1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月二十六日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君
理事 細田 吉藏君 理事 大出 俊君
理事 山内 広君 理事 受田 新吉君
稻葉 修君 内海 英男君
桂木 鉄夫君 木野 晴夫君
佐藤 文生君 塩谷 一夫君
高橋清一郎君 橋口 隆君
中川 一郎君 藤波 孝生君
稻村 隆一君 木原 実君
武部 文君 浜田 光人君
山本弥之助君 米内山義一郎君
吉田 之久君 伊藤惣助丸君
鈴切 康雄君
出席国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
国 務 大 臣 二階堂 進君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
文部政務次官 谷川 和穗君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局長 齋藤 正君
文部省大学学術
局長 天城 勲君
文部省体育局長 赤石 清悦君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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五月二十六日
委員赤城宗徳君及び井村重雄君辞任につき、そ
の補欠として木野晴夫君及び中川一郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員木野晴夫君及び中川一郎君辞任につき、そ
の補欠として赤城宗徳君及び井村重雄君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一三号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/1
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002・受田新吉
○受田委員 科学技術庁長官に、締めくくりの意味でなくて、ちょっとあなたのほうの法案の扱い方に対する疑義がありますので、一言だけお尋ねをしたいと思います。
当委員会に出ている科学技術庁設置法の一部改正案、これは私は一応質疑も終わりまして、科学技術振興の行政機構を拡充強化するという意味において、賛意を表します。ところが、科学技術振興対策特別委員会においてもう一つ、この科学技術庁設置法の根っこの法律を改正する規定が、ちょっとどろなわ式にここへ改正案として出ているわけです。それは動力炉・核燃料開発事業団法案、この法案の附則の第二十条に「秋学技術庁設置法の一部を次のように改正する。第九条第八号中「原子燃料公社」を「動力炉・核燃料開発事業団」に改める。」という例の第九条改正、これは科学技術庁設置法のこの法律の改正になるのです。そうですよ、大臣。それをあちらの実体法にかこつけて、この国家行政組織上の基本法を改めているわけです。このことは、私たちとして、今度の向こうさまの動力炉の事業団をつくることについて、基本的に考え方が違うものですから、反対をしたい。しかし、科学技術庁設置法の今回提案されているのには、一応賛意を表したい。ところが、この動力炉の事業団のところを一緒にひっつけておったならば、これは反対せざるを得ないということになるわけです。はなはだデリケートだ。ところが、あなたのお役所は、科学技術庁設置法の一部を改正する法案を一方に出し、さらに一方の委員会には、実体法を扱う委員会では、その根っこの核燃料開発事業団法案を事実上お出しになっている。これはいかなる経緯があったか、御説明を聞かぬと、たいへんむずかしい問題でありますので、ひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/2
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003・二階堂進
○二階堂国務大臣 いま受田先生からのお話でございますが、本来ならば、これはやはり設置法の中に含めて出すのが筋だろうと、私もいま御意見を承って感じたようなわけでございますけれども、実を申しますと、この科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、ただいま御審議願っておるこの法律は、昨年からいろいろ研究、検討しておりました法案でもございますし、また、内閣に提出いたしましたのが、三月十七日でございます。委員会に付託になったのは三月十八日でございますが、ただいまこれから御審議願おうとしております動力炉・核燃料開発事業団法というのが、なかなか込み入った法律でございまして、時間もかかりまして、したがって、委員会に提出いたしましたのが五月十九日でございまして、ずっとおくれたわけでございます。この間のいきさつから考えまして、昨年からやっておりました、いま御審議願っております科学技術庁の設置法の一部改正、これを先に出して、そのあと動力炉関係の事業団法がまとまったわけでございますので、順序から申し上げましても、筋からいいましても、御指摘のとおり、少し筋違いのうらみはございます。これは率直に認めます。認めますが、そういう関係で法案の成案がずっとおくれてしまったということで、あと追いかけてこの中の二十条、附則でこういう規定を設けた、こういうのが私の感じでございますが、本来から申しますと、いま受田先生がおっしゃったとおり、一つにして出すべきことだと思います。ところが、法案の成文が一方のほうがずっとおくれてまいりましたので、いま御審議願っておるのは、昨年からずっと検討して早くから準備ができておったというようなことでございまして、御指摘のことはそのまま私もそうなければならぬと思ってはおりますが、これを一緒にして御審議願うのが当然ではないか。同じ設置法の一部改正に関する規定でございますが、しかし、そういう法案の関係のいきさつもございますので、御了承願いまして、ただいま御審議願っておるものはそのままひとつ御承認をお願い申し上げたい、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/3
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004・受田新吉
○受田委員 今後科学技術庁は十分注意して、こういう法案改正が同時に提出されるという本則に立ち返ってもらいたい。御注意申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/4
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005・關谷勝利
○關谷委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/5
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006・關谷勝利
○關谷委員長 これより討論に入るのでありまするが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/6
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007・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/7
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008・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/8
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009・關谷勝利
○關谷委員長 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/9
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010・大出俊
○大出委員 設置法の中身はたくさんございますけれども、先般の暫定予算通過の際にあたりましての関係設置法改正、特に文部省案につきまして、外国人学校制度の問題についての御質問を申し上げたのですが、以来今日までどうもお出しになるのやら出さぬのやらわからぬのでありますが、まずもってその点を明らかにしていただきたいのですけれども、文部省の皆さんの側としては、学校教育法の改正、その中に外国人学校の創設等を含んでお出しになるのかどうか、この点を冒頭に大臣に承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/10
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011・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は、学校教育法の改正は、御承知のように外国人学校制度、各種学校の格上げの問題、それから商船高専を創設する、この三点につきまして学校教育法の改正をお願いするつもりで立案しておりましたが、だんだん提案に至ります過程におきまして遅延をいたしまして、今回国立学校設置法の一部を改正する法律案に関しまして、商船高専の創設をいたします部分を附則で修正を国会でいたしまして、衆議院を通過いたしたのであります。そこで、あとに残りました各種学校とそれから外国人学校の問題でございますが、これは特にその中でも、私どもとしまして各種学校の改正は非常に重要な面を含んでおると思います。その案につきまして、外国人学校といえどもこの前私どもは説明申し上げましたように、現在の各種学校を改正いたしますと、外国人学校の教育というものを全然法の保障の外におくということは非常な問題点がございますので、ただいまこの案の内容につきまして、いろいろ外国人学校につきましては、誤解に基づくと私どもは考えておりますが、非常な反対運動もございまして、党のほうではそういう取り扱いをいま考慮中でございます。私どもとしましては、ぜひこの国会におきましてなお提案したい、こういう念願であります。ただ、その取り扱いにつきましては、私の立場としまして、私どものほうの党の決定に一応おまかせしておる状態でございます。しかし、私としましては、提案をしていただくようにできるだけ今後努力してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/11
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012・大出俊
○大出委員 あらためてそれは御質問を最後のほうで申し上げますが、その前に少し承っておきたいことがございます。この間私が大臣に御質問を申し上げましたときに、反日教育の拠点になっては困る、こういう御答弁がございました。私はここに議事録を持っておりますが、そこで、それならば反日教育の拠点に現在なっているところがあるのか、こう御質問を申し上げましたら、大臣はいまあるというわけではないとお答えになりました。いまあるというわけでなければ、ないのに世上いろいろな紛争を起こすということはよろしくないではないか、ないのになぜそういうことをおやりになるのか、こう承ったところが、大臣は前言をお変えになりまして、あるかないか実は私も承知していない、こういう実は答弁になりました。そこで、あるかないかわからぬというたよりないお話ならば、大臣が新聞等に述べておられるように、反日教育をやったような学校は閉鎖命令、立り入り検査まで出てくるということになると、その判定はどなたがおやりになるかと言ったら、結果的に文部大臣である私がやることになる、こういうお話なんで、あるかないかわからぬとおっしゃっておるのに判定のしようがないではないかという実はやりとりになっておるわけなんですが、この反日教育の拠点というのが、その後いろいろ、あのときも実は申し上げようと思ったのですけれども、実は与党の皆さん方の調査会の中でこれは相当明確に書いておられるわけなんですね。したがって、私は、あのときに、それならこれはあるかないかわからぬとおっしゃっているんだけれども、それは朝鮮人諸君の学校のことじゃないかということを申し上げたのですけれども、どうもそうではないという意味のことをお話しになりましたが、これはだいぶ明確になっているように思うのでありますけれども、政党政治でございますから、いまたまたま大臣の口から、与党のほうがというお話がありましたので、そうでなければ私は御無礼な質問はしないのでありますけれども、いま御答弁の中にございましたから、それについて承りたいと思いますが、与党の皆さんの中で、この問題に触れて調査報告が出ておるのでありますが、御存じでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/12
