1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 本名 武君
理事 仮谷 忠男君 理事 倉成 正君
理事 高見 三郎君 理事 森田重次郎君
理事 東海林 稔君 理事 玉置 一徳君
小澤 太郎君 大野 市郎君
鹿野 彦吉君 金子 岩三君
熊谷 義雄君 小坂善太郎君
小山 長規君 坂田 英一君
坂村 吉正君 田中 正巳君
丹羽 兵助君 藤田 義光君
湊 徹郎君 粟山 秀君
伊賀 定盛君 角屋堅次郎君
兒玉 末男君 實川 清之君
柴田 健治君 島口重次郎君
美濃 政市君 森 義視君
神田 大作君 斎藤 実君
中野 明君
出席政府委員
農林政務次官 草野一郎平君
水産庁長官 久宗 高君
委員外の出席者
水産庁漁政部長 池田 俊也君
水産庁漁政部協
同組合課長 関根 秋男君
専 門 員 松任谷健太郎君
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六月二十日
委員栗林三郎君辞任につき、その補欠として角
屋堅次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員角屋堅次郎君辞任につき、その補欠として
栗林三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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六月十六日
森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
三三号)
同月十五日
民有保安林の損失補償に関する請願(加藤六月
君紹介)(第一三七一号)
消費者米価据置きに関する請願(下平正一君紹
介)(第一四三二号)
岡山県下のニューカッスル病対策に関する請願
(柴田健治君紹介)(第一四九〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六八号)
漁業協同組合合併助成法案(内閣提出第二九
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/0
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001・本名武
○本名委員長 これより会議を開きます。
漁業災害補償法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合合併助成法案の両案を一括議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/1
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002・美濃政市
○美濃委員 ただいま提案になっております漁業災害補償法の問題につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。
まず第一点といたしまして、この制度の中で安定型、一般型、変動型となっておりますが、この一般型、変動型という、いわゆる漁獲高が不安定である、これはいかなる原因で起きるものと承知しておるか、これをまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/2
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003・久宗高
○久宗政府委員 これは漁業の種類によりまして当然異なってくるわけでございますが、同時に、何でとるか、漁具にもいろいろ影響があるわけでございます。たとえば定置漁業のような一種の要塞戦みたいな形でこちらが動かない場合におきましては、そこへ魚群が来る来ないによりまして相当の変動があり得るわけでございます。漁業の種類と漁具の種類のかみ合わせによりまして、安定、不安定という形が当然出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/3
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004・美濃政市
○美濃委員 私の考えは、もちろん装備にも関係があると思いますが、そのほかに、やはり自然条件というものがあると思うのです。たとえば水温であるとか、海流であるとか、こういう関係で漁種によっては非常に豊凶の差が出ておることは、これは事実であります。こういう問題をどのように捕捉しておるか。その中で、損害共済の性格上、安定型は共済限度を漁獲高の九〇%とする、一般型は八〇%とする、あるいは変動型は七〇%とするというところに、私はこの制度の重大な問題があると思うのであります。たとえば、火災保険等を例にとってみましても、全く任意で行なっておる——災害補償法という、いわゆる漁家を安定する、漁業を安定するという特別の法律に基づかない全く任意で行なう共済、火災共済におきましても、いわゆる統計上の火災件数の多い地域、少ない地域、あるいは建物構造による料率、これは御存じのようなふうになっておりますけれども、ただ、評価額に対しての引き受け限度は、このように九〇、八〇、七〇などという、こういう制度で損害保険あるいは損害共済というようなものが仕組まれておるものが、ちょっと日本にはないわけであります。なぜ漁業だけをこうしなければならぬのか。これはその原因の捕捉が不十分ではないか。原因を捕捉して、この部分に対する国庫補助なり国庫負担を高めて、九〇であれば、この型にはとらわれず、この点についてはいわゆる九〇を共済限度とする制度であります。これは、現行他の面との比較をいたしましても、非常に不十分な制度を立案している、こういう指摘をしたいわけです。御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/4
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005・久宗高
○久宗政府委員 確かにそういう角度からの御吟味もあろうかと思うのでありますが、御承知のとおり、漁業共済におきましては金額を含めて取り上げておるわけでございます。御承知のとおり、限度額率をきめます場合に、私どもの考え方といたしましては、通常必要とされる経費、これは何とか見たい。その場合に、経験的に捕捉いたしますと、先ほど申し上げましたような非常に漁獲の変動の多い漁業におきましては、いわば変動的な経費が比較的高い形になると思うのでございます。そこで、その中のほんとうに必要な経費というものを見ようといたしますと、高いところ、低いところ、つきまぜて考えざるを得ないわけでございますので、あのような限度率にならざるを得ないのではないか。それを一律に引き上げようといたしますと、若干いわば利潤部分まで補てんするというようなことになって、ある意味では心配も出てくるわけでございますので、一応漁業のような変動要因の多いものにつきましては、幾つかの型をきめまして、それに伴った限度額率をきめざるを得ないというふうに思うわでけございます。しかしながら、現在の類型の分け方、あるいはそれについての限度額率が最終的に正しいかどうかということにつきましては、さらに経験を積みながら検討し、吟味していってよろしいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/5
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006・美濃政市
○美濃委員 私の指摘したいところは、すでに経験は三年の経験の上に立って、この程度は、先ほど申し上げた、繰り返しては申し上げませんが、こういう日本国内における民間が行なっておる保険事業あるいは他の共済事業等と比較して、この点を過去三年の経験の上に立って、こういう不自然な共済限度をもってこの時点で立つという、そのことがおかしいと言っておるのでございまして、これからまた経験を積むという性格のものではない。あと各段階の料率の問題その他は、私も大いに理解できます。もう少し経験を積んで、この料率が正しいか、各段階料率が将来どうなるかは、もう少し経験を積んでしたいというのであれば理解できます。まだ経験年数が少ない。しかし、この段階が、九〇、八〇、七〇の共済限度でこの時点で立つことがおかしいと言っておるのであります。これだけはおかしい。これだけは少なくとも九〇なら九〇の共済限度でこの時点で行なうべきである、こう申し上げたいのであります。他のいわゆる三段階の料率については、もう少し経験を積んだ上で、この料率が必ずしも三段階の料率として適正であるかどうかは、経験を積んで是正するものは是正していきたいというのであれば、これは了解できますけれども、すでにもう三年、四年の経験を経ておるのでありますから、この段階ではなぜ一般型あるいは変動型となるのか、その原因も追及し、その原因の所在によっては、いやしくも漁業災害補償法に基づくものでありますから、全くの任意共済といえども、その法律の目的である漁家を安定するという国策に基づく災害補償法のもとで行なわれる共済が、この経験年限を経た今日、その共済限度がその型によって九〇、八〇、七〇として出発するということは、これは許されぬと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/6
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007・久宗高
○久宗政府委員 お答えを繰り返すことになりますが、やはり漁獲金額をもとにいたしまして、ねらいといたしましては、通常必要な経費、これを見たいということになりますので、通常必要な経費というものを割り出す割り出し方といたしまして、現在のところ、残念ながら、ある種の漁業につきましては、年々の漁獲量にいたしましても金額にいたしましても、これを調整することに非常に困難がありまして、相当のフレがございますために、そういうものをもとにいたしました漁獲金額から必要経費を割り出します場合に、あのような形をとって幾つかのカテゴリーに分けざるを得ないということでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/7
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008・美濃政市
○美濃委員 さらにもう一点、これに関連してのお尋ねでありますが、今回の料率を改定しようとする前からも大体そういう体系になっておりますが、たとえば漁船漁業の百トン以上、これを同じ漁船漁業であって二十トン未満から見ると、大型安定といいますか、料率を低く算定されておるようであります。こういう点を見ますと、大型になると、確かに装備がよくて、たとえば魚群探知機を備えておるというようなことで、船が大型ですから、機械で魚群を捕捉して漁獲高を高めていく、こういう方法もあろうかと思います。したがって、陸上のものと違って、自然災害の捕捉がなかなか困難であるということもわかりますけれども、私はこの制度の全般から見て、いわゆる真に困る零細な沿岸漁民が割り高な料率で、しかもある面においては、型あるいは漁種によって違いますけれども、漁業のスタイルを見ますと、零細漁民が割り高率になっておる。それは装備が悪いからだと言ってしまえば別でございますけれども、なぜ装備が悪いのか、あるいはそれをどうして安定せしめるかという災害補償制度の適用から見た場合、先ほど申し上げたまず第一点——これは平行線になりますので答弁を求めませんけれども、私は、この時点で、やはりこの出発にあたって、九〇、八〇、七〇というこの共済限度というものは、全くこの災害補償法という制度から見て、これはいけないことである、率直に申し上げます。いいとか悪いとか、検討するとかいう問題ではなくて、制度として全くなっていない、こう言わざるを得ないわけであります。九〇であれば、この一〇%は当該漁家の利益部分であるから、限度から除外するなら除外するでこれもよろしいと思います。一〇%は純益とみなして除外して、九〇を限度とするのであれば、それもよろしいのでありますが、全体を九〇にすべきである。こういうふうに八〇、七〇として、漁業が安定していないものを、さらに制度の中からそれを救済しないという意識に基づく、こういうふうにいわゆる割り切った料率あるいは制度をつくるとするならば、真の漁業災害補償という目的から精神的に逸脱しておる、これは法律の趣旨から見て逸脱した運用である、こう申し上げざるを得ないわけです。これは何ぼ水産庁長官が説明しても、水産庁長官のいまの抽象的な説明では私は了解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/8
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009・久宗高
○久宗政府委員 どういうふうに御説明したら理解していただけるのか苦慮しておるわけでございますが、やはり農業災害補償制度のような形で、あれとの比較でお考えになりますと、そういう問題になるんじゃないかという気がちょっとするわけでございます。漁業共済におきましては、御承知のとおり、魚価がその中に織り込まれて出てきておりますので、その上に漁業におきます量の変動、価格の変動、両方が入りまして漁獲金額が年々経験的にきまってくる。それから割り出しまして、そのような漁業種類におきまして、いわば通常の経費というものをはじき出そうとすればどういう形をとるかという保険技術上の問題でございまして、そのこと自体は、それぞれの漁業種類におきます普通の場合におきます経費というものを的確につかもうという手段でございますので、あるものには薄く、あるものには厚くといったような、補償の内容をそれによって分けようとしておるわけではないわけでございます。妥当な経費を見ようという手段の問題でございますので、その手段が未熟であるという御批判であれば、私ども自身がまだ試行錯誤の過程だと申し上げておりますように、その手段は今後といえどもさらに吟味いたしまして、どういう程度が一番その漁業種類にとって本来必要な経費というものに適合するのか、こういうことはきわめてまいりたいと思うわけでございます。法の逸脱というふうにおっしゃられますと、若干違うんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/9
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010・美濃政市
○美濃委員 時間の関係もありますので、あまりこれだけに長くかかっておれませんが、いまの長官の答弁は、違うとこう言うのですが、しからば、こういう共済引き受け限度がこの限度で全く正しいとお考えになっておるのですか。こういう型別に差別をつけたこの共済限度というものが、全く物理的に合理的で正しい制度であると言い切れるのですか。私は、災害補償に基づく共済限度というものはそういうものでないと思うのですがね。こういう体系では、私は、第一点として、この運営は法律の趣旨に合わない。いろいろ捕捉する時間がかかると言いますが、すでにもう三年間経験しておるわけでありますから、原因の究明は行なわれてなければならぬ。この共済限度を、いわゆる共済らしく限度額を一定にそろえて今度の改正では出発するという、それだけの能力はなければならぬと思うのであります。これが全く正しいというのであれば、私はまた別の観点に立って言わなきゃならぬ。いやしくも共済限度額が、他の民間の全く任意的に行なっておる損害保険と比較いたしましても、こういう差別の限度額をもって共済と言えるでしょうか、正しい共済の引き受け姿勢と言えるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/10
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011・久宗高
○久宗政府委員 限度額ではございませんで、限度額率でございます。限度額率を漁獲金額に比べましてその仕組みができるわけでございますので、繰り返し申し上げますように、漁業の種類によって差別をつけるのではございませんで、漁業種類によりましてその変動の幅が違いますので、その違います各種の漁業の中からそれぞれ必要な経費というものを割り出します場合に、どうしても異なった限度額率をかけて、そのことによって総体的に最も公平な、それぞれの漁業種類におきます正常な経費というものをつかみたいという手段の問題でございますから、決してその漁業種類によりまして限度を変えて不公平な給付をするという考え方ではないわけでございますので、この点はぜひ御理解をお願いしたいと思うわけでございます。ただ、実際にかけます限度額率が、たとえば九〇、八〇、七〇でなければならないのかどうかという問題につきましては、さらに検討する必要があろうということでございます。この段階におきまして、一応私どもといたしましては、過去のいろいろな吟味から見まして、なるべくこれを引き上げたいということで、ああいう数字を使っておるわけでございますが、もちろんこれに最終的にこだわるつもりはないわけでございまして、もっと精緻な手段がとれれば、さらに今後の研さんによりましてとってまいりたいと思うわけでございます。また、逆に申しますと、この際この段階で限度額率を一本にしてしまうということで適用いたしますと、漁獲高のほうがいまのように変動要因を含んでおりますので、もし限度額率を一本にいたしました場合には、ある種の漁業につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、利潤部分までを含んでしまうという結果が出まして、制度の上からもおかしいし、運用の上からも難点が出てくる、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/11
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012・美濃政市
○美濃委員 この問題は平行線になりますので、この程度でおきますが、やはりこれでよろしいかどうかということは問題があると長官自身も言われておるわけでありますが、これは実施時期までもこれでいいかどうかということを検討する用意があるかどうか、それとも実施してみて何年かの検討の上に立って検討するというのか。これはこの制度でこのようなことで長くやるべきではないと思うわけであります。できるだけここは近づける。それから、いま言われております全部を保険的に考える、いわゆる過去の答弁もそうでありますが、この災害補償法という、いわゆる国の責任、あるいはどこまで自然災害を見なければならないかという限度の問題もあろうかと思いますけれども、そういう考え方を除いて、ただ経費の問題、限度の問題を一方的に変動型の海域あるいは漁種でやろう、その状態で漁業を行なっておる漁民の立場ということを考えないで、ただそれを採算的にのみ理論体系をつけた料率制度に持っていこうとするところに無理があるのではないか。ですから、そういう真に漁民の責任に帰すべきでない、自然の状態に帰すべきものは、もう少し国庫負担率を引き上げて、この制度を通じて漁家の安定をはかるべきである、これが私の考えであります。そこまで突っ込むと、長官の姿勢も変わってくると思うのであります。その点、もうこれ以上言いませんが、最後に、そういう考え方について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/12
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013・久宗高
○久宗政府委員 どうも見解が違うようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/13
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014・美濃政市
○美濃委員 見解が違うということになりますと、この災害補償法というものはいかなる根源でつくられておるのか。いわゆる法律の趣旨その他あるいは災害補償法を運用されておる農業の運用との関連、こういうことを見たときに、やはり一つの制度に基づいて自然災害を補償するというのであれば、国民に対しては同様な思想に立つべきだと私は思う。見解が違うという答弁は、私はどうかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/14
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015・久宗高
○久宗政府委員 どうも私の説明能力では御説得できないのが残念でございますが、いずれにいたしましても、限度額率が違うというのは、むしろこの法律で規定しておりますような漁業の再生産の阻害の防止、あるいは経営安定に資するための、いわゆる通常の経費というものをどう見るかということに帰するわけでございます。漁業の種類によりまして安定度が違いますので、一律の限度額率では、変動の多いものにつきましては、場合によりましては非常に大きく利潤部分まで見てしまうという形になりますので、むしろ限度額率を変えませんと、公平が期し得られないわけでございます。ただ、現在使っておりますその率が、これは神さまではございませんので、ほんとうに寸分間違いなく公平であるかということにつきましては、これはやはり経験的にそこを詰めていくよりしようがないわけでございますので、今回の改正におきましても、関係業界の中でも相当突っ込んで御研究になりまして、このような型を幾つかに分けざるを得ないし、当然それに伴って限度額率も変わってくる。そのねらいは差別待遇ではございませんで、あらゆる漁業種類を通じまして、その漁業の種類に適応した必要な経費というものをはじき出す手段でございますので、どうもその点、農業災害補償制度のほうのお考え方から限度額率をお考えのようでございますので、それで私は見解が違うと申し上げたわけでございます。
なお、この点につきましては、こまかく数字を御説明すれば御理解できるかと思いますので、必要がありますれば漁政部長のほうから御説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/15
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016・美濃政市
○美濃委員 その分かれておる漁業者相互間の均衡ということを考えた場合、これはやはりこういう漁業者相互間の均衡——私は、漁業者相互間の均衡を越えておるわけです。そういう不安定型になる要因というものはどこから派生しておるか。それは海流やあるいは水温、こういう自然条件もあるわけですから、自然条件によるそういう不安定は、炎害補償法という制度の中で、国の負担でこれを近づけるということを考えるべきである、こう言っておるのであります。漁業者相互間のみを言っておるわけではないのです。ところが、長官の答弁は、終始漁業者相互間の均衡——漁業者相互間だけの均衡でいえば、なるほど安定型と変動型、変動型の漁獲高の不安定を安定型の料率にしわ寄せして、そうして、いわゆるその災害補償を漁業者相互間だけで維持するというのであれば、問題が出てくると思う。また、そういう意識で漁業団体を指導すると、漁業団体の考え方はそうなっていくと思います。私が言っておるのは、災害補償法の目的であるいわゆる漁家を安定するという目的に従って、国庫負担あるいは国庫補助を一定額現在計画しておるよりも加えて、そうしてそれら変動型の漁種あるいは地域で漁業に従事する者の安定を期すべきものである、こう言っておるのであります。決して漁家相互間の相互扶助による共済の中でそれをしなさいと言っているのではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/16
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017・久宗高
○久宗政府委員 どうも私が問題を取り違えておったかもしれません。おっしゃるような意味でございますれば、現在の災害補償制度におきましては、ある事態が起こったもののあと始末でございますので、たまたま現在の技術水準あるいは行政水準から申しますと、変動型のような不安定な漁業が残っておるわけでございます。これがもっと他の施策によりまして漁獲量も価格も調整ができて、その幅が狭くなりますれば、あまり目立たない形になるのかもしれません。しかしながら、現在の技術水準で考えますと、たとえば定置網漁業なんかにつきまして、毎年同じ数のブリをそこへ誘導するというようなことは不可能に近いことでございますので、どうしても変動は免れない。しかし、それを価格を入れまして若干調節いたしまして、それでもカバーできないものを補償制度でカバーする、こういう形にならざるを得ないわけでございますので、繰り返し申し上げますが、他の施策におきましてこの変動要因をなるべく減らしていく、これは漁業政策の基本的な目標でございますので、漁獲の安定ということについては力を尽くすわけでございますが、現状におきましては、そのカバーできないところがございますので、どうしてもこの補償制度によりましてそれを補っていかざるのを得ない。その場合に、変動の多いものと少ないものにつきましては、それぞれの漁業種類において平年一体どのくらいの経費が必要なのかというのを算定いたしますのに、一応漁獲金額をもとにいたしまして割り出さざるを得ませんので、したがって、限度額率は異ならざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
なお、必要がございますれば、具体的な数字で御説明したほうがいいかと思いますので、御説明を聞いていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/17
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018・美濃政市
○美濃委員 時間の関係がありまして、具体的な数字は長くなるでしょう。こういう計数の説明ということは。ですから、大体これは考え方と運用の問題でありまして、いまここで長官が答弁されております。いわゆるあくまで漁家同士の相互共済の中においての範疇で考えられておる計数を聞いてもしかたがないと私は思うのであります。漁家だけのこの保険制度、漁家の責任のみにしわ寄せした計数理論を聞くのならば、聞かなくてもそのとおりです。計数は皆さん方お持ちだということはわかっております。ですから、聞く必要はありません。私は、そうじゃないぞ、こう言っておるのでありますから、これについて次官はどのように考えるか。そういう計数を聞いてもしようがないのであります。その計数は、変動型から全部、自然条件もあるのだから、多少この災害補償法によってめんどうを見てやらなければならぬという意図なしに、ただその漁家の相互扶助の中での計数理論ではじき出せば、そうなると思うのです。その計数理論をいまここで聞いてもしようがないのです。ちゃんとそういう考え方に基づく計数理論はあるということは聞かぬでもわかっておりますから。そうではないと言っておるのです。次官の御意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/18
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019・草野一郎平
○草野政府委員 これは、先ほどから聞いておりますが、何かすれ違いじゃないですかね。そのすれ違いのところをはっきりさしてこないと、これはどうもいつまでいっても違うところにいっちゃうのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/19
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020・久宗高
