1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十八日(木曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君
理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 門司 亮君
木野 晴夫君 久保田藤麿君
熊谷 義雄君 佐々木秀世君
坂本三十次君 塩川正十郎君
渡海元三郎君 永山 忠則君
古屋 亨君 粟山 秀君
山田 久就君 井上 泉君
太田 一夫君 河上 民雄君
華山 親義君 依田 圭五君
折小野良一君 大野 潔君
小濱 新次君 林 百郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省財政局長 細郷 道一君
自治省税務局長 松島 五郎君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
専 門 員 越村安太郎君
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五月十八日
委員中馬辰猪君、辻寛一君、登坂重次郎君及び
華山親義君辞任につき、その補欠として粟山秀
君、熊谷義雄君、坂本三十次君及び柴田健治君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員熊谷義雄君、坂本三十次君、粟山秀君及び
柴田健治君辞任につき、その補欠として辻寛一
君、登坂重次郎君、中馬辰猪君及び華山親義君
が議長の指名で委員に選任された。
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五月十七日
消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二六号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第三九号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六
三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/1
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002・林百郎
○林委員 まず伊東政務次官にお尋ねしますが、あなた、いまどこへ行っておられたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/2
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003・伊東隆治
○伊東政府委員 参議院に行っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/3
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004・林百郎
○林委員 きょう十時半から衆議院の地方行政委員会があるということは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/4
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005・伊東隆治
○伊東政府委員 よく知っていました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/5
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006・林百郎
○林委員 ここへ大臣が出られないということは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/6
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007・伊東隆治
○伊東政府委員 私は参議院のほうを受け持っておりまして、ここには大臣が出られるかどうかは存じませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/7
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008・林百郎
○林委員 それでは、あなたのほうは参議院さえやればいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/8
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009・伊東隆治
○伊東政府委員 はあ、そうです。(「そうですとは何だ」と呼ぶ者あり)きょうは参議院の受け持ちだったのです。参議院だけやればいいということじゃないのですが、参議院の担当だったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/9
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010・林百郎
○林委員 別にあなたにからむわけじゃないけれども、予算関係は原則として衆議院が先議のものなんです。本予算は衆議院が議決すれば、一定の期間がきて参議院が議決しなくても成立するというのでしょう。そうなら、政府はもう少し地方財政の問題につきましても衆議院の地方行政委員会に敬意を表してもらわなければならぬ。あなたは御承知かどうか知りませんけれども、衆議院の当委員会は、本年になって藤枝自治大臣の所信をゆっくりお聞きする時間もないし質問する時間もないのですよ。いつも局長さんが来て、局長さん相手に技術的なことだけやっているわけなんです。いろいろな御都合があると思ってわれわれもいままでじっと協力してきましたけれども、しかし協力にも限界がありますよ。少なくとも大臣が参議院へ行っていたら、次官は衆議院の地方行政委に定刻にはちゃんと来て待機している、それくらいの敬意を表さなかったら、衆議院の地方行政委員会の権威なんてないじゃありませんか。もっと真剣に考えてください。どうですか。もしこれから大臣も次官もいなかったら、私は少なくともこの衆議院の地方行政委員会は開くべきでないと思いますよ。国会議員というものは自治省のお役人さんに話を聞いているのじゃない、政府の施政方針を聞くのです。あなたはどうお考えになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/10
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011・伊東隆治
○伊東政府委員 これから注意して、もとより衆議院第一にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/11
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012・林百郎
○林委員 それでは時間の関係もありますので、まず私は地方税の制度の根本について少し政府の所信をただしたいと思うのです。もちろん国税の制度が民主的だとわれわれは言っているわけじゃありませんけれども、しかし地方税の制度そのものは非常に非民主的な、これはどうしてもわれわれが見過ごすことのできないいろいろな問題点がございますので、きょうは時間の許す範囲で、そういう基本的な問題について少し政府の所信を聞きたいと思うのです。それであなたにおいで願ったわけです。
まず最初の問題ですけれども、均等割りという制度が御承知のとおりあるわけですね。この均等割りは、金持ちでも貧乏人でも一律に一定の負担を持つ、こういう制度であることは間違いがない。たとえば何千万の資産を持って、株の配当を受けて、株の配当だけで暮らせるような人も、毎日営々として働いて、生活保護の給付金前後の所得しかない勤労者も、全く同じことだ。たとえば大都市なら七百なら七百円、こういう制度は、負担分圧の原則とかなんとかいう言い回しはありましても、はなはだこれは不公正な制度だと思うのですよ。いま私たちの調査するところによりますと、国税の所得税を納めている人が二千七十五万人、個人の住民税納税者が三千百四十八万人、約一千万人ぐらいの国税の所得税を納めない人が地方の住民税の納税者である。これは結局均等割りが国税の所得税の失格者にもかけられている、こういう問題だと思うのです。しかもわれわれの聞くところによりますと、本年度の財政措置にからんで均等割りを若干上げるという意見すら政府部内にあった。これは上げなければ本年度の一般財政の所要財源に補てんするものが処置できない。要するに自然増にまかせるということでなくて、均等割りを上げて本年度の所要財源の補てんを考えなければならないじゃないか、こういう意見すらあったということを聞いているわけなんですけれども、こういう均等割りをさらに上げるような考えを政府は検討したことがあるのかどうか。さらに均等割りというこの非民主的な地方税の制度について、政府は根本的にこれを廃止するなりあるいは民主的に改めるなり、そういうことを検討したことがあるかどうか、お尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/12
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013・伊東隆治
○伊東政府委員 均等割りについては、もとよりこれが納税者について一般的にわたりますので、できることならこれを廃止したい気持ちではおりますから、その検討はいたしておるのでございますが、廃止することは、ただいまのところ税収の関係から考えて、そこまではいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/13
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014・林百郎
○林委員 本年度の所要財源としては、当然地方自治体で歳入するものと、政府の補助金あるいは交付金等で埋めるものとの差額で約千百五十億というものが出てきている。これは何とか一般財源かあるいは何らかの方法でこれを補てんしなければならない。ところが本年度の財政措置で約三百八十五億程度は補てんできるけれども、結局七百六十五億というものが一般財源の不足として計数上出てくる。さらに今年度の公債の償還に千七百三十二億が必要だ、こういうものの財源補てんとして、国税の自然増あるいは地方税自体の自然増で埋めるというようなことを考えざるを得ない事態にきていますけれども、この本年度の所要財源補てんについて、均等割りをやはり上げざるを得ないのじゃないかということをほんとうに検討したことはないのですか。そしてまた近く上げることは絶対にないとここではっきり言えるかどうか、局長さんにお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/14
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015・松島五郎
○松島政府委員 均等割りの問題につきましては、御指摘のようないろいろな問題がございます。しかしながら現在の住民税は、市町村あるいは地方自治に参画する方々に地域社会の費用を何がしかは負担をしていただく、そのためには均等割りという制度が必要であるという考え方でできておるものと考えておるのでございます。
しからば均等割りを今後引き上げる、あるいは現在まで引き上げることを考えたことはなかったかどうか、あるいは今後引き上げる意思がないかどうかというお尋ねでございますが、御承知のとおり均等割りは、現在の税率が定まりましたのは昭和二十六年でございます。昭和二十六年に、人口五万以下の町村で三百円、五万から五十万で五百円、それから人口五十万以上の市町村で七百円というふうにきまったのでございますが、その後、昭和二十九年に県民税ができましたときに、それぞれ百円ずつを県民税に分けまして現在の税率になっておるのでございます。したがいまして、税率といたしましては、県民税、市町村民税を通じました均等割りの税率は昭和二十六年以来据え置きになっておるのであります。そこで、税率をどう考えるかという問題でございますけれども、均等割りの是非の問題はまあ別問題としますと、その間に国民所得の水準もかなり向上してきておりますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、そういう経済の変化というものから考えますと、税率は相対的に軽減されてきておるとも考えられ得るわけでございます。そういう点から、今日なお検討する余地があるのではないか、かように考えておるのでございまして、ただいままでのところ、検討の結果では、本年度は少なくとも引き上げるということは提案をいたしておりませんが、将来の問題として、絶対に引き上げないかどうかということになりますと、やはりいま申し上げましたような事情も考慮して、慎重に考慮すべきものと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/15
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016・林百郎
○林委員 それじゃ、次官は、むしろ非民主的な制度だからこれは廃止したいと先ほどはっきり言っている。局長は、所得が増大しているからいまのままでいいかどうか、これは考えざるを得ない。しかし、まあ今年度はさしあたり上げるつもりはないわけですね。上げるなら法案が出てくるので、法案が出てこない限り上げないことはわかっておりますが、それじゃ、まるで次官と局長の言うことは違っているのじゃないですか。それは次官どうなんですか。あなたのほうはむしろ廃止したいと言っている。しかし局長のほうは、一般的な国民の所得が増大している今日、やはりこれは若干値上げを、すぐとは言わぬけれども、将来考えざるを得ないと言っているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/16
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017・伊東隆治
○伊東政府委員 均等割りの税収は、大体、いま伺いますと百四、五十億の程度でございますので、やはりできますならば、将来はこれは廃止していくのがいい、廃止すべき税種の中に入れていいものだと信じております。したがって、今後税率を上げるかどうかというようなことは、いまのところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/17
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018・林百郎
○林委員 次官、次は若干数字の技術的な問題ですから聞いていていただきたいと思います。局長さんに申しますが、これは藤枝大臣も言っていますよ。応分の地域的な利益を受けている人が、みずからの利益に応じて若干の財政負担をして、自分の受けている利益を守るような責任を持つのは当然だと、こう言っていますね。これは、まあ大臣は本会議の答弁でしょっちゅう言っています。そこで、私はあなたにお聞きしたいのですけれども、応分の利益を受けているというけれども、しかし生活ができるかできないか、ぎりぎりの者が、均等割りだとかあるいは国民健康保険税の均等割りだとか、こういうものを受けて、もう本来自分の収入だけで生活ができるかできないかという人、この人がこういう均等割りを受けて、そうして国の租税特別措置とか、そういう制度によって非常に寛大な措置を受けて、あり余る利益を受けているものが、そういう生活ができるかできないか、ぎりぎりの人たちと同じ負担で何が応益——利益を受けているものに応じての負担ということになるかどうか。たとえば、一例を申し上げますと、配当所得に対する租税特別措置の例を申しますと、夫婦と子供二人の四人世帯で年収二百万の所得がある。これが株の配当で年二百万の所得のある人と、株の配当でなくて、働いた給与あるいは事業でこの所得を得ている人との課税の数字をあげてみますと、夫婦、子供二人の四人世帯で年収二百万の所得者が、国のほうの給与所得でいくと年二十三万三千二百七十五円の課税、事業所得でいくと年二十八万六千五百三十円の負担、これはまあ国税のほうです。ところが、これがもし時価四千万の株を持っていて、利回り五%で年二百万の配当金を受けて遊んでいる人がいる。これは国税の関係ですけれども、租税特別措置でこの人は国税を納めておらないわけです。給与所得税も事業所得税も納めておらない。ところがこの人は今度は地方税の負担になるとどうなるか、時価四千万の株を持って、利回り五分で年二百万の配当所得を得ている人の地方税はどうかというと、これは国税のほうで税金がかからないで、所得税も事業税もかからぬということですね。それですから、本来ならば所得割りで、住民税でいけば十一万五千二百七十六円、事業所得でいくならば十二万七千五百三十円、これがかからない。ただ均等割りが七百円かかるだけです。こういう計算になるんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/18
