1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十七日(月曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君
理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君
理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君
理事 山口 鶴男君
木野 晴夫君 久保田藤麿君
辻 寛一君 渡海元三郎君
登坂重次郎君 永山 忠則君
古屋 亨君 山田 久就君
井上 泉君 太田 一夫君
河上 民雄君 島上善五郎君
華山 親義君 依田 圭五君
折小野良一君 沖本 泰幸君
小濱 新次君 林 百郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長 相沢 英之君
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省行政局長 長野 士郎君
委員外の出席者
警察庁保安局外
勤課長 秋山 進君
防衛庁長官官房
防衛審議官 高瀬 忠雄君
防衛庁人事局人
事第二課長 平井 啓一君
専 門 員 越村安太郎君
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七月十七日
委員田中昭二君辞任につき、その補欠として沖
本泰幸君が議長の指名で委員に選任された。
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七月十四日
指定自動車教習所の助成に関する請願(丹羽久
章君紹介)(第三四〇八号)
同(臼井莊一君紹介)(第三五二八号)
同(加藤六月君紹介)(第三五二九号)
同(坂村吉正君紹介)(第三五三〇号)
同(山手滿男君紹介)(第三五三一号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第三五三二号)
市町村営有線放送電話施設助成等に関する請願
外二件(小澤太郎君紹介)(第三五三三号)
同外一件(谷垣專一君紹介)(第三五三四号)
同外一件(柳田秀一君紹介)(第三五三五号)
同(山口喜久一郎君紹介)(第三五三六号)
道路交通法の一部を改正する法律案反対に関す
る請願(門司亮君紹介)(第三六二〇号)
同月十五日
指定自動車教習所の助成に関する請願(赤澤正
道君紹介)(第三七五五号)
同(小川半次君紹介)(第三七五六号)
同(大平正芳君外三名紹介)(第三七五七号)
同(岡本茂君紹介)(第三七五八号)
同(金丸信君紹介)(第三七五九号)
同(亀岡高夫君紹介)(第三七六〇号)
同(櫻内義雄君紹介)(第三七六一号)
同(田中龍夫君紹介)(第三七六二号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第三七六三号)
同(村上勇君紹介)(第三七六四号)
同(山崎巖君紹介)(第三七六五号)
市町村営有線放送電話施設助成等に関する請願
外二件(大竹太郎君紹介)(第三七六六号)
同(玉置一徳君紹介)(第三七六七号)
同(柳田秀一君紹介)(第三七六八号)
自動車税軽減等に関する請願(麻生良方君紹
介)(第三七六九号)
東京都旧高田本町一、二丁目の住居表示に関す
る請願(島上善五郎君紹介)(第三七八九号)
東京都旧目白町三、四丁目等の住居表示に関す
る請願(島上善五郎君紹介)(第三七九〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
住民基本台帳法案(内閣提出第一〇九号)(参
議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる住民基本台帳法案を議題とし、質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/1
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002・折小野良一
○折小野委員 住民基本台帳につきまして、この制度を実施するにあたりましては、当然住民からの一斉申告あるいは届け、またそれに関連いたしまして市町村側のいわゆる実態調査、こういうことが行なわれなければならないわけでございます。もちろんこの法案におきましても、施行までの間に相当の準備期間というものが予定されておるということは承知いたしておるわけでございますが、それだけでなしに、実際のこの制度の実効をはかるというような立場からいたしまして、最初この制度に移行する際、十分な調査ということが必要であろう、こういうふうに考えるわけであります。しかもその調査を実施するにあたりましては、当然調査に要する費用とかいうものも相当要るわけでございますし、しかもその後この制度を維持するにつきまして、事務機構を整備しあるいはこれを具体的な事務により効果的に生かすために、いろいろな機械等の購入、運用、こういうようなものも直ちに起こってくるというふうに考えるわけでございます。この辺の制度移行に際しましての主として実態調査、これを中心にした自治省としての指導、そういう面についての御準備をどういうふうにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/2
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003・長野士郎
○長野政府委員 住民基本台帳に移行いたしますために、その住民の実態を把握する一斉調査、この関係についてどういうふうに用意をしておるかというお尋ねでございます。
この住民票の正確な作成をいたしますために一斉調査をするということは、当然に考えてしかるべきことでございまして、御指摘のとおりでございます。
一つは、この住民基本台帳の制度は、現在の住民票を一応引き継ぐものでございまして、その住民票の精度が場所によって非常にまちまちのところがございます。法務省当局の調べによりますと、その誤差は平均して五%程度であるということがいわれております。
それからさらに、そういうことと同時に、この台帳法の施行というものを、昭和四十四年の三月三十一日までに行なっていきたい。と申しますのは、現在各市町村におきまして、それぞれ創意くふうをこらしまして、この種の台帳の整理統合ということをいたし、窓口事務の改善ということにすでに着手をしておるところもございますし、まだ着手をしていない、これからやるところもございます。これは単に窓口事務の改善、届け出の統一ということのほかに、多少とも窓口の組織なり人の配置なりというものを変更いたさなければならない状況にございます。したがいまして、これを一斉にいつのいつから実施するということがなかなか実態に即さないわけでございますので、この法律が実施されましてから、四十四年の三月三十一日までにそれぞれの市町村で、準備の整いましたところで行なっていくということがいいのではないかというふうに考えたわけでございます。
それから、さらには、もう一つ、昨年選挙人名簿を永久選挙人名簿に切りかえました際に、昨年の六月二十日現在をもちまして、全国一斉に実態調査をいたしました。その際に、実は選挙管理委員会だけでなくて、市町村長との間で共同調査ということで、いたしておるのでございます。それは、実は、この住民台帳法の実施の前提としての準備としての意味を兼ねまして、そういう調査をいたしたわけであります。そういう意味であれこれ考えまして、今回は一斉調査ということが必ずしも実態にそぐわない面もございますので、昨年の実態調査の結果と、それから個々の市町村における窓口事務の改善というようなものを通じまして、そうして逐次住民台帳の精度をあげてまいりたい、こういうように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/3
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004・折小野良一
○折小野委員 新しい制度が有効に活用されるということのためには、その発足に際しまして、十分検討をする、また十分実態に即した調査をやっていくということが非常に大切なことでございます。と同時に、その後毎年毎年実態調査をやりまして、そして常に実態に即した基本台帳というものでなければ、十分な活用ができない。従来の住民登録制度が、制度上にいろいろな問題がありますと同時に、また実際問題として、ただいま法務省の意見として五%ということでございますが、確かに常住人口等の数字からいきますと、五%程度の誤差にとどまっておるかと思います。しかし、その利用し得る実態からいきますと、もっと大きな誤差が出てきておると私どもは判断をいたしております。それをできるだけ実態に即したものにするためには、やはり毎年毎年十分な調査をやっていくことが特に必要なことだというふうに考えておるわけでございます。そういう面については、自治省としてはどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/4
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005・長野士郎
○長野政府委員 この住民台帳の正確性を期しますために、実態調査を毎年やることは確かに必要でございます。ただ現実の状況と両方考えまして、この法律の三十四条におきましては、定期に調査するということの規定を入れております。私どもとしては、できれば毎年毎年やっていきたいという感じでおるわけでございますけれども、ただ同じ市町村におきましても、人口の移動の激しくない地域におきましては、毎年毎年調査するまでもない場合もあるわけでございます。また、逆に人口の多いところにおきましては、それこそ毎年実態調査をする必要はあるのでございますが、現実には毎年実態調査をすることが実施の上でいろいろと逆に困難になるということもございますので、画一的に毎年行なうということを規定いたさなかったのでございます。
と同時に、むしろ住民台帳法におきましては、今回の台帳法は、住民の権利義務に関する住民の地位を明らかにするという住民に関する記録を整備するということでございますので、この法律が実施されまして軌道に乗りますれば、むしろ住民の協力を待って正確性が従来の住民登録よりもかえって担保できるのではないかということもあるわけでございます。したがって、市町村の実態に応じて定期調査ということに法律ではとどめまして、実態に応じてその定期をきめていただいて調査をする、こういうことにしたらどうかと考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/5
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006・折小野良一
○折小野委員 現在わが国の制度といたしまして、統計法上十年に一回、そしてまた臨時を加えまして現実には大体五年に一回の国勢調査が行なわれております。従来、常住人口の調査あたりにおきましては、五年間にだいぶそのズレができて、それを国勢調査でいわゆる調整をするというような形で進んでまいりました。これはただ単に人口だけでなくて、その内容にも関係すると思うのでございますが、今後、住民基本台帳の精度をより確保するために、五年に一回行なわれますこの国勢調査との関連、あるいはもっと端的に言いますならば、国勢調査を十分活用して、住民基本台帳の整備を保証する、こういうような点について自治省としてお考えになっておりますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/6
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007・長野士郎
○長野政府委員 お話しのように、私どももできるだけ国勢調査等の時期におきまして、住民基本台帳の精度を上げますための調査をあわせて行なうことはぜひともいたしたいと考えておりますが、ただ国勢調査に要求されるものは、主として統計上のいろいろな必要からの問題が起きますのと、それから住民基本台帳におきましては、住民の地位、住民の居住関係の公証ということで共通部分もたくさんございますが、そういう意味で、資料のとり方、資料のスピードとか点検とかいう点で対象が必ずしも一致しない場合もございますので、その辺の調整の必要はございますけれども、できるだけそういう際に精度を上げるために併用した形のものができれば望ましいと思います。この点については統計局その他とも十分連絡して、そういうことをぜひはかってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/7
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008・折小野良一
○折小野委員 住民基本台帳の当面の趣旨からいたしまして、やはりこれは市町村における事務の簡素化、それから住民の便宜、こういう面が当面一つの大きな目標になっております。そういうような点からいきますと、今回住民基本台帳制度で取り上げられましたもののほかにいろいろあるわけでございますが、もっと進んで戸籍、ここまで統合したらどうかというようなこともございます。それからまたそれぞれの市町村によってこれは一様ではないかと思っておりますが、手数料の関係であるとか、あるいは地方税の住民税の関係であるとかあるいは教育関係とか、そういうようないろいろな面が考慮されるわけでございますが、そういうような問題につきましては、自治省といたしまして、今回の基本台帳制度をつくるにあたってどういうふうに御検討になっておるのかをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/8
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009・長野士郎
○長野政府委員 まず第一にこの法律と戸籍との関係でございますが、この法律と戸籍とは、いわゆる戸籍の附票という形で結びつけをはかっております。わが国の戸籍制度は、いわゆる本籍地において整備されるわけでございまして、その目的は、主として日本国民の身分に関する記録ということに相なるわけでございます。住民基本台帳は、住民の居住関係の公証ということでございますので、戸籍と住民台帳とがぴたっと一致いたしませんが、正確性を維持いたしますためにも、戸籍との関係において附票ということでつなぐことにいたしております。
なお、この届け出等につきましては、戸籍の届け出で済みますものは、住民基本台帳におきますところの届け出は省略しております。
それから手数料の関係でございますが、手数料につきましては、閲覧とか写しを求めます場合には、現在の住民登録法でも手数料は徴収することができるようになっておりますが、解釈上住民台帳も同じように手数料は条例で定めれば徴収ができるようになっております。
それから学校につきましての学齢簿の関係でございますが、学校の学齢簿関係は、実は学校教育法の施行令でそういう規定がございます。したがいまして、個々の法律の上で直接合わせることはいたしておりませんけれども、この住民基本台帳法が実施されました場合には、学齢簿の関係は住民台帳に基づいてつくるということに結びつきをはかることに文部省とも話をいたしております。
それから税につきましては、この附則にも改正規定を入れておりますように、市町村民税、府県民税につきましては、原則として住民基本台帳に載っておりますものについて税を課する、こういうことに結びつけをはかることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/9
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010・折小野良一
○折小野委員 せっかくできる制度でございますので、できるだけ十分に活用されることが望ましいというふうに私ども考えております。ただ、そういうふうな立場におきまして今度の法案を見てまいりますと、選挙人名簿の場合におきましては、住民基本台帳に登録されているものを登録する、すなわち住民基本台帳が基礎になる、こういうふうな立場で考えられておるのに対しまして、住民税の場合におきましては、たとえ住民基本台帳に記載されていなくとも課税される。記載されておるものとみなして課税する、こういうような考え方があるわけでございます。私どもは、せっかくこういう制度ができてまいりました場合におきましては、やはり住民の住所あるいはいろいろなものの公示、こういう面の関係は住民基本台帳を中心にしてやっていくというのが、やはり今後この制度を維持していくために大切なことではないか、こういうふうに考えます。したがって、住民税の場合におきまして、そのような事例がございますならば、これを台帳に記載されておるものとみなして課税するということよりは、むしろ住民基本台帳のほうを実態に即して正して、そしてあくまでも台帳を基礎にして課税する、こういう体制をとっていくべきじゃなかろうかというふうに考えるのでございますが、御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/10
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011・長野士郎
○長野政府委員 御趣旨は私どもも全くそのとおりに考えておるのでございますが、事が課税の問題でございますので、たとえばいずれの住民台帳にも載っていない者は課税を免れてもよろしいのだというようなことは、これはちょっと不都合なことにもなるわけでございます。また同時に、住民税におきましては、一月一日現在で課税をするということになるわけでございます。そういう場合に、そういう捕捉については三月なり四月なりに捕捉をいたすわけでございます。そういたしますと、その人は一月一日では住民台帳に載っていない。しかし一月十日ごろには載ったとかりにいたしますと、そういうものを居住関係としては明らかにその市町村に一月一日現在おったということがわかりましても、それを一月一日に前に返して住民台帳を直すということは、時の関係からしまして不都合でございます。そういう場合は、やはり一月一日に載っていたものとみなして課税をするということを考えざるを得ないのじゃないだろうか、いろいろ議論はございましたけれども、結局そういうことにいたしました。
同時に、そうしておきますならば、あまり予想したくはないことでございますが、かりにもせよ住民基本台帳に載っていない住民がいました場合に、それを捕捉するという場合でもそれは可能になるではないか。しかしながらそういう場合には、そのものを捕捉されておるものとみなして、これは税法に書くのでございますから、そう書いておりますけれども、それによりまして直ちに基本台帳法におきましては、十四条におきまして、住民基本台帳として台帳に登録してしまう。申し立てまたは職権に基づきまして登録をするということで、台帳そのものに登録することはいたすわけでございますが、税法上はみなしてということばを使わざるを得ないというようなことで、そういう事情から、そういう規定にいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/11
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012・折小野良一
○折小野委員 従来いろいろな制度がございましたが、結局それらの制度が住民の把握というような面について複雑な形をとってくる、こういうようなことによりまして今回のような住民基本台帳というようなものに対する要望が現実に高まってまいったわけです。したがって、その原因というのは、やはり国の行政管理、これがいわゆる縦割り制度になっている、そういうところに一番大きな原因があったわけでございます。したがって、今回こういう面が、住民基本台帳という形において統合されたということになるわけでございます。しかしながら、国におきましては、あくまでもおそらく今後も縦割りの行政管理制度というものは維持されていくであろう、こういうふうに考えます。したがって、今後次々に出てまいります制度が、やはり従来のように縦割りの行政管理制度を貫くというような形になってまいりまして、それが現実の問題とうまく調整されないということになりますならば、また再び、せっかく基本台帳制度というものはできましたが、そのほかにまたいろいろな制度が重なってくる、できてくる、統合されなくなってくるというようなことになってくることを私ども心配いたすわけでございます。したがって、市町村の行政の実態あるいは住民の立場というものを考えていただきまして、国の中におきましては、やはり自治省が中心になってそういう面の調整を常に行なっていただかなければ能率的な行政というものができていかない、こういうふうに考えます。こういう面についての自治大臣の御所信を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/12
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013・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、せっかくこの制度ができましても、おそらく将来といえどもお話しのように国の行政というものは縦割りの行政が多くなるだろうと思います。その関係でこの制度の趣旨が没却されるようになってはならないのでございまして、御承知のように第二条におきましても国及び都道府県はその行政をやる上においてこの制度をくずすようなことをしてはならないということをきめておるわけでございまして、この第二条の有効な適用によりまして御心配のようなことのないようにつとめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/13
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014・折小野良一
○折小野委員 住民の基本台帳制度に関連をいたしまして、将来住民手帳あるいは国民手帳、こういう構想というものがございます。今回のこの制度を確立されるにつきましても、自治省といたしましてもこういう面についていろいろ御検討になったことであろうと思いますが、将来の住民手帳あるいは国民手帳制度、こういうものに対する考え方をこの際承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/14
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015・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 この法律をつくる過程におきましても、そういう住民手帳とか国民手帳というものを設けたらどうだというような意見がずいぶんございました。あったのでございますが、まあこうした制度の発足のときでもございます。そのことがはたしてどういう国民に反響を及ぼすかというようなことも考えまして、今回はその制度をとらなかったのでございますが、将来の問題としてはやはりそういうことを考えていく時期が来るのではないかということを考えまして、今後も検討を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/15
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016・折小野良一
○折小野委員 今回のこの制度につきましてはいろいろな問題はあるといたしましても、現地からの非常に強い期待に基づいてできた制度であるというふうに私ども考えております。したがって、今後さらにこの制度の運用にあたりましては実効を期していかなければならない、そうしなければ、結局再び住民登録制度の轍を踏むというようなことになってまいります。そういうことにならないように、特に今回は住民基本台帳ということでございますが、これは結局は国民基本台帳ということでございますので、自治省を中心にした政府におかれても、今後その実効を期していくために十分な配慮をお願いしたいという要望を添えまして、私の質問をこれで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/16
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017・亀山孝一
○亀山委員長 次は、華山親義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/17
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018・華山親義
○華山委員 参議院先議で、こちらに回りましたのでございますが、参議院におきまして附帯決議が付せられたと聞いておりますけれども、どういう内容の附帯決議がございましたか。事務当局でよろしゅうございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/18
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019・長野士郎
○長野政府委員 附帯決議は、
政府は、本法の実施について、特に次の諸点に留意すべきである。
一、住民基本台帳の備付けに要する経費については、十分な財源措置を講ずること。
二、住民基本台帳に関する事務の管理態勢が十分整備されるよう指導すること。
三、地方自治の本旨を尊重し、かつ、住民基本台帳制度の本来の趣旨にのっとり、この制度の適正な運用を期すること。
こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/19
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020・華山親義
○華山委員 一項二項はわかりますが、第三項はどういう趣旨でありましょう。またそういうものが附帯決議されたのはどういうところに問題があってそういう決議がなされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/20
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021・長野士郎
○長野政府委員 住民基本台帳は、住民の居住関係の公証に基づきまして、主として市町村の行政事務処理の上で非常に役立たせようということで考えておるわけでございます。そういう意味で、地方自治の目的実現ということと、地方住民の権利義務その他住民としての地位を正確に記録するということが不可分の関係であるということを第一に考えるべきであって、この制度の中にも、国に対する資料提供、その他ありますけれども、そっちのほうが本体にならないようにしろ、むしろそういう御趣旨ではないだろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/21
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022・華山親義
○華山委員 その趣旨がわからない、ではないだろうかということで推察しますというようなことで、尊重しますとおっしゃったって、これは筋が通らない。それだけのことを附帯決議としてそれをつけられるということは、何らか審議の過程において、あるいは理事会等におけるところにもあったかと思いますけれども、どういうことが心配されるからというのでそういうことができたのか、御答弁願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/22
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023・長野士郎
○長野政府委員 国、あるいは国の機関が、国家目的とかそういうもののためにのみ利用して、行き過ぎのないようにしろということでございますが、その内容の中心になりますものは、たとえばよく世間にいわれておりますところの自衛隊の適格者名簿とか、そういうものに悪用、乱用されることのないようにしろ、こういう御趣旨が中心になっておるんじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/23
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024・華山親義
○華山委員 三十六条は、「国の行政機関又は都道府県知事は、それぞれの所掌事務について必要があるときは、市町村長に対し、」云々と書いてありますが、住民票の記載事項に関して報告を求めることができる。これは何か統計的資料でございますか、どういうものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/24
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025・長野士郎
○長野政府委員 三十六条には、住民基本台帳に記載されておる事項に関して資料の提供を求めることができる。三十七条には法律の目的を達成するため必要があるときには報告を求めることができる。この二通りの考えがございます。三十六条のほうは、住民基本台帳に記載されておる事項、つまり住民票に載っております事項について資料の提供を求めるということでございます。いまお話がございましたたとえば常住人口、この住民基本台帳に基づきますところの現在人口の報告を求めるというようなことが、この三十六条の中では出てくるわけでございます。三十七条のほうは、法の執行のために必要な報告でございますので、むしろ事務処理手続でありますとか、事務処理組織とか、態勢とか、調査の方法とか、把握のしかたとか、記載方法とか、様式というようなものを含めまして、したがいまして、住民票に記載されている事項以外のことにつきましても主管官庁として主務大臣は報告を求める、こういうことになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/25
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026・華山親義
○華山委員 いまお話になりましたが、自衛官の募集につきまして台帳を使っている事実がございますけれども、これは許されるとすれば第何条によって行なわれるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/26
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027・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 自衛隊法の九十七条で「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」機関委任をされるわけです。これに基づいて自衛隊法施行令で募集についての宣伝等の業務を市町村長等が行なうようになっておったと、私の記憶に誤りがなければそうだと思いますが、それに従ってやる適格者名簿というようなものを、その募集の宣伝の用に供するためにつくっておるというふうに私は解釈をいたしておるわけでございまして、この住民基本台帳法そのものからは出てきていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/27
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028・華山親義
○華山委員 住民基本台帳によって適格者名簿をつくっているという場合は、防衛庁はどの条文によってやるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/28
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029・長野士郎
○長野政府委員 現在つくっているといたしますと、住民登録法によったと思いますけれども、結局それは住民基本台帳法も同じでございますが、住民基本台帳の閲覧、写しの交付というものは何びとでもできるわけでございます。したがって、国の機関であろうとあるまいと、民間の人でも閲覧なり写しの交付の請求ができる、見ることができる、何びとにも見ることができるということは、見て写すこともできるわけでございます。そういう意味で、住民基本台帳あるいは住民票に記載されております事項は秘密でも何でもない、あらゆる人が利用できるということにしているわけで、それによりまして住民の正確な記録が一そう正確にもなりますし、また同時に、住民に関するいろいろな行政上の仕事も、それから私の営業の関係の仕事、あるいは身分関係についての照会、いろいろなものの便宜の役に立てようといっておりますのがこの住民基本台帳でございますので、何びとも利用ができるわけであります。
それと、先ほど申し上げました三十六条の「資料の提供」というのでございますが、そういう資料の提供というものは、むしろ国の機関のほうへ持っていくわけでございますから、ややそういうものと一緒に——一緒にと申すと語弊がございますが、たてまえがそもそもそういうことで、だれでも利用できるものでございますから、それに基づいて名簿をつくりまして、そうして国のほうに持っていく、あるいはまた住民のほうにも知らせるということをいたしておるのではないだろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/29
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030・華山親義
○華山委員 何ぴともこれを用いることができるということをきめた理由は、どういうことからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/30
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031・長野士郎
○長野政府委員 これは先ほども申し上げましたように、現在の戸籍におきましても、だれでも戸籍の謄抄本を得ることができるわけであります。そういう意味で住民の居住関係の公正な記録でございますので、それが必要な人、公法上の問題であろうが私法上の問題であろうが、私的な場合でありましょうが、少なくとも住民票に記載されておりますものについてはみな利用ができる、その利用することがお互いの住民の利便に役立つことでございますし、また同時にそのことが住民台帳の正確性をも増すゆえんでもある、こういう両方から考えましてこういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/31
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032・華山親義
○華山委員 犯罪の捜査その他いろいろ本人の問題があると思いますけれども、これはそういうふうなこと全部にこれを使ってもいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/32
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033・長野士郎
○長野政府委員 もちろん犯罪の捜査でも、この人間がそこの住民だと言っておるが、ほんとうにいるかという照会があります場合に、住民票によってそれを調べる、これは可能でございます。ただ、いわゆる選挙人名簿をつくります場合のいわゆる犯罪人名簿というのがございます、これは住民台帳と全く関係ございません。これは特殊な選挙の欠格条項を調べますためにつくっておる特殊な名簿でございまして、この名簿はむしろだれにも見せてはならぬ、個人の人権の問題もございますので、そういう扱いになっておりますが、これはこの名簿と全く関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/33
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034・華山親義
