1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月一日(木曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 塚田 徹君 理事 八田 貞義君
理事 藤尾 正行君 理事 細田 吉藏君
理事 大出 俊君 理事 山内 広君
理事 受田 新吉君
稻葉 修君 内海 英男君
加藤 六月君 桂木 鉄夫君
亀岡 高夫君 佐藤 文生君
塩谷 一夫君 高橋清一郎君
橋口 隆君 山村新治郎君
木原 実君 楢崎弥之助君
浜田 光人君 山本弥之助君
米内山義一郎君 吉田 之久君
大橋 敏雄君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
建 設 大 臣 西村 英一君
出席政府委員
行政管理庁行政
管理局長 大国 彰君
農林大臣官房長 桧垣徳太郎君
農林省農地局長 和田 正明君
農林省園芸局長 八塚 陽介君
建設大臣官房長 鶴海良一郎君
建設省計画局長 志村 清一君
建設省都市局長 竹内 藤男君
委員外の出席者
建設省河川局次
長 多治見高雄君
専 門 員 茨木 純一君
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五月三十一日
委員有島重武君辞任につき、その補欠として伊
藤惣助丸君が議長の指名で委員に選任された。
六月一日
委員赤城宗徳君、井村重雄君、藤波孝生君及び
伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として亀岡
高夫君、山村新治郎君、加藤六月君及び大橋敏
雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員加藤六月君、亀岡高夫君及び山村新治郎君
辞任につき、その補欠として藤波孝生君、赤城
宗徳君及び井村重雄君が議長の指名で委員に選
任された。
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本日の会議に付した案件
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/1
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002・大出俊
○大出委員 二十年後はどう変わるという建設省の「国土建設長期構想」というものがありますね。これを読んでいきますと、まことにりっぱなことに世の中はなってしまって、住宅なんかも一部屋というものはなくなって、家族一人に一部屋ずつできちゃって、建築だ、土木だなんていうほうも木材が要らなくなって、たいへんな世の中になってしまうようにできておるわけなんです。ところが、どういうものか、この中には河川なんかの問題に対する治水のようなことについては、ぴんとくるものが何もない。つまり河川等について二十年後どう変わるかというあたりはどう考えるか、大臣でもけっこうですし、ほかの方でもけっこうですが——大臣は最近ですから、おそらく二十年後の変わり方についておわかりにならないでしょう。二十年というと、ぼくらまだ生きていますからな、大臣はどうかわからぬけれども。二十一世紀ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/2
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003・志村清一
○志村政府委員 国土建設の長期ビジョンにつきましては、先生御指摘のように、たしか昨年の夏に私ども作業いたしまして、案を作成いたしたわけでございます。これは私ども建設省内部における作業でございまして、二十年後の人口なりその他の推計、あるいは国民経済の発展等につきまして、人口問題研究所とかあるいは経済企画庁などでいろいろな発表をいたしておりますそれらの資料を援用いたしまして、ビジョンとして一応作成いたしたものでございます。
川に関しましては、その中にはっきりどういうふうにうたいましたか、ただいま資料を持ち合わせておりませんので明確ではございませんが、わが国の現在の河川における年間の災害の額が、二千数百億円に達しております。さような災害の状況をできるだけ少なくする。国民総所得との対比状況をできれば現在のアメリカ並みぐらいまでに下げてまいりたいという一つの目標を持ちまして、二十年後のビジョンを一応描いているわけでございます。ヨーロッパなどの川におきましては、日本の地形とだいぶ様子が違いますので、災害の額はきわめて少のうございます。地形的に多少近似いたしておると申しますか、川の性格が多少似ているアメリカぐらいまでには何とかしたい、そうするとどういうふうな投資が必要だというふうなことで、ビジョンを描いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/3
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004・大出俊
○大出委員 二十年後の日本の国土なるものを建設省の想定されているように見ていきますと、これはいま冗談を言ったように、あるいは二十年後ということになると、この世にいない人もいるのでしょうが、私らは若いものですから、二十年後ぐらいまで生きるだろうと思っているので、そのときに——昨年の八月に建設省はこういうものを出した、それをどこでもさわらずに国会は過ぎていったというのも、せっかくお立てになった構想なんだから、もったいない話で、ここで論議しておいたら、二十年たって国会で、私は二十年前にこういうことを聞いたのだけれども、なるほどそうなったということにならなければ、世の中はしあわせにならぬわけですからね。大臣は長生きの相がおありになるから、二十年後まだ健在かもしれぬけれども……。
何しろ人口のほうはあまりふえないことになっているのです。二十年後でも一億一千六百万しかいない。私は、どうも最近の傾向を見ているともっとふえそうに思うのだけれども、人口のほうは二割増、工業生産が現在の六倍になる。国民所得は四倍にふえちゃう。そうして自動車なんてのは、一世帯に一台は必ず置いてある。全国では三千五百万台をこえるというわけです。車が持てるようにどこの住まいもでき上がる。車が置けない、車庫がないなんていうところは、ほんの少数の貧民街だけになる。こういう構想なんですね。かくて商業地区には高層建築が建ち並んで、大団地が至るところにできて、住宅なんというものは、一人一室のほかに家族にもう一つ部屋ができるというわけです。これを見ると、そういう住宅でなければ住み手がなくなるだろうというわけです。たいへんりっぱなことになる。それは二十年ですから、世の中これだけ早く変わるのですから、あるいはそうなるかもしれません。ところが、そうすると、道路もすごいりっぱにならなければならないことになるのですが、川を治めなければ、中国の歴史のいにしえじゃありませんけれども、政治をやっていく人の立場としてはまことに政治家でないことになる世の中なんですが、川を治める方法はきわめて片手落ちだという気がする。説明すると長くなるからやめますが、そこで私は、立てておられる河川五カ年計画だとか、あるいはそれから先の五カ年計画の構想などというものを改めていただきたい。いまお話がございましたように、たいへんな被害です。これはつまり人が手を加えれば、この災害は防げることは目に見えている。にもかかわらず、何もしないものですから、あるいはやっていても遅々として進まないものですから、だれにでもわかっているにもかかわらず、年々浸水、溢水も至るところにあらわれてしまって、被害額幾らなんということになってしまう。したがって、私は、河川問題にもう少し皆さんのほうで本格的に取り組む気持ちがないのかということを、まず承りたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/4
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005・西村英一
○西村国務大臣 私は答える資格がないのですが、せっかくのあれですから……。戦後二十年、一番先公共投資をしたのがやはり河川です。というのは、やはり国土が荒廃しておりましたから、それで家を建てても流されるということで、いままでこの二十年間に投資した河川改修は、大体一兆七千五百億くらいです。しかし、最近はまた河川がほかの意味において災害を受けるようになった。そのほかの意味ということは、やはりどうしても河川の流域に、しかも中小河川の流域に人口が集まる、産業が集まるということと、いろいろ国土が農業構造改善だとかなんとか言って山を切るとか、あるいは山にブドウ畑をつくる、ミカン畑をつくるというようなこと、ちょっと雨が降れば、いわゆる集中豪雨ということで非常に荒らされる。これは昔もおそらくなかったわけはないので、私は和達博士に尋ねた。最近だけ非常に集中豪雨があるかと言えば、いやそんなことはない。昔もあったけれども、その集中豪雨を吸収する土地に力があった。いまは力がないのだというふうに、いろいろな関係でもって変わってきておるのでございます。したがいまして、河川の見方をここで改めて、しかも現在非常に訴えられておることは、都市における中小河川の改修でございます。これはどこもここも埋めてしまった関係上、排水といいますか、はけないということが一つの非常に大きい被害になっておるのであります。これを直すのは、実は小さな川でも、そのもとから直さなければ、そこだけ直すというわけにいきませんので、ばく大な金が要るわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、一応四十年から四十五年までの五カ年計画をつくって、一兆一千億ほどをつぎ込んでおります。その事業は予定より進んでおるわけでございます。ちょうど三年目でございます。やはり現在の困っておる中小河川の改修をするのには、どうしてもある時期に——やはり一兆一千億円の規模ではやれそうにないということを、現在は思っておるわけであります。したがいまして、この五カ年計画をいつ改定するかということは、今後十分検討して、河川の対策に臨みたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/5
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006・大出俊
○大出委員 大臣からきわめて建設的なお話が出ましたので、私は実はこの設置法に反対という立場でございますと、この二十年後の、つまり国土構想なるものについても、ずいぶん申し上げなければならないポイントがございます。ございますが、できるだけ時間を倹約をして協力を申し上げようという実は中身でございますから、そういうときにはあっさりしておきたいという性格なんで、よけい申し上げませんが、ただ河川五カ年計画なるものでいろいろ構想を立てられますけれども、どうしてもいまたいへんなことになっているという河川について手当てができない。そうすると、別ワクでやはり何かそこで考えていかないと、これは五カ年計画なんだが、何々川水系はこことここがこうなっているんだから、ほかのほうはだめだ、こういう機械的なものの考え方では、私は事が進まないと思うのです。だから、まずそこのところをひとつ考えていただきたいのです。そこで川のはんらん、それによるたいへんな地域住民の被害、この責任は一体まずどこにあるのかということを、一級河川、二級河川といろいろありますけれども、それとまず河川法もございますけれども、等々に基づいて御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/6
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007・多治見高雄
○多治見説明員 河川のはんらんにつきましては、一次的に河川管理者が責任を持つということでありまして、御承知のとおり一級河川、二級河川ございますが、一級河川につきましては、建設大臣が管理者になっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/7
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008・大出俊
○大出委員 したがって、そういう意味では国の行政責任ですね。建設大臣は行政長官であるわけですからね。ということになると、私は神奈川県におりますから神奈川県内の事情が一番よくわかるのですけれども、神奈川県に河川協会というのがつくってあります。それから神奈川県中小河川改修促進期成同盟会なんというものもありまして、それから鶴見川矢上川帷子川改修促進本部というものもつくって、従来からずっとやってきておるわけです。ところで、昭和四十一年の六月二十八日、昨年の六月二十八日であります、台風四号でたいへんな被害を神奈川県の場合は受けたわけですね。特に横浜市が中心になっておる。関東ロームなんという土地柄でございますから、川はやたらにはんらんしてしまう。県下で被害状況を言いますと、浸水戸数三万六千六百戸です。さらに農耕地は三千七百ヘクタール以上冠水流失、というのですから、流れてしまったわけですね。それから横浜、鎌倉両市には災害救助法が発動されましたし、たいへんなことになったわけです。これは三十三年の狩野川台風というのがございました。あのときにもたいへんなことになったわけですが、その後の三十六年の集中豪雨、さっき大臣がちょっと言っておられましたが、これを上回るような大被害になってしまったわけですね。これは、本来なら、被害度からいって、集中豪雨等に比べてそこまでの被害がなぜ起こるかということに私自身が首をかしげる程度なんです。ところが、横浜というところが特にひどいというのは、さっきのお話の宅造なんですね。横浜というところは、最近一年間で茅ケ崎市よりちょっと多い町が一つずつ市の中にふえるというわけですから、一年に十二万ふえるわけですね。そのうち、宅造をどんどんやって、宅地を急造するわけなんです。したがって、さっき大臣のお話の、水を吸収する力がない。それでこういう結果になった。そうすると、そういう地域に対しては何か特別な手当てをしなければならない。別な面で宅造についても何らか規制をしなければならない。ですから、いま建設業者の方々に言わせると、横浜くらい宅造その他がうるさくてにっちもさっちもいかないところはないと言っておる。そのくらいうるさくしていても、なおかつ現在の法律規定からいえば、最終的には認めざるを得ないのですよ。そうすると、どんどん宅造が行なわれる。水の吸収力がなくなる。だから、狩野川台風あるいは集中豪雨よりも少ない雨量であったにもかかわらず、たいへんな被害度になってしまった。今後はますますその傾向を強めると思うのですね。そうすると、そういう地域に対する対処のしかた、河川に対する対処のしかたというものは、単なるいまの五カ年計画の筋書きどおりで進めておりますでは、私は事が済まないと思うのです、社会環境が変わっておりますから。そうすると、そこに何がしか別の手当てが必要じゃないか。おそらくそういう陳情が出ておると思うのでございますけれども、何か河川五カ年計画のほかに、たとえば鶴見川水系、帷子川、柏尾川等、激甚な被害を受けておる都市河川の整備については、新五カ年計画の別ワクによる予算措置を行なって、向こう五年以内くらいに開けていく分野とテンポを考えてみると、何か手を打っていただかないと、集中豪雨の半分くらいの雨量しかなくても、先般のような被害が起こる。だから、そういう意味のところは横浜だけかどうかわかりませんが、あるいは神奈川だけかどうかわかりませんが、特にそういう都市近郊の発展を読けている個所は似たようなところがあると思うのですが、そういう手の打ち方ができないものかというのが一つ。
それから、中小河川の改修の促進をはかるための治水事業五カ年計画、この大幅な繰り上げをしてほしいという、内水排除その他を含めて、いま大臣おっしゃっておられましたが、それから災害復旧事業については緊要工事、非常に急を要しかつ重要な工事を二カ年で大体完成するくらいにしていただかぬと、二年おきくらいには相当な集中豪雨的なものが来てしまいますから、全体を大体三カ年くらいで復旧ができるというふうなくらいにしていただかないと、実際の現地の状況に合わない。ここらあたりのところをどういうふうにお考えになっているかを承っておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/8
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009・多治見高雄
○多治見説明員 お答えします。ただいまお話しのように、最近の河川の災害個所は、非常にここ数年従来の災害と様相が変わるといいますか、地域的にもその姿はだいぶ変わってきております。先ほど大臣からのお話ございましたように、その最も著しいといいますか、顕著な面は、やはり都市化の問題にからんだ川の地位といいますか、変わってきたという点であろうと考えます。それで、五カ年計画の制定当時と現在と比較いたしますと、一番顕著に変わってきておりますのは、都市化現象が非常に進んで、河川の流域の財産、それから人口が急激にふえてきている。したがいまして、被害もふえてきておるという現象でございます。それで、この点に対処いたしますために、当面われわれといたしましては、現行の五カ年計画の中で、できるだけ繰り上げ施行してこれの解決をはかろうということで、四十二年度予算につきましても、その努力はできる限りいたしたつもりでございます。それで、先ほど大臣からのお話ございましたように、新しいこういった事態に対処する五カ年計画をつくって、計画を改定してやっていこうという機運もございますので、白下その点について検討を重ねております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/9
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010・大出俊
