1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十二年五月二十四日(水曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君
理事 志賀健次郎君 理事 田村 元君
理事 中井徳次郎君 理事 森本 靖君
小渕 恵三君 加藤 六月君
上林山榮吉君 亀岡 高夫君
木部 佳昭君 徳安 實藏君
中曽根康弘君 根本龍太郎君
羽田武嗣郎君 橋本登美三郎君
水野 清君 安宅 常彦君
井手 以誠君 金丸 徳重君
山花 秀雄君 樋上 新一君
田代 文久君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
郵政政務次官 田澤 吉郎君
郵政大臣官房長 竹下 一記君
郵政省簡易保険
局長 武田 功君
委員外の出席者
専 門 員 水田 誠君
—————————————
五月十九日
委員加藤六月君辞任につき、その補欠として佐
藤文生君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐藤文生君辞任につき、その補欠として加
藤六月君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)
昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別
措置法案(内閣提出第八六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/0
-
001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。金丸徳重君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/1
-
002・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私はただいま提案されております簡保の一部改正法律案、郵便年金契約に関する特別措置法案のうちの、簡保法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三の点について当局の御見解をただしておきたいと思います。お尋ねに入る前に、その前提といたしまして一、二点お伺いいたしたいのでありますが、先般お配りをいただきました「グラフでみる郵政事業」、これは各方面に配布されておるところだと思うのでありますが、それによって、私などたいへん不勉強者でありますが、概観いたしますと、最近の簡保事業の位置というものが、この事業創始当時から、あるいはまた戦争前あたりにおけるわが国の保険事業全般において占めておった地位というものが、たいへんぐらついてきたということばが当たるかどうか知りませんけれども、ウエートが少なくとも低くなっておるように思われるのであります。十五ページですか、「簡保・民保・農協生命共済の推移」という表があります。これによって見てもはっきりいたしますように、簡保の伸びの足どりというものは三十年この方十年間においてきわめて堅実といえば堅実でありますが、民保などが相当躍進的な伸びを示しておる。また同時に農業共済組合の経営するところの生命共済などがなかなか目ざましい発展をいたしておるのに引き比べまして、その伸び率がたいへん低いのであります。これはどういうところに原因がありと見ておられますか。またこういうことがいいと考えておられるのか。それについて事業を担当しておられます保険局長から一応の御説明を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/2
-
003・武田功
○武田(功)政府委員 お答えいたします。
いま御指摘のように最近の民保は比較的伸びておるように私どもも見ております。特に戦後無審査保険を扱うようになりまして、同時にまたその仕事に従事をいたします外務員の位置づけの問題あるいは配置の問題等いろいろございまして、その伸びは確かに簡易保険の伸びに比べまして大きいように思われます。また農協も御案内のごとく最近非常に伸びております。それに比べまして、簡易保険のほうはやはり現在の組織のもとにおきまして、定員によるところの制限とかあるいはまた運用の面におきますところの制約とか、いろいろございますので、一般の国民所得なり社会経済の動きなりということと、それからいわゆる外務員の力というものを勘案いたしまして、年間大体一〇%あるいは一四、五%の目標額をあげて、そして獲得して進めていくというふうな方針でまいっておりますので、現在の進展のほどは年間大体十数%の伸びというふうになっております。ただこれに従事いたします職員が非常にその責任を持って事に当たっております関係で、民間保険等と比べますと失効解約率は非常に良好でございまして、その点で多少伸びの見方からすればあるいは民保のほうが非常な伸びのようにも見えますけれども、失解率といったような契約の維持という面から見ますと、私どもは健全な道をたどっておる、こういうようなふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/3
-
004・金丸徳重
○金丸(徳)委員 幾多の制約を受けながら、それもたいへんな苦労を重ねつつ一〇%程度の伸びを示しておるということにつきましてはよくわかるのであります。ただ、私が心配いたしますのは、このような他保険の伸びがいまのような状況を続けていきますと、押しつぶされはせぬかというような気がいたすのであります。といいますのは、民保がこういう伸びを示しておる、実績をどんどんあげておる。それから農業共済保険のほうにおきましても、伸び率がますますスピーディーになってくるという以外に、かつて簡保の創始時分、いまから半世紀かもっと前のことでありますが、そのころは民保と簡易生命保険以外には、若干の生命保険的なものはあったかもしれませんけれども、ほとんど見るべきものはなかった。ところが現世相におきましては、こうした保険事業以外に、各種の組合なり団体などにおいてそれぞれ自家共済的な制度を持っておる。してみれば、かつての日本の世相と違って、生命保険的といいますか、老後の生活の安定を願うという意味における仕組み、そうした努力の面というものは非常に広く深くなっておるようであります。それでますます制度が整備されつつある。国民年金制度などの実施及びその発展などもきわめて注目しておかなければならないと思うのであります。こういう条件の中において、簡保が受け持つ面といいますか、伸びの可能性というものはますます少なくなるのじゃないかというような気がするのです。この点についてはどういうふうな見解を持って対処なさっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/4