○久宗政府委員 いろいろ計数がありますけれども、ごく簡単に申し上げますと、たとえば、非常に変動の激しい漁業、ある年は全然とれなかった、その次の年が五〇とれた——金額でですね。それからその次の年は一〇〇とれたという場合に、その漁獲については何かその基礎をつくらなければならぬわけでございますから、五〇というところかどうかという問題が一つ出てきます。毎年五〇、六〇、五〇といったような非常に安定したものであります場合には比較的計算がしやすいわけでございます。それで、私どもでは漁獲高と漁獲金額を両方含めてもとの数字を出しておりますので、それをもし一律にいたしまして、この種の全く違った漁業種類に同じ限度額率をかけて、それが経費だということになりますれば、それはおかしいじゃないかという議論にならざるを得ないわけであります。そういうことを先生おっしゃるはずがないわけでございますので、私の感じでは、限度額率というものが、つまり、私どもでも限度額率というものをなるべく上げて補償の限度をできるだけ多くしていきたいという考え方でこの仕事にぶつかっているわけでございますが、たまたま漁業種類によりまして、それから現在私どもが利用できます計数の関係から申しますと、限度額率を変えませんと、関係業者が見ました場合にも、これはおかしいじゃないかという結果にはっきりなりますので、やむを得ず限度額率を変えて、それぞれの漁業種類のもとになりますこれだけの経費を見てやろうという数字をはじき出しているわけでございますので、限度額率をやります場合の考え方といたしましては、できるだけその漁業種類に即応した経費を発見して、それを十分見てあげるように制度を進めたいという考え方におきましては同じでございます。
かつ、御指摘のような、それでもなおかつ変動が多いというのは、補償制度の中だけの問題ではないので、他の施策を伴ってなるべくその漁獲の変動のないようにすべきではないかという御意見は、これは私どもも全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/20
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021・美濃政市
○美濃委員 では次に、過去三年行なわれてまいりましたいわゆるこの運用の中で、過般もちょっと質問に出ておりましたが、この漁業共済組合連合会に五億六百万の赤字が出ておる。これをそのままに推移を見たいという長官の答弁であったのですが、この推移を見たいということはどのように解釈すればいいのか。今回国庫補助金を入れてかなり料率を高めておりますから、新体系の中でいわゆる危険差益が出てこの赤字を解消しようというのか。これをあたためておくというけれども、前の質疑にもございますように、法律の趣旨は、こういうことになった場合はいわゆる助成措置なり何なりでこれを始末しなければならぬ次第もあるわけであります。その推移を見たいという期間、推移を見るという方法、方法というよりも、どういうわけで推移を見ると言うのか。こういうきちっとした損害制度になってまいりますと、推移を見るといっても、正常な料率その他でいけば推移を見るという幅はないではないかとも思うのですが、最初に、その推移を見るという考え方をひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/21
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022・久宗高
○久宗政府委員 この種の制度を組みます場合には、当然長期的な考え方で料率をはじいて仕事にかかるわけでございます。その意味で、私どもの制度におきましては、数年にわたります試験的な実施をいたしまして、ある料率の基礎をそこで検討してまいったわけでございます。それをもとにいたしまして本制度の本格的な実施に入ったわけでございますが、たまたまその初めの数年間のところで、相当赤字が一部の漁業種類について出ておるわけでございます。これにつきましては、いろいろな考え方がございまして、試験研究段階の料率が必ずしも十分でなかったのじゃないかという反省もございますし、また、たまたまその時期に、料率は長期的にはあるいはこれでいいのかもしれませんけれども、偶然非常な大きな災害がその時期にぶつかった、たとえばあのノリのごときは、御承知のとおりたいへんひどい災害があの時期に出ましたために、非常に大きな赤字が出ておるわけでございますが、これはいまのところいろいろな考え方がございまして、はたして料率が適当であったかどうかという問題が一つございますけれども、あるいは長期的に見ればそれでいいのかもしれない。いまのところ、まだほんとうの断定は下せないのではないかと思うわけでございます。しかしながら、普通この種のものでございますと、数年たちますと、一応長期的な考え方で料率は組んでみたけれども、数年の経過では若干その幅が大きい、ひずみが大き過ぎるので、この際手直しをして先へ臨もう、こういうことで、ある数年たちました場合に料率改定を過渡期にやっていくわけでございます。これが行政運用といたしましては当然考えられる問題だと思うわけでございます。そのようなことで、今度の改正がかりにございませんでも、これはやはり本来長期的に見るべきものというふうに思われるわけでございます。
そこで、今回の改正におきましては——もう一つ申し落としましたけれども、料率そのものはよろしいといたしましても、加入そのものが予定しておりました規模に達しませんために、保険の経理としては十分でないという問題も当然出てくるわけでございますので、今回料率も改定いたしますと同時に、加入の促進に非常な焦点を当てまして、保険運用の保険制度も完備いたしますと同時に、限度額率も上げ、さらに料率も改定し、また国庫補助もふやしまして、加入が促進されて、かつ経理が安定するようなことをねらってこの制度を切りかえていこうとしているわけでございます。この場合、私どもといたしましては、それではこの段階で過去に生じました赤字を処理してしまうかどうかということになりますと、保険のたてまえといたしましては、あくまでこれは長期的な計算に基づいたものでございますので、制度の内容も充実いたしましたので、さらにもう少し先まで見まして、どうしてもこれがこの保険設計上無理であるかどうか、それからまた、これがかりに理論的には無理でないとしまして、現実の保険経営の運用上非常に支障があるかどうか、たとえば基金のようなものを相当多額のものにいたしませんと運転がつかないといったような事情になるかどうか、こういったことも含めまして、あくまでこれは長期的に検討すべきものであるというふうに思うわけでございます。もちろん、その措置は、この段階でその問題は最終的には処理はしないということを申し上げているのではございませんで、そのような結果、長期的に見ましても、これはやはり何らかの異常な、料率で予定し得なかったもの、あるいはその当時の加入状態その他から見てあとの経営に非常に響くといったような判断、いろいろなものが重なりまして、必要がございますれば調整するにやぶさかでないわけでございますけれども、少なくともこの段階でそれを切り離して処理することは、保険のたてまえからいってもおかしいのではないか、こういうことで、この際は処理はしないというたてまえをとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/22
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023・美濃政市
○美濃委員 この長期的という年限は、どのくらいをお考えになるのですか。これはこういうふうにこの種の事業の制度改正をして前進するにあたって、私の考えは、過去のこういう赤字は整理をして、新料率でさらに前向きの姿勢でこれを推進するということが必要でないか、それを、新料率体系の中でうまくいけば赤字の補てんもするんだ、これが現実に可能だという料率だとすることになると、赤字補てん料率ということになって、料率が高過ぎるとも言えるわけです。しかし、それは高いと私がここで指摘するきめ手もないわけです。たとえばこの赤字は、過去三年間、三十九年から四十一年までの間において十億余も純共済掛け金を徴収して、支払い共済金が十五億一千二百万であるという中から派生しておるわけです。そうすると、五割超過しておるということですね。今度の料率改定からそろばんをはじいてみますと、まあ赤字が解消できるかどうかという、赤字解消料率であるとここで申し上げるまでの根拠も私もないわけです。料率そのものが五割以上の引き上げになっていませんから。それに掛け金に対する国庫補助を適用しておる、こういうスタイルになっておるわけです。そこで、まあ解消できるできぬの論は別として、いわゆるこういう料率改定をし、新たに法を改正して、やはり漁業災害補償法として漁家の安定のためにまあ再出発——と言うのはちょっと行き過ぎになるかと思いますが、いわゆる体系をきちっと整理して、漁民の理解も深めてこれを推進していこうというのでありますから、そういうときに、ネックになる五億というものはしばらく様子を見るということで、あるいはたとえば基金の積み増しでもして、無利子にして完全にしておく——完全にしておくといっても、新料率の中から出たいわゆる罹災差等で、損害益等で埋めるんだという考えに基づかぬ限りは、それは基金を積み増しして無利子にしても、五億をたな上げにしてためておくというが、何年ためてそれをながめておるのか、そういうむだなことをする意味がないと思うわけです。ところが、私の考えは、ここの新料率体系に持ってきて、まあわりかた料率も改定して、いわゆる純共済掛け金国庫補助金、合わせて収入を多くして、この中で赤字を埋めるんだという考え方があるとすれば、それこそこういう長期の新しい料率体系をするにあたって、五億の赤字を解消する中身の料率であるということになれば、これは私は問題があると思うのです。五億程度のものは、この法律百九十五条三項ですかの規定で基金償却の方法か何らかの方法でこの五億は始末して、正常な姿で出発さすというのが、私はこの法律に対する農林政策の誠意だと思うのです。料率に含まっておるとすればおかしいし、含まっておらぬとすれば何年それをあたためておいてながめるのかということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/23
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024・久宗高
○久宗政府委員 いろいろな制度でもって制度改正をいたす場合がございますが、保険の関連におきましては、制度を改正いたしました場合に、先ほど申しましたような長期的な料率計算の基礎から考えまして、その段階で処理しないのが通例でございます。極端な言い方をいたしますと、現在の制度をかりに変えませんでも、災害の出方によりまして、たまたま本年あるいは来年全く無災害な年も理論的にはあり得るわけでございます。しかし、現実にはそういうことが予想されませんので、数年間の経験に基づきまして料率を組んでみる、そしてそれも二年ないし三年たちました場合に、その二年、三年の間のことが相当偶然的な要素が入っておるといたしましても、なおかつ若干の料率改定をいたしながら、その現実に少しずつ近づけていく過渡的な措置をとって、全体の保険経営の安定を期しているわけでございます。ただ、純粋に理論的に申し上げれば、やはり料率もここ一、二年だけのことを考えて計算しているわけでございませんので、ある長期的な計算によって平均的な料率で毎年処理をしていくわけでございますから、その間に出ました赤字というものは、やはりその料率の基礎になりました一種の周期の中で本来見るべきものであろうというのは、これは理論的な考え方だと思います。ただ、私どもはそれに必ずしもこだわっているわけではございませんが、少なくとも私どもの制度といたしましては、試験時代を経まして相当無理な形で実施に入りましてまだ一年、二年、ごくわずかな時間しかたっておりませんので、その間に出ました赤字の要因ですね、何によって赤字が出たのかということも、これは相当分析を要するものだというふうに考えられるわけでございます。そこで、たまたま制度もこういうふうに改正していただきますれば、経営の安定が相当期せられると考えられますので、その中で、長期的な料率計算の周期の中でもう少しやってみて、それが現実に保険運用上非常な支障を来たすような事態になりますれば、これは処理をいたさざるを得ないというふうに考えられますが、その場合でも、やはりあと数年たちましてその経験から見て、過去に出ました赤字の要因が何によって出たのか、料率そのものが悪かったのか、あるいは加入の規模に相当問題があったのか、あるいは全くこれは保険経理上の予想しないような異常な災害によったものかどうか、こういったことを吟味いたしまして処理をすべきものでないだろうかということでございます。決してこの段階であの赤字は一切処理しないんだということを申し上げているのではないのでございまして、理論的にはその時期にやるべきものではないはずだということだけを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/24
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025・美濃政市
○美濃委員 いまの時期ですぐ処理する考えはないというのですが、そこで、私は、この問題の最後のけじめとしてお伺いしておきますが、そうすると、新しく発足した料率、この種の業務は、たとえば任意で行なっている生命共済あるいは生命保険——生命保険については大蔵省、生命共済については農林省ということで、決算は任意でできなくて、その年度の決算に対しては認可制度になっているわけですね。認可があって初めて決算総会が持てるというところまで、長期的なものですから規制しているわけです。この事業のいわゆるそういうものは水産庁がやるのですか。新しく料率を改定して、この事業の決算区分はどういうふうに考えておるか。その中で、先ほど申し上げたいわゆる漁獲高がきわめて安定する年があり、純共済掛け金が余る。いわゆる罹災益と申しますか、予定した災害が起きないで益金が生じる。この益金は、通常の場合、次年度に予定額をこえる災害があり得るわけでありますから、危険準備金として積み立てていくのが損害保険のたてまえだろうと思うのです。したがって、過去の赤字を埋めるとなると、たとえばこの赤字というものは、五〇%の給付増になっているわけですから、この制度ば、たとえば想定される全国の漁獲高三千億とか三千五百億、大数の法則に従って全加入になるような動きがあるとすれば話は別でありますけれども、四十一年度の実績のように、百五十億とか百六十億という理解の範囲でこの仕事を継続していかなければならぬのではないか。そういうふうになった場合、私はこれから先の問題に重点を置くべきだと思う。うしろを向いて、たとえばわりかた漁獲高が安定したときにおいても、五億の赤字を純掛け金の罹災益から埋めていくというのでは、これは前向きの施策と言えないと思うのです。そこで検討するのもいいです。いま直ちに赤字を解消しますという約束をしていただきたいと言うのではないが、処理する方向だけは明確にしておいてもらわなければならぬ。これだけの料率を改定して、新制度に切りかえると言ってもいいくらいですから、画期的にこれを進めようというにあたって、うしろ向きに過去の時代における五億の赤字を新制度の中で意識的にも考えておるとするならば間違いではないか。古いものは古いもので断ち切ってやることが、新しい制度を前向きに前進させるゆえんである。
〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
できればその中で低料率にし、あるいは罹災に対する支払い関係、認定関係も積極的に取り組んでいくところに、漁民の理解が高まって、百五十億の契約が二百億となり、三百億となる。将来、当然加入にしなくても。三千億の漁獲高に対して二千億の加入が起きてくるというところへ持っていくには、やはり新しい制度に対して過去の古傷等をしょわさぬで、前向きの姿勢で漁業団体に取り組ます、それによって新契約というものが大きく期待されて前進していくであろう。当然加入するせぬの問題は、私は漁家の理解で進めていくという考えも決して悪いとは思いません。損害共済だから、頭から当然加入で縛っていく可否も一面またあるわけですから……。しかし、そうしてやるにしても、任意加入の中で理解が深まって、漁民が加入することによって必ず安定するのだいうふうにするには、新制度の運用と切りかえた料率、それから料率に伴う一連の給付関係、全部が前向きの姿勢で漁民の側に立って、漁民の納得できるスタイルで出発しなければならぬと思うのです。その時点において、旧時代の五億、これは私が申し上げますように、五億そのものが、共済引き受け額が千億、二千億となる中の五億であれば、それは罹災の差益ですから補てんもできるでしょうが、私はそうはならぬと思う。四十一年度契約は百四、五十億のところから出発するのでありますから、大数の法則の限度になる契約料になるということについてまだかなりの年限を要するだろう。この間五億というものを、まあ都合のいい年があったら多少埋めていくのだというような考え方で出ていくことについては、私は疑問があると思うわけです。これは法律的にもそうなっております。私はその当時は議員でなかったのですが、先輩の御意見、また記録によりますと、この法律をつくるときに、そういうものが出た場合には障害にならぬようにするということがうたってあるのでありますから、もっと法律を尊重すべきであると思うのです。そのことがこの制度を将来前進さすゆえんになるのではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/25
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026・久宗高
○久宗政府委員 おっしゃっておられる意味は私どもよくわかりますし、私どもの考え方とそう根本的に違わないと思うのでございますが、ただ、たとえば試験実施をいたしまして本制度を本格的に動かします場合に、試験研究の段階で出ました赤字は、これをすっぱり切っておるわけでございますね。これは私は当然だと思うのです。今回の改正で一応この制度が本格実施になりまして——保険制度がそれに伴っていないということあるいは加入が十分でないということのためにひずみがございまして、今回やっと本格的な動きになるわけでございますので、先生のおっしゃるように、前向きに取り組んでいく気持ちは私どもも全く同様なのでございます。ただ、この数年間で出ました赤字につきましては、繰り返し申しますように、保険の設計上から申しますと、その設計のごく初期に偶然的に出た赤字でございますので、これにつきましてはいろいろな要因があると思うのでございます。かりに将来この問題について処理をいたします場合におきましても、当然特別な処理をいたしまして、いままでの長期の計算の中からこれを排除して何らかの措置をとるという場合には、この出ました赤字の要因といいますか、何によって出たのか、またそれは長期的な計画の中でも処理し得ないものかどうか、こういったことは、当然赤字の要因の分析が伴って初めて処理がきまるものというふうに思うわけでございます。
そこで、要するに、この問題は、私どもも決して漁民の側に立ってないのではございませんで、当然加入も進めなければならないし、この制度のよさを理解していただかなければなりませんので、なるべくいやがる問題ははずしておきたいという気持ちは重々あるわけでございます。ただ、この赤字につきましては、これを最終的に漁民に負わしてしまうのだ、処理はしないのだということを申し上げているのではなくて、この段階で処理するということは、やはり保険の設計のたてまえから見て理論的におかしいので残さざるを得ない。しかし、残していって、ほんとうに保険の運営上非常に支障が起こるような事態になりますれば、これはまた当然ほうっておくわけにいきませんので、さらに要因を分析して、料率計算の中から切り離すか、あるいはさらにそれを含めました何らかの方法を考えるかといったような問題が当然出てくるわけでございます。少なくともこの段でこれを切り離して処理してしまうということは、保険のたてまえからおかしいので、それをとってないだけのことでございます。また、そのためには、実際この赤字をかかえながら経営をいたしますのに不便でないような基金の運用でございますとか、そういうことについては万全を期してまいりたいと思いますけれども、少なくともこの段階で処理するということは理論的には言えないということにすぎないわけでございますので、その点誤解のないようにしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/26
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027・美濃政市
○美濃委員 水産庁長官の説明もわからぬわけではないのですけれども、そこで、この料率と、それからさっきちょっとお尋ねした決算は、これは認定制度になるのか、任意決算か。他のこの種のあれを監督しておるようないわゆる決算分類、あるいはたとえば新料率の中へこの赤字というものを——当面基金で様子を見るというのですか、これは料率体系に赤字解消が入っておるのかおらないのか。たとえば、幸いことしきわめて漁獲高が安定してこの決算が黒字になった場合、五億は埋めるのか、それとも五億はあくまで五億として分類をしておいて様子を見るのか。
〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
それとも、料率と赤字と混同して、やはりこの昭和四十二年決算なら決算の中で、いわゆる罹災益剰余があれば赤字を埋めていくという決算方式をとるのか、その点をきちっと承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/27
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028・久宗高
○久宗政府委員 決算云々とおっしゃるのでございますが、さような制度は、それをまず認可するというような形はとってないはずでございます。
それからいまの料率の問題でございますけれども、試験研究段階でおよそ見当のつきましたもので、三十九年以来やったわけでございますけれども、ある種の漁業につきましては相当なギャップが出ておるわけでございますので、そこで、実施以後の状況も含めまして、今回料率改定をいたしておるわけでございますが、これの中には、もちろんここ数年の運用から見ました被害率が出ておりますので、それを織り込みましたもの、さらに若干経理の安全性を見ますための安全割り増し、普通、料率改定をこの種の制度でいたします場合に常識的にいたしますものは、全部織り込んで処理をいたしておるわけでございます。その結果相当の高い料率にならざるを得ないという分野につきましては、御承知のように国庫補助をふやしまして、現実のはね返りがあまりひどい形できませんような処置をいたしたわけでございます。したがいまして、ここ数年のものを直ちに全部解消してしまうような、非常にべらぼうな料率改定ということはございません。一応試験時代の経過を見、それから実施しましてからの各漁業種類の動きを見まして、しかるべき料率改定をこの段階でやろう、特にこの場合、私どもといたしましては、保険の経理ももちろんさることでございますけれども、これにつきましては、主として保険そのものがなかったために相当無理があったということで、今度国が保険をそこへ裏打ちをいたすわけでございますので、主として加入の促進をいたしまして、この制度がとにかく曲がりなりにも軌道に乗るように、軌道に乗ればさらに料率を安くする可能性も出てまいりますので、そこに重点を置いて努力しておるようなわけでありまして、直ちに赤字を全部解消してしまうような無理な料率改定を考えているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/28
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029・美濃政市
○美濃委員 では次に、この再保険の問題をお伺いいたしたいと思います。
これは予算説明を承ったときには、漁業団体が支払えない部分を助成すると、当初四十二年度農林予算説明には出てきましたから、これが百分の百三十をこえる事態が起きた場合に、その部分についてこの予算を計上しておいて助成措置をとるのだというふうに考えておったわけです。そういうふうに私はいまも考えておるわけですが、それはどうなんでしょうか。再保険ということばを使うということは、百分の百三十をこえる部分の損害を国がいわゆる再保険で引き受けるにあたって、保険料を取るのか、あるいはいわゆる双務協約にして、その部分の保険料をこの料率の中から徴収するのか、それとも、片務協約で、単にああいう予算をきめておきまして——明年一月一日から実施というふうに私は承知しておるわけですが、予算をきめておいて、百分の百三十をこえる部分は、国が保険会計にその予算を繰り入れておいて、片務協約で国が見ようというのか、この点をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/29
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030・久宗高
○久宗政府委員 これは別に特殊な形ではございません。従来保険制度がございませんでしたので、今度は、団体が全国的にプールいたしましても、おそらくこの部分は自然災害から見て負い切れないなというところのめどをつけまして、全国プールをした上で、その百三十をこえる部分につきましては政府自体が保険をいたしましょうということでございます。したがいまして、これは当然、保険をいたします以上、それに必要な保険料は取りまして運用をいたすわけでございます。つまり、現在までのところは、そのような保険制度がございませんために、ある団体ではしょい切れない部分が団体の内部で解決されるような形をとっておりました。そこに無理があるじゃないかということで、私どもが、その百三十をこえます部分をこちらに持ちまして、それを保険しようというわけでございます。したがって、当然それに伴う保険料をいただきまして、それに対する給付を国として出すという形をとるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/30
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031・美濃政市
○美濃委員 その保険料は各段階に分かれると思いますが、多段階は別として、平均予定しておる新料率の何%を保険料として徴収するお考えですか。総平均でいいです。各段階に分けるとこまかぐなりますが、おおよそのスタイル、平均スタイルで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/31
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032・池田俊也
○池田説明員 全体の漁家が納めます掛け金を一〇〇にいたしました場合に、どういう取り分になるかということでございますけれども、漁獲共済で見てまいりますと、組合の取り分が九%、連合会の取り分が七一%、政府が二〇%、こういうことでございます。それから養殖共済で同じく見てまいりますと、組合が六%、連合会が四九%、政府が四五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/32
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033・美濃政市
