税、軽油引取税を回してくれ、こういう要求があった。それで二十五億円にそれを圧縮したわけであります。その圧縮をしたときに、自治大臣との話し合いで、これは計画の内容の検討の際に考慮する、こうなっておると聞いておるのでありますが、それがどうか私はわかりませんけれども、きのうの答弁にも、具体化した場合に何とか考慮する。——その具体化するというのは、これは将来、四十二年度以降のことなのか、それとも今年度のことなのか。私は、当然これは、予算編成のときの話し合いからすれば、今年度のものとして検討をする、こういうふうに理解をするわけですが、いまのあなたの話でいくと、もう二十五億円ときめたんだから、今年はこれでやってくれ、あとはもう増額しないんだ、こういうことのように聞こえるわけですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/76
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077・小沢辰男
○小沢政府委員 先ほど申し上げましたように、今年度は交付金の二十五億円でやっていただくわけでございまして、あの予算折衝の際に、自治省側の御要求に、ガソリン税の一部を市町村道の自主財源として分けろと、こういう御要求でございました。その点につきましては、まだ政府部内で意見の一致を見るに至らなかったわけでございます。したがいまして、四十三年度以降の予算編成に際しての問題ということになるわけでございますし、また、六兆六千億円の五カ年計画の財源につきましても、私ども、国の全体の今後の税収の伸び、経済のいろいろの動き、成長率というものに対するいろいろな判断からいたしまして、昭和四十二年度はとりあえず、御承知の予算書にありますような計画で進めておりますけれども、今後、財源のことにつきましてどういうふうにするか、それが新たな考えが出てくるのかどうかは、四十三年度以降の予算編成に待つ、その際に当然いまの市町村道の財源の問題についても、政府部内で意見の一致を見ました際にそれが決定を見ていく、こういうことでございますので、結論として申し上げれば、四十二年度はこれで変更はございません。四十三年度以降の問題として、なお、政府部内でよく協議を進めていく、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/77
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078・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうしますと、昨日の本会議における大臣の答弁は、私、速記録を調べていませんけれども、何か、そういうふうには私とっていない。いまの次官の話がほんとうだとすれば、大臣のきのうの答弁は何か食言のような気がしてならぬわけですが、どうも私には理解ができない。来年度以降、五カ年計画だから、四十三年度の五カ年計画第二年目は二年目なりに考慮をされるくらいのことはわかるわけであります。しかも、この二十五億円は今年度だけということで出されておる百二十億円の一部でございましょう。そうしますと、これは本会議の速記録を調べてみますけれども、どうも大臣答弁は食言だというふうに私は理解せざるを得ないんですが、そこはだいじょうぶですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/78
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079・小沢辰男
○小沢政府委員 決して大臣と私の考えは違っておりませんので、私もなおよく検討いたしてみたいと思いますが、私が申し上げたような趣旨で私ども大蔵省では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/79
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080・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、この問題は、いまあなたとこれ以上論議をしても結論が出ないようでありますが、私は、いままでの予算要求の経過並びに自治大臣との話し合い、そうしてまた、昨日の本会議における大臣の答弁、こういう経過をずっと見てまいりますと、二十五億円ではどうにもならない。小さな市町村になると、二十万円やそこらの金をもらって地方村道が直るという期待も持てないわけであります。道路費はいろいろ大きく組んである。組んであるけれども、住民が一番使うのはやはり地方道であります。そういうところで住民の問題というものが無視されながら、大きな産業道路その他だけがよくなっていくといういまの姿から見ても、地方財政、地方行政また地方自治というものが、何か大蔵省の考えの中から抜けておるんじゃないかという感じがしてならないわけであります。
いまいろいろ申し上げましたように、財政の収入の面は、確かに四十二年度は四十一年に比べますれば税の自然増——自然増というのはいろいろの解釈があるようでありますけれども、ほんとうは金の価値がなくなって、税金をよけい取られるんだから、それだけまけるべしという意見もあるようですし、私もそう思うんですが、自然増なんということで税収がふえておる。しかし、ふえておるけれども、やはり地方財政は依然として硬直化したもののようである。しかも、この自然増がいつまでも、来年もまた期待できるのかどうかということになると、まことに不安定であって、地方財政はそれなりに危機を脱してはいない。これはこの答申の中でも認めておるわけであります。ところが、政府はますます——ますますと言うとおかしいが、これからもまた引き続いて国債を発行していこうとする。国債を発行していけばいくほど事業量はふえてきて、それに見合う地方の金はかかってくるということになってくるわけでありますが、もう少し根本的に、政府が国債を発行しておる段階で、地方財源というものを何らか配分をしなければ、地方財政は今年度のような自然増収が多いときはいいけれども、そうでないときには困ってくるんじゃないかという感じがするわけなんですが、これに対して、この答申にあるような形で、大蔵省としては何らかもう少しめんどう見よう、何らかこの辺を考えようということは、具体的に何か考えておられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/80
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081・秋吉良雄
○秋吉説明員 政務次官の御答弁の前に事務的な答弁をさしていただきます。
答申の趣旨を御引用されたようでありますが、おそらく二三%の議論かと思います。二三%の議論につきましては、大蔵省といたしましては、どうしても納得いたしかねるということでございます。
と申しますのは、二三%の分は、国税収入と国債収入とに対しまして、二三%をめどとして交付税あるいは譲与税あるいは交付金を地方財政に回す、こういう趣旨でございますが、まず一、二問題がございます。
一つは、国債と国税を同一に論断することはおかしいのではないか、やはり国と地方の財政の運営というのは、同一の基調のもとに立って議論すべきである、国は国債を償還しなければならないのに対して、地方は償還しないということは、非常なアンバラでございます。そういった問題もございます。
それから、そういった国税収入、国債収入に対する二三%を交付税、譲与税だけの面でとらえるのは片手落ちじゃないか。やはり、先ほど御指摘のございましたように、地方税収入とか、国その他の収入といった、そういった歳入面をあわせ考慮して、全体の形をとらえていかなければならぬ、そういったいろいろな問題がございまして、二三%についてはどうしても納得いたしかねるということでございます。試算をいたしますと、二一・五%くらいの数字になっておるかと思います。そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/81
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082・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいまの説明ではございますが、私ども、先生おっしゃるように、地方の自主財源を毎年できるだけ強化をいたしまして自治体の育成強化をはかるという趣旨は、これは決して反対をいたしておるわけではございませんので、今後とも、自主財源の確保につきましては、できるだけ毎年の財政全体の状況をにらみ合わせまして、その方向で前向きに進んでまいる、従来もそのようでございますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/82
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083・阿部助哉
○阿部(助)委員 今度は少しうらはらになるようなことになるかもわかりませんが、ここで、所得税の減税の場合に標準世帯で百万円までというのがずいぶん論議されました。しかし、地方税になってみますと、課税最低限がはるかに低い。地方税と国税とは同一でないんだとか、あるいは応能主義とか応益主義とかいうふうな議論もあろうかと思いますけれども、取られる本人になってみれば、税金として取られるということは同じであります。しかも、自分の生活費にすら税金が割り込んでくるということになると、これは全く悪代官のようなもので、取り上げられてしまうということになってくる。やはり最低限というものは、生活のできるというところを基準にしなければ、これはおかしいのではないか。それは国税であろうと地方税であろうと、いろいろな高級な議論はとにかくとして、取られる住民にとってみれば苦痛には違いないのだから、そうすれば、所得税で当然そこまで引き上げるものならば、地方税もそこまで最低限は引き上げるべきだ。その上は、いろいろと累進だ、その累進の率がどうだこうだという議論はまたありましょうけれども、最低限だけはやはりこれは引き上げるべきだという感じがするわけですし、そう考えるわけですが、自治省や大蔵省のほうはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/83
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084・松島五郎
○松島政府委員 お答えを申し上げます。
所得税の課税最低限と地方税、住民税の課税最低限を一致させるべきではないかという御意見でございますが、御承知のとおり、所得税は所得の再分配というような機能を強く持っておる税金だといわれております。所得再分配というものを考えてみますと、相当の高額の所得の方から税金を納めていただきまして、これを歳出面を通じて所得の再分配を実現していこう、こういう趣旨の税であると思うのでございます。そういう趣旨の税でありますならば、やはり税を負担される方というのは、相当高額の所得を持っておられる方に負担していただくということにおのずからなるのではないかと思われます。
一方、住民税は、御承知のとおり、広く住民である、住民である以上は、何らかの負担をして地方自治に参画をしていく、こういう性格のものでございますので、いま申し上げましたような所得税と住民税とはおのずから性格が違っておるものであろうと思います。
そこで、所得税と住民税全体を通じて、一体どの階層から税金を納めていただくのか。その場合において、住民税はこの階層から納めていただき、所得税はさらにどの辺から上を納めていただくのかという問題として考えていただくべきではなかろうか。単純に、両方を平面に並べまして、課税最低限が同じであるとかどうとかということだけでは、税の性格も違いますし、また、現在の税制の仕組みから申しましても解決し得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。(「租税特別措置はどうなんだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/84
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085・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお話、どうなんです。所得税は再分配が重点だというなら、いま話がありましたように租税特別措置法なんというのはまことにけしからぬということをあなたは認めざるを得ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/85
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086・松島五郎
○松島政府委員 租税特別措置法の問題につきましては、これまた大蔵省の主税局のほうにもいろいろ御意見があろうと思います。(「あんたの意見はどうなんだ」と呼ぶ者あり)私は、税としまして、所得税という面だけから考えてみますならば、なるべく特別措置がないほうがいいと思います。ただ、それにいろいろ政策的要素を加えます場合に、どちらが価値判断として取り上げられるかという比較の問題としてこの問題は議論されなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/86
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087・阿部助哉
○阿部(助)委員 この問題を議論を始めれば時間は切りがないわけでありますが、政策でということになりますと、どういう政策が一番重点なんですか。政策という場合、政治の場合、何よりも大事なのは、やはり憲法を守って民主主義を発展さしていくということじゃないですか。その土俵の中で経済が伸びる、科学技術が進歩するというのは、これはけっこうなことなんです。だけれども、片方で、民主主義も何もぶちこわしてでもいいから経済が伸びていけば、昔の戦争前の日本の経済であるとか、ナチの時代のドイツの経済であるとかと同じように、片方のものだけはぐんぐん成長していきますけれども、民主主義の基盤というものはくずされてくるという危険があるのじゃないですか。私は、日本の、経済であろうと、あらゆる文化が発展していくというのは、やはり民主主義という土台を固めながら伸びていくというのが、いま皆さんがやらなければならない、ことに政治というもの、行政というものが行なわれなければならない大原則だと思う。それを抜きにして、経済の発展のためだということになれば、昔のお国のためと何にも変わらないじゃないですか。そういう理論は皆さんがおやりになるものではないじゃないですか。やるとすれば、大臣、次官がおやりになるべき問題であって、これは官僚のやるべき問題じゃないのじゃないですか。少しおかしいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/87
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088・小沢辰男
○小沢政府委員 私は、阿部先生のおっしゃるように、民主主義を進めていくということには、基本的には幾つかの要素があると思いますが、その一つの大きな問題として、地方自治体の育成強化というものは非常に大きな民主主義の前進になると思うのです。その場合に、地方の住民というものがそれぞれの市町村の行政に関与し貢献していくということが非常に大事でございまして、その意味で私は、いま松島税務局長が言いましたように、所得の再配分という機能よりも、むしろ自治体としての、住民がすべて参加して貢献していくというような税制面から、いわゆる市民税、住民税というものが考えられていいのじゃないかという考え方については、私はむしろ先生の基本的な方向にマッチした議論と思うわけでございまして、いろいろ議論になりますとあれでございますが、必ずしも私は、税務局長の答弁というものは先生の御趣旨に反していない、むしろ地方自治体を民主主義のほんとうの拠点といいますか、かなめと考えればこそああいう考えが出るのだというふうに御了解いただければたいへんしあわせだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/88
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089・三池信
○三池委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
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午後一時五十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/89
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090・毛利松平
○毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。阿部委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/90
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091・阿部助哉
○阿部(助)委員 先ほど、地方税の問題のところで中断したのでありますが、引き続いて質問をしたいと思います。
住民税を取られる立場になれば同じだということを申し上げたのでありますが、実際に地方へ行ってみますと、地方税の場合、特に市町村なんという場合には、たとえば農業だけでは食っていけない、それで農外収入を求める。そうすると、年間六、七万円の収入があるとすると、そういうのまでさがし求めて税対象に加えていくというような実態があるわけです。そうすると、地域の、地方税の場合には国税とは違うのだ、こう言ってみたところで、実際生活ぎりぎりの線で、それで夫婦別れ別れで出かせぎをする。そうすると、その調査をして、何ぼ収入があったということで加算して税金が取られるという実態を見ると、この最低限だけはやはりもう少し引き上げるべきだ。かりに百歩譲って、国税との立場が違うのだといたしましても、これではあまりひど過ぎるではないか。いなかはえてして家族の構成も大きいわけですが、そういうことになると、五人世帯四十数万円というような最低限でいっても戸数割りは取られる。そういう形で、私にはどうもこれを上げないという理由は納得ができない、こう思うのです。
それで、参議院では、私は速記録を見ておりませんが、新聞で拝見するところによると、占部さんの質問に対して、考慮するというようなお話をしておられるようでありますが、どの程度、どんな形で、いつごろこれを上げようとしておるのか、その辺をもう少し具体的にお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/91
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092・松島五郎
○松島政府委員 お答えをいたします。
住民税の課税最低限につきましては、御指摘のとおり、私は現在の最低限が絶対に正しいものであるというふうに考えているわけではございません。税制調査会の答申にも示されておりますように、経済の推移あるいは国民生活水準の推移等を考慮して、逐次その引き上げをはかっていくべきものであるというふうには心得ておるものでございます。今年度もそういう線で何らかの引き上げをいたしたいと努力をいたし、検討いたしたのでございますけれども、地方財政の状況等もございまして思うにまかせなかったという状態でございます。
なお、お尋ねの参議院におきます自治大臣の答弁の点でございますが、これは衆議院の予算委員会で、武藤先生からお尋ねのありました問題と同じようなお尋ねがございまして、その際におきます自治大臣の答弁の内容も同趣旨であったのでございます。すなわち、繰り返して私から申し上げますと、住民税の課税最低限は、所得税と性格が異なるものであるから、必ずしも一致しなければならないものとは考えないけれども、それかといって、現在の課税最低限がそのままでいいというわけでもないと考えるので、地方財政の状況も考慮して、今後住民負担の軽減については努力をしていきたい、かように申し上げているのであります。
それでは、具体的に、いつからどういう形でこの問題に取り組んでいくかというお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたとおりの答弁でございますので、私どもといたしまして、来年度必ずこの問題を取り上げるという最終的な決定にまで至っておるわけでございませんので、いまここで、どういう形でいつからということをはっきり申し上げることは困難でございます。
ただ、住民税の減税を取り上げるといたしました場合に、どういう形で問題を考えていかなければならないかということでございますが、私は三つくらいの考え方があるのではないかというふうに考えます。
一つは、いま御指摘のございます課税最低限を引き上げるという方向でございます。もう一つは、税率を引き下げるという方向でございます。もう一つは、たとえば障害者でありますとか老年者等にあります住民税のかからない所得の範囲を、現在、現行法では二十四万円でございますけれども、今度の改正案では二十六万円まで引き上げておりますが、そういった特殊な面での軽減措置というものをどういうふうにしていくかという、およそ三つあろうかと思いますが、第三番目の問題は特殊な部面についての問題でございまして、一般的な減税としては課税最低限を引き上げるか、税率を引き下げるかという二つであろうと思います。
納税義務者の数をある程度減らしながら税負担の軽減をはかっていくということになりますと、課税最低限を引き上げるという方向が一番望ましいわけでございますので、いま問題とされておりますのもそういう点にあろうかと思いますので、今後住民税の問題を検討してまいります場合には、その方向を第一に取り上げまして検討をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/92
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093・阿部助哉
○阿部(助)委員 もう一つお伺いしたいのでありますが、四十二年度の地方債は六千六百九億円と記憶するのですが、そうでございますね。——そうしますと、この中で地方で公募するものはどの程度見込んでおるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/93
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094・鎌田要人
○鎌田説明員 六千六百九億円の中の資金の内訳でございますが、政府資金三千八百六十九億円でございまして、残り二千七百四十億円、これが公募資金、いわゆる広い意味での公募資金に相なっておるわけでございます。その中でいわゆる市場公募が六百六十億円、それから公営企業金融公庫の資金が七百三十億円、差し引き千三百五十億円がいわゆる縁故分でございます。この縁故分の中には共済資金等がございますので、いわゆる銀行分に回ります分が千二百七十四億円、したがいまして、民間資金に依存をいたしまする分は、市場公募債の六百六十億円と銀行等縁故資金千二百七十四億円、合計いたしまして千九百三十四億円ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/94
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095・阿部助哉
○阿部(助)委員 いま、昨年とだいぶ情勢が違ってまいりましたのは、皆さんのほうもいろいろな書類で御承知のとおりでありまして、金融状態、まあ設備投資の過熱といいますか、旺盛になってきたということで、銀行等の金融も窮屈になってきた。それでなくとも、今日まででも、この地方債というのは地方では非常に不評判であります。それがこのような情勢の中で千九百三十四億円というものが消化されるのかどうかという点で非常な不安を持つわけでありますが、この見通しはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/95
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096・鎌田要人
