1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十九日(木曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君
理事 細田 吉藏君 理事 大出 俊君
理事 山内 広君 理事 受田 新吉君
荒舩清十郎君 内海 英男君
加藤 六月君 佐藤 文生君
塩川正十郎君 塩谷 一夫君
高橋清一郎君 橋口 隆君
藤波 孝生君 村上信二郎君
山下 元利君 木原 実君
武部 文君 浜田 光人君
山本弥之助君 米内山義一郎君
吉田 之久君 伊藤惣助丸君
鈴切 康雄君
出席国務大臣
国 務 大 臣 増田甲子七君
国 務 大 臣 松平 勇雄君
出席政府委員
行政管理庁行政
監察局長 稲木 進君
防衛庁長官官房
長 海原 治君
防衛庁防衛局長 島田 豊君
防衛庁人事局長 宍戸 基男君
防衛庁装備局長 國井 眞君
委員外の出席者
防衛事務次官 三輪 良雄君
通商産業省重工
業局長 赤沢 璋一君
専 門 員 茨木 純一君
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六月二十七日
委員塩谷一夫君辞任につき、その補欠として黒
金泰美君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員黒金泰美君辞任につき、その補欠として塩
谷一夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
委員桂木鉄夫君及び中尾栄一君辞任につき、そ
の補欠として塩川正十郎君及び山下元利君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員塩川正十郎君及び山下元利君辞任につき、
その補欠として桂木鉄夫君及び中尾栄一君が議
長の指名で委員に選任された。
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六月二十八日
旧軍人恩給に関する請願(稻村左近四郎君紹
介)(第一七一五号)
同外二十一件(大久保武雄君紹介)(第一七一
六号)
同(大竹太郎君紹介)(第一七一七号)
同外五件(大坪保雄君紹介)(第一七一八号)
同(大野市郎君紹介)(第一七一九号)
同(金子一平君紹介)(第一七二〇号)
同外二件(小平久雄君紹介)(第一七二一号)
同(坂田道太君紹介)(第一七二二号)
同(田川誠一君紹介)(第一七二三号)
同外二件(野田武夫君紹介)(第一七二四号)
同外三件(船田中君紹介)(第一七二五号)
同外三件(森山欽司君紹介)(第一七二六号)
同外六件(伊藤宗一郎君紹介)(第一八三三
号)
同(稻村左近四郎君紹介)(第一八三四号)
同外十一件(大坪保雄君紹介)(第一八三五
号)
同(北澤直吉君紹介)(第一八三六号)
同(小平久雄君紹介)(第一八三七号)
同(坂田英一君紹介)(第一八三八号)
同(世耕政隆君紹介)(第一八三九号)
同(谷垣專一君紹介)(第一八四〇号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一八四一号)
同外四件(羽田武嗣郎君紹介)(第一八四二
号)
同外七件(原健三郎君紹介)(第一八四三号)
同外三件(保利茂君紹介)(第一八四四号)
同外一件(森田重次郎君紹介)(第一八四五
号)
同(森下國雄君紹介)(第一八四六号)
同(森山欽司君紹介)(第一八四七号)
同外三件(愛知揆一君紹介)(第一八九七号)
同(内海英雄君紹介)(第一八九八号)
同外二十件(大坪保雄君紹介)(第一八九九
号)
同外四件(大橋武夫君紹介)(第一九〇〇号)
同(熊谷義雄君紹介)(第一九〇一号)
同外四件(櫻内義雄君紹介)(第一九〇二号)
同外一件(野田武夫君紹介)(第一九〇三号)
同(山手滿男君紹介)(第一九〇四号)
同外五件(吉田重延君紹介)(第一九〇五号)
松山郵政監察局存置に関する請願(井上普方君
紹介)(第一八三一号)
金沢郵政監察局存置に関する請願(木原実君紹
介)(第一八三二号)
同(堂森芳夫君紹介)(第一九〇六号)
自衛隊の適格者名簿作製反対に関する請願(松
本善明君紹介)(第一九〇七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
許可、認可等の整理に関する法律案(内閣提出
第一三四号)
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は前回において終了いたしております。
これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
許可、認可等の整理に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/1
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002・關谷勝利
○關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/2
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003・關谷勝利
○關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/3
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004・關谷勝利
○關谷委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/4
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005・橋口隆
○橋口委員 このたび本委員会に提案をされましたいわゆる防衛二法案について、若干の質疑を試みたいと思います。
まず、本法案の前提となるわが国の防衛力とそれをめぐる国際情勢について、御所見を承りたいと存じます。
申すまでもなく、最近の国際情勢は非常に流動的でありまして、ベトナムにおいてはすでに長く戦火が続いており、またこの六月に入りましてからは、中東において戦争が勃発をいたしております。したがって、世界は、いまや至るところに戦火の危機をはらんでいるかのように思われるのでございます。このときにあたりまして、極東におきましては、隣国の中国が、去る六月十七日水爆の実験に成功したと発表いたしております。これは世界に与える脅威はもとよりのこと、隣国であるわが日本に対する影響ははかり知れないものがあると思うのでございます。こういうように世界、特にアジアをめぐる情勢というのは非常に緊迫をしているかのようでございまますが、これに対して、防衛を担当される防衛庁長官におかれましては、この情勢をどういうふうに分析をし、またこれに対してどういうふうに対処されているか、その御所見を承りたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/5
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006・増田甲子七
○増田国務大臣 橋口さんの御質問にお答えいたします。
お説のように、御質疑の内容におきましてすでに御所見が相当含まれておるように思いますが、私は大体において御同感でございます。すなわち、国際情勢はきわめて流動的でございまするし、また、ベトナム紛争も解決いたしておりませんし、中近東におきましてもああいうような事件が起きたわけでございます。なお、中共におきましては、第六回目の核爆発を行ないまして、それが水爆であろうということはほぼ推察されておるわけでございます。ただ、世界全体といたしましては、米ソの雪解けムードというようなものがある程度促進されておる。しかしながら、局地的に見まして、決して油断のならない状態でございまして、油断がならないという情勢を前提といたしまして、第三次防五カ年計画というものを策定し、その予算は皆さまから御賛成を得た次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/6
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007・橋口隆
○橋口委員 これらアジアの情勢はわが国に対して非常に重大な影響を与えると思いますが、その中で、特にわれわれがはっきり確かめておかなければならない問題は、中国の核実験の内容であろうかと思います。その点につきまして、政府がいままでに得られました情報その他について御説明いただきたいと思います。
なお、中国におきましては、すでに原爆を相当貯蔵している。また原水爆を直接輸送するミサイルも実験段階に入っているかのように報じられております。その間の事情について御説明願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/7
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008・増田甲子七
○増田国務大臣 詳細にわたりましては、防衛局長に補足させますことを前提として、お答えいたします。
お説のごとく、われわれは、隣国中共が核爆発を六回も行なったということにつきましては、至大なる関心を払っておる次第でございます。そこで、今日まで得た情報によりますと、第四回目の核爆発はミサイルによるものであろう。六百キロくらいを飛んで地対地のミサイルの上に核弾頭をつけて爆発させたという疑いが相当濃厚に持たれております。これは軍事専門家その他から得た情報によりますと、ある程度事実である、こういうふうに考えております。すなわち、短距離弾道弾のそのまた小規模のものの弾頭に原爆がつけられて発射されて、ある地点からある地点まで飛んだというような事実が、情報として入っております。それから、第五回、昨年の十二月三十日に行なわれましたものは熱核兵器、水爆にほぼ近いようなものが実験されたという情報が入っております。第六回目、すなわち、今月の十七日に行なわれたといわれる核爆発は水爆でございまして、その水爆は、中心はウラニウム二三五の核分裂でございます。その外側を包むものは、いわゆる重水素の関係でございまして、これは融核合でございます。その一番外を包む爆弾はウラニウム二三八を主体とするものである、こういうふうにいわれております。
わがほうにおきましては、さっそく航空自衛隊に、いつものことでございますが、放射能の調査をさせましたが、放射能の調査は、自衛隊といたしましては、九州における築城から種子島方面までずっと飛ばせまして、一回だけ一立方メートル当たり——普通五百八十マイクロマイクロキュリーという放射能が大気中にあるわけでございますが、普通の放射能の約十倍のものが検出されましたが、それにも自衛隊の関係においては一つも検出されておりませんが、ともかくも世界各国の軍事専門家並びにアメリカのAECにおける情報は、小規模の二メガトンないし七メガトンの水爆である、こういう情報に相なっております。われわれはこれにつきましては非常に関心を払い、心配をいたしておるというのが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/8
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009・島田豊
○島田(豊)政府委員 ただいま長官からかなり詳しく御説明がございましたので、私から特に補足することもございませんが、要するに、三十九年の十月に第一回の核実験をいたしまして、第一回、第二回はいわゆる核装置の実験である。第三回、第五回が、ただいま長官のお話にございましたように、熱核材料を含む実験でございまして、第三回目のものは、いわゆる水爆の予備実験といわれております。第五回目のものは、さらにそれが軽量、小型化されているものというふうにいわれておるわけでございます。なお、第四回目が約四百マイル、六百四十キロ程度を飛しょうしましたところのミサイルを弾頭につけましたものを実験をしておるわけでございます。
こういう核実験のテンポは一応かなり早いといわれておるわけでございまして、米ソ、イギリス、フランス、こういう諸国の核実験のテンポに比べますと、かなり早いテンポでございます。
その目ざすところは何であるかということにつきましては、いろいろな推測がございますけれども、われわれとしては、水爆弾頭のICBM、長距離弾道の開発に力を注いでいるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で六月十七月の第六回の核実験というものは、そういう関連におきましては、われわれとしてもその内容というものにつきまして一応推定ができるわけでございます。
この爆発威力につきましては、アメリカの原子力委員会の発表によりますと、セベラル・メガトンということばを使っております。そうなりますと、長官が言われましたような二ないし七メガトンというふうなことも軍事当局が言っておりますけれども、原子力委員会の発表しかございませんので、その程度のものではないかというふうに推定されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/9
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010・橋口隆
○橋口委員 以上のように、非常に激動を続けている世界情勢に対応して、わが国は非常に大きな影響を受けておると思うのでございます。いまや政府自体がそういうような感じに包まれているのではたく、国民全体が非常に戦争の危険というものを身近に感じていると思うのでございます。
このときにあたって、わが国としては、防衛の体制を固めなければならないと思うのでございますが、これに対する基本方針はどういうふうになっておりますか。政府におかれましては、去る昭和三十二年の五月に国防の基本方針について策定をされております。その中で国際間の協調あるいは民生の安定あるいは安全保障等の問題を取り上げておられるのでございます。しかし、それからすでに十年の歳月がたっておるのでございます。しかも国際情勢は非常に緊迫している。こういう状況下にあって、国防の基本方針というものをあらためて再確認をし、新しい状況に即した新しい方針を樹立されるお考えはありませんか。それをお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/10
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011・増田甲子七
○増田国務大臣 橋口さんの御心配は、私は非常にごもっともであり、同感でございます。そこでわが国の国防方針を、中共等の数回にわたる核実験に対して変更する必要があるかどうか、こういう御質問でございまするが、私は三十二年に決定を見ました国防に関する基本方針で差しつかえない、こう考えております。ただ、だんだん兵器も近代化してまいりまするから、わが国の国防方針というものは日米安保体制のもとにおいて通常兵器による局地的侵略に対処する、こういう方針でございまするが、通常兵器も近代化してまいりまするから、その近代化の線には即応するように今回の二兆三千四百億、上下幅二百五十億円という国防会議並びに閣議決定を、第三次防衛五カ年計画として決定を見た次第でございます。その初年度がことし皆さまから御賛成をいただきました三千八百九億円でございます。
相当の整備をいたしておりまするが、この核の抑止力といたしましては、アメリカの核抑止力に依存する。いまのところアメリカの核抑止力というものは圧倒的に強力でございまして、これに依存する以外には、日本の国力、国情から見ましても、財政経済から見ましても、やむを得ない、こういうふうに考えておる次第でございます。それ以外の通常兵器につきましては、できる限り、予算の許す限り近代化をはかるという意味合いにおきまして三次防ができ上がった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/11
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012・橋口隆
○橋口委員 三次防の計画についてお伺いします前に、この防衛力をめぐる国防政策一般の問題についてお伺いしたいと思います。
その中で特に大事なのは、平和外交の展開によって戦争を未然に防止するということであろうかと思います。また国民経済力を充実して民生を安定するということが一番大事な国防の方針であるということは、これは明らかであります。なかんずく特に痛感されますことは、さきの中東戦争におきましてわれわれ日本が一番心配したことは、ペルシア湾が万一封鎖された場合には日本の石油が来なくなるであろう。そうなれば旬日を経ずしてわれわれの自動車あるいは電力その他国民経済全般について影響が及ぶであろうことを非常に身近に感じたのでございます。そういう意味におきましては、今後大きな国防の観点から、日本のそういうような国民経済に対する物資というものについては、十分、一応の準備を整えておくべきではなかろうかと思うのでございます。たとえば石油につきましてはイギリスとフランスはすでに四カ月を備蓄し、西ドイツは二カ月の備蓄を持っているそうでございます。しかるにわが国はわずか二十日間の貯蔵能力しかない。これは実に危険なことであるといわなければなりません。そのほか、あるいは鉄鉱石その他の戦略物資についても同様であろうかと思います。食糧についても問題は同じではないかと考えます。ことに食糧の場合は端境期においてわが国の備蓄状況というのは必ずしも楽観を許さないものがあるやに聞いておるのでございます。まず戦争以前の、防衛以前の、こういうような国防経済全般について、政府はどういうお考えを持っているか、こういう問題について防衛庁長官は担当大臣と会談をされたことがあるかどうか、その点についてお話を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/12
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013・増田甲子七
○増田国務大臣 国防というものは、外交、内政全般を総合的によくして初めて国防の実があがることは、橋口さんのお説のとおりでございます。ことに何よりも民生の安定が必要でございまして、私は防衛庁長官、国務大臣、閣僚という立場におきましても、他の諸般の情勢につきまして特に力を入れてもらうように発言もし、協力もいたしておるつもりでございます。
それから、御指摘の中近東のときに一番心配をいたしたのが石油の問題でございまして、通産大臣とこのことを隔意なく相談をいたしました。通産大臣も非常に心配をいたしておりました。お説のごとく一カ月以上はもたないというのが日本の石油の備蓄の状態でございます。幸いに国連臨時総会等もございまして、中近東の問題もだんだん解決に近づいておりますし、それから日本に対しましてはペルシア湾等は、アカバ湾は一時封鎖されましたが、ペルシア湾は封鎖されてはおりませんし、一時クウェートその他で積み出しを禁止したこともございますが、一日、二日の間において直ちにその封鎖は解かれまして、いまや完全に原油等はタンカーで日本に運び得る状態になっております。ただ一時は非常に心配をいたしまして、場合によっては、橋口さんも御存じのとおり、アメリカに相当の封鎖油田もございますし、また南米のベネズエラ等にも封鎖油田もございますから、そういうものも万一のときには開発して間に合わせるということも考えておるようでございます。われわれと安全保障条約を結んでおるアメリカにおいては考えておるようでございます。幸いに日米関係は非常に友好親善の関係になっておりますから、そういう場合には、相当もらい得るのだということを通産大臣も私に答えてくれたような状況でございます。
それから一般物資、鉄鉱石、食糧等がすべて不足であって、輸入に仰ぐ点が多々あるのである。それに対して防衛庁長官はどういう考えを持っておるか。各閣僚とどんな相談をしておるか。これは事があった場合に——日本に事がなくても、外国同士に事がありまして、そうして海上輸送ルート等が閉鎖されるということもあり得ます。その場合につきましては何とか考えなければいかぬということは、各閣僚の間で言っておりますが、まだ具体的にどうこうという段階まではいっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/13
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014・橋口隆
○橋口委員 この国民経済の防衛ということは非常に大事な問題であると思うのでございます。そもそも国防というのは一朝有事の日に備える、非常に莫大なエネルギーを使ってそれを備えているわけでございますが、そうしますと、かりにこういう想定を下したといたします。国籍不明の原子力潜水艦がインド洋あるいは太平洋で一隻でも行動した、そういう場合に直ちに日本の海外交通は途絶する危険があると思われるのでございます。そういう危険に備えて、政府はかねがね国民経済についてもそういう配慮がなされてしかるべきものだと思うのでございます。そういうような問題は戦前においては非常に準備がなされておったわけでございますが、戦後においても、わが国はもちろん戦争に巻き込まれるというのではなくて、ほかの地域で戦争が起こった場合に、われわれはその巻き添えを食うわけでありますから、これに対して島国であるわが国は、かねてからそういう防衛の方針を整えておくべきだと思うのでございます。国防会議ではそういう問題を討論されるべきだと思うのでございますが、具体的に各省に対してそういう問題を指示をされ、また物資ごとに多少の準備がなされているかどうか、そういう点について重ねて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/14
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015・増田甲子七
○増田国務大臣 橋口さんのお説のごとく、日本が当事国でなくとも、外国同士の紛争によって日本の海上輸送が途絶するということは、あり得るわけでございます。ただ、私は安全保障問題調査会の委員として三年ばかり勉強いたしまして、そういう立場から、まだこちらへ来て日は浅いわけでございますが、いつも多少の研究はいたしておりまするが、現在日本の輸出入合わせて二百億ドルに達する貿易ルートというものが、アメリカの海軍によって守られてあるということすら、日本の指導者並びに国民は知らぬ人が相当多いということは残念であるというような記事も、ときどき散見いたします。こういう機会を利用さしていただきまして、日本の二百億ドルに達する、世界の数番目というところまでまいりました外国貿易は——昔は旗のもとに貿易がある。貿易か盛んなのは旗のもとである。旗というのはもちろん昔の海軍でございます。ところが、いまはアメリカの海軍が日本の貿易のルートを守っておるのである。何も第七艦隊に限りません。第六艦隊もございますし、あるいは東太平洋の艦隊もございます。大西洋の艦隊もございますが、そういう艦隊が、日米安保条約の関係で直接、間接守っておる。でございますから、日本のばく大なる、中共の四倍にも達する貿易というものが盛んになっておるということを、日本人の方々はぜひ知ってもらいたいのだというようなことを相当の外国の軍事専門雑誌、それから一般の政治経済評論雑誌等にも書いてございます。この機会に、重ねて言うようでございますが、日本の二百億ドルに達する貿易ルートというものは、アメリカの艦隊によって守られてあるのであるということ、これは日米安保条約の効果としては非常に重大なる効果であるということを、外国の雑誌が指摘しておるということを私は申し上げておきます。