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013・剱木亨弘
○剱木国務大臣 与党から朝鮮人学校の問題といいますが、調査報告、まだ私……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/13
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014・大出俊
○大出委員 それではちょっと簡単に、これは現実にある文章ですから、読み上げましょう。「わが国の安全保障に関する中間報告」というのがございますね。これは六六年の六月二十二日でございます。その中の文章を読みますと、「わが国は日米安保条約の存在により、他国から直接の軍事的挑戦を受けるような恐れは少ないが、」つまり直接の軍事的挑発を受けるようなおそれは少ない、こう断定しておられますが、「いわゆる間接侵略による危険は現状においてもすでに存在している。」こう明確に書いております。間接侵略、このほうの危険は現状においてもすでに存在している、こう言っているわけですね。直接侵略の挑発を受けるおそれはない、しかし間接侵略についてはすでに現在その危険が存在している、こう述べられて、「厳重な警戒を要するものに、北鮮政権からの破壊的、革命的な工作がある。とくにわが国に多数存在している北鮮系学校は、わが国において反日教育、革命教育を実施し、このままでは将来わが国に重大な脅威となろう。」こう書いてあるのですね。最後のほうは、わが国の安全保障の上で最も警戒しなければならない、こういうふうにこの項は結んでいるわけですね。そうなりますと、大臣いみじくも先般の私の質問にお答えになって、反日教育の拠点になっては困る、こういう御答弁でございました。したがって、私は、現在その種の反日教育の拠点になっていることがあるか、こう御質問したら、現在あるというわけではない、こうお答えになった。私はあの時点で冒頭に申し上げておきましたように、あらためて御質問申し上げるつもりだ、理事会でもそういう取り計らいになっておりますから、したがってここで多くは申し上げない、承ることだけにする、こう言って御質問したりでありますが、たまたまこれは、政党政治というたてまえで、いま大臣が与党のほうの皆さんの、ということをお話しになっているわけですから、知らぬとおっしゃるのだけれども、もし知らぬとすれば、これは与党出身の大臣という立場からすれば、きわめて不見識な話だと私は思うわけでありますが、いま私が読み上げましたのと、あなたが言われている反日教育の拠点とは、どういう関係にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/14
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015・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は、これは私のほうのお願いをしたいことでございますが、この法案を私はもちろん出したいと現段階においては思っておりますけれども、またこの法案の立法趣旨として、日本が終戦後におきまして、かつては日本の国籍を持っておりました朝鮮人が、終戦と同時に外国人という、日本の国籍を失う状態になりました。しかもその朝鮮人が六十万近くと称されておると思いますが、国内に相当長期にわたりましておられるわけでございます。そういう意味合いの状態におきまして、過去におきましてはいま調査中とかいろいろな点で言われたような点についていろいろな論議がございましたが、私どもといたしましては、日本と朝鮮人との間におきまして、この歴史的事実におきまして、わが日本の国土の中に共存しておる限りにおきましては、私はやはり相互信頼の精神に立って、国際親善の精神からこの法案というものを考えなければいけない、こういう意味合いにおきまして、この法案を提案する決意をいたしたものでございます。もちろんその中には、おっしゃいますとおりに、反日教育を禁止いたしますし、また、それの場合において立ち入り検査というような条項も含まれております。ただ、これは、私どもとしましては、文部省は元来におきまして警察権ではありません、文部省の学校におきましても、当然においていろいろな調査その他の問題がございましても、立ち入り検査ということはほとんどやっていないのであります。これは私は、もちろん日本でやる以上は、私どものほうも国際親善の意味におきましてその学校を認めるのでございますから、朝鮮人学校のほうにおきましても、国際親善の意味に徹して、日本にある限りは、日本の国益に反しないような自発的な心がまえをひとついたしてほしい。しかし、これはそういうことをしなければならないと一応書きましたのは、そういう意味合いにおいて、これを警察的な対象の処理としないで、文教の中に抱き込んで、平和と申しますか、平穏のうちに朝鮮の民族教育が行なわれていく、このことを私どもは熱望して起案をしたものでございます。したがいまして、立ち入り検査とかこういったような問題は、私ども警察権でございませんから、もし双方において、その国際親善という意思を無視しまして、対立的な抗争の姿において行なわれる場合においては、これはなかなか文部省の役人の立ち入りというような問題は、でき得ない問題だと思うのでございます。やはり法規上そういう一定の規定はもちろんしておかなければならない。しかし、私どもとしては、いままでの考え方を大きく変えまして、国際親善の立場に立ってこういう法律を出すべきじゃないか、こういうことからきた問題でございます。私、この前に、そういう状態は存じません、あるいはわかりませんと申し上げましたが、そういう状態が存在することがわかっておるならば、その拠点であるならば、いかに国際親善の立場とはいいながら、そういう民族教育を許可する、法律で保障するというような法律を出すこと自体が、日本の国益に反することになると思うのでございまして、私どもは、そういう法律を出して、平穏にそういう教育が行われることを期待し、またそう確信しまして、この法案を出すのでございまして、自民党の調査とか、公安調査とか、いろいろなものがあるかもしれませんが、私は文教の関係として取り上げる限りにおきまして、さようなことを予定し、さような取り締まりというような目的をもってこの立法をすべきでないという確信でございますので、こういうことがあるのじゃないかとかいうようなことにつきましては、特にこの際朝鮮人の方々を刺激しないように、私どもとしてはあくまで平穏に教育が行なわれ得るものと確信をいたしまして提案したいと思っておるのでございます。現在、私どもの誠意に対しまして、いろいろ過去の歴史がございますので、在住の朝鮮人が私どもに対して信頼を置けないという態度に出ておられるのも、これは私は歴史的な問題として、その誤解のあることをとがめるわけにはいかないと思います。しかし、私は誠意をもって必ず誤解を解くことができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/15
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016・大出俊
○大出委員 私は、剱木さんが文部省においでになる時代から存じ上げております。事務次官におなりになる前から存じ上げておるわけで、総評の本部の副議長等をやっておりましたから、日教組の役員の皆さん方とお伺いしたこともありまして、官房においでになるときにもお目にかかったことがあります。その意味では全くの教育畑出身の大臣でもございますので、おっしゃることはそれなりに受け取りたいと思います。ただ、いまのお話の中で一つどうしてもふに落ちませんのは、相互信頼というものを出発点にしてものを考えていこうとなさるのならば——これはたとえば一般の公務員諸君と政府との関係におけるILOのドライヤー報告ではございませんけれども、相互信頼のイニシアチブというものはどちらがとるべきものかといえば、それは時の為政者の側がとるべきですよ。これは当然だと思う。だから、ILOの調査団の報告も、総理大臣がということばを使っているわけですね。総理大臣のイニシアチブによって相互信頼の回復をはかれといっておるわけですね。今回この問題、安保調査会の中間報告を読み上げましたが、現にあるといっている。現にあって、それが両国の親善あるいは両国民の親善という意味において、あるいは理解という意味において欠けるものがあるとするならば、その意味における信頼は回復をしなければならぬ。なぜならば、国交回復する、しないにかかわらず、隣の国に間違いはない、そうだとすると、その相互信頼の回復の中心は何かというと、それは大臣は相互信頼のためにかくかくあるべきだという論文を書いたわけでもなければ、御発表になったわけでもない。いきなりぽかっと出てきたのは、閣議決定に基づく反日教育の禁止という形、しかもそれは法律を改正して、法規に基づいて立ち入り検査から始まって閉鎖命令に——十三条は閉鎖命令ですが、閉鎖命令にまで相関連をして、三条件とその他というのを前段にうたって、こういう場合には立ち入り検査をやるのだ、そして十三条、十四条の関連で閉鎖命令もしくは変更命令を出すのだという形の規制のしかたをいきなってっぺんから出してくるということが、はたして相互信頼の回復になり得るか。私は、相互信頼というものは、法律規制じゃないと思っている。もっと人間的なものだと私は考えている。しかも、教育の分野においてものを言おうという限りは、より人間的でなければならぬと私は思っている、そうすると、今日までの経過を振り返って、そういう出し方だからこそ、誤解とおっしゃるけれども、たくさんの反論が出てくるわけです。だから、そこのところを——私はいま大臣の言われることがわからぬわけではないけれども、相互信頼を持ち合うのだということが前提になるならば、なぜいきなりこの種の閣議決定を表に出して談話を発表されて、しかも大臣談話というものはここにありますが、二月の十八日の東京新聞に「野党側の強い反対を押しきって、日本の歴史を否定するような反日教育は絶対に締めださなければならない」これは文部大臣の談話ですよ。こういうものの言い方が——もう一ぺん言いますが、二月の十八日の東京新聞をお調べいただけばわかります。ここに引例してあるとおり書いてあります。私も調べてみました。こういうふうな形のものが、かりにそれが不用意であっても、新聞に次々と客観的な形をとったのでは、相互信頼を持ち合うということにはならない。ここに、いきなり法律規制を頭から振りかざす形になるところに、問題が紛糾をする。この点は、大臣は一体どうお考えになっていまのようにおっしゃるのか、承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/16
