1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十八日(火曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 本名 武君
理事 仮谷 忠男君 理事 倉成 正君
理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君
理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君
理事 東海林 稔君 理事 中村 時雄君
安倍晋太郎君 小澤 太郎君
大野 市郎君 鹿野 彦吉君
金子 岩三君 熊谷 義雄君
小山 長規君 坂田 英一君
坂村 吉正君 丹羽 兵助君
野呂 恭一君 藤田 義光君
湊 徹郎君 粟山 秀君
赤路 友藏君 伊賀 定盛君
栗林 三郎君 兒玉 末男君
佐々栄三郎君 實川 清之君
柴田 健治君 島口重次郎君
芳賀 貢君 美濃 政市君
森 義視君 神田 大作君
中野 明君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
農林政務次官 草野一郎平君
農林大臣官房長 桧垣徳太郎君
食糧庁長官 大口 駿一君
林野庁長官 若林 正武君
委員外の出席者
林野庁林政部長 木戸 四夫君
林野庁林政部森
林組合課長 片山 充君
林野庁林政部林
産課長 大隅 清示君
林野庁指導部長 手束 羔一君
林野庁指導部計
画課長 辻 良四郎君
専 門 員 松任谷健太郎君
―――――――――――――
七月十八日
委員兒玉末男君辞任につき、その補欠として芳
賀貢君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として兒玉
末男君が議長の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
七月十三日
鳥類保護のため千葉県新浜地区の現状保存に関
する請願(始関伊平君紹介)(第三二六八号)
同(中村庸一郎君紹介)(第三二六九号)
中小企業を圧迫する農協事業の是正に関する請
願(金丸信君紹介)(第三二七〇号)
同(田村元君紹介)(第三二七一号)
同(橋口隆君紹介)(第三二七二号)
同(武藤嘉文君紹介)(第三二七三号)
農業協同組合農事放送施設の助成に関する請願
外三件(枝村要作君紹介)(第三二七四号)
同(野原正勝君紹介)(第三二七五号)
同(亀山孝一君紹介)(第三二七六号)
中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(赤路
友藏君紹介)(第三二七七号)
同(石田宥全君紹介)(第三二七八号)
同(栗林三郎君紹介)(第三二七九号)
同(兒玉末男君紹介)(第三二八〇号)
同(東海林稔君紹介)(第三二八一号)
米価に関する請願外一件(石田宥全君紹介)(
第三二八二号)
同(稻村隆一君紹介)(第三二八三号)
食糧管理制度の堅持等に関する請願(八百板正
君紹介)(第三二八四号)
昭和四十二年産生産者米価等に関する請願(山
本幸一君紹介)(第三二八五号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願(阿部
助哉君紹介)(第三二八六号)
同外六件(青木正久君紹介)(第三二八七号)
同外四件(伊能繁次郎君紹介)(第三二八八
号)
同外三十三件(稻葉修君紹介)(第三二八九
号)
同外二件(枝村要作君紹介)(第三二九〇号)
同外二件(川崎寛治君紹介)(第三二九一号)
同(久保三郎君紹介)(第三二九二号)
同外四件(工藤良平君紹介)(第三二九三号)
同外二件(後藤俊男君紹介)(第三二九四号)
同(白浜仁吉君紹介)(第三二九五号)
同外九件(砂原格君紹介)(第三二九六号)
同(世耕政隆君紹介)(第三二九七号)
同外三件(田中正巳君紹介)(第三二九八号)
同(田村良平君紹介)(第三二九九号)
同(中馬辰猪君紹介)(第三三〇〇号)
同外二百五十件(塚田徹君紹介)(第三三〇一
号)
同(堂森芳夫君紹介)(第三三〇二号)
同外四件(永山忠則君紹介)(第三三〇三号)
同(平等文成君紹介)(第三三〇四号)
同外二十八件(穗積七郎君紹介)(第三三〇五
号)
同外二件(湊徹郎君紹介)(第三三〇六号)
同外三十一件(粟山秀君紹介)(第三三〇七
号)
同(山村新治郎君紹介)(第三三〇八号)
同外五件(井出一太郎君紹介)(第三三四八
号)
同(仮谷忠男君紹介)(第三三四九号)
同外九十二件(塚田徹君紹介)(第三三五〇
号)
同(三池信君紹介)(第三三五一号)
同外六件(水野清君紹介)(第三三五二号)
同外九件(山村新治郎君紹介)(第三三五三
号)
同外五件(千葉三郎君紹介)(第三三五四号)
同外四件(中村庸一郎君紹介)(第三三五五
号)
豚肉の消費拡大等に関する請願(井出一太郎君
紹介)(第三三四一号)
同(林百郎君紹介)(第三三四二号)
農業者年金制度の早期創設に関する請願(林百
郎君紹介)(第三三四三号)
昭和四十二年産米価の値上げ等に関する請願(
井出一太郎君紹介)(第三三四四号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三三四五号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第三三四六号)
同(林百郎君紹介)(第三三四七号)
同月十四日
薬用ニンジンの中華民国への輸出再開に関する
請願(下平正一君紹介)(第三四四五号)
同(中澤茂一君紹介)(第三四四六号)
同(原茂君紹介)(第三四四七号)
同(平等文成君紹介)(第三四四八号)
同(井出一太郎君紹介)(第三四九〇号)
同(小川平二君紹介)(第三四九一号)
同(小沢貞孝君紹介)(第三四九二号)
同(吉川久衛君紹介)(第三四九三号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三四九四号)
豚肉の消費拡大等に関する請願(下平正一君紹
介)(第三四四九号)
同(中澤茂一君紹介)(第三四五〇号)
同(原茂君紹介)(第三四五一号)
同(平等文成君紹介)(第三四五二号)
同(小川平二君紹介)(第三四七九号)
同(小沢貞孝君紹介)(第三四八〇号)
同(吉川久衛君紹介)(第三四八一号)
農業者年金制度の早期創設に関する請願(下平
正一君紹介)(第三四五三号)
同(中澤茂一君紹介)(第三四五四号)
同(原茂君紹介)(第三四五五号)
同(平等文成君紹介)(第三四五六号)
同(井出一太郎君紹介)(第三四八二号)
同(小川平二君紹介)(第三四八三号)
同(小沢貞孝君紹介)(第三四八四号)
同(吉川久衛君紹介)(第三四八五号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三四八六号)
昭和四十二年産米価の値上げ等に関する請願(
下平正一君紹介)(第三四五七号)
同(中澤茂一君紹介)(第三四五八号)
同(原茂君紹介)(第三四五九号)
同(平等文成君紹介)(第三四六〇号)
同(小川平二君紹介)(第三四八七号)
同(小沢貞孝君紹介)(第三四八八号)
同(吉川久衛君紹介)(第三四八九号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願外一件
(湊徹郎君紹介)(第三四六一号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願外三件
(青木正久君紹介)(第三四六二号)
同外二件(板川正吾君紹介)(第三四六三号)
同(稻村隆一君紹介)(第三四六四号)
同外一件(臼井莊一君紹介)(第三四六五号)
同外一件(小川三男君紹介)(第三四六六号)
同(小澤太郎君紹介)(第三四六七号)
同外十一件(大野市郎君紹介)(第三四六八
号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第三四六九号)
同外一件(永井勝次郎君紹介)(第三四七〇
号)
同外一件(芳賀貢君紹介)(第三四七一号)
同(安井吉典君紹介)(第三四七二号)
同外六件(田川誠一君紹介)(第三四七三号)
同(稻村隆一君紹介)(第三六二四号)
同外五件(小平忠君紹介)(第三六二五号)
同外一件(神門至馬夫君紹介)(第三六二六
号)
同外二件(玉置一徳君紹介)(第三六二七号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第三六二八号)
同(永井勝次郎君紹介)(第三六二九号)
同外一件(芳賀貢君紹介)(第三六三〇号)
同外三十四件(八木昇君紹介)(第三六三一
号)
昭和四十二年産米価に関する請願(大村襄治君
紹介)(第三四七四号)
国有林経営の改善に関する請願(森義視君紹
介)(第三五二七号)
農業協同組合農事放送施設の助成に関する請願
外二十一件(安倍晋太郎君紹介)(第三六一一
号)
同外十四件(小澤太郎君紹介)(第三六一二
号)
同外九件(谷垣專一君紹介)(第三六一三号)
同外五件(柳田秀一君紹介)(第三六一四号)
同(山口喜久一郎君紹介)(第三六一五号)
中小企業を圧迫する農協事業の是正に関する請
願(大平正芳君紹介)(第三六一六号)
同(佐々木秀世君紹介)(第三六一七号)
同(志賀健次郎君紹介)(第三六一八号)
同(野田武夫君紹介)(第三六一九号)
土地改良区の職員給及び事務費に対する財政措
置に関する請願(松野頼三君紹介)(第三六二
一号)
昭和四十二年産米価等に関する請願(天野光晴
君紹介)(第三六二二号)
米価に関する請願(森義視君紹介)(第三六二
三号)
同月十五日
豚肉の消費拡大等に関する請願(羽田武嗣郎君
紹介)(第三七一九号)
薬用ニンジンの中華民国への輸出再開に関する
請願(羽田武嗣郎君紹介)(第三七二〇号)
中小企業を圧迫する農協事業の是正に関する請
願(内田常雄君紹介)(第三七二二号)
同(小笠公韶君紹介)(第三七二三号)
同(小澤太郎君紹介)(第三七二四号)
同(大石武一君紹介)(第三七二五号)
同(櫻内義雄君紹介)(第三七二六号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第三七二七号)
同(田中榮一君紹介)(第三七二八号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第三七二九号)
同(藤井勝志君紹介)(第三七三〇号)
同(古川丈吉君紹介)(第三七三一号)
同(山手滿男君紹介)(第三七三二号)
同(天野公義君紹介)(第三七三三号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第三八五六号)
同(江崎真澄君紹介)(第三八五七号)
同(小峯柳多君紹介)(第三八五八号)
同(竹下登君紹介)(第三八五九号)
同(登坂重次郎君紹介)(第三八六〇号)
国有林野の活用に関する法律案反対に関する請
願(斎藤実君外一名紹介)(第三七三五号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願外一件
(八田貞義君紹介)(第三七三六号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願外四件
(栗林三郎君紹介)(第三七三七号)
同(兒玉末男君紹介)(第三七三八号)
同(地崎宇三郎君紹介)(第三七三九号)
同(内藤良平君紹介)(第三七四〇号)
同外一件(永井勝次郎君紹介)(第三七四一
号)
同外五件(小川平二君紹介)(第三七四二号)
同(水野清君紹介)(第三七四三号)
同外二十五件(小平忠君紹介)(第三八六二
号)
同(高橋英吉君紹介)(第三八六三号)
同外七件(玉置一徳君紹介)(第三八六四号)
同外二件(地崎宇三郎君紹介)(第三八六五
号)
同(永山忠則君紹介)(第三八六六号)
農業者年金制度の早期創設に関する請願(羽田
武嗣郎君紹介)(第三八四九号)
土地改良区の職員給及び事務費に対する財政措
置に関する請願(赤澤正道君紹介)(第三八五
〇号)
農業協同組合農事放送施設の助成に関する請願
(猪俣浩三君紹介)(第三八五一号)
同外八件(稻葉修君紹介)(第三八五二号)
同外八件(大竹太郎君紹介)(第三八五三号)
同(金丸信君紹介)(第三八五四号)
同外二件(玉置一徳君紹介)(第三八五五号)
米価に関する請願(久保三郎君紹介)(第三八
六一号)
同月十七日
農業協同組合農事放送施設の助成に関する請願
外一件(小沢貞孝君紹介)(第四〇三〇号)
同(大橋武夫君紹介)(第四〇三一号)
同外五件(大野市郎君紹介)(第四〇三二号)
同(木部佳昭君紹介)(第四〇三三号)
同(吉川久衛君紹介)(第四〇三四号)
同(櫻内義雄君紹介)(第四〇三五号)
同(竹下登君紹介)(第四〇三六号)
同(高橋清一郎君紹介)(第四〇三七号)
同(高見三郎君紹介)(第四〇三八号)
同(谷垣專一君紹介)(第四〇三九号)
同外十件(塚田徹君紹介)(第四〇四〇号)
同(中澤茂一君紹介)(第四〇四一号)
同(三ツ林弥太郎君紹介)(第四〇四二号)
同外七件(渡辺肇君紹介)(第四〇四三号)
同(大石八治君紹介)(第四一五七号)
同外一件(前尾繁三郎君紹介)(第四一五八
号)
同(村上勇君紹介)(第四一五九号)
中小企業を圧迫する農協事業の是正に関する請
願(大久保武雄君紹介)(第四〇四五号)
同外三件(小山省二君紹介)(第四〇四六号)
同(櫻内義雄君紹介)(第四〇四七号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第四一六〇号)
消費者米価等引上げ反対に関する請願(安宅常
彦君紹介)(第四〇四八号)
生産者米価等に関する請願(實川清之君紹介)
(第四〇四九号)
米価に関する請願(川上貫一君紹介)(第四〇
五〇号)
同(栗林三郎君紹介)(第四〇五一号)
同(田代文久君紹介)(第四〇五二号)
同(田邊誠君紹介)(第四〇五三号)
同(松本善明君紹介)(第四〇五四号)
昭和四十二年産生産者米価に関する請願(安宅
常彦君紹介)(第四〇五五号)
同(麻生良方君紹介)(第四〇五六号)
同外二件(池田禎治君紹介)(第四〇五七号)
同(稻村隆一君紹介)(第四〇五八号)
同(受田新吉君紹介)(第四〇五九号)
同外一件(内海清君紹介)(第四〇六〇号)
同(江田三郎君紹介)(第四〇六一号)
同外四件(小沢貞孝君紹介)(第四〇六二号)
同(折小野良一君紹介)(第四〇六三号)
同外二件(春日一幸君紹介)(第四〇六四号)
同(河村勝君紹介)(第四〇六五号)
同外二件(神田大作君紹介)(第四〇六六号)
同(小松幹君紹介)(第四〇六七号)
同(佐々木更三君紹介)(第四〇六八号)
同外一件(佐々木良作君紹介)(第四〇六九
号)
同外四件(鈴木一君紹介)(第四〇七〇号)
同(田畑金光君紹介)(第四〇七一号)
同(竹本孫一君紹介)(第四〇七二号)
同(谷口善太郎君紹介)(第四〇七三号)
同外三件(中村時雄君紹介)(第四〇七四号)
同(林百郎君紹介)(第四〇七五号)
同(吉田之久君紹介)(第四〇七六号)
同外五十二件(浅井美幸君紹介)(第四一六一
号)
同外八十七件(有島重武君紹介)(第四一六二
号)
同外百二件(伊藤惣助丸君紹介)(第四一六三
号)
同(伊能繁次郎君紹介)(第四一六四号)
同外九件(石田幸四郎君紹介)(第四一六五
号)
同(小澤太郎君紹介)(第四一六六号)
同外九件(小川新一郎君紹介)(第四一六七
号)
同外七件(小濱新次君紹介)(第四一六八号)
同外三件(大野潔君紹介)(第四一六九号)
同外三十六件(大橋敏雄君紹介)(第四一七〇
号)
同外三十四件(近江巳記夫君紹介)(第四一七
一号)
同外十三件(岡本富夫君紹介)(第四一七二
号)
