1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十九日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 三池 信君 理事 毛利 松平君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 菅 太郎君
鯨岡 兵輔君 小峯 柳多君
小宮山重四郎君 河野 洋平君
笹山茂太郎君 砂田 重民君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 渡辺美智雄君
阿部 助哉君 只松 祐治君
野口 忠夫君 広沢 賢一君
堀 昌雄君 柳田 秀一君
山田 耻目君 横山 利秋君
春日 一幸君 永末 英一君
田中 昭二君 広沢 直樹君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省証券局長 加治木俊道君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
国税庁長官 泉 美之松君
委員外の出席者
大蔵大臣官房財
務調査官 志場喜徳郎君
専 門 員 抜井 光三君
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本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/1
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002・内田常雄
○内田委員長 政府より趣旨の説明を聴取いたします。小沢大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について、その提案の理由と内容の概略を御説明いたします。
最近における経済の発展に伴い、都会地の税務署では、管内の納税者及び課税物件等が年々増加しておりますが、一部の税務署におきましては、事務量が過大となり、税務指導等、納税者に対するサービスや事務管理の面で支障が生じようとしております。
このような事情に対処いたしまして、東京国税局において、世田谷税務署の管轄区域を分割して、世田谷区の北部の地域を管轄する北沢税務署を、大阪国税局において、淀川税務署及び北税務署の管轄区域を再編成して、東淀川区を管轄する東淀川税務署を、また、広島国税局において、広島東税務署の管轄区域を分割して、広島市の東南部及び佐伯郡の一部を管轄する広島南税務署をそれぞれ設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。
以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づいて、国会の御承認を求める次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/3
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004・内田常雄
○内田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/4
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005・内田常雄
○内田委員長 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。阿部助哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/5
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006・阿部助哉
○阿部(助)委員 いままで所得の課税最低限七十四万円の問題をめぐっていろいろと論議もされてまいりました。また、その速記録もいろいろ調べてみるのですが、かえってわからなくなってくる。国民は、減税されたというけれども、さっぱり楽になったというような気がしないわけであります。そうすれば、何か国民全部が、いまこういう段階だからこういうふうでがまんせいというならば、それなりの理論的な根拠があれば、それなりにまた納得するだろうと思う。しかし、そういうものもさっぱり示されていない。たとえば、参議院の大蔵委員会でわが党の田中さんが質問しておりますけれども、生活基準というか、いわゆる大蔵省メモなどというものも、最近になると、塩崎さんのほうでは、あれは何かもう出せというから出しただけであって、何とかもうその問題は論議をしないでほしいというような発言もある。そうすると、どこを基準にして十万円引き上げた、何のどういう理由で七十四万円が一応いま現在の段階で適正だというのかわからなくなってくる。そういう点で、ひとつここで、交通整理をするような意味で、すっきりと、われわれにも、国民にも、約七十四万円が最低限だというのがいまの段階で正しいのだ、適当なんだということを明快に教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/6
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007・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、課税最低限はいかなる基準によってきめるべきかという基本的な御質問だと思うのでございます。
私は、いろいろ基準がありますが、主として三つの基準からきめられるであろうと思います。第一は、財政上の事情でございます。第二は、所得の再分配を所得税に期待しておるわけでございますが、これをどの程度の階層から始めるかという基準でございます。第三は、やはり、所得のうちでもどうしても支出せざるを得ない生計費的なものがありますれば、それに対しては課税しないほうがいいという、いわゆる生計費との関係。この三つが私は課税最低限の基準だろうと思うのでございます。
そういった意味で、先生は、生計費との関係でいろんな問題があるが、大蔵省は最近逃げ腰であり、この点についてはくさいものにふたをしておるような感じではないか、こういう御質問でございますが、私は決してそういった意味で申し上げておるのではございません。四十年から、御案内のように、生計費、いわゆる基準生計費を出しまして、非常な反響を招いたわけでございます。反響を招きました大きな理由は、何と申しましても、食料費あるいは生計費の見方について、大蔵省の主税局がこれを試算いたしまして課税最低限の基礎にするということ自体がどうもおかしい、税金を取らんがために無理した数字ではないか、こんなふうなお話がございます。私は決してそんなような意図もなかったと思いますけれども、そういうふうな見方が多い。そこで、これは客観的な資料あるいは権威ある外部の方々、あるいは厚生省でもいいかと思いますが、それが税の見地を離れてフランクな生計費を出していただいて、それからひとつ判断してもらう、こういったことのほうが適当である、こんなような意味で言っておるわけでございます。
私は、生計費の関係につきましては、今年度も御要求によりまして、いままでの基準生計費が私どもは正しいと思っておりますけれども、それをもとにいたしまして、四十一年度の消費者物価の上昇見込み五%、それから四十二年度の物価上昇の見込みをかけまして、二百五円というような食料費を一応計算いたしまして、エンゲル係数をいままでのものを借用いたしまして単純に出してみますとこの程度のゆとりがある、あとは、生計費の使い方は人によって違うのでございますから、そこでひとつ判断していただきたいということで出したのでございます。そういった意味から見ても、私は、いままででも適当だといたしますれば、今年度の課税最低限の引き上げは、過去にないほど、平均一八%という大きな引き上げ方でございます。消費者物価の上昇は四・五%という見込みでございますので、一八マイナス四・五%ということで考えていただきましても、これは妥当ではないか。
それから、もう一点は、そんなつくり上げたような恣意の入ったような生計費じゃなくて、現実に総理府の消費支出の家計調査がございます。この家計調査の金額を見ますと、四十一年度は、これはなまのままの数字でございますが、五人世帯で五万九千二百二十一円、食料費が二万一千六百九十二円、これを十二倍いたしまと約七十二万円ばかりになるわけでございます。こんなところから見て、これは平均でございますから、こういう高いところを別に所得税で取らなければならぬとは思いませんし、所得再分配機能はもう少し低いところから始めてもいいと思うのでございますが、そういった意味で適当である、こういうふうに思っております。
なお、所得単位でいまの税法はできておりますが、生計単位と申しますか、世帯単位で考えますと、大体四〇%の世帯は所得税からはずれているというようなことも御参考にしていただきたい。
なお、しかしながら、まだまだ今後におきまして課税最低限の引き上げの要望はいろいろな意味において強いのでございますから、例の百万円の目標というものは、これは私どもの努力すべき大きな目標だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/7
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008・阿部助哉
○阿部(助)委員 いわゆる大蔵省メモが評判が悪いというのは、私は、端的に言って、お粗末だということだと思う。国民としては、計算がどうなっているかは一般にはわからないにしても、まことにお粗末な食費だ、それでは実際食っていけないという実感から評判が悪い、ある意味で言えば食堂のメニューよりももっと信用ができないというようなことで評判が悪いと思うのですが、国民のほうでは、実感から、もう少し税金を軽くしてもらいたい、こういうことですね。しかし、どうしても国の財政上の関係からとか、みんなが納得するような理由があって、みんなで切り詰めていこうということになれば、これもまた国民は納得するだろう。だけれども、片一方では、どう見たところではでな生活があって、きのう以来いろいろありました交際費の問題であるとか、あるいは遊び場の繁盛しておるのや、そういうアンバランスな面をまのあたりに見せつけられておる。そうすると、税金を取る大蔵省の側から、何か理論的にもう少しすっきりしたものを、こうこうなんだ、だからこの程度は税金を納めてもらいたいということにならないと、国民は納得しないのではないか。ここで一、二の人たちが納得しても、それはどうにもならない。だから、国民に納得させるには、もう少し理論的に納得させる面があってしかるべきじゃないか。そうすると、やはり生計費の問題なんかももう少し納得するようなメニューを出すべきだし、この基準もすっきりした理論を出すべきじゃないか。それが、いまの説明では私にもわからない。おそらく一般の国民にはその程度の理屈では納得ができないんじゃないか。大蔵当局はこれで十分だということではなかろうと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/8
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009・塩崎潤
○塩崎政府委員 私も十分ではないと思っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今後、主税局というのでなくて、広い見地で客観的な資料をどこかでつくっていただくようなことで、国民に納得していただくような検討あるいはPRをしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/9
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010・阿部助哉
○阿部(助)委員 平均国民所得と免税点というのを比べると、戦前の場合は免税点のほうが低かった。しかし、いまは免税点のほうがはるかに高くなっておるということから見ても、なかなか納得できないんじゃないか。きのうもデノミの話が出ましたけれども、現実にデノミネーションをやってみたら、おそらく戦前の生活経験者は納得しないものが出てくると思うのです。税金の面ばかりでなしに、給与の面でもこれは納得できない。おそらく、戦前で六、七十万持っておれば、家を持って楽な生活ができた。しかし、今日その比率でいったら生活ができないわけです。そういう実感から、どうしてもいまの程度のものでは納得できないし、理論的な展開から見ても、これも国民を納得させるわけにいかない。そうすれば、野党各派が熱心に主張しております、せめて現在時点で百万円までの免税というものは、大蔵当局としてもっと真剣にこれに取り組むべきだ、こういう感じがするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/10
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011・塩崎潤
○塩崎政府委員 百万円の問題は、私に与えられました至上命令の気持ちでございます。やはり所得税についての要望が非常に強いわけでございますので、これにつきましては、自然増収がふえましたらまず第一にこの問題を充足していただくように、私どもといたしましては努力するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/11
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012・阿部助哉
○阿部(助)委員 ところが、その場合に、予算委員会でこの前附帯決議が通りましたが、この中身は、少なくとも現在の時点の貨幣価値で、物価で百万円まで免税しろ、こういうことだ。ところが、参議院の大蔵委員会等で大臣が言っておるのは、日本の経済の伸び方がいまの程度で進むならば四十五年度には何とかなるだろう、それをできるだけ早くしたいということで、この経済の伸びというのが一つは気にかかるわけなんですが、経済の伸びというのは同時に物価の値上げというものにも何がしか関連してくるんじゃないか。いまの物価の上がり方でどんどん上がっていけば、四十五年度になって百万円まで免税してもらっても、実際は物価の値上げで吸収されてしまうんじゃないだろうか。そうすれば何もならぬじゃないかという感じがするのですが、これは、あくまで名目じゃなしに現在の時点の貨幣価値で、そしていわゆる実質的な百万円免税というもので当然あるべきだと思うし、国会の意思はそうだと思うのですが、大蔵当局はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/12
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013・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常に基本的な問題でございます。その百万円という金額が名目であるか実質であるかという御質問でございますが、実は、これが名目であるか実質であるかという点についての議論はまだ煮詰まっていないと思うのでございます。そのことはできる限り早くしたいということが一つの要請でございます。そのために、名目か実質かという議論がまだ煮詰まってない。第二には、今後の物価上昇というものはそんなに大きいものではないということが社会発展計画にも若干示されておりますし、来年以降の見通しははっきりといたしませんが、最近は消費者物価の上昇も鈍化しつつあるような傾向でございますので、この第二の消費者物価の上昇の傾向から見ても、まだ十分煮詰まっていない。このようなことから、私は、百万円の問題をできる限り早く実現するということで考えているのがいまの政府の考えだろうと思います。
〔委員長退席、三池委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/13
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014・阿部助哉
○阿部(助)委員 そこはひとつ国会の意思を尊重してすっきりしてもらいたいのですが、いまのあなたのお話だと、煮詰まっていない、名目でいくか実質でいくかという点がまだはっきりしないとおっしゃるけれども、やはり、民主政治、議会主義というたてまえでいっておるのだから、当局も当然この問題はすっきりと、実質賃金でいくんだという国会の意志はあくまで尊重する、そういう立場で財源問題等の検討をするのが当然だと思うのですが、そこをもう少しすっきりできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/14
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015・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほども申し上げました二つの理由から、なかなかいま結論を出すことができないと思うのでございます。たとえば、先生、こういうことをひとつ御理解願いたいのでございますが、現在もう直ちにことし百万円にするならば納税者が何人減るかと考えますと、非常な減少を来たします。約千万人減って、半分になるという大きな影響があるわけでございます。実質的な現在の所得水準を前提とすればこんなようなことになるのですが、それがことしできないことは御案内のとおりでございます。そこでできる限り早くということになるわけでございますが、その次の問題は、先生のおっしゃいました名目か実質かという問題になります。しかし、これは私どもは、できる限り早く実現するということ、第二には、消費者物価の上昇はできる限り避ける政策を打ち立て、消費者物価の上昇は少ないという前提に立って考えておるので、まだ煮詰まった答えができない。しかし、できる限りそういった御趣旨は尊重していくというのが、私は課税最低限百万円という目標に組まれた大きな意味だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/15
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016・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまのお話は財政上の観点からお答えになったと思うのですが、それならば、少し観点を変えて、まあ最近は、第三次防衛計画であるとか、あるいは道路計画であるとかいうことになると、相当に長期の見通しを立てて、五ヵ年計画をつくられておるわけです。総理のことばをかりれば、人間を尊重する、人間尊重だ、こういうことになる。私は、こういう問題こそ、むしろ計画を立てて実施をするということが必要なんじゃないか。何か私の感じからすると、防衛だとか、そういうものだけはまことによく五ヵ年計画等を立てて着々と進めておるけれども、社会開発とか、そういう面になりますと、こっちのほうはそのときそのときで何か無理をして押えつけておる、世論が出てくるとやむなくその間に何がしかのおこぼれだけを与えるというような感じがしてならぬわけでありますが、百万円までというものも財源措置等を検討してもいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/16
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017・塩崎潤
○塩崎政府委員 税制調査会におきまして、私どもは、長期税制構想を立てまして、三年間で八十万円という課税最低限の目標を昨年打ち出したばかりでございます。それからまた二年ぐらいすればまず百万になるだろうという各年の見通しを立てたわけでございます。私どもは決して長期の計画がないわけではありません。お約束いたしましたとおり、昨年もそういった計画をつくったわけでございますが、やはり国民の要望は、もう少しそれが上回り、もう少し強いものでなければということで、それは当時の選挙のあったせいもございましょうけれども、そのような税制調査会の案では不十分であるということに見られているようでございますので、今度の国会が終わりましたら、税制調査会でいまの八十万円という少し陳腐化したような目標はもう一ぺん検討していただく。それから、自民党の選挙公約では四十五年度と言っておりますが、それもできる限り早くというような御要望もございますので、去年立てたばかりで朝令暮改の感はございますけれども、ひとつもう一ぺん、国民の声を聞くという意味において検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/17
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018・阿部助哉
○阿部(助)委員 それと関連するのですが、防衛費というものがだんだんふくらんでくる。だんだんふくらんでくると、あなたのあげました第一の理由である財政上の観点からということになると、これはますます悲観的になるのじゃないか。物価の上がった程度に免税点を引き上げたとしても、これから十月になれば消費者米価は上がってくる、また、公営事業関係も、ある意味では公営事業なんというものは軒並みに赤字を出しておるという現状からいってみれば、こういうものが上がらないという保証はない。国民は何も政府の言うことを安心して聞いてはいないのじゃないか。実際は上がるという危険性をみんなはらんでおるのじゃないかということを考えるわけですが、特に防衛費というものがだんだんふくらんでくる。しかもそれは年とともにふくらんでいって、なかなか縮めるわけにいかないのじゃないか。大体第三次防衛計画が二兆三千四百億、まあ二百五十億の上がり下がりということでありますが、大体最終年度には防衛費というものは逐次上がっていくと思うのです。というのは、第一年目は、それほど設備もないし、いろいろな問題が整備されてないからわりかた金額は少ないけれども、一年一年この防衛費は大きくなっていくのじゃないか。すると、五年目になると大体どれくらい防衛費を組む予定であるか。たしかあれは四十六年ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/18
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019・岩尾一
○岩尾政府委員 防衛力整備計画の最終年度に額はどれくらいになるかという御質問でございますが、防衛計画は、いま先生のお話しになりましたように二兆三千四百億でございますが、その間に上下二百五十億の幅ということできめられております。それから、これも御存じだと思いますが、あの計画をつくりますときには、その年々の財政の状況に応じてということが入っておりまして、計画どおりいくというわけではございません。そこで、毎年毎年の予算計上額というものは、そのときの財政事情に応じてこの計画の中で考えていくということに相なったと思います。試みに、四十二年にこの計画に基づきまして計上いたしました額は三千八百九億ということでございますので、このテンポで、かりに上下の幅がないといたしまして二兆三千四百億をさばいていくといたしますと、四千億から五千億くらいの数字になるのではないかと思いますが、それはそのときの財政の事情できまるわけでございますから、はっきりここで幾らということは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/19
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020・阿部助哉
○阿部(助)委員 どこの国でもそうでありますが、ことに最近の防衛費というものは、一つは技術の進歩というものをどうしても考慮に入れなければならないわけであります。そうすると、技術が更新してくると前の設備は必ずしも役に立たないということになってくる。防衛関係の技術というものは非常な速度でいま進んでおります。そういうことになってくると、五カ年目には膨大な軍事の設備をせねばいかぬ、予算も組まねばいかぬ、そうなってくると思うのです。そうなってくると、その次の第四次のときには、これはまたはるかに大きな予算を組まないと防衛産業はつぶれてくる。これはアメリカにおいてもそうであります。そういう点で、防衛産業を整備してそれを維持するためには何がしかのそれに見合う注文をせねばいかぬ。しかもそれが、設備更新というか、技術が変わってくると前の設備必ずしも役に立たないというような形で、ことに最近の防衛産業は非常にむずかしい。またそれだけに予算も食うということになってくる。そうすると、そういう面からの圧迫というものが非常に大きくなってくるので、財政上の理由ということでこれをおっしゃられると、なかなか塩崎さんのおっしゃるようにはいかなくて、減税とかあるいは社会保障という問題のほうに回す金というものは非常に狭められてくるのじゃないか。だから、いまいろいろ租税特別措置のときに問題になりましたような、もう少し大きいところから取るとかいうようなことをしないと、やはり財源がないということでこれは押えられるのじゃないか。もしそういうことをやる気なら、今年は別にしても、来年直ちに百万円から免税にするぐらいのことは、私はそれほどむずかしいことではないのじゃないかという感じがするのですが、その辺、財政上の理由ということだけでなしに、やはりこの国会の意思を尊重し、国民大衆の要望というものを踏まえて、勇気をふるってこれが作業に入るべきだと思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/20
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021・塩崎潤
○塩崎政府委員 国会の御要望、国民大衆の気持ち、これは課税最低限百万円にあらわれておると思うのでございます。しかし、先生のおっしゃいましたように、私どものほうでも、財政上減税を野放しにやっていけるほどのゆとりがあるとは決して思っておりません。そこで、いま先生のおっしゃいましたように、税制の中でもくふうを要することはもちろんでございますし、私どもは、専門家といたしまして、このための努力は大いに払わなければならぬというつもりでございます。今回の印紙税、登録免許税の定額税率部分の改正あるいは租税特別措置の整理合理化、そういうことはやはり所得税の課税最低限を引き上げるための税制の中での私どもの努力だというふうに考えていただきたいのでございますが、今後も、このような機会をねらって、あるいはできる限りひとつ国民の希望するところに従って税制全般の検討をしながら、この百万円の目標を達するように努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/21
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022・阿部助哉
○阿部(助)委員 いろいろ努力しておると、こう言うけれども、その努力がやはり、われわれから見れば、資本の自由化を控えて大きなところの資本集中をはかっていかなければならぬ、あるいは第三次防衛計画を進めなければいかぬというような形のほうにより大きなウエートがあるという感じがするわけです。現に、自民党の方々が選挙で宣伝されたように、日本の経済はもうすばらしいところまでいったとか、確かに日本の東芝とか八幡だとか日立とかいうような大産業は世界の何番目にランクされるというようなところに来ておるけれども、この勤労大衆の賃金あるいはそれにかかる税負担というようなものを外国の一流の資本主義国のおもだったところと比べてまいりますならば、これは非常に低いところに押えられておるのじゃないかということを考えていくと、何か日本の経済・財政という場合も、ごく一部の大資本のほうにだけ目が向いておって、国民大衆というものが忘れられておるのではないだろうかという感じを強く受けるわけであります。これだけ経済が伸びておる、しかも、大産業はすばらしい勢いで世界の何番目にランクされておる、しかし、国民大衆の生活というものは非常に低いところに押えられておる、しかもそれから税金を取られておるということになると、やはり日本の民主主義という基盤がくずれてくるのじゃないかということが私は一番心配なのであります。みんなで苦労していくということならば、それならわかります。しかし、こういう形で、片方では数少ない独占資本だけが大きくなっていく、数多くの大衆は生活が困難だというようなアンバランスが、日本の憲法に規定された民主主義という面から言って一番危険な要素を持ってくるのじゃないかというところに、私は税制を見ておっても一番心配があるわけでして、そういう点で、やはり、いまの皆さんの場合には大資本のほうへだけ目が向いて、得てしてウエートはそっちのほらにある、一般大衆の生活問題というものにはそのときそのときにいろいろな手は加えるけれども、それは塩崎さんが大きな声で努力のあとを認めろとおっしゃるけれども、そのあとは、比較対照するならばまことに微々たるものじゃないかという感じがするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/22
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023・小沢辰男
○小沢政府委員 せっかくの御議論でございますが、私は必ずしもそうは思わないのでございまして、課税最低限を大いに引き上げるということについては私どもも毎年努力をしてまいりたいと思いますが、先生御承知のように、一方において減税の恩典に全然浴さない国民というものが非常に大きな層があるわけでございます。そういたしますと、ある議論は、減税をやるかあるいは社会保障をやるかということについてのいろいろ真剣な議論もあるわけでございます。しかも私どもが、お説にありますように国民の税負担を軽減したいということから、今年度は思い切って課税最低限の引き上げをやったわけでございますから、そういう意味においては、政府の姿勢についてある程度、まあほめていただくまでにはいきませんけれども、御了解をいただかなければいかぬのじゃないだろうか。
しかも、先ほど来防衛費の問題についていろいろお話がございましたが、総予算の中で防衛費の占める割合というものは、諸外国に比べまして日本ほど低いものはございません。全体で約七%程度でございますし、しかも、毎年総予算に占める割合がどんどん上がってきているかというと、上がっておらないのでございます。今年度の予算全体の伸びが一四・八%と言われておる中で、防衛関係の費用はわずか一割の伸びにとどまっておる。四十年から四十一年についてはたしか一二、三%ふえておると思いますが、ことしはむしろ防衛予算の伸びは一割に押えているわけでございます。
そういう面からいろいろ考えまして、しかし、私どもとしては、おっしゃるように百万円までの目標に向かってできるだけ早く進みたいというようなことから、国会の与野党を通じての御意思を尊重して、可及的すみやかなる機会にこの目標に到達できるように努力しよう、こういう政府としての意思の表明もいたしておるわけでございますから、ひとつ総合的に御判断をいただければ、まあまあ納得していただけるのじゃないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/23
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024・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまの議論は少しおかしいのでありまして、次官のお話は、あなたがアメリカの大臣や次官であるならばわかるのですが、日本の憲法は、大体戦力を持たないということになっておるのであります。やはり日本のお役所はだれよりも先に日本の憲法の精神に従っていくべきなんです。そういう点からいくと、防衛問題は、私ここで憲法論争であるとか政治論争をしようと思わないけれども、外国の防衛費に比べると多いとか少ないとかということは、私は、日本の憲法のもとで政治を行なおうとする立場を放棄された言い方ではないかという感じがするのです。そうじゃなしに、日本の憲法のもとにおいては、これは外国との信頼の中で外交で解決して、そういう争いごとをしないというたてまえになっておる。そういうところへいっておるから、実際問題としてあれだけ戦力を持ちながらも、自衛隊の人たちは何か日陰者のような感じをいまだにしておるではないですか。だから、やはりまず、日本があれだけの犠牲を払って平和憲法をつくった、その平和憲法を発展させるのだという立場に次官がお立ちにならないと、平面的に外国の防衛費と日本の防衛費との比較をされて云々されるということは、私はおかしいのではないかと思う。そういう点で私はこの防衛費の問題を言っておるわけでありまして、私はやはり、先ほど来申し上げましたように、みんなで苦労するのならば、それはわれわれもわかるわけであります。おそらく国民大衆も納得をするところだと思う。ところが、片方では非常にはでな場面がある。また、非常に裕福な面がある。また、税制の面でもいろいろなそういう特別措置法に代表されるようなアンバランスがある。そういう中で大衆が苦しいということで私はお伺いしておるわけでありまして、私は質問を終わりますけれども、百万円の問題は、あくまで実質百万円ということをたてまえにしてこれからの財源措置の検討に入ってもらいたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/24
