1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年三月二十三日(木曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君
理事 細田 吉藏君 理事 大出 俊君
理事 山内 広君 理事 受田 新吉君
赤城 宗徳君 荒舩清十郎君
稻葉 修君 内海 英男君
桂木 鉄夫君 佐藤 文生君
塩谷 一夫君 橋口 隆君
藤波 孝生君 稻村 隆一君
武部 文君 浜田 光人君
山本弥之助君 吉田 之久君
伊藤惣助丸君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房審議室長 高柳 忠夫君
総理府総務副長
官 上村千一郎君
総理府人事局長 増子 正宏君
総理府恩給局長 矢倉 一郎君
総理府特別地域
連絡局長 山野 幸吉君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省大学学術
局長 天城 勲君
文部省管理局長 宮地 茂君
委員外の出席者
総理府内閣総理
大臣官房参事官 長村 輝彦君
厚生省医務局医
事課長 三浦 英夫君
専 門 員 茨木 純一君
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三月十六日
委員大石武一君辞任につき、その補欠として荒
舩清十郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十六日
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四号)
同月十七日
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九号)
在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外
公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
同月十八日
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一号)
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一三号)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一五号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六号)
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一七号)
労働省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九号)
自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二〇号)
同月二十三日
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三〇号)
郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三三号)
同月十一日
善意の日制定に関する請願(宇野宗佑君紹介)
(第二四号)
元満鉄職員であった公務員等の恩給等通算に関
する請願(山下元利君紹介)(第一二〇号)
同(淡谷悠藏君紹介)(第一五二号)
特高罷免及び武徳会追放による警察退職者救済
に関する請願(藤本孝雄君紹介)(第一五一
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出第三号、文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/1
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002・剱木亨弘
○剱木国務大臣 今回政府から提出いたしました文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、国立学校における学年の進行等に伴い、国立学校の職員の定員を改めるものであります。すなわち、国立学校における学年の進行等に伴い必要とする国立学校の職員の増員については、昭和四十二年度暫定予算に計上することとしており、この増員のため文部省の職員の定員を改めようとするものであります。
国立学校におきましては、昭和四十一年度以前に新設または拡充されました学部、学科等の学年進行に伴って必要な教職員を四月から増員する必要があるとともに、昭和四十二年度における学生増募等に伴って必要な教職員につきましても、学部の新設等国立学校設置法の改正等を必要とするもの以外については、四月から増員し、その円滑な実施をはかる必要があります。
よって、文部省の職員の定員を昭和四十一年度の九万八千六十三人に三千三十五人を加えた十万一千九十八人といたしたいのであります。
これがこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/2
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003・關谷勝利
○關谷委員長 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。塚原総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/3
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004・塚原俊郎
○塚原国務大臣 ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び概要を御説明いたします。
家庭生活問題審議会は、家庭生活問題に対する総合的な見地からの対策樹立の必要性にかんがみ、家庭生活問題に関する重要事項を調査審議することを目的として、去る昭和四十年六月三日に総理府設置法の一部が改正され、総理府の付属機関として設けられたものでありますが、その設置期限は、昭和四十二年三月三十一日とされたところであります。
同審議会は、昭和四十年十一月十日、内閣総理大臣より「家庭のはたすべき役割ならびにこれに伴う家庭生活上の諸問題に関し、行政施策のとるべき基本的方向」について諮問を受けて以来、今日まで総会、部会等を約四十回にわたり開催するとともに、家庭生活意識に関する全国的な調査を行なう等、終始熱心かつ慎重な審議を行なってこられたのであります。
同審議会においてこれまで調査審議されたところにより考えますのに、戦前の家の観念に基づく家庭生活意識は、すでに、変貌を遂げているにかかわらず、これにかわる新しい家庭のあり方は、国民の中に十分に定着するに至らず、また、家庭生活上種々の面において問題が発生している反面、これらの問題を通じての総合化された問題意識は、必ずしも表面化していない事情もあり、調査検討には幾多の困難を伴っている次第であります。
同審議会は、このような事情のもとに、三月下旬を目途にして従来の調査審議の結果を整理し、政府に対し、経過の報告をされるやに聞いておりますが、政府の諮問に対し、十分の答申を行なうために、審議の期間をなお一カ年延長することが望ましいとの同審議会の要望をも考慮し、政府としては所要の措置を講じ、同審議会が従来の審議の実績に加えて、さらに必要な調査審議を進め、十分な検討を重ねられることが適当であると認めるものであります。
このような事情により、家庭生活問題審議会の設置期限をさらに一年間延長し、昭和四十三年三月三十一日までとすることが必要であると考える次第であります。
なお、建国記念日審議会は、昭和四十一年六月二十五日公布、即日施行された国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第八十六号)附則第四項によって、総理府の付属機関として設置されたのでありますが、その設置期限は、昭和四十一年十二月十五日までとされておりますので、この機会に同審議会の設置に関する法文の整理をすることが必要であります。
以上が、この法律案を提案いたしました理由及び概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/4
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005・關谷勝利
○關谷委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/5
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006・山内広
○山内委員 この際、家庭生活問題審議会の内容についてお伺いしておきたいと思います。
この審議会を設置する当時の背景というのは、私の記憶では、非行青少年が非常に社会問題になりまして、その根底は家庭生活にあるのではないか、これも掘り下げて研究したい、こういうことで私ども賛意を表して、二カ年くらいで結論を出してもういたいと、こういうつもりであったのです。それができなくなって、もう一年延長、こういうことなんですが、どういうわけで二カ年間かかってこの問題の結論が出なかったのか、その理由をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/6
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007・塚原俊郎
○塚原国務大臣 この審議会ができまする当時は私は関与いたしておりませんでしたけれども、その後の経過を見ておりますると、いまの提案理由の趣旨の説明でも申し上げましたように、戦前の家族と戦後の家族の構成というものに非常な相違を来たしているという事実は、私もこれは率直に認めておるところであります。ことに戦後二十一年間の経済の非常な発展に伴って、一応道義の面における独立国家としての日本のあり方にも批判が加わっておることも事実でありまする。そういった面における家庭の諸問題についていろいろと御審議を願っておったのでありまするが、私が就任いたしましてから、この審議会の委員の方々がお見えになり、さらに掘り下げて総合的な検討を加える面もあるので、時間的に三月一ぱいでは間に合わないから、なお慎重審議する意味において延長を願いたいという強い御要望もあったのであります。その理由も伺いましたが、要約するにいま私が申し上げたようなことでありまして、これを妥当と認め、御審議を願うことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/7
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008・山内広
○山内委員 この二カ年間で四十回も会議をお開きになったそうですか、その論議された内容、そういうものを概略でもよろしゅうございますから、事務当局から御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/8
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009・高柳忠夫
○高柳政府委員 四十回にわたりまして審議を続けてまいりまして、本年の三月には一応中間報告というものをいたす予定で、目下その作成に取りかかっている次第でございます。したがいまして、審議会の期間の延長が認められましたならば、さらにその中間報告をもとにいたしまして完備した答申を出す、こういうふうな予定に相なっておるわけでございます。
ただいまその中間報告の骨子と申しますか、考えておる要点を簡単に御説明いたしますと、第一に家庭というものの意味、家庭の構成、家庭生活の意義というものにつきまして、戦前・戦後の歴史的な考察をまずやってみるというのが、総説的な考え方でございます。それから「家庭生活の機能と役割り」というテーマでもって、結婚、育児、教育、しつけ、愛情の問題、休養の問題、家族の人格形成の問題、生活の保障の問題、社会に対する責任等の問題を検討いたす予定になっております。さらに、現在の新しい社会状況、経済状況に応じた家庭生活の現状はどんなふうに認識さるべきか。それを大まかに都市と農村に分けまして、夫婦関係、親子関係、教育関係、嫁としゅうと、老人の地位、食と住、レクリエーション、職業、生活水準、まあこういったふうな点を家庭生活の現状認識としてどう受け取るべきか。さらに発展いたしまして、現在の家庭生活の現状から問題にされるものはどんなことがあるか。家族の分離、世帯の形成、それから出かせぎ、内職、共かせぎ、青少年問題、家計等の問題をどういうふうに考え、対策を講ずべきか、こういうふうな点をいろいろと各般にわたりまして、新しい分野における新しい問題点を考究することに非常に専門家の方方が御勉強を願っておるわけでございますが、問題はそれぞれ根深い問題がございまして容易に結論が出しにくいというので、現在の作業といたしましては、本年三月に中間報告いたしまして、さらに一年間審議を続けたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/9
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010・山内広
○山内委員 私も、文書やあるいは仄聞するところによって、まずいまのお話の程度は承知しておるわけです。そこで、一番心配しているというより、懸念している点は、これをばらばらにすると、各省に全部またがるわけですね。はたしてそれを統一して中間報告がどういう形で出されるかわかりませんが、一つの文章になっただけであって、たとえば劈頭に申し上げたような青少年の不良化の問題、これ一つあげても、ただこうこうこういう原因でもってなるんだというだけの文章であるならば、文部省なり法務省にまかしておけばいいのであって、これを具体的に、先ほど長官からお話のあったとおり、家族制度が根本的に改まって、それに即応してりっぱな、まじめな家庭生活を営むためにどうしたらいいかという、今度は実行の面になると、はて予算がどうなっているか。見たところが、わずかに委嘱された委員の方方の出席手当と旅費くらいより計上されていない。一体、これは単なる文章をつくるのが目的なのか、それとも家庭生活というものを立て直すためにどうやったらいいのか、推進力になって実行面を伴うのか、この辺は非常に大事な考え方だと思うわけです。これは長官の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/10
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011・塚原俊郎
○塚原国務大臣 今日までの委員会、審議会のあり方については、私は私なりにやはり批判を持っておったところでありますが、できればそういったものはなるべく少ないほうがいいという考えを私は持っておりまして、したがって御審議を願う内容についても、単に形式的なお答えをいただくのではこれは意味がないので、実のあるものをちょうだいしたいという気持ちで、私は今日まで各委員会の方々と接触をいたしておるわけでございます。いま山内君のおっしゃったような説、まことに賛成でございまして、なるほど審議の過程において困難な面はあるかとも存じますが、単に作文に終わらせないように、今日のこの重要な家族問題についてメスを入れていただいて、りっぱな答申が出るよう、私からも強く指示を与え、お願いすると同時に、皆さま方の御意見もあわせてお伝えいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/11
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012・山内広
○山内委員 お答えとしてはりっぱだと思うんですが、やはりそのお答えを実行に移すのには、金がかかるでしょう。それを四十二年度の予算ではどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/12
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013・高柳忠夫
○高柳政府委員 家庭生活の問題を取り巻く先ほどの中間報告の骨子の問題点につきまして、それは各省にまたがっておりまして、各省の施策の中に行政費としてそれぞれ実行の予算が組まれておるわけであります。ただ、審議会の経費といたしまして総理府に組まれておるのは、全く審議会を運営するための純然たる庶務的経費でございますので、御指摘のように、四十二年度におきましては五百九十八万九千円組んでございます。その大きな内訳は、審議会の運営経費といたしまして九十八万九千円、さらに御審議いただきまして一年延長さしていただきますならば、実態調査をいたしたいと思っておりますので、その所要経費五百万円を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/13
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014・山内広
○山内委員 その五百万円で実態調査をされる。それは中身はどういうことを調査されようとしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/14
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015・高柳忠夫
○高柳政府委員 まだ審議会の延長がきまりませんので、確定的には申し上げられませんが、予算要求の段階でわれわれが検討いたしましたのは、調査研究内容といたしまして、家族関係の調査、家庭経営の調査、乳幼児保育の調査、家庭教育の調査、食生活の調査、衣生活の調査、住生活の調査、消費者保護関係の調査、こういったような題目を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/15
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016・山内広
○山内委員 これは、五百万というのは、委託費でもってどこかに調査をさせることになるんでしょうね。そういう広範な調査をみずからの手でやって五百万じゃできるわけもないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/16
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017・高柳忠夫
○高柳政府委員 これも未確定でございますが、予算の要求といたしましては、委託費という形で要求いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/17
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018・山内広
○山内委員 いまどこにどういう形で委託されるかわかりませんけれども、これから四十二年度に委託して調査に何カ月かかかって、それが集まって、そしてあなた方のお考えが入って、それが審議会の結論になると思うのですが、それじゃとても一カ年間の延長でこの作業は終わらぬじゃないですか、一カ年くらいじゃとても。来年になったらもう一年延ばしてくれということになりますよ、はっきり言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/18
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019・高柳忠夫
○高柳政府委員 私たちの見当では、予算が通過いたしまして実行できるのが六月初旬と押えまして、秋ごろまでに調査を完了して、先ほど申し上げました中間答申の考え方をこの実態調査の裏づけをもって整理して、来年三月までには正式な答申ができるように準備を進めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/19
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020・山内広
○山内委員 私、一年延長することには別に反対でないのです。賛成なんです。ただ、こま切れみたいに一年、一年と言わぬで、やはりこういう重大な問題は、委託費でもって調査させるならば、いまおあげになった家族関係だけではなくて、問題がたくさんいまあるわけです。ですから、一挙に各方面に予算を使って調査をして、そしてもうどうしても年内にまとめるのだというならば、お考えはわかるのです。ところが、いまおあげになったのでは、ほんの一部分にすぎないでしょう。そうしたら、どうしたって来年はまた別項目でもってやってほしいという審議会の要求があれば、これはやらざるを得ないでしょう。どうですか。思い切って、一年と言わぬで、もう少し腰を据えておやりになったらどうなんですか。長官、どうです。五百万の調査費くらいでは、これははっきり申し上げて、一年でできませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/20
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021・塚原俊郎
○塚原国務大臣 先ほど申しましたように、この委員の方からあと一年延長してという要望がありましたときにも、まだ当時としては二、三カ月の余裕があるから、何とかまとまらぬかという要請をいたしたのでありまするが、いま審議室長が御説明したような計画を実施するためには、やはり二、三カ月では無理であろう。したがって、まああと一年というのがやむを得ない期間ではなかろうか。これ以上の延長ということは私としても承服いたしかねまするので、よく計画を立てて、ちゃんとりっぱなお答えが出るように、私からも指導いたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/21
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022・山内広
○山内委員 そのお答えがありますから信頼しておまかせしますけれども、いまの事務当局のお話では、人件費は九十八万九千円ですか。四十回も会議を開いて、二十人からの委員というと、ちょっとこれも見当がつかないのですが、一体、委員の出席手当というのはどれくらいになって、旅費はどれくらい支給しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/22
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023・高柳忠夫
○高柳政府委員 いま、本予算で改定になりました支給予定額は、会長一回四千円、通常委員一回三千五百円、旅費につきましては、先生方の住居地によりましてその旅行距離が違いますので、違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/23
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024・山内広
○山内委員 これは中間報告はいつお出しになりますか。この委員会にも、提案というか、報告になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/24
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025・高柳忠夫
○高柳政府委員 本年の三月三十一日に総会を開く予定になっておりますので、総会で御承認をいただけば、中間報告が出ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/25
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026・山内広
○山内委員 この問題は誠意をもっておやりになるという長官の御答弁もありましたし、ただ、一つ希望しておきたいことは、いま片一方では予算が審議されているわけですよ。それをこっちが内容を言えば先にきまっちゃうのですから、まだその予算が通らぬから内容を検討されてない、予算が通ってから検討するというような御答弁は、ちょっと不親切な答弁なんで、当然予算が通ったらこういうふうにやりますと具体的なものをすぱっとお出しにならないと、こっちもまた、それじゃ予算が通るまで待つかということになれば、これはおかしなことになると思うのです。その点はもう少し御親切な御答弁をいただきたいと思います。
では、審議会の問題はその程度にとどめまして、建国記念日の問題でちょっとお聞きしておきたい。