それから、外国同士の紛争の場合にどうするかというときのことまではまだ考えておりませんが、海上輸送ルートは、日本の海上自衛力をもってして守り得る範囲はそう長くはない。一つのコンボイをつくる、防衛艦隊が輸送船団を守るという場合におきましても、一つ二つでありましたならば、千五百キロくらいは守り得ますけれども、それ以上のことはアメリカ海軍にゆだねる、こういうようなしかけに、現在でも事があった場合には、なっておるわけでございます。貧弱なる海上自衛隊であるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/15
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016・橋口隆
○橋口委員 いまのような状態を承りますと、私は、政府全体、あるいは国民も、これに対して重大な関心を持たなければならないと思うのでございます。その中で、特にお伺いしたいと思いますものは、国防会議がそういうような問題を扱うようにできておるのでございますが、この国防会議は、最近まで何回くらいお開きになりましたか、どういうような運営をされているか、その問題についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/16
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017・増田甲子七
○増田国務大臣 最近のことだけを申し上げますが、昨年の十一月二十九日に国防会議を正式に開いております。本年の三月十三日に国防会議を開いております。それから、国防会議の幹事会というのがございまして、これは次官以下をもって構成いたしておりますが、これはしばしば開いております。それから、国防に関する事柄につきましては、国防会議の正式議員は総理大臣、外務大臣、経済企画庁長官並びに不肖私でございますが、ときどき話し合いをいたしております。これは正式の会議ではございませんが、国防会議の議員だから、君、このことを頼むよというようなことで、しょっちゅう話をいたしておるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/17
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018・橋口隆
○橋口委員 閣僚はもとよりでございますが、スタッフは少し数が少ないのではないかと思われるのでございますが、現在何人くらいをもって構成をされ、また、これに関与している各省の職員は何人くらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/18
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019・増田甲子七
○増田国務大臣 国防会議は、内閣総理大臣のもとにおきまして——実は防衛庁設置法に書いてあるということがおかしな話でございます。ほんとうは国防会議法という法律をつくるべきであると私は考えておりますが、その職員は、総理大臣あるいは事務局長を除きますと、二十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/19
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020・橋口隆
○橋口委員 国際情勢が非常に緊迫しているのに、わが国の国防全体に対する配慮というのは、非常に心細い状況であるかのように思われるのでございます。私は、政府がもっと真剣にこの防衛問題については取り組んでいただきたいと思うのでございます。ことにわれわれ国民が考えなくてはならない問題は、日本が戦火に巻き込まれなくても、一たび世界のどこかでそういう戦乱が勃発すれば、直ちにわれわれの経済生活に影響してくる。これは、先ほども申し上げましたように、中東戦争が勃発したときに、われわれはひしひしと身近に感じた問題であろうかと思います。また、現実に両大国の間に平和交渉が進められてはおりますものの、核装備は着々と世界列国において進められておるのでございます。いつわれわれの間にそういうような不幸が見舞わないとも限らないのでございます。しかるに、わが日本国民は、戦後二十年を経過して、長い間の太平の夢になれて、そういう一朝事あるときの心がまえがほとんどできていないと思うのでございます。こういうような不幸はあまり想定したくないのでございますけれども、二兆三千四百億という第三次防をやるからには、国民もそれに見合って、自分たちの税金の中からそれだけの巨額の金を出しているのであるから、これは自分たちの身近な問題として取り上げてこなくてはならない、こういうような心がまえが非常に大事であろうかと思います。そういう意味で、政府がもっと率直に、国際情勢のこういう緊迫の様相を啓蒙する。また、これだけの金を使っておるのである、そしてまた、戦火が見舞えばこういう悲惨な状況になるのである、であるから、いまからわれわれは戦争に巻き込まれないための準備は必要であるけれども、一朝事あるときには、こういうふうにしなくちゃならぬのだ、そういう啓蒙宣伝が非常に大事であると思いますが、これについて防衛庁長官はどういうふうに御指導なさるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/20
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021・増田甲子七
○増田国務大臣 私どもは、PRのことは一生懸命つとめておるつもりでございます。なお、先般本会議におきまして大出さんから御質問があったときにもお答えいたしましたように、国防白書というようなことも検討中でございます。そして、国防の必要なるゆえんを国民にお訴えいたす。やはり国防というものは国民の同意と御協力の上に成り立つものでございますから、御質問の趣旨を体しまして、国防白書というようなものをいませっかく検討中でございます。ただ、私どもが材料を出しまして「日本の安全保障」といったような本も出ておりますが、そういうところへはできるだけPRの見地から、国民のコンセンサスを得たいという見地から、各種の活動をいたしております。詳細のことは、ここに広報関係の主務者もおりまするから、補足して答弁を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/21
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022・海原治
○海原政府委員 私どもの広報関係の仕事は、大きく申しますと二つに分かれるのでございますが、一つは、自衛隊の実態をなるべく多くの国民の方々に御認識いただくことである。これは現実に各部隊においでいただきまして、そこで隊員の生活その他の状況をつぶさにごらんいただく。そこで部隊というものの実態とその姿を御認識いただくということが、一つでございます。もう一つは、いま大臣からもお話がございましたような、いわゆる出版物あるいは映画、テレビ等を通じまして、広く一般的な防衛の本質であるとか、あるいは防衛のためのいろいろな施策の実態であるとか、こういうものをお伝えする、こういうことかと思います。前者につきましては、御存じのように、いわゆる体験入隊という形で、予算の範囲内におきまして、各方面の方々に部隊に来ていただきまして、部隊におきます生活を体験していただく。それから私どもの実態の問題につきましても、いろいろの御意見をいただく、こういうことをやっております。後者のほうの一般的な広報につきましては、各種のパンフレット、リーフレット等を出しております。各地で開催されますところの博覧会等におきましては、私どもの実態をなるべくわかりよく国民の皆さま方にごらんいただき、御認識いただくということで努力いたしております。さらには日本とアメリカとの協力態勢であるとか、あるいは中立国の実態であるとか、こういうものを紹介しました映画をつくりまして、各部隊等におきましてなるべく多くの方々にごらんいただきまして、その上で日本の防衛についてものを考えていただく、こういうことを実はやっておるのが、現在の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/22
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023・橋口隆
○橋口委員 国民的共感を得るということ、いわゆるナショナルコンセンサスは非常に国防の基本をなす問題であろうかと思いますので、防衛庁におかれましても、各省と御連絡の上、十分準備を整えていただきたいと切望する次第でございます。
次に、第三次の防衛力整備計画についてお伺いしたいと存じますが、それに先立ちまして、四十一年をもって第二次防衛力整備計画は終わったと思うのでございますが、その実績はいかがでございましょうか。計画と比べてどういうふうになっているか、その問題について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/23
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024・島田豊
○島田(豊)政府委員 第二次防衛力整備計画の末年度でございます昭和四十一年度末の姿でございますが、陸上自衛隊におきましては定員十七万一千五百、これは二次防計画が十八万でございますので、八千五百の増員が実現を見ておらないわけでございます。予備自衛官につきましては二万四千名でございまして、定員が三万名でございますので、これも実現を見ておりません。海上自衛隊の艦艇につきましては二百数隻で十一万六千トン、これは当初の建造計画からいたしまして約九隻、一万トンが、諸般の事情のためにおくれておるというのが実情でございます。航空機は約二百三十機、これはほぼ計画どおりに進んでおると思います。航空自衛隊の主力でございます航空機につきましては、約千九十機でございまして、これもほぼ計画どおりの実績を見ておるというふうに考えておるわけでございまして、陸上自衛隊の八千五百名の増員の問題、艦艇の約一万トンのおくれ等を除きますと、ほぼ当初の計画は実現できておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/24
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025・橋口隆
○橋口委員 この四十一年度をもって終わった第二次防衛力計画は、ほぼ所期の目標を達したと思われるのでございますが、この現在の防衛力をもってしてアジアで一体どういうような地位を占めているか、そしてその戦闘力としては別といたしまして、戦争抑止力としてどのような効力を持っているか、威力を持っているか、そういう点についての御判断をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/25
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026・増田甲子七
○増田国務大臣 第二次防末期というのはすでにもち終わったわけでございまするが、第三次防をいま着々とやっているわけでございます。そこで、三次防末期は昭和四十六年三月三十一日でございまするが、現在におきましても、アジアにおいてもし日本に対する通常兵器による局地的侵略があるならば、これを抑止し、これを排除する実力を持っておる、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/26
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027・橋口隆
○橋口委員 第三次防衛力整備計画は、去る三月に、今後五カ年にわたり二兆三千四百億円、上下に二百五十億の幅を見込んで策定をされたわけでございますが、今後陸海空三面にわたる防衛力は、これによってかなり充実される計画のように聞いております。しかし、この三次防というのは、国家予算において非常に大きな比率を占め、また国民経済の中でも、その総生産高において占める比率はきわめて高いものと思われるのでございますが、この計画の大綱について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/27
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028・増田甲子七
○増田国務大臣 御指摘のとおり、総額は二兆三千四百億円、上下幅二百五十億円となっております。ベースアップは別だということは大蔵大臣がしばしば答弁しておるとおりでございます。
そこで、陸上自衛隊は、ただいま防衛局長が申し上げましたとおり十七万一千五百人でございましたが、四十六年末までには十八万人になります。今度の防衛二法におきましては、陸上自衛隊千五百人ふやしていただく、こういうことに相なっております。
それから海上自衛隊におきましては、四万八千トンの新建造をいたすことになっております。そこで算術的に加えますと十五、六万トンになりますけれども、スクラップ・アンド・ビルド方式でございますから、すでに第二次大戦直後における護衛艦みたいなものをまだ護衛艦としておる向きがございまして、これはもう耐用年数も過ぎておりますから、そういうものをいわゆるスクラップにいたします。そういたしますと、結局絶対数におきましては十五、六万トンになりますが、使い得る艦船といたしましては十四万二千トンというのが、昭和四十六年末の海上自衛隊の状況でございます。
それから航空自衛隊でございますが、航空自衛隊はいま一千九十機ございまするが、これもスクラップ・アンド・ビルドでございまして、F86DとかF86Fというのがだんだん耐用年数に近づいてまいります。Fのほうが少し長もちいたしまして昭和四十八年末までもちますけれども、しかし、航空事故等がございまして相当犠牲が出ますから、昭和四十六年末は、航空自衛隊の飛行機の数は八百八十機ということになっています。
しかしながら、一面におきまして、皆さまから御賛成をいただきましたナイキハーキュリーズという、これは純粋の防衛兵器でございまするが、これが航空自衛隊の所管でございまして、これを結局アジャックスと加えまして四個大隊、それから昭和四十五、六年までに、昭和四十七年から始まる一個大隊の準備をいたします。それから陸上自衛隊におきましては、ホークというのがございます。ホークは射程が三十キロ前後でございますが、これも純粋な防衛兵器でございまするが、これを二個大隊ふやすわけでございます。でございまして、数は少なくなりまするが、実質的には通常兵器による局地的侵略に対処し得る実力の内容は、ある程度充実しておる。ある程度でございます。そういうことを申し上げます。
それから、橋口さんの非常に予算の膨大なる部分を占めておるというおことばでございまするが、その点私ちょっと見解が違うのでございまして、予算の面におきましては、昨年度予算におきまして総予算の七・九%でございましたが、本年度予算におきましては絶対額は四百億ふえておりまするが、比率といたしましては、総予算四兆九千五百億円に対比いたしまして、三千八百九億円というものは、七・六九%でございます。それから国民総生産に対する比率から申しまして、日本は世界のいわば一等国といわれる国に比べまして、圧倒的に数が少ない。一%に満たない。他の国々におきましては一〇%、八%、六%、五%といった国々が相当多いのでございまするが、日本は〇・九幾ら%という、こういう数字でございまして、予算の絶対額から見ますというと三千八百九億円は多いように見えまするが、相対的に見ますると、総予算に比較してみましてそう多い数ではない。もし財政当局がいいとおっしゃるならば、もう少しふやしてもらいたいと思ったのでございまするが、日本の国力、国情、財政、経済の力にかんがみまして、まずこれくらいが妥当な線であるということでわれわれは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/28
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029・橋口隆
○橋口委員 今度の二次防の二兆三千四百億円という金は、大部分が装備の更新に使われると思うのでございますが、新規の装備分との比率は、どのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/29
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030・増田甲子七
○増田国務大臣 新しき装備というものは、大体において二兆三千四百億のうちの調達額が九千億ないし一兆円でございまするが、そのうちの新しい装備は、三千億円というふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/30
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031・橋口隆
○橋口委員 ただいまの長官のお話でお伺いしたのでございますが、わが国の防衛費の国民総生産に対する比率は、一%に満たない。ほかの列強は、おそらくそれをはるかに上回る数字だろうと思うのでございますが、日本では一体この防衛費のめどというのは、どの辺に置かれておりますか。また、その辺に置いたらいいというような理論的な経済政策的な根拠について、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/31
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032・増田甲子七
○増田国務大臣 この三次防全体は、これから毎年ベースアップの人事院勧告があるといたしますと、人事院勧告の線に見習いまして、自衛隊につきましてもベースアップをいたします。そういたしますと、毎年あると仮定いたしまして、五年目には一カ年のベースアップがある。四年目には二カ年間のベースアップがあります。三年目には三カ年間のベースアップがあり、二年目には四年間のベースアップ、本年は五年間のベースアップがある。昨年度の人事院勧告を勘案いたしまして二兆三千四百億というふうにきめておりまするが、ベースアップを含めますというと、おそらく二兆六千億未満という線に落ちつきはせぬかと考えております。しかしながら、これは調達額のほうとは別でございます。調達額は、多くても一兆円でございますから、少ない場合には九千億ないし一兆と見ておりますが、九千億ないし一兆という線で、動くのは上下幅二百五十億円というのが動くだけでございまして、あとは固定でございます。そうなりますと、経済企画庁、政府で発表いたしました経済社会発展計画における五カ年間の国民所得は、二百二兆円でございます。二百二兆円で二兆六千億円を割ってみますと一・三%弱ということになります。しかしながら、識者はおそらく五年末におきましては国民所得は二百二十兆円ぐらいになるであろう、こういうふうに見ております。そこで二百二十兆円で二兆六千億という、かりに五年目のベースアップを加えたものを想定いたしまして割ってみますと、これは一・三%以下になります。そこで国民所得から見まして、私は将来も四次防、五次防もあるでございましょうが、その際にやはり一・三%といったようなものがものさしになりはせぬか。いずれにいたしましても、国民総生産から見ますと、一%内外でございまするし、国民所得から見ますと一・三%をそう上回らないという、わりあいに貧弱なものである、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/32
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033・橋口隆
○橋口委員 この防衛費の割合というものを伺ってみますと、国民が受ける印象と、実際列国との比較においての日本の防衛力との間に、かなりの開きがあると思うのでございます。私は、もしほんとうに日本の防衛を全うするためであるならば、もっと充実した防衛政策をおとりになってもいいだろうと思います。その点について、政府はかなり遠慮がちである。しかし、国民がその生存を全うするということは、もっとはるかに重大な問題でございます。そこで私は、最近日本経済は世界の中で最高水準を行く発展を示しておるわけでございますが、この発展を落とさないその範囲において、一体どのくらいの防衛費をぎりぎり見込んだならば、防衛も十分であり、また国民経済にも支障を起こさないというそのめどが立つか、そういう問題について、経済企画庁、大蔵省、通産省、そういうところと十分に御相談をされておりますかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/33
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034・増田甲子七
○増田国務大臣 これは国防会議の議員である経済企画庁長官ともしばしば実質的の国防会議というものを開きまして、正式ではございませんが、話をしておるのでございます。先般策定されました二兆三千四百億円のときも、三兆円以下であるならば国民生活にあまり影響はないし、まあそれくらいだったならばすべて賛成ですよということばも私は承っておりますが、この際あまり経済企画庁長官のほうを引き合いに出すことは遠慮さしていただきます。それから防衛庁といたしましては、従来は国民所得の二%くらいを目標にしたいということを、しばしば従来の防衛庁長官もおっしゃっております。おっしゃっておりまするが、そういたしますと、かりに二百二十兆円といたしますと四兆四千億円ということになりますが、そういうことは遠慮いたしまして、国情、国力その他から見まして、日米安保体制のもと、二兆三千四百億、プラスマイナス二百五十億が適当な線である、こういうふうに考えて、あそこに落ちついたわけでございます。きまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/34
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035・橋口隆
○橋口委員 三次防においては装備の大半を国産化しようという御計画のようでございますが、具体的には、各相兵器についてどういうような割合で国産化される予定でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/35
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036・増田甲子七
○増田国務大臣 大綱的なことは私からお答えいたしますが、大体におきまして、九千億の調達額のうちで一千億くらいが外国から買ってくる。そのうちのアメリカの援助というものは、本年からもうゼロでございます。ないのでございまして、昔でいえばMAS、いまのことばでいうとFMS、フォーリン・ミリタリー・セールズ、アメリカの政府がわりあいに安く売ってくれるもの、これが約三百億円であって、残余のものはコマーシャルベースでアメリカから買ってくる。それもたとえばライセンス生産なんかをするときには、そのライセンスを持っておるところへ金を払いますから、外国へ払う金を含めまして七百億円でございまして、あとの八千億円というものは国産ということに相なります。詳細なことは、政府委員に補足させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/36