○大出委員 実は横浜で飛鳥田市長と一緒に、あまり横浜に被害が集中する最近の豪雨あるいは台風、こういうことですから、河川利用審議会というふうなものをつくって、私もずっと委員でやってみたのですが、横浜の国大、私大、その他の学者の意見をずっと開いてやってみた。ところが、先ほどのお話の内水なんというものは、これは単に河川だけじゃないのですね。幹線下水のようなものを思い切ってつくらないと、これは三十八年でしたか、九年でしたか、忘れましたが、建設省でもそういう手配もされ、法律もできて、一番最初の適用を横浜市がいただいたようなことになっていると思いますが、これは百年前のパリの大型下水ではありませんが、例のレ・ミゼラブルに出てくる時代にすでにあったわけですからね。そうすると、国際都市横浜なんというところに、地下に幹線下水というものが入っていないというばかなことはないわけです。そういうのでいまどんどん進めてやっておりますが、どんどん水洗便所が至るところにできる。できなければ、五万円貸し付けてあげる。そして浄化槽を二つつくれば五十万かかるが、五万円あればみんな水洗便所になるというふうに、横浜の中心はどんどん進んでいるわけです。そういう意味で、内水排除——川と護岸だけやったって、内水が排除できないという点があるのですから、そういった点を含めまして、大都市の中小河川の緊要な整備、これがまず必要だ。そして大都市内の下水道の急速な整備が、もう一つ柱として必要だ。もう一つ、都市近郊の宅地造成を何かの形で強力に制限をする。つまり中小河川の整備と内水排除と下水道の完備とあわせて宅造というものが進められていかないと、宅造のほうばかりどんどん進んでしまう、幹線下水は入っていない、内水は排除できない、中小河川はほうりっぱなし、流出する土砂で、一ぺん雨が降ったら、改修しても埋まってしまう。もうどうにもならぬ。これは幾ら金かけて改修しても、一ぺん台風が来たらもとのように埋まってしまう、宅造が激しいから。こういうことです。だから、この辺が、いま都市周辺の水の問題、内水を含めてはんらんの問題というような問題の焦点だと思うのです。だから、こういう点について、いま機運という次長のお話なんですが、機運でなしに、もうちょっと——二十年後のこれだけの構想をお立てになる建設省ですから、先のことも確かにみんな希望するところでしょう。ビジョンも必要だし、夢も必要でしょう。夢を持てるだけいいんだといえば、そうかもしれない。しかし、みんなきょうのこと、あしたのことを考えているわけですから、そうすると、きょうのため、あしたのために何かここにもう一つなければ、二十年につながらないわけだ。二十年につなげるには、河川新五カ年計画でいいんだというのでは、二十年の構想につながっていきません。してみると、いまここにきょう、あすの問題を考える中心を私は申し上げましたが、そういった柱について、もう少し地についた具体的なものがなければならぬと私は思うのですが、そこらのところをもう少し、単に機運だけでなしに、見解のほどをお述べいただきたいのです。二十年だけ宙に浮いてしまっては困るからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/10
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011・多治見高雄
○多治見説明員 先ほど申し上げましたように、現行の計画を改定して、そういった面についての徹底的な対策をやっていこうということは、検討を進めております。それで、現在の問題でございますが、現行五カ年計画の中でこれに対処できる面ではできるだけ対処していくということで、端的な例を申し上げますと、鶴見川につきまして、五カ年計画のワク内でできるだけ予算をふやしていくということで解決をはかる。数字を申し上げますと、四十年から四十二年、鶴見川につきましては四十年より増額されまして、倍額の予算をつけております。これは計画のワク内で繰り上げて対処するという面から申しますと、極限に近い数字をつけて中小河川、特に都市周辺河川の対策を強力に執行しようという努力をいたしているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/11
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012・大出俊
○大出委員 結論を急いで申し上げますけれども、私は、この河川五カ年計画のワクを広げる、あるいは予算をふやす、五カ年計画のたてまえをくずすわけにはなかなかいかぬと思う、五カ年計画という計画を立てている以上は。だから、その中身においても、いまおっしゃるように、もう少し、大臣もさっきお認めになっておるけれども、そのもの、ずばり川の問題、都市の中小河川の問題、内水の問題、宅造の問題等々を並べて、みんなこれは建設省の所管事項ですから、それを三つうまく進んでいくようにバランスをとっていただかぬと、片手落ちになって地域住民が迷惑するということになる。特に実力大臣西村さんのことですから、何とかそこらを在任中に御検討いただきたい、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/12
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013・西村英一
○西村国務大臣 まことに仰せのとおりでございまして、実は横浜は——私も、横浜についてある河川を手がけたのです。初めは十億くらいで直せるかなと思ってだんだん聞いてみると、一河川で四、五十億もかかるというふうで——これは横辺周辺は、御案内のように住宅が立て込んでいる。住宅が立て込むと、下水の問題になる。これはどうしても河川は下から直さねばはけません。したがいまして、一河川直すのにたいへんな金がかかるといったことでびっくりして、私自身が手をやいて投げたのです。いまあなたのおっしゃるのは、住宅と河川と下水、仰せのとおり、下水はそういう河川に従って、また河川は水を処理するのに——水はいまは量だけではございません。質がよくなければ絶対にだめでございますから、その河川に沿う流域、下水道についても力を入れなければならぬ。要するに、御忠告を受けますことは、住宅と下水と河川について総合的な規模でやったらどうか、こういう仰せでございますから、今後十分これは力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/13
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014・大出俊
○大出委員 これは神奈川の特殊事情を申し上げるのですが、河野一郎さんが建設大臣を長らくおやりになっていた時期なんですけれども、私国会議員を始めて間もなく、神奈川の期成同盟の方々がたくさん陳情に来られて——当時はいまと違いまして、建設大臣から法案が出てくると、声がかかっておつき合いすることがよくあった時代です。そこで、神奈川の県市会の皆さんに頼まれて、大臣と一緒になったら、直接そこの席で河野さんに、神奈川の予算内容をほかの県と比べてみると、まことによくない、だから、何とか他県との均衡をとる程度までは予算化してくれと頼んでくれぬかという依頼を受けた。なくなった方のことを言うのは恐縮なんだけれども、私は西も東もわからない男なんだけれども、河野さん、ともかく神奈川は数字的に調べてみるとひどいじゃないかということをずばり話をしたら、いや大出君、この間も県市会のうちのばかどもが一緒にあらわれて、何とか解決してくれと言ったが、ばかもん、帰れ、内山知事が手をついて頼みにこない限り、おれは見てやれぬ、こう言った。こういうわけですね。私は直接世の中の政治というものは——神奈川県知事内山さんと河野さんの仲の悪いことは天下周知の事実だけれども、犬とサルのように仲が悪いのはわかっているけれども、ここまでとんでもないことになっているのかなと思ったのだけれども、いま河野さんも御案内のとおりだし、内山さんも知事をおやめになったわけですから、かつての関係はいま処理がついたわけですから、ひとつこのあたりで、やはり他県並みに見るところは見ていただかないと——他に比べて神奈川の場合には、横浜のような土地をかかえておりますし、湘南各都市の人口の伸びというものはたいへんなものですから、その地域に鎌倉を含めて、少しお考えをいただかないと、これはにっちもさっちもいかない。私は事実をありのまま申し上げるのだけれども、そういうどんどん発展をする都市近郊の河川に対するものの考え方というものを、もう少し積極的に検討していただきたい、こう思うわけです。これは私のお願いなんです。
そこで、実は鶴見川水系の中に早淵川という川があるのです。綱島というところから、——東横線の綱島ですから、大体の方は御存じだと思うのですが、あそこから高田、あるいは荏田というほうにずっと流れていく、横浜線沿線のほうに流れていく川です。逆に言えば、横浜線の沿線のほうから綱島のほうへ流れてくる川ということになりますが、この早淵川の周辺の町内会の人々が、至るところに避難場所をきめて、町内会で集中豪雨あるいは台風等に備えての家族子供の避難訓練をいまもやっているのです。どこどこの町内会は何ミリ以上の雨が降ったらどこどこに避難すると、みんなきめているわけです。子供さんが朝学校に行くときに、雨が降っておったら帰りはうちに入れないかもしれない。その場合に、学校に電話をかけて打ち合わせをする。学校から子供さんが帰ってくると、道路、住宅が川より低いものですから、川になっておって入れない。こういう状態が至るところにあるわけなんですね。そこで、私も見るに見かねて、連合町内会長にいろいろ聞いてみたところが、連合町内会長が中学生のころから、この周辺については、江戸時代からの話を聞いていると言う、川に手を出す政治家はろくなことはないといわれるのだ。だから、地元の県市会の方々が、なかなかそこに手を出さない。水利組合がばんきょしておって、なかなか手が出せない。そこで、しかたがないので、まず調べようと思って、横浜市の農政局に聞いてみたら、農政局でも早淵川というものの河川計画がどうなっているかわからない。ところが、私がこの国会議員の席を得るようになるころには、その早淵川の周辺に棒ぐいが立って、河川の拡幅工事をやるから、この周辺に家を建てるものはそのつもりで建てろという川崎の例の河川工事事務所の札がたんさん立っている。それが一、二年たったら、東急住宅の宅地になっていて家が建っている。そうすると、これは水がいつも出るのを知らないでみんな買って入ってきた。そのころになったら、立て札をとってしまって、みんななくなってしまった。こういう状態になっているところです。私は、そこで、しょうがないから、今度県の河港課へ行って聞いてみたら、県の河港課でもどうなるかわかりませんと言う。予算としても年間百五十万ぐらいしか組んでいない。何に使うのかと言ったら、河のがけがくずれたらそれをもとに戻すだけの予算だと言う。そこで、しかたがないから、川崎の河川工事事務所へ行って聞いてみると、ここでもわからない。しかたがないから地建の伊藤さんに聞いてみると、いやこれは実は五カ年計画にも入っておりませんと言う。それではそこから先の五カ年計画はどうなるのかと言ったら、その想定予定地にも入っていませんと言う。それじゃおおむね十年はだめだということになるじゃないかと言ったら、そのとおりだと言う。そこで、この両三年何カ月ずっと続けてこの問題で、地建の諸君にも、事務所の諸君にも、県議の諸君にも話して、いろいろやってみた。そうしたところが、明らかになったのは、早淵川という川に峯大橋という橋がありましたね。そこから上五百メートルというところまでが、管理は県にまかせるのだけれども、工事は国がやるというかっこうになっているのです。ところが、そこから先は県単河川、そうすると、まん中の五百メートルくらいが片側堤防の計画が立っている。片側は昔は山だった。いまは山じゃないけれども、昔は山だった。山だからだいじょうぶだということで、片方だけ堤防をつくるということにして改修計画ができた。改修計画が、どういう理由でできたか知りませんが、公表した時期がある。だから、工事をするという札が立った。ところが、予算事情その他からだんだん変わってまいって、計画が立ったままで、予算がつかないでなくなってしまった。だから、立てた札はとってしまった。とったその時点が、東急がそれを建て始めた時点です。ほんとうは川が広がる予定になっていた。勘ぐれば切りないですけれども、そこのところを宅造をやって水が出た。水が出たけれども、うちを建てて建て売り住宅にする。一面からすると、そういうところとあわせて、何か政治的な問題があってその計画が消えてしまったような気もする。そういう事情です。そこで、川の中に古い木のせきがある。ところが、四月ごろになると、せきを張って田に水を入れるのだが、このせきを張ってしまうと、近代的な巻き上げせきではなく、裸で入ってふんどし一本になって上げるせきだから、雨が降ると、小さなせきの上を水が流れる。だから、農業用水がそこで逆流してしまって、みんなあふれてしまう。こういうきわめて旧態依然たるせきがいまだにある。それで水利組合に聞いてみると、水利組合の諸君は何と言うかというと、いまはたんぼはほんのわずかで、みんな売れてしまった。あとから入ってきたよそ者が水が出て困ると言っても、これはおれたち先祖伝来の土地だ、こんなせきに金をかけて直せるか、ふざけるなと言う。いまだにそのまま水が出ている。しかたがないから、関東地建の方々を説き伏せて、ポンプを二台つけて、あふれた水を川に戻す。それは、ポンプの反対側のほうには排水溝がずっと出てきておるけれども、それを上まで抜いて、遊水地をつくって、そこから大きなポンプで矢上川に水を戻す。たいへんな金をかけて水を戻す。こうやっているのですが、これも百ミリ前後の雨ならばそれでいいが、ところが、それをこえると、せっかくやったポンプの出力では抗し切れない。したがって、日常の普通の雨ならば何とか子供さんも学校からうちへ入れるけれども、台風とか豪雨などの場合は、さっき申し上げたように全然だめで、避難です。こういうことなんです。これが五カ年計画に入っていないという以上は、どうにもならぬ。それが続く。そうすると、あの周辺は何町内会もそういう状態なんですが、そういうところについての国の責任というものは、政治が行なわれている以上、あってしかるべきだ。十年間わかり切っていることが、これから先まだまだ続くのでは、たまったものではない。これは具体的な例なん、だけれども、ここだけに限らず方々にありますが、こういう問題については、いまみんな困っている。その問題を——これは市の責任でもないですよ、市がやらなければならぬという法律規定はないのだからね。県といっても、県は大橋から五百メートル先の地点から向こう。あとは、国が予算をつけない限りは、県はどうもならない。市も県もどうにも手の打ちようがない。だとすれば、国が何らかの措置を講じなければ、市も県も動けない。ここらあたりは、県体的に例をあげたのですが、川という本質的な問題がありますから、冒頭に申し上げたのですけれども、こういうようなケースは全国いろいろあると思うのですが、一体建設省という責任官庁の立場から、五カ年計画、新五カ年計画はさておいて、どう対処しようというのか、聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/14
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015・多治見高雄
○多治見説明員 ただいまの早淵川の問題でございますが、いままでお話のございました当時の経過をたどって申し上げてみたいと思います。ただ一点調べましたところで違います点は、くいを打ったというお話でございます。いろいろ調べました結果、当時あそこの土地を買った所有者から、もし堤防をつくるとすればどこへ堤防をつくるのだ、その位置を示してくれという要請があって、堤防をつくるとすればここまでだ、ここまで堤防になるというようなことを表示するためにくいを打ったということはあったようでございます。その後、それについて建築の制限その他の制限を表示したということは、全然記録にございません。地元の地主の要望で、ここまでは堤防になりますということを申したことはございます。それを表示するくいを打ったということはございます。
それから五カ年計画の問題でございますが、昨年の四十一年の四号台風で鶴見川が非常に災害を受けまして、あのときの工事施行の緊急度について再検討する必要があるということで、事実再検討を始めました。そのときに、早淵川の問題につきまして、四十二年度予算の総額、鶴見川の総額についてはっきりした数字が出れば、その額によってどこまでやれる、どこまでやれるという順序をつけてやっております。その結果、四十二年度六億五千万の予算が鶴見川につくということになりましたので、その六億五千万という金額からはじいていきますと、鶴見川の改修もできる、早淵川の改修もできるということになりまして、それじゃ早急にやろうということで検討を始めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/15
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016・大出俊
○大出委員 昨年の皆さんの計画の中に、いま例にあげました片側堤防になったところ——むちゃくちゃな話なんですね。山だから、向こうは堤防は要らないというんで、こっち側だけ堤防をつくるというおたくの計画。ところが、こっちは山がなくなって、うちになってしまった。依然として計画は片側堤防です。ところが、私がやかましく言うものだから、去年やっと片側でなく、両側堤防をつくる計画はできた。計画はできたが、予算の配分がきまらなかったので、それはそれでおしまい、計画だけです。これは御発表になっていないから、世の中の人は知らないですよ。知りませんが、しかし、それじゃ現実には片づかない。だから、私が言ったように、緊急に手を打つべきなんで、さっき大臣が言ったとおり、川は下からやっていかなければはけないから困るんです。川というのは、いろいろ地形が違いますからね。そうすると、ここの地点に農業用水のためのせきを張る。このせきは一ぺん張ってしまったら抜けない。そうすると、台風の時期も一年じゅう張っておるのです。台風の時期も、そこから上は水は段層になっているんですから、その上を水が上から流れて落ちるわけですから、そうなると、どうしても手がつけられない。開閉式の農業用水の入口なんだけれども、こっちの排水が、逆に開いて水が抜けていっちゃうわけです。だから、荏田住宅の周辺が川になってしまう。何しろ一間くらいの堀になって、そして橋がかかって、メダカが四、六時中泳いでいる。こういうばかげたことにしておいたんでは、とてもじゃないが話にならぬ。だから、そういうようなところは、その堤防の拡幅をほんとうにするなら、せきの改修は原因者負担で皆さんがやる。せきの改修さえできれば、こちら側に排水溝を市が金をかけて思い切ってやるときめておるのだけれども、せきが一年じゅう張ってあったんでは、こちらにあふれてくる水を排水溝に流したんでは、この排水が天上川に流れてくると、南綱島から南日吉のほうの住宅が浮いてしまう。だから、そのせきを何とかつまり遊水地みたいにして、堀をあけるようにしてもらうとか何かしてもらわなければ、水位との関係で現実につくりようがない。だから、それは皆さんのほうで調べればわかるんですから、緊急に必要なところは、どうせやるんだから、手を打っていかなければ、せっかくある予算をこま切れに使っていくのでは、そこらあたり少し考えていただかぬと、十年間これから毎年秋を目がけて女房、子供に避難訓練をやらしておくということは——あの周辺はたいへんな人口なんですから、どんどんふえてしまうんですから、川の両側ですけれども。そういう形は、私は、そのときの政治の責任において、とるべきじゃないと思うんです。だから、せっかくいまのお話が出たから言うんだけれども、どうかもう少しこれは詳細にお調べいただいて——それは私やかましく言っているものですから、京浜工事事務所のほうは、最近は知っている方もあるでしょう。三年ばかり前は、何べん聞いても知らない。関東地建でも知らない。たまたま伊藤さんにかわって建設省の河川局の人が地建局長になって、ここまでのことがようやくわかった。こういうことでは困るので、ぜひお調べいただいて、何と言っても地域住民の——五百や六百の人じゃないんだから、あすこの連合町内会全部の騒ぎなんだから、そういうところはお考えいただかないと困る、こう考えますが、具体的にひとつ前向きで——やらなければならぬことはたくさんありましょう。ありましょうけれども、懸案事項だから、これは神奈川県だって、横浜市だって、何とかしてやらなければいかぬということはよく知っておりますけれども、そういう点も含めてよく御検討願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/16