○華山委員 われわれの若いときに行なわれた警察の戸口調査は現在行なわれておらない。今度の法律によりますと、実態を調べて、そしてその実態を調べる途中において知り得た秘密をよそへ漏らしてはいけないというふうにしてすべての人をとらえる、こういうことにしていられるわけでございますけれども、これは警察のほうももとの戸口調査、そういうふうなものにも変わるのか、警察がそれを全部写せば戸口調査になる、こういう性格のものであって、これは憲法十三条の趣旨からいっても、これを無制限に認めるものにつきましては疑問を持たざるを得ません。憲法第十三条は申すまでもなく、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に對する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」こう書いてあるわけです。それですから、書いてあることの表面は、それは別に秘密のことではないにしても、この今度の法律につきましてこれを調査する途中において知り得たる事項はよそに漏らしてはいけないということまで書いてあるんだから、私は個人の秘密、こういうものがあると思うのです。それをすべてどの役所も知ることができる、こういうふうなことは非常に私は危険だと思う。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/34
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035・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まず第一に、警察におきましては、この住民基本台帳を利用して昔の一種の戸口調査みたいな結果になるようなことをやる所存は全然ございません。もちろん個人のいろいろな秘密というものは尊重されなければならないことは仰せのとおりだと思います。ただ、この住民基本台帳に載せられる住民の姿、どこにおってどういう家族がいる、この住民の姿というものは、これはやはりどうしても秘密にしなければならないものはないのではないだろうか。そういう意味におきまして、閲覧あるいは写しの請求等を自由にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/35
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036・華山親義
○華山委員 ただいま閲覧または写しということをおっしゃいましたが、ある役所で、ある市町村に対しまして、十八歳以上三十歳未満の男のあるいは女の住所と氏名とを書いてもらいたい、こういうふうにいって手数料を出しました場合には、市町村はこれをやる義務がございますか、閲覧及び写しの交付の請求に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/36
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037・長野士郎
○長野政府委員 いまのようなお話でございますと、閲覧、写しの交付ということとあるいは資料の提供という両方の条文によってできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/37
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038・華山親義
○華山委員 そうしますと、たとえば私が、私の住所は山形市でございますが、山形市に対しまして、二十歳以上四十五歳までの女の人の名前を全部書き出してもらいたい、こういうことが要求できるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/38
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039・長野士郎
○長野政府委員 先生が山形市にその写しの交付を請求されればできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/39
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040・華山親義
○華山委員 そうしますと、先ほどの参議院の附帯決議というものは何の役に立つのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/40
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041・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 元来この住民基本台帳というものは、市町村の行政をやる上において住民の記録を持っておる、しかも正確な住民の記録を持っており、しかも今回の改正によりまして唯一の住民の記録になるわけでございます。したがいまして、その市町村のそうした住民行政のために本来使われるものでございます。したがいまして、それをこれがあるからといって、国の行政機関その他がその市町村のそういう住民行政の支障になるようなことまで踏み込んで、この住民基本台帳というものを利用するようなことは避けなければいけない、そういう御趣旨であると私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/41
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042・華山親義
○華山委員 話を変えますが、よく自衛隊の適格者名簿ということばがいわれますが、あの自衛隊の適格者名簿というのはどこから出てきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/42
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043・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 各市町村の中で自衛隊に入る資格のある者の調べをいたしておるところがあるようでございます。これは先ほど申し上げましたように、自衛隊法九十七条によりまして機関委任をされまして、その自衛隊の募集の宣伝の一つとしてつくっておられる市町村があるようでございまして、それらを自衛隊適格者名簿と呼んでおるようでございますが、そういういわゆる法律的に自衛隊適格者名簿というような制度があるわけではないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/43
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044・華山親義
○華山委員 大臣、それは違いますよ、これは各市町村に対しまして「〇〇市町村自衛官募集事務処理要領」というものがある。これは第一章総則、第二章募集事務の範囲、ずっとこう条文になっております。そうして防衛庁が県庁に行きまして、こういう〇〇のところに、たとえば東京都なら東京都と書けば、そのまま東京都の自衛官募集処理要領になるわけです。そういうふうなものを防衛庁が県庁に対して各市町村につくらしてもらいたいといって、第一条、この規則は地方自治法第百四十八条、第百五十条及び自衛隊法第九十七条並びに自衛隊法施行令何条、何条の定めるところにより、地方自治法第十五条に基づき、自衛官の募集事務及び募集のための広報宣伝の実施に関しては、法令に定めのあるもののほか、この要領の定めるところによる。こういうふうなものをつくりなさいと、ここに出した。そしてその中の第七条に、「知事の指示または地連部長からの依頼に基づき、適格者名簿を作成するとともに、適格者に関する情報を地連部長に通報するものとする。」こう書いてある。だから、大臣も、私の記憶によれば、防衛庁長官をおやりになったのじゃないかと思うのですけれども、やっていられるようなところもあるようでございますからとか、そういう問題じゃない。適格者名簿というものを、これをつくらしているのですよ。それだから私は問題にする。そういうふうな性格のものなんです。それで、一体自治省は、防衛庁から各県市町村に対して出ているところの通報というものをごらんになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/44
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045・長野士郎
○長野政府委員 いま御指摘のこざいました〇〇市町村自衛官募集要領なるものは、実は私も最近それを拝見することができたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/45
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046・華山親義
○華山委員 そういうふうなことでつくらしているのです。つくらしているのですけれども、最近になってこの防衛庁の自衛官募集のためのやり方が変わってきている。ということは、組織募集になっているわけです。それでそのことにつきまして私伺ったところでは、最近出ましたこの募集についての地方に対する通牒というものがたび重なっておりますが、これはごらんになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/46
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047・長野士郎
○長野政府委員 いま申し上げましたように、この〇〇市町村自衛官募集事務処理要領というものは、実は最近になって私も拝見をいたしました。たび重なる通達——まあ主要な通達につきましては、自衛隊法及び自衛隊法施行令が実施されまして、その後自衛官の募集についての事務の一部が都道府県知事、市町村長に委任されることになりました。それ以後の主要な通達については、自治省としては防衛庁から相談を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/47
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048・華山親義
○華山委員 私は、その点自治省は非常に欠けるところがあると思う。市町村に仕事を委託する、その際にどんな仕事が委託されているのか、さっぱり知らない場合があるわけです。そして市町村の自治を守る、そういうことをおっしゃっても、これは無理だと思うのですよ。
それで、最近におきまして、四十一年四月十六日には、募集委託事務に関する連絡について、防衛庁人事局人事第二課長から各都道府県募集事務主管課長に出している。四十一年五月二十六日には、組織募集の推進について——組織募集ということは、これは自衛隊の始めたことばなんです。組織募集の推進について、防衛事務次官から各都道府県知事あてに依頼をしている。また昭和四十一年度募集事務地方公共団体委託費について、防衛庁人事局長から各都道府県募集事務主管部長あてに通知をしている。四十年度募集結果の概要と四十一年度募集について、陸上幕僚監部募集課長から都道府県募集事務主管課長あてに出している。これが四十一年五月三十日です。四十一年十一月四日に適格者名簿作成等について、防衛庁人事局長から各都道府県募集事務主管部長あてに通知している。もう追っかけ追っかけ行っているわけです。これを知らないというのはおかしいじゃないですか。現在の防衛庁の募集事務がどういう方向にいっているか、したがってそれによって市町村がどれだけの仕事をさせられているか、このことについて全然知らない、行った通牒も知らないというのは私はどうかと思う。どうですか大臣、こういうことでいいものでしょうか。これは防衛庁だけじゃない、地方の行政、市町村の行政、地方公共団体の行政にさっぱり精通していないということになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/48
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049・長野士郎
○長野政府委員 大臣がお答えいたします前に、ちょっと私がいままで申し上げましたことについて補足して御説明をさせていただきます。
自治省といたしましては、自衛隊法なり同法の施行令によりまして、自衛官の募集についての仕事が地方団体に委任されておるということでございまして、その委任につきましての主要な問題につきましては、もちろん防衛庁の協議を受けておりますが、毎年毎年の募集のやり方でありますとか、それについての実施細目でありますとか、そういうものになってまいりますと、これは各省所管によりましてその範囲内と考えられますものについて行ないますものに、自治省が一々チェックをするというようなことはいたしておりません。そういう意味で、自治省はそういう具体的の内容を知らないじゃないかという御指摘でございますが、そういうものについての御指摘とすれば、まさにそのとおりでございまして、私どもそれに応接のいとまが実はないわけでございます。ただ、いま申されました〇〇市町村自衛官募集事務処理要領というようなものは、伺いますと、これは防衛庁がつくったというより、どこかの中部の何とか総監というようなものがつくったとかいうようなことでもございまして、私どもの連絡も十分でなかったきらいもあるかもしれませんが、そういう意味で、なかなかこの〇〇市町村自衛官募集事務処理要領というものは手に入らなかったという事情もございますので、あわせて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/49
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050・華山親義
○華山委員 手に入らないことがおかしいのですよ。私はちゃんと手に入った。しかもこれを聞いてみたって、あなたの言うとおり地方の総監部で出したのだという。しかし、同じようなものは、ほかの各県で出ている。しかもこれは防衛庁に聞くというと、私のほうで出したものじゃありませんと言う。それから、どういうことであるのか、これを私は推察してみるのに、総監部でみんなを会議のときに集めて配付した書類なんですね。特別の名前をつけていない。責任者の通牒ではない。しかも、そういうふうなところで出て、私が滋賀県の地方連絡部に参りましてその通牒を見せてもらいたいと言ったら、私のところは全然そういうことは知りません、こう言う。全く何かこう、黒い霧じゃありませんけれども、きょうみたいなもやの中で行なわれているのですね。だれが責任者のものやら何やら、さっぱりわからぬ。そういうところに私は自衛隊のほんとうの意図があるのじゃないかというふうな気持ちがするわけです。
それから実に私は疑問の点が多い。一つ伺いますが、この中では婦人会とか消防団とか、そういうものに協力を求めると書いてあるけれども、市町村長というふうなものは、婦人団体だとか連絡会だとか、そういうものに国家事務についての協力は求められるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/50
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051・長野士郎
○長野政府委員 国や地方団体が行政をいたします上で、民主的あるいは公共的な団体、地域団体等に協力を求める、これは自由なわけでございます。したがって、求めるほうも自由であれば、応ずるほうも自由、求めたからといって、それで必ず義務が生ずるわけではございません。私はそのような関係であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/51
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052・華山親義
○華山委員 しかし、何も特別な関係が、部落会とか婦人会とか消防団とか——消防団につきましては、消防のことがあるでしょうけれども、何もそういう面についての行政的な関連がないものじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/52
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053・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、自衛隊法施行令の、条文を忘れましたが、要するに募集事務のうちの広報宣伝について、市町村が機関委任をされておる、その委任をされた事務の範囲内において、広報宣伝という意味におきまして、婦人会とかあるいは地域団体等に呼びかける、事実上呼びかけるということはあり得ると思うわけでございます。私は、根本的に申し上げまして、参議院の附帯決議の第三項にもありまするように、そうした問題が、もちろん法律によって委任をされておるのでございますから、やることはいいのでございますが、現在でも同様でございますが、それが市町村の住民に対する行政事務等に支障があるようなことがあってはならないと思うわけでございます。先ほど閲覧その他、住民票の写しの交付というようなものもございましたが、この条文にもありまするように、執務に支障がある場合、その他正当な理由がある場合は、これを拒むことができるわけでございます。私はあくまで、現在の制度におきましても、あるいは自衛隊の募集の広報、宣伝業務にいたしましても、市町村長等が、その市町村住民に対する行政を行なうのに支障があるようなことがあってはならないという点におきまして、私どもは常にそういうものを市町村の立場に立って見ていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/53
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054・華山親義
○華山委員 この問題は、社会党が言っているばかりじゃない。京都大学の杉村教授も言っている。徴兵につながるものじゃないかと。これは是非の問題は別として、あらゆる新聞に書かれたことなんです。それを多くの人が知って、そして住民登録台帳がそういうことに使われるということがあったならば、これに登録しない、そういう者だって出てくるおそれがあるんじゃないだろうか。したがって、本来の住民の利益のために台帳をつくるということが、自衛隊でも何でもかってに使ってもいいんだということになったならば、台帳本来の目的、住民の幸福のためにする目的がそこなわれはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/54
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055・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 そういうことでございますので、現在でもそうでございますけれども、こういう住民台帳的なものが、あくまで市町村の住民に対する行政事務を中心にして用いられなければならぬ。しかし一面において、法律で機関委任をされておりますから、その住民行政に支障のない限りにおきまして、そういうものに協力するということはあり得ることだというふうに私は考えていますが、それが中心になるようなことがあってはならない、これはあくまで堅持をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/55
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056・華山親義
○華山委員 同じことを言われるようでございますけれども、私は大いに支障があると思う。自衛隊が使うということは大いに支障があると思うのですよ。あぶなくて登録できないというふうに——私から言うのはおかしいのですけれども、あるいは若い人たちは、あなた方から言うなら、間違って考えるかもしれない。そういう意味におきまして、自衛隊等で使うことは非常にあぶないものではなかろうか。台帳の正確を期する意味からも、考えなくちゃならない問題だと思うのです。
それから広報宣伝ということをよく言われますが、広報宣伝とはどういうことなんです。自衛隊にお入りなさい、お入りなさいと自衛隊に行くところのいろいろなものを出す、そういうところのものが広報宣伝。自衛隊法施行令には、ずっといろいろ手続のことが書いてある。書いてあって、一番あとに「広報宣伝を行うものとする。」広報宣伝というきわめてばく然たるものをつかまえて、通牒が何でも出てくる。これは私は法の乱用だと思う。広報宣伝というのは、お入りなさい、お入りなさいと、映画を見せたりそういうことでしょう。ところがたいへんなことをいろいろ命じているわけです。広報宣伝の範囲を乱用しておる。そういうものに台帳が使われる。こういうおそれがあるわけです。きょうは自衛隊の方にお見え願いたいと思ったのですが、お見えにならないようですから、私はこまかいことはやめますけれども、この五つばかりの通牒を見ましても、いろいろな面でひどいものだ。たとえば府県知事は重要地点の市町村を指定しろ、そしてその市町村については期待されるところの募集自衛官の数を指示しろ、たとえば山形県でいうならば、米沢市は三十人ということをいっておる。ノルマですよ。そんなことが広報宣伝に入りますか。そういうことは広報宣伝じゃないでしょう。それで広報宣伝ということばで、もうめちゃくちゃにやっております。先ほど言ったのはこれは一例にすぎない。ノルマを課しておる。こんなものは広報宣伝でも何でもありゃしない。
それから私は実態を調査したのですけれども、滋賀県に参りますと、連絡部の職員が村に行くわけですよ。村に行きまして、そしてそこの村ではやらぬものだから、台帳を出しなさいということで、台帳を出してきますね。その中から十八歳ないし二十四歳の男の名前を全部書くわけです。住所、氏名はわかりますね、一番最後の備考の欄だけはわからない。最後のわからぬところは一体何を書くのだ。その人の特殊の技能、学校、こういうものを書け。学歴、特殊技能、こうなっておる。これをちゃんとつくって台帳にしなさい、こう言って置いてくるわけです。ひどいじゃないですか。そういうことが市町村で許されるものかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/56
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057・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 募集の広報宣伝のために、いろいろ衛防庁側と申しますか、自衛隊側が募集のためにいろいろ都道府県知事や市町村長さんに、事実上のお願いをいろいろやっておるということは私も存じております。ただそれがいまおあげになりましたようなノルマになったり、そんなことはあり得ることじゃございませんし、またそういうようなことは市町村側におきましても、そうした要請を何も受け入れる必要はないわけでございますし、防衛庁並びに自衛隊が出されたいろいろな通牒等が、あるいは抽象的におあげになりますと行き過ぎの面等もあるかも存じませんけれども、あくまでそれは事実上いろいろなことをお願いしているということでありまして、これが市町村長等に強制にわたるようなことは、現在においてもないものと私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/57
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058・華山親義
○華山委員 これはひとつ防衛庁から取って、いま大臣がおっしゃったことがほんとうなのかどうか、よく見てください。いまここでは内閣委員会ではありませんから、あまり深くは突っ込みませんけれども、市町村関係だけで聞いていきます。
それから根本的なことを伺いますけれども、委託事務につきまして、経費は市町村長、地方公共団体が負担する義務はないと何条かに書いてあります。義務がないと書いてある。ところが、これが自衛隊の場合にはひどいものだ。たとえばある町に私が行って調べたところが、その町では年間四万円しか来ない。それで、四万円のほかに予算の中で自分の金を四万円計上してある。合計八万。こんなことは違法じゃないか。市町村長が義務がないことをやるのは違法じゃないかと私は思うのですが、相手が市町村長さんですから、そう強いことは言わなかったけれども、四万円出す。どうしてこういうふうなことになるのですか、こういうふうに聞いたところが、県庁で研修会とか会議とかいって職員を呼ぶ、それが大体年に二回、今度は連絡部でまた呼ぶ、それから地方連絡部で呼ぶ、大体五へん出張しなければいけない、出張の旅費だけで何もありません、こう言う。四万円で間に合いますか、こういうふうなことんなですけれども、とても間に合わないけれども、国よりも多く出すわけにまいりませんから四万円にしているのです、こう言う。まるで費用負担があたりまえみたいな考えを持っている。地方財政として委託事務について費用負担があたりまえという考え方は許されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/58
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059・長野士郎
○長野政府委員 地方財政法の趣旨によりましても、もっぱら国の事務について地方団体が行なう場合には、むしろ国はよけいな経費を負担さすべきでないというのがたてまえでございます。たとえば財政法の十二条では、地方団体が処理する権限を有しない事務のために要する経費については、法律または政令で特別に定められる場合は別といたしまして、負担をしないというのがたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/59
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060・華山親義
○華山委員 それでしたら、たとえばここの中に書いてありますね。施行令の中に、やれポスターを張れだとか、いろいろなことが書いてある。場所を提供しろだとか、そういうふうなものは、やらなければしかたがないのですけれども、またそういうふうなものはそんなに金がかかるわけでもない。広報宣伝になりますと、どのくらい金がかかるかわからないのですよ。それで、どんなものにお使いになりますか、こう言いますと、自衛隊の見学、艦艇に乗る、それは市町村で出している。送別会をやる、それも市町村で出す。そんなものを重ねますと、これは四万円どころじゃきかない。それをやれと書いてある。歓迎会をやれ、自衛隊は見せろ、軍艦には乗せろ。それからまた私がふしぎに思ったことは、何か後援会みたいなものがいろいろありますね。隊友会とか父兄会とかいろいろなものがある。それに補助金を出す。その補助金を出すときに市町村の補助金を出す。その出している相手方というものは法人格を持たない。法人格を持たないのに、補助金というのが出せますか、ちょっと伺っておきたい。私はいままで地方行政を実地にやったときに、法人格を持たないのに補助金というものをやるのは私はおかしいと思う。私いつかこのことにつきまして、こういうことがあるが、一体あれはどういう意味だといって防衛庁の官房長に聞いたところが、県なんかそうでしょうけれども、防衛庁ではそんなことかまいませんよと言っていた。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/60
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061・長野士郎
○長野政府委員 地方団体が補助を出す相手はいろいろございまして、一般論になってしまいますと意味がない話になるのかもしれませんが、極端に言いますと、社会教育的な団体、たとえば釣りをやります団体とか、お茶をやります団体にも、それが法人格がない場合にはその団体の代表者というような者を相手にいたしまして、補助しましたり、奨励をしましたりする例はたくさんございます。いまのお話のような場合も、その種の扱いをいたしておるのじゃないだろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/61
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062・華山親義
○華山委員 そういう場合もあるでしょうからやかましく言いませんけれども、そういうふうな金を自分の金でやっているわけだ、村の。まず自衛隊のために金を出しているようなものですよ。そういうことを自衛隊が市町村長にやらしていいのかどうか、私は考えるのですよ。国会議員の選挙のときに金が足りない。金が足りないといって途中を省略するわけにはいかぬでしょう。また簡単な方法でやるわけにはいかぬでしょう。だからおのずからそこには、足りなくてもやらなくてはならないという関係が出てくる。それからいろいろなことにつきましても、自衛隊にいたしましても、具体的に書かれたところの事項についてはこれはやらなくてはいけないから、金が足りないといってもやむを得ない場合がありますけれども、広報宣伝なんというまことにばく然たる項目を持ってさておいて、そしてその広報宣伝に非常な金をかけさせるというふうなことは違法だと思うし、市町村は金がありませんから、おたくのほうから金がないからできませんと言っていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/62
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063・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 自衛隊法九十七条におきましても、その委任した事務については国庫の負担であるというふうにはっきり書いてあるわけでございますから、ただいまのような市町村がたとえ事実上の依頼を受けましても、財政的に困難な場合、(華山委員「困難じゃないのだよ」と呼ぶ)市町村が出したくなければ出さなくても、これは何も関係のないことでございまして、あくまで国費でまかなわるべきものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/63
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064・華山親義
○華山委員 それが国の予算が非常に少ないのです。そして今度金を受けるときに恩着せがましくやるわけだ。この通牒の中に出ておりますけれども、こうやれ、ああやれ、それから特別指定地区についてはたくさんやれ、私はこういう点で非常に行き過ぎが多いと思う。その行き過ぎたところにこういうふうな台帳というものが盛んに使われるようになってきた。しかも台帳が使われるということによって多くの若い人たちが台帳に正当な登録をすることを嫌悪するということになりますならば、参議院が附帯決議をしたように、自治体本来のための台帳の価値が失われると思う。そういうふうなこともございますので、私は一つの例として自治体をあげたにすぎないのです。十分に気をつけていただきたい。住民のためのものなのですから、あるいは米の配給だとかいろいろなものは国の仕事かもしれない。しかしこれは直接住民のためなのだ、例をあげたところの自衛隊なんというものは、住民のためなのだということには結びつかない。これは法の立場をとられる人から見れば、全く国家のためだ、国民のためなのです。そういう点につきまして、この問題につきましてはほんとうによく考えていただきたいのでございます。
自衛隊の方も出ていらっしゃるそうでございますけれども、ひとつきょうは私に質問しないでくれということでおいでになったそうですから、何か言い間違うといけませんから、また別の機会に質問いたしますが、私がお尋ねいたしましたことにつきまして、何か自衛隊からおいでになった方、お答えになることでもあったらおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/64
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065・亀山孝一
○亀山委員長 別に答弁の要求もございません。
次は、井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/65
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066・井上泉
○井上(泉)委員 この法律は、端的に言いまして、政治的なものを持った性格が強いのか、あるいは単に地方の行政事務を合理化するためという点においてつくられたものか、この点ひとつ長野さんのほうから御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/66
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067・長野士郎
○長野政府委員 これは全く行政的な意味でつくられたのでございまして、沿革的には、資料にも記録しておきましたが、むしろ地方団体の側からの要求があって取り上げられたというような形になっております。と申しますのは、最近事務処理の合理化、機械化というようなことが各先進的な市町村で非常に熱心に行なわれております。そういう市町村で一番困りましたのは、各種の法令によりまして、届け出なり台帳というような制度が別々にきまっておりまして、ほとんど同じようなことを調べるとか記録するのでありますけれども、それのやり方なり様式が違うというようなことでそれの統合ができない、それが事務処理の合理化を非常にはばんでおるというようなことが強く指摘をされまして、そういうことから住民台帳制度合理化調査会なるものができまして、今日その結論による住民基本台帳法を提案さしていただいておるわけでございますので、そういう意味では全く行政的な必要から出たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/67
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068・井上泉
○井上(泉)委員 そういう行政的な必要から出たということになりますと、あえてこういうふうな台帳法を提案する必要はないと私は思います。というのは、あなた自身も参議院の鈴木さんの質問に対して、現在住民票がつくられておる、この台帳法に示されておるような内容のものがつくられておるというならば、それをそのまま移行してもよい、そういうふうなものが全国の市町村団体の中で二千五百十六町村あり、それは七四・五%、こういうことを答弁されておるし、市町村の窓口事務の改善ということは法律によってそういうことを規制するのでなしに、市町村自体のそれぞれの地域に応じた行政努力によって窓口事務の改善、合理化をやっておるわけです。そういう点から考えますと、これは純然たる政治的な意図であるといわざるを得ないわけですが、いま長野行政局長はこれは全く行政事務的な法律である、こう言われた。こういう行政的な事務でありますならば、市町村それぞれが自分のところの窓口事務はどうやったらよいかということで、地域の実情に合った窓口事務の合理化をはかり、地域の住民を把握するいろいろな様式を検討してやっておるわけです。そういう指導をするのがあたりまえであって、それを法律でこうせよというようなことを規制するということは、この法律を行政事務的な見地からつくったものだとは全然考えられない。これはあくまでも政治的な意味を持った法律である、こう解釈をせざるを得ないのでありますが、大臣としての見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/68
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069・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 いま行政局長からもお答えいたしましたように、各市町村は独自の立場から行政事務の簡素化について非常な努力をされておるわけでございます。しかし結局最後にぶつかる壁があるわけです。というのは、各省の縦割り行政であることによって、似たようなことであるけれども、様式がちょっと違うとか、しかもそれは法令によってそう定められているからこれを市町村によってかってに変えるわけにいかないというような、そういう市町村が事実行政事務簡素化、合理化をはかっていく上においてぶつかる壁をこの法律で取り除こう、こういうことでございまして、そういう意味において政治的といえば政治的かもしれませんけれども、あくまでそうした市町村がやっていく上において、その支障を取り除くという意味であると御理解をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/69
