1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月五日(水曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 本名 武君
理事 仮谷 忠男君 理事 倉成 正君
理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君
理事 森田重次郎君 理事 東海林 稔君
中村 時雄君 安倍晋太郎君
小澤 太郎君 大野 市郎君
鹿野 彦吉君 金子 岩三君
熊谷 義雄君 小山 長規君
坂田 英一君 坂村 吉正君
田中 正巳君 丹羽 兵助君
野呂 恭一君 藤田 義光君
湊 徹郎君 粟山 秀君
赤路 友藏君 伊賀 定盛君
兒玉 末男君 佐々栄三郎君
柴田 健治君 島口重次郎君
美濃 政市君 森 義視君
神田 大作君 斎藤 実君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
農林政務次官 草野一郎平君
農林大臣官房長 桧垣徳太郎君
農林省農林経済
局長 大和田啓気君
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
農林省園芸局長 八塚 陽介君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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七月五日
理事玉置一徳君同日理事辞任につき、その補欠
として中村時雄君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を
改正する法律案(内閣提出第一二〇号)
果樹保険臨時措置法案(内閣提出第一二一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/0
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001・本名武
○本名委員長 これより会議を開きます。
この際、倉石農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/1
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002・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この際、御報告申し上げたいと思いますが、先日、委員各位から米価審議会をいつから開くかというお話がございまして、それぞれ米価審議会の会長とも打ち合わせまして、七月八日から開催することに決定をいたしましたから、御報告いたします。
それから、政府の方針といたしましては、米価の決定は七月十五日にいたしたい、そういう方針をきめております。
御報告申し上げます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/2
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003・本名武
○本名委員長 次に、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は昨四日終局いたしております。
これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/3
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004・本名武
○本名委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/4
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005・本名武
○本名委員長 この際、ただいま可決いたしました本案に、倉成正君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。倉成正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/5
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006・倉成正
○倉成委員 ただいま可決いたしました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に対しまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は酪農の現状にかんがみ、左記事項の実現に努めるべきである。
記
一 牛乳乳製品の長期の需要見通しのもとに、これが国内自給体制の確立を図るため、生乳生産拡大の施策を一そう整備推進するとともに乳製品の輸入は極力抑制すること。
二 加工原料乳生産者補給金の財源については一般会計による支出を基本とし、乳製品の輸入差益は酪農振興に優先的に使用するものとすること。
三 乳製品の輸入差益による酪農振興助成への支出は、当該地域の酪農振興が効果的にはかられるよう支出手続を簡素なものとし、農家に十分利用できるよう配慮すること。
四 全生乳に対する価格対策の確立につき早急に検討すること。
右決議する。
以上でありますが、この案文の趣旨は、委員各位の熱心な法案の質疑を通じて明らかにされておりますので、ごく簡単に第二、第四の点について御説明申し上げます。
第二点につきましては、補給金の財源につきまして、四十年の第四十八国会における当時の赤城農林大臣の答弁にありますように、国の責任において不足払いを行なうことの原則に基づく輸入差益金からの充当は、あくまで補完的なものであることを再確認するための事項であります。
第四は、原料乳に対しては不足払いの制度が適用されておりますが、市乳についてはいまだ価格対策が確立されておりません。毎年乳価の紛争が繰り返されている現況にかんがみ、早急に価格対策について適切な対策の樹立を求めるものであります。
以上をもって御説明を終わりますので、各位の御賛成をお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/6
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007・本名武
○本名委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。
ただいまの倉成正君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/7
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008・本名武
○本名委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。
この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/8
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009・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、政府はその御趣旨を十分尊重いたしまして、この御趣旨に沿うように努力をいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/9
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010・本名武
○本名委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/10
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011・本名武
○本名委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/11
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012・本名武
○本名委員長 午後一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。
午前十時四十二分休憩
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午後一時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/12
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013・本名武
○本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
果樹保険臨時措置法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉成正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/13
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014・倉成正
○倉成委員 私は、果樹保険臨時措置法案について質疑を行ないたいと思います。
多年の懸案でありました果樹保険の制度化について、政府部内の意見がまとまり、一応試験実施の形にせよ制度化に踏み切られたことは、まことに御同慶にたえないところであります。法案提出に至るまでの関係当局の御努力に対し、深く敬意を表する次第であります。
果樹保険の制度化につきましては、最近における農業生産の選択的拡大に伴い、わが国の農業における果樹農業の比重も大きくなり、これに伴い適切な災害対策の必要性ということが叫ばれ、果樹農業者の多年の要望であったのであります。政府としても、積極的に災害対策としての制度の確立のために、従来の試験調査から、さらに前向きの姿勢をとり、金銭の受け払いの伴う試験実施を相当広範囲に行なって、本格的実施のための準備体制を整備し、政策の中に体系づけようと意図しておるようであります。特に試験実施とはいえ、加入者保護という観点から、災害対策としての機能を果たすために、政府はみずから再保険を行なうということは、従来の試験実施段階では見られなかった画期的なものであり、その支払い責任の大部分を国が負担することとして万一に備えていることは、政府の努力を多とする次第であります。
そこで、この法案の質疑に入る前に、果樹振興に対する大臣の御見解を伺いたいのでありますが、それは大臣がお見えになってから伺うことといたしまして、法案について、若干の問題について御質疑を申し上げたいと思います。要領よくひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
まず第一に、今回の試験実施にならざるを得なかった理由と申しますか、従来の机上保険としての試験調査でいかなる点が問題になり、なお試験実施を必要とするのか、これらの基本的な問題の経緯についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/14
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015・大和田啓気
○大和田政府委員 果樹共済の試験調査につきましては、昭和三十八年から四十年までの三カ年にわたりまして、延べ二十五の県について実施をいたしております。しかし、その調査は残念ながら、私ども、農作物の共済と同じような方式で全国一律にこれを実施するにはいささか不十分であるというふうに考えるわけでございます。
その理由を簡単に申し上げますと、一つは、調査期間が三カ年でございますから、災害については相当長い間にわたって被害率を調査いたしませんと、本格的な試験実施はなかなかできないわけでございます。さらに、一応の試験ということでございますけれども、金銭の授受を伴わないということから、調査のふなれ、あるいは資料の不足等もからみまして、あるいは収穫量の設定、あるいは被害調査等についても、十分これを利用しがたいようなものであるわけでございます。さらに、樹体の損害調査につきましては、これは昭和四十年に一年限りやっただけでは、これをもととして被害率の算定ができない。もちろん、それ以外にも、金銭の授受を伴いませんから、これを通じて農家の意向あるいは実際に保険をやってものを動かす運営上の問題点についての詰めがまだ不十分であったことが、私ども、今回のように相当広範囲でございますけれども、あくまで試験実施として踏み出そうとする理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/15
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016・倉成正
○倉成委員 ただいま御説明のように、昭和三十四年の伊勢湾台風による長野のリンゴ、山梨のブドウの災害が契機になりまして、この制度の推進が叫ばれて相当長期間たっているわけでありますが、御指摘のように、作物としての特殊性あるいは経営構造の非常に多様性ということから、試験実施にならざるを得なかったということはよくわかるのでありますが、果樹保険の試験実施は、将来、試験実施終了後に果樹保険を全面的に実施する意図といいますか、前提のもとに実施するかどうか、この点をはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/16
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017・大和田啓気
○大和田政府委員 果樹保険の試験実施でございますから、試験実施のあとに本格的な実施をするかしないかということは、厳密に申し上げれば、結果を見ないと一がいに申し上げられないわけでございますけれども、もちろん、私ども、本格実施に踏み切るためにきわめて困難な事情が生じない限り、これをもとにして本格的実施に移す心組みでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/17
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018・倉成正
○倉成委員 この試験実施した期間においていろいろな問題点が出てくることは当然予想されるわけでありますが、なるべくすみやかに本格的な果樹保険を全面的に実施するということを強く要請いたしたいと思います。
そこで、果樹保険制度については学識経験者による検討が行なわれて、その報告が農林省に対してなされていると聞いておりますが、この内容について私も一応承知しておりますが、農林省として、どこが一番ポイントになっておるかということをひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。同時に、世論調査を農林省として行なわれたと聞いておりますけれども、学識経験者とかあるいは実際果樹を経営している人々の意見は、今回の試験実施にどのように反映しておるか、あわせてお尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/18
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019・大和田啓気
○大和田政府委員 御指摘のように、果樹共済制度化準備検討会の報告が昭和四十年の十一月にございました。また、昭和四十年八月に果樹共済に関する世論調査をいたしたわけでございます。この制度化の検討会の報告の内容は、私どもおおむね今回の試験実施に組み込んだつもりでございますが、試験実施というたてまえからこれを組み込むことができませんでしたことを幾つか申し上げますと、一つは、この報告におきましては、契約は長期であって、五年ということを言っておるわけでございます。さらに被共済資格者あるいは加入申し込み者として農協を団体加入するという考え方がこの案に示されておったわけであります。五年間の試験実施ということでございますので、また、損害率等につきましても十分これに対応するような数字を私ども遺憾ながらまだ得ておりませんので、五年間の長期契約あるいは団体の加入ということを今回の果樹保険の試験実施では行なっておりませんが、それ以外はおおむねこの学識経験者の報告の内容を取り入れたつもりでございます。また、四十年の八月に行ないました世論調査の内容は、これは初めてのことでございますが、御承知のように、全国の八つの道府県約三千戸の農家を対象としてやったものでございますが、そこでは果樹共済を絶対必要とするということを言った人が一二%、あったほうがよいと申した人が四三・四%で、合わせて五五・四%の果樹農家が果樹共済を歓迎いたしておるわけでございます。いろいろこまかい点について申し上げることを省略いたしますが、私ども、この世論調査でくみ取れますことと今回の試験実施と違います。点を申し上げますと、加入の方法について、この世論調査は義務加入をよしとする人が五一%、任意加入をよしとする者が三九%ということで、義務加入をよしとする者が半分以上を占めておるわけでございますが、私ども試験実施ということでもありますし、果樹栽培農家の性格からいいまして、強制成立あるいは当然成立で果樹保険をすることはどうも適当でない、あくまでも任意加入のほうがすぐれているという観点に立ちまして、この世論調査の結果はその点については採用をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/19
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020・倉成正
○倉成委員 第四に、試験実施の対象となる指定果樹の種類はどのようなものをお考えになっておりますか。また、これを選ばれた理由について伺いたいと思います。さらに、果振法対象果樹のうち試験実施の対象になっていないものがあるようでありますが、今後これをどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/20
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021・大和田啓気
