1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年三月二十八日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君
理事 久保田円次君 理事 山口 鶴男君
理事 門司 亮君
木野 晴夫君 久保田藤麿君
佐々木秀世君 塩川正十郎君
中馬 辰猪君 辻 寛一君
渡海元三郎君 登坂重次郎君
永山 忠則君 古屋 亨君
井上 泉君 太田 一夫君
島上善五郎君 折小野良一君
大野 潔君 小濱 新次君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
自治大臣官房長 宮澤 弘君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
警察庁刑事局捜
査第二課長 林 康平君
専 門 員 越村安太郎君
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三月二十六日
委員小濱新次君辞任につき、その補欠として矢
野絢也君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員矢野絢也君辞任につき、その補欠として小
濱新次君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十七日
地方公務員の共済制度改善に関する陳情書
(第五号)
国有林野所在市町村に対する交付金増額に関す
る陳情書(第六
号)
消防団員等公務災害補償等共済基金の赤字補て
ん措置に関する陳情書
(第五二号)
地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する
施行法の一部改正に関する陳情書
(第五三号)
公立学校共済組合の長期給付国庫補助率引上げ
に関する陳情書
(第五八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税
及び市町村民税等の臨時特例に関する法律案
(内閣提出第八号)
警察に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等の臨時特例に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/1
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002・太田一夫
○太田委員 ただいま議題になっております昭和四十二年の四月、五月、両月の暫定の、退職手当等にかかる道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案、これに関連をしてお尋ねをいたしますが、しごく簡単な法案でありますから、そう疑義はないのでありますけれども、私ども考えますのに、これは大臣の説明にもありましたが、場合によっては一月から実施してもよろしいというのですが、とりあえず四月、五月分をきめよう、こういうわけです。
退職金に対して住民税を減税したいという気持ちは、私は非常にけっこうだと思うのでありますが、所得税法が変わるから住民税も変えよう、地方税も変えていこう、こういう発想の根拠ですね。これがいささか、地方税を減税することについては二の足を踏んでいるのではなかろうか、こんな気がしてしょうがないのですが、この気持ちを最初にひとつ伺わせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/2
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003・松島五郎
○松島政府委員 現在の住民税は、御承知のとおり原則として、所得の計算につきましては所得税の計算の例によることになっておるわけでございます。この趣旨は、同じ所得を中心にして課税をいたします場合に、それぞれが異なった方法をとりますことによりまして、納税者に計算上の問題とか、そういうめんどうをなるべくかけないようにしていきたいというような趣旨も含めまして、原則的には所得税の所得計算の方法によるたてまえをとっておるわけでございます。で、退職金につきましても同様の考え方をとっておりますので、所得税における改正と相呼応いたしまして、住民税につきましても同じような措置を講ずる、かようになっておるわけでございます。ただ、減税をいかに実施するかという場合に、単に所得税の改正だけの問題としてでなくて、いま申し上げましたような仕組みになっております以上は、国税、地方税を通じてどれだけの減税をやっていくかという考慮のもとに、それぞれの金額なり、やり方をきめていく、こういうような考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/3
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004・太田一夫
○太田委員 じゃ、松島さん、そういうふうに国税、いわゆる所得税と見合って、住民税も同じようなスタイルによって減税すべきところは減税したいというならば、住民税を地方の主力税源として位置づけたときに、その税率等に非常な革新があった。その当時は、住民税というものは、地域に住んでおる住民がその利益をともに享受している限りにおいては、なるべく平均に犠牲を負担すべきものではなかろうか。それはいわゆる応益原則などということばが使われているのですが、そうすると、所得税のほうは応能原則ですね、能力に応じて税金を出す、そういう応能原則というのに貫かれておると思うのですが、これから地方税は、所得税と同じように、応益原則ではない、応能原則でいこう、こういうふうに方針がいささか変わっておるとわれわれは理解してもよいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/4
