1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十七日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 武藤 山治君
理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 鯨岡 兵輔君
小峯 柳多君 小宮山重四郎君
笹山茂太郎君 砂田 重民君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 山中 貞則君
渡辺美智雄君 阿部 助哉君
只松 祐治君 野口 忠夫君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
山田 耻目君 永末 英一君
田中 昭二君 広沢 直樹君
出席政府委員
総理府人事局長 増子 正宏君
経済企画庁総合
計画局長 鹿野 義夫君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
厚生政務次官 田川 誠一君
厚生省年金局長 伊部 英男君
委員外の出席者
議 員 堀 昌雄君
総理府恩給局恩
給問題審議室長 大屋敷行雄君
大蔵省主計局給
与課長 津吉 伊定君
厚生大臣官房企
画室長 首尾木 一君
日本国有鉄道厚
生局長 中西 幸雄君
専 門 員 抜井 光三君
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六月二十三日
委員鯨岡兵輔君、村上信二郎君、村山喜一君及
び広沢直樹君辞任につき、その補欠として松田
竹千代君、宇都宮徳馬君、木原実君及び鈴切康
雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員宇都宮徳馬君、松田竹千代君及び木原実君
辞任につき、その補欠として村上信二郎君、鯨
岡兵輔君及び村山喜一君が議長の指名で委員に
選任された。
同月二十七日
委員大村襄治君、河野洋平君及び鈴切康雄君辞
任につき、その補欠として小笠公韶君、福永一
臣君及び広沢直樹君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員小笠公韶君辞任につき、その補欠として大
村襄治君が議長の指名で委員に選任された。
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六月二十三日
通関業法案(内閣提出第一一三号)(参議院送
付)
同月二十六日
勧業基金法案(綱島正興君外四十五名提出、衆
法第三二号)
国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共
済組合法の一部を改正する法律案(堀昌雄君外
十一名提出、衆法第三四号)
同月二十二日
香住税務署廃止反対に関する請願(堀昌雄君紹
介)(第一四九二号)
香住税務署の廃止反対に関する請願外三件(有
田喜一君紹介)(第一五一一号)
各種共済組合法の増加恩給受給権者に対する不
均衡是正に関する請願(亀山孝一君紹介)(第
一五四二号)
同(田村元君紹介)(第一五四三号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一五四四号)
同(中野四郎君紹介)(第一五四五号)
同(大橋武夫君紹介)(第一六四四号)
戦傷病者の傷病恩給等担保融資額の是正に関す
る請願(田村元君紹介)(第一五四六号)
同(中野四郎君紹介)(第一五四七号)
同(藤井勝志君紹介)(第一五四八号)
同(大橋武夫君紹介)(第一六四五号)
同(西村直己君紹介)(第一七一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第三六号)
国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共
済組合法の一部を改正する法律案(堀昌雄君外
十一名提出、衆法第三四号)
昭和四十二年度における旧令による共済組合等
からの年金受給者のための特別措置法等の規定
による年金の額の改定に関する法律案(内閣提
出第七五号)
昭和四十二年度における公共企業体職員等共済
組合法に規定する共済組合が支給する年金の額
の改定に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/1
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002・内田常雄
○内田委員長 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。小沢大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
公債償還の基本的考え方及び減債制度のあり方につきましては、昨年の財政制度審議会において慎重な審議を願い、昨年十二月に報告をいただいたのでありますが、これによりますと、公債政策に関する政府の節度ある姿勢を示すためには、より充実した減債制度を確立すべきであるとされ、さらに、今後の償還財源繰り入れ方式としては、(1)国債残高に対する定率繰り入れを基本とし、(2)財政法第六条による一般会計剰余金の二分の一以上の繰り入れをもってこれを補完し、(3)さらに、必要に応じて予算措置による繰り入れを行なうこととするのが適当であると述べられているのでありまして、政府は、この報告の趣旨に沿って減債制度の整備改善をはかることといたしたのであります。
このため、政府は、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律を今国会に提案することとした次第であります。
次に、その内容について申し上げます。
まず第一に、国債の元金償還に充てるべき資金の定率による繰り入れの制度を復活し、前年度首における国債総額の百分の一・六に相当する金額を毎年度一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることとしております。
この率は、公債の発行によってつくり出される資産が国民経済の発展向上に役立つものであるところから、公債の見合い資産が平均的に効用を発揮し得る期間をめどとして、一般財源による償還が可能となるようにこれを定めることとし、その期間を約六十年と見て、百分の一・六としたものであります。
なお、定率による繰り入れについては、従来から短期証券及び借入金は対象から除外されていたのでありますが、今後は、遺族国債債券、農地被買収者国庫債券等の割賦償還方式の交付国債も定率繰り入れの対象から除外することとしております。
第二は、予算繰り入れに関する規定の新設であります。これは、定率による繰り入れ及び財政法第六条による一般会計剰余金の二分の一以上の繰り入れのほかに、国債の元金償還に支障を生じないようにするため、必要に応じ、予算をもって定める金額を一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるべきこととするものであります。
以上のほか、他の特別会計法の例にならい、この会計の収入支出に関する規程は政令をもって定めることを明らかにする等、規定の整備をはかるとともに、従来定率を万分の百十六の三分の一とする特例を定めていた昭和七年度以降国債償還資金の繰入一部停止に関する法律及び一般会計について定率による繰り入れを停止していた国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律を廃止することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/3
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004・内田常雄
○内田委員長 次に、堀昌雄君外十一名提出の、国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。円の見込みである。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/4
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005・内田常雄
○内田委員長 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/5
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006・堀昌雄
○堀議員 国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の提案の理由を説明いたします。
ただいま議題となりました国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は、西欧先進諸国に比べ、依然として低水準に置かれております。しかも最近における医療費の急激な増高は、各種共済組合の短期給付財政の収支を悪化させ、そのため組合員に過重な負担をしいる掛け金の引き上げを余儀なくいたしております。また一方、長期給付におきましても、ここ数年来の異常なまでの消費者物価の上昇のもとで、年金受給者の生活は、極度に逼迫しているのが実情であります。
このときにあたりまして、主として組合員の掛け金と、それに見合う使用主負担の財源で運営され、国庫負担が貧弱な共済組合におきましては、従来の保険主義の原則を廃し、大幅な国庫負担の導入により、その社会保障的性格を強める必要があります。かようにして短期給付、長期給付とも、組合員の負担がこれ以上過重にならないよう措置いたしますとともに、退職公務員の老後の生活を少しでも安んじさせるよう、前向きの措置を行なうことは、社会保障の観点からはもとより、共済組合の趣旨に照らしましても、当然、国の責務というべきものであります。
以上の立場から、共済組合の短期給付並びに長期給付の充実改善をはかるため、この改正案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一は、短期給付に要する費用につき、新たに国庫は二割相当分を負担することといたしたのであります。これにより国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国五割、組合員三割の負担、公共企業体職員等共済組合につきましては、同じく国二割、公共企業体五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。
第二は、長期給付に要する費用の負担割合についてであります。一昨年第四十八国会において改正されました厚生年金保険法の例にならい、国庫負担を一割五分から二割へ引き上げることにいたしたのであります。これにより国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国四割二分五厘、組合員三割七分五厘の負担、公共企業体職員等共済組合につきましては、国二割、公共企業体四割二分五厘、組合員三割七分五厘の負担とすることにいたしております。
第三は、年金給付の算定基礎についてであります。国家公務員共済組合の長期給付につきましては、従来その算定基礎は退職前三カ年間の俸給の平均額とされておりましたが、消費者物価の上昇の中で、年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮し、公共企業体の職員等の共済組合と同様にこれを退職時の俸給といたしたのであります。
第四は、遺族一時金及び死亡一時金の支給範囲の拡大と年金者遺族一時金の創設についてであります。現行法では遺族の範囲が、主として死亡した組合員の収入により生計を維持していた範囲に限られており、たとえ配偶者や親がいても、組合員の収入によって生計を維持していなかった場合には、給付の対象とされておりません。この際、遺族一時金及び死亡一時金は、組合員の収入によって生計を維持していない遺族であっても、その支給を受けることができることといたしますとともに、遺族年金の支給の要件を満たしている場合において遺族年金を受けるべき遺族がないときは、組合員の収入によって生計を維持していなかった者に対して、遺族年金の額の十二カ年分に相当する金額を年金者遺族一時金として支給することにいたしたのであります。
第五は、退職一時金の引き上げについてであります。現在、国家公務員及び地方公務員の共済組合においては、退職一時金の支給額は、組合員期間によりそれぞれ二十日から五百十五日分となっておりますが、公共企業体の職員等の共済組合では二十日から四百八十日分となっており、著しく不均衡であるばかりか、その支給額も低きに失しております。したがいまして、この不均衡を正し、かつ退職一時金の底上げを行なうため、三十日から六百十五日分といたしたのであります。
第六は、国家公務員共済組合審議会委員、共済組合運営審議会委員などは共済組合員でなければならないものとされておりますが、共済組合運営の実態及びその特殊性から、現在は非組合員であっても、たとえば労働組合の役員として専従業務に携わっている者等、かつて組合員であった者については、労働組合の推薦により、委員に任命できるようにいたしたのであります。
以上、この法律案の提案の趣旨及び内容の概略を申し述べました。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/6
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007・内田常雄
○内田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/7
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008・内田常雄
○内田委員長 昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案の両案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/8
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009・村山喜一
○村山(喜)委員 旧令によります国家公務員共済組合法の一部改正並びに公共企業体職員共済組法の改正の内容を論議をいたします場合には、やはり国民全体の老後における社会保障制度という問題との関連なしには問題は処理できないと思うので、そういう立場から私は、政府がすでに了承をいたしました経済社会発展計画の中におきまして、社会保障の問題は所得保障部門の比重を拡大することを最重点として、厚生年金及び国民年金については給付水準及び支給要件の改善について検討をするんだという方向づけがなされているわけでございます。これによりますと、社会保障充実のために政府から個人への移転振りかえ支出は、四十年度において一兆四千億円あるが、これを四十六年度においては三兆五千億円にふやすんだ、約二・六倍に増加するものと見ているのであります。そういうふうになってまいりますと、一体この計画の中にどういうような内容のものを、特に所得保障部門における比重を拡大をするという立場から問題をとらえているのかということが一つの問題点になろうかと思うのであります。
そこで、現在二千百四十億円にのぼります恩給のこの所要財源及び共済年金というようなものは、当然振りかえ支出の中に織り込んで考えてあるはずだと私は思うのでありまして、そういう立場から一体今後この問題はどのような処理の方式を総合的にとろうとしているのかということが一つの問題であろうかと思います。現に、今回提案をされました二つの共済組合法の一部改正案を見てまいりますと、御承知のように、恩給法の改正に伴って、そしてそれを自動的に受けて改正をするという形で提案をされておる、これが大部分の趣旨内容であろうと思うのであります。そうなってまいりますと、共済組合制度としての社会保障的なものは、これはあと回しにされて、いわゆる恩給という国家が一つの恩恵的な措置として、まあ、恩給の定義はいろいろあるわけでありますけれども、そういう国の給付金が先行をしていく、これに伴って社会保障のそういうようなものがあとからついていく。政府関係あるいは公共企業関係の労働者等につきましては、これはそういうような恩恵が自動的に与えられる。しかしながら、一方、社会保障の老年者における所得保障部門の中核になる厚生年金なり、あるいは国民年金の改善というものは、これはこれに伴って改善をされようとしない。そこに私は、非常に国民の各階層間における不平、不満という問題がこれから出てくるのではないかと思うのであります。そうなってまいりますならば、当然経済社会発展計画の中で打ち出しております三兆五千億円という社会保障充実のための個人への振りかえ支出、政府から個人への移転というこの支出内容については、当然そこには計画的なものが出されているに違いないと私は思うのであります。そうでなければならないのに、ただこれが漫然と数字をはじき出しただけの社会発展計画であったならば、人間を尊重するという意味の趣旨は何らこの部門においてあらわれていない、こういうふうに受け取らなければならないのでありますが、一体、これは経済企画庁としてこれをまとめ、計画が確定を見たその段階におきましては、どういうような内容のものを考えておったのか。さらにまた、この原案をつくるにあたりましては、当然厚生省の意見というものが中に入っていかなければならないかと思うのでありまして、そういうような意味から、厚生省の年金局が中心になりましてこの案をつくったに違いないと思うのであります。そうだとするならば、それにはどういうような計画を持って臨もうとしておるのか、この点について初めに説明を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/9
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010・鹿野義夫
○鹿野政府委員 お答えいたします。