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017・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は私が文部大臣になりましてから、この法案はまだ閣議に出しておりません。ただ前の中村文部大臣のときに、閣議の了解にまで持っていったということを承っております。おそらくそのときにそういう談話があったかと存ずるのでございますが、その法案のときに、そういう談話が、あるいは内容につきまして御説明されたことがあったと思います。ただ、私といたしましては、この法案についてそういう反対があるであろうということで再検討をいたしてみました。再検討をいたしまして原案のとおり出すという決意をいたしましたのは、むしろ民族教育を平和のうちに保障するという面が非常に強く必要だと私は考えたからでございます。でございますから、たとえば今度、日本の国の国内の各種学校の改正をいたしますが、各種学校の改正においてすら、日本の学校でも法令に違反いたします場合には、これに対してやはり閉鎖を命ずるという最後の、まあ伝家の宝刀と申しますか、これは必ず書いてあります、どの法律にも学校に対して。しかし、いままで実際上の問題で、文部省で法令違反をもちまして閉鎖命令を出した例はないと、私は考えております。これはやはり法規上の一つの常套的なあれでございまして、これは少なくとも法規のていさいを整える上におきましては——外国人学校におきましては、いかなる規制もいたしません。ただ一つだけ反日教育、いわゆる日本の国益を侵してはいけない。これは私は世界どこの列国におきましても、当然守らるべき精神だと思います。その国において永住をし、その国において教育をする限りにおいては、その国の国益に反するようなことはしないようにするということは、学校自体の一つの当然の自発的なあれでなければいけないと思うのです。その一つの規定をここで書きましたことは当然なことであって、これに違反するという場合は閉鎖命令も出し得る。これは国内の学校におきましても、法令違反の場合は閉鎖命令を出し得ると規定いたしますと全く同様な立場で、それがあるがゆえに朝鮮人学校の民族教育を圧迫するのだ、こういうことになるとは、私どもは決して考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/17
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018・大出俊
○大出委員 大臣がそうお考えになっているとすれば、もう少しおたくのほうでおつくりになっている学校教育法の一部を改正する法律案の中身というものを御検討いただきたいと思います。というのは、あなたがおっしゃる、どこの学校でも、閉鎖命令でも、変更命令でも出せる、それはそのとおりです。現行学校教育法十三条、十四条に明記してあるのですから、それはわかり切ったことです。それを改正しようとするところに問題があるのですよ。皆さんのほうの改正しようとしておられるのは、つまり八十二条の十三というものをおつくりになって、この中に先般私の質問にお答えになったところの、「外国人学校においては、わが国若しくはわが国民に対する誤った判断を植え付けて相互不信の念を起こさせ、わが国の国際的な友好親善関係を著しく阻害し、又はわが国の憲法上の機関が決定した施策若しくはその実施をことさらに非難する教育その他わが国の利益を害すると認められる教育を行なってはならない。」という規定をまずつくった。そうしてこれを受けて、次に八十二条の十四というところで「必要な報告の提出を求め、又は第八十二条の十六において準用する第十三条及び第十四条の規定による権限を行なうため必要があると認めるときは、当該職員に、」ここが問題です。外国人学校に立ち入るということを文章上明記してあるわけです。「外国人学校に立ち入り、運営の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を調査させることができる。」というふうに、前段を受けて文章上明記してあるわけです。だから、改正案が必要なんです。そうでなければ、今日の学校教育法でそんなことはいい、そうでしょう。そういうことになるから、あなたが言っておられるような、どこでも一緒なんだというようなことではなくて、ここに明記されておるわけですから——あなたのほうの原案ですよ。そこに問題が起こるわけです。一般の取り扱いではない。だから、私は相互信頼を持ち合うという前提に立つ限り、いきなりこういう出し方をされるということは、しかもこの閣議決定の中身、了解の中身、昨年五月です、新聞発表なんというものは、それこそたいへんな大だんびらを抜いたかっこうで大臣談話がついている。こういう出足、出方というものは、私は御反省賜わらなければいかぬと思う。決して相互信頼を持ち合うということにならない。不信感をたいへんに深めるという結果にしか今日なっていない。現実の中身を見ればわかりますよ。たくさんの学校の先生方が、あげて反対だといって騒いでいるでしょう。決してこの人は左がかった人でも何でもない。私の知った人もたくさんいます。そういう方からも、どうなりましたか、どうなりましたかと電話がかかってくる。だから、よしんば大臣がいま考えておられるように、善意でお考えになったとしても、結果はたいへんまずいことになっている。政治というものは、もっと現実的にものを考えていただかなければ困る。そうなっているとすれば、私はやはりこの際、信頼回復をはかろうというならば、はっきりすべきものはして、そういう意味で新たに出直す必要がありはせぬか、私はこう思っておるのですが、この点について御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/18
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019・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私としましては、一応提案をいたしまして、その上でいろんな問題について御論議なり、御審議をいただいたらと実は思っておったわけでございますが、現段階におきましては、私は一応出したいということをずっと主張しておりますけれども、会期もだんだん進んでまいりまして、はたしてあと党の関係におきまして出し得るかどうかでございまして、もちろんこの内容について再調査をしてとかいうような状況にまで至っておりません。でございますから、未提出の現法律案につきまして、いろいろ御論議をいただいておるわけでございますが、できますれば、もうしばらく時間をかしていただきたい。私どもとしては、どういう形で出しますかどうかということを早急に決定したいと考えておるわけでございます。
ただ、一言申し加えておきたいと存じますことは、各種学校を格上げいたしますことは、おそらく——私の想像でございますけれども、大多数の議員の先生方も、国内の状況としましては御賛成いただけるものじゃなかろうか。そうしますと、この外国人学校というものをもし規定をいたしませんと、その結論としましては——規定のしかたいかんによりますが、場合によると、いま現に各種学校としてお認めいたしております外国人学校までも否定するような結論が出ないとも限らぬおそれがございます。これは規定のしかたによってでございます。だから、そういうことになるよりも、むしろ積極的にこの外国人学校という制度を堂々と認めてやっていくべきではないかという結論から、私提案を決意したのでございます。でございますから、取り締まり上のいろいろなことばを法規上は書いておりますけれども、立法の趣旨は、根本的にはやはり国際親善の立場から考えておるということで、この点は強制的に御信頼いただけるようお願いするわけにいかないかもしれませんけれども、私はそういうふうに考えておるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/19
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020・大出俊
○大出委員 だんだんわかってまいりましたが、今国会におきましては、法案提出の時期は一体いつまででございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/20
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021・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実はきょうも閣議で、未提出の法案が相当まだございますし、予定もあるので、早急に、提案をするかしないか各大臣において責任を持ってきめろということで、私も今週は無理だと存じますが、来週一ぱいぐらいには話を進めて、はっきりしなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/21
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022・大出俊
○大出委員 いまのお話からいきますと、各種学校のほうは整理するならし、はっきりさせるものはさせなければならぬ、これは私もわかります。ただその場合に、外国人学校をと、こういうお話なんですが、いま言われた大臣のお話からいたしますと、真意のほどはかくかくしかじかだ、つまり法案をつくるについての書き方、あらわし方ということになる、こういうお話ですから、してみると、真意のほどがすなおに受け取られるようにするためには、ここにあるこの表現、この文言ではまずい。私がいま例を申し上げたとおり。大臣もその点について特に強弁をされておられない。そのあとの御答弁からいけば、すなおに受け取られるようにしなければならぬ点は、お認めになっておるように思う。だとすると、そういう点を将来に向かってなおより一そうこれは検討しなければならぬ筋合いの問題になっている、こう私は理解するわけです。まさに文部省あるいは大臣、皆さんのお立場もありましょう。ありましょうから、はたしてどこまで深追いしてものを言ってよいかわかりませんから、私は気をつけながらものを言っておるわけです。
ただ、ここで明確にしておきますのは、先ほどちょっとお話がありました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案が、衆議院の側は通りましたね。この中の附則における取り扱いで、七十条の三「高等専門学校には、工業に関する学科を置く。」というのがございますが、ここのところに、七十条の三の一、このいまの外国人学校を含む学校教育法の一部を改正する法律案中にございます——まだ出ておりませんけれども、ございますところの「七十条の三第一項中「学科」の下に「又は商船に関する学科」」、これはカッコに入っておりますが、「を加える。」という条文を附則のほうに持っていかれて向こうにつけたわけですね。ということになると、大臣はここまでくると、おおむねのところ私自身は御無理はなさらぬというふうに理解をしたいわけでありますが、これは実はこの国会の最初のころに私がいろいろ取り上げまして、あらためて時間を設けて質問をするように取り扱おうということで、先般簡単に御質問した筋なんですね。だから、私はそういうふうに理解をいたしまして、きょうは審議に入るということで賛成をして質問を申し上げている、こういうわけなんですが、その私の理解を大臣のほうがあえて御否定をなさらぬということであれば、私はそれなりにあとは三、四点御質問申し上げて終わりだと思っております。信頼の回復が前提になりますから、ひとつそういう意味で御答弁をいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/22
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023・剱木亨弘
○剱木国務大臣 まあ文部大臣の置かれております立場もひとつ御了解願いたいと思いますが、先生方のほうでそういうふうな御解釈をなさいますことについては——私が否定するとか肯定するとかということでなしに、御解釈をなさいますことについては、御異論はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/23
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024・大出俊
○大出委員 異論がないそうでございますので、その点は了解をいたします。