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037・國井眞
○國井政府委員 装備の国産につきましては、すでに二次防から国産をできるだけ進めるということで進めてきておりますけれども、三次防におきましては、主要な装備で申しましても、たとえば戦車、装甲車、大型、中型のヘリコプター、あるいは地対空の誘導弾のホークというようなもの、それから各種艦艇、その他地対空の誘導弾ナイキのミサイルと、その他航空機等の装備を国産いたします。ただ、全体としての装備費の中で占めます割合につきましては、ただいま長官からお話をいたしましたように、大体九割程度が国産の比率でございます。これを個々の装備につきまして、戦車は幾ら、あるいは護衛艦は幾ら、その他誘導弾はどうだというふうに、いわゆる国産化率ということになりますと、これは実際に契約をいたしまして最終的な数字を詰めませんと、実は出てこないわけでございます。ただ、この際申し上げたいと思いますのは、私どもが国内で調達をする数量という意味で国内のメーカーから調達をするというものが、ただいま長官から申し上げた、約九割が国内の調達である、こういう意味でございます。国内で調達をいたします場合に、純然たる国内開発というもののほかに、ライセンス生産、技術導入をやりまして国産をするものがあるわけでございますが、こういうものについては、その部品あるいは武器の一部等が外国で生産されまして、それを入れて全体として一つのセットとして納入をされるというものがあるわけでございまして、これがいわゆる国内調達率と別に国産化率ということばで呼ばれておりますが、そういうものを入れますと、比率は多少下がるわけでございます。最近の実績で申しますと、いわゆる国内調達率は、大体八七、八%まで行っております。今後三次防におきましても、同じような傾向が継続し、これが多少向上をするという意味で私ども見通しておりますのは、国内調達大体九割でございます、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/37
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038・橋口隆
○橋口委員 そのうちで、特に問題のナイキ、ホークについてお伺いしたいと思いますが、こういうような兵器は、わが国の技術で開発できるものでございますか。それともまた、今度の計画では国産化するようになっておりますが、そういう経済的な根拠というのはどこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/38
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039・増田甲子七
○増田国務大臣 大体のことをお答えしまして、あと装備局長にお答えいたさせますが、ナイキもホークもライセンス生産でございまして、ライセンスを買ってきて日本で国産し得る、国産をするだけの能力がある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/39
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040・國井眞
○國井政府委員 ナイキ、ホークの国産につきましては、ナイキのほうは、地上機材はマスで輸入をするわけでございます。それからミサイルだけを国産するわけでございますが、ホークのほうは、地上機材とそれからミサイルと両方国産をする、こういう形をとっております。これはなぜ国産をするようにしたかということになるわけでございますが、基本的には、私どもは、装備というものは自主的な装備をするのだ、それによっていわゆる後方能力、補給、整備上の能力を十分自分で持っているということが、国防の上で非常に大切なことでございますので、そういった観点から国産を進めるわけでございますが、このナイキ、ホークにつきましては、単に現在の所有する装備を入手するというだけではなくて、将来の維持、補給という意味で今後を見ますと、外国から入れた場合に比べまして、経費計算等によりますと、ほんのわずかの値上がりで済むわけでございます。これはもう一割というような程度にまで達しない数字で大体国産ができるということでございますので、いまの維持、補給の必要性その他諸般の技術向上等にも寄与するわけでございますし、私ども、そういう点から見ましても、国産をやるべきである、なお技術的にも、これは十分こなしていく能力があるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/40
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041・橋口隆
○橋口委員 その次に問題となるのは航空機だろうと思いますが、航空機については、政府が日本航空機製造株式会社をわざわざつくって、そうしてその国産化に協力しているわけでございます。それにつきまして、最近政府の計画どおりにはたしていっているかどうか、また、今後どういう助成策をとられるか。そういう問題についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/41
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042・國井眞
○國井政府委員 航空機生産業界への生産のための助成策という意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/42
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043・橋口隆
○橋口委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/43
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044・國井眞
○國井政府委員 これは私ども通産省と十分連絡をとりまして、一般的な航空機生産に関する問題の一環としてできるだけ円滑な計画ができるように、私ども常時連絡をとっておりますが、なお具体的な点につきましては、通産省のほうからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/44
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045・赤沢璋一
○赤沢説明員 航空機工業のことでございますが、ただいま御指摘の日本航空機製造株式会社は、航空機工業振興法という法律に基づいてできたものでございます。これは主として民間の航空機をつくる、その振興をする、こういう目的でつくられたものでございまして、御承知のYS11の飛行機を各航空機メーカーの協力を得て製造販売をいたしておるわけでございます。そのほかに、防衛庁の関係といたしましては、三次防で計画されておりますいわゆるCXと申しますか、輸送機、これの基本設計を現在委託を受けておりまして、YSをつくりました技術を使いまして、いま設計の開発の段階にある、こういうような状態でございます。
なお、航空機工業全般の問題でございますが、この点につきましては、一つには航空機製造事業法という法律がございまして、これでもって航空機工業につきましては、その製造修理等につきまして事業許可制をとり、そうして業者が乱立をして経済の全体の運用が混乱におちいらないような調整をはかっております。このほかに、航空機工業振興法があるわけでございまするが、この振興法は、先ほど申し上げましたように、主として民間の航空機を中心に航空機工業の育成をはかっていく、こういう趣旨のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/45
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046・橋口隆
○橋口委員 航空機製造は、政府が期待されているとおりに、予定どおり現在進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/46
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047・國井眞
○國井政府委員 私どものほうで調達を予定しておりますものにつきましては、おおむね順調に進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/47
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048・橋口隆
○橋口委員 通産省にお尋ねいたしますが、航空機工業をはじめ各種の防衛産業が、これから三次防に関連して非常にクローズアップされてくると思うのでございますが、政府はこれについて格別の指導方針を持っておられるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/48
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049・赤沢璋一
○赤沢説明員 航空機と武器のことでございまするが、四十一年で申しますと、航空機の生産高、これは製造、修理、関連機器等を含めまして、約五百三十億円でございます。そのほかに、武器の関係が四十一年は約百六十五億でございますから、合計いたしまして航空機、武器関係合わして約七百億円程度、これが四十一年のいわゆる航空機、武器の生産高でございます。今後三次防で、こういったようなものがどうなっていくかということでございますが、防衛庁といろいろ打ち合わせをし、資料もいただき、検討してまいりましたところによりますと、航空機工業は、二次防よりも少し上目くらいの横ばいという感じ、武器につきましては、航空機よりもう少し金額がふえよう、かように考えております。おおむね、いまより極端に金額的にもふえるというかっこうではないように存じております。
そこでただいまお尋ねの助成の問題でございますが、通産省といたしましては、特に防衛産業であるから助成をするということではなくて、機械工業の一環である航空機工業あるいは武器工業といいますか、こういったものにつきまして、それぞれ製造事業法を施行いたしております。いずれも特定の設備をつくったり、あるいは製造を始めたりというときには、防衛当局等と連絡をとることはもとよりでございますけれども、全体の生産の運行がスムーズにまいりますように調整活動を行なう、こういうふうにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/49
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050・橋口隆
○橋口委員 今回提案をされましたこの防衛二法案でございますが、これは昭和四十年、四十一年度と廃案になったと思うのでございますが、これによりまして、政府の防衛計画にはかなり支障を来たしておると思うのでございますが、その点についての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/50
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051・島田豊
○島田(豊)政府委員 四十年度、四十一年度の法律案は、一つは増員問題でございます。もう一つは第七航空団の所在地を入間から百里に移すという問題でございます。
そこでこの増員問題につきましては、毎年毎年艦艇なり航空機が竣工あるいは取得いたしますが、それに伴う人員についての増員が認められません関係で、どうしても艦艇の就役あるいは航空機の就役を行なわざるを得ない場合におきましては、既存の部隊から要員を集めまして、それによって編成をしていくということにならざるを得ないわけでございます。これが一年程度でございましたら、何とかやり繰りができますけれども、二年も続きますと、いろんなところに、要するに既存の部隊におきます面におきましていろいろ支障が生じてくるというようなことで、こういう不自然な状態は一日も早くもとへ返してもらいたいというふうなことを、われわれは念願をいたしておるわけでございます。
また、第七航空団の移転につきましては、これはすでにF104の航空機を取得いたしまして、二つの飛行隊が百里に展開いたしております。飛行群、整備補給群、基地業務群もそれぞれ百里に移っておりますけれども、司令部のみが入間に残っておるということで、その部隊の指揮、運用の面においていろいろ支障を来たしておりますので、これもできるだけ早く司令部の指揮下に部隊が入りますように、われわれとしては念願いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/51
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052・橋口隆
○橋口委員 この防衛二法案が成立すれば、四千三百三十一人の増員になるかと思いますが、これだけを四十二年度内に補充できる見込みは十分ついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/52
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053・宍戸基男
○宍戸政府委員 現在の各自衛隊の補充率は、必ずしも一〇〇%まではいっておりません。しかし、最近はだいぶ補充率も上がっておりまして、具体的に申し上げますと、陸上自衛隊で九〇%をこえる補充率になっております。こういう情勢から見ますと、今度の増員がございましても、最近の情勢から見ますと、陸上自衛隊につきましても九〇%以上の充足、補充は可能であろう。それから海、空につきましては、現在でも一〇〇%に近い、九八%か九九%の充足をしておりますので、増員がございましても、この程度の充足はできるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/53
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054・橋口隆
○橋口委員 補充自体はおそらく問題はあるまいと思いますが、国民、特に青少年が進んで自衛隊に入ることを希望するかどうかということは、自衛隊員の質に影響する重大問題であろうかと思います。そういう意味で、過去において希望者がどのくらいあって、実際どのくらい採用したという数字をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/54
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055・宍戸基男
○宍戸政府委員 毎年各自衛隊でほぼ三万人前後、二万七、八千から三万人くらいの補充をいたしております。実際に採用いたしました数がそういう数字でございますが、応募しました数字は、昨年度で約七万人ちょっと欠けますが、六万数千人でございます。それ以前はやはり八万人か七万人程度、大体こちらの採用計画の二倍半から三倍程度の応募者がございまして、その中から三万人前後の隊員を採用しておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/55
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056・橋口隆
○橋口委員 私は、自衛官が、今後非常に質のいい青年が喜んで参加するような、そういうようなムードが出てきてほしいものだと思うのでございます。ところが、自衛官に対する処遇というものは、現在ほかの公務員に比べて、非常に優遇されておるとは思われないのでございます。こういう点について、まずお伺いしたいと思うのでございますが、自衛官については、停年が少し早過ぎるのではないか。その仕事の性質上どうでございましょう。働き盛りの年齢で停年がきて、あとその性質上なかなか転職ができない、そういうことで困っておる向きもあるやに聞いておりますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/56
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057・宍戸基男
○宍戸政府委員 自衛官の停年は、最高の将クラスで五十八、それ以下階級によって若干違いますけれども、五十五、あるいは五十三、一般の中堅幹部で五十、曹の上のほうで五十、さらに下のほうになりますと四十五、四十三というふうな停年を現在つくっております。これは一般の公務員よりももちろん若い若年停年でございます。なぜこういうふうな若年の停年になっておるかと申しますと、もちろんお話しのように、自衛隊の職務から考えまして、非常に体力、気力を要する職務でありますので、そういう若年停年をしいておるわけでございます。これは自衛隊の職務上やむを得ない制度ではないかというふうに考えております。同時に、お話しのように、そういう停年をしきます以上、それに見合ういろいろな処遇ということが必要であろうかというふうに考えております。ただ、給与その他のことは、なかなか自衛隊だけの希望どおりまいらないのでございますけれども、従来いろいろな施策を講じて、今後も処遇の改善には努力してまいりたいと思います。若年停年でやめていく人たちの就職の問題も、もちろんございます。これは法令の制限に抵触しない限度におきまして、各地連その他努力いたしまして、現在では希望者の大多数が何とか就職をしておるという状況でございますけれども、だんだん停年の人たちも多くなりますので、今後も十分この施策は力を入れてやっていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/57
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058・橋口隆
○橋口委員 自衛官は、まだ年若くして親元を離れて来ている青年が非常に多いと思うのでございますが、隊内において福利厚生施設、特にまた医療衛生設備、そういうものが不十分なように聞いておりますが、そういう点について、今後どういうふうに整備されるつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/58
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059・増田甲子七
○増田国務大臣 総理大臣も、過般本会議におきまして、大出さんの御質問に対して、宿舎の建てかえ、隊舎の建てかえあるいは増設、昇任ワクの増大、あるいは自衛隊を退団した後における職業補導の関係を推進するとか、あるいは給与を改善するとか、営内の環境を整備するとかいうようなことにつきましては、特に力を入れますということを答弁いたしておりますが、私も総理大臣の御答弁の線に沿いまして、できるだけ改善するように、そうして自衛隊に入ることに若い人たちが魅力を感ずるようにいたしたいと思っております。全体として感じたときに、若い者ということをおっしゃいますけれども、平均年齢二十三歳という方々が二十数万名も国の守りに任じておる、一億国民がまくらを高くして眠ることができるようにしておるということは、非常に敬意を払うに値することであると思っております。そういう見地から、諸施設、諸条件の改善整備につとめたい、こう私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/59
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060・橋口隆
○橋口委員 ただいま長官のお話を聞いて安心しておるのでございますが、私は海上自衛隊が存在する鹿児島県の鹿屋市の出身でございますけれども、この自衛隊の方々を見るにつけましても、どうしてもこういうような非常に過激な、しかも一たん有事の際には命をかけて戦わなくてはならないような人たちのためには、十分めんどうを見てやることが必要であろうかと思います。また、社会的にもあたたかい目でこれを見守ってやることが大事だろうとも思いますので、どうか政府におかれましては、格段の御配慮を賜わりますようにお願いを申し上げる次第でございます。
次に、予備自衛官の現状についてお伺いをしたいと思いますが、この予備軍というのは、列国では非常にたくさん用意しておる。そして一たん緩急の場合には、それが非常に大きな戦力となるように聞いておるのでございます。予備軍、と言うと語弊があるかもしれませんが、わが国では、予備自衛官というものは一体どういうような現状になっており、将来それをどういうふうに増強される御計画であるか、それを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/60
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061・増田甲子七
○増田国務大臣 お説非常に私はごもっともだと思っております。ただいまのところ、退団者が四十万名ございますけれども、どうもその状況を完全に捕捉しがたい状態でございます。しかしながら、特定の会社、銀行等におきまして、自衛隊の経験のある方々が社交クラブをつくっておるというようなところもございまして、非常に私どもは喜んでおる次第でございます。ただ、退団者をもって構成いたしております隊友会というものが、定員は相当多いようなことをおっしゃっておりますけれども、実際は十万名以下でございまして、そこで予備自衛官が相当必要である、こう考えておりますが、予算の関係もございまして、今度皆さんに可決していただきました予算によって五百円ふえて、月に千五百円支給することに相なった次第でございます。そこで、今度の防衛二法におきましては、二万四千名とあるを三万名とするとして、六千名増というのが、今度の防衛二法による増員でございます。三次防の終わりまでにはどれくらいにするか、三万九千名ということに、国防会議においては一応きまっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/61
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062・橋口隆
○橋口委員 これに関連いたしまして、基地周辺の対策についてお伺いしたいと存じます。
わが国の自衛隊が健全におい立つためには、基地周辺の住民が積極的に協力をすることが、一番大事な問題であろうかと思います。そのためには、すでに防衛施設周辺の整備等に関する法律ができ、すでに運営されているようでございますけれども、この目的に規定するように、関係住民の生活安定と福祉の向上をはかることは、非常に大事な問題であろうかと思います。これについて、教育施設や公共施設に対する障害防止事項の助成、あるいは道路、有線放送、農業用施設等について、助成措置が大事であろうかと思います。また、自衛隊が行動されるために、民間に対して損失を補償しなければならない場合も出てくるかと思われます。これらに対して十分な措置を講じていただかないと、地元民は快く自衛防に協力しなくなるわけでございますので、私は、これは格別に政府がめんどうを見ていただくべきではないかと思うのでございます。その点につきまして、今年度並びに明年度においても、十分の予算を取ってごめんどうを見ていただきたいと思いますが、政府の方策はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/62