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017・多治見高雄
○多治見説明員 いまの早淵川のお話については、よくわかりました。先ほど申し上げましたように、四十二年度予算がつい最近決定いたしましたので、その中に含めて検討いたしております。事務的な検討は進めておりますので、予算の額さえきまれば、それを実施に移すだけでございますので、わりに早くできるというふうに考えております。
それからせきの問題につきましても、水利組合との管理の問題が若干残っておりますが、その点も解決できる見通しでございますので、それも早急にやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/17
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018・大出俊
○大出委員 最後に、宅造の問題ですが、もうはらはらするんですね。どんどんマンモス団地をつくるということで、宅造が進む。いまの川の上のほうに荏田というところがある。荏田団地、市長がずいぶん押えてきた。その荏田団地をつくられると、雨が降るたびに横浜線の沿線のほうから水が幹線道路を押し流してきて、そうしてそれがいま申し上げた綱島の周辺に水が一ぱい来てしまう。それは目に見えておるわけですね、どんどん宅造が多く進んでくるに従って。それを一生懸命押えて、横浜市長以下、業者の諸君に悪口を言われながら押え抜いてきた。ところが、いまの法律規定から言えば、押えようがないのですよ。いま市長のあれも、向こうがやってしまえば押えようがない。そうすると、押えようがないから、許可をする。許可すれば、ますますもって水びたしの範囲が広がる、こういうわけですから、宅造についての何かの規制をもう少し考えていただかぬと、法律規制がないところで市や県がやろうとしても、市や県の理事者の責任だけではせきとめようがないのです。だから、そこらのところをもう少し御研究願いたいのですけれども、何かそこらの宅造その他についての全体をながめた上での、どういうふうにするかというようなことについての法律規制というものを考えてしかるべきだと思うのですが、何かそういう点についてのお考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/18
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019・志村清一
○志村政府委員 宅地造成に関しましては、先生御指摘のような問題等もございまして、従来は野放しになっておりましたが、宅地造成等規制法という法律をつくりまして、危険宅地につきましてチェックをしてきております。その後危険宅地だけでなく、一般の宅地を開発する場合に宅地造成事業法——非常に似た名前でございますが、そういう法律を国会のお許しを得まして施行いたしまして、個々の宅地造成事業についてチェックするということにいたしております。御指摘のとおり、それだけではまだ足らぬだろうというような問題があることは事実でございます。さような問題につきましては、一体市街化する地域と市街化を抑制せねばならぬ地域というふうな区分をいたしまして、市街化すべき地域につきましては、ちゃんとした町づくりができるような宅地造成をして、市街化を抑制すべき地域については、原則として市街地開発、宅造というものを禁止するような方向に持っていくということが必要であろう、かように考えておるわけでございます。それらをチェックする手段として、開発許可制度というようなものも考え合わせねばならぬ。さような意味合いにおきまして、宅地審議会等におきましても、だいぶ長いこと検討いたしまして、答申をいただいておりますので、それらの問題に関連する法制等について、できるだけ早い機会に国会に御提案できるように、ただいま準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/19
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020・大出俊
○大出委員 つまりその地域だけをとれば、危険地域じゃないんですね。宅造をやったからといって、がけがくずれるわけでも何でもない。終末処理もできる。個々にチェックするといっても、しようがない。ところが、そこを宅造してしまえば、その地域はそれで済むけれども、河川改修その他の関係が終わってないと、そのための水の流水量というものを考えると、それから下のほうの水がたいへんなことになる。だとすれば、その河川改修が一応手が打たれても、この地域の宅造は何年何月以降でなければ認めないということができるようにしていただかぬと、バランスがとれた進め方にならぬ。中小都市河川と幹線下水と宅造と、こう並べてみたときに、バランスがとれないところに大きな問題が起こる。だから、大きな目で見た、これはある意味でいえば、土地利用計画あるいは都市計画の問題になりますけれども、そういう立場でもう一考お願い申し上げたい、こういう趣旨でございます。
それで、次に簡単に承りたいのですが、建設業法の改正の問題でここ二、三年、各所でがたがたしているんですね。一人棟梁、一人大工、あるいは左官の諸君、あるいは材木屋さん——材木屋さんというのは、大工さんに材木を主として売っておりますから、業法規制が強くなって許可制度に切りかえられる、そうすると、確かに法律条文の改正という面からいきますと、たいした変わり方をしないのですけれども、いまの建設業法の三条がなくなる勘定になる。そこで、これは建設業法の中央建設業審議会で一応まとめたと称される案ですがね、ここにございますが、これでいきますと、政令にゆだねる部面が、この中にだいぶたくさんある。そこらについて、つまり政令の中身というものはこうこうこういうことにしてもらいたいなどという意見も、いろいろ皆さんのほうに言っている。そういうものを見ると、これは二年間の実績が二千万なければいかぬとか、あるいは有資格者、試験受けて一級建築士なら建築士になった方が三人以上いなければいかぬとか、五人以上使っていなければいかぬとか、そうでなければ二百万以上の工事はさせないとか、そういうふうな規制を個々にやっていこうという中身が出ている。ということのために、これはひとつ間違うと、一人棟梁、一人大工式なのところは、これはこそぐり仕事をやるについてもたいへんなことになるという、つまりどこかの下請でもやっていかなければ、自分じゃやれないということになる。背景はいろいろなことがあるのは、私も三年ばかりつき合っているからわかっているんですけれども、そういうものの考え方というものは、さっき私申し上げました二十年の先を見通したこの計画でいきますと、材木なんというものは、単価が高くてしようがなくなっちゃったから、あんなものはいいかげんでだめになっちゃうんだ、そのときになれば、金属製の建築資材を安く使えるようになるんだ、そうすると、金づちでくぎの頭をひっぱたいているのは要らなくなるということになる。そうすると、二十年の先を見通したというのを見ると、本質的に建設省ではその構想が立って、そうして業法改正がとりあえず審議されている。そこに生活の問題、生き死にの問題があるということで、大騒ぎが起こっている。だから、集まれと言ったら、神奈川の体育館に一万人集まっちゃうということになる。その中には、大工さんばかりじゃない、材木屋さんから、畳屋さんから、みんな集まっちゃう。そういう騒ぎが至るところに起こっておりますから、聞きたいのは——こう聞いちゃいけないのかもわかりませんが、この業法審議会から結論が出てきて、国会へという段階を迎えることになるのか、ならないのか、中には個人立法で出したい人もいるようだけれども、そこらのところはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/20
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021・志村清一
○志村政府委員 ただいま御指摘ございました建設業法の改正の問題でございますが、この問題につきましては、一昨々年でございますか、各業界から御意見がございまして、建設業審議会に意見書の送付が約九団体からありました。もちろん、いわゆる大手関係もございますし、全建総連というような一人親方の団体からの御意見等もいろいろ出てまいりましたので、さような御意見に応じまして、建設業審議会においても議論するということで、一年有半にわたりまして議論いたしております。いろいろな問題複雑でございますので、まだ結論に達しておりません。しかし、要は、一つは登録制の問題、もう一つは下請制度の問題でございます。下請は、建設業である限りは相当の下請をするのは各国共通でありますが、わが国におきまして、元請と下請の関係は、必ずしも合理的に、近代的に処理されていない。この辺にメスを入れる必要があるのじゃないかという点で、いろいろ議論をされております。と同時に、登録制度につきましても、先生御承知のとおり、現在の建設業法は、技術者が一人おればいいということになっておりまして、しかも名目的な技術者を適当にお雇いになって、事実上建設業法でなくて、兼業的にやっておられる方があちこちにおります。したがって、業者の数が十数万になる、非常な過当競争という問題等が起きております。片やほんとうに腕に職を持っている、若いころからたたき上げた方たちが、そういう中でかえってアップアップするという問題等があるのでございます。そういうことから、ほんとうに腕のある方だけが建設業に従事できるというふうなことのほうがほんとうじゃないかというたてまえで議論をいたしておるわけでございまして、大工さんや左官さんその他の方々を排除しようという御意見は、実は建設業審議会の席上でもあまりございません。全建総連からも代表者が出ておりまして、その面の主張も十分いたしておりまして、そのような見解はただいまのところはございません。
なお、二十年のビジョンで、木材を使わなくなるという問題でございますが、それらにつきましては、非常に資材面が高くなる、天然資源としての資材はどうしても高くなりますので、これからコストを下げていくというためには、工場生産の資材を使いたいというふうなことでございまして、いわゆる大工さんが要らなくなるなんということは、一つも考えておりません。当然必要であろう。左官もずいぶん様子が違いまして、こまいを使ってやるというのじゃなくて、機械を使ってやる左官が一般でございまして、技能の形態も変わってまいります。したがって、従来の左官、大工さんのような、腕に職のある方は、大いに仕事をやっていただきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/21
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022・大出俊
○大出委員 ただ、登録制を許可制に変えた場合に、つまり建築技能試験を受けたりなにかする一級建築士なり、二級建築士なり、ございますね。これは非常に盛んで、いまお話の全建総連なんかもリーダーシップをとって、学校を一ぱいつくってやっているのですね。夜なんかも、若い人たちが一ぱい来てやってますよ。それは非常にいいことで、そういう趨勢をより高める必要がある。私は、そういうところには、もう少し国が——いろいろの人から金を集めたりなんかしながらそういう学校を開設して、私どももずいぶんたのまれるほうだけれども、手伝ってあげているけれども、もう少しそれを公的な機関があと押しをしてあげる必要があると私は思う。ただ、そういう方々を何人以上なんてワクをはめたり、二カ年間の実績がこれこれなければならぬなんてワクをはめたり、資本金が幾ら幾らなければならぬというワクをはめたり、でなければ幾ら以下の仕事でなければやれないなんてことをすると、いま論議をしておられても、制度改正から締め出されることになる。ここが問題なんですよ。別なほうじゃ、とんでもないいろいろなことを言っているわけだ。現にそうでしょう、政令の中身はこうしてくれなんてね、明らかに締め出しです。そうすると、オリンピック以降仕事がだいぶ減ってきた。大企業のほうが、五百万の仕事でも一千万の仕事でもいただこうということになってくるのでは困る。逆に一人棟梁、一人請負なんてやっている人たちは全部吸収されて、どこかの下請にでも入っていってしまわない限り生きていけない。かくて大企業のほうで安く使えるなどということになったのでは困る。そういう制度的な面で、こういう意味の心配があるわけです。そこはどうかという問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/22
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023・志村清一
○志村政府委員 ただいまのところ、先ほど御説明申し上げましたように、議論の中身は、免許制に切りかえたらどうかという御議論が、相当強くなっております。建設業の免許を受けられるのは、先ほど申し上げましたように、実際自分で建設業ができる人、ただお金を持っている、資本金がある人ではだめだということで、資本金等によるチェックは考えておりません。ただ、非常に大きな、総合工事業といってたくさんの下請を使う、そして下請業者の賃金不払いとかその他いろいろ問題が起きてまいりますが、そういうものに責任を負ってもらわなければならぬ総合工事業者というものについては、相当厳重な資格を考えなければいかぬのじゃないかというふうなたてまえでございまして、先生の御心配になるようなことはまずなかろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/23
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024・大出俊
○大出委員 電気工事事業法の改正、これは議員提案だと思いますけれども、そちらのほうとの関連もあるわけですね。これも団体が二つに割れていろいろなことになっておりますのを知っておりますが、似たような性格を持っている。だから、いま私が幾つかあげたところがポイントなんで、私は、やはりこの種のことは、現に一人親方的なことをやっている方々が、日本の特殊な建築構造というもののために長らくそういう経済関係をつくり上げているわけですね。その方々にひとつ大きなプレッシャーがかかってはじき出されるという形は、現状ではとるべきでない、私はこういう考え方を持っているわけです。大企業のほうの方方というものは、それなりに、利益を見たっておわかりのように、いまだに山ほどもうかっているわけです。だから、そういう意味で、これだけの大きな騒ぎに、家族を含めて、なってしまっているという現実をお見詰めいただいて、そのあたりはあまりとんでもない意見をお聞きにならぬで、慎重にお進めをいただきたい、こう考えているわけですよ。これは質問をする気になればずいぶん長いことになってしまうので、きわめて大ざっぱに——というのは、いま国会にお出しになれそうにない状態に見受けられるし、また、議員立法などというとんでもないばかげたことにならないように、そういうことを簡単に申し上げているのですが、大体そのように受け取られるので、ぜひひとつ今回そういうことにとりあえずしておいていただいて、大臣を含めて、これは慎重に、たくさんの零細な企業の方々のまさに生き死にの問題ですから、しかも大工さんだけでなくて、畳屋さん、材木屋さんまで含めて大きな問題でありますから、そういうふうにお進めいただきたいと思うわけであります。その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/24
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025・西村英一
○西村国務大臣 いま局長は大体のことをお語いたしましたが、最近私のところにも、兵庫県から左官、大工の方々が毎日のように陳情においでになります。建設業法の改悪反対です。いま建設省といたしましては、建設業法が非常に古い法律でございまして、登録要件等も非常に簡単で、その結果によって中小企業の倒産の中に非常に割合が多いのです。何とかしなければならぬ、こういうことは考えておりますけれども、いま建設省として確定した方向はまだありません。したがいまして、いまあなたがおっしゃいましたように、われわれとしては最も大事な大工、左官、この養成も考えて優遇をしたいと思っておるやさきに、これらの人を締め出すなんという考え方は、毛頭ないわけでございます。したがいまして、建設業法それ自身につきましては、またいつの日か御審議を願うことはありましても、これらの零細な方々に建設省といたしましては十分な注意を払いたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/25
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026・關谷勝利
○關谷委員長 楢崎弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/26
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027・楢崎弥之助
○楢崎委員 おとといの質疑の際に残しておった問題がありますので、話し合いのもとで採決の時間もきまっておるようですから、簡単に私の質問を終わりたいと思います。
せんだってお願いをしておりました特別措置法の三条にいう「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」ということは、一体どういうことなのか、政府の責任ある見解をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/27
