1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十三日(金曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君
理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君
理事 田村 元君 理事 中井徳次郎君
理事 森本 靖君
小渕 恵三君 加藤 六月君
上林山榮吉君 木部 佳昭君
徳安 實藏君 羽田武嗣郎君
水野 清君 井手 以誠君
金丸 徳重君 樋上 新一君
田代 文久君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 小林 武治君
出席政府委員
郵政政務次官 田澤 吉郎君
郵政大臣官房長 竹下 一記君
郵政省簡易保険
局長 武田 功君
委員外の出席者
専 門 員 水田 誠君
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六月二十三日
委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として四
宮久吉君が議長の指名で委員に選任された。
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六月二十二日
大阪国際空港周辺住民のテレビ受信料減免に関
する請願(阪上安太郎君紹介)(第一五〇〇
号)
同(永田亮一君紹介)(第一五〇一号)
同(原健三郎君紹介)(第一五〇二号)
同(原田憲君紹介)(第一五〇三号)
同(堀昌雄君紹介)(第一五〇四号)
同(近江巳記夫君紹介)(第一五三四号)
同(岡本富夫君紹介)(第一五三五号)
簡易郵便局法の一部改正に関する請願(塚田徹
君紹介)(第一五三六号)
同(根本龍太郎君紹介)(第一五三七号)
同(伊東隆治君紹介)(第一五七六号)
同(大橋武夫君紹介)(第一六四一号)
有線放送電話制度確立に関する請願外十九件
(渡辺栄一君紹介)(第一五三八号)
戦傷病者に対する放送受信料免除に関する請願
(田村元君紹介)(第一五六三号)
同(中野四郎君紹介)(第一五六四号)
同(藤井勝志君紹介)(第一五六五号)
同(有田喜一君紹介)(第一五七五号)
同(大橋武夫君紹介)(第一六四七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別
措置法案(内閣提出第八六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますから、これを許します。中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/1
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002・中井徳次郎
○中井委員 ただいま議題になりました特別措置法案につきまして、先般、大臣がおりませんときでしたが、局長に二、三お尋ねをいたしたのであります。きょうは大臣お見えですから、ごく簡単に二、三お尋ねをいたしたいと思います。
まず最初に、この特別措置はたしか二十二年の十二月三十一日でありますか、それで一応切ってその前のものに何らかの補償をするとありますね。第一条にあります。こうなっておりますが、なぜ二十二年の十二月三十一日で切ったのか。この点は私の質問の締めくくりの意味でお尋ねしたいのですが、なぜそういうふうになったのか、局長の説明ではちょっと納得いたしかねますので、大臣から御答弁をいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/2
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003・小林武治
○小林国務大臣 こういう法案をお願いしておる一番の原因は、要するに終戦前と戦後とでは社会経済事情も非常に大きな変化を来たして、そうして終戦前の契約ではいわゆる年金の目的が果たされない事態に相なっておる。こういうことで、どの時点で区別するかという問題がむろんあるわけでありますが、そういう大前提のもとにこの法案をお願いするということと同時に、この時点の際に、年金の最高限あるいは最低限ということにつきまして戦後の改正をしておる。したがって、その後は戦争前に比べて高額の年金にも入り得るし、それからしてああいう不測の事態を予想しないで年金に任意に加入できるのがこの時点である。こういうふうな考え方でここに区切った、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/3
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004・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと物価騰貴、貨幣価値の下落というものをどこで線を引くかというようなことよりも、むしろ郵政省の中の年金契約の事務的な都合でそのときに改正をしたからその時点で区切った、こういうことのように私は承ったのですが、趣旨はあくまで戦後の悪性インフレに基づきまする問題を処理をする、こういうことであろうと思うのです。善意に解釈いたしますとそうだと思うのです。そうでありまするならば、やはり私は郵政省内の都合ではなくて、いまお返事があったように、これはあくまで戦争が原因でありますから、二十年の八月十五日で切るべきである、私はそう思うのです。八月十五日で当然切るべきである。どうして八月十五日で切らずに翌々年まで延ばしたのか、これがどうも私納得できません。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/4
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005・小林武治