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019・松島五郎
○松島政府委員 ただいま御指摘のございました配当所得の問題でございますけれども、年配当一銘柄五十万円までの配当につきましては、租税特別措置法ではいわゆる源泉選択が認められているわけでございます。源泉選択と申しますのは、源泉徴収で一定税率でもって所得税を徴収されるか、あるいは総合課税で累進税率の適用を受けるか、この選択でございまして、所得税も源泉分は払っておるわけでございます。住民税のほうは、これにつきましては源泉選択の制度をとっておりませんので、全部申告していただいて、所得税とは別個の計算によって課税をすることにいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/19
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020・林百郎
○林委員 それでは、四千万の株を持って、利回り五%で二百万の配当だけで生活している人、これは国税のほうでいえば、他の所得はなくてこれだけで生活をしている人、これは明らかに租税特別措置で所得税も事業税もかかってこないわけですね。この人に対して地方税は、純粋に配当だけで暮らしているとしますと、かかってきますか。この人は所得税は幾らかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/20
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021・松島五郎
○松島政府委員 二百万の所得の方は、これは基礎控除なり扶養控除という問題は、源泉選択をいたしますと起きませんので、源泉でもって徴収されるわけでございますから、現在一五%の税率で徴収されておりますので、二百万円でございますと三十万円の税金を所得税としては源泉で取られているわけでございます。住民税のほうは、源泉選択をいたしませんので、一般の所得その他の所得がなければ、そのほうから基礎控除なり扶養控除なりをいたしまして、それに市町村民税なり県民税の税率を適用して住民税を納めていただくことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/21
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022・林百郎
○林委員 それならば、純粋に利子配当だけで、源泉課税を国ではとられていますね、この人は。ですから自分の所得としては、自分のふところに入ってきたときには、それに対してはかかってこないわけですね。国のほうではかかってこない。これは源泉課税ということで、会社のほうで払うかどうかは別として。そこで、この人が地方税で所得割りがかかりますか、かかるならば数字を出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/22
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023・松島五郎
○松島政府委員 いまお尋ねの問題は、二つの問題がございます。年間配当が五万円以下の場合は、これは住民税が課税されないことになります。一銘柄でございます。それ以上のものにつきましては、いま私が何度も申し上げましたように、全部申告をしていただきまして、その申告した所得に従って、一般の住民税と同じ計算の方法によって課税をいたすのでございます。したがいまして、いまおあげになりました二百万円の方、家族の関係等もございますが、その場合は基礎控除十万円を引きました百九十万円に対しまして、御承知のとおり住民税の税率が最低二%から段階がございますので、そのそれぞれの段階ごとに適用いたしまして住民税を課税する、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/23
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024・林百郎
○林委員 私のほうの計算ですと、株の配当に対しては租税特別措置によって、違う所得がないんだから、国のほうの税金は全部免除になる。事業所得はもちろんかからないし、所得税もかからない。源泉は会社のほうで持つのだから、本人のところには来ない。地方税も、株で、配当ということで、国のほうで租税特別措置で免除しているんだから、所得割りはかかってこない。このように私たちは研究の結論が出ています。若干あなたと意見が違う。それはそれでいい。七百円の均等割りはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/24
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025・松島五郎
○松島政府委員 均等割りは一般の二百円、県民税を合わせますと、三百円、五百円、七百円ということで課税しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/25
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026・林百郎
○林委員 ですから時価四千万の株を持っている人は、国のほうでは所得税も、あるいは事業所得者に対する税金も免除されている。それから地方税のほうも、事業税はかかってこない、ただ配当だけで暮らしているんだから。これは免除。所得割りは、あなたのほうはあると言う。私のほうはこれはかからぬと思っていますけれども、ここであなたと私と議論を重ねてもしかたがない。しかしそういう人も七百円。一方営々として働いて、失対なり何なりに出ている人も七百円。これで地方行政によって受けている応分の利益に従った応分の負担をするという法則をここに適用して、四千万の株の所得者も、失対に出ている人も七百円の負担の均等割りをかけるというのが、あなたの言う応分の税負担の原則ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/26
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027・松島五郎
○松島政府委員 七百円なりあるいは三百円なりという均等割りは、すべての方が納めるわけでございます。したがいまして、その他の所得が多いか少ないかという区別なく納める。その意味において、まさに均等割りという名のとおりでございます。しかし、それだけで市町村民税が全部だというわけではございませんで、御承知のとおり所得の多い方にはその所得に応じて別途所得割りを課税をするということになっておるのでございまして、両者を通じて負担を求めているというたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/27
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028・林百郎
○林委員 私の聞くところは、たとえば大正製薬の社長の上原正吉さん、年所得で五億幾らという申告がしてあるのです。五億の人と失対に行っている人がお互いに七百円を出し合うということが、あなたの言う地方税の基本的なプリンシプルである応益の、あるいは応分の負担ということであなたは通すつもりかどうかということですよ。そんなことはわかっているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/28
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029・松島五郎
○松島政府委員 私どもは先生といろいろ見解があるいは違うのかも存じませんが、市町村なり地域住民といたしましては、その地域社会に要する費用にみなひとしく幾らかでも貢献をしていただく、こういう意味で均等割りを考えておるわけでございます。しかし所得の大小に応じてさらに負担を求めるという問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、別途所得割りという制度によって負担をしていただいている、こういうようなことでございます。それで、均等割りという制度がいいのか悪いのかということになりますと、私どもは、いまも申し上げましたような趣旨で均等割りというものを理解している、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/29
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030・林百郎
○林委員 私は一つの例だけ申し上げているので、均等割りのほかに、同じ性格を持ったもので、たとえば国民健康保険税の一律的な均等割り的な負担、あるいは間接税からいっても、たとえばたばこ消費税、料理飲食等消費税、娯楽施設の利用税、電気ガス税等もありますけれども、その人の経済的な能力が月とスッポンほど違っているのに同じ均等的な負担をしょわせるこういう制度が、地方税の制度の中には非常に多いわけなのです。これはもっと率直にあなた考えて改めなければならぬじゃないか。しかも国ですら税金をかけない人に対して、地方が一千万人も多く地方税を負担させている。それがあなたの言う応分の負担の原則ということでこういう非民主的な制度をそのままにしておいていいかどうか、あなたにもう一度よく考えてもらいたい。答弁はいいです。
その次の問題。これはこの委員会でもしばしば問題になっておりますが、今度は次官にお聞きします。これは他の同僚委員の人たちも聞いておりますので、私は総括的にだけお聞きをしたいのですけれども、負担分任の原則と称して、地方税では控除額や免税点が国税に比べて非常に低い。また所得割りの控除額は所得税のそれより非常に低い。これは生活保護法による扶助料の水準を若干上回る程度のところへ地方税は所得割りも、もちろん均等割りもくるわけですけれども、こういうことについて、これは至急に是正を考えなければならない問題だと思います。一例で数字を申しますと、国のほうの所得税の課税の最低限は、独身者は二十六万七千幾ら、夫婦と子供二人、四人が六十三万。ところが住民税のほうは、独身者は国税が二十六万なのに十七万にかかってくる。夫婦子供二人が国税が六十三万なのに住民税は三十八万にかかってくる。さらに相続税の控除や贈与税の控除を見ますと、相続税では、四百万にプラス法定相続人に八十万をかけたものだけが控除される。贈与税では四百三万円まで控除される。ところが固定資産税は、土地はわずか八万、家屋はわずか五万の控除で固定資産税がかかってくる。これはあまりに不公平じゃないでしょうか。こういうことについても、これは地方税だからいいということで、地方税だからといってこういう非民主的なことがどうして許されるのでしょう。国の一般的な税の制度と比較して、この制度だって、われわれはこれに対してはいろいろ意見があるわけですけれども、これについて政府は何らかの措置を講ずることを考えておらないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/30
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031・伊東隆治
○伊東政府委員 それはやはりそれぞれの税種の性格によるものとは存じますけれども、やはりこれはお説のとおり大いに検討を要する問題だと思います。特に地方税についてはその受益関係から、やはり国税よりは少し厳になっておる傾向はありますけれども、お説のとおり少し酷に過ぎる点はないだろうかという点について、少し検討を加える必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/31
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032・林百郎
○林委員 少しぐらいなら問題ないですよ。たとえば所得税の課税最低額が、国税のほうだと、夫婦子供二人の四人家族で六十三万、これが、住民税だと三十八万円ですよ。これは大ざっぱに言えば半分ですよ。国の税金のほうで減免されている人の半分の所得の人のところへ、地方税だからかけていいというのはどういうことなんです。国税がかからないということは、その人の担税能力が、国家の立場から見て、この人には税金をかけるべきでない——われわれはむろん標準家族百万円までは国税も地方税も減免しろという主張ですよ、いまの制度でも。少しくらいの違いじゃないじゃないですか。たとえば贈与税、相続税を見ますと、何百万という控除が認められているのに、固定資産税だけは土地が八万、家屋が五万、これは少しくらいの差じゃないですよ。根本的に地方税制のあり方について政府の考え方を直さなければ、地方税だから何やってもいい、これが利益に応ずる地方住民の分担の適用の原則なんだということで許される問題じゃないと思うのです。国で税金をかけないという人の半分以下の所得の人に、地方税だからかけていいという原則が私はどうしてもわからない。これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/32
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033・松島五郎
○松島政府委員 御指摘の問題につきましても、いろいろな考え方があり得ると思うのでございます。所得税は、よく言われますように、所得再分配の機能を強く持つ税金であるといわれております。所得再分配という観点から見てまいりますと、やはり相当多額の所得を持っておられる方から税金を納めていただいて、国の歳出なり地方の歳出を通じて所得再分配の実現をはかっていく、こういう性格になろうかと思うのでございます。したがいまして、そういう性格の税金と、一般的に広く納めていただくという税金とは、おのずから課税最低限というものに違いがあっていいのではないかと考えるのでございます。現在の所得税を、生活費ということだけを基準にしてものを考えるか考えないかという問題もあろうかと思います。戦前におきましては、ごくわずかの方しか所得税というのは納めていなかったわけでございます。所得税の本来のあり方がそうあるべきであると考えますならば、おのずから住民税と所得税の課税最低限の差というものも出てくるのではないか、かように考えるのでございまして、そういう意味で、現在の住民税の課税最低限が絶対に正しいということを申し上げておるわけではございませんが、全く同じでなければならないというふうには必ずしも考えなくてもいいのではないかと思うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/33
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034・林百郎
○林委員 時間がありませんので、こまかいことをいろいろ聞いていきたいのですけれども、それじゃ次官と局長にお聞きしますが、基本的には私の考えとしては、国で税金をかけない人は、もうその人は担税能力なしとして、その人にまで税金をかけることは、むしろその人の生活権を脅かすことになるから税金をとらないというのが、不十分ではあっても基本的な施策の方針だと思うのです。それが、地方税だから、あなたの言うように、生活ができるかできないかが基本ではなくて、地方に住んでおるから、地方に住んでおる人は地方税を生活の成否とは別に考えるべきだ、そういう考え方が一体どこから出てきて合理化されるのですか。あなたがそういうことを言うなら、もっと担税能力のある大きな資本、そういうものに対して、それでは何で寛大にこんなに地方税は減免の措置をするのですか。その点、私はこれからお聞きしていきたいと思います。