-
005・武田功
○武田(功)政府委員 御指摘のごとく、民保あるいは農協が非常に範囲を広めておりますが、簡易保険は御案内のようにやはり全国一万六千の網の目を張りめぐらしました郵便局を使いまして広い面で活躍できるという点、それからまた現在の新規契約の平均保険金を見ますと、まだ三十万になるかならない程度でございます。それからまた私どものほうの市場調査によりますと、全世帯の中でまだ七十数%までしか——これは簡保、民保全部含めてでございますが、加入率がない。まだ相当未加入分野がある。それから、私どもの一番期待いたしますところは、やはり中年層以下の年齢層に対しますところの普及、こういう点を考え合わせますと、御案内のごとく社会保障制度にはやはりおのずから限度もございます。またかたがた民保、農協では救済できない面が相当ございます。そういうようなところから簡保の進出すべき分野はまだまだ相当ある、そういったようなところをわれわれは地道に開拓をしていくべきである、こういうような考えから国営保険としての簡易保険の意義を十分認識いたしまして、この募集指導につとめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/5
-
006・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私のお伺いしたいのは、かつての簡保というのは、保険業界における一つのパイオニア的使命感を持っておったのです。保険思想を普及する先兵としての役割りをも果たしながら今日に及んできた。ところが世相がもうそういうような生命保険思想というものについてはいろいろな面から普及せられつつあるという意味においては、かつての簡易生命保険が受け持っておったような使命というものはだんだん薄らいできたのじゃないかと思われる。それじゃ民間保険その他の保険で手の及ばないところの、いまおっしゃるような国営事業というものをパックにして、低所得者層などをねらって簡易にして非常に便利な保険を提供しようということも、民間事業や農協事業などが無審査保険に手をつける、そしてきわめて低額な保険にも手をつけてくるという今日においては、そういう使命も薄らいできた。じゃ一体どこに簡保はその特殊性を認めながらその使命感を把握してさらに推進しようとしておるのか、こういうことをお伺いいたしておるのであります。私がお伺いしたいのは、かつての簡易保険はいまのような保険思想の先兵たる、保険制度の先兵たる使命と同時に、だんだん整備されてきておるところの保険事業、保険制度を、さらに穴を埋めるような形において補完的な使命をも果たしてきたのですね、きたと思うのです。今日各方面に保険制度がいろいろな形で浸透しつつある、新しくできつつある。しかしなおその間には谷間がありはしないか。そういう谷間をねらってこそ保険という簡保の特殊な使命を果たす面がどうもありはしないか、こう思うのです。そういうことについてはどういうふうな考えを持っておられるか。これから保険事業はいろいろな制約を受けながらなお伸びなければいけないが、どこをねらって力を注ごうとしておるのか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/6
-
007・武田功
○武田(功)政府委員 御指摘のような、簡保は、民保あるいは農協の谷間を埋めるものではないかといったような御意見も確かにございますが、私どもは創始以来やはり国営保険の意義は全国あまねくどこへでもこれを普及させる、こういう点からたまたま戦後民保も無審査保険を実施することになりましたので、競合する形になりましたが、私どもは少なくともシェアの面では単なる補完的な役割りではなく、やはり三者共存する、共存してこそまたわが国における保険の普及ということにも役立つものでございまして、そういう点ではいまでもこの使命感は変わらないつもりでおるわけでございます。また近くその契約高も五兆になるような状況でございますが、これに伴いますところの運用資金は一兆五千億でございます。簡保こそこの一兆五千億をあげて公共施設に投資をする、こういうようなことから見ますと、簡保がいまのたとえば財政投融資の中におきましても、また一般の公共投資の面におきましても非常に大きな役割りをしておるというようなことに相なりますので、私どもは、先ほど申しましたようなまだまだ夫開拓の分野が非常に多うございますので、そういう点にこそ簡保が先駆をつとめていく、と同時にその金はすべてあげて公共投資、こういうところへいくことこそ簡保の使命であろう、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/7
-
008・金丸徳重
○金丸(徳)委員 この点についてなお深く掘り下げていきたいのでありますが、これが私のきょうのお尋ねのねらいではないのです。実はこの辺で簡保事業というものの将来を根本的に見てつかんでおくということが大切であろうと思ったから一応触れたのであります。
私、この問題を閉じるにあたりましてひとつお伺いしたいのでありますが、全保険分野と言ってはおかしいのですけれども、いろいろなものがあると思われるのです。このグラフにおきましては民保と農協保険とを取り上げてお示しになっておりますけれども、そのほかにも各種団体、各種組合、各地域における共済的な保険の仕事というものはたくさんあると思うのです。それらを総ひっくるめにいたしまして、民保、農協の保険もひっくるめまして、簡保はパーセンテージで示すとどの程度のものをいま受け持っておられるのでありますか。かつては簡保は日本の全保険の半分ぐらいを受け持っておったときもあった。各種民間保険を束にして、そして簡保が一つでもってちょうどこれに対抗しておったというような時代さえもあった。半分ぐらいを受け持っておった時代もあったように私には思われる。そういう時代といまとを引き比べてみますとどの程度になっておるのでありますか。民保、農協ばかりではなくて、全生命保険相織といいますか、制度ということもおかしいのでありますが、そういう面の中で持っておるパーセンテージというのはどれぐらいになっておると思われますか。またこれがどういうふうな傾向を示しておるとお考えになって仕事をお進めになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/8
-
009・武田功