○鎌田説明員 お尋ねの点でございますが、ただいま申しました公募債とそれから銀行等の縁故債の総額といたしましては、前年に比較しまして二百三十二億円の減少に相なっているわけでございます。
それから、一般単独事業債の中で今般百二十億円の増額を見たわけでございますが、これは従来いわゆるワク外縁故という形で処理をいたしておりましたものがこれに相当程度振りかわるであろう、それから公営企業債が前年に比べまして二百億円再建債がふえておるわけでございます。これは、御案内のとおり公営企業の財政再建のために過去の赤字をたな上げをする、こういうことでの再建債でございまして、従来は、いわば短期でこの金繰りに充てておりましたものがこれに振りかわってまいる、まあ、こういう形でございますので、前年に比べまして、ざっと見まして五百億円くらいの規模の縁故資金としては減少になる、こういう状態でございますので、現在の市中金融の状況から見まして、この程度の消化には支障はないのではないだろうか、こういう見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/96
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097・阿部助哉
○阿部(助)委員 一応そういう見通しを立てられておるようでありますが、おそらく、いまの経済情勢からまいりますと、地方での金のゆとりというものはますます窮屈になってくるだろう。ということになると、いまの見通しもだいぶあやしくなってくるのではないか、危険になってくるのではないかということを感ずるわけでありまして、これを何とかもっと政府のほうでの財政投融資なり何なりを引き当てて市中での公募を減らすという必要が起きてくるのではないか。そうでないと、結局、県なら県の預託銀行へ非常な無理をして押しつけるというようなかっこうに入ってくる、それがまたひいては地方の中小企業への金融のワクを締めてくる、こういうめぐり合わせになってくるのじゃないか、こう感ずるのでありますが、その辺でもう少しこれを減らすというような努力がなさるべきだ、こう思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/97
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098・鎌田要人
○鎌田説明員 まさに仰せのとおりでございまして、私ども基本的な考え方といたしましては、地方債の中におきます政府資金の割合を高めてまいりたい、あるいは、これに準ずるものといたしまして、いわゆる公営企業金融公庫資金のウエートというものを高めてまいりたい、こういう形で地方債の質の改善をはかってまいりたいという気持ちを持っておりました。また、そういう線に沿って従来とも努力を重ねておるところでございますが、なお御満足いただくような結果にはなっておらないという点はまことに遺憾に存じますけれども、御指示のような線に従いまして今後とも努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/98
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099・阿部助哉
○阿部(助)委員 いままでいろいろとお伺いしましたが、地方財政の場合には、片方では住民の地方自治という面から考えての資金の必要と、そうして、片方では、反対の面からは地方税の減税という両方からの矛盾点に突き当たらざるを得ない。そうしてまいりますと、これは地方だけのいまの状態では解決ができない。やはりこの答申にもありましたように、事務の再配分、そうしてまた財源の再配分というものに解決の道を求める以外には道がないのではないかというところに入るわけですが、その点で、もう少し大蔵当局も努力をすべきだと思うわけでありますが、何か、いままでの説明ではなかなかうまく言いのがれはされるわけでありますが、そういう努力がもっと強くなされないと、地方自治は、三割自治どころか、ますます狭まってくる。ことに、国債発行のもとにおいてはなおさらそういう感を強くするわけでありまして、自治省並びに大蔵当局の努力をお願いしたいのでありますが、そういう点からいって、皆さんの説明では、どうも何かうまく言いのがれをしておるようでありますが、たとえば主計局から出ております四十二年度予算の説明というのを見ましても、都合のいいところはなるほどよく説明をしておるようでありますが、都合の悪いところになるとさらりと逃げてしまっておるという感じがするのですが、次官でも主計局でもいいのでありますが、ちょっとお知らせ願いたいのです。
たとえば、この総説でずっと十二の「地方財政の充実」というところまできておる。ところが、今年度の一つの大きな問題は、私は第三次防衛計画だと思う。第三次防衛計画が今年度から発足する、これは財政的にも大きな問題であり、それ以上に政治的には大きな問題なんです。ところが、その問題はこの総説という中では書いてないのですね。そのあとの各論的なところでは出ておるのだけれども、この総説というところでは出ていない。こういうことを見ると、何かこの説明は一方的に都合のいいところだけ広げておる。説明も答弁もやはりそういう形でなされ過ぎるのではないか。というのは、私は、やはり国民に対して親切に、そうして国民に対して政治を行なうということでなしに、何か言いのがれさえすればそれで事済むのだということで答弁されたり説明がなされておるような気がするのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/99
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100・秋吉良雄
○秋吉説明員 ただいま先生から地方財政の諸問題につきまして非常に御懇篤なる御注意があったわけでございますが、私ども決してつまみ食いでPRをしているわけではございません。と申しますのは、本年度の地方財政は、先ほど来いろいろ触れましたように、地方税におきましては三千二百億円の増収、さらにたばこ消費税を入れますと三千四百六十五億円の増収が見込まれます。それから地方交付税につきましても千四百五十四億円の増収が期待できるわけでございまして、これはいまだかつてない数字でございます。
そういったぐあいに、地方財源がいまだかつてない増収が期待されるわけでございますが、なお一そう地方財政の健全性をはかるという意味合いからいたしまして、たばこ消費税につきましては、御案内のように四・四%税率を引き上げまして二百六十五億円の財源措置を講じたわけでございますし、さらに四十二年度限りの措置ではございますが、臨時地方財政交付金といたしまして百二十億円の財政措置も講じておるわけでございます。
したがいまして、地方公共団体の財政計画べースによりますと、いわゆる自主財源と申しますか、一般財源は、昨年は歳入構成割合によれば、たしか五八・五%であった、それが本年度におきましては六〇・七%、六〇%の大台にまた返っております。
〔毛利委員長代理退席、吉田(重)委員長代理
着席〕
そういったぐあいに、地方財政は、私どもといたしましては、こういった数字から見ますと、四十一年度と比べまして相当よくなっているという感じがしておるわけでございます。先ほど地方債のお話もございましたが、地方債の歳入構成割合は昨年は七%の割合を占めておりましたが、本年は特別事業債を廃止する等の措置を講じまして、四・八%の歳入構成割合と、非常に減っております。こういった面を見ますと、地方財政は、昨年度に比べますと非常に好転しておるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
なお、税源配分とか財源配分の問題に御言及がございましたが、この問題は、国、地方の行財政を通ずる非常に大きな問題でございまして、国、地方を通ずる行財政需要をどう持っていくかというような面とも関連をいたしまして、今後とも引き続き慎重に検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/100
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101・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまお話のように、四十一年度に比べれば、私も先ほど申し上げたように、何といいますか、自然増という形でよくなっておる。しかし、これがいつまでもこういう形で自然増が続くとは皆さんのほうも考えてはおらないだろうと思う。そうすると、やはり地方財政は、自主的な計画を立てる場合、まだこれは非常に不安定な要素を持っておる。たとえば、今度の百二十億円の場合も四十二年度限りというような形になっておる。そうすると、幸い——幸いというか、自然増が多いというところで、今年度は昨年よりいいということであって、これが自主財源がきちんとしているということにはまだほど遠いのじゃないかという感じがするので、やはりこの答申にまあ答申そのもの全部が私はいいとは思いませんが、その答申ですら述べておるような、自主財源を確定していくという形での努力がもっとなされなければいかぬし、この百二十億円では私はやはり非常に少な過ぎるという感じを持っておるわけでありまして、それを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/101
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102・堀昌雄
○堀委員 ちょっと自治省に資料をお願いをしておきたいのですが、東京都周辺の、たとえば千葉県、埼玉県、こういう地方は、御承知のように、最近ベッドタウン化が非常に進行して、この前、友納知事も住宅公団お断わりという実は意思表示をされたことがありました。このことは、居住者だけがふえることによっては県の財政がもたないということを私は端的にあらわしていると思う。
そこで、例として、千葉県及び埼玉県にそういう東京への通勤者、居住者だけがふえた場合には、その一人当たりの、これは県民税になるわけでしょうが、それと、県が当然その住民がふえることによって生ずる支出との関係ですね。これは一体友納さんの言うようにペイしないものなのかどうか、これが一点です。
それから二点目は、いまのは府県ですけれども、今度は都市の関係として、大阪府とその周辺ということで、いま阪神六市というのが、御承知のようにこれもやはり完全なベッドタウン化をしておりますから、その市段階においては、そういう場合には、市民税とその持ち出しの、市段階における住民が増加することによって生ずる学校施設の問題なり、いろいろなそのために生ずる支出増があるわけですから、それはペイするのかしないのか、そこらの関係を資料としてひとつ出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/102
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103・松島五郎
○松島政府委員 ただいまの御要求のございました資料、できるだけ整えて提出さしていただきたいと存じますが、実は、非常にむずかしい問題でございまして、たとえば、A市に住む人が東京に通うといたします場合に、いまのお話ですと、大阪の場合ですと、大阪周辺に住む方が大阪に通うといたします場合に、その周辺の住んでいる都市においてどれだけの金がかかっておるかということについて何を抑えるか、学校というようなものだけでございますとすぐに押えられるわけでございますけれども、いろいろな経費が総合的にその町としてはかかっておるわけでございまして、それをそこに住んでいる人のために特にかけておるのだというふうに、どういうふうに認識するかという問題を多少きめてかかりませんと数字が出てまいりません。そういう意味で、御期待に沿うような資料を、なかなかむずかしいと思いますが、努力をいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/103
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104・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/104
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105・春日一幸
○春日委員 私は本日、いわゆるケネディラウンドの問題についてお伺いをいたしたいと思います。午前中行なわれました堀君の御質問によりまして相当部分が明らかにされましたけれども、なお私の立場で、不明な点についてこれを明らかにしていただきたいと思います。
新聞の報道するところによりますと、この関税一括引き下げ交渉なるものは、この六月末に通商拡大法の期限が終わるということで、いまいよいよ最終的な煮詰まりを見せておる様子でございます。
〔吉田(重)委員長代理退席、毛利委員長代理
着席〕
しかしながら、ここに、穀物協定をめぐりまして、さまざまな多くの問題が新しく提起されながら、なおこの問題が妥協、妥結をはかり得ないまま、きわめて難航を続けておるといわれております。
したがいまして、まず最初に伺いたいことは、国民がよく判断できますように、この穀物協定の問題並びに特に問題の支柱になっておりまする後進国に対する食糧援助の問題、こういうような問題は、すでに過去四カ年間きわめて熱心にこの交渉が進められた経過にかんがみまして、唐突にきのうきょう起きた問題ではないと思うのでございます。一体、いつごろ、いずこの国から提案をされ、そうして、それらの案の内容というのはどういうようなものであるのか、まずこの一点を明らかにお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/105
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106・鶴見清彦
○鶴見政府委員 穀物協定がどういう形でケネディラウンドに関連して出てまいったかという御質問でございますが、ケネディラウンドの交渉が最初にスタートいたしましたのは一九六三年の五月でございます。それからさらに六四年五月にもガットの大臣会議というのがございまして、その二回にわたりまして、このケネディラウンド交渉の基本原則と申しますか、それを定めたわけでございます。その基本原則の第二番目に、農産物については農産物貿易拡大のための受諾可能な条件を創設するというのが書いてございます。そしてその次に、特に穀物、食肉、酪農品については、商品協定を締結する、これがございます。これに基づきまして、穀物協定というものがケネディラウンドの中に取り入れられてまいったわけでございます。
その後、穀物の問題につきましては、ケネディラウンドの中にいわゆる分野別と申しますか、穀物のグループと、そのほか綿製品のグループとか化学品のグループとかいうのがございますが、穀物のグループというのがございまして、そこで鋭意検討されてまいっておりました。
ところが、先生も御存じでございますように、EECが農産物についてのオファーを、EECの内部がまとまらなかった関係がございまして、なかなか出してまいりませんでしたので、したがいまして、農産物についてのいろいろな交渉というものはそれだけおくれたわけでございます。ところが、昨年の七月にEECが農産物のオファーを出してまいりました。そして昨年の九月ごろでございましたか、いわゆる小麦の、あるいは穀物の輸出国が輸出国の提案というものを輸出国の中で取りまとめた、また、その間ガットの事務局自身も穀物協定の案というものをつくっておったわけでございます。その中に、けさほど堀先生の御質問にもございましたとおり、三つの要素が入っていたわけでございます。その一つが、いわゆる自給率の設定、第二番目が価格帯の設定、第三番目が食糧援助ということでございます。
いままでがただいままでの経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/106
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107・春日一幸
○春日委員 宮澤経企庁長官の新聞談話によりますと、ただいまお示しになりましたように、一九六三年の第一回閣僚会議、これがガットの下部機構である貿易交渉委員会に命じてこの一括交渉をなさしめた。その中にはいま示されたような穀物協定の三支柱をなすところの、特に後進国援助計画というようなものは入れてなかった、こういうふうに述べておりますが、この辺の事実関係はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/107
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108・鶴見清彦
○鶴見政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、一九六三年の五月の大臣会議でただいまのような一つの基本方針が出てまいりました際に、穀物協定の中に食糧援助というものが入るということが明確に出ておりません。したがいまして、宮澤長官が先般言われたことはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/108
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109・春日一幸
○春日委員 そうしたら、この三項目というものを明示しながら、その穀物協定が提示されたその時点において、これは国際的な政治問題であり、わが国として受諾不可能な案件でありとするならば、すべからく、国内世論の喚起あるいは国会検討の機会を設ける等、政府としては当然尽くすべき手段を尽くさなければならなかったものと判断するが、いま通商拡大法の有効期限が来月で終わろうとしておるこの段階においてにわかに大騒ぎしたところで、対策を立てるとしても、これは非常に追い詰められた形で問題を扱わなければならぬ、こういう形になって、わが国のナショナルインタレストを害することはなはだしいものがあると思うが、一体そのような条項が提示された時点は昨年のいつごろなんですか。
しこうして、そういうような、言うならば、予測せざる、かつは第一回閣僚会議の中において了解されなかった新しい事態がそのとき提起したのでありますから、当然それに即応して、日本政府としては、そのような提案国に対して、あるいはそのようなコミッティーに対して十分抗議をせなければならぬと思うが、そのような有効な抗議を行なった事実があるかどうか。また、あったとすれば、どのような抗議を行ない、その交渉の経過はどのようなものであったのか、その経過をつまびらかにいたされたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/109
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110・鶴見清彦
○鶴見政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、昨年の秋、輸出国側で穀物協定の案というものをまとめる会議を九月、十月とやりました。私の記憶する限りにおいては、たしか十一月の初めにガットのケネディラウンドの場に出してまいりました。その際にこの食糧援助という形のものが入ってまいったわけでございます。
ただ、この食糧援助という中に二つのカテゴリーのものがございまして、一つは、先ほどちょっと触れましたが、いわゆる自給率を越えて生産をした場合には、一種のペナルティーと申しますか、そういう形で、その越えた分は食糧援助に回すという形のものが一つございます。もう一つのほうは、アメリカが去年の秋以来出しましたいわゆる定額援助ということでございまして、これは自給率と関係なく、一定の額、数量の小麦を毎年義務的に後進国に対して援助するという形のものでございます。したがいまして、これが明確に出てまいりましたのは、昨年の秋、大体十一月の初めごろと私は記憶いたしております。
わが国のその問題に対する立場でございますが、ただいま先生が御指摘になりましたごとく、その自給率との関係におきましては、本来、先ほど申し上げた第二の原則、いわゆる農産物の貿易拡大のための受諾可能な条件を創設するという観点にも見合うことでございますので、こちらのほうの援助というものはこれは差しつかえあるまい、しかしながら、それと別の定額援助と称する毎年きまった額、数量というものを後進国に援助するということは、商品協定という性質を持つ穀物協定の中でやるのはおかしいではないかということで、常々その時点以来主張してまいってきている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/110
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111・春日一幸
○春日委員 申し上げたいのは、貿易拡大を目的とする商品協定にすぎないものである、また、そのカテゴリーを逸脱してはならないものである、にもかかわらず低開発国の食糧援助をそこの中に盛り込むということは、このガットの第一回閣僚会議の至上命令を逸脱するものである。これは明白なことなんですから、したがって、その時点において厳然たる抗議を申し入れて、これを撤回せしむべきであったと思うのであるが、そういう交渉をやったかやらなかったか、やったとすれば、いかなる反響があって、相手の言い分が何であったか、それをお伺いしておるのです。それをひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/111
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112・鶴見清彦
○鶴見政府委員 明確に、その最初のガットの大臣会議の際の規定といいますか、基本方針というものに沿わないではないかということで 非常に正式な抗議と申しますか、そういう形では必ずしもやっておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、本来商品協定たる穀物協定の中にそういう形での低開発国に対する食糧援助というものを盛り込むというのは筋が違うではないかということで、ずっと主張してまいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/112
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113・春日一幸
○春日委員 いま日本の政府を代表して宮澤経済企画庁長官が現地交渉に参られて強調されんとするポリシーは、第一回の閣僚会議において了解をしたところの案件を逸脱いたしておる、言うならば、筋違いである、こういうことが一番大きな柱になっておると思うのです。なぜ、その一番大きな柱を本日言うことなくして、そういうようなものが提示されたその直後に、直ちに対応的にこれを相手方に提示して、き然たる日本の立場、並びにその機構の権威を保つためにも、そのような余分なことをしないようにという抗議を提起すべかりしものであって、早期治療、早期診断ということがあるけれども、実際問題が起きた直後にやらないで、問題がこんがらがってきてしまってからABC論をやるというようなことは、これは交渉の効果を不利におとしいれることは歴然である。日本が外交においてその手腕が非常に劣悪であると絶えず非難をされておるが、私はこの交渉一つを取り上げてみても、全くそのそしりゆえなきにあらずとの感を深くするのである。
これはどういうわけでそのときに言わなかったのですか。当然言わなければならぬ筋合いの事柄ではありませんか。筋違いのことを持ち込んできて、これはけしからぬ、わが国はこんなものを問題にするわけにいかぬ、出直せ、練り直せといって、そのような案を突き返すべきである。いま、後進国の食糧援助の問題について、食糧の輸出国も輸入国も同じような立場で定額援助を義務づけるとは何ごとぞという問題でなしに、これは場違いの問題である、所管外の問題である、管轄違いの問題である、こういうことで、その問題をその時点においてこの議案から省くための努力をすることが当然の事柄である。なぜそのことをやらなかったのか。手落ちであったならば、手落ちであったとおっしゃっていただきたい。し得ない理由があるならば、提案国のアメリカの権威に屈したのか。その辺の事情をつまびらかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/113
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114・鶴見清彦