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070・井上泉
○井上(泉)委員 そういう自分のところで窓口事務をやっていくのに支障があると思ったら、その市町村の担任者がこれはこういうふうにする、こういうふうにするというふうにいろいろやるのです。この調査委員会の委員の方たちは、この中の町村長の方はあるいは窓口事務をやってこられた経験のある方かもしれぬけれども、私なんか戦時中でしたけれども、自分が役場の書記をしておったときに、米の配給台帳をつくるのに村民台帳を持っておった。村民台帳の中でいろいろなことがやられてき、そうしてどうも村民台帳はぐあいが悪いと思うと、その付随したものを村民台帳にくっつける。やはりそこのところは、行政事務というものを法律でこういうややこしいものをつくる——昨日、日曜日でしたけれども、私は関係者の市町村の窓口事務をやっておる人の五、六人の方に集まってもらって、この台帳法の内容についていろいろ御意見を聞いた。これは事務量が軽減されるどころではなしに、たいへん複雑になってきて、いつも台帳と照合するようなことが起こり、また別にそのものも持たなければならない。わきのものが全然必要でないならいいけれども、台帳法に一本に統合されればいいけれども、いまの法律では統合されようにもされないでしょう、選挙人名簿にいたしましても、あるいは戸籍は別途でありますから……。そういう住民に関するいろいろな事務が現実に台帳法の中で統合されるような仕組みにはならぬというのですが、行政局長さんどうですか、なるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/70
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071・長野士郎
○長野政府委員 住民基本台帳法はもう私が申し上げるまでもなく、先生すでに御承知の上のお話でございますが、たとえばいままで住民登録法でありますとか、国保、年金、配給、選挙、税、こういうものについて、そのほかにも予防接種でありますとか、学齢簿、いろいろございますが、それぞれの法律がありましたものを、少なくとも住民の届け出という面については一本で事が足りることにするというのがまず第一のねらいでございます。それと同時に、その共通的なものにつきましては、住民台帳というものの基本台帳に全部整理をして載せてしまうということでございます。もちろん個々の行政をやりますときには、常に台帳だけでは足りない。いま御指摘のように台帳では足りぬものがあるじゃないかというお話でございます。したがって、台帳以外の部分につきましての補助簿みたいなものが必要になるのじゃないか。これは行政の目的でこのほかにいろいろな条件なり要件なりを要求するものがあるわけでございますから、そういうものが出てくることはやむを得ませんことでございますけれども、何はともあれ、住民の届け出を少なくとも一本にし、できるだけ台帳を一本にし、それによって住民に関する居住関係の公証というものを含めまして行政事務の基礎になりますところの基本的な、各台帳共通しますところの住民の基本的な環境を明らかにします事項も一本にする。このことができ上がることによって、少なくとも住民の利便と行政の合理化、これをはかることができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/71
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072・井上泉
○井上(泉)委員 なるほど、その届け出が一本で、窓口事務が住民側にとってはたいへん便利になる、こういうことになるわけですけれども、これは戸籍法の場合でも、出生届けは窓口事務でもいいというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/72
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073・長野士郎
○長野政府委員 出生届けは、出生地におきまして届け出するわけですから、届け出をすれば、この届け出をしないで済むように統合してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/73
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074・井上泉
○井上(泉)委員 この住民基本台帳法、この法律は最も政治的なものを持った、つまり政治的というのは、陰謀的な性格を持った法律だ、こう思うのですよ。これは、長野さんが、地方自治体の行政、住民の地方行政というものは、住民みずから行なうもの、こうちゃんと教えてやってきているのですから、自分のところで、窓口事務が複雑で困るからといえば、それはこうしたい、こうしたいといって、住民みずから研究してやるのはあたりまえです。ところが、市町村の事務担当者自身の努力を無視して、上からこういう法律で押えつけていくところに、何ら意図がないとはどうしても言えないわけです。そういう点は、いま華山さんが質問されておりましたが、自衛隊の問題ときわめて関係がある。この自衛隊の適格者名簿を出してくれといって市町村にお願いをして、この適格者名簿を提出することを拒否している町村というものは相当数あると思うのですが、防衛庁の高瀬審議官がお見えになっているようですが、一体、これの適格者名簿を提出されておられる方が——帰ったそうだが、私の質問は十二時十五分で一応やめて、残りは本会議後というから、そのつもりでいたが、帰られたんではしようがないから、やめて、それも午後からということにしてください。そうしないと、質問が何か中途はんぱな質問になってしまって、結局事務の合理化のために台帳をつくったということに落ちつかざるを得なくなる。そうじゃないのですから、私は、その点をもっと解明したいと思うのです。参議院は賛成かもわからぬけれども、衆議院ではどうなるかわからない。ひとつ、本会議後に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/74
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075・亀山孝一
○亀山委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/75
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076・亀山孝一
○亀山委員長 速記を始めて。
本会議散会後再開することとし、この際暫次休憩いたします。
午後零時四分休憩
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午後三時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/76
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077・亀山孝一
○亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
住民基本台帳法案を議題とし、質疑を行ないます。井上泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/77
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078・井上泉
○井上(泉)委員 防衛庁にお尋ねいたしますが、自衛隊の適格者名簿をつくるのに、自衛隊の適格者名簿が出されていない市町村は全体のどれくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/78
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079・平井啓一
○平井説明員 全国三千四百弱の市町村の中で約三分の二くらいが、適格者名簿を防衛庁のほうに情報の提供ということでいただいてない市町村でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/79
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080・井上泉
○井上(泉)委員 いただいていない市町村が三分の二ある。この適格者名簿をいただくについて、市町村に対して防衛庁が出した金はどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/80
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081・平井啓一
○平井説明員 適格者名簿を提供いただくという具体的な項目に関して、委託費を幾らということで市町村のほうにお流しはしておりません。機関委任事務全般についての仕事を進めていただくについての、全体で幾らということで、県を通じまして市町村のほうに流しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/81
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082・井上泉
○井上(泉)委員 その金額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/82
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083・平井啓一
○平井説明員 それは、昭和四十二年度の予算額で申し上げますと、防衛庁の都道府県市町村に対する委託費総額は九千三百五十九万でございます。そのうちで県のほうに大体二千九百万強、市町村のほうに六千四百万強、これを都道府県それぞれ、また市町村は都道府県を通じてお配りしているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/83
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084・井上泉
○井上(泉)委員 この予算の使い方については、別に規程か何か設けてはいないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/84
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085・平井啓一
○平井説明員 具体的に金額については示達のときには設けてございませんが、その示達のあと、その委託費について、各市町村がそれぞれどういう自衛官募集に関する事務、特に広報、宣伝の仕事を行なうかという計画を県のほうに出していただいておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/85
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086・井上泉
○井上(泉)委員 それでは、適格者名簿を作成するにあたって、全体の三分の一しか出てないということになると、この適格者名簿を求めることの効果というものが三分の一しかないというわけになるのですか。これについて防衛庁はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/86
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087・平井啓一
○平井説明員 適格者名簿は、まず市町村で、市町村自体が自衛官募集に関する広報宣伝のための資料としてつくっていただいておる。その中で、各地域ごとに防衛庁の出先機関に地方連絡部というのがございます。この地方連絡部自体もいろいろ募集の仕事を進めるについて、その所在県とタイアップさせていただいて仕事を進めさせていただく。その場合に、各市町村からわれわれのほうにも必要な資料として御提供をいただくということで、いろいろ御依頼申し上げてきたわけでございますが、それぞれ地域の特性によりまして適格者名簿をまだつくっておられない、あるいはつくらなくても管内の事情を把握されておるような比較的規模の小さい町村、そういったところではつくっておられないで、募集の仕事そのものについては同様な成果をあげさせていただいておるという実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/87
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088・井上泉
○井上(泉)委員 それじゃ、適格者名簿を別につくってなくても同様な成果をあげておられるということでありますならば、何もあえて地方の自治体の中で、自衛隊の適格者名簿作成反対というような混乱を巻き起こしてまで適格者名簿をつくるように強く要請する必要はないと思うのですが、それについては即刻、そういうふうな自衛隊の適格者名簿の作成はもうやらぬでもよろしい、こういうふうな通達なり何なりの措置を講ぜられたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/88
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089・平井啓一
○平井説明員 いわゆる適格者名簿ということが、名簿をつくっていただいておる県あるいはそれを御提供いただいておる県は三分の一ということでございますが、この名簿の作成の方法自体についても、市町村によってまちまちでございます。またつくっておられないところでも、いわゆるメモ的に、その管内の防衛庁の二等陸海空士たるに年齢的に条件として適しておるいわゆる適齢者層と申しますか、その適齢者層の状態がどうであるのかということを名簿作成以外の方法で把握していただく、そういうことで事務を進めていただいているという意味で、同様の効果があがっているということでございます。防衛庁のほうといたしましては、現在は三分の一程度でございますが、できるだけ多くの市町村に今後もつくっていただくことによって、広報宣伝の的確な資料として効果をあらわしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/89
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090・井上泉
○井上(泉)委員 その適格者名簿をつくることが、広報宣伝とどういう関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/90
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091・平井啓一
○平井説明員 先ほども申し上げましたように、名簿そのものは広報宣伝の行為ではございません。広報宣伝のための資料としてつくっていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/91
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092・井上泉
○井上(泉)委員 広報宣伝の資料という解釈ですが、これはこの住民基本台帳の法案が通った場合には、適格者名簿未提出の町村と、あるいは既提出の町村を含めて、自衛隊の適格者名簿との関係は、もう別に名簿を調製する必要はなくなると思うのですが、そういうふうにお考えになっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/92
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093・平井啓一
○平井説明員 ただいまの先生の御質問の趣旨を私あるいは間違って御理解申し上げておるかもわかりませんが、今回の基本台帳というものができれば、あえて名簿というものを別につくらなくても、その台帳に基づいて同様の仕事ができる、そういうふうな意味に理解してよろしゅうございましょうか。——それでございますならば、住民基本台帳に登載されますところの住民の数というものは、いわゆるゼロ歳から高齢者まで全部あるわけでございます。私どものほうが自衛官の二等陸海空士の隊員として応募してもらいたいということで対象と考えます年齢は、満十八歳から満二十四歳一ぱいまでの、いわゆる七年間の年齢に該当する青年だけということになります。したがって、膨大な台帳そのものが行政事務の利便のためにすぐ使えるということはむずかしいのではなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/93
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094・井上泉
○井上(泉)委員 それはそうはなっていないでしょう。あなたのほうが自分のところで調査ができるでしょう。基本台帳の事項に関して資料の提出を求めることができるし、求めた場合には出さねばならなくなっておるから、最も簡単に適格者名簿をつくることができはせぬですか。その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/94
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095・平井啓一
○平井説明員 先ほども申し上げましたが、適格者名簿の作成ということは、一つは、自衛隊法施行令の百十九条に基づきまして、「都道府県知事及び市町村長は、自衛官の募集に関する広報宣伝を行う」、これは都道府県及び市町村自体で自衛官募集の広報宣伝をやっていただくわけであります。この広報宣伝の仕事に必要な資料として、みずからの機関委任事務を遂行されるに必要な資料としてまずつくっていただいているという点が一つと、それから二番目には、防衛庁の立場として、それぞれの管内の募集に関するいろいろな資料なり報告というものを求める立場で名簿を提供いただいている面と、二つあろうかと思います。したがって、先生おっしゃいました市町村に頼まなくてもという点でございますけれども、市町村自体が自分自身で仕事を進めるためにつくられた名簿を提供いただくという点においては、今日行なっている形と今後も変わらないのじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/95
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096・井上泉
○井上(泉)委員 自衛隊の適格者名簿が三分の一しか出ていないし、あと三分の二は別に出なくても必要がないとあなた初めに言われて、今度問うと、依然として出しもらわないといけない、こういう意味の答弁をなされたのですが、そしてまた今度基本台帳でそういう名簿を整えるとするならば、地方の自治体の市町村長に対してそのことを要請すれば、自衛隊が希望するところの適格者の名簿をすぐ整えることができるわけで、何もそうこの基本台帳は自衛隊の適格者名簿をつくるのに何ら価値のないものだ、何にも関係がない、こういうふうに遠慮して言わなくても、行政というものは一つの機関がつくるものをいろいろな面で使かれるということは、私はあってしかるべきだと思うのです。そういう意味において、自衛隊がこれを使われるということは当然考えられることですけれども、これはもう全然使わないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/96
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097・平井啓一
○平井説明員 作成されました基本台帳を、防衛庁みずからが自衛官募集という行政の事務のために必要とする場合には、その閲覧を求め、利用させていただくことも今後ともあろうかと思います。先ほど先生の御質問ありました、現在の名簿づくり、あるいは名簿等を含めた適格者の情報の、市町村からわれわれの出先の地方連絡部に対する情報その他名簿の提供という仕事が、すぐ今度の基本台帳の完成によって必要でなくなるということとは関連のない問題ということでお答え申し上げたわけであります。
〔委員長退席、久保田(円)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/97
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098・華山親義
○華山委員 ちょっと関連してお聞きいたしますが、ただいまの適格者名簿でございますが、市町村では広報宣伝の資料として使う。連絡部では何のために使われるわけですか。資料として提出させるとおっしゃいましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/98
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099・平井啓一
○平井説明員 自衛隊の地方連絡部が名簿その他その市町村管内のいわゆる適格者の情報というものを市町村から提供を受けた場合、その情報なり資料というものは、地方連絡部自体の募集事務の資料として広く活用させていただいております、たとえば、その市町村の管内にあります適格者、あるいは適齢者と申し上げてもよろしいかと思いますが、そういう人たちの全般的な動静、動向、分布の状況、そういったものをつかむ資料でもあります。また、個別的なそれぞれの方々のお名前等を把握するための資料にもなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/99
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100・華山親義
○華山委員 それは何を根拠にして出させるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/100
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101・平井啓一
○平井説明員 自衛隊法施行令の百十九条でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/101
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102・華山親義
○華山委員 百十九条は広報宣伝なんであって、市町村長のやる広報宣伝と書いてあるでしょう。あなたのほうで必要な資料を集めるということは、広報宣伝の中に入っておらない。それは百二十条によって初めてやり得るのであるが、百二十条は総理大臣が必要があると認めたときはと書いてある。総理大臣がそれを認可したときに初めてあなたのおっしゃるようなことができるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/102
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103・平井啓一
○平井説明員 ただいまの御回答、失礼申し上げました。作成のほうは百十九条でございます。そういう提供を受けます根拠は施行令百二十条と考えております。なお、ただいま先生の御指摘がありました、内閣総理大臣が必要と認めるということが条文に書かれてございますが、内閣総理大臣の名においてそういう提供を求めたことはございません。しかし、いわゆる行政官庁間、あるいはわれわれ行政庁と都道府県なり市町村なりとの間の、行政官公庁間の従来の慣例に基づきまして、補助機関たる人事局長名あるいは防衛庁長官名というようなことで御依頼を申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/103
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104・華山親義
○華山委員 それはおかしいですよ。百二十条にはちゃんと、総理大臣が必要と認めるときにはと書いてあるのですよ。そういう資料を求めるときには、総理大臣が必要と認めるところの根拠がなければいかぬ。いままでの防衛庁のやり方は私は間違っておると思うのです。総理大臣の承認を得るなり、決裁を得るなり、あるいは総理大臣がこれを行使するなり、そういうことによって初めてできることじゃないですか。私はそう思うし、御回答がなければ、関連質問ですからやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/104
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105・井上泉
○井上(泉)委員 防衛庁のほうは適格者名簿がまだ三分の一の市町村しか集まっていないのですけれども、やはり広報宣伝において資料とするためには、全市町村の名簿を調製するところの必要は感じていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/105
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106・平井啓一
○平井説明員 先ほども申し上げましたように、地域の特性に応じましては、名簿そのものの作製を必要としないところも若干あろうかと思います。しかし、各市町村の管内の適格者ないしは適齢者の状態を把握するという意味において、名簿の作製をできるだけ広い市町村、そして名簿そのものをつくらなくても、それと同様の適格者の把握ができるような仕事を進めていただくということでは、防衛庁では今後期待したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/106
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107・井上泉
○井上(泉)委員 自衛隊の適格者名簿を、どこの市町村でもずいぶん混乱をして、この名簿の調製については混乱が起こっておるということはお認めになっておるのですか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/107
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108・平井啓一
○平井説明員 防衛庁に対しても、あるいは現地におきまして都道府県ないしは地方連絡員に対して、一部の方がそういった点で抗議を申し込んでこられた事実はございます。しかしながら私の承知いたしますところで、全国の市町村におきまして、自衛官の募集事務を進めていただく段階においてこの名簿の作製の問題というものが、先生がただいまおっしゃいましたような意味で大きい混乱が生じているとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/108
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109・井上泉
○井上(泉)委員 混乱というより、そこで騒ぎが起っておるというだけでなしに、現にこの自衛隊の適格者名簿を出していないところが三分の二もあるのですが、これはあなたのほうからも、地域の特性によっては適格者名簿を出さなくてもそういうことが把握ができるということを言われたのですが、その特性というのはどういうふうな地域をさしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/109
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110・平井啓一
○平井説明員 たとえば、人口が千あるいは二千くらいの村になりますと………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/110
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111・井上泉
○井上(泉)委員 そんな村はどこにあるのですか。千か二千の村はどこにあるのか、自治大臣に聞いてごらんなさい。いまどこにもないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/111
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112・平井啓一
○平井説明員 千、二千と申し上げたのは、私しろうとの立場でございますので、ただいまの数は訂正させていただきます。
規模の小さい村で、その人口の中で、いわゆる先ほど申し上げました十八歳から二十四歳という自衛隊員としての適齢者の数というものが非常に少ない村だとか、あるいは東京都のように非常に過密化された都市であって、しかも青年層の流動が比較的激しいようなところ、こういったところでは名簿づくりということはほかの市町村に比べて期待できる効果がないか、あるいは必要でない、そういうふうな意味の特性でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/112
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113・井上泉
○井上(泉)委員 あなたが千や二千と言われたことは、小さい規模という例にあげたのだと思います。今日市町村で、なるほどそういうような小さい村でありましても、最低二千あるいは二千以上の市町村、二千単位の市町村というものは全国まれで、そういうようなところで適格者名簿ができていないところはないと思います。そういう市町村はあまり抵抗もないし、するするとできているのですよ。そういう点から、自衛隊の適格者名簿をつくるのに一番困難と思われるような東京とか大阪とか、あるいは名古屋とかいうような大都市の、いわば人口が一番集中をしておるところで名簿の調製ができないということは、これは本来の目的である広報活動に非常に支障を来たすことになりはせぬですか、最も自衛隊の適格者の多いところの地域の名簿の調製ができないということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/113
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114・平井啓一
○平井説明員 自衛官募集に関する広報宣伝の方法、手段あるいは選びます媒体等は千差万別でございまして、われわれのほうでも、先生ただいま御指摘の大都市に関しましてはやはり他の都市、他の小都市あるいは規模の小さい町村と比較しまして、いわゆる大都市向きの広報宣伝の方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/114
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115・井上泉
○井上(泉)委員 そういう場合に、今度できるという住民基本台帳というものは、適格者名簿を調製する上において非常に役立つと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/115
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116・平井啓一
○平井説明員 私、まだ、今回できます予定になっていると聞いております住民基本台帳というものがどういうような形になりますかよく承知をしておりませんので、的確なことは御回答できない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/116
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117・井上泉
○井上(泉)委員 あなた、さっき説明にはこういうことを言われたでしょう。住民基本台帳ができることによって、適格者名簿をつくる上においてもこれを利用さしてもらう場合もある、こういうふうに言われたでしょう、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/117
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118・平井啓一
○平井説明員 先ほどの発言につきましては、従来の住民票を利用しておると同様な趣旨ということで、非常に概括的な考え方で申し上げたわけでございます。ただいま先生の御指摘のありましたように、具体的にそれが非常に効果があり、活用できるのではないかという点につきましては、住民基本台帳の内容そのものを私承知しておりませんので、ただいまのようにお答え申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/118
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119・井上泉
○井上(泉)委員 その辺、そういうふうに何も承知をしていないと言われるとどうにもならぬわけですけれども、中身は勉強されたら、別にその町村で自衛隊の募集について混乱を起こしてまで、あるいは反対の運動なんか起こして行政当局が苦労なされなくとも、もうこれでちゃんとあなたのところで必要とする名簿ができるような仕組みになっておるのです。
ひとつ長野さんにお尋ねしますが、適格者名簿をつくる場合に住民基本台帳というものは非常に役立つと思いますか、役立たないですか。
〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/119
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120・長野士郎
○長野政府委員 適格者名簿のみならず、住民に関する居住関係の公証、あらゆるものに役立つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/120
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121・井上泉
○井上(泉)委員 これはなかなか、幾らこのことを申しましても、表面は非常にけっこうな、住民のサービスをモットーとするような形で、つまり羊頭を掲げておるわけですけれども、中身としては狗肉であって、苦肉の策として、自衛官の募集の適格者名簿がわずか三分の一しか出てこないから、羊頭を掲げて狗肉を売って、苦肉の策としてこういう策を出されたものだ、こう解釈をするわけです。私は、住民基本台帳とかいうようなものは何も法律でこういうふうなことを規制をしなくとも、行政指導で、十分市町村行政の中で生かされると思うのですが、何であなた方、すぐ法律をつくるんですか。これは自治大臣、やはり法律でつくらぬとこういう行政指導ができないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/121
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122・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 各省の各種行政、大体縦割りでやっておるわけでございますが、その行政の基本になる法令がございます、たとえば国保の問題にいたしましても、国民年金の問題にいたしましても。したがいまして、窓口である市町村が事務の近代化、合理化をはかりまして、いろいろこうしたものを整理統合しようといたしましても、法令によって要求される様式等が変わっております。したがって、そこでぶつかってしまうわけでございますので、その障害を取り除いて、現在各市町村が非常に努力をしておられる事務の合理化、近代化、こういうものを促進をしていきたいということなのでございまして、それ以外に他意あるわけではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/122
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123・井上泉
