1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月十六日(金曜日)
午前十時十一分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君
理事 細田 吉藏君 理事 大出 俊君
理事 受田 新吉君
内海 英男君 桂木 鉄夫君
佐藤 文生君 塩谷 一夫君
橋口 隆君 藤波 孝生君
武部 文君 楢崎弥之助君
浜田 光人君 山本弥之助君
伊藤惣助丸君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
総理府人事局長 増子 正宏君
自治大臣官房長 宮澤 弘君
自治省行政局長 長野 士郎君
委員外の出席者
自治大臣官房参
事官 鎌田 要人君
自治大臣官房参
事官 志村 静男君
自治省行政局公
務員課長 森 清君
専 門 員 茨木 純一君
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六月十五日
金沢郵政監察局存置に関する請願(坂田英一君
紹介)(第一二八六号)
同外三件(武部文君紹介)(第一三四七号)
同外一件(武部文君紹介)(第一四二七号)
元満鉄職員であつた公務員等の恩給等通算に関
する請願(下平正一君紹介)(第一四二五号)
旧軍人恩給に関する請願(山手滿男君紹介)
(第一四二六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
前会に引き続き質疑を許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/1
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002・大出俊
○大出委員 きのうの質問の一つの問題の締めくくりなんですが……。と申しますのは、登録、非登録の問題で、きのう森さんのほうから、何かどうも非登録というのは恩恵的に、交渉したいというならよく確かめてから応じてやってもいいんだという意味のお話なんだけれども、それが実は末端に行きますと、わけのわからぬ——わけのわからぬという言いぐさはないが、そういうことに類する状態で、市町村段階に行きますと、登録されてないものはそんなものは必要ないんだということで、交渉権ゼロ、こういう認識で、それをまた別なほうの自治省、と言っては語弊がありますけれども、そういう指導をされている講演あるいは文書なんかがありまして、それがとにかく三千からあるたくさんの団体ですから、ずいぶん私どもの耳に入る。そこで、本来これは公務員制度審議会が論議して結論を出すべきものであった。その意味で、ドライヤー報告を引用するわけなんですけれども、ここでいっているのは、政府当局のほうがしきりに、ジュネーブの審問その他につきましても、登録、非登録の問題について、差異のあることを強調しております。にもかかわらず、ドライヤーのいっておりますことは、二千二百二十二項というところで、政府側にいろいろな弁明があったけれども、登録団体、非登録団体の間に交渉権についての基本的な差別がある。つまり今日の改正法律、これは交渉権について明らかに基本的な差別を設けているんだ、こういうふうに言い切った指摘をしておるわけです。だから、これは公務員制度審議会なんかでも、当然明らかにしなければいけない筋合いです。したがって、昨日のそのお話は、八十七号条約というものを批准した日本なんですから、事前認可という項目については、厳密に解釈をしていかなければいけない。事前認可については、ILOの専門家会議でも、あるいは結社の自由委員会でも、あるいはドライヤー報告でも、すべて基本的に差別があってはいけないんだということをいっているわけですね。ところが、日本の改正法というものは、基本的な差別があるということを再度ドライヤー報告で指摘をしておるわけです。このあたりは十分お考えいただきまして、昨日申し上げた法人格取得という問題についても、八十七号条約に明確にあるんですから、そこのところも踏まえていただいて、そういう意味の指導をしていただきたい、これはお願いを申し上げておく次第でございます。
それから、専従の問題で、昨日、私、許可することについての自由裁量権的なものがあるということについても、大きな指摘がございますから——もちろん問題は運用を誤らなければいいわけですが、そこで、実はひっかかって恐縮なんだけれども、公務員部というもの——現在の公務員課というものの指導が、私ども公平な意味の第三者から見て、とにかくなるほどと思われるように行なわれていれば、あるいは公務員部をつくっても、これまた運用の問題だということになる。だけれども、今日までの運用のあり方が、どうも少し極端に走り過ぎている、実は私はこう考えるわけです。たとえば、私がきのう取り上げました昭和四十一年十一月十七日の札幌における森公務員課長さんの北海道発言なるものは、どう考えても実は理解に苦しむところがある。簡単に読み上げますが、まあ、昨年の一〇・二一ストライキというものは、賃金を上げたいがためにやった。これにはいろいろ批判があることはもちろん承知している。そのよしあしをここで問題にしておるわけではない。ところが、法律に違反したストライキだということで、森さんが北海道に行かれて、この行為を行なった職員については、法の規定するところにより、厳正な処分を行なえ。これはいいと思いますが、ところが、自治体なんですから、自治権がある。あなたのほらには処分権はない。ひとつこれだけははっきりしておきたい。ところが、処分を行なわない当局があれば、その当局は当事者能力がないものと認める、と言い切る。そうなると話は別で、自治権なんかどっかへ吹っ飛んでしまう。任命権者と処分権者というものと、あなた方の立場というものは、明確にあるわけです。直接あなたが現場を認定しているわけではない。当事者能力がないものだということになると、それじゃ現在、あなた方の各種の指導からいくと、自治体にどれだけの当事者能力があるのか、逆にこう聞きたくなるわけです。だから、こういう言い方というものは、やはり問題がある。さらに自治省は、自治省が持っているあらゆる権能を使って、当局に処分させるようにする。その中には、処分をしないところには、特別交付金の減額措置もある。こうなると、処分するしないという問題と特別交付金の減額措置は、どういう関係があるんですか。そんなことで特別交付金がお手盛りでふえたり減ったりしては、えらいことになってしまう。それこそ基本的な問題——私がいま言ったようなつもりで言ったのではないと思いますから、そこから先責めようとは思いませんが、たくさんの人が聞いているわけですから、こうなると、明らかに問題がある。それから、町村会議等における町村長や人事担当者に対しまして、課長さんが言って歩くと、小さい市町村ですから、きくんです。したがって、この会議では、私が直接聞いた限りにおいては、いろいろ反論もあったようでございますけれども、私がここで言いたいポイントというものは、これはあくまでも江戸のかたきを長崎式にそのものずばりを自治省の課長が言ってしまっては、どうも——それは私はここで質問する場合、公務員部をつくる、運用の問題、こういう問題の中に地方自治体の問題が入ってくる、こういう攻め方をしたことがありますけれども、事問題は違う。ところが、もう一つあなたのほうでやっておられるのは、あるところに人を集めて、名目は町村会が招集したかっこうをおとりになって、あなた方が出ていかれて、自治体からの報告はたるんでいる、この警察の報告によればと、これを突きつけて、なぜこういうでたらめな報告をするか、処分しろ。そんなことを言うならば、自治省の方々は、自治体に行って、実際の現地認定をしておられるのか。しておられない。警察だって万全ではない。しかも自治権がある。政府だって、何か違法なストライキをやったその場合、処分する場合に、一方にみずからの省の過誤があれば、その処分というのは、実は首を切りたいんだけれども、停職三カ月にしておけなんて、私なんか一番最初は停職一年でした。一年のやつが、三カ月たったらまた十カ月ついてきた。重ね停職。それでも首が切れないという事情がある、省のほうに問題があるから。だから、そう簡単に労使関係というものはいくものじゃないのですね。それを警察の情報によれば、これこれやっているじゃないか、君のところの報告はこうなっているが、警察情報でいけば首じゃないかという調子でやったのでは、自治権なんというものはどこかへいってしまうのですよ。だから、私はそういう運用のしかたを今日公務員課がやってこられておるから、何か公務員部なんかになったときには、課長さんがそれだけやるなら、部長なら何やるかわからぬ、こういうことになりかねぬのですよ。だから、私はそう簡単に部というものに昇格をさせる——皆さんの中には部長をだれにするなんという引き当ての財源があるかもしれない。あるかもしらぬけれども、やはりそういうことでなしに、先ほど来私が申し上げているように、ドライヤー報告というものに基づいて公務員制度審議会等で論議をして、公務員制度のあり方、特に地方公務員制度のあり方について、ひとつの法体系を含めた筋を立てた上で、本来ならば各種関係法律の改正が行なわれたり、あるいは設置法に基づく制度改正が行なわれたりしなければならない筋道だと私は思うのです。ところが、いまの段階で、片や人事局ができている。これも一つの理由になっているのかもしらぬけれども、公務員部をつくると言われてみても、そう簡単にそうですかということを言い切れない。実はこういう気がしてならぬのであります。私はいまここで申し上げたことを、これは私も慎重ですから、相当広範にわたって聞いておりますから、それはあなたのほうがそんなこと言った覚えはないと言ったって、当たらずといえども遠からずということになりますので、あまり妙な御反論はいただきたくない。たくさんの人たちがおられる席上ですから。だから、私の申し上げたいのは、そういう点について、やはり当事者能力がないんだぞとか、交付金を減らすぞということに、まずもっていっちゃったら、これは事が違うのです。そういう点等をお気をつけをいただかぬといかぬ、こう思っているのです。
ところで、私ばかりしゃべっても何ですから、いまの点で何かあなたのほうにけしからぬという言い分もあるかもしらぬから、それを聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/2
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003・長野士郎
○長野政府委員 改正公務員法の実施に伴いまして、法律の運用なり、解釈なり、あるいは処理すべき手続というような問題につきまして、いろいろ私どものほうで主宰した会合もございますし、会議もございますし、また地方団体の側で、それぞれが相互に研究するという形で行なった場合もたくさんございます。そういう場合に出かけまして、通達なり準則なりというものはありますから、これらについて説明をし、趣旨の誤りのないように期するということを行なったこともたくさんございます。それからまた、昨年の一〇・二一ストと申しますか、いわゆるそういうストの前後におきまして、地方公共団体の側でも、非常に事態が重要なことでございますので、いろいろな調査なり、しかたなり、違法行為と考えられるものについての実情をどう処理するか、こういう問題についていろいろ相談がありましたり、情報の提供を求められた機会がたくさんございます。そういう場合に、表現といいますか、あらわれ方という問題について、それぞれ受け取り方がございますから、いろいろ出てきたというところもあるかと思いますが、自治省が与えられております任務は、地方公務員法を忠実に実施をしていく、こういうことでございまして、そのために必要があれば技術的な助言とか協力を惜しまないということでやっておるわけで、先ほどちょっとお話がございましたが、特別交付税をどうこうというような話もというようなことでございました。これはまた別個の見地、おそらく財政事情そのものの見地から考えたことだろうと思うのであります。それからまた、公務員部の関係について、そういうところで部ができたらというような話もございますけれども、公務員部の一つの面は、いま申し上げましたような、少なくとも多くの地方公共団体におけるところの新しい近代的な労使関係の確立、自主的な組合活動など、いろいろ指導して誤まりなきを期さなければならない面はたくさんございますし、また先ほどから御指摘のありますような制度自体、制度改正にわたりますものも、運用も含めましてまだ未解決と申しますか、十分に考え方の確立してないものもたくさんございます。その点では非常に立ちおくれているといっていいわけでありますが、特に地方公務員の関係におきましては、職種も多くございますし、またいわゆる人事当局といわれる、あるいは任命権者といわれる当局が、非常に数が多いわけでございますので、いろいろその間に複雑な関係があるわけでございます。そういうものについて次第に体系化していくものは体系化していく、合理化していくものは合理化していきまして、いままで問題が山積したままに放置されておりますものも、専門家のスタッフを強化することによって解決をし、軌道に乗せていきたい、こういうことも公務員部設置の大きな眼目であるわけであります。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/3
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004・大出俊
○大出委員 もう一つだけいまの問題にからんで申し上げておきますが、地方公務員数が二百三十万人になった、非常にふえたのだということが、皆さん方の一つの理由になっております。確かにこれも一つの理由にはなると私も思います。思いますが、ところがこの中で御指摘申し上げておかなければいかぬのは、警察職員については、これは大臣がよく御存じのとおり、警察法施行令別表で定数人員がきめられておりますね。したがって、その意味で自治省ということに相ならぬ筋合いだろうと思うわけであります。それからもう一つ、教職員の定数ですね。これも標準定数の施行令がありまして、これできまっておりますね。そういたしますと、たとえばこの警察にしても、第一次増員計画から、四十一年には第三次増員計画ができておるようですね。四十三年までに四万三千四百八十人が増員される、こういう計画ですね。そういうふうな点等からいきますと、二百三十万人になったからといって、必ずしもそれがほんとうの意味の理由になるかどうかという点、疑問があります。それから地方財政計画の増員状況、きょう資料持ってまいりませんでしたが、昨日ここに山ほど積んでありました中にございましたが、あれによりますと、全体で十万人の増員なんですね。ところが警察、教育で八割を占めておるわけですね。八〇%警察、教育。間違いございません。したがって、一般職の方々は二万足らずということになりますね。そういうことになりますと、現行でお忙しいのは私はわかりますよ。どこの省でもひまなところがあるはずはないので、ひまなところは、行管というものがあってスクラップにしてしまえ、こういうことになるのですから、ならないほうがおかしい。そうなりますと、現在は四十二人、これが今度は五十二人になるわけですね。森さん、間違いありませんからだいじょうぶです。そういう数字なんですね。ということになりますと、どうもだから多い、こう言うわけではありませんけれども、先ほど私が幾つか申し述べた、あるいは昨日申し述べたようなことで、十人もそういうところに出かけていって、森さんに輪をかけたようなことを言う人がふえては、一事件起こるわいという気がするわけです。したがって、これは再三申し上げておるように、運用さえよければいいのだけれども、そう思えないので、そこのところを、言うだけのことは申し上げておかぬと、あとになってどうもこんなことがあったというときに、あのとき言ったじゃないか、こういうことになっていないとまずい。したがって、いま申し上げているわけなのです。それからさっき私がいろいろ申し上げたのと関連をいたすのでありますけれども、全体的に見て、最近の自治省の行き方というものは、どうも自治体に対して相当きびしく強い。ところが、自治体のほうは、聞いてみると言い分が山ほどあるのだけれども、へたなことを言うと、今度は金のほうでさいふの口を締められるということになると、これまたどうにもならぬ、こういう相関関係でしかたがないという形になっているのですね。しかし、それでは、地方自治体というものの本旨を考えた場合に、憲法の八章に地方自治の本旨にのっとると書いてあります。その本旨にのっとるという文言の解釈はいろいろあります。ありますけれども、少なくとも新しい憲法がそれを規定している限りは、もう一ぺんひとつそこに視点を置き直して御検討いただかないと、同じことをやるのでも、やはりこれは自治体と自治省の関係ですから、うまくいかない。こう私は気がつく点がたくさんある。御指摘を申し上げたいのですけれども、時間がありません。したがって、そこのところを一つ申し上げて、大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/4