○大和田政府委員 試験実施の対象といたします果樹は政令で指定することになっておりますが、ただいまのところ、指定いたそうと思います果樹はミカン、ナツミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモの六樹種でございます。これらにつきましては、すでに三十八年ないし四十年におきまして調査を行なっておりますことと、その際調査をいたしましたものは、この六樹種のほかに、実はカキを調査いたしておるわけでございますが、カキにつきましては、調査をいたしました県がただ一つということでありまして、十分データがそろっておりませんので、これを除いたわけでございます。私ども、果振法の対象果樹というものは当然十分尊重いたさなければならないわけでございますので、以上六つの樹種で見ましても、四十年度の生産額の約八四%を占めるわけでございます。生産額において大きく、また対象面積においても大きいわけでございますが、さらに、その生産形態あるいは園地の集団化状況等から見まして、果樹保険の試験実施に適当だということで六樹種をあげたわけでございます。カキにつきましては、ただいま申し上げましたように、試験が一県でございまして、まだデータが不足しておりますが、これは今後被害率の調査をあわせ行ないまして、できれば今回の法律に基づく試験実施の期間中において間に合わすことができるように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/21
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022・倉成正
○倉成委員 カキについても、今後ただいま御答弁のようにすみやかなる調査を実施して、この対象になるように御努力をいただきたいと思います。
そこで、果振法の中で、果樹植栽に適する自然的条件に関する基準を果樹農業振興基本方針の中で定めることになっておるそうでありますが、果樹保険の加入についてこの基準からはずれた不適格地の取り扱いはどうなっておるか。果樹保険が限界地維持の機能を果たすことになるのかどうか、この点をはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/22
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023・大和田啓気
○大和田政府委員 果樹保険の試験実施をいたしますときは、連合会が計画書をつくりまして、都道府県知事を経由して農林大臣がこれを認可するということにいたすわけでございます。そこで、農林省及び都道府県知事の段階におきまして、果樹振興の計画あるいは果樹振興の基本方針と十分私ども調和ができるようにいたしたいというふうに思います。なお、試験実施をやりますものは主産地に大体限るつもりでございますので、いま御指摘のように自然的条件についてまずいような状態において試験実施が行なわれるということは、私どもまずないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/23
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024・倉成正
○倉成委員 大臣が見えたようでありますから、農林大臣に、この際、果樹振興についての基本策についてお伺いいたしたいと思います。すなわち、選択的拡大の成長部門として果樹生産は年々増加してまいります。しかし、今日つぶさに果樹の生産、流通、消費その他各般の事情を検討いたしますと、多くの問題をはらんでおるように思います。たとえばミカンについて申しますと、増植は政府の予想よりはるかに大きく、生産が需要を上回る時期はそう遠くないと予想されます。しかも、生産費は年々増加の一途をたどっておる、価格は弱含みであるということでありますので、その将来は必ずしも楽観を許さないと存ずるのであります。大臣御承知のとおり、元来、果樹農業というのは、自前産業として、近年に至るまで政府の助成にあまりたよることなく発展したのでありますけれども、今日では農業の中に占める比率が非常に大きくなっているわけでありまして、この果樹農業の盛衰は、日本の農業の盛衰に大きく影響する次第であります。したがって、政府としてはこの際確たる果樹農業振興に対する施策を確立することが必要だと思うわけでありまして、今回の法案もこの一環としての意味があると私は考えるわけでありますけれども、農林大臣として果樹農業振興に対していかなる基本方策をお持ちであるか、承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/24
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025・倉石忠雄
○倉石国務大臣 果実につきましては、いまお話のように、選択的拡大という方向をたどってまいらなければならない今日の農業の立場から見まして、私どもはこの果実生産の堅実な発展を念願をいたすと同時に、農政の大事な部分として強力にその施策を進めるべきであると存じております。いまのような情勢になってまいりましたので、年々その需要が増大いたしてまいることは、ただいま御指摘のとおりでありますが、その増大する需要に見合って供給することが必要でございますとともに、他面、その供給が需要に見合いながら、果樹生産農業の経営が安定的に向上することが必要であります。また、われわれとしては、そういう施策をはかってまいることが基本であると考えておるわけであります。
果樹農業をめぐる条件といたしましては、今後、たとえば労働賃金の上昇、労働力の流動、それから国際競争の激化等、なかなかきびしいものがあると予想いたされるので、このためには、生産、流通各段階において果樹農業振興特別措置法の趣旨及び同法に基づく果樹農業振興基本方針に即して施策を一そう充実してまいりたいと思っております。
そこで、この果樹農業振興施策の一環といたしまして、果樹保険制度は、農業者が営む果樹農業につきまして、災害によって受けることのある損失を適正に補てんして、果樹農業の安定をはかるための手段といたしましてきわめて重要なものであると存じますが、これは技術的にもなかなかむずかしい点もございますが、新制度の確立のために今後とも積極的に農林省は努力をしてまいりたい、このように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/25
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026・倉成正
○倉成委員 ただいまの大臣の御答弁で基本的なお考えはわかったわけでありますが、ただいまも御指摘になりましたように、やはり果樹の生産費を下げるというのは、今後の基本的な問題の一つであります。そのためには、やはり試験場の充実というような問題が大きく出てくるわけでありますが、ひとつ大臣、すでにごらんになっていると思いますけれども、たとえば平塚、興津等の試験場をできるだけよくごらんいただきまして、抜本的に試験場の体制を立て直していただきたいと思いますし、また、市場の問題にしても御承知のとおり。それから最近の輸出の問題についても、相当外交交渉の余地が残されていると思うわけでありますから、この点についても、リンゴの産地であります長野の御出身の農林大臣として、特に御配慮をいただきたいと思います。
そこで、ちょうどこの機会に、果樹の生産費と輸出の問題について局長にお尋ねしますので、大臣お聞き取りいただいておきたいと思います。
果樹の生産費が最近とみに大きくなってきているようですが、どういう調査をされているか、どういう実態か、ひとつ園芸局長からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/26
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027・八塚陽介
○八塚政府委員 果樹の生産費調査につきましては、統計調査部の重要農産物生産費、これは果樹のみならず、他の重要な農作物についての調査もあるわけでございますが、その統計調査に基づきまして生産費調査が行なわれているのでございます。たくさん果樹がございますが、たとえばそのおもなものといたしまして、ミカンについて申し上げますと、三十五年、十アール当たり第二次生産費といたしまして六万四千二百十円ということになっておったのでございます。四十年は十万三千七百八十円というようなことで、第二次生産費が六二%上昇をいたしております。それから、リンゴについて申し上げますと、同様三十五年、十アール当たり四万八百四十一円というものに対し、四十年では六万七千九百八十一円ということで、同様約六六%の上昇になっているのでございます。総体で第二次生産費はそういうことでございますが、ただいまも大臣から申し上げましたように、その生産費の中で問題となりますのは、やはり労働費でございます。労働費だけについて申し上げますと、たとえばミカンでは、三十五年は先ほど申し上げました第二次生産費の中のウエートが三五%であったわけでございますが、四十年では三九%ということで、第二次生産費全体が六二%アップに対しまして、そのうちの労働費は約八三%アップということでございます。リンゴは同様に三八%三十五年に占めておりましたが、四十年度は四八%となり、相当な上昇になっているのでございます。大体生産費の概要はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/27
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028・倉成正
○倉成委員 ただいま局長の答弁にありましたように、ミカンについてもリンゴについても、わずか数年の間に生産費は非常な伸びを示しているにもかかわらず、時間の関係上省略いたしますが、価格については、大体ミカンについては三十七年前後を最高ピークとして弱含みにあるという状況でありますので、果樹については一日当たりの労働をとらえますと、いかにもこまかく、他の農産物と比べると有利のようでありますけれども、ウサギとカメのかけ比べで、ちょうどウサギが昼寝している間にカメが追いついていくというぐあいで、米のほうはある程度生産費の上昇につれて上がってくるわけですけれども、果樹についてはなかなかそういうことは考えられないということでありますので、やはりこの際、いまのうちに生産費を思い切って下げるくふう、流通、加工の面、あるいは輸出、そういう面にあわせて対策を講じておかなければ、日本の果樹産業というものはいろいろな問題をはらんでおるということを痛感するわけであります。とくとこの点は御検討いただきたいと思うのであります。
それに関連して、先ほど大臣のお答えがありました輸出の問題について、現在の果樹の輸入と輸出のバランスと申しますか、端的に言えば、バナナの輸入はものすごく多いわけですが、今度台湾との政府間協定ができて、リンゴの輸出をするようでありますけれども、それは微々たるものである。そこで、こまかい数字はけっこうですから、果樹貿易の現況についてひとつおわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/28
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029・八塚陽介
○八塚政府委員 御承知のように、やはり現在の輸出入バランスということを大観いたしますと、果樹、果実類につきましては、輸入が圧倒的に多いわけでございます。しかもまた、このうちで近年特にふえてまいりましたのは、バナナあるいはレモン等でございます。それに対しまして輸出につきましては、これまた御承知のように、なかなか特に三十年代の初め等におきましては伸び悩みであったわけであります。全体の輸入に対するウエートを見る数字はちょっとございませんけれども、その少ない数字の中でも、しかしながら、最近曙光と申しますか、希望が見えてまいったのでございますが、まずリンゴにつきましては、最も大きな市場はこれはフィリピンでございます。その次に台湾、琉球等が期待されるのでございますが、従来台湾向けのリンゴにつきましてはいろいろな制約がございまして、一時非常に少なくなったわけでございます。その後年々倍増をいたしまして、特に最近政府のほうからも台湾へ参りまして、前年に比べて相当程度の輸出の約束を取りつけてまいったというような段階でございます。ミカンにつきましても、御承知のように、主たる生果のミカン輸出はカナダでございます。多年関係者の要望いたしておりました米国につきまして、ことしの五月に、米国のほうで植物防疫上の制限をゆるめてくれることになったのでございます。その後、先方の関係官が参りまして、種々詳しい条件等について伺い、かつ現地等も歩いていったわけでございます。初年度からそう早急にたくさん出るとはなかなか期待しにくいわけでございますが、今後、多年要望いたしておりました米国の北部の州に対する輸出ということも希望が持てるような段階に見られるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/29
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030・倉成正
○倉成委員 ただいまの園芸局長の御答弁の中にありましたアメリカに対するミカンの輸出、この点、特に大臣お聞きとりいただきたいと思うのです。ということは、これはもう病害虫の関係で、アメリカは日本のなまミカンの輸入を制限しております。それを一応解除する方針を立てた。この点だけ聞くと、いかにも非常にけっこうでありますけれども、実際の条件として、私の聞いておるところがもし間違いであれば御指摘いただきたいと思うのですが、六月にはアメリカから防疫官が日本に派遣されてまいりました。指定輸出産地の調査をした。そして、その輸入の条件は非常に過酷なものでありまして、その条件に応ずるためには、指定輸出産地の整備、すなわち、その産地のそばにある雑かん等は伐採しなければいけない、個人の家のミカンでも伐採しなければならない、アメリカの検査員の旅費は日本が持つ、また日本側の検査員の補充もしなければならないという、各般の条件がついておったというふうに聞いておるわけでございますけれども、そうなりますと、この輸出は最初であるからやむを得ないといえばそれまででありますけれども、少なくともそろばん上からは合わない輸出になってくる、さように聞いておるのですけれども、その点は園芸局長御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/30
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031・八塚陽介
○八塚政府委員 現在アメリカの法律で認められました条件は、ただいまの倉成先生がお話しになりましたように、それは植物防疫法上の問題でございますから、まず一番問題になっておりますいわゆるかいよう病がないだろうか、それから雑かんがなくて、温州ミカンだけが栽培されている地域であり、それからその間にやはり雑かんのない緩衝地帯で隔離されている、しかもそれは日米両国の植物病理学者によってその地域を選定する、あるいは収穫期前、収穫期中あるいは圃場出荷期間中は、選果場において日本とアメリカの両方の植物防疫官が検査をする、それから果実については表面の殺菌を行なう、あるいは荷口ごとにこれはまた所定のサンプルをとりまして、ばい菌がいるかどうかの培養の所要の検査をする、あるいはまた向こうへ出しましても、これは日本のものであるということを明示をする、これは一つの果実あるいは箱についてそういうようないろいろな条件がついておるわけでございます。さらに輸入仕向け地はアメリカ全般ではなくて、向こうのかんきつのないアラスカ、アイダホ、モンタナ、オレゴン、ワシントンの諸州に限る、輸入港はやはりアラスカ、ワシントン、オレゴンの港に限るという条件がついておるのでございます。また、お話にありましたような、向こうからこちらへ参ります検査官のいろいろな経費等も、輸出国で引き受けるというような条件がついております。これは一見すると非常に厳重な制限でございますが、かたがた世界的に植物の輸入を禁止いたしております国へ出そうという場合には、植物防疫上はその程度の制限ということはやむを得ないのではないか、私どもといたしましても、万が一その輸出をいたしましたミカンの中に先方のいやがる病気を持っておって、あとあと結局せっかくの従来の努力を無にする、九仭の功を一策に欠くというようなことでは大局的に損ではないだろうか、こういう制限についてはできるだけ良心的に守って、長期的な輸出体制を整えていきたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/31
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032・倉成正
○倉成委員 局長、常識的ないろいろな条件を守るのは当然です。しかし、私の聞く範囲では、非常にこれは現実にはむずかしいというように承っております。たとえば温州ミカンにジャパンの表示をするにしましても、サンキストのレモンにやるようにはいかないわけです。これは技術的に検討させてみましたけれども、非常にむずかしいということです。そういういろいろな問題がございまして、輸出の最初でありますから、これはなかなかうまくいかないということはよくわかるのですけれども、そういう非常な困難がある。そういった点をやはり政府として若干あと押しをしてやるというようなことが必要ではなかろうか、また、ソ連向けに対してリンゴやミカンの輸出をしておるのですけれども、やはりシベリアに全く関係のないミカンについても、病害虫の検査がきびしく行なわれておる。それは黒海沿岸のミカンの保護を目的としておるようであります。そういった点で、シベリアに全然関係のないミカンの検査をシベリアでやるというのもおかしな話でありますし、アメリカの場合は民主主義の国家でありますから、やはりどうしても業界の意見が非常に強いということで、なかなか政府もやりにくい点があるかもしれませんが、やはりこれは大臣として、ひとつあらゆる機会に外交交渉を通じましてこういうのがスムーズにいくように、また、この間において赤字輸出をもって端緒を開いていくという場合には、やはり応分の援助を政府として与えていくということが必要かと思うわけでありますが、この点について、大臣もし御見解がございましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/32
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033・倉石忠雄
○倉石国務大臣 果実は、かん詰めになりましたものはずいぶん世界各国でそれぞれ流通いたしておりますが、そういうことを見ますと、私どもは、わが国でもやはりなま及びかん詰めの輸出については大いに研究をして努力をいたさなければならぬと思います。ことに、いまお話のございましたような点につきましては、各国ともこの当事者はなかなか熱心でありまして、先般も、たとえばニュージーランドの農林大臣が見えましても、それぞれ所管の品物を売り込むことにあたかもセールスマンのような熱心さで努力を続けております。われわれも大いに学ぶべきであると思いますが、果実につきましては、ただいまお話し合いがございましたように、いろいろ病菌等の問題があるようでございますが、たてまえとしては、こういうものもぜひ輸出に振り向けてドルの獲得に努力をして、そして国内の生産も増強されるようにいたすべきであるというふうに考えております。
〔委員長退席、森田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/33
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034・倉成正