この三月に政府で閣議決定いたしました経済社会発展計画では、いま村山先生のおっしゃいますように、社会保障を一つの大きな目標に掲げて、その充実をはかるということにいたしております。計画では基本的な考え方を述べておるのでございますが、日本の社会保障制度が西欧のいろいろな制度を取り入れて、児童手当を除いては、制度的にはほぼ完成しているといいますか、出そろった形で進んできておると思いますが、各制度間には現在なおかなりのアンバランスがある。特にいま先生のおっしゃられました所得保障部門につきましては、スタートのおくれたという面もありまして、まだかなり低水準であるということはいなめないと思いますが、一方、医療保障あるいは失業手当等の問題につきましてはかなり内容の充実がはかられているというようなことで、全体的なバランスが十分とれておらないという点もございますので、計画では、これからの充実を特に所得保障部門に重点を置いて充実をするのだ。全体として社会保障の水準につきましては、いまおっしゃられましたように、四十年度で約五・五%程度の国民所得に対する振りかえ所得の比率ということでございますが、必ずしもこの振りかえ所得水準でもって社会保障の水準を云々できない面もあろうかと思いますが、一つの目安として考えて、この振りかえ所得水準を五・五%からほぼ二%程度高めるということを一つの目標にいたしております。その中で、いま申し上げました所得保障部門について特に重点を置きながら全体の社会保障水準を高めていくのだということを述べているわけでございます。社会保障につきましては、これからのわが国の経済社会の発展に即応した姿勢をとりながら、長期的な構想を持って、社会保障につきましての長期社会保障計画といったようなものを充実しながらその線に沿ってやっていくようにということを計画は考えておりまして、各部門別にどのようなテンポでどういうふうに充実いたしていくかということにつきましては、各それぞれの担当の所管のところで計画を練って充実されていくものというふうになっておるわけでございます。
基本的な考え方はそういうことで、それぞれについての具体的な水準なりその内容につきましては、事こまかに計画ではきめておりません。もちろんこういった、先ほどおっしゃられましたような振りかえ所得の水準の上昇に伴って、どの部門がどうなっていくだろうというようなことについては、内部的に議論はいろいろいたしておりましたが、計画の七では詳細なことをきめておりません。基本的な考え方、水準と総ワク的なものをきめ、それに従ってこの具体的な内容を充実していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/10
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011・田川誠一
○田川政府委員 経済社会発展計画では、社会保障の充実を社会開発の大きな柱として取り上げているのでありまして、全般的な水準の向上、基本的な方向を示しているのでありますけれども、その計画の策定の段階におきましては、社会保障給付費の大きな部分を占めております医療保障の抜本的な対策を固められなかったことだとか、あるいは児童手当の制度実現の具体的な成案が熟しておらなかったというようなことによりまして、目標年次における振りかえ所得の規模につきましては、巨視的な目標を設定したのでございます。したがいまして、その数字は個々の積み上げたものではございません。今後早急に医療保障の抜本的な対策と並行いたしまして、各部門につきまして、より具体的な構想をもって社会保障の充実をはかっていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 田川さん、あなたがいま言われるのは、聞いておりますと、マクロ的な立場で問題を処理しようとしておる、だから、積み上げ方式ではない。だからこれは、そういう解釈からまいりますと、現在あるものをやはり国民所得の伸びに応じて引き伸ばした、引き伸ばしたらこういうふうな数字になります、こういうことなんですか。積み上げ方式でないという立場に立っておられる考え方からいうならば、現在この年金保障部門というのは一四%ですね。そうして、医療保障部門が五〇%をこえている、こういうような社会保障制度というのは間違いである、いま所得保障部門が非常に欠けているところに日本の社会保障制度は問題があるのだということは、もう識者の一致する指摘事項であります。だからこそ、その社会保障を最重点として所得保障部門の比重を拡大しなければならないのだ、こういう説明がなされているだろうと思います。ところが、三兆五千億円になるであろうと推定されておりますこの内容については、しからば、現在の年金保障部門あるいは医療保障部門というもののパーセンテージがどういうふうに変わってくるのだ、そうなったときに、大体バランスのとれたものはこういうようなものが生まれてきて、その総額が三兆五千億円くらいになるのだ、こういう一応の推定がなされなければならないかと思うのですが、そういうような推定方式はおとりにならないで、ただ現在のものを総額としてそれを引き伸ばした、こういうふうに受け取ってさしつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/12
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013・首尾木一
○首尾木説明員 経済社会発展計画におきまして、マクロ的な視点からおよそ三兆五千億円の四十六年度における振りかえ所得を定めた、と申しますのは、国民経済の全般の成長とにらみ合わせて社会保障の総体規模というものを高めたいという全体的な観点からこのワクをつくった、ワクといいますか、目標を一応試算してみたということであります。先ほど経済企画庁のほうからもお話がございましたように、その作業におきまして昭和四十年度を基点といたしまして、現在のそれぞれの制度がどのようになっていくであろうかということを、作業の段階においていろいろ積み上げてみました。計算をしてみたことは事実でございますが、しかし、最終的に経済社会開発計画の中でその個々の数字を具体的にセットした、きめたといったような性質のものでない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/13
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014・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これは一応の目標であって、そういうような個々の項目ごとの積み上げ、この部門はこういうふうに拡大をするんだ、そういうようなものはいまのところきまったものはない、こういうふうに受け取って差しつかえないわけですね。
そこで、私はこの問題については行政機構の上から見ましても非常に問題があると思うのです。というのは、一体これはだれに答弁を願ったらいいのか、大臣がお見えになっておりませんので、質問に対する回答は保留をして、いずれ他の機会に御説明を願いたいと思うのでありますが、御承知のように、恩給につきましては恩給審議会というのがありますね。それから社会保障全体の立場からは社会保障制度審議会がある。あるいは共済の問題については共済組合審議会があります。しかしながら、そういうような公的年金制度に対する——まあ恩給というものは公的年金ではないんだ、制度が違うんだという立場に立てばこれはまた別でありますが、しかしながら、政府から個人への財政収支上の振りかえ支出に入ることは間違いないのですから、そういうような意味においても、また、恩給の持っております性格的なものの約半分は老後における生活の補給というもの、これが恩給の内容的なものであると私は考えております。さればこそ、恩給の中においても、公務員の給与その他物価の変動等に調整をしなければならないという調整規定が入れられているわけであって、そういう生活の保障面に対する部門が入っている。したがって、これも大きく言うならば、やはり老後におけるところの所得保障部門に入ることは間違いないと思うのであります。したがいまして、いま日本の国の老後の社会保障制度あるいは社会保険、年金というものの問題をとらえてまいりまするならば、非常にばらばらの形で存在をしている、それを統一的に処理しようという機関がない、またそういうような審議会ももちろんありません。したがって、各個にばらばらの形でこれが発足をしているという過程もありますけれども、将来の運営の方向が統一的な形で、国民の老後の保障、生活の保障をはかっていくんだという形においてはとらえられていないところに、非常に大きな問題が発生するのではないかと思うのであります。
そこで、その問題について、一体政府としてはこれからどう考えていくのかという問題を、やはり私は大蔵大臣あたりに答弁を願わなければならない筋合いの問題だと思うのでありますが、これについて、だれか適当な方がお答えを願うことができるならばお答え願っておきたいのでございます。その問題、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/14
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015・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま先生御指摘のように各種の年金制度がございまして、この年金制度全体を通ずる一つの統一的な機関がないということは御指摘のとおりでございます。そこで、昨日の社会保障制度審議会におきましても、同様な御趣旨に基づきまして、各種公的年金給付額の調整等についての申し入れが政府に対して行なわれた次第でございまして、政府といたしましては、御質問の御趣旨もございますし、また、審議会のお申し入れの趣旨もございますので、政府部内におきましても今後の取り扱いを十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/15
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016・村山喜一
○村山(喜)委員 社会保障制度審議会がきのう答申をしたわけですか。——その答申の内容はどういうようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/16
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017・伊部英男
○伊部政府委員 昨日、申し入れ書が渡されたわけでありますが、それによりますと、各種年金の種類は非常に多いが、それらのあらゆる公的年金は、それが純粋に社会保障に属するといなとを問わず、その根底に生活保障的な意味を持つ、スライド制の確立が強く叫ばれるゆえんである、公的年金の所管は十をこえる省庁に分かれている、これらの調整について、もし思い思いの改定を許すならば、非常に混乱が起こるであろう、したがって、この各種公的年金につき十分横に連絡をとり、その共通的な観念と個別的な観念とを分けて、その間の異同を宣明する必要がある、人口老齢化に伴い、この面における総合調整、諸原則の確立は焦眉の急と認められるので、政府は関係各省庁を督励するとともに、本件に関する責任官庁を定め、おそくとも一両年内には結論を見出すようにされたい。逐語の朗読ではございませんが、大体こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/17
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018・村山喜一
○村山(喜)委員 趣旨としては、私が述べているようなことがこの社会保障制度審議会の答申として出ておるように思うのです。そこで、それを受けまして、内閣総理大臣に対しまして答申がなされたわけでありますが、一体、それを受けて処理する第一義的な行政機関はどこですか。総理府ですか。この社会保障制度審議会というのは総理府にありますね。これは行政機構としてはそこに事務局もありますし、そうなってきたら、各省に属さざることの調整の義務、調整の処理というのは総理府の所管事項ですか、行政機構的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/18
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019・伊部英男
○伊部政府委員 従来、恩給関係は社会保障の範囲には属さないという考え方で、社会保障制度審議会の審議の対象になっておらないのでございます。したがいまして、社会保障制度審議会がこれに当たる審議機関であるということはいえないのでございますが、「責任官庁を定め」ということはこの申し入れにあるわけでございますが、これらをも含め、今後の取り扱いを検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/19
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020・村山喜一
○村山(喜)委員 いや、それを受けて、これからの行政機構も、一体どこが統一的にやるのかということもこれからきめなくちゃならない。となれば、やはりそれは行政組織、機構上は、いまのところ責任の分野がきわめて不明確だということになりますね。そうなると、そこに何らかの行政委員会なりあるいは行政組織上の独立した機構をつくらなければならない、こういうような筋合いにも思われるのでありますが、それらに対しては、やはり一体それをどうするかということについては、閣議で決定をされるということになりましょう。しかし、ここには閣僚がお見えになっていませんので、この点については、委員長、質問を保留しておきたいと思います。よろしゅうございますか。——なお、いまその答申が読み上げられましたが、それはきわめて重要な論議の資料になりますので、この委員会の各委員に配付を願いたい。
そこで、今度は具体的な問題について入ってまいりますが、共済組合の今回の年金の改定は、恩給法改正に伴うものとしてなされておるわけでありますが、恩給法の今回の改正の内容を見てまいりますると、年齢区分によりまして、一〇%、二〇%、二八・五%というようなことで処理される方式をとっておられるわけでありますが、今回のこの措置は調整規定が設けられましてから初めての改正であります。そうなってまいりますると、調整規定の中にあります国民の生活水準なりあるいは公務員の給与水準、その他の経済事情の変化、こういうようなものに伴うものとして調整年金制度というものが五十一国会で設けられたわけでありますが、そのようなものによって処理されたものであるのかどうか。なお、それを受けましての国家公務員共済組合なり、あるいは公共企業体共済組合の場合も同じような調整規定が入っていることは御承知のとおりであります。そうなってまいりますると、今回のその改正の趣旨というものは、そういうようなものをもとにして処理されたものなのか、あるいは、その他のものによってこれが処理されたのか、その位置づけというものはどういうふうに統一をされて解釈をされているのか、その点について承っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/20
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021・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 今回の恩給の増額は昨年十一月の二十九日に出ました恩給審議会の中間答申というのがございますが、その中間答申を基礎として改正をしておるわけでございます。その中間答申の中では、その調整規定との関連に触れまして、今後の調整規定の運用を妨げない限度において増額をする、こういうような趣旨になっておるわけでございます。それで、中間答申では具体的に増額を何%にするかという幅は規定しておらないのでございますが、一つの仮定といたしまして、昭和二十六年——これは恩給のいわゆる仮定俸給の水準と公務員の給与水準、これが、時期的にも、また金額的にも一致しておった時点でございますが、この昭和二十六年を基点といたしまして、昭和四十年の消費水準の伸び、これを考慮いたしまして、おおむね一〇%というような数字を——恩給審議会の答申の中には一〇%という数字は出ておりませんが、そういう思想の裏づけがあるわけでございます。これに基づいて政府は今回増額をいたしたわけでございます。したがいまして、調整規定との関係につきましては、その具体的な運用は将来の恩給審議会の検討にまかしてある、こういうように考えております。しかも、その増額の基礎となりました経済的な要素も消費水準、しかもその時期も昭和四十年、すなわち、調整規定ができましたとき以前の時点を押えておるわけでございますので、今回の増額は調整規定の内容を規定した、きめた、こういうようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/21
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022・村山喜一
○村山(喜)委員 ちょっと聞き漏らしたのですけれども、二万円ベースの時代が恩給にありましたね、三十七年の十月ですか。それに四十年の十月に二割増をベースとして——ベースということばは適当でありませんが、二割増をした、今回は一〇%、二〇%、二八・五%、こういうような改定をしようとしているわけですね。いまお話の中にありましたように、私も中間答申は見ましたが、その中間答申には調整の規定に抵触というのですか、妨げにならない範囲内においてやるのは緊急措置として認めてよろしい、こういうような内容に承るので、先ほどあなたがお話しになりました中で、いわゆる公務員のベースと言われたのですか、それとも、その調整規定の各条項は一つ一つを適用して今回の額を定めたものではないけれども、その部分的内容としては、国民の生活水準が大体それくらい上がっているのだということをおっしゃったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/22
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023・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 私が先ほど申し上げましたのは、調整規定にはいろいろな増額すべき基準となる要素が出ておるわけでございます。生活水準なり公務員の給与あるいは物価、こういうようないろいろな要素が出ておるわけでございますが、その要素をどういうふうに組み合わして運用していくか、これは非常にむずかしい問題を含んでおるわけでございますので、恩給審議会に十分検討をお願いしまして将来の運用方針をきめたい、こういう考えでございますが、今回の増額は、恩給審議会におきましてその具体的な方針をきめる以前に、すでに恩給と公務員の水準には相当の開きがある、こういうような御判断の上できめられておるわけでございまして、政府が従来とってきた、従来といいますか、昭和四十年の改正時にとってきた方法、これを一応暫定的に踏襲した、こういうことでございます。四十年の改正時におきましては、実質的な消費水準、これを要素にしておりますので、これを今回の改正には使用しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/23
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024・村山喜一
○村山(喜)委員 大体わかってまいりました。
そこで、共済のほうも同じような趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/24