同外四十八件(沖本泰幸君紹介)(第四一七三
号)
同外三十三件(北側義一君紹介)(第四一七四
号)
同外十三件(小平忠君紹介)(第四一七五号)
同外百三十三件(斎藤実君紹介)(第四一七六
号)
同外三十五件(鈴切康雄君紹介)(第四一七七
号)
同外七件(鈴切康雄君外一名紹介)(第四一七
八号)
同外二十一件(田中昭二君紹介)(第四一七九
号)
同外十二件(玉置一徳君紹介)(第四一八〇
号)
同(戸叶里子君紹介)(第四一八一号)
同外百四十三件(中野明君紹介)(第四一八二
号)
同外七件(樋上新一君紹介)(第四一八三号)
同外二十七件(広沢直樹君紹介)(第四一八四
号)
同外六件(伏木和雄君紹介)(第四一八五号)
同外四十七件(正木良明君紹介)(第四一八六
号)
同外八十三件(松本忠助君紹介)(第四一八七
号)
同外一件(本島百合子君紹介)(第四一八八
号)
同外十一件(森清君紹介)(第四一八九号)
同外九件(山田太郎君紹介)(第四一九〇号)
同外七十九件(渡部一郎君紹介)(第四一九一
号)
昭和四十二年産米価に関する請願(塚原俊郎君
紹介)(第四一五二号)
昭和四十二年産米価の値上げ等に関する請願(
増田甲子七君紹介)(第四一五三号)
農業者年金制度の早期創設に関する請願(増田
甲子七君紹介)(第四一五四号)
豚肉の消費拡大等に関する請願(増田甲子七君
紹介)(第四一五五号)
薬用ニンジンの中華民国への輸出再開に関する
請願(増田甲子七君紹介)(第四一五六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
七月十三日
カンショ基準価格の引上げに関する陳情書
(第三八三号)
農業者老齢年金制度の早期実現に関する陳情書
(第三八四号)
農業構造改善施策の強化に関する陳情書
(第三八五号)
ニューカッスル病の防疫体制確立に関する陳情
書外一件
(第三八六
号)
国有林野の活用に関する陳情書外一件
(第三八七号)
二重米価制の完全実施に関する陳情書
(第三八八
号)
食糧管理制度の堅持等に関する陳情書
(第三八九
号)
昭和四十二年産生産者米価に関する陳情書外三
十七件
(第三九〇号)
昭和四十二年産生産者米価等に関する陳情書外
二件
(第三九一号)
早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書外
十七件
(第三九二号)
土地改良区の事務費等助成に関する陳情書
(第四〇六号)
同月十七日
早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書外
五件(第四
三九号)
同外四件(
第四七七号)
食糧管理制度の堅持等に関する陳情書外一件
(第四四〇号)
同外二件(
第四七八号)
昭和四十二年産生産者米価に関する陳情書外十
四件(第
四四一号)
同外五件
(第四六七号)
昭和四十二年産生産者米価等に関する陳情書
(第
四四二号)
同外一件
(第四八九号)
食糧自給政策確立に関する陳情書
(第四四三
号)
農林漁業金融公庫等の制度改善に関する陳情書
(第四四四号)
総合的農業構造政策推進に関する陳情書
(第四四五号)
農林漁業政策強化に関する陳情書
(第四四六
号)
農業協同組合の農事放送に対する助成措置等に
関する陳情書
(第四四七
号)
国有林野の活用に関する法律案反対に関する陳
情書
(第四四八号)
三多摩地方の降ひようによる農作物被害対策に
関する陳情書
(第四五七号)
消費者米価値上げ抑制に関する陳情書
(第四九〇号)
有機水銀農薬の即時追放に関する陳情書
(第四九一号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
三三号)
農林水産業の振興に関する件(昭和四十二年産
米穀の政府買入価格に関する問題)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/0
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001・本名武
○本名委員長 これより会議を開きます。
森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森義視君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/1
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002・森義視
○森(義)委員 今国会に入りましてから、農業並びに漁業の問題については、かなり時間をかけて提出法案についての審議が行なわれ、さらにそれに関連をして農業並びに漁業の全体についての質問が行なわれたわけですが、実は林業に入るのはきょうが初めてです。そこで、国会の会期の都合上時間があまりないので、林業全体について十分に審議を尽くすというわけにはまいらないと思いますが、ぜひこの機会に、日本の林政全体についての基本的な問題について、提案されております森林法の一部改正に関連をしつつお尋ねをしたいと思うわけであります。
それで、まず最初に、長官にお尋ねをしますが、日本の林業の現状、これは一応白書の中に計数的な貧弱な現状の問題点が列挙されておりますが、林野庁長官の要約した日本林業の現状というものをお聞きして、その日本林業の現状に対する具体的な打開策等について、当面ことしやれる問題に限らず、将来の展望を考えながら、どういう点に日本の林業は力点を置いて今後の問題を解決する努力をしなくてはならぬのか、こういう点について、まず最初にお伺いをしたいと思います。
全体についてでございますので、今度出されておるような、いわゆる林政全体の毛細血管のようなことでなくして、全般についての動脈をまず具体的に長官のほうから出していただいて、その動脈それぞれに対して今日までとってきた林政のどこにネックがあり、どこに隘路があり、どういう点を打開すればその動脈が硬化を来たさずに生き生きとして前進するかということについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/2
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003・若林正武
○若林政府委員 まず、わが国の林業の現状につきまして御説明申し上げますと、木材の需要、これはわが国の経済の発展に伴いまして著しく増大をいたしてまいっております。これに対比いたしまして、国内の林業生産、これは依然として停滞の傾向を示しておるのでございます。これは、日本の現在の森林資源の構成その他からいたします問題もございますが、林道の開発その他、いろいろ問題がこれに関連いたしておりますが、生産が停滞的である。さらにまた、外材の輸入が増大をいたしてまいっております。
二番目といたしましては、国内の森林資源の開発というものが必ずしも十分でなくて、日本の森林資源というものが十分に生産力を発揮していない現況にあるのでございます。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、幼齢林というものが多い。しかも、造林自体が最近減少の傾向にあるということでございます。
三番目といたしましては、林業生産の過半をになっておりまする私有林の経営におきまして、経営規模の非常に零細なものが多うございまして、経営基盤というものが脆弱であり、生産活動も一般に停滞的でございます。
四番目といたしまして、林業就業者の他産業への流出が著しく、林業労働力の量的な不足とともに、高齢化あるいは女性化と申しますか、質的な劣弱化という傾向が見られるようになってまいっておることでございます。
こういった最近の林業の動向というものを前提にいたしまして、今後どのように対処していくのかという問題でございますが、究極の目標といたしましては、昨年、林業基本法の第十条第一項に基づきまする基本計画及び長期見通しがございますが、こういうものを目標にいたしまして日本の森林資源の充実をはかってまいる、そういうことによりまして、林業の総生産の増大あるいは生産性の向上というふうなことをはかってまいらなければならないのでございます。そのためには、生産、流通、構造、労働、こういった各部門の対策というものを総合的に講じなければならないわけでございます。
以下、各部門ごとにつきまして説明申し上げますと、まず生産対策といたしましては、林道網の整備、造林地の拡大等によりまする生産基盤の拡充ということにつとめまして、森林資源の充実をはかってまいる必要があるわけでございます。従来から、構造改善事業等によりまして、林業の機械化あるいは省力化等、近代化のための施策を推進いたしまして、林業経営の改善ということにつきまして努力をいたしておるわけでございますが、今後はさらにこういった面を促進してまいらなければならないというふうに考えておるのでございます。
さらに、労働力対策等につきましても、今後の林業の就労体制の整備というふうなことをはかりまして、労働条件の改善、社会保障の拡充というふうなものにつとめまして、林業労働力の確保をはかることが必要だというふうに考えておるのでございます。
林業の総生産の増大あるいは生産力の向上をはかりますために、やはり森林の質的な充実をはかる、そのためには、今回御提案申し上げておりますように、森林計画制度の改善によりまして、その達成をはかってまいりたいというふうに考えておるのでございます。適期に伐採をやる、あるいは樹種または林相の改良というものにつきましても、これを計画的に進めてまいる。森林施業の面におきまして、合理的あるいは計画的な、ただいま申し上げましたような施業を進めるということによりまして、林業基本法が意図いたしておりまする林業総生産の増大あるいは生産力の向上、ひいては林業所得の増大というふうなことが、これによってはかられてまいるというふうに考えておるのでございます。
以上、簡単でございますが、林業の現況と今後の対策ということについて申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/3
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004・森義視
○森(義)委員 いま長官から林業の現状と対策についての荒筋の御報告を聞いたわけですが、これは毎年同じ答弁をしておられたのです。いま長官がおっしゃったようなことは、私がこの農林水産委員会に籍を置いて林業問題についての質疑をかわしておる中で、同じ現状分析と同じ答弁をしておられる。ところが、現状は、そういう皆さんの答弁どおりじゃなくして、どんどんと変化しつつあるわけなんです。そこで、いま答弁の中にありましたように、木材の需要がどんどん拡大していく。ところが、これに対する国内の供給が対応できない。どうして対応していくのかということについて、いろいろな施策を考えておる、こういうことなんですが、いままで考えてこられた施策の中で、木材の需要がどんどん拡大していくということは、去年から始まったことでも、あるいは一昨年から始まったことでもなく、ここ数年の間、毎年毎年その拡大の歩幅は大きくなりつつあるわけですね。その拡大の歩幅の大きくなりつつある現状に対して、これの供給の歩幅というものがなかなか遅々として進まないわけなんです。こういう状態でいって、日本の林業の将来というものが、拡大していく需要にどうしてほんとうに見合っていくのかということを考えますと、私たち日本の林業の将来を考える者にとっては、まことにさびしききわみであるわけなんです。いまの長官の答弁を聞いておりますと、私は、長官は初めてでございますので、日本の林業の将来に対する何か新しい一つのビジョンについて、なるほどわれわれも納得できるというふうな新規な答弁がお聞かせ願えるのじゃないかという期待を持って、実は第一問の質問をしたわけです。ところが、いまの答弁では全く期待はずれです。いま答弁されたことは、白書を読んでみれば、白書にもっと詳しく書いてあります。私は冒頭に申し上げましたように、白書に、あるいは四十二年度において講じようとする施策に書いてあるようなことではなくして、もっと適切な具体的な答弁、特に重点的な答弁がお聞かせ願えると思ったのですが、総花的な林業の現状の分析と、それに対する総花的な対策を説明されたにすぎませんで、それだったらわざわざ委員会で長官に質問をする必要はない、こういう感じをいまの答弁から受けるわけです。
そこで、具体的な内容に入りますが、木材の需要の拡大、それの見通し、長期需給計画というものが出されておりますが、木材の需要の拡大が、あの長期計画に基づいて長期の見通しどおりにどんどん拡大していく場合に、正直に言って、いまの林野庁の諸施策が追いついていけるかどうか。それに対する自信のほどはどうですか。長期の需給見通しでは昭和九十年に追いつけるという見通しが書いてあります。ところが、私の考え方では、追いつけないのではないか。現状生産は横ばいをし、需要だけが拡大され、その穴埋めは無計画な外材依存によらざるを得ない、こういう方向がさらに拡大になっていくのではないか、こういうふうに憂えるわけです。その点について、長官のひとつ確たる考え方をお聞きしたいわけなんです。木材の需要の拡大にわがほうの生産体制が追いついていける自信がある、こういうほんとうの自信があるならば、その自信についてお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/4
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005・若林正武
○若林政府委員 将来の木材の需給見通し、これにつきましては、林業基本法の第十条第一項に基づきまして、昨年、重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通しを策定いたしたのであります。この見通しによりますと、昭和三十七年ないし三十九年というものを平均の実績といたしまして考えてまいりますと、この当時の国内の自給率というものが七七%になっておるのでございます。以下十年ごとに昭和九十年までの林産物自給の推移を見てまいりますと、昭和五十年に七一%、六十年に七六%、七十年に八二%、八十年に八七%、九十年に九〇%というふうな一応の計画を持っておるのでございます。
