1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月二十三日(火曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 三池 信君 理事 毛利 松平君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 菅 太郎君
鯨岡 兵輔君 小峯 柳多君
小宮山重四郎君 河野 洋平君
笹山茂太郎君 砂田 重民君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山中 貞則君 渡辺美智雄君
阿部 助哉君 西宮 弘君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
柳田 秀一君 山田 耻目君
横山 利秋君 春日 一幸君
永末 英一君 田中 昭二君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
国税庁長官 泉 美之松君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業訓練
局長 和田 勝美君
委員外の出席者
厚生省医務局国
立療養所課長 加倉井駿一君
自治大臣官房参
事官 倉橋 義長君
自治省選挙局管
理課長 鈴木 博君
自治省税務局府
県税課長 石川 一郎君
参考人(税制調
査会会長代理) 松隈 秀雄君
参考人(日本大
学助教授) 北野 弘久君
参考人
(全国青色申告
会総連合税制委
員長) 茂木 誠陸君
専 門 員 抜井 光三君
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五月二十三日
委員野口忠夫君辞任につき、その補欠として西
宮弘君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員西宮弘君辞任につき、その補欠として野口
忠夫君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、参考人として税制調査会会長代理の松隈秀雄君、日本大学助教授の北野弘久君、全国青色申告会総連合税制委員長の茂木誠陸君がそれぞれ御出席になっておられます。
参考人各位には御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。
本委員会におきましては、税制改正各案につきまして審査を行なっておるのでありますが、参考人各位におかれましても、何とぞ本日は忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。
まず、参考人の方々より十分程度ずつ御意見をお述べいただき、そのあと委員各位より質疑を行なうことといたします。
なお、この際申し上げておきますが、参考人の方々の御都合もございまして、本日の参考人等との意見交換は、おおむね正午過ぎくらいに終了をいたしたいと存じますので、委員各位におかれましても、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。
まず、松隈参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/1
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002・松隈秀雄
○松隈参考人 衆議院大蔵委員会におかれましては、所得税法の一部を改正する法律案外三件の法律案を御審議中であります。参考人として招聘されまして、私といたしまして光栄に存ずる次第でございます。
目下御審議いただいておりまする以上の四法案は、さきに税制調査会が答申いたしましたものを骨子といたしております。私、税制調査会の会長代理をいたしておりまする関係上、税制調査会の動きを御参考に申し上げてみたいと思うのであります。
税制調査会といたしましては、昨年の暮れの十二月二十六日に、長期税制のあり方についての中間答申、税制簡素化についての第一次答申、昭和四十二年度税制改正大綱についての答申を取りまとめて内閣総理大臣に提出いたしました。
四十二年度の税制改正は、ただいまも申し上げました長期税制のあり方についての中間答申を受けており、かつ、税制簡素化についての第一次答申を受けたものであります。本年に入りまして、二月十七日に、昨年暮れの四十二年度税制改正大綱についての答申をさらに具体化いたしました昭和四十二年度税制改正に関する答申を取りまとめまして、翌二月十八日、これを内閣総理大臣に提出した次第でございます。
政府におきましては、税制調査会の答申をほぼ全面的に受け入れられまして、今回の改正法律案の提出となっておる次第でございます。
税制調査会としての四十二年度税制改正に関する考え方を申し上げますると、まず減税規模が問題になったのでございます。減税額は多ければ多いほど国民から受け入れられやすいのでございまするが、税制調査会としては、やはり国全体の歳入状況それから歳出の状況も考慮いたす必要があります。しかも、四十一年度において史上空前ともいうべき大減税が行なわれた直後の四十二年度であること、それから四十二年度において、税の自然増収は四十一年度よりもやや増大いたしましたが、なお八千億円にのぼる公債を出すというような状況にありまするので、四十一年度の減税額よりは内輪目のものといたしまして、国税の減税額は平年度で千四百五十億円程度のものに取りまとめた次第でございます。
その減税の内容といたしましては、所得税減税に中心を置きまして各種控除の引き上げを行ないまして、夫婦子三人のいわゆる標準家族、しかも給与所得者の場合には、課税最低限が六十三万円程度でありまするものを、平年度で約七十四万円程度にまでなるような改正を提案いたしました。退職所得の課税についても長年勤務した者の退職所得については五百万円までは税がかからないようにするといったようなことが中心でございます。企業減税につきましては、減税規模との関係もございますし、それから四十年度、四十一年度に法人税の税率を引き下げておりますので、四十二年度は、企業減税の中心をなすところの法人税の課税のあり方について根本的な検討を終了して、結論を得るというまでに至っておりませんので、一般税率の引き下げを見送りまして、企業の内部留保の充実をはかるということに努力いたしました。それから現下の経済情勢から中小企業対策に留意をいたしました。
租税特別措置法の改正といたしましては、科学技術の振興、輸出振興、社会開発等の点に重点を置いております。なお、交際費の課税については、その期限を延長するとともに、内容を経済情勢にできるだけ合うようなふうに改正いたしております。利子、配当の特別措置につきましては、三月末をもって期限切れとなるのでありますが、これにつきましては、税制調査会でも議論がなかなか多かった次第でございます。十二月の答申においては漸進的にこれを改正するという抽象的な書き方をいたしましたが、二月十八日の答申といたしましては、利子、配当の課税率、利子の一〇%は一五%に、配当の源泉選択をした場合の一五%の税率は二〇%に、それぞれ五%引き上げ、そして二年間その措置を据え置く、こういう答申をいたしております。
先ほども申し上げましたように、政府は税制調査会の案をほとんど全面的に受け入れられておりまするが、それに多少の修正を加えております。
一例を申し上げますれば、所得税であれば里子を扶養親族の範囲に追加するとか、あるいは少額貯蓄非課税限度の改正を行なうといったようなことがございます。それから税制調査会は、相続税については、昨年基礎控除あるいは税率等の改正を行なった直後でありまするので、四十二年度は一応その改正を見送ったのでありまするが、政府案におきましては、配偶者に対する相続税の軽減、生命保険金並びに死亡退職金の非課税限度の改正並びに簡素化の措置等を導入するための相続税法の改正を追加しております。法人税においては大体税調の案どおりでありまするが、たとえば清算所得に対する課税方式の変更等、税制調査会の案に追加しておるものもございます。租税特別措置法は、これも大体税制調査会が方向づけをしたところに従って、それを具体化しておるのでありますが、その後の経済情勢に伴いまして、さらに産業体制整備、住宅貯蓄制度の新設、住宅取得借り入れ金の利子補給に対する非課税とか、あるいは森林計画特別控除制度の導入等、時局の要請に応じて新しく追加しておるものもございます。なお、利子、配当の特別措置については、税制調査会の案どおり税率はそれぞれ五%の引き上げといたしましたが、期限が税制調査会の答申は二カ年であるのを一年延長して三カ年とするという程度の変更をいたしておられます。
これらの結果、政府案は税制調査会の案よりも減税額が平年度で約百億円程度ふえまして、先に申し上げました税制調査会の案の千四百五十億円が千五百五十三億円程度になっております。
たびたび申し上げまするとおり、政府の原案は税制調査会の案をほとんど全面的に受け入れておられまするので、税制調査会に関係いたしました私といたしましては、目下政府が提出いたしておりまする税制改正に関する改正法律案が、国会の御承認を得て成立することを希望するものでございます。
なお、最後にちょっとつけ加えますると、税制調査会は六月の下旬ごろから再開いたしまして作業を続行いたします。そうして、長期税制のあり方についての最終答申を取りまとめ、また四十三年度にそのうちのどの程度の部分を実施するかということをきめると思うのでありまするが、今後の問題となる点といたしましては、一、二申し上げますると、たとえば所得税の課税最低限といたしまして、夫婦子三人の場合に、目下御審議をいただいている法律案では約七十四万円ということになっておりまするが、税制調査会の長期税制中間報告では八十三万円を一応打ち出しておりますが、すでにもう七十四万円まで実現しておるとすれば、八十三万円は手直しせざるを得ない、こういう感じを持っております。国会等の議論を拝見いたしますと、百万円という一応の目安が出ておりますが、税制調査会もおそらくこの辺を目標にこれを何年間で実現するかというようなことが今後の研究課題になると思うのであります。
それから法人税については法人税の基本的な仕組み、つまりシャウプさんの考えた法人擬制説的な考え方を根本的に変えるかどうか。一つの考え方として、法人税を法人そのものの負担と見るという利潤税導入という考えがありますが、それをどの程度に具体化するかということが研究されると思うのであります。
なお、間接税の改正は、四十二年度ほとんど手をつけておりませんが、間接税についても、各税のおのおのあるべき姿、それから間接税と直接税との比率の問題等も検討を要することと考えております。
租税特別措置については、その基本方針は、不必要なものを整理し、真にやむを得ないものを導入するという考え方でおりますが、租税特別措置の洗いがえと申しますか、整理改廃も問題となると思うので、皆さん方の御意見を伺いまして、それを参考無にして、何とかいい答申をまとめたい、かように考えております。
冒頭にあたりまして、所懐の一端を申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/2
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003・内田常雄
○内田委員長 ありがとうございました。
次は、北野参考人にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/3
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004・北野弘久
○北野参考人 ただいま御紹介いただきました日本大学の北野でございます。
今回の改正法律案の中にも、幾ぶんと申しますか、かなりの面でメリットを認めないわけではございませんけれども、時間の関係上、税法学を専攻する学徒の立場から若干の疑問点を申し上げまして、私の責任を果たしたい、そういうふうに考えております。
まず、法人税法第二十二条の四項に、課税所得は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準によって計算する旨の基本規定が設けられることになっておりますが、実は、現行法のもとにおきましても、そのように解せられるのでありまして、その意味におきましては、この規定は確認的な規定であると解されます。この規定が税務行政の実際におきまして、事実において通達行政をジャスティファイする手段として利用される危険性がある、そのように考えるのであります。法人税法の所得概念の構成につきましては、このような規定を設けるよりも学説判例の展開にゆだねたほうが妥当ではないか、そういうふうに考えております。わが税法は、税務上の収益費用の認識基準につきましての基本的規定を欠いておりますために実務上多くの問題をもたらしておりますが、もし二十二条につきまして改正を加えるとすれば、むしろ、取引の類型ごとに税務上の収益費用の認識基準を明文化することのほうが大切であったように思われます。
次に、清算所得に対する課税方式の変更の問題につきましては、いわゆる清算分配金相当分は元来法人の所得ではないため、株主段階において、みなし配当所得として所得税を課税するということに改めること自体、理論的には首肯されるところでありますが、そのこと自体については、したがって異論はございませんけれども、この制度の沿革を見ますといろいろ問題があるように考えます。
大正九年には法人課税のみで個人課税を行なわないということになっておりました。昭和十五年には、本来の法人所得分だけを法人課税とし、みなし配当分を個人課税とするということになりました。昭和二十年には、課税技術上複雑であるという理由から、右の両者を法人段階で統合して課税するということに改められました。さらに昭和二十五年には、法人課税を廃止しまして、個人段階でみなし配当、みなし譲渡として課税する、その後昭和二十八年には、現行法のごとく、法人段階で一括して課税し、個人段階では一切課税しないということになったわけであります。そして、今回また右のように改正するということになったわけであります。
このような法改正の基本的な姿勢こそがきびしく国会で批判されねばならない、そのように考えております。もしその必要があるのであれば、なぜ、せっかくの昭和四十年の全文改正の際に行なわなかったのか、そういう疑問が税法学の立場から起こるのであります。なお、今回の改正は、現代税制に特徴的ないわゆる法人軽課の論理の観点から注意されねばならないことを指摘しておきたいと存じます。
次に、法人税法六十八条の所得税額の控除の制度は、昭和四十年の全文改正前は元本所有期間案分方式でありましたが、同年の改正で現行法のごとく改められたわけであります。しかるに、政令改正におきまして、わずか二年間で再びもとの全文改正前の案分方式に戻るということが伝えられております。また、法人税法六十条の契約者配当の損金算入の規定は、昭和四十年の全文改正の際に新設されたばかりの規定でありますが、今回その規定を改正しまして、損金算入の制限措置を講ずるということが予定されております。改正の内容の当否は別としましても、このような安易な立法姿勢は、法的安定性の見地から、きびしく批判されねばならない、そのように考えております。
少額貯蓄非課税制度の適用要件の緩和につきましては、人々の貯蓄の便に資するという利点のあることは否定し得ないところであると考えますけれども、このような緩和措置は、税制調査会の答申にもなかったものでございまして、政治的な妥協の産物であると伝えられております。この措置に対しましては、税務行政の実際においては、事実において名寄せが不完全になる、不備になるという疑問が指摘されねばならないと考えております。
青色申告者の専従者給与の控除限度の廃止は、非常に適当な措置と考えますが、この際、そもそも所得税法の五十六条の、親族が事業から受ける対価に関する原則規定自体が検討される必要がある、そういうふうに考えるわけであります。市民法的な視角からいえば、この規定の持つ前近代性はきわめて顕著であると考えられます。なお、今回、青色申告の専従者給与と配偶者控除または扶養者控除との重複控除を排除する現行制度を改め、そのいずれかを選択することができるとすることが予定されておりますが、このような改正は、税法の簡素平明化を目途としまして長期にわたって審議を行なったと立案当局側で説明されておりますが、昭和四十年の全文改正の際に当然行なわれるべきであったと言わねばなりません。
所得税法六十七条の二におきまして、小規模事業者につきまして、現金主義による所得計算方法の導入が予定されておりますが、小規模事業者についてもいわゆる発生主義によることとしてもさして不都合はないと考えられます。所得課税法における所得計算の基本構造に影響を与えるこのような制度の導入につきましては、私どもはきわめて慎重であらねばならないと考えます。
次に、利子所得の源泉分離課税率、配当所得の源泉選択課税率、源泉徴収税率がそれぞれ五%引き上げられるということ自体は、租税特別措置の縮減のステップの一つとして注目されますけれども、そもそもこの措置の存続自体が、実は理論的な疑問があります。
租税特別措置は、一定の政策目的を達成するための手段として、租税のインセンティブ効果を活用しようとするものでありますが、それは負担公平の原則の阻害、総合累進構造の形骸化、タックスモラルの低下、さらに一つの租税特別措置の承認は連鎖反応的に他の類似の特別措置の要求をもたらすというような多くのデメリットを持つものであります。政府の税制調査会もしばしば指摘しておりますように、このようなデメリットがあるにもかかわらず租税特別措置が認められるためには、少なくともそのデメリットをカバーするだけのメリット、すなわち政策的な効果がなければならないわけでありますが、しかるに、実証的な研究によりますと、国民総貯蓄の増加と税制上の優遇措置との間にはほとんど相関関係はないといわれております。むしろ、個人可処分所得の伸長が貯蓄の増加と密接な関係を持っております。つまり、貯蓄の増加のためには、税制上の優遇措置よりも、諸控除の引き上げ等による一般減税を行なって、可処分所得の増加をはかることのほうが効果的である、そのように言わなければならないと考えます。なお、別に、少額貯蓄非課税制度や、郵便貯金利子の非課税制度がございますために、大衆の貯蓄はこれらの制度によって十分カバーされていると考えられます。今回割引債の償還差益につきまして五%、しかも個人につきましては分離課税という、きわめて不徹底な形でありますけれども、ともかく源泉徴収を行なうことになりましたが、この際、定期積み金についても源泉徴収が考慮されるべきである、そのように考えます。
それから、試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除の特別措置等は、昨年導入されました資本構成改善、特定設備廃棄、合併助成の各特別措置と同じく、企業の体質改善のための赤裸々な直接的促進策でございますが、言うまでもなく、このような特別措置の積極的導入は、租税特別措置の縮減という観点から批判されねばならないと考えます。特別償却及び各種の準備金につきまして、損金経理の方式のほかに、いわゆる利益処分方式の導入を認めたことは、企業会計との調整という観点からは妥当でありますが、これにより、従来このような特別措置を利用することを遠慮していた企業も利用することができるようになる。つまり、企業会計との調整という形式的な税制の整備が、実はかえって縮小廃止されるべき特別措置を強化する機能を果たすに至ることが指摘されねばならないと考えます。
最後に、景気調整のための特別措置につきましては、このようなものでどれだけの効果が期待されるかははなはだ疑問であります。おそらく、立案当局におきましても、昨今のムードに税制も照応している姿勢を示そうという配意によるもの、それ以上のものとはお考えになっておられないのじゃないかと推察されます。法的構成の面からも疑問もないわけではございません。このような規定を設けることによって、いたずらに、税制の体系が乱されることはきびしく批判されなければならない、かように考えるものであります。
以上、個別的な問題につきまして若干の所見を申し上げましたが、最後に、総括的な所見として三点ばかりまとめて申し上げたいと思います。
私は、新主税局長が、着任後意欲的な立場に立って税制の簡素化に取り組んでおられることにつきましては、個人的には敬意を表することを惜しまないつもりでおります。しかし、そのような努力の多くは、元来二年前の全文改正のときにされるべきであったと思うのであります。今回のみならず、過去のたび重なる税法改正の歴史を客観的に顧みて、はたして立案当局におきまして、税法はいかなる法規範としてとらえられているのであろうかという疑問を持ちます。税法はもはや単なる行政法規ではございません。税法は租税の領域における国民の基本権を担保する法であることがもっと銘記される必要があると考えられます。税法改正がその場その場の作文的感覚でなされてはならない、かように考えるわけであります。昨今の税法の改正の姿勢は、明らかに憲法の要請する法的安定性、予測可能性の理念に反するものとなっていると言わなければならないと思います。租税立法は人々の行動につきましての法的なメジャーを示すものでなければならないと考えます。そうでなければ、税法は法として機能しないわけであります。税務行政の段階におきまして、結局問題になりますのは法律論でありまして、租税立法における法的構成の不洗練性による被害者は多くは中小法人や一般の大衆であるということを銘記したいものと思います。
最後に、税制が財政経済政策に奉仕するには、憲法上の限界があるということであります。負担公平原則は、新憲法のもとにおきましては単なる財政学上の原則ではございません。憲法上の原則であるということでございます。私は、税法秩序は形式的にも実質的にも憲法を頂点とする法秩序に組み入れられなければならないということを、過去の税制改正においてはもちろん、今回の税法改正においてもひしひしと感じております。そのためには、何よりも大蔵官僚機構を中心とします税法の立法過程自体におきまして、科学的な学問的なメスが加えられる必要があるのではないか、そういうふうに考えられるわけであります。
一税法学徒として、たび重なる税法改正案に接するたびごとに、深夜研究室で改正条文を読みながら激しい怒りが込み上げてくることをこの機会に率直に申し上げまして、私の報告を終わらせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/4
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005・内田常雄
○内田委員長 ありがとうございました。
次は、茂木参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/5
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006・茂木誠陸
○茂木参考人 私、茂木でございます。
私は全国青色申告会総連合の税制委員長という仕事をやっております。したがって、私のこれからの発言は、私個人のことばというよりも、全国に現在約百二十万の青色申告者がおりますので、その代弁とお聞き取り願ってもけっこうかと存じます。
まず、今回の改正税法の中でわれわれが最も感謝し、最も賛成しますのが完全給与制の実施でございます。この完全給与制実施ということにつきましては、もう十数年来、われわれ青色申告者は声を大にして唱えておったわけでございます。たとえば所得税法五十六条、五十七条にあるあの規定は、私は現行憲法にことによったら違反しているのではないかという考えを持っておりました。と申しますのは、たとえ個人企業でありましても、妻が働き子供が働いて、その労働の対価としまして、質的にも量的にも適当な給料を払うことをなぜ法律で制限するのか、あるいは、払ってもこれを経費として認めない、青色申告の場合には幾ら幾らまで認めよう、こういうことに私は大きな疑問を持っておったわけであります。ところが、今回の改正案によりますと、完全給与を認めようということで、これは当然のことではありますが、われわれ青色申告者としますと、長年の願望を達した、こういうことになります。ただこの際、これが政令で出ますか何で出ますかわかりませんが、たとえば給与支払いの届けを出せとか、あるいは給与の額が多いとか少ないとかいう問題が今後に残ると思うのでございますが、これはあくまでもわれわれ青色申告者が良心的に考えまして、適正給与を支払っていくということでひとつ御安心を願いたいと思うのでございます。もちろん、同族法人の場合にも同族法人の行為計算否認ということがありまして、支払い過ぎますと、税務調査で否認を受けるという例がしばしばございました。最近はあまりないようでございます。われわれ青色申告者もこの前例がありますので、決してむちゃな給与の支払いはいたしません。
それから、給与所得に対する今回の改正でございますが、標準家族五人でございます夫婦子供三人、これで今回改正されますと約七十四万円まで非課税になるという、これにつきましても私は大賛成でございますが、でき得べくんば、この限度をもっと上げていただきたい。これは改正意見としまして後ほど述べたいと思います。
それから、相続税法の改正点でございますが、これは当然私二分二乗という観念を持っておりますので、昨年の改正で二百万円という配偶者控除が認められた、今回の改正で課税価格三千万円までは、もし法定相続を配偶者がした場合に非課税になる、税金が全くかからぬ、この改正にももちろん大賛成でございます。
今回の改正の中でわれわれ個人企業に直接関係があるという点につきましては、大部分においては私は大賛成なのでございますが、まだいま少しこういう点を改正できないものかという希望条件を少し申し述べてみたいと思うのでございます。
まず、事業主報酬という問題でございます。これは長年、これら専従者給与の制限撤廃と同時にわれわれ青色申告者が唱えてきたのでございますが、事業主に報酬を与えよ。ことばの上からいきますと、自分の事業で自分が報酬をもらうと何か妙なような感じをお受けになると思うのでございますが、われわれの所得の中には、結局、投下した資本から発生する利益、それから事業主自身が勤労を提供する、それから生ずる利益と、二つあると思うのでございます。現在給与所得者には事業税はかかっておりません。したがって、事業所得であっても、勤労の対価として発生する利益に対しては、私は事業所得税はかくべきでないと思う。ところが、今日は事業主報酬というものが認められておりませんから、当然のこと、事業税におきましてはちょうど給与所得者にも事業税をかけておるような結果になってしまいますので、ぜひとも事業主報酬というものを早晩認めていただきたい、こう思うのでございます。
次に、課税最低限の問題なのでございますが、今回の改正で標準家族五人で七十四万円まで課税にならない。これではたして憲法二十五条が間違いなく生きるかどうかという問題がある。現在の物価指数からいきまして、さらに、先ほど松隈先生からも発言がございましたが、十万円なり二十万円なりこの限度を引き上ぐべきじゃないか。それからあと一つは、標準家族五人というのが間違いである。最近の報道によりますと、標準家族四人ということばがちょいちょい出ておるようであります。ほんとうの標準家族というのは四・二か三じゃないかと思うのでございます。そうしますと、いつも標準家族五人でこれだけ税金がかからなくなるのだという発表は間違いじゃないか。そういう意味からいきますと、標準家族を四人に改めて、しかも、来年あるいは再来年あたりから九十万円あるいは百万円まで非課税になる限度を引き上げるということが私は理想ではないかと思うのであります。
それから特に私、地方税におきまして、今回の改正で大きな不平を持っておりますのは、たとえば来年の国税改正では、完全給与制が認められる。したがって、労働の質、量に応じて幾ら払ってもいい、こういうことになったんですが、依然として、地方税ではこれを十二万円しか認めない、月一万円しか認めない。この理論的根拠がどこにあるか。これは私は公開質問をしました。それに対する回答がまいりました。文書による回答でございますが、これは条例による規定であるからやむを得ないというような、まことに非理論的な回答でございます。国でもって無制限に給与を認めているのに、なぜ地方はこれを十二万円でカットするかというこの理論的根拠を知りたい。そこで私は、来年の改正で国が完全給与制を認めたんですから、地方税におきましても完全給与制を認めてもらいたい、これを強く主張するものでございます。
それから、小規模事業における生前贈与税を認めてもらいたい。私、最近相続の本を一つ書きましたのですが、その中に、贈与契約という新しいことを私考案いたしまして発表いたしました。それは、農家に対しては生前贈与税が認められております。昭和三十九年から、生前に全部の農地を相続人に贈与した場合に、これに対して贈与税は一応計算されるが、実際の課税は相続が発生したとき、すなわち贈与者が死んだときに相続税に振りかわる、こういう制度でございます。もしこういった三十九年度の生前贈与税制度がなかったら今日農家はどうでしょう。おそらく農地は細分化されてしまう。後継者は当然できない、こういうことになると思うのです。同じ意味で、私は小規模企業者も、現状のままですと後継者はできません。特に相続関係からいきますと、均分相続でございます。配偶者が三分の一、残りを子供が均等分する、この相続法でまいりますと、たとえば、おやじに協力して長男が一生懸命財産づくりに協力した、次男、三男は大学を出てつとめ人になっている、おやじが死んだときにこの相続がどう行なわれるかというと、いわゆる財産づくりに協力した長男と、大学を出てつとめ人になっている次男も三男も全く同じ相続権を持っている。ここに不合理があるんじゃないか。しかも、これではうちのあとをとってもしようがないというので、長男もおやじのところから飛び出してしまうというのが現況でございます。そこで、ぜひとも農家におけると同じような生前贈与税、生きているうちに事業や資産を、事業に協力している子供、次男であろうが三男であろうが、事業に協力している子供に贈与する。同時に、贈与税は計算はするが、実際はおやじが死んだとき、相続発生の時点において相続税に振りかえる、こういう制度、いわゆる現在農家に行なわれているものと全く同じ方法を、小規模な事業や資産についても認めてもらえないものか、こういう希望を持っておるわけでございます。
ちょうど時間のようでございますが、私、小規模事業者の代表ということで、以上お願いしたのでございますが、なお、いまの地方税におきまして、完全給与制にかかわらず十二万円しか認めないということに対しては、いつもこういう回答がございます。地方に財源がないんだ、こういう回答なんですね。財源がないということは、財源はつくればいいのであります。たとえば、特別措置法がたくさんありますので、それの改廃がいま問題になっておりますが、そのうちの一つを改廃しましても、当然地方税の減額くらいなものは生まれてくるんではないか、こう私は思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/6
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007・内田常雄
○内田委員長 まことにありがとうございました。
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008・内田常雄
○内田委員長 続いて、参考人に対する質疑に入ります。
通告がありますので、これを許します。まず広沢賢一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/8
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009・広沢賢一
○広沢(賢)委員 時間が少ないので端的にお伺いします。
まず第一番に、税制調査会の会長代理松隈さんにお伺いしますが、この間、租税特別措置の問題でいろいろ大蔵省の主税局長さんと質疑討論をいたしましたが、そのときに、「長期税制のあり方についての中間答申」という本の二五ページ、租税特別措置の根本的なあり方についての最後の結論なんですが、租税特別措置というのは、これは租税体系を乱して、税金負担者にとって不公平である、したがって改廃をしていきなさい、これが基本ではないかというのが私どもの主張なんです。ところが、その中に一カ所有名な文句が出てくるのです。いや、やはり必要なものは強化する、必要なものを強化するんだったら、改廃するという目標は消されていくじゃないかということで議論になりました。どちらに重点が置いてあるのか、「流動的改廃」というのが何回も出てまいりますが「流動的改廃」を行なうにせよ、これが租税の体系確立のために大事であるということが中心だと思う。これが第一番。
それから第二番目に、個々の政策目的の合理性の判定を厳格に行ないなさいと書いてある。そこで、いろいろ聞きました。八幡製鉄の場合とか、たとえば利子、配当の非課税の問題でも、もう貯蓄の奨励に何にもなっていないということが統計上明らかになっておる。ところが、これを強引に続けようとしておる。これは税制改革の憲法ともいうべき立場から、それは不都合かどうかという問題ですね。違反しておるのじゃないか、私どもはそう思うのです。
それからもう一つは、この長期税制のあり方について、法人擬制説と法人実在説があって、これがうまく結論が出ていない。だから、この問題についてはペンディングにする、この問題については何だと言っても、みんな逃げてしまう。根本的に、わが党は法人実在説を主張しておる。もうこれは世の中であたりまえの話なんだ。だから、そんな古くさい法人擬制説などはあれして、たとえば大企業の超過利潤には累進税率を適用するということも考えられるのではないか。それをはっきり踏み切れば、この問題も長期税制のあり方ですから……。それが解決ついていないので何年も何年もみんな延ばされてしまう。だから、この問題についてはけじめをはっきりしなければならぬということですね。
それからもう一つは、この租税特別措置法の政策目的一つ一つ検討してみると、みんな政策目的に合致しない。先ほど利子、配当の分離課税が全く悪評さくさくたるインチキだということを言った。第二番目に、たとえばここでは自己資本の充実、自己資本の充実と強調しておる。ところが、これは租税特別措置でよく議論になるのですが、たとえば物価が上がっていく、上がれば、ひとつよそさんから金を借りて、銀行から金を借りて設備拡張をどんどん過熱的にやる、そのほうが企業にとっては得だというので。そうすれば自己資本率はどんどん下がる。こういう大きな問題が、ひいては租税体系を乱す。自己資本の充実、自己資本の充実という名目で、または、ここには書いてありませんが、政府側の答弁では、最近資本の自由化という名前のもとに、何でもインチキきわまることを通そうとしておる。先ほど全国青色申告会総連合税制委員長の茂木さんがおっしゃったとおり、租税特別措置法を政策目的に合致しないのをはずせば、たとえば百万円までの非課税限度の引き上げ、住民税の引き下げ等がどんどんできるのです。ところが、それがもたついておるからなかなかできない。
以上の点、税制調査会の長期税制のあり方についての中間答申を議論されたときに、はっきりどっちに重点があったか。それから利子非課税の問題、その他私がお聞きしました点について御答弁いただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/9
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010・松隈秀雄
○松隈参考人 租税特別措置の基本的な考え方を、税制調査会の長期税制のあり方についての中間答申に述べておるのでありますが、租税特別措置が負担の均衡を害するということは明らかでありまして、その負担の均衡を害する点をさらに上回る経済政策達成の目的があるかどうかということが、各種租税特別措置を存続せしめるか、廃止せしめるかの分岐点になるものであります。それから、新たに租税特別措置を導入するにあたっては特に慎重で、その経済的効果が非常に大きい、したがって、租税負担の公平を害することがあってもそれを導入する、こういう必要があるか、その判定をした後でなければ新設をしない。なお、租税特別措置は、一度設定しますとマンネリ化するおそれがありますので、できるだけ期限を切る。そして、期限の終了と同時に、効果があがってなければもうやめてしまう、こういうふうにすべきであるというのが、税制調査会の基本的な考え方であります。
個々の一つ一つの措置についてはそういう見地から検討をいたして、意見を、廃止すべきものあるいは存続すべきもの、それから新設すべきものを検討したつもりでございますが、委員によってはその見方が分かれておりますので、なかなか意見を統一するのに骨が折れるわけでございます。趣旨はただいま申し上げたような趣旨で税制調査会は区別を行なっておる、こういうことを御了承願いたいのであります。
それから、利子、配当課税の特別措置については、冒頭に申し上げたとおりでありまして、税制調査会としても、大勢は利子、配当に対する特別措置はその経済的効果が非常に疑わしい、したがって、廃止すべきであるという意見が強いのでありましたが、中には、やはり今日の経済情勢、特に公債発行下における金融情勢等を顧みれば、いま一挙に廃止することは、いたずらに経済界に混乱を起こすのみであって、これは避けるべきである、こういう意見がございました。
そこで、税制調査会といたしましては、できるだけ、従来もその方針でありますが、答申は多数決できめるということをしない、それから、少数意見をつけ始めると切りがないので、まあ全会一致の答申ということに取りまとめるように努力いたしております関係上、あるいは、御意見によれば、五%の引き上げは手ぬるいとか、あるいは二年——政府案はさらにそれを三年にしたというのは手ぬるいという御批判はあるかもしれませんが、答申を取りまとめるという段になれば、そういうことで取りまとめた、こういう次第でございます。
それから、法人税の改正を四十二年度に見送りましたのは、一つは、先ほども申し上げましたように、四十年度、四十一年度に一般税率を引き下げました結果、法人の普通税率は三五%という、シャウプが昭和二十五年に法人税の税率として定めたものまで戻ったわけです。一時、シナ事変等で法人の利益が増大したときには四二%まで上がったことは御承知のとおりでありますが、その後これを引き下げて、一応その程度に戻っておる、それに比較しますと、所得税のほうが負担感が重いのでありますから、まず所得税の減税に重点を置いた。そして、先ほど申し上げましたように、財源もそう多くなかったので法人税のほうが見送られたのでありますが、それの上に、先ほども申し上げました法人擬制説的な考え方が行き詰まっておるから、むしろ利潤税方式を導入したほうがいいではないか、その場合に、導入の方法、それから導入をいたしますれば、法人実在説であるから、法人に課税すると同時に、受け取る株主が法人であろうと個人であろうと、そこでの課税が始まるわけですが、それを急激に行なわせるか、ある経過規定を置くか、こういう問題の検討に時間がかかりましたので、中間報告で取りまとめの時間足らずになったために、次の改正までに結論を出そう、こういうことになったわけであります。
全部に対するお答えになっておるかどうかわかりませんが、考え方は以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/10
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011・広沢賢一
○広沢(賢)委員 ありがとうございました。
時間がないから、私確認をしますが、第一番目に、租税特別措置法の問題については、特別措置については改廃する、これが基本であるということを私は確認しました。これは今後の審議上非常に大きいと思います。
