1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 藤尾 正行君 理事 細田 吉藏君
理事 大出 俊君 理事 山内 広君
赤城 宗徳君 荒舩清十郎君
稻葉 修君 内海 英男君
加藤 六月君 桂木 鉄夫君
佐藤 文生君 塩川正十郎君
橋口 隆君 藤波 孝生君
三ツ林弥太郎君 山口 敏夫君
山村新治郎君 稻村 隆一君
武部 文君 楢崎弥之助君
浜田 光人君 山本弥之助君
米内山義一郎君 吉田 之久君
伊藤惣助丸君 山田 太郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
総理府恩給局長 矢倉 一郎君
自治大臣官房長 宮澤 弘君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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六月十六日
委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として
渡部一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員井村重雄君、佐藤文生君、塩谷一夫君、高
橋清一郎君、橋口隆君、鈴切康雄君及び渡部一
郎君辞任につき、その補欠として山口敏夫君、
山村新治郎君、塩川正十郎君、三ツ林弥太郎
君、加藤六月君、山田太郎君及び伊藤惣助丸君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員加藤六月君、塩川正十郎君、三ツ林弥太郎
君、山口敏夫君及び山村新治郎君辞任につき、
その補欠として橋口隆君、塩谷一夫君、高橋清
一郎君、井村重雄君及び佐藤文生君が議長の指
名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
自治省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二〇号)
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
六四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/1
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002・大出俊
○大出委員 総務長官の時間が十一時半までだそうで、おいでになる間だけ質問しようと思います。
冒頭に一つ承りたいのは、恩給というのは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/2
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003・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給をどういうふうに考えるかということは、いろいろなお考えがあろうかと存じますが、これまで政府が一貫してとってきました恩給に対する考え方は、いわゆる公務員として在職した人間の経済的な取得能力の減損を補てんする国の補償制度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/3
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004・大出俊
○大出委員 この現在のかたかな恩給法というのは、ここに書いてあるとおり、大正十二年四月十四日にできたんですね。この恩給法の法体系をずっと見てみると、どうも現在の認識とはだいぶかけ離れたものの考え方が方々にあるわけです。ところでこの恩給法というものは、かくのごとく古い法律なんですけれども、実際には文官と称する方々がほとんどいなくなっているわけですから——軍人恩給のほうは、これは附則になっているわけですからね。そうすると、この恩給法体系というものをこのまま置いておくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/4
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005・矢倉一郎
○矢倉政府委員 現在の恩給法が、御承知のように、大体顧みてみますと、約八十年の歴史を重ねてきております。したがって、法律の立て方からいきますと、その古い法律が、いろいろな時代的な変遷に伴って、その法律の中にその時代における要請というものがいろいろな形で織り込まれてくるというのは、やむを得ないのではなかろうか。したがって、御指摘のとおり、法の形態的なものとしては通常の法律とかなり違った様相を呈しているのであります。いまお話しのごとく、文官恩給は約二十三万くらいの数になっており、それに比べれば、軍人恩給はかなり大きな数を示しているのであります。そういう点、いろいろな経過をたどりつつ恩給法の規定が今日まで至っておりますので、その意味において、法律が現状のような形であることは、一応やむを得ないことではなかろうか。なぜならば、それぞれのときにおける権利を取得された人たちの既得権尊重の形が、法体系的にはかなりいびつな形になってきた、かように考えてよかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/5
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006・大出俊
○大出委員 文官恩給というのは、パーセンテージからいきますと、現在の恩給該当者の中でどのくらいのパーセンテージになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/6
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007・矢倉一郎
○矢倉政府委員 数でいきますと、約二百九十万中の二十三万ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/7
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008・大出俊
○大出委員 生存者でまいりますと、四%ですね。それから遺族の皆さんからいきますと、二・九%というのが文官ですね。そうなると、恩給法というのは、いまやまさに軍人恩給ですね、主として。本来の恩給法というものの筋からいけば、俗に言われていた復活というふうな話で軍人恩給ができたわけでありますけれども、このほうは附則です。そうすると、本来のこの法からいくと、全体のうちの遺族関係でいけば二・九%、生存者の中で四%という数字ですね。しかも、これはあとでどのくらい現在の受給者は続くと、あなた方は判断されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/8
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009・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かにいま御指摘のとおりでして、実は附則にあるのがむしろ恩給受給者の大宗を占めておりますし、それから文官恩給が、御指摘のとおり、パーセンテージでいけば非常に微々たることに相なります。しかしながら、恩給法の出発そのものが、長期に在職した文官あるいは軍人における職業的な軍人としての立場にあらわれた人たち、こういう人たちが本来は、出発点においては中心的に考えられたのでありましょうが、やはり恩給の特異性からいたしまして、軍人恩給そのものが、数の上では確かに今日大きな数を占めておりますが、恩給的処遇としては、今日では一律的な扱いをしていくという考え方をとっておりますので、法の形式的には本則と附則の形をとっておりますが、運用の実態は変わりなく運用していく、かような考え方で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/9
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010・大出俊
○大出委員 本則と附則になっているけれども、運用の実態としては変わりなく運用するというなら、なぜ附則に置いておくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/10
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011・矢倉一郎
○矢倉政府委員 これは先ほど申し上げましたように、一応一つの恩給の実態からいたしますと、経過的にいろいろな変遷を遂げてきております。たとえば軍人恩給については、一時期これについては停止をし、後に復活をするというふうな扱いをいたしておりますので、そういうこともあって、一応本法と附則的な規定の扱いというふうになったと考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/11
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012・關谷勝利
○關谷委員長 自治省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は前会で尽きておると思いますので、質疑はこれにて終局いたしました。
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013・關谷勝利
○關谷委員長 これより討論に入ります。
通告がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/13
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014・大出俊
○大出委員 自治省設置法案につきまして、反対の理由だけを簡単に明らかにしておきます。
第一点は、憲法の三章にいう三つの大きな権利を受けまして、八章で地方自治の本旨にのっとりという形での自治権が確立されるのが、新憲法の新しい制度であります。次第にこれは中央集権的になってまいりまして、今日まさに自治権があってなきがごとき状態が各所に見受けられるわけですが、そういう中で公務員課というものを今回公務員部にする。中身は、地方公務員制度に関する企画、立案というものを一つうたっております。それから、地方自治体の人事に対する助言と協力というのがもう一つある。あわせて給与、福利、厚生というふうなものが入ってくる。十人ばかり人もふえる、こういうわけでありますが、私は、これは大きな目で見ると、今日までの公務員課の動いてまいりました実績等に照らしまして、地方自治体を締めつけるという形にならざるを得ぬ。運営よろしきを得ればというお話がございましたが、今日までの運営をながめてみますと、そういう感じが非常に強いということであります。この点が、反対をいたします第一点であります。
第二の点につきましては、ドライヤーミッションも出ておりまして、日本の百七十九号事件等をめぐってILOでも長い論議が続けられております。今回総会におきましても、なお問題が提起をされまして、これから続くわけであります。その一つの相互信頼の回復という意味でのポイントは、公務員制度審議会に中心が置かれなければならぬというふうに思うわけでありますけれども、これも八カ月プラス三カ月、十一カ月、辞表は塚原さんのところの人事局長の引き出しに入ったままであるというようなこと、これは本末転倒でございまして、公務員制度審議会の中で地方公務員制度というもの、全体の法体系を十分に、かつ早急に、満足のいくように討議をしなさいというのが、ドライヤーミッションであります。これをお認めになっておるたてまえからすれば、かつ条約の批准も終わっておりますので、当然ここで論議された後に、地方公務員の制度については、その筋にのっとって手をつける、改正に当たる、これが筋でございますから、そういう意味では、そういう正当な、かつ筋道の立った取り扱いをなさっておられないというところに、一部分的な改正が行なわれれば行なわれるほど、公務員制度法体系に対する混乱を生ずる。つまりそれが反対の第二の点であります。
またもう一つは、いままでやっておられた中に、自治省は財源というものを一つお握りになりまして、交付税などというものを表に出して自治体をある意味では押えているということが、実態として言えるわけです。公務員部というものをつくることによって、次第にそういう形のものが強化されるのでは困る。自治権というものと対比をいたしまして、非常にまずいことになりはせぬかという心配をいたします。
以上、大筋三点申し上げまして、反対の理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/14