ただいま先生から御質問の、こういった長期の需給見通しというものがこのとおり達成できるかどうかという問題でございますが、確かに昨今の林業の動向というものから見てまいりますと、国内の生産は停滞ぎみである。外材がこの需給の見通しに対比いたしまして相当早いテンポで入ってきておるというふうな実態があるわけであります。こういった需給の見通しを立てます前提といたしまして、当然国内の森林資源の充実あるいは開発という問題がうらはらとしてあるわけでございます。そのためには、森林の開発——林道の整備の問題やら、さらに拡大造林の推進というものがうらはらになって計画どおりに遂行されるという必要があるわけでございます。国内の生産量というものを見ますと、伐採量自体は減少いたしてまいっておりますのは事実でございます。これは需要構造の変化ということによりまして、特に薪炭材需要というものが御承知のように半減をいたしております。こういった面で薪炭材の伐採というものの減少が著しいのでありまして、用材の伐採量というものについて見ますと、これは民有林におきましても横ばいでございます。若干減っておる傾向でございます。これがなぜふえないのかという問題でございますが、これは森林資源の構成で見てまいりますと、非常に幼齢の森林が多いわけでございます。たとえば二十年生未満というもので考えてまいりますと、日本の森林の面積で約半分はこういった非常に若い林でございます。そういった面で、今後十五年ないし二十年後におきましてはこういうものが生産の面に寄与してまいるわけでありますが、現状におきましては利用できないというふうな状況になっておるわけでございます。かたがた、薪炭材の需要の減少ということに伴いまして、薪炭林が切られない。切られないがゆえに、そのあと地におきまする拡大造林というものが伸びないというふうな現状になっておるわけでございます。私どもといたしましては、計画的に国内の森林資源を充実させまして、長期見通しの線に沿いまして資源内容の充実をはかってまいりたいということで、林道の面あるいは造林の面等におきましていろいろと施策を講じておるところでございます。ただ、現状におきましては、全国森林計画の計画量というものに対比いたしまして若干おくれているというふうな面もございますが、こういった点につきましては、今後鋭意努力をいたしまして、事業量の拡大をはかってまいりたいというふうに考えておるのでございます。こういったいろいろのネックがあるわけでございますが、こういった面のネックというものを打開して林業の総生産の増大をはかってまいるように、いろいろの施策を今後におきましてもさらに強力に講じてまいりたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/5
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006・森義視
○森(義)委員 私は、いま長官に、長期需給の見通し、これを達成する確たる自信があるかどうかということをお聞きしたわけです。それをもう一回、確たる自信があるかどうか、はっきり言ってください。それだけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/6
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007・若林正武
○若林政府委員 長期需給の見通しを達成するためにはいろいろ問題がございます。こういった問題の解明を早急にいたしまして達成できるように、確信を持って対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/7
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008・森義視
○森(義)委員 長期需給の見通しは、これは計数でははじき出してはありますが、実際問題としては、もう長期どころか、短期の需給の見通しすら達成されておらないし、いま御説明がありましたとおりに、造林も遅々として進まない。特に拡大造林のごときは進んでおらない。こういうことで、現状からこの長期見通しは文字どおり絵にかいたもちである。さすれば、需要がそれだけ拡大するということだけが、経済の発展の動向からはっきりとつかめる。しかし、わがほうのこれに対する自給率を高めていくについては、あらゆるネックがあって、長期どころか、短期ですら、この目標の到達には至難な条件が山積をしておる。そういう中では結局外材に依存せざるを得ない、こういう形になろうかと思うわけです。
そこで、ひとつ長官にお伺いするのですが、昭和九十年に需要が大体いまの二・二五倍ですね、このくらいの需要の拡大を見通しておられるわけですが、その時点において自給度を九〇%にするという見通し、どういう積算基礎からそういうものが出たのか。
そこで、ひとつ具体的にお伺いしたいわけですが、現在の労働事情からいって、昭和九十年における需要に対する九〇%の自給率を達成するためには、どれだけの労働力が確保されなければならないか、この点についてお伺いしたいわけです。もちろん、その間、機械化の問題がかなり労働の生産性を高めていくだろうと思います。しかし、労働の生産性を平地林業のように急速に高められる条件に日本の山岳林業はないと思うわけです。したがって、おそらく現在の出石数を倍上回るだけの労働力を必要とするならば、その労働力確保について昭和九十年度にどれだけの労働力が必要であり、機械化によってどれだけの面が合理化をされ、生産性でカバーをされ、そういう数字がはじき出されて、初めてそのときに労働力がどう確保されておるかという見通しがなければ、数字を出されても、それは絵にかいたもちで、達成できない。しょせん、まぼろしになるだろうと私は心配するわけです。
〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
そこで、具体的に、それでは昭和九十年の需要に対する九〇%の自給率を確保するときに必要な労働力というものが、機械化の進歩と見合わしながらでもけっこうですから、どれだけ要るかということをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/8
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009・若林正武
○若林政府委員 お尋ねの第一点の、昭和九十年に自給率九〇%というものがどうして出てきたかということでございますが、林炭物の需要と供給というものを見通しました方法は、まず需要につきましては、昭和五十年度は建築用材、包装用材、土木工事用材その他の用材、パルプ用材、特殊用材、輸出用材というふうにこれを分けまして、それぞれ過去の木材の需要量と国民総生産との関係から需要構造式を求めまして、これによって需要量を推計いたしたのでございます。昭和六十年度以降につきましては、ただいま申し上げましたような用途の区分を行なわずに、過去の木材需要の国民総生産弾性値の時系列推移によって将来の弾性値を求め、これと経済成長率から需要量というものを推計いたしておるのでございます。一方、供給につきましては、森林資源が計画的に充実されるという前提のもとに、国内からの林産物の供給量を推定いたしまして、この国内の供給不足というものにつきましては外材をもって補完的に補うというふうな方法で、実は見通しを立てておるのでございます。そういうことで、昭和九十年におきまする国内の供給量というものと需要量との差、これを外材に依存するということで、これが一〇%ということでございます。したがいまして、国内の自給率というものは九〇%、こういうことになっておるのでございます。
そこで、御指摘の第二点の問題でございますが、すでに策定いたしました長期見通しというものが現実にはだいぶ変わっているじゃないかという問題でございますが、確かに、昨年、五十年の長期にわたりまして見通しを立てておるわけでございますが、最近の木材の需要動向あるいは外材の輸入状況というふうなものは、社会的あるいは経済的の事情の基調というものが変わったのかどうか、あるいはただ単に当面の短期的な変動によるものかということにつきまして、私どもも現在検討いたしておるのでございまして、ただいま即断をするというところまで至っていないのでございます。
それから、第三点の、昭和九十年度の林業労働力というものは一体幾らかという問題でございますが、御承知のように、林業労働力というものは昨今減少いたしてまいっております。総理府の労働力調査というものを見ましても、三十七万ないし三十五万というふうに大体横ばい的ではございますが、一割程度減少しているというふうな実態にあるわけでございますが、今後林業労働力というものがどうなるのかということにつきましては、御承知のように、今後の社会構造なり、あるいは経済構造、あるいは農山村の実態がどう変わっていくかというふうなこととも関連いたしまして、一義的に幾らというふうなきめ方はちょっとできないというふうに考えておるのでございますが、しいて昭和九十年度におきまする木材生産等の事業というものを前提にいたしまして機械的な計算をするということでまいりますと、現在の労働力の約八割程度の労働力があれば仕事がやっていけるというふうな計算にはなるわけでございます。しかし、現実に昭和九十年度におきましてそれだけの林業労働力が確保できるかどうかということにつきましては、これは延べ人員だけの問題でございますので、相当いろいろな面からの検討が必要ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/9
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010・森義視
○森(義)委員 たいへんふしぎな数字を聞いたのですが、昭和九十年には現在の労働力の八割程度の労働力で現在の生産二・二五倍伸ばし得るという見通しをいま長官はおっしゃった。ということは、いわゆる林道整備の問題あるいは運材に対する機械化の問題、集材に対する機械化の問題、いろいろなことをケースにあげておられると思うのですが、実際の一番重要なかなめをなすところの伐木、この伐木の機械化がそれほど労働の合理性、生産性を高めていくという見通しはどういう係数から出てくるのですか。木材の場合、二倍以上の木材を出すのに八六%で済むということは、それは機械化がこれをカバーできる、と同時に、生産基盤が整備されてくる、こういう考え方から出てくると思うのですが、現在の伐木に使っておるチェーンソーが日本の労働力の生産性にどういう影響を与えておるかという数字がいまの現状において出されておるならばお聞かせ願いたいし、それが今後の見通しとしてどれだけ機械化が進展をし、それがどれだけ労働の生産性を高めるか、そういうデータがなければ、現在の人員の八六%でいまの出木の倍以上出せるという係数ははじき出せないと思うのです。その八六%の人員で足りるという根拠を明確に係数的に示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/10
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011・若林正武
○若林政府委員 伐山山部門におきまする労働原単位の問題でございますが、ただいま申し上げます数字は、伐木、造材、集運材、全部込みにいたした数字でございます。現状におきましては、この労働原単位が、一立方メートル当たり生産いたしまするのに〇・八六という数字になっておるのでございますが、今後林業の機械化の進展に伴いまして、将来、これは大体昭和六十年度以降というものを一応想定いたしておりますが、労働の原単位が〇・五八というふうになるという試算があるわけでございます。こういうものを前提にいたしまして計算をいたしましたのが、先ほど申し上げました数字で、これは伐出ばかりではなくて、造林、林道その他も全部含めました延べ労働力でございますが、その中の伐出部門だけについて申し上げますと、原単位というものはただいま申し上げましたように変わってまいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/11
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012・森義視
○森(義)委員 要するに、機械化によって一立米に対する労働力というものが〇・五八という係数で計算をしていくと、そういうようになる。先ほど長官の説明の中に、労働力が逐次老齢化をし、質的低下を来たしておる。労働力の質的低下と機械との関連はどうなるのですか。機械化というのは、老齢化、質的低下した者によって、それが機械の能力を発揮でき得るような条件にはならないと思うのです。現状の林業労働者の老齢化あるいは質的低下というものが機械化に結びつかない。機械化に結びつけようとするならば、どうしても若年労働力、青年労働者が林業労働者として住みつける条件が整備されなければ、その数字は出てこないと思うのです。その点、長官は先ほどの説明で、老齢化あるいは質的低下を来たしておるという現状の上に立ちながら、機械化がこのように労働の生産性を高めるのだという数字をはじき出すには、ちょっと私は理屈は通らないと思うのですが、その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/12
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013・若林正武
○若林政府委員 今後の林業労働対策というものをどう考えていくのかという問題の中で、ただいま御指摘のございました林業労働力の女性化あるいは高齢化という問題を解明するということになろうかと思うのでごございますが、民有林関係の労働力対策といたしましては、現在いろいろな対策をやっておるわけでございますが、こういうものを中心といたしまして、今後積極的に拡充してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
まず、林業労働者の就業対策でございますが、林業労働の就業の改善及び労働力の安定確保というものを目的にいたしまして、ただいま、林業生産のウエートの高い市町村につきまして、林業労働力需給動向を把握いたしまして、就労動向台帳というものに登録をいたしまして、林業労働力需給動向に基づく安定就労というものを現在推進をいたしております。
さらにまた、労務組織の整備、主として森林組合の作業班というものを考えておりますが、現在約四千の班がございまして、労働者の数にいたしまして約四万、こういったものを今後積極的に拡充してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
さらにまた、通年雇用促進のための連絡指導ということも行なっておりますが、こういう点もさらに促進をしてまいりたいというふうに考えております。
次に、林業就労態勢整備促進対策ということを本年度から新しく始めておるのでございますが、一定要件を具備した協業体に対します安全衛生施設の助成をいたしまして、林業労働災害の防止に積極的に寄与をさせてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
それから、社会保障等の拡充の問題でございます。林業労働者に対する社会保障制度の適用その他労働条件の改善をはかりますために、各種の社会保障制度、就業規則、賃金体系、安全衛生等につきまして、関係当局とも十分連絡をとりまして、関係団体、林業関係の事業主あるいは林業労働者等に対しまして、啓蒙指導を強化いたしてまいりたいというふうに考えております。
ただいま林野庁といたしましては、東京大学のほうに依頼をいたしまして、林業労働者の不就業期間に対する保障措置等に関する研究をやってもらっております。こういった研究結果につきましても、十分これを勘案いたしまして、林業労働の実情に即した社会保障制度のあり方についても検討を進めたいというふうに思っておるのでございます。
次は、養成及び確保でございますが、林業労働者の減少傾向あるいは質的変化というものに対処いたしますために、将来の基幹的な労働力の養成及び確保をはかりますために、林業労働者の技能検定あるいは職業訓練、こういうものを実施することにつきましても検討を進めておるところでございます。
御承知のように、林業労働自体は、林業が持っております季節的な制約を受けるという面からの非常に不利な面があるわけでございますが、優秀な林業労働力を今後においても確保いたしてまいるためには、何と申しましても、やはり雇用安定ということを重点的に考えていかなければならないというふうに思っておるのでございます。そういった面で、ただいま申し上げましたようないろいろな対策を今後においてさらに拡充強化をいたしまして、労働力の確保に資してまいりたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/13