○倉成委員 政府として、こういう輸出に若干の助成なりあと押しをしてやろうというお気持ちがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/34
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035・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま大臣がお話しになりましたような姿勢で諸般の検討を進めております。
なお、つけ足して申し上げますと、先ほどのたとえばスタンプの問題等、細部につきましては、なおまだ先方と技術的に討論をする機会が残っておりますので、できるだけ便宜なような方法を採用してもらうように今後とも相談をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/35
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036・倉成正
○倉成委員 果樹振興についてはいろいろな問題があり、ちょうどいまが、私の考えでは大体曲がりかどにきているのではなかろうか、いまやはり基本的な対策を立てて推進していくことが将来のためになると信じますので、ひとつ大臣も前向きにこの問題と取り組んでいただきたいと思います。
それでは法案のほうに入りまして、試験実施の事業規模は四十三年度予算できまることとなると思いますが、どれくらいの規模を考えておりますか。この規模は、従来の農作物共済の農家単位の試験実施とか、家畜共済の死廃病傷共済一元化の試験実施と比較して問題がないかどうか、お伺いいたしたいと思います。財政当局の立場からこの規模が圧縮されることはないかどうか、農林省の方針を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/36
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037・大和田啓気
○大和田政府委員 私ども、ミカン、リンゴ等六種類の果実につきまして試験実施をやります場合の面積は、これらの果樹の成園面積のおおむね一割程度ということを目途にして実施をいたしたいというふうに思っております。もちろん、主産県における主産地ということが目標でございますから、一割程度の成園面積で、私ども、今後本格実施をする場合の資料は大体遺憾なくそろえることができるというふうに考えているわけでございます。
なお御参考のために申し上げますと、二十七年から三十一年にかけまして例のいわゆる水稲の農単の引き受け方式の試験実施をやりましたときは、組合の数にして五%、面積にして六%程度のものを対象として試験実施をいたしたわけでございます。家畜共済の死廃病傷共済一元化の試験実施は、これは比較的技術的にもそう問題はございませんので、わりあい広く行なった例がございますけれども、農単のときの組合の数にして五%、面積にして六%というものを頭に置きますと、今回の果樹の試験実施の約一割というのはおおむね妥当な数字だろうというふうに思います。なお、詳細は四十三年度の予算折衝できまるわけでございますが、私どもはその目標を達成するように十分努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/37
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038・倉成正
○倉成委員 試験実施地域の認定基準についてどういうふうにお考えになっておるか。特に従来の試験調査地域以外の地域から実施の要望があった場合に、具体的にはどういう条件を満たせばこの対象になるかどうか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/38
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039・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもはあくまで本格実施に移す準備としての試験でございますから、当該都道府県において主要な生産地帯を含むように事業の実施をいたしたい。また、一つの主産県におきまして、ミカン、果樹等、たとえば生育期間でございますとか肥培管理方法で、明らかに災害の発生する度合いが同じ県内でも地帯によって違うというような場合は、そのそれぞれの地帯が代表されるような地域ということを選びたいというふうに考えております。もちろん、それ以外に、農協その他の団体の協力が得られますとか、あるいは特に果樹農家が非常に希望しているというところは、当然最大の条件にもなるわけでございますが、いま言ったようなことで、本格実施に移すのに役立つような地域を指定をいたしたいというふうに考えております。なお、先ほども申しましたように、実数で二十一の道府県について試験調査をいたした関係で、おおむね農家の御希望に沿えると思いますけれども、試験調査をやらなかった県で、なお相当果樹があって、しかも農家が非常に要望するという場合におきましては、私ども回りの県の被害率がそこで利用できるかどうか、あるいは流通等の制度が整備されていって、果樹収穫量あるいは被害量等の認定が正確にできるかどうかということを判断をいたしまして、近く御希望の県と相談をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/39
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040・倉成正
○倉成委員 次に、事業計画に規定された事業規模について、計画と実績に差が生じた場合、その取り扱いはどうなるか、伺いたいのです。すなわち、事業認可が取り消しになって、加入中の農家の保険関係が失効して、加入者が不利になる、こういうことがないかどうか、農家の立場からお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/40
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041・大和田啓気
○大和田政府委員 法律の四条にも「共済組合連合会は、その事業計画に従って果樹保険事業を行なわなければならない。」と書いてございますので、認可を受けた事業量と著しく違うような場合、これは当然計画の変更がまずあるわけでございますけれども、計画の変更を受けないでかりに事業をいたしました場合は、まあ農林大臣が法律では認可の取り消しをできるというふうになっておりますけれども、事業量だけの問題でそう認可を取り消すことが適当かどうかということは問題でございまして、必ずしも認可の取り消しをしなければならないというふうにも考えておらないわけでございます。これは当然事業のやり方その他全体をにらんで認可の取り消しをするかどうかをきめたいというふうに思います。なお、かりに連合会がまずいことをやりまして、認可の取り消しがあったといたしましても、それは認可の取り消し後には新たに果樹農家と果樹保険についての契約を結ぶことができないということでございまして、いままで結んだ契約に基づいて果樹保険の事業を行なうことは可能でございますので、特に果樹農家について迷惑をかけることはないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/41
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042・倉成正
○倉成委員 果樹保険の元受け保険機関の問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、果樹保険については農業共済組合連合会を指定されておるようでございますが、その理由を伺いたい。特に今後本格実施に至りました場合に、なおこの連合会を元受けとして続けていかれるお考えかどうか、あわせてお伺いしたいわけであります。また、農協等の協力規定というのがあるわけですけれども、実質的にどういう形の協力をするのか、そういう点についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/42
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043・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもこの果樹保険を考えます場合に、一体どの団体にこれを行なわせるかということが相当大きな問題でございました。普通考えますと、農業共済組合がやるというのが自然でございますけれども、保険として、共済でも同じでございますが、ある程度元受けの団体が責任を保有する必要がございます。しかし、現在の果樹栽培の実態から見ますと、農業共済組合が保険の元受けができるほど栽培面積が各地においてあるわけではございません。実態として農業共済組合が行ないがたいものがあるわけでございます。また、新しい団体をつくりますことにつきましては、これは農政の重要な問題にかかわるわけでございますけれども、果樹保険を行なうために新しい団体をつくるということも、これまた必ずしも適当とは思いません。したがいまして、現在農作物あるいは家畜、蚕繭等につきましてとにかく保険をやっております農業共済組合の連合会にこの法律に基づきまして特別の権能を与えて、それで果樹保険をやるというふうに踏み切ったわけでございます。果樹保険を本格的にやります場合にどうするかということは、私どもこれから検討をいたすつもりで、本格実施をやります場合にも連合会でやるというふうにきめておるわけではございません。また、果樹保険を共済組合の連合会がやる場合について考えますと、保険事業そのものは、すでに家畜、農作物等々について十分経験がございますけれども、果樹については十分の資料もございませんし、また初めての仕事でございますから、どうしても農協その他の流通に参画をしている団体の協力を仰ぐ必要があるわけでございます。これは幾らとれたか、あるいはどれだけの被害があったかということも、流通資料に基づいて判断をすることが一つのポイントでございますから、流通面においてもしかり、また損害の評価をする場合でも、そういう果樹の団体の技術者の協力を仰ぐことが多かろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/43
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044・倉成正
○倉成委員 ただいまの点は、非常に重要な点でありまして、被害の認定をやるのが共済組合連合会というようなことにもなってまいりますので、本格実施をしていくためには、やはり果樹農業者と連合会との関係を密接にしていかなければいけない。しかし、現在までは御指摘のように経験が非常に浅いということ、これは総合的に考えて連合会を元受け機関とする方針を立てられたわけでありますから、少なくとも共済組合連合会が実際十分機能が発揮できるような指導を農林省としてやっていただくと同時に、将来の方向についてもやはりこの際方針を確立しておく必要があるのではなかろうかと思うわけです。この点は要望として申し上げておきたい。
次に、価格の低落を補てんの対象にしてほしいという要望が実質上あるわけですね。これに対して保険では対応できるかどうか。保険で対象とはしないということになっておるようでありますが、今後農林省としては、価格が非常に暴落したというような場合に何らか救済の方法はないものか、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/44
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045・大和田啓気
○大和田政府委員 保険につきまして、果樹ばかりではなく、農産物についての価格の保障をしてほしいという声はあるわけでございますけれども、これは事実問題として非常にむずかしい、むしろ不可能であろうと私は思います。その理由は、価格の変動、特に下がります場合は全国的に下がるわけでございますから、危険の分散というものが働く余地がございませんし、それから、現実に幾らで売れたかということにつきましては、売り方の技術なり活動なり、それぞれの個人なり団体なりの努力にまつところが多いわけでございますから、それらのものを私ども保険としてカバーすることはむずかしいというふうに考えて、この果樹保険についても価格の変動による損失を保険いたさなかったわけでございます。
なお、果実の価格対策につきましては、園芸局長からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/45
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046・八塚陽介
○八塚政府委員 ただいま経済局長から申し上げましたように、やはり私どもも、保険というメカニズムでは果実の価格の低落を救済することはなかなかむずかしかろうというふうに存じます。先ほどもお話がございましたが、果実の価格の低落という場合に、おそらく問題となりますのは二つであろうと思います。一つは、いわば構造的に生産あるいは供給が需要に対して上回って、長期的な趨勢として価格が低くなってくる、反面、生産費が他の理由で上がっていくというような場合の価格の低落の問題と、短期的に市場に一時的に出荷が競合することによる低落の問題と、二つあろうかと存じます。私どもとしましては、第一の長期的な低落の傾向に対してどう対応していくかということは、やはり基本的には生産のいわば需要に見合った調整をしていく。現在の果実の価格の水準がそれでは高いのか低いのかというむずかしい問題もございますけれども、今後、たとえばミカンについて言いますならば、現在のような勢いで植栽が進めば、これはやはり価格の引き下げということになるであろうと考えられますので、そういう点については御承知のような基本方針等を出しまして、あるいはそれに基づく各都道府県の計画等を通じまして、今後生産ないし植栽の調整をはかっていく。反面、もちろん先ほど来お話がございました生産費の低減、合理化ということが必要でございますので、それについても力を入れていきたい。短期的な低落の問題、市場の競合等の問題は、これまた御承知のように、各段階における関係者の協議によってできるだけそういうことのないように進めていくというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/46
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047・倉成正
○倉成委員 ミカン、リンゴについて十アール当たりの保険料の負担はどのくらいになるか、農林省の試算があれば承りたいと思います、最高、最低について。それから、被害が非常に高い場合と低い場合、保険金がどのくらいもらえるか、ひとつわかりやすく、一例をあげてもけっこうですから説明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/47
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048・大和田啓気
○大和田政府委員 多少数字にわたって繁雑でございますが、申し上げます。
まず、ミカンの場合でございます。これは全国平均の数字としてお聞きいただきたいと思います。十アール当たりの保険金額は、普通温州ミカンで試算をいたしますと、十万一千四百円でございます。それで、保険の損害補てんの方式として、五割以上の被害について補てんする場合と三割以上の被害について補てんをする場合と、両建てで考えておりますが、五割以上の被害をてん補する場合は、最高で保険料が十アール当たり六千六百九十二円、最低で千二百十七円、平均で二千七百三十八円でございます。これらの保険料から実は私ども政府から一割程度の交付金を交付するつもりでございますから、それを差し引きますと、十アール当たりに対しまして、保険料が実質で最高が六千二十三円、最低が千九十五円、平均で二千四百六十四円というふうになるわけでございます。
それから、三割以上被害をてん補する場合は、最高で一万一千三百五十七円、最低で千九百二十七円、平均で五千五百七十七円。これから一割を差し引きますと、農家の実負担が最高で一万二百二十一円、最低で千七百三十四円、平均で五千十九円ということに相なるわけでございます。
なお、同様にリンゴについて申し上げますと、十アール当たりの保険金額は試算で四万八千円でございます。保険料は五割以上被害をてん補する場合は、最高が四千三十二円、最低が六百二十四円、平均が千五十六円、これから一割の交付金を差っ引きまして、実質の農家負担といたしましては、最高で三千六百二十九円、最低で五百六十二円、平均で九百五十円。
三割以上の被害をてん補する場合は、最高で六千四百三十二円、最低で千八円、平均で千九百二十円。これから一割引きました実質負担額は、最高で五千七百八十九円、最低で九百七円、平均で千七百二十八円ということになるわけでございます。
また、災害によりまして支払われる保険金は、普通温州ミカンで保険金額十万一千四百円といたしまして、五割以上の被害をてん補する場合に、全損でまるまるでございますから十万一千四百円、五割の被害で三万四百二十円になります。また、三割以上の被害についててん補する場合を考えますと、全損で十万一千四百円、三割の被害で一万百四十円ということでございます。
なお、同じくリンゴについて申し上げますと、保険金額四万八千円といたしまして、五割以上の被害をてん補する場合は、全損で四万八千円、五割の被害で一万四千四百円、三割以上の被害をてん補する場合は、全損で四万八千円、三割の被害で四千八百円ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/48
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049・倉成正
○倉成委員 時間の関係もありますから、ひとつ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
果樹保険の対象事故として、一般的に病虫害を除外している理由をひとつ承りたいと思います。特に生産費の中に病虫害の防除の費用というのが年々増加傾向を示しておりますし、一たん病虫害にかかりますと、毎年これを繰り返すという習性を持っておるということで、病虫害を入れるべきじゃないかという意見もあったやに聞くわけでありますが、なぜ除外されたか、ひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/49
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050・大和田啓気