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025・津吉伊定
○津吉説明員 国家公務員共済組合法の第一条の二におきまして、いわゆる調整規定という年金額の改定の規定がございます。これは恩給その他公的年金制度に類似の規定がございますが、この調整規定の運用につきましては、具体的にいかにするか、これはすでに御議論のあるところでございます。今回の共済年金の増額改定につきましては、すでに先生御承知のように、われわれ国家公務員共済組合は従来恩給制度の適用を受けておりましたいわゆる官吏、それから従来旧陸海軍、旧外地というような旧令共済、それから旧勅令の旧逓信等現業の共済、それから現在の国家公務員共済組合法になる前の旧法の国家公務員共済というものがございまして、それぞれ共済組合法新法ができますときに、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法という法律によりまして、既往の期間を評価いたしまして通算等の措置をやっておるわけでございます。したがいまして、恩給の適用を受けた部分というのが新法の共済年金として給付をされるのではありますけれども、その計算の方式は恩給の方法によっておるということがございますし、また、恩給と並行して雇用人についてございました旧勅令等の共済におきましては、その増額について、やはり恩給とのバランスを考えざるを得ない、こういう次第でございまして、われわれ共済組合の関係では、恩給公務員部分というものは、恩給の増額改定そのままが適用されるといいますか、ならいまして増額改定をする、それのバランスで雇用人につきましての旧勅令部分等についても、同様の増額改定を行なっておるということでございます。ただし、共済組合の三十四年以降、純粋に新法年金部分につきましては、これは恩給そのままということではなくて、原則的な引き上げ率一〇%というものだけを用いまして、現在の共済年金制度の性格との調整をはかっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/25
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026・村山喜一
○村山(喜)委員 旧法部門とそれから新法部門とは、いまの説明を聞いておりますと、ちょっと違うんだ、恩給にならうところとそうでないのとあるのだという話でありますが、一つ一つ私、詰めてまいります。
先ほどの説明では、恩給の額とそれから公務員の現在の給与水準、こういうような従来からとってきたものをもとにして、そして昭和四十年の消費水準をにらみ合わせながら今回の額の改定はしたんだという恩給局の説明でございましたね。とするならば、一体、この規定の中にあります国民の生活水準、それから国家公務員の給与、これをもとにしてやったということにはならないのですか。いまの説明を聞いておりますと、やはりそれにその要素の組み合わせで、その部分は幾らとって、公務員の給与改定の分は幾らとって、その組み合わせでこういうふうにしたんだ、厳密な意味における計算方式に基づいて出したものではない、これはわかりますけれども、しかしながら、ばく然とした形の中における恩給の支給額と、現在の公務員の給与水準、それから四十年の消費水準との比較において数字を出したんだという説明でありましたから、やはりそういうような意味からは厳密な対応関係はないけれども、一応そういうようなファクターというものを考えながらこの金額についてはきめたんだ、こういうことになるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/26
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027・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 これは恩給の現在までの増額過程をちょっと申し上げなければわかりにくいと思いますが、恩給の改定に際しまして、三十四年までは公務員の給与と恩給の仮定俸給の水準、これが完全に一致しておったと言えるわけでございます。つまり二万円ベース、こう言っているわけであります。しかしながら、それ以後の公務員の給与、これは質的に非常な改正がございまして、従来の仮定俸給がついていけない、技術的に非常に困難な点がある、こういうようなことを勘案いたしまして、昭和四十年の増額改定の際には二万円ベースの二割アップという方式を出してわけでございますが、この方式が、先ほど申し上げました昭和二十六年を基準としました消費水準の伸び、これを勘案しました数字でございます。若干予算上の関係で削減された点はございますが、考え方といたしましては、この四十年の改定は昭和二十六年の恩給の仮定俸給を基準にしまして、同時点の消費水準の伸びを勘案しまして改定したものでございます。それで、今回の増額改定も、恩給審議会の答申にございますように、一応の暫定の措置であるというような観点から、従来政府がとってまいりましたこの方式を採用したわけでございます。したがいまして、今回の増額改定は消費水準の伸びを基礎にしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/27
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028・村山喜一
○村山(喜)委員 どうもわからないのですよ。その恩給改定の歴史的な過程については私も知っております。知っておりますが、そこで、消費水準ということばを使われるわけですが、これは法律によりますと、調整規定のところでは生活水準ということばになっておりますね。その生活水準の中における消費水準でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/28
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029・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 恩給法の二条ノ二に「生活水準」ということばが使ってございますが、この生活水準ということばには、現在のところ、明確にこれがそうだというものはないと私どもは考えておるわけでございます。すなわち、消費支出をとるか、あるいはその中でも家計調査による支出、あるいは個人当たりの消費支出、いろいろあるわけでございまして、この生活水準にどのような内容をつけるかということは非常にむずかしい問題がある、そういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては、今後の恩給審議会において御判断を願うということにしておるわけでございまして、この消費、水準と申しますのは、物価の伸び分、いわゆる消費支出の伸び、こういうような形で出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/29
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030・村山喜一
○村山(喜)委員 その消費との関係、物価の変動に伴って増減もするし、私はやはり、測定の方法として、一人当たりの実質所得あるいは消費水準という問題の中身が、生活水準としてとらえられる一つの方法だろうと思うのですよ。しかしながら、一体消費水準指数というものは、どこの何をもとにして消費水準というものを出そうとしておられるのかということが、これはそれぞれ調査の対象が勤労世帯とかあるいは農家世帯とか、いろいろあるわけですが、この消費水準ということをあなたが言われると、一体それはどういう消費水準の指数を使っておるのかということなんですが、その説明ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/30
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031・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほども申し上げましたように、いわゆる算式は、要するに物価の伸び分の消費支出の伸び、こういうことでございますが、物価は総理府統計局の物価指数——消費者物価指数でございますが、それを採用しております。それから消費支出は、経済企画庁で出しております消費支出というのがございますが、その数字を使っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/31
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032・村山喜一
○村山(喜)委員 総理府統計局の家計調査がありますね。それから農林省の農家経済調査がありますね。それによって、いわゆる総理府統計局の消費者物価指数というものが出されるわけでしょう。それで、経済企画庁のほうは国民所得の推計をやるわけでしょう。人事院の標準生計費の算出の基礎も、そういうようなものをもとにしてつくり出しておりますね。いまあなたがおっしゃるその消費水準指数というものは、一体どういうような計数を用いて、どういうふうにして算出をしたのか、ちょっと説明がややこしいようでありますから、後ほどそれに関する資料を数字で、いわゆるこういうような読みによってこのような調整をやったんだという数字をお出しを願いたいと思います。そのほうが具体的にはっきりしてまいりますので、それだけあなたには要望しておきます。
厚生政務次官が先を急がれるようでございますので、あなたにぜひ考え方をお聞きしておきたい点だけ先に申し上げて、質問をしたいと思います。
それは、いま日本のいわゆる年金制度というものが、私もいろいろ調べてみてわかってまいったのでありますが、いわゆる過去勤務というものに対する措置が十分になされていない。たとえば、国民年金の中におきましても、恩給法の適用を受ける軍人等は、あるいは軍属等につきましては、その面で救済をされるわけですが、そういうような軍隊の勤務というものは、厚生年金なり国民年金の中では認められていないわけですね。いわゆる過去勤務債に対する財源措置というものが全然見られていないわけです。それから、途中で退職をいたしました者は、退職一時金というようなものでその制度からボイコットされる仕組みになっているわけです。そういうようないわゆる過去勤務債に対する見方が十分なされていないところに、日本の老齢年金の特徴、不十分さがあるということが世上指摘をされているわけですが、そういうふうになってまいりますと、いわゆる今日一番困っておる問題は、国民年金にいたしましても一万円年金制度が、二十年後ですか、発足しましてから六年ですから、あと二十年ぐらい後に生まれる。しかしながら、いわゆる給付制の国民年金制度が生まれるのはずっと遠い先のことだ。現在はいわゆる所得水準の低い人に対する老齢福祉年金が支給をされておるわけです。しかし、現実に一番困っているのは、戦争によって家族を失いあるいは財産を失った人たち、そして身寄りのない人たち、あるいは今日の産業構造の変化に伴って、農村地帯において収入のない、いわゆる老齢者というような人たちが、食える年金をもらいたいということで、希望を持ちながらむなしく実現ができない形の中で取り残されているわけですね。
そういうような問題を考えてまいります中において、いわゆる農民年金といいますか、農林年金というものが構想として浮かび上がってきた。私はそれが発生をするいわゆる農村の貧困の度合い、特に老齢者の生活状態というものを見ますと、今度月百円だけ上がることになったのですか、そういうような現在の年金、今度から、四十三年の一月からは福祉年金千六百円になりますけれども、そういうようなものでは、とてもじゃないが生活はできない。何とかしてもらいたいという期待感の中に農林年金というものが生まれてきたと私は思うのです。そういうようなものを今度は日本の社会保障制度全体から問題をとらえなければならないと思うのですが、現在は、御承知のように、そういうような国民年金の対象になる人は、零細な企業で働いている労働者と、そういうような企業を営んでいる中小零細企業者、さらに農民、こういうような人たち約二千万人が対象として取り上げられておるわけですね。その中で農民中金、農林年金というものを、新たにまたこれが政治課題としてあなた方の自由民主党が総選挙にあたって公約をされたということで、国民は期待を持たされておるわけですね。それは分離して独立をするのか、そしてまた、あるいは国年の上に積み重ねてやるのか、いろいろなやり方が、三つくらいの方式が考えられると思うのです。これについては調査費がついたので、ことしはそういうようなのを調査をするというところから出発するということになっておるようですが、私は、やはり社会保障制度全体の立場から、特に厚生年金なりあるいは国民年金を扱っておられる厚生省としては、いま日本のいわゆる公的年金の民間における柱になっている厚生年金なり国民年金というものを充実をして、そういうようなものをやはり柱として考えなければならないのであって、一つ一つを分離して、職業ごとに、階層ごとに分離をしてこま切れにしていったら、一体、今日物価が上昇をしていく中において、あるいは国民の生活水準が上昇をしていく中で、それにスライドしていくような、やがて人間として老齢の生活が保障できるような資金というものは、こまかくこま切れに分離さしておったら、いわゆる過去勤務債の後年発生分にかかわるそういう財源の整理財源というものは、とてもじゃないが吸収はできないだろうという事態を私は考えるわけですよ。したがいまして、新聞等によりますと、厚生省としては、そういうような農林年金については賛成はできないという立場をとっておられるように承っているのでありますが、一体、それに対してはあなた方は、日本の社会保障制度を充実強化しようという立場からこの問題をどういうふうに考えておられるのか、見解を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/32
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033・田川誠一
○田川政府委員 ただいま御質問になりました農民年金の問題でございますが、私どもといたしましては、あくまで社会保障制度の一環といたしまして、農民のような方々に対しましても国民年金の一環として老後の保障を与えてやるべきではないかというふうに考えております。これをいま御指摘のように、一つ一つ、各職業別に分割して、独立して制度としてやるということはいろいろ弊害もありますし、好ましいものとは思えません。やはり国民年金を充実してやっていくということが一番好ましいんではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/33
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034・村山喜一
○村山(喜)委員 まあ、この問題はこれから出てくる問題だと思うのですよ。ことし調査費が農林省のほうに二千万円つけられた。それによって実施する場合には、少なくとも国民年金よりも下回るものではおかしいんだ、こういうような問題のとらえ方でやろうとされておるわけです。私は、今日の農民に、そういうような二十年先の一万円年金よりも現実に差し迫った生活を保障するという意味において、早急に支給をしなければならないという必要性はわかります。必要性はわかるけれども、それではなぜそういうような必要性が生まれてきたのかということになれば、今日のいわゆる国民年金なり厚生年金が、国民の必要性というものを十分に満たしていないところにその問題が生まれてきたんだと思います。さればこそ、社会保障制度審議会のほうが、きのうですか、そういうような答申をした。そういうような気持ちの中にも、もっとそういうような部分を充実していかなければならないんだ、そして均衡のあるものとして国民全体がやはり社会保障の恩恵を受けるような形で生活ができるようにしなければならないんだという立場が貫かれていると思うのです。
そういうような意味において、私は先ほどいろいろ経済社会発展計画の中身についても聞きましたけれども、まだこれは単なるマクロ的な立場から一つの方向を定めたにすぎないのであって、一体、日本の社会保障全体の中で年金保障部門がどういうふうにならなければならないか、医療保障部門が今日のようなウェートでいいのかどうか、こういうような問題を、やはり全体的な立場からとらえる中において充実強化しなければならない。この年金の部門に対する厚生省としての態度を早急におきめをいただいて、そして、そういうような職業ごとの、あるいは階層ごとの、非常に日本の政治自体が各階層の要求によって曲げられている実態を、すみやかに太い社会保障という線で統一をしていかなければならない時代がもう今日の時代だと私は思うのですよ。ですから、そういう立場から、厚生省としてはぜひすみやかにこの問題については御検討を願って、それぞれ恩給なりあるいは国家公務員の共済年金なりが独走をしていくという姿は、私はこれは少なくとも望ましい方向ではないと思いますので、やはりそれなりにもつと内容の充実ができるような方向で早急に取り組んでいただきまして、この問題の国民の切実な要望にこたえるように御協力のほどをこの際政務次官のほうにお願いを申し上げておきたいと思います。
厚生政務次官はお忙しいでしょうから、どうぞお帰りになってけっこうです。
先ほど恩給局のほうにお尋ねした資料、この場で説明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/34
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035・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 今回の増額で、先ほどからいろいろ基礎を申し上げておりますが、二十六年を一〇〇にした消費水準の伸び、これが昭和四十年では二〇八・八になるわけでございますが、これは経済企画庁で発表しております消費水準、それをとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/35
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036・村山喜一
○村山(喜)委員 いや、その二〇八・八になるから、だからどういうふうにファクターとしてそれをとって入れ込んだのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/36
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037・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 二〇八・八の根拠でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/37