これはもう済んだことですし、お弔いをやらなければ成仏できない委員会だそうですから、お経をあげてやる程度のことはいいのですが、これはどうも私どもとしては悲しめないお弔いになるのです。ただ、これは委員長を含めて長官に私の意見として申し上げたいのですが、当時委員長はまだ御就任になっておらなかったので、内容はあまり詳しく具体的には御存じないと思いますけれども、あの委員会をつくった当時の経緯というものは、参議院でも付帯条件がつけられ、こっちもいろいろ議論の末に、非常に変則な扱いではあるけれども、この委員会を代表して委員長が政府に質問をして、それに答弁をするという、これは法的にどれだけ効果があるかは別としても、政治的には責任のある態度であれはきめたわけです。ところが、一たん法律が通ってしまうと、もうそれは手のひらを返したような措置がなされ、参議院も、衆議院も、この委員会の意思も、少しも反映しない運営のままにああいう決定をしたということは、私、非常に残念に思うわけです。これはこの内閣委員会の権威のために、今後はああいう手練手管、ああいうごまかしには乗らないと、内閣委員会の私どもの党の人は非常に強い決心をしておるわけです。そういう意味で、その後の扱いの様子を見ますと、非常に残念だったと思うのです。これはもう過ぎたことですから、詳しく質問はいたしませんけれども、お互いに信頼し合い、きまったことは、うそを言わない、それくらいのことは委員長に御注意申し上げておかぬといかぬと思うのです。
それだけ申し上げて、この審議会、総理府設置法関係の質問は、私はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/26
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027・關谷勝利
○關谷委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/27
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028・大出俊
○大出委員 審議会のある意味では整理をするということなんですけれども、いま総理府所管の審議会というものは幾つありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/28
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029・高柳忠夫
○高柳政府委員 現在、総理府設置法に基づいて置かれているのが五十ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/29
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030・大出俊
○大出委員 さっき前任者に聞いてみたら四十九と言ったわけですが、また一つふえたわけですな。
ところで、この審議会の中に、いま山内さんから意見がありましたように、どうもあまり感心しない審議会もだいぶありますし、また非常に意味のある審議会もあるわけなんですが、この意味のある審議会のほうで、せっかく内閣委員会で、こういうふうなものをというので審議をしてくれというから、私どもはそれなりに審議をして結論を出して、皆さんのほうにおまかせしてあるわけだけれども、審議した側からすれば、その審議会がいつになってもそのまま休会になったままになっているということは、私は納得できないわけですよ。というのは、公務員制度審議会という審議会がございますね。これはドライヤー報告との関連もございまして、国際的な関係もあるわけです。ですから、そういう意味ではこれは大切に取り扱ってもらわなければいかぬ審議会なんですが、先般の国会では前田さんにここに御出席をいただいて私が質問をしましたが、今日どうもあれきりになっているはずだと思うのでありますが、現にいまどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/30
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031・増子正宏
○増子政府委員 公務員制度審議会についてのお尋ねでございますが、公務員制度審議会が、昨年の六月十三日にいわゆるILO八十七号条約批准に伴う国内法の改正規定のいわゆる未施行になっておる部分についての答申をいたしまして、以来再開されていないわけでございます。この審議会につきましては、よく御承知のように、公務員等の労働関係の基本に関する事項について調査審議をするということで設けられたものでございます。したがいまして、最初これが発会いたしましたときも、内閣総理大臣からいま申しました事項についての意見を求めるということと、それから付随しまして、改正規定の未施行部分についての意見を求めた経緯がございます。そういう点から申しまして、いわゆる本来の審議事項であります労働関係の基本に関する事項につきましては、昨年の六月十三日にいわば第一次の答申を出しましたあと、引き続いて調査審議すべきものでございます。その意味におきまして、私ども審議会のその後の再開につきましては、直接・間接いろいろな面から努力をしてまいっておりますけれども、この審議会の再開につきましては、大出先生も御承知のように、いろいろなデリケートな事情も背景にございます。そういう意味におきまして、今日まで再開という状況に至っていないことは、まことに遺憾でございますけれども、政府としましては、その後総務長官が組合代表の各位とお会いしましたいろいろな機会に、この再開についてはいわば協力を求めておる状況でございます。遺憾ながら今日までそれが具体的に進展していない実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/31
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032・大出俊
○大出委員 二つばかりここで聞いておきたいことがあるのですが、前田会長がお出しになった辞表というものは、いまどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/32
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033・増子正宏
○増子政府委員 審議会の庶務をいたしております人事局長として、私保管いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/33
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034・大出俊
○大出委員 辞表が出てからその期間はどのくらいになりますか。前田さんが旅行に行ったのだから、あのときから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/34
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035・増子正宏
○増子政府委員 七、八カ月になるわけでございます。ただ、辞表は、実は前田会長がお出しになるということで持ってこられたわけでございますけれども、政府側としても当然受理というような形になりませんで、したがいまして、私事務局長としてお預かりして、机の引き出しにしまってあるという状況でございます。その後、しかし、会長がこの審議会の会長としてお続けになるかどうかということにつきましても、私ども公式、非公式にお話しする機会を持っているわけでございますけれども、私どもの見たところでは、絶対的におやめになるというふうに必ずしもきまっていない。これは私どもの憶測でございますけれども、そういう意味におきまして、まだこれは最終的に確定というふうに至っていないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/35
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036・大出俊
○大出委員 重ねていまの点承りたいのですが、前田会長はここへ参考人としてお見えになって、私が質問しましたが、はっきりおやめになると言い切ったわけですよ。しかもどういう心境でおやめになるのですかと質問を重ねてしたところが、私は本来NHKの会長なんです、それが私の職務です。片や公務員制度審議会の会長に任命されたのだけれども、そのときからいろいろ考えておった。したがって、本業のほうを真剣にやらなければいかぬいまの状態なんで、したがって私は公務員制度審議会の会長をやる意思はございません。そういうことで辞表を提出してあります、こういう御本人からの御説明なんですね。そうすると、内閣委員会に来ていただいて、公式に——これは議事録に載っておりますが、御見解を聞いたら、自分の職務の内容の御説明があって、だからできないと言い切っておられるのに、あなたのほうは、せっかくここでやりとりがあってそうなっているのに、それを人事局長の机の中に八カ月入れっばなしてそれきりになっているという。あなたのほうが法案を出して、審議して通してくれと言ったのでしょう。そうでしょう。それをそのままにしておいて、会長はまだおやめにならないのか、なるのか、さっぱりわからぬという。やるかもしらぬ、やらないかもしらぬというようなことをおっしゃるというのは、もしおやりになるのだとするならば、私は再度内閣委員会に出てきていただいて、公に御見解を聞いたのだから、こうこういう心境の変化で私はやることにさしていただきますと言わなければならぬ筋合いだと思っております。そうでなければ国会軽視ですよ。そうでしょう。だとすると、いまあなたの言っている筋からすれば、この八カ月の間に何回か前田さんと話し合いをしておられなければならぬはず。全くやめるともおっしゃっていない。そうでしょう。ここではやめると言い切ったのですから、あなたと前田さんとの話し合いというのは、どういうやりとりになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/36
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037・増子正宏
○増子政府委員 会長の御意思そのものにつきましては、なるほど大出先生のおっしゃったように、あの六月十三日の日以後かなり近い段階だと思いましたが、お話のように御質問、御答弁のあったことは、私も承知いたしております。なお、その後会長が、公式的には最初いわばやめたいと言われた気持ち、この気持ちは変わっていないというようにお話しになったこと、そういう機会はその後もございます。まあそういう意味におきまして、公式的にはそのお考えが変わったというふうに申し上げる根拠はないと思います。ただ、いろいろなその後の情勢等も変わっておりますし、私先ほど申し上げましたように、必ずしも公式の席ではございませんけれども、会長にその後の経過等を私お話しいたしておりますというのは、いまだ、会長というよりも、むしろ委員をやめられる発令はいたしておりませんので、一応現在におきましても委員、したがって会長という立場も一応は保持しておられるわけでございますので、そういう意味におきまして、私いろいろ事務的な連絡を申し上げておるわけでございます。そういった中におきまして、私自身がいわば先ほど憶測と申し上げましたが、あるいはもっと希望的な観測というような気持ちで、多少おやめになるという気持ちに御変化があるのではなかろうかというように感じまして申し上げたわけでございます。したがいまして、公式的にはもちろん辞表をお出しになったままでございます。それからやられるのか、やめられるのかはっきりしないで、いつまでもほうっておくということについての御指摘は、ある意味でまことにそのとおりで申しわけないわけでございますけれども、実はそのままほうってあるわけではございませんで、政府としましては前田会長にそのまま残っていただきたいということは、辞表を出された当初も、総理以下いわば慰留といいますか、そういうことを申し上げておるわけでございまして、その点は私ども事務当局としましてはそのまま受けまして、会長にもちろん引き続いてお仕事をやっていただきたいということを申し上げているわけでございます。
それから、ただそういった会長の関係だけではございませんでして、この審議会を再開することが、先ほど申し上げましたようにまず重要な問題でございますので、この再開のためにはどういうことが必要であるか。そのための条件は何かというようなことにつきましては、各方面といろいろお話し合いをしておるわけでございまして、遺憾ながらそれらの話し合いの結果がまだ十分実っていないというか、結論に達していないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/37
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038・大出俊
○大出委員 辞表を出している前田さんは、この公務員制度審議会の会長なんですからね。本来なら、審議会が開かれないとすれば、会長さんが関係委員、公益委員もいろいろあるのだから、三者の委員に集まっていただいて、おのおのいろいろ行き違った意見なり、見解の相違なり、あるいは感情的なものなり、それを調整して、こういう条件で開きましょうという人が本来会長であるべきなんですよ。そうでしょう。ところが、会長は辞表を出したまま八カ月もあなたの机の引き出しの中に入っているということであるとすれば、中を取りまとめる人がいないのだ、会長の任務が宙ぶらりんなんですから。その処理をしましてからでないと新しい会長は任命できないのだから、そこらのところは、この委員会に審議をゆだねられて、結果的に論議を尽くしてきめた審議会なんですから、だとすれば、八カ月も重要な審議会をそのままほうっておくということは、いかにも怠慢だと私は思うのですよ。そこで前の安井総務長官がおやめになる前の最後のこの委員会ですが、私はこの問題を質問した、どういうふうにお考えかということで。そうしたら、国際的な関係もある非常に重要な委員会で、公務員法体系全体を何とかしなければならぬ。しかも実情調査調停委員会などが日本へ来て、ドライヤー氏が、相互信頼の回復のためにこの種のことを考えたらどうか、しかもそれは政府のイニシアによってといったところに、一つの問題がある。だとすれば、ますます重要な委員会である。そこで、私はやめるだろうけれども、あとの総務長官に、早急に各方面と話し合って再開できるように格段の努力をするということ、そういうふうに申し送るということを明らかにされたわけですね。そこで森さんになって、その間何カ月かありました。さらに今度またかわっておられるわけですから、してみると、この点については、もうちょっとこれは責任を負ってもらわなければ私は困る。それは労働団体がいろいろ言う。言うといったって、設置するのは政府ですから。だとすれば、所管は総理府なんですから、そうすると、それはやはり総理府の責任において開くべきものは開かなければ、私は筋が通らぬと思うのですよ。ということですから、長官、いまの点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/38
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039・塚原俊郎
○塚原国務大臣 公務員制度審議会の再開は、冒頭に申し上げましたとおり、私は一日も早く開いていただきたいと考えております。また、その線に沿って今日まで何回か組合の関係の方——いろいろ内部の事情もおありのようだ。これは大出さんよく御承知だと思いますが、そういった問題も、だいぶ突っ込んだ話し合いをしたこともあるのです。問題は、前田会長があっせんの労をとるべき問題であると考えております。その辞表は、私の手もとには来ておりません。私個人の考えでは、前田君のそういう話があっても、そういう再開の機運があれば、会長の職務をやってもらえるというふうに私は考えております。また、正式の折衝はしておりませんが、プライベートの話では、そのときは頼むぞということは言っております。ですから、その機運ができる、その醸成の役を私たちにやれということは、これもわかります。それもひとつ限度があると思いますが、そういう限度内において、公務員等の労働関係の基本問題を御審議願わなければならぬ非常に重要な委員会ですから、一日も早く再開されるように、私たちとしては今後十分な努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/39
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040・大出俊
○大出委員 前田会長がこの席に来られて私の質問にお答えになった中に、答申を総理のところに自分で持っていったというわけですね。持っていったときに、たとえば管理職の範囲にしろ、在籍専従の問題にしろ、公益側として各般の意見がある。したがって、こういう答申を出したが、これこれの意見があるんです。だから、政府が政令で実施した場合でも、実施されているものについても、自今、公務員制度審議会が実施された結果に基づき、あるいは実施の過程においてこうすべきだということを審議をいたしますということの意見を付して、総理に提出をしてあるというんですね。してみると——あるいは再たな上げの部分もあった。公務員制度審議会が開かれているとすれば、会長のこの席で言明されたように、実施の過程あるいは実施したもの、それについても公務員制度審議会は十分審議をする。時間がないからあの中には審議しないのもあるみたいですけれども、審議していないものもそのまま政令事項にゆだねて実施したんですから、したがって、実施したものについても審議すると言っておられるのですから、そうすると、実際に公務員の諸君に関係のあるものを、しかも審議会が受け持っている、そういう責任がある審議会なんですから、それが開かれないということは、私は一日も捨てておけない筋合いのものだ、こう考えているんですよ。ですから総務長官、おかわりになってから、いまのお話はいろいろ突っ込んだ話をされたんですか。そこのところまでひとつ話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/40
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041・塚原俊郎
○塚原国務大臣 各方面との——日はいつでしたか、ちょうど十二月の十四日で切れる政令の関係で、タイムリミットの問題がございましたね。私が就任いたしましたのが十二月四日か五日でしたか、その間において、総評関係、同盟関係、それから今度は一堂に集まった関係の方全部と三、四回、いや、もっとやっておるかもしれません。そこで、ひとつそういった問題もあるし、あなた方の御要望が十四日という一つのタイムリミットがあるんだから、ひとつ開いてくれないか。こういう事情があるから、これをひとつあなたのほうもあの方面に言ってくれぬか——そうは言いませんが、そういうことがあっているうちに時間切れになってしまった。私としては、いろいろ各方面からの御批判もあったようですけれでも、そういう重要な問題であるだけに、政令として出す前の会合というものを開いていただきたかったわけでございます。その努力は自分としてはいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/41
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042・大出俊
○大出委員 ILOの各種機関の大会がまたぼつぼつ出てくるわけですね。六月には総会も開かれるわけでしょう。そうすると、これはドライヤーレポートに基づいてやっておりますから、そういう反響、そういう関係も出てくるわけですね。そうすると、私はある意味では時間的に、いつごろまでにはどうしてもめどをつけてこうしなければならぬという、そういうプランをお持ちになってこの問題に当たっていただかないと、やはり適当に間隔を置いてしまえば、なかなか軌道に乗らないということになる。だから、そういう一つのめどを置かれて、当然労働側に立って、あるいは政府側に立って、実情調査調停委員会に来ていただいて、各種のサゼスチョンをいただいた結果、公務員制度審議会ができて進んでいる。そうすると、こうなりました、ああなりましたと報告しなければならぬ。しかも、八カ月も六月大会までほっぽっておけば、再開まで一年以上もそのままにしておいたということになる。やはりそれは国際的にもよくないと私は思う。だから、これはどうしても早急に話し合いの場というものを再度開いていただいて、けりをつけていただきたい。これは関係の方々もいろいろ心配されておりまして、先ほどもそこで前担当者の倉石さんにも会ったけれども、倉石さんだって、いまの問題についてうんと心配されておるわけです。そういうわかっておられる方々は心配されている。いろいろ言われる種をつくると言っているわけですから、やはりこのあたりで、ひとつ形式的なことじゃなくて、私も何も皆さんの責任追及ということだけで言っているのじゃないのですから、そういう雰囲気をぜひつくっていただいて、そうして新しい公務員体系というものを再検討する場ですから、かつ、相互信頼の回復という課題があるのですから、そういう意味でぜひひとつ精力的にこれをおやりいただきたいと思うのですが、長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/42
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043・塚原俊郎
○塚原国務大臣 公務員制度審議会の再開については冒頭に申し上げたとおりでございまして、私としても一日も早く再開されることを望んでおりますので、いまの御趣旨に沿って努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/43
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044・大出俊
○大出委員 現に委員である安養寺さんという人は、いま入院しておりますけれども、病床から手紙をよこしておりまして、ずいぶん長い文面ですけれども、非常に心配されております。当時のいきさつを全部並べて、こういうことをやってくれという。そういうふうなことまであるのですね。だから、ずいぶん心配している方々もいるんですから、ぜひひとつそういうことで御努力をいただきたいと思います。
それから次にもう一点だけ承っておきたいのは、ちょうど人事局長がおいでになりますから承りたいのですけれども、きわめて緊急な問題なんですが、この二十一日の日本経済新聞の一面トップに公務員給与に自治相構想、藤枝さんの構想が載っておるわけですね。私も二、三の方に聞いてみたけれども、これは給与関係閣僚協議会の中で論議されておるのですね。ここにもそう書いてあります。そうだとすれば、これは単なる藤枝構想だけではないと思う。給与関係と名がつく限りは、総務長官も一枚加わっておらなければならぬ。労働大臣もそういうことになる。そういう筋合いですね。そうすると、つまり予算編成の当初にあたって、このくらいの給与水準なんです、国民経済の成長率はこのくらいなんだ、成長率に見合って考えると公務員給与というものはこのくらいなんだという一つの線を出して、それをおおむね予算化しておこうというわけですね。そうしておいて、人事院勧告が出た。勧告のほうが高かった場合には、その差額は予備費で埋める、こういうわけですね。特に、地方公務員の場合は、そうしないと困る、財源がない、財源措置にこと欠く、こういう構想なんですね。これはある意味では所得政策にも通ずる点がある。そうすると、所得政策論議までしなければならぬと考えざるを得ない実は中身なんですね、英国なんかにも例はありますけれども。だから、この辺のことについて、担当の人事局あるいは総理府という立場でどういうふうに参画をされ、今日どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/44
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045・増子正宏
○増子政府委員 御指摘の日経の記事でございますが、これは私も内容は読んで承知しておりますけれども、いわゆる藤枝構想としてその案を閣僚会議で論議したことがあるかどうかということになりますと、私の記憶では、ございません。ただし、従来関係閣僚の会議の中でいろいろな案が出ておりまして、その中の一つとしてそういう案といいますか、それに近い案が出ておったことは事実でございます。ただし、これがいわゆる藤枝構想として、藤枝大臣から特に強力に主張されたという経緯はございません。すなわち、閣僚会議で論議されておりましたのは、いろいろなこまかな内容にまで立ち至りますと分類が幾つかできますけれども、大ざっぱにいって大体三つでございます。その一つは、いわゆる人事院の従来の勧告方式を改めまして、というか、それと全然別個に政府自身がある程度給与改定案を考えて、それに見合った予算を年度当初から組むというのが第一案、一つの案でございます。その次は、制度的な仕組み全体はそのままでございますけれども、ただ人事院のいたします官民給与の比較のための調査の時期とか、あるいは勧告の時期とか、そういったものの時期的な変更ということを考えてみたらどうだろうかというのが第二案。それから第三案は、一応現在の仕組みそのままで、政府として財政的な何らかの措置を講ずるという案でございます。これが大体三つになりますけれども、それにいろいろな変化を加えますと、これが幾つもの案に分かれていくということでございまして、いわゆるその新聞記事における藤枝構想というのは、大体第一案を基礎にした考え方のように私、受け取ったわけでございます。従来の論議の中におきましては、もちろんそれも一つの考えられる案ではございますけれども、先ほど言われた所得政策という問題といわば正面から取り組んでくる問題にもなりますこと、それからもう一つは、一体改定のめどといいますか、基準といいますか、それを何に求めるかということにつきましては、非常なむずかしい論議を巻き起こすというような意味におきまして、大体そういった点等でこれは非常に採用困難ではなかろうか。あるいは少なくとも時期的に見てきわめて適当でないというような、そういう判断がいままで強かったわけでございます。そういう意味で、その藤枝構想というものは、内容的に見ますと必ずしも新しいものではございません。ある意味では現在まで論議をしてきたというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/45