○大和田政府委員 世論調査等を見ましても、病虫害を入れてほしいという意見が確かにあるわけでございますが、果樹の病害につきましては、栽培のしかたあるいは栽培の地域、防除技術の差によりまして非常に被害の程度も違うわけでございますので、私ども、共同防除等によりまして幾ら防除をしてもだめな種類の病害に限って、これを事故として認めるというふうに考えておるわけでございます。申し上げますと、かんきつにつきましてはかいよう病、リンゴはモニリヤ病でございます。なお、虫害につきましては、これは共同防除の徹底により防除できるものでございますから、果樹保険の対象にはいたしておらないわけでございます。病虫害合わせて申し上げますと、防除の努力によって防除できるものは事故として認めないけれども、それが不可能なものについては対象事故とするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/50
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051・倉成正
○倉成委員 果樹保険では、農作物共済の一筆単位と異なって農家単位になっております。これはどういう理由でそうされたのか、伺いたいと思います。また、果実の収穫保険で、農家単位の三割以上または五割以上の減収に限っててん補と、非常にきびしい条件がつけられておるわけですが、これはどういう理由によるものか。さらに、単位当たりの最高保険金額を平均庭先価格の六割としておるようでありますが、この考え方についてもその根拠を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/51
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052・大和田啓気
○大和田政府委員 一筆単位をやりませんで農家単位制といたしました理由としては、果樹保険は、やはり果樹栽培農家の所得補償を目的とするというふうに割り切ったわけでございます。また、農作物といいますか、米麦等と違いまして、損害評価につきましては十分精度の高いことはできないという事情もあるわけでございます。また、農家単位で五割以上あるいは三割以上の減収だけを見るということは、確かにきついようでございますけれども、もっと軽いものを見るということは、これは当然農家の保険料の負担を多くするわけでございますから、農家の保険料負担を少なくすると同時に、損害が大きく出た場合にてん補をできるだけ厚くするという趣旨で、いまのように農家単位で三割ないし五割というふうにいたしたわけでございます。
なお、全損の場合に庭先価格の六割といたしましたことは、果実は年によりまして価格の変動もございますし、さらに米につきましても価格で九割、作柄で三割以下は足切りをいたしまして、全損の場合でも六三%というものが限度でございますから、果樹保険の六割というのも、それとの調整をとったという事情もございます。また、実際問題といたしまして、庭先価格の六割というものは、まあ果樹の種類によって多少の違いはございますけれども、果樹栽培の物財費と労賃部分とを大体償うというものであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/52
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053・倉成正
○倉成委員 果樹保険が作物保険として成立するかどうかということは、損害評価のいかんにかかっておると思うのです。果樹農業者、すなわち加入者に不満のない評価をどうやってやるかということが一点と、それから、農家単位に三割とか五割とか、相当大幅な被害がないと保険金の支払いを受けられないわけですが、比較的軽いけれども、本人にとってみますと災害を受けたという農家、保険金の支払いを全然受けない農家というのに、無事戻しというのは考えられないかどうか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/53
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054・大和田啓気
○大和田政府委員 御指摘のように、災害としては相当大きな災害のときだけ果樹保険として見るわけでございますから、災害の頻度は必ずしも多くはございません。米麦のように一筆で三割ということと違うわけでございます。したがいまして、三割あるいは五割という被害ができましたときは、連合会が試験場の果樹関係技術者あるいは団体の技術者等を動員いたしまして、相当丁寧に損害評価ができるというふうに考えておるわけでございます。これは当然農協その他の流通関係資料の活用もいたすわけでございますけれども、まず農家にとって不満のない評価をすることができるのではないかというふうに思います。
さらに、御指摘の無事戻しでございますが、これは試験実施期間中の五年間につきまして、毎年無事戻しというわけにもまいりませんけれども、連合会に剰余金がございますれば、それはまず不足金てん補の準備金に充てて、そうしてそれを支払わずに済む場合は、試験実施が終わりましたときに無事戻しという形で戻すことが十分考えられる、そういうふうに指導をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/54
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055・倉成正
○倉成委員 樹体保険については、収穫保険の付帯特約として、樹体保険のみの加入を認めていない。これはどういう理由によるものか。また結果樹の全損だけを対象にして、幼木、幼齢樹、未成園については対象としていない。この収穫保険の保険金額の二年分を結果樹について補てんするとしているようですが、この理由をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/55
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056・大和田啓気
○大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、樹体についての被害というのは、実は昭和四十年に一回調査をいたしただけで、私ども十分な資料はございませんので、収穫保険の付帯特約として樹体保険を認めて、しかも全損の場合に収穫保険の保険金額の二年分をてん補するということといたしたわけでございます。これは世論調査あるいは先ほど申し上げました研究会の検討でも、樹体保険ということについてはいろいろ言われておりますし、また農家の希望もそこにあると思いますので、私ども、試験実施期間中につきましても、樹体についての被害率を十分調査して、今後樹体保険について本格的な実施ができますように十分の準備をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/56
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057・倉成正
○倉成委員 超過損害額歩合い再保険方式の採用の基本的考え方を伺いたいと思います。特に異常部分について連合会に一定の責任を負わせることになっておるようでありますが、異常部分の支払い責任を原則として国が負担するという超過損害額再保険制のたてまえから考えると、これはおかしいように考えますが、この点はどう考えておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/57
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058・大和田啓気
○大和田政府委員 果樹の災害は、米麦と同じような性格で、ある年は災害がほとんどない、ある年は非常に災害があるという形であるわけでございます。したがいまして、通常の災害は連合会で見る、異常災害につきましては国が九割を見て、連合会が一割を見るということにいたしたわけでございます。これは果樹の性格ということもございますが、それ以上に、果樹につきましての被害統計が十分整備されていないことと、損害の評価につきましても、農作物等と違ってそう厳密にはできませんので、元受け保険者であります連合会が厳密に損害を査定することを期待するたてまえから、連合会にもその一部を持ってもらうというふうに考えたわけでございます。いずれにいたしましても、連合会の持つものは一割でございますから、大体において国が異常災害分は見るという方針については御了解いただけるというふうに考えております。
〔森田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/58
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059・倉成正
○倉成委員 政府に対する再保険を自動契約とせず、任意契約とした理由を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/59
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060・大和田啓気
○大和田政府委員 これは多少法律技術的な問題でもあるわけですが、政府と連合会との再保険を自動契約といたしますと、果樹栽培農家と連合会の保険もまた法律で厳密に実施事項を書かざるを得ないような法律のたてまえになるわけでございます。したがいまして、果樹保険は試験実施というたてまえばかりでなしに、内容が相当流動的でございますので、政府に対する再保険ばかりでなしに、農家と連合会との保険につきましてもいろいろ弾力的に考えざるを得ない点が相当ありますので、そういう趣旨で政府に対する再保険を任意契約といたしたわけで、私ども趣旨としては、別に政府があれをきらい、これを好むということではなくて、自動契約と同じように大体扱うつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/60
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061・倉成正
○倉成委員 果樹の種類間の問題ですが、果樹の種類によっててん補の機会をめぐって利害の対立が生ずるおそれはないか。かりにこういう対立が非常に生じた場合に、どういう調整策あるいは緩和策を講ずるつもりであるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/61
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062・大和田啓気
○大和田政府委員 六つの樹種につきましての被害率、これは県別にそれぞれ違っておりますから、被害の高いものは保険料が高いということで、また再保険についても同様のことが言えるわけでございます。私ども、たてまえとして、ある樹種が有利で他の樹種が不利だというふうにはならないというふうに思います。しかし、これはたてまえの問題でございますから、事実問題としてそういうことがあるいは起こらないとも限りませんが、これは五年間たちまして、政府として再保険の特別会計の勘定がどうなるかという問題がございますが、その時点においてこの問題について十分検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/62
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063・倉成正
○倉成委員 この果樹保険の試験実施終了後に、連合会に不足金が生ずることが当然考えられるわけですが、これはどういうふうに処理するつもりであるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/63
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064・大和田啓気
○大和田政府委員 これは異常災害につきまして九割を国が再保険するということであり、また連合会が見ます一割につきましても、保険料なりあるいは積み立て金なりで足らない分は削減をすることができるわけでございまして、ほんとうに連合会の赤字として残りますものは、通常標準被害率以下の責任部分とこれに見合う保険料の差ということになるわけでございます。それは机上の数字として約一億二千万で、これは、保険にかかります約二万町歩ほどの果樹園が、全部一ぺんに全損になるという特別な場合でございますが、実際問題としてそういうことは起こり得るはずがございませんから、連合会の赤字として残る部分はそんなに多いものではございませんで、また、それを多くないようにするために、再保険の制度が考えられたというふうにも御了解していただいてけっこうであろうと思います。しかし、かりに多少のものが残りましたとすれば、それはやはり連合会の負担ということで処理してもらわざるを得ない。国として相当多くの再保険をいたしておるわけでございますから、その点については連合会においても十分了解してもらうつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/64
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065・倉成正
○倉成委員 ただいまの点について、農業共済基金の融資ということを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/65
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066・大和田啓気
○大和田政府委員 削減することができる部分については基金の融資を考えておりませんが、先ほど申しました机上計算で、一億二千万に相当する通常標準被害率以下の責任部分とこれに見合う保険料で足らない部分につきましては、基金からの融資を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/66
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067・倉成正
○倉成委員 融資財源の確保については、十分ひとつ御配慮いただきたいと思います。
そこで、農作物と蚕繭共済、また家畜共済では、共済掛け金の一部を国庫が負担するということになっておりますが、今回の果樹保険では、保険料を国庫負担としないで加入者への交付金ということになっておるようでありますが、この交付金というのはどういう性格のものか、その金額については四十三年からきまると思いますが、どの程度のものが予想されるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/67
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068・大和田啓気
○大和田政府委員 保険の掛け金の国庫負担というのは、私ども農災法でやっております農作物、蚕繭、家畜共済等、強制ないし義務加入制度のうらはらとしての掛け金の国庫負担ということであろうと思います。果樹保険につきましては、これはあくまで任意加入でございますから、そういう意味で、掛け金国庫負担という方式はなかなか考えづらいわけでございます。そこで、私ども考えておりますのは、かつて家畜につきまして加入奨励金を交付したという前例もございますが、加入奨励金という実質で、純保険料の一割程度を国から交付金として交付するように、四十三年度以降の予算で処理をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/68
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069・倉成正
○倉成委員 試験実施の事務費の補助はどういうふうに考えておるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/69
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070・大和田啓気
○大和田政府委員 これは普通の農作物の共済等と同じように、基幹的な事務費につきましては全額国庫補助というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/70
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071・倉成正
○倉成委員 果樹保険の試験実施は四十三年度から引き受けを開始ということになっておりますが、この法案が今国会で成立したら、どういうスケジュールでこれをやっていくことにしておるか。それから、ついでに伺っておきますが、試験実施期間が大体最高限五年となっておりますけれども、これを短縮する、あるいは延長する、そういうことはないかどうか、そういう点をあわせてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/71
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072・大和田啓気
○大和田政府委員 この法案が幸いに今国会で成立いたしますと、私ども来年の三月までは引き受け準備、あるいは連合会についての実施の準備、あるいは果樹農家に対する啓蒙等々の準備をいたしまして、来年の四月から果樹保険臨時措置法の施行をいたして、まずブドウの契約の開始が来年の五月から始まる、そういうようなスケジュールで考えておるわけでございます。
それから、試験実施期間を五年としておりますことを延ばすか縮めるかというような御質問でございますけれども、私ども五年と考えておりますのは、試験実施といいましても、本格実施をするためのデータの収集でございますから、三十八年から四十年まで三年やっておりますし、それから五年を試験実施いたします間に三年間のデータの収集ができるわけでございますから、まず前後合わせて十一年間のデータがあれば、何とか本格実施に踏み切れるための資料がそろうのではないかというふうに考えております。これを縮めたりあるいは延ばしたりすることは、現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/72
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073・倉成正
○倉成委員 これはひとつなるべくこのデータをそろえて、すみやかに実施に入るようにお願いしたいと思います。
次にお尋ねしたいのは、果樹保険と果樹の各種の災害融資制度との関連、両制度がどういうふうにからみ合うか、大きな被害を受けた場合に、融資を受けたので保険がもらえないとか、いろいろな問題が実際上出てくるかと思いますので、この点をひとつはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/73
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074・大和田啓気
