1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君
理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 門司 亮君
木野 晴夫君 久保田藤麿君
佐々木秀世君 塩川正十郎君
辻 寛一君 渡海元三郎君
登坂重次郎君 永山 忠則君
古屋 亨君 山田 久就君
井上 泉君 太田 一夫君
河上 民雄君 島上善五郎君
華山 親義君 依田 圭五君
大野 潔君 小濱 新次君
林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
厚生省公衆衛生
局長 中原龍之助君
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省財政局長 細郷 道一君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
厚生省公衆衛生
局保健所課長 湯沢 信治君
自治省財政局交
付税課長 横手 正君
専 門 員 越村安太郎君
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五月二十六日
委員渡海元三郎君辞任につき、その補欠として
神田博君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員神田博君辞任につき、その補欠として渡海
元三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月二十七日
地方公務員災害補償法案(内閣提出第一一一
号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七〇号)
昭和四十二年度における地方財政の特別措置に
関する法律案(内閣提出第七八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/1
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002・山口鶴男
○山口(鶴)委員 きょうは大臣お見えになりませんから、事務的な問題を二、三お尋ねしたいと思います。
先日の当委員会におきまして、この標準団体が府県の場合は人口百七十万、市町村の場合は人口十万、この二つのものさしで単位費用の測定等をやっておりますことについては、実情から非常に離れるのじゃないか、こういう点をお尋ねいたしたのであります。ところで、標準団体におきましても、職員の定数につきましては実態と非常にかけ離れているのではないか、そういう感じを強くいたすわけであります。たとえば府県におきまして、標準団体におけるこの職員実態が四千四百二十二人でありますのに、交付税でもって見ております人員は三千八百九十七人、割合にいたしますと八八%程度しか見ていない、こういうことであります。そこでさらに内容を検討いたしますと、衛生、民生関係につきましては、交付税で見ておる数が九百二十五人、実態が千三十八人、割合が八九%てあります。労働関係につきましては八一%、農林水産関係は七五%、これに対して土木関係は一一七%と、その実態よりも交付税で見ております人員のほうが多いようであります。これを見ますと、全体として交付税で見ております職員の数というものが実情から非常にかけ離れて少な過ぎる、特に住民と直結をしております衛生、民生関係ないしは労働関係、農林水産関係というようなものについては非常に交付税の見方が悪い。しかるに国の公共投資等を進めます場合の土木関係の人員については交付税の見方は非常にゆるやかだ。自治省は住民に直結をしたサービス行政というものを軽視して、そうして何か自治体を国の下請機関化して、そうして公共投資を進める面については交付税はある程度見ているが、住民に結びついたほうは非常に見方がきびしい。しかも全体としては実態からかけ離れている、こういう感じが特にいたすのであります。少なくとも、ものさしの府県の百七十万、この標準団体の実態と交付税の見る職員の数くらいはぴしゃっと一致をさしたらどうですか。この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/2
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003・細郷道一
○細郷政府委員 府県の標準団体の標準規模の職員配置につきましては、警察官及び学校の関係の職員につきましては、それぞれ法律あるいは政令で定められておりますところをそのまま採用いたしておるのでございます。それ以外のものにつきましてはいまお話のございましたようなことで、実態と——まあ実態というのは昨年四月一日現在のものでございますが、それと交付税算定上との間にはやや開きがございます。これは一つには交付税の算定にあたりまして、財政需要額の算定にあたりまして、その財源となりますものについて、税収について八割方をとっておるといったような事情もございまして、実態どおりというわけには、交付税制度のたてまえからしても困難であろうと思います。それからいま一つ、この実態というものが、全くの実態でございまして、私ども、標準的にはどの程度押えたらいいかということについてはいろいろ研究の課題であるわけでございますけれども、本年度におきましても、実態の中で是正されるべきものについては漸次これを直していくというような角度から、全体を通じまして実は百五十八人ほどの是正を行なっておるのでございます。なおそれぞれの費目ごとの問題につきましては、なかなか規格的に標準をとらえにくい行政もございますものですから、そういった点については今後もよく研究をして、改善、合理化につとめてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/3
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004・山口鶴男
○山口(鶴)委員 基準財政収入が八割に押えられているということは、その点は理解をいたすわけでありますが、しかし少なくとも標準団体の実態とその交付税とが常にかけ離れておるようでは、標準団体以外の人口の多い府県、さらに人口の少ない府県、こういうところへいった場合にさらに差が出てくるきらいもあるわけでございまして、標準団体くらいは少なくとも合わせていく努力をすべきではないのか。それから先ほど御指摘もしたのでありますが、各費目によってでこぼこが非常にあり過ぎるように思うわけです。八割で見るのなら八割ということで——まあ八割といいましても、これはまるまる二割を基準財政収入と実際の収入との割合でもってやっていけということは、これはできませんでしょうから、九割なら九割に実態は持っていったとするならば、全体としてもおおよそそろっていなければならぬはずじゃないですか。しかるに農林水産関係とかあるいは商工関係とか労働関係とか、こういった住民に比較的結びついていく行政の面については交付税の見方が悪い、徴税、税金をいただくほうの人員については交付税の見方はいいとか、さらには国の公共投資等を進めていきます場合の人員についてはこれはたっぷり見るとか、こういうことでは、何か自治省は住民に結びついた行政はなおざりにしてもいい、税金をいただくほうとそれから公共投資のほうは大いにやれ、こういう気持ちを持っておるようにこの実態から見れば言えるのではないか。なぜそういう各費目について著しい凹凸があるのですか。この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/4
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005・細郷道一
○細郷政府委員 一つには、この実態なるものをどの程度に是認してかかるかという問題が実はあるわけでございます。単純に実態と比較いたしますと、いま御指摘のようなことになっています。実態自体が各県のその年その年の現実の配置というようなこともございますものですから、私どもとしては、その実態をそのまま全部のむこと、あるいは同じ割合でのむこと以外に、やはり仕事の量であるとか仕事の性質であるとか、そういったような角度からの検討も必要だろうと思うのであります。いま御指摘のございましたような農林とか労働とか商工というようなものにつきましては、仕事の分量と職員の数というものが必ずしも比例関係にない。ところが土木のようなことになってまいりますと、最近は県自身で非常に設計その他をいたすような関係もございまして、どうしても仕事の分量にかなり比例してくる、こういうようなこともありまして、こういう姿になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/5
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006・山口鶴男
○山口(鶴)委員 今度自治省のほうは公務員課を公務員部に昇格させたいというお考えもあるようですが、こういった標準団体において交付税で見ております職員の数とそれから実態というものが非常にかけ離れておって、しかも内容において凹凸があって、しかも部をつくりましてそういう点の是正を一生懸命にやろうというならともかく、ILO体制を強めるというようなつもりで部をつくるということになれば、これは私は全くナンセンスだと思います。したがって、これ以上この問題について議論をするのをやめようと思いますが、少なくとも標準団体におきましては、交付税の見る人員が実態と著しくかけ離れないように、より一そう御努力をいただきたいことをお願いをいたしておきます。
次に単価の問題でありますが、単価につきましても、実態と財政計画で見ておりますベースとでは非常に違いがあるようであります。これを見て奇異に感ずるのでありますが、警察官の方については、先ほど申しましたように、この場合は実態も計画の人員も同じわけですね。人員については十分見ておるということであろうと思います。その上給与の単価を見てみますと、警察官の場合、地方財政計画ベースでまいりまして年額五十万八千円、これに対して実態が四十九万四千円、こういうことのようであります。しかるに一般職員の場合はどうかと申しますと、地方財政計画のベースで申しまして四十二万七千円、実態が四十三万円ということでありまして、実態のほうが高くて地方財政計画のベースのほうが少ない。警察官だけはこれが逆になっておるわけであります。そのほか、他の職員についても同じようなことが言えるわけでありますが、住民に直結する仕事をしております一般職員については、人員のほうでも、実態と交付税ベースを比較すれば、交付税の見方が悪い。しかも賃金の単価も見方が悪い。警察官の方の場合は人員は完全に見ておる。しかも給与単価は交付税ベースのほうがといいますか、地方財政計画ベースのほうが実態よりも高い。これでは何か自治省は警察のみを交付税の算定で優遇しておる、他の職員のほうはきわめてつれない扱いをしておる、こういうふうに、額面どおり受け取ればそうなるじゃないか。人員についても、いずれも完全に見ていない、給与単価についても、この実態のほうがいずれも財政計画ベースより上回っておるというならば、それはそれで、不当ではありますが、一応の解釈もつくわけであります。中にでこぼこがあるじゃありませんか。この点は私としても絶対に解せぬのであります。どういう関係からこういうことになったのですか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 四十一年度の財政計画の策定に用いました単価は、四十年度の給与の実態調査、それを基礎にいたしまして、御承知のように国家公務員ベースに置き直したものにいたしておるわけでございます。四十一年度の実態のほうは四十一年四月一日現在を出しておるのでございまして、警察官のようなものでございますと、御承知のように年度末に配置転換をする、あるいは退職者が一ぺんに出るといったような問題もあるいは影響しているのではなかろうかと思います。私どもとして財政計画上の給与単価のきめ方につきまして、別に警察官を特に優遇する、一般職員を粗末に扱うというようなことはいたしておりませんで、考え方はみな同じでやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/7
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008・山口鶴男
○山口(鶴)委員 考え方が同じならば答えも同じになるはずじゃないですか。考え方が同じで答えが違うから私は聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/8
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009・細郷道一
○細郷政府委員 考え方は、先ほど申し上げましたように、四十年度に行なわれました給与の実態調査、それをもとにして行なっておりますので、それがもとで四十一年度の財政計画の単価をつくっておるわけでございます。四十一年度の実態のほうがいわば一年間に、その種類によってズレが実は出てきておる。計画策定の時期と実態をとらえる時期とでは、御承知のようにズレがございます。そういったようなことが出ていると思われるのでございまして、私どもとして別に差別扱いをしているという考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/9
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010・山口鶴男
○山口(鶴)委員 ズレがありますならば実態よりも——四十年に実態を調べた、ところがその後四十一年になりまして実態が変わってきた。給与単価も、それぞれ自治省が計画で見た予想よりも実態が上がったということならば、これは一般職員も警察官の方もくるめて実態のほうが高くなっているということならば、ただいまの御説明で私は納得をいたします。ところが、どこの府県だってそうでしょう。一般の公務員のほうを上げて警察官を据え置くとか、そういうことはあるはずはないのですよ。ですから実態とかけ離れていくならば、両方とも高くなっているか、両方とも安くなっている——ということはないだろうと思いますが、もしかりにあるとすれば、両方とも下回っているか、いずれかでなければ私はおかしいと思う。しかるに警察官の方だけが、実態よりも地方財政計画のほうがよい単価になっている。一般職員の場合は、実態に地方財政計画の給与単価が追いついていない。しかも人員についても、片や完全に充足されており、片や冷遇をされているということになりますれば、人員についても給与単価についても、何か警察官の方の場合は交付税で十分見るが、一般職員の方は見ない、こういう方針でもとらなければいまのようなことにならぬじゃないですか。ですから、実態とその後の推移が違ったというならば、同じような形で食い違いが出るべきなんだ。実態が非常におかしなそごができておるから、これはおかしいといって聞いているのでして、どうもただいまの御説明じゃ納得しませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/10
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011・細郷道一