今度の改正案を見ましても、たとえば法人の均等割り、出資金一千万以上の会社は、何億であろうと何十億であろうと千円でいいというのでしょう。これはどうしてそういう理念が出てくるのですか。失対にいっておる人も七百円の均等割り、何億という法人も一千円でいい。それがあなたの言う応益分担の原則なんです。それからまだあります。たとえば高層建築の問題についてもそうでしょう。四階以下の高層住宅を建てたものは五年間だけは二分の一の減税をする。しかし、五階以上の建物を建てた人は十年というのでしょう。五階以上の高層建築なんかできる人こそ、税金をかけてもいいのじゃないですか。いまの法人の均等割りの特例は五十二条ですね。これは言うまでもない。それから高層住宅に対する特別措置、大きな建物を建てる人ほど減税の措置をよく見てやる。それから地方鉄道だとか、地方軌道経営者に対する固定資産税の特別措置、これも五年間三分の一。いま一番もうけておるのは地方軌道の業者じゃないですか。近鉄だとか、東急だとか、京浜だとか、そういうのに対してはあらゆる減免の措置を講じておる。それから発電、変電の施設等は五年間三分の一、そのあとは三分の二に評価する。はなはだしいのは、仮装経理に基づく過大申告をした場合、その仮装がわかれば過大申告だからだんだん返してあげましょう。至れり尽くせりですよ。あなたはいろいろなことばを使っていますけれども、地域住民がそこに住んでおる限りは応分の負担をする——そのように担税能力のある人から、しかも鉄道を敷くとか何とかということになれば、土地は取られます。そこに人が住んでおれば、家屋や土地に固定資産税をかければかけられるのに、それを五年間は三分の一にしてやるとか、あとの五年間は三分の二にするとか、こういう措置がはたして地方税の民主的な負担分任の原則ということにあてはまるものであるかどうか、まず次官にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/34
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035・伊東隆治
○伊東政府委員 お説ごもっともではありますけれども、それぞれの税は、やはりそれぞれの理由によってでき上がったものでありますから、行き過ぎた点は、やはりこれから検討を加えて是正していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/35
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036・林百郎
○林委員 時間の関係で、もう少し……。
私のほうとしては、地方税だからといって、こういう不合理が許されるということはどうしてもわからない。むしろ地方税であればあるほど地域住民の実情に沿った民主的な税制が確立されてしかるべきじゃないか、国のほうはわからないですからね。国のほうで減税、免税しておる人に対して、地方税のほうはより過酷な税金をかけてくる。それを負担分圧の原則というようなことばでごまかして通らしておるということは、これは根本的に考えてみなければならない問題じゃないかと思うわけです。
そこで、今度の国有資産の交付金の問題についてもお尋ねしたいのですけれども、まずこれで五年間にどのくらいの税金というか、交付金をまけてやることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/36
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037・松島五郎
○松島政府委員 いま資料を調べますので、ちょっとお待ち願います。——昭和四十二年から四十八年まで、第三次長期計画が七年間になっておりますので、四十八年までの間で百十五億四千八百万円の見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/37
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038・林百郎
○林委員 そうすると、この改正法律案がないとすれば、私のほうの計算だと約百七十億という数字が出ておりますが、百十五億の交付金が、当然下がるものがこの改正法によって市町村へは下がらないようにするんだ、こういうように理解していいのですか。局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/38
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039・松島五郎
○松島政府委員 軽減をいたすわけでございますから、そういうことになるわけでございます。ただし、いま申し上げましたのは、現在立てられております計画が計画どおり進行するといたしましての計算でございますが、その進捗のいかんによっては、当然のことながら、また変わってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/39
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040・林百郎
○林委員 どうして国有鉄道の線路設備や電路設備に、当然市町村がもらえるべき交付金をそれだけ減額して、市町村の財政的な特権をそれだけ制限しなければいけないのですか。むしろそういうものは国と国鉄の間に財政的な弾力性があるのであって、百何十億といっても、これは地方財政にとっては容易ならぬ金だと思うのですよ。それをどうして、こういう法律までつくって、当然もらえるものをもらえないようにするのですか。そんなに自治省はそういう措置をしてやらなければならない事情にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/40
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041・松島五郎
○松島政府委員 国鉄の輸送力増強という問題は全国的な問題でもございますし、また、関係市町村にも非常に大きな問題でございます。そういった面から、やはりこの長期計画が財政的にも円滑に進むような措置を講ずることが必要ではないか、かように考えて軽減の措置を講ずることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/41
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042・林百郎
○林委員 局長、これは国鉄の第三次輸送計画なんですよ。第三次輸送計画というのは主として新幹線ですよ。これは大阪から下関のほうの山陽線を新幹線としてつくり直していくというのが、第三次国鉄輸送計画の根幹なんですよ。そうすると、この鉄道はほんの大どころしかとまらないので、各地方の駅なんかとまらないのですよ、この第三次輸送計画を見ますと。その上、鉄道が通るということで各市町村では——もちろん若干それは新幹線以外の措置もありますけれども、地方自治体からいいますと、自分のところの駅にとまらない急行を通す、そのために地域住民の土地と建物に対しては、これは結局しわ寄せは地方自治体へきて、代替地やあるいは行く先を探してやらなければならない。その上、縁故債としての鉄道債を持たされる。その上、当然国からもらう交付金を返上しなければならない。それほどまでにして、自分のところにとまりもしない汽車のために、地方自治体が国からもらう交付金までもらわない。本来そういう鉄道がそこを通らなければ、そこは地域の住民のうちや固定資産が設けられるところですからね。これは固定資産税が、固定資産税のいい悪いは別として、地方自治体はとれるわけです。それもとれなくなる。結局国鉄の第三次輸送計画の財政的な困難を地方自治体にしわ寄せさせて、そしてこれを地方自治体の犠牲で援助させる、こういうことにこれはならぬですか、次官と局長と両方からお聞きしたいのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/42
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043・松島五郎
○松島政府委員 御指摘の問題は、この第三次長期計画が幹線輸送を中心とするものであって、とまりもしない線路を開設するために関係市町村が固定資産税相当のものをまけなければならぬということは適当でないという御意見でございますが、全体の計画のうちで、幹線分は大体四割程度と承知いたしております。したがいまして、全部幹線輸送だというわけでもございません。また、こういう幹線が整備されることによりまして、従来使っておりました旧線と申しますか、における輸送も円滑になってくるということになれば、間接的ではございますけれども、関係市町村としても得るところが大きいものがあろうと思うのでございます。そういった点を考えまして、私どもとしては市町村の財政に国鉄の長期計画のしわ寄せをしようということではございませんで、やはり国、地方団体を通じてこういう円滑な輸送計画、通勤輸送等も含まれておりますが、そういったものが円滑にいくようにいたしたい、かような配慮からいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/43
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044・林百郎
○林委員 次官に聞きますが、局長が言うことでも、国鉄の第三次輸送計画、本法の適用される国鉄の計画というのは四割程度は新幹線に該当するのだというお話ですね。そうすると、かりに局長の言うとおりにしましょうか、それにしても、百何十億の半分程度のものは新幹線の設備に対する交付金を交付しないということになるのですね。新幹線なんというのは、あなたも御承知のとおり、東京から出た新幹線が名古屋に行って、名古屋から京都に行って、大阪に行くだけでしょう。その途中の市町村なんか、何の益もないのですよ。輸送増強なんて、それは大都市は輸送増強になるかもしれません。その沿線の地方自治体としては、いや代替地も心配してやらなければならない、地域住民の補償も具体的にはしてやらなければならない、いや、そこを通してやるから鉄道債を持てとかなんとかいわれて、その上、この法律がなければもらえる金が、五、六十億ももらえない。どうしてそういうことまで地方自治体がしなければならないのか。少なくとも新幹線程度のものは国と国鉄でいいじゃないですか。そんなものまで、当然もらえる交付金を地方自治体が返上してまで新幹線を通させなければいかぬということがあるのですか。それは財政的な余裕があれば別ですよ。もういま血の出るような地方自治体なんですからね、余裕のないところなんですから。それが国の新幹線とか国鉄とか、何千億というような大きな予算を持っているところのその財源で操作しなくて、百億とか百五十億とか、もう血の出るような地方自治体としてはほしい金をどうして取り上げなければならないのか。それは絶対額が大きい小さいの問題はあっても、本質からいって、いまのこの窮乏している地方自治体にとっては五十億でも百億でも——道路の目的の特別交付金がことしは二十五億でしょう。二十五億だって恩に着せて、二十五億やるというんですね。それが百何十億ということになると、地方財源としては軽視できない問題ですね。それをどうして、地方自治体がもらえる金をもらわないようにさせるのか。次官、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/44
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045・伊東隆治
○伊東政府委員 百何十億と申しますけれども、七年間で百何十億で、これを七で割りますと大体二十億程度でございまして、その程度の協力はいたしたいという気持ちもあって、国鉄と話し合いをいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/45
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046・林百郎
○林委員 それは七年で平均になるかどうかわからぬでしょう。七年間やるということで、その年その年の計画が進捗すれば、それは必ずしも一年二十億くらいでとまらないかもしれない。
それからもう一つの問題。今度は局長さんでけっこうですけれども、電気ガス税の問題。これも同僚議員も聞いておりますけれども、最も政府から保護されている重化学工業部門、四百八十九条の一の二十二の二から二十三までですね。こういう産業は何で非課税にするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/46
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047・松島五郎
○松島政府委員 重要な基幹産業として、基礎的な産業というものをできるだけ振興して、わが国の経済発展をはかっていかなければならない、かような見地から、それらの産業が使います電気が製品コストの中で特に高い割合を占めているものについては、軽減をすることによって産業の発展をはかりたい、かような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/47
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048・林百郎
○林委員 しかもこの条文を見ると、三年間電気ガス税を課することができないなんて、まるでこれはえらいお殿様みたいなもので、手をつけちゃいかぬぞという書き方ですよ。減免してやるとか何とかという書き方ではないですよ。字句にこだわることはありませんけれども……。しかし、ここにあげている産業というのは近代的な重化学工業でしょう。政府も通産行政であらゆる援助をしているし、最も利益があがっている産業じゃないですか。それを、わずか七百円の電気を使う人に電気ガス税を課して、こういう最も近代的な、政府からあらゆる保護を受けている重化学工業部門には電気ガス税を課してはならない。しかもその工業部門にいく電気料は一キロワット・アワーあたり三円幾ら、普通の民間の人が使うのは十二円幾らです。三分の一以下の安い電気を使っている。それまでして、地方財政を犠牲にしてまで見てやらなきゃ成り立たないのですか。成り立つなら成り立たして、利益をあげているなら、その利益から応分の——七百円の電気を使う人からだってあなた方は電気税をとっているんでしょう。それを課してはならないなんて、まるで手をつけたら承知しないぞという書き方じゃないですか。それがあなたの言う、地域住民が応分の利益を受けているなら、その利益を受けているものははき出せということになりますか。どうでしょう。これが私にはどうしても納得いかないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/48
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049・松島五郎
○松島政府委員 この点につきましては、当委員会においてもいろいろ御議論いただいているところでございますが、一面において、電気ガス税についてはいろいろな議論がございます。原料について課税をすることは、消費税としては適当でないというような議論も一部にはございます。また先ほど御指摘になりました、一般の方々の電気につきましても、生活必需品的な部面が非常に多い点にかんがみまして、そういう意味では課税していくことは適当でないという御議論もございます。しかし、電気ガス税は広く各市町村に所在する税源でございまして、これは市町村の税金としても非常に重要な地位を占めておりますので、私どもは不合理な点はできるだけ是正をしながらまいらなければならぬと思いますけれども、やはり市町村税としては適当な税金であるというふうに考えておるのであります。ただ、いま御指摘になりましたように、もうかっておるのに課税をしないというのはおかしいという御議論でございますけれども、税金にはそれぞれ、どの部面をとらえて税金を課するかという問題がございまして、所得、もうけに対しては法人税なりあるいは法人税割りなり、あるいは事業税なりという側面としてとらえて課税することにしておるわけでありますので、問題は、もうかっておるか、もうかっていないかというだけが税金を課税する場合の判断ではないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/49
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050・林百郎
○林委員 もうかっておるかもうかっていないかということを、課税の対象として必ずしも考えるべきでないという御意見ですけれども、そこが問題だと思うのです。ほんとうに生活が成り立つか成り立たないか、生活保護すれすれの、月七百円前後の電気しか使わないという人には税金をかけて、もうかって担税力があって、それからもうけをはき出すことが社会的正義の理念からいって少しも不自然でない、そういう人からはき出させない。それで局長は、いや、もうけから税金を取るか取らないかは必ずしも課税の原則でないなんて言ったら、あなた全くお金持ちの番頭で、自治省の課税をあづかる局長としては、全く一部の利益を代表して、何千万という地域住民の、生きるかどうかのかつかつの生活をしておる人たちのことを考えない御意見になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/50
