1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 三池 信君 理事 毛利 松平君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奥野 誠亮君 菅 太郎君
鯨岡 兵輔君 小峯 柳多君
小宮山重四郎君 河野 洋平君
笹山茂太郎君 砂田 重民君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 山中 貞則君
渡辺美智雄君 阿部 助哉君
只松 祐治君 野口 忠夫君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 柳田 秀一君
山田 耻目君 春日 一幸君
永末 英一君 田中 昭二君
広沢 直樹君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
総理府人事局長 増子 正宏君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 海堀 洋平君
大蔵省主計局次
長 武藤謙二郎君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省銀行局長 澄田 智君
国税庁長官 泉 美之松君
委員外の出席者
大蔵省主計局給
与課長 津吉 伊定君
郵政省郵務局業
務課長 浅尾 宏君
日本専売公社販
売部長 斎藤 欣一君
専 門 員 抜井 光三君
—————————————
五月二十六日
委員砂田重民君辞任につき、その補欠として黒
金泰美君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員黒金泰美君辞任につき、その補欠として砂
田重民君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第九一号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第二号)
登録免許税法案(内閣提出第七四号)
登録免許税法の施行に伴う関係法令の整備等に
関する法律案(内閣提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/0
-
001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/1
-
002・堀昌雄
○堀委員 今回も税務署統合の問題が出されておるわけでありますが、これに先立って、実は夕張税務署以下六つの税務署が今度廃止されることになります。
そこで、ちょっとお伺いをしておきたいのは、これらの税務署で、おのおの全部あげていただきたいわけですが、過去一年間に更正決定その他を行なって税務署に出頭を求めた人数は一体幾らで、月別には一体どのくらいの人員の出頭を求めたのか、ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/2
-
003・泉美之松
○泉政府委員 ただいまお話の、税務署が更正決定をしたことによって税務署へおいで願った納税者の数でございますが、ただいまのところ的確なその数字は持ち合わしておりません。後ほど調べてお知らせいたしますが、ただ、納税者の数を申し上げますとおおよそ見当がつくだろうと存じますので、それから申し上げてみたいと思います。
まず、夕張の税務署でございますが、四十年度の申告所得税の納税人員は七百七十七人でございます。その次に、仙台の赤湯税務署は千三百五十一人、名古屋の熊野税務署は千百十五人、高松の卯之町税務署は五百八十四人、大阪の香住税務署は九百九十五人、熊本の玖珠税務署は七百四人、こうなっております。
そのほか、法人数を申し上げますと、夕張の税務署が二百十三、赤湯の税務署が百八十三、熊野の税務署が百九十二、卯之町の税務署が百五十九、香住の税務署が二百二十五、玖珠の税務署が百六十二、こうなっております。
したがいまして、これらのうち、更正決定をいたしました件数は、法人につきましては、一般の例からいたしますと約三割五分程度になりますが、いま申し上げました法人数の三割五分程度、それから申告納税の場合でございますと約一〇%程度、一割に満たない数字であります。大体その辺の数字で御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/3
-
004・堀昌雄
○堀委員 現在のこれらの税務署は徴税コストもかなり高いわけですし、私も、これらの税務署を近くに統合して合理化をはかると同時に、その人員を都会地に集めて処置することの基本的な考え方には、必ずしも反対ではありません。ただ、結局これらの地域は、すでに各局管内においては最もへんぴな地域でありますから、そういうきわめて交通その他の条件に恵まれていない地域の人に対して更正決定その他を行なって、現在の税務署に出てくるのでもかなりな距離がある人たちが、たとえば、私地理的によその部分はわかりませんから大阪国税局管内の香住税務署を例にとってみますならば、この香住税務署に出てくるのでも、実は現在かなり広い範囲から出てくるわけでありますが、これが今度は豊岡の税務署に出ていかなければならぬということになってくると、納税者にたいへんな負担をかけることになるわけです。ですから私は、いま更正決定その他によって税務署側の理由によって税務署に来てくださいと言って一こちらから行くぶんには幾ら行っても別でありますが、来てくれと言う場合には相当な負担がかかることになりますので、これらの六税務署の廃止については、少なくともこれまでの各税務署における呼び出しをした月別の人数等を調査して、その人たちを少なくとも税務署の構成その他の都合によって呼び出さなくても処置ができるような措置、ということは、要するに、一年じゅう人間を配置しておく必要もないのでしょうが、更正決定をする時期を一カ月なら一カ月間にまとめるならまとめて、その時期には法人税係あるいは所得税係、直税係がやはりこれまでの税務署に出張って、そこでいろいろな申告指導なりその他を行なうということで、少なくとも納税者にこれまで以上の不便をかけないということでないと、われわれとしては、やはり税務署の都合だけでこの問題を処理しようということについては、これは住民の側の立場からして了承できないということなんであります。ですから、年じゅう人間を張りつけておけということを私は言うわけではありませんけれども、要するに、必要に応じてそういうことができるように、同時にまた、現在の税務署の仕組みとしては、あるいは納税の指導というか、いろいろな問題もあるだろうと思うのです。
ですから、特に確定申告時期には当然出張って処置がされるものだと思いますけれども、確定申告時以外でも、月のうち最初の五日間なら五日間に、直接そういうものに関係のある人間がそこにいますというようなことを通知をして、豊岡税務署から人を派遣して処置をするなり、少なくとも、住民側がこの税務署の廃止によって負担を新たにかけられることのない措置をこの際は十分考えていただくのでないと、われわれとしては、簡単に税務署の廃止ということについて賛成いたしかねるのですが、その点について、ひとつ国税庁長官の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/4
-
005・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、税務署を廃止統合いたします場合におきまして私どもが一番問題といたしておりますのは、納税者の方に御不便をおかけしないようにということでございます。したがいまして、廃止統合予定署を予定するにあたりましても、単に税額が少なくなった、あるいは徴税コストが非常に大きい、定員が少ないといったような事情だけでなしに、統合された後、納税者の方が従来に比べて交通の便利その他からどの程度困るようになるか、それがあまりお困りにならないような程度のことを目途といたしまして統合予定署をつくっておるような次第でございます。
しかし、それにいたしましても、いまお話のように、隣の税務署に統合されるということになりますと、納税者のほうから出かける場合もありましょうが、税務署のほうからお越し願うということになりますと、いろいろ御不便をおかけすることになります。したがいまして、所得税の申告納税時期の場合におきましては、これはもう当然でございますが、税務署のほうから統合された税務署の町村役場等に出向きまして、納税者の方に御不便をかけないようにすることを考えております。そのほか、いまお話しのように、地元の町村とよく連絡をとりまして、いろいろの方法によって納税者の方に御不便をおかけしないような方途を講じたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/5
-
006・堀昌雄
○堀委員 施設そのものも、税務署の職員がいない施設をそのまま持っておることも適当でないでしょうから、いまのあなたのお話のように、町の役場のどこかを借りるなり、これは年じゅういなければならぬという問題ではないと思いますから。しかし、そうだからといって、二カ月も三カ月もだれも行かないというのでも困るが、当分の間、これまではちょっと税務署に相談に行けば話がわかったことがわからぬ、こういうことになるわけですから、そこらは十分町の当局者と相談をしてもらって、どういう時期にどういうスタッフが何日くらい、まあ月の初めの五日間なら五日間というふうに限ってやってみて、必要がなくなればだんだんとそれはその段階に応じた処置がとられればいいんで、そこらはひとつ町村の関係者と十分相談をして、町の関係者の納得のいく範囲の措置をひとつ責任を持って講じてもらいたい。
私どもの香住の税務署についても、やはり管下の五つの町長その他が陳情に参りまして、たいへん不便になるから置いてもらいたいという話であったけれども、私は、税の全体の仕組みから見て、置くことが必ずしも適当でないと思うから、それはひとつ廃止の方向に賛成をしてもらいたい、しかし、皆さんの町民に御迷惑をかげないような措置は十分委員会において確認をするようにしたい、こういうふうに言ってあるわけですから、その点はひとつ地元のそういう各町の関係者と——これはたまたま私は自分の近くにある香住を例にとっておりますけれども、六つの税務署もいずれも同様でありますから、そういうことで、その関係町村の関係者と十分話し合って、その人たちの理解のいく措置を責任を持ってひとつ講じてもらいたいということを強く要望しておきます。これについて小沢政務次官から重ねてひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/6
-
007・小沢辰男
○小沢政府委員 私、先生のおっしゃることは、もうそのとおりだと思いますし、また政治家として考えますと、筋を通してそうした御指導を願ったことに心から感謝を申し上げます。
事後の処置といたしましては、当然先生のおっしゃるように、十分私ども住民に不便のかからないような措置を関係町村並びに納税者の方々と相談をしまして善処するように指導をいたしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/7
-
008・堀昌雄
○堀委員 その次に、昨年ですか一昨年ですか、世田谷税務署を調査に参りましたときに感じたことでありますけれども、国税庁の定員と、それから税務大学——税務研修所だったか、要するに、教育機関に入っておる者との関係が、定員の中へ入っておるけれども実際に使えないというのだったかな、何か、確定申告時期にせっかく使えそうな人間があるにもかかわらず、実はそれが第一線で働けないという状況を現地で聞いた記憶があるのですが、現在、教育をして税務官吏として第一線に配置される者と定員の関係というものはどういうことになっておるのか、ひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/8
-
009・泉美之松
○泉政府委員 御承知のとおり、国税庁の定員は五万一千百五十一人に相なっております。その中には税務大学の普通科に入っておる職員、つまり高等学校を卒業しましてから一年間税務大学の普通科で教育いたしまして、その教育が終わった後に税務署に配置するわけでございますが、その人員を含んでおります。これは国税局の定員になっております。今年でございますと、約千四百人を採用いたしておりますが、これの人員が定員の中へ入っておるわけでございます。
お話のように、所得税の申告期限が二月十六日から三月十五日までとなっておりますが、実はこれらの職員は一年間教育いたしますので、四月一日に税務大学に入りまして、三月の終わり、大体三月の二十日前後に卒業することになっております。そのために申告時期にこれらの者を使うことができないという事情にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/9
-
010・堀昌雄
○堀委員 実は、税務大学というのは国税庁がやっておることでしょうから、皆さんの実務上の運営の面からも少し考えていただいたらどうかと思うのでありますけれども、四月一日から入れるのはいいとして、ともかく二月十六日から三月十五日に至るネコの手も借りたいときに、千四百人の人間が教育中だということで実員の中に——定員ではあるけれども外になっておるかっこうになっておるという点は、これはどうなんでしょうか。少し教育方法を考えて、ともかく一月三十一日くらいに一応卒業させて、そうしてインターンのようなかっこうに各国税局に配置をして、その中で実務の下働きをやるなら、実務を覚えることも今後の税の行政上にとって決してマイナスではないのではないか。そうして、もし必要があれば、あくる年の主たる申告の終わった時期に再度集めて、それらの実際のインターンをやった問題を、十分そこでもとにしながらもう一ぺん再教育を二カ月なり三カ月やって、再講習なるものをやるとしたところで、これはむだがないのではないか。同時に、それは税務職員にとっても必要なことであろうし、税務署側にとっても、ネコの手も借りたい時期であるから、少なくとも四月から一月まで約九カ月教育がされておる者なら、しろうとのアルバイトを雇うに比べてはるかに役に立つのではないか、私はこう考えますけれども、その税務大学普通科の教育課程のあり方について再検討してみる考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/10
-
011・泉美之松
○泉政府委員 堀先生のおっしゃること、私もよく御意向はわかるのでございます。ただ、税務大学で教えております教科目というのは、だんだん世の中が複雑になってまいりますにつれまして教育しなければならぬことがふえてまいっております。以前は、必ずしも一年間税務大学といいますか、当時は税務講習所でございましたが、税務講習所に置いていなくても済むということで、申告時期にそれらの職員を手伝わせるという措置を講じたこともあるのでございますが、最近はだんだん教科目の内容がふえてまいりまして、一年で教育するのがぎりぎりだといったようなありさまになっておりまして、そのために申告時期にこうした職員を活用することができないのが現状になっております。もちろん、千四百人という職員が手伝ってくれるということは、非常な忙しいときでありますし、役に立つことは確かでございます。
ただ、これらの職員をそれじゃどういう仕事に使うかということになりますと、申告時期におきまして納税者の方が来られて、それについて相談に応ずるという仕事は、やはり調査をした経験のある者でないと、納税者の方に、お話を聞きながら同時に自分のほうのお話もするということはなかなかできにくいのでありまして、どうしても入場者というか、税務署へ来られる方の整理とか、番号札をお渡しするとか、呼び出しをするとか、こういったような仕事ぐらいしかあまりすぐにはできにくい。そういったことにつきましては、会場に案内するとか、呼び出しするのは、むしろ女子職員のほうが、お互いにうまく、スムーズにいくといったような関係もありまして、現在のところ先ほど申し上げたようなことにいたしておるわけであります。
しかし、だんだんと納税者の数に対しまして税務職員が足らない実情からいたしまして、先生のおっしゃる御趣旨もよくわかります。われわれといたしまして、どういうふうに現在のそういった問題を解決するか、なお一そう検討してみたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/11
-
012・堀昌雄
○堀委員 まあ、長官ですから、あなたも申告の実務はごらんになっておることだと思うのですが、われわれもたびたび申告時期に税務署へ行って感じるわけですけれども、納税相談をして、大体額がいろいろきまってくると、それを今度は申告を受けておる税務職員が計算をして税額をはじいて、間違っていれば、修正というか、あなた、これはこうじゃないですかというので、彼のほうの計算が間違っていた場合には計算をし直してあげているわけですね。こういうのが、二人ずつが組になって、税務大学を出てきた者なら当然税率計算ぐらいできるわけだから、相談そのものはやはりキャリアのある者がしないといろいろな中身がわからない、しかし、そこまできたら、これはこうですよということになったら、あとの計算ぐらいをそのいまの新しい人にまかせてやれば合理化が大いに進むのじゃないか。同時に、それを計算しないときは、その人たちが申告者との間の話を聞くことが、税務職員の実地研修としては非常に役に立つ、いろいろな業種の人が来たときに、なるほどこういうことなんだなということが講義では、やはり実習じゃないのですからね。皆さんのほうは、実際実習するわけにはいかないわけだ。絶好の実習の場がこの確定申告のときにあるわけです。私は、あなたのいまの非常に複雑になったということはもちろんわかるけれども、現場のほんとの知識を得るのはやはりそういうときが一番現場の知識の得やすい教育の場なんですから、片方では計算その他をやらせることによって手を省き、片方では納税者との相談の中から実際の納税のいろいろな問題点をこれらの新しい職員がくみ取ることができる機会があるのだから、たまたま、皆さんの場合国税局に定員を配置されておるようだけれども、何も一ぺん税務大学の者を全部地方へ帰してまた持ってこなくても、大体が東京というところは非常に人間も多いし、税務職員が必ずしも納税者の数に比例して十分にいるわけでもないと思うから、東京局管内なり関信越を含めてのこの近郷近在にだけでも千四百名を一応配置をして、そうして、訓練とあわせて税務職員の負担軽減、要するに、納税者の利便をはかるという問題に使い得る道は十分あるのじゃないか。残った課程については、私がいま申したように、何も四月、五月にこれを再教育をしたところで もう四月、五月になればあと始末の段階ですから、そんなに急激にたくさん定員が要るわけではないだろうと思うので、その点はあと二、三カ月もう一ぺん本来の科目のものをやる、そのときに、実際に自分たちが一カ月なりにわたって見聞したことは、実際今度また話を聞くのに非常に役に立つ。われわれ医者は、御承知のように、から講義というのと実習と臨床講義と三つあって、ただ耳で聞くだけではなくて、臨床講義で患者を前に置いて、その患者の実態についての講義があり、同時にわれわれは実習をやって、患者に接してやるということの中からわれわれの経験を積んでくるというのが教育の課程ですけれども、確定申告の約一カ月というのは絶好の研修の場ではないのか、こう私は考えますから、この点は、ひとつ国税庁長官、あなたの長官の間にそういう路線を引いて、後世の職員から、泉長官というのは非常にいいことをやってくれたという名声をかち得る道があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/12
-
013・田中昭二
○田中(昭)委員 関連質問をさせていただきます。
