1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月五日(水曜日)
午後零時四十二分開議
出席委員
委員長 關谷 勝利君
理事 伊能繁次郎君 理事 塚田 徹君
理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君
理事 細田 吉藏君 理事 大出 俊君
理事 山内 広君 理事 受田 新吉君
赤城 宗徳君 荒舩清十郎君
内海 英男君 加藤 六月君
桂木 鉄夫君 佐藤 文生君
塩谷 一夫君 高橋清一郎君
藤波 孝生君 村上信二郎君
山下 元利君 木原 実君
武部 文君 楢崎弥之助君
浜田 光人君 山本弥之助君
米内山義一郎君 吉田 之久君
伊藤惣助丸君 鈴切 康雄君
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
国 務 大 臣 増田甲子七君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
国防会議事務局
長 北村 隆君
防衛政務次官 浦野 幸男君
防衛庁長官官房
長 海原 治君
防衛庁防衛局長 島田 豊君
防衛庁人事局長 宍戸 基男君
防衛庁参事官 鈴木 昇君
防衛施設庁長官 小幡 久男君
防衛施設庁施設
部長 鐘江 士郎君
外務政務次官 田中 榮一君
外務省国際連合
局長 服部 五郎君
厚生省国立公園
局長 大崎 康君
水産庁次長 山中 義一君
委員外の出席者
防衛施設庁施設
調査官 藤井 謙二君
外務省北米局外
務参事官 中島 信之君
運輸省航空局技
術部長 松本 登君
郵政省電波監理
局放送部長 左藤 恵君
専 門 員 茨木 純一君
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七月五日
引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法
律案(内閣提出第一四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一二号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長 これより会議を開きます。
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、楢崎委員から発言を求められておりますので、これを許します。楢崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/1
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002・楢崎弥之助
○楢崎委員 私の質問は明日になっておりますが、質問を順調にするために、あらかじめ資料要求だけただいましておきたいと思います。
昨年四月十六日付、防衛庁人事局第二課長の名で、各都道府県募集事務主管課長あてに出されております「募集委託事務に関する連絡について」、並びにそれに添付して出されております「組織募集推進要領(試案)」。次に、五月二十六日に出されております防衛庁事務次官名、知事あての「組織募集の推進について(依頼)」。次は、同日、防衛庁人事局長名、各都道府県募集事務主管部長あての「昭和四十一年度募集事務地方公共団体委託費について(通知)」。同じくそれに添付されて出されております「組織募集推進要領」。それから五月三十日付陸幕の募集課が出しております「四十年度募集結果の概要と四十一年度募集について」。それから六月十四日付、「自衛官募集事務事業計画並びに街頭募集の原則的廃止」という募集体制の画期的転換。それから、同じく同年十一月四日、防衛庁人事局長、各都道府県の主管部長あての「適格者名簿の作成等について」。それと「○○市町村自衛官募集事務処理要領」、これは方面総監部が出しておるもの、準則案。以上、わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/2
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003・宍戸基男
○宍戸政府委員 承知いたしました。ただ、最後におっしゃった○○市町村というのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/3
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004・楢崎弥之助
○楢崎委員 ○○と書いてあるのです。○○市町村自衛官募集事務要領。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/4
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005・宍戸基男
○宍戸政府委員 どこのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/5
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006・楢崎弥之助
○楢崎委員 それは総監部から出しておるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/6
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007・宍戸基男
○宍戸政府委員 御趣旨はわかりました。調査いたしまして、ありましたら出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/7
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008・楢崎弥之助
○楢崎委員 全部ですね、あした当委員会が始まるまでに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/8
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009・宍戸基男
○宍戸政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/9
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010・楢崎弥之助
○楢崎委員 以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/10
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011・關谷勝利
○關谷委員長 前会に引き続き質疑を許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/11
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012・受田新吉
○受田委員 このたびの法改正で防衛庁が計画しておる第三次長期防衛計画の一部が盛られておるわけでございますが、私はこの機会に、この長期防衛計画を三回にわたって実施せられる防衛庁といたしまして、はっきり御所見を承っておきたい点がございます。
それはこの長期計画の策定をされました国防会議における決定、この国防会議というものを、防衛の基本を決定される機関を、先般来長官は強大な権力を有する機関として再編成したいという御答弁がございました。事実防衛庁設置法の中に、国防会議というものがそっとしまわれている。いわば防衛庁の付属機関のような印象を受ける規定がされております。それに伴うて構成に関する法律が出ておる、このことは、国防会議というものをきわめて軽視しているということになるのであって、国防会議が防衛庁長官の何らかの形における付属機関のような印象を国民に与える危険を包蔵しております。国防会議は、防衛庁長官は単なる構成員の一人であって、その実権は総理大臣が持っておるものであって、国防会議の構成そのものに対して、防衛庁長官が強大な発言力を持って、おれの担当する機関のような考えをお持ちになってはこれまたたいへんなことでありますから、このことは四時からの総理大臣に対する大事な質問としてそっとしておきますけれども、ただ防衛庁長官にお伺いしたいことは、この国防会議が、従来国防会議の懇談会と、それから正式の会議の二様に分けておられる。何らかの決定をされるときだけが国防会議であって、その事前の相談をする会を、懇談会と銘打っておられます。このことは、明らかに国防会議そのものが懇談会であって、懇談会と決定をする国防会議と分離をすべきものでない。国防会議として招集せられ、国防会議として討議せられて、そうして決定されるというのが筋ではないかと思うのでございますが、このことについて、懇談会を国防会議からはずしている理由を御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/12
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013・増田甲子七
○増田国務大臣 ここに国防会議の事務局長もおりますから、あとで補足することを前提として受田議員の御質問にお答えいたします。防衛庁長官としてどういう考えを持っておるかということでございますが、私は、国防会議というものは重要なものだと思っております。そこで、防衛庁設置法の六十二条に次のように書いてあることについては、あまりおもしろくないということをこのごろ他の委員の御質問に対しましてもお答えをいたしましたとおりでございます。しかし、その強大なものにするかどうかということは、私は、スタッフというようなものを、つまり事務局員なんかをもっと充実してほしいと思っております。いま、たった二十名でございますから、これはなかなかはかがいかない。各省関係の幹事というものもございますし、それからメンバーは、御指摘のとおり私がメンバーであり、総理大臣がメンバーであり、外務大臣がメンバーであり、経済企画庁長官が同じく議員であり、大蔵大臣も議員であります。すなわち五人が議員であるということは、私は承知しておるつもりでございます。それから、これは自民党のことにわたって余談かもしれませんが、国家安全保障会議といったような、アメリカにあるようなものにいたしたいという議論もございます。しかしながら、幾ら強大なものにいたしましても、要するに行政法上は、憲法の規定に基づいて、国会に責任を負う行政というものは内閣である。内閣総理大臣以下国務大臣が連帯をしてあなた方に責任を負う、こういうしかけでございますから、行政法上は、諮問委員会であって、決定機関ではない。決定というものは、答申を決定するだけでございます。内閣総理大臣を議長とする国防会議が、決定、決議をいたします。その決議は、内閣総理大臣、国務大臣を率いる政府の長である内閣総理大臣に国防会議の議長である内閣総理大臣が答申をする。すなわち決定機関ではございません。合議制の官庁ではないのでございます。合議制の機関でございまして、それは諮問機関である。このけじめを忘れるというと、何か強大なものがあって、それが一たび動けば国防のことが左右されるのだといったような印象をあまり与えることは、どうかと思います。ただ、法制の整理上、防衛庁設置法から、ある時期をいただきましたならば、国防会議設置法といったようなものをつくっていただくことはけっこうだと私は思っておるのでございまして、必ずそうするという約束をいたしておるわけではございません。また、お説のごとく、国防会議の議員に関する法律というものがございまして、その議員に関する法律は、あなたの御指摘のとおり、また私が御答弁申し上げたとおりの議員をもって構成し、内閣総理大臣が議長となるということが書いてございまするが、繰り返すようでございまするけれども、私は事務局というものを相当拡充してもらいたいと思います。そうしてもう少し各省関係で、防衛庁設置法に関する関係におきましても、自衛隊法に関する関係におきましても、政令なんかで整備しなくては困るという政令がたくさんございます。そういうようなときには、内閣総理大臣が議長である国防会議の事務局等において働いてもらうと非常に都合がよろしいということで、私どもは期待をかけておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/13
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014・北村隆
○北村政府委員 お答えいたします。国防会議と国防会議の懇談会の性格について御質問がございました。国防会議は、各議員の方々が平時いかなる諮問がありましても、十分あらゆる事情に通じていただかなければならぬ、こういう事情もございまして、諮問があって国防会議を開くという以外に、同じ性質のものでございますが、その諮問をさらに深めて自由に討議する場合とか、将来の諮問をも想定して、いかなる事態に対してもいかなる対策も打てるような勉強のため、自由な討議ということに重点を置いて国防会議懇談会という形式でやっておる場合もございますが、これは純法律的に見まして、私自身は両方とも国防会議であろうと思います。将来これを国防会議として招集したほうがいいというような議論も内部に相当ございまして、いま検討中でございます。先生の御意見十分承りまして、将来に対処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/14
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015・受田新吉
○受田委員 お説のとおり、諮問機関としての答えを出す大事な決定をする。その決定をする日だけが国防会議であるとは、私は思いません。決定に至るまでの過程の会議もあわせて、懇談会でなくして、正規の国防会議、こう私は銘を打つべきものである。そこにおいてこそ国防会議の権威がある。いま長官が国防会議の事務局を強化する構想を示されました。私もこの点については同感です。何となれば、国防の観念というものが各省間においてばらばらであってはならない。また、各省の中にそれぞれ国防に関する権威を持った人々が存在して、そこにおいてその省の国防に関する部門をどう生かすかという努力をしてもらわなければならぬ。もう一つは、専任の参事官が三人しかいないようであるが、各省から出ているのは、これはみな兼務である。こういうかっこうでは、各省にまたがる国防の構想というものをシビリアンコントロールの立場から強大なものにさせるという意味からは、非常にもの足らない感じがするのです。そこで、現に事務局が専任三人でやっておられる。事務遂行上の各省間の連絡調整というところに、シビリアンコントロールの真価を発揮する意味における欠陥というものを事務局長はお感じになっていないか、局長から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/15
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016・北村隆
○北村政府委員 各省と申しましても、国防に関してはおそらく全省にわたるような大きい、広い問題でございまして、これに濃厚なものと希薄なもの、関係の深いものと薄いものとありますが、現在におきましては、関係のごく深い方々、議員並びに常時出席者に議長から御指名があっておるわけです。その関係の深い省から——六省にわたりますが、兼任参事官があり、また次官が幹事をつとめております。この間におきましては、参事官会議、これは原則としては一週間、問題がなければ、その一週間どおりはやっておりません。また、幹事は、その議員たる大臣を補佐し、また議長を補佐する任務を持っております。その六省間においては関係ができるのでございますが、その他の省にわたりましては、そこに手がかりがないという問題がございます。これは一つの現段階における欠陥であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/16
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017・受田新吉
○受田委員 国防の観念を国民にも十分植えつけるために、国防会議の構成についての事務局のその意味における強化ということ、制服の横暴を押える意味における雄大な構想というものは、その意味においては私は認められることだと思うのです。ただ、ここで防衛庁の歴代の長官、福田元長官、松野元長官が、国防に関する白書というものを、国民に理解せしめるために防衛庁みずからが編集して、国民に国防のあり方、自衛の必要性というものを大いに周知徹底せしめたいために、防衛庁みずからが提出したいとしばしば当委員会で、また予算委員会で答弁をしておられる。にもかかわらず、一向この国防白書を出して国防に関する観念を国民に植えつけようとせられない理由は、どこにあるのか、お答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/17
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018・増田甲子七
○増田国務大臣 国防白書というのは、実は私の知っている限りにおきましては、総理から御指示があったのが、正直に申しまして、ことし初めてであったと思います。でございまするから、われわれはいま研究中でございまして、ぜひ諸外国の国防の状況、日本の国防の状況等を平易に、わかりやすく訴えまして、そうして国民のコンセンサスを得たい、こう考えておるということを言い出したのは、たしか四月ごろからでございます。いままでできなかったというのは、どうも年来の懸案のように受田さんはおっしゃいますが、年来のそういうような御要望を受田さんはお持ちかもしれませんが、私が聞いたのは、寡聞にしてこの四月が初めてでございまして、どんな態様でやっていいかということも、まだ出すとも出さぬとも言っていないのでございまして、どんな態様でやっていいかということも目下部局をして研究せしめておる段階でございます。今日までまだ出ていないのはどういうわけかということをおっしゃいますけれども、どういうふうに出したらいいか、出さないほうがいいか、出すとすればどんなものがいいかということも、あわせて研究中でございまして、もうすでに国防白書を出すことが既定方針であって、年来の懸案であれば、そうして出さないという場合には受田さんからおしかりを受けてもいいのですが、まだ四月に聞いたばかりでございまして、しかも防衛庁長官、これから研究しよう、出していいものか、悪いものかも、私はまだ頭の中に、総理大臣の御示唆があった——御示唆というものは、まだ私は指令というようには考えておりません。御示唆があったということをしばしばこの委員会においても、他の委員会あるいは本会議等においても申し上げておりまするが、出したがいいか、出さぬがいいか——しかし、御示唆があったのですから、出す方向で、しかも民衆にPRをして、民衆の御支持、御理解、御協力を得たいという方向において効果のあるものを出したい。でございまするから、受田さん、どうかかすに時日をもってしていただきたい。今日まで出さぬのはどういうわけかといいますけれども、まだ二カ月ばかりですから、そう怠慢とは私ども考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/18
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019・受田新吉
○受田委員 これは海原さん、あなたは前に福田長官及び松野長官が予算委員会で永末君の質問に対して答弁した模様を、御存じじゃないかと思うのです。御存じになっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/19
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020・海原治
○海原政府委員 お話しの趣旨のような御意見の開陳と、それに対する長官としての、そのような方向で研究してみたいという意味の御答弁があったことは、記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/20
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021・受田新吉
○受田委員 増田長官、あなたが初めて四月に総理から指示を受けた。あなたの前々長官、前々々長官、それぞれこの国会の場を通じて、その方向に沿いたいと言うておる。その方向に沿いたいというものが、あなたは初めて聞いたというようなことでは、防衛庁の歴代長官が九カ月平均で交代する弊害が、ここでもはっきり出てきた。前の長官が約束し、あるいは言明したことが、後の長官には通じていない。ここに防衛庁の機構上の大きな問題があると思うのです。こうしたことは、忠実に前の長官の申し送りというようなものがされなければならないと思うのです。増田長官、いまあなたは初めて長官としての言明があったわけです。あなたは御存じなかったことですが、あなたの前々及び前々々長官は、それぞれそういう方向で御期待にこたえる線で御答弁になっておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/21
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022・海原治
○海原政府委員 ただいまの国防白書の問題は、これは事務的には私の所管でございます。増田長官に対しまして御報告していないのは私の怠慢でございますが、これはいままで、単にお二人の長官のときばかりでございません、赤城長官のときにも、あるいはその前にも、やはり国防白書的なものを出すべきではないかという御意見がございました。そのたびに私どもはいろいろの案を考えて、ある程度のところまで実は案を用意いたしますけれども、何ぶんにも問題がむずかしゅうございまして、一番最後の検討の際には、いましばらくさらに勉強しようじゃないかということできておりますので、したがいまして、決して長官の間の引き継ぎがどうこうということではございません。これは私ども事務当局の立場でなかなかむずかしいというかってな判断をしまして、過去のことを申し上げてない、これが実情でございますので、ひとつそのように御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/22
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023・受田新吉
○受田委員 ここに安全保障調査会というものが出している、これは資料はどこから出ておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/23
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024・海原治
○海原政府委員 その安全保障調査会は民間の研究団体でございまして、その研究団体が各方面に連絡をして入手をしておる、こういうことに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/24
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025・受田新吉
○受田委員 この中に、防衛庁でなければ出せない資料だということがはっきりしておるはずです。それは防衛庁から出されたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/25
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026・海原治
○海原政府委員 一応私どものほうで外部に出して差しつかえない資料というのは、適時クラブ等にも差し上げてございますので、そういうものをお渡ししておる事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/26
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027・受田新吉
○受田委員 これ、または「フォト」、そういうところで、防衛庁のPRはいわゆる防衛白書に類する形でなされておる。そうした機関というものは、一体防衛庁の内部とどういう関係があるのか。全然防衛庁に関係のない機関で、民間の純粋な法人もしくは組織としてやっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/27
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028・海原治
○海原政府委員 ただいまの安全保障調査会は、その設立の際の趣意書によりますと、当時の外務大臣、防衛庁長官等のお名前が入っておりまして設立されたものであります。その資料につきましては、防衛庁に勤務する個人がいろいろ個人の研究資料を提供したということはございますが、防衛庁として公に関与しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/28
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029・受田新吉
○受田委員 朝雲新聞というものが出ておる。そこにおられるかつての責任者が、それぞれ怪文書の対象となって告訴せられておる。これを御存じであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/29
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030・海原治
○海原政府委員 かつて朝雲新聞社に勤務したことのある者が告訴されておることは承知しておりますが、いまのおことばの幹部ということではないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/30
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031・受田新吉
○受田委員 防衛庁の建物の中に、そういう機関が存在しているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/31
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032・海原治
○海原政府委員 一室を使用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/32
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033・受田新吉
○受田委員 防衛庁の内部で一室を使用しておる。そこにおられるかつての責任者が、防衛庁の内部の職員の誹謗をする怪文書その他の怪文書が出て告訴せられるというような状況は、私はほんとうにいまわしい、残念なことだと思うのです。これはきちっと防衛庁の機構を厳正にする必要があると思うのでございますが、長官どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/33
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034・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、受田さんのおっしゃる前半のことは同感でございます。ただ、部屋を貸すというようなことは、これは新聞記者室もお貸ししておるわけでございますから、その性質は同様なものである、こう考えております。しかし、部屋を貸して、そこで不穏文書作製室なんということになるといけませんから、きびしく取り締まっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/34
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035・受田新吉
○受田委員 規律の厳正を主張せられる長官として、その問題もはっきりしていただきたい。
私はここで、防衛庁機構の中で、総合幕僚会議という問題をいまからひとつお尋ねしてみたいのです。この統合幕僚会議の議長という地位は、この規定を読むと、単に会議の議長をやり、調整機関としての任務しか果たしていない。直属の三幕の統幕部隊をつくったときだけ、その長になるというような力しかないようになっている。もう一つは、統合幕僚会議の議長は、事務次官と同額の処遇を受けておる。にもかかわらず、一般の将の定年五十八で押えられておる。そこで三幕の長の経験を有する者の中から輪番で統合幕僚会議議長という地位につく。定年のことを考えながらやる。その任にあること一年かあるいは一年有余、きわめてきわどいところで統合幕僚会議の議長が決定されておる。このことは、統合幕僚会議の議長の定年を二年延ばすとかいうかっこうをとるとか、あるいは統合幕僚会議が、三幕のある程度の権限的に何らかの力を発揮できるような立場に置くとかいうのであれば、一応筋が通ると思うのでございまするが、この点は、会議の構成及び議長の権限として、長官、何かひとつ腹案をお持ちじゃないか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/35
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036・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、この統合幕僚会議の議長の地位は、これで一応よろしいと思っております。御承知のとおり、自衛官の最高の地位とするということが法律においても定められておりまするし——もっとも、防衛出動等の際には、私が陸の場合には陸幕長、海は海幕長、空は空幕長を直接指揮、監督することになっておりますが、あなたもいまおっしゃいましたとおり、七十六条によって統合部隊がつくられた場合には、その統合部隊の幕僚長の仕事をするわけでございます。それから平素の会議を開きましても、自衛官の最上位とするということが法律において定められておりますれば、陸幕長も空幕長も海幕長も、統合幕僚会議の議長の言うことは聞くことになるのじゃないか。あんたこうしたほうがいいぞと言えば、そうですなということになりますと私は思います。このしかけで別段痛痒を感じておりませんし、改正しようとも思っておりませんし、統合参謀総長というようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/36
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037・受田新吉
○受田委員 定年の関係で、幕僚長の経験者だけが議長になるということになると、五十八才で、もう身近なところにきている。各幕の長が、統合幕僚会議の議長という在任期間というものは、きわめて短いです。防衛庁長官と同じような短期間で交代する危険性があるわけです。こういう問題で、定年を議長だけ延長するというような規定を設けるか、何らかの形をしないと、各幕の長で順番で適任者を得るということになると、非常に骨が折れる問題が起こる。その点は、何かあなたも身に感じておられることがあると思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/37
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038・増田甲子七
○増田国務大臣 受田委員の御発言は、きわめて御理解のある御質疑でございます。私は、非常に感謝にたえない次第でございます。私も、自衛官の最上位とすということが、法律に定められておる。しこうして定年は陸幕長、海幕長、空幕長と同じように来るというようなことは、ちょっとまずい。やはり二年ぐらいは伸ばしたいということを腹案としては考えておりますが、考えておりますという程度でございます。まだこれを実現するかどうか、お説は私に対する非常に大いなる支持を与えてくだすったわけでございまして、感謝いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/38
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039・受田新吉
○受田委員 外務省の方がお急ぎのようでありまするから、ここで外交に関連する防衛の問題を先にやらしてもらいます。
国連局長、いま海外の適当な国々に、防衛駐在官というのが十六人在勤をしております。これは自衛官たる防衛駐在官です。これは自衛官であって防衛庁から出向されておる間は、防衛庁長官の指揮、監督でなくして、外務大臣の指揮、監督を受けることになっておると思います。これはあらゆる点において外交官の身分として行動できるのかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/39
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040・服部五郎
○服部政府委員 外国に駐在している場合は、外務省の職員といたしまして、大使の管轄下にありますので、外交団のリストに載っておる場合には、外交官同様の待遇であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/40
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041・受田新吉
○受田委員 ちょっとここで質問に先立ってお答えを願いたいのですが、かってのレバノンの事件のあとで、国連から日本に協力要請があった。いわゆるレバノン事件の監視団、それには適当な数の将校の派遣要請がありました。現にイスラエルを中心とする中東問題は、非常に重大な段階になっている。きょうテレビで伺ったのでございますけれども、中東問題処理をはかる国連の臨時総会は、例の非同盟国家から提案された決議案、すなわちイスラエルの行動をもとの位置に戻しておけというこの提案に対して、本日決定を見て、否決されたようです。日本はこれに対してどういう態度をとったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/41
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042・服部五郎
○服部政府委員 決議案は全部で九つ出ておりまして、そのうち一番採決の問題になったのは、いま御指摘の非同盟決議案ともう一つラ米諸国が出しておりましたラ米決議案、この二つでございました。けさ私もラジオで聞きましたら、両方ともに否決されております。わが国のとりました態度は、非同盟決議案にも賛成をいたしましたし、それからラ米決議案にも賛成いたしました。といいますのは、非同盟決議案というのは、どうしてもアラブ寄り、すなわちソ連の支援を受けた決議案だという感覚があったわけです。それから一方ラ米決議案というのは、イスラエル側に立った、また米英のほうの支持を受けた決議案だというような見方をされておりましたために、一方に賛成し、また他方にも賛成するというのが、いかにも不自然な印象を与えているかもしれませんけれども、われわれの考え方は——撤兵の問題は、両方の決議案に出ております。ただ、非同盟決議案には六月九日の線というような条件がついておりますけれども、ラ米決議案にも撤兵は必要なんだということも出ております。結局両方の決議案にそれぞれ積極的な意義があるとわれわれは判断をいたしまして、両方の決議案に賛成いたしました。これがわれわれのとった態度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/42
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043・受田新吉
○受田委員 まだ残された決議案に、ソ連案とか米国案というのがある、こういうものに対しての今後の態度というものも、一応きめておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/43
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044・服部五郎