それからその次に、利子、配当の非課税の問題についても、やはりこれは政策上はよくないのだ、これもなるべく打さ切らなければならぬ。その打ち切るについて、経済界に混乱を起こすとか、急激にやったら困るから経過措置をやるということになりますと、やめるという基本的方向はある。したがって、今後の大蔵委員会の審議では、どの程度に経済界に混乱を起こすか、株が下がるのか、何かあるか、実証的に一つ一つ積み上げていけば、この問題は今国会中に結論を得ると私は思います。ありがとうございました。
それから最後に一つだけお聞きします。これは茂木さんにお聞きしますが、先ほど言われました、非常にいい御意見でしたが、百万円まで非課税限度を引き上げるということが大問題になりまして、大蔵委員会でも大問題になりました。それで、政府側は、四十五年というのを突っぱっておる。私が本会議で質問したときも四十五年度というのをにおわしておった。四十五年度では、物価が上がるので、それではだめじゃないか。そしたら、いまの御意見では、なるべく早くおやりになるという御意見ですが、何年で実現するかということで、何か百万円まで引き上げるのを来年度引き上げなければならぬといういろいろのことについての御意見がございましたらお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/11
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012・茂木誠陸
○茂木参考人 私の意見としますと、四十四年で実現させていただきたい、こう思っております。と申しますのは、まず来年度は今回の改正による減税がかなり行なわれる、段階的にやはり四十四年度で百万円——その百万円というのは、実は標準家族四人を主張したいのでございますけれども、四人で百万円ということはあるいは無理かもしれませんので、いま政府の言う五人標準家族と見て、百万円を昭和四十四年度に実現していただきたい。私、これで初めて憲法二十五条の健康にして文化的というのが生きるのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/12
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013・広沢賢一
○広沢(賢)委員 同感です。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/13
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014・原田憲
○原田委員 関連して一問だけ。
いま広沢君のお話に関連して、これはあなた方に聞くことではないかもしれませんけれども、一つ聞きたいのは、いま標準家族の話が出たのですが、標準家族を四人という話が出ました。この根拠は、現在の日本の家庭で、給与所得者は四・一ですか。しかし事業所得者あるいは農業所得者はまだ五人という実情です。私は、税だけで議論をしても——これは四人で百万円になったほうがいいことは論をまたないのですけれども、日本国民の悠久性ということから考えたら、夫婦と子供二人ということになりますと、先細りになってくる。だからやはり民族の悠久性から見ると、標準家族というものは夫婦と子供三人ということが、これは税の問題だけではなしに、民族の悠久性ということを考えたらそうあったほうがいい。いまこの世の中がこまかくなっていますから、今度は標準家族というのは、税では四人だ、子供二人でいいんだ、これが一番得なんだ、こういうことになりますと、これはそういうことになりがちなんですよ。だからやはり標準家族というものは五人だ、こういうようにいくことが一番いいんだ、私はそう考えておるのです。これは松隈さんに御答弁願ったほうがいいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/14
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015・松隈秀雄
○松隈参考人 税制調査会のほうは、やはり全国的な世帯人数も参考にいたしておりますが、半ばは沿革的に夫婦子三人ということで扱ってまいりましたものですから、それでおそらく次の税制改正案の審議もされるんではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/15
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016・内田常雄
○内田委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/16
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017・横山利秋
○横山委員 時間がございませんので、簡潔にお三人の方に一問ずつお願いします。
松隈さんには、こういう点をどう思いますかという点であります。失礼ではありますが、権威者の松隈さんに私の意見を申し上げますが、累次の税制調査会の観点が、何といいますか、アカデミックで税制という点を理論的に解明をされ、税制改正をなさっていらっしゃるのであります。納税者の立場から見ますと、私どもはだえに感ずるのでありますが、法律がどうなっても窓口のさじかげんという感覚が実に強いのであります。
そこで私は、税制調査会の性格が税制を改革するのみでなくて、徴税行政の視野から見た税制改正といいますか、徴税行政にも踏み込んでやっていただく必要がどうしてもあると思うのであります。例を申し上げますといろいろ出てまいりますが、感覚的には、松隈さん権威者ですからもう百もおわかりだと思いますが、その点から見てもらいたいという私の希望を含めて、徴税行政についての御意見を伺いたい。
それから北野先生にお伺いいたしますことは、今度の税制改正で利子税を景気調整策に使うという点であります。私は二銭かそこらの利子税を景気調整策なんておこがましいと思うのでありますが、それでも理論的に一歩踏み出したと思うのであります。私は本質的には景気調整策を税制で使ってもらいたくないと思うのでありますが、景気調整と税制についての御見解を伺いたい。
それから茂木さんには、今回青色専従者の限度が撤廃されますが、具体的にどういうふうにしたいか、法律案は、御存じのように、同種の業種の状況だとか、いろいろなややこしいことが書いてございまして、これから約半年ぐらい少しもまれると思うのであります。ですから、青色申告会としては、この撤廃をした完全給与のきめ方をどういうふうに希望をされるかということを端的にお伺いいたしたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/17
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018・松隈秀雄
○松隈参考人 横山委員のお尋ねの、税制調査会は税制の改正と取り組むのは当然であるけれども、そのうらはらをなしておるところの税務行政の面がおろそかになっておるんではないかと、その御質問、ごもっともでございます。で、税法というものは、書かれた税法と行なわれる税法が一致するということが最も望ましい。したがって、書かれてはいるけれども、実際にはそれが行ないにくいというような税法はつくるべきでない。したがって、税制調査会もそういう面については十分注意する必要があるのであります。
ただ、税制調査会の委員の顔ぶれとか、あるいはその事務局が主税局であって——税制のほうは、いまは御承知のとおり主税局と国税庁と分かれておる。徴税のほうはもっぱら国税庁のほうの所管になっている。国税庁の長官なり次長も税制調査会には参加していただいております。しかし、どちらかといえば参加程度であって、ある意味での主人役という点が薄いから、そういう御心配があるのはごもっともだと思うのであります。で、今回、税制の簡素化ということも、やはり税制をある程度簡素化して、そして税務行政が円滑に、公正に行なわれるようにするというねらいであったのでありまして、そのために、委員も従来と構成を変えまして、税務の第一線に関係の深いような方々を専門委員に委嘱して、その意見を聞いて、税制簡素化、徴税技術の改善の効をあげるように取り計らったわけでありますが、御意見、確かにごもっともと思いますので、今後の税制調査会においては、なお税制簡素化についても最終答申をこれから出しますので、御意見が反映するような運営を心がけたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/18
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019・北野弘久
○北野参考人 横山委員は税制の専門家でもございますから、私の回答を待つまでもなく、もうすでにみずから回答を用意されていらっしゃると思いますが、一般論として申しますと、景気調整と税制という問題は、一般的には、現在資本主義下の財政の経済への働きかけという一連の動きに関連した問題であると思いますが、私は法律を専攻する立場から申しますと、従来、日本のみならず、世界的に見てそうでありますが、税の問題をもっぱら単に財政、経済のレベルから論ずるというそういう姿勢が非常に強いわけでありまして、私は、やはり税金の問題はすべて法律上の問題である。そういう観点から考えますと、税制が経済に奉仕すると申しましても、どうしても憲法上の限界があるということを先ほどちょっと申し上げたわけでありますが、そのことを申し上げておきたいと思います。
先ほど横山先生が徴税行政の段階についても、税制調査会は検討すべきであるということをおっしゃいましたのですが、まさにそのとおりでございまして、その問題につきましても、先ほど申しましたように、税法の立案過程で法的構成が非常に不完全である、およそ法典といえないような法律構成が行なわれている、経済界の主張あるいは会計学会の主張そのままなまの形で法的な世界に導入してくる、そのことが徴税行政の段階で一つの混乱を起こしております。そういう意味でありまして、私は、やはり税金の問題はつとめて法的の側面から検討する必要があるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/19
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020・茂木誠陸
○茂木参考人 完全給与制が実施されますので、青色申告会としますと、これの受け入れ態勢と申しますか、目下いろいろ準備をやっております。その一つで、いま横山先生から御質問ありました給与をどの程度できめるかということ、それが一番大きな問題だと思うのでございます。これにつきましては、現在専従者以外に他人を使用しておる。たとえば、私も実は個人企業でございます。会計事務所でございます。大卒幾ら、何年たって幾ら、私のせがれも働いておりますが、これに対しても何万という支給をやっておるわけでございます。現在他人を使用しておりましたならば、その他人に支給する給与を一応参考にする、それから全然初めて払うような場合でしたらば、公務員給与ベースがありますので、これも一応参考になるのではないか、こう思っております。それ以外は目下作業を進めておりますのではっきりしたことは申し上げられませんが、一応そういうことを基準にこれから教育をしていくと申しますか、論をまとめていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/20
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021・内田常雄
○内田委員長 堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/21
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022・堀昌雄
○堀委員 松隈参考人にお伺いをいたしますが、税制調査会の法人税に対する考え方がいろいろ変遷がありましたけれども、中間答申で実在説を目ざすという方向にきまったようでありますが、この前も、少し私当委員会で議論をしてみましたけれども、実在説をとる、利潤税の方向をとると申しましても、相当シャウプ勧告以来の擬制説的な処置が所得税法にも法人税法にもあるいは租税特別措置にもいろいろなところにずっと根を張っておるわけですね。そこで、具体的にこれを実在説、利潤説に持っていくためにいろいろなところの根を少しづつ整理をしませんと、根っこだけをやってもこれに関係するものが非常に多いわけですが、一体、方向としてはどういうところから整理をしながらいまの実在説としての姿を法人税の中ではっきりさせていくか、これのプロセスその他が、今後御討議になることでありましょうけれども、何にもそれなしに、ただ実在説が望ましいなどということでは、実は、私は税制調査会の中間答申としてもやや不十分なような感じがいたしますので、多少の論議があってのことではないのか、こう思いますから、そこらの論議がございましたかどうかはわかりませんが、それについてのお考え、実在説をとり、利潤税をとるために今後していかなければならないことは一体どこから手をつけていくかということをまず最初に松隈参考人にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/22
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023・松隈秀雄
○松隈参考人 法人税につきましては、昨年の税制調査会の中間答申の以前、三十九年の十二月の答申をごらんになりますると、法人擬制説をとって、そして株主段階ではイギリスのグロスアップ方式で完全に法人税を二重課税を排除するほうが望ましい、こういう答申をいたしたのでありまするが、その後、その本家のイギリスが法人擬制説をなげうって実在説的な課税に踏み切りました。一方、フランスのほうは、配当の五〇%について二重課税排除方式を新しく入れるというふうに、世界的に法人税の課税のあり方と申しますか、仕組みが非常に変わりつつありまするので、日本の場合にどれが一番適当かということについて、とにかく外国ではこうやっているというのが非常に説得力がある場合が日本では多いのですが、それがどうも援用できなくなっておるので議論が分かれております。
まず、法人利潤税的な考えのほうに踏み切るべきだということが出てまいりましたのは、一方において、御承知の配当損金論が出てまいりましたので、これを取り上げるわけにいかない、しかも、法人擬制説でグロスアップ方式による二重課税排除もお手本がなくなってしまったとすると、まあある意味では利潤税に追い込まれたというようなかっこうになっております。
これを実現するにあたって、まず第一段として実行すべきことは、現在の法人税が留保と配当と分かれておるのを一本化し、そして、その税率をある程度引き下げ、同時に株主が法人である場合の七五%控除、個人である場合の原則としての一五%控除を縮小していく、こういう方向を積み重ねますれば、株主の優遇措置が漸次削られていきまするから、最後にゼロにしてもショックが少ない、それで税率も配当、留保を分けずに一本になっておりますから、それを法人全体として日本の税制上どの程度の税金を負担させるかということを見合いに法人税率がきまるのではなかろうか。その場合に利潤税式な考え方を認めれば、法人の大小による担税力の差をどの程度にあらわすか。原則としては比例税であるけれども、何段階かに分け得るかどうか。その場合に、単に絶対額の利潤でいくか、対資本率を幾らか加味するか、そこらの問題が実はいろいろの考え方があって、試案を出すべきであるのですが、その試案もまだ容易につくれない、こういうので見送っております。
しかし、この税制調査会の委員の任期は来年の八月まででありますので、この間には何とか結論は出したいというのが、会長はじめ委員の大多数の意見でございますのでまとまる可能性がある、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/23
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024・堀昌雄
○堀委員 ひとつ、ぜひ来年の任期中に具体的なプロセスを明らかにしてお骨折りをいただきたいと思うのです。
北野参考人にお伺いをいたしますが、実は所得税法で今度御承知のように寡婦あるいは障害者その他の税額控除が所得控除にかわってまいったわけでありますが、私どもがちょっと奇異な感じがしますのは、あそこに並べられておるものがみな同じなんですね。御承知のように、これまでは六千円の控除で、中身は寡婦だとか障害者だとか、その対象になるものは違うわけです。障害者あるいは老人、寡婦、勤労学生とか、いろいろ違ったわけですが、今度は、老人はちょっと取り扱いが違ってきましたけれども、それが同じような税額控除になっておる。今度も同じかっこうで実は所得控除になったわけです。これは私は、やはりものによって差があっていい性格のものではないのか、こういう感じがいたします。それを幾らにするかという問題はまた別個の問題としても、問題の性格の違うものを機械的に一列に並べているのはどうも私は納得いたしがたい、こう思うのですが、その点について、北野参考人のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/24
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025・北野弘久
○北野参考人 所得税は累進構造をとっております関係上、いろいろ問題はございますが、累進構造は、単に税率だけの問題ではなくて、所得控除とかその他の諸控除も累進構造の一環を構成するわけであります。お説のとおり、全く私もそういうふうに考えまして、やはり諸控除の実態に即しまして、それぞれの性格にマッチした控除のシステムを考えていくべきであろう、そういうふうに考えます。画一主義は必ずしも実態にマッチしていない、そういうふうに考えております。
なお、御質問にはございませんけれどもこの機会に申し上げますと、今回税額控除から所得控除に組みかえられたわけでありますが、所得控除にいたしますと、所得が高くなるに従ってその受ける利益が高くなってくる、そういう問題があります。税額控除の場合にはそういう問題はございませんけれども、その点はわれわれは注意してみる必要がある、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/25
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026・堀昌雄
○堀委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/26
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027・内田常雄
○内田委員長 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/27
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028・春日一幸
○春日委員 私はこの際、租税審判所制度の構想について、これは松隈さんに御見解を伺いたいのでありますが、同時に、徴税制度の学問的立場から、さらにはまた納税者の立場から、北野、茂木両参考人にもお聞きおきを願いながら御検討願いたいと思うのでありまするが、御承知のとおり、現在苦情処理機関に協議団制度がございます。しかし、この協議団なるものは国税庁並びに国税局に従属的に付置されておるものにすぎないのであって、また、その協議官なるものもこれは税務職員である。言うならば、この協議団のメカニズムは、結局は租税の執行機関に従属しておるという組織であって、これでは私はとうてい公正な判断を下すことはできないのではないかと思うのでございます。国民の財産権は生命とともに憲法によって保障されておるのでございまするが、このような徴税制度によって、はたして制度として、機構として国民の財産権を国家は保障し得ておるかどうか。ここに私は重大な問題点があると思うのでございます。なぜかならば、申し上げるまでもなく、税金を取ろうという使命をになっておりまする性格の徴税機関、税務職員、これが納めなくてもいいという判断を下すという二律背反の性向を持つ両機能を、一つの人格、国税庁という一つの人格に持たしていくということは大きな誤りではないであろうか。さすがにアメリカは民主主義の国でございまするから、この問題についてはやはり租税審判所という行政委員会なる性格でこのような国民の財産権侵害に対する排除機関が設けられておるのでございます。
これについては、たしか平田国税庁長官時代に平田氏がアメリカの実情を調査されて、ここに何がしの報告をされておるのでございまして、私もそれを拝見をいたしたのでございまするが、私は、わが国の現在の徴税制度が、主として通達——通達行政といわれておるほど、国税庁長官の通達なるものが税務執行の現場において大きな拘束力を持っておるのでございます。けれども、通達なるものは、申し上げるまでもなく、法律の解釈あるいは法律の運用方針、これに対する長官の一個の見解を示すだけのものでございまして、もしそれ、これに誤りがあった場合、はたして何人がこれを救済するか、非常な問題であろうと思うのでございます。
実は、私どもは長い間本委員会で国税庁長官の通達なるものを特に理事会、本委員会で検討いたしまして、その中に誤れる通達が発せられたことが絶無ではございません。私は、私の記憶からこれを例示するにやぶさかではありませんが、この際は差し控えておきたい。理事諸君には御記憶があると思うが、その通達に、法律の精神に反するもの、法律の定めを逸脱したもの、これは一再ではございません。そのような場合、現場の税務職員が通達によって執行を行ない、しかも、同じ性格を有するところの協議官がその通達に基づいて判断をいたしまする場合、国民の財産権は侵害されたまま行きどころがないことになります。
したがいまして、そのような徴税機関とは分離した別個の行政委員会の性格を持つ国家の機関が、そのような国民の財産権侵害に対する救済の求めに応じて救済の使命を果たし得るように、すなわち租税審判所制度、これは海難審判所その他いろいろございましょうが、行政裁判所の前身の機関として行政委員会を設置するということは、これは憲法のたてまえからいいましても、必ずしもそのコンストラクションは不可能ではないと思う。これに対しまする松隈さんの御見解はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/28
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029・松隈秀雄
○松隈参考人 協議団制度は、御承知のとおりシャウプ勧告によって生まれたものであります。その趣旨はけっこうでありますが、要するに、制度というものは、人によって生きもし、死にもするわけであります。したがって、協議官の人選が重要であります。最初は国税庁の職員以外からもこれはとり得るということになっておったと思うのでございますが、現実問題といたしますると、給与が安いと、いい人が来てくれない。やはりりっぱな人が運用しなければ効果があがらない。その結果、現在はもう協議官は税務職員で充てられておると思うのでありますが、その弊のあるところを知って、できるだけ徴税者の立場から離れて、第三者的な観点において事件を解決するようにという行政指導は国税庁も行なっておると思うのであります。しかし、何ぶんにも国税庁長官の監督を受ける部下であるという身分関係があるために、御不満の点があるのはわかるわけでございます。
これにかえる制度として、租税審判所というのは一つの考え方でありますが、この場合にもやはり適当な人を得るということはかなりむずかしい問題ではないか、かように思います。ただいまもお話がありましたように、通達の誤り等であるというと、協議団ではやはり通達自体はそのまま額面どおりとりますから納税者の不平が解決されません。どうしても第三者によらざるを得ないとすれば、租税審判所というような一つの行政機関を設けるということも考え方だと思うのであります。また、税制調査会は、税務行政に関することは、先ほど横山委員のお話のあったとおり深入りしておりませんので税制調査会としては検討しておりませんが、そういう御提案があったということは十分敬意を払って拝聴したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/29
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030・春日一幸
○春日委員 時間がありませんので、この問題も深く論ずることはできませんで遺憾でありまするが、これは私ども、納税者、学者、文化人その他の方々の参集を願って深く検討いたしましたものとして、一個の結論を得ておる資料がございます。後ほど三方に提示をいたしますので、ぜひともひとつ、国民の財産権を保護する、確保するという立場から、アメリカの民主制度の中にこれが財産権侵害救済の機関として設置されておることにかんがみまして、十分の御検討を願いたいと思います。
もう一問だけ簡単にお伺いをいたしたいと思うのであります。いま茂木さんから提示されました問題点でありまするが、それはすなわち小規模事業者の勤労所得に対する、その所得を得るに必要なる経費の控除措置でございます。これは私どもの多年の持論でございまするが、わが国の税制は、財産所得、給与所得、この二つにがらっと分けて税制を組み立てておるのでございます。ところが、茂木さんが御指摘のように、中小企業者、なかんずく零細業者は、八百屋さんも魚屋さんも、自分で働いて自分の資本によって店舗をかまえて営業を成り立たしめておるのである。その実態から徴するならば、わが国の所得形態の中には、給与所得と財産所得のほかに、給与所得と財産所得の合体所得というものが、これは現実にあるのである。だから、現実に即して徴税制度を組むのでなければ、これは適当でない。だといたしますれば、この問題については、やはりそのような、勤労事業者が事業者として得る所得と、自分の勤労によって得る所得と、この二つあるが、事業所得に対してはさまざまの措置が講ぜられておる、片方、給与所得者に対しては、その所得を得るに必要なる控除がある。だからこの事業所得者に対して、その所得の中に構成する勤労所得の部分に対する、得るに必要なる経費の控除という制度が何ら考慮されていないということは適当ではないと思います。
このことは、地方税との関連において重大な影響を与える問題でございますので、すべからく特別勤労控除制度を創設するか、あるいは茂木君が指摘されておりまするように、その営業当事者の給与制度を設けるか、二者択一の方途を講ずることなくしてはこの矛盾を是正することはできないかと思われる。この点に対しまする松隈さんの御見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/30
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031・松隈秀雄
○松隈参考人 わが国の税制におきまして、給与所得と財産所得のほかに、事業所得は資産、勤労、共働所得という観念があります。従前も、たとえば給与所得の税率を下げる、そうして資産所得のほうの税率は上げる、その中間の事業所得の税率をまん中辺に定める。これは、たとえば給与所得者には所得税だけである、ところが資産所得である地租の税率は高い。資産、勤労の共働所得である事業所得、昔の営業税は地租よりは税率を下げている、こういう考え方があるのでありますから、思想としては、資産と勤労の、共働の所得という考え方はあり得る。その場合において、その一体となっているときに、どういう比率をもって給与所得部分を分けたらいいかというと、これが業態、経営が千差万別でありますために区分が非常にしにくい。ここにうまい線が引ければそういう考え方はあり得ると思うのであります。税制調査会でも、中小企業の課税の問題で一番問題になっておった専従者控除にかえて給与所得控除を認めるという点の改正には本年度踏み切って、第一段の問題を解決したところでありますが、おっしゃるとおり、次の問題としては何らかの基準で給与所得部分というものを抜き出し得るかどうか、あるいはそれにかえて事業主の給与というものを必要経費に立て得るかどうか、これは法人税のほうの課税のあり方とも関連せしめつつ研究をしたい、こういうふうに考えております。ですから、今後の研究課題であることは認めますが、なかなかむずかしい問題だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/31
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032・春日一幸
○春日委員 この問題は、幸い小規模事業者なる定義が基本法並びに団体法で制定されております。それから、私どももそういうものに一律の概念でどうこうせよというのではなくして、現実に少額所得者の中に占める事業主の勤労所得部分というものは濃縮してあらわしてまいるわけでございますから、そのものを捕捉しようと思いますれば、事業の各自の法律による定義をそのまま援用すればよろしゅうございますし、また、所得額の限界をある一定の線で切れば捕捉できると思います。御検討願って、多年の要望におこたえいただいて、そうして小規模事業者の減税というものが実質的に行なわれるようにお願いしたい。
もう一つだけお願いしておきますが、例の自動車の災害でございますね。これは自賠法によってある限界においては賠償責任に応ずることができますが、しかし、現実では自賠法の額をこえた損害賠償請求が提起されまして、その場合、運転者を雇用いたしております経営者が、運転者にそれだけの負担力がなければ、結局その責任を負わなければならない。いま交通安全対策は国をあげての大問題になっております。現段階において、これは立法的に総合的に各種の施策を講じなければならないが、その中の一つとして、すなわち、その被害者に対する救済措置、すなわち弁償可能の体制を制度としてここに確保しておく必要があるであろう。したがいまして、タクシー会社でありますとか、輸送運搬会社、こういうような会社が、万一そのような従業員の事故によって従業員に弁償能力なくして雇用責任者としてその支払い義務を生じた場合、それが支払い得るようにその準備金を積み立てる、その積み立てた準備金を商法上損金算入するという、こういう制度をつくるべきである、また、つくってほしいという業界からの強い要請がございます。そのことは、そういう請求を受けて破産、倒産する中小企業者は枚挙にいとまがないという現状においてこういう要請が強く行なわれております。これについて松隈さんの御見解はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/32
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033・松隈秀雄
○松隈参考人 ごもっともな御意見でございまして、自動車の損害賠償責任を完全に実施するために、あらかじめ準備金制度をつくり、税を免除して積み立てさせる、こういう考え方と思うのでありますが、その場合に、ほかの準備金等でありますと、ある危険負担率による積み立て基準というものができて、その基準まで積み立ててよろしい、こういうのでありますが、雇用している運転手がどういう損害を与えるか、そうして、どれだけオーバーになって会社の負担になるかという基準がつくりにくいと思う。したがって、なければ困るということはわかっていますから、そうすると、たとえば利潤の一定割合、五%とか一〇%ならば準備金として積んでいい、こんな制度しかできにくい。そうすると、一〇%認めても、それ以上の損害があるとやはり足が出る、こういうことになっているけれども、ないよりはいい。何か生ずべき被害額を類推する客観基準があれば制度として非常につくりやすいが、その必要が非常に大きいということであれば、所得制限でも置いて積ませて、ある時期に一定額をこえたら、またそれは積み戻すといいますか、利益繰り入れをする、こういうような考え方もできないことはないと思っております。くふうしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/33
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034・春日一幸
○春日委員 いずれそういう問題は政令事項によって処理される問題だと考えます。現実の資料も大体そろっておるようでございますから、十分の御検討を願って善処されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/34
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035・内田常雄
○内田委員長 次は田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/35
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036・田中昭二
○田中(昭)委員 私は公明党を代表しまして初めて衆議院に参りまして、私自身も税務二十二年の経験をもちまして、それぞれ委員のお聞きになりました以外のことにつきましてお聞きしたいと思いますが、まず、松隈会長代理に敬意を表したいと思います。
議事録を見ますと、毎年参考人として御出席いただいて、昨年やはり参考人の会だったと思いますが、租税特別措置の問題につきましては率直な意見をお述べになったようでございますが、いろいろな議論が伯仲いたしまして、最後には委員もお断わりしたいというようなおことばでおっしゃっておりまして、御健闘なさっていることを見まして、私もやはり同感でございます。この租税特別措置につきましては各委員も同一意見でございますし、先ほどの広沢委員の御発言もよくお考えいただきまして今後の税制の上にお考えいただきたい、こういうふうにまずお願いします。
そこで、先ほど横山委員の発言の中に、税制と税務行政の不一致があるというようなことをお認めになっての発言だったと思いますが、そうしますと、現在まで税制改正が納税者にとっても税務職員にとってもはなはだその真意が疑われるような改正に向いております。この点につきまして、税務行政の実務の上において、特に国税庁長官は、納税者の近づきやすい税務署になりなさいというようなことを言っております。その現実は税務行政の中におきましては実現に至らない。当然税調におきましてもそういう点に御配慮をいただきまして、近づきやすい税務署を実現していただきたいという希望を持っております。でありますから、その実務におきまして、納税者も喜び、その執行者も安心していけるように、そういう面も御配慮いただきたい、こう思うわけでございます。
そこで、お尋ねしたいことは、税制の問題と執行問題につきまして不一致があるという点につきましてお考えをお聞きしたい。
それから諸先生方にも一緒にお願いいたします。北野先生、昨年でございましたか、源泉徴収について問題になったことがございます。先生と同じ教授の方で、京都の方だったと思いますが、源泉徴収は憲法違反ではないか、このような問題が起こっております。この問題につきましてどのような御意見でありますか。また、最近は税務署が使っている所得標準率の問題につきましても裁判所の判決が出ております。こういう問題につきまして、同じ教授としての同僚の立場から、あの源泉徴収という所得税の事務、または源泉徴収制度そのものに対するお考えをお聞きしたい。なぜそれを申し上げますかといいますと、現在の租税制度の中で、公平でなければならないといいながらも、不公平な実態がたくさんございます。そういう問題が根底にあるんじゃないか、私はこのように考えております。その税の不公平をそのまま制度として認めていきながら税制を改正するということについては、大きな疑問を持っております。そういう面からもお考えをお聞きしたい。
それから、最後に茂木先生にお尋ねいたしますが、先ほどの標準率の問題でございますが、あの夕刊が出ました翌日のこの委員会で長官にもお尋ねしたのですが、その長官の返答の中に、私は何もことばじりをとらえるわけではございませんけれども、青色申告会というものは、わが国の所得税の、特に事業所得については重要な役割りを果たしてきた、このように思っております。ところが、今度の標準率の問題につきまして、長官の発言の中には、青色申告している人の検討の段階で問題がある、このように発言しております。その具体的な方法としましては、青色申告している人は、標準率を公開するならば、収入金をごまかして少なくつけるんじゃないか、このような心配がある、このようなことをここで発言しております。こういうことに対しましては、青色申告会としましては、そういうことではないんだ、帳面というものは継続的につけるのであって、何もそれを故意に少なくつけるというような操作はできないはずなんだ、このように主張いたしまして、長官のその発言に対しましては、私は疑問を持ったわけであります。標準率の公開、非公開といいますか、そういう問題につきまして御意見、並びに青色申告会の発展してきましたその組織と同一系統のものもたくさんあると思いますが、特にいま民主商工会というのがあるように聞いております。そのものに対する委員長のお考えをお聞きしておきたい、こう思うわけであります。
以上、それぞれ簡単でけっこうでございますから、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/36
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037・松隈秀雄
○松隈参考人 ただいま、田中委員の御質問の中に、税制と税務行政の不一致というおことばがありましたが、不一致というのが当たっているかどうか、そこのところは疑問に思います。要は、税制が末端の税務官吏までに徹底していない、あるいは別なことばでいえば、不消化になっている。そこで、一致させるというたてまえは、もちろん国税庁長官としてはとっておられるけれども、現実がそのとおりにいってない、その意味では不一致と言ってもいいのかと思います。これをできるだけ合わせるようにすべきだということは、先ほどお答えをしたとおりであります。
ただ、ひとつお考えを願いたいのは、税金の軽い時代には比較的制度が簡単であったのであります。ところが、最近のように税が重くなるに従いまして、税が重いと、あらゆる方法によって節税と申しますか、場合によっては税をのがれる、脱税に近いくふうをするわけです。その穴をふさがないと、軽い税なら多少の見のがしがあってもがまんできるけれども、重い税だけに、一方でその税を納めない人があると非常な不平が出ますので、その穴をふさぐことに夢中になるといいますか、力を注ぐ結果、税法が思いも寄らず複雑化している。ですからして、国会においては、いままでの御議論でも、減税をもっとすべきだ、こういう御主張でありまするから、今後も国民の税負担を軽くしていく、そうすると、そうやかましくめんどうな規定を置かないでも、税の執行ができてくる、そして、その程度のことならば第一線にまかせられる、こういうことが望ましいというのが私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/37
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038・北野弘久
○北野参考人 田中委員の御質問、まことに重大な御質問でございまして、給与所得の源泉徴収制度といいます制度が憲法上いろいろ問題を含んでおることは、御指摘のとおりだと思います。先ほどちょっと申しましたように、負担の公平という要請は単に財政学上の要請ではない、今日では法律学上の要請と申しますか、憲法上の要請でもあるということを私ども主張しておりますのですが、そういった観点から、給与所得の源泉徴収ということは憲法十四条の関係の問題になり得ると考えます。それから憲法二十九条との関係でもやはり問題になり得ると考えます。ただ、日本の憲法学界の動向から考えまして、法律解釈論としましては、直ちに違憲であるという解釈理論は出てこないだろうとは思いますけれども、いろいろ検討する価値のあることは御指摘のとおりだと思います。