ただいま堀委員のお話の中にありました税務職員の定員の中にありながら税務大学に行っているという問題でございますが、これは短期講習並びに税務大学高等科在学生、このことをおっしゃったのではなかろうかと思います。いま長官のおっしゃった普通科の生徒は当然卒業して入ってくるわけでございますが、高等科の入学生は当然税務署の定員におります。その人が高等科に入学すれば、その分の仕事は当然残っている税務署の職員が二重の仕事をやっているという実情をそのときに言ったのではないか、そのように思われます。あわせて、高等科在学の税務大学校生徒、並びに短期講習を行なうその短期講習に対する計画並びに実習を行なう時期、そういうものについて長官から御答弁をいただければよくわかるのじゃないか、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/13
-
014・泉美之松
○泉政府委員 堀先生のおっしゃる御趣旨は私もよくわかります。ことに、税務職員といたしましては、単に理論の勉強だけでなしに、実地にいろんな実務の経験を覚えて、ことに納税者に接する機会があると、これは非常に勉強になることでございます。そういった点につきましては、千四百名と申しましても、各国税局ごとに税務大学の普通科があるわけでございまして、全部の職員が東京に集まっておるわけではございません。東京におきまして教育をいたしております者は約四百名、関信国税局のほうで二百名程度、合わせて六百名、そのほかの名古屋、大阪、熊本、仙台、札幌、こういう各国税局所在地の税務大学の地方研修所におきまして教育をいたしております。
そういったことからいたしまして、東京に千四百名全部集めるわけにはもちろんまいらぬわけでありますけれども、しかし、お話のように、それは職員を教育する場といたしましては絶好の機会でありますし、かつまた、税務当局といたしましてはネコの手も借りたいときでございますので、そういった点につきましても今後十分検討してまいりたいと思います。
それから、田中先生のおっしゃった税務大学で現在やっておりますのは、先ほど申し上げました普通科の生徒のほかに本科というのがあります。これは税務職員として勤務いたしまして約十年程度たちましたところで専門の高等教育を受けるということで、これは全国で二百名の者を東京に集めております。これは東京で全部教育をしておるわけであります。この本科生も四月の半ばに入校いたしまして、三月の終わりごろに、三月二十日前後に講習、教育を終わる、こういうことになっております。この職員は税務署の定員から出てきて教育を受けるわけでありまして、その数は少ないのでございます。また、これらの職員はすでに十年以上の経験を持っております。しかし、こういった非常に経験を積んだ職員をたとえ二百人でも、教育課程にあるために非常に忙しいときに使うことができないということは問題かと存じますが、この二百名のうち、所得税の事務を担当いたしております者はそう多くございませんで、大体七十人くらいでございまして、あとは法人、間税、徴収といったところ、合わせて二百名、こういうことになっております。これらの職員はわずかでもありますし、教育のほうを充実させるほうが将来のために効果的であろうと思っております。
それから短期講習のほうは、これも税務大学本校並びに地方研修所それぞれにおきまして短期講習を行なっておりますが、これはやはり事務の繁閑を見ながらそれぞれの講習を行なっておるわけでございまして、したがって、申告時期のようなときには短期講習は行なわない、申告事務を担当している職員についてそういうことは行なわないということにいたしておりますので、したがいまして、税務の忙しさという点から見まして、そしてまた教育の効果という点から見まして問題になりますのは、いまの普通科の生徒だというふうに考えます。
〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/14
-
015・堀昌雄
○堀委員 私は千四百名全部東京に集めて教育しているかと思ったら、局単位で教育しているそうですから、かえってけっこうだと思います。各局で特に繁忙な署に対してそれを割り当てることによって経験と手助けができるということになりますから御検討いただきたいわけです。
それから、いまの本科のほうは二百名で、所得税は七十人とおっしゃいましたが、実際に申告時期には所得税だけが申告を受け付けるというのではなくて、法人も間税もみんな窓口に出て所得税を受け付けているのではないですか。この前私が見に行ったときにはどうもそういう感じがいたしましたが、そこらの現状の申告の受付状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/15
-
016・泉美之松
○泉政府委員 申告事務の間は全署をあげてそれを円滑に処理するように応援をするという体制をとっております。ただ、実際仕事をする職員は、これは所得税の職員が中心になりまして、そのほか徴収は、これは当然納税相談がございますから、徴収、管理の職員はその納税相談をやる、それから法人税の職員でも、かつて所得税を担当したことがあります者につきましては、所得税の実務がよくわかっておりますので、そういった者はやはり応援をして手助ける、こういう措置をとっておりますが、法人税だけしか経験のないような者は、むしろ法人税の仕事をさせるというような措置をとっております。それぞれ各局、各署におきまして非常に忙しいときでありますので、全力をあげて処理するようにいたしておりますが、やはり従来のその職員の経験といったようなことを考えて、その仕事の分担にはやはりある程度差ができるのは当然のことかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/16
-
017・堀昌雄
○堀委員 いまの本科の二百名は、人数は少ないですけれども、十年のキャリアのある職員ですから、これは税務署にしたら——申告納税の最も稠密になるのは大体三月の十五日前一週間くらいだろうと思うのです。それまではばらばら来ますから署の能力で十分足りるだろうと思うのですが、やはり非常に忙しい三月の八日ぐらいから十五日ぐらいまでの一週間は、何らかこれは署へ返してやることが、現在の徴税の問題からして、納税者のためでもあるし、署における職員の負担軽減の役に立つのではないか、こう思いますので、そこらもひとつ配慮願いたいと思うのです。
これからちょっとお伺いしたいのは、最近の税務職員の退職の状況です。特に、皆さんのほうで十年たって、本科へ入れて一年間教育をした税務大学の本科卒業生、これは全体を言っていただきますが、その中で税務大学の卒業生の退職者というのは一体一年にどのくらいあるのか、そこらを含めて、ちょっと退職者の最近の実情を、この二、三年についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/17
-
018・泉美之松
○泉政府委員 現在ここ二、三年の税務職員の退職者数は約千名を前後しております。職員総数約五万人に比べますと二%ちょっとといった退職割合になっております。これは一般官庁の退職割合と比べましてそう変わりなくて、一般官庁のほう一は三%ぐらいの数字でございますので、むしろ少し少な目くらいかと思います。
ただ、全体の職員はその程度でございますが、私どもが問題だと思っておりますのは、これらの退職者のうち、年齢で見ますと、これは堀委員よく御承知だと思いますけれども、一般民間の会社なんかでございますと、就職して一年目、三年目、五年目といったような、これは非常に研究の余地があるかと思いますが、そういった時期にわりあい退職が多いのでありまして、民間の退職の実情を調べてみますと、入社後五年以内に退職する者が退職者の約半数を占めておる、こういったようなことをお聞きいたしておるのでありますが、税務職員の場合は、就職後五年以内に退職する人員はそう多くありませんで、一割ちょっとでありまして、問題は、いまお話がございました三十歳から四十五歳までの間、このいわば中堅職員と申しますか、四十五歳になると相当上のほうになってまいりますが、この中堅職員の退職者が先ほど申し上げました千名前後の退職者のうちの約半数を占めておるのであります。これがいまお話のとおり問題でございまして、私どもといたしましては、せっかく教育も行ないまして、有為の人材として将来期待されるような人がやめていく、そこで、これらの人がやめていかないような対策を講じていかなければならないということで、せっかくいろいろ努力いたしておるのであります。しかし、現実には、御承知のとおり、ちょうど税務職員になりまして、直税事務を担当いたしておりますと、十年たちますと税理士試験の税法科目が試験免除になります。したがいまして、財務諸表と簿記の試験を受ければ税理士になる資格が出てまいります。ことに、本科を卒業するような優秀な職員でございますとそういった試験を通りやすいものでございますから、税理士になる資格が出てまいる。税理士になる資格が出てまいりますと、税務職員の収入よりは税理士の収入がはるかにいいというようなことからいたしまして、そちらに転向してまいるということがあるわけであります。もっとも、これは必ずしも全国一律ではございませんので、何と申しましても、税理士の仕事がありますのは東京、大阪、名古屋といった大都市に限られますので、したがって、地域的にはそういう職員がやめる率というのは違ってまいります。しかし、御承知のとおり、私のほうで一番問題なのは、東京、大阪、名古屋といった課税対象が近年急激にふえておりますところにおきまして、職員、ことに経験のある職員がそう多くない、そこで、そういった経験のある者がやめていかれるということが非常につらいということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/18
-
019・堀昌雄
○堀委員 せっかく税務大学等で教育をした者が、十分なものを身につけたら民間に移っていくというのでは、これはやはり私は国の側としては考えなければならない問題だと思うのでありますが、同時に、いまのは数での千人ですけれども、しかし質としては、いまあなたのお話のように二%というようなウエートでないと思うのですね。そのうちの五百人というのは、ともかく何人かかかってもなかなかできないだけの経験と能力を持った者がどんどんやめていく。もちろん、いまの国家公務員の給与体系と民間の体系との間の差があって、やはりだれしも、非常に拘束のきびしいところで給与の安いところよりも、拘束がゆるやかで給与が多いほうが、資本主義社会なら望ましい、こういうことになるのでしょうが、せっかく税務大学で一年も教育をした者がどんどんそういう形でやめていく。まさか、民間のそういう税理士を教育するために税務大学へ入れているわけじゃないのでしょうから、そこらはひとつ、税務大学へ入れて教育をした人たちはあと何年かは税務署で働くとか、何らかの契約というと大げさかもしれませんが、何かやはり方途が考えられていいのじゃないか。必ずしもそのことが身分を完全に拘束するということではないでしょうけれども、せっかく一年間も税務署の忙しい中を教育をした、そういう方がどんどんやめられたのでは本来の意図を果たせないのじゃないかと思うのですが、大体、いま年間、まあ年によって上下はするのでしょうけれども、税務大学の卒業生でやめるというのはどのくらいありますか、そういう調査はしたことないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/19
-
020・泉美之松
○泉政府委員 税務大学の本科の卒業生でやめる者につきましては、特別の調査をいたしたものはございませんけれども、税務大学の本科を出たような人は将来を期待いたしておる者でございますから、やめる率はそう多くございません。
ただ、いま問題なのは、これは堀委員もよく御承知だと思いますが、戦後、地方自治ということで、それまで地方団体に徴収事務を委託いたしておったのが、地方自治の関係で、国の機関で賦課から徴収まで全部やらなくちゃいけないということになりまして、税務関係の職員の定数が非常にふえたわけでございます。そのために、二十二年から二十四、五年までにわたりまして相当多数の職員を採用いたしております。これらの職員がだんだん係長というポストに近づいてまいったわけでございます。ところが、これらの職員は非常に多いのでありまして、四、五年でいまの五万の税務職員の約半数に近い人数になっております。これを私どもはいわゆる中ぶくれと称しておりますが、そういう意味で、職員構成が非常にいびつな姿になっております。これらの職員は、ようやくこれから係長、課長となって昇進していこうというところなんでありますが、いかにも人数が多いために、どうも自分らはいつまで税務署におっても将来性がないのじゃないかというような疑問を感ずるような状態になってきました。そこで、そんなことよりは、むしろ税理士とかそのほかに転向したほうがより将来性があるのじゃないかというようなことでやめていく職員が多いわけであります。これが非常に困ったことでありまして、私どもといたしましては、もちろんこの署長、課長、係長といった点からいたしますと、その人数をなかなかふやすわけにまいりません。
そこで、現在は人事院のほうにもお願いいたしまして、税務の仕事は、御承知のとおり、非常に専門的な仕事でございまして、署長、課長、係長といった管理職的な構成よりも、むしろその人一人一人ずつが専門的な知識と能力とをもって納税者に接していくというところに税務職員としての力が発揮できるわけであります。専門官体制に切りかえたい、一部の係長は残しまして、たとえば調査担当の係につきましては、調査官を中心とした組織に切りかえたい、こういうことで、人事院にお願いいたしまして、そういった専門官をふやす、それによって、係長にならなくても税務担当四等級、三等級になれる——現在は係長ですとむしろ三等級になれないのでありますが、専門職ということで三等級にまでなれる、こういう道を開くことによって、そういった職員の不満と申しますか、将来に対する不安といったものを緩和して、そして同時に、税務の体制がそういった専門官体制ということになって、かえって仕事がスムーズにいく、こういうことをねらいに、せっかく努力いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/20
-
021・堀昌雄
○堀委員 いまの中ぶくれの問題というのは、やはり一つの大きな現状の問題点のようであります。北陸のほうの税務署に調査に行ったときに、ほとんど高年齢者ばかりになってしまって、若い人は中心地のほうへだんだん出ていって、職員の残っているのは年寄りばかりですというような話がありましたけれども、今後は何とかひとつくふうをして考えていただきたいと思います。
最後に、実は原さんが長官のときに私要望いたしましてできた制度だと思うのですが、特別調査官ですか、要するに、当時は資本金百億円以上のものについての特別な調査班のようなものを考えていただいて、これで調査を特にやっていったところが相当な増差所得が出たという経験がありますが、その後は、これらの資本金の大きい会社もだんだんふえてきて、当時百億円以上は幾らもなかったのですが、最近非常に数も多くなっておるしするわけですけれども、この特別調査官のシステムはもう少しこれをふやして、大企業の調査というものがもう少し緻密に行なわれていいのではないかというふうに私は感じておるわけです。現在は庁にあるのと、局にあるのと、おそらくいろいろなかっこ三であると思うのですが、その実情をちょっとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/21
-
022・泉美之松
○泉政府委員 特別調査官は、お話のように当初資本金百億円以上の法人について相当手数をかけて調査をする、こういうことで発足したのであります。現在におきましては資本金六十億円以上の法人を担当させるということで、だんだんとそういった法人の数もふえてまいっておりますので、特別調査官の数も少しずつふやしてまいっております。
ただ、特別調査官の運用といたしましては、かつて申し上げたことがあったかと思いますが、大法人につきましては内部建制組織が発達いたしておりますので、二事業年度から四事業年度ぐらい、非常にみっちり日数をかけまして調べまして、こういう経理はこうすべきものだということをきちんと指示しておきますと、大体においてその指示どおりにその後の事業年度は処理されてまいります。したがいまして、私どもからいたしますと、のべつまくなしにその法人を調査するというのでなしに、次から次へ、いわばドック入りみたいにそういう法人を次から次へ四事業年度ぐらい集中して調査して、よくなったらもうそれほど綿密な調査はしない、そして、何年かたったらまたもう一度調査する、こういうふうな循環的な調査方法をとる、これが効率的なやり方ではないかということで、現在はそういうふうな運用をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/22
-
023・堀昌雄
○堀委員 実は、近年大口脱税というものが非常にたくさん新聞紙上に報道されるようになりました。私どもは、やはり、こういう大口脱税が案外時間がかかってわかるわけですね。もっと早くわかればその脱税の額がそうでもなかったものが、そのまま放置されておるために案外時間がかかっておるという実情がありますから、それは必ずしもいま言った大企業だけの問題ではありませんけれども、やはり問題のある業種については未然にこれらの脱税に対して措置のできるような調査、査察制度というものももう少し考案してみる必要があるのではないだろうかという感じがいたしますが、同時に、この間取り上げたように、これらの脱税した原資がほとんど銀行その他の金融機関預金になっておる実情から、やはりこれらの金融機関に対しても、情を知って預かっておるのが、森脇事件以来多いわけですから、それらについては、税務当局としても、再三にわたるそのような措置については、やはりそういうところの銀行名を公表するなり、何らかの社会的責任に対して処置が行なわれるような取り扱いもあわせて行なう必要があるのではないのか、こういう感じがいたしますが、それについてのお答えをいただいて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/23
-
024・泉美之松
○泉政府委員 お話のように、最近大口脱税ということがいろいろ目立ってきておりますが、私どもといたしましては、脱税があまり大口にならないうちに未然に防止していくということが望ましいことでありまして、脱税があまり大口になったあとにおきましては、結局納税者のほうも納税がたいへんになりますし、また、徴収をする税務当局といたしましてもその徴収がなかなか円滑にいかないということになりますので、できるだけあまり大きな脱税規模にならないうちに早期にそういった脱税の防止をはかっていく、そういうように査察あるいは特調事案というものを運用していく、これはおっしゃるとおりでありまして、私どももそういった気持ちでやっていきたいと思っております。何ぶんにも最近手口が非常に巧妙になっておりますので、脱税が発覚するまでに日数がかかります。そのために、どうしてもほんとうに発覚すると非常にたくさんな脱税になるという傾向があるのであります。
私どもとしましても、これらの点につきましては十分気をつけてまいりたいと思いますし、同時に、そういった納税者の方におかれましても、脱税は決してもうかるものでないという認識をしていただきまして、適正な申告納税に御協力をいただきたいものだ、このように思っておるのであります。
なお、お話のように、金融機関につきまして納税にいろいろ御協力を願わなければならない点があるのでありますが、遺憾ながら、現在の状況は必ずしもうまくまいっておりません。これらの点につきましては、金融機関側におかれましても十分反省していただきまして、税務に協力していただくようにお願いいたしたいと思いますし、また、私どもといたしましても、その協力を得るような方法につきまして、いまお話がありましたようないろいろな点を検討してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/24
-
025・堀昌雄