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025・小沢辰男
○小沢政府委員 先ほど申し上げましたように、予算委員会で各党一致の附帯決議もございまして、これに対する政府側の正式な考え方は申し上げているわけでございます。その附帯決議の趣旨に沿いまして、可及的すみやかに百万円までの最低限の引き上げという点を実現すべく、できるだけ私どもも努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/25
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026・阿部助哉
○阿部(助)委員 そういう点で、私は、政府の出しておりますたとえば「昭和四十二年度予算の説明」というのを見るのですが、これは主計局から出ておるのですが、これだけいろいろなことを書いてありますが、防衛費のことは省いてある。私たとにとってみれば、国民にとってみても、パーセンテージはまだそれほど大きくはないとかなんとかいっても、三千数百億、やがては四千億、五千億になっていく防衛費です。なぜこの問題だけは総説というところから省いておるのか。これは、何かさわられたくない、何かこの問題にはさわりたくないという気持ちはわからぬではないのですが、それをここに載せないというのは、主計局のほうはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/26
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027・小沢辰男
○小沢政府委員 政府として防衛力の充実問題について触れたくないという気持ちは一つもございません。私どもは、憲法で許された範囲における自分の国の自衛という問題については、これは平和憲法でも許されるものだという考え方で統一をされて、過去もうずっと国会でも議論がございましたが、そういうことで来ているわけでございます。しかも、御承知のとおり、終戦後いろいろな問題がありましたけれども、日本の経済復興というものを中心に考え、それから社会保障なりあるいは他の日本の社会資本の充実ということを優先的に念頭に置いてやってきているものですから、それにもかかわらずいわゆる防衛関係の経費についてはできるだけ圧縮をし、この伸びについても過去は平均してずっと一割以内にとどめてきております。大体八%程度で来ておるわけでございますから、私ども、決してそういう点について触れたがらないとかいうような気持ちではございません。はっきりした考え方とその政策のもとに進めてまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/27
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028・阿部助哉
○阿部(助)委員 そういうことを聞いてない。具体的にこの総説の十二番目には「地方財政の充実」というところまで載せてあるのです。ところが、防衛関係だけは除いてある。これはどういう意図なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/28
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029・小沢辰男
○小沢政府委員 七%程度の金額は少ないものですから、特にあげなかったまででございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/29
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030・阿部助哉
○阿部(助)委員 そうすると、防衛関係費というものは予算の中では取るに足らないんだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/30
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031・小沢辰男
○小沢政府委員 いろいろな御所見はございましょうけれども、私ども、印刷にいたしましたときの考えは、先ほど申し上げましたように、わずか七%程度のものでございますので、特にそこに掲上しなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/31
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032・阿部助哉
○阿部(助)委員 いまは七%ということでありますが、先ほどの御説明のように、第三次防衛計画が始まっていきますれば、これが大きな財政上の問題になる。しかも、もう一つあれなのは、企画庁から出しておる、政府から出しておるところの「四十年代への挑戦」という経済計画にも、防衛費の問題だけは触れていないのです。ほかはいろいろ触れてあるけれども、ここにも載ってないのです。そうすると、何かわれわれの目から見ると、どうも触れたくないものだから、何かいわれるのがいやだからこの問題に触れないのじゃないかという感じがする。しかし、だれが見ても、今度の第三次防衛計画というものが今後の日本の政治経済に及ぼす影響というものは無視できない。ましてや、これが政治的な論争になれば、これは何といったって無視できない大きな問題であろうと思う。財政上も経済上もまた無視できない。経団連あたりが、防衛費を国民所得の二%までにしろとか、防衛産業をどうしろとかといういろいろな要請を強くしておるのも、そういう点もあろうかと思う。そういう点で、この問題をほおかむりして通るというところに問題があるのであって、次官が言うような、パーセンテージが少ないから問題がないんだという感覚でこの問題は処理されるものではなかろうと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/32
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033・岩尾一
○岩尾政府委員 「予算の説明」あるいは先ほどお話のありました「社会経済発展計画」に防衛費が書いてないのはどういうわけかという御質問でございますが、政務次官からお答えいたしましたように、特にわれわれが防衛費を重視していないとか、あるいはパーセントが非常に低いという理由だけではございません。もちろん、先生のおっしゃるように、防衛費というものは政治的には非常に大きな問題を含んでおると思います。しかし、財政計画あるいは長期の国民経済の中に占める地位ということで考えますと、御承知のようにGNPは四十兆でありますから、その中の三千億ということでございますし、全体の予算が四兆九千億のときの三千億でございますから、御説明として取り上げる問題としては、そういった全体の経済計画の中でどれだけの影響を持つか、非常に大きな影響を持つものについて特に御説明を申し上げるという趣旨で、掲上していないわけでございます。
そういうことでございますので、特にこれだけを意識的にはずすとか取り除くということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/33
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034・阿部助哉
○阿部(助)委員 特にはずしたわけでないというのですが、この問題はこれからの日本の政治経済全般にわたって非常に大きな問題であろうと私は思いますので、隠してないんだということならば幸いでありますけれども、これが国会論議の場に出るような形でやらないと、ますますおかしなものに政治がひん曲がってくるという心配をするわけでございます。
要望を申し上げまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/34
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035・三池信
○三池委員長代理 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/35
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036・堀昌雄
○堀委員 本日は主として法人税を中心にして議論する予定でありますけれども、最初にちょっと所得税の問題に触れておきたいと思います。
主税局長にお伺いいたしますが、昭和三十五年の、これは世帯人員が四・三五ですから、五人世帯ではちょっと無理かもしれないが、四人世帯の課税最低限は三十五年で幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/36
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037・塩崎潤
○塩崎政府委員 昭和三十五年の給与所得者、夫婦子二人、最低限は二十八万九千六百二十七円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/37
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038・堀昌雄
○堀委員 昭和三十五年ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/38
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039・塩崎潤
○塩崎政府委員 昭和三十五年分でございます。夫婦子二人、ちょうど四人でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/39
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040・堀昌雄
○堀委員 四人で二十八万ですか。もう一ぺん言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/40
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041・塩崎潤
○塩崎政府委員 それじゃ少し申し上げますと、三十五年分の給与所得者の課税最低限は、夫婦子二人、二十八万九千六百二十七円、夫婦子三人ならば三十二万七千九百十二円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/41
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042・堀昌雄
○堀委員 四十年……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/42
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043・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十年は、夫婦子二人は四十七万四千三十六円、夫婦子三人ならば五十四万四千二百五十九円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/43
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044・堀昌雄
○堀委員 実は、課税の問題というのは、これまではどちらかというと大蔵省側の資料を中心にしてわれわれいつも議論してきたわけですが、きょうは総理府の家計調査の中身の中で、一体昭和三十五年と四十年における非消費支出というものはどういう形に動いておるのかというのを調べてみました。
そこで、昭和三十五年の人口五万以上の都市の一世帯当たりの月平均の実収入というのは四万八百九十五円、こういうことになっているわけです。この四万八百九十五円に対する非消費支出というのが三千百八十七円、その中に占める給与所得税が千三百七十五円、その他の税が六百三十一円、社会保険その他の保険料、社会保障費ですね、これが千百十五円、こういうのが昭和三十五年の非消費支出の姿であります。
昭和四十年になると、やはり同じ五万人以上の都市の一世帯当たり一カ月平均の実収入は六万八千四百十九円ということになりました。これに対して非消費支出は六千七十九円で、所得税が二千二百九十一円、その他の税が千四百七十四円、社会保障関係費用が二千二百八円、こういうことに実はなっておるわけです。
で、いま私が課税最低限を、ちょっと時間がなくて見てなかったものですから最初に聞いたわけでありますけれども、標準世帯になっておるものが大体四・三から四・二四ぐらいのところにこのサンプルはなっておるわけですから、いまの四人と五人の中間的なところ、これは平均値ですから、と見ていいんじゃないか。そうしてみますと、課税最低限を実はわずかに上回るという状態に昭和三十五年のときはなっています。四十年になると、これは十数万円実は課税最低限を上回ることになっておるわけですが、それから見まして、この間の物価の問題は、消費者物価が三十五年一〇〇で、昭和四十年が一三五・二というのが指数であります。ですから、これを一応デフレートして考えなければならないわけですが、少なくとも、この間を見て一つ言えることは、全体の平均値だけで見ますと、所得税のふえ方は、ふえてはおりますけれども、累次の減税が効果を持ってきて、ふえ方は比較的少ない。ところが、その他の税の部分は、これは実は著しく増加をしておるし、きょう私はちょっと岩尾さんに残ってもらいたいというのは、あとからも申しますけれども、社会保障関係費用というのが非常に大きくこの間ふえてきている。このときの千百十五円が二千二百八円でありますけれども、これを実は現金実収入階級別で中身を少し調べてみますと、収入の少い階層においてこの傾向はさらに顕著になっておる、こういうことであります。
そこで、さっきのデフレーターを考えて基準を比較してみることに少ししたわけであります。というのは、昭和四十年に四万円から四万五千円の間の実収入現金階級別の部分の平均値というものが四万二千二百四十九円なんです。これとちょうど、昭和三十五年の三万円から三万五千円の間の現金実収入三万二千二百十五円、これが物価が大体一三五になったということで見合う階層です。要するに、昭和三十五年に四万二千二百四十九円の収入のあった者が、物価が上がってきた結果、実質的には三万二千二百十五円の消費の力しかないということで、ここで横にこう割って比較をしてみますと、所得税については、昭和四十年は給与所得税二百六十五円、これは昭和三十五年の三百二十九円であったものが二百六十五円になってきていますから、明らかに減税効果は所得税では生まれてきておる。その次のその他の税になりますと、こちらは減っておるにもかかわらず、昭和三十五年には四百三円であったものが昭和四十年になると六百五十三円、要するに地方税はこの間逆にふえてきたということになります。さらに、社会保障関係費用は、昭和三十五年に一千七十円であったものが、千六百六十五円ということで、これは著しくふえてきておるということが言えるわけであります。この非消費支出が全体としては、昭和三十五年の三万二千二百十五円の実収入の人は千八百五十四円でありましたが、これが昭和四十年には二千六百八十八円とふえてきましたが、そのふえてきたのも、実は社会保障関係費用が一番大きなウエートを持っておる、その次が地方税、そうして減ったのは所得税だけだ、こういうことになってきておるわけですね。
私どもは、税の問題なりこういうものを見るときには、これまではその部分でものを見ていたわけですが、やはり、所得税の問題を考えていくときに、受ける家計の側から見ると、要するにそれは、所得税で払おうと、地方税で払おうと、社会保障関係費で払おうと、非消費支出としては、実は支出の形態としては同じことになっておるわけで、区別は、行く先は違うし、その用途は違いましょうけれども、受ける側の家計からすれば同一のファクターの中に入ってくる。こうなると、これは賀屋さんが前に言われたことでありますけれども、一体、減税か社会保障かという問題は、これはやはり、かなり考えてみなければならぬファクターになってくるのじゃないか。また、最近私たちは、所得税がどんどん減っていくにもかかわらず地方税が減らないということの問題は、この委員会を通じてずいぶん論議をしてまいりました。けさの新聞を見ると、一応課税最低限五十四万円ですか、一応の金額を明示して自治省は努力するようなことを言っております。ここをもし上げれば、下がることはたいへんけっこうだと思うのですけれども、今度は逆に、これからの健康保険法の改正その他がもし通過をするようなことになると、また今度は、税の関係だけはどんどん減って、しかし社会保障関係費のほうはどんどんふえて、結局トータルとしてみると、家計の負担はちっとも変わらない、こういう問題が、実は家計の側からの給与所得の問題を少し調べてみると、あらわれてきておるわけですね。
そこで、日本の税金はその他の国と比べてなお依然として高いし、さらに、物価の上昇が現状のような形で続いておる限りは、やはり私は、所得税の減税というものは今後も引き続きやっていくという必要は非常に大きくあると思うのです。あるけれども、せっかく所得税で減らしたと思っても、ともかくあとでトータルをしてみるとちっとも負担は減らなかったんだということは、やはり少し問題がある、こう思います。
最初にちょっと岩尾次長のほうから、こういう形がこのまま進んでいけば所得税減税はあまり意味がないんじゃないかということにもなりかねないので、そこらの点についてひとつ大蔵省としてのお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/44
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045・岩尾一
○岩尾政府委員 私、手元にいま先生の御指摘になりました家計調査の資料を持っておりませんので、こまかいことは御説明できないかと思いますが、御質問の趣旨に対してはお答えできるのではないかと思います。
まず、勤労者家計におきまして、三十五年から四十年までの間に税金は非常に調整されておるけれども、社会保障負担、おそらくその大半は保険負担だと思いますが、それがふえているというのはおかしいではないかという議論でございますが、これは、先生もよく御承知のように、ここ数年来日本の社会保障というものは非常に早いテンポで拡充をされてまいりました。したがって、社会保障の中には、いわゆる公的な税金をもってまかなう面もございますし、また、それぞれ連帯意識によりまして社会保険によってまかなうものもあるわけでございます。そうすると、まず窓口自体が、たとえば国民年金でございますとか、あるいは国民健康保険の七割給付の拡大というようなことでございますとか、非常に画期的にそういった保険負担の面がふえてまいったわけでございます。
そこで、これは多少議論になりますが、地方税でもございましたように、保険におきましては受益者負担という原則がございますから、したがって、受ける給付というものがよくなれば、それに伴って出す負担というものも上がることは当然あるんだ、たとえば、国民健康保険におきましては、生活保護世帯以外には、軽減はございますけれども免税はないというようなことで、当然受益に対して負担するという形をとられておるわけでございます。そこで、いま申されました家計支出の場合におきましての負担というものは非常にふえておると思いますが、また、国民経済全体で見ますと、振替所得と申しますか、国民が受け取る社会保障の利益といいますか、振替所得の面で見ますると、やはりこれに応ずる以上にたくさんの増加というものが三十年から四十年にかけてあるわけでございます。そういう意味で、実際上はこういう形になっておりますが、医療の負担を非常に軽くして一朝有事の際には全部それがカバーできるという体制に持っていくための社会保険の負担というものはふえてきたということで、そういう受益の面を見ていただきますならば、現下の趨勢といたしまして、日本の社会保障の拡充という面から見ますると、ある程度家計支出におきます負担はふえましても、日本は各国に比べて中身が非常にまだ充実しておりませんから、それを拡大するためには、ある程度必要ではなかったかと思います。
それから、将来につきましては、これも先生の御指摘のように、税金を減らしてみても、こっちがふえたんじゃ何にもならぬじゃないかというお話は、まさにそのとおりだと思います。さらに、将来の国民の負担については、全体の振替所得というもの、あるいは振替支出というものがどういう形で配分をされるべきか、税の面で見るべきか保険料の面でふやしていくべきかということは、これは非常に大きな問題でございまして、私どものほうから言いますと、どうも減税よりも税金をふやしていただいて社会保障を充実したいというような気持ちもございますが、一方また、社会保険料をどんどんふやして、そして全体の社会保障を充実したらいいじゃないかというような要望もあるわけでございます。それ全部を含めまして、現在の社会経済発展計画におきましては、社会保障の伸びというものを一七%ということで設定をいたしております。これは過去におきまするいま申したような社会保障の充実のテンポと同じテンポでございます。御承知のように、過去においては、窓口がなかったものを新しく国民年金をつくるとか新しく国民健康保険で七割給付をやるとかいうような新しい要素があったわけでございまして、これからは、もうできておる窓口を広げていくだけでございますから、そのときに一七%の伸びを見ることは非常に大きな社会保障の充実になるのではないかと思います。そういう意味合いで、全体のシェアに占める意味から言いましても、従来の五、六%から七%を目標として進めていくということでございますから、そういう面で受益の面も非常にあるかと思いますので、その負担を実際税金で見るか社会保険料で見るかというところは、受益の面も考慮いただいて判断いただければ幸いかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/45
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046・堀昌雄
○堀委員 確かに給付されておる内容は上がってきたと思いますが、私は、いまの所得税がこういう形で家計の中で平均的なところではわりに負担が減りつつあることはたいへんいいことだと思っておるのですが、それで十分だということではありませんが、いいことだと思うけれども、やや社会保障関係費用というもののふえ方がこの間は大き過ぎる。だから、やはりここは、実はいま在外財産の補償問題というのが与党と政府の間で行なわれておりますが、在外財産の補償についても、必要なものもあろうかと思いますけれども、この金額は二千億になんなんとするようなものが現在出ておる。しかし、政府管掌健康保険の問題は、一千億あまりの赤字でもたいへんドラスティックな措置がとられようとしておる。そういうほかのものとの権衡を考えてみますと、われわれはやはり、この社会保障費もあまりふえないかっこうで、国ももう少し何らかの負担を考えていくという方法をとるべきではないのか。ある程度ふえることは、内容と見合ってのふえ方というものならある程度やむを得ないけれども、この資料だけで見ますと、この間のふえ方は非常に著しいふえ方をしておる。せっかく片方で減税しておっても、あまりそれが生きてこない。結局非消費支出は全体としてはふえるのだということでは、われわれ、この委員会で減税を一生懸命やろうといって、減税だけの面から見ますと何だか減税されておるというふうな錯覚を持つわけですけれども、こうやって一ぺん家計の中に入って中身をひっくり返してみると、減税の効果はほかのもので相殺をされてきておるというのでは、どうもいかにも当委員会としては残念だという感じがしてならないわけです。
私は、きょうは本題としてはそのことをやろうと思ったのではないのですが、家計支出の中身について一ぺん累年比較をしてみたらどういうことになるかと思って、ちょっと調べてみたのですが、ここに一つの最近の傾向というものがはっきり読み取れるものですから、特に担当の次長である岩尾次長にはこういうことを頭に置いてもらって、今後の問題について考えておいてもらいたいということをちょっと要望いたしておきます。
それでは、きょうの本題に入りまして、これは国税庁ならわかるのではないかと思うのですが、昭和四十年度の税務統計というのは大体皆さんのお手元にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/46
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047・泉美之松
○泉政府委員 ものによって、法人税とか申告所得税とか、そういうものはできつつありますが、全部まとめたものは、まだこれから印刷に回す段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/47
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048・堀昌雄
○堀委員 私、きょうは数で答えてもらえばけっこうです。大体三十九年までは多少わかるのですけれども、わからないのは三十九年でもいいですが、最初にお伺いをしたいのは、現在の所得税法で配当控除という制度があります。そこで、三十九年でも四十年でもいいですが、配当控除によって減収になっておる金額は一体幾らあるか、これをひとつ出していただきたい。国税庁でも主税局でも、どっちでもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/48
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049・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十年の実績で見ますと、百六十七億五百万ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/49
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050・堀昌雄
○堀委員 その次に、配当軽課によって減収が立っておるはずですが、まず支払い配当の軽課による減収、受け取り配当の益金不算入制限による増収額、配当控除率の制限による増収額、差し引き配当軽課による減収額、こういうふうになります。これを昭和四十年でわかればひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/50
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051・塩崎潤
○塩崎政府委員 支払い配当の軽減税率は直ちに出ますが、受け取り配当のほうはちょっと時間をかしていただきませんと出ませんので、別の問題の御質問でもしていただければ、その間に計算をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/51
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052・堀昌雄
○堀委員 きょう私が少し具体的な数を伺っておりますのは 四十一年十一月の税制調査会の中間答申で、法人税を法人独自の負担と考えるたとえば法人利潤税方式という方向で今後は検討を進めたい、しかしいろいろと問題もあるから、こうなっておるわけです。そこで、これがいま申し上げたのに非常に関係があるわけでありますが、いま非常に問題になっている資本の自由化という問題ですね。この資本の自由化はOECDに加盟したときに当然予想されることであったにもかかわらず、それ以来今日まで政府としてはこの資本自由化対策というものを何らとられておらなかったということは、私は政府の怠慢だと思います。ということは、資本の自由化の場合に一つの大きな問題点になるのは、まず日本の企業の持っておる力の問題、日本の企業の持っておる力という点で一番資本の自由化に関係のあるのは、やはり資本金ではないか、こういうふうに思うのです。
そこで、証券局長にお伺いいたしますけれども、昭和四十年の——こまかい法人は外資の問題はありませんけれども、主要企業で一体資本金は全体の中の幾らのウエートを占めておるか。アメリカ、イギリス、西ドイツでは、同じように資本金だけ見ると、これが全体の中で幾らのウエートになっておるのか。これをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/52
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053・塩崎潤
○塩崎政府委員 主要企業の範囲をどの程度に置くかわかりませんが、私どもの税務統計では、法人全体でございますが、資本金は七兆八千二百十四億円ございます。そのうちの百億円以上のウエートは三四・六%になっております。五十億円の部分だけを見ますと九・二%、十億円のところで一八・四%、こんなようなウエートになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/53
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054・堀昌雄
○堀委員 私が聞いておりますのは、いまのそういうあれではなくて、負債と資本というかっこうで見ると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/54
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055・塩崎潤
○塩崎政府委員 総資本のうちのウエート……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/55
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056・堀昌雄
○堀委員 そうそう。要するに、もちろん自己資本の中には利益積み立て金もあるし、いろいろな要素もあるが、いまよくいわれておる、自己資本が二〇%だとかなんとかいうことばが盛んに使われておるわけです。主要企業は四十年で二一・六%になっておるわけですけれども、その中身の資本金だけははるかに小さいわけですから、それをアメリカ、イギリス、西ドイツを含めて、証券局のほうで、よそに比べて一体日本はどのくらいのところにあるのか、ちょっと答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/56
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057・加治木俊道
○加治木政府委員 主要企業の統計では、四十年度末、四十一年三月になりますが、総バランス、つまり総資産・総負債と言ってよろしいのですが、その中に占める自己資本の比率は二一・六%でございますが、資本金だけの比率でいきますと、一三・八%というような状況になっております。
各国の比率は、ただいま手元にありますのはその年度年度の調達の際の比率でございまして、総バランスに占める比率はございませんが、私の記憶で申し上げますと、大体アメリカあたりで、どこを主要企業といいますか、自己資本比率が六〇%から七〇%という企業が大体七〇%ぐらいになっております。その中で、資本金の比率が二五%から三〇%。内部留保の比率のほうが圧倒的に高い。
日本は、先ほど申し上げましたように、わずか二〇%ぐらいのうちで一三%から一四%ぐらいが払い込み資本であって、負担のかかる資本であって、内部留保についてはせいぜい七、八%、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/57
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058・塩崎潤