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014・森義視
○森(義)委員 供給力の増大、いわゆる確保のためにはいろいろなファクターがあるのですが、その中で、あちらへ飛んだりこちらへ飛んだりしますと、時間的に何も得られなかったということになるので、私は、いま労働力にしぼってちょっとお尋ねをしておるわけですが、これは長官、労働力の確保の問題については、いま長官の考えておられることは、林業基本法ができてから三年間の間何一つとしてやられておりませんし、今日までも、そういうお答えのような、労働力確保のため、あるいは養成のための政策というものが、何ら実を結んでおらないわけです。実はこれは林野庁からもらった資料ですが、現在の「年令階層別林業就業者数と同比率」、この数字は出かせぎ農民のあれを含んでおりますので、専業労働者の年齢よりも比較的若い層がかなりな比重を占めております。しかし、これによりましても、いわゆる二十五歳以下の林業労働者というのは、昭和四十年度において一〇%です。逆に六十歳以上の林業労働者も一〇%です。一番多い層としては三十五歳から三十九歳というのが二八%でございます。これはいわゆる農閑期の出かせぎ農民に、都市に行く出かせぎ農民と山村に行く出かせぎ農民とがある。その出かせぎ農民の青年層を入れての数字で、現状の林業専業労働者の年齢ではありません。林業専業労働者の年齢が毎年一年ずつ伸びていって、奈良県の林業地帯において平均年齢四十四歳である。こういう実態数字を見ながら、今後の日本の林業の需要の拡大に伴って供給力を伸ばしていく場合にどうなるのかということについて、ほんとうに心配をしているわけなんです。十年先には山村は養老院のようになってしまう。これはもう厳然たる事実であります。奈良県では十津川という村がありますが、あそこの高等学校の卒業生に何とかして村に残ってもらおうと思って、村長以下かけずり回ったが、女子の卒業生が一名役場の職員に採用されただけである。あと全員離村であります。こういう実態の中でいま機械化が進んでいく。その中で、機械を駆使して若年労働者が住みつけるような山村地帯にし、その機械化による労働生産性を高めることによって、需要の拡大に供給力が見合うような体制をつくっていこうということは、私は、それは文字どおり現状を知らない人の言うことだと思うのです。
そこで、一つ具体的にお尋ねいたしますが、社会保障の問題について、林業労働者が今度の失業保険法の一部改正の中からもはずされております。いま林業労働者が社会保障の問題で恩恵を受けておるのは、国有林を除く民有林の労働者の中で恩恵を受けておるのは、いわゆる労災保険だけであります。この労災保険の恩恵を受け、その中で、なおわれわれ奈良県のように、労働者の組合をつくって、失業保険、あるいは健康保険、あるいは中退法の適用等によって、何とかして山に労働者が残るような努力をしておりますが、その中で奈良の昨年一年間における林業労働者の負傷者は千三百名です。七名死んでいるわけです。これはもう奈良県における労働者の災害率の最高であります。組合があって、安全の問題について指導員をつくってせっかくの努力をしておる中においてすら、年間千三百名の負傷者が出、七名の死亡者が出ておる。
〔倉成委員長代理退席、森田委員長代理着席〕
こういう危険な労働の中に社会保障の他の面がほとんど適用されておらないというのが現状です。これは長官も御承知のように、林業というのは気候に非常に影響を受けるわけです。雨が降れば山へ行けません。雪が降れば山へ行けません。おそらく年間林業労働者が稼働する全国平均というのは、百五十日ないし百七十日だと思います。そこで、かりに日給二千円としまして、百五十日で年間三十万です。失業保険は何もない。そしてけが人がどんどん出てくる。健康保険がない。そして、いわゆる退職金的な、あるいは老後保障的なものが何もない。こういう環境において現在働いておる山林労働者の実態というものに対して、これから社会保障を拡充して、山林にも機械を駆使する若い労働力が安定して生活できるような条件をつくり上げていくんだとおっしゃるが、それでは、具体的にどの面からそういう問題について取りかかろうといま計画し、決意をしておられるのか。長官の先ほどのおことばでは、いろいろなことをやりたいとおっしゃっておられますが、これはいつの場合においても言っておられるわけだ。しかし、一つもその問題について成果があがっておりません。林業基本法ができたときに、私は、初めて林業労働者として位置づけられたんだ、いままでおまえたちは産業労働者じゃなかったんだ、いわゆる森林法のもとにおける日本の国土保全の公務員であったのだ、いわゆる召使いであったのだ、ところが、林業基本法ができて、ようやく林業が産業的見地からとらまえられることによって産業労働者になったのだから、都市産業労働者と同じ社会保障の恩典を受けられるんだからしばらくしんぼうしろということで、林業労働者に話をしてまいりました。しかし、あれからすでに三年たちます。ところが、林業基本法にうたわれておる林業労働者の社会保障の拡充の問題について、林野庁から何の具体的な施策もいまだ聞いたことはありません。また、こういう計画をしておるということも聞いたことがありません。そういう実態を放任しながら、いまのような機械化によるところの労働の生産性から換算をして、労働力が昭和九十年には現行の労働力の八〇%で充足されるんだというふうな数字を出されますと、どうしても私どもは納得できないわけなんです。この点について、具体的にいつどういう方法で林業労働者にこういう程度の社会保障の確立をやるんだということについて、林野庁に案があるならば長官から明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/14
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015・若林正武
○若林政府委員 林業労働対策につきましては、御承知のように、国有林につきましては、国がみずから仕事をやっているという関係もあろうかと思いますが、雇用安定なりあるいは労働条件の改善ということにつきましては、従来からも努力をいたしてまいっておりますし、また、それぞれ成果もあげておるというふうに考えておるのでございますが、民有林の林業労働対策ということにつきましては、まだ国有林に対比いたしますと十分だというところまでは行っておらないのでございまして、私どもも、この民有林の林業労働対策というものの拡充ということにつきましては努力をいたしておるところでございます。
今年度におきましても、予算的にも昨年の三倍の予算を計上いたしましていろいろとやっておるわけでございまするが、社会保障制度の問題等につきましても、労災保険のように強制適用を受けるというものは別でございますが、その他の面におきましては、先生から御指摘のように、必ずしも十分ではないということでございまして、今後こういった保障制度というものについての適用の拡充等につきましては努力をいたすつもりでございます。
後継者、若い労働力を確保するということにつきましては、後継者育成資金というふうなものも今後検討してまいりたいということで、現在検討いたしておるような段階でございまして、さらに、若い林業グループというもののグループ活動を促進をするという面での助成措置等は、今年度からまた新しくこれも予算化をいたしております。
〔森田委員長代理退席、委員長着席〕
いずれにいたしましても、民有林の林業労働対策という面につきましては十分でございませんので、今後いろいろな面におきましてその改善を積極的にはかってまいる決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/15
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016・森義視
○森(義)委員 そういう答弁では納得できません。努力をするとか、十分ではないとか、そんな段階じゃないんですよ。少なくとも日本の林業を考える場合に、機械化に限界がある山岳林業の中でどう労働力を確保するかということが日本の林業の最重点施策なんです。その中で、社会保障の問題について、あるいは若年労働力の問題について、努力するとか確保するとか、あるいは後継者資金の問題について、農業で行なわれておるようなそういう問題についても考えるとか、そういう答弁を何回繰り返していただいたところで、林野庁が出しておられるあとの諸施策というものは、私はもう絵にかいたもちだ、そう断定せざるを得ないわけなんです。
それでは、私は、ここで具体的に、林業労働者の失業保険の問題をどう考えるのか、健康保険をどうするのか、この二つについて長官の具体的な答弁を願いたいと思います。いま奈良では失業保険法の特例給付を受けております。しかし、これだって失業保険法の特例給付ですから、この間まで三百三十円だったのです。それがようやく五百円になりました。一日二千円の賃金で働いておる労働者が五百円の失業保険しかもらえない。しかし、そのことですら、林業労働者がどれだけその恩恵に喜んでおるかというのが現状です。それは奈良県だけでいま行なわれておるいわゆる失業保険なんです。そういう実態を——これは二年前の田中長官時代に、民有林労働者の実態を資料として出せと言ったら、ないから一年待ってくれ、予算を組んで民有林労働者の実態を調査するということでしたが、あのときにたしか二千三百万の予算が組まれたはずです。その結果、どういうふうな実態であるかということについて、林野庁はすでにそのデータを持っておられるはずだと思います。そのデータをお持ちならば、日本全国の民有林で働いておる労働者の今日の実態というものの資料を出していただきたい。私は、民有林労働者の中で一番進んでおる奈良県における民有林労働者の実態をいま話しておるわけです。それですら、いま申し上げましたような失業保険法の特例給付をようやく三十八年から受けて、三百三十円からようやく去年五百円になっている。そういう段階である。一年のうち三分の一は天候、気象の関係で仕事ができない。御承知のように、山は仕事ができない間、近くにいわゆる仕事がないわけです。どこかにアルバイトに行こうとすれば、二時間も三時間もかかる。車馬賃が要る。こういう状態では行けないわけです。結局何をやるか。失業しておる間ばくちと酒しかないわけです。そういう中に若い青年がどうして残れましょうか。年間所得三十万くらいで、そしていま言ったような環境の中に置かれていて、労働者の確保できる見込みは私はないと思うのです。長官は先ほど、確保できる、確保するためにいろいろな努力をするとおっしゃったが、その努力が具体的に明示をされない限り、それはいままでの答弁と同じで、山村労働力の流出はどんどんと拡大しておるじゃありませんか。この拡大はさらに私はそのスピードを増すであろうと思います。そういう状態の中で、今国会を通じて、林業労働者の労働条件の問題、社会保障の問題について、林野庁はいつから失業保険についてはこうする、健康保険についてはこうする、こういった確たる答弁を私は期待をしたいので、いま一度その点についての長官の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/16
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017・若林正武
○若林政府委員 林業労働者の社会保障の現状につきましてまず申し上げてみたいと思うのでございますが、御承知のように、労災保険のほかは当然適用または強制適用となっていないのでございます。しかも、この林業の場合におきましては、常用労働者というものが少ない。あるいはまた事業主等も含めましてでございますが、負担能力の乏しいという問題がございます。こういったことで、いろいろな社会保障制度の適用というものがおくれているというふうに考えておるのでございます。
労働者の災害補償保険でございますが、数字で申し上げますと、現在適用を受けておりますのが約三万三千九百事業所でございます。被保険者の数が約三十二万七千名、失業保険につきましては約千九百八十事業所で約六万八千名、健康保険が約二千五百事業所で約六万二千名、厚生年金保険が約二千三百事業所で約六万四千名、農林漁業団体職員共済組合が約千八百八十事業所で約九千名、中小企業退職金共済が約六百三十事業所で約一万三千名、こういうふうな現況になっておるのでございます。
そこで、この中の失業保険の問題でございますが、今回提案されておりまする失業保険法の改正の問題とからむわけでございますが、この失業保険の適用関係につきましては、現在のところ、民間林業に使用されております者は、一定の要件に適合する者に限りまして任意適用されることになっておるのでございます。今回の改正案におきましても従前どおりの扱いとなっておりますが、これにつきましては、林業労働者の福祉の向上、さらに林業の近代化促進等の見地からいたしまして、さらに改善をすることが望ましいというふうに考えておるのでございます。したがいまして、施業の通年化あるいは森林組合等によりまする協業の促進等によりまして、社会保障制度適用の基盤の整備ということがまず必要ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。この使用の基盤の整備ということにつとめまして、その進展に応じまして、将来は原則として、民間林業に使用される者につきましても当然適用という方向で検討するように、労働省のほうとも十分連絡、協議をしてまいるつもりでございます。また、当面の任意適用の改善につきましても、林業の実情に即しました運用がなされますように、これまた労働省と協議を進めてまいりたいというふうに患っておるのでございます。
もう一つお話のございました健康保険の問題につきましては、林野庁だけでどうこうということにもまいらぬようでございますので、この改善等につきましても、関係方一面と十分連絡をいたして努力をいたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/17
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018・森義視