それから所得標準率の問題でございますが、これは御承知のように、所得税法は、法人税もそうでございますが、白色申告書につきましては推計課税の適法性を認めておりますが、所得標準率というのは、その推計課税の手段として用いられるテクニックでございます。所得標準率それ自体が、その算出根拠が合理性を欠くということであれば、それを適用しました租税賦課処分は違法になるということになります。それから、所得標準率それ自体がかりに合理的な根拠に基づいて算定されたとしましても、当該の場合に適用すべきではないという事情のある場合に適用する、具体的にある人に適用することを適当ではないという場合に所得標準率を適用するということは、やはり同じく違法性の問題をもたらします。それで所得標準率につきましては現在日本では公表されておりません。国税庁の内部取り扱いとして行なわれておるのだと思いますが、できることならそれを公表しまして、納税者と税務官庁側のいたずらな紛争をなくしまして、公表という形でそれの適否を検討していく、そういう姿勢が望ましいのじゃないかと思います。なお、場合によっては所得標準率を法的な制度にまで高めまして、納税者が選択したような場合には、そういった大蔵省が法的な形で示しました所得標準率を納税者が自発的に適用するという仕組みを租税制度の中に取り込んでもよろしいのじゃないか、そういうふうにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/38
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039・茂木誠陸
○茂木参考人 まず標準率の問題でございますが、青色申告会としますと、標準率は全然問題にしておりません。ということは、いま北野先生のお話にもございましたが、これはある基準によって、国税局なりあるいは税務署が統計的にいわゆる最大公約数を求めるにすぎないので、個々の事情でみな違うわけでございます。したがって、青色申告者はあくまでも良心的な納税者であるという見地から、標準率は全然問題にしておりません。
標準率を公表することがいいか悪いかということは、私は、標準率を一応税務署の参考のためにつくることはけっこうでございますが、これを納税者に強制することは間違いである、そういう意味で、これは公表してもしなくてもいいのじゃないか、こう思っております。
それからただいま御質問の中に民商の問題がございました。これは非常に大きな問題でございますので、私からの回答はまことに不適任だと思いますが、青色申告会は誠実なる納税者の団体である、民主商工会はそうではないのじゃないか、こういう見解を持っておりますし、国税局なりあるいは税務署からも、現段階におきますと青色申告会は非常に信頼を受けております。民商に対してはあまり信頼がないようで、最近調査が非常に辛らつではないか、こう存じております。
それから、先ほど横山先生の御質問にちょっと答えが足らなかったのでございますが、給与をどうやってきめるかという給与の基準でございます。これもちょうどいま標準率の問題が出たものですから思い出したのでございますけれども、青色申告者というか、所得税そのものが良心税である。良心税である以上は、良心に基づいて、だれが見てもこれは不当な給与ではないのだ、自分も考え他人も考えて適当な給与であれば、これはあえて公務員の給与ベースによらぬでも差しつかえないのじゃないか、こう思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/39
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040・田中昭二
○田中(昭)委員 松隈さんにお願いでございますが、いまのお話でよくわかったわけですが、その専門委員をつくっていただく場合に、税務の実務をやった人、なるべく上の方じゃなくて、中堅幹部を入れていただくという御配慮をお願いしたい、このように思うわけでございます。
先ほどの北野先生のお話は、いまの標準率の問題につきましても、選択制度にする問題、これは内々そのように考えておりました。ただ、あの源泉徴収と標準率の問題につきまして、裁判所の判定というものに対して、私は憲法違反であるとかどうであるとかという問題につきましては、学者は学者としての立場上、また国民の世論としまして、その世論の形成の上においてそれをリードしていく先生方である、このように思います関係上、特にこの問題をお聞きしたわけでございます。
それから茂木先生には、いま民商の問題につきましてはそうでございましょうが、いまの青色申告会の健全なる発展をお願いする上におきましては、それは人ごとには済まされない問題ではないか。所得税の公平という見地に立ちましても、私はそういう人たちも十分考えて、そうして善良なる納税者のほうに導いていくという、自分たちだけまじめにやっていけばいいのだというような行き方でなくて、かわいそうな困った人がおるならば、その人たちの行く方向でも与える、または包容してやる、指導してやる、そういう面に対する御配慮もあっていいのじゃないか、このように思いますから、以上お願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/40
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041・茂木誠陸
○茂木参考人 いまの田中先生の質問でございますが、自分ばかりが青色申告をしていないで、民商も何とか導いたらどうか、こういう御意見でございますが、まことに賛成で、私、地元でこれを実行しております。私は現在荻窪でございますが、荻窪青色申告会の会長もやっておりますが、荻窪の管内の民商の方で非常に目ざめた方がございます。いま三十七、八名でございますが、この方は全部青色申告をしていただいております。しかも、青色申告してからネクタイがつけられるようになった、店は改造することができたということでいま喜ばれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/41
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042・田中昭二
○田中(昭)委員 全国の委員長さんですから、全国的にそのように御指導をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/42
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043・内田常雄
○内田委員長 平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/43
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044・平林剛
○平林委員 午前中に終えたいということで、私ども質問はたくさんあるのですけれども御遠慮申し上げておりましたが、ちょっと簡単に松隈さんにお答えをいただきたいと思いましてお尋ねします。時間もありませんから、私三つばかり注文があるのですが、それをまとめて申し上げますので、よろしくお願いいたします。
一つは、この大蔵委員会で将来の税制のあり方について議論が及びまして、その中で、最近新聞で御存じだと思いますけれども、水田大蔵大臣が売り上げ税の構想をしきりに述べておられるわけでございます。これは、新聞だけで見ますと、この委員会の質疑とはずいぶんかけ離れておるのでございまして、この点は誤解のないようにしたいと思いますけれども、水田さんが述べられておるのは、将来間接税と直接税の比率を変えていきたいということで、そのときには売り上げ税のようなものを、諸外国の例もあるから考えたらどうかというような自分の持論を述べているのです。しかし、自分の持論であっても、いま大蔵大臣でございますから、その発言は影響するところが非常に大きくて、あたかも売り上げ税の創設というような世論リードがされているというような状態でございます。私はこの傾向を非常に心配しておるわけでございまして、税制調査会におきましては、売り上げ税創設の考え方に対しまして一応否定的なことを述べられておるのでございますけれども、この機会に松隈さん、税の専門家として、こうした問題につきましてどういうお考えを持っておるかということをお聞かせいただきたいということが一つです。
それからもう一つは、たばこの専売益金の問題についてでございますけれども、間接税増徴という傾向になってまいりますと、まないたに乗せられそうなのがたばこの益金であるということで、一般の国民の消費の状態から見ますと、私は重大な問題に発展するおそれがあると思います。税制調査会でも、この問題について中間答申にやや触れている面がございますけれども、これによれば、たばこの専売益金は「消費者の実質的税負担が他の間接諸税と均衡のとれたものとなるよう価格改定を行なうことを検討する。」というように書かれているわけです。これは私はどういう意味になるのかちょっとわからないのでございますけれども、御承知のように、たばこは、「ピース」にしても、あるいは「新生」にしても「いこい」にしても、その税率は六〇%程度でございます。これだけ高い税率を課しているものは、税として見た場合にないわけでございます。他の間接諸税と比較して検討するということは、私は、裏から見れば値下げをするのかなというふうに実は思ったのでございますけれども、世間はそうとっておらないわけでございます。むしろ、たばこは値上げになるという見方をして、それが報ぜられておりますし、政府の大臣の中にも、それについてもっと掘り下げた議論をしている人もあります。
しかし、私はこの際注文しておきたいのです。たばこの専売益金はそれぞれ六〇%の税率である。また専売公社自体の経理においては赤字ではない。また同時に、これを値上げすることは、ひいては物価上昇という一つの機運をつくるということを考えますと、ただ財源の問題だけで税制調査会がむやみに動いてもらいたくないという気持ちなのであります。私は、財源の問題をあれするならば、これは政府自体がたばこ値上げという、こういう問題を打ち出すならばともかくとして、税制調査会が政府にうまく利用されたような形で、たばこの専売益金はどれどれから見て適当でないなんということをあまりやってもらいたくないという気持ちがいたしますので、むしろ私は、自分の意見を、簡単ですが少し述べまして、そういう御配慮をいただきたい。税率から見れば、それは専売益金をあげるというようなものにはならぬのではないだろうか。税率の問題から考えて、税制調査会が財源のことを考えてこの値上げをする、あまりそれに深入りされないようにひとつ希望したいということを申し上げておきたい。
第三の問題は、租税特別措置の問題でございます。これは昨年非常に大幅な減税があったことは事実でございますが、所得税減税の分を削り取られるくらいまでにいたしまして、どちらかというと、企業減税というものにかなり重点が置かれたわけです。租税特別措置だけでなくて、企業減税のほうに。昨年は不況であるということでいろいろ経済界は議論がありまして、公債を発行せねばならぬというような一つの流動的なときでございました。しかし、ことしになってみると、むしろ、最近は景気過熱論というのは影をひそめましたけれども、いずれにしても、昨年論ぜられたようなデフレギャップがたくさんあるというような問題については、政府自体にも、いまや資料のとり方が少し間違っていたかもしれぬというような反省が見られるのでございます。そういうことをいま一年前を振り返って考えてみますと、どうも去年は企業減税をやり過ぎたのじゃないかという感じが、私はしないわけでもないわけであります。
そこで私は、調査会にいろいろ注文や苦情はあるのですけれども、そういうことをひとつ考えますと、ことしの委員会でも問題になっていますのは、租税特別措置について、先ほど取捨選択し、洗いがえをしたいというお気持ち、よくわかりましたが、せめて地方税にはね返りをなくすような措置がないものか。たとえば税額控除というような制度を導入していきますと、地方税の遮断ができるわけですね。私は、国の政策として租税の特別措置をやる腹というものがある程度あることは認めますけれども、さればといって、それが直ちに地方税にはね返って地方財源を圧迫するということはいかがかと考えまして、こうした問題について、もう少し税制調査会においても御検討をわずらわしたい。できれば、租税特別措置に取り組むときにこうした問題をもっと強く浮かび上がらしてもらいたいのだという気持ちが実はしておるわけでございまして、注文やらいろいろございましたけれども、ひとつ御意見を聞かしていただければ幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/44
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045・松隈秀雄
○松隈参考人 大蔵大臣が、参議院であったと思うのですが、売り上げ税を考えるというような発言をなさったということは、新聞紙上では承知いたしております。税制調査会としては、中間答申及びその前の長期税制答申で売り上げ税を検討したのでありまするが、わが国において売り上げ税を創設することは必ずしも適当でないという一応の結論が出ております。
それはいろいろ理由もございますが、一つは、この売り上げ税というものが、大企業、有力企業は転嫁しやすいけれども、中小企業はこれをひっかぶる懸念が多分にある。それでなくても企業間格差が開き過ぎているというのがわが国の経済の大きなひずみになっているところへ、また売り上げ税を創設することによって、中小企業が、どちらかといえば圧迫されるような材料を提供するのはどうか、こういう意見がかなり強いのです。それからもう一つ、この売り上げ税は、各国ともに、戦時中の財源もしくは戦後の財政乗り切りのために、多収目的を達するのにはもうこれ以外に方法はない。負担論あるいは徴税技術等からいって多少の問題はあるかもしれぬが、やむを得ない手段だ、こういって起こしておるので、元来であれば、戦争が終わったり終戦処理が終わったりするとやめるべき税であるのでありますが、多収目的を達しておるだけに、実際は、売り上げ税とか取引高税を起こしている国ではやめられずにおります。しかしスタートは、そういうところでスタートしているのが実情である。今日のように、全体として減税ムードで、毎年のように減税をしていこう、こういうときに、非常特別税式の大増収をあげるような税制を新しく起こすということは、ちょっと気分的にマッチしない、こういうので、提案したって無理じゃないか、こういう空気があるために売り上げ税というものは停滞しておる。しかし、酒の税金にしろ、揮発油税にしろ、あるいはたばこの益金の問題にしましても、他の間接税を増徴して上げようとしても、税はすでに相当重いのですから、これを上げる余地はきわめて少ない。それでなおかつ直接税、間接税の比率を大幅に直したいといえば、売り上げ税に来ざるを得ないものですから、そういう問題を議論するときには当然登場する、ただ、実行にあたってむずかしくて提案がしにくい、こういうふうに御了解願いたい。
それから、たばこの専売益金の問題でありますが、税制調査会としては、直接の租税ではありませんから間接的でありまするが、先ほども申し上げましたように、各税の間接税としての新しい姿、負担の割合、税収入等を検討してそれぞれ落ちつけたい、こういうことをいたします場合においては、たばこについても何らかの提言をあわせ行なうことを適当と認めて、従来たばこの問題に触れておるわけでございます。たばこの専売益金率は、従前は六〇数%でありましたが、最近は、御承知のとおり、葉たばこ代が上がる、それから労銀が上がる、こういうことで益金率が落ちまして、たばこの本数はふえておる、売り上げ金額も十本当たりの金額が上がっておるのですが、それにもかかわらず益金率は六〇%を切りまして、五六%ぐらいが現状じゃないかと思います。そうなってくると、少し上げる余地があるのではないかという検討が始まるわけです。それから、専売制度を実行している国で、なるほどたばこは酒よりも高い。それからガソリン、揮発油税に五〇数パーセントというのはやや匹敵してきている。ですけれども、外国の例でいくと、フランスでもイタリアでも七〇%台ぐらいの益金率の国がありますから、そういうことからいって、間接税をある程度引き上げるという場合に、酒、たばこだけはほうっておくというのでは困るな、引き上げの問題が起こらなければ——かりに酒税を減税するというならいいですけれども、考え方によっては、酒税も増徴する——全部の酒税ではありませんよ。大衆酒は据え置いて高級酒を上げるというような酒税に増徴問題が起こったときに、たばこの上級品なんかは全然手を触れないかというと、それはやはり問題になるのではないか、こういう意味での検討だと思います。
それから租税特別措置につきましては、もうたびたび申し上げましたとおり、できるだけ整理をして、負担の公平の原則に戻りたい、こういう方針で今後も検討を続けていきたいと思います。それから租税特別措置は、できるだけ地方にはね返らないような措置はあわせて考えつつあるということだけは御承知をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/45
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046・平林剛
○平林委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/46
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047・内田常雄
○内田委員長 先刻申し上げましたとおり、時間の関係もございますので、これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には御多用中のところ、長時間にわたりまして御出席をいただき、貴重な御意見をお述べくださいましてまことにありがとうございました。委員会を代表して、ここに厚く御礼を申し上げます。
どうぞ御退席をいただきましてけっこうでございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/47
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048・内田常雄
○内田委員長 次に、各法案について政府に対する質疑を続行いたします。山田耻目君。
〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/48
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049・山田耻目
○山田(耻)委員 所得税、法人税関係について質問を行ないたいと思いますが、この問題についてはすでにかなり質疑が深められておりますので、ある意味では繰り返してお聞きし、なお足らないところは深めていくというふうな質問になろうかと思いますが、そういう意味で十分ひとつお答えをいただきたいと思います。
塩崎さんにお伺いするのでありますが、けさほど午前中の参考人の御意見で、どうも標準世帯の設定が実情に合わない。厚生省関係で見ておりますのは、御存じのように標準世帯は夫婦子二人と見ております。これは国勢調査によって現実に合わしながらやっていっておるような気もするし、あるいは取り扱いの適合分野が違う場合もあると思いますが、現実に四・二くらいに家族構成がなっております。税制というものはまさに数字的なものでありますし、個人にとっても、あるいは法人にとってもきわめて大事なものでございますから、その意味では、現実の家族構成に合わせて標準世帯というものを考えていくというふうなお考えは、一体どのようにしたらいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/49
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050・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃいますように、私どもも、税制は現実に適合した姿であり、また、国民に示す場合は現実に合った数字で示すべきだ、かように考えております。したがいまして、最近の世帯の分離傾向から見ますと、おそらく山田先生のおっしゃいました四人ということで、夫婦子二人ということで表示する方向に進むべきだと思います。しかし、先生御案内のように、長年、夫婦子三人を中心といたしまして、免税点あるいは課税最低限を言いならわしました傾向がございます。今年度の改正におきましても、七十四万円というものは、前からの連続性を保つ意味におきまして、夫婦子三人を中心として考えております。もちろん、その場合の夫婦子二人の課税最低限は表示できますが、それの表示でいきますと、これを一挙に捨て去ることも、いろいろな意味において誤解もあります。しかし、おっしゃるような、現実に適合するような方向において今後至急検討すべきだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/50
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051・山田耻目
○山田(耻)委員 長年の習慣がそうであったから、それに基づいてという立場のようですけれども、家族構成が標準世帯五人ということになりますと、課税最低限は引き上げられていくわけでございます。標準世帯の現実は四人ですが、それが五人という架空なものになっておりまして、そこに行なわれる課税最低限はかなり引き上げられていく。これは私はやはりごまかしだと思う。だから今日、西欧諸国、アメリカを含めてもそうでございましょうが、やはり家族構成は歴史とともに分化をし、あるいは幾つかの理由があって変わっていくことはあるでございましょうが、たとえば、よく欧米の課税最低限と日本とが比較をされる。アメリカのほうは、これは昭和四十年でございましょうが、課税最低限が百三十万円、フランスが百十七万円、西独は八十八万円。西独の八十八万円と日本の課税最低限の平年度七十四万円弱、こういうものとはだいぶ接近をしたじゃないか、こういうふうな比較が片側でも出て、雑誌などにも書かれておるような事柄であります。日本の場合は、現実に四人が標準世帯でありながら、架空の標準世帯にして課税最低限を引き上げて諸外国と対比されたのでは、私はこれはごまかしの中にみんながぬか喜びをしておるようなものだと思うのです。
そこで、外国の、いま申し上げたアメリカあるいはフランス、西独、日本と、国民総生産を争っておるようなこうした国々の標準世帯と課税最低限との関係を、もう一度おっしゃってみてくださいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/51
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052・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃいますように、私どもは夫婦子三人をもう長年課税最低限の中心的なものとして考えておりますが、別にこれによって、外国との比較において課税最低限を有利にするという意味は全くございません。もちろん夫婦子二人、夫婦子一人、夫婦もの、独身者、これはいずれもおのおの比較いたしております。そういった意味で、いま申し上げると、これは簡単でございますが、日本では夫婦子二人ならば六十三万四千円としていただけばいいと思います。アメリカならば百八万円、イギリスならば七十八万九千円、西ドイツならば七十一万八千円、フランスならば百万三千円、こんなような数字が示されておりまして、夫婦子三人に比べまして夫婦子二人の課税最低限が、特に諸外国に比べまして低いというような傾向はないと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/52
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053・山田耻目
○山田(耻)委員 いずれにいたしましても、日本の現実の家族構成には適合いたしておりませんから、早急に検討なさるということですけれども、これは委員会のやりとりにはいつもそういうことばが出てくるのですけれども、私は、やはり現実に処して徴税の基準を築き上げていくということがたてまえでございましょうから、来年度検討なさるというふうなことを含めて、早急に検討するということでございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/53
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054・塩崎潤
○塩崎政府委員 長年の呼称でございます。変える場合の各方面に与える影響——もうすでに国会では百万円というお話が出ております。そういった場合に、これは夫婦子三人が基準でございまするから、夫婦子二人にした場合はもちろんそれより以下になりますが、そういった基準を変えた場合の影響も考えて、ひとつ早目にそういった実際に適合するような方法を考えてみたい、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/54
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055・山田耻目
○山田(耻)委員 ひとつ現実に即して早く手直しをなさることがいいと思います。まあ標準世帯百万円という要求も、要するに、課税最低限が低いということが中心でありまして、これを引き上げて可処分所得を増大させていく、そうして家計にゆとりのある生活をさしていくというのが、私たちが主張しておる百万円課税最低限引き上げの根拠でありますし、これを四人の標準世帯で百万円になさるということ、なおけっこうでございます。そういうことはひとつ御遠慮なさらぬで、早く現実に即してやっていただくようにお願いしたいと思います。
これと関連をいたしまして、先般、大蔵大臣から、四十五年を目途にひとつ百万円にしていきたい、こういうふうな御意見が出ておりました。私は、いろいろと研究も足らないからそうでございましょうが、六月になりますと、資本の自由化ということでかなりの具体的な方向が出てくるのじゃないだろうかといわれておりますが、国際的な労働者の課税というものもかなり並べられて議論されていくということに将来早くなると思います。そういう意味では、日本が、推定でありますけれども、ことしは三十六兆一千億円ばかりの国民総所得をあげておる。しかし、実際に国民全体の生活の水準を見ると、摂取カロリーが二千二百八十カロリーくらいしかとられていない。特に農山村地帯なり勤労者の層にいきますと、奥さんたちは半ば栄養失調になっているという傾向が強い。これは生計費に課税しないという原則にもとっておる結果ではあるまいか。だから、三十六兆一千億円、一千億ドル台に上がっていって、日本は三番か四番かの上位にランクされているようでありますけれども、国民生活の実態は世界二十二番程度である。南アフリカ連邦の段階ぐらいにしかランクされていない。
〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
こういうふうになってまいりますと、可処分所得が少ない、課税最低限が低過ぎる、こういうことにも通じていくのじゃないかと私は思いますし、そこらあたりがばく然として、昭和四十五年度を目ざして百万円に引き上げていきたいという言い方だけでは不親切ではないだろうか。四十三年、四十四年、四十五年にかけて、あるいはそういう一つの動向も踏まえて、きょうも茂木さんのほうのお話にありましたように、四十四年が適当であるという言い方も参考人の方はなされておりましたけれども、課税最低限を引き上げていく年次的な計画、見通し、こういうものをお持ちにならぬと、昭和四十五年には百万円にしていきたいという、少なくとも最高責任者である大蔵大臣の答弁としてはいただけないけれども、これは主税局長の立場としていかがでございますか。年次計画を持ってそういう国民的輿望をしっかと受けとめていく、そういう立場が示されてこそ私は具体性があると思うのですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/55
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056・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨年度は税制調査会におきまして、八十三万円という目標、さらにこれからまた二年後に百万円、それは四十六年度でございますが、四十六年度までの計画をつくったわけでございます。しかしながら、八十三万円という年次計画は、もはや政治の面では通用しなくなりました。私どもは、単純な、機械的な、百万円にした場合の減収計算しか持っておりません。これをなおかんなをかけまして、具体的な目標として先生のおっしゃいました年次計画にするべく、国会が終わりましたら税制調査会にはかりまして、より具体的な計画をつくってまいりたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/56
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057・山田耻目
○山田(耻)委員 今度はもう一つの角度からお尋ねをしていきたいのでありますけれども、昭和三十五年には、御存じのように標準世帯で最低限が三十三万円でございましたね。そうして四十一年、去年は六十三万円になったわけでございます。この間年平均見ますと、大体年五万円程度最低限が引き上げられてきております。こういうふうに見てまいりますと、その間物価が五・五から六・七、八の間上がってきておりますから、まさに帳消しというかっこうになっております。しかし、その論議は別の立場からいたすとしましても、昭和三十五年以来の課税最低限の上がり方をずっと伸ばしていきましたら、昭和四十五年には自動的に百万円近い金額に到達をすることは、過去の実績を見ても言えるのじゃないか。そこらあたりの関連と、あなたがお考えになる、税調にお出しになりたい、あるいは税調で意見を述べたいという年次的な計画とは、どう違うわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/57
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058・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃいますように、今年度、四十二年度の課税最低限引き上げの幅は、過去に比べまして非常に大幅でございます。しかしながら、これには非常に私どもの苦心がございまして、これから御審議を願いますところの印紙税、登録税の改正を考えての引き上げでございます。さらにまた、租税特別措置法におきましても、財源を満たしての結果としての引き上げでございます。そんなことを考えますと、必ずしも今年度のような上がり方が、これから簡単にいくとも考えられない。さらにまた一方、国債の依存率を下げるべきだという強い御主張がございます。
そんなようなことを考えますと、これからの趨勢だけで織り込むことはいけない、むしろ、これを達成するにはどうしたらいいか、さらにまた、そういった意味では、税制の中で見直すべき点があるかどうか、そのような点を考えながら、ひとつ、国民の世論でございますところの百万円のほうに近づけたい、そんなような意味で税制調査会に御検討を願いたい、こんなような気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/58
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059・山田耻目
○山田(耻)委員 私は、ことしはかなり大幅に上げた、標準世帯で十万円弱、独身者で五万円弱上がっていることはわかりますけれども、昨年、昭和四十一年約三千億減税をなさいまして、これは仁徳天皇以来の減税だといってここでお話があったわけでありますが、これも御存じのように、医療、鉄道、汽車賃、そういうものに食われてしまって何もなくなったのです。ところが、昭和四十一年の自然増というのは千百六十億円ぐらいしか見込まれておりませんでしたね。ところが、ことしの自然増は、控え目に見たって七千三百五十億円程度ある。去年は千百六十億円の自然増で三千億円近い減税をやっておいて、ことしはこれだけの自然増が低目に見込まれておるのに、なぜこれぐらいの減税措置しかとれなかったのか。だから、あなたのおっしゃっているように、景気なりいろいろのものを見て、これから向こうに向けてそれだけの減税措置がとれるかどうかよくわからぬがとおっしゃるところに、去年とことしと対比してみて、私は全くあなたのおっしゃることばの裏側がどうもよく見えぬのでございますが、そこらあたりをひとつすっきりしてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/59
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060・塩崎潤
○塩崎政府委員 この点は私どもの大臣もるる御説明しているところでございます。四十一年は千百九十億円しか自然増収がなかった、これは当初予算でございます。それで三千億円、二千八十九億円という初年度の減税をしたわけでございますが、本年度は七千三百五十三億円もありながらわずか八百三億円の減税ではないかという御質問が非常に行なわれておるわけでございます。
これは三つばかりの大きな理由があると思います。
第一には、去年行ないましたのは、公債を発行いたしまして、これまで公共事業に回しておりましたところの一般財源を減税に充てることができた。したがいまして、自然増収を上回りますところの一七五%の減税ができたというのが第一の理由でございます。ところが、本年度は七千三百五十三億円も自然増収がございまするけれども、国債を去年度のように財源として生かすだけのメカニズムができないわけでございます。言うならば、国債発行は一回限りの財源ということでございます。したがいまして、ことしも減税をいたしますとすればやはり特別なくふうをしなければならない。これが第二の理由でございます。第三の理由は、御案内のように、昭和二十五年から毎年毎年減税してきておりまするけれども、自然増収のうち減税に充てた部分は昭和三十年までが最高でございまして、約六四%が減税に回された。しかし、三十年代に入りますと、御案内のように所得税が正常化してまいりますと、むしろ歳出によるところの施策、これに対するウエートが強くなったのでございます。そんなような関係で、三十年代の自然増収が減税に向けられた割合を見ますと、一六・一%になっております。そんなようなことを見ますと、やはり減税ということだけで財政を考えることはできない、これが大きな理由でございます。しかし、四十一年度は、自然増収が千百九十億円しかなかったのに二千八十九億円の減税をいたしましたので、一七六%ぐらいの減税割合になっておりますが、本年度は、いま申し上げました一回限りしか財源がきかないという公債発行の性格でございますので、わずか一〇・九%でございます。これは二年間通算していただいてみたらどうであろうかということを私どもはお願いいたしまして、そういたしますと三四%ぐらいの減税割合だということに御理解願って、三十年代よりもこの二年間においては努力しているというところを見ていただきたい、こんなように考えております。
なお、私どもの所管ではございませんが、もう一つの理由といたしましては、景気の心配のあります今日、公債に対する依存度を減らすべきだということが、今年度の減税の規模を少なくせざるを得なかった大きな理由でもあるということも、私どもの大臣が強調しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/60
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061・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣お見えになりましたので、さっそくお聞きしたいのでありますが、大臣が本委員会なりあるいは予算委員会で答弁なさっております、われわれが要求いたしております課税最低限を百万円にまで引き上げるという主張に対しまして、可及的すみやかに——可及的すみやかというのは、昭和四十五年度を目途としてやるのだ、こういうお話があったと理解をいたしております。そこで、そうなりますと、ことしは昭和四十二年度でございますから、その三年後のことでありますから、特に昭和三十五年以来の課税最低限の引き上げ傾向値をいま主税局長といろいろ話し合ってきたのでありますが、その速度から見ますと、自動的に昭和四十五年度には百万円になってくる。大体年間五万円程度課税最低限を引き上げておりますから、なっていくのであるから、一応そのことの高い低いの問題は別といたしまして、昭和四十五年に課税最低限を百万円に引き上げていく年次的な計画をこの際ひとつ明らかにしていただかないと、委員会なりそれぞれのところで言い合ったにすぎない。あるいはまた、大蔵大臣が他のほうにかわられまして、大蔵大臣でなくなった場合、その点がまた立ち消えになって、同じ論争を繰り返さなければならぬ、こういうことになってもむだの積み重ねのような気がいたしますから、せっかく四十五年度を目途にやる、こういうふうなお話でございましたし、しかも、きょう午前中参考人としてお三方をお呼びしたのでありますが、茂木さんのほうから、四十四年度が一番いいような気がする、傾向値から考えて適切なような気がするというふうなお話もございました。
そういう面からいたしまして、これから昭和四十四年度、再来年、もしくはそのあとの四十五年度に向けて、どういう年次計画で百万円まで課税最低限を引き上げていく構想なのか、それをお聞かせいただかないと具体性がない、こういう立場で質問をいたしたのでございますが、当事者でございますので、あなたからひとつお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/61
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062・水田三喜男
○水田国務大臣 これを一年、二年でやるのには相当の財源を要しますので、私どもは、昭和四十五年度までの三年の間にはこの百万円を課税最低限度にすることは実現できるだろうという考えで、四十五年度を目途にと言っておりましたが、さて、これをあと三年でやる計画を示せということでございますが、財政事情との関係もありますし、実際にやる場合には、この内容をどうするかの問題も、いままでの例によりますと税制調査会にもはかっておりますので、具体的なやり方というものについては、これから税制調査会にはかろうと考えておった問題でございまして、いま三年間にやるという方針はきめておりましても、来年度がどうでその次がどうという具体的な計画は立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/62
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063・山田耻目
○山田(耻)委員 予算委員会の附帯決議にもありますし、あなたの答弁もありますし、国会の審議の過程を経てそういう答えが出てくるわけでございますから、当然主管大臣としては、四十五年度に向けてあと三年間しかないのは最初からわかっているはずでありますから、その中で日本の財政経済の見通しなどを立てながら、物価上昇の答えを出していきながら、そうしてやはり年次計画を立てていくということは当然でございますね。それがまだ準備としてできていない。しかしながら、国会で答弁をしておられるとおりに、四十五年度に向けて実施をするので、いずれ、きわめて近い日に年次計画を立てて、税制調査会などで審議をしてもらう、こういうふうなことを御計画なさっておるというふうに受けとめてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/63