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051・松島五郎
○松島政府委員 私のことばがあるいは足りなかったかもしれませんが、いまお話しの、もうかっておるかいないかというだけが判断の基準ではないというふうに申し上げたのでございまして、一般の方に対する免税点がいかにあるべきかという問題は、これは御指摘のような負担能力的な面も考えて、今後改善すべきものは改善をしていかなければならぬと考えるのであります。しかしながら、私は大企業の大番頭でも何でもございませんが、電気ガス税について、産業についてもうかっておるかもうかっていないかを基準にして課税をしないと申しましたのは、もうかっていても課税をしないという意味ではない。それは、もうけに対して課税をする税金というものは別の税金としてありますので、そういう観点の税金についてはもうかっておるか、もうかっていないかを中心にして課税をする。また電気ガス税のような税金については、別の観点からその取り扱いをきめていく、こういうふうな意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/51
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052・林百郎
○林委員 これは政府の責任ある人ですら、電気ガス税というような制度は、これは悪い制度だ、改めなければならないと言っておるわけです。これはそうでしょう。幾度か言うように、ほんとうにそれがなければ生活ができないという人が使っておる電気に税金をかけて、それによって膨大な利益をあげ、しかも政府からあらゆる援助を受けておる近代的な重化学工業に電気ガス税をかけない。しかもその人の使っておる電気料は一般の人の使っておる電気料の四分の一だ。そういう大企業に税金をかけて、そして一般の庶民階級の電気ガス税というものを廃止する、こういうことが正しい行き方じゃないでしょうか。私はそういう立場からあなたに聞いておる。水道問題にしてもそうです。工業用水道にはものすごい援助をしておる。そして一般市民の使う上水道にはほとんど援助をしない。一般の市民の使う水道料金を上げて、工業用水道はほとんど上げないどころか、これはあらゆる措置をしておる。こういうやり方。少なくともこの地方行政委員会というものは、地方行政にとって最も理解のある議員がいるんだから、あなたはそう四角ばらないで、あなたの本心か本心でないか知らぬが、もう少し苦衷を吐露すれば、いくらか同情があんたに行くけれども、そういう、もう大蔵省か通産省の代弁者みたいなのが自治省にいる、しかもそれが課税の最も高い地位にいる官僚ということになると、私たちは考えなければならない。血も涙もないような答弁だという印象を受けているわけです。これはあなたがどういう気持ちで言っているか私はわかりませんけれども、地方税制については根本的に考え、抵抗すべきときにはできるだけの抵抗をしていくということが少なくともあなた方にとっては大事な態度じゃないかと思うわけです。
それで次官、私時間がありませんのでここで締めくくりますけれども、結局地方税の中には次の五点の根本的に考えなければならない非民主的な制度があると思うのです。第一は、均等割りという非常に非民主的な制度を根本的に改めなければならない。第二は、控除額や免税点が国税に比べてはるかに低いということです。生活保護による扶助料の水準の辺にまで、均等割りはもとよりですけれども、所得税をかけてきているということについては、やはり根本的に改めなければならない。それから第三は、地方税制を貫いている方針として、比例税あるいはほんの軽度の累進税がありますけれども、これは全く非民主的なものであって、市町村民税の所得割りと法人事業税を除いて、他の税はほとんど比例税あるいは二段階税率という程度ですね。これはやはり比例と累進制をもっと地方税に取り入れるべきじゃないか。それから第四は、地方自治体が制限税率の範囲内で税率を変えることができる制度がございますけれども、これがむしろ現状では、財政力の貧困な自治体が地域住民に増税をしいるために使われている。これは累進的な、あるいはもっと実情に応じた担税能力のある者のほうへ税負担をかけていくということに利用されなくて、制限税率の範囲内で税率を自由に変えるというこの制度が、かえって弱い住民のほうへ税負担をかけることに利用されている。この問題について考えなければならぬ。それから第五の問題は間接税です。これは全く非民主的なもので、さっき言った年所得五億円の上原正吉さんも、ほんとうに汗を出して勤労をしておる方々にも同じ率でかかってくるたばこの消費税だとか、あるいは料理飲食税だとか娯楽施設利用税だとか電気ガス税、こういうものについてはやはり民主的に考えていくべきじゃないかというふうに考えます。したがって、共産党としては、やはり担税能力のある大きな独占資本には民主的な累進課税をしていく、そして均等割りだとか、あるいは国税ですら担税能力のないという人たちに、地方税なるがゆえに税負担をかけるということはやめなければならない、こういうように思います。それが一つ。
それから局長に。御承知のとおり、いま私の申しましたのは法定の地方税の制度ですけれども、これに工場誘致条例だとか、市町村独自の条例で減税、免税になるものを合わせて、総計しますと年にどのくらいのものが工場誘致条例その他で減税、免税されているか。その数字を念のためにお聞きしておきたい。この二つです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/52
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053・伊東隆治
○伊東政府委員 ただいまの御意見、まことに貴重なる御意見として承りました。自治省といたしましてもこれをひとつ参考といたしまして、これから検討を加えてまいりたいと思います。特に均等割りのごときは、人頭税としまして税の中でも昔からよくない税金として扱われておるものでございますので、これは第一に検討を加えたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/53
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054・松島五郎
○松島政府委員 工場誘致条例によって減免をしておりますものは、私どもの調べたところでは、三十九年度の資料しかございませんが、二十億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/54
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055・林百郎
○林委員 私たちの調査ですと、それがおそらく一千億円をこすのじゃないか。最近、四十一年には一千億という数字が出てくるのじゃないかというのですが、もしごく最近のもっと正確な資料があったら、きょうでなくてもいいですから資料としてひとつ出してもらいたい。これだけお願いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/55
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056・松島五郎
○松島政府委員 一千億というような数字にはとうていならないと思いますが、ただ先生の御指摘が、現在地方税法自体で減免措置を講じているもの、あるいは国の租税特別措置法が地方税に影響を及ぼして軽減されているもの、さらには地方団体が独自の条例をつくって軽減しているもの、これらのものを全部合計すればということでございますれば、その程度にはなろうかと思います。その点につきましては、条例の分は資料として提出はいたしておりませんが、地方税並びに租税特別措置法の影響によって減収となっております分についての資料は、当委員会にも資料としてお配りをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/56
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057・林百郎
○林委員 資料の点ですが、私のほうはあなたの言う国税の特別措置法の減免措置によって、それが地方税にはね返ってきているものが大体三千六百億くらいあるのじゃないか、こういう数字です。それからさっき言ったのは、電気ガス税、住民税、事業税、固定資産税等で法律的に減免になっているものと工場誘致条例のとを合わせて約七百億ぐらいになるのじゃないか、こういうぐあいに思うわけですが、この国税の特別措置の減免税によって、それが地方税にはね返ってどのくらいの数字が出てくるか。それから工場誘致条例と、あなたの言われるように地方税の中における減免措置によって減税、免税されている総額は幾らか、この二つを、ごく最近の数字をひとつ出してもらいたい。こういうように考えます。
これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/57
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058・亀山孝一
○亀山委員長 それでは、この際、十二時半まで休憩をいたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後零時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/58
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059・亀山孝一
○亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、国家公安委員長より発言を求められておりますので、これを許します。藤枝国家公安委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/59
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060・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 国をあげまして交通事故対策に取り組んでおりますときに、しかも指導、取り締まりの任に当たります警察官が事故を起こすというようなことは、まことに申しわけないことでございまして、被害者の方々や御両親の方々におわびをするばかりでなく、警察の信頼を傷つけたゆえをもちまして、国民の方々全体におわびをしなければならないと思います。平素から、単に技術面ばかりではなくて、心がまえと申しますか、教養の訓練等も、自動車を運転する者につきまして十分な計画的な指導をしてまいっておるわけですが、その中においてあのようなことが起こりましたことをまことに残念に存じます。今後さらに技術の面ばかりではなく、心がまえの点につきましても十分な訓練指導をいたしまして、あのようなことの絶滅を期したいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/60
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061・亀山孝一
○亀山委員長 質疑を続行いたします。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/61
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062・太田一夫
○太田委員 ただいま国家公安委員長である藤枝さんから、千葉の警察官の無免許運転に関して、事故を発生したことに対する所信のごあいさつがありました。これは交通安全対策特別委員会でも同様ごあいさつがあったことでありまして、私ども非常に謹聴したわけでありますが、いまのごあいさつはひとつ十分綱紀の上に生かしてくださるようお願いしたいと思うのです。
それでは地方税法の一部改正法律案に対する質疑を行ないますが、私は特にこの際、自治大臣に基本的な考え方を中心にして、ある程度各種税目についてお尋ねしたいと思いますので、私のほうも簡潔にお尋ねしますから、大臣のほうも所信を明らかに、簡潔にお示しいただきたいと思うのです。
まず最初に、住民税の関係でありますが、住民税につきましてはしばしば課税最低限度の引き上げ問題が議論されまして、大臣も委員会ないしは本会議等におきまして、衆参両院それぞれ御所信の表明がありました。これを新聞で拝見をいたしますと、四十二年度ないし四十三年度から相当大幅なる引き上げが行なわれるがごとくに国民は感じております。しかし、われわれの委員会の審議の過程の中からは、そういう答弁が自治省関係者から出てまいりません。
そこで特にこの際お尋ねをしたいことは、政府案によりますと、四十一年分の課税最低限は四十二万三千十六円であり、四十二年分はそれが四十三万三千五百二十六円、本年度でございますが、約一万円ほど引き上げられております。来年度、四十三年度は四十六万七千六百八十三円、平年度にいたしまして四十七万八千百九十二円と引き上げられるように政府案として御提案に相なっておるのでありますが、これは所得税に比べましてあまりにも低過ぎる。しかも所得税関係は予算委員会におきまして、四十五年をおおよその目途といたしまして、百万円最低限というようなめどが示されておりますので、それらを見ますると、あまりにもその差が開き過ぎる、こう考えられるわけです。そこで私どもとしてはこう考えるのでありますが、いかがなものでしょう。
まず結論から申し上げますと、四十二年分は六十一万七千三百円程度をもって課税最低限度とする。四十三年分は六十五万六十五円、その程度まで引き上げる。平年度にしますと六十六万五百五十円、これは諸控除の引き上げを内容とするものでありますが、基礎控除は十三万、配偶者控除は同じく十三万、扶養控除は一人六万円、専従者控除は青色申告十五万円、白色申告十万円、こういうように考えておるのでございますが、せめて本年度から六十万円くらいまで引き上げるというようにしないと、所得税の減税の考え方にとても追いつかない、こう考えるのでありますが、自治省の大臣のお考えはいかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/62
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063・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 せっかくの御提案でございますが、本年度この四十三万円という最低限を引き上げることは、とうてい地方財政の現状からむずかしいことでございまして、来年以降において、しばしばお答えしたように、この最低限の引き上げについて努力をしてまいりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/63
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064・太田一夫
○太田委員 来年度以降引き上げるというお考えについては、私ども非常に期待を持つのでありますけれども、これはひとつ大幅に引き上げないと、四十五年度にかりに所得税課税最低限度百万円になった場合に、あまりにもみじめでありまして、生活費には課税しないという原則に抵触するはもとよりのこと、国民の生活の実態から考えても悪税のそしりを免れるわけにはいかない、期待にそむくことに相なりますので、これはテンポを早める必要がある、こう考えておる次第です。
それで、税率のことについて御所見を承りたいのでありますが、道府県民税は比例税率、二段階でございます。これはかつて超過累進税率制をとっておりましたので、市町村民税の所得割りと同じように、われわれは超過累進税率、いわゆる十三段階ぐらいに分けたほうがよかろうと思います。累進税率制度をとったほうがよかろうと思うのでありますが、都道府県民税についてこれに戻る意思はおありでございますか、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/64
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065・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 実は太田さん御承知のように、市町村民税についても、あの累進の段階をもう少し少なくしたらどうだという御意見もあります。ことに府県民税につきましては、いわゆるその分に応じて広く分担するという趣旨からいいまして、現在のところこの比例的なものを累進的なものにしようという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/65