○森(義)委員 長官、あなたは失業保険の今度の改正案の内容を知らないのですよ。改善じゃないですよ。現在の失業保険の適用はどうなっておりますか。六カ月を通じて稼働日数が八十四日、毎月十一日、この二つの条件がかなわないと失業保険は受けられないのです。今度改正するのは、これを毎月十四日、通算六カ月で八十四日、この証紙が張ってなかったら失業保険の適用を受けられないという、改悪をしようとしているのです。あなたは、山林労働者が失業保険の適用を受けられるように改正されるのだと言うけれども、改悪されようとしているのですよ。なるほど六カ月を通じて八十四日の労働はやります。飯が食えませんから。ところが、雨期とか台風期には、六月から九月には十一日働けない人が出てくるわけです。これを十四日に延ばしますと、奈良下市職業安定所の調べでは、四割が失業保険を受けられなくなるのです。したがって、私どもはあの失業保険の改正の中で、これは職業安定局と話し合って、けしからぬということで今日まで論議をしてきたところなんです。だから、失業保険法の改正は、林業労働者にとっては過酷になる、改悪をされる、こういうものなんです。もちろん給付全額について三ランクができまして、七百六十円が最高になります。いまは五百円で頭打ちですが、これだって、一般の産業労働者の失業期間における六割というのに比べますと、うんと低いのです。二千円の六割ですと、最低千二百円なければならぬのです。それにしても、七百六十円というAランク、第一ランクができるということだけでも、これは一つの前進です。しかし、それを満たすためには、毎月十四日の就労の印紙を張り、通算八十四日なければその適用を受けられない。これは山村における労働の現状を知らない者の案だと思うわけです。しかも、先ほど申しましたように、林業労働者は災害が非常に多い。ちょっとけがをすると、その月は働けない。一カ月十一日張れなかったら、あとの六カ月はパアなんですよ。あと六カ月を九十日働いたって、百二十日働いたって、失業保険の受給資格はなくなるわけです。二つのワクをはめられておるわけです。そういう、産業労働者の失業保険の現状と合わない、日雇いの失業保険を適用しながら、なおかつ条件として非常にきびしいものを課そうとしておる。現に課しておる。いま失業保険の改正というものが、林業労働者にとっても何か改正されるような錯覚で長官は見ておられるということは大きな間違いだ、認識不足だと思うわけです。これは林政部長とも話し合って、職業安定課の責任者とも話し合って、私たちは今日まで話し合ってきたところです。職業安定課の役人も、事実これはあまりにもかわいそうだ、したがって、この法案が通るときには修正に応ぜざるを得ないだろう、こういうことを提案者であるところの労働省が言うのはおかしいけれども、しかし、現実の話を聞くと、あまりにも過酷だ、こう言わざるを得ないところまでわれわれの話し合いの中ではなっているわけだ。そんな状態に民有林の林業労働者は置かれている。一番負傷者が多い。一番医療的にも見離されている。山村で働いておる人にこそ、一番健康保険の問題について手厚いところの保障制度がなければならないと私は思うのです。全部逆なんです。日雇い健康保険法の適用を受けて、いま御承知のように国民健康保険の中にかなり吸収されております。しかし、ある健康保険の家族給付の問題を考えますと、われわれは、やはり都市に働いておる労働者と同じような健康保険の適用を受けられるような——林業産業としてこれから日本の経済の中で占める大きな役割りというものを考えてみるときに、それを維持培養していくところの労働者に対する施策としては、あまりにも国は差別をし過ぎると思うのです。だから、私は、ここできょうはあまり時間がありませんので、ほかの問題に触れたいわけですが、この点は、いままで国有林の労働者の社会保障の問題でいろいろと組合と団体交渉をしてこられて、逐次改善してこられた実態を知っておりますけれども、民有林の実態をあまりにも知らな過ぎると思うのです。だから、二年前に、せっかく調査をして、いろいろな労働者の実態を調査した資料をつくって対策を考えますと前長官から答弁があった資料、どういう資料ができたか。これを資料として提示を願いたい。まだできていないならば、いつできるか。奈良県にも京大の朝比奈教授が来て、林野庁から委嘱されて林業問題の調査に来られて、私も会いました。全国に調査員を派遣していろいろなことをやっておられるのだと思います。もうその集約ができておっていいはずです。そういうデータがなければ労働対策が講じられない。労働対策が講じられなければ、この長期の需給計画というものの最大のエネルギーというものが発揮されないということで、この長期対策というものは文字どおりに絵にかいたもちになってしまう。それは林道の問題、造林の問題、いろいろあるでありましょう。しかし、私は、少なくともいまのままに民有林労働者を放任しておくと、日本の林業というものは滅びてしまう。そういうことを二十年間奈良の山林労働者のお世話をし、山に入って実際に体験してきた自分の経験から、ぜひ聞いていただきたいわけです。この点、もう一回、失業保険の問題、健康保険の問題について、いま答弁できなければ、いつどういう機関でどういう討議をする、それには私たちの意見も含めて——皆さんだけでは結論は出ないと思います。現地の労働者の意見も含めて、いつどういう機関で討議するかということだけでも、この場合答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/18
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019・若林正武
○若林政府委員 初めのお話の資料の問題でございますが、これは先生のほうともまた相談させていただきまして、提出をいたしたいというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。
それから、失業保険法の改正の問題でございますが、これはその運営等につきまして労働省のほうと現在まだ協議をいたしておる段階でございますので、さらに協議を続けたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/19
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020・森義視
○森(義)委員 どうも納得できないわけです。まことにこのことで時間をとって申しわけございませんが、実は失業保険の問題については、鳥取県では県の当局者が、奈良県でやっておるのは違法である、こういうことを言っておるわけです。私たちは、徳島県にも、高知県にも、鳥取県にも、各地に、民有林労働者の社会保障の問題について、せめて現在奈良県の自力で獲得した線までお互いの力で獲得しようじゃないかという運動を展開しておるわけです。ところが、県によって、これが違法である、こういう答弁をしておる。林野庁はどういう指導をしておるのか。少なくとも林野庁の指導で、労働者の社会保障の問題について、もっと抜本的な改正をしなければ今後の労働力の確保ができないという、先ほどの長官の答弁の趣旨であるならば、全国の林務部なり、あるいは労働部なりに、民有林林業労働者の社会保障の問題について積極的な施策を講ずるような要請なり——あるいは指令はあえてできませんが、要請を強くすべきだと思うのです。その点について、いままで林野庁から、林業労働者の社会保障の問題について、どういうふうな指導を各府県の直接関係の深い林務課なり林政部に対してされた経緯があるか、もしあるならばお答えいただきたいと思います。いままで私の聞いておる範囲ではないのです。むしろ逆に、奈良県のは違法であるなんていうことを林務担当者が公然と言っておる。そういうことについて、各府県の林業担当者に強力に指導されたり助言されたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/20
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021・若林正武
○若林政府委員 私が申し上げました一連の民有林の林業労働対策等につきまして、都道府県を通じまして指導いたしておるところでございます。ただいま先生からもいろいろお話がございましたので、今後におきましては、さらに都道府県に対しまする指導を強化いたしまして、民有林林業労働対策に万全を期してまいりたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/21
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022・森義視
○森(義)委員 各府県を通じて指導されたのならば、その指導された文書を参考資料として出していただきたいと思います。林野庁から民有林労働者の社会保障の問題についてどういう指導をされたか、その文書をあとで資料として出していただきたい。
そこで、奈良県で行なっております中退法の適用、いわゆる退職金です。中小企業退職金共済法によるところの林業労働者の老後の保障のための退職金規定なんですが、あの方法を全国の民有林労働者に適用するための指導なり助言をしようとする意図があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/22
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023・若林正武
○若林政府委員 林業労働対策につきましては、奈良県はそういった面での非常な先進県でございまして、林野庁といたしましても、ただいま先生からお話のございました退職金制度というふうなものにつきましても、すでに各県のほうに情報としてこれを流しております。林野庁といたしましても、来年度におきまして何らかこの具体化をはかってまいりたいということで、現在担当課のほうで検討しておるような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/23
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024・森義視
○森(義)委員 情報として流す程度じゃだめなんです。こういう方法でこういうふうにやれ、こうやって奈良県がこういう成果をあげたのだ、こういう形のものでなければならぬ。奈良県が中退法の——森林組合、市町村、県並びに労働者との間の話し合いの中で、長い間かかってこれは戦い取ったいわゆる老後保障の問題です。それを単にこういう事実があったということだけで、情報で流されただけではだめです。それを流されて、徳島県から奈良県に、私たちのためにどういう方法をやられておるか、勉強に来られました。そういう方法もあります。しかし、林野庁が積極的に労働力確保のために社会保障の問題を長官の答弁のとおりに拡充するという意図があるならば、われわれがやる前に、役所自身がこの問題は積極的な姿勢で指導、助言しなければならない問題ですよ。その戦いとられたものを情報で流す程度で、そんなものがすっと各府県の行政の中に入っていくような実態にいまありますか。これはもっと強力な指導をやっていただかなければ、長官の先ほどの社会保障の拡充によって、林業労働者が他の産業労働者と大きくいま差別されておる状態を改善されることにはならないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/24
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025・若林正武
○若林政府委員 お話もございましたが、今後積極的に指導をいたしてまいりたいと考えております。
なお、この民有林の林業労働対策というものを拡充いたしますために、林野庁といたしましては、近く民有林の林業労働問題を担当いたしまする組織を拡充いたしまして、対策に遺憾なきを期してまいりたいという考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/25
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026・森義視
○森(義)委員 この問題は、いまここで直ちに結論を見出すことはたいへんむずかしいと思いますが、いま長官の答弁がありましたように、林野庁の中で、民有林労働者の問題についての対策の部というのですか、課というのですか、そういう責任者を設けて、これから積極的に取り組んでいきたい、こういう答弁をお聞きいたしましたので、そこに大きな期待をかけて、その中に私どももさらに具体的な意見を申し述べるということで、この問題は一応終わります。
そこで、十二時半から両院議員総会がございますので、時間がありませんが、ちょっとその他の問題について、若干触れてみたいと思います。
いただきました資料によりましても、需要の伸びの中で、用途別の伸びを見ますと、合板、パルプ、用材という形で伸び率が高まっておるわけです。一番伸び率の高いのは合板、その次がパルプ、用材、こういう形になっておるわけです。そうなりますと、日本の林業のこれからの経済動向の変化では、この合板がどんどんふえていく、パルプがどんどんふえてくるということになってまいりますと、それに必要な木材は外材に依存する度合いが多いわけです。用材は国内産が使われると思います。しかし、合板、パルプには南洋材並びに米ソ材がどんどん入ってくる。こういう中で考えますと、外材の伸びというものは、需要の伸び度合いから見て、さらに拡大していく。
そこで、外材の今後の見通しについて、林野庁では、いまの需要に国内産が追いつけない段階における補完的な立場で外材の輸入を認めておるような従来の答弁でありましたけれども、今後の日本の林業の中に占める外材の位置というものは、そういう補完的なものでなく、重大な役割りと位置を占めてくると思うのです。その点についての見通しをどうお考えになっておるか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/26
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027・若林正武
○若林政府委員 今後の外材輸入の見通しでございますが、前にも申し上げましたように、現在の外材輸入状況というものが、社会、経済事情の基調の変化ということによって多量に入ってきておるのか、あるいは当面現在のような多量のものが入ってきておるのか、今後もそういうふうな比率で伸びていくのかどうかということにつきましては、いま直ちにここで即断するというところまではまいらないのではなかろうかと考えております。しかし、四十年度と四十一年度を比較いたしますと、四十一年度は約三割伸びております。今年度の見通しにおきましても、四十一年度の約一〇%は伸びるのではなかろうかというふうな一応の数字を示しておるのでございますが、今後長期にわたって外材輸入の可能性という問題等を考えてまいります場合に、御承知のように、各産地とも——フィリピン等は資源的な問題もございますが、その他におきましては資源的には相当あるわけでございます。ただ、輸出制限その他いろいろな問題が内在いたしておりまして、今後こういったものがどういうふうに発展していくかということとの関連におきまして、いろいろな問題が出てくるのではなかろうかというふうにも考えておりますし、また、御承知のように、産地における木材の需要というものも、これまた逐年増加をいたしてまいっております。そういった点を彼此勘案いたしまして、将来におきましても、相当のものが入ってくるかどうかということにつきましては、相当慎重な検討を必要とするのではなかろうかという気もいたしております。
これは長期展望に立っての問題でございますが、私どもといたしましては、外材の輸入ということにつきましては、あくまでも国内の生産体制というものを積極的に整備をいたしまして、国内の生産で足りない分につきましては、やはり補完的に適正に、しかも円滑に輸入をはかってまいりたいという基本的な考え方でもって現在進めておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/27
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028・森義視
○森(義)委員 時間がありませんので、外材問題については、次の機会にあらためて根本的な問題について論議したいと思います。特に林業基本法ができてから、林業が経済的な重要な役割りを果たす今後の見通しの中で、林野庁の中に経済部がないということについて、私は非常に不満を感じている一人ですが、外材問題については引き続いて次の機会に質問することにして、きょうの質問を留保したまま、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/28