○大和田政府委員 相当広範囲といいましても、あくまで試験実施でございますから、果樹保険と各種の災害融資制度とは、それぞれ特徴を生かしてお互いに運用によってそれぞれ成果をあげられるように、保険金をもらったからすぐ融資をとめるというふうには考えない、両方相伴って行なわれるようにいたしたいというふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/74
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075・倉成正
○倉成委員 その辺の配慮はよほど慎重にやらないと、一方で融資をしたから、あるいは保険金をもらったから、融資はとめる、公庫融資なり天災融資をとめるということになると、果樹栽培の農家としては保険の制度をかえってうらむという結果が出ますので、十分これは検討をしていただきたいと思います。
そこで、これまでいろいろ数点にわたって御質問いたしましたけれども、最後に、昨年の六月二十一日の本院の農林水産委員会で、畑作、肉豚、鶏の新種共済について早急に制度化をはかる旨附帯決議をいたしたのでありますが、これについて農林省としてはいかなる方針で進んでおるか、現在の段階でどういうふうに考えておるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/75
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076・大和田啓気
○大和田政府委員 畑作共済につきましては、現在北海道と鹿児島県で調査を継続中でございまして、その結果を待って私どもその実施について検討いたしたいと思います。なお、北海道におきましては、四十一年度からこれも金銭の授受をやって、畑作物共済の実験実施をやっておりますので、これについて委託調査費を交付して必要な技術指導もやっておりますけれども、それも一つの参考として考えたいと思います。
肉豚共済の問題につきましては、昭和四十一年度において相当詳細な調査をいたしまして、現在その調査結果を取りまとめ中でございます。これは今年度中にどういうふうに肉豚の共済を行なうことができるか、あるいはできないかということの結論を出すように努力をいたしたいと思います。
それから、鶏の共済につきましては、これも四十一年度から三年間の計画で現在調査をやっております。これは鶏の共済と申しましても、養鶏の規模等によりまして非常に経営の内容が違うばかりでなしに、農家の要望も違いますので、四十一年、四十二年、四十三年と調査をして、その結果に基づきまして十分具体化について検討いたしたいというふうに考えておる次第であります。いずれもそう簡単に踏み出せる問題ではございませんけれども、私ども鋭意調査を進めて検討いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/76
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077・倉成正
○倉成委員 ただいまの点については、ひとつ前向きに農林省として取り組んでいただきたいと思います。冒頭に申し上げましたように、果樹農業は現在一つの転機に立っておる。その中で、果樹保険の法律というのは非常に大きな意義を有すると思うわけであります。せっかくこの制度をつくりましても、実際末端の農家から喜ばれるような配慮というものを、これまでの質疑の過程で明らかになりました諸点について、ひとつぜひとも御配慮をいただきたいと思います。この法案の作成までに至る当局の労を多といたして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/77
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078・本名武
○本名委員長 島口重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/78
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079・島口重次郎
○島口委員 果樹共済の今度の法律の提案にあたりまして、農林省が御苦労いたされました点は多とするのであります。しかし、問題点が非常に多くあると思います。それらの問題、特にこの法案に流れます考え方といたしましては、農林省と申しますか、官僚のエゴイズム的な思想が相当濃厚ではないか、こう考えます。それらの点につきましていろいろ大臣にもお尋ねをしたいのでございますが、あとで大臣が出席をいたされるそうでありますから、大臣が来ましてからそのことを質問いたすといたしまして、とりあえず保険料金の問題でお尋ねをしたいと思います。
果樹生産者から見ますと、最低の保険料で最大の支払い金をいただきたいのは当然でありますけれども、客観的に見まして、全中の意見を見ましても、あるいは園芸協会等の意見を見ましても、掛け金が高くて支払い金が低いではないか、こういう世論が相当強いのでありますけれども、第一番に、その点に関する局長の見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/79
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080・大和田啓気
○大和田政府委員 資料を差し上げてございますけれども、また先ほど御説明いたしましたが、ミカンなりあるいはリンゴなりを例にとって、保険金額と保険料との説明をいたしたわけでございます。私どもも、非常に保険料が安くていざといった場合の保険金額が非常に多いというふうには考えませんけれども、ああいう計算になりますのは、結局、先ほども申し上げました、三十八年から四十年にかけて、具体的に二十一の県にわたる百五十六の地区でございますか、農家の戸数にして一万四千戸ぐらいのものを対象にして、三年間試験実施をいたしました被害率の結果でございます。しかも、これをただ農家と連合会だけの保険ということではなくて、政府が異常災害部分についての再保険をして、その九割を政府が持つというふうに相当腰を入れての保険でございますので、私ども、だんだんこれは年数のたつに従いまして、果樹栽培農家の技術もあがって、また長い間に被害が平均化されて、被害率が落ちついて少なくなりますと、それに応じまして掛け金率というものは下がるわけでございますけれども、現在のデータをもとにして保険を仕組む限り、ああいう数字になるわけでございます。
ただ、先ほど農林省官僚のエゴイズムというようなお話がございましたけれども、私ども別にエゴイズムと思っておりませんのは、強制保険あるいは義務保険ということではございませんで、あくまで任意加入のたてまえでございますから、果樹農家がこれでよしとしてお入りいただけば、それに基づいて政府が再保険をするので、決していやがるのを無理にこの保険に引っぱり込むというつもりは私どもございません。その点は、決して農林省として無理なことをするものではないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/80
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081・島口重次郎
○島口委員 そのエゴイズムの問題はあとでまたやりますけれども、掛け金の問題ですが、あなたのほうからもらいました資料の一八ページの前ですが、リンゴの例をとっているわけですね。これを見ますと、一戸当たりの具体的な例で申し上げますと、掛け金は最高で一万八千八百四十六円、最低で二千九百五十三円、平均で五千六百二十六円、こうなっておるわけであります。ところが、支払いを受ける額のほうでは、三〇%の被害がありましたときには一万四千六十四円ということになっております。それから、十アールの例をとりますと、保険料の平均額は千九百二十円、最高は六千四百三十二円、最低は千八円であります。そういたしまして、三〇%の被害を受けた際には四千八百円もらうのであります。保険料のほうは最高で六千四百円、もらうほうは四千八百円、この面だけから申し上げますと、もらう金よりも保険料のほうが高いという数字が出てくるのであります。もちろん、これは最高というのは、異常災害と通常災害とのラインをどこに引くかということで変動があると思いますけれども、この資料から見ますと、そういうことになるのでありますが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/81
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082・大和田啓気
○大和田政府委員 そのとおりでございます。一四ページの資料をごらんいただきますと、いま申し上げましたような数字が出る根拠がございまして、これは各県の年次別の被害率でございますが、リンゴのところの北海道をごらんいただきますと、三〇%以上の被害について支払う方式でやりますと、三十八年が四・九で、三十九年が一六%、四十年が二〇・六%、被害率が非常に高いわけでございます。これはたいへん妙な言い方でございますけれども、私どもが得られるデータというのはこれだけしかないわけでございます。これに基づきまして保険の設計をいたしますと、いま申し上げたような保険料なりあるいは保険金額になるわけでございまして、今回果樹保険につきまして私どもが強制保険に踏み切ることができなかった、あるいは全国一律の試験実施に踏み切ることができなかった一つの理由といたしまして、県別にこれだけの被害率の差があるということ、また、これがほんとうに今後長期にわたってこういう姿であるかどうかということについて確信が持てないわけでございます。したがいまして、いまのように一番被害の高いところをおとりになりますと、いまお述べになりましたような数字になるわけでございますけれども、一番安いところをとりますと、十アール当たりの保険料というのは千八円で、一番高いところをおとりになれば六千四百三十二円、平均が千九百二十円でございますから、平均的なところでごらんいただけば、また別の議論が当然に出るわけでございます。したがいまして、これは果樹保険の試験実施をやるかやらないかということは、これは連合会というよりも、実体的には果樹栽培農家でございますから、被害率がいままでのデータによればこんなに高くて、保険料が非常に高くて、とても割に合わぬということであれば、そこは試験実施に乗らないで、もう少し様子を見るということに私はなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/82
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083・島口重次郎
○島口委員 局長の言うこともわからぬことはないけれども、やはり保険に入る限りは、自然災害の損害というものを補てんするためにやるわけですね。それで、ただいま私が言った六千四百三十二円かけまして、四千八百円もらうという、こんな保険はあり得ないと思うのだが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/83
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084・大和田啓気
○大和田政府委員 ですから、繰り返し申し述べることになりますけれども、これは強制保険ではございませんから、そういう被害率の高いところでは割りに合わないということで、私は、試験実施に乗ってこない、また乗ってこなくてもやむを得ないというように考えます。これが強制保険で無理にあらゆる果樹栽培農家がこれに参加せざるを得ない、法律的に強制をいたす場合には、おっしゃるとおりに、それはおかしいということになると思いますけれども、現実の被害率がいま申し上げましたように、とにかく二年続けて一六%とか二〇%とかいうふうに出るわけでございますから、それをこんなに出るはずがないといって査定をいたすことは、これは保険のたてまえからいってできないわけでございますから、こういう災害被害率をもとにして申しますと、いま申し述べましたような保険料なり保険金額なりが出てくるわけで、これはこういうものでお入りになりますか、どうですか、こういう御判断を私どもは果樹栽培の農家から受けたいというふうに思うわけでございます。これが最高で、いま御論議いただいておるような、こういうのはおかしいじゃないかといえば確かにおかしいわけでございます。私どもこれでいいんだというふうに申し上げるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/84
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085・島口重次郎
○島口委員 これで不満のある方は入らなくてもよろしいという割り切り方は、やはり官僚だと思うのです。その災害が大きいということは、やはりこれだけ損害が大きいということなんです。損害が大きいから、保険の力で損害を補てんしようとするのが生産者だと思うのです。被害の少ないものを救済する果樹共済保険、被害の大きいものは救済できないのが果樹共済保険だとするならば、そういう考え方がはたして妥当であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/85
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086・大和田啓気
○大和田政府委員 今回私どもが進めようと思っておりますのは、あくまで試験実施でございます。本格的な実施ではございません。本格的な実施でありますれば、もっとデータがそろいますから、申し上げた北海道の被害率が、あるいは長期をとればもう少し下がるかもわかりません。そこでまた別の数字が出てくる可能性が十分あるわけでございますけれども、いまのように、あくまで任意加入をたてまえとした試験実施でございますから、これらの数字を見て、引き合わないから入りたくないという者がある場合、それはどうもやむを得ない。だんだんデータを積み上げていって、今後本格実施に入ります場合は、相当被害率というのはあるいはならされるかもわかりません。しかし、被害率が高いところでは保険料が高いということは、これはあらゆる保険に共通なことで、被害率が高いけれども保険料を同じようにしなければならぬというと、これは農作物の共済でも成り立たないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/86
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087・島口重次郎
○島口委員 後段のほうから申し上げますが、被害率が高いところは保険料金も高い、これは当然のことであり、その原則も一般論としては了承いたしますけれども、具体的に三〇%以上の被害があったものには保険金の支払いをするんだという制度、保険によって救済をされるんだという制度において、保険料金よりも支払いをいたします保険金が少ないということが、保険自体の意味からいっても問題ではないかと思うのであります。
それから、局長がおっしゃるとおり、この法律は暫定法であることはそのとおりであります。ところが、この計算に合わないものは入らなくてもよろしい、こういう思想的な考えがある限りは、たとえ暫定法から永久法に移行いたしましても、そういう考え方が出てくると思います。そういう点はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/87
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088・大和田啓気
○大和田政府委員 この数字で申し上げまして、十アール当たりで保険料が最も高いところで一万一千三百五十七円でございますが、先ほど申し上げましたように、加入奨励金的な意味で交付金を一割交付する予定でございますから、一万円とちょっとの数字になるわけでございます。それにいたしましても、三〇%の被害の場合は保険金が一万百四十円でございますから、それは保険料とほぼ見合う数字であって、決して農家にとって利益がないではないかという御議論はそのとおりであろうと思います。しかし、被害率が四〇%になりますと二万三千三百二十二円、五〇%になりますと三万六千五百四円になりますから、農家はあぶないという判断であるいはこの保険を支持するかもわかりません。私ども個人的に、そんな被害率の高いところ、したがって保険料の高いところは、必ず入ってこないというふうに予断を持って断定いたすわけではございません。ただ、それを農家の判断によってきめたい。何も上からといいますか、私どもが入るように言って無理にお願いをしたり、強制をいたしたりするつもりは毛頭ございませんということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/88
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089・島口重次郎
○島口委員 それはもちろん、共済保険に入って損するような保険にはだれも入る人がない。当然な話であり、保険制度で災害の損害を補てんするという目的から見ると、相反しているじゃないか。逆になっているじゃないか。しかもはっきりうたっているとおり、三〇%以上の被害があった場合は保険金を支給するんだ、その支給される保険金が掛け金よりも低い。こんなきめ方は、まさに目的と具体的な行為が逆だと考える。こういう点は大臣はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/89
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090・大和田啓気
○大和田政府委員 繰り返しの御説明になって恐縮でございますけれども、三〇%の被害の場合は保険料と保険金がほぼ見合うわけでございますが、被害は四〇の場合があり、五〇の場合があり、六〇の場合があり、あるいは極端に言えば一〇〇%の場合があり得るわけでございますから、一〇〇%全損の場合は十万一千四百円の保険金が支払われるわけでございます。したがいまして、保険金が支払われる最低限度の被害のところで保険金と保険料が見合うということから、保険制度としておかしいではないかというふうには言えないと思います。そういうことになりましたのは、保険料が一番高い地域において、被害がまたものすごく高いわけでございますから、被害の実態からいって、こういうふうな保険料にならざるを得ない。しかし、それで農家が御不満であれば、今回の試験実施は見送って、また本格実施のときに考えるということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/90
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091・島口重次郎
○島口委員 それではこの問題はあとにしまして、せっかく大臣がいらっしゃったから、大臣に御質問を移行いたします。