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005・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まず第一に、地方の財政につきましては、地方財政法その他幾多の法律その他がありまして、それに従ってやるわけでありまして、自治省がつかみで金をやるというような問題じゃございません。したがいまして、金の面でいじめられるから遠慮するのだというようなことは、地方公共団体があまりそう感じるのはいかぬことだと私は思います。
それから、地方公務員制度のいろいろな運用にあたりまして、自治省として助言あるいは援助をする、その際におけるいろいろな態度でございますが、これは先ほど局長も言いましたように、受け取る側の受け取り方もあろうかと思います。しかし、いずれにしても新しい地方公務員法ができまして、しかも八十七号条約を批准をし、新しい公務員の労使の関係が改善されていく段階でございます。そういう意味で八十七号条約を正しく解釈し、あるいはまた地方公務員法その他の法令を正しく解釈しつつ、そういう中で近代的な労使関係を確立していくということが、本旨でなければならぬことは申すまでもございません。その中には、さらに法律的にも検討を要すべきものがあろうと思いまして、昨日、公務員制度審議会の再開について非常な御熱意をいただいたのですが、私もほんとうにそう思います。公務員制度審議会が早く開かれて、いろいろな基本的な問題について審議をされ、それがいろいろな結果をもたらすということが、最も好ましい形だと私も確信をいたし、側面的にはこれの再開について努力をいたしておるわけでございます。いずれにしても、そうしたILO八十七号条約、改正地方公務員法その他、あるいはお示しになったドライヤー報告、そういうものをいろいろうしろにいたしまして、そうして地方公務員制度の近代的な労使関係の樹立、そういうことを目ざして今後もやってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/5
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006・大出俊
○大出委員 いまのお話で、私もその点は了解をいたします。これは労使関係を含みますので、いろいろなトラブルが起こるということは、事務能率にも影響がありますから、ぜひそうしたいと思うわけでございます。
そこで、いま、この改正国内法が施行されましてから、各所にいろいろなことが起こっております。交渉の手続、予備交渉の問題から始まりまして、いろいろな問題があります。したがって、時間の短縮の意味で問題点をずっと簡単にあげまして、一括御答弁をいただくなりして、この問題をひとつけじめをつけたいと思います。
そこで、まず第一の問題点は、団体交渉権というものに対する管理運営事項という問題です。これは最近は実にこの管理運営事項と称するものがふえ過ぎまして、そこらじゅう管理運営事項のはんらんですよ、言うならば。したがって、末端の職場において、当事者能力はすべてないといってもいい状態ですね。だから、ある職場は、これはまあ一つの極端な例ではありますけれども、三人で話していると、これは無届け集会だから解散しろと言った。冗談じゃないと言ったって、だめだというので、しょうがないから話をやめた。休憩時間ならよかろうと思っていると、休憩時間でも、この庁舎は管理権があるのだから出ていってくれ。(「そんなばかなことはない。」と呼ぶ者あり)いやばかなことじゃない。ほんとうだ。許可理由をあげて、どういうことで集まったか、許可を受けたか、受けてなければ、すぐやめてくれ。こういうことになるのですね。だから、しょうがないから、裏が川の土手だからというので川の土手に集まったら、この川の土手は国有財産だからだめだと言ってけ飛ばされた。これは事実なのですよ。ほんとうにこういうのがある。これは極端に労使が対立しているところですが、これはある大臣はよく知っておりますけれども、私直接話したのであります。そこの管理者の方もまたしゃくし定木で、もらった通達を解釈すればこうなんだと言ってがんとして聞かない。こういうことになる。だから、通達をお出しになるにしても、考えておやりにならぬと、とんでもないことになる。とにかく五十年くらいおくれている方々が、末端にいきますと管理者ですからね。組合のほうが五、六十年進んでいれば、これはえらいことになるから、そういう点はお考え願いたい。これについてはドライヤーも指摘しております。基本的に勤務条件に関する問題であることも、これは同様に明確だ。つまり管理運営事項といわれるものの中で、第一義的に考えると、勤務条件、雇用条件にその問題はかかわりがある。こういう問題が明確な場合、しかし、管理運営と雇用条件の両方に影響する問題が多くある。このことを相互認識をしなければこの問題の解決はできないのだということを、ドライヤーミッションの二千二百二十九項に明らかにしております。したがって、これはやはりドライヤーに指摘されるまでもなく、考えなければならぬ問題だということになると思います。それからドライヤー委員会は、管理運営ということばの厳密な範囲をこまかく規定づけることは不可能だという意見に賛成している。賛成はしていますけれども、今後行なわれる討議の中で、実際上どこにその両者の境界線を引くべきであるかについて、「よりよき了解に達するよう努力すべきであると勧告する。」というので、二千二百三十項で勧告をしております。したがって、この点は、管理運営事項と勤務条件との間の境界線、ここのところはやはりどこかで論議をしなければならぬ問題だ。皆さんのほうは、だんだん労働組合のほうもしっかりしてくると、管理運営事項の分野を広げよう、広げようとする。組合のほうは、勤務条件に関係があるのだから、押し返そうとする。こういうトラブルが至るところにある。だから、それがひとつ運用を間違うと、えらいことになる。これはそこのところの指摘事項ですね。皆さんがいま全国に指示されてやっておられることの中にいっぱい出てきておりますから、そういう点については一ぺん組合の言い分もお聞きいただいて、高所に立って再検討いただくというふうにお願いしたいわけです。
次に、自治労、日教組というふうな、組合の登録団体ではございませんが、交渉参加という問題がある。これもまた大混乱を呈しておる。上部団体の自治労の役員が行こうとすると、交渉の席上から、それは困る、指名していない、あらかじめ指名していなければ交渉委員じゃないのだから、出ていってくれ、それは至るところです。ドライヤー委員会は、この点について相当詳しく触れております。「当委員会は、交渉代表者の任命に関する規定は、もし厳格に適用された場合、任意的な交渉の本質である弾力性そのものをそこない、あるいは破壊する傾向をおそらく帯びるであろうと考える。たとえば、交渉が進行中であると考えてみよう。そして職員団体ないし当局が」これは両方という意味ですね。「緊急に技術的な助言を必要とする不測の問題が発生したと仮定してみよう。あるいは、特定の地域に関する問題の討議が進行中に、重要な問題が提起され、交渉当事者のいずれかが、この問題について、県段階の代表に諮問せずに言明することが困難となったと仮定してみよう。このような場合、その交渉に参加したものが事前にそのように指定されておらず」つまり交渉委員に指定されておらないということですね。「指定されておらず、あるいは委任状を携行していなかったという形式にこだわりすぎた理由から、その交渉が分裂し、あるいは放棄され、そのため可能性のあった成果が危たいに陥ることは、道理にかなったことであろうか。そのほか、支部組合が、つねに希望するにもかかわらず、その支部が加盟している県単位ないし全国段階の団体の役員の援助を受ける権利を与えられてはならないということもまた、当委員会からみれば正当であるとは考えられない。したがって当委員会は、規定された交渉方法と手続を、さらに弾力性のあるものにするよう、さらに多くの関心が注がれるべきであると勧告する。」こういうわけです。これが二千二百三十四項ですよ。この点は、実は実際運用の面にいきますと至るところで問題になっていることで、事実が収録されておりますけれども、私はやはりこの点は確かにドライヤー委員会の言うように、県段階にわたる、あるいは全国にわたるそういった組織がたくさんありますけれども、これは非登録団体である、こういう今日の法規定なんですね。それがいいか悪いかということについての五十四次報告もあります。この中では、交渉をたとえば日教組も求めることができるということにもなっておるのですね。それだからこそ定期会談、総評あるいは政府の間の中でも、最終的には三人にするとか五人にするとかいう人の制限の問題でぶつかったことも、多少前の公務員制度審議会がぶち割られたときのいきさつがからむものだから、そういう問題もありますけれども、どうやら三役全部だとか、あるいは二人にしようとか、三人にしようとかいうような、てっぺんでの多少の見解の相違はあっても、そこまで来ておるわけですね。それはなぜかというと、背景に範囲の限界があるわけですね。だから、そういう点等の限界をお考えいただいて、至るところで、全国組織ですからまとめるわけですから、これまたひとつ御検討いただきたいと思うわけです。
それからもう一つの問題は、交渉手続についてです。事前のつまり予備的な交渉、これは法律規定でありますけれども、そういうふうなものが次々に出ております。そういうふうな問題とからんで、これまたドライヤー委員会は、「本委員会は、これらの諸規定は、」交渉手続ですね。「交渉の進行に規律と秩序という必要な要素を導入するねらいをもったものであるかもしれないとは認めるが、」認めるわけです、これは現行法ですから。「その反面、当委員会は、この目的に対するこれらの諸規定の価値について深刻な疑問を抱く。」これも言い切っております。「一般的にいって、最も効果的な労使間の交渉の手続は、法律による規定によって詳細に決めるよりは、むしろ関係当事者によって、賢明な慣行として徐々に発展するものである。このような慣行は、協約ないし了解事項として文書に書き込まれることもあるし、あるいは単に、調和的で実行し得るものとして当事者双方によって受け入れられることもある。」これが二千二百三十三項。この点については、旧来長い戦後の労働運動の経験が相互にありますから、自治体関係の、つまり地方公務員の各地域においてそれぞれの当事者間に各種の慣行ができておったわけです。現在もあります。ところが、改正公務員法等々の関係から、皆さんが御指導される指導方針と相まって、片っ端からその慣行にぶつかっていくわけです。そうすると、既得権ということで慣行を守ろうとする。それをこわさせようとする。ところが、末端の自治体の管理者の方々は、長い慣行ですから、どうしてもやはりそっちに引っぱられる。そうすると、皆さん方が強引にそれを破ろうとさせる、こういう指導になる。そうすると、末端の管理者の好まないところでたいへんなトラブルが逆に起こる、こういう現象が各所にありますが、これまた例をあげれば切りがありません。ありませんが、ドライヤー委員会も指摘しているように、やはり長年の慣行の中から労使関係の安定というものは生まれてくるわけです。定着してしまうわけです。だから、そこのところはそういうふうに御解釈いただかないと、どうも皆さん方の法解釈というのは、考えられ得る限度一ぱい管理者の側に立って解釈をされ、通達、運用をはかろうとされる。そうなると、両方の主張は対立しているのですから、そのまん中で慣行ができ上がっているやつを、一番皆さん方が解釈し得る限度まで引っぱろうとするところに問題が起こるわけですね。だから、そこのところはずいぶんお気をつけていただかぬとまずい、こう私は考えております。あまり一方的にしゃべってばかりいて恐縮なのですが、事実起こっている問題ですから、かつまた、皆さんのほうで一々指導されている問題ですからね。公務員部などというものができ上がるにあたりまして、十人人がふえますから、十人の人の総力をあげてなんということになると、みんなこの解釈、運用にかかってくるわけですね。だから、そういう点はひとつこの際お考えをいただきたい。
それから、昨日私が申し上げました地方公営企業労働関係法適用の小組合ですね。これは法改正等が行なわれて、混合組合ができるようになっております。その例は昨日申し上げたのですけれども、的確な解釈が労働省、自治省ともにないと私は考えている。したがって、中労委にまで上がってきておりますけれども、その結果を見ると同時に、あわせてやはりこの問題については御検討いただきませんと、本人は単純労務なのですから、明らかに不利益な取り扱いを受けているわけですから、その限りでは労組法の七条の該当範囲なのですけれども、組織構成という問題とからんで、それがそういう理由でまた却下されておりますから、そういう点で御検討いただきたい、こう思うわけです。