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063・増田甲子七
○増田国務大臣 橋口さんのお説には、全然、賛成でございます。そこで、おっしゃいましたとおり、防衛施設周辺の整備等に関する法律を、昨年度この国会におきまして通過成立させていただいておるわけでございます。もっとも、その法律以前におきましても、基地問題につきましては、福利厚生、あるいは基地周辺の方々が平安のうちに国民生活を送り得るように、諸般の対策は講じおりますが、この法律に基づきまして相当の予算を獲得いたしまして、本年度はさらに前向きの姿勢で、おっしゃいました各種の問題につきまして積極的に解決をしてまいりたい、こう考考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/63
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064・橋口隆
○橋口委員 この点につきましては、ぜひとも十分な対策をお願いしたいと存じます。
そこで、特にお願いをいたしておきたいと思いますのは、基地所在の市町村に対しては、現在基地交付金その他のいろいろな助成策が講じられております。しかし、もっと市町村一体となって自衛隊に協力するためには、何らかさらにこれを強化するような制度が、市町村自体に対して必要だろうと思います。たとえば基地協力市町村とでもいうような指定をして、そこには政府が特別にめんどうを見て、あまり紛争が起こらないようにする。そして自衛隊も気持ちよくそこで行動ができる。そういうような雰囲気をつくってやることが、大事だろうと思います。今後国防の重要性が論議されるにつきましても、私はこういう施設は非常に大事ではないかと思うのでございますが、これについて、防衛庁長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/64
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065・増田甲子七
○増田国務大臣 一応お答えを申し上げまして、政府委員をして補足せしめたいと思っております。私は、防衛協力市町村というようなことの指定がもしできたならば、歓迎いたします。しかし、現在のところは、協力会というものがたくさんできておりまして、もっともあまり熱心でないところもございますが、協力会というものが非常な数でどんどん増加しつつある。非常に歓迎すべき状態でございまして、こういうような協力会の方々が、もちろん市町村長が会長になっている場合もございますし、国会議員が会長になっている場合もございますが、ぜひ御協力を願って、国民の同意のもとに、御協力のもとに自衛隊を存続、発展させてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/65
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066・橋口隆
○橋口委員 種々防衛問題についてお伺いしたわけでございますが、この防衛問題は、過去の歴史に徴しても、また現在の国際情勢に即してみましても、非常に重大であることは申し上げるまでもないところでございます。ことに非常にばく大な国家予算を使い、また膨大な物資を消耗して、また一朝事あればはかり知れないエネルギーととうとい人命の犠牲を要求するものであると存じます。したがって、政府におかれましては、これから最も効率的に予算や物資を使用されますように、特に御留意を願いたいと思うのでございます。
また、わが国は、最近世界の最高水準をいく経済発展に恵まれております。国民も生活が非常に向上して、いまや平和を楽しんでおるところでございます。そのときにあたりまして、この三次防計画が国民経済の発展を阻害し、国民生活を妨げることのないように、十分の御配慮を願いながら充実していただくようにお願いする次第でございます。この点につきまして、最後に防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/66
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067・増田甲子七
○増田国務大臣 御高見、全然同感でございまして、つつしんで承りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/67
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068・橋口隆
○橋口委員 それでは、これをもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/68
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069・關谷勝利
○關谷委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/69
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070・大出俊
○大出委員 私、先般本会議で質問をいたしましたが、この本会議質問の総理の答弁がございますけれども、どうもこれとだいぶ違った御発言あるいは書いたものが三輪次官から出ておりますので、お忙しいところ恐縮なんですけれども、たまには当委員会の風に当たってもよかろうと思いまして、御署名がございましたのでおいでをいただいた次第でございます。したがって、お忙しいところでございますので、最初に御質問申し上げます。
佐藤総理の本会議における答弁からいたしますと——安保条約の期限と申しますのは、四十五年の六月二十二日ではないか。そうすると、四十六年までを想定をする今回の三次防であるので、そうなると、防衛計画というものも、第三次から第四次あるいは五次というふうに策定をされていく筋合いではないだろうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいという趣旨の質問をいたしました。総理の答弁によりますと、私が申し上げていない六次防まで飛び出しまして、まあ、次の防衛計画を立てることは必要だろうと思う。だがしかし、いまおっしゃられるように、最初から四次、五次六次というふうに、そういうものを考えるというようなことは毛頭考えていないのだと、はっきりこれは否定をされているわけです。だから、総理の答弁の趣旨からいけば、三次防をやっておいでになる過程で、必要であるということで考えていこう、こういうことになるわけでございます。ところが、あなたのりっぱな論文——たいへんりっぱな文章をお書きになっておられるわけでありますけれども、これは私の質問のあとでございますから念のために申し上げておきますが、六月十五日の「フォト」——これはどういうわけで無償で私どものところへ配付されるのかわかりませんけれども、この「フォト」に、まず、たいへん御勉強家である増田長官のりっぱな写真が入っておりまして、これはたいへん勉強されておられる。確かに、いま承っておりますと、ようも勉強されたものだと思うくらいであります。その次に三輪次官のりっぱな写真がお載りになっておりまして、三輪さんの署名がここに入っておる。この中で一つ、これは私見ということを断わってものを言っておられますが、私見であっても、歴代の防衛庁の主要な地位にある方が、防衛の、つまり装備の限度について話をされたことは、初めてであります。これによりますと、「私見だが今後これをさらに倍加するということは考えていないし、三次防以後遠くない時期に量的な限度はみたされようが、以後は必要な更新に力を入れていくこととなろう。」こう言っておられるわけですね。これは明確な発言であります。発言というより、あなたがお書きになったわけであります。ところが、さらに問題は、「国防」という、四月号がございます。この中でさらに明確な——私見とお断わりになっていない。対談相手がありまして、対談形式をとっております。朝日新聞の政治部の方で篠原宏さん。この中で何と言っているかといいますと、前段は、三次防はもっと大きなものにしたいと思っておったのだが、いろいろ大蔵省の筋からやかましく言われて削られた。その論争も公にすべきではないかと言ったら、ぜひもう公にしたいという御意見が出ておる。そうしておいて、三次防でたいへんに削られてしまったから、だから、四次防段階というものは、どうしても三次防が削られたものを入れなければならぬから、大きなものにならざるを得ない、こういうふうに言っておられる。「四次防は格段に大きなものにならざるをえないので、あるいはこれも大へんラフないい方ですけれども、もう五年延びて、あるいは五次防の段階でそういうところに達するのかな、という気がしています。」こういうふうに明確におっしゃっておる。そうすると、総理は、四次防、五次防——私は六次防と言ってないが、六次防まで含めて、そういうことはいま考えていないということを言っておられるわけであります。必要になるだろうが、考えていない。ところが、当面の責任ある次官のお立場からすると、三次防は削られた。だから、四次防はばく大もない、格段に大きなものになる。しかも五次防に延びて、五次防までやらなければならぬ。私はそう思う。もう四次防のほうは大きなものになると言い切っておられる。そうなると、国会で責任ある総理大臣、国防会議の議長が答えておるわけですから、だから私は念を押して質問をしているわけです。それを現職の次官が、片一方は署名入り写真入りということで、不特定多数の国民の皆さんにいまのような点を明らかにされるということは、私は何と言われても了解できない。その点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/70
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071・三輪良雄
○三輪説明員 「フォト」の解説につきましては、私が自身で書いたものでございます。したがいまして、その内容につきましては、私個人が責任を負うものと思います。
ただいまのお尋ねで、第三次防の途中で、必要があれば第四次防ということが出てくるであろうが、目下考えていないという総理のお答えと、私が四次防以降に限度を示したということの食い違いについてお尋ねでございます。これは先ほども御引用の中で、国防計画は長期計画が必要だということは、お触れになりました。それを五年にいたしますか、六年にいたしますか、いろいろ御意見があろうと思いますけれども、私ども事務的に考えますと、そういう長期計画というものが、三次防の次にさらにあるものと私は考えております。ただ、総理あるいは大臣からお答えをいたしておりますように、四次防というのは、まだ防衛庁として討議をし、決定をするというような段階ではございませんので、ここでいう四次防というのは、三次防に続く五年ないし六年の長期計画というような抽象的な意味において私は述べているわけでございます。
それからもう一つの点は、「フォト」について、限度を示したのは初めてだということでございますが、そういうために私は特に——署名入りでございますから、全体が私見でございますけれども、特にそこで私見とお断わりいたしたわけでございますけれども、三次防の御批判の中で、一次防、二次防、三次防とどんどんふえてしまって、一体どこまでいくのか。たとえば船でいうと、戦前の帝国海軍のようになるのではないかというような御心配といいますか、御批判がございます。そこで、その前にも、ごらんいただきますように、日本の今日の防衛は、日本の国土、国民を防衛をするという意味のわれわれの防衛力でございます。もう一つは、日米安保体制というものを前提とするということを考えますと、戦前のような非常に大きな海軍力、空軍力というようなものを持つとは、私として考えられませんし、したがって、この国土、国民をこの国土において守りますための所要の防衛力というものは、そう大きなものではなかろうと私は考えるわけでございます。つまり、どこまでも無限に量的にふえるのか、そういう御心配に対して、私としてはお答えをしたい気持ちがございました。そういう意味でそこにそう書いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/71
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072・大出俊
○大出委員 いまの御答弁たいへんよくわかるのでございますが、ただ問題は、防衛庁長官という立場ですと——これは増田さんは違います。私は、二十何年おつき合いいただいておりますから、知り抜いております。たいへん勉強されておることも、ここに書いてあるとおりでしょう。ところが、ずいぶんたくさん——本会議で申し上げたように、二十二名も十七年間でおかわりになっておるわけですから、その意味では専門家とはいえない。ところが、三輪さんになりますと、これはまさにこの道では最高の専門家といわざるを得ない、こういうお立場です。特に内局ですからね。そうなりますと、国民の皆さんが、二兆三千四百億、上下に二百五十億くっついている三次防がきまった。この三次防というものは、一体将来どこまでいくのだろうかというのが、国民所得その他の関係も含めて、みんなが注目しているキーポイントの一つですね、国民生活に関係があるのですから。してみると、国防の基本方針からいったって、国力に応じてとなっているのですから、そうすると、どこまでなんだという限度が知りたい、また国民に知らすべきである、こう考えるのは、あたりまえのことです。だから、本会議でその質問をしている。にもかかわらず、全くもって必要であろうと思う、しかし、四次防、五次防、六次防というようなことはいま考えていないと、こういうふうに答えられるとすると、その舌の根もかわかぬところから、片一方で限度を示される。私は無礼千万だという気がする。専門家であるあなたが、なぜそれならば少なくとも総理大臣に、国防会議の議長なんですから、長官を通じてはっきりものを言って、本会議で国民を相手にものを言うときに、少なくとも限度はここなんだということをなぜおっしゃらぬか。これはなぜそこまで持っていかないか。この点については、私はたいへんな責任だと思っている。しかも、こちらのほうであなたは私見とは述べていない。前に言っておられるのは、今回の三次防の基本になる、策定をされておる計画の中身に触れてずっと述べられておる。そうしてしかも一々それは公に国民の前で討論すべきだと言っておられる。そうしておいて、三次防で削られた、だから四次防は格段に大きくなる、しかも五次防が必要だ、ここまで言われるとなると、私見では済まないですよ。本会議で質問が行なわれているのは、あなたは責任者だから、御存じないはずはない。にもかかわらず、国民に向かって、みんなの目に触れるこういうものに、こともあろうに私見と断わっていない、そうなると、これは一体、総理の責任、防衛庁長官の責任と次官の発言と、これはどっちにいくのだ、どこにウェートを置いてどう考えればいいんだという問題が出てきますよ。もう一ぺんそこのところを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/72
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073・三輪良雄
○三輪説明員 総理、長官のお答えと私の発言とがいずれが重しというお尋ねは、もちろん申すまでもなく、総理、長官の御方針を受けて私は仕事をいたすわけでございます。ただ、その「国防」のほうは私見と断わってない、それから総理の明瞭なお答えと違うという御指摘でございますけれども、その「国防」は、三次防計画が国防会議でおきめいただきました直後のことでございまして、そういう意味では、国会の御発言と違ったことを私があとで述べたということは、当たらないかと思います。
それから、そういう限度があるならば、なぜ意見具申しないかということでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、私は私なりに考えることでございますけれども、これは陸海空のそれぞれ幕僚長というのが、最高の責任的な補佐機関でございます。そういうものと十分これは部内で討議をいたしました上で、いまの見通し得る段階でこの限度がよかろうというようなことになりまして、意見具申をするということであろうかと思うわけでございます。したがいまして、私は、その限度がどういうところかという具体的なことを申し上げるというよりは、これが無限に伸びるものではないのだということを申し上げたかったのでございまして、そういう趣旨で御了承いただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/73
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074・大出俊
○大出委員 いまの御発言の幕僚長というものがあってということばは、聞き捨てならぬ。あとからこの点はあらためて質問をいたします。いまの点は、あと二点ばかり質問をしてからまとめて申し上げますが、もう一つここで非常に重大な問題を承りたい。
これはあなたは先ほど責任を負うとおっしゃった。ところで、この中であなたの言っておられることは、「仮装脅威に備えるは当然」、こういう見出しです。あなたは署名入りで書いておられるから、責任を負うとおっしゃった。仮想敵国とよく私ども言います。それが悪ければ、対象国と言ったらよろしい。「仮装脅威に備えるは当然」、こういう見出しです。これは何といっておるかといいますと、これは三つ、はっきり聞きたい。一つは、「日本の近隣の国々の軍隊は、あるときはわが国をめざして激しい演習を行ない、」と言い切っておられる。どことどこの国が、いつわが国を相手に、わが国を仮想敵国にして激しい演習を行なったか、明確にしてください。
二番目。「わが国の海空の守りを調査する活動も活発に行なっている。」しかもその前段に——もう一ぺん言い直しますが、「あるいは艦艇、航空機を使ってわが国の海空の守りを調査する活動も活発に行なっている。」こういうわけです。どこの国とどこの国が、海、空とおっしゃっているのだから、海、空に分けて、わが国の守りをそんなにほんとうに調査活動を活発にやっているなら、具体的に言っていただきたい。
三番目。「近隣の国と文化的経済的な関係を開くためには、国防上の脅威について一切触れてはならぬ」——いいですか。「近隣の国と文化的経済的な関係を開くためには、国防上の脅威について一切触れてはならぬというようなことは、わが国の一部の人の独特な考え方ではないかと思う。」これは重大な問題ですよ。これは、私が質問をして、その中で触れている、長官もお答えになっているのですが、予算委員会で何べんも触れている。民社の永末さんからも出ている。あるいは社会党の横路さんや石橋さんからもたくさん出ている、この問題は、たいへんな論争を呼んでいるところです。この点についてあなたの言っておられるのは、「わが国の一部の人の独特な考え方」だという。私は独特な考え方の人の答弁を聞いた、本会議で。私は、この点に触れて明確に質問している。一体何に備える第三次防なのか、相手は何だという点について、ずっと触れている。仮想敵国が悪ければ、対象国でもいい、想定国でも何でもいい。いいが、しかし、それは一体どういうことなんだ、どこなんだということを私はるる質問をいたしました。これに対して総理がお答えになっている。総理の言っているのは、憲法に規定されているように、各国と文化的なあるいは経済的な形で仲よくやっていかなければならぬのだ、したがって、明確に、この防衛の仮想敵国あるいは対象国というようなことばを私どもは使っていないし、またそういうことは全然考えてもおりません、こういうわけです。全然考えてもいない、憲法に規定されておるように。予算委員会でも答えています。どこの国とも仲よくやって、文化的に、経済的に交流していきたいのだ、だから、仮想敵国だとか対象国だとか、防衛計画上の想定国だなんということは考えたこともないし、毛頭考えてもいない。何べんも繰返し、総理はこれを答えている。そうすると、あなたがここで取り上げているのは、「近隣の国と文化的経済的な関係を開くためには」——これは総理がいつも言っていることです。憲法に規定されている、国防上の脅威については一切触れてはならぬ、総理はそう言っているのですよ。文化的に経済的に仲よくしていきたい、貿易もやっていきたい、だから、そういう意味で仮想敵国だとか、対象国だとか、あるいは想定国だとかいうことは、毛頭考えていない、考えたこともない、こう言っておられる。そういうふうなことを言う人は、あなたのこれに言っていること、「一切触れてはならぬというようなことは、わが國の一部の人の独得な考え方ではないかと思う。」あなたははっきり言い切っている。佐藤総理大臣も、そんなら防衛庁の歴代の長官も、全部一部の特定な人になる。以上三つ、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/74
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075・三輪良雄
○三輪説明員 演習の問題と、それからわが国の海空の防衛上の調査の問題につきましては、私は後に申し上げますような理由で、こういう公式の席で国の名前をあげることは控えます。しかし、近隣の国がわが国の周辺において演習をやっておりますことは、単に自衛隊の調査というばかりでなく、そこを通行いたしております船も目撃をいたすわけでございますし、また新聞等でもしばしば報ぜられておりますように、たとえば東京急行というような飛行機が、わが国の沿岸に、もちろん領空ではございませんけれども、しばしば参るわけです。それからわが国の沿岸に漁撈をしているわけでもない、また故障しているわけでもない。ある地点にとまって調査をやっているとしか思えないものがあることも、事実でございます。それから演習につきましては、年数回、わが国の南の海上におきまして、潜水艦を含む演習が行なわれていることも事実でございます。それから一昨年の秋であったと思いますけれども、わが国の方向に向かいます相当大きな空軍の演習がございまして、これはわがほうのレーダーに映るわけでございますから、そういう点で把握ができるのでございます。しかし、これはそれぞれの国を守る軍でございますので、そういう演習をやることについて私どもが抗議をすべき筋でないと同様に、また、わが防衛を扱います自衛隊が、特定の想定のもとに演習いたしますことにつきましても、各国からそういう意味で非難、攻撃を受ける筋はない、かように考えるわけでございます。
