1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月九日(金曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君
理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君 理事 門司 亮君
木野 晴夫君 佐々木秀世君
塩川正十郎君 辻 寛一君
渡海元三郎君 登坂重次郎君
永山 忠則君 古屋 亨君
井上 泉君 太田 一夫君
河上 民雄君 島上善五郎君
依田 圭五君 折小野良一君
小濱 新次君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省行政局長 長野 士郎君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
文部省管理局福
利課長 手塚 晃君
農林省農政局参
事官 横尾 正之君
自治大臣官房参
事官 志村 静男君
専 門 員 越村安太郎君
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六月九日
地方自治法の一部を改正する法律案(太田一夫
君外七名提出、衆法第二一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年度における地方公務員等共済組合
法の規定による年金の額の改定等に関する法律
案(内閣提出第一一〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。河上民雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/1
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002・河上民雄
○河上委員 私は、昨日も、ただいま提案になっております法律案につきまして御質問いたしたわけですが、時間の都合もありまして途中で一応打ち切りましたので、残された部分について質問を継続したいと思います。
昨日、国庫負担の導入あるいはスライド制の問題につきまして、特に長期給付に関して御質問したわけでございますが、その際の政府側の御答弁は、私にとりましてはなはだ不満足なものでございました。まずその点につきまして、重ねてもう少し御親切な御答弁をいただきたいのであります。その際私が申し上げましたように、そしてまた大臣から御答弁がありましたように、この共済組合法は、社会保障制度の一環として、またその充実を目標としてできているものである、こういうことでございましたが、私は考えますのに、こういう社会保障制度におきまして一番大事なものは、給付額の大小は言うまでもございませんけれども、何よりもそれがよって立つ理念、またその原理というものだと思うのであります。そういう意味で、いままでの御答弁を伺っている限りでは、そういう点が非常にあいまいである。あいまいであるために、当初掲げた精神あるいは目標としたものが、知らず知らずのうちに曲げられていく。そうしてしばしば行なわれる改正につきましても、赤字対策とかそういうような方便的な理由から行なわれているようでありまして、その原理というものがそこにはっきりしてないということを遺憾とするのでございます。ところが昨日お尋ねいたしましたときに、他の共済組合法との比較について私が触れましたときに、政府側では、それは自分の所管でないのではっきりしない、何とも言えまいというようなお話でありますし、またこの法案独自の改正を行なうべきだと言いますと、これは他の共済組合法とのバランスを考えるとそう勝手にできない、こういうようなことで、あっちをやればこっちを立てて逃げるというふうな感じがいたしまして、私としては非常に不満でございます。大体いろいろな共済組合法を取り扱う所管省がばらばらであり、またこれを審議する委員会もまた別々であるということも、どうもふに落ちないような感じがするのであります。そのような意味におきまして、昨日触れましたことではございますけれども、長期給付につきまして、この地方公務員共済組合法におきましては、使用者負担と被用者負担との割合が、五七・五%と四二・五%であるということでございますけれども、この比率の根拠をまずお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/2
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003・志村静男
○志村説明員 現行制度におきましては、長期給付に要する費用の負担割合でございますが、これは先生御承知のように、いわゆる公的負担といたしまして百分の十五、残りの八十五を使用者としての地方公共団体と組合員で切半をしているわけでございます。したがいまして公経済の主体、それから使用者としての地方公共団体の負担の合計は百分の十五プラス二分の八十五ということになりますので、合計しまして五七・五%、それから組合員といたしましては百分の十五を除きました残りの百分の八十五の半分でございますので、百分の四十二・五、こういう割合になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/3
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004・河上民雄
○河上委員 そういたしますと、公的部分を一五%として、他の残りを労使双方で切半するという原則に立っているようでございますが、そういたしますと、この公的部分というものは本来国庫が負担すべきものである、にもかかわらずそれを地方公共団体がかわって負担しているというふうに理解するわけでありますけれども、そのように考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/4
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005・志村静男
○志村説明員 地方公共団体といたしましては、使用者としての立場という面とあわせまして、租税でもってまかなわれる公経済の主体という立場があるわけでございます。したがいまして、御指摘の百分の十五という点は使用者としての地方公共団体ではなく、公経済の主体としての地方公共団体がこれを負担しておる、こういうことでございます。したがいまして、結果的には地方公共団体といたしまして、使用者としての分も公的負担としての分も合わせて負担をしている、こういうことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/5
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006・河上民雄
○河上委員 そういたしますと、一人で二役を演じているというようなことでありますが、それはどうもあとからつけた理屈のように思われるのであります。他の共済組合制度との比較をいたしますと、その点がなかなか納得しがたい面があると思うのであります。たとえば同じ共済組合法の中でも、私学共済あるいは農林漁業団体職員共済におきましては国庫負担を導入しているわけでございますが、こういう私学共済並びに農林漁業団体職員共済においては各負担部分というものがどうなっておるか、またそういう各負担部分比率を設けた根拠についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/6
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007・志村静男
○志村説明員 私学共済、それから農林共済関係につきましては直接当省の所管ではございませんので、そういった意味では御参考までに御説明申し上げることになるわけでありますが、この点につきましては、国庫補助の関係というのは一六%になっているわけであります。そして、もちろんこれにつきましては、きのうも御説明申し上げましたように、地方公務員共済組合の場合におきましては一五%の負担に対して、一六%ということになっているわけでございますが、これは先般の法律改正におきまして、従来私学共済あるいは農林共済の場合の給付水準というものが大体公務員の給付水準に見合っておったわけでございますが、まだ落ちておった部分があるわけであります。具体的に給付の算定の基礎になりますところの平均給与額の最高額、これが公務員の場合に比べて落ちておったのを公務員並みに合わせたということと、さらには給付算定の基礎になりますところの平均給与額の算定期間が退職前五年間でございましたものを公務員並みに三年間にした。その結果、長期給付に要する費用というものがふえてまいりますので、組合員の負担を軽減するという意味で一五%の負担を一六%に上げた、こういう経緯があるわけであります。しかしながら、公務員の場合におきましてはすでにそのような給付水準に達しておりましたので、その一五%というものは据え置いた、こういう経緯があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/7
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008・河上民雄
○河上委員 文部省の方、来ておられるようでございますが、文部省の方から直接その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/8
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009・手塚晃