それからもう一つここで問題は、地方公営企業関係の組合についての当事者能力という点について、これは御質問申し上げたいわけなのでありますが、地方公営企業関係の労働者は、地方労働委員会というものがとにかくございます。ここに持ち出して、裁定権、つまり裁定を受ける権利があります。ところが、この法律が施行されましたのは一九五二年、本年六七年でありますから、ずいぶん長くたちました。ところが、この一九五二年に地公労法を適用以来今日まで、仲裁案件ということで仲裁が出ましたのは、十六件しかないのです。これは中央の公労委をながめてみればおわかりのように、賃金だって数々の仲裁裁定が出ている。今回も出ました。そのほか諸条件、労働条件その他についてもたくさんの仲裁事案が出ております。山のようにある。ところが、全国にこれだけたくさんの地域別にこまかい組合が存在をしているにもかかわらず、何と一九五二年のこの法律施行以来十六件しか仲裁事案がない。ということは、そこに持っていきようがないのですね。そうすると、これは当事者能力があるのかないのかという問題になる、予算上、資金上という条例抵触の問題がひっついておりますから。だから、持っていっても、もちろん地労委というものは、公労委と比べてみて法的な権限の相違があります。加えて、いま申し上げたようなことですから、企業法で縛られる。地方公営企業法改正で、また大きく組合の団体交渉権というものはある意味では制限をされている。鎌田さんがおそらくあとでお答えになると思うのですけれども、再建計画を出したそういう自治体、団体交渉に対する制限なんかないとおっしゃる。それは自由。自由だが、さてしかし、金を出す段階になれば、再建計画が出ている限りは、組合だって御協力を願わなければならぬ筋合いだ。この筋合いは、厳密な意味でいけば団体交渉権に対する制限ですよ、率直に言うと。そういうかっこうで、つまり労使対等だとは申しながら、そういう制約で動きがとれない、こういう現実です。だから、こういうことになる。これはドライヤー委員会もその点は認めている。そこでドライヤーも言っておりますのは——簡単に申し上げますけれども、「とくに、地公労法の場合、地公企法によって、賃金の種類及び基準が、条例によって定められることとなっているため、」ここでさきの制約がある。「仲裁裁定を申請し、その仲裁裁定が、条例や、予算上、資金上の問題と抵触する場合が、少なからず発生することとなる。」なります、現実に。「しかも先に団結権の章で触れたように、地公労法の適用を受ける労働者は、小規模な団結に押しつけられており、その労働条件は、地公法の適用を受ける労働者の労働条件と、同一水準あるいはそれよりも下位の水準にあるのが通常である。」地方公務員法傘下の方々より、ドライヤー委員会が調査した場合に、地公労法の適用を受けているほうが下にあるというのです。これははっきり言い切っております。「下位の水準にあるのが通常である。そのため一九五二年以来の地公労法適用労働者全体が受けとった仲裁裁定の総数が、わずかに一六件という結果になってあらわれ、また協約によって労働条件を規律している県が、わずかに二県しかないという結果」。これは自治省の方が行ったジュネーブの審問のときに、地方公営企業関係労働組合法という法律は協約締結権がありますね。事実ございます。それは県の段階で何県くらいが協約できめておりますかという質問に対して、二県でございますと言った。それがここにはっきりとしている。これはおたくの代表がお答えになった。中身は公表しないことになっているから申し上げませんが、そういう事実があります。したがって、ドライヤーはそれを取り上げて、わずかに協約の労働条件を規律している県が二県しかないという結果になってあらわれる、こういうふうに言っております。これらは、申し立て人らは「多くの協定がこれらの理由により拒否されており、またこのような規定が存在するだけで不利な協定のみが締結されることを意味する、と申立ている。」これはドライヤー報告の二千百四十七。
それから、地公労法に従って、この起こす可能性はきわめて小さな組合にしても、みずからの権利、利益を守るという点で地公労法に従って権利主張をする。これが極端に狭められている。その点についてドライヤー委員会は、政府側がいろいろ抗弁はいままでしてこられましたけれども、結果としてストライキ禁止の不可欠な代償措置として必要であることを強硬に述べて、「結社の自由委員会の勧告に照して、早期にかつ十分に再検討されるよう勧告する。」ということですね。これは結社の自由という形の中から、ストライキ権にかわる明確な代償措置のものじゃない。にもかかわらず、これだけ狭められているということになれば、代償措置としてきわめて不満足なものだ。だから、この点については「早期にかつ十分に再検討されるよう勧告する。」これは二千百四十八です。これははっきり言い切っているわけですね、この矛盾は。そうすると、今日いろいろ賃金その他の問題をめぐって、公営企業関係、軌道業なんかの関係でいろいろ残っております。しかし、これは組合の側にしてみれば、いまここで指摘されているようなたくさんの悪条件が山積している企業法を含めて、再検討しろとドライヤーは言っているわけですね。ところが、これは悪いから再検討しろ、こう言っているやつを、昨年再検討も何もなさらぬで——再建計画それ自体が私は悪いとは申し上げないのですが、ずいぶん前に出た形の企業法改正が昨年出た。そうなってくると、これは労働問題、つまり労働条件なりあるいはその意味での権利、こういう意味から申し上げますと、ずいぶんくどい法律を通したものだ、こういう結果になると私は思うのですが、これは皆さん方の考えが、ただ企業を再建させたいというお気持ちはわかるのですけれども、純粋な意味での今日の地方公務員並びに公営企業関係の職員、こういう職員が得ている権利関係から申しますならば、ドライヤーが指摘したものによってなお一そうきびしいものになっている。この事実だけ私はお認めしてもらわなければならぬと思うのですが、大体そこらの御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/6
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007・長野士郎
○長野政府委員 いろいろな項目にわたって御質問がございました。第一番目にお話がございましたのは、この管理運営事項でございます。確かに御指摘のとおり、管理運営という側面から見れば、管理運営事項である。それが職員の給与条件という面から見て、およそ勤務条件に影響しないような管理運営事項はないではないかということも、これはそのとおりだろうと思います。したがって、常に管理運営事項は勤務条件に関する事項だというふうにも、その面から見れば言えるということも、私どももよくわかるわけでありますが、そこでその範囲をどういうふうにきめるかということは、なかなか一義的にぴしゃっと区分するということはできにくいことだろうと思います。お話がございましたように、そういう意味で私どもも関係の方面と協議いたしまして、そしてこれらを検討するにやぶさかなつもりは一つもございません。大いに再検討することはいいと思いますが、同時にまた、ここの場所におきましての問題は、やはりここからここまで、どの線を越えれば管理運営事項であるとか、ここを少し出れば勤務条件の問題だというふうには、現場の問題としてもなかなか言い切れないだろうと思います。したがって、出てきました当面の内容がどちらかの問題に起因して交渉の範囲に入っているのだと思いますから、そういう客観的な事柄の起きました条件の中でおのずからそれがきまっていく問題ではないだろうか。ある場合には管理運営権というものをあまり言い過ぎたために、問題が非常に複雑になっているという場合もございましょうし、その逆の場合もあると思います。そういうことでどちらかの主張によってトラブルあるいはトラブルに近いものが起きたということがあることを、それぞれ具体のケースについて考えてみました場合には、おのずから解決される面も多いんじゃないかと思いますが、しかし、一般的にそういう場合についてのいろいろものさしといいますか、判断の基準になるようなものを大体整理していくほうがいいじゃないかということであれば、それはまさにそのとおりでございまして、今後大いに検討いたしたいと思います。
それから交渉の手続の問題と交渉の代表者の指名を厳格に考えるか考えないかという問題でありますが、これもいま御指摘のありましたように、確かにそういう職員以外の人の入ってこなければならない必要性というものも、ずいぶんあるだろうと思います。しかし、これもなかなか慣れませんので、まだ現在のところは多少ぎくしゃくした形が出ているだろうと思いますけれども、いい意味での交渉についてのルールと申しますか、お話のありましたようなよき慣行が次第に育っていくことによってだんだんと出ていくのではないだろうか。よき慣行といいますか、そういう問題ができていく。要するに相互信頼というのですか、そういうものの基礎ができるかできないかということに大いにかかわっている問題だろうと思います。従来の慣行をあまりぶちこわすようなことになってはいかぬじゃないかという問題がありますが、確かに私どもも、従来のいい慣行というものを何もネグレクトしてしまうという必要は少しもない。ただ、住々にして慣行という名におきましてものがゆがめられましたり、あるいはときによれば違法な事柄がそのままに見過ごされておるというようなことで、改正公務員法のような考え方、それは労使不介入の原則論という、そういうものから考えましても、自主的な組合活動とかそういうものに影響を与えるようなかっこうの慣行というようなものがあるといたしますと、これをそのままいい慣行だというわけにもまいらない。たとえば、行為の制限に関する条例等についてのいろいろな問題もありますけれども、そういうものから考えましても、そういうものになれば、やはりいい慣行を育てるという意味で相互に努力もしなければならない。しかしながら、それと同時に、一度に急激に大きなドラスティックな変化が与えられるのが望ましい形かどうか、これも個々のケースに従って考えていかなければならないことではないだろうかと思うのであります。
それから混合組合の取り扱いについてのお話もございます。これらにつきましても、組合という形、あるいは職員団体でございますか、組合という形での救済方法をどうするか、それから職員個人についての救済方法をどうするか、この両面があるわけでございますから、この点について、確かに組合という形での持っていく場所が非常に不明確な形が出ておるようでございますが、その点につきましては、やはり今後検討しまして、いい形のものができることが私どももいいし、またそれに至りますまでの間に、運用という面でもかなり考えていける範囲があるのではないかという感じがいたします。いずれにいたしましても、そういう意味での検討はこれから十分加えてまいりたいと思います。そういう意味で、十人ふえたけれども、非常にやかましい人間ばかりふやすという意味ではありませんで、むしろそういう意味での問題の究明をする、いい運用なり基準を見出すというようなために専門家が必要だということを実は私どもも申し上げているつもりでございまして、ぜひその点をひとつ御了解をいただきたいと思うのであります。
それから公営企業関係のことでございますが、これはまあ専門家がおられますので、ひとつそちらのほうからお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/7
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008・森清
○森説明員 公営企業関係の当事者能力につきましては、公共企業体においても同じような問題があろうかと思います。現在の法制からいいますと、大体同じになっておるわけであります。ただ、委員会が、公共企業体等委員会、それから公営企業の場合は、各県に置かれております主として民間企業を扱っております地方労働委員会になっております。それじゃ、なぜ公共企業体関係があっせん、調停、最近では仲裁というところまで移行するにかかわらず、公営企業関係はないかということは、いろいろ原因があろうかと思います。一つは、そういう法制に対する両方ともの認識の不足ということが第一であろうかと思います。それから第二は、やはり地方公営企業法、先年改正いたしたわけでございますが、その前まで、公営企業職員の給与というものは公営企業そのものの中できまるというふうな意識が、管理者にも、それから公営企業労働者の間にも薄かった。やはり一般職員が人事院勧告に従ってベースアップになるということから、当然に、公営企業がどのような事情にあろうとも、同じようにベースアップするのがあたりまえだ、また給与制度も、一般の行政職と同じように毎年上がっていくのだというふうな感覚ですべて統一されておったのではないか。したがって、そこで労使といいますか、公営企業の内容自体の中でお互いに労働協約を結んで、あるいは団体交渉を尽くして、賃金をきめようという空気も薄かったのではないか。したがって、そういうことがない以上、さらにその次の段階のあっせん、調停、仲裁という段階にも移行しにくい状態があったのではないか。そのような事情がいろいろ重なり合いまして、御指摘のとおり、仲裁裁定もほとんどございません。それも、賃金に関する部分はほとんどないわけであります。しかし、法律の予定いたしておりますことはそのようなことではございませんで、公営企業にも当事者能力が十分ありますから、法制的には三公社五現業と全く同じ法律的な地位を持っておるわけであります。今後労使双方ともその意味で成長して、お互いが団体交渉を尽くして賃金その他の勤務条件もきまっていく。それがもしかりに不調に終われば、第三者的な地方労働委員会のあっせん、調停その他の制度もございますし、そういうところを尽くして、いわゆる労働法規に定められたルール、手続に従って解決していく姿のほうが望ましいのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/8
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009・大出俊
○大出委員 いま課長が言っておられる理屈の中に、当たっているのもありますし、当たっていないのもありますがね。たとえば公労協と同じ権利義務関係にある、こういうことであった場合に、地方の大都市の公営企業が仲裁に持ち込んだ、その場合の地方労働委員会の権限というものは、公労委と全く同じだとお考えかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/9
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010・森清
○森説明員 形式上の権限といたしましては、大体同じではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/10
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011・大出俊