それから、何に備えるかということを再々尋ねたのであるけれども、わが国には仮想敵国がない、あるいは対象国がないというお答えではないかということでございます。たいへん恐縮でございますが、戦前、わが帝国陸軍、海軍が相当な軍備を持ち、それぞれどういうことを目ざしておるかということが、まあこれはもう国民が大かた知っておるというような時期に、国会で軍部の大臣に対しまして仮想敵国はどこだというお尋ねに対しまして、わが国は平和を念願する国であって、どこの国も敵国と考えていないというお答えをしたということを聞いております。これは公の席で、ことに一国の総理がお答えになることは、もちろんそうでございますし、国の外交、政治方針としては、私、おこがましいことを申してすみませんけれども、当然のことと思うわけでございまして、わが国の国防方針でも、いかなる国とも善隣の関係を結んでいこうという方針は、明確に示されております。ただ、先ほど演習のときに触れましたように、わが国の防衛を担当いたしますものといたしまして、その防衛計画をいたしますのに、やはり特定の国が持っております現実の兵力、現実のそういうものと、こちらの距離、兵器の差、そういうものを考えまして、有効にわれわれは防衛することを考えなければいけないわけであります。そういう研究等におきまして、特定の国は名ざしませんけれども、しかし、それをたとえばこの場合はこの特定の国を考えているではないかということは言えると思うのですけれども、これは防衛計画を有効に立てます、あるいは演習を有効にやります上におきましては、そういった具体的なことを想定して考えるしかないわけでございます。そこで、そういうことを、いつ、こういう演習があって、これはよく分析してみれば、この国を相手にしておるではないかというふうな御指摘がありましても、それは防衛をやります側の研究計画の中身の問題でございまして、国として政治的、外交的にある国を敵国とか対象国とかいうふうに考えていることとは、全く関係がないのでございまして、そういう点につきまして、たぶんそのことの中にも触れたと思いますけれども、たとえばNATO諸国などが、これは明確にソ連の脅威を訴えておりながら、しかし、ソ連とは平和善隣の関係を結ぼうとあらゆる手段を尽くしてやっております。それが決して両立しないのでなくして、むしろそういうものが両立するということが前提であろうかと私考えましたので、そういうように触れたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/75
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076・大出俊
○大出委員 三番目のを答えて下さい。特定の人というのは、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/76
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077・三輪良雄
○三輪説明員 これをよくごらんいただきますと、対象国がないと答えるような者は、特定の人だと私申しておるのじゃございません。防衛計画上、あるいは研究上、そういう国の特定の具体的な事態を想定をするということをもって、これはその国に対する敵対行為であるというような非難をされても、これは防衛を担当しているものとしてやむを得ないところであるという意味で、政治、外交、文化的な善隣関係というものと、狭い意味の防衛を担当しておりますものが防衛上具体的な想定を考えるということとは別である。そういう点を御理解をいただきたい。そこで、防衛上のそういう問題をもって、直ちに仮想敵国であるとか対象国であるとかいうふうな言い方をなさるのは、いかがなものか、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/77
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078・大出俊
○大出委員 二つばかり承りたいのですが、この「どこの国の軍隊も、その国を守るために具体的な状況を設けて演習を行なうのは当然のこと」だ。つまりあなたは、そうすると、国を守る立場の防衛庁の次官ということになると、今日自衛隊の演習というのは、明確な想定国が存在をしておる。ただし、それを言わないだけだ、こういうことになりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/78
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079・三輪良雄
○三輪説明員 これは先ほども申し上げましたように、国として対象国というものがあるわけではないということ、これは申し上げたとおりであります。ただ、この国土、この国を侵入から守るために、どういう態様の侵入があり得るのか考えますと、これは具体的な事態を想定しなければできないわけでございます。そこで、その研究をとらえて、それではおまえはこれは仮想敵国かとおっしゃられては困ると申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/79
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080・大出俊
○大出委員 私は、何も仮想敵国云々と言っておるのではないのですよ。仮想敵国云々でまずければ、対象国でもよいし、演習上の想定国でもいいと申し上げておる。それは総理が答えにくければいいですよ。想定をする、これは整備計画ですからね。そうした整備計画というものは、防衛計画が前提にならなければ整備はできないでしょう。その防衛計画は一切明らかになっていない、こういう段階で討議をしているわけでしょう、あなた方、防衛計画を明らかにしようとされないのだから。そうでしょう。そうすると、防衛計画が前提になる。その防衛計画上の想定をしている国、これは当然なければならぬ。明らかだ。私はそう言っている。そこまでものを言っている。ところが、あなたのほうはそれについても否定をされている。こういうわけですよ。
それからもう一つ、戦前の大臣とあなたは簡単に言われるのだが、だれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/80
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081・三輪良雄
○三輪説明員 これは私、いまその用意がございませんので、海軍大臣の——いま違う名前を申し上げると悪うございますから、後ほど調べてお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/81
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082・大出俊
○大出委員 そんなことをいえば、戦前といえば、私どもみな帝国陸軍、海軍の一人ですよ。冗談じゃない。私も、豊橋の陸軍予備士官学校の出身です。私だって知らないわけではない。そこで、いずれにせよ次官、あなたの署名入りでこういうふうに書かれておる。しかもこの中には、「中共の脅威に備える諸国」ということで、まさに名ざしと一緒ですよ、この中であなたが言っているのは。毛沢東の言っているのをあげて、「アジア、アフリカ、ラテンアメリカをまず解放して、アメリカと西ヨーロッパの国々を包囲する、」と毛沢東が主張する。韓国や国府が、その国の防衛の目標をはっきりと中共と定めている。しかもオーストラリアのパートリッジ国防大臣、彼もオーストラリアの防衛目的というのは中共なんだということを明確にしている。日本の向こうにある国でさえそうであると書いてある。日本は中共の脅威ということを一番先に考えているのは、あたりまえだという意味にとれる。この中ではあなたはここまで明らかにして、「仮想脅威に備えるは当然」——そうすると、総理やあるいは防衛庁の長官がなかなかそこまではっきり言わない。あなたは、こちらの座談会でもはっきり言っておるように、もっとそのことを国民の前で論議すべきではないですかと記者が言ったら、そのとおりだと思う、こう言っておる。だから、あなたは実にきわどいところまでこの中で明らかにしたわけですよ。だから書いてある、まとめてあるところは、総理や長官が言うことと全然違ったことが出てくる。あたりまえの結論だ。現職の次官がそういうふうに扱って、世の中の不特定多数の国民にこういう書き方をされるということは、国会で論議をしているのですから、それと全然違ったことを言うということは、寒心にたえない。大臣、これはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/82
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083・増田甲子七
○増田国務大臣 まず、私は三輪次官の「フォト」に書いた時点は、六月九日あなたに総理大臣が答えられた時点と違うということを申し上げる。すなわちそれより早いのであります。そこで、われわれの考えといたしましては、よく四次防、五次防、六次防ということを言うのです。しかし、総理は、そのときになってみて初めて長期防衛計画を立てるのであって、現在の大出議員の質問に対して四次防をやりますということは言いかねます。しかし、長期防衛計画は必要でございましょうということを申しておりますから、これは包括的に申して、次官の申すこととあまり違っておりません。文理的に申せば違うかもしれませんが、総理は三次防で、あとは国防なしにするのだということはおっしゃっておりませんから、長期計画は必要なんだが、ただいまの時点、すなわち昭和四十二年六月九日の時点で四次防をつくるなんということは言われない。三次防の終わるころに長期防衛計画をつくって、そのときは四次防になるでしょうが、いまは申しませんということを申しておるのであります。これが第一点。
それから三輪次官が近隣諸国と文化協定、善隣友好する、あらゆる点においてやることは必要であるということは、三輪次官も認めておるのでございまして、ただ国防をお互いにしておったからといって、善隣友好の害になるという考えはおかしいものである。たとえば日米安保条約というものがございますが、お互いに国防はしております。それから日本とソ連とも日ソ共同宣言によって、完全なる平和条約ではございませんが、平和状態に立ち至っておりますが、お互いに国防はしておりますから、国防をしておったら善隣友好というものを害するという考え方はおかしな考え方だということも、これはきわめて自然な考えではないか。常識に合致しておる、こう思います。
それから対象国ということばは、実は従来の速記録をずっと読んでみましたところが、使っておる防衛庁長官もございます。しかし、私は使わせない。すなわち、正直に申しまして、二月前から使わせないことにした。二月前までは、対象国ということばを使っておったんです。それを使わせない。ですから、その前の論文はともかくも、その後の論文にそういうことを書くなら、大いにおしかりを願いたいと思います。約一月半ないし二月前から使わせなくなりました。どういう字を使うかというと、侵略者という字を使え。英語で申せばアグレッサー。それでは海賊もアグレッサーになる。レシフェというところでガルバン大尉というのが海賊行為を行ないまして、サラザールの全体主義国家に対して反逆を企てまして、侵略をして船を取ったのでございます。その船を取ったのをまた取り返すために、一種の戦争行為が行なわれました。これは防衛的の戦争行為でございませんが、カリビア海でとうとう取り返した、こういうことがございます。それからまた、国際公法上、交戦団体というのがございます。国際公法上認められておれば、交戦団体になるわけでございます。その交戦団体等もまた、侵略の可能性のあるものでございます。それからオーソリティというものがございます。これは自由諸国家でオーソリティと言っておるのでありますが、北鮮のことはオーソリティといっておりますし、南ベトナムのほうにおいては、北ベトナムをオーソリティといっております。西ドイツは、東ドイツのことをまだステートとは言っておりません。オーソリティと言っておるのであります。また、向こうさまのほうもこちらをオーソリティと言っておるところがあるかもしれません。北ベトナムも南ベトナムをオーソリティと言っているかもしれませんが、とにかくオーソリティというものも、侵略の可能性のある実力団結体である。それから最後にステートがくる。だからして、四つの侵略の可能性かあるものがあるのであるから、君たちは——というのは次官以下ですが、君たちはなぜ対象国といって、日本を侵略する可能性のあるものを国だけにきめるのか。国ばかりじゃないじゃないか。そういうものがある以上は、侵略者ということを言え。侵略者がこんなふうに侵略してきた場合にはこういうふうに対処するんだということの演習は、怠りなく猛訓練をやれということを指示しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/83
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084・大出俊
○大出委員 いまのお話の中で、二カ月前から対象国をやめた、あなたのほうはそれまでは対象国を使っていたというんですね。そこで、私はここで一つ申し上げたいのは、次官が先ほど来いろいろ言われた点について、ここであなたが例に引いているように、NATOをつくったから、したがって経済的な、あるいは平和的な舞台にソビエトを引き出すことができたということを、あなたが外遊したときに言った。否定しているわけじゃない。ならばなおのこと、演習をやる相手国を明らかにして現実にやっておると思うのですよ。あとからまたこまかく質問しますが、そういうことを一々ひた隠しに、いかなる場面でもあなたのほうは隠そうとするが、そういうふうにあなたのほうで割り切ってお考えになっているなら、対象国を何も変えなくてもいい。侵略者といえば、特定な国をささない。この演習の対象国はどこだといってしまえば、明らかになる。一般的な侵略者、アグレッサーだとおっしゃるならば、それは明らかにならぬ。なぜそういうことまでしなきゃならぬのか。国民の前に明らかにすべきだ。あなた自身も言っている。どうも国会で論議するのは歯がゆくてしようがない。あなたの座談会を見ても、そういうことが抜けておる。もっと、一応明らかにすべきものは国民の前に明らかにすべきで、国防論争で賛成、反対というのは、イデオロギーの相違もありますが、いずれにしても国の安全は国民の総意の前に立たなければならないのは事実だ。だとすれば、何も避けて通らうとすることはない。あなたの論文だって、一生懸命避けよう、避けようとして書いておられるのだが、総理や長官の言っておることよりはずいぶん明らかにされておる。そこに限度という問題も、私見だがと断わりながら出てくるわけです。長官に承りたいが、先ほどの御答弁で、次官が限度ということをここで明らかにしておるのは、どういうわけですか。あなたのは限度はないのですか。三次防、四次防、五次防、どんどんやらなければならぬとおっしゃるが、次官は、いまここで明らかに、三次防以後遠くない時期に量的な限度が満たされるならば、なぜそういうふうにお答えにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/84
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085・三輪良雄
○三輪説明員 私の先ほどお答えしたことに関連しての大臣へのお尋ねでございますので、私のことばが足りなかったら改めたいと思いますが、量的な限度と申しますのは、たとえば戦前の昭和七年に、帝国海軍の艦艇が百十二万トンでございましたが、現在動いておりますものは、ほぼ十二万トンでございます。そういうようなことから、無限にふえるのではないかという御心配があることは、先ほど申したとおりでございます。そこで、そういう量的に年々歳々にふえまして、将来は百十万トン以上になるのかということは、私は日本の島を防衛する日米安全保障体制を前提とするということから申せば、そこまではいかないだろうということで、おそらくそのときの情勢によりましょうけれども、ある限度がくる。そこで、あとは寿命がくるということもありますし、技術が日進月歩でございますから、そういうものを新しい近代的なものに変えていくということはある。そこで、私は四次防、五次防という名前がいまオーソライズされておりませんから、三次防に続く長期計画がかりにありとしましても、その内容は量をふやすことよりは質を変えていくことになるであろうということをそこで申したのでございまして、四次防、五次防、六次防、そういう長期計画は要らないんだという趣旨におとりくださると、それは私の真意ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/85
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086・大出俊
○大出委員 二つここで確認いたしたいのですが、一つは先ほど私がここで読み上げましたように、この日本を相手国として、あるいは想定国として、向こうもあるいはオーソリティといっておるかもしれません、とにかくそういう国を相手にして——これも相手だ。そこで、近隣の国の軍隊をオーソリティなりあるいはアグレッサーということにして、この激しい演習をやっておるといっておる事実は、お認めになりますね。
それからどこどこの国といって、どういう理由で言えないか、言えない点を明らかにしてください。
それからもう一つ、艦艇、航空機等を使って、調査活動が非常に活発に行なわれておる。これも言えない理由と、事実行なわれておる点の確認等を明らかにしていただきたい。
それからもう一つ、量的には、あらたが別なほうで言っておるのは、三次防、四次防というものは格段にふくらむ。だから、五次防というところで量的に大体満たされる。この考え方を長官お認めになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/86
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087・増田甲子七
○増田国務大臣 限度いかんということでございますが、私はまだ勉強中でございましてよくわかりませんが、昭和三十二年に決定されました、閣議の決定を見ました国防に関する基本方針、すなわち通常兵器による局地的侵略に対処する、しかも国情、国力に応じて防衛力の整備をはかる、この方針が限度でございます。そこで、将来策定されるべき四次防は、量のほうがなくても、質のほうだけふえればいいということは、まだわからないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/87
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088・三輪良雄
○三輪説明員 演習が行なわれております事実につきましては、いっそういう演習が行なわれたかということは、申し上げることはできます。なぜ国を言わないかということでございますけれども、先ほども申しましたように、国と国との関係は、善隣友好の関係を保つべきであるということが前提でございますので、公式の場でどこの国がわが国を目ざしてやっておるということを触れるのは、エチケットに反すると申しますか、そういうことは心がけなければならないものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/88
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089・大出俊
○大出委員 いまのような考え方からするならば、もう一つ長官に聞きたいのですが、そう一々避けて通らなければならぬことはないと思う。そこで、先ほど三輪次官は、量的には充足をされると、一つの限度を出しておられる。長官は勉強中だからわからないと言われる。これは統一しておいてください。また書かれたら困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/89
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090・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、先ほど橋口委員にもお答えいたしましたが、たとえば飛行機でございます。飛行機は、いま千九十機あるのが、昭和四十六年末には八百八十機になってしまうのです。これは二百十機も少なくなるのですから、量的にはやはりいまの限度くらいはあっていいんじゃないかと私は思っております。しかしながら、三輪君も非常な勉強家でありまするし、長期にわたって防衛庁を担当しておるわけでございまするから、おそらくどちらへウエートを置くかというと、四次防では量よりも質のほうへ置いて予算を獲得するという、一種の予算獲得戦術というようなことも研究しておかなくちゃいけませんから、そういうような見地から三輪次官が考えられた論文ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/90
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091・大出俊
○大出委員 そうすると、これはそこで食い違われておると、またあなたは書くときに量的な限度がどうのこうのと書いても困る。そういう惑わせ方はいかぬですよ。大臣は、三輪君は勉強家だから、おれはこう思う。三輪君は専門家でこうだと言っておる。そこで二人違うことを言っておる。そうすると、三輪さん、大臣の言われるとおりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/91
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092・三輪良雄
○三輪説明員 私の発言は、大臣の御指導のワクを出るものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/92
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093・大出俊
○大出委員 そうすると、限度はないということになる。いいですな、それで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/93
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094・増田甲子七
○増田国務大臣 たびたび申し上げておりますとおり、それからまた、勉強家の大出さんがわからないはずはないのでございまして、昭和三十二年に決定されました国防に関する基本方針というものは、あくまで通常兵器による局地的侵略に対処する……。(大出委員「対応するだ」と呼ぶ)対処も対応もあまり違わないのであります。それで対処し得る、しかも国情、国力に応じた自衛力の整備、充実をはかると、こういうわけでございまして、限度はそういう線で明瞭にございます。やはりお互い国会議員、政治家でございますから、日本語に書いてある常識の線に限度はあるのだということで、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/94
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095・大出俊
○大出委員 この基本方針からいきますと、国情、国力に応じまして漸増なんです、これは。そうすると、だんだんふえていくということになる。そうでしょう。歯どめはないでしょう。あなたは常識と言うけれども、その常識で、どこかに限度があると書いてありますか。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/95
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096・増田甲子七
○増田国務大臣 漸増とあるのは、前の安保条約に漸増とありますが、その字を受けたわけでございまして、少しずつ少しずつふやしていくわけで、たんとずつたんとずつふやすわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/96
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097・大出俊