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046・大出俊
○大出委員 これは人事院の給与制度ができて以来の懸案ですからね。私は、そう軽々しく、ぽかり、こういう扱いをしてほしくないのですよ、正直いって。各方面に大きな論議を巻き起こしていますからね。かつて三公社五現業側が、予算総則の中で五%なんていって予算に計上したことまであるのです。ところが、それは大蔵省側からえらいおこられちゃって、もし五%アップすれば財源幾ら幾らを必要とするぐらいのことを書いて、形を変えてきたといういきさつまである。もしこの構想が進むとすれば、人事院の勧告権との関係は一体どうなるのだという問題が、もう一つは出てくる。つまり前もって政府が人事院勧告についてものを言ったことになる。幾ら幾らの水準です、国民経済の成長率をながめてみたら、こういうことになる。してみると、ことしの公務員の給与のアップというのはこのくらいなんだという政府見解が、先に明らかに出ちゃう。そうすると、人事院がまだものを言わない調査段階で、先に幾ら幾らという予算を組んでしまう。そういうことになると、人事院がやっているさなかにものを言った労働大臣が昔おったが、あれだけ大騒ぎになったわけですよ。そうすると、それを予算に組んでしまうなんていうことをやったら、ある意味で人事院の勧告を拘束する形になりかねない。予算はこれしかないですよ、ということになる。政府見解はこうなんですよ、ということになる。政府見解は成長率その他を含めてこうだけれども、人事院としてはそれと違う理論を立てた、政府の見解は誤りだから、人事院はこういう勧告をするということになりかねない。そういう意味で、勧告権とからむと私は思う。そこらの問題。それからもう一つは、これは前もって予算化してしまうのですからね。そうすると、今度は逆にそこまではいただきだということになる。いずれの場合もやはり非常にまずいことになる。だから、今日の給与勧告制度が存続をしておる限りは、この制度が間違いだと言い得ない限りは、私はこういう方式はとれないと思うのですよ。だから私は、世の中にいろいろ迷いを生ずるから、総務長官、これはやはり国家公務員に対する給与担当の責任官庁である総理府として、ぴしゃっとこの席で答弁しておいていただかないと、いろんなてにをはがつきますからね。私のところにも、たくさん電話もかかってくれば、手紙も来ておるわけです。そういう点はいま増子さんがほとんど言い尽くされておるけれども、長官のほうから、増子さんと同じでけっこうだけれども、ぴしゃっとやはり言っておいてもらわぬと、これは責任上困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/46
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047・塚原俊郎
○塚原国務大臣 御指摘の藤枝構想なるものを私拝見いたしましたが、その問題を藤枝君から提案があって審議した会合は、全然ございません。ただ、御承知のように春闘の季節に入りまして、人事院の調査の時期も目の前に迫っておりますので、従来の人事院の勧告のあり方、マンネリズムであることについての打開策ということは、たびたび当委員会あるいは本会議その他においても論議のあることは存じておりますので、関係六人委員会と申しますか、関係閣僚六人集まりました会合というものは、今日まで開いております。また事実近く開かなければならぬところにきておるわけであります。そういったものも一つの案としては出ておりますけれども、何ら決定的なものではございません。そういうものも含めて、数案について、幾らかでも従来のマンネリズムを排して前進の態勢をとりたいという気持ちで六人委員会を開いておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/47
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048・大出俊
○大出委員 先ほどの増子さんの見解でいきますと、新しいものではない、旧来論議をしたものだ、その論議の過程においてこういう形をとるということは、所得政策にも結びついていく、相当論議が必要になってくる、それから今日の人事院という制度についても、いろいろ関連して問題が出てくるということはとるべきではないという形で旧来は処理をしてきた、こういう御見解なんで、そのことからすれば、この案はとるべきでないという結論になっていくはずなんですよ。そこのところをはっきりしておいていただきたいと、私はこう言っているんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/48
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049・増子正宏
○増子政府委員 御指摘のように私が先ほど申し上げましたわけでございますが、もちろん検討でございますので、またいろんな立場からいろんな御意見があるのは、これは当然であろうと思います。したがいまして、私どもはいまここでどれがよくてどれがだめというような結論を出すことはやはり控えたいと思いますけれども、しかしいずれにしましても、最終的な結論を得るには、相当慎重な検討をしてきめるべきじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/49
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050・大出俊
○大出委員 不用意に出されると、さっき申し上げましたようにいろんな論議を呼びますから、旧来の検討の過程で、いろいろ紛糾をするということで、制度上との関係も出てくるということで、とるべき案でなかったということなんですから、それあたりを不用意に閣僚の中におられる方が、しかも担当の一人である方がぽかり出すというようなことは、これはやはり総務長官、注意をしていただきたいと思うんですよ。こんな一面トップにぽかり出てくるということになると、気をつけていただきませんと、これはうまくない。意見みたいなものも載っていますからまずいので、そこらのところは、さっき長官答弁をされましたけれども、よほどこれは気をつけていただくように藤枝さんのほうにもお話しをいただきたいと思うのですがね。よろしゅうございますね。——終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/50
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051・關谷勝利
○關谷委員長 鈴切康雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/51
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052・鈴切康雄
○鈴切委員 私は、家庭生活問題審議会について少々塚原総務長官にお伺いしたいと思ったのですが、いま御用でちょっとお席をはずしておられるようでありますので、もし御答弁があとで願えればお願いしたい、そのように思います。
まず第一に、家庭生活問題審議会のそもそもの発足につきまして調査いたしましたところが、四十年の佐藤首相の年頭のことばで、明るい住みよい健全な家庭、社会づくりというキャッチフレーズから端を発して、いわゆる家庭憲章ともいうべきビジョンを打ち出そうというのがねらいでありますが、この審議会が昭和四十年六月に設置されながら、審議会の委員が人選され任命されたのが九月、審議会に諮問されたのは十一月十日と、実際に五カ月間の空白状態が、今日一年間の延長を余儀なくされた理由ではないかということがまず第一点であります。それから、先ほど長官が趣旨説明されました中に、新しい家庭のあり方が国民の中に十分に定着されていないということと、家庭生活上種々の面において問題が発生しているということは調査・検討に幾多の困難を伴っていると言われましたけれども、しょせんは政府の高度経済成長の失敗から、必要以上の物価高、住宅難、悪環境の中で楽しい安定した生活ができないというのが現実であって、家庭生活の問題点として調査対象になる事項よりも、環境の整備とか、内在されている政府の施策に大いにその原因があると思うのですが、その点はいかがでしょうか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/52
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053・上村千一郎
○上村政府委員 ただいま鈴切委員からいろいろと御意見がございました。この家庭生活問題審議会の発端と申しましょうか、そういうものは、総理が家庭を中心としてというようなビジョンからいろいろと空気が醸成されたことは、そうであろうと思います。
それから、昭和四十年の六月三日に総理府設置法の一部が改正された。その後諮問は総理大臣から、「家庭の果すべき役割と、これにともなう家庭生活上の諸問題に関し、行政施策のとるべき基本的方向」というような事項に基づきまして諮問をいたしましたのが、昭和四十年の十一月十日ということになりまして、そこの間五カ月間ばかりございます。ただ、実際上この審議会の委員並びに諮問をする点ということに入りますと、多少は時間をとります。が、ちょっと長過ぎるのではないか、そういう感じは私どもも受けておるわけでございますが、家庭の問題というのがきわめて複雑でございますし、またいろいろ各省にもまたがっておるというようないろいろな状態がございまして、多少おくれたかというふうに私思っております。
それから重要な問題につきまして、もちろん政府のとっておりまする施策あるいは経済問題というようなことがあります。もちろんそういう問題もいろいろ大きな影響を持っておるだろうと思います、いい悪いということは別といたしまして。それだけいま置かれておりまする家庭問題というものが複雑であるということに相なるかと思っておるわけでございまして、まあその重要性、基本的な方向というものにつきまして、先ほど各先生からも御意見並びに御質疑がございました。その意図を体しまして十分なる結果を得たい、こういうふうなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/53
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054・鈴切康雄
○鈴切委員 いろいろお話がありましたが、あらゆる政治のひずみ、そして環境の整備という根本的な問題を度外視をしているという点について、やはり審議会の内容があまりにも枝葉に流れ、細分化されて収拾がつかないような状態になっているのじゃないか、それで答申がおくれたのではないかというふうに思える点が一点であります。それではたして一年間延長して将来の家庭生活に対するビジョンが大きく得られるであろうか。また、政府の諮問に対して十分の答申を行なうために審議の期間をなお一年間延長することが望ましいとの同審議会の要望を考慮してとあるが、その考慮して結論に達したことについて、審議会の内容とビジョンをどれだけ御承知になっておるかどうかということがお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/54
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055・上村千一郎
○上村政府委員 いろいろ重要な問題でございまして、審議の過程におきまして非常に細部の問題にわたっていったことは事実でございます。なお、この委員の中に御婦人の方も多くお見えになられまして、きわめて専門的な御意見も出されまして、御指摘のような点もあったかと思いますが、この諮問をいたしまする中心的題目は、この基本的方向ということでございまして、総合的な基本的な問題に入るわけでございますので、この一年間におきまして、十分なる実態調査とそうして御期待に沿うような結論を出すように努力をいたすということは、先ほど長官もおっしゃったとおりでございまして、その意図でやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/55
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056・鈴切康雄
○鈴切委員 長官も、いまの御答弁も、誠意を持ってやられる、善処をするというふうにお話がありましたので、その点はそれだけにします。
次に、審議会のあり方として、多く国民の声を反映してそれを政治の上に具現していくという考え方については、私も異論はありません。しかし、現在審議会が約三百近くもあるといって、必ずしも適正の方向にあるとは思われないし、行管もそのことを指摘しているわけであります。いま審議会が、将来の使命を失って政府の意のままに動く人選問題、あるいは政府として審議会を隠れみのにという存在に置きかえて責任をのがれようとしている点について、少々お伺いしたいわけであります。きょうお葬式を出しますところの建国記念日審議会がその最もいい例だと思うのですが、この点についてさらりと触れておきたいのですが、国民の祝日に関する法律第一条に「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」とあるが、はたして二月十一日の建国記念日の当日の状態はどうであったか。国民こぞって祝い、感謝し、また記念する日を定めるということについての当日の現況について、お話しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/56
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057・高柳忠夫
○高柳政府委員 第一回の建国記念日の関東地方は、御承知のように雪でございまして、いろいろと集会等の予定か変更があったようでございますが、警察庁の調べによりますと、全都道府県におきまして奉祝行事を行なったものは千五百九十九カ所、参加人員は二十七万二千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/57
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058・鈴切康雄
○鈴切委員 私はその当日の模様を大体新聞で見たわけでありますが、その状態が、完全にまっ二つに対立をしているという現実の状態、それからなお私が申し上げたいことは、審議会の委員のメンバーにおいても、二月十一日に反対説を唱え、審議は慎重にやるべきだとの意見をもって発言された方もあるわけです。阿部源一さんの場合は、例を申し上げますと「強いてその日を設けるとしても、学界、教育界、宗教界などから強い反論があり、国民の一半が支持しない旧紀元節の二月十一日は避けるべきである。これらの反対を押し切って強行しても、国民こぞって祝う日とはならず、かえって建国記念日を冒涜することになる。この国家百年の大計に関しては、政府は功を急いで禍根を将来に残してはならない。」また「建国記念日問題は、その関連し影響するところはなはだ広範にわたり、今後の研究にまつべき問題がなお残されている。本審議会の構成と審議期間をもって結論を出すことは無理である。」というふうに言われておるわけであります。ところが、その審議会の最終的な姿としては総括的に了解という形をとった点について、あなたはどうお思いになりますか。この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/58
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059・高柳忠夫
○高柳政府委員 建国記念日の審議会の答申は二月十一日というのが答申の内容でございまして、従来に若干例を見ない意見として、各委員の意見が答申に付記されました。ただいま阿部源一先生の御意見は、その答申の付記の中に含まれておる御意見だと存じます。九人のそれぞれの先生方がそれぞれのこの二月十一日を答申するにあたっての御意見がありまして、その御意見は御意見として政府は十分尊重するというふうに受け取っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/59
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060・鈴切康雄
○鈴切委員 現実の問題としては、二月十一日をあのようにしてほんとうに国民として全部が祝い、全部が喜ぶという、また感謝するという状態でなかったという点、それには私は何かしら審議会が非常に粗雑に流れてしまっているというふうに思えてならないのであります。祝日をきめる方法として、国民こぞって祝い、感謝するという観点から、政治的に国会の審議にしてしかるべきことではないか、それが本筋ではないかと思うわけです。政府は、審議会という何かしら隠れみのによって強行し、国会軽視というような状態に思えるのですが、その点についてどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/60
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061・高柳忠夫
○高柳政府委員 私から答弁をするのは適当かどうかわかりませんが、経過だけを説明さしていただきますと、祝日法の改正法案といたしまして、建国記念の日を二月十一日とする政府の案を国会に提出したわけでございます。それに対しまして、種々国会の審議の過程で政府原案が修正されて、建国記念日審議会を設けて、そこで審議された答申に基づいて政府が政令で定めるように、こういうふうに祝日法の改正が行なわれましたので、政府は、法の趣旨に従って審議会を運営し、答申に基づいて政令で二月十一日をきめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/61
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062・鈴切康雄
○鈴切委員 まあ、これはお葬式でありますから、あまりあれしてもあれですが、いわゆる家庭生活問題審議会の場合ですね、四十年六月三日の法律で設置され、委員の任命が九月、審議会に諮問されたのが十一月の十日、四十年度、四十一年度と審議されて、慎重を期す意味において、さらに四十二年度も審議するという意向のようであります。私も、それに対しては重要な問題でありますがゆえに賛成するものでありますが、国民の祝日をきめる重要な法案をわずか百二十五日で結論を出したことに対して、もっと慎重であるべきじゃなかったか、私はそのように思うのですが、その点について最後にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/62
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063・高柳忠夫
○高柳政府委員 これも審議経過の御説明になると思いますが、国会の審議において建国記念日審議会の存置期限を十二月の十五日とする、こういうふうに法律できまりましたので、審議会の在置期限が十二月十五日でありますならば、その期間内に審議会としての答申をしなければならない、こういう国会の御修正に基づいて六カ月以内で答申が行なわれたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/63
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064・鈴切康雄
○鈴切委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/64
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065・關谷勝利
○關谷委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/65
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066・受田新吉
○受田委員 総務長官、国務大臣の中で一番たくさんな仕事を引き受けておられる関係で、あなたの御職務の多忙であることがよくわかるのですが、いま私、長官の御職務の中で、この法律案に関係のあるものを拾い上げてお尋ねをさしてもらいたいと思います。
この法律に直接関係があるものから拾い上げますと、恩給審議会、建国記念日審議会、こういうものが一応出ておるのですけれども、恩給審議会のほうはそのまま残すわけでございますので、建国記念の日をどうするかの審議会を消す手続が要るということに関連してお尋ねをします。
ことしは、昭和二十二年の五月三日に新憲法が実施せられて歴史的な満二十周年記念、国民の祝日の中で、国の基本的な法規の憲法が制定されて二十周年という画期的な年に対処して、総務長官としてこの憲法の精神を普及徹底せしめ、その憲法のもとに国民のしあわせを守り抜くという政治の姿から、ぜひことしは憲法施行二十周年記念行事を国家的に行なうべきものであると思いまするが、御所見を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/66
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067・塚原俊郎
○塚原国務大臣 憲法記念日につきましては、私の記憶では数年前まではいろいろな行事があったと思いまするが、その後とだえておるのは、やはりちょっと奇異に感ずるわけであります。いま御指摘の二十周年記念ということでありますが、あえて二十周年に限らず、こういった一つの大きな行事に対しては、やはり何か考えるべきではなかろうか。関係閣僚の間でも、こういったことについて寄り寄り話はいたしております。いま私から、それではどういう具体的な計画でということは、まだ申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/67
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068・受田新吉
○受田委員 憲法記念行事を寄り寄り閣僚の間でもお話し合いをしておるということですが、これはもう時間的に一カ月ばかりしかありません。ぜひこの二十周年——これはやはり区切りとしては大切なことです。維新百年、明治百年といろいろありますが、これは超党派でできた国民の祝日でございますので、ぜひいまの長官の寄り寄り話し合いをしている具体的な計画を、できればこれは私、国家的行事として実行していただきたい。要望を申し上げておきます。
なお、建国の記念日が一応定まったわけでございまするが、いろいろ問題はあったけれども、形の上では一応これは二月十一日という日取りがきまった。そこで、先ほど質問のあったような国旗を立てるとかいろいろな問題もありますけれども、国民の祝日は国民全体がこぞってお祝いをするという意味からいって、その日に国旗を立てるとか、あるいは祝典の歌を制定するとか、そういう何らかの意図が政府にあるかどうか。強制ということでなくして、自主的にでもそれぞれの新しい建国記念の歌を公募する、あるいは国旗の掲揚についてどういう扱いをするか。すでに、かつて総理府総務長官が中心になられて公式制度の調査に軽い意味の組織をつくられたこともあるわけですが、こうした問題の処理を総務長官としてどう描いておられるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/68
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069・塚原俊郎
○塚原国務大臣 祝祭日に国旗を立てることは望ましいことであるということは、周知徹底いたしておると思いまするが、これを立てなければならぬという義務づけをいたそうとは考えておりません。国民の良識に従ってこの望ましいということをお受けいただくことを、私は望んでおる次第でございます。