○服部政府委員 ソ連決議案は否決されました。アメリカ決議案は、アメリカがこれを撤回いたしましたので、表決に付されません。それから先ほど九つと申し上げましたのは、一々は省略したのですけれども、非同盟決議案に対する修正案が二つございました。これはアルバニアの修正とキューバの修正でございます。これはともに否決されました。それからもう一つ、パキスタンが提案しておりましたエルサレムの合併、これはけしからぬ、したがってこれは無効だという趣旨の決議案、これは賛成九十九反対ゼロで採択されております。もう一つ、難民救済に関する決議案、これも百十六票対ゼロで採択されました。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/44
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045・受田新吉
○受田委員 私は、日本のとっておる態度というものに対して、それぞれの決議案に関する事情をいま承ったわけでありまするが、いずれにしてもこの国連の臨時総会で、最終的な中東問題の処理に、日本にその終戦処理上国連に何らかの形の協力を求められることが、可能であると思うのです。そういう場合に、たとえば休戦の監視団のようなものを何らかの形で日本から協力を求められる場合には——わが国からは民生の安定など、協力の限界がはっきりしている。武力の提供というようなものは、一切国連にしないことになっておるわけです。海外派兵も認められていない。しかし、そうした終戦処理上の平和への国連の何らかの機関に日本に協力を要請された場合に、防衛駐在官という外務大臣の指揮下に属する外務職員をそれに参加させるということは、外務省としてどうお考えなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/45
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046・服部五郎
○服部政府委員 ただいま御指摘がありました国連機関でございますけれども、これはいわゆる平和維持活動と総称されているものでございます。そしていままで国連が創設以来大体二十幾つか設置されておりますけれども、その国連機関そのものが安保理なり総会なりの決議に基づいて設置されるわけでありまして、その場合場合によってその名称も異なりますし、それから任務、権限、目的というようなものも異なっております。大別いたしますと、第一には軍隊の性格を持っているような機関でございまして、たとえば朝鮮国連軍だとか、コンゴの場合、あるいは今度の中東の国連緊急軍というようなものは、軍隊の性格を持ったようなそういう機関。それから第二は、軍人を構成員とする監視団、こういうようなものもございます。それから第三には、全く軍人とは関係のない、軍事的性格は全くない、たとえば委員会とか、調査団とか、それから事務総長の個人的な代表団というような種類のものもございます。
いま御指摘の中東にはたして国連機関を設置することになるのかどうかということは、ただいまの緊急特別総会が今後どうなるか全く不明でございますし、決議案も否決されたような状況でございますので、はたしてそういう国連機関ができるのかどうか、その辺は不明でございます。ただ、今後の紛争のきっかけとなりました国連緊急軍、これがアラブ連合の要請によって撤退したわけですが、そういうものが復活する場合には、これはやはり相当軍隊的性格を持っておるわけで、こういうものに参加するのは、もちろん不適当ということでございます。
軍事監視団につきましても、これはやはり構成員は軍人でございますし——軍事監視団の中にも、全く兵器を持っていない丸腰のいわゆる軍人が参加している監視団もございますけれども、これもなかなかむずかしいんではないかというように私どもは考えておるわけでございます。したがって、現在のところ、われわれに対して国連側から何の照会もございませんけれども、またあっても、それは適当ではないとわれわれ判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/46
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047・受田新吉
○受田委員 国連に協力を要請された場合に、いかなる場合も日本は参加しないということが基本方針だというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/47
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048・服部五郎
○服部政府委員 ただいま申し上げましたように、監視団とかいろいろな場合がございます。軍事的性格を持っているのはあまり適当ではないんではないかと思いますが、たとえばこれまた一つこまかい例でございますが、インドネシアにオランダ軍の撤退を監視し、その監視の状況を安保理に報告する任務を持った国連の委員会ができたことがございます。この構成は、バタビアに領事館を持っている安保理事国の領事館付軍事専門家というようなものが構成員になっておりますが、そういう場合にわれわれのは妥当しないのですけれども、領事館付軍事専門家、ほかの大使館なり領事館のいわゆる武官連中がこれに参加するような場合であるならば、あるいは考えられるのではないかというような気持ちもいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/48
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049・受田新吉
○受田委員 外交官を国連のそうした調査機関などに要請がある場合も、起こると思うのです。いまの場合など、西イリアン事件などは、それに入ると思うのです。そうした場合に、防衛駐在官は外交官ということであるので、その防衛駐在官をそれに参加せしめても差しつかえないという御判断ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/49
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050・服部五郎
○服部政府委員 まあ軍事問題を担当する外務省職員という考え方、軍事問題を担当します大使館員なり領事館員という立場でそういう国連機関に参加するということも、あるいはあり得るかもしらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/50
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051・受田新吉
○受田委員 増田長官、防衛駐在官はあなたの指揮下にない。しかし、身分は防衛庁の自衛官として残っている。自衛官としての身分に対しての何らかの権限が、防衛庁長官にあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/51
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052・増田甲子七
○増田国務大臣 私どもは、直接指揮、監督いたしておりません。外務大臣がこれを指揮、監督いたしておることは、ただいま局長の申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/52
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053・受田新吉
○受田委員 給与は、これは自衛官の給与が出ておる、こう了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/53
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054・海原治
○海原政府委員 各駐在官は、それぞれ階級系列等に応じまして、それぞれの大使、公使館におきまして、参事官、あるいは一等書記官、二等書記官、こういう立場で勤務いたしますので、それぞれの外交官に与えられます給与をもらっております。したがいまして、防衛駐在官の自衛官としての性格は、何ら反映いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/54
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055・受田新吉
○受田委員 自衛官であることは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/55
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056・海原治
○海原政府委員 これは身分的には併任の形をとっておりますが、実質上は出向をしたという扱いになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/56
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057・受田新吉
○受田委員 軍事専門家である自衛官が、そうした平和的な事務処理の調査その他の目的をもって派遣せられるということは、これは防衛庁としては何ら関する問題ではないということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/57
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058・増田甲子七
○増田国務大臣 そうでもないのでございまして、他の機会に、受田さんではございませんが申し上げたと思いますが、その国の軍事事情等は、耳に入ってくるものはまず外務省に報告する。外務省のほうから私どものほうに連絡がある。それくらいの役目は果たさぬことには、おかしいんじゃないかと思います。それくらいの役目は果たさしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/58
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059・受田新吉
○受田委員 いま国連局長の指摘されたような外交官としての国連への協力、特別の軍事目的でない協力をするときに、ユニホームのかっこうで行くか、あるいは洋服を着て行くか、せびろを着て行くか、わかりませんけれども、自衛官という一応の根っこの身分のある、あなたの名目上は部下である人のそうした行動に対しては、外務省に行っておるんだから別に支障がない、こういう解釈でよろしゅうございますかということをお尋ねしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/59
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060・増田甲子七
○増田国務大臣 外務省の局長の御答弁のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/60
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061・受田新吉
○受田委員 私は局長がおられる間にもう一つお尋ねしておきたいのですが、国連にいわゆる十八カ国軍縮委員会というのがある。日本がもしこの十八国軍縮委員会に追加して委員会が構成される機会があるというので、米国を通じて参加の申し入れをしたことがあるとも聞いておるのですが、これは事実ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/61
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062・服部五郎
○服部政府委員 御指摘の十八カ国委員会というのは、成立の経過から申しますと、国連とは実は直接関係はないのであります。当初、十カ国委員会というので発足いたしまして、それを国連がエンドースいたしておりますし、いろいろな便宜供与なんかもやっております。それから十八カ国委員会の報告も毎総会出ておりますし、関係はもちろん非常に緊密でございます。一九六一年でございますが、十カ国が十八カ国に拡大されたときにも、いろいろ問題がございましたけれども、その後また昨年の末ごろに、十八カ国委員会の拡大、改組の問題がいろいろうわさをされたことはございます。そこで外務大臣も、やはりわれわれとしてはそういう会議にできれば参加すべきではないかという御意向のようでございまして、その旨をアメリカ側に非公式に話を出したことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/62
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063・受田新吉
○受田委員 非公式に話を出したことがあるということになると、日本も軍縮に非常に関心を持っている、こういうことになるわけです。ところが、この軍縮に関心を持つ以上は、日本自身の軍縮に対する心がまえもできておらなければいけない。日本の国自身は軍縮という問題は考えないで、よその国の軍縮だけに賛成するというわけにいかない。そういうことについては、外務省はそういう非公式な申し入れをしている以上は、防衛庁と何らかの形で相談をされたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/63
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064・服部五郎
○服部政府委員 軍縮問題というのは、かなり技術的な面の問題もございますので、われわれがわからない点などの生じましたときには、随時話を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/64
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065・受田新吉
○受田委員 軍縮の問題については、随時外務省から防衛庁にお話をしているということでございます。これは担当の局長がどなたですか、防衛局長かな。防衛局長、この軍縮に対する意欲が外務省には大きく動いている、これは事実です。すでにいま非公式の申し入れをしている。軍縮委員会に参加したいという意欲がある。ところが、この間からの論議を聞いていると、長官は、日本の自衛隊は、諸外国に比べてまだ著しく低位置にあって、軍隊というかっこうになっている世界の国々に比べてお話にならぬ数字もあげておられるわけです。いま申し上げるまでもないことです。それに軍縮に対する防衛庁としての意欲をわかせるとするならば、軍縮に対する自衛隊のあり方ということも、当然前提に研究されなきゃならないと思うのです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/65
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066・島田豊
○島田(豊)政府委員 ただいま外務省の国連局長から、防衛庁側ともこの問題について連絡をしているというお話でございまして、事実、定期的に連絡会が持たれておるわけでございますが、これは主として軍縮をめぐりますところの各国の動向、ことに核拡散防止条約の推移と申しますか、そういう点について防衛庁が連絡を受けておる、こういうことでございまして、そういう問題に関連いたしまして、わが自衛隊の今後の問題をどうするかというふうな問題は、いまだかつて外務省ともお話し合いをしたことはございません。わが自衛隊は、御承知のとおりに、先般も長官からもお話がございましたけれども、一つはまだビルドアップと申しますか、造成、建設の段階でございまして、いま直ちに一定の自衛力としてこれを縮小するというような問題が生ずるかどうか、いまの段階では、まだそこまで至っていないというふうに考えておるわけでございますが、ただ、これはいずれ今後の軍縮問題が世界においてどういうふうな推移を示すかということにかかってくるわけでございまして、各国が非常に完全なと申しますか、理想的に近いような軍縮の形というものがもし実現しました暁におきましては、これは各国の軍備の状況、あるいは軍事情勢というものも、相当変わってくるわけでございます。そういう段階におきましては、はたしてわが国が憲法に認められます最小限度の自衛力、こういうものをどの程度持つべきかということについては、検討する機会はもちろんあると思いますが、現実の問題としては、自衛隊の自衛力を軍縮に関連いたしましてどうするかという具体的な論議は、外務省との間でも行なったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/66
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067・受田新吉
○受田委員 この軍縮委員会は、いま核拡散防止条約に力点が入れられておる。しかし、これが本筋に戻る日が心ずくるわけであります。その時点において、外務省と防衛庁は、日本の自衛隊のあり方をこの軍縮の国際的な動きに対応してどうするかということは、当然研究してもらわなければいかぬ。まだ具体的に全然触れておらぬということでありますが、これは日本の外務省がそこまで意欲をわかせておる以上は、防衛庁としても当然自衛隊の軍縮に対応する形の心がまえだけはできておらなければいかぬと思いますね。それは用意しておかなければいかぬ、いま考える段階ではないといわれても、どこを削減し協力するかという順序のようなものは、当然考えておかなければいかぬ、こう思うのです、心がまえだけは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/67
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068・島田豊
○島田(豊)政府委員 先ほど申しましたように、この問題は今後の軍縮問題の推移いかんに非常に影響されるところが大きいわけでございまして、わが自衛力といたしまして、国の防衛、国民の安全を守ることを目的といたしておるのでありますから、そういう自衛力に事欠くようなことになってはまことに相済まないわけでございまして、それは一にそのときそのときの段階に応じまして、わが防衛力としてどれだけの力を持つべきか、最小限どれだけの力を持つべきかということについての検討を慎重に行ないました上で、こういう問題はおのずから方向が定まってくるというふうに考えるわけでございまして、少なくとも今日の軍縮の当時の段階におきましては、まだそこまでの段階に至っていないというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/68
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069・受田新吉
○受田委員 それでは国連局長、けっこうです。どうぞ。
私は、防衛庁長官にひとつ本論として質問を続けていきますが、私たちの党はすでに天下に公表されたように、安保条約を改定して有事駐留の制度を取り入れることを提案してあります。ところが、安保条約の第五条、第六条及び六条の交換公文、これらをどう変えるかという問題も一つあるわけでありますが、基本問題として、いま日本の国は、安保条約で日米間のかたい提携によって極東の平和と日本の安全が保たれるような形になっておるわけです。これはわれわれ一応肯定します。しかし、常時日本に米軍がおるというこの制度、これは安保条約のどこの規定を見ても、基地貸与のどこの規定を見ても、常時米軍に基地を貸すという規定は書いてないし、また有事に貸すとも書いてない。それは明文上は基地貸与という原則だけ確立されてあるだけで、このままでも有事駐留ということも考えられる問題なのです。国連局長をちょっと呼んでください。——ところが、非常にこれは大事な問題ですが、日本国民は、安保体制のもとにアメリカの軍が守ってくれるというので非常な安心感があって、自衛隊そのものの国土、国民を守る意欲にも、ある程度の他力本願的なものがひそんでいないかと私は思う。むしろこの機会に、アジアのその他の国々あるいは全世界の平和への意欲をわかすためには、平時は日本から米軍に撤退をしていただいておって、有事の際に駐留あるいは来援をするというような形で協力を求めるという方式が、日本のとる防衛政策としては一番適当ではないか、また外交政策としても適当ではないか。ただ、戦争のときだけにこの安保条約があるわけではないんで、戦争を起こさないために安保条約があるとわれわれは判断している。そうじゃないですか。その意味から、常時米軍にこちらに駐留してもらっておるということは、これを切りかえて、有事に駐留もしくは来援、協力を求めるという形が、筋としては通る。これは自衛隊の職責を遂行する意欲の上においても、われわれが祖国を守るんだという意欲をわかす上からも、またもう一つは、他の国々に対する平和愛好の国家であるという意識をわかせる上からも、国民全体がわが国をわれわれが守るんだという意識をわかせる上からも、大切なことではないかと思うのです。防衛庁長官、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/69
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070・増田甲子七
○増田国務大臣 受田さんが民社党を代表されての日米安保条約に対する御所見は、きわめて有益に拝聴いたしております。ことに前半の、日米安保体制によって日本並びに極東の平和と安全が維持されておることを自分は勇敢に承認するのであるということをおっしゃったことは、それだけでももう国防白書の価値があるのであって、非常にありがたいと思っております。御礼を申し上げたいと思います。
ところで、条約自身に駐留のことは書いてないとおっしゃいましたけれども、条約自身の第五条、六条に、日本の施政権下において武力攻撃があったるときには、日米各国はおのおのの憲法にのっとって対処する、こういう規定がございまして、前項の目的をもって米軍がベースを持ち、施設を持ち、基地を持つことが許される、こう書いてございまして、それを受けて、今度は協定として地位に関する協定等があるわけでございまして、有事駐留ということになりましても、日米安保条約の改定は必要でないという点は、第六条をお読みになれば、やはりこれは必要でございます。有事駐留ということは——私の見解はそうじゃございませんが、有事駐留ということは、現行日米安保条約を改正しなくてもよろしいのだということについては、法律論としてはいかがなものか。ここに何も外務省の局長がいなくても、私が答え得る範囲でございますからお答えいたしますが、やはり第六条がありまして、第六条を受けて、地位に関する協定がございまして、もろもろの基地あるいは施設等を提供いたしておるわけでございます。そこで、日本におる米軍は、御指摘のとおり、きわめて数が少ない。三万七千でございます。しかしながら、米軍の基地というものは相当ございまして、その基地が有効に管理されておりませんと——たとえば横須賀の海軍基地等は、相当有効に管理されていないと、日本を守っておる、ことに二百億ドルになんなんとする日本の貿易ルートを守っているのは第七艦隊であるということは、結局あなたのお説を具体的に申せばそういうことになるわけでございまして、その第七艦隊の補給ルートであり、また艦艇の補修等もありますので、それを全然もう提供もしないでおいて、事があったとき来てくれやなんて頼んだって、二月も三月もかかると私は思うのですよ。そこで、受田さんの常識にお訴えいたしますが、有事駐留という看板を掲げたからには、それで押し通すということではなしに、その前半の、ほんとうに国を思い、世界の平和を思い、極東の平和を思っていらっしゃるお心持ちからいたしますと、どこの国でもベースは、安全保障条約によって、ブルガリアとかルーマニアあるいはチェコスロバキア等にも——東独はもちろんでございますが、ソ連の軍事基地があります。また、北大西洋安全保障条約によりまして、イギリスにも、オランダにも、ベルギーにも米軍の基地があるわけでございまして、いまや近代国家学の観念としては、国家というものは、主権者というものは、すなわち皆さまでございますが、皆さまは国民を平和のうちに守るためには、外国軍がその国におってもよろしいのだ、やはりその国家を守り、国が国民をまくらを高くして寝かせるためには——英国の国家というものは、これは栄誉ある独立主権国家であります。しかしながら、アメリカの軍事基地があるわけでございまして、オランダも名誉ある独立主権国家だと思いますが、アメリカの軍事基地がございます。そうして、事があるときにオランダ国民がまくらを高くして眠ることができるようにというので、いわゆる共同防衛集団安全保障条約というしかけをしておるのでございまして、その基礎は、ワルシャワ安全保障条約にいたしましても、あるいはNATOにいたしましても、日米安全保障条約にいたしましても、国連憲章第五十一条にあるわけでございます。国連憲章第五十一条があるということは、国連自身がまだ自分の警察力で全世界の平和と安全を維持できないから、君たち頼むぞと構成メンバーの国家に頼んで、めいめいの国は、それまでの間、個別あるいは集団の防衛権があるのであるから、適当なる措置をとってくれてもけっこうでございますということが国連憲章第五十一条にあるわけでございますから、われわれは堂々と駐留を許すところの日米安保条約を、世界各国にならって——日米安保条約だけが安保条約であるという印象を国民の中に持っておる人がありますから、受田さんにおいてそんなことはございませんが、日米安全保障条約なんというものは、集団安全保障条約の一つでございまして、他にたくさん集団安全保障条約があって、その国に外国の軍隊の基地がある国が、英国をはじめとしてたくさんあるということを、この際申し上げておきます。
それで、あなたのお問いの最後は、もう一ぺん繰り返しますけれども、事があったときに、基地を提供し、施設を提供してやればいいじゃないかとおっしゃいましても、もうさびてしまったら——人のいない家なんというものは、大体さびてしまいます。もうだめでございますから、やはり事があるときこのうちを使わせるといっても——人が住んでおるうちは長もちします。事があれば、すぐ大ぜい泊まることができるわけでございまして、やはりベースがあるほうが、施設があるほうが、ないよりはよろしい。よろしいというのは、つまり国家の平和と安全を守り、一億国民の幸福を守るためによろしい、こう私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/70
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071・受田新吉
○受田委員 ちょっと済まぬけれども、反論します。あなたはさびついた家にはなかなか来れないというお話でございましたが、現に日本は、横田基地にしても、F105が、これは爆撃機として用意されておるようです。板付、三沢、こういうところの部隊は、別にいま日本におらなくても、日本の部隊でゆっくり代行できるはずである。それから市ケ谷にある例のMAG、顧問団、こういうものも、用がなくて困っておる。アメリカでも、あんなものは帰せという声さえある。こういうときに、これを引き揚げていただく。横須賀、佐世保という問題は、これはちょっとわれわれが考えても、なかなかむずかしい事情があると思います。しかし、私の郷里にある岩国、ここには海兵隊が来ておる。この海兵隊なんというものは、用はないと思う。こんなものはどうぞお帰り願いたい。それから横田も、板付も、三沢も、お帰り願いたい。横須賀と佐世保はしばらく御苦労願おうとかいうような、何らかの形でその日本に常駐しておる米軍の施設及び部隊を、自主防衛の立場に立ち、日本から帰っていただくという努力を積み重ねていくという方向は、順序として必要だと私は思う。そうしてもう一つ、一朝事あるかどうかということは、大体空気でわかる。今度のイスラエルの事件でも、ごらんのとおり、アカバ湾のチラン海峡の航行を抑止しようとしたアラブ連合の勢力に対してのもたもたが、長期にわたって続いておる。だから、もうそういう危険が予知される段階というものは、いまの国際情勢ではすぐぱっぱっといくようなかっこうでないことは、この東西の均衡が保たれておる現段階で、はっきりわかるじゃないですか。こういう段階で、私がいま提案しておる有事駐留というものは、ぜひ必要である。それからもう一つ、アメリカの兵隊がいつも来ておる。そして要らぬところにゴルフ場をつくったり、遊休施設がたくさんある。日本は農地も足らぬ、工場も足らぬ。学校も敷地がないというときに、遊び半分のゴルフ場や遊休施設が全然ないかどうか。そういうものをひとつお調べ願いたい。そういうものを漸次返してもらって、基地貸与の協定というものからそういうものをなしくずしにくずしていく。そしてわが国の国土、国民を守ってくれるのは自衛隊である、また国民であるという意欲をわかすほうが、日本の防衛、国防の意義を高める上にはたいへん大事なことじゃないですか。私はあえて反論します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/71
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072・増田甲子七
○増田国務大臣 受田さんのりっぱな反論に対して、またあえて私は反論いたします。第六条というものは、やはり基地がございまして日本の平和と安全に寄与するのみならず、日本も少しくらいはお手伝いしないとあんばいが悪いですから、そこで相互というような字を使えるのじゃないかと思いますが、とにかく極東の平和と安全を保持するために、米軍が日本の基地を使える。これが何もないということでは、やはり日本が経済的動物だといわれるのはそこでございまして、多少はやはり置いておいて——陸軍なんか全然要らぬというようなお説もございます。それは非常にりっぱな御見解だと、私は思います。でございますから、陸軍は帰ってもらったのです。陸軍は補給部隊しかおりませんから、六、七千くらいしかおりません。それから航空部隊も、非常に縮小されております。海軍部隊も、非常に縮小されております。しかしながら、全然ないということで、それで事があったときには向こうに頼むぞ、おれのほうは何も手伝ってやらぬということは、やはりあんばい悪いじゃないでしょうかというのが、私の反論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/72
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073・受田新吉
○受田委員 それははなはだ安易な反論です。もっと日本国民的規模に立った反論をしてもらいたい。いまの日本国民自身が、不必要なところに遊休施設を持って、遊び半分の米軍に御苦労願っておるような印象を受けることが、現に存在しているというこの事実など——それから横田にしてもあるいは板付、岩国、三沢にしても、これはさしあたり日本の自衛力で十分間に合う。また、佐世保と横須賀の問題はあとの問題としてこれを残すにしても、当面米軍に御撤退を願う具体的なスケジュールくらいは、ちゃんと防衛庁でお持ちにならなければいかぬと思うのです。沖繩にしてもそうです。沖繩の核基地つき返還ということは不完全なる返還であるというような新語も、この間外務大臣から飛び出したようでございます。いま沖繩の少なくとも防衛基地としての威力は、国際的に見て非常に欠けておる。もう薄くなっておる。そういうときにあえて沖繩を要求しておるのは、これはアメリカの政治的意図じゃないですか。だから、日本国はアメリカに対して大きな国民的規模の意欲を伝えて、あちらさんに日本の意思を十分理解せしめて、沖繩問題の解決、いまの基地の撤退の問題等を防衛庁自身が積極的にこれと取り組んで、日本の国土、国民は日本の自衛隊で守るのだ、国民が守るのだという意欲を起こさせる熱情を、私は期待するのです。したがって、いまの具体的なスケジュールから聞きましょう。横田、三沢、板村、岩国、もうあまりあとは基地は残らぬ。横須賀と佐世保が残るくらいであります。岩国の海兵隊の基地などは、もう日本国の自衛隊で十分補いをつける段階にきておる。佐世保と横須賀は一応残すとして、この二つの基地は残すといたしまして、あとはお返し願いたいという私の考えに、御見解を表明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/73
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074・増田甲子七
○増田国務大臣 御指摘の、一般論として遊休的なものがあって、日本も土地が狭いのだし、ゴルフ場なんかまずいということは、私もある程度肯定いたします。そのゴルフ場なんというものは、日本人自身の使うゴルフ場は何百とあるのでございますが、国会議員の方にもゴルフの好きな方がありますから、私は遠慮いたしておりますが、もし農耕地になり得るものならばやはり農耕地にして、そしてかんがい排水等を配慮する、日本人の頭というのは非常によろしいのでありますから。米軍の使用するゴルフ場が一とすると、日本人だけで使用するゴルフ場というのは二百くらいあるのです。だから、受田さんも国を憂うるなら、やはりやめておいて、ここのところへ米でも植えろということをおっしゃっていただきたい。何も私は防衛のことだけ答える必要はないのですから、国務大臣としてもあなたにも御注文申し上げておきます。
それから私は、お説はごもっともなんですから、そういう遊休的なものがあってなるべく縮小したいということであるならば、一つ一つはわかりませんが、あなたのほうの岩国の海兵隊というものの必要性ということはわかりませんが、検討したいと思っております。ただ一般論として、事があるときだけ来てもらうなんといいましても、それはたとえばあまり適切過ぎたかもしれませんが、うちをあき家にしておけばどうせあとは使いものにならないというようなわけで、基地も相当程度ないといけないと思います。ことに北のほうには三沢だけで、三沢を撤廃しろというのは、どういう見地から受田さんがおっしゃるのか知りませんが、私は三沢は必要だと思います。横田、厚木のことは相当あなたも御研究でございますから、私はあなたにお尋ねしたいと思っておるくらいでございますが、あなたは佐世保、横須賀は必要だということをおっしゃいましたから、私は非常に愉快に思っておるわけでございます。
それからなお、日本の周辺において、アメリカ海軍等は相当の猛訓練をいたしております。昨日も本会議におきまして、私は社会党の議員の御質問にお答えいたしました。いわゆるリマ区域等におきましては、日曜、土曜を除いて——今度は土曜を除いてくれということを、漁業民を保護するために私は申し上げているわけでありまして、これも成功しそうでございます。しかしながら、月、火、水、木、金というふうに練習をして、それからあと、休むところは遠いところの、何かカムラン湾あたりに行って休むのではやりきれませんから、やはり横須賀に来て、御飯も食べたり、休養をとるというようなことも必要でございますし、ことに船といたしましては、修繕をするための基地として横須賀は絶対必要でございます。アメリカ軍でございますから、軍事といってよろしいと思いますが、そういうような軍事的見地から必要であると私は信じております。あなたも肯定していらっしゃいますが、あとできるだけやめさせたいということは、いままで二十数万人もおったものを、だんだん縮小して三万七千人にしたということだけで、政府の努力というものもおわかりくださると思いますが、私が原則としてどうしても有事駐留は困るというのは、極東の平和を守るために日本の施設並びに地域を提供するということが、日米安保条約第六条に書いてあるのでございまして、これではじめて多少は片務的の安保条約でない。ただ、助けてもらった、助けてもらったでは、これは困るのでありまして、多少は助けておる。しかもこれは、わが国の周辺の平和と安全に寄与するための基地でございますから、その意味のことをお考えいただきたい。民社党でも相当研究していらっしゃるのですから、お考えがないことはないと思いますが、ただ日本だけの安全保障のことを考えてくださらないで、極東の安全のために日本は基地を提供する。あと手助けなんか全然いたしません、派兵もしないのでございます。基地くらいなことを提供して、そして助けられたり助けたりということにならないと、ぐあいが悪いんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/74
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075・受田新吉