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005・松島五郎
○松島政府委員 私がただいま御説明申し上げましたのは、所得の計算については、両者の一致をさせられ得るところはできるだけさせていきたいということを申し上げたのでございまして、もちろん、住民税といい所得税といい、地方税、国税としてそれぞれ税目が立てられております以上、またそれぞれ独自の立場があり、違いがあるわけであります。ただいま御指摘にありましたように、住民税は広く住民に負担を求めていくという性質のものであり、所得税はいわば応能課税に徹していこうとするものでございますから、両者の間には、所得の計算というような面ではできるだけ合わせるにいたしましても、税の根本的性質の違いから来ます相違点というものはおのずから出てくるわけでございまして、ただいま御指摘になりましたような税率の立て方等につきましては、お話しのとおり、それぞれの税の違いによって税率の違いも設けられてしかるべきもの、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/5
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006・太田一夫
○太田委員 別にそうこだわるわけではないが、おそらく、そんなに住民をしぼろうというお気持ちはなかろうと思うのですが、この間配付された税制調査会の四十二年二月の答申の中に、三十ページに「住民税」というところがありますね。その「住民税」にどう書いてあるかというと、(2)のところに、「住民がその能力に応じて広く負担する性格をもっている税である。」やはり、能力に応じてという点がありますね。これははっきり書いてあるわけだ。能力ということを超越して、地方団体の必要とする経費を住民が背負うのだ、そういうことの考えじゃないか。能力に応じてやるならば、やはり所得税も同じことであるならば、今後地方税法というものも、住民税などは——特に住民税は能力に応ずるということになれば、所得税とまさに一致した税計算方式を採用されるべきじゃなかろうか。片方だけは地方税は違うのだ、住民税は違うのだというなら、今度の退職金のところで同じようなことを右にならっておやりになったことは筋が通らないですよ。だから、やはり今後は住民税は所得税とよく似たような取り方をするんだ、そういう気持ちがあるんだというふうにわれわれは理解をしていいんじゃなかろうかというふうに思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/6
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007・松島五郎
○松島政府委員 この長期答申といわれておりますものの中に、住民がその能力に応じて広く負担する性格を持つというふうにいっておりますのは、御指摘のとおり、住民税といえども支払い能力と申しますか、担税力を全く無視して税金は本来あるべきものでないことは申すまでもないことでございますが、そういった点は考えていかなければならないとしても、そこの後段にありますように、広く住民に負担を求めていくというところに、また住民税が所得税と異なった趣旨を持つものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/7
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008・太田一夫
○太田委員 たとえば、住民税を負担するということと所得において幾ら出すかということは別問題ですね。広くということは、なるべく負担しない人が少なくなるように、住民税の均等割というところを私はいうておると思うのです。均等割、ここの一点を指していると思うのです。あとは所得に応ずるということは、所得がある人の出し方というのは、所得税の考え方とほぼ一致しておらなければ能力に応ずるという考え方を、所得税はこういうふうに考える、地方税のほうはこうだなどと、ちょっとおかしいじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/8
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009・松島五郎
○松島政府委員 このことは、この答申でいっておりますことの解釈の問題でございますけれども、単に均等割についてのみ広く、すなわちできるだけ多くの人が負担するというだけの趣旨ではないと考えております。と申しますのは、さらに続けて書いてありますように、「住民税は、所得税に比較してより広い範囲の納税義務者がその負担を分かちあうべき性格のものであるので、その課税最低限は、所得税の課税最低限と異なるべきものであると認められる。」という文句がございますが、ここにいいます課税最低限とは、申し上げるまでもなく、どれだけの所得の人に対して税がかかるかという問題でございまして、所得税との対比において述べられています以上、これはやはり所得割の問題として取り上げられているものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/9
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010・太田一夫
○太田委員 それは局長さん、そういうことばのところで解決点を求めるというのも、それは答弁としていいと思うのです。別にどうと言いません。言いませんけれども、あなたのおっしゃる、いまの退職金の今度の特例法の考え方を見ると、所得税がこう変わったから地方税もこう変わるんだというところには、考え方は所得税と同じシステムを導入してきていらっしゃるわけだ。ところが地方住民税というのは、もともと単独の所要の経費にこたえるために、住民が極力広く負担すべきものであるから、立て方が違うということがまた片方でいわれるとするならば、何で退職金だけでも立て方を違えたものをおやりにならない。なぜ立て方が一緒になってくるのですか。そこのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/10
