1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月一日(木曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君
理事 久保田円次君 理事 和爾俊二郎君
理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君
理事 門司 亮君
木野 晴夫君 塩川正十郎君
渡海元三郎君 永山 忠則君
古屋 亨君 山田 久就君
井上 泉君 河上 民雄君
島上善五郎君 華山 親義君
依田 圭五君 折小野良一君
大野 潔君 小濱 新次君
林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
建設省道路局長 蓑輪健二郎君
自治省財政局長 細郷 道一君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
専 門 員 越村安太郎君
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七〇号)
昭和四十二年度における地方財政の特別措置に
関する法律案(内閣提出第七八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。折小野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/1
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002・折小野良一
○折小野委員 大臣の当委員会に対します地方自治についての所信表明の中で、大臣は、最近における人口及び産業の都市への急激な集中は、他方において農山漁村からの人口の流出現象を生み、いわゆる過密過疎の問題を招いている、こういうふうに説明しておられます。今日、地方問題の中で過密過疎の問題というのは、非常に重要な問題になっておるわけでございます。したがって、また政府においても、今回の交付税法の改正におきまして、過密過疎対策というものを打ち出しておられるわけであります。こういうような政策を打ち出すためには、当然その効果というものを一応考え、その効果のどの程度の、あるいはどういう形においてこれを実現するかということを目途にしてやっておられるのだというふうに考えるわけでございますが、本年度、交付税におきまして過密過疎対策を講じておられる、それで予定しておられます行政上の効果、これについて御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/2
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003・細郷道一
○細郷政府委員 交付税におきまして、今回、後進地市町村対策として百十七億の財政需要額算定上の措置をいたしております。方法としましては、低種地の市町村におきます道路橋りよう費の態容補正の割り戻しをやめること、それから小中学校におきます単位費用を引き上げるとともに、その経費の充実をはかる、それから農業行政費の充実をはかる、その他産業経済費の単位費用を引き上げる、こういったようなことによりまして百十七億の措置をいたしております。反面、都市問題の対策といたしましては、人口急増補正を強化すること、それから下水道費を独立の費目として、人口集中地区人口を測定単位とすることによって経費の充実をはかる、それから幼稚園費の充実、清掃費の充実等をはかりまして、百九十四億の財政需要上の措置をいたしております。このほか府県の財政需要の算定にあたりましても、後進県と目される農業県において農業行政費の充実をはかる、あるいは道路費の算定におきまして道路の未改良率というようなものを投資補正の指標に加えることによって、後進県の道路の需要を充実する、こういうようなこともいたしております。反面、大都市におきましては、その都市の一般財源だけでなく、いまの過密問題の処置というようなことで、地方債の単独事業債において、過密対策事業等に充てるための起債のワクを増ワクする、こういったような措置によりまして、それぞれ今回の交付税にあるいは起債、財政計画等を通じての措置をいたしておるものでございます。これらによりまして、従来から後進地につきましては、先般参考人も申しておられましたが、人口が減っていくということを防ぐだけではどうもうしろ向きじゃないか、もっと前向きにものを考えていくべきではなかろうかというような角度で、今回の、先ほど申し上げたような措置をいたしましたことと、いま一つは、大都市のほうの問題につきましては、従来起債がやはり認められてはおりましたけれども、ほとんどがワク外起債であるというような事情もございました。またその資金の性質も縁故債であるというようなことでございましたが、今回は政府資金によりますワク内の起債といたしましたことによって、それぞれの財政運営上にプラスになるように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/3
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004・折小野良一
○折小野委員 前段のお答えにつきましては、しばしば私どももお伺いをいたしております。私がお尋ねいたしたいことは、それによってどういう効果があがることを期待しておられるかということでございまして、ただいまおっしゃった人口の流出を防ぐということだけではうしろ向きである。といたしますと、はたして今回のこの措置で現実に人口の流出が防げるのかどうか、あるいはどの程度防げるというふうに期待しておられるのか、あるいはそれを防いでその上にさらに何らか効果的な成果というものを期待しておられるのか、そういう点を特にお伺いをいたしたいわけであります。特に過密過疎の問題について一番大きなのはこの人口の流出でございます。二の人口の流出に対しまして、この対策によってどの程度の効果を期待し、あるいはその期待のもとに行政上の成果を予定してこの対策を講じられたのか、そこをお伺いいたしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/4
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005・細郷道一
○細郷政府委員 人口の流出を防ぐということは、ただ単に数を防ぐというだけでなく、やはりそういう地帯におきます産業の構成なり、あるいは住民の所得の水準を引き上げるというような施策を講ずることによって、後進地の行政内容も充実するし、住民福祉も向上するのだろう、こういうふうに私は考えておるわけでございまして、そういう意味合いにおいて今回農業行政費をふやす、あるいは道路行政費をふやすというようなことは、それぞれそういった地帯におきます住民の所得水準を引き上げるためにプラスするものであろう、こういうふうに考えておるのであります。もちろん人口の流出を防ぐということにつきましては、もっと国政全般についての各般の施策が必要であろうと考えるのでありますが、私どもの地方財政の面におきましては、いま申し上げたようなことをねらいとしつつ、こういう措置をとっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/5
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006・折小野良一
○折小野委員 もちろん過密過疎対策は交付税の対策だけですべての効果があがるものだ、こういうことは言えないと思います。各般の施策を総合的にやっていくということが一番大切なことでありますが、それが現実にあらわれておりますのはいわゆる人口の流出、都会への集中ということでございます。したがって地域の産業についていろいろな手当てをする、それによって所得を上げていく、こういうことはもちろん大切でございますが、それが十分でない限りにおきましては、やはり人口の流出というのはとまらないわけであります。したがって人口の流出を現実にとめるということが過密過疎対策の一番大切な、問題の要点ではなかろうか、かように考えるわけでございます。したがって、政府のその他のいろいろな施策とも関連をしてでありますが、今回の交付税におけるこの対策だけでその面に具体的にどの程度の効果があがるというふうに考えておられるか、あるいはどの程度の効果をあげるということを目途にしてこの計画をなされておるのか、お伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/6
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007・細郷道一
○細郷政府委員 交付税制度によりまして、御承知のように一般財源の保障をいたすわけでございますから、これによります効果の測定ということは数字的にはなかなかむずかしい問題であろうと私は思います。先ほどもお話のございましたように、交付税のみならず、各般の施策がその関係の市町村において十分にこなされていくということが、やはりそれぞれの団体がその問題を効果あらしめる一つの大きなポイントであろうと考えるわけであります。したがいまして交付税制度の算定の上だけにおいてどの程度の効果を、と数字的に申し上げることは、私は非常にむずかしい問題であろうと思います。しかしながら、後進地の関係市町村長が来て異口同音に訴えますことは、やはり農家の人口が減っていくということは、農業所得と農外所得を加えて農家所得の水準を高めたいのだ、その農外所得をわざわざよそにいって得てこようとしておる。それをなるべく近くのところにとどめる方法はないであろうかという考え方で、そのためにはやはり小さな作業場でも自分の町に来れるようなくふうをしたい、そういうようなことをみな言っておるのでございます。したがいまして、そういう面でわれわれが財政的に協力しようといたしますれば、これは交付税は一般財源でございますから、別にお金にしるしがついていないことは御承知のとおりでございますけれども、われわれとしましてはいま申し上げましたような農業行政費であるとか道路であるとか、やはりそういう市町村長の意図しておる方向に役立つような算定によって充足していこう、こういう考えで措置をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/7
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008・折小野良一