○美濃委員 どうですか、これは時間の関係で、私もここまで質問をいたしまして、その可否を検討するまでの段階になってないのですが、直観的に考えて、百分の百三十をこえる部分の再保険料としては高いように思うのですが、これは政府がもうける手段になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/33
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034・久宗高
○久宗政府委員 率でごらんになりますと、何かそんな感じをお持ちになるかもしれませんが、これは純粋に計算から出てくるわけでございます。ですから、たとえばいま申しましたような養殖共済の場合には、いわば団体で負えないような大きな被害が過去において出ましたので、そこまでは向こうに責任を持たせられませんから、大部分のものをこちらにいただいて、それでこちらから保険をしましょう、それだけ団体のほうの責任が少なくなるわけでございます。ですから、何か政府が取り過ぎるという感じがあるかもしれませんが、それはそういうことでございませんで、現在までの被害の実態をそのままあらわしまして料率をはじき、それぞれの負担区分をきめて処理をしておりますので、政府がもうかるくらいでございますれば非常にけっこうなんでございますが、おそらくそうはいかないだろう、逆じゃないかというふうに判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/34
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035・美濃政市
○美濃委員 これはどのランクに分けますか、政府保険は。およそ何段階に分けるのか、それとも、こういうふうに分かれております。たとえば採貝・採そう事業ですか、こういうもの、養殖関係あるいは定置船舶となっておりますが、この再保険関係は、百分の百三十というのは、一本にした百分の百三十か、あるいは五つか六つの漁種別ランクに分けた百分の百三十か、これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/35
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036・池田俊也
○池田説明員 それは、全体のいろいろな種類の漁業につきまして政府が保険をいたすわけでございますので、区分といたしましては、六つの区分を設けまして、それごとに保険をする、こういう仕組みに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/36
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037・美濃政市
○美濃委員 ちょっとその六つの区分を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/37
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038・池田俊也
○池田説明員 漁獲共済は四つに分けてございまして、一つは採貝・採そうでございます。それから、漁船漁業を二つに分けて、二十トン未満と二十トン以上と二つに分けております。それから、さらに定置漁業、この四つでございます。それから、養殖共済につきましては、ノリを別立てにいたしまして、その他の養殖漁業と二つございます。合わせて六つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/38
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039・美濃政市
○美濃委員 最後に、意見を申し上げまして質問を終わりたいと思いますが、いろいろ私の考えておることと政府当局のお考えになっておることと考え方も多少違いまして、質疑も平行線になりましたが、しかし、いずれにいたしましても、やはりこの制度全般について、本日の査問を通じても長官みずからも言われておりますが、不十分の点は認めておるわけであります。私どもも、こういう制度を通じて漁民の所得の向上——向上でなくて、所得の安定ですね、災害から所得の安定をはかろう、こういうことでございますから、まず第一点として赤字の問題、これはこれから先の新料率体系の中で補てんするという考え方は適当でないと私は思います。したがって、いまここですぐ処理方法を御答弁いただくということも無理だということはわかりますので、その追及を行ないませんけれども、自後また新しく料率をつくって前向きで進んでいく中において、たまたま単年度でその単年度の漁獲高が安定したからといって赤字を補てんするなどということは、私はいけないと思います。やはり、赤字は赤字で別途処理する方針をつくりまして、新料率体系の中で、比較的安定した年で剰余があれば、危険準備金として積み立って、自後の災害の多い年に備えていく、これが真の新しく前向きで取っ組む姿勢でなければならぬと思います。
それから、第二の問題は、前の質問に対しましても、非常に任意共済に重点が置かれまして、大数の法則を軽視しておるのではないか。共済制度は、やはり大数の法則で、広域の地域、広域な契約ができることによって危険分散が行なわれるものである。したがって、四十一年度の百数十億のこの契約の中では、地域も片寄っておる面もある。地域が片寄っておれば、その地域における危険に左右されやすいのでありますから、非常に危険分散に対する力がいまのところ弱い。それをカバーするものは国の再保険である。この再保険が、このような高い保険料を徴収して百分の百三十ということについては、私は疑問がある。何ぼの疑問があるかということは、遺憾ながらきょうここで指摘する段階に至っていないが、私はこれは疑問がある。大数の法則を無視して任意で理解を深めよう、その方式は私は必ずしも悪いとは申しません。しかし、制度の欠陥は再保険で補ってやらなければならぬと思う。制度というよりも、大数の法則に従う広域の引き受け体制になっていない。その弱さというものを再保険で補ってやらなければならぬと思う。その補いが、こういう高率の保険料を取って百分の百三十をこえる部分を引き受けてやろう、きわめて不親切な体制であると言わざるを得ないと思います。どこまで不親切かということはいまここでちょっと申し上げません。この点、実施までに残された期間がまだあるわけですから、私も、まだまだこの問題を掘り下げて将来に向かって漁民のためにも検討したいと思います。非常に問題と欠陥が多いように思います。この点十分御検討願いまして、改むべきものは、一ぺん制度をつくったのだからといって硬直しないで、悪いと思った点は勇敢に改めて、真に漁家の安定になる制度になるように運用を改善することを希望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/39
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040・本名武
○本名委員長 實川清之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/40
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041・實川清之
○實川委員 私は、漁業協同組合の合併助成法案について二、三質問をいたしたいと思います。
最初に、漁協の組織、事業あるいは組合運営の現状について、その大体のところをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/41
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042・池田俊也
○池田説明員 漁協にはいろいろな種類がございます。非常に種類が多いのでございますが、大別して申しますと、地区ごとに設立されております漁協と、それから業種別に設立されております漁協とあるわけでございます。地区別に設立されております漁協がごく一般的な漁協でございますが、これには、沿海地区の漁協と、それから内水面、河川等におきます漁協と、二種類あるわけでございます。この漁協の中で一番大きなウエートを占めておりますのは当然沿海地区の漁協でございまして、今回合併助成法案の対象に取り上げておりますのもこの漁協でございます。もちろん、業種別漁協も対象にはなるわけでございますが、主として合併の対象として考えておりますのはこの沿海地区の漁協でございます。そのほかにさらに連合会がそれぞれございます。
組織といたしましてはそういうことでございますが、ごく荒っぽい数を申し上げますと、沿海地区の漁協につきましては大体二千五百ぐらいございます。それから、内水面の漁協につきましては六百七十くらいございます。業種別漁協は約三百でございます。連合会は、一般の連合会につきましては県単位のものが主でございますが、それ以外に、県以外の地区の連合会がございますが、合わせまして百三十八ございます。それから、信用事業を主としてやります信漁連、これが三十五ございます。それから、全国段階におきましては全部で九つの連合会がございます。大体数は以上のようなことでございます。
その他の事項でございますが、地区から見てまいりますと、これは沿海地区の漁業協同組合の場合でございますが、旧市町村以下の区域を地区とするものは大体九割、正確には八八%でございますが、九割程度でございまして、非常に事業の性一格が違いますので、一がいに比較はできませんが、農協等と比べますと、地区が非常に狭いわけでございます。
一組合平均の組合員数は二百四十人程度。職員の数は、これも平均でございますが、六・五人程度でございます。
それから、事業は、購買事業、販売事業、信用事業、その他直接漁業を経営している漁協もございます。大体の概況を申し上げますと、一組合平均の数字でございますが、販売事業におきましては、年間の取り扱い高は約九千万円程度。購買事業は、これは取り扱い高が非常に少のうございますが、大体八百万円くらい。貯金は二千三百万円平均でございます。大体そういうようなことでございまして、事業の主力は販売事業にあるわけでございまして、それに次いで信用事業、こういうような状況になっておるわけでございます。
それから、そういうような事業をやっております組合の経営状況でございますけれども、これも沿海地区の漁協について申し上げますと、利益を生じておる組合は約千七百ございますが、全体の数からいたしますと六四%程度でございます。損失を生じております組合が約六百で二四%。大体収支とんとんというのは百八十で、七%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/42
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043・實川清之
○實川委員 区域が非常に小さい、その結果組合活動が活発にできない、こういうようなことが合併の一つの動機になっておるようですが、小さいのは小さいだけの理由があって小さいのじゃないかと私は思うのです。それはどういうようにお考えになりますか。たとえば、地先の漁業権をもとに一つの組合ができているというような形もあるのじゃないかと思う。その辺、組合が小さいことがなぜ組合活動が活発にできないのか、あるいはまた、なぜ合併をすることが当然の帰結なのか、合併しなければどうにもならないんだというその条件はどういう点にあるのか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/43
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044・池田俊也
○池田説明員 これはいろいろな理由があるわけでございますが、ただいま先生から御指摘をいただきましたように、漁協につきましては、大きく分けますと、二つの性格があるように思います。一つは、これは農協と同じでございますけれども、いわゆる漁村におきます経済事業を行なう協同組合ということで、販売事業でございますとか信用事業でございますとかを行なうわけでございますが、もう一つの性格といたしまして、漁業権の管理団体という性格があるわけでございまして、それで、従来の経過から申しますと、むしろ漁業権の管理的な色彩がかなり強かったわけでございます。最近におきましては経済事業も逐次伸びているわけでございますが、漁業権の管理団体というような性格からいたしますと、どうしてもその地区が制限をされる。津々浦々ということばがございますけれども、そういうような地域ごとに組合ができる。したがいまして、地区も狭く、組合員数も少ない。そういう組合でございますと、経済事業の面から見ますと、どうしても、相当数の職員をかかえてやるとか、あるいは他の一般の商人等に対抗して組合の事業を進めていくという点で、非常に不備があるわけでございます。先ほど概況を申し上げました中で、職員数平均六・五人ということを申し上げたわけでございますが、これは平均でございまして、実際は職員が全然ない組合も相当ございます。それから、せいぜい、一人、二人というようなのがかなりあるわけでございまして、こういうような組合におきましては、販売事業をやる、あるいは信用事業をやるということにおいて非常に経済基盤が弱いわけでございまして、そういうような点で、従来かなり合併等のいろいろな動きはあるわけでございますし、政府のほうでも助成はしておるわけでございますけれども、必ずしも十分でなかった、こういうようなことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/44
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045・實川清之
○實川委員 漁業権を土台にしてまとまった組合ですと、合併の問題は相当抵抗があるのじゃないかと思うのですがね。この点はどうなんでしょう。つまり、利害関係が必ずしも一致しないといったような点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/45
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046・池田俊也
○池田説明員 これは確かに御指摘のような点があるようでございます。ただ、やはり、漁民の利益を向上させるというような観点からいたしますと、従来のような漁協では非常に困る、こういうような考え方は、われわれの感じでは、最近かなり高まってきているのではなかろうか。漁業権の問題が確かにある面で障害になっている点もあるようでございますけれども、これにつきましては、実は、今回の法案におきましても、極力そういう障害を取り除きたいということで、ある意味ではこれは妥協でございますけれども、従来あります漁業権につきましては、従来の利害関係者の利益をある意味では擁護しませんと、なかなか合併ができないというようなこともございますので、従来の関係者の御意見を尊重しながら、組合のほうとしては一本にまとめていく、こういうような体制を考える必要があるのではなかろうかということで、実は今回の法案の中にもそういう措置を取り入れているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/46
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047・實川清之
○實川委員 資料を見ますと、合併に賛成するのと反対するのは、大体あまり違ってない、若干賛成のほうが多いぐらいのようです。ということは、やはりその辺の事情を反映しているのではないかと思うのです。経済活動を行なう場合に規模が小さいということは非常に障害になることはわかるのですが、ただ、これを無条件に大きくすればそれなりの効果が出るかと申しますと、必ずしもそうではないのではないか。農協の合併のあとを考えましても、合併してほんとうに組合活動が活発になり、あるいは組合の経営の状態が非常に改善されたというような例はなくはございませんが、必ずしもそうではないものが多いように私は思います。農協合併の場合ですと、不振組合が大体三分の一くらい、これは解釈のしかたでいろいろ数はあちこちしますが、相当の数の不振組合をかかえておって、不振組合の再建の一つの手段として農協合併というものが進められたような形がございます。実は私も農協関係者で進めたほうの一人ですが、千葉県ですけれども、私のところなんかでは、大体不振組合と思われた組合は一応合併は完了いたしております。そして、りっぱに自立して経営のできておった組合はあまり合併に乗り気ではなかった。合併をしないものがいまだに相当多数残っています。それでは、そのような組合が合併をしなかったから非常に立ちおくれたかというと、決してそういうわけでもなくて、相変わらずりっぱな成績をあげている。合併したほうの組合は、もちろん、合併をすれば区域が拡大する、組合員が多くなる、あるいは生産物が多くなるというようなことで、事業規模は確かに拡大をいたしております。また、それなりに職員に対する待遇なんかも相当改善のあとは見られますけれども、といって、ほんとうに地域の農業のために積極的に農協が中心になって、その地域農業の育成のためなり、あるいはまた発展のためにやり得るか。そういうことを合併によって期待しておったわけですが、必ずしもそうはまだまだなってない、こういうような感じがいたします。農協合併の場合も、どうも上から役人が役所のテーブルの上で考えたことを押しつけてきたというような感じを強くわれわれ持っております。今度の漁協の場合でも、賛否のパーセンテージなどを見ますと、漁民あるいは漁業協同組合の組合員の諸君は、必ずしも合併というものに対してほんとうに理解してないし、積極性がないように考えられます。そういう点から、農協でやったような、いわゆる新組合の制度のための一つの合併に終わるような感じがいたすわけですが、その点についてはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/47
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048・久宗高
○久宗政府委員 私ども多少違った感じを持っているわけでございますが、もちろん漁協におきましても、旧組合の解消に伴います一連の施策を今日までしたわけでございますが、やはり先ほど部長から申し上げましたように、今日の漁協の最大の問題と申しますのは、やはり漁業権の管理団体の性格を脱皮いたしまして、経済活動と本式に取り組む段階にきたということではないかと思うわけでございます。御質問の中でも御指摘かございましたように、漁業権の管理団体としての性格が非常に強うございましたので、現状におきましても、先ほど数字で申し上げましたように、町村以下の段階のもので九割近いものが零細な形で残っておりますのは、主としてやはりこの漁場の管理、漁業権の管理との関連があるように思います。ただ、少ししさいに当たってみますと、たとえば漁協を必要であると思うかどうかといった質問に対しましての答え、合併そのものについて聞いてみますと、これはいろいろ賛否が分かれるわけでございますが、一番問題になりますのは、漁協は必要だと言いながら、漁協の本来の、たとえば経済活動につきまして実は全然やってない、職員がいないといったような組合が相当あるわけでございます。それから、職員がおりましても一名しかいないといった場合に、本来のその経済活動が、漁民に対するサービスができるかどうかということ自体が問題になるかと思うのでございますが、第一次の漁業制度の改革以来相当の年数がたっておりますにかかわりませず、今日そういった形になっておりますのは、むしろ漁業権の管理という仕事がございますために、それが一つの口実になりまして、それさえやっておればいいのではないかといった、実際経済活動から見ますと、全く睡眠をしてしまっているような形のものが相当多数あるということだと思うわけでございます。そこで、周囲の事情も変わってきておりますし、漁業自体の事情も変わっておりますので、この段階におきましては、漁業権の管理の仕事は、これはやり方によりましては、十分現在の組合がやっておりますような管理はできるわけでございますし、さらに漁業の調整委員会といったような制度もございますので、むしろ漁業権の管理にあまりとらわれて、経済活動のほうに目が向かないということ、これはやはり相当大きく切りかえていく必要があるのではないかということが、今回私どもが合併と関連してねらいをつけております最重要なポイントではなかろうかと思うわけでございます。ただ、従来の慣行もございますので、御指摘のように、やはり漁業権の管理と関連しまして、その合併につきまして非常に不安が多いようでございますので、その点は、今回の中でも特例を設けまして、さような御心配がない形を十分とっておるつもりでございまして、いままでの過程で、合併いたしましたために漁業権の管理が非常に円滑によくいった——むしろ、合併に踏み切られたところの過去の経験から申しますと、やった結果、経済活動ももちろんよくできるようになったし、それから懸案であった漁業権の管理もむしろスムーズになったという回答を得ておりますものが相当あるわけでございます。ただ、漁民の気持ちといたしましては何か不安でございまして、従来の地先だけ守っておりました関係から申しますと、何かばく然とした不安があるという点が、これは非常に根深いものがあると思いますので、私どもといたしましては、今回の合併法が施行される段階におきましては、まず具体的な実例その他をよくお示しいたしまして、さような不安は制度的にもないし、それから別の意味で、経済活動に早く入ってまいりませんと、ほんとうの漁民の生活の向上にも大きな阻害になりますので、この辺の誤解をどの程度解けるかが今回のかぎになるだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/48
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049・實川清之
○實川委員 お話によると、最初の漁協の性格が漁業権の管理ということにあった、重点が置かれておったようですが、それを経済活動を中心にした団体に脱皮させようというようなお話のようですが、それならば、旧町村の区域に合併してその程度の規模にしようということは、むしろもう少し大きくして、新しい合併町村の区域と合わせるような——必ずしも合わせる必要はないかもしれませんが、その程度にさらにもう一段規模を大きくしたほうが、そういう意味では合理性があるのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/49
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050・池田俊也
○池田説明員 今回の合併助成法案におきまして考えております合併目標としましては、非常に抽象的な目標は実はきめているのでございますけれども、具体的に区域はこのくらいというような線は、必ずしもはっきりは出しておらないのでございます。ただ、私どもの考え方としましては、それは地区によりましてかなりいろいろなバラエティーが出てくるのではないかと思いますけれども、できるならばやはり新市町村の区域になるのが望ましいのではないか。これは市町村との連絡その他が非常に密接になるというような、いろいろなそういう意味での利点もございますので、そういうのが望ましいように思いますけれども、これはいろいろそれぞれの地域の事情もございますので、必ずしもそれに統一をするという考えはございませんが、特に旧町村の区域あたりを目標にするというようなことは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/50
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051・實川清之
○實川委員 経済活動の面だけから見ますと、むしろ同じ地域に現在——これは法律改正をやらないとだめなんでしょうが、農業協同組合と漁業協同組合とが同じ地域に二つダブってあるわけです。それで私は、さっき申し上げたように、農協のほうの関係をやってきたのですが、非常にその間仕事がやりにくい面がありますし、経済的に見ても非常にむだが多いように考えます。さっきお伺いしますと、漁協の平均の数字は一組合の貯金の額が二千五百万円くらいですか、それから、職員が六・五、あるいはまた販売事業は、これは農協とは全然品物は違いますが、購買事業が年間八百万円で、農協の水準から見ますとはるかに経済力が弱いわけです。この弱いままで多少の規模を拡大いたしましても、それほど強くはならないのではないか。同じ地域に二つ並んである漁協と農協とを何か調整すると申しますか、一緒にして両方それぞれ強くするというようなことを考えたほうが、私は合理性があるのじゃないかと思うのです。漁業権問題と離れて漁村における経済団体というものを考えますと、これは地域的にはもう半農半漁という形が大体多いだろうと思います。私は九十九里海岸ですが、私のところなんかでも明らかに半農半漁が多いわけですから、そういうような地帯などの経験から見ますと、農業協同組合と漁業協同組合の関係を根本的に是正するほうがいいのではないかと考えますが、その辺についてお考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/51
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052・池田俊也
○池田説明員 先ほど漁協の概況について御説明申し上げたわけでございますが、漁協の事業といたしましては、漁業権の管理という問題は別にいたしまして、経済事業で考えてみますと、私どもの考えでは、やはり販売事業が中心になるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。現実の事業量から申しましても、やはり販売事業のウエートが非常に多いわけでございます。それで、そういう販売事業を中心にいたしまして漁協の事業を考えます場合に、非常に漁民の数が少ない、一つの協同組合を設立するに足るような数が全くないというような場合には、これは、いま先生からお話がございましたように、漁協も農協もあるいは一組合というようなかっこうで農協の事業を利用するという効果もあるかと存じますが、ある程度の漁民がいて漁業が行なわれているというような地域におきましては、やはりこの販売事業を中心にして漁協の活動を進める必要があるのではなかろうか。この販売事業は、御承知のように農協の場合の販売事業と非常に態様が異なるわけでございまして、現在行なわれておりますのは、一つの市場みたいなものを設けまして、そこへ仲買人等が集まりまして、そこでせりなり入札なりによって販売をする、あるいは都市への出荷をする、こういうようなことで、農協の販売事業の形と非常に違うように思いますので、これを一つの組合でやることは非常にむずかしいのではなかろうか、そういうような考えでございます。したがいまして、相当数の漁民がいて漁業が行なわれているような地域におきましては、やはり漁協を設立し、その事業を盛り立てるというのが、私どもの考えとしてはやはり一番いいのではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん、これは水産業協同組合法にも規定がございまして、事業を行なうのに必要な経営的な基盤がないというような場合には、行政庁としては不認可の処分ができる、こういうことがございますので、そういうような事例の場合におきましては、おっしゃるようなこともあるかと存じますけれども、そうでない場合には、やはり漁協を中心にして漁業の推進をはかるというのが本筋ではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/52