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029・本名武
○本名委員長 本会議散会後再会することとし、これにて休憩いたします。
午後零時三十分休憩
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午後四時十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/29
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030・本名武
○本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
この際、昭和四十二年産米穀の政府買い入れ価格について、政府から説明を聴取いたします。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/30
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031・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この際、御報告を申し上げたいと思います。
昭和四十二年産の米穀の政府買い入れ価格は、一−四等平均包装込み手取り予定価額百五十キログラム当たり一万九千五百二十一円と決定をいたしました。十六日の政府の閣議においてこのように決定いたしました。内容は政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/31
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032・大口駿一
○大口政府委員 ただいま大臣が申された金額は、石当たりの一−四等平均包装込み手取り予定価額でございますが、生産者米価の決定と同時に決定をされましたこととして、時期別格差、これは前年と同様の金額でございます。それから等級間格差、これも前年と同様の金額でございます。それからもち米加算も同様でございます。それから包装代につきましては、少しこまかくて恐縮でございますが、二重俵百六十一円、複式俵百三十三円、かます百十五円、麻袋百五十六円、紙袋三十二円、こういう内訳になっております。
以上が、生産者米価の決定と同時に閣議で決定をされました事項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/32
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033・本名武
○本名委員長 質疑の申し出がありますので、順序これを許します。神田大作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/33
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034・神田大作
○神田(大)委員 ただいま大臣から米価決定の報告がありましたが、今年度米価につきまして、米価審議会がその答申をできずに、このような米価が政府において決定されたのでありますが、これに対して大臣はどのような考えを持っておるのか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/34
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035・倉石忠雄
○倉石国務大臣 お話のように、米審は、委員の各位それぞれ苦労されましたけれども、ついに一本の答申を出すことはできなくなりました。これは昨年も同じような経路をたどったわけであります。そこで、ことしは二回にわたって米審の会期を延長いたしまして、委員各位は非常に熱心にそれぞれの御意見を吐露されまして、それを終始承っておりました私は、各委員のそれぞれのうんちくを傾けられたる御意見を拝聴いたしておりましたから、それを参酌いたしまして、きわめて妥当な線であると判断をいたして今回の決定を政府の責任においてやったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/35
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036・神田大作
○神田(大)委員 食糧管理法には、米価の決定は米価審議会の答申を得て決定すべきであるというように明記されておると思うのでありますが、このように答申のない米価に対して、政府は手続上これでは不備であろうと私は考えるのでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/36
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037・倉石忠雄
○倉石国務大臣 食管法には米価審議会というのは書いてないはずであります。農林省設置法にあります。そこで、それには米価審議会の意見を聞き、こうなっておるわけで、したがって、意見を聞くために諮問をいたしたけれども、一本にまとまった意見は聞くことができなかった、こういうわけであります。個々別々の方の御意見は、いま申しましたように十分拝聴いたした、こういう結果であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/37
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038・神田大作
○神田(大)委員 しかし、この米価審議会の答申というものは、米価決定において非常な重要な役割りを果たしておると考えられるのでありまして、無答申のまま政府がこれを決定したということに対する国民の不信というものが出てくると思うのです。そういう意味合いにおいて、今後このような形でおりますと、いつまでたっても、米価審議会というものが無答申のまま、政府はこれを形式的に諮問をして決定するということになると、ますます国民の米価決定に対する不信が重なると思うのでありますが、これに対して大臣はこのような方式をいつまでも続ける考えがあるのかどうか、それをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/38
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039・倉石忠雄
○倉石国務大臣 新聞紙上にあらわれておりますいろいろな意見によれば、米審無用論というようなものも出てきておりますし、いろいろな批判が出ておりますけれども、私がこのたびの米価審議会の経過を見ておりますと、各委員とも何とか一本にまとめたいという努力は非常におやりになった模様であります。しかし、それができなかった。できなかったことは、一体どこに原因があるかというふうなことは、それぞれ批判も違うのでありますが、私は四日間この米審の経過を見ておりまして、米価というのは、単にいわゆる米の値段ばかりではありませんで、日本人全体の食いものの主食である、ことにこれの価格というものは日本経済に大きな影響を持ってくる問題でありますから、そういう全体の日本経済の中における米価、しかも、この生産意欲を増強してまいるために、農村の人々にどのような施策をなすべきであるかというふうなこともあわせて、政府はこの国会終了後大いに検討をいたしまして、この次には大方の国民の御期待に沿うような制度を採用してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/39
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040・神田大作
○神田(大)委員 それでは、現在において米価審議会の委員が辞表を提出したような方もあるようでございますし、新聞の報ずるところによりますと、川野会長も辞意を漏らしておるというように、米審そのものが分解するような状態におちいっておるのではなかろうかと考えるのでありますが、これらについて、米価審議会そのものを大臣はどのように考えておるか、これを継続するつもりでおるのか、それともこれにかわる新しい方式を考えておるのか、お尋ねを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/40
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041・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そういうこと一切を含めて再検討をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/41
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042・神田大作
○神田(大)委員 今後米価の決定にあたって、いまのように自民党と政府との折衝によってきめるということは、世間に大きな誤解を招くおそれがあると思うのです。そうであるならば、これは公共料金と同じように、国民の主食であるところの米価の決定については、国会の議を経てこれを決定すべきが妥当であろうと考えるが、この点については大臣はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/42
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043・倉石忠雄
○倉石国務大臣 米価は国民生活に大きな影響がありますので、国会できめろという御意見もりっぱな御意見だと思いますが、政府の責任においてこれを決定しておるいまのやり方のほうがすぐれておる、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/43
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044・神田大作
○神田(大)委員 そうすると、大臣は、国会の議決を経るというような方式よりも、現在の政府の決定によって米価をきめるという方針に——それだけのことについては、その方針に変わりはないということでございますか。はっきりと御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/44
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045・倉石忠雄
○倉石国務大臣 決定のしかたについては、先ほど申しましたように、米価審議会の意見を聞いて政府が行政責任においてこれを決定するいまのシステムのほうがよろしい、こういうことであります。そこで、米価審議会というものについては、ひとつもっとうまく運営のできるように、権威のある答申が出されるような形態にするにはどうしたらよいかということについて、十分掘り下げて研究をいたしたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/45
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046・神田大作
○神田(大)委員 今度の新積み上げ方式というこの方式によって政府は米価の決定を行なったようでありますが、これによりますと、特に地代の算定だとかあるいは労賃のきめ方等においては、非常に不徹底な面があるわけです。これを徹底的に積み上げ方式でもって正しい算定をすれば、農民団体の要求しておったところの一俵当たり八千九百三円という価格が積み上げられるはずでありますが、これを中途はんぱにしていることに対しまして、われわれは非常な不満を持つのでありますが、しかしながら、また政府は、米価審議会の諮問にあたって三方式をあげました。そのうちのこの新積み上げ方式等によっても、今度の政府決定米価よりもはかるに低い試算を出しておりますが、この政府の非常に権威のない、政党政治に利用されるような米価の決定は、国民が政府を信頼しないことに通ずるものと思うのであります。政府の責任において決定するならば、もっと権威のある米価を最初に提出すべきではないかと思うが、大臣はこの点についてどのように考えておるか、責任ある答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/46
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047・倉石忠雄
○倉石国務大臣 政府が三つの諮問案を出しましたのは、あれは政府案ではないのであります、諮問でありますから。したがって、それについてどのように決定したらいいかということを諮問いたしておる。いまあなたのおことばの中に、労賃のとり方など不徹底だというお話がありましたけれども、生産者団体の方々は、今度の米価決定にわれわれの取り上げております労賃の算定方式には、御存じだと思いますが、十分賛意を表しているのであります。それからまた、今度の米価につきましても、現に私のところなどへ多くの生産者の方が見えまして、まずいい線できめてもらったと、たいへんな喜びで、一ぱい飲んで帰りました。私は、あれについては少しも不当であるとは思っておりませんが、神田さんも御存じのように、一般論としては、大体売り手は高いほうを希望するのでありましょうし、買い手は安いほうがいい。しかし、国民経済全体の中で、そういう売り手と買い手の調和のとれた経済を営んでいかなければなりませんからして、大きな数字を要求されましても、実際にきまるところはこの辺のところだ、いいかげんなことを言って扇動している人たちは無責任なことを言っているのだということすら、私どものところへ来てまじめに農村の生産者は言っているのでありますから、私どもは、積み上げ方式というものをとりましても、第三者に見られて少しも恥ずかしくない程度の、たとえば生産性向上のメリットはここまでとってもいいじゃないかというような、適当な、常識的な判断をしていただけるようなものを採用いたしたと思っておるわけでありまして、まあまあ批判すれば限りはありませんが、今度のところはいい線じゃないか、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/47
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048・神田大作
○神田(大)委員 大臣はそういう考えでおるでしょう。しかしながら、いま言ったように農業団体がそういうことで満足しているというのはぼくは初耳でございまして、それはわれわれは聞いてはおりません。ただ、私の言うのは、農林省が責任を持って提出した価格というものは、これは最終決定でないから政府案じゃないと言うかもしれないが、農林省の責任ある大臣の名前で米審へ出した数字というものは、やはり政府の考えを十分盛った案であると言わざるを得ない。もしそうでなければ、米審に対してそういう権威のない数字を出すという話は、これは聞けないのでありますからして、その点は大臣の答弁は間違っておるのじゃなかろうか。大臣が今度の米価決定で努力されたということは、これはわれわれもよく承知しております。承知しておりますが、米審に出した諮問案と、それから決定された政府案というものを見ますと、何かやはりふに落ちない、何か取り引をしたような、そういう感じを国民は持つのでありますからして、こういうふうな問題は、国会の責任においてこれを決定すべきである、そのほうが明朗である、こういうように私は考えてあなたの考えを聞いたわけであります。ただいまそういうつもりはないというならば、今後いずれかの機会に、いずれかの方法によって、また政府当局に対して私はただしていきたい、こういうように考えますから、この質問は保留しておきましょう。