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015・關谷勝利
○關谷委員長 これにて討論は終局いたしました。
続いて採決に入ります。
自治省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/15
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016・關谷勝利
○關谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/16
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017・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/17
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018・關谷勝利
○關谷委員長 引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/18
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019・大出俊
○大出委員 公務員法のたてまえからいきまして、研究の成果を明らかにすることになっておりましたが、いまの公務員法上はあの文言はそのままですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/19
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020・矢倉一郎
○矢倉政府委員 現在、公務員法においては、これは大出先生もよく御承知のところでありますが、退職年金について政府に対して勧告する規定がございまして、人事院が、その公務員法に規定されている勧告権に基づいてその年金勧告が行なわれ、その結果ということに直接つながるかどうかは存じませんが、一応御承知のように保険数理をもとにしました社会保険的な立場に立っての共済年金制度に変わってまいりましたので、一応現在の段階では、その成果が共済年金制度にあらわれたと考えてよくはなかろうかと考えられますが、なおしかし、年金制度については今後もいろいろな問題点が決してないわけではございませんので、したがって、公務員法におけるそういった調査、研究の成果が勧告されることは、現行規定の上でも可能になっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/20
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021・大出俊
○大出委員 かつて人事院が一ぺん恩給勧告をしたことがございます。慶徳給与次長時代、坂中課長時代でございますが、あの当時のいきさつからいたしますと、本来ならば、今日までにもう少し人事院の側が恩給についての考え方を積極的に前に進めるべきであったと、私は思っているのです。ところが、それをおやりにならぬうちに、三公社の側が共済年金に変えてしまったというところに、五現業についても、三公社との対比の上で、とにかく四割という最低保障になりますから、したがって五現業もこれに右へならえをしなければやめていく方に気の毒だというたてまえから、これは本来、永岡、横川両参議院議員を中心にする議員立法で、共済年金への移行の問題は提起をされたわけであります。ときに継続審議になりましたあと、大蔵省の岸本給与課長が文書を出しまして、全逓あるいは永岡、横川両議員の提案もあることなのでということで、各省にはかって、共済年金に全体を移行させる。実はこういう経過をたどっているわけでありますが、私は、その間に人事院はまことにどうもお粗末過ぎたという気がするわけであります、それらの動きを腕を組んで見ていた結果になるわけでありますから。本来ならば、人事院が表に出るべきものを、大蔵省が最終的には表に出て、この問題を片づけた、こういういきさつであります。したがって、私はいまから、この形骸、つまりなきがらみたいなものですね、中身がみな抜けちゃったんですから、軍人軍属、附則にあるほうが主になっているから。一体、どのくらいこの法律は継続するとお考えなんですか。つまり新しい文官のほうは、ほとんど入ってまいりません。そうすると、いま軍人の遺族の方々あるいは生存者の方々等が中心に動いておりますけれども、ともかくこれは八十年の歴史とおっしゃるのだけれども、今後どのくらいの見通しをお立てになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/21
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022・矢倉一郎
○矢倉政府委員 現行恩給法は一つの形骸だという御指摘でございますが、しかし、先ほど来申しておりますように、恩給法そのものが文官と軍人をかかえ込んだ法律でございますし、それが昭和三十四年に共済組合法に移り、地方公務員は三十七年に共済組合法に移っていった。したがって、現在の恩給法の守備範囲は、旧来のいわゆる恩給受給権としてそれが権利を発生した人たち、これが現在の場合は主体的な内容でございます。さらに新たな裁定による受給権の発生を得た人たちが、新たに私たちの対象になってまいってきておるわけでございます。したがって、恩給法が今後どれだけ継続するかということは、つまり旧来の恩給の権利を持っている人たちの生存の続く範囲という答えになろうかと存じますが、したがって、新しい年金受給者は共済の対象になる。ただ、共済の対象になるときに、恩給としての期間をすでにお持ちの方々は、その限りにおいて共済へ生きていく、かようなことに相なろうかと存じますので、ただいまの御質問でございますが、何年でということがなかなか申しにくい状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/22
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023・大出俊
○大出委員 つまり共済にいった方々も恩給期間を持っていっていますから、そこで分けて計算をしておりますから、これはあとで御質問申し上げますけれども、したがって私の言いたいのは、やはりこの恩給法というのを、いつになるかわからぬ相当長期にわたるものをこのままにしておいて——読んでみてきわめて不自然な形になっている。こういう形で長く続く間に、毎年毎年どうも、あるいは軍恩連の方々のほうを向いてちょいと手を加える、あるいは遺族会の方々のほうを向いてちょいと手を加える、あるいは傷痍軍人会の方々のほうを向いてちょいと手を加える、そういうことばかりやってきたのでは、意味がないような気がする。だから、それだけ長期に続くのだとするならば、私に言わせれば、そう本質的な問題ではなくて、全くの小手先細工みたいなことをされて気休みをやるということでなくて、もう少し本質的に恩給というものを考え直してみる必要がありはせぬかという気がするので、そこのところ、総務長官、ひとつ毎年毎年——いまお聞きになっておらなかったようだから繰り返すけれども、遺族会なり、あるいは軍恩連なり、あるいはまた傷痍軍人会なりの方々のほうを向いてちょっと手直しをするという形が毎年続けられる形のものは、私は好ましくない。やはり気休めということでは意味がない。そういう意味で、相当長期にわたると考えられるならば、この恩給法というものは抜本的に整理をする、もう少し基本的なものの考え方を打ち立てる、そういう必要があると私は思うのですが、そのことが実は解釈権という問題とからみますから、そういう意味で総務長官に、それは審議会におまかせしているのだとおっしゃるなら、そのようにはっきりひとつお答えをしていただきたい、こう思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/23
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024・塚原俊郎
○塚原国務大臣 先ほどからよく伺っておりましたので、御質問の趣旨もよくわかりますが、たとえば共済制度と恩給制度というもの、これはやはりそれぞれ特色があると考えております。ですから、これの双方の特色を考えながら一本にするかどうかも一つの議論だと思いまするが、当分の間はこのままで特色を生かしていくという形、しかし将来は、これはやはり大いに検討を要する問題であろうかと私は考えております。
なお、年々、あるいは軍恩とか傷痍軍人とかの何か圧力に屈してという御質問でありますが、彼らの正当な要望というものをわれわれは参考にしながら、その要望を考えながら恩給に対する措置を講じておるのでありまして、将来についてはもちろん恩給審議会の御審議も願わにゃならぬ点もあると思いますが、なお共済制度と恩給制度との問題についても検討を続けていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/24
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025・大出俊
○大出委員 私どもの党も今日この恩給に反対しているわけじゃございませんので、決してうしろ向きでものを申し上げているのじゃない。後ほど申し上げますけれども、私は、どこから考えても、今回の提起のしかたというのは、気休め的な、色をつけたという考え方、実態としてそう見えるわけであります。どうもそれがまことに不満足でございますので、ものを言っているわけであります。
ところで、恩給法に二条ノ二を加えたわけであります。この二条ノ二を加えた改正案が出ましたこの国会、この委員会で、二年間おっぽっておくのか、それではいかぬじゃないか、だから、二年を待たずして、今日の物価上昇その他の事情から見て、その間といえどもやるべきはやらなければいかぬじゃないかという意見がありました。今回出ておりますのは、中間答申の形を受けて行なわれておる。ところが、この中間答申を読んで見ましても、さしたる理由は存在をしない。つまり暫定的に、物価が上がっているのだから、最終答申というものを一つ目標に置いて、それに影響のない範囲で手直しをしろという意味の中身であります。それを受けて、こういう改正のしかたで出しておられるのであります。
そこで、二条ノ二というものをまずどう解釈をするかという政府の解釈権、これはなければならぬはずでありますから。先般の二条ノ二を加える修正案を提起をされましたときに、一体この著しい変動とは何かというような質問が出ましたが、どうもはっきりしない。それらはみんなこの審議会のほうでやってもらうのだというお話。したがって、今回も答申を受けてやっておられるのであって、そこに解釈の中心が置かれている、こういうことになるわけでありまして、政府としては一体どう考えるのかという点が、明らかになっていない。そこのところは、長官一体どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/25
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026・矢倉一郎
○矢倉政府委員 二条ノ二の御審議をいただきましたときに、政府側としてお答えを申し上げました中で、この調整規定についてはいろいろな解釈のしかたがあろうかと存じますので、そこでこの運用については、やはりそれなりにいろいろな制度の運用にも影響を与えますし、非常に重要な内容を持っておりますので——実は、確かに御指摘のごとく、法律ができ上がりました場合に、その解釈権は政府側にあることは事実でございます。したがって、政府側がどのように解釈するかということは可能ではございますが、しかし、あの法律を御審議をいただく過程の中で、実は一方に総理府設置法に基づく恩給審議会をつくる、その恩給審議会というのは恩給についての最も重要な基本的な課題にも触れていってもらうということが、内容に相なっております。したがって、二条ノ二というのは、新しくできた法律ではございますが、恩給法の運用としては非常に重要な意味を持っている。かたやこの調整規定というのは、実はその他の法律の中にもやや形を同じくするような法律が出ておりまして、すでにそれは運用段階に入っているはずでございますが、しかし、この恩給法の改正にあたりましては、特に国家公務員給与というものが他の法律とは少し表現を異にして挿入をいたしましたので、そこでこういう点から、これらの運用についてはできるだけ、将来に大きな影響を与えるだけに、慎重であらねばなるまいということで、こういう三つの主体的な柱をどういうふうに見ていくか、かようなことで恩給審議会の考え方をいわゆる第三者機関としての御意見として伺っていくほうが、こういう問題の扱いとしてよかろうではなかろうか、かようなことに相なりましたので、そこで実は恩給審議会に、この二条ノ二の運用あるいは解釈のしかたというような問題について、ただいま御審議をいただいている途中であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/26