○細郷政府委員 実態がズレるなら同じようにズレるという御指摘でございますけれども、私は、やはりそれぞれ地方団体の事情もございましょうし、給与実態調査をいたしましたときの職員の構成も種類別に違う点もございましょうし、ことにここで申し上げております四十一年度の実態自体が四月一日であるというようなことから、警察官でありますと三月三十一日、年度末に退職する者は一斉に退職をする、いろいろ見習いからの補充の関係もあったりいたしまして、ある時期に一斉に退職をする、こういったようなこともあろうかと思うのであります。したがいまして、この実態が常に同じ傾向でなきやならぬということも言いかねることじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/11
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012・山口鶴男
○山口(鶴)委員 他の資料から年次別の一応の推移も見てみたのでありますが、常にこの警察官の方の場合は、実態に対して十分地方財政計画ベースで見ておるのに、一般職員の場合は、常に実態のほうが高くて、地方財政計画ベースのほうが低い、こういうことでは、たまたまそのときの退職の状況ということではないと私は思うのです。私は、これ以上同じ押し問答を繰り返えそうとは思いませんが、要は、自治省が府県の標準団体の職員についても、警察官以外の、住民に直接結びついた仕事をしておる一般職員の人員を交付税で十分見ようという熱意がやはり足らなかったのじゃないか。また給与単価につきましても、警察官以外の他の職員の方々の給与実態というものに適合した交付税のベース、ないしは地方財政計画ベースにおける給与単価を十分に見ようとする御熱意がやはり不足をした、こういうことではないかと私は思います。したがいまして、この点については自治省の財政当局としまして、一般職員の人員についても、給与単価についても、できるだけ実情に合わせて、そうしてこういう面から地方財政が窮屈でありますとか、さらには職員にしわ寄せがいきまして、あるいは職員の合理化とか、そういった問題が起きないような配慮というものを私は自治省にお願いしたいと思うのです。ただいまの御説明については、十分納得をいたしませんけれども、要は熱意の不足だろうと思います。この点の熱意を特にお願いをしたいと思いますが、政務次官どうでしょうか。一般職員についての給与早価、人員等について、実情に合わせるように積極的な御熱意で対処いただけますかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/12
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013・伊東隆治
○伊東政府委員 実態化の実情につきましては、なお検討を加えまして、その差がないようにつとめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/13
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014・山口鶴男
○山口(鶴)委員 たいへんけっこうなお答えで、ぜひともお答えのとおり、積極的にお取り組みを願いたいと思います。
次に、同じような問題でありますが、前回の委員会で私、人夫賃のことを問題にいたしたのでありますが、その後大蔵当局のほうから御説明をいただきまして、ある程度理解もいたしたのであります。しかし、私どもいただきましたこの「地方交付税関係資料」、これの十四ページを見ますと、消費的経費の各単価ということになっておりまして、五番の賃金、甲人夫、乙人夫——甲人夫はカッコして「技能、重労働プラス技能」こう書いてあって一人一日八百五十円、乙人夫は「単純労働」と書いてあって六百円、こういうことであります。これではいかにも実態とかけ離れ過ぎておるのじゃないかということを御指摘いたしたのでありますが、その後御説明がありまして、いや、この乙人夫の単純労働については、屋内の事務等をこなしますアルバイト賃なんだ、こういうお話であります。それからまた甲人夫については、屋外労働者の賃金であって、蚕業試験場、農業試験場、林業試験場、種畜場等に働く臨時人夫の方の賃金をさしておるのだ、こういうお話であります。私も自分の県の財政課のほうへ問い合わせてみましたが、どうも昨年の単価では、昨年は少し無理であったようであります。したがって、いま申し上げたような方々の賃金は昨年から見れば若干上がって、昨年五百五十円だったものが六百円、七百七十円だったものが八百五十円、幾らか上がったようでありますが、現実にはもうこれでは各県、アルバイト賃金でありましょうとも、いま申し上げたような農業試験場等で毎日雇います人夫賃であろうと無理だろうと思います。しかし私が解せぬのは、「甲人夫(技能、重労働プラス技能)」と書いてあるでしょう。いま言いました林業試験場や種畜場や蚕業試験場で屋外の作業のために日々雇用いたします方が、技能労働者だとか、重労働をしなおかつ技能が要るのだ、こういうようなことにはどう考えてもならぬじゃないですか。だったら実態をすらっと書けばいいじゃないですか。どうしてこういう間違いやすいような書き方をされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/14
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015・細郷道一
○細郷政府委員 技能と書いてございますけれども、そう実はむずかしい技能を考えているわけじゃございません。これはむしろ職員のほうの、吏員のほうで見るべきものである、こう考えておるのでございます。ただこの賃金をどれくらいにするかということは、実はいつも頭を悩ましている問題でございまして、いわゆる賃金の実勢というものはいろいろ聞かされておるわけでございますが、さてこの交付税の段階にどれを使うかということになってまいりますと、どの程度にしていいかということについて、なかなかきめ手がないわけでございます。かたがたこの交付税に使っておりますいろいろな単価が、国の単価を他の部分において使っておる関係もございまして、実は賃金についても同じような行き方をとっておる、こういう状況でございます。この点につきましては、一般に国の単価自体にも実はいろいろ議論すべき点が残っておるだろうと思いますので、われわれとしてもなおそれの改善、合理化ということを考えていかなければならない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/15
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016・山口鶴男
○山口(鶴)委員 労働省の労働者職種別賃金調査というものを拝見をいたしましても、時間等が若干違うわけでありますが、とにかく千円をこえる賃金というのが実態のようでございます。私は前の委員会におきまして、この税外負担とかあるいは超過負担というような問題についていろいろお尋ねをいたしました。問題は、国が補助金等を算出いたします基準が実態と合わない、そういうことによって都道府県や市町村が非常な超過負担に悩んでおられる、こういうものを少なくとも三年間のうちに計画的に解消していきたいというお答えを大臣はされたのであります。といたしますならば、まず自治省みずからがみずからの手で策定をいたします地方財政計画、その単価というものが実態からかけ離れておったのでは、他の省庁に向かって超過負担を解消せよといっても、これでは私は初めから問題にならぬと思うのです。ですからそういう意味で各省庁の補助単価等について、あるいはこのあと細谷委員からお尋ねもあるかと思いますが、たとえば健康保険の事務費でありますとか国民年金の事務費でありますとか、国できちっと法律できめておる、それに違反をして厚生省等が単価を自治体に流す、そういうことによる超過負担、これは当然解消しなければなりません。同じ意味で、またそれ以上に、自治省がこういうものを策定いたします場合の単価というものに、その実態とかけ離れた面があったのでは、これは問題にならぬわけであります。少なくとも、このような自治体の職員の中でも一番恵まれない方々であります。常用の職員ではありません。定数の中へ入っておるわけでもない。臨時職員でもない。日々雇用の賃金職員、こういうような方々の待遇改善というものについては、私はもっと自治省はより以上の熱意を示していただいていいのではないかと思います。この点についても、ひとつ実情に合わせるようなお気持ちがありますか、重ねてひとつ次官のお考え方をお聞かせをいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/16
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017・伊東隆治
○伊東政府委員 これはもとより実情に合わせるように合理化をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/17
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018・山口鶴男
○山口(鶴)委員 政務次官は、自治省の中でも最も進歩的な意見を代表せられるりっぱな次官でありますから、ただいまの御答弁につきまして非常に意を強ういたします。ひとつ住民税の均等割りのようなことにならぬように、自治省の意見がせっかくのりっぱな次官の御意見を無にするというようなことのないように、財政当局もひとつ十分次官の御答弁に従って御努力いただくことを、これはお願いをいたしておきます。
最後に、補正の問題についてお尋ねをいたしますが、今回事業費補正というものを多く採用いたしまして、投資的経費の地方負担が実態に近づくように、動態的な算定をされるようになったということでありまして、この点はたいへんけっこうだと思うわけでありますが、今度市町村の経費につきまして水道費等を追加されました。しかしこの産業経済費等を見まして、特に過般参考人の方が過疎対策、後進地域対策、これについては政策的な面でひとつ力を尽くしていただきたいということを、町村会の代表の方が申されました。特に農業関係の経費等については、政策的な意味も込めて充実をしていただきたいというような趣旨を申されたのでありますが、こういった農業行政費等につきましても、事業費補正というものを当然おやりになったらいいんじゃないかというふうに私は思いますが、この点は一体どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/18
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019・細郷道一
○細郷政府委員 今回道路や河川、海岸、港湾等について、昨年とめておりました事業費補正を復活いたしております。農業行政費について事業費補正ということも一つの御意見であろうと思いますが、農業行政の場合の事業費補正ということになってまいりますと、事業の分量あるいはその主体あるいは負担の区分等が実はかなりまちまちでございます。御承知のように、地元の負担と申しますか、農民の負担部分もあったりしまして、事業の規模等によってもいろいろ違ってまいります。そういった問題がございますことと、それから今回農業行政費について投資態容補正の中におきまして、農家人口のその町の人口に占める比率、こういうものをとることによりまして、農業関係者の多いところにはウエートがかかるように実は投資態容補正の中身として新たに入れたわけでございます。そういったようなこともございましたので、実はこれによって一種の後進地対策と申しますか農業地帯対策がかなり充足されるもの、こう考えて今回こういう改正をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/19
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020・山口鶴男
○山口(鶴)委員 参考人の町村長さんの御意見を聞きましたら、結局自治省のほうで過疎対策というようなことを言われる、たいへんけっこうだ。しかし人口が流出をしていく。それによって、大体交付税の単位費用は人口割合でもって配分をするというケースが非常に多い。人口が減ったのに対して、減らなかった分をいわば過疎対策として、その分を見るんだという程度の、いままでの減った分を補償するという程度の過疎対策であっては何にもならぬではないか。もっと後進地域については、進んでその地域の行政水準なりというものを引き上げていく積極的な意味での過疎対策というものが必要ではないか、後進地域対策というものが必要ではないのか、こういうような参考人の方の御趣旨であったように思います。もちろん、片ほうにおける大都市対策の問題についても重要であります。この点は、過般私どもの依田委員が強く御指摘をされたとおりでありますが、その点については触れません。現状は減らないというより、さらに一足進んで、より積極的に政策的な面で後進地域を開発していく、こういう面での配慮のしかたというものがもっと交付税においてあってもよろしいのではないか。僻地に対して特殊な起債を与えますとか、いろいろな面で若干の措置のあることは承知いたしておりますが、交付税についても、もっとこの点について配慮あるやり方というものを考えたらどうか、この点、ひとつお考え方をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/20
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021・細郷道一
○細郷政府委員 この間の参考人の御意見にもありましたように、市町村で、農業行政費等を現実問題としてもっと充実しろ、こういう御意見でございました。今回、先ほども申し上げましたように、市町村分の農業行政費につきましても、従来とっておりませんでした農家人口の人口対比という、その町の人口において農家人口がどのくらい占めているか、その比率の高いほうへよけいにいくように、態容補正にそういう指標を一つ加えていくような改正をいたしました。それによりまして、大体二十億くらいのものが補正増として、そういう関係の町村に流れる、こういうふうに改正をいたしておるのでございます。したがいまして、従来やっておりました人口急減補正に加えて、さらに積極的にそういう充実策を今回はとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/21
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022・井上泉
○井上(泉)委員 関連して。後進地域の対策の中で、産業経済費の林野行政費が昨年二千六百八十円、これが一千二百九円になっておりますが、耕地面積の多いところが後進地域ではなしに、山林面積の多いところが圧倒的に後進地域になっておるわけです。そういうことからすれば、財政局長さんの説明の精神とは、測定単位の建て方がたいへん矛盾しておるように思うのですが、これは一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/22
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023・横手正