○手塚説明員 ただいま自治省の志村参事官から御説明があったことと、ほとんどそのとおりであります。ただ、若干補足いたしますと、私学共済は二十九年に発足いたしましたが、そのときには国庫の補助率は百分の十でございました。それが厚生年金のほうがその当時まだ十であったのが、二十九年五月から十五になりました。それに伴って翌年、私学共済もその当時の給付水準がはなはだ低くございましたので、厚年から分かれたという考え方で、一年おくれで三十年には百分の十五にしてございます。それ以後はずっと百分の十五でまいったのでありますが、厚生年金のほうが四十年の四月に二十になりました。それに対しまして、私学共済のほうにおきましても従来の経緯があって、ぜひ厚生年金のほうに並べて百分の二十の補助をしてもらいたいという要望をしておったわけでございますが、ただ、私学共済は昭和三十七年に給付の内容をすっかり改善いたしまして、現在の国家公務員、地方公務員も同じでございますが、同様の給付の水準に高まりましたので、むしろ内容的には公務員とほとんど同じようになっている。考え方として厚年に合わせるという考え方で、内容的にいいますと、一面公務員のあり方に合わせるほうが適当だという考え方も出てまいりまして、ただ、先ほど志村参事官がおっしゃいましたとおり、昭和三十七年以前の時代の部分につきましては、なお非常に公務員関係のものより劣っておりましたのを、昨年度改正いたしまして内容を高めたわけでございます。その財源措置として、大体百分の一程度のものを引き上げなければならないということになりますが、組合員の負担がふえるということになりますので、これについては上げないでその改善措置をしたいということで、昨年度私学共済におきましては百分の十六に引き上げた、こういう経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/9
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010・河上民雄
○河上委員 いま農林省の係の方がお見えになったようでありますので、農林省の責任者から農林漁業団体職員共済における各負担の比率につきまして御説明いただき、またその根拠について明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/10
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011・横尾正之
○横尾説明員 農林年金につきましては、昨年法律改正をいたしまして、給付額の算定の基礎になります平均標準給与の計算のしかたにつきまして、旧法期間につきましてもこれを適用するということにいたしたわけでございます。ところで、この場合国家公務員共済組合と比較いたしますと、国家公務員共済組合におきましては、給付額の基礎になります給与が旧法期間につきましては最終本俸、こういうことになっております。そこで、いま申し上げましたように、農林年金につきましては旧法期間につきまして平均三カ年間の年額をとる、こういうことになりますので、そこに一つの格差が生じてまいります。ところが、農林年金につきましては約一万八千の団体を対象といたしまして、給与体系等につきまして格差があり、国家公務員共済組合法の旧法期間のごとく最終本俸をとるというような形をとることは、といたしましてどうしてもできないわけでございます。そういった格差がございますので、補助額は一五%のままでは差が生じてまいります。一方組合員の負担率、掛け金率は相当高いという状況にもございますので、そういった点を総合勘案いたしまして、一五%を一%引き上げて一六%にする、こういうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/11
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012・河上民雄
○河上委員 いま自治省、文部省、農林省、三省のそれぞれの責任者の方から御説明があったわけでございますけれども、私はいま伺っておりまして、各制度の間に非常にアンバランスがあるという印象を一そう強くするのであります。私は先ほどお伺いいたしましたとき、たとえば自治省の方は、私学共済は十六%だが、こちらはあえて動かさなくていいというようなことを言っておられますけれども、今度私学共済のほうを十六%にしたのは厚生年金との関係があってそうした、ところが、厚生年金のほうは今度は二〇%に上がったのだから、こちらのほうも実は上げたかったけれども希望どおりいかなかったというようなお話でございまして、何かお互いのアンバランスを、給与の不備の説明のために他の制度を利用しているという感じを一そう強く受けるのであります。これは非常に重大な問題でございますし、また後にちょっと触れたいと思いますけれども、給与の基礎になります最後の給料につきまして、国家公務員の場合と農林漁業団体職員の場合とではその基礎が違うということをいま農林省の方が言われたわけでございますが、同じような事情はまた地方公務員にもあるわけでございまして、そういうようにみな制度の不備を説明するときに他の制度とのアンバランスを、本来はよりよくするために、アンバランスがあるからこれを直してほしい、こういうように説明すべきところを、逆に低いほうのアンバランスをいろいろ取り上げて説明されておるようで、これでは熱意のほどを非常に疑わざるを得ないのでございます。ことにこういう社会保障制度そのものを考えてみますと、何よりも大事なのは原則でございまして、私はもうだいぶ前になりますけれども、ビバリッジ・プランが最初に発表されたときのリポートというものを読んだときの感銘を甘い起こすのです。あのビバリッジ委員会は、イギリスがドイツ軍によって大陸から追い出されたあのダンケルクの悲劇、国が危機存亡のときに委員会をつくりまして、そうして戦争中に、戦後の社会保障制度はかくあるべしという原則を明らかにして、その細目を定め、そうした案を発表したのであります。その案ができるまでもそれぞれの制度の間に非常なアンバランス、複雑なからみ合いがありましたのを、ちゃんとした幾つかの原則を立てまして、それにのっとって各制度を整備する、そういう熱意が、戦後のいわゆるイギリスの福祉国家を建設することになったのであります。イギリスが、もうへたをすればヒットラーによって併呑されるかもしれない、そういう危機存亡のときにすら、社会保障制度をつくるために原理的にまず第一歩からやり直す、そういう態度をとったところに戦後のイギリスの社会保障制度、世界に非常に大きな刺激を与えたあの福祉国家というものは生まれたんだと思うのであります。そういう点から見ましても、国家に関係のあります幾つかの共済組合制度の間においてすら、こういうアンバランスがあるということははなはだ困ったことでありまして、先般自治大臣から御説明がありましたように、かつての恩給法を組織がえする、切りかえていく過程にいろいろな問題があったことはわかりますけれども、しかし、もうすでに相当の年数がたっておるわけでございまして、少なくとも国庫負担の導入というような問題につきましては、やはり単に赤字対策とか、そういうような便宜的な理由ではなくて、国家がこれだけの責任を持つ、そういうところから何%という定率化が生まれてくる、こういうことでなければならないと思うのであります。
そこでお伺いしたいのでありますが、地方公務員共済の場合にはなぜ国庫負担を導入することができないのか、もう一度お伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/12
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013・志村静男
○志村説明員 長期給付に要する費用の負担のうち、公的負担として一五%ございます。これは従来から申し上げているわけでございます。したがいましてそれを、たとえば私学共済、あるいは農林共済と同じように一五%あるいは厚生年金の場合のように二〇%にしたらどうか、こういうお尋ねであろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、再三同じことを申し述べまして非常に恐縮でございますが、厚年の場合でございますと、私ども給付内容、給付水準というものを実質的に比べました場合におきまして、厚生年金の場合の二〇%と共済の場合の一五%というものはおおむね均衡がとれておるという考えでおるわけでございます。また一六%の関係につきましては先ほど申し上げたようなことでございますので、やはり私どもといたしましては全体としての関連、他の制度との関連というものを考えまして、この公的負担につきましては措置をしていくべきものである、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/13
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014・河上民雄
○河上委員 私がお尋ねしたことを少し誤解しておられるように思うのでありますが、一つは、私か伺っておりますのは、共済組合制度というものか社会保障制度の一環であるならば、当然そこに国庫負担の導入ということがないのはおかしいではないか。国家が責任を持つ、老後の保障に対して責任を持つという大原則というものがまずあって、そこから各制度の中でどういうふうに負担していくかという問題が出てくるんであろうと思うのでありまして、その前段の部分についてのお答えがないわけでございます。そして各制度それぞれ内部におけるいろいろな問題もあろうと思いますけれども、国家としては各制度に対しましてどれだけの責任を持ち、これだけの責任を持つのだという、そういう態度を明らかにする必要がある、こういうふうに私は考えているわけであります。社会保障制度の一環として、そしてこれを社会保障制度全体の完成のために、そういう一つのプリンシプルを導入することがまず大事である、こういうふうに私は考えるのであります。それを私はいまパーセンテージの問題だけを問題にしているんじゃないのでございます。プリンシプルのことを問題にしているのでございます。ひとつその点、国庫負担の導入ということにつきまして、将来にわたってそうあるべきだという御見解を賜わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/14
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015・志村静男
○志村説明員 お尋ねの点でございますが、長期給付の場合でございますと、公的負担としては一五%というものがあるわけでございます。この公的負担につきましては地方公務員共済組合の場合、国庫負担でなくて公経済の実態として地方公共団体が負担をしておるわけであります。こういうことが一つあるわけでございます。あるいはこれはおかしいではないかという御議論かと思うわけでございますが、やはり租税でもってまかなわれているという点におきましては同じでございますので、私ども公経済の実態として、地方公共団体が負担しておればその点は同じじゃないか、かように考えておるわけであります。さらに根本的な問題として、社会保険であるから、たとえば短期給付のような場合におきましても公的負担というものがあってしかるべきではないか、こういう御議論でもあろうかと思うわけでございますが、やはり私ども、現行制度といたしましては、地方公務員の共済制度は社会保険の一環ではございますが、職員の相互救済を目的とする制度でございますので、そういう観点からいたしますならば、短期給付制度につきましては地方公共団体と組合員とが折半でもって負担をするのが正しいというふうに考えておるわけであります。この考え方につきましては、昭和三十七年八月に出されました社会保障制度審議会の答申あるいは勧告におきましても、こういう点は支持をしているわけでございます。また当然地方公務員の共済制度ということになりますと他の制度との均衡というものも考えていかなければなりませんので、地方公共団体としては税金でまかなわれているわけでございますので、他の制度に先がけまして地方公共団体といたしまして折半以上の責任を負担するということにつきましてはまた問題があろう、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/15