○武田(功)政府委員 戦前は、私の承知しておりますところでは、民保との比重はたしか一対四ぐらいではなかったかと存じますが、いずれ詳しいのは資料に基づいて申し上げますけれども、最近では、確定数字といたしますと、四十年をとってみますと、これを保険金額で申し上げますと簡保が四兆一千四百六十七億、それから民保を二十社合わせまして二十四兆四千百七十三億、それから農協が一兆六千三百九十九億、これは四十年度の確定の数字でございます。四十一年度はまだ集計ができておりませんので、確定的なことは申し上げかねますが、簡保をかりに一といたしますと民保は五・八九、それから農協関係は〇三九、こういったような関係でございます。なお、その他の全保険というお尋ねでございますけれども、類似保険等その他は私ども一般に生保扱いをいたしておりませんので、ただいま資料を持ち合わせておりません。大体そういったような比重でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/9
-
010・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私はだんだんこの比重が少なくなる、薄らいでくるような気がするものですから、一応ここでその辺についてのお考えの基本を承っておきたかったのであります。それについての詳しい数字など、いまそこにお持ちになっておらぬようですから、これをさらに深く掘り下げることは次の機会にでもいたすことといたします。
次のお尋ねに入るのでありますが、そのグラフの次のぺージに「簡保・民保の消滅状況」というのが出されております。これを見ますと、いかにも簡保の経営ぶりが堅実であり、したがって現場における従業員の皆さんがいかに苦労をしておるかを如実に示しておると思われるのであります。これは敬意を表するところでありますが、ただここで私はもう少しお伺いしたいのは、これは消滅件数の中の消滅原因の比率のように思われるのですね。このパーセンテージはそのように思われる。それだけを比べてみると、こういうようになるかもしれませんけれども、さらにもう一つの点は新しい契約だけを取り出して、そうして短期失解だけを取り出してみると、どの程度の表になりますか。どの程度のパーセンテージになりますか。大体の概数でいいですから、ここでお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/10
-
011・武田功
○武田(功)政府委員 いまお尋ねの短期の分ということでございますが、ちょっと手元に短期のみの資料がございませんので、一応失解状況の新規分の、新契約の分だけについてお許しをいただいて申し上げますと、四十一年度では二・九六%、それから四十年度では二・九一%。これは全体の新規契約につきましての失効解約率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/11
-
012・金丸徳重
○金丸(徳)委員 いまのは民保のほうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/12
-
013・武田功
○武田(功)政府委員 ただいま申し上げましたのは簡保でございます。民保のほうは大体これの五、六倍と御計算いただけばいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/13
-
014・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私はこの表を見ましたおりにそんな感じを受けました。全契約をつかんでみて、そうして消滅件数だけを取り出してみて、その中の失効解約と、それからして満期なり死亡なりの消滅というようなものを取り出してみればこういう表になるのであります。それは一つの参考資料ではありましょうが、私がここで問題にしたいのは、新しい契約の中でどの程度短期失効解約があるかということなのであります。私は次のお尋ねをいたす前にそのことを問題にしておきたいのでありますが、その前ページにおいてこのような民保における伸びがある。伸びがあるから、さぞかしその契約の獲得状況は堅実であり、りっぱであり、選択されておるのか、こういうことを思いました。思いまして次の表を見るというと、案外失効解約の率が多い。消滅契約のほとんど大部分、九〇%程度のものが失効解約によって消えていくということで、これは決していい契約を内容としておるものではない。こういうふうに思ったものですから、そこでさらにこれを掘り下げてみて、そういう中の新契約の伸びと、特に短期失効解約だけを取り出してみたらどういうことになるであろうか。これは概数でよいからお尋ねしたかった。私の心配いたすのは、こういう伸びの裏に、さらにもっと別の問題が伏在しておって、たいへんに好ましからざる契約状況もあるのではないか、簡保と比較いたしまして、そういうことがありはしないかということなのでありまして、これについてはどの程度の研究をなさった上でこの表をお出しになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/14
-
015・武田功
○武田(功)政府委員 先ほど申し上げました新契約は、私どものほうは当該年度にとりました契約ということをもって新契約と申し上げておりますので、大体あれで短期と一応御判定いただいていいかと思いますが、もうちょっと詳細に申し上げますと、短期をどのくらいと見ますか、いろいろ見方はございますが、一年以内で失解というようなもの、経過期間が一年以内のものを四十年度でとりますと、件数とすれば四・一%、それから保険金額率でございますと四・八%、それから二年以内になりますと、これが件数で四%、保険金額率で四・九%、こういうような状況でございまして、先ほど申し上げましたのよりは少し高い率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/15
-
016・金丸徳重
○金丸(徳)委員 そういうことが気になりましたものですから、そういうお尋ねをいたしたのであります。非常に短期失解が簡保と比較して多いというような契約状況の中において、しかも民保はこのような非常な伸びを示しておる。しかもこの表だけで見ますと、世の中の景気不景気などには関係しておらぬようである。一つもこの表にはあらわれておりません。他の事業におきましては、景気不景気によって伸び方が若干波を打っているのでありますが、この表だけで見ますとほとんどない。これは一体保険事業などというものは、景気に関係しないのかどうかということをふしぎに思いながら、そうではなくて、民保などは——共済保険もそうかもしれませんけれども、景気が悪ければ悪いなりに、景気がよければいいなりに、それだけの対策を打ち立てながら新しい契約の獲得に努力しておるその成果ではないか、こう思ったのでありますが、私の考え方や見方が間違いであるかどうか、保険局の専門家の方からひとつお教えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/16