○鶴見政府委員 先ほどお答え申し上げましたごとく、正式な抗議といいますか、こういう多角的な関税交渉の場でございますので、正式な抗議というような形のものはとっておりません次第でございますが、先ほど来申し上げておりまするとおり、本来商品協定たるこの穀物協定に、このような形の対後進国援助とか、あるいは低開発国食糧援助というのを盛り込むのは筋が違うじゃないかということで、実質的には同じことを繰り返し昨年の秋以来主張してまいってきているわけでございます。したがいまして、そういう点で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/114
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115・春日一幸
○春日委員 私が申し上げておるのは、いいことはいい、悪いことは悪いと明白にしてもらいたいと思うのです。
というのは、ケネディラウンドは商品協定である。そこへ、たとえば軍縮問題が持ち込まれてきたら、これは管轄外だと言えるのでしょう。低開発国に対する食糧援助の問題は、商品協定でも何でもないじゃございませんか。そんな問題が持ち込まれてきたら、管轄外だと言って抗議を申し込むのは当然事項じゃないか。そのことをやらなかった理由は何か。手落ちか、アメリカの権威に屈したのか、その辺の事情を明らかにしてくださいと述べておるのですから、手落ちなら手落ち、アメリカの強い要請であるのでそのことが言い得なかったとか、言ってみたけれども通らなかったとか、いまこの問題が一番大きな問題として論じられておることにかんがみて、この辺の事情を明らかにせよと申し上げておるのです。あらためて御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/115
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116・鶴見清彦
○鶴見政府委員 これは、ただいま先生御指摘のとおりに、商品協定たる穀物協定の中でそういう形の援助というものを取り上げるのは筋違いじゃないかということで、ずっと主張してまいってきておる次第でございまして、したがいまして、アメリカの、あるいはアメリカを中心とする輸出国側の威力に屈した、そういった筋合いのものではございませんで、引き続き従来とも筋が違うということで主張してまいっておる次第でございますので、その点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/116
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117・春日一幸
○春日委員 私はこの問題は重要な問題だと思うのですよ。管轄外の案件を審議する権能はないじゃございませんか。したがって、そのような議案の撤回を求める、あるいは、そのような審議に参加することを拒否する厳然たる態度がなければ、結局相手のいいように押し切られてしまうことは、これは当然の事柄である。今日、そのために日本の立場をはなはだしく不利にいたそうといたしておる。
この際、お伺いをいたしたいと思いますが、一体、定額援助というものは、もしこの協定が日本の意思にかかわらず、あるいは立体的にいろいろな総合判断の結果、日本がのまざるを得ないような状態になったと、かりに想定をいたしまして、定額援助は一体日本に年間どのくらいの義務を押しつけようとするものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/117
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118・鶴見清彦
○鶴見政府委員 先ほど御説明申し上げました昨年の秋、十一月当初ごろの輸出国側の案によりますると、いわゆるこの定額援助というものは、年間総額一千万トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/118
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119・春日一幸
○春日委員 日本がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/119
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120・鶴見清彦
○鶴見政府委員 そうではございません。全体で総額一千万トン、そのうち日本がどの部分を受け持つべきであるかということにつきましては、当時も、また現在に至りましてもはっきりしたものは出てきておりません。ただ、当時伝えられましたところにおきましては、日本の分担は約五%である、ということは、国民所得等の計算によったものと思われますが、約五%であろうということが言われております。したがいまして、千万トンの五%ということになりますると五十五万トンということになります。
それで、当初はEECもイギリスもこの定額援助というものに反対してまいっておりましたが、最近に至りまして、イギリスもEECも若干折れているような情勢になりつつありますが、その関係もありまするので、輸出国側も総額一千万トンという主張はだんだんやめてまいっているようでございまして、最近におきましては、年間五百万トン、また、EEC等は年間五百万トンにつきましても多過ぎる、たとえば三百万トンでなければならぬといったような線を出してきておる次第でございます。
したがいまして、先ほど申し上げましたごとく、日本の分け前というものが幾らになるかということも明確には打ち出されておりませんが、かりに昨年の秋以来出ておりましたような五%と仮定いたしますると、五百万トンの場合、五%で二十五万トン、三百万トンの場合、五%で十五万トン、最近の実勢価格が大体におきましてトン当たり七十ドルくらいでございまするから、二十五万トンの場合ですと約千五百万ドル見当になりますし、三百万トン、したがいまして十五万トンという場合には約千五十万ドル見当になるかというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/120
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121・春日一幸
○春日委員 かりに五百万トンで千五百万ドルというと、これだけのものをこの交渉によって日本国民が新しく負担しなければならぬということになってくるのですね。
新聞の伝えておるところによりますると、EEC諸国とアメリカとの間が、この問題についてはその立体多角的な立場で、いわば取引の具に供せられておる、日本はその犠牲にされなければならぬとする立場に置かれておる。みすみす千五百万ドルというものをこの交渉の結果として、これが不利、有利という程度の問題ならばいいと思うのだけれども、これは理不尽に——本日の某新聞の社説にもあったけれども、これは有利、不利の問題ではない、理不尽な問題だと論評がなされておるけれども、その金額の多寡によらずして、理も非もない、めちゃめちゃなそのような負担を国民に加えるような、そんな交渉に一体最終的に日本は応諾をする腹なんですか。この問題は一体どうなんですか。私はこの点は政府の諸君が十分考えてもらわなければならぬと思うのだけれども、管轄外の案件を持ち込まれて、そんなものに、これは筋違いだ、ああだ、こうだと言っておるべき筋合いのものじゃないじゃございませんか。そんなものは、この大蔵委員会に運輸委員会の話を持ち込んできたり、あるいは法務委員会の話を持ち込んできたりした場合、これは管轄外だ、所管が違うのだ、そこでやってくれ——地域的にエカフェの問題もあるし、コロンボプランの問題も、ポイント・フォアの問題もあるでしょう、いろいろなこういうものを扱う国際協定もあるのですよ、そこでやってくれ、われわれは商品協定なんだ、そんなばかなことをあくまでやるのだったら、ぼくらは参加することはできない、こう言って、はねつけるべきではないか。そのことは、当然日本の国民に対して相当な負担を来たす形になる、国損になる。そうでしょう。利益でも損害でも、筋の通ったことならば、時と場合によってはやむを得ぬと思うのです。理不尽なことではないか。そんなことに対して本日までうだうだと長づき合いをしているというのはどういうわけか。理屈がないではないか。小沢君、政府を代表して所見を述べてもらいたい。そんなばかなことはないじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/121
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122・小沢辰男
○小沢政府委員 先ほど来外務省の経済局次長が申し上げておりますように、先生も言われるとおり、商品協定であるべきものの中に低開発国に対する食糧援助、こういう議題が出てまいりまして、これについては強力に抗議を繰り返し申し入れておるわけでございますが、いかんせん、やはり国際的なそういう協定なり、会議のことでもございまするので、日本の不利にならぬようにできるだけの努力をするということで申し上げる以外にはございません。
なお、先生の意のあるところは大臣にもよく伝えまして、私たちも国損にならぬように、国益をあくまでも守る立場で努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/122
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123・春日一幸
○春日委員 ただいま貴党の小峯柳多委員が賢問愚答であると言われた。どうも、ささやきたりといえども、まことに至言であると思います。実際問題としてこれは重大問題なのでございますよ。さまざま各党間において国会でも交渉ができる、いろんな機関と機関とが交渉しておるけれども、管轄外の案件を持ち込まれて、それにうだうだと長づき合いをしておるなんというようなとぼけた代表なんというものは、私はその人の見識を疑うですね。これは違いますよ、他の機関でこの問題を扱っているんだから、そこでやってください、私は、日本国政府、日本国民を代表する立場において、その責任と権威においてそんな問題に意見を述べることはできません、あくまでもやるんだったら私のほうは失礼いたします、こういう厳然たる態度なくしてどうして相手に説得力を及ぼすことができるか。やめてくれ、やめてくれというようなそんな問題じゃないのですよ。筋違いの問題だと言うて、ああそうだったかと相手がやめてくれればそれでよろしい。やめてくれなければ、アブソリュートリーにノーと言わなければなりません、全然違うんだから。そして、いまここへきて、この問題はああだこうだと言っておる。これでは私は、日本政府の外交というものがいかに自主性のないものであるかと慨嘆せざるを得ない。
それで、私はもう一ぺん伺うが、もしそこで日本が強い意見を示す、EECとアメリカとのやみ取引も功を奏さなかったというような場合、これは一体どうなるのかということですね。期限は六月で、これが到来しつつある。新聞報道によりますと、アメリカでは中南米共同市場設立の構想が動き始めておるようでありますし、また、これの影響を受けてか、英国のEEC加入の問題がさらに刺激的に動きを始めたようでありますが、当然、日本としては、午前中も堀君の御意見の中に述べられましたけれども、最悪の事態に対処する決意、そういうものが定められてなければならぬと思うのです。筋違いのものでもそれに追随していくのか、屈辱をあえて忍んでそれについていくのか、それとも、厳然とした日本の自主性をもって、筋の通らぬそういう横暴、横車、これを排除して進んでいくのか、その結果、話が決裂した場合、日本はどうなるのか、関係の深いアメリカにおいてはどういう態度をとっていくのか、イギリスそれから欧州の諸国はどういう方向に動いていくのか。これらのことは当然検討されておってしかるべき問題であると思う。外務省として、経済局として、これらの問題についてはすでに何らかの検討がなされておると思うが、その概要について、この際参考のためお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/123
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124・鶴見清彦
○鶴見政府委員 この定額援助という形での食糧援助は、日本があくまで反対して、そのために穀物協定自身がまとまらなくなる、そのために、またケネディラウンド全体がまとまらなくなるかどうかという問題につきましては、これは非常にむずかしい判断でございまして、この点を中心にいたしまして、宮澤長官が現地で十分判断をいただくということもございまして、長官に一昨晩立っていただいた次第でございます。
ただいま御質問の、もしケネディラウンドが不成功に終わった場合、どういうような影響なり情勢というものが生まれてくるかという御質問でございますが、アメリカにつきましては、すでに昨年の中間選挙の結果、共和党議員がだいぶ進出された関係もございまして、最近に至りまして相当保護貿易主義的な動きが出てきております。現在、行政府のほうはそれを押えて——ケネディラウンドの交渉中でもあり、そういうものは絶対困るということで押えておるわけでございますが、もしこのケネディラウンドが最終的にまとまらないということになりました場合には、米国の行政府当局もそういう保護貿易主義的な動きというものは押えきれなくなる可能性が多分に出てくるのではないかということが懸念されるわけであります。いわゆる保護貿易主義的な動きというものが、万一ケネディラウンドが成功しなかった場合起こり得ることであるかというふうに考えております。
またさらに、ケネディラウンド交渉というものが無差別自由な貿易ということを原則としての交渉でございますので、これがまとまらないということにでもなりますと、現在すでに世界の各方面で起こっておりますいわゆる地域主義の動きというものがさらに強化されてまいる可能性が強まるということが考えられ、予想されているわけでございます。先生がただいま御指摘になりましたように、EECに対するイギリスの加入の動き、また、EECにイギリスが加入を申請するということになりますれば、ほかのいわゆるEFTAの諸国も同調してまいることは現在のところ予想されておりますし、また現実にその動きが出ております。問題は、イギリスが現実に、いつEECに加入するかということでございまして、そう簡単にEECに加入できるとは思いませんが、そういった動きがあるということはひとつ十分注意しなければならないと存じております。
また、ケネディラウンドが成功しなかった場合には、そういった現在のEEC、あるいは将来イギリスあるいはEFTAの諸国が加入しました、いわゆる拡大されたEECというものが、その域外に対しましてかなり閉鎖的になり得る可能性を持つのではないかというふうに懸念するわけでございます。
さらに、ただいま御指摘がございました中南米諸国におきましても、中米におきましては現在共同市場というものがすでに発足いたしておりまして、相当な成果をあげております。南米におきましては、いわゆるLAFTA、南米の自由貿易地帯というものがございますが、これは所期されましたほどの効果は現在あげておりませんが、先般のプンタデルエステでのOAS、米州機構のトップレベルの会談の際に、この中南米の自由貿易地帯あるいは共同市場というものを、一九八〇年をめどにもっと強化していこうという動きがすでに出てまいっておるわけでございまして、ただいま先生が御指摘になりましたように、そういう動きも出てまいっておる次第でございますので、このケネディラウンドというものが万一成功しないということになりますと、ただいま申し上げましたような保護貿易主義的な動きが強化し、また、世界各方面にわたりまして、地域主義といいますか、地域統合の動きがさらに強化されるということになりまして、日本にとりましては相当不利な状態が現出するおそれがあるのではないか、そういうふうに私どもは判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/124
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125・春日一幸
○春日委員 アメリカの内部的な中南米共同市場擁立の問題並びに太平洋経済共同圏というような問題等も、同時並行的に構想されておるというのでありますが、日本政府に向かって太平洋経済共同体の問題について何らかのアプローチがありましたかどうか、この点をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/125
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126・鶴見清彦
○鶴見政府委員 いわゆる太平洋経済共同体と申します場合、どの国をとるかという問題がございますが、現在、三木外務大臣が大臣に就任されまして以来、アジア太平洋構想ということで考えておられます太平洋周辺のいわゆる先進五カ国、日本、豪州、ニュージーランド、アメリカ、カナダということでございますが、これも具体的にそういう構想を、貿易面あるいは資本の移動の面その他についてどうするかということにつきましては、それぞれいろいろ複雑なまた困難な問題がございますので、まだ十分に煮詰まる段階ではないわけでございますが、先生も御案内のように、先般、先月末に東京で開かれました日本とオーストラリアの民間レベルの経済委員会というものがございますが、そこにおきまして、かねてからの懸案でございました太平洋経済委員会というものを設立することにきまりまして、これに日本と豪州とニュージーランドの財界が入りまして、将来、アメリカ及びカナダの財界もそれに入ってもらう余地を残しておるわけでございまして、先般の日豪経済委員会、それから太平洋経済委員会の際に、アメリカの民間の財界からオブザーバーを出しておるわけでございます。
他面、政府レベルにおきましては、太平洋の経済統合といいますか、経済協力の一つの体制ということについて正式な話というものが出たことはまだございませんが、昨年牛場次官が、日米の長期的ないろいろな問題についての協議の際に、この問題もひとつ長期的な観点から取り上げてしかるべきではないかということの話が出たことはございます。したがいまして、ことしの九月に予想されております第六回の日米経済閣僚合同委員会の際にはこの問題も当然取り上げていくことになるかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/126
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127・春日一幸
○春日委員 いずれにいたしましても、これらの動向というものは、わが国産業経済、国民生活の根源に触れまする重大問題でございますので、さす手引く手ともに、いささかなりといえども手落ちのありませんように万全を尽くしていただかなければ相ならぬと思う。特に当面の問題を応急的に処置せねばならぬであろうが、長期的に、ときには半長期的にそれぞれ地域集団のいろんな接触を緊密に行なっていかねばならず、また、受け身の立場だけでは問題が不利になることは当然と言わねばならぬでございましょう。特にアジア経済共同体の問題なんかは、アジア経済先進国としてイニシアチブをとるべき性質の問題でもあろうし、こういうような問題についても、やはり政府が自主独立の立場、平和共存の立場から、政治体制のみにこだわることなくして、経済の面において共同体の動きが国際的な一つの動向でありといたしますれば、やはりその流れをとらえて乗りおくれることのないように、チャンスを逸することのありませんように、ひとつ十分お願いをいたしたいと思う。
そこで、本論に戻りまするが、現在アメリカは例外リストの中に、鉄鋼とか、主として繊維製品などの問題をなかなか固持して譲らないようでございますが、この交渉の経過は現段階においてどのようなものでございますか。加えて、見通しについてもお述べを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/127
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128・鶴見清彦
○鶴見政府委員 ただいま先生の御指摘になりました鉄鋼製品及び綿製品あるいはその他の繊維、特に合成繊維でございまするが、昨年の十一月の末に各国がそれまで多国あるいは二国間で交渉してまいりました結果をまとめまして、そのとき現在における一つのオファーといいますか、というものを提案してまいったわけでございます。その中に、ただいま御指摘になりました鉄鋼製品、それから綿製品というものが入っておりまして、それぞれ五〇%の引き下げをするということになっておったわけでございます。その後、鉄鋼につきましては、たしか先般のこの大蔵委員会で堀先生の御質問にお答えいたしましたが、イギリスが、現在の鉄鋼についての一般的な関税レベルというものがEECの関税レベル、あるいはEECが基準レベルとして持ち出しておりますレベルよりは低いのだから五〇%を切り下げる必要はないという主張をいたしました。それにあくまで固執してまいっておりまして、そのためにEECのほうも大きく下げるということをしないということになってまいりました。その余波を受けまして、アメリカも、それならば——アメリカは一般的には、特殊なものによりましては相当高い関税もあるのでございまするが、鉄鋼一般につきましては比較的低い関税のレベルでございますが、そういう低い関税レベルからさらに五〇%を引き下げるということは、イギリス、EECの出方がそういうことであるならばできかねるということでございまして、最近になりましてそういうことを明らかにしてまいりました。そうなりますると、日本の場合は、鉄鋼というものは非常に対米輸出の大きなアイテムでございまするので、それは非常に困るではないかというので強く主張しておりました。現在、完全な例外にいたすわけではありませんで、アメリカが言っておりますることは、当初予定しておりました五〇%引き下げにかえて、部分的に引き下げるというふうに言ってまいっております。それが、ものにもよりますが、一般的には一〇%くらいの引き下げ率、あるいは一四%くらいの引き下げ率という形のものを現在持ち出してきている次第でございます。
また、他面、綿製品につきましては、これまたアメリカは当初五〇%を引き下げると言っておったわけでございますが、EECが長い間なかなか明確な態度を示しておりませんでしたところ、ことしの二月の末から三月の初めにかけまして、EECは五年間に二〇%しか下げない、五〇%でなくて二〇%しか下げないということを言ってまいりました。どうしてもEECはそれ以上下げないということを明らかにいたしました関係上、それではアメリカも対抗上やはり五〇%は下げないと言ってまいった状況でございます。
したがいまして、現在のところ、鉄鋼と綿製品につきましては、当初はアメリカが予定しておりました五〇%の切り下げということはほとんど不可能に近いんじゃないかというふうに考えておりますけれども、昨日、一昨日あたりジュネーブにおきまして徹夜でいろいろとやっておりまして——EECとアメリカが鉄鋼などにつきましても話をやっておりまして、その結果によってイギリスに対してプレッシャーをかけて、そしてイギリスが少しでも下げるようになれば、EECの鉄鋼の関税の問題あるいはアメリカの鉄鋼の関税の問題は若干好転する可能性があるんではないか、また、日本は好転さすべきであるということを常々主張しておりました。その方向に持っていくべく努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/128
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129・春日一幸
○春日委員 現状はおおむねわかりましたけれども、問題は、例のケネディ構想が人類福祉の向上という大理想を掲げてこの大きな問題に踏み出した。初心忘るべからずということがございますけれども、現実の問題として、そのような安易に縮小均衡で問題の妥結をはかろうというようなことであれば、全くこれは大山鳴動して、ということになりかねない問題であると思うのです。特に鉄鋼製品といい、綿製品関係は、わが国産業の大きな支柱であることにもかんがみまして、やはりこういうような商品、産業について、相手国の関税を引き下げていくということについては、これはまたと得がたき歴史的なチャンスであるのでありますから、したがって、この際日本政府は、総力を結集するような、特にこの民族産業というような立場、これは国民生活の明暗がかけられておるといっても過言ではないと思われますので、この点について精力的にひとつ交渉を願うように現地に御連絡を願いたいと思う。