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064・水田三喜男
○水田国務大臣 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/64
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065・山田耻目
○山田(耻)委員 次に、課税最低限の中身に若干入っていきたいと思うのですけれども、大蔵省のいわゆる生計費の試算の中に、二百五円でございましたね、生計費に課税をしない原則で徴税はしていくわけでございますが、一食六十八円ということばが最近よくいわれております。
私は貧乏な国会議員でありますから、よくここの中央食堂に昼食をとりに行くわけです。国会の職員なりがたくさん行っておりますけれども、あそこで梅、松、竹という定食がありますけれども、大体一番安いので百円であります。うどん玉だけ乗っかっておるのが三十五円でありますが、あんなものを食べておったのでは労働再生産にはなりません。だから、国会に働いておる職員は、百円ぐらいのを食べては十分なカロリーがとれるとは思いませんけれども、六十八円という基礎では、とうてい生計費に課税をしないという原則にもとる、そういうふうにはお考えになりませんか。塩崎さんいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/65
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066・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どものお示しております基準生計費の意味は、山田先生も十分御存じでありまして、一つの仮定計算と申しますか、私どもが課税最低限の適否を検算する一つの資料からつくり上げたものだけであることは、もう御案内のとおりであります。
そこで、いまおっしゃいました具体的な切実な問題といたしましての食料費の問題、これは私どもが、そういった理論的と申しますか、仮定計算でするよりも、現実の生計費との関連において考えるということで、これは私は十分立証されると思うのでございます。昭和四十一年の五人世帯の消費支出金額は五万九千二百二十一円でございますが、食料費は二万一千六百九十二円でございますから、これを三十日で割ってみますと七百五十円ばかりになって、これを五人で割りますと一人頭が百五十円ぐらい、こういった計算からみても、いまの私どもが示しております数字はそんなに無理がない。ただ、外食をいたしますと、営業者の利潤あるいは雇用者の賃金その他いろいろなロスがございましょうから、そこに多分に問題がございますし、だんだんと外食の利用度が高まりますればこの食料費の考え方も違ってまいりましょうが、現在の実績ではこんなような数字が出ておることで、課税最低限がそんなに無理があるというようには私は考えておりません。しかし、課税最低限の問題は、住民税の負担など考えてみますと、所得税にはもう少し高いところからスタートするというような考え方もございます。しかし、それは財政事情もございますから、そんなようなすべての要素を総合してきめるべきではないか、こんなふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/66
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067・山田耻目
○山田(耻)委員 少し冷酷な感じを、聞きながらいたしたわけです。だから、もちろんこれで食っているのだから、摂取カロリーはさっき言ったように二千二百八十カロリーしか平均とっていないし、特に一家の主婦は栄養失調的傾向を約半数近く示しておるという厚生省の統計は出ておるわけです。これで食ってきたのだから、ここに線を引いてみたら六十八円で無理がない、こういう言い方というのは、私は冷酷なような気がいたしますね。だから、世界三位か四位の国民総所得をあげていながら国民生活は世界二十二番目の南アフリカ連邦並みに落ちていっている実態というのは、ここに私は理由があるんじゃないかという気がいたすのですけれども、ここは考え直す気にはならぬものでございましょうか。それで食って栄養失調になってよろしいという立場で食料費をそのように基準化されたものかどうか、もう一度ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/67
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068・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は別に冷酷なつもりで申し上げたのではございません。あとで申し上げましたように、所得税の分配をどこからするかという意味の基準において、課税最低限は、国民の要望でありますし、いまよりも高いことが望ましいことだと申し上げたつもりでございます。ただ、食料費と申しますと、人によりまして、あるいは家庭によりまして非常なバラエティーがございます。そんなような意味で、画一的に食料費をきめること自体も、ことに課税最低限の適否を判断する基準からきめることは適当でないような気がいたします。そこで私どもは、一つの試算として二百五円ということが示されるというようなことを、過去の水準をもとといたしまして、消費者物価を乗じまして出しただけでございまして、先般御要求によりまして出した資料では、七十一万一千八百九十九円の課税最低限ならば、かりに消費支出をいまのように見積もりましても、七万四千円ばかりの余剰が出てくる、これがまあ自由に使える金だというような考え方もできる、これをまた食料費に回すことも可能であろうというようなことを申し上げたのでございます。これは絶対的なものではございませんが、七十一万一千円、これは初年度の金額でございます。あるいは七十四万円という課税最低限がいいか悪いか、この点の御検討を、食料費の問題も大事でございますが、全体として御判断を願えれば、私はこの問題は解決するのではないか、こんなようなふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/68
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069・山田耻目
○山田(耻)委員 もう一つの面から伺うわけでありますけれども、所得税のあり方として、所得を得るのに必要な経費を差し引いたもの、その所得に課税をする、こういうことになりますと、一般の勤労所得者に対して必要経費というものが当然発生してこなければなりません。現在定額控除の中にそれがあるというふうに言っておられる向きもあるようでありますけれども、必要経費というものをどのようにながめておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/69
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070・塩崎潤
○塩崎政府委員 山田先生のおっしゃるとおりでございます。所得というものは、収入からこれを得るに必要な経費を差し引いたものが所得でございます。そこで勤労者にもサラリーマンにも必要経費と考えられるものはございます。たとえば通勤費がその一種でございましょう。さらにまた、私どもが着ております洋服あるいはネクタイ、これの勤務時間に対応する部分の減価償却費ですね。一ぺんの費用ではございません。こういったものも見積もられます。あるいは、くつもそんなものでございましょう。それから身だしなみ、人中に出るのだからある程度きれいにするという、ポマード代とかそんなものも必要経費になりましょう。これは人によって非常に違います。そんな関係で、私どもはこれを概括的に給与所得控除の中に見ておりますが、しかし、給与所得控除全体が必要経費というものではございません。必要経費の額は人によって違いますけれども、私どもの見るところ、給与所得控除のうちの一部を占めるにすぎない、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/70
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071・山田耻目
○山田(耻)委員 最近非常に都市化が進んでまいりまして、農山村から太平洋沿岸ベルト地帯に流れておりまして、非常に勤労者がふえております。もちろん高い家賃を払って、そうして工場に通っておる。その家賃までめんどう見てくれない企業というのは非常に多いのですから、そういうものなどを含めて、勤労者の必要経費というものは非常に増大をしておる。
いま一つの立場からは、最近の子供の、特に義務教育を終えた高校以上の就学率は三八%近い。こういうふうに考えてまいりますと、子供の教育は手前持ちだというわけにはみなされない性格のものであります。これは次の労働再生産に必要なんでございますから、高度な技術を自費で習得をして社会人になっていく、こういう関連で再生産と決して無関係ではありません。こういうことで経費が非常にかさんでくる。そこでいろいろ議論が立てられてきて、教育費控除の説も出てくるわけです。こういうものを含めて御検討なさる、多様化してきたのだから、もっと多角的に検討して、給与所得控除を引き上げていくという立場で積極的な検討に入るという意思があるかどうか、これは教育費控除を含めて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/71
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072・塩崎潤
○塩崎政府委員 山田先生のおっしゃいますように、これまで課税最低限が引き上げられてきたこと、さらにまた、本年度のように大幅に引き上げられてきたことは、やはり生活水準の向上等に伴いまして消費支出金額がふえてきた。それがぜいたくな消費支出金額ではないということの反映でございます。そういった意味では、家賃の問題やあるいは食料費の問題、これはいずれも考慮すべき要素でございます。私が先ほど申し上げました五万九千二百二十一円というのは、すべての消費支出金額を含めての金額でございます。しかしこれも、だんだんといまおっしゃいましたような理由から支出はふえてくるかと思いますが、これらを含める意味においての百万円、そういった意味での検討は当然続けなければならぬことだと思います。
さらに教育費控除の問題、これは私は最後に残された人的控除の一つだ、こう言っておるのでございます。しかしながら、一般的にまだまだ扶養控除の金額が七万や八万で生計できるかというような声もございます今日、特定の就学する児童だけのために、あるいは学生のためだけに教育費控除を設けること自体と、どちらが先行すべきかというむずかしい問題がございますので、これをひとつ両方をあわせて税制の進歩の方向で検討してみたい。これも、先般来予算委員会でもずいぶん出た議論でございますので、税制調査会にも十分御検討いただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/72
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073・山田耻目
○山田(耻)委員 時間がございませんので、自治省のほうに少しお伺いいたしたいと思います。
日米安保条約並びに行政協定に基づきまして、駐留軍が、日本における基地建設行政、こうした事柄に関係をしていろいろな資材消費を行なっておりますけれども、こういうものに対して減税——むしろ免税の措置を行なっておるわけでありますが、最近この免税の措置の中の、特にガソリン、軽油の部分、こうした問題が業者間にかなりトラブルを起こしておるようであります。私は交通安全特別委員会の理事をいたしておるわけでありますけれども、最近起こる事故の中で、微細に検討いたしてまいりますと、業者間の過当競争が起こりまして、そのために積載トン数の超過であるとか、あるいは過重な運行図表であるとか、幾つか事故の要因になるものが内部にございます。そういう中で、米軍と特別契約をいたしておる業者が、免税の揮発油なりあるいは軽油を使いまして、業者間の中にきわめて好ましくない争いの根源をなしておるかのような印象が強まってきておりますけれども、最近そういう事例があったかどうか、どういうふうにこの問題については行政指導を強めておるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/73
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074・倉橋義長
○倉橋説明員 最近そのような事例があるかというお尋ねでございますが、私どもは、いま先生のおっしゃいましたような事例は、伺っておるわけでございます。
それで、この免税軽油の扱いについてどういうふうな扱いをしておるかという御趣旨の御質問かと思うわけでございますが、このアメリカ合衆国の軍隊等が最終的に使用いたします物資等の調達等に使います軽油等につきましては、権限ある監督官の、これこれの目的につきましてこれこれの軽油を使ったという証明書を発給いたしております。それに基づきまして免除の措置をとる、こういう仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/74
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075・山田耻目
○山田(耻)委員 免税した減収総額はどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/75
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076・倉橋義長
○倉橋説明員 いま手元にお答えを申し上げる資料を持っておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/76
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077・山田耻目
○山田(耻)委員 これの資料をひとつ出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/77
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078・倉橋義長
○倉橋説明員 特にこれだけ免税分は幾らかということはございませんので、資料を調べましてもすぐには出ないかと思います。いずれ調査いたしましてから出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/78
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079・山田耻目
○山田(耻)委員 これは各県単位でやっておりますから、調べればすぐ出ます。私が懸念をいたしておりますのは、なかなかチェックがむずかしくて、特に米軍担当官となれ合いが起こりまして、そうして理由なき免税チケットを乱発をしておる傾向が若干強まっているような気がいたしてなりません。神奈川県の事件を少しお話していただいたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/79
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080・石川一郎
○石川説明員 神奈川県の事件は大体二年前ぐらいに起こったことでございますが、基地内の担当官と業者が、いまお話のございましたようになれ合いまして、多少水増しをして証明書の交付を受けたことがあるのであります。これは神奈川県のほうで、どうも最近走行距離が免税の場合に大きくなっているということがわかりましたので、基地のほうに連絡をとりまして、基地のほうでも内々調査をいたしました。その結果、やはりこれは二世の方で業者となれ合いまして証明書を水増しをした、こういう事実がございました。これはその後私のほうで、基地を担当いたしております県の担当官にそれぞれ集まっていただきまして、水増しのないように注意をいたしておりますので、それぞれ特約業者に免税の申請がありました際にチェックするように努力をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/80
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081・山田耻目
○山田(耻)委員 行政協定に基づいて免税の措置をいたしておりますのは、資材、需品、備品、役務、こういう関係にからんでおる部分だけでございますだけに、野放しではないのであります。しかも、その適用の中に、業者と結託した米軍担当官が水増しのチケットを出し、それに基づいて不法、不当な免税の扱いを受ける。しかも、最近ベトナム戦争などが激化をいたしまして、内国輸送は非常にひんぱんに行なわれております。
大体、これもひとつ資料を出していただきたいのでございますけれども、免税品が各県の軽油、ガソリンの消費量の何%に相当しておるのか。それから、これは地方税でございますが、免税額は地方税の何%を占めておるか。この石油税の何%を占めておるか。最近一説によると、米軍のクリーニング担当者まで免税の措置を受けておるといううわさがございます。野放しにこの行政協定を拡大解釈されては困りますので、一ぺんそういう数量調査をされまして、野放図なこのチケットの発行がなされないように厳重にひとつ監督をしていかなくちゃいかぬと思います。いまの資料はひとつお出しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/81
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082・石川一郎
○石川説明員 軽油引取税の四十二年度の総額は約八百六十億円ございます。非常に大きいウエートを占めておるわけではございません。免税軽油につきましては、合衆国軍隊の分はそれぞれのところで免税措置をとっております。私のほうも至急に調査をいたしまして、そのウエートを出すようにいたしたいと思います。なお、御指摘の点、十分各県に伝えまして、遺憾のないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/82
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083・山田耻目
○山田(耻)委員 これは指導上のお願いですけれども、こういうことが、その特定業者のみが不当に収益をあげておるということだけにとどまってはいないのであります。業者が、競争が激しいものでありますから、いわゆる運賃のコストダウンをやります。そういう関係で、そういう特殊契約を持っていない運送業者は、積載トン数の超過をやって対抗しなければ太刀打ちできない。あるいは運行図表をきっかり詰めていかなければ太刀打ちできない。そこに働く人々の労働強化もありますし、そうして疲労による事故が発生をする。いろいろな方向に波及をいたしておりますので、この面だけはひとつ厳重に調査をされて、不法、不当のことのないように督励をしてもらわくちゃならないと思います。これは要望であります。
時間がありませんので、きょうはこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/83
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084・内田常雄
○内田委員長 この際、三十分間休憩いたします。
午後一時三十八分休憩
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午後二時二十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/84
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085・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/85
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086・平林剛
○平林委員 所得税法の問題につきまして、全般的な問題は、本会議が終了した後において大臣と質疑を展開する予定でございまするけれども、先にきょう私が取り上げたい問題は、障害者控除等の改正につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。今回の所得税法の一部を改正する法律案によりまして、いわゆる障害者をはじめ老年者、寡婦、勤労学生等のいわゆる人的控除、税額控除から所得控除に改めることになりました。これにつきましては全般的な質疑はございましたが、きょう私は、障害者控除にしぼってお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。
まず、主税局長にお尋ねしますが、障害者控除の適用を受ける人は大体どのくらいおるのでしょうか、その実績について明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/86
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087・塩崎潤
○塩崎政府委員 納税者で三十九万二千人と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/87
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088・平林剛
○平林委員 ついでですが、この控除によってどのくらいの税の減収があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/88
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089・塩崎潤
○塩崎政府委員 現在、障害者控除、寡婦控除、老年者控除、勤労学生控除で約五十億円の減収と現行では見ております。そのうちの約三割五分が障害者控除で占められておりますので、十七億五千万円というふうに、簡単に、ラフに計算しております。それだけの金額を出しておりませんが、そういうふうに見積もられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/89
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090・平林剛
○平林委員 障害者は、いろいろな事情があって、この社会におきまして一般の人から劣位な状態に置かれておるわけでございます。そういう意味では、われわれがこれに対して特段の配慮をするという考え方は、当然、社会福祉国家を目ざす政府においても、またわれわれにおいても必要なことでございますから、こうした措置につきましては私は適当なものであろうと思うのでございます。きょうは、さらにこれをしぼりまして、脊髄損傷患者の問題を私は取り上げてまいりたいと思うのであります。
御承知のように、この脊髄損傷者の問題につきましては、特に戦時中におきましては、わが国でもかなり真剣にいろいろな問題の考慮が払われてまいりました。諸外国におきましても、第一次大戦中から、一流国におきましてはこの問題に対するいろいろな施策が充実してまいりまして、最近では、御承知のように東京でパラリンピックが開催されるというぐあいに、こうした患者に対する措置、またいろいろな施策が拡大をされておりますことは、私もはなはだよい傾向だと考えておるわけであります。しかしながら、そうしたはなやかな話題の陰におきまして、まだなおいろいろ検討すべき問題が私はあると思うのでございまして、きょうはそのことを申し上げて、関係各省に一段と具体的な措置を要求したいと考えるわけであります。特に戦後におきましては、こうした脊髄損傷患者につきましては、主として炭鉱における事故から生まれてきた者、あるいは土建、重工業、高層建築の中で働いて、これが不幸事故によりまして脊髄を損傷するというようなことから患者が発生する。最近では、むしろ交通事故の発生によって、こうした患者が非常に広がってきておるわけでございます。私はそういう意味では、これらの患者は、いわば高度成長政策における一つの犠牲とまでいきますまいけれども、そうした一つの断面を描くものだと考えておるわけでございます。しかるに、私は、政府の措置がこうした問題について十分でないことを遺憾に思うのでございまして、きょうはまずそういう意味でお尋ねをしたいのですけれども、一体、全国でこうした脊髄患者はどの程度おるのか。どの程度こうした患者が社会におきまして苦吟をしておるかということを、私は確かめてみたいと思います。その全国的な状況について、まずお話をいただきたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/90
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091・加倉井駿一
○加倉井説明員 お答えいたします。
数年前、私たちの箱根療養所が、全国の福祉事務所を中心といたしまして調査いたしました結果では、約三千四百名程度脊髄損傷の患者がおりましたけれども、その後やはり先ほどの御指摘のような災害関係で、毎年二、三百名ずつふえているものと推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/91
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092・平林剛
○平林委員 脊髄損傷患者が、いまのお話ですと、箱根の療養所の調査によって大体三千四百名程度ある。そのうち、これは私どもの調査によりましても、どういう階層の人がこの患者になっておるかということを調べてみますと、主として土建業関係、つまり大工、左官、そうした者を含めての数が約四百四十六名、それから工業関係が三百名ぐらい、農業従事者が二百九十六名ぐらい、商業で百六十四名、会社員で同じように百六名、陸上運送関係の人たちでこれも相当数ございまして、患者の職業分布を調べてみますと、非常に広がっておるということがわかるわけであります。いま三千数百名ある患者の中で、幸いにして入院治療を受けることができる人はどのぐらいあるかということの御調査は進んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/92
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093・加倉井駿一
○加倉井説明員 私どもの脊髄損傷専門施設といたしまして、先ほどの箱根療養所百二十床がございます。そのほかに、国立村山療養所におきまして、脊髄損傷を含めました脊髄麻痺の患者約六十七名を現在収容いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/93
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094・平林剛
○平林委員 脊髄損傷患者おおむね三千数百名の中で、これらの処置が進められる、いわゆる入院患者が箱根で百二十名、その他合わせても百九十名足らず、そうなりますと、もう相当数の人たちは家庭において治療する以外に方法がないという状態でございまして、私は、諸外国がこうした問題に取り組む姿勢と比べますと、わが国が非常におくれておるということを痛感するわけでございます。このままほうっておきますと、こうした患者は結局、いわゆる政府の社会保障にたよって生きていくという以外にはない。私もときどき、たまたま私の選挙区に箱根療養所がございますので、そこをたずねて所長さんの意見を聞いたり、患者の状態を見せてもらったりしておるわけでございますが、もしこうした脊損患者に対する初めの療養がよかったり、あるいはいわゆるスポーツ訓練といいますかを進めたり、あるいは職業に新たにつかせるというようなための必要な訓練が行なわれますならば、これらの人が社会に復帰する可能性がある。ところが、いまのような状態でございますと、最近の経済情勢の中で脊髄損傷を受けた人たちは、単に家庭においてこの後の人生に光明を抱くことができず、呻吟をせねばならぬ。よい治療、よいそういう場所があれば、私は専門家ではございませんけれども、意見を聞くと八〇%程度の人は社会に復帰できる、こういうことになるわけでございまして、私は、こうした措置を政府が積極的に進められる必要があるのではないだろうかと考えるのでございます。
そこで、私が望んでおりますことは、こうした患者の地域的な分布を具体的に調査をしまして、全国に二カ所や三カ所くらいのこうした患者を取り扱う脊髄センターといったようなものをひとつ設けるというような構想を持って、こうした人たちに光明を与えるという措置を政府が積極的にとられることが望ましいと思うのでございますが、こんな考え方はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/94
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095・加倉井駿一
○加倉井説明員 先ほど私どもの所管いたしております療養所だけを申し上げましたが、このほかに、労働省関係の所管いたします労災病院に約八百名程度の入院患者がおることをつけ加えさしていただきます。
なお、厚生省といたしましては、先ほどの村山療養所の整備計画もございますし、そのほかに、いま御指摘のございましたような地域を勘案いたしまして、近畿地区の兵庫療養所、それから九州地区の鹿児島療養所等におきまして、結核患者の減少に伴いましてこの脊損患者の収容をしてまいりたいという計画を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/95
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096・平林剛
○平林委員 私が箱根療養所の患者の人々と話をするとき、この人たちの希望は、自分たちは、単にこの病院において治療だけを受けて、そのまま一生をここに終えるというようなことになりたくない、少なくとも最終の目標としては、社会人になって復活することにある、それから、政府においてもいろいろな措置はとられるけれども、そうした税金の恩恵を受けるということが目標ではない、むしろ社会に復帰して税金を納める人になりたい。これらが、私はやはり人間として将来に向かっての希望であろうと思うのであります。そうすれば、そういう人間としての気持ちを持ち、そうした願望を持っておるとすれば、私は、政府の考え方、政策においてもそうした希望にこたえるような措置をとっていかねばならぬ。ところが、聞くところによりますと、こうした国立の療養所内で職業訓練をさせるということについてどうも各省間の意見が一致しないために、社会復帰のための職業訓練が正式には行なわれていないということを聞いておるのでございます。私は、これはどういう事情があるのかわかりませんけれども、ただいま申し上げました多くの患者の気持ちを考えますと、正式に職業訓練をさせるような環境をつくるべきではないかと思うのでございますけれども、これは厚生省がそういうことをいけないとしておるのでしょうか、それとも関係各省のどこかがそういうチェックをしておるのでしょうか、そうしなければならぬ理由があるのでしょうか。こうしたことにつきまして、私はきょうは解明をしたいと思いましてお尋ねをしたわけでございます。どういう理由で正式な職業訓練を断わって、できないとされておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/96
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097・和田勝美
○和田(勝)政府委員 お答えいたします。
脊損患者の方々の職業訓練、社会復帰の問題につきまして、別に私ども阻止をしたり何かするという考えは毛頭ございません。ただ、御存じのように、脊損患者につきましては、症状からいたしまして相当生活介護を要するということになりますと、雇用労働者という立場で考えますとなかなか就職の問題が困難でございます。したがいまして、生活介護を要しないような方につきまして職業訓練を実施するということには、私ども決してやぶさかではございません。身体障害者の職業訓練所は、現在全国に八カ所ございまして、本年一カ所増設をする予定でございますが、現実に介護を要しないような脊損患者も入っておられるわけです。ただ、どういう方が介護を要するか要しないかということは、その前段階におきまして治療段階でいろいろ考えて、それは労働省の労災病院では——基準局長が参っておりますからお答えすると思いますが、療養中にいろいろのリハビリテーションセンターを使いましてやっております。症状が固定をして生活介護を要しないようなことになれば、私ども、引き続いて身体障害者の職業訓練を引き受ける、こういうことでやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/97
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098・村上茂利
○村上(茂)政府委員 脊損患者の大部分は労働災害としてあらわれておるようでございます。私ども長期傷病補償給付と申しまして、三年たってもなお、なおらないで、長期傷病補償給付に移行しておる者の数は、昨年八月現在で二千百八十九名となっております。厚生省の統計は労働者以外も含んでおりますけれども、労働者で労働災害を受けた者は三分の二ぐらいある、こういうことでございます。年々二百五十ないし三百、どうも統計を見ますと、労働災害としての脊損患者はくしくもそのような数字でふえてきておりまして、これが累積いたしておるような次第でございまして約二千二百名、こういうことでございます。
そこで、労災医療の問題として労災病院の強化をはかってまいりまして、今日まで三十三の労災病院がございますが、すべてかなり大規模のものでございます。労災病院の中ではこの脊損患者の治療を最重点といたしておりまして、先ほど厚生省のほうから八百名という概数のお話がございましたが、あるいはそれ以上の患者が現在労災病院に収容されておると存じます。
そこで、職業訓練の問題ですが、そこに移行する前に、いわゆるリハビリテーションを十分行なう必要があるというので、医療段階において、いわばフィジカル・リハビリテーションを行なう必要がありますので、労災病院ではそういった方面の理学療法の特別な施設を設けております。その上に、さらに今度はオキュペーショナル・リハビリテーションと申しまして、職能回復訓練をやる特別の訓練所に似たような施設をつくっておりますが、それが本年度の予算でできるものも加えまして、約八カ所労災病院に設置いたしております。その段階になりますと職場復帰が可能になってまいりますが、そこで雇用されるかどうかとの関連でいろいろ問題が起きてまいります。そこで、その職能回復訓練をさらに高度のものにして、働きながら回復訓練をするという意味の特別なリハビリテーション作業所というのを最近、毎年一カ所ずつ増設いたしておりまして、その患者は労災の障害年金をいただきますと同時にその作業所で訓練を受け、一人前になりますと直接事業場、特に精密機械関係が多うございますが、そういうものの作業をいたしまして、現在諏訪などでは一万五千円程度の収入を得ております。障害年金とその収入で、自前で生活できるような収入を得る、こういった方向を一つの方向と考えて、労働省でも、労災保険施設として、そういった施設の整備をはかっておる次第でございます。それと職業訓練所のつながりというのができてくるわけでございまして、そういう意味で脊損患者の対策といたしましては、医療段階から一貫いたしまして社会復帰の場合を考ええて、治療並びにリハビリテーションを行ない、さらに転職訓練的なものも考える、こういう方向で、おおむね欧米諸国の進んだ体系を私どもも参考にいたしまして、さらに施設の整備強化をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/98
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099・平林剛
○平林委員 いまのお話ならば、たとえば箱根の療養所において、自力復帰をさせるという意味で時計教室のようなものをつくって、そして手でもって技術を覚え、社会に復帰できるようなことをやるとか、あるいはまた、木彫りだとかタイプライターを用意して訓練をし、そうした形で更生ができるようなことをするとか、あるいはまた、ミシンを覚えさせて、それによって社会復帰ができるとかということを進めることはいけないのではないのですね、よろしいのですね。ちょっとお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/99
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100・加倉井駿一
○加倉井説明員 いま御指摘のございましたような仕事につきまして、私どものほうは、病院のリハビリテーション費という費目におきまして実施をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/100
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101・平林剛
○平林委員 私は、単に運動神経を回復させるための療養ということよりも一歩進んで、できれば社会復帰のためにそういう措置をとってやることができないか、またとるべきでないか。そのくらいのことをおやりになれないというのは、どうも諸外国の例に比較して、日本のこうした脊損患者に対する対策としてははなはだおくれているのでないか。この面はひとつ考えてもらいたい。
水田大蔵大臣もお聞きになっておるわけでございまして、ぜひ財政的な措置についてもお考えをいただきたいと思うのですけれども、この辺で大蔵大臣、ひとつ私の希望に対しまして何かの措置を考えてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/101
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102・水田三喜男
○水田国務大臣 予算の問題でございましたが、関係省から十分事情を聞いて善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/102
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103・平林剛
○平林委員 大蔵大臣のありがたいお話があるのですから、ひとつ遠慮しないで、次の機会にはそういうことを申し入れて、こうした人たちに希望を与えるようにしてもらいたいと注文しておきます。
そこで、もう一つ厚生省にお尋ねしたいのですけれども、先ほどのお話によりますと、村山にこの療養所をつくって脊髄損傷患者のセンターにもしようというお考えのようですが、私は、そこに予算をかけて療養所を設置するならば、むしろ箱根に敷地は幾らもあるのですから、拡大をしたほうがいいのじゃないか。どういうところだか知りませんけれども、村山といいますと、都会をずっと離れてしまって、奥地とまではいかなくても、こうした患者の環境から見て、箱根のようなところをもっと拡大さしたほうがいいのじゃないか。温泉もありますし、そういうことを考えますと、ここに療養センターをつくるお金があるならば、むしろ箱根の拡大をはかったほうがいいのじゃないか、こう思うのですけれども、なぜ村山のほうに目がいってしまって、箱根のほうにこなかったのでしょうか。できれば、そうしたところにセンターを設ける。しかも、いまお話しになったセンターは、ここで大体この患者や熱心な人たちがやって、全国的な運動も広げているくらいなものでございますから、そういうところをもう少し拡大をしていくならば、全国の脊髄損傷患者に対しても、一つのほんとうの心のセンターになるのじゃないかという気がするのですけれども、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/103