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028・志村清一
○志村政府委員 過日御質問ございました際に、建設省に対して照会いたして回答があったというような先生の御指摘でございましたので、関係方面を調べてみたのでございますが、書類上残っておりません。私どもとしては、書類上残っておりませんのて、過日のお尋ねにはお答えしかねるわけでございます。
本日の問題につきまして先生のお尋ねでございますが、「適正且つ合理的」ということは、土地収用法に同じような文言がございます。その事業に使うのが適切であって、しかもいろいろ場所が考えられるが、最も合理的であるというようなことかと存じますが、それらの運用の実態等につきましては、この法律が総理府所管でもございますし、防衛庁等においてこの法律の解釈等も行なっているわけでございますので、私どもから具体的内容等についてお答えするのは、差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/28
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029・楢崎弥之助
○楢崎委員 ちょっと約束が違うのですがね。私はおととい、もしそうであれば、どなたでもけっこうだから、責任あるところと連絡をとられて、御答弁は政府を代表してどなたかが答弁していただければけっこうです。また、あとで連絡に見えた方にも、そのように申し上げておったのでございます。
それじゃ時間がかかるようですから、約束と違うのですけれども、防衛二法がいずれ当委員会にかかるでありましょうから、そのときにゆっくりそれはやりますが、それじゃ、このことだけをお伺いしておきます。実はこの「適正且つ合理的」と判断するのは一体だれかということをお伺いしたがったのです。それからまた、それをお伺いした上で質問を進めなくちゃいけませんが、大体お答えがわかっておりますから、日米合同委員会との関係はどうなっておるのか、これを聞きたかった。さらに、そうすれば、この特別措置法の三条にいう「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」ということと、土地収用法の二条にいう「公共の利益」とどういう関係にあるのか、これをお伺いしたいのです。いま建設委員会に土地収用法の一部改正が出ておりますね。関係ありましょう。どういう関係があるのですか。この二条と三条の——あなたは二条にこういうふうに書いてあるから、これを持っていったんであろうというような御答弁ですが、それじゃ土地収用法の二条の「公共の利益」と、特別措置法の三条にいう「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的である」というのとは、どういう関係があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/29
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030・志村清一
○志村政府委員 土地収用法の第二条に、先生のおっしゃられるとおり「公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、」この法律の適用ありということになっておりまして、土地収用法におきましてはそれを受けまして、第三条で公共の利益となるような事業について列挙いたしております。そしてたくさんの号がございますが、それらの号に該当する事業は、一応公共の利益に合致する事業というふうにみなされておるわけでございますが、駐留軍に関する特別措置法につきましては、土地収用法と別個の体系で考えられているものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/30
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031・楢崎弥之助
○楢崎委員 私はそうだと思うのです。これは関係ないのですよ。ところが、土地収用法の二条を受けて、それを審議する土地収用委員会の委員は、土地収用法の五十二条の三項に、これは二条を受けて、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」が選ばれているのです。いいですか。二条を受けて、公共の福祉に関し公正な判断をする委員が選ばれているのです。こういう土地収用委員会が、全然関係のない特別措置法の目的に沿った案件をどうしてこの収用委員会にかけるのですか。私が言いたい結論はそこです。だから、この特別措置法で、土地収用法の組織、権限を除外しておるという意味が出てくるのです。そうでしょう。局長の御答弁からいったら、土地収用法の二条と三条は全然関係がない。そして土地収用委員会なるものは、土地収用法の二条の公共の福祉というもの、公共の利益というもの、これを受けて委員が選任されておるのですね。公共の福祉について公正な判断をし得る人というものが、委員になっているのです。関係のない、特別措置法の三条にふさわしい委員は、これには出ていっておらぬのです。あなたがおっしゃったとおりです。二条と三条は関係がないのです。だから、特別措置法の案件を審議するのは、この土地収用法による土地収用委員会では審議できない。これが結論です。あなたの論理をかりてもそうなります。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/31
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032・志村清一
○志村政府委員 土地収用法の中に収用委員会の規定がございますことは、先生御指摘のとおりでございますが、土地収用法以外にも、都市計画法とかその他のいろいろな法律がございまして、その法律で収用をいたす場合、あるいは使用をいたす場合、土地収用委員会を使うという例が多々あるわけでございます。特別措置法におきましても、同様の趣旨かと解しておりますが、この特別措置法の中で、収用法の第五章第一節、すなわち収用委員会の組織、権限というものを除いて適用するという規定がございますが、過日も御説明申し上げましたように、これは立法技術上の問題かと解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/32
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033・楢崎弥之助
○楢崎委員 私はこれ以上は言いませんが、あなたの解釈はこじつけですよ。あなたの二条と三条の解釈が関連が出てくれば、この土地収用法による収用委員会は特別措置法関係を扱えますけれども、あなたは関係がないとおっしゃる、私も関係がないと思います。それを、土地収用法による土地収用委員会が関係のない特別措置法の案件を取り扱うなんということは、おかしいですよ。あなたの論理からいってですよ。これは争いのあるところでしょう。しかし、あなたのきょうの御解釈からいけば、これは全く別個で、何か特別措置法の場合は別の委員会をつくらなければならないということになりますよ。しかも、その所管は、特別措置法は防衛庁でしょう。土地収用法は建設省でしょう。そして土地収用委員会は建設省の所管でしょう。全く論理的にいったら、どこからいっても、私のほうがずいぶん分があると思うのです。これは議論のあるところですから、いずれ今度、さっき第三条に対する解釈の御答弁をいただかなかったから、次の重要案件が出てきたときにゆっくりとやらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/33
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034・關谷勝利
○關谷委員長 山内広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/34
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035・山内広
○山内委員 建設省もいろいろ問題をかかえて苦労されておることはよくわかるのでありますが、きょう上げてしまう法案でありますから、そういう当面の問題をさておきまして、御提案の法案の中身について、若干お尋ねしておきたいと思います。
日本道路公団の監理官二名を今度一名に削減されるということで、むしろ一名を二名にしてほしいというような法案が出るかと思いましたら、簡素化という理由で減らされたのですが、これはどういう事情になってこういうふうになったのか、そのことをちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/35
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036・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 御提案申し上げております法案の中で、道路公団監理官が現在二名おりますものを一名に減員する。それからまた、首都高速道路公団監理官、阪神高速道路公団監理官おのおの一名おりますのを、合わせまして都市高速道路公団監理官ということで、一名にいたします。
これは、有料道路に関します事務は、道路整備特別措置法でやっておりますが、この関係の仕事は、従来道路局に置かれております高速道路課という課で所掌しておったわけでございます。今回この高速道路課を発展的に二つの課に分けるということに相なったわけでございますが、有料道路課と高速国道課というふうに二つの課に分けまして、有料道路に関します行政の執務体制を拡充強化いたしたわけであります。それに伴いまして、有料道路を現実に建設いたして管理しております道路関係の公団の業務の監督に関します事務につきましても、再検討いたした次第でございますが、片一方で有料道路関係の行政機構が拡充されますので、行政機構簡素化の見地から、日本道路公団監理官につきましても、二名を一名に減員いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/36
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037・山内広
○山内委員 これはたしか三十一年に公団か生まれたと思うのですが、そのとき、ちょっと記憶が薄れましたけれども、とにかく同じ職務の人を二人置くということには、やはり問題があると懸念されたのですけれども、これは必要がなくなって一人にした。これはそれで仕事をやれればいいのですけれども、しかし、この有料道路の問題も、公団自体の赤字がふえ、経営が困難になっている、そういうことで、問題もだいぶ私どもは多いと見ておるのです。また、高速道路についてもなおさらのこと、新しいものがどんどん開拓されていくので、これを二つに分けるということは、二人置いたほうがいいということにならないのですか。かえって、一人ということは、業務量が増大して、また一人ふやせという事態がこないのか、この辺をひとつ確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/37
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038・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 お話のとおり、昭和三十一年に道路公団監理官が置かれたわけでございますが、その後、一年ばかりいたしまして、先ほどお話し申し上げましたが、高速道路課という課ができまして、有料道路に関する実務をつかさどることになったわけでございます。こういうふうに有料道路に関します事業量が年々非常にふえてまいりまして、最近に至るまで、道路公団監理官は二名必要だったわけでございますが、一方で高速道路課が二課に分かれて拡充強化されるということになりましたので、減員したわけでございます。
将来、さらにまた一人ふやすことになるのじゃないかというお尋ねでございますか、現在の見通しといたしましては、一名の監理官でやっていけるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/38
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039・山内広
○山内委員 有料道路の問題がちょっと出ましたので、お聞きしておきますけれども、大臣は、国鉄のこともお詳しいのですが、先般の値上がりは、私どもは反対したけれども、やっぱり上げてみたら、今度はかえって収入が思うようにいかぬということは、もう国民の負担の限界にきたと思うのです。そういう意味で、いま新聞で伝えられている有料道路の値上げの問題は一体どうなるのか。私どもも有料道路はときどき走っておりますけれども、あの有料道路が、意外に自動車が通らぬ。せっかく混雑を緩和しようと思って金をかけた道路が利用されていないというのは、やっぱり料金関係にあると思うのです。これがまた値上げされれば、何ら高速道路をつくった意味はない。少しも交通緩和の役に立たない。こういうことになるおそれが十分にあると思うのですが、その点の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/39
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040・西村英一
○西村国務大臣 とにかく借金をしてつくっておるようなかっこうでございますから、やはりその料金は——いまの料金のたてまえは、やはり耐用年数をきめて、それによってペイ・ラインに乗るような料金のしかたになっております。しかし、あなたがおっしゃいますように、料金につきましての考え方は、もう少しほかにもあろうかと思うのであります。と申しますのは、国鉄の話を例に出しましたが、つまり、どれだけの料金ならば収入が一番よけいあがるか、料金と利用者の相乗積によってきめるという一つの方法はあるわけであります。せっかくつくって、料金が高くて利用者が少なければ、これは目的を達しないわけであります。しかし、いまの方法の料金のきめ方は、建設費を何年かでペイするというたてまえをとっておるわけであります。その料金につきましては、将来は都市のみならず高速道路がますますできますれば、一つの考え方として料金をやはり再検討しなければならぬだろう。また、いまの料金のきめ方はおおよそ、たとえば今度は東名ができますると、東名なら東名のある区間については一定の料金を取らなければならぬということですが、その場合も、区間によって料金を変えたらどうだろうか、利用者が違うのであるから、というような考え方もできるのでございます。したがいまして、私は個人的に、利用者と料金との相乗積で、利用者が一番よけいになる方法も一つの考え方ではないかと思っておりまするが、現行のやり方は、その方法をとっておらないのでございまするから、これは大いにその道の専門家等にお願いをしまして検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/40
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041・山内広
○山内委員 再検討されるということで、けっこうなことだと思います。これは研究されるべきだと思うのです。
実は一つの例を申し上げますけれども、いまは何でもかんでもものの値上がりのときで、道路関係もそうですけれども、実は私は、モノレールを、羽田から立つとき始終利用しておるわけです。この物価値上がりのときに、あそこは、前に二百五十円のやつがいま百五十円です。前はこれだけの施設、もったいないなと思うくらい閑散でしたが、いまは非常にふえておる。その結果が総体的にどういうふうに影響しているかは、私、資料もありませんからわかりませんけれども、直観的に見て、料金をあそこで百円下げたということが、かえって収入を増しているんではないか、そういう判断をしております。あとでまた資料をもらって、これなどはおもしろい研究だと思いますので、お聞かせいただければと思っておりますけれども、このとおり、料金を上げるばかりが能ではなくて、下げて利用者を多くするということは、私はモノレールの場合に何かヒントを与えられているような気がするのであります。そういう点でぜひ再検討をいただきたいと思います。
その次に、ちょっと先に名前が出ましたが、今度の提案で、阪神と首都の二つの高速道路公団監理官が一つになって都市高速道路公団監理官になるわけです。これは実体がないわけですね、都市高速道路公団というのは。こういう監理官をつくることがはたしていいのか悪いのか、私は非常に疑義を持ったわけであります。たとえば西村さんが自動車会社の社長といわれた場合には、どこの特定の人だかわからぬでしょう。それでいいと思う。どこかの会社の社長さん。ところが、これに日本自動車会社社長とか大和自動車会社社長と、頭に一つの固有名詞がつくということになりますと、これは必ず名は体をあらわすで、実体がなければならぬ。ですから、今度生まれる監理官が都市高速道路公団監理官となると、しろうとなら、だれでも都市高速道路公団というものがあるという考え方になるのはこれは常識だと思うのですね。どういうことで二つを削って、こういう特殊法人のない、実体のないものを頭に冠した監理官をつくったのか。そういう例がよそにもあるのか。特に建設省内にはまだ道路公団もあるわけです。それはどういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/41
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042・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 二人の監理官を一人に統合したという理由につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおりでございますが、都市高速道路公団というものが現実にないじゃないかというお尋ねでございますが、これは確かに現実にございません。詳しく言えば、首都高速道路公団と阪神高速道路公団の監理官ということになろうかと思いますが、それを総括いたしまして、現実に都市高速道路をつくっておりますのは、東京及びその周辺と、大阪及びその周辺だけでございますので、それを総称いたしまして都市高速道路公団の監理官というふうにまとめた次第でございます。実体がないじゃないかというお話でございますが、現実には二つの公団をその実体として想定しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/42
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043・山内広