そこでお伺いをいたしたいのでありまするが、午前中堀君の質問に対して原田次長が答えられておりました例の無税措置ですね。無税据え置き、これがガットの規定では、原則として、高関税の引き下げと等価値の譲許になる、こういう規定があると伺いましたが、それはどういう条文でございますか、ちょっとお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/129
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130・原田明
○原田政府委員 ガットの条文の中に、無税の品目を上げないということが関税を引き下げると同じ価値を持つということがはっきり書いておるということはございません。ただし、ガットは長い歴史を持っておりまして、しばしば関税引き下げのための交渉が行なわれておりました。この交渉の過程において、第二十八条の二、この2項の「無税のすえ置は、原則として、高関税の引下げと等価値の譲許とみなされる。」という原則を実施するということに確立をしてまいったわけでございます。
この意味は、交渉いたします際に、こちらが何千万ドルの額に当たるものの関税を下げたら、それとほぼ等額の関税輸入額に当たるものを下げるという計算をいたしますときに、この原則を実際上そういう計算方式の中に当てはめて適用することにしようじゃないか、こういうように確立をしてきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/130
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131・春日一幸
○春日委員 そのガットの規定の中にそういう規定の明文がないと言うたのは、取り消しておかぬといかぬことはないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/131
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132・原田明
○原田政府委員 第二十八条の二は、私は解釈の問題として申し上げたのでありますが、規定としては一応ございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/132
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133・春日一幸
○春日委員 一応ということはないじゃないか。厳然としてあるじゃないか。国際協定の中に厳然としてあるものを、規定がないなんてうそを言ってもらってはいかぬけれども、しかし、そういうような問題については別の問題としまして、われわれは、いまこそそのような規定を武器として活用すべきであるということなんです。
現実に日本の貿易構造を見てみますと、一九六五年の輸入実績の四七・九%が無税、一三・二%が免税で、国別に見ても、アメリカ、カナダからの輸入の約四〇%が、また豪州からの輸入の約七〇%は無税品である。他方、わが国の輸出は九三%が工業製品であって、したがって、相手国にそれぞれ関税を課されておるという、このような貿易構造の中において、その無税据え置きの措置、すなわち「高関税の引下げと等価値の譲許とみなされる。」べきものであるという規定は、これはまことにまことにわが国にとって唯一の武器といってもいいくらいの巨大な武器ではないか。だからこの条文を私は指摘しておるのですよ。だから私は、重税品の五〇%引き下げと同様に、この措置を活用してわが国の国益を確保することのために交渉なさるべきである、こういうことを申し上げておる。すなわち、無税措置の据え置き、それから例外品目の関係、これを十分からみ合わせよ、当然ではないか、こういうことを言っておるのだが、そこの交渉をなされましたか。その交渉をなした結果、午前中堀君への答弁は、向こうは、日本がほしいものを買うのだから、したがって日本の犠牲にはならないのだとかなんとかいうようなとぼけたことを言っておるが、外国だって要らぬものを買うわけはないですよ。日本の工業製品だって、向こうが要るから買うのだ。要るから買うということならば、これは当然の事柄である。ディマンドがあって、そこにサプライがあるのだから。だから、そんなとぼけた、相手の一方的なばかげた詭弁に惑わされて、日本の主張すべき論点、しかもガットの規定の中において条項として確立しておるこの規定を、あなた方がこれを採用しない、活用しないというのはどうしたことか。諸君の交渉はなっておらぬではないか。どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/133
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134・鶴見清彦
○鶴見政府委員 このガットの二十八条の二の無税バインドというものが最大限の譲許と見合うものだということは、アメリカとの交渉で、要するに、一九六四年の貿易輸出入のやつをバランスをとる関係でいろいろとそれが基礎になっておりますが、そのバランスをとる際に、日本側は、この無税バインドというものが非常に価値があるのだということは強く主張しております。アメリカ側のほうは、それに対しまして、無税バインドというものは全然認めないと言っているのではございませんが、そのうちで認めるものは日本側が期待するほど大きくないということでございまして、それはおかしいではないかというので、日本側は、バランスをとる場合にはあくまで無税バインドで——新しい無税バインドでございますが、それについて約二億ドルくらいのものが新しい形での無税バインドになるのだから、それは当然バランスの中に考慮すべきであるということをずっと主張し続けてきておりました。
現在そういった状況で、バランスの見方につきましてはアメリカ側と対立したままになっている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/134
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135・春日一幸
○春日委員 その辺の論点についての思想統一をしておく必要が実際問題としてありますぞ。これは主たる交渉の責任者は、日本政府を代表するものは外務省であろうけれども、大蔵省の関税関係も、午前と午後との質疑応答を心静かに御判断願えれば、私はその点統一を欠くものがあると思うのです。原田次長の御答弁は、そういう話をしたら、アメリカは、日本がほしいものを売ってやったのだ、だから、その無税据え置きは日本の当然の措置であって、日本自体の意欲によって措置されておるものである、何ら日本に犠牲をしいるものではないのだ、こういうことを向こうが言っておると、こういう御答弁だった。私は、向こうはそう言うだろうと思う。しかし、いま外務省の御答弁でいうと、このガットの規定を活用しながら交渉してみたら、一〇〇%の効果としては相手に説得力を持たないけれども、しかし、それを武器にして戦っておる、こういうことなんですよ。私は、そういうあいまいな問題ではなしに、行政は法律において行なわれるんだ、国際的な接触、交渉というものは、やはり国際の協定ですね、協定によって厳然たる文言をもって明示されております問題はこういうふうにきまっておるからこういうふうにしようじゃないかと、突っぱって突っぱらなければ話にならぬのじゃないか。行政は法律において行なわれる、外交は外交の協定に基づいて行なわれる。こういう厳然たるガットの協約が成立しておるのならば、それにのっとって相手に強く当たるべきではないか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/135
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136・細見卓
○細見政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私どもは日米の貿易構造を考えましても、また将来の貿易に与える影響を考えましても、無税をそのまま引き上げないということは、確かに国際貿易の振興という面よりとらえまして非常に効果のあることでございますから、それは当然貿易交渉の場において十分評価さるべきものだということで終始参っております。
そして、先ほど来、政府部内に思想統一がないではないかということでございましたが、アメリカは確かに、自国の立場を中心にして考えますと、日本が買っておる原料品におまえたちが関税をかけないのは、安い原料を買うために、おまえの都合ではないかというような言い方で、これも向こう側の戦術でありますが、そういう言い方をしてきております。それも事実でございます。と同時に、しかしガットの条文が歴然としてあることも事実でございますから、それで押し通せるものではないということを機会あるときにアメリカも漏らす、それは先ほど鶴見次長が申したようなかっこうになっている、それでわれわれとしてはこの交渉をあきらめずに強く押しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/136
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137・春日一幸
○春日委員 その点を明確にしてもらって——安い物を買っておるといいながら、たとえば、アメリカから買う米綿をエジプト綿を買うとか、その産地を変えていけば、あるいは値段が高いかもしれない。ところが、そこにまた日本の製品を買ってもらうというマーケットをバーター式につくることもできるのだから、そういう単純なものではない、単一なものではないと思うのだが、あるいは小麦の単価なりそれぞれの単価において若干高くなるかもしれないけれども、しかしそれに見返る新しい輸出市場が開拓されるというメリットもそこから生まれてくるわけですから、したがって、アメリカに向かって、そんなことを言うのだったら、わしのほうは全部ほかから買うのだ、こういうことだって言えるんじゃありませんか。それは一ぺんに、そう端的にできるものではないけれども、理屈としては、あるいは長期展望で、そういうようなことならば実現不可能な事柄でもないのである。
だから、そういう意味で、こういう交渉はもう少し国民の利害というものを双肩にになう実感に徹してやってもらわないと、ほんとうにどどのどん詰まりまできてしまってから、あわてふためいて、不利な条件でやむなくこれをのまざるを得ない、こういったような結果になってくるおそれなしとしない。真剣にやられておるけれども、技術面において私は相当の手練手管も要るだろうと思う。
ところが、何となく、お話を聞いておると、相手の小理屈の中にほんろうされておるような感じがしてならないので、この点については、しょせんは諸君中堅官僚が実際わが国の運命を背負わされておると思うので、この点については本腰を入れてやってもらいたいと思う。政務次官や大臣は、きょうおってあしたはいない。しかし、諸君こそはそこに本腰を据えてやるのだから、実際の話、諸君が頼みになっているのだ。この原田君はかつて政務次官の地位におられましたが、その後栄光の道を前進されて、いまやその席にはおられない。そういうようなことで、実際、局長、次長の責任というものは重大な問題であるので、この点については本腰を入れてひとつ検討してもらいたい。
その意味で、関連してお伺いをいたしますが、午前中御答弁の中に、貿易阻害行為が五つあるとか言われましたですね。非関税障壁等、貿易阻害措置、アメリカが日本にとっておりますバイアメリカンその他いろいろございますね。その一つ一つについてどのような交渉を行ない、どのような見通しであるのか。これをこの際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/137
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138・鶴見清彦
○鶴見政府委員 午前中の会議の際に、堀先生の御質問にお答えいたしました関税以外の面における貿易障害、いわゆる非関税障壁というものにつきまして、日本の受けている非関税障壁にはいろいろとございまするが、そのうち大きなものとして五つがあるということで御説明申し上げたわけでございます。そのうち四つは主としてアメリカ、その他の国もございますが、主としてアメリカでございます。
第一に申し上げましたのが、いわゆるアメリカン・セリング・プライス、ASPという略称でこのごろ新聞にも出ておりますが、要するに、その関税評価制度によりますと、普通の場合ですと、CIF価格に対しまして、輸入価格に対しまして関税をかけるわけでありますが、このASP制度のもとにおきましては、同じ商品のアメリカ国内における価格を課税の基準といたしまして関税をかけるということになりまするので、おおむねの場合、アメリカの同商品の国内価格が高うございますので、したがって関税が非常に高くなる、これは不当ではないかということで、かねがねアメリカに対しても申し入れておりますし、現在ケネディラウンドの交渉の際におきましても、そのことを強く撤廃するようにということで、日本も言っておりますし、EECも言っておるわけでございますし、イギリスも言っておるわけでございます。その見通しといたしましては、アメリカとEECとの化学品——ASPという制度はもっぱら化学品に適用されておるわけでございますが、化学品全般の問題にからみ合いまして猛烈なやりとりをやっておる次第でございます。けさほどお答え申し上げましたとおり、この化学品というものの貿易に占めますウエートが非常に大きいだけに、最終的にはアメリカとEECとの間の妥協もできてまいると思います。したがって、このASPという制度も、これはアメリカも議会の手続を必要とする関係がございますので、直ちにはなくならないわけでございますが、ここ一年ないし、おそくとも二年以内にはやめるという線をアメリカがいま出してきておるわけでございますので、そういう方向でなくなっていくということを期待し、われわれも努力している次第でございます。これがアメリカン・セリング・プライス、いわゆるASPでございます。
二番目に申し上げましたのが、関税法の四百二条aという特殊の評価制度がございます。これは日本の場合には真空管というものがこの適用を受けていて問題を起こしている、問題といいますか、われわれとしてはアメリカがそういうものをやるのはおかしいじゃないかといって、かねがね主張しておる次第でございます。これはやはり輸入価格ではありませんで、輸入価格かあるいは同じ品の外国における販売価格、どちらか高いほうを関税をかける際の基準価格とするということでございます。これまた普通のCIF価格よりも外国、たとえば日本の場合ですと日本の価格というものが高い場合が多うございますし、また、したがって関税率が高くなる、これまたおかしいではないかということで、かねがねケネディラウンド交渉の始まる前から、日米経済関係におきましては主張してまいっておりましたが、さらにこのケネディラウンド交渉の場におきましても強く主張いたしておりまして、これまた大体本年末か来年一ぱいぐらいのうちにはなくなる可能性が多いということを先ほど申し上げたわけでございます。
それから三番目が、いわゆるアンチダンピングの制度でございます。これは国によりましてアンチダンピングの関税をかける制度はございます。アメリカにもございますし、カナダにもございます。その場合、アンチダンピングの関税をかけることをあまり恣意的にやられるのは非常に困る、このことは貿易の阻害になるではないかということで、これまたケネディラウンドの交渉が始まる前から日米二国間の間でも取り上げてまいっておりましたが、ケネディラウンドの場におきましてもこれが取り上げられまして、アンチダンピングの関税をかける場合というものを統一的にひとつきめようじゃないかという動きが出てまいりまして、これにつきましては、関係国がよりより協議しました結果、いわゆるアンチダンピングのコードというものが、ほとんど成文に近い形でまとまってまいりました。これがまとまって、今後各国がアンチダンピングの関税をかける際には、それの基準に従って行なうということになりますれば、従来よりははるかにいい状況が生まれてくるのではないかというふうに期待しておるわけでございます。
けさほど申し上げました第四番目は、いわゆるバイアメリカン制度でございます。これまた政府調達関係の問題でございまして、ケネディラウンド交渉以前から日米間で常々問題になってきたわけでございます。先生も御案内のように、現在アメリカの制度は、政府の調達するものにつきましては、輸入価格と国内価格の差が、一般的には六%以内である場合にはアメリカの国内製品を優先して調達するということになっております。ただ特殊な、いわゆる緊急地域における調達の場合には、その格差を一二%まで広げるという形になっております。さらにもっと極端な場合には、国防省がやっております国防調達の関係でございまするが、これは輸入価格と国内価格との差五〇%以上でなければ他国のものは買ってはいけないという一つの制度になっております。これはあまりにもひどいということで、これまた先ほど来申し上げましたが、ケネディラウンド以前から日米間の大きな問題として取り上げてまいっておる次第でございます。ただ、これにつきましては、ケネディラウンドの多角的な場でのいろいろな討議は必ずしも十分に行なわれておりません。現在OECDの場におきまして、この政府調達の方式といいますか、やり方についてのやはり同じようなコードといったようなものをつくるべきではないかという動きが出てまいっております。そういう関係で、そういう面での改善をさらに今後努力してまいることにしたいというふうに存じておる次第でございます。
第五番目に申し上げた点が、いわゆる対日差別の問題であります。これはヨーロッパ諸国でございます。EECの諸国あるいはイギリス等でございまして、これは日本以外の国からは自由に入れておきながら、日本の場合にだけ特殊のクォータ、割り当てというものを設けている制度でございます。これはガットの一般的な貿易の自由化、しかも最恵国待遇という原則に反するではないかということで、これまた過去十数年にわたりまして、イギリスその他ヨーロッパ諸国に対してその差別の削減、撤廃ということを交渉してまいっておる次第でございます。差別の数と差別品目数というものはだんだん減ってまいりました。しかしながら、まだいわゆるハードコアと申しまするか、そういうものが若干残っておりまして、これまたこのケネディラウンドでもって関税を下げる場合に、そういった対日差別の形での割り当てというものが残ることは本来おかしいじゃないかということで各国と個別に折衝いたしておりまして、万一どうしても彼らのほうで非常なハードコアがあるのでやめるわけにはいかないという場合には、ケネディラウンドの日本側の関税引き下げの場合に、それぞれの国に関心のある品目のオファーというものをしないぞという形で、交渉のたてに使っておる次第でございます。これはけさほど堀先生の御質問に対してお答えいたしましたが、特にフランスというものに対して目下強力に折衝中であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/138
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139・春日一幸
○春日委員 ただいま次長から御答弁がなされました五つの項目こそは、いずれにしても、感情的な意地悪い措置のような感じがいたしてなりません。フェアに問題を解決をしよう、しかもまた、高邁な理想を掲げて交渉をされておりまするこの一括引き下げ交渉の議題として最もふさわしい、いさぎよい議題のように私考えられますので、単なる対米関係だけの問題もございますけれども、これは二国間の個別交渉等もあるでございましょうから、とにかくこの際、一挙に多年問題として論じられておりましたこれらの諸問題がこの機会に解消されまするように、ひとつ、この面についても十二分の努力をされるように現地に御連絡を願いたい。
最後といたしまして、わが国の例外品目、提出済みでございましょうが、その品目は何々でありますか、この際御明示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/139
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140・鶴見清彦
○鶴見政府委員 先ほど冒頭に、ガットが一九六三年五月に第二回を開きまして、この関税一括引き下げ交渉の基本方針として打ち出してまいりました中の第一番目が工業品でございまして、それにつきましては、工業品については国家的重要性のある最小限度のものを除いては、五年後五〇%の関税引き下げを行なうというのが原則でございます。それから、ついでにと申し上げては申しわけございませんが、先般先生の御質問になりましたいわゆる関税以外の障壁、非関税障壁についても交渉するという第三番目の基本方針に入っているわけでございまして、それに基づいて、先ほど来御説明申し上げたような点で折衝いたしておるわけであります。
ところで、工業品につきましては、国家的な重要性のあるもの以外については五年後五〇%の関税引き下げを行なうというわけでございますので、国家的重要性のある最小限度のもの、これがいわゆる例外品目あるいは例外リストという形になるわけでございます。
例外リストの中の個々の品目につきましては、現在いろいろと交渉中でございまするし、また、交渉の過程におきまして若干動きのあるものでもございますので、個々について申し上げるのは差し控えさしていただきたいと存じまするが、一九六四年十一月に日本は工業製品についての例外リストというのを出しております。その後、ただいま申し上げましたように、若干の出入りというものは交渉の過程においてございまするので、この出した当時におきまして日本の一九六三年、当時では六三年というベースをとっておりましたが、その輸入額に見合う例外品目の占める金額的な割合というものが、たしか私の記憶では約八・二九%だったと存じますが、そういった形のものに相なっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/140
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141・春日一幸
○春日委員 もう煮詰まりを見せておりますし、もはや動かぬところになってきておると思うが、わが国からオファーしておりまするリスト、これはこの際発表できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/141
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142・鶴見清彦
○鶴見政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり、対米、対EECあるいは対英というふうにまだ流動いたしておりまするので、現在この際発表することは差し控えさしていただきたい、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/142
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143・春日一幸
○春日委員 特に御留意を願いたいと思いますことは、現実にそういうような変化が逐次あらわれてくるといたしますれば、わが国の産業当事者たちといたしましてもそれに対応するための措置をとらなければならぬと思う。まさにこれは瞬時を争う問題であると思うのでございます。
なお私が強調しておきたいことは、特にわが国の大きな経済構造上の問題でもあり、同時に社会問題、政治問題にまでも高まりを見せております問題として、中小企業の問題があると思うのでございます。だから、中小企業や斜陽産業に大きな打撃を与える、特にスマッシュを与えるというような問題については、これは特に民族産業擁護の立場から、また、わが国の高度の政策的判断から、これらの例外措置については十分配慮が加えられなければならぬと思うが、すでに一九六四年に提示されておりまするそのオファーリストの中に、そういうような中小企業擁護の立場から、あるいは斜陽産業保護の立場から考慮が加えられてそういう提示がなされておりますかどうか、この機会にひとつ御答弁を願っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/143
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144・鶴見清彦