先ほど来局長のお話を聞いていると、任意加入だからいいじゃないか、やむを得ない、こういうようなことを再三言われるのでありますが、ところが、この任意加入ということが妥当であるかどうかの問題であるが、たとえばある農家が保険に加入したい、こう考えましても、一定地域のある程度の数がまとまらなければ加入ができない、そういう点はどうなんですか。たとえ入りたくても入れない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/91
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092・大和田啓気
○大和田政府委員 これは保険のたてまえからいって、できるならばみんなが入る共済なり保険なりがいいわけでございます。ぱらぱらごく少部分の人が入るという保険では成り立たないわけでありますから、たまたま一人保険に入りたいという人があっても、一人では困ります。特定地域の果樹農家の半数以上の人がお入りになる場合は保険が成立をいたしますということは、私は、保険の技術の上からいってやむを得ないと思います。一人の人が入りたい、おれが入りたいと言うのを、入るのをけしからぬということは、私は保険制度のたてまえからいってとれないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/92
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093・島口重次郎
○島口委員 そういう面から見ると、任意加入ではなくて、認可加入というほうが適切ではないかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/93
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094・大和田啓気
○大和田政府委員 入るか入らないかということは、あくまで任意でございます。ただ、保険が成立するために、特定の地域における果樹農家の半数以上が入ってくださいということだけでございますから、あくまで任意加入でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/94
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095・島口重次郎
○島口委員 だから、任意で加入したいといっても、この場合ははいれないのです。たとえばもう一つ例を申し上げますと、再保険の問題でもそうであります。任意で入るのだから、再保険をつけるつけないということは、被害率のひどいところは再保険に加入する、あるいは入りたくないという解釈が出てくれば入らないということで、選択であるならば任意加入であるけれども、一たん加入するとすれば、地域の一定の数が集まらなければ、グループとしてまとまらなければ加入ができない。あるいは再保険のほうも、ぜひとも入らなければ保険加入ができない、こういうようなたくさんの前提条件があるとするならば、任意加入というよりも、認可加入というほうが適切なように考えられますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/95
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096・大和田啓気
○大和田政府委員 連合会が果樹保険をやります場合には、一定の事業計画書をもって都道府県知事を経て農林大臣の認可を得るわけです。そういう意味では、認可保険であることは間違いございません。しかし、農林大臣が認可をいたします一番根っこの農家が入るか入らないかということは、あくまで農家の任意でありまして、それは強制でも何でもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/96
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097・島口重次郎
○島口委員 もう一点あげますと、五年間の契約でなければだめだ、こういう前提条件もあるわけです。常識的に言いまして、一年ごとで契約が完了いたしまして、あとは入るか入らぬか、本人の選択にまかせて決定するならともかく、これも五年間でなければ加入できない。表面にうたっていることでは任意加入だ、こういっているけれども、加入したいけれども、これこれをのまなければ加入ができないのだというように、非常に前提条件が多いわけであります。そういう面から見ると、確かに、それでよかったら入りなさい、悪ければ入らなくてもいいということでは、任意加入かもわからないけれども、あまりにも前提条件が多い。こういう点は、農家の皆さんの実態を考えるよりも、特別会計で果樹共済制度において損をしたくない、万が一赤字が出ますと、これは皆さんの責任が出てくるから、赤字は出したくない、こういうエゴイズム的な思想が非常に濃厚だと考えますけれども、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/97
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098・大和田啓気
○大和田政府委員 五年間という期間は、法律にも書いてございますように、試験実施の期間でございます。農家が契約をする場合は、一収穫年度でございますから一年。一年というふうにお考えいただいてけっこうでございます。ことしは入ったけれども、つまらないから来年はやめるということはできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/98
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099・島口重次郎
○島口委員 それは間違いないですか。もう一回再確認しますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/99
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100・大和田啓気
○大和田政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/100
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101・島口重次郎
○島口委員 それから、無事戻しの問題ですけれども、先ほど倉成委員の質問を聞いておりましたら、五年間経過いたしまして、そこに黒字が残りますと無事戻しをする、こういうお話でありますけれども、これを一年ごとというわけにいかぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/101
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102・大和田啓気
○大和田政府委員 先ほど申し上げましたように、連合会の保険料でまかなえない保険金の支払い部分がございますから、それに備えて、もし年々の黒字があります場合は、不足金てん補積み立て金として積み立てたほうが、私は果樹農家のためにもいいのではないかというふうに思います。しかし、これは黒字が残った場合に農家に返さないという趣旨ではございませんで、試験実施の期間が終わりまして、五年たってなお黒字が残りました場合は、それは農家に無事戻しの形で返すということが望ましい、私どももまたそういうふうに指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/102
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103・島口重次郎
○島口委員 一年やってみまして、意外にその被害が少ない、こういう現象が出てまいりました際には、年々保険料金を引き下げていくというような方針はあるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/103
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104・大和田啓気
○大和田政府委員 私ども普通の農作物につきましても、三年間を区切って大体二十年単位で被害率を見て保険料を改定していくわけでございますが、果樹保険は五年ということでもございますし、私どもの現在握っている資料も三十八年ないし四十年の三カ年でございますから、果樹保険の試験実施期間中に保険料を下げるということは、できれば私とも——やらないというふうには申し上げませんけれども、三年のデータしかないところに試験実施として出発するわけでございますから、試験期間の途中において保険料を改定するということはなかなかむずかしいのではないか。これは私どものこれからの検討問題の一つとして考えますけれども、私ども決してやらないというふうには申し上げませんが、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/104
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105・島口重次郎
○島口委員 そこで、今度の共済制度は、自然災害に対する損害補てん目的だ、こういっておりますが、これだけで農家の災害のすべてが補てんされるかと考えますと、そうではないと考えます。最近における果樹の状況を見ておりますと、自然災害よりも人為的な経済社会における変動による被害が相当大きなものだと考えます。そこで、この点、おそらく今度施行されます暫定法では救済の方法がないと思いますが、できるとするならば、その見解をお示し願いたいと思います。
そこで、この問題は、むしろなたね、大豆等のように支持価格やら価格保障制策で損害補てんをしていかなければならない問題だ、こう考えるわけですけれども、この点に関する見解を大臣からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/105
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106・倉石忠雄
○倉石国務大臣 価格の変動によります損失は、その価格変動という性格上から見まして、全国的に平均的にあるわけであります、価格の下落という経過は。したがって、保険による危険分散という妙味が働く余地がないわけであります。そういうことが、一つは保険としての対象として非常に問題がある。それからもう一つは、個々の手取り価格の変動は、販売の技術の巧掘によっても起こり得る問題でありますので、それらの理由から、保険事故といたしましての適性に欠けるものではないか、こういうふうに私どもは思いますので、経済変動による価格の下落というのは保険の対象にはむずかしい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/106
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107・島口重次郎
○島口委員 私も、今度の果樹共済では救済の方法がない、こういう前提なのでありますけれども、そういう観点から申し上げたいのですが、これはきのうの新聞ですが、東京市場で青森県のリンゴが八百円を割っているわけです。これはここ十年ぐらいいまだかつてないことであります。安いものにいたしましては三百円という状況だそうであります。三百円と申しましても、木箱やら輸送費やらあるいは労賃等に回すと、中身は何もないという状況であります。このとおり経済的な変動からくる被害が非常に大きい。新聞を見ますと、出荷いたしました農協あるいは業者の方で、一団体あるいは一業者において三千万から五千万の損をしたであろう、業者においては破産、倒産、農協におきましては致命的な影響だといっておるわけです。そういたしますと、商人にいたしましても本年度はこのとおりの損害だといたしますと、来年度生産者から買い上げをいたしますときには、相当その買い上げ価格にしわ寄せがきます。農協の場合におきましては、全面委託で生産者が農協に出荷をさせておりますから、手取り金が本年度から少なくなる。こういう状況から見ますと、私が先ほど申し上げましたとおり、政府が災害から果樹生産者を守るというのであれば、やはりこういう相場の変動からくる損害について、大豆やなたねのように価格保障政策で救済してやる対策をとらなければならぬと考えますが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/107
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108・倉石忠雄
○倉石国務大臣 果実の価格は、島口さん御存じのように、長い目で見ますと、だんだん上昇いたしてきております。今後も生産、消費、供給の三つが見合うように経営をやっていかなければだめだと私は思うのであります。よく御存じのように、それぞれの産地における協同組合等も参加いたしまして、そういう市場の見通し等については、お互いに研究をいたし合っておるわけであります。そのほかに、やはり調整いたすための植栽について見通しを立てまして、そしてそれに見合うような努力をしていかなければいけないと私は思うのであります。しかしながら、その価格を安定させてまいりますためには、需要が多い場合、これは生産者や生産者を土台とする協同組合もそうでありますけれども、政府におきましても、これから流通機構の改善について相当努力をしなければならぬと思っております。このことは、最近の傾向といたしましては、一般の農作物、ことに果実の消費者の立場から申しますと、すぐにしろうとにわかる問題なものですから、消費者物価と申しますと、生鮮食料品が常に話題にのぼってまいる。極端に単純なことを申しますと、消費者は安いほど喜んでおり、生産者はできるだけ高いことを好む、これはあたりまえのことであります。しかし、その間において調和のとれた生産と消費が行なわれるというためには、私は、やはり生産にできるだけの力を入れてくる農村に合わせて、これから流通機構の改善、中間のロスをどのようにして排除していくかということが非常に大事な問題だと思うのであります。私も、あなたと同じようにリンゴ林に囲まれておるところで生まれた人間でございますから、果実の生産並びに需給の動向については人一倍神経過敏なほうでありますが、農林省としては、選択的拡大という意味で非常に奨励はいたしますけれども、その中に立っても、やはり果樹生産者も一つのりっぱな企業であり、経営でございますから、行政が関与してまいる前に、それ自身先ほど申しましたように市況の見通し等をつけて、生産をその見通しに合うようにやっていくことが必要である。そのために特段の措置をして価格を安定させる手段というものは、御存じのように、これは全部が統制されておる経済であれば可能かもしれませんけれども、私は現在のような状況においては非常に困難だと思います。したがって、政府として関与でき得るものは、たとえば外からの圧力によって国内の生産、消費が非常に抑圧されるというような傾向については、もちろん行政が十分にタッチする可能性はありますけれども、いま一時的に価格が上下いたしたというようなことについては、私どもといたしましては、生産者の立場において植栽の調整等についてやはり見通しをつけて努力をしていかなければならぬのではないか、また、われわれと協同組合とが提携をいたして、生産、消費のバランスのとれたあり方を指導いたしてまいるようにいたさなければならないのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/108
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109・島口重次郎
○島口委員 大臣御承知のとおり、県は違いますけれども、同じリンゴ産地であります。しかし、長野県と青森県の状況は相当相違があると思います。第一番には、長野県は消費地が最短距離にありますから、二時間、三時間で大消費地である東京に輸送ができる。青森県の例でいきますと、東京相場がよろしいから今度は出荷をしよう、こう申しまして貨車の配車の申請をいたしましても、それから二週間あるいは三週間後でなければ配車ができない。東京市場に着いたころはもう暴落をしているという例が多々あるのであります。そういう面から、同じリンゴ産地ではあるけれども、販売対策の問題、市場等の問題は相当大きな開きがあると思います。
それから植栽の見通しの問題でありますけれども、大臣御承知のとおり、三十年だと記憶しておりますが、その時点におけるリンゴの市場占有率と称するのは二二・四%でしたか、昨年度の市場占有率と称するのは一四・六%、約四割近く市場が縮小されておるのであります。なぜそうなったかということはいろいろ理由があると思いますけれども、何と申しましても、バナナの自由化の問題であります。たしか三十八年、貿易自由化以前におきましては、一年間の輸入数量は八万トン程度だったと思います。それが年々多くなりまして、二倍、三倍、昨年は五倍になりまして、四十一万トンを突破しておる状況であります。わずか三年、五年の間に大量のくだものが外国から輸入されて、それに対応するような植栽の調整をとる、コントロールをとるということはほとんど不可能だと思います。そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/109
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110・八塚陽介
○八塚政府委員 リンゴの立地条件の相違によります販売能力と申しますか、そういう条件の相違は、いまお話のありましたように、私どもも感じております。さらに産地が古ければ品種も古いというようなこともございますし、あるいは出荷の組織につきましても、そういう問題がある。古いところは古い出荷形態をとっておるということもございますので、特に青森県等においてリンゴについて種々御苦心になっておることは、私どももわかるわけでございますが、他面、しからば遠ければそれだけ販売がむずかしいかということになりますと、ミカン等におきましては必ずしもそういうことではない。ミカン等におきましては、愛媛あるいは九州等がそれなりの出荷と申しますか、販売体制をとっておりますから、なお青森県方面の御努力を願う余地はあろうかと思います。
それから、バナナ等の問題につきましては、確かに自由化以後急速にふえております。これはまさに御指摘のとおりでございますが、そういたしましても、現在のバナナ輸入量は果実総供給量の一割弱でございます。この数字は、戦前における全果実消費量にバナナの占める割合と同様でございます。もちろん、自由化以後相当急激にふえたということはございますけれども、いわば致命的なふえ方であるというふうには必ずしも考えられないのであります。ただ、それにいたしましても、やはりバナナ輸入というのが国内の果実に対しまして相当影響を与えておるということは、これまた否定できないことでございますので、私どもといたしましては、一応今後の目安をいま申し上げましたような数字に置いて、自給をはかっていきたいと思っております。ただ、それにいたしましても、台湾の供給能力その他から考えますと、私どもが本年の三月三十一日に策定いたしました生産の目標ないし植栽の目標等におきましては、そういう輸入農産物の今後のある程度の増加というものを見込みまして、そして一応植栽の目標を与えておるのでございます。そういう点につきましては、いま大臣からお話を申し上げましたように、国内果実の保護という観点の上で、同時に植栽及び生産の目標を立てておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/110