ところで、一つだけ一般的な問題で承っておきたいのですけれども、私は全く教育問題にはしろうとでございます。子供があって親であるという意味の範囲でしかものを見ておりませんが、今日いろいろこの種のことが問題になりましたので、ちょっと承りたいのですけれども、教育というものの本質を突き詰めていくと、私は結局民族教育という一つのワクの中にものごとほとんどが入っていくのではないか。日本の教育ということになりましても、日本語をまず使っておるわけでありますから、日本の歴史というものが前提になるわけでありますから、あるいは過去が前提になるわけでありますから……。そうなると、どうしてもそういうところに中心が置かれていなければならぬことになる。いろいろな受けとめ方がありましょうけれども、こう思っておるわけです。これは、つまり朝鮮人の万々にとっても、同じ結果になるだろうと思うのであります。そういう意味では、相手の側の民族教育というものについて、先ほど大臣ちょっと口にされましたが、全くもってこれを尊重をし、信頼をする、こういう立場がやっぱり必要ではないかと思っているのでありますが、その点についての御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/24
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025・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私どもは、世界の趨勢から申しますと、たとえば日本人がブラジルに移民しますとか、アメリカの国籍を取得するとか、永住する場合は、やはりその国になずんだ社会環境の中にずっといくのが、普通の例だと思います。ただ私どもは、日本と朝鮮人との特殊関係、これは相当尊重して、朝鮮の民族教育というものをその国民的感情に基づきましてここでお認めするという立場に立つべきではないかということで立案したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/25
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026・大出俊
○大出委員 時間の関係もございますようですから、申し上げたいことが幾つか残りましたけれども、私が申し上げていることも意のあるところはおわかりいただいたように思いますので、ひとつ慎重にこの種のことはお運びをいただき、先ほど異論がないというお話でございましたから、そういうことで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/26
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027・關谷勝利
○關谷委員長 吉田之久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/27
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028・吉田之久
○吉田(之)委員 大臣が御退席になりましたので、他の方々から御答弁をいただいて、あとでまた必要な問題を大臣にお伺いいたしたいと思います。
まず、いまや交通安全の問題が焦眉の急の問題となってまいりました。まさに国民的な課題になってまいりました。特にきょうの朝日新聞で、きのう文部省が交通安全を今後小、中学校の正課扱いとして教育をしていこうということを発表されておりますけれども、この正課扱いという扱いの内容について、まず御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/28
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029・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 交通安全の問題は、いまやまさにまことに大きな社会的問題となっておるわけでございます。特に文部省といたしましては、学校安全の観点からいたしまして、児童の登下校の際におきます交通禍に対しましては、一般社会の大きな関心を呼び起こし、まことに被害者としていたいけな児童、幼児が交通禍に巻き込まれないように、社会全体の大きな関心と、一般社会人の自制といいますか、そういうものを要望いたしておると同時に、児童に対しましても、特に交通安全教育をそれぞれ指導をいたしてきておるわけでございます。しかしながら、ただいまちょうど交通安全週間の期間でもございますが、今後さらに各界各層の方々とも十分打ち合わせをしながら、案をまとめていきたいと思っておるような段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/29
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030・吉田之久
○吉田(之)委員 正課並みの扱いというのは、具体的にどういう扱いをするわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/30
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031・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 現在、まだ成案を得ておる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/31
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032・吉田之久
○吉田(之)委員 拝見いたしますと、年間十二時間ないし二十時間の時間をさいて交通教育というものを正課並みに扱わせようと考えておるという見解の発表のようでございますけれども、年間十二時間ないし二十時間、月に直せばせいぜい一時間ないし二時間程度だと思うのです。このような時間のさき方で、はたしてそれが正課並みの扱いと言えるのかどうか。また、このような時間のさき方によって、いまや人命を尊重すべき一番重要な問題である交通安全の問題を小学生や中学生に十分教育することができるとお考えなのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/32
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033・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 学校安全の観点からいたしまして、すでに文部省といたしましても強力に学校安全については指導をいたしてきたわけでございます。その中でも、特に交通安全についてまさに社会的な大問題ともなってきた今日でございますので、この点についてはことのほか強く学校側に対しても指導をいたしてきておりまするが、実を申しますると、交通安全に関する限り、被害者はむしろ児童のほうでございまして、一般社会の非常な大きな理解をいただかないと、なかなか目的を達成できないわけでございます。しかしながら、各学校ともそれぞれに、それこそ子供の命を預かるという非常に重大な教育以前の問題からいたしましても、学校側として目下それぞれのくふうをこらして、学校内において交通安全指導を徹底をいたしておるようであります。文部省といたしましても、将来急ぎその成案を得まして、成案を得た段階においては、あるいは正課に組み入れるということも考えてよろしいと思っておりますが、現段階におきましては、具体的にしからばどういう形でこの問題を正課に組み入れるかということが、成案としてでき上がっておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/33
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034・吉田之久
○吉田(之)委員 いま文部省がお考え程度の教育体制であるならば、すでに自発的に各学校においてこの時間程度をさいてやっておると思います。あらためて文部省が交通安全を正課並みに扱おうというからには、さらにもう少し積極的な姿勢がなければ、これは文部省としての刮目すべき発表だとは私は言えないと思う。特に現在すでに小学校や中学校からは、交通安全教育が正課でないために十分な時間がとれないということを申し出ておりまして、そういうことを背景として文部省が踏み切ろうとなさるからには、いまの答弁ではいささか所期の目的を達成するのにはその体制が十分でないように思うわけなんですが、さらにひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/34
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035・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 学校の所在地が比較的交通ひんぱんな、たとえば道路その他に面しておるという学校が、だんだんとふえておる現状でございます。さらにまた、その学校周辺の交通は非常に錯綜し始めてきているというのも、日を追ってその度が激しくなってきております。したがって、一日も早くこの学校安全の問題について解決策を考え出さなければならないという責任を感ずるわけでございまするし、われわれといたしましても、ただ単に学校安全会あるいは学校の内部における交通指導、こういったものにだけまかしておくつもりはございませんが、そういう意味では正課に組み入れて云々という問題については、ただいま教科課程全体について審議会において御審議をいただいておりますので、その審議をさらに一そう進めていただきまして、できるだけ早い機会に成案を得て、われわれといたしましても文部省としての案をつくり上げたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/35
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036・吉田之久
○吉田(之)委員 いずれにしても、今後こういう交通安全問題を正しく子供に教えていくためには、それを教える指導者、先生方の教育というものが、非常に重要な課題になってくると思うのです。したがって、小学校や中学校だけで交通安全教育を正課並みに扱うということよりも、むしろ教育者となる人たちに対して、もっと徹底した交通安全を指導し得る能力を与えるということが先決問題になってくると思うのでありますけれども、そういう点についてまで文部省はお考えになっているのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/36
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037・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 文部省としての見解と申しますより、私個人の感じからお答えをさせていただいて恐縮なんでございますが、学校の先生方が、子供さん方の生命を預かる、これは学校という教育機関の内部では当然のことでございますが、その外である、まあ大半の交通惨禍というのは学校外で起こるわけでありますが、登下校の際においても、学校の先生方が気をつけていただかなければならない、私はそのとおりであると思います。さらにこの際一言付言をさせていただくことを許していただくならば、児童、幼児、特に低年齢の幼児期、あるいは小学校の初期の子供さんたちの交通事故の問題は、遊んでおる時間を別にいたしまして、かりに登校、下校の最中のことを考えますと、集団で惨禍にあっておる場合には、むしろ先ほどから重ねて申し上げましたように、被害者は完全にこれはもう子供の側でございます。先般もございましたように、いたいけな幼児がちゃんと交通道徳、交通規則に従って、彼らとしてはりっぱな歩き方をしておったのに、そこへダンプカーが突っ込んでくるというようなことが随所に起こっております。したがって、私は、この際あらためて一般社会人、特に車を運転される方々、こういう方々に強く学校近辺、あるいはこういう比較的幼児期あるいは少年期の子供さん方が集団で多く通るような時刻、こういうときには特に自動車運転に気をつけていただきたい、こういう考えを非常に強く持っております。さらに子供が事故を起こす場合に、学校近辺では、学校の正門が道路に面しておるというのが比較的構造上多いのでありますが、そこから飛び出して、その瞬間に車にぶつかる、ひかれるという事故も多いわけであります。こういう事故に対しては、やはりいろいろと学校側にくふうをこらしていただきたい。そういう意味では、学校の管理者あるいは子供を預かっておられる先生方が、交通問題に対する認識を一そう深めていただきたいような感じがいたします。