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053・實川清之
○實川委員 これは農業協同組合の場合でも、実は必ずしも中の仕事の内容というものは均一ではないのですね。一般の耕種関係をやっている者、園芸関係をやっている者、あるいは果樹をやっている者、あるいは畜産関係——豚をやっている者、鶏をやる者、あるいは酪農、それぞれ内容的には相当性格も違いますから、事業活動のしかたも違うわけですが、総合された形でそれらが同じ屋根の下でやっておるわけです。もちろん、農協の中にも、専門農協がいいか、総合農協がいいかという議論は絶えず繰り返されておりますし、現実にも総合農協と専門農協の間で相当問題を持っておるわけですが、私は、ある程度そういう専門的な分野の専門活動はその部門にまかせて、専門化をさらに深めていくという形で、共通する、総合し得るものはやはりそれをまとめていくところがあってもいいのではないか。そういう意味で、農漁業協同組合というような構想にいたしまして、それで農業部門と漁業部門で、経済的な分野、経済活動において共通しているものは一緒にやる、別々にやらなければならないところ、あるいは別々にやったほうが能率のあがるところというような部門は、それなりに専門的、部門的にやらしていくというようなことを考えますれば、必ずしも、いまのあなたのおっしゃったように、さい然と分けなければやっていけないような性質のものではないのではないか。素朴な考えでございますが、そういう感じがいたします。もちろん、いまの農業、漁業それぞれの協同組合法がございまして、これをすぐどうこうというわけのものではございませんが、いわゆる漁協が経済活動に重点を切りかえて、地域の経済団体としてこれから伸ばしていくのだというようなお話でございますので、ちょっと御意見を伺ったわけなんですが、いずれにいたしましても、漁民の生活というものの実態を考えてみますと、経済的にはもちろん、文化的にも非常におくれておりますし、何らかの手を打たなければならないと思うのですが、いまの漁業協同組合の中で、船主、資本家に当たる部分と労務者に当たる部分とがあるわけですが、これが一つ一緒の組合の中におって一つの組合を形成するということは、非常に矛盾が多いのではないかと思います。したがって、そういう点は、もし分けるといたしますならば、船を持って漁業する者と、労働力を売ってやる漁民、どっちも漁民ですけれども、それぞれの機能に従って組織をしたほうがいいのではないか。特に私のほうの場合だと、毎年問題になっておりますサバの一本釣りの問題などにいたしましても、相当の資本を持っておる経営体とそうでないものとの争いなんですが、これなども毎年繰り返されていまだに解決がついていないわけですけれども、こういうような問題にいたしましても、たとえば同じ漁場で同じ時期にやらせないとか、漁場を区分するとか、あるいはまた漁獲の時期を区分するとかいうような措置も、当然考えられてしかるべきだと思うのですが、どうもその辺が漁業政策の面ではっきりしていない。どっちかと申しますと、一本釣りのほうがまき網のほうに食われてしまっておるというのが現実の姿でございますけれども、こういうような漁業協同組合の一つの転換期と申しますか、ある意味での転換期だろうと思うのですが、その際に、そういう問題についてももう一度検討してもらってはどうか、こういうような点についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/53
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054・久宗高
○久宗政府委員 幾つか大事な御指摘があったのでございますが、最初の、ある地域で必ずしも漁協でなくて他の産業分野と一緒にやったらどうかというお話でございますが、第一次産業の関係者にとって、こういう形の組合しかないというふうに限定すること自体は、確かにある地域については問題があると思うわけでございます。一般論として部長から申し上げましたように、相当機能別に考えてまいりますと、本来あるべき漁協の形に編成されて動いていくとすれば、活動の態様も相当違うのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、そこで現状で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、いわば経済活動を本格的にはやっていなくて、漁業権の管理だけの仕事になっておるというような組合を考えますと、これはいろいろな考え方があるようでございますけれども、もし本格的に経済活動に取り組むといたしますと、だいぶ農協の経済活動の中身と態様は違うのではないかというように思うわけでございますけれども、特殊な僻地の問題を除きましては、やはり一応別体系でいって、そして特に今度のような改正が行なわれまして、相当経済活動をやる地域を広げてやるということになりますと、新しい意味におきまして、農協と一緒の活動がむしろできにくい状況も生ずるのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、両方とも当然これは第一次産業の関係者でございますし、ある地域で考えますと、相互に非常に密接な関連があってしかるべきだと考えますので、この密接な関連につきましては、特別な考慮を払って指導してまいる必要があろうかと思うわけでございます。
それから、組合員の問題といたしまして、船主ないしは労務者の関係でございますけれども、これは前々から問題になってきておりますが、少なくとも沿岸の漁業におきましては、主として階層の分化が必ずしもこれを二つに分けてさい然と処理をしなければならぬほどに分化しておるかどうかの判断になるのではないかと思うわけでございまして、かりに非常に分化しております場合には、労働関係の方だけが別に労働組合の結成も可能なわけでございますので、協同組合の分野におきましては、特に沿岸漁業におきましては、排除する必要はないのじゃないだろうかと一応考えております。ただ、ある種の漁業におきましては、そのように雑居しておりますことから、それぞれに双方の主張が純化できないというような問題が個別にはあるかと思うわけでございまして、特に最近のように激しく労働関係が動いております段階におきましては、確かにそろそろこの問題については検討してよろしいのではないかというふうに考えております。
なお、関連しまして、具体的なサバ釣りの問題につきましてのお話が出たわけでございますが、これは昨日、中央漁業調整審議会におきましても御議論が出まして、長年の懸案でございますので、相当突っ込んだ調整を役所も介入いたしましてやる必要があろうかと考えておるわけでございます。これは主として漁業調整上の問題として処理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/54
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055・實川清之
○實川委員 たまたま話が一本釣りの問題が出たので、ちょっと関連してお伺いしたいのですが、これはいままで数年間連続して問題になっておるが、農林省あるいは水産庁としてそれに適切な判決を下さないまま今日に至っておるわけです。おそらくことしもまた同じようなことで紛争を惹起するのではないかと思うのですが、長い目で歴史的に見てまいりますと、一本釣りのほうが生産方法その他において立ちおくれておりますから、まき網のほうに食われるということは大体想見できます。そういう際に、弱いものが弱いから強いものに食われてもしかたがないのだ、それが歴史の必然なのだということでただ黙って見ておったのでは、これは政治じゃないと思うのです。そういう際に、私たちしろうとが考えますには、たとえば一本釣りの資本力のない漁民に対しては、何かもう少し力をつけて、たとえば協同組合なら協同組合という組織をてこにいたしまして、それに近代的な漁業の設備をさせ、近代的な漁業として再出発させるような方向に、資金の面あるいはその他全般について積極的な指導がなされなければならないのではないか。あのまま野放しでまき網に食われるにまかせておいたのでは、これは私は行政がないにひとしいと思うのです。ああいうものを近代的な漁業に切りかえさせるようなお考えはあるのかないのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/55
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056・久宗高
○久宗政府委員 これは非常に長い経緯のある問題でございまして、漁業調査上も非常にむずかしい問題だと考えております。ただ、現在私どもで考えておりますのは、昨年来これは相当むずかしい問題になりまして、水産庁も中に入りまして調整をいたしておるわけでございますが、基本的には、この問題に限局いたしますと、やはり漁場の秩序の問題でございますので、かりに私どもが入りましても、どっちが悪い、こっちが悪いということではなく、基本的にはやはり両当事者が一番その漁場におきます利害関係なり可能性なりを知っているわけでありますので、何よりもまず両当事者でのお話し合いを前提にものを考えたいと思っているわけでございます。いろいろな経緯がございまして、役所も入っておりますので、第三者が入りますと、それぞれの関係者がそれぞれの利害だけを申されますので、どうも問題の焦点がゆがむおそれがございます。そこで、私ども時間もかけてやっておりますのは、両当事者にとにかく座に着いていただきまして、漁場の現実に即してお話をまずやってみる。それのお話し合いのきまったところを制度的に裏打ちするというのを基本的なたてまえとして取り組んでいるわけでございます。いろいろな経緯がございますので、相当不信感を双方の団体がお持ちでありますのと、また、まき網も従来と違いまして非常な重装備になっておりますので、少なくとも一本釣り関係の方から見ますと、非常な脅威をお感じになりまして、正常な気持ちで漁場の利用についてのお話し合いがなかなかしにくいという事情でございます。その辺のところは、中央漁業調整審議会でも非常に心配されまして、何とか早く両者の話し合いをつけるようにというような特別な御発言がございまして、私どもといたしましては、まず両当事者のお話し合いの場をつくらせる。従来の不信感をとりあえず取り除いていただきませんと、正常なお話し合いができませんので、さような意味で相当突っ込んだ調整をいたしたいと考えているわけでございます。
なお、御指摘のございました一本釣りの関係につきまして、あのままでずっとやっていくのかどうかという基本的な問題がございます。これにつきまして何らかの措置が要るのではないかということで、これは県当局としても相当苦慮しておられまして、いろいろな試みも御立案中であるようにも聞いておりますので、私どもといたしましても、沿岸漁業におきます養殖漁業その他の問題もやや整備しかけてきておりますので、さような問題とも組み合わせまして、あるいは今回の組合の合併問題も含めまして、特別な御援助なり御指導を申し上げる必要があるだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/56
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057・實川清之
○實川委員 つまり、漁業協同組合で、そういうような一本釣りの人たちを集めて、近代化の方向に向かって一つの組織をつくらせる、そこに資本を与える——与えるというのは、くれるという意味ではないのですが、資本をつぎ込んで、近代的な装備を持った一つの業態に切りかえる、そういうような仕事を漁業協同組合が積極的な姿勢でやろうとすれば、当然やるべき問題ではないか。もしそういうようなことにまでなるとしますと、やはりあまりに規模の小さいものはとても処理する能力がありませんので、そういう意味では合併の効果も大きく出るのではないか。せっかく合併を企画されているわけですから、特に立ちおくれた漁民の体制を近代的なものに切りかえるために大きく役立つような漁業協同組合にひとつ盛り立てていただきたい、こういうことを御希望申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/57
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058・本名武
○本名委員長 午後一時半に再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後一時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/58
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059・森田重次郎
○森田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続いて質疑を続行いたします。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/59
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060・兒玉末男
○兒玉委員 長官にお伺いしたいのでございますが、午前中實川君が質問した中で、現在の協同組合の種類が大体沿海、内水面、業種別、こういう三つに分かれて説明されたわけですが、今回の法案の対象となる組合というのは、沿海だけに限定をされておるのかどうか、この点、長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/60
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061・池田俊也
○池田説明員 今回の漁協合併助成法案の対象といたしましては、内水面の漁協は対象にいたさない、したがいまして、地区漁協が主になるわけでございますが、業種別漁協も対象には入っております。除いてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/61
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062・兒玉末男
○兒玉委員 これは提案説明の中にもありましたが、今回のこの法律の制定にあたりまして、いままでありました漁業協同組合整備促進法に基づく整備計画樹立の期限が本年の三月末で終わる、その間に大体整備すべき点については所期の目的は達成された、こういうふうなことが説明されておるわけでございますが、この所期の目的が達成されたというのは、大体具体的に申し上げますならば、どういう点がそういうふうな状態になっているのか、この点、多少具体的にお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/62
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063・池田俊也
○池田説明員 昭和三十五年に漁協整備促進法が制定されまして、赤字不振組合の整備ということを目標に事業が進められたわけでございます。具体的な直接の対象といたしましては、固定化しております債務の整理をする、あるいは欠損金を補てんをする、こういうようなことを目標にいたしまして、一定の目標を立てまして事業を進めてまいったわけでございますが、当初の目標といたしましては、これは県等からいろいろ御意見をお伺いしてきめたものでございますが、そういう不振組合の整備ということとで、二百七十三の組合を予定したわけでございます。それに対しまして、毎年事業を進めてまいったわけでございますが、結果といたしましては、合計いたしますと二百四十五の組合を対象にいたしまして、その事業が終わった組合もございますし、現在行なわれつつある組合もあるわけでございます。当初の目標からいたしますと九割程度でございますが、いろいろ県等の御意見を伺いまして、取り上げるべきものは四十一年度で大体取り上げを終わったという感じを持っておりますので、いわゆる不振組合対策としてはほぼその目的を達したのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
なお、整備促進法のさらにもう一つの事業として合併も取り上げていたのでございます。これは知事が勧告をいたしまして、そして若干の助成をして合併を促進するということをやっておったわけでございますが、こちらのほうの事業につきましては、当初の目標が二百九十二組合あったわけでございますが、四十一年度末までにそれを大幅に上回ります四百九十の組合を対象にしたわけでございます。これは当初の目標よりはかなり大幅に上回ったわけでございます。それで、一応私のほうといたしましては、整備促進法の当初考えておりました目標はおおむね達したのではないか、かように考えたわけでございますが、なおこの点につきましては、漁協関係の団体でもそういう組織をつくっていただきましていろいろ御検討願ったわけでございますが、当初の不振組合対策という点ではほぼ一応目的を達したというように考えてよかろう、ただ、合併の点につきましては、当初目標よりはかなり事業が進んだわけでございますけれども、なお現状を見てみると、かなり経営基盤の弱い組合が多い、今後さらに漁協の活動を促進するためには合併が必要ではないか、こういう結論になりましたわけでございまして、そういうような趣旨から今回の法案を国会に御提案申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/63
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064・兒玉末男
○兒玉委員 それでお聞きしたいのは、この新しい合併のための、いわゆる合併後の事業経営に関する計画を立てて、昭和四十五年十二月三十一日までにこれを都道府県知事に提出し、その適否の認定を求める、これは、都道府県知事がこれを認定する認定権者になっているのは、どういう根拠でなっているのか、この点御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/64
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065・池田俊也
○池田説明員 現在漁協に対します指導監督につきましては、県と農林大臣と二つに分かれておりまして、県または県の区域を越えるものは農林大臣、それ以下のものが県の知事、こういうことに実はなっているわけでございます。それで、一般の沿海地区の普通の漁協に対します指導監督は、そういう観点で大部分が県の知事でございますので、知事が漁協の実態なり今後進めるべき方向というようなものは一番よくつかんでおりますので、そういうような意味で知事が認定をする、こういうようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/65
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066・兒玉末男
○兒玉委員 そうしますと、沿海の漁業権というのですか、これは両県にまたがるというような場合は全然ないのかどうか、この辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/66
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067・池田俊也
○池田説明員 そういうような事例はないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/67
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068・兒玉末男
○兒玉委員 次に、合併をして、その規模というのは適正な事業経営、こういうことがうたわれておるわけでございますが、適正な事業経営というのは、一体どういうことを基準として——適正な事業経営としてそれを認めるようなそういう基準というものは、大体どういうふうになっているのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/68
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069・池田俊也
○池田説明員 漁協の実態と申しますのは、御承知のように、地域によりましていろいろな差異があるわけでございます。それで、私どもといたしましては、非常に画一的な合併の基準というようなものを上のほうからきめるということはあまりよろしくないのじゃなかろうか、むしろ、実際に漁協のそれぞれの自発的な考え方を基礎にいたしまして、必要がある場合に県等がいろいろ御援助をする、こういうかっこうが一番いいのじゃないかと思いますので、非常に具体的な基準というようなものは別段つくっておりませんけれども、大体の目安といたしましては、これも場合によっていろいろと違うと思いますが、現在の規模で申しますと、大体三つぐらいの組合が一つの漁協になるというようなことが一番一般的に考えられる場合ではなかろうか。
それで、その場合の規模あるいは事業量というようなものが大体どのようなことになるかということにつきましては、先ほど御説明申し上げたわけでございますが、現在沿海地区の漁協の全部の平均的なもの程度を一応その目標に考えたらどうか。具体的に申し上げますと、現在沿海地区の漁協の販売事業の平均額は八千万円強、それから役職員の数は、常勤でございますが、六人強というようなことになっておりまして、この程度であれば、大体一つの計画的な協同組合としての漁協として相当程度の活躍が期待できるのではないかというふうに考えますので、一応目安といたしましては、その程度の漁協を目標として指導したらどうだろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/69
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070・兒玉末男
○兒玉委員 それから、今回の合併の期限が、大体その計画等については、昭和四十五年十二月三十一日までにこれを都道府県知事に出すということになっておりますが、水産庁としては、大体この合併実現の昭和四十六年三月三十一日までに現在の漁協関係をどの程度合併促進する大体の計画がおありなのか、この点明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/70
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071・池田俊也
○池田説明員 これも非常にかっちりしたものがあるわけではございませんけれども、県等のいろいろ御意見なりあるいは団体のほうの御意見等伺いました結果、いまの考え方といたしましては、四十二年度から四十五年度までの四年間に大体千三百組合ぐらいを合併の対象として考える、そして、これをかりに三組合が一つになるというふうなことで考えますと、現在は沿海地区の漁協は約二千五百ございますけれども、一応この事業を終わった後におきまして存在する漁協としては千六百程度に一応なる、こういうような目安を立てているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/71
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072・兒玉末男
○兒玉委員 これの合併を完成した場合においては、予算の範囲内において、適正な事業経営のために必要な施設の整備に要する経費等につき助成する。この「予算の範囲内」ということを特にこの説明の中で使っておるのは、これはどういうことを意味しているのか、その点御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/72
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073・池田俊也
○池田説明員 合併いたします場合に、実際問題といたしましては、かなり経費がかかる場面があるであろうと私ども考えておるわけでございますが、現在予算面で考えておりますそれに対する助成の一つの考え方といたしましては、一つの合併について、施設のいろいろな整備ということに重点を置きまして、三十万円の予算を考えておるわけでございます。これは一般的な常識から考えますと、非常に低いような印象を受けるわけでございまして、私どもももっと多ければ多いほどいいという感じを実は持つわけでございますけれども、従来のいろいろなこの種の措置に対します予算がほぼその程度のものを計上しておりますので、そういうような関係で、今回も三十万円というような経費を一応助成の対象として考えておるわけでございます。「予算の範囲内において」といいますのは、これは助成をいたします場合、大体あらゆる場合がそういうことになっているわけでございますが、今度の場合は一応定額的に考えておりまして、一合併について三十万円、しかしながら、その施設整備の経費が非常に少ない場合には三分の一を限度にする、こういう考え方でございます。そういう意味におきまして、「予算の範囲内において、」こういうようなことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/73
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074・兒玉末男
○兒玉委員 この合併をする場合、いままでの既存の漁業権も当然一緒になるわけでございますが、この資料の中で、漁業権行使規則の変更等につき特例を設ける、こういうことは、大体具体的に申し上げますと、どういうふうな状態をこの場合に特例を設けるということになっているのか、この点御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/74
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075・池田俊也
○池田説明員 これは法律にあるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、先ほど来いろいろ御議論があったところでございますが、従来、漁協は漁業権の管理というような一面の性格を持っているわけでございます。この共同漁業権というようなものを利用いたしますのは当該地先の漁民でございますので、かりに二つの組合が合併をいたします場合に、現在これは漁業法に規定があるわけでございますが、そういう関係のある漁民の三分の二以上の同意を得た上で、漁業権の行使についてのいろいろな取りきめをする、こういうことになっているわけでございます。でございますので、かりにそのまま特別の規定を置きませんといたしますと、二つの組合が合併をいたしました場合に、その二つの組合の組合員の三分の二の同意があれば、一応漁業権の行使につきましていろいろな取りきめをすることができるわけでございます。そういうふうに全然手当てをいたしませんと、従来利害関係を持っておりました漁民の利害と直接結びつかない別の取りきめをされる可能性があるわけでございます。そういうようなことでございますと、従来利害関係のある漁民の方が漁協の合併に反対をする、こういうような事態が考えられますので、その点につきましては、従来と同じく、従来からその利害関係を持っている漁民の方の三分の二の同意を得ないと漁業権の行使についてのいろいろな取りきめができない。従来どおり、こういうふうにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/75
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076・兒玉末男