-
017・武田功
○武田(功)政府委員 その伸びに比較いたしましての失効解約の率でございますが、民保のほうは外務員、募集員の数が非常に多うございます。またその形もいわゆる請負式と申しますか、そういったような、あるいは人言って人海戦術とかいうようなことを言う向きもございますけれども、そういった形で非常に伸びております。しかし失解率から見ますと、大体簡易保険の五、六倍にもなっておりますので、私どもはやはり良質の契約をとるということが、これがいま、わが郵政の外務員のモットーでございまして、その点では先ほど数字でも申し上げましたように、良質の契約をとっていただいておるということでございます。
それから第二点の、景気との関係でございますが、これは御指摘のように、最近数年間の状況をいろいろと見ておりますと、案外景気の変動に影響しておりません。それは、ちょうど御指摘のごとく、簡易保険は、その性格上やはり足でかせぐ、こちらの努力によってとっていく、こういうことでございますのと、あるいは保険的な保護ということについての認識も高まってきつつあるのかとも思いますが、比較的景気の状況には、民保も簡保も同じように影響を受けることが少なくて、大体予定の伸び率をむしろ上回るという状況でとれております。これはおそらく、やはり努力の結果ではなかろうか、こう私どもは判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/17
-
018・金丸徳重
○金丸(徳)委員 まさに私も努力の結果だろうと思うのです。
そこで、私のお尋ねする本論のほうに入っていくのでありますが、いまのような世相を反映して、たいへんな各種保険が伸び率を示しております。しかも、それは景気などの動向に関係なしに、ぐんぐんと躍進的に伸び率を示しておるのに比較いたしまして、堅実なる指導方針、努力目標を立てておられるからではありましょうけれども、簡保の伸びが、比較してあまりかんばしくないのであります。しかも、だんだんとその受け持つ面が狭くなりはしないか。狭いというとおかしいのですけれども、ほかの制度が推移、発展していくにつれて、だんだんと影が薄らいでいきはしないかという気がいたすのであります。しかし、それにもかかわらず、簡保は伸ばさなければいけない、たいへん大事な仕事でありますから。国の財政寄与の面からいきましても、一般庶民生活を守るという伝統的な使命感からいたしましても、どうしてもさらに努力をし、伸びを伸ばしていかなければならないと思います。ところが、そういう使命感に徹していまの簡保を見てみると、あまりにも手かせ足かせが多過ぎはしないか、こういう気がずるのであります。民保を見てみますと、このような短期失解を示すような状況であるにもかかわらず、これだけの歩どまりを示しておる。これだけの歩どまりを示しつつ伸びていく。簡保が非常な堅実な努力をしながらも、伸びが少ないのは、何かそこに大きな条件の悪さというものがありはしないか、こう思うのです。この点については、どういうふうにお考えになっておりますか。
もう一つ、私は事業費の比べ方を見たかったのであります。簡保の事業費は、収入保険料に対してどのくらいになっておりますか。それから民保の事業費はどの程度になりますか。お調べの概数でよろしいからお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/18
-
019・武田功
○武田(功)政府委員 事業費と申しましても、多少簡保と民保でとります要件がぴたりと一緒でございません関係で、お尋ねの趣旨に沿いますかどうですかわかりませんが、私どものほうで一応とっております経営効率の比較という面で見ますところの事業費は、簡保が二一・五%、民保は三一%、こういった数字で見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/19
-
020・金丸徳重
○金丸(徳)委員 一〇%の事業費の差というものはたいへんですね。民保同士で比べると、これは問題にならぬほど競争に負ける条件が民保のほうにはある。簡保は二一%、まあ大体理想的な事業費でやっているように思うのですけれども、そういう中においてなかなか苦しんでおる、いい経営をしながらも、なお苦しんでおる、その原因はどこにあるのであろう、こういうことをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/20
-
021・武田功
○武田(功)政府委員 第一に、やはり運用利回りの問題でございます。私どもも、いろいろと高利回りになりますようにつとめておりますけれども、現在の運用範囲が法定されております関係で、主として公共投資的な面になりますと、どうしても六分五厘あるいは七分以下というふうに相なります。この点が一番民保との差ではないかと思います。また、その他公務員としての外務員の制度あるいは仕組みにつきましても、かなり問題があるかと思います。また国営でございますので、いろいろと予算面におきます制約あるいは特に定員面におきますところの制約その他がございます。また反面、今度は事業の中におきましては、まだまだ合理化しなければならない面が非常にございまして、たまたま最近京都の簡易保険局にEDPSを取り入れまして、その合理化の第一歩を踏んだわけでございますが、こういったような企業内の合理化、そうして事業費を少しでも下げるといったような面、特に申し上げますと、そういったおもな点が大きな制約になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/21
-
022・金丸徳重
○金丸(徳)委員 合理化、合理化といいますけれども、事業費は、ほかの民間事業よりも三分の二で足りているんですね。ですから、事業費が高いから民保よりも条件が悪いのだということは、それだけでは考えられないように思うのです。ただ、私はいまの運用利回りが低いということ、ほかの資料によって承知いたしたところによりますと、民保よりも大体二%程度低い。これはたいへんな低さだろうと思うのですけれども、そういうことからいたしまして、保険料が高いとか還付金が少ないとかいう点はどうなんですか、端的にいいまして。これは各種の民間保険はいろいろあると思いますから、概括の比較きりできないとは思いますけれども、比較してどんなことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/22