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016・河上民雄
○河上委員 どうもその点が、きょうの委員会だけを対象にした御答弁のような気がいたします。こういう社会保障制度というものが近代国家において占める役割りというものを考えますと、政治でございますから、その刻一刻の問題は解決しなければならないにせよ、やはり将来に対する大きな目というものを見開いてこの問題をともにみんなで考えていく、そういう態度がないことははなはだ私としては遺憾に思うのであります。いま短期給付について少し触れられたのでありますが、この問題はまたあとでお尋ねしたいと思います。この国庫負担の導入の問題は、これは非常に原則的な問題でありますので、きょうだけではなく何回も繰り返してお尋ねしたいと思います。
次に、この前もちょっと触れましたように、スライド制の問題が非常に大きな関心事となっておるのであります。この問題については、昨日の御答弁では非常に否定的なお答えでございましたけれども、御承知のとおり現在物価はどんどん上がっているわけでございまして、またそういう事態に対しまして社会保障制度審議会をはじめとし、各方面において何らかの考慮が必要であるということが力説されておるわけでございます。この問題について、たとえば物価が一割以上上がった場合にはこれを改定するとか、そういうような具体的な措置というものをこの際考えておられないかどうか、重ねてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/16
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017・志村静男
○志村説明員 スライド制につきましては、先生御承知のように、規定自体といたしましては、地方公務員である共済組合員の中にあるわけでございます。したがいまして、その規定の実施をどうするのだ、こういうことになろうかと思うわけでございます。ただこれにつきましては、先日もお答え申し上げたわけでございますが、この規定を具体的に動かすことになりますと、いろいろ困難な点が多いわけでございます。まず第一番目には、それでは具体的に改定の基準をどうするんだ、こういうことがまっ先に問題になってくるわけでございます。さらに次は、改定に要する費用というものをどのようにして負担をするんだ、こういう問題が起こってくるわけでございます。さらにこのスライド制の実施の問題になってまいりますと、ひとり地方公務員共済制度の問題のみならず、他の公的年金制度を通じます共通の問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、他の公的年金制度との均衡というものも当然考えまして、この問題につきましては慎重に検討してまいらなければならない、こういう状況にあるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、地方公務員共済組合審議会という機関もございますので、こういった機関におきまして御意見を十分伺ってまいりたい。さらには、現に恩給問題につきましてこのスライド制の実施ということに関連いたしまして恩給審議会で検討いたしておりますので、その審議の模様というものも十分見てまいりたい。さらには、公務員年金制度連絡協議会というところの共通の検討の場もございますので、こういった場におきまして関係機関が集まりましてお互いに検討いたしまして、ひとつ何かいい方法がないかということを今後とも十分考えてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/17
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018・河上民雄
○河上委員 いま政府の御答弁にもありましたように、すでに法律では「国民の生活水準、地方公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の処置を講ずる」ということがはっきりと述べられておるわけでございまして、ただ検討しているというだけではこの法律に対してはなはだ忠実でないと思うのであります。
〔委員長退席、久保田(円)委員長代理着席〕
先ほどからしばしば言われることは、他のほうとのバランスということを考えなくてはならぬというようなことでございますけれども、しかし、すでにこの法律にそのようにちゃんとうたわれておるわけでありますし、先ほど国庫負担の導入に関しましては、他のほうはすでに実施されておるがわがほうではやらない、こういうようなお話でありまして、どうも他とのバランスというものが自由自在に使われているような感じがしてならないのであります。労働者災害補償法とか、その他そういうようないろいろな法律の中で、こういうような問題がどういうように取り扱われているか、政府の御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/18
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019・志村静男
○志村説明員 労災法の関係におきましては、私の承知しておりますところでは、休業補償の関係、さらに遺族補償年金、障害補償年金につきましてスライドの規定が実際に動かされておる、かように承知いたしておるわけでございます。具体的には、毎月の勤労統計によりますところの平均賃金でございますとか、これが二〇%以上増減するという場合におきましては、その比率というものを一つにいたしまして所定の時期から年金額を改定する、あるいは休業補償の金額を改定する、かようになっておると承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/19
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020・河上民雄
○河上委員 そういたしますと、そういうふうに他の法律とのバランスということは先ほどから強調されているわけでございますが、そういうようにすでにかなり明確に数字をあげてそういうスライド制というようなプリンシプルを導入しているものがあるわけでございます。この共済組合法におきましても、それを取り入れられないという理由はどこにもないと思うのでございます。まだ検討中であるということでありますが、他の法律においてはすでに先がけてそういうものが実施に移されておるわけでございます。ひとつこういう問題につきましてもう少し具体的に、大体こういう線でいったらどうかという程度のお考えがあるならば示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/20
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021・志村静男
○志村説明員 先ほど労災法の関係につきまして御質問があったわけでございますが、労災法の関係につきましては、これは私から申し上げるまでもなく災害補償でございますので、ちょっと性格が違うのではないか、かように思っているわけでございます。さらに、災害補償ということになりますと、当然公務員につきましても、公務災害補償というものがあるわけでございまして、それでは国家公務員等の場合どうなっておるかということでございますが、国家公務員災害補償におきましては、労災法のようなスライド制の実施というものはございませんが、いわゆる政策スライド制に関する規定というものは持っております。また今国会に御提案申し上げ、御審議をわずらわしておりますところの地方公務員災害補償法案におきましても、国家公務員災害補償法にならいまして、いわゆる政策スライド制の規定を設けておる。さしあたって改定の方向を示しておる、こういう状況でございます。
それから次に、それでは具体的に共済の長期給付についてのスライド制の実施はどうなるのだということでございますが、これにつきましては、どうも顧みて他を言うようなことになって非常に恐縮でございますが、私どもといたしましては、各公的年金制度を通じての共通の問題でございますので、地方公務員の長期給付だけいわば先走ってどうこうということは非常に困難な事情にございます。しかしながら、御指摘のように非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましては、あらゆる場というものを使いまして、これにつきましては今後とも十分検討を続けてまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/21
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022・河上民雄
○河上委員 いま、他とも連絡をしてあらゆるチャンスを生かして検討したいというようなお話でございますが、せっかく文部省、農林省から係官が来ておられるわけでございますが、その問題につきまして、それぞれの省のお考えを伺いたいとともに、ひとつこれを機会に、互いにそういうことを言い合わないで、この際共済組合法のそれぞれの機関がこの問題についてひとつテーブルを囲んで検討する、具体的に数字を出して、具体的な実施、つまりさっきのような宣言的な規定だけではどうにもならないということであります以上、具体的な規定をつくり出すように御協議いただきたい、こういうふうに思うのでございます。各省の担当の方からお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/22
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023・手塚晃