○折小野委員 御趣旨は私どもわかるのであります。地方の者は現在の過疎状態を訴えて、そして何とかしたいということを要望いたします。また、都会地の関係者は過密状態を訴えて、そしてこれに対する対策を要望をいたします。これを両方ともただ単に、いわば頭をなでるといいますか、そういう形において一定の財源を付与する。そのことがはたして問題の根本的な解釈につながるかどうか。確かに地方におきましては生活に困る、あるいは所得が非常に低い、それであるから食うために町に出てくる。といたしますならば、結局その人口の動きをとめるためには、地方のほうの所得をもっともっと高めていく、それは少なくも現在の状態において都会並みにしていく、そういうことがなければ、理論的には人口の流出をとめるということができない。ところが町にも手を入れていく、それから地方にも手を入れていくということになりますと、人口流出の基本的な理由というものはほとんど変わらないということになってくるのではないか。せっかくこれだけの財源を手当てしていただきましても、はたしてその効果が現実にあがるのかどうか、こういう点を私ども非常に疑問に感ずるわけであります。その点についてどういうふうにお考えになっておりますかをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/8
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009・細郷道一
○細郷政府委員 私はやはりこれはこれなりの効果があると考えています。いままでどおりにほっておきますれば、やはりそれぞれの後進地の市町村が、なるべく地域内で住民の福祉の向上をはかっていこうというための施策が不十分であろうと思うのであります。したがいまして、抜本的に国全体の国土計画なりあるいは人口移動についての強力なる施策が行なわれるということは、これはもちろん望ましいことだと思っております。そのこと自体は、私は政府全体の問題として取り上げるべき問題であろうと考え、現に経済企画庁を中心にして、新しい国土開発計画のあり方というようなことも、実は研究課題になっているわけであります。しかし、私どものいま御提案申し上げております交付税、財政計画等の面におきましては、先ほど来申し上げたような措置で、私はこれなりにやはりプラスになるものと信じておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/9
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010・折小野良一
○折小野委員 私どもも決して、これが効果がないというふうには考えておりません。しかし、抜本的な対策には十分な効果を発揮し得ないんじゃないかという点に心配があるわけでございます。たとえば、先般のこの委員会の質問におきまして、いろいろな公共事業の返上が現実にあるんじゃないかという質問に対しまして、決算その他から見ますと、なかなか数字の面ではそれはあらわれていない。そういう面から見ますと、公共事業はほとんど効果的に消化されておるんじゃないか、こういうような御答弁でございました。一応そういうような分析もできようと思います。しかし現実には、決算にあらわれる前に、すでに返上であるとか変更であるとか、そういうような措置が現実にはとられておるわけであります。やれないところはすでに、そういう話があったときに、もうやれません。そうしますと、計画するほうはそれをやれるほうに回してしまう。ですから、たまたまやれるところは予想される以上にやっていく。やれないところは計画以下にしかやっていけない。そこにますます差を大きくしておる。こういうような現実が幾多あるわけでございます。したがいまして、そういうような面からいたしましても、はたしてこういうことでほんとうの効果をあげるということができるのか、その辺に、いま私ども非常に大きな懸念を持つわけでございますが、この点については、十分その効果についてお考えいただくようにお願いをいたしたいと思っております。
ところで、それと大体同じような関係があるのでございますが、昭和三十七年に新産業都市建設促進法というのができております。したがって、もうすでに五年になるわけであります。この法律の目的の中には「大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、並びに地域格差の是正を図るとともに、雇用の安定を図る」ことを目的とするということがうたわれております。と申しますことは、結局過密過疎対策と今月言われておりますものとやはり同じ目的を持って、新産業都市の建設というのが三十七年に発足をいたしておるわけであります。発足の当時におきまして、特に新産業都市の指定をめぐりまして、いわゆる史上空前といわれたような陳情合戦が行なわれた。しかしながら、五年たった今日におきまして、新産業都市というものがはたしてどういうふうになっておるか、十分なその効果があらわれておるのか。地域住民もあるいは政府においても、これに対しまして十分な期待を今日なお持っておるのかということになりますと、私はどうも今日、ほんとうに影が薄くなってしまった、こういうような感じを持たざるを得ないわけであります。この新産業都市の今日までの経過におきまして、はたして十分な、法の目的にうたわれたような効果があがってきたか、あるいはあがってきつつあるのかどうか、あるいはその効果があがらない原因が那辺にあるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/10
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011・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 新産都市につきましては、工場の誘致その他については、ある程度の企図した効果があったと思います。しかしながら、いま注文をお読み上げになりましたが、そういう、人口の集中を防止する、あるいは地域社会の発展を期するというような点まではまだまだその効果があがってないという判断をせざるを得ないと思います。これは途中、三十九年以来のいろいろな不景気というようなことも一つの影響があったと思います。しかしながら、やはり基本的には、常に申し上げているように、大都市への人口、産業の集中を抑制して地方の開発拠点を育成していくというたてまえからいきまして、やはり新産都市というものは十分に今後も政府として育成していかなければならない。そして法律本来の目的が達成するように努力をしていかなければならないと思います。また、その新産都市における産業の選び方なども従来あまりにも画一的で、たとえば石油化学一点ばりでいくとか、あるいは重化学工業一点ばりでいくというようなことでなくて、もう少しその地域に適したと申しますか、バラエティーに富んだ産業等も考えながらやっていかなければならないんではないか。その意味において、新産都市の問題については幾多検討すべきものがあろうと思いますが、そういう検討を重ねて、そうしてやはり新産都市の育成をはかるというのが、政府としてはやらなければならない仕事であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/11
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012・折小野良一
○折小野委員 確かに新産都市につきましても、財政上その他の援助がなされております。その限りにおきまして、決して効果がないということは言えないと私ども考えております。しかしながら、その援助なりあるいは指導なり施策なり、これが中途はんぱじゃないか、それによってせっかく期待された効果が十分発揮されない、あらわれないということになってきておるんじゃないかということを、私ども今日感ずるわけであります。たとえば新産都市の関係市町村あるいは都道府県に対しまして一定の助成がなされる。その助成は、ないよりはましかもしれない。しかしながら、新産業都市をほんとうに効果的に建設するためには十分でない、こういう面があるんじゃなかと思っております。またその助成その他の運用につきましても、やろうとする地元の意欲を必ずしもそそるようなやり方でない。たとえば本年度の事業に対しまして、一定の計算によって補助金が関係市町村に出される。そしてそれがその次年度あるいはさらにその次の年度くらいに来る。もし来る金がいまあるならばさらにこれだけの事業がやれるんだがというふうに考えましても、単年度会計の現在の公共企業体といたしましては、将来の財源を当てにして仕事をやるということはなかなかできない。しかしながら、仕事の効果をねらうためには、ある程度先行的な投資というものも必要だ。そういう面の運用のしかたと申しますか、そういうところにもやはり事業の促進を阻害しておる一つの原因があるように考えられます。また、この新産都市をほんとうに効果的にするためには思い切った手段が講じられなければならない。ただいま大臣のおっしゃいました工場誘致についてのお話、確かにそのとおりであろうと考えます。しかしながら、現在の企業がそれらの地域に立地するにつきましては、いろいろな経済的な条件を考えていかなければならない。そういう点を十分考えて、工場が立地しやすいような条件をつくっていく。たとえばその中の一つといたしまして、全国的に運賃のプール制をやる、こういうようなことでありますならば、その工場を東京に立てようと、あるいは九州の片いなかに持ってこようと、運賃が同じということになりますならば、必ずしも東京の近所に、高い地価のところ、あるいは公害その他のあるところに工場の敷地を選ぶ必要はないということになってまいります。そういう思い切った措置、これはもちろん国全体の措置でございますが、ほんとうに思い切った措置を講ずることによってその効果をあげていく、こういうことがもっともっとできないものか。大臣は、今後もできるだけ育成していくというふうにおっしゃいましたが、その育成のあり方において、もっと効果的な方法を御考慮になっておられないか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/12
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013・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 地方財政をおあずかりする自治省といたしましては、現在それが必ずしも十分とはいえませんが、いまのような財政的な援助をやっていく、これを強化していくということだと思いますが、そういう自治体の財政の問題ばかりでなく、ただいまお述べになりましたように、企業のことでございますから、いろいろ採算を考えるわけでございますから、あるいはいま建設中の例の高速自動車道の完備であるとかあるいは鉄道の完備であるとか、いろいろそこに新しい企業なりあるいは大都市の企業がそこに行けるような環境をつくっていくということは、どうしても必要だと思います。従来必ずしもその点が政府全体として十分でなかったということは認めざるを得ないわけでございますが、先ほど来申しましたように、どうしてもやはり地方の拠点地域の育成というものを考えるときには、そういう、そこに企業か立地できるような、そうした環境の整備というものを国全体としてやっていかなければならないことは、お話のとおりであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/13
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014・折小野良一