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011・松島五郎
○松島政府委員 同じ所得割の中におきましても、その所得の種類というものも考えていかなければならない場合があろうかと存じます。退職所得のように、長い間つとめて、しかも最後の所得として得られたものについて、住民税は広く負担を求めるものであるからといって、課税最低限が国税より非常に低いという状態になりますと、これは退職所得者に対する課税をいかにすべきかという問題としてまた検討されなければならない面が出てくるのではないかというふうに考えるわけでございます。日常得られます所得といいますか、そういうものを中心にして考えます場合の市町村民税の課税のあり方と、一生のうちに一度なり二度なりの所得として得られますものに対する課税のしかたというものについては、たとえ住民税が所得税と異なった課税方法をとるべきたといたしましても、また一面において、そういうものについては合わせていけるものは合わせていったほうがいいという問題も考えられ得ると思うのでございまして、そういう意味で退職手当につきましては、所得税の計算方法に原則として乗るというたてまえをとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/11
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012・太田一夫
○太田委員 合わせられるものはなるべく合わせていこうというあなたの御答弁があったということは、私どもも積極的に解釈していきたいと思うのです。かつてあなたの前の後藤田さん時代だったか、そういうようなことばは出なかったですね。なるべく国税は国税だ、地方税は地方税だよという気持ちが非常に強かった。あなたになってから非常に進歩的になってきて、その点は私は称賛すべきものがあると思う。だから、大臣より局長さんのほうがその点ははっきりおっしゃるだろうと思うので、先にあなたに御質問申し上げた。なるべく合わせてください。私どももそういうことに賛成だ。
さて、そこでちょっと具体的に、どれくらいの減税になるか、私ども聞き漏らしておるのか、つまびらかにしておりませんので、お尋ねしたいと思うのです。勤続二十年二百万、勤続三十年五百万という退職金の場合、地方税においてどれくらいの減税になるのか、ひとつ数字をもってお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/12
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013・松島五郎
○松島政府委員 ただいまお尋ねのありました勤続二十年で二百万円の退職金をもらった方が、現行法と改正法案の計算でどの程度減税になるかという第一点のお尋ねでございますが、現行法によりますと、県民税、市町村民税合わせまして二万一千九百三十円課税される。改正法案によりますと九千八百五十円となります。したがいまして減税額は一万二千八十円でございます。減税率は五五%ということになります。それからもう一つお尋ねの、五百万円で勤続三十年の人はどうかということでございますが、現行法では十三万七千二百五十円でございます。改正法案では十一万二千五百円でございます。したがいまして二万四千七百五十円の減税となります。減税率は一八%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/13
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014・太田一夫
○太田委員 二百万の退職金の場合に一万二千円県民、市町村民税を通じて減税、五百万の場合二万四千何がしの減税、絶対額といたしまして、二百万円の場合が九千八百五十円、ほぼ一万円近いものを出さなければならない。五百万の場合も十一万二千五百円と、ずいぶんたくさん出さなくてはならないのですが、これは減税したという一八%とか五五%とかいう率というものは、確かに減税になっておりますけれども、これはあまり減税らしい感じを与えないと思うのですが、この金額についてはその他にも例があるのですか。もうちょっと減税らしい感じをどこかで与えられる層があるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/14
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015・松島五郎
○松島政府委員 お示しになりました点、計算をあわててやっておりますので、あるいは間違いがあるかとも存じますので、もう一度精査をいたしますが、ただ考え方といたしましては、お示しになりました事例は、退職金としてはかなり高い事例ではなかろうかと思うのでございます。これは大体御承知のとおり、三十五年勤続して五百万の人に対して税がかからないようにしたいという発想から出発したものでございます。三十五年と二十年では、勤続年数において倍近くの違いがございます。しかも金額は五百万ということで同じだといたしますと、そこにおのずから減税の幅が違ってくるという問題がございます。通常考えてみますと、国家公務員の場合でも、勤続一年につき現在は、たしか普通公務員でありますと〇・六カ月分くらいになっていたと思いますので、十万円の給与をもらっておる人でも六万円、二十年でございますと、二十かける六、百二十万円くらいしか普通公務員の場合にはならないのじゃないか。一カ月といたしましても、二十年でございますと二百万円程度の退職金にしかならない。たとえば国家公務員が基準になりますかどうか、議論はいろいろあろうと思いますが、そういう点を基準にして考えますと、勤続二十年で五百万円というものは、かなり退職金としては多額を支給される方であろうというふうにも考えられますので、そういった事例のとり方によってこの退職金減税に対する評価も異なってくるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/15