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038・村山喜一
○村山(喜)委員 いいえ、違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/38
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039・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 一〇%の内容でございますか。——これは昭和二十六年の消費水準でごさいますが、これは経済企画庁で算定しておる数字でございますが、これを一〇〇としますと昭和四十年では二〇八・八になるわけでございます。(村山(喜)委員「そこで四十二年は」と呼ぶ)昭和二十六年当時、これは軍人恩給はなかったわけでございますが、兵相当の者の仮定俸給を考えますと六万八千四百円になったわけでございます。これが二十六年当時でございます。それに二〇八・八の指数を乗じますと十四万二千八百十九円になります。で、これをまるめますと十四万二千八百円、これが要するに消費水準で計算しました昭和四十年の兵の仮定俸給の額になるわけでございます。ところが現在の兵の仮定俸給は十二万九千八百円でございます。したがいまして、この十二万九千八百円からの上昇率、算式で申しますと、十四万二千八百円割る十二万九千八百円、この計算方法で一〇%、こういうような数値が出るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/39
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040・村山喜一
○村山(喜)委員 はたして消費水準を用いる方式が正しいのかどうか。それは生活水準の中における一つの測定の方法として、私は消費水準の指数というものを用いてやる方式はあると思うのです。しかしながら、それは単なる消費水準だけではなしに、これは物価指数、物価の場合の上昇に伴ういわゆる実質所得というものについての算出はされているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/40
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041・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほど申し上げましたように、この経済企画庁から出ております消費水準といいますのは、いわゆる物価の上昇率でデフレートしてあるわけでございます。したがいまして、実質的な消費水準、いわゆる生活内容の改善に伴う水準である、こういう意味になろうかと思います。物価だけで考えますとこれほどまでには伸びておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/41
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042・村山喜一
○村山(喜)委員 消費者物価でデフレートしたものだということになりますと、なるほどそれは消費水準というものは満たし得ると思うのですね。しかしながら、それとやはり所得との関係——実質所得があり、そこに実質消費水準が存在をしなければならない、そういう立場から考えていけば、所得から消費を差し引いたものが剰余価値として出てまいるわけですね。ですから、そういうようなものが生活水準の中には当然入らなければならない、したがって、生活水準のすべてをこれで満たしたものではないのだ、こういうように解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/42
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043・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 生活水準の内容の解釈なのでございますが、先ほど申し上げましたように、今回の増額の基礎になっております消費水準といいますのは、いわゆる生活内容の改善度を見た、こういうことでございまして、端的に申しますと、従来はあるものを三個の数量で消費しておった、それがいま五個なりあるいは八個消費する、こういうような生活内容の改善度を消費水準、こういうぐあいに解しておるわけでございます。したがいまして、これを所得と申しますと、いわゆる公務員の場合には公務員の給与、民間の場合には民間賃金になるわけでございますが、その姿で申しますと、先ほど申し上げました物価でデフレートした分、これが省かれておる、こういうぐあいに考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/43
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044・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、生活水準というのは、これは生活の内容、高さをあらわす意味合いを持っていると思うのですが、やはり個人なりあるいは家庭、さらに地域社会全体として人間の現実における生活の状態、これが生活水準だと思うのです。そうなってまいりますと、その測定の方法としては、実質収入の伸びというものが、一体国民全体として、あるいは一家庭として、一個人としてどれだけあるのか、また、それに伴うところの実質消費支出の伸びというものが一体どういうふうになってきたのかという、二つの側面は少なくとも押えなければならない。したがいまして、あなた方の言われるところの全世帯のいわゆる消費水準指数というものを用いて、そして消費者物価でデフレートしたものの指標というもので算出したといわれるのは、生活水準の大部分は満たしておると思うのですが、それはすべてを満たしているとは言えないと私は思うのです。私の言う意味がわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/44
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045・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 わかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/45
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046・村山喜一
○村山(喜)委員 したがって、生活水準一つとってみましても、まだ調整規定の部分的な要素を今度は満たしたにすぎない。したがって、今後はその調整規定の内容というものは、単に国民の生活水準だけでとらえているのじゃなくて、さらに公務員の給与水準あるいはその他の諸事情というものをファクターとして、その要素をどのようにして組み合わせるかということは恩給審議会の今後の課題だ、こうおっしゃいましたね。そうなってまいりますと、そういうような要素でいま恩給審議会のほうとしては、これから組み合わせを検討し、あるべき姿というものを法律に基づいて出そうとしておるわけですね。そうなりますと、国家公務員共済組合の場合は、どこでそういうような作業をされますか。恩給審議会のほうに全部まかして、それを受け取って、そのとおりでございますという形で、今度のような形で出されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/46
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047・津吉伊定
○津吉説明員 先ほど先生から御指摘がございましたように、社会保障制度審議会におきまして、申し入れというか、勧告を出しております。その内容で先ほども指摘されましたように、厚生年金、国民年金、各種共済年金、恩給など、公的年金の種類は多いんですけれども、その根底には生活保障的な意味がある。それからスライド制ということが特に実質価値保全のために叫ばれる段階でございまして、しかも、先ほど御指摘がございましたように、所管は十をこえる省庁に分かれておる、これを総合調整いたしまして、諸原則の確立をはかるということは、国民皆年金の意義を全うするために焦眉の急である、こういうことになっております。国家公務員共済組合の問題といたしましては、すでに従来御承知のように国家公務員共済組合審議会というのがございまして、共済制度その他重要事項につきましては審議の対象にし、建議をするという権限を持っておりますが、一応われわれ国家公務員共済といたしましてはその組合審議会に検討をお願いしておるという状況でございます。さらに、従来からもちろんそうでございますが、いろいろな共済の改正につきましても共済組合審議会にかけるとともに、社会保障制度審議会を通しまして御提案をしておるというふうな状態でありますし、さらにそれを総合する機関といたしまして、昭和三十八年十二月、次官会議決定ではございますけれども、事実上置かれております公務員年金制度連絡協議会というものにおきまして総合的な検討を進めておるという情勢でございます。それぞれ現在の段階では、私、先ほど申し上げましたように、恩給法における改定のしかたというものが、共済の沿革及びそれの取り込んでおります実態によりまして、バランスの問題として、いわば恩給追随といわれるような、過渡的な状態ではございますけれども、これはもちろん継続するということがたてまえではございませんで、当然国家公務員共済組合法においても調整規定を持っておるわけでございますので、恩給その他の公的年金制度との共通部分、あるいは特殊な職域保険としての特殊な性格というものを考えまして、独自の調整を検討していくということになろうかと思います。もちろん、各種公的年金の中におきまする国家公務員の共済制度でございますので、これはいま申し上げましたような諸種の機関を通じまして十分な関連を持って検討をはかりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/47
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048・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、各共済組合ごとにその共済組合審議会というのがあるでしょう。国家公務員は国家公務員、あるいは地方公務員は地方公務員、さらに公共企業体は公共企業体、それの統一的ないわゆる運営というものは、公務員年金制度連絡協議会でこれはやられるわけでしょうか。国家公務員共済組合審議会が中心になって、あとはそれに右へならえをするというような形になるのじゃないでしょうか。現在のやり方を見ておると、いわゆる恩給のほうが先に走って、そのあとに今度国家公務員の共済組合がそれに追随をして、そうして、あとそれに公共企業体共済組合なり地方公務員共済組合が右へならえをするという仕組みになっておるでしょう。そういうような問題を公務員年金制度連絡協議会としてはどういうふうに処理されようとしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/48
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049・増子正宏
○増子政府委員 ただいま御質問の公務員年金制度連絡協議会でございますが、これは先ほど大蔵省の給与課長から申し上げましたように、昭和三十八年の十二月に次官会議の申し合わせということで設置したものでございまして、いわゆる法令に基づきます審議会というようなものではございません。いわば事務的な連絡機関として設け、かつ、そのように運営しておるものでございます。
内容的に申し上げますと、これは表題からして明瞭でございますように、いわゆる公的年金をすべてということではなくて、公務員についての年金制度でございますので、端的に申し上げますと、恩給法によるもの及び国家公務員共済組合法によるもの、これが中心でございます。ただし、最近は公務災害補償法に基づく年金もございますので、それも公務員年金の一つと考えますと、この対象にもなろうかと思いますが、いずれにいたしましても、中心的には恩給制度といわゆる共済制度による年金の連絡調整ということでございます。設置以来いままで、この両制度に共通の問題についていろいろ研究なり連絡をいたしてまいっておりますが、最近におきましては、大体恩給法の改正が御指摘のようにまず先行いたします。改正案がまず確定いたしますと、それと並行して各共済年金の改定案がつくられるというような状況でございますので、それぞれの改定案につきまして、関係省の担当者が協議会に参集いたしまして、それぞれの内容の説明、質疑、意見の交換等いたして今日にまいっております。先ほども大蔵省のほうから説明がありましたように、最近におきましては、いわゆる調整規定、これをどのように内容的に考えていくかという問題が論議の対象になっており、現在まだいろいろと検討中でございますので、今後引き続きこれが中心的な問題になろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/49
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050・村山喜一
○村山(喜)委員 わかりますが、そうなりますと、この公務員年金制度連絡協議会という、次官会議の申し合わせをいたしましたこの種の打ち合わせ会が、今後は恩給と共済との調整なり、そういうような問題のとらえ方は、ここが中心になってやらざるを得ない、現在の行政機構の仕組みの上からは、そういうようなふうにしか受け取れませんが、現在の制度の上ではそのとおり受け取って間違いはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/50
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051・増子正宏
○増子政府委員 その受け取り方なり、あるいは実際の姿がどうなるかということは、いろいろな見方があろうかと存じます。と申しますのは、先ほど来お話がございましたように、それぞれの制度につきましては法律に基づいて設置された専門の審議会があるわけでございます。これは法的な権限に基づいて、そこでいろいろと建議あるいは調査研究をすることができるわけでございますが、この連絡協議会は、いわばそれぞれの所管各省庁の事務的な連絡協議会でございますので、その辺の関係がどうなりますか、場合によっては、審議会でいろいろ検討される前に、事務的な連絡が行なわれるということもございましょうし、それから審議会が審議の途中にいろいろな意見を出すと思いますが、あるいは、それに対する各省としての考え方等がこの連絡協議会に持ち寄られまして検討されるというふうになりますか、あるいは最終的には、それぞれの審議会から答申が出たものをどのように扱うかというようなことがこの対象になるか、いろいろな場合が考えられようと思います。したがいまして、そのどちらが中心になるか、どれが問題の回答になるかどうかわかりませんが、いずれにしましても、各省庁それぞれの問題を持っておりますいろいろな段階におきまして、その各省相互間の連絡協議というものはこの機関を通じて行ないたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/51
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052・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで私は、先ほどの社会保障制度審議会のほうからの答申の内容との関連性を思わないわけにはまいらないのであります。現実的には、法律に基づいて、各審議会がそれぞれの事項について検討をしておる。しかしながら、それが独走をしたらぐあいが悪いので、事実問題としては、次官会議の申し合わせによって、いわゆる事務的な連絡という形をとっておるけれども、事実上は、そこで調整なりあるいは事前の準備なり事後の協議がなされておるというのが、公務員年金制度連絡協議会なんです。そういうような形をとってまいりますると、私は、これは必要に応じて生まれてきた必然的なものとして存在をしておると思うのです。したがいまして、これは法律制度の上において生まれているのではなしに、事実上の運営の必要性に応じてこのようなものが必要である、とこから生まれているのですから、これは今後調整を進めていく一つの重要な柱として、これをやはり基礎にしながら、そのほかに、民間のいわゆる公的年金制度の問題をこれにつけ加えていく中において、日本の社会保障制度のあり方の行政機構的なものをつくり上げていかなければならないかと思うのです。そういうような方向で検討をしなければならないと私は思うのですが、大臣がおられないので、小沢さん、あなたこれはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/52
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053・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃるように、わが国の社会保障といいますか、これは所得保障の面でも、いわゆる短期給付の健康保険制度全般の面でも、非常に体系がばらばらでございますから、政治的に考えましても、今回の制度審議会の申し入れを受けまして、政治としては、やはり御承知のとおり短期給付につきましては根本対策を確立しなければどうにもならぬという事態になっておりますし、公的年金の制度につきましても、制度審議会が指摘しているような面、また、先生もるる御質問をされました御意見等によりましても当然の方向でございますので、
〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
政府として、前々からこの点は十分検討していかなければいかぬと考えているわけでございますが、どうもそれぞれの制度が、歴史的にあるいはいろいろな実態でやはり違う点がございましたり、そういうことを考えますと、一がいに社会保障省を設けて、ここでぱっと長期、短期に分けてそれぞれやればいいのだというかっこうにもなかなか早急にいかぬ点もございます。しかし、方向としては、当然これは長期、短期それぞれ根本的に統合する方向で政府としては考えていかなければいかぬじゃないかと思っておるわけでございますが、いずれにしても、先ほど言いました各省次官会議のこの協議会というものは、調整機関ではありませんけれども、それぞれ各省で立案をして、それぞれの審議会に意見を問う場合の、事実上の非常に大きな調整機能を果たしていくものと考えております。これは事実だろうと思います。また、そうでなければ設置された意味はございません。いろいろ将来の方向としてこれは政府全体の大きな問題でございますが、統合の方向では当然考えていかなければいけない、そういう意味で、私どももこれから十分検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/53