○堀委員 いまの点、小沢さんからもひとつ、これは銀行局その他全般の問題でありますからお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/25
-
026・小沢辰男
○小沢政府委員 堀先生の前回の措置法のときの御質疑もよく拝聴いたしておりましたし、ただいま国税庁長官がお答えいたしましたように、銀行側の協力、税の徴収という面から見まして必ずしも完全だとも思いませんので、私、省の幹部にもよく御趣旨を伝えまして、善処するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/26
-
027・堀昌雄
○堀委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/27
-
028・毛利松平
○毛利委員長代理 広沢委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/28
-
029・広沢賢一
○広沢(賢)委員 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案についてお聞きしたいと思います。
一番初めに大蔵省の担当官にお聞きしたいと思います。
まず第一番目に、移転料の問題から入りたいと思います。これは大体旧の移転料から新の移転料に改正して旅費を上げたわけですが、新旧比較しまして、たとえば五等級以下の職務にある者が鉄道百キロメートル夫満二万八千円で済むということになっております。移転料というのは、もちろん赴任するわけですから、大体二万八千円くらいで済むのかどうかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/29
-
030・武藤謙二郎
○武藤政府委員 職員が発令されまして移転しますときに、大体外国の旅行は飛行機で行くわけでございます。それは飛行機賃が出るわけでございます。そのほかに荷物を送るという関係が移転料のところへ出ております。
そこで、移転料の関係でございますが、今度御審議願っておりますのは、相当大幅な改定になっております。どういうふうにして計算したかと申しますか、外国の物価とか、それから最近公務員が実際に引っ越しておる例を見まして、どのくらい足りなくなっているか、これは荷物がだんだんふえてまいっておりますので、物価が上がっている以上に足りなくなっております。それから、民間の会社もどういうふうになっているか、そういうことを考えまして、結論としまして、移転料の関係で申しますと、定額のところを約五割上げております。そのほかにまた水路加算というのが、これが従来五%だったのですが、一〇%に上がっております。そのほかに陸路で運びますときに、これは水路に比べまして非常に金がかかる、それで特別にふやしております。そういうのは、従来は二〇%が陸路加算の限度でございましたけれども、実情を調べてみますと二〇%では足りない、そういうことで三段階を五段階に分けまして、最高三五%、そういうことにいたしております。そこで、そこまでの移転料、水路加算、陸路加算全体を見ますと、七割弱の改定になっております。そのほかに、まだ御承知のように着後手当も増額しております。そこで、これで大体やれる、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/30
-
031・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、二万八千円にプラスアルファということになるわけですね。家財や何か全部運ぶときはそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/31
-
032・武藤謙二郎
○武藤政府委員 本人は飛行機で行きますので、それは飛行機の切符代が別に出るわけでございます。そのほかに、家財を運ぶためにこの移転料が出る、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/32
-
033・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、今度は国内の移転料と比較しますと、国内の移転料は、たとえば家財を運ぶときはどういたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/33
-
034・武藤謙二郎
○武藤政府委員 国内も同じでありまして、これは飛行機ということはございませんで汽車賃でございますけれども、汽車賃のほかに移転料として家財を運ぶ分が出ます。国内の関係は、御承知のように昨年改定をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/34
-
035・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その昨年の改定でも、大体実情を調べると、全部荷づくりしたりその他をして、それで日通に頼んだら、国内の移転料の場合、もちろん赤字になりますね。それだからお役所のトラックや何かを頼んでやりくり算段しているのが、国内の移転の際の非常に苦しい実情だと思いますが、その点についてどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/35
-
036・武藤謙二郎
○武藤政府委員 昨年お話のような実情も聞きましたので、移転料につきましては約六割、非常に大幅な改定をいたしました。これは家財道具は個人によって差がありますから、どんな人でも足りるということは申せないと思いますけれども、六割引き上げましたので、相当大幅でございますから、現在では標準的な例では大体足りる、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/36
-
037・広沢賢一
○広沢(賢)委員 私の聞きましたところでは、大体それだけの引き上げをやっても、まだ普通の会社がやるように日通に頼んだら、一ぺんで赤字で、自分のふところから払わなきゃならぬという苦しい実情だそうです。だから、国内の移転料はもっと値上げをする必要があると私は思うのです。それに比べて、今度は外国の移転料の場合ですが、いろいろ考えてみて、これはそう高くはない。五等級以下の人たちのあれで計算すると高くはないと思います。
次に、旅費の問題ですが、旅費に関する規定の四十六条の項目で、大蔵大臣が実情に即して各省と協議して、旅費の実費についてはそれぞれ各省で違うことになっていますね。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/37
-
038・武藤謙二郎
○武藤政府委員 いまのお話の点は、四十六条の旅費の調整の関係だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/38
-
039・広沢賢一
○広沢(賢)委員 そうすると、各省でみんなまちまちに、予算があればそれでもって出すことになっているわけですね。だから、各省まちまちで、実情に応じて上下している。大蔵省は大蔵省の旅費規則でやっている、こういう状況ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/39
-
040・津吉伊定
○津吉説明員 お答えいたします。
先生のおっしゃるような意味での四十六条の規定ではございませんで、御承知のように、旅費法及び旅費の支給規程によりまして一般規定がございます。これに対しまして、四十六条をお読み願いますとわかりますように、特別の事情によりまして、あるいは旅行の性質上、不当に実費をこえる額がいくことになる、これは官用の交通機関を利用しますとか、あるいは官用の施設を利用するとかいうときには、あるいは金がかからぬ、あるいは通常の定額はかからぬということがございます。あるいは、非常に長期に滞在いたしますときは、これは固定費とその他量に応じて高くかかる費用と分けてみまして、固定費的なものは、長期になりますと比較的少なくて済むということがございます反面、実費を弁償しながら効率的に国費を使用するという意味でその間の調整をはかるという意味でございます。これは減額は非常に観念的に強く印象づけられるかと思いますけれども、反面、多額を要する場合というのが四十六条の二項にございまして、実費に比較しまして旅費の額が少ないというときには、ケースに応じまして増額を考慮することができるという趣旨の規定でございまして、基本的に各省それぞればらばらの旅費が出るような仕組みになっておるという趣旨の規定ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/40
-
041・広沢賢一
○広沢(賢)委員 わかりました。ところが、実情は相当ばらばらになっている。あまりその実情は深く触れることは避けまして、大蔵省の旅費支給規則によりますと、たとえば日帰りの場合に、旅行が行程八キロメートル以上十六キロメートルの間では九十円ということになっていますね。それから宿泊をすれば、炊飯施設があり、宿泊料を徴しない場合五百円ですが、大体これは実情に合っていると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/41
-
042・武藤謙二郎
○武藤政府委員 国内の日額旅費のほうは、これは大体各省の実態調査の結果でございますが、昨年これは附帯決議で改定について御要望がございました。そこで、一般の旅費は三割の引き上げでございましたけれども、日額旅費につきましては、これはこまかくなっておりますので、いろいろでございますが、たとえば旅行が行程八キロ以上十六キロ未満の場合、または引き続き五時間以上八時間未満の場合、行政の六等級以下というのは三七・五%引き上げまして日額旅費が百十円、それから旅館に泊まる場合でございますが、それは十五日の行政の(一)の六等級以下というのは、千円を千四百五十円にしまして、四五%の引き上げということになっております。それから公用の宿泊施設その他これに準ずる宿泊施設に宿泊する場合、それが宿泊料がただの場合と宿泊料を取られる場合とございますが、ただのほうは、六等級以下で申しますと五〇%値上げいたしております。それから宿泊料を徴する場合も五〇%上げております。そういうことで、相当大幅に昨年度実行の段階で上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/42
-
043・広沢賢一
○広沢(賢)委員 金額で言っていただいたほうがいいと思うのですが、そうすると、私の持っているこの二十八年七月十八日付の規則は大体現行どおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/43
-
044・津吉伊定
○津吉説明員 いま先生御指摘の九十円あるいは五百円というやつは、研修関係の旅費だと思います。それは日額旅費でございます。
まず九十円のほうは、これは日帰りで旅程が八キロ以上十六キロ未満、それから旅行時間五時間以上八時間未満というケースでございますが、これは先ほど次長が申し上げましたように、引き上げを行ないます前は六十五円でございます。それから五百円は公用の宿泊施設その他これに準ずる宿泊施設に宿泊する場合の研修でございますが、そのうち、炊飯施設があり、しかも宿泊料は取らないという場合でございます。引き上げる前は四百円でございまして、それが五百円になっております。この引き上げは一般の日当、宿泊料の三〇%余でございますが、その引き上げに応じまして日額旅費の支給される研修というような業務の性質、あるいは日帰りということ、あるいは宿泊施設があって宿泊料は取らないというようなことを考慮いたしまして、それぞれ各省の実態がございますので、実態に即して無理のないように引き上げを行なっておるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/44
-
045・広沢賢一
○広沢(賢)委員 やはり各省の実態に即してということになっているわけですね。そこがやはり私は問題じゃないかと思うのです。そうすると、たとえば定員——定員は給与の問題ですが、これは予算の額に応じてやはり相当窮屈になったり何かするというようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/45
-
046・津吉伊定
○津吉説明員 予算の積算のしかたの問題でございますので、単価の問題と、反面は業務量といいますか、そういう事務量の問題があると思います。したがいまして、総合的にはそれがかげ合わされたものが予算化され、実行されるということでございますが、われわれのほうの見方で、制度的に単価はどうあるべきかというふうに見まして、それがどのように運用されるかということは、当然予算外に使用されることもございませんし、予算の範囲内において効率的に、各人に御迷惑をかけないような実施がされておるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/46
-
047・広沢賢一
○広沢(賢)委員 その後のいろいろな実情については、そう深く立ち入りません。
それで、問題は金額なんですが、五百円の人というのも、やはりいろいろ差し引かれますね。シーツの代から何から、ずいぶんけちな話だけれども、いろいろ差し引かれますね。そうすると大体二月九十円くらいは差し引かれて手取りは二百十円。
それからもう一つあります問題は、交通費の問題ですね。交通費の問題も、大体寝台券とか特急券なんか、これはだめですね、二等急行の実費だから。そうすると、寝台券とか特急券とかその他の問題で、たとえば税務大学校その他でもって、いろいろ国のために先ほどのいろいろな研修を積むというときに、みんなやっぱり持ち出しになるという気の毒な状況があると思うのですが、それについてはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/47
-
048・津吉伊定
○津吉説明員 シーツの交換とかそういう辺は、具体的に一体何円かかっておるかということは自信はございませんが、大体私これまで聞いておりますところ、百七、八十円、それから、これはいろいろ官のほうの厚生費というものもございますし、庁費で見るという部分もございますし、いろいろそこらが総合されておりまして、いわゆる、しかるべく運用というものが旅費とともにされておるのじゃないかというふうに思います。
それから鉄道賃の問題でございますが、これは是非はいろいろ御議論はあろうかと思います。ただし、旅費を支給する場合の用務には、もちろん申すまでもなくいろいろございまして、研修もありますれば、通常の業務もまたその態様もいろいろございます。われわれ限られた国費の中で研修、講習というふうなことをやる場合には、これは私自身も経験もございますし、教えたこともございますけれども、しかるべくその旅費の額の範囲内で、やはり特急に乗らぬで出てきて勉強するというふうな観念もございまして、早く楽に出てこなければいかぬというようなことも、これはあるいはしかられるかもしれませんが、勉強に出てくるやつについてそこまで見るべきかという考え方の問題もございまして、一応現在の旅費法の見方といたしましては、先生の御指摘を受けるような見方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/48
-
049・広沢賢一
○広沢(賢)委員 全体として、旅費も移転料の問題も、計算しますと、上は国務大臣、それから下は六等級以下の職務にある人でも、この実費でやっていけるのかどうかという——引き上げたにしても、やはりよく計算しますと疑問が出てきます。そういう議論が出てくるわけですね。
それはさておきまして、たとえば、実際は各省ごとにきめられて各省ごとにまちまちだというこういう状況は、もう一つ例として給与の問題についてお聞きしたいと思います。いいですね。
給与でもって、昇格するということは、大蔵省の人も国税庁の人も、みんな非常な関心の的です。その関心の的の昇格についてちょっとお聞きしたいのですが、たとえば七等級から六等級に昇格するときに、建設省の方は十二カで上がっていく、ところが財務の関係の人は三カ月で上がるとか、それから、たとえば法務の関係の人は三カ月から九カ月で上がっていくとか、こういうようにずいぶん期間の差がありますが、これは職務の上で差がついているのでなくて、定員でもってこういう便宜措置で差がつくということを聞いていますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/49
-
050・津吉伊定
○津吉説明員 私、直接所管でございませんので、所管しておるという立場で申し上げられないことが遺憾でございますけれども、等級別の定数につきましては、職員の処遇という面がございますと同時に、その職務と責任に応じて、一体どういうレベルの職員が何人おるべきかというふうに、人事院のほうで等級別定数というのをきめられて、それを予算実行の際の基準として使っておるということになります。
非常に便宜的にとおっしゃいますけれども、本質的に見ますと、職務と責任というものを本質的に分析することは、これはとめどもない問題でございますし、そういう意味では、ある程度の相対的、現実的な水準でそういう定数の運用がされておるという意味では、おことばの便宜的というようなことかもしれませんが、本旨は、方針、考え方としまして、どうあってもいいのだ、単に数をふやすか減らすか、上に積むか下に積むかというだけの話だということじゃなくて、各省の事務に応ずる等級別の定数はいかにあるべきかということで積み上げられておる体系でございますと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/50
-
051・広沢賢一
○広沢(賢)委員 昇格の年月がこんなに六カ月とか三カ月とか十二カ月とかがあるということは、これは公平じゃないですよ。それが、原則としてはそうだといまの御答弁なんですね。原則としてはそうだ。だから実際はどうかという問題です。実際はどうかというと、定員によって年月がおくれたり何かしているという各省のアンバランスがいっぱい出てきている、そういう実情にある。旅費も、私が聞きましたのは、旅費は各省ごとによって、いま御答弁なさった原則としては——これは例外措置であるというお話ですが、原則としてはやはり全部一定しているのだということですが、各省の旅費の規定を全部比較しますとずいぶん差が出てくると思いますよ。そういう問題について、ことに給与の昇格の問題については国家公務員としていろいろ問題が出てくると思うのです。その問題について私はお聞きしているのです。つまり、もっと合理的にいろいろ考えられないものか、納得のいく旅費の制度なり、昇格の制度なりする必要があるのではないか。いまのやり方は、ちょっと日本的だと思うのです。その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/51
-
052・津吉伊定
○津吉説明員 人事院規則に昇格の規定がございまして、そのまま読むのもあれですので趣旨を申し上げますと、職員をその職務の等級に昇格させるときには、あらかじめ人事院の承認を得まして、人事院の細則できめておる資格基準に従って、その者の資格に応じ、一級上位の職務の等級に決定する、その場合に、その昇格させようとする職員が現に属する職務の等級において二年以上在級していなければ昇格させることはできない、ただし、二年に満たない場合に、あらかじめ人事院の承認を得たときはこの限りでないということでありまして、実態的に一年と六カ月あるいは三カ月というような差というものは、現実に、私先ほども申し上げましたように直接やっておりませんので、聞いておるだけでございますが、そういう極端な差はない、一定の資格基準によりまして昇格の運用をいたしております。ただし、先生御指摘のように、いわゆる何等級、たとえば六等級における山があって、五等級の定数が少ない、それでほかの省のどこかに比べると六等級が五等級に上がり得ない、不当にといいますか、バランス上非常に詰まった状態になっておるというふうなことが事実あるということは承知いたしております。しかし、それにつきましては、人事院においても、これをいかにするか、われわれももちろんときどき相談を受けるわけでございますが、一緒になっていかにするかを検討しているという状態でございまして、決して各省ばらばらで、ゆとりのあるところは早く上げる、ゆとりのないところは不当にしいたげられておるということではないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/52