○受田委員 私は、有事の場合にはどうぞ施設、基地の御利用を願いたい、こういうことを言っているわけです。だから、そのときにはちゃんとお約束を果たせるわけです。保険料を払わないで保険金をとるようなものだというようなつまらぬ議論が、自民党の内部にある。そういうつまらぬ議論は、この私の理論ですぐ抹消されると思う。有事のときに御利用を願いたい。平和なときは米軍は引き取ってもらいたい。横須賀と佐世保は順序としていま残しておくけれども、やがて適当な時期には撤退するという、私は段階的なことをいま言っている。あの二つはお認めいただいてありがとうというようなことばは、私には当たらない。あなたはくしくも、いま残った横田、板付、三沢はちょっとむずかしいが、岩国などは何とかしてもよかろうというような希望が披瀝されておる。そういうところで漸次基地を整理し、遊休施設を取り去っていく、こういうところへ持っていって、自主防衛体制にひとつ前進をしてもらいたい、こういうことを私は要求しておるわけです。
それから北米局の中島参事官、諸外国で常時駐留の規定がある——いまはっきり五条、六条は、有事でなくて、常時駐留の約束がしてあるという解釈をしておられますから、その解釈に立って、ほかの国々で、相互防衛条約の中に、そうした常時的な規定と解釈をされる国々がありますかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/75
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076・中島信之
○中島説明員 具体的な条文を実はここに持ってきておりませんので、条文に即して正確にお答えいたしかねますが、先ほど防衛庁長官から引用されましたNATO諸国につきましては、NATO協定に基づいて現に米軍が常時兵力を配置しておるという事実がございます。その表現自体が常時駐留という表現はとってなくても、その条文に、その規定に基づきまして、具体的に常時兵力を配置し得る権利を与えられておるということかと了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/76
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077・受田新吉
○受田委員 日米安保条約との条文の比較をちょっと示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/77
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078・中島信之
○中島説明員 ここに実はNATO協定その他アメリカが持っております協定の条文を持ってまいっておりませんので、後ほど資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/78
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079・受田新吉
○受田委員 NATO条約以外の条約にあるかないか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/79
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080・中島信之
○中島説明員 たとえばANZUS協定、SEANZA協定、SEATO協定——ほかにも協定はございますけれども、その中には、基地協定の部分は含まれてないと思います。しかしながら、後ほど全部そろえまして資料として提出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/80
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081・受田新吉
○受田委員 基地を供与する協定というものをはっきりうたっている典型的なものは、日米安保条約である。そのほかの条約の中には、明文の上ではっきりと常時駐留してよろしいというような規定のものは発見できないと、われわれは解釈しておる。日米安保条約が最もきついと思う。いま米韓、米比、米タイ、ANZUS、SEATOというような問題は、これは別問題です。そのほかの国々には、私は全然ないと判断しておるのです。そういうときに、日米安保条約だけがきびしい規定を設けておるときに、ひとつこのあたりで防衛庁長官も実質的に自主防衛体制に日本の防衛体制を固めていくという方向へ御努力を願いたい。基地は漸次整理したいという御希望があった、これをもう一ぺん確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/81
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082・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、漸次整理したいということを言っておるわけではございませんで、不用不急のものがあるならばということでございます。それで、基地というものを平素使わせないで有事に使わせるということには、反対でございますから……。
それからなお、ここに外務省の係員もおりますけれども、ワルシャワ安全保障条約によって、独立国であるブルガリア、ルーマニア、あるいはチェコスロバキア、ハンガリー、あるいは東ドイツ等に駐留しているという事実は、これは法制局等で法律はどうなっているとかこうなっているとかいうことは関係ないので、われわれはやはりお互い政治家として、実質論を論議したいと思うのです。それでソ連軍が相当おります。これは現に基地を持ち、駐留しておる事実を、私はこの目で見ております。東ドイツ等には、ことにたくさんおります。それからNATO諸国等においては、イギリスにもおりますし、オランダにもおりますし、ベルギーにもおりまするし、フランスにもおったのですが、今度はフランスはNATOには入っておるけれども、おれのところは困るというわけで断わられて出ていったというだけで、NATOにはしかし入っておるのです。そういうわけでございまするから、有事駐留が世界的傾向であるなんということにはなっていないのでございます。やはり相互安全保障条約で、ことにわが国なんかは、自衛力の関係が非常に不足でございまするし、また防衛費を出さないということによって日本の経済が飛躍的に発展しておる。これは非常にありがたいことだと私は思っております。
また、いつも私はあらゆる機会において申し上げておりますが、防衛費の総予算において占める割合、国民所得に占める割合から見て、そう多くふやしたくない、これだけのことを言っている防衛庁長官はあまりないと思います。もっとふやしたいということを言っている方はあるかもしれませんが、私はふやしたくないと言っておるのであります。それには向こうさまに相当いてもらって——これはイギリスにもおるのですから、何も一つも恥ずかしいことはないと思います。そうして、ことに通常兵器以外の兵器が出てきたからには、この日米安保条約というものは絶対必要でございますし、おまえのところは都合のいいときだけ来てくれればいいのだ、あとは出ていけ、ハイチャイと言ったって、出てきてくれるかどうかわかりはしません。私は、やはりあなたの言う有事駐留という前の御議論は、非常に現実的な良識に富んだ御議論だと思いますが、日米安保条約それ自身は——有事駐留というのはちょっと常識の点から見てもう少し再検討を願いたいということで、反駁を申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/82
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083・受田新吉
○受田委員 長官、日本の国民感情というのをあなたはちっとも前提にされておらない。それから他の国々に対する日本として——残念なことに日本には安保絶対反対の勢力があるのです。今度北ベトナムには社会党の佐々木委員長が行かれる。南ベトナムには佐藤総理が行かれる。これはいかにも国論が分裂したような印象を与える。国会の第一党と第二党の両党首が全く反対のところへ出かけるという悲劇の国なのです。そういう悲劇の国にあって、アメリカに加担するような印象を与える態度でなくて、すべての国々に対して平和愛好の思想を日本国民が十分持っておることを伝える意味からも、日本の現実問題として、安保体制のもとにある駐留制度というものを有事駐留ということに切りかえ、しかもそれが事前にわかるのだという有事のときには、そういうときには御苦労を願う。そうして漸次基地を整理していくという努力を防衛庁長官がされないと、依然としてアメリカのお先棒をかつぐような印象を与えるような態度であってはならないので、全世界の平和への国民的規模に立つ大和民族という一つの民族です。ただ一つの民族の中に、昭和四十五年の安保騒動を頭に入れ、想定されて、いろいろな警戒体制をしかれる議論がされて、私は非常に残念だと思う。そういうときに国論を統一する意見としては、有事駐留というこの制度は、左右の激突を避けて、日本をしてアジアにおける日米安保体制のもとにおける平和愛好国家としての前進を期することができると私は思う。しかし、残念なことに国論は二分されておる。アメリカのような雑多な民族でさえもこういうときには一つになるときに、日本は二分されておる。あなたはこれをお考えになられて、日本の自衛隊のあり方を私たちが提唱しておる方向に御検討を願いたい、これを全然だめだということでなくて、ひとつ御検討を願いたい。これの答弁はいいことにいたします。
それでおしまいに、今度の第三次長期防衛計画の中で、戦車というものが相当数、約二百台ですか、日本の局地戦争で戦車というものを使用する——この問題については、また吉田委員からも関連質問が出ますが、この戦車というものがもしどこかに局地戦が展開されたら、そこに交通が非常にひんぱんで一千万台以上の車があるという日本の中で、戦車がガタゴトガタゴト、ガタゴトガタゴト行くようなことが、実際問題として考えられますか。関東平野とか広い所なら別です。いや別とは言いません、ある程度そういう地域でしたらということですが、そのほかのところは、何百台という戦車がガタゴトガタゴト動くような行き方は、実際問題としてなかなかむずかしい。そういうときの戦車を——しかもこれは中型戦車だ。小型戦車ならわからぬこともないが、いわゆる中型戦車をやられておる。それからDASH、無人兵器、こういうものがいまはもう無能であるということを、アメリカでもそういう証明をしておるが、そういうものがまだ二機残っておる。それからF86、またF104、昭和五十一年にはF86は消えるようになっている。それに対して次のFXはF86のあとを受けてやるのか、F104のあとを受けてやるのかということも、ちっともわからない。そうしてそれに対して、具体的な事例としてあなたがこの間ここでFその他の例を引かれて説明をされたけれども、そういう問題の前に、F86のあとをどうするのか、F104のあとをどうするのかという具体的な説明が一つもない。そういうふうに第三次長期防衛計画は非常に準備不足のままでスタートして、そうして不要なものが出ておる。むしろ、やるんならヘリコプターのようなものができて、これが災害のときにはいち早く人命救助をしてもらえるという、平時にも災害時にも役に立つ部隊をどんどんふやすならまだ意味があるが、意味のないものをふやしておる。そして新潟災害のときには、民間の一切の通信施設が破壊されて、マイクロウエーブもだめになったというような事態も起こっているときに、通信施設を依然として電電公社のものを利用している、こういう事実もあるわけです。これらに対する第三次長期防衛計画——いま私は時間がないから幾つも大急ぎで言ってしまったが、いまからやろうと思っても時間がないから、これらのことをきわめて簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/83
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084・増田甲子七
○増田国務大臣 戦車は不要じゃないかというお話でございまするが、昭和二十年ごろの戦車はアメリカから貸与された戦車でございまして、ごく古いも古いもとんでもない古いものでございます。それをかえるだけでございまして、総数は減ってまいります。現在の戦車の数と昭和四十六年末の戦車の数とは、ずっと減ることはちょうど飛行機と同じでございます。その範囲くらいのことは必要であると思っております。
それからDASHなんというものは必要でないというお話でございまするが、DASHは護衛艦につけるものでございまして、無人ヘリコプターでございます。これは私は、これこそは近代兵器として必要であると思っております。
それからFをどういうふうに定めるか、Fの将来がわからないというのがXでございます。だからFXと言っておるわけでございまするが、F86Fにかわるものである。F86Fにかわるということで、これを代替更新する。F86Fというものが昭和四十八年度で……(受田委員「間違いないかね」と呼ぶ)私がいままで得た知識で申し上げまするから、なお補足すべき点は政府委員に補足させますが、昭和四十八年末をもってなくなるから、それにかわるものでございまして、その機能等はF104よりはまさっている。すなわち、外国に脅威を与えず、しこうして迎撃能力は高まったもの、これだけの基準があるのでございまして、それ以上の基準は——これがわれわれ行政官である者の最高の水準でございまして、あとこまかいことは、どんどん専門家を連れて来たときにお答えいたしますが、まずそれくらいのことを知っておれば、基準がないということにはならない。基準があるということで、賢明なる受田さんも肯定くださると思うわけでございます。
ヘリコプターは大いにけっこうであるから大いにふやせというお話でございまするが、非常に有力なる、有意義なる御発言、ありがとうございます。国力国情の許す限りふやしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/84
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085・受田新吉
○受田委員 いまあなたは、FXでF86のあとをやるのだとはっきり言明されたわけです。私、もう時間の関係で質問をよしますが、このFXをきめる際にT38というような練習機をどうするか、地上攻撃と、それから要撃といろいろな議論から、地上へぱっとやってくる部隊をさっと上陸地点で攻撃する、そして迎え撃つ方法、そういうものを考えながら御検討をされておると思うのです。どういうかっこうのものが要るか知らぬが、ただここで御注文申し上げておきたいのは、従来からバッジの採用のとき、その前のグラマンかロッキードの議論のとき、終始政治家が背後におって防衛庁の公正な意見を妨害してきた。この機会に政治家を断固排撃して、防衛庁の公正な立場でこれを研究される、あるいは採択されるというかっこうでないと、政治の力で腐敗堕落の防衛問題が国民に非常に醜悪をさらす、そこをはっきりしてお答えを願って質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/85
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086・増田甲子七
○増田国務大臣 Tはどういうものを選ぶのかというのは、TXでございます。TXというのは国内開発をしたいというのがいまの考えでございまして、T38を買うなんということはまだ考えておりません。外国からTを買う場合には、これがまたTXになるのでございまして、TXにはもろもろのものがあると私は考えております。しかしながら、昭和四十六年までに日本のTXが開発されるならば——昔はゼロ戦の発動機すら日本で開発したのですから、何でもかんでも向こうのものを買ってくるとか、あるいはライセンス生産であるとか、ノーハウを買ってくるということは、工業水準もこれだけ高まった日本として、それこそお互いコンプレックスを持っちゃいかぬと思うのです。でございますから、T38を買うであろうということは、これは私どもきめておりませんし、Tだけは日本で開発したい、そして購入したい、こう考えております。
それから一般にXを買う場合には、外国から買うX、日本から買うXですが、CX、TX、FXにいたしましてもその他の武器にいたしましても、政治家が介入するなんということは許しません。防衛庁長官、もちろん政治家でございまするが、厳正に、りっぱなしっかりした、国民から見て、これなら頼もしいという武器をつくるように取り締まってまいるつもりでございます。しからば事務当局、技術当局にまかせっきりでよいかと申しますと、技術当局、事務当局が全部良心的とは考えられない。やはりそこで監督が必要なんでございまして、いわゆる変なことがある者があるならば、首を切ってしまうということをこの間も私は申し上げた。首を切るというのは、つまり社会的の存在を許さない、職務上の存在を許さない。生理的の存在までも許さないということではないということをこの間申したわけでありまして、厳重に監督してまいって、しかも事務官、技術官は良心に照らしてこれを選ぶようにということについて監督をしてまいりまするから、どうぞあまり御心配のないように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/86
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087・受田新吉
○受田委員 過去において心配したから。
それじゃ、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/87
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088・關谷勝利
○關谷委員長 鈴切康雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/88
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089・鈴切康雄
○鈴切委員 六月三十日の本委員会の席上、浜田委員の基地問題に対し、住民の経済発展、各地域の安定、人命の尊重という観点から、どのような態度で基地取りきめをするのかとの質問に対し、長官は、それぞれの地域住民の福祉に寄与するため、基地の存在する場所についてはきめこまかな配慮をする必要がある。米軍基地に対しては、日米安保の基地貸与協定に基づくものであるが、地域住民の納得と協力を得て弾薬庫、基地を得ることはできるのであると答弁されましたが、非常に大切な問題でありますので、確認のため、もう一度政府の基地に対する基本方針をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/89
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090・増田甲子七
○増田国務大臣 鈴切さんにお答え申し上げます。
六月三十日に浜田委員にお答えいたしたとおりでございまして、基地周辺の方々に迷惑がいかないように、基地周辺の方々の心からなる御協力を得て初めて基地というものを設定し、維持できるわけでございますから、基地周辺に関する法律の精神にものっとりまして、極力御理解と御支持を得るように、また各種の公害等がないように、その他の損害の補償というようなことにつきましても十分御期待に沿えるように配慮し、努力をしてまいりまするし、また部下の施設庁長官等をして努力をせしめてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/90
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091・鈴切康雄
○鈴切委員 基地設定にあたって、長官は、戦略的な要素が優先するか、人命尊重、地域住民の福祉が優先するかお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/91
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092・増田甲子七
○増田国務大臣 この施設は、戦略、戦術というようなことば以外あまりありませんから、戦略、戦術というようなことばを使わしていただきますが、戦略的な見地、戦術的の見地もまた基地周辺の民衆の福祉という見地も、両方とも力を入れまして、総理のいわゆる調和のとれた立場において基地を設定し、これを維持してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/92
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093・鈴切康雄
○鈴切委員 いま長官が言われましたけれども、どちらも調和してという見地でありますが、日本の安全の見地から基地を必要だとするその基準的要素は、何をもって長官は必要だとされるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/93
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094・増田甲子七
○増田国務大臣 基本的なことは、この日米安保条約に書いてございますとおり、その精神は、第六条でございますが、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において」これは日本の施政権の及ぶ範囲でありますが、「施設及び区域を使用することを許される。」日本が許したわけであります。こういう範囲におきまして、この条項の精神にのっとって基地は必要である。これ以上にわたる場合には、基地はやはり整理してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/94
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095・鈴切康雄
○鈴切委員 日本の安全を守るという見地から判断したときに、必ずしも、長官のいわゆる戦略的要素、すなわち、武力や基地ということのみが優先するというような考え方は、私は非常に危険であると思うのです。この点が、むしろ現在の日本においては先行されているような点が多分に見受けられるわけです。私は、そういう観点から長官にお尋ねしたいと思いますが、ナショナルコンセンサスとはどのようなものをもって形成していくと長官は判断されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/95
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096・増田甲子七
○増田国務大臣 基地並びに駐留軍の関係で不必要と思われるものは漸次整理してまいっております。そこで、先ほども受田委員にお答えいたしましたが、当初、駐留軍という時代になりましても——占領軍という時代ではございません、駐留軍という、日本が独立主権国家になりまして後にも二十数万名おったものを漸次整理していただきまして、三万七千名というところに来ておるわけでございまして、これから後も検討してまいりたい。鈴切さんのお説には賛成でございます。ただ、先ほど軍事優先というようなことをおっしゃいましたけれども、われわれは、戦略、戦術的見地と、それから周辺住民の福祉、生活を守るという見地とが調和ある関係において初めて基地を設定し、これを維持してまいりたい、こう考えておるわけでございまして、いずれを優先ということは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/96
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097・鈴切康雄
○鈴切委員 いまナショナルコンセンサスについて長官に聞いたわけですが、あなたの立場からすれば、どういうふうに形成をされていくのが理想的であるかということ、たとえば軍事力を主体として考えていくのか、さもなければ平和外交、政治経済推進、そういう点を重点的に考えていくのが理想であるかということについてお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/97
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098・増田甲子七
○増田国務大臣 国防に関する国民の同意を得たい、コンセンサスを得たいということは終始考えております。
それから、わが国の施政方針というものは、総理大臣もしばしば申し上げておりまするとおり、自由を尊重し、平和に徹する、こういうことでございまして、主として外交関係になると思いますが、経済関係におきましても、すべての関係におきまして善隣友好という関係でございます。また国際連合の経済会議におきまして日本は先進国でございます。先進国でございまするから、開発途上の国々がアフリカにもございまするし、中南米にもございます。またアジア地域にはたくさんあるわけでございまして、それらの地域に対して日本のGNPの一%は助けなくてはならぬという義務も、決議の結果担任いたしている次第でございまして、やはり平和方面について努力することが先決でございます。善隣友好が先決でございます。ただ、善隣友好ということが直ちに国防廃止ということにはつながらない、また政治体制の違う国ともわれわれは善隣友好をしてまいりたいと思いますが、しかしながら、国防というものはやはりある程度必要である、こういう見地に立っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/98
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099・鈴切康雄
○鈴切委員 きょうは、私は問題をしぼりまして、いま世間の話題になっている米軍の水戸射爆場を伊豆七島の新島へ移すという、昨年六月の日米共同声明に基づいて新島を代替地とした理由についてお伺いしたいわけであります。
その前に、私はすでに現地に調査に行ってまいっておりますので、その点について、ひとつ長官の明確なる答弁をお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/99
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100・増田甲子七
○増田国務大臣 私の前のその前の長官、その前の長官のときから続いている問題でございますから、私は鈴切さんに原則的なことをお答えいたしまして、それからあとは、施設庁長官に補足させますから御了承を得たいと思います。
そこで、原則的なことといたしましては、水戸の射爆場は隣に原子力平和利用に関する東海村の各般の施設もございまするから、もし誤爆等をして原子力平和利用のところへでも落っこちたりして放射能でも出してたいへんな迷惑をかけてもいけないということが水戸の射爆場の廃止したいという——水戸の方々がコンセンサスをわれわれに与えられない根本の原因であると私は考えております。
そこで、あと代替地といたしまして新島を選んだ理由その他につきましては、施設庁長官から補足説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/100
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101・小幡久男
○小幡政府委員 水戸の対地射爆場を新島に移転するという方針になりました理由は、まず第一に、御承知のよりに、水戸の射爆場で演習をやっておりますのは、横田の飛行場の飛行機、それから厚木の海軍機でございます。米軍の条件は、横田基地から約二百キロの半径を描いた円周の中にしてくれというのが第一でございます。それから次は、いわゆる厚木と横田でございますから米空軍、海軍両方でございますので、陸と海と両面の訓練ができるような場所を選んでほしい。ほかにも条件はございますけれども、この二つが一番決定的な条件でございます。この条件を充足する関係がございまして、海陸両用に都合のいい場所をとるといたしますと、われわれの検討した範囲では新島以外にはないという判断をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/101
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102・鈴切康雄
○鈴切委員 誤射爆によって起きる危険というものについては、新島においてもやはり同じだと私は思うのであります。新島が無人島であるというならいざ知らず、少なくとも三千五、六百人の人が生活しているという観点に立ったときに、誤射爆によって起きる被害については、人命の尊重という観点から考えるならば、何ら変わりはないと私は思うのです。その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/102
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103・小幡久男
○小幡政府委員 その前に、水戸におきます現状から見まして、誤投下がどれほどあったかということを申し上げて、御参考に供しつつ新島問題を申し上げたいと思います。
水戸におきましては、昭和二十七年から三十五年までの九年間に、年々約二十五件誤投下があったわけでございます。これに対しましていろいろな検討をいたしまして、事故防止のために標的の移動を昭和三十五年度にやりました。その結果、三十六年から四十一年までの年平均は三件に減少しております。決して爆弾は使っておりませんで、模擬弾とか機関銃とか薬きょうとか、そういうものでございます。これを今度新島に持っていく。これは御承知のように、まだ最終的な演習場の範囲はきまっておりませんけれども、大体大まかに言いますれば、新島南端の端端地区を含めまして、その海上に矩形に演習水域を含むわけでございます。したがいまして、水戸ではセーフティゾーンを内陸にとっておりましたが、今度は海面にとります。したがいまして、誤投下の事故があそこでは海上で済むのではないだろうか。しかも、水戸では年に三件でございますから、私は誤投下は決して決定的なものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/103
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104・鈴切康雄
○鈴切委員 いま施設庁長官が言われたことに対しては、あとでまた質問をいたしますが、しかし、新島を代替地として決定する前に、政府はどことどことどこを候補地として選んで交渉したのか、それについてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/104
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105・小幡久男
○小幡政府委員 新島のほかに御蔵島等も検討いたしました。それからさらに現在使っております三沢等、そういうところもできないかということも検討いたしましたが、御蔵島はいろいろ立地条件が悪いということで、これはだめでございました。それから三沢は、先ほど申しました横田、厚木の基地から距離が遠いというので、どうしてもあそこを使いますと、部隊がいろいろの演習をするためには、最小限度部隊が二倍要るというふうな、訓練のために駐留部隊をふやさなければならぬというジレンマにおちいるというような関係がございまして、いずれも残念ながら選考の過程でアウトになったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/105
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106・鈴切康雄
○鈴切委員 いま、あなたは御蔵島を対象にしたと言われたわけですが、立地条件だけであなたはそれに対して不適格であるというふうに判断をされたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/106
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107・小幡久男
○小幡政府委員 これは、実は私の着任いたす前に、前のスタッフ並びに責任者が判断いたしまして、地形が悪いのと気象が悪いというふうなことが決定的だったと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/107
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108・鈴切康雄
○鈴切委員 私はそう聞いていないのです。御蔵島においては、対象としたけれども、地元のものすごい反対にあって挫折せざるを得なかったと私は聞いている。そうなった場合、新島を代替地にしたのは、かつてミサイルの射撃場のとき、地元のほうで反対から賛成になったいきさつから、新島はくみしやすしというふうにあなたは判断をされて、そうしてきめられたのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/108
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109・小幡久男
○小幡政府委員 私の聞いております範囲では、まだ御蔵島は具体案を提示して島民の反対にあうというような場面はなかったように聞いております。また、新聞に発表があって、どうこうの議論があったことは聞いております。ミサイル試射場の場合に、新島に射撃場等があったのでくみしやすしなどとは毛頭思っておりません。むしろ、ミサイル試射場の際に問題があっただけに真剣に取り組みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/109
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110・鈴切康雄
○鈴切委員 アメリカにすれば、気がねをしなくても済む場所だってあると思うのですよ。また、数多くの無人島だってあるわけですが、それをなぜ対象にしなかったのか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/110
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111・小幡久男
○小幡政府委員 これは先ほども申しましたように、厚木、横田から二百キロ、それから海陸両用、それから陸上にある程度の平たん地を設けて、弾着の観測地点とか、通信施設とか、あるいはその連絡用の軽飛行場、そういった付属施設等も設ける必要がありますので、そういった条件から見ますと、関東では、どなたがお考えになっても、おそらく新島以外にないのではないかというようにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/111
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112・鈴切康雄
○鈴切委員 日米安全保障条約第六条に基づく施設の条約第二条第二項の条文の中で、「いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、」とあるが、水戸の射爆場移転は日本政府の要請か、アメリカの要請か、どちらになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/112
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113・小幡久男
○小幡政府委員 水戸射爆場の移転は日本政府の要請でありまして、これは先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、原子力施設があそこにできておるということが一つであります。これが最も有力な原因になりまして、衆参両院の科学技術の特別委員会で水戸射爆場をどこかに移すようにというふうな決議案が出たことも事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/113
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114・鈴切康雄
○鈴切委員 射爆場ははたして今後も必要であるかどうかの根本的内容について、よく検討されて話し合われたかどうかの問題ですが、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/114
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115・小幡久男
○小幡政府委員 この点は作戦とか戦略の問題になりますので、私から立ち入ったことは申し上げにくうございますが、私の知り得る範囲では、横田に米空軍の基地がありまして米空軍の駐留が必要であり、また、横須賀等に米海軍基地がございまして艦隊が入港するために、厚木に米海軍の航空機の基地が必要であるという前提が変わらぬ限りは、この問題は解消しないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/115