続いて、生産者米価の値上がり分を消費者米価にかぶせて、政府がすでに決定しておる一四・四%の消費者米価の値上がり以上に消費者米価を上げようというようなことをちらちら聞いておるのでありますが、大臣はこれに対してはどのような考えを持っておられるか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/48
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049・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいまのところ、政府は予算米価の一四・四%を動かす意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/49
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050・神田大作
○神田(大)委員 そうであるならば、あたかも生産者米価の値上がりした分を消費者米者にかぶせるようなことが新聞紙上をにぎわしておるようでありますが、特にきょうは、実は大蔵大臣も来てもらってその点をただすべきだと思うのでありますが、これはやはり消費者に不安を与えることであって、まことに遺憾なことである。われわれとしては、一四・四%を値上げすることそれ自体に対しても、これは物価の上昇を押える意味において賛成できないのである。食管赤字の内容等を検討いたしましても、これは改善すべきたくさんの事柄があるわけであります。そういう意味合いにおいて、農林大臣がそのような考えであるならば、生産者米価の値上がりを消費者米価にかぶせるような、そういう発言が政府筋から流れているということは、まことにゆゆしい問題であると思うので、この点はひとつ十分留意してもらいたい、こういうように考えます。
また、かつてわれわれは、たとえば消費者米価をきめる場合でも、低所得者層に対しては消費者米価というものを値上げすべきでない、これはできるだけ低く配給すべきであるということを主張しておったのでありますが、この点については大臣はどのような考えを持っておられますか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/50
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051・倉石忠雄
○倉石国務大臣 かつてそういうことを考えられた時代があるようであります。しかし、実際にこれを実行いたすことになりますと、なかなかむずかしい。一がいに低所得者層と申しましても、どこからどこまでが低所得者層であるか。大体私ども農林省におりますので、米屋とつき合う機会が多いのでありますが、配給屋さんいわく、いわゆる低所得者層と思われる家のおかみさんほど、一番いい米を持っていらっしゃいよ、こう言うそうであります、実際のところは。その辺はなかなか微妙でありまして、おかみさん、あなたは低所得者でありますから配給帳面は赤いやつをやるというふうなことをやりましたら、その家庭がどんなにか妙な感じを持つでしょう。社会政策としては考えられることではありますが、実現することは非常に困難ではないか。これはほかの社会政策のほうで、そういうことについて思いやりをすべきことはできるかもしれませんが、米の配給の制度でそういうことをすることは、事実上はなかなか困難ではないか、こう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/51
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052・神田大作
○神田(大)委員 大臣の言われる、低所得者層が米屋に言って一番いい米を持ってこいというようなことはそういう話もそれはたまたまあるでしょう。しかし、国会においてそれを基準にして政策が論議さるべきものではないのでありまして、われわれは、あくまで低所得者に物価上昇の苦しみをさせないという観点に立って、このいわゆる二段階米価というものを申しておる。これは、大臣はそう言いますけれども、かつて予算委員会において、大蔵大臣だったか倉石農林大臣だったかわかりませんけれども、そういう答弁をしているわけですね。二段階制の配給を考えるというようなことを言っておるわけです。ここでそれはなかなかむずかしいと言うが、考えればむずかしいでしょう。しかし、やればできることです。そういう意味合いにおいて、私はせめてそのような温情ある政策をこの際断行すべきであろうと考えます。これは私、きょうは唐突でございましたからして、速記録を調べる余裕がありませんでしたから、あとで速記録を調べて大臣にまた質問することを保留いたしておきます。
ただ、私は、今度の米価決定が、大臣をはじめ農林当局その他関係者の非常な努力によってなされたことは了とするけれども、しかしながら、米価の決定の方法、あるいは米価の決定のやり方、あるいはまたその積み上げ方式というようなものに対して、今後大きな問題を残すと考えるものであります。そういう意味合いにおいて、政府当局も、このような騒ぎを毎年毎年繰り返すことのないような米価の決定のしかたをして、農業団体あるいは農民団体等とよく話し合いをしてきめるべきではなかろうか。そういう意味合いにおいて、いつか大臣が言われましたように、生産者代表と政府の代表との話し合いをし、それに中間的なグループを入れて、そしていわゆる賃金を決定するようなああいう方式、そういうものを考えてもよいというようなことをお聞きしたと思うのでありますが、それらについては大臣はいまはどういうふうに考えておられますか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/52
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053・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いろいろ考えておりますが、さっき申しましたように、米政策、農業政策全般について、米審をも含めて掘り下げて研究することを国会終了後やってまいりたいと思っておりますから、そういうところで一括して全部研究をいたしたいと思います。
それから、先ほどの低所得者層のことですが、予算委員会で春日一幸君のお尋ねで、総理大臣から、そういう着想はいい着想であるから研究してみましょうという答弁をいたしました。総理大臣から私のほうへ、こういうことについて、その着想についてはいい着想であるが、実現可能なりやいなやを研究するようにというお話がありまして、われわれも過去の実績等いろいろ検討いたしましたけれども、実施はなかなか困難である。したがって、米の価格などということよりも、やはり他の社会政策でそういうことについては均霑するように努力をしたほうがいいではないか、このような考えをいまぼつぼつ持ちつつあるところでありますが、一括してこれも研究課題として努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/53
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054・神田大作
○神田(大)委員 非常にむずかしい問題でありますから、今後政府当局の一段の検討をお願い申し上げまして、時間の関係がありますから、私の質問をこの程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/54
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055・本名武
○本名委員長 中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/55
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056・中村時雄
○中村(時)委員 関連ですから、時間をしぼって、いまの問題の中から発生した重要な問題の二、三点をお尋ねしたいと思います。
米価の決定というのは、生産者と消費者とがお互いに話し合ってきめる、これが一番理想的なんです。しかし、政府が決定権を持っているので、そこでお尋ねするわけですが、毎年毎年この米価の大会になってきますと、各地域から数万の人が押し寄せてくる。そうして、いまのような農協を中心にしたところのいろいろな大会を催していく。これは膨大な費用を伴って、また膨大な——一般には圧力団体とも言われておりますが、そういうような問題に対して大臣はどのような見解を持っておられるか。いろいろな話から、いまの米価の決定が非常に妥当である——これは問題がありますけれども、そうしてこれは扇動的な人たちの云々ということばも吐かれていらっしゃる。そういうような立場から見ると、現在主催をしておるところの、そういう大会を求めた人たちが、非常に悪い意味におけるところの判定を下されるというおそれすらある。そこで、私はこの問題をお尋ねするわけなんですが、大臣はこの大会をどういうふうにごらんになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/56
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057・倉石忠雄
○倉石国務大臣 大会へ出てくる人たちの気持ちは、非常に数多く複雑だと思います。それを主催するほうの側にも、それぞれの思惑があるでしょう。私も、米審の行なわれている最中に、農林省の三番町のほうに大ぜいの方が見えて、そこに出てあいさつをいたしました。そのあいさつに対しては、あるときは、割れるような拍手かっさいで私を激励してくれた人がたくさんおります。あるときには、あたかも暴力的に私のからだに手を触れて、私が帰ろうとするのを阻止した者もあります。結局、それぞれの上京され運動する方の気持ちの中にいろいろな複雑な要素があることがそういうことでもわかるわけでありますが、私は、先ほど申しましたように、せっかく努力をして生産した米をなるべく高い価格で買ってくれという要望を持つことは当然なことである、しかし、そういう人たちがわざわざ旅費を払い、ばく大な経費を払って東京まで出てきて、ああいう運動をされないでも済むような形にいたしたい。こういうことについて、実は生産者団体等とも寄り寄り協議をしておるところでありますが、なかなかこれについてはむずかしい背景もありましょう。しかし、少なくともああいう運動でばく大な経費を使われることのないようにするほうがいいではないか。そういうことについて、これからも生産者団体とも常に話し合いをいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/57
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058・中村時雄
○中村(時)委員 そのとおりだと思うのです。あなたが今度は生産者大会あるいは消費者団体、いろいろな団体を含めていろいろの話し合いをするということは、いままでよりも一歩前進をしておるというふうに私も見ております。また、そういうような姿であるけれども、米価の決定に対しましていろいろな政治的配慮、いろいろな問題もその中には含まれてくるでしょう。しかし、要は、米価というものの決定について、農協というものがこうだという算定をしてやっていった。そこで、米価は二万二千円ベースなら二万二千円ベースという線を目標にして、それを妥当とみなしてやっているということが、農業団体の一つの大きなファクターであったと私は思う。ところが、大臣のお話では、そうでなくして、政府がきめたものがいまは妥当だとおっしゃる。そこの食い違いがあるわけですね。その食い違いをどういうふうに解釈し、どういうふうに取り上げるかということが、私は生産者団体と政府当局とが話し合いをするきめ手にならなければならぬと思う。ところが、そこにあまりにも大きな偏差がある。偏差があるために、やはり大会を開かざるを得なかったという過去の実績、そのことをよく頭の中に入れられて今後いろいろな折衝に入っていただきたい。このことは、あえてあげ足をとるとかとらぬとかという問題ではなしに、真剣にこの問題は取り上げて、そのようなことのないように今後進めていただきたい。これは要望しておきます。
そこで、先ほど、どうしてそういう問題があるかという一点を、神田委員が生産者米価に伴うところの労働賃金、所得均衡の問題として取り上げられた。御承知のように、農業の経営というのは、労働、土地、資本、この三つがいろいろ重なり合ってくる。そういう点から、所得均衡、労働賃金の問題として取り上げていった。その中で、大臣が、妥当だ、一般の人が感謝をしていると言うのは、その土地に対する投下労働のみをもって評価しているものだと私は推定する。少なくとも労働というものは、管理労働もあれば、いろいろ形の変わったものもあるわけです。
それで、労働賃金について、それを妥当とみなして、それで米価をきめていって、それが正しいものであるということでいったとしても、米価だけで言うならば、高い米価になるほど私は農村における階層分化が起こると思う。土地をたくさん持っている者は金持ち、少ない者、保有米農家などは貧乏人、こういう規定が生まれてくる。そういうことを考えた場合に、米価問題のほんとうの焦点はどこにあるのか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/58
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059・倉石忠雄
○倉石国務大臣 一番大きな団体であります農協は、御承知のように二万二千幾らかの要求米価を出されました。あれの基礎になりますところで非常に大きな考え方の隔たりの一つは、私ども取り上げております労働賃金の計算は、都市における五人以上規模の全部の労働者、つまり、五百人規模もあるでしょう。千人規模もあるでしょう。そういうものも一切ひっくるめた五人以上の全規模の平均労働賃金をもって、米作農家の賃金と雇用賃金と置きかえているわけであります。それで、そういうものを私どもの計算の基礎にいたしましたけれども、農協のほうではそうでなくして、そういうことよりもさらに一歩を進めまして、つまり、都市の勤労者の生活と均衡のとれる生活を米作農民に営ませるべきであるというところに出てこられておることは御承知のとおりであります。生産費・所得補償という考え方から申しますならば、生産費というものの限界はおのずからあるのではないか、そのようなところにだいぶ数字のとり方の開きは出てくるのではないかと思いますが、私は一々ほかの人の主張を是なりや非なりやと言うわけではありませんが、私どもとしては、いま申し上げましたような都市労賃をもって米づくりの農家の農業労働賃金に置きかえたということは、これは特に米づくりに対しては思いやりのあるやり方ではないか。こういうところで数字をいじくってきますと、まず政府のきめましたあたりがまことに妥当なところではないか、こう言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/59