-
053・広沢賢一
○広沢(賢)委員 いろいろ検討されていて、それから人事院のあれですから、これはさらにいろいろほかの同僚議員がほかの委員会で質問をすると思うのですが、実態は、私ども手に入っておる資料ではそういうものがあるのです。だから、なるべくそういうことが——昇格というと、みんな気にしますから、だから、ないように、なるべく公平に持っていくようにしていただきたいと私ども思うので、この問題についてはまたあとで質問したり何かします。
それで、旅費の問題ですが、私がいまやかましく質問したのは、結局国内旅費の場合に、相当みんな窮屈で、実情に合わない人も出るし、余裕の出る人もあるだろうと思いますが、移転料の問題一つにしても、民間会社のように日通に頼んだらもう赤字が出るから、大蔵省の車でもってやりくりをするというようなことが出ちまうわけです。そういうことのないように、国内旅費の問題についても、もう一回いろいろ御検討願いたい。
同時に、外国旅費の問題で先ほど申しましたが、内閣総理大臣が日当四千二百円、宿泊料一万三千百円で外国に旅行するという、これは非常に清潔でいいことだと思いますが、実情はどういうふうになるかということは、私はわからぬと思うのですが、そういう議論がわれわれの中から出ております。上は上でもって、下は下でもって、総理大臣の場合にはいろいろ便宜措置があると思うのです。ところが、六等級以下の職務にある者というものにとってみれば、外国旅行で、日当が甲地方でもって、新になると上がりましてわずかに千六百円、宿泊料が五千円、食卓料が二千二百円ですが、それでやっていけるかどうかということについては、いまの御答弁ではやっていけると言うけれども、私はまあこれはぎりぎりの線だと思います。特に移転料や何かの場合で考えますと、たとえば鉄道百キロメートル未満で外国旅行すると、五等級の人は二万八千八百円の移転料ですね。少ないですね。そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/53
-
054・津吉伊定
○津吉説明員 これは先ほど来実態調査一点ばりでございますけれども、実は外国旅費の大宗を占める外務省に十分お願いをいたしまして、われわれのほうで別段ねじ曲げて定額を計算したということもございませんので、直接実態を御承知になり、調べておられる外務省のデータに基づきまして計算をいたしましたので、そう不当なことではないと思うのであります。もちろん、その現状に応じまして今後も検討を放棄するという意味ではございませんので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/54
-
055・広沢賢一
○広沢(賢)委員 それでは、外国旅費のほうは実態調査だからそれでほぼ納得しました。計算するとどうも合わない点がありますが……。
今度は国内旅費の問題について関連して、この間値上げを言われましたが、しかし、よく調査をされるとわかりますが、赴任をする際に、家族が多かったり荷物をかかえたりして非常に苦労しているという実態は、私ははっきり証拠を持っているわけです。それから研修に行かれる人が手前持ちでもって少し実費が出てしまうというような実態もあるということです。
〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、旅費についてはもう一回、大蔵省なんか研修が多いし、よそのところもずいぶんあると思いますので、そういう問題について実態調査をして、膨大な予算の中ではわずかな額だと思いますから、実態に即応して、いろいろと便宜措置ややりくり算段をしないでも済むようにやっていただきたい、こういうふうに私は要望します。
以上で、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/55
-
056・平林剛
○平林委員 関連して。
この国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案で、外国旅行をする場合の日当、宿泊料、食卓料がそれぞれ各区分に応じて増額をされることになっておりますが、内閣総理大臣及び最高裁判所長官、国務大臣等及び特命全権大使、これは据え置かれておりますけれども、その理由、どういうことでそれを据え置いたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/56
-
057・津吉伊定
○津吉説明員 お答えいたします。
先生御指摘のように、非常にえらい人のランクは「内閣総理大臣等」となっております。一番上は内閣総理大臣、最高裁判所長官、まん中が、従来「その他の者」というので第三ランクにおりましたものを今回引き上げまして、最高裁の判事と会計検査院長、人事院総裁、検事総長、これだけを現在の国務大臣、特命全権大使という中二階のところに上げるわけでございます。いま御指摘のありましたランクは上二つでございまして、「その他の者」は日当と宿泊料をプラスして考えますと、大体概数で「その他の者」から上へ上がっていきますと三十ドル、四十ドル、五十ドル、こういうランクになります。それが「その他の者」が三十五ドルに上がりまして、三十五、四十、五十と、それぞれ四十、五十はちょっと切れるわけですけれども、そういう並びになります。
そこで、上二つはなぜ据え置いたかということでございますが、これは今回の改正におきまして、特に「その他の者」に入っておりました最高裁判事、検事総長、人事院総裁、会計検査院長という官職をまん中に持っていきますために、限られた期間で十分ではないのですけれども、外務省を通じまして在外公館から調査をとったわけでございます。そういたしますと、おおむね内閣総理大臣、最高裁長官、国務大臣、特命全権大使級の国際的水準といいますのは、日本が、これは必ずしもその国の評価に合うとは思いませんが、フランスとかインドとかという水準になるわけです。それからもっと先進といいますか、大多数の国は、特に西ドイツを先頭にいたしまして、それぞれ日本よりは低いわけです。アメリカにしろ西ドイツにしろ、イタリア、北欧諸国、こういうところが大体日本よりは十ドル、あるいはひどいところでは十ドル以上も低い。これは先ほど広沢先生もおっしゃいましたが、内閣総理大臣も、たとえば定額だけで旅行できるとは思えない、そういうことで、外国のほうでは交際費を別途出すとか、あるいは在外公館で別途費用を支弁するというような制度もあるようではございますけれども、そういう例等を考えてみても、依然日本は国際水準から見ると非常に高位にあるということで、上を今回の改正においては押えたというような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/57
-
058・平林剛
○平林委員 「その他の者」というのは、これはどういう者ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/58
-
059・津吉伊定
○津吉説明員 「その他の者」といいますのは、任免につきまして天皇の認証を要するいわゆる認証官、それから特別職給与法で定められております一定の職員、こういうことでございますが、具体的に申し上げますと、公正取引委員会委員長でありますとか、宮内庁長官、会計検査院の検査官とか人事院の人事官、それから時従長とか特命全権公使、認証官ではそういうものがございます。それから特別職給与法の職員では、内閣法制局長官でありますとか、あるいは内閣官房副長官とか国家公安委員会の委員でありますとか、あるいはその他、土地調整委員会とか首都圏整備委員会委員とか、そういう多種多様な委員会の委員というのが入ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/59
-
060・平林剛
○平林委員 いまのような人はみんな「その他の者」に今度なるわけですな。この表現、どうなのかね、私はそう思うのだけれども……。いまお話しになったようなものは「その他の者」なんだね。法律上でそういうことを規定するということはどうなんだろう。従来もこういうふうになっていたようだけれども、どうなんだろうか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/60
-
061・津吉伊定
○津吉説明員 いま読み上げましたものが今回「その他の者」に入るという——ことばじりを拾うようですが、これは今回「その他の者」に入るのではなくて、いま一番最後におっしゃいましたように、従来から「その他の者」に入っております。法律技術上「内閣総理大臣等」という一つのくくりがございまして、その中でそれぞれ個別的にあげました総理大臣とか最高裁長官とか国務大臣という、それ以外の人たちについて全部いま申し上げたのを列挙すればいいのですけれども、具体的には非常に繁雑でございまして、旅費法上は、失礼でございますけれども「その他の者」、こういうふうになっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/61
-
062・平林剛
○平林委員 だから私はそう言うのだ。旅費に関する法律であるから「その他の者」と、こうするので、失礼ではあるというお話だけれども、これだけはもっと表現のしようがあるのじゃないかと私は思うのだ。いまのお話のように、それは繁雑だというけれども、別表に掲げる者とか、上に「内閣総理大臣等」と、総理大臣の下に「等」を入れたから勲章をつけたようなものだろうけれども、「その他の者」というようなことでこれを表現するというのはどうかなという感じがしたのですがね。何かくふうしてもらったほうがいいのじゃないかと思うのだ。旅費支給だから失礼したってかまわないと、こういう思想もあるかもしれないけれども、やはりここいらの表現は、あなた方、頭がいいのだから、少し研究したらどうかなという気持ちがします。それで意見を述べておきたいと思うのです。
それからもう一つは、内閣総理大臣及び最高裁判所長官、国務大臣等及び特命全権大使を据え置いたことにつきまして、私はいろいろな政治的な事情というのはあると思います。けれども、それでは内閣総理大臣がたとえば東南アジアに旅行をされるときに、日当が四千二百円で済み、食卓料が一夜について四千八百円で済むとはだれも考えないわけですね。そして内閣総理大臣がもし外国に旅行されるときは、在外公館においても、あるいは国の総理大臣として体面を保つ上においていろいろな交際などもありましょうね。そういうことから、実際の経費というものはこうしたワクをこえて支出をされるわけでしょう。
私はちょっと参考のために聞いておきたいのですけれども、大体そうした旅行のときに、ここに掲げております「その他の者」ではなくて、はっきり名前が書いてある総理大臣とか——まあ最高裁判所の長官とかいうのはそうめったに旅行されることはないのですが、総理などはこれから旅行されるという計画もあるということなどにかんがみ、この際、一体従来の平均はどのくらいかかっておるのかということを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/62
-
063・武藤謙二郎
○武藤政府委員 いまお話がございましたが、内閣総理大臣等を上げなかったのは政治的ないろいろな問題もあるのだろうけれどもとおっしゃられましたが、私ども実は今度の改正につきまして外国の旅費規則を外務省を通じて調べてもらいました。そういたしますと、そう高くないのでございます。そこで、外国の例を調べて、これは日本の場合にも上の二つの段階は上げる必要がない、そういうふうな判断に到達しました。
なお、外国の場合に交際費というようなものはこのほかに出ている、それは日本でも同じだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/63
-
064・平林剛
○平林委員 そこで、これはあなたのほうの一存で、外国と比較していいからというふうにきめられたのですか。こうした問題は、これを担当する国会の中における一つの機関があるのだけれども、そことは十分相談をされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/64
-
065・小沢辰男
○小沢政府委員 立法府の旅費の問題につきましては、御承知のとおり国会の、それぞれこの法律とは別の体系に属するわけでございます。しかしながら、政府側の総理大臣あるいはまた国務大臣というようなものにそれぞれランクを合わして旅費なり給与なりというものがきめられているわけでございます。したがって、私ども政府側といたしまして、行政府の最高の総理大臣以下、旅費の規定を据え置いたり、あるいはそれを増額したりするような場合には、特に国会に関係がありますものの中で、事務総長以下の職員の問題になりますと、これは当然予算要求で毎年出てまいりますから、よくお互いに話し合いということで調整がとれるわけです。ところが、国会議員以上のことになりますと、当然政府側の決定いかんに相当影響があるものでございます。したがって、事前にやはりお話をすべきであったわけでございますが、私ども今回は全く、二年前に増額をいたしましたとき、話し合いがつきましたときのままで総理大臣や国務大臣は動かしてなかったものでございますから、ついうっかり、国会のそれぞれ担当の議院運営委員会のほうにお話をすることを失念いたしまして、その点はまことに私どもの手落ちでございます。
今回の改正は、先ほども説明があったと思いますけれども、総理大臣あるいは最高裁判官、それからその次の国務大臣等の二年前に改正をいたしましたときに、国務大臣と国会議員並みに上げるべき最高裁の判事あるいは検察庁の検事総長というようなそういう方々、従来ランクが一緒でありましたものを、今度は二年前に落としてきたといいますか、置き去りにしたものを今度そこへ一緒にしようというだけのものでありましたから——失礼しました。四年前だそうです。そんなことで私、ついうっかり御連絡をいたしませんで、この点はただいま先生方の御了解を得まして、議院運営委員会の理事会に私釈明に行ってまいったわけでございます。当然今後は行政府の、国会議員以上に相当するランクの改正をやりますときには国会にあらかじめ事前に協議をするということを必ず実行してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/65
-
066・平林剛
○平林委員 いまの御言明があったからこれ以上は言いませんけれども、私は、総理や国務大臣が外国に旅行する場合、ここに書いてある定額だけで実際上まかない切れるものではないという実情を承知しておるわけでございます。そうすると、私は、ただ前の話があったからということだけで、そのまま院に相談せずあなた方がこれをきめるということは、やはり適当ではないのじゃないかと思いますので、この点は十分な配慮を払ってもらいたいということを申し上げておきたい。
それから、あなた留守にしておったと思うのですが、「その他の者」の書き方も、私はさっき言ったら「その他の者」というのはこういうことだというお話がありましたけれども、「その他の者」という表現はあまりりっぱな書き方ではないと思うんですよ。これは私は、そういう意味から考えると、たとえば、別に掲げる者とか、何かちょっとやったほうが、法律案としてはきれいでないかという感じがするので注文をしておきました。ひとつ、政府においてもそうした点はよく考えてもらいたい。別に「その他の者」の地位を上げるという意味ではないのですけれども、私、表現から見て、いかに旅費とはいえ「その他の者」で片づけるというのは、先ほどの国会に対して相談なしにこういうことをきめるということと並んで、いささか軽視の傾向があるので、注意をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/66
-
067・内田常雄
○内田委員長 両案件に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/67
-
068・内田常雄
○内田委員長 両案件については、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
おはかりいたします。
本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/68
-
069・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について採決に入ります。
おはかりいたします。
本件を承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/69
-
070・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認するに決しました。
ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/70
-
071・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/71
-
072・内田常雄
○内田委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時二十八分休憩、
————◇—————
午後四時五十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/72
-
073・内田常雄
○内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
登録免許税法案及び登録免許税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/73
-
074・平林剛
○平林委員 きょうは、登録免許税法案それからその施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案の中で、計画をされております納付方法の簡素合理化について少し尋ねていきたいと思います。
政府の説明の中で、現行の印紙の納付方式に加えて、今回国税の収納機関である金融機関等に金銭を納付して、その納付書を登記等の申請書に添付する現金納付方式を併用することにしておるというお話があったのでありますけれども、その具体的な関係の法律文案は何条に該当するのかということを、初めに明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/74
-
075・塩崎潤
○塩崎政府委員 改正法案の二十一条、二十二条がその関係条項でございます。
なお、登録税につきましては、現金納付の規定は現行法にもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/75
-
076・平林剛
○平林委員 そこで、二十一条、二十二条の中でどういうふうに読むのですか。つまり、国税の収納機関である金融機関に現金納付ができるということがこの条項で始まるわけなんだけれども、私も何回か読み返してみたんで、一読するとわからなくても、二回ぐらい読めばわかると思ったんだけれども、ちょっとこの条文で金融機関に現金を収納すればそれでよろしいというようなことは、このどこの文句でこういうふうに解釈できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/76
-
077・塩崎潤