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066・太田一夫
○太田委員 これは二段階でありますと、やはり貧乏人のほうに辛くて富裕階級に甘いということに相なりますから、その辺の手心を加える必要はやはりあると思うのですね。
それから、扶養控除などについて、貧乏人の子だくさんというような、いろはかるたじゃありませんが、いまだにそうなんですね。扶養控除などの引き上げについては、ぜひひとつ配慮してほしいと思うのです。
次に、事業税についてお尋ねいたしますが、事業税というのは悪税であるのか妥当な税金であるのか、問題があるのでして、佐藤総理は電気ガス税を悪税だとおっしゃったけれども、この事業税そのものも悪税の見本の一つだろうと思うのですよ。二重課税だ、二重課税だと当事者が言っておりますことは耳にたこができるほど聞いておる。そこで私は、これをいま即座に廃止しろと申すわけではございませんが、明治十一年にたしか地方税規則でこれが営業税というような形でできました当時は、国税の免税点以下のものを対象としてたしか発足したように思うのです。したがって、どうもこれが悪税であるということは、生まれたおい立ちからそうなんです。したがって、所得税の補完税だと言うが、補完税とは何だというと、所得税で拾えないところを、どうも地方税で拾えということのようだけれども、これはやはりあまりもうからないところに、所得の少ないところに事業税を課すという歴史的なそもそもの理由というのが、いまだにずっと続いておるわけです。明治十一年からというと約九十年、悪税として天下に悪評さくさくたる税金が今日なお一向に改善されないというのは残念だと思うのです。われわれとしては、事業主控除三十万、専従者控除の場合は青色十五万、白色十万、こういうようなふうに引き上げまして、農業関係、生活協同組合等の税の特例というものは復元をするというような思いやりのある内容にしたらいかがなものかと思うのですが、この控除引き上げについて、個人事業税の軽減についてはお考えはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/66
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067・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 個人事業税について、本年も、まことに少々ではございますけれども、事業主控除あるいは専従者控除を引き上げたわけでございまして、今後も方向としてその方向で考えていかなければならないと思います。ただ、いつかこの席で申し上げたと思いますが、個人事業税はいろいろ今後問題もあり、再検討しなければならない時期に来ているのではないかということは、私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/67
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068・太田一夫
○太田委員 いま、悪税であるということを声を大にして叫ぶ必要があろうと思います。電気ガス税だけを悪税、悪税というだけではいけない。佐藤総理にひとつ事業税も悪税だということをどうか言ってちょうだいと大臣のほうから申し上げていただきたいと思います。
その次は、娯楽施設利用税に関しまして、ゴルフ場の利用に対する定額ですね。現在六百円でありますが、われわれはせめて千円というぐあいに引き上げたいと思う。こういうことに今度あまり熱意をお示しにならなかった理由はいかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/68
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069・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 私、不敏にしてあまりつまびらかにしていないのでございますが、ゴルフ場の使用料と申しますか、そういうものの関係ともにらみ合わせながらこれは考慮しなければならぬものであろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/69
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070・太田一夫
○太田委員 それから、これは藤枝大臣、あなたたいへん関心をお持ちになっております料理飲食税の問題でございます。これは私、記録をさがしたがわからないのでありますが、たしかあなたは本国会において、仕出しというものに対しては千円までくらいに免税点を引き上げたいと思うということを、私どもの幹部の方にお話しになったということを聞いておるのでありますが、ほんとうでありますかどうかということと、私どもの考えますのに、そういう飲食店における免税点は、これは千円というのは常識だから、千円に引き上げたらどうだ。それから旅館等の宿泊の場合は、免税点は千五百円でも少ないけれども、前々から千五百円、千五百円という声が高いのだから、千五百円という免税点の引き上げを行なったらどうだろう。旅館等の飲食税の控除は、これはわずかでありますけれども、思い切って千円というはっきりした数字でよかろうじゃないかと思うのでありますが、こういう料飲税等の問題について非常に理解がおありになるように思いますが、大臣はどうお考えになっていらっしゃるか。また、わが党の山本さんと思いますが、山本議員に対しましてそういう御所見をお話しになったこともございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/70
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071・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 社会党の幹部の方から——はっきりお名前が出ましたから、山本副委員長からそういう御要望のありましたことは事実でございます。事務的にも十分考慮しますということを申し上げたわけでございますが、その際、千円に一挙にできるかどうかということについては相当検討しなければならないという意味のことも申し上げたと記憶をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/71
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072・太田一夫
○太田委員 料理飲食税は、大衆飲食にはもう税金をかけないということはいいですね。食べるものに税金を課さない、通り道に税金を課さない、呼吸する空気に税金を課さない、日光浴する太陽光線に税金をかけない、水道に税金をかけない、それから電気ガス税に税金をかけないというところから佐藤総理の悪税論は出ているのでしょう。ですから、食べるものに、大衆飲食に税金をかけるということは、これはちょっとまずいですが、これは条例でやれるじゃありませんか。局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/72
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073・松島五郎
○松島政府委員 仕出しにつきましては、条例で課税することをきめることができるようになっております。したがいまして、私どもの指導といたしましては、課税をいたします場合の一般の法定の課税、法律上当然課税されるものについての免税点を下回らないようなところで免税点を考えて運用するように指導いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/73
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074・太田一夫
○太田委員 これは松島さん、固くて固くてもう何ともならないから、それでかんべんしますが、そのことばはもう少し私から翻訳いたしますれば、条例で千円にするなら千円にできるということですね。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/74
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075・松島五郎
○松島政府委員 条例上は可能でございますが、実際の状況を調べてまいりますと、おおむね普通の法定免税点の六百円を基準にいたしておりますが、中にはそれよりも上できめておるところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/75
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076・太田一夫
○太田委員 これは条例で可能だから、あまり押えないで、千円に免税点を引き上げるということについては、ひとつ条例で運用できますように御配慮をいただければありがたいと思います。まあそれが妥当でしょう。
次に固定資産税についてお尋ねしますが、この固定資産税の中で一番問題になるのは、これは一本税率でございますけれども、たとえば非常に高額資産に対しまして何かひとつ考えたらどうかという気がするのですけれども、これは制限税率が二・一%であるとするならば、その二・一%というものを、評価額一千万円なら一千万円以上のものは二・一%を使う、こういうようなことにしたらどうか、こういうことやら、在来もいわれております農業用の農地、農器具等の固定資産税は評価の三分の二に免除をすべきじゃなかろうか。あるいはまたスイートホームに固定資産税をかけるということも、あまりにも不粋な話でありまして、スイートホーム非課税論、免税論というのが長く続いておるわけなんですね。ですから、居住用の土地ということになりますと、小規模土地すべてということになってきますが、せめて居住用の土地、宅地には十五万円、あるいは居住用の家屋、スイートホームの十万円程度というところまで当面引き上げるべきじゃないか。そのいきな計らいというものは藤枝大臣としてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/76
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077・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 いずれも非常にけっこうなことなんでございますけれども、また地方財政の問題もございまして、なかなかそうしたいきな計らいができないのは残念でございます。しかし固定資産税そのものについても検討を要するものはあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/77
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078・太田一夫
○太田委員 評価額の段階的引き上げというのが行なわれているわけでありますから、その引き上げに見合っていわゆる免税点の大幅な引き上げ、しかもそれは居住用の宅地であるとか、あるいは居住の用に供する家屋というところに重点を置いて、それを大幅に引き上げていく。大幅ということはなにですが、スイートホームに課税しないという原則くらいはすみやかに実現をすべきだと思うのですね。そういうことに対して別に、そんなばかなことはできないよとおっしゃるわけじゃないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/78
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079・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 決してそんなばかなこととかなんとかいうことではございませんけれども、何ぶん市町村の税としては中核をなすものでございますから、ひとついまのところはごかんべんをいただきたいと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/79
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080・太田一夫
○太田委員 いまはいかぬがあすはよろしいというわけ、けっこうですが、ぜひひとつあしたくらいからその作業に入っていただきたいと思います。
それから固定資産税で、工場誘致条例というのがありまして、これは固定資産税の収入に非常なじゃまをしておるわけですから、これは先ほど来各意見もありますが、少なくとも廃止の方向に工場誘致条例等は持っていくべきじゃなかろうかと思うのです。
同時に都市計画税でありますが、これも償却資産を課税対象に加えておらないというのもどうも不適当に思うのでありますが、課税対象に加えるべきだと思いますが、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/80
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081・松島五郎
○松島政府委員 私からかわって答えさせていただきます。
工場誘致条例の問題につきましては、先般来申し上げておりますように、これが乱に流れることのないよう十分指導いたしておるつもりでございますが、今後ともそういう方向でまいりたいと思います。ただ現在でも、低開発地域工業開発促進法でありますとかあるいは新産業都市建設促進法でありますとか産炭地域振興臨時措置法でございますとか、そういった法律においていわばそういうことが間接的に奨励をされていると申しますか、慫慂されているような面もございますので、それらの点も考え合わせまして適切な運営をいたしてまいりたいと思います。
それから都市計画税に償却資産を加えたらどうかという御質問でございますが、償却資産は御承知のとおり固定したものもございますけれども、中には電車でありますとかまた建設機械でございますとか、移動性のものもいろいろございます。したがってその都市計画事業そのものとの地縁的な結びつきというのが必ずしも明確でないものもございまして、課税技術上もいろいろ問題がございます。そういう意味で、いまこれを都市計画税の課税対象に加えるということは適当ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/81
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082・太田一夫
○太田委員 それは固定資産税というのだから固定しておるということは、私、字引きを引いたわけじゃないが、たしか動かぬというのが原則でしょうね。だから、動くものがあるから償却資産を課税対象に加えるのはぐあいが悪いというが、動くものは例外でしょう。例外のものは例外として何か考えて、原則として償却資産を課税対象に加えることは理の当然じゃなかろうかと思うのです。これはぜひひとつ考えてください。
それから電気ガス税でございますが、これも先回十二日の参議院の予算委員会で藤枝大臣も御答弁になりましたし、それから佐藤総理も御答弁になりましたが、相当近いうちにだいぶ大幅な免税点の引き上げがありそうな予告的なおことばがあったのですが、われわれとしては最初一〇%であった税率が現在七%まで、三%も下がっておる、そのことについて進歩を認めるのにやぶさかではありませんけれども、せめて五%ぐらいまではすみやかに減税していかなければいけない、税率を五%まで引き下げていかなければならないと、こう思うのです。
それから免税点の話で、今度はガスだけ七百円にしたが、なぜ電気は七百円ぐらいにしないのだろうか。ガスといったって、プロパンなんか非常に安いものもありますし、電気のほうはどうでしょう。最近学生さんが言うのですが、少し夜おそくまで大きな電気をつけて勉強などをしておりますと、案外いまの四百円では、その家庭に課税されるようになるそうです。この四百円というのが妥当であるということでなしに、ぎりぎり決着のところ四百円ということになっておったと思うのですが、これをすみやかに七百円ぐらいにするということは、これは大企業に対する非課税の特例を廃止するということはなかなかむずかしいようでございますけれども、そういうことも長年の国民世論でありますから、それも考え合わせながら、一般消費者国民のわずかな消費電力に対して課税をしておるという悪税をすみやかに撤廃するためには、とりあえず免税点の七百円ぐらいまでの引き上げはガス、電気とも必要ではなかろうか。なぜガスだけにして電気をやめたのかという不審が残るのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/82