○井上(泉)委員 今日、末端の市町村行政というものは、もう各省のいろんな依命通達事項、あるいはその調査事項等が相次いでくるわけで、このことを自治省が一々掌握をせよといっても、いまの機構の中では無理だと思うのですが、私はむしろこういう基本台帳をつくるというよりか、基本台帳法という法律をつくるよりか、そういう各省がばらばらで市町村へ持ってくる行政を自治省の中で、自治省の窓口を通じて市町村へ行く、こういう形をとってやるのが、もっと市町村行政に対するサービスだと思うのです。そのほうがやはり自治省の言う自治権を守る仕事に通じやせぬかと思うのですけれども、そういうことはせずに、窓口事務の改善というようなことでこの基本台帳をつくるというのですが、そういう各省ばらばらの地方の自治体に対する行政上のいろいろな要求事項というものを、これを自治省でまとめて行なうとかいうようなお考えがあるのかないのか、この際、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/123
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124・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 もちろん各省がいろいろ通達その他を行政の本来の目的から都道府県や市町村に出す、それについてもできるだけ地方自治の本旨にのっとるようにわれわれといたしましても考えて、各省との交渉をやっておるわけでございますが、先ほどから重ねてお答えするようでございますが、そういう各省の行政の中には法令に基づいてやっておる、その法令自体がいかにわれわれが実質的な指導をいたしましても、あるいは市町村等が改善をしようといたしましても、その法令を乗り越えて改善をするわけにはいかない。そういうところに一つの障害があるわけでございまして、それをこの法律によって、そうした障害を、市町村が自主的な努力をして、それに対する壁を取り払ってやろうということでございます。この第二条にもありますように、これができた以上は、また国や都道府県はこの基本台帳の趣旨に反するような、これはまたあと戻りするようなことをしてはならぬということを書いておりますのも、そうした趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/124
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125・井上泉
○井上(泉)委員 これは参議院でも問題になったのですが、罰則を強化する——こういう住民自身の福利を増進をするということでこの法案を提出しておるわけで、それを、何も罰則、罰金を余計取ったからといって行政の効果があがるというわけでもないと思うのですが、なぜ罰則を強化したのですか。これをひとつ長野さんのほうで、大臣が罰則を強化せよと言われたのか、あなた、参議院で、占部先生の質問に答えているんですけれども、何かあいまいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/125
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126・長野士郎
○長野政府委員 罰則の多少の引き上げという問題につきましては、主として過料の問題だと承りますが、これは住民登録法が施行されました昭和二十六年当時に比べて、現在の状況が新しく法制をし直すというような関係がございますので、そういう意味で、現在の段階でもう一ぺん検討した上で過料を定めたわけでございます。それ以外におきましては、従来住民登録法関係のこの種の罰則というものを中心にして規定をいたしたのでございます。要は、この法律の規定によりますところの適正な履行を確保する、これに尽きるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/126
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127・井上泉
○井上(泉)委員 これは一つは住民に対するサービス行政でしょう。サービス行政のあらわれでしょう。そのサービス行政のあらわれである基本台帳が、それのサービスを受けることが、そんな——届け出を怠った者はサービスを受けることができないわけです。それ自体罰則に当たりはしませんか。それを出て罰則を強化するということは、私はほんとうに筋が通らぬと思うのです。物の値段が上がったから罰金の額も上げたというような考え方では筋が通らぬと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/127
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128・長野士郎
○長野政府委員 確かに住民基本台帳は、住民の各種の届け出を統一をいたしまして、そして住民たるの地位を明らかにいたしますための記録の整理という問題でございます。しかしながら、同時にそのためには国民の協力を求めるということも必要でございますし、それがことさらに虚偽の届け出をする、あるいは正当な理由がないのに届け出を怠るというようなことが出てまいりますと、この台帳そのものの整理、また台帳に基づいて行政事務、すなわち住民の権利義務に深いかかわりのある事務を処理するということの保障がなかなか困難になってまいります。したがいまして、ここでは最小限度のそういう行政上の効果といいますか、それを担保にするために、そういう罰則も公共のために必要だということで設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/128
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129・井上泉
○井上(泉)委員 せっかくのサービス行政が何か権力支配の道具として、罰則を強化することによってそういう形になるということは、ほんとうに残念に思うのです。これをとることによって、これは過料ですから、別に地方財政の収入にはならぬでしょう。地方財政の収入には何にもならぬと思うし、むしろそういうことをすることによって、何かこれが防衛庁の自衛隊の適格者名簿をつくるために利用されるというように考えるわけです。これは罰則を下げるというか、下げるじゃない、もとのとおりでけっこうだと思うのですが、これはそのまま、修正の御意思はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/129
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130・長野士郎
○長野政府委員 この住民基本台帳に基づきますところの住民票、住民に関する記録と申しますのは、いわゆる刑法でいいますところの公正証書に相当するものでございまして、そういうものにつきまして、やはり住民としての義務なり責任というものも考えてもらわなくてはならないというような考え方、そうしてさらに虚偽の届け出というものについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/130
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131・井上泉
○井上(泉)委員 時間がないから簡単に。修正する意思があるかないかということだけで………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/131
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132・長野士郎
○長野政府委員 やはり最小限度必要だということで、また現在の状況も照らし合わせましてこの規定を置いたわけでございます。修正の意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/132
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133・井上泉
○井上(泉)委員 ほんとうにりっぱな法律だと思ってあなたたちが出されたのですけれども、そういうふうなことによって、国民の目から見ると、これは権力支配の道具の一つとしての法案と解釈せざるを得なくなるわけです。これはたいへん国民のために残念な法律と思います。
ついては、これはだれでも閲覧ができるわけですが、これは戸籍と同じように市町村が閲覧料を取ることができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/133
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134・長野士郎
○長野政府委員 条例を定めることによりまして、手数料を取ることかできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/134
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135・井上泉
○井上(泉)委員 その閲覧料の範囲については、どの程度の金額が妥当とお思いですか、戸籍の閲覧料と比較して。
〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/135
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136・長野士郎
○長野政府委員 手数料の額につきましてはすべて市町村にゆだねるというか、市町村の自主的な判断にまかせるつもりでございます。市町村といたしましては戸籍の手数料、あるいは現在まであります住民登録法に基づく手数料その他を勘案して、妥当なところをきめるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/136
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137・井上泉
○井上(泉)委員 住民登録に基づく配給台帳とかは手数料はたいていとっていないのですが、どこもとっておるのですか。いまの登録に基づいての主食の配給台帳とか、そういうものは見せてくれといっても、それは金を取っていないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/137
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138・長野士郎
○長野政府委員 現在、額は一定しておりませんが、条例によって、少なくとも謄抄本の場合には一件三十円ないし五十円取っておる例が多いように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/138
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139・井上泉
○井上(泉)委員 この法令に基づいて台帳を整備するための予算の問題で、参議院で何かあなたは十七億かかる、それで四十二年度においては補助金を一億一千七百万円、交付税措置といたしまして四億六千四百万円、こういうふうに言われておるのですが、このとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/139
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140・長野士郎
○長野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/140
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141・井上泉
○井上(泉)委員 交付税法の一部改正のときに、交付税の配分の中に、こういう基本台帳をつくるから、交付税として四億何ぼ認めておるとかという説明は聞かなかったようですけれども、これはあの交付税の中のどこへ入っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/141
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142・長野士郎
○長野政府委員 地方交付税の基準財政需要額の算定の中の住民登録費というのは、現在はまだ住民登録法の施行中でありますので、住民登録費という形で入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/142
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143・井上泉
○井上(泉)委員 それは昨年度も入っておったでしょう、昨年度はその分は幾らだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/143
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144・長野士郎
○長野政府委員 昨年度の額はちょっと手元に資料ございませんが、いまの四億六千万円と申しますのは、本年度制度移行関係経費というのを特につけ加えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/144
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145・井上泉
○井上(泉)委員 それは昨年度と比較しないと——自治省は何か問題があると、金が要るということになると、交付税で見ます、起債を認めます、交付税の中に入っております、こういうふうに言われるのですが、それは結局ごまかしではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/145
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146・長野士郎
○長野政府委員 ちょっと調らべてから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/146
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147・井上泉
○井上(泉)委員 大臣にお尋ねしますけれども、自治体に関係のあることで財政要求があるというと、交付税で見ます、特別交付税で見ます、こういう答弁が多いのですが、いまの災害対策のあれでも、その地域には特別交付税で見ます、やはりこれは現在の定まった予算の——いま本会議で御答弁なされた特別交付税で見られるというのは、特別の本年度の定まった予算の中でのことであるのかということと、それから単独起債は一〇〇%認めると言われたでしょう、何か起債は一〇〇%認めるとかいうことを答弁されたと思うのですが、それも現在のこの地方財政計画の起債のワクの中で、あそこの地域だけは一〇〇%認めるという意味で御答弁なされたのか、あるいは起債のワクについては別ワクとして財政措置をとられるお考えで述べられたのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/147
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148・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 特別交付税につきましては、先般御審議をいただいて確定した本年度の予算の範囲で見るわけでございます。それから地方債につきましては、当年度債については一〇〇%起債で充当いたします、こういうことを申し上げましたので、もしその起債のワクが足りなければワクを増額するということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/148
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149・井上泉
○井上(泉)委員 当然それはワクを増額しないと、予定されたところの地方債が、災害地のほうをもちろん優先的にやらねばなりませんので、災害地以外のところの仕事というものは抑制をされる、ですから、そういうように取り扱っていただきたいと思います。
それで、この住民基本台帳をつくるのに、十七億要るのに四億何ぼ交付税で見るというような、何か中身のない金でいくのですが、交付税でいくというと、交付税を受けない不交付団体は全然もらえないでしょう、そうなるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/149
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150・長野士郎
○長野政府委員 不交付団体はそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/150
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151・井上泉
○井上(泉)委員 それでは台帳をつくるのに、東京とか大阪とかあるいは不交付団体と称されるような地域は最も困難なところですが、こういうふうなものを交付税の中に入れるということではなしに、やはり補助とかあるいは特別な予算を割り当ててやるとか、何かそういう措置、これは四十二年度にはすでに組んであるから、四十二年度はどうにもならぬと思うのですけれども、やはり四十三年、四十四年とたいへん事務量がふえるわけですから。現に、十七億でこれの処理ができるとお考えになっておるところが、私は第一現場の市町村の実態を把握していないと思う。とても十七億や二十億で日本全国の市町村ができる道理はないと思いますが、やはりこれは十七億くらいでできるとお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/151
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152・長野士郎
○長野政府委員 この住民の居住関係に関する公の記録の整備ということは、考え方としましては、従来の住民登録法もそのとおりでございますが、市町村の固有の仕事の一つというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、本来地方団体の負担でこれをまかなっていくという仕事だというふうに考えられておるのでございます。ただ、制度として四十四年三月三十一日までに、これが選挙人名簿やいろいろなものに関係いたしますので、実施するというような形で法律で予定を立てておりますので、そういう意味で、もちろん十分ではありませんが、三億五千万ばかりの促進的な経費を予定しておる、こういうことにしておるわけであります。十七億で十分であるかという問題でございますが、私どもは、十七億でまずまず制度の移行につきましてはやれるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/152
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153・井上泉
○井上(泉)委員 時間に協力する意味で、もう多くは質問いたしませんが、大体これはあなた自身も参議院で答弁されておるように、大多数の町村が、基本台帳法ができても、別にこれによってどうこうせいでも、従前の措置をそのまま生かしてよい、別なワクを、こういう様式でやれ、こういう様式でやれといって様式を示さなくともよい、こういわれておるのに、そういうふうな性格のものであるのに、しかもまた罰則を強化してまでこういう法律をなぜつくらなくちゃならないのか、この点が私はどうしても納得がいかないのです。
それで最後に大臣に、これは直接市町村と接触をしておる自治省のお役人の方たちから、こういう法律をつくって出したいと思うからということであなたのところへ申し出があって、それで大臣として、それじゃそういう法律をつくれ、そういう立法の経過になっておるのでしょうか。それとも、あなた自身が、いわゆる大政治家としての自治大臣の発議で、どうも今日の市町村の窓口事務がふくそうしておるからひとつまとめよ、こういうことでこの法律ができたものかどうか。私は住民台帳制度の合理化に関する答申とかいうようなものをいただいておるのですけれども、この答申が出されるなら、いろいろな地方税の改正も当然やらなければならぬ、取る分についてはどこまでも追っかけて取るような仕組みになっておるのですから。そういう一連の法律の改正がなされずに、この基本台帳だけで住民基本台帳法をつくって、それでやられるということに、どこに住民の福祉の向上が期待されるであろうか、こういうふうに非常に納得のいかない法律の内容でありますので、ひとつ自治大臣の御見解、この法案を提案するに至ったところの過程を簡単にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/153
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154・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 地方自治体がいろいろ事務の合理化、近代化等を進めておることは御承知のとおりでございます。その進めるときにあたりまして、いろいろな法令というものが、せっかくの地方自治体の努力に対してブレーキをかけるような事態になっておるために、全国の市長会であるとか、全国の町村会であるとか、そういう方面からもこうした住民台帳制度について改善をしてくれという要望がございます。それらを勘案いたしまして、住民台帳制度の合理化調査会をつくりまして、その答申によりましてこのような法律をつくったわけでございまして、やはり市町村等の実際の実務家が合理化、近代化を進めるために非常な努力をするけれども、法令の壁にぶつかってなかなかそれが思うようにならぬということを要望されておったわけでございまして、その要望にこたえまして、そうした第一線機関の近代化、合理化に対する努力が十分果たせるように、その壁を取っ払うと申しますか、障害を取り除くというのがこの法律の趣旨でございまして、もちろん指導面だけでやれる面もございますが、たびたびお答えするように、法令そのものがそういう近代化、合理化をはばむようなものもございますので、この際そうした支障を取り除くということがこの法律のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/154
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155・井上泉
○井上(泉)委員 以上をもって、非常に納得のいかない点がたくさんあるわけですが、御協力申し上げる意味で、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/155
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156・大石八治
○大石委員長代理 小濱新次君。
〔大石委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/156
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157・小濱新次
○小濱委員 私は、基本的にはだいぶわかってまいりましたので、また質疑もだいぶ進んでまいりまして尽くされたような感じもございますので、重複する点もあるかと思いますけれども、若干の質問でありますので、ひとつ丁寧に御答弁をいただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。
最初に、今度の法案の目的でありますが、長野局長からも、ただいま藤枝自治大臣からも、正確ということと、統一的に行なうということの趣旨のお話がございました。また要綱の二ページ目には、「市町村長は、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行なわれるように努めなければならない」、このように書いてございます。ただいまのお話ですと、予算措置は約十七億、これで、いままでいろいろないきさつがあったけれども、今度の新しい法案によって正確に実態が把握できる、このように確信を持っておっしゃっておられるようでありますけれども、いろいろ問題がございますので、私は掘り下げた具体的な例をあげて質問をしてみたいと思います。
最初に、地方自治体のいろいろなこの法案に関係する人たちの御意見を聞かれたかどうか、もちろん聞かれたと思いますが、その中にいい面と悪い面とのお話し合いがあったかと思いますが、そういう点で、局長さん、お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/157
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158・長野士郎
○長野政府委員 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、この法案の提案に至りました経過の基礎になりますものは、むしろいわゆる窓口事務その他事務処理の合理化を熱心にはかっておりました市町村から問題が提起されておるような状況でございまして、その理由は、住民の届け出に関する事務なり住民に関する台帳なり記録なりというものを、現行法のもとでございますと、個々の市町村が個々的にくふうをいたしまして、統一的に届け出を一本にするとか、台帳を一つのところで整備するといような窓口改善ということが行なわれがたいわけでございます。と申しますのは、各法令にそれぞれいろんな定めがございまして、非常に極端なことを申し上げますと、たとえば、現在進んでおりますところでは、こういうものをすべてカード式にいたしまして整理をするというのが、能率も非常にいいわけでございます。ところが法令によりましては様式がきまっておりまして、極端な例でございますが、縦書きでなければいかぬということになっておりますような場合には、それだけでカードにかからないということになってしまうわけでございます。そういうものを、次第に声が出てまいりましたので、関係各省ともに改めてはまいりました。改めてはまいりましたけれども、なお結局法令というものを統一的にいたすことによりまして、届け出事務の統一とか、台帳の統一、それから住民に関する完全な記録というものの整備をはかりますためには、どうしても法律の改正が必要であるということでございまして、そういう意味で全国市長会、町村会等もぜひその促進をしたいということから、専門家の集まりでございますところの調査会を設けまして、その結論に従って成案を得ましたので、御提案をしているような状況でございます。むしろ言ってみれば、この法律をつくりました動機は、市町村の窓口から声が上がってきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/158
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159・小濱新次
○小濱委員 この前の選挙人名簿のことについて、先ほども局長からの御答弁の中にあったように記憶しておりますが、言うならば試験的にやったと、このようにもおっしゃっておったようでありますが、あの選挙人名簿の作成にあたっても非常に大きな問題を残してまいりました。大口脱漏というような事件も起こしてまいりました。そういう点で、なかなか正確を期していくことはむずかしいであろう、こう思うわけであります。今度のこのことについても、予算を十七億かけて、そしてその正確な掌握をしていくということでありますが、ひとつ長野局長にお伺いしたいのですが、たとえば五大都市の近郊の指定都市、そういうところの転出、あるいは転入でもけっこうですが、市内、市外、年間移動する人たちがどのくらいの程度になっているか、ひとつわかっておったならば示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/159
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160・長野士郎
○長野政府委員 現在手元に持っておりますのは、差し上げております資料の二三ページにございますところの府県別の資料、これを見ていただきますと、これでは大都市の区域だけのことはわかりませんので、あれでございますけれども、ここで見ていただきますと多少の傾向がうかがえますように、東京におきましては、東京の中での転出入が六・七%、他府県からの入りぐあいが、六・三%、それから他府県への転出が六・〇%、これは昭和四十年でございますが、こういうふうでございまして、これを合わせますと大体二〇%近くになっておる、要するに人の移動がそういうふうに行なわれておるわけでございます。埼玉県では転入がむしろ東京より多い。埼玉県、神奈川は七・六%の転入がございまして、むしろ多いわけでございますが、これは最近の傾向がここにもあらわれておりますように思います。それから、たとえば大阪で見ていただきますと、自分の中、大阪の中で動いておりますのが六・四%、他府県からの転入が五・七%、他府県への転出四・一%というような形でございまして、これは主として大都市を中心にして、あるいは大都市の近郊を中心にして動いておりますから、これから見ましても、二〇%程度のものは動きがある。私どもが、多少特定の移動の激しいところで調べました結果も大体そのようでありまして、激しいところでは二五%以上にもなるような転出入の流動の状況がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/160
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161・小濱新次
○小濱委員 ただいま局長からお示しいただいたように、二五%、三〇%のところがあるわけです。そうしますと、百九十万人の市民がおるとしますと、年間、約三割と見ますと五十七万人、月にすると四万七千五百人ずつ移動していることになります。これはよく御存じだろうと思いますが、最初に正確な掌握をしたとしても、その後このような姿で移動を毎月毎月繰り返していくわけです。このことのその後の掌握がどうなっていくのか。私どもこの趣旨に対しては非常に賛成でありますが、どうしてもこういう点が将来に問題を残すのではないか、こういうふうに憂えられてならないわけですが、その後のこれができ上がったあとの正確性をどうやって保っていくか、この点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/161
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162・長野士郎
○長野政府委員 確かに大都市を中心にいたしましては、御指摘のように、非常に激しい人口の流動状況でございます。しかしながら、それだからといって、住民の地位に関する記録というようなものが不完備でいいというわけにはまいりません。これはやはりその居住ということのいかんによりましていろいろな権利が認められておりますし、義務づけられておりますところは、あらゆる法令の中で非常に大きな部分を占めておる重要なことでございますから、その点で、そのままで不正確でいいというものではございません。したがいまして、いかにでもしてこの正確性を確保いたしますために努力をしなければなりません。そこで、今回の届け出につきましては、そういう転出者につきましては、結局、この転入とか転出とかいう場合につきましては、いわゆる移動証明と申しますか、通常で言いますところの移動証明に相当しますもの、あらかじめ転出するときにはそういう説明を得まして、そうして新しいところへ転入をしてくる、こういうことを一応法律の上でも義務づけまして、そういうことで、ほかからやってきたということの移動証明を前の市町村で発行してもらうというようなことによって、一応のつながりをつけておるわけでございます。
それからまた、戸籍との関係におきまして、戸籍の附票という制度で戸籍とつないでおります。これは従来から、わが国民たる者は、出生でありますとか、婚姻でありますとか、死亡でありますとか、養子縁組みでありますとかというようなときに、これは当然戸籍届けをするものだということは、従来国民の一つの常識となって植えつけられておりますから、そういう戸籍の届け出がありますたびに、戸籍の附票となりまして、この住民票との間の結びつきを考えておりますから、戸籍の附票というものが住民台帳と戸籍の間をつなぐ重要な役割りをいたしております。したがいまして、それを十分に励行して実をあげる、こういうことで、制度的にはその二つで今後の正確性を維持していく。
これは制度の上の問題でありますが、一方、住民の側におきましても、今度は単に居住関係の記録というだけにとどまりませんで、これによりまして、選挙人名簿に登載されるとか、あるいは国保なり年金なり配給なりというものも、すべてこの法律の附則で関係法令の改正をいたしておりますが、住民台帳に載っておるもので、それがやっていけるということをはっきり結びつけておりますので、そういう住民の権利なり、住民たる地位というものから出てきますところの行政上の行為というものが、この台帳に結びついておるということから、住民に励行をはかっていただく、こういうことによりまして、将来非常に正確な台帳としての整備をはかりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/162
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163・小濱新次
○小濱委員 決して不正確でいいわけはありません。私どももその点で質疑をしているわけでありますが、何とか正確を今後ともいつまでも続けていっていただきたい、こう念願して質問しておるわけであります。
たとえば、いま局長の示されたような移動証明あるいはその他の方法をもって転出をしてまいります人が正直に届け出をしてくれる場合と、その必要を認めないで、その人は悪意ではないでしょうけれども、忙しさに追われて、届け出をしない人が今後必ず出てくると私は思う。いままでの例でもそうです。たとえば選挙人名簿を作成いたしますときに、縦覧をするようにきめられておりましたけれども、たいへん申しわけないことばでありますが、ここにおられる方々も縦覧をしなければならない方々でありますが、はたしてあの縦覧をなさった方が何人おられるか。十年、十五年、二十年住んでおって、選挙もやってきた、多分載っておるだろうということで、私も行ったことはありませんが、中には二十年間もこの土地に住んでおりながら、入場券の出てないところ、入場券を必要としない土地で、投票所へ行ったところが、自分の名前が載ってない。それで問題になって、そしていざこざを起こしておったようだけれども、結局あなたが見ないんですから、責任はあなたにありますよと言われて、けんかになりようがない。その人はせっかく一生懸命努力をして投票所へ行ったにもかかわらず、できなかったというような事例をわれわれはたくさん聞いておるわけであります。自治大臣がここにおられますので、今後のためにも非常に聞いておきたいと思って申し上げておるわけです。その理由を聞いてみますと、安心感もあるのでしょうし、あるいは仕事が忙しいので、なかなか役所へ行く時間がない、せっかくの休みは、そのほかの用に追われて縦覧に行くことができなかったというような例がたくさんあるわけです。今度の場合にも、そのことは言えると私は思うのですね。
さあ、十七億かけてできた、そして役所では非常に事務能率が上がるであろうということで、これは安心したと思います。楽になったと役所では非常に喜ぶそうでありますが、その後に来るものの掌握がまだ完全にできない。だんだんと複雑になっていくであろう。そうなったときに、予算は、あるいはその責任はだれにあるのか、こういうふうになっていくと思うのです。局長の先ほどの答弁はよくわかりますが、そういうことも想定されますので、われわれ心配するわけです。そういうことについて、もう一度局長、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/163