○塩崎政府委員 ただいま支払い配当の軽減税、受け取り配当を差し引いた数字が出ましたから申し上げますが、四百六十億円というふうに御記憶を願います。
〔三池委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/58
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059・堀昌雄
○堀委員 じゃ、私のほうから言いますと、アメリカは、一九六五年には大体総資本六〇・八%、その中に占める資本金は二二%ぐらい。イギリスは、一九六四年で六二・九ですけれども、その中の資本金は二八・七だ。西ドイツは、四一・一、その資本金が二二・一ある。こういうことです。
だから、これで見ますと、実は日本の一三・八というのは全く資本金としても小さい。この一番小さいやつをこれから金のあるやつが来て手に入れようと思えば、これはわけのないことになるのじゃないか。だから、私は、やはり資本自由化という問題を考える場合には、どうしても国全体としての方向は一いまあるトータル、さっき主税局長が答弁しましたように大体七兆八千二百十四億というような資本金の総ワクですから、それで幾らくっつけてみたところで総ワクに変わりはないということです。総ワクは同じなんだ。少し中でくっつけると、いまより少し力が大きくなる。あるいは資本金が大きくなる。しかし、大きくなってみたところで、向こうでその気になって外資でものをさわろうと思えば、簡単にいろいろな問題が起こってくる条件というものがある。どうしてもやはり、まず第一にわれわれが考えなければならぬのは、日本の企業の体質を強化しなければならぬという問題は、まず資本そのものももう少し大きくしなければいかぬということです。
ところが、私いろいろ最近の傾向を見て証券局長にお尋ねをしておきたいのだけれども、資本自由化対策ということで、最近企業の持ち合い株がまだふえつつあるということです。この企業間の持ち合い株というのは、これは一体何であるか。ここで七兆八千二百十四億というのは一応払い込み資本金になっているけれども、もし、この中で五〇%のものを法人が持っている、この持っておる分は持ち合いをしておるということになると、これは擬装の資本が七兆あるだけで、ほんとうの意味のネットの資本は七兆ないんだということになると思うのです。たとえば、私の会社がともかく十億の資本金で、そのうちの一億円を毛利物産に持たせる。毛利物産は五億の会社で、ここの株を一億私のところで持つ。両方で一億ずつ持ち合いにした場合には、現実にはこんなものは意味がないわけですよ。実際にはないと同様なんだ。だから、こういう実情がだんだん推進をされてくるというようなことは、これは安定株主操作ということで言われておるけれども、決して私は望ましい方向ではないと思う。
だから、ここで一つ問題になるのは、私がさっきからちょっと触れておりますけれども、日本の法人間の配当の受け払いの関係の問題がそういうことを助長する要因にも税制上なっているんじゃないかと思う。諸外国の例をずっと調べてみますと、要するに、受け取り配当をともかく全部非課税にしておるのはイギリスだけのようです。あとは、アメリカでも八五%を控除する、あるいは西ドイツでは原則としては全部課税する、フランスも親子の会社を別とすれば課税をするんだ。また、カナダは非課税。これはイギリスと似ておる国ですからそうなっておるようですが、イタリアも大体課税をしておるようであります。そういうふうに、諸外国でも実際は受け取り配当というのは課税をたてまえとしておる。幸いにして日本でもいろいろなやり方で少しは課税をしておられるけれども、この課税は全体の受け取り配当から見ると非常に少ない。これはやはり、私は、今後の資本自由化対策等の面から考えてみても、そういう問題がもっと整理されてくるかっこうにならないといけないのではないか。きのう只松君が問題を提起しました、大法人と中小のものとの格差の中にはこの配当軽課という問題が非常に大きく作用しているということもまたいなめないとするならば、私は、方向としてはどうしても、資本自由化対策というような問題を考えてみても、税制上でももうちょっとこれに対応できるような方向での税制のあり方というものが少し真剣に考えられなければならぬのじゃないか。同時に、そのことは自己資本を高めるという方向での問題を含めてやはり検討の余地があるんじゃないか。だから、この場合に、そういう意味で法人実在説にして、法人における負担の限度を明らかにしていくということが、当面非常にこの資本自由化対策を含めて問題になるのじゃないか、こういう感じがするわけです。
そこで、税制のあり方として、実在説に向かっていく過程にはいろいろな問題点があるでしょうから、その問題点について大蔵省側から、どういう問題点があるということだけをひとつ先に出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/59
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060・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう堀先生の御指摘のとおりでございまして、現在の法人税は非常に問題がありますし、基本的な検討の時期だと思います。その一つといたしまして、法人実在説に基づきますところの利潤税構想と申しますか、ともかくも法人税というものは法人企業の負担であるという一番簡単な思想が基礎になっているわけでございますが、問題点がたくさんございます。
まず第一には、経過的な問題点が中心になるかと思いまするけれども、現在の仕組みを変えることによって株主側が受けるところの影響をどういうふうに救っていくかというのがまず第一の問題であろうと思います。
第二は、支払い配当と留保との税率には区別がございますが、利潤税構想と申しますか、法人利潤税というからには、支払い配当と留保との間の区別がないほうがすなおな姿であることはもう御承知のとおりであります。そうなりますと、企業の側にも一つの変動が起こる。これが私は大きな問題点だと思います。これをどうするかという問題がございます。
それから、第三には、現在ならば株式取得税の前払いという擬制的な思想から、所得税とのバランスを主として考える。所得税の源泉徴収というのは私はあんまり税率の目安にはならぬと思いますが、シャウプはそれを一つの目安といたしまして税率を組んだとこういいますから、独立利潤税にいたします際には、その利潤税の税率の目安をどこに置くかという問題が私は一つ起こってくると思うのでございます。
それから、第四には、先生お気づきのように、独立利潤税といいましても、持ち合いといういろんな不自然なかっこうは除きますれば、法人企業は法人企業としての有利さを活用して企業を営むときに、親子会社という関係がありながら何回も課税されていくことははたしてどうであろうかということ。
この四つの問題点のほかに、大企業と中小企業との間の税率をどうするか、これはいまでもある問題でございますが、こんなような問題がたくさんございます。
こんなような問題を一つ一つ解きほぐし、さらにまた、一つ大事なことは、シャウプ税制が企業の経営者にも株主にも全く受け入れられない、社会にとけ込まないままで来て、経営者に言わせますと配当控除というものが天から降ってわいた恩典である。こんなような仕組みを知らないで配当率は全くそれと関係しなくてきめておるというようなことのないように、法人実在説にいたしましても、どんな税制をとるにいたしましても、もう少し経営者、投資家が理解するためのPRと申しますか、これが一番大事なことではないか。これがなかなか、専門家の仕事であって、でき上がった後に適用すればいいというような基本の態度、これが私、最大の問題点だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/60
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061・堀昌雄
○堀委員 まあ、法人実在説といっても、いまの制度から移っていくわけですから、一ぺんにあしたからどう変えるということにはならぬと思います。ならぬと思いますから、私はやはり、ここで考えていかなきゃならぬのは、さっきの四十年の百六十七億にのぼるところの配当控除の問題ですね。この配当控除の問題と、それから、あとで租税特別措置でいろいろ問題になるでありましょうけれども、いまの租税特別措置の問題と、二つこう並べて考えてみるときに、源泉所得税の累年比較を見ると、昭和三十五年には配当による源泉所得税というのは三百十六億六千百万円だった。これを指数一〇〇として置いてみて、三十六年には一三六、三十七年に一五六まで上がったのが、三十八年には一〇一になり、三十九年には九七ということになってきておるわけです。金額で言えば、配当源泉所得税は三十五年には三百十六億六千百万円だったものが、三十九年には三百八億四千七百万円と実額で減ってきた、こういうことですね。これが減ってきたのはそれではなぜか。もちろん配当そのものが多少減っておるという問題もありましょう。ありましょうけれども、これはいまの税の処置がともかく非常に大きく影響しておるのであって、その他は、利子所得が三十九年で二一九、給与の伸びが二一六、退職が二一四、事業その他が二二〇、全体で源泉所得税は三十五年と三十九年の比較では大体二〇四ぐらいが全体の平均値になっておるというのにかかわらず、配当だけが九七というのは、これは現在の税制上やはり配当には非常にメリットがかかっておる。だから、こういう状態なら、私は、少なくとも早急に配当控除だけをまず処置するという考え方を取り入れてしかるべきではないのか、こういうふうに思うわけです。これは多分に政治的な問題だから、あなた方の答えにくいところもあろうと思うけれども、技術論として見ると、私は公平の原則から見てどうもおかしい。いまのシャウプ税制の法人擬制説の一番大きな問題点は、何といってもこの配当控除ですから、ここのところは、こういういまの配当の姿から見るならば、配当控除は取っ払っても差しつかえないのじゃないか。それは、一ぺんに取っ払っうか、いまの一五%を一〇%、五%、ゼロにするという方法もあるであろう。やり方はともかくとして、一番最初に手をつけるのはここじゃないか。技術論としてはどうですか、政治論は大臣が来たときにまたあらためてやるとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/61
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062・塩崎潤
○塩崎政府委員 技術論と申しますか、配当控除がどうしてあるのかという点がなかなか御理解が得られない。国会の税法の御審議の際にも、なぜ二百二十六万五千円まで配当ならば非課税であるかという点を私どもが御説明いたしましても、皆さんわかったような顔をしていただけない。そこに私は一番問題があろうかと思います。八幡製鉄あるいはその他の会社が納めた法人税を、八幡製鉄その他の会社の株主が支払ったものと考える意識がまだまだないというところに、二百二十六万五千円の問題があろうかと思うのでございます。それがイギリスのように完全に配当率の中に織り込んでおれば問題ないのですが、もう一つ悪いことは、経営者がそんなものを意識しないで配当率をきめるために、どうも企業のほうが痛んで株主側が偶然的に税制上得をしておるような感じがする。技術論になるかどうかわかりませんが、どうも企業の経営者はいつもその点を文句を言いまして、利子を一割支払うためには一割もうければいい、配当を一割にするためには二割もうけなければならぬ、これは私は配当控除を全く考えていない結果だと思うのです。ここを考えてくれればいいのですが、二十五年から四十二年まで十七年やってきまして同じ議論が繰り返されておるところを見ると、どうも不自然なような気がいたしまして、そこに法人税の問題を考えなければならぬという第一の契機があるのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/62
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063・堀昌雄
○堀委員 だから、私が言っているのは、いまの減収額は昭和四十年で百六十七億五百万円、いまたいした額じゃないわけですよ。だから、さっき私が触れたように、配当の源泉所得税というものが、これは税法やいろいろな問題で減ってきておる。根っこも減っておるだろうけれども、減ってきておる。それは支払い配当そのものは減っていないのですから、企業が外へ出していい支払い配当そのものは全部出してきているのですから、これは税法上の問題であろうと思うのです。やはり、もしこれを二百万にするとなると、ここで三百億からのものを本来負担すべきものが負担されていない。ほかの利子なりその他の全体のベースから見るならば、当然源泉の問題だってもうちょっとふえてもいいじゃないか。ふえ方は、これが二百万になるかどうか別ですが……。
ちょっと証券局、いまの数字はあれだから、証券局に伺いますが、昭和三十五年と三十九年の支払い配当の総額は幾らと幾らですか。三十七年からはありますね。三十七年は五千三十二億、それで三十九年は六千五百七十四億。だから、三十五年というのがわかればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/63
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064・加治木俊道
○加治木政府委員 配当金額で出ておりませんで、三十五年度は配当率が一〇・一%です。資本金が主要企業で申し上げますと二兆二千十六億円に対して、配当率が一〇・一%ということで、これを掛け合わせれば数字が出るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/64
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065・塩崎潤
○塩崎政府委員 私のは証券局の発表の数字と違うかもしれませんが、三十五年は二千八百五十三億円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/65
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066・堀昌雄
○堀委員 やはり、それで見ると、配当そのもの一は、三十五年二千八百五十三億、三十九年六千五一百七十四億ですから、倍以上になっているわけです。支払い配当は倍になっておるけれども、源泉徴収は三十五年と三十九年では九七に下がっている。だから、あとの総合課税のところはどうなるかは別だけれども、現在はいまの源泉選択をやって要領よくやっているから、おそらくあと総合で入ってくるものはそう幾らもないのではないかと思うと、やはりここらもずいぶんいま税法上のメリットがきいておるような気がするのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/66
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067・塩崎潤
○塩崎政府委員 その点は、三十七年から源泉税率を一〇%から五%に下げたこの影響でございます。配当金額は倍になりましたけれども、税率が半分ということになりましたので、三十八年から三十九年に減っておりますのはその関係を示すものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/67
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068・堀昌雄
○堀委員 四十年は元へ戻りましたね。四十年の源泉所得の配当は幾らですか。これはちょっと私のところでは三十九年までしかわからないのですが、四十年は出ておるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/68
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069・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十年度の配当金の支払い総額は六千七百九十一億円になっております。この種の税収は時期的にはズレもありますので、ぴしゃっと一割になっておりませんが、六百八億六千二百万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/69
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070・堀昌雄
○堀委員 わかりました。私ちょっといまの五%に下がったものを見落としていたわけだが、実は利子のほうがあまり下がっていないものだから、同じようにこれは五%に下がっているはずなんだけれども、なるほど三十八年には一九七から一八三だから少し下がってはおるけれども、全体としては三十九年には二一九というところに利子が来ているものだから、私はうっかりそこの源泉の比率を見落としておりましたけれども、ともかく、順序としては、この配当控除をまずひとつ取っ払うという問題から入っていったらどうなのか。
その次にやはりもう一つの問題は、実は法人税法の二十三条の三項の負債利子の処置のしかたでありますけれども、現在の日本の企業は、さっき証券局長も答えたように、実は全部猛烈な負債があるわけですよ。借り入れ金が猛烈にある。そうして、借金をしておる者がさらに株の持ち合いをやっておるわけです。これはすでにおかしいわけです。だから、そのことは、裏返せば、金に糸目はつけていないわけだから、株を買うために借金をしたのではございませんというかもしれないけれども、言うなれば、相手の会社の株が買えるほどなら、まず借金を返すのがたてまえなんです。それを借金を返さないで株を買っておるということは、やはりこれは負債利子の適用をもっときびしくすべきではないのか、受け取り配当段階できびしくすべきではないのか、こう思うけれども、国税庁長官、これはどうでしょうか。これ、あなたのほうは取るほうだからね。実行上の問題はあなたのほうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/70
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071・塩崎潤
○塩崎政府委員 制度的に、先生のおっしゃったように自然になるのでございます。と申しますのは、全く、おっしゃいましたように、負債利子といいましても金に糸目はついておりませんので、現在のやり方は、株式とそれ以外の資産案分で借金の利子を案分することにいたします。これは不合理だ不合理だと私ども企業のほうからしかられておるわけでございますが、何も株はふえないのに、借金がふえていく、それから設備がふえていく、借金がふえていきますと自然に、そちらのほうへ借金の利子支払いがふえていくと負債利子がふえていくというような非難がありまして、おのずと自動的に計算する仕組みの結果ではございますが、そんなような関係で受け取り配当の益金不算入の額が減少していくという現象を、いつもしかられておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/71
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072・堀昌雄
○堀委員 それにしてもこれは少ないのですよ、これによる部分がね。もっと大きくなっていいのじゃないか。では、いまのところを、さっき四百六十億と総額で答えてもらったので、ちょっと中身がよくわからないのだけれども、いまの法人税法二十三条三項で増収になっているのは、四十年度で一体幾らあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/72
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073・塩崎潤
○塩崎政府委員 約二百六十五億円ばかり、この分だけで増収になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/73
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074・堀昌雄
○堀委員 私のほうで見ると、三十九年の受け取り配当は千八百二十六億円あるのです。だから、千八百二十六億円の中でこの負債利子で増収になるのがわずかに二百六十五億というのは、これはずいぶん小さいですね。ところが、この千八百二十六億の企業をずっと調べてみたら、ともかく全部非常に多額の負債があるのです。その負債の中身の計算を個々にしているわけではないけれども、全部負債があるのです。だから、私は、いまのこの状態から見ると、これは三十九年だから、四十年の受け取り配当と、負債利子それから所得の例の四分の一の上積みをするやつ、これとの比率、要するに、受け取り配当の一種の控除というか、実行上控除になっておる比率というのは、四十年度どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/74
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075・塩崎潤
○塩崎政府委員 時期によって違いますけれども、二割から四割ぐらいは負債利子でかかっておりますから、七割から六割ぐらいが益金不算入になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/75
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076・堀昌雄
○堀委員 ちょっといまのは非常に数が動いてはっきりしませんけれども、私は、この点は、もう少しきちんとした処理がされるように、ひとつ皆さん方のほうでもう少し検討してもらいたいと思うのです。そういうふうなものがきびしくなってくるにつれて——まあこの考え自体は大体擬制説の考えではありませんからね。だから、そういうものが前へ出ていくにつれて、やはりそっちの面からだんだん実在の方向にいく、受け取り配当控除の面からもこういく、あっちからもこっちからも攻めのぼっていかないことには、この問題というのは理論で片づく問題ではなくて、現実のものを積み上げていったときに、ある時点に来たらどうやら擬制説というしっぽはとれておったということになるようないき方以外には手はないのじゃないか、私はこういうふうな感じがするわけです。どうですか、そこらは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/76
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077・塩崎潤
○塩崎政府委員 全く御指摘のとおり、負債利子控除自体は、擬制説の考えでは出てまいらないのでございます。私はしばしば言っておるのでございますが、シャウプ税制の擬制説をいかに不十分にしか受け入れられなかったかという事例の一例といたしましてこの負債利子控除があると、こう言っております。銀行が社債を買う場合に、預金の利子を払いながら社債を買うか株式を持つかといった場合に、配当率と社債の利子率とを比較すると思います。そのとき、本来なら、株式の配当のほうはすでに課税を受けておるわけでございますから、預金の利子をそこにチャージしてはおかしいのでありますが、配当率が、ふしぎなことに、法人税の益金不算入とか受け取り配当控除制度とかいうのを織り込んでおりませんので、やはり社債とバランスをとった配当率になっておる。そうなりますと、負債利子控除をしないとおかしい結果になってくる。こんなことが二十五年シャウプ税制の当初から行なわれておって、ふしぎに思われてならない。このあたりが法人擬制説がなかなか日本で受け入れられないことの例証である。これは私は配当率に基本的に問題があると思いますが、そんなような関係で、これは企業の側が最近気がつきまして、おかしいではないかと言われておるのですが、実は配当率を指摘すると、どうも何とも言えないということで、この問題はいまだに結論を見ない、こんなような状況でございます。
私ども、そんな点を明らかにいたしまして議論はしておりますが、こんなようなところが私は法人擬制説と実在説との折衝点であろう、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/77
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078・堀昌雄
○堀委員 大体時間が来ましたから、午前中の問題は一応この程度にいたしますが、証券局長は午後出席しないようでありますから、ちょっと証券局長に聞いておきますが、配当コストの問題です。主税局の資料で見ると、現在の配当軽課で、大体百円の配当をするためには百七十円コストがかかるということのようですね。これはしかし、確かに一面的には私は増資に対する抑制的な力を持っておるのじゃないか、こう思っておるのですが、あなたのほうでは、今後増資をしやすいようにするということのためには税制がどういう姿になるほうがいいのか、これは証券局プロパーの問題としてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/78
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079・加治木俊道
○加治木政府委員 中小企業と大企業でちょっと違いますけれども、一般に企業の経営者の立場から言いますと、資金の調達ルートがいろいろあるわけです。自己資金ももちろんありますけれども、増資でまかなう場合、銀行の借り入れ金でまかなう場合、典型的な場合はそういうことでございますが、いわば株主は内部株主でございません。現在は所有と経営は分離されておりますから、外部からの資金調達という関係を同様に持っておるわけですね、資本金を払い込みで取る場合。その場合に、資本金の場合ですと一割の配当をするためには二割近いコストがかかる、銀行は、もし一割の金利を取られても、一割で済む、こういう感じが、端的に、現実に増資能力がある場合でも手軽に銀行の借金で済ましたほうがいいという考え方を経営者の大部分の人は実は持っておるわけであります。資本というものの意味を実は経営者が理解していない一つの証拠だと思うのでありますが、現実に計算はそういうことになるということでありますから、もし税制上可能ならば、いろいろな技術的な問題はございますけれども、この辺の処遇を同じようにする方法があり得ないものかどうか。税理論としても、たとえば、いま独立課税説というようなものがもし理論としても打ち立てられ得るならば、その点も同時に解決し得るのじゃないかということも、私はむしろひそかに期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/79
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080・堀昌雄
○堀委員 一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/80
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081・内田常雄
○内田委員長 午前中はこの程度にいたし、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
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午後一時五十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/81
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082・三池信
○三池委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/82
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083・堀昌雄
○堀委員 私、昨日関連質問で取り上げた問題でありますけれども、交際費課税の問題で国民感情として、日常の慣行の範囲ということに本来基準を限るべきではないか、こう考えるわけです。
そこで、これは取り扱いの問題になるわけでありますが、各企業に、これは国税庁からの、何というか、伝える方法ということになるのでしょうが、御承知のように、遊興飲食に関するものは当然公給領収証が用いられておるものがほとんどだろうと思います。まあ、ごく小さなものは別でありましょうが。そこで、公給領収証には、御承知のように、片方にただ金額と人数を書いた半ピラがついていますが、同時に、本来公給領収証は右側に明細書というものが必ず添付されておるわけであります。ですから、今後は、交際費の取り扱いについては、まず明細込みの公給領収証を領収証には添付をしろということをまず第一点として取りきめをしてもらいたいと思います。そのことは交際費の内容を調査するのに非常に役立つ問題ではないか。
第二点としては、大体常識的な線で、たとえば、一人一回五千円なら五千円というものが一応の基準であって、一人五千円以上を上回る遊興飲食費については、これはもう対象としない。そこから一人当たりでこえた分は損金としては見ない。要するに、一人当たり五千円といっても、現在の国民感情からすれば、相当高額なる遊興飲食費であるというふうに理解をされますから、その点において一人当たりの支出——アメリカの制度は、たしか一人当たり幾らという基準が設けられておるわけでありますから、アメリカの制度を取り入れる意味においても、このあたりは国民感情として納得のできる線を一応明らかにして、これを上回るものは損金としては認めない、こういう問題を少し皆さんのほうで検討を進めていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/83
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084・塩崎潤
○塩崎政府委員 交際費の問題はいつもここで議論の出るところでございまして、私どもも種々の方法を研究したわけでございます。
今回、期限切れの機会にあたりまして改正案を御提案申し上げておりますのは、全体的な交際費をつかむ方法でございまして、いま堀先生のおっしゃいましたのは、もう少し内容に突っ込んだような交際費否認も考えていったらどうかという御提案でございます。
第一は、公給領収証を基準とする、つまり、公給領収証がなければ、それに基づく飲食費は損金に見ないという考え方だと思います。私は一つのいき方だと思います。ただ問題は、公給領収証を一々税務官吏がチェックしていくというようなこと、これは自動的に法律上認められればそれでいいのかもしれませんが、やっかいだという問題もありまして、今回は採用しなかったわけであります。これは相当前でございましたか、昭和二十九年ごろできます際にそういうことが地方税の徴収確保の見地から言われたことがありまして、私どもは、どうも税務の調査の現状から見て一々チェックすることができない、会計検査院があとから見て、これをまた否認をしておったというようなことを言われますと、とてもついていけないというようなことで実施にならなかった経過がございますが、おっしゃるような意味も十分わかりますので、これからひとつ研究さしていただきたいと思います。
第二の一人当たり五千円、これもアメリカが年二十五ドル、ドイツが一人当たり百ドイツマルク、九千円程度をこえるとだめだという制度がございます。これも研究してみたのですが、なかなかやり方がむずかしくて、昭和十五年ごろの遊興飲食税の漫画でも比喩されておったことをときどき思い出しますが、一人五千円と申しますと、たとえば、高い食事をとって、運転手をそばにすわらせてよだれをたらさせていても、一人当たりの金額が五千円以下になることを考えますと、どうもうまくいかない。アメリカは、どういうふうに考えていいのか、納税倫理がいいのか、そういった良心的なことで片づけなければできないようなことが実現できておる、しかし、それでもアメリカでは、お得意をほんとに呼んでいるのだということを写真屋にレストランで写真をとらせまして、それを国税庁の申告書につけるというような笑い話があって、写真屋の所得だけが上がったというような話があります。