なお、近々交通安全の手引き書を作成をいたしまして、特にこうした都市交通の錯綜しておる地域の学校の先生方にお集まりをいただきまして、交通法規あるいは交通問題、こういった問題につきましても研修会など開き、一そうこの問題の認識を深めていただきたい、こういうふうに考えて準備をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/37
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038・吉田之久
○吉田(之)委員 特に小学生、中学生に対してこの種の教育を行なっていく場合に、警察官をこの指導の側に充てると申しますか、警察官も一緒にこの小学校、中学校の中でこの種の教育を手伝わせるという考え方をお持ちになっているかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/38
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039・赤石清悦
○赤石政府委員 御指摘のように、警察官は第一線におきまして交通事情を非常に熟知いたしておるのでございます。でございますので、教育効果をあげます場合に、警察官の御協力をいただくことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/39
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040・吉田之久
○吉田(之)委員 次に、義務教育の問題について少しお伺いをいたしたいのでありますけれども、憲法で保障されておりますとおり、義務教育はこれを無償とするということには定められておりますけれども、今日の義務教育の実態は、いよいよこれと逆行をいたしております。学校の備品とか、教材とか、教具とか、あるいは給食設備であるとか、プールの維持費であるとか、いわゆる父兄、PTAにかかる負担は、いよいよ激増しているという現状でございます。昭和四十年現在の調査によりますと、PTAが学校教育費に負担した総額は、すでに五百億をこえておるという数字を聞いております。だといたしますと、父兄一人当たり年間三千五百円程度の負担を義務教育に対して行なっておるという状態であると思いますし、その後さらに、二年の間にこの数字はふえていることは、間違いのない事実だと思うのです。こういう段階の中で、国や地方公共団体が義務教育に対して、今日のこのPTAの父兄の負担の激増に対してどのように考え、今後どのように対処していこうとお考えになっているか、お伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/40
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041・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 御指摘のように、当然公費で持つべき義務教育の諸学校の経費が、あるいは父兄に一部転嫁をされ、あるいは市町村の超過負担となっているという現状でございますので、私どもといたしましては、この当然公費で持つべきものをPTA会費というような形をかりまして父兄に転嫁をされることを解消したいというふうに考えております。今回の予算におきまして、その点も重点項目の一つといたしまして、まず教材費の問題、これが比較的現在父兄負担に転嫁しやすいものでございますから、今回の予算の際に、教材費の二千億というワクを想定いたしまして、そうしてその七〇%につきましては、確実に国庫負担金と地方財政のほうで見るということで十年計画を設定いたしまして、これによりまして、従来とかく問題になりました点は解消していく方向にある。これを契機にいたしまして、われわれとしては、また行政指導といたしましても、父兄負担にいたずらに転嫁することのないように進めてまいりたいと思います。施設等の問題につきましては、年々単価の是正あるいは構造比率の改善ということを実態に合わせるようにいたしまして、それが市町村の超過負担になったりあるいは間接に父兄に転嫁することのないように年々努力しておりますが、今後も引き続き努力してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/41
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042・吉田之久
○吉田(之)委員 文部省もいろいろと努力をしておられるとは思うのでありますけれども、一方、教育に対する関心、さらにその教育水準を高め、充実していこうとする父兄側の要求も年とともに高まってまいっております。そういたしますと、相当文部省が思い切って義務教育に対して国費を膨大に負担していかない限り、この父兄にかかる負担というものは軽減するどころか、ますます増加していく傾向にあるのではないか、こういう将来に向かっての、この種の問題での文部省の見解をもう一度ただしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/42
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043・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 もちろん先生御指摘のように、一つは、公費でまかなうべきそのものの質が悪ければ、理屈は別として、その父兄が自分たちの子弟のために金をつぎ込むということになりますから、やはり公費の点は年々充実していかなければならぬというふうに考えておりまして、いま例に申し上げました教材費でも、国庫負担金八百億というワクは本年度設定いたしましたから、これが相当改善に役立つというふうに考えます。それから一面におきまして、またどんなに熱心であっても、学級間のバランスを破り、学校間のバランスを破るような、よければいいというような風潮も、また一面是正してまいらなければならない。両方相まってこういうふうなことを解消してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/43
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044・吉田之久
○吉田(之)委員 われわれは、給食費も全額国庫負担すべきはないかということを絶えず申しておるわけなんでございますけれども、文部省としては、義務教育における給食費を全額将来国庫負担しようとするお考えを持っておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/44
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045・谷川和穗
○谷川(和)政府委員 多分に政策的な問題を含む課題でございまするか、実はこの問題は、教科書無償法案を提案いたしますときにも論議された問題でございます。しかしながら、基本的に申し上げますると、教科書の問題と学校給食の問題は、本質的に、教育という問題から考えてみましても、その他の一般社会生活という面から見ましても、違ったところがある、こういう判断でございまして、文部省といたしましては、学校給食に関しては、もちろん教育の中の問題でございますので、まず第一に、ともどもに一緒に食事をするというこの教育効果というものを非常に大きく考えたいということが一点。それから第二点といたしましては、先ほどから御論議のございました父兄負担の軽減をとにかくはかりたいという点で、この点につきましては、原料、たとえばパンについては小麦粉、それからミルク、それから練乳に対しましてはその原料、こういったものの値上がりを押えるという措置をするということを原則といたしております。なお、この問題につきまして、ただいま文部大臣より、給食問題について、非常にその普及度も激しく、一般社会の父兄の方々からの声も高いものでございますので、さらに根本的な方策について御審議をいただくべく、ただいま審議会に諮問をいたしておるという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/45
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046・吉田之久
○吉田(之)委員 次に、入試問題についてお伺いを申し上げたいのでありますけれども、いま一番関心の深い問題は、高校入試の場合に、その入試科目を従前のように九科目で、大体全教科にわたって試験をしていくというのが正しいのであるか、あるいはこの際もっと入試科目をしぼっていくことのほうが、将来の子供のために、あるいはまた子供の体育のためにも正しいことなのであるかどうかというような両論があるようでございますけれども、その点、文部省としてはどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/46
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047・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 高校入試の問題も、これに対する態度の基本は、一つは選抜というものが合理的に行なわれるかという点と、それからもう一点は、こういうふうに高校教育というものが拡充してまいりますと、これが中学校教育にどういう影響を与えるかという、この二点を勘案しなければならないと思っておりまして、実は昨年は、この入試改善についての学識経験者を集めまして協議をいたしました。そして文部省としては、従来の九教科全部やるということを指導しておりましたのを改めました。と申しますのは、理屈はいろいろありますけれども、地域によりましては、九教科全部やることか、非常に中学校教育——中学校の生徒が日曜のたびに九教科のテストを受けに行くとかいうようなことがある。また、教科によりましては、本来実技を主としていくのにもかかわらず、いたずらにペーパーテストの準備に終わるという弊害が顕著にあらわれたりした点がありますから、その点は、文部省といたしまして、九教科全部やれということの指導は廃しまして、府県の実情によってその教科の数をきめる方針を昨年出しました。その結果、三教科で実施しておるところ、五教科で実施しておるところ、それから比較的自分の県は弊害がないとして九教科で実施しているところ、さまざまに行なわれているわけでございます。なお、教科のほかに、中学校教育の実際を内申書によって忠実に反映するように、内申書を重視するという方策も、各県でとられておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/47
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048・吉田之久
○吉田(之)委員 こういう重要な問題を、各府県の実情に即して適当におやりなさい、たとえば三教科でもよろしい、あるいは九教科でもよろしいというふうな文部省の指導のしかたというものは、私は、非常に自主性のない、定見のない考え方だと思うのです。したがって、その辺、もう少し必要教科にしぼっていくべきであるのか、あるいは体育その他の教育もなおざりにされないために、この際全教科にわたって受験科目に繰り入れていくことのほうが正しいのであるか、その辺ぐらいの検討は文部省として当然なさって、そして指導なさるべきだと思いますけれども、重ねて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/48