○山内委員 それは提案の理由でわかっておるわけです。それだからお聞きするのです。これは、おそらく名刺の肩書きにそういう都市高速道路公団監理官という肩書きがついておったら、だれだってそういう特殊法人があると思うのはあたりまえでしょう。ところが、実体がない。それくらいだったら、都市なんということばまで削って、高速道路公団監理官としたほうが、高速道路を少し知っておる人なら、阪神と首都があるのだから、両方やるなということにはなるけれども、この固有名詞を頭につけると、これは小さいようなことでおそれ入りますけれども、やはりこういう法改正の最初ですから、私は削ったほうがいいと思う。大臣いかがですか。これはやはり偽名なり、詐称になりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/43
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044・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 いっそのこと、高速道路公団整理官としたほうがいいのじゃないかというお話でございますが、一般に高速道路といわれておるものには二色ございまして、名神高速あるいは東名高速といったような国土全体をおおうようなものをなす自動車国道と、それから局地的な大都市内の交通をさばくための都市高速道路と、この二色あるわけであります。したがいまして、高速道路公団監理官といいますと、また逆に、都市内の高速道路の関係の公団を扱っておる監理官だという意味がぼやけてまいりまして、名神高速なり、あるいは東名高速のようなものまで監督するのではないかという疑問が出てまいりますので、都市の高速道路をつくる公団の監理官、こういう趣旨でこういう名前をつけたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/44
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045・山内広
○山内委員 名前というものは、子供が生まれたとき親も悩むものでして、しかし、これは大きくなっても恨まれないようにやはり考えるべきだと思うのですよ。私は、こういう特殊法人でない、実体のないものに固有名詞をつける考え方は反対です。だれだって、そういう監理官といえば、特定の法人の仕事をやっておると思うのですから、二つ合わせるなら合わせるように「都市の」と「の」でもつけたらまだ肩書きがいいかもしらぬけれども、どうもこの点は疑義があります。
そこで、そういう議論はあまり深入りいたしませんけれども、この設置法の中に、ちょっと疑義を感ずるのですが、最初のほうには、監理官の仕事の範囲ですけれども、「事務を管理する」と書いてある。あとのほうでは「事務を行なわせる」と書いてある。この区別はどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/45
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046・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが、各公団監理官とも監督及び事務に関するものを行なわせるというふうな表現になっておりますが、前のほうとあとのほうの違いというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/46
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047・山内広
○山内委員 設置法の五条の五、第三条第五号の七、八、阪神と首都と二つを合わせて、そして「事務を行なわせる」、私は、この「行なわせる」の「な」の字は、あってもなくても行なわないとは読まないと思うのですけれども、それほど神経のこまかい、用語を正しくやるお役所なんですから、これも必要かと思いますけれども、今度は三条にいきますと、阪神も首都も道路公団のところは用語は同じです。こっちでは、この「公団法の施行に関する事務を管理する」、こうあるわけです。これは三条の五の七、それから五の八です。ところが、あとのほうでは、それが五条の五には「行わせる」となっている。「な」の字を入れることに訂正するならば、前の三条の五の七に書いてあるように、そのとおり書かれたらいいんじゃないか、こういう疑義を持ったものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/47
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048・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 「な」という字を入れたことでございますが、これは法制局の方針といたしまして、この際改正する条文について改正するということでこうなったわけでございます。
なお、三条に「管理する」と書いてあって、五条の二以下には「行わせる」と書いてあるのはどういうわけかというお話でございますが、五条の二は、たとえば五条の五でございますが、これは三条の第五号の七に規定する事務、そういう事務を監理官に行なわせるんだという趣旨でございまして、そういう事務の中身が「管理すること。」でございます。三条の各号に掲げてあるのがその事務の中身でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/48
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049・山内広
○山内委員 そうしますと、もちろんこの五条の五によって本省の職員から大臣が任命するわけですけれども、これは、「任命」というこの「任命」は、別に公団に行く職員という意味ではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/49
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050・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 これはあくまでも建設省の職員でございまして、公団の職員ではございません。公団を監督するために建設省に置く職員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/50
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051・山内広
○山内委員 どうもいまの同じ設置法の中にあり、同じ人がやるのに、片方では「事務を管理する」とあり、片方では「事務を行わせる」ということについては、官房長のいまの御説明ではちょっと納得がいかないのですが、もう少し事務的に御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/51
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052・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 監理官に行なわせる事務の内容が三条の各号に書いてある事務でございまして、事務の内容は「管理する」ということが事務の内容になっておるわけでございまして、そういう事務を公団監理官に行なわせるという意味で「行なわせる」としたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/52
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053・山内広
○山内委員 どうもわかったようなわからぬ御答弁ですけれども、もう少し先に進むことにいたします。
今度用地部を中国地方建設局に設けられるわけでありますが、その前に、先般本省に宅地部を置いたわけですが、私どもは、あのときも、何といっても行き詰まっておる土地の問題解決のために、多少でもお役に立てばということで、むしろこういう機構の複雑になることをも排して、こういうあらゆる施策を行政に援助したつもりでございます。宅地部を設けて以来、どういう実績があがり、行政面にどういう効果が反映されているか、それらについての御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/53
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054・志村清一
○志村政府委員 宅地部の設置につきましては、諸先生の御協力、御援助によりまして、四十年九月に計画局の中に設置されたわけでございますが、おかげさまで宅地問題についてのいろいろな問題について宅地部の役割りを来たさせていただいておると考えております。
いろいろな仕事をやっておりますが、宅地に関するいろいろな制度の調査ということは、宅地部ができる前からやっておりましたが、宅地部ができましてから、さらに西欧諸国の土地取得制度の問題あるいは民間宅造の実態調査というようなことを進めております。また、その資料に基づく宅地審議会の地価対策についての中間答申、あるいは地価対策閣僚協議会の基本方針の決定に対して、資料は役に立ったものと考えておるわけでございます。宅地開発事業の推進並びに規制ということにつきましても宅地部の所掌といたしておりますが、公的機関によります宅地開発事業におきましては、住宅公団による宅地開発あるいは住宅金融公庫によります宅地開発融資、さらには、地方公共団体施行の土地区画整理事業に対します地方債のあっせん等を行ないまして、公的機関の宅地造成の推進をはかった次第でございます。
また、民間によります宅地開発事業の規制と助成につきましては、規制につきましては、先ほどの大出先生の御質問もございましたように、宅地造成等規制法あるいは住宅地造成事業法の施行等を行なうと同時に、宅地開発の区画整理組合の設立の認可、監督というようなことについても努力をいたしてまいっておる次第でございます。同時に、民間の宅地造成の助成につきましては、地主さんがつくります土地区画整理組合に対します無利子貸し付け融資というふうなことにつきましても、累年わずかながらでも額を増大いたしまして、宅地造成の推進につとめておる次第でございます。
次に、不動産流通部門の問題でございますが、土地建物取引業に関する法律の改正が三十九年に行なわれまして、本年四月一日から全面的に登録制から免許制に改められまして、これらの免許事務切りかえの問題、さらには都道府県に対する指導、業者に対する監督というふうなことにつとめておる次第でございます。
宅地建物業者のいろいろな問題につきましては、各省とも連絡をとりまして、監督処分を強化いたしてまいりまして、昭和四十年度では、十五百七十六件の処分をいたしてまいった次第でございます。
宅地需要の著しい大都市とかその周辺地域におきましては、地方公共団体あるいは不動産業界の団体自身が宅地建物相談所を設置するということはきわめて望ましいことでございますので、これらにつきましても、その設置の促進を指導奨励いたしまして、現在地方公共団体によるものが八つ、業界団体によるものが七つほどできております。
さらになお、宅地建物の取引は一生に一度やるかやらないかという問題でありますので、いわば国民の側にとってもなかなかむずかしい問題も含まれるので、今国会には宅地建物取引業法の改正の措置をお願いいたしまして、公正な取引秩序の維持という点に力をいたしておる次第でございます。
なお、この法案は参議院先議で、参議院を通過いたしております。
また、不動産の鑑定の問題がございまして、不動産鑑定評価の制度がわが国は非常に不十分でございまして、これを確立する必要があるということで、鑑定評価のための法律がございますが、それに基づきまして不動産鑑定士の試験を九回にわたりまして行ないました。鑑定士あるいは鑑定士度の養成、不動産鑑定制度の育成という点につとめておると同時に、これらの鑑定士等を利用いたしまして、地価調査というものを実施いたしておる次第でございます。
大体以上のようないろいろな問題の処理をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/54
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055・山内広
○山内委員 今度の御提案では、中国地方建設局に用地部を置く、そうすると、あと残るのは北陸と四国だけになるわけですが、いろいろいただきました資料で見ますと、なるほど扱っている業務量は若干少ないようには思いますけれども、私は、むしろこういう扱い件数とかなんとかいうものが少ないうちに対策を立てないと、にっちもさっちもいかなくたってからどんなに機構をいじっても、問題は解決しないと思うのです。そういう意味で、四国、北陸だけを残しておくというのは、行政上のアンバランスもあるだろうし、やりにくい面もあるだろうし、地元としても非常に不便であろうと思うのでありますが、この点はどんなことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/55
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056・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 各地方建設局を通じまして用地事務は逐年ふえてまいっております。特に中国地方建設局におきます事務に関する機構の整備が焦眉の急でありましたので、同地方建設局に用地部を新設するということを提案いたした次第であります。未設置の北陸及び四国地方建設局につきましても、将来用地事務の増加ということが予想されるわけでありまして、御指摘のように早目に法上の手配をする必要はあろうかと思いますが、なお今後の状況を考慮いたしまして、これら二つの地方建設局につきましても、用地部の設置につきまして積極的に検討していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/56
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057・山内広
○山内委員 残った二つも、この際一挙に私は置いたほうが、むしろ——理由はもう先ほどちょっと触れましたから申し上げませんけれども、いいのではないか。あなた方が中国に置かれる場合も、別に増員するわけでもなく、総体の面では、部内で配置転換を考えておられるので、別に北陸、四国を置いたからといって、そう増員要求もなさないでできるとすれば、予算もそうふえるわけでもないでしょうから、おやりになったほうがいいと思うのですが、これは行管で反対されたと聞いておりますけれども、行管のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/57
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058・大国彰
○大国政府委員 用地関係の業務量が逐年ふえてまいります。また、用地関係業務そのものの内容が非常に複雑でございますのも十分承知しておるわけでございますが、地建の用地部の新設につきましては、三十六年度以来、その業務量の増加に応じまして逐次認めておるわけでございまして、お話のとおり、四国、北陸につきましても、今回設置の要望が出たわけでございますが、政府といたしましても、行政機構の拡大につきましては、できる限り最小限度の必要に応じてやるという方針をとっておりますので、今回業務量が最も伸びております中国地建に対してのみ置くことにいたしました。残りの四国、北陸につきましても、なお今後の業務量の推移その他を勘案いたしまして、私のほうといたしましても、前向きの方向で検討したいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/58
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059・山内広
○山内委員 行管もさして反対がないような御答弁で、今後の業務の推移ということですけれども、それではこの地方建設局で取り扱っておる用地関係の件数ですね、どれくらいまで扱えば認めるとか、基準はあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/59
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060・大国彰
○大国政府委員 これはその金額だけでもいかない面が多々あるかと思っておりますので、私どもといたしましては、金額面での基準というところまではきめておらないのでございますが、それぞれ業務の内容等を十分調査いたしました上で、認めるものは当然認めるという方針でいこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/60
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061・山内広
○山内委員 前向きの御答弁が出ましたので、これはこれぐらいにしますが、ひとつこれは大臣にちょっとお聞きしておきたいのです。
実はこういうもうどん詰まりにきてから、機構をいじったりいろいろな苦労をされておるわけですけれども、やはり仕事というものは早目にやらぬと行き詰まっていかぬと思うのです。ですから、四国や北陸も、取り扱い件数なんて言わぬで、もういまの体制はいろいろなことで不合理があるし、ごね得すれば地主はもうかる、そのうちに交通量は伸びてきておりますから、四国も北陸も同じ状態が出てくるのは何年もたたないうちだと思う。いまのうちからちゃんと手を打っておかないと、やはり時代はよくないと思うのです。そこで、宅地審議会の答申もいよいよ出て、都市計画法の改正も出される運びになっておるのですが、これはいつごろお出しになるのですか。見通しがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/61
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062・西村英一
○西村国務大臣 ただいま検討中でございます。ぜひ出したいと実は思っております。しかし、その企図するところが、非常に重大な問題が含まれております。つまり土地利用計画と申しますと、結局その土地の利用に対して私権の制限を相当に受けるわけでございます。しかもこの問題は一町村、いまの行政区域では片づかない、各市町村にまたがるような広範な区域を包含しなければならぬので、法律そのものが非常に重大でございますので、拡張の意見も実は相当にあるわけでございます。ただいまそれらの問題を調整しつつありますが、ぜひ出したいと思いまして、ただいま検討最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/62