○横手説明員 今年度林野行政費につきまして単位費用が減少を見ておりますが、これは投資的経費の算定方法の改正に伴いまして、従来、林野行政費に適用しておりました種別補正をやめまして、投資補正のほうへそれを切りかえる作業を行なったわけでございます。それによりまして、金額的には変動を生じないわけでございますが、単位費用の面におきまして、種別補正等の数値によりまして単位費用を算定いたしておりましたものが、補正前の数値で単位費用を算定する、こういったようなことになりまして、これが、全く技術的な結果による単位費用の減になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/23
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024・井上泉
○井上(泉)委員 技術的にそうなると言われてもわからないわけですが、ひとつ具体的に、林野行政費の中で林野の面積、これだけ減った、その減が何によって補われておるのか、具体的に説明していただいたら非常にわかると思うのですが、ひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/24
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025・横手正
○横手説明員 具体的な数字をもって御説明いたしますと、昨年度は標準団体におきまして二億九千百万程度の需要を見込んでおりました。本年度はこれを四億三千万に、標準団体における一般財源所要額としましては、かれこれ一億四千万近くふやしたわけでございます。ただ標準団体の規模を、従来は種別補正等を行なっておりましたので十万八千ヘクタールというような規模に見込んでおりました。したがいまして、昨年度は二億九千万の需要額を十万八千ヘクタールの数値で割りました一ヘクタール当たりの単価というものは、先ほどお話がありました二千六百八十円になるわけでございます。本年度は標準団体の一般財源はふやしたわけでございますが、標準団体における種別補正というのをやめましたために、標準団体の規模が三十五万六千ヘクタールになっておりまして、標準団体の規模が非常に大きくなって、種別補正をやめたことによりまして大きくなっておるというようなことがございまして、単位費用は千二百九円になっておるわけであります。ただ、財政需要額の面におきましては、昨年度は百三十二億円でありましたのが、本年度は七十億円増しの二百二億になっております。単位費用の面では落ちておりますが、財政需要額自体としては昨年より大幅に増加になっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/25
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026・山口鶴男
○山口(鶴)委員 最後に一つだけお尋ねしたいと思います。私は国と地方との財政秩序の問題について過般若干議論したことがあるのですが、いま一つ国と地方との財政秩序を乱しておる問題として、現在の国の制度で、警察の費用のうち警備関係の経費のごときは、これは国が、警察庁が直接この県の出納長に金をよこしまして、そうして国家公務員であります県警本部長が支出負担行為担当官ですか、支出を命令をいたしまして、出納長がそのまま金を出し、県の一般会計に対しては歳入歳出に全くのらない、こういう形になっております。労働関係にも、労働省から出します経費にも同じようなものがございます。それから厚生省から支出いたしますものについても同じようなものがございます。文部省が教育委員会に対して勤評なら勤評を進めるというようなときに、同じような形の経費を出すこともございます。私はこういうことは少しおかしいのじゃないかと思う。やはり自治省が住民に十分自治体の政治の全貌をわからしていく、住民のコントロールによって地方自治というものが行なわれていく、こういう精神に立ちますならば、少なくとも国からまいります経費、しかも自治体の職員を通じて支出されますところの経費、これは自治体の一般会計歳入歳出にすべてのる、こういう形にすることが、このように制度を改めていくことが、私は地方自治を確立するゆえんではないかと思うわけであります。この点について財政局長どうですか、こういうものを積極的に改善する気持ちはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/26
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027・細郷道一
○細郷政府委員 事務の分担と支弁の分担を一致させるか、食い違わせるかの問題につながるわけであります。本来、例をあげられたものは、国の経費の関係は全部持つ、こういうことでございますので、国の責任で全部会計事務までやる、こういうたてまえになっておるのであります。それを支出委任制度によって、それぞれ地方にいる出納関係職員に、国の支仕官なり、あるいは国の支出負担行為担当官なりがそれぞれありまして、一種の会計上の職務の委任をしておるわけでございます。こういう問題を全部すっきりするというのも、確かに会計手続上の問題として私どもは研究をしなければならぬだろう、かように考えます。ただ、すべてそういったものを予算の面で全部反映させることが地方団体の行政上必要なのかどうかということについては、それぞれの仕事の内容にもよりますので、よく研究をしてみなければならない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/27
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028・山口鶴男
○山口(鶴)委員 大臣が来ましたので、大臣にこの点だけお尋ねいたします。
大臣は国家公安委員長も兼務をされておるわけですが、特に警察の警備関係の経費は、自治体の一般会計には歳入歳出とも乗らぬわけですね。私はそういうあり方というものは、藤枝さんが自治大臣という立場に立って地方自治を確立するという面からいけば、おかしいんじゃないかと思うのですね。いま財政局長からいろいろ議論もあるというようなお話でありましたが、少なくとも自治体の職員を通じて行なわれる行政、そのための経費というものは、これはすべて自治体の一般会計の歳入歳出に乗せていく、そうして住民コントロールの場に供していくということが、私はほんとうの地方自治確立のゆえんではないかと思うのです。この点について大臣としてどのようなお考えであるかお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/28
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029・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 そういう点についてはいろいろ検討を要するものがあると思います。できるだけ支出するものは自治体の会計を通ずるということがすっきりした形だと思いますが、また一面、国家事務の性格からいいまして、そういたしかねる面もあるんじゃないか。実際の警察のある種の費目などはそういうことだと思うのですが、これはやはり国全体の支出の問題を、ことに自治体に関係するものをどう扱っていくかということを全般として検討をしていかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/29
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030・山口鶴男
○山口(鶴)委員 警察については経過があるわけでしょう。自治体警察と府県警察と分けましたけれども、この自治体が警察まで握っていくということがほんとうの意味での民主的な地方自治のあり方かということは、これは前から議論のあったところですが、警察法の改正によってあのような形になったという経過があるわけです。とすると、せめて予算の面くらいはこの地方自治のたてまえをとっていくということのほうが私はいいんじゃないかと思うのです。この点はひとつ時間もございませんから、大臣、十分検討いたしまして、国家公安委員長という面ではなしに、地方自治をあずかる自治大臣としての面からこの問題について十分な解答を出していく。御検討をひとついただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/30
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031・亀山孝一
○亀山委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/31
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032・細谷治嘉
○細谷委員 私は地方財政計画関連で、地方交付税法の一部を改正する法律案と、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案について質問をいたすのでありますが、厚生省のほうから見えております公衆衛生局長が参議院のほうの関係があるそうでありますから、少しあと先こんがらかるのでありますけれども、これから先に質問をいたしたいと思うのであります。
保健所法第一条に基づいて施行令の第一条に、二十九の政令都市というのが設けられておるわけです。これは二十三年にこの政令ができたと思うのでありますが、その後二十八年に改正されまして、三十七年、三十八年とたしか改正されておるようであります。しかしその改正は、北九州五市が合併をしたとかいうようなことに基づく改正でありまして、何ら内容に立ち入ったものではないわけであります。昭和二十三年ごろのこの政令を設ける基準というのは、大体人口十五万、こういうことを基準にして政令都市が指定されたと言われておるわけでございますが、二十三年から今日までといいますとやがて二十年、ずいぶん人口分布なりあるいは産業の分布なり激変をしておるわけです。今日の十年というのは、昔の百年に相当するというような激変が行なわれておるにかかわらず、この保健所法一条に基づく政令一条というのがそのままであったというのは一体どういう理由に基づくのか、これをまずひとつお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/32
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033・中原龍之助
○中原政府委員 ただいま先生からお話がありましたとおり、保健所法におけるいわゆる政令による保健所を設置する、しかしこの問題につきましては、できました当初は大体人口十五万以上の市につくりました。そのときのいきさつといたしましては、そのくらいのところでありますと財政的行政的にもできるであろうというような考え方があったように私は聞いております。もちろんこの趣旨は、できるだけ住民に直結をしたいろいろな施策が行なわれるようにというような考え方もあったと聞いております。その後世の中が変わりまして、だいぶ人口がふえてきておる市もあります。あるいは一向にふえないところもあります。それに対しまして、一体保健所の政令市というものにつきましてどう考えていくのかということになります。この政令市そのものに対しましては、実は私どものほうといたしましてもいろいろ研究をしておる問題がございます。要は保健所の最近の機能がいろいろ複雑になってまいりました。そうして仕事の量もふえ、あるいはまた保健所によりましてはその土地に合わせていろいろの行政を別に考えなくてはならないような問題もできてきております。そういうことで、十五万くらいの市ではとてもこれは保健所を持っていけないのではないかというような危惧が生まれてくる。それから一つの問題は、一つの市に一つの保健所をつくるというような形になりますと、従来人事の問題につきましてもそこに停滞が起こりまして、これが仕事の関係に反映してなかなかうまくいかない面も若干見られるようなことがございます。そういうことから保健所のあり方といいますか、そういうものについて根本的にどうしたらいいかというのがいろいろ検討問題になっております。現在私どものほうといたしましては、そういう意味で、保健所を一体どういうふうにしていくかということでいろいろ研究いたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/33
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034・細谷治嘉
○細谷委員 人口十五万程度あれば財政的にもやっていけるめどが二十年前にあった。それが激変が起こっておる、今後何とかせねばいかぬのだけれども、まだ方針は持たぬ、こういうことなんですね。私は、ことばの中にありましたように、やはり地方自治のベースというのは市町村だと思うのです。シャウプ勧告を待つまでもなく、そういうことなんでありますから、政令市ができることについて、私は基本方針は賛成なんです。問題は二十年も、これだけの激変が起こっておるのにいまだに方針を持たぬなんというのは、責任ある当局のことばとして受け取ることができない。この点はもうちょっとあとで申し上げてみたいと思います。大臣がちょうどいらっしゃっておりますが、こういう行政のあり方がいいと思いますか、これは厚生大臣の所管だということでお逃げになるだろうと思うのですけれども、地方団体にとっては、これはたいへんなことなんですよ。二十二年に法律ができて、それを受けて二十三年に政令ができて三十の都市が指定されたのです。そして合併等で整理されまして、たとえば八幡と小倉にあったものが合併されまして一つの市になりましたから、それで現在の政令市は二十九なんです。ところが、今日では人口四十万をこした市でも、たとえば浜松市、こういうところは政令市じゃないのです。ずいぶん激変が起こっておるんですけれども、自治大臣としてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/34
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035・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 保健所というようなものはできるだけ住民に身近なものであるということが必要で、したがって、相当な規模の市ならば持てるような方向にいくことがほんとうだと思います。したがいまして、いまお話のありましたように、もう二十年にもなるときですから、しかも人口の動態が非常に激変しておるときでございますから、十分厚生当局にも御検討をいただいて、新たな観点からこれらを見直していただくことが必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/35
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036・細谷治嘉