○折小野委員 今日いわゆる都市問題というのが非常に大きな問題になっておりますが、この問題も、いわば過密、過疎問題の一面でございます。したがって、これに対しまして、今日これは単に地方自治という立場だけでなしに、国として思い切った手段を講じないということになりますならば、おそらくいろいろな問題が非常に流乱した形において出てまいるのじゃないかということがあらゆる方面から憂慮されておる。それに対するいろいろな対策として、一応の対策は講ぜられたが、それが基本に及ぶような対策でないということになりました場合に、はたしてどうなるか。現在の交付税法における過密過疎対策にいたしましても、過疎地帯については過疎地帯の現状において何とかこれをカバーするような対策を講ずる、過密地帯については過密地帯の現状に即して何らかの対策を講ずるというようなことだけで対策が行なわれてまいるといたしますならば、結局、人口一千万というような、しかも住宅が不足し、あるいは交通地獄といわれるような、あるいは常時公害にさらされておるような、いわば怪獣のようなマンモス都市を片一方につくる、そうしてまた片一方では、疲弊してしまった、荒廃した寒村が残る、こういうような形に結局なっていくんじゃないか。国土全体の開発の立場から見て、はたしてこういうような状態が国土のあり方としていいあり方であるのか、あるいはそれぞれの自治体というものがはたしてそういうような状態であっていいのか、こういう点からいたしましても、真に効果的な、抜本的な対策が今回講ぜらるべきじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。これはもちろん地方自治だけの問題ではございませんが、地方自治に関連するところが最も大きいわけでございますし、特にその立場にあられる自治大臣としましては、そういう立場で国の政治をリードしていく、そういうようなお気持ちを持っていただくことを、そしてまたそういう立場から御努力いただきたいことを、私ども念願をするわけでございます。そういう面についての大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/14
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015・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、長期と申しますか、基本的な考え方といたしましては、もうこれ以上大都市への人口、産業の集中は抑制すべきもの、そうして地方の拠点地域の開発を育成していくということが基本だと思います。ただ現状といたしましては、まだまだ大都市への人口集中というものの底力と申しますか、そういう根強い力がございますから、現象的に、臨床的に、やはり大都市の再開発というものも考えていかなければならぬと思います。しかし、それはそれだけの必要の限度にとどめまして、できるだけ国全体としての余力を地方の開発のために使うということがどうしても必要であり、今後そういう方向で、いま経済企画庁や建設省でいろいろ計画されておることもそういう方向でやっておられるわけでございまして、地方自治をおあずかりする私どもといたしましても、そうした国全体の動きの中におきまして地方財政の確保について努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/15
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016・折小野良一
○折小野委員 ところで、このような対策を講じていきます場合に、しからば、将来のわが国の自治体というものはどうあることが望ましいのか。これはもちろん自治体だけでなしに、国土全体がどういうふうにあることが望ましいのかということに直接関連してまいると思いますが、自治大臣のお立場といたしまして、全国の地方公共団体、こういうものがそれならどういうような形にあるのが最も望ましい姿であるか、それに対しまして、現在こういうようないろいろな対策を講じておる、こういうことになってくるのじゃなかろうかというふうに考えますが、現在お考えになっております将来の展望として、自治体というものはどういうような形でどういうふうにあることが最も望ましいのか、そういう面のビジョンがおありでございましたら、ひとつ御発表願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/16
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017・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 理想的に申せば、全国の至るところのどのような地域にあろうとも、その地方自治体が高い行政水準を維持できるような、そうした形にしていかなければならないと思います。これは単に地方財政の面ばかりではなくて、産業の面、その他、先ほど来お話のありましたような各般の施策を講じなければなりませんが、そういう形におきまして、たとえ山村僻地といえども相当高い行政水準が保ち得るような、そういう形をとっていかなければならない、その方向に向かって国全体の施策を講じていかなければならないと思います。ただ現実には、だんだんお話のありましたような人口の非常な変動がありまして、その理想に近づくのはなかなか困難ではございますけれども、われわれとしては国の施策をその方向に集中しなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/17
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018・折小野良一
○折小野委員 将来どういうような自治体であることが望ましいのかということにつきましては、それぞれいろいろな立場の考え方があろうと思っておりますが、少なくも現在の過密、過疎というような状態をなくして、安定した、そして調和のとれたわが国の自治行政というものが行なわれる、ここにあります一番根本的な問題は、やはり地方がそれぞれの地方独自の特色を持っておるということ、これが一番大切なことじゃないか。特に戦後の傾向といたしまして、それぞれの地域の特色というものがなくなってしまっておる。したがって、すべてがただ単に食うために、あるいはより高い所得を求めて都会に集まるというような形になってきておるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういうような点からいたしますと、やはり将来の自治体というものはもっともっと特色を持った運営というものがその中でなされていかなければならぬ、そのためには十分な財源を付与し、かつその自治体の自主性というものを十分に尊重していく、こういうような方向がとられていくべきじゃなかろうかというふうに私ども考えるわけでございますけれども、そういうような考え方についての自治相としてのお考えをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/18
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019・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 これもしばしばお答えいたしたのでございますが、確かに従来国の公共事業等のおつき合いに追われて、いわゆるその地方の特色をあらわすような単独事業が片すみに追いやられていったという傾向は率直に認めざるを得ないと思うのでございます。したがいまして、今後、四十二年度の地方財政計画はごらんのとおりで、できるだけそれの是正につとめておるわけでございますが、根本的には、やはりこれもいつか申し上げましたが、国の補助事業というようなものをできるだけ整理をいたしまして、その余力を地方財政のほうに持っていく、いわゆる財源の再配分というものをやって、いまおあげになりましたような地方の特色のある行政ができるようにしていかなければならないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/19
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020・折小野良一
○折小野委員 大体大臣のいろいろなお考えをお伺いいたしましたので、ひとつ確認してまいりたいと思いますが、交付税における今回の過密過疎の対策につきましては、今後いろいろな効果というものが考えられるわけでございます。もちろんできるだけ効果があがるように運営の妙を発揮していただくことが大切でございますが、その効果をにらんで、そうして今後さらにその効果を高めるような御検討を十分なさるお気持ちがございますかどうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/20
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021・細郷道一
○細郷政府委員 年々その年にふえてまいります財源をどういう行政費目に充て、どういう地域に充てるかということが、私ども常に毎年編成するにあたって考えることでございますけれども、今回は先ほど来申し上げたようなことで、従来に引き続いてのことではございますけれども、やはり後進地におきます現実的な問題の処理として、後進地対策としての行政費の財政需要額の増額をはかり、また、都市におきましては過密問題あるいは都市問題の解決に資するような方向でやってまいっておるわけでございます。もちろん地方の一般財源だけでそういうことができるわけのものでもございません。財源の総量の制約がございます。そこで、それに加えて地方債、単独事業債あるいは辺地債といったようなものの活用によってその効果が出るようにと心組んでおるわけでございます。
いま、いろいろと御注意のありました点は、私どもも過密地帯であるとか、あるいは人口急増地帯、あるいは過疎地帯等におきます実態等も実は調査をしておるのでございます。一つ二つを調査しただけでは抜本的な対策はなかなかきめかねる面もございます。したがいまして、その調査の結果も考えながら実はだんだんとこういう措置をとっておるわけでございます。なお今後とも引き続いてそういう方向に進んでまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/21
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022・折小野良一
○折小野委員 次に、過密過疎対策としてすでに考慮されてまいっておりますこの新産都市の建設につきまして、今日までの結果からみますと必ずしも十分な効果があがったというふうには考えておりません。また、現に各新産都市におきまして、今日なお人口の流出が続いておるというのが現実の事態でございます。したがって、これをさらに効果的にするために適正な指導あるいは適正な財政的な援助、こういう面について、さらに一そう意を用いていただけますかどうか、その点についてお考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/22