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049・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 九教科を一律にやれということを廃しました際に、九教科を必ずしもやる必要はないということが意義があるわけでございます。ただ、従来入学試験にあらわれる中学校教育の影響というものは、たとえば東京と青森のあらわれ方というものは非常に違うのでありまして、九教科でやって、それが自分の県は中学校教育に対してそう影響を及ぼさないというように判断している県までやめろという必要はないのでありますが、文部省の指導の方針は、九教科全部やるというたてまえを全部貫くことは必要ないだろうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/49
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050・吉田之久
○吉田(之)委員 一般的な傾向として、大都市では入試科目をしぼっていく、あるいはその他周辺の地域においては、つとめて全教科にわたって入試を施していこうというふうなことは言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/50
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051・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 入学試験問題が、地域社会で問題のあり方が違うということであります。たとえば東京のように非常に過熱した状態であらわれるところと、それから公立高校というものが比較的多くて、そしてほとんど九九%あるいは八%くらいは入るというような地域とでは、入学試験に対する住民なり子弟の考え方がかなり違います。先生がおっしゃるように、入学試験に対する問題をそう意識してないところでは九教科でやってもいいし、あるいはもう科目をどのように変えようとそう大きな問題にならないという傾向は、御指摘のようにあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/51
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052・吉田之久
○吉田(之)委員 大体公立高校に入り得るワクと申しますか、いま局長から話がありましたように、ほとんど一〇〇%近く入学できる府県もあれば、あるいは半分くらいしか通らないところもあるというような、こういうアンバランスを生み出していくというところに、今日の文部行政の一つの欠陥があるのではないか。そのアンバランスというものが、たとえば重要な入試の科目自体の選択に対しても、このような不均衡を生じつつあるのではないか、そのようなことが、統一さるべき日本の教育行政の中で、ますますいろんな食い違いを今後生じさしていくことになりはしないかという問題について、お考えになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/52
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053・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 現在高等学校を全国平均で見ますれば、進学率が七二%をこしておりますし、それから志願者が合格し得る率というものは、おそらく九〇%をこしておるような実態だろうと思います。そういうわけでありますが、いま御指摘のように、私学と公立との比率というものは、全国でいえば七、三の比率でございますけれども、地域によって五、五のところもございます。これは大都市ではございます。そういうことが、公立に入りたいという志願者の競争率を激化するという実態はあるかと思います。しかし一面、また私学というものは非常に重要なものでございますし、また特色のある私学に入学さしたい、高等学校時代から入学さしたいという方も相当あるわけでございまして、これは沿革的な問題でございますから、必ずしも全国一律に考えることはできないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/53
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054・吉田之久
○吉田(之)委員 大臣がお見えになりましたので、あらためて大臣にこの問題をお伺いを申し上げたいと思うのでありますが、実は最近、高校入試をめぐって父兄の心配が年々寄せられております。それはどういう心配かと申しますと、ことしは受験科目は幾つになるのであろうか。文部省の——先ほどもお伺いいたしましたように、それは各府県の実情に即して、必ずしも九科目にこだわる必要はない、場合によれば必要な三科目だけでもよろしいというような指導のしかたをなさっている。現にそういうしぼられた入試科目で選考をしている学校もある。こういうふうになってまいりますと、子供たちも、親たちも、受験に対してなかなか腰がすわらないわけなんです。こういう現状もさることながら、日本の大事な中学教育というものが、しかもそれは高校入試の試験のあり方によって左右される要素を多分に含んでおりますから、そういう中等教育に対して、文部省がこの種の定見のない指導のしかたでいいのかどうか。私自身の考えでは、少なくとも現在の中学校の教育というものは、将来人となるために必要な万般の準備を施す教育である。ならば、中学が、最近特にエスカレーター教育というのですか、何か高等学校や大学に入るための予備校的な存在になりつつある。これに対して文部省が、高校入試は三科目でもよろしいというふうなことをおっしゃっていくとするならば、ますます今日の中学生に与えている教育の偏向というものが助長されるのではないかというふうに個人的に考えている次第でございますけれども、文部大臣は、この種の問題についてどのように今後指導なさっていこうとするのか、お伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/54
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055・剱木亨弘
○剱木国務大臣 六・三制制度そのものの一番欠陥と申します点は、いわゆる入学問題だと思います。特に中学校、高等学校が、おのおの上級学校入学のために、いわゆる試験準備の学校に堕してきておる、本来の意味の学校教育がそのために大きく歪曲されておるという実情は、六・三制について一番問題点だと思います。
そこで、中学校から高等学校への進学でございますが、現在、高等学校、中学校ともに人員がだんだん減少過程にございまして、全般としては、大体希望する高等学校に、もし学校差がないとするならば、相当程度の者はそんなに苦しまないで入学できるのが現状になりつつあります。だが、どうしても学校差がございますから、この学校差に基づいた入学試験準備ということが、今日非常に弊害と申しますか、問題を起こしているわけでございます。そこで、東京都でやりましたような学校群というような入学試験のことを考えましたのも、やはりこの学校差をできるだけなくしようという一つの試みであったと思いますし、この試みは私はある程度成功したのではないかと思うのでございます。やはり第一の点は、各高等学校における学校差をできるだけなくすることが一つでございますし、それから比較的相当の者が希望する学校におきましては、できるだけ入学試験準備ということによらないで入学というものの判定が行なわれる方法が、一番望ましいことだと思います。その意味において、原則的には、各都道府県の高等学校の教育委員会に一応大ワクを示しましておまかせしておるのでございますが、しかし、私は、やはり主として内申書でございますか、これがある程度公信力を持ち、そしてこれが主たる入学の判定の基礎になるというような状況にまでぜひ持っていきたい。これが入学試験準備をある程度チェックする大きな問題じゃないかと思います。この入学試験の問題は、長年にわたりまして非常な難問題としましてずいぶんこれに取り組んでまいりましたが、結論としましては、いまだそれに対しまする的確ないい方法というのが見出されていない。ただ、その方法を見出すために今後とも最善の努力を払ってまいらなければならない問題であると、私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/55
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056・吉田之久
○吉田(之)委員 いま大臣がお述べになりましたように、われわれも、戦後六・三・三制の教育が実施されてちょうどことしで二十年になると思いますが、やはりこの辺の段階で戦後の教育制度がもたらした成果と欠陥というものを真剣に検討すべきではないかと思う。一つの問題は、あまりにもこま切れになっておって、そして受験勉強のための学校でしがなかったということが、非常に大きな社会問題になってきていると私は思うのです。実は、この間、ことし初めて国立工業高専が卒業生を送ったわけでありますけれども、ある国立高専の校長さんといろいろお話をいたしておりましたところ、ことし国立高専を出た青年たちが、普通の大学出の人たちと一緒に大きな会社の入社試験を受けた。全く同じ試験で受験をした。その結果、上位一位から三位くらいの人たちは、有名な大学の卒業生ではなくて、実は国立高専の卒業生であったというようなことも聞いておるわけなのであります。はたして、二年間も教育期間が短いにもかかわらず、国立高専の人たちが大学出の人たちと伍して何ら遜色のない実力を持ち合わせておるとするならば、これは大いに検討すべき新しい問題であると思うのです。われわれが考えますと、結局高等学校に入って三年目ぐらいは、もう全部受験勉強に追われる。そして大学に入る。大学に入ったとたんにもう安心してしまって、四年間いつの間にか過ごしてしまう。それよりか、むしろ中学を卒業して五年間、みっちりとあの時期に現在の国立高専のような制度の中で充実して教育を受けさせることのほうが、はるかに教育効果があがっていくのではないか。現にこういう問題について、六・三制の本拠であるアメリカから、日本の国立高専についてひとついろいろと参考にしたいというような視察団が来ているとか承っておりますけれども、私は、その意味において、今後国立高専という制度、この種の制度が果たすべき教育の使命というものは、非常に大きくなってきたのではないかというふうな気がするわけなのであります。きのう本会議で商船高専が通過いたしておりますけれども、今後農業高専というようなものを文部省が新たにつくっていって、日本の農業の指導者を新しく育成していこうとするお考えをお持ちになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/56
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057・剱木亨弘
○剱木国務大臣 高専制度の成果と申しますか、これはことしお説のとおり初めて卒業生が出まして、その結論としては、私どもは一応この制度は成功であったと考えておるのでございますが、しかし、高専制度は、元来がやはり六・三制の一つの制度をはずれましたわき道でございます。これを無制限にどんどんふくらましていくかどうかということにつきましては、多少問題があると思います。今度私どもは商船高専をつくりましたが、あと農業高専でございますとか、その他におきましても二、三やはり強く高専制を要望されておる向きがございます。そこで私どもは、今回の四十二年度の予算で、高専制のこれからのあるべき学科目につきましてどの程度までこれを拡張すべきかどうかという問題につきまして、大体のワクを研究すべきときが来ておると存じまして、その研究に要する経費を計上してもらっておるのでございます。予算が通りますれば、早急にこの問題を検討してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/57