なお、その奉祝歌と申しますか、いまおっしゃったのは、何かその日を祝う歌のことであると思いまするが、個人的にはそういうものを考えたらいいではないかということを言うておいでになる方も若干ありまするけれども、この前の二月十一日までには、私は、時間的にも間に合いませんでしたし、考えておりませんでしたが、いまそういうものをつくるべきかどうかということは、私としてもなお整理中でございまして、できれば望ましいのではなかろうか。これは私の個人的な見解であります。そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/69
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070・受田新吉
○受田委員 公式行事に関連したいろいろな未解決懸案があるわけです。これはやはり政府として何らかの形で処理をしていただかなければならぬ。私が毎回指摘している元号の問題のごときも、その一つです。それから国家的葬儀、お弔いの式、国家に偉大な功績がある、社会に偉大な功労をした皆さんを弔うのに国費をもって葬儀をするということは、どう定められるべきものか、天皇の御葬儀を中心にした国費による葬儀というようなものの扱いをどうするか、また外国使臣の扱い方、国賓、賓客、いろいろいいかげんな名称がついておるようでございまするが、これらについてもきちっとした制度を確立する必要はないか。一応国の基本姿勢に関する根本的問題として公式制度の調査をされたようでございまするが、一向結論が出ておらぬようです。総務長官御在任中に、この懸案をすかっと解決していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/70
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071・塚原俊郎
○塚原国務大臣 受田委員の御趣旨は私も賛成でありまするので、せっかく努力いたして、御要望に沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/71
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072・受田新吉
○受田委員 この法案の中にはじかに関係がないようであって実は大事な関連のある問題は、昨年十二月二十日までの任期をもって処理された在外財産問題審議会、その答申もすでに提出済みで、この答申の処理について塚原長官を中心に鋭意検討を急いでおられると漏れ承っております。答申は、在外財産喪失者としての特異性を強く指摘して、その置かれている特別の苦労の実績を評価して、それに伴うところの包括的、最終的処理として、国家責任をうたって答申が出してあります。同時に、その特別交付金支給にあたっては、単なる社会保障の意味でなくして、所得制限を付せない、いわば国家責任を強くうたった答申が出してありまするし、引き揚げ者の平和回復及び祖国の復興へ偉大な高度の貢献をしたことも、その主軸に掲げて答申が出してあります。だから、これをどう処理するかということは、総理府設置法の中にいままで生きていた在外財産問題審議会、その答申の処理は未解決であるという段階でありまするから、いまこの法案に非常に重大な関係のある問題と私は思量いたします。したがって、私はこの扱いは総務長官が担当されると承っておりまするし、同時に従来の臨時在外財産問題調査室の機構があまりにも貧弱であるので、この問題の処理にあたっては、機構上の拡大強化、人的配置をどうするかという問題も控えておると思いまするが、担当国務大臣として、このすみやかなる処理をせよという答申の扱い方について、すみやかにどういう基本的考えをもって対処されんとしておるかを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/72
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073・塚原俊郎
○塚原国務大臣 在外資産の処理につきましては、総理の施政方針演説の中でも申しておりますように、山田さんを会長とする審議会の答申も出ておりますることでもありまするし、その答申の趣旨に沿ってこの国会で法案を提出して解決をはかりたい、このように考えております。なお、御指摘のように、所管は総理府にきまりましたけれども、構成人員等については非常に少ない人数で、なかなかむずかしい問題、しかも基礎資料の収集等についても、御案内のようにむずかしい面もありますので、実際苦慮しておるところでありますが、今度やや増員も認められましたので、この国会に法案を提出するための諸準備をいま整えておるところでございます。答申の趣旨に沿った立法措置を考えていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/73
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074・受田新吉
○受田委員 その答申の趣旨に沿った法案の提出時期、及びそれを裏づけする予算の構想等についても、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/74
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075・塚原俊郎
○塚原国務大臣 私は、従来から重要な法案というものは、予算に関係あるなしにかかわらず、その国会の早い時期に出すべきであるという考えをいままで唱えてきた一人でございますが、もちろん在外資産の処理に関する法律案というものは、今度の国会ではおそらく重要な法案の一つであろうと思います。したがって、なるべく早く提出いたしたいという気持ちは持っております。しかし、いま申しましたような、基礎資料を集めるのにもなかなか困難を来たしておる。世帯数あるいは人数というものについての推定の数は大体押えましたけれども、その間国家財政の状況とにらみ合わせて、財政当局との折衝もありますし、それからまた、戦争犠牲者というものは結局は国民全部であるという考え方も前提にいたさなければなりませんし、またこういった問題については、国民の納得のいく、世論の納得のいく処理、措置というものも考えなければならないという気持ちから、法案の提出を急いでおりますが、私の言う早期に提出するということは困難ではなかろうか。しかし、この間の閣議でもきまりましたように、五月十二日がこの国会に出す法案の最終閣議決定日でございますから、それまでには——もちろんその前にやりたいと思いますが、タイムリミットは最悪の場合でも五月十二日。しかし、私はそれではおそ過ぎる。それで、目下関係方面といろいろと打ち合わせをいたしております。できるだけ早く提出いたすべく努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/75
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076・受田新吉
○受田委員 この法案の提出の最もおそい時期は、五月に入ったばかりですね、それまでにできるだけ早く出したい、こういうことであります。ところが、これはやはり衆議院と参議院と両方やらなければならない関係もあるので、重要法案となれば、六月三十日で期限の切れる今国会中としては、できるだけ早く準備をされる必要がある。
それからいま私ちょっと不安に思う点が一つあるのでございますが、いろいろな情勢を検討してやるということでございます。けれども、これは世論の動向等もあるいは国家的な見地からの財政等も検討しなければならぬ、他に類似のものもやるということでありますけれども、答申にうたってある点は、特に在外財産喪失者としての引き揚げ者の特異性を評価して、これが包括的、最終的処理だとうたってあるわけです。その国家責任の強さをうたい、特に賠償の対象としているという、平和条約十四条の規定をそう考える立場からする意見として、憲法二十九条の正当な補償論が生まれてくるという意見も、三分の一を占めておる審議会の空気でもあったわけです。いろいろな点で、この問題は裁判所の判定、世論、その他が、かつての農地報償の問題などと比較にならない、高度の国家責任のあることは、もう常識として答えが出ておる。大臣、この考えは異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/76
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077・塚原俊郎
○塚原国務大臣 答申の内容について、受田委員と私の考え方の相違はあまりないと思いますが、たとえば平和への貢献というような意味では、ややニュアンスを異にするのではなかろうかと思われる点があるのであります。目下これも私はよく調べておりますが、なお先ほど私が国民の世論の支持を得るということで、この以外にも何かというようなお話がちょっとありましたけれども、私の気持ちとしては、いわゆる戦後の処理はこの問題で片をつけたいという気持ちでありますから、ひとつその点は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
それから生活基盤を失ったということについては、私も十分なる配慮を払っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/77
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078・受田新吉
○受田委員 私、これにあまり時間をかける必要はないと思うのです。すかっとやれる時期に来ていると思いますし、それから予算を伴わなくても法案を出せる、これもお説のとおりだと思います。そこで、予算規模というものについて私一つ例示するわけですが、農地報償の処理についても千四百六十億というものが出ておる。少なくともこれに数倍する国家の責任があると私は思うのですがね。この一応の基本的な考え方について、長官としてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/78
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079・塚原俊郎
○塚原国務大臣 今度われわれかこの国会に提出いたそうといたしておりまする法律案は、四十二年度の予算には関係はございません。交付金の支給は四十三年度以降になりますから、四十二年度の予算に関係があるというものは、事務費だけでございます。これは三億二百万ですか……。それから受田委員、民社党の方々、また社会党のこの問題に関する方々からも、たびたび激励のことばもいただいておりまするし、いろいろと御要望の点も伺っておりますので、そういった趣旨を十分勘案しながら、国民の納得のいく姿で処理いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/79
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080・受田新吉
○受田委員 ちょっと途中で事務当局でけっこうですが、現在までにすでに整えられた該当者の数あるいは世帯数を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/80
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081・長村輝彦
○長村説明員 引き揚げ者の世帯数としては九十五万四千世帯でございます。引き揚げ者総数としては三百六十一万人というように推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/81
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082・受田新吉
○受田委員 いわゆる圧力団体と称する団体がある。私は、この問題は圧力団体の問題じゃないと思うのです。この問題は、少なくとも筋の通った法律問題であり、国家の道義問題である、そういう意味から、自民党も六千億円という公約を選挙の前に示して、そして引き揚げ者の支持を得たか、得ぬかはわからぬけれども、一応そういう選挙の公約をうたっておる。このうたっている公約を弊履のごとく捨てる党ではないと思いますが、あなたは党人という立場もおありと思いますし、政府の責任者でもあられるが、公約とそれの実施についての関係を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/82
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083・塚原俊郎
○塚原国務大臣 別にプレッシャーグループの圧力は、私個人は何ら感じておりません。繰り返すようでありますが、今日の国家財政状況とにらみ合わせ、国民の納得のいく姿においてこの問題の解決をはかりたい。いまあなたがおっしゃった額について申し上げる時期には、まだ達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/83
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084・受田新吉
○受田委員 私がお尋ねしているのは、党が公約したことと、それの実施についての関連をお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/84
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085・塚原俊郎
○塚原国務大臣 私はそういった団体に入っておりませんので、党の公約というものがいまおっしゃったような数字であるかどうかということについてのことは、私自身はじかには感じませんが、しかし、世間にはそれが常識的な数字として伝えられている。民社党のほうもそれにプラス幾らかで受田さんからもお話を承ったことがありますが、はたしてこれが公約であるかどうか、しかし、まあ公約として受け取られているという、そういった空気なり状況は、私もよく存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/85
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086・受田新吉
○受田委員 においを感じたり、空気に押されたというのじゃなくて、ちゃんと公約しておられるわけです。公約はやはり公党の公約ですから、だから……(「公約していない」と呼ぶ者あり)公約していないとすれば話は別です。自民党は公約していない、金額について公約していないと、大臣は党人として言えますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/86
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087・塚原俊郎
○塚原国務大臣 何かそれを上回ったような数字も初めは聞いておりましたし、いまおっしゃったような数字も聞いておりまするけれども、数字について党が公約として何かうたっているというような——たとえば十大政策とか十二大政策というものを今度の選挙でうたわれておりましたが、その中には数字は私はなかったと思っております。しかし、これに関係のある方々がいろいろな大会その他においてそういう数字をお出しになるということは、私も承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/87
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088・受田新吉
○受田委員 よくわかりました。つまり関係者の一部の人の約束であって、公党の公約ではない、かように了解させてもらってよろしゅうございますね。答弁をひとついただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/88
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089・塚原俊郎
○塚原国務大臣 意味はどちらにもとれると思いますが、公約でないという断定もできないが、公約として書かれた書類の中には数字は入っていない。しかし、これに関係のある非常に多くの方々がその数字をお出しになっておるということは、私もよく承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/89
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090・受田新吉
○受田委員 わかりました。自民党の公約と称するものには非常にあいまいもこたるものがあることが、公開の席上で明らかにされました。そういうところに、真実をもってこの問題の処理に当たろうという気持ちがどこか欠けておるのではないか。ほんとうに懸案を解決しようというならば、法律論からいっても、国際的立場からいっても、また道義的立場からいっても、どこに問題の所在があるかをはっきりつかんだ公約というものをする公党であってほしい。選挙が済めばはがれるような公約では、意味のない公約であると批判をせざるを得ないと私は思うのです。
もう一つ、せっかくの機会でありますので、次の問題に入らせていただきますが、長官、あなたの御所管の中に、沖繩を所管する南方連絡事務所というのがあるわけです。ここの所長さんというものは、アメリカの高等弁務官と比べると、はなはだ地位が低いという感じを私も沖繩を訪問したときに持ったわけです。現地で高等弁務官と対等の外交交渉ができ、事務折衝ができて、そこですかっと処理ができるほどの力のある所長を置くような管制並びに人的配置を行なうべきではないか。総務長官が御所管ではありますけれども、たとえば文化的には文部大臣、貿易的には通産大臣等の指揮監督を受けるし、それから重大な問題になれば、協議して総理大臣の指揮を受ける、こういうような官制ができておる。ところが、現地の所長さんは——いまの所長さんをかれこれ言うわけではありませんが、人物がごりっぱであっても、その置かれておる地位というものが、高等弁務官と対等の折衝ができるような大ものの立場でない。そこで、終始日本政府が、総務長官がタッチしていかなければならぬ。日米協議委員会を通し、中間にいろいろな機関等を通すわけでありますけれども、現地で独自の権限をもって処理する力がない。沖繩問題の特別委員会ができたけれども、個々の問題はこの内閣委員会が扱うわけでありますから、南方連絡事務所長というものを強大な権限を持つ地位に変え、その人も一等大使あるいは国務大臣級の人をもって充てるというような形でこれを処理しなければ、沖繩問題の解決には非常な時間がかかると私は思うのです。むしろ急いで解決するという意義を見出すためにも、いま申し上げたような一級の人物を配置するという構想を私は提案したいが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/90
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091・塚原俊郎
○塚原国務大臣 いまの南方連絡事務所の組織そのものが、はたして外交的な役割りをなしておるかどうか。それはその面もありまするし、普通考えておる在外事務所と申しまするか、大使館、公使館のあれとは違う面も、現実の姿としてはあると私は考えております。しかし、いま沖繩問題というものが非常なウエートを持っておることは事実でありますし、懸案の処理に当たらなければならない重要なポストでありますから、これは今後の問題として真剣に検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/91
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092・受田新吉
○受田委員 これは急ぐ問題だと思います。私がいま提案した構想、これは私、現地を見たときつくづく感じた。現地の所長の地位はあまりに低い。高等弁務官にあごで使われているような感じすら受けるのです。総務長官がみずから行ってできれば別ですが、それはなかなかできない。そうならなければ、総務長官と同格、あるいは総理級の人間をあそこに置いていいのです。ワトソンなど子供扱いにするくらいの力を持った人を現地に派遣するということだ。そういう官制を設けて、人物を派遣するということだ。この私の構想がどうであるかのお答えがまだないわけですが、この構想が適切かどうか、もう一度大臣から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/92
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093・塚原俊郎
○塚原国務大臣 非常に含蓄のある時宜に適した御発言であると思いますので、十分その真意を理解しながら前向きで解決していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/93
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094・受田新吉
○受田委員 いま一つ、総理府の総務長官の御所管の中に、恩給審議会の問題があるのです。これで私もう質問を終わりますが、昨年の暮れに新居会長から中間答申なるものが出された。そこで、来年の三月三十一日までの期限つきの暫定措置を答申として出されたので、それに伴う恩給法の改正案をいま用意しておられる。しかし、問題は、この恩給審議会というものの、基本問題を解決する一番大事なことは、恩給法第二条ノ二にうたってあるいわゆるスライド制、諸物価上昇等に伴うスライド的な年金額の改定ということに私はあると思うのです。私は、その意味においては、あの規定には少し生ぬるい「著シキ」というようなことばが出て、非常な情勢の変化のときという意味にとられがちなのでございますが、これは審議会の答申をまつまでもなく、政府自身としても、このスライド制をせっかく法律で出しておられる以上は、これを私は、たとえば一試案として、現職の公務員の給与と二割の格差が出た場合、現職一〇〇%、退職者が八〇%を下った場合は、これを改定するというような具体的なスライド制にこれを持っていくような努力を総務長官としてはされるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/94
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095・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給審議会の審議事項として、昨年のいわゆる法律改正の中で調整規定をうたわれたことをどういうふうに運用するかという問題についての審議が現に行なわれつつあるわけでございまして、先生御指摘のとおり、その規定の内容そのものは確かに抽象的な規定でございますので、それの運用のしかたいかんが非常に大きく影響することも、事実だと思います。したがって、これからの審議会で調整規定の運用のあり方というものを審議をお願いする、かような予定に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/95
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096・受田新吉
○受田委員 はなはだ力のない御答弁でございますが、いまの恩給法二条ノ二を具体的に、たとえば国家公務員法でうたったような、民間給与が五%上がったら勧告しなければならない、こういうような形のものにこれを持ち出す必要はないかと私はお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/96
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097・矢倉一郎
○矢倉政府委員 この点は、実はこの法案を法律化するときの過程の中でもいろいろ御意見のあったところでございまして、その際にお答え申し上げましたように、実はこれを具体的に、たとえば現職の国家公務員について五%以上の改定を必要とする場合に人事院が勧告をするというふうな趣旨の具体的内容を含んだものを用意する必要があるのじゃなかろうかという御意見がございました。そのときにもお答えを申し上げましたように、恩給についての対象でありますところの国家公務員の給与と恩給とは、性格的にも相違がございますし、そういう点から、何%の具体的数字をあげるということは、実はそのときには困難でございますということを申し上げて、したがって、恩給審議会でこれの内容について具体的あり方を御審議いただく、かように答弁を申してまいりました。その態度は今日でも変わっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/97
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098・受田新吉