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164・長野士郎
○長野政府委員 先ほど申し上げましたように、今度の住民台帳におきましては、選挙人名簿は去年に引き続いて登録する、国保とか年金あるいは食糧配給の関係も住民台帳に基づいて処理をしていくというようなことになります。そういう意味で、住民が届け出一つで済む。しかも、この届け出は本人でございますけれども、世帯主がかわって届け出をすることができるという道も開いております。そういう意味で、少なくとも転入、転居、転出というような場合には、一ぺん必ず行かなければいけない。しかしながら、一ぺん行けば事足りるんだ、こういうPRと申しますか、周知宣伝というものを十分にいたしたいと思います。また、市町村長のほうは、定期なり、必要に応じて調査をして、正確性を期するということになっておりますし、また、個々の行政にそういうふうに住民台帳を用いますので、個々の行政を処理していく上の機関が、住民台帳に登載している記載が正確でないということを発見することもできるわけでありまして、そういう場合には、この法律の十四条にもその規定がありますが、それがあらゆるところから通報ができるようにいたしておりまして、その通報に応じて市町村長は、住民台帳の記録を正確な記録とするために、記録の訂正その他というものを常時行なうということで、真実に近いものにしていくということをぜひいたしたいと考えておるわけでございます。台帳に載っておる限りいいんだ、台帳に載っておらなければだめなんだという、台帳主義というものに全く徹するというかっこうにだんだんなってまいると思います。
しかしながら、同時に、台帳の真実を反映しないということになりますと、これはまた国民に対して非常に不利益な結果を及ぼすことにも相なりますし、行政そのものが正確でないということになります。したがいまして、この両方を正確にいたしますためには、台帳の整備、台帳をめぐります各種の行政において十分に正確性を期するような配慮を加える。この二つで考えていくよりほかないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/164
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165・小濱新次
○小濱委員 これは、自治大臣は行ったことがあるかどうかわかりませんが、横須賀には、住所を明らかにしない、届け出をするというと、そのことがいろいろな意味で自分の生活に不利益になるんだというような生活環境の人があちこちにずいぶん働いている。それから厚木方面だとか、大和方面にもそういう人たちがずいぶんおります。外人相手の仕事をしておられる方、横浜でも南京町等がございます。それから横浜には、約二万人といわれる寿町のどや街、南千住のような、こういう姿のところもございます。私どももこの問題を取り上げて、何とか努力をして生活の安定をはかっていきたい、このようにずいぶん立ち入ったそういうことまでもやってきたつもりですが、なかなかこれは解決できないで悩んでおりますが、今度の問題も、そういう届けを出すことを忌みきらっておる人がたくさんおるわけです。そういう人たちに対してはどういうふうにお考えになっておるのか。局長からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/165
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166・長野士郎
○長野政府委員 行政の立場から申しますと、そういう人に対しましても、基本台帳としては、市町村長が努力をいたしまして、その届け出あるいはそれにかわる職権による記載というものを遂行していくということによりまして、真実に近い記録の整備をはかるというほかはないと思います。罰則の適用その他の問題もございますが、要は、そういうことで努力するほかはない。
ただ、問題は、そういうことになりますならば、基本的に台帳だけのことでなく、結局、そういう人たちに対する行政のあり方というものとの食い違いの問題ではなかろうかという気がいたしますが、そういう基本の問題の理解を、誤解に基づくことも多いでございましょうから、そういう努力もあわせて行なうことによって記載を確実なものにしていくというほかはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/166
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167・小濱新次
○小濱委員 「世帯主が届出を行なう場合」ということで、ここには世帯員にかわって世帯主がその届け出をすることもできますし、あるいはまた世帯員がこれにかわってできるようになっておりますが、この転入届けが「転入をした日から十四日以内」とここには書いてございます。それから転居届けも、「転居をした日から十四日以内」あるいは世帯の変更届けにおいても、十四日以内に届けをしなくちゃならない、こういうようになっているわけですね。この十四日というのは、いろいろとお考えになってこの数字が出てきたんだと思いますが、私どものいままでの体験の上から、これは非常にむずかしい期間だなというふうに感ずるわけですが、そういう点でお考えはございませんか、局長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/167
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168・長野士郎
○長野政府委員 この十四日というのは、二週間でございますけれども、これは住民登録法におきましても届け出期間は十四日ということになっております。特にこれを私どもとして変更して、延ばしていくということにすべきかどうかを、いろいろ検討いたしましたけれども、これを特に延ばすことが、正確性を維持するためにはたしてプラスなのか、かえってマイナスなのか、調査会の御意見も、いろいろ論議がございましたが、結局従来からこういうものは十四日、こういうことで、国民のなれているものでやったほうがいいんじゃないかというような結論になりまして、十四日というようにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/168
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169・小濱新次
○小濱委員 そのあとのほうに、この法律の規定による届け出は書面でしなければならないとあって、いろいろ毎日に追われながら生活のために戦っておられる方が、届け出のために来たところが、書面でやらなければならない、こういうことになった。達筆な方、こういうことになれている方なら問題がありませんが、その点で帰るとか、書いてもらってまた届け出にくるとか、そういう問題が起こってしまうと思うのであります。先ほどの世帯主あるいは世帯員が届け出をするという問題については、かわって知人、友人が届け出をするということはどうかということと、いまの書面でやらなければならないということで、あとではまた罰則という問題が出てくるわけですが、十四日以内——局長さんは十四日とは二週間だと言われましたけれども、二週間というと、ほんとうにあっという日にちなんですね。そういう点で、それができなければどういうふうになっていくのか、その二点、もう一度局長からお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/169
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170・長野士郎
○長野政府委員 書面にいたしましたのは、今度の住民台帳に記載されるということが、やはり住民の権利の行使、住民たる地位の公正証書といいますか、そういう証拠力のあるものになるというような面でも重要でございますので、書面にいたしておるのでございます。そこで、そうなると字の書けない人——字の書けない人はあまりないと思うのですが、書き方が非常にむずかしいということがあると思います。そこで、そういうことがあって十分に届け出できないということになっては困りますので、その点では市町村にも十分連絡をいたしまして、職員がかわってその話を聞いて代書するとか、いろいろな方法によりまして、書面による届け出ということの結果、届け出が十分行なわれないということのないようにぜひともつとめてまいりたいと思います。それから世帯員が世帯主にかわって行なうこともできますし、世帯主が本人にかわってやることもできる。それを本人が直接持っていかなければならないかという問題でございますが、これはまあ代理人と申しますか、使者と申しますか、そういう者が届けるということを否定するものではございませんし、書類を書きますのは本人なり何なりがちゃんと書きまして、それをだれかが持ってくる。正確にそれが本人が届け出るという形があらわれるようなかっこうで届け出をしていただきますれば、それを代理というか使者というか、いろいろあると思いますが、そういうことは届け出ができるというふうに私どもは考えておりますし、そのように指導いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/170
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171・小濱新次
○小濱委員 最後に自治大臣にお願いしたいのですが、いろいろとその衝に当たっている人の意見も聞いてみたのですが、やはり非常に将来に問題が残るであろう、むずかしいことだ、こう言っておるのですね。完全なる掌握はとうていこれはできない。一生懸命努力してみますが、まずしようがないであろう、こういうことばを聞いてきたわけであります。長野局長の参議院以来のいろいろな会議録を見せていただきましたし、ここでも答弁を聞かしていただきました。何か確信があって、そして必ずその目的に沿うような努力をしていくということの決意はうかがうことはできますけれども、どうも実際その衝に当たっている人たちの心配はそうでないようです。そういう点で将来に問題が残ってはなりませんので、この際、大臣の御意見を一ぺんお聞かせいただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/171
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172・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 市町村といたしましては、住民の実態を正確に把握するというのは、もう市町村自体、住民に対するいろいろな行政をする上においての責任であるわけでございますから、市町村があらゆる努力を払ってその正確を期するということは、これは当然やらなければならぬ仕事だと思います。そのためにこの法律の中にも、正確を期するための仕組みをいろいろ考えておるわけでございまして、これらの仕組みを十分に、一方においてその衝に当たる市町村の職員が努力を払うことが必要であろうと思います。また住民側に対しましても、こうした趣旨を十分広報宣伝をいたしまして正しく届け出をする。しかも今度はいろいろな問題を一つの届け出で済ませられるわけでございまして、たとえばそれから選挙権の発生もありますし、食糧の配給も受ける。あるいは国民年金、国保等の問題も一つの届け出で済むということでございます。しかも、いわば住民の権利の行使の一つの手段にもなるわけでございますから、住民に十分徹底をするというようなことも考えていかなければならぬと思います。実際に職員が、はたして一〇〇%正確に把握できるかどうかということを心配されるということは、確かに良心的な考え方だと思いますが、あらゆる努力を払いまして正確を期するようにしてまいらなければならぬと思います。またそのために、将来これを実施するにあたりまして、もし費用の点等でさらに考えなければならぬものがありますならば、これはやはり財政的な裏づけも、国としても考えていかなければならない。いずれにいたしましても、そうした各方面の努力に相まちまして、こうした第一線行政の基本になる台帳でございます、しかも唯一の台帳になるわけでございますから、正確を期するように、最善を尽くしてまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/172
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173・小濱新次
○小濱委員 もう一つだけお願いします。
最後にお願いしておきたい点は、住民基本台帳の作成でございます。住民基本台帳はあくまでも個人単位に統合すべきである、このように私は思うわけですが、この点ここでは、その例外処置として世帯単位を認めた理由はどういうわけでしょう。局長お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/173
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174・長野士郎
○長野政府委員 お話しのとおり、私どもも結局、将来ともに個人単位で考えていくほうがいろいろな行政事務の処理上も便利だと思います。ただ現実問題といたしましては、各市町村において相当、世帯で考えたほうがいいという市町村の意見もあるようであります。そこで、個人票だけにするというだけでは実態に合わないという意見もございますので、世帯単位にすることもいいということで、ある程度例外を認めるような形で実態に合わせるようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/174
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175・小濱新次
○小濱委員 この中に「適当であると認めるときは、」と書いてあるのですね。この「適当であると認めるとき」ということの説明をもう一度お願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/175
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176・長野士郎
○長野政府委員 市町村によりまして事務処理の方法とか保管の問題とか、現にこれに類したようなものを世帯単位で扱っておって、そのほうになれておるというふうなところも実はあるわけでございます。そういうところでは、事務処理上とかカードの保管とか、いろいろな関係でそのほうがいいと判断をするところもあるわけです。そういう意味で、この「適当である」と申しますのは、市町村が住民基本台帳の精神、趣旨を実現する上で、世帯単位ですることのほうが市町村としては適当だと思うとき、というふうに考えております。市町村の判断であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/176
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177・小濱新次
○小濱委員 これで終わりますが、いま大臣からも御意見を聞かしていただきましたが、非常に正確にでき上がったあとの事務処理に問題が残るであろうということが一つと、非常に掌握のしにくいそういう地域が全国的にたくさんある。そういうところの正確性をどうやってつかんでいくのか、こういうことに問題点はあると思いますが、今後ひとつ一そうの努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/177
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178・亀山孝一
○亀山委員長 次は、林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/178
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179・林百郎
○林委員 最初に局長にお尋ねしますが、言うまでもなく、民法には住所とそれから居所という規定がありますね。これは本件の住民基本台帳の住所地というのは、この両方が該当するのですか。住所だけでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/179
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180・長野士郎
○長野政府委員 住所は、もう先生御承知のように、民法に言います住所と同じ住所を考えております。居所と申しますのは、多少そこへ継続しておるけれども、住所というほどではないということのようでございます。生活の本拠としてそこまでのところに至っていないということでございます。ここでは、そういう意味の居所はこの中に入れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/180
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181・林百郎
○林委員 そうすると、二十四条に「転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。」とありますね。この「あらかじめ」というのは初めて本法に出てきたわけですが、移る前に届け出しなければいけないというのですね。これはたしか、あらかじめ届けなければ罰則が実際にあるわけですね。これはどういうわけですか。住民登録法によりますと、住所を変更した者については「住所を定めた日から十四日内に転入届をしなければならない。」だから新しい住所に移って——これは住所ですから生活の本拠が移るわけですけれども、移ろうと思う者がもう届けなければならない、届けなければ罰則だというのはどういうことですか。どうしてそんなことをしなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/181
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182・長野士郎
○長野政府委員 この転出届け出と申しますのは、あらかじめその人がAの市からBの町へ移るというときに、私はいつ何日Bの町へ行く予定だということをAの市に届け出をしてもらう、こういうことでございます。その意味は、あと転入のときにいわゆる転出証明書を持って転入先に届け出をしてもらう、こういうことにいたしたいためでございます。それによって、転入者の前におったところから、こちらに移動してきたということを正確にあとづけたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/182
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183・林百郎
○林委員 そうすると、あらかじめというのは、どの程度の段階のときがあらかじめになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/183
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184・長野士郎
○長野政府委員 これは本人がまず転出をしよう、移動しようということをきめましたとき、移動以前、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/184
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185・林百郎
○林委員 さて奥さんと相談したり子供と相談したり、転出するにはいろいろなことをやっておるわけでしょう。そのとき、おまえはもう女房に相談をかけておるのに届け出をしないから罰金二千円だなんということになるのですか。まだ主観的な、どうしようかという段階だってあるわけでしょう。どういう場合があらかじめという客観的な二十四条の規定になるのですか。こんなことは何もする必要ないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/185
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186・長野士郎
○長野政府委員 いまのお話でございますと、家族もみんな承知して、荷づくりを大体終わりそうなころだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/186
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187・林百郎
○林委員 そうすると、荷づくりを始めても届けなかった場合、あらかじめ届けないことになるのですか。荷づくりをする前はいいのですか。それとも荷づくりはしたけれどもまだ迷っていて、運送屋に運送契約をしなければいいかどうか。これはどうもちょっとむずかしいんじゃないですか。荷づくりだって、荷づくりを十あるうち三つしたのがもう罰則の適用があるのか、どう認定するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/187
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188・長野士郎
○長野政府委員 いまのは少し私も十分なお答えでなくて恐縮でございますが、荷づくりをしまして、荷づくりを送り出してもかまいません。本人が動かない以前であればかまわないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/188
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189・林百郎
○林委員 では、本人がまだ十分移らなくて、あっちに行ったりこっちに行ったり、一部の荷物は向こうに行っているけれどもまだこっちにいる。しかし向こうの様子を見に行って、一週間のうち一日、二日向こうにいる。しかしまだどうもはっきりしないというような場合はどうなるのですか。本人が移らないというのは、住所として本人がこっちにいて向こうにすっかり行っていてもいいというなら、住民登録法にあるように、新住所を設けて二週間たって届けさせればいいのじゃないですか。向こうに行っても住所がまだこっちにある間はいいというなら、あらかじめにならないじゃないですか。あらかじめというのは、まだ本人がこっちにいるけれども向こうに行きそうだというときがあらかじめでしょう。あなたの言うとおりなら、あらかじめでなくてもいい。向こうに行ってすっかり住居をかまえる態勢になればそこで届け出ればいいということになるので、住民登録法と同じでいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/189
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190・長野士郎
○長野政府委員 いま、一週間のうち一日、二日行って様子を見てまた帰ってくる場合はどうかというお話がございましたが、要するにそれは詰めてまいりますと、結局住所が移ったか移らないかという判断で一致することになります。この場合のあらかじめといいますのは、法律的にいえばそういう意味では住所が移らない前、住所がまだBのところに移らない前に行なうということに結局はなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/190
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191・林百郎
○林委員 だから、住所がAからBへ移ろうとするでしょう。移ってからなら問題ないが、移ろうとするとの認定は、どういう表徴をもって移ろうとするということになるかというのです。移ったというならわかるのですが、住民登録法にあるように、移ってから二週間たったら新住所の届け出をしなければならない。「一の市町村の区域内で住所を変更した者については、新住所を定めた日から十四日内に転居届をしなければならない。」これなら住民登録法にあるわけですけれども、移ろうとするという、しかもそれを描けなければ罰則まで適用されるという象徴というのはどういうのかということは、これは国民の基本的な権利を侵すことになるのではないですか。こんなことまで届けなければならない、しかも届けなければ罰則が適用される。そう思いませんか。向こうへ移って新しい住所が確立されたときは届けろということでどうしていけないのですか。どうしてもわからぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/191
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192・長野士郎
○長野政府委員 新しい住所がいつAの点からBの点へ移ったかということになりますと、住所認定の一般の問題ということとやや関連しまして、特定の場合には非常にむずかしい例も出てくるかと思いますが、一般的には、いよいよここを引き払って出ていくときが、普通、常識的に住所を移るということでございまして、それほどその時期というものがむずかしいとは思わないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/192
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193・林百郎
○林委員 いろいろの場合が考えられるわけですが、たとえば子供が大学へ行こうとして、荷物は送ったけれども、まだ場合によっては残って勉強しようとする、あるいは予備校へ行こうとする、あるいはよその学校を受けようとする。しかし一応荷物は、予備校なんかの関係もあるから東京へ送った。しかしまだはっきり予備校へ行こうか、受かった学校へ行こうか、あるいはよその公立学校へ行こうか、私立学校へ行こうか迷っているときに、おまえはもう荷物をつくったから、もう住所を転出するんだ、それを届けないものは罰則だなんということになるのですか。それはどうなるのでしょうか。あなたの言うように、荷物をつくったということが基本的な基準になるなんということなら、荷物なんかいろいろの場合につくりますから、それだけが二十四条の基準といっていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/193
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194・長野士郎
○長野政府委員 私が、先ほど荷物をつくったと申しましたのは、話だけのときにはまだ意思がきまらぬじゃないかというお話がございましたので、あらかじめという、一番最初のあらかじめはどのあたりかといえば、いよいよもう移転計画もできた、向こうの先もわかっておる、いつ幾日移転をするために荷物をつくろうやということになれば、大体そのころからはあらかじめの範囲内といってもいい。しかし、あらかじめの最後のところはどうかといえば、これはほんとうに住所がAの点からBの点へ移るとするその前だ、こういうことになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/194
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195・林百郎
○林委員 この附則の十一条の三項に、「市町村は、当該市町村の住民基本台帳に記録されていない個人が当該市町村内に住所を有する者である場合には、その者を当該住民基本台帳に記録されている者とみなして、その者に市町村民税を課することができる。」とあるでしょう。だから、かりにあなたの言うように、転出届けをするためにはあらかじめ届け出をさせておいて、そして転出証明を持たせて、そして向こうへ転出届けをさせたいからこういうことも必要だというようなことも言いますけれども、しかし、転出届けをしなくても、住んでいれば基本台帳に記載した者とみなしてしまうということでしょう。だから、これがあればいいじゃないですか。あらかじめ届け出ようと出まいと、住んでいれば基本台帳に記載した者とみなして税金までかけるということです。一方においてはそうみなしておいて税金をかける。一方においてはあらかじめ届け出なかったから罰金を出せ。住所の届け出一つで、こっちでは罰金だ、こっちでは届け出もしないのに市町村民税は取られるわという、どうしてそんな法律をつくっていいのですか。どう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/195
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196・長野士郎
○長野政府委員 住民台帳に記載されているという記載の関係と、いまの転入転出というものは同時にスムーズに行なわれるということが、これは一般のたてまえでございまして、ただ税金の場合には、記載されていない個人で住居を有する者は税金を納めぬでもいいかということになりますと、いささか問題がありますので、そういう例外の場合の徴税側の要求としては、課税をできるようにしておくべきだという考え方が一つございます。そこで、そういうものについては住民台帳に記載されておるものとみなしてこれを課すというのは、そういう届け出はないけれども、記載してしまっているものとして税を課すということが書いてあるわけでございます。理由の一つには、そういうお示しのような場合の例外がございます。
それからもう一つは、一月一日現在で課税をいたしますので、すでにもうその捕捉をしております時期には、二月なり三月なりになってしまっているというときがございます。これはみなさざるを得ないという問題もあって、かような例外規定を入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/196
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197・林百郎
○林委員 そうすると、かりにあなたが例に引いた、荷物をつくって転出しようとしても、しかしその荷物をつくることが居所を移転するということだけなら、まだ住所を移転する意思がないわけです。そういう場合には、荷物をまとめて送っていても、それなら届け出なくてもいいわけでしょう。そうすると、荷物をつくって転出しようとするのが、住所を移転しようとしているのか、居所を変えようとしているのかという認定はどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/197
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198・長野士郎
○長野政府委員 住民台帳にも載っておる、そのものが変わるということは、これは住所が変わるということになります。それから住所でなしに居所というような場合、たとえば出かせぎなんというのは、大体住所が郷里にあると考えるのがたてまえでございますから、そういう場合に、横浜へ来ておる人が横浜から川崎へ変わるという場合には、これは居所の移動でございますから、お話しのとおり、この場合におきましては関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/198
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199・林百郎
○林委員 だからそういうことをどうやって認定するのか、たとえば一年といったって、居所として行く場合があるわけですからね。そういうものは居所ではない、これは住所を変えたんだ、本来この二十四条によって届け出をしなければならないのに、君は届けておらないんだ、だからこの罰則を適用するんだというようなことをかってに認定されれば、いや私は永住するつもりではございません。一年か二年とりあえずここに住もうといって来たわけですから、まだ二十四条で適用されるべきものじゃないという争いが起きた場合にどうするかということが問題になるわけですよ。それはだれが認定をするのですか、そういうことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/199
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200・長野士郎
○長野政府委員 結局お話しの問題は、そこが本人の居所であるか住所であるかという認定の問題にかえっていくことになると思います。したがいまして、結局それは住所認定というものをどうするかということになるわけでございます。これは住所はいわゆる生活の本拠であるという客観的事実と、いわゆる本人の意思が必要だということがいままでいわれておったことでございますが、実際のたてまえの認定権者は、第一には市町村長にあり、市町村長間で意見を異にしました場合には、この法律の三十三条で都道府県知事が決定をする。それからさらに裁判所で争うということになるわけでございますが、結局住所認定という問題については、大体多年にわたる取り扱いというものがおおむね確立をしておるようなかっこうでございますので、それに従ってやっていく、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/200
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201・林百郎
○林委員 だからそういうむずかしい——あなたは簡単に、いや荷物をつくれば大体一つの表徴でしょうなんと言いますけれども、大体そんなことは問題にならぬでしょう。居所を変えるために荷物をつくる場合もある。だから非常にむずかしい問題がある。どうしてそんなむずかしい問題を設定して、しかも罰則まで。私はどうしてもわからないのですよ。憲法で居住の自由というのは保障されているわけでしょう。こういう罰則を加えて、憲法で保障されている居住の自由に重大な制限を加えることになるのではないか。そうまで考えられるわけですよ。しかしこの問題だけで質問していると時間がかかるから、次の問題に移ります。
附則の十四条、十五条を見ますと、住民基本台帳の規定による届け出があった場合に国民健康保険の届け出、国民年金保険の届け出があったものとこれまたみなされるわけですね。そして、その適格者は国民健康保険の保険税、年金の掛け金を取られるわけです。そういうことになるわけでしょう。ちょっとそれをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/201
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202・長野士郎
○長野政府委員 届け出を統一するという効果を持たせますために国民健康保険法なり国民年金法の一部を改正するのでございまして、お話しのようなことにむしろならせようという目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/202
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203・林百郎
○林委員 しかし、この国民健康保険なり国民年金法なりも、生活の関係いろいろで、法律ではそういうことがあっても、いま掛け金やいろいろの関係で、どうしてもかけられないという人があるのですよ、実際問題としては。そういうのを、住民基本台帳に記帳したから、国民健康保険に対するどんな考えを持とうと、国民年金にどんな考えを持とうと、おまえは金を払わなければいかぬのだということを言うのは、これまた住民基本台帳に届け出るという国民の意思を不当に拡大してこれを利用することになるのじゃないですか。国民健康保険、国民年金に入りたい人に届け出させればいいじゃないですか。それで、そのほうは目下思案中だというのに、君は住民基本台帳に届け出たから、もうそのほうはいやおうなしに払わなければいかぬということになれば、国民健康保険税や国民年金の掛け金を取るために住民基本台帳をつくる、漏れた者はみんなびしびし調べて取り上げるのだ、この意図を持っていると言われても過言でないじゃないですか。そうなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/203
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204・長野士郎