○手塚説明員 私学共済の関係といたしましても、スライド制の規定はきわめて重要だと思っておりまして、いまその点についていろいろ検討はしてございます。しかしながら、自治省の参事官から申されましたとおり、公的年金制度全体を通ずる問題でございますので、私どもといたしましては、国家公務員共済組合それ自身も運営しているわけでございますし、公立共済の所管官庁でもございまして、自治省、大蔵省とも連絡をとっておりまして、全体としてこの問題につきましては、十分連絡をとりながら、ひとり先走るということはやはり非常に困難でございますので、連絡を十分とりながら最も妥当と思われるスライド制の規定の実施につとめたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/23
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024・横尾正之
○横尾説明員 御指摘のように非常に重要な問題でありますが、同時に共通の問題でございますので、関係方面と十分連絡をして検討を続けてまいりたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/24
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025・河上民雄
○河上委員 私はさっきから、別に先走ってやってくれ、こういっているわけではないのでございまして、皆さんは異口同音に共通問題だ、こう言われた以上、ひとつこれに対してはっきりとした答えを出すように早急に、お互いの衆知をしぼって、ちゃんとしたはっきりとした答えを出していただきたいと思うのであります。そのことをここで御確約いただきたいと思うのです。大蔵省の方はおられますか。——このことはひとつこの審議の過程ではっきりとした御確約をいただきたい、こう思うのであります。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
それではこれに関連してでありますけれども、今度の改正で初めて問題になったわけではございませんが、貨幣価値への不安から退職一時金を希望する者がかなりいるわけでございます。退職一時金と通算年金の選択制という問題がありますけれども、この問題は女子については一応四十六年五月まで認められているようでございますが、男子につきましてもいまのような貨幣価値への不安がある限り、そしてまたスライド制というものが取り入れられない限り、選択制の延長というものは認めるべきではないか、こういうふうに思うのであります。参事官のお考えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/25
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026・志村静男
○志村説明員 退職一時金と通算退職年金の選択の問題でございますが、通算退職年金制度につきましては、先生御承知のように昭和三十六年、拠出制国民年金制の発足に伴いまして、新たに設けられたものでございまして、考え方といたしましては国民皆年金、こういう思想に立脚しているわけでございます。したがいまして、たとえ本人の自由意思あるいは選択の結果とはいいながら、やはり将来におきまして年金を受けることができない者がふえてくる、こういうようなことは、私ども国民皆年金という制度から考えまして逆行するものではないか、問題があるのではないか、かように考えておるわけでございます。また通算退職年金制度は昭和三十六年から発足したものでございますので、当然従来の制度によるところの期待権、あるいは既得権というものを考えなければなりませんので、経過措置として三年間というものを設け、さらにそれを二カ年間延ばしておるわけでございますので、さらにそれを延ばすということは非常に問題がある、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/26
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027・河上民雄
○河上委員 いま志村参事官から、われわれはこの制度については国民皆年金という一つの原理に立って処理しているのだ、こういうふうに言われたのでございまして、非常に心強く思うわけでありますけれども、そういうお考えは他の問題についても、たとえば国庫負担の導入などにつきましても、当然そういう一時的な問題を処理する場合にもひとつ原理をもって当たっていただきたいと思うのであります。しかしながら、私が先ほどから申しておりますスライド制の導入という、こういうことが叫ばれるようになりました背景というものには、非常に貨幣価値への不安というものがあるわけで、これはあくまでも経過的な措置であるべきことは私も認めるわけでありますけれども、しかしながらそれにはやはりスライド制というものを導入するという一つの裏づけがなくてはならない、こういうふうに思うのであります。その点スライド制というものと、そして選択制の停止ということとは当然一つのものである、こういうふうに考えるべきではないか、スライド制を取り入れないからこそこういう問題が起こってくるのだ、こういうふうに私は考えるわけでありますが、その点について参事官のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/27
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028・志村静男
○志村説明員 私どもの考え方では、スライド制の実施ということと直接いまの問題との間には関連がないのではないか、かように考えておるわけでございます。やはり退職一時金と通算退職年金との選択制ということでございますれば、国民皆年金という立場から考えるべきものであり、それから貨幣価値の問題ということでございますれば、やはりスライド制の実施、あるいは現に恩給年額の改定に伴いまして退職年金等を改定しているわけでありますが、そういった問題ではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/28
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029・河上民雄
○河上委員 実際に年金をもらうほうから見ますと、いま言ったようなことではなくて、やはり貨幣価値への不安というものからこういう選択制というものを生んでいるわけで、受けるほうが選ぶというのは一つはそういうところにあるのであって、いま言ったようなこととはちょっと事情が違うのじゃないか、こう思うのであります。どうしてもこれはスライド制というものを早く取り入れなければならない。法律みずからが認めておることでありますけれども、これを早くやらなくちゃいかぬという必要性をここに示しておるものである、そういうふうに私は考える。いま参事官は原理的に、こういう制度はそもそもおかしいから早く打ち切らなくちゃいかぬ、こういうふうに言いながら、スライド制のほうは原理的に認めながらまだまだ検討中である、こういうようなことでは、受けるほうの身になってみれば、何か退路を絶たれて、そして前へも進めないというような感じになってくるのであります。この点につきましては、スライド制を早急に実施するという確約がない限り、この選択制のほうをばっさり切ってしまうということも、あまりにも情のない考えのように思われるのであります。
ついでに伺いますが、それではなぜ女子にのみこういうものを特に認めるのか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/29
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030・志村静男
○志村説明員 女子につきましては、やはり勤務実態と申しますか、勤続年数というような点におきましても、男子に比べましては短いわけでございます。あるいはまた再就職というような機会も少ないわけでございますので、そういった実態にかんがみまして、四十六年五月末まで特に延長されておる、かように理解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/30
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031・河上民雄
○河上委員 局長さんおいでになっておられるようでございますが、どうも先ほどから非常に事務的な御答弁しかいただけないので、局長さんに、スライド制の問題、そしてそれに関連して退職一時金と通算年金の選択制の問題について、もう少し高い見地からの御答弁をいただきたい。
〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/31
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032・長野士郎
○長野政府委員 いずれもたいへんむずかしい問題でございますが、このスライド制の規定は、先ほど来いろいろお話がございましたように、各年金を通じてこういう規定が入っておるわけでございます。これは法律的に申しますと、一種の訓示的な規定で、ものの考え方を示しておるというにすぎないということになっております。そういう意味で今回の共済法の一部改正は、このスライド制を実行するのではなく、要するに恩給法の改定に伴うところのものをやるにすぎないのだ、こういうことになっておるわけでございますが、そういう意味で、このスライド制の規定を動かそうといたしますと、別に法律的な措置を必要とするわけでございまして、自動的にはこのままでは動けないのでございます。そこで、私どもとしては、将来ともにこれを具体化するためにいまの自動スライド的な考え方の方向に次第に進んでいくことは当然だろうと思いますが、何さま、そうなりました場合の費用負担をどういうふうにするか、だれが受け持つか、その部分を将来どちらで負担させるかというようないろいろな問題がからみ合いまして、目下検討中ということを申し上げるよりほか方法がない。現に検討しておるわけでございますが、一日も早くそういう方向にいくことは非常に必要だと考えております。