○大出委員 仲裁権、職権仲裁という権限はありますけれども、地労委の仲裁というのは、あなたが御存じのように、中労委あって地労委があるわけですから、そうすると、公労委に比べると、法的にはずいぶん弱いでしょう。そこに問題があるのですね。じゃ、てっぺんまであげて何をやるかといったら、これは時間がかかってどうにもならぬ。一舞台回っちゃうのです。地労委だけの勝負にしようと思えば、仲裁に実際は持ち込めないから、そこに出てこない理由がある。たとえば東京の公営企業関係でお聞きになれば、一ぺんにわかります。そこでもう一つは、東京の交通なんかも四十幾つ手当があるというわけだが、その手当は、一人の人が四十幾つもらっておるのではない。おのおのの職種に基づいてもらっておるわけです。しかも、この手当は、かつて都労委のあっせんなりあるいは調停なりというふうな段階を経てつくられてきておるのが多いわけですね。横浜の場合でもそうです。その意味では、そういった第三者機関を使っての権利なんですね。現在の既得権なんですね。ところが、企業がいささか不振だからというふうなことで、あるいはその不振の原因が全く労働者側にはないにもかかわらず、いみじくも、きのう私は、だからこそ、人事院総裁を呼んで、あなたは毎年毎年賃上げ勧告をするのだが、御気分はどうかと聞いた。そうしたら、総裁いわく、安定したいい時代の話をされた。ということは、個人的にという意味でああいうふうにおっしゃったけれども、佐藤総裁自身の気持ちの中にも、こう毎年毎年物価が上がって、七%だ、六・五%だといって、あっちからもこっちからも突かれてやらなければならぬ世の中というものは、あまりどうも感心したものではないという気分があるのですね。だから、アメリカのように物価が〇・二%前後しか上がらないなら、どうということはない。こんな問題初めから起きやしませんよ。そうではなくて、取り巻く環境が違ってくるというところからあらわれてきた今日の問題。だから、前の自治大臣の永山さんいわく、高度成長政策のよってきたるところでございますと、その原因を言い切られた。野人気分でおっしゃったのだけれども、しかし、そういうところに逆に今度は大合理化計画を出しなさいというふうなことを自治省があと押しをして、たいへんなあと押しをするものだから、森さんの言い分ではないが、それこそしょうがないから、大合理化計画を押しつけた。そういう事情にある。そのことは、中央の国鉄とか、郵政省とか、電電公社とか、そう簡単にいくかというと、いかないのです。ある意味では、これは労働組合が強いから。そうでしょう。あるいはまた、ローカル的な一つの企業の形態をとってないから。大きな相違があるのですね。してみると、むしろ自治法に限られていればこそ、そこで働く方々の条件は、より一そう守ってあげなければいかぬことになる、労働法の原則からいけば。そういうことになると、当事者能力というものは非常に狭められており、あなたのおっしゃるように、てっぺんまで持ち込めるのだという意識がないと言われるが、みなある。あるのだけれども、持っていったって押えられてしまう、自治省というものがあるから。こういうところに、やはりそこまでいかない、いけない、あるいはいかせない。市長独自で片づける、自治省がめんどうだから。こういうことになってしまっておる理由がある、問題の焦点は。そこのところをやはりお考えをいただかないと、公営企業法を改正したのだからということ一点張りで、負担区分も明確でございますなんということで、五百五十一億ということでことしふやしましたなんて、そういう調子でやっていきますと、これは三十六年からずっと私も調べてみたけれども、あの負担区分を明確にしてやったということは、繰り出し金を減らしたということですよ、簡単に言うと。そういうことでおやりになると、これは自治体がたまったものではない。だから、そこらのところは、やはり労働関係のほうから私はものを言っておるわけです。だから、その権利が、現在労使関係の間には対等な立場にある中における法規、制度の中で与えられておる労働者側の権利が、とんでもないところで押えられるという形は正しくない、こう私は考えておりますから、その点を実は当事者能力の問題ということでひとつ提起をしておかないと、なまで財政の問題に入っていきますと、鎌田さんみたいに大蔵省相手に大みえを切っておる方もおられるから、なかなか話がしにくい。だから、私はここだけは指摘をしておきたい、こういうことなんです。
最後に、自治労という組合を——皆さんたくさんおられるわけですが、これは行政局長さん、先ほどしきりに組合の末端のほうに行くと、とんでもない違法なことも見過ごされているとおっしゃったけれども、そんなことを言ったって、私は、これは自治労の方々——こういうことを言うのは妙な話だけれども、自治労の皆さんなんというのは、労働組合的に考えてみれば、あんなものはたいしたものじゃないですよ。そういう意味では、ぼくはおい立ちのときからずいぶん組織をつくられるときにお手伝いしたから、よく知っている。課長さんが先に立って組合をつくろうやということでつくった。戦わんというときに、課長さんがやめようということでやめてしまう。これは、占部秀男さんは参議院でやっていますが、全国でただ一人。七十万の自治労の労働者を擁していながら、落っこっちゃった。そうでしょう。そういうことなんですよ。それから幾変遷してきておりまして、みな理解されて、意識もふえてきて、相当強力になったとはいいながらも、世の中の幾多の組合をながめてみれば、皆さんが大騒ぎするようなたいへんなことになっちゃいないはずですよ。そうでしょう。だから、あなたのほうが法的に法的にというようなことで、一番右に寄った見解で、これでなければということであまり締めると、かえって妙なことができ上がる。ぎくしゃくさせているのは皆さんのほうなんです。そこのところを弾力性を持たせろ、持たせろということをドライヤーが言っておるわけですから、海の向こうから。だから、そういう雰囲気で聞いていただいて、こまかくこまかく——時間を節約しようと思ってこう言っておりますから、意のあるところをおくみ取りいただいて、全日本自治団体労働組合のほうもいろんな文書をつくっておりますので、皆さんのほうにも入っておるはずでありますから、そういう事例について十分お考えをいただいて、地方自治体の住民の方々にマイナスになることは、いずれにしてもお互いに避けなければいかぬわけですから、そういう意味で御努力いただきたい、こう思うわけです。
それからストライキ権の問題で一つだけ……。一〇・二一なんということもございましたから、ドライヤーが申しておりますのは、審問をジュネーブでやりましたときに、各省の代表の方に聞いているわけです。国鉄と私鉄の輸送量の高はどのくらいになっていますか、国鉄が二割くらいでしょう、じゃ八割は私鉄ですか、というようなことで、そうすると、二割しかやっていないところのほうにストライキ権がなくて、八割やっているところにストライキ権があるのはどういうことだ、いや、とんでもない遠い地域にございますから、都心に乗り入れている私鉄のほうはどうなんだ、というような論議をずっとやっているわけです。その結果、どうもおかしいんじゃないか。郵便局なんかにしたって、赤い自動車というのはストライキ権を持っておる。日本郵便逓送株式会社、この労働組合は、労働法の適用を受けてストライキ権がある。それがストライキをやれば、世の中の郵便は全部とまってしまう。そこにストライキ権があって、郵便配達しているほうにストライキ権がないというのはどういうことだというようなことが、ずっと一々論議されていますね。その結果、地方公営企業についても、六人雇っておる村の水道事業から始まって、いろんな論議がされた。そこで、論議を尽くした結果として、「すべての公共企業体及び国有事業並びに地方公営企業の活動が等しく重要であるということは、認めることができない。比較的重要でないものにおいては、公共の利益は、すべてストライキが等しく禁止されることを要求していない。」こういうつまり二千百三十六——くそもみそも一緒にみんな公営企業だからということでストライキを禁じてしまったというのは、どういうことなんだ、そんなことを公共の利益というものは要求していないのだということを言っておるわけですね。これは、したがってドライヤー委員会等では、論議をしなさい、こうなっておるわけですよ。そうすると、一〇・二一をめぐっていろんなことがあるけれども、その前に、公務員法制全体の立場から見て、基本的な問題から始まってどうすべきなのか。特に法務省の刑事局長さんは、ジュネーブのこの審問に出かけていって、日本の労働者というものは全部ストライキ権があるのですか、公務員はストライキ権がありますかという質問に答えているわけですよ。憲法二十八条というものがございまして、すべてひとしくストライキ権が基本的にございます、こうぴたっと言い切っておる。ただし、十五条というものもありまして制限を受けております、こう言っておるわけです。だから、そういう点では十五条方式によるグループと二十八条方式によるグループがあるという分け方を、かつて法務省刑事局その他が中心にやってまいりました。ある種の法曹界の分野でも、そういう考え方でやってきました。ところが、ILOの問題が提起されてから、十五条グループというものがなくなった。労使関係という形に、賃金をもらっているという限りはすべて労働者である、二十八条なんだというふうに日本政府も割り切ったわけですよ。ただ、しかし十五条というものである種の制限なり禁止なりというものが、制限が強まった禁止か、基本的にはある、こうなんです。そうだとすると、そこらのところをやはり改めて筋道を全部立てませんと、労使関係というものはかえって混乱をする、こういうふうに考えるわけですよ。それらのことも含めて、大臣、どうか先ほどお話しがありましたが、これは総務長官だけにまかせておいたのではいけないことだ、公務員制度審議会というものはどうしてもこれは再開させなければならない、そのために私どもも努力するつもりでおりますし、幸い大臣の傘下にある自治労の皆さんのほうは、その意味では他と違って、相当積極的な公務員制度審議会を開けという方々ですから、どうかひとつそういう意味で御努力をいただきたいと思います。基本的な問題ですから、大臣からひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/11
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012・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 まあILO結社の自由委員会その他ドライヤー報告、その外国のいろいろな労働関係から、日本の労働関係というものを見たときに疑問を起こされる点は、幾つかあると思います。ただ、また一面において、日本の、ことに公共関係の労働者のいろいろな法制というものが、日本のそういう、公共関係の公務員の成り立ちからきておるところもあろうと思います。もう一つは、これは私の所管外ではありますが、たとえば国家公務員においても、一体現在のようにああいう単純労働者まで国家公務員としていいのかどうか、そういう問題もあろうと思います。したがいまして、その方向としては、ILO八十七号条約あるいはドライヤー報告等を中心にいたしまして検討をいたす必要があろうと思うわけでございます。しかし、また一面において日本の労働運動の成り立ちというものも現実の問題としては考えていかなければならないので、現在のような労働法規ができておると思います。これらはお互いに、労使ともに、あるいは政府も一緒になってよき慣行に向かうように努力をいたしていく必要があろうと思います。その意味でも、最後にお述べになりました公務員制度審議会などというものは、実は早く開くように私は非常に希望をいたしておるわけでございますし、いま御指摘のように、自治労の諸君はそれについては非常に積極的であって、私と意見を同じゅうしておるので、非常にありがたく思っておるわけですが、今後とも努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/12
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013・大出俊
○大出委員 よくわかりました。それでひとつ正確を欠く発言があったかもしれませんけれども、間違っておれば、訂正を願いたのですが、速記のほうは。
つまりドライヤーが証人喚問した中の国鉄と私鉄の輸送量の比較がここに載っておりますが、国鉄側証人は、国鉄、私鉄、民間輸送事業が輸送量でほぼひとしいことを認めた組合側の主張、これは運輸省運輸統計要覧、これによっております。国鉄と陸海空の民間比は次のようになっている、輸送人員で、国鉄は全輸送の二〇%、私鉄が四〇%、私バスが四〇%、したがって、私鉄、私バスで八割、こういうふうになる。また、荷物輸送は全体の一〇%に及ばない、こういうふうになっておるわけでありますので、その点だけ再度申し上げまして、その点がドライヤーのほうの判断の資料になっておりますから、そういうふうに申し上げておきます。
ところで次に、地方財政という問題で少し承りたいわけでありますが、かくのごとく、どうも当事者能力がだんだん狭まっていると私は判断するわけでございまして、そこで一般会計からの繰り出し、あるいはまた片一方からいえば繰り入れ等の問題をながめていきますと、これは昭和三十六年が四百十五億、これは「地方財政の状況と問題点」という自治省の文書があります。これによりますと、三十六年からずっと当たってまいりますと、四百十五億が三十六年の決算額です、これは。それから三十七年が四百八十七億、三十八年が五百八十億、こうなっておりますね。それから三十九年は六百十二億円、四十年は七百六億円、四十一年はもう出たかもしれませんが、まだ私知りませんけれども。ということになりますと、四十一年は八百億をこえることは間違いない、こういう推定ができるわけですね。四十年までは実数であります、決算額。ということになっておりますのに、本年の繰り出しの面から見ますと、五百五十一億円、こういうことになるのではないかと思うわけであります。そうすると、これは一般的な判断からいって、八百億をこえることになるはずであった。それがどうも、決算額ではございませんが、五百五十一億円という額、しかもこれは二月八日、負担区分その他をめぐっての政令が出ておりますね。この政令等も、きのうここへ持ってまいりましたが、当たってみまして、それなりの理由はございます。ございますが、しかし、これはどうも旧来出されていた分をこの負担区分に乗せてしぼった、こう理解をしなければならぬと思うわけでありますが、そういうふうに理解をしていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/13
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014・鎌田要人
○鎌田説明員 地方財政計画上、一般会計から企業会計への繰り出しをはじいておりますのは、これは従来とも先般の地方公営企業法施行令の一部改正におきまして負担区分を明確にしたわけでありますが、その考え方と基調を同じくしたものについて、支出の繰り出しを計画上算定してきた、こういう経過でございます。したがいまして、ただいま手元にございますところの四十一年度の地方財政計画で繰り出しを見込みました額が四百二十三億、今年度が、ただいまの御指摘のような政令の改正もございまして五百五十一億、百二十八億の増加、こういうことに相なっておるわけでございます。現実の決算のほうにおきましては、そういうもののほかに、御案内のとおり、従来の地方公営企業法あるいは先般改正いたしました地方公営企業法におきましても、一般会計からの補助というものは認められておるわけでございます。その一般会計からの補助というものにつきまして、たとえば経営の資金繰りを緩和するために一般会計から繰り出しをする、こういったようなものでございまして、そういうものは財政計画の性格上、繰り出し金としては計上しない、その間の食い違いがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/14
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015・大出俊
○大出委員 これでいきますと、前年度対比百二十八億ですね。そうしますと、一般行政費の中、それから投資的経費の中——出資金に該当する分は投資的経費に入る。たとえば水道事業に対しての繰り出し金、それから病院事業に対する看護婦さんの養成所などなど。水道は十五億六千二百万、看護婦さんのほうは一億四千万、こんなふうなことになっているわけですね。しかし、いずれにしても、四十年ですか、これでいきますと、公営企業会計法適用、非適用、こうありますね。それから準公営企業会計、収益事業会計、国民健康保険事業会計、公益質屋事業会計、農業共済事業会計、こう大体分かれておりますね。そうすると、このこと自体がはずれているわけじゃないんですね。そこのところをちょっと聞きたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/15
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016・鎌田要人
○鎌田説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/16
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017・大出俊