○兒玉委員 その場合の三分の二の組合員の同意というのは、合併した組合における総会による三分の二なのか、それとも、合併前の単一の組合の三分の二を意味するのか、それはどちらなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/76
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077・池田俊也
○池田説明員 これは新しく合併されました組合の三分の二の特別議決がもちろん要るわけでございますけれども、そのほかに従来の三分の二の関係者の同意が要る、こういうことで二重になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/77
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078・兒玉末男
○兒玉委員 これはきょうもらった政令規定見込み事項の二の「第五条第二項の政令」で、あとのほうに、先ほど御質問いたしました予算の範囲内における内容の問題について、ここに書いてございます。「国の補助の額は、当該整備費の三分の一に相当する額又はその合併により合併した組合の数を十万円に乗じて得た額のいずれか低い額とすることを規定する見込み。」ということに書いてありますが、そういたしますと、先ほど部長が説明されました三十万円という金額との関連は、これはどうなっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/78
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079・池田俊也
○池田説明員 先ほどちょっと御説明のことばが足りなかったので、いまそのような御質問が出たんだと思いますが、これはその政令の規定見込み事項にございますように、三分の一が一応限度、それから、具体的な金額といたしましては、合併した組合の数に十万円をかける、一組合について十万円、それで、私三十万円と申し上げましたのは、三組合の合併ということを一応頭に置いて考えておりましたので、合わせまして三十万円、こういうことを申し上げたわけでございますが、正確に申しますと、一組合に十万円、それが施設整備費の三分の一以内でございますときには三分の一が限度、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/79
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080・兒玉末男
○兒玉委員 このあとの結びで、組合の数に十万円をかけた場合と、施設整備費の三分の一に相当する額と比較して、いずれか低い額とするというのは、国の補助額は低い額にするというふうな解釈でありますか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/80
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081・池田俊也
○池田説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/81
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082・兒玉末男
○兒玉委員 これもこの前の説明書の中に書いてありますが、昭和四十二年度の予算においては、合併助成のための経費として二千七百五十五万六千円と、きわめてこまかい数字が計上されておるわけでございますが、大体合併助成のための経費ということは、どういうふうなことでこういうふうな予算が組まれておるのか、この点御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/82
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083・池田俊也
○池田説明員 これはこまかい積算があるわけでございますが、大きく分けますと、先ほど御説明申し上げました漁協の合併に対する施設整備費の補助金、これが非常に大きなウエートを占めているわけでございますが、それ以外に、府県の合併を推進するためのいろいろな指導費に対する補助金、これも入っているわけでございます。
合併の施設整備費の補助金の積算でございますが、これは先ほど申し上げましたように、一組合十万円、あるいは三分の一、こういうことでございますが、一応私どもといたしましては、来年度、四十三年度の合併予定組合を二百三十三組合というふうに予定をいたしまして、したがって、一組合十万円でございますので、二千三百三十万円ということになるわけでございますが、そういうようなことで予算の積算をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/83
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084・兒玉末男
○兒玉委員 この合併の際、先ほど部長に御説明いただいたわけですが、漁業権の合併によってそれぞれ受ける損益といいますか、受益の程度といいますか、いままでの単一の漁協から合併に移行する際に、やはりその関係漁民の受ける利益の度合いというものに、多少のやはり変更を伴う結果になるんじゃなかろうかと思うのです。合併によって漁民の受ける漁業権のそういう非常に微妙な関係が伴なうのではないかと思うんですが、その辺の指導というものはどういうふうな指導をやろうとするのか。非常に漁民一人一人に関係の深い問題じゃないかと思うのです。しかも、その内容もたいへん私は多面にわたっておると思うのですが、その辺はどういうふうな指導をされるつもりか、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/84
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085・池田俊也
○池田説明員 これは先ほど御説明申し上げましたように、従来の利益を受けているものの保護というような規定を置いておるわけでございますけれども、場合によりましては、ただいま先生から御指摘いただいたようないろいろな利害関係の変更があるわけでございます。それで、私どもといたしましては、やはり従来の合併の事例等を考えてみますと、これは関係の漁業者の間でいろいろな話し合いが行なわれまして、そうしてその結果まとまったところで合併が行なわれる、こういうのがどうも大部分の事例のように承知しております。それで、実際問題といたしましては、その場合に、漁業権に関しては従来どおりでいくというのが実は大部分のようでございます。別の観点に立てばまたこれはいろいろな考え方があると存じますけれども、実際問題といたしましては、やはりそういうことでいかないとなかなか合併を進めるというわけにいかないのじゃないかと考えておりますので、そういうようなことが大体多いのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/85
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086・兒玉末男
○兒玉委員 これは直接合併に関連する問題ではないわけでありますけれども、こういうようにしてせっかく漁業組合の合併をやって、新たな時代の要請に即応する漁業協同組合組織強化ということになるわけでございますけれども、いままで再三指摘されているわけですが、沿岸漁業関係におきましても、特に大資本がいわゆる資本力にものを言わせてこの沿岸漁場を非常に荒らす、いわゆる侵害するというような事件等が、たまたま常日ごろ話題になるわけですが、せっかくの組織が強化されましても、沿岸漁業に対するこのような漁場の侵害ということについて、やはり私は積極的な指導をしていかないと、組織だけの合併ではその目的を達することは非常に困難ではなかろうかと思うのですが、その辺の関係についてひとつ御見解を承りたいと思います。これはひとつ長官から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/86
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087・久宗高
○久宗政府委員 長い漁業の歴史の中で、御指摘のような問題が沿岸と他の調整問題であったと思うのでございますけれども、現在の体制で申しますと、直接漁業それ自体の中におきましては、沿岸と大資本の直接的な競合は非常に局限されておるように思うわけでございます。特殊な事態、特殊な漁法におきまして若干問題を残しておりますが、分野も違いますので、特別さような問題は一応漁業内部においてはないと考えておるわけであります。ただ、御指摘のように、その他の分野におきまして、新しい問題といたしまして公害でございますとか、あるいは漁業以外の企業活動との関連におきまして、せっかくかりに組合をつくりましても、漁業の生産そのものが阻害されるような一連の問題がございますので、さような問題から考えましても、やはり漁民自体の組織をそれなりに強化しておかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/87
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088・兒玉末男
○兒玉委員 じゃ、もう一つ。実はきょうの新聞で報道されて非常に話題を呼んでいるわけですが、この前の中小漁業振興特別措置法と、外国人漁業の規制に関する法律の審議の際もだいぶ聞いたわけですが、専管水域の問題についての見解が出されたということですが、これはどういうふうになっておるのか、また、どういうふうな意図でこういうことが報道されているのか。非常に慎重に扱わなければいけない問題でございますけれども、その辺の見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/88
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089・久宗高
○久宗政府委員 御質問の内容がちょっとのみ込めないのでございますが、具体的にはどういう問題でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/89
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090・兒玉末男
○兒玉委員 日本の主張がいままで大体領海三海里説というのをとってきたわけですが、これを十二海里に拡大をする、そういうことで、これについていろいろ関係者の取り組みとかなんとか、そういうふうな意味の報道がされている。これはこの前の質問の際、専管水域、領海の問題は非常に慎重な答弁をされてこられたわけですが、そのことを長官は全然関知していないのかどうか、どういうことでこういう報道がなされたのか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/90
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091・久宗高
○久宗政府委員 きょうの報道そのものは私、見ておりませんけれども、数日前一部の新聞に、太平洋地域におきましてさような話し合いをすることはどうであろうかといったような記事が漏れたのを見たことがございます。政府部内におきましては、さような決定は一切いたしておりません。私どもの知っております範囲では、検討問題として一つの作業を一部でやっておったように聞いておりますけれども、政府部内におきまして、さような具体的な決定をいたしまして方針を変更したということは一切ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/91
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092・兒玉末男
○兒玉委員 いま長官の答弁の中で、そういうことを検討したというふうに返事をされておりますが、それはいつごろそういうことを検討されたのか、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/92
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093・久宗高
○久宗政府委員 これは外務省のほうの一部で、専管水域問題がいろいろ出ました際にそれの勉強会をやっておられまして、その際に、二国間で話し合いをするのにはなかなか時間がかかりますので、多数国間でもしそれを議論したらどういうことになるであろうかといったようなことを、ごく一部の限られた部局におきまして、宿題といたしまして検討しておられたことは聞いております。しかし、これはまだ何ら政府の決定に関与するものではございませんので、一部新聞にその問題が出たように聞いておりますけれども、政府部内におきましての正式な検討になったものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/93
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094・兒玉末男
○兒玉委員 これは特に水産庁にとりましては重大な問題ではなかろうかと思うわけです。しかも、特に今回の外国人漁船の操業に関する問題につきましてもかなり反響を呼んでいる問題でありますし、いま、きょうの新聞に載っておるのを読んでみますと、本日の毎日新聞の二ページでございますが、こういうことが書いてあるのです。「十二海里説認める方針」、「漁業専管水域牛場次官語る」、「外務省の牛場事務次官は、十九日午後の記者会見で「太平洋地域の漁業専管水域問題について検討しており、十二海里の専管水域を原則として認める方針で、太平洋漁業条約をつくる構想を研究している」と述べた。また、同次官は「この場合、漁業専管水域は十二海里説でもよいが、領海については、従来の日本の主張どおり三海里説をとることが政府の正式な方針である」と語った。同省は、これまで領海三海里説にしたがって漁業専管水域もなるべく拡大を認めないという基本方針をとってきたが、最近では各国間で専管水域を十二海里に設定する動きが強くなっている。このため同省は、原則的に十二海里の漁業専管水域を認めて、太平洋周辺各国の多国間交渉による解決を図ろうとしているわけである。」、こういうことで、正式に記者会見でその構想を明らかにしていることは、すでに外務省の方針というものが、明らかに研究の課題から方針が確認されて、この記者会見による公式発表になったものと理解をするわけですが、このことについて水産庁のほうに何らの打診もなく、一方的にこれが発表せられたことは、今後の日本漁業の問題、国際漁業の問題についてもきわめて重大な問題でなかろうかと思いますので、長官もこの際、よくこの新聞を見ていただけばわかることでございますが、これはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/94
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095・久宗高
○久宗政府委員 繰り返し申し上げますように、政府部内におきましてさようなことが決定されたことは一切ございません。
なお、これは新聞記事でございますのでわかりませんが、ごく一部のところで研究をしていることは聞いております。聞いておりますが、少なくともそれは、現在の段階で政府の方針でも何でもございません。
それから、また今日御質問がございますけれども、この段階でその問題につきましての論評をいたすことは、対外的にも差しさわりがあるように思いますので、控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/95
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096・兒玉末男
○兒玉委員 これは非常に外務省の独断専行といいますか、水産庁の存在を無視した問題だと思います。そうでないとすれば問題だと思いますので、この点ひとつよくお打ち合わせをいただきまして、明日さらにこの点についての見解を明らかにしていただきたいので、明日責任ある御答弁をしていただくことを要求いたしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。
〔森田委員長代理退席、仮谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/96
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097・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 玉置委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/97
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098・玉置一徳
○玉置委員 漁業協同組合合併助成法案の質問をいたしたいと思います。
まず最初に、過去に合併しました漁協におきまして、どういう法令に基づいて、どういうような成績があがっておるかについて御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/98
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099・池田俊也
○池田説明員 先ほど兒玉先生から御質問がございまして、お答え申し上げたことでございますが、昭和三十五年に漁協整備促進法が制定されまして、赤字不振組合の整理を目標にいたしまして事業が進められたわけでございますが、具体的には固定化負債の整理、それから、欠損金の補てんということで必要な助成を政府がいたしまして対策を進めたわけでございますが、具体的には整備対象組合数といたしましては、当初予定が二百七十三組合ございましたが、それの大体九割に相当する二百四十五組合を対象にいたしまして事業を行なったわけでございます。なお、そのほかに、知事の勧告によりまして合併を促進する制度があったわけでございますが、これにつきましては、予定が二百九十二組合でございましたが、四十一年度末までに四百九十組合を対象にしたわけでございます。大体そういうふうな進行状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/99
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100・玉置一徳
○玉置委員 整備促進法によるものは、赤字解消その他経営内容の改善に伴って必然的に出てくる合併だと思います。それから、知事のほうのとおっしゃいましたものですが、これの合併を勧告されまして、それはどの程度できたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/100
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101・池田俊也
○池田説明員 これはただいま御説明申し上げましたように、四百九十組合が一応その対象になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/101
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102・玉置一徳
○玉置委員 全体の漁業協同組合は幾らありまして、なお合併を促進したほうが経営上適切であると思われるものは、そのうち幾らぐらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/102
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103・池田俊也
○池田説明員 現在沿海地区の漁協が二千五百ほどございますけれども、この中で一応法案の対象として考えておりますのは千三百組合ほどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/103
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104・玉置一徳
○玉置委員 そこで、従来合併されまして、再建整備のほうは別にいたしまして、合併をすることによって効果があった、著しく効果が目に見えたと思われるのはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/104
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105・池田俊也
○池田説明員 これは合併をいたしますれば、当然経済的な基礎が強くなるわけで、事業面で好影響があるわけでございますが、私どものほうで、従来都道府県を通じまして調査をしたものがございますが、その調査の結果で、関係の方の合併による効果についての御意見を伺ったわけでございます。その調査の結果を見ますと、関係の都府県の中で、二十一の県が漁協の——これは非常に一般的な言い方でございますが、漁協の事業基盤が非常に確立されて、そういった意味で非常にプラスがあった、こういうふうに答えておりまして、さらに十一の府県におきまして、経営の合理化が促進されたということを答えております。さらに漁協の信用力が増大をしたと答えておりますのが八ございます。それから、これは県を通じての調査でございますが、まず具体的な漁民の声といいますか、そういうことを政府のほうで別に世論調査をしたものがあります。これも見てみますと、一般的な言い方でございますが、合併をして非常によかったというものと、合併をしてもあまり効果がなかったというものを比べますと、非常によかったというものが倍程度ある。そういう結果が一応出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/105
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106・玉置一徳
○玉置委員 そのうち、よかったというところで信用力が増したということ、これは具体的には非常にあれが出ると思うのですが、そのほかには、生産面でプラスになるような問題は、さして直接にはないのではないだろうか。そうすると、信用力が増大をするということは、たちどころに出てくるものではないという気もするのですが、ただ問題は、農協合併等と違いまして、いずれも僻地にあります漁業協同組合の合併でございますので、逆にまた障害も農協合併と違った形であると思うのですが、障害の著しいと思われるものは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/106
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107・池田俊也
○池田説明員 これは確かに、先生御指摘のように利益がありますと同時に、一方ではマイナスの点もあるわけでございます。先ほど申し上げました同じデータでございますが、従来どういう点がマイナスの点かという調査から見ますと、これはかなり大きく取り上げられていることでございますが、どうも組合員間の一体化といいますか、一本化といいますか、連帯感といいますか、そういうようなものが希薄になったというのがかなりございます。十二の府県からそういう返事が参っております。
それから、もう一つの具体的なことでございますが、これもいまとやや似たようなことの具体的なあらわれと存じますが、総会の開催が非常にむずかしくなった。地域が広くなりましたために、どうも組合員の出席率がよくないということで、総会の開催が前よりはむずかしくなったというのが六つございます。
それから、どうも地域が広くなったということから、組合の利用があまり便利でなくなった、前のほうが便利だったというのが四程度ございます。
あとは比較的少のうございますが、現在、先ほど申し上げました調査から出ておりますところでは、そのような点がやや大きな点ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/107
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108・玉置一徳
○玉置委員 そこで、前の整備促進法によりまして、あるいは知事の勧告によります合併、もう一つ、これは時間切れになってきたからこういう法案を整備されたのだろうと思いますが、私の心配していますのは、障害のうちで、定置漁業権、それから特定区画漁業権、共同漁業権、この三つのうちで、合併することによって何か在来持っておりました固有の権利が将来失なわれるのじゃないかという心配のあるのはどれであって、それについてはどういう措置をされるか、この三つの漁業権の問題でひとつ説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/108
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109・池田俊也
○池田説明員 いま先生から御指摘いただきました漁業権の関係で、特に私どもといたしまして問題があるのではないかと考えておりますのは、共同漁業権の中では第一種の漁業権でございます。それから特定区画漁業権といっておるのがございますが、これが特に問題になるのではなかろうか。今回の法案の中では、第一種の共同漁業権につきまして、従来の関係の深かった方々の利益を擁護する、こういうような措置をとっておるわけでございますけれども、それならば、特に問題になる二つの漁業権の中で、特定区画漁業権についてなぜこういう規定を置かなかったかということでございますが、これは実は漁業法自体に、大体今回の第一種共同漁業権についてとりました本法案による措置と同じ種類の規定がございます。これについては、やはり従来の利害関係者の三分の二以上の同意を得なければならないという規定がございますので、これについては特に規定する必要はない、こういうことで、実際に問題になりますのはその二種類でございますけれども、そういうような措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/109
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110・玉置一徳
○玉置委員 共同漁業権の免許が切れるまでの措置としては措置されておりますけれども、四十八年で免許が切れてからどうされるか、これも漁民の一つの心配のあるところじゃないか、こう思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/110
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111・池田俊也
○池田説明員 ただいまの先生の御趣旨は、今回はこの制度によりまして共同漁業権等につきましてはそういう特例措置があるからよろしいが、漁業権が一応切れて次の段階にはどうなるか、こういう御趣旨かと思うのでございますが、これは現在の漁業法のたてまえからいたしますと、一定の漁業権につきましては存続期間がございますので、その存続期間が終わりました後は、全く新たな観点から漁業権の免許が行なわれる、こういうたてまえになっておりますので、今回の漁業権の期限が切れて、そのあとに新しく免許されるかもしれない漁業権についてまでこのような特例を置くことが、漁業法のたてまえと必ずしもマッチいたしませんので、現在の漁業権の存続期間内に限定する、こういうふうにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/111