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104・加倉井駿一
○加倉井説明員 箱根に集中的にやれというお話でございますけれども、私ども、全国的に配置されております療養所の整備ということに関連いたしまして、もちろん箱根療養所の将来の整備計画も持っておりますけれども、全国的な配置状況等を勘案いたしまして、できるだけ各地に分散さしたほうがいいのじゃないかという考えも持っておりますので、そこいら、将来の収容計画等を考慮いたしまして整備計画を立ててまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/104
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105・平林剛
○平林委員 我田引水をするわけじゃございませんけれども、いまでもあの箱根の療養所にはたくさんの敷地があります。これは、病院建築のほうの技術はともかくとして、土木の専門家がおられたら、あそこの古い木造家屋を整備してまいりまして、建築上のアイデアを駆使すれば、優に五百人や六百人入れるだけの敷地はあるのですよ。私は、方々に分散をさせるというよりも、集中的にこうした人たちの対策をやるためには、むしろ箱根を拡大させるということが適当ではないかと考えておるわけです。そうでなくたって、各省にまたがっているだけに、こうした脊髄損傷患者に対する対策がときどき行き違いがあって、実際上の政策の上に困っていることも、幾つも私、例を知っておるわけですけれども、そういうことを考えますと、分散をさせるよりはそのほうがいいのでないかと思うのでございまして、そこらをひとつ検討してもらいたいということを希望するのです。お答えはいただきませんけれども、どうかひとつ十分検討してもらいたいと思います。
それから、労働省に聞きますけれども、この脊髄損傷患者が社会に復帰したいという、これは非常な熱望です。そこで、単に一生ずっと病院にいるよりは、いろいろな訓練を受けて社会に復帰したいという場合に、受け入れる側がなければならぬわけですよ。私は、そういう意味におきまして、各企業においてもこれを受け入れるような体制をとらせることが必要でございまして、あれはどうもからだが十分でないからだめだということで職域を狭めますと——これは国としてそうした者に何かしょうという場合に、民間企業における協力も必要になってくると思うのでございますから、そうしたことについて何か知恵を労働省としては持ち合わせておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/105
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106・有馬元治
○有馬政府委員 身障者の社会復帰なり職場復帰というのは最終的な目標でございますので、私どもとしましては、三十五年以来身障者の雇用促進法に基づきまして雇用率の設定、これによって雇用の促進を現在はかっております。ただ、健常者と比べまして、ハンディキャップがございますので就職問題も容易ではございませんが、第一線の安定所にケースワーカー方式による特別の窓口も設けておりますし、それから身障者独特の援護対策も、不十分ではございますが、おいおい充実さして、就職の促進に資しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/106
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107・平林剛
○平林委員 私は、こうした脊髄損傷患者の社会復帰に対して民間の企業もぜひ協力してもらいたいという趣旨で、いまお話はありませんでしたけれども、そうした脊髄損傷患者が社会復帰するにあたって民間の企業も協力したならば、それこそ租税特別措置を講じて、そうした患者を受け入れた一人について、その収益の中から、たとえば六千円とか一万円とかの税額控除を認めるというようなことを考えても、これは悪いほうの租税特別措置ではないんじゃないかと思います。労働省はそういうことを考えておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/107
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108・有馬元治
○有馬政府委員 租税の減免措置を、昨年の審議会の答申にございましたので、私どもとしましては何らかの形で考え、実現したいという気持ちは持っておるのでございますが、一般的に言いまして、労働力不足の雇用情勢を背景といたしまして、普通の身障者の方であればむしろ健常者以上に能率をあげるという場面もございます。したがって、私どもも焦点をしぼって、重疾の身障者について何らかの措置を講じてもらいたいという気持ちは持っておりますので、そういう方向で、できるだけ大蔵当局とも御相談を申し上げたい、こういうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/108
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109・平林剛
○平林委員 これは、主税局長に聞くと体系上の理屈を言って、また私の意に反するような答えがあるといけませんから、あなたには尋ねませんけれども、これは理屈じゃないんですね。理屈じゃなくて、こうした問題について、国としてもどういう施策を講ずるかという高い見地からひとつ考える、脊髄損傷患者に対して光明を与えるというような措置から、この税制についても考慮を払うというようなことを私はぜひ考えてもらいたいと思うのでございまして、どうか、きょうは大蔵省にこういうことを私、直接聞きませんけれども、ぜひひとつ同僚各議員の御賛成を得て、こうした措置が一日も早く実現することを希望しておきたいと思うのであります。
それから、もう一つ私ちょっと聞きたいんですけれども、先ほどお話しのありましたように、三千数百名の脊髄損傷患者がある。そのうちいろいろな施設に入ることができるのは何分の一かになっておるわけでございます。その他の大多数の人は、家庭において家族の人たちがめんどうを見ておるという状態でございます。一例を申し上げますと、箱根療養所に百何十名かの患者がおりますけれども、ぜひ入れてもらいたいという患者数はおおよそ八百名くらいある。しかし、その施設が十分でないから、それらは入れないでいるという状態にあるわけであります。そこで、これらの人は、身体が不自由であるというために、家庭でもって療養中であります。私は、こういうときに、たとえて言うと電話を架設したいというときには、優先的に電話を架設してやるという小さな親切が政府にあってしかるべきものだと思うのです。きょうは私は電電公社をちょっと呼ばなかったのですけれども、こういうことができるのかどうかわかりませんが、やはりこうした親切心を持ってそうした人の措置をやるということも、私は一つの政治ではないだろうかと思うのです。こうしたことは、どなたか、関係各省でおやりになっておりますか。もしおやりになっておらぬとすれば、ぜひひとつこの機会にやるということを言明してもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/109
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110・村上茂利
○村上(茂)政府委員 脊損患者の全部ではありませんが、労働災害による脊損患者でありまして、療養の段階から症状固定の段階に移行をいたしまして障害補償費をもらうという者につきまして、生業援護のための資金貸し付けという制度を労災保険で考えております。これは労働福祉事業団にその業務を行なわしておるわけであります。いまの電話を引くという、そういう特定はいたしておりませんけれども、生業援護というので、何か新しい生業を営みたい、そのために若干の金が要るという場合には、いま申しましたように、労働福祉事業団に一定の金額を労災保険特別会計から渡しまして、貸し付けさせるという制度を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/110
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111・平林剛
○平林委員 脊髄損傷患者が車を持ちたい、そういうときに対しては、ことしの予算では、たしか三十万円ですか、四十万円に増額をさしたということを私も承知いたしております。それから、たとえばそうした患者でありますから、家族との関係で家屋を増築したいというときにもやはりお金を貸すという制度、これは私はいいことだと思うのです。同時に、いま考えられていないことの一つに電話を優先して架設さしてやるというようなこと、そんなに数あるわけのものじゃないし、そうした患者の家庭状況を見ますと、緊急の場合どうしたらいいかということがあるわけでありますから、もしそういう希望があれば——全部にやれと言うわけではありませんが、希望があれば優先してやるということを、どこかの窓口でおやりになってもらえないか。私がやってもいいんだけれども、これはやはり厚生省なりが中心になって、そうしたことを実現するというのが、私は政府としての政治じゃないかと思うのでございますが、やっていただけませんか。その所管は違うでしょうけれども、関係各省と折衝して、こうしたことをひとつ実現さしてみるというふうにやってみませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/111
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112・村上茂利
○村上(茂)政府委員 労働省で所管しております範囲内におきましては、先ほど申しましたリハビリテーションの中には、生活その他の社会復帰といったような面についての相談も、事実上はやっておるわけであります。そこで、症状が固定していよいよ退院するという段階になりまして、生業資金、あるいは先生御指摘のように、家屋の構造を手押し車を使って生活できるように直したいといったような場合には援護資金を貸し付ける、こういう制度もあるわけでございますから、特に電話のためにどうこうということではありませんけれども、そういった症状固定して退院するという段階における社会復帰のためのいろんな相談という過程におきまして、せっかくの御趣旨でありますから、電話架設といったような場合には相談に応じてあっせんするということは可能でございますが、あと、できるだけ早くとかあるいは安くという問題になりますと、労働省だけではまいりませんので、できるだけあたたかい気持ちでやっていただく、関係官庁並びに公社のほうでお取り計らいいただけるように、別途相談いたさなければなりませんけれども、私ども今後検討いたしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/112
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113・平林剛
○平林委員 私は安くとは言わないんです。優先架設ということを、ぜひ実現するように努力をしてもらいたいということでございまして、いずれまた適当な時期に検討結果をお伺いしたいと思いますから、ぜひ御努力をいただきたいと思うのであります。
最後に、私、今度は、いま入っている患者に限定して少し注文をしておきたいと思うのでございますけれども、いま脊髄損傷を受けて社会で苦吟をしておる患者に比べますと、入院できる者はそれだけ恵まれているということにはなるわけでございますが、しかし、入院しておる患者の生活状態を今度はこまかく調べてみますと、そこに新しい問題がまた起きるわけでございます。たとえて言うと、同じ患者同士の中で、入院患者が療養費以外に使う金額を実は調査したのでございます。その結果、いわゆる生活費だとか栄養費だとか日用品費だとか交際費の合計を調べてみますと、戦傷患者、いわゆる戦争中からの脊髄損傷患者ですね、戦傷患者は、いろいろな家庭の事情もあるのでしょうが、一万八千七百四十四円くらい使う。生活保護のほうですと、まあ生活保護に限界がありますから二千二百五十六円くらい、労働者災害のほうになりますと四千五百二十三円くらい、それから国保のほうになりますと三千五百七十五円くらい、また、健保のほうになりますと五千二百五十円、それから船員保険のほうになりますと一万七千五百円、自費の人で大体四千五百円、公災関係で五千八百三十三円、平均をして七千九百十八円ということが、入院患者の実態調査の結果あらわれてきた数字なんでございます。これでお気づきのように、最低の生活保障を受けている患者が使うところのいわゆる交際費、日用品費、栄養費、あるいは全生活費などと、それから戦傷患者あるいは船員保険患者との開きが、非常にあるということをお気づきだと思うのであります。私は、これだけの格差があるということは、それぞれの事情によってやむを得ないことだとは思いますけれども、この差を縮小させるためには、やはり生活保護なり国保なり、そうしたものに対する基準の引き上げをはかっていくということは、同じしいたげられておる患者同士の中においても、やはり一つの問題点として現実にあらわれてきておるわけでございますから、私はそういう意味では、この生活扶助の基準だとか国保の基準の引き上げというものは、何もこれだけに限りませんけれども、狭い、小さな脊髄入院患者だけの実態調査をした結果によってもこういう一つの状態があらわれていることにかんがみ、これらの基準引き上げについてどういうお考えを持っておるか関係各省から聞き、最後に、これは大蔵大臣、少し考えてもらわなければならぬ点があるんじゃないかと思うのでございまして、ひとつ関係各省のお答えをまず聞きたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/113
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114・加倉井駿一
○加倉井説明員 ただいま御指摘の、患者の入院中の日用品費の問題でございますが、これは私どもの医務局の所管ではございませんので、私から申し上げるのは適当ではないかと思っておりますけれども、生活保護等によりまして入院しております患者につきましては、ただいま御指摘の程度の金額が生活保護費から日用品費として支給されておりますので、これが一応最低限度の額であろうかと考えております。その他の種目の入院患者につきましては、それぞれの保険等から療養費等の支払いがございますので、その範囲内において入院患者は使用しているのだろうというふうに想像いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/114
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115・村上茂利
○村上(茂)政府委員 先生御承知のように、労災保険の場合は、日用品費幾らとか、そういうとらえ方じゃなくて、給付基礎日額に六〇%をかけるという、災害前の受け取った賃金を基礎にいたしまして休業補償費を支払っておるわけでございます。長期傷病補償に移行した場合には年二百四十日分の、療養費以外にその休業補償に見合う年金を支給しているということでございまして、御指摘のように各種の例の中で一番高額のものが使われておるようでございます。しかし、それは使っておる額でありまして、労災保険から支給しておる額はもっともっと高額であるわけであります。したがって、その意味では問題はないのではないかというふうに存ずるわけであります。労災保険では、おそらく支払っているのは四千円とか五千円というような低額ではなかろうと思います。休業補償費として支払っておるものにつきましても、もっと高額であろうと存じます。つまり災害前の平均賃金の六〇%をもらっておりますから、もっと高額だと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/115
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116・平林剛
○平林委員 これは一つの例で、こういうことがあらわれているから、基準をひとつ上げてもらいたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/116
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117・村上茂利
○村上(茂)政府委員 そういうことで、他の国保あるいは生活保護との比較はちょっと困難かと思いますけれども、他の関係につきましては、私から答弁申し上げるのは適当でないかと存じますので、遠慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/117
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118・平林剛
○平林委員 大蔵大臣、何かいい答弁をしてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/118
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119・水田三喜男
○水田国務大臣 生活保護と各保険の目的が違いますし、基準も違いますが、結局そういう問題をどうするかと言われたら、私のほうではやはりもう一ぺん検討すると言うよりしかたがないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/119
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120・平林剛
○平林委員 いや、この場所で別に予算折衝するわけじゃないですけれども、私の意のあるところをくんで、こうした面について大蔵大臣も御配慮いただきたいという気持ちを私は申し上げたわけでございまして、どうかひとつ絶えず御配慮いただきたいということをこの機会にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/120
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121・水田三喜男
○水田国務大臣 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/121
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122・平林剛
○平林委員 私の申し上げたいことは以上でございまして、結局私は、こうした一つの高度成長下における新しい社会問題として、こうした患者が社会復帰のできるような国家的な措置を初診から社会復帰に至るまでの一貫したものとして、かような施策を講じてもらいたいということが一つ、それからこうした問題につきまして、私は社会をも啓蒙して、民間の企業においても受け入れ態勢のとれるような環境をつくることが、お互いに健康でこうしていられる者たちの任務ではないだろうかということを強調したいこと、それから患者そのものが生活に対して不安のないような措置をとってやることが、私に言わせると、むずかしいことばで言えば、社会福祉国家を一歩前進させるための一つの具体的な措置ではないだろうかということをきょうは私は言いたくて、この問題を取り上げたわけでございます。
この間も、患者の人たちあるいはその責任者の人からお話がありまして、しかしながら、これらの患者の人たちが決して前途に暗い考えばかりを持っているのではない、先ほど私が申し上げましたように、われわれは病床に長くいるということが望みではなくて、まず社会復帰が望みである。また、税その他の恩典を受けてそれに甘んじているという考えではなく、むしろ社会復帰をして納税者になりたいというような気持ちであるということを、私は非常に感銘を覚えて実は聞いてまいったのであります。同時にまた、これらの方が、先回、一九六四年ですか、東京パラリンピックでは、特にその車いすの脊髄患者が総計五十三名出場いたしましたけれども、そのうち二十一名は箱根療養所の患者であった。同時に、その日本の選手が獲得をいたしましたのは、メダルを二十個も勝ってとったわけです。そしてまた、箱根療養所の選手はそのうち十七個、金が一つ、銀が十、銅が六というぐあいに獲得をいたしまして、このトレーニングのためにも、あるいは次に控えておるロンドンの車いす大会にも選手を派遣するというようなぐあいに、こうした問題につきましても社会に明るい話題を投げかけておるわけでございます。私は、そういうことを考えますと、きょうは障害者控除の問題から発展をしまして脊髄損傷患者の問題に話が及びましたけれども、ぜひこうした問題につきまして国家的な立場から措置を進められるように心から希望いたしまして、きょうはこの辺でちょっと前段の質問は終わっておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/122
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123・内田常雄
○内田委員長 本会議散会後再開することとして、この際、暫時休憩いたします。
午後三時十四分休憩
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午後五時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/123
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124・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/124
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125・平林剛
○平林委員 それでは、私はこれから課税最低限の問題について、もう少し煮詰まった議論をしてみたいと思うのでございます。これは今度の法律案審議の中で、また今日まで私どもの一番深い関心のある標準世帯、いまの状態でいえば夫婦子供三人を百万円にするという問題について、もう少し煮詰めた話をしたいものですから、初めに主税局長のほうからいろいろお話を承っておきたいと思うのであります。
まず第一に、いまの課税最低限を算定する場合に、政府としてはマーケットバスケット方式を中心にしておきめになっておるようでございますけれども、私はこのほかにも、勤労者世帯の平均消費支出の実績であるとか、戦前の課税最低限を基準とする考え方であるとか、あるいは標準的生活モデルによる理論生計費の積み上げ方式によるとか、いろいろなやり方があると思うのであります。今日、夫婦子供三人現行六十三万円を七十三万九千五百四十六円とするにあたって、主としてマーケットバスケット方式を基準にしておられますけれども、私としては、ただいま申し上げましたような、第二、第三、第四を併用して総合的に判断を下すべきではないかという見解を持っておるのでございますので、政府の考え方を少し聞かしてもらいたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/125
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126・塩崎潤
○塩崎政府委員 平林さんのおっしゃいました最後の総合的角度からきめるべきであるということでございます。マーケットバスケット方式によるものは、当委員会の御要求に基づきまして、四十年度にやった方式を四十二年度までの消費者物価で直せばどうなるかという意味で、単に御参考までに出したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/126
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127・平林剛
○平林委員 御承知のように、税制調査会におきましても、課税最低限度を定める場合には、貯蓄のためのゆとりを織り込んで課税最低限の水準を決定することが望ましいという中間答申をしておることは、御承知のとおりでございます。私のいまの質問に対しましても、総合的に判断を下すべきであるというのが主税局長のお答えでございます。そこで私は、それならば、いま政府が提案をしておるところの夫婦子供三人を今度七十四万円にすること、独身者を二十八万千四百三十円にすること、これが総合的に判断をされての課税最低限であるかどうかという点について、少し私どもの見解を申し上げてみたいと思うのであります。というのは、総理府の統計で人口五万以上の都市の消費支出総額、これを基準としてひとつ現在これが織り込まれているかどうかということを確かめなければなりません。
そこで、ちょっとお尋ねしますが、総理府統計で人口五万以上の都市の消費支出の総額は一体幾らになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/127
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128・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもの調査では、四十一年の平均で収入総額十一万三百五十三円、支出総額十一万三百五十三円、こういう数字を持っております。一カ月の平均でございます。その収入のうち、申し上げますと、実収入が七万五千三百七十二円、実収入以外の収入が一万二千三百九円、前月からの繰り入れ金が二万二千六百七十二円、こんな数字が出ております。これは人口五万以上の都市の消費支出調査でございまして、私の持っておる全国ならば、消費支出金額は平均五万三千五百九十九円と出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/128
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129・平林剛
○平林委員 最初のお答えですと、十一万三千幾らという消費支出ですね。あとのほうでお答えになったのが大体五万三千円。私は全国的に見ていまの五万三千円で大体推計しますと、四十一年度、年間——家族構成を言わなかったけれども、四人家族で約六十七万円というのが、私が確かめてきた数字なんです。これを五人家族に引き直してみますと八十万円になる。ただし、これは昭和四十一年度の数字でございますから、昭和四十二年度に推計をいたしますと、約九十万円に推計できるわけであります。いま主税局長がお話しになりました消費支出はもっと高いわけですが、低いほうで言いましても、大体五人家族で九十万円という数字が一応出るわけでございます。
その次に私お尋ねしますけれども、今度は戦前と比較するとどうか。戦前と比較いたしますと、戦前はいつを基準にするかということは、およそ昭和九年ないし十一年を見ておるわけです。このときから現在までの総合物価指数は幾らになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/129
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130・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほどの人口五万以上の都市の消費支出調査、いまは収入ベースで申し上げましたが消費支出ベースで申し上げますと、先ほど申し上げました十一万三百五十三円でございますが、そのうちの実支出が六万三千四百十九円、そのうちの消費支出は五万六千五百十五円となっております。おそらくそれを言われたのではないかと思います。実質以外の支出が二万三千九十三円、翌月への繰り越し金二万三千八百四十一円、このような数字になっております。消費支出といたしましては、私のことばが足りませんでしたが、五万六千五百十五円で考えられるべきであろうと思います。
その次はお尋ねの九−十一年を戦前といたした場合のデフレーターでございます。当時は消費者物価調査というものがございませんので、私も再評価のとき苦労いたしたわけでございますが、九−十一年をどうつなぐか、消費者物価のほうはあきらめた経緯がございます。したがいまして、再評価の指数は卸売り物価をとらえましたが、現在無理して消費者物価をつないでやれば、いまのところいわれておりますのは四八七という数字がございます。先般、武藤委員の同様な御説明に対しましては、三五七程度の卸売り物価指数で申し上げてございますが、あとで研究いたしました、消費者物価を無理してつなぎますと、四八七、こんな数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/130
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131・平林剛
○平林委員 私がそれを推計して理論的に算定してみますと、戦前に比較をして、総合物価指数は昭和四十一年で四九三・五という数字が政府の統計資料の数字の中にあります。いまお話しになったのは四八七ですが、大体四八七も四九三・五もほほ同様の数字で、とらえ方によって多少違ってくるにすぎないのではないかと思います。
さて、そこで昭和九年ないし十一年の課税最低限は幾らであったかというと、千八百七十五円。これに私が得た数字、総合物価指数の昭和四十一年四九三・五をかけてみますと、引き直してみまして九十万円をこえるわけでございます。私は、そういうことから考えますと、総理府統計で人口五万以上の都市の消費支出の総額が、全国的に見ましても、五人家族で引き直して四十二年で推定をしますと九十万円になる。戦前に比較をいたしますと、戦前と総合物価指数の比較において見ましても九十万円になる。これを考えますと、夫婦子供三人で少し気ばって七十四万円にしたようでございますけれども、先ほどのお話のように、総合的な判断を下した場合には、なお低いのではないかというのが私の結論なんであります。
諸外国を比較してみますと、先ほど午前中にお答えがありましたように、アメリカで百三十万円、フランスで百十七万円、西ドイツでは八十八万円、イギリスで九十二万円、これらを考えますと、私は、現在でありましても、やはり政府がマーケットバスケット方式だけによらず、勤労者世帯の平均消費支出の実績だとか、戦前の課税最低限を基準にする考え方とか、あるいは、いま申し上げませんでしたが、標準的生活モデルによる理論生計費の積み上げ方式などを総合的に勘案をしますと、九十万円程度というのがむしろ妥当である。しかも、税制調査会におきましては、貯蓄のためのゆとりを織り込んで課税最低限度の水準を決定することが望ましいという答申がございます。もしこれが、政府において尊重するというかまえであるならば、さらにこれに貯蓄のためのゆとりを織り込んでくるということになりますと、昭和四十二年現在においてもやはり百万円程度のところが望ましいというのが私どもの考え方なんでございます。単に消費支出だけでなく、マーケットバスケット方式による方式だけでなくて、貯蓄のためのゆとりを織り込めば、少なくとも昭和四十二年度から百万円程度が望ましい、財源その他が許すならば当然ここまで進めなければならない、こういうふうに私は考えておりますので、このために、ひとつ政府において一段と努力をしてもらわねばならぬ。すぐやれとは言いませんけれども、われわれの主張はこうである。したがって、私は少なくとも百万円程度は直ちに実施すべき理論的根拠を持っておるのであるし、そういうことから考えますと、平均家族百万円程度というのが決して不当な要求ではないということを、まず政府に十分頭に入れてもらいたいと思うのでございます。
ところが、政府の考え方は、昭和四十五年度までに百万円でございます。このために、具体的な実施計画はどうかということがしばしば尋ねられております。しかし、まだ政府のほうにおいては、総理大臣、大蔵大臣、それぞれ各機関で御言明になっておりますけれども、言明の裏づけがない。言明の裏づけは何であるかといえば、具体的な実施計画、昭和四十五年までに百万円になるということの最小限実施計画をお持ちになっていなければならないはずだと私は思うのであります。これが国会においてしばしば言明をされていることの裏づけございまして、そういう意味では、私は、具体的な実施計画を持たずして総理大臣や大蔵大臣が、いや四十五年までに百万円、こうおっしゃっても、それは政治的な言明であるし、政治的な公約でありますから実行せねばならぬと思いますけれども、その裏づけがまだ示されていない。私はその裏づけを示すべきだと思うのでありますけれども、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/131
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132・塩崎潤
○塩崎政府委員 午前中にもその点につきましてはお答え申し上げましたが、昨年は税制調査会におきまして八十三万円という長期計画を立てまして、その各年の計画みたいなものをつくりましたが、もう本年度七十四万円、しかも目標は八十三万円では足りない、百万円にという大きな政治の声でここで変わったわけでございます。税制調査会にもはかりまして、新しく具体的に財政事情を考慮しながら、これを達成する方法を税制の種々の要素を考えながらつくってみたいということを申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/132
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133・平林剛
○平林委員 さてそこで、私はきょう注文があるのですよ、いよいよこれから煮詰めていかなければならないのですから。それは私は、政府の昭和四十五年に百万円ではいけないということを、これから言うわけです。
少なくとも当面百万円程度が必要だというのが私どもの主張なのでございますから、政府と三年間ばかりの開きがある。これを何とか縮めるべきだという考えです。縮めなければならぬ。そこで私、かりに政府の言明を裏づけするために、昭和四十五年までに百万円にするためには、およそどんな線を描けば百万円に達するかということを、一応自分で考えてみたのですよ。
そうすると、まず百万円に達するまでには、昭和四十三年においては八十三万円ぐらいまで気ばっていかなければいかぬ。十万円ぐらいは上げていかなければならぬだろう。昭和四十四年はやはり十万円ぐらい上げないとならぬ。つまり、昭和四十四年は九十三万円、そうすると昭和四十五年に百万円に達する。これぐらいやっていかなければならない。つまり、総理大臣や大蔵大臣がお約束なさっていることを、かりに年次別に想定してみると、四十三年八十三万円、四十四年九十三万円、昭和四十五年百万円、この程度のステップでいかないと、お約束どおり昭和四十五年に百万円にいかないわけですよ。これは私がいま申し上げたより、もっといっていいのですよ。四十三年に九十万円までいって悪いことはないですよ。最小限このぐらいの歩みでいかないと四十五年百万円にならないのですよ。
これを実現するための減税額はどのくらいになるだろうかということでございますが、政府は何か試案がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/133
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134・塩崎潤
○塩崎政府委員 およそのことを申し上げますと、所得は一定限度いままでの程度に伸びるといたしまして、いま平林先生のおっしゃいましたような、七十四万円、次は八十三万円、その次は九十二、三万円、その次は百万円、そんなふうに推算いたしますと、四十二年度は千二百億円要ることはすでに織り込み済みでございます。四十三年度には約千二百四十億円、四十四年度に約千五百億円ばかり、そして四十五年度に、所得がもう少し大きくなりますので千五百億円、合計五千四百四十億円ばかり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/134
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135・平林剛
○平林委員 四千幾ら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/135
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136・塩崎潤
○塩崎政府委員 千二百四十億円が四十三年度ですね。それから四十四年度が千五百億円、四十五年度も、所得が大きくなっておりますから、所得の上昇に応じまして減税が行なわれることになりまして、四十五年度と四十四年度の課税最低限の違いはありますけれども、大体同じぐらい。非常に大ざっぱな推定でございます。かんなをかけるのはこれからでございますので、一応めのこでそういうふうに見ますと、四十二年度から四十五年度までは総体で五千四百四十億円要るわけでございますね。しかし、四十二年度に千二百億円減税額を織り込んでおりますから、それを差し引きますと四千二百四十億円の減収、減税がかりに行なわれなかった場合に比べまして、課税最低限のいまおっしゃったような引き上げの結果、減収が生ずる、こういう見込みになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/136
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137・平林剛
○平林委員 そうすれば、四十五年度までに百万円に達するには、いま主税局長お話しになりましたように、年次別にいくと、四十三年度に千二百四十億円、四十四年度は千五百億円、四十五年度に千五百億円、四千二百四十億円、つまりこれだけの財源が必要だ。これはたいへんなことだとはわかります。
しかし、それならば、昭和四十五年まで自然増収の見込み数字というのはどのくらいになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/137
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138・塩崎潤
○塩崎政府委員 国税だけで約二兆三千億円という見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/138
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139・平林剛
○平林委員 私もいろいろ数字をいただきまして検討してみたわけでございますけれども、もしかりに現在の四十二年度で決定をした税制のままでいくとすれば、四十五年までにどのくらい自然増収があるかということを見ますと、いまお答えのとおり二兆三千百億円。
そうすると、大蔵大臣、結局こういうことになると思うのですよ。二兆三千百億円の自然増収に対して、四十五年までに百万円に達するに要する財源というのは四千二百四十億円、二兆三千百億円の中の四千二百四十億円、こういうことになるわけですね。もちろん、公債の発行を押えようとか、社会開発その他にお金がかかるとか、その他の歳出要求とかございまして、必ずしも楽なものではございませんけれども、いわば自然増収と政府がお約束をした財源との対比はこの程度のものである。