○細谷委員 この政令の二条に「保健所は、人口おおむね十万を基準として設置するものとする、」こういうことでありますから、現在指定されておる二十九の都市というのは、これは政令の指定を受けて、保健所一つ、あるいは十万を基準にして支所とか、そういうものを持つことは何も問題はないんです。問題は、こういう法律と政令ができながら、今日まで二十年間じんぜん日を送って今日まで何らの方針も持たないというところに私はたいへんな問題があると思うのです。厚生省の一種の怠慢だと思うのであります。そこで、自治大臣は、この法律あるいは政令の方向については賛成のようでありますが、ひとつ財政当局と厚生省に、この保健所の運営にあたってどういう補助が出されておるのか、交付税において、どういう交付税がいわゆる基準財政需要額に算入されておるのか、これをひとつ両省の担当者からお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/36
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037・細郷道一
○細郷政府委員 保健所につきましては、一昨年でありますか各種のばらばらの補助金を整理統合して、一括補助をやることになっておりまして、それによりまして本年度も全体としての補助率は三四%にきめられております。それから保健所におきます地方財源の充当状況でございますが、昭和四十年度の決算で見てまいりますと、府県分、市町村分を込みにいたしまして、一般財源分だけで二百三億の決算額になっております。それに対して基準財政需要額は百三十四億円、したがって、六十八億ほど財政需要額をはみ出たものがあるわけでございます。充当率としましては六六%くらいになっておる。これは主として人件費等によります超過負担部分と見られます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/37
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038・中原龍之助
○中原政府委員 ただいま自治省のほうから答弁がありましたとおり、保健所の運営費につきましては、三四%の補助、大体交付税のほうで六六%見るという形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/38
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039・細谷治嘉
○細谷委員 保健所に対する補助率が三四%というのでありますけれども、いま細郷財政局長からお答えのあった自治省の資料によると、四十年度の決算額というのは、歳出合計は都道府県分が百九十五億円、市町村分が六十億円でありますから、これは二百五十五億円ということになるわけですね。いまお答えいただいた二百三億円というのは一般財源の支出額なんです。これは歳出決算額に対しまして、大体八割か八割一分程度にしか当たっていないのです。二割は完全に超過負担になっておる。それで、そういう一般財源の二百三億の負担があるにかかわらず、基準財政需要額というのは、大体百三十四億しか見ておらない。六六%の充当率である。補助が幾らかといいますと、三四%といいますけれども、実際の支出額に対しては、国庫支出金は、府県の場合一六%、市町村の場合は一二・八%にしか当たらない、これは三四%になっていないのです。これはたいへんな超過負担が起こっているんです。政令が今日まで二十年間じんぜんとして見送られてきたこと、しかも、財源の裏づけはどうかというとこういう状態です。これをどうお考えなのか。財政局長、あなたのほうは六六%見ておるというけれども、六六%というのは八〇%に対して六〇%、実際はそれより二〇%よけい経費が要っているんですよ。これは超過負担です。どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/39
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040・細郷道一
○細郷政府委員 先ほど申し上げました二百三億は、四十年度決算における県、市町村の歳出合計のうち、その財源内訳としてみた場合の一般財源分が二百三億、交付税は一般財源分について財政需要の計算をいたしますので、それを財政需要額として百三十四億、これだけふえておる、飛び出しておるということで、一般財源の問題として実は問題がある。したがいまして、基本的には全体の数字としては二百五十億ほどの歳出に対して、補助金自体は三十八億しか出ておりません。非常に大きな超過負担額がある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/40
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041・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、政令はほったらかしてある、国庫補助金は三四%やっているはずだ、三分の一やっておるはずだというけれども、実際は県は一六%、市町村は一二・八%、これだけしかきていないのですよ。一般財源の六六%しかきていないですよ。私はたいへん問題があると思うのです。補助の三四%だって、実際の政令を受けた市町村は迷惑だと言っているじゃありませんか。自治を守るためにがんばっていますよ。がんばってまいっておりますけれども、こういう状態でよろしいのでありましょうか。これは厚生省の主管局長に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/41
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042・中原龍之助
○中原政府委員 お説のとおり、四十年度におきましては市及び県の超過負担というものが相当にあることは私も存じております。これの超過負担を解消するということに私どもも努力をいたしたいということで、四十一年度予算といたしましては、その中で一番の欠点でありました問題は人件費の単価の問題でありますが、人件費につきまして医師については七五%のアップ、その他の職員については三四%のアップを行なったわけでございます。その他いろいろ単価の問題等もございます。そういう点も順次直していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/42
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043・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、これはひとつ厚生大臣とよく打ち合わせをしていただきたい。補助は三四%と言いますけれども、確かに去年は医師は年間五十五万円くらいであったのを八〇%近く引き上げた。百何万円になっているでしょう。これではまだほんとうに医者は来ぬですよ。まだ超過負担はあるのです。直した、直したと言っておりますけれども、三百三十一億円の内数です。これは中に入っているのです。これではだめなんです。これも直さなければいけませんが、やはり根本的な問題は、こういう超過負担を強要しておることです。しかも都市には激変が起こっておる。ですから財源の裏づけを十分してやらなくてはいかぬ。これは自治省、厚生省、十分協議をして裏づけしてやらなければいかぬ、政令市としてやった以上。地方自治の本旨に基づいてやっているわけですから、同時に実態に即するようにやはり政令を改めていく。十万がいかぬなら、今日では大体市の基準というのは二十五万くらいになっていますから、二十五万なら二十五万というところに基準を置いて、地方自治の本旨にのっとって——政令を二十年間ほったらかして、今日まだ方針が出ないというのは情けないことです。これについて自治大臣と厚生当局のお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/43
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044・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 私も実際に当面しておりまして、保健所のお医者さんは地方ではなかなか獲得できない。したがって俸給も相当よくなければ、こうした国できめたような基準ではなかなか来ないというような実情は私も存じております。したがいましてこういう問題につきましては、こればかりではございませんけれども、再々お答えいたしましたように、そのゆえに各省共同で実態調査をして、その実態に合わせて超過負担の解消をやっていきたいということで、すでにそういう方針を打ち立てておるわけでございまして、御指摘の問題につきましてはよく厚生省とも連絡をとりまして、実態に合った改善をはかってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/44
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045・中原龍之助
○中原政府委員 保健所の問題につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、保健所で取り扱う仕事の内容も場所によって相当片寄りもある。そういう問題もございまして、どういう形に一体持っていくかということで研究会等を設け、いろいろやっておる最中でございます。それによりまして私どもも前向きにいろいろ考えていきたい。
なお超過負担の問題は、私どもよく存じておりますので、実情に沿うように努力していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 ぼくは、この問題に関する限りは厚生省は信用できない、いま検討しているというが、いつごろまでをめどにこの政令関係の問題について方針を出すのか、これを最後に聞いておかなければ、二十年じんぜん日を送って、今日いま研究しようといっても、これはおさまりっこないですから、これは具体的に、これから二年かかるのか、その辺をずばり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/46
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047・中原龍之助
○中原政府委員 と申しますのは、政令市の保健所ばかりではなくて、現在における保健所の機能から見て、一部の大都市においては非常に都市特有の問題もあるということで、それに合うような保健所の体系はどうするかということが関係者の間で問題になっているのであります。小さな保健所よりも、むしろ大型にして一つにまとめたほうがいいじゃないか、あるいはまた大型のほかにいろいろ機能別の保健所をつくったらいいのじゃないかとか、いろいろの議論が出ております。これは政令市において保健所をふやしていくというような問題と当然に問題がかち合ってくるものですから、その点を少し整理しておきませんと、政令市におきましてはなかなか一挙にできるだけ保健所を設置する数をふやしていくというふうには私はまいらないかと思います。しかしわれわれといたしましては、できるだけの努力を現在払っているつもりで、まことに申しわけありませんが、一年とか二年とかいうようなことを私はここで現在責任を持って申し上げる自信はありませんが、そういう努力を非常に払って、各県の担当者はもちろん、本省におきまして、あるいはほかの省の関係者も呼びまして、いろいろまとめている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/47
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048・細谷治嘉
○細谷委員 最中だ、最中だということでありますが、厚生当局は専門家でありますから、今日の時代に即応する保健所の役割りはどうあるべきかということは、そういう結論を出す前提は当然全部把握しているはずですよ。それから、検討していくというのもおかしな話だ。責任を怠っているとしか言えないですよ。そういう問題についての総合的な判断の資料というものはもう整っておらなければならぬ。いま結論を出すということになるわけであって、それがいま府県の意見を聞いているというふうなことは、これは理屈にならないですよ。端的に申しますと、二十年間何もやってなかったということからいきますと、あなたが期限をおっしゃらぬということは、これもまた十年か二十年このままだ、こういうふうに理解する以外にないわけですよ。大臣、この問題は地方自治体のたいへん重要な仕事なんです。ですから、この問題については厚生大臣とプッシュの役割りを演じていただかなければならぬのですが、大臣のお考えを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/48
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049・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、保健所の機能というものは地方自治体にとって非常に重要な役目の一つでございます。いま御指摘の点につきましては、厚生当局と十分打ち合わせをいたしまして、改善の努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/49
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050・細谷治嘉
○細谷委員 ちょうど超過負担の問題が出ましたので、この際、超過負担の問題についての自治大臣の決意のほどを確認をしておきたいと思う。
ことしの四月五日の予算委員会における正木委員の質問に対して、大臣はこういうふうにお答えになっているのです。「超過負担につきましては、年々いろいろ財政当局並びに各省とも御努力をいただきまして、四十一年度においては三百三十億程度、四十二年度においても二百六十億程度の解消をいたしておりますが、まだ相当に残っております。したがいまして、これを実態を調査いたしまして、そうして四十三年度を目途として段階的な、計画的な解消の方向に進みたいと考えておるわけでございます。」こうお答えをしておる。それからもう一つは、せんだっての山口委員の質問に対しまして、少なくとも三年で解消する、こういうお答えをしたわけですよ。私はどうも日本語がへたなものですから、よくわからない。少なくとも三年というのは一体どういうことなのか。三年以上ということなのか三年以内ということなのか、少なくとも三年というお答えでは、ちょっと私はその日本語がわからない。それからもう一つは、「四十三年度を目的として段階的な、計画的な解消の方向に進みたいと考えておるわけでございます。」四十三年度を目途として、四十三年度をスタートにして段階的な、計画的な解消の方向をとるとするのか、四十三年度を目途として段階的、計画的な解消を四十三年度に完成するのか、どっちにもとれるのです。これはどちらなんでしょうか。少なくとも三年なんという、ちょっと翻訳しなければわからないような日本語ではなくて、ひとつこの点についてぴしゃっと答えていただきたい。と申しますのは、いままでこの問題が問題になったときに、自治省は、いや二年で解消するのだということを答えたかと思うと、いや三年だということも答えた。これは毎年繰り返されておる。もうこの国会くらいではっきりひとつ藤枝自治大臣、ぴしゃっと答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/50