○鶴見政府委員 先ほどお答え申し上げました一九六四年の十月だったと思いますが、工業製品につきましての例外リストを出すその前におきましては、もちろん外務省だけの問題ではございません、通産省、大蔵省、農林省、関係する各省全部いろいろと総力をあげまして、ただいま先生の御指摘になりましたような中小企業、社会的な問題を引き起こすおそれのあるような面における関税引き下げ、そういうことがないような配慮を十分いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/144
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145・春日一幸
○春日委員 いずれにいたしましても、国会審議の都合上、こういう高度の政治問題について、大臣、責任閣僚と意見の交換がなし得られないこと、また、高度の政治的な政府の意見というものを聴取できないことははなはだ遺憾でありまするが、これは国会運営上、物理的に万やむを得ないことと考えるしかございません。
そこで、私がいま以上申し上げましたことは、どうか局長諸君から大臣に十二分に御復命をいただいて、そして全政府の責任で、この得がたき機会にわれわれのナショナルインタレストを確保願えるように万全を尽くしていただきたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/145
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146・毛利松平
○毛利委員長代理 田中委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/146
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147・田中昭二
○田中(昭)委員 バナナ関税の引き下げにつきましては、昨日から社会党の先生方からもいろいろお話がございました。私もいろいろ準備いたしておりましたが、ほとんど言い尽くされたようでございます。
この問題につきましては、家庭の中でもささやかなる希望を持っておった。といいますることは、このことにつきまして、バナナが安く買えるのじゃないかというような考えが国民の中にあるのじゃないか、このように思うものでございます。それにつきましてもお答えもございましたし、今後、各省庁のそのことに対します明確なる行政指導、そういうものもお願いする点が第一点でございます。並びに国内果実生産業者に対する圧迫の問題でございますが、この問題につきましても、同じく各省庁の強力なる指導育成をお願いしまして、このことにつきまして、政務次官から簡単なる確約なり言明をお願いしたいと思うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/147
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148・小沢辰男
○小沢政府委員 バナナの価格の引き上げにつきましては、もうすでに各委員の質疑応答でいろいろと解明をされてきたわけでございますが、私どもは、やはり関税を下げます以上、それが消費価格に対する好影響がありますように、心から念願いたしております。また、これももちろん需要供給の関係によりまして決定されていくわけでございますが、なお流通機構といいますか、あるいはこの取り扱いのいろいろな機構につきましても問題点を種々いろいろと議論をいただきました経過にもかんがみまして、一そう主管官庁とよく連絡をとって、先生の、あるいは各委員の御意思に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
なお、日本国内の果樹の生産振興につきましても、これが需要の拡大なり、あるいはまた品質の改良なり、いろいろな面につきまして議論をしていただいたわけでございます。また、ただいま田中委員からも特にこの点の善処を要望するという御意見でございますので、私どもとしては、昨日来申し上げておりますような趣旨に沿いまして、国内果樹の生産性の向上と品質の改良あるいは需要の拡大等についてできるだけの努力をしてまいることを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/148
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149・田中昭二
○田中(昭)委員 このたびの関税定率法の改正におきまして、進歩的な事柄といたしまして私も心から喜んでおる点がございますが、その中で、関税法上の実質犯につきまして、案内していただきました書面によりますと、貨物のすべてを没収する現行法のたてまえは実情に即さない、このようになっておりますが、この実情に即さないということにつきましては、主管官庁といたしましてどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/149
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150・細見卓
○細見政府委員 御承知のように、戦後貿易を再開いたしましたときには、密輸といったようなもの、あるいは日本の国際社会復帰に当たりましての撹乱要素というようなことを非常に神経質に考えまして、正規のルート以外の貿易というものがわが国の経済にどんな影響を及ぼすかもわからないということで、非常に厳格な管理貿易をいたしたわけでございます。そういう貿易体制でございましたので、いやしくも密輸ということにつながるものは——当時は主として輸出入というのは数量的にも管理されていた面もございまして、密輸されたものというのは原則として没収するということになっておったわけであります。御案内のように、当時一番大きな話題になりましたのは、自動車などの進駐軍からの払い下げ、事実上の密輸になるものがあったわけです。そういうものに対して非常に神経をとがらしておりました当時の社会の実情をそのまま反映しておるわけでございます。それが今日大幅に貿易も自由化されまして、海外との交流も活発になりました現段階におきまして、そこまで無差別に没収したり、あるいは品物がない場合に追徴するというようなことまでは要らないのではなかろうか、かように考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/150
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151・田中昭二
○田中(昭)委員 いま御説明を受けましたそのことにつきまして、現在まで没収しておりましたときにおきます犯罪に対する影響並びに犯罪件数、そういうものが、没収を免れることによりまして、犯罪がかえってふえるのではないか。悪徳業者は計算の上で、そういうものを承知の上で行なうような犯罪が多くなれば、これは国民としましても被害を受けることになると思います。そういう面につきましてはどのような御配意をいただいておるでしょうか。その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/151
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152・細見卓
○細見政府委員 過去の事例を申し上げますと、密輸というのは、主として船員とかあるいは船に関係のある人たちが持ち込むウイスキーとかたばこといったようなもの、あるいは若干の手回り品といったようなものが多かったものでございますから、一件当たりの金額を見ますと五万円から六万円程度のものになっております。もっともこれは、ときどき新聞などに出ます金の密輸犯のような特殊なものは除いて計算いたしておりますが、そういう一般の人が関係のありそうなもので見ますと五万円程度のものでございますので、この点については、密輸の問題もそれほど考えなくてもいいだろうと思います。
それからなお、蛇足になるのかもわかりませんが、羽田などで、いろいろなものを海外から買って帰られるときにいろいろ隠されたりして問題を起こすことがままあるわけでございますが、そうした点を考えまして、それには一つは、一体この品物を持って帰ったならば、日本ではどんな関税がかかるのだろうか、どれだけの負担がかかるのだろうかという心配が多分にあったのではないかと思いまして、今回提案して御審議を願っております法案の中に、そうした旅客の携帯品につきましては、特別なものを除きまして、原則として物品税も何も含めまして二〇%というような税率をかけることにいたしまして、あらかじめ自分がこういうものを買ったらこの程度の関税を払って持って帰れるのだということをおわかり願っておけばこうした犯罪も少なくなるのじゃないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/152
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153・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの携帯品に対します関税の問題でありますが、いま御説明がございましたから、その問題に移りますと、この携帯品に対しましては、簡易税率表を採用したという点でございますが、十品目につきましてここに案内があがっておるようでございます。このように携帯品につきましては、わずかな数量のものであるならば、根本的に課税しないというような行き方がほんとうではないかとも私、個人的に思いますが、いままで主管官庁といたしまして、このようなことになっておるようでございますが、その中で、いまおっしゃいましたその他の品目というのは、これはどういうものがあるのか、また、それに対しましては、平均税率が二〇%ということになっておりますが、こういうことにつきましては具体的にわからないわけでございます。これにつきまして、もう少し詳しく御説願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/153
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154・細見卓
○細見政府委員 御質問の趣旨は、その二〇%になるものはおもにどんなものであるかという意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/154
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155・田中昭二
○田中(昭)委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/155
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156・細見卓
○細見政府委員 これは非常に雑多なものがございまして、大体、品目といたしましては二、三百になろうかと思います。そうして、それを平均いたします税率は、大体二五%くらいのものになっております。それを二〇%にしようというわけでございますが、おもなもの、網羅的でございませんが、たとえばベルトでございますとか、万年筆、それから皮の財布、毛織物、身辺の金などがない模造の細貨あるいはチョコレート、ボールペン、セーターといったようなもの、それからバター、チーズに至るまで約二百数品目にわたるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/156
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157・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの平均税率でございますが、これは、私関税部内の者にお尋ねいたしましたところが、平均税率は一五%になっているとお聞きしたのですが、いまのお話の二五%というのは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/157
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158・細見卓
○細見政府委員 申し上げます。
お答えした最初の一五%と申したのは、おそらくいろんなものを入れた平均を申し上げたと思いますが、この際にあげました品目は主として完成品でございますので、御案内のように、日本の関税率は、原則的に原料を安く、それから手が込むに従いまして高くしていくというようなかっこうになっております。で、その製品でも、大きな、大量生産のようなものは一五%ぐらい、たとえば鉄のようなものは一五%ぐらいになっておりますが、こういう中小企業あるいは手細工になるようなものは大体二五%というのが平均でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/158
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159・田中昭二
○田中(昭)委員 再度お尋ねいたしますが、いま、この携帯品の簡易税率表を適用いたしますその他の品目の平均税率は何ぼでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/159
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160・細見卓
○細見政府委員 二五・六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/160
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161・田中昭二
○田中(昭)委員 この携帯品につきます免税の中で、免税数量の基準がございますが、そういう基準が短期旅行者、近接地域旅行者に対するものと、その他のものというふうに分かれておりますが、これはどういうふうな意志があってそのように分けてあるのですか。その点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/161
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162・細見卓
○細見政府委員 この辺、なかなかむずかしいことでございますが、長期に外国におられた方が身辺のいろんな用事のために持ってお帰りになるものと、ごく一週間なり十日なり、たとえば具体的に申せば香港とかあるいは台北へ行かれてお帰りになるときとは、おのずから持つものも違っておるのではなかろうかということで実は差別をいたしておったわけでございますが、沖縄などにつきましては、日本と沖縄の特殊な関係等もございまして、こういう二万円なり五万円の差別——これは免税点でございますが、差別を設けるのは適当でないというような御議論もございますし、また、羽田等の実務におきましても、遠隔地から帰られた方、あるいは短期間の旅行者というようなことも区別がなかなかむずかしいものですから、漸次この差別ははずしていく方向で検討をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/162
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163・田中昭二
○田中(昭)委員 この旅行者に対します課税の問題につきましては、外交的に考えてみましても、わが国に入ってきます外国人関係の方が、第一番にその印象を受ける日本の税関の姿勢といいますか、そういうものが外国人の批判をかって、そういうことが国の外交の上におきましても悪い印象を与えておる。そのようなことにつきまして、それは、ただ具体的にどうだということはございませんが、そういうこともございますし、先進諸国のこの携帯品に対する免税はどのようになって、わが国としましてはそれとどのように差別があるのか、また、今後の方向につきましてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/163
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164・細見卓
○細見政府委員 非常に例外はございますが、原則としまして、日本はむしろ寛大なほうでございます。ただ、にもかかわりませず、私どもも非常に苦情を聞くことが多うございまして、日本ほどやかましくやるところはないというお話を聞くんでございますが、これはいずれの国も、こういうことを対象にいたしますのは自国民を対象にするわけで、ほんとうの意味の旅行者というものは、極端に申せば、何も検査しなくてもいいわけでございますから、そういう意味で、日本の方々は日本が一番やかましいとおっしゃいます。
〔毛利委員長代理退席、吉田(重)委員長代理
着席〕
これはフランスの人に聞きますと、フランスほどやかましいところはないと言います。日本の方に聞くと、フランスとかアメリカのほうが寛大だと言います。これはやはり自国民を中心にして検査いたすという税関検査の性格からそういう面があるわけで、そういうことをひとつ御了承願いたいと思います。われわれ、オリンピック以前にはいろいろな話もございましたが、オリンピック以後、かなり職員の訓練もいたしまして、現在は、特に日本でいろいろむずかしい外交上の問題を起こすような取り扱いが起こった事例はほとんどないと申し上げて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/164
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165・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの、外国は寛大であると言いますその具体的な状況を少しお話いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/165
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166・細見卓
○細見政府委員 手元に外国の事例を持っておりませんので、後日資料で提出させていただきますが、外国人に対して親切だということですか。——日本の方が、たとえばフランスとかあるいは北欧諸国にいらっしゃいますと、おそらく荷物を開披しないで、パスポートだけを見て通すだろうと思います。それから、日本におきましても、皆さんのような身分の方の外国人が見えたときには、大体。パスポートだけ拝見して、そとにラベルを張って、物を明けていただくようなことはあまりしてないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/166
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167・田中昭二
○田中(昭)委員 私も外国に行ったことはございませんから、具体的にそういう経験をしたことはございませんけれども、この点につきましては、また資料を出していただくようであれば、そのときに詳しく説明していただきたいと思います。
それから、これは事務的なことかと思いますが、暫定税率の適用期限を延長する品目の中に、暫定増税となっている品目の期限延長する品目は何品目になっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/167
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168・細見卓
○細見政府委員 二十六品目ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/168
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169・田中昭二
○田中(昭)委員 二十六品目だと思います。ここにあります案内によりますと二十四品目になっておりますものですからお尋ねしたわけでございますが、これはあくまでもミスプリントということになるわけでしょうか。——これは調査室のほうですか。それじゃけっこうです。
最後に、もう簡単に申し上げましたが、主務官庁に対しては申しわけないことかと思いますが、現在までの関税税率につきましては、いまの携帯品の課税につきましても、部内におきましても、この関税はあくまでも資本家の擁護にしかすぎないというような声も聞いております。そういう資本家の擁護だけを考えたような関税率につきましては、私はできるだけ下げていくという方向と同時に、いまのように、旅行者がささいな自分の身の回り品に対する税金まで払わなければならないということにつきましては、今後私も研究し、その問題につきましてはまた次の機会にでもお尋ねしたいと思いますが、いずれにしろ、そのような、部内においても資本家擁護の政策にしかすぎないということにつきましては、今後の方向は大いに注目しなければならない、このように思っておるわけでございます。それに対します政務次官のお考えなり、また、資本家擁護でないならないというその具体的な事実をあげていただきたい、このように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/169
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170・小沢辰男
○小沢政府委員 実は、関税を安くいたしておりますのは、原料関係の品物につきましては関税を引き下げ、または合理化、整理をいたしておるわけでございまして、製品につきましては、私どもは関税を下げる考え方で今度の案をつくってはおらないのでございます。これはもっとも、その中でも国内産業の保護という面でいろいろ考慮しなければいけないものがあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、日本の産業の、ことに産業構造といいますか、日本の特殊性というものは、原料が非常に自給度が低い。したがいまして、日本の立場としては、原料を加工し、これを高度な技術によって製品化いたしまして外国に輸出をするということが中心になっていかなければならないわけでございますので、そういう考え方を進めてきたわけでございます。ただいま先生おっしゃいますように、そういうような製造用のものに関税引き下げの方向をとり、したがってそれが製造業を利する、大企業を利するのだ、そして、一般の普通の人が帰ってくるときのわずかの手回り品について摘発をしたり罰金を科したり、あるいはまた物品税等を含めた二割五分というような税金を取るような考え方はけしからぬじゃないかというお話でございますけれども、これらは、消費物資につきまして、特にそれが他に流通するようなことになっては、また一面において木の経済秩序を乱すことにもなりますので、国際的な例ともよく均衡といいますか、そういうものも考えつつやっておるわけでございまして、しいて私ども日本のやり方が特にそういう面で過酷だというようなことは絶対にないと考えておるわけでございます。いやしくも大企業優先という考え方の法律を出すというようなことは絶対にございませんので、この点は御了解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/170
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171・田中昭二
○田中(昭)委員 これはなかなかむずかしい問題でございますが、具体的に現在の資本主義社会の中におきましては、当然そのような政策的法律もつくられることはしかたないと思いますが、いまの携帯品の問題にいたしましても、かりに日常生活品となっておりますここにありますライターにいたしましても、四百円以上に対して四割もの税金がかかるということに対しましては、私はこれはどう考えてみましても、そのほかの関税税率を見ましても、一般的にあまりにも資本家擁護の政策にすぎる、このように思いますことを申し加えまして、私の質問を終わりたいと思います。
〔吉田(重)委員長代理退席、毛利委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/171
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172・毛利松平
○毛利委員長代理 広瀬委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/172
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173・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に関連して、地方の税財政の問題について若干質問をいたしたいと思います。