そこで私は、しかしながら、四十五年に百万円ではどうもがまんができないものでして、これを何とか縮めるためにはどうすべきかということを、ぜひ大蔵大臣にも考えていただきたい。大蔵大臣も、今国会でこの問題についていろいろ議論をされたときに、一貫して、四十五年までに百万円と、こうお答えになったのでございますけれども、これは実質的に百万円、いまわれわれが考えている七十四万円に対して百万円を四十五年までにやるというお気持ちなんでしょう。物価がどうせ上がるだろうから、幾らかふくらましておいて、カルメ焼きじゃないけれども、大体そのくらいの見当ならというお考えでお話しになっておるのではなくて、実質的には、四十五年にいまの貨幣価値で百万円ぐらいにしたいというお気持ちで、政府は四十五年百万円をお答えになっていると思うのですが、そこのところをもう一ぺんひとつ確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/139
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140・水田三喜男
○水田国務大臣 これは、課税最低限百万円までをできるだけ早く、二、三年のうちにやるということは、そう厳密に、物価はこの三年間にこれだけ上がるであろう、そうすれば、百万円というが、名目は百十万円であるとかなんとかいうことを、私どもが別に特に計算して言っているわけじゃございませんで、いまの状態から見て、そう大きい物価の変動はない、この調子で早く百万円という程度でございまして、一々物価の三年間なら三年間を想定して、実質、名目ということを厳密に言っているわけじゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/140
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141・平林剛
○平林委員 そこで私は、大蔵大臣の気持ちというのはわかるのですけれども、実際上はこの二、三年の間に物価は引き続き上昇すると見なければならぬわけです。少なくとも、政府の経済見通しによりましても、大体四十三年度四・五ですか、四十四年、四十五年平均いたしましても四%ぐらいは上がるというのは、政府の経済見通しになっているわけであります。そうなると、私が先ほど申し上げました計画——主税局長も大体それに合わせていただきまして必要財源をお話しになりましたが、昭和四十三年の八十三万円は実質幾らになるか、それから昭和四十四年の九十三万円は実質幾らになるか、昭和四十五年の百万円というのは実質幾らになるかということを、私も大体計算して出ているのですけれども、やはりこれは主税局長のほうからしゃべっていただいたほうが重みがありますから、ひとつあなたからお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/141
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142・塩崎潤
○塩崎政府委員 いまの平林先生の仮定に全く乗っかりまして計算いたしますと、四十三年の八十三万円というものは八十万円、四十四年の九十三万円が八十六万円、四十五年の百万円が八十九万円というふうに単純に出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/142
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143・平林剛
○平林委員 あなたの計算と私の計算はぴったり一致していますな。私も計算をしてみますと、大体昭和四十三年八十三万円にかりにいたしましても、いまの実質的な貨幣価値で言うと八十万円にしかならない。それから昭和四十四年九十三万円にかりに課税最低限を引き上げたとしても、実質八十六万円である。それから昭和四十五年百万円というものをかりに考えましても八十九万円である。こういうことになると、おおよそ四十五年に百万円になりましても九十万円。せっかく私はことしやるべきだという考えを持っておるのですが、三年たって百万円にしても、これは実質的には三年後九十万円の価値しかない。もうちょっと早くやってもらいたいということなんですね。実質的にこういうことになるのだから早くやってもらいたい。
それから、いま私が申し上げましたのは、昭和四十三年八十三万円、四十四年九十三万円、四十五年百万円で言っておるのですけれども、これを今度は初年度で計算しますと、たとえばことしの課税最低限度は七十四万円、七十四万円と言っておりますが、初年度は七十一万円なんですよ。こういうふうな考え方で初年度分で計算をいたしますとどうなるかというと、昭和四十三年は、私に言わせると八十三万円が八十一万円にしかならない。その実質は七十八万円にしかならない。昭和四十四年は九十三万円という目標に対しまして、実質は八十五万円にしかならない。昭和四十五年のほうは百万円、こういう仮定をいたしましてもこれは実質九十万円、九十一万円ぐらいにしかならない。こういう初年度計算でいけばそうなるわけであります。そこで私は、昭和四十五年百万円と簡単に言っておるけれども、実質的には九十万円にしかすぎないじゃないか。それならば、この際竿頭一歩を進めて、昭和四十四年に少なくともいまお約束している百万円を実施するというのが、国民の期待を裏切らないことになりはしないか。昭和四十四年度にせめて政府のお約束した百万円というものを実現すべきである。これは百歩譲ってですよ。二年譲ってです。しかも、この程度のことはぜひお考えになるべきではないかと思うのでございまして、私は、大蔵大臣にそういうことならばひとつ百万円はぜひ昭和四十四年、それまでにやらなければいかぬかなというお感じをお答えいただきたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/143
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144・水田三喜男
○水田国務大臣 よく言われたことですが、ことしと去年の減税を合わせてみたとしますと、自然増収に対して減税の幅が三割四分になる非常に大幅な減税である。過去十年に比べたら非常に大幅である。昭和三十年以後ずっと見ますというと、一割五、六分というのが大体の平均だろうと思います。それを考えますと、ことしの減税を見ますと、千五百五十億円の減税のほとんど八割は所得税の減税である。それですから、ことしはこれでいいと思いますが、今後の減税において、所得税と他の減税の比率がこのままでいくかどうか。もしこのままでいかないで、他の減税部分も非常に今後多くなるということを考えますと、いま四十五年までに百万円を実現するというためには、さっきの平林さんの計算によりましても平均二〇%の減税ということになりますし、私どものまた別の計算によりますと、三〇%前後になる計算も出てまいります。そうしますというと、過去十年の減税の幅が一五、六%いっているのに、今後その倍くらいの減税幅をずっとやれるかという先の見通しにおいて、私どもは相当慎重な考えを持ちまして、正直言って、四十四年ころまでに実現したいということも私どもも考えております。考えておりますが、ことしの選挙のとき与党の公約におきましても、もし実現できなかったというときには公約違反になるので、そこへ相当の余力をとっておいてもらわないと、三年先の問題を簡単に公約の形で約束できないという立場を私どもとりましたので、野党とのいろいろなお話のときも、とにかく、こちらはできるだけのことをやって早くやるということで御了解を得たのですが、そういうこれから先のものを見ますと、四十五年までにこれをやるということは、過去の経験から見て、これはやはり相当の減税になりますので、私どもは、そこでこれなら間違いないといっていま御答弁申し上げているのが四十五年の線、こういうことでございまして、実質、名目の問題も十分承知しておりますので、これはできるだけ早くやれば問題なく済むというんですから、そういう気持ちで今後できるだけ早く実現するように私どもは努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/144
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145・平林剛
○平林委員 大蔵大臣は、正式な表現はともかくといたしまして、ほんとうのことを言えば、正直な話を言えば、昭和四十四年にやりたいという気持ちでおるというお話を私はしっかり覚えておきたいと思うのでございます。四十五年百万円というのは、選挙の公約でしょう。ですから、これは政党政治におきましてはどうしても実現せねばなりません。しかし、国会におきましては、これをさらに可及的すみやかにと議決をしたわけでございます。四十五年に百万円そのままうのみにするならば、可及的すみやかにという表現は要らないわけでございます。それよりも縮めることというのが国会の議決と読むべきです。もし表面で言われておった四十五年百万円というならば、昭和四十五年までに百万円を実施すべきであるという議決をするはずですね。そうでなくて、可及的すみやかにという意味は、四十四年百万円ということに国会の意思がきまっておると見なければなりません。いままでは選挙のときに国民に約束した政党政治の約束ですけれども、今度は議会政治のもとにおいて、国会の議決として、私ははっきり言って四十四年百万円というのが政府に与えられた課題であるということを考えますと、どうかひとつ、可及的すみやかにそれが実現できるように心から希望しておきたいと思うのでございまして、私のこの趣旨は間違っておらぬと思うのですけれども、大蔵大臣、重ねてひとつ御確認をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/145
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146・水田三喜男
○水田国務大臣 可及的すみやかにという国会の議決の意味は、十分私どもは承知しておりますので、努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/146
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147・平林剛
○平林委員 課税最低限度百万円の問題については、大体このくらいになると、やや煮詰まってきたような感じがいたしますから、あとの質問は、ごく簡単に終わらしてまいりたいと思います。
配偶者控除及び扶養控除の適用条件である所得限度を、給与所得においては五万円より十万円ということに今回措置をされることになりましたね。昨年、私がいわゆる内職収入の問題をとらえまして、内職収入がわずか五万円になったら税務署に申告せねばならぬということはどうも適当でないのでないかということ、それから、この限度額をきめたのは昭和三十三年で、十年間もほうりっ放しにしておいたことはすみやかに改めてほしいということが、今回法律の改正として現実にあらわれてきたものでございまして、私はその意味ではたいへん喜んでおる次第であります。
そこで、私がこの際少し確認をしておきたいのは、五万円から十万円にした考え方です。これがどういうことでこういうふうに定めたのか。多々ますます弁ずだ、もう少し高い水準に置いてもらいたかったなという気持ちも私は持っておるわけでございまして、政府、特に事務当局が五万円より十万円に五万円引き上げただけにとどめたのはどういうことなのか、これをやはりはっきりさせておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/147
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148・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨年平林先生の御指摘と御批判の強くあったところでございまして、私どもも、三十三年から五万円を据え置きましたのは、御案内のように、配偶者あるいは扶養親族の所得の機会を持つのが多いのは資産所得であった。それをおそれるあまり長らく据え置いたわけであります。しかし、分割可能な資産所得と、内職のような勤労所得との間に差を設けても、さらにまた、それが税務申告の上でそんなに繁雑でない場合には、この方向は十分考えられることであろうということで改正しようとしているわけでございます。しかしながら、内職所得という概念は、昨年も御議論がありましたように、非常にあいまいな概念でございましていわば内職所得といいましても、これは所得の一種でございます。負担の公平の原則からいうならば、すべての所得を合算して課税するたてまえから見ると、これはやはり性質上おかしい。せいぜい考えられるといたしますれば、比較的少額なるものは、定義いかんを問わず内職所得と見てもいいものであろう。さらにまた、扶養親族や配偶者が働くということは、これは決して好ましいことでないという考えに立ちますれば、その扶養親族あるいは配偶者の得られる所得で少額のものは内職所得と考えてもいいだろう、さらにもう一つ考えられますのは、こういった内職所得は、やはり最低の生活費と申しますか、標準生計費と申しますか、ひとつ、夫の所得の足らぬところを補おうという所得性の乏しい性格もあるであろう、こんなところがまあ一つの抽象的な基準と考えまして、そこへ具体的な基準を考えたわけでございますが、内職所得の調べを私どもいたしまして多いのは、何と申しましても給与の形でいただくものが多い。団地におきまして、アパートの配偶者の方々が近くの工場に内職に行くというようなことを考えますと、まず給与であろう、そこで、給与水準を考えまして、これは所得では十万円でございますが、給与所得控除を合わせますと年間収入が二十万五千円、月一万七千円、こうなれば、大体私は御要望の線に沿えるのではなかろうか。今後内職所得の基準の問題は、これは私ども週刊誌を読むといろいろな問題があるようであります。内職所得の動向を見ながらまた検討し直すべき問題だろうと思いますけれども、いまのところでは、内職所得の基準から見まして十万円というところが適当ではないか、こういうふうに判断したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/148
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149・平林剛
○平林委員 そこで私は、いまの考え方であれば、今後の物価上昇その他を考えますと、ある一定の期間になったならば、さらにこのことは、再び議会で問題にならずとも直していくという慣行といいますか、考え方がやはり必要でないかと思うのです。この間、昭和三十三年に基準をきめられたまま、十年間ほうっておかれたということは、私どもにも不注意があったわけですけれども、やはり最近のような物価上昇を考えますと、ある年次にきたならばときどき見直してやるというような考え方が必要なんだと思うのでございまして、いままで十年かかって一回だから、今後も十年まで直さぬというような、そんなことはおそらくあるまいと思うけれども、その考え方をひとつ伺っておきまして、私の質問は終わりたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/149
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150・塩崎潤
○塩崎政府委員 こういった所得につきましては、当然物価水準、所得水準に応じて見直すべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/150
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151・平林剛
○平林委員 きょうは、前段に大蔵大臣幾らかいい返事をしてくれましたから、私のあとの質問は簡単にしました。
これをもって終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/151
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152・内田常雄
○内田委員長 次は西宮弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/152
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153・西宮弘
○西宮委員 まず私は、他の委員会に所属をいたしておるのでありますが、私に質問の機会を与えていただきましたことについて、委員長並びに委員の皆さんにお礼を申し上げす。
そういうわけで、私はこの委員会に飛び入りでありますから、もし私のお尋ねすることがすでに論議済みでありましたら、大臣あるいは長官、それは答弁済みだとおっしゃっていただけばけっこうでございます。
なお一つお願いしておきますが、時間も制限をされております。したがいまして、できるだけ簡明直截にお願いしたい。速記録等を拝見いたしましても、必要以上にいんぎん丁重で回りくどい御答弁が多いので、私は実は迷惑をいたしておるわけです。ですから、できるならば、イエスかノーで答えていただきたい、こういうふうにまずあらかじめお願いをしておきたいと思います。
質問の第一は、昨年の暮れからでございましたろうか、衆議院、参議院合わせて六百九十七名について所得税申告等について不審な点がある、こういうことで調査をするというような記事が新聞にあったのでありますが、その調査をした結果はどうなったかということをお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/153
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154・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、昭和四十年分の申告につきまして、私どものほうとしましてはいろいろ資料が出てまいるわけでございます。その資料に基づきまして、修正申告あるいは更正決定をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/154
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155・西宮弘
○西宮委員 簡単と言ったって、その修正が何件あった、更正が何件あった、それでなくては答弁にならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/155
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156・泉美之松
○泉政府委員 それで、修正申告、更正決定等の総数を申し上げますと、現議員の方が百八十一名、前議員の方が二十二名、合計二百三名の方にそうした課税処理をいたしましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/156
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157・西宮弘
○西宮委員 金額的には幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/157
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158・泉美之松
○泉政府委員 増差所得のトータルは二億一千八百万円にのぼっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/158
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159・西宮弘
○西宮委員 新聞によりますと、たとえば東京国税局では特別調査班というようなものを設けて、簡単なものは一週間、大口は一カ月程度かかった、こういうふうに報道いたしておりますが、大体実情はそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/159
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160・泉美之松
○泉政府委員 東京国税局に設けておりまする特別管理班と申しますか、これはひとり政治家の方でなしに、私どものほうから見て、申告額と実際所得額との間に食い違いが多くあるのではないかというような方につきまして、資料の特別収集をするとともに、それに基づいて調査をする、こういうことをいたしておるのであります。政治家の方の場合には、その特別管理班で管理いたしておりますのはごく少数でございまして、他は税務署におきまして、課税資料が出てまいりますので、その課税資料につきまして、申告書と対応いたしまして、申告漏れになっているかどうか、こういう調査をいたしております。したがいまして、特別管理班の調査でございますと、これは一般的でございますが、かなり日数のかかるケースが多いわけでありまして、したがって、その新聞に出ておりましたというのは私も拝見いたしましたが、これは事実に基づいた報道ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/160
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161・西宮弘
○西宮委員 それでは、昨年のことはわかりましたが、本年度の分は今月一ぱいに申告審査をして、いま審査の最中だ、こういう答弁がありまするけれども、最終的な判定はいつごろつくのか。いわゆる申告審査というのは四月の末のころからかかっているのではないかと思うのでありますが、そうすると、その結論が出るのはどの辺の見通しか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/161
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162・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、現在、三月十五日までに申告のありました所得税の申告書につきまして、申告審理と申しまして、税額の計算を間違っていないかどうか、それと同時に、すでに税務署の収集いたしました資料に照らし合わせて、申告の内容がその中に含まれているかどうか、こういうような審理をいたしまして、その後これとこれとを調査対象に選定するということを行ないまして、その調査対象に選定いたしましたものにつきまして事後に調査をするわけでございます。この調査はおそらく本年末の十二月末まで行なわれる予定でございます。したがいまして、調査対象に選定するのは来月早々くらい、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/162
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163・西宮弘
○西宮委員 私は、先般参議院で大臣や長官が答弁されたのを速記録で拝見をいたしましたので、それらを基礎にして若干お尋ねをしたいと思うのでありますが、いわゆる政治資金と称して、たとえば参議院でこの前市川房枝さんが質問された件があったわけでありますが、ああいうのは、いま長官のお話だと、そういうものを申告が漏れてないかどうかという点について調査をするのだ、こういうお話でありますが、ああいういわゆる政治資金、これが雑所得として申告されておるかどうかということはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/163
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164・泉美之松
○泉政府委員 お話の点は、先般参議院の予算委員会で市川房枝議員から御質問のあった点だと思います。こういったいわゆる政治資金の収入支出、これにつきましては、それに収入支出がありましてその残高がありますれば、これは所得として申告していただくことになるわけでございます。ところが、実際問題としましては、そうした収入支出の申告は漏れているのが実情のように拝見いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/164
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165・西宮弘
○西宮委員 そういたしますと、要するに収入、いわゆる雑収入、雑所得ですか、それを一方にあげ、それからそれに見合う政治活動に使った金、これを雑支出として計上をしてそれを申告をする、これが当然である、そうすべきだ、こういう御答弁ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/165
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166・泉美之松
○泉政府委員 お話の税法の趣旨からいたしますと、収入と支出があって、その残りが所得になるわけでございますから、そういった申告をしていただくべき筋合いのものでございますが、おそらく政治活動に伴う収入支出は、収入に見合って支出が行なわれておって、差し引きゼロという事例が多いせいだろうと思いますが、所得ありとしての申告は非常に少ないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/166
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167・西宮弘
○西宮委員 この前の参議院の問答の際には長官は、そういう予断を持って調査に当たるということは、私は絶対にしないという答弁をしておるのですけれども、いまの話だと、その収入と支出はとんとんになるだろう、したがって出てこないのはあたりまえだというふうな意味に聞こえるのだが、私はそれは全く違うと思うのです。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/167
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168・泉美之松
○泉政府委員 私が申し上げましたのは、市川議員が、あの申告は適正と思うかどうか、こういうお話がございましたから、いまだ調査をいたしておらないのに、それについて適正かどうかというような予断を申し上げることは差し控えたい、調査した上で申し上げたい、こう申し上げたのであります。
それからいま、収入支出がおそらくとんとんになって所得が残らないせいであろうかというのは、これは私の実情についての推測でございまして、それがいいかどうかというのはまた別問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/168
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169・西宮弘
○西宮委員 それがいいかどうかの問題ではなしに、それが実態であるかどうかという事実認識の問題だと思うのです。ですからこれは、当然これからその点を追及をして、審査をしていかなければ問題だと思う。その点については、そういう用意はあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/169
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170・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、そうしたことに基づきまして個人の資産が増加する、あるいは個人の消費生活がそれによって営まれるというようなことになりますと、それは所得になるわけであります。当然課税すべき筋合いでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そうした収入支出につきまして実態を調査する必要がある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/170
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171・西宮弘
○西宮委員 質問をはぐらかさないようにお願いしたいと思うのです。つまり、政治家の何か所得がふえた、あるいは生活内容がふえた、そういう実態があれば云々というのだけれども、私が聞いておりますのはそうじゃなしに、そしてまた、市川議員などが指摘をしたのも全く同様だと思いまするけれども、そういうことではなしに、現に何のそれがしにはこれだけの収入があった、こういうことが報告をされているわけですよ。そういう際には、それをあくまでも追及するかどうか、いわゆる追跡調査をするか、こういうことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/171
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172・泉美之松
○泉政府委員 税務当局といたしましては、そういう収入があれば、それがどういうふうになっているかということを追及するのは当然でございます。したがってそのことを特に申し上げなかったのであります。
ただあの際、市川議員もおっしゃいましたように、またそのときに新聞紙上にそれぞれの方から御発言がありましたように、あの収入は必ずしもその名前の出ておられる人たちの収入になっておるかどうか、それからまた、中には自分は受け取ってないというようなことを言っておられる人もあるわけでございます。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
したがいまして、その収入の実態がどうなっておるのか、また、その収入がどういうふうに使われたか、こういう点を十分確かめてみる必要がある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/172
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173・西宮弘
○西宮委員 それでは、いずれにいたしましても、そういう報告がなされておる、そういうことであれば、その事実を基礎にいたしまして、それはあくまでも追跡していく、こういう態度であるということには間違いがないわけですね。もう一ぺん念を押して聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/173
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174・泉美之松
○泉政府委員 お話のとおりでございます。ただ、ああいう政治資金に伴う収入と支出というのは、概して残りがないという場合が多いのだと思います。そのせいで現在申告書にああいうものが出てきておらないということではないかと思います。
したがいまして、私ども調査は十分いたしたいと思いますが、それによって、はたして所得の申告が漏れておったかどうかということになりますと、現在予断を持って申し上げるわけにはいかない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/174
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175・西宮弘
○西宮委員 よけいなことを言わないでくださいよ。収入があって、一方に支出があって、結局ゼロになるだろうと思う、だから出てこないのじゃないかというのは、それはあなたの単なる推測で、これから調査して初めてそういう結果が出てくるので、そういう点について、あなたが予断を持ってこの調査に当たるということが、そもそもあなたのこの前の言動とたいへん違うじゃないですか。
だから、私があなたに聞いているのは、これからの見通しを聞いているのではないので、そういう事実があれば、その事実を基礎にして徹底的に追及すべきだ。その点で、それだけの用意があるかということを聞いているのだから、くどいようだが、もう一ぺんはっきり言ってください。簡単に言ってください。余分なことを言わないでくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/175
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176・泉美之松
○泉政府委員 追及することは当然と、先ほど申し上げたわけです。ただ、追及したからといって、所得の漏れがすぐ把握できるかどうかということになりますとなかなか問題がある、こう申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/176
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177・西宮弘
○西宮委員 それでは、大体わかったから、その点は終わりにいたしますが、その後段のほうは全くよけいですよ。これはこれからやってみて、どういう結果が出るかの問題なんだから、そういうことで妙に誤解を与えますから、そういうことを言わないようにしてもらいたい。
それで、昨年はその点はどういう調査をされましたか。昨年度の所得について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/177
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178・泉美之松
○泉政府委員 昨年の、先ほど申し上げましたような修正申告あるいは更正決定のものが、すでに申し上げましたように、雑所得の資料がある、あるいは、貸し金の利子についての資料がある、配当についての資料がある、こういったものにつきまして申告漏れを追及したのでございます。したがいまして、政治資金のほうにつきましては、現在まだ調査中のものがあるわけでございます。政治資金に基づく収入支出については、十分な調査が昨年分についてもまだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/178
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179・西宮弘
○西宮委員 つまり、昨年度もあれですが、この間と同じようなケースですね。つまり、毎年自治省に対して、あるいは都道府県の選管に対してああいう政治資金の使い方について報告がなされているわけですね。それを基礎にして、一つ一つみなシラミつぶしに当たることは当たったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/179
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180・泉美之松
○泉政府委員 そのおもなるものについて当たるようにいたしまして、現在まだ調査いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/180
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181・西宮弘
○西宮委員 おもなるものについてというのは、どういうわけですか。一応報告は全部出ているわけですよ。だから、その中の特定なものだけ調べるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/181
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182・泉美之松
○泉政府委員 御承知のように、自治省に届け出ていますものにつきましては、それぞれの政治団体によりまして精粗繁閑がございます。きわめて詳しく届け出ている政治団体もございますれば、必ずしも詳しくない場合もございます。したがいまして、私どもとしましては、それぞれの金額につきまして、一件当たり百万円以上といったような資料のものを資料といたしまして、これについて調査することといたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/182
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183・西宮弘
○西宮委員 それでは、昨年度のものについては、その一件百万円以上というものは雑所得として、さらにそれに見合う雑支出があるかどうかというような点について、その一件百万円以上というものは全部一応調べているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/183
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184・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/184
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185・西宮弘
○西宮委員 これは新聞の記事ですから、あるいは事実でないのかどうか知らないけれども、いままでは国税庁あたりも自治省の資料を見るというような機会が全くなかった。最近になって初めてこういう問題が問題になって国税局からも調べに来ておる、こういう記事が新聞に出ておるのだけれども、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/185
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186・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、従来はそういった政治資金に伴う収入支出についての調査は必ずしも十分に行なわれておりません。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
昨年になりましてから私どものほうでそういう調査をいたすようにしたのでありまして、従来は必ずしもその調査はできておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/186
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187・西宮弘
○西宮委員 つまり、昨年度初めてやったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/187
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188・泉美之松
○泉政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/188
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189・西宮弘
○西宮委員 それはどういうわけですか。ああいう報告を出すことは昭和二十三年から始まっておるのですよ。もうすでに十九年たっておるわけですよ。なぜいままでそれを放任しておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/189
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190・泉美之松
○泉政府委員 これは税務当局としてはまことに申しわけないわけでございますが、そういう調査がなされておらなかったのは、非常に遺憾に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/190