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116・鈴切康雄
○鈴切委員 私は大切な問題だと思うのですが、基地が今後必要であるかという問題についての根本的な話し合い、これについて長官はどういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/116
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117・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、新島につきましては、根本的な話し合いをいたしましてコンセンサス、すなわち、御同意を得まして、そうして御納得のもとに御協力を得て、これを移転いたしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/117
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118・鈴切康雄
○鈴切委員 条文の第二条第三項は、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」というふうに書かれておるわけであります。ですから、いま申し上げました根本的な内容について絶えず話し合われたかどうか。そして、いまも受田議員が言われたように、基地が必要でなければ、この際基地をやめるというような前向きの姿勢について話をされたか、あるいは射爆場が必要でないとすれば、当然アメリカは返還する義務が出てくるわけでありますが、水戸射爆場の反対が強いために代替地をさがしますということのみの交渉に終わってしまって、都市近郊周辺の射爆場は地域住民の生活を脅かすという人命尊重の観点から、はたして必要があるかどうかの根本問題に触れていないのではないか。その点に大きな問題があると私は思うわけです。この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/118
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119・増田甲子七
○増田国務大臣 鈴切さんにお答えいたします。
お説のとおり、しょっちゅう検討しておることは必要でございます。これからも検討してまいりたいと思っております。
そこで、新島の線につきましては、われわれはいまのところ——いまのところできいます、新島以外には候補地はない、そこで、でき得る限り基地周辺の漁民の——漁民が主でございますが、漁民の方々に御了解を得るように、この前六、七年前に騒ぎが起きたようなことがないように、先般も村長とも懇談をいたしまして、どうか協力してくれということを私みずからも申し入れをいたしました。それから、現在ミサイル基地もあるわけでございまして、ミサイルの訓練はいたしておるわけでございます。そのミサイルに比べてそれほどの危険はない。いま防衛施設庁長官が申しました水戸における誤爆というのも模擬爆弾の誤爆でございまして、まあ模擬爆弾にいたしましても誤爆があったということはうまくないわけでございます。そこで新島の地勢等を見ますと、南四分の一くらいのところでございます。現地につきましては、あなたのほうがよく御存じでございます。そこで、ミサイル基地があったところから南の海域になるわけでございまして、住民のいらっしゃるほうは一番北のところが多いわけでございます。つまり東京都のほうに面しているところ、ここに村民がいらっしゃるわけでございますが、その村民の御住居の関係と約八キロくらい離れておりますし、島は南北に細長い島でございますが、その北のほうに住民がいらっしゃる、その南のほうが現在のミサイル基地である。ミサイル基地に使うことについてはコンセンサスもあるわけでございますし、せっかくのことでございますから、今度は爆弾の演習等もさしていただきたい。それは大体あそこから始まって海域に及ぶわけでございます。でございますから当然漁業補償その他もございましょうし、生活福祉の関係につきましてはあらゆる配慮を払いまして、どうぞ新島の村民の皆さまが、指導者をはじめ村民のお一人お一人が御同意をくださるように、コンセンサスをくださるように、そしてコンセンサスを得ました後に射爆場として使いますということを村長にもこのほどお話しを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/119
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120・鈴切康雄
○鈴切委員 いま長官が言われましたとおり、ミサイル射撃場のときに混乱を生じたということについて、長官は、その点については防衛庁のほうも確かに不手ぎわであったということはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/120
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121・増田甲子七
○増田国務大臣 当時のことを私ははっきり記憶しておりませんが、何しろ新島反対ということでだいぶ騒ぎがございまして、その騒ぎのときには、東京方面から応援にいらっしゃった方もたくさんいたようであります。村民の皆さんは必ずしも全部的反対ではなかったのでございまして、応援のほうが激しかったのじゃないかという印象を、当時の政治家の一人として、お互いずっと国会でもやっているわけでありまして、そんな印象も持っております。しかし、円満に解決したわけでございますから、昔のことは反すうそしゃくしないということにいたしまして、前向きでぜひ鈴切さんからも協力を得たい、鈴切さんのコンセンサスをぜひちょうだいいたしたいものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/121
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122・鈴切康雄
○鈴切委員 防衛施設庁は、新島本村に対して射爆場の建設案を出すと言っているが、それまでにはたして話が煮詰まっているかどうか。計画案についてはいつごろ提出するつもりであるか。また、その内容についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/122
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123・小幡久男
○小幡政府委員 計画案につきましては、昨年六月の共同声明以来、日米双方のスタッフの間で意見を交換してまいってきておりますが、日本側としましては、最終的には飛行機を飛ばして、大体こういうところはこれでいけるのじゃないか、これは被害防止の見地が主でございます。そういった日本側の主体的意見を向こう側に提示いたしまして、向こうの案と突き合わして最後に折衝する、そのまとまったところで一応の案を得まして、政府部内で相談をした上で現地へ提出するというような段取りでございます。大体時期は、順調にいきますれば九月ごろではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/123
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124・鈴切康雄
○鈴切委員 昨年六月から今日まで約一カ年、非公式に地元の意向を打診したと聞いておりますが、地元のだれと、いつ、どのような場所において折衝をされたか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/124
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125・小幡久男
○小幡政府委員 これは実は、私のほうで現在新島に試射場を持っておりまして、毎年試射をやるわけでございます。そういう問題がございまして、新島とは、射爆場を抜きにいたしましても常時関係がございます。その関係で、新島の当局者が私の役所においでくださいます。そういう機会をつかまえましていろいろお願いはしておる。もちろん、現在のところは平行線でございますけれども、それが実情でございまして、だれという名前はちょっと、村当局ということでごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/125
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126・鈴切康雄
○鈴切委員 昭和三十四年十月十九日、防衛庁技術研究本部新島試験場の設置についての防衛庁長官と本村村長の間で協定された九項目の条件について明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/126
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127・小幡久男
○小幡政府委員 全部ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/127
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128・鈴切康雄
○鈴切委員 全部です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/128
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129・小幡久男
○小幡政府委員 「(一)本試験場は、試験用飛しょう体の実験施設であって、基地となるものではない。また、爆発物を装てんした飛しょう体の試射は行わないこと。(二)本試験場の設置をおおむね別添図面のとおり計画することとし、双方において合意する条件により用地の所有権又は使用権の取得及び海面の使用を行うこと。(三)新島黒根港の突堤について五十米の延長工事を昭和三十四年度より昭和三十七年度までに完成を図ること。なお、離島振興法に基づく既定計画についても昭和三十七年度までに完成するよう促進に協力すること。(四)新島本村−若郷間に建設中の道路の早期完成を図り、渡浮根港の整備の促進に協力すること。(五)式根島小浜港の整備についてその促進に協力すること。(六)突堤、飛行場及び道路についての本庁の使用を妨げない限り民間の使用を認めること。(七)実験に伴って、通常生ずべき損失については誠意をもって適正な補償を行なうこと。(八)発射場区域をハバタ地区に限定し村の諒解がない限りその区域の拡張は行わないこと。(九)以上各項に定めない事項についてはその都度双方協議して決定すること。」以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/129
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130・鈴切康雄
○鈴切委員 まず第一に、「本試験場は、試験用飛しょう体の実験施設であって、基地となるものではない。また、爆発物を装てんした飛しょう体の試射は行わないこと。」、射爆場にすることは、完全に、ミサイル試射場に名をかりた二段の策謀にほかならないと私は思うのです。すなわち、本能寺は試射場でなくて射爆場である、そのように私は思うのですが、その点について。
それから、射爆場は基地でないかどうか。それから爆発物を装てんした飛しょう体の試射は行なわないといっているが、射爆は爆発物ではないのであるか。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/130
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131・増田甲子七
○増田国務大臣 いま鈴切さんのおっしゃったうちで、この協定は実質的に射爆場であるということをおっしゃっておりましたが、実質的に射爆場だったならば、今度射爆場ということの交渉をするはずはないのです。やっぱりミサイルの試射場でございまするから、そこで、今度射爆場にするからには現地の皆さまのコンセンサスを得たいということで苦労しておるわけでございまして、実質的にそうなら、もうかまわずやってしまえということになります。そうではないのでございまして、協定の範囲のものであるから、協定の範囲外になった今度実弾の、爆弾の演習をする、とにかく射爆をするという場合には、新しき協定なり新しき補償なり新しきコンセンサスなりを得なくてはならぬということでやっておるわけでございまするから、これはごまかしであるということはないと思います。ごまかしなら、これでやってしまえばいいのです。射爆場でございませんから、射爆場にするために苦労するわけでございます。あとのこまかい点は、また施設庁長官に答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/131
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132・小幡久男
○小幡政府委員 先ほどお読みいたしましたのは、いわゆる飛しょう体の試験場に関する協定でございます。今度は全然違った射爆場という問題を出しているわけですから、これはもう白紙に返して初めから相談をするという態度でおります。
それから、基地でないかという御質問でございました。広い意味では基地に入ると思いますが、いわゆるそこに部隊が駐とんをして、そこを作戦の拠点とするといった意味の基地ではございません。その点、二様の基地があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/132
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133・鈴切康雄
○鈴切委員 長官は、ミサイル射撃場を射爆場とは言っていないと言われるが、私もそんなことは言っていないのです。ミサイル射撃場と言っているわけです。けれども、今度新たにあなたたちがもくろんでおられるところの射爆場というものは、このミサイル射撃場を、防衛庁のほうと本村村長のほうと交渉をしたときにきめられたのとは大いに違うという点について私は申し上げているのです。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/133
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134・増田甲子七
○増田国務大臣 大いに違いますから、新しき協定が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/134
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135・鈴切康雄
○鈴切委員 そのとおりだと思う。発射地区を端端地区に限定し、村の了解がない限りその地区の拡張は行なわない、そのようになっているし、それから現在の二十七万坪を六十万坪に拡張する、そういうことについて一応この間新聞に出されているわけですが、その点についての行為というものは、私はこの村に対するところの防衛庁との関係の背信行為ではないか、そのように思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/135
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136・小幡久男
○小幡政府委員 まだ具体案を現在検討中でございまして、でき上がった暁においていろいろな方々と交渉するわけでございまして、まだ現在交渉には入っておりません。しかしながら、先ほど何十万坪というお話が出ましたものですから、それについて言及いたしますと、昨年の六月の共同声明で、新島に射爆場を移す場合には大体水戸の六分の一程度におさまるのではないかということを米側が言っておるわけでございます。したがいまして、現在水戸は三百四、五十万坪ございますので、大体六十万坪に近いところが米側とのいろいろな折衝の過程で落ちつく線ではなかろうかということを申し上げたのが新聞に出たのだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/136
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137・鈴切康雄
○鈴切委員 水戸の射爆場の誤爆の状況を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/137
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138・鐘江士郎
○鐘江政府委員 水戸の誤爆の状況について説明せいという御質問でございますが、まず航空機の墜落事故でございます。これは講和発効時より四十一年度まで十六件、それから模擬弾の落下事故、これが百七十五件、それから薬きょうの落下事故が八件、それから機銃弾の誤射が十件、その他三十二件、こういう実績になっておりますが、先ほど長官がお答え申し上げましたとおり、この事故は昭和三十九年度からぐっと減りまして、平均年間三件ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/138
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139・鈴切康雄
○鈴切委員 水戸の射爆場の標的を新島の端端地区の標的と合わせたときの誤爆の範囲は、新島に対してはどの辺にまで及ぶかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/139
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140・鐘江士郎
○鐘江政府委員 その範囲を一応落としますと、現在の新島の南端の端端地区に及びますが、本村には及ばないというようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/140
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141・鈴切康雄
○鈴切委員 うそ言っちゃいけないよ。若郷村から海域を経て式根島にまで及ぶ、その誤爆の状況が明らかになっているじゃないですか。要するに、誤爆がすっぽりと新島を包んで、そしてなお多く海域にまで及ぶというのに、あなたは本村のほうには及ばないとは何事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/141
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142・鐘江士郎
○鐘江政府委員 ただいま私どもが米側と折衝しておりますのは、標的の位置を端端地区よりさらに海上三百メートルの南のほうにある早島に設置しようということで話し合っておるわけでございますが、そこで標的を早島に置くということで形を描きますと、先ほど申し上げたようなことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/142
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143・鈴切康雄
○鈴切委員 新島の標的の二百メートル離れたところのその島から標的を合わせて、とにかく若郷村から新島をすっぽり誤爆をする、その中からまた海域を経て相当な海域にまで及ぶ誤爆が現実にあるものに対して、あなたはわずか三百メートル離れたらもう本村に届かないと言う。その論点について、あなたは新島へ行って実際に見てこられてからの問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/143
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144・鐘江士郎
○鐘江政府委員 私はまだ一度も新島には参っておりませんが、問題は、ジェット機の進入方向が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/144
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145・鈴切康雄
○鈴切委員 進入方向をぴったり合わせて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/145
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146・鐘江士郎
○鐘江政府委員 と申しますのは、現在日米間で話し合っております内容といたしましては、式根島の上空は避ける、すなわち、南のほうから早島のほうへ向かって進入するというようなことを考えておるわけでございます。したがいまして、いま先生の、水戸の場合における事故の範囲、これを新島に落とした場合のすっぽり入るという御想定は、進入方向の角度によりまして違ってくるのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/146
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147・鈴切康雄
○鈴切委員 あなたは、これをよく見てから言ってくださいよ。あなたの言ったとおり、標的のところにぴたっと合わせてどこまで及ぶかということについては、こちらはちゃんと調べてきてある。この上の若郷村から下はここまで及ぶということになっておるのですよ。長官、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/147
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148・増田甲子七
○増田国務大臣 具体的にはよくわかりませんが、いま部長も自分で行ってみたことはないと言っておりますけれども、部長、長官の部下はたくさん行って非常によく見てあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/148
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149・鈴切康雄
○鈴切委員 それじゃ、そのよく見てきた人に対して説明させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/149
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150・小幡久男
○小幡政府委員 現在ここには来ておりませんが、先ほど来申し上げておりますように……(「呼んだらいいじゃないか」「問題だよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/150
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151・増田甲子七
○増田国務大臣 いま、行った者を呼びますから、しばらくお待ち願いたいと思います。
それから施設庁長官や部長の言っていることは、やはり部下を派遣して研究した結果と、それから私が指示しておる点もございます。というのは、式根島を避けまして、その南のほうで東西にこう来る場合に、どんなロケットを発射して相手方の飛行機を落とすとか、それから爆弾のほうは、式根島というのは、新島がこうありまして、式根島がこうあります。それから南のほうへ向かってやるのですから、式根島とはちょっと関係ないのでございます。そこで東西でぶつかったときに式根島に関係があるかどうかということが鈴切さんの御質疑のところだと私は思います。東西で飛行機がぱっと来るときに、式根島のほうを避けて東西でやれるか、それはやはり式根島を避けたその南のほうで東から来る、西からこう来て、両方の要撃の力をためす、こういうようなことでございまして、式根島のほうを避けるということは、政治の方針として私が言えることでございます。また指示してあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/151
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152・鈴切康雄
○鈴切委員 式根島を避けても、結局標的がその場所に置かれるとすれば、式根島もそっくり要するに誤射爆の範囲に入るということだ。避けようがない。いまさら、米軍の射爆がじょうずになったというなら話は別ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/152
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153・増田甲子七
○増田国務大臣 これは政治の方針に関することですから私から申し上げますが、式根島というものは、やはり大切な日本人が八百人もおるのです。その上でいろいろな演習をされてはたまったものじゃないのですから、そこを避けまして、ただし飛行場は新島に、もしコンセンサスが得られれば今度できるわけです。それで飛行場を飛び立って東のほうへ行って、ずっと東のほうからこう来て西のほうへ来るようにして、同じく新島の飛行場を飛び立って——これはアメリカの飛行機でございますが、飛び立って西のほうから行って、それから東のほうへ来る、ぶつかり合ったときに要撃能力をためすということは、どうしてもここでやらなければならぬということはないのでございまして、幾らでもそれはやれるのでございます。また、それをやるようにわれわれは米軍に注文いたしておりまするし、われわれの大切な島民一人の命といえども地球より重いと私は考えております。そういう人の上で変なことをされては困るということくらいは、私は言う勇気と義務を持っておりますから、どうぞ御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/153
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154・鈴切康雄
○鈴切委員 誤射爆というものは、要するに間違って投下されることを誤射爆と言う。標的に当たったのは何も問題ない。いずれにしても、約二十キロからに及ぶ誤射爆があったという事実に基づいて私は言っているのです。そうすれば式根島も当然誤射爆の場所にならないとも限らないし、本村においては当然その誤射爆の範囲内に入るわけですよ。それについて、いまこちらの方は、まるきり反対の、ごく一部分で絶対に安全です、そういうような話をされたところに私は問題があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/154
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155・小幡久男
○小幡政府委員 これは実は鈴切先生にまだ具体案をお示ししていないものですから、いろいろ御心配があると思いますが、私のほうで考えておりますのは、結局進入方向が式根のほうを向いておりますれば、ちょっとした誤射で二十キロもあります。ただ、そこを避けてこういうふうな円周をとれば、これは左右に対する誤射の可能性は若干ございますけれども、二十キロという誤射は水戸でも生じておりません。したがいまして、その円周上の飛行機の進入方向等も全部示した演習、訓練のやり方を、具体的にきまったのをお見せすれば御納得いただけるのではないかと思うのですが、現在、さらに私のほうも万全を期するために、自衛隊の飛行機を飛ばしまして、その演練をやってきております。したがいまして、この点は、私のほうはただいま施設部長が申しましたとおり、水戸のような何十キロというやつは、これは進入方向には誤射爆のあれがあると思いますが、横のほうにはわりあい誤射の範囲は狭うございます。そういうことを施設部長は申し上げたものとして御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/155
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156・鈴切康雄
○鈴切委員 あなたはそのようにおっしゃっても、現実にあなたの言われるような飛行方向からこのように入り込む。完全に式根島にも被害が及んでいるのです。誤射爆というのは、間違って爆弾を落とすことなんだ。だからどういうように落ちているかわからない。ただ水戸の射爆場においての誤射爆の状況を、あなたの言われる飛行方面から推したときに、すでに式根島にもこうやって現実に落ちている。なお、このデータについては、おそらく未確認のものが数倍に及ぶのではないかと専門家が言っているくらいです。ですから、現実の確認できたものですらそうなんですから、確認のできないものでしたら、それこそたいへんだと私は思う。その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/156
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157・小幡久男
○小幡政府委員 事故の件数は先ほど施設部長が申し上げたとおりでございます。水戸のほうでは、当初相当事故があるということで移転しようという話でやったのですが、新島にきまったあとは、これは新聞等にも書いておりますが、非常に内輪な数字しか水戸のほうは出しておりません。これは正直な数字だというので、移転がきまってから水戸のほうの発展を合わせますと、大体施設部長が申し上げた数字と同じでございまして、したがいまして、決してこれに数倍する隠れたものがあるというわけじゃございません。当初は、たとえばジープの事故まで入っておったのですけれども、新島に移るということがきまってからは、水戸では、あまりそういう不自然な事故まで計算に入れて大きく言っては、よそに移らぬという反省が水戸にありまして、その辺から地元でも正直な数字が出ております。その点ひとつ御了解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/157
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158・鈴切康雄
○鈴切委員 要するに、防衛庁のほうの間違った判断によって新島を射爆場にするという考え方、これは非常に私は危険だと思うわけです。少なくとも人命の問題である以上、この問題は最も大切な問題じゃないかと思う。それに対して、いまここにおられる多くの方々は、一度も新島に行ってその状態も調べていない。その状況においてそういう問題を判断されたということはいかにも怠慢だと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/158
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159・小幡久男
○小幡政府委員 私も機会を得れば行くべきだと思いますが、私のほうの役所では、先ほど来問題になっております試射場の設置のときにずいぶんと苦労いたしまして、私は行っておりませんが、部下はほとんど行って、折衝に当たる関係者は、現地で一カ月も二カ月もずいぶん苦労しております。全部行っております。
さらに問題は、飛行機からの問題でございますので、航空自衛隊の飛行機を飛ばしまして、実際はその飛行機のパイロットの判断というものが非常に重要なものでありまして、われわれが地元に行きましても、飛行機のパイロットの判断は、これはどうこう言いましてもしかたのないものでございます。だから地上につきましては、そういった試射場設置のときの知識をもとにいたしまして、それから実際の訓練がどうなるかということにつきましては、航空自衛隊のパイロットを飛ばしまして——米軍も飛んでおります。そういう両方から詰めた結論に基づきまして何とか妥当な案を出したい。いま先生がおっしゃった進入方向、これは非常に重要でありますから、水面制限区域などにつきましては、われわれは最後までその点は米側にもただすべきはただしまして遺憾なきを期したいつもりで、時間がかかっておる原因はそこにもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/159
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160・鈴切康雄
○鈴切委員 とにかく行った方からよく説明してもらうということにしなければならぬ。
射爆場としたときの島の制限水域の設定はどのようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/160
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161・小幡久男
○小幡政府委員 先ほど来申し上げておりますように、大体のことを申しますと、端端地区を含めまして、端端、早島あたりが中心になりまして、東西に矩形の面積になると思っておりますが、まだその何マイル何マイルというような縦横の関係は、いま少しく申しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/161
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162・鈴切康雄
○鈴切委員 制限水域がはっきりしなくてそういう点についてのいろいろな問題はやはり論ずることはできないと思うわけですよ。当然もう制限水域という点についてはお考えになっておると思いますので、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/162
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163・小幡久男
○小幡政府委員 正直言いますと、大体広さはわかっております。その角度とか、そういったものはまだ発表しにくい段階でございますので、御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/163
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164・鈴切康雄
○鈴切委員 式根島、新島を含む三大漁場が射爆場移転により受ける被害について、水産庁来ておられますので、見解をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/164
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165・山中義一
○山中政府委員 新島付近の漁業の被害というのは、まだわからない。実は制限区域もはっきりしない程度でございますから、われわれのほうといたしましては、関係のある府県に、新島近傍で行なっている漁業ということで調べておるわけでございますが、それで申し上げますと、カツオ、マグロ漁業は四百四十九隻、そのほか、沖合い沿岸漁業二千百十二隻、沖合い底びき網漁業十一隻、
これだけでございます。金額その他は、これではちょっと推定いたしかねます。ただし、ここでとれます額は、水戸の近傍でとれます額の数十倍であるということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/165
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166・鈴切康雄
○鈴切委員 特に東京都のこの大きなる都市部を控えて、水産資源で最も大切な場所はこの伊豆七島ではないかと思うわけです。それについて、もしこれが射爆場になって水域制限を加えられるような場合におけるところの水産庁としての見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/166
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167・山中義一
○山中政府委員 水産の立場からは、この場所は適当ではないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/167
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168・鈴切康雄
○鈴切委員 新島は伊豆七島国立公園に指定されておりますが、ここを射爆場にすることについての厚生省としての御見解をお聞きしたいと思います。