○小林国務大臣 これはお話しのようにいつで切るか、どこできめてもいろいろな議論があるわけでありまして、お話しのような時点を区切りとする考え方もあり得たわけでありますが、結局いま申したような、要するに社会の異常な変動によって効果が失われた、こういうことが一つの大きな理由であると同時に、その時点の区切りをつけるには、いまの年金の金額を変えたときをやはり一つの区切りとすることも一つの考え方で、そのほうが任意加入の年金としてはよかろうではないか、こういうことでこの時点に限ったのでありまして、これが私は最善のものとは思いませんが、どこで切るかということはいろいろの議論があって結局ここへきた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 これは私反対です、大臣。これはやはり大臣も初めはおそらく八月十五日で切れという気持ちだったのだろうと私は思うのです。事務当局が何のかんの言ってとうとうこんなふうになったのじゃないか。この前武田君の話を聞くと、昭和九年から十一年までの物価の平均を一〇〇としますと、二十年の終わりには三五〇、二十二年に四八一五、それから現在は一二九九〇、約一三〇〇〇、こういうふうになります。そうしますと二十二年からいままでは——武田君の説明ですよ。これは私信用していないのだけれども。二十二年のあと三倍か四倍にしかなっておらぬという。ですからこれを整備するというのなら八月十五日で切る。それからあと申し込んだ人は自己の責任です。戦いに敗れてから申し込んだ人は自己の責任です。もうインフレになることも常識としてわかっている。新円も翌年の初めに発行されたようなことで、混乱時期になおかつ年金契約をやるという人はその責任でやってもらわなければいかぬ。八月十五日以前、戦いに敗れるということは年金契約者の責任じゃありませんから、そういう意味で国家が補償する。国家の機関でありまする郵政当局が補償する、そうあるべきである。これはあくまで政治的な配慮だと思います。したがって、きのうあなたは金丸さんに非常にすなおに御答弁があったと思います。この何年で切ったかということについては理論的な根拠はない、そのとおりだと私は思う。りっぱな御答弁だったと思いますが、そういう気持ちをもっと生かされて八月十五日で切るべきである、私はこう思うのです。きょうはもう理屈は言いませんが、そういう意味で私は反対です、この法案は。それをまず一つ申し上げておきます。
それから第二にお尋ねいたしたいのは、デノミネーションというものの関係であります。この間私のほうの某代議士の本会議の質問に関連をいたしまして、佐藤総理がデノミの答弁をしております。私もその速記録をちょっと読んでみたのでありますが、こういうことを言うておるのであります。デノミネーションについてのお尋ねがございました。結論から先に申しますると、ただいまのところ考えてはおりません。したがいまして、積極的にいろいろ調査研究しておるというようなこともない。「しかし、今日の状態が、これがいろいろの論議をいまかもしておりますので、そのうちデノミをするというような、そのときが来るかもわかりませんが、そういうときは一体どういう時期か、かようなお尋ねがあろうと思いますが、そういう際は、経済や金融情勢が安定することがまず第一に必要であります。そうしてまた、デノミネーションというものを国民各界各層のものが十分理解して、何ら誤解をするようなことがあってはならない。もう一つは、積極的に国民自身がデノミネーションを希望するという、そういうような状態において初めてこのデノミネーションは行なわれるのでございます。」こういうふうに非常に慎重な返事をしております。いまのところではやる気はないが、国民の皆さんが希望するとそれはやらぬわけでもないというふうな答弁であります。
〔委員長退席、田村(元)委員長代理着席〕
これに関連をいたしまして、もしこういうものが二、三年の間に行なわれるということになりますと、せっかくの年金の制度がだめになる。これに対する取り扱いが少しまた変わらねばならぬというふうに思うのであります。その点についてもしデノミということが行なわれましたときに、どういう対策をお考えになっておるのか、ちょっと伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/6
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007・小林武治
○小林国務大臣 これは総理の答弁にあったように、政府としてはいまデノミをやる意向もない、こういうことでありますから、この一般的な政府の方針に従っていく以外にはない。したがってそれを前提としての対策等につきましては、いまいろいろなお答えを申し上げる段階でない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 まあしかしその御答弁もそうでしょうけれども、話はことしの中ごろから出ておりまして、大蔵大臣などは場合によりましてはかなり積極的な答弁をしておる。大体百円を一円にするという素朴な考え方であろうと思う。そうしますと、昔三円五、六十銭で一ドルでありましたからいまの三百六十円、非常にいいというような、非常に常識的な判断が、私は相当浸透しておると思うのです。しかも全国的にいままだ円、銭まで計算するという手数が、日本人の日常生活に非常な悪影響を及ぼしている。非常に非能率であります。その意味から必ずデノミの話が出てくる。国会の開会中はみなおとなしくしておりましょうけれども、出てくる。そうなったときにはこれどういうことになるかということを私考えてみましても、皆さんお考えいただいておると思いますが、そういうときにはまたもとどおりだ、もとどおり、戦前の金でありまするから、この特別措置をやめるならやめて、二十二年以前のものは、そういう意味でぼくは八月十五日以前がいいと思うのだけれども、もとの金で出す、百分の一に計算しないで出す、これは当然のことだろうと思いますので、私はお尋ねしたのですが、どうですか。私の意見に対してどういうふうにお考えになるか。私はそれは当然じゃないかと思う。これは猛烈なインフレ処理のためにやられた。一般の保険会社その他はここまでいっておらぬことは事実であります。そういう意味ではたいへんいいお考えだと思う。さっきの八月十五日の点だとか、これを国費でまかなわずに特別会計の中でやる。これはきのう金丸君がいろいろ言っていましたから省略しますが、そういうものと関連してデノミの問題は考えておらぬというが、その場合にはあなた方のいう二十二年十二月三十一日以前のものはその評価でいく。それを百分の一にされてはたまらない、こういうことになるだろうと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/8
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009・小林武治
○小林国務大臣 これはお話のように考えてみる値打ちはあろうと思いますが、正直に申していまは考えておりません。これから考えてみようと思いますが、いまは申し上げるようなことを考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/9
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010・中井徳次郎