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191・西宮弘
○西宮委員 私は、いままで全然やらなかったのは全く遺憾だというような簡単な程度では済まされないと思う。ぜひ大臣の御所見も聞きたいと思うのですが、これはおそらくはかの一般の中小企業とか、そういうものについては、収入はないかないかというようなことで、ウの目タカの目になってさがしておるじゃないですか。それに対して、一方、政治家の所得なるものは堂々と公の機関に報告をされておる。そういう堂々たる資料があるのにもかかわらず、そういうものには全然手をつけないで、いま言ったようなごく零細な収入をウの目タカの目でさがしておる。こういうのでは、とても国民は納得しないと思うのです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/191
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192・水田三喜男
○水田国務大臣 私は、問題は、政治資金規正法によるところの政治献金及び使途というものと個人の政治献金受け入れというのは分けて考えなければならぬと思いますが、個人のほうは、御承知のように申告納税制度でございまして、本人から申告を行なうことがたてまえでございますし、そうしますと、一番納税道義の高くあるべきはずの国会議員でございますので、申告制度であります以上、一般の所得に対する把握と議員に対する把握のしかたは若干違ってもいい。むしろ、議員に対する名誉の尊重という意味からは、ほんとうは国会議員が税務署によって申告を調べられるといったようなこと自身が国民に対して申しわけないことでして、国会議員であるがゆえに特にこれを調べなければならぬということは、私はないだろうと思います。いままで特にそういうことをしなかったということも、そういうところに私は理由があったのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/192
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193・西宮弘
○西宮委員 それはたいへんな間違いだと私は思う。国会議員なるがゆえに、調べる必要がない、あるいは調べない、調べないほうがいいんだ。こういうようなやり方では、私は、それだからこそ、政治家に対する不信がいまのように高まってきたのだと思う。現に、たとえば昨年調べた中には、当時の閣僚の某氏なども三千万近い脱税が発見をされた、こういうことも新聞に報道されておるわけですね。こういう脱税が国会議員、しかも、そのうちには閣僚もやろうというようなりっぱな方がおり、三千万、四千万というような脱税をやっておる。こういう事実が現に発見されて、その方は急に納税をしたという話でありますが、そういうことをやっているから国民の信頼が全くなくなってしまうのだと思う。私はいまあなたが言われたことは実に重大だと思う。たとえば、これは税務当局の談話として新聞に載っておるのですけれども、政治家の税金に対してどうしてこれまで甘かったのかと言われれば一言もない。こういう記事が昨年の暮れのある新聞に載っておるわけです。一言もない、それで一体済まされるのか、こういう意味の投書なり論説、そういうものがずいぶんその当時の新聞の片すみに載っかったわけです。ずいぶんそういうものが載った。投書欄ですから、でっかいところでなかったけれども、そういうことでいままでは甘かったのだ。そう言われても全く弁明の余地が一言もないのだ。一言もないということで一体済まされるかどうか。そういう国民の激しい怒りが新聞等にずいぶん載ったのだけれども、一体、大臣はそういうものお読みになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/193
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194・水田三喜男
○水田国務大臣 いま国税庁長官が言いましたように、こういう事例はしょっちゅうございます。
たとえば本人から申告がなかった、しかし、本人に献金をしたある会社の帳簿にはそれが載っておったということで、これが本人の申告の中から抜けておるというような場合には、いま国税庁長官が言いましたように、これはもう厳重に調べるということで申告と所得の食い違いが出たということは、これは国会議員なるがゆえにということではございません。これはいままでも厳密に調査して対処してきておることでございますが、そのほかの問題につきましては、申告所得のたてまえでありますし、国会議員なるがゆえに、一人一人、まだ漏れておりはしませんか、間違いありませんかということを各人追及するということは、いままでしなかったということでございまして、私はまたこれはしないほうがいいと思っております。ところが、最近そうじゃなくて、いろいろ申告漏れが政治家にもあるという不信が出てまいりましたので、間違いないように、こういうものは申告してもらわなければいかぬ、扱い方を知らない場合が多いと思いますので、そういう意味で、今度は注意を相当国会議員に対しまして喚起いたしまして申告をお願いいたしておるというようなことで、今年度の申告状況というものは非常に私はいいと思います。
そういう意味で、普通の人よりも国会議員は私は納税道義は最も高いものだと思っておりますので、特に国会議員なるがゆえにということで国会議員にきつい調査をするということは妥当じゃないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/194
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195・西宮弘
○西宮委員 国会議員なるがゆえに特にきつい調査をする、そういう必要はもちろんないと思うのです。一般の国民と同じように扱えばもちろんいいわけです。しかし、さっきの大臣の御答弁は、国会議員なるがゆえに調べなくてもいいのだ、そういう最初の御答弁があったので、私は、それは徹底的に違う、根本的に違う、そういうことを申し上げた。いま大臣の答弁は、申告はなくても、たとえば会社からもらったのなどは会社の帳簿に載っかっておるから、それを見て再調査する、こういうお話だったけれども、会社からの寄付金その他はそういう帳簿に載っておるというのももちろん当然でありましょうが、それよりも、政府機関の中にそういう資料が毎年毎年年に二回ずつ登録をされておるのですから、それに対して今日まで全く等閑に付しておったというのは、これは重大な責任だと思うのですよ。先ほど国税庁長官は、それはたいへん遺憾だ、こういうことを言っておりますが、大臣も同じように、いままでそれは全く手を触れなかったというのは遺憾だとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/195
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196・水田三喜男
○水田国務大臣 税制のたてまえから申しましてそういうことになろうと思いますが、しかし、問題は、政治資金の規則については、これをもし厳密におっしゃられるようなことをしようということでしたら、これはまた別の扱い方というものでここで再検討しなければいけないのじゃないかと私自身思っておりますが、いまのままにおいて、これを正しい意味において究明するということは、これは、政党におきましても、各政治団体におきましても、そう簡単な問題ではございません。政治活動をするために政治資金の寄付が許されているという法のたてまえから、一応届け出てあったものは政治活動に使われたという扱い方をする以外に、これの妥当な扱い方はないのではないか。それはいけないのだというのでしたら、この制度自身をもう一ぺん吟味しなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/196
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197・西宮弘
○西宮委員 私は、決してそれができないということは申しません。政治活動に使われたら使われたでけっこうですよ。一方においてはそういう収入があり、他方において政治活動の支出が出ている、それで差し引きとんとんだというなら、それでもけっこうです。差し引き百万というなら、その百万を基礎にして申告をすべきだし、それを政治活動に使うのがいいとか悪いとか、そういうことは私は毛頭言っておりません。
ただ、そういうことをはたして申告しているかどうか。たとえば、この前市川さんが取り上げたのを見ても、これは新聞ですから正確に伝えたかどうか知りませんが、ある新聞に載った談話などを見ても、これはもらったけれども、ほとんどばらまいたとか、あるいは、ほかの人が使ったのを単に私の名義で届け出をしたのだろうというようなことが言われておるが、そんなばかなことがあるはずはない。そういうことは、政治資金規正法において厳重に制限をされているわけですから、そういうことがあったとすれば、これは大蔵省の所管じゃありませんけれども、政治資金規正法に対する法律違反になり、当然罰則が適用される、こういう問題になるわけなんです。でから、もらったけれども、だれかれにこれはばらまいた、こういうことが明らかならば——それは税務署はそれでけっこうだと思うのです。ですから、一方においてそういう収入があり、それを、少なくとも昨年までは全然問題にしなかったという先ほどの国税庁長官の答弁であったが、この制度は昭和二十三年から始まって十数年たっているわけですよ。それを、いままでそういう点について全く見のがしておったというのは重大な責任ではないかと言ったら、長官は遺憾であると答えたのです。まあ、そういうことを繰り返してもしようがないから、私は、少なくともことしはその点を明らかにしてもらいたいと思う。
それで、この間国税庁の見解として示されたのを見ると、いわゆる政治資金として届け出を要するものは何だということがきわめて明瞭に書いてあるわけです。たとえば組織活動費、遊説費、調査費など、そういう名目のいかんにかかわらず、その収入は当然所得としてあげるのだ、こういうことを言っておるのでありますから、これはもう当然そうでなくてはならない。ところが、この間いわゆる高額所得者の一覧表が新聞等に載りましたが、あれを見ても、ほとんどあの問題は取り上げておらない。そしてまた、現に、たとえば市川さんが指摘した人も、収入と支出を差っ引いて、その差額を載せましたというような人は一人もいない。あの問題は、全く問題外だ、こういう態度をとっているのだから、おそらくあそこに載った人たちは、だれもこの問題を、自分の収入として、所得として申告をしたというような人は一人もないのじゃないか。これでは、国民はどうしても納得しないと私は思うのです。むろん一方においてそういう収入があり、他方においてみんな政治活動をやっておるわけですから、その政治活動にどの程度のものが使われたか、こういうことを十分政治家の意見を聞いて、間違いのないように余すところなく聞いて、一方においてこれだけの支出が出ていたのだ、こういうことを調査することは当然の任務でありまして、一方において収入の報告があったから、それだけで課税をするというまことに乱暴きわまるようなことをすべきではないけれども、少なくとも、それだけの収入があったということを基礎にして、それから検討していくことが当然だと思うのです。
それじゃ、長官に伺いますが、ことしはどうですか。いわゆる国会議員について申告のない人もありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/197
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198・泉美之松
○泉政府委員 これは先般当委員会で申し上げましたが、衆参両院を通じて百五十九名の方が無申告になっております。その無申告であるということは、したがって歳費以外の所得で五万円をこえるものがなかったということで無申告になっているのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/198
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199・西宮弘
○西宮委員 私も若干の調べをしてみたわけでありますが、たとえば、これは個人の名前を申し上げてたいへん失礼だと思いますが、しかし、ちゃんと公に報告をされておるのでありますから、別に失礼になるわけでもないから申し上げますが、たとえば保利茂さんという方は、あの新聞の一覧表には載っていないわけです。これは、一方収入の面では——収入の面と申しますか、自治省に届け出の中では、保利茂さんに対する相当額の政治資金がいっていることになっているわけですが、それに対して全然出ておらぬ。どうですか、保利さんについては届け出がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/199
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200・泉美之松
○泉政府委員 この席におきましては、個人のそうした一つ一つの事柄につきましてのお話は、ひとつお許しをいただきたいのであります。各人のいろいろ名誉の問題にからみますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/200
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201・西宮弘
○西宮委員 それでは、長官のほうでお話がないならば、私のほうで申し上げますが、この前市川さんは、いわゆる一千万円以上の収入といいますか、これは派閥からの金でありましょうか、俗にいう派閥の金でありましょうけれども、その人の名前をおあげになったと思いますが、実はあれはほんの一部だと思います。私調べた中だけでも、たとえば南好雄さん、保利茂さん、二階堂進さん、古川丈吉さん、石井光次郎さん、坂田道太さん、中垣國男さん、こういう皆さんは、いずれも一千万円をこえる相当額の政治資金が渡されたという報告がなされておるわけです。あるいは、たとえば稲葉澄雄、市村健一、こういうような人は、これは国会議員ではありませんけれども、かなり多額のそういう政治資金が渡されている、こういう報告がなされているわけです。そうすると、私どもはどうしても疑問が起こるのでありますが、たとえば、それでは保利さんの場合は、新聞によると全然報告も出ていないというのでありますが、もっともあの方は、去年は国会議員ではなかったので、その収入がなかったのかもしれません。しかし、いやしくもあれだけの地位にある方です。いま私が読み上げたこういう方は、みなそうそうたる指導的な立場にある方です。そういう方が五百万円の所得もない、こういうことはちょっと想像ができないのでありますが、それでは、たとえば坂田道太さんなんという方も、これまた大臣をした方ですね。そういう人が派閥からはずいぶんな金が出ておる一報告をされておるわけです。千九百万円、約二千万円近い金が出ておることになっておるわけです。それで、国会議員の所得があって、国会議員の所得以外に八万四千円の所得があれば、いわゆる高額所得者になるわけですね。それは長官認めますね。そのとおりですね。——そうだとすれば、たとえば坂田道太さんの派閥からは千九百万円の金が出ておる。そういうことになれば、たとえばそれが何らかの形で使われたにしても、全然手元に残らなかった、そういうことはとうてい想像できないんじゃないか。少なくとも八万四千円くらいの金は残ったんじゃないかというふうに思うのは当然だと思うのです。たとえば、この前参議院で指摘をされた方の中に植木庚子郎さんがありまして、この人の自分の談話では、手元に残ったのはまことに微々たるものだ、こういうことを言っているわけです。手元に残ったものは微々たるものかもしれないが、その微々たるものは、坂田さんの場合には二千万円近い金が入ってきて、微々たるものは八万四千円にもならなかった、こういうことが想像できるでしょうか。長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/201
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202・泉美之松
○泉政府委員 なかなか、お話の問題につきまして、私がどういうふうに申し上げるかによっていろいろ影響がございますので、私から予断を持ったことは申しかねると思います。
ただ、お話のように、二千万円近い収入があって、八万円弱の所得がなかったかどうか、これは調査した上でないと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/202
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203・西宮弘
○西宮委員 正確なことは調査をした上でないと答えられないというのは、全くそのとおりだと思います。それでけっこうだと思いますが、先ほど大臣は、最近の政治家の納税道義は非常に高揚された、こういうことを言われたんだけれども、二千万円近い所得があって、その歩どまりが八万四千円もなかった、こういう状態、しかも、これは大臣もした人ですよ。こういうことで、政治家の納税道義は大いに高揚したといえるでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/203
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204・水田三喜男
○水田国務大臣 西宮さんの御質問の意味がようやくわかりましたので、さっき私、間違っておりましたが、こういう問題はもう十分調査する。いままで特に調査しなかったというのは、申告制でございますから、議員から申告されたものは、一応ほかの人と違って、これを信用して、特に問題がなかったのは調査しなかったということを言ったわけでございます。今度は全議員の調査もいたしておりますし、あなたの申告も十分承知しておりますが、私は大同小異で、みなたいていあなたと同じような申告でございます。これは間違っておるだろうといって、こちらから個人を全部調べ回るということはやりたくないということを言っていただけでございます。そのほか、よそから出したということがはっきりしているのを本人の申告に出すというのは、一般の人と同じように税務署は追及する。
それから、政党、派閥からいろいろ出ている経費が確かにございますが、ことに政党につきましても、私ども一応は調べましたが、名前を出された人は、その人に支出したという形になっておりますが、使途は実際そうじゃなくて、必要な政治活動費が出たものを一括していろいろ責任者に渡したというような形をとっておるのが普通でございます。その人の政治資金の収入というものではないというのが一般でございますので、そういう点の解明はやはりやっておりまして、はっきり理屈のつくものは追及しないというふうに、そこはいろいろ処置していままでやっておりますが、そのほかの問題についてさっき私が申したことでございまして、そういうことを議員であるがゆえにやらないということを言っておるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/204
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205・西宮弘
○西宮委員 たとえば、派閥からもらったけれども、全部それをばらまいたとか、そういう実態、あるいは名前はそうなっておるけれども、内容は違うんだ、いまこういう大蔵大臣の答弁だったけれども、これはたいへんなことだと思う。もしそういうことだとすると、これは明らかに政治資金規正法の違反です。二十四条の罰則が適用されるわけです。そういう事実でないことを選管に虚偽の申告をした、虚偽の報告をした、そういうことになったならば、これは明らかに法律違反です。ですから、それはそれとして、そっちのほうで追及しなければならぬ。
その問題は、いま大蔵大臣にその問題を聞いてもしかたがないと思う。それは所管の官庁にあらためてその問題をただしたいと思いますけれども、そういうような、ほかが使った金をだれかの名前で便宜扱ったんだということであれば、これは何のための政治資金規正法かということになる。政治資金規正法というのは、いまさら申し上げるまでもないんだけれども、制限する内容も何にもない。ただ一つあの法律の生命は、公表をするということにあるわけです。したがって、その公表することが、そういう虚偽の公表をしておるというようなことであれば、あの法律の根本的な違反です。だから、その点は他日別の機会に追及いたします。
一々あげると切りがないから申し上げませんけれども、そういうふうに使われておるというお話だけれども、たとえば、石井光次郎さんなど、これ一つで終わりにいたしますが、これなどずいぶんおもしろいと思うのです。毎月、たとえば五月二十五日、六月二十五日、七月二十五日、八月二十五日、九月二十五日、十月二十五日、以下ずっと毎月二十五日に、三百万円、五百万円という金が、あるいは二百万円というときもありますが、二百万円、三百万円、五百万円という金が二十五日には毎月毎月石井光次郎さんに支給されておるわけです。これではいわば月給みたいじゃないですか。
こういうやり方では、それは当然にその個人の収入所得として少なくともそういう疑いを持ってかかるということは私は当然だと思うのです。私は、そういう点も、これから徹底的にというお話でございますから、そういう際にぜひ徹底的に調べて、その結果を委員会あるいはその他国会を通して説明してもらいたいと考えるわけです。
私はもう一つだけ例を申し上げてみますと、いままでのとは若干違いますけれども、たとえば岸信介さんは、私の所得と十七万五千円の所得の差です。私は、自分の生活を見て、どの程度の生活ができるかということを自分でよく承知をしておりますが、岸さんなどはわれわれとは雲泥の相違のある生活をされていて、その所得は十七万五千円の違いしかない。したがって、それを基礎にして税金を払うんだ、こういうことでは、私自身もとうてい納得できないと思うのです。私は、正直なところ、いままでずいぶんたいへんだと思いながら、税金を納めるということに不満を持ったことは一回もありませんでした。しかし、今度という今度は、私は全くがっかりしてしまった。税金を納めることが実にばかばかしくなってきたわけです。私がそうなんだから、ましていわんや、一般の国民は政治家の税金というものを見て、実に納税思想に大きな動揺を来たしているのではないかというふうに心配せざるを得ないわけです。
それでは簡単にお尋ねいたしますが、佐藤総理の所得について調査をして報告をする、こういうことになっておりましたが、その結果はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/205
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206・泉美之松
○泉政府委員 昨年国会で問題になりました二千万円事件につきましては、当委員会でお答えいたしましたように、佐藤総理の名義を使用されたのであって、佐藤総理から自民党に寄付した事実はないということを申し上げたのであります。そのほかの点につきましては、まだ調査を完了いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/206
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207・西宮弘
○西宮委員 昨年の答弁では、今年内、つまり昨年の十一月八日の答弁ですが、今年内に調査を完了して報告するということになっておるけれども、それはなぜいまできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/207
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208・泉美之松
○泉政府委員 この点につきましては、東京国税局で調査を担当さしておるわけでありまして、いろいろ問題がありまして、まだ調査を完了するに至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/208
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209・西宮弘
○西宮委員 それでは、いつ完了して発表しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/209
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210・泉美之松
○泉政府委員 四十年分の所得についての調査がおくれましたので、四十一年の分と合わせて調査をいたしたいということで、調査計画の変更をいたすようにいたしておりますので、現段階で、いつということをはっきり申し上げることはできませんけれども、できるだけ早い機会に調査をするように、東京国税局を指導いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/210
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211・西宮弘
○西宮委員 昨年十一月八日の答弁では、その二千万円事件は私も問題にいたしませんが、「二千万円以外のその他の点につきましては、他の一般の納税者と同様に、資料などに基づいて調査をいたすことにいたしてございます。本日はまだその調査の結果を御報告するまでに至っておらないのでございます。」こういう答弁を長官はされておるわけです。ですから、その二千万以外の一般的な収入については、去年はたしか六百万程度の報告ではなかったかと思う。だから、それが低過ぎるということが問題にされまして、その点をわが党の武藤委員が追及をしたのです。それに対して、他の納税者と同様に調査をして、その結果は、ただ、本日はまだ報告の段階に至っておらないと言っておるので、それを、それじゃいつやるのかということを追及をされまして、それについて「年内中に取りまとめたい、このように考えております。」こういう答弁をしているわけですよ。それをかってに、その後の調査計画の変更だというようなことで、いたずらにずらしておる。しかも、私が速記録を調べてみると、それについて何ら今日まで説明がなかったらしい。そういうことでは全く無責任だと思うのですね。もう半年近くもたっている。どうなんですか。それでは、これから先できるだけ早くにというが、いつ結果を発表するか、調査を完了するか、もう一ぺん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/211
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212・泉美之松
○泉政府委員 調査はその後も続行いたしておるわけでありますが、いろいろの点につきまして調査が完了いたしておらないわけであります。そこで四十年分と四十一年分とを合わせた調査計画にするということにしたいということでありまして、したがいまして、そういう計画変更をいたしました場合に、いつ調査を完了できるかということは、まだ見通しを得ていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/212
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213・西宮弘
○西宮委員 見通しがないのならば、まあこれ以上追及してもしかたがないからやめますけれども、これは、長官がこの委員会を通して公約をしておる、報告をしておることなんですから、それはいまも、できるだけすみやかに、こういう答弁があったので、できるだけすみやかにその内容を詳細に調査をして、具体的に発表してもらいたい。よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/213
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214・泉美之松
○泉政府委員 ただ、西宮委員に申し上げておきますけれども、いやしくも一国の総理の所得の申告でありますから、私どもとしてはそれが適正になされておるということを期待しておるわけであります。したがいまして、その調査はもちろんいたしますけれども、その調査を委員会において報告するかどうかということになりますと、上司の許可を得なければならないと思います。そういう点につきましては、あとで打ち合わせました上で申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/214
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215・西宮弘
○西宮委員 もちろん一国の総理でありますから、慎重に扱うということは当然でしょう。しかし、あなたは、その一国の総理に対して、他の一般の納税者と同様に調査をして云々と、こう答弁しておるのです。その納税者という立場に立っては、佐藤榮作さんは一介の市民だと思うのですね。だからそれは、あくまでも一介の市民として調査をして、その結果を報告する。本日はまだ調査の結果を御報告するまでに至っておりませんと言っておるのでありますから、これは当然報告をするということを前提にしての答弁なんです。いまさらそれを後退させるような答弁は許されないと思う。これはもうぜひともそれをやってもらわなければならぬ。時間がなくなりますので、その点は長官の今後の調査の結果に待ちたいと思います。
私はさっきちょっと一言申し上げましたが、たとえば、先ほど私ちょっと読み上げました中に稲葉澄雄、市村健一、こういうお二人があるのでありますが、こういう人は代議士でも何でもないわけですね。この人がいずれも三千万円近いもの、稲葉さんは三千五百二十万円、市村健一さんは二千九百万円、こういうお金を派閥から受け取っておるわけです。これは俗にいわゆる佐藤派、福田派といわれている機関でありまするが、この佐藤派の稲葉さん、福田派の市村さん、このお二人が団体役員というような形で受け取っておられる。これは政治家でないのでありますから、こういう大金をもらって、これをそのまま政治活動に使うというようなことはもちろんあるはずがないと思う。したがってこれは、おそらく文句なしに課税の対象になるのだと思うのですが、これまた調べてみないとわからないという長官の答弁になるかもしらぬけれども、念のために一言伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/215
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216・泉美之松
○泉政府委員 そういった支出が、ほんとうに稲葉さんあるいは市村さんになされておるかどうか、調査いたした上でないと確かなことは申しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/216
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217・西宮弘
○西宮委員 これは私の想像ですが、こういうことも想像されるわけですね。これは佐藤派と福田派の会計を扱っておる方なんでしょう。ですから、これはもっとえらい人、つまり親分といいますか、そういう人の名前を出すことを避けて、自治省に対する報告書のほうにはこういう名前を使った、こういうことのあらわれではないかと思うのでありますが、これは私の想像ですけれども、もし万一そういうことであるとすれば、これは明らかに、さっき申し上げたように政治資金規正法の違反になるわけであります。これは政治資金規正法が最大の眼目とし、生命としております公開主義に徹底的に違反しておる問題だと思う。したがって、そういう問題もあわせて、これから先私ももっと追及していかなければならぬと考えるのでありますが、きょうは御出席は大蔵省でありますから、大蔵省の立場では、これは政治家ではないのですから、おそらくこれが収入になっているだろう、そういう立場で検討する理由が十分にあるだろうということを私は指摘をして、この質問をこれで終わりにいたしたいと思います。
私はこれで大体終わりにいたしますが、最後に、こういう数々の問題に対する基本的な態度について伺っておきたいと思うのです。
長官は、昨年十二月八日に、地方の国税局長等を集めて重大な訓示をしておられますね。つまり、こういう黒い霧等が問題になっておるこの際だから、政治家のそういう収入等については十分な調査をするように、こういう訓示をしておられますけれども、その当時の新聞などをちょっと見ると、何となくマスコミはそういう態度に懐疑的な、はたしてやるだろうかというような書き方をしておるのをちょいちょい見受けるのでありますが、これに対する長官の決意は牢固たるものがあるのかどうか、まずお聞きをしておきたいと思う。そうでないと、こういう政治に対する不信というものが、いわばその極に達しておる今日なのでありますから、そういう点は、あの長官の訓示のとおりにこれを徹底してもらわなければならぬと私は考えるのです。ついては、長官の決意をお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/217
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218・泉美之松
○泉政府委員 御承知のように、現在は申告納税制度でございまして、納税者の方がまず正しい申告を出す、それで、税務官庁は、もしその申告が間違っておる場合にその是正を求める、こういう立場におるわけであります。したがいまして、政治家の方の場合におきましても、まず政治家の方が正しい申告を出していただく、これが第一必要なことであろうと思うわけであります。したがって、私どもはそういうふうな正しい申告が出るようにするにはどういうふうにしたらいいかということをまず考えまして、今回、四十一年分の所得の申告につきましては、従来そういった点につきましてあまり申し上げておりませんでしたことをいろいろ申し上げまして、申告なさる上に便利なような措置を講じたところであります。もしそういう措置をとってもなお正しい申告がないということになりますれば、これは調査していかなければならないわけでありますが、私どもといたしましては、そういった調査をするということで是正を求めるということは、必ずしも好ましい方法ではない、正しい申告がまずなされる、これが第一に必要であろう、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/218
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219・西宮弘
○西宮委員 いまの長官の答弁、全くそのとおりだと思うのです。私もそれには同意をいたします。申告をする人自身でまず正しい申告をする、そういうことを政治家に要求する、これは当然の態度だと思うのです。ただ、それがそのとおりに行なわれなかった場合、この間の新聞等に、各個人で、皆さんがそれぞれいろいろな所見を述べておるのだけれども、あれなどを見ると、どうも一向にそういう点が改善されているように思えない。私はそれで非常に心配のあまりお尋ねをしたわけです。つまり、この間の市川さんの質問の際に名をあげられた方々が新聞を通じて意見を述べておるのだけれども、それを見ると、長官がせっかく今回その基準なり資料を国会議員にも提供して、これによってやってくれ、こういうことで出されたようなことが全く無視されておるというふうに考えるので、私はあえて申し上げたわけです。ぜひそういう態度でやってもらいたい。しかも、私がこのことについて特に念を押して、だめを押して申しておりますのは、今日まで、たとえば、これは新聞の記事ですが、政治家の脱税問題を新聞に書き立てられるたびごとに、国税庁はおれたちを目のかたきにしているのかと政治家にしかられる、これは朝日新聞の国税庁の役人の談話です。あるいは、政治家の所得調査を思い切ってやれば必ず左遷をされる、これも同じように国税庁の役人の談話であります。こういうことが新聞に報道をされておる。したがって、いままでは少なくともそういうことでその第一線の諸君が非常に苦労をしている。たとえば、これは読売新聞だったかと思いまするが、特集記事を書いて、せっかく調査をしかけると、途中から上の方のえらい人から圧力がかかってきて、途中でやめてしまった、やめざるを得なくなった、そういうたくさんの事例をあげて新聞に報道しているわけです。そういうことがもしあるとするならば、私は今後といえどもそういう調査が徹底的に行なわれない、こういう心配をいたしまするために、私はあえてだめを押して申し上げたわけであります。
それでは、私はこれで質問を終わりにいたしますが、こういう最も大事な、政治に対する国民の信頼を回復するかしないかという大事な際でありまするので、いま申し上げたような点、あるいは長官にお尋ねをしたような点について、最後に、大臣の決意をお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/219
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220・水田三喜男
○水田国務大臣 最初に申しましたように、とにかく申告納税制度であり、特に税金は租税法定主義が守られておる一番の国会において、国会議員がこの納税意識が希薄であるということは、国民の前にも言えないことでございまして、私は、いまの国会議員は、そういう意味において正しい申告をしている、そういうふうに信じております。もしその申告が正しくないような疑いが持たれたり、いろいろな間違っておることが出てきましたら、これはもう一般と同じように十分調査して善処をいたしますが、そうでない限りは、国会議員の申告は一応適正だと認めて、そうして処理する、また、そういうふうにしてもらうというより以外は、私はしかたがないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/220
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221・西宮弘
○西宮委員 まずわれわれがえりを正して、そういう点について正しい申告をする、これが当然の任務でありましょうが、われわれはそれを一生懸命やらなければならぬと同時に、国税庁は、少なくとも今日まで資料のあるものについてそれを全然見のがしておった、そういう事実について長官が十数年それを不問に付してきたという点について遺憾であったという先ほどの答弁があったので、私はこれは過去を責めてもしかたがないと思う。これから先、そういう点を厳重にやってもらいたい。そうして、しかも私は、さっきも申しましたように、お互いに政治家でありますし、政治活動に要する経費等もありましょう。そういう点を十分基準を明らかにして明白にする、そうすることによって納税に対する国民の信頼というものを回復をし、政治全体に対する国民の信頼を取り戻す、こういうことが可能になるだろうと思うのであります。今日、政治資金規正法の改正をめぐりまして世論はごうごうとしているわけです。おそらくそのよってきたるところは実に卑近なこういう問題から端を発しているのだろうと思う。だから、そういう点について、政府全体として十分姿勢を正していただきたい、こういうことを要望いたしまして、質問を終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/221
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222・内田常雄
○内田委員長 次は田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/222
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223・田中昭二