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027・大出俊
○大出委員 この二条ノ二というのは、「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、」——「生活水準」というのが一つ入っているわけですね。「国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動が生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講ズルモノトス」と、こうなっているわけですね。三つ並びにその他になっているわけです。これをあなたのほうが提案をされたときに、さらっと読み流して、中身は特段こう解釈をするということをつけ加えておられない。いま承ってみると、その解釈を含めて審議会に論議をしてもらう。私は、それはまことに無責件きわまるというふうに思っているわけであります。解釈権は、いずれにしてもこれは法律案を提案するわけでありますから、政府側になければならぬ。だから、二条ノ二にいうところの「国民ノ生活水準」とは、「国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情」とは、一体これは何を意味するのかということを、その「著シキ変動」というのは一体どういうことなのかということを、政府がまず明らかにして提案をしなければ意味がない。その上で、政府はこう解釈するということの上に立って、審議会を設けて諮問をするのが筋であります。法律の解釈まで審議会にまかせるくらいなら、初めから提案しないほうがいい、審議会でどうするのかということを先に諮問をして、その上で法律改正をすべきだ。法律を改正をしておいてから、その法律の解釈を審議会にゆだねるなんという、これは全く筋が通らぬと私は思う。もう一ぺん総務長官から御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/27
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028・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに先生の御指摘の点が、問題になることは事実でございます。政府側が解釈し、政府側が運用していくという態度が、通常の場合の法律運用の形態ではあろうと存じますが、しかし、その法の規定の内容の重要性いかんによっては、実はそういう審議会機関というものを設けられることによってその運用が社会的に一つの是認を受ける状態にしていくということは、これも政府側の一つの態度ではなかろうか、かように考えますので、そこで昨年の国会におきましても、一体生活水準、あるいは国家公務員の給与、物価、こういう毛のをどのように見ていくのか、他の先例的な法律によれば、たとえば二〇%があるじゃないか、あるいは公務員の給与勧告においては五%もあるじゃないか、こういういろいろな話し合いがなされたわけでありますけれども、そういうふうな具体的な数字をもってたとえば調整の基準となるものを明示されていない。この法律の規定のしかたは、お読みになっていただければわかりますように、非常に抽象的な文言での表現であります。したがって、抽象的な文言であるだけに、その内容をどういうふうに運用していくかということは、それなりに重要な意味を持っておりますので、そこで恩給審議会の審議にまとう、こういうふうなことが、当時の政府側の態度であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/28
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029・大出俊
○大出委員 今回の中間答申を見ましても、これは将来の調整規定の運用を妨げない程度において恩給引き上げが望ましい、こういうことですね。つまり調整規定というのは、中間答申でも引っかかっている。つまり政府が解釈権を明らかにしないで、文言だけ並べて、その解釈、運用についてまで審議会にゆだねたわけですから、だから、そういうことをするなら、何で審議会にあらかじめはかった上で法律をつくらぬかと申し上げたい。こんなものを並べちゃって、審議会のほうだって迷惑しているはずです。これはアメリカの例だって、フランスの例だってある。必ずしもこの三つでない基準だってできる。また、物価なんというものを表へ出せば、恩給四団体のほうから文句がくるでしょう。そういうところを勘案して、あなたのほうはわかったような、わからぬような、何となくスライドのにおいのする文言を並べておいて、さて審議会にゆだねる。私は、非常に無責任きわまると考えています。なぜ、しからば審議会の審議を経てからここに書かなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/29
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030・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに先生の御指摘のように、手続のしかたとしては、たとえば審議会の審議の結論をまって立法化するというやり方もございますでしょう。しかし、法律をつくって、その法律の運用のしかたを——たとえば明確に二〇%なり五%なりというふうな表現をいたせば、これはもちろんそれによっての縛りがはっきり出てまいります。しかし、抽象的な文言で書きつつ、それが先ほど来御議論もございますように、恩給法そのものがいろいろな社会的な背景の中で育っていっている面もございますので、さような意味におきましても、こういった調整規定の運用が古い規定の中で新しい衣をかぶって出てまいりましたので、そこでそういうふうな運用のあり方をいかにすべきか、こういう点について審議会の御審議にまとうというのが、政府側の態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/30
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031・大出俊
○大出委員 アメリカの例などからいきますと、一九六四年の公務員退職法という法律があります。これによりますと、連邦労働統計局の毎月の消費者物価指数が年間平均三%以上変動があった場合、これが法文に明記されておるわけですね。アメリカは大体ここのところ三年ばかり一・二%ばかりしか物価が上がっておりませんが、これが三%以上年間上がった場合には、その上がった指数をかけておるわけですね。こうなってくるわけです。そうすると、そういうところに基準を置いてつくるということもできる。それからフランスの例からいきますと、これも一九四八年の文武官の退職年金制度の改革に関する法律というのがございます。これによりますと、公務員に比例して上げなければならないという原則、こういう取り組み方もある。してみると、ここに全部乗っかっているわけですね。国民の生活水準から始まって、公務員の給与から、物価から、御丁寧にその他の諸事情まで入っている。全部並べてあるわけですね。そうすると、よしんば審議会がアメリカシステムをとろうというふうに審議した場合に、また法律を変えなければならない。解釈権を解釈していないで、全部並べたわけです。そうすると、審議会としては、この法律に基づいて審議するということになれば、この三つをいやでも逆に対象にあげなければならぬ、そういうことになる。だから、私は、非常に無責任で、総花的に、そこらここらのいろんな意見があるので、そっちを向いて、何でもかんでもみんな入れましたよということで、あとは審議会で解釈してくれ、こういう筋になる。だから、それではいけないのではないか。政府なり恩給局長なり、これは三橋さんの時代からずいぶんがんこな局長さんだったが、歴代おのおのものを言っておられる。そうすると、恩給というものに対するものの考え方というものを、政府が統一をしていない。ここに私はいろいろ口の先でおっしゃっているけれども、それは本質ではない。変わってきたといったって、いまの世の中は現時点でじゃどう考えるかというところに、政府の解釈が統一されなければならぬと私は思う。そこを実は申し上げたいわけであります。
総務長官、将来に向かって、これはどうするつもりなんですか。審議会答申というのは、いつごろ出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/31
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032・塚原俊郎
○塚原国務大臣 昭和四十三年の三月の三十一日であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/32
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033・大出俊
○大出委員 それは審議会に置かれている期限なんですね。三十一日まで、二年間ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/33
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034・塚原俊郎
○塚原国務大臣 問題がきわめて重要でありますので、私が申し上げるのは、その期限一ぱいぎりぎりに出るというふうに考えて、申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/34
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035・大出俊
○大出委員 私は、事務局はおそらく政府がおやりになっているんだと思いますが、この審議会の答申というものが、またどうもわかったような、わからぬような答申になったんでは困る。そこを実は心配をする。スライド制、こういっていながら、今日のこの書き方からいくと、決してスライドではない。だから、また審議会のほうの結論が、各国の例に見られるように明確なものになっていないということになると、せっかくつくって魂入れずになってしまう。そこを私は非常に心配するわけですからね。だから、審議会がおやりになっているんだから政府は知りませんでは、私はやはり済まぬと思う。政府の考え方が一つあって、その上に立って御審議をいただくということでなければならぬと思う。その考え方は一体何だ。もしその考え方がないんだとするならば、お立てをいただきたい、こう申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/35
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036・塚原俊郎
○塚原国務大臣 大出委員いろいろ申された中で、非常に私も傾聴に値するものがあったのでございますが、審議会の方々みんなごりっぱな方で、これらの方々に圧力をかけるというような、私のほうの意見がこうであるからこうという形は、私はとりたくない。しかし、いままでの質疑応答中にもいろいろ問題点というものは提起をされておると思うのでありますが、そういうことについての批判がある方も私はよく存じておりますので、話し合いはいたしました。しかし、こちらからこういう考えであるからこういうふうにというような、そういうリードのしかたはとりたくない。いつも彼らの自主的な判断で御審議を願うというたてまえをとることが、私は妥当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/36
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037・大出俊
○大出委員 だがしかし、問題は、前回この修正案を提案されたときに、矢倉恩給局長の答弁が、著しい変動というめどは一体何だという論議に対しまして、三年でおおむね二割でございましょう、したがって七%というのが一つのめどじゃないですかという答弁をされておる。そうでしょう。前回の議事録に残っている。そうすると、いま長官がおっしゃっているのは違うのですね。解釈権というものは、本来政府になければならないのだから、こう解釈いたしますということを法律を提案したのですから明らかにしておいて、さて、そういう解釈に立って審議を願う、そうでなければならぬはずだった。だから、そうでなくなったのでは、またいいかげんな——いいかげんなというふうに申し上げると委員の方に御無礼かもしれぬけれども、しかし、全体的にながめてみると、また抜けてくるのではないかという心配をする。だから、せめて去年あなたがお答えになっているのだから、だとすれば、そこらあたりをもうちょっと明らかにしたらどうか、こう言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/37