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023・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 地方財政の面におきまして、現在とっております財政援助、これにつきまして、一応はこの方向で進むつもりではございますけれども、これについてもなお研究をしていかなければならぬと思います。しかし、根本的には、先ほどお答え申し上げましたように、そうした新産業都市のようなものの地方の拠点都市を育成するためには、国全体としていろいろな施策を講じていかなければならないわけでございますし、また、それがわが国の進むべき道だと考えますので、それらの点についても十分検討を加えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/23
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024・折小野良一
○折小野委員 これは局長さんにちょっとお伺いいたしたいと思いますが、これも先ほど触れましたが、新産業都市の助成の効率的な運用ということであります。せっかく一生懸命やろうと思っても、現実に財源がないためにやれない。したがって、また、公共事業の返上その他をしなければならない。こういうような市町村に対しまして、将来法の規定に基づいて当然交付されるであろう補助金を担保といいますか、そういうような形において早期に支出する、起債その他で振りかえる、こういうことによって現実に少しでも仕事をやっていく、事業を促進する、そういう方法について御検討いただけますかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/24
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025・細郷道一
○細郷政府委員 現在でも御承知のように、府県と市町村でやり方が多少違うのかもしれませんけれども、新産業都市の建設事業のためには起債を用意しておるわけでございます。新産業都市の建設については、先ほど来いろいろのお話がございました。やや不十分であるという御批判もあろうかと思います。これは一つにはやはり経済情勢のしからしめるところも大きく作用しておると思いますし、また各地方におきます計画の具体化にあたってのタイミングがうまく合わなかったといったような問題も実はあろうと思います。あるいは誘致する産業の業種の選定等において、必ずしも適地でなかったものもあろうかと思いますし、いろいろな問題が実はあると思うのであります。しかし、私はそれだからといって、新産業都市政策はだめなんだ、もう失敗なんだと言い切るには早いのではなかろうか。やはり地方団体も、そういう時期を経、またこれから経済も多少上向してまいると思いますが、そういう時期にもう一度自分たちのあり方、先ほどお話の出たような地方的特性というものを生かしながら、もう一度それを考え直していくということによって、私はまだ十分生かされるのではなかろうか、かように考えておるのでありまして、私どもも、そういった市町村あるいは府県のそういう意欲を助長するためには、税財政上もいろいろな措置を考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/25
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026・折小野良一
○折小野委員 そうして総括的には、それぞれの自治体の特色を認め、あるいはその特色を十分発揮するような形において地方公共団体を育てていく、こういう趣旨につきましては、大体大臣の考え方もそのようでございます。したがって、そのような自治体のあり方というものを考え、制度上あるいは財源付与の面から十分な措置を講じていただく、こういうことにつきまして、今後十分な御検討を願いたいと思いますが、そういう面の御所信をはっきりひとつお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/26
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027・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まさにお説のとおりでございまして、私どもも今後、いま仰せになられましたような方向で十分な検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/27
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028・折小野良一
○折小野委員 それでは、過密過疎に関連する問題の質問はこれで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/28
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029・亀山孝一
○亀山委員長 次は小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/29
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030・小濱新次
○小濱委員 いま審議中の法案については、先輩同僚議員の方々がいろいろな角度から質問をしてくださいました。
〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
よくわかってまいりましたが、私は重複を避けまして、きょうは自治大臣もおいでになっておりますので、大臣とそれから建設省の蓑輪道路局長さんにお尋ねをしていきたいと思います。
先ほども大臣は、地方財政及び地方自治体をあずかる立場から、いろいろな面で確約をしておられたようであります。自治体の財政危機、窮乏についてはいろいろと御存じであろうと思いますが、私は幾つかその例をあげて、これからの超過負担の解消について、早急にこの問題の解決に当たっていただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
自治体の超過負担の額はどのくらいか、よく一千億だ、このように一口にいわれております。これは先ほど折小野委員からの発言がございましたが、示された内容を消化するだけ、その消化するだけの超過負担が一千億じゃないであろうか、こういうふうに思うわけであります。それはなぜかといいますと、予算編成にあたって各省から建設問題、住宅問題については内示があるようであります。来年度はこの辺でどうかというような内示があるようでありますが、とんでもございません、とてもそんなには消化しきれませんといって断わっている。そういう向きがあるやに聞いております。その希望を満たすだけの事業を達成して千億円、こういうふうになるならば、私はまた理解もできるのでありますが、やることをやってない超過負担が千億、こういうふうになっているのじゃないかと思うわけです。
そこで、住宅問題について少しくその例を話してみますと、非常に用地費がかさんでいるようであります。義務負担に対する超過負担金が約三〇%前後になっているようであります。そういう点、住宅が足りないという例でありますが、これは人口二十万の都市です。年々どのくらい市営住宅が建っているのかと聞きましたならば、六十戸前後だと答えておりました。いま不足しておる住宅数はどのくらいあるのかと聞いてみましたところが、七千戸ほしいと言うのです。そうすると、年次計画からいくと、百二十年もたたないと、いまの不足数を満たすことができないわけであります。先ほども流入人口の問題が取り上げられておりましたけれども、その都市もここ五年間で人口が倍になっております。したがって、いま不足しておる七千戸を満たすだけでも百年以上の年限がかかるのに、倍の人口に対する住宅対策は、残念ながら年間六十戸しか建っていない。こういう問題が起こっておりますが、これを解決するためには、どうしても超過負担の問題を大きく取り上げなければならないのでございます。
私は、ある都市に行って、この都市で一番問題になる点は何ですか、と聞いてみました。それは超過負担ですよ、そういうふうに申します。この問題について、先般もいろいろと自治大臣のお考えを伺いました。今後はこういう方針でやっていきたいということでありますが、きょうはこの問題を取り上げましたので、もう一度自治大臣から、今後の考え方、御方針についてひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/30
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031・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先般もお答え申し上げましたが、確かにまだ相当多額のいわゆる超過負担が残っておる。ただ、前々から超過負担の問題がいわれておりますが、そして幾多の調査がございますが、さらに現在の時点においてどのような形で超過負担ができておるのかということについて調査をする必要がございますので、各省共同で実態調査をいたしまして、そして四十三年度予算編成をめどに計画的な解消をやってまいりたいというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/31
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032・小濱新次
○小濱委員 当然おわかりになっていると思いますが、国の事業による地方公共団体の超過負担が最近特に著しい姿をあらわしているわけであります。この住宅問題は大きな問題でありまして、各委員会でも論議の的になっていると思いますが、これは一日も早くもっともっと手を差し伸べていかなければならない問題でございます。特に地方自治体をあずかる自治大臣としての立場上、この超過負担の問題の解消から、住民の一番の希望であるところの住宅問題の解消については大きく取り上げていかなければならないと思います。
もう一つ大きな都市の例を申し上げますと、この都市は五十年度には人口二百三十五万になるであろう。年間十万人ぐらいずつふえております。そして、住宅は年間何戸建っているかといいますと、六百五十戸、その次も六百五十戸、次は六百五十二戸、二戸ふえただけ。本年度は七百二十戸の計画を立てたようです。十万の人口がふえて、しかも成人は年間約二万人くらい、そうすると結婚する人もそれに近い人たちがいるわけでありますが、そういう人たちが住宅がないために結婚ができないでいる、そういう住宅難の問題も起こっております。そこにはやはり大都市の大きな悩み、用地取得の問題が起こってまいりますが、どうしても住宅を建てることができない、いまの財政ではとても困難である、何とかしてもらいたい、こういう声があるのでございます。これはわずかなサラリーの中から高い家賃を払って生活をしている人たちに将来の希望を与えてあげたい、その住宅問題の解消という問題ですし、また若い青年にしあわせを与えてやるための住宅問題の解消、こういう点から、大いにこれは取り上げていかなくてはならないと思うわけであります。この超過負担の問題についてはその他にもたくさん問題がございますが、いろいろと大臣のお答えもいただきましたので、私も今後一そう各省との話し合いでその問題をひとつ促進していただいて、そして超過負担の解消の問題の一日も早い解決策に努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。