○塩崎政府委員 金融機関、郵政官署、これが当然収納機関でございます。通則法の三十四条に規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/77
-
078・平林剛
○平林委員 まだちょっと親切じゃないですね。この二十一条、二十二条でいまあなた言ったでしょう。そのところのどこの字句でそういうふうに読めるのですか。いま国税通則法第何条と言ったってだめですよ。この中に書いてあるうちのこれがこういうふうに該当するからというふうに答えないと、同じことを三回ぐらい繰り返し聞かなければならない。もう少し親切に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/78
-
079・塩崎潤
○塩崎政府委員 二十一条に、「登記等を受ける者は、この法律に別段の定めがある場合を除き、当該登記等につき課されるべき登録免許税の額に相当する登録免許税を国に納付し、当該納付に係る領収証書を当該登記等の申請書にはり付けて当該登記等に係る登記官署等に提出しなければならない。」この「国に納付し、」の国というのは、収納機関があるわけですね。収納機関に納めるというのが通則法三十四条にありまして、そこで三連の領収証書を一枚いただきまして、当該納付にかかる領収証書を申請書にはりつけて登記官署に提出しなさい、こういうふうに現金納付の場合を規定してあり、二十二条を見ますと、次のような場合には印紙納付であるというふうになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/79
-
080・平林剛
○平林委員 だから、法律というのは一般の国民が読んだらわからないのです。「国に納付し、」というのが、結局収納機関である金融機関に現金で納付できるという措置になっている、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/80
-
081・塩崎潤
○塩崎政府委員 さようでございます。通則法三十四条を見ますと、「国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書を添えて、これを日本銀行、郵便局又はその国税の収納を行なう税務署の職員に納付しなければならない。ただし、証券をもってする歳入納付に関する法律に定めるところにより、証券で納付することを妨げない。」二項に「印紙で納付すべきものとされている国税は、前項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、その税額に相当する印紙をはることにより納付するものとする。」こういうふうに書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/81
-
082・平林剛
○平林委員 国に納付するその金融機関というのは、具体的にはどういうところですか。いまのお話ですと、日本銀行、郵便局、税務署、こう言ったけれども、今度はどういう金融機関がこれに該当することになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/82
-
083・塩崎潤
○塩崎政府委員 日本銀行の中には日本銀行の代理店を含むわけでございまして、日本銀行が代理店を広範に、市中銀行、あるいは中には相互銀行もあるようでございますが、指定されることは御存じのとおりでございます。
問題は、登録税の場合に、日本銀行の代理店がどうなるかという問題でございますが、登記所のあるところ、必ずしも日本銀行の代理店がそばにあるとも限りません。したがいまして、そこは、私どもといたしましては、この政令でございますけれども、印紙納付の道を開くように現在のところ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/83
-
084・平林剛
○平林委員 そうすると、日本銀行の支店あるいはその代理店がないというところは、新たに市中銀行あるいは相互銀行、そういうようなものを指定をしていく、そういうところが国の納付機関になっていく、そういうことは今後は政令できめていく、こういうお話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/84
-
085・塩崎潤
○塩崎政府委員 登録税のために日本銀行の代理店をふやす気持ちはございません。いま申し上げましたように、日本銀行の代理店のないようなところは収入印紙で依然として納めていただく、したがいまして、一万円以下は収入印紙でいいわけでございます。日本銀行の代理店が近くにないような場合には収入印紙で納めていただく、こういうふうに政令で指定するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/85
-
086・平林剛
○平林委員 そこで私が聞きたいのは、そろそろ本番に入るわけですけれども、その金融機関が、たとえば一般の国民が登録のための代金を金融機関に納めますね。これは一人じゃない、相当数の人が利用するようになりますね。その金は、国、ほんとの国ですね、税務署なら税務署に納まるまでの道筋はどういうふうにして取り扱われるのか。それからまた、たとえば、きょう国民の中のAという人がお金を納めて証明書をもらうと、そのお金はその金融機関にどのくらい滞留していて、それからまた次に税務署なら税務署に納められるのか、こういう道筋と、それから、そういうお金が滞留するところの期間、大体どのくらいになるのかということをひとつ御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/86
-
087・塩崎潤
○塩崎政府委員 日銀の代理店が受け取りまして日本銀行の勘定に振りかえるわけでございますが、計算を精査いたしまして、受け取りました翌翌日に振りかえられるというふうに大体なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/87
-
088・平林剛
○平林委員 いまのお答えですと、滞留することはない、翌々日には振りかえられていく、したがって、金融機関においては、とにかく印紙の総代金といったら何千億円になるわけですから、全部が金融機関を使うとは限らないけれども、そういうものが金融機関に滞留するということはないのですね。そして、それを操作をしていくというような、後に指摘を受けるようなことはあり得ないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/88
-
089・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは、印紙収入のうち、現金収入の部分は全体といたしまして、改正の結果でも百二十八億円でございます。その他は印紙で納めていただくというふうに見積もっています。一般の国税の他の税目の例から見ましても、これが滞留いたしまして金融機関が利得するというようなことは考えたこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/89
-
090・平林剛
○平林委員 従来のやり方に併用して金銭納付するやり方をやることによって、大体どのくらいこういう方法を利用する国民が多くなるだろう、金額的にいえば、どのくらいはそういう方式を利用するようになるだろうという、何か見通しなどは検討なさったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/90
-
091・塩崎潤
○塩崎政府委員 この現金納付は、昭和二十八年以来、登録税につきましては初めて道を開いたものでございます。
なぜ二十八年にこういった制度を設けたかと申しますと、御案内のように、非常に不正印紙の使用が発見されまして、収入印紙を消し印するにいたしましても、その後の管理が登記所では自信がない、さらにまた、模造の印紙が非常に出てきて、国の歳入に対する影響が論議せられました結果、現金収入が昭和二十八年に初めて登録税に取り上げられたわけであります。しかしながら、このやり方ではまだまだ現在の金融機関が登記所に出張するには、非常に登録税の扱い金額が少ないようなところには採算上できないというようなことで、あまり広がっておりません。そこで、今回はもう少し範囲を明らかにして、現金収入の道を開こうということで、一万円という基準をひとつ設けたのでございます。ところが、御案内のように、登録税の課税対象でございます登記一件当たりの税額は五千六百円くらいでございますので、大部分は一万円以下、したがいまして、現在の印紙収入の見積もりを私どもが御提出申し上げております租税及び印紙収入予算額では、千二百十四億円のうち千八十六億円は印紙であり、百二十八億円は現金である、こういうふうに見ております。つまり九〇%は印紙でございます。改正後でもやはりふえますのは印紙収入分が百三十一億円、現金収入分が十九億円、合わせまして約百五十億円の増収を見ておりますけれども、その割合はほとんど見積もりとしては大差ない、私どもの見方では、今回の改正によってそんなに現金収入がふえるものではない、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/91
-
092・平林剛
○平林委員 国税庁にちょっとお尋ねしますけれども、いま主税局長のお話は、印紙で千八十六億円、現金で百二十八億円、今度は多少いろいろなものでふえてくるからこの現金の分が多少ふえるだろうと思いますけれども、その程度だというお話があったのですけれども、私は、わりあいとこうした登録活動というのは都会地に多いのじゃないかと思うのですね。そうしてまた、今後現金の納付というやり方をとられるのもやはり都会地に集中してくるだろうと思うのですね。
いままでのところ、各国税局管内でもけっこうですけれども、こうした形で収納された金額というのは、何か統計上出ておるのでしょうか、もしありましたらひとつお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/92
-
093・泉美之松
○泉政府委員 印紙収入のうち現金収入になるものは、御承知のとおり、印紙税法によるものと従来の登録税法によるものと、両方があるわけであります。そのうち、私どものほうの統計で四十年度分が一番わかっている最近のものでございますが、それによりますと、印紙税で二十三億円、登録税で五十六億円、こういった数字になっております。
そのうち、この印紙税のほうで申し上げますと、これはいまお話のように現金で入ってくる態様に、税印押捺で認めるとか、あるいは書式表示で認めるとか、納付計器で認めるとか、あるいは一定時納付といったような納付の態様がございますが、その国税局別の内訳を見ますと、四十年度の二十三億円のうちでは、東京国税局が約十二億円で五一%を占めております。その次が大阪国税局で五億三千万円、約二三%、こういった数字になっておりまして、この二局が相当大きなウエートを占めておる。御承知のように法人税なども東京国税局と大阪国税局で相当大きなウエートを占めておりますが、現金納付の分はその割合よりもう少し大きい割合をこの両局では占めておるように見受けられます。
それから登録税のほうにつきましても大体同様の傾向がありますが、登録税の場合には、従来この現金納付を認めておる登記所というのが、そういった大都市に集中いたしておりますので、いまの印紙税よりより多く大都市の局のほうに集中いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/93
-
094・平林剛
○平林委員 そこで私は、今回、納付方式の簡素合理化ということで、印紙納付方式に加えて現金納付方式を併用することになりますと、四十年において東京国税局管内で十二億円、大阪国税局管内で五億三千万円というぐあいに現金納付の形が実績としてあるわけです。先ほどの主税局長のお話で、今度もそうはふえないだろうけれどもというお話がありましたけれども、ある程度ふえていく。そうすると、これは私は従来印紙の売りさばき所というのですか、こういう人たちの、一つには生活権の問題もかかってきはせぬか。つまり——生活権とまで言うとちょっと大げさかもしれませんけれども、ある程度の影響は出てくるのではないかという点を実は心配しておるわけです。
ちょっと郵政省の方にお尋ねしますけれども、大体印紙の取り扱いをしておる店というのは全国でどのくらいあるのか。それからまた、国税局の管内でいえば、いまちょうど大阪と東京の例がありましたが、大阪と東京ではどのくらいなのか、まずそれをちょっとお話してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/94
-
095・浅尾宏
○浅尾説明員 お答えいたします。
現在の売りさばき人の全国の数でございますが、四十二年三月末で九万九千十八となっております。そのうち東京都が四千三百十六でございます。それから大阪府が二千七百八十七という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/95
-
096・平林剛
○平林委員 ついでですから、この四十二年三月末の印紙取り扱いの店は、手数料は一分だと聞いておったのですけれども、平均すると大体どのくらいの収入になっておるか。それからまた、大阪と東京は平均するとどのくらいの収入になっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/96
-
097・浅尾宏
○浅尾説明員 全国平均いたしますと、月額で約三千六百円程度でございます。東京、大阪だけの平均は、いま資料の持ち合わせがございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/97
-
098・平林剛
○平林委員 全国平均で一店三千六百円だといたしますれば、東京ではたぶんこの二倍くらい、七千円か八千円、あるいは一万円前後くらいになるんじゃないでしょうか。私もよくわからぬので勘で言っているんですけれども、大体そのくらいになると思う。これが従来の一店あたりの収益だといたしますと、現金納付方式が併用されることにより、相当数それぞれの店の取り扱いというのが少なくなってきはせぬかと思うのですね。そうしてその結果、各営業しておる人は 専門店はないでしょうけれども、そういうところにはどの程度の影響があるとあなた方は見込んでこの現金納付方式に郵政省は踏み切られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/98
-
099・浅尾宏
○浅尾説明員 登録税の一件当たりの税額と申しますか、それがよく把握できなかったのでございますので、全体的にはどの程度の減少になるだろうかということについては少し計算ができなかったわけでございますが、ただ、全国のうちで収入印紙だけを売りさばいておりますのが五百三十軒ばかりございます。そこが相当高額の収入印紙を売っておるやに聞いておりますので、その辺のところが多少減少になるんじゃないか、こう思ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/99
-
100・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは今回初めて登録税について現金納付の道を開いたのでございません。先ほども申し上げましたように、昭和二十八年からもうすでに特定の登記所につきましては現金納付の道を開いております。ただ、その範囲が非常に狭かったものでございますから、その範囲を広げたということが今度の改正でございます。さらにまた、その基準を明確にしたほうが納税者のために親切であろう、こういう意味で改正をお願いしておるわけでございます。
そこで、いまの売りさばき人に対する影響、これも政治家としましてごもっともな御心配だろうと私は思うのであります。しかし、今回の改正の結果増収になる分を見ていただきましても、むしろ収入印紙による増収が相当あることから見てむしろ手数料がふえていくのではなかろうかという私の判断 もちろん現金収入がふえない場合に比べて比較されておるのでございますが、それが一点。それからもう一つ、非常に大きい売りさばきの実績を持っておる方に対する影響を私どもが調べてみたのでございますが、これは現金納付も取り扱っておる登記所、その登記所の中で売りさばき人が一つの権利を持っておりますが、そこの影響を見てみますと、ほとんどが四十円以下の収入印紙の売りさばきでその収入をあげておるという実態になっておる。と申しますのは、謄本、抄本が収入印紙手数料四十円、この売りさばきが非常に多いものでございますから、それによって手数料を相当あげる、したがいまして、現金納付がその登記所に開かれておりましても、相当な金額——これは九月におきまして、一カ月でございますが二百九十万円、十月におきましては三百三十八万円という非常に大きな印紙収入の売りさばきでございます。それから見ましても、私は、むしろ先生方が御心配されるのがなぜかという疑問をやっと持ってまいったくらいで、非常に鈍感のほうでございますが、こういう影響からしましても、私はそんなふうな御心配は当たらない、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/100
-
101・平林剛
○平林委員 郵政省にもう一回聞きますけれども、大体あなたのほうは、登録税でも印紙税でも、まず大蔵省印刷局で印刷したやつを郵政省が買うて、それを売りさばき人に渡して、一般の国民がそこから買うという仕組みですね。逆に言えば、一般の国民が売りさばき所で買うて、そうしてそのお金はまず郵政省に行って、郵政省は大蔵省に入れる、こういうわけであなたのほうも手数料を取っておるのでしょう。それをちょっと聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/101
-
102・浅尾宏
○浅尾説明員 大蔵省から繰り入れ金としていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/102
-
103・平林剛
○平林委員 何分いただいておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/103
-
104・浅尾宏
○浅尾説明員 三分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/104
-
105・平林剛
○平林委員 三分というが、全体であなたのほうが手数料として郵政省会計に入るのは、金額として幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/105
-
106・浅尾宏
○浅尾説明員 昭和四十二年度で三十三億六千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/106
-
107・平林剛
○平林委員 今度こういう現金納付方式が併用されることによって、あなたのほうも手数料が減るのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/107
-
108・浅尾宏
○浅尾説明員 全体といたしまして税率が上がっておりますので、大蔵省から繰り入れられる額といたしましては増加しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/108
-
109・武藤山治
○武藤(山)委員 関連。
主税局長、たいへんこだわっているようですが、売りさばき人にそう影響はない、軒数が五百三十軒ですから、それは全国民の世帯数から見たら、五百三十軒の登記所や裁判所で売りさばいている数は微々たるものです。しかし、その人たちにとってみると、なぜ一万円という限度を設けたのか、というのは、今回の改正で、たとえば酒類の卸売り業、ガス事業、こういうものは三万円に軒並み上げて、登記などの場合も、有限会社、株式会社以外は登記の登録税も上げた、そう上げておきながら売りさばき人には一万円以上は取り扱いができないようにした。片方は登録税をがくっと引き上げておきながら、売りさばき人の取り扱いは一万円以下とした、その根拠は何でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/109