○受田委員 もう質問をよしますが、この問題は審議会に責任を転嫁して、政府そのものの基本的責任のほうを忘れたような形ではいけないと思うのです。やはり政府自身も現職の公務員が在職中に十分国家、社会に奉仕した退職後においては、またそれに伴う退職時の俸給を基礎にした年金を老後の保障にもらえる、こういうところに現職の人も希望を持つわけであります。退職者が冷遇されるという形になってくると、これは現職者の希望を失わせる危険もあるので、先輩、後輩を通じて、国家に殉じて、私企業にも関与できないで有形、無形の奉仕をしておる人たちをあたたかく遇するということは、決して恩給忘国論とかなんとかそういう一部の問題とは別に、基本的な国家責任であると思うのです。政府が常に基本問題を政府の責任でやるというところ、審議会の答申を参考にしながら、政府自身はその答申をまつまでもなく基本的な作業を進めていくという態度を持ってもらいたいと思うのです。私の所見に異議がありますか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/98
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099・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに受田先生のお話しになりますように、法の解釈、運用というものは、政府の責任としてやるべき筋のものでございます。ただし、その運用のしかた、いわゆる第三者機関としての審議会にどういうふうにあるべきかということについての公正な意見を求めるということは、これはそれなりに審議会の意義が十分あると考えております。そこで審議会の御意見を伺って、そうしてその中で政府側のあり方というものを今後の課題として解決してまいりたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/99
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100・受田新吉
○受田委員 そこまでにしておきますが、おしまいに総括的に長官に申し上げておきます。
私が先ほどから申し上げた中で、私の発言は比較的党派を越えた御協力をいただける発言だと思うのです。またいまの在外財産の問題についても、各党が大体意見が一致しておる国家責任の戦後処理問題ではこれが最後、私はその意味では一応うなずく問題ですが、しかし、別にまた社会保障問題としては別途考慮するというのですから、その意味において、次の希望は、その社会保障の具体的審議で救われると私は感じます。したがって、今回の問題処理を、党派を越えた結論が出ている問題について、総務長官としてはこれを推進する閣僚の一番大事なポストにおられるわけでございますから、総務長官みずからが陣頭に立たれて、イタリヤ、西独等の戦後処理の中の在外財産処理に対するあの熱意を十分考慮に入れられて、敢然と早急に勇気を持って処理されることを希望して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/100
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101・關谷勝利
○關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/101
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102・關谷勝利
○關谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので直ちに採決に入ります。
総理府設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/102
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103・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/103
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104・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/104
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105・關谷勝利
○關谷委員長 内閣提出第三号、文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/105
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106・大出俊
○大出委員 暫定予算にからむ増員の一部改正なんですけれども、最初に一つ承っておきたいことがあるのです。
これは三月七日の新聞にずっと出ておりますが、昨年の五月に閣議決定しているものと相関連をいたしますけれども、例の反日教育の規制、こういうものの言い方で文部大臣が今国会に学校教育法の改正案を出したい、こう言っておられる件について、冒頭に大臣のこのことに触れられた御心境をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/106
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107・剱木亨弘
○剱木国務大臣 今国会に学校教育法の改正案を提出いたしまして御審議をいただく予定で、ただいま準備をいたしておるのでございます。その学校教育法の改正のおもな点の一つは、現在ございますほとんどが、法的には学校教育法上規定はございますけれども、放置されております各種学校の地位を法的に位置づけまして、これに法的な、また実際上、国家的、財政的な援助とか、そういったようなものを考えていこう、そういうので新しい各種学校制度をつくろうということが一つの主眼でございますが、それに関連いたしまして、お説のように、新しく外国人学校の制度をこれでつくるという意味におきまして準備をいたしておりますのは、事実でございます。ただ、これは巷間、たとえば民族教育を阻害するとか、あるいは同化教育をやるのではないかというようなことで非常に世間を刺激しておるようでございますが、実際問題といたしまして、この外国人学校の制度を設ける一番大きな理由は、各種学校制度というものをつくりますと、各種学校に入らない学校はほとんど野放しの、法的な規制を受けない、法的な立場を確立されないで放置されるような、事実上の教育をやっておるというだけになってしまうわけでございます。いま、外国人学校と称するいわゆる外国人のみを教育いたしております学校は、各種学校といたしまして都道府県知事が認可を与えておるもの、または都道府県知事がまだ認可をしていないもので事実学校教育をやっておるもの、これらの学校が相当数にのぼっておるわけでございますが、各種学校制度をつくりますと、いままで認可をいたしておりましたものも、この新しい各種学校の範疇には入ってまいりません。したがいまして、これが全く事実上の教育をしておる形だけが残りまして、何らの法的地位を確立されていない、こういう形になりますので、やはり外国人の学校におきまして、これを自由に、外国人の学校を法的に認めて、そしてその教育を保障してやる、これがやはり法制上におきましてはむしろ積極的に必要なことではないか。そういう意味から申しまして、特に各種学校からはずして外国人学校という制度を設けますのには、その学校で祖国のことばで祖国の国語を教えたり、歴史や地理を教えたりいたしますいわゆる民族教育というものを自由にさしてあげよう、その自由なる教育の方式を認めてあげよう、むしろ私どもから申しますと、その教育を学校教育として認めて保障していくという面におきまして、これはむしろ外国人学校において積極的に希望さるべき問題じゃないか。ところが、この法案の成立の初期におきまして、反日教育を規制するというようなことで非常に大きな反対をしておるのでございますが、しかし私は、日本の中に日本の学校として日本が公認している学校におきまして日本に反対する教育が行なわれるということは、これは独立国として認められない問題だと思います。これはしてはならぬということは、言わなくても当然なことだと思うのです。ですから、現在、反日教育をやっていない限りにおきましては、民族教育やそういうものについては、何らの規制はいたしません。自由に、平穏に教育をいたしておる学校については、むしろ積極的にそれを保障していくという意味において、私は、ぜひこの外国人学校制度というのを必要とするのではないか。そこで、もし各種学校制度を新たに法律で——これは非常に要望の強いところでございますので、これを確立してまいりまして、外国人学校というものをはずしたらどうなる。これはもう全く事実関係の教育をやっておる野放しの学校になってしまって、いわゆる学校たる認可とかそういう問題が行なわれてまいりません。そういうことは、むしろ学校の形態をしてやっておる学校自体としては耐えられないことではないかと存ずるのでございまして、そういう意味において私は、ただいまやはり外国人学校制度をつくったほうがいいという観点のもとに準備を進めておるのでございます。いろいろな反対につきましては、私どもいろいろ接触しておりますけれども、その点をよく説得をいたしますと、その理由につきましては十分納得をいただいておるような現状でございまして、私はまだ十分御説明が足りない点が多いと思いますので、今後努力をして納得のいかれるようにしたいと思います。
しかし、この法案の提出につきましては、ただいままだ準備をいたしておる段階でございまして、政府といたしまして、今国会に提出するやいなやという最後的な決定にはなっていないのでございます。ただ、文部大臣としまして、そういう積極的な意味を、どうかひとつ皆さんの御理解をいただいて、むしろ私は外国人のために自由に教育ができるような姿にして差し上げたい、これが私の現在の心境でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/107
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108・大出俊
○大出委員 昨日、本委員会の理事会で、この問題についてはあらためて場所をひとつ考えて時間をかけた論議をする、こういうふうな大体申し合わせのような形になっておりますから、この問題だけで多く時間をかけるつもりはないのです。これは論議を始めますと、ずいぶん多角的な問題点が出てくるだろうと思うわけであります。したがって、私はきょうはお考えを聞いておきたいと実は思っておるのですけれども、反日教育とは一体具体的にはどういう教育をお考えになっておるかという点を、お調べになっての上での御発言だと思うので、承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/108
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109・剱木亨弘
○剱木国務大臣 反日教育と一がいに申しますけれども、私ども、この法律案の内容で一応規制しておりますのは、わが国もしくはわが国民に対する誤った判断を植えつけて相互不信の念を起こさせる教育、わが国の国際的な友好親善関係を著しく阻害する教育、わが国の憲法上の機関が決定した施策もしくはその実施をことさらに非難する教育、こういうふうな例示で法律に書く予定でございますが、外国人といえども、日本の学校でございますれば、日本の法的秩序または日本の親善関係を阻害するような状態では困る。これは当然に言えることではないかと思います。そういったふうなことを考えておるのでございます。そうしてはならぬと規定しますけれども、まあ実際問題としては、その明らかな例証とかそういうことでなしに各学校におきましていろいろな教育が行なわれる場合において、文部省は、現在におきましては、私立大学におきましても、あるいは国立大学におきましても、教授内容の規制とかあるいはまた監督とか、そういういわゆる自由な学問の研究なり教授については、何らの干渉を国家的にいたしていないのでございます。その点もよく御了承をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/109
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110・大出俊
○大出委員 いま三つくらいおあげになりましたが、書いているひまがございませんでしたが、ばくとして聞いた限りでは、どうもずいぶんわからぬ原則だという気がするわけであります。たとえば、私、前に賀屋法務大臣のときに相当時間をかけて朝鮮の問題について御質問したことがあるのです。たとえばGHQにおった人、あるいは外国人でG・B・コーヘンなんという人が書いております「戦時戦後の日本経済」という資料がございます。あるいはまた鎌田という人が書いております「朝鮮新話」などという文献がございますが、こういうふうなものに、一九一〇年の日韓合併以来日本と朝鮮の関係というものがずっと、相当膨大な資料でございますがございます。これを調べていきますと、長いですから、一つの例をあげるだけにいたしますと、たとえば戦争末期になってまいりますと、朝鮮で志願兵制度ができておりましたが、それはとてもじゃないが納得づくじゃ集まらないということから、たんぼや畑で働いている朝鮮の農民の方々をトラックを持って行って強制的にかり集めて、いきなり日本に運んできて、どこに持っていったかというと、北九州の炭鉱にほうり込んだ。きわめて具体的な当時の記録がございます。そうしますと、これを一つだけとりましても、民族教育という面でその国の歴史を考えたり、さらに日本と朝鮮の関係が出てくるこういう場面でものをとらえていきますと、どうも日本の当時とった耐えがたい政策についての大きな民族の悲哀、あるいは忍従の歴史というものを語らなければならない。そうすると、聞いているほうは、日本というのはひどいことをやったんだということになる。ということになると、これはたいへんどうもその教育自体はいまおっしゃった三点からすれば感心しない教育ということに、とりようによってはなっていくわけです。したがって、いま言われた単なる三つの原則をあげられたぐらいでは、あぶなくて、うっかりそれじゃ学校教育法の改正よろしゅうございますというわけにいかない。だから、具体的なことで私は聞いておるわけですけれども、いま言うような形のことをもしその学校が教えることになった場合に、これはいまおっしゃっている項目に該当するのですか、しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/110
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111・剱木亨弘
○剱木国務大臣 よくそういうことを聞かれるのでございますが、私どもは、過去の歴史的な事実を事実として学校で教えるということは、そのことが日本の悪口とかそういうことになりましても、これは具体的な事実を教えるということの教育を言っているのではございませんで、現在のわが国のいわゆる憲法下の法制におきまして、日本に反対する教育は、日本に現在いる限りはしていただきたくない、これだけは日本人である限りは、私は皆さんそうお思いになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/111
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112・大出俊
○大出委員 たとえば日韓問題のときのような形の中で、日本の朝鮮人といわれる方々は、北朝鮮人民民主主義共和国の国民であったとした場合に、その国の立場に立つわけですから、その国の国民なんですから、そうなるとその国の主張が出てくる。あるいは韓国の場合でも、韓国側の主張が出てくる。ということは、現在の時点の問題をとらえても、当然あり得ることですよ。だとすれば、いまの御説明でいくと、現時点におけるというものの言い方なんですが、その国の考え方というものが、これは国民である限りは教えなければならぬ、そういうところで述べられる。そうすると、それは日本政府と反対の立場の国なんですから、反対の立場が明らかにされる。それは反日教育だ、こうなるわけですが、いまのお話ですと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/112
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113・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは現在、教育上必要な課程において民族教育をされるのは、何ら私どもは干渉とかそういうことは考えておりません。ただしかし、日本の国にありまして、日本の国に反対し、もしくは日本の国の存立に対しまして反抗するような、そういう教育はしていただきたくないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/113
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114・大出俊
○大出委員 ですから、いま私が言ったように、たとえば北の人の場合ならば、南とだけ日韓条約を結ぶというようなことは反対だ、そういう立場をわれわれはとれない、こういう向こうは立場をとっていたわけですから、そういう思想、そういう考え方が教育に出てくるはずです。韓国なら韓国側にやはりそれなりの主張がありますから、日本政府のあり方というものは正しくない、こういう、たとえば簡単に申し上げて主張が出てくる。これは国が違うのですから、当然あり得るわけですね。だから、もしも大臣のほうに特定な、どこの国ということが頭にあってお考えになるなら別だけれども、そうでないのだとすれば、国を思う立場が違うわけですから、現在の時点の問題をとらえても、日本の政府が考えていることと反対のことを相手の国が考えている場合には、そういうものの見方になると思うわけです。だから、いま大臣が言っておられるけれども、反日教育の規制で三項目あげられましたけれども、それでは一体何をねらってどうしようとしているのか、さっぱりわからない。そこのところをもう少し具体的に、特定なところをあなたのほうはお考えになってものを言っていられるのか、きわめて一般的なのか。一般的だとすれば、いま申し上げたようなことは国が違う限りあり得るのですから、そこらのところ一体何がねらいかわからないので、もう一ぺんお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/114
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115・剱木亨弘
○剱木国務大臣 それは外国人学校制度を設けますのは、私どもは日本の国籍を有しない方に対する教育ということで、たとえばアメリカンスクールでございましょうとも、いずれの国の学校でございましても、その規定によって保障して差し上げようということでございます。したがいまして、たとえばアメリカンスクールでアメリカのいわゆる大東亜戦争のときのことを教えたり、あるいは現在の大統領のことを非常にほめたたえたりいたしましても、何らこれは私どもの関与するところではない。ある特定のものを予定しておるのじゃございませんので、この制度によって、すべて外国人が日本でその子弟の教育をいたそうとする場合に、この規定によってむしろ保障して差し上げる、こういうのが私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/115
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116・大出俊
○大出委員 この規定に違反したという認定は、だれがするわけですか。文部大臣ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/116
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117・剱木亨弘
○剱木国務大臣 この規定はもちろん文部大臣がいたしますが、調査をいたすとかそういう場合は一応規定はいたしておりますけれでも、しかし、実際上の認定になってきますと、そう簡単に私ども認定ができると思っていませんけれども、一応これは日本にある学校である以上は、当然に日本に反抗するような教育の拠点になっては困る。これだけは法の精神として掲げるのが必要なことでございまして、たとえば、教員の欠格条項とかいろいろ規定してございますけれども、その判定につきましては、やはり具体的な場合において、その判定資料に基づいてやるよりほかにないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/117
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118・大出俊
○大出委員 そうすると、日本に反抗する拠点になっては困るということで出されるわけですから、現に拠点になっているところがあるわけですな。そこはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/118
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119・剱木亨弘
○剱木国務大臣 拠点になるようなところがあっては困るという規定でございまして、現にあるということを予想して書いておるのじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/119
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120・大出俊
○大出委員 現にないものを、拠点になっては困るからということで規制するという、そういう法律改正をやろうということ自体がおかしいので、現在はないと言い切れるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/120
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121・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私は、現在あるかないかわかりません、調べていませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/121
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122・大出俊
○大出委員 言わず語らず、あるかないかわかりませんと言うのだから……。先ほどはないとおっしゃったのだけれども、大体、二回の答弁が違いますから、もう一つどこかのほうにあるものが表に出てこないだろうと私は思う。となると、いま言われる大臣の答弁のニュアンスからすると、どうも一般的なという言い方が今度おかしくなる。つまり何かいま言われる意味で拠点になるものがある。拠点になっては困るということになると、拠点になりそうだ、あるいはなってないにしても、なりそうだと思う、そういう心配がなければ、こういうものを出してくるはずはない。昨年五月の閣議決定自体がそうなんだから、あれからの関連なんですから……。そこらあたりはもうちょっとはっきり言っておいていただいたほうがいいのじゃないか。いま私のところには、方々からたくさん——学校の先生から何からかにから、一ぱいはがきが来るわけです。だから、現に何にもないのなら、世の中をこれだけ大騒ぎさせる必要はないことだ。だから、騒ぎが大きくなっては困るので、そこのところをもうちょっと明確にしておいていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/122
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123・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは、騒ぎが起こってきているのは、みんなの誤解に基づいていると私は思うのです。私どものところに来ますのは、民族教育すらも否定するとか、日本が積極的に同化教育をするのだというようなことが反対理由になっておるようですが、そんなことは私どもは毛頭考えたことはない問題でございます。
なお、外国人一般について、現在あるなしは別としまして、日本で外国人学校を日本の学校として認める限りは、日本に対して反日教育的なものはやってはいけませんぞということは、概括的に規制しておくことは、絶対これは必要なことじゃないでしょうか。そんなことで、そういうことまでも規制しないで、外国人に対して日本が非常な保障をしていくということは……。これは、日本政府として責任を持つ以上は、私は当然なことだと思うのです。いま現にあるもの、それを弾圧するとか、そういう意味は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/123
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124・大出俊