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063・山内広
○山内委員 どうも大臣のいまの御答弁では、せっかく期待をかけた大臣の取り組み方の意欲が足りないと思うのです。なるほど私権を制限しなければならぬ、公益優先というたてまえば一貫して貫かれない事情にあることはわかっておりますけれども、これは主管の大臣みずから、公益のために私権をある程度制限を加えてもやむを得ないと思うのです。その立場に立ってこれは進められないと、私権のほうばかりに目を向けて、そっちに遠慮をしておったら——私権といっても善良な人もあるけれども、それを利用して中に入っている悪徳業者もあり、金持ちがたくさん投機の材料に用地をかかえ込んで、不当にやっておるのもある。それを私権を認めなければいかぬというので憶病になっていたら、こういう公益事業は成り立ちません。そこで、土地収用法となれば、先ほど楢崎さんや大出さんの言われたとおり、大きな公益という概念の中にはたくさんあると思うのです。飛行場を拡充するとか、あるいは軍用地の基地もこうだという考え方になりますと、国民は納得しない。しかし、宅地とか道路とかいうことになれば、これは私国民の得心がいくと思うのです。ですから、公益優先といっても、公益優先の概念をもう少しきめこまかく下げていって、そして国民が疑義を持つような大きな飛行場の買収までも、一挙に私権を無視して国家権力で取り上げるというような考え方でなく、これは分けて考えないと、こういう問題は解決しないと思います。
私がなぜこういう都市計画法を考えているかというと、地方を歩いても、実は私も道会の都市計画委員をやったことがあるのですが、十何年も前に立てた都市計画がいまもって実行されてない。そして、それが用地として、あるいは農地として働いているかというと、もう草ぼうぼうなんです。農地なら農地で百姓がそこから生産を上げているのならまだわかるけれども、片一方は捨てちゃって、持っている地主が横に寝ているのを起こせないために都市計画には手がつかない、そして荒れ地のままに十何年も捨てておる。早い話が、私どももいま青山の宿舎におりますけれども、被害者の一人なんです。青山から国会に出るときは、前は十五分間隔でバスに乗ってきます。それがもうとてもあの交通路でもって間に合わなくなって、そして時間をもっと延ばしている。それでもあすこの青山一丁目からたいへん長い車の列がとまっておるのです。そして、ちょうど青山の宿舎のすぐ向かいにバタヤがいま道路の中でやっておりますけれども、あすこは都市計画の路線なんです。青山の宿舎のすぐ向こうの大学の研究所寄りです。しかもあすこは墓地から出てきている空地なんです。家を立ちのかなくても私はできると思っている。あすこに都市計画で一本線路を引けば、車の運行からこういう困っている自動車の交通の緩和にもなるし、なぜできないのか。自分のことですから言いたくない、私も聞きもしないで黙っておりますけれども、図面を広げるとちゃんとなっているわけです。そういうふうに至るところで都市計画がはんぱになって行なわれる。これではやはり私どもの生活環境というものをよくしていけないので、これは思い切ってやってください。公益優先けっこうです。私権は制限すべきだ。もともと、土地というものを国有にしようというのが終戦後の憲法をつくるときの大きな問題であった。あのときに政府がもう少し賢明な措置をとっていたら、土地なんというものは国有で、国民に私有権は認めても所有権は認めない。そうしたらもっと日本の民主化は前進したし、こういういろいろな障害というものは起こらなかったと思う。非常に残念な機会をのがしたと思う。まあしかし、おくれてもやむを得ないと思いますから、ひとつ勇断をふるってやっていただきたいと思います。
それから、今度時限立法で設けられておった宅地審議会が自然に消滅するわけで、その手続も法案の中に載っておりますが、これは答申を得ただけで、政府が法律を出せばそれでいいことになるのですか。それとも、まだ残務があってどこかが引き継ぐのですか。そこをちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/63
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064・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 宅地審議会が消滅するわけではございません。審議会の本来の任務のほかに、期限を限りまして公共用地の取得に伴う公共補償の基準に関する事項の調査審議という仕事を付加しておったのであります。これは期限内に答申がございまして、その答申に基づきまして政府としても閣議決定いたしておるような次第でございまして、その仕事が終わりましたので、付加した業務をやめるという趣旨のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/64
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065・山内広
○山内委員 さっき宅地審議会と申し上げたのは私の間違いで、公共用地審議会ですから訂正いたしておきます。
御提案の法案の中身はそれで大体尽きたと思いますので、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/65
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066・關谷勝利
○關谷委員長 吉田之久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/66
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067・吉田之久
○吉田(之)委員 私は、大臣はじめ建設省の皆さんに、今後建設省が特に重点的に対処しなければならない二、三の問題について質問を行ないたいと思います。
まず、私の考えでは、戦後二十年余りたちますけれども、戦後最初の十年間は、わが国の建設行政は、いわば戦災を含む災害復旧に明け暮れておった十年であったということができる。あとの十年は、ようやく公共投資に入り始めた十年ではあったけれども、この公共投資たるや、最近の都市の過密化あるいは交通事故の続発、こういうことに対処して、後手後手に回りながら、その現状をあとから追っかけている公共投資であったといえると思うのです。問題は、今後のわが国の建設行政は、そうしたあとから追っかける投資ではなしに、むしろ二十年、五十年後を見越して行なうところの先行投資に積極的に入っていかなければならない段階になったと思うのでございますけれども、まずこの点について大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/67
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068・西村英一
○西村国務大臣 原則的にはまさにそのとおりでございます。後手後手にいままではなっておったのでございます。したがいまして、公共投資といいましても非常にいろいろな問題がございます。しかしながら、つとめて先行投資でもって有効に効果を発揮するようなものから公共投資を進めていきたい。もちろんこれには国家財政の規模等もありますけれども、原則的には公共投資の先行に力を注ぎたい、かように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/68
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069・吉田之久
○吉田(之)委員 現にそうした考え方に立って、地方自治体では先行投資を含むいろいろな総合計画あるいは都市計画を考えておるわけなんですけれども、特に最近人口急増の大都市周辺の都市、こういうところでは、先ほど山内委員の御質問にもありましたように、どうしても現在の都市計画法では現状に合わなくなってきているのではないか。すでにわずか一万や二万の人口を持つ町村あるいは五万前後の市が、それぞれ一つの単位として行なう都市計画法、大正九年につくられたと聞いております都市計画法が、その後ほとんど修正も加えられないままに現在まできておる。こういうことでは間に合わなくなってきていると思いますので、もっと広域的な都市計画をこの際積極的に考えるべきではないか。ついては、先ほど質問も出ておりましたが、都市計画法の改正に対して、いま申し上げましたように、単なる点の都市計画から面の都市計画に、あるいは、たとえば私の住んでおります奈良県の場合に例をとってみるならば、大和平野一円を一団地とするような都市計画というふうなものが、これから樹立されていかなければならないというふうに考えるのですが、こういう地方自治体の動きに対して対応する心がまえはすでにお持ちであるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/69
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070・西村英一
○西村国務大臣 現在の都市計画法は、相当に古い計画法であったわけでございます。しかし、それはそれなりに、都市そのものがやはり固定いたしておりまして、人口の移動等につきましても、現在のようなことはなかったのでございまするから、やはり相当にいままで都市の形成には役立ったと思うのでございます。しかしながら、現在のこの人口の移動の急激なところから見まして、やはり都市そのものの全貌が、昔の都市とは非常に変わってきたのであります。すなわち、広域的に、広い範囲に対して都市化の現象が起こってきたのでございます。先般宅地審議会からの答申もございましたが、やはり都市をいまの状態にしておくと、取り返しがつかないようなことになるから、都市につきましては、新しい観点からひとつ都市計画をやらなければならぬだろうという答申があったのでございます。問題の所在点は、やはり秩序ある都市にするにはあらかじめ土地の利用計画を立ててから進むべきではなかろうか、こういう答申でございます。したがいまして、政府といたしましては、今回、できれば従来の都市計画法を改正いたしまして、新しい都市計画法を提案をいたしたいのでございます。さいぜんも山内さんからお尋ねがありましたが、建設大臣、少し熱意がないじゃないかというお話でございましたが、熱意は大いに持っておる。持っておりまするけれども、実は手がけてきたのが少しおくれたために、非常に御提案がおくれておるわけでございますが、私たちといたしましては、ぜひともこの段階では土地の利用計画を含んだ都市計画法の改正をいたしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/70
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071・吉田之久
○吉田(之)委員 大臣は、いま申されたように、新しい観点から秩序ある都市づくりをやっていこうというお考えのようでありますけれども、ついては、こういう秩序ある都市計画に一番必要なのは、私は下水道の完成であると思うのです。特に今度の予算編成期に、道路は非常に目立つので、それぞれ要請や圧力が非常に強かったらしい。ところが、下水道や住宅は、つい目立たないことでなおざりにされるというようなことが、あなたの省内でも非常にささやかれておったようでありますけれども、私は、この際どうしても日本の新しい秩序ある都市計画を推進するためには、下水道の完成に対して大臣はじめ建設省が積極的な意欲を払われなければならないと思うのです。ところで、この下水道にかかる国庫補助でありますけれども、現在十分の四と聞いております。ところが、はたして下水道が、旧来の考え方のように、単なる受益者のためだけの下水道であるのか。いま非常に問題になっておりますところの公害問題があります。公害対策の重要な柱の一つである水質保全の問題があります。この水質保全の決定的な解決方法としては、私は下水道の完成以外にないと思うのです。現に、たとえば奈良から大阪のほうに流れております大和川の汚濁にいたしましても、工場廃水による汚濁の率はわずかに二割である。実はその八割が一般の家庭から流される汚水であり、下水であるというふうにもいわれておるわけでございますが、こういうときにあたりまして、政府は下水道整備緊急措置法案をいま提案されまして、衆議院で可決されたわけでありますけれども、この下水道の整備に関する新しい五カ年計画について、その概要をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/71
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072・西村英一
○西村国務大臣 下水道の、いままで最も皆さんから非難されておったのは、下水道の建設と終末処理が二元化しておる、なかなかちぐはぐで進まぬということであったのでございます。幸いなことに、先般行管の勧告もございましたのでこれが一元化されたことは、今後下水道普及のために非常に喜ぶべきことと思うのであります。しこうしてまた、数年前につくりました下水道の五カ年計画、この規模でもいかぬというので、今度新しい五カ年計画をつくったのでございます。予算にいたしましても、九兆九千三百億の規模でございます。これでも十分ではないのでございまするけれども、やはりなかなか一ぺんには何もかもいきませんので、この程度でやりますると、最終年度の四十六年には、その普及率は三三%くらいになるのではなかろうかと思っております。もちろん、これは都市面積がふえますので、四十六年度の都市面積がふえた想定のもとで三三%でございまして、現在の都市面積からいいますると、四〇%くらいにはなるのでございます。しかし、これでも絶対にまだまだこの下水道の計画というものは続けていかなければならないと思っています。しいて希望を申しますれば、やはり今後の都市といたしましては、西欧諸国並みにこれの普及率を上げるには、どうしてももっとたいへんなことをやっていかなければならないのじゃないか、かように思っております。また、いま御指摘がありました河川の質の問題、水質の問題と密接な関係がありますので、同じ下水道といいましても、河川の流域に市町村が並んでおるようなものは、個々の市町村にやらせないで、流域下水道としてこれをやりまして、河川の水質の保全につとめたいと思っております。この場合には、実は今度の補助率も、従来は三分の一の補助率をとにかく十分の四に上げたのでございまするから、相当に大蔵省も踏み切ったところなんです。実はこの補助率のアップということは、なかなか大蔵省の抵抗があるのでございます。あちらも補助率アップ、こちらも補助率アップと言いますから。しかし、この件に関しましては、特に補助率のアップをみたことは、非常に喜びにたえないところでございまするが、さらに私は希望を申し上げますれば、流域の下水道、ほんとうに公共事業中の公共事業、しかも水質の保全には最も効果のある流域の下水道その他特別のところにつきましては、今後とも大蔵省等々と折衝いたしまして、補助率のアップには力をいたしたい、しこうしてこの下水道の普及につとめたい、かように考えておるような次第でございますから、どうぞ御協力のほどをお願い申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/72
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073・吉田之久
○吉田(之)委員 衆議院の附帯決議もあったことでありますし、特に水質保全のためには、現在の十分の四から五まで、二分の一ですね、早くその補助率を上げるために一段の努力を払われなければ、公害対策としての下水道処理は達成できないのじゃないかというふうに考えるわけなんでございますが、特に終末処理の問題をめぐって、建設大臣と厚生大臣との間に、いままではとかくのいろんな各種の問題があった。ところが、今後は両省の予算執行の非弾力性による今日まで生じたいろんな支障というものは、なくなるという自信をお持ちになっておるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/73
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074・西村英一
○西村国務大臣 せっかく一元化されたのでございまするから、それは私はなくなると思って、この普及には非常に効果があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/74
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075・吉田之久
○吉田(之)委員 さきの都市計画の問題に多少関連あることなんでありますけれども、都市計画の認可権を今後知事におろそうとするお考え方はあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/75
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076・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 ただいま検討いたしております新しい都市計画法の内容といたしまして、現在都市計画はすべて国が決定するという形になっておりますのを、地方のほうにおろしたいということで検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/76
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077・吉田之久
○吉田(之)委員 特に地方のほうにおいて、各府県で地域の総合開発を計画いたしております。ところが、御承知のとおり、この総合開発は各省にまたがる事業であります。たとえば道路とか、港湾とか、上下水道とか、病院とか、鉄道とか、学校とか、ありとあらゆる計画を総合して推進しようといたしておりますけれども、この事業は一斉にスタートしなければ所期の目的を達することはできない。ところが、各省にまたがる問題でありますから、どうしても各省のセクショナリズムというものにぶっつかってしまって、事が全然運ばないというふうなのが、今日の実情のようであります。この問題について、私は特に今後は、先ほど大臣が申された秩序ある都市計画を推進するためにも、あるいはまた、都市と近郊とのバランスある総合開発を推進するためにも、重点的な各府県の総合開発に対しては、国が一元化された形でこれに対応してやらなければどうにもならないのではないかというふうな気がするのです。そういう点について、建設大臣はいままでどのようなお考え方をお持ちになりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/77