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038・矢倉一郎
○矢倉政府委員 昨年の議事録を調べてみませんと正確なことは申し上げかねますけれども、いまの大出先生の御指摘の点を私いま伺ってみて、そのときに七%ということをこの調整規定の基準と申したということは、ちょっと私自身としてはうなずきにくいのであります。なぜならば、旧来、実は二〇%アップという実績をいままで持っているということは、事実であります。それが昭和三十九年度予算作成のときに、四十年度からの改正目標として二〇%を上げる。したがって、その二〇%を年率にいたしますと七%になるかもしれないということは、あるいは申し上げたかもしれません。しかし、それが今後の調整規定の運用を拘束する七%基準ということを申し上げたということには、実は私はうなずきにくいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/38
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039・大出俊
○大出委員 だから言っているわけです。あなたがはっきりそう言わない。七%と言われたが、三年で二割だとすれば、七%ぐらいになる。しかし、それは著しい変動というものの基準だといって答えているのではない。だとすると、そういうことを言っているのだから、もっとはっきりしたらどうか、はっきりおっしゃっておらぬから、それで言っているだけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/39
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040・矢倉一郎
○矢倉政府委員 たびたび申し上げているわけでございますが、確かにそういった先例、いま御指摘のような諸外国の制度の中には、具体的に表示されているものもございます。あるいはその他日本の国内法の中にも、社会保障立法の中にはそういう数字をあげたものもございますが、恩給法の調整については、その数字をあげて明示することをことさらいたしませんで、実は幾つかの柱を並べました。その柱の運用については、それなりにやはり十分な検討を要する課題をひそめており、一般的にはスライドということばでおっしゃいますけれども、政府側としては、スライドするという考え方ではなくて、やはり一つの調整作用をこの恩給増額に適用していこう、かようなことで二条ノ二を策定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/40
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041・大出俊
○大出委員 スライドというものの考え方は、全くないのですか。それは、調整規定という名称の中には、たとえば物価が七%上がったから七%スライドさせなければならぬということではないのですよ。つまり上がったら上げるということ、スライド制、スライド制と新聞に書いてある。やはりだれかが言わなくては書かないでしょう。だから、私は、スライド制らしきものを言っておいてそうでないのだと、たいへんだと言っておるわけです。だから、あらためてもう一ぺん聞きますが、調整規定というものの中には、スライドという要素はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/41
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042・矢倉一郎
○矢倉政府委員 スライドということばの理解のしかたでございましょうけれども、私たちはあえてスライドという考え方を申しませんで、こういう諸要素によって調整していく。だからこそ、この規定の中に「総合勘案」というふうなことばを挿入いたしましたのも、実はスライドということばをあえて避けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/42
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043・大出俊
○大出委員 だから、いいかげんで、しり抜けになりはせぬかと申し上げているのです。いま言っているのは総合勘案規定だ。その中にはスライドが入っていない、あえて避けたというのだから、それじゃ入っていない。入っていないでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/43
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044・矢倉一郎
○矢倉政府委員 いま申し上げましたように、調整規定の基準になっていくものを国民の生活水準、国家公務員給与、物価その他の諸事情というふうな幾つかの柱を予定してまいりますと、勢いいわゆる直接的にスライドしていくということではなくて、それらの諸事情というものをやはり総合勘案しながら改定の措置をとっていくという調整作用という考え方で、この規定を置いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/44
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045・大出俊
○大出委員 総合勘案をして、上げてもいい、上げなくてもいいというふうにできている感じがするのです。世の中では、スライドというので退職された方が非常に喜んだ。そうすると、羊頭を掲げて狗肉を売るにひとしいことになる。だから、政府の解釈が明確に出ていないと、審議会答申、これは三十一日までにどうなるかわかりませんけれども、私は非常にそこのところを心配をする。したがって、先ほどからくどいように申し上げている。しかし、あなたのほうはくどいように逃げる。こういうわけですね。あえて避けたというのです。まことにもって迷惑千万ですが、まあ答申がやがて出るのでしょうから、そのときに論議をあらためていたします。
そこで承りたいのですが、そうなると、今回のこの改正なるものは、一体何が基準になっているのですか。七十歳以上の者二八・五%、六十五歳以上七十歳未満の者並びに六十五歳未満の妻子二〇%、六十五歳未満の者(扶助料を受ける妻及び子を除く。)一〇%、こうなっている。年齢というのは、これは所得じゃございません。一体なぜこういうふうに分けたのですか、理由を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/45
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046・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は今回の増額改定につきましては、基本線を恩給審議会の中間答申に置くというのが政府側の態度でございまして、したがって、そういう点からまいりますと、恩給審議会の中間答申の内容というものは、結局、先ほど御指摘のような、調整規定の運用を妨げない範囲において、たとえば一つの例示的に、昭和四十年度における恩給増額の改定の態度というふうなものを維持していく限りは、その線の矛盾が起こるまい、こういうふうな御指摘のされ方をいたしておるわけであります、そこで、大体昭和四十年方式の改善のしかたというものを基礎に持ってまいりますと、ほぼ一〇%ぐらいの内容にたるわけでございまして、この一〇%を基準にしながら、先ほど来御指摘のような、たとえば老齢者優遇、あるいは傷病者優遇、妻子優遇というふうなことで、その基礎の上に積み上げをいたしまして、二〇と二八・五というふうにいたしたわけでございますが、それにもう一つの要素として、公務扶助料を受給している人たちの立場を考えていきますと、他の公的年金の動きからいたしまして、大体月一万円程度を確保していくということが必要ではないだろうか、これがちょうど二八・五%ぐらい増額をいたしますと、ほぼ十二万円に兵の場合になるのでございます。そこで、その二八・五という頭の押え方と、それから最低の一〇%はいわゆる審議会答申の基準線の抑え方、その両者を兼ね合わせまして、政府側として一〇、二〇、二八・五という改善率を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/46
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047・大出俊
○大出委員 この改正案による公務扶助料の年額A、B、CのCになりますね、この基準でいきますと。したがって、兵十八号でまいりまして、倍率が四三・二割ですね。これで十二万九十六円ですね。つまり言うならば、この十二万九十六円を出して逆算をしたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/47
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048・矢倉一郎
○矢倉政府委員 いま御指摘のとおりでありますが、公務扶助料というものを、大体年額十二万円というものを一応保障しないと困るであろう、こういう点から、その率を一応上限としての率として算定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/48
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049・大出俊
○大出委員 これは一万円というのが公約のようでありますから、それで先に十二万九十六円をこしらえまして逆算をしたということでございますので、さして科学的な理由があるわけじゃない。そうすると、これはきわめてつかみ額だ。この話は、一万円ぐらいがという話でしょう。にもかかわらず、六十五歳未満の者と、六十五歳以上七十歳未満の者並びに六十五歳未満の妻子、これはどういうわけで一〇%違うのですか。一〇%積み上げなければならぬ理由。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/49
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050・矢倉一郎
○矢倉政府委員 基準線は一〇%に置いたわけでございますが、いわゆる年齢的な積み上げということを、やはり恩給をある程度社会政策的に考えましたときに、七十歳以上という線をそういう二八・五%という上限の率に合わせておりますので、そこで、その上限に合わせていく過程の中で、やはり年齢要素というものを社会政策的な意図をもって考えた以上は、中間の六十五歳以上をもう一〇%歩積みしていくという考え方で、一つの政策的配慮としていたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/50
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051・大出俊
○大出委員 だから、その政策的配慮になった基礎は、一体何かと聞いている。一歳幾らだとかなんとかいうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/51
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052・矢倉一郎
○矢倉政府委員 ただいま御指摘のように一歳を幾らという考え方ではなくて、やはりそういった年次的に改善措置を講じていくということが恩給の立場として適切であるというふうに考えて、したがって、一〇、二〇、二八・五というふうな一つの配慮をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/52
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053・大出俊
○大出委員 恩給というものは、あくまでもこれは所得が基礎になっているのですね。恩給法のたてまえからいって、そうでなければならぬ。あくまでもその人の働いておった、つまり公務につとめておったときの俸給、それがあくまでも基礎ですよ、恩給というものは。にもかかわらず、ここでは七十歳以上の者が二八・五、これを先ほど申し上げたように、逆算をした。あなたのほうもお認めになっている。上限を二八・五につくった。そうしておいて、ここに六十五歳から七十歳のところが八・五%、五年きざみの六十五歳のところが一八・五%、差がついているわけで。単にこれは社会政策的にというので理由がないとすれば、これまた腰だめだと言わざるを得ない。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/53