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058・吉田之久
○吉田(之)委員 時間もないようでございますからはしょって申し上げますが、特に大臣がおられなかったときにお伺いした問題でありますけれども、実は交通安全教育について、文部省はきのう、今後小、中学校において正課並みの扱いをしてこの問題と対処していこうという見解を発表されておられますことは、まことに時宜に適したものだと思います。しかし、問題は、その正課並みに扱う今後の扱い方をよほど本腰を入れてやらないと、単におざなりのものに終わってしまうのではないか。私はこの際、特に交通安全問題だけではなしに、いわゆる公徳心と申しますか、道徳ということばは何か縦の、昔の暗い影を伴っておりますけれども、しかし、横のルールと申しますか、ルールズ・オブ・ヒューマンリレーションズとでも申しますか、人間関係のルールというものを、小学校、中学校の段階で、十分にこの際教え込むべき必要があるのではないか。私は、そういう課題の中に交通安全の問題も大きな要素として入ってくるのだと思います。戦後、社会科という科目ができましたけれども、これが何か昔の地理、歴史とその他混合した一つの科目に終わっておって、ほんとうに新しい人間社会における、横の人間関係のルールを教えようとする正課がないことを、非常に残念に考えております。私は、そういう意味で、いま文部省が取り組もうとしておられます交通安全の教科というものを、そういう総合した人間の新しいルールの教育という点で今後取り組んで行かれることのほうが、あらゆる問題に対応して新しい文部省の文部行政を進めていかれることに役立つのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、文部大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/58
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059・剱木亨弘
○剱木国務大臣 きょう新聞を見まして、私も実はその決定につきまして、ああいうふうな決定をしたことについて存じませんでしたので、早急調べてみたんでございますけれども、これは正課として年間十二時間から二十時間やるようにという決定をして通知をしたということには、やはり誤りがあると思うのです。これは新聞記事のほうの多少の誤解があったようでございます。しかし、事柄は決して悪いことではないと思いましたので、また特に、いま「交通安全指導の手びき」というものを出しておりまして、これを教材に取り上げてやるように文部省では通知をいたしておりますけれども、交通安全教育といたしましては、やはりお説のとおり、単に自動車から子供たちを逃がす、逃げる道だけを教えるということでなしに、ほんとうに人間社会におきまするモラルと申しますか、こういったものをあわせて安全教育の中に取り入れなければならぬ、こう考えております。具体的な取り扱いにつきましては、なお私どもとしても検討をいたしまして、正式のものを決定いたしましたら、それを各都道府県にも通知をいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/59
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060・吉田之久
○吉田(之)委員 先ほど来いろいろな論議をいたしましたが、特に進学対策の問題、受験地獄の問題、あるいはテレビが非常にはんらんして子供の教育に悪影響を与えておるという問題あるいは貧富の差による教育の格差がいよいよ激しくなってきておるというような状況の中でいろいろな問題をとらえていくときに、青少年の不良化防止を考える場合、そうしてまた、いま必要な交通安全等を考えていく場合に、大臣も申されましたような新しい、正しい人間をどのようにつくり上げていくか。それは、古い「期待される人間像」とかいうような発想法ではなしに、もっと近代的な、新しい人間関係のルールをどう設定していくかというような問題に対して、この際、文部省が大いに前向きに取り組んでいただきたいと思うのです。最後に、一つお願いがあるわけなんですが、実はろうあ者がおります。身体障害者の中でも非常に気の毒な立場に置かれているろうあ者の子供たちが、最近テレビを見ておりますけれども、全然音が聞こえない。彼らにとっては、これは非常にさびしいことのようであります。しかし、テレビがかくも一般化してまいりますと、ろうあ者に対する教育も、テレビを通じて大いに役立ち得るのではないか。この際、ろうあ者に教育を与え、またテレビを通じて彼らに慰めや娯楽を与える意味においても、時間を限ってでもけっこうですから、テレビに一つの文字を入れてやる。この放送は特にろうあ者のためにテレビに字幕を入れてありますというような、あたたかい配慮をして、これらの人たちに対してもテレビというものの教育効果をもたらしていくというようなことは、大いにあり得ていいことだと思うのでございますけれども、こういう問題について、文部大臣としてひとつ御尽力をいただけるかどうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/60
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061・剱木亨弘
○剱木国務大臣 非常に示唆に富んだ御意見だと思います。これは、教育放送につきましていろいろ御協力を願っておるテレビの放送機関に対しまして、よく御相談申し上げまして、そういったようなテレビの放送につきましても、御考慮いただくように、今後御相談を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/61
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062・關谷勝利
○關谷委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/62
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063・受田新吉
○受田委員 休憩時間が多少与えられるようなかっこうですので、短時間にお尋ねをさしていただきます。
大臣、昨日国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の改正案にかこつけて、学校教育法の一部改正で、商船高専が衆議院段階で誕生をいたしました。この扱い方の、手続に関する文部大臣としての御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/63
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064・剱木亨弘
○剱木国務大臣 きのう修正になりました商船高専は、実は予算関係を伴います法案でございまして、学校教育法の改正案そのもの全体としましては、これを除く部分は予算の関係がないのでございます。提案をいたしますときに、いろいろ予算関係だけは切り離してこの国会に提案すべきではないか、これは法制局その他ともいろいろ相談をいたしました。しかし、私としましては、学校教育法の改正は一本で出すのが正当であるから、これは学校教育法関係として、予算関係を含みますけれども、これを一本にまとめて提出するということに踏み切っておったのでございますが、だんだん提案を申し上げる時期がおくれまして、予算との関係もございまして、それで昨日衆議院で御修正を受けたわけでございます。もともとこれは原則的には学校教育法でやるべきでございましょうが、法理的に申しますと、最初からわれわれ研究しまして、分離してやることも決して不可能ではないということでございまして、きのうの修正案に対しましても、やむを得ない御修正であったと実は存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/64
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065・受田新吉
○受田委員 学校教育法の改正の中には、その第八章八十三条に規定する、第一条の学校教育に類する教育を行なう各種学校の規定が、改正されるべきであったと思うのです。外国人の学校を分離して、外国人というものは系統が違うんだから、それだけはずしてもし文部省がおやりになろうとすれば、外国人学校法というような形の法案でも別にお出しになれば出されることにして、いかにも差別待遇を受けておる学校教育に類する各種学校を、学校教育法の改正で国内の問題だけに分離して、これをすみやかに学校教育法の体系の中へ当然正式に入れるべきであったと私は思う。非常に職務怠慢しておる。なぜ外国人を分離して、これだけをお入れになる努力を文部省はしなかったのか。これは各党とも意見が一致しておる問題だと私は思う。一般の各種学校を一緒に改正案の中に入れるという態度を文部省がすかっとやっておられれば、これは一ぺんにきのう片づいておったはずです。外国人の学校を含む各種学校ということにすると、文部省としてはたいへんやっかいな政治問題をかかえておるわけで、むずかしい。しかし、一般の国内の各種学校だけを扱うということであれば、各党みんな一致して賛成する方向にあると私は思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/65
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066・剱木亨弘
○剱木国務大臣 その点が実は一番むずかしい問題でございまして、各種学校制度を設けますにつきましては、先ほどもちょっとここで申し上げましたが、いままでいわゆる各種学校は、四十名以上、一年以上の教育施設をやるものは新しい学校教育法で定めます各種学校にならなければならぬとしてありまして、それ以外のものは各種学校として一年間だけは存続するということになっておるわけでございます。したがいまして、いままで各種学校として府県知事が認可しておりました外国人各種学校は、新しい各種学校の範疇の中に入ってまいらないのでございますから、したがって、一年の後には、いま各種学校として認可いたしておりますこの外国人学校というのが一年のうちに消えてなくなっていくわけであります。そうすると、いまわれわれが聞いておりますところでは、各地から非常に陳情がきておりますのは、外国人学校、朝鮮人学校を各種学校として認可してくれという要望で、これは全国的な要望でございます。ところが、これをいま申します朝鮮人学校だけを切り離してやりますと、いま存続します外国人の各種学校というものが、一年以内に、一年後には消滅していく、法の範疇から飛んで事実上の教育としてのみ存在するということになりますから、そういう実態がおわかりになったら、むしろ私は、外国人学校制度に対するいまの朝鮮の方々の反対より以上の大きな問題が起こってくるということで、各種学校と外国人学校とを分離するということは、今日の段階においてはどうしてもできなかったのでございます。ですから、外国人学校と各種学校とはこれをどうするかという問題は、いわゆる各種学校とあわせて考えなければ、この際各種学校だけを分離して国内法の問題として取り上げるということは、私どもといたしましてはどうしてもできない、こう考えたからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/66
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067・受田新吉
○受田委員 私は、昨年シンガポールへ行ってきましたが、いま日本人学校ができております。タイにもあるし、香港にもある。それらの国々は、外国人の学校は独特の法規によって制約を受けておらぬ。保護も受けておりません。自由な教育を受けておる。一体世界のどこの国に外国人の学校に対して法的規制をしている国があるのか、教えていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/67