○中井委員 その点は十分私は検討してもらいたい、強く要請をいたして一おきます。武田君あたりでもし事務的にそういうのを調査なり研究したことがありましたら、ちょっとついでに聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/10
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011・武田功
○武田政府委員 私どももその点につきまして現在何も作業をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/11
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012・中井徳次郎
○中井委員 これで私の質問を終わりますが、この問題は非常に境目にある法案だと思います。ある意味ではデリケートといいますか、今度はデノミをやろうとしたときにこの法案が逆にじゃまになる。こういうものをやっておるのだからというふうなことで一つのじゃまにならないように、じゃまに扱わないように、これを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/12
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013・森本靖
○森本委員 いまの中井さんの質問に関連をしてちょっと簡単に聞いておきたいと思います。
この年金はほとんど終戦前の年金であります。この年金は昭和二十二年に効力を発生したのでありますが、終戦直後御承知のとおり新円の切りかえで緊急措置令が行なわれたわけでありますが、この年金の支払いは当時の終戦直後の金融措置令の適用についてはどうなっておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/13
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014・武田功
○武田政府委員 ちょっとただいま資料を調べておりますので、暫時お待ちいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/14
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015・森本靖
○森本委員 それではそれが答弁できるまで待っておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/15
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016・武田功
○武田政府委員 昭和二十一年の八月に金融緊急措置令施行規則の一部改正に伴いまして、郵便年金の年金額千円をこえる部分は第二封鎖預金となりまして、支払い停止をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/16
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017・森本靖
○森本委員 それ以下の分については支払っておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/17
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018・武田功
○武田政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/18
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019・森本靖
○森本委員 そういたしますと、それ以下の分についての支払いは当時きめられた生計費外ですか。それとも生計費内ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/19
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020・武田功
○武田政府委員 ちょっと当時のことをつまびらかにいたしませんけれども、支払いということに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/20
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021・森本靖
○森本委員 いや、これは郵便局の窓口でやっておりますからね。御承知のとおりそういう金融措置令が出て第一封鎖、第二封鎖ということになった。第一封鎖の中からは生計費一人について五百円、それから家族一人について百円何ぼ、こういうふうに制限があったわけです。幾ら預金があってもそれ以上は出せなかったわけであります。ただし郵便年金についてはそのときにどうなっておったか。これが今度の付加金の問題については関係が非常に多いわけであります。これは郵便局でやったわけでありますから、郵政省知らぬはずがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/21
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022・武田功
○武田政府委員 その点調べまして後ほどお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/22
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023・森本靖
○森本委員 わかるまで待ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/23
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024・田村元
○田村(元)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/24
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025・田村元
○田村(元)委員長代理 速記を始めて。
次会は公報をもってお知らせいたします。直ちに理事会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504816X01619670623/25
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