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054・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに、たとえば給与の考え方というものを理解いたしますときに、現職の公務員給与等につきましては、それぞれそれなりのいろいろな調査データに基づいて、できるだけ合理化していこうとする考え方はございます。しかし、これにしても、それでは給与を絶対的に正しい姿にするのにどういう措置をとるのかということに相なりますと、なかなかこれについては、確かに科学的と称しつつも、その間にはおのずからなる一つの政策的配慮というものが入ってまいると思うのであります。ことに、支払い能力との関係等からいたしますと、給与には給与のたてまえが出てくるであろうと考えます。恩給の場合におきましても、やはりこれは一つの給与であろうと考えられますが、そこで、その給与をどういうふうにしていくかというときに、恩給には少なくとも退職時俸給という基礎がございます。その退職時俸給というのは、御承知のように、かつて、たとえば昭和二十三年以前ごろにやめた人たちの退職時俸給と今日の俸給では、かなり大きな格差が出てまいります。あるいは、もっと以前の大正時代にやめた人も、恩給対象にあるわけであります。そこで、それの実質価値をどういうふうに見直していくかということが、恩給の中でとらるべき措置でございまして、つまり新たに在職者として考える課題ではなくて、かつての一つのいわゆる実体をそのままに持っておられる人たちの給与を今日の状態の中でいかように措置をするか、これが一つの政策的な問題としての恩給に働いてくる原理ではなかろうか。この場合に、先生の御指摘のような科学的、合理的という線からいたしますと、ややそれに欠ける点があるということは、事実でございましょう。しかし、そういう点についても、できるだけの根拠になるものが必要であるというふうに私たちは考えるところから、一方では公務員給与の動きというものを配慮しつつこういった改善措置というものを考え、そうしてその上に加うるに一応社会政策的な立場での考え方というものを配慮に入れておるのが、今日の恩給改善でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/54
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055・大出俊
○大出委員 人事院の公平局長をおやりになっていた矢倉さんが、人事院があまり科学的じゃないというようなことを言っては困りますよ。マーケットバスケット方式なんかをとって科学的だといばっておった人事院ですからね。できたときから知っておるのだから。その公平局長が公平にものを言ってくれないと困る。どうもあまり科学的じゃないというのは、中位数をとって適当に案分する。七%勧告するところを一%下げてみて数字が合ったなんという、そういうことになってしまいますから、そういうことじゃいかぬですよ。大正時代までお話しになるが、確かに市町村退隠料としてもらっている人もあるのですからね。それはありますよ。しかし、それを現在考えられる限りにおいて——仮定俸給表というものをかつてつくったでしょう。そこに基礎を置かれておるのでしょう。だから、いま考えられる限りにおいて言うならば、ある程度科学的な基礎だと言わざるを得ない。それをつくった。これも全くでたらめだということは、提案されたときにおっしゃっていない。四十年のときでも、三十五年の三月に戻るにしても。だから、そうだとすると、いずれにせよ、仮定俸給表という基礎がある。ところが、ここで言うところの六十五歳から七十歳、七十歳以上というところは、何にもないのですよ。上限を二八・五%ときめましたというだけ、最低一〇%という答申の線があります、まん中は一〇%きざみぐらいでよかろうという。俸給の基礎があるわけですから、どうもあまりといえば少しおかしいのじゃないか。だから、いまの話では説明になっていない。なければないとはっきりおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/55
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056・矢倉一郎
○矢倉政府委員 人事院の科学的云々ということを御指摘をいただいたわけですけれども、実は給与に絶対的なものがあるかという点において問題があるということを申し上げたわけであります。そういう点で給与そのものの考え方のあり方としては、現職給与についてはマーケットバスケットを基本として、その上に民間給与等を積んでいることは事実でございます。したがって、今日で可能な限度において考えるならば、おそらく一番科学的に、合理的に積まれておるというものでございましょう。ただ、恩給の場合にそういった科学的、合理的な根拠というものを実質価値の維持ということにどういうふうな考え方を取り込んでいくかというときに、やはりいま申しました二八と一〇という上限と下限をきめていきますと、その間で一つの七十歳というものをとった以上は、そこで六十五歳というものを一つの基本線として考えていくというのは、実はそれなりに政策的意味を持ったものと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/56
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057・大出俊
○大出委員 それは局長、絶対的なものといったら、これはそんなにあるものじゃないですよ。統計というものは相当正確なんだといってみても、それはフィッシャー方式をとったって、ラスパイレスをとったって、パーシェをとったって、誤差があるのだから、そんなことを言い出せばへ理屈ですよ。そうじゃなくて、私の言っているのは、あまりにもつかみじゃないか、将来こういう先例をつくりたくない、そういう意味なのですよ。それは政策的なということばにひっくるめてしまえば、何をやったって政策的だということばがくっつく。だから、それじゃやはり場当たり的になってしまうのじゃないかという心配をする。今度の改正案の中身をずっと見ていきますと、そういうところが目立ち過ぎる。だから、こういうところでものを言っておるわけなのです。あなたのほうは、提案しているのだから、そう答える以外にはないでしょう。そうじゃないと言ったら、提案を変えなければならない。
次に問題は、端から個条的に承っていったほうが早いような気がするのでありますけれども、傷病恩給の増力恩給を二八・五%、傷病年金を七十歳以上の者について二八・五%、七十歳未満の者については二〇%増額する、これもいまの理屈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/57
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058・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は確かに二八・五の合理的根拠という点においてはいろいろ問題があろうかと存じますが、しかし、今回の恩給改正の中でやはり一番高いところの増額率というものを公務扶助料の線で押えましたので、御承知のように、戦争等で戦死をされた力の遺族は公務扶助料の対象者でございますが、そういったことと、いわゆる現に生存中の方でありますけれども、重症者というのはそれに近いという感じが、つまり質の上においてそういうことを考えるべき筋ではなかろうか。こういうことで重症者二八・五、比較的軽症であるところの傷病年金の一般の傷害者に対しては二〇%というような、いわゆる傷害を受けている人たちをできるだけ優先する中で、なお全体の均衡論ということを考えて、そのような措置にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/58
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059・大出俊
○大出委員 お説のように、増加恩給の第一項症から第七項症まで、これは二八・五ということでございますね。それから傷病年金のほうが七十歳以上のところ、つまり第一款症から第四款症まで、これが二八・五%、七十歳未満のところが同様に二〇%、こういうことなんですね。ここらあたりも、どうも私は同じ理屈になると思うのだけれども、どうもどれだけ理屈があるのかさっぱりわからないのですね。いま重症度とおっしゃった。これが言うならば一、二、三項症ですね。それから四、五、六、七、これは中症度になりますね。そうして傷病年金でいけば、これは軽症者ですね。だから、重症者はそれはある意味では、そう言えばあなたの言うような理屈を立てれば立つかもしれない。しかし、軽症者のところで、ここでは一〇%ふやして、七十歳と七十歳未満に八・五%の差をつけたというのは、これはわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/59
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060・矢倉一郎
○矢倉政府委員 この点も、実は一つの大きな原則、老齢者優遇ということを出しまして、もう一つの柱が重症者優遇、この二木がある。したがって、軽症者の一款から四款の者も、七十歳になれば二八・五にするのが均衡論なものですから、どうしても均衡をとっていくときの措置としてはいかにあるべきかということが、結果として出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/60
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061・大出俊
○大出委員 そういうことになると、これは理屈じゃなくなってしまう、均衡だと言うんだから。今度は提案していますから、均衡論とでも言わなければかっこうがつかぬだろうと思いますけれどもね。
そこで、介護手当ですね。一項症、二項症に俗称介護手当、これの二万四千円を三万六千円に上げた根拠は、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/61
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062・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は介護手当は昭和三十三年の法律改正によってできたものでありますが、重症者優遇の趣旨をもって設けられた。その後昭和三十七年と四十年に二回にわたって恩給改善がやられておるわけです。ところが、介護手当だけがそのまま据え置きになっておりましたので、そこで一般のそういう恩給の増額から考えていきますと、この加給制度も、従来月額二千円であったものを、やはり物価等の諸事情も考慮いたしますと、月額三千円程度に引き上げるのが適当ではないかということで三万六千円としたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/62
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063・大出俊
○大出委員 これもいまあなたがおっしゃったように、たしか昭和三十三年の恩給法等の一部改正、法律第百二十四号ですね。ところが据え置きになっておったわけですね。今回突如として上げたわけです。私は、この方々は傷痍軍人の方々が中心だと思うのですけれども、少しそちらのほうに、各種要望のある中でこれだけは取り上げましたよといったような気がする。そうでしょう。それから先ほどの増加恩給にしても、似たようなことが言える。どうも政策的にその辺に中心があったんだ、こう考えたいわけなんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/63
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064・矢倉一郎
○矢倉政府委員 この介護手当の増額、またそれと一連の関係として御指摘の点でございますが、今回、実は基本は恩給増額ということに置きながら、緊急を要する問題についてはできるだけ措置をしていく。ことにこれは御承知のように、第一項症以上の重症者でございますので、そこでそういう人たちのためには、介護手当を現状のままに据え置くというのはいかにも気の毒でもございますので、ひとまずそういう増額の措置を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/64
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065・大出俊
○大出委員 私の質問は、後刻継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/65