○大出委員 新聞の発表がほんとうかどうかわかりませんけれども、何かそういう原則に反するような場合に、法的な勧告をするとかあるいは廃止を求めるとか、そういう具体的な措置を含めた改正ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/124
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125・剱木亨弘
○剱木国務大臣 それは学校教育法でも、一般にやはり法的に規制しております問題については、一定の罰則がみんなついておるわけです。ですから、そのありふれた一般の学校教育法全般通じまするそういったような罰則の関係というものは、これは当然に、学校教育法に規定する以上は、規定しなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/125
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126・大出俊
○大出委員 いまおっしゃったのは、一般的な意味での規制のしかた、こういうことですか。それ以上に出る気はない、こういうわけですな。——それじゃ、あらためて別な機会に御質問いたします。
ところで、いま提案されております「暫定予算における国立学校教職員の増員状況一覧表」という資料がございますが、この中身について承りたいのです。一々やっていきますとずいぶん時間がかかりそうなんですが、冒頭に承っておきたいのは、この下のほうに「衛生検査技師学校、診療X線技師学校上級課程の新設」というのがございます。新規増八、こうなっているわけですね。これについて文部省の方々にお伺いをしたいのですけれども、エックス線技師学校の例をとれば、今日までは二年の教育課程でやってきておられるわけです。それで一学校だけ専攻課程をつくって、これはたしか十名くらいだったと思います、二十名のうちの半数だろうと思うのですけれども、こういう制度に最初提案をして通したわけですね。これはあまり論議も何もされないで通っているようですけれども、そのあと四校ですか、五校になりますか、専攻科をつくる形がとられているわけですね。この二年というその上に、半数にしろ、専攻科というものをつくった趣旨は、一体どこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/126
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127・天城勲
○天城政府委員 診療エックス線技師学校の上級課程の設置の問題でございます。御存じのように、診療エックス線技師は、現在法律によりまして、エックス線を人体に対して照射し、撮影するということを医師、歯科医師の指示のもとにやる仕事が規定されております。この養成のために、従来から二年の課程の学校をつくっておったわけでございますが、御存じのとおり、最近エックス線関係の診療ということが大きな要素を持ってまいりましたし、またやがてはかなり高圧の深部治療装置もだいぶ入ってまいりますので、そういうものを扱うためにより一そう充実した教育をする必要があると考えまして、上級課程の設置を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/127
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128・大出俊
○大出委員 それでは答弁にならぬのですけれどもね。というのは、深部治療、いまやっておるようなものをもっと高圧のものを使うとか、あるいはガン対策のアイソトープその他含めて勉強しなければならぬということならば、診療エックス線技師法そのものをなぜ改正しないかという問題が出てくるのです。私は、ずばり言ってしまえば、一つずつ専攻科みたいなものをこしらえていって、あと四つくらいやれば全部できてしまうのでしょう。これは全体では十校くらいではないですか。そうなると、いつの間にか小出しに出してきてそうなってしまった、先生もそういうことでふえてしまったということになると、何のことはない、実質的には三年制の教育課程なんだということにもなってしまう。そこらとの関連はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/128
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129・天城勲
○天城政府委員 これは、エックス線技師の資格を高めるというような法律問題も片一方ではございますけれども、現時点におきましてやはりエックス線技師の資質を向上するということが、法律問題だけでなくして、事実問題としても必要になってきておりますので、これを高めていきたい、こう考えておるわけでございます。
なお、現在のエックス線技師法のたてまえから、扱う範囲というものはもちろん法律で規定されておりますから、現在はその範囲内のことになるのでありまして、法律改正になって扱う範囲が拡大されるとかいうことになれば、もちろんまたそれによった仕事ができるわけでございますが、現在の時点におきましては、現行の法律の範囲内におきましてもエックス線技師の資質の向上をはかりたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/129
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130・大出俊
○大出委員 問題は、三年制になりますと、他の保助看婦法その他との関係も出てきますから、そうなると、都道府県知事免許にするのか、大臣免許にするのかという資格の問題にもなる。資質を高めるということになれば、大臣免許にしなければならぬ。三年だということにするならば、他との関連上不均衡ですよ。そうだとすれば、どうもこれはなしくずしにふやしていくということだけであって、本体のほうが一体どうなるかということが明らかにならぬと、ここでいま提案されている趣旨がもう一つ明確にならない、こう考えるのです。ですから、その本体のほうの診療エックス線技師法というものは、将来に向かってどう扱うのかという点を明確にしていただかなければならぬ、こう考えるわけです。そこらのところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/130
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131・天城勲
○天城政府委員 これは所管が厚生省の法律でございますし、この扱いその他につきましては、私のほうから申し上げるよりも、厚生省からお答えいただくほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/131
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132・大出俊
○大出委員 と思って、実は厚生省にお出かけをいただいておるわけですがね。衛生検査技師法でいけば公衆衛生局ですか。診療エックス線技師法でいけば医務局になるわけですか。所管が違いますか。これを確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/132
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133・三浦英夫
○三浦説明員 現在衛生検査技師もエックス線技師も、どちらも医務局で所管しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/133
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134・大出俊
○大出委員 そうすると、三浦さんから両方御答弁いただけるわけですね。——先般の国会で、これは政府提案で診療エックス線技師法一部改正案が出ていたわけですね。この間に三年に課程を進行させても、なおかつ都道府県知事免許という、最初はそうだったんですね。大臣免許については自治省が当時反対しておりまして、最終的にまとまって大臣免許という形で法案が出てきておる。一種放射線技師、二種放射線技師、一種のほうは三年だ、こういうことですね。ところで、二種のほうが旧来の二年制の課程を終了した人、こうなるわけですね。その間に、いまここで問題になっている専攻科みたいな形のところをあと一年やった人は、大臣免許の一種放射線技師になれる。ところが、学校の数に限りがありますから、全国至るところで、いなかの場合に一年専攻しようと思ったって、勤務の関係もありますし、学校がないんですから、やりようがないわけです。できない相談をされても困るという技師の諸君の反対がありました。結果的に成立しないで、継続審議の形で国会解散、こういうわけですね。ここに一つ専攻科をつくり、あと今度五つつくり、あとまた四つつくる。そうなってしまうわけですから、そういう出し方をして文部省を通じて定員を要求されるなら、その本体である法律のほうとの関係を、同じ政府が提案しているのですから、皆さんのほうにこれははっきりさせなければならぬ責任があると思うのです。してみると、一体これはどういうふうに扱うつもりか、そこのところをはっきりしておかないと、ただこっちだけ論議しても意味がない気がするので、そこらをひとつ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/134
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135・三浦英夫
○三浦説明員 私ども、厚生省の立場といたしましても、最近の放射線医学の非常な発達に伴いまして、診療エックス線技師の資質の向上をはかっていきたいということが念願でございます。そういう念願から、前国会におきましても、診療エックス線技師法の一部改正を政府提案でさせていただきまして、御審議をお願いしたわけでございますが、ただ、これは身分法ということになっております。身分法ということになりますと、やはり関係者いろいろの御意見がございまして、当時の政府案に対しましても、いろいろな御意見があったような次第でございます。そういう関係で、なかなか御審議もいただけなかったようなこともございまして、現在は、もう一ぺん私どもの手元におきまして関係者と十分意見の調整をいたしまして、意見の調整が整い次第またできるだけ早い機会に国会に上程をして、エックス線技師の資質の向上につとめてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/135
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136・大出俊
○大出委員 文部省の皆さんに承りたいのですけれども、この八名の内訳はどうなるのでしょうか。これを見ますと、「衛生検査技師学校、診療X線技師学校上級課程の新設」とこうなって、八になっているのですが、どっちが何名で、どっちがどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/136
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137・天城勲
○天城政府委員 いまこの一覧で書いてございまして、八名になっておりますが、講師を一名ずつ配置するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/137
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138・大出俊
○大出委員 だから、衛生検査技師学校と、診療エックス線技師学校と、学校が違うのですから、合わせて並べて八とこうなっているから、どっちが何名、どっちが何名だと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/138
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139・天城勲
○天城政府委員 衛生検査技師学校のほうが二校でございまして、講師二名ずつでございます。それから診療エックス線技師学校上級課程が四校でございまして、講師一名ずつの四名、合わせて八名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/139
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140・大出俊
○大出委員 そうすると、診療エックス線技師学校のほうは、政府のものは全体で十校でしょう。それで一校すでに一番最初一名ふやして上級課程をつくって、あと五校つくっているわけですから、六校ですね。それから四校これを認めれば、政府の所管する十校全部に上級課程ができちゃう、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/140
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141・天城勲
○天城政府委員 御指摘のとおり、現在六校国立の付属にございます。今度四校お願いいたしますと、十校全部上級課程ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/141
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142・大出俊
○大出委員 だとすれば、三年の教育課程を受けた人が出てきているのに、また将来十校全部がなったら全部出るのに——つまり文部省所管の学校のほうがそうなれば、そうでないあまたある民間の私的なエックス線技師学校等についても、いま二年のものを三年へというふうになってくるのは必然です。そうなると、三年の教育課程を終えた者というのは、先ほど申し上げたような保助看婦法その他の関係からいっても、資格基準が違ってきます。大臣免許なら大臣免許になる。ならなければおかしいし、そうしなければ気の毒です。そうすると、そこらとの関係で、診療エックス線技師法自体の改正案を出す出さぬについて、何か奥歯にもののはさまったような言い方ですが、現にそういう影響があるのですから、レントゲン技師の方々にとればたいへんな問題です、御本人にとっては。そこのところをもう少し親切なものの考え方が出てこないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/142
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143・三浦英夫
○三浦説明員 私どもといたしましては、やはり基本的には現在の診療エックス線技師、さらにこれから新しく誕生されるエックス線技師が、資質がさらに一歩向上していただく、また最近の医学、医術の発達に伴いまして、コバルト六〇とか、あるいはベータトロンとか、リニアックとか、高度の放射線の技術についても対処できるようなものにしていただく、かような改正をできるだけ早い機会にもう一ぺん国会に上程させていただきまして、御審議をお願いしたいと思っております。ところが、やはり身分法でございまして、新しく出てこられる方はそれといたしましても、現在の診療エックス線技師の取り扱いがどうなるかということになりますと、診療エックス線技師の場合におきましてもいろいろな御意見もあります。また一方国民という立場から、さらに医師という立場からいたしましても、いろいろな御意見がございます。かような御意見を私どもといたしましては現在調整中でございまして、その調整がつき次第案をまとめまして提出をさしていただきたいと思っているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/143
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144・大出俊
○大出委員 この衛生検査技師のほうで、いまの問題と関連して承りたいことが一つあるのです。というのは、つまり同じ形になるのです。ただ問題は、この法律を読んでみてそう思うのですが、診療エックス線技師法、前におたくがお出しになった案ですが、こっちは衛生検査技師の関係ですが、違う点が一つだけあるのです。つまり業務規制か、名称規制かということです。診療エックス線技師の場合には、法律的に技師でなければやれません。ところが、衛生検査技師の場合は、だれがやったってかまわない。法律で名称だけは規制されている。この相違がございます。これも大きな矛盾です。しかし、診療エックス線技師のほうは、厚生省が提案され、国会へお出しになった形になるとすれば、衛生検査技師法の放任はできない、全く同じ中身ですから。そうすると、これは片や二校、四名ふえているわけです。この定員でいきますとね。その関連で承りたいのですけれども、衛生検査技師法の改正のほうも、とどのつまりは名称規制かあるいは業務規制かという論点と、もう一つ大きな問題というのは、大臣免許か都道府県知事免許かという問題と、もう一つは例の、いま問題になっている、つまり旧来の二年制で卒業されている方々は、法改正で新しくなるのですから、身分法であるだけに差がついてしまうわけです。社会的な資格が違ってしまうわけです。そうなると、たとえば一種放射線、二種放射線と分けるならば、旧来の方々が努力をすれば一種になれるということにならなければならぬことになる。衛生検査技師のほうも同様です。違った形で法律ができるはずはないのですから。そうなると、その関連があるから、私はエックス線のほうを先に出たから先に聞いているのですけれども、しかもこの衛生検査技師法というのは、昭和三十三年の二十八通常国会に自民党、社会党両党の共同提案になっておる。そういう経過もありますから、取り扱いとしてエックス線のほうをこうするのなら、衛生検査技師法のほうはこうするというのがなければならぬはずです。そこのところはどういうふうにお考えですか。ただ単に先生だけふやしたって、社会的資格を与えないのでは意味がないのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/144
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145・三浦英夫
○三浦説明員 衛生検査、特に病院の臨床検査につきましての最近の新しい科学技術の発達、特にガンの検査その他につきまして、衛生検査技師の職務の重要性、また技術の高度化ということが、国民医療の見地から非常に要請されているところでございます。私どもといたしましても、そういう見地から衛生検査技師の資質の向上ということについては、やはり現在検討中でございます。たとえば衛生検査技師の養成期間が現在二年でございますけれども、さらに延長する必要があるかどうか、あるいはいま大出先生がおっしゃられたような、衛生検査技師というような特別な資格を持った方だけがそういう業務に携わるようにしていただくほうが、国民医療の見地からはけっこうなのじゃないかというようなことも、検討の事項にしております。ただ、衛生検査技師の数が現在まだ一万八千人しかございません。ところが、病院等で要求されております衛生検査技師の数は、私どもが現在調査したところでも、最低三万人くらいは必要ではないかといわれております。そういたしますと、いま直ちに、たとえばいま大出先生のお話にありましたような、衛生検査技師でなければ業務をしてはならないということになりますと、病院のほうにおいて非常にそういう技師の不足を来たしてくる。あるいはまた、現在衛生検査技師の資格をお持ちでない方で、しかし実際には非常に熟練された方もおられます、こういう方の処遇をどうするかということも、問題となるわけでございます。いずれにいたしましても、衛生検査技師の資質というのは、やはり現在の医学においては非常に大事な問題である、早急に検討を加えなければならぬ問題であると思いますので、私どもといたしまして現在関係方面と検討しておるところでございまして、成案を得次第、法律改正もまたお願いするというようなことになるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/145
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146・大出俊
○大出委員 私はなぜここでこれを取り上げたかというと、せっかく先生をふやして国が金をかけるわけですから、それをやろうというならば——しかも文部省の立場としては逐次やってこられたわけですね。だとすると、それだけでは意味がないことになる、というものの考え方を私は持っているわけなんです。というのは、これは私どものところにある資料でいくと、衛生検査技師でない方が検査を実際にやっている。検査屋さんなんていう名称になっていますが、やっている。これを見てみると、犬のジステンパーの注射をいたしますという看板がかかっている。入ってみたら、そこが実は獣医さんで、片手間仕事に衛生検査技師のまねごとをやっている。ところが、需要と供給の関係だから、実際の医療単価よりも安い請負仕事でやっている。施設も非常に悪い。というようなことになると、最近の医学というのは、私は医者じゃありませんけれども、単なる聴診器一本で名医という意味での判断をするのじゃなしに、やはり基礎医学の分野から細菌なら細菌を調べなければ、診療上の判断ができなくなっているわけですね。そうすると、これはふえるばかりなわけです。しかもそれが的確でなければ、これは誤診のもとになるわけですから、命にかかわる。ところが、そういう形が放任をされて、厚生省としてはわかっていて、需要と供給の関係、一万八千と三万要るのだということとの関係で、だからちょっとどうにもならぬという理屈は成り立たぬと私は思うのです、きょうの人の命の問題なんだから。
そこで、これを見ていくと、例の血液検査の血液型の問題だって、百人に三人は必ず間違いがある。だから、全部やり直してみなければ正確な血液型はわからぬというわけです。これは検査上のミス、手落ち、技術の不十分、人が足らない、いろいろな理由があると思うのですが、四・二%と書いてあるのもありますけれども、普通百人のうち四・二人は間違っておる。おれはA型だと思っていたらそうでなかったというのが、百人のうち四・二人いるということになる。そういうことになっていたのでは、えらいことになると私は思うわけですよ。しかも、これは一つの企業として利益採算をとってひとつの経営としてやっているところもある、大阪なんかでは。そういうところは、そのままはじいてやるわけですからね。そうすると、まさに臨時雇いみたいな人まで入れて、注文がたくさんあったときにやらせる。全くわからぬ連中がやっているという現実、これの規制のしようも取り締まりようもないという法律があったのでは、これは私はたいへんなことになると思うのです。だから、ここで衛生検査技師のほうも人をふやし、上級課程までつくろうと言われるなら、当然一番根本になる衛生検査技師法というものを、どう考えてどんどん発展をする今日の医学に対処するか、患者あるいは国民医療の面で対処するかという面がひとつついてこなければ、説明にならぬと私は実は思っております。ところが、それらは何もなしに、ぽかり裸で先生の数だけふやしてくるという出し方はなかろうという気が、私はするのです。だから、そこらのところを過渡的に、今日足りないなら足りないで、向こう何カ年なら何カ年でこういう資格要件を備えた業務規制なら業務規制にする。今日実際にやっている熟練している人たち、それが学問的基礎知識があってやっているかというと、検査技術としてはやれても、その人は学問的基礎知識がないわけです。臨時雇いを入れてきて、そこに住みついてしまって、検査することも技術的にはうまいということでやっているわけだから、ひとつ間違うと、チフス事件だのコレラ事件だのができ上がるわけだ。だから、そういう危険な状態を放任すべきでないから、そこらのところを、この設置法上先生を二人ふやす、四人ふやすというならば、もうちょっとどう考えるかという点を明らかにしていただかぬと、私はこれはえらい問題だというふうに思って御質問しているのですが、そこらの点は今日全く白紙ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/146
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147・三浦英夫
○三浦説明員 いま大出先生の御指摘のとおり、医師の診断は一にかかって衛生検査技師が正しい臨床検査をするかどうかというところにあると言っても過言ではないと思います。それほど最近の医学の診断、治療には、基礎的な衛生検査、臨床検査ということが非常に大事なことでございます。ただいま御指摘のいわゆる検査屋等の問題につきましては、私どもかねて国会からも御指摘を受けております。そういう問題も含めまして、できるだけ早い機会に衛生検査技師の資質の向上ということにつきまして私ども厚生省として案を固め、必要があれば法律改正ということをお願いしたいと思っておる次第でございます。