-
023・武田功
○武田(功)政府委員 運用利回りの点は、四十年度におきましては、簡保が六・五%、民保が八・四六%でございましたけれども、最近の長期金利の趨勢とか、そういういろいろな点がございまして、だいぶ率は変わりつつございます。おそらく四十一年度締めますと、簡保のほうは四十一年度は六・五三%くらいになっておりますが、おそらく民保のほうは八%を割りまして、七・六%ないし七%くらいではなかろうかと、私どものいままで承知しておりますところではなっております。そういったような差がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/23
-
024・金丸徳重
○金丸(徳)委員 その運用利率の低さが、たとえ二%か一・五%にしましても、そのよってきた結果が、低減すべき保険料を低減できなかった、あるいは還付さるべき還付金の増が実現できなかった、そのために民保と比較いたしまして悪条件が重なってきておりはしないか、こういうことを心配するのですが、どういう見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/24
-
025・武田功
○武田(功)政府委員 何と申しましても運用利回りの高い、低いということは、一番生命保険料に響く問題でございます。私どもやはり安い保険料で保険的な効を出すということが簡保の使命でございますので、そのために運用利回りの向上、それからやはり一定のワクの中ではございますが、企業内の努力もしなければなりませんし、そういうことによりまして、たしか御指摘の還付金というのはあるいは配当金のことかと思いますが、できるだけ配当もふやし、分配金をふやす、こういうことにつとめております。たまたま最近経営状況が多少好転いたしておりまして、年間百五十億くらいの剰余金も出ますので、昨年も五十周年を契機といたしまして若干の増配をいたしました。また本年も引き続いてその後の契約につきまして分配金を増配できるようにいま努力しておりますが、そういうことで直ちに民保と比較してどうこうということは、ちょっと私どもの口からは申し上げかねますけれども、簡易保険としてはそういう面で努力をしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/25
-
026・金丸徳重
○金丸(徳)委員 保険料が云々であるとか、あるいは還付金、いまの割り戻しですか、そういうものの比較をすると、簡保のほうが損じゃないかなどという声をたまたま聞くものですから、お伺いをいたしたのでありますが、せっかく事業費などをできるだけ節約されるといいますか、とにかく民間の事業費の三分の二で足りるなどということはたいへんなことだと思うのです。そういう苦労を重ねながら何とかして民保との競争場裡に負けないような努力をされておるということについては、私はむしろほんとうに気の毒くらいに思うのであります。ただしかし根本の運用利回りにこのような差があるもとにおいては容易ではないと思う。その根本を直しておかなければ、いかに事業費のほうで合理化だの何だのと言ってみたところで、これは焼け石に水だろうと思うものですから、その根本の解決について相当集中的な努力をしていかなければならないと思います。そういう時期がきたのではないかと思うのであります。しかしこれにつきましては、きょうの議題には直接関係いたしておりませんから、次の機会においてまたお伺いをいたすことといたします。
ただその悪条件のもう一つの点は、何といいましても、保険の契約上の最高制限にあるように思われる。もう少し契約金額でも高くあったらば募集面においてもよかろうじゃないか。非常に簡易保険になじんでおる地方の人々も、百万円というようなことであるならば、民間のほうがもっといいのだというようなことで、せっかくなじんでおり、郵便局の人たちに好意的な人たちでも、その点でつい二の足を踏むというような例はたびたびあったろうと思うのです。
そこでこの最高制限の引き上げについては、いままでたびたび行なわれて努力が重ねられてきました。今回もまたその機会がまいったようで今度の提案となったのでありますが、ただ私は、なぜ特別養老についてのみやったのか、どうしてもよくわからないのであります。むしろ無審査保険において、簡保は民間よりも歴史があるのですね。伝統的な強さを持っておる。経験も持っておるわけですから、無審査保険に関する限り、最高制限を引き上げるときには、常にその先行的役割りをしてもいいのじゃないか、こう思っておったのでありますが、今回の御提案によりますと、その契約については、一種類については引き上げたけれども、全般的には引き上げの措置が講ぜられない。そのために民保の無審査においては百五十万ですか、にいっておるのにかかわらず、簡保がおくれてしまうというような、私どもの考え方とは非常にちぐはぐな、逆行したような感じを受けるのであります。これはどういう理由によったものなの
か、承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/26
-
027・武田功
○武田(功)政府委員 最高制限額につきまして、私どもはかねて加入者の会等を通じまして一般の御要望も聞いております。またわれわれといたしましても、最近の物価の状況その他を考えましてこれを引き上げたい、こういうことでかねてから検討いたしております。
〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