学校問題につきましても、その超過負担の問題で建たない例がたくさんございます。たとえば最近は海が荒らされて、そして埋め立て、埋め立てで海岸がなくなっていったために、子供たちの海水浴場がない、何とかつくってあげたいと学校ではやっきになっておりますが、わずか二十五メートルのプールが千万近い予算でできない学校が非常に多い。体育館もない、あるいは講堂もない、老朽した校舎にやむを得ず入っている、そういう問題をかかえて、これが解決策に努力をしておりますが、どうしてもこの超過負担問題で解決策がない、そういう訴えを聞いております。自治大臣もいろいろとこういう問題については耳にしておられるだろうと思うのですが、私があえてこういう問題を申し上げることは、どうかひとつ平和としあわせを大きな責任を持って見守っておられる地方自治体をあずかる自治大臣として、これはよくよく知っておいていただきたい、こういうふうに思いまして申し上げたわけでございます。
それから税外負担の問題も当然そこから起こってまいります。地方住民は国税、地方税を負担するばかりではなくして、非常に税外負担を課せられておる。その例はほかにもたくさんあると思いますが、まず消防寄付であるとかPTAの会費あるいは部落協議会費、水利組合費、町内会費、こうした問題を負担をしておるようでありますが、とにかく学校施設、道路工事、下水工事、こういう問題の地元負担が非常に多いわけです。この税外負担の問題についても、やってはならないと承知しながら、理事者側がどこからこういうことをあえて黙認しているかというと、この超過負担の問題から起こってきているわけであります。こういう問題が、簡単に法律ではこう示されているけれども、そこで今度は次官通達、次官通達では、政令で定めるところによってこうである、あるいは訓令、省令、こういうものがまた災いをしているようにも聞いております。こういうことがほんとうに有効に採用されていくならば、憲法なんか要らないじゃないか、こういう批判の声も聞いております。税外負担の問題については、こういう問題もやはり一応は加味しなければならないのではないであろうか、これは私はそうだとは申し上げませんが、こういうところにも問題があるように聞いております。この点については、大臣はどのようにお考えになっておられるか、ひとつお答えをいただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/32
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033・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 税外負担につきましては、いろいろ問題のありますことは御指摘のとおりだと思います。そこで、今回、四十二年度の地方財政計画におきましては、四十年度の決算にあらわれました百五億円の解消をはかっておるわけでございます。しかしこの決算にあらわれない、いまおあげになりましたようなことで、ほんとうは税金でまかなわなければならないものをまかなっているというような実例は確かにあろうかと思います・
〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
たとえば学校備品の一部をPTAが負担しておるというようなことは間々あるわけでございます。決算にあらわれた税外負担の解消につきましては、できるだけ今後もつとめてまいりますと同時に、地方財政の充実をはかりまして、そうしたことが起こらないように、今後も努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/33
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034・小濱新次
○小濱委員 今後、大臣はこの税外負担の問題について、たしか三年ぐらいをめどにしてこの負担解消をやっていきたい、こういうふうに言われたと思うのですが、その面についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/34
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035・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 三年をめどに解消したいと申し上げたのは超過負担の分でございます。税外負担につきましては、いまも申し上げましたように、四十年度の決算にあらわれた百五億円の解消はいたしたわけでございます。今後また四十一年度の決算等でどういう形になりますか、それらを見て税外負担の解消にもつとめてまいりたと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/35
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036・小濱新次
○小濱委員 税外負担の問題も、これは当然超過負担の問題から起こってくる問題として私は取り上げたわけであります。いまのお答えで、私は大きな期待を寄せてこれからも見守っていきたいと思います。
もう一つ、この税外負担の問題で、その例をあげてまたお答えをいただきたい、こういうように思います。これは安全交通対策の問題でございますが、塚原総務長官が政府の安全対策本部長になって、いろいろと努力をしておられるということを伺いました。その安全総点検の結果、いろいろと示された図表、そういう写真等をごらんになられまして、これはひどい、どうして言ってこないのか、道路をつくる金はあるのになあ、あるいはまた歩道などの計画繰り上げを行なって、こういう問題については断固実現をしていきたい、こういうふうに言っておられたことが報道されております。この政府の安全計画、この塚原総務長官の言っておられることは、これは自治体にも同じ意味にとれると思うのです。都心部では同じような問題が多く起こっておるわけでありまして、長官の言われた問題は自治体としてはどういうふうにこれを受け入れていったならばよいのであろうか、こういうように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/36
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037・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 道路のほうは道路局からお答えいたすことにいたしまして、全般的に先般朝日新聞が国道沿いの学校道の歩道の状況あるいは横断歩道の状況や横断歩道橋の状況などを点検されて、相当まだまだ不十分だということを指摘されたわけでございまして、確かにあのような事態であろうと私は考えております。そこで、例の緊急措置法による三年計画で安全施設を充実することを計画しているわけでございまして、地方自治体につきましても四十二年度の財源措置といたしましては百四十五億の財源措置をいたしまして、自治体のほうのやるべき仕事については措置をいたしておるわけでございます。なお、都道府県の公安委員会がやるべき例の信号機であるとか横断歩道であるとか道路標識というものにつきましては、その事業費として総額四十三億でございますが、それを四十一年度に八億、本年度に十三億五千万円を組んでおるような次第でございますが、しかしこれで十分とは私も考えません。さらに警察等を動員いたしまして、危険な場所につきましては早急に繰り上げてでもやらなければならないものがあろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/37
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038・小濱新次
○小濱委員 この歩道橋あるいは跨線橋あるいはまた地下道の計画はどこの都市でも持っておるようです。ところが、やはり実行に移せない悩みがあるわけです。そこで、これは痛々しい一つの例を私は申し上げるわけでありますが、これは国道十六号線、ここで起こる問題をいろいろと調査いたしてみたところが、四十一年度の一覧表が出てまいりましたが、事故発生件数が、この警察管内で起こるのが、四十一年度千百六十七件でございました。本年はもう五月三十一日までに五百十一件起こっております。それから、死亡者が四十一年度は二十九名でありました。本年は十一名もすでに死んでおります。それから傷者、けが人は千二十二名、現在まで四百二十五名、このようにけが人が出ております。ここは十四・五キロにわたる国道でございますが、ここには残念ながら水銀灯、街灯は一本もついておりません。一本もないのです。夜はまっ暗なのです。そしてもちろん歩道橋もありません。それから、歩道は形ばかりのものができておりますが、草ぼうぼうで、この歩道は全然歩けません。そして、もちろんそういう状態ですから舗装もしてありません。それで神奈川県でこの街道が一番事故が多いのだそうであります。この対策について警察でせたいへん心を痛めておるようでありますが、歩道もあるけれども歩けない歩道、これも金がない。あるいはまたそういう状態ですから、どうしても舗装をしてある道路のまん中に人は出てまいります。そこではね飛ばされて事故を起こしていくんだそうでありますが、そういう問題を知りながらもどうしても手を打つことができない。とうとい人命が年間二十九名、ことしはもう十一名失われている。こういう事実がありますが、何としてもこの問題は解決してあげなくちゃならない、こういうように思うわけです。もう長い間このまま放置してあるという状態のところでございます。塚原総務長官は、金がなければ大蔵大臣に言って金をとってきてでもやってやるんだがな、こういうふうに大みえを切ったという話でございますが、こういう問題があちこちにたくさんあるということ、自治体ではこういう問題を知りながらも、何としても手が打てない、こういう悩みをかかえている。その問題は、先ほど申し上げましたように、一番悩んでいる問題は何ですかと聞きますと、超過負担の問題ですよ、どうしても三割自治、あるいはまた設備投資が非常に大きくなってまいりましたので種々持ち出しが多くなったために、二割自治あるいは一割五分自治になっておるというような声を聞きますが、そうした悩みからこの問題は解決できないんだ。これは政府でやってもらわなければならないのです。どうか歩道橋にしても、政府で何らかの援助をしてもらいたい。あるいは跨線橋の問題にしてもあるいは地下道の問題にしても、地下道をちょっとつくるというと一億かかるそうですが、こういう問題は、せめて何割でも政府で補助してくれたならば、たとえば五割やってくれれば倍できるんですよ、こういうふうにも言っておりました。これも大きな悩みの一つでありますが、この問題についてまた自治大臣のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/38