そんなことを考えますと、こういった方向はわが国の税制になじむかどうか、ちょっとこの一人当たりは適当ではないという気がいたしましたので、検討はいたしましたが、私のほうは採用することがいまのところむずかしい、やはりもう少し別の角度で、これはまた今後の検討問題だと思います。外国の社用消費がやかましいのは、個人所得から出さるべきだという観点が強いから一人当たりの金額が固定されておるのだと思います。もう少し別の角度からも、ときどき新聞をにぎわしまして私どももむずかしい問題にぶつかっておりますが、そういうようなわかりやすい税務執行の可能なやり方をひとつ考えていかないとこの問題は処理できない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/84
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085・堀昌雄
○堀委員 ともかく、いま交際費課税の問題で非常に国民からいろんな意見が出されておりますことは、一般の国民が、要するに自分たちでは処置できないことが、社用に名をかりて特定の者がきわめて奢侈な行為を行なっておることが問題なんですよ。金の使い方が合理的であるならば、本来交際費というものが損金に算入されてちっともおかしくないと思うのですよ、理論的には。ただ、それに便乗をして、ともかく社用族なるものが目に余る行為をやっておることが国民の大きな非難の的になっておるわけですから、私は、総額で締めるという問題よりも、本質的には、質的にこれを改めることが交際費課税の基本でなければならぬと思う。要するに、減らせばいいんだということではないと思うのですよ。質的に必要なものなら使えばいいのです。しかし、質的に国民の納得のできないものは、たとえば額が少々減ってもこれはいかぬのですよ。
だから、問題の提起のしかたが私は少し甘いんじゃないかと思うのです。もう少し、ほんとうに国民の望んでおるところは一体何かということを土台に置いて問題を考え直していただかないと、金額が少し減ったからといって、しかし中身はますます国民としては納得のできない行為がふえてきたのではどうにもならないと思うのです。ですから私は、そういう意味で考えていただきたいのです。今度皆さんはたとえばゴルフの法人会費の問題とかいろいろ取り上げられておりましょう。だから、そういう点は、どっちかといったら、まあゴルフの法人会費で遊んでおるやつもよくないけれども、ゴルフなんというのはオープンにやっておることだしするからまだましなほうだ。要するに、酒飲んだり騒いだりしているほうがはるかに私は問題があろうかと思う。だからといって、ゴルフを取るなと言うんじゃない。取ったらいいのです。取ったらいいのですが、比較対照すると、もっと悪質な、国民が非難しているものがあるから、そのほうをほっておいてその次の段階を処置することでお茶を濁さないようにしてもらいたいということを特にひとつ要望いたしておきます。このことは、自民党の諸君もあまり御反対はないだろうと思いますが、そういう方向で、われわれも姿勢を正すけれども、ひとつ業界も姿勢を正して、そんな甘いことでは資本自由化などという波は乗り切れないのだという点を十分考えてもらいたいということであります。
その次に、同じような、ちょっと特権の問題に関係があって、まあ、皆さんのほうで安い社宅に課税、これもたいへんけっこうです。要するに、いまの交際費にまことに類似した社用家賃を利用しておるようでありますが、これについても、現在の大蔵省側の考え方を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/85
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086・泉美之松
○泉政府委員 いま各企業の重役さんが社宅ということで入っておられるのでありますが、その実情を私どものほうでいろいろ調査いたしましたところ、会社所有の住宅である場合もありますが、そうでなくて、会社が借り上げて、重役をそこに住まわせておるわけであります。その借り上げておる場合に、たとえて申し上げますと、月十万円の家賃を払うようなところを借り上げて、本人からは一万円だけしか家賃を取らない、あと九万円は法人が負担をしておる、こういったような事例が相当見受けられるのであります。これはいかにもおかしいではないか、その九万円相当分を会社が経費として損金に落とすということ、これはいかにもその実態から見ておかしいではないかということから問題といたしておるわけでございます。
もちろん、いろいろそういった考え方を徹底いたしますと、たとえて申し上げますと、公務員が公務員宿舎に入っておる、その場合、一般の家賃よりは少し安いのじゃないかというような話までもあるわけでありますが、しかし、そこまでいくのは問題ではないか、それはまず公務員の宿舎料金を民間の場合と比べて適正にするということが先決問題であり、また重役の場合にも、それは適正な家賃というものにするのが先決だとは思います。しかし、重役の場合には、そういった点について自分が業務執行を行ない、自分の一存によって処理できるというところにやはり問題があるんじゃないかということを考えまして、これらについて是正をはかるような措置を講じたいということで、目下せっかくいろいろ検討を加えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/86
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087・堀昌雄
○堀委員 私はやはり、税は公平の原則ということがここで幾らでもいわれておるわけですが、こまかく調べていくと、特にいま国民がそういう意味で納得のできない一つは、いまの広い意味の社用の問題、これが非常に私はいま国民として納得のできないことだと思うのです。私はこの前、たしか福田さんのときであったか、申し上げたと思うのですけれども、要するに、企業がそういう姿勢を正さずして、そうして片方では企業減税、あれもいい、これもいいということは適切ではない。福田さんはそのときに大蔵大臣として、企業側にもきびしくひとつ自粛をしてもらってやってもらいたいということを言われたわけです。だから、いま私は、日本の企業というものが、少なくともかなり甘い感覚でこういう経理の処置をしておるような感じがいたしてなりません。
特にちょっとここでお聞きをしておきたいのですけれども、大法人でかなり欠損会社が実はありますね。資本金百億円をこえるような大会社で欠損金の出ておるのがあります。私は中身の個別のことを伺うわけではありませんが、一体、資本金が百億円以上もある会社がどうしてこれが欠損会社なんかになるのか、非常に私はそういう意味でも了解に苦しむところなんです。おそらくこういう会社はわりに——私、前もちょっと申し上げたことがあると思いますが、いろいろとむだづかいがやはり多い会社が、えてしてそういうことになるのではないか。同業種の場合に、ほかが黒字になっておってそこだけが赤字になるというのは、一体どこに原因があるのか。ここらは私もこまかく中身を承知しておるわけではありませんからわかりませんが、最近における資本金百億円以上の会社が欠損になったことについて、税法上としては一体何が主たる原因であったのか、業種は一体何であったのかをひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/87
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088・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう堀先生お調べの上で御質問だと思いますが、会社数百十二が百億円以上の会社でございまして、そのうち十三欠損会社数があるというのが私どもの報告でございます。その欠損の理由は私のところではわかりませんが、多分にそういった大きな会社は不況の影響を受けて欠損があるということが事実一番大きい原因ではなかろうか、まさしく、その事業のやり方のへたな点もございますが、私どもが第一線におったときの感じだけで申し上げて恐縮でございますけれども、もちろん乱費もございましょう。あるいは山陽特殊製鋼のようなやり方もありましょうが、全体といたしましては好況、不況の波、これが大きな影響を来たしておるような感じで私は見ておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/88
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089・堀昌雄
○堀委員 いまの十三ですが、私も数は承知しておるのですが、業種別にはこれはどうなっていますか。個々の会社の名前は要りません、業種別にひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/89
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090・塩崎潤
○塩崎政府委員 ちょっと時間をかしていただきますれば、業種別に計算いたしましてできるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/90
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091・堀昌雄
○堀委員 それじゃ時間もありませんから、別の問題をちょっと一つここでやらせていただきます。
大体四月、五月に国税収入が毎年入るはずですね。まだ五月三十一日まで税収は入るわけでしょう。四十一年度収入で五月末までに——私どもの手元にあるのは三月末までしかないので四月、五月がよくわからないのだけれども、四月はもうわかっておるだろうから、それから五月末というのは、きょうが十九日ですからもうちょっとすればわかることですが、法律がいまここにかかっていますから、推計をして五月末には大体どのくらいになるのか、主たる税科目でちょっとお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/91
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092・塩崎潤
○塩崎政府委員 四十一年度の税収見込みにつきましては、昨年堀先生が予算委員会におきまして非常な予言をされておったこと、私も記憶に新しいところでございます。三月末に、御案内のように大体補正後の予算額に到達いたしまして、なお四月、五月分も若干、その整理のズレだけでございますが、主として四月、これがネットの増収になっていくわけでございます。
そこで四月、五月分の収入実績を発表できるかということでございますが、いまはまだまだ日銀の日報くらいから推定しながら私どもの数字を固めている段階でございまして、確たる数字を申し上げることはできないのでございますが、四月、五月で約六百億円、つまり、そういたしますと、先生の予言のごとく、千四百六十億円に六百億円くらい足しますと、やはり二千億円くらいな自然増収があったというふうにいまのところ推定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/92
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093・堀昌雄
○堀委員 六月ごろになれば当然はっきりしますが、私、やはりずっとこれまでの資料を拝見をして、大体二千億円は、私が申し上げたとおりに出た。
そこで今度はこれからの四十二年度ですけれども、私は、どうも最近の経済情勢の推移及び今後の見通し、少しこまかく弾性値もはじいてみながら名目成長率等を考えてみると、やはりこれも少しかた過ぎるような感じがしますね。
いまあなた方にいきなり幾らふえるかと言ってみても、それはあなた方も答えられない問題だろうと思うのでありますけれども、私はちょっと一つ皆さんにぜひお願いをしておきたいことは、当然またことしも秋になると人事院の勧告が出てくるわけですね。そこで、ことしはひとつ、去年のようなああいう答弁をしないで済むように、もう少しきちんと詰めた計算を九月、十月ごろにはしてもらいたいと思うのです。これは、少なくとも四十一年度の自然増収については私の見通しが当たったわけですからね。あなた方のほうが負けて私が勝ったことは間違いない。厳然たる事実です。だから、今度は勝負なしにしてもらいたいわけです。私の言ったこともあなた方の言ったこともほんとうに同じでございましたと、こうなることが、政府の皆さん方、税収を担当する者として、あるべき真実の姿は一つしかないわけだから、そこをこまかく、変動を常に計算の中に入れながら税収見積もりを——要するに、皆さんの税収見積もりはどうなっているか知らないけれども、私はこの間企画庁長官とも少し議論をしたのだけれども、経済見通しを一ぺん出したら出しっぱなしということではだめですよと言っているわけです。経済というものは常に動いているわけだから、私に言わせれば、四半期別くらいの見通しをそのつどそのつど経済企画庁が出されて、少なくともわれわれの政策効果があがってきたためにここはこういうふうに変わってきました、設備投資の見通しも、当初はこうでしたが、ここではこうなりそうだ、その次には、また四半期が動いた結果、あとのデータをそろえてまたその先を推計をするというかっこうになってくれば、去年のあの時点における大蔵省側の答弁と私の推計とがさほどに差はなくてもよかったはずだと思う。
だから、そこは私は、本年度においては少なくとも各四半期の実績をもとにして、主税局としても自然増収については流動的な見通しを明らかにしてもらいたいということをひとつ要望したいわけですが、それについての事務当局側の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/93
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094・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨年九月、十月ごろ私どもが申しておったことは、おそらく九月決算の状況を調べてみないと、自然増収が今後幾ら生ずるかはなかなか言えないということに尽きると思います。そんなような関係で、人事院勧告その他が先生のおっしゃるようにもつれたのかもしれませんが、私どもといたしましては、やはり事務的に確実な数字をつかまえたい、こういう気持ちがございますので、やはり今度もおそらくそんなことを言わざるを得ないと思います。
と申しますのは、私どもは、先生との間において先生の予言が正しかったといたしますれば、どこが間違ったかというふうに、企画庁がつくります誤差率をここ何年間にわたって税目ごとにやっておるわけでありますが、やはり誤差率の最も高いのは法人税でございます。所得税も三十五、六年だけ誤差率が非常に高かったのでございますが、今年度あたりは幾らもない。それからもう一つ誤差率の高いのは関税、これはときどき輸入の見通しを間違えて、決算になって非常に高くなっている、しかしながら絶対額が小さいものですから、自然増収に占める寄与率というものが小さい。そうすると、結局法人税ということになります。そうなりますと、やはり九月決算を調べまして、また確実なる見通しを聞いてということにならざるを得ないのではないか、また、そのようにしても間違えたのが去年でございますので、そのあたりがむずかしくてはなはだ恐縮でございますが、やはり企業収益の動向をつかむということがいかにむずかしいか、経営者に当たって聞いてやるのでありますが、やはり業況がいいと予想外によくなってくる、だから、経営者も半年先はわからないというのが実情ではないかと思いますが、そこは九月、十月になりましてどういう答えになるか、これはいまのお話をひとつ十分にかみしめまして検討をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/94
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095・堀昌雄
○堀委員 私は、問題はやはり経済というのは非常に流動的ですから、その新しい指標の動きを次々と見ながら、これは推計以外にないのですし、推計の方法はそんなにいろいろあるわけではありません。だから、やはり新しい指標を整理しながら、その時点時点で推計をしていって、そうして前回の推計の誤りをその先で直していきながら、やはりこういう一つのトレンドをとっていく。私は、自然増収というものが日本の場合には少し安易に考えられておるような感じがしてならないわけでして、ここらをもう少し誤差を少なくするような努力がなされていいし、主税局としてもうちょっとウエートをかけて、そのことは同時に主税局が経済分析をやる——およそ税金だけ取っていたらいいということだったらあれですけれども、主税局長も税法についてはなかなかの大家だけれども、経済分析については必ずしも税法ほど大家でないところにこういう問題のあれがあるのだろうと私は思いますから、どうかひとつ精力的にこの問題に取り組んでもらって、やはりある程度の見通しが正確につかめるように、それはお互いに推計ですから誤差はあります。誤差はありますけれども、あまり大きな誤差が出ないようにしてもらうことがきわめて重要だと思います。
それから、さっきの百億円の欠損会社のあれをちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/95
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096・泉美之松
○泉政府委員 この数字は堀委員御承知だと思いますが、昭和四十年二月一日から四十一年一月三十一日までに事業年度の終了した法人について調べたものでありまして、資本金百億円以上で欠損会社十三のうち、業種別に申し上げますと、運輸、公益事業が四、化学が三、それから金属、機械が二、保険、金融が二、鉱業が二、合わせて十三、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/96
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097・堀昌雄
○堀委員 それは、その前年との関係はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/97
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098・塩崎潤
○塩崎政府委員 いま三十九年を持ってきてないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/98
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099・堀昌雄
○堀委員 いまのはちょっと前三年くらいにわたって、ひとつ百億円以上の欠損会社について、いまの業種別、それはA、B、Cでも何でもいいから一応符号をつけてもらって、その前後の関係がわからなくなりますから、業種別といまのA、B、Cのような表題でいいから、前後がどうなったかをひとつ資料として御提出をいただきたいと思います。
私の質問は、これできょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/99
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100・三池信
○三池委員長代理 小峯柳多君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/100
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101・小峯柳多
○小峯委員 毎回のこの委員会で野党の皆さまのたいへん熱心な御質疑を伺っておりまして、非常に勉強になりました。しかし、やはり立場の違いというものもあって、ははあ、なるほどああいうふうにお考えになるかという点も少なくないように思います。そういう意味で、時間も制限されておりますから、おもなる問題について私どもの立場からお伺いをしてみたいと思います。
最初に、減税の問題であります。
毎年かなりきわ立った減税をしてきておりますが、その減税がどうも一般の国民に与える印象はひよわいと思うのです。まあ理由はいろいろございましょう。野党の皆さんもしっかりこれを御指摘になっておられましたが、一つは、所得の増加で税法上の減税というのが実質上の減税になってきていないということ、それから物価の値上がりで多少の実質減税が食われてしまうような印象を与えておるのではないか。社会保険費などが、これは先ほどもお話がございましたが、内容の充実は確かに進んでおります。しかし、やはり負担するほうの保険費は上がってきている。それから住民税も、これは所得税と意味が違いますけれども、なかなか住民税が減らない、地域によってはふえている、こういうような関係で、全体としての減税というものは、どうも私は国民の中にぴんときていないような感じがするのであります。一体、生活感情とすると、プラスの問題はこれは鈍感であります。あるいは、承知しておってもあまり言わないほうの例になりやすいと思います。マイナスのほうは非常に敏感でありますし、また、議論するときにこれを強調する傾向はいなめないだろうと思うのであります。
そういう意味からいって、ことに主税局長なんかは、これは国税庁長官も含めて、いつでも守りをするという立場ではなしに、積極的にこれこれのような条件はあるけれども、全体としては確かに減税になっているのだ、こういうものをきっちり資料として出して、もう少し私はPRをする必要があると思うのでありますが、そういう総合的な資料というものをおつくりになって、これをPRしているような事実がございますか、あるいはそういう資料の御用意がございますか、伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/101
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102・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かに、先生のおっしゃるように、私どもの資料と申しますか、PRが不足でございます。所得水準の上昇によって前年より税金がふえたり、あるいは減税があったにもかかわらず税金が減らなかったという印象、これは私は実質的には減税だと思うのでございます。しかし一方、物価上昇は、先生のおっしゃるように、生計費の苦しさという点から見て、税抜き所得に対してマイナスの要素でございます。それからまた、住民税は御案内のように必ずしも所得税ほど減税はない。しかし、全体相殺してみますと、私の持っている資料では、所得の増加を加味いたしますと、物価上昇を差し引きましても実質的な減税になっている数字を私は持っております。
それは、たとえば現在百五十万円の所得の人、これは夫婦二人でございますが、賃金水準が三十五年から一九八%伸びておりますから、三十五年には七十六万円であった、このときの所得税、住民税あるいは社会保険料、この三つを差し引き、それから四十二年度をおのおの計算いたしまして、物価水準を加味いたしまして、残りの実所得を出してみると、確かに上昇しておるわけでございます。このような数字を私たちだけが持っておってもつまらないことでございますので、ひとつ当委員会へも御提出申し上げまして、御判断を仰ぎたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/102
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103・小峯柳多
○小峯委員 それから、やはり同じ問題に関連するのですが、この課税最低限度の引き上げというものは、私はこの四十二年度予算ではかなり大幅にやっておって、財源の乏しい中ではわりあいにできのいいほうの部面ではないかと実は考えております。そこで、この調子でいけば、税制調査会で八十万円というふうなものをいっておりますが、これは来年は優に到達できる。そこで、これはしばしば野党の皆さんからもお話のありました百万円までに引き上げるその時間の読み方、一つは年次計画といいますか、どのぐらいの年数でもっていけるのだろうか。これはしょっちゅう皆さんからお話がありましたが、大蔵大臣は例の調子ではっきりしたことを言っていないように私も承知しております。事務的に技術的に読んで、あなた方のお立場では、どんな年次計画でいけるのかということが一つ。
それから、そういうものをやる場合には、税の体系の中にどういう変化が見込まれるのだということ、非常に簡単な言い方をすれば、直接税と間接税との割合がどうなっていくのかということ。
それからもう一つ、これはたいへんむずかしい問題になるかもしれませんが、物価は確かに上昇の率は私は下がってきていると思いますから、物価の前途に対しましても一応の見通しは立つような感じがいたします。しかし、なお相当の率で物価は上がり続けると思いますので、課税最低限度の百万円というものは、物価の上昇を考慮した場合にはどういう扱いをなさろうとしておるのか。言いかえれば、ノミナルの百万円なのかあるいは実質的な百万円なのか、その辺のこともひとつあわせて伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/103
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104・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘のように、今回の課税最低限の引き上げは、昭和三十六年あるいは三十四年に若干ございましたが、最近にない大幅な引き上げでございます。これは何と申しましても、国民の要望あるいは政治の声と申しますか、その結果だろうと思うのでございます。昨年度は国会におきまして、長期目標を立てろ、そのときに当委員会で私どもが申し上げておった課税最低限は八十万円でございました。それが選挙という国民の声が最も反映する試練をくぐりますと、百万円に上がってきたわけでございます。税制調査会は、この八十万円という課税最低限を三年間に実現する、四十二、四十三、四十四年というくらいなテンポで考えておりましたが、政治の声はもうそれをはるかにこえまして百万円、さらにまた、自民党はこれを四十五年度までに実現するということを公約されておるわけでございます。
いま、その百万円がいつごろまでにできるかという御質問でございますが、私どもの大臣は、四十五年度までにこれをやろうと言っておりますが、これをやるにいたしましても、税収は四千二百四十億円ばかり要るわけでございます。したがいまして、この四年間で四千二百四十億円、これは今回の減税を除いたその後でございますが、これだけを捻出してこなければできない、こういうことになります。今年度は平年度千五百億円ばかりの所得税の減税でございますから、これだけの財源が課税最低限を引き上げるのにも要るわけでございます。なお、四十五年度までといたしますと、約七十四万円から百万円として二十六万円、これを三年間で実現するまでに約九万円近く課税最低限を上げていかなければならない、まず約千二百億円ばかり毎年減税財源を投じてもらわなければならぬことになります。ことしは、御案内のように、八百三億円しか減税財源をいただけなかったわけでございます。それは三百億円ばかりの印紙税、登録税、それから租税特別措置の整理合理化、これを財源といたしました関係でございますので八百三億円しかいただけませんでした。そういたしますと、残りの四百億円ばかりの減税財源が、今年度と同じような幅の引き上げをねらっていきましても要るということになりますので、このあたり、私ども非常に苦労しなければならぬことになろうと思います。しかし、百万円に対する国民の要望が強いだけに、これは主税局長にひとつそれをやれということのあらわれだと思いますので、大蔵大臣にもそのことを期待したいわけでございます。自然増収も、おそらく経済政策が効を奏しますれば相当な自然増収が期待できるこの際には、ぜひ優先的に減税に回していただきたいと思います。
それともう一つは、先生の御指摘がありました、他の税目でくふうして、この国民の悲願でありますところの百万円ということを実現できないかどうか、これはなかなか簡単な問題ではございませんが、今回の印紙税、登録税のような苦労、こんなようなことも十分考えてやってまいりたい、しかし無理な増税はいかぬと思うのでございますが、御要望に沿いまして、できる限り適当なる財源を見つけるよう、ひとつ税制の中であんばいしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/104
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105・小峯柳多
○小峯委員 それから貨幣価値の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/105
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106・塩崎潤
○塩崎政府委員 この名目か実質かという問題は、先ほども御議論がございまして、私はこんなふうなことをお答えいたしました。
百万円というものはできる限り早く実現するということ、それから第二には、今後の消費者物価の上昇は、小峯先生の御指摘のように、いままでほどでないということで、現在のところ名目か実質かということが詰まってないものである、しかし、御要望は実質のようなことを強く言っておられるように聞いておりますので、これをひとつ尊重して、こんなような気持ちで税制の改正の方向をつくりたい、こういうふうに申し上げておきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/106
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107・小峯柳多
○小峯委員 私はやり方によって案外早くできるというふうに、まあ専門家じゃありませんから、たいへんラフな見方になるかもしれませんが、考えておりますからこういう申し上げ方をしたのであります。なるべく早くやりませんと、いまの貨幣価値の問題が出てまいります。それから国債を財源に使うということを考え、また、いまあなたのおっしゃったような税の体系に対する考慮というものを加えていけば、私はやりようがあると思いますし、また、経済の成長率というものは、もう正直なところ、日本の今日の財政的な状態からいうと、好むと好まざるとにかかわらず、成長をとめるわけにはいかぬ段階じゃないかと私は見ておるのであります。そういう意味で、これは野党の皆さん熱心なんですから、せめて少しでも早目に、四十五年、四十五年と、あほうの一つ覚えのようなことをおっしゃらずに、事務当局は事務当局で知恵をしぼる、そこいらにあなた方のように有能な事務当局のかいしょうがある、こう考えますので、重ねて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/107
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108・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かに、おっしゃいますように、百万円の問題が物価上昇で意味がないと言われないように、できる限り早目に実現するように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/108
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109・小峯柳多
○小峯委員 それから、中小企業に対する減税といいますか、租税から見た中小企業対策というものは、去年に比べて少し租税のほうからは中小企業対策は弱まっているような感じがするのであります。一般に企業減税が端へ寄ったからじゃないかと思いますけれども、まあ通り相場で、中小企業対策は税金と金融だといわれるのでありますから、その税金の面でことしは何ほどのことをしたのか、また、将来あなた御自身として、そういう意味の政策減税というものをどのようにお考えになるか、その見通しを承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/109