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054・村山喜一
○村山(喜)委員 国民年金法なりあるいは厚生年金保険法なり、あるいは船員保険法、あるいはその他農林年金、あるいは私学共済、こういうようなものの中に、いわゆる調整規定というのは、「法律による年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」云々というのが規定してありますね。これはやはり、恩給なりあるいは国家公務員の共済なり、その他の共済組合と同じような趣旨のもとに調整規定が生まれた。そうするならば、やはり社会保障という立場から、これについては今後どういうふうに持っていくのだというのは、いまでは社会保障制度審議会が中心になっているわけですが、それと、やはりいまの公務員年金制度連絡協議会には、厚生省の方も、年金局長が参加をしておられるようです。そういう立場から考えていきますと、ここにはやはり主務官庁としては、具体的な調整をやっていく場合において、どこが担当していくべきだという考え方がなければならないと思うのです。その点は厚生省が中心になっていくべきものなのか、総理府が中心になって総合調整の任に当たるべきなのか、そういう点については検討を加えられておるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/54
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055・伊部英男
○伊部政府委員 この問題につきましては、先ほどもお答え申し上げたのでございますが、審議会にあります責任官庁ということばを非常に厳格に解釈いたしますと、法律上責任と権限を伴う責任官庁となりますので、あるいは設置法の改正から必要であるというような点になろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この問題の調整にあたりまして、政府としてどのように取り組んでいくか、これは関係各省におきまして、いろいろなレベルにおきまして今後十分研究してまいりたい、かように考えておるものでございます。ただいま先生御指摘のような問題を含めまして、今後検討してまいりたい。いずれにいたしましても、厚生省は、厚年、国年合わせまして四千万の被保険者を擁する年金制度の大宗の責任を負うところでございますので、いかなる形におきましても、十分この問題に関心を持ち、努力もし、協力もしてまいりたい、かように考えております。
〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/55
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056・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、厚生年金の改正が四十年五月にありましたときに、一万円年金を実施するために、既裁定年金受給者四十三万人の年金額が百四十億円ある、しかし、スライド年金化するために生じたいわゆる後発過去勤務債が約三千億円あるということで、年金支出現金十一兆円の中で三千億円がそういう後発過去勤務債として残るが、これは原則として労使折半して負担をするのだという形で、スライド年金の所要財源というものは処理するように、当時総合保険料の中で処理していく財源方式を打ち出したわけですね。これはそういうような年金数理に基づいてやっておるわけですが、国民年金の場合等、これはまだその事情が発生しませんので、将来そういうようなスライド年金化した場合におけるところの、いわゆる後発過去勤務債務に対するところの財源負担という問題については非常に大きな問題が出てくるのではないかと私は思うのです。特に厚生年金なりあるいは国民年金というものは、それぞれ約二千万くらいずつの人員をかかえておりますから、保険制度としては成り立っていくとは思うのですけれども、この中には非常に小さな、十四万人しかいない私学共済のようなものが存在する。今後はやはり物価の変動その他国民生活水準の向上に伴って、それをスライド化していく場合においては、そういうような小さな保険団体、年金団体がそのような後発生の過去勤務債を負担していく能力がどこまであるのか、私は非常に大きな問題が今後においては出てくるのではないかと思うのですが、そういうような点から、現在農林年金なりあるいは私学年金のように、十四万とか三十五万とかというような小さな人員が厚生年金から独立をした形で存在をしておるのですが、今後スライド化していく場合においては、年金のスライド化に伴ってはさらにこのようなものを統合をしなければならない事態がやってくるのではないかと思うのですが、それらについてはどういう角度から検討しておられるのか。検討された事実があるならば、この際——PSLの整理資源の問題について、国家公務員共済組合の問題についてはあとでお尋ねをしますけれども、その問題の考え方の方向を、あなたのほうで検討されたものがあったらお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/56
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057・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金の既裁定年金に伴う整理資源の整理につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、国民年金につきましてもほぼ同様な考え方でまいっておるのでございます。厚年、国年、いずれも二千万の大きな被保険者でございますし、これは換言すれば、要するに国全体、国民全体をカバーしておるものである。したがって、今後の経済成長、所得の伸びというものがその中に反映してくるのだというぐあいに考えてよろしいかと思っておるのでございます。
なお、国民年金につきまして一言申し上げておきますが、国民年金につきましては、制度発足の際に、十年間で老齢年金がつくという経過規定が設けられておりますので、この方々はあと五年足らずで老齢年金が支給されることになります。なお、遺族障害等につきましては約十万人の受給者がおりまして、これらにつきましては、ことしの一月から施行されました国年法の改正によりまして、約二倍半の支給を実施をしておるところでございます。なお、農林あるいは私学共済等の問題につきまして先生から御指摘があったのでございますが、一般論といたしましては、グループが小さくて、年齢が高年齢化しておる、かつ、新規の被保険者が入ってこないというグループにつきまして年金の負担が重なることは御指摘のとおりでございます。さらにこれがスライドしてまいりますと、その負掛が一そう高まってくるというととも御指摘のとおりでございます。
厚生省といたしましては、ただいま次の厚生年金の改善案並びに国民年金の改善案につきまして、ただいま事務的に取り組んでおる段階でございますが、これらの改善案との関連におきまして——なお私学共済につきまして、直接の所管でございませんので意見を申し述べることは差し控えたいと思いますけれども、これらの改善案との関連におきまして、なお十分に検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/57
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058・村山喜一
○村山(喜)委員 時間がありませんので、一般的な問題は省略をいたしますけれども、現在、十年の過渡的な国年の掛け金を納めた人の場合には、頭打ちが、月にいたしまして二千円ですね。二千円しか支給されない。それとの関連もあって、私は、福祉年金が今回は百円くらいしか上がらなかった理由が存在をしておるようにも思うのです。そういうような点は、拠出制年金との調整の面で今後どのようにされるかは、それぞれの委員会でやられるべき問題でありましょうが、四十四年の一月からは、現在二百五十円と二百円の掛け金を、三百円と二百五十円に引き上げるという、そういうような保険数理に基づいてこの一万円年金というものの財源が処理されようとしておる。ですから、そこには原則的に、後発生の過去勤務債については、労使負担の原則といいますか、そういうようなものが確立をされておる。ところが、それに比べて、いわゆる恩給等については、あるいは旧令の共済年金等については、これは国が全部負担をするという制度になっておるわけですね。そのかね合いの問題を一体これからどうするのかというのが非常に大きな問題であろうと思う。
厚生省のほうはお忙しいでしょうからもうお帰りをいただいてけっこうでございます。
そこで、今回の旧法年金の分については、組合員の該当者から考えてまいりますと、九八%は恩給期間、あるいは旧法の組合員の期間である、そういうようなたてまえから、旧法年金の分については国庫が負担をするという原則、そして新法年金というものの旧法部分については、使用者であるところの国あるいは公共企業体、あるいは地方公共団体等が負担をする、こういう仕組みになって、新法部分が三者負担という仕組みになっておるように思うのでありますが、国家公務員の場合には今回が二回目だ、地方公務員の場合には今回が初めてだ、国家公務員の場合には今度の新法部分の三者負担の分については、初年度が一千四百万で、平年度化した場合には三千四百万になる、財源率にはね返る分が千分の〇・〇三、掛け金負担分が千分の〇・〇一四、こういうように予算委員会のときに給与課長が説明をされた数字を見たわけであります。地方公務員の場合には初めてであるので九十万円で、平年度化した場合に二百万円である、給付現価から見ても二千万円にすぎないし、財源率の上から見たら千分の〇・〇〇一三にすぎない、だからこれは微々たるものであって、後発過去勤務債務の問題についてはそう問題でありませんというような答弁をなされているように見たのであります。しかしながら、このPSLの問題については世代間の所得再配分だという考え方は、年金制度というのは個人的な貯蓄じゃないという考え方の上において、原則として私は承認をいたします。しかしながら、その三者負担の原則というものはわかるにいたしましても、このスライド制年金の原理という立場から考えてみますならば、一体その必要性というものがどういう理由に基づいて生まれてきたのかという、スライドしなければならない原因発生の根拠というものによって、この分については、掛け金を納める労働者が当然年代間、世代間の所得再配分として受けなければならないものだ、この分については国が責任を持たなければならないものなんだ、いろいろなファクターの押え方があろうと思うのです。そこで私は、ただそういうような形の上において、いわゆる旧法年金については国庫が持ちます、それから新法年金中の旧法部分については使用者のほうで負担をいたします、そして新法部分の適用部分については三者が負担をいたすのです、こういうような形だけの問題でなしに、現実に後発過去勤務債務が発生をしたこの時点において、この原因のものについては、三者負担でこれは国が持つのだ、こういうようなけじめが立てられなければならない段階を迎えているのではないかと私は思うのです。この点について、これから年金のスライド制という問題については、こんなに公務員の給与改定が次から次にあり、物価指数はどんどん上がる、そして経済は高度成長していく、こういうような問題を考えますと、当然出てくる問題であるし、社会保障の充実という問題から考えましても避けることはできない問題だ。とするならば、一体、その中においてそういう形だけの割り切り方だけで処理できるものなのかどうか。たとえば調整規定が設けられました。その中において国民の生活水準、それから国家公務員の給与、その次には物価というのがあります。その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には云々と、こういうふうになってきた場合に、一体、それをどういうふうにあなた方としてはファクターとして押えながらけじめをつけようとしておられるのか。ただその三者負担が適当でございますから、ということでは済まされないのではないかと思うのですが、これについて明確な答弁をお願いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/58
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059・津吉伊定
○津吉説明員 今回行ないます改定は、旧令旧法部分と新法部分、これの負担関係は型のごとく形式的に割り切っておるではないか——これは別段制度として割り切った上での話ではございませんで、先ほど申し上げましたように、もちろん議論はございますし、われわれこれが最上の状態であると絶対に思っておるところではございませんですけれども、恩給法の改定にならう改定を行なっていく過渡的な過程にあるというふうに考えられるわけでございます。
先ほど先生が御指摘になりましたPSLの負担の問題は、これは基本問題でございまして、先ほど来別な表現で指摘をされておりますように、調整規定の運用をどうするんだ、これは両面ございまして、給付の調整——これは公務員の給与でありますとか、生活水準でありますとか、あるいは民間の賃金でありますとか・物価とか、いろいろなファクターによりまして、また、それのそれぞれの見方、総合のしかたによりまして考えられていくところでございます。反面、その調整原資はいかに負担すべきかという負担区分の問題がございまして、これにはまた基本的な検討が必要なところでございます。したがいまして、直ちに現在の割り切り方が財源負担の原則にかなっておるということを申しておるわけではございません。
一例を申し上げますれば、たとえば電電公社におきまして、年金財政の収支計画について計画調査委員会というようなものを設けて検討をいたしましたが、その中の考え方にも出ておりますように、これは年金の実質価値保全のための調整という問題に質的に関連することでございますが、たとえば組合員の給与改定による追加費用の負担、それには給与改定をしなければいかぬ要因を検討して、要因別にその負担すべきものを定めるべきであるとする考え方が一つと、それから事業主と被用者の負担、すなわち保険拠出金によってまかなわれるのが社会保険制度における相互扶助という根本精神に立脚する制度の原則であるという考え方が一つと、いろいろ考え方がございますが、広く各種共済年金との関連において検討すべき問題であるというふうな問題の提起もされておるわけでございます。したがいまして、そういう基本的な財源の負担という点につきましては、調整規定の慎重な検討という問題として処理をされなければいかぬという問題かと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/59
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060・村山喜一
○村山(喜)委員 委員長のほうからメモが回ってまいりましたので打ち切りますが、私は、やはり国民所得や経済の高度成長が続く国では、スライド制の導入というのは避けられないことだし、また、ILO百二号条約から見ましても、あるいは現に検討されているILO八十から八十五号条約の内容から見ましても、当然、この問題についてはいま原則を述べた形のような一つの日本の制度となっておるわけですが、それだけではとどまらないで、やはり自動的にドイツ、フランス、スエーデンのような、そういう形にならざるを得ない。そうなってきた場合におけるいわゆるPSLの負担を、だれが、どのような形で、どの程度まで負担をするのかという問題は、国民所得との関連性の中からも当然考えられなければならないし、また、公務員の給与の実態の上からも考えられていかなければならない。そうなった場合に、一体、長期と短期とを合わせて、現在の公務員がどの程度まで負担能力があるのかという問題もあわせて考えなければならない段階に来ていると思うのです。そういうようなベース改定に伴う差額を現在の組合員のみに負担をさせてよいかどうかという立場を考えてまいりますと、この調整規定として設けられた中で、物価の上昇というのは昭和三十六年から始まりました高度経済成長政策のひずみとして生まれているのですが、これは一体だれの責任か、さらにまた、国民生活の上昇分に見合う分は、これはだれとだれが受け持つべきなのか、あるいは生活扶助との関係の問題等、いろいろこの年金額の関係の問題もまたさらにこれに付随してくる問題でありますし、こういうような問題を考えていく場合には、やはりいま課長のほうから説明がありましたように、慎重なそして総合的な検討が必要であろう、そういうように思いますが、しかし、現実には今度の法律改正の中において、その三者負担の分がきわめて金額は小さいといたしましても、出てきているわけです。現実の処理としては五分五厘の運用利益のほうから、実際の運用利益との差がありますから、それでカバーができるでしょうけれども、しかし、さらに今後スライド制年金という問題を考えていけばいくほど、この負担区分の問題というものについては非常に大きな問題があるのではないかと私は思うのです。
そこでそういうような問題が出てきますので、国庫負担のあり方、厚生年金等に対する国庫補助のあり方の問題と関連をしながら、先ほどわが社会党のほうから提案の説明をいたしたようなそういう要求が出てくるわけであります。したがって、この問題については、時間がありませんのでこれ以上触れませんけれども、どういう機関で、どのように、いつごろまでにそういうような見通しをつげながらPSLの問題については結論をお出しになるつもりであるのか、その方向をいまやっておられるものの内容から説明を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/60
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061・津吉伊定
○津吉説明員 私がお答えするのが適当かどうかちょっと問題でございますけれども、国家公務員共済につきましては、先ほど調整規定の具体的な運用についての検討について申し述べましたところの非常に重要な一面の問題として当然検討の対象になろうかと思いますし、また調整規定の検討の態度というものが当然その財源負担の原則の面につきましても及ぶ次第であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/61