○大出委員 前の安保条約を受けようと、一次防、二次防、三次防、その前の国防基本方針、これも受けておるわけですからね。そうでしょう。そうすると、これは漸進、ふやしてまいります、国力、国情が許せば、こういう解釈にならざるを得ぬじゃないですか。だから、限度がなくなるという。だから、一体どこかに限度があるのかないのか、聞いておる。同じことを答えていれば、あくまでも漸増なんですから、限度がないことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/97
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098・増田甲子七
○増田国務大臣 漸進的といえば、やっぱり漸進的で、急進的ではございませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/98
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099・大出俊
○大出委員 漸進的にふえるので、減るんじゃない。漸進的にふえる。ふえておるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/99
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100・増田甲子七
○増田国務大臣 国防というものは、やはり相対的なものでございまして、どこの国を特定の国として対象はいたしておりませんけれども、兵器の進歩というものもございまして、数はふえなくても実質がふえた場合に、漸進的に整備するということばになると思いますが、あなたのおっしゃるような、何かめどがないとか歯どめがないとかいう御心配は、第一大蔵省がなかなか渋くて、これはもう御安心なすってけっこうでございます。とてもじゃないけれども、日本は国防に対して三千円一人頭出しておるだけでございます。アメリカでは十万円出しておる。それからロシアでは六万円出しておる。日本は三千円でまかなっておるのですから、これが漸増といえば、まあ三千円が三千二、三百円になるというようなところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/100
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101・大出俊
○大出委員 あなたは不用意にそういうことをおっしゃると、やがてその三千円が三千二、三百円で済まなくなったときに、あなたその発言が残るのですよ。まともに聞いていいですか。そんないいかげんな答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/101
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102・三輪良雄
○三輪説明員 数字の問題でございますので、私、政府委員じゃございませんが、便宜補足さしていただきますが、ただいま三千円と申したのは、昭和四十年度予算か——年度は各国で若干違いますけれども、わが国の昭和四十二年度予算に当たります会計年度で、イギリスの戦略研究所がミリタリー・バランスというもので資料をとりましたものの額を試算をいたしてみますと、わが国は約三千百円であります。第三次防の末年になりますと、まだわかりませんけれども、これは六千円前後になろうかと思います。これはそういう意味で、ただいま大臣の数字が限度だというおことばでございましたので、まだそのあとのほうはわかりませんけれども、補足をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/102
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103・大出俊
○大出委員 だから、私が言っているんだ。あなた三千百円か三千二百円になれば限度だと言う。大蔵省が渋いから、それっきりしか出さないと言う。次官のほうは、六千円になると言う。何を言っているんですか。言い直してください。そんなふまじめな答弁ありますか。何を言っているのだ。とんでもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/103
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104・増田甲子七
○増田国務大臣 別にふまじめではないのでございまして、先ほど橋口委員に答えたところが、正確な数字でございます。すなわち、二兆六千億というふうにおそらくなると思いますので、その際には、政府で発表いたしました五カ年計画、経済社会発展計画における国民所得は二百二兆円と書いてございまするが、識者の見るところでは二百二十兆円くらいでございましょう。そうするというと、国民所得から見て一・三%まではなっておりません。よその国を見ますというと、一〇%の国もあるし、一五%の国もございます。そういうわけで、そう飛躍的に増大するものではないのです。やはり漸進的に整備をするという字は、常識的に解釈していただいて、百円、二百円のことを私はまだ正確には存じませんけれども、昭和四十年における日本の一人当たりの国防の負担は三千円であって、そのときのアメリカ合衆国が十万円である、こういうことを御参考に申したわけでございまして、要は、お互い政治家として、漸進的に整備をするということが書いてあれば、飛躍的の増加ではないということに御認識を願いたい。まじめ、ふまじめの問題ではない、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/104
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105・大出俊
○大出委員 あなた、この三千円が大蔵省渋いから三千二、三百円しかどうせふえない、それが漸進的という意味だ、こうおっしゃるから、だから、記録にとどまるんだから明らかにしておいていいかと念を押したら、隣のほうから、そうじゃない、六千円までいくんだ。これはまるっきりどっちを信じていいかわからないじゃないですか。まじめ、ふまじめの問題でなければ、これは明確に数字の問題です。あなたは三千二、三百円が精一ぱいだ、そういう答弁はないでしょう。いかぬですよ。そういうことは、歴代の長官の中で——私も三十二年にきまっている国防の基本方針について、松野前長官にも質問をした。松野長官は、向こうの岸が高くなればこっちの岸も高くせざるを得ないという答弁です。そうなれば、これは切りがない。漸進的にということは、そういうことだと言う。前の長官は、向こう岸が高くなればこっちも高くしなければならぬというのが、漸進的だと言う。あなたは、三千円が三千二、三百円にふえれば精一ぱい、どういうことになるのです。次官のほうは六千円だと言う。ここのところをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/105
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106・三輪良雄
○三輪説明員 先ほど私がお答えいたしました数字に伴いますものでございますから、申し上げます。国民所得が伸びてまいります比率に応じて伸びるということを考えますと、そういう程度になるであろうと考えるのでございます。まだこれは年次別の予算等はきまっておりませんので、ここで申し上げた金額になるということをここで申し上げるわけでございませんけれども、国民所得がいま年々ふえます比率に応じまして伸びていくものとすると、その見当になると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/106
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107・大出俊
○大出委員 ならないのがおかしいですよ。これは三輪さんのおっしゃるとおりなんです。間違いない。松野前長官は、二%に持っていくと言い切っておる。そうでしょう。国民所得に対して二%にしたいと言っておる。だから、GNPの伸びが上がっていけば、間違いなくますます大きくなる。しかも二%にしようということだ。一体二%どころじゃないのですよ。そういう目標を立てておられるわけです。それは間違いないのです。産業サイドのほうだって、みんなそう言っているじゃございませんか。そこへもってきて、どうも大蔵省が渋いから——それは、増田さんが言ったのは、私が相手だから言ったのだろうと思いますけれども、そういう言い方はない。それははっきりしていただかなければ困る。その二%ということが消えていないならいない、漸進的にということは、将来そこに向かって進めていくということならいく、ひとつ明確にしてください。困るじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/107
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108・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、数のことを申し上げまするが、私の勉強した範囲のことを言いますが、要するに二兆六千億というのを五で割ってみますと、大体五千億という数字が出ます。これはベースアップの態様もあってよくわかりかねますが、そこで、一億人で割ると五千円という数字が出るわけです。そこで、本年度のことを言っているわけでございますけれども、本年度は三千八百九億です、正確に言えば。それで、一億人と仮定して私は昭和四十年度のことを三千円だということを申したわけでございますが、国防費の総額が三千億円でございましたから、三千円である。昭和四十一年度は三千四百億円でございますから、それで一億で割ると、三千四百円になると考えたのであります。それからことしは、正確に言えば三千八百九億円ですから、一人当たり三千八百九円。それから五年間で二兆三千四百億、二百五十億をプラスといたしまして、それにベースアップを相当余裕を持って見まして二兆六千億になると仮定して、それを一億人で割ってみますと——一億二百万人くらいになるかもしれませんが、とにかくそうすると五千円くらいになりますから、飛躍的にはなかなか財政当局もふやすことを認めないのだという意味で、三千二、三百円以上にはならないのだということを言ったかもしれませんが、その点は昭和四十年度でございますから……。現に昭和四十二年度は、三千八百九円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/108
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109・大出俊
○大出委員 しろうとの目の子勘定みたいなことは、うまくないんですよ。いま国防の基本について討論しているのですよ。ちゃんと二%という目標を立てておる。したがって、私は総括的にものを言いますが、先ほど来のお話を聞いていて、次官の言われた、四次防がふえて五次防が量的に限度がくるということを、長官は否定された。したがって、長官が考えていることでないことをお書きになったことになる。時期的にそれはズレがあるとおっしゃるなら、それは認める。しかし、将来に向かって、こういうふうにかくのごとく大きく取り上げる中で、そういう誤解を生むようなことを書くべきじゃないですよ。その点は明確にしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/109
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110・三輪良雄
○三輪説明員 先ほど申し上げましたことにつきましては、私が前に書いたことでございますが、長官からそういうものについてあらかじめお許しを得るように御指示もございますので、今後事前にお許しを得て載せるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/110
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111・大出俊
○大出委員 じゃ、異例の措置で三輪次官においでをいただいたから、長い時間をとらせる気持ちは毛頭ない。そこだけ申し上げたいのです。その辺が、一々聞いていますと、これはいま海原官房長おられるけれども、神奈川に来てあなたが演説したとおりです。各党おのおの考え方が違うのだから、そう簡単にあなたが書かれたのでは、世の中は混乱して困るんですよ。気をつけてください。
増田長官にひとつ承りたいのですがこの間あなたは本会議で勉強された学のあるところを答弁されて、私もたいへんこれには参ったわけですが、そこで実はその点について少し承りたいわけであります。何かしらぬけれども、局地的な——これは三次防の中身なんですが、局地戦以下の侵害に対してということに対してのあなたの御答弁であります。正確にあげて申し上げておきますが、一般方針にいうところの「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。」この点、これが実は計画の一般方針の(一)なんですが、(一)の冒頭、これは基本です。「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。」これがこの一般方針の基本です。これに対して私は、今回のこの三次防というのは、あくまでも整備計画であって、防衛計画ではない。防衛計画が明らかにできないとするならば、ここのところについて「通常兵器による局地戦以下の侵略事態」というのは、一体どういう事態なのかということを御質問を申し上げたはずなんです。そうしたら、あなたのほうの答弁はどういうことかというと、通常兵器による局地戦というのは、通常兵器による局地戦だ、こういうお答えがまず出てまいりました。正確に読み上げておきましょう。「通常兵器による局地的侵略とは、」——私は侵略と言ってない。「通常兵器による局地戦以下の侵略」——以下が入っている。「とは、通常兵器による局地的侵略でございます。」こういう答弁でございます。再答弁をあなたはされましたが、再答弁の中であなたは「それ以上はほんとうは解説しにくいのでございますが、」と言っている。「解説をしにくい」。そこで、外国語を使うことはあまりよくないけれども、使うと、「コンベンショナル・ウエポン」こう言っておられる。コンベンショナルというのは、ありきたりの、形式的な、普通の、月並みなということばでしょう。ウエポンというのは、兵器ですから、これはどこかに使ってあるんだろうと思いますけれども、そういうものだ。だから、「従来ありきたりの兵器による局地的の」——局地的というのはパーシャル、こういうふうにあなたのほうでお答えになったんですが、このコンベンショナル・ウエポンあるいはパーシャル、こうおっしゃっておるのですが、この前後の関連がわからない。もうちょっとここのところ、英語でもけっこうですから、非常に勉強されて——勉強しておるとあなたもおっしゃっておるし、確かに勉強している、ここを見ると。そこのところの関連、前後どうなっているのですか、お教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/111
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112・増田甲子七
○増田国務大臣 その前に、親愛なる大出さんの御質問でございますが、私は、一つ反駁させていただきます。しろうとの無責任なる数字は困るというお話でございましたが、これは訂正をいたしていただきたいと思います。私は、大蔵省との関係は、ほとんど私一人でやりました、最後は。数字等はこまかくよく知っております。そういう関係で、昭和四十六年のことを申しておるのではございませんで、昭和四十年の国防費は一人頭三千円になるということを申したのに、次官が昭和四十六年には六千円になる、こういうことを言ったのでございますが、平均にいたしますと、かりに二兆六千億円といたしまして、五千億円くらいであるから、平均では五千円になります、一億で割ってみますと。これは私は防衛庁長官という職責を持った立場の一種の専門家として言うんですよ。そして数字では、大蔵省との関係では一月、私は自分一人で苦労いたしまして二兆三千四百億円の第三次防を獲得したつもりでございます。それで%はどうなる、こうあなたがお聞きになれば、即座に私は答えるだけの、数字には私はわりあいに強いのですから、そこを、あなたは全然しろうとの無責任な数字ということでは困ります。つまり大蔵省に対して一生懸命予算を獲得する責任が各省大臣にございますから、そういう責任ある数字でございますから、一言申し上げておきます。
それから通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対処する、そういう実力を日本の自衛隊が持っておるということはどういうことか、これこそは私はほんとうのしろうとでございまして、それに対してはあまりお答えしにくいのでありますが、在来の兵器と申しましても、第二次大戦のときの兵器よりも、在来の兵器というのはまたいろいろ変わっております。おっしゃるとおり、相対的の関係でございますから。たとえばナイキ八一キュリーズとか、ナイキアジャックスとか、あるいはホークなんというものは、おそらく第二次大戦にはなかったのでございましょう。しかしながら、私どもが大ざっぱに言うならば、これもしろうととしてお許し願いたいのですが、つまり核兵器なんかでないというような意味に、私は大ざっぱにとっております。核兵器なんかではないその他の兵器による日本の局地に対する侵略が行なわれた場合には、その局地的侵略には、これに対処する実力が日本の自衛隊にある。これに対処する実力とは、局地的侵略を阻止し、あるいは侵略がすでに既成の事実として行なわれた場合には、これを排除する実力がある、それが日本の自衛隊でございますということを申し上げまして、それ以上の力は日本の自衛隊にはございませんから、日米安保体制のもとにおいて、日本国家の平和と安全とを守り、国民一億の方々にまくらを高くしてお寝かせ申すことができるようにする責任を果たしておるのが、自衛隊である。そこで、局地的という字を英語でよろしいということでございますから申し上げますが、パーシャル・ウォーというようなことを言っております。あるいはリミテッド・ウォーというようなことをいっておりますが、リミテッド・ウォーというのは、どうもあれをやっちゃいけない、これをやっちゃいけないといったような、何だかもう一つ違った意味もあるようでございまして、私もやっぱり、パーツに対する、部分部分に対する、パート、パートに対する侵略があった場合に、これを排除し、これを阻止する実力がある、またその実力を持つようにこれを設定し、これを訓練をしておるのが、日本国の自衛隊でございます、これだけのお答えをいたしておきまして、あとのことはまた政府委員に補足させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/112
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113・大出俊
○大出委員 いまの最初の御発言に対して申し上げますが、私が御質問を申し上げたのは、もう一ぺんはっきり言いますが、この国防の基本方針がございます。この中に、「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」こうある。そうなると、これは一体限度があるのか、ないのか、幾らになるのだと、私はこういう質問をした。私は、四十二年度のことなど、初めから一つも言ってない。あなたのほうは、いま聞いてみると、かってに四十二年度の数字をお答えになった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/113
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114・増田甲子七
○増田国務大臣 四十年度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/114
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115・大出俊
○大出委員 四十年度ならなおのこと。私は、先の話をしている。「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」というと限度がなくなるじゃないか、これは一体幾らになるのだと。そうしたら、あなたは三千円だと言いだした。そうなると、話は、初めからあなたは私の質問に答えてない。私は、第三次防の基本について質問を初めからしているわけです。第三次防というのは、あなたが御存じのとおり、二兆三千六百億になる、二百五十億上下差があるから、つければ。だから、そうなると、そこに給与がふえていくということになれば、当然それは三輪さんの言うように、最終的には一人当たり六千円くらいになる。そうでしょう。私はそのほうの話をしているのだが、あなたは一人合点で四十年から話を始めたりする。さっきの漸進とはどういうことになるのか、二%という目標を持って進めているはずじゃないか、こう言っているわけですからね、私の言っているのは。誤解のないようにひとつお答えいただきたい。
それから、いまの御答弁によると、パーシャル・ウォーあるいはリミテッド・ウォーという、どこかに書いてあるという。そうですね、どこに書いてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/115
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116・増田甲子七
○増田国務大臣 私の知識というのは、安全保障問題調査会というのが自民党にございまして、そこに三年おりました間に、いろいろ読んだ。いまの英語の統計数字にもございまするが、その他各般の文書から出てきた字であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/116
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117・大出俊
○大出委員 ちょっとおかしなことになりますがね。政党政治ですから、自民党の安全保障調査会で調査をやっております。確かにありますよ。私もこれは持ってきておる。これを見てください。こんなに大きいものをあなたのほうは出しておられますね。ここには英文がちょいちょい少しずつくっついているところもあります。
ところであなたの御答弁、私は非常に奇異に感じたのですがね。ところで出していただきたいのですが、「コンベンショナル・ウエポンと書いてありまして、」と、こういうわけですね。どこに書いてある。書いてあるものをいただきたい。次に「パーシャルと、こういつております」、どこでいっているのですか。それも出してください。そうしないと、わからない。しかもあなたは「解説しにくいのでございます」、解説しなければならぬことばを、日本の防衛にお使いになるのですか。出してください。わからぬじゃないですか。あなたはこれしか答えようがないとおっしゃる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/117
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118・増田甲子七