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110・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘のように、昨年は企業減税のうちで中小企業減税が一番はなやかなものでございました。四十一年度には千百七十四億円の企業減税をいたしましたが、そのうちの七百二十五億円は中小企業のための減税でございました。今年度は、確かにおっしゃるように、中小企業に対します配慮は去年ほどではございません。しかし、このことは、御案内のように今年度の減税が、所得税一般の減税が中心でございましたために企業減税が去年ほどではなかったことの結果でございます。それでも今年度はやはり企業減税がございまして、そのうちで中小企業に対する減税が百三十億円ばかりございます。そのうちの最大のものは、御案内のように完全給与という専従者控除の問題でございます。そのほか、協業組合あるいは小規模共済掛け金の控除、それから中小企業の割り増し償却の範囲の拡大、その他数多く——金額はそれほどでもございませんが、相当な配慮をしておるつもりでございます。
なおそのほかに、私どもは今後の法人税のあり方といたしましては、ひとつ、中小企業の立場を考えまして、中小企業が相対的に有利になるような企業税制を考えてみたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/110
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111・小峯柳多
○小峯委員 いまのは、具体的にどういう線でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/111
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112・塩崎潤
○塩崎政府委員 法人税の基本的な仕組みが非常にむずかしい問題であることは、もうここの御論議で先生御案内のとおりでございます。
現在の税制は、法人といえば大法人が念頭にあるかと思うのでございますが、配当について、株主所得税の前払い、こういう体制でおりますので、したがいまして、それは大企業のように、公開会社のように、利益のうち大部分配当をする会社には有利なたてまえになっております。一ぺん法人税を取っておりますが、支払い配当軽減の結果、実効税率はむしろ中小企業と接近してまいります。中小企業は、御案内のように二段階の税率で軽減税率を設けておりますけれども、利益のうちに配当の占める割合が低いために、企業の段階だけで見ますと、中小法人のほうが実効税率が高くなり、差が縮まってくるわけでございます。このあたり、株主を通じてみますと大法人のほうが高いのでございますが、企業の面だけで見ますとこんな問題がございます。しかし、この問題は、先生御案内のように、証券市場に与える影響も非常に大事でございますので、大法人と中小法人、これは何か区別が——企業の基本的な税の仕組みを変えてもいいわけでございますが、特段のくふうをこらしまして、中小法人に相対的に有利になるような法人税の仕組みを考えてみたい、かようなつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/112
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113・小峯柳多
○小峯委員 完全給与制のお話が出ましたが、あの給与のきめ方というふうなものにはかなり問題がありはせぬかと思いますし、政令できめなければならぬような点もあると思いますので、その輪郭がわかっておりましたら、どうぞお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/113
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114・塩崎潤
○塩崎政府委員 ただいま昼の時間、青色申告会の全国の連合会の集まりがございまして、私、そこに行って、この完全給与の問題についてお願いをしておきました。よく心配され、先日も横山委員から御指摘がありましたものは、今後の税務署と事業所得者との間のトラブルである、したがって、国家公務員の基準までならば当然認めるというようなことにしたらどうかという御提案がありましたが、事、そもそも完全給与の制度にすることは、そういった画一的な基準を設けることがだめだということから起こったことだと私は思うのでございます。現在のように二十四万円という法定給与をつくっておきますと、たとえば三十歳、四十歳になってまだ月に二万円しか給与をもらえないということがこの問題の発端でありますから、国家公務員給与ということでも救われない方が私は出てくると思うのでございます。そうすると、完全給与の意味は、やはり個別的な事情に即する、納税者の良心を持った、責任を持った、あるいは客観的に認められる給与、これが基準になるべきだ、それがまた世の中から見ておかしくなければ税務署も否認すべきでないと思うのでございます。
しかしながら、なお、こんなことを申しましても、これまでの税務行政の経過から見ますと、心配を持たれるのが事業所得者のどうも通念のようでございます。このあたり、トラブルをなくするにはどうしたらいいか、考えておるわけでございます。これは同種、同業種、あるいは自己の費用における他人労働、こんなところから比較いたしまして自信の持てる給与をきめていただく、それにはひとつそれあたりをしんしゃくいたしました給与規程というようなものでもひとつつくっていただきまして、税務署との間のトラブルをなくする方法にしたい。ただ、先生が御心配な点は、おそらくそういうむずかしいことをいうと、この問題がまた元も子もなくする、こんなことになりますので、先日もお話がございましたが、届け出についても特段な簡単な方法を講じたい。きょうも、零細企業者給与規程なんというむずかしいことをいわれると、また実現できなくなるというようなお話がございました。しかしながら、将来の方向を考えますと、給与規程があったほうがいいけれども、まあ簡単なものであり、さらにまた、それが届け出が同時に給与規程となるようなものを考えてはどうかというお話がございました。私は、政令の段階でございますけれども、そのようなやり方も、企業の規模に応じてひとつ幅広く認めるようなことを考えてみたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/114
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115・小峯柳多
○小峯委員 関連して銀行局長に少し伺いたいと思うのですが、この間、本会議で中小企業の白書の報告があって、それに対する質問があり、総理の御答弁もありまして、私もたいへん興味深く聞いたのでありますが、私は、中小企業の問題は今日ただいま非常にむずかしい場面にぶつかってきていると思うのであります。
その根本的な認識は、安定経済下における中小企業の問題と、成長経済下における中小企業の問題とは、本質的に違ってきている。安定経済下における中小企業問題は、努力のしかた、くふうのしかた、骨の折り方では、大企業に浮かび上がる可能性を相当包蔵した中小企業問題、今日のような成長経済下の中小企業問題というのは、働けども働けどもわが暮らし楽にならざり——これは何といっても、経済が成長しますと、自分はぎりぎりでやっているけれども、少し目を転じて大企業を見ると、左うちわで、先ほど来お話がありましたように、交際費も十分使う、福利厚生施設も十分やる、それでなおかつゆうゆうと収益をあげて配当している会社が目につく、これはなかなか追いつけないぞ、あいつらとは根本的に違ってくるのだという感じが、成長経済下における中小企業問題の本質だろうと私は見ているのであります。違ったことばでいいますと、大企業と中小企業の格差まで成長経済下においては成長する。そこで、簡単に近代化などとおっしゃっても、私は、その近代化によってあげられる生産性というものが、中小企業の場合には、非常にリミットがあると思うのであります。非常に平ったい話になりますが、中小の、ことに規模の小さい土建業者が、近代化に名をかりてアースドリルを買う、ブルドーザーを買う。しかし、この小さい規模の土建業者では、その機械を一年間で有効に使い得る日数というものは非常に少ない。大企業は、その機械をいろいろの面に回して使いますから、私はかなりフル稼働をすると思うのであります。そうすると、近代化の名において買い込んだ設備が、中小の場合には、これは土建業者の場合で申し上げましたが、一般的にもアイドルコストとなってはね返ってくる面が非常に大きいと思うのであります。いわんや、その設備を買う金利について、私はこれは非常に珍妙なことが行なわれておると思うのであります。
ついこの間ダービーがありましたが、私は競馬の馬券を買いませんからよく中身は知りませんけれども、あれは勝った馬は、乗り子の体重に加えて何か重さを背負っていくのだというふうに聞いております。強い馬がハンディキャップを背負うということが、私は公正な競争の上からいって非常に意味があると思うのであります。しかし、どうでしょう。経済競争においては、中小企業というやせ馬が高い金利というハンデを背負って、骨格たくましい大企業が軽い金利のハンデしか背負ってないのじゃないでしょうか。この違いは厳然として私はあると思います。富士、八幡が一銭八厘の金を使い、中小企業が二銭五厘の金を使うのじゃないでしょうか。歩積み・両建てをあなた方一生懸命なくなそうとしておるけれども、それまで考慮すれば、もうちょっと高くなる。いま税法のことで特に私が主税局長に伺いましたのは、実効税率まで少しあやしくなるような話でありましたが、少なくとも軽減税率が中小の法人には適用されております。しかし、金融面では、残念ながら、この金利の上の違いというものは、私は厳然として存在しておると思うのであります。近代化近代化というけれども、税負担が初めから違う。やせ馬が鉛を背負って骨格のたくましい馬と競争しろというこの競争のさせ方自体に無理がある。これではとうてい中小企業対策というものは私は効果的には進め得られないものだと考えておりますが、あなたは、この金利の違いに関しまして、御専門の立場からどういうふうにお考えになっておりますか。おそらく経済的にはこうする以外に方法がないということは、私どもにも一応は読めるのでありますが、私は、与党でありながら、政府の立場、政府の政策を好意的に見ながら、実はずっと自分自身で疑問を持ち続けている問題でございます。どうぞ御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/115
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116・澄田智
○澄田政府委員 金融の見地から考えまして、御指摘のように、非常にむずかしい問題でございます。金融という事柄の性格から見まして、やはり資金コストをかけて集めた金を融資をする、しかも回収も確実でなければならない、こういうような金融の鉄則がございます。そういう上で、中小企業に対する貸し出しは、そのこと自体が大企業の場合よりも手数もかかる、審査にも時間がかかる、しかも信用度その他からいって、回収の点については確実性が劣る、こういうようないろいろな悪条件が重なっておるということも、御指摘のとおりでございます。そういうような意味で、ほっておけばやはり中小企業はどうしても金利負担が大企業の場合よりも重くなる、そういう傾向はどうしても否定できないものを持っておると思います。ただ、金融の場合、金利負担の問題もそうでございますし、それから量的に中小金融として所要資金を何とか確保したい、こういうようないろいろな点をかね合わせまして、そして、中小金融が御指摘のような種々な問題点をはらみながら、できる限り円滑に供給されるようにというようなことを考えていかなければならないものだと思っております。
その点につきましては、一つは、やはり何といっても、これは政府金融機関等を通ずる補完的な面で、量的に、さらにいま御指摘の金利の点を含んだ質的な面においてこれを補っていくという点は、どうしてもこれは中小金融の場合、重点を置いてやっていかなければならないことだ、こう考えております。さらに、信用保証制度というような制度で信用力を増すというようなこと、これらの点は、いずれも、四十二年度もいろいろ配意しておるわけでございますが、そういうような政府金融機関みずからの金融、それから信用保証制度を通じ、中小企業信用保険公庫を通じて信用保証を行ない、それによって信用を得られやすくするということ、そういうような補完を加えて、そして民間金融の面においても、中小金融に関して、与えられた条件のもとで可能な範囲で、できる限り豊富な資金を低利に回し得るようにするということ、そこにいろいろな限界があるのは、全く御指摘のとおりでございます。
ただ、中小企業専門機関といわれます相互銀行、信用金庫等は、これはもともと資金コストが普通銀行よりも高いわけでございまして、非常にその差は大きかったわけでございますが、近年、ことにここ一両年の間、そういう相互銀行、信用金庫といったものが非常に伸びまして、したがって、資金コストにおいてはかなり顕著に下がってきている、普通銀行の資金コストの低下よりも一そう大きく大幅に低下をしてきている、こういうことで、現在において資金コストの差は、普通銀行と相互銀行と信用金庫との差というのは前よりは非常に小さくなってきておる。そういうような点で、中小企業専門金融機関の中小金融に対する貸し出しについても若干ずつ改善されてきている、こういう面、それから今回の景気停滞期等を通じまして非常に中小金融が伸びまして、普通銀行、ことに都市銀行までも相当中堅企業、中小企業というようなものに対して金融をやってきている、こういう面もありまして、全体としての民間金融の条件というのは、まだいろいろ御指摘のような点はありますが、従前に比べれば改善されてきている、こういうことではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/116
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117・小峯柳多
○小峯委員 御説明、御懇篤でよくわかったのですが、ただし、あなたのおっしゃったような政府関係の信用補完を合わせても、私は、中小企業の金利が大企業の金利より安くなるとはどうしても考えられません。問題はそこにあると思う。税法の上では段階的に軽減税率を適用しているのです。ほかのことで、実効税率の上では接近してきたというお話がありましたけれども、少なくともこれは弱いんだからこれは少し力を加えようという政策をやっているけれども、金融のほうじゃそれをやっていない。
私は、いままで中小企業がそういう条件の中でもどうにかこうにかやってきておったのは、人件費が安かったという点だろうと思うのであります。そう言うと中小企業の方は憤慨なさるかもしれませんが、どうも私は自分で掘り下げて考えてみても、ほかにメリットはなさそうな感じがする。ところが、人件費というものはもう安くなりません。日本の成長経済というような方向としては、比較的マイルドに持ってまいる年はありましょう。しかし、この成長経済という方向はどうしてもねらっていかなければならぬ方向だと思います。成長経済方向における労務需要というものはどうしても形はきまっている。どうしても人件費が高くなる。そうすると中小企業のメリットはなくなるのですよ。本来的に弱いものにそれではどういう力を加えなければいかぬのかということは、これはよほどしっかり考えてもらわなければ、中小企業のおまえたちはどうでもいいという結論でやっているのと同じような感じがするのであります。
そこで、なるほどそれはいま資金コストの点からいっても、金融慣習からいっても、そう簡単に金利が下がるとは私は思いません。しかし、そういう方向で少なくとも国会で主張し続けてきたつもりであります。たとえば商工中金なんかでも、初めは一割以上の金を出しておりました。何とかして利息のかからない資金、すなわち政府の金をほうり込んでコストを下げようじゃないかということを主張し続けてきて、その方向には来ております。しかし、やろうと思えば私はやる方法はあると思うのです。たとえば、造船利子補給というような、これは大企業、基幹産業ではありますけれども、そういう考え方というものを、もうそろそろ真剣に考えていかなければ、中小企業の問題というものには一つの打開策というものは生まれてこない。環衛金融公庫法というものはいろいろ御批評がありますけれども、私は、安い金を思い切って長く使わせるという意味では、中小企業金融対策の本命をついておるものだと考えておるのであります。ですから、機関をつくることがいいという意味ではありません。そういう考え方、言いかえると、経済政策のベースじゃなしに、プラスXの政策というものを立てなければ、中小企業問題というものは片づかないのだということを私は非常に強く感じておるのでありますが、重ねて、どうでございますか、その辺の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/117
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118・澄田智
○澄田政府委員 中小金融全体といたしまして、先ほど私お答え申し上げましたが、政府金融機関等の施策に限ってこれを見ました場合におきましては、近年、量的にも毎年必ず二〇%以上ふえてきている、こういうようなことでありますし、それから金利の点は、四十年以降三回にわたって、先ほどお話もございましたが、基準金利で申し上げれば、九分であったものがいま八分二厘というところまでは下がってきておるわけです。商工中金も御指摘のように九分何厘かからいま大体八分四厘程度のところまで下がっておる、こういう状況でございます。そこで、なおこれからさらに将来の金利の水準というようなものを考えまして、金利全体としては、長い目には、大企業も含めて全体の金利がやはり下がっていく方向である、短期的には、あるいは経済情勢によってまた上がるというようなこともあっても、全体の方向は下がっていく、そういう場合に、政府金融機関等の条件等については、民間の金融における金利の低下をさらに一そう上回って金利が下がるようにというような配慮をして、今後とも財政投融資の面その他の面で努力をしていくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/118
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119・小峯柳多
○小峯委員 お立場もありましょう。あまり深追いしてはいかぬように思いますが、次に、もう一ぺん主税局長に伺います。
租税特別措置というのは、先般来野党の皆さんから悪玉の標本のように言われておる。しかし私は、これに少し角度をかえて、やはり国民経済的な機能を果たすいろいろな面があるだろうと思うのであります。確かに御指摘のようなことで、私は反発はいたしませんけれども、一面だけ見て考えちゃいけない。この辺に私どもの立場というものは実はあるわけであります。そこをすなわち弾力的にこの特別措置を新設したり改廃することで景気調節の意味が果たされはせぬだろうか。御承知のとおり、近代財政政策の中のフィスカルポリシーというものが盛んにやかましく言われております。去年、四十一年の予算ではこの線がややはっきりしたと思うのですが、ことしは、率直に言って少しぼけておるような気がします。しかし、フィスカルポリシーというのは、国債だけでなしに租税とかみ合わせて使うところに私は非常な妙味があると思うのであります。
先般、これは参議院の予算委員会の公聴会で横浜国立大学の井出さんという教授、私はどういう方かよく知らぬのですが、こういう陳述を行なっております。これは全体の一部分でございます。財政の弾力的運用についてルール確立を急ぐべきだと思うが、特別償却制度の活用、法人税の延納利子税率の上げ下げによる税制の景気調整機能を生かす方策を導入したことはわが国初めてのものでもあり、効果が期待され、妥当な措置であると、これはたいへんほめられておる。あなた方は久しぶりでほめられたのじゃないかと思うのですが、こういう見方をなさっておる点は私は同感だと思う。そこで、この特別措置というものをもっと弾力的に考えて、これは実は租税法定主義というものにもとるかもしれません。また長官が一札取られるようなことがあっては困るのですが、その辺のこともからみ合わせてこの租税特別措置というものを弾力的に運営していく、景気の調節と結び合わせるお考えはないか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/119
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120・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう全く御指摘のとおりの感じを私も持っております。
確かに、租税の原則としての負担公平の原則は古典的なものであり、最も基礎であるべきでございますが、しかし、何といっても、租税も経済成長に役立つべき社会的な制度でございますから、経済成長に役立つと考えるならば、負担公平の原則との調和をはかりつつ種々の政策措置を講ずることは、私は当然許されると思うわけでございます。
御案内のように、外国でもこの制度は、最近のように世界的に経済成長の競争が激しくなってまいりますと盛んに取り入れておるところでございまして、先生はおそらく頭の中には、アメリカのやった一九六三年以来の投資税額控除がこの不況を脱出した大きな契機であった、こんなことを頭に置いておられると思うのであります。現在は過熱の危険は停止しておりますが、また再び復活する、こんなことがアメリカで言われておることはもう御案内のとおりでございます。私は、こういった経済成長のためのインセンティブとしての税制の研究は、これからの問題であり、これからの御論議をここで願わなければならぬと思うのであります。もちろん、負担公平の原則は忘れてはなりませんけれども、そういった意味では、私は個人所得税のような、個人の自由平等の原理に立つ所得税の中には、こういった特別措置はできる限り少ないほうがいいし、また、入れましても、経済的に敏感なのは個人ではございません。やはり経済的に敏感なのは企業でございますから、企業税制の中には相当思い切ったこんな措置を入れる、しかも、先生いまおっしゃいましたように弾力的に改廃する、必要がなければ勇敢にやめていく、しかし、必要があればまた勇敢にやっていくというような考えを採用していくべきではないか、こんなふうに考えております。
今回、景気調整措置としての特別償却制度、あるいは延納制度、まさしく、先生おっしゃったような意味で採用しているのであります。ただ、まだまだもの足りない。特別償却が一部のものであり、延納制度というのは、延納するという特殊な機能であるということになりますれば、今後といたしましても、もう少し広い角度から、いま先生のおっしゃいましたように、経済調整のための、あるいは景気調整のための、あるいはフィスカルポリシーとしての租税政策を考えていくべきではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/120
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121・小峯柳多
○小峯委員 たいへん意を得た御答弁でございます。私は、フィスカルポリシーというのは、国債があり租税がある、それから財政投融資、これが御承知のとおり一般会計の四八%をこえる大きな額になっております。この財政投融資というのは、もとがきまって、その技術的な集計で評価できているような面もあるのでありますが、私は、租税の弾力的運営の部面と財政投融資の実際的なコントロール、こういうものがむしろこれから財政運営の上に非常に大切になると思うのであります。この財政投融資はあなたの所管じゃないと思いますが、いまあなたのおっしゃったような線で、いまの税制の中に、先ほど大学の教授の御指摘がありましたが、そのほかにそういう芽が出てきていると思われるような点をひとつ列挙してみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/121
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122・塩崎潤
○塩崎政府委員 先般、私どもの大臣が申されましたが、先生も御指摘のように、こういった好況時代と申しますか、景気過熱とまではいきませんにいたしましても、好況時代に、法人税の減税は避けていくのがフィスカルポリシーのあらわれである、しかしながら、それよりも、資本自由化を控えた今日、企業の体質を強化すべきだということは、もう万人の認めているところだと思うのでございます。それには税制も一つの武器といたしまして役立つということも当然考えられる。そこで今回とりましたものは、開発研究の奨励措置といたしまして、試験研究費を前年同期よりもふやした企業にはボーナスを与える、試験研究費の支出を大いに奨励していこうという政策をとっております。これは資本構成を是正したならばそれに対しましてボーナスを与えると同じような思想から、研究費の支出が多くなればなるほど税金が軽くなる、こんな仕組みをとっています。前年同期よりふやしました金額の四分の一を税金から控除する、こんなようなことも租税特別措置としての新しい考え方としての新設だ、こういう気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/122
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123・小峯柳多
○小峯委員 御答弁が少し違うと思うのです。私は、弾力的に運営のできるそういう租税の一つの体系といいますか、その中の萌芽、芽のようなものがありますか、あなたは全体を考えていかれる前に——いまはまだ不十分だと思いますよ。しかし、こういう芽を育てていけば、弾力的な政策をとる一つの指標になり得るというようなことの見当がついていらっしゃいますかということをお伺いしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/123
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124・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほど来申し上げております景気調整措置が弾力的に運用する一つでございます。しかし、いま申しましたように、非常に範囲が限局されている、いま先生がおっしゃいましたが、もう少し弾力的に運用されるものがないか、こういうお話でございます。イギリスあたりではもう少し広く種々の制度をやっておりますが、これは日本でどこまで実現できますか。アメリカあたりでは定率償却の限度を押えまして、不況の時代には償却の範囲を大きくする、特別償却のみならず、普通償却まで弾力的に運用するような仕組みをとっておりますが、私どもの見るところ、現在の日本の企業の体質では、そういった基本的なもの、たとえば、そのほかに法人税の上げ下げというようなことを考えると、これが与える影響が大きい、結局特別償却あるいは延納制度で今回は済むわけでございます。
将来の問題といたしましてはもう少し特別償却の範囲を不況時代に広げるようなやり方、そして投資を刺激するようなやり方、そのかわり好況時代には押える、あるいは普通償却についてもそういったやり方を考えることができるかできないか、そのあたり、今後の検討問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/124
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125・小峯柳多
○小峯委員 この間大臣が、少し軽い気持ちだったと思うのですが、法人税というものの財政に占める率をだんだん下げて、むしろ会社の収益というものを個人にばらしてしまって、それから取り上げるほうがいいというようなことを、これは遠い見通しでございましょうし、責任を問う問題じゃありませんけれども、そういう意図の中に、いま私の申し上げたような、言いかえますと、租税の収入というものを個人にばらしてしまったほうがコントロールしやすいのか、あるいは法人税で残しておいたほうが、いま言ったフィスカルポリシーの見地からはコントロールしやすいのか、その辺のことは御専門家としてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/125
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126・塩崎潤
○塩崎政府委員 大臣が、私ども見まして非常に意欲的な独特なアイデアを出されたと思うのでございます。これは私は、アメリカの法人税の推移から見て気がつかれたのではないかと思うのでございますが、アメリカは経済成長が日本ほどではございませんが、いま徐々に行なわれておる、しかしながらアメリカの付加価値の分配状況を見ますと、結局企業がもうけてはまいりますが、先生御指摘のように、だんだん人件費によって個人のほうに流されていく、したがいまして、法人税の税収は個人所得税ほど伸びない、企業の利益は大部分付加価値といたしまして、特に人件費で社外に流出して、そして所得税はふえていく、そのような関係で法人税のウエートが減ってきて、法人税収は支配的な地位を占めてないことから大臣が気がつかれて言われた独特の考え方ではないかと思うのであります。
将来の分配構造といたしまして、何といっても、企業は個人がそれによって生活の資を得る基本でございますから、本来付加価値を、その分個人に還元されてしかるべきともいえましょうけれども、日本の現在の企業の蓄積状況では、私はそういったこともさしあたって至急にはむずかしいと思います。そういった意味で言われたのでございましょうが、税制のウエートをどちらに置くか、やはり個人所得税と法人税収が日本では大体同額ぐらいにまで——先般までは法人税のウエートのほうが少し高かったわけであります。現在、だんだんそういった個人の所得税のウエートが高くなりつつあり、さらにまた、税制といたしましては安定的な機能を個人所得税が持っております。
そういった意味で、この具体的な方法として非常にむずかしいわけでございますが、法人税よりも個人所得税が多くなるような社会が来ることが望ましいことは事実であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/126
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127・小峯柳多
○小峯委員 租税の特別措置を個人所得に対する公平だけで見ないで、機能的に、国民経済的に見るというお話を申し上げてきたつもりであります。いかにも不当課税の典型的なようにだけ批評してしまうと、これ自身がかわいそうなような感じが実は私はするのであります。その中には、たとえば障害者の控除だとか、先ほどお話の出ました中小法人の軽減税率なんかもあります。不公平だけれども、これは社会正義を追求していると私には思えるのであります。
しかし、これは別にいたしまして、全体として私は、この利子、配当に対する特別措置というものが国民経済的にかなり大きな意義役割りを果たして、日本の成長経済をつちかっていると思われる点がありますので、この点を銀行局長と、証券局からどなたか見えていらっしゃると思いますが、伺ってみたいと思うのであります。
なるほど、働く者にぎりぎりまで税金がかかって、利子や配当で居食いする者に税のかかり方が薄いという御批評はございました。しかし、私は、この問題はただ公平の原則からだけ見るべきものじゃなしに、たとえば利子課税というものをああいう扱いをいたしますと、本来、金というやつはどうももぐったり、裏街道を動こうとするやつでありますから、こういうものを正常な金融市場に引っぱり出すという意味がかなりあるように実は思うのであります。たとえば、もしほうっておけば非常にきつい税率がかかって、個人所得と合わせて累進でもたくさん取られるようになりますと、宝石でも買おうじゃないか、あるいは、あまりよからぬ手形の売買、このごろいろいろなものがはやっているようでありますが、そっちに金が回ったり、いろいろにやはり金が災いをするような感じがいたします。しかし、ああいう特別な措置で金というものが正常な金融市場に泳ぎ出してくる、これは個人に対する公平、不公平の批評だけでなしに、国民経済的に成長経済をまかなう上から私は大切な問題だと考えておりますし、配当なども同じような意味で、なるほど個人的には批判さるべき点もあるかもしれませんけれども、ああいう形できっぱりと利回り計算ができる形にしておくことが、機関投資家というものがはっきりそろばんをはじきながら有価証券を持つことができると思うのであります。私は、政府のお立場が、これは貯蓄を奨励するためだと言い切っておられましたが、なぜもっと広い角度で政府の皆さんはそういう点に触れないのだろうということを、少々歯がゆい感じで聞いてまいったのであります。私は、こういう方法で、配当に対する特別措置で有価証券市場の流れというものがかなり正常的なものになっておるし、増資が行なわれやすい条件をつけておることが、それだけ成長経済をまかなってきたと考えておるのであります。すなわち、この利子と配当に対する特別措置は、単に個人所得の観点からの公平、不公平でなしに、全体として機能的に、国民経済的に、成長経済政策的に見ることの意味がかなり大きいのじゃないかと考えますが、お二人ともそれぞれのお立場で私に対する見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/127