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062・村山喜一
○村山(喜)委員 どうもわかったようなわからぬような答弁だな。小沢政務次官答えてください。これは大きな問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/62
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063・小沢辰男
○小沢政府委員 各種公的年金制度につきまして、いわゆるスライド制の採用、これは御承知のとおり、発端は恩給の増額運動から、数年前どうも三年に一回わあわあ騒ぐようなかっこうじゃおかしいじゃないか、これは当然経済情勢の変動によって一定のスライド規定を設けて、あまり争いがないようにすべきじゃないかというようないろいろな御意見がありまして、当時政府はだいぶ渋ってはおりましたが、それぞれの公的年金の法律改正を国会に出します際に、だんだんこの調整規定というものが入るようになってきたわけでございます。しかし、この調整規定は、御承知のように、著しい変動とは一体どういうことだというようなことで、しかく具体的な調整規定でありません。特に、やはり出発点が恩給の問題から始まったものですから、内閣の恩給審議会等でこの問題を非常に真剣に検討しようということで作業が進んでいるわけでございます。
そういう意味で、その結果を待ちましてから私どもとしては態度をきめなければいかぬと思っておるわけでございますが、いずれにしても、結局改定に要する費用の財源措置というものが問題になるわけでございます。これがいま先生もおっしゃるように、はたして保険制度をとっているんだからその保険内部の負担だけでいくべきものなのか、その内容いかんによってやはり一定の割合を公共団体なりあるいはまた国なりが見ていかなければいかぬのか、いろいろ議論があるだろうと思います。しかし、国の公的年金制度が保険という基本的なたてまえ、これを持っている以上は、やはり私は、国庫なり公経済の主体としての公共団体が第一次的に出ていくというような筋のものではないじゃないか、やはり第二次的といいますか、それぞれの保険の財政状態あるいは給付水準の問題あるいは保険料率のそれぞれの組合員の負担の問題等、全体の均衡をとりつつながめまして、国の介入する程度というものをきめていかなきゃいかぬじゃないか、基本的にはそう考えているわけでございます。調整規定の物価とかあるいは経済情勢——ただいま高度成長のひずみは国の責任じゃないかというようなお話もございましたけれども、自由経済を主体にする日本のたてまえといいますか、やり方、そういう面から見て、はたしてそれがそのまま先生のおっしゃるように私ども国のほうで責任を持たなきゃいかぬかどうかについては相当議論があろうかと思います。この調整規定の恩給審議会における経過を私ども政府として十分検討していかなきゃいかぬと思っておりますけれども、ただいまのところ、ここで先生の御質問に答えまして、いま国がどの程度、どういう割合でそこに介入すべきかということにつきましては、非常に多種多様な公的年金の制度、それぞれ歴史的にもまたいろいろ実態の違うというようなものについて、そういう現状もございますし、国のほうでいま早急にその結論をもって考えているかと言われますと、私どもはまだまだそこまでは実は考えておりませんので、先ほど言いましたような基本原則で、また一方、調整規定というものの内容が、考え方が、それらの調整規定の基準の立て方やそういうものを、よく結論を検討した上でないと責任を持った答弁ができないというのが実態でございます。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/63
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064・村山喜一
○村山(喜)委員 これで終わりますが、まあ、日本の公的年金そのものを考えてまいりますと、私は、小沢さんちょっと誤解しておられるんじゃないかと思うのは、すべて国がやらなきゃならない筋合いのものだとは私は言っていないわけです。それは当然年金保険という立場からも問題を考えなきゃならないわけですけれども、それにしましても、いまの公的年金の不統一さというものは、これは年金制度の発足の過程、歴史的な違いもありますけれども、それにしても非常に個々まちまちであります。支給開始の年齢にいたしましても、五十五歳があるかと思えば、六十歳あり六十五歳がある、あるいは無拠出の福祉年金に至りましては七十歳という形が出ている。あるいは年金制度の未熟性という問題ももちろんあります。さらにまた、給付内容にいたしましても、非常にバランスのくずれた形で給付内容が行なわれている。さらに内容面に立ち至って見ますと、過去勤務を無視して切り捨てておるという、そういう日本独自の年金の不十分さがある。そういうような問題を全体的にとらえながら、この国家公務員の共済年金の旧令の分の改正案が今回出されているわけですが、これは恩給の改正に追随をして出されてきたものにほかならないことは、内容を見てみればもう歴然としているわけですね。
共済制度としていかにあるべきかという立場から考えてまいりますと、PSLの後発の過去勤務債の財源保障という問題について、これから発生をする新法分については三者負担でやるのだという、その原則だけははっきり出されて、もう幾らか金額的にもとられるのに、今後そういうふうにスライド制年金が生まれてくる段階の中においては、一体公務員の掛け金率、保険料率というものについては、どこまでどのようにすべきだという原則もまだ明らかにされない形の中で、すでに三者負担の分だけは生きて、それがわずかとはいいながら、もうすべり出しておる。そこにもっと根本的なメスを加えながら、他の公的年金制度との関連もとりながら、あるいは、現在社会保障制度の部門とは独立をしているといわれる恩給の内容の問題についてもメスを入れながらやらなければ、ここに出されてきている内容そのものについては、私たちとしては、今日の国民の生活水準あるいは物価状態、あるいは公務員の給与実態の上から見て、反対すべきものではないわけです。みんな賛成なんですが、しかしながらそれだけで、はたしてこの全体的な国民の利害の調整をはからなければならない国会として十分に国民の総意にこたえ得るかどうかということになってきますと、非常に大きな問題が残っているのじゃないかと思うのです。
そういう立場から私は意見を申し上げ、また質問をいたしたわけでありまして、これらの問題について全体的な日本の社会保障制度の中における公務員の年金というものについてはいかにあるべきか、それの費用負担については今後どういうふうにすべきなのかというような問題を政府としてぜひ十分な検討を加えられますように要望いたしまして、先ほど委員長に対しまして答弁を保留を願っておきました事項は後日に質問をお許しをいただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/64
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065・内田常雄
○内田委員長 次は、広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/65
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066・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 旧令共済組合関係の年金改定の法律案及び公企体の年金改定の両法律案に関連をいたしまして、若干質問をいたしたいと思います。
非常に時間もおそくなっておりますので、きょうは煮詰めた質問ができないと思いますので、不十分なところは次回に譲りたいと思います。
まず最初に、非常に簡単な問題なんですが、現実の取り扱いとしては非常に不合理が出ている短期給付の問題をひとつお伺いしたいと思います。
夫婦共かせぎの場合の被扶養者認定の問題をめぐって、これは実例をあげますと、夫が国家公務員である、それで奥さんがまた働いておって、公共企業体の職員あるいは民間の職員である、あるいは地方公務員である、こういう場合に、国家公務員共済組合法では、被扶養者は、夫婦共かせぎの場合には主たる収入と申しますか、夫婦のうち給料の高いほう、たまたま奥さんのほうが給料が高い、奥さんは地方公務員なり公共企業体の職員である、こういう場合に、奥さんのほうの被扶養者に公務員共済のたてまえとしてはされるわけです。被扶養者がそういうふうに認定される。したがって、夫たる国家公務員の被扶養者とは見られない。ところが、公企体や健康保険などの適用を受けるところに、奥さんが夫よりも高い給料でいる。そうしますと、今度はそっちの法律では、扶養者は夫でなければならぬ、こういうことになって、被扶養者が宙ぶらりんになるというケースがある。このことについては、まことに現実問題として不合理なことであって、子供たちが病気になっても全額自分で負担しなければならないというような何か盲点がそこにあるような気がするのでありますが、現行法のそういう問題は、これは当然給料の多寡というようなことじゃなしに一本に、夫がたとえば給料が低くても、国家公務員共済組合法のたてまえで、夫の被扶養者として扱っていくべきではないか。こういうような問題について、関係各局、関係者全部にわたって——きょうは国鉄も来ていますね。公企体の立場、それから厚生省の立場、それから大蔵省の給与局の立場、そういうことで、それをどうするか。現状はそういうことで間違いないということをまずはっきりさしてもらって、それをどういうように解決するか、このことについて伺っておきたいと思うのです。これは非常に簡単に解決のつく問題だと思うのですが、現実にそういう問題があるということでありますので、この点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/66
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067・津吉伊定
○津吉説明員 国家公務員共済組合の関係で申し上げますと、国家公務員共済組合法第二条の第一項第二号に被扶養者の定義がございます。この定義は、「次に掲げる者で主として組合員の収入により生計を維持するものをいう。」ということになっております。この「主として」といいますのは、先ほど先生が例にあげられました月給の多寡ということが「主として」の認定の基準になるかと思います。われわれのほうの運用といたしまして、それは実態に応じまして被扶養者の認定をいたしておるというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/67
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068・中西幸雄
○中西説明員 お待たせいたしました。公企体のほうも、公共企業体職員等共済組合法の第二十四条で被扶養者という定義がありまして「この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で主として組合員の収入により生計を維持するものとする。」というふうになっておりまして、「主として」ということでございますが、運用につきましては、ただいま大蔵省給与課長から御説明があったとおり、全く同じ運用でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/68
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069・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 給与課長が、いま実態に即して運用しておりますということでございますが、そのことはどういうことを意味しますか。現実にいま私が指摘したような不合理はあり得ない、そういう事例は出ない、こうおっしゃられますか。実例があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/69
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070・津吉伊定
○津吉説明員 国の給与としての扶養手当の支給状態、それから共かせぎの場合に、相手方が扶養手当をどの対象に支給をしておるかというような実態を考慮いたしまして、先ほど申し上げました主として組合員の収入によって生計を維持するかどうかという判定をいたしておることを申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/70
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071・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 現実の問題としてそういう取り扱いをしている、主として組合員の収入によって生計を維持する、こういう判定は、月給がどれだけ高いか、奥さんのほうがどれだけ高いかということになるということでございます。そういうことでございまするので、民間の企業で健康保険に入っているというような場合に、収入が奥さんのほうがはるかに御主人より高いというような場合には、これは一般の場合に夫のほうに扶養の義務があるというようなことで、扶養者としては夫のほうなんだ、こういわれる。ところが、現に共かせぎをして、奥さんのほうが夫よりはるかに収入があるんだということになった場合に、その被扶養者というものが現実に医療給付をどちらからも受けられない、こういう事例が現にあるのですよ。したがって、国家公務員共済組合法としては、やはり夫婦共かせぎというものはかなり今日ポピュラーな姿になっておりますけれども、やはりこれは一家の生計を維持するというのは、女性が働く、母親が働くというようなことは、それがどこまで続くかわからない問題でもあるし、したがって、もうこの辺でそういうことを言わずに、どちらが主たる収入を得ているか、生計を営むに足る主たる経費をかせいでいるかというようなことを基準にしないで、やはり家庭の中で一家の生計をあらゆる意味で、総合的な意味で生計をささえるものは、やはりこれは金だけじゃないという立場に立って、もう夫一本にしてしまうというすっきりした形にすればそういう悲劇も起こらないわけでありますから、そういう方向で改善する意図がありますか。そうでないと、先ほど厚生省の健康保険関係の人に聞いたのですが、何かそれは救済の方法はあると思いますというようなことを言っておりましたが、確答ではないわけであります。したがって、現実の問題としてそういうことがあっちにもこっちにもかなり発生している、そういうことでございますから、その問題はもう行政指導でできる問題だと思いますし、その点、法改正が必要かどうかは法律の所定事項ということも、それは解釈の面ででも運用はできると思います。法改正がどうしても必要ならば、すぐにでも出してもらうし、修正でもこの国会でやるというようなことにして、やはりそういう不合理をもうすっきりなくする、こういう立場で一貫すべきだと思いますが、これは政策判断もありますので、政務次官からも答えていただきたいと思いますが、もう一度答弁を願います。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/71
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072・小沢辰男
○小沢政府委員 私も実は健康保険の取り扱いを過去に相当やっておりましたのですが、どうも先生のおっしゃるように、たとえば夫婦が共かせぎであって事業所が違う、その保険の種類が違う、そこに子供あるいはまた両親、扶養者としての三親等内の親族というようなものがあった場合に、それらの子供なり両親なりあるいは三親等内の同居の親族というものが、夫のほうか妻のほうか、どっちかに主たる生計依存というような関係が必ずあるに違いないわけでございますから、したがって、それぞれの夫なり妻なりが、共済であろうと、あるいは健康保険の制度であろうと、健保の事業所であろうと、それは全部同じように、主としてその被保険者の生計依存ということが要件になっておりますから、したがって私は、どうも子供さんなりあるいは両親なり実際上の扶養されておる者が被扶養者としての取り扱いを受けられないという例が、たいへん恐縮なんですが、ちょっと理解できないのでございまして、その点が一体具体的にはどういうケースだろうかというふうに思うのでございます。とにかく、夫婦が二人ともどこかの被保険者なわけですから、その被保険者に対する主たる生計依存度というもの——必ず同居の子供なり両親なりというものは扶養家族であれば、どこかで生計依存をしているわけでございます。両人のどちらかの収入によって。そうすれば、それぞれ被保険者である人の扶養家族というものをとらえて考えてみますと、どうも全然被扶養者としての認定を受けられない者が出てくるというのが、何か私、例がぴんとこないのでございます。もう少し具体的におっしゃっていただきまして、もしそういう事例があるとすれば、これはもう当然先生おっしゃるように何らかの救済措置を考えていかなければいかぬと思います。特にその人を被扶養者にしないでおくということは、理論的にも実際的にも根拠がないと思いますから、それは私も早急に調べて、善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/72
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073・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 郵政関係にそういう実例があって、扶養手当の支給はできないといって断わられた。ここに資料もあるのですけれども、これはおそらくいまのたてまえが、そういう落ちこぼれてしまって、宙ぶらりんになって給付を受けられないというようなことがない制度になっていると私も理解しておったのですけれども、現実にこういう問題が発生してきて問題になったということで、実際の例をここで申してもいいのです。資料もあるのですけれども、あとの問題もありますから、調べて検討するということですから、これはもし制度的にはそういう可能性というものはあり得ないんだということでしたら、それぞれこれは総合的に、大蔵省も公企体もあるいは一般の健康保険等も、この点ははっきり指導の問題かとも思います。ですから、そういう場合にはどちらかに帰属するんだ、扶養家族として認定されるものであるという——制度はそうでなければならぬと思います。たてまえはそうであろうと思いますが、現実の問題としてあったんだから、そのことは、もし指導で解決する問題ならば、はっきりここで指導を約束していただきたい。これはあとで事実関係は示します。そのことを一つお願いしたいと思います。よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/73