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039・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 ただいま国道十六号線についての交通事故の問題をいろいろ先生からお話しになりました。私、非常に心痛にたえない次第でございます。御承知のように国道に限らず、いまの交通の状況は、非常に道路の限界を越したような交通が発生しておるということがまず一つの原因ではないか。それに伴って、やはり自動車の交通がふえれば歩行者の油断からも事故が起きるし、運転手の油断からも事故が起きるということも多くなると思いますが、やはりこの交通の安全施設を施設することによって相当そういうものが救われるというような考えで、昨年七月十五日に交通安全施設整備の三カ年計画をつくった次第でございます。現在のところ、その三カ年計画が、六百三億のうち道路管理者として五百六十億、このうち四十一年度までに百四億を実施した状態であります。さらに四十二年度は二百四十六億、かなり大幅に交通安全の施設の事業費をふやしたのでございます。これがまだ現実には工事が着工されてない。横断歩道橋にしても、工事を請負に出しておる個所は多いのでありますが、まだそれが現実にものになってないということもございまして、この前の新聞にもありましたような、国道沿いの安全施設の点検ということから言いますと、非常におくれておるような結果が出ております。実はこれにつきましては私も、少なくとも交通安全施設の計画の中でまず通園通学路を最重点に置いてやってもらうように、県並びに地方建設局のほうに指示しております。さらに、その後の通園通学路の計画でいままで漏れておったものがあるかないか、これも六月の半ばを目標として、再調査を各県、地方建設局に委託調査をお願いしておる次第でございます。
ただいまの十六号につきまして、どの場所かちょっと私はっきり承知しておりませんが、十六号国道につきましても、神奈川県内はやはり交通量に比べまして非常に道路の幅が狭い。さらに広くなっておるところが一部ございまして、それについての話かと思いますが、まだ歩道も完全に舗装されていないという状況も、これは淵野辺、あの辺にはあるかと存じております。こういうところにつきましては、これは交通安全施設の事業ではなくて、大規模な舗装であれば改築事業、小規模のものであれば維持修繕の事業、こういうようなものでできるだけ歩道の完備は急がせたい、こういうふうに考えております。なお御指摘の十六号について、これは大体国が直轄で管理をする指定区間になっておりますので、関東地建に説明しまして、いま御指摘の点は早急に安全施設なりそれに類する歩道の舗装というものを促進していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/39
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040・小濱新次
○小濱委員 よくわかりました。
これは跨線橋の問題ですが、跨線橋の問題を一つ取り上げますと、やはり二、三千万円あるいは三、四千万円かかるわけであります。こういう問題も、鉄道側ではそこに何らかの条件があらわれてまいりませんと負担をいたしません。そういう点では、自治体でもつくりたいのだけれども、住民の声を反映していきたいのだけれども、できない悩みを持っております。地下道は先ほど申し上げましたように億という金がかかる。いま蓑輪局長さんの話ですと、国道でありますからこれは私のほうで何とか善処いたしましょう、こういうことでありましたが、国道以外の市道、あるいはそういう国鉄の上下を通す場合、こういうものはみんな自治体の負担になってくるわけです。こういった点の負担の分担ということで、どうしてもやはり自治体で全額負担をしなくちゃならないのか、あるいは将来はこういうふうにしていきたいという、そういうお考えがあるのか、ひとつ自治大臣のお考えをもう一度お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/40
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041・蓑輪健二郎
○蓑輪政府委員 鉄道なり軌道を越えます跨線橋の問題につきましては、現在道路管理者と日本国有鉄道との間に協定がございまして、費用の負担を明確にしてございます。大まかにいいますと、単独の立体交差については道路管理者のほうが三分の二を負担し、鉄道のほうが三分の一を負担する。連続の立体交差につきましては道路管理者が二分の一負担する、鉄道事業者のほうが二分の一を負担するということになっております。この前提には、やはり原因者がはっきりしているものは原因者が負担するのだ——原因者がはっきりしているといいますのは、跨線橋をつくるときに道路の拡幅をするというものは全部道路管理者ということでございます。また鉄道が現在単線のものをその際に複線にする、また電化するというためにクリアランスをよけいとるというものは、みな鉄道が持つようになっております。これは道路管理者と鉄道との協定でございまして、それに基づいてわれわれのほうは各市町村の踏切の事業につきましても、いろいろ補助事業として採択をしておる状態でございます。ただこの協定は日本国有鉄道との協定でございまして、一般の私鉄になりますとこの協定は守られておりません。私鉄の場合は、やはりいまの現状は、必要を感じたほうがよけい出す。私鉄は国鉄と比べまして非常に経営が困難だということもございまして、大体私鉄との単独の立体交差をやりますと、私鉄の受益分しか私鉄は出さない。私鉄の受益分といいますと、踏切警手のおります場合に踏切警手が要らなくなる、そういうためにその経費の節約分が出されております。その他は全部道路管理者の負担になる。道路管理者の負担になりますと、それが踏切受託事業として取り上げられまして、大体これが地方道の踏切受託事業につきましては三分の二国が負担して三分の一を地方が負担するというかっこうになっておるのであります。そういう制度でございますと、やはり国鉄を立体交差する場合より私鉄を立体交差するほうが地方の負担はかなりかかってくるような状況でございますので、これに対しましていま運輸その他でいろいろ検討しておりまして、私鉄も非常に径営も苦しいが国鉄も非常に経営は苦しくなっております。この際、都市の中の連続の立体高架がやさしくできるようなためにはもっと国が金を出すべきじゃないかということでいろいろ検討しておるのでございますが、われわれの道路側の態度といたしましては、国がよけい出す、道路管理者がよけい出すということにつきましては、地方の負担が非常によけいになるということで、いまのところ簡単に応じられないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/41
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042・小濱新次
○小濱委員 私もその点についてはよく調べてみましたので、いま局長さんの言われたことについてはよくわかります。東海道線を見ましても、横浜から小田原を見てみましても、地下道は横浜で何カ所ですか、二カ所ですか。それから藤沢に一億何ぼかけまして一つつくりました。それから平塚に一カ所できております。あとは地下道らしいものは何もありません。ほかにも小さいものはあるようでありますが、非常に不自由しておるような、そういう地下道のようでございますが、御承知のように東海道線は長いときには二十分、三十分、四十分くらい踏切が遮断されております。これは横浜の平沼ですと四十七分くらい。あそこは相模鉄道も通っております。いまのせわしい活動をしておられる方々にとっては、あそこで非常にいらいらしておるわけです。そういう点の解決を何とかしてやりたいと、地元でもいろいろと動きを起こしておるようでありますが、そういう点ができない。その悩みが負担の問題にあるわけです。そういう点をひとつその衝に当たられる方々がよく知っていただきたい、こういうように思って実は申し上げたわけであります。超過負担の問題については、大臣からもいろいろとお答えがございましたので、私どもはこれからも一生懸命努力をしていきたい、こういうふうにも思っております。この点については終わります。
もう一つ最後に自治大臣に、これは財政問題とは違いますが、人命尊重の精神の上からひとつ聞いていただきたい。時間が少しありますので、ぜひこの点を申し上げてみたいと思うのですが、委員長お願いいたします。
実は、御承知だろうと思いますが、非常に晴天焼きで、水飢僅の問題が起こって新聞をにぎわしております。五月に入って二回、二日間軽く降った程度です。横浜市内と横須賀と川崎、それから県水でありますから県もそうですが、東京にも日量二十三万トンくらい分水をしております。そのもとが相模湖、津久井湖になっている。ここが三十九年の渇水時期に比べて、最も悪い状態である。いままで例がなかった。水量はいま四分の一しか保ってない、こういう状態になりました。気象台の発表ですと、本年の雨期には非常に期待ができない。何か集中的な降雨の地域もあるようでありますが、全体的には期待ができないということなので、このままでいけば、去る三十九年のある渇水時期の騒ぎよりか大きくなるであろう、こういうことで、すでに県の企業庁では手を打ちまして、懇談会を開き、結論も出して、現在では二〇%の節水を始めました。これは上水ばかりではありません。工業用水にもこれを使っておりますし、またいま田植え時期を控えて、もうすでに始まっているところもございますが、農業用水もずいぶんこれを使っておるわけです。非常に利用度の多い相模湖、津久井湖でございますが、この水飢謹に備えて、いま県は、企業庁を中心に各関係部局集めて、毎日のように対策を練っているようであります。
私の申し上げたい点は、この前の渇水時期にもそうでありますが、御存じのように、あの箱根の山に芦ノ湖がございます。あそこには満々と水がたたえられておるわけです。あれが神奈川県に所在していながら、あの水利権は静岡県にある。あの水は地元の箱根町では全然使えない。正式には一滴ももらえないわけです。そういうことで、みんな井戸を掘って使っているわけです。ところが渇水時期にはやはり井戸水が上がってしまうわけですね。そこで恨めしげに芦ノ湖の水をながめて長嘆をしている、そういう事例があるわけであります。
そこでひとつ、これは広域行政の立場から自治大臣にお考えいただきたい。ぜひ協力をしていただきたい。それは水利権の問題でございます。事故のないときにはいいのですが、あの芦ノ湖の水が満水になりますと、箱根から湯本、小田原に通ずる早川にこの水が落ちてまいる。流されるのです。そして被害を湯本町あるいは小田原市が受けるわけです。そういう最悪の事態にはどっと流されるわけですが、それ以外には水門を締めて一切ノーコメントで、静岡県がこの水利権を持っておる、こういう状態なんです。この問題については、どうでしょう、自治大臣は御存じであろうかどうか、一ぺんお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/42