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083・松島五郎
○松島政府委員 ガスと電気の免税点の問題でございますが、ガス料金は、これは場所によって違いますけれども、平均的に見ますと電気料金よりも相当額高いという事実がございますので、それらの料金の水準等も考慮いたしまして、ガスについて七百円まで引き上げたのでございます。
なお電気についても軽減をすべきであるという御意見でございますが、これにつきましては大臣からももちろんお答えがあると存じますけれども、御承知のとおり電気税はきわめて安定性並びに伸長性に富んだ税金でございまして、市町村としては非常に財源的には有力な税をなしておるわけでございますから、これを切り下げてまいるということになりますならば、市町村の財政に及ぼす影響も非常に大きいものがあろうかと思います。したがいまして、将来の問題として検討いたします場合にも、それをどう取り扱うかの問題を慎重に考えていかなければならぬと思います。また、電気について免税点を上げますと、御承知のとおり定額灯のほうはほとんど免税になっておりますけれども、一般の方の免税の範囲もかなり広がります。そうしますと、いなかの市町村あたりではなかなか電気ガス税の収入が得られないというような地域的な財政問題も起こってまいりますので、そういった点も十分考えてこの問題は検討していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/83
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084・太田一夫
○太田委員 大臣のほうからも一言お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/84
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085・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 電気ガス税についてはしばしばお答えいたしましたし、総理も参議院の予算委員会でお答えになっておるわけでございます。したがいまして、これにかわるべきよき財源を見出しつつ、合理化をはかってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/85
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086・太田一夫
○太田委員 大臣は十二日の参議院予算委員会におきましても「将来他のよき財源、税源とのにらみ合わせを考えながら考慮してまいりたい」ということで、大体質問者の了解を得られておりますし、佐藤総理大臣は「池田内閣以来悪税だと、かように申しました。私も現にさように心得ております。」「今後の問題として、悪税だと言っている限り、これをいつまでも存続させておくことは筋ではないということを御了承いただきたいと思います。」こういうことなんです。非常に前向きのお話でございますから、これからこの線でいけば、いまの税務局長が言うような、七百円にするといなかの町村で電気ガス税がなくなるからいけないなんていうような、なくなることが妥当だと総理が言っておるのに、あなたがそんなことはいかぬいかぬと、だだっ子みたいなことを言っていれば、歴史家は後世あまりあなたの点数をよくしませんよ。これは少なくとも一日も早く、一年もすみやかに、この免税点の引き上げどころではなく、全廃に持っていくという思い切ったことをしなければならぬ。これはあなたが余分なことを言ってはいかぬのです。総理と大臣とがすでに参議院において明らかにされた方針というものを、あなたがどうしてそこで打ち消す必要があるのですか。こんなことはいかぬですよ。足らない税源は、大口消費者の免税にしておるのを少々いただけばいいじゃありませんか。
それから税源の問題ですよ。たばこ消費税ですね、これは何事かあると小きざみに上がっておるのですが、どうでしょう。そういうようなことを、思い切って、税源が必要だということならば、都道府県のたばこ消費税を一四%に、市町村のたばこ消費税を二二%くらいにまでせめて引き上げるということは、どこに不合理がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/86
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087・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 別に不合理があるとは存じません。ただ御承知のように、現在ではたばこ消費税のほうが国がとる専売益金よりも大きいというような現状もありまして、いろいろ国と地方との税の取り合いということになろうかと思います。私どもは、このような税はなるべく地方に移譲してもらうことが妥当であるとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/87
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088・太田一夫
○太田委員 勇気を持って、せめていま申しました一四%、二二%程度までは思い切って引き上げるように御努をいただきたいものと思うのです。
それから、これは自治省がかつては非常に熱を入れておりました消防施設税、このごろ消防施設の予算等が非常に大幅に要るようになりましたのに、消防施設税ということを一言もおっしゃらない、仄聞するところによると、火災保険会社がこわくて、それでどうもものが言えないというような話もあるのですが、まさかほんとうじゃないでしょうね。これは巷間、無責任なスズメどものさえずりだと私は思っておりますけれども、損保料を対象にした消防施設税をせめて三%、火災保険料収入の三%程度でいいんですから、市町村の目的税として徴収するということは善政だと思いますが、いかがですか。それで火事がなくなれば、損保会社は幾らでももうかるじゃありませんか。それとも片方に火事をつくることによって、消防署の存在を意識させ、火事を起こすことによって、損保会社の存在を何か位置づけていくというようなあなたたちの陰謀でもあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/88
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089・松島五郎
○松島政府委員 消防施設税を考えるということ自体について、私ども別に消極的であるというわけではございません。ただ消防施設税というのは、必ず保険会社にかけなければ成り立たない税金であるかどうかということについて、そう狭く考えるべきかどうかについてはなお問題があろうかと思います。一部の方は、結局消防による利益はすべての家屋所有者に及ぶのであるから、家を持っておる人はみな負担をするような税金として考えるべきじゃないか、こういうような御意見もございます。また一部には、ただいま先生がおっしゃいましたように、消防施設が整備されることによって、火災保険会社が何がしかの利益を受けるんだから、それに対して課税をすべきであるという意見もございます。そういったいろいろな意見がございますので、私どもとしては、消防施設の財源を得るための手段としての消防施設税はどういう課税方法が一番妥当なものであるかどうかということについて、検討を続けておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/89
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090・太田一夫
○太田委員 これは、一時はあなたに非常に熱意のあったときがあるのですね。それが熱がなくなっちゃった。もっとも火事というのは熱で発生するんだから、熱がなくなるのは火事を防ぐということになるかもしれませんけれども、これはあなたのほうは少しどこかお蔵入りをさせてしまっているような感じがする。御検討中なら、すみやかにこれはひとつ成案として出していただきたい。これは善政ですよ。フランスでございますか、フランスの消防費というのは、これは損保会社が全部負担しておるじゃありませんか。消防学校あるいは消防研究所の費用からポンプの購入費まで、全部負担しておるという前例もあるじゃありませんか。何もそんなことを、日本のもうかっている損保会社を相手にして、あなた方が遠慮する必要はありません。そういうところを遠慮しておいて、電気ガス税を課するとか、料理飲食税の免税点を上げるとかいうときには思い切った勇気をふるって、いまのような税率を下げたり免税点を上げることにはあなたたちは抵抗するわけだ。逆だ。勇気を出すということは、そういう消防施設税を取るようなときに勇気を出していただきたいと思う。
それからあとガソリン税ですが、二十五億円、市町村道の財源でありますが、これは問題なく、ぜひひとつ揮発油税は地方道路税に移して、地方道路譲与税の税率を引き上げる、譲与税の譲与対象にすべての市町村を加えていくべきじゃなかろうか。これは一般的な世論でありますが、これも思い切ってやっていただきたいし、国民健康保険税などはどうもあまり高くて悪税なんですが、所得割りの計算など、旧市町村民税のただし書き方式を残しているところがあるそうですか、こういうのは特にこの際本文方式に統一したらどうだろうか、こう思うのです。何でただし書き方式などがいまだに存置されておるのを認めておるのでしょうね。いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/90
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091・松島五郎
○松島政府委員 ただし書き方式を採用することができるということになっておりますので、採用しているところもございます。まあ国民健康保険税のあり方そのものについてはいろいろな議論もあるところでございまして、御承知のとおり、これは税とはいうものの実態は保険料である、したがって保険料としては受益負担ということを強く考えるべきであるという意見もございます。そういうような点から、結局当該市町村において要します費用をいわばどういうふうに割り付けをするかというような形で現在税金が取られているわけでございますけれども、そういうことから、なるべく広く持ってもらうという意味でただし書き方式をとっているところもあるわけでございます。ただ、国民健康保険税そのものの軽減につきましては、私ども従来から努力をしてきているところでございまして、明年度においてもさらに軽減額を引き上げていくという方向で努力をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/91
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092・太田一夫
○太田委員 国民健康保険税は非常に高いから安くすべきだというのは、税制調査会の意見でありませんか。それはもうすでに公式に取り上げられ、答申まで出されておることでありますから、あまりただし書き方式によることができるというような例外規定を生かして、さらに高い税金を取っておるのを見のがしておくことはない。ここにもあなたたちは善政を施すべきであると思う。超過負担があるとか税外負担があるとか、そういうものがどうしても解消されないときに、大衆負担の軽減というものがどうも二の次になっておる。大衆負担の軽減というものは、極力思い切った措置をとりまして大幅に軽減をはかり、そして国民世論にこたえて、なるほどいまの戦後二十年の民主政治というのはりっぱなものだと言われるようにしなければいかぬと思うのですね。私どもは、本国会に税法の改正案が出ましたけれども、それは微温的なものであり、一部分的なものであり、その根幹に触れておらない。もっと地方財源の充実の要があるなら、非課税なんということをやらなければいいのに、非課税非課税と、大口消費者あるいは大産業等にはそういう恩典を施しながら、片方住民税の課税最低限の引き上げ等には非常に消極的であるというのは残念千万だと思うのです。ひとつ勇気を持って国民の期待にこたえていただきたいと思うのですが、大きく地方税制に対する所感を、最後に大臣から承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/92
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093・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 現在の税制体系ができまして十数年たっております。そしてしかも経済、社会の急激な変化もございまして、これに対応する地方財政のあり方というものを考えますると、地方税についても相当再検討を要すべき段階であると存じます。それらの点を考えながら、今後の税制に処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/93
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094・太田一夫
○太田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/94
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095・亀山孝一
○亀山委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/95
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096・細谷治嘉
○細谷委員 一点だけ御質問したいと思うのです。
それは第十一次地方制度調査会が近く開かれる予定になっておると思うのでありますが、この第十一次地方制度調査会は昨年十二月、国債発行下における地方財政をどうすべきかという当面の対策よりもっと進み出まして、第十次地方制度調査会が行なった事務再配分に即応するような税財源の再配分を国と地方との間において行なうと、こういうことになっておるわけでございます。ところで、国と地方との間の税財源の再配分をすべきだ。端的に申し上げますと、国は大体七割の国民から税金を取っておる。一方、地方は三十七ないし八%だ。そしてあとは補助金、交付金等で地方にやって、三割の地方税しかもらっておらないで、地方団体は六割二、三分の支出をしておる。ここに今日の地方自治の最も根本的な点があるということは、せんだって日本経済新聞に大臣自体が、私の意見というところの見出しにぴしゃっと書いておるところなんです。そこで私は、この問題について、この税法を上げる際に、委員会の意向としてまとめた附帯決議等を出したいということを考えておったのでありますけれども、なかなか意見がまとまらないのであります。言うはやすいのでありますけれども、一体その鈴をつけるのはだれがつけるのかということになりますと、自治省自体は文字通りの消極的じゃないか、現に第十一次地方制度調査会の当面の地方財政対策すらも消化し切っておらぬわけですから。これはいずれまた地方財政計画なりあるいは交付税審議の際に、詳しく大臣の所信を伺いたいと思っておるのでありますが、そこで私は端的にお尋ねしたいことは、新聞等にもいろいろ書かれてあります自治省の青写真、国と地方の税財源はどうあるべきか、おそらくは、ミクロの行き方というのはなかなかむずかしいようでありますから、マクロの行き方——マクロの行き方といいますと、かつて三十九年の十一月ごろと思うのでありますが、法人税とたばこ消費税等二千八百億円程度を国から地方に移譲することによって、地方団体の自主財源を大体五〇%程度にしなければ地方自治体としてはやっていけないのだ、それが正常な姿なんだ、こういう結論すらも自治省は持っておったことがあるわけです。それをいつの間にか雲散霧消したような感があるのであります。この辺について、やがて地方制度調査会も開かれるわけでありますから、自治大臣の所信なり決意のほどをひとつ承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/96