○大出委員 それではこまかいことは省略をいたします。私がここで承りたいのは、大臣のおられるところで聞いておきたいのです。というのは、一般論として公営企業、軌道事業を含む、この場合に、再建計画を例の企業法の改正以降、四十年の三月を起点にいたしまして自治大臣の承認を受けてという形で、議会の承認ももちろん受けておりますが、進んでおりますね。その中で、再建計画の面では、つまりベース改定等が入れられていない、こういうことになっていた場合に、それはあくまでもその企業の責任でと、こういう意味になるとすれば、いみじくもまた昨日のように七%を下回らない——昨晩の新聞にたくさん載っておりましたが、そういうことになってしまったのですが、ということになると、物価その他がどのくらい上がりますか。政府のやることだから、おおむね相当上がっちゃうんだろうというふうに思えばとにかく、そうでなくて三%に押えるなんということになると、ほんとうに政府がそうやっていることならば、七%引き上げは出てこない。政府のおっしゃるとおり三%に押えるということになるとすると、五%以上の変動がなければ勧告しないのだから、上がらないということになる。政府のおっしゃることを信用するとすれば、再建計画十四年間にかりにしてみても、ベース改定財源は要らない。ところが、政府のおっしゃっていたとおりにならないで、物価が上がろうとすると、ベース改定が現実としては必要になってしまう。そうなると、これは大臣に承りたいのですが、それは再建計画上ないものだから、上げてはいけない、タコが自分の足を食うように、人減らせ、首切れ、何かしろ、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/17
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018・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 再建計画中の地方公営企業の職員の給与でございますが、再建計画の中に、ベースアップの分は含まれていないというような場合におきましては、一般的にいって企業努力の中で生み出されるべきもの、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/18
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019・大出俊
○大出委員 その場合に、再建計画の変更という項がございますね。前項に準ずるという形で法律規定ができております。それからもう一つは、異常な天変地異があった場合、こうなっておりますね。いずれにせよ、再建計画の変更ということはあってしかるべきだ。そうすると、それらの問題とからんで、いまおっしゃるように、企業努力を一生懸命やってみたがどうにもならない客観情勢にある。これは企業当事者も努力をした、それから従業員の側も努力をした。しかし、料金の値上げは限度である。交通その他でもって、どうしても走る車キロ当たりの速力が落ちる、いろいろな事情がありましょう。しかも物価が山ほど上がってしまって、賃金引き上げ勧告が出た。努力をしてもどうにもならない。この場合は、もう給料は上げるな、そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/19
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020・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 一般論としては、その企業努力で生み出すべきものなんで、どう努力しても生み出せないというなら、やむを得ないと思います。ただ、その内容がどうなるのか、これはその場合になって考えなければならないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/20
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021・大出俊
○大出委員 その場合、私は原則をひとつはっきりさしていただきたい。というのは、たとえばいまのダイヤをどう変えるにしても、これこそ明確な団体交渉事項ですね。人が減ったりあるいは勤務条件が全く変わっちゃったりする。これは団体交渉をやらざるを得ない。団体交渉となると、対等の原則でやるわけですね。そうすると、企業者が幾ら考えてみても、そのとおりいかない。たとえば国鉄労働組合と国鉄公社がやるような場合を考えたときおわかりなんで、山手全線とまってしまうという大騒ぎになると片づくでしょう。これは諸外国の例を見たって、その面ではある程度力関係ということがありますから、そうなると無理押しができない。こういう問題が出てくる。そういう一つのカテゴリーを考えた場合に、これは何らかの解決策をそこで考えなければならない。その場合の原則というのは、やはり地域住民の諸君に迷惑をかけない、ここが一つの原則だと私は思っておる。それは何としても上げたいというので、一時間待っても電車がこないということをしたのでは、これは現に電車が走っておるから、人が待っておるわけです。それに乗りおくれた、一時間待つということになったら、とても通勤ができない。そうなると、幾らそこのところを変更したくても、限度があります。そのことを逆に交渉の相手方の組合の側から、企業者に対して、こういうことになって市民サービスが極端に低下するんだが、一体どうするのだと言われたときに、公選市長たる者、市民サービスは幾ら低下してもかまわない、再建計画を出しておるんだから、そうは言えない。そうなると、そこのところは、市民サービスを低下しないようにさせなければならぬという答えにならざるを得ない。そうすると、そこに一つの限界が出てくる。そうすると、一般会計から五百五十一億、こうおっしゃるのだけれども、そういう限度までいくと、何らかの形のことを考えなければ、あるいは再建計画の変更ということを考えなければ——そこまで言わぬにしても、市民サービスは低下させないんだという原則を立てないことには、問題は片づかない、団体交渉というものを背景にしておりますから。それがいけないとなるとすれば、これは団交権の否認です。だから、そこの原理原則というものについてどうお考えかというのを、ひとつ詰めてお聞きをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/21
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022・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 お話のように、その結果が市民のサービスに対して非常な低下になるようなことは、これは長たるもの、あるいは管理者たるもの、やり得ないだろうと私も考えます。ただ、市民サービスがどれだけ下がるか、程度の問題にもよろうと思います。その辺には限界があろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/22
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023・大出俊
○大出委員 その限界がある場合に、それで計算をしてみたら、承認を得ている財政計画、再建計画に基づいて当たってみたら、企業会計としてはそれを埋めていくための財源はない、料金値上げも限界である、議会にはかろうとしても認めない、こうなった場合に、その企業会計には金がない。ないから再建計画を立てた、そういうことになるとすれば、その限度において、どうにもならぬ。つまりサービスが低下する。これ以上低下は求められない、こうなると——これはワクをきめておられるのはわかりますよ。私も二月八日の政令を見ておりますから、負担区分はわかります。中身も、いま私が例に申し上げたとおり、数字を申し上げたとおり。そうなると、明らかにどこからも出しようがない。そうだとすれば——この企業法改正以前の状態というのは、さっき私が申し上げたように、法律で幾ら幾ら繰り入れちゃいかぬとか、いけるとかというものはない。そうすると、そこに返って処理をせざるを得なくなる。なるべくそうしたくない。したくないが、その限度においてやらざるを得なくなる場合がある。こう考えざるを得ないのですけれども、それも確かに再建計画の変更にはなりましょう。なりましょうが、しかし、一般的にそう考えざるを得ない場合がある、そういうことなんですがね。詰めていって恐縮なんだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/23
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024・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 一方、労働関係からいえば、そういうことになろうと思います。ただ、それじゃその分を市民の税金で埋めていいのかどうかということの配慮も、これは市民のサービスという点で長たるものは考えていかなければならぬ。その辺の調整をどうとるかという問題に、現実にはなるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/24
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025・大出俊
○大出委員 その場合、これまた一般論ですが、七%の勧告をたとえば人事院がやった。そうすると、世の中の公務員と名がつくものは七%上がった。地方公務員は、おおむねこれに準じた人事委員会の勧告が出て上がった。ところが、半年なら半年にわたって公営企業関係だけは上がらない。そのことが新聞に出る。そうすると、世の中の方々は、半年にわたって公営企業の諸君というのは、ほかが全部上がっているんだから、給与改定ができなくちゃ気の毒じゃないか、一カ月や二カ月なら、皆さんがしきりに高い高いと言うから高いのかもしらぬと思っておりましても、それが三月、半年となると、お互い女房、子供をかかえているんだから、そうなると、市民一般の感情というものは、町でしゃべってみても、気の毒じゃないか、こうなる。そうなると、その辺のところで、市民の税金で埋めていいかどうかの判断は、公選されている市長が責任を持ってきめるべきですよ。そうでしょう。自治体の長というのは、選挙で公選されているでしょう。そうすると、自治体の長の頭にある判断というのは、全体の意思によって市長になっているのですから、あるいは知事になっているのですから、そうだとすると、そこでものを判断し、かつ議会がある。議会と市長と、そういう総体的な関係で市民のおのおのの考え方を判断してきめるわけですね。その権限は、市長と議会にあると私は思う。そのことを、そういう順序を追って努力を尽くし、再建計画も出し、検討も加え、その範囲でやる努力もし、相互努力をし、いろいろ市民に対する訴えもし、愚見も聞き、そこまでいったとなると、最後のそこのところの、ではこうするということについては、これは明らかに地方自治体の自治権という問題とからんでまいります。そのときに、なおかつそれでもいけないということを言い切れるかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/25
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026・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 なるほどそういう関係におきましては、それは長の判断というもの、あるいは議会の判断というものが入ることと思います。しかし、一面において、そうした場合に再建計画の変更という問題があります。その再建計画の変更を認めるかどうかということは、また別に私どもが判断しなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/26
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027・大出俊
○大出委員 だから、そういうことはあり得るということになる。ただ、そこで問題は、一つは再建計画の変更を認めるか認めないかという問題が残る。しかし、そこに問題がある、私に言わせると、地方自治権というものが一つ存在をするのです。したがって、これは官選知事、官選市長ではないのですから、これは新しい憲法の八章にいうとおり、三章を受けておるのですから。そうなると、そういう成り立ちを、いろいろな努力の集積として、結果としてそうならざるを得ないとなれば、その場合には——だからこそあの企業法改正のときに論議をされたので、私も地方行政委員会に行って三日御質問申し上げたのですから。東京都は高い高いというから、私は高くないということを全部立証したつもりなんですが、皆さん反論がなかったのですから。地下鉄のことについても触れております。いまは多少補助金形態が変わってきておりますけれども、ずいぶんいいかげんな補助金を出したものだと思っているのだけれども、実体法がないところに補助金を出しておるのですから。そこまで私は思うのです。しかし、そう詰まっていくとすれば、そのことをしも認めない、一般会計から入れるということを認めないことになってしまうとすると、これはいささか締めつけのし過ぎであり、自治権との関係というものをもう一ぺん考え直さなければいかぬのじゃないかと思います。そこのところは、いま大臣がおっしゃった判断の問題がもう一つある。確かに私はそうだと思う。その判断を、どういう根拠で判断をされるか、これが一つの最後の問題だと思うのです。ここまで質問していいかどうか私にはわからぬけれども、あえて聞いてみようという気になったわけですから、ひとつお答えいただきたい。ケースバイケースとおっしゃるなら、それでもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/27
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028・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 御承知のように、財政再建団体の長は財政再建計画に従って予算を調整しなければならぬ、それから再建企業の管理者は、その計画に従って再建企業の業務を執行しなければならないということでございまして、昨年の暮れにこの再建計画の認可を受け、そういう場合において、その際にはベースアップはいたしません、一般会計からの繰り入ればこの程度です、何年でやりますということをやったわけでございます。それをいろいろ努力をされたが、最後の判断としてどうしても一般会計から入れなければならぬというように長としては判断して持ってきたというような場合におきまして、はたしてそれが、昨年の暮れにやったばかりの計画をいま直ちに変更するのが正しいかどうか、それはその長としても、管理者としても、その責任を負っておる、再建計画に従ってやらなければならぬという責任を負っておる長なり管理者として、はたしてそれがいいことかどうか、こういう判断をしなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/28
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029・大出俊