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066・關谷勝利
○關谷委員長 細田吉藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/66
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067・細田吉藏
○細田委員 今回の恩給法の改正は、先ほど来大出委員からいろいろ質疑がございました中で、でたらめとまでは言わぬが、非常に便宜的ではないかというような点がありましたが、私は一歩前進、数歩前進をしておる改正案である、かように実は考えておるのでございます。そこで今回の改正法につきまして、いま大出さんから御質問がありました点とダブらないように、質疑をいたしてまいりたいと思います。
初めに、恩給審議会でございますが、先ほど来調整規定の問題その他についていろいろ質疑応答の中でも出ておりますが、この審議会の現時点までの審議の経過について、簡単に報告していただきたいと思います。また、今後における大体の見通しがございますれば、一応お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/67
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068・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給審議会の経過を簡単に申し上げます。実は恩給審議会は昨年の五月発足以来、すでに二十三回の審議を続けられてきておるわけであります。先生方も御承知のように、恩給法はかなりいろいろな意味において難解だと指摘されるような法規でございますので、そこで私たちは、まずこの恩給法そのものを十分に審議会の先生方に御認識をいただくということを手初めにいたしまして、それからこれに続いて恩給についての基本的な課題に入っていくというととで、現在は恩給の基本的な課題についての御審議中でございます。そうしてこれからの審議の計画でございますが、先ほどの総務長官のお答えのとおり、昭和四十三年三月末が審議会の終期でございますので、こういう終期を意識しながら、私たちのほうに提起されている課題がかなり多数ございますので、この期間の間に十分な御審議を得て結論をお出しをいただきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/68
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069・細田吉藏
○細田委員 ただいま御答弁にございました、基本的な課題についていろいろ御審議をいただいておるという話でございますけれども、基本的課題というのは、わかったようでわからないんだが、昨年の本委員会の答弁、また本日の答弁でも、調整規定の運用について、これももちろん基本的な問題の一つでしょう。これについては審議会で御審議をいただくということになっておるわけなんですが、あなたのいまおっしゃっておる基本的課題というのは、もっとより根本的な問題、たとえば先ほど大出委員から劈頭に質問があったような、恩給法がどうであるとか、恩給の性格がどうであるとか、こういったような御議論も含めての意味ですか。私が伺いたいことは、調整規定の運用について相当審議が進められておるのかどうかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/69
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070・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給についての基本的な課題というのは、先生の御指摘にもございましたし、また大出委員のお話にもありましたが、調整規定の運用の点については、一つの重要な事項でございます。しかし、こういった調整規定を運用する基本的な態度というものは、いろいろな恩給の基本的な課題、たとえば恩給の性格等が十分に理解された上でないと、これらの課題の解決にも十全を期し得ない。こういう点で私たちは、現在の恩給の制度的な問題としては、たとえば仮定俸給制度というような形で運用されておりますので、そういうこともやはり基本的な課題として御審議の対象にのぼす、こういうようなことで進められておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/70
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071・細田吉藏
○細田委員 くどいようですが、もう少し伺いたいのですけれども、この審議会の任務は、いまあなたおっしゃったような、最もベースになる基本的な問題、それが一つ。それともちろん関連は相互にありますが、もう一つは、調整規定の運用をどうしていくかということ、それからさらに個々の小さい問題——小さいと申しましても、基本問題よりは小さいという意味で、受給者にとっては大きな問題でございますが、たくさんな要望が受給者からいろいろ出されておる。いわゆる不均衡とか、あるいは未処遇といったような問題がある。大体三つに分けられると私は思うのです。そこで、もちろん基本的な恩給に対する考え方、恩給は何ぞやといったような点は重要でございますけれども、来年の三月三十一日までということになっておるわけですから、期間も限りがあるわけなんで、その点から考えますと、もう調整規定の運用について、審議にお入りになっておられなければならないような段階ではなかろうかというふうに感ずるわけなんですが、そういう点どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/71
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072・矢倉一郎
○矢倉政府委員 先生の御指摘のように、審議会のいわゆる御審議の対象になりますことは、恩給の基本的な問題、調整規定を含めて、さような課題が当然御論議に相なる。また、それを引き出すのには、恩給の基本的な性格論も当然出てまいります。さらに、いま御指摘のいろいろな関係の方々からの御要望、これは確かに問題の個々を取り上げれば、中には比較的軽いと判断される問題もございましょうが、しかし、いずれの問題も、実は恩給法のワクの中で、他の制度的な課題とからんで当然出てくる問題でございます。決して他の問題も軽微と申し得ない。したがって、審議会としては、こういったその他の諸課題につきましても、御審議をいただかなければならないわけでございます。したがって、現在は、これまでいろいろな恩給の基本的な問題の御審議として、恩給法の性格等の御論議から始まりまして、ただいま御指摘のような調整規定の運用等につきましても、すでに論議が開始されておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/72
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073・細田吉藏
○細田委員 ちょっと前もって伺っておきたいのですが、いま政府としては、恩給審議会の設置期限を延ばすとかなんとかいうような考え方を持っておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/73
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074・矢倉一郎
○矢倉政府委員 政府側としては、この三月の終期までにすべての問題の審議を議了していただく予定で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/74
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075・細田吉藏
○細田委員 そこで私は、これは要望になるかもしれませんが、これは大臣がおられないとどうもぐあいが悪いのだけれども、恩給審議会の答申は、来年の三月三十一日、任期一ぱいで出すということでございますけれども、予算編成というものが、御案内のように年内に毎年毎年やられるわけです。予算審議の時期をおくらせれば、それにより一年とにかくこの種の仕事がおくれる、これはやむを得ないことなのでございます。そういった点から、私は、この調整規定の運用については、昭和四十三年度の予算編成に間に合う時期までにお出しをいただく。でき得れば答申を全部出していただきたいというわけですけれども、三月三十一日まで期間があるわけですから、それを十一月とかなんとかいう時期にもう全部終了していただくということは、あるいは筋が通らないかと思いますけれども、問題が、もちろんもとは一つにしましても、一応分け得る、分けて分けられないことはないというようなたくさんの問題をかかえておられるので、調整規定の運用については、四十三年度の予算編成に間に合うような時点でお出しをいただくように、これは審議会のことでございますから、強制ということはなかなかむずかしいと思うのですが、政府としてはそういう考え方で審議会の会長さんはじめ皆さん方とお話し合いをいただき、そのように努力していただきたい、かように思うのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/75
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076・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給の受給者の立場からまいりますと、この調整規定の運用のいかんということが、非常に重要な関心事でございます。したがって、この調整規定はすでに法律化されておるわけでございますので、できるだけ早い時期にこの調整規定が活用されていくということは、政府にとっても望ましいことであろうと考えるのであります。したがって、先生の御指摘のように、この規定の運用そのものは、一つのめどになる時期というものがいつかということが非常に重要であるわけで、政府側といたしましても、実は来年の三月三十一日ということが終期でございまして、先ほど総務長官が三月三十一日というお答えを申し上げたわけでございますが、政府側としても、先ほど申しましたような事情も考えなければなりませんので、できるだけこれが実際的な効用を活用するように努力をしてまいりたいと考えますが、先生も御指摘のように、審議会のことでもございますので、やはり審議会の御方針あるいは御審議の状況にまつという最終的な態度に期待をせざるを得ないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/76
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077・細田吉藏
○細田委員 この点については、長官がお見えになりましてから、さらにもう一ぺん念を押したいと思うのですが、先ほどの大出さんの質問に対してもあっさり大体年度末でなければ出ないのじゃないかというような答弁でございまして、いまの恩給局長の答弁とは若干ニュアンスが食い違いがある。そこで、この点は大臣がお見えになりましてから、さらに私質疑をいたしたい、また要望もいたしたい、かように思うわけでございます。
そこで、重複する点は避けますが、審議会の中間答申と今回の改正案、これは先ほど来の説明でも関連を持っておると思うのでございますが、この増額に対する点につきましては、先ほど来の大出さんに対する答弁で了承するといたしまして、他の第二番目の項目以下のものと中間答申との関係、あるいは今後における恩給審議会との関係、つまり恩給審議会で御審議をいろいろいただいておる過程において、これらのものが出てまいっておるわけでございます。中間答申には、御承知のように、これらのものはないわけでございます。これについて、政府としてはどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/77
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078・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は恩給審議会の中間答申は、御存じのとおり、いわゆる増額の問題だけに触れておるわけでございます。しかし、政府側としていろいろ考えます場合に、緊急を要する課題等については、できるだけ措置をしてまいることが政府側の態度ではなかろうか、かようなことでその他の五項目についての改善措置をはかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/78
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079・細田吉藏