四十二年度の地方財政計画書を見ますと、先ほど阿部委員の質問に対しても、歳入の構成比を見てみますと地方税が四〇・三%になっておる、これは昨年の三八・一%が四〇・三%に変わっておる、こういうことで、漸次地方財政の姿というものが改善をされておるのだ、こういうような趣旨の答弁があったわけでありますが、長い間、地方自治というのは財政面で三割自治だということばが非常に使われてまいったわけですが、いま地方税の割合が四〇・三%になっておるということで、自治省としては、三割自治から四割自治に格上げになった、こういうように考えておられるのですか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/173
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174・松島五郎
○松島政府委員 三割自治ということばがよく使われますけれども、お使いになる方によりましてことばの意味が必ずしも同じでないようでございます。
ただいま先生が御指摘になりましたように、税収入の割合が何割であるかということで三割自治ということばを使う方もございます。一方、そういうことでなくて、地方団体がその判断において自由に使い得る財源というものがどの程度かということによって何割自治というようなことを言われる方もございます。税収入が四〇%歳入の中で占めるからといって、それで地方団体がその金は自由に使えるというわけのものでもないと思います。たとえば、義務教育を例にとってみますと、教員の給与費は、半額は国庫で負担をいたしますけれども、あとの半額は地方団体が負担をする、その地方団体が負担をいたします場合に、地方交付税なりあるいは税なりによってそのあとの半額を負担するわけでございますが、不交付団体のように交付税をもらわない団体は、その半額はまさに税をもって負担をしているわけでございます。たとえば鹿児島県というような税の収入が非常に低い団体になりますと、大部分はむしろ交付税でもってその半額もまかなわれておる、こういうような事情にございます。したがいまして、税収入があるから、その税収入はいついかなる場合でも地方団体独自の判断で使用し得るというわけではございませんで、国庫補助事業に充てられます場合もございますし、あるいは地方団体独自の単独事業等に充てられます場合もあるわけでございます。したがいまして、税収入が何割であるからそれだけの自治があるというふうにも必ずしも言えない面があろうかと思います。
したがいまして、この何割自治かということばは、使われる方のことばの使い方の問題でございますので、税収入の割合が四割になったから、すぐに三割自治から四割自治になったんだというわけにはまいらないのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/174
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175・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 自治省としては、地方自治というものが戦後憲法においてオーソライズされた姿になっておる、住民自治というものが地方自治の本旨である、こういうように言われておるわけでありますが、少なくとも財政的にはこの状況というものがいままで三割自治——これはいろいろな意味があるだろうと思います。いま局長が御答弁されたようないろいろな要素があってそういうことを言われておったと思うのですが、しかし、これを憲法の本旨、地方自治法の本旨あるいは地方財政法の本旨からいって、地方税を中心とする自主財源が総体の収入の中でどの程度まで伸びることを目途にしておられるか。地方自治の本旨に従って自治省としてのお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/175
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176・松島五郎
○松島政府委員 たいへんむずかしいお尋ねでございまして、税収入なりあるいは交付税等を含めました一般財源なりがどの程度までいけば、憲法にいう地方自治の本旨が実現されるのかというお尋ねでございますけれども、御承知のとおり、現在の地方財政の仕組みは、単に歳入の面のみでなくて、歳出の面においても国との間にいろいろ複雑な要素がからみ合っております。先ほども例にあげましたように、地方団体が支出する経費ではございますけれども、その支出については一定の法律上の義務づけがあるので、その財源の一部については国の補助があるというようなことで、歳出そのものの面においてもいろいろと規制があるわけでございます。したがいましてそういう面を除きまして、単純に、幾らを歳入のうちで地方税なりあるいは交付税で占めれば地方自治の本旨が実現できるかというふうにお尋ねをいただきましても、私どもといたしてもなかなか答えにくいわけであります。
ただ、一つの意見といたしましては、少なくとも自治団体であるのだから、その団体が必要とする経費の半分は自まかないができるというくらいのことは必要じゃないか、すなわち税収入がその団体の収入のうちの半分以上を占めることが必要ではないかという意見もございます。これは、ある意味においてはきわめて常識的な意見であろうと思います。自分のところで使う金は半分以上は自分で調達するということはあたりまえのことではないかというような意味で言われているのだろうと思いますけれども、そういう考え方もあります。かつて税制調査会でそういう考え方の是非等について論議が行なわれたこともあるわけでございます。したがいまして、私どももその辺が常識的な一つの考え方であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/176
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177・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そうしますと、少なくとも地方行政の遂行に必要な財源というものは、できる限り住民が地方団体に対して直接負担をする地方税によってまかなわれることが望ましいわけですが、そのめどは、現在四〇%ぐらいになっておるけれども、そういう意味で五〇%をこえることが望ましいのだ、自治省の大体の考えとしてはそういうところに目標を置いていわゆる自主財源というものを充実していく、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/177
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178・松島五郎
○松島政府委員 私どもといたしましては、一つの努力目標としてそういうような考え方を持って努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/178
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179・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そこで具体的に、大体自主税源の充実の方向というようなものについて具体案がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/179
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180・松島五郎
○松島政府委員 いま申し上げましたように、かりに五〇%という線を地方税の上において確保しようといたしましても、その額は相当巨額なものになるのでございます。かりに、昭和四十二年度の現在の財政計画を基礎にいたしまして、五〇%になるには税がもうどのくらい必要かという試算をいたしてみますと、四千六百五十億円という巨額な金額になるのでございます。そこで、目標は目標といたしましても、税でございますから、その税を納められる方の負担という面とあわせて問題を考えてまいらなければならないと思います。ただ多ければいいというわけにもまいらない面があります。
そこで、国民の全体の負担をこれ以上増さないという前提に立って、地方財源あるいは地方税源をふやすということになりますと、どうしても国税から地方税への移譲というものも考えてまいらなければならないと思うのでございます。しかし、国税から地方税へそれでは具体的に何が移譲できるかという問題になりますと、考えられるものはいろいろございます。たとえば、従来からいわれておりますように、所得税を住民税に移譲するとか、あるいは、先ほども問題になりましたように、道路財源を地方に移譲するとかいう問題もございます。問題もございますが、一方において、地方団体は三千有余の団体でございますので、それらの団体にある程度まんべんなく行き渡るような税制でございませんと、特定の団体のみその金額が集中してしまうということでは、せっかくの税源配分も、一部の団体にはそれで目的は達せられますけれども、大部分の団体にとっては目的は達せられないという問題もございます。いわゆる税源偏在の問題もございます。
そこで、それらの点を考慮して、税源の偏在しないような税金で、しかもすべての団体に行き渡って、かつ、地方団体の税源がふえるというような配慮をいたしてまいりますと、なかなか具体的にこの税金をどういうふうにしたらというような結論が出にくい状況でございますが、そういう状況の中におきましても、私どもとしましては、かねてから地方税源の充実のために国税からの移譲等について努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/180
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181・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 もちろん地方税一本で五〇%以上ということもなかなか問題の多いことも私どもも承知をいたすわけでありますが、現行の交付税の体系の中でも、現在三二%になったわけですけれども、こういうような問題について、貧富の差といいますか、富裕県あるいは貧しい県、そういうようなものの均衡もはからなければならぬという要請も当然あるわけでありますが、絶対的にこの問題が低いというようなことで三五%に引き上げるあるいは三七%に引き上げるというような議論も現在出ておるわけでありますが、こういう問題に対してどういうように現在お考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/181
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182・松島五郎
○松島政府委員 地方税源あるいは地方一般財源の充実のために交付税の繰り入れ率を引き上げるというような問題につきましても、かねてからいろいろ努力をいたしてきているところでございます。御承知のとおり、昨年は二九・五%の繰り入れ率を三二%に引き上げたのでございますが、そういうような努力は従来とも続けてきておるのでございます。特に今度は国の国債発行というような問題もございまして、交付税の率そのものの引き上げは実現いたしませんでしたが、臨時特例交付金というような形で地方の一般財源を充実するとか、あるいはたばこ消費税の税率を四・四%、二百六十五億円相当分を引き上げるというような努力を続けてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/182
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183・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 次に移りますが、けさほどの阿部委員の御質問の中にもございましたが、住民税の課税最低限が非常に低いという問題でございます。
これは、いわゆる所得の再配分という所得税における機能というものと若干性格を異にするという点はわかります。しかし、現在これが平年度ベース大体四十三万円でございますか、これはあまりにも低過ぎるのではないか。現在、所得税で七十三万円何がしまで課税最低限を引き上げる、その際のいわゆる標準世帯における基準生計費というものは六十六、七万円というところで出ておると思います。少なくとも、最低大蔵省で試算をしたものぐらいまでは地方税においてもやはり課税をしないというような方向にいくのが望ましい姿ではないか。受益者だからといって、大蔵省が一月二百四、五円という飲食費というようなものを基準にしてはじき出した基準生計費、そういうようなものをはるかに下回る四十三万円という額——なるほど受益する分については負担をするという思想もございます。しかし、それを四十三万円に置くか、六十六、七万円のところに置くかという点では非常に大きな差があり過ぎると思うのです。四十三万円程度の夫婦、子供三人の世帯が一体どういう生活をしておるか。全くこれは最低生活以下の生活だと思うのです。そういうものにまで負担をさせることが、はたして税の公平という面からどうだろうかというような点で、この問題についての四十三万円というものをはじいた根拠をお聞きかせいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/183
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184・松島五郎
○松島政府委員 住民税の課税最低限につきましては、御指摘のとおりいろいろ問題があろうかと存じます。
住民税は、御承知のとおり、かつては五つの課税方式がございました。所得税を課税標準とするもの、あるいは所得税の課税総所得金額を課税標準とするもの、そのうちで、基礎控除だけしかしないで課税標準としたもの、さらに税引き所得を基礎にして課税するものというような五つの課税方式がございました。税率もまた準拠税率というようなことで非常に市町村周にアンバランスがあったことは御承知のとおりでございます。そういった事態を一日も早く改善をして、全国どこに住まわれましても、その負担があまり片寄らないようにいたしたいということで努力を続けてきたのでございまして、その結果、昭和三十九年、四十年にわたりまして課税方式の統一と標準税率制度の採用ということで、市町村間における課税のアンバランスというものは相当程度に是正をされてきたものと考えているのでございます。
そういうような背景のもとにございましたが、昭和四十一年にはさらに課税最低限を引き上げるということで、基礎控除一万円、扶養控除一万円引き上げたことは御承知のとおりでございます。その結果が、現在四十一年度の課税最低限で四十二万三千十六円となっておるわけでございます。その後、所得税におきましては、御承知のとおり給与所得控除の引き上げを昨年度実施いたしました。給与所得控除の引き上げを実施いたしますと、その計算は翌年度当然に住民税に反映することになっておりますので、昨年度行ないました所得税の給与所得控除の引き上げが今年度の住民税の課税所得の計算の基礎に使われますので、ことしの住民税の標準世帯における課税最低限は四十三万三千五百二十六円となっておるわけでございます。なお、今年度さらに所得税においては給与所得控除の引き上げを大幅に行なう予定となっておりますけれども、その結果は来年度の住民税の計算にそのまま反映をいたしてまいりますので、来年度におきましては、地方税法そのものの改正をいたしませんでも課税最低限は三万円余引き上がるということになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/184
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185・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いまのような御説明ではなかなか納得ができないわけです。最低生活費には課税をしてはならないということは、これはもう税制における大原則だと思います。そういう面からいって、四十三万三千円程度のいわゆる標準世帯の収入、そういう収入で生活をしておる人たちの担税力というような問題、それから最低生活費というもの——自治省では、標準世帯における基準生計費というようなものをどういうぐあいにお考えでしょうか。大蔵省では、大体六十六、七万というところで、ここに標準世帯における基準生計費を出しておるわけでありますが、一体そういうものをどういうようにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/185
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186・松島五郎
○松島政府委員 基準生計費につきましては、自治省だけが特別な基準生計費をつくっておるわけではございません。夫婦子供三人で、昭和四十二年度で六十三万七千七百七十八円というのが基準生計費となっておりますので、私どもも、基準生計費というものはそういうものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/186
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187・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そうしますと、現在、基準生計費としてはこの程度のものが標準世帯で基準的にかかるんだ、こういう一つの試算を持っておられるわけであります。それよりなお二十万円も下回るところに税金をかけているということは、これは非常に担税力のない者から、受益者だというだけの理由で、その額が四十三万円というのはあまりにも低過ぎるということ、六十三万円との間の二十万円というものをどう説明されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/187
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188・松島五郎
○松島政府委員 六十三万円に比べますと、四十三万円は二十万円低いということは、御指摘のとおり事実でございます。ただ、住民税につきまして、基準生計費との間をどう考えるか、これは考え方によっていろいろまた御議論もあろうかと思いますが、住民税というのは、地域社会に生活をして、地方自治に参画をする方の、いわば経費であるというように考えていただくことができますならば、幾ばくかの生計費の中にも、そういう意味の税金としての経費があっても許されるのではないかということも言えるのではないかと思うのでございます。もちろん、これは考え方の問題でございますので、私がこう申しましたからといって、そうであると御承認をいただくことはなかなかむずかしいと存じますが、要するに、一つの地域社会の中で生活をする以上は幾ばくかの税を負担をする、それも生活費の一部であるというふうに考えていただけるならば、この四十三万円が、私はこのままでいつまでもいいということを申し上げるわけではございませんけれども、一つの考え方として許されるのではないか、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/188
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189・毛利松平
○毛利委員長代理 関連質問を許します。武藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/189
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190・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、局長、四月六日の予算委員会で、私は大蔵大臣と自治大臣を並べて地方税減税の必要を説いたわけです。先ほどの阿部君に対するあなたの答弁は、今後減税に努力するという点だけを……。ところが、そのときの自治大臣はもっと具体的に、その次の質問をだんだんやっていく中で答弁をしているわけです。というのは、地方税の減税は全体として見直す時期が来た。時期が来たということは来年度からやるのかということで詰めたわけですが、全体を見直す時期が来たと自治大臣が答弁しているのは、いま広瀬委員がおっしゃるような、常識的に金額を見ても、どうもいじらざるを得ない段階に来ているという意味だと私は思うのです。そこらを、あなたはあの予算委員会の議事録を読んで、来年度からはこういう点を十分手直しせざるを得ないな、こういう感じを持ったのか、それとも、従来どおりの物価調整減税、はね返りだけを地方税は減税していけばいいんだという認識におるのか。それによって一千万の人にどういう影響を与えるかという重大な問題になるわけですよ。だから、現状を処理する担当の局長が、地方税は減税したくないというような気持ちで答弁されているが、予算委員会なり参議院の予算委員会なりで議論されている問題を前向きに踏まえるなら、いまのような答弁は出てこないのですよ。そこの点をまずはっきりあなたに聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/190
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191・松島五郎
○松島政府委員 住民税の課税最低限を今後どう持っていくかということにつきましては、税制調査会の答申においても、経済の推移あるいは国民生活水準の状況等を考慮して、引き上げに努力していくべきものという御答申をいただいておるのでございます。
先般来、この課税最低限につきましては、予算委員会におきましても、また当委員会におきましてもいろいろ御指摘がございました。私どもといたしましても、これにつきましては、現在のままで来年度もいいというふうに考えておるわけではございません。しかし、それでは、いまの段階で来年どうするんだというふうにお尋ねをいただきましても、残念ながら、いまの段階で私から、来年は必ずこうしますということを申し上げるわけにはまいらない事情がございます。なお、その点につきましては、十分御意見も頭におさめまして努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/191
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192・武藤山治
○武藤(山)委員 総理大臣も昨日の本会議で、委員会で決議された問題などについては、十分尊重して、役人にも国会の意思というものが十分反映されるように、私の責任において管掌していきます、本会議で佐藤さん自身がそういう答弁をしておるわけです。だから、あなたのものの考え方も、できるだけそういう線に沿った、国会で議論された問題というものは、それが実現の方向、事務処理の方向で判断をひとつしてもらわないと困ると思うのです。これは要望になりますが……。
第二に、いま局長の答弁を聞いておると、地方税というのは、これは受益者負担という性格のものであるから、当然国税とはうんと違っていいんだというようなニュアンスなんです。私ら聞いておると、国税は国税で、地方税は地方税で別個のものだ、こういう感じを受けるわけです。あまりにもそれにあなたはこだわり過ぎておる。先ほどの阿部さんのときの答弁もそうだし、広瀬委員に対する答弁もそうなんです。
そこで、一体所得割りに対する地方税というものは、均等割りの地方税とは本質的に違うということを私は言いたいのです。あるいは受益者負担という性格のものの水道料金やあるいは都バスや市バス、そういうほんとうにストレートに利益を受ける者の負担と所得割りの税というものは基本的に違う。国税庁長官の書いておる本を読んでも、地方税、所得割りというものは、多分に所得の再配分、所得の分配ということも加味しておるものだ、そのために税率が二本になっておるのだ。「私たちの所得税」という本の中に地方税のことも書いてある。国税庁長官はそういうことを言っておる。だから、所得の配分機能というものもその中に含まれておるということを無視されてあなたが答弁されておるということは非常に不満なんです。そこらはもう少し——前は何段階かに、収入の少ない者には安い税率で、累進税率になっておったのが、いまは百五十万円という線で二つに区別されておる。百五十万円で区別しておるということは、私は、そこらに何か所得分配の機能というものを認めておるからこそ税率が二つになっておると思う。そういう点、どうも答弁を聞いておって、あなたの認識というものに対して私は了解に苦しむわけです。もう一回、その辺の前提をひとつはっきりして、答弁に入ってもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/192