-
110・塩崎潤
○塩崎政府委員 先般申し上げましたように、なぜこの現金納付を昭和二十八年から採用せざるを得なかったか、そこに尽きると思います。
先ほども申し上げましたように、印紙納税は、非常に便利な面もございますが、片一方弊害もございます。その弊害をひとつ申し上げたいのでございます。
第一には、不正印紙という問題がございます。第二には、これを消し印いたしまして何年か保存しなければなりません。その際にこれの保存がたいへんでございます。おそらく先生方も登記所に行っていただきますればこの実感が出てまいりますが、たとえば抵当権の登記の場合五百何十万円という税額を見た、これを保管する登記所の苦労はたいへんでございます。これがまた薬品を採紋にかけて消し印が消去されたり、あるいはそのまま現金で売られたり、先般大阪でその実例がございましたが、そういうことを考えますとどうしても——印紙といいますと、現金と同じような性格でございまして、収納機関はこれをしばらく保管しなければならないが、その保管がとてもできない。先ほど御指摘になりました銀行あるいは新しく課税をいたしました免許ですが、これは税務署で税金を取っていただくのじゃなくて、免許官庁が税金を取っていただく、そこで、いろいろな相談をいたしておりますが、印紙ではとても責任を負えないというのが皆さんの声であります。そういった意味で現金納付にせざるを得ない、しかしながら、先ほど申し上げましたように、やはり納税者の便宜を考えますと、なかなか郵便局にも行けない、登記所に行ったときに納めるには印紙のほうが便利でございます。それは多分に小額のものであるということが言えようかと私は思います。
さらに、またもう一つの根拠は、収入印紙の最高は一万円ということでございまして、それ以上の金額の収入印紙はございません。そこに根拠を求めました。なお、先ほど来申し上げておりますように、それだけでは納税者に迷惑がかかる場合がございますので、一万円以上でも、もよりに日銀の代理店がないとか郵便局がないというようなときには現金でもよろしい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/110
-
111・武藤山治
○武藤(山)委員 だからこれからは、登録税がたとえば三万円取られる場合に、売りさばき人から一万円のものを三枚買ってはることはできないわけでしょう。三万円の登録の場合は、現金で納付して三万円の領収証書の添付をしなければいかぬわけでしょう。だから、登録税額は一万円という限度にしないで、だあっと軒並み上げたのだから、その限度を三万円ぐらいにしたっていいんじゃないですか、売りさばき人の立場から考えれば。いまの例の四百万も五百万も取られる形は、それは現金納付でしかるべきでしょう。しかし、片方ずっと登録税を上げたのをある程度勘案するならば、売りさばき人が三万円くらいまでを使える限度にしていいんじゃないですか。そこに思いやりがちょっとなさ過ぎるんじゃないかという批判が出るんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/111
-
112・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘の今度新規に課税をお願いいたしております免許については、先ほど申し上げましたように、これは現金で納付しなければとてもやっていけないという各省の声に私どもは従ったわけでございます。そういった意味では新規課税でございます。これは登記所も扱うものではございません。酒の免許ならば、国税庁あるいは税務署でお願いする、これまた専門家でございますけれども、鉄道の免許ならば運輸省でお願いする、こんなようなことでございます。弁護士の登録は弁護士会で保管していただく、こういうようなところでは、どうしても収入印紙の保管に自信がない。それは、私どもは三万円ということも可能でございます。三万円ということも可能で、私は絶対に私どもの一万円が正しいという意味で言っておるわけではございませんが、収入印紙の最高も一万円ということ、それから登録関係の新しくお願いしておりますものについては、これは印紙納税は不可能であるという各省の声に従いまして、一万円ということでお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/112
-
113・武藤山治
○武藤(山)委員 それでは一つ聞いておきたいのですが、五百三十軒の売りさばき専門店の年間手数料はどれくらい出しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/113
-
114・浅尾宏
○浅尾説明員 いまちょっと数字の手持ちがございませんので、調べまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/114
-
115・塩崎潤
○塩崎政府委員 全体の十万軒の売りさばき手数料は私ども存じておりますが、五百三十軒のは私ども持っておりませんので、必要ならば、あとで調べて御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/115
-
116・武藤山治
○武藤(山)委員 と言うのは、先ほど五百三十軒くらいの売りさばき店のことは眼中にないような主税局長の答弁であったからで、五百三十軒の熱心に売っている人にはこれで食っておる人がいるわけだ。ぼくらの登記所に行ってみると、じいさん、ばあさんが専門に売っているわけですよ。それだけで食っているわけだ。そういう人たちの立場というものも、ここで審議する場合には検討する必要がある。したがって、一軒当たり幾らになるか明らかにしてもらわぬと、議論の歯車が合わないですよ。あなたの先ほどの議論を批判しようとしても、その数字を出してもらわないとだめなわけだ。これを採決する前に出してくださいよ。出さぬと採決に応じませんよ。あなたのさっきの議論はあまりにもこの人たちを無視している。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/116
-
117・平林剛
○平林委員 いずれにしても、収入印紙だけで生活しているのは五百三十軒だけれども、全国でいえば九万九千八十八軒、大なり小なり影響を受ける。いなかへいけばそんなにないかもしれませんけれども、都会地におきましては、ある程度影響を受ける。こういうようなことを大蔵省は郵政省とあまり相談しないでやっているようだが、どうなんですか。ちゃんと相談をして、いや、こういうふうになるという相談をあなた方は受けたのかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/117
-
118・浅尾宏
○浅尾説明員 大蔵省から文書をいただきまして、私たちの内部でもよく検討して大蔵省に回答を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/118
-
119・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども郵政省にも十分連絡申し上げ、その与える影響も、私はむしろ収入印紙の売りさばきがふえる これは増税の結果であるというふうに言われれば別でございますが、影響は少ないというふうな判断でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/119
-
120・平林剛
○平林委員 大蔵省と郵政省との連絡はあったというお話だけれども、今度は郵政省のほうは、それじゃ、こういう人との何か話し合いはあったのですか。あなた方自分の担当するものとして、どういう程度の影響を受けるかというようなことについて親身になってものを考えてやりましたか。つまり、私の言わんとするのは、いま大蔵省と郵政省はお話があったというが、それじゃ、郵政省は、切手の売りさばき人の人たちの生活の問題についてどういう影響があるかというようなことは十分意見の交換をして、よろしいというふうになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/120
-
121・浅尾宏
○浅尾説明員 売捌人協会というのがございまして、その事務局とも話をいたしまして大蔵省のほうに返答した、こういう経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/121
-
122・平林剛
○平林委員 まあ、きょうはそういうことにしておきましょうや。しかし私は、国民の一方においてどんなに利便を受ける人があっても、一方で泣く人があるということは、法律を審議している者として、全般的に見てそこは配慮をしてやるべきところはやらねばならぬという感じを持っておるので、この問題を特に取り上げたわけです。結局、手数料の問題にかかってくるし、影響があまりないということになれば、すぐに手を打つ必要はないかもしれませんけれども、こういう問題もあるということを頭に入れておいてやってもらいたいということを希望しておきたいのです。
そこで銀行局長、こういうものだけに限らず、国の収納機関として市中銀行その他が日本銀行の代理店をやって国庫に納める方式は、たばこだとかその他にあるのですが、ほかにもありますか。つまり、政府の代理機関として金を預かるというやり方でやっているのには、種類別にいくと、どんなのがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/122
-
123・澄田智
○澄田政府委員 日本銀行の国庫の歳入事務というものを、金融機関に対して歳入代理店という形で代理さしてやっております。この制度は、前からそういう制度であるわけでありますが、非常に広く、あらゆる国庫の歳入について日本銀行が行なう国庫事務、その代理店という形でございますので、租税収入その他雑収入等の収入についても、日本銀行に納めなければならぬという場合には、その歳入代理店に納めるという形でもって歳入を収納している、こういうことでございますので、その範囲はほとんどすべての国の歳入というものに及ぼし得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/123
-
124・平林剛
○平林委員 ですから、すべてというけれども、語り尽くせないわけではないでしょう。どういうものがあって、それは金額がどのくらいになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/124
-
125・澄田智
○澄田政府委員 日本銀行が歳入代理店を通じて収納しているという国庫金、それをすべて集計してみませんとちょっとわかりませんので、いずれ、必要でございましたら、数字のほうはその取り調べをいたしますが、この場ではちょっとわかりかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/125
-
126・平林剛
○平林委員 必要でないことなんか私聞いておりはしないのです。みんな必要だから聞いたわけであります。
私が言わんとすることは、国の歳入代理店として金融機関がどういう種目別に、たとえば、たばこではどのくらいだ、収入印紙ではどのくらいだというやつは、やはりはじき出してもらいたいと思うのです。
それで、私の言いたいことは、先ほど主税局長も、そういうものは大体金融機関に滞留することなく、翌々日には日本銀行に繰り入れられる、こういうお話があったのですけれども、実際はどうなんですか。実際はそういう翌々日というふうにすべてやっているということは、あなた方、調査をして確認をしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/126
-
127・澄田智
○澄田政府委員 この点は、日本銀行が国庫金の取り扱いの規則を定めまして、そうして代理店を指定いたします場合に、代理店との間の代理契約を結びまして、その契約の中で確約いたさせておるわけでございます。そうしまして、それは収納いたしました日から中一日置きまして、したがって翌々日ということでございますが、翌々日までに日本銀行の国庫勘定に振り込まなければならない、こういう形になっておりまして、この点は、日本銀行としては、国庫事務の管理としてよくその実行はチェックをしておる、こういうふうに承知いたしております。したがいまして、国庫金に関しては、すべて滞留は中一日だけに限る、こういうふうな原則が守られておるもの、かように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/127
-
128・平林剛
○平林委員 確認をしているし、承知している、原則はそうだというけれども、実際上そういうふうになっているかどうか。私はこのことに関連をして、いま金額をおっしゃらないから、これがいかに重要な問題であるかということの認識は一般にはされないかもしれませんけれども、相当膨大な金額なんですよね。たとえ一日遊んだって、それを動かすことによって金融機関はかなりのみそがあるわけです。これがかりに翌々日に振りかえるとしても、二日間はそこでお金が遊ぶわけですね。かりに、確認をしてあるとか、承知しているとか、原則であるとかとしても、こういう機関でお金を融通をするというようなことがあれば、これは国の収入ですよ、それでもってさらに収益を得るというようなことで、たとえわずかであっても、やはり社会的な問題として考えなければならぬ問題があるのではないか。そういう意味から、こうした問題についてちゃんとしておるかどうか。たとえば一カ月ぐらい遊んでおるなんということがないかどうか。ないと、こういうふうに銀行局長は責任を持っておっしゃることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/128
-
129・澄田智
○澄田政府委員 私は、実は先ほどはさように承知しておるとか、そういうふうな表現で御答弁を申し上げましたが、この点は、日本銀行といたしましては、国庫事務の処理をする上の最も重要な仕事の一つとして、十分日本銀行も責任を持って国庫金の収納状況というものをそのつどしっかり確認をいたしておりますので、いまお話のような、非常に滞留が長きにわたる、そういうような例は、これは絶対ございません。その点ははっきり申し上げられます。
三日の原則というのは、たとえば、あるいはほかの例とまぎらわしい場合がございますのであれでございますが、国鉄の収入金とかあるいは電電公社の関係の収納金というものは、これは国庫金でございません。そういうものについては、一週間程度の滞留というのは、これは収納金の収納をするというその契約が初めからそういうふうに認められてそういうふうにやっておりますが、国庫金の場合は、三日間という原則は厳守されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/129
-
130・平林剛
○平林委員 きょうはこの問題を深く言いませんけれども、いずれ種目別の金額、それから、いま言ったように、滞留期間が三日のものもあれば一週間のものもある。そういうようなものの一覧表を御提出をいただきたいと思うのです。
それから同時に、私はこの機会に注文をしておきますけれども、いやしくも租税の収入でございますから、長きにわたって金融機関に滞留し、それを運用して益を得るというところがないように、これは厳重に注意をしていくというやり方をとってもらいたいということを注文しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/130
-
131・武藤山治
○武藤(山)委員 主税局長、銀行へ納付する納付書というのは、全部通しナンバーで国が各銀行へ預けてあるのですか。別にそれはなくて、様式はそれぞれの銀行によって違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/131
-
132・塩崎潤
○塩崎政府委員 法律に規定されました様式は、三連式の様式でございます。通し番号ではございません。登記所には備えつけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/132
-
133・武藤山治
○武藤(山)委員 そうすると、登記所へ行って、納付用紙をもらって、書き込んで銀行へ行く。そうすると、一たんは登記所へ行って、それから銀行へ行かなければならぬわけですね。そして銀行で領収証書をもらって帰ってくる。たいへんな手間だけれども、そういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/133
-
134・塩崎潤
○塩崎政府委員 金融機関にも備えつけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/134
-
135・平林剛
○平林委員 それでは、この問題はこの程度にいたしまして、次の問題に移ります。
主税局長にお尋ねいたしますけれども、登録税とは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/135
-
136・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にアカデミックな御質問で、答えるのもむずかしいわけでございますが、私は、国によって登録されたものに対しまして、特別な支払い能力を認めまして、いわば特権税的な流通税だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/136
-
137・平林剛
○平林委員 あとで補足して、修正しなくてもいいですか。支払い能力的なものに着目をして、特権的な流通税、この定義で、あとで補足することはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/137
-
138・塩崎潤
○塩崎政府委員 だんだん質問されると追加しなければならぬことになるかと思いますが、しかし、核心的な意味では、私はそこに尽きると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/138
-
139・平林剛
○平林委員 今回の登録税で看護婦に三千円の登録税を課することになりましたね。支払い能力に着目をして、特権的な流通税として看護婦に三千円ずつかげるわけですね。あなたのおことばどおり、三千円というやつを課することにしたのは、まさしく登録税のただいまの性格に基づいて三千円というふうにしたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/139
-
140・塩崎潤
○塩崎政府委員 看護婦を引き合いに出されますと、その響きは私はちょっと違うと思います。お医者さんと並びまして一つの法律に基づきました、言うならば、法律によって保証された職業でございます。試験を受け、一つの資格を持ち、登録された者でなければ看護婦という職業は営めない、しかもまた、国はそれに対しまして種々の費用を出しております。そういった意味で、私はいま申し上げました定義が 定義の適用の程度は問題でございますけれども、医師と同様に当てはまると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/140
-
141・平林剛
○平林委員 いま看護婦さんが足りなくて何とか養成しなければならぬというようなときに、こうしたものを、ただいまの趣旨が正しいとしても、三千円ずつ取っていくということは、看護婦養成という政策目的と比べてみまして矛盾はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/141