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128・澄田智
○澄田政府委員 わが国経済が、外国の経済に比べてみた場合に著しく貯蓄の割合が高い、これが、とにかくこれだけの経済成長をささえてきた一番大きな力になっているというふうに私ども考えております。そして、そういう貯蓄の場合に、税制がどういう作用をするかというのは、なかなかむずかしい、分析して分けるのに非常にむずかしい問題であります。個人の所得の伸び、可処分所得の伸びとの関係、それと税制の変化との関係等の的確なる分析ができかねるという面がございまして、どこまでが税制の作用であるか、どこが所得の伸びによるのかというような、貯蓄の増加分の中のその分析というのは非常にむずかしい、したがって、計数的にどういう点に税制の効果があらわれているかということは申し上げにくいわけであります。しかし、一貫して、戦後二十七年からでありますが、現在の分離課税という制度をとってきておりまして、そのことが有形無形に貯蓄に影響をしている、ことに個人の貯蓄者の心理に影響を与えているということは、何としてもこれは否定ができないということだと思います。経済成長の上にそういうような意味を十分考えていかなければいけない、税制上の負担公平という問題と、そういう貯蓄の重要性という国民経済的意義と両々かね合わせて考えていかなければならない問題ではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/128
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129・志場喜徳郎
○志場説明員 御指摘のとおり、経済発展、経済活動のにない手たる企業にとりまして資金が重要な生産資材でございまして、その供給が、直接金融たると間接金融たるとを問わず、円滑に豊富に提供されるということが、欠くべからざる経済成長、発展のための要素になるわけでございます。さような点から、しかも御指摘のとおり、貯蓄という観点からは、税負担に対して非常に敏感なわけでございまして、税制が大きな影響を持つであろうということは一般に考えられると思います。
ただいま銀行局長のほうから貯蓄心理に対する税制の影響ということについてお話がありまして、同感でございますが、私ども、さらに証券という立場から申しますと、今後の自由化を控えまして、先ほど主税局長がお述べになりましたように、企業の財務体質の改善、強化ということを伴いながら経済成長のための経済活動を営んでいくということのためには、やはり自己資本の是正と申しますか、資本構成の是正という観点からする現在の直接金融対間接金融のいわばアンバランスの状態を、もう少し直接金融的な面が適当な程度に成長するようにということがさらに望ましいことだという観点を持っております。さような観点から、勤労者に対する全体としましての絶対的な税負担の点と、個別の貯蓄形態の果実から生ずる、その貯蓄形態に対する税負担のバランスにつきましては、いろいろ程度の問題もあろうかと思いますけれども、貯蓄の中で、その直接貯蓄の場合の税負担と間接貯蓄の場合の税負担のバランスにつきましては、これは絶えずバランスが少なくともその段階でとれるようにしていただきたいというのが、私どもの観点とするところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/129
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130・小峯柳多
○小峯委員 調査官に続いて少し伺ってみたいのですが、資本の自由化という問題に関連すると、やはり直接、一番御関係の深いのはあなた方のお仕事ではないかというような感じがするのであります。資本の自由化というものが日程にこうしてのぼってきているときに、あなた方は証券政策を通じてどういうかまえを御準備なさっていらっしゃいますか。その辺のお見通しを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/130
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131・志場喜徳郎
○志場説明員 いま検討中のむずかしい、広範な問題でございますが、実は、証券の立場から申しますと、証券業界という、一つの資本市場の発動の分野を直接になっております業界におけるいわゆる自由化という問題と、さらに各業界を通じての資本調達の場でありますところの資本市場というものの自由化の問題という二つの面がございまして、実ははなはだ重大な問題であるわけでございます。
現在、私どもがその両者について考えました場合に、政府全体のかまえは、資本自由化に対しまして前向きで取り組むということではございますが、証券業界の面につきましては、御案内のとおり、一昨年の証券取引法の改正によりまして、来年の四月一日からの新法に基づく免許制への移行ということを控えておりまして、いわば、業界が数年前の証券不況の影響から脱却いたしまして、正味資産を充実し、新たな免許体制をしくために、いろいろと企業の合理化、体質の改善につとめている段階でございます。さような点から申しまして、さしあたりこの業界自体がひよわな段階にまだあると思われますので、これはいましばらく慎重に、法の免許後の業界の立ち直りということを考えていただかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
しかし、他面、やはりこの資本市場というもののにない手ということもございますので、そういうことにつきましては、証券業務というものが、内外を通じまして円滑に適正に施行されるということも必要と思います。また、投資信託の資産の運用の面におきまして、危険分散というような意味から、世界じゅうのいわば優良なる株式に対する需要を持つということも考えられましょうし、そういうような意味で、わが国の資本市場が幅広く基盤を強化するという面からいたしまして、この市場の全体の広がりというものにつきましては前向きなかまえを持っておりますが、他面、やはり現在のような外貨の状態等におきまして、またその資本というものが国際的にホットマネーによる移動が行なわれて、そのために証券市場がいわば乱高下をするというようなことで、わが国の投資家に対して不測の損失を与えるということにつきましても十分に考えなければならぬわけでございます。
さようなわけで、私どもとしましては前向きではございますが、証券業界のさしあたり体質の強化につとめまして、さような証券市場の拡大のための基盤をまずここに求めたいということから、鋭意新免許制への移行につきまして慎重な、しかも相当決断をもった態度で臨んでおるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/131
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132・小峯柳多
○小峯委員 あなた方の資料で、外資による日本の会社の株式取得の最近の傾向がわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/132
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133・志場喜徳郎
○志場説明員 ただいま手元に用意してまいりませんが、現在は制限業種一〇%まで、未制限一五%まで、日銀の窓口でチェックしているわけでございます。現在の上場されております、あるいは発行されておりますわが国の株式全体の価格に対します——約九兆余りあると思いますが、それに対する外国人所有の割合というのは、全体としましては、若干のパーセンテージに達するという程度のきわめて微量なことだと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/133
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134・小峯柳多
○小峯委員 資料を一ぺんつくってみてください。
それから、傾向としてどうですか。あまり変わりませんか。ここ一年くらいの間に変化らしいものはありませんか。制限はありますけれども、食指を動かすということがふえてきているのじゃないかというような気がするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/134
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135・志場喜徳郎
○志場説明員 市場の動向につきましてしかと記憶しておりませんが、たまたまここ数年、まあ二、三年でございますが、わが国の証券市場は御案内のような状態でございまして、これを将来に対する買いどきだという判断ももちろんあったかと思いますけれども、何さま、国内の市場が非常に沈滞し、またそれが立ち直っておりません状態で、これは私の推測になってはなはだ恐縮でございますけれども、このところ、きわ立った従来に対する変化はないのじゃないか、かように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/135
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136・小峯柳多
○小峯委員 銀行局長にひとつ伺いたいのですが、金融市場が少し変わっちゃいませんか。ここ十日くらいから少し金融の情勢が変わるというきざしが出てきておるように私は思うのです。御承知のとおり事業活動もかなり活発でございます。それからあの手この手の国債、政府の保証債、こういうようなことで、コールのレートが少し変わってきているように思いますので、あなたのお見込みとして、ここ数カ月の金融市場というものをどうごらんになっておりますか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/136
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137・澄田智
○澄田政府委員 現在のところの状態、私の見ておりますところでは、まだ急速に変わるということでなしに、これから六月に入りまして——四月、五月と、御案内のように財政は大体ゆるむ月でございます。今度は暫定予算の関係等もありまして、それから経済全体が上昇過程にあるということもありまして、昨年に比べればゆるむ度合いが少なかったわけでありますが、それでも、コールは一時、三月に一厘上がりましたものが昨年の水準、無条件物一銭六厘、翌日物一銭五厘というところに戻りまして、現在その状態で推移しておりますが、先行き金融が詰まる、六月に入りましてから当然財政も揚げになりますし、例年非常に金融が詰まる時期でございますので、そこへ予想される資金需要というものを見まして、金融機関として先に備えている、そうして、全体としては先行き締まるという気がまえ、そういう含みを持って全体が動いている、そういうのがいまの状態ではないか、こう思うわけであります。
いま御指摘の、変わってきているとおっしゃるような点はそういうことではないかと思われるのですが、その一つのあらわれは、債券相場というようなところにもあらわれております。これは、これから先の債券消化というものを考えた場合に、金融機関としては、そのときに一方資金需要も多くなるということになりますと、その競合関係から、いま手持ちの債券、まあ金融債などでございますが、そういうものを売っておきたいということがあって、売りが出て、全体の値が下がってきている、こういう状態であります。昨年来ずっと売りは続いておったのですが、最近に至って売りが非常に売りにくくなって、相当値を下げないと売れないという面が部分的に出てきておる、こういうような面がございまして、全体としてこれからの金融情勢というものの先を考えて、金融機関としてはそれに備えて手当てもし、また今後の予想もしている、こういうような面は否定できないと思います。六月から八月までずっと揚げ超期でございます。この間に今後の資金の需要状態というものは、一時想像されましたよりはわりあいと本格的な資金需要が出るというところまではいかずに、そういう予想をされながらも、じりじりと少しずつふえながらも、それほど急増するということにはならないというようなところで、微妙な段階ではございますが、この先、金融としては、そういうような資金需要の動き、それから債券の消化状況というようなものも十分に注意をしていかなければならない、そういう段階である、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/137
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138・小峯柳多
○小峯委員 もう一問伺いますが、先ほど来私はフィスカルポリシーということを盛んに言いましたが、金融の立場で、ルールといいますか、方式といいますか、どういうものを御準備になっておりますか。いままでと変わらない——たいへん失礼だが、行き当たりばったりということなのか、何ほどかずつ体系づけて景気の調整をしていこうという意欲を金融政策の中に織り込もうとなさっておるのか、その辺の御準備はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/138
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139・澄田智
○澄田政府委員 なかなか大きな重大な問題でございます。
当然、国債の発行をいたしておりますし、従来の金融でございますと、金融引き締めということは、それだけを切り離してやって十分やれました。その判断もそのときの情勢でもって判断をして公定歩合の引き上げをする、こういうことができるわけでございます。ところが、現在の状態におきますと、フィスカルポリシーというような面をまず除いて考えましても、当然債券の消化というような面に金融引き締めが密接な影響を持ってくる、そういうことになりますと、当然債券の発行等の時期的調節というようなことも必要になってくる、フィスカルポリシー以前に、債券の発行というものを通じて金融とはそういうような関係が出てくるわけでございます。そこで、今年度の国債の消化、予算の執行というような面とのかね合いという問題は当然に考えられる問題でございますし、そういう意味合いにおいては、金融といたしましては、先行きの情勢をよく見て、早目に打つべきことがあれば手を打っていく、こういうようなことではないか、日本銀行の金融調節等についても、そういう先を見ての金融調節というようなことを当然考えていかなければならないであろう、こう考えられますし、今後の金融全般、債券市場というようなものを、よく事前に情勢を見て、そうして早目に弾力的にやっていく、こういうことではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/139
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140・小峯柳多
○小峯委員 私の質問は、これで終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/140
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141・三池信
○三池委員長代理 武藤山治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/141
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142・武藤山治
○武藤(山)委員 まず、大臣が出席する前に事務当局に一、二お尋ねをしておきたいと思いますが、きょうは所得税、法人税、相続税を中心にした法案審査でありますから、できる限りその範囲内から逸脱しないように質問をいたしたいと思います。
まず、国税庁長官、たいへんお忙しいようですから、次長もいないのでたいへん疲労こんぱいのように風のたよりで聞いておりますので、最初に簡単に国税庁長官にお尋ねをいたしますが、過般の新聞を見ますと、国会議員で確定申告を出さない者がたいへんおるような報道で、私などは大蔵委員ですからまじめに申告したら、五百万円以上で載っておるのはそうはおらぬので、たいへん地方でも目について、一体、国会議員というのはどうしているのか、あまりにも税金のことについてずさんだなという感じを実は抱いたわけでありますが、衆議院と参議院と分けて、確定申告を出している数をちょっと教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/142
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143・泉美之松
○泉政府委員 衆参両院を通じまして現議員の方が七百三十五名いらっしゃるわけでありますが、そのうちで五百七十六名の方が申告をされております。したがいまして、差し引き残りの百五十九名の方が無申告になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/143
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144・武藤山治
○武藤(山)委員 大体税務当局の提出をしない人に対しての感じは、全く国会議員だけの収入しかなくて、善良な納税者ということで申告がない、あるいは、あるんだけれども、税法というものを知らないために、あるいは確定申告というものを全く知らぬため出さなかったが、注意を受けてからこの百五十九名の何人かあとで申告をしたとか、そういうような申告をしない実態は一体何なんだろうか、一応の税務当局の調査の結果ではどう御判断されておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/144
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145・泉美之松
○泉政府委員 四十一年度分の所得税につきましては、まだ申告を受理した段階でございまして、今後資料と突き合わせまして、その資料に対して申告が適正に出ているかどうか調査しなければならないわけであります。したがいまして、現段階におきましてまだ十分適切にお答え申しかねるのでありますが、おそらく、この申告書を提出しておられない方は、昨年じゅうの所得が歳費以外にないということで無申告になっておるものと考えております。
〔三池委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/145
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146・武藤山治
○武藤(山)委員 これから五百万円以上の所得があると、他に収入がなくても、一カ所からの収入あるいは源泉所得だけでも税務署へ確定申告しなければならない、こういう改正が今度行なわれるわけでありますが、これのねらいは何でしょうか。結局、五百万円以上は高額所得者として一応公告するから、そのために一応源泉所得者でも五百万円以上は確定申告書を出す、こういうねらいですか。ねらいは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/146
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147・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨日も横山委員に逐条審議を受けました際に御報告いたしましたように、日本の源泉徴収制度は会社に非常な負担をかける、年末調整というのが最も大きな負担でありますが、五百万円をこえるような方々は、私どもの資料では、たいてい他の収入がある、したがいまして、会社が苦労して年末調整をしていただきましてもあまり意味がないので、簡素化の見地から確定申告の段階で調整することにいたしまして、年末調整をやめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/147
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148・武藤山治
○武藤(山)委員 国税庁長官はお帰りになっていただいてけっこうですけれども、もう一つ、資料を御提出願いたいのです。
これは、あるいは主税局でもわかるのかとも思いますが、特にいま物価問題が叫ばれておりますが、特に生鮮食料品の値段が生産者から消費者に渡るまでにたいへん高く、二倍にも三倍にもなるというので、これはたいへん議論の焦点になっておるわけですが、この生鮮食料品については、どこが一番もうけておるのかということがわれわれにはわからぬわけであります。そこで、税の面から見ましても、この荷受け会社、仲買い人、八百屋さん、この三者の個々の名前を出すことはできませんから、A、B、Cとでもして、その所得構成なり、その中でいま一体どういう状況になっておるかを参考資料としてあとでひとつ出していただきたいのですが、これは主税局よりも国税庁のほうがいいでしょう。それを注文して、長官にはきょうはお帰り願ってけっこうだと思いますが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/148
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149・泉美之松
○泉政府委員 御趣旨はよくわかるのでありますが、なかなか、そう的確な資料ができ上がるかどうか、少し時間をかけさせていただきまして、できるだけ御要望の趣旨に沿うような資料をつくって差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/149
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150・武藤山治
○武藤(山)委員 そのねらいは、実は長官、築地の市場や神田の市場を視察して痛感したことは、荷受け会社も仲買い人も、もうけはほんのわずかだ、八%だというような説明を異口同音にされるわけでありますが、どうもそんなことで三倍にも三倍半にも青果物がなること自体、私も納得がいかぬのであります。そこらの点に焦点を当てて御調査いただければありがたいと思うわけであります。
次に、主税局長にお尋ねをいたしますが、法律や通達の中で、もうすでに要らなくなったものは早く廃止をすべきでありますし、また、不都合なものは当然直さなければならぬと思うのでありますが、これから私が尋ねる医療法人の問題について不合理な点を感じますので、こういう点は直すべきではなかろうかと指摘をしたいので、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
いま医療法人で財団法人、社団法人と名のつくものが全国で二千件ぐらいあるようでありますが、医療法の三十九条以下で規定されておる社団、財団の発生した経緯は、相続税が免除になるというので、昭和二十五年ごろにかなり多く誕生したが、その後、財団にして相続税がかからないような特典を受けてしまったらそういう法人をやめてしまうというような傾向が出たりしたせいか、昭和二十七年一月一日以降は課税するという通達が出されたと聞いておりますが、それはほんとうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/150
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151・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう古い話でございますが、相続税法の六十五条、六十六条は、そういった各種の公益法人的あるいは特別法人的なものに対する課税関係を明らかにしたものでございます。この立法のあとでおそらくそういった通達が出まして、私的な支配が残っておる医療法人、おそらく医療法人の財団形態、社団形態のものにつきまして課税するという通達が出たように記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/151
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152・武藤山治
○武藤(山)委員 課税をする際に、財団法人と社団法人との取り扱いの差があるようですね。どんな点に、どうして差をつけたかということが知りたいのでありますが、なぜ財団と社団との場合課税上差別をするのか、その理由をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/152
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153・塩崎潤
○塩崎政府委員 私の記憶では、社団形態をとりますれば、持ち分がございます。持ち分があれば、それが相続される限りにおいて転々と子々孫々にまで課税される、財団は、御案内のように持ち分がございませんので、一回限りで済んでしまう、こういうところの差だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/153
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154・武藤山治
○武藤(山)委員 財団の場合にも配当は認めないわけですね。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/154
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155・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃる意味は、医療法に基づく医療法人でございますので配当はない、法律上そういうふうになっておると私は思います。
なお、その際問題になりましたのは、社団形態のほうが相続税の関係から見て適当であるといったようなことがあったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/155
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156・武藤山治
○武藤(山)委員 財団法人の場合は配当は認めないし、それから院長や理事長の賞与というものも、中間法人だからといわれて、これも否認をされて、所得が出ると課税をされる。こういう点、社団と財団の取り扱いが不公平だという意見を聞いておるのでございますが、さようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/156
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157・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は、不公平と申しますか、不公平というよりも、むしろ法律上の形態の差異によりまして——相続税は、持ち分のある場合とない場合で違うのは、これは法律形態の差異からいって当然のことと思います。
賞与の問題が社団と財団で違ってくるということは、私は聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/157
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158・武藤山治
○武藤(山)委員 法人税の場合、たとえば留保金が出た場合、留保金に対する課税が普通法人ならかけられる。普通法人はまあこれはかかるけれども、医療法人と財団法人にはかけなくてもいいんではないか、こういう意見があるわけですが、これについては、主税局はどういうお考えですか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/158
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159・塩崎潤
○塩崎政府委員 留保所得課税は同族会社だけでございますので、会社形態をとっていない医療法人あるいはその他特殊法人は適用ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/159
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160・武藤山治
○武藤(山)委員 適用がなくて、ほんとうに取っておりませんか。取っていた場合には、それは間違いと断定してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/160
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161・塩崎潤
○塩崎政府委員 私の法律の知識をもってすれば、取れば違法だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/161
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162・武藤山治
○武藤(山)委員 きょうは時間がありませんから、それはあとで具体的な財団法人、社団法人の名前を指摘して、取られているという不満があるので、その問題については指摘をしたいと思います。
それからもう一つの言い分は、配当を禁止しているのであるから法人税は取るべきでないという議論がありますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/162
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163・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは法人税の基本的な仕組みにも関係いたしますが、法人税というものは発生した利益に課税するわけでございまして、それが処分されようが、配当されようが、どうしようが、関係しないのが法人税でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/163
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164・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし、財団法人の場合には配当ができない。しかも、院長、理事長の賞与も税務署の課税が非常にうるさくて認められない、否認されている例が非常に多いわけです。
そこで、彼らの主張は、われわれは法人であっても配当は認められない、上から押しつけられ、賞与も否認され、おまけに税金だけはごっそり取られるというのは、いまの公益的な性格から見てどうも不合理ではないか、けしからぬではないか、こういう陳情を私は受けているわけでありますが、そういう点については、法人一般として、当然やはり税金は取るんだ、こういう見解をとり続けるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/164
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165・塩崎潤
○塩崎政府委員 医療法人の公益性の問題にも関係いたします。公益性をしんしゃくいたしまして、税法上の特例を設けるならそれなりの法律上の手当てがあってしかるべきだと思いますが、手当てがない以上、利益が留保されようが、配当されようが、それに関係しないというのが法人税のたてまえでございますが、ちなみに、同族会社も配当よりもむしろ留保ばかりというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/165
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166・武藤山治