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097・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 率直に私見を申さしていただきますれば、私はいまの国の補助金政策というものを相当再検討していただいて、そして地方自治体というものをもっと信用してもらって、補助金政策でなくて、地方へ自主財源を渡すという方向であるべきだと考えております。だれが鈴をつけるかという仰せでございますが、地方制度調査会等に対しましても、われわれの意見を申し述べまして御審議をいただきたいと存じております。私の記憶に誤りなければ、税制調査会には、そうした税源配分について自治省としての意見を申し上げたことがあるように記憶をいたしておるのでございますが、十一次調査会に対しましても、いずれわれわれの意見を申し上げ、そうして御審議をいただきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/97
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098・細谷治嘉
○細谷委員 鈴をつけるのは制度調査会じゃないと思うんですよ。税制調査会でもない。自治大臣、あなたがやらなければいかぬわけですよ。自分の意見を持っているということでありますから、ひとつその原則的な点を——詳しくこれからお聞きして、それをネタにどうのこうのという意図はないのですよ。お互いに地方自治をどう堅実に伸ばしていくかという観点に立って議論をしているのであって、意見の具体的な点については違いがあると思うのでありますが、大臣のおっしゃった基本的姿勢、私も同感なんだ。そこで、私も意見を持っておるがということでありますから、鈴をつけるのがあなたの役割りでありますから、その意見が相当重要な役割りを演ずると思う。ですから、その意見の基本的な点をひとつ、一、二でもいいですから、ここで言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/98
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099・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 地方制度調査会などに自治省の考え方を申し上げて、そして御審議をいただきたいというのは、その鈴を私どもがつけると申しますか、きっかけをつくるつもりでそういうことをお答えしたわけでございます。基本的には、先ほども申し上げましたように、国の補助金制度というものをもっと整理してもらう、その分は地方に自主財源として与えるということが方向だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/99
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100・細谷治嘉
○細谷委員 補助金政策というのがある意味では地方自治をそこなっておる。今日においては補助金をもらうことが地方財政を破綻させる、地方財政にとっては毒だ、こう言っても差しつかえないような状態になっておるわけです。そこで、当然国税を地方に移管するわけでありますから、それが地方の自主財源になるわけでありますから、補助金政策というものは根本的に改める、いわゆる補助金を減らしても国の税財源をやる、そうして地方団体の自主財源にするということでありますから、その自主財源というのはかつて自治省が言ったように、大体いま五〇%ぐらいなければいかぬというふうに自治省は言っておるのでありますが、その考えは変わっておらないのでありますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/100
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101・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 かつてそういうことを自治省として言ったことはございます。基本的には変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/101
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102・亀山孝一
○亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/102
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103・林百郎
○林委員 大臣、先ほどあなたが見えないときに、次官と局長の間に答弁が食い違っておる点がありますので、責任ある大臣の答弁を求めます。
私の質問は、実は均等割りの制度ですね、これは言うまでもなく、個人の均等割りの場合は、年所得五億円というような、たとえば上原正吉さんみたいな人も、あるいは下へ行って、失対にいっているような人も、大都市の場合は七百円。これは税制の民主化の基本的な原則からいっても正しくないんじゃないか。それについて、大臣はよく、それは地域住民の利益に応じて、地域の利益を守るためには応分の税負担をするのが当然ではなかろうかということを、本会議でもよく言われますが、しかし、それにしても、そういう高額所得者は他の面でいろいろ利益を受けている。だから、利益を受けているということで税負担を公平にするというなら、この人はもっと出しても、他の面でいろいろ恩恵を受けているわけですね。たとえば租税特別措置法とか配当所得などで受けております。これはどうしてもいまの均等割りという制度は不公平じゃなかろうか。法人の均等割りからいっても、一千万円以上が今度は千円ということになりました。それ以上は、出資金が幾らでも千円。こういう質問に対して、次官のほうは、やはりこの均等割りという現行の制度については、将来これは廃止するという方向へ検討を進めていきたい、こう言っているわけです。ところが局長は、いや最近所得もだんだんふえてきたので、むしろ均等割りを存続するのみか、均等割りを若干増額するという方向を目ざして考慮してもいいじゃないか、しかし取りあえず四十二年度、本年度とか、早急にやるということはないけれども、そういうことも考えるべきではないかということで、非常に食い違っているように私は受けとめました。同僚の委員諸君も、食い違っているじゃないかということで、答弁が問題になったわけです。大臣はこれを、どう考えても非民主的な均等割りの制度をこのまま存続する考えがあるのかどうなのか。ましてや局長の言うように、これを上げるというようなことを大臣も考えているのかいないのか、そういうことを考えていないならいないということをはっきりここで答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/103
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104・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 やはり地域社会の需要というものは、その地域住民が分に応じて負担するというたてまえだと存じます。したがいまして、高額所得者と低額所得者との間は一定の所得割りによってこれが比例できるわけでございまして、均等割りについては、やはりそういう意味では存続すべきものであると私は考えます。しかして、物価その他の情勢から考えれば、現在の均等割りの額というものは相当低いわけでございますが、しかし一般の負担の問題もございますから、できるだけこれは低いほうがいいわけですから、物価上昇その他を考えればもっと上げてもいいところを上げないというのが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/104
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105・林百郎
○林委員 その上げないというのは、ずっと上げないということなんですか。先ほど局長の考えではことし——これは私のほうの調査によると、現に自治省では、財源措置の不足額の補てんの措置として、上げたらどうかというようなことも検討しているわけですね。だから、今年度、来年度あたりまでは上げないというのか、あるいは今年度、来年度あたりも考慮はしなければいけないという意味ですか。われわれは絶対に廃止しろという愚見なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/105
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106・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 いろいろ検討いたした結果、物価等に比べれば低過ぎますけれども、しかし、その性質からいたしまして上げないのがよかろうという結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/106
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107・細谷治嘉
○細谷委員 先ほどの私の質問に対して、自治省としては、大体、税財源の再配分にあたっては、地方団体が五〇%程度の自主財源を持っていることはいいのだという自治省の考えは変わっておらぬ、こういうことでありますので、そうなりますと、いまの地方財政計画四兆七千七百億円、それの約一割というものを地方団体に国税から移譲しなければならぬ、約五千億円の金を移譲しなければならぬということであります。そうしますと、補助金等適正化の答申等によりますと、たとえば生活保護とか、学校教育とか、非常に大きな国の補助、負担、そういうものについては存続させる、零細な補助金は整理していく、こういう答申を尊重しつつ、税財源の格差が起こらないようなことを配慮しつつ、この五千億円の税財源を地方に移譲していく、こういうことになるわけですね。たばこも比較的ポピュラーなものでしょう。あるいは酒の税金あたりも、これは従価でやらない限り、従量である限りにおいては、あまり大きな格差がないわけでありましょうから、そういう税目というものが対象になりつつ、ここに五千億程度の税財源の再配分というものが国から地方に行なわれなければならぬ、こう私は思うのですが、大体そういう方向であるということが確認できるかどうか、最後にお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/107
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108・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 大体お話のように、五割ぐらいを自主財源にいたしますと、本年の財政計画からいきますと、なお五千億ぐらい地方に持っていかなければならぬはずでございます。一方、一兆三千億程度の国庫支出金がございますから、それが減ってそっちへ回るというようなことでございましょう。大体の見当としてはそういうことでございます。ただ、零細補助金を整理しろとあれほど声が大きいのに、せいぜい五億ぐらいしかできないという現状は、なかなか困難だとは思いますが、方向としては私はそういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/108
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109・亀山孝一
○亀山委員長 奥野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/109
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110・奥野誠亮
○奥野委員 一つは、今後の地方税制の改正に対する自治大臣の基本的な態度を伺ってみたいと思うのであります。
一年一年地方税制は前進してまいってきていますものの、地方財政が窮屈であるとかあるいは経済の基礎が確立していないとかいうようなことで、地方税制の合理化がはばまれてきているきらいが多分にある、かように私考えておるものでございます。たとえば、住民税の課税最低限が生活保護基準すれすれであるという問題がございます。あるいは、事業税について、所得税の補完税であった時代の営業税の課税標準をそのまま今日も踏襲してまいってきているわけであります。自己責任、自己所有を通じて経済の発展をはかっていきたいという考え方に立ちますと、所得に累積して課税していくあり方には疑問があると考えるものでございます。あるいはまた、料飲税の問題について、人の見えないところで飲食をしているものですから、人数を増減することによって一人当たりの消費金額はどうにでも示せるわけであります。そういうものについて、消費金額の多寡による税率の区分を設けたりしている。数え立ててまいりますと、相当広範囲にわたってまいるわけであります。私はやはりこれからは、国依存の考え方を捨てて、地方財政全体の大きなワクの中で積極的に増減を試みながら、合理的な健全な地方税制を打ち立てていくという熱意を、もっと強く持たれるべきではないか、かように考えるものでございます。これが一点でございます。
もう一つは、近年高度な経済成長を遂げ続けてまいってきております結果、経済構造は目に見えて変わってまいってきております。都市への人口の集中も激化してまいってきておりまして、地方団体相互間には、過疎の問題と過密の問題が極端にあらわれてまいってきているわけでございます。私は、地方税制というものは、三千数百の個々の地方団体の実態に適合したものでなければならないはずだ、かように考えるわけでございますけれども、あまりにもいままで画一的に考えられ過ぎてきている、かように思っているものでございます。やはり市町村の器に応じて事務の積極的な再配分も行なわれるべきだ、それに対応して税制も変えられるべきだ、かように考えているものでございます。端的に申し上げますと、過疎の問題に直面している地方団体につきましては、思い切って地方交付税制度の運用を通じて救うべきだと思います。過密の地方団体につきましては、あるいは再開発の問題、あるいは公害対策の問題、いろいろな問題がございますが、地方債と独立税源の付与、これで対処すべきだ、かように考えるわけでございます。時間がありませんのでこまかく申し上げませんが、こういう点について、現在の制度はかなり矛盾したあり方を示している、かように私は考えるわけでございます。これらの問題を通じて、積極的な態度で地方税制の健全化、合理化に取り組んでもらいたいという希望を持つものでございますけれども、自治大臣の所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/110
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111・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、私はやはり国と地方と、事務の再配分と同時に、財源の再配分をいたさなければならない、しかもその方向は、先ほど申し上げたような、そういう中におきまして地方税というものを考えていかなければいけないのじゃないか。現在の地方税というものが何となく国のお余りを拾い集めているというような感じなきにしもあらずでございます。したがいまして、そうした態度で地方税を見直さなければならぬ。しかも、いま例におあげになりましたような諸点につきましても、従来のいろいろないきさつから現在に至っておりますけれども、営業税等につきましては、やはり何か別の方向で考えていかなければならない時期にきているのじゃないかというふうなことを考えております。また、人口の急激な変動につきまして、現在の交付税でも、過密、過疎についての補正等をやっておりますが、とうていそれでは追いつくものではございません。これらについても、根本的にもう少し実態に応じた対策を講じないと、とうていそうした過密地帯あるいは過粗地帯の需要に応じられないのじゃないかと思います。そういう点をすべて考えまして、先ほどもお答えいたしましたが、現在の税体系ができまして十数年になりますが、財源の再配分を一方に考えながら、その間において税制の根本的な考え直しをする時期に来ておる、またそれと取り組まなければならないという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/111
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112・奥野誠亮