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074・小沢辰男
○小沢政府委員 その事例をあとで聞かせていただきまして、その具体的な事例と、私が原則的に申し上げたことと、何か特殊な事情があるかどうか、私また拝見した上でお約束を申し上げたいと思うのですが、一般論としては、どうもどちらかに主たる生計依存度があるはずでございます、実態がその扶養者であるとすれば。ですから、先ほど申し上げましたように、どうもそういう穴が出るようなことが理解できなかったものですから申し上げたわけですが、よく実例を承りまして、善処、検討さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/74
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075・内田常雄
○内田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/75
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076・内田常雄
○内田委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/76
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077・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その問題はあとで事実関係を明らかにいたします。
次に、医療給付の問題で、長期に勤続をして年金を受けた人が、若い健康であった時代には掛け金をかけるばかりで、共済組合員であった時代にはほとんど医療給付なんかを受けないようなじょうぶな人が、退職後に急に健康を害する。これはそういう年齢にもなりますし、罹病率も非常に高くなる、病状も悪化するというようなことになるわけでありますが、共済掛け金をずっとかけてきたけれども、やめてからは何ら共済の医療給付は受けられないというのが今日のたてまえでございます。これは、東大をやめられた茅前総長がテレビでたしかそのことを盛んにアピールしたこともあったわけでございますが、いまその問題が非常に大きな——退職して共済組合を脱退した長期勤続者、こういう人たちが少なくとも一生を俸げた職場から離れて、そのあと高い掛け金を払って、非常に給付率の悪い国保に移行していくといいますか、そういうことは耐えられない気持ちである。こういうことから、退職後も引き続き、年金受給者くらいに限って、長期勤続ですから、少なくともその年金を、在職中にもらっておった給与と同じような姿に置きかえて、短期給付だけでも継続をさしていく、短期給付の中で、特に療養給付、医療給付ということだけでもこれを継続さしていくということはいま非常に切実に望まれている問題なんですが、この問題についてどういうふうにお考えか。非常に切実な問題として、当局の考えをお聞きいたしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/77
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078・小沢辰男
○小沢政府委員 実は、私は責任官庁ではないのでございますけれども、厚生省の責任者が来ておりませんから私から便宜お答えさせていただきます。
先生おっしゃるように、その必要性は、いろいろ意見が出ておるわけであります。たしか一昨年か、厚生省でこの問題について一つの案を、根本対策といいますか、そういうようなものに関連して、考え方を示したこともあったようでございます。ただ、おっしゃるように、私どもその必要性は決して否定はいたしませんけれども、その給付というものを、その人がかつて属しておったそれぞれの短期給付の制度で見ていくべきものなのか、全然別の角度で、たとえば、国家公務員であった方が退職してからの疾病給付の問題でございますから、それを国家公務員の共済組合自体が見なければいかぬのかという問題、これはやはり資格というものがありまして、その人たちが集まって、被保険者と使用者が一定のあれを出しながら健康保険制度というものをやっておるわけでございますので、かつて相当長い期間貢献したといいながら、いま全然縁のない人の疾病の給付についてその組合自体が負担をしていかなければいけないということについては、そこまでどうも責任を持たなければいかぬのかどうかという点は、相当議論があるわけでございます。
ただ、別の面から、国民皆保険の制度を運用している日本として、給付内容が国保と被用者保険と違うものでございますから、したがいまして、そのギャップを——長い間被保険者として被用者保険に入っておった人が退職後に給付率の低い国保でなければならないという点で、そういうものは別の観点から埋めなければいかぬのかどうかという点について議論をすべきでないだろうかというふうに、理論的には考えていかなければならぬのではないかと思うのでございます。
ただ、私ども冷たく言えば、現在国保という国民皆保険の基本的なものがあるわけでございますから、被用者保険から出ていった人は国保に行ってもらう、これがいまの制度でございますし、たとえ自分は三十年国家公務員であったんだといっても、地域社会のために農民なり商家なりは、たとえば何十年その地域社会で一定の生活を営み、その地域社会に貢献しているにしても、最初から国保の人は、とにかくずっと相当の保険料を払っても七割給付の国保でやっておる人なんでありますから、こういう点は、何十年も長い間十割給付の被保険者であっても、その人がやめてからも十割給付を確保しなければならぬのかどうか。この点はいまの制度として、そういう方々だけ特別にということは、どうも財源負担の面から相当検討を要する点ではないかと私は思います。
いずれにいたしましても、短期給付につきましては、御承知のように、根本的な検討をいたしまして、制度自体を医療保険の統合という面で進めていかなければならぬ時期に来ておりますので、私どもとしては、短期医療保険というものの根本的な改正案というものを何とかできるだけ早く立てまして、その際に、先生いまおっしゃいましたような点について十分検討をしていきたい。やはり国民の医療保険の給付水準というものを一体どういうふうに公平に持っていったらいいのかという問題、それが年齢別、階層別、いろいろあると思うのでございまして、そういうような根本政策というものを十分検討いたします際に、この問題も私どもとして前向きに検討していきたい、いまこういう考えでございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/78
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079・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 次官は縁のない者にと言うわけでありますが、共済組合法の適用を受けて、年金を受給している、そういう限りにおいては、まさに縁なき衆生ではないわけであります。私ども、無制限に、二年つとめてやめちゃっても三年つとめてやめちゃってもというようなことは言っていない。長期勤続をして年金を受給している者、これはやはり共済組合につながっていると思うのです。そういう者について、しかも、まあこれは理屈としては通らぬ話かもしれぬけれども、罹病率も在職当時は少なかった、しかし退職後は、無理がたたって、年齢からいっても病気の多発する時期になってくる。そういうときに、とたんに掛け金も年額——東京都の場合、たとえば昭和四十二年の三月三十一日に退職した、そして国保に加入するということになると、年額五万円も、これは最高額ですけれども、五万円ポンと納めなければならないというようなことにもなる。こういうようなことで、国民健康保険が非常に高いというようなことから非常に入りにくい、抵抗を感ずる面もあるわけであります。しかも給付も悪いということになりますと、これは医療保険全体の総合的な引き上げということで解決すれば一番いいわけでありますが、それが一体いつになったらできるかもわからない。そういうようなことからいいましても、そういう年金受給者に限るということ、こういうようなことを前提にしまして、この程度のことは当然やってもいいのではないか、しかも、本人と配偶者という程度に対象も限定をするということで。もちろんこれは国庫の負担金は当然ふえることにもなりますけれども、長い勤続をした人に対する共済制度の趣旨からいっても、もう縁なき衆生といって片づけてしまう問題ではないと思うのです。このことはぜひ前向きに検討していただいて、実現をしてもらうようにしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/79
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080・平林剛
○平林委員 ちょっと関連して。
いまの広瀬さんの質問にちょっと関連してお尋ねをしますけれども、確かに、制度の問題としては政務次官が言われたような考え方もあり得ると思いますが、しかし、ただいまのような前提の事情はやはり感情の問題としては残るわけですし、一つのその部分をとらえてみれば、矛盾が残っている、解決されていない。ですから私は、組合員である被保険者全般の同意があれば、むしろそれを——その人たちも後にはそういう立場になるわけですから、組合員である人たちの全般の同意があれば、そういう方向に向かうということは間違っていないと思うのでございまして、そういうことは、すでに公共企業体関係では、いま述べられたようた趣旨ではないけれども、一つの制度はあるわけです。いま政務次官は、厚生省のほうでかつて一つの案を示したことがあると言われましたけれども、もしあなたが御記憶であれば、どういうような案であったか、ちょっと示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/80
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081・小沢辰男
○小沢政府委員 私は、その案が国会にまで出るような熟したものにはなっていなかったわけでございまして、当事者でもございませんので、私、内容は詳細に存じておるわけではございません。ただ、健康保険制度、御承知のように、組合健保につきましては、それぞれ使用者側とのいろいろな話し合いで退職者についての問題を処理しているようなところがございます。たしか、健保組合のほうとのいろいろ話し合いでそういう考え方を何か打ち出せないかという検討を進めておったように記憶するわけでございまして、私、その内容はいまつまびらかにいたしておりません。確かに縁なき衆生ではございませんけれども、ただ、この長期給付の年金受給者——年金というのは、やはり事故発生の将来のために、あらかじめそれぞれの負担をしまして積み立てておくというものでございます。保険事故が発生をするというのは退職後になる、こういうことでございますから、今度一方、短期給付については、名のとおり、一定の年間の短期給付の成立するいろいろな財政の見込みによって保険料率というものを立てられておるわけでございますから、それが原則になっているわけです。したがって、もしおっしゃるような制度を何らかの意味で考えていこうということになりますと、短期保険、疾病保険についての保険料率を、退職後に備えての保険料というものと従来の保険料というものと、何かやはり別立ての案を考えていかなければならない、その場合に、残された現実のいまの現被保険者というものが、その退職後何年後に発生するかわからない短期給付の相当の負担を、一体どの程度相互共済の中で負担をしていかなければならないのかどうか。それから、そこの組合なら組合員、あるいは使用者というもの以外のものの何らかの負担というものをそこに考えなければ、なかなか保険としては成り立ってこないのではないだろうか。そうなりますと、たとえば国が出るというふうに仮定した場合に、国民健康保険なりそういうものに対する国の関与のしかた、割合というものとの均衡を一体どうしたらいいのかという点もいろいろございますので、給付水準も違うわけでございますから、これはなかなかどうも現在の段階で、すぐここで御要望にこたえるように一つの案を私どものほうから、政府側から申し上げるにしましては、相当検討をしなければいかぬ要素がたくさんございます。したがいまして、医療保険制度全般の根本的な問題としてこれはいずれにしてもやらなければいかぬ問題でございますから、その際に、そういうものを含めて十分ひとつ検討させていただきたいというのが、私どものいまの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/81
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082・平林剛
○平林委員 医療保険全般が理想的な形になっている場合にはこうした問題は残らないかもしれない。しかし、現実の場合に、いま指摘をされたような問題点は現に存在しているわけですから、私はその後において検討するというのではなくて、いま審議中の段階において、政府においても積極的に諸般の事情を検討して結論を出してもらいたい。私どももお互いに努力をして、そうした点を結論を得るようにつとめたいと思っております。たとえば、いま広瀬さんが提案をされたような線に一ぺんにいかなくとも、漸進的な方法というものはあるわけです。考えられるわけです。国鉄においても、それから電電公社においても、専売公社においても、現に漸進的なものではあるけれども、あるわけです。しかもそれは、掛け金の負担を伴うものではなくて、私は、ある意味で雇用者であるところの三公社、雇用者であるところの国、そうしたものが、長年つとめておった人であって、しかも一定の資格を得た者に対しては、こうした矛盾を解決する措置は、知恵を出せばあるわけですから、そうしたことをまずこの審議中にでもお互いに議論をいたしまして、もう少し詰めていきたいと思っておりますから、そのときはひとつ政務次官もぜひ協力してもらいたいと思う次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/82
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083・小沢辰男
○小沢政府委員 先生のお気持ちはわかりますけれども、この法律の審議に関連して何らかの詰論をということになりますと、この制度だけでどうもそういう非常に前進した考え方を出すということは、おことばではございますが、政府としてはなかなか困難だと思います。現実のいまおっしゃいました一、二の例につきまして、私よく存じませんものですから、もしその例に関することでございましたら、給与課長からお答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/83
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084・津吉伊定
○津吉説明員 平林先生御指摘のように、公共企業体におきましてそういう医療を退職者につきましてもやっておるという事例はあると聞いております。ただし、あまりよく精密に見てもおりませんし、所管でもございませんので具体的に詳しくは申し上げられませんけれども、何らか官営の病院におきまして、保険医療機関でないという性格で、要するに、組合を使わぬで、保険を使わぬで、それで若干単価の点で調整をしておるというふうにも聞いておりますけれども、それはかりに国保に入りますと、これはいわゆる七割給付ということでありまして、単価が、たとえば一点十円でしたら七円という給付になります。それ以上の負担をあるいはしておるかというふうにも聞いておりますので、これはおっしゃいますように意識的な問題もございますし、縁なき衆生として直ちにぶち切ってもらっては心情としてもどうかというようなこともございますし、また、かかりつけの医者云々というようなこともありましょうからそういう措置がとられておるというふうに思っておりますけれども、それが経済的な負担として、はたして優遇しておることになるのだろうかという点は、ひとつ慎重にわれわれのほうも検討さしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/84
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085・平林剛
○平林委員 それでは、ひとつそれをもう少し進める意味で、三公社のほうが現実にとっておる制度ですね。漸進的な制度でも、いま給与課長がお話しになった気持ちでするのが当然だと私は思うのですよ。その程度のことは、雇用者である三公社として、あるいは雇用者である国がするのが当然だと思うので、そういう意味で、ひとつ資料を出してもらいたい。そうして後にその問題についてもう少し検討させてもらいたいと思いますので、よろしくひとつ御手配を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/85
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086・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 共済年金をもらっておるというようなことで、共済組合と全く縁なき衆生であるのだということは私は言えないと思いますが、短期給付の場合でも、組合員であった当時病気になっておるという者については、三年くらいはその後も引き続いて医療給付が与えられる、そういうような例もあるわけであります。そういうようなことを考えますと、これは私どもは、死ぬまでやってもらいたいということ、しかも、この年金からはちゃんとやはり給与所得税の対象にもして税金も取っておるわけですし、そういう点も考え合わせて、これはやはり、当面組合員であって、急に、やめればとたんに打ち切るというのではなしに、よく漸進ということばもありますし、余韻ということばもありますから、そういうような形ででも、少なくとも年限をかりに五年なら五年で切ってでもとりあえずやるという検討はできないものかどうか、この点で、いま給与課長は十分検討したいというお答えだったと思いますが、そういうことで検討する余地がないかどうか。これは、大蔵政務次官も先ほどのようなつれない答弁ではなくて、そういう前向きの検討に値する非常に切実な問題なんだということで考えを改めて、ひとつもう一ぺん答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/86
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087・小沢辰男