○長野政府委員 国民健康保険、国民年金は、入っても入らぬでもいいというわけではございませんので、一定の条件のもとにある国民は当然に加入をさせられるというように義務的になっておるわけです。ただこの場合には、国民健康保険の保険料を納める場所が、住所を移動すると同時に移動していくわけでございますから、国民健康保険法を改正しないままにいたしておきましても、この関係においては別個の届け出義務は生ずるわけです。国民年金についてもそのとおりでございます。したがいましてそれを、届け出を一つすればすべての届け出をしたことになる、こういうことにすることをむしろ目的としておるわけでございます。自由意思を拘束するとか、もう少し考えさしてくれというようなことで自由になるというようなものとして、この法律を加えることによってそれを強制しておるという性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/204
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205・林百郎
○林委員 そうなるというのですよね。たとえば国民健康保険にしても国民年金にしても、これは税金じゃないと思うのだから、社会保障なんだから、私は国のそういう社会保障の恩恵を受けなくてもいいという人があるのを、いや君は住民基本台帳に届け出た以上どうしてもこの国の社会保障制度に加盟すべきだ、掛け金を取るべきだということになると、国民健康保険なり国民年金というのは一種の徴税になるじゃないですか。社会保障の本質を失っちゃうじゃないですか、そんな強制的にするということは。いまはあなたの言うように届け出義務があるにしても、自分はそういう社会保障に自分のいまの家計の都合から入るわけにいかないという人に対しては、そんな強制していないですよ。それじゃ一例を聞きますけれども、国民年金法の適用で国民年金の掛け金をかけなければならない人で、かけておらないという人がどのくらいあるとお考えになりますか。現在国民健康保険に加入すべきだと思うけれども、いろいろの都合で国民健康保険に入っておらないと思われる人がどのくらいあるとお考えになられますか。数字を言ってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/205
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206・長野士郎
○長野政府委員 どうもおことばを返すようで恐縮でございますが、いやしくも国の法律によりまして当然に加入すべきものとなっておりますものについて、届け出義務がこのために課してあるわけでございます。その届け出義務が課してある国民が、住所を移しますことによりまして、住所を移すたびに届け出義務は生ずるわけでございます。そういうものはどうせ届け出しなければならぬ。届け出をしないでもいいという御意見のようにも伺いましたけれども、私どもはそういうことはどうも考えるべきものじゃないと思っております。そうしますと、この届け出をするものが一つの届け出で済むということが、届け出を統一化する、国民の届け出るほうからいっても便利であるということになるゆえんでございまして、それを別々にしておくという議論は、かえって、届け出義務をそれぞれの法律が別個に課するということになって国民や住民のために不便である、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/206
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207・林百郎
○林委員 それはあなた親切の押し売りというものですよ。国民健康保険や国民年金というのは社会保障でしょう。社会保障を適用されるかどうかに、おまえは国の社会保障の適用を拒否しているから国民としての義務に違反しているなんということは言い過ぎじゃないですか。だからこそ、いまの実情としては国民年金の届け出、国民健康保険の届け出がなくても、それをどうしても届け出ろ、おまえやっていないけれども取るぞとまでは言ってきていないわけです。しかしこの住民基本台帳をやれば、自分の住所を届けろというのだから住所を届けたつもりでいるのに、おまえ住所を届け出たから国民健康保険の届け出もしたものとみなす、国民年金の届け出もしたものとみなす。それだけならいいですよ。同時に経済的な負担をかけてくるのじゃないですか。そんなことまで何で住民基本台帳でやらせる必要があるのですか。住民基本台帳は住民基本台帳として住民の届け出であって、国民健康保険の届け出、国民年金の届け出は経済的な負担がつくのですよ、あなた方。その経済的な負担がしょい切れない人はやむを得ないじゃないですか。それを、おまえは住所の届け出したから国民年金も国民健康保険も届け出たことにして金を払え。そんなことを言えば、いままで金を払わない者も金を取り立てるための基本台帳じゃないですか。だから何人いるかとうことをいま聞いているのです。いままでは何としても実際の取り扱い上で、保険税の支払いや年金の支払いは自分はやむを得ない、そういう金のかかる社会保障制度では、私はいまそういう恩恵を受けなくてもいいと言う人もいるのに、いやそんなことは許さぬ、ぜひ金を出せ、住所の届けをしているじゃないかということまでいくのは行き過ぎじゃないですか。だから何人いるかちょっと数字を言ってください。この適用を受ける人が何人いるか、そんな数字を調べないで法律をつくるということはないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/207
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208・長野士郎
○長野政府委員 昭和四十年の十月三十一日現在で、国民年金の適用を受けます者は二千七十一万一千二百五十八人となっております。それから四十一年の八月現在の調べで、国民健康保険の適用があります者は四千三百七万三百三十一人、こういうことになっております。
先生御指摘の問題は、届け出の義務が国民にありますのは、一つの届け出にすることはむしろ届け出を簡素にするゆえんであって、これが住民基本台帳法をつくります一つの目的でもあるわけでございまして、その点に私は何らの不都合はないものと考えます。ただこの免除とか猶予とか、いろんな問題との関連をどうするかという点は、それぞれそれこそ国民健康保険法なり国民年金法それ自体の問題でありまして、住民台帳法で統一をするから不都合である、こういう議論にはならないものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/208
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209・林百郎
○林委員 そんなことを聞いているのではないのです。いま住民基本台帳の届け出をすれば、国民健康保険や国民年金の適格者であるけれども、届け出をいままでしていなかったという人が、みなされて今度は経済的負担が加わるという人は何人という推定ですかと聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/209
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210・長野士郎
○長野政府委員 そういう資料はいま持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/210
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211・林百郎
○林委員 どうして。住民基本台帳というのは住所でしょう。届け出義務は住所を届け出るというのじゃないですか。そういう経済的な負担のかかる届け出は、届け出別にしたっていいじゃないか。どうして一本にしなければいけないのですか。役所の都合か、あるいはそういう市民税だとか国民健康保険だとか、あるいは国民年金だとか、そういうものを特別取り立てたい、そういう意図があるんじゃないですか。何で一本の届け出をしなければならない。いろいろの届け出があったっていいじゃないですか。そう思いませんか。
そこで、それじゃあなた方に聞きますが、あなたはああいう親切なことを言うけれども、それじゃ三十四条を見ますと、市町村長は必要があると認めるときはいつでも第七条に規定する事項について調査することができる。これはどういうことなんですか。住民登録法によると「事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは、事実の調査をすることができる。」事実に反することと疑うに足る相当の理由があろうがなかろうが、市町村長は、あの人と目をつけたらどんなことでも調査することができる。何でそんなことまでやらなければならないのですか。どうして前のこの住民登録法のように、もし事実に反することがあれば調査することができる、これをさらに職権的に強める必要があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/211
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212・長野士郎
○長野政府委員 市町村長が何でもかんでも調査するというのじゃございませんで、この「七条に規定する事項について調査をする」と書いてございます。何でもかんでも調査するということではございません。そうして必要があると認めるときと申しますのは、七条の記載された事項についての調査が必要なときということにすぎないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/212
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213・林百郎
○林委員 だから事実に反することを疑うに足る理由があったらやればいいのでしょう。それを事実に反しようが反しまいが、市町村長がやる。しかもその質問に対して答弁しない者は五万円以下の罰金でしょう。そんなべらぼうな話がどこにあるのですか。一体あなた、それでもほんとうに民主的な権利を守るためにこの法律をつくるとお考えですか。あれはどうも事実と違うらしいから、しかもそれが事実に反することを疑うに足る相当な理由でしょう。そういう場合には職権で調査することができる。ところが今度は、事実に反することを疑うに足る理由があろうがなかろうが、あなたの言うように七条については市町村長は何でも調べにいける。もし聞いたことに答えなければ五万円以下の罰金だ。たとえば場合によっては思想的な調査、あなたは笑うかもしれないけれども、公安調査庁が行ってどういうことをやるか。あるいは自衛隊にあの人は適格であるかどうかということを調べに行く。しかしそんな公安調査庁が調べ、警察が来て調べ、意図を受けて市町村長あるいは市町村の吏員が来て調べる。私はそういうことに答える必要はありません。私は自衛隊の関係について、そういう関係のことについてお話しする必要はありません。私は警察が来て言われてもそういうことは答える必要がない、そう言ったらあなた、質問に答えないといって五万円の罰金になるんじゃないですか。どうしてここに少なくとも「事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは」市町村長が調べることができると——しかも五万円以下の罰金を食うんですからね。どうしてそうしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/213
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214・長野士郎
○長野政府委員 どうも少しお話が、非常に範囲の広がったようなお話を受けるのでありますが、繰り返して申し上げて失礼でございますけれども、七条に規定する事項について調査するということは、公安調査庁とか自衛隊が何とか、そういうのとは別に関係ございません。七条に規定する事項は、一、氏名、二、出生の年月日、三、男女の別云々ということでございまして、この点を調査するのであります。したがってまた御指摘ありましたが、調査する必要のない、疑うに足る必要のないところにまでのこのこ出かけていって同じことを聞くという、それが行政上の能率があがることとは私どもも思えない。いやしくも市町村長たるものが必要があると思うときは、事実を確かめたいという何らかの理由、正当な理由がなければ、私は調査するものではなかろうと思いますので、その点では市町村長の行政上の責任というものにまかして少しも差しつかえないことではなかろうか、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/214
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215・林百郎
○林委員 七条には国民健康保険の被保険者、国民年金の被保険者、みなあるわけですよ。その調査をするというのでしょう。その調査について答えなければ罰金だというのでしょう。住民の登録をするための住民基本台帳にこういうことまでも調査をさせて、そしてしかもその調査に答えなければ罰金まで科すということをなぜさせる必要があるか。しかもあなたの言うように、市町村長またはその委託を受けた吏員がそんなに職権を乱用するおそれはない、おそらく事実に反するというようなことを疑うに足る場合にやるというんなら、どうして明記してはいけないですか。住民登録法にはちゃんとそういうことが書いてある。いやしくも国民の基本的な権利を守るために、そういうことが心配になる場合は、住民登録法に書いてある字句をどうしてここへ入れてはいけないのですか。あなたがそこでそんな心配はないというんなら、なければなおその字句を入れたらいいじゃないか。どうして入れないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/215
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216・長野士郎
○長野政府委員 お話しのように、七条には国民健康保険とか国民年金、米穀類の消費者関係の事項、これはすべてございます。この関係につきましては、先ほど来申し上げますように、国民としてその一定の要件に該当いたしております者は届け出をし、それに加入し、その加入することによりましてその権利を行使するといいますか、そういう利益を受けることもできるわけでございます。単に保険料を負担するだけだというしろものでもございません。したがいまして、むしろそういうものと結びつけて権利の行使を正確にやらしたいということが、この基本台帳制定の一つの理由でございます。そこで、そういうことはもういかぬということでございますと、これは意見が違うということになってしまうわけでございますが、むしろ届け出を一つにし、台帳を一つにして、正確な住民の記録である、それに基づき行政事務処理というものが正確にできるということが望ましいというのが大方の考え方でありまして、それに従ってこの法律を立案をしたようなことでございます。
それからまた、市町村長に調査をさせる範囲が広過ぎるようなお話でございますけれども、その場合というものは、私は必要があると認める場合に調査するということで、それでよろしいんじゃないだろうか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/216
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217・林百郎
○林委員 当該吏員をして関係人に対して質問させるんですよ。その人のところへ行って聞くばかりではなくて、近所の人にも聞くことができるのですよ。近所の人が、私はそんな近所の人のことを言うのはいやです。近所の人が言わなかったからといって罰金に処することができるなんて、そんな法律をどうしてつくるのですか。関係人でしょう。それから当該吏員というのはだれとだれですか。あなたが考えられるすべての役人の名前を言ってみてください。それから関係人というのはだれですか。三十四条の三項です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/217
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218・長野士郎
○長野政府委員 当該吏員と申しますのは、この調査について市町村長から権限委任を受けました吏員を、当該吏員と呼んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/218
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219・林百郎
○林委員 警察でもだれでもいいでしょう、委嘱を受ければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/219
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220・長野士郎
○長野政府委員 当該吏員と申しますのは地方自治法に申しますところの事務吏員、技術吏員でございまして、警察職員等は含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/220
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221・林百郎
○林委員 いいですね、それで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/221
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222・長野士郎
○長野政府委員 関係人と申しますのは、私どもとしては、本人のほかに、その属する世帯員、同居者などを関係人として考えておりまして、隣近所の人が関係人だというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/222
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223・亀山孝一
○亀山委員長 ちょっと林さん、あとで太田さんが、明日ちょっと都合が悪いそうで、きょう質問なさるそうですから、どうぞ御協力願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/223
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224・林百郎
○林委員 重要な問題ですから……。
それなら、どうして関係人を制限しないのですか。そんなことは書いてないじゃないですか。関係人なんというのは、だれだって聞けるでしょう。二千人の市民や——あなたは笑っているけれども、あなたは役人でもって調べるほうの側にばかり立って、調べられたことがないから、へらへら笑っているんですよ。幾らでも、関係人なんというものは近所隣だれでも調べられますよ。そうして、おまえは役場の取り調べに協力しなかった、質問に答えなかった、だからおまえは五万円以下の罰金だということはないと、ここに保証ないじゃないですか。それじゃ、どうして本法にいう関係人とはこれとこれとこれをいう、そういうように制限しないのですか。そんな、口じゃあなたは、私は同属の、家族、同居人だと思いますなんと言ったって、法律にそんなことが書いてなければ、こんなものはどうでも適用されますよ。そういう適用されないという保証が、あなたどこにありますか、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/224
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225・長野士郎
○長野政府委員 この七条に関する事項について調査をして記録の正確性を確かめるということについて、直接関係がある者を関係人と称しておるわけでございまして、その点では、御指摘のようにどこまでも関係人が広がるというふうには私ども思っていないのであります。隣におります者がその点で関係人であると当然には考えられないのでございまして、まあその点は解釈論でございますから、いろいろなケースをいまここで直ちに予定して、範囲がこうだということをはっきり申し上げることもなかなかできませんけれども、関係人というものの範囲は、七条の事項の調査にあたって当然に関係をしてくる者をもって関係人と考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/225
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226・林百郎
○林委員 あなた、そんなことを言ったって、法律は一たん適用されて施行になれば、あなたが口で言ったことだって、書いてなければしようがないじゃないですか。関係人と書いてあるのだから、近所の人だって、隣に住んでいることで関係人だ、何で私の質問に答えないのですか、私はそんな近所の人のことを言うのはいやです、それなら君、第三十四条で罰金があるがどうかと言って、調べないという保証がどこにあるかと言うのです。あなたの言うようだったら、法律で明記したらいいじゃないですか。国民の住所を調べるのに、答えなければ五万円の罰金をかけて住所を調べるなんていう国はどこにありますか。そんなことは、何か意図がなくて、すなおにこんな法律が考えられますか。
それじゃお聞きしますが、三十六条の、国または都道府県知事は必要があるときは、台帳に記録されている事項に関し資料の提供を求めることができる、この国という中には、公安調査庁や防衛庁は入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/226
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227・長野士郎
○長野政府委員 入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/227
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228・林百郎
○林委員 入るじゃないですか。だから、公安調査庁や防衛庁が基本台帳に記載されている、記録されている事項に関し資料の提供を求めた。まだどうもこの点が不十分だからといって、もっと調べてくれという。それじゃあなた、国の資料を求められておるのだから、市町村長はそれを満たすために公安調査庁なり防衛庁から頼まれたことを行って聞かざるを得ない。どうも本人はっきり言いそうもないから、近所に行って聞いた。近所じゃ答えないから五万円以下の罰金でおどかしてやれということがない保証がどこにあるかというのです。あなたの言うように、ないというなら、関係人とはこうだ、そういうことをちゃんと記載したらいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/228
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229・長野士郎
○長野政府委員 国の機関が資料の提供を求めることができますのも、住民基本台帳に記載されておる事項に関することに限られるわけでございまして、それ以上のことについて資料の提供を求めることは認められておりません。したがいまして、それ以上に発展をいたしましていろいろと資料の提供を求めるということは、この法律からは出てこないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/229
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230・林百郎
○林委員 出てこないなんて、あなた一人がそんなこと言ったって、そういうことを、この七条がいろいろの尋問することができる要因を含んでおるわけでしょう。たとえば「戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨」、そうして本籍はどこだ、どこで生まれたのだ、いままで何してきたのだ、そして刑務所に入ったことがあるかないか、いろいろなことを幾らでも調べられるじゃないですか。そこで、しかも、国または都道府県知事が必要があるときは、だから幾らでもあらゆる機関がそういうことを求めることができる。
そこで防衛庁のほうへ今度お聞きしますが、さっきから適格者名簿の話を聞いておるのですから、参議院の答弁で見ますと、重点県、第一次の重点県、第二次の重点県というのですか、これはどういう区別でこういうものをきめられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/230
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231・平井啓一
○平井説明員 第一次、第二次という先生のおことばでございますが、重点県と申しますのは、特に重点県という名前を設けて、しかも、それを指定したというような要式行為とか、形式をとっておるわけじゃございませんで、昭和四十年度にいわゆる都道府県、市町村の組織を通じて行なう組織募集の推進のための一つのテストケースとして四つの県を選んで、その四つの県に重点市町村を設けるとか、その他のいろいろな組織募集推進の試行をやっていただく。これが昭和四十年でございます。そこでこの昭和四十年の四つの県を通常昭和四十年度における重点県といわれておるわけであります。引き続きまして昭和四十一年度に、その四県の成果というものを見まして、全国四十六都道府県に組織募集というものを推進していただくいろいろな依頼の文書を出しまして、各都道府県に、昭和四十年にその四県やっていただきました例とか、その他の前例等を含めまして、全般的に推進していただく、そういう要領を流したわけでございます。その要領を流して実施していただく段階で、先ほど御説明いたしました十六の府県、この十六の府県が比較的前から組織募集の推進について努力をしていただいていたいきさつがございますので、重点市町村の指定の数とほかの県と比べまして、数を多くしたい。その他の方法につきましても、他よりもさらに積極的にやっていただく、そういう形が出まして、これもまたやはり一つの重点県というふうに一般にいわれたわけであります。そういういきさつで、四十年と四十一年の四県と十六府県が設けられたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/231
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232・林百郎
○林委員 四十年度重点県というのは長野、茨城、栃木、福井の四県、こう理解していいかどうか。それから、四十一年は、青森、宮城、千葉、岐阜、愛知、奈良、鳥取、山口、愛媛、福岡、熊本、鹿児島と考えていいかどうか。それから、さっき言うように、第一次重点県に何で長野、茨城、栃木、福井をいわゆるモデル県として指定したのか、その理由をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/232
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233・平井啓一
○平井説明員 昭和四十年度の四県、並びに昭和四十一年度の十二県が加わりまして十六県になります。ただいま先生からの御指摘の名前のとおりでございます。
それから、昭和四十年度にテストケースとして茨城、栃木、長野、福井の四県を選びましたのは、一つは、北海道とか九州というような、われわれ東京の立場から見まして比較的遠距離にないところ、逆に申しますと比較的に近い県で、わりあいに連携も保てる、それから、従来からいろいろとわれわれのほうの地方連絡部なり、方面総監部等との募集事務の連携に関しましても、比較的積極的なと申しますか、協力的と申しますか、そういったことで実施していただいていた県として、この四つをとりあえず選ばしていただいて、試行していただいたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/233
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234・林百郎
○林委員 それで、現在全国で一千の地方自治体で名簿の作成をしていると答弁しているが、これはこれでいいかどうか。
それから、自衛隊適格者名簿というものは、一体どういう記載があるのですか。これは今度の住民基本台帳法の第七条——ちょっと、法律ありますか、自衛隊の人に見せてください。第七条の記載事項、これとどうつけ加えているか、あるいは、これでないものがあるか。ちょっとあなた、調べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/234
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235・平井啓一
○平井説明員 第一番目の問題につきましては、約三分の一ということで、千ぐらいということでございます。
それから、第二番目の適格者名簿の記載事項でございますが、先ほどの御質問のときにお答えいたしましたとおりに、約一千ほどの市町村でつくっていただいている適格者名簿の記載要領は、全部まちまちでございまして、別に統一した企画を設けておりません。したがって、記載要領というものにつきましては、防衛庁で統一したものは考えておりませんが、通常記載されております、また、適格者名簿の目的から見て必要とされます事項を今回の法案の七条と比較いたしまして、私どもの立場で申し上げますと、氏名、出生年月日、男女の別は、おのずから男子だけになっておりますので、これはもちろん必要でございません。要すれば、世帯主、それから世帯主との続柄、それから住所でございます。この程度の項目を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/235
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236・林百郎
○林委員 備考欄は当然あるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/236
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237・平井啓一
○平井説明員 ただいまも御説明いたしましたように、市町村によりまして、それぞれ様式が違っております。したがって、備考欄というのは、ある県におきまして、その県が、県内の市町村に対して適格者名簿の様式というものを一つの例として示した経緯におきまして、ただいまお話がありました備考欄というものを設けた県があるということは、私ども承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/237
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238・林百郎
○林委員 実際はどうなっておるか、自衛隊の適格者名簿を資料として当委員会に提出してもらいたいのですが。
それから、人員でいうと、一千の地方自治体で何名の名簿が出ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/238
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239・平井啓一
○平井説明員 私のほうでは把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/239
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240・林百郎
○林委員 どうして人数が把握できないのですか。
それから、その備考欄というところには、どういうことが書いてきてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/240
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241・平井啓一
○平井説明員 どうして把握できないかということでございますが、防衛庁としては把握する必要がないからでございます。これはあくまで、最初御説明申し上げましたように、市町村が、自衛隊法施行令百十九条に基づきますところの「自衛官の募集に関する広報宣伝」をみずから行なうための資料として作成していただいているというのが第一の点でございますので、これはあくまでも各市町村の御裁量におまかせしておるわけでございます。適格者名簿が全国でつくられて、それに何名の適格者、いわゆる適齢者が乗っかっているかということは、私どもとしては承知する必要はないことでございます。
それから、備考の欄に掲げます例といたしましては、たとえば自衛隊に二士の隊員として入りました場合、自動車の運転免許を持っておる、あるいは特に大型車両の運転免許を持っておる、そういう公の資格を持っていることが、入隊いたしました後の、われわれのほうで申しますいわゆる職種と申しますか、たとえば大型車両の免許を持っております場合には輸送隊のほうに行ってもらうということもできるわけでございます。そういった意味の参考資料として備考に掲げているというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/241
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242・林百郎
○林委員 あと二、三点です。
だんだん内容がそういうように出てきているわけですね。結局住民基本台帳が、今度は大臣にお聞きしますが、それに資料として提出されないということはあり得ないわけですね。たとえば自衛隊法の施行令の百二十条に「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」とあるのですよね。そうすると、この住民基本台帳は、これはもちろんこの自衛隊法施行令は百二十条の「報告又は資料の提出」の「資料」の中へ入るのでしょうね。自衛隊の募集について必要だから、当該市町村の住民基本台帳をひとつ出してくれと言えば、出さなければいけないのでしょうな。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/242
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243・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 この台帳法の法律案のほうにも、住民票の写しを何人でも請求することができ——もちろん、事務に支障があるときは断わることができますけれども、請求できるようになっております。また、いまおあげになりました自衛隊法施行令で、総理大臣が必要と認めれば、そういう資料の提出をさせることができると思います。しかし現実の、これは前任の関係がありますから申し上げるのですが、現実の問題として、自衛隊の最高指揮官としての内閣総理大臣が、募集に関してそうした資料を求める必要はないのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/243
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244・林百郎
○林委員 そんなことは、大臣がかってにそう考えているだけで、これは、いつでも資料として提出を、求められれば資料として提出しなければならないものだろう、こう聞いているわけですよ。これは結局徴兵制の下準備をこれでやると言ったって言い過ぎではないのじゃないですか。たとえば、地方自治法の中にある別表の第三の五の四に「自衛隊法及びこれに基く政令の定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行い、」とある。「自衛官の募集に関する事務の一部を行い、」ということも地方自治法にはありますね。これははま何をやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/244