それからいまの、もう一つの選択制の問題でございますが、これはやはり志村参事官が申し上げておりますように、これとスライド制というのは直接関連するというふうには考えられないので、むしろこれは制度の移行に際しまして、従来その期待を持っておった者の調整をどうするかということで暫定的に考えてきたというふうに思われるわけでありまして、そうでございませんと、いまのこの年金というもののたてまえを維持する、充実していくということと、この一時金で早いところ済ましてしまうということとは、考え方としてかなり相違があるわけであります。共済なり年金制度というもののたてまえからいたしますと、やはり本来のたてまえを十分に充実をしていくという方向で考えなければいけないので、選択制というものはあくまで暫定的な一つの行政経過措置ということでございますので、これをいつまでも認めていくというより、根本的に年金制そのものの充実をはかっていく、こういうことが必要じゃないかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/32
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033・河上民雄
○河上委員 スライド制と選択制とは関係ない。それは確かに制度的には関係がないかもしれませんが、現在の時点において受ける組合員からいいますと、やはりこれは大いに関係があるわけでありまして、スライド制を実施しないから即この問題が起こったというわけではないことはわかるのでありますけれども、やはりこのスライド制を実施しないことに伴って発生する一つの問題であるという認識を持っていただきたいと思うのであります。ことに、いま、スライド制の実施についてはいろいろ解決すべき問題がある、いまそれを検討中であるということでありましたが、一体五十一国会におきまして、七十四条の二でこういうスライド制への規範的な法改正を取り入れましたときに、こういう実施の方法その他について何らの考えもなかったというのは非常におかしなことでありまして、幾つか考えがあるがなかなかきまらなかったということならまだしものことでありますけれども、いまのところ何にも考えない、こういうのも非常に解しがたいことであり、また非常に無責任なことではないか、こういうふうに思うのであります。まだ固まっていないけれども、こういうような案も考えられておるという程度のお話はひとつ局長さんから伺えないものだろうか、そんなふうに私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/33
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034・長野士郎
○長野政府委員 いまのお話のうちスライド制の実行という問題になりますと、この規定だけから動かないことは確かでございますが、考え方がこういうふうにはっきりと法律に明示されました以上は、スライド制の実施というかっこうで具体化するということが非常にはっきりと示されたわけだと思います。ただ、それを実行するための見通し、いわゆる費用負担の割合をどうするかとか、あるいは財源についてどのような影響があるかというような問題になってまいりまして、なかなかにわかに結論が得られない。これは年金制度一般に共通する問題でございますので、影響するところはすこぶる大きいわけでございまして、したがって現在のところまだ十分な結論を持っていないというのが、これは率直なところ現状でございます。しかし、それでいいのかということは、関係者だれしもそう考えていない。これは当然でございまして、その点についての検討をいま鋭意進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/34
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035・河上民雄
○河上委員 この問題は、確かに非常に大きな問題であることはよくわかるのでありますけれども、しかしこの長期給付は年金制度の基本的な問題でありまして、これを触れないでこの制度を維持するということは非常に困難になってくるのではないか、こんなふうに思うのであります。ことに現在この物価上昇が毎年休みなく続いております経済情勢というものを考えてみますと、これは非常に緊急な問題である。ことに五十一国会において、法律ではっきりとそういう規定を導入するという改正をやったわけでありますから、いますぐできないまでも、少なくともいついつまでには何とかしたい、そういう目標がなければ、ただじんぜん問題の困難性を訴えるばかりで日を過ごしていくということになるおそれがあるのでありまして、ひとつ局長においては、この法改正の審議中に、いついつまでには何とかしたいというお考えを示していただきたいと思います。それに御賛成いただけましょうか。政務次官がおられるようでございますので、政務次官からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/35
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036・長野士郎
○長野政府委員 もう先生のほうですでにお話がございましたように、この問題は非常に重要な問題でございますし、根本問題でございます。また方向としてはそうあるべきだろうと思いますが、これが各種年金に及ぼす影響、あるいは負担関係に及ぼす変化、その他これは慎重に検討しないとなかなか結論は出ないというような性質を持つものでございますから、先ほど来申し上げておりますように、関係機関はそれぞれこれについていろいろ協議をいたしましたり検討を進めておりますが、この法案の審議の期間中に結論を出す、そうおっしゃいましても、これは非常に無理でございます。正直申しまして無理でございまして、私どもとしては鋭意検討し努力するということ以上には、残念ながらただいまのところ申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/36
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037・河上民雄
○河上委員 この問題はことし起こった問題ではなくて、すでに昨年の国会においてはっきりと法にうたわれたことでございまして、しかもその法にうたわれる前に、これだけの思い切った規定を導入する以上は相当の論議もあり、また政府においても準備があったと私は思うのでありまして、そのようなことを考えますと、少なくともいついつまでに何とかしたい。せめて、佐藤総理ではありませんけれども、来週にもと「も」が入るくらいでけっこうですから、ひとつある程度のめどというものをここでお示しいただきたい、こういうふうに私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/37
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038・長野士郎
○長野政府委員 たびたび申し上げて恐縮でございますが、鋭意検討させていただきます、私どもとしては、こういうことを申し上げることでひとつ御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/38
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039・河上民雄
○河上委員 もう少しで答えが出そうな熱意ある御表情でございましたが、最後へきまして急に鋭意検討というようなはなはだ情けない御答弁になりました。昨日の本会議でも佐藤総理は、政治資金規正法という非常に佐藤総理にとってはむずかしい問題について、来週にもと、「も」というのを入れたのでありますけれども、ひとつその程度の御答弁を、非常に政治的な配慮において味のある御答弁をいつもなさる伊東政務次官にお伺いしたいと思うのであります。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/39
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040・伊東隆治
○伊東政府委員 法の中にこれほど明瞭にうたってある問題でございますが、この法案の審議中にぜひやれとおっしゃるのは少し無理なような感じがいたしますが、しかし努力はしてみたい、いま事務当局と相談しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/40
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041・河上民雄
○河上委員 私は案をこの審議中に出せ、こう言うのではございませんで、何とか努力したい、その努力目標を大体示してほしい、こういうことでございまして、いかな私でも、スライド制について案を出してしまえというわけじゃございませんで、ひとつ来国会にでもという程度の、「も」を入れてもけっこうですから、御答弁をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/41
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042・伊東隆治
○伊東政府委員 事務当局とも相談いたしまして、ひとつ最善の努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/42
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043・河上民雄
○河上委員 この問題は事の性質上、非常に大切な問題でございますので、いまここで押し問答をいたしましてむだに時間を費やすこともどうかと思いますので、一応ここで留保いたしまして、大臣が来られたところでお答えをいただきたいと思うのであります。
次に、大臣が来られるまで少し技術的な点につきまして幾つかお尋ねしたいと思います。今回の地方公務員共済組合法では短期給付の部分に手を触れておらないようでございますけれども、その理由をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/43
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044・志村静男
○志村説明員 短期給付の関係につきましては、健康保険法の改正の関連の問題であろうかと存ずるわけでございますが、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律におきましては、第三条におきまして、健康保険法の当該改正規定は自動的に共済関係の短期給付にも及ぶようになっているわけであります。したがいまして、今回御提案申し上げておりますところのこの改正法案には短期関係につきましては全然触れておらない、こういう状況になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/44