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078・西村英一
○西村国務大臣 総合的にやることは、もちろん必要でございます。しかし、セクショナリズム、セクショナリズムといいまするけれども、われわれは政治家でございますから、そういうことは考えていないけれども、個々の役所におきましては、役人の方々は自分の業を守る、自分の業に熱心であるということも、これはそうとがむべきことではないと思います。しかし、その上に立って総合的にやることが政治家のつとめでございまするから、その辺は私たちとしては十分考えておるのでございます。たとえば都市計画法を一つ考えましても、通産省にも関係いたしますし、ここにおいでになる農林大臣のほうにも関係いたします。農地をどうするかという場合に、それは農林省としてはやはり農地の問題については真剣に取り組まなければならぬと思っておりますが、しかし、それを総合的に考えて、これをどういうふうに利用しようかということについては、私たち各省大臣のつとめでございまするから、総合的に十分やっていきたいということにつきましては、今後とも変わりなくやっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/78
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079・吉田之久
○吉田(之)委員 各省が熱心であることは非常によくわかっているのですけれども、いわゆるばらばらの熱心であっては力にならないと思うのです。そういう点で、いま大臣が申されましたように、総合的に調整するところの一つの強力な機関がなければ、今日の各府県の総合開発に対しては対応することができない。現にできておらないわけなんです。プランはできたけれども、五年たっても、十年たっても、全然着手されないというふうな現状であることを認識されるならば、この際何とかして統合調整する強力な機関を、建設大臣あたりが中心となられて、ひとつ各省とよく相談をされまして、樹立されない限り、わが国の総合開発は進まないと思いますので、この点は強く要請をしておきたいと思うのです。
ちなみに、この際、企画庁が計画しておられます全国総合開発計画というものがあるはずなんでございますけれども、これも建設大臣とは非常に密接な関係があるはずであります。こういう全国総合開発計画について、大臣は企画庁のほうに対して絶えずどのような意見を申しておられるか、あるいはどのような相談に乗っておられるか、建設大臣として考えておられる全国総合開発計画の最近の進みぐあいについて、簡単な所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/79
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080・西村英一
○西村国務大臣 私はつぶさに知りませんですが、経済企画庁長官と話しておることは、国土総合開発の法律が昭和二十五年にできたのでございます。しかし、この法律の中には、全国の総合開発計画、都道府県総合開発計画、地方開発計画、特定地域開発計画と、開発計画をずっとこうやらなければならぬことになっておるのでございます。しかし、現実の問題として、それらの全国総合開発計画もできていなければ、都道府県総合開発計画も、できておるところもあり、できていないところもあるわけであります。したがいまして、これらの国土総合開発計画をもう一ぺん見直してやる必要があるんじゃないかということは、経済企画庁長官と話し合っておるのでございます。したがいまして、ただいま経済企画庁で操作をしておるといえば、そういう国土総合開発の観点から、ひとついろいろ見直して作業をしておるのではないかと思っております。一方また、それにもかかわらず、各地方、たとえば私は九州でございますが、九州地方は九州地方に開発計画ができ、東北は東北にでき、もうまちまちでありまして、これを一ぺん全体の規模の上に立って見直そうじゃないかという操作をただいまいたしていると思うのでありまして、私のほうも、正式には、企画庁からこの案ができましたら相談を受けるし、また、それのみではございません、土地利用計同等につきましては、経済企画庁に対しましていろいろ連絡をとってやっておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/80
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081・吉田之久
○吉田(之)委員 時間がないようですから、最後に一点だけ……。
古都保存法の特別保存地域の指定は、大臣のほうの仕事でございますね。特に古都保存法に関係して、その該当地区では、どの程度までがその対象地域になるのであろうか、あるいは対象地域になった場合には、どのような規制を受け、今後自活の道を得るためにはどのような対策が必要なのであろうかと、非常に混乱いたしております。こういう点について、私は、古都保存法の精神は、守るべき地域は徹底して守る、守るに値しないというか、守る必要のない地域は、完全に早く限界をきめて、その辺は徹底して開発させるという近代精神でなければならぬと思うのです。そういう点で、現在のそれぞれ指定を受けた地域に非常な心配と混乱が起こっておりますので、その点について建設大臣は早急に明確な措置をなされたいと思うのでありますけれども、それについて御意見があればお述べをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/81
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082・竹内藤男
○竹内(藤)政府委員 ただいま特別地域は、京都、奈良、鎌倉につきまして、指定をいたしております地域は明確に定めております。それから開発の許可基準というものも相当きびしい規制でございますが、これもきまっております。さらにこういうような規制によりまして土地の利用の継続が著しく支障を生ずるという場合には公共団体が買い取るということにつきまして、これは四十一年度から予算がついておりまして、そのほうの改正もできております。したがいまして、そういうようなことで地方公共団体から地元のほうのPRをお願いしておるという段階でございます。ただ、御指摘の奈良県の斑鳩あるいは今後指定いたします二地域につきましては、これからの作業でございますので、先生の御指摘のとおりやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/82
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083・關谷勝利
○關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/83
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084・關谷勝利
○關谷委員長 ただいま委員長の手元に、細田吉藏君外三名より本案に対する修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/84
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085・關谷勝利
○關谷委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。細田吉藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/85
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086・細田吉藏
○細田委員 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、原案ではその施行期日を「昭和四十二年六月一日」としているのでありますが、すでにその日が到来しておりますので、これを「公布の日」に改めることを適当と認め、このように修正しようとするものであります。よろしく御賛成をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/86
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087・關谷勝利
○關谷委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、細田君外三名提出の修正案について採決をいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/87
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088・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決をいたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/88
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089・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。
これにて建設省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/89
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090・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/90
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091・關谷勝利
○關谷委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米内山義一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/91
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092・米内山義一郎
○米内山委員 私は、いま青森、岩手、秋田、北東北におきまして重大な問題になっておりますビート栽培のことについてお尋ねしたいと思うのであります。このことはすでに農林省も十分御承知のことであり、大臣も非常に心配なさっておることと思いますけれども、この際この問題についての経過を明らかにし、その責任の所在を明確にしておきたいと思うのであります。責任の所在を明らかにするには、やはりなぜこのビート栽培が興り、こういう経過を経て今日のような破局的な段階に入ったかということをつまびらかにせざるを得ないわけであります。したがいまして、国が立法措置を講じまして奨励にとりかかったこの仕事が、どういう経過を経て今日のようになったかということを、まず農林省の、政府の観点からお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/92
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093・倉石忠雄
○倉石国務大臣 北東北のビートにつきましては、その沿革は御存じのとおりでございますが、私どもは、北海道あるいは北東北のような寒冷地帯における畑作に適当いたしておるものを奨励して、それらの地域における農村の人々の所得を確保することが必要であるということ、もう一つは、甘味資源をできるだけ国内の生産によってまかなう比率を高めてまいりたいという考え方で始まったわけであります。御存じのように、まだいろいろ援助はいたさなければなりませんが、北海道のビート産業におきましては、大体目鼻もつき、採算もだんだんと引き合うような状態になってきておりますが、北東北につきましては、これは米内山さんも御存じのように、加工作物でございますから、つくられたものそのものは、やはり加工されて初めて製品になるわけであります。したがって、その加工と生産とが両々相まって初めてそろばんのとれる産業となるわけでありますが、不幸にして、そういうような点において北東北のビート工業が現在のようになりましたことはまことに遺憾千万でありますけれども、現状までの経過はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/93
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094・米内山義一郎
○米内山委員 これはそう言えばそれまでにすぎないと思いますが、しかし、このビートの栽培の歴史というものは、わが国におきましては、北海道におきましてやや一世紀の歴史を持つわけであります。すでに政府の奨励に基づきまして始めた西南暖地のいわゆる暖地ビートというものは、御承知のとおりの終末を遂げております。いま東北に興りましたビート栽培も、本格的になってから数年たたないうちにこういう結果になった。そもそもこのビート栽培というのはだれが一番先に発動したのかと申しますと、これは国でござしましょう。政府でございます。このことは、いままでの立法経過を見れば明らかでございます。すなわち昭和二十八年に旧てん菜法というものが発動されております。しかもその後政府の明らかにした国内産甘味資源に対する方針というものは、昭和四十三年には国内需要百五十二万トンと想定し、そのうち半分の七十五万トンは国内で自給するのだ、そのうち四十万トンはビートをもって充てる、こういうふうに国内自給度を高めて、さらに国際競争力を強化するというような、非常に勇ましい、雄大なかけ声と、同時に、それによって農業経営の改善をはかり、あるいは農家所得の安定を期する、こういうふうにして始まっております。したがいまして、その後の北海道の状態を見ましても、政府がこの方針をとりましてから、すでにかなり普及しておった北海道のビート栽培も倍以上にふえておる。これから見ますと、ビート栽培を奨励するために、まず最初に発動したものが政府である。これに地方の政治力が結合して北東北のビート栽培というものが興ったのでありまして、元来北東北は農事試験場にさえただの一株のビートもなかった次第、これに政府が奨励しまして、そうして二十七億というような大きな経費をかけて工場ができ、二万に及ぶ農家が三千町歩近い作付をして今日に至ったのであります。それが製造工場であるフジ製糖が、もうからなくなった、企業が苦しくなったからやめるということで、この問題は片づくものじゃないと思います。ですから、この責任は私は一方的に政府にあると考えるのでありますが、政府はどのようなお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/94
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095・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもはできる限り寒冷地帯に適当な作物をつくっていただいて、それによってそういう地方の農業所得を確保したいという考え方で、いろいろ研究をいたしました。その中に、御存じのように北海道は大体今日のような状態になってきた。ところが、北東北においては、ほかの作物等も依然としてやっておる地域もありますし、また御承知のようにビートだけでなくして、他の寒冷地に適当な作物をつくるための土地改良なども、現に地方の要望があって行なっておるような次第でありますが、したがって、その加工原料用農作物というものは、先ほども申しましたように、加工をして最終的製品に仕上げるというものと密着しておる品物でありますからして、それとマッチした作業が行なわれなければ、やはり産業としては成立しない。ところが、今日のような糖価の状態になってまいりまして、そこでフジ製糖という会社か、自分の責任においてこれを閉鎖する。現実はそういうことでありますからして、私どもといたしましては、そういう全体としての生産と、それからさらにまた、それを消化して最終製品をつくり上げるという、その一連の計画のもとに進められたものであるのに、現状のような一般経済情勢であるので、やむを得ず工場を閉鎖するということであるならば、農家の人々がことしはすでに作付も終わっておることでありますからして、われわれとしては、本年のその作付をいたしたものに灯しては、御迷惑にならないように、その善後処理については農林省が責任を負うてめんどうを見てあげる、こういうことで農家の人々に安心していただくような措置を講じなければならない、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/95
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096・米内山義一郎
○米内山委員 大臣から、ことしの作付したものに対しては心配をかけないというお話は、重ね重ね承っておりますが、しかし、ここで、じゃ重ねて申し上げますが、そもそもこの地域がビートのいわゆる振興地域として指定されましたのは、法律行為であります。いわゆる甘味資源特別措置法によりまして、それの第四条に基づいて、国がこの地域を指定したものであります。その指定の条件につきましては、この法律に明確にされておりますとおりに、栽培に適合する地帯と認め、生産が安定的に増大することが確実と見込み、さらに地区内の製糖事業が安定的に成長する見込みが確実であるとして、この仕事が始まったわけであります。それが何がゆえに今日製糖業が安定的に成立しなくなったか。何がゆえに作付がふえなくなったのか。いわゆる当初指定したときの条件と今日どういう変化が生じたのかを明らかにしていただきたいと、私は願うのです。と申しますのは、このビートというのは、いわゆる果樹振興法などという別な法律に基づいてナシやリンゴをつくるとは別でございます。ナシやリンゴの果樹振興法などは、こういうふうな厳密な規定がない。言うなれば、国家が一つの目標、目的を持って、砂糖の自給度を高めるという方針に協力して、それに従ったものであります。さらに糖業資本は、国のうたい文句に便乗して、あそこにもうけるために企業を始めたにすぎないのであります。言うなれば、これを生んだ父親は政府です。母は糖業資本です。そこから生まれた子は栽培農民ですよ。いま女房が、女が家出をした。捨て子を残していく。手切れ金で片づけようとか、あるいは葬式料でごまかそうというのは、これは政府、政治のなすべきところではない。よしんば指定が過去においてあやまちであった、ミステークであったとしても、一たん子供が生まれたならば、養育料は払わなければならぬでしょう。扶助料は払わなければならぬはずだ。ただこれをことしきりの大根については心配をかけないという程度では、手切れ金にもならないし、これは若死にさせて簡単な弔い料で片づけようという程度の責任だと私は思う。農林大臣は、いまの段階に政府の責任感をそれ以上に考えておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/96