○細田委員 そこで次に、今回の増額につきましては、先ほど来非常に問題になっておりました年齢別という観念をこれに大きく取り入れる。七十歳以上、六十五歳以上、傷病の問題はあとにいたしまして、年齢の問題を取り入れておるわけでございますが、これまで恩給について年齢の関係を考え方に入れたというのは、若年停止あるいは昭和四十年度から実施した場合の年齢別に実施の段階を時期的に変えたということ以外に、何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/79
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080・矢倉一郎
○矢倉政府委員 これまでの改善措置の中では、三十一年改正、三十三年改正、三十七年改正のときに、いずれも年齢的要素を入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/80
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081・細田吉藏
○細田委員 どうも私は、今回の増額の非常ないわゆる高齢者優遇ということは、適切な措置ではあると思うのですが、恩給そのものが持っておりますいろいろな何と言いましょうか、現在の実情から考えると、いろいな矛盾があるところからやむを得ない、結果的には私は非常に適切な措置だと思うのですが、ただ、このような大幅に年齢的要素を取り入れるということは、恩給制度というものが実態的に多分に社会保障的性格が加味されてまいっておるような感じを受けるわけでございます。私はそのこと自体が悪いと言っておるわけではないのですが、この点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/81
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082・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は私たちは終始申しておりますことは、恩給と社会保障とは異質のものである、本質的に違ったものとして意識していかなければならないということを、旧来繰り返し申してきておるわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、年齢的な要素というものを加えたところに社会保障的な一つの配慮というものが加わっておりますところから、これを即社会保障的になったのではないかという御理解があるかもしれませんが、しかし、恩給の本質をくずすということは、法本来のたてまえから適切ではございませんので、そこで、その本質を維持しつつ、それを一体どのように現在の状態の中で所要の要求を満たしていくか、こういうところから、社会政策的な意味合いにおいてかような措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/82
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083・細田吉藏
○細田委員 元来、給与なり物価なり生活水準というものが、日本の戦争を間にはさんで非常に大きな変革を来たした。つまり根本的な恩給自体のあり方からいくならば、現在の恩給そのものが非常に低位にある。したがって、現在の物価あるいは生活水準、あるいは現在の公務員のベース、いろいろな点から考えると、相当大幅な増額をしなければならない。この現状に合うような大幅な増額ができておったならば、別に老齢者であるからどうとか、あるいはそうでないからどう、七十歳以上だからどう、あるいは六十五歳から七十歳の間だからどうという必要はない、こう思うわけなんですが、そこに非常に大きなアンバランスができた。本来からいうならば、たとえば退職された公務員の立場で考えてみますと、昔のことですが、つとめておった際にはこの程度の生活ができるものと当てにしてやっておった。これができないというところに、根本的な問題がある。ただ、これを一挙に現在の実情に合わせるまで持っていくのには、非常な困難がある。したがって、恩給の本来の姿からいくとやや邪道であるかもしれないけれども、やむを得ず老齢者は優遇をせざるを得ない、こういうふうに認識して間違いはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/83
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084・矢倉一郎
○矢倉政府委員 恩給につきましては、原則は実はその人の在職年、それからその人がどういう給与を最終の退職時に取られたかということが、一つの基本になっておることは間違いないのでございますが、ただ、そういう状態をそのままコンクリートにしておきますことは、いろいろな物価の変動その他の社会的、経済的な諸条件の変化に即応できませんので、そこで恩給の実質価値というものをどういうふうに見直していくかということが、必然的に恩給に対する運用の政策になることではなかろうかと思うのであります。こういう点から、いま申しましたことを基準としつつ、先生御指摘のように、そこには恩給受給者にいろいろな態様がございますので、その態様に即応する解決策ということを考えてまいることが、やはり一つの国の政策として望ましい、こういうところから、今回の年齢別によるかなりの大きな差がある増額の対策をとったわけでございますが、しかし、これはこれなりに一つの社会的な条件に合致しているのではないだろうかと、私たちは判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/84
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085・細田吉藏
○細田委員 いまの話をことばをかえて言いますと、こういうものが出るかどうかわからないが、調整規定の運用というものでどのようなかっこうになるか、ある種のスライド制というようなものがかりにできたといたしますと、そして恩給自体がかなり根本的に是正されるということになると、その際には、年齢別の今度の措置との関係でやっかいな問題が起こりやしないか。そのようなことにまで調整規定の運用がなってくれれば非常にありがたいのですけれども、これはなかなかむずかしいと思うのです。何かそこに若干心配な点があるのですが、その点はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/85
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086・矢倉一郎
○矢倉政府委員 今回の増額改定をいたしますときに、恩給審議会の中間答申を実は基準線といたしてまいるということを先ほど来申し上げたわけでありますが、こういう点から考えまして、その中間答申には、将来の調整規定の運用を妨げない範囲ということがうたわれております。したがって、今回の改正では、ただいま御説明申し上げましたように、基準線を一〇%というところに置くことによって措置いたしておりますところから、将来の調整規定運用には、少なくとも支障があるとはわれわれは考えておらないのであります。ただし、調整規定の運用そのものは、先ほど来申し上げておりますように、これから審議会の審議の過程で出てくる問題でございますので、そこでこれらのいわゆる改善措置を前提としながら、審議会では今後の調整規定のあり方を示されてまいると考えますので、私たちは、その意味においても支障が起こるとは考えないでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/86
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087・細田吉藏
○細田委員 少し個々の問題について伺いたいと思いますが、今度第二項目の老齢者に給する加算恩給についての措置、これは昨年はたしか妻子に対して加算をするという改正をいたしたわけでございます。今回は七十歳以上の者に対しまして加算恩給に対する措置が認められることになったのでございますが、これにつきましては、すでに局長も御案内のように、全般的な要望が受給者の団体からあります。この点について、私はおそらくかなり大きな期待権を持つのじゃなかろうかというふうにも感ずるわけですが、たいへん大きな問題でございまして、今後この問題についてはどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/87
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088・矢倉一郎
○矢倉政府委員 実は加算恩給につきまして、昨年の改正のときには、扶助料を受ける妻子につきまして特例を認め、最短年限までを恩給として見ていくという措置をとったわけでございます。ところでそういう措置をとってまいりますと、これとそれほど事情を異にしない老齢者について措置をしないということは、明らかに均衡を失していくのではなかろうか。そういう意味で、本年、昨年にとりましたその措置と考え方を合わしてまいるところから、老齢者に対しての最短年限までを見ていくという措置をいたしたわけでございまして、確かにそういうことを一つの契機といたしまして、一般的にそういったいわゆる最短年限までの加算を認めてもらいたいという御要求が、かなり期待を持った形で出されてくるかもしれません。しかし、先ほど申しましたように、この措置をとりました二つにつきましては、一つのそういう要請を満たしていくだけの理由がはっきりありましたので、この二つの改善措置を二年にまたがって取り扱ったわけでございます。しかしながら、御要求のあることも私たち十分承知をいたしておりますので、本件につきましては、いかように考えていくかという点について、審議会の重要な議題の一つになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/88
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089・細田吉藏
○細田委員 これからの質問は副長官におってもらいたいのだがな。——それじゃ長官に関係のないのをやります。
特例扶助料の支給要件の緩和をしておりますが、これはたいへんけっこうだと思うが、こんなものはいつそのこと制限撤廃をしてしまったほうがいいじゃないかと私は思うのですけれども、これはどうしていわゆる二年、六年を四年、十二年にしたのですか。こういうものは取っ払っちゃっても、たいしたことはないと思う。取っ払うほうがほんとうじゃないか、かように思うのですが、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/89
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090・矢倉一郎
○矢倉政府委員 今回、特例扶助料の支給条件を緩和いたしましたのは、戦後において医学が非常に進歩いたしましたが、特に結核性疾患等見てみますと、長期療養の末になくなられる方々がかなりおられるようでございます。そこで、こういう現状を考慮して、どうしたらいいであろうかということで、今回二年を四年に、六年を十二年にというふうに大幅に期限を延ばしたわけでございます。確かに先生御指摘のように、これを撤廃してしまってはという御主張もございますことは承知をいたしておるのでありますが、これを完全に撤廃いたしますと、公務関連の傷病と死亡との間におきます因果関係の認定が、非常に困難になってまいります。また、公務関連傷病者で現在まだ療養中の方がおられますが、こういう人に対する処遇との均衡もございますので、したがって、撤廃まではまいれずに、こういった二年を四年、あるいは六年を十二年というふうに延ばしまして、大半の人がこの措置によって実は解決がつくのではないだろうかというのが、私たちの見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/90
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091・細田吉藏
○細田委員 ちょっと、実はこれから伺うのは恩給局長より長官、副長官にぜひ聞いてもらいたいということなんだが、まあ局長からよくひとつ話してもらうことにしてお答えをいただきましょう。