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193・松島五郎
○松島政府委員 私のお答えのしかたが悪かったために、いろいろ誤解を招きましたことは申しわけございません。受益者負担とか応益性あるいは応能性というような、あるいは所得再分配というようなことを申しましても、一つの税が、どっちかでもって全部割り切ってしまえるというふうに私は考えておりません。住民税におきましても、所得税に比べて応益的な性格をどの程度強く持っているかという比較の問題であろうと考えております。そういう意味におきまして、課税最低限の問題につきましても、住民税課税最低限がいまのままで、所得税とうんと違っていいんだというふうに考えているわけでもございません。その点は、いわば説明のニュアンスと申しますか、重点の置き方の問題であろうかと思いますが、私が必要以上に応益性とかそういうことについて重点を置いていたとすれば、私の説明の足りなかった点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/193
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194・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 とにかく、いま武藤委員からも指摘がありましたように、この住民税における課税最低限というものが絶対的に低過ぎて、なるほど理屈としては受益の分をある程度平等に負担するという、所得税にはない面がある程度あるけれども、この点はもっと何らかの基準を設けて、少なくとも基準生計費に近づける、こういう努力をされるのがやはり当然だろうと思います。あまり応益ということをやるならば、今日PTA等を中心にする税外負担というような問題を全く是認する方向にも結びついていく。PTA関係のものは、みんな完全な受益者負担という形で、悪平等の税外負担が行なわれておるわけでございますが、そういうものを、これは当然だといって肯定する。税外負担を何とか解消しますといままで言っていたのがうそになる。そういう考え方を非常に強調し過ぎた議論になるだろうと思うのです。だから、そういう面から、少なくとも住民税は所得税と非常に関連の深い地方税でございますし、いま武藤委員からも御指摘があったように、その所得割りというような面については、所得税において非常に強く出されております問題である所得の再配分という機能、こういうものがまるっきりなくていいという議論にはならぬわけであります。地方の生活におきましても、利益は平等に受ける面はあるけれども、しかし、やはり富める者は富めるように、貧しい者は貧しいようにという税制を、税制である以上やはりそういうことを忘れちゃいかぬわけでありまして、そういう点をもっと検討されて、少なくとも来年はかなり大幅な課税最低限の引き上げ、しかも、そのめどは、大蔵省で先ほどの六十六、七万円——これは私の記憶違いでありますが、六十三万何千円という、その程度、それに近いところまで引き上げに努力される、そういう方向は、これはひとつ大蔵省のほうからも、そしてまた局長からも、そういう方向で努力をしていくというような見解をひとつ表明していただきたいと思うのですが、いいがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/194
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195・松島五郎
○松島政府委員 課税最低限の引き上げにつきましては、ただいま御意見のございました点を十分念頭に置きまして努力をいたしたいと考えておりますが、ただ、基準生計費六十三万七千円ということになりますと、この間約二十万円の引き上げになるわけでございます。二十万円という額が税収入においてどの程度になるかまだ試算はいたしておりませんが、おそらく千億円近くの額になるのではないかというふうに考えられます。
御参考のために申し上げますと、今年の所得税で、課税最低限の引き上げの一環といたして給与所得控除の引き上げを行なっております。これは、先ほども申し上げましたように、来年度から住民税の計算にそのまま反映してまいります。これによる減収が、住民税で平年度三百三十三億円という見込みでございます。さらに、基礎控除なり扶養控除なりをかりに一万円ずつ引き上げたと仮定いたしますと、これも昨年同様実施いたしたわけでございますが、それが約三百億円の減税でございます。両方合わせますと、かりにそういうやり方をやったといたしますと約六百億円以上の減税になるわけでございます。それで、標準世帯で大体十万円くらいの控除の引き上げになろうと思います。それをさらに倍にいたしますと、荒っぽい計算でございますが、千億円をこえるという大減収になるわけでございます。したがいまして、いまここで金額を幾らにしてというお約束をいたすことは、ちょっと困難であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/195
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196・小沢辰男
○小沢政府委員 住民税の最低限の引き上げを来年からやるかというお尋ねでございますが、その方向で検討もし、努力もしているということは、これは私いま申し上げられますけれども、どうも、必ずやるのだとか、あるいはどれくらいの幅でやるのだというようなことにつきましては、これは地方財政に相当大きな影響を来たしますし、また同時に、それが地方財政全体に大きな影響を持ってまいりますと、当然来年度の国家財政の編成、予算編成ということにも大きな影響を来たしますので、私ども来年度の予算編成につきましては、各省との関係が七月からいろいろ始まりまして、十分いろいろな経済事情の変動なり、あるいはその他の面の考慮をやった上で検討してまいるわけでございますので、いまここで先生の御質問に応じてすぐやると言うことは、ちょっと私言う勇気がない。御趣旨に沿うような方向で、もちろん全体を努力してまいらなければいかぬことは当然でございますけれども、この程度のことでひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/196
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197・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 きのうの本会議における大臣答弁よりもまことに消極的な答弁をいただいたわけで、きわめて残念なわけですが、一体、地方税における住民税の課税最低限をきめるときに、おそらくこれは自治省一人できめるわけじゃない、その際大蔵省としてはどういうことで四十三万を受け入れたのか、そういう点についても、それならば大蔵省としての考え方というものをはっきり聞いておかなければならぬと思う。一応基準生計費というようなものを算出しておいて、しかも、それを二十万円も下回るところにあるのだという、その現実というものを——それじゃ二十万円は、これはもう応益原則に従って、受益者負担という点に従って、そのくらいの幅はこれは当然なんだということで、将来それを基準生計費に近づけていくというような努力をされるつもりはないのですか、大蔵省として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/197
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198・小沢辰男
○小沢政府委員 実は、今年度の予算要求では、御承知のように、自治省当局もこの最低限の引き上げという問題は御提起になっておられませんものですから、大蔵省がみずから各省の行政について、いろいろこちらから、いわばその投手側に回るということはちょっとありません。受け取る側につきましてその案をいろいろ検討して方針を出すものですから、ことしはそういうようなことは全然議題にもいたしませんので、どういう基準でものごとを考えたかと言われましても、私はお答えできないわけでございます。
それと、私どもはやはり地方財政を各市町村別に考えてまいりますと、ただせっかちにこの負担を軽減するという方向よりも、実質的にそういう方向がとり得るような環境をつくり上げることが大事だと思います。したがいまして、地方の開発といいますか、全国的な計画のもとでむしろ再開発の面にいろいろと総合的に政策として考えてまいりまして、そうして地方にそれぞれ担税力をふやすという方向をつくり上げることが、やはり国家全般の平均的な発展に非常に大きな効果がある。こういうような環境をつくり上げつつ、そのあれに応じまして住民の負担の軽減というものをはかっていかなければいかぬ。遺憾ながら日本はまだそういう現状でありまして、おっしゃる御趣旨は十分わかりますので、そういう前向きな方向では検討してまいりますが、総合的な政策で、地方開発といいますか発展というものをとりつつ、御趣旨に沿うような段階に入っていく方法、これもやはり相当重要視して考えておりますことを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/198
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199・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういう御議論は答弁になってないと私ども思うのです。これは主計局次長しか来ておりませんから、ちょっとわからないと思う。
松島さんにお伺いしますけれども、六十三万円の基準生計費は、エンゲル係数は大体何%、四十三万円程度のところは、エンゲル係数はどのくらいになっているか、何%になっておりますか、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/199
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200・松島五郎
○松島政府委員 申しわけございませんが、資料を持っておりませんのでお答えできかねます。御了承ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/200
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201・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これはやはりたいへんな差がそこにあるだろうと思います。標準世帯で四十三万円というクラスがどの程度の生計の状況かということは、もっと真剣に——いまの大蔵次官の説明によりますと、自治省から何も言っていかないものだから、他省のことについてあまり干渉しなかったんだというような言いぐさでありますが、そうなると、これはやはり自治省の責任だ。自治省があまりにも大蔵省に遠慮し過ぎて、こういう問題について少し消極的過ぎて、積極的な発言、要求というものをしていかない、こういう面があると思います。これはもう国、地方財政全般にかかわる問題でありますが、やはり自治省としては、地方住民の立場というものを中心にして要求すべきものは要求し、さらに、今日交付税の問題等についてもいろいろ不合理な問題点もあるわけでありますから、そういう点で、もっと積極的にやっていかなければ、大蔵省が積極的にこうだという立場はとらないということがはっきりしたわけですので、自治省がもう少し積極的に、この問題については非常な前向きに、しかも大幅な引き上げを来年度あたりは要求をする、こういうお考えをこの際表明しておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/201
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202・松島五郎
○松島政府委員 地方財政も国の財政もそれぞれ相関連する問題がございますが、一面において、それぞれまた独立した面を持っておるわけでございます。したがいまして、減税を行ないます場合にも、地方財政自体の問題としても考えていかなければならない面があろうかと存じます。ただいま御指摘になりましたように、大幅な減税を行なうということになれば、それが地方財政として十分耐えていけなければ、国のほうの援助も受けなければならぬという場合もできようかと存じます。それらの点につきましては、地方財政、国の財政全体を通ずる問題として、私どもは真剣に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/202
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203・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いずれまた、この問題は、自治大臣、大蔵大臣そろったところで継続をして質問をいたしたいと思います。
もう一つ伺っておきたいことは、租税特別措置の問題で、税制調査会の「長期税制のあり方についての中間答申」の中でも、国で設けた租税特別措置、これをストレートに地方税制にはね返らしている面があるわけでありますけれども、先ほどから自治省の税務局長が言われておるような考え方でいくならば、その裏返しといいますか、そういう面で地方税において国でつくった特別措置をそのままはね返らしているのは非常に不合理だということも、これは税制調査会の中間答申でも指摘をされているところです。それについて、昭和四十二年度において、この中間答申を受けてどういう点で改善をはかられましたか、その点を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/203
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204・松島五郎
○松島政府委員 国の租税特別措置法によります特別措置を地方税になるべく影響させないようにという答申があることは、御指摘のとおりでございます。私どももその基本的な方針をとってまいりたいと考えておりまして、これは技術的な問題もいろいろございますので、国税のほうで租税特別措置をおとりになります場合には、できるだけ税額控除というような方法をとっていただきまして、それによって住民税なり企業税の場合は税額控除をしない、こういう行き方をとっているのでございます。
昨年度の改正におきましても、資本構成の改善のための特別措置でありますとか、あるいは合併をした場合の特別措置というようなものにつきましては税額控除の方法をとっていただきまして、これが地方税に影響しないようにいたしているのでございます。
今年度の改正におきましても、開発研究費につきまして同じように租税特別措置をとられることになっているのでございますけれども、それにつきましても税額控除の方法をとっていただきまして、当然には住民税あるいは事業税に影響しない、こういうような方法をとっているわけでございます。
ただ、特別償却というような償却の方法によります場合には、所得計算が原則として法人税なり所得税なりの計算方法によってまいります関係上、技術的に困難な面もございます。したがいまして、できるだけいま申し上げましたような税額控除の方法によって地方税に影響を及ぼさないような措置を講じている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/204
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205・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この答申を読みますと、「国の租税特別措置がそのまま自動的に地方税に影響して非課税、軽減等の措置が講ぜられこととなるものがある。これらの非課税、軽減等の措置は、一般に地方税については特に地域内の負担の公平を図る必要から、できる限りその整理合理化を図るべきであり、特に国の租税特別措置が自動的に地方税に影響することは回避することとすべきである。」、こういう中間答申が出ているわけであります。先ほど、受益者の負担の公平といいますか、受益者負担という思想が非常に強く出ておったわけでありますが、そういうような方向をとるならば、この租税特別措置の問題というのは、少なくとも国の政策目的遂行のために租税の公平というものを破壊しながらつくったもので、先ほどのような地方税における原則というものを非常に強調される立場に立つならば、国の政策の必要でそれでもう十分だという立場でつくったものを、何の必要があって地方税にまではね返さなければならぬのかということについては、原理的な矛盾があるわけであります。これについては、かなり勇断をもって、ことしにも——いま局長が答弁されたような、そんな程度のものであってはならない。これは非常に大きな問題として、これを廃止、整理するということを特にこの答申の中にも書いてあるように、自動的に地方税に影響している、こういうものをどれだけ解消したか、どれだけ整理をしたか、そしてまた、これからどういう決意でこの問題に対処していくつもりか。このことについて、原理的な問題を含めて、そうして具体的にこれからの方向というものをこの際答えておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/205
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206・松島五郎
○松島政府委員 ただいま御指摘になりました点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、できるだけ地方税には国税の租税特別措置の影響が及ばないような措置を講じているわけでございます。例としましては、先ほど申し上げましたような合併の場合の助成についての税額控除の特例でございますとか、あるいは資本構成の改善につきましての特例でございますとか、昨年度から実施をいたしております。また、今年度は、これも先ほど申し上げましたが、開発研究費の税額控除の特例を地方税に及ばないように、こういうことをやっておるわけでございます。
それらのことによって、どの程度地方税の減収を回避しているかということでございますが、事業税で大体八十二億円、住民税で二十一億円程度、合計いたしまして百三億円程度、もしも国税にそのまま乗っかったならば減収であろう額を、減収にならないようにいたしているのでございます。
御指摘にありましたように、国は、国全体の立場から、租税政策としていろいろな特別措置を講ぜられるにいたしましても、地方団体の場合は、狭い地域社会の中で公平ということも考えてまいらなければならないわけでございますから、当然に国税の政策的減税が地方税に及ぶということはできるだけ避けていかなければならぬという基本的な考え方については、私どもも全く同様に考えておりまして、今後とも引き続き努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/206
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207・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 百億円程度ことしはやったと言われるわけでありますが、現在、大体地方税における租税特別措置による総減額といいますか、その数字をひとつ聞いておきたいと思います。それと、その内訳として、国の特別措置が自動的に地方にはね返って減収になっているものがそのうち幾らか、総体で幾ら、地方独自できめているものが幾ら、こういうように分けて、租税特別措置による地方税の減収額をひとつこの際数字で明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/207
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208・松島五郎
○松島政府委員 私どもが一般に非課税措置、特別な非課税措置等によります地方税の減収として計算をいたしておりますのが、昭和四十二年度で千六百十六億円でございます。そのうち、国税の租税特別措置が地方税に影響を及ぼしているために減収になっているという分が七百八十七億円でございます。地方税自体の非課税措置というものが八百二十九億円でございます。合わせまして、いま申し上げました千六百十六億円となっておるのでございます。このうち国税の租税特別措置によります分は、御承知のとおり租税特別措置法という法律がございまして、それに掲げられましたものの地方税に対する影響でございますけれども、地方税独自のものになりますと、地方税法自体に租税特別措置法という特別な法律がございませんので、何をもって租税特別措置に相当するものと見るかということにつきましては、多少論議があるかもわかりません。たとえば、公益法人に対します非課税というようなものもこの計算の中に含めたりいたしておりますので、そういう意味では多少問題があるかも存じませんが、一応数字は以上申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/208
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209・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 減収七百八十七億円と地方独自のものが八百二十九億円という、ほぼ半々に近い形になっておるわけであります。この中間答申の趣旨に基づけば、少なくとも中間答申はもう少し大幅な整理というものを要求しているものと思われるわけでありますので、この点、また別途議論をいたしたいと思いますが、本委員会に対して、地方税における特別措置の国のはね返りのものと地方独自のものとに分けて、ひとつ詳細な資料を提出されんことを望んでおきます。委員長、よろしくその点計らっていただきます。
次に質問を移したいと思いますが、財政局長はおりますか。——今度は地方債の問題をちょっとお伺いしたいのですが、いま地方債の残高は——残高といいますか、これは一般会計債その他の会計債、いろいろあると思うのですが、公営事業債等も含めまして、それを内訳的に、一般会計債が幾ら、特別地方債が幾ら、特別事業債が幾ら、それから公営事業債が幾らというようなふうに分けて、そしてまたその総額、こういうようなものの数字をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/209
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210・鎌田要人
○鎌田説明員 昭和四十年度末の決算が一番新しい決算でございますので、これに基づいて申し上げますと、公営企業会計以外のいわゆる普通会計債と申しますのが、現債高が四十年度末で一兆三千四百八十五億円でございます。その中は、ただいま特別地方債といったような分類ということでございましたけれども、資金別に区分をいたしております。特別地方債も政府資金でございますので、その中で政府資金が九千五百四十七億円、それから市中銀行債、市中銀行から借り入れておりますものが千六百三十四億円、交付公債が八百五十六億円、市場公募債が百八十七億円、そのほか保険会社でございますとか、あるいは農協でございますとか、こういったところから借り入れておるものがその残り、こういうかっこうになっておるのでございます。
それから公営企業会計でございますが、公営企業債のほうは、同じく四十年度末の現債高が一兆四千八百四十四億円でございまして、約半分の七千二十六億円が政府資金、それから千七百五十七億円が公営企業金融公庫、市中銀行が千四百四十八億円、市場公募債が二千百八十三億円、そのほかが、やはり同様保険会社その他の金融機関でございますとか、農協でございますとか、そういうたぐいのものから借りておる、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/210