-
142・塩崎潤
○塩崎政府委員 したがいまして、支払い能力があるにいたしましても、いま申されました新しい情勢、つまり、看護婦の数が足りない、こういった情勢のときには別な政策的見地から登録税を免除することも当然可能でございます。私どももそういったことを改正案の経過の途中において考えてみました。しかしながら、やはり一つの職業であり、また、それも法律によって保証された職業であり、長らくこういった税金を納められておるものでございます。それを排除いたしますと、別な面からの批判と申しますか、医師も納めているのに看護婦だけがはずされるというような御意見も一方に唱えられまして、やはり残しておくのが社会の評価から見て適当ではないか、こういう強い意見が述べられましたので、私どもも改正案の経過の途中におきましてはそういった案も考えましたけれども、引き上げの幅は小さくいたしまして、やはり登録税は納めていただく、こういうふうにしたほうがいいといま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/142
-
143・平林剛
○平林委員 この一年間、看護婦さんとして登録された人員はどのくらいいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/143
-
144・塩崎潤
○塩崎政府委員 八千百八十四人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/144
-
145・平林剛
○平林委員 これからも国の必要に応じて看護婦さんをどんどん養成していかなければならぬ、ここ一年間で八千百八十四名も登録した。これは貴重な財源ですね、三千円ずつ取り上げるにしても。その他の一年間の登録人員を私いろいろ調べていただいたんですけれども、看護婦さんはまず最高部類に属しますな。こういうものに対して登録税を課するというのは大蔵省にとっては貴重な財源ですな。これだけの人間がこれから一年間に登録されるというのは、数としてはほかにはあまりないですよ。たとえば、一級建築士の三千七百四名、看護婦さんが八千百八十四名、お医者さんが三千四十三名、税理士が千三百十五名、海員というのが一番多くて二万百五十六名。数の上から見ると有力な財源です。お医者さんやその他の税理士は除きましても、その支払い能力に着目をして、そうしてその特権的な流通税として課する、しかも、非常に数が多いのが看護婦さん、こういうものに登録税を課するという考え方が私にはわからないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/145
-
146・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは看護婦さんに対する登録税をそんなに財源とは考えておりません。先ほども改正の経過中の案を申し上げましたけれども、やはり法律によって保証された地位に対する一つの対価と申しますか、そういった意味では社会的な評価の問題も起こりますので、残しておいたほうがいいであろうという一般の声にこたえたものでございます。これをもって特に財源と考えているというような気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/146
-
147・平林剛
○平林委員 私が有力な財源ですねと言うのは、皮肉なんですよ。この一年間の登録人員を見ましても、総体的に見ますと、最近一年間の登録人員が、いろいろな職業別に見まして四万八千三百五十三人ばかりありますけれども、そのうち一番多いのは海員の二万百五十六名と看護婦の八千百八十四名ですよ。私は、他の全部の名前を言いませんけれども、支払い能力に着目をしてという意味で比較をいたしますと、結果的には、非常に弱いところに多く税収になるというような仕組みになっている。計算してみましょうか。出るでしょう。計算してみれば、看護婦さんのやつが比較的多い税収になるのですよ、結果的に見て。そうなると、ずいぶんむごいことをするじゃないか、看護婦さんのやつを、支払い能力ということで比較するならば、もっとたくさん累進的に取ってもいいのもあるけれども、看護婦さんの三千円というのは、少し高過ぎやしませんかということなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/147
-
148・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃることは、一面において私ごもっともだと思います。そこで、私どもも実は最初の原案のときには、これはひとつ廃止しようというふうにも思ったわけでございます。ところが、看護協会から、やはり考えてみると、四年間ほとんど大学と同じ専門課程を経てりっぱな社会的な地位を与えられているものであるから、ぜひ登録税というものは他との——先ほども局長が言いましたような社会的地位というものを考えまして、むしろ残してほしいという積極的な要望等もございましたので、なるほどその面から考えますと、登録税の本質にかんがみまして、これはやはり残すべきじゃないか、こういうことで実は踏み切ったわけでございます。
そうして、御承知と思いますけれども、またほかの方に誤解を与えてもいけませんので申し上げますと、これはいわゆる正看といいますか、准看は除いて正看だけの方々に対する登録でございますので、やはり看護協会としての地位の維持、社会的地位の保全という見地から見ればごもっともな考え方だと私は思いまして、私ども、相談の結果、このような原案にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/148
-
149・平林剛
○平林委員 私もその話は聞いたのです。有力な強い意見があると言うけれども、すべての人じゃないと思うのですよ。登録税を高く納めているから社会的地位が上がるなんという考え方は、一部の考え方ですよね。しかも、看護婦さんになられる人は、まだ二十、二十一、おそらく比較的年少ですよ。それは、医師だとか弁護士だとかあるいは税理士だとかいう年齢に比較をいたしますと、若い層の人たちですよ。そういう人たちは、他の職業から比べますと、国税庁長官おるけれども、担税能力という点では比較的薄いほうの人たちですね。しかも、一年間の登録人員の中では多数を占めている。それに、どういうところの意見を聞いたかわかりませんけれども、三千円の登録税を課するということは、少し酷に過ぎないか。あなたも最初はこれはやるまいと思ったけれどもそういうことを踏み切ったと、こう言うけれども、その踏み切り方が間違って踏み切っているんじゃないですか。私は、この三千円というのは、千円だって、この人たちの担税能力を考えれば決して安いというものではないと思うのです。変なふうに踏み切ったのじゃないかと思うけれども、もう一度政務次官、あなた立ったのだから、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/149
-
150・小沢辰男
○小沢政府委員 御承知のとおり、以前は千円の登録料でございました。したがって、やはりこの団体から正式な要望が出ましたゆえんのものは、いろいろ先生のような御議論もありましょうけれども、今後看護婦の資質を向上し、さらに社会的な地位を向上せんとする意欲が同協会には全員にはっきりみなぎっておることも事実でございますので、むしろ、私どもとして、この登録税の本旨から見まして、また他との均衡から見まして、御要望にこたえるべきだという判断に立ったわけでございます。御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/150
-
151・平林剛
○平林委員 あまり了解はできないのです。私は、登録税の額が千円から三千円まで上がったら、それで看護婦の社会的地位が上がるなんというものではないと思うのです。
自治省、おいでになっていますか。——お尋ねしますけれども、地方公共団体で行なう人間の登録の中にはいろいろありますね。行政書士、衛生検査技師、調理士、診療エックス線技師、歯科衛生士、歯科技工士、二級建築士、准看護婦、栄養士、美容師、理容師、クリーニング師、電気工事士、受胎調節実地指導員、まあいろいろとたくさんあるわけです。そうすると、いまのように千円から三千円に上がるのは社会的地位向上だということになると、これらの人たちも社会的地位向上に立ち上がって、登録税を取ってくれなんということになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/151
-
152・塩崎潤
○塩崎政府委員 自治省の方がおられませんので、私から相談したところに基づきまして御返事申し上げたいと思います。
こういった免許税的なものは、シャウプ税制以前にはわが国にございました。しかしシャウプ税制は所得税中心の税目を地方税におきましても重視した結果、こういったいわゆる雑種税は廃止されたわけでございます。しかしながらそれが、住民税について御批判がありますように、はたしてそういったことがいいかどうか問題でございます。今回、私どもは国の登録あるいは国の免許をするものに対しましては一つの登録税あるいは免許税をお願いしておるわけでございますが、地方公共団体の行なうものにつきましては、地方公共団体が地方税といたしましてこれに課税するかどうか検討すべきである、こういうふうに考えておりますので、私どもとしましては、自治省の今後の検討問題として、地方財政の現状、さらにまた国の登録免許税とのバランスから今後検討されることになっております。
なお、現在でも、税ではございませんが、手数料を相当徴収いたしております。したがいまして、その手数料の形でいくのがいいか、あるいは租税の形でいくのがいいか、こういった問題を含めまして、今後の地方税における大きな検討問題だ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/152
-
153・平林剛
○平林委員 自治省は来てないのですか。——これはやはり重大な問題に発展をすると思う。国で行なうものについては、支払い能力に着目をし、特権的な流通税として登録税を課し、新たに課するものもある。しかも値上げをしているわけですね。お話を聞いていると、これをやることは、社会的地位を高めることにもなるというような意見もあって、看護婦までかける、こういうことになりますと、今度は社会的地位競争だ。登録税を納めたほうが社会的地位が高まるということになる。そんな考えを起こすのは大蔵省の方だろうと思うのです。一般にはあまり税を取られたくないからそういうことには賛成しないにきまっていますけれども、地方公共団体で行なう行政書士、調理士、歯科衛生士、歯科技工士、栄養士、美容師からも今後取るようなことになるかもしれない。目下検討中だということになると、やっぱり自治省の意見を聞いておかないといかぬわけですね。私は自治省を呼んでいるはずですが……。
これは一体どうするのかということは、この登録税をこういうふうな形で新たに課したり、上げたりするということは、地方に与える影響も非常に無視できないということを考えますと、これはやっぱりもう少し確かめていかなければならぬ点だと思うのです。
それでは、これはあしたでもあらためて聞くことにいたしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/153
-
154・只松祐治
○只松委員 関連して。
いまの問題については、前回私もちょっとお尋ねをいたしまして、いわゆる国の機関において審査したり登録したりする、こういう人だけ上がって、地方の人は上がらない。一級建築士で二万円に上がっている。二級建築士は県庁でやる。これは上がるか上がらぬか、いろいろな面で非常に格差ができる。これは自治省とも話し合った上でする、こういうことが当然だろうと思う。いまたまたま来まして、その質問で、自治省は来てもおりませんし、準備があれば別ですけれども、そのときに私も質問しておりますので、関連して、あすでも自治省を呼び出して、自治省側の態度を明確にお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/154
-
155・平林剛
○平林委員 この問題は少し保留をしておきまして、もう一つ私はお尋ねをしておきたいのですけれども、今度は観光ホテルのようなものが登録税を取られるのですね。これは観光ホテルは登録税を取るけれども、観光ホテルという名前がつかないホテルは取らないのですね。それからまた、最近はハトヤとかなんとかいってテレビでやっているでしょう。そういう観光ホテル、国際観光ホテルに負けないくらいの大きなホテルなどがございましても、それは登録税を取らない。こういうようなことは、登録税の性格から見て一体どういうふうに説明がつくのか、私は非常に疑問に思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/155
-
156・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、国が与える登録あるいは免許、この背後に一つの特権的な、あるいは排他的な地位があり、それによって、企業ならば利潤が相当楽に保証される面もあろうかと思います。国際観光ホテル整備法によりまして指定されたホテルは、たとえば特別償却の耐用年数の短いものが適用されたり、あるいは固定資産税についての特例があったり、開銀の融資があったり、こういった国からの種々の特権が与えられるようになっております。そういったことに対します一つの保証と申しますか、対価をこの免許税でいただくものだと私は考えております。
ところが、御指摘のように、普通の旅館ならば何らの登録税、五万円の免許税はないではないか、私どももそういったバランスも考えなければならぬと思うのでございます。しかし、その意味で旅館業は地方公共団体の許可制となっております。地方公共団体は現在三千円ばかりの手数料を取っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、先生御指摘のように、登録税ができたことのバランスにおいて、こういった地方公共団体が与える免許関係についてどういった税を設けるのがいいか、私は今後の研究問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/156
-
157・平林剛
○平林委員 いよいよおっかなくなってきた。地方公共団体のいろいろな営業を行なっているものは研究段階だとか、大蔵省の主税局からそう言われると、この次はみんな取られるおそれがあるから、いよいよ重要な問題に発展をしていくんじゃないかと思って、私は非常に心配をするわけでございます。ですから、登録税とは一体何ぞやということを聞いたわけでございまして、これは時間がありませんから何ですが、これは、一つ一つ聞けばあなたは答弁できなくなっちゃうくらい非常な矛盾、アンバランス、そうしたものが出てくる法律ですね。
それで聞きますけれども、たとえば弁護士が登録がえをしたり、公認会計士が登録を更新したりするときはこれは取らないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/157
-
158・塩崎潤
○塩崎政府委員 更新登録は、今度は非課税にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/158
-
159・平林剛
○平林委員 その理由はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/159
-
160・塩崎潤
○塩崎政府委員 いま、大蔵省が研究しておると非常に大きな影響を与える、こういうお話でございます。私ども、今後の新規免許に対しまして免許税を支払っていただく、こういう意味でございますので、既存の方々は全くこの新しい税金には関係がない、こういうことになります。
したがいまして、登録免許税の一般的な考え方は、新しく地位を取得する、あるいは特権的な許可を受ける、こういった場合の一回限りの流通税だ、こういうように考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/160
-
161・平林剛
○平林委員 一回限りであるから、一度新規のやつだけであとは取らないということなんでしょうが、そこで私、こうした登録をするということは、一つの取り締まり上といいますか、そういうようなものもあるんだという答弁がきっとあるだろう、こう思っていたのですけれども、そうすると、登録税は何ぞやということにまたさかのぼってあなたに聞こうと思っているんだけれども、そういう点でも矛盾が私はあるんじゃないかと思うのですね。
専売公社は呼んでいますから、専売公社のほうに聞きます。
今度は専売公社が指定をするときのたばこ小売り人も登録税を五千円ずつ取られるということになるわけでございますけれども、これは先ほどお聞きのとおりに、たばこ屋さんは担税能力がある——まあ許可で営業許可をされるから、ある意味では特権的かもしれませんけれども、担税能力があるという点では、一部の小売り業者を除いてはそれほどの収益をあげている店舗だとは思わないのですが、この際参考に、全国のたばこの小売り店平均の所得というものを説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/161
-
162・斎藤欣一
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、たばこ屋さんは大小いろいろございますが、四十一年度、これはたばこ屋さんの人数がはっきりわかっておりませんので若干推定が入っておりますが、小売り人一人当たりの販売高が三百五万円、これはたばこの定価でございます。これに見合います販売手数料が一人当たり二十六万七千円、この程度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/162
-
163・平林剛
○平林委員 一年で二十六万七千円ということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/163
-
164・斎藤欣一
○斎藤説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/164
-
165・平林剛
○平林委員 国税庁長官、酒屋さんのほうは大体どのくらいの平均収益があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/165
-
166・泉美之松
○泉政府委員 手元にいま持っておりませんので的確に申し上げかねますけれども、私どもの経験からいたしますと、たばこ小売り人より相当多くて、大体いまたばこ小売り人の平均の所得が二十六万円というようなお話でございましたが、酒の小売りの場合には平均五十万円をちょっと上回る程度だと思っております。もちろんこれは平均でございますから、都市といなかではかなり相違がございます。ことに、いなかのほうで販売数量が少ない場合はかなり少ない事例があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/166
-
167・平林剛