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045・河上民雄
○河上委員 五十一国会におきまして附帯決議がなされているはずでございますが、それはその後どういうふうに織り込まれておるのか、またどういうふうに努力されたか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/45
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046・志村静男
○志村説明員 附帯決議の内容は、市町村共済組合の短期給付経理の状況にかんがみまして、短期給付調整資金制度の創立というものを検討したらどうか、こういう御趣旨のものであろうと私ども考えているわけでございます。この点につきましては、私どもといたしまして、結局は医療費問題につきましての抜本対策の結果というものに待つものが非常に多いというふうに考えているわけでありますが、それまでには非常に時間がかかりますので、とりあえずの措置として、市町村共済組合の場合には短期給付調整資金制度を設けたらどうだろうかということで鋭意検討したわけでございます。しかしながら、その後幸いにいたしまして、医療費の増というものが地方公務員共済組合の場合だいぶ鈍化をいたしてまいっております。また、各共済組合におきますところの企業努力あるいは組合員の自覚等もありまして、短期経理というものの状況がだいぶ好転をしてまいっておりますので、私どもといたしましては、今後さらに医療費の増というものにつきましては推移を見てまいりたい。さらには、健康保険法の臨時特例というものが実施をされました場合には、その実施状況の推移等も見たいということで、今後さらに検討を続けるということで、今国会には御提案を申し上げるということは避けたわけでございます。
さらに、保険以外に一般的に短期経理の赤字問題につきましては、私どもといたしましても当然やらなければならぬことがたくさんあるわけでございます。そのためにはまず、きのうも申し上げたようなわけでございますが、何と申しましても医療費問題でございますので、病気にならぬということが先決である、したがいまして福祉事業におきましては疾病予防というようなことに重点を置きまして、福祉事業というものを大いに進めたらどうだろうかということで指導しておるわけであります。また、各共済組合におきまするところの赤字というものにつきましては、単年度経営ということからいたしまして、当然当該年度の支出というものは当該年度の収入をもってまかなうのがたてまえでございますが、この赤字問題につきましては長期的かつ計画的に解消するということで、急激なる組合員の負担増というものは避けるような指導をしておるわけでございます。それ以外に、さらに各共済組合におきましては自主的な企業努力等もぜひしていただきたい、こういうことを申し述べて、鋭意短期給付経理の赤字問題あるいは財源問題につきましては指導もし、努力もしている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/46
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047・河上民雄
○河上委員 昭和四十一年の六月二十四日、衆議院地方行政委員会における附帯決議の第一のところでありますが、「地方公務員共済組合の短期給付については、医療費の増加に伴う財政悪化及び組合員の負担増加の現状にかんがみ、これが健全化及び組合員の負担の緩和をはかるため、国庫負担制度について検討すること。」と書いてあるわけでございます。こういう附帯決議に対して、今回何らこたえていないという点をはなはだ遺憾とするものであります。そういう点について、いまいろいろお答えがありましたけれども、どのように考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/47
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048・志村静男
○志村説明員 国庫負担の問題につきましては、これも再三お答えを申し上げておるわけでございまして、附帯決議もございましたので、私どもといたしましても当然検討はしたわけでございます。ただ、やはり地方公務員の共済制度は職員の相互救済を目的とするということからいたしまして、これはやはり使用者としての地方公共団体と組合員というものが折半して負担するという現行のたてまえというものは私ども正しいのではないか、かように考えておるわけでございます。また、この問題につきましては、当然国家公務員共済組合制度との均衡というものも考えてまいらなければならぬわけでございまして、非常にこの点は困難であるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/48
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049・河上民雄
○河上委員 いまの御答弁は、附帯決議に対してこたえるという責任感といいますか熱意というものが非常に乏しいように思うのでありますが、いませっかく大臣がおいでになりましたので、この四十一年六月二十四日の地方行政委員会における附帯決議に対して今回の改正は何らこたえていない点について、大臣はどのようにお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/49
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050・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 短期給付についての国庫の負担制度というものについて検討をせよという附帯決議でございまして、ただいまお答えを申し上げたように検討をいたしております。この今回の改正については、それについての結論を得られなかったわけでございます。もちろんこの地方公務員の共済制度ばかりでなく、国家公務員共済制度その他いろいろあるわけでございまして、これらの関連も考えなければなりませんが、現段階においては結論は得られなかったわけでございまして、一応従来のたてまえの職員相互の相互扶助的なもの、そしてそれに対する使用者たる地方団体が折半して負担をするという現在の制度をとらざるを得なかったわけであります。しかし附帯決議で、検討をせよということを決議をされておるわけでございます。今後も国家公務員の共済組合制度その他ともあわせまして検討を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/50
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051・河上民雄
○河上委員 この問題、ただいま検討中というようなお話でございましたが、いつまでもそういう検討中のまま置いておかれるということは、附帯決議の権威というものに関係してくるわけでありまして、ことに私が本日最初に強調しましたように、こういう共済組合制度というものも社会保障制度の一環であり、またそうした制度の本質からいって、それがよって立つ原理というものが非常に重大である。そういう中で、国家が国民の生活と健康に対して責任を持つ、こういうのが社会保障制度の基本的な原理であろうと思うのでありますけれども、そういう点から見て早急にこの点を、そして今後具体的に御検討、努力していただかなければ困ると思うのであります。
なお、先ほど大臣がおいでにならない間に議論になったのでありますが、スライド制の導入の問題につきまして先ほど係官、そして局長、そして政務次官というふうに順次お尋ねをいたしたのでありますが、残念ながらはっきりとした答えが得られなかったのであります。御承知のとおり、五十一国会におきまして、本法の七十四条の二の中におきましてスライド制というものを取り入れる、取り入れなければならないということをはっきりとうたっているわけでございます。そしてまたいま引用いたしました昭和四十一年六月二十四日の本委員会における附帯決議におきましてもその三において「年金のスライド制の運用については、実効ある具体的方策が早急に講ぜられるよう適切な配慮をすること。」と、はっきりこう書かれているわけであります。こういうように書かれてあります以上、この問題につきまして本委員会もまたこの附帯決議の実施ということについて共同の責任を負うわけでございまして、大臣は当然これを尊重しなければならない。昨年の国会においてきまったことをことしにおいて実行するということによって初めて附帯決議というものの意味が生きてくるわけであります。したがって大臣はこの問題について、いままでどういうふうにこの附帯決議に対してこたえるべく努力をされてきたか。またこれだけ法律によってはっきりとうたわれておる。そうして法律にうたわれる前に長い間の議論もあり、具体的な案の検討もあったと思うのであります。そのことを考えますと、もうすでに一年というだけではなく、その前に、一年、二年と十分な準備があっての上でこの法律ができ、そうして今日に至っておる、こういうように思うのであります。したがって私は先ほど、このスライド制の導入につきまして、いますぐやれと言っても、それは無理だと言われるかもしれませんが、そうではなくて、ひとつこれはいついつまでに具体的な方策を出す、そういう御確約をいただきたいと思うのであります。そのことは、昨年の附帯決議に対して大臣が責任ある態度でこたえられるということの一つのあらわれとなると思いますので、ぜひともはっきりしたお答えをいただきたいと思います。先ほどは政務次官には、せめていついつまでをめどとしてというくらいのことでもいいからお答えをほしい、こういうふうに申し上げたわけであります。昨日の本会議におきまして、政治資金規正法の提出の時期について佐藤総理は、来週にもと、「も」をつけたところが何ともいえないのでありますけれども、せめてその程度の答えでもいいからと私は申し上げているわけであります。これだけ遠慮して、もうこれ以上遠慮する余地は、うしろはないのでありまして、ひとつ大臣から責任あるお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/51