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111・島口重次郎
○島口委員 私の質問に対する答弁が、ちょっと結論が出ておらないと思います。私が申し上げましたのは、三十八年貿易の自由化がされまして、バナナがそれから五倍に激増している。そういう際、わずか五年か四年の間に果樹の植栽のコントロールをしていきたいという大臣の見解でありましたけれども、四年、五年の短期間にそういう調整ができるのかどうかということを聞いたのです。
それから、局長に私は念のために確認しておきますけれども、ただいま局長は、バナナの四十万トンの輸入は総果実の市場における一〇%以内だ、こういうお話ですけれども、そのとおりですか。私がたしかあなたのほうからもらった資料を見ますと、二〇%をこえていると思いますが、そうでないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/111
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112・八塚陽介
○八塚政府委員 後段のほうからお答え申し上げますと、一〇%以内でございます。ただ、数字のことでございますから、もう一度御説明をいたす必要があればいたしますけれども、それは確実だと思います。二〇%ではございません。
それから、最初の御質問でございますが、三十七年におきましても、基本法によります長期見通しを立てたわけでございますが、昨年の改正によりまして、果樹農業振興法に基づきます基本方針、これは御承知のように本年の三月三十一日に立てたのでございますが、これは何も急速にここ一、二年ないし三、四年で勝負をしようという計算ではございませんで、これは作業の関係で基準年度を一応三十九年度にとりまして、今年からおよそ十年先を見通すという意味におきまして、五十一年度の需要量をまず見通したわけでございます。そういたしますと、その際には当然従来の需要の伸び、あるいは現在の家計なり所得別の需要量の相違等を考えまして、一応五十一年度の需要量を見る。それに対しまして生産のほうは、年々の植栽、ただし、これは果実でございますから、植えたからといってすぐ生産、供給になるわけではございませんから、そういうことを計算いたしまして、また現在においても未成園、成園で違うわけでありますから、そういうものが今後次第に成園化して、あるいは現在植えられるものが十年なり先に現実に生産をしていく。さらに永年作物でございますから、単に五十一年の供給と需要とだけ合わせてあとはいいというわけにはまいりません。一たん植えたあとのことも見なければなりませんので、さらにその先の見通し等をも勘案いたしまして、今後の植栽の見通しあるいは目標を与えていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/112
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113・島口重次郎
○島口委員 あなたの計画表は私ももらってあるわけだ。ただ、大臣のさっきの答弁では、そういう需給関係を大局的に見てコントロールする、こういう答弁であったから、そういうことができるのかどうかということを大臣に質問したのです。大臣から答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/113
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114・倉石忠雄
○倉石国務大臣 本日は、国会議事堂でありますから、私の地方的なことばかり言っておってはいけないかもしれませんが、いま東京の市場ではリンゴが非常に低落したというお話、大体私が承っております私の地方における流通業者のいろいろな調べによりますと、やはり手の届く一番食べやすいくだものというものに先に手がつきまして、リンゴの産地でも、リンゴはたくさんありますから、ミカンのほうが珍しがるというふうな傾向が確かにあります。島口さん御承知のように、全体から見まして、ミカンの消費量と生産量が逐次ふえてきて、リンゴが横ばいである。そういうことについて、いろいろな原因を流通関係の業者が調査研究いたしておりますけれども、やはり手のつけやすい、非常に安直に食べられるものに手が早く出るという傾向はあるようであります。私は、そういうことで消費傾向を見ながら、やはりこれから先の消費等について、出荷協議会などもそれぞれの地域にお持ちでありますけれども、そういう方面において行政も参加をいたしまして、そういう見通しを立てて植栽の調整をやっていくことが必要ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/114
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115・島口重次郎
○島口委員 この問題は、いずれまた機会を見まして御質問申し上げます。
そこで、先ほどの質問の本論に入りますけれども、先ほども申し上げましたとおり、あえてリンゴだけの問題ではない。ミカンにいたしましても、ブドウにいたしましても、そのときどきの経済相場の影響によりまして、自然災害よりも大きな影響がある。そこで、それに対する何かの価格保障政策なり、それにかわるところの価格の調整をいたします施策をやる考えがあるかないかをもう一度聞きまして、大臣の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/115
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116・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私どもといたしましても、農家経済全体の立場から見まして、あなたと同じような心配を持つ、また希望を持つわけでありますが、先ほどお答えいたしましたように、保険の性質から申しまして、果実に対して価格の低落を保険の対象とするということは、ただいまのところなかなか困難である、したがって、これには入れておりません、こういうことを申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/116
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117・島口重次郎
○島口委員 それから、あなたのほうからもらいました資料の十九ページなんですが、この保険料金から見ますと、パーセンテージでいきますれば、果樹の保険料金が政府のほうに五一%、水稲のほうは四二・一%、蚕繭のほうは三三・五%が政府の収入になることになっていますけれども、果樹のほうが蚕繭のほうに比較いたしますと約一七%多く政府のほうに保険料金が入ることになっていますけれども、こういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/117
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118・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもが差し上げた資料で、果樹保険と農作物共済、蚕繭共済の責任分担方式の比較をやっておるわけでございますが、これでお示ししてございますように、果樹保険の場合は通常被害は連合会が見ることになって、異常災害の場合は政府が九〇%見て、連合会が一〇%見る、そういうことでございます。蚕繭共済の場合は組合が全部について一〇%の責任を背負うということでございますから、責任の持ち方をお比べ願いますと、果樹につきましては連合会が通常部分の三%と異常部分の一〇%と合わせて一三%で、政府の特別会計が八七%責任を背負う形になっておるわけでございます。蚕繭はこれに比較いたしますと、いま申し上げたように、組合が一〇%、連合会が四・八%、政府が八五・二%という形になっております。保険料は、これでお示しいたしますように、連合会が二億九千万円の保有、政府が再保険が三億ということでございます。蚕繭のほうは総額六億二千万のうち、組合が六千万円で、連合会が三億五千万円、政府が二億一千万ということでございます。蚕繭共済と果樹保険との責任の持ち方は、むしろ果樹保険のほうが政府の責任の持ち方が多いわけでございますけれども、掛け金の割合といたしましては、責任の態様の違いによってこういう相違が出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/118
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119・島口重次郎
○島口委員 責任の持ち方と申しますけれども、蚕繭の場合はパーセンテージでいきますと八五・二%ですね。果樹のほうは八七%、二%弱果樹のほうが責任が多いだけであります。ところが、保険料金のほうは約一七%多いわけです。その計算はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/119
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120・大和田啓気
○大和田政府委員 これはそれぞれ通常標準被害率あるいはそれに基づきます共済掛け金の計算上の相違でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/120
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121・島口重次郎
○島口委員 もう少し具体的に説明してもらわなければ納得できないわけですが、具体的に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/121
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122・大和田啓気
○大和田政府委員 いま御説明いたしましたように、通常標準被害率に関係いたしまして、連合会が責任を負います異常部分につきましては、果樹保険では九割を政府が持ち、一割を連合会が持つということでございますが、この通常被害率をこえる異常部分が蚕繭において多いということの相違でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/122
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123・島口重次郎
○島口委員 それでは蚕繭のほうでは、異常災害のほうで政府と連合会との負担率はどうなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/123
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124・大和田啓気
○大和田政府委員 蚕繭の共済と果樹保険とを比べますと、災害に関する責任の持ち方は、果樹保険につきましては通常被害は連合会が全部責任を保有するわけでございます。異常部分についての一割を連合会が保有するということでございますが、蚕繭につきましては、この図でお示ししていますように、組合の負担する保険は通常の一割、異常の一割ということでございます。したがいまして、蚕繭の場合は、連合会の保有する責任は通常被害の九割、それから政府の保有いたします責任は異常被害の九割ということで、もともと蚕繭共済につきましては共済組合、連合会、政府特別会計という三段階でございますけれども、果樹保険につきましては三段階ではございません。連合会と政府の二段階でございますから、内容は違いますが、連合会自体の持ち方といたしましては、果樹保険では通常災害の部分の全部、蚕繭共済では通常災害分の九割という違いがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/124
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125・島口重次郎
○島口委員 大体わかりましたけれども、あとで詳細だれかから説明してください。委員会の席上でなくともよろしいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/125
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126・大和田啓気
○大和田政府委員 計算の問題でございますから、詳細数式をもって後刻説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/126
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127・島口重次郎
○島口委員 それから、異常災害と通常災害との限界の問題なんですが、そのラインの引き方をどこに置くか、それはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/127
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128・大和田啓気
○大和田政府委員 これも数式的に申し上げると、なかなかむずかしい問題でございますけれども、まず、私のわかる範囲で常識的に御説明申しますと、災害の頻度が相当高い、一〇〇のうち九五起こる災害と、一〇〇のうち五しか起こらない災害とのその分岐点が、通常標準被害率というふうにお考えいただいてよろしかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/128
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129・島口重次郎
○島口委員 わかったようでわからぬのです。統計でもとりまして、毎年この程度の災害なら大したことがない、いわゆる通常災害だ、しかし、三割なり五割なりの災害があった場合は異常災害だ、こういう認定のしかた、資料のとり方、決定するのはだれが決定するか、それらの関連を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/129
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130・大和田啓気
○大和田政府委員 水稲で申し上げますと、二十年間の各県の被害の率を出すわけでございます。その被害率が出ましたもので、先ほど申し上げましたように、被害の確率が一〇〇のうち九五あるような頻度の非常に高いものと、それから起こりましてもたまたま起こるという程度の、一〇〇のうち五しか起こらないものとの限界を数字的にきめるわけでございます。そこで、その線を越えない部分が通常被害率、越える部分が異常被害率ということになるわけでございます。これは米麦あるいは果樹でもそうでございますけれども、そういう農作物にとっていわば特徴的な災害の形でございまして、例として適当かどうかわかりませんけれども、人間の生命の事故、これは年々の変化はそうございません。被害率としては非常に安定をしておって、ある年は一〇%にも死亡率が高まるし、ある年は一%というようなことはございません。ある年は一%であるけれども、翌年は一五%も二〇%も被害が起こるというのは農作物の特徴でございますから、これにつきまして保険を設定する場合も、いま申し上げましたように、頻度が高く起こり得るような被害と、そうでない異常な被害とを分けまして、そうして米麦等の農作物におきましては、通常起こる被害の部分はまず連合会と組合とで持ってくれ、通常は起こらない、一〇〇のうち五の頻度でしか起こらない異常災害分については政府が再保険するという形が、農作物の共済であるわけでございます。したがいまして、被害が起こるたびにどこが異常でどこが通常かということではございませんで、三年に一回料率を改定いたしますときに、新しい資料を使って、大体二十年のデータで被害率を分けるわけでございますが、その二十年にわたる全国的な被害率をベースにして、そこで頻度が一〇〇のうち九五起こる被害と、一〇〇のうち五しか起こらない被害というものをあらかじめきめまして、そこで通常災害について、たとえば五%とか四・五九六とか、こまかい数字できめるわけです。したがって、年々の災害のつど、どれが通常で、どれが異常かということをあらためて計算し直すということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/130
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131・島口重次郎
○島口委員 それは二十年間の統計でその資料ができていると思いますから、大体その方式がきまったら、その方式に基づいて、どの程度のものは通常災害、それ以上のものは異常災害という数字的なものが出てきているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/131
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132・大和田啓気
○大和田政府委員 米麦等については、当然、大体二十年の資料をもとにしてそういう計算ができて、それに基づいて通常被害率を出して、それに若干の安全割り増しを見て通常保険料率を計算しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/132
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133・島口重次郎
○島口委員 果樹のほうはまだその資料ができておらないというわけですね。そこで、できておらなければ、保険契約をする以前に、この部分までは通常災害だ、これ以上超過した場合は異常災害だというそのラインを明らかにして、保険契約をするのか、それとも保険契約をしてから、その年度の災害状況を見て、ここまでは通常だ、これ以上は異常だ、こう決定するのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/133
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134・大和田啓気