○平林委員 たばこのほうは大体年平均二十六万円、月にすれば二万円足らず、これも平均で、地方へ行けばもっと少ない売り上げのところもあるわけですし、酒屋さんが五十万円といいましても、国税庁長官が言われるとおりに、地方へ行けばなお少ないものがある。こういうものに対してもまた税を取るというのは、これはまあ一種の国で認可をしているものであるし、支払い能力的に見て特権的な流通税という性格から取るということになって、私質問していくと、だんだんほかのものも取らなきゃおかしいじゃないかということになりそうなので実は困っているわけなんです。これはほんとうに、こういう零細な営業収益に着目をして登録税を取るということになると、私、いま地方でやっておるところの営業種目を全部あげてみると、こんな程度の収益じゃないものがぞろぞろしているわけだ。これを追及していくとほかのものも取らなきゃいけないじゃないかという議論にお聞きになったら間違いなんですよ。こういうものにこの際登録税を課するということがおかしいので、こういうことはおやめになったらどうなんだということを私言っておるわけなんでね。こういうものに着目をして税を取っていくというやり方、そこにどうも大蔵省の姿勢というものがうかがうことができるのでありまして、私は不満なんですよ。これを追及していくと、ほかのものも取らなきゃおかしいことになってしまうのだけれども、私は決してそれを取れと言っているわけじゃないのだ。だけれども、非常にバランスがくずれて不都合なんですね。ですから、こういうのは取るのをやめたらどうかと私は言っておるわけなんです。逆説的に言っておるわけです。言えば言うほど矛盾だらけになってきて、私は今回のこの登録免許税法案で、それほど零細な企業経営のものにまで登録免許税を課していくということは非常に不合理だということが言いたいのです。これは言っていったらみんな取らなきゃうそだということになってしまうのだけれども、そういう誤解をされては困る。大体こういうものから取っていくということが間違いなんです。
それと逆に、今度は物価や何かに与える影響というのは考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/167
-
168・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう平林先生御自身言っておられますように、これはその他にも取るべきものがあるということは事実でございます。しかし、この免許を受ける事業と申しますか、企業者、これは御案内のように、政府に対しまして与える費用というものは相当なものがあるわけでございます。免許の申請から始まりまして、その調査、免許下付に至るまでの政府の関係の費用、さらにまた、免許を受けましても、たとえば酒類の密造取り締まりには一億六千五百万円という予算をかけまして免許業者が自然に保護されておる、こういったことが経済的にあるわけでございます。したがいまして、それに対してやはり一つの費用を払っていただく、しかも、無免許販売あるいは無免許製造に対する取り締まりの結果免許業者が得られる所得は、他の全く免許のない自由競争業者の受ける所得よりも、私は、微細に見るならば支払い能力は高い、こういうふうに考えるべきであろうと思うのでございます。これが私どもが今度新しく人的な資格のほかに、行政上の許可、認可に対しても免許税をいただくというふうに改正をお願いしているゆえんだと思います。
なお、物価に及ぼす影響でございます。そこで、私が最初流通税と申し上げましたのは、そこをおそらく言われるからだと思います。流通税ということばは、御案内のように、どちらに負担がいくかが非常に不明確であるがゆえに流通税と言われております。その点が間接消費税とは違った意味で——間接消費税では、御案内のように、酒税ならば必ず消費者に転嫁される、たばこの専売益金ならばこれは必ずたばこをのむ人に転嫁される、そういうことになるのが租税理論の教えるところでございますが、流通税は、これはどこに転嫁されるかわからないところに流通税の意味があると思います。そういった意味では、私は、この引き上げの結果、これがはたして物価騰貴の原因になるというようなことは、第一に考えられないのでございます。
第二には、いま申し上げましたように、特権的な利益のうちから払われるというふうに考えますと、これは当然企業の利益のうちから負担する、消費者が負担するものでないということになりましょう。しかしながら、全体的にコストとしてだんだん長い期間に償却するならば、費用になる場合もございましょう。そういう意味が第二にあって、私は転嫁関係は明瞭でないと思います。
第三に、非常に偶然的な場合に課税されます。すべての人が一ぺんに課税されるわけじゃございません。ことに新規の免許に課税される、あるいは増資をした場合にだけ登録税を払うということになりますと、非常に偶然的なその企業のそのときだけの負担になりますから、商品の価格の競争の激しい今日では、そのときだけ税金が上がったからといって、ほかの企業では払ってないものをコストとして転嫁するのも容易ではなかろう、こんなような趣旨から見て、私はこれが物価に及ぼす影響はほとんどなかろう、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/168
-
169・平林剛
○平林委員 私は必ずしもそうは見ておらないのですね。やはりいまの段階では、矛盾はありますけれども、国の段階で、登録をするものについて登録税を課するということになっていますけれども、この理論が正しいと、これに着目し、これが正当づけられ、法律化されれば、必ず地方公共団体の登録の問題についても、あなたみずから言っているように、研究課題である、拡大をされてくるおそれがございます。また、私がこれを突っ込んでいくと、みんなこれも取ることを研究しているなということで言われるものだから、おっかなくてこれ以上質問できないくらい、えらいところに目をつけられたなと、実は感心をするような今回の提案でございまして、非常に危険きわまりないものである。しかもそれは、いまお話のように、物価に影響することはないということですが、私はやはり便乗的ないろいろな面のはね返りということは当然あり得ると思う。これは職業別に全部いろいろなものをあげていきますと、それを理由にして新しい動きが起きてこないとも限らない問題が、各業種によっては出てくるわけですね。そういうことを考えますと、はなはだ感心をしない法律案である、しかし一面、なかなかいいところに目をつげた大蔵省であるというふうに考える法律案だと思うのでございます。
いろいろ質問をしてみたいのですけれども、あれはどうだ、これはどうだというと、これはいい考えだといってまた税金を取られることになると、おっかなくなりますから、この辺で私は質問をやめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/169
-
170・内田常雄
○内田委員長 竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/170
-
171・竹本孫一
○竹本委員 私は、きわめて簡単に登録免許税法案について二、三の点を質問いたしたいと思います。
まず最初に、この税金の税率は昭和二十三年以来据え置きになっておるということでございますけれども、あとで申し上げます物価値上げムードというものにわれわれは非常に影響が悪いと思っておりますが、いまごろになって急に取り上げられた理由は那辺にありますか。税調等におきましても、二十八年、三十一年と、答申がすでに二回も行なわれておりますが、この時期を選んでやられる理由をひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/171
-
172・塩崎潤
○塩崎政府委員 税制調査会の答申にもありますように、今回登録税、印紙税を最近の経済情勢に合わせるべく改正を御提案している次第でございますが、印紙税のほうは昭和二十九年に引き上げを行ないましたので、登録税のほうだけが二十三年から今日まで放置された、そういった意味では、税制を私ども事務的につかさどる者といたしまして、若干怠慢のそしりを免れないと私は思うわけでございます。
その理由の第一には、私どもは登録税法には非常な問題があった、印紙税法のほうは定額税一本でございますので簡単に二十九年に改正ができたわけでございますが、登録税法のほうは定率の税率でもございますし、さらにまた、人的な資格のほかに、今回新しく御提案申し上げておりますように、企業に対する許可とのバランス、こんなような問題を考えない限り、なかなか登録税法の改正も手がつかなかった、こういうのが第一の事情でございます。
第二には、これまで所得税の減税財源といたしまして比較的自然増収が当てにできたわけでございますが、国債発行下の現在におきましては、やはり税制の中である程度の財源を生み出していく必要があり、そして所得税の課税最低限を大幅に引き上げることが望ましい、こういうことになりますと、やはり財源あさりといっては恐縮でございますけれども、過去において放置され、現在の情勢から見て不合理なものは直して、そしてまたその財源を所得税の減税財源に充てる必要がある、こういうふうに考えられるのであります。
以上、二つばかりの理由が今回の登録税の改正の理由でございまして、長らく放置したことに対しましては、私ども事務当局として非常に申しわけない次第でございますが、理由はそんなところにあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/172
-
173・竹本孫一
○竹本委員 問題が非常に複雑であり、むずかしいのでひまが要ったという御説明でございますが、先ほど来平林委員もいろいろと追及されておりますように、確かに、こまかく一項ずつそれぞれ当たってみるとたいへんな問題があろうと思いますが、そういう意味においても、私は、この機会にやられるということは、われわれ国会にある者の考え方からいって、むしろ反対であります。自然増収がなくなって、減税財源を見つけるためにもということが大きな理由になっているようでございますが、先ほど御説明があったかと思いますけれども、この登録免許税による収入の増加というのは幾らでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/173
-
174・塩崎潤
○塩崎政府委員 平年度百九十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/174
-
175・竹本孫一
○竹本委員 そこで流通税の議論も出まして、どこに、だれが最後に負担するのかなかなかわからないので、物価に対する影響もそれほどではないだろうという主税局長のお考えのようでございますが、私は、この際、印紙税も上がった、登録税も上がったということの心理的な影響が非常に悪いのではないかという点を心配しておるわけでございます。そういう意味において、われわれはこの時期の選び方、タイミングが誤っているのじゃないかという立場に立っておりますが、これはもう議論になりますので、それに時間がありませんから、きょうはこの上追及をいたしません。
そこで一つの理由になっております所得及び物価水準に適合するようにということでございますが、その所得と物価水準をどういうふうに、また、いかなる資料によってはじき出しておられるかをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/175
-
176・塩崎潤
○塩崎政府委員 もう税制は所得水準、物価水準に適合するのが当然のことでございます。私どもは昭和二十三年度と四十一年度とを比較いたしまして、国民所得は一四・四倍、消費者物価は二・三倍、賃金水準は公務員が一五・五倍、民間賃金が八・一、こんなふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/176
-
177・竹本孫一
○竹本委員 ちょっと念のためにもう一度伺いますが、国民所得の一四・四倍という計算の出し方の根拠をひとつお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/177
-
178・塩崎潤
○塩崎政府委員 これはもう経済企画庁がつくりました国民総生産、それから出ました国民所得、私どもが租税負担率と称しているものの国民所得を、昭和二十三年と昭和四十一年とを比較したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/178
-
179・竹本孫一
○竹本委員 この取り方にも議論を持っておりますけれども、きょうはやめます。
次にまいりますが、今度は仮登記について、従来の六十円を変えまして、定額税率から千分の一の定率税率にするということでございますが、仮登記が非常に広範に利用されておる、あるいは併用されておるという考え方もあるのかもしれませんが、大体仮登記の利用度といいますか、そういうものをどういうふうに見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/179
-
180・塩崎潤
○塩崎政府委員 仮登記は現在六十円という、きわめていまの貨幣価値から見ると全く税にならないような金額でございます。これを今回千分の一という定率税に直し、さらにまた、仮登記をした者が本登記をいたしますれば、これは千分の一を控除いたしまして、千分の四十九の取得の登記と登録税と、こういうふうに改めることにいたしております。
その趣旨は、御案内のように、現在の仮登記は相当登録税の逋脱のために用いられておるというふうに法律学辞典にも堂々とあげられ、さらに不動産業者の宅地建物の雑誌にもその点が明瞭に示されておりますので、そういった意味では私どもは税制を適正化する必要がある、ことにまた、六十円という非常に低い税率では手数料も出ないくらいな気持ちでございます。現在仮登記は四十三万六千件ぐらいでございます。売買の所有権の移転登記が二百三十二万四千件ぐらいございまして、現在の利用のしかたは、大体完全に登記法上の要件、法律上の要件が備わっていないときに取得の所有権の順位を保全する意味で利用されておりますが、実は仮登記をしたままで他に売却する、本登記をしないで売却するという事例が相当多い、それがまた一般の不動産業界の慣行というふうにも見受けられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/180
-
181・竹本孫一
○竹本委員 先ほどの百九十億円ですかの増収の中で、この仮登記によるものはどのぐらいに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/181
-
182・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもの見方では、約二十億円ぐらいと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/182
-
183・竹本孫一
○竹本委員 議論は避けて、あと少し伺いたいと思いますが、課税範囲を新しくふやしたというものの考え方は、どういう基準ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/183
-
184・塩崎潤
○塩崎政府委員 既存の登録税とのバランスにおきまして、一級建築士といった新しく最近法律によって保証されているような人的資格の登録税が第一でございます。
第二には、先ほど来平林委員御指摘のように、行政上の許可認可、たとえば銀行の支店の認可あるいは酒類製造販売の許可免許といったものをその範囲に追加いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/184
-
185・竹本孫一
○竹本委員 そこで、先ほど来また御議論になりました登録免許税の性格についてちょっと簡単にお伺いをして最後にしたいと思いますけれども、免許税というものと登録税というものは、本来少し考え方が違うべきものではないかと思いますが、簡単に登録免許税というふろしきをかぶせたような形でございますが、その点についての専門的な御意見を少し伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/185
-
186・塩崎潤
○塩崎政府委員 これまたアカデミックな御質問で、非常にむずかしいわけでございますが、私どもの見るところ、不動産登記登録、これはやはり法律的に非常に効果のはっきりしたものでございます。しかしながら、人的資格の登録、これは不動産登記のようなものではございませんが、しかし、税理士のように、登録しなければ事業の開始はできないというような意味で、やはり事業の開設、それから得る所得に対しての一つの特権的な地位の付与と考えられる、それからもう一つ行政上の許可、これはおっしゃるように、多分に法律上の登録あるいは登記とは違っておりますが、しかし、自由競争が本来使命であるこの社会、しかもまた、企業の設立あるいは職業の自由が本来であるところのこの社会におきまして、何らか行政上の制限がある場合に、この許可を得ることは、やはり一つの反射的な利益を得ることは、本質的にはこれまで納税をしていただいておりました弁護士やあるいは税理士の方々の登録とそんなに効果は違いないと私は思うわけであります。ただ、人的資格のほうは一身専属的なものでございますが、企業のほうは、一たん免許あるいは許可がございますと、企業が存続する以上継続される、さらにまた、企業が売買されるようなときに権利として引き継がれるといったところに効果の違いもございます。本質的な意味におきまして、不動産登記の登録も、さらにまた人的資格の登録、あるいは、いわばこういった地位が法律によって保証される行政上の許可も、その根拠は法律でございます。その法律によって保証された特権的な、と申しますと恐縮でございますが、場合によってはいろいろな例外もございましょうけれども、大筋から申しまして、特権的な地位、特権的な権利に対する国の保護、これに対する対価が登録免許税だと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/186
-
187・竹本孫一
○竹本委員 外国における税制のあり方から見て一体どういうふうになっておりますか。おもな国の例を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/187
-
188・塩崎潤
○塩崎政府委員 こういった税金はシャウプ勧告では排斥されるかもしれませんが、現実の税制では各国において行なわれております。
フランスが一番広範な不動産登記の登録に対しまして課税をしておりますし、西ドイツも同様に登記に対します課税はございます。それから弁護士の免許料については課税がございます。イギリスも同様に蒸留酒の製造免許だとか、あるいは自動車の登録税などもございますし、アメリカでは、州税ではございますけれども、製造免許あるいは販売免許、さらにまた公認会計士の許可等につきましての登録税がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/188
-
189・竹本孫一
○竹本委員 最後にもう一つ、特権的流通税ということでございますが、大蔵大臣は、最近間接税を増徴しようというような考え方もお述べになっておりますが、この流通税は将来はむしろ範囲も広げ、率も上げて増収をさらにはかっていくというような、増税の大きな対象にするというようなお考えがありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/189
-
190・塩崎潤
○塩崎政府委員 これはもうそういったふうな考え方ではでき上がっておりません。旧税は良税といってははなはだ恐縮でございますが、登録税を現実にいま適用させるというのが大きなねらいでございますし、新しく課税範囲に追加いたしましたのは、旧税の登録税とのバランスで考えたものでございます。したがいまして、売り上げ税といったものに発展するような素地を持つものとは私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/190
-
191・竹本孫一
○竹本委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/191
-
192・内田常雄
○内田委員長 明日は午前十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02019670530/192
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。