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051・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 各省共同で実態調査をいたし、そして昭和四十三年度の予算編成をスタートとして、三年くらいを目途として計画的な解消をはかりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/51
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052・細谷治嘉
○細谷委員 確認しておきますが、四十三年度をスタートとして四十三、四十四、四十五の三カ年で解消をする、こういうことですね。よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/52
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053・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 私としましては、三カ年計画くらいで解消するのが妥当であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/53
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054・細谷治嘉
○細谷委員 これはまた、私としてはときますと、大蔵省いらっしゃいますから、主計局次長、大臣が言うのですからほんとうでしょう、ひとつ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/54
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055・相沢英之
○相沢政府委員 超過負担の解消の問題につきましては、ただいま大臣からお話がございましたとおり、四十二年の予算折衝の際に、今後大体三年くらいで超過負担の問題は解消していきたい、こういう強い御要求がございました。私どもとしましても、この超過負担につきましてはなかなかその実態がわからない。はたしてどういう理由でこの超過負担が起きているのか、単にこれは国の補助単価が実態に即さないということだけではなくて、あるいは単独事業のつけ増しがあるとか、あるいは国が期待している以上の規模でつくる、あるいは規格でつくるというようなことも事実あるようでございます。したがいまして、ともかく超過負担の実態を自治省、大蔵省、各省共同で調査しまして、そのよってくるところの原因を明らかにし、そして国として期待するところの標準的な行政水準を効果的、効率的に達成するにはどの程度の単価を予算上とるのが適正であるかということにつきまして、できるだけ一致した結論を出していこうではないかということになったわけであります。そういうことで、ことしからこの実態調査をやることに踏み切りまして、さしあたり本年度は、この保健所の補助単価、人件費の単価を含めまして、六県につきまして実態調査をやることにしたわけでございます。自治省の、三年間を目途とするその考え方は私どもとしてはわかりますけれども、やはりこれは国の財政負担の関係もございますので、そういう実態調査等の結果とも関連しまして、できるだけそういう方向で努力はいたしたいと思っておりますけれども、はたして三年でどんぴしゃりいくかどうかということにつきましては、なかなかこれは今後検討を要する問題もあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/55
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056・細谷治嘉
○細谷委員 これはまた予想外の話なんですね。大臣、私があえて申し上げているのは、大体大臣が答えたことを大蔵省がみんなつぶしてしまう。この前も申し上げたのですよ。大体自治省は腰が弱いですよ。去年は、地方財政計画の中で三百三十一億円の超過負担を解消いたします、千四百二十億円ばかりあるので、大体残りは千百億円ぐらいであります。そうでしょう。いや、それは三百三十一億というのは名目的なものであって、実質は二百五十億しか解消していないのだと自治省は言っておったかと思うと、一年後の今日は大蔵省ペースで、完全に意見が一致しておるのです。いろいろ財政当局からその理由は聞きました。聞きましたけれども、いや大蔵はあれは名目的な解消で、こちらは実質的な解消で二百五十億と見ておるのであると雑誌にぴしゃっと書いておるのですから、世間はみなそう受け取っておるのですよ。そのことからいって、どうも超過負担については、大臣は私は違うと思うのですけれども、自治省全体はどうも大蔵省に比べると腰が弱いです。いまも大臣は、三カ年で四十三年をスタートとしてやりますと言われました。その意見は尊重しますけれども、あとはうやむやですよ。主計局次長さん、いま一千百億円残っているのですよ。ことし二百六十億解消したから、超過負担が大体九百億円ぐらいだといわれているのですよ。そういわれているのですよ。そうすると三百億円ずつ解消したら三年、これは自治大臣の言うのは常識じゃないですか。いままでよりあなたはペースを落とすつもりですか。いままでのベースでいけば、三カ年でやるのがきわめて常識的ですよ。大臣が独走しているのでも何でもないですよ。これはきわめて堅実な、きわめて常識的な三年計画です。私どもには不満があるのですよ。二年ぐらいでやるべきだと思っているのですよ。しかしいままでのベースがそうだから、大臣きわめて常識的な、堅実なお答えをしているということでありますが、それをしもお認めにならない。大臣、これは大蔵の主計局次長の答弁なんというのは非常識ですから、いままでのベースをくずそうとしている、後退しようとしているのですから、これは了承できないのですよ。もうちょっとはっきり、大蔵省は金を持っているのですから、ぴしゃっと答えなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/56
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057・相沢英之
○相沢政府委員 超過負担の千億という数字、これは私も承知しております。しかし一体千億はどういうような基準で調査した超過負担なりやいなや、その辺のところも実はよくわからないわけなんです。これは私どもも超過負担の調査を自治省がなさったときに、県からどういうような数字が出てきているか、県の当局の人の話も聞きました。そういってははなはだ失礼でございますけれども、そう正確な調査に基づいたものではございません。それだからこそ今度各省共同でその実態を明らかにしようということで、詳細な調査をすることに踏み切ったわけでございます。千億円だから、去年三百三十億、ことし二百六十億、このペースでいけば、三百億円ずつとしても大体三年で解消するんじゃないか、こういう御説だと思いますけれども、しかしながらこの超過負担の問題は、私申し上げるまでもなくよく御承知かと思いますが、たとえば補助の単価を上げますと、それじゃ昨年度までの補助単価に合わせようとすると、物価その他を考えまして実態に即するように単価をつくりましても、しかしはたしてその単価でもって、たとえば小学校の校舎というものを取り上げてみましても、つくるかどうかということは、これはわからないわけでございます。自治体としては、どうせつくるならこの際多少とも質のいいものをつくろうじゃないか。持ち出してもいいということでやられますと、これはかかった経費ということになれば、そういうサイドで調査すれば、これはやはり超過負担が出てくる。したがいまして超過負担額を確定して、それを何カ年間で割って年次割りにやるという考え方は、これは机の上では私は可能だと思いますけれども、なかなか実際問題としては困難な面があるんじゃないかという気がするわけです。三カ年程度で超過負担を解消したいという自治省の考え方に、私どもとしては根本的に反対しているわけじゃございません。そういう方向で私どもも努力をしていこうという気持ちで本年度の実態調査もやろうということになったわけでございますから、気持ちとしてはそういう方向にあるわけですけれども、それじゃ三年たちまして、四年目に調べてみたらまだあるじゃないか、これは約束違反だ、けしからぬということを言われましても、ちょっといろいろ困る問題があるんじゃないかということを思いますものですから、先ほどのような答弁をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/57
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058・細谷治嘉
○細谷委員 わかりました。これ以上言いたくないですけれども、千二百五十億ですか、超過負担の問題が出た昭和四十年のころ、秋吉主計官の前の人ですか、に私が質問しますと、自治省の見積もりは過大だ、こう言っておるわけですよ。過大だ、そんなにあると思いません、こう言っているわけですよ。あなたがおっしゃったように、何もぜいたくなやつをやったのを超過負担なんて言っているわけじゃないですよ。自治省だって単価の問題、基準の問題、いわゆる補助適用範囲の問題、そういう問題なりがいろいろ出ておるわけですね。地方財政法上の問題、そういうような問題をとらえてやっておるわけなんで、自治省が今日いう九百億か一千億というのは、大蔵の把握というのは、大体いままでの態度からいくともっとシビアーだと思う。そうしますと、いままでの実績からいって、三カ年というのはずいぶん自治大臣としてもしんぼうしたもんだと私は思うのです。ですからひとついまのお答えで大体大臣のことばを尊重して、それを目途におやりになる、こういうようなお考えのようでありますから、これはこれ以上申し上げません。
次にお尋ねいたしたい点は、今度の地方財政における、四十二年度の地方財政の特別措置に、臨時地方交付金という名において第一種と第二種というのが出ておるわけですね。第二種というのは二十五億円の道路財源の、金額にすればこれはシラミみたいなものだが、第一種の九十五億円という内容はどういうものなんですか。ちょっとお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/58
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059・細郷道一
○細郷政府委員 特別事業債の四十二年度におきます償還、これは利子だけでございますが、それと、それから昨年いたしました固定資産税減収に伴います四十二年度の所要額、その両方の交付団体分を基礎とした数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/59
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060・細谷治嘉
○細谷委員 固定資産税というのは県にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/60
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061・細郷道一
○細郷政府委員 一般的には御承知のように市町村です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/61
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062・細谷治嘉
○細谷委員 一般的にはとは、きわめて正確なことばです。償却資産の上積み分については県にあるのですよ。土地はないでしょう、ありますか。今度の四十二億円というものは、償却資産のものは関係ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税は御承知のように土地の免税点引き上げの問題、それから電気ガス税、水道に対します免税の問題、これに見合うものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/63
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064・細谷治嘉
○細谷委員 そうでしょう。四十二億円というのは昨年固定資産税に関連して行なわれた免税点の引き上げと電気ガス税、上水道等について、あるいは工業用水等に関する電気ガス税の免税についての財源補てん策、それから出てきているわけですね。そうしますと、これは府県に関係ないですよね。ところが特別事業債の九百十九億円、それの利子分五十三億円と込みにして九十五億円とした理由がわからぬ。関係ないでしょう。それを九十五億円まとめて第一種交付金にして府県に配るわけでしょう。理由は何ですか。事務的に複雑だから配るのか。異質なものと異質なものなのだ、これを込みにした理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/64
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065・細郷道一
○細郷政府委員 固定資産税の減収分につきましては、交付税算定上基準財政収入額で落ちて出て、基準財政需要額との差額に対して交付税が交付されまして、一本のお金になって出るわけでございます。そこで今回第一種の九十五億円を府県に見合う分は府県、市町村に見合う分は市町村、こういうことにいたしますと、特別事業債の利子の部分につきましては府県の部分と市町村の部分がある。そういった問題もございまして、それぞれに仕分けをしなければならないわけでございます。かたがたそういう方法は会計手続上非常に煩瑣なことでもございますので、交付税と合わせて算定することにいたしました関係から、九十五億相当分は府県に限定をする、こういういき方をとったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/65
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066・細谷治嘉