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016・太田一夫
○太田委員 それは五百万円の場合は、いまの設問が三十年勤続、退職金五百万円、これが多過ぎるというようなお話ですけれども、今日三十年勤続してやめた場合に、うち一軒建てられないということは、退職金に値しないじゃありませんか。そういうことに私はなっていると思うのですよ。それは国家公務員の場合はその他にも共済制度がありますから、何とも比較の限りじゃありませんが、一般民間の場合、できるならば三十年勤続をしてやめると、うちの一軒くらい建てたいとなれば、五百万円まるまる手に入るわけじゃありませんから、それから税金を引かれていきますから、五百万円という退職金の額は決して高過ぎるものじゃない。だから、その中で十万円何がしという、十万円以上の地方税がかかるということはたいへんだと思うのです。いまあなたのおっしゃった退職金に対する地方税と所得税との関連というものは、だんだん相似形になりつつあるということになるならば、私は別にこの問題だけ取り上げてとやかくのことを申そうとは思わないのですが、独自の考え方が地方税法の中にあるとするならば、もうちょっと、将来その町に住んでいただきたい、その村に住んでいただきたい、退職金でうちを建て、そこに住んでいただこうという場合に、あまり地方税をとってしまうということは残酷だ。所得税だけでもいいじゃないか、退職金だけは地方税をゼロにしていいじゃないか、別表を全部ゼロにかえてもいいくらいだ、私はそう思うのです。高過ぎる、ちっとも減税に値しないような気がしてしようがない。先ほどの県民税の数字は違っていないでしょう。大体いいですね。間違っておりませんね。そうすると二百万円の場合、県民税で八千九百六十円、市町村民税で一万二千九百七十円、合計二万一千九百三十円、それが改正案によれば、県民税四千四百八十円、市町村民税五千三百七十円、合計九千八百五十円、その差、減税一万二千八十円と相なる。これはもう非常に市町村民税が高いということがわかりますね。それから五百万円三十年の場合は、県民税が四万五千円に対して市町村民税は九万二千二百五十円が現行である。改正では、県民税が三万六千円になり、市町村民税が七万六千五百円ということになるならば、これまた格段に市町村民税が高い。だから、別表二というほうが高いわけですね、そう思うのです。
そこで、時間があれだそうですから、ちょっと大臣にこの際お尋ねいたしますが、この退職金の項については、地方税法では何か一つ目をつくって、ずっと特例がつくってある。さらにそれが附則によって軽減されておるのですがね。もっと、これは暫定的であるから、将来退職金というのは非常に軽減するつもりだ、軽減したときには、税率をはじめとして計算例等は本文の中に入れる、附則じゃない、そういうつもりでいま当面附則にあるのか、どうなんですか。将来は附則を切ってしまって——どうするつもりですか、方針をちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/16
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017・松島五郎
○松島政府委員 先に私からお答えをさしていただきたいと思います。先ほど申し上げました事例は、実は計算を間違っておりませんが、両方とも二十年で計算しておりますので、三十年五百万円のほうは、三十年で計算しますともう少し違った数字になってくるのではないかと思います。
それからもう一つ申し上げたいと存じますのは、先ほどもちょっと所得税と住民税の問題で御指摘がございましたが、所得税は応能負担の原則に徹します関係上、強度の超過累進税率をとっておりますが、住民税はそれと異なりまして、県民税はほとんど比例税率に近い状態、市町村民税につきましても累進度はきわめてゆるやかでございます。したがいまして、退職金のように一時に課税をされます所得につきましては、所得税の場合は累進効果が非常に強く働くわけでございますけれども、住民税の場合はその累進の効果が現在でも低い。したがいまして、減税を行ないましても、逆に言えばまた累進効果が低くしか働かないというような関係で、減税の幅は、所得税の場合は非常な減税の幅になりますけれども、住民税の場合はそれほどでもないという問題があるわけでございます。そのことは逆にいいますと、住民税ですでに相当低い税額になっておるということにも関係するわけでございます。
それから、次にお尋ねのございました現在の退職金については、分離課税で現年課税の制度をとっておりまして、附則においてさらに税率等においても特例を設けているが、これを本則に直すのかどうかという問題でございます。現在附則でもって特別の制度を設けておりますのは、これが御承知のとおり住民税全般としては前年課税のたてまえをとっておりますけれども、退職金だけ現年課税をとっておる、こういうようなことも関連いたしまして、暫定的な税率を設けておるわけでございますが、将来住民税そのものについて、全体を現年課税というような問題が検討されます場合には、もちろんこれは全体をひっくるめて本則の問題として整理をされなければならない時期が来るのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/17
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018・太田一夫