ただ、何ぶん身分法でございますので、やはり身分法ということになりますと、現生の衛生検査技師が——先ほど大出先生の御指摘のとおり、かりに二年を三年にするという場合に、現在の水準の人、現在の衛生検査技師の身分を持っている者がどうなるのかということになりますと、一方においては患者あるいは医師という立場からまいりますと、資質の高い方だけが上級のほうになってほしいし、衛生検査技師の側からいいますと、やはりできるだけ多くの方が上級のほうになってほしいという、これは当然出てくる御要望でございます。そういう関係の調整ということがございますので、私どもやはりもう少し時間をかしていただきまして検討して、できるだけ早い機会に案をまとめて、資質の向上対策を考えたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/147
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148・大出俊
○大出委員 この問題の解決する要点というのは、先ほどあなたの御答弁にもありましたし、私も申し上げましたが、現にこの二年制で資格をとっておられる方々の処遇をどうするかという一点に尽きるのですよ。先般の国会での陰のやりとりなんか見ておっても、その一点に尽きる。衛生検査技師法の改正を問題にする場合も、あるいは診療エックス線技師法の改正を問題にする場合も、いずれもそうです。特にさっき申し上げたように、衛生検査技師の場合には、業務規制にすべきだというものの考え方です。そうだとすれば、それは幾ら専攻課程をふやしたから、そこのところを勉強して一年やってこい、やってくれば与えるからといっても、家族をかかえ、子供をかかえて、勤務条件があって勤めているのに、無理なものはあくまで無理だ。だとすれば、特例試験なら特例試験という制度を設けるとか——これは衛生検査技師会のほうの諸君の意見を聞いてみると、特例試験制度というものをつくってくれ。学校に行ければそれにこしたことはない。近くにあれば、夜間でも何でもいくというわけです。つまり、みずからの技術の向上にもなるし、しかも社会的資格はよくなるわけですから、本人の仕事なんですから、当然それは行きたいわけです。行きたいのだが、いまおっしゃるように、技術の低いとおっしゃるけれども、やっている以上は自分の天職なんだから、聞いてみると、だれもみんな行きたいのです。ところが、学校の数に限りがあって、時間的な問題があってどうにも行けないという現実を何とかしないことには、それはやはり不満は残ります。だとすると、特例試験制度をとるとかあるいは特例講習会をやるとかなんとかいうような形を、都道府県に責任を負わせるなら負わせてもいいけれども、とにかくあまねくその地域にいる方々がそこに出かけていけば資格要件を取得できるところまでの課程は夜だって修められるという、経過措置的な意味ではそういうことをお考えにならないと、実際問題としていまおっしゃる意味の不満は残る。問題が問題ですから、強引に押し切ってみてもよくはない。だから、どうしても私はそこのところを解決の重点にしていただいて、技師会の中があっち割れたりこっち割れたり、あるいは学校の校長会の意見がこうなんだということでもんでいて片づかぬと言っていては、特に衛生検査技師法の改正なんという問題は済まぬのだと思う。だから、そこのところは英断をもってその解決策をお立て願うということにしなければ、これは解決しない。だから、けんかになって中が混乱してしようがないから、あれはおっぽっておくのだということでは困ると思うのです。かつて保助看婦法のときに、長野さんが看護係長をやっているときですが、あの例の保健師法構想というのをお立てになりましたね。ところが、神田の共立講堂で看護婦さんの集会を開いたら、てっぺんだけで何ごとだと吹っ飛んでしまった。それはやっている方々が現に山ほどいて、その方々が納得しないものを通しようがないのですから、だから、そういうことをひとつお考えいただいて、あれだって前向きで解決すれば、保助看婦法というものは解決すると思っている。特に准看護婦問題なんというのは、長年准看護婦でいて正看になれないというのは、同僚の関係もあって悲劇ですよ。だから、そこのところはわかり過ぎるくらいわかっているのですから、皆さんのほうで、そういうところを二年制でもって学校が遠くて行けない人はしようがないのだというふうに投げないで、その人をも含めた形を考える。何しろ衛生検査をしろうとがやっているのですから、二年教育課程を修めておる方、その方々を特例試験にしろ、講習にしろ、資格を引き上げるということは、決して悪い筋合いのものじゃない。これは獣医が片手間にやっておったり、全くしろうとが手間でやっておったり、そのたびに間違いが起こったり、そういうようなことになっている世の中だからこそ、私はそういう解決のしかたが必要ではないかという気がするのです。だから、何とかそういう点を早急にひとつ皆さんのほうでおまとめをいただいて、早急にやはり両方とも一部改正の形で国会にお出しをいただくという方向でお進めいただきたいと思うのですが、そこのところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/148
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149・三浦英夫
○三浦説明員 お説のこと十分尊重いたしまして、早急に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/149
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150・大出俊
○大出委員 時間の関係がありますので、これはたくさん並んでおりますが、一々拾っていきますと、いまのような問題がみな裏側にあるわけです。ですから、時間もないので適当にいたしますけれども、これはもうちょっと実は親切な説明のしかたがしてほしいのです。出し方についても、文部省の皆さんに申し上げておきたいのです。きのう理事会で、あした通してくれ、こういう御要望が出てくるのに、資料も何もいただいてないということでは、私はその点はまことに不親切きわまるものと思っておる。官房長が私の部屋にお見えになったって、資料を持ってくるわけではない。そういうことでは、あした通してくれと言うほうがむちゃです。ですから、そこらあたりはひとつお考えおきをいただきたいと思うのです。
この工業教員養成所の廃止の問題、これは四十四名ですが、この問題は、私、昔大岡山にあった高等工業教員養成所ですか、あれを調べたことがあるのですけれども、この廃止が単なる大学その他が完備をしてきたからもう要らないのだ、こういう意味だとすれば、ちょっとまた別な考え方が私はあるのですけれども、この廃止の理由は何が主たる理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/150
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151・天城勲
○天城政府委員 これは御存じのとおり、三年制の工業教員の養成機関として設置されたものでございまして、高等学校工業科の教員の不足を充足する、こういう考えから出たものでございます。その後の情勢を見てまいりますと、四年制の工学部も拡大されてまいりましたし、卒業生から求職をする者もふえてまいりまして、大体当初から一定の臨時的な措置として考えておったものでございますので、需給関係の上からこの制度を廃止しよう、こう考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/151
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152・大出俊
○大出委員 この四十四名の減、この人たちは現実にはどこへ行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/152
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153・天城勲
○天城政府委員 これは実は、工業教員養成所の定数になっている教官でありますが、本年四十二年度から学生の募集を停止いたしますので、それに伴いまして定員を落とすわけでございます。しかし、この定員の措置の問題と同時に、人の問題もございますが、人の問題につきましては、それぞれの大学の工学部に付置されておりますので、御在任になっております工学部に就職するとか、あるいは他に転ずるとか、それは人事上の措置としてそれぞれ検討はしております。
それからこの定員は、もちろん予算上は減という形で落としておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/153
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154・大出俊
○大出委員 そうしますと、実害はないというわけですね。おのおの母体なりそれぞれのところに移っていかれて、教育を受けるほうの側も、するほうの側も、実害は全くない、こういうことですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/154
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155・天城勲
○天城政府委員 その点は個々の学校に即して慎重に検討いたしまして、実害が及ばないように措置をあわせて進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/155
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156・大出俊
○大出委員 時間の関係で、基本的な問題はまた次の機会にいたしたいと思います。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/156
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157・關谷勝利
○關谷委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/157
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158・受田新吉
○受田委員 ほんのちょっとだけ質問して、残余はあすにさせていただきたい。皆さんお疲れですから……。まあがまんしていただければいいですが、それをまず御相談ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/158
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159・關谷勝利
○關谷委員長 あすは大臣の都合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/159
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160・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私はきょうやっていただいたほうがいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/160
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161・受田新吉
○受田委員 そうですか。それでは、大臣はきょうがいいというので、政府のほうに御協力いたしましょう。
剱木先生は文部省はえ抜きの官僚御経験者でいらっしゃるので、文教行政には十分通じておられる方である、また学徳の高い尊敬に値する人であることも、私が経験から申し上げられることですが、しかし、ここでひとつお聞きしておきたいことがあるのです。大臣が過ぐる建国記念日の記念式典に政務次官をして代理出席せしめられた理由は、いかなる点にあるかをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/161
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162・剱木亨弘
○剱木国務大臣 お答えします。特別に私は行かないという気持ちもなかったのでございますが、まあ祝辞を政務次官に行って読んでいただいただけのことでございまして、私が行って悪いとはちっとも考えておりませんでした。ほかのあれもございまして、政務次官にかわって行ってもらいました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/162
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163・受田新吉
○受田委員 これはいろいろな見方があるわけでございまするが、大臣は建国記念の日が制定されて初めての式典に、何かその行事の中に旧体制の残存遺物があるやに懸念されて出席されなかったのではないかという説も、一部に流れておる。それから、文部大臣としては公平な立場で物事の処理をはからなければならないという意味から、政務次官を代理せしめるほうが、この際はいいのだろうという説も流れておるし、総理大臣は出席された、文部大臣は出席しないというところに、何か大臣の独特の信念というものがあるのではないかという説も流れておる。そういうものには全然関係なしの、大臣のいわば自己の判断による欠席、ほかにこれ以上の大事な会があったら別でございますが、同じ時刻に何か文部行政上大臣が出席をどうしてもしなければならない理由のある会があったのかどうか、そういう点でひとつ文教の責任者の信念を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/163
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164・剱木亨弘
○剱木国務大臣 そんなに深い意味があったわけではございませんけれども、建国記念の日の主管の府といたしましては総理府でございまして、総理府総務長官がお出ましになるということで、私のほうから申しますと、日比谷で大会がございましたけれども、全国でいろいろのところの大会がございますし、まずそれが日本の一つの行事ではないものですから、どれにも出なければならぬという関係もありまして、日比谷につきましては、私の直接の所管でもございませんので、政務次官に行っていただいた、それだけの理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/164
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165・受田新吉
○受田委員 文部大臣として建国記念の日を学校教育上いかに尊重せしめるべきかという意味における文部大臣通牒その他の、いかなる形式でもけっこうですが、国をあげて祝福する建国記念の日としてこれをどう奉祝すべきかという意味の大臣の御意思が示されておりますか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/165
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166・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは学校におきまする慶祝の行事といたしまして、建国の記念の日について、その際におきましては実際は国家的行事としての祝祭も行なわれませんでしたし、国家行事として行なわれないのに学校だけこれを行事として行なうということを強制するわけにはいかない状況がございました。しかし、私としましては、やはり将来にわたりまして学校において建国記念日のお祝いの式が行なわれるということになることを切望いたしておりますけれども、それにはやはり現在の国民的な意味におきまして自然にそういう式が行なわれるということが国民感情として起こってくることを期待いたしまして、本年におきましては、国家行事として祝日が行なわれない今日、学校だけにこれを強制するわけにはいかないということで、指導要領の線に沿って学校において行なう場合においては学校がやるということにしまして、すべての学校にこれを強制するという方法には出なかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/166
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167・受田新吉
○受田委員 国民の祝日が従来九つあり、三つ追加されたわけですが、他の祝日について文部省の通牒を出されておる事例はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/167
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168・剱木亨弘
○剱木国務大臣 祝日に関しましては、小学校、中学校、それぞれの指導要領に休日の取り扱いが書いてございまして、祝日に学校において儀式その他の行事をやる場合におきましては、国歌を斉唱し、国旗を掲揚することが望ましい、こういう指導要領のことがございます。それで、現在におきましても、他の祝日におきましても学校において行事をやっていることになっておるのでございますが、現実の問題といたしまして、現在の状況では去年制定された体育の日ですか、あれに体育行事を——これは式ではございません。行事をやるという例があるだけでありまして、あとは全部休日として取り扱っておる、そういう現状にあるのでございまして、指導要領の線に沿ってこれを行なうということを通知したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/168
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169・受田新吉
○受田委員 祝日の趣旨徹底をはかる学校の訓示、説話、こういうものは文部省としてある程度示しておられるのですか。なぜ休むかという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/169
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170・剱木亨弘
○剱木国務大臣 もちろん祝日を記念の行事といたします場合には、学校におきましてどういう趣旨でこの記念の日にこの式をやるかということを学校で各生徒、児童に話をするようにと、指導要領には書いてあるのです。でございますから、紀元節の日におきまして、その趣旨を知らせるということのいわゆる統一解釈といいますか、文部省の解釈ということも、私としましては必要だと思っております。ただ、これはなかなか問題がございますので、文部省の公定解釈として出しますのには、なお十分検討いたしまして出さなければならぬというので、今度のこの建国記念の日には、事前にこれを出すということで間に合いませんでしたけれども、私は十分検討いたしまして、そういう問題をできるならばこの次の建国記念日には間に合うようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/170
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171・受田新吉
○受田委員 子供が何で休むかわからぬであすはお休みというのでは、これは国民の祝日が制定された趣旨に反することになると思うのです。国法ですから、国の法律の趣旨の説明もなしに、あすはお休みだ、これは非常に無責任だと思うのです。この前は間に合わなかった。しかし、法律が施行されてすでに一カ月以上たっているから、建国記念日はなぜ休むのかの理由ぐらいは、すかっと文部省で立案してこれを示さなければならなかったと思うのです。学校では、おそらくあすは建国記念日だから休むということで、子供たちは何ら様子がわからないままで、休みが多いほどいいからお休みになる。ここには一つの問題があると思うのですよ。文部省が、祝日が制定されたにかかわらず、なおその祝日の趣旨を徹底せしめることのできないような理由が、建国記念の日にあったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/171
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172・剱木亨弘
○剱木国務大臣 そういったような意味のことは、通牒にはっきり書いてあります。特に建国を記念する日をお祝いするということは、これは当然に国家として建国を記念すべきことだということは、学校におきまして先生がそのくらいのことは言うのではないか。これは常識的な問題でもございますし、何も公定解釈を示さなくとも、学校でできるはずでございます。また、通牒にもいわゆるこの日の記念日として定めました概括のことは書いて、通牒を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/172
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173・受田新吉
○受田委員 大臣の御意思を承りたいのですが、祝日の日には、従来は古い祝日のときにお祝いの歌がありましたね、式歌が。こういうものは、新しい祝日でやはり古いものを歌っているところもあるし、歌わないところもあるということであるが、国旗を立て、休むと同時に、式歌というものを制定する意思がおありかどうか。これは官製でなくして、公募してもいいわけですが、学校によってかってなことをやっているようでは統一がとれない。建国記念の日に、「雲に聳ゆる高千穂の高根おろしに草も木も靡き伏しけむ大御世を仰ぐ今日こそ楽しけれ」という歌がある。これをそのままやっているところもあれば、これはもう古い、神話的過ぎる歌だというのでやめているところもある。そうすると、また新しい歌が生まれていいわけですね。そういう意味では、文部省の指導方針として、国民全体が国法に基づいてこぞってお祝いする祝日をたたえる式歌というものの必要があるのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/173
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174・剱木亨弘
○剱木国務大臣 いま、いままでの紀元節の歌を歌っておる学校もあるかと存じますが、これも歌ってならないというような禁止はないわけですから、学校で皆が認めて歌うものなら差しつかえないと思いますが、しかし、全国民が建国記念の日を式として、学校で儀式をやるという場合になりますと、仰せのとおり、やはり式歌というものを考えなけりゃならぬと思います。しかし、現段階におきましては、まだそういう式歌をきめて、国民にそれを全部斉唱しろという状態ではないと判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/174
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175・受田新吉
○受田委員 大臣は、もちろん行政の責任者として、君が代を国歌として今後とも尊重し、これを後世に伝承せしめることが適当であるとお考えかいかがか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/175
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176・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これも、指導要領にもはっきり書いてありますように、式をやります場合には国歌を斉唱することが望ましいと書いておりますし、現在やはり私どもは、全国民が国歌として斉唱することは好ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/176
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177・受田新吉
○受田委員 そういう指導要領の規定は、これは好ましいという形であって、強制ではない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/177
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178・剱木亨弘
○剱木国務大臣 儀式のやり方について一定の形式を定めて、それによってこのとおりやれというような規定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/178
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179・受田新吉