たまたま最近の保険の内容を見ますと、特に特別養老保険は三十九年に創設いたしまして以来、比較的売れ行きがようございます。すでに全体の占率も一〇%以上に相なります。また特別養老保険の中でも、最高の百万円の口はすでに三〇%近くにもなっております。こういうところから安いサービスでこれだけの倍額保険ができるということについて一般の好評を得ておるもの、こう判断いたしまして、いろいろ考えました上で、昨秋以来少なくとも全体的にいろいろむずかしい事情があろうとも、まずこの売れ行きのいい、需要の高い特別養老保険だけでも上げよう、そうしてまた他の終身あるいは養老保険におきましては、もっと内容的に保険金額の引き上げということを目標にして、新分野を開拓していこう、こういうようなところから、昨秋以来関係の向きといろいろと相談をしておった次第でございます。したがいましてその点につきまして成案を得てやっと国会に改正法案を提出できる運びになったわけでございますが、そういう点におきましては、むしろ過去の歴史と違いまして、簡保が、一種目ではございますけれども無審査保険の限度の引き上げに先べんをつげていったものと私どもは自負している次第でございます。この機運を見まして、民保のほうにおきましてもいろいろと検討した結果、民保のほうがことしの四月になりまして、無審査限度の引き上げということの認可を得まして、近く売り出しをする、こういうふうに開いておりますが、簡易保険の経営内におきましては、無審査限度は相当上げましても経営上の危険はございません。したがいまして、今後もできるだけ早い機会に全体的に制限額の引き上げをはかりたい、こう私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/27
-
028・金丸徳重
○金丸(徳)委員 昨年の秋提案に踏み切ったときには、簡保の先行性と言いますか、先べんをつけるべき立場に立ってこれを政府のほうと折衝を開始し、成案を得たということでございます。その先行すべき責任、先べんをつけなければならないという立場というもの、考え方をとるとしますれば、今度民間保険のほうにおいても最高制限を引き上げるということが決定された今日におきましては、これをさらに考え直して全契約に及ぼすということにならぬとその考え方と合わないのでありますが、いかがなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/28
-
029・武田功
○武田(功)政府委員 私ども今後できるだけ早い機会にそういう方向で進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/29
-
030・金丸徳重
○金丸(徳)委員 できるだけ早い機会と言いますけれども、先ほどからここで検討されておりますように、民保の伸びというものは非常に大きいのです。そして非常な努力をしておる。ここで繰り返すのもおかしいのですけれども、景気、不景気にかかわらずたいへんな足取りでもって伸びていく。しかも私はこれは想像だけですけれども、この民保の伸びの相当部分が無審査保険にありはしないか、ますますそういうほうの手軽な方向に伸びはしないかという心配を持つのです。そうなりますと、簡保の分野というものはますます狭められてくる心配を持つのです。あくまでも簡保は従来のウエートを守りながら、経験を生かしながらそれに先行し、そうして無審査保険に関する限りはまず簡保が総ざらいをして、そして民保のほうは、有審査保険のついでぐらいにその残りをとるぐらいの体制でないとうまくいかぬのじゃないか、こう思うのです。今度は実際はそうであろうとも、去年の秋提案なさろうとしたときにはそういう考えであったろうと思うのですけれども、いま国会でもって審議されていよいよ出発しようとするときには、実は先行するどころか追いつきもしない、こういうことなんですね。他の種類の保険についてはあとなんですから、近くそいつをやろうといったところで一体いつやるのか。もう保険の募集などというものは、これは私がしろうとで言うのもおかしいのですけれども、保険局長よく御存じのように一刻を争う、先べんをつけたほうが勝ちなんです。現場の人たちはそういう努力を朝に晩にわたってやっておる。今日までそういうことでもってこの大事業を持ち続けてきたのです。今度の機会においてそうした立場が失われてしまって、民保に先んじられてしまって、新しい面にどんどん民保が食い入ってしまって、あとからついていくなどということになったら、これはたいへんなことになりはしないか。私はそれを思うのですけれども、こういうことについてはどういうお考えの中で進んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/30
-
031・武田功
○武田(功)政府委員 私どももただあながち民保との競争のみを申すわけではございませんけれども、やはり現在無審査保険の分野におきましては、確かに競合してそしてそれぞれの販路を広めておるわけでございます。したがいまして、そういう諸般の動きを見ながらこれに対処していかなければならぬことは御指摘のとおりでございます。個人的な気持ちといたしますれば、いますぐにでもというところでございますが、やはりいろいろと手続も踏んでやらなければならないような仕組みでもございますので、先ほど申し上げましたように、今後の状況また民保におきましても、必ずしも無審査保険が全体の大きな比率を占めているかどうか、多少これは検討を要する面ではございますが、しかし御指摘のように限度額が上がれば伸びるという点もございますので、そういう点をよくにらみまして、私どもとしてはさらに今後できるだけ早い機会にその方向に向かって進みたい、こう申し上げるほかはないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/31
-
032・金丸徳重
○金丸(徳)委員 これはたいへんくどくなって悪いのですけれども、これはたいへん大事なところだからお伺いするのです。いま民保と競争すると
いう考えばかりではないというようなお話があった。私もそうだと思うのです。しかし現実の面におきましては、まさに丁々発止のかまえでかかりませんと、保険の募集などはできないのですよ。前でもそうだ。現段階においてはさらにそうだと思うのです。そして現場の人々は、局課長をはじめとして第一線で働いております外務員の人々は、その運用面がこういうふうな制約を受けておるから、最高限においてこのような状況であるからということを常に嘆いておるのです。私どもはたびたびそういうことを聞きました。これは一般の人々からも聞くことでありますけれども、ことに第一線で汗水たらして働いている者にとってはその感が強いと思うのです。私も同情にたえないところであります。したがって、何とかこの人々の苦労を少なからしめる——少なからしめるということがいけなければ、その努力に対する成果が盛り上がるような体制というものを築き上げておかぬといけないのではないか、こう思います。久しぶりにめぐり来たったところの今度の最高制限の引き上げの機会ですから、初めにおきましては特別養老保険について試行的にやってみようというようなお考えであったかもしれません。しかし、いまや民間保険さえも最高制限を引き上げて無審査保険の分野を広げようという事態になってきた。それが四月一日から施行されるというようなときになってきて、簡保がそれに一歩も二歩もおくれるなどということは、何といっても私にはわかりません。いままでの苦労を知っておりますだけに、私は見ておりますだけに、これはもうがまんができないことなんです。特別養老保険において許されるこの百五十万円という最高限度がなぜ他の保険に許されないのか。その点の理屈がわからない。この点をひとつわかるものならわからしてもらいたい。それで次のお尋ねに入ろうと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/32