○奥野委員 次に住民税の問題でございますが、私は、この税は地方自治団体の基本的な税収だ、かように考えておるわけでございます。税制も地域団体の円満な発展をはかっていくための基本的な制度たらしめなければならない、かように考えるものでございます。この税については、特に地域社会の経費分担についての義務を果たしながら積極的に権利を主張する、それを通じて、自治運営の活発な発展が期待されている、かように考えるものでございます。そういう意味でまた均等割りの制度も設けられている、かように思うわけでございますが、今回の政府提案では、法人について均等割りを引き上げながら、個人については均等割りを引き上げられていない。それはおそらく、課税最低限を積極的には引き上げなかった、したがってまた所得に応じてある程度負担をしてもらう、均等割りを引き上げるかわりに課税最低限を引き上げないで所得において、若干段階があるけれども、そこでは均等割り的な性格を持ってもらっているのだ、こういう意図であっただろうと推測をしているわけでございます。こういう推測についての私なりの考え方がどうであろうか、お考えを伺いたいのでございます。なおまた、それにしましても現在の課税最低限は、先ほどちょっと触れましたように生活保護基準すれすれでございます。生活保護を受ける、したがって住民税が課されない、しからずんば所得割りが課されていく、若干私たちには納得しにくい面があるわけでございます。当委員会で与野党いろいろ話し合いをしてまいりますと、少なくとも各種控除については一万円以上引き上げるべきだという強い意見が出ておるわけでございます。
そこで伺いたいのでありますが、給与所得者で夫婦子三人の場合の現行の課税最低限を、かりに各種控除を一万円引き上げた場合の課税最低限はどれくらいになるかということについてのお示しを願いたいわけでございます。
なお、先ほど申し上げました均等割りが昭和二十五年に定められましてから、減額されたけれども引き上げられていないわけであります。その間、国民一人当たりの所得が昭和二十五年と今日とでどういう変化が生じてきているか。逆にまた、そういう変化が生じてきているにもかかわらずあえて均等割りを引き上げていないのだ、だから、課税最低限も思い切ってよう引き上げられなかったということではなかろうかと思うのでございますが、こういう数字的な関係を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/112
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113・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 均等割りを二十五年以来引き下げたが引き上げない。これは先ほど林さんにお答えしましたように、地域住民としてはやはり地域の費用を何らかの形で、わずかであっても負担をするということによって、地方自治体と地方住民とのつながりを持つ、連帯性を持つという意味があろうと思います。したがいまして、この額は引き上げなかったわけでございまして、それが所得のある人につきまして、その低いほうについてはやや所得を加味した均等割り的な役目をいたしておるであろうことは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、場合によっては、もう少し低いほうの税率は下げてもいいではないかというような御議論もあろうかと思います。これらについてはなお検討いたしたいと思います。
それから、各種控除を一万円ずつ引き上げますと、現在の四十三万円が、初年度において約五十三万円、平年度約五十四万円となります。またそれによる減収額は約三百十億円でございますが、これは四十二年ベースの計算でございますから、四十三年ベースになればややこれを上回るものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/113
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114・松島五郎
○松島政府委員 二十五年と四十年との間におきます分配国民所得の推移は、二十五年を一〇〇といたしまして四十年が七四一でございますので、七倍半弱でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/114
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115・奥野誠亮
○奥野委員 私たちは各種控除を最低一万円引き上げてもらいたい、こういう希望を持っておるわけでございます。いま伺いますと、課税最低限の引き上げが十万円ないし十一万円、かなり大幅な数字になるようでございますが、これを最低として、住民税課税最低限の引き上げに四十三年度はぜひ取っ組んでいただきたいと思います。一つの優先的な目標を先に掲げていただくということがこういう問題の前進に対して必要なことではなかろうか、かように考えるわけでございまして、それについての決意を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/115
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116・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 御指摘の点につきましては、私もぜひそういうことが実現いたしますように努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/116
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117・奥野誠亮
○奥野委員 次に道路の問題でございますが、市町村の施設整備について最も緊急な課題の一つはやはり道路問題だ、かように考えるわけでございます。またこういうこともあって、わずか二十五億円でございますが、暫定措置案も提案されてまいっているわけでございます。現在、道路交通取締法違反の罪について反則金制度を設けて、これを財源として府県や市町村に道路交通安全対策を講じさせようということが与野党を通じて推進されてまいっているわけであります。私たちはしかし、これだけで市町村の道路問題が片づいたとは考えていないわけであります。四十三年度以降につきましてはぜひ市町村の道路整備について必要な財源措置を積極的に講じていかなければならない、かような考え方を持っておるわけでございますが、これについての大臣の所見をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/117
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118・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 道路整備が国道から地方道へ、ことに住民の生活道路ともいうべき市町村道に整備が移行しておる現状にかんがみまして、特に市町村の道路財源というものは考えなければならないと思います。今回の六兆六千億の道路五カ年計画におきましても、一兆一千億の地方単独事業が含まれておりますることは御承知のとおりでございます。したがいまして私としましては、この新道路五カ年計画の策定にあたりましても、地方の道路財源の確保につとめなければならないと存じておりますし、また先ほど来お話のありました中央と地方とを通ずる税源の再配分につきましても、こうした道路財源などにつきましても特に意を用いて考えていかなければならないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/118
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119・奥野誠亮
○奥野委員 最後に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律について一言だけお尋ねしておきたいと思います。
この法律が制定されました当時から当委員会の附帯決議になっておった水道用地に対する交付金問題が、今回の政府案によって解決を見ることになったことは好ましいことだと思うのでございます。しかしながら、なお前進的にそういうように対象を拡大していかなければならない問題が山林その他についてあるわけでございますので、今後も前向きにこの問題と取っ組んでいただきたいと思います。同時に物価問題の大切なときでありますだけに、合理化によってこの負担を吸収してもらいたいものの、一挙に吸収することが困難だという地方団体も相当あろうかと思いますので、そういうものについては一般会計で援助する。その一般会計分については国のほうでめんどうをみるという仕組みが、当然考えられていると思うのでありますけれども、この点についてのお考えを伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/119
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120・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 今回、水道施設についての市町村交付金を設けたわけでございますが、それによる通常の水道会計については、さほどの影響があるとは考えられません。しかし、一部の水道会計においては、相当の負担をしなければならないものもございます。これらについては特別の処置を講じてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/120
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121・亀山孝一
○亀山委員長 他に質疑はございませんか。——なければ、両案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/121
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122・亀山孝一
○亀山委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに両案の採決を行ないます。
まず、内閣提出にかかる国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/122
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123・亀山孝一
○亀山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案の採決を行ないます。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/123
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124・亀山孝一
○亀山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/124
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125・亀山孝一
○亀山委員長 この際、奥野誠亮君、細谷治嘉君、門司亮君及び小濱新次君外一名から、四派共同をもって、ただいま可決いたしました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
これより本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。塩川正十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/125
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126・塩川正十郎
○塩川委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党並びに公明党の四党を代表いたしまして、地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。
附帯決議の案文は、お手元に配付されておりますので、朗読は省略さしていただくこととし、提案の趣旨を御説明申し上げます。
第一は、住民税の課税最低限の引き上げについてであります。
最近、数次の改正により、地方税負担の軽減がはかられてきましたが、地方財政の制約もあって、国税に比しその軽減割合は少なく、地方住民の負担軽減に対する要請はきわめて強いのであります。特に低所得者つきましては、所得税に比し、地方税の負担が重いという不満が高くなっている現状にあります。これが解決策の一環として、所得税の課税最低限の引き上げの動向をも勘案して、住民税の課税最低限の大幅な引き上げをはかることとし、当面、昭和四十三年度においては、基礎控除、配偶者控除等の各種控除について、それぞれ一万円程度の引き上げを行なうことを目途として、住民負担の軽減をはかるべきであると思うのであります。
第二は、地方道路財源の充実であります。地方団体における道路に関する財政需要が、年々増大の傾向にあることは御承知のとおりであります。さらに加えて、数次にわたる道路整備計画の改定に伴い、道路整備の重点が国道から地方道に移行する傾向にあり、地方道、特に市町村道の整備のための財源の充実をはかる必要に迫られているのであります。本年度は、さしあたり二十五億円の財源措置が行なわれておりますが、新道路整備五カ年計画との関係においても、国から市町村に道路目的財源を移譲することによって、市町村の道路財源の充実をはかるべきであると思うのであります。
以上が提案の趣旨でございます。何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げる次第でございます。
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〔参照〕
地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、住民負担の軽減と地方財源の充実を図るため、左の措置を講ずべきである。
一、住民税の課税最低限については、大巾な引上げを行なうものとし、さしあたり昭和四十三年度においては各種控除についておおむね一万円の引上げを行なうことを目途とすること。
二、地方道路財源特に市町村の道路財源の充実を図るため必要な財源措置を講ずるよう努めること。
右決議する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/126
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127・亀山孝一
○亀山委員長 本動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/127
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128・亀山孝一
○亀山委員長 起立多数。よって、奥野誠亮君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、藤枝自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/128
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129・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 ただいま御決議になりました事項は、いずれも重要な問題でございますので、御趣旨を尊重いたしまして、引き続き検討を加え、善処をいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/129
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130・亀山孝一
○亀山委員長 おはかりいたします。ただいま議決されました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/130
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131・亀山孝一
○亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/131
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132・亀山孝一
○亀山委員長 次会は明十九日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01119670518/132
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