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211・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これは岩尾さんでわかりますかな、国債の現在高はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/211
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212・岩尾一
○岩尾政府委員 国債につきましては、いわゆる短期のものあるいは借り入れ金のようなものと長期の国債とございますけれども、その辺いま詳しい資料を持っておりませんが、全体を含めまして、本年の四月現在で一兆三、四千億円ではなかったかと思います。そのうち、長期の国債が大体一兆円くらいにことしの四月でなるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/212
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213・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 国の財政が四兆九千億円で、長短合わして大体一兆三千億円ぐらいの国債だ、長期の分が一兆円ぐらいだ、地方の財政が四兆七千億円ぐらいの予算規模だ、その中で、一般会計債だけでもう四十年度ですでに一兆三千四百八十五億円、そのくらいになっておる。しかも事業債といいますか、公営企業債というものが一兆四千億円ぐらいある。しかも四十二年度では、大体一兆五千億円に近い一般会計債になるんじゃないか。一兆四千六百四十五億円ぐらいだろうと自分で試算をいたしたわけでありますが、そのくらいになる。
こういうように、地方財政が非常に起債にたよっている。起債が最近非常に急激にふえてきておるわけであります。こういう問題に対して、特に昭和四十一年度において、特別事業債というようなもので、本来ならば交付税で当然見るべきものを、地方財政における財源不足を補てんする手段として千二百億円も事業債でやらした。これに対して今度いよいよ償還等を中心にして、特別交付金ですか、これをやろう、こういうことになったわけですけれども、さらにこういう借金に依存するという姿がかなり強まっていくのじゃないか。午前の質問では、去年よりは幾らか減らしましたという答弁もあったわけでありますが、累積額を見ると、これは非常に不健全な姿ではないかと思うのです。そういうような点についてどういうようにお考えなのか、ひとつ聞きたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/213
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214・鎌田要人
○鎌田説明員 地方債の問題につきましては、中身を分けて検討する必要があるのじゃないか、こういうように考える次第であります。
まず、公営企業債でございますけれども、公営企業債でございますと、これは一応企業会計をとっておるわけでございまして、非常に俗な比喩をもってしますと、一般の社債的な性格というものが非常に強い、事業規模、経営規模を拡大していく場合に企業債を発行していく、これは許されるのではないだろうか、それから、一般会計債との間に準公営企業債というのがございます。これは御案内のとおり、土地造成をやるとか市場を経営するとか、そういうたぐいのものでございますが、これもいわゆる独立採算というたてまえをとっておりますので、この点の起債についても、ある程度是認せられるのではないだろうか。
問題は、一般会計債でございます。一般会計債の中で、いわゆる補助事業の裏負担に起債を充当する。かつてはもっとひどいことがあったわけでございますが、給与の支払いに事欠きまして元利補給づきの起債をつけた、こういうことがかつてございました。あるいは、先ほど御指摘のございました昨年の特別事業債、こういったような形のものは、私どもといたしましては非常に適当でない。本来一般財源で充当すべきものであるにかかわらず、それに起債を充当してまいるということについては、これはできるだけ起債の充当というものをやめて一般財源に振りかえてまいりたい。
もう一つ、単独事業というものがございます。単独事業という点につきましては、現在非常にやかましくいわれております社会資本の立ちおくれ、こういう面から見まして、地方団体が道路の整備をやる、あるいはすぐ水の出るような中小河川の整備をやる、あるいは学校とかその他の福祉施設とか、そういうたぐいの施設をつくってまいる、こういったものに充てられる起債というものは、むしろ一般会計債の中ではもっとふやされていいのではないだろうか。そういう意味におきましては、公害対策とかあるいは過疎過密、あるいは時事ものといたしましては空港整備、こういったものに対する単独事業債というものは、一般会計債においてはもっとふやされていいのではないだろうか。こういうふうに、起債の中身、使用の中身によりまして、起債の立て方というものを考えてまいったらいいのではないだろうかというふうに私どもは考えております。
ただ、全般的に、御指摘になりましたように、一般会計の中で本来一般財源をもって充てられるべきものに起債をつけてまいるということはできるだけ押さえてまいりたい、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/214
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215・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 もう時間があまりないものですから、資料をひとつ出してもらいたいのです。
一般会計債、それから公営企業債、準公営企業債、そういうような内訳がありますが、そういうものが三十五年度以降ずっとどういう経過をたどっているか、その数字を、ことしの財政計画まで含めて一覧表にして出していただきたい。そしてまた、それがその年その年における歳入の構成比の中でどの程度のウェートをずっと占めてきたか、そういうものをつくって出してもらいたいと思います。
ことし特別会計を設置して、償還財源をめんどうを見ようということで、百二十億円のうち九十五億円が充てられるというわけでございますが、この特別会計は今年度限りということで出ておるわけです。地方公共団体では、本来交付税でくるべきものが、去年の特別な事情によってこれが特別事業債という形で起債ワクだけをもらった、こういうことでございますから、少なくともその千二百億円の償還が済むまで——これは一年据え置きの七年償還というようなこととか、あるいはそれぞれの地方自治体で借り入れた条件も違うだろうし、あるいは利子の問題なんかもいろいろ相違があるだろうと思います。いずれにしても、それぞれに対して、ことしだけであとのことは一体どうするのだという不安を持っているわけであります。地方自治体では、去年の事業債の千二百億円が完全に元利償還できるまで国で当然これは見るべきだ、しかもそれはきちんとその分として別ワクにして、それがその分だということがわかるような形——一般の交付税の中に込みにしてしまって、基準財政需要額の中にぶち込んでしまってやるというふうに考えておるのかどうか、それは非常に困るというのが地方自治体のいまの考えでありますが、そういう点についてどういうお考えを持っておられるのか、この点をひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/215
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216・鎌田要人
○鎌田説明員 特別事業債千二百億円でございます。この特別事業債千二百億円の中で、本来一般財源で充てられるべきものが特別事業債という形をとったということで交付税の基準財政需要額を落としましてこの特別事業債に振りかえましたものは九百億円でございます。残りの三百億円につきましては、公営住宅でございますとか、あるいは下水道でございますとか、こういうものの充当率の引き上げという形で処理をいたしたわけでございます。したがいまして、いわゆる財源補てん的なと申しますか、ちょっと表現が適切でないかもしれませんが、そういう形で処理されました特別事業債は約九百億円でございまして、これに対応します分の利子償還分、元本の支払いはまだ始まっておりませんので、利子償還分の交付団体分というものが、ことし御案内のとおり臨時の措置として処理をされたわけでございますが、明年度以降の問題につきましては、地方財政に迷惑をかけないということで処理するという方向で、大蔵省とも相談しながら処理してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/216
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217・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 昨日の本会議の答弁でも、迷惑はかけない、迷惑はかけないと言っているわけですけれども、地方自治体ではその点、どういう方法で明確に——いまは千二百億円のうち財源補てん分は九百億円程度だということでございますが、たとえば栃木県あたりでも、その財源補てん分に相当するものが八億九千万円ばかりあるわけです。こういうものに対してことしは利子の償還が始まるし、来年は元金の償還が始まる。これは大体七年償還ということになっておるわけです。しかもこれは、政府関係では約九億円のうち二億九千万円くらいだ、あとは縁故債で六億円近く、こういう内容であります。大体全国でも、最近特に地方債の場合に、政府資金の借り入れ利子の安いものが非常に少なくなってくる傾向が非常にあるわけでありますけれども、そういうことでそういう状態になっている。したがって、これは地方ではやはりかなり心配をしておる。どういう形でこうだから迷惑がかからないのだというような、具体的なものはないのですか。やはりこの九百億円については、財源補てんなんだから、これはどこまでも別ワク扱いにして、その分だということは明瞭に、地方自治体に納得のいくような方法というもので迷惑をかけないということなのか。総体的に、私も地方財政はしろうとですからよくわかりませんけれども、一般の基準財政需要額あるいは収入額というようなものの上でその込みでやるのか、そこのところが非常に問題だと思うのです。そういう点で、もう少し具体的に、こういうことだから迷惑をかけないのです、そういう構想というものがあるだろう。そのことをひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/217
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218・秋吉良雄
○秋吉説明員 ただいま自治省の鎌田参事官からお考えございましたが、特別事業債について、財源補てん的な事業債としてきめつけるのかどうかという問題については、いろいろ問題があるかと思います。あるいは事業債ではないかという議論もあろうかと思います。それはそれといたしまして、本年度につきましては、いろいろ自治省から要求はありました。
〔毛利委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕
まず、先ほど申し上げましたように、二三%に基づきます五百億円の臨時地方特例交付金とか、あるいは特別事業債の利子補給金六十三億円とか、あるいは道路の一キロ千円アップの百三十億円とか、いろいろ要求がございまして、合わせまして千億オーダーの要求があったわけでございますが、いろいろ詰めました結果、ともかく四十一年度の地方財政が非常に困窮をきわめたあとの四十二年度の地方財政でございます。
そういう意味からいたしまして、非常に地方財政がよくなったものの、やはり四十二年度の地方財政は、四十一年度の地方財政の非常に激変緩和的な要素も考えなければいけない、ある意味からいえば、重症患者のアフターケアという面も無視できないのではないかという点も考慮いたしまして、一そう地方財政の健全化に資するということからいたしまして、御案内の臨時地方財政交付金百二十億円を計上いたした次第でございます。その内訳といたしまして、御指摘の特別事業債の利子補給と申しますか、利子支払い財源と申しますか、その利子支払い財源といたしまして五十三億円を予定しておりますが、これはそういった一連の、一環の処理でございます。
しかしながら、先ほど御指摘がございましたように、大蔵大臣も予算委員会で御答弁がありましたように、いずれにいたしましても、特別事業債の元利支払いにつきましては、今後地方財政の実情を勘案しつつ、各地方団体の財政面に特別な支障を来たさないように検討してまいりたい、こういう趣旨でございまして、どういう方法でやるかということはもちろんまだ吟味しておりませんが、方向といたしましては、どこまでも地方団体の財政運営に基づきまして、特別の支障を来たさないように検討いたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/218
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219・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この法律案が、昭和四十二年度に限りこの特別会計法の一部を改正してこういう措置をするのだ、こういうわけでありますが、いまお答えになり、また、大蔵大臣がきのうの本会議でお答えになりましたように、こういうことし出したこの特別な措置を、同じようにまた来年も、昭和四十三年度におけるということでそのままもう一ぺん出す、さらに、大体この償還が済むまでそういうことでやる、こういう可能性というものは、私どもは当然そういうように考えるわけなんだけれども、そういうように理解してよろしいですか。これはもう一年こっきり、身もふたもない、それだけなんだ、こういう立場でお出しなんですか。どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/219
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220・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま主計官が御答弁申し上げましたように、今年度の特別な措置は、四十二年度は経済の見通しからいいまして地方財政も非常に好転するだろうと考えられますけれども、四十一年度が非常に悪かった年度でもございますので、そのアフターケア的な意味も兼ねまして、一そう健全に運営できるようにしようという配慮からやられたものでございます。したがいまして、今後健全に運営ができていけば、私どもとして、特にこの問題について国がめんどうを見ていく必要性がなくなれば、これは臨時のものでございますから、継続はいたさないわけでございます。
しかし、四十三年度以降におきまして、地方財政の実情に応じまして、地方それぞれの市町村で県内で財政の運用に非常な支障を来たすというようなことになれば、これは私どもとしてほうっておくわけにいきませんので、したがいまして、本会議でも予算委員会におきましても、大蔵大臣は、地方には御迷惑はかけませんということを申し上げておるわけでございまして、一体来年度の地方財政がどうなっていくかという問題あるいは税源配分の問題等も関連をしてまいりますので、いまここで、これは今年度でもう一切、何がどうあろうと打ち切るものだとも言えませんし、また、この措置は当然毎年続けていきますとも実は言えないのでございまして、本来の臨時的な性格である点を考えますと、これは当然今年度の臨時的な措置でございますから、その面においては、これを継続するものとお考えになることは、実は法案の性質上からいっても私はとるべき考えではないと思います。ただしかし、そのために地方財政に迷惑がかかるというようなことになることは、私どもとしてはそういうことは本旨でございませんので、地方財政に応じまして、地方のそれぞれのところで運営に迷惑がかかるようなことはしませんということをはっきり申し上げているわけでございますから、その点は、賢明なる広瀬委員、ひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/220
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221・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これは国のきわめてずるいやり方であって、特に大蔵次官の言いそうなことなんです。小沢さんの答弁はすべてそういうことであって、非常にけしからぬと思うのです。当時の福田大蔵大臣が、この問題はとにかく地方財政に対する国の借金だ、だから、これはどこまでもめんどうを見ますよと言っておきながら、おまえのほうが少しふところぐあいがよくなったからこれはやりませんよ、あとまた適当にやりなさいということでは、筋の通らぬ話だろうと私は思うのですよ。そういう答弁をちゃんと権威ある国会においてやっておいて、地方財政が好転する状況を見ながらという言い方はけしからぬと思うのです。少しばかり好転をしたところで、それじゃ超過負担はどうなんだという問題もあります。それから行政水準がすでに低いのだ、そういうような面からも、これは少しばかり好転したからといってこの問題をめんどうを見ない、一般で込みで適当にやりなさいというようなことでは、これはまさに国が地方自治体にうそをついたことになると思うのです。これは国と地方自治体との間における信義の問題で毛あろうと思うのです。そういうような言いのがれというものは、私はけしからぬと思うのです。
これはもう一ぺんあなたの答弁を変えてもらわなければならぬ。そういうことではないはずであります。そして、かりに若干の好転があったとしても、地方自治の本旨に従っても、これはもっと行政水準を引き上げていくというようなものに振り向けらるべきであって、この程度の問題を、これは国と地方自治体の信義の関係からいってもそういう答弁は出てこない。さらに来年度も、この特別会計を今度一部改正する趣旨をそのまま援用して、これはこの償還が済むまでやるべきだ、こういうように思うのですが、ひとつもう一回答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/221
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222・岩尾一
○岩尾政府委員 先ほど申されました特別会計法、この法案で四十二年度限りというふうにいっておりますのは、本来それの母法でございます地方財政の特例に関する法律のほうで四十二年度限り、こういっておるのを受けておるわけでございます。したがって、本体の法律のほうも、本年度限りということをいっておるわけでございます。
それから、先ほどるる御説明をしておりましたが、千二百億円の特別事業債というものが、借金ではございますけれども、当然借金をしていい借金、それから、先ほど申されたように、給与の財源に充てるために借金をするというような非常にたちの悪いといいますか、不健全な借金であるかという点は、非常にはっきりしないわけでございます。先ほどの自治省のほうの御答弁にありましたように、一応基準財政需要の中に入れたものが九百億円くらいあったということで、そういう見当で見れば、その分はある程度地方団体としてはつらい、不健全な借金ではなかろうかという気がするから、その分につきましては、四十二年度におきまして、これも必ずその利子分を見るという感じではなくて、それくらいのものが入っておるんだから、それを頭に置いて、それの利子を払うとすればこのくらいの金になるだろうということを念頭に置いて、一応百二十億円に総体はなるように、まあ固定資産税の減収もございますが、見当つけたわけでございます。
そこで、来年どういうふうになるかということで、地方団体には御迷惑をかけませんというふうに申し上げておりますのは、来年また実際上の基準財政の収入をはじき、あるいは基準財政の需要をはじきました場合に、先ほど政務次官の申されましたように、実際には非常に収入がふえまして基準財政需要をカバーしていけるという情勢になれば、これはあるいは見なくてもいいんじゃないかということも出てくると思いますし、逆に、一昨年のように非常に財政需要のほうが多くて収入が少ないというような状況になりますれば、また何らかの措置を講じていかなければいかぬ。いずれにいたしましても、地方団体全体としての健全な運営がいくようには考える。しかし、これはもう千二百億円は全部不健全な借金で、しかも国が、責任があるのだから、これは全部利子を見るのだということではないわけでございます。そういう趣旨で去年以来答弁をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/222
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223・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 一体自治省のほうはどうなんですか。やはり去年のいきさつからいって、当然これは昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律、なるほどこれが母法になっておる、そして特別会計がこっちにかかっている、こういうことですけれども、いわゆる超過負担の問題や行政水準が非常に低いという問題や、そういうようなものを考えた場合に、これはなるほど税収入がふえて、幾らか特別事業債相当分くらい元利を償還しても、いまのままだと行政水準は現在のままぐらいには維持できるという状況が好転したと言えるのか。行政水準をもっと上げなければならない、あるいは超過負担をほとんど解消するというようなものが行なわれない限りは好転したとは言えないのだというような立場をとるならば、この四十二年度における財政特別措置というものを、さらにかなりの年限、まあ七年債くらいが大体常識的に行なわれておるようですけれども、少なくとも五年や七年はこういうものを続けて、その分を要求していく、こういうような考えはお持ちじゃないですか。大蔵省の言いなりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/223
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224・鎌田要人
○鎌田説明員 財政がよくなったら出さぬでもいいだろう、こういう点が、私もうしろで聞いておりまして非常に強く印象づけられたのじゃないかという感じがするのでありますが、その財政のよくなり方というものがやはり問題だろう、まさに、いま後指摘になりましたように、越過負担の問題もあるわけでございますし、地方の行政水準がいまのままでいいのか、こういう問題も当然あるわけでございまして、地方団体に迷惑をかけないということは、こういうことも含んで全体的に地方団体の財政運営が支障なく行なわれる、こういうことでなければならないだろうと思うわけでございまして、私ども自治省といたしましては、当然そういう見地から、この問題につきましては明年度以降も努力を続けていきたい、これはもう大臣以下かたい気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/224
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225・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 きょうは時間もありませんからあれですが、いずれまた、自治大臣及び大蔵大臣、両方そろえてこの問題はやらなければいけない問題だと思います。
きょうはこの程度にいたしまして、最後の、自治省のいまの答弁を、自治省はひとつしっかりやってもらいたい。これは地方の自治体ではそのことを非常に強く望んでいる問題であります。
きょうは、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/225
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226・藤井勝志
○藤井委員長代理 次会は、明後十二日、金曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01019670510/226
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