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043・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 具体的な芦ノ湖の水利権の問題については、私、残念ながら存じていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/43
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044・小濱新次
○小濱委員 もう少し話させてもらいます。
このいきさつについては、何か歴史を読んでみますと寛文六年と書いてありますが、その当時は箱根権現があの湖を管理しておったようであります。神主が許可をして、静岡県駿東郡深良村というところにこの水利権を与えた。そして六カ村が水利権を持っておるようです。三年間くらいかかって静岡県側とそれから湖水のほうからと、両方から水道を掘ってまいりました。みごとに途中でつなぐことができまして、三年有半かかってこの水を静岡県に流していった、こういうことです。その後明治に入りましてから、東電が目をつけまして、そして東電三カ所というのですか、第一、第二、第三と分かれておるようですが、これが静岡県と話し合いいたしまして発電所を設けた。もちろんこの水利権は深良村にあるわけですが、どういうふうな使用料の支払いをしているかわかりませんけれども、そういうことが行なわれているわけであります。神奈川県としては、どうしても人口増に伴って非常に水量が足りません。いまは小田原の酒匂川から水を引こう、あるいは次は静岡県の富士川から水を引こう、こういうことになっておるわけですから、また膨大な予算が伴ってくるわけです。どうしても箱根の水資源だけはあきらめ切れないというのです。そういうことで、裁判をやりました。何回か起こしたようです。それは地方あるいは高等とやっていったらしいのですが、最後に最高裁ですかどこか、そこで負けたのだそうです。二回勝ったけれども最後に負けた。それであきらめたような形になっております。どうにもならないのだということであきらめ切った姿になって、そしてそのまま今日を迎えておるわけです。
今回水の問題が起こってまいりまして、住民の声の中から、この芦ノ湖の水利権の問題が非常に出てまいりました。これはやはり人命尊重の精神の上からも、ひとつ自治大臣として、一切の住民の福利増進を考えていく立場から、広域行政の立場から、この問題については何らかの処置をしていかなければならないであろう、あるいはまたそういうふうに努力をしていただきたい、こういうふうに私は思いまして、いまお話しを申し上げたわけであります。この点についてひとつお考えをお述べいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/44
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045・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 本年の異常な干天続きのために渇水あるいは田植えができないというようなもの、あるいは水道がかれてくるというような事実が起こっておることは御指摘のとおりでございまして、これらに関しましては建設省、農林省その他十分な連絡をとりつつこの対策を講じておられるようでございます。今後もそうした対策に期待をいたすわけでございますが、具体的におあげになりました芦ノ湖の水利権の問題につきましては、先ほどもお答え申しましたように、私具体的な事実を存じておりませんのでお答えしにくいのでございますが、申し上げるまでもなく、御承知のように水利権の問題というものはなかなかむずかしいものでございまして、簡単に割り切れないものがあろうかと思います。しかしながらいまのようなお話でございますので、それらの点につきましては、これの担当省である建設省のほうとも十分連絡をいたしまして、どのようになっておりますか事実の調査をし、また考慮できるものかどうか検討をしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/45
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046・小濱新次
○小濱委員 第一審では、横浜の地方裁判所で開かれましたが、このときには勝利をおさめたわけです。神奈川県はさらに控訴院に持ち込まれまして、ここでまた争いましたが、ここでも勝利をおさめることができた。第三回目は、大審院刑事連合部というんだそうですが、ここに持ち込まれまして、そして最後にここで負けていったわけです。これは常識的に考えて、自分の庭に湖がある、その権利が他にあるというようなことは、どうしても納得できないわけですね。
その点と、もう一つは、あの三十九年度の東京の渇水のときには、何か東京では努力をされて利根川の水を東京に引き入れまして、そして飲料水にした、そういうふうにしてもらった例もあるわけです。そこで、やはり何とか話し合いを持つことが大切であろう、こう思うわけですが、何かもうもつれちゃって、神奈川と静岡では話し合いがつかないらしい。どう考えてもこの問題はもう少しやらなくちゃならない問題であろう、こういうふうに思うわけです。そこで条件ですが、水がなくなったときには、緊急な場合には、静岡にあって神奈川にない場合には分けてあげるとか、あるいはまた他の川のほうから深良村に水が取水できたときには芦ノ湖の水は落としてあげるとか、あるいは第一次計画とか第二次計画だとか、そういう計画で考えていこうとか、何らかの方策がありはしないか、こういうふうに思うわけです。いまこういうふうにもつれてまいりましたので、広域行政の立場から自治大臣に私はお話を申し上げたわけであります。どうかひとつ何らかの機会にこの問題を取り上げていただいて、そしてしかるべく自治行政がこの問題解決のために努力をしていただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
理事の方の努力もあるようでありますから、私はこれで終わりますが、こればかりじゃございません。地方自治体にはゴルフ場の問題あるいは河川敷の問題、あるいは養老院の国有地の、私はまだ根拠はありませんが、不法占拠の問題等々、問題がだいぶあるようです。こうした問題をやはり清潔なものにしていかなくちゃならないと思いますし、そういう努力も今後一そう大臣にしていただいて解決に進めていっていただきたい、こういうふうに思います。
きょうは財政問題からたいへん横道にそれまして、水利権の問題についてお尋ねいたしましたが、今後しかるべき努力をしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/46
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047・亀山孝一
○亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。井上泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/47
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048・井上泉
○井上(泉)委員 折小野さんの質問に対して、財政局長のほうで、後進地対策として百十七億計上されておる、こういう説明でありましたが、これも、私いただきました資料を調べておりますと、なるほどその百十七億が後進市町村対策費として、交付団体を含めて百十七億、こう出ておるのですが、これについては、県分については全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/48
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049・細郷道一
○細郷政府委員 県分は、投資的経費の全般にわたって今回投資補正をいたしました。先般申し上げましたように、たとえば県の農業行政費についても、農家人口の全人口に対する比率といったようなことをとる方法によっていたしておりますので、投資的経費千八億の中にその分が加味されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/49
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050・井上泉
○井上(泉)委員 県分でない市町村の分で小中学校の単位費用の補正、こういうことですけれども、この場合に市町村の小学校費、教育費なんかでは、単位費用のこれだけの補正で後進地域の対策というものが考えられるのかと思っつたのですが、どうしても合点がいかないのです。なるほど児童数については千八百三十円が二千三百七十円になっておる。学級数においても、学校数においても、ある程度単位費用は変わっておりますけれども、後進地域というところへいきますと、児童数は減るし、学校数は減るし、学級数は減るし——これは金をふやしてもらっても全然ふえない勘定になるのですが、一体百十七億というのは、これを区分をすれば、これを算定をするには、一体どれだけのもので百十七億になったのか、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/50
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051・細郷道一
○細郷政府委員 道路橋りょう費関係で十六億、小中学校関係で四十七億、農業行政費で四十一億、その他の産業経済費で十三億、合計百十七億、こういう積算であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/51
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052・井上泉
○井上(泉)委員 それでは後進地対策ということで、学校ならそうやってなるのですか。やはり同じような学校数があり、同じような児童数がありとすればなるが、どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/52
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053・細郷道一
○細郷政府委員 人口が減れば当然児童も減る。そういった場合でも、そういう市町村におきましては学校数を減らすわけにいかない。そういうことから、学校数を基礎とします測定単位の需要算定にあたってこれを引き上げていく、こういう方法をとっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/53