○大出委員 これは人間がやることですから、計画というものはあくまでも計画であって、これは天変地異だって起こるのですから。そうでしょう。そうすると、問題はその前に二つあるのですね。一つは団体交渉権を制約をしないという原則がある。労使関係からいけば、いかなる計画を理事者がお立てになっても、それは労働組合には及ばないのです。労働組合というものは、雇用契約を結んでおるということ、それが労働組合の存在の理由なんですから、経営には責任がない、厳密にいえばないでしょう。明確に、法的にいえばない。そこに労使対等の原則がある。だから、民間の場合だって、赤字経営になったって、出すべきときには出さざるを得ない。現にたくさんある。しかし、一年赤字経営を続けたら、企業努力、労働者の努力も相まって、また黒字に転換することもある。先々の計画を立ててやることですよ。そういう意味では、労使関係は対等ですから、団体交渉の制約にはならない、一方が計画を立てても。それが原則です。この点は、皆さんのほうだって地方行政委員会の質問でお認めになっている、その団体交渉を制約するものではないということについては。そうすると、一つそれが厳然とある。その上に、さっき私が申し上げました市民サービスの低下ということに——これは限度がありましょう。ありましょうけれども、一つの限度においては、それ以上の市民サービスの低下はなし得ない。ところでこの計画変更を求めた、理由があって求めるわけですが、求めた場合に、皆さんのほうとの問題が出てまいります。改正法に基づいて、大臣の認可、再建計画というものを認めるかどうかという問題があります。ありますが、しかし、そこに自治体の長というものは、選挙によってきめられていく。助役にしても、首長はそういう形で選んでいくわけですから、そういたしますと、そこに自治権というものと皆さんの立場との競合するものが出てくる。その前提になるものは、自治体の長は団交権というものがある、市民サービスの低下、市民の日常生活を守るという関係がある。そういう関係において、いまのお話で言わんとするところは大体わかりますけれども、いまのお話は、昨年きめたものをいま直ちにそういうことをすることがいいかどうかという問題もある。それも理由によりましょう。あるいはやってきた努力の結果にもよりましょう。したがって、そこから先はケースバイケースだということになる。ここまで申し上げておきたいが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/29
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030・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 出されてくるいろいろな計画そのものを現実にとらえてみなければ、何とも申し上げられません。そういう意味でケースバイケースだとおとりになることは、それこそ非常識ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/30
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031・關谷勝利
○關谷委員長 午前はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。
午前十一時四十一分休憩
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午後一時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/31
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032・關谷勝利
○關谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、引き続き質疑を許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/32
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033・受田新吉
○受田委員 昨日私お尋ねをした自治省の行政局に公務員部新設に関する具体的な問題点に引き続いて、新しい問題点を指摘してお尋ねを続行します。
国家公務員八十万の人的勢力に対して、総理府には人事局という局が一つあります。地方公務員は、共済組合法などの適用を受けるものを総計した数字が出ておると思うのですが、自治省自身が二百三十万と指摘しておられる。国家公務員には公務員局すなわち人事局がある。にもかかわらず、二百三十万の地方公務員をかかえた自治省には、公務員局という一局すらもないわけなんです。公務員課というささやかなものが二百三十万の問題をひっかかえておるという現象を私自身から見ると、これは逆にバランスがとれていないと思う。私は、厳密な意味から言うならば、現在の地方公務員の実態というものは、せっかく地方公務員法というりっぱな法律がありながらも——まずその地方公務員法の目的から、職員の試験、格づけ承認というようなもの、給与に関係する具体的な問題、なかなかいい文章が書いてあるのです。にもかかわらず、その運用面においてはとんでもない大欠陥を自治省は起こしておるというこの現実を、もう一度ひとつ問題点として掘り下げて私はお尋ねをします。冒頭申し上げた、国家公務員八十万に対して人事局が設置されている、二百三十万の地方公務員に対処するお役所として、公務員課というものよりは公務員部というものがいいという今回の改正点でございますけれども、進んで、いい意味で自治省が中央集権化をはからないという前提に立って、地方自治体の助言とそれに対するいろいろな大所高所からの強化、育成に貢献するという意味であるならば、逆に私は公務員局のようなものができていいじゃないかと思う。私の見解に対して大臣の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/33
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034・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 確かに新しい地方公務員法ができまして、これに対して三千余の地方公共団体の中にはまだまだ十分これに習熟していない部面があって、いろいろ地方公務員の労使関係に問題を起こしておることは、御指摘のとおりだと思います。したがいまして、そういうことを正しく助言し、協力していくために相当のスタッフの必要なことは、当然だと思います。いま公務員部より公務員局を正しい意味においてつくったほうがいいではないか、私どももさような見地にも立つものでございます。ただ御承知のように、総理府の人事局は、従来人事院の権限にありましたものの相当部分を人事局に持っていったといういきさつもございます。そういうような点もあわせ考えまして、公務員部の設置ということに踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/34
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035・受田新吉
○受田委員 公務員局という機構は、これは国家公務員に対照する意味では自治省に必要な存在として容認さるべきものではないかと思うのです。これは逆に大出さんの御質問と変わった意味で、私はいまあなたに伺っておるわけです。大体自治省がスタートするときに、いろいろなところからいろいろな意見が出たのを私もよく覚えております。自治省というのは、これは要らぬ役所である。何らその権限を持たぬ助言機関であって、地方公共団体のいろいろな中央への要望の窓口、受付所みたいなものであるという批判も、たくさん出ておった。御記憶のとおりです。自治省というものの職権、自治省の持っている権能というものは、はなはだ脆弱である。脆弱であるからこそ、地方公務員法がスタートしてから十七年間、あなたのほうから出していただいたこの資料を拝見いたしましても、依然として一万七千円という給与水準を持っている小さな町村もある。大きいところの二分の一、三分の一とちょっぴりだという程度の、とんでもない給与をもらっている町村もある。これは一応の単純調査によるところの答えではありますけれども……。それからばかに処遇のいい数字が出ているところもある。大きい待遇をしているところと小さい待遇をしているところとでは、小さいほうが大きいほうの半分になっておるというようなこの一覧表を見ただけでも、国民もふしぎに思うし、国会議員もふしぎに思う。こんなアンバランスをつくっておるのは、どこに原因があるのか。
もう一つ、きのう私がお尋ねした公平委員会、人事委員会というせっかくの地方公務員法の規定を持ちながら、この大事な機関を持っていないところがある。ちょっと数字を示していただきたいのですが、地方公務員法に指摘する人事委員会、公平委員会を持っているところ、持たないところ、それから委託しているところ、また共同でやっているところの具体的な数字をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/35
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036・志村静男
○志村説明員 お尋ねの件でございますが、まず人事委員会につきましては、これは都道府県と政令市と、それ以外に仙台市にございますので、合わせまして総数は五十三でございます。公平委員会につきましては、三つのタイプがございまして、単独設置、共同設置、それから人事委員会に委託をしている、三つの型がございまして、関係市町村数で申し上げますと、単独設置をしておりますところの市町村数は、千五百三十九でございます。それから共同設置をしております市町村数
でございますが、これは六百六十七でございます。それから県の人事委員会に委託をしております町村は、数といたしましては千二百六でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/36
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037・受田新吉
○受田委員 いまのような共同とか委託というところは、単独の能力がないわけなんです。それほど地方における人事管理部門の機関というものは脆弱である。だからこそ、いまのようなとんでもない公務員制度や給与をつくっている貧弱なる町村が、潮のごとく続いておるわけです。(「潮でもないよ」と呼ぶ者あり)潮ですよ。いまの数字を見てごらんなさい。単独でやっている分と単独でやっていないところを比べてみると、単独でやっていないところのほうが多いのです。単独でやっているところは千五百しかない。やってない共同が六百、千二百六という委託などは、さじを投げている。(「千五百と千二百だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/37
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038・關谷勝利
○關谷委員長 委員同士での質疑応答はやめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/38
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039・受田新吉
○受田委員 千五百と千九百、単独でようやらぬほうが千九百だから、潮のごとく押しかけておる。こういう状態は、自治省としてはくたびれておると思うのです。そういうところの首長というのは、全く徒弟制度のようなかっこうで、旧時代的な、村長や町長も、人事管理という問題を知っていない。給与法というものも勉強しない。そこにおる役場の人も、だれも知る者がおらぬ。何にも知らぬやつがどんどんやるから、ばかに定員をふやして、相当大きな町でさえもばかげた定員をふやし、あとから来たほうが先に位が上がるというような、とんでもない人事管理をやっている。これは自治省が調べたら、おわかりのとおりです。あとから採用して当然職階の格づけは低いところにあるべき者が、上へ上がっておるというような現象も起こっておる。定員をあまりよけい採り過ぎて、次の市長あるいは町村長は、その定員を削減するのにたいへんな問題を起こしておる。これは公務員課長御存じのとおりです。それは地方公共団体の中には、もののわからぬ連中がずらっとおる。私がこれを言うのはたいへん失礼だけれども、大体地方公務員法の国家公務員法に対応するりっぱな文章によって掲げられた人事管理機関その他のあらゆる人事管理制度というものについての心得の全然ないのが——しかも府県に委託しておるのが千二百もあるなどというのを見たときには、これはさじを投げておるのです。これは委託させないで、単独でこの人事委員会、公平委員会を設置する能力を持つように、自治省は十分指導すべきであったと思うのです。この法律ができてから十七年、自治省が発足して長期にわたった現時点において、なぜいつまでもこういうものを放置しておったか。国家公務員わずか八十万に対して人事局を設けておる。二百三十万に対応するのには、公務員課長という優秀な課長がおるにされても、ここのところに非常に大きな問題がひそんでおると私は思うのです。これは、根本的に町村のでたらめな人事管理機構というものを改めなければならない。制度の上において、運用の点において、根本的なメスを入れてやらなければいかぬと思うのです。私の発言に間違いがあるかないか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/39
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040・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 決して間違いではないわけでございまして、そういう意味もございまして、今回公務員部の設置をお願いしておりますのも、この改正地方公務員法の趣旨によくのっとって、そうして近代的な人事管理が行なわれるように、それの助言と援助をするためにも、この公務員部を設置しようとするわけでございます。なるほど公平委員会等が設置されていない町村が非常に多いことは、いま申し上げたとおりでございます。もちろん地方のいろいろな実情がありまして、あるいは財政面から、あるいはその規模が非常に小さくて、むしろ県の人事委員会に委託したほうが、よりよく労務管理ができるというようなところもあったかと思います。しかし、いずれにしましても、都道府県はもちろんのこと、市町村の人事管理を近代的なものにして、そうして真に地方公務員法が求めておるような人事管理ができますように、今後指導してまいりたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/40
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041・受田新吉
○受田委員 自治大学校という自治省の機関が一つあるわけです。これは大学校という名称を付することに私は異議があるわけです、研修所でよろしいのじゃないかという。名前だけりっぱなものができておるが、ここでは一体そうした末端の地方公共団体の人事管理面の頭脳を持つ人材を研修せしめるという、そういうかっこうのものはないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/41