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068・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私は、外国人学校というのは、日本の特有の問題だと思います。なぜならば、いま申されますように、上海やニューヨークにありましたり、タイ国にありますが、これらは日本人が、あるいは公館の者でありますとか、商社の子弟でございますとか、いわゆる一時的滞在者で、日本に帰りましてから小学校、中学校の教育にギャップがある、このギャップの補正のための事実行為として認められておる。私は、これは国際間のお互い同士の条約によってやっておるというわけでなくても、お互い同士認め合っている状態だと思います。ただ、この朝鮮人の学校のように、相当長年月永住をする目的において相当な数が滞在しておるときに、これを全く野放しと申しますか、自由にやらしていいかどうか、この問題については、これはもう各都道府県でおわかりだろうと思いますが、朝鮮人の学校が各種学校に認可してくれという制要望が、非常にあったのは事実でございます。でございまして、野放しにしてくれというような要望はなかったように私は思います。
特にまた一つだけつけ加えさしていただきますが、タイ国におきまする日本人の学校については、必ずしも日本人だけの教科書によって日本人が自由にやるということでなしに、タイ国の教科書の使用を命じられておるわけでございます。だから、これは外国によりまして、必ずしも法規がなくても、自由に、内部に何らの干渉がないということではないので、国情によっていろいろ違う点があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/68
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069・受田新吉
○受田委員 法律で規制されている国はないでしょう。外国は教科書の使用を法律で命じておりますが、それから南米サンパウロの日本人学校、ハワイの日本人学校、こういうところで法律の規制のもとに運営されている国があるかないか、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/69
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070・天城勲
○天城政府委員 所管局長おりませんが、私知っております例を申し上げたいと思います。
タイ国の場合には、外国人の学校が、法的な規制に入れば、校長はタイ国籍の人でなければならぬ、一定時間タイ語の勉強をしなければならぬという規制がございます。ただ、現在の日本人学校は、法的規制外でございますので、いわば事実上の問題になっております。ただ、一定数以上になりますと、ほんとうは必ずその法律のもとに入らなければならぬことになっておるのでございますが、現在は大使館の付属という形になっております。制度としてはそういうものがございます。それからサンパウロのお話でございますが、おそらくこれは永住者でございまして、向こうの学校に入る、逆に向こうの市民として教育を受けるということが前提で、それ以外に日本の教育をどれだけ認めるかという制度になっていると承知しております。こまかい法律のことはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/70
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071・受田新吉
○受田委員 ペルーは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/71
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072・天城勲
○天城政府委員 ペルーは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/72
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073・受田新吉
○受田委員 ペルーにも日本人が五万おる。これは日系ペルー人ではなくて、日本人である。向こうの国籍を取得しておりません。そこにも日本人学校というのがある。私もその学校に行って一時間ばかり講義をしたが、法律の規制を受けておらない。日本人独特なもので、何をしゃべってもいいことになっておる。いまのタイ国の問題は、私タイが法律の制約を受けていないということだったからそう考えておったんですが、現在はその基準に達していないからという意味であれば、タイは特例が一つあるのかもしれません。しかし、これはもし法律の規制をしようと思えば、外国人学校法というものを別につくって、そこで文部省があらためてこの問題を処理すればいいので、一年期間があるのですから、ゆっくり考えるひまがある。そういう意味で、一般各種学校がとばっちりを受けるようなことはしてはならないと思うのです。まだ時間の間があるわけで、会期延長もやられるというのですから、間に合うのです。とにかくやられるのなら、一般各種学校を抜き出してでも、この学校教育法の改正をして、こそどろのようなかっこうで——いやしくも文部行政というものは、最も純粋で正義感にあふれる行政として国民は信頼しておる。その文部省が、どろなわ式のこそどろのようなかっこうで法案がどんどん通るという形は、おとりになってはならない。あなたのようなりっぱな方が文部大臣をやっておられる間に、これはやはり筋を通してもらいたい。一般各種学校だけを御提案なさい。外国人学校法は、一カ年あるのですから、来年出しても間に合うんです。これは次の臨時国会にでもお出しいただくということでお進めになられることがいいと思います。
もう一つ。今度文部省設置法が六月一日から施行になっているのですが、もしこの施行が不可能であった場合、参議院にいって情勢がどうなるかもわからぬというときに、従来の学年進行に伴う増員措置というようなことならば何とかなるが、今度新しくこの法律によって追加される六千四百三十四人の増員のうちで、新設の医科大学医学部、その付属機関などの職員は、六月一日から宙ぶらりんになるという問題ですが、法案が通らない場合にはどういう措置があるかくらいは、文部省は対案を用意して法案を出しておられると思うのです。法案が六月一日に間に合わなかった場合の対案としては、どういう案があるか、地方との関係があるのでお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/73
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074・天城勲
○天城政府委員 中身が二つに分けられると思います。一つは予算と文部省設置法の関係、それからもう一つは、予算と文部省設置法と国立学校設置法の関係、三つからまっている場合と二つあると思います。予算と文部省設置法との関係は、結局定数の問題にすべてが影響してまいりますので、いま例にあげられました公立三医科大学の移管の問題の最終年度に当たっておりますので、それまでは県立の形で進んでおりますが、予算が通っても文部省設置法が通りませんと、受け入れの定数がございません。したがいまして、受け入れることができませんので、これは県とも——そういう事態になりますれば、文部省設置法が成立して受け入れの定数ができるまでは、なお県立の医科大学の形で残る部分が出てまいります。その点が一点であります。
それからもう一つは、九州大学とかあるいは北海道大学の歯学部の創設、新しい学部の創設は国立学校の設置法の事項でございますので、これは設置法が通りましてからでないと、入学試験の仕事も始まりません。現在この両学部の学生につきましては、法律が通ってから入学という仕事が始まるわけでございますので、これは法律が通らない限りは、現実に待たざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/74
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075・受田新吉
○受田委員 そうすると、設置法との関係で試験を待つとか、また地方の措置にお願いしてこの法律施行まで御苦労願うとかという形であれば、たとえこれが十日や二十日おくれても、たいしたことじゃないということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/75
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076・天城勲
○天城政府委員 おくれてたいしたことであるかないかということは別の問題でありまして、法律的に申しますれば、そうせざるを得ません。ただ、大学の入学試験の問題につきましては、私たち年間の授業日数その他ございますので、ある程度以上おくれれば、年度内の発足ができなくなってしまうという事態も、現実問題として起きる、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/76
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077・受田新吉
○受田委員 いろいろあるが、とにかくそれはそれでおきます。
もう一つ、おしまいに、商船高専が今度誕生することになります。そうしますと、学校教育法第七十条の八により、専門学校は、監督庁の定める規定によって、その卒業生を大学に編入する資格を付与するという規定があるわけだ。商船高専の卒業生を商船大学に入れる道も講ぜられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/77
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078・天城勲
○天城政府委員 いま先生御指摘の七十条の八というのは、今度新しくできます商船高専にもかぶります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/78
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079・受田新吉
○受田委員 かぶる……。——それでは終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/79
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080・關谷勝利
○關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/80
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081・關谷勝利
○關谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通知もありませんので、直ちに採決に入ります。
文部省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/81
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082・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/82
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083・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/83
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084・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、来たる三十日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01219670526/84
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