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054・井上泉
○井上(泉)委員 財政局長、それは地方自治体の実態を——さっきもここで話していたのですが、金だけで物事を考えるくせがあって、どうも近ごろの世の中の人間は悪いようなことを書いてあるんですけれども、やはり仕事をされるには金のことも考えなければならぬ。しかし金だけでは考えられない。たとえば、高知県でいま野老山中学校という学校が廃止になる、ならぬで大問題が起こっているのですが、このことを承知しておるのかどうか、これは学校数を算定する上においてのあなたの理解の度合い、頭のよさを知るわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/54
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055・細郷道一
○細郷政府委員 高知県のその事例は承知いたしておりません。ただ、私ども交付税の算定にあたりましては、交付税制度の本来の趣旨にかんがみまして、各地方団体を通じてとらえ得る事象をもとにして算定をしていく、こういう考え方をとっておりますので、まあ個々のものにつきましては個々の問題として別問題でございまして、交付税算定上は一つ一つの学校の統廃合ということでは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/55
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056・井上泉
○井上(泉)委員 それはもちろんわかります。わかりますけれども、自治省のほうでは、たとえば東京都に対して、都市交通の問題について、再建策を出さなければ考えるとかいうふうなもので、自治省のほうではむしろ学校統合を奨励をするというのでなしに、圧力をかけておりはせぬですか、小さい学校、つまり生徒数が二十人、三十人のところは、これを幾つかにまとめよというような。そういうことは単に高知県だけでなしに、後進地域といわれる各県では、学校数の統合、複式、複々式教育の学級数の統合というように、どんどん統合されておるのですが、そういう事実はあなた御存じないのですか、そういう実際の地方の後進地域といわれる地域の現状は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/56
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057・細郷道一
○細郷政府委員 私も、あちこちの市町村長さんもお見えになって、いろいろ実情を伺っております。全国全部を承知しておるわけではございませんけれども、そういう動きのあることは知っております。ただ私のほうは、学校統合自体をわが省で圧力をかけて奨励するというような態度はとっておりません。ただ市町村長さん自身が、やはりだんだんと生徒数も減ってくる、スクールバス等もできるような時代になりましたので、学校を統合することによって教育の水準を、同じ市町村内で同じレベルに持っていくというようなことも考えておられるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/57
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058・井上泉
○井上(泉)委員 それじゃその学校統合をされてスクールバスを走らせる、こういう場合には交付税で見てくれておる、そういう措置になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/58
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059・細郷道一
○細郷政府委員 それは、先般もお答えしましたように、統合いたした場合には特別交付税によって、統合がなかったものとして三年間見ていく、こういう行き方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/59
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060・井上泉
○井上(泉)委員 それは特別交付税として三年間見る、そうすると三年済んだあとには何もない、こういうことになるわけでしょう。そうすると、今度交付税全体の中でやはり後進地域対策として百十七億計上しておる、こう言われても、私はこれが対策にはならない。何にもならないかというと、それは何にもならないじゃないかもしれぬ。ある程度は、金だけで算用した場合は、それは十円もらうよりは十一円もらうほうがいい。しかしあなたの場合には、金で算用するような考え方でないような、こういうふうなお気持ちだから、あまり金にはこだわってないように思うのです。思うけれども、私はこういうことで後進地対策をお考えになられると、非常にどうも納得がいきかねるわけです。それじゃこの百十七億は、前年度のあれでいくと幾らになるのか。前年度より何億くらいふえたのですか、四十一年度より。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/60
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061・細郷道一
○細郷政府委員 四十一年度の需要算定に比べて百十七億ふえる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/61
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062・井上泉
○井上(泉)委員 それで、前年度は幾らだったのですか。私、前のことがわからぬので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/62
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063・細郷道一
○細郷政府委員 前年度の市町村分の小学校費の需要総額は、児童数を測定単位とするもので二百十四億、学級数によりますものが四百三十六億、学校数によるものが百九十六億、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/63
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064・井上泉
○井上(泉)委員 それからこれは、自治大臣には別に質問をするつもりではなかったのですけれども、ちょうどおすわりになっておられるのでお聞きをしておきたいと思うのですが、私は昨年度の地方行政委員会の会議録をずっと読んでおって、前の大臣のお答えや、あるいはまた自治省のお役人さんの言われることを信用して、去年もこのようなことを言っておるけれども、今年はだいぶ趣が違うように思うのですが、一体日本の政治の機構で、前の大臣が言われたことをあとの大臣はやはり引き継いでやられるのか、それとも前の大臣がやったことだから知らない、おれはおれの方針でいくんだということになるのかどうか、その点をひとつ自治大臣に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/64
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065・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 政府といたしまして、国会で答弁をいたしましたことは、これはもちろん次の者も引き継がなければならないものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/65
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066・井上泉
○井上(泉)委員 心得ておって、それはやるのですかやらないのですか。その点をひとつはっきりお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/66
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067・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 引き続いてその答弁を尊重いたしまして、やっていかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/67
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068・井上泉
○井上(泉)委員 それで、またもとへ戻るわけですけれども、交付税算定の測定の単位の中で、同和地区の多いところなんかずいぶん財政需要が要るわけですが、これらについての配慮なんていうものがなされておるのかどうか、その点を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/68
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069・細郷道一
○細郷政府委員 同和事業につきましては、関係各省のいろいろな行政につながっておるわけでございます。それが補助金によって施設をつくるというような場合におきましては、それを全体として交付税の需要に算定し、またその団体が非常に小さい場合には、地方債によってその裏負担を見ていくという措置をとっております。特に地方債は、現在一件の金額が百万以下のものは地方債によらないで、なるべく一般財源でいくようにというのを一般原則にしておりますが、そういう地区につきましては、その市町村の財政力が弱い場合には、百万円を切り下げて八十万円ぐらいのところまで地方債を認めるというような措置もとっております。そのほか同和地区につきましては、その需要の測定が客観的になかなかむずかしいというような事情もございますので、さらに特別交付税において、同和地区人口等を基礎にいたしまして算定を加えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/69
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070・井上泉
○井上(泉)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/70
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071・亀山孝一
○亀山委員長 次会は公報をもってお知らせいたしますが、予定は明日午前十時理事会、十時十五分委員会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X01819670601/71
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