○武藤(山)委員 こういう医療法人の場合には行為計算否認というのは行なわれないのが当然だと思いますが、どうして行為計算否認が行なわれるのか、その根拠をひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/166
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167・塩崎潤
○塩崎政府委員 同族会社の行為計算否認の根拠は百三十二条でございまして、同族会社には文句なくございます。そのほかに三以上の事業所を有しておりまして、その事業所の二分の一に当たる事業所につきまして、事業所の所長が、その事業所において、かつて個人として事業を営んでいた、しかも、そのような個人が一定限度の出資を持つというような条件に該当いたしますれば、同族会社の行為計算否認の規定が働くことになっております。聞くところによりますれば、医療法人の中には、お医者さんの方々が集まりまして、そんなような事例があるということでございます。
そこで、行為計算の否認の規定はこの規定でございますが、そのほかに税務上やはりいろいろな行為がありましたときに、やはり経済人としての見地から見まして、不合理な値段がつけられたり、不合理な契約があったり、あるいは不合理な値段の売買がありました際には、これは何も同族会社でなくても、税の仮装であるということで否認されることがあることは、何も医療法人のみならず、大会社についても、たとえば大会社の役員が大会社の社宅を簿価で安く引き受けましても、やはりこれは時価で払い出したと見る、したがいまして、帳簿価格と時価との差額は、私どもは認定賞与とするということを広くやっております。これは同族会社の行為計算否認以前の、法人税上において古くからあるたてまえだ、こういうふうに了解しております。御指摘の点がもしそういった原理、原則にかかるものでありますと、そういう否認を受けておる場合があるやもしれませんので、いずれまた詳しく御指摘があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/167
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168・武藤山治
○武藤(山)委員 時価と簿価の差がはなはだしく不合理な取引があった、この場合の法文は、何条でそういう規定になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/168
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169・塩崎潤
○塩崎政府委員 これはもう法人税法上は所得計算原理の当然のことだと思います。
企業利益というものは、どういうふうに計算されるかといえば、やはり企業は資産は時価で売る、そうして帳簿価格との差額が利益である、こういった企業利益の計算理論あるいは課税所得理論、これからきておると思います。所得という定義は、御案内のように、所得税法にも法人税法にもございません。所得は、一般的な社会常識、企業の会計慣行、これによってきまる、それから当然出てくることでございまして、時価が高いものを簿価で売るということは、当然、会計慣行から申しますと利益が実現したとみるというふうに考えるわけで、そこからきておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/169
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170・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、私のところに陳情にきている例は、いま主税局長の主張するような不合理な取引があった、あるいは時価と帳簿価格との差がはなはだしくあった、そういう場合ででもない限り、否認されることは財団法人の場合はあり得ませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/170
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171・塩崎潤
○塩崎政府委員 具体的な事例も御指摘いただけませんので非常に答えにくいのでございますが、その事例を伺って、どういった場合に否認を受けたか伺いまして、お答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/171
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172・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは、きょうは一時間半ということですから、この問題で終わってはたいへんですから、あとで具体的にその法人の名前を指摘して、個別問題になりますけれどもお尋ねをしたいと思います。
次に、主税局長にお尋ねいたしますが、課税最低限の推移でございます。
戦前の課税最低限と現在の課税最低限をいまの貨幣価値にインフレートして提示を願いたい。そういう計算ございますね。なまのままの数字では比較してもあまり意味がありませんから、まず戦前、昭和九−十一年を現在の貨幣価値にインフレートして、独身者の場合は課税最低限幾らになるか、ひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/172
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173・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう戦前の絶対金額は御存じのとおりでございまして、ちょっと、はなはだ不勉強で、昭和九−十一年と現在との貨幣価値のデフレーターを持ち合わせておりませんので、さっそく照会いたしまして正確なところを申し上げます。大体の大ざっぱな検討はつきますけれども、正確なデフレーターをつくりましてお話を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/173
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174・武藤山治
○武藤(山)委員 私もきょうは税法だけの質問という覚悟で来たものですから、日銀の統計やら、全然持たずに来たのですが、概算でどのくらいになると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/174
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175・塩崎潤
○塩崎政府委員 消費者物価はなかなかむずかしいかと思いますが、卸売り物価で見ますと、四十一年の九月で三百五十七倍となっております。私の感じただけでは大体四百倍くらいではないかと思います。そういたしますと、夫婦子三人のサラリーマンの当時の課税最低限は千八百七十五円でございますから、七十五万円ということになろうかと思います。独身者は、当時は千五百円でございますから、四百倍いたしまして六十万円——なぜ扶養控除がこれだけの開きかといいますと、当時は税額控除でございまして、扶養親族に対する考慮は非常に少なかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/175
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176・武藤山治
○武藤(山)委員 夫婦子供三人でなく、独身者で少し議論をさしてもらいたいと思います。
独身者は、当時、いまの金に換算すると六十万円まで税金がかからない。現在は、昭和四十二年の改正ベースで見て、幾らから税金がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/176
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177・塩崎潤
○塩崎政府委員 昭和四十二年分で二十六万七千六百二十二円、平年分で二十八万一千四百三十円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/177
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178・武藤山治
○武藤(山)委員 大蔵大臣、いまかけつけたばかりでさっそく質問をするのはちょっと失礼とは思いますが、いま塩崎主税局長にこういう質問をしたのです。
昭和九−十一年当時の課税最低限は独身者は幾らか、それをいまの貨幣価値で換算をした場合に一体幾らになるだろうかと聞いたわけです。そうしましたら、独身者の場合は、いまの金にして六十万円、子供三人夫婦の五人家族で七十五万円、当時のものをいまのインフレートしたものに計算を概算してみるとそういうことだというのです。もちろんそれは卸売り物価の大体倍率で計算をしたという大ざっぱな数字です。いずれにしても、当たらずとも遠からずの数字なんでございます。そうしてみると、戦後二十年を経過して、もはや戦後ではない。先進国の仲間入りをし、日本はもう一等国の五本の指の中に入ると言われるほどになったと大臣はいつも——水田さんはあまりそういうことは言わなかったのですが、池田さんはたいへんそういうことを自慢話に言いふらしたわけでありますが、そういう点から比較すると、現在の二十六万七千六百二十二円の課税最低限というのは、これは独身者の場合ですよ、どうも戦前、九−十一年並みと比較しても、あまりにも低過ぎる感じがするのですが、大蔵大臣のお感じはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/178
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179・水田三喜男
○水田国務大臣 当時の国税の中で所得税がどれだけのウエートを占めておったかといいますと、いまのようなことでありませんので、当時の免税点は高かったと思います。で、それといまのを比較したら、いまの課税最低限はまだ低いということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/179
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180・武藤山治
○武藤(山)委員 どうもいまのは、大臣、ちょっと主税局長の入れ知恵で答弁したのでしょうが、夫婦子供三人の家族は当時千八百七十五円まで税金がかからなかった。それが現在、今度は四十二年度べースでは七十一万一千円までかからなくなったのですから、これはやや戦前並みです。標準世帯はやや戦前並みの課税最低限といえるのですよ。ところが独身の場合には、六十万円にすべきところが二十六万七千円というのは、あまりにも開きがあるのではないか。もちろん、それは当時の独身者が有利だったのだ、当時の独身者の課税が非常にゆるやかだったといえば言いのがれになるかもしれませんよ。しかし、それにしても、戦前、九−十一年と比較して六十万と二十六、七万円とではあまりにも差があり過ぎるから、独身者に少しいまのそれは過酷ではないか。独身者に対する課税最低限をもっと引き上げていいのではないか、こういう感じがするわけであります。大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/180
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181・水田三喜男
○水田国務大臣 これはだんだんに引き上げるべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/181
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182・武藤山治
○武藤(山)委員 だんだんに引き上げるという、これも抽象的な答弁で、答弁にならぬわけでありますが、それでは、まあそういう議論をしていると先へさっぱり進みませんから、次へ移りますが、本年の独身者の課税最低限の引き上げによって、最低税率に計算した場合、税額で年間幾ら減税になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/182
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183・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃる意味は、独身者のどの程度の階層の人ということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/183
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184・武藤山治
○武藤(山)委員 大体課税最低限度かすかすのところで見て、去年とことしとを比較した場合に二十二万円から二十六万円になった、この四万円を引き上げることによって、最低税率で計算をした場合には、一体幾ら減税になるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/184
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185・塩崎潤
○塩崎政府委員 いろいろなケースがありましてなかなか答えにくいのでございますが、基礎控除と給与所得控除の四万円引き上げがありまして、これは四分の三だけ働くことになります。これに対して、最低のところでは八・五%の税率が軽減されることになりますし、一方、税率が八・五%から九%、〇・五%上がります。この分は十万円に対する〇・五%でございますから五百円くらい重くなる、その差し引きが税負担の軽減、これが最低限度のところであろうと思いますが、もう少し詳細な御質問がいただければ、なお補足していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/185
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186・武藤山治
○武藤(山)委員 私が言いたいのは、かりに今度の課税最低限の引き上げが独身者の場合四万七千三百円、前年と比較して今度引き上げになるのは。それをかりにうんと有利に、主税局の答弁しやすい有利な計算をして一〇%の税率と見ても、税額で四千七百三十円、そうすると、一カ月にしてこれは四百円税額が安くなる。ところが、実際の納税者は、その分は所得が上昇するから、おそらく絶対額の税額は去年と比較して減らないと思うのですね、所得はふえますから。だから、負担感という点では、これはきのうの永末さんの税痛ではありませんけれども、負担感はさっぱり減らない、こういうことは言えると思うのです。しかし、私が言いたいのは、負担感が減らないどころではなく、一カ月四百円くらいの減税にしか当たらないとは、これはもう独身者もさることながら、それより上の人は当然でしょうが、独身者の場合に特に例をとって言うと、全然減税の恩恵を受けないという感じを持つだろう、こういうことを言いたいのであります。
というのは、大臣も御承知のように、健康保険料を政府は上げるんでしょう。これは閣議でももうきまっておるし、政府は法案を出したんでしょう。千分の六十五から今度は千分の七十二に健康保険料を引き上げる。そういたしますと、この健康保険料というのは、つとめておる者は全部健康保険に入っておるんですね。勤労者は全部入っておる。だから、これはすべての源泉徴収を受けている人たちは取られていると見て大体差しつかえない。その引き上げ分だけでも相当の負担になるわけであります。それに、今度は消費者のお米も十月から上がる。もう牛乳は二円上がった。そういう物価の上昇を個々人の納税者の立場に立って考えてやった場合には、本年程度の減税ではさっぱり負担感は減らない、こう納税者はぼやいておる。不満だと私は思うのです。大臣、その点どうですか。いまの健康保険料の引き上げやなんかとにらみ合わせて、本年の減税のようなこんな小幅な減税では負担感は減らないという点、どうお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/186
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187・水田三喜男
○水田国務大臣 四百円がわずかだと言うんですが、四百円は、従来納めておる税金の半額になるということで、これはわずかな減税じゃなくて、五〇%減税というようなことで、金額は少ないんですが、その少ない人は納税の額も少ないんですから、その比率からいったら、やっぱり相当大きい減税になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/187
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188・武藤山治
○武藤(山)委員 大体、大蔵大臣がそういう感覚だから、自民党は東京都知事選でも負けるし、自民党は都会でだんだんだんだん票が減っていくんじゃありませんか。やはりそういう国民の負担感についてどう政府が、自民党が国民の声にこたえるかという姿勢をとらないと——これはよその党のことですから私がこんなことを言う必要はないんでありますが、政府は国民からだんだん人気を失って、自民党の退化を来たすのではないかと私は思うのです。社会党はそんなこと言う必要はない、おまえら一生懸命やっておれらを負かしてみろと言うかもしれませんが、そういう国民の負担感というものから見ても、あるいは絶対額の減税から見ても、あるいはまた戦前の課税最低限との比較から見ても、いまの減税はまことに小幅である。なぜもっと大幅減税ができなかったか、大臣にひとつ答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/188
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189・水田三喜男
○水田国務大臣 私どもがしょっちゅう言っておりますように、課税最低限をできるだけ上げて、最低生活費に税をかけないという原則をもっと貫きたいと思っておりますので、問題は、どれくらいの所得から税を取るかということが問題でございまして、その点なら、私どもがいま努力しておることでございます。
最近いろいろな税の質問で、四百円しか減らないじゃないかとか、ビール三本しか納めていない人が、ビール一本しか減税にならないじゃないかとかいうのですが、これは三分の一の減税ですし、四百円というのですが、二分の一減税です。だから問題は、少なくとも年収百万円なら百万円までは税をかけないというところへ持っていかないかということなら私ども賛成で、持っていきたいと努力するのですが、税率を見ないで税額だけでそういう言い方をされるというのは、ちょっとこれは適当じゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/189
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190・武藤山治
○武藤(山)委員 適当であろうがなかろうが、大臣、戦前の課税最低限のとり方が間違っておるということなら別ですよ。戦前は、独身者は千五百円まで税金はかからなかったのですよ。ところが今日は、それをインフレートすると六十万円なんですよ。だから、少なくとも独身者月収三万円までくらいは国税は取らない、そのくらいな——特に独身者の大半は、高校を卒業しておそらく勤務三年間くらいの若い人ですよ。特に職場に入ったばかりで、洋服もほしい、くつも新調しなければならぬ、あるいはデートをするためにはずいぶん年寄りとは違った費用もかかるでしょう。そういう若い者に夢と希望を与える政治だったら、やはり戦前の千五百円というものにインフレートした金額に近づけるという配慮を政府はしてしかるべきじゃないか。その気持ちがこの改正案の中にはあらわれていない。夫婦子三人の場合にはやや戦前並みにいったわけです、比較すると。
そこで私が力説しておるのは、独身者の問題をもう一つ何とかならぬか。しかも、この連中をもっと五万円もばんと上げてやると、おそらく納税者の数が二百万人くらいぼこっと減るのですよ。そうすると、納税者人口がどんどんふえるという傾向にあるというので、減税して何とか人員は横ばいにしたいという配慮がいつも減税の中にかなりあるようでありますが、若い者にも夢と希望を与える減税を、どうですか、水田さん、ひとつあなたの大臣中にやりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/190
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191・水田三喜男
○水田国務大臣 それは賛成です。いままで何回も減税をやっておるときに、やはり世帯持ち中心の減税でしたために独身者の減税というものがわりあいに看過されてきましたために、これも納税人員がふえておる一つの原因になっておりましたので、ことしは各層の比率から見ますと、平均が一六%といいましても、独身者だけは特に二一%と課税最低限の引き上げの率を多くしてこの改正をやったわけですが、こういうやり方をあと何回も続ければおっしゃったような方向にいくと思いますので、来年度も引き続いてこういう問題をやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/191
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192・武藤山治
○武藤(山)委員 来年度引き続いて大いにやりたい、検討したいという御意思でありますから、一応その問題は終わりにしたいと思います。
第二に、いまの議論に関連すると思いますが、本年の自然増収はかなりの金額に見積もられている。七千三百五十三億円という戦後最高過去十カ年間の最高ですか、主税局長、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/192
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193・塩崎潤
○塩崎政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/193
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194・武藤山治
○武藤(山)委員 七千三百五十三億円も自然増収が見込めたのに、これを考えてみた場合にはどうも減税幅が少な過ぎる、こういう議論もひとつ立つような気がするのですが、大臣、御意見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/194
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195・水田三喜男
○水田国務大臣 減税の幅を見る一つの方法として、御承知のようにその年の自然増収との関係でいままで見てきておりますが、昭和三十年前までは、これは自然増収の大半を減税に充てるということできましたから大きい率でございましたが、三十一年以降はずっと率が少なくなって、自然増収の一五、六%を減税に充てていくということをやってきました。本年と昨年は自然増収がないのに大幅の減税をやりました。今年度と昨年度を二つ加えて考えてみますと、これでもなおかつ三十何%で、いままでやってきた減税の倍くらいの率になるということを考えますと、去年、ことしやった減税が過去の減税よりも特に少ない幅の減税であるというふうには私ども考えません。
それで、去年の減税の平年度化の影響がことしは一千億円もありますので、ことしの減税の幅をどのくらいにするかということも私どもは考えましたが、やはり所得税の現状をこのままでおくことは適当でないということで、今度は所得税中心の一千億円以上の減税をやるということにしますと、自然増収との関係では、従来よりも非常に幅の狭い減税ということには、いまのところはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/195
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196・武藤山治
○武藤(山)委員 七千三百五十三億円の自然増収のうち、これから補正予算によって最小限必要とされる見込みというものはどのくらいとお考えになりますか。大ざっぱな数字になるでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/196
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197・水田三喜男
○水田国務大臣 これは、一つは人事院の勧告の問題がございますし、一つは災害の問題がございますし、まだ全部が未確定要因でございますので、今年度の補正の幅がどのくらいになるかということは、いまのところ数字がこれくらいだろうというところまで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/197
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198・武藤山治
○武藤(山)委員 災害のことをちょっといま耳にしたのですが、昨年は災害の予算を当初に予備費として十分見込んでおったわけですね。ことしの予算編成ではどうなんですか。災害がある程度あっても心配ないほどの予備費は持っておるのじゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/198
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199・水田三喜男
○水田国務大臣 本格的な災害があるときには、これは対処できない金額でございます。昨年はたしか五百億円だったと思いますが、今年度は予備費を七百億円しか見ておりませんので、予備費もそう余力はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/199
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200・武藤山治
○武藤(山)委員 大臣、きょうは主計局長がおらぬからちょっとたじたじで、気の毒だなと思いながら聞いておったのですが、去年は五百億円、ことしは七百億円で、たいしたことないというのは論理矛盾するので、去年よりも多く災害の場合も対処できる予備費を持ったわけですから、予備費でかなりの災害は手当てができる。そうすると、人事院勧告の公務員のベースアップが中心になるわけです。
〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕
それにしても私は、かなり国債を減らせる方向にこれが回せるのじゃないかと思う。思い切って国債を減少するためにこの自然増収の見込みを回す、こういう腹に大臣がなることが、好ましい政治の姿勢ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/200
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201・水田三喜男
○水田国務大臣 さっき申しましたように、自然増収の見方を私どもはそう過小には見ないつもりでございましたが、もし自然増収が当初の予想よりも多く見られるというときでございましたら、私はやはりこれは国債を減らすことに向けましょうということは、しばしば申しておるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/201
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202・武藤山治
○武藤(山)委員 そこで、そういう姿勢を大臣がおとりになるとすれば、当初考えた国債発行の月々の割り当てベースというものをそのとおり実行しないで、現金が収納されるまでの間は、国債でいかずに一時借り入れ金でやっておいてみる、それで九月決算、十一月ごろに金がだっと入ってくればその一時金を返すということにして、国債をどんどん出してしまわないという一つの操作というものを考える必要があるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/202
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203・水田三喜男
○水田国務大臣 これは私ども考えております。と申しますのは、昨年は資金運用部資金で引き受けるという分が最後に引き受けないままに公債の削減をやった例がございますので、今年はやはり公債の発行を前半、後半と二期に分けて、先にいかないうちに国の資金運用部資金で一部引き受けるというところをつくっておいて、そういう形をこしらえたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/203
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204・武藤山治
○武藤(山)委員 減税はなかなかできない、国債発行下だ、財政は苦しいのだ、仕事はやらなければならぬのだ、国民にはそういう響きがいつも耳に入ってくる。ところが新聞を見ていると、在外財産補償に金を出さなければならぬ、気前よくこれはかなり出すのだろう、こういういろいろな——これについては賛否両論いろいろあると思います。しかし、新聞によると、明日は大臣折衝でいよいよ大蔵省の最終的な金額を出すのだ、こういう新聞報道でありますが、明日はその結論が出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/204
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205・水田三喜男
○水田国務大臣 私はまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/205
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206・武藤山治
○武藤(山)委員 大蔵大臣として、大体どの程度を出さざるを得ないなとお感じになっておるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/206
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207・水田三喜男
○水田国務大臣 私は金額でどうこういま言っておるのではございませんで、やはり戦後にとられたこの種のいろいろな諸施策との均衡を保って、国民が納得できるような方法でこの問題を解決したい。そうするためにいまどういう方法でこの措置を考えるかという措置の問題でありまして、これにのっとって出る計算をそのとおり採用してもいいというので、金の高を多くしようとか低くしようというのじゃなくて、問題は、解決の筋がいいか悪いかということだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/207
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208・武藤山治
○武藤(山)委員 新聞の報ずるところでは、大蔵省の腹づもりはたいへん低くて、政府・与党は二千六百億円を要求をしたいと言う、また団体は六千億円をほしい、こう言うわけでありますから、これはまた、いままでのような合わせて二で割るようなことになるのじゃなかろうかと見ておったのでありますが、どうも大臣、大体どの程度出そうか、政府側に、あるいは自民党案にどのくらい近づけようかという腹づもりもここではまだ発表できないという状況のようであります。
こういう問題についても大蔵大臣としてはきちっとした態度で臨みませんと、先ほどの減税の問題もある、公債発行の問題もある、しかるに一方ではこうだという印象を国民に与えることは、また政府が人気を失う一つのもとになると思いますので、その辺は、大臣に十分御検討の上で願いたいと思うわけであります。