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112・玉置一徳
○玉置委員 そのことはよくわかりますけれども、四十八年の免許が切れる時分にもう一回よく再検討していただきまして、漁民の実態に合うように措置していただきたいと思うのであります。
そこで、水産庁長官にお伺いいたしますが、こういうようにして漁業協同組合の規模を大きくする、適正規模にするということが、今後沿岸漁業の振興のために必要な大きな柱の一つであるということにいたしましては、私はあまりにも助成措置が貧弱だと思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/112
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113・久宗高
○久宗政府委員 この種の施策につきまして、農協ないしは林業組合にも先例がございますので、それとの見合いをつけまして、先ほど御説明しましたような内容になっておるわけでございますが、私、お尋ねもありますので、この機会に明らかにしておきたいと思うのでありますが、ただいまの御質問とも関連いたしまして、漁業権の処理が現在の組合員の方に不満を与えて、それが障害になるのではないかという点が非常に強調されておるわけでございますけれども、ありていに申し上げますと、一番大きな問題は、九割近い漁業協同組合がいわば旧市町村の区域になっておるという事実でございます。
これは現在の経済活動から見まして、的確に申せば、たまたま漁業権管理という仕事があるのが名目になりまして、実際は漁民は組織がなくて経済行為をしておるということになると思うのであります。ですから、かりにもし農協の場合こういうことがございますれば、漁業権管理というような問題もございませんので、当然組合員から組合は何をしているのだという問題が出ざるを得ないわけでございますけれども、たまたま従来の浦浜によって第一次の漁業制度の改革が主として漁業権との関連で問題にされましたことから、当時占領下でもございましたので、この種の権利と組合と直接結びつけますことについて長い争いがございました。これが中心で問題が展開されたものでございますから、漁業権というものが非常にきわ立って表に出たわけでございます。しかし、その後十数年たちましてなおかつ旧市町村区域以下でしかも組合があるということは、漁業権管理に名をかりて実際の経済活動をサボっていたと言われてもいたしかたないのじゃないかと思います。それが団体の内部におかれましても非常に問題になりまして、この際思い切って、やはり経済活動というよりは本来の組合活動、それを立て直そうじゃないか、その惰性を切ろうというために組合の合併問題が出てきておるわけでございます。手段といたしましては、組合合併のその基準といたしましては、経営規模の拡大、こういうことになるわけでございますけれども、どちらかと申しますと、今度の法案の意義は、それを個別的にやるのじゃなくて、法律に基づきまして、合併という手段を通じて、いままで漁業権管理に隠れて非常に活動が不活発でございました経済活動それ自体に取り組む、こういうことに尽きると思うのでございます。
それで、ごく特殊な場合におきましては、漁業権問題が非常にやっかいな問題でありますけれども、一般的に申し上げれば、そんなにむずかしい問題ではない、ただ、それがあるのでやらないのだという口実になっておったというのが事実じゃないかと思います。さようなことで、私どももただ役所のほうから働きかけてそれを打開しようということではなくて、経済活動もどんどん動いてきておりますし、また一方、十分でございませんでした貯金の問題なんかにいたしましても、非常な努力によりまして、ある大台を突破するという事態にもなってまいりましたので、団体の側におきましても、この際本格的に協同組合活動をもう一回初めからやり直そうじゃないかというくらいの機運が出てきておりますが、たまたまそれと関連しまして、従来若干手が抜けておりました漁業災害補償制度の問題にいたしましても、あるいは中小漁業振興の問題にいたしましても、全部問題が出そろってまいりましたので、この機会にあらためて協同組合活動を——漁業権のいわば自縛と申しますか、お互いに錯覚にかかっていると思うのです。漁民自身も、これによって何か守られていると考えておりますけれども、それは実はそうではございませんので、これを活用いたさなければこの経済活動の中で脱落していくことははっきりしておりますので、むしろそういう惰性を切る意味のほうが強いのではないかと思います。今回特例がございますために、個々の処理に必ずしもむずかしい問題はないと思いますけれども、むしろ漁業権問題はむずかしくないのだということを非常にはっきり打ち出していく必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。これにとらわれて、いままで経済活動を組織化していなかったことの弊害と申しますか、漁民に対する不利は比較にならないほど大きいのではないかと思いますので、私どもといたしましては、この際、漁業権問題につきましては、理論的には若干の問題があっても、とにかく従来どおりそんなものにあまりこだわらないで、経済活動の適当な規模を思い切ってねらっていったらいいのじゃないかということを鮮明に打ち出して、指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/113
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114・玉置一徳
○玉置委員 水産庁長官のお話のとおり、従来の権益は守ってあげなければいかぬけれども、せめて現在の市町村単位くらいの大きさにして、つまり、地先並びに生産基盤を強化していくことのほうが非常に大事だ、この点まったく同感であります。
そこで問題は、私の申し上げるのは、沿岸漁業の振興というものが大きな柱の一つだとすれば、合併に三十万円くらいの助成では何にもなりませんよ。私は、農協の合併のときにも組合長をしておりましたから、この農林水産委員会で質問申し上げたのですが、便所をつくるとか自転車置場をつくれば三十万円くらいはなくなるのです。ことに漁港の場合は、へんぴなところに点在しているところもあると思うのです。そこで、先ほどいろいろお話もありましたとおりでございまして、背後地の交通網の整備というものを、この法案とは別でございますが、やはり前にガソリン税免税による手当てがございましたが、ああいうものをひとつ優先的にお使いなさって、背後地の連絡網、交通網の完備ということをやはりあとづけてあげなければ非常にまずいのじゃないかと思うのが一点と、それから森林組合の場合にもこれは起こるのですが、農民は森林組合の組合員であって、しかも農業協同組合の組合員であります。漁協も特殊なところは別といたしまして、そういうところもたくさんあり得るのではないか、それがほとんどへんぴなところであります。したがって、農協としても基盤は脆弱であり、漁協としても同じようなことが言えるのじゃないだろうか。組合員にすれば、それぞれ違う職域に入っておることも事実でありますけれども、生計というものは、大体そういうものを合わせて一本というのが多いわけでありますから、何かそこらに運営の一つのくふうが要るのじゃないだろうか。なるほど林野庁であり、水産庁でありますから、いろいろ分かれておりますけれども、末端は同じであるというお考えもいただきまして、将来の運営の妙を考えていく必要があるのじゃないかという感じがするのですが、第一点のヒンターランドの交通網の整備、並びに二番目の、ただいま申しましたようなその他の協同組合との悪く言えば競合、よく言えばこれを何か包括的に運営するような方法があり得ないかどうか、こういうことについての所感をひとつお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/114
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115・久宗高
○久宗政府委員 たいへん大事な問題の御指摘でありまして、実は私どもも、今回の組合合併をこの時期にやるべきか、若干延ばすかという点を迷った時期がございました。それは主としていま御指摘のございましたような非常な変動期でもございますし、ことに漁協が先ほど申しましたように現在旧市町村区域以下というのが九割もあるというような非常なおくれ方をしておりますので、次の形を予測いたしますのに、現在の高度成長が安定成長になりました場合に、どういう背後地の骨格になるか、特にこれはマーケットとの関連から考えましても、非常に大きな問題でございますし、また漁港でしばしば御批判を受けますように、漁港計画を今後次に直します場合には、当然いま御指摘のような問題と関連して、これが沿岸におきます大きな施策の一つの中核になってまいるというふうに考えまして、そういうものを全部組み合わされる時期はいつであろうかということを実は考えたわけでございます。ただ、現在のところ、漁業権管理のむしろ逆の弊害のために、全く他の組合と隔絶いたしまして、おくれた形をとっておりますし、むしろ本来の経済活動はやっていないと言ったほうがいいくらいのものが相当広範囲でございますので、かりにいまの御指摘のような機運が動いてまいりまして、漁港の計画とか道路計画が相互に結びついて今後の経済発展の一つの幹線と申しますか、ワクが大体きまってまいります場合におきましても、いまのままからいきなりそれには飛び移れない、その前に考え方を相当変えて、いろいろ検討をしておいて、漁民の方にもそれを受け入れるだけの考え方なり体制が整っておりませんと、その時期になっていきなり組合をくっつけようとしてもとてもできないのではないかということを考えまして、若干その意味では道具がそろうのには時期尚早ではないかという感もいたしますが、あえて組合合併を法律によって解決するようなことにいたしたわけでございます。国会におきましても非常にたくさんの御議論をいただきましたし、さようなことで、漁民の関係者がこの問題に関心を持ちまして、次の発展段階との関連におきまして、たとえば合併の場合におきましても、そういうことを予測いたしませんで、ごく隣だけの合併程度でお茶を濁そうというような場合におきましても、もう一ぺん深く打ち込みますと、数年後にはここを中心にものを考えたほうがよろしいということで、やや具体的に考えられる地域もございますので、現在の施策におきましては、直ちに結びついておりませんけれども、多少そういうものの展望を持って今回の提案をいたしているわけでございます。少し進みました県におきましては、私どもの標準よりももっと越えまして、具体的に次の段階におきます拠点とその周辺地域の関係まで相当突っ込んだ調査をなされまして、あるプランを持っておられる地域もございますので、そういう二、三の事例を使って動いていただきますと、これは伝播力が大きくて、そういう事例がもし伝わりますと、他のおくれた県におきまして、先生御指摘のような展望で合併問題は機運も出るかと思いますので、そういうふうな順序で進めてまいりたいと思っております。
それから、先ほどの別の委員の方からも御指摘がございまして、一応のお答えをいたしましたけれども、ある地域におきます農業なり林業なり漁業の組織の問題でございますが、昔産業組合がございましたような当時のことを考えますと、一応それぞれ林、水、農と分かれて組織をしておりますけれども、ある地帯におきましては、そういうことはそこの第一次産業関係者としてはむしろ非常に不便で、もっと違ったやり方があってもよろしいのではないかという議論もございます。現に基本問題を検討いたしました過程におきましても、これを一律に強制するのではなくて、特定な地域においては第一次産業関係者が一つの組織によって十分やり得るんじゃないか、これを法制的に研究してみようといったような課題が突っ込んで議論された時期もあったわけでございます。地域を限定いたしますことが非常にむずかしいために、むしろそのような問題の提起が混乱を起こしはしないかというようなことで、必ずしも詰め切れないで終わった経緯がございますので、私どもといたしましては、現在特に非常にへんぴなところにおきましては、メンバーの数から申しましても、一つの考え方だと思うわけでございます。必ずしもそれに適合する法制の特例措置がございませんので、地域の実情に即して準会員でございますか、そういう取り扱いによってカバーするとか、その程度のことで済んでおるわけでございます。ただ、多少今後の問題として違うと思いますのは、現在のような形で組合が漁業権管理にこだわっておりますと、まさにそういう問題が非常に多いわけでございまして、多少これが漁業権の管理を飛び越えまして経済活動を中心に動こうといたしますと、へんぴなところでございました場合に、農業、林業関係はやはり土地に定着いたしますので、その体制はなかなか破れにくいと思うわけでございますが、水産関係ではやはり漁場が広がっておりますので、もしほんとうに経済活動を中心に漁場の問題を考えようといたしますと、ちょっと農、林と経済活動の指向と申しますか、向かっていく方向なり動く範囲がこれからは違い得るんじゃないかというふうに思うわけでございます。そういう点から申しますと、かえってそういう段階で一本にすることか、逆に漁業権の管理からははずれたけれども、経済活動の点で、本来漁業プロパーで考えればもう少し漁港とのつながりを中心にものを考えるとか、そういうことができにくくなるおそれもなきにしもあらずと思いますので、その段階では、新しい要素が出てきただけに、特別にある地区を限ってそういう措置をとるのがいいのかどうか、私もちょっとこの段階で判断がつかないわけでございます。ただ、御指摘のような問題もございますし、ある発展してまいります段階で、無理やりに水産業の協同組合でなければならぬというふうにかたくなに考える必要はないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/115
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116・玉置一徳
○玉置委員 合併をいたしました農協の連絡、協調がたやすくでき得るようなヒンターランドの交通網の完備をお願い申し上げたわけでございますが、さらに、久宗長官が述べられましたとおり、中心港というのは言い方が変でございますけれども、せんだっての質問にも申し上げましたとおり、あらゆるヒンターランドの設備の完備しておるところというものがどうしてもできてくるんじゃないだろうか、またできさせなければいかぬのじゃないだろうか。それは画一的な規模ではございませんでしょうけれども、背後地の周辺地への交通の便、あるいは冷蔵庫あるいは加工業というようなものを逐次整備した中心港ができてくるような形で、これを配置と申しますか、あんばいするというのですか、そういう考え方を持って協同組合の合併というものをながめていくというような姿勢もあっていいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/116
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117・久宗高
○久宗政府委員 全く同感でございます。ただ、いまの背後地を含めましたいわば開発が、少なくともいままでのテンポで申しますと、非常に片寄っているようにも思いますし、時間的にもいろいろなあと先の問題がございますので、おそらくそういう考え方で私ども対処いたそうと思っておりますけれども、過渡期がどのくらいかかりますか、その間にも日常の業務がございますので、一ぺんにそれを想定して飛び越えてしまうというわけにはいかないかもしれません。この点は地域によって非常に違いますので、県内並びにその漁業の組織の方とも十分御相談をいたしまして、無理のないような形で、しかし、方向はやはりおっしゃるような方向ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/117
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118・玉置一徳
○玉置委員 先の質問に出たかと思いますが、認定基準はだれか質問されましたか、まだですか——この合併の認定基準を大体どういうようにいまお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/118
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119・池田俊也
○池田説明員 これは非常に画一的な基準をつくりまして、それを機械的に当てはめていくということをいたしますと、必ずしも合併の実情にそぐわないのではないかというふうに考えられますので、かなり県の自主的な判断というようなものを尊重していくのがよろしいのじゃなかろうかと考えるわけでございます。一般的な基準といたしましては、大体これはいろいろな点から検討してみたのでございますが、現在の沿海地区の漁協の平均的な数字でございますが、これは販売事業の事業量が大体八千万円強、それからその事業を動かしてまいります常勤の役職員の数が六人強というのが現在の平均的な数字でございます。現在、これ以下のものが非常に多いわけでございますけれども、この程度のものに引き上げるということがまず当面の一つの目標ではなかろうかというふうに考えておりますので、大体のその認定の基準といたしましては、この程度のものを考えておるわけでございますけれども、なお、これはそのときどきのいろいろな事情がありますので、相当これは弾力的に考えて処理をしたほうがよろしいのではなかろうかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/119
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120・玉置一徳
○玉置委員 まあ、これは認定の基準でしょうから、非常に地域によって格差のある漁港ができますので、弾力的な運営が望ましいというのは当然だと思いますが、この法案を四年間ということにされましたのは、何か四年間にほぼできるというようなめどが、あってかどうか、御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/120
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121・池田俊也
○池田説明員 これは何年間にこの目標を達成するのがよろしいかというのは、いろいろな考え方があるかと思います。実はこの四年間ということをきめます前に、私どもの中でもいろいろ議論をいたしまして、あるいは五年間という考え方もあるのでございます。ほかのいろいろな事例でも五年というのが相当ございます。それで五年間にするのがよろしいか、四年間にするのがよろしいかということでございますが、私どもといたしましては、基本的な考えとしては、やはり最近かなり合併に対する認識が強まったといいますか、意欲が高まったと申しますか、そういうふうに感じられますので、やはりこの際ひとつ大いに馬力を上げてやるという体制で持っていったほうがよろしいのじゃなかろうかというふうに考えた次第でございます。最近の合併の件数でございますが、たとえば昭和四十年では、たしか二百十組合であったか合併の実例もあるわけでございますので、そういうようなことからいきますと、四年間に千三百組合ということになりますと、一年平均で三百数十組合でございますから、まあ法律をつくりまして、若干、額は少のうございますけれども、助成金を出すということからいたしますと、そのくらいの目標を掲げてよろしいのじゃなかろうか、かように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/121
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122・玉置一徳
○玉置委員 水産庁長官、この際、合併の助成は、先ほどのお話のようにわずか十万円程度の助成である。そこで、合併をいたしますことによって、一番大事な沿岸の漁業振興の何か一つの突破口をつくろう、推進役にしたいというようなことで、生産面もしくは生活面でもよろしいのですが、こういうことをやりたいというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/122
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123・久宗高
○久宗政府委員 沿岸漁業全体の問題と関連いたしまして、何度か多少見解を申し上げたわけでございますけれども、先ほどもちょっと御質問の出ましたような背後地も含めました流通の骨格と申しますか、そういうような問題が一つ。それから、御承知のとおり、試験研究分野で長い検討の結果、やや増養殖関係、沿岸の画期的な要素になりますような技術が熟しかかってきているような問題もございます。また、港の関係、背後地とは別に、港プロパーで考えましても、相当集中的な投資といったような問題も関連して考えますと、沿岸には、およそばく然とではございますけれども、養殖漁業、漁船漁業の組み合わせをいたしまして、次に拡大されました市場関係との結びつきを考えますと、およそ大体の漁業関係者の皆さんの中にもビジョンらしきものが徐々にできかかっておるわけであります。
さような意味におきまして、私どもは、それが動き出しました場合にも、何と申しましても漁民個々では制度的な取っかかりもございませんし、やはり一番それの受け手になり、かつにない手になります協同組合、現在のように半身不随——と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、ある機能を果たしていないということでは困りますので、少なくとも正常な経済活動ができますような体制にぜひ持っていきませんと、いろいろな施策の可能性が出てまいりました場合にも、それを政策に乗せられないという感じがしているわけでございます。
そこで、この段階での合併の中にはさような問題を織り込みかねるわけでございますけれども、合併の機運の出てまいりましたのも、実はそういうことがはだで予見されますので、急速にそういう意向が高まっている問題でございますので、なるべく私どもといたしましては合併の形にはあまりとらわれませんで、そういう機運がバランスよく出てまいりますように、県によってもいろいろ違うと思いますけれども、数年後に来たるべきいろいろな体制の準備——と言うと、少し語弊かございますけれども、そのくらいのつもりで処理をしてまいりたいと思っておるわけでございます。あまり早く固めてしまうのもいかがであろうかというような気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/123
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124・玉置一徳
○玉置委員 先般中小漁業振興のための法案が準備されたわけでございますが、一番大事な沿岸漁業の問題は、長官もお話しのとおり、その個々をどうするということはなかなかむずかしい、やはり組織を固めていくしかないと思うのです。せっかくこういう組織を固めるわけですから、この信用力も大きくなり、強くなる、こういうところの機運をうまく利用されまして、浅海養殖はもちろんのこと、背後地のすべての経済的の措置を、こういう問題と一緒に、非常に優秀な意欲の多いところへは融資、その他の適切な配分をすることによって、ひとつ沿岸洲業全般の生産が意欲的に高まるような措置を同時に講じていただきますことを私は要望しておきたいと思うのです。長官の御説明がありましたのもそういうところにあるのじゃないか、こういうように期待をいたしまして、せっかくの漁業協同組合の合併助成法案が、こういう助成という問題なしに、もっと大きな生産意欲のかり立てと生産基盤の完備をねらっておるのだというように解釈をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/124
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125・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 中野明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/125
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126・中野明
○中野(明)委員 私のほうからは、漁業の基本的な問題を二、三点お尋ねしまして、それから、いま出ている法案のことについて、気づいた点をお尋ねしたいと思います。
まず最初に、漁民ということの定義について、いろいろ法文にも出ておりますが、その点を最初にお尋ねしたいと思います。どの程度まで漁民ととらえていらっしゃるか、ひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/126
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127・池田俊也
○池田説明員 漁民についきましては、水産業協同組合法に実は定義があるわけでございますが、これによりますと、「漁業を賞む個人」、あるいは「漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に従事する個人」、いわゆる漁業従事者でございますが、この二つのグループがございまして、これを一応漁民といっているわけでございます。ただ、これは比較的抽象的な基準でございまして、具体的にどこをどの程度が漁民であって、どの程度が漁民でないのか、そこいらは非常にむずかしいわけでございます。
それで、水産業協同組合の組合員の資格は当然この漁民の定義と関係するわけでございますけれども、これにつきましては実は定款できめる、ただ、その最低限度といいますか、漁業に従事しておる日数か九十日——百二十日というのがございますが、その間で適当なところできめる、こういうふうに実はいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/127
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128・中野明
○中野(明)委員 いまもお話にありました協同組合のところで、かなり具体的な線が出てきているわけですけれども、九十日というのは、これはその当時相当議論があったのだろうと思うのですが、何か九十日になったところに根拠、裏づけとなるようなものがあったのでしょうか。何かを基準にして出されたと思うのですけれども、その点をもう一度ちょっと確認しておきたいと思うのです。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/128
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129・池田俊也
○池田説明員 これは、私、当時どういう議論があったかは十分承知していないのでございますけれども、想像いたしますに、大体年間を通じて四分の一程度の日数漁業に従事していない場合におきましては、これはちょっと漁民とは言えないのじゃなかろうかというような考え方が、非常にざっぱくな考え方でございますけれども、おそらく背後にありまして、最低の線を九十日、しかし、できるならばもうちょっと上というようなことから、まあそれを一応最低にいたしまして、漁業協同組合の正組合員の資格をきめるというのがいいのではないか、こういうような考え方でございますが、非常にがっちりした根拠があるというわけではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/129