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245・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 自衛隊法九十七条で、自衛官の募集の一部を都道府県知事、あるいは市町村長に機関委任ができるようになっております。そうしてそれを受けて、いまお話しの自衛隊法施行令の百二十条ですか、これに、要するに、募集の事務の一部というのは、募集に関する広報宣伝であるということがいわれておるわけです。したがいまして、この住民基本台帳ができるできないということにかかわらず、自衛隊法九十七条の機関委任においてそういう募集事務の一部、いわゆる広報宣伝の事務が市町村に機関委任をされておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/245
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246・林百郎
○林委員 そうすると、自衛官の適格者名簿の提出も、明らかに、自衛官の募集に関する事務の一部を行なう、これに該当するわけでしょう。そんな、広報活動しているだけだとすれば、自衛官適格者名簿というのは、法律的な根拠がなくて自治体がやっているのですか。それなら、自治体では直ちにやめさしたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/246
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247・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 要するに、自衛官の適齢者名簿をつくるということは、市町村長が機関委任を受けて、自衛隊の隊員募集の広報宣伝をするためにそういう名簿を市町村長がつくっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/247
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248・林百郎
○林委員 広報宣伝をするだけに何で名簿が必要なんですか。広報宣伝といえば、常識でいえばポスターを張るとか、あるいは催しをするというのでしょう。適格者の名簿を提出するということは宣伝じゃないじゃないですか。それじゃ、いまやっておる名簿の提出は、法律的な根拠はどこにあるのです。やらないでいいことを自治体はやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/248
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249・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まず、広報宣伝をするために、自分の村にいる者のだれだれが自衛隊の隊員としての受験資格を持っておるか、これを調べて、その人たちに対していろいろPRをやるということは、これは機関委任を受けておる市町村長として、そういう便宜のためにやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/249
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250・林百郎
○林委員 だから、そういう名簿を出さして、その人たちに特定な広報宣伝をするということは、できたら、その人たちに自衛官に応募してもらいたい、こういうことからやっているわけでしょう。名簿を出させる、その人に文書を配付し、そして自衛官に応募してもらいたいということでやるわけでしょう。その名簿をつくっておるということになれば、これは昔のいわゆる徴兵のためにつくった名簿といっても過言でないじゃないですか、その人たちに自衛官に応募してもらいたいための名簿をつくっておるのですから。同時に、その名簿とこの住民基本台帳とは両輪のごとく運用されて、必要な場合は両方が補足し合う、こういうことが考えられるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/250
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251・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、基本台帳制度ができるといなとを問わず、自衛隊法九十七条で、募集の事務の一部を都道府県知事または市町村長が機関委任をされておるわけです。したがって、その範囲において市町村長が広報活動をやるということは、この基本台帳とは何ら関係のないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/251
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252・林百郎
○林委員 基本台帳を使う、さっき局長も計っておるのですよ。自衛隊法の施行令の百二十条によって「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」その資料の提出の中には、もちろん住民基本台帳も入っておるのだ、こう言っておるわけですよ。そうすると、この住民基本台帳を、自衛官の募集に関して必要があるといって提出を求められれば提出しなければならないじゃないですか。その一つの資料となり得るんじゃないですか。同時に、自衛官の適格者名簿の作成についても、またこの住民基本台帳が利用されないという保証は何もないわけでしょう。そして、しかも、この住民基本台帳を調べるには、関係人に調査をさせて、その関係人が質問に対して答弁等をしなければ五万円以下の罰金に処するという強制力まで持っている。少なくとも、これが自衛隊法施行令百二十条の「自衛官の募集に関し必要があると認めるとき」の資料になり得るのだということは言えるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/252
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253・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 もちろんなり得ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/253
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254・林百郎
○林委員 それでは委員長、もう一つだけ……。非常にこの問題重要ですから、私は、あらためてまたお聞きしたいと思います。
そこで、大臣にもう一つお聞きしておきますが、これは自衛隊法の中にも、それから地方自治法の中にもありますけれども、地方自治体は、「治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合に自衛隊の部隊等の出動を要請し、天災地変その他の災害に際して」云々、これは別ですよ。天災地変その他の災害に際して財産の保障でなくて、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合に自衛隊の部隊等の出動を要請することができる。一方自衛隊法のほうでは、自衛隊法百三条によりますと、「都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。ただし、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。」、これは適格者名簿にからんで、自衛隊法と地方自治法のほうで規定されている。治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、都道府県知事は自衛隊の出動を要請することができるという、この規定ですね、自衛隊法の八十一条。それから地方自治法の別表三の五の四、これも委員長非常に重大な問題ですから、後にまたゆっくり聞きますけれども、これはどういう場合を想定しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/254
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255・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 この八十一条は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合、都道府県公安委員会と協議の上出動を求めるということでございますから、おそらく、その地域に対しまして相当大規模な暴動等の起こったことを予想しておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/255
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256・林百郎
○林委員 相当大規模な暴動というものはだれが起こすのですか、だれがどういう事態で起こすのですか。あなたがいま想定されている場合を説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/256
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257・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 これはどういう事態か、おそらく、現在の日本においてそのようなことが起こるとはわれわれは考えておりませんけれども、ただ自衛隊法の予想しておりますのは、全国的な非常な内乱のようなものではないけれども、地方において、その地方の、たとえば警察力によっては鎮圧できないような大きな騒擾、暴動が起こったということを予想しておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/257
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258・林百郎
○林委員 だから、自民党佐藤内閣の考えておる暴動というものは、労働者、農民が民主的な闘争をする場合、そういう場合、鎮圧するというようにわれわれは考えておるわけです。あなたは、想像していないと言うのですけれども、この自衛隊法の百三条によれば、非常に具体的に、病院、診療所その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋もしくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管、輸送を扱う者に対して、その保管を命じあるいは物資の収用、これは、あなた方はあなた方の好ましくない民主的な運動を弾圧するということを、相当具体的に考えているというようにわれわれは考えざるを得ない。この点については、いずれまたあなたにゆっくりこの問題について聞きますけれども、自衛隊法百三条で物資の輸送とか、それから土地、家屋、医療施設の管理を握る、一方、人的な動員、人的な管理は、今度住民基本台帳をつくって、これで人的な面を掌握する、私はこういうように本法については認定しているわけです。そうでなければ、どこの国だって、国民が自分の住所を届けるのに自主的に届ければいいのであって、それに罰金を加え、罰則を加え、関係人まで調べ、関係人が答弁しなければ五万円以下の罰金をかけ、移ろうとする者はあらかじめ届け出なければならない、国民年金もあるいは国民健康保険でも、一たん住民基本台帳に届けた以上は金もとる、こんな制度なんかどこにもないわけなんですよ。だから私は、こういう反動的な法令、しかも、自衛隊法と密接な関係があり、治安出動と密接な関係のあるこういう反動的な基本台帳には、どうしても賛成することはできない。しかし、この問題については、いずれもう少し突っ込んだ質疑をあなたにしたいということで、私のきょうの質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/258
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259・亀山孝一
○亀山委員長 次は太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/259
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260・太田一夫
○太田委員 それでは、さっそくお尋ねします。大臣、うしろで聞いておってちょっと疑問に思ったのですが、林さんのおっしゃったような魂胆がこの台帳の中にあるんですか、ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/260
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261・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 全然そういうことを考えておるわけではございませんで、しばしばお答え申し上げましたように、市町村の事務の近代化、合理化に努力をされておる。しかし、法令の障害があってそれが十分実を結んでいない。そういう点をとらえまして、そうした障害を除いて、そうして、片や住民の側も便宜を得、しかも、事務の能率があがるようにしたいというだけのことでございまして、全然そういう魂胆はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/261
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262・太田一夫
○太田委員 立案を一番よく知っておる長野局長、あなたも、これがそのような黒い政治の手先となって、変なふうに横歩きしてしまうというような心配は絶対ないと言えますね。どこかに危険性が隠されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/262
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263・長野士郎
○長野政府委員 そういう御心配は絶対ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/263
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264・太田一夫
○太田委員 いまの二人の発言は、公式に記録にとどめられておりますから、今後この法の適用にあたっては、十分ひとつこれが威力を発揮するように期待します。当然そうあるべきだと思います。
そこで、これはひとつ局長にお尋ねしたい。住民台帳のひな形、お持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/264
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265・長野士郎
○長野政府委員 住民台帳のひな形はつくっておりません。と申しますのは、従来各法令によりますところの届け出の様式、台帳の様式が非常に事務の合理化を阻害したかっこうになっておりますので、それぞれの市町村におきまして住民票の様式等は自由につくってもらう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/265
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266・太田一夫
○太田委員 しからば、変更事項の届け出様式のひな形も同様にありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/266
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267・長野士郎
○長野政府委員 届け出についても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/267
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268・太田一夫
○太田委員 しからば、ちょっとお伺いいたしますが、その住民台帳というものの様式のひな形がありませんからわかりませんが、その中に書くのは、この七条に、十二までの項目が明記してありますから、これ以外のものは書かないのですね、書かれることはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/268
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269・長野士郎
○長野政府委員 法律で予定しておりますのは、これだけのことでございます。ただ、市町村が多少事務処理上の問題として、住民についての実態把握として、ほかのことをこれに書かして調べることがあるかないかという問題でございます。それにつきましては、たとえば、給水を要するところでありますとか、下水の整備が必要であるとか、ないとかというような行政上の処理の必要から、住民票といいますか、この法律のいう住民票じゃございませんが、現在市町村がつくっております台帳の中にも、そういうものを加えておるものがございます。私どもは、そういうものは行政上の便利があればやっても差しつかえないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/269
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270・太田一夫
○太田委員 したがって、第七条に書いてある記載事項というのは限定されたもので、つけ加えるとするならば、そういうような住民福祉の居住条件に関するもの、たとえば、その家は水洗便所になっておるとか、その家は水道がなくて井戸を使って飲料水を取っておるとかいうことはつけ加えられることはあるけれども、その他のこと、いまのような妙な目的のために、黒い目的のために使われるようなものはひそんでおらない、つけ加えることはない、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/270
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271・長野士郎
○長野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/271
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272・太田一夫
○太田委員 しからば、血液型がここに載ることはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/272
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273・長野士郎
○長野政府委員 そういうことは予想しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/273
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274・太田一夫
○太田委員 その人の所得が載ることはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/274
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275・長野士郎
○長野政府委員 そういうことも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/275
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276・太田一夫
○太田委員 国民健康保険並びに国民年金等がこれに記載されることになっておりますが、その内容については、各個人の所得とか、ある程度プライバシーに属するようなものが記載されることはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/276
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277・長野士郎
○長野政府委員 この住民票は、法律にも書いておりますように、何人でも閲覧ができますし、住民票の写しも何人にも交付することができるようにしております。でございますので、いまお話のようなプライバシーに関するような問題については、この住民票の記載事項にはないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/277
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278・太田一夫
○太田委員 そうすると、それ以上、この条文によってつけ加えることができなければ、そうわれわれは疑わしく思わなくてもいいのですが、書かれたカタログ、ひな形というものが出されませんから、そこで大きな備考欄なんかあって、特記すべき事項なんか出てきては困まるような気がする。できれば明朝でも、ある特定のところでテストされたひな形でもありましたら、ひとつ、それをお出しをいただきたいと思います。
それから、この罰金の関係、先ほど非常に問題があったのでありますが、過料は、相当届け出にあります。いままでも住民登録等にもありますから、必ずしも新しく制定されたものとは言いがたい点がありますが、レベルが上がったのか。しかし、これをこのとおり実際にやられたら、簡易裁判所からどんどん二千円の過料の通知がくることになりますね。だから、法人等の届け出は、登記所等に届け出を怠った場合においては、きちっきちっとオートマチックに過料がまいります。あれと同じように、これも同じようにくるのですか、過料二千円というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/278
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279・長野士郎
○長野政府委員 届け出を故意に怠りましたとか、いろいろな場合がございますので、そういう場合には過料は徴収をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/279
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280・太田一夫
○太田委員 転入、転出、転居、それは二週間以内に届け出なければ過料を徴収するということは、市町村長選択することはできませんね。選択の範囲はない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/280
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281・長野士郎
○長野政府委員 四十四条の虚偽の届け出をした者、それから正当な理由がなくして届け出をしない者、これは「正当な理由がなくて」ということがございます。虚偽の届け出について、正当の理由があるか、ないかについては、これはすべて簡易裁判所の判定をすることでございまして、そういう条項に該当いたしますものにつきましては、過料を課せられることはやむを得ないじゃないかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/281
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282・太田一夫
○太田委員 簡易裁判所において判定されることであるというのでありますけれども、これは市町村長においてある程度判定をされてよろしいのじゃありませんか。二週間以内に届け出をしなかったから、それで二千円だということになれば、この過料というのは、いままでの習慣からいいまして、ずいぶんの金額になりますね、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/282
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283・長野士郎
○長野政府委員 これは過料の中でも、この部分は簡易裁判所で判決を下すものでございまして、市町村長が認定をする余地のないものでございます。したがいまして、簡易裁判所の判断によりまして過料が課せられる、課せられないということがきまる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/283
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284・太田一夫
○太田委員 そうすると、四十四条の「二千円以下の過料に処する。ただし、」のただし書きというのは何ですか。「その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。」これは何か刑があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/284
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285・長野士郎
○長野政府委員 先ほど申し上げましたが、この住民票は、住民の権利義務に関する公の書類でございまして、刑法にいわゆるそういう権利義務に関する公正証書であるという考え方が、最高裁判所の判決でも確定をいたしております。したがいまして、やはりそれの虚偽の届け出によって間違ったことになりますと、偽造罪といいますか、そういうことになるわけでございます。それに当たったものについては措置いたす、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/285
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286・太田一夫
○太田委員 それはそうですね。ですから、今度新たに課せられる過料と申しますのは、転入、転出、転居等の届け出は二週間以内、これはうっかりしておりますと、忘失者全員に対して非常に不当な高い過料を課せられるということになるのです。しかも、これは個人でしょう。一家五人が引っ越しますと、二千円かける五人で一万円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/286
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287・長野士郎
○長野政府委員 これは二千円以下の過料でございまして、そういう意味で、五人一発で一万円になるというような事例でございますと、まあ、裁判所のほうの判決は、しかるべきところに落ちつくだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/287
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288・太田一夫
○太田委員 だから、ここのところは一般住民が非常にのみ込みがたい。今度の台帳を整理するということが、いま最初の大臣の話にもありましたように、あるいはまた提案説明等にもありますように、何かサービス強化であるというような印象を最初持っていた。調べていくほどに、どうも罰金のほうが中心であって、きつい統制が何かかけられるというような印象を国民が受ける。それは私はおそろしいと思うのですよ。もっと過料の適用については十分な配慮をすべきだと思いますが、配慮をしようといったら、これは意味がなくなるから、だから、届け出るほうが配慮すればいいわけですね。一年前にこちらへ越してきたけれども、実際に最後の荷物が着いたのが昨日でありますと一口言えば、これは窓口において何ともするわけにいかないということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/288
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289・長野士郎
○長野政府委員 実際に住所の移転が完了したのが昨日であれば、それは昨日ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/289
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290・太田一夫
○太田委員 そのことを即、何条かの違反に当たる、該当するかしないかをきめるのは、その窓口で聞いた方で、係官ですね、係の吏員でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/290
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291・長野士郎
○長野政府委員 住所の認定は一係がきめるというような問題ではございませんので、あくまで客観的事実に基づきまして認定をされる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/291
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292・太田一夫
○太田委員 だから、それはどうやって調べるのですか。転入届け出あるいは転居届け出を出しますときに、それは事実はどうであるかなんということを一々調べるのですか、チェックするのですか、しないでしょう。窓口において調べるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/292
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293・長野士郎
○長野政府委員 現実の取り扱いといたしましては、その届け出を受けまして、一々実態を調査するということが、はたして可能であるかどうか、そういうことになりますと、現実の受付をしております係のところで書類の整理をいたしますから、届け出者の届け出に不審のかどがない、不審の点がないということであれば、おおむね、その人がいついつここに住所を移したということと合致した処理がされることは多かろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/293
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294・太田一夫
○太田委員 したがって、窓口においてある程度フリーパスで受理されれば、問題がなかったと届け人は考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/294
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295・長野士郎
○長野政府委員 おおむね、そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/295
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296・太田一夫
○太田委員 黙っていて、あとで罰金だということにならないように。大体において九九…九%そういうことである。
それから、もう一つお尋ねしますが、本案が施行されれば、地方住民へのサービス低下になるような問題はございませんでしょうね。例をあげてみますると、これには直接関係はありませんが、戸籍抄本をいただきに行きます、また、戸籍謄本をちょうだいしたいというときに、いままでより不便になることがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/296
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297・長野士郎
○長野政府委員 そういうことは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/297
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298・太田一夫
○太田委員 もう一つお尋ねをいたします。
それは、これな実施するについての費用というのが先ほど来論議されておりますが、ほんとうの数字はどれだけですか。どれくらい要ると目算をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/298
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299・長野士郎
○長野政府委員 制度の移行に伴います経費は、約十七億円くらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/299
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300・太田一夫
○太田委員 十七億円要る中で、約半分くらいしか国はめんどうを見ない。あとは持ち出しだというわけですが、十七億そのものが非常に過小評価だという説もある。そこで、機械としてはどんな機械を買う、買うべき主たるものは、一単位の自治体として、どういうものを予定されておりますか。機械なら機械、ものならもの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/300
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301・長野士郎
○長野政府委員 この法律を施行いたしますために、たちまち何か新しい機械を購入するというようなことを考えておるわけではございません。むしろ、この法律の主要な部分は、住民登録法に基づく住民票というものを、この法律の住民票に適合し、移行できるものはなるべくくそういうことにいたしまして、そうして、円滑にこの新しい住民基本台帳法に基づく住民票のほうに乗り移っていけるように、むしろ考えたいと思っておるのでございます。そういうことで、正確な従来の住民票がこの住民票に移っていけるような実質的な運営というものも、十分可能でございます。そういうことをいろいろ考えますというと、約十七億円ということで大体やっていけるのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/301
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302・太田一夫
○太田委員 一枚の住民票と住民台帳のカードの値段は、おそらく、これは相当上質の記録紙をお使いになるだろうと思うのですが、単価幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/302
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303・長野士郎
○長野政府委員 これはもう紙にもいろいろございまして、高く出せば一枚十円の紙もあるようでございます。安く出せば一円くらいのものもあるようでございます。これはいろいろなやり方がございます。それで、むしろその機械の整備の状況によりましては、あまり厚い紙を使うことがよろしくない場合もございます。そこは地方団体が用いておりますいろいろな施設なり、設備なりとの関連でいろいろ考えていかなければならない。画
一的には申し上げられないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/303
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304・太田一夫