なお、自然公園法によるところの問題並びに第十一条の指定の解除及び区域の変更についての厚生省の見解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/168
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169・大崎康
○大崎政府委員 自然公園法におきましては、自然の保護と利用をはかるのがその目的でございます。で、その目的とこの射爆場の設置というのは異質なものでございます。しかしながら、自然公園法の三条にも書いてございますように、自然公園法の適用にあたりましては、「国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。」という法規がございます。現在のところ、私どもは防衛庁における具体的な計画を承知いたしておりません。したがいまして、これは御計画が具体的になることによって御協議があるものと思っておりますが、その御協議がある場合に十分御協議をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお、射爆場を設置した場合の指定の解除、区域の変更、こういうようなことでございますが、これも具体的にどこの地点をどうするかというふうなことがわかりませんと、私どもといたしまして、まだそれを申し上げる段階ではないわけであります。なお、この指定の解除とか区域の変更につきましては、自然公園審議会の答申が必要でございまして、そういうふうな事態になりますれば、審議会のほうにも十分御意見を聞きたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/169
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170・鈴切康雄
○鈴切委員 近ごろ世間では、よく基地つき返還ということばを耳にしますが、厚生省どうですか、射爆場つき国立公園ということは考えられるかどうか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/170
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171・大崎康
○大崎政府委員 国立公園の中に射爆場があるということは、先ほど申し上げましたように、自然公園法から考えますと異質的なものでございますが、その他の公益の要請というものがあれば、それとの調整をはかってということだと思います。なお、具体的な計画を私どもよく承知いたしました暁におきまして十分考慮したい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/171
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172・鈴切康雄
○鈴切委員 たしか新聞では六十万坪が必要であろうというふうに言われておるわけです。あと三十万坪、全部で六十万坪ですね。三十万坪あと必要であろうという土地交渉に対する対象の地主の軒数、なお、白ママ層地域は日本でも唯一の勝景と学問的価値を有し、国の特別保護地区に指定されているわけであります。また、抗火石は村民の重要な生活資源となっているが、射爆場になれば生活権を奪われてしまう、そういうことになるではないかと心配するわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/172
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173・小幡久男
○小幡政府委員 必要な土地は、大体のところは水戸の六分の一程度ということは考えておりますが、具体的にまだ確定しておりませんので、地主が何名ということまではお答えいたしかねます。それから、抗火石とかいろいろな問題のことはよく承知しております。何とかそういうものは演習場をつくります過程におきまして皆さんの御了解を得られるような方法で適当な補償やその他の手段によりまして御納得を得て、演習場の工事に支障のないように努力したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/173
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174・鈴切康雄
○鈴切委員 射爆に伴い海空の航路並びに空路に対して予定変更を余儀なくされるであろうと思われるわけですが、運輸省の立場かつのその点についての見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/174
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175・松本登
○松本説明員 新島の射爆場につきましては、運輸省といたしましては、まだ防衛施設庁の計画が固まっておらないと聞いております。したがいまして、運輸省といたしましては、これら航空路に対しましてどの程度の影響があるかということは、現段階ではまだ申し上げることはできない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/175
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176・鈴切康雄
○鈴切委員 こういうふうないろいろな重要な問題をかかえているわけです。また、有線方式を全廃して無線方式を採用している島において、飛行機による通信並びに電波の障害発生が当然ここに予期されるわけですが、その点についての郵政省の見解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/176
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177・左藤恵
○左藤説明員 新島への無線通信回線は、ただいま大島−新島間は二百五十メガサイクル帯の多重無線電話をセットいたしております。無線通信回線につきましては、演習によります電波障害はほとんどないと考えますが、ただテレビを受信いたします場合に、航空機によりまして画像がゆらぐ、二重の像が映るというような心配は非常に瞬間的であり、またごく短かい時間ではあろうと思いますが、若干そういった障害が生ずるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/177
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178・鈴切康雄
○鈴切委員 水戸の射爆場では、F105が土曜日、日曜日を除いて三、四機、四時間ないし五時間連続して射爆を行なっているが、騒音の最高をマークされたデータがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/178
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179・小幡久男
○小幡政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんが、おそらく百ホン以上の騒音をマークしておることはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/179
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180・鈴切康雄
○鈴切委員 私の調査では百三十五ホンというのはわかっているわけですが、その百三十五ホンによるところの人体への影響について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/180
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181・小幡久男
○小幡政府委員 人身に及ぼす騒音の影響につきましては、施設庁として昭和三十六年度から板付の関係の九州大学にその及ぼす影響について調査を依頼中でございますが、現在まだ結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/181
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182・鈴切康雄
○鈴切委員 百五ホンはガード下の騒音であることを考えて、百三十五ホンというのは、これは人体に及ぼす影響というものは大きいと思うわけです。それで、水戸の射爆場のある婦人が言っていたことばでありますが、子供が飛行機が来ると発作的に起き上がる、そういう状態にある。そしてその婦人が非常に心配していることは、将来この子はまともな状態で成長してくれるであろうか、そのように心配した切実な声を私は聞いているわけです。そういう点において、射爆場というものは百三十五ホンからの騒音を出すことについて、非常に私は問題であると思うわけです。その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/182
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183・小幡久男
○小幡政府委員 私は、その百三十五ホンがどういう内容であったか、ちょっと手元に資料がありませんが、通常八十ホン以上だと思っております。といいますのは、防音工事をやっておりますので、大体その見当で、水戸も昨年来法律に基づきまして防音工事をやっております。片や新島のほうは、これは海面でございますし、いま演習場を予定しております範囲のところから新島の住宅地までは少なくとも四キロ以上はあると見ております。式根のほうが騒音があると思います。これは先生よく御承知のとおり、式根のほうはおそらく百数十ホンはないだろうと想定いたしますが、低い海面でございますから、相当音が分散いたしますし、低空から入ってくるところは海面でございますから、ほとんど影響がない。私は、それこそ新島の一つの例になっておるわけですが、この点は、水戸よりはだいぶ騒音は減るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/183
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184・鈴切康雄
○鈴切委員 次に、防衛施設周辺の整備等に関する法律第一条に「損失を補償することにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与する」とあるが、防衛施設庁の損失の補償という考え方についての見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/184
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185・小幡久男
○小幡政府委員 この法律は昨年通ったのでありますが、この法律を通していただく際の主たる目的は、むしろこの射爆場のようなところに重点を置きたいというのが主であります。したがいまして、法律に書いてありますとおり、訓練によって直接与えまた被害を救済するのはもちろんでございますが、そういうもののみならず、その演習場があることによって、直接因果関係はありませんけれども、何かと御迷惑をかけておるということに対しまして、あるいは漁業施設とか、あるいは農業の共同施設とか、あるいは観光の施設、そういった、新島でいえば離島振興施策にもございますような問題を、十分私はこの法律でカバーできるのじゃないかと思っておりまして、そういうものを加えまして、できるだけこの法律の運用を一〇〇%にして、努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/185
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186・鈴切康雄
○鈴切委員 その損失の補償という問題について、私は私なりの意見が実はあるわけです。それは実は、東京湾の埋め立ての漁業補償は、昭和三十七年の十二月に行なわれました。これはあなたとあまり関係がないのですが、埋め立てにより漁業ができなくなった補償の対象は、世帯数が約三千六百六、平均世帯の補償額が九百十五万百四十一円。少ないところは四、五百万から多いところは二千万円以上という補償が出ました。しかしいま、五年たった今日、この人たちの生活が安定し、福祉が向上したかというと、全く反対であります。まず第一に、持ちつけない金を持ったということ、そうして生活の基盤を失われたということ、そのために町のやみ金融が補償を目当てにしてなだれ込み、また、ばく徒が善良な都民のふところから完全に金を吸い上げてしまった、また、転業した者の多くの中には、なれない商売でついに失敗をしてしまった、悪徳不動産屋が跳梁して、そうして金の大部分を巻き上げていった、また、思わぬ税金がかけられた、酒と女という、そういうほうに補償の金は全部使い果たされているという現実、そうしていま現在、何千万の補償をもらったその人たちが、五年たった今日、生活保護を受けておるという羽目におちいっているのも、私は何人か知っているわけであります。それを考えても、長い間つちかわれた生活の基盤を失うということは、いまあなたが言っているような、そんな安易な補償の考え方と違うということを、私は知っていただきたいと思うわけです。そういう現実の問題が、施設庁として当然今後もいろいろ補償の問題が起こるでありましょう。また今日までその補償をされてきたのもあるでしょうが、それについて、補償されたその後の地域住民の生活についてマークされているかどうか、それについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/186
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187・小幡久男
○小幡政府委員 施設庁でやっております補償には金銭補償もございますし、それから実際は、施設をつくって地元に寄付をするというようなものもございます。金銭補償のほうは、これはどちらかといいますと、土地の買収とか漁業補償とかいうものでございますが、多くは防災、防音の工事でございます。これは一例を申しますと、たとえば水戸で漁業組合に補償しておりますが、水戸の漁業組合は、ただいま先生がおっしゃったことと反対に、非常によく補償金をプールいたしまして、自分の船を建造して沖へ行くというふうに、漁業改善事業に非常に寄与しております。そういう例もございます。先生のおっしゃった例も私はないとは申しません。しかし、そういった顕著に生活の向上をはかっておる例も多々ございますので、新島では、なるべくそういうふうにあとに残るような形でわれわれも施策を検討し、勧誘し、研究をしてもらうというふうにして、補償金を使いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/187
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188・鈴切康雄
○鈴切委員 現在、端端地区のミサイル射撃場の道路拡幅について賛成しなかった十二軒の人たちから、土地の返還の訴訟が出ているわけですが、第一審の結果はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/188
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189・鐘江士郎
○鐘江政府委員 先生の御質問の趣旨は、道路関係についての第一審の判決ということだと思いますが、結論から申しますと、五名分については、道路地区の所有権は確認するという判決に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/189
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190・鈴切康雄
○鈴切委員 第一審では、国に対して返還せよという判決が出たのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/190
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191・鐘江士郎
○鐘江政府委員 第一審で敗訴いたしまして、いま村と共同被告の形になっておりますので、昭和四十一年三月控訴いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/191
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192・鈴切康雄
○鈴切委員 少なくとも、第一審で国に対して返還せよという判決がおりたということは、国がミサイル射撃場設置には明らかに地域住民の納得と協力が得られないのに、強引過ぎるほどの行動に出たのではないか、そのように思うわけです。さもなければ、板付飛行場事件の二の舞いを国のほうでは考えているのではないか、そのように思うのですが、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/192
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193・小幡久男
○小幡政府委員 試射場をつくります場合に、私は詳しくは知りませんが、あのときは相当タイムリミットがあったようでございまして、いろいろ今日から見ますと、若干無理な点もあったかと思います。しかしながら、水戸の場合は現在射場がございまして、たとえば、来年の四月までに移転しなければいかぬというようなリミットはないわけでございます。したがいまして、じっくり話し合う期間がございますので、今度はひとつ慎重に話してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/193
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194・鈴切康雄
○鈴切委員 それでは、射爆場にしたところの端端地区のミサイル射撃場はどのようにされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/194
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195・小幡久男
○小幡政府委員 これもいま検討中ですが、私のほうとしましては、せっかくあれはあれでつくった射場でございますので、何とか多少手を加えて両立するような方向へいきたい、土木的にはそういう見通しを持っておるわけでございますが、なお検討の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/195
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196・鈴切康雄
○鈴切委員 ミサイルの射撃場を併設するという考え方は、ちょっと私はしろうとであるのでよくわかりません。ミサイル射撃は、年に何回かしか行なわれないから、その間射爆を行なわないというなら話はわかるわけですが、射爆場の中にミサイル射撃場の存在というものは、ちょっと考えられないわけです。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/196
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197・鐘江士郎
○鐘江政府委員 ミサイルの試射につきましては、いままでの実績によりますと、年間一回、約一週間程度使用することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/197
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198・鈴切康雄
○鈴切委員 あのミサイル射撃場は、防衛庁が現在使用している以外に、科学技術庁が使用した事実はありますか。何回使用して、そしてどういう状態であったか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/198
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199・鈴木昇
○鈴木(昇)政府委員 お答え申し上げます。
科学技術庁は昭和三十八年から三十九年、四十年、この三カ年間新島の試験場の射場を使用いたしております。使用の日数は、昭和三十八年は八月に五日間、三十九年に十日間、四十年に三十日間、十一月に使用いたしております。それぞれ四基ないし七基のロケットの打ち上げをやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/199
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200・鈴切康雄
○鈴切委員 この射爆場の問題につきましては、もうすでに長官も御承知のとおりと思いますが、東京都議会で、射爆場の軍事基地化に対する全員一致の反対の意見書も採択されております。また、その近県の神奈川、静岡の県議会においても反対、伊豆七島は全島あげての反対を承知の上で、そのこともお考えになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/200
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201・増田甲子七
○増田国務大臣 新聞等によりまして、鈴切委員御指摘の東京都議会において反対の決議があったということは承知いたしております。それから、島民のコンセンサスをなかなか得がたいということも承知いたしております。ただしかしながら、何と申しましても、水戸の射爆場をどこかへ移したい、これはもう相当の被害も考えられまするし、広大なる面積でもございまするし、周辺住民の関係もございまするし、東海村の原子力研究所の関係もございますので、何としてもどこかへ移したい。そこで、同じ日本国のうちでどこかで協力してくださらないと、水戸の射爆場は移り得ないわけでございますから、どこかへぜひとも移すということにつきましては、それはけっこうだということは皆さんおっしゃっております。おれのほうへ来るということについては、みんな困るとおっしゃっているのでは、どうも事柄が解決できません。やはり射爆ということは必要でございますしいたしますから、ぜひともコンセンサスを得まして、来られるほうでは、これは迷惑がることは鈴切さんの御指摘のとおりで、私はよくわかります。わかりますが、そこのところを何とか御協力を願いまして、そして被害を最小限度にとどめ、危険は絶対ないようにはからいまして、補償等も、もし補償が出ました場合にはかえって困るというお話ではございますが、これは文教の問題でありまして、せっかく大きな金が入ったならば、賭博で使わないと承知できないなんということでなしに、やっぱり文教関係一般として、国会議員は与党、野党を問わず、国民を一面において幸福であるように指導する責任もあるわけでございますから、お金等が入った場合には貯蓄のほうに向けていって、そして有効に使っていくというような御指導も、ひとつ鈴切さんのほうからも御協力を得たい。何と申しましても、水戸射爆場は困るけれども、受け入れるほうは絶対困るというのでは、これはものごとは絶対解決いたしませんから、そこで苦慮いたしております。あらゆることにつきまして私は努力をいたしますが、どこかで候補地を得たいものである。それにつきまして、大体われわれが見当をつけておるのは、少し新聞に早く出過ぎましたけれども、そういう点で感情を害するというような点もあると思います。いろいろ御指摘の点は非常に私はわかるのでございまして、ごもっともだと思われる点が多々ございます。でございますが、出るほうは出ていってくれ、受け入れるほうは、日本全体が困るでは非常にらちがあきませんから、何とか鈴切さんの御協力をいただきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/201
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202・鈴切康雄
○鈴切委員 私に御協力をという話でありますが、それよりも私は、基地を、射爆場をなくしていくというほうについて防衛庁長官に御協力を願いたいと思うのです。私はイデオロギーからの基地反対という立場でなくして、地域住民の福祉向上と民生の安定を著しく阻害するばかりでなく、人心に不安と混乱を増大し、産業経済にもきわめて重大な影響をもたらす結果となるところの射爆場は、憲法第十一条、第十三条に抵触するのではないか、私はそのように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/202
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203・増田甲子七
○増田国務大臣 御指摘の点は、公共の福祉ということだと思いますが、公共の福祉を害しないように一生懸命にあらゆる条件について努力をいたしまして、そして射爆場を設けたい、こういうわけでございます。
それから一般論として、基地には鈴切さんは反対ではないけれども、この問題は反対であるということもよくわかります。しかし、一般論としてならば、最初駐留軍といった時代には四億坪の基地がありましたが、漸次減らしてもらいまして、いまは全国で一億坪でございます。すなわち、四分の一になっておるというのは、四分の三は政府の努力によって減らしてもらったのであるということも、これまた御理解を願いたい次第でございます。ちなみに、鈴切さんも御承知でございましょうが、自衛隊の基地は全国で二億坪でございます。合計三億坪でございまして、昔よりもはるかに少なくなっておるが、基地は漸次整理すべきものは整理していったほうがいいという一般的の御方針については、私は賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/203
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204・鈴切康雄
○鈴切委員 私は、基地に対して反対でないとは言っておりません。この場所においては反対だ、私はそんな小さい観点からものを論じているのではないのです。むしろ私は、基地悪というふうに感じているわけです。ですから、防衛庁長官は、基地というものについて私に協力を求めるのでなくして、むしろあなたのほうがアメリカのほうに交渉をして、水戸の射爆場も新島の射爆場もよすべきである、私はそのように思うわけです。
なお、離島振興法というものもあることは知ってのとおりであります。離島振興というのは、遠隔地であり、恵まれない人をより以上経済的にも応援するという精神ではないかと思う。その離島振興法にも反するような、その基地基地の問題に対してはどうしても賛成できがたいものがあると思うのですが、なお、伊豆七島はどの島も、港湾の問題につきましては、一つは宿命的な問題を持っております。そして島の人たちは、港湾ができればという一つの願いを託しておるわけでありますが、かの新島においても、かつてミサイル射撃場を受け入れるという条件に、港湾を整備するという条件が入って、整備されたわけですが、現在はすでにもうあなたたちが手をかけられたその堤防が使用できないという現実になっているわけですが、その点について御承知であるか、そして今後どのようにされるか、このことについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/204
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205・鐘江士郎
○鐘江政府委員 ミサイル試射場の設置の際に、地元の条件といたしまして、黒根港の突堤を延長してもらいたいという強い要望がございまして、この港の位置は、地形、気象、それから海流等のいろいろな条件から、工事が非常に困難であるということは、当初より予想されておったわけでございますが、地元の強い御要望をいれまして、東京都の当初設計を補強するというような設計で実施いたした次第でございます。当時工事に手落ちはなかったわけでございますが、その後の維持、管理が思うようにいってないようでございまして、砂の流入のために港が狭くなっているというようなことは聞いております。なお、東京都におきましても、流れ込んでくる砂をときおりしゅんせつしておるということは、承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/205
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206・鈴切康雄
○鈴切委員 維持管理という問題とは、ぼくは別だと思うのです。あの場所は、要するに多くの砂が、西風が吹けば移動をするという問題があるわけです。それについて、せっかく五十メートル皆さん方のほうで出していただいた、それにもう少しくふうをこらせば、何とか砂のほうも——砂防堤というものをその前に敷設するとかという親切があってしかるべきじゃないかと私は思う。少なくとも防衛庁の人たちが五十メートルの堤防をつくるときは、専門家が入って調査したと私は思うわけですが、その点について防衛庁としてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/206
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207・小幡久男
○小幡政府委員 当該案件につきましては、御指摘のとおり、当時としましては学者の意見も開き、専門家の意見も徴しまして、つくったわけでございます。結果におきまして、御指摘のような砂の問題が起こりました。われわれとしましては、当時からいまだいぶ建築の道具のほうも進んでおりますので、さらにこまかい海流等も調査いたしまして、何とかひとつ、今度の問題を契機に、さらにその砂が永久にこないような方策を検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/207
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208・鈴切康雄
○鈴切委員 最後のほうになってくるのですが、時間もだいぶ押し詰まって首相も来られる時間に近くなってまいりましたから、地元の反対があって了承が得られない場合は、長官は強行するつもりですか、あるいは土地収用法にかけるか、強権発動するか、あるいはもう一度考え直してみるか、その点についてお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/208
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209・増田甲子七
○増田国務大臣 いままで私の答弁、施設庁長官の答弁、施設部長の答弁にございますとおり、あらゆる島民の御希望なりいろいろなことをいれまして、生活の向上、福祉の貢献に相なるような環境におきまして初めて射爆場を設定し、これを維持するつもりでございます。したがいまして、同意が得られない場合、コンセンサスが得られない場合は、強行する意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/209
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210・鈴切康雄
○鈴切委員 ミサイル射撃場が島に決定したときに、賛否両論が家庭内にまで持ち込まれ、平和であった島が、そのことで離婚まで発展した家庭もあります。いまなお家庭内にくすぶった空気があるわけですが、そのことに対して長官はどのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/210
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211・増田甲子七
○増田国務大臣 ミサイル基地をつくったときのことは詳細に存じておりませんが、おそらく各家庭家庭によって反対、賛成、それから同じ家庭内等におきましても紛争もあったでございましょうが、今回におきましては、各家庭家庭におきまして同意が得られるように極力努力をし、条件をつくります。そういたしまして、島民各位の御賛同のもとに射爆場を設置し、これを維持していきたい、こう考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/211
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212・鈴切康雄
○鈴切委員 私の計算からいきますと、あそこに射爆場ができるということは、全島離島という、そういう問題にまで発展するようになる。そのように私は調査もしてきましたし、現実にいろいろな点からその分析もしてまいりました。そういう点も考えまして、最後に長官にお伺いしたいわけですが、新島の射爆場問題を取り上げて、いま私が話をしただけでも、ずいぶん問題があるわけです。まず、伊豆七島の島民の生活の問題もあるわけです。新島だけの問題ではないわけです。その点、また、島民の唯一の生活のよりどころであるところの漁業の問題もあります。また観光客相手の財源確保、空路、水路の大幅の変更、通信、放送、電波障害等、また離島振興法の精神にも基づいて、ますますあたたかい姿勢をとらなければならないと思うわけですが、最後に長官の御所見をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/212
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213・増田甲子七
○増田国務大臣 射爆場をつくる場合におきまして、いま運輸省からもお答えがございましたが、まだ研究中だという点もございます。また、水産庁からもお答えがございました。そこで、あらゆるマイナスの条件等はないように努力をいたします。それから空路、水路等は、大体においてこれはないのでございまして、新しくあなたのおっしゃるような港をつくって差し上げるというようなことになりますと、福祉に貢献するわけでございます。新島の島民の非常にお役に立つわけであります。そういうふうに喜ばれる環境をつくりまして後に、御同意を得て新島射爆場を設定し、これを維持したい、こういうわけでございます。でありますから、あなたは非常によく御勉強で、私は心から感心いたしております。そういうように、東京都の議会の諸君も新島へ行って、やたらにあんな反対決議をしないで、非常に研究した結果、これはうまくない、これはいいというような各種の条件をあなたのように提起されるのでしたらけっこうでございますが、いきなり美濃部知事になってから都議会で決議があったというようなことで、私はそういうようなことから考えましても、政治家として考えるのですが、ちょっとやはりもう少し鈴切さんのように研究してからやっていただきたい、こう思う次第でございます。
そうしてもう一つつけ加えます。それは茨城県知事は、県民を代表して、切に水戸の射爆場が移転することを期待いたしております。期待いたしておりますから、協力方をこちらからも頼んでおるわけでございまして、新島の方が離島するなんということがないように自分はする自信があるということすら、茨城県知事はおっしゃっているくらいに、前向きの姿勢で協力を賜わっておりますから、美濃部知事も、東京都議会も、ぜひ前向きで御協力を願いたいということが、私の結びでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/213
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214・鈴切康雄
○鈴切委員 藤井施設調査官が出席されておりますから別にお伺いしたいわけですが、要するに、いまの水戸の射爆場の誤射爆というのがあった。そう誤射爆の状況を、いわゆる防衛庁は大体計画されているであろうところの飛行機の進行方向からその標的を合わしたときに、誤射爆がどの範囲まで達するかということについて、施設部長にお聞きしましたけれども、とんちんかんの説明をされたわけです。ですから、藤井施設調査官に、現地に行って実際に調査したあなたに、そのことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/214
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215・藤井謙二