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130・中野明
○中野(明)委員 おそらくこれは今後も問題になってくるのじゃないかと思いますが、これからの漁業の方向として、一般でもよく漁業の純化というのですか、そういうことを言われる人が多いわけですが、そういう点について、水産庁としてどういうふうな考えを持っていらっしゃるか。いまの漁民の定義ということにつきましても、もう少しはっきりさす時期がきているんじゃないか、このように私は考えるわけですが、その点……。
〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/130
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131・池田俊也
○池田説明員 これは二つの考え方があると思います。要するに、正組合員としての資格を純粋に漁業を営んでおるものに限定をして、いわば漁民の主体性を確立するといいますか、そういう考え方が一つあると存じます。それからもう一つは、やはりこの漁業協同組合というのは、農業その他と同じでございますが、先ほど来いろいろ御議論があったところでございますが、要するに、農漁村における経済団体といいますか、協同組合としての性格、それから地域的な協同組合としての性格ももちろんあるわけでございます。その二つをどういうふうに調整するか、こういう問題だと思いますが、現実の事態におきましては、まあ漁協の最近の事情でございますが、正組合員の数が傾向としては減少しておる。それに対して準組合員の数が、やはりこれも同じく傾向としてはふえる、こういう傾向がございます。これはおそらく沿岸漁業のある意味の実態じゃないかと思うのですが、こういうような事情を考えますと、いろんな考え方はあると存じますけれども、あまり漁民の主体性を封鎖といいますか、そういうような線できつく考えることは、必ずしも実情に合わないのではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/131
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132・中野明
○中野(明)委員 他の産業と比べて漁業は非常におくれておる。これはだれしも認められるところなんですが、そうなりますと、漁業をもっともっと振興していく上においてその基本問題をはっきりしないと、相当強力な施策をいたしましても結局効果が非常に薄いんじゃないか、そのように心配するわけです。そこら辺、この漁民の定義の問題については、これは基本的な問題になりますけれども、将来これは——二、三、協同組合の組合員になるかならぬか、するかしないかということについても、ごたごたしておるところもあるように聞いております。そういう点、水産庁として協同組合法の改正まで持っていかなければならないというようなところまで考えていらっしゃるのかどうか、そこのところを最初にお聞きしておきたかったわけです。蛇足になりますが、せっかくの対策を講じられても、その辺があいまいであった場合にはほんとうの効果が薄い、そのように私は心配するわけです。その辺、将来の方向として水産庁としてはどこまでお考えになっているか、ちょっとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/132
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133・久宗高
○久宗政府委員 漁業を産業として確立しようということになりますと、方向としては、やはり先生のおっしゃるような純化と申しますか、そういう方向であろうと思うわけでございます。また、事実いままでの足取りを見ましても、だんだん、漁民の定義の中で、むしろしぼりがきかされているような経過をたどっておるように思うわけでございます。その意味におきましては、一般の農業なり林業なりでの資格よりは、資格の問題につきましては現在しぼっているのがいい悪いの御批判はあろうと思いますが、多少しぼりをかけてきたように思うわけでございます。また、今後それが弱まる方向ではなくて、強まる方向であろうと思うわけであります。ただ、部長から申しましたように、そういう産業ないしは企業的な方向と、また同時に漁村生活ということを考えました場合に、これも近来非常な激変が行なわれておりますけれども、少なくとも協同組合法ができました過程で、あるいは幾つかの漁業制度が変わってまいりました過程におきましては、まだしかと厳密に漁業を産業として割り切ってしまうという形ができませんで、地域生活といったようなものも含めて、また、それらのただ一つの寄るべき組織としての幅を持っておりましたので、多少その点が、御指摘を受けますと二兎を追うような感がするわけでありますが、これが同時に漁村の現実の姿であったとも思われるわけでございます。
そこで、私どもが定款でいろいろ処理をきめておりますのも、それぞれの発展段階なり地域の実情に応じまして種々種類がございますけれども、その中で若干の幅があってもよろしいのではないかというようなことで処理をいたしておるわけでありますが、今後経済の発展段階のいかんによりましては、むしろ専業的な方々からは、もっとしぼってもらいたいという強い御要望が出てくる可能性が、相当強いのではないかというふうに思うわけであります。
なお、漁業権の種類にもよりまして、漁業権の中で、やや従来の慣行から見ましても、その地域の方々がほぼそれに依存してきたようなものにつきましては、これは非常に厳密に専業的な方に限定することが困難な漁業種類もございますので、これは今後の漁業の発展段階におきまして、そのような漁業の持っておりますウェート、あるいは沖合いのほうの漁船漁業のウェートがどう変わってくるかによりまして、若干ずつ違ってまいるのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/133
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134・中野明
○中野(明)委員 いずれにしましても、漁業の振興については、また水産庁として当然担当部門ですから、一生懸命やっておられると思うわけですが、いままでの水産の行政のあり力を仄聞しますと、何かしらにわかに思いつきで、その場で急に問題があったりやかましく言われるからやっているというような傾向を非常に強く感じるわけですが、水産庁におかれて、長官を中心にして絶えず横の連絡、縦の連絡をとられて、総合的な計画はしておられると思うんですけれども、そういう点がどうも行政の縦割りの欠点でしょうか、下の実施部門から見ましたときに非常にむだがあって、水産庁これどうしているんだろうかというようなことが、実施部門でよく聞かれる声なんです。そういう点について、今後の総合的な計画を立案して、水産庁の中で、そういう企画部門というんでしょうか、総合的な計画を専門的にやるような、むだのない水産の行政を執行するような、そういうお考えをお持ちになっているかどうか、それをお導ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/134
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135・久宗高
○久宗政府委員 さような御批判が始終あるわけでございますし、担当しております私ども自身が、いつもそれで悩んでいる問題であるわけでございますが、多少経緯がございまして、戦後第一次的な漁業制度の改革が行なわれまして、それで一応基本的な方針がきまり、さらには、沿岸振興法によりまして相当基本的な方向づけができました過程におきまして方針がきまりますと、それを実行いたしますには、相当分化したほうが行政の能率としてはいいはずでございます。さような意味で、現在水産庁のかまえといたしましてはやや分化いたしました関係で、きまった方針を実行する体制をとっておるわけでございますが、御承知のとおり、そのような沿岸振興の基本的な方向をおきめいただきましたとき、ちょうどその時期に一連の経済計画と申しますか、倍増計画を中心といたしました非常な高度成長が行なわれましたために、これは農業でもあるいは同じかもしれないわけでございますが、漁業の種々の条件、資本なり、漁場なり、就業人口なり、こういうものが激変いたしましたために、ややそれに足を取られまして、きめられたことを漁業内部で実行いたそうといたしましても、他の要因によってそれがちぐはぐになる経過が相当あって、若干混乱いたしておるように思うわけでございます。さような意味から、総合性が非常に欠除しているじゃないかという点は、私どもも重々感じておる問題でございますので、たまたまこのような時期に、国のほうといたしましても近代化計画が一応固まった段階で、さらに今回一連の懸案事項につきまして一応の解決がつくといたしますと、次にまいります問題は、まさに御指摘のような行政の総合性と申しますか、施策におきます総合性が中心になってまいるというふうに思うわけでございまして、私どもも、この機会にできるだけさような行政の総合性の保てるような内部の運用、また政策のかみ合わせということに重点を置いてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/135
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136・中野明
○中野(明)委員 そういうお考えでいらっしゃることはいまお聞きしたわけなんですが、私たちが言いますのは、結局、漁協の合併なら合併、これをほんとうに推進しなければ漁業はたいへんだ、よくわかるわけです。事実、他産業と比べて、これは弱小漁協では抵抗できない。この合併を推進する上において、漁業の構造改善事業というのですか、そういうふうなものとかみ合わせれば、合併の問題だってスムーズにいくんじゃないだろうか、このように考えるわけですけれども、ばらばらに行なわれるものですから、そこに関連性が全然薄れて、合併もなかなかむずかしい、そしてまた構造改善も効果が薄いというような、一例をあげればそういうこと。そういうものも全部かみ合わせて、構造改善と漁協の合併、これを両方一緒にやりますと、合併問題なんか非常にスムーズにいくんじゃないかというふうに私たちは思うわけです。そういう点について、総合的な見地から、今後水産庁としても——世間一般でもよくいわれるように、道路にしましても、何べんも何べんも掘り返して、埋めたと思ったらまた掘り返すというようなことで、非常に非難を受けている行政の縦割りの矛盾があるわけです。少なくとも水産庁の中においては、末端の実施段階において、これだったらどうして一緒に言うてこぬだろうかというような批判があるということは、まことにむだが多くて残念じゃないかというふうに思うわけです。そういう点で、長官として今後重ねて努力をお願いしたい、このように思うわけであります。
続いて、法案について、特に漁業共済のことについては、過日来非常に詳しく質疑もされておりますようで、私のほうからは簡単に二、三点お尋ねしておきますが、まず、今回の場合に、特別会計を新たに設けないで、漁船保険の特別会計に一応宿借りというのでしょうか、入れられた。何かこれには特別の理由があったのでしょうか、その点お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/136
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137・久宗高
○久宗政府委員 これは何度かお答えしておるわけでございますが、私どもといたしましても、本来理論的には当然別のものがあってしかるべきだと思っておったわけでございます。ただ、金額が非常に小さな特別会計でございまして、特にいろいろな公団でありますとか特別会計でございますとか、そういう特殊機構をつくりますこと自体につきまして、政府全体でブレーキをかけておりますので、多少他の事例もございましたために、便宜そのような宿借りの方法をとらざるを得なかったわけでございます。ただ、その問題と関連いたしまして、何か会計間の彼此融通でも行なわれるのではないかといったような誤解もございましたので、この点は再々ここでも言明いたしましたように、経理区分は明確に全く別にいたしまして、全く二つの特別会計があるのと同じような形に運用してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/137
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138・中野明
○中野(明)委員 その点は、過日来各委員のほうから質問がありまして、私も一応は了解しているわけですけれども、特にそういう漁船保険特別会計と一緒にやろうとするものですから、将来は合併するんじゃないかというような憶測が相当飛んだようでして、たびたびここで御返事があったようですから、私もそれをもって了解しておきます。
その次にお伺いしたいことは、現在の漁業共済に加入しておる人の大体の加入実績、おおまかに何%ぐらいの人が共済に加入をしているのか、そのことについてちょっとお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/138
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139・池田俊也
○池田説明員 大ざっぱに申し上げますと、漁獲共済、これも種類によりまして若干違いますが、漁獲共済が非常に低いわけでございます。養殖共済は、これはかなりの加入率に達しているわけでございます。具体的な数字を若干申し上げますと、漁獲共済につきましては、種類によりまして若干差異はございますが、全体といたしましては、四十年の数字で三%程度でございます。いま申し上げました三%というのは、加入件数の上で三%ということでございます。それから養殖共済につきましては、ノリが加入率が非常に高いわけでございますが、全体といたしましては、これも件数でございますが、四七%程度でございます。漁具共済につきましては、全体といたしましては一〇%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/139
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140・中野明
○中野(明)委員 この加入実績は、私も資料をちょっと見ましたのですけれども、全体的に見て、ほかの保険に比べまして、いま確かに低いようです。この実績が非常に低いという原因はどこにあると考えていらっしゃるのか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/140
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141・池田俊也
○池田説明員 これは私どもの感じております点から申しますと、現在の制度というものが、必ずしも漁民のほうから見てあまり満足のいくものではないという点がまず一つあるのではないかと思います。それ以外に、やはりこういう共済制度に対する漁民の理解といいますか、一般の方でもなかなか保険に入るというのは問題があるわけでございますけれども、特に現在の漁民の経済状態から、保険に入ってあらかじめ掛け金を払うということがかなりの負担になっている、こういうことはあろうかと思います。しかしながら、やはり基本的には、現在の制度が漁民から見ました場合に、たとえばてん補の水準でございますとかそういうようなものが必ずしも高くない、こういうようなことが現在の加入不振の大きな原因になっているのではないかと思います。その他、これは個別の漁民の方がそこまで考えているかどうかは存じませんが、現在の仕組みというものが団体の共済事業ということでございまして、従来からいろいろ御要望はあったわけでございますが、従来までは政府の保険事業というものがない。だから、政府がうしろに控えていて、いざというときには相当力を入れて損害のてん補に当たる、こういう体制がないというようなことが、この加入の不振の一つの原因になっているのではなかろうかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/141
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142・中野明
○中野(明)委員 その点について、今回再保険も実施されて、幾ぶんそういう懸念、不振の原因の一つはとれたと思いますけれども、他の保険よりも非常に実績が低いという点は、共済があることによって非常に助かっていることは事実なんですから、そういう点、今後の加入実績をあげるために、水産庁として、今後どういう点を力を入れて改革しようとしていかれるのか、そこのところを将来の方向を明らかにしていただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/142
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143・池田俊也
○池田説明員 これは、ただいま申し上げました加入不振の原因についての私どもの理解から当然出てくるわけでございますが、やはり現在までの体制というものは、この種の漁業災害に対する体制として必ずしも十分でない、やはり保険事業というものを通じまして政府があと押しをするということで、漁民にそういう意味での安心感をまず基本的に与えるということが第一ではないかということで、今回の漁災法の一部改正におきましても、その点が骨格になっているわけでございますが、さらに漁民の要望しているような損害に対するてん補を厚くする、こういうような趣旨から、限度額率を高めるということ、それから、これに伴いまして当然掛け金の負担が増大するわけでございますけれども、これにつきましては、なるべくその負担を軽減するという意味で、掛け金に対する国庫補助を増額する、こういうようなことをうまくかみ合わせまして、漁民のある程度の期待にこたえられるような形にして加入の促進をはかりたい、こういうことでございます。
さらにまた具体的には、従来ともこれはそれぞれの団体で御努力を願っているわけではございますけれども、漁業共済に対する漁民の理解を深めるためにさらにいろいろなPRと申しますか、そういうような接触をはかるということが非常に特に今後必要なのではなかろうかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/143
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144・中野明
○中野(明)委員 せっかく政府もあと押しをして再保険もできたのですし、今後、私も、確かにPR面も不足じゃないか——もちろん、PRしていこうとすれば、当然給付内容その他を一歩ずつでも漁民に有利な方向に持っていく、それがPRの一番の始まりになると思いますから、そういう点で努力をしていただいて、せっかくの制度ですから、すべての人が恩恵を受けられるような方向に努力をしていただきたい、PRもしていただきたい、そのようにお願いをしておきます。
共済のほうはその辺で終わりますが、漁協の合併についてお尋ねいたします。
現在の漁業組合は、他の産業が非常に伸びてきた関係で、これは合併というのは自然の要求じゃないかと私たちは理解しておりますが、過日から議論の対象になっておるはずなんですが、片方で漁協の合併を促進していく、その反面で、結局二十名の人が発起人になれば漁業組合ができる、どんな小さな弱小な組合だってどんどん発足することができる、そういう矛盾を見のがすわけにいかぬと思うわけなのですが、この点は将来どういう方向に解決しようとなさるのか。その点、長官のお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/144
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145・久宗高
○久宗政府委員 御指摘のような問題があるわけでございますが、御承知のように、これは数年前に改正をいたしまして、それまでは終戦直後の立法でもございましたので、役所側の恣意と申しますか、そういうものを限定する規定がむしろ非常に強かったわけであります。さような意味で、役所がなるべくそういう加入、脱退その他につきまして介入しないような、役所の恣意を押えるような規定のほうがむしろ強かったわけでございますが、現実に当てはめてみますと、いろいろ弊害も出てまいりますし、弱小組合が非常に乱立するおそれもございますために、法律改正がございまして、さような組合の設立が、客観的に見てその基盤がない、また設立させることがむしろ漁民の組織自体を弱くするといったような問題の場合に、それをチェックする規定が実はあるわけでございます。したがいまして、現在の段階では、もちろんその判断が恣意的になさるべきでないと思いますけれども、二十人あればかってにできるというものではないわけでございます。また、合併も進むというようなことになりますれば、もちろん、それと並行して小さなのができるのはおかしいと思うのでございますけれども、ただ、何と申しましても協同組合の基本的な本質は漁民みずからの組織でございますので、全体の制度運用との関連だけで考え切れないものがあるように思います。したがいまして、多少問題がございましても、ほんとうに協同してある具体的な仕事をなさるという場合におきましては、当然協同組合の本来の姿で運用されてしかるべきではないかと私は思うわけでございます。ただ、沿岸につきまして一般的に常識的に申し上げれば、どうも非常に小さなのが乱立して、またそれ自身が経済的な活動をほんとうにできないような体制になっておりますので、この際はやはり合併という問題は強く押し出して指導してよろしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/145
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146・中野明
○中野(明)委員 いま、小さい組合をつくるのをチェックすることができることになっておる、このように言われたのですが、それはどこでだれがどういう方向で指導するようになっているか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/146
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147・池田俊也
○池田説明員 これは水産業協同組合法の六十四条に規定がございまして、「事業を行なうために必要な経営的基礎を欠く等その事業の目的を達成することが著しく困難であると認められるとき。」、このときには行政庁は認可をしないことができるわけでございます。これは、ただいまお話のありましたような場合は単協の場合であると思いますので、これにつきましては、知事がそういうような判断をいたしました場合には認可をしないことができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/147
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148・中野明
○中野(明)委員 いままでそういうふうな要望があって認可をしなかったような件、そういうことについて報告なり状況をお聞きになったことがございますでしょうか。協同組合をつくりたい、こう言っても、いまの規定を準用して、それはいけないというふうにやられた事例があったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/148
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149・池田俊也
○池田説明員 これは、こういうような規定があるわけでございますので、協同組合の設立という話がありましたときに、当然県としては事前にいろいろ相談を受けるわけでございますので、こういう規定があるので、どうも組合の設立は適当じゃないのじゃないかというような指導を一般的にはいたすわけでございます。そういうようなことでございますので、実際にこれを不認可にするというような事例はあまりないように聞いておりますけれども、一、二件何かそういうような事例はあったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/149
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150・中野明
○中野(明)委員 それではこの機会に、漁協の合併ということは、前の整促法から引き続いて非常に大きな問題になってきておるわけでございますが、水産庁として、漁協の理想的な姿とでもいいますか、漁協の区域あるいは数字の上で、全国的に最終どの程度まてを目標に計画を持って——今回の合併法案というものも、そこからやはり出ておるのじゃないか。最終目標というものをどの辺に置いておられるか。区域あるいは組合の数……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/150
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151・池田俊也
○池田説明員 これは他の委員の方からもやや同じような御質問がございまして、お答え申し上げたわけでございますが、私どもといたしては、非常にはっきりした基準があるわけではございません。これはそれぞれの地域によりまして、いろいろな事情が違うと思いますが、要するに、一つの協同組合として経済事業をある程度がっちりした基盤の上でやることができるようなものであれば、それでいいわけでございますけれども、私どもが従来県等といろいろ御相談をいたしまして、当面このあたりに引き上げるということを目標にしたらいいのではないかということで考えております規模といたしましては、大体現在の沿海地区の漁協というのは二千五百ございますけれども、地区の水揚げ高、漁協共販の事業量でございますが、これが八千万円程度、それからそういう共販事業なりあるいは信用事業なりを行ないます常勤の役職員の数が六人程度、これが現在の平均でございますけれども、まず当面の段階としては、その程度まで引き上げるということが現実的な合併の目標ではなかろうか、こういうことになっておりますので、その程度を目標にしていろいろ指導をいたしたいと考えておるわけでございます。そういうような基準で考えました場合に、二千五百あります沿海地区の漁協の中で、約千三百くらいを当面合併の対象として考えまして、これを三組合、あるいは場合によれば四組合ということもあると思いますが、その程度を一つにするということになりますと、この法案によります四カ年の事業が終わりました後におきましては、現在二千五百ありますのが千六百程度になる、こういうことに一応なりますので、まずその程度を目標にしてやったらどうだろうかと考えておるわけでございます。
なお、区域の広さでございますが、これはいろいろな地域によりまして事情が違うと思いますので、一律の基準みたいなものはなかなかむずかしいと思いますが、一番理想的な姿としましては、やはり現在の市町村というようなのがいろいろな意味でプラスの面が多いように思いますので、そういうものが一つの基準になるかと思いますが、これは必ずしもそうでなければならないということはないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/151