○大和田政府委員 いまの御質問は、実は今回の果樹保険の試験実施について、非常にむずかしい問題の点を御指摘になったわけでございます。水稲、麦等については、とにかく過去において二十年程度のデータがございますけれども、果樹保険につきましては、先ほど申し上げましたように、三十八、三十九、四十年しかございません。しかし、口数といたしましては、全国で延べにして二十五の道府県、実数にして二十一の道府県、それから地区につきましては百五十六、戸数にいたしまして約一万四千戸について調査をして、被害率を一応出してございますから、時系列といたしましては三年間でございますけれども、土地の広がりとしては相当広い範囲において保険的な計算ができるわけでございますから、それぞれの点におきまして、通常被害率、それを越える部分は当然異常被害になるわけでございます。あらかじめデータはできているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/134
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135・島口重次郎
○島口委員 そこで、共済組合連合会が計画書をつくりまして、都道府県知事を通しまして農林大臣から認可をもらう、そういう方式のようでございますけれども、その認可をするときに、異常災害と通常災害のラインを明らかにするのか。先ほど申し上げましたとおり、契約の以前に明らかにするのか、あとであなたのほうがあなたのほうの資料に基づいて決定するのか、その点明らかでなければ保険契約者も安心できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/135
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136・大和田啓気
○大和田政府委員 事業計画を認可して、連合会が事業に関する能力を取得して、それから正式に契約にかかるわけでございますから、農林省としては、各県別に通常被害率その他保険料率算定のデータは持っているわけでございます。したがいまして、厳密に法律的に申し上げますれば、認可を得てから事業を開始するわけでございますけれども、実は認可を受ける前に、農家の希望がほんとうにあるかどうか、連合会として取り上げるべきかどうかということを検討いたします場合には、具体的にこの県のミカン、あるいはこの県のリンゴの保険料は幾らか、保険金額は幾らかということは、当然前もってわかっている状態にいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/136
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137・島口重次郎
○島口委員 この異常災害と通常災害とのラインの決定は農林省のほうでやるのですか。それとも都道府県知事のほうがやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/137
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138・大和田啓気
○大和田政府委員 これは当然農林省がやるわけでございます。農林省が大臣告示の形でやるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/138
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139・島口重次郎
○島口委員 それから次に移りまして、被害率三〇%以上に共済保険の制度をしいたことですが、どうも三〇%以上の被害というのは、相当大きな被害でなければないと思います。そういたしますと、せっかく保険に入りましても、二〇%あるいは二五%程度では何も恩恵がないということで、農家の方が期待いたしますものとだいぶ距離があると思いますけれども、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/139
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140・大和田啓気
○大和田政府委員 いまの御指摘の点に関連をいたすわけでございますが、昭和四十年に果樹共済に関して世論調査をやりましたときに、掛け金と共済金の関係についての調査項目がございました。このときに、共済金が少なくても掛け金が安いほうがいいという農家が四六%、それから掛け金が高くても共済金が多いほうがいいというのが三二%でございました。これは別に、四六%と三二%と比べてみて、四六%が圧倒的に高いということでは必ずしもございませんけれども、農家の保険需要といいますか、果樹保険に対する期待のしかたがなかなか一様でないというふうに私どもまず判断をいたすわけでございます。したがいまして、農家単位で三割あるいは五割の被害というものは、確かにわりあい少ない被害で、しょっちゅう起こるわけではございませんけれども、それを二割に下げたりあるいは一割に下げたりいたしますと、一つは掛け金がそれに伴って相当高くなるという問題がございますことと、それから米麦のように長い間相当な人を使って被害の調査ができますものと違って、果樹の場合はそれだけの損害評価のシステムがなかなかできないし、協同組合等の出荷の扱いの量によって被害額を判定するということも相当ものをいうくらいなレベルでございますから、あまり少ない被害について保険の対象にいたしますことは、掛け金を多くするということばかりではなしに、損害評価について相当なトラブルを起こしがちでございます。したがって、私ども、試験研究といいますか、果樹保険の試験実施では、とにかく三割あるいは五割ということで、両方できるならば三割のものと五割のものと半々程度やってもらうことが一番望ましいわけでございますけれども、必ずしもそういうふうになるかどうか。無理な指導をいたすつもりはございませんけれども、とにかく果樹農家としては珍しい、そんなに多くない被害だけれども、したたかやられたというときに、相当保険料が行って、しかも全国的に見れば掛け金がそんなに高くないという状態のものをまず設定をして、それでとにかく実施をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/140
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141・島口重次郎
○島口委員 三〇%というのは相当高い被害率なんですよ。たとえば、水稲のように一筆保険であるならばその数だけでよろしいけれども、農家単位でありますから、たとえば三カ所なり四カ所に果樹園を持っている。そうすると、それが全部の三割でなければ共済金がおりてこないということになりますから、なかなか三割では被害が出てきて共済金をもらうという方があまりないと思いますけれども、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/141
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142・大和田啓気
○大和田政府委員 これも実は世論調査のときに、一体どの程度の被害について保険をしてほしいかということを調査項目の一つにしたわけでございますが、そのときの結果といたしましては、一、二割の場合でも補償をしてもらいたいというのが九%で、三割以上の場合に補てんしてほしいというのが三五%、四割以上というものが一三%、五割以上というものが二四%ということで、農家単位で三割以上の被害というのが相当多いわけでございます。被害が少ない場合でも補てんをしてほしいというのは割りに少ない。むしろ一、二割のところが全体の九%にすぎないということで、まずまず果樹農家の大体の意向としては、相当被害が多く出た場合にめんどうを見てもらいたい、しかし、掛け金はあまり高くしては困るということで、まあ三割ないし五割くらいのところがいいところではないかというふうに私ども判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/142
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143・島口重次郎
○島口委員 いまの一割、二割の世論調査のとり方の問題ですが、局長おっしゃるとおり、一割、二割が妥当であるか、三割が妥当であるかということも問題であるけれども、ただいま私が申し上げましたとおり、一筆ごとの何割か、農家単位の何割かということが大きな開きがあると思う。そこで、その際、世論調査をいたしますときに、水稲と同様に一筆の二割、三割の被害を考えたのではないか。その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/143
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144・大和田啓気
○大和田政府委員 これは私ども世論調査をやる場合に、相当注意いたしまして、一筆ごとではなくて、農家単位で何割かということを明記いたしたはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/144
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145・島口重次郎
○島口委員 さっき大臣が来まして話が中間から切れましたけれども、そういう面で、三割の被害というのは、よほどの大きい台風なり災害でなければないと思います。その三割の被害があった場合に、私が先ほど申し上げましたとおり、保険料よりももらう金が少ないということはどうも妥当でないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/145
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146・大和田啓気
○大和田政府委員 私どもも、三割以上の被害を受ける場合というのは、相当な災害のときであって、そんなにたくさんないというふうに思うわけでございますけれども、お手元にすでに差し上げてございます資料の一四ページをごらんいただきたいと思います。三割以上の被害について支払う方式あるいは五割以上の被害について支払う方式ということで、相当な頻度で被害が出てきておるわけでございます。これは別にどこかで加工した数字ではございません。そのままなまの試験調査をいたしました数字でございます。私は、これについて多少の問題があるだろうかという感じが実はいたすわけでございますけれども、それは事実、試験実施の結果によってこれが補正されていく以外に道はないというふうに思うわけでございます。実際問題として県の係官等の話を聞きましても、わりあい三割以上の被害の場合がありますぞということを言い、それがこういう形で一四ページにございますような相当な被害率になって出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/146
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147・島口重次郎
○島口委員 私がもらっている資料の一八ページの前、ページが書いてないのですが、そこに(例の2)とありまして、リンゴのところを見ますと、十アール当たり三〇%以上の被害に払う場合、さきにも申し上げましたとおり、平均が一千九百二十円、最高が六千四百三十二円、最低が一千八円、それからもらいます保険金のほうは四千八百円、先ほど局長の説明にあるとおり、六千四百三十二円から一割の交付金をもらいましても、なおかつ五千八百円程度でありますから、もらう金よりも払う金が千円多いわけであります。めったにないという三割の被害で、掛け金よりももらう金が少ないというのはどうも納得がいかぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/147
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148・大和田啓気
○大和田政府委員 これは繰り返しになりますけれども、私どもが三十八年から四十年にかけて相当広範囲に試験調査をいたしましたときの被害の調査そのものでございます。いかなる加工もいたしておりません。三年間の平均の被害率をもとにして保険料を計算いたしますと、こういう数字になるわけでございます。したがいまして、最高の場合で御論議いただきますと、いまのようなことになるわけでございますが、平均でありますとか、あるいは平均よりずっと安いところでは、三〇%被害であれば、相当何倍かになって返ってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/148
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149・島口重次郎
○島口委員 局長おっしゃるとおり、平均額で考えますと、その間の幅というのは約二千八百円くらいあるわけです。だが、われわれとしては、できる限り、そういう被害の多い、災害のために苦しんでいる農民を救済してやらなければならぬというのが、この果樹共済の目的であるとするならば、当然保険料の最高の場合であっても、共済金をもらう金よりは安くなければならない、こういう考え方なんであります。どうも、これが実際の調査の資料であるから、これよりどうにもならぬというのが局長の見解のようでありますけれども、それは私が先ほど劈頭申し上げましたとおり、どうもおかしいではないか。保険制度で救済するという基本的な観念なのでありますから、そういう面から考えて、やはり三〇%以上の被害があった場合には、掛け金よりも多いものを支給してやるような方法をとってやるべきじゃないか、こう考えますが、そういう点はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/149
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150・大和田啓気
○大和田政府委員 そういう被害率がもしほんとうに非常にひどいところでございますれば、そうしてこの果樹保険の試験実施を利用しようとしますれば、おそらく三〇%以上の被害について補てんをする場合を選ばないで、五〇%以上の被害について補てんをするという場合の方式を選ぶのではないかという感じがいたします。これは保険でございますから、私、どうもやかましいことを言って恐縮でございますけれども、被害率を鉛筆でなめるわけにはこれはまいらないわけでございます。被害率が高いところにおきましては、保険の需要が非常に強いと同時に、また現実に被害が多いといたしますと、かりにこの例で見ましても、三割以上の被害の場合に補てんをしてもらう場合でも、三割のところをごらんいただかなくて、四割、五割、六割、七割、八割、九割、十割というところをごらんいただけば、当然もらう保険金のほうがはるかに多いわけでございますから、そういうことで、私は、その地域における果樹栽培農家がこの保険制度に乗ってくるか、乗ってこないかという判断がなされるというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/150
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151・島口重次郎
○島口委員 先ほどからお話のあるとおり、三割の被害でもめったにない、こう言っているわけです。それに十割の損害とは、およそそういう災害はないと思う。おそらく何十年に一回あるかないかわからぬという状況だと思うが、そういう何十年に一回よりないという災害、十割の災害保険に入るということは、これはどうも局長のおっしゃるとおりそろばん計算をいたしますと、そういう十割災害の保険に入ることはないと思う。だから、もしも一番災害の多いと思われる二割、三割の保険制度が成立をしないならばやむを得ないけれども、三割の被害の場合には支払う保険料金よりも高いものを出してやるのが、今度の保険制度の目的に沿うのではないか。何回も繰り返しておりますけれども、そう考えるわけであります。そういう面から、そろばん抜きにして十割なり九割なり八割の被害の保険に入ったらよろしい、こう言うけれども、そういう災害というものはほとんど考えられないでしょう。そういうめったにないところの保険契約をする方は、それこそあり得ないと考える。むしろ一番常識的に多いのは、三割程度の被害保険に入るのが多いのではないかと思う。その一番多いと思われる、加入すると思われるところの三割の被害に対しましては、掛ける掛け金よりももらうほうが安いというのは、どうも矛盾していると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/151
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152・大和田啓気
○大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、五割以上の被害の場合に補てんしてもらいたいという農家が世論調査でも相当あるわけでございます。これは私は、五割以上の被害のものは絶対に出てこないとは思いません。これは相当あり得るというふうに思います。五割以上の被害の場合に補てんを受けるということは、補てんを受けるチャンスは少ないけれども、掛け金もまた少ないわけでありますから、その辺のバランスを加入農家は当然判断をされるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/152
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153・島口重次郎
○島口委員 きょうは一応この程度でやめましょう。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/153
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154・本名武
○本名委員長 この際、理事辞任の件についておはかりいたします。
理事玉置一徳君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/154
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155・本名武
○本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。
ただいまの玉置一徳君の理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/155
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156・本名武
○本名委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に中村時雄君を指名いたします。
次回は、明六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03019670705/156
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