○細谷委員 これはおそらく第一種交付金九十五億円というものは、内容は四十二億と五十三億という特別事業債から出てきている問題と、固定資産税の免税点の引き上げから出てきているものであって、片や大部分は、九割というのは府県に関係があるもの、片や一〇〇%市町村に関係のあるものです。これを込みにして、事務的に煩雑だから第一種の臨時地方交付金として府県に配るというのがおかしいと思うのですよ。大臣、この問題はずいぶん委員会で問題になりまして、私は速記録で要点を写してまいりましたから、ちょっとお読みいたします。これは昨年の四月十四日の地方行政委員会の会議録第二十五号であります。これは私が質問したわけでありますけれども、これは与野党の理事懇談会で大体が合意のもとにおいて、質問の内容も答弁の内容も事前に打ち合わせて、公式の記録に残したものであるということをひとつ御了解いただきたいと思う。それを読んでみます。「大蔵大臣に御質問いたしたいのでありますが、ただいまの大蔵大臣の発言中、実質的に地方財政の負担とならない方法とは何か。全額国庫の負担により補てんすべきで、この場合の補てんの方法は一般財源の補てんによるものと思うがこうか。第二は、補てん額は初年度五十二億円、平年度五十七億円であって、昭和四十一年度ばかりでなく、昭和四十二年度以降においても考慮すべきものであると思うが、どうか。三、補てん額の配分にあたっては、交付団体、不交付団体の区別はすべきでないと思うが、どうか。四、補てんの時期はいつか。」これに対して福田大蔵大臣の答弁です、「補てんを一般財源でするかどうかという問題につきましては、一般財源で処理する、こういう考えであります。それから第二に、金額はというのですが、ただいまお話しのような数字というふうに私も了承をいたしておるわけであります。それから第三の補てん額の配分につきましては、交付団体、不交付団体の区別はいたさない、かように考えております。第四の補てんの時期につきましては、これは法律あるいは予算を要するというようなことでありますれば、そういう方法と相なるという場合におきましては、次期の国会において処理する、こういう考えであります。なお最後に、昭和四十二年度以降につきましては、修正の趣旨にのっとりまして、自主財源の増強によって処理するように努力をいたす考えであります。」こういうふうに答えておるわけです。これからいきますと、問題は五十二億というのを十億円削って、交付団体分の四十二億にしたというのも、大蔵大臣の答弁の趣旨からいくと、間違っております。本年度四十二億円を臨時地方交付金の九十五億に込みにしたことも間違いであります。これについて自治大臣と大蔵省の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/66
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067・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 この福田大蔵大臣の時代は、年度の途中でああいう国会の修正があったわけでございます。したがいまして、その交付税の算定、その他ということが非常に困難でございますので、福田前大蔵大臣のお答えになったような処置を四十一年度においてはやったわけでございます。四十二年度につきましては、年度初めからの計算ができるわけでございます。先ほど財政局長がお答え申し上げたような形で、いずれにしても、地方自治体がこの免税点の引き上げによって受けた減収額を補てんするという形をとったわけでございまして、この処置で地方自治体には御迷惑をかけないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/67
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068・相沢英之
○相沢政府委員 大蔵省といたしましても、ただいまの自治大臣の御答弁と同じ考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/68
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069・細谷治嘉
○細谷委員 この辺になると、きわめて明瞭に同調してくるんですが、同じように四月五日の予算委員会の会議録第十二号に、まあ、よくもまた言ったものだと思うんですけれども、正木委員の質問に対して、いまの問題で大蔵大臣答えていわく「いずれにしろ、そういうことで両省の話はきまったわけでございます。」というのが結論的な答弁ですよ。これでよろしいんですか、こういう態度でよろしいんですか。これは一年前の答弁と全く違うでしょう。いわく、いずれにしろ、理屈は何であろうと、経過が何であろうと、両省できまったんですから、これでいいんだ、こういう答弁ですよ。これは納得しないです。こんな答弁はないですよ。それを今度交付税で考えたからとかなんとかという理屈はない。固定資産税の免税点というのは市町村の財源なんです。四十二年度においても四十一年度と同じような精神で考えなければならぬ、こう言っているんですから、両省で話がきまりました——ことしの予算がきまったのは二月の十日ごろです。話がきまりました、文句言いなさんなという水田大臣の答弁ですよ。もう一度、大臣、これでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/69
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070・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 臨時地方財政交付金にいたしましたのは、先ほどお答えいたしましたような理由でございます。大蔵大臣は、おそらくそういうことで、この間成立させていただいた四十二年度の予算につきましては、両省の間で話がきまりましたということなんで、経過について省略されておりますから、いかにも理屈抜きに、そうきまったんだからいいんだというふうにおとりになるかもしれませんが、そうではなくて、先ほど私が申し上げたような経過をたどって両省の話がついた、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/70
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071・細谷治嘉
○細谷委員 きわめて不満でありますが、ちょっと関連がありますから、五十三億のほうに入ります。特別事業債を発行いたしました。これについて福田大蔵大臣は、本会議でこういう答弁をしているんです。「基準財政需要のうち、投資的経費六百億円を特別事業債財源に振りかえた、これは国でその元利の補給等は保証すべきではないかというような御意見でございまするが、この六百億円に限らない、」よく聞いておいてください。この質問は、千二百億円というけれども、そのうちの六百億円は、正確に言うと五百九十億円というものは、いままで交付税で配っておったものを、交付税が足らぬから、基準財政需要額からはずしてしまった。いってみれば、当然交付税でもらう権利がある地方団体の権利を特別地方債に切りかえたわけです。そういうことでありますから、千二百億円のうちの六百億円は何とか元利は国が責任を持つべきだという質問に対して、「六百億円に限らない、今回の特例債千二百億円あるのです。」と教えてもらったんです。倍あるんだ。大蔵大臣は「六百億円はその半分なんであります。」確かに千二百億円の半分であります。これも教えていただいた。「この全体につきまして、将来毎年の元利が支障なく払えるように財政上の措置をとりたい、さように考えておるのであります。」きわめて明瞭であります。これを受けてこの委員会においてどういうふうに答えたかといいますと、これは質問のほうですが、「今度の場合には特別事業債に振りかえられた公共事業費等の地方負担分にかかわる元利償還金については、国の責任において処理する必要があると考えまして、当委員会においてもその趣旨の附帯決議を行なうよう申し合わせができておるのであります。この点につきまして大蔵大臣の所見を承っておきたいと思います。」大蔵大臣「ただいまの点につきましては、御意見のとおり処置する考えであります。」附帯決議はどういうものかといいますと、「特別事業債に振り替えられた公共事業費等の地方負担分に係る元利償還金については、国の責任において措置すること。」こういう附帯決議がなされておるわけです。この大蔵大臣の答弁したとおり、そうしてこの委員会の附帯決議のとおりなっておるでありましょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/71
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072・細郷道一
○細郷政府委員 先にちょっと申し上げます。
特別事業債のうち交付税の基準財政需要額に見合いで発行されたものは九百十九億でございます。したがいまして、先ほどの御議論にございましたように、一般財源であるべきであったものが特別事業債になったという部分は、その額になるわけでございます。それにつきまして、その元利の償還に対する財源措置をどういうふうな形でやるか。これにつきまして私どもは、元利補給という形でこれを解決すべきではなかろうか、こういうことで主張をいたしておったわけでございます。それが一番直截簡明な方法であるというふうに考えたわけでございますが、四十二年度につきましては、たまたまその分のうち利子分だけが償還に入るわけでございまして、元金部分は四十三年度以降の問題になるというような事情もございましたので、四十二年度は、その元利補給によります制度的な方式が最後までまとまりませんでした。不十分でございましたけれども、四十三年度以降の問題は今後の問題として残し、四十二年度につきましては、利子分についてこれを処置する、こういう方式をとったわけでございます。なおその際、この元利を補てんするという意味におきまして、それぞれ特別事業債を発行いたしました団体について、その利子分について全額を交付税の財政需要に立て、算定をいたしました。そうして御承知の、交付税算定の基準収入が基準財政需要に満たない分について交付税を交付するというルートに載せたわけでございます。そういったようなことから、本年度につきましては、交付団体分の額に相当するものを第一種交付金の中に含めまして、それを交付税にプラスをして交付税の算定をする、こういうふうにいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/72
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073・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、いまの経過は、当時は四十年ベースで五百九十億円、内訳は、府県の分が五百四十億、市町村の分五十億切ったわけです。それが四十一年ベースになりますと、九百十九億円になるという形になったわけですが、これは私は理解しているわけです。だとするならば、九百十九億円について、二年据え置きでありますから、ことしは元金の返済は起こってこないのですが、利子があります。これは六十四億円でしょう。ところが五十三億円というのは交付団体分だけしかやってないのです。これは交付、不交付を問わず、当然特別事業債というのを借りておるんでありますから、交付税を切ったんですから、やはり約束どおり、交付、不交付を問わず考慮すべきじゃないか、こう私は思うのです。今度の法律では四十二年度分だけやって、四十三年度以降は何も書いてないですよ。交付、不交付の問題は議論があるとしても、四十三年度以降も続ける、四十三年度から元利が入ってくるわけですから。ところが、大臣が参議院でお忙しいときに、伊東政務次官は何とお答えしたか。地方団体が困らないようにやってまいりますときたですよ。こんなとぼけた答弁がありますか。経過からいきまして、地方団体が困らないように処理しますなんということで済まされないですよ。ですから大臣、はっきりと……。大蔵省にもお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/73
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074・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 臨時地方財政交付金になりました経過については御理解いただいておるわけですが、元来、特別事業債というのは、ほんとうは交付税て処理すべきものが処理しなかったということでございますので、したがって、今回の場合におきまして、地方団体の財政需要の中に利子分をまるまる入れて財政需要を立てまして、そして交付税の算定をいたすわけでございますから、これは国が国の責任において始末をしたということになるんじゃないかと私は思います。今後、元金の償還も始まります四十三年以降につきましては、政務次官が困らないようにというのは、要するに地方財政の中でやりくりするということではなくて、国が責任を持って困らないようにするというお答えをしたわけでございまして、そういう考え方で検討をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/74
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075・相沢英之
○相沢政府委員 特別事業債の千二百億のうち、九百億は基準財政需要を削減して振りかえたということになっておりますが、そういった点で、特別事業債は、本来一般財源でまかなうべきところを、その不足を補うために発行されたというような性格があるといわれたわけでありますが、そういうことからいたしまして、その元利償還については、一般財源による保証が与えられればこれでいいということになると思います。問題はその元利償還を保証するに足るところの一般財源が期待できるかどうかということでありまして、地方団体に対して、その元利償還財源を保証する形といたしましては、基準財政需要額に、先ほど財政局長から答弁がございましたが、その四十二年に関しては利子の全額を見込むことによって対処し、片やその財源の面では、これは当初私どもが四十二年は相当地方税もあるいは交付税もふえるから、特別に財源を見なくてもやれるではないかといっておったのでありますが、諸般の傾向もございますので、地方財政の一そうの健全化を促進するという意味におきまして、特に五十三億ほどの交付団体分の財源分を、特別交付金という形で処理するということにしたわけでございます。したがいまして、大臣が国の責任において財政上の措置を行なうということは、そういうような方法によってお答えしておることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/75
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076・細谷治嘉
○細谷委員 そうしますとお尋ねいたしますが、なるほど今度は五十三億円というものが臨時地方財政交付金の中に計上されました、いわゆる特別措置というものがあるわけです。来年度は、大臣のことばをそのまま受け取りますと、地方団体が困らないようにというのはどうするかということになりますと、引き続いて四十三年度における地方財政の特別措置という形で五十三億円、交付団体分か不交付団体分か、議論がありますけれども、その元利分というものを特別措置という形で見るか、あるいは交付税率三三%を上げていくか、方法は二つしかないのです。どちらかをとるということですね。国税三税の伸びいかんによっては、交付税が伸びるかもしれぬから、そのときには三二%は据え置きだ、特別措置はなくするんだ、こういうことで地方団体に迷惑にならぬようにということにはならないですよ、大臣のおことばを率直に理解しますと。特別措置でいくか、交付税率を上げるか、二つの方法しかない。三二%は据え置いて、特別措置もやらないで、交付税の中を特別に分ける、こんなことではタコの足食いですから、地方団体が迷惑を受けることははっきりしておりますから、この辺は少し念のために承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/76