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052・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 昨日も河上さんにお答えをいたしましたように、このスライド制の問題、あの条文だけでは実効が上がらないのでございまして、具体的にたとえば物価が一〇%上がったときとか、そういう具体的な方針がきまらなければ、ほんとうの意味であの条文を生かしたということにはならないと思うのであります。そもそもの発端は、恩給審議会でそういうものが論議され、そうして各種公的年金にもこうした条項が入ったといういきさつは御承知のとおりでございます。そこで恩給審議会におきましてもこのスライド制の実効についていろいろ論議をされましたが、昨年十一月の中間答申におきましては、なお相当今後研究の余地があるということで、結論に至ってないで御答申いただいたようなわけでございます。もちろんこうした条文があります以上、それが実効が上がるようにいたしますことは、各種公的年金を作成しておる各省の責任でございます。その意味で、特に発端になりました恩給審議会の動向あるいは公的年金についていろいろな協議会等がございますから、それらの審議をまちまして、できるだけ早くきめたいとは思います。いま河上さんから、めどを示せという仰せでございますが、いまここでどの程度のめどでということは非常に、まことに申しわけないことですが、申し上げられない現状でございます。今後、さらに一そうの努力をいたしまして、至急に結論を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/52
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053・河上民雄
○河上委員 私の申し上げたことは非常に当然な要求であると思うのでありますが、それに対しまして、めどは示すことはできない、しかし至急にというようなお話でありましたが、その至急という意味は、やはり今国会中、審議中というふうに私のほうは理解したいと思うのであります。
もう一度申しますが、このスライド制の問題をいつまでもほうっておきますことは、年金制度そのものの基礎を危うくするわけでございまして、先ほどもちょっと触れました選択制の問題などというものについてもいろんな希望が生まれておりますのも、一つはスライド制が取り入れられてないところにあると思うのであります。ひとつ私の質問がございましたのをきっかけに早急に、自治大臣におかれては他の各省とのいろいろな統一的な調整が必要だというようなお話でありますが、それならばそれで、各省とこの問題について早急に連絡をとり、相談をし、至急、少なくともこの時期までには何とかしたいという答弁ができるように作業を進めていただかなければ、昨年の法改正によってああいう宣言的な規定が取り入れられ、また本委員会において附帯決議が付せられておるわけでございまして、そういう法、あるいは国会の権威というものそのものにも非常に重大な関係が出てくるわけでございまして、単に一時のがれの答弁ではなく、至急その点をやっていただきたいと思うわけであります。そういう点をもっとはっきりいたしませんと、今回の法律は非常に事務的な技術的な点はたくさんございますけれども、いま申し上げた点は一番基本になりますので、これを何とかひとつ、何か藤枝さんらしい御答弁を近々にいただきたいと思うのであります。ひとつ何とかこの法案を審議している間にある程度の——佐藤総理ですらあれだけのことを言われたんですから、藤枝さんにおかれては、「にも」ぐらいのところを、ひとつこの法案が上がる前に何とかやっていただきたいと希望いたす次第であります。
それで、先ほど私が国庫負担の導入、あるいはスライド制の問題などにつきましてお尋ねいたしましたときに、係官のほうでは常に、他とのつりあい上というようなことをいろいろ申されまして、逃げておられるのでありますが、しかしこれは共通の問題であるということを異口同音に言っておるのでありまして、至急そういう問題について連絡会議を開いていただきたい、こういうことを希望するわけであります。
大臣にちょっとお尋ねいたしますが、短期給付あるいは長期給付における国庫負担の導入につきまして、大蔵省に対していままで予算要求をなさったことがおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/53
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054・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 実は今回の予算編成にあたりましても、長期給付につきましては、国庫支出金の増額について要求をいたしたわけでございます。昨日もお答え申し上げましたように、現在の厚生年金あるいは国家公務員共済並びに地方公務員共済につきましては、組合員が受ける給付に対して国庫がどれくらい負担するかについては、均衡がとれておるということを申し上げたわけでございますが、しかしお話にもありますように、社会保障制度そのものは常に前進していかなければならないわけでございまして、そういう意味におきまして、地方公務員共済ばかりが独走するわけにはいかぬと思いますが、全体としてやはり前進の方向をたどっていかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/54
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055・河上民雄
○河上委員 先ほど文部省、農林省、自治省の各係官の方から、この問題についていろいろお話があったのですが、どうも地方公務員等共済組合法がむしろ陥没しておるという面がかなりあるように思うのでありまして、足並みをそろえるということは非常に重要でございますが、もし共通の問題があるならばあるで、ただそうだというだけでなく、具体的に関係各省で同じテーブルを囲んで、ひとつ検討を開始するという姿勢がほしいように思うのであります。大蔵省の方来られておりますが、国庫負担の導入につきまして、大蔵省としてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/55
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056・秋吉良雄
○秋吉説明員 国庫負担制度、短期と長期があると思いますが、国庫負担制度の制度的な問題ですと、私の所管ではございませんが、私が私なりに了解いたしておるところを御答弁さしていただきますが、長期給付の国庫負担制度につきましては、現在三者負担制度がとられておることは御案内のとおりでございまして、これにつきましては国が負担するか、あるいは公経済が負担するかという議論があったわけでありますが、三十六年かと思いますが、地方公務員共済制度が発足するにあたりましては、やはり社会保険制度の根幹でございます厚年制度を中心として、そのバランスを合わせるのが至当であるという意味からいたしまして、三者負担制度がいままでとられておるわけでございます。ついては、恩給に追随いたしまして、その追加財源をどうするかという問題がございますが、これにつきましても、現在社会保険の根幹でございます厚生年金のシステムが三者負担をとっております関係上やはりその制度に乗らざるを得ないのじゃないかということでございます。しかし問題は、やはり共済組合員の組合費負担の限度がどうであるか、そういったようないろいろの問題もあろうかと思います。幸いにも現段階におきましては、組合員の給付が三者負担によることによって、それ巨体によって、水準といいますか、負担掛け金率は、それのみによって上がるということは現在はないというようなこともありまして、将来の検討課題になるかと思いますが、そういう現況でございます。
それから短期の国庫負担制度のお尋ねがあったかと思いますが、もしそういうことでございますならば、短期の給付につきましては、やはり労使折半という原則が現在とられておるわけでございます。それから国庫負担の導入については、おそらく一五%の公経済負担を二割に引き上げるという御議論かと思いますが、あるいはそういう御質問であるとすれば、先ほど大臣からも答弁があったと思いますが、やはり厚生年金の給付水準と共済組合の給付水準において差がある、たしか六割、七割程度の差があるのではないかと思います。そういったいわゆる負担関係でのバランスをとる意味、つまりパーヘッドからくる負担の均衡という意味からすると、一五%を二〇%に上げるのはやはりいろいろ問題があるということではないかと思います。
それから文部と私学との間につきましてもバランスを失しているのではないかという問題でございますが、これについては文部あるいは私学にもいろいろそれなりの理由があることは文部当局が御答弁されることと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/56
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057・河上民雄
○河上委員 いまの御答弁、必ずしも実情に即してない面もあるのですが、この問題はまたさらに同僚委員の方々より追及していただくことにいたしまして、残された時間を二、三少し技術的な点について御質問したいと思います。
その第一は、医療給付の問題でございますけれども、退職者に対して、現行法では継続療養の場合のみ最高五年という規定がございます。しかしながら御承知のとおり、長年の勤務の疲れとそしてまた仕事の上の張りを失うためか、退職直後において病気になるという例が非常に多いのでございまして、そういう人たちは現在の法律ではほとんど救済の道がないというようなことから、退職者に対する医療給付に対して何とかもう少し思いやりのある措置がとれないものだろうかという希望がかなり出ておるのでございます。長い間共済組合法による短期給付を受けておった人から見ますと、国民健康保険は非常に掛け金も高いし、また給付内容も悪いということで、あらためて世の冷たいことを感じるようなんでありますが、こういう点について、これは新しい制度の設定ということになりますけれども、そういう希望が非常に多いということから、政府の何らかのお考えはないものか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/57