○藤井説明員 お答えいたします。先ほど先生がお示しになられました誤投下の状況をプロットされた図面でございますが、あれはおそらく昭和二十年以降の事故がプロットされたものと考えられます。水戸につきましては、昭和三十五、六年だと思いますが、進入方向、それから標的の位置、その他の演習の方法等につきまして米軍と調整した結果、誤投下のないようにいろいろ米軍と折衝してまいりました結果、それが改められまして、三十六、七年以降は、先ほど施設部長から御説明申し上げましたとおり、事故が年間二、三件という、非常に率が低下しております。したがいまして、二十年当時行ないましたこの射爆場の射爆撃の事故と現在の事故とは、もう全然性格の違うものでございます。したがいまして、三十六、七年以降の事故をプロットいたしますと、それを島の上に持ってきますと、まず現在のは端端地区、あすこに限定されることになります。それから、新島にもしも射爆場を設置した場合に、現在これは検討中でございますが、進入方向、これは一方通行ということになろうかと思いますけれども、そういった関係、それから新島本村との間に二百数十メートルの高い山がございますが、こういった山にさえぎられるというのが第二点、それから第三点は、退避方向も海のほうに向かって退避する、そういったいろいろ誤投下事故のないように検討してまいっておりますので、まず事故は皆無じゃないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/215
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216・鈴切康雄
○鈴切委員 私は、いまのあなたのおっしゃったことに対しては、どうも納得がいかないのです。いずれにしても誤射爆をしたということについての事実は、事実なんです。あったんです。ですから、誤射爆がないというなら、それは話は別ですが、現実に、いわゆる全島をおおうだけの誤射爆の事実があったということについては、あなたも昭和三十六年とか三十八年、三十九年にきめないで、全体的の誤射爆のあった事実に対しては、あなたは肯定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/216
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217・藤井謙二
○藤井説明員 二十年当時の演習の方法なり進入方向、こういったものと現在やっております方法とは異なっておりますので、それを一緒に計算すると申しますか、プロットするということは、不適当じゃないか、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/217
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218・鈴切康雄
○鈴切委員 標的については、標的を一つの接点として考えた場合にそういう状態が起きたというのですから、あなたがそれに対しては不適当だということは、私は考えられないと思うのです。いずれにしても、現実の問題として米軍が誤射爆をしたという事実について、しかもそれがわかっただけですら、そうやってすでにきめられている問題でありますがゆえに、わからなくて誤射爆をしたのもあります。また、実際にそれが探知できなかったというのも、また数倍に及ぶと専門家が言っているのですから、そういう点について、実際に二十年から今日の間にあったということは事実だ。あとで、もしあなたがうそだと言うならば、私はその資料をお見せしてもいい。全島をおおいかぶし、なお水域の海面にまで及ぶという事実について、あなたはもう少し研究をされるべきだ、私はそう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/218
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219・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 関連しまして質問いたします。パイロットのほうでありますが、実はただいまもありましたように、現場を見てまいりますと、現在パイロットが非常に少ない。またパイロットが一人前になったときにおいても、民間からの引き抜き等があっていろいろ困っている、こういう問題を私は現場で聞いてまいりました。その点について、御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/219
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220・増田甲子七
○増田国務大臣 パイロットを養成いたしまして、民間から希望されて引き抜かれるという点がございます。それから民間の給与と自衛隊の給与とでは格段の相違があるわけでございまして、そういう点につきまして、パイロットはもちろん危険手当その他もございますけれども、訓練その他は猛訓練をいたしておりますから、名パイロットができるわけでございます。その名パイロットが民間に引き抜かれるということは、自衛隊としては損害でございまするが、一面、また日本全体として考えますと、そういうパイロットに命を託するということは、これは非常に安心感が出るということでございます。それから運輸省から御依頼を受けましてパイロットの養成もいたしておりますが、自衛官としてパイロットを養成した場合には、なるべく自衛官にとどまるように、処遇の改善その他につきましても、御指摘のとおり研究してみたいと考えておるわけでございます。なるべく運輸省のほうから御委託を受けた線だけでこちらで練成をして差し上げる、こういうことにいたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/220
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221・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 もう一つは、医官の問題であります。医官の充足率について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/221
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222・増田甲子七
○増田国務大臣 御指摘のとおり、医官の充足率は非常に悪いのでございまして、これは私ども赴任以来非常に心配をいたしております。三〇%ちょっと上回っただけである、こういうことでございます。これはやはりお医者さまの、何といいますか、所得条件その他が、町のお医者さんになるとかその他の関係のほうが、自衛官としての医務官になるよりははるかによろしいというようなことが、原因であろうかと私は考えております。そこで、せっかく医師になりまして、自衛隊を志して自衛隊に入りまして、そうして給与条件が非常に悪い——つまり比較の問題もございますが、比較的に悪いというようなことが、充足率が一番悪い原因であると私は考えております。そこで、医官に対する何か名誉とかその他の関係をもって補うとか、その他あらゆる勤務条件について考究することを、衛生局長にも厳重に指令をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/222
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223・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 総理が参ったようでありますから簡単に申し上げますが、処遇の問題については、全体の予算の中でも、今回の三次防の中にいたしましても、非常に少ないと思います。そういう点については、装備を近代化する、またその近代化する以前に、やはり処遇の問題も検討し、そうして技術者が、また整備員が、安心して従事できるようにすべきだと私は思いますが、長官のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/223
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224・増田甲子七
○増田国務大臣 伊藤さんの御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、御指摘の線どおりに待遇等を改善いたしまして、充足率の向上をはかり、そうして自衛隊の医務行政、衛生関係の向上をはかりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/224
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225・關谷勝利
○關谷委員長 これから佐藤内閣総理大臣に対する質疑に入りますが、時間の都合上、質疑時間を、社会党委員については大体五十分、民社党及び公明党委員については、大体各二十分程度にお願いをいたします。山内広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/225
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226・山内広
○山内委員 総理は韓国の大統領の式典においでになりました。国会開会中でありますので、これは取りやむべきであるという党内にもずいぶん強い意見もありましたけれども、式典ということで実は党内をまとめておいでになったわけです。ところが、どうも結果的に見るというと、式典ばかりでなく、政治的にもいろいろな交渉を重ねられた事実が新聞にも報道されておりますので、特に、お帰りになってこれが国会での最初のあなたのそういう点についての発表の機会と思いますので、その点について最初にお聞きしておきたいと思います。式典のことは別にお聞きすることはないのですが、おいでになって持たれた四カ国会談なるものの内容は、一体どういうものであり、どういう経過でそういうものが持たれたのか。新聞の報道では、そういう計画はないにもかかわらず、おいでになる直前にきまったという報道もありますので、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/226
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227・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私も、総理であり、政治家でございます。したがいまして、ただいまのように六代目の大統領就任式に参列すること自身、もうすでに政治的な行動だと言われてもしかたないような問題でございます。私が出かけますに際しましても、そういうことで、国会開会中でありますし、実は慎重になかなかきめかねておりました。かねてから韓国は訪問したいということをしばしば思っておりましたが、しかし、国会開会中でもありますから、行かないほうがいいんじゃないだろうか、こういうふうにも思ったわけでございます。しかし、内々いろいろ意見をたぐってみますと、社会党の方も、事柄が就任式じゃないかという、そういう意味で、わりに暗黙の問題ではあります、具体的にはっきりいいというわけではありませんが、しかし、そういうような良識的な意向も漏れ承ったのであります。私の出かけることは、これは手続から申しまして、議長、つまり国会の了解を求める、許可を求めるような事項ではございません。しかし、私は、開会中に出かけるのですから、各野党ともこれに対して積極的な反対のないこと、これはもう第一のポイントだ、かように思って、それらの点では慎重にいろいろ当たったわけであります。したがいまして、私いま言われるような政治的な特別な行動をしようというのではなしに、とにかく出かけることになった。土曜、日曜でもありますし……。そこで、出かけてみますると、それぞれ韓国の大統領あるいは総理、またちょうど出かけておりますハンフリーアメリカ副大統領等々と、個人的にもいろいろ話をしました。いざ帰るとなると、これはやはりもう一度お別れに出かける。そのお別れに出かける時間をひとつうまくあんばいしましょうというのがモーニングティー、その集まりであります。これは別にモーニングティーに顔を出しまして——その際に大統領も申しておりますが、この会合を持ったのは、皆さん方の時間をセーブする、こういう意味で実は持ったのだ。この点は申し上げるまでもないことですが、お別れにいくとなりましても、順序はだれが一番先だというようなことがまず問題になるのです。これは外交官の慣例から申しましても、そういうことはやはり気をつけるべきだ。その順番をきめるというようなことは、あまりそんなことで問題を起こしたくない。これが一つの考え方だろうと思います。それからもう一つは、副大統領あるいは総理、そういう格の人で出かけたのは、実は三人なんです。それで就任式場における席次等も、だいぶ向こうでくふうしたものらしいです。最後に落ちついたのが、アルファベット順で席次をきめる。そしてチャイナが一番先、その次がジャパン、それから最後がアメリカ、こうなっておるのであります。それで、この席次は、やはり晩さん会、ディナーの席上においても、そういうようにちゃんと組まれておる。したがいまして、大統領のごちそうをいただいた。そうして(山内委員「総理、時間がないから内容のことを……。式典はいいですよ」と呼ぶ)こういうことをよくお話しをしないと、おわかりにならない。そこで、台湾の国府の厳さんがあいさつした、こういうことであります。別に問題はございません。だから、朴大統領も、きょうはこれを催しましたが、議題というものをきめておりません。また両国間で話がしたいというようなことがあれば、別席を設けて用意してありますから、どうか御自由にお話しください、こういうことであります。そこで全然話がない。これはまずいことだと思った。せっかくみんな集まったんですから、グラスボロの経過なども詳しく聞く。さらに共通の問題として経済協力の話もする、こういうことなのであります。むしろこれは私が報告するわけじゃありませんが、個人的に会見をいたしました会合、そういうところに重点は置かれておりますが、このモーニングティーの四者の集まり、これは全然政治的な会合ではございません。その点を十分御了承いただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/227
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228・山内広
○山内委員 モーニングティーということで、何も問題がない会談のようにあっさり片づけておられますけれども、私どもはどうもそういうふうに考えるわけにはいかぬ。そこで、じゃ具体的にお尋ねしますけれども、一日の午後四時からハンフリー副大統領と一時間半にわたって会談されております。いまちょっと出ましたグラスボロ会談のお話もあったということですが、一時間半といえば相当長時間ですが、その内容をもっと詳細に、具体的に御報告いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/228
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229・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 その内容は詳しく申し上げません。申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/229
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230・山内広
○山内委員 それは奥さんを連れていって、お茶が済んだから行けというなら、これは奥さんに聞かせられないということもあるけれども、国会の審議の場に全然それを知らせない。私は中身までを具体的に聞いておるのではない。それは発表できるならいいですけれども、たとえば経済問題だとか、いまお話のあったグラスボロ会談の内容を一体向こうはどういう御説明があったのか、そういうことくらいはお話しにならなければ、これは国会無視ですよ。答えられませんと言ってすわるのは失礼です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/230
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231・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いや、ただいま言われるような意味ならお答えをいたします。ハンフリー副大統領と会しました当時の模様は、詳細に——詳細でもございませんが、発表のできることは新聞にすでに発表済みでございます。そういう点をここで重ねて言えというなら、これは申してもよろしい。しかし、この点はすでに新聞で発表済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/231
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232・山内広
○山内委員 いや、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/232
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233・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 グラスボロの話、ジョンソン・コスイギン会談の模様、これを聞きました。したがいまして、中東問題についてももちろん言及された、かように御了解いただきます。また、アメリカがこの問題について両者で話し合ったのは、ひとり中東問題だけではありません。ベトナム問題について、核拡散防止について、さらに両国の軍縮の問題について、さらにキューバの問題についても話し合った、かように申しております。それらの詳細については、中身は私はこの席では申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/233
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234・山内広
○山内委員 この席で言わないという話を、どこの席でお話しになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/234
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235・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 外交上の問題でございますから、そういう機密についての事柄は、いままでも申し上げておりません。御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/235
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236・山内広
○山内委員 それでは新聞に出たことで、報道されている点をこちらでお聞きしますから、肯定されるか、否定されるかわかりません。ハンフリー副大統領は、この会談で、中共はますます態度を硬化しており、グラスボロ会談とアジアの平和とは直接結びつかない点を指摘、日本が大いに自由主義陣営の結束に貢献してほしい旨要望したと言われておるという報道があります。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/236
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237・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 そういう話は違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/237
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238・山内広
○山内委員 どういうふうに違うのですか。新聞は訂正されたほうがいいのです。これはきのうあなたも新聞で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/238
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239・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 中共の問題は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/239
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240・山内広
○山内委員 そうすると、この点は新聞を信ずる以外に方法はないでしょう。これは否定されるなら、そうでないと言ってお取り消しになったらいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/240
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241・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いま申したとおり、そうではないと言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/241
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242・山内広
○山内委員 先ほどは、グラスボロ会談というもののお話があったというお話ですね。ですから、これは新聞に出ておる、ハンフリー副大統領が、この会談の結果、アジアの平和とは直接結びつかないというお話があった。そうして協力を要請された。これはどうなんですか。外交上の秘密でもないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/242
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243・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほど申しまするように、ベトナム問題に触れたと申したでしょう。ベトナム問題には触れております。しかし、中共問題には触れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/243
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244・山内広
○山内委員 いや、ベトナム問題でも、これは大事なことで、いまエスカレートして、私どもは、非常にこれがどこへ発展するか心配しているやさきなんです。もしアメリカがこういう見解を持って協力を日本に要請されたとすれば、これはあなたとしても、日本として受けるべきか、受けないか、強力にこれから要請された協力を進めることが日本の平和なのか、それともこれを断わることが日本の平和か、これはこれからあした増田長官とこの点も明らかにしたいと思いますけれども、日本の防衛の問題としては、非常にこれは大事な点なんです。ですから、あえて総理にこの点をお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/244
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245・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、アメリカから協力を求められたわけじゃございません。全然そのような協力を求めるという話はございません。いま申し上げたように、話の筋として、グラスボロの話は私が聞いた。その内容は何かというと、先ほど申すような五つの項目で話をした、こういうことを向こうで申しております。しかし、それ以外に協力を求められたり、あるいは中共の話に触れたりしたことは、全然ございません。それはどういう記事でどういうふうにそれが書かれたか、私はその責任は持ちません、私が発表したところでもございませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/245
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246・山内広
○山内委員 そうしますと、ハンフリーとあなたの会談は、新聞では、説明資料をもとに置いて相当詳細な向こう側の説明があったと書いてある。ですから、この説明資料というものはごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/246
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247・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 その説明資料も持っておりません。これもその話は違います。まるっきりその新聞が自分でやったような書き方をしていますが、これは全然違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/247
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248・山内広
○山内委員 これは新聞に出ているから、それを読め、だからぼくは答えない、そういう御答弁があったから、新聞を基礎にして聞いてみたわけです。当然のことだと思います。儀式においでになったのですから、韓国としては、政府は総理を歓迎されたと思いますけれども、新聞の報ずるところによりますと、これもまたあなた否定されれば別ですけれども、路傍で市民が手を振ってくれた者もあると書いてあります。しかし、ある新聞によると、韓国の国民は非常に冷たくこれを迎えておる、こういう報道がありますが、あなたは、この韓国国民のあなたへの感情をどういうふうにお受け取りになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/248
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249・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、椎名君とも一緒に参ったのですが、いままでにない歓待ぶりだ、かように聞いております。私、前を知りませんから、どんなだったか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/249
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250・山内広
○山内委員 歓待を受けたというのは、政府のことであって、これはついて歩いている新聞記者がそういうふうに見たのですから、あなたはどういうふうな受け取り方をされたかわかりませんけれども、歓迎されなかった、招かれざる客でなかったかということを心配する。(「けちをつけるなよ」と呼ぶ者あり)それはけちをつける意味ではないのですよ。けちをつけるのではなくて、なぜ韓国の国民が日本の総理に対して、儀礼的にもわざわざ式典に行かれた総理をあたたかく迎えるだけの雅量というか、またこれを冷たく迎えるなら、その原因がなくちゃならぬ、これは反省しなければならぬし、今後韓国対策をお考えになる上にも、私は大事だと思うのです。というのは、あの日韓条約を結ぶときの激しいいろいろな議論がありました。私どももいろいろな主張をいたしました。その結果が、一年半を過ぎた今日、はたしてどうなっておるのか、そういう点を反省したときに、漁業問題も解決しないで、あっちもこっちも騒いでおる。なかなか経済もうまく復興してこない。保税加工といううまい仕事に結びついて何とかもうけたいと思った中小企業も、倒産していく。あなたは善意に韓国を援助しようとお考えになっても、その結果がちっとも実っていない。こういう点が、韓国の国民をして日本の総理を冷たく迎える原因ではないか。そうすれば、この点の反省の上に立って総理としてお考えにならなければならぬと思う。そういう意味で申し上げておるのであって、決してけちではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/250
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251・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 山内君を連れていけなかったことは、まことに残念です。実際をごらんになると、ただいまのようなことでなしに、御安心だと思います。ことに中学生その他の学生諸君は、盛んに手を振っております。そういう事情をよくごらんになると、日韓間の関係はよほど改善されておる、この実情を十分——山内君もついていかれなかったものですから、御存じないで残念に思いますけれども、その点は私は申し上げたいと思います。いまの並んでおる連中、いわゆるおとなが、これは全部手を振っているとか、こういう状態ではございません。しかしながら、静かに私どもの車を見守っておるその姿においては、私は別に反対的なものを感じなかった、このことだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/251
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252・山内広
○山内委員 その点は、歓迎されたとお考えになれば御満足でしょうからいいでしょうけれども、私どもとしては、いろいろな心配を将来に残しておるわけであります。
そこで、儀礼的なことばかりであって、あまり立ち入った話がないようにあっさり逃げておられますけれども、総理は一つお約束があった。これは間違いないと思うのですけれども、日韓の貿易閣僚会議ですか、八月の四日から予想されているその閣僚会議の前に、通産大臣と大蔵大臣を韓国へおやりになる。それは具体的にどういう取りきめかわかりませんけれども、そういうことで新聞は大々的に、通産大臣はもう行く用意もしておる、こういうことですが、そういうことを考えれば、あなたとの間に経済的な話か何かがないということは、想像もできないわけです。いま申した大蔵大臣あるいは通産大臣を向こうへやるという、このことはどういう根拠に立っておやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/252
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253・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 大蔵大臣は、これは私は発言したことはございません。向こうで、通産大臣にはぜひ来てもらいたい、実情をぜひ大臣自身に見てほしい。それからもう一つは、事務当局においてその実情を見てほしい、これがいま誤解を受けている大蔵大臣というようなことばになったのじゃないかと思いまするが、事務当局、大蔵、通産それぞれの局長さん方にも実情を見てほしい、こういう話をしております。これは向こうで第二次五カ年計画、非常に積極的にこれと取り組むという考え方であります。その意味において、閣僚会議で十分話し合いたいから、その前によく理解してほしい、それにはひとつ見てほしい、こういうことを申しております。私のほうからは、いわゆる政治的なものでもございませんけれども、会いました際に、どうも課税問題が日本で考えるようでない、とにかく各国で差別待遇をしてもらっちゃ困る、そういう点について十分ひとつ考慮してほしい、いますぐ返事はもらわなくても、閣僚会議までには結論を出してほしい、こういう話は申し込んであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/253
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254・山内広
○山内委員 大蔵大臣については、あるいは通産大臣が行かれて、そのあとに局長クラスが随行という形で行くようになるだろうという非常にうたがった観察もありますから、あるいは大蔵大臣というのは私の誤りかもしれませんけれども、新聞を信じただけであります。ただ国会は、御承知のとおり、言うまでもなく二十一日まであるわけです。そうすると、来月の四日というと二週間しかない。その間に通産大臣をわざわざそこで見にやるのですか。何か話し合いがあるのでしょう。そうして帰ってきて今度は日韓の経済閣僚会議でそれを煮詰めようというお話だと思うのですが、何か借款でも求められたのか、あるいはほしいものを求められたのか。だいぶ経済も困っておるように私は聞いておるので、韓国についてはどういうお話か、もっと詳しくお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/254
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255・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 時間もあまりないようですから簡単に申しますが、私は、いま通産大臣を向こうからよこしてくださいということを言ったので、取り次ぐだけは取り次いだのです。私はいま、いついつ通産大臣を派遣するか、これはきめておりませんから、もしきめたようなお気持ちなら、それは間違いです。まだきめてはおりません。もちろんまだ国会中でございますし、通産大臣が出かけることはなかなかたいへんだと思います。だから、そういうことはございません。ただいまお話がありましたが、経済成長は、開発途上にある国としては一番だというのは、ことしのエコノミストでも報道しております。したがいまして、経済的には非常にいま活発な活動をしておる、かように御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/255
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256・山内広
○山内委員 この四カ国会談は何にもない儀礼的なものだとしても、これは言うまでもなく国府、韓国というのは、非常に反共の政策で固まっておる。アメリカも中国封じ込め政策をとっておる。そういう中にお入りになって、かりに奥さんを連れていって多少カムフラージュしたとしても、人にはそうは見えない。
それにもう一点ございます。それは、外務大臣はいま、きょうから始まったアジア太平洋閣僚会議においでになっております。それで非常に平和共存の路線を打ち出そう。十カ国はおおむねベトナムの戦線に参加しておる国である。準参加国である。そういうことで、ここに外相を派遣されて、かりに共存路線を打ち出されても、戦っている相手方から見れば、やはり協力体制と思われて誤解を受けるのは、これは私はあり得ると思うのです。特に、時間がありませんので私のほうから申し上げますけれども、この五日のアジア太平洋閣僚会議の審議の基礎となるということで報道されているのは、タイ国駐在の大使で構成されているいわゆるスタンディング・コミッティーというのですか、そこでいろいろな資料を集められておるわけですが、アジア政治情勢という報告を書かれてあります。これを見ますと、アジア太平洋における自由国家間の単なる平和共存では、進歩と平和のための満足な基盤としてはもはや不適当であると確信するに至ったという中身が明記されておるものを基礎としての会議だそうであります。私も外交のことはあまりわかりませんけれども、はっきりこう文書でうたっているからにはそうだと思う。ですから、あなたがほんとうに善意をもって平和に徹しようとしても、あなたが総理としておやりになっていることがだんだんだんだんこういう渦中に巻き込まれていきますと、私は日本の平和と安全というものに危険を感ぜざるを得ないわけです。特に休戦監視団にも加わりたいとお話があっても、休戦監視団は相手方からも信用されなければなれないのですから、これはなれるわけがない。やはり片寄らない、不介入の方針をとっていただきたいと思うわけです。これについて御見解を聞いて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/256