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042・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 自治大学にはいろいろなコースがあるわけでございますが、この科目の中には、ただいま受田委員がおっしゃいますように、人事管理というような科目もございまして、県、市町村それぞれの職場に応じまして、人事管理についての講座を設けて研修をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/42
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043・受田新吉
○受田委員 そういうところで研修した人は、地方へ帰って、いまのような千九百という単独に人事委員会もしくは公平委員会をつくっていないような市町村に対して指導を加え、人材を養成するという努力を払っていないのかどうか。なぜ府県の人事委員会に、この大量の単独で委員会をよう設置しない町村がその事務を委託しておるかというこの現象、それをすみやかに独立するような指導を加えていけば、すでに十七年もたった、もう成人に達しようという地方公務員法に効果はきっとあらわれねばならぬと思うのでありますが、そういう努力はしておられるのでありましょうか。自治大学などでそういう人事管理コースを研修した人が帰って、そういう未設置の市町村に対して——人口十五万以下というのが一番多いことになるのだが、そういうところに対して、なぜ指導を加え、助言を行なっていないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/43
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044・長野士郎
○長野政府委員 人事委員会、公平委員会、特に公平委員会につきまして、市町村が共同設置をしたり、委託をしておる。これはおっしゃいますとおり、いろいろな事情があるわけでございますが、一つは、公平事務そのものについての専門的な知識、経験を持っておる職員が、その市町村に適任者として見出しがたい、あるいは求めがたいというようなことでございまして、それよりはこれを共同でつくって、そういう適任者を求める、あるいはまた府県に委託をいたしまして、そのほうがむしろ公平事務、職員のための公平な審査ができるというような観点から、委託をしたり、共同設置をしておるわけでございます。そういう意味では、確かに御指摘のとおり、そういう近代的な人事管理についての十分な知識なり理解を持っておる者がいないというところに、一つの大きな原因があるということにはなると思います。そのとおりでございます。したがいまして、そういう意味でもいま一番の問題は、市町村の職員なりそういう当局の中に、公務員制度について、近代的な人事管理行政についての知識と経験を持った者を養成をしていくことが、一番急務だとされておるところでございまして、自治大学校でも、研修の中にそういうコースを入れております。公平委員というものを置くだけでは、公平事務がその機能をよく発揮するわけにはいかないわけであります。むしろそういう意味での深い知識や経験を持った専門家を必要とするわけでございますので、そういうものを充実することによって、公平委員会とか人事委員会の機能が十分に充実できるような方向に持っていかなければならぬのじゃないだろうか。迂路のようだけれども、そういうことによって充実するよりほかはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/44
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045・受田新吉
○受田委員 これは人事局長が終始念頭に置いておられる問題ですが、民間企業でも、人事管理面を担当する重役は最右翼です。だから、人間によって企業が繁栄するわけなんです。官庁も、人間によってりっぱな行政事務が行なわれるわけなんです。私、自慢をするわけではないが、民社党の総務局長時代に、民社党の本部職員の身分及び給与関係を基本的に確立を申し上げました。その待遇は相当高い基準で、国家公務員の上級職甲を合格したものを基準の待遇に切りかえた。当時貧弱なる党の実力をもってはその経理面を担当処理をするのに容易でない段階で、あえてそれを断行した。ところが、民社党は、職員の異常な職務精励によって党は著しく成長した。これはもう明らかに人事管理面の成果が党勢拡張の上に好影響を与えたという一面を見のがすわけにはいかぬと、私は思う。これはてまえみその意味ではないのです。地方公共団体が繁栄するかどうかは、人事管理がよくできているかいないかということによって大きく影響されると思う。だらけた町村、希望なき町村には、そういう人事管理面の機構、制度、運用の面にほんとうの大きな欠陥がある。そういう町村は繁栄しません。これはたいへん大事なことなんです。自治省の一番大きな仕事なんです。その一番大きな仕事をいま怠っておる。これが大出委員の指摘されたような、公務員部をつくることによって逆に中央集権化するということになっていけば、これは私は断じて許されない。大出委員の疑念としているところをきれいに払って、私の申し上げた公務員部をつくることによって、より地方公共団体に人的構成における、人事管理面における偉大な好影響があらわれて、地方自治体の降々たる発展を見るということになるなら、公務員部をつくることはたいへん意義があると思うのです。これは制度面、運用面における大きなかぎを、確かに今度のこの法改正は握っておると思うのです。同感ですね、大臣。私は、その意味でこの機会に、なぜ長期に自治省はこういうことをなまけておったか。そしてとんでもない、何ら人事問題も給与問題も関心を持たない、つい自分の思いつきの人間を採用して、それをして自分の勢力拡張の具に供したというような徒党制度といいまするか、そういうかっこうで町村の末端は動いてきたという事例は枚挙にいとまがないというこの現実は、旧時代的——大臣がきのうはしなくもそうおっしゃったのです。旧時代的な人事管理をしている町村のあったことを私は否定できないという御発言があったのでありますが、事実そのとおりの現象が起こっているということ。文明国家となって、独立国家となって二十年、われわれとしては、ほんとうに残念な現象をいま拝見しているわけです。これをどう直していくかという具体的な構想を伺わないと、私もなかなか安心できない。末端の人事機構をどう改めていこうとするのか。単独で人事委員会、公平委員会を設置し、また町長以下の人事機構、人事管理面を十分承知した職員が、その町村役場に三人や四人はおらぬと、仕事はできません。何もわからぬ者ばかりおって何ができるかということです。もっともですよ、これは。それに対する具体策をひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/45
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046・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 一つは、長たる者、市町村長等が、この人事管理の重要性について十分自覚を持つようにしむけていくことが一つだと思います。それから一番好ましい形は、公平委員会等のそうしたものが、各市町村に設置されることは好ましいと思います。しかし、現実におきましては、なかなかその町村の規模、あるいは財政状態、さらに職員の問題等でむずかしい面があろうかと思いますが、それは現在やっておりまする自治大学校等のこうした人事管理に関するコースの講習を受ける者をできるだけふやしまして、そういう人事管理に習熟した職員を養成していくということだと思います。それと同時に、私ども自治省といたしましては、やはりそうした人事管理に当たる者、あるいはその補佐をする者等について、十分地方公務員法の要求する人事管理について習熟をさせるような助言と援助をしていくということであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/46
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047・受田新吉
○受田委員 人事交流面でこの問題に関連する事項があるわけです。自治省は地方公共団体、特に都道府県に自治省のお役人を派遣をしておる。課長とか部長とかに派遣しておる。逆に、地方公共団体から自治省に本省職員としてこの一年間にどのくらいの人を採用したか、具体的に例示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/47
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048・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 本年度、自治省といたしまして府県の職員を採用いたしましたのは、十四、五名でございます。なお、そのほかに、受田委員御承知かと思いますが、府県から自治省に研修という制度がございます。おのおの専門の部課に、各府県の専門の職員が一年ないし二年研修をいたす、こういう制度があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/48
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049・受田新吉
○受田委員 本省から都道府県職員に転任せしめた数は、この一年間にどれだけあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/49
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050・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 これは受田委員御承知のように、府県へ参りましたり、また帰ってまいりましたり、非常に出入りが多いわけでございますが、新しい職員として採用いたしまして、それで府県に配置をいたしました職員が、やはり十五、六名おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/50
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051・受田新吉
○受田委員 その本省から地方へ派遣する職員と、それから地方から本省へ採用する職員、それが相当量に公平に行なわれるということであれば、これは地方と自治省とをつなぐのにたいへん便利がいいと思う。そしてそういうところで、いまの人事管理面を担当する職員も、十分勉強できる機会を与える、短期間の研修制度というものもけっこうなことだと思うんです。これが地方へ派遣された者が、その地方においてさらに町村を指導する、こういうようにして、自治省と地方公共団体とが全く表裏一体となって人事管理面の運用の妙を得る、制度の妙を得る、こういうかっこうに進み得るならば、この部をつくって、その部がよりそういうところへ貢献できる一つの橋頭堡にもなると思う。ただ私が懸念しておるのは、地方へ派遣される本省の職員は、その地方において天下り人事の印象を受けて、たとえば山口県においても、具体的な例を申しあげるけれども、人物として私はたいへん優秀な人と思う。けれども、その人が山口県に総務部長として派遣された。当時、そこの職員組合が猛烈に反対をしたという事例がある。そこは何が原因かということです。もっとすなおに人事交流ができるようなかっこうにしておけば、こういう問題は起こらない。すなおな労使慣行ができて、そこから人事が裏づけされるということであるならば、双手をあげて本省からりっぱな職員が来ることを歓迎するはずなんです。地方公共団体の職員を本省へ採用するのに、府県に限らず、市町村からもこれは採用すべきだ。本省に採用した十四、五名のうち、市町村から来た人は何名おるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/51
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052・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 先ほど申しました、この一年に採用いたしました中には、市町村は入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/52
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053・受田新吉
○受田委員 それは自治省としては、府県だけが中心でなくして、地方公共団体の全分野にわたって人事交流というものをやるべきだ。そういうところからいまの給与の不均衡というようなものも自然にわかってきて、おれの市は、おれの町村は、こういう大きな欠陥があるのではないかというあるポイントに、制度的に、運用的にりっぱなモデルができるならば、その周辺は右へならえをします。府県だけから人材を吸収するのでなくして、市町村からも大いに交流人事を行なうという形のものを大臣おとりになるべきでないか、大臣から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/53
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054・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 もちろん市町村の職員でも、十分優秀でわれわれが採用するに足る人は、採ってもいいと思います。またこれは別に天下りではございませんので、市町村なり府県なり、その任命権者のほうから御希望があって、適当な人物を派遣しておるわけでございますが、そういう点については、十分、人事交流とおっしゃいましたが、その意味も含めて考えてよろしいことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/54
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055・受田新吉
○受田委員 総理府人事局長さん、私がいま指摘した中央官庁間の人事交流、また地方公共団体と国家公務員との人事交流、これに対して思い切った人事交流を行なって、その間における気分を新たにして、職員間に希望をわかせるという形のものを総体的にあなたのほうで考えていかなければならぬと思う。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/55
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056・増子正宏