○増田国務大臣 これは各般の文献でございますから、「ミリタリー・バランス」にもございまするし、「USニューズ・アンド・ワールド・レポート」にもありますし、新聞等にもありますわけでございまして、一々出せと言われましたならば、時間がかかってよろしいなら出します。出しますが、普通は、私が本会議で同じことばを申したようで失礼に聞こえたかもしれませんが、やっぱりお互いに通ずる常識、社会通念で通常兵器による局地的侵略ということばは解釈していただきたい。すなわち、大出さんの持っていらっしゃる良識、増田甲子七の持っている常識によって。通常兵器による局地的侵略というものは、それ以上にこまかい解説をしろと言っても、長官といたしましては解説しにくいのでございまするから、こまかい解説はひとつ政府委員にいたさせますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/118
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119・大出俊
○大出委員 そう言っているのじゃない。よくお聞きいただきたいのですが、ここで私が事本会議で質問していますのは、あなたのほうのお立てになった計画、第三次防衛力整備計画の大綱、昭和四十一年十一月二十九日、この中の二、計画の方針、(一)一般方針、こういうことで「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、」とこう明確に書いてある。これは日本の国防に関する計画の大綱なわけですね。そうでしょう。そうすると、皆さんが、通常兵器による局地戦以下の侵略と、こうお書きになった、これを御決定になった、その根拠は、一体どういう事態に対して通常兵器による局地戦と言うのかと私が質問していることに対して、解説しにくい、英語で言ってはちょっとまずいけれども、それよりもしようがないのだと言うので、コンベンショナル・ウエポンと書いてあるのですと、こうあなたはお答えになった。そうなると、あなた方が決定されている通常兵器による局地戦以下の侵略というのは、どこかで英語でコンベンショナル・ウエポンと書いたものがある。それを持ってきたことになる。だから、解説しにくいという。日本のことばじゃない。コンベンショナル・ウエポンというものは、あなたは訳してみると、通常兵器による局地戦以下の——局地戦というところに「パーシャル」が入っている。局地戦以下の侵略事態に対しと、こうなる。こうしか受け取れぬじゃないですか。だから、その基本になるものを出してくれと私は申し上げている。お答えください。そんなばかな話がありますか。日本の計画じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/119
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120・増田甲子七
○増田国務大臣 とにかく通常兵器というものを向こうのことばから翻訳したわけではないのですよ。ただ、わかりやすいためにもし外国語を使うことを許されるならば、こんなふうなものですということを申し上げたわけで、コンベンショナルなんという字は普通使っていますから、在来のというようなことである。そこで、われわれが戦時国際公法上使うことを禁止されたような兵器は困るのです。たとえばダムダム弾だとか、細菌だとか、毒ガスだとか、あるいは核だとか、そういうようなものに対処する力はありません。ただ、通常兵器による局地的侵略があった場合には、これを阻止し、これを排撃する力がある、その限度で自衛隊の漸進的整備をはかる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/120
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121・大出俊
○大出委員 私が言っているのは、あなたがここで答えているのは、いいですか、「コンベンショナル・ウエポンと書いてありまして」こうお答えになっているのですよ。一番わかりやすいことばで言えば、ここに書いてあることは日本語なんだから、通常兵器による局地戦以下の侵略事態というのはこういう事態だと言えば、一番簡単だ。わかりやすい。だれにもわかる。ところが、わざわざコンベンショナル・ウエポンと書いてあると、ちゃんとあなたは答えている。何に書いてあるのですか。そこにもってきて、あなたの言っているのは、解説しにくいと言う。局地戦とは何だと言ったら、パーシャルと、こう言っている。ここに書いてあるのは、日本語ですよ。これを私は質問したのです。あなたは書いてあるなら、書いてあるものを持っていらっしゃい。そうでなければわからぬじゃないですか。一体何に書いてあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/121
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122・増田甲子七
○増田国務大臣 「というわけでございまして」という意味でございますから……。私はまだ速記録を読んでおりませんが、書いてあるということばでしたら、そんなことはどこにも書いてございません。ただ、そういう文献はある。書いてあるということを言ったならば、英語でもし言うことを許されるならば、在来の兵器、コンベンショナル・ウエポンということでございますという意味とおとりくださるように陳情いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/122
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123・大出俊
○大出委員 これは「というわけであります」というのじゃないのですよ。「通常兵器による局地的侵略とは、それ以上はほんとうは解説しにくいのでございますが、通常兵器というのは、普通は在来兵器といったほうが正確でございます。外国語を使うことはあまりよくないのでございますが、コンベンショナル・ウエポンと書いてありまして、従来ありきたりの兵器による局地的の——パーシシャルと、こういっておりますが、局地的の——全面的に来れば、これはとても日本の自衛隊は力はありませんが、局地的に在来の兵器を使った日本に対する侵略があったならば、これを阻止し、これを排除できる、そういう範囲が日本の自衛隊の現在の実力でございますということを補足申し上げる次第でございます。」——「ということでございます」と、どこにも書いてない。この御答弁から行きますと、どうも私、勘ぐるわけじゃないですけれども、この自衛隊のおい立ち等からいって、一々向こうさまの許可を得なければ何もできないでしょう、実際問題として。そうなると、これは通常兵器による局地的以下の侵略事態に対してということにしなさい、こう言われた。これを訳すというと、コンベンショナル・ウエポンということばを使って、しかもパーシャルということばを使って、そういうものがある。それを日本語に訳すと、どうも通常兵器による局地的以下の侵略事態に対してと、こういうことになる。だから、それを深く突っ込まれてみても、どうも解説しにくい。何しろコンベンショナル・ウエポンと書いてあるんだ。局地的のというのは、パーシャルでしょう。パーシャル、こう書いてある。こういうことになるわけですね。私は、あなたどう思っているか知りませんけれども、——それは私も、この四年間、たとえばここで何もしないでいるんじゃないんです、ものを読んでいるのですから。そうすると、これはあなた、ずいぶん明らかなことなんで、これはいまさら言ってもしょうがないと私は思っておるくらいのことなんですね。ということは、例のオリンピックの聖火だって、あれを運ぶときにどうやったか、これは明らかなんです。海上自衛隊のP2V——対潜哨戒機ですよ。これを使うのにも、MSAの軍事目的以外の使用だからということで、顧問団に正式に許可を求めているじゃないですか、あなた方のほうで、これは明らかだ、明確なんだ。しかも在日米軍事顧問団というのは、一九五四年の三月から日米相互防衛援助協定、MSA協定七条で設置されておる機関ですよ。これはなくなっていないです。しかもこの中でいけば、いいですか、アメリカの援助、兵器の利用、保管、軍事訓練、作戦の指導、防衛計画の基本方針、ここに至るまで指導と許可なしにはできないんじゃないですか。明らかなことです、そんなことは。だから、あなたはコンベンショナル・ウエポンということを言い出すようになる。書いてあるということになる。そう受け取らざるを得ないじゃないですか。だから、そうなら、そうであると言ってくれればいいじゃないですか。何も避けて通る必要はない、こう私は申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/123
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124・増田甲子七
○増田国務大臣 とにかく、書いてあると言ったつもりは私はないのですけれども、速記録にあるのでしたら、書いてあると言ったのでしょう。そこで、書いてあるという意味は、文献に書いてあるという意味でございまして、向こうさまが何か日本に対して注文をつけるというような意味で、これは書いてあるわけではございません。それから、MAAGというようなものが日本に一々いま世話をやきませんから、ただ協力しているだけのものでございます、在日軍事顧問団というものは。それから、日本の第三次防に関する方針を、要綱をつくる場合にでも、少しも向こうさまなんかに相談をいたしておりません。でございますから、お疑いは杞憂でございますということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/124
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125・大出俊
○大出委員 杞憂とあなたはおっしゃるんだけれども、あなた方は、その間の事情をいつも明らかにされない。だから、杞憂であるかないかというのは、事実に基づく実情証拠なしのやりとりなんです。だから、さっき皆さんに申し上げている。皆さんの書いていることは悪いと言っているのじゃない。できるだけやはり明らかにすることはして、避けてお通りにならぬほうがいいんじゃないかと私は言っている。やはり明らかにすべきものはすべきだと私は思っている。そうしなければ、同一平面上の論議ができない。だから、私は、先ほどあなたが安全保障調査会におられたとおっしゃるから申し上げるのだけれども、安全保障調査会が「日本の安全と防衛」というのをお出しになっていますね。これは御存じでしょう。この中で局地戦争という問題に触れているんですよ。政党政治が行なわれているんだから、あなたが安全保障調査会の引例をされても、一向さしつかえない、皆さんの与党の機関なんですから。そのことは私も何も否定しない。だから、率直に言うべきものは言うべきだ。局地的なつまり侵略事態、それは一体どういうことをさすのか、私が聞いたときに、この中で触れているでしょう、なぜあなたはそれを御説明にならぬのですか。いいですか、「第一編わが国の安全を脅かす諸情勢」「第一章「対日解放戦」の可能性」(1)に宣伝工作——浸透工作、(2)に労組工作、(3)に潜入工作。この潜入工作というのは、非常にこまかく解説している。「小型船艇による接岸、隠密揚陸は比較的容易であろう。ソ連海軍の潜水艦が極東海域に百二十隻は配置されているということであるから、ソ連がこの潜水艦を使用して隠密裡に日本の海岸に近寄り、夜間等を利用し小舟艇によって、人員、物資等を陸揚げすることは、それほど困難な作業ではないと思われる。また日本人の中にいる同調者、例えば日共等が受入れ準備をしている場合は一層容易にこの作業が行われることはいうまでもない。」こういうふうにうたって、ウィロビー少将のマッカーサー戦記の中のフィリピンのことなんかをここに引例して、タウイタウイとミンダナオにおける状態が書いてある。それから、これを見ると、その次にゲリラ戦が起こることになっている。「しかし時によっては、このゲリラ戦が両軍対抗の通常戦に移行進展してゆくこともあり得る。通常戦の中にゲリラ戦が混用されることも屡々ある。どこまでがゲリラ戦で、どこからが通常戦であるか」明らかでない。限界も不明。ここでベトナム、ラオス、コンゴ、キューバの例を全部あげている。そこで、「通常戦争においては、その戦術目的は対抗する敵軍の撃滅または要地の奪取にあり、」というところから始めまして、ゲリラ戦について全部つけ加えて、これまた解説して、どういうことが結論になっているかといいますと、「反逆的工作を策しているような勢力は一斉に蜂起するであろう。かくして、内乱となり、我国を中心とする極東の局地戦争と進展してゆく危険性をはらむものとして警戒を要するわけである。」こう書いてある。そうでしょう。だから、あなたのほうはちゃんとこれに対する——これは国民の目に触れるように、この前書きに何と書いてあるかというと、一九七〇年を想定されて国民諸君にこれを与えているわけだ、あなたの党として。そうでしょう。あなた、いみじくもそれを引用されて先ほど話が出た。そうだとすれば、あなたの頭の中に、それだけ勉強されている長官の頭の中に、通常兵器による局地戦以下の侵略事態というのは、何をもって侵略事態というかということが入ってないはずはないでしょう。防衛計画は一切表へ出さない。たまたまひょっと出てくると、研究ですということで逃げる。三矢計画にしてもしかり、三十九年のフライングドラゴンにしてもしかり、ブルラン作戦にしてもそうでしょう、これから質問すれば。そういうかっこうに全部なっている。一九六二年の雪の中の龍から始まって、たくさんあるのです。それらをあなたのほうはぼかそうとしてきている。一方ではこれだけのことがちゃんと載っている。これだけではありません。たくさんあると思います。そうすれば、通常兵器による侵略事態というのは、侵略というのはどういう事態かということを私は聞いた。それに対してあなたが言っているのは、先ほど引用をしただけ。そんなばかな話はないじゃありませんか。国民だって見るんですから。もしこの通常兵器による局地以下の侵略に対し、これは基本だ。この基本というのはどういうことを想定しているかということについて、国民は関心を持つのはあたりまえです。それについて通常兵器による局地戦以下の侵略戦だと言っておいて、皆さんのほうではこんな膨大なものをお出しになっている。一番最初——中身を全部読む人はないかもしれない、なかなかたいへんだから。一番最初なんですよ。一番最初に、これだけのことを想定してあげておるじゃないですか。「わが国の安全を脅かす諸情勢」「第一章「対日解放戦」の可能性」、この中で可能性が十二分にあると言っている。そうだとすれば、政党政治なら、これを受けて、通常兵器による局地戦以下の侵略の事態に対処する、そうなってくるはずでしょう。そこらのところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/125
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126・増田甲子七
○増田国務大臣 安保条約は旧と新とで違うわけでございまして、旧のほうは、明らかに外国の使嗾、扇動、推進等に基づく内乱、暴動、騒擾等という、いわゆる間接侵略は、日本政府の明瞭なる要請があれば米軍が出動することになっております。新安保条約というものは、そういうものがないのでありまして、すなわちいま書いてあるその関係におきましては、間接侵略の線がだいぶ出ておると思いますが、間接侵略はどんなに大規模で行なわれようとも、日本政府の責任と能力においてこれに対処するだけでございます。また、米軍に要請するということもいたしませんし、違法でございます。
そこで、大出さんの御質問もだんだんわかりましたが、局地侵略というのは、侵略者の通常兵器、すなわち通常用いられる兵器でございます、すなわち、私は在来よりももっとこまかに解説申し上げたつもりでございますが、核とか、あるいは毒ガスだとか、あるいは細菌弾とか、あるいはダムダム弾だとか、そういうような戦時国際公法に禁じられたような——核まではまだヘーグ陸戦法規に規定してございませんけれども、これはもちろん通常兵器ではございません。その通常兵器でない侵略には対処できないが、他の通常兵器、飛行機だとか、あるいは爆弾だとか、あるいは正規兵だとかいうものが、侵略者のほうから日本に入ってくる場合——あくまでも国内の内乱とか騒擾とか、そういうものを外国が使嗾扇動したところで、これは間接侵略でございます。これは日本の自衛隊はもちろん実力をもって対処いたしますが、ただ米軍の出動までは求めることはできないことに新安保条約でなっております。そこで、新安保条約の範囲だけを申し上げますが、つまり通常用いられないような兵器で侵入した場合には、日本の自衛隊はそれだけの実力がない。それから局地的の侵略でございまするから——全面的に、北海道も、東北も、関東も、あるいは中部も、近畿も、中国も、九州もというふうに来られるという場合もないとも限らないわけでございまして、そういう言うに全面的に来た場合には、日本の自衛隊の実力というものでは対抗できない。すなわちそれが局地的でございます。部分的でございます。あるいは制限的でございます。その制限的、部分的の侵略戦争には、これを阻止し、排除するだけの実力を自衛隊が持っているということでございます、という意味でこの前の本会議よりは詳細に御回答申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/126
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127・大出俊
○大出委員 新安保にからむことはあとから申し上げますので、そこまでいまの段階で御答弁はけっこうなんですが、私が申し上げているのは、通常兵器による局地戦以下の侵略事態というのは、どういう事態かと申し上げているわけです、何べんも。これは本会議の質問もそうなんです。したがって、いま私が例にあげた、あなた先ほど安全保障調査会の意見をお聞きになったとおっしゃったからそうだとすると、ここに書いてあるこういう事態を想定しておられるのか。事態については、本会議でお答えになっていない。ことばについてあなたは解説をされただけ。その事態はどういう事態をおさしになるのか、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/127
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128・増田甲子七
○増田国務大臣 いま安保調査会の出した資料というのは、まだ資料でございまして、党としてはさまっていないということだけは申し上げておきます。
安保に対する態度というもの、そしていま大出さんがお読みになった線は、大体において、私の認識するところでは間接侵略でございます。間接侵略には、日本の自衛隊が独力でもって対処し、これを鎮圧するという実力がある。すなわち通常兵器による局地的侵略と申しましても、間接侵略である場合には、これに対処する実力があります。それから直接侵略であって通常兵器による局地的侵略というものもあるわけでございまして、それにも相当対処する実力がある、こういうわけでございます。ところが、全面的侵略になりましたり、あるいは通常兵器を用いないような侵略になる場合には、自衛隊はそこまで力がございませんから、安保体制のもとに米軍の出動も仰ぎまして、共同して対処をする、こういうことに相なるわけでございます。こういうことを申し上げますと、大体において通常兵器による局地的侵略に対処する実力とは何かということの御答弁になったんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/128
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129・大出俊
○大出委員 ずばり質問に対してお答えをいただきたいんですけれどもね。たいへん恐縮な言い分でおそれ入りますがね。通常兵器による局地戦という事態、これは基本なんですから、国民がこれを読みますと、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対して、自衛隊は最も有効に対応しなければならぬ、そういう基本方針をお立てになったわけですから、そうすると、一体通常兵器による局地戦という事態とはどういう事態なのかということを、みな頭に置くはずですよ。あたりまえでしょう。そうでしょう。そういう事態とはどういう事態なんだ。第二次大戦の終わりのように、日本は航空機もなくなってしまい、船もなくなってしまい、大都市はみな破壊されて、それでも米軍は本土上陸はやらなかった。そうだとすると、今日言うところの通常兵器による局地戦というのは何だ、どういう事態なんだ。一つも明らかになってない。そこで私はいま例をあげて、ここで取り上げているような形をおさしになるのか、こう聞いた。つまりソビエトは百二十隻の潜水艦がいるんだから、内部に対応者がいれば揚げていくのは容易だと、調査会の出している文献によれば書いてあるんだから、そうすると、いまあなたが御答弁になったことからいけば、内乱だ、国内的な騒乱だ、こういうふうに受け取って、直接的な通常兵器による侵略じゃない間接侵略だ、こういうふうに規定されておる。それもこの中に入るわけですね。あなたはそれを防衛するとおっしゃったんだけれども、それとプラス直接的な通常兵器による侵略、これがパーシャル、こういう限度における侵略、その場合にも、自衛隊はこれを撃滅する、こうおっしゃった。そうですね。全面的な通常兵器による外からの侵略ということになれば、これは自衛隊にその力がない、こう明確にお分けになった。その点はそれでいいですね。そうすると、たいへん時間をかけて恐縮ですが、なかなか回り道してしまうものだから、私の質問の焦点を、くどいようですが、申し上げます。通常兵器による局地戦以下の侵略とは何だ。それをコンベンショナル・ウエポンによるという話では私はわからぬと言っているのに、実態をお話しなさろうとしない。本会議でも実態に触れようとしない。だとすると、これは一ぺん先にMSAのときにさかのぼって言わなければ言えないんじゃないか。そこまで私は勘ぐらざるを得ない。さっきそれを申し上げたら、そうじゃないとあなたはおっしゃる。そうすると、侵略事態とは何か、ずばりお答えをいただければそれでわかるんだけれども、いま私が念を押したことでいいんですから……。もう一ぺん言いましょう、長官。間接侵略という形のもの、それから通常兵器というもので入ってきた場合、それが部分的な場合、そういうものを想定しているんだ、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/129
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130・増田甲子七
○増田国務大臣 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/130
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131・大出俊