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077・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほども申し上げたように、地方に迷惑をかけないというのは、地方財政のやりくりでやるという意味ではない。しかし、それは本年のような臨時措置でやるのか、その他の方法があるか、これは考えなければならぬと思います。しかし、これも特別事業債の償還が終わればそれはなくなるわけですから、その辺はどういう形でやるかということは、いろいろ考究しなければなりませんが、地方財政のやりくりでやるんだという意味でないことだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/77
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078・細谷治嘉
○細谷委員 大蔵省、それでよろしいんでしょうね。大臣がかわったからといって、福田さんと水田さんとかわかったからといって、大臣ははっきり答えているんですよ。方法は二つの方法のいずれかでありますが、そんなことは私聞きません。地方財政はタコの足食いではやれないと言っているんですから、大蔵省、ひとつ福田さんが答えたような方針で答えてください。すると自治大臣と一致するんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/78
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079・相沢英之
○相沢政府委員 前大臣が国の責任において処理するという御答弁をなすったことは、これは別に元利補給をするという答弁をしておるわけではございません。そこで、その責任においてどういう処理をするかという方法としまして、四十二年度は、先ほど申し上げましたとおりに、地方団体に対する償還費の財源保障の面ではそれを基準財政需要額に見込むという方法をとり、他面その地方団体全体の一般財源に対する面では、先ほど申し上げましたとおりに臨時交付金を普通交付税に上乗せするという形をとったわけでございます。四十二年度以降の取り扱いにつきましては、私どもは、地方団体に対する関係では、やはりかつてございました特定財源方式によりまして、その元利償還費の所要額を基準財政需要額に算入するという方法が考えられますし、それでもって一般財源がどういうような状況になるかということにつきましては、四十三年度の地方財政全体の収支の状況を見まして、はたして特別な措置をとる必要があるかどうかということを検討すれば足りるのではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/79
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080・細谷治嘉
○細谷委員 次長、あなた大臣のことばをごまかしちゃいかぬですよ。さっきも読んだでしょう。元利償還については——償還と言っているんだよ。それについては「御意見のとおり処置する考えであります。」と言っています。国の責任において処置すると言っているんですよ。元利については、言った覚えがないというのでは、これは何のための速記録か。速記録をお読みになってくださいよ。昭和四十一年四月十四日の地方行政委員会会議録第二十五号。元利は御意見のとおりやると言っているんですよ、これは。いまの元利は言った覚えはないというのは、取り消していただかなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/80
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081・相沢英之
○相沢政府委員 ことばの足らない点は補わしていただきますが、私の申し上げましたのは、元利を支障なく支払いするように財政上の措置をとるという点につきまして、それは必ずしも、いわゆる元利補給の形でやるということを約束したわけではないということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/81
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082・細谷治嘉
○細谷委員 もう一ぺん言ってください。わからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/82
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083・相沢英之
○相沢政府委員 大蔵大臣が、元利の償還について支障なく支払いをするように財政上の措置をとるというように申し上げましたのは、いわゆる元利補給金という形がございますね、いろいろとほかにもございますが、そういう形でやるということを申し上げたわけではない、こういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/83
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084・細谷治嘉
○細谷委員 私が言っているのは、自治大臣はこう言っておるんですよ。あなたは、元利補給ということは、大蔵大臣はそんなことを言った覚えはないと言うけれども、元利を補給するというのは——補給の方法はいろいろありますよ。そっくりそのまま補給するか、あなたが言うように基準財政需要額に計入して、今度は利子を見た、来年は元金も見て、元利を——いわゆる測定単位費用を変えるわけだ。そうすると基準財政需要額に入ってくるわけです。その結果として、交付団体、不交付団体にいくいかぬは別問題ですよ、算入されて、基準財政需要額と収入額との差額で交付団体か不交付団体かきまるわけですから、それはいいですよ。基準財政需要額に計入することによって、元利が払えるような体制をとるのか、まともに元利補給というかっこうでいくか。しかし、まともに元利補給ということは大臣も言っていないんですよ。私も基準財政需要額でもやむを得ないだろうと言っているんですよ、交付団体、不交付団体、これは別としまして。その場合に自治大臣が言っておることは、こういうことです。地方団体が迷惑を受けないようにしますということは、具体的には交付税率三二%を、その分だけ上げるということでいくのか、上げるということになると、元利が終わった場合の五十何年かにはまた交付税率にかかわってきまずから、おそらく地方財政の特別措置という、去年、ことしにあるような、そういう形の元利比較——今度は百何億円になるでしょう。それをやはり計上してもらわなければいかぬわけですよ。それでなければ、基準財政需要額ばかりふやしてもらったって、タコの足食いみたいなものだ。コップの中のあらしだ。三二%は確定しておいて、その中で適当にやりなさい。今度は交付税の総額が伸びたから、ことしと同じだ。大体地方団体は払う能力があるから三二%のワク内でやりなさいといったら、地方団体は迷惑を受けたということですよ。大臣の趣旨と反対ですよ。ですから、私それを言っておる。基準財政需要額でもけっこうであります。自治大臣が言うように、地方団体が迷惑を受けないようにするということを確認できるかどうか。これは大蔵大臣が確認したことですから、確認できないはずはないでしょう。どうぞお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/84
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085・相沢英之
○相沢政府委員 私ども使いなれておる用語で御答弁申し上げたので、多少その点で誤解を招いたかもしれませんが、私どもは、元利補給といいますと直接に元利を補給する、そういう基準財政需要額に見込むとかいうようなことでなくて、直接にその元利を補給するということを通常元利補給というふうに使っておりますものですから、そういう意味で元利補給をするということを約束したのではないということを申し上げたわけでございます。
それから四十三年以降の問題につきまして、元利償還費を基準財政需要額に算入した場合のその財源について、それを交付税率の引き上げまたは本年のごとき臨時交付金の形で必ず見るかという御質問に対しましては、これは私どもは、やはり交付税率の引き上げにいたしましても、臨時交付金支給にいたしましても、これは四十三年度の地方財政の収支の全体をよく検討いたしませんときめかねる問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/85
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086・細谷治嘉
○細谷委員 これは大臣のことばと根本的に違って大蔵省の考えは、地方団体の迷惑を受ける方法でやろうという意図が十分あると言わなければならぬ。
細郷局長、ちょっとお尋ねしますが、最近出ました「府県政白書」というのを見ますと、特別事業債がない場合とある場合と、いわゆる元利というものをそっくりそのまま持たせられた場合に、いわゆる地方団体、府県の公債費はどういうように変化するかということが書いてあるのですよ。これはむろん幾つかの地方債の伸びを仮定しての話でありますが、昭和四十三年は特別事業債がない場合は九百二億円なんですよ。ところが、特別事業債が、元利を地方団体が負担するということになりますと、それより二百億円ふえまして千九十八億円になるわけですよ。そうしますと、ない場合は五・五%の一般財源に対するウエートですけれども、これを払わせられると六・七%のウエートになるのですよ。五十年はどうなるかといいますと、元利は、特別事業債がない場合は二千五百七十五億円でありますけれども、驚くなかれ四千三百四十八億円の返済で、一般財源の一四%弱、これは公債費になっちゃうわけです。こういう数字が府県政白書に出ておるのですが、大体こういうことだということを確認できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/86
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087・細郷道一
○細郷政府委員 御指摘の資料をちょっと私も見ておりませんので、そういう数字になるかどうか、数字の点についてはちょっとお答えいたしかねます。ただ、特別事業債が今後も毎年度同じような規模で続くということになりますと、たしか公債費は十数%になるのではないかというふうに記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/87
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088・細谷治嘉
○細谷委員 これは府県政白書の二九七ページに、仮定のものも、こういうふうになる条件というものをぴしゃっとそろえて計算してある数字でありますから、これを見ますと、公債費が五%以上伸びちゃうのですよ、昭和五十年度には。たいへんなことなんです。いってみますと、大臣、府県なり地方団体に迷惑がかかる、かからぬという問題よりも、昭和五十年くらいになりますと、不可能な段階にくるわけですね。いわんや、それまでに税財源の再配分が行なわれるなんということは、これは議論になりませんよ。不可能な状態。たいへんなウエートになってくるわけです。ですから、私は、大臣の考えどおり地方団体に迷惑をかけないということは、これは今度のように特別措置でいくのか、基準財政需要額に計上いたしましても、その財源は特別措置としてあらかじめ国のほうから裏づけするか、あるいは交付税率をその分だけ上げるか、いずれか一つの道を選ぶ以外に道はないわけです。私は、大臣おっしゃるように、元利がなくなった場合に、交付税率を上げるということはなかなかできないということになってくると思うのです。まあ特別措置が続くということになると思うのです、この分でいくと。しかし大蔵は見解が違うので——時間がありませんから、委員長、これはひとつあとで、大臣と大蔵省が意見が違うのですから、これはこのままではおけないですから、大蔵大臣か、政務次官にぜひおいでいただきたいと思います。この問題は保留します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/88
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089・亀山孝一
○亀山委員長 了承しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/89
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090・細谷治嘉
○細谷委員 次にお尋ねいたしたいことは、いろいろ各委員から質問があったと思いますけれども、地方交付税法の第六条の二はあと回しにしまして、第六条の三について御質問いたしたいのであります。
第六条の三の二項にこういうことが書いてあるのです。「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」いってみますと、普通交付税を計算していった場合に、基準財政需要額を積み上げていった総額が著しく違った場合には、交付税を上げるか制度の変更をしなければならぬと、こう書いてあるのであります。ところで、これは自治省のまとまった意見だとは書いてありませんけれども、れっきとした自治省の課長が書いた本であります。その本に、この第六条の三の「引き続き」「著しく」というのはどういう解釈をしているかといいますと、「「引き続き」であれば一年度では足らず二年度以上続く必要があろう」と、こう書いてあります。全く妥当ですね。それから「「著しく」とはどの程度かという問題があるが」、「「著しく」という場合には、少なくとも百億円程度の差が生じたときであろうという説明がこの立法当時からなされてきている。」はっきりしました。この六条三の二項というのは、著しくというのは百億円こしたらもう著しくなるんだ、引き続いてというのは二年以上だ、こういうことであります。
ところでお尋ねいたしたい点は、最近の交付税の推移を見てまいりますと、どういうふうに基準財政需要額が変わっておるかといいますと、こういうことですよ。昭和三十九年は千八百五十二億円の需要額の増が交付税計算でなされておるわけです。交付団体分ですよ。四十年は千五百九十七億円であります。四十一年は九百一億円であります。去年です。四十二年は幾らかといいますと、二千七百十三億円であります、需要額の増は。そうなると大臣、百億円どころじゃないですよ。これはどうですか。昨年は九百一億円、このとき自治省は、大体従来のペースで計算したら需要額の増は幾らになるかといいますと、千四百五十億円くらいになるだろう、ところがワクがないものですから九百一億円に合わせた。第六条の三の二項の精神にも沿っておらないで、六条の精神でも運営していないですよ。しかも六条の精神で運営してなくて、結果として百億円以上の差ができてきたのでありますから、これは一体この六条の三の運営を忠実にやっておらぬと言わざるを得ないのでありますが、これは局長から答えてください。交付税率を上げるか制度を変えなければいかぬ。ところが、いままでこの六条の三の二項に基づいて交付税率を変えたためしがないのであります。幾度か交付税率は変わってきましたけれども、六条の三の二項に基づいて変えたためしはないのであります。立法精神にも違反している、法律の精神にものっとっておらぬじゃないか、こう言わざるを得ないのでありますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/90