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058・志村静男
○志村説明員 医療保険制度につきましては、現在国民皆保険ということになっておりますので、制度的にはやはりやめられた方はいずれかの医療保険制度の適用を受ける、こういうことになるわけでございます。ただ先生の御指摘がございましたように、退職いたしますと収入がなくなる、あるいは収入が急に減る、あるいは医療保険制度の間には給付水準に差がございますので、そういったようなことからいろいろ問題の御指摘があるのではないかというふうに考えるのでございますが、これは理屈といたしましては医療保険制度全体の問題ということに私どもなろうかというように考えているわけでございます。この医療費問題につきましてはいずれ抜本的な検討が加えられることになっておりますので、その検討の際にはやはりこういったような問題も含めまして十分な検討がなされる、かように私ども考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/58
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059・河上民雄
○河上委員 これは係官の方にも御記憶いただきたいのですけれども、いわゆる法の条項と条項のみぞに落ち込んだというような例外的な問題じゃなくて、非常に一般的な要求であるということをお考えいただいて、ぜひともこれを今後検討していただきたい。そういうように希望したいのであります。
続いてもう一つ同じような問題でございますけれども、遺族年金の最低保障額というものがかなり実情に合わないのでありまして、それについての不満といいますか、訴えがかなり多いことをわれわれは聞いているのでございます。この点について、最低保障額そのものを引き上げるか、あるいは遺族が受け取る本人年金に対するパーセンテージを上げるか、何かそういうような措置が必要な時期がきているように思うのですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/59
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060・志村静男
○志村説明員 遺族年金の年額でございますが、これは普通退職年金の二分の一になっているわけでございます。この額が妥当であるかどうかにつきましてはいろいろ問題点があろうかと思いますが、地方公務員共済制度におきましては国家公務員共済制度との関連もありますので、地方公務員の共済制度だけでもってこれを変えることには問題があるわけでございます。さらにこれを上げるということでありますれば、当然財源率さらには負担ということにも関連してくるわけでございますので、なかなかむずかしい問題があろうかと思います。
さらにこれの最低保障という問題でございますが、これにつきましては、厚生年金保険におきますところの最低保障との関連からこれを設けておりますので、厚年との関連を無視いたしまして共済年金としての遺族年金の最低保障を云々するということは、これまた私ども制度的に均衡上困難ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/60
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061・河上民雄
○河上委員 最低保障額が年に八万四千円ですか、あるいは間違っているかもしれませんが、たしかそうだと思うのです。そういたしますと、月にすれば非常に少ない額でございます。しかもそれの半分ということになりますと、実際の生活保障という意味合いからいいますと実質を伴わないということになる。そういう推理が出てくるのでありますけれども、そういう点から見まして、これはやはり今後ぜひとも検討していただきたいと思います。
さらにもう一つ、年金の基礎になりました本俸の計算についてであります。いま、ほかとのバランスをとらなくちゃいけない、つり合いをとらなくちゃいかぬということでございましたが、地方公務員におきましては最後の三年間の平均というふうになっていると思います。これは公共企業体の職員の場合のように最終本俸にすべきではないかと思うのでありますけれども、その点についてお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/61
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062・志村静男
○志村説明員 地方公務員の長期給付の算定の基礎になりますところの給料年額、これは先生御指摘がございましたように退職前三年間の平均ということになっているわけでございますが、これは地方公務員の共済制度が社会保険制度の一環でございますので、保険におきますところの公平というものを考えなければならぬ。これをもし最終在職時の給料でもってやることになりますと、拠出額と給付額の間の格差が非常に大きくなってまいりますので、私ども不適当だと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/62
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063・河上民雄
○河上委員 最後にもう一つ技術的な点でございますが、共済制度において給付される最高限はたしか月十一万円でございましょうか、これがきめられたのはたしか三十七年当時だと思いますけれども、その当時と現在とではだいぶ事情も変わってきておるわけでございますが、当時の事情と現在の事情との変化というものを考慮して、この十一万円というものを変える必要があるのじゃないかというふうに感ずるのでございますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/63
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064・志村静男
○志村説明員 御指摘のように、現在地方公務員の場合、長期給付の算定の基礎となるところの給料年額、これが十一万円ということで押えられておるわけであります。これは新制度が発足いたしました昭和三十七年十二月一日以降そのまま同じでございます。したがいまして、たとえば現在の知事にいたしましても最低十五万円というようなことでございますので、国の場合でございますれば事務次官二十二万。相当この点につきましては御指摘のように問題があろうかというように考えておるわけであります。しかしながら、他方におきまして長期給付制度というのは、退職後の生活保障ということでございますので、その点からいたしますといろいろやはり問題というものもあろうかと思いますので、私どもこの点につきましては今後十分ひとつ検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/64
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065・河上民雄
○河上委員 私が持っております数字では、東京都知事などは現在三十万だと思いますが、きめられた三十七年当時はたしか二十三万くらいだと思います。そのほか議長、副知事、部長クラス、みんなこのような形でだいぶ比率が変わっておると思うのです。おそらくこういう点につきましては政府委員各位のほうが切実に感じておられると思うのでありまして、これはもし三十七年当時、ある一定の根拠に基づいて十一万円というものがきめられたといたしますならば、やはりその根拠が変わってきている以上は、これは修正したほうがいいんじゃないかというふうに思うのでありまして、局長は御自分としてどういうふうにお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/65
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066・長野士郎
○長野政府委員 最高限を十一万円と押えております問題は、御指摘のように三十七年以来そういうことで据え置かれておるようでございますが、ただこの種のものが実態に即しないじゃないかということは、私どももそういう御指摘の理由があると思いますけれども、また一面、この共済年金というものも公的な年金制度の一環をなすものでございまして、そして、たとえばその中心でありますところの厚生年金保険等におきましては、報酬の最高限度を現在六万円ぐらいに押えておるということを用いております。そういうような二とで、いろいろと関連があるわけでございますし、それからまた最高限十一万円をこえるような人というものは、相当長期間勤務をしておるというようなこともございますので、そういう意味で年金が、先ほど志村参事官が申し上げましたように、最低の生活保障を考えるというような点から考えますと、むしろ十一万円をこえるような人については、相当のところまで保障ができるんじゃないか、こういうことが一面あるわけでございまして、そういう意味で年金額の計算の基礎となるところの俸給の額の引き上げというものは、いろいろな観点からこれを考えなければならないということが出てまいるだろうと思うのであります。しかし、いまお話のような点もございますので、私らといたしましてはいろいろな関連を考慮しながら検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/66
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067・河上民雄
○河上委員 いまの御答弁でございますが、これは長野さんのような高級官僚だけの問題じゃございませんで、地方議会の議員などにおいてもこういう問題が相当あるわけでございます。先ほどから、ものはバランスであるということでございますので、この点については御検討をいただくことを希望いたしまして、与えられた時間もまいりましたので、なお二、三技術的な点で残してございますけれども、一応私の質問をこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/67
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068・亀山孝一
○亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02119670609/68
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