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097・倉石忠雄
○倉石国務大臣 捨て子をするつもりはないのでありまして、したがって、捨て子にならないようにいたすためには、やはり育て方を考えなくちゃなりません。ビートでやって、ビートはだめになったからかってにしろということになると、米内山さんのおっしゃったように捨て子かもしれませんけれども、私どもは、いままで代議士に育て上げようと思っていた子供だが、これは頭がいいから学者にしようというようなことで、今度は教育の方針を変えまして、ビートではどうも土壌がうまくいかないから、方向を変えて、子供をもっとりっぱなものに育て上げよう。そのためには、関係県知事がそろっておいでになりまして、なるべく早くひとつ調査をしてくれ。国会終了を待たずに専門家を派遣する準備をいたしておりますが、その際も、県知事諸公は、必ずしもビートをこのまま続けてやっていくことのために調査するということではなくして、全般的に北東北地方の畑作について将来どういうふうに伸ばしていくか、こういうことをも含めて、ひとつ立ちいくように検討してもらいたい。こういうことで、まことにごもっともなことでございますので——米内山さんすでに十分御存じだと思いますが、あの地域は、なるほどビートも多いですけれども、ビートのほかには、やはりそれぞれ独自なお考えで他の畑作に精進努力しておられる農家もあるのであります。そこで、わがほうといたしましては、すでに申し上げておりますように、私どもの考えで、本年のものはもうすでにできてしまっておるのだからして、これは御迷惑をかけないように政府の責任において処理いたしましょう。明年からのものにつきましては、農村の人々が立ちいくように、さらにまた将来を楽しんでいただけるような畑作について、鋭意ひとつ御相談の上努力いたしましょう、こういうことを申しておるわけで、四県知事はまことにごもっともだということで御賛成をいただいて、そういう方向に進もうといたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/97
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098・米内山義一郎
○米内山委員 これから学者にするように新しく教育するということですが、しかし、床屋の学校に入れたって、これは学者になりませんですよ。国の農業政策がいま一つの大転換をして、農民を裏切り、日本の農業を裏切って来つつあるのです。したがいまして、これは単に一東北の地方的なビートの問題じゃない。日本全体の農業の問題であり、特に今日の自由化体制において最も打撃を受ける畑作、畜産、果実の問題になりつつあると思います。つい先般農林省が発表しましたが、わが国の食糧輸入高が一兆円になったといわれておる。国内の自給度はますます低下しておる。輸入依存度が高まっておる。これと符節を合わしたように、農家所得の中における農業所得が低下して、農外収入に大きく依存しなければならない。これは決して統計の偶然ではない。砂糖をはじめとして、国は自給度を高めよう、国際競争力を強めようということを口先だけで言うてきておるが、何らそれを実行せずして、今日のような開放体制に入った。言うなれば、冬を迎えるにはだしで日本の農民を冬に突入させるという、今回の小麦協定に見まするとおり、わが国の麦の自給度は低く押えて、そうしてこれからは外国から安いものを押し売り同様に買わせなければならないということであれば、これは重大です。これは単に農業問題じゃない。今日のような世界の食糧が窮屈なときに、国民消費の立場から、食糧政策としても問題だし、さらに国全体の経済の上から見ましても、国際収支の上から問題でしょう。それ以上に、発展する力を持たなくなった、どこにもよりどころのない日本農業のこの現状というものを、日本じゅうの農民はみなはだにアワ立つような思いで政府の政策を心配しておる。これは農業政策としても問題なんです。私は、すべての農産物は国内完全自給しなければならないというような考えは持っておりませんが、しかし可能な限り、豆類にしても、麦類にしても、家畜の濃厚飼料にしましても、国家として自給度を高めるために努力すべきだ。今日の日本の畜産というものは、まるで綿花を輸入して紡績をやるような、輸入加工畜産になっておって、利益率というものは低下する。少数の頭数や羽数では手間にも合わないから、多頭飼育だ、多羽飼育だということになれば、資力のある技術の高い農家以外に畜産というものはやれなくなっている。労力不足です。したがって、堆厩肥の生産というものさえ低下して、たんぼで稲をこいで、そのわらをたんぼで燃やしてしまう農家がふえておる。こういうふうに農業の基礎がくずれてきたから、ビートの反収も上がらないのです。その結果、フジ製糖も引き合わなくなったのです。だから、これは葬式料程度のもので片づかない。ほんとうに大臣がおっしゃることが真実ならば、この地域だけではなしに、もっと根本的な畑作対策あるいは肥料対策というものを立てる必要があると思います。国はいま国有林の利用開発を進めるための法案を指案しようとしておるそうでありますが、平地の農業さえどうにもできない日本の政府が、平地よりももっと困難な傾斜地、山岳部の農業をやれるものじゃない。ですから、私は大臣の政治的な答弁よりも、部局の意見を聞いてみたい。日本の食糧の自給度を高めるためには、どういうお考えなのか。大臣、まず第一に申し上げたいことは、ここにも問題がある。米ならば行政が一貫しております。ところが畑作、こういう特用作物というものは、一つの畑に栽培しておっても、牧草をつけると畜産局の自給飼料課の管轄になる。ビートをまけば特産課の管轄になる。こういうふうに、同じ畑に同じ農民が栽培するにあたっても、農林省の畑作、畜産に対する行政に非常に阻害されている。大臣も御承知のとおり、役人というのは非常にりちぎで、なわ張り根性というのは、生物学的、本能的なものなんです。自分の部分はよく守るが、人のほうにはわずかの手も足も出すまいとする。こういうふうなことが、畑作のローテーションの合理化にも影響を及ぼしている。私は、ここにもし農地局長がおられるならば、畑作振興のために農地局はどういう基盤整備をやればいいか、どういうお考えを持っておるかを聞きたいし、その他農政局長からも、あるいは園芸局長からも、それぞれの立場から——大臣がおっしゃるとおり、このビート地域にほんとうに農業を振興させるためには、農地局としてはこういう考えがある、農政局としてはこういう考えがある、特産課としてはどういう考えがあるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/98
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099・倉石忠雄
○倉石国務大臣 政府委員からお答えいたさせますが、その前に一つだけ、ビートのあとこれから農林省が何をやっていこうとするかということについては、先ほど申し上げましたように、関係三県知事とよく相談をして、地元の方の御要望もいれていたしますが、そのことについては事務当局から御報告いたしますが、前段におきましては、決してほっぽり出しというつもりではないのでありまして、くれぐれもその点は誤解のないように、今年度すでに植えつけを終わっておるものについては、農村の人々の御迷惑にならないように政府は処理をいたすつもりでございますから、それだけはどうぞ御了察をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/99
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100・和田正明
○和田(正)政府委員 畑地の基盤整備のことについてお尋ねであったと思いますが、一般的に申しまして、御承知のとおり、畑地におきます農業基盤の整備は、何と申しましても畑地かんがいが重点でございますが、それとあわせて圃場整備あるいは農道の整備、それから最近東日本におきましては、まだ利用されておりません未墾地を開田をいたします場合はもとより、畑を水田に転換するような考え方も、地元の要望として強うございますので、それらを含めまして、畑地の基盤整備に努力をいたしておるところでございますが、さらに従来から農林省の畑地に対する基盤整備対策が弱いではないかという御指摘をしばしば受けておりましたことにかんがみまして、若干数字を申し上げますと、昭和三十九年の農地局関係の基盤整備事業の畑対策費は約二百三億円でございますが、四十年度は二百四十七億円、四十一年度は三百十九億円、本年度は三百六十一億円というふうに、毎年相当の幅で畑の基盤整備のための対策費の増額をいたしまして、畑地の農業基盤の整備に努力をいたしておるわけでございます。
なお、東北四県のビートの作付がされております地帯の対策はどうかというお尋ねでございますが、それらにつきましては、先ほど来大臣もお答えになっておられますように、今後の対策につきましては、関係局とも打ち合わせをいたしまして、私どもといたしましても努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/100
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101・八塚陽介
○八塚政府委員 私どもの園芸局で所管をいたしております作物は、いま先生御指摘の畑作物のうちの、数からいいますとほとんど大部分といっていいわけでございますし、かつ面積からいいましても非常に多くのウエートを占めておるわけでございます。ただ、お話にありましたように、行政のやり方としては、確かに一つの作目に着目をしていろいろ指導をしていくという形が、きわめて多いのでございます。果樹は果樹、あるいは特用作物は特用作物、特用作物の中でもイモあるいはビートというように、それぞれの作目に沿った指導のいたし方、行政のいたし方をやっております。ただ、この点はやはりどうしてもそうならざるを得ない理由があるわけでございまして、あるものは永年作物である、あるものはとったあとすぐ商品になるが、あるものは工場で加工をしなければならぬというふうに、それぞれ作物の性質が異なりますので、やはり進め方といたしましては、この作物に沿った行政のやり方をせざるを得ないのではないかというふうには考えております。ただ確かに、さらにこの点は御指摘があったわけでございますが、地域によりまして、あるいは個々の農家によりましては、いずれかを選択し、いずれかを輪作し、いずれかを組み合わせしというふうに、場合によっては単独でそのものが専業農家になり、場合によっては組み合わせをして、いわば経営として五年なり十年なりの期間で一つのまとまった体系を考えながらやっていくというふうなことをせざるを得ない現状と申しますか、条件でございますから、その点については、私ども、たとえばビート等を導入いたします際にも、これはやはり牧草、酪農というようなものと相まって初めてうまくいくのである。現に、現在のような残念な状況に相なりました地帯におきましても、酪農と結びついているところは、やはり相当反収もあるし、経営としては非常に結びついておる。反面、また競争作物との関係から言いまして、かえって作付面積からいいますと、一応理屈の上では関係がないようでありましても、やはりかえってうまくいかないというような点もございます。そういう点につきまして、私どもといたしましても、できるだけ総合的な観点を失わないようにいたしておりますが、これは私がお答えするのは適当ではないと思いますが、そういう最終的な農家の経営としての指導ということにつきましては、やはり一般的な経営指導の体系に沿って、そうしてやっていくということが必要であろうと思っております。ただ、一般的農業経営の指導をしていきまする場合にも、特定の作物について相当な知識がないと、なかなかこれは農家の指導というのはできない。そういう点からいいまして、専門と一般的というものとうまく組み合わせて指導することが必要であろうと思っておるのでありますが、そういう点につきましては、農林省の関係部局と協調いたしまして、なかなかいまここで申し上げているとおりうまくいっているとは必ずしも言えない場合もあろうかと思いますが、努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/101
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102・米内山義一郎
○米内山委員 私は、そういう一般理論を聞きたいのじゃなくて、このビートのあと始末として何をやるかということを具体的に聞きたいのですが、まだそれはそれだけの検討、調査もないと思います。いずれ調査団を派遣した後に明らかになると思いますが、その際お聞きしたいと思います。そこで、いまこの地域はオカボが伸びているから陸稲を奨励したらどうかというような、非常に安直なお考えもあるように聞いておりますが、これについては、この点を御検討願いたい。あらゆる作物がありますが、昭和の初期から四十年間にわたって、十アール当たりの反収もほとんど変化がない。それから作付も十二、三万町歩で、伸びもしなければ減らないのは、たったオカボ一つ。それだけに、オカボというのは、麦のようにやさしくは栽培できるが、反収のあがらぬものです。国は、今日までオカボに対してほとんど研究していない。私の調べたところでは、茨城県あたりで国の補助、助成金でオカボの育種をやっているらしいが、国としてほとんどやってない。これをビートがだめだからオカボに置きかえようなんということは、非常に無責任な話になると思いますから、これだけ申し上げておきます。しかし、オカボにしましても、収量が不安定であるが、水分を供給するならば、これは鬼に金棒を持たせたようになります。こういういわゆる農地局の対策、いま局長が言われたような対策と並行していきますならば、ひとりオカボが生きるだけでなしに、牧草三トンとれるのが十トンになる。そうして地力が肥え、ビートも四、五トンとれるようになって、何もフジ製糖が逃げても、ビート栽培を捨てる必要がなくなると思うのです。
そこで、私は時間がありませんから、最後にお聞きして、この質問は次の会に続行したいと思いますが、このやり方は、政治と官僚のなれ合いでこういうことが起きているのじゃないかと思うのです。と申し上げますことは、フジ製糖の重役さんの中に鏑木何とかさんという方がおられるそうでありますが、これは政府のどこかの機関におられた役人さんだそうです。それは役人が会社の重役になっていかぬということはないが、もしお知りになっているところがあったら、フジ製糖の監査役をやっているこの方の、農林省奉職からその後どこへ下がったか上がったか知れない、その後どういう経路でフジ製糖に重役としてお入りになっておるかをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/102
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103・八塚陽介
○八塚政府委員 私は、むしろ役所の関係で、役所といいますか、農林省の関係で知っている、こういうことを申し上げる立場ではないと思いますが、鏑木さんという方が監査役におられます。この方は、農林省の御出身ではございません。通産省の四国でありますか——これはいずれはっきり必要があれば調べますが、四国でありますか、広島でありますか、通産局長をおやりになっている。あと北海道東北開発公庫の理事をやられておる。そうしてフジ製糖にお入りになった方であるだろうというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/103
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104・米内山義一郎
○米内山委員 そこで、フジ製糖が北海道東北開発公庫から膨大な国の金を借りまして、そうしてこれが焦げつきになるでしょう。あとで何年年賦で取るか知れないが、こういうふうにこの企業と官僚というものが結合して、国の役人が金融機関に下がっていったのか、上がっていったのか知れないが、フジ製糖みたいなこんなだらしのない会社に重役に来て、国との結合をさらに重ねるということは、内容はどうあろうとも、国民にとってはまことに信用しかねる事態です。こういうふうに砂糖というものは、決して自然現象でこうなったものでもないのです。大体保護関税を加え、消費税を高くして、国民には世界平均の二倍の高い砂糖を食わせていながら、それでこの砂糖事業を育成できないということはおかしいのです。砂糖栽培を持続させられないということはおかしい。あなた方の砂糖政策というものは、糖業資本のための政策であったということをこれは明らかにしておるじゃないですか。この法律ができるときに、われわれの聞き及んでいるところによれば、砂糖消費税の中から、二十一円の中から一キロ当たり五円をビート奨励に回すということを与党と政府間に覚え書きをかわして発足したということも聞いているが、今日の砂糖消費税総額から見れば、これは五円にしても数十億になるはずです。出すものは出さぬでこういう結末をつけるということは、実にわれわれから見ると心外にたえないと思うのですが、一体今日までの、ただ栽培を奨励しただけで、やらぬ、不徹底の結果が、今日こうなったと私は思っております。まあ大臣の具体的な今年の対策も、心配をかけないという程度のもので、何ら数字も何も明らかにしない。いわば善意は受け取れますが、このことについては別な機会にお尋ねすることにしまして、きょうは時間になりましたから、私の質問を打ち切っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/104
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105・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、明二日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X01419670601/105
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