○田中(昭)委員 まず、いま御質問がありましたことを聞いておりまして、私も押えていた気持ちがまたわくわくしてきまして、何かしら胸がおどるといいますか、そのような感じもしますし、また、ほかの聞いておられる委員の方も、これはしまったことだ、いやなことだというような感じもあるのじゃないかと思います。ただいまの長官の答弁なりを聞いておりまして、やっぱりこのことは一言お聞きしておかなければいけない、このように思います。まだ胸の中がわくわくしておるような気持ちでございます。おそらく同感の方も相当あるのじゃないかと思います。確かに、一個人の所得についてこういう委員会で云々ということは、私も一応考えもいたしますが、先ほどの総理の問題に対しましては、総理であるがゆえになおさら、国税の最高責任者である長官がまずもって優秀なる査察官を動員して、それは脱税を追うようにしなくてもいいのですから、静粛に、徐々に、計数的に、科学的に総理にいろいろお尋ねをし、特に塩崎主税局長は名国税庁次長をしていらっしゃったときもありますが、塩崎局長のような名次長を引き連れて、当然調査をなさるという御発言をなさっておるならば、私は、現段階においては歳費以外にこういう所得がこういうふうにございますということは、何かの形で報告されるのがあたりまえじゃないか、このように思います。一国の総理であるならば、その総理のそういう身辺を明らかにすること自体が、税務の行政におきまして、ほかのいろんなことをどんなことをするよりもりっぱな国民に対する義務ではないか。下のほうの者が行って調査できないならば長官みずから行かれる、こういうことになれば、国民、納税者はもろ手を上げて長官のその勇断に対して——大臣もなおさら今後の長官の身の振り方につきましても——賛辞を送り表彰すべきでないか、このようにも思います。いずれにしろ、いまの答弁の中で、ああいう問題が先にありまして、調査もしておるけれども調査計画も変更しなければならないということになりますと、それでは、どのような調査をして、どのように調査計画を変更して、それはどういうために調査計画を変更したか、そういう問題が大事な問題ではないかと思うのです。経過ですね。それを明らかにしないということは、これはもうほんとうに何と言われてもまずいのじゃないか、いずれにしろこのように思います。問題は、私思いますのに、常識的なことがここでは話もできない、解決もできないというような感じを強く受けます。政治家の所得の発表にしましても、私はこの前お伺いしたときは、長官はそういうものは発表はしておりませんとおっしゃっております。発表はしておらないでしょうけれど、新聞記者によって、発表されたと同じようなものなんです。そこはことばの違いだけでいいと思いますが、今度の昭和四十一年度の申告状況につきましても、さっそくあれが新聞に発表になりましたところが、国会の中におきましても、議員のホールにおきましてもささやかれていること、国会議員同士がささやいておること、そういうことを私も耳にしまして、これじゃ税務行政は何をやっているかといわぬばかりの話の内容でございます。内容をあげれば一々もう常識的みたいなことでございますから省略いたしますが、おそらく長官も主税局長も大臣も御存じだと思います。ですから、何とかここでこの問題につきましては、税務行政の真の力を奪回するという意味におきましても、私はき然たる態度で臨んでいかなければいけないのじゃないか、このように思うのですが、長官と大臣からそのお考えをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/223
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224・泉美之松
○泉政府委員 先ほど西宮委員にお答えいたしましたように、従来、政治家の方は正しい申告をなされているものと考えて、あまり調査しておらなかったのは事実であります。しかしながら、昨年来いろいろ問題が生じてまいりまして、これではいけないということから、私ども調査をするようにしてまいっておるわけであります。しかし、先ほども申し上げましたように、本来申告納税制度でございますから、こういったものは税務調査によって更正するとかあるいは修正申告をしていただくというよりも、当初から正しい申告をしていただく、これが一番望ましい姿であろう、このように考えておるわけであります。ただ、その申告が正しく出ておりませんければ、これはやむを得ませんので、国税庁が国税局、税務署をして十分調査をする、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/224
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225・水田三喜男
○水田国務大臣 私はさっき国税長官が、たとえば総理大臣を調査して報告すると前に返事した、その後、今年度あわせて調査するということに変わったというお話でございましたが、こういう約束を国会にしたということは、うかつかどうか、私は知りませんでした。これは、そういう約束をして調べることもけっこうだと思いますが、問題は、前に二千万の問題がどうなったという問題がありましたので、これを中心にして調べて国会に御報告することはいいと思います。しかし、個人の申告その他の申告において、ほかから申告漏れであるという事実も出てこないような問題を、特に総理大臣を調べてここへ報告するというようなことは、やはりあまり私は妥当なことじゃないというふうに考えます。たまたま総理大臣だからそうじゃございませんで、たとえば田中さんのが少しおかしいから調べろ、そして報告しろ、こういう議員の要求があっても、私は個人のものが出て、別にこれが申告漏れとか、そういう不正申告であるというものがはっきりわからない限りは、特にあらためて調べて報告するということは、私はやりたくないと思います。国税庁長官がどういう約束をされたか知りませんが、こういう約束はあまり妥当じゃないような私は気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/225
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226・武藤山治
○武藤(山)委員 ちょっと関連。
総理大臣の個人の所得について、あるいは財産について、十二月の末日ごろまでには調査を完了したい、こういう国税庁長官の御答弁が出たのは、私の質問に対してでありますから、私もいま大臣の答弁は聞き捨てなりませんので、ちょっと当時の経過を申し上げておきたいと思うのであります。
それは、二千万円の政治献金問題をめぐって質問をした際に、新聞や週刊誌や世論は、政治家の姿勢というものについていろいろな非難があったわけであります。その際に私は、アメリカのニクソン副大統領がかつてそういう疑惑を受けたときに全財産を公表した、自分の所得も国民の前にテレビを通じて明らかにして、このように身の潔白であるということを彼は全アメリカ人に発表した。そういう姿勢、態度というものがあの当時の空気の中では最も必要なことであったのではないか。特に、前総理大臣やあるいは政府の相当の地位にあった人たちがおなくなりになりますと、相続税が何億という財産評価になるということも、当時の新聞や週刊誌が騒ぎ立てておったわけであります。そういうように、政治家一般、すべてのものに対する国民の不信というものをぬぐい去るためには、何といっても、総理大臣みずからがこの際財産を公表し、所得を明らかにすることが最も国民に信頼を得る道ではないか、こういう立場から実は質問をしたわけであります。そこで国税庁も、その二千万円の政治献金の追跡をすると同時に、そういう国民の不信をぬぐうためにも調査をするという態度を国税庁長官がこの委員会で明らかにした。一体、いつまでにできますか、こういう詰めをしたところが、まあ十二月中には調査を完了いたしたいと思います、こういう長官の答弁であったのであります。ところが長官は、いま西宮さんの質問に対しては、何か調査方法を変更したために調査がいまだ完了してないということは、あまりにも税務当局として怠慢ではないかと私は思うのであります。そういう経過をも大臣ひとつ、いま説明をつけ加えましたから、政治家の姿勢を改めるという意味で、一たんそういう質問で指摘されたというような場合には、個人の問題でもやはり公表したほうがいい場合があるのじゃありませんか。
そこで私は、政治家への不信をぬぐうためにも、この際やはり、一回長官が約束をした答弁というものは実行してしかるべきではないか、こう思うのでありますが、やはり実行はしないほうがいい、調査が完了してもそういう質問には答えないほうがいい、こう大臣はお考えになりますか。福田さんはやはり当時大蔵大臣でありましたが、そういうものはぜひ調査をさせます、決してブレーキをかけたり、大臣が国税庁に圧力を加えたりはいたしません、こういうりっぱな答弁を大蔵大臣がいたしておるわけであります。あなた新しい大蔵大臣として、同じ問題についての見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/226
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227・水田三喜男
○水田国務大臣 私なら簡単にそういう約束はいたしません。ということは、疑いがあったものを調査して出せということについては徹底して調査いたしますが、そうでない、ただ政治姿勢を正すのだという意味でしたら、総理に頼んで、この際自発的に公表してくれといって公表させるのがいいのですが、国税庁を使って、特に国会が総理を調べてここへ報告しろなんということは、簡単にやるべきことじゃない。私なら、よろしゅうございますとそのときは言わなかったと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/227
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228・武藤山治
○武藤(山)委員 そういたしますと、福田前大蔵大臣の答弁や国税庁長官の昨年十一月の答弁というものは、すでに消えたものと大臣は判断をするか、それとも、一回大蔵委員会で答弁をしたことは、それが実現されるまでは生きているという、議事録に対する取り扱いについてはどう御判断なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/228
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229・水田三喜男
○水田国務大臣 これは、政府は連続しておるものであって、前に政府が約束したというようなものは、簡単に消えるものじゃございませんで、これはやはり生きておると思いますが、当時私がそうだったら、私はそういうことは簡単に約束しないということを言っているだけで、前のは生きておるからこそ国税庁長官がさっきお答えしたようなことをやっておりますが、あまりいいことじゃないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/229
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230・田中昭二
○田中(昭)委員 私も、個人の所得の秘密ということにつきましては、いま大臣がおっしゃったとおり、当然そうあるべきだと思います。しかし、そのときの客観的情勢から見れば、やはり国税庁長官もそのような答えを出さなければならなかったのじゃないか。それをただここで、ことばの上においてそうではないとかというようなことだけで終わらせては今後まずいのじゃないかと私は思います。それは総理であろうとだれであろうとも、当然このときには明らかにすべきなら明らかにするということがなければ、伝家の宝刀として国税庁長官という——仕事の上において一々上司の許可を受けてやるということになりますと、上司の命令ということについては私はいまここでくだくだ述べる必要はないと思いますが、私たちも事実そういうことをやってきました。課長か署長がこうだと言えば、それに対してどうしますと、そんなことは言えるものではございません。ですから、そこはやはり国税庁長官には——長官もたいへん御多忙だと聞いております。次長が空席のままですが、そういうようなことは早く次長を空席でないようにして、長官も楽な気持ちでお仕事をなさると回転も早くなるのじゃないかと思います。これは行政問題でございますから私から申し上げる必要はございませんけれども、ちょうどいい機会でありますから申し上げておきたいと思います。
まず、所得税の改正の問題からお話を伺っていきたいのですが、あくまでも所得税が増税になるというようなことは、公明党といたしましても賛成することはできません。最低税率が〇・五%上がっておりますが、これはほんとうに所得税の減税をという考えならば、当然昨年と同じく中間層の低額所得者の税率も下げて、全体的に減税になったというふうにすべきではないか。このことについては、私がいないときに一回答弁があったと聞いておりますが、直接聞いておりませんものですから主税局長からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/230
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231・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃいますように、中間層の税率も軽減したほうが、先生のおっしゃった趣旨から見て私は適当だと思うわけでございます。ただ、減収財源が非常によけい要るものでございますから、残念なるかな、長期税制構想にはその方向を示してございますけれども四十二年度の税制改正案には盛り込めなかった、こういうところでございます。なお今後、中間層の税率の軽減も努力してまいりたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/231
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232・田中昭二
○田中(昭)委員 財源ということになりますとなかなか大きな問題になりますが、平年度にして百億ぐらいですから、この前主税局長には申し上げておきました税収の一%下げる問題でも、何百億か違うことでございますし、私はそれをおっしゃるならば、税収の収入歩合の低下につきましては、あくまで大蔵省の、また主税局の考え方、ただそれは自分たちがやったのだからこれで最高なんだという考え方については同調できません。しかし、ここで言ってもそれは解決しません問題ですから、次に移ります。
税額控除を今度は所得控除に改めてございますが、その中で、一つ一つ問題もございますがまず老齢者控除、障害者控除を設けたところの意義といいますか、老齢者というのはこういう意義を持たせてつくったのだ、障害者というのはこういう意義を設けて恩典を与えたのだというような点から御説明を受けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/232
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233・塩崎潤
○塩崎政府委員 先般も御質問がございましたが、同じ所得金額ならば同じ税負担というのが、負担公平の原則であり、租税の生命であるといわれております。所得百万円の方ならば、どんな人でも同じ税負担ということが本来の理想でございましょうが、その所得を得た方が、たとえば老年者あるいは寡婦あるいは障害者の場合には、やはり同じ経済状態、同じ地位にある者とは見ないという考え方ができるわけであります。
それは何かと申しますと、やはり同じ百万円を得るにいたしましても、普通の人に比べまして老年者ならばよけいな費用が要るであろう、つえがよけいかかるかもしれません。満五十五歳以上の方は大体つえをつくかどうかわかりませんが、そういった特殊な費用がかかるということは普通いわれているところでございます。ビタミン剤もよけい飲むかもわかりません。さらに障害者ならば、これまた明瞭に費用がかかる。寡婦も、日本の社会で女手で働くということ、しかも扶養親族を養うということ、これは追加的な費用がかかるであろうということを見まして、その追加的な費用を大ざっぱに見込んだものがいままでの老年者控除、寡婦控除、障害者控除の思想でございます。それをこれまでは税額控除にいたしましたが、その追加的な費用をという思想が税額控除ではなかなかわかりにくい。税金を計算した後に幾ら引くということでは、たとえば六千円だといたしますと最低税率で計算されますが、たとえば一〇%あるいは一五%の上積みの人には費用的な感覚は出ない、そこで今後はそれを所得控除に改めようとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/233
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234・田中昭二
○田中(昭)委員 それでは一つ一つ入っていきますが寄付金控除でございますが、これは私のほうから具体的に問題を申し上げまして、それから説明をしていただきたいと思います。
かりに一千万円の所得があった場合に、現行法では幾らの寄付金控除が認められ、改正法では幾らの控除が認められるか、その御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/234
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235・塩崎潤
○塩崎政府委員 一千万円の所得の場合幾らか、いまちょっと計算しなければ出ませんので、計算をするまでお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/235
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236・田中昭二
○田中(昭)委員 いま一つ漏れました。一千万円の所得で三百万円寄付をしたという場合ですね。寄付額は言っておりませんでした。——それでは計算していただきましょう。
次に障害者控除でございますが、障害者控除を問題とする前に、厚生省のほうからだれか来ておるのでしょうか。——来てなければ進めましょう。障害者控除でございますが、障害者控除の意義も、大体いま主税局長からお聞きしましたように、普通の人間と違ったものであるためにそういう控除を設けた。これは概略的な説明だと思いますけれども、そのように聞き取れましたが、それでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/236
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237・塩崎潤
○塩崎政府委員 障害者も追加的な費用が要るという意味の控除でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/237
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238・田中昭二
○田中(昭)委員 それで、現在この障害者の控除は、障害者のいろいろな範囲があると思うのです。障害者の現実の障害の程度といいますか、これが実務をやる場合に公平を欠いておる。これは私は二十年の実務の上からそう思っております。そういうものが今度の改正には出ておりませんようです。このことにつきましては、きょう参考人の意見聴取の場合にも私申し上げておきましたのですが、いずれにしろ、主税局のほうで障害者に対する控除をお考えになっておるならば、税務の執行面におきまして、それを解釈する段階において現実に合う解釈をすることができないか、こう思います関係上、障害者というものの範囲について御説明いただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/238
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239・塩崎潤
○塩崎政府委員 昨年の改正までは、田中先生のおっしゃいますように、障害者の範囲につきまして、所得税法の規定に基づきまして税務署が実質的に判断するようなことになっておりました。先生のおっしゃいますように、非常に実務が繁雑で、税務署員が苦労したところでございます。昨年そんなような声を十分くみ取りまして改正を加えまして、全体といたしましては、身体障害者手帳の交付を受けている者というふうなことにし、さらにまた戦傷病者の手帳の交付を受けている者といった、一つの他の機関から証明書をもらっている者を中心として判断するというふうに改めましたので、そこの実務は多分に緩和された。ただ、なお「常に就床を要し、複雑な介護を要する者」という、まだ救い切れない者を五号あたりでしておりますので、先生のおっしゃいました実務上の問題は残るかと思いますが、大きな範囲におきましては、厚生省から交付を受けます手帳によって税務署は判断を加えなくて障害者控除の適用を受ける、こういうふうに改めましたので、だいぶ違ってまいったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/239
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240・田中昭二
○田中(昭)委員 それは障害者手帳ということは、私は一番よくなったと思います。ところが、障害者手帳の交付をまだ受けていないというような場合も想像できます。
それに付随して申し上げますと、たとえば精神薄弱児、小児麻痺的な子供とか、そういう障害者が、おる家には二人も三人もおるという実例があるわけです。そうすると、もう一つは、逆に今度は、身体障害者ではあるけれども、普通人以上に所得もあるし、また人間としての活動もできる。ただ、たとえは親指と人さし指がない——親指と人さし指ではちょっと無理かと思いますが、そういう極端な例があるわけです。そういう点について、もう少し解釈で、そういうものがある程度障害者として、たとえば手帳がなくても障害者としての控除ができるかという問題、そういう問題についてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/240
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241・塩崎潤
○塩崎政府委員 先生のおっしゃいましたように、多分に、障害者の範囲につきまして常にいろいろな要望がございます。先ほど申し上げましたように、身体障害者手帳というのは、その問題を大部分解決しておるわけでございますが、なおおっしゃいますようなまだ手帳をもらっていない者につきましてそのような疑問が出て、しかも、それをどうするかという問題がたくさんあります。これはひとつ厚生省あたりと十分相談して、できる限りその法の精神に沿うような気持ちで取り入れるように努力したい。しかし、税務上の繁雑な問題は、その間適切な解決をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/241
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242・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの適切な処置ということに期待を持っておきたいと思います。たとえば、十二月三十一日現在で申告するということになれば、その何日か前に障害者になったというような場合も考えられますし、この期限のために、その資格なり恩典を受けたり受けなかったりするというちょっとまた不合理もございますけれども、現実に障害者になったということに対しては恩典を与えるようにするような方向に持っていっていただきたい、こう思うわけです。
次に、老齢者の控除でございますが、老齢者の控除につきましては、このたびは五百万以上の所得者についてはその控除を認めないというようなことになっておりますと、先ほど主税局長のおっしゃった老齢者という意義の上からいきまして、いままでは老齢者に認めてもらっておった者が今度は認められないということになりますと、塩崎主税局長に対する反感が大きくなるのではないか、ことばがちょっと悪うございますけれども。最後まで、当然認めておった控除は所得がふえても認めるというようなその意義をいま御説明になったわけなんですが、老齢者については、老齢者であるけれども所得を得ている人に対してもやはり恩典を与えるという方向のように思いますが、その辺どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/242
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243・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘のように、この点は多分に議論のあるところでございます。この点も、昨年課税所得の問題といたしましてこれは非常に議論されたところでございます。課税所得最低限を百万円に上げろというお話が、田中先生もここでお聞きのように非常に熾烈なものがございます。しかしながら、それが減収という大きな壁にぶつかりましてなかなか進まない。そういった減収の壁を破る方法といたしまして、課税最低限が、たとえば最低生活費ということならば、上積み税率が一〇〇%まで行ってないようなときには、高額所得者については税金の残りは当然あるのだから、そこで生活の保障は当然できるではないか。したがいまして、これはイギリスの植民地でやっておりますように、だんだん上に行けば行くほど基礎控除や配偶者控除をなくする方向が考えられたならば、課税最低限というものを上げても減収というのは相当少なくなるのじゃないか、こういう御意見がございました。このような点を考えますと、確かにむずかしい問題ではありますが、ひとつ傾聴に値する議論だと思うのでございます。しかし、技術的にそういった消去控除といったようなやり方は非常にやっかいでございますし、簡単にはできません。したがいまして、現在課税最低限を十万円上げますと、一番最高の上積み税率のほうは、税率一〇%といたしますと、最低が、十万円上げましても一万円しか税金が軽減されませんが、七十五万円の方は七万五千円軽減されます。軽減のしかたを合理的にいたしましても、財源が乏しいときにもったいないではないか、これはまさしく老年者控除には適用していい制度ではなかろうか。
老年者控除は、先ほど申し上げましたように追加的な費用の性格もございますから、一律に引いてもいいのでございましょうが、別途課税最低限が、やはり一般の人と同じく引かれて、その部分の減税の割合はきわめて高いわけであります。今度は所得控除に改めるわけでございますが、そういたしますと、七万円の所得控除をいたしますと、いままで六千円軽減されておりましたのが、たとえば五百万円以上のところを五〇%と見ますと三万五千円の軽減、どうもこういった控除の性格から見て、ある程度の譲歩はしていただいていいのではなかろうか、こういったところに消去控除の思想を入れて決して悪くない、それも簡単なほうで入れたい。それなら障害者控除、寡婦控除になぜ入れなかったか、こういうことでございますが、これは所得分布を見ますと、老年者控除は五百万円をこえる方が九千人もおります。しかし寡婦控除の適用を受けるところで五百万円超というのは百人ぐらいしかいない、障害者控除は千人でございます。こういった現実的な所得分布に着目いたしまして、その所得控除の限界を老年者控除に求めた、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/243
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244・田中昭二
○田中(昭)委員 九千人おるということになりますと、主税局長は租税収入のほうのことも考えてこうおっしゃったのですが、六千円の九千人ならば、たいして税収の上に響くようなことじゃないのじゃないかと思います。また、いま説明を聞けば、なるほど理論としては、私はそのような理論も当然だと思います。ですけれども、ここでこの老齢者の控除に対して当初説明のありました老齢者の意義、六十五歳以上になっても営々として仕事をし、働く人に対しては、ビタミン剤もよけい要るだろう、そういう主税局長のあたたかい心があるならば、ここで五百万以上の老齢者の控除を抜かすというようなことは、言われることと実際やられることが少し——理論的にはわかりますけれども、ちょっと納得のいかぬ点があるわけでございますが、これはここでこれ以上言いましても、主税局長のほうで、佐藤総理も税制改正はもうやらないと施政方針の演説の中でも言っておりますから、おそらくそれを押し切ってまでやられるあれはないと思いますからやめます。
次は、寡婦控除でございます。寡婦控除も、これもいつも第一線におきましては問題を起こす控除でございます。今度の改正条文でもその点が全然加味されてない。といいますのは、まずいつも問題になりますのは内縁関係の夫婦——内縁関係の夫婦というとおかしゅうございますが、内縁関係の夫婦関係です。夫婦としての届け出はせずして内縁のまま夫婦と同じような生活をしておる人に対する救済制度というものは考えてないようでございます。また離婚とか死別、この問題もいろいろ実務の上においてはむずかしい問題がありますが、まず、いまの内縁関係につきまして御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/244
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245・塩崎潤
○塩崎政府委員 税法は法律関係を尊重いたしますので、内縁関係は含まないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/245
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246・田中昭二
○田中(昭)委員 そのように私たちも第一線で説明してきたのですけれども、ただ一がいに法律上の届けをしてないから内縁だ、こう見るのも——実際こまかくいえば、それでは十二月の終わりごろ結婚することにして新婚生活を始めたけれども、いろんな事情で届け出は翌年になったといった場合にはできないというような問題も起こりますが……。(「できるよ」と呼ぶ者あり)雑音が多いですね。静かに聞いてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/246
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247・内田常雄
○内田委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/247
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248・田中昭二
○田中(昭)委員 もう一回その点。ただ法律的な夫婦でないと認めないというだけでなくて、主税局長の私見でもけっこうでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/248
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249・塩崎潤
○塩崎政府委員 ただいまのお話は、婚姻届けをしたら税法では認められる、しかもその後死亡いたしますれば寡婦ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/249
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250・田中昭二
○田中(昭)委員 もう一つ、今度は里子を控除する制度ができたわけでございます。給与所得については十万円、給与所得以外については五万円、このようになっておりますが、この差がつけられました理由といいますか、このことについてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/250
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251・塩崎潤
○塩崎政府委員 これも私どもは御説明申し上げましたが、昭和三十三年以来五万円という配偶者控除あるいは扶養控除の適用要件が据え置かれておりましたが、給与所得、事業所得の勤労性の所得につきましては、やはり分割の弊害も少ないと認められます。さらにまた、そういった小額の所得は内職所得とも考えられる、そういった意味では、夫の所得を補う担税力の少ないものである、したがって小額非課税の思想から、小額の所得は扶養控除あるいは配偶者控除の適用要件からはずしてもよかろう、こういった思想から十万円に引き上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/251
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252・田中昭二
○田中(昭)委員 配当控除でありますが、配当控除を廃止するというお考えはないかどうかをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/252
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253・塩崎潤
○塩崎政府委員 この問題は法人税の基本的な考え方の問題でございますので、私どもの大臣からもしばしば申しておりますように、慎重に今後検討してまいりたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/253
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254・田中昭二
○田中(昭)委員 先ほどの寄付金問題、出ましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/254
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255・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは千万円というところをつかまえられましたので、またいろいろな御批判が出るかと思いますが、この方が現在までならば税額で八十一万円控除になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/255
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256・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの八十一万円というのは、現行法ですか、改正法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/256
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257・塩崎潤
○塩崎政府委員 現行法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/257
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258・田中昭二
○田中(昭)委員 改正法では幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/258
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259・塩崎潤
○塩崎政府委員 改正法では六十五万円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/259
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260・田中昭二
○田中(昭)委員 寄付金の控除につきましては、千万円の所得者が三百万円の寄付をした場合に認められる限度は、現行法においては八十一万円認められる、改正法においては六十五万円認められる、そのように寄付限度額が下がったということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/260
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261・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは税額控除から所得控除に直す際に常にぶつかる問題でございます。先ほどの障害者控除、老年者控除も同様に遭遇する問題でございますが、千万円のところはそういった、先生の御指摘になりますそれをこしますと、またこれは控除額が大きくなってくる、むしろ、こういった日本の寄付金控除の実態を見ますと、まだまだほとんど適用を受けておる方はございません。あるといたしますれば、相当金持ちの方でないと寄付ができない、そういった意味から見ますと、上のほうの控除限度を甘くするほうが適当である、こういった考え方から今度の所得控除をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/261
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262・田中昭二
○田中(昭)委員 次は法人税の問題でございますが、法人税もこのたびの改正ではそうたいした問題もないようでありますが、清算所得に対しましては、いままでもいろいな問題があったものがある程度これで解決しておりますから、法人税の税率の問題につきましては、いまの一律の税率よりも、数段階に分けて、高額の所得の法人に対しては法人税率を上げる、また、中小企業の低い所得法人に対しては税率を下げる、このようなことについて、現在、主税局長並びに大蔵省としてお考えがあるのか、また、今後この問題についてはどのようなお考えをもってやるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/262
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263・塩崎潤
○塩崎政府委員 大企業と中小企業の税負担の問題、これは今後大いに検討しなければならぬと思います。その際に、中小企業につきましては、田中先生いま御指摘のように、大企業と違った税率を設けるべきである、これもまた一つの方向だと思います。現在の支払い配当軽減率がいいかどうか、こんなような問題さらにまた、所得税とのバランスでもう少し検討すべき問題ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/263
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264・田中昭二
○田中(昭)委員 これで一応私質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/264
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265・内田常雄
○内田委員長 これにて所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の三案に対する質疑を終了いたしました。
次回は明二十四日、午前十時、理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01619670523/265
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