○太田委員 もうちょっと端的に、退職金はこうして漸減をしていくという方針は、所得税においては退職金課税をゼロにしようという理想があると思う。地方税においても、退職所得に対しては地方住民税は極力これを軽減をし、将来撤廃の方向に向かいつつあるのだという、そういう思想があらわれておるのだ。何げなしに向こうのリモコンに応じて地方税を減らしたわけじゃないでしょう。将来やめていくのだ、やめるのだ、そういう理想があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/18
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019・松島五郎
○松島政府委員 いまこの段階では、将来退職所得に対します住民税をやめるかどうかということについてお答えをすることは困難でございます。税は安いほどいいということもございますけれども、しかしまた一面において、地方団体の財政需要という問題も考えてまいらなければなりませんので、それらの点も含めまして将来の検討問題といたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/19
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020・太田一夫
○太田委員 私は最初から、基本的な考え方をあなたにほんとうにはっきりしていただきたいということばかり言うのですが、所得税のほうはだんだん減らしてくる、地方税も減らしたい、こういう目的が一致してたまたまそうなるのか、退職金を減らすのはやむを得ずやっているのか、受け身か積極的かということをお尋ねしているわけだ。受け身でなければ、退職金についてはさらに大幅な減税をしていきたいという気持ちがあるわけだと私たちは理解していきたいと思うのです。そうしないと、一月からやりたいけれども、所得税がやらなければという、それではあなた自主性がないじゃないですか、地方税法に。その辺の気持ち……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/20
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021・松島五郎
○松島政府委員 その前に、先ほどの三十年で計算をいたしましたものを申し上げます。現行十一万二千五百円は先ほど申し上げたとおりでございます。三十年にしましたので、現行で十一万二千五百円になります。それから改正案によりますと、三万六千円でございます。減税額が七万六千五百円でございます。
それから退職金につきまして、所得税とは別個の立場で、将来減税をしていくかどうかというお話でございますが、所得税と別個の立場で、地方税の独自性という問題も考えてまいらなければならぬ問題はいろいろあろうと思います。その一つとして退職金問題もあわせて考えていかなければならないと思いますが、そのことが直ちに所得税と別個に地方税だけどんどん減税していくということになるということには必ずしもならない場合もあり得るということをお答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/21
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022・亀山孝一
○亀山委員長 他に質疑はございませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/22
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023・亀山孝一
○亀山委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出にかかる昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等の臨時特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/23
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024・亀山孝一
○亀山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
おはかりいたします。
ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/24
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025・亀山孝一
○亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/25
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026・亀山孝一
○亀山委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/26
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027・太田一夫
○太田委員 皆さんお忙しいようですから、ひとつ簡単にお尋ねをしたいのですが、実は最近、新聞等にあらわれております東京都の知事選挙をめぐりまして、いささか人命の軽視ないしは社会的な不安というものが発生しつつあるようにうかがわれるわけです。二十六日に行なわれた東京都知事選挙の立ち会い演説会、最初の日でございますが、演壇の上から某候補が革新糸候補に対しまして脅迫的な言辞を弄した。そうすると聴衆の中からは、カーキ色の服を着たのが飛び出してきて、その候補の右翼的な言辞に対して抗議を発した男に飛びかかってきて乱暴を働こうとしたことがあったやに報ぜられておるわけです。これに対して警察庁当局は、選挙の公正なんというような立場ではなくて、もう少し根が深いような気がするものでございますから、どういう実情なり、どういうような対策をとられておるのか、この際、明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/27