○受田委員 これはなかなか扱い方にむずかしい点があると思います。国歌については、これは大臣の御所管でない問題ではありますけれども、新しく国歌を制定してはどうかという動きもあるわけです。また学校教育というものは、他の地域社会の基準になるような行事が従来は展開されてきたわけで、国民の祝日についての奉祝行事というものも、やっぱり学校が地域では中心になってくるんですね。だから、学校でやってもやらぬでもいいというような形ではなくて、何かの目標をはっきり示して、私はむしろ文部省から、指導要領の中にある程度すかっとした——いま建国記念日については、一年のうちに何とかしたいとおっしゃった。ある程度、すべての国民の祝日に対する文部省のより高い指導理念を実践せしめるような方向に持っていっていいと思います。そういうところをひとつ英断をふるってもらいたい。
私、今度は法律に触れていきますが、学校教育法の中にある大学から幼稚園までの諸制度、その中に、高等専門学校としては工業高専が一ついまうたわれているだけで、それから今度政府がお出しになる商船高専が一つ生まれてくるわけです。ところが、国立のみでなく、公立、私立まで認める制度の中で、商船高専だけは国立一本しかない。これは私立を認めていないわけです。そこに高等専門学校の制度としては、国立だけの商船高専と、その他の私立の設立を認める工業高専がある。そういったようなものを、短期大学制度がすでに学校教育法の体系の中に出ている以上は、高等専門学校という体系をひとつ学校教育法に打ち立てて、その中に工業高専あり、高船高専あり、また農業という——由来瑞穂の国と称せられるわが国では、農業高専をつくってほしいという要望も相当根深いものがあるわけでございますから、高等専門学校制度を学校教育の体系にひとつ打ち込んで、その中にそうした分類的な、職種的な学校をつくるという、そういう体系に文部省としては持っていくのが適当と思っておられるか、あるいはそうしないほうが適当と思っておられるか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/179
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180・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私どもはこの工業高専の制度をつくりますときに、技術革新の現代におきまして、それに即応するような技術者養成学校教育がぜひ必要だということから、高専の制度を推進するような気持ちでやってきたわけでございますが、高専制度をつくりますときにいろいろ論議がございまして、これは一つの六・三制のこぶのようなものだから、それは六・三制の学制の中の一つの本筋のものでないという意味において、あまりつくるべきじゃないという意見もあったようでございます。今日高専をつくってみまして、高専自体が実社会に相当役立っているというような面から、相当広く拡大すべきではないか。特に、ただいま申されましたように、農業高専というようなものはぜひつくる必要があるじゃないかという主張が、相当あると思います。でございますので、今回は、仰せのとおりに工専に加えまして商船高専だけを——まあ、これは国立しかございませんけれども、おそらく商船高専というのは私立ではなかなかつくりにくい学校だと思いますが、とりあえず商船高専の制度を設けまして、御審議をお願いすることにいたしたのでございますが、しかし、高専の制度をどのように拡大していくべきか、教科についてどのように拡大していくべきかということは、相当調査を必要とすると存じまして、今度の予算が通していただけますならば、私ども、学職経験者その他関係の方を集めまして、また文部省でもこれにつきまして研究調査をいたしたい。そうして、どのように高専を拡大していくか、学科その他につきまして、また社会的需要でございますとか、農家といたしますと、現在でございます農業大学、農学部、あるいはまた農業高等学校の関係その他のものとの関連を十分調査しまして、そうして拡大すべき教科につきまして、この一年で十分研究してみたい。そうしてその結果によりまして、高専制度をどのように拡張するかを決定していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/180
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181・受田新吉
○受田委員 御構想を承ったのでございますが、これはいま中教審のような審議会等で、また別の審議会を設けてやるのか、あるいは従来の審議会で御相談するのか、あるいは個人的な大臣のブレーンをお集めになって御相談されるのかどうか、まだ明らかではないのでございますが、その方式はいかなる方式を採用されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/181
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182・天城勲
○天城政府委員 大臣の御答弁にちょっと補足さしていただきますけれども、実は商船高専をつくりますためにも、約二年ほど、専門の方々にお集まり願いまして調査会をつくって、商船教育として五年制のものを、高等専門学校にどういうふうにカリキュラムを設定していくか、社会的な需要という観点から、かなり時間をかけて専門的に研究をいたしました。いまお話のございましたたとえば農業につきましても、やはり五年制で考えた場合にそのカリキュラムをどうするかということ、あるいはこの農業高専の卒業生というものは、農業高校あるいは農業大学、農学部の卒業生との間でどういう社会的地位にすわるべき人かという点も、十分検討していかなければならぬ。また、そのほかの分野からも、経済関係からも、あるいは芸術関係からも、その他の技術面で五年制のお話もございますので、かなり専門的な検討をいたしたいと考えております。制度全体といたしましては、現在の法律で高専というものは一応設定されておりますから、われわれはどういう学科に発展していくかということを専門的に検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/182
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183・受田新吉
○受田委員 大臣、短期大学制度というものと高等専門学校制度というものと、類似の制度が二つあるわけです。これにはまたいろいろ意見があって、短期大学制度というものがあれば高専というものは必要ないじゃないかという意見もある。しかし、ことし高専を卒業した者の売れ行きが非常にいいということから見ると、工業高専をつくったのは間違いでないという答えも出た。これは学校制度を文部省がどうつくるかについては、やはりその先見の明があったかないかということにもなるわけです。短期大学が持つ持ち味のよさ、高専の持つ持ち味のよさ、両方を十分生かしながらこの二つを発展強化せしめることが、日本の教育制度としては最良であると思うのです。
ただ、ひとつここで中教審の答申などにも関連するのですが、初期普通教育というものを幼稚園まで下げるかどうかという意見が出てきておる。幼稚園教育というものを義務教育の過程で、初期普通教育の過程で生かす道として、義務教育にするか、従来のままでいいかということについて、意見もいろいろあるわけですが、学齢期を一年下げるという見解についての大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/183
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184・剱木亨弘
○剱木国務大臣 最近におきまして、幼児教育、特に幼稚園教育ということは、非常に重要な教育として取り上げられてまいりました。また仰せのとおりに、義務教育年限を下に一年下げる、もしくは二年下げるという御意見も、相当あるようでございます。しかし、私といたしましては、義務教育年限の延長ということは、なお延長すべきだと思います。国力のいかんに関係しますけれども、しかし、これは義務教育を下に延ばしていくべきか、あるいはまた高等学校の線にこれを延ばしていくべきか、重大な問題だと思います。現在の六・三制の学制延長とも関連しまして、私どもは今日の六・三制がはたして将来の日本の教育の体系として適当であるか、こういうようなものを含めまして、私は、実は四十二年度の予算につきましても、そういう調査を含めての予算を計上させていただいております。これからそういう問題をあわせて——幼稚園に延ばすべきか、上に延ばすべきか、あるいは両方延ばすべきか、これらの問題を含めて十分これら学制の問題は慎重に研究する必要があると思います。研究を四十二年度から開始したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/184
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185・受田新吉
○受田委員 法律に直接関係する定員の問題ですが、三千人ばかり大学の先生をふやす。きのう、私、資料を要求しておきました。大学設置基準に基づいて教授の資格を有する者の一覧表を要求したのですが、教授、助教授、助手、講師という大学の先生の定数の分類というものが出ておるのではございませんか、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/185
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186・天城勲
○天城政府委員 御質問の趣旨をこう了解いたしますが、この三千名の教員の中には、それぞれ教授、助教授、助手という区別があるか、そういう御質問でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/186
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187・受田新吉
○受田委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/187
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188・天城勲
○天城政府委員 これはそれぞれ置く場所によりまして、ここには教授を入れる、ここには助教授を入れる、ここには助手を入れる、不足の教官を入れる定数を全部きめてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/188
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189・受田新吉
○受田委員 そこで、民間から大学の先生を招く、高等学校から招いたりする。そのためには四月一日からこの法律を施行しておかないと、送り出すほうは送り出したけれども、受け入れるほうは宙ぶらりんだという危険があるから急ぐんだという御説明と私は承っておるわけですが、しかし、これはほかの役所でも同じことがみな起こっていると思います。文部省だけでなく、他の官庁でも、ことし大学を出る者あるいは民間からの採用予定者を四月一日から予定しておかなければならないものが、暫定予算の関係から六月になったとすると、その二カ月間はいわゆる常勤的な臨時職員のようなかっこうになってくる。これは他の省もみな同じで、大学の先生だけに限らないと思いますが、それを比較検討されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/189
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190・天城勲
○天城政府委員 このたび暫定としてお願いしております三千三十五人でございますが、その中には、いわゆる学年進行とわれわれが呼んでおります分野の教官定員が二千七百七十八名おります。これは御案内のとおり、大学では学部、学科が設置されますと、一ぺんに四年分入れるわけでございませんで、当該年度は学生も一年生だけでございます。二年、三年、四年と、一年ごとに上の級に上がってくるわけでございますので、それに応じて教官を入れております。したがいまして、たとえば二年次まできております新設の学科は、当然四月から学生は三年へ上がってまいりますので、それに見合う教官を入れないと教育ができないということが一つございます。それから新規の場合につきましても、学科の新設あるいは学科の拡充、あるいはそうでない場合の形の学生増募等は、みな四月の新学期から学生が入ってくるものでございますので、これに見合う教官がどうしても必要である。そのほか、法律で新しい学部の設置でありますとか、新しい学科を設置いたします場合には、これは年度当初——いまお話しのような場合には、若干ずれましても、あと年間で授業日数、休日等を調整しながらカバーもできますが、やむを得ないものだけをお願いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/190
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191・受田新吉
○受田委員 今度商船高専ができるわけですが、これは五月か六月にできたとして、そこで必要な職員を新規の増減の表の中に出ている中で、増の分を商船高専との間で、もしこれが四月一日から商船高専ができたとしたら、流用できる道もあったわけですね。そうだったわけですね。四月一日から商船高専の教授、助教授になる人を既設の大学、高専から横すべりさせるということも、可能であったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/191
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192・天城勲
○天城政府委員 四月から商船高専を発足させる場合には、私たち商船高専の分として定員はあわせてお願いするつもりでおりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/192
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193・受田新吉
○受田委員 したがって、ここの新規増の分だけふえる。同時に、さしあたり従来の既設の学校におった先生が横すべりすることもできる、事実そういうふうにしてありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/193
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194・天城勲
○天城政府委員 いまのお話は、具体的に商船高専五校は、現在高等学校として五校ございますが、制度は新しいのでございますけれども、実質的には商船高専に転換するわけでございますので、ここにおります高等学校の先生は、個人につきましては、資格のある人は高専に吸収されてまいりますし、定数上も高等学校が一年がなくなって高専の一年ができるわけでございますので、高専の教官として定数は移す。増員分の振りかえという形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/194
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195・受田新吉
○受田委員 それが商般高専がおくれていなければ、もっとこのことがスムーズに行ったはずだということが言えますね。そうでございますね。
そこでもう一つ、博士の学位を有する者、これをひとつ大いに奨励して、民間から篤学の士を発掘する必要があると思うのです。文部省は大学院制度ができると同時に、一時、一般の従来の博士の学位を得る道を一応ふさいでおった、大学院を出なければということで。ところが、またそれを復活してきたようでございまするが、博士養成の文部省の方針を承りたい。博士は無条件で教授の資格を持つことになるので、大学の先生充足の手段としてはまことにいい制度だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/195
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196・天城勲
○天城政府委員 新しい学校制度になりましてからの博士の授与のしかたでございますけれども、御案内のとおり、大学院におきます課程博士、大学院に在学して一定の単位をとり、論文が通り、そして最後に博士試験を通るということでございますので、原則としては在学しなければならないということでございます。しかし、原則はそこに置いておりますけれども、なお、いわゆる従来言っておりました論文博士の道も、現在残っております。ただ、現在は昔と違いまして、論文提出と同時に試験だけは受けていただくというやり方になっております。道はその二つでございます。
実は御指摘のように、大学も拡充してまいりますと、大学の教官の補給ということが非常に大きな問題になってきますし、また他の部面におきましても高度の研究者が必要になってきますので、私たち大学院の拡充ということを一つの政策として考えておるわけでございます。できるだけ有能な若い学徒を大学院で教育して、大学の教官ないしは研究者として養成しなければならぬ、それを一つの大きな使命と考えております。一方、いわゆる従来の論文博士でございますが、実は前に、試験に語学の必須の問題がございまして、かなり不十分であるというお話があったりいたしましたのですが、これも各大学である程度弾力的にできるようにいたしておりまして、現在、いま数はちょっと覚えておりませんけれども、学内から進んできた課程博士以外のいわゆる論文博士も、かなり出ております。この両面から博士をつくっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/196
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197・受田新吉
○受田委員 大臣、国立大学には夜学部の設置が非常に少ない。勤労学生に門戸を開放するという意味から、地方の国立大学にも夜間部を設置して、勤労しながら学問のうんのうをきわめる篤学の士を養成すべきだと思うのです。施設をそのまま生かせる方法もある。先生もそのまま夜勤務していただけば、両方兼ねた場合には手当も増額されるわけなんです。教育の普及という意味からいっても、地方の国立大学へもそれを波及せしめるという、夜間部の設置を文相としてお考えじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/197
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198・剱木亨弘
○剱木国務大臣 全くお説のとおりでございまして、私ども国立大学にぜひ夜間部を置きたいということで、ずいぶん昔から研究もし、相談もしてまいったのでございますが、現在夜間部で一番必要なのは、理工系ができたら夜間部を置いてもらいたいのでございますが、現在の事情では、大学におきましては夜間部の理工系というのはなかなかむずかしゅうございまして、実験なり研究が夜間にわたりまして行なわれておる場合に、二重に重なるということは非常に困難です。これはずいぶん研究してみたのでございますが、ただいま国立大学の夜間部の理工系でしたら、短大で併設しておる場合がありますけれども、四年の大学に夜間部をということは、非常に困難な事情がございます。そこで文科系統になりますと、これは夜間部をやろうとすればできぬことはないのでございますが、これにつきましてはいろいろ私立大学のほうの関係もございまして、夜間部を国立においてやるかどうかということは、非常にむずかしい問題がございます。そういうようなわけで、現在のところ国立につきまして夜間部設置がなかなかむずかしいという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/198
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199・受田新吉
○受田委員 皆さんに御迷惑ですからこれでおきますが、大臣、医師養成機関としての国公私立大学の医学部あるいは単科の医科大学、これはまたばかに設備もかかることなのですが、医師の充足状況と、それから大学における医学生の養成との関係は、どう判断しておられるか。医師は増員して養成しなくてもいいのかどうか。国民保健衛生上の問題として、有能な医師をもう少し養成する意味において、私の判断では、国公私立とも医学生の募集定員をふやしていいのじゃないかと思いますが、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/199
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200・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は、御承知のように、終戦直後におきまして、大学数によりまして、前の定員のとおりすれば医師の養成が少し過剰になるというようなことがございまして、四十名の定員の大学とかあるいは六十名とか、八十名とか、定員を非常に限定してやってまいったのでございますが、だんだん医師の要請が多くなりまして、国立におきましては、過去二、三カ年にわたりまして多少ずつ定員をふやしてまいっております。今日、私学におきましても、おそらく四十名、六十名の定員のところ、医師の要請がございますれば、各学校に多少の定員を増加していくということは可能でございます。これは医師の実際の要請の数の問題でございますので、厚生省とも十分打ち合わせた上で、必要があれば定員の増ということは行ない得る状況だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/200
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201・受田新吉
○受田委員 私は特に私立大学の振興の上において——医学部を志願すると、私立大学の場合、相当高額の施設拡充費というものを現実に寄付しているのです。そうすると、その寄付を負担する能力のある子弟しか入れない。力あっても負担能力のない者は入れないということが起こってきておる。これは非常に国家的な重大な問題だと思うのです。そこで、国が私立大学の医学部というものに力を入れて、理科教育振興の意味から大幅な国家予算でもつぎ込んでお手伝いをしてあげて、私立の医科大学というものの入学者をして財政負担を——まありにも高額です。そういうあまりにも高額の負担をなさしめないような措置をとる必要はないのか。現実に本年の私立大学医学部あるいは単科大学にいたしましても、相当高額な施設拡充費をとっておる。これは私は大学としてはやむを得ない事情があると思いますが、これを野放しにしていいものかどうか。大臣もその寄付金の実態を知っておられると思うのです。私学の苦労がにじみ出るような、そしてその負担能力のない者は合格しておっても入れないという実情にあるということも、御存じだと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/201
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202・剱木亨弘
○剱木国務大臣 いま私学の医学部に入学するにつきまして相当の施設費なり寄付を要求されておりますこと、事実私も存じております。ただ、現在の状況におきまして、私ども、これは医学部に限りませんが、私学全体といたしまして、大体授業料に依存してまいっておりますし、授業料の増加も今日相当限界にきておると思う。私立学校の経営について非常に困難な事情にございますので、これを国家的にどう救済していくか、この意味において、ただいま調査会におきましてこの六月に最終答申をいただくことになっております。その答申に基づきまして、抜本的に私学の経営に対しまする国家的援助ということを決定していきたい。今日の医学部におきまして、第一定員も少のうございますし、それから医術教育に対する金が相当要ることも事実でございますので、現段階においてそういうことをやめなければけしからぬということを強制するわけにはいかない面もございますので、そういうことをしなくて済むように、これを国家的にやはり考えなければならぬと思います。これは早急にその結論を出して、抜本的な私学援助に関します施策をきめてまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/202
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203・受田新吉
○受田委員 終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/203
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204・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、明二十四日午前十時理事会、同十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X00219670323/204
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