○太田委員 私は、わかっておると思うのですが、あまりたくさんかかり過ぎる予算ということに相なりますと、今度の国のほうの用意がありませんから、そこで、そういうふうに一応疑問符を打たれておると思うのですが、紙は相当長く使用に耐えるものでなくちゃいけないでしょう、また、明瞭に書かれるものでなければいけないでしょうということが私はあると思う。同時に、それをやるためには、今後リコピーのセットであるとか、保管庫であるとか、しまいには電子計算機まで要るんじゃなかろうか、こんな気がしてならない。科学的な時代、科学と技術の時代ですから、そういうものはどんなにいい設備をなさってもいい。それはどんどん費用を出してやらしてください。ただ妙なぐあいに曲がっていかないように、住民に妙な威迫感を与えないように頼みたい。それから、いまの紙等におきましても、明朝、単にこういう内容ということじゃなくて、このような紙を使ったらいいと思いましたら、どこかでテストをおやりになりました紙質がありましたら、それをもお見せいただきたいと思います。ぜひ間違いないように運用していただきたいと思います。よろしゅうございますね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/304
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305・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 御趣旨のように運用してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/305
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306・亀山孝一
○亀山委員長 それでは山口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/306
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307・山口鶴男
○山口(鶴)委員 たいへん時間も経過しましたので、簡単にお尋ねをいたしますから、簡単明瞭にお答えを願いたいと思います。
最初に、この住民基本台帳と自衛隊の適格者名簿、これの関係についていろいろお尋ねがありました。まず、防衛庁のほうにお尋ねしようと思うのですが、地方財政法の十二条というのがございました。この防衛庁に関する経費は、一切これは国が持つということが規定されているわけですね。で、この地方自治法の別表によりまして、都道府県や市町村に対して自衛官募集に関する事務の一部を委任するということが規定されておりますが、その委任されております一部、それについては、全部防衛庁が持たねばならぬという地方財政法の規定ですよ。しかし、現実はそうなっていないでしょう。なぜ地方財政法違反を防衛庁はあえてやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/307
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308・平井啓一
○平井説明員 地方財政法十二条の趣旨に基づきまして、われわれのほうから都道府県ないしは都道府県を通じて市町村にお流ししております委託費の額は、必ずしも十分とは申せません。しかし、現在お流ししております委託費の範囲内で、各都道府県、市町村で自衛官募集の事務をやっていただいておるもの、そういうふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/308
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309・山口鶴男
○山口(鶴)委員 大臣、お尋ねします。この法律で規定されておりますものは、私は議論はありますが、これは一応認めてもいいと思うのです。ですから、ポスターを張るとか、PRとか、そういう仕事の際に限られておって、しかも、防衛庁が自治体に流します経費の範囲内で仕事をするということならばいいですが、それ以外の、適格者名簿をつくるとか、よけいな仕事をつけて、しかも、地方財政法に違反して自治体がよけいな負担をしなければならないというような事態に対しては、自治大臣、これは断固たる態度で対処していただきたいと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/309
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310・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まず第一に、例の適格者名簿でございますが、これは市町村長が、県に委任されました自衛隊員の募集の広報宣伝のため必要だとお思いになってつくることは、これはそこまでとめさせる必要はないと私は考えるわけでございます。
それからいま一つは、いま御指摘のように、機関委任で防衛庁から出された経費の範囲で市町村は広報宣伝をやられればいいのでございまして、それ以上の経費を、少なくとも国の側から使わせるようなことをしてはならぬというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/310
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311・山口鶴男
○山口(鶴)委員 もう一つ言いますと、防衛庁が流します経費以外のことについて、これをやってもらいたいというようなことをすること自体これはよろしくない、こう理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/311
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312・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 少なくとも国の側が、その自分の流した金以外のそれ以上に市町村費をもって行なえというようなことを強制したり、慫慂したりすることは適当でないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/312
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313・山口鶴男
○山口(鶴)委員 防衛庁の人事二課長ですか、おたくのほうは、国が出しております経費以外のことについて要請したことは一度もありませんか、はっきりここで言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/313
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314・平井啓一
○平井説明員 ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/314
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315・山口鶴男
○山口(鶴)委員 これは権威ある国会の場で、防衛庁の代表者が明確にお答えしたのですから、その点は今後お忘れなく対処していただきたいと思います。
それでは、時間が詰まっておりますから、ほかの問題に移らしていただきますが、自治省からいただきました住民基本台帳法案参考資料を見ますと、住民台帳制度合理化調査会というものをおつくりになって、その調査会でいろいろ御検討をされておるようであります。ただいま太田委員のほうから、この住民基本台帳が、いわば黒い政治に使われることは絶対ないかというような趣旨の御質問がありまして、それに対するお答えがあったわけでありますが、この基本台帳法案の第七条には、十二項目にわたって非常にたくさんのことが書いてあるじゃないですか、とりあえず、この資料を見ますと、調査会がいろいろ検討して、そうして「大体、意見の一致をみた現段階における案を一応提出することとした。」こう言っておるわけです。そうしますと、一応の案が出て、法律としてつくったのがこれであって、さらに検討が進められれば進められるほど、いろいろな事項をこのおしまいの十二以下につけ加えてつくるのじゃないかという感じがいたすのであります。そういうことはありませんか。ここにはたくさん書いてありますよ。さっき御指摘のあった血液型についても入れたらどうだ、それからさらには、手帳制度というものを採用したらどうだ。外国へ行きますと、みなパスポートみたいなものをその国の国民が持っておりますが、そういう手帳制度を考えたらどうだ。その手帳には、中学校卒業時に写真をまず張る、二回目には二十歳になったら張る、第三回目には三十歳になったら張る、また四十歳になったら張る。五十歳でもって、それ以上はないようでありますが、それぞれの世代における写真を張る。そうして、もちろん血液型もございますが、そのほか技能に関する事柄、身体障害の事柄とか、運転免許証とか、あるいは、予防接種だとか、ありとあらゆるものをこの手帳に書き込むというような案が出ているじゃないですか。これでは、先ほど来各委員から御指摘のあったような懸念が出てくるのではないかと思うのです。どうしてこんな膨大なものを考えているのですか。これは自治省が出したのだけれども、一切考えない、住民基本台帳法としては、ここにあります十二項目以上のことは絶対につけ加えない、こう約束ができますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/315
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316・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 先ほど局長からもお答え申し上げましたように、十二項目、それにもしつけ加えるとすれば、市町村長が住民福祉のために役立つと思って自分の行政事務のためにやるようなもの、先ほどお話がありましたが、下水道がどうだとか、水道がどうだとか、そういうことでございまして、それ以上のものをつけ加えるという気持ちは全然持っておりません。ただ、手帳制度につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、そういう御意見もありまして検討をいたしたのでございます。しかし、現在の段階におきましては、手帳制度までいくのはどうかということを考えたわけでございますが、いまお示しにもありましたように、外国などでは手帳制度というようなものをとっておるところもございますので、手帳制度については、その内容については必要最小限度のものにいたしまして、今後手帳制度というものを検討することはいたしたいと存じますが、少なくとも、この基本台帳制度につきましては、現在の法律で要求している項目のほかは、いま申し上げたようなもの以外には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/316
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317・山口鶴男
○山口(鶴)委員 局長に聞きましょう。資料をお出しになったわけですからね。
これを見ると、血液型もあるし、さっき言いましたような手帳制度並びに手帳の交付年月日を住民基本台帳の中に入れるという案が出ているじゃないですか。さっきは局長のほうも、これ以上のことは考えていないと明確に答えたわけですね。この資料との関係はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/317
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318・長野士郎
○長野政府委員 これは合理化調査会におきまして市区町村のほうから出されました案の中にこういうものがありましたり、また、個人から出されました案の中に、いわゆる手帳制度のようなものも出ておるのでございます。それで、市区町村のほうでも、非常に基本的なものをずいぶん整備していくことのほうが、結局住民のための利便、行政の処理の上の利便からいえばよろしいというようなことで、非常にたくさんの項目が並べられた案が調査会に出たわけでございます。しかしながら、調査会でいろいろな角度から検討されまして、いまここに提案しておりますような項目に限るべきだということで、これらの案は取り入れられなかったわけでございます。そういう関係で、いま手帳制度につきまして大臣が申し上げましたが、むしろ住民からいえば、その中でそういう意見が出ましたのは、これらは役所のほうにだけ持っておる台帳になってしまっておるけれども、住民に持たしておけば、住民と地方自治体はどういうかかわりがあるかということもよくわかって、かえって地方自治に関心を持つのじゃないかというような動機から、そういう議論が出たのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/318
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319・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうすると、この資料は、将来はこういうものも考えますということではなくて、こういう案も出たが、先ほど局長も答弁したようにこれに限る、こういう意見になったので、これを参考までにお見せをする、こういう意味に受け取っていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/319
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320・長野士郎
○長野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/320
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321・山口鶴男
○山口(鶴)委員 その点は、ひとつ大臣も明確にしておいていただきたいと思うのです。手帳制度についても考えると言いますが、これは日本としては革命的な事柄です。そういうものを軽々に考えるというようなことは、私は問題だと思います。先ほども、これ以外のことは考えぬということなんでありますから、ひとつ、その点は明確にしておいていただきたいと思います。そうでありませんと、ただいままで議論されたようないろいろな懸念がある。この十二項目以外は考えぬということを明確にしておいていただきたいと思います。
それから次は、聞くところによりますと、住民票を電子計算機のシステムに乗せるようなことも考えているということが巷間伝えられるのでありますが、そういうことは全然考えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/321
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322・長野士郎
○長野政府委員 住民票、住民基本台帳そのものは電子計算機へ乗せるというしろものではないと思いますけれども、これに導き出すための基礎的なもの、あるいは補助的なものをいわゆる電子計算機で整理していくことは非常に能率がいいという考え方はあるようでございますが、まだそこまでのことを現実の問題として進めておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/322
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323・山口鶴男
○山口(鶴)委員 現実には考えていないということですね。
それから財政措置の問題です。先ほど太田委員からも、一枚幾らくらいだというようなお話があったのですけれども、基本台帳を整備するために大体一人当たり幾らぐらい経費がかかるというようなことは考えたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/323
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324・長野士郎
○長野政府委員 先ほど申し上げましたように約十七億円でございまして、一人当たり考えますと十七円、こういうかっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/324
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325・山口鶴男
○山口(鶴)委員 住民基本台帳作成について十七億円で済むんだ済むんだと言っておるのですが、いただきました資料によりまして、昭和四十二年度の自治省の大蔵省に対する予算要求を拝見いたしますと、住民基本台帳制度の実施に必要な経費として七億四千万円要求しておられますね。それが大蔵省の査定で一億一千八百四十一万円に削られた。そのために、私どもに示されました、自治省がこの基本台帳を整備するに必要な経費としては、昭和四十二年度に四億五千万、それから四十三年度に九億、合計十三億五千万、その他考えて十七億と言っているのでしょうが、これはおかしいじゃないですか。自治省としては、初めは七億四千万要求したのでしょう。とすれば、二カ年かかれば少なくとも四十億円ぐらい必要だという当初の計算があったのじゃないですか。それが大蔵省に予算を切られたために、突如として必要経費が減額をされてきた。この調子でいけば四十億ぐらい、補助金で七億ということでしょうから、そのほかに自治体が持つべき経費、当然基準財政需要額に織り込まれる経費、そういうものを考えれば、二カ年間で四十億ぐらい必要だということだったのじゃないですか、この当初補助金要求の七億を考えれば。それが大蔵省の査定で減ったとたんに、しぼんだというふうに受け取らざるを得ないのですけれども、七億四千万要求した根拠は一体何ですか。当然二カ年間で少なくとも四十億くらいの金が要るという計算だったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/325
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326・長野士郎
○長野政府委員 最初、この住民基本台帳に要する経費というものをいろいろ計算をいたしたわけでございます。その場合に、約十八億八千万円、十九億ぐらいという計算をいたしました。それの三分の二の十二億、要求する側でございますから多少いろいろと考えもあるわけでございますが、三分の二ぐらいひとつ要求しようということで当初は発足をしておったわけでございます。それを二年間というようなことで、単年度六億というような要求にしておったのであります。しかし、これは予算要求としては非常に早目に出すものでございますからそういうことにしておりますが、内容なり、ものの形なり、考え方がだんだん固まってまいります過程におきましていろいろと整理をいたし、いろいろとやっておりますうちに、現在のようなところに落ちついた。現在のところに落ちつくためには、十九億というのが大体十七億くらいでいけるのじゃないかというのでございまして、当初の予定からいたしますと、約十九億が十七億になりましたところは多少縮まっておりますが、基礎としては、そういうもので考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/326
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327・山口鶴男
○山口(鶴)委員 おかしいですね。十九億要る要ると言っていて、その中で補助金十二億ですね。二回に分けて六億要求したというようなお話です。ところが、私ども自治省のほうからどのくらい経費がかかるかという資料をいただきましたら、これは十三億五千万円しか要らぬような計算になっているじゃありませんか。そうして昭和四十二年度が五億六千七百万で、国庫補助が一億一千七百万、それから一般財源として四億五千万円見る。昭和四十三年度は同じような計算で十一億三千四百万という数字を聞くたびに、当初大蔵省に要求したときの数字と、私どもに十七億とか十九億とか言っておりますときも違うし、また、こまかい資料要求をいたしますと、その金額も十三億五千万というようなかっこうで違うし、一体正確なところは幾らなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/327
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328・長野士郎
○長野政府委員 十三億五千万円と申しますのは、十七億の中から三億五千万円を引いた額になります。三億五千万円と申しますのは、両年度にわたって国から補助いたします額の合計でございます。それ以外の十三億五千万円が交付税の基準財政需要額の中に算入される。つまりそれで十七億円、こういうことになっておりまして、大体当初からいけば、十九億から十七億に下がったじゃないかという御議論は、確かに拝聴せざるを得ないわけでございますが、そこからあとのことは、大体平仄が合っているように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/328
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329・山口鶴男
○山口(鶴)委員 一般財源が十三億五千万円、それから補助金が三億五千万円、そうして十七億、こういう算術ですね。そうしますと、十九億と十七億は一体どういうふうに違ったのか。それからまた、補助金の額が——あとで大蔵省の主計局次長さんにもお尋ねしようと思うのですが、六分の一に要求を減らしておるわけですね。その六分の一に減っても差しつかえないようなそろばんが出てくるという自治省のそろばんのやり方も、私ども外部から見まして非常にふしぎなことなんです。要求したものなら、その要求がだいぶ減ったということになれば、当然これは差しつかえが出るでしょうが、減りも減ったり六分の一に減って、しかも、その計画全体も何とかやっていけるというようなそろばんは、どうして出てくるのでしょうね。そういうのをしろうとにわかるように、よく説明してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/329
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330・長野士郎
○長野政府委員 これは、当初は国の補助というものを中心にして考えるべきだというような考え方も一つございまして、そうして十九億というような数字で、その三分の二の十二億幾らというものを要求をしたというかっこうでございます。しかし考えようの一つは、そういう考え方も私どもは確かにあると思います。しかしまた同時に、住民基本台帳法というものの性格からいたしまして、これは本来自治体の住民把握という必要性というものがちゃんとあって、そして、それに対して国のいろいろな法令なり各種の措置によりまして届け出がばらばらになっておる、これを合理化していくということを基本に考えているんだという考え方、これが一つあるわけです。そういう考え方からいけば、国がそれだけ見るというやり方がどうかという問題もまた出てくるわけでございます。結果において、現在のところは、その後者のほうの考え方に大体沿ったということに相なるわけでございます。しかし、六分の一にしゅっとしぼんでしまってというわけではございませんで、結局、それは全体としての財源措置として、十七億というものは計算済みである、こういうことでございます。
十九億が十七億になぜ減ったか、こういうことになりますが、これはいろいろ合理的な検討に検討を重ねていきますうちに、大体この辺で維持できるという線が出た、こういうことになると御了承いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/330
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331・山口鶴男
○山口(鶴)委員 いろいろ各地域の実情なりあれを見ますと、たとえば、人口三十万くらいの市でどのくらいの経費がかかるだろうという、自治体としては当然そろばんを置くわけでしょうから、そうすると、一千万円をこえるくらいかかるんじゃないか。大体多く見積もるところは一人当たり八十円。少なく見積もるところでも一人当たり四十円くらいかかるだろうということだそうです。そうすると、国全体では、少なくとも八十億から四十億なければ、これは実施できぬということになるのじゃないかと思います。そこへ持っていって、十七億と十九億の話をしましたが、それどころではない。それ以上の経費がかかるというのが実態だと思います。しかし、これもまだ実施してみなければわからぬということも言えるでしょう。当面一年これでやってみまして、とても地方の実態からいって、これではできぬ、一人当たり八十円なり四十円かかる、四十億なり八十億かかるという事態になった場合は、当然そういうことが考えられるのですから、そうした場合は、明年度の財政措置においてこれを考える、こういう気持ちは大臣ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/331
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332・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まあ、従来のモデル地区などでやった実例その他を基礎にいたしまして、一応十七億という数字を出しておるわけでございます。これは非常に無責任な言動になるかもしれませんが、いわば、やってみなければわからない要素があるわけでございます。したがいまして、そういうことで現実に今年度を経過いたしまして、相当——たとえば一人当たりの単価にいたしまして、いまの金額を上回るというようなことになれば、財政措置は十分考えていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/332
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333・山口鶴男
○山口(鶴)委員 せっかく主計局の次長さんに来ていただいておるのですが、どうせ大蔵省としては、六分の一に予算を減らされたのは、それは当然その根拠なり考え方があったと思うのです。しかし、現実に四十円なり八十円かかるということになれば、そうすると、めちゃくちゃに予算を切ることも非科学的じゃないかと思うのです。補助金でやるか、あるいは固有事務なんだから一般財源の財源措置でやるかという議論はもちろんあるでしょう。しかし、議論はあるとしましても、総額全体としては、少なくとも四十億なり八十億という財源措置が必要ならば当然していいということは、大蔵省としても当然考えていいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/333
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334・相沢英之
○相沢政府委員 住民台帳の経費の所要額につきましては、私どもは、自治省が実験的にやりました実績に基づきまして大体算定をしておるということでございましたので、大体一人頭の金額といたしましては、その程度ならばできるではないかというふうに考えておったわけでございます。したがいまして、これは住民台帳のどういうものを備えつけるかというようなことにつきまして、細部にわたって法令等の規定があるというようなことになりますと、これはまた別でございますけれども、各市町村がそれぞれの判断によってされることでもありますので、かかっただけ、あとでまた何分の一かを国がめんどうを見るというような性質のものではなく、性格といたしましては、本来自治体の負担でなさなければならないことに対して、制度の改変に際して、国が特に奨励的に出す補助金でございますので、そういった性格をもひとつあわせてお考えおきを願いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/334
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335・山口鶴男
○山口(鶴)委員 しかし、さっき井上委員から、こういうものは本来自治体の作業の中からくふうをして、合理的なものをつくっていけばいいのじゃないか、しかるに、国の法律で上からおっかぶせるのはいかがかという議論があったわけですけれども、法律をつくって、上から、こういうふうにやりなさい、こういうことになるわけです。そうすると、当然この経費というものは国が見る責任があるのじゃないかと思う。自治体の創意くふうでやるならやれというなら、いまの大蔵省のようなお話でけっこうです。そうじゃないのですからね。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/335
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336・相沢英之
○相沢政府委員 その点は、この補助金の要求は、自治省からございましたときにも議論があったことでございまして、本来ならば、そういう台帳の記載事項について法律で規制するにいたしましても、これは市町村がそういうものを整備しなければならないということを法律できめるものでございますから、特にそのために国が補助金を出す必要はないのではないかというのが、われわれの意見だったようであります。しかしながら、やはりこういう制度を法律によってきめるわけでございますので、その執行を確実にするという意味におきまして、特に奨励的に国が補助するという趣旨でございます。そういうことでこの国庫補助というものが算定されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/336
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337・山口鶴男
○山口(鶴)委員 補助金か一般財源かということは、私も申し上げたわけです。どっちかで必要な経費はきちっと見るということは、御納得をされるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/337
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338・相沢英之
○相沢政府委員 それはお説のとおりに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/338
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339・山口鶴男
○山口(鶴)委員 金額は少ないですけれども、国が法律をつくってそのような事務を自治体に、いわば押しつけるといえば押しつける形になるわけですから、この点は明年度、責任を持って政府が措置いただくことを強く要請をいたしておきます。
あわせましてお尋ねをしたいと思うのですが、これだけです。
いま町村合併をいたしました市町村には、出張所なり支所というのがございますね。ここでは大体住民登録なりの事務をやっておるようですが、今後この基本台帳ということになりますと、この支所や出張所では仕事にならぬだろう、全部まとめてやらなければならぬから、支所や出張所は廃止していくというような傾向に拍車がかかることを私は懸念するわけです。住民の便宜のために支所なり出張所というものがあるわけですから、今回のこの仕事のためにそれが廃止されるということは、私は決して好ましい方向ではないと思いますが、その点、局長どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/339
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340・長野士郎
○長野政府委員 支所や出張所で取り扱っておりました届け出に関する仕事と、それから今度の住民台帳で統合されました届け出に関する事務、特に国保なり年金なりの事務というものは個々の支所や出張所でなくて、本庁で取り扱っておるケースが多いように聞いております。
そこで、そういうものを住民基本台帳として統合された場合に、事務処理のしかたとして、どこでやるのが一番いいかということになりますが、窓口機能を一本にいたします問題と、お話がございました住民の利便という問題と、両面考えて事務処理なり組織の改変なり人員の配置なりというものを考えていかなくちゃなりません。私どもとして考える場合には、両方のやり方ができるように思います。支所や出張所に、従来本庁で扱っていたものを全部持っていってやるというやり方も可能でございます。それからまた、支所や出張所が、いろいろな交通事情その他の面からそれほどでなくなってもおるこの際、全部そういうところは統合したいというやり方も、これは可能でございます。ですから、これは一面、支所や出張所が必ず廃止され、統合されるということだけでものは考えられないと思います。市町村の状況によりまして、事務の処理のしかた、委任のされ方、職員の組織なり職員の配置、いろいろなものを考え、同時に、住民の利便というものを考えまして、市町村ごとに検討をし決定をしてもらう、こういうことでよかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/340
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341・山口鶴男
○山口(鶴)委員 ですから、私は、これはよって住民側の福祉や便利をはかるために支所に権限をふやしていくとか、あるいはもう交通事情がよくなったからそれはまとめるとか、それはあり得るでしょう。しかし、それによってこの際に行政整理をやってやろうとか、合理化を進めようとかあるいは多少住民の不便は犠牲にしても、機構を簡素化していこうとかいうようなことに使われてはいかぬということです。そうでない、あくまでも住民福祉の向上、それからまた、もちろん当然職員の身分というものもこれによって脅かしていくというようなことではないんだ、大臣、こういうように私ども考えてよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/341
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342・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 これは市町村が決定することでございますけれども、たとえば、この基本台帳制度をとりました一つは、住民の利便、要するに、届け出が一回で済むというような住民の利便をはかるための制度でございますから、これが施行されたからといって、住民の利便が逆にそこなわれるということのないような、そうした指導と申しますか、助言はしてまいりたいと考えております。
それから、もちろんこうした窓口を一つにする意味におきまして、職員の配置転換等は行なわれると思いますが、これができたからといって、いわゆる合理化の名に隠れて人員整理をするとか、そういうようなことは行なわれないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/342
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343・山口鶴男
○山口(鶴)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/343
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344・亀山孝一
○亀山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
次会は明十八日午前十時から理事会、午前十時半から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X03519670717/344
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