-
033・武田功
○武田(功)政府委員 特別養老に認められて他には認められないというお尋ねでございますが、私ども先ほども申し上げましたように、現在の売れ行きというところをよく見ました上で、昨秋以来占率の高い部分について少しでも伸ばすことがまず第一歩ではないか、こういうところから特別養老だけでもまず上げていこう、こういうふうな動機で進めたわけでございます。これは過去のことの言いわけでございますが、ただ現在、おことばを返すようでございますけれども、新規契約をとってみました場合に、平均保険金額がほぼ三十万になっております。したがいまして、特別養老関係では最高額の占率が非常に高うございますから、これをもっとどんどん伸ばそう、さしむきのところは他の終身、養老、こういう面につきましてはもっと全般的に保険金額のレベルアップをはかる、こういうところで現場の士気も落ちないようによく指導していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/33
-
034・金丸徳重
○金丸(徳)委員 これ以上は保険局長にお尋ねをしてもただ押し問答だけに——食い違ってくるだけにすぎません。大臣がいつごろお出になりますか、それによってであります。ただ私は、保険局長にも、これは私の一加入者としての立場、またこういうことばが使われるのかどうか知りませんけれども、簡保に対する一つの応援団的立場の者の一人としてお願いしたいのでありますが、この現場の人たちも非常に苦労もしておりますから、その苦労を軽減するといいますか、さっきも申しましたような努力の成果をよりあげるような対策はもう怠りなく間髪を入れず進めておくべきではないか、こう思います。民間がやったからおいそれどうということでなく、民間をリードするような意味において、先行するような意味においてやるべきであるという、これはくどいようですけれども、その体制がもしくずれてしまいますと、将来に向かってたいへんなことになりはしないかということをおそれるのです。いままでの歴史におきましても、最高制限をこま切れ的に上げたという例は、私の記憶する限りにおいてはなかったように思う。こういう例をつくることもどうかと思いますし、それからもう一つには、民間のほうが先立ってしまうというような、これはきわめて保険の外野陣にとっては致命的な悪条件をしょう、重荷をしょうことになるのですけれども、そういう例を開くということも、これもたいへんなことだと思う。この法案をお出しになったときと、民保においてすでに実施されておるという現段階においては違うものですから、そういうことをも御考慮願って、さらに考え直すような気持ちがないものか。すぐ引き続いて上げるからというが、それはいつのことかわかりかねる。そうしておる間に、実は一つの歴史的な事実を民保のほうでつくってしまう、例をつくってしまうというようなことにでもなったら、これは困ることになりゃしないか、こう思うのです。さっき冒頭にお尋ねの中で申しましたように、保険事業といいますか、保険制度といいますか、保険の面といいますか、非常にどんどん伸びていく間に総括的に総体的にいいますと、簡保の陰がだんだん薄らいでくる心配さえ なるほど過去の積み上げがあります。一兆何千億の積み立て金を持ち、五兆円をオーバーするほどの契約高を持っておるこの過去の積み重ねはあります。伝統の強さもありますけれども、それに安住して努力を怠る、悪条件を排除するところの努力を怠るというと、いまのような面からいきますと、またしても、もっとさらに危機を迎えやしないかということをおそれるものですから、一つといえどもそういう間隙をつくらないような努力というものをしておかなければいけないので、この法案をお出し 私どもこの考え方の基本については賛成なんですけれども、さらにもう一歩考え直してもらわなければならぬことがありはしないか、こう思うものですから、くどいようですけれどもお尋ねをいたしておるところでありますが、大臣は見えぬとしますれば、何か状況報告がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/34
-
035・志賀健次郎
○志賀委員長代理 大臣は出席する予定でございますから、続行していただきます。——大臣が見えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/35
-
036・金丸徳重
○金丸(徳)委員 大臣がお見えになりましたから、簡単に私のお尋ねいたした要点のみについてお答えいただきたいのであります。簡単にということは、要点をつかんで——大臣お忙しいからという意味であります。
いままで私は保険局長との間に二、三の質疑応答を重ねてまいりました。民保が非常に延びている。その事業の運営の内容などにつきましては、ずいぶん首をかしげなければならないような事実があるのにもかかわらず、非常な伸びを示している。そしてそのために簡保はとかくどうも圧迫されがちであるように私には受け取れますし、現地における局課長をはじめ、外野陣の人々はそういう気配を感じてなお努力を重ねつつ、この簡保の歴史を守ろうといたしておるのでありますが、あまりにも悪条件が重なり過ぎているのであります。それは運用面においてしかり、それから保険局長からのお話によりますと、定員などにつきましても、給与の面などにつきましても、必ずしも思うにまかせぬものがあるようであります。それらはまた別の機会に検討をいたすことといたしまして、そういう悪条件の上に、さらにいままでにもたびたび問題になったのでありますが、保険契約の最高限度においてもう少しよけい一件の契約が一ぺんにとれるならばという感じをたびたび持っておった。そうして今日までたびたび契約金額の引き上げを願いながらやってきた。今度久しぶりに迎えた最高金額の引き上げの機会において、やれやれと思ったらば、それは特別養老保険に限るということであった。繰り返すようでありますけれども、元来簡保の最高制限は、実は無審査保険の先行をする、ほかの保険事業のほうでやる前に簡保がやって、無審査保険の歴史を守ってきた。今度はそれが——なるほど昨年秋においては先行する気配だったのですけれども、ことしになって、四月から民保が最高制限を引き上げるものだから、先行どころかおくれてするようになってきた。これは基本的にそれでいいのかどうか。私どもはそれは絶対困るということをいま申し上げておいたのでありますが、そこで、特別養老保険ばかりでなくて、全種類の保険について最高制限額を上げるというお考えがいまの段階において持たれないものかどうか、こういうことなのであります。いかがでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/36