次に、こまかい今回の改正の個々の問題にちょっと触れたいと思うのでありますが、今回の税制改正の中で、配偶者控除及び扶養控除の適用条件を緩和する、こういう改正があるわけであります。妻の内職やパートタイムの収入に対する限度額を引き上げようということでありますが、大蔵大臣御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/208
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209・水田三喜男
○水田国務大臣 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/209
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210・武藤山治
○武藤(山)委員 収入にして幾らまで妻は今度扶養家族として認められる限度額としてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/210
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211・水田三喜男
○水田国務大臣 給与ならば大体二十万五千円、月給にして一万七千円前後のものまではかけないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/211
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212・武藤山治
○武藤(山)委員 月給にして一万七千円までの妻の収入は扶養家族として認める、限度額としてこれを認めていこう、非常にけっこうな改正だと思うのであります。
そこで、ちょっと不公平な取り扱いになりはしないかと思うのは、事業関係の妻が事業収入で得た場合はどうなるか。その場合は所得として十万円なのか。給与収入だけが二十万五千円の収入ということになるのか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/212
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213・塩崎潤
○塩崎政府委員 この改正のねらいからいたしまして、配偶者あるいは扶養親族が働いて得た所得は、一定限度まで扶養控除あるいは配偶者控除の適用要件の中に入れよう、こういうことでございますので、事業関係の収入の場合にも当然それからこの所得は十万円という範囲の中に数えられることになっております。つまり、資産所得がまずはずされている、こういうふうにお考えになっていただいていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/213
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214・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、パートタイムとか、あるいは下請のおばさんとかいう純粋の、何も道具を必要としない内職と、いろいろあるわけですね、これに該当する収入の源泉というのは。そこで、まず、大蔵省の規定しようとする内職収入という場合の収入の種類とは、一体どういうものを一応考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/214
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215・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨年もずいぶん御論議いただきまして、内職とは何ぞやという御質問がありまして、私は目を白黒したことがありますが、「廣辭林」を引っぱってみましても、なかなか納得のいく定義が見当たりません。そこで私どもは、配偶者あるいは扶養親族が得る所得を金額で検討をしております。その関係で事業収入も当然入りますし、いろいろの勤労性の所得は当然その中に入る、こういうところで判断していただくしかないと思います。つまり、学校の先生がはたして内職であるかどうかわからない場合でも、たとえば、先ほど大臣が申されましたように二十万五千円の範囲内ならば、この配偶者控除の適用要件の中に合致する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/215
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216・武藤山治
○武藤(山)委員 そうしますと、具体的一例として、おやじが国鉄につとめている、あるいは教員をしている、女房の名前で農業をやっている、その収入が年間二十万五千円程度であったとする。その場合に妻の扶養控除というものは認められるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/216
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217・塩崎潤
○塩崎政府委員 認められます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/217
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218・武藤山治
○武藤(山)委員 事業の場合でも二十万五千円までは認められる、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/218
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219・塩崎潤
○塩崎政府委員 いまのは夫が事業所得者でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/219
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220・武藤山治
○武藤(山)委員 いや、夫が勤労者です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/220
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221・塩崎潤
○塩崎政府委員 夫が勤労者で奥さんが内職をする、その内職もいろいろな内職がございましょうが……。(「農業だ」と呼ぶ者あり)それは所得ならば十万円でございますから、たとえば農業ならばどの程度かというのは、これは必要経費をどう見るかによりましょうが、収入に直しますと、私どもの見方では、反当たり四万七千五百円くらいと見て、十三万円くらいまでの米作収入なら所得が十万円になる、こんなふうに見られますし、たとえば、これも内職といえるかどうかわかりませんが、パーマネント屋さんをやっておるといった場合にどの程度のものが所得になるか、これもまた標準率という問題にかこつけられると非常に困るのですけれども、必要経費というものが、平均的なものの想定はつくわけでございます。そんなところから一応の推定をしてみますと、年間収入十三万九千円程度ならば十万円のうちに入るのではないか。いろいろな場合がございますが、その他たばこの小売りでは年間収入百六十四万五千円まで入るとか、こんなような一応の試算はしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/221
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222・武藤山治
○武藤(山)委員 そういう収入面で押えた金額をやはり各税務署にある程度通達を出してやらないことには、納税者の方は十万円というと、十万円の収入だと思っていますからね。だからやはり親切に——農業の場合だったら、奥さんが農業をやっていて、おやじが公務員だ、こういうような場合には、妻の農業のほうを内職とみなして、幾らまではだいじょうぶですよ、そういうような親切な通達を出してもらわないと、おそらく税務署の段階で、給与以外はみな十万円にされちゃうと思うのですよ。そういうことのないように、十分通達に配慮してもらいたい、こう思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/222
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223・水田三喜男
○水田国務大臣 そういたしてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/223
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224・武藤山治
○武藤(山)委員 だいぶそれで、内職の二十万五千円の給与収入については扶養家族として認めるという問題については理解ができましたので、了承いたします。
次に、今度は身体障害者や寡婦の控除が、従来は税額控除であったのが、今度は所得控除に変更になる、こういう改正があるわけでありますが、これは何のためにこういう改正をするのか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/224
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225・塩崎潤
○塩崎政府委員 ねらいは種々ございますが、第一には、納税者にわかりやすく理解していただくためでございます。障害者控除あるいは寡婦控除の制度の理由は、たとえ同じ所得を得ましても、身体の完全なる者と身体に障害のある者との間に、同じ百万円でも、かかる費用が違うであろう、つまり、支払い能力が違うであろう、こういう考え方でございます。つまり、費用性をしんしゃくした、こういうことでございます。これは税額控除ではなかなかわかりにくいものでございますから、所得で控除いたしますればその点が明瞭になる、これが最も簡単な大きな理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/225
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226・武藤山治
○武藤(山)委員 私はちょっと不合理に思うのは、これは税額で六千円だったのが今度は七万円になるということは、一番下のほうの税率適用の低収入の場合には、たとえば七万円の九%の税率だということになれば、六千三百円しか減税にならない。それがかりに二百万円の所得だと仮定した場合三〇%ですね。二万一千円引けるわけですね。だから、そういうように、高額の所得の者には、同じ身体障害者及び寡婦でもうんと収入の多い者は、うんと税金が安くなって、所得の少ない者は率が悪い、こういうアンバランスが出るような気がするわけです。ですから、従来のように一人六千円なら六千円という形でやるほうが、かえってそういう点の誤解は受けないのじゃないかと思うのでありますが、その辺の調整はどうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/226
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227・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもがこの税額控除制度を維持しておりましたのは、先生のいま言われました低額所得者に有利に、高額所得者に不利にという税額控除のねらいからそうしておったわけでございます。しかし、先ほど来申し上げておりますわかりにくいという点が第一、さらにまた、付随的なことかとも思いますが、いつも、税額控除となりますと、毎年減税のある場合に障害者の団体あるいは寡婦の団体から、扶養控除が引き上がる、基礎控除が引き上がる、配偶者控除が引き上がる、ことに配偶者控除が一番やかましく言われ、税額控除の六千円の据え置きはどういうことかということを言われます。しかしこれは税額では、単純に引き上げることも、減税の際にはなおさらないのであります。これは寡婦の方々、障害者の方々のことを考えますと、やはり費用もふえることでございますから、同じような減税をする理由もありと考えられます。そこで、今度は七万円という所得控除にし、扶養控除の金額と同額でございます。扶養控除の金額が引き上がるならば、これもまた上げていこうという考え方でございます。外国でもこういった寡婦控除あるいは障害者控除は所得控除というような体制をとっておりますことを考えますと、このほうが私は適当だと思います。
さらにまた、障害者控除、寡婦控除の所得階級分布を見てまいりますと、先生の心配されるほどの所得者は上のほうにはほとんどいない。問題は、老年者控除にあったわけであります。老年者控除も同じく税額の六千円でございましたが、これは所得控除いたしますけれども、ここで堀先生いつも御議論の場合に、バニシング・イグゼンプションと申しますか、上のほうにはこういった控除は必要ないという御主張もございますので、老年者控除の適用を受ける満六十五歳以上の方々はたくさんおられます。ことに相当な所得者におられますので、こういった方にはこの所得控除は適用しないということで、私どもはいま武藤先生の御心配の点をひとつ避けたつもりでございます。障害者の寡婦の方々は、これはやはり所得の性質から見て、そういった若干の欠陥がありましても、この際、わかりやすい見地、あるいは将来の減税の必要性の見地から所得控除に改めようとする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/227
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228・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし、主税局長、これは最低の税率適用の所得者と、あるいは中ランクのところにいく人との不公平、不均衡というものは、これはどう理屈をつけても隠せないと思うのですよ。
そこで、やはりこの制度をより合理的にするには、最も税率の低い、たとえば、下のほうの二段階ぐらいの所得金額のところは十万認める、あるいは十三万にするとか、それより上の場合はという二段階、三段階にするのが、より公平な、より合理的な改正じゃなかろうか、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/228
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229・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かにそういった改正は可能でございます。しかし、基本的には、たとえば、基礎控除でもどんな所得者層にも控除していることを考えますと、特に障害者控除あるいは寡婦控除を目のかたきにしなくもいいような気がいたしますし、さらにまた、先生のような専門家には、そういった二段階、三段階の仕組みは理解できるのですが、現実の執行面におきましては複雑でございます。ここでは先般簡素化の御決議をいただきましたように、徹底的な簡素化をやれということを考えますと、どうもやはりこの程度のところでやっていくほうが簡素化の趣旨にも合うような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/229
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230・武藤山治
○武藤(山)委員 しかし、それは局長、本人が障害者の場合の議論はそうでしょうね。しかし、家族が障害者の場合でも、いままでは六千円でしょう。今度は七万円でしょう、所得で。そうすると、家族が障害者の場合には、それはうんと所得の少ない家庭で子供が障害者だという場合の七万円と、百五十万円なり二百万円なりの所得のある者の家族の障害者をかかえておる家庭では、これは適用金額、恩恵を受ける金額がえらい違ってくるわけです。いま局長が言っている頭の中は、本人が障害者の場合ということで障害者を目のかたきにしなくてもいい——私はそういう意味ではなくて、家族に障害者がいる場合を頭に置いて質問している。ここらが食い違っていたから目のかたきにするということばが出たのでしょう。そういう点からいえば、これは合理的な改正ではない。しかし、あなたは、合理的でないけれども、簡素化のためにはやむを得ないんだ、こうおっしゃるから、それはそれでいいとしても、とにかく、改正する場合にはそういう点の配慮も少々してしかるべきではなかろうか、こういう注意をひとつ申し上げておきたいと思うのであります。
次に、大臣の時間がありますから、もうあまりこまかい点を聞いている時間がありませんが、寄付金の問題について、特にいま政治資金規正法の改正問題、公職選挙法改正特別委員会などで非常に脚光を浴びている時の問題でありますが、これは大蔵委員会に大いに関係があるわけであります。特に法人税、所得税には寄付金の規定があるわけでありまして、今回の改正にもこの寄付金の問題に手をつけているわけでありますから、ちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、主税局長、いま一年間の法人の寄付金で損金控除された金額というのは、大体どのくらいになるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/230
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231・塩崎潤
○塩崎政府委員 寄付金の金額は、四十年統計では、法人の支出金額は三百億円でございます。いまそのうち否認の割合がわかりませんので、ちょっと調べてまいりますが、ともかくも、三十八年が二百九十八億九千百万円、三十九年が三百十三億五百万円、四十年が三百億三千万円、こういった数字を示しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/231
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232・武藤山治
○武藤(山)委員 その寄付の中で大蔵大臣の認可を受けた指定寄付、それから指定寄付でなくて、もう自由に寄付できる三十七条の前段の規定と二種類あるわけですが、いまのは指定寄付をはずした一般の寄付ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/232
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233・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは法人企業が支出いたしました寄付金全体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/233
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234・武藤山治
○武藤(山)委員 その中で指定寄付、たとえば学校や赤十字や公益法人、そういうものに対する大蔵大臣の許可をとっている寄付、それはどれくらいあるわけですか。というのは、政治献金とのからみ合いで、それを分けないと確実な数字が出ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/234
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235・塩崎潤
○塩崎政府委員 推計と申しますか、計算がなかなかむずかしいのでございますが、四十億円程度と見積もられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/235
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236・武藤山治
○武藤(山)委員 三百億円のうち約四十億円が公益法人あるいは学校、赤十字、そういう社会公共のため、教育文化向上のための寄付である。そうしますと、あとの二百六十億円が特別に指定しない寄付、これはもう右翼に寄付をしょうが、暴力団に寄付しようが、政界に出そうがどこへ出そうが自由なんです。
大蔵大臣、そういう規定があることは知っておりますね。——そうすると、この規定は、今回のように政治資金の問題が議論され、しかも選挙の争点の一つにもなった、こういう段階ならば、当然大蔵大臣としては法人税法のこの寄付の規定について何らかの手をつけなければいかぬと思うのであります。いままで、選挙後今日までずっと、大臣として、法人税法の寄付の規定、これは何らかの手を加えなければならぬなというお感じを持ったことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/236
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237・塩崎潤
○塩崎政府委員 ちょっとその前に、先ほど留保いたしました数字を申し上げます。
三百億円のうち、損金不算入をいたしまして益金に算入いたしましたのは六十三億八千六百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/237
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238・水田三喜男
○水田国務大臣 かりに政治献金をとってみますと、一般の寄付と同じに扱われて、寄付金優遇の範囲内でやられる分はそれでかまわないということになっておりますが、いま問題は、政治資金規正法にからんで、それとは無関係に、政治献金は、もう事のいかんにかかわらず優先的に無税にする、この規定を考えてもらいたいという要望が国会の中に出ておるというこちらのほうが問題で、そういう扱いができるかできないかということについて、私どもはそういう政治献金を特別に扱う税制というものはできないという方向でいまやっておるのでございますが、こういう点もこれからいろいろ出てくる問題でございまして、そうでない、従来の政治献金の扱い程度なら、私は差しつかえないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/238
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239・武藤山治
○武藤(山)委員 もらうほうだけ規制をして、くれるほうについての規制というものは税法でやる以外に、いまの場合なかなか方法がないのです。やはり法人税法三十七条の改正——所得税法のほうには一般寄付の限度が所得の三%程度で切ってあるから、そう無制限に寄付できないのですよ。ところが、法人税法だけは抜け穴があって、資本金の千分の二・五と所得の百分の二・五の合計額、その半分まではどこへ寄付してもいいのですね、指定がないのですよ。ところが、個人の場合のほうは、なかなかそうはいかぬ。指定があるわけです、大蔵大臣の認可のあるところへでも出さないと。それも、しかも限度がきちっと出ている。ところが、いまの政治資金規正法でこれからやろうというのは、個人の寄付はどうだ、認める、法人のほうはやめようというのですから、どうしてもこれは税法をいじる以外にないと思うのですよ。
だから私は、大蔵大臣は、税法をいじらなければならぬなあというような感じをお持ちになっておるのではなかろうか。それを、全然受け入れ側だけ規制すればいいじゃないかという大臣のいまの答弁は、どうも大臣としてちょっとうかつのようですがね。大臣としても幾らかは考えておるのじゃないですか。
主税局長、いま、十億円以上の資本金の会社は全国に幾つありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/239
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240・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもの統計では、十億円以上の資本金の会社は、十億円から四十九億九千万円までが七百四十、五十億円から九十九億九千九百万円までが百十、百億円以上が百十二、合計九百六十二でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/240
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241・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長どうですか、資本金十億円の会社が所得をかりに小さく見て一億円出した、この場合を想定して、寄付は幾らまでできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/241
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242・塩崎潤
○塩崎政府委員 私の即算で間違うかもしれませんが、二百五十万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/242
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243・武藤山治
○武藤(山)委員 いまのは十億円で一億円しか所得がなかった例ですね。ところが、資本金百億円、五十億円の会社が日本には二百以上もあるわけですね。ですから、資本金百億円の会社となると、所得が合わせて十億円も出た、二十億円も出たという場合にはたいへんな寄付ができるわけですね。
大臣、たいへんな寄付ができるということだけはお認めになりますね。八幡製鉄が限度まで——きのうの主税局長の答弁では半期で一億二千万円、だからそのぺースでいった場合には、一年合わせると二億四千万円寄付ができるわけです。八幡製鉄一社で二億四千万円ですよ。だから、これを政界や、ひどいのは官報を見ていると右翼団体にまで金を出しているわけです。私は、こういう限度はこの辺で見直しして、この限度そのものをここらでひとつ再検討をする必要があると思うのですが、大蔵大臣の御見解いかんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/243
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244・水田三喜男
○水田国務大臣 私どもの聞いております寄付金は、そう政治資金がおもじゃなくて、もういままで、この団体にはこれだけ寄付するとか、実績もございますし、新規の要望がありますし、こういうものを割り振って年にどれだけの予算をとるかということで、各社の係がもうできておるというぐらいの問題になっているのでありまして、会社の運営をやる以上は、これだけのやはりつき合いが必要だというようなことで、これに苦しんでおるというのがいまの実情だと私は思いますので、そういう意味で、いまの寄付金が要らないものを出しているというふうに簡単には言えない問題があろうと思いますので、やはり一応検討はする時期であろうと思いますが、そういう意味で、簡単に、いまの寄付金が多く出過ぎているというふうにも、実情から見たら私は言えないのじゃないかという気がします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/244
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245・武藤山治
○武藤(山)委員 それは大臣、まだ寄付金についてあまり御関心がないからそういうことを平気で言えるのでありますが、一年間に自民党に寄付された金額、それから派閥に寄付された金額は、大ざっぱに見てどれくらいだと認識されていますか。自治省に報告されている金額が官報にちゃんと出ている。ぼくは名前をあげるのは失礼になるから言いませんけれども、大臣、大ざっぱに見て、一年間どのくらいになると思いますか。——わからなければ、私が言います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/245
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246・水田三喜男
○水田国務大臣 まあ、おっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/246
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247・武藤山治
○武藤(山)委員 それは選挙のある年には、私がずっと調べた三回の選挙では、合わせて七十億円になりますよ。選挙のない年でも大体三十億円くらいになりますよ。派閥まで来ているのをずっと合計すると。これは商売上、そんなに必要な寄付じゃないじゃないですか。寄付は相当の限度がなければ——商取引上、会社経営上必要な寄付金だというけれども、この限度、資本金の千分の二・五と所得の百分の二・五を合わせた半分認めるというこの規定は、会社経営上からも私はよろしくない点を含まれていると思うのです。たとえば、所得がない場合、所得が出なくて資本金だけ百億円だったという場合でもこの寄付は認められるのでしょう。主税局長、どうですか。所得がなくて資本金百億円の会社だった場合、寄付できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/247
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248・塩崎潤
○塩崎政府委員 資本金基準は、もう所得がない場合でも認める趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/248
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249・武藤山治
○武藤(山)委員 だから赤字の会社でも、何とか政府からてこ入れしてもらおう、政治家とつながりを持って、ひとつめんどうを見てもらおうと思えば、いまのこの寄付の規定から、借金をしてまで政治献金するところが出てくるわけですよ。したがって私は、資本金の規定か何か、どっちか取っ払って、そういう不合理はできないような寄付の体制に税制を直すか、あるいはこの限度額を資本金別にパーセントをもっと減らすとか、何らかの手をつけなかったら、いまの政治資金規正法のほうで幾ら騒いでも、出すほうの寄付が自由だということじゃ、これは歯どめにならぬじゃないですか。
大臣、もうそろそろ主税局長に命令して、真剣にこの再検討をすべき段階だと私は思います。もう一度、大臣、いまの実情をちょっと頭に思い浮べてもらって御回答願いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/249
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250・水田三喜男
○水田国務大臣 まあ、検討はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/250
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251・武藤山治
○武藤(山)委員 大臣、その言い方が気に入らぬ。「まあ」というのはどうですか、その「まあ」というのをひとつ取って、「検討してみましょう」と言い直しできませんか。「まあ」というのはどうですか、これは時間は切れないという意味ですか。やりたくないけれどもしょうがない、質問されて、約束の時間の五十分になったから、もうそろそろ終わるだろうからというような気持ちで「まあ」を入れられたのでは困るのです。どうですか、検討を約束できますね。検討をしてみるということを、いま私と約束をしたと理解をしてよろしゅうございますね。——それでは、約束の四時五十分になりましたので、こまかい点の質問はまた二十三日に譲ることにして、私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/251
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252・内田常雄
○内田委員長 次回は、来たる二十三日、火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01519670519/252
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