○大出委員 それなら承りたいんですがね。この三次防の重点施策というところが、実は「日本の安全と防衛」という中にずいぶん詳しく書いてある。「三次防の重点施策」ここで「(1)各自衛隊の整備の現状(2)海上自衛隊の防衛目的」、この防衛目的の「(イ)侵入部隊の阻止」、ここで空からあるいは海からいろいろ侵略が行なわれる。これを侵入部隊の阻止ということで、まず海上自衛隊がこれに当たる。こまかく書いてあります。特に「主要海峡の防衛」、こう書いてあります。この中で、日本海を渡って宗谷海峡、津軽海峡、どこかを通らなければ、ウラジオストックはソ連の極東における主要な海軍根拠地だから、出てこられない。したがって「この三海峡を完全にコントロールすることは、ソ連極東艦隊を日本海に封じ込めることを意味する。また、その三海峡および日本海における船舶の航行を確実に探知することは、敵性船舶の動静を判断する重要な資料を提供することであって、戦時においては勿論重要であるが、平時に於ても戦争を未然に防止するために極めて重大な意義がある。」また、三海峡の防備は、直接侵略または間接侵略に応じて、その防備の程度は当然異質のものとなるだろうが、さらに平時においても、日本海及び三海峡においては、少なくとも航行する船舶を探知し得る備えが必要だというんですね。しかもここで、「三海峡を完全にコントロールすることおよび日本海において敵性船舶の動静を探知することは、平戦時を通じてアメリカの戦略に直接寄与するところが極めて大である。」こういうふうに、「主要海峡の防衛」ということで明確に規定づけられておりますが、このあたりはあなたはずっとおいでになったのですから、ここにいまいわれるところの三次防との関連でどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/131
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132・増田甲子七
○増田国務大臣 いま資料として出しました自由民主党の安全保障調査会の資料について、一々私は責任を持っては答弁しにくいのでございますが、そこで三海峡と申しましても、宗谷海峡は日本の国とソ連とがその海峡に対しておるわけでございまして、それからあと対馬海峡のほうは日本が両方にあるわけでございますが、朝鮮海峡のほうは対馬と韓国でございます。そこで日本の国同士というのは、一番は青函海峡ではないか。しかし、三海峡に対して注意を怠らないということは、やはり日本の自衛隊の責任であると私は考えておる次第でございます。それから日本海を、別に制海権なんということは申しておりませんが、日本海に面する日本の国は、新潟県をはじめとしてたくさんあるわけでございまして、日本海のほうに平和と安全が保たれてあるように注意しつつ、平素において訓練をしておるのが、あるいは警戒をしておるのが、日本の自衛隊の責任である。現在航空関係におきましても、認識のゾーンというものがありまして、その認識の地帯は、航空関係でもレーダーサイトがございまして、国籍不明の飛行機等の場合には、緊急発進をするというようなこともございます。それから海上あるいは海中といいますか、そういう関係につきましても、全然盲目的であっては日本の国を守り得ないわけでございまして、これは太平洋もそうでございますがオホーツク海のほうも、日本海のほうも、それぞれ注意を怠らないという責任が、自衛隊に課されておるというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/132
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133・大出俊
○大出委員 そういたしますと、いまの問題もこの三次防にいうところの周辺海域防衛能力の中に入る、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/133
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134・増田甲子七
○増田国務大臣 防衛能力が全部カバーしておるとは思っておりませんが、注意を怠らない、いわゆるレーダー関係で、それぞれどの国のどういうものが通るかというようなことを個別認識をするというだけの働きは、連日連夜、今日といえどもいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/134
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135・大出俊
○大出委員 周辺海域防衛能力の中には、いままでの御説明によりますと、航行する船舶の安全確保、これが中心になっておりますね。そういう説明をいままでされておる。そうなると、単にそれだけでなくして、三海峡といういま私が例にあげた問題もその中に入る、こういうふうに理解していい、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/135
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136・島田豊
○島田(豊)政府委員 海上自衛隊の任務としまして、一つは外国からの直接侵略に対しては、国土を守るということが一つの大きな任務でございます。いま一つは、ただいま御指摘の船団、船舶を護衛いたしまして、海上における航行を確保する、こういうことでございます。そこで第三次防として、海上自衛隊の重点と考えましたのが、周辺海域防衛能力の向上ということでございますが、これはただいま長官からもお話がございましたように、要するにわが国周辺の海域を哨戒する、あるいは海峡を侵すことを阻止する、あるいは沿岸の防備をする、港湾の防備をする、そういうふうなことが、従来は非常にわが自衛隊の力としましては貧弱な面がございました。主としてそれぞれ五つございますところの地方隊がそういう任務に携わるわけでございますが、地方隊の装備は非常に劣弱でございます。したがいまして、三次防としましては、この面に重点を置き、地方隊に配属されます艦艇、航空機、こういう面につきまして重点をとろう、こういう意味でこの問題を取り上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/136
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137・大出俊
○大出委員 なかなか回りくどいんだけれども、防衛局長、すばり一言言ってください。要するに三海峡等についても、当然自衛隊の任務として受け持った範囲である。だから、三次防にいうところの周辺海域防衛能力はこのことを含む、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/137
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138・島田豊
○島田(豊)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/138
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139・大出俊
○大出委員 三点ばかり続けて質問いたしますが、ひとつ長い御答弁でなくてけっこうですから、答弁をいただきたいわけであります。一つは、緊急発進という問題が、今日次々に起こっておるわけですね。これは全部でどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/139
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140・島田豊
○島田(豊)政府委員 昭和三十三年度から四十一年度までの期間の件数は、約千九百六十件でございます。最近の事例について、やや詳細に御説明申し上げますと、四十一年度、昨年度が三百五十六件でございます。このうち陸上におきまして、すでにスクランブルをかけるべき航空機でないということが判明いたしまして、すぐ中止したもの、こういうものが約半数、百六十三件ございまして、その他はいずれも彼我の識別の不明な航空機に対しまして、スクランブルをかけたものでございます。なお、これを各地区別に申し上げますと、北部が百四十八件、中部が九十五件、西部が百十三件、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/140
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141・大出俊
○大出委員 一つの例をあげますが、三十七年の十月二十三日のキューバの海上封鎖のときに、三十八年版の防衛年鑑にもあったのでありますけれども、「在日米空軍警戒体制、航空自衛隊も即応。」こういうように三十八年版の防衛年鑑の一一〇ページにございます。つまり日本の自衛隊は、これに即応して警戒体制に入ったわけですね。ところが、これは総理も、あるいは防衛庁長官も知らなかった。当時これは飛鳥田内閣委員が質問をいたしまして、その議事録もあります。知らなかったことが明らかになった。こういう事態が現にある。こういう警戒体制は、今日の米軍と日本の航空自衛隊との組織的な関連、もっと簡単にいえば、アメリカの日本、あるいは韓国、あるいは沖繩、フィリピン等を含む、そういった航空管制体制の中に日本の自衛隊が繰り込まれておる、こういうことになっておる。だから、自動的に指揮系統をたどってきてしまっておると私は思うのですが、お認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/141
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142・海原治
○海原政府委員 当時私防衛局長をいたしておりまして、ただいま大出委員からの御指摘の事実につきましては、衆参両院の内閣委員会で御説明をしたものでございますので、便宜私からお答えをいたします。ただいま大出委員の、キューバ危機に際して米軍が警戒態勢に入った、これに相呼応して航空自衛隊が同時に警戒態勢に入った、これが事実ではないかということで、防衛年鑑の記事を前提にお尋ねになりましたが、事実は違っております。事実は、当時御説明もいたしましたが、キューバ危機に際しまして、米空軍のほうは全地域の空軍司令部に対して警戒態勢を指令いたしました。したがいまして、太平洋空軍及びその麾下である第五空軍は、直ちに警戒態勢の姿勢をとりました。私ども航空自衛隊のほうは、前々から説明しておりますように、相互に密接な連絡をとるたてまえになっておりますので、米軍のほうがそのような警戒態勢の姿勢に入ったということの連絡を受けました。これが事実でございます。連絡を受けまして日本側の航空自衛隊がどういう態勢をとるかということにつきましては、当時の長官からも委員会で御説明いたしましたが、念のために十分に気をつけるようにという意味の口頭の指示を、長官から幕僚長に伝えられております。このことを、当時志賀長官は火の用心ということで説明しておられます。これが現実の姿でございまして、航空自衛隊に対しましては、米空軍が行ないましたと同時に警戒態勢に入るという姿勢をとったという事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/142
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143・大出俊
○大出委員 この恵庭裁判等の中で、証人が何人か出ておりますが、田中義男さんですね、これは前の統幕におられた方でありますが、当時の統幕の事務局長さんだと思いますけれども、ここでただいま警戒態勢に入りましたということを空幕長の松田空将から報告を受けたということを認めておられますね。つまり、警戒態勢に入ってしまって、あとから松田空将から当時の統幕事務局長にあてて、ただいま警戒態勢に入りましたと報告が来ている、こういうわけです。そうしますと、いま官房長が言っているのとは違う。だから、私は、あまり事実をそうでございませんでしたというのではなしに、こういう明確な証言もあるわけですから、そこで将来の問題としては——第五空軍司令部に航空総隊司令部が、今日同居しておるでしょう。私はそれを非常に心配するのですが、この建物の三階は、共用の防空作戦指揮所のはずです。これは府中です。しかも、ここには両方の軍人が並んで勤務しております。この作戦指揮所というのは、北部、中部、西部、日本の三方面、このほかに沖繩の嘉手納、韓国の烏山の防空戦闘指揮所を直接指揮していますね。そして、ハワイの米太平洋空軍司令部からこれは直接指揮されていますね、そうでしょう。これは形は共同でも、実質的には航空自衛隊はそっくり米軍の指揮下に入っておる体制でしょう。指揮系統から見れば明らかです。だから、そうなると、指揮系統は一体、施設は共用、用語は英語ですよ、時刻はグリニッチ標準時、ここまで一体になっていれば、組み込まれていると言って差しつかえないでしょう。だから、片一方で警戒態勢に入るといえば、自動的に入ってしまう。したがって、田中証人が言っておるように、松田空将のほうから、入ってしまって、ただいま警戒態勢に入りましたという報告がいく、こういうわけです。だから、こういう体制というのは、たいへんな危険を伴うことになるという心配を私はしておる。
それからもう一つ。例の先ほど千九百回近いというお話がございましたが、航空機の速力が非常に早くなっておるわけですから、レーダーが国籍不明機を発見をした。それが本土から二百キロ以内に近づくと、待機中の戦闘機二機が緊急発進をするわけです。そうなっているわけでしょう。そうなると、この理由というのは明確なんですね。二百キロ沖からでないと間に合わないというのが、理由だと思います。それが千何百回にも及ぶ、こういうかっこうになっていると、たとえば北海道沖のソ連機、これが二百キロ以内に近づいた。二機緊急発進をする。たとえばF104なら104が武装をして行く。これが常に続いているという状態、このことは、私は、日本の国の中から言って、国民の立場から言って、これは敵性国の飛行機、こういうことばが出てくるかもしらぬけれども、先ほど来の皆さんの答弁から言っても、いま日本の立場でそこまでやらなきゃならぬ必要があるのかないのか。それは仮想敵国的にものを考えて演習をすることはお互いにあるかもしらぬけれども、それは私も図上作戦をやるというのは、豊橋の予備士官学校に教官としていたから、そんなことは百も知っている。だけれども、今日は明らかに戦時ではない。こういう状態の中で、何で千何百回もレーダーがとらえた国籍不明機にいきなり、しかも二百キロ向こうへふっ飛んでいこうという、そういう状態がやたら続くということをなぜ放置しておくかと私は言いたい。米軍の中に組み込まれていて、その一環としてでなければ動けないというシステムになっているはずです。そうでなければ、防衛庁長官のものの考え方で、これはとめようとすればとめられるはずだ。しかも増田さんがおっしゃったように、通常の兵器で局地的に入ってこられた場合に、これは米軍が出てこない。これはあなたたちのほうの安全保障調査会のこれに詳細に書いてありますよ。こういう場合はこう、ああいう場合はこう、これは百も承知だ。しかし、日本の自主防衛をお考えになるならば、私は、当然こういう危険な状態というものは国民の前に明らかにして、そうして何か間違ったらえらいことになる、そういう点は、自主防衛という立場に立って考え直す必要があると思う。それから先ほどの島田さんが手をあげられた問題それから大臣に聞きたいのは、こういう状態というものを放置しておいて、自主防衛といってみたって信用ができません。こういう結果になるので、明らかにすべきものは明らかにしていただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/143
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144・海原治
○海原政府委員 第一の私の御説明についての再度の御質問でございますので、第一の点だけお答えいたします。当時は、若干混乱と誤解があったことは事実でございます。と申しますのは、いまの田中証人のことばの中に、松田空将が警戒態勢に入ったという報告を受けた、これは主語が問題であります。航空自衛隊なのか、米軍なのかという問題であります。先ほど申しましたように、当時私どもは、米軍のほうの警戒態勢の連絡を受けたことは事実でございます。その次には、これも委員会で御説明いたしましたが、火の用心、念のための注意ということの口頭の指示、これは実は私どものほうで術語的に分けておりますが、警戒待機ということばでありません。警戒準備姿勢というのございます。これは当時御質問になりました飛鳥田委員も、たぶん御存じだと思います。米空軍が使っております本物の五四三二一の態勢と私どものいわゆる警戒準備姿勢というのは、全然趣が違うということを、当時実は御説明がいたしてございます。ほかのことは、長くなりますので省略さしていただきますが、いずれにいたしましても、私どものほうは、いわゆる米空軍がとりましたような冒頭のいわゆる作戦即応の警戒待機姿勢はとっておりません。ところが、航空自衛隊のほうでも念のための注意ということをいたしましたために、これが各部隊にいっております。そのことを受けまして、当時新聞等にも相当大きく取り上げられまして、そのことが誤解であるということの解明のために、私自身ラジオでも放送いたしましたし、あるテレビで私の説明と北海道の第二航空団の施設とか映ったことを記憶しております。したがいまして、同じことを繰り返して恐縮でございますが、私どもといたしましては、先ほど御説明いたしましたように、米空軍が戦闘準備体形という意味の警戒態勢に入ったということを念のために注意して、火の用心的な注意を喚起したということでございまして、このことは、先ほど申しましたように、衆参両院の関係委員会で当時の長官から、さらには政府委員のほうから、私から御説明をしたことでございますので、どうぞひとつそのように御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/144
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145・島田豊
○島田(豊)政府委員 国籍不明機がございました場合に、わがほうからスクランブルをかけるわけでございますが、これにつきましては、遠い先からレーダーでキャッチいたしまして、わがほうがそれぞれの外国あるいはわが国の航空機のフライトプランをチェックいたしまして、そのフライトプランの届け出がないものにつきまして、これはアンノウンであるということでスクランブルをかけるわけでございまして、これは世界各国ともそういうことをやっておりますし、国籍不明機が参ります場合に、わが航空自衛隊としてやはりそれに対して何らの措置を下さないということは、これは航空自衛隊の任務遂行上どうもぐあいが悪いということで、緊急発進をやっておるわけでございます。
もう一つの点は、要するに航空自衛隊の航空警戒管制組織というものが、完全にアメリカのシステムの中に組み込まれているというふうな前提でお話しでございますけれども、わがほうが警戒管制を米軍から引き継ぎました以降におきましては、わが国独自でやっております。もちろんABCCあるいはCOCにおきましては、米軍係官も同居いたしておりますけれども、これは指揮系統としては全く別個でありまして、アメリカはアメリカの指図でやっておりますし、わが国はわが国の航空自衛隊の任務遂行上やっておるということでございます。その間に、米軍の組織の中にこの組織か組み込まれておるということは、全くないわけであります。したがいまして、スクランブル自体につきましても、全くわが国独自の見地で実施をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/145
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146・増田甲子七
○増田国務大臣 いま官房長や防衛局長のお答えいたしたとおりでございます。レーダーサイト等をもって哨戒をしておることがいいか悪いか、私は防衛庁の長官になりまして一番感激したことは、全国に二十四カ所ほどのレーダーサイトがございまして、二六時、中三部制で三百六十五日、日本の国土に侵略がないように哨戒をしておる、この自衛隊の姿を見て、私は涙が出ました。ああいうふうにやってくれればこそ、一億国民は安らかに、この二十九日というきょうの日も眠ることができる。私は実はそういうことを存じませんであの府中の基地へ参りました。日本の地図がございまして、航空法や国際法規に違反して侵入する航空機等はすぐわかるしかけになっております。昭和四十二年末においては、バッジシステムも完成するわけで、いよいよそれは精密になるわけでございまして、それに対して緊急発進をして、領土、領空侵犯してくれるなというような信号をしてそれぞれお帰りを願う、こういうことになっているから、この一億の国民がまくらを高くして眠れるのだということは、私は防衛庁長官になるまでは存じませんでした。昔は、もちろん戦時中でございましょうが、三万数千カ所もあった。おまけに望遠鏡で見ておったというようなごく原始的な哨戒方法しかなかったのでございますが、いまは非常に発達いたしまして、通信兵器なども発達いたしまして、レーダーで二百キロ外まで不法なる侵入をせんとするものはキャッチできる。それがために緊急発進をいたしまして、領空等へは来てくれるな、国際法規は侵犯してくれるな、航空法は侵犯してくれるな。それで一億の日本国民が安らかに、まくらを高くして眠れるよう、一年間も、二年間も、あるいは将来永久に守り得るという状態を私は実は初めて見て、感激をいたしておる。自衛隊の諸君の一生懸命にやっている姿を見て、ほかの栄誉礼その他では私は感激したことはございませんが、あの姿には私はほんとうに感激いたしたということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/146
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147・大出俊
○大出委員 官房長の言われることは、いまおっしゃった時点から見ると、新しい時点の証言を列にあげたのだが、これに反論をすると本会議の時間に入ってしまうといけないから、あらためてやります。
それからもう一つ、組み込まれていないとおっしゃるのだが、まだたくさんの事例がありますので、これも後ほどやります。
それから長官、領空というのは五・五キロなんですよ。そうなりますと、そこから先二百キロで見つけて飛んでいくのはいいのだけれども、誤認事故などということが起こった場合には、即発の危険が起こる。私は、そういう意味で領空というものを一体どう考えるかという点等ともからんで、普通の時点で——あなたはきょうもと言うけれども、いま何も起こってはいない。ソビエトの飛行機が日本の北海道の二百キロ先にあるとレーダーサイトに入った、いきなり武装したのが飛んでいく、そういう緊迫した時点じゃないです。まくらを高くして寝られる、寝られないと言うけれども、いささか事大主義に過ぎると私は思っているのです。だから、これも論点、問題点があります。しかし、やっていると本会議になってしまいますから、それでは中断します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/147
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148・關谷勝利
○關谷委員長 次会は、明三十日午前十時理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02519670629/148
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