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257・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、いかような御批判があろうとも、いままで申しておりますように、平和に徹する。またわが国の憲法がございますから、憲法無視の行動は絶対にいたしません。この点は十分信頼していただきたいと思います。ただいま言われますように、相手の国がいかように誤解しようとも、私は、わが国の山内君に誤解されることは、まことに残念に思います。この点では誤解はございません。どうか御心配はございませんから、私の平和に徹する、また平和憲法を守っておるこの姿を、ひとつ信頼していただきたい。相手の国がどういうように誤解しようと、それはかってです。その点をはっきり申し上げておきたい。
また三木君が、ただいまも申し上げておりますように、ASPACに出かけていろいろ会議で発言をしようとしております。この発言も、御承知のように、平和に徹する発言をしておるわけであります。共存を申しておるわけであります。私は、あらゆる機会に、どんな国とも仲よくする、そうしてお互いに独立を尊重し合おうじゃないか、これが私の外交の基本方針であります。これだけは誤解のないように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/257
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258・山内広
○山内委員 私も、自分の国の総理ですから、疑っておるわけではないのです。あなたの平和に徹するお気持ちを善意に受け取っても、いま陣営が二つに分かれておって、一方的なところに片寄ることは、戦争の渦中に入る。ですから、不介入の態度を堅持して、そういう反共の防壁などをつくろうとしておるところに——あなた自身は共産主義はおきらいかもしらぬけれども、それはわが国の平和を脅かすことになりやせぬかということを、私は危惧しておるわけであります。もう時間がないので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/258
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259・關谷勝利
○關谷委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/259
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260・大出俊
○大出委員 だいぶ時間がなくなりましたから簡単に御答弁をいただきたいと思いますが、この秋に総理はベトナム訪問をされるという。党内でもいろいろ異論のあるところのようでありますが、口の悪いエコノミスト——先ほど総理、例にあげられたから申し上げるのですが、この新刊の「政局」というものを見ますと、佐藤さんは右翼片肺飛行の機長だということが書いてある。これはある意味ではうまいことを言っておると思う。したがって承りたいのですが、このベトナム訪問のお気持ちを、ハンフリー氏に会ったりいろいろされてお帰りになる過程で、より一そう強めたというふうに所々方々観測をして新聞に書いておりますけれども、そこのところ、真意のほどをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/260
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261・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 東南アジアの諸国を私は歴訪する、こういう計画でございます。そのときに、ベトナムだけ除くことがいいのか、あるいはもっと私が認識を深める、こういう意味で積極的にベトナムにも参って、そうして実情を把握し、認識を深め、その政府当局者と話をすること、これが平和への道を探るための一つのきっかけじゃないだろうか、かように思って私はベトナムという国にも行く、こうきめたのです。いま、ハンフリーとの話し合いからそういうことが一そう強くなったか、こういうお話でありますが、ハンフリーには、私がベトナムに行くことは申しておりません。したがって、これは影響はございません。在来からの私の考え方でただいま計画を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/261
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262・大出俊
○大出委員 日本の総理ですから、私も総理を信頼申し上げたいわけでありますけれども、そこのところずばり腹の底を言っていただきませんと、残念ながら疑わざるを得ないという結果になるので、念のためにもう一ぺん承りたいのですが、情報を観測筋はかくかくしかじかと一ぱい報道をしておりますけれども、その中で中心になりますのは、むしろ韓国での問題よりも、総理は、一体秋にベトナムに積極的に行くのか、行かぬのかというところに大きな問題があります。そこで、ここに二つあげております。ハンフリー氏と話した中で、総理のベトナム訪問という御意思は、これはまことに時宜に適したものだという言い方をハンフリー氏はしたと書いてあります。これは二つ問題があります。一つは、グラスボロ会談の結果から見て、ベトナムで今度行なわれる大統領選挙等についても、何となくソビエトの側は黙認をしておる。つまり正常にうまく選挙が行なわれてくれればいいというようなことをあげて、つまりこの時期にベトナム戦争の問題がある意味で解決の方向にいくかもしれぬという観測が、一面成り立つ。したがって、その意味できわめて時宜に適した時期だというのが一つ。それからもう一つ、それにつけ加えて、総理が、この記事の中には、今度のハンフリー氏との話し合いの中で、中東の問題で二人が話し合った、ジョンソン大統領とコスイギン氏が話し合った。それと同じようなことをベトナムについてもやるべきだということを強調されたと書いてある。したがって、その意味で、ベトナムの平和回復の問題について総理が何がしかの機会をつかんで、おくという意味でも、時宜に適する、これが一つ。もう一つは、大統領選挙というものと直接からんで、これまた時宜に適する、こういう分析をしているわけですね。そこのところをずばりひとつ、国民全体の問題ですから、お答えを賜わりたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/262
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263・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私が出かけるのは、大統領選挙の後でございます。したがいまして、大統領選挙には関係なし、これはひとつ御了承いただきたいと思います。
もう一つの問題ですが、中東のようなあの激しい戦争でも、これは停戦ができた。これよりも国際的、経済的意義が小さいと見られるベトナムでも、これは停戦ができないものか、停戦したらいいじゃないか、こういうことを私は感じます。その二つをずばり申し上げておきます。
もう一つつけ加えて申し上げておきますが、ジョンソン・コスイギンの会談において、ベトナムの問題でアメリカ側は突っ込んだ話をしたかったようですが、しかし、どうもこの話はそこまでの用意なしに、中東の問題で一番頭の中が一ぱいだったので、中東の問題について話し合いが専門に集中された、かように私は了解するのでありまして、この点では大出君も同様な考え方ではないか。ちょっとこの点を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/263
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264・大出俊
○大出委員 ここにございます私が持っております記事からいきますと、ハンフリー氏との会談の中で、総理から、中東問題で両巨頭が会って話をして、それが解決の方向に向かう、したがって、ベトナムについてもそういうことをぜひやって解決の方向に持っていってもらいたい、これは総理の意思として強調しておいたというふうになっているわけです。いまのお考えをずばり承りましたから、言ったか言わぬかということは取り上げません。が、おそらくそういうことであったろうと理解をいたします。
そこで次の問題は、ということになると、先ほど来山内委員からも御質問を申し上げておりますが、フリーハンドということばがよくいわれますが、いずれに対してもフリーハンドという立場をとっていこうという言い方をいままでされておった。そのことは一つ間違うと、ソビエトから入ってきているもの、中国から入ってきているもの等々から、日本の国内の論評、これらを全部総合すると、これから東南アジアを歩かれる目的は、私はベトナムにあるのだろうと思う。ほかに、どうしても行かなければならぬという積極性、また緊急性のあるところはないはずです。先ほど総理は、総理だからああいうふうに言われたのだろうと思うのだけれども、そうなると、この辺で外交政策の一つの転換ということにつながっていきはせぬかという、フリーハンドがとりにくくなりはせぬかという、言いかえれば片一方に足を突っ込み過ぎはせぬかという心配が、これはわれわれだけではない、与党の中にもあるはずです。そこのところをどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/264
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265・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまのフリーハンドということは、一体どういうことを意味されるのか。これは今回の中東の問題で申すと、私どもは厳正中立、かような態度をとっておる、しかし、なかなか一部の者は、あくまで厳正中立だと言っても、日米安保条約のもとにおいての厳正中立だから、アメリカ寄りじゃないか、こういう言い方をしております。しかし、決議その他におきまして日本のとった態度が厳正中立であること、これはもう独自の態度をとったわけで、よく御理解できたと思います。で、私は、フリーハンドということは、南に行ったからフリーハンドじゃない、北に行ったからフリーハンドじゃない、どちらにも行かないでいるからフリーハンドだ、こういうものじゃないと思う。私どものかねてからの主張はちゃんと持っていて、その主張によって関係国を説くことができれば、これはフリーハンドであろうがフリーハンドでなかろうが、たいへんりっぱなことではないかと私は思うのです。また、これから先の政治家は、そうあってほしい。とにかくこれは問題があるからあそこには行かない、一切そばにも寄らない、おれたちはフリーハンドを持つのだ、これでは一体何を意味するのかわからない、かように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/265
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266・大出俊
○大出委員 総合的にいまの問題の結論だけもう一つ承っておきたいのですが、私どもは、この際総理がやらなければならぬことは、むしろアメリカに行かれて、北爆をはじめ、たいへんわれわれから見ると侵略戦争だと考えている方向に動いているアメリカ御本尊に出かけていって、それこそ総理が一国の代表として、日本の総理として説くべき筋合いだ、まずこう考えているわけです。いま言われるベトナムというのはその次の問題、こう私どもは考えているわけです。いまの総理の話からいたしますと、ベトナムに行く目的が、ようやくはっきりしてきたように思う。総理は、そこで先ほどお話にありましたように、ベトナムの平和解決をする方向への努力を直接行ってやりたい、こういうふうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/266
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267・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いま努力をいたしましても、すぐ効果があるとは、私もなかなか期待できにくいと思います。しかし、実情をとにかく把握することだ。一体ベトナムでどういうことがやられているのか、それも知らないで、抽象的に平和、平和と言ったって、それはだめだ。また、このベトナムの当局は一体どういうことを考えているのか、こういうことも十分認識しなければ、これは解決策は出てこない。だから、そういうことを私はいま申し上げておる。だから、出かけまして、私の認識を深めて、正しい認識を持つ。そういう点で、私のかねての主張ができればそれに越したことはない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/267
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268・大出俊
○大出委員 私は、いまお話を聞いておりまして、一つ疑問がある。これを解決していただきたい。それはどうもアメリカの側に立ち過ぎて、もうちょっと日本は積極的にアメリカの側に立って、ベトナムに力を入れろ、こういうところに焦点が合って、それに合わせておいでになるのだとすると、これはまさに右翼片肺飛行の機長になってしまう。そこを私は疑問に思うのです。だから、ずばりその点をそうならそう、そうでないならないと、明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/268
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269・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 そうではありません。はっきり申し上げておきます。アメリカから何にも頼まれたわけでもありませんし、また、アメリカのこの戦争に、私どもは軍事的に介入する意思は毛頭ございません。これは、もういまの憲法も命じており、また自衛隊法でもそうなっているので、そのようなことが私にできるわけはございませんから、軍事的に介入するようなことは一切ございません。私は、ただ平和だけを念願しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/269
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270・大出俊
○大出委員 最初に、このベトナム行きは少し早いように新聞報道はありました。ところが、どうも大統領選挙で片一方がおりちゃったら、めんどうくさくなってしまった。そして三木さんが新聞にちょっとものを言ったのは、どうも少しおくれるかもしれないということで、いまのお話を聞いておると、大統領選挙が終わったあとで行く。これはうっかり行くと火をつけてしまっては困るから、終わったあと行く、こうも受け取れるのですが、(「御指摘のとおり」と呼ぶ者あり)つまり大統領選挙の終わったあとに行くということは、はっきりしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/270
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271・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 それは別に大統領選挙を考えたわけではないのですよ。東南アジア諸国を回ります際に、あの国だけ大統領選挙の前に行くわけにもまいりませんし、ベトナムへ出かけるのは、やはり時期を見まして行くのでありますから、いまのたまたま大統領選挙のあとになった、かように言われても、これはちっとも差しつかえないのです。私は大統領選挙をねらったわけではございませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/271
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272・大出俊
○大出委員 御指摘のとおりという声が、ほかならぬ皆さんの党のほうからございましたから、そういうことだろう。そこで、前の考え方を慎重に改められたのだ。そこでもう一つ慎重に、ひとつ右翼片肺飛行にならないように、ナショナルコンセンサスが必要だという世の中でありますから、特に御注意を願いたいことをつけ加えて、いまの問題は区切りにいたします。
次は、総理のこの予算委員会の答弁、それから本会議の私に対する答弁等々と関連をいたしまして、食い違いが総理のおいでにならぬ間のこの委員会の論議の中で出ておりますので、二、三点明らかにしていただきたいと思います。
まず第一は、自衛隊法の百三条というところに、例の防衛出動に関しまする二つの大きな問題が載っております。一つは、指定された地域において、前のほうの項によりますと、都道府県知事の承認があった場合には、ある一定の地域を指定して物資の徴発あるいは人の徴用——「収用」と書いてありますが、こういうことが行ない得る。それから次の項は、都道府県知事に通知を出せば、知らせれば、緊急な場合には同様の収用行為がやれる。戦争中で言うならば、物資の徴発と人の徴用でしょう。お医者さんだとか、輸送に携わる人だとか、建設業者だとか、こうなっているのです。政令できめる部分もいろいろある。この点について、かつて三矢の問題もありました。だから、この政令の部分の法的に手続法を欠く問題、これは一体どうするのだ。三次防というものを目の前にして、国防体制の整備と書いてある、その中に入るのかどうかと質問申し上げたところが、防衛庁長官のお話では、海原官房長のお話によると、項目、三十項目くらいある、検討している、こういうわけであります。四十年八月十一日の参事官会議の席上で議題となった、研究に入った、三十項目ある。例を四つ、五つおあげになりました。長官は、したがってこれを督励しておる、怠慢である、こういうわけであります。言いかえれば、非常事態に処する防衛出動の手続、政令その他で、事はきわめて重大でございますので、この長官の答弁のとおり、総理お考えかどうか。準備を急ぐ、こういうことかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/272
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273・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 お答えいたしますが、実は私、どんなになっているかよく知りませんが、私は最高の責任者でございます。したがいまして、ただいま言われるように、法律にちゃんときめてある。それが政令その他ができてなくて実施がやれない、こういうような実情なら、これは怠慢だと思います。そういう点は、これは防衛庁長官の答えたとおりだ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/273
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274・大出俊
○大出委員 そこで承りたいわけですが、この予算委員会の総理の回答によりますと、時間がありませんから読み上げることはやめますけれども、大東亜戦争のときの例をちょっとあげる方が一人ありまして、鉄道であるとか、あるいは通信であるとか、いわく国内体制の整備、これについて総理はおやりになる意思があるか、やっておかなければ防衛出動が行なわれた場合に困るではないか、こういう質問が出ましたが、そんなに緊迫している情勢ではないから、その必要はないと思う、こう答えておられる。長官が督励をして、怠慢だからやれと言っている。これはたいへんな食い違い。食い違いじゃ困ります。国民に直接影響がある。物の徴用、徴発に関する問題、現行自衛隊法でもできるという解釈をおまけにとっておられる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/274
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275・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 いまの話で思い出しましたが、総動員法的なものを考えるか、こういう質問があったように私、思い起こすのであります。かつてのような総動員法そのものは考えておりません、こういうことは申したと思っております。また、防衛庁長官もさようなものは考えていない。しかし、いまお読みになりましたように、基本法があって、その基本法に基づいて政令をつくらなければ、基本法だけではいかようにもならない。そういう状態では、これは自衛隊が本務を果たしている、かようには言えないことだ、かように思います。これは、一般に緊迫している、そういうこととは別に、やはりなすべきことはなしておくのが当然なことだ、かように私思いますので、いま防衛庁長官が督励中だと言ったからといって、これは別に心配はない。くれぐれも申しますが、緊迫した情勢があるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/275
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276・大出俊
○大出委員 あとで一括、もう一ぺん聞きますが、緊迫した情勢があるわけじゃないとおっしゃったのですが、そこでもう一つ、これまた食い違いがあるから聞いておきたい。三輪次官のお書きになったものの中に、ある国の演習等が次々行なわれて、日本を対象にして激しい訓練が行なわれている。また、東京パトロールですか、東京急行ですか、東京急行というと何かみたいだけれども、新聞に出ておりますが、ソ連の東京急行と呼ばれる偵察機がしばしば日本の近くに来るし、またトロール船が調査を行なっている。こういう状態で、常時そういう状態が行なわれている。増田長官の言によれば、きょうただいまここで論議しているこの論議が行なわれるほど、自衛隊の飛行機が完全武装して哨戒に当たっている。国籍不明の飛行機が来れば、スクランブルで飛んでいく。ここのところ千数百回も続いている。そういうことをやっているから安心して論議ができるのだ、私はそれを聞いて涙をこぼした、こういうわけであります。三輪さんは、旧海軍大臣の話を例にあげられて、そういう状態でたいへん緊迫したお話を、総理がおいでにならぬときにずっとしていただいていた。したがって、総理、いまのところ、やはり三次防というものを中心に、その必要、緊迫感があるとの御判断で非常事態に処するところの法的手続その他を全部とっておこなう、こう言っておられるわけですが、そこのところどうですか。ごまかさぬでいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/276
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277・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 緊迫感があるわけじゃございませんが、しかし、大出君も御存じだと思いますが、日本近海でいろいろな、たとえば飛行機が飛んでくるとか、あるいはいろいろのパトロールその他で非常な近くに来る。まあこの前の日本海の日米合同演習では駆逐艦と衝突するとか、こういう事態があるのですね。こういうことはもう百も御承知じゃないかと思うのですよ。ただ、しばしば日本の領空近くでこういう事態が起こる、こういうことでもうしばしば警告もし、また外交交渉を持ったことはございます。しかし、それだからといって、それで直ちに非常な緊迫感を感ずるかというと、さように私は感じておりません。また、そういう事柄は、いわゆる訓練としてそれぞれの国がやっておることで、いま領空を直接侵犯しない限り、わがほうはちっともこの緊急出動もないわけです。そこで、いま飛行機が待機しておるという、そういう問題については、これはいつ領空が侵犯されるかわからない。もし領空を侵犯するものがあったら——まあいつ領空を侵犯されるかもわからないというのはちょっとことばが不適当ですが、領空を侵犯するような事態が起きたら、直ちにこれは発進して、そうしてそういうものを防ぐとか、防止するとか、これがいまの自衛隊のあり方でございます。増田君からお答えしたのも、そういうことだと思う。私は、大出君もこの事態、いま日本を取り巻く状況、それに全然無関心ではないだろう。いま申し上げるようなことはございます。しかし、それで国際間に非常な緊迫感があるか、そういうものじゃないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/277
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278・大出俊
○大出委員 どうもこの防衛論議を通じまして感ずることは、いままでは衣の下によろいが見える程度で、それに触れると皆さんが引っ込んじゃう。最近はそれをつくと、よろいのまま押しまくろうとする、まかり通ろうとする。そこで、私はまことに心配なんだけれども、総理にひとつ、そんな緊迫感がないのだとおっしゃるなら、まさか防衛庁を省に昇格させるとか、国家安全保障会議をつくるとか、そんなお考えはないでしょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/278
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279・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これは全然別なことですから、まあよく研究をいたしますが、いま直ちにこの国会で省にこれを格上げするとか、そんなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/279
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280・大出俊
○大出委員 このことはちょいちょい承っておかぬと、なかなか……。
もう一点だけ。三十八度線でいろいろなことが起こる、防衛駐在官を派遣したいということが、出発の前に新聞に載っておりました。行ってこられた結果として、どういうふうにお感じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/280
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281・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 行ってこなくても、隣の国のいろいろな情勢ですから、それは正確な知識を持つということはもう当然のことですから、防衛アタッシュを置くということは、これはもう基本的な考え方でございます。御了承を得たいと思います。
三十八度線について、私は実情は見ておりません。見ておりませんが、新聞その他で伝えるように、小さな衝突はそれぞれあるようでございます。しかし、それでまた、ただいまのような緊迫感という問題ですが、緊迫感を感ずるかとか、あるいは拡大するおそれがあるか、かように言うと、私は、いまあるようなことで拡大するとか、緊迫感を感ずるとか、そういうところまではいっていないように思います。ただ私は、いまのようなお話がありますから、ずばりと紹介しますが、私どもがディナーに呼ばれたその席で、大統領は、二十五マイル先には敵がいるのです、こういうことをはっきり申した。これはディナーの演説における一句でございますが、そういうことを言っておられた。だから、これはやはり韓国ならではそういう感じは受けない。しかし、私はいま感ずるところでは、この事態が非常に拡大し、危険なものだ、かようには私は思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/281
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282・大出俊
○大出委員 これで終わりですが、もう一点だけひとつお答えいただきたい。FXの問題。総理はこれは石橋君の質問に対しまして、次期要撃戦闘機、長い論争の末に憲法を乱るようなことはしない、それから敵に脅威を与えるようなことはしない、足の長いものは持たない、長官が、爆撃装置なんかはっけない、こう言ってきたわけですね。それでF105あるいはF111、こういうふうなもの、そういうふうなものはとてもじゃないが持てないということを総理は結論として言われている。ところが、私が本会議で質問したときに、その機種のことを例をあげると、あなたは、一切考えていない、こういうお話です。ところが、この論議の中で公明党の方から質問が出た。選定機種の範囲を長官が明らかにされた。この中にはF105も入っていれば、F111も入っている。これは本会議で私も質問し、CL1010、F4ファントムも入っていれば、ビゲンも入っている。そうすると、これはどれを見ても航続距離は三千キロですよ。いずれも長官のお好きなファイターボンバーですよ。そうすれば、これは持てないはずなんです。それだけが選定機種になっているということになると、その中からどれか選ぶんだから、総理の言っていることはおかしくなる。そこのところは総理はどうお考えになるか。これは持てないはずなんです。明らかな食い違いがある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/282
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283・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これはまだFX、Xでございまして、私の耳にはまだ入っていないのです。したがいまして、そのFXがどういうふうにきまるかということは、まだ未定のものでございます。これだけははっきり申し上げておきます。いろいろ自衛隊で選考しておる、これは当然のことだろうと思います。私はしばしば申し上げますように、外国に対して侵略的脅威を与えないもの、これは私のねらいだ、かように御了承いただきたい。また、皆さん方も、平和憲法を守って外国との問題を武力で解決しない、そういうことを誓っておるのですから、外国に侵略的脅威を与えるものは、お許しにならぬと思います。しかし、わが国の防衛上必要なもの、これはひとつ考えさしていただきたいし、その点が、結局問題を詰めると最後になるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/283
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284・大出俊
○大出委員 総理のおいでになる前で、長官ひとつもう一ぺん言ってください。長官が伊藤さんに答弁されたのは、F105も入っている、F111も入っている、F4ファントムも入っている。CL1010も入っている、F5、ビゲンも入っている。それらはあなたは機種の範囲を明らかにされた。新聞の発表によっても、初めて長官が選定機種の範囲を明らかにされた、こう書いてある。どれをとらえても、あなたが言ったF86Fの爆撃装置をつけたようなはんぱなものじゃない。明確にこれは敵に脅威を与える、三千キロ以上の足の長いもの、総理のいま言われた趣旨からいけば、これははみ出す。なぜそれをおきめになったのか、お聞きしたい。必要ならば直してください、大きな問題ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/284
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285・増田甲子七
○増田国務大臣 私は、この委員会において初めて明言したわけではございませんのでございまして、総理の前でも明言いたしますが、総理の聞いていらっしゃいました予算委員会における総括質問の際に、石橋委員から御指摘のいまの名前が全部出まして、それらは候補機種でございますということを私は言っております。候補機種でございますから、どれということを選定したわけではない。それから伊藤惣助丸さんがおっしゃいましたときにも、候補機種でございますということでございますが、初めて明らかにしたということは、大出さんの認識不足でございます。二度目でございます。
それから、憲法はいま総理のおっしゃったとおりでございまして、あくまで外国に脅威を与えない、それから増田甲子七がファイターボンバーが好きなわけじゃない。ただ、石橋君がF86Fは、いま戦闘爆撃機として使っているじゃないか、その範囲のものならば戦闘爆撃機と言ってもよろしいでしょう、FBと普通言いますから私もFBと言います、こう言うただけの話でございます。そこで、私も総理の前で明瞭にいたしておきますが、総理のFX——Xと総理のおっしゃった将来のFを選定する場合には、ファイターを選定する場合には、あくまでも外国に脅威を与えず、また爆撃装置を施さず、しかしながら迎撃能力をいままでのものよりも高めたい、それがすなわち国の守りになる、この際、明瞭にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/285
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286・大出俊
○大出委員 これらの機種の中で、全部爆撃装置があるのだから、増田長官得意のFであるという、ボンバーではないということで爆撃装置はつけないとうまいことを言いますが、ナイキハーキュリーズなんてこれは核兵器だが、通常弾頭だけに装置をする。しろうとにはわからないのですから、これは非常にうまいことを言われる。いまにあなたはボンバー、Bは取ってFだけでございます、なんというようなことを言い出す。しかし、これだけ念を押しておけばだいじょうぶだと思いますから、総理の答弁を私は信頼しておきます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/286
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287・關谷勝利
○關谷委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/287
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288・受田新吉
○受田委員 佐藤さんは、増田さんと、かつて運輸省に勤務当時に、増田運輸大臣のもとで次官をしておられた。現在はその上司を部下としてお使いになっておられる。そこで、おそらくお二人とも君、ぼくのほんとうにじっこんな間柄であろうと思います。したがって、この防衛問題についても、おそらく他の国務大臣と違って、まれに見る一致した見解でこの防衛計画をおつくりになっていると思います。
そこで私はお尋ねを申し上げたい。国防の基本に関する問題、防衛出動等を諮問する機関として国防会議があります。ところが、その国防会議には五人の国務大臣しか採決権がないことになっておって、そこでインナーキャビネットの方式で総理大臣に意見を述べることができると書いてあるけれども、事実問題としては閣内閣僚会議のようなかっこうでございますから、意見を述べるも何もないと私は思います。したがって、防衛庁設置法の中に、きょうも午前中お尋ねしたのですけれども、いかにも付属機関のような印象を受けているこの国防会議を抜き出して、従来防衛庁が立案をし、大蔵省が財政的にチェックするというようなかっこうのこの国防会議を、外交、産業、軍事あらゆる面にわたって総合的な国防方針というものをきめていかなければならない、その機関に切りかえなければならない。そこで独立した法律のもとに大出さんは安全保障会議のようなものはつくることはないであろうという御意見でございましたが、私は国防会議を別個の法律によってその構成を含めた立法措置をとってシビリアンコントロールの真価を発揮するためにも、制服を十分押える力を発揮するためにも、国防会議を新しい構想のもとでスタートせしめなければならない。その国防会議は、全般的な国防を論ずる諮問機関として、また事務当局にある程度の調整権、あるいは各省間にわたるところの連絡、調整の権利も与えるような形で、文官優位の原則を確立する必要があると思うのです。同時に、閣内閣僚会議のようなインナーキャビネット方式をやめて、前総理大臣、あるいは前の衆参両院議長、こういう方々にも、都合によれば皇室会議のように最高裁の長官にも——ということはちょっとむずかしいかもしれぬけれども、何らかの形で前首相、前衆参両院議長、あるいは民間の中で特に高度の学識経験を有する者、前防衛庁長官の経験を有する者、こういうような者を別個に取り入れた大きなものの中から適当に選択して、ある限られた人数を議員にするというような方式で、この機会に国防、いわゆる軍事的国防だけでなく、広い意味の外交、産業全部含めた国防会議たらしめる御用意がないか。これは防衛庁長官は単なる一議員にすぎない存在でございますから、やはり総理大臣が直接やらなければ片づきません。総理大臣の一声、ツルの一声が必要だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/288