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091・細郷道一
○細郷政府委員 いまのお話で、「引き続き」ということの見解についてはその本に書いてあるとおりでありますが、「著しく異なる」ということにつきましては、交付税総額の推移という問題がございますので、何億円くらいということはなかなかむずかしいと思います。したがいまして、その本に書かれておりますのが百億円というのは、その本の書かれた時期がいつであるか、ちょっと記憶がございませんが、交付税の当初におきましては、そういったようなことが非常にばく然と言われたことが確かにございます。しかし定説ではございません。ただその趣旨といたしますところは、やはり相当の額が食い違ってくる、こういう意味と私どもは思っております。なお具体的な問題といたしましては、交付税算定の技術的なことになりますが、調整額がどれくらい出るかということも一つのめどになろうかと思います。最近におきましては、調整額は大体六、七十億というのが例年の例になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/91
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092・細谷治嘉
○細谷委員 この本は四十年の二月一日発行ですよ。ですからあなた、これは確かに巻頭序言に、自治省のまとまった意見ではないということは書いてある。まとまった意見ではないというけれども、これは当たらずといえども遠からずだということも書いてある。しかもこれは、百億円とぴっしゃり書いてあるのですよ。これが間違いなら、この本売るのやめさしたらいいでしょう。「著しく」というのは、この立法当時、昭和二十九年の議事録にも、いろいろ議論された結果、大体百億円程度だという答弁をなさっておるようであります。その議事録は持ってきてないのですが。だとすると、この六条の三に沿って交付税のワクはきめられておらぬ、こう申すほかはないのであります。これはつかみです。それで、交付税が少なくなったならば基準財政需要額を減らせ減らせ、とどのつまり減らしようがなくて、いままでやっておった基準額から差し引いて事業債に切りかえたなんという、そういうことまで出てきているわけです。六条の法の精神にのっとったら、こんなことにならぬですよ。大臣、ひとつ明確なお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/92
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093・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 その本に書いてあることにつきましては、どういうことかわかりませんが、六条のあれができました当時の御論議があったように記憶いたしております。その当時は交付税は相当低い数字であったと思うので、そんなところから百億というようなことが出てきたのじゃないかと思いますが、いずれにしても、「著しい」というのを額できめるということもなかなかむずかしいのじゃないかと思います。要するに、交付税の総額、それと財政需要額の総額、これに引き続いて著しい差が出たという場合でございまして、現在の段階におきましては、必ずしもそういう意味において交付税の総額、それから財政需要額の総額、それを比べて著しい差が引き続いて起こっておるという事態ではないのじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/93
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094・細谷治嘉
○細谷委員 この計算では、大臣、十条で計算いたしました交付税対象額というのは、昭和四十一年は四百八十九億なんですよ。四十年は七百三十四億ですよ。今度は千二百八十八億なんですよ。交付対象額は、これを見ていただきますと、大臣、八百億くらいの差があるのですよ。この本は昭和四十年、しかし立法の精神は二十九年でありますから、そのとき百億といった。四十年に、確認はしていませんけれども、大体このくらいだろうということで百億と書いてあるのですよ。遠く隔たっても十年ですよ。この本ができてからまだ二年しかたってないですよ。八百億の差があったら、いいかげんどうですか、六条の三について、やはりちょっと問題がありますということになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/94
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095・細郷道一
○細郷政府委員 あるいはいまあげられております数字は、対前年の増加額を言っておられるのではないかと思いますが、対前年の増加額は、御承知のように、収入の面におきましては、地方税の自然増それから交付税の自然増、それから需要の面におきましてのまたそれに見合う増というものがあるわけでございますが、六条の三でいっておりますことは、むしろ交付税の需要を算定した総額が、総額に基づいて交付税を配分しようとすると、そこに著しく開きが出る、こういったような場合を六条の三はいっておるわけでございまして、これが交付税制度に昭和二十九年に変わりました当時、いまお話しのように、たしか当時は、まあいえば百億くらいでしょうかというようなことを申し上げておった時代もあろうかと思いますが、当時の地方交付税の額自体は、御承知のように、たしか千億から千二百億くらいのころであったかと思います。現在は御承知のように八千億から九千億というようなことで、その後いろいろ率の変遷等もあるわけでございますが、非常にオーダーも違っておりますので、額につきましては、先ほど申し上げたように、立法当時のそういった趣旨をくんで、やはり相当額のものがあった場合、こういうことであろうと思います。そういう意味におきまして、六条の三第二項の法の規定の趣旨に違反をしたようなやり方を私どもはしているとは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/95
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096・細谷治嘉
○細谷委員 官僚は法律違反だなんということになると非常にいやがるから、ぼくはそういうことばは使いたくないのですが、どうもやはり六条の三の二項の運営がおかしいので、せっかくこういう規定がある、それで引き続いてとか著しきものについては、時代の趨勢で変わるにしても、これはやはり立法の精神を尊重して運営していただかなければならぬと私は思うのです。ですから、大臣、ひとつこのことについての自治大臣としての姿勢をぴしゃっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/96
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097・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 もちろんそういう法律がある以上、その趣旨を考えて常に検討しなければならないことは当然だと思います。いままでそれの発動によって交付税率あるいは地方財政毎度を変えたことはございませんけれども、六条の三の二項のいっておる精神、そういう事態に立ち至っていないと判断をいたしていままでは変えなかったわけですが、その条項そのものは、常にその趣旨に従って検討はしていかなければならないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/97
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098・細谷治嘉
○細谷委員 いままで交付税率を変えた場合には、この六条の三の二項に基づいた前例はないわけです。これはやはり自治省がこの六条の三の二項というのを、これは重要な規定だと私は思うのですよ。ですからこれは十分尊重していただきたいと思うのです。
念のために、大蔵省、六条の三はどうですか、これは尊重しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/98
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099・相沢英之
○相沢政府委員 交付税の率の変更に関しましては、第六条の三第二項の規定しかございません。したがいまして、この交付税率の変更がこの規定に従って当然行なわれるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/99
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100・細谷治嘉
○細谷委員 尊重するということであります。
それでは次に、たびたび問題になっておりますことについて質問するのであります。
第六条の三の第一項、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額をこえる場合においては、当該超過額は、当該年度の特別交付税の総額に加算するものとする。」こういう規定がありまして、どういうふうになっているかといいますと、これもこの本ですよ。信用できぬならできぬと言ってもいいです。あなたの部下の書いたものです。いまの制度になりましてから、九四対六になりましてからどうなったかといいますと、三十四年が特別交付税が八・〇七——三十三年から九四対六になったのですけれども、特別交付税は三十三年は、なるほど法律が変わった年でありますから、六とぴしゃりいっています。三十四年は八・〇七、三十五年が七・一一、三十六年が六・〇〇、三十七年が六・四三、三十八年が六・一六、こういうぐあいに六条の三の一項というのはなるほど忠実にそのとおりやっているわけですよ。ですからここの議論としては、九四対六というのはそろそろ変える時期にきているのじゃないか、こういうふうに議論されておったのに、六条の三の第一項に基づいて逆行しているのです。逆行ということばは少し何ですけれども、一%とか二%くらい普通交付税のほうを食って特別交付税のワクがふえているわけですよ。これもあなたのほうの部下が書いたものですよ。あなたのほうの部下が書いたもので、こう書いてあるのです。「特別交付税の総額が地方交付税の総額に占める比率は、昭和三十三年の地方交付税法の改正によって八%から六%に引き下げられて以来、現在まですえおかれているのであるが、地方団体の財政運営上、果してこれだけの特別交付税の額が必要であるかどうか疑問なしとしない。」これはあなたのほうの部下が書いている。これはことしの四月号です。こういうことでありまして、大体六条の三は一方交通ですよ。私はさっき言ったように、調整率をひっかけられて、六十億円くらいずつはカットされている。復元しましたけれども、最近は復元してないのですよ。基準財政収入額と需要額との差額が交付税総額と合わぬものですから、合わせるために調整率をひっかける。ひっかけまして、その多い分の五十億とか六十億はカットされて、そして補正段階において復活したことはありますけれども、復活していないのが最近の実例であります。そういうことになりますと、これは同じ調整率をかけられるのでありますから、交付税の必要な貧弱団体ほど調整率の被害が大きいわけです。ですから、過去の例がありますから——これは過去の例というのはこの本にも書いてありますけれども、九二対八となっておっても、これが九二が少し上回ってもいい、こう書いてあったのだが、あなたのほうでは計算がややこしいからやめたというわけで、ぴしゃっと普通交付税をきめて調整率をひっかける。調整率をひっかけるから、一番貧弱団体のほうが、全部一定数でかけられるから、交付税をよけいもらうところほど被害が大きい。それは復元しない、こういうことになりますから、六条の三というものは温情ある規定ではない、一方交通でありますから。ですからこれは私は理屈から言ったら、これに書いてありますように九四対六というのを変える時期にきているのだというのだから、変えるか、少なくともこれは往復交通くらいのところに六条の三は改むべきではないか、いずれかだと思うのですよ。大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/100
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101・細郷道一
○細郷政府委員 六条の三は御承知のように、普通交付税の額で需要と収入の差をまかない切ってなお残が出るような場合に、六条の三第一項によって特別交付税のほうへ回るわけでございまして、昨年、四十一年度で申しますと交付税の総額は七千九百四十七億でございましたが、そのうち二億八千三百万円ほどが普通交付税から特別交付税のほうへ回っております。したがいまして八千億ほどのうちの二億八千万でございますから、比率にいたしますと万分の三か四という程度でございます。したがいましてこの規定が動く時期は、やはり調整戻しもいたした後に初めて残が出たときに動く規定でございまして、給与改定等によって補正の段階で借り入れをいたしました年は別ですが、それ以外はこのところ、最近は調整戻しはほとんど普通交付税の補正の段階においてできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/101
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102・細谷治嘉
○細谷委員 この問題は自治省の財政局内部にも、局長は一番えらいのだからなんですけれども、こういう論文すらもあるわけです。これは大臣もおっしゃったわけですね。この問題については検討します、こう言っておりました。私は一昨年、いまの事務次官である当時の財政局長の柴田さんから、もうこの点は検討すべき段階ですと答弁をいただいておるのですよ。それから二年たっておるのです。これはさっぱり検討してない。厚生省みたいなものだ。
そこで、まだ私は、この交付税の配分の全体計画なりあるいは地方財政計画と決算との間の問題等、いろいろあるのですけれども、約束の時間の一時がきましたから、一応残余の問題は保留して、きょうの質問は終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/102
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103・亀山孝一
○亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01719670530/103
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