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152・中野明
○中野(明)委員 本年で終了しました整促法の効果について、一応水産庁のほうではどのように考えておられますか。整促法を実施した結果ですね。それから、振り返ってみてその効果をどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/152
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153・池田俊也
○池田説明員 これは、昭和三十五年に法律ができまして以来、不振組合対策ということで、固定化債務整理あるいは欠損金の補てんということ、それからさらに、必要な場合には合併の促進をはかるということで知事が勧告をする、こういう体制であるわけでございますが、現在までに行なわれております事業の実績から見ますと、不振組合の整備という点の事業といたしましては、当初考えました予定の数から申しますと、九割ぐらいが対象になったわけでございますが、大体目標を達したのではなかろうかと考えているわけでございます。
なお、合併につきましては、当初の予定が二百九十二組合でございましたが、結果的には四百九十というふうに、大幅にこれを上回るものを対象としてその事業が行なわれたわけでございます。そういうような点から考えますと、ほぼこの法律で考えております目標は達成したのではなかろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/153
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154・中野明
○中野(明)委員 今回のこの合併助成法の内容をちょっと検討しまして、どうも整促法よりはちょっと弱いのじゃないか、一歩後退しているのじゃないかというような感じを受けるわけですが、漁協の合併というのは、整促法では、知事に勧告権を持たして、そして持に弱小組合で本人たちも悲鳴を上げそうなところをやっていたわけですから、ある程度の効果は見られたのじゃないかと思いますが、今回は、そういう点から考えると、合併問題は部分部分で見ていきますとなかなかむずかしいのじゃないか、このように私たち懸念しているわけです。そのときに、この助成法の内容が整促法よりもまた一歩後退しているようなことでは、これは計画されている目的が達成できないのじゃないかと私たちは心配するわけです。その点、水産庁としてどう考えておられるのか、ちょっと漁協の合併に対する考え方が甘いのじゃないかという感じを受けるわけですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/154
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155・池田俊也
○池田説明員 整促法の場合と今回の合併助成法の場合とで、今回のほうがむしろ何かちょっと消極的なんじゃないか、こういう御指摘でございますが、私どもの考え方といたしましては、まあ法律の観点が若干違うわけでございます。整促法の場合は、不振組合を何とか立ち直らせるということで、いわゆる不振組合対策ということで、その関連において合併の勧告ということも出てきたわけでございますけれども、どっちかというと、重点がそこにあったわけでございます。今回の法案では、従来の整促法の実績によりまして、不振組合、現在でもないわけではございませんけれども、大体取り上げるべきものは取り上げたという感じになっておりますので、むしろ一歩を進めまして、組合の経済的な基盤の強化をはかっていく。気持ちとしましては、積極的に組合をよくしていく、こういうふうな感じでこの法案を考えているわけでございまして、考え方といたしましてはより積極的になったわけでございます。ただ、その方法といたしましては、若干違うわけでございますが、私どもの合併に対する考え方といたしましては、本来の考え方からすると、組合員の自主的な考え方を基礎に行なうべきものでございまして、そういうような機運を盛り上がらせるというような場合に、県でございますとか、あるいは水産庁でございますとか、そういうところでいろんな指導なりあるいは御相談に応じるということはあるわけでございますけれども、基本的にはあくまでも組合員の自主的な考え方によるべきで、あまり行政庁が積極的に入りますことは、かえっていろいろ問題を起こすという点もございますので、一応体制としては現在の法案のような体制をとっているわけでございますけれども、の運営といたしましては、県におきましても、当然関係の方に集まっていただいて協議会をつくるというようなことで、いろいろ将来のあるべき姿というものを検討していただく、それに沿うような合併にいくようにいろいろ御指導願うということでございますので、若干かっこうは違っておりますけれども、運営といたしましては、決して消極的なものではないつもりでございます。
なお、従来の整促法では、合併に対する助成が非常に少のうございまして、これは一件当たり、合併一つにつきまして十万円というような小額の助成しか行なってなかったのでございますが、今度もあまり大きな額ではございませんけれども、一組合について十万円、したがいまして三組合が合併をいたします場合には三十万、こういうことにいたしておりまして、そういうような点からは、今回のほうがはるかに合併に対する助成の程度は厚いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/155
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156・中野明
○中野(明)委員 私が申し上げているのは、いま最後に申されました予算面もその理由の一つにあるわけですけれども、私たちの考えでは、現在の漁民感情からして非常に合併はむずかしい問題だ、困難なことだ、私どもは一応こう理解しているわけです。ところが、なるほど整促法で幾ぶんの効果はあがったから、その分ならばということで今回この法案を出してこられたように思うのです。
予算のことをいま言われましたが、私は、この予算というものがこんな少ない予算で、はたして漁協が合併するものだろうかどうだろうか、このように考えるわけです。一体、この一組合十万円という計算の基礎ですが、助成の基礎というものは、どこから根拠を持ってこられたか、その点を確認しておきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/156
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157・池田俊也
○池田説明員 これは、正直のところ申し上げますと、非常にはっきりした根拠があるわけではございません。私どもといたしましては、もう少し強力な財政的な援助がしたいという気持ちはあったわけでございますけれども、ただ、やはり従来のこの種の協同組合の合併に対する助成がございまして、農業協同組合の場合あるいは森林組合の場合、いろいろな形があるわけでございますけれども、それの最高額が実は一組合当たり十万円ということになっておりますので、従来はそれ以下であったのでございますけれども、今回はその最高額まではこぎつけた、こういうことで、非常にはっきりした根拠があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/157
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158・中野明
○中野(明)委員 長官にお尋ねするのですが、いま部長から、他の森林組合とかその他の事例に一応ならって最高額をとったというようなお話なんですけれども、他のそういう同じ協同組合でも、漁業協同組合とはこれは根本的に全然性質も違うし、内容も違うし、また、これに加入している漁民の気持ちも違うわけです。ですから、先ほど申し上げましたように、このような助成ではとても合併はむずかしい、私たちはこのように思っておりますので、長官とされて、こんな少ないことではとうてい漁業の近代化を目的とした漁協の合併は困難であるということについて、どこまで折衝されたのか、また長官として、これでできるとほんとうに思っておられるのかどうか、満足しておられるのかどうか、そういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/158
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159・久宗高
○久宗政府委員 実際に仕事が始まってみますと、金はあったほうが多々ますます弁ずると思うのでございますが、この種の合併促進に対しまする政府の一連の施策のバランスもございますので、私どもといたしましてもあえて特別な要求をいたさなかったわけでございます。ただ、考え方といたしましては、いわゆる普通の農協のような場合の合併と違いまして、先ほどもちょっと申しましたように、たまたま漁業権管理という問題があって、しかも長きにわたって、その問題でお互いにこのままでいいのだというようなことで、ずるずるべったりにここまできておりますので、これではいけないのだという、そのきっかけを与えますれば、現在の漁民の方々は非常に経済関係に目ざめておられますし、たまたまそのきっかけがなかったということではないかと私は思うのです。したがいまして、かりに補助がなくても、十分この内容を御説得できれば、私は合併は進むと思うのです。もちろんこれは一律に進むわけではございませんけれども、若干目ざめた組合で本式に取り組まれて、そういう事例が出てまいりますれば、動き出せば非常に早いだろう。ただ、その動き出すまでに相当な時間がかかるなということは私どもも覚悟をいたしておるわけでございまして、さような意味から申し上げますれば、ほんとうに動き出した場合に、若干もう少し金があったほうがいいという気がいたしますけれども、ただ逆に、これは矛盾でございますけれども、金がなければ合併しないというのであれば、合併しなくてもいいくらいな感じすら実はあるわけでございまして、その辺のところをよく漁民の方々にもわかっていただくように処置をしたい、こう考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/159
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160・中野明
○中野(明)委員 私のお尋ねしているのと少し観点が違うようなんですが、私の言うているのは、非常に漁民そのものはかわいそうだから、合併をして経済効果もあげるようにというのが指導方針であると思うわけです。ところが、漁民の実情というのは、なかなかこっちの言うていることを理解してくれることは少ない。理解できないような態勢である。そこで、これを合併さすために非常に苦労しているわけです。これは水産庁のほうでは、また農林省としては、この法案が通ってしまえば、あとは、法案が通ったのだからというわけで、結果をどうなったどうなったといって収録するだけで済むと思うのです。ところが、実施段階の出先機関の人たちは、一つの組合を合併させるのにどれだけ苦労しているかということです。いま長官の言われたことは私もわからぬことはありませんけれども、漁民のためを思うて、一生懸命に漁民のためによくなることをしてやっているのに、逆にまだ、要らぬことをしにくるというような感覚の人が非常におるわけです。そこで腹を立ててけんかをしてしまったのでは何にもならない。何とかして生活を向上さすために、合併法案も出ているわけですから、そこで実施段階の人たちが非常に苦労している。極端な話をしますと、延べ百数十回もその組合に説得のために足を運んで、それでまだ合併の話にも至らない。全然見向きもしてくれぬ。そういうような中で、出先機関の人たちは非常に苦労しながらやっている。そういうことを長官は承知しているのか。それで、漁協の合併の場合は、ほかの合併と本質的に全然違うのだ、だから、予算がたくさんとれれば合併できるというものでないことはわかりますけれども、それに対して、どこまで実情を把握した立場から、長官がこの合併の内容を推進させるために骨を折っていただいたかということを私は聞きたかったのです。だけれども、いまのお話では、ただそういうふうにきまっているし、右へならえだからやむを得ぬわ、そういうようなあっさりほこ先をおさめて帰ってこられたのではないか。予算折衝だって、こんなことじゃ漁協の合併はできぬ、水産業の発展もないというふうに、意欲的な姿勢をもって予算折衝に当たるのだろうかどうかということを、少しぼくはお話を聞きよって、これは容易なことじゃないと思う。長官はそれは簡単にいくように思っていらっしゃるかもしれませんが、それは東京におられて報告だけを受けられるのは簡単かもしれませんけれども、実際にはこれは利害関係がからんで、それへ昔からの因習がからんで、しかも漁民の人たちの現状というものは、朝晩のラジオすらあまり聞かない、ただ一日の仕事を精一ぱいやって、帰ってきたら、極端な話をすればお酒を飲んで寝てしまう、新聞なんか、もちろん読んだこともなければ、字なんか知らない、そういう人たちが非常に多いわけです。しかし、それをやはり合併し、経済効果をあげさせなければ、ますます他産業との格差がついて漁民の生活はいよいよみじめだ、気の毒だ、こういう観点から、水産庁のほうとしてもその点についての指導と、そしてまた生活向上のために骨を折っておられる、このように私は理解しているわけです。ところが、いまのお話では、もうそれで満足しているようなお話なものですから、もうちょっと強腰になって、今後もあることですから——おそらくこれは、このままですっすすっす合併がいくとは私は考えていないわけです。そこで、強気になって、どうしても合併はさして経済効果をあげさせなければいけないという一つの基本的な線は出ているんでしょうから、それを効果あらしめるために本腰を入れていただきたい、私はこれを言いたいわけです。その点、もう一度長官のほうから御返事を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/160
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161・久宗高
○久宗政府委員 漁協におきます合併の困難さは御指摘のとおりでございまして、なかなか他の組織との比ではないということは重々わかるわけでございます。いずれにいたしましても、その場合に、そのような費用の役所で出します分は、呼び水と申しますか、そういう性格のものでございますので、他の施策とあまり懸隔のある措置がとれませんで、まあ最高のところでがまんせざるを得なかったわけでございます。その点、多少努力が足りなかったなと、いましまったと思っておるわけでございます。実施いたします場合に、やはり個別にやりますよりは、このような法案が出まして、全体としてこの問題に取り組もうというような背景の中で、特に漁業系統団体におかれましても、貯蓄の伸びに相当バックされまして、この際本格的に取り組もうといった気持ちがやや高揚しておりましたので、ついこれと一緒にやればできるなという気持ちで、この程度でがまんしてしまったのが実情でございますので、実施にあたりましては、さらに御注意いただきました点も頭に置きまして、県その他ともお話を進めまして、できるだけ実際のこの合併の困難な仕事に当たられます第一線の方たちが活躍できるような措置について、さらに考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/161
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162・中野明
○中野(明)委員 お金のことが出ましたので、もう一点つけ加えておきますけれども、水産庁のほうで、すなわち国のほうで出す予算の何倍か何十倍かという予算をさいて、地元の県では、やはり水産行政の基本線が出てくれば、当然だと理解できたならば、乏しい予算の中から、国が出す十倍、二十倍の予算をさいてでも、やはり漁民の生活を将来守ることになるのだというわけでやっております。私、予算書も見てみましたが、かなり予算をさいているようです。そうして、いまも申し上げたように、実施段階の職員の人たちは泣くに泣けないような気持ちなんですね。向こうのためを思って言ってやっているのに、反対に恩に着せられたような、極端な言い方をすると、何かみやげものでもたくさん持ってくれば、いい話でも持ってきたら合併してやってもよろしい、非常に極端な言い方かもしれませんけれども、本末転倒したような話をする組合もあるわけです。現在は何とかいっているかもしれないけれども、将来を考えればそんなことではもう負けてしまう、他産業にあるいは他の事業に全部食い込まれるということを考えればこそ、合併の推進をしているわけですから、それをまるで人ごとのように言うて、反対に恩に着せられて三拝九拝して合併を推進しているかに見られるような苦労をしている人のことを考えてあげてもらいたい、私はそのように言いたいわけです。それに関連して、漁民の人たちの感情といいますか、漁民の人たちの気持ち、これを正確に把握していただいて、今後そのような漁民の人たちをどうレベルアップしていくか、教育していくか、そのことについて長官としてどうお考えになっているか。いかにこちらがりっぱなことを教えてあげても、将来のことを教えてあげても、それを受け入れてくれなければどうしようもないわけです。それに対して漁民を研修するというのですか、こちらの話が通じるようにするために何かお考えになっておられるかどうか、その点をちょっとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/162
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163・久宗高
○久宗政府委員 非常に長い期間、先ほど申し上げましたように、九割近く依然として旧町村以下の規模でそのままきたということを、私どもはやっぱり徹底的に反省してみる必要があるのではないかと思うのです。個々の漁民の方々は、私はレベルはわりあい高いと思っておるわけです。いろいろな仕事を通じまして、わりあい外界との関連もございますし、経済の問題も案外わかるのではないかと思います。ただ、役所も含めまして、この中間に入りますものが、どうもこの関係を本格的に取り組んでなかったなという感じがいたします。私も県で行政を一時担当したことがございますけれども、やはり全体の県の水産課におきます人の配分なり活動の重点ということになりますと、どうもこの辺の問題が手が抜けまして、そういうことのために、漁民の方々は、問題が提起されれば、相当はっきりした意見を持っておられるのではないかと思うのです。
〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
さような意味におきまして、今度の場合におきましては、やはり役所の側なり団体の側で相当従来の惰性を切りまして、直接漁民の方々の声が聞けるような体制をもっと考えるべきじゃないだろうか。漁民の方々には、いまさら説教しなくても、現在の状態ではいけないということは、むしろ非常に強く感じておられるのではないかという反面がございますので、その辺をかみ合わせて処理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/163
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164・中野明
○中野(明)委員 確かに、現実の漁民の人たちの気持ちというのは、漁がたくさんとれたらいいという考え方のほうが強いのじゃないか。むずかしいことはどうでもよろしい、魚さえとれればいい、たちまち収入さえたくさん入ってくればよい、そういうめんどうくさいことはいいんだというような人が非常に多いのではないかというふうに私は感じておるわけです。そこで、そういう点について、合併をするにしましても、やはり総会一つするにしてもなかなかそろわない。総会すら出てこない。極端なところは、役員会だってなかなかそろわぬ、こういうのが実情なんです。だから、そういうのを合併させていこうとするのですから、よほどやはり、何ぼお金云々と言われますけれども、予算面の裏づけというものがなければこれは推進できないのです。だからといって、もう向こうがなかなかこっちの言うことがわからんのやったらほっておけ、そういうわけにいかぬでしょう。ほっておいたら漁業がつぶれてしまうと言ってもいいぐらいに追い詰められている現状ですからね。そこで、私が申し上げたいのは、そういう点について、水産庁として、たとえて言えば、総会なんかするにしても、集まりが悪い理由は、私から申し上げるまでもなく、他の農業とか林業とかに参画している人は、これは会合に来ておったって、することをしておればかまわぬわけです。昼からでも、夜であろうと、会合には出られるわけですけれども、漁業に従事している人は、これは沖に行くことを休んだらもう金にならぬわけです。お百姓さんは、寝ている間でも幾らか生長している。だから、やるだけのことをやっておけば、一時間か二時間会合に出てもどうということはない。漁業の人たちは、沖に出なければ生活に影響する。帰ってくればくたくたで、それこそもうどうもならぬというぐらいに疲れている。これぐらいに身を削って働かなければならぬというような現状なんですから、そういう人たちを総会あるいはその他の会合に出させること自体、もうすでに問題があるわけです。幾らあれをいたしましても、一人一人に話し合いに行くだけの余裕と人数はないでしょうし、そうすると、やっぱりどこかで総会のような形で集まってもらわなければならぬ。こういうことについても、予算的な裏づけがあれば、私は簡単に集まるんじゃないか、そのようにも考えてみるわけです。これは非常に一方的な考えかもしれません。しかし一年に一回や二回は総会のような形式で集まってもらって、そしていろいろと研修的な話し合いをしていく、こういうことになれば、その後のすべてのことが、打っていく施策というのが、スムーズに通っていくのではないか。いまじゃ、ちょっと聞いてみましたけれども、なかなか総会ができないというのです。そういう実情のところがあるわけです。だから、これはいまの予算面のあり方ということを考えたときに、ここで一番苦労して困るのはだれかというような気が私はするわけです。ですから、そういう点を水産庁のほうとしても特に留意されて、今後の漁業を振興させる上に、必ず考えてもらわなければならないことじゃないかと私は思っているわけです。それはいつでも、農家のように、どんどん集まってくれと言えば、よろしゅうございますと言って集まってくるなら、話のしようもあります。だが、相手が集まってこぬ、意思の通じようがないというような実情にあるのが弱小漁業の実情である、このことを承知していただいて、今後の対策を考えていただかないと話が通らぬのです。顔を見て話せば、会合に集まってさえくれれば、いま長官が言われたように、そんなにわけのわからぬ人はないと思うのです。現実は、確かに生活は苦しいのです。だけど、その会合の場に出させるということに、すでに大きな問題が横たわっているわけです。そこら辺を考慮に入れて今後考えていただかぬと、なかなかりっぱな施策、対策も通じないのじゃないか、途中でとまっているのじゃないかという心配をしているわけです。その辺を将来の課題として考えていただきたいと思うわけですが、長官のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/164
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165・久宗高
○久宗政府委員 おっしゃることはよくわかりますので、努力を続けさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/165
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166・中野明
○中野(明)委員 それからもう一つ、どこの世界でもそうでございますが、ことばの上でどうかと考えますけれども、漁業組合なら漁業組合の指導者というのですか、組合長というのですか、この人たちの考えいかんで、この合併推進も大きく左右されるということは、これはもう当然のことだと私は思うのです。そういう現状ですから、特にりっぱな指導者のもとについた人たちは非常に恵まれた環境におるということは、昔からもうどこを調べてみても、どこを見ても、よき指導者のもとにおる人はしあわせです。そういう点で、特に漁業組合については、よき指導者を養成する、これはまた重要な課題の一つだと思います。そこで、その指導者の養成について、あるいは指導者の訓練というか、ことばの上でどうかと思いますが、そういう点について長官はどうお考えになっていますか。また、何か方法を持っていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/166
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167・久宗高
○久宗政府委員 御承知のとおり、これは組合のほうでも指導者の重要性を考えまして、中央に学校がございまして、指導者の養成につとめておるわけでございます。また、県の組合の研修に参ります者を中央に集めました際に、私どもといたしましても、これの研修を通じまして努力いたしているわけでございます。もちろん役所の側におきましてもこれは取り上げますが、やはり従来合併に成功したところを見ますと、どなたか非常に有能な中心人物が必ずおられます。また、そういうことがない場合におきましては、相当機運が動きましてもなかなかまとまりにくいという問題がございますので、今回のような場合、特に中心になって動かれます方々、これは役所の側でもそうでございますが、団体側でもそういう問題がございますので、その辺につきましてよく団体のほうとも御相談いたしまして、実際的な指導に当たられる方の養成につきまして、研修会とかいろいろなものがございますけれども、従来若干マンネリになっておった感なしとしないわけでございますので、合併と関連いたしまして、問題の焦点を少ししぼりましていたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/167
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168・東海林稔
○東海林委員 議事進行について。
どうもこの委員会の出席状況を見ますと、全体としても不良であり、特に法案の審議促進に当たるべき与党委員がきわめて少ないというのでは、このままわれわれは審議に協力するわけにいかないと思いますから、きょうはこの程度で散会してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/168
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169・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 本日の委員会はこの程度にしまして、明日の委員会は、午前十時より理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会をいたします。
午後四時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X02319670620/169
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