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289・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 受田君のお話、短いこの時間に、私が真意をあるいはつかみかねているのかもわかりません。しかし、ただいま言われますように、国防会議をもっと強力なものにしたらどうか、こういう意味に私は考えます。私は、大体いまの国防会議で事足りていると、ただいま考えております。したがいまして、いま、さらに強化案で改正するようなことは考えておりませんけれども、せっかくお話がございましたので、もう少し検討してみてはどうだろうかと思っておりますけれども、いま直ちに現状を変えなくてもいいんじゃないだろうか、かようなばくとした考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/289
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290・受田新吉
○受田委員 防衛庁長官は、ここで、非常な意欲をもって祖国の防衛に当たりたいという意思表示をしばしばされております。まことにりっぱなものだと思います。ところが、国家行政組織法の第十七条に、次官は大臣を補作するということになって、総理府の外局の長で国務大臣を兼ねているところは、その意味で大臣を補佐する、こういうことの関係から、防衛庁の長官室には大臣室という看板がかけられておる。それは次官との関係だけのことです。防衛庁全体の機構からいうたら、栄誉礼も防衛庁長官として受けるのであって、国務大臣としては受けない。ところが、同じ総理府の外局で、経済企画庁とかあるいは行政管理庁には、長官室としか看板は張ってないのです。防衛庁だけが大臣室という看板を張っている。この不統一をどう見られるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/290
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291・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 どうも私、まだあまり各省を歩いておりませんので、大臣室にどんなになっているか、ちょっと私、判断しかねるのですが、いまの企画庁長官、これは大臣室と書いてございませんか。どうも私、書いておるように思うのですが……。大体国務大臣ですからね、大臣室と書いたからといって、ちっともふしぎはないのです。やっぱり使いやすいように、いまからよく調べて検討しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/291
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292・受田新吉
○受田委員 統制をとってもらいたい。
そこで私、一つ大事な問題として、沖繩問題を提案いたします。総理大臣、あなたは、おととしの八月沖繩を訪問されて、涙を流して、戦後はまだ終わっていないという非常に——私も昨年訪問して、あなたに対する現地の印象は、非常によろしい。私も同様涙を流した一人でございますが、沖繩の人の切なる祖国復帰の希望を、その後において、森総理府総務長官は教育権分離方式で何らかの形をとりたいと言われた。あなた御自身も、その前に、沖繩に自衛隊と米軍との共同防衛論を気持ちの上でお述べになっておられる。その後において、さらにことしの二月、教育権だけを分離して返還するということはいけない、全面返還でなければいけないという大津発言が行なわれた。そして下田発言が行なわれた。あちらへ行かれる下田駐米大使が、六月十五日に、核基地つき返還という、現状を変更しないままでの返還論を述べて、あちらへ行かれた。つまり沖繩県民は、もう精神的にもまいっておる。非常に疲れている。この段階で、沖繩施政権返還問題はできるだけ早くピリオドを打って現地民に安心させなければ、私たちは、もう精神的に疲れ果てておると思うのです。暴動が起こるかもしれないという懸念も、私は感じておる。そういう状況の中で、沖繩特別委員会において、この間の下田発言に対して三木外務大臣が、核基地つき返還ということは全面返還でなくて、政治的には不完全な施政権返還であるという答弁をされているわけですが、総理大臣として、従来全面返還を強く主張してこられた佐藤さんといたしまして、この三木発言というものを政治的に肯定されるのか。
もう一つは、下田さんがあちらへ行かれるときにあなたにお会いになって、あの意見を述べておられるのか。一時間ぐらいお会いになったという。アメリカへ行かれるのに、少なくとも駐米大使で赴任される人が、御自身の発言であったといいながらわざわざ公式な発言をされているということは、よほどの何かの決意があったと思うのでございまするが、あなたと下田さんとの間に、出発前に何らかのその問題に関するお話があったかどうか、それを含めて御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/292
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293・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 沖繩問題はたいへんな問題で、特別委員会でも、私、しばしば私の意見を述べております。また、本会議等においても発言しております。本筋からいえば、いまの全面返還、これが一番いいことだと、かようにいまなお考えております。しかし、同時に、沖繩が極東の平和、安全に果たしておる役割り、これもまことに重大でございますから、そういう点も解決しなければならない、こういうことで、二つの相反する問題が入り組んでおる、そこに沖繩問題の解決のむずかしさがあるわけであります。この点は、沖繩の現地を見られた方、また見られなくとも、百も御承知だろうと思います。
そこで、この沖繩問題と取り組みました場合に、いろいろの意見を実は述べております。その中に、施政権の機能分離が可能ではないのか、あるいはまた、島について地域的に可能な方法はないかというような分離案も、いろいろございます。私は、そのいずれもが、祖国復帰を念願する方から見ましたら、一歩でも近づくのだ、こういう意味でなかなか捨てかねておるというのが、いまの実情ではないかと思います。しかし、今日政府が取り上げておりますのは、全面返還、こういう形で取り組んで、もしもその全面返還が容易に実現しないという現状においては、本土との一体化について何かくふうすべきものはないだろうか、ことに福祉向上や民生の点において格差をなくするような努力を払っていく手はないかという、ただいま具体的にはそういう問題と取り組んでおるわけであります。
そこで、もう一つ具体的な問題で、今度は大浜君を中心にいたしまして内閣に沖繩問題懇談会をひとつ置こう、そしていままでいろいろ議論されておるもの、それらをみんな取り上げてみまして、そしてひとつ結論を出すように努力しよう、こういっていませっかく取り組んでおる最中でございます。
そういう実情でございますから、いまどういう考えか、こういって聞かれれば、ただいま申し上げるように全面返還、そしてそれが実現するまではあらゆる努力をいたしまして、沖繩県民と本土と、その間に格差がないように、あらゆるできるだけの手をひとつくふうしよう、こういうことを申しております。御承知のように、七月一日からは、ある程度日本の国旗も曲がりなりに使えるとか、あるいは航空会社もそれぞぞれ飛行機が飛ぶようになった。あるいはまたテレビ等も、皆さま方の御承認を得まして、全島にテレビが普及するように処置したとか、それぞれのくふうをいたしておりますから、順次県民と内地との格差がないように、これはするつもりでございます。しかし、基本的な問題、下田発言その他の委員会等における個々の方々の発言も、それぞれ意味が全然ないわけじゃございませんので、これらについても、なお今後の成り行き等について検討してみたい、かように思っております。
下田君が向こうへ出かけます際に私のところへあいさつに来たのは事実でございますが、これはただ私のところへあいさつに来たのでありまして、その中身について、いま発言されるような点を詳しく意見交換をした、こういうことはございません。しかし、私がかねてから申しておりますように、沖繩問題は、県民が祖国復帰を念願しておる、同時にまた、軍事基地として、極東の平和と安全に貢献しておる、その点も無視できない。したがって、今後の問題としてこの処置をとるべきだ、こういうことを実は申しておりますので、この点を十分頭に入れて、ただいまアメリカでいろいろ活躍しておることだ、かように思います。
また、先だって韓国に参りました際に、ハンフリー副大統領と話し合った際にも、沖繩問題あるいは小笠原問題などは、次に私がワシントンを訪問する際にもちろん取り上げられるべき問題だと申しておりますから、私、非常に積極的な進展を見るとは、いまのところちょっとそこまでの自信は持ち得ませんけれども、こういう機会にわがほうの主張を十分理解させたい、かように思っております。これがワシントンに出かける一つの用向きでもある、かように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/293
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294・受田新吉
○受田委員 沖繩の基地としての軍事的価値は相当減殺されておるということは、すでにマーシャルやロイアルその他ハーバード大学の先生方や、アメリカの中にはそういう意見を持つ人が最近特に多くあらわれていることは御存じのとおりです。ただ、沖繩で例の有翼ミサイル、メースBという二千キロ程度の射程を持ち、二万トン程度の破壊力を持ったようなのがおることと、F105が三個中隊程度くらい核爆発能力を持つ装備がしてあるにすぎないところへ、ポラリス潜水艦が一発ぽんと核爆発能力を持つロケットを発射する、その一隻だけで千六百万トンの破壊力を持つ時代に、沖繩基地にいまのようなメースとかF105のような水爆搭載用の爆撃機などがあった程度では、もうたいした軍事基地と見るわけにはいかない。
もう一つは、極東の平和と安全、日本を含む安全のことをしきりと言っておられるのでございますが、いまわざわざ沖繩の基地を持たなくても、遠距離から大陸間弾道弾がどんどん撃ち出されるようになっておるときに、核基地つき返還などというような生ぬるい話が出るということも、私は問題だと思います。三木さんが発言をした、不完全な、つまり、全面返還の中で、核基地がそのままついて戻った場合は政治的に不完全であるという解釈は、総理もそうお考えになるのかどうか、これが一つ。
それから、日本の世論はアメリカによって動かされておる。したがって、沖繩の価値、沖繩の住民の気持ち——いま極東における平和への脅威はないと総理みずからおっしゃった。現実に急迫した事態はないと総理みずからおっしゃった段階で、沖繩を新しい角度から見直して、これの祖国返還への国民的規模の交渉をアメリカとしていただきたい。国会もこれに一緒に入るとなおいいと思うのです。国民的規模で沖繩返還の世論を喚起して、アメリカのペースをそのまま認める在来の沖繩返還論でなくて、日本のペースでアメリカに考えを直させていくという形の沖繩返還論を総理みずからが勇気をふるってやっていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/294
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295・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまの国際情勢、極東の情勢あるいは軍事基地、この評価がだんだん変わるだろう、かように思います。また、この変わることも私どもは期待する一つでございます。しかし、ただいま日本の安全が確保されている、これは民主社会党はどうお考えか知りませんが、これは何と申しましても、日米安全保障条約のもとでわが国の安全は確保されておる。これは動かすことのできないはっきりしたことであります。このことは一体どういうことなのか。これはアメリカのいわゆる戦争抑止力というものが効果をあげておる、こういうことになるのではないかと思います。
なお、沖繩でなくとも、あるいは遠方から大陸弾道弾が飛ぶような時代でありますし、また潜水艦あるいは航空母艦等にいたしましても、自由自在に走ることができる、かように考えますと、軍事基地の評価は時とともに変わるだろう、かように思います。しかし、ただいまのところは、いま受田君の言われるような情勢ではないと私は思います。ことに、戦争抑止力というものはどういうことを意味するのか。なるほど戦争をやるわけではございませんけれども、いま日米安全保障条約のもとにおいてアメリカが、また日本も、そういう意味で戦争抑止力をフルに使っておるというのが現状ではないかと思います。
したがって、いま核基地つきの返還ということを言われますが、私は、どうもそんなことはわからないのです。したがって、そういうような返還ということがはたして考えられるかどうか。不完全返還には違いございませんけれども、そういうことが考えられるかどうか。これは先ほどちょっと申しましたように、沖繩問題についてはいろいろの意見がある。あるいは地域的な返還論というのがある。これは軍事基地のない島を返せ、そういう御議論でございます。さらにまた、施政権のうち、分割して返せというようなこともあるわけですけれども、これらはただいまのところ、まだこれができる、可能だという、そういう結論を得ておりません。研究する問題ではございましょうが、ただいまのところ、ちょっとむずかしい問題の一つだ、かように私は考えております。
したがって、下田発言というものは、ただいますぐ実現するとは思わない。また、戦争抑止力というものは、十分考えないと、わが国の安全は確保できないのではないか。いま私が申し上げるような事柄は、アメリカ・サイドでものを考えた結果ではない。これはわが国の安全確保という観点に立って、日本サイドで考える。それだけは間違いございません。何かアメリカの軍事行動、そのために私どもは日米安全保障条約を締結している、こういうようなことがあってはならないから、私は、どこまでも独自の立場において日米安全保障条約を考えておる。その点では、受田君はたいへん熱意を持って言われましたが、あなたとやや違うのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/295
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296・受田新吉
○受田委員 総理大臣、いまあなたは、一応下田発言の核基地つき返還などということは不完全であるという断定をしておられる、そういうことはちょっと考えられないという御発言があった。しかし、外務省の次官であった人が、そうして現にアメリカの大使に赴任する前にこういう重大な発言をしているということは、私は、決してかりそめにしてはならぬと思うのです。これは貴重な意見として、総理大臣としてはお聞き取りになる筋合いのものだと私は思うのです。そうはお考えになりませんか。それだけをお聞きして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/296
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297・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほどから何度も申しますように、そういう事柄もこれから検討する問題だ、かように思っております。ただいまの状態は一体何かと言われれば、私は賛成しないと言っているだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/297
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298・關谷勝利
○關谷委員長 伊藤惣助丸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/298
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299・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 時間がありませんので、基本的な問題を伺います。
先ほど受田委員からも出ておったようでありますが、国防会議のことであります。現在の国防会議は全部閣僚であります。外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、企画庁長官というふうになっております。私は、こういう重大な会議が閣僚だけで構成されている、こういうところに国民の一人として納得がいかない。しかも内容は、国防に関することでありますから、秘密にしなければならないこともあるとは思います。しかし、国民が一番心配することは、この国防会議、すなわち、現在のような国防会議では自民党の一党一派にだけ偏するのではないか、このように思うわけであります。それで私は、これをどこでチェックするのかという点についてお伺いしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/299
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300・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 先ほど受田君にもお答えしたのでございますが、私は、いまの状態でいいように思っております。さらに、いまお話がありますように、もっと強化して各方面の意見を徴するようにしろ、こういう御意見のように聞いたのですが、私は、いまでも必要があれば民間人の意見を徴することもできるし、また、その他の方の御意見を聞いてもちっとも差しつかえないので、現在の機構でいいのじゃないだろうか、かように思います。ことに私心配いたしますのは、何らかこういうものを改正することが国際的な緊迫感でもあるかのように言われることは、たいへん残念でございます。私は、いままでのところで大体無難にきておるように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/300
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301・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 今回の三次防の作成にあたりましては、国防会議が数回行なわれたと聞いております。しかしながら、非公式な閣僚の懇談会等において大体の構想が練られたというふうにも聞いております。そしてまた、いろいろな面から考えてまいりますと、どうも防衛庁や大蔵省がそのイニシアチブをとっている。こういうことについて、私は、現在の国防会議は、そういうことをするならば、極端なことを言いますと必要ではない、こういうふうに考えるわけであります。その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/301
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302・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 この予算折衝のいきさつで、大蔵省と防衛庁が直接やることは当然でございますが、この計画樹立にあたりましては、国防会議と十分の連絡をとって予算折衝したわけでございますので、ただいま言われるような心配はないように私は考えております。伊藤君はどの辺に疑問を持たれるのか。ただ国防会議に予算ができ上がった後に報告だけをしたというようなことだと、お説のとおりでありますが、この計画を樹立する際に十分連絡をとって、そして予算編成に取り組んだ、そのように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/302
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303・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 私は、先ほど民間人というお話が総理から出ましたので、そのことについていろいろ思うわけでありますが、現在の国防会議をもっと国民に密着するといいますか、ナショナルコンセンサスを確立する上からいっても、私は、現在の国防会議を改組して、そこに超党派的なものとして、さらに民間の有識者等も含めて、国防問題については、これからそのような方向に行くべきではないか、このようにも考えるわけでありますが、その点の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/303
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304・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 りっぱなナショナルコンセンサスをつくる、これは私も、いま伊藤君の言われたとおりと考えます。しかし、そのことが、現在あります国防会議を直ちに改編するということではない。いまの国防会議は国防会議であってこれはけっこうだ。それからもう一つ、もっとPRといいますか、もっと国防というような問題が徹底すれば、自衛隊もほんとうに愛される自衛隊になるのじゃないか、こう思います。そういう意味では、議員懇談会等もすでに発足しておりますし、また、相当広い範囲で、そういうような意味でこの防衛思想等についてもっと積極的な考え方を持とう、こういう方もあるのでありますから、私は、そういう機会、またそういう機関を使って、そういう機会を持っていきたい、かよう思にいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/304
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305・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 私は、シビリアンコントロールの強化という面からいろいろ考え、そうしてまた、先ほどもお話しましたコンセンサスの確立のためにも、仮称でありますが、この衆参両院に日本の安全保障に関する特別委員会というようなものがあったほうが非常にいいのではないか、かように考えますが、総理の見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/305
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306・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 伊藤君からたいへん私どもが喜ぶような御意見を述べられました。どうも防衛庁を省に昇格するのもいやだ、これが大体の考え方でいま国会は進んでおるように思います。しかし私は、国防はもっと大事なのであるから、国防の問題を宿借りで片づけないような、そういう方法は望ましいことである、かように思います。しかし、それはやはり積極的な意図、同時にまた、国民を中心にしての国防問題と取り組む、そういう態度が望ましいのじゃないだろうか、かように考えます。いずれにいたしましても、ただいま発言されましたことは国会の問題でございますから、国会において十分おきめくださればいいことだ、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/306
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307・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 ただいま誤解をされたみたいな気がしますので、一言訂正いたします。
私は、決して現在の国防問題について国防省に昇格しろというようなことを言っているわけではないのであります。ただ私は、現在の自衛隊を見てまいりますと、非常に世間からは冷たい目で見られております。しかし、任務についている隊員は非常に一生懸命であります。そこに大きな矛盾があるわけでありますが、公明党といたしましても、そういうことについては現状維持で行こう、しかし、あくまでもナショナルコンセンサスが大事である、こういう点を言っておりますので、その点の見解もはっきりとしてもらいたいと思うのです。
なお、今回の三次防の大きな特徴は、兵器の国産化であります。さらにまた考えてまいりますと、経団連、いわゆる日本にありますその大きな経済界の中に防衛生産委員会というものがございます。その会議では、いろいろと政府に対して武器輸出することを要求されている、こういうことを聞いておりますが、その武器輸出について総理の見解をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/307
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308・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 国防についてのナショナルコンセンサスをつくる、それには具体的にも伊藤君から意見を述べられましたが、私も全然同感であります。国防について国民にもっと積極的に理解していただくことは、ぜひ必要だと思います。ことに、自衛隊員の方々が一生懸命やっておる、そういうことが理解されておらない、まことに残念であります。これは一そう政府も努力するつもりでございます。
次に、武器輸出についてのお話でございますか、これも予算委員会その他でお答えしたと思いますし、通常兵器の輸出ということは差しつかえないと思いますけれども、共産圏に対しましてはココムの制限があることは御承知のことだと思います。しかし、ただいま私どもがつくっておる武器、これはいわゆる輸出が目標ではございません。いわゆる余力のあるものは出しても差しつかえないというような程度でありますし、また、私どもがいま国内でつくっております武器は、わが国の工業生産力から見たらまことに微々たるものです。大体八兆円近い機械産業、かように言われておりますが、その一%にも満たないものが国内の武器あるいは飛行機のものでございますから、ただいま輸出、輸出と申しましても、わが国の武器の輸出はまことに小さいものだ、かように思いますので、この際は、あまり誤解を受けやすいこの問題は——可能だということと現実に輸出するということとはこれは別でありますから、私がお答えしておるのは、可能だということを申し上げておるので、そう積極的にわが国の輸出産業に寄与するとかいうような大きなものではないことだけは御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/308
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309・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 もう一回確認いたしますが、可能であるが、たとえば現時点においては輸出はしない、こういうことでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/309
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310・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 現実にはある程度やっておるようですよ。だから、ピストルや何か出しておるのじゃないかと思いますから、全然やらないとは申しませんが、いわゆる輸出として特に取り上げるほどのものでないということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/310
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311・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 これはある新興国から日本の優秀な武器に対して発注があったそうであります。そのことを政府のほうで承認するならばつくってもいい、こういう報道を私は最近見たわけでありますが、その点について総理に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/311
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312・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 私は具体的な事例を知りません。知りませんが、ただいままでに輸出した総額は、金額にしておそらく二億程度ではないかと思います、したがいまして、いまの問題がありましても、積極的に輸出と取り組んで、急に金額的なものが出るとは私思いません。しかし、せっかくいまのようなお話でございますから、事務当局も知らないと申しますけれども、なおよく気をつけて調べることにいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/312
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313・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 その問題についてでありますが、何か二万丁とか三万丁とかいう、わりあい大きな数字が上がっております。現在の首相の立場から、それは輸出しない。そのように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/313
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314・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これはこの前の予算委員会で問題になったと思いますが、いわゆる小銃の台座といいますか、肩に当てるところだろうと思いますが、南洋の輸入材でできておる、それを最近のなにで化学製品でやろうとか、こういうようなものがあるというようなお話がございました。これはたしか社会党の加藤君じゃなかったかと思います、そういう質問を受けたように思いますけれども、どうも具体的にはあまりはっきりしないのでございます。
なお、いまのようなお話、私悪いことだとは思いませんが、一体どうなっているのか、もっと実情をよく調べまして、日本はいわゆる武器輸出国だ、こう言われないようにはしたいと思います。ことに、中東に問題が起きたりあるいはベトナムの問題があったりする、そういう際に、日本が日本製の武器をそういう紛争国に出しているというようなことがあってはたいへんだと思いますので、なお気をつけることにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/314
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315・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 何かちょっとはっきりしないのですが、大きなものであると思いますので、よく考えて、誤解のないようにしっかりした政策をとってもらいたいと思います。
次に、先ほど少しお話が出てまいったようでありますが、抑止力ということについてであります。私たちは、いろいろな面から非常に日本の国の安全と繁栄のことを考えておるわけであります。私は、抑止力ということについていろいろございますけれども、日本の国の繁栄、安全を守る、いわゆる安全保障力、こういうふうに考えておるわけであります。そしてまた、その安全保障力が直接、間接にあらゆる総合力において日本の平和と安全を守る、このように考えておるわけでありますが、その見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/315
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316・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われますように安全保障力、これはいわゆる国力、ただいまのナショナルコンセンサスもその一つだ、かように私も考えます。したがいまして、いわゆる個々の武器が優秀だとか、個々の個人がどうとか、そんな問題じゃなくて、やはり国全体が防衛について十分の意識を持ち、そうして力が結集できれば、これはその国の安全確保上ほんとうに有効である、かように私も思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/316
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317・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 私は、その安全保障力については、確かに武力もその一つだと思います。しかしながら、大きく考えてまいりますと、やはり政治力、経済力、外交、また国民の意欲、精神力、こういうものが一つの総合力になると思うわけであります。実際に武力の面においては相当に整備もされた、そうしますと、私はここで思うことは、武力だけによらず、武力のいわゆるいろんな構想や、また四次防や五次防もあるということは長官からも間接的に聞いております。しかしながら、ほかの面から、いろんな総合力という面から考えた場合に、まだまだ考えていかねばならないと思うわけであります。そういう一つの政治力、国民の意欲、精神力、さらにまた、いま言いました経済力、外交等においての首相の構想がございましたら、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/317
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318・佐藤榮作
○佐藤内閣総理大臣 これはやっぱり総合的な力を発揮するのでございますから、その一方に片寄りましても、これはいかぬと思います。とにかく総合力を発揮するにはどうしたらいいのか、十分考えてみたいと思います。精神ばかりでも、これも困りますし、かつての、前戦争の際のような竹やり戦法だけでもいかぬ、かように思いますが、要は、総合的にそれぞれのものがバランスがとれて、そうして力を結集できるかどうか、そういう問題だと思います。特に政治の面でそういうことで気をつけなければならぬ、かようにお説を私は理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/318
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319・伊藤惣助丸
○伊藤(惣)委員 時間がありませんから、またこの問題については別の機会にいろいろと質問したいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/319
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320・關谷勝利
○關谷委員長 次会は明六日午前十時から理事会、十時十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504889X02819670705/320
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