○小沢政府委員 いま給与課長が申し上げたのは、私の考え方と違うわけではありませんので、検討するというのは、国鉄や専売公社等でやっている事例について申し上げたわけでございまして、いまお話のような点で前向きに検討申し上げたいという答弁をしたのではないのでございます。私と意見が違うわけではありません。
せめて五年でもという御意見でございますが、これは実は非常に大きな制度的な問題でございますので、私が先ほど申し上げましたように、やはり根本対策を私どもももう立てなければいけない、短期保険につきましては根本的な改革をしなければいけない時期に来ておりますものですから、ひとつ、そういう際に検討をするということでお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/87
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088・武藤山治
○武藤(山)委員 政務次官はけさ理事会にいらっしゃらなかったから、その経過や実情をのみ込んでいないから、昔の厚生省の感覚でばちっと答えが出てきたのですが、いまの給与課長の答弁はちょっとニュアンスの違った答弁があったのです。それは中身についてはこれからよく大蔵省とも具体的に——広瀬さんがおっしゃる退職後五年もし本人だけかかれるようにする、そして、それが他にあまり波及をして収拾のつかぬようなことのないようにするには、掛け金を本人分として取るのがいいか、その場合には五年間本人がかければ、本人だけはかかれるようにして、家族は無効とか、いろいろな案をひとつ大蔵省とも折衝をして、私ども議員のほうは、ひとつ藤井窓口を通じて理事会でも検討しようじゃないか、こういうことをけさ委員長の前で、三、四点検討したい事項もあるから、こういうことの申し入れもしてありますので、その辺もひとつ政治家政務次官でありますので、頭の中に入れて、あまりつれない答弁をしないように、切にお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/88
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089・津吉伊定
○津吉説明員 ちょっと、政務次官の発言と趣旨を混同されますと困りますので、私ももう一回念のために申し上げておきますけれども、これは公企体でそういう退職者についての医療をやっておるというふうなことがあるように聞いておりますので、私はそういうことを申し上げました。それを共済組合制度でやるかやらぬかという点につきましては、これは先ほど来政務次官が申し上げておりますように、大きく申せば、国民皆医療保険という体系の問題になります。それから、共済組合制度の中で長期、短期それぞれ、たとえば長期はそれこそ縁なき衆生になってから初めて意味のある完全積み立て制度で在職中はやっていく制度でございます。短期のほうも、これは職域保険として在職中の者に短期医療給付をする、こういうことでございまして、それが退職者についてどの程度事故が発生するか、そのためには財源率はいかにあるべきかという検討を要するところでございますので、これはただでも、在職者について掛け金率が高いとか、あるいは地共などに至りましては、地域的な問題もありますけれども、バランスの問題も非常にございます。まあいろいろありまして、それらの負担関係も考えなければいけませんので、要は、その財源率の問題ということに常になるわけでございますので、そういう面の検討を十分いたした上で、可能であるかどうかということが検討することができるのではないか、こういう意味合いで申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/89
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090・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういうことで、いま給与課長が答えたような立場でけっこうですから、とにかく検討を進めてください。またあとからこの問題は詰めた議論をいたしたいと思います。次回にその問題は譲りますが、きょうは時間がだいぶおそくなっておりますから、あと一、二点で終わります。
今度の改正で、年齢に応じて引き上げ率を変えた。一〇%とか二〇%とか二八・五%というように変えられた。このことは、平均して一体引き上げ率はどのくらいになりますか、それが一つ。
それから、この出たものは、やはり両法案とも恩給法の改正にならえということなんですね。この問題について、国家公務員共済組合審議会あるいは地方公務員共済組合審議会、こういうところに政府は諮問をして、その答申で恩給追随主義は排除さるべきであるということがいわれております。それから、今回の措置についても、「共済組合法に年金スライド制の調整規定が設けられた初の増額措置に、恩給の独走的考え方がそのまま共済年金の改定にまで影響を及ぼすことには疑問がある」こういうようなことも答申でいわれている。それにもかかわらず、ぬけぬけと政府の提案理由の説明の中にも、恩給法の改正にならえ、何でもかんでも。すでに恩給法の適用をこれから受ける者は、現在は共済組合法一本になっているわけです。もちろんこれは過去の年金受給者というものがずっと引き続いておるわけでありますが、いわば過去の問題に対する処理を次々にやっていく、もちろんまだまだその中に不十分なところがありますから、絶えず恩給法の改正ということもありますけれども、すでに現在公務員なり公共企業体の職員なりで恩給法の適用をこれから受けるというものはないわけです。そういう種類の法律だ。それに対して、共済組合法、これはまさにその一体化された後における公務員あるいは公企体職員等に対する年金の大筋の法律になっておるわけですね。それが絶えず恩給法にならえというようなそういう形というものは非常にまずいんじゃないか。しかも、そういう答申まで出ている段階においてそういうことをいわれるというのは非常に残念なことで、その点をどう考えるのか、これが第二点でございます。
それから、年齢別にこういう差を設けたということ以上に、本来スライド制の問題で、年金の実質価値といいますか、それを保全していく、生活水準あるいは物価との均衡あるいは現在の国民所得の水準、こういうようなものと、あるいはまたそこまで幅を広げないで、現在の公務員や現在の公企体職員の仮定俸給表との賃金の差、現在の職員の賃金の差、こういうようなものなどを実際に考えて、なるべく年金受給者にもほんとうに老後の生活が安定した生活水準として保障されていく、こういう趣旨から考えれば、現在受けている年金額別にむしろスライドといいますか、引き直しの率を変えていく、こういうような考え方がやはり当然出てきてもいい、そういう時期にもきているんじゃないか、こういうようにも思うわけでありますが、この点についての見解、こういうものをひとつこの際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/90
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091・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 今回年齢別に段階を設けまして増額改定をすることになっておりますが、まず第一の御質問である平均何%ぐらいあるかということでございますが、これはいろいろ計算の方法があろうかと思うのでありますが、今回の増額改定に要します予算が、大体三百九十億円ございます。それから総予算が、恩給費でございますが、これが千八百億円くらいございますので、その比率から見ますと、おおむね二〇%ぐらいが平均増額率ということが言えるんじゃないかと思います。
それから第二点の、年齢別に差を設けた理由でございますが、今回の増額は、先ほど申し上げましたように、恩給審議会の中間答申に基づきまして行なっておるわけでございますが、その答申の趣旨を考えますと、一般的に一〇%という数字が出るわけでございます。しかしながら、恩給法におきましては、特に戦後でございますが、軍人恩給の復活を契機としまして、恩給法増額改定の方策としまして、老齢者、遺族、傷病者、こういう方々を優遇をするというような一つの方針が打ち立てられておるわけでございます。それで、今回の増額の二八・五%、これが上限でございますが、この率は、いわゆる七十歳以上の老齢遺族の方、戦死者の御両親でございますが、こういう方につきましては月一万円の公務扶助料を差し上げたい、こういう考え方から逆算いたしまして、二八・五%という数字が出ておるわけでございます。一〇%と二八・五%と非常に開きがございますので、その中間に六十五歳以上七十歳未満の方あるいは妻子、こういう方に二〇%の増額、おおむね平均額の増額をした、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/91
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092・小沢辰男
○小沢政府委員 共済年金は恩給と性格を異にしておりまして、社会保険として脱皮したものでございますから、当然恩給の改正にただくっついていくというようなことでなくて、独自の年金改定方法を確立すべきだという御意見は、私も一理はあるかと思います。しかしながら、現在におきまして共済年金の年金受給というのが、その在職期間の大部分につきまして恩給法の適用を受けておる人でございますので、したがって、かえってそういうような方法をとりますと不均衡を生ずるおそれがあるんじゃないか、そこで、基本的には恩給の改定というものについていくような、準拠するようなことにいたしまして、社会保険制度としての面から見て、どうも恩給についていってもなじまないというような面については調整をしていくというほうが、より現実に即しているんじゃないかという意味で、従来とも恩給の改定に即応してこの改正をやってきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/92
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093・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 変える気はないんですね。どちらがイニシアをとるかという問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/93
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094・小沢辰男
○小沢政府委員 調整規定の基準のとり方といいますか、あるいはまたそれぞれの必要経費の財源措置というようなものについて審議会の答申が出まして、その答申に基づいて政府部内の検討をやりませんと、将来公的年金というようなものについてどういうような方針といいますか、方式で改定をしていくかということが決定いたしませんから、やはりそれを待った上で検討さしていただきたい。いまお尋ねのように、年金は独自の考え方でひとつやるべきじゃないかと言われましても、問題は、調整規定のいろいろ改定の基準等をよく結論が出た上で検討さしていただきませんと、いま何とも私どものほうでは——先ほど言いました理由で、むしろ現実に即しているという意味で恩給にならっておる、こういうことでございますので、この点は現在の段階では、こういうような私どもの考え方を御了承いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/94
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095・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 年齢別と年金額別のスライドの比率の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/95
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096・津吉伊定
○津吉説明員 年齢別と年金額別のスライドという点でございますが、これは本来ならば共済年金の改定については入ってくべき要件ではないと思います。といいますことは、先ほど次官からも申し上げましたように、社会保険制度として恩給とは違う性格を持つ共済年金といたしましては、これは年齢によって給付に差別を設けるということはないわけでございます。在職年と、在職中の、具体的に申せば純粋新法年金でいいますと、退職前三年間の平均をとりました俸給額というだけが問題でございます。それで、何でも恩給追随という考え方をとっておるのではなくて、現在のところ、先ほども申し上げましたように、恩給公務員期間というものを取り込み、また雇用人も取り入れまして社会保険制度としてできました共済年金でございますので、ただいまのところ、いまだ恩給公務員期間というのが組合員期間のうちに占めるウエートが、これは三十四年一月一日、あるいは非現業の官吏でいいますと十月一日というのが発足の時点でございますので、恩給公務員期間というのが相当残っております。そのウエートがいまだ高いわけでございますので、恩給をもらう人との権衡というのは、その部分について十分現在の段階では考慮せざるを得ないということでございます。したがいまして、原則的に当然社会保険の体系の中でそういう権衡をはかる必要性の減少とともに、他に公的年金制度との権衡をもちろん考慮するわけでございますが、共済年金の実質価値の保全をはかる方向で検討を進めていきたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/96
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097・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 本会議の時間もあるので委員長から御注意をいただいているわけですけれども、いま私が申し上げた今回の改正で年齢別に一〇%、二〇%、二八・五%というものが出てきた。これが完全スライドといいますか、物価とか所得水準とか賃金などを総合して完全なスライド制がとられない現状において、できる限り年金受給者に安定した老後の生活をすべてに保障していくというような立場からは、年金額というものを基準にしてスライド率というものの比率も変えていく、年齢別では、お年寄りはもう余命幾ばくもないのだからという気持ちも、これは一面正しい面もあるのかもしれませんけれども、そういう人たちを含めて安心した老後の生活、しかもぎりぎりの生活保護世帯よりも少ないような年金を受けているというような人たちをそのままにしておいたのではいけないわけでありますから、そういうようなものを勘案すれば、やっぱり年金額別にその比率を変えて、安定した老後の生活というものを送らせるように、そういう考えもいまのような状況の中では当然あっていいのではないか、こういう意味で質問をしたわけであります。それが問題点なわけなのです。
それと、もう一つついでに聞いておいてやめますが、七十歳以上ということで区切りをつける、あるいは六十五歳以上ということで区切りをつける、一〇%、二〇%、二八・五%。ことし六十九歳だ、来年はもう七十歳になる、その人はしばらくまた二〇%の引き上げ率でがまんしなければならぬ。わずか一歳の差でそういう不合理も出てくるわけですが、毎年毎年これは七十歳になれば当然二八・五%、ことしやったと同じように上がるのか。そういう仕組みになっているのかどうか。その点確かめておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/97
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098・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 恩給法の改正では、先生いま申されましたように、年齢を固定しまして、結局十月一日当時の年齢でずっとその率の年金を支給するというのではなしに、やはりその後年齢に到達した場合にはそれに相応する率を適用する、こういうようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/98
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099・津吉伊定
○津吉説明員 恩給と同様でございます。——あまりそっけなくておこられるかもしれませんが、恩給と同様、たとえば七十歳に達しましたならば二八・五%上昇いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/99
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100・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 年金額別にアップ率を変えるという考えはないのか、このことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/100
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101・津吉伊定
○津吉説明員 それは、先ほど来大議論がございましたように、調整規定の運用につきまして慎重に検討しなければいかぬところでございます。口幅ったいようでございますけれども、職域保険制度として、また社会保障制度として、たとえば定額的に保障する部分は幾らであるべきか、報酬に比例して保障する部分は幾らであるべきかというような基本的な構造についてもこれは検討さるべき問題かと思いますので、直ちにお答えができないことは遺憾でございますけれども、そういう検討問題でございますということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/101
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102・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 もう時間がありませんから、あと満鉄の通算の問題その他たくさんあるわけですけれども、きょうはこれだけにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/102
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103・内田常雄
○内田委員長 次回は、明二十八日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02519670627/103
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