今回、旧外地官公署職員であった琉球諸島民政府職員期間の通算というものがありますが、これは当然過ぎるくらい当然なんで、いままでやってないほうがおかしい。そこで、この問題を別にいたしまして、沖繩関係の恩給、扶助料の問題というものは、沖繩へ行ってみますると、非常な大きな問題でございます。沖繩の恩給、扶助料の関係者、これはもう現職の公務員の問題まで含めまして、非常に広い意味で沖繩における恩給、扶助料問題というものは、ゆるがせにできない問題だと思います。政府は、沖繩を本土並みに引き上げたい。施政権の返還がまあ最終の目的であるけれども、それまでに少しでも本土並みに近づけたい。ものによっては本土同様にしよう。教育問題等につきましては相当程度進んでおるわけですが、事恩給、扶助料に関しましては、非常な相違があるわけでございます。これらの点につきましては、もっと真剣に取り組んでもらわなければならぬ、かように思うのであります。もちろん、これは日本政府としてできることと、それからそうでなくて、沖繩で実施してもらって、財政的援助をしなければならない、するほうが適当である、こういう問題とに分かれると思うのですが、まず第一段としては、沖繩を本土並みにするのだ、現在の公務員諸君が安心して働けるように、あるいは旧沖繩県の職員なり、いまやめておるが元公務員であった者なり、そういう方々に対してほんとうに日本の国内におるのと同じようにするということが、絶対必要だと思うわけなんです。まだたくさんの問題がありますが、これは一々申し上げません。問題の取り組み方自体が非常におくれておるのではないか、考え方を新たにして沖繩の恩給関係、あるいはもっと広く言えば共済組合の関係もございましょう。そういう一連の問題について、政府の態度自体を考え直す必要があるのではないか、かように思うのでございます。これはどうも恩給局長ではちょっといかがかと思うのだが、まああなたの答弁だけ一応しておいてください。またあとで適当な時期に伺うことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/91
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092・矢倉一郎
○矢倉政府委員 確かに日本の政府における沖繩の政策というのは重要な課題であり、それから琉球政府在職の人たちに対する処遇の問題が本土並みにという考え方は、恩給を担当する私たちの立場においても、御趣旨ごもっともであろうと考えるのでございます。ただ、ちょっと私が恩給担当者として申し上げてまいりますと、御承知のように、琉球政府にも最近共済年金制度ができまして、共済年金によって現職の公務員に対する処遇をはかられているのであります。したがって恩給法の立場から申しますと、そのつなぎをどういうふうにしていくかという点が一つの課題でございますので、さしあたり本年は一つのつなぎとして、外地から引き揚げられて、そうして琉球政府にその後在職された方、これらに対する処遇が日本内地の公務員のそれと均衡を破っている、こういう点でそういうふうな扱いをいたしたわけでございまして、私たちも漸次そういうことに近づけていくという考え方は、いまの先生の御指摘のとおりかと考えますが、ただ恩給的にいろいろ処置をしてまいります場合には、恩給のワクの中での考え方がありますので、十分御満足をいただけない点もあろうかと存じます。しかし、この点は、総務長官に十分お伝えを申し上げたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/92
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093・細田吉藏
○細田委員 恩給局長の答弁はその辺でいいのですが、これは特連局も総理府に所属しておりますから、つなぎといって、ことしのやつは、これはつなぎには違いないかもしれないけれども、ほんのちょっぴりしておりましてね、これでは問題にならぬので、それもこれは当然しなければならぬことですから、悪いとは言わないけれども、現在沖繩で実施されておる共済組合法自体も、これは日本のものに比べてきわめて不完全、不十分なるものである。しかも、これもほんとうは向こうの民政府がやることですから何ですけれども、やはり教育なんかについては内地並みにということをやっておるわけですから、御検討願わなければならぬし、またつなぎの問題についても、これは根本的に考え直していただかなければならぬ。それには、やはりスケジュールをつくってもらわなければならぬ。どういうふうにする、せめて教育問題並みに恩給なり共済なりそういうものについては考えていこう、こういう基本的な態度がなくちゃならぬ、かように思うので、これは御要望を申し上げておきます。
それから最後に、これも総理府じゃないとおっしゃるかもしれぬが、よく恩給受給者の団体の皆さん方、また恩給受給者自体から、いわゆる福祉年金と併給をしてくれという話がある。そこで、この要望自体についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/93
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094・矢倉一郎
○矢倉政府委員 福祉年金併給の問題は、これはかねがねから関係の方々の強い要望でございまして、したがってこういう点について政府側としてもいろいろ論議をいたしておるわけでございますが、所管は厚生省所管でございますので、こういう点についての改善策は、当然厚生省においてこれらの扱いの問題を検討さるべき筋のものではないだろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/94
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095・細田吉藏
○細田委員 この問題はいろいろ議論があるが、要望が強いということは、他の反面から考えてみますと、やはり現在の恩給、扶助料というものが非常に低位にあるということも、こういう主張の非常に大きな理由ではないか。恩給なり扶助料なりが昔のような状況であれば——もっとも老齢年金なんというものは昔はありませんけれども、昔ほどもらっておれば、実質的にですよ、あまりそう強い声にならないんじゃないか。実質が非常に下がっておるものだから、こういう声も起こるんじゃないだろうか、かようにも実は思うわけなんで、やはり本筋からいけば、恩給なり扶助料なりを、特に老齢者については今度改定しますけれども、これで足りるか足りないかなんですが、考えていくというほうが、実は私自身は本筋じゃなかろうか、非常に低いところにあるものだから、そういう意見が出てくる、かように思うわけです。
そこでもう一つ、よくこういうことをいわれるわけだ。生活保護よりも恩給扶助料が安い、これは困る、こういうことをよくいわれる。これは事実そのとおりになっておる。そこで、恩給、扶助料の最低を昨年上げましたね、六万、三万ですか、これがやはり低いところから、この問題が出てくるのじゃないか。昔の恩給というものをもらっておった人たちを考えてみますと、これは生活保護の状況も戦前と戦後と違っておりますけれども、生活保護より安いものはおそらく考えられなかったと思う。ところが、現実にはそういうかっこうになっておるものだから、そこで問題が起こっておるわけなんですが、生活保護より安い恩給、扶助料というものは、やはりなくす。ただ、それには実際問題としていろいろな問題があるので、そこへ今度全面的にというか、多分に取り入れられた年齢別の最低恩給、最低扶助料というものをかなりな程度に考えていくと、老齢年金併給問題にしても、生活保護費よりも安い云々という問題、もよほど変わってこやしないか。こういうことが、いままで年齢というものが、恩給のほうからいうと邪道というわけじゃないでしょうが、どちらかというとあまり考えないというのが筋道なんだね。ところが、今度は、実際に合うように政策的配慮だ、恩給局長の言によれば。そういうことを最低について取り入れたのだから、全部ほんとうは上げてもらいたいと私は思うけれども、比較的若くてもらっておる人もいろいろあるから、年齢によって最低を相当大幅に上げる。そうすれば、生活保護よりも安いものを年寄りがもらう——若い者が生活保護よりも安い恩給をもらっているかどうかということは、これはあまり問題にならぬと思う。年取って、そして恩給なり扶助料でやっておる、しかし生活保護のごやっかいになりたくない、この気持ちもわかると思うんだ。そこで、それを救うには、最低を年齢によって上げるということはぜひ考えてもらいたい、こう思うのですが、この考え方についてはどう思われますか、実際に合うのじゃないかと私は思うのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/95
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096・矢倉一郎
○矢倉政府委員 御高説を拝聴したわけでございますが、御承知のように、確かに恩給が、かつての時代において恩給で生活した実態と、今日恩給で生活する人の実態とを引き比べてみると、満足すべき状態にあるかという点になりますと、先生の御指摘のとおり、なかなかに問題がございます。そこで、これをどう解決していくかということは、実は恩給を担当する側としては非常にいろいろな問題に遭遇してくるわけでありますが、その問題の解決を考えますときに、御承知のように、恩給の基本的な理念として、一応在職という問題がございます。したがって、いわゆる在職年限の非常に短い方々を想定いたしますと、実は恩給の本質と触れてくる問題がございます。この点が、たとえば年齢によって考えるということになりますと、恩給を基本的に実は変えていくというかっこうになるのじゃなかろうか、それをいま基本的に変えない範囲でどういう措置をとればいいのかというところが、ことしのいわゆる年齢を加味して、それを一つの政策的な配慮として考えるのは、恩給の本旨にまともにぶつかっていく課題でないであろう、一つの、恩給政策的に考えた場合に、そういう措置をとることの緊急性というものは、十分に首肯できる。いろいろな諸制度というものは社会的産物でございますので、そういう趣旨から年齢的配慮というものを恩給の基本線の中で生かしていこうとしたのがことしの措置でございますが、しかし、いま先生の御指摘のような点についての考え方も、非常に貴重でございますので、今後恩給審議会でいろいろな問題の討議の中で、先生の御趣旨の点も十分御検討をわずらわしたい、かように考えるわけでございます。
ついでにちょっと申し上げておきますが、最低保障の線をお出しいただいたわけでありますが、確かに最低保障というものを考えてということが、いわゆる恩給の下限というものをある線で維持できますので、したがって最低保障をどういうふうにするか、これにつきましても、今後の御審議をいただこうか、かようにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/96
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097・細田吉藏
○細田委員 恩給にいま何歳かということを考えるというのは、本筋からは少し離れている。しかし、やはり現在の実情に即した一つの前進であると思うわけです。したがって、あなたはいまぼくかこういう話をしたら、また本節のほうに、在職年数がどうの、そのときの給与がどうのということをおっしゃるが、最低の増額についても真剣にひとつお取り上げいただいて、審議会等の御意見もあるだろうと思いますが、どうも私いろいろな恩給受給者の要望を聞きますと、そこらで問題を解決する以外にいまの時点では解決はむずかしいのではないか、かように考えますので、重ねてひとつこの点については御検討いただきたい、かように思うわけであります。
大体これでやめますが、念のために一応伺っておきます。傷病恩給症状等差調査会というものがあって、これは報告が出ておりますが、これらは、内容はけっこうですから、どういうふうに措置をされたか、またされようとしておるか、この点だけ伺っておしまいにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/97
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098・矢倉一郎
○矢倉政府委員 症状等差調査会の御答申が三月末に出まして、私たちはこれをもとにして、症状等差のこれから法改正が実は必要なんでございまして、したがって、予算と法の改正の準備の過程に現在入っているわけでございます。今後どういうふうに処置いていきますかということは、当然この調査会の結論を尊重しつつ、その中での実現をはかってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/98
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099・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、来たる二十二日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02119670620/99
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