○増子政府委員 各省間の人事交流、あるいは中央地方の交流ということは、一般的には先生御指摘のように好ましいことかと存じます。ただし、現在の制度下におきましては、それぞれの任命権者の合意といいますか、その発意がないと、これは実行できないわけでございます。すなわちどこか一カ所でもってきめれば一方的に命令として行なわれるというようなことでございませんために、当事者間でいろいろと協議をする、両方で話がととのったときに初めてこの配置転換といいますか、相互の人事交流ということが実現するわけでございますので、そういった意味で関係者の同意を得るということが、これは要件になるわけでございます。そういう意味で、従来ももちろん可能な限りは各省間の交流、あるいは地方との交流、特にこれは自治体と中央政府との交流は、いまお話しございましたように、自治省が大体中心であると思いますけれども、その他の省の職員との関連ももちろんあるわけでございます。そういったものは、それぞれの当事者からの要望なり要請があって行なわれておるというのが現状でございますが、それ以上にさらに積極的に推進するということについては、現在ではいろいろまだむずかしい問題があるのじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/56
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057・受田新吉
○受田委員 大臣、いま人事局長から任命権者からの要請という御発言があったわけです。しかし、これはむしろ地方公務員と国家公務員との交流人事は、自治大臣が、また各省庁間の人事交流は人事局長が、十分あっせんの労をとられなければいかぬ。そしてあなた方お二人がよく相談されて——あなた方二人といっては大臣不満かもしれませんが、総務長官とよく話されて、そして地方公務員と自治省だけでなくして、地方公務員と今度は各省の間の人事交流、こういう形のものをひとつやっていただくならば、職員間に清新な気分をたぎらしますよ。各省庁間のセクト主義というものは、なかなかこういうものを断行できないものがある。やはり首脳部におる、人事権を握っている大事なポストにある方々が、特に自治省と総理府との間において十分連絡調整をはかって、積極的にこの人事交流と取っ組んでもらいたい。大臣、国務大臣としての御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/57
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058・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 受田さん、現在でも御承知のように建設省だとか厚生省など、府県に対しまして職員を派遣、というとことばは悪いのですが、任命権者が任命するわけですが、派遣したような形がずいぶん行なわれておるわけでございます。ただ、それをたとえば自治省で一手に引き受けて、各省の職員と地方団体の職員との交流のあっせんをするというまでにいまは至っておらないわけでございます。これは両方考え方があるわけでございまして、地方自治体の実態を握っている自治省がむしろあっせんしたほうがいいではないかという受田さんの御議論、拝聴するに値するものでありまして、今後なお、国家公務員の人事担当をいたしておりまする総理府とも、十分な連絡をとりながら考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/58
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059・受田新吉
○受田委員 再建団体の地方公共団体の数は、現在どれだけあるか、お示しを願いたい。地方財政再建促進特別措置法の対象になっている地方公共団体です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/59
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060・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 四十一年度末の数字でありますが、府県はございませんで、市町村でございまして、百ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/60
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061・受田新吉
○受田委員 非常に指導よろしきを得て、再建の促進がされておるということになります。百まで減ってきた。その残された市町村で、いまの国家公務員の給与と比較して水準の高いところがあるかないか、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/61
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062・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 ただいま手元に資料を用意してございませんが、御承知のように、再建団体でございますと、再建計画にのっとって再建をいたすわけでございます。その際には、やはり給与費というものが一つの重要な要素でございます。私のいま推定でございますけれども、そういう団体で国家公務員以上の給与水準にあるところは、おそらくないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/62
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063・受田新吉
○受田委員 従来でも、都道府県が再建団体であった当時、都道府県独自の見解によって給与水準を高めて、その再建の意欲をわかせたという事例があったと私は思うのです。しかし、この給与で足を縛って再建をはからそうとしたって、なかなかいくものではないのです。やはり再建の意欲というものは、給与は多少国家公務員の水準よりも高くても、人事管理面、制度面、運用面における努力を払うことで再建は可能であるという前提で、自治省は指導しなければいかぬと思うのです。おまえたちの公共団体はもう赤字をかかえて困っておるのだから、給与も国家公務員よりも下でがまんせいという考え方でやるよりか、別な方法が必ずあると私は思う。残された百を大いに意気込みを与えるための措置として、給与で足を縛って、条例面で事実上自治省が干渉するようなかっこうのものでない方法をとるべきではないかと思う。再建団体絶無を期する方策として、大臣、私に対する意見としてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/63
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064・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 給与水準の問題と、それからその団体の支出全体の中に占める給与が幾らあるかという問題が、出てくると思うのでございます。やはり再建団体である以上、給与総額が支出の総額に占める割合が非常に高くて、硬面的な収支になるということは、必ずしも好ましくない。しかし、受田さんのおっしゃるように、給与の面で正しい人事管理が行なわれ、給与水準が国家公務員よりやや上回っても、それによって職員が意欲を燃やして再建に努力をし、そして赤字を解消していくという作用のあることは、否定できないことだと思います。結局、給与水準云々よりも、給与費の支出に占める割合というようなものをどう見ていくかということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/64
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065・受田新吉
○受田委員 時間が迫っておりますから、最後に、十名増員する公務員部の職員は、その中に地方公務員出身者を予定しているかどうか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/65
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066・宮澤弘
○宮澤(弘)政府委員 受田委員御承知のように、私どもの役所は、大学を出まして、それから国家公務員試験を通りまして採用になりました者、それから、府県なり市町村の職員でありました者で、試験選考によりまして自治省の職員になりました者、両方いるわけでございます。したがいまして、その十人の中身は、この両方の者、ただいまの御質問でございますれば、当然府県なり市町村の経験を持った者も入っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/66
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067・受田新吉
○受田委員 いま一つ、これは総務長官あるいは堀副長官からお答え願いたいと思っておったのですが、人事局長で御答弁できることだと思いますが、大出委員から先般来質問されたいわゆる公制審、公務員制度審議会の機能が麻痺している問題で、これは公務員制度審議会の委員の任期はことしの十月まであると私は考えておるが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/67
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068・増子正宏
○増子政府委員 十月の初めまででございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/68
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069・受田新吉
○受田委員 そうしますと、この公制審の機能を回復するためには、急いでやらなければならぬ。それから、昨年六月十三日、ちょうど一年になる。一年になってたな上げ部分の審議会における結論が出るならば、さらに政府は考えるという約束がしてある。その意味からも、この公制審の機能をすみやかに回復して、そして十月の任期までには一応の答えが出るような努力を、私はひとつ期限的に希望を付しておきたいと思うのです。この月中にでもこのめどをつけるという努力目標をお持ちにならないと、私は間に合わないと思う。また、総評から出た委員の諸君でも、いつでも話を承る用意があると言うておる。そこまで前進しておる段階で、会長の問題などは次の問題だという意味。私から言うならば、前田会長が辞任しておられるが、辞表は人事局長の引き出しの中にあるというお話でございましたが、これは堂々と公務員制度審議会を再開して、そこで前田会長から正式に辞意を表明させるという本筋に戻して後、この辞表の扱いをすべきだ。こそこそと辞表を出してから逃げておられるという行き方は、これは天下の公器を大いに冒涜するものであると私は思う。きちっと審議会を再開して、そこで堂々と辞表を提出し、委員会の機能を回復して、新しく会長を選任するという手続をとるべきだと思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/69
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070・増子正宏
○増子政府委員 審議会の再開につきましては、この席でもいろいろ総務長官から申し上げておりますように、できるだけその運びに持っていきたいということで努力をいたしておるわけでございます。任期の問題ももちろん頭に入れまして、先生からいま御指摘のあったような点を十分勘案しながら、実は努力をいたしておるつもりでございます。
それから、会長の辞表の取り扱い等につきまして、ただいま御意見を承ったわけでございますけれども、確かにそういう考え方ももちろんあるわけでございまして、そういった問題の取り扱いも、再開問題がきまりますれば、いずれはっきりした形をとるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/70
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071・受田新吉
○受田委員 今月末をめどにしてこの審議会の機能回復をはかっていきたいという私のいまの要望を、一応それをめどにしておるという意味に了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/71
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072・増子正宏
○増子政府委員 任期がありますことですので、それまでには何とか再開に持っていきたいという意味でございます。具体的に今月末というふうにはっきり申し上げることは、ちょっとできかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/72
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073・受田新吉
○受田委員 任期切れの間ぎわになって審議会を開いていくというようないき方は、これはもうとるべきことではないと思う。少なくとも今月末くらいをめどにしておかないと、この審議会を任期いっぱいに開く可能性が出てこないと私は思う。そして労働者側の委員も、いつでも御相談に応ずるという待機の姿勢におる。どこに壁があるのですかね。すなおにみんな待機しておるのだから、すなおに審議会を再開すればいいじゃないですか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/73
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074・増子正宏
○増子政府委員 お話では、労働側の代表がいつでも話に応ずるということでございましたけれども、私ども、必ずしもいつでも話に応ずるというふうに伺っていないわけでございます。いろいろと考え方、意見があるということを承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/74
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075・受田新吉
○受田委員 総理府としては、委員に御相談をされておるのですか。具体的に相談をされておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/75
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076・増子正宏
○増子政府委員 これはいろいろな機会をつかまえまして、その所属団体あるいはその委員の方とはお会いしまして、意見の交換をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/76
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077・受田新吉
○受田委員 これだけにしておきます。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/77
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078・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、来たる二十日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02019670616/78
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