-
037・小林武治
○小林国務大臣 これはもう私ども当然上げるべきだと思う。実は多少甘かったと申しますか、この交渉をしている際には、いまの情勢がつかめなかった。したがって、特別養老だけ出した。法案を提出してからああいう事実がこちらにわかったということで、うかつといえばうかつでありますが、いまの法案提出の性質上、あとからすぐ追加もできないからして、涙をのんでいまがまんをしておる。こういうことでありまして、当然上げるべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/37
-
038・金丸徳重
○金丸(徳)委員 大臣の明快なお答えによりまして、私も安心いたしました。問題は、大臣のお考えを現実の法案の上にどうあらわすかということであろうと思います。折衝過程においてそういうことになる。それを早くキャッチできなかったというところに問題があるように私には受け取れるのであります。それはそれといたしまして、いまからでも私はおそくないと思います。現場の人たちの士気が阻喪しないように、後世に悪例を残さないような意味におきましても、これは何とかして追いつくということでありますか、一括引き上げについて実現するように、さらに方法を講じていただきたいのであります。
それでは、私はこれで一応終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/38
-
039・森本靖
○森本委員 関連して。
大臣はいま重要な発言をせられたわけですが、百五十万円についての四月一日から民保が実施しておるというのは、この法案をつくる過程においてははっきりしなかった。この法案を整備して、そしてそれがはっきりした。だから当然他の保険についても上げるべきである。こういう御回答であったわけでありますが、そういたしますと、かりにこの本院において百五十万円を全部の保険に適用する、こういうことでこれが与野党で満場一致で修正をして出すということになった場合、政府もこれに対して大いに賛成、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/39
-
040・小林武治
○小林国務大臣 いまからさような問題については、われわれ政府提案として示しておる以上はお答えできません。国会は自由な立場において御考えになるのでありますから、その時点において考えなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/40
-
041・森本靖
○森本委員 それは国会は自由な立場でやりますけれども、その場合に政府としてはどうするか、こういうことを言っておるわけです。だからいいかげんな回答をしてもらいたくないのです。大臣はいまこういう問題については当然上げるべきであるけれども、四月一日から民保がこういうようになったということについては、この法律案件というものを提案する過程においてはわからなかった。それが、これが整備されてからわかったから、上げるのは当然である、こういうことを言われておるわけですから、それならわれわれはその意を受けて、与野党話し合いをして、これが満場一致全部の保険に百五十万円をやる、こういうふうに修正した場合に、当然政府の意見を聞くわけですから、その場合に政府としては、いまの大臣の答弁から考えるとするならば、これは大いにけっこうです。こういうことになるのかどうか、われわれが話し合いをするについても、政府の意向というものはやはり相当考えながら話をしなければならぬわけだから、その点を聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/41
-
042・小林武治
○小林国務大臣 それはおわかりいただいているのではないか——私どもはそういうことを希望しておりますが、われわれの手には及ばない。あとは国会の御審議にまつ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/42
-
043・森本靖
○森本委員 それは国会は十分審議するが、そういう場合に政府としては望ましくないという回答と、それは大いにけっこうですということがあるわけですよ。だから大臣としては、そういうことになった場合に、政府としては、それはもうけっこうです。こういうことを言い切れるのであるとするならば、私のほうはさっそく与野党で話し合いをして、これは満場一致で修正すれば一番きれいにいくわけです。あなたもそれを望んでいる、こう言っておるわけでありますから、みんなが喜ぶことであって、喜ばぬのは民間生命保険だけ、こういうことになるのであって、話ははっきりしておるわけだから、そういう場合に政府としては大いに望ましいということを言ったわけだから、賛成ということが言えるかどうか、それを聞いておかぬというと、せっかく話がまとまった——いま賛成だということを大臣は言ったけれども、話がまとまってきたときに反対だということになりますと、またもめますから、これはもうそろそろそういうことを与野党で話し合いをしてもいいわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/43
-
044・小林武治
○小林国務大臣 それは、私は提案の段階においてさようなことがわかったならば、これは政府案もそういうふうにしたであろう、こういうふうに申し上げられるが、それでひとつお察しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/44
-
045・志賀健次郎
○志賀委員長代理 次会は明二十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X00719670524/45
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。