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028・林康平
○林説明員 急なことでございましたので関係の政府委員が来られませんので、まことに恐縮でございますが、捜査二課長、かわりまして、わかっております点、御説明いたしたいと思います。
ただいまお尋ねの都知事選の立ち合い演説会におきます某候補の特異な言動につきましては、警視庁におきまして直ちにこの間の事情について詳細な調査を進めますとともに、とりあえず、きのうでございますか、その候補者自身に対し、選挙妨害等の違反を越こさないよう厳重な注意を与えておるところであります。聞くところによりますと、その後、この種の言動は、この候補からは出ていないというふうにただいま報告を聞いております。
なお、この立ち合い演説会におきます言論につきましては、私ども取り締まり側も慎重な配慮を要するものかと存じてはおりますが、その内容がいやしくも選挙妨害あるいは虚偽事項の公表などという悪質な公職選挙法違反にわたりますような場合には、選挙管理委員会とも協力いたしまして、必要な厳重な警告を与え、状況によりましては捜査をし、検挙いたさねばならないということを考えておるわけであります。
最後の、根深いという問題につきましては、急なお話でございますので、私、捜査二課長としてその関係をよく存じ上げておりませんので、ただいま答弁は控えますことをおわび申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/28
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029・太田一夫
○太田委員 いま林捜査二課長のおっしゃることはよくわかるのですが、どうも、あくまで公職選挙法の範囲内のお話のように受け取れます。何か革新系候補者の身辺に危険が及ぶかのような表現をするということは、単に公職選挙法上の選挙の自由だとかどうとかこうとかということでなくして、さらにもうちょっとこれは大きなものじゃありませんか。そこのところが私は心配になるのです。候補者自身だけでなくて、候補者並びにその周囲の者にまで危害が及ぶことが考えられる。身辺に危険が及ぶかのような心配というものは、非常に深刻に考えられる。もう絶対そういうことはない、その心配は必要ない、こういうふうにおっしゃっていただくことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/29
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030・林康平
○林説明員 ここでその某候補者の申しておりますことを繰り返すのはいかがかと思われますけれども、私たちのいままでの調査によりますと、身辺に危険が及ぶというように脅迫と申しますか、威力を加えるというようなことには直ちにはまだ出ていないのではないかと存じますことと、しかしながら、それに対しましては、先ほど申しましたような態度をもって私どもは臨むということを明らかに言明いたしたいと存じますと同時に、もしもこういうようなことをめぐって、候補者あるいはその運動員の身辺にいささかたりとも不安あるいは危険が及ぶというようなことがあればゆゆしいことでございますので、私どもは、単に刑事局のみならず、警察関係部局あげまして、その間の視察、警戒あるいは警護と申しますか、ことばはちょっと妥当ではないかと存じますが、その点については万全を期していくつもりでおりますことをここで申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/30
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031・太田一夫
○太田委員 万全を期していただくということで私どもけっこうだと思いますが、場合によっては捜査、検挙も考えられるというような事態は、私ども残念に思うわけです。そういうことのないように、選挙が公明に行なわれるということでなくして、現在の日本の実社会秩序というのは、生命、財産等に心配がないというところを一つの特色としているわけなんですから、何かしら選挙に関連してまた新しくそういう黒い勢力が動き出したという感じを一般国民に与えるということは重大だと思うのです。ですから、重大な決意を持って万全を期するとおっしゃることは私は非常に同感でございまして、けっこうだと思います。それは警察庁の捜査課長、皆さん、現在捜査に直接当たっている警視庁も、ともに同一の見解であるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/31
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032・林康平
○林説明員 仰せのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/32
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033・亀山孝一
○亀山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後十一時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X00519670328/33
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