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060・中村時雄
○中村(時)委員 私の聞いているのは、それだから取り上げ方によって違うということです。五人以上の取り上げ方をした場合と、五十人以上の都市の賃金の取り上げ方をした場合と、おのずから異なってくるわけです。そこで、あなたのおっしゃるのは、いま言った取り上げ方の問題、五人以上を取り上げるから妥当だ、そういうふうに考えている。では五十人以上にすればどうなるんだということにもなる。そうでしょう。だから、そこらの取り上げ方であなたは妥当だと言っているので 五人以上を取り上げた場合には妥当であって、みんなが喜んでいるんだということは、それを言っている。取り上げ方のいかんによっては妥当でないということになる。それを一方的にきめつけるのは少し行き過ぎじゃないかと私は言ったのです。こまかいことは申しません。
それで、もう一つは、米価が高ければ高いほど、いま言ったように農村における階層分化が起こるのですから、それについてどういうお考えを持っているか、それをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/60
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061・倉石忠雄
○倉石国務大臣 確かにあなたのおっしゃるような傾向は出てくると思います。したがって、地代のとり方などにも、全反収、平均反収をとらないで、限界反収で一番所得の低いところをベースにしてやっておる、計算の基礎にしておるというあたりは、私は、まことに米づくりの農村に対しては思いやりのある計算の基礎をとっていると思うのですが、それにしても、限界反収をとればとるほど、生産の多い米づくり農家はそれだけよけいに所得がふえてくる勘定でありますから、あなたの言われるような傾向があり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/61
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062・中村時雄
○中村(時)委員 そこで、私の言う根本に入るわけですが、あなたは、米価闘争という大会はできる限りなくしよう。私も賛成です。しかし、その問題の根拠というものはどこにあるかといえば、労働の生産性の問題なんです。要するに、いま言った米価の闘争というものはその表現であって、それは、基礎になる、あるいは橋頭堡になる。すなわち、労働賃金に対する適正な行き方を要求することが、私は米価闘争の基本であると思う。だからこそ、大会というものは、私は逆に言うたら意義があるものだと考える。なぜその投下労働に対する、あるいは管理労働に対する適正な価格を必要とするかといえば、すべての農産物の価格における労働賃金の適正化がこの米価の中から私は世上に生まれてくると思う。だから、一方的に言えば、労働組合の賃金のベースアップの問題と同じように、一つの方向をそこに集約していって、それを橋頭塗にしていってこそ、他の農産物価格の労働賃金の適正化が生まれるものである、そういうたてまえに立って、米価闘争というものは非常に重要な意味を持っておるものだ、こういうふうに私は米価大会というものを考えておるわけです。それに対してどういうお考え方を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/62
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063・倉石忠雄
○倉石国務大臣 こういうところでいろいろ申し上げますと、なかなか影響もいたしますから、中村君の御高見は拝聴いたして、私どもいろいろなことをやる資料にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/63
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064・中村時雄
○中村(時)委員 いずれまたその話はゆっくりお伺いするとして、あと二点だけ。
時期別格差というものは、これは具体的には問題なんですが、基本米価の中にもう入れる時期に来ておると思う。時期別格差というのは、御承知のように、配給米が足らない、そこで、エビでタイを釣るように、供出を早くしてもらいたいというたてまえが当初あったわけであります。ところが、いまはいろいろな品種の改良や何かで早期供出ができるような体制になって、その間の期間というものは穴埋めができるでしょう。そうすれば、当然この時期別格差というものは基本米価の中に入れる、ただし、品種の問題における差別というものは別問題でありますが、そういうふうにお考えを持っているかどうか。
それから、消費者米価と生産者米価を大体同一時期にきめるお考えを持っていらっしゃるかどうか。この二点だけ最後にお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/64
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065・倉石忠雄
○倉石国務大臣 本年は時期別格差は前年どおりに取り扱っておりますが、これにつきましては、北陸四県の国会議員の各位は、やはり地元の状況等にかんがみて熱心にこれを要望されておりますが、やはり今日のように八百万トンも米が政府に売り渡されておるような時代になりますと、とかくいろいろなことが論議されがちでありますけれども、これはやはり従来の慣習もあり、ことしは前年どおりにいたした、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/65
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066・中村時雄
○中村(時)委員 だから、それは十分検討する余地があると私は思うのです。これは米価の片一方のある特定のところだけを有利にするとかせぬとかいうことでなしに、それはもう基本米価に入れていっていい、そういう観点から、この米価の打ち出し方をしていい時期に来ておるのではないか、それをお尋ねしたのです。
それから、消費者米価と生産者米価を同時決定の方向をとる御意思を持っているかどうか。これはどうしてかといいますと、生産者米価と消費者米価を切り離しますと——実際なら生産者米価と消費者米価を一緒にきめるのがほんとうなんです。その時期を一つにすれば、なるほど生産者が要求しておるのはこうなるのかという観点が消費者にもわかる、また、生産者のほうも、消費者に伴うところの観点が明確にわかってくる。そういうふうに時期を縮めることによってその両方の概念がはっきりとつかめるのではないか。いまのように切り離しますと、ある一部の人たちの思うつぼになるでしょう。必ず生産者は消費者米価を上げるときには横を向いてしまう、生産者米価を上げるときには、消費者のほうはこれはけしからぬということにもなる。そこで、両方が遊離してしまうというかっこうになる。米価の決定というものは、生産者米価と消費者米価を同時にきめるのが基本的な方向であります。そういう意味において、両方とも明確になっていくと、食管法のあり方であるとかあるいはあらゆる問題が、消費者も生産者も明確にそれがわかってくる。そういう立場からして、両方の生産者米価と消費者米価を大体同一基調において設定をするという考え方を持っていらっしゃるかどうか、その点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/66
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067・倉石忠雄
○倉石国務大臣 最初のほうの時期別格差は、本年もやはり従来どおり全体の米価の中に入れてありまして、ワクの外に出しておりません。三年前にこれは逐次低減していくのだという政府の方針はきめておりますが、こういうことも将来にわたっての研究課題であると思います。
それから、同時決定のことでありますが、同時決定をなすべきであるという意見は、米審の委員の方々の中にもそういう論者がございましたけれども、やはり生産者などはいろいろな理由で反対をしておる。したがって、神田さんの御質問にお答えいたしましたように、政府はこれらのことをも含めて、ただいまの米の政策について鋭意検討をいたして妥当な線を出してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/67
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068・中村時雄
○中村(時)委員 最後に、いま言ったことは非常に重要なんです。生産者団体がこれに反対しているといっても、生産者団体が、生産費がこういうふうになって、これだけの値段をわれわれは要求するのだということは、将来において消費者にも納得させなくてはいけないと思うのです。納得をさせるためには、いま言ったような方法をとるということも一つの案件なんだ。だから、そういう点は、ただ一部の云々によって迷わされることなくして、明確な線を打ち出してそういう方向に裏づけていくようにひとつお願いをしておきたい。
米価の問題に対して、個々の問題はたくさんございますけれども、ビールのあわの抜けたように、きめられてからあとでとやかく言うのはどうかと思うし、私は言いませんけれども、いずれ米価の問題が、生産量の問題、あるいは土地の減っている現在の比率、そういうような問題から一つの農業の基本的な姿勢としてあらわれてくるので、そういう問題はまた十分お互いにいい意味において話し合いをしていきたい、こういう考えで次の機会に譲っていきたいと思っておりますので、私の質問はこれで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/68
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069・本名武
○本名委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/69
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070・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま農林大臣から、昭和四十二年産米の政府買い入れ価格につきまして、百五十キロ当たり一万九千五百二十一円に決定したと報告があったわけであります。そこでお尋ねしたいことは、毎年価格決定までの間においては相当の議論が展開されるわけでありますが、決定された政府米価の内容というものが国民の前に明らかにされていないわけです。ですから、今年の場合には、この百五十キロ当たり一万九千五百二十一円の政府が責任を持って決定した米価の算定上の内容を明らかにして、政府の責任においてきめた米価というものが、いかに妥当なものであり、国民すべてが納得できるものであるかということについて、きめた政府として内容を明らかにする責任があると思うわけでありますが、この点は、従来、毎年の決定の後において少しもつまびらかにされていないわけです。そこにマスコミ等を通じて一部の論者が批判を加える余地を残しておるわけでありますから、ことしは、政府が決定した米価の特に算定内容をぜひ明らかにする必要があると思いますが、この点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/70
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071・倉石忠雄
○倉石国務大臣 算定の内容につきましては、もちろん公表されておることでありますから、そういうことについて国民にできるだけ知っていただくことはいいことだと思いますし、この際、御要望があれば政府委員から数字にわたって御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/71
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072・芳賀貢
○芳賀委員 それでは大臣としては、内容を国民に詳細明らかにするというお考えですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/72
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073・倉石忠雄
○倉石国務大臣 そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/73
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074・芳賀貢
○芳賀委員 それではお尋ねいたしますが、今回の決定の方法につきましては、米審に政府が試算三案を示したことは言うまでもありません。この三案のうち、いわゆる積み上げ方式の二を基礎にして決定されたというふうに私は承知しておるわけであります。したがいまして、政府が米審に三案を示した中の積み上げ方式の第二は、百五十キロについて一万八千六百四十五円ということになっておるわけであります。これに対しまして、与党自民党におきましては、この積み上げ第二方式を基礎にいたしまして検討を加えて、積み上げ第二方式に対して百五十キロ当たり八百九十一円の修正を加えて、一万九千五百三十六円にすべしということを決定して、政府に対してこの実現を迫ったことは言うまでもありません。
その内容は、第一に、地代につきましては、積み上げ第二案は、自治省調査によるところの固定資産税の評価額というものを中心にいたしまして、この金額は、水田平均が一反歩四万九千五百二十四円、これに一年五分五厘の利率を乗じて十アール当たり二千六百三十三円というものを出しておるわけです。これに対して自民党の修正案は、固定資産税の評価によるのではなくて、適正な全国平均の水田売買地価によるべきであるということの計算を行なって、この基礎は反当八万五千円ということになるわけであります。その地代に対する土地の評価上の差額ということを理由にして、六百八十一円の地代に対する修正を行なうべきであるという点であります。
第二は、資本利子につきましては、農林省の案は五分五厘の計算でありましたのを、これを五分六厘に改める。そういたしますと、百五十キロで九円の加算ということになるわけであります。
第三は、農業の生産性向上のメリット分の二分の一だけを米価に還元すべきであるということで、この分が百十三円ということになるわけであります。
第四は、付帯労働時間につきましては、農林省としても新たに十アール当たり一・五時間を計上しておるわけでありますが、これに対して一・一時間を加えることにいたしまして、その結果が百五十キロで八十八円の加算、いわゆる修正ということで、これを合計いたしますと八百九十一円ということになるわけであります。
これを自民党のほうは基礎にいたしまして、最終的に大蔵大臣、農林大臣との話し合いを行なった結果、結果的には百五十キロについて八百九十一円から十五円を引いた残額といいましょうか、それを加えた答えが政府決定の一万九千五百二十一円ということになっておるわけであります。ことしは特にこの経過というものが新聞、テレビ等を通じておおよそ明らかになっておるわけでありますので、政府決定の算式ということになれば、当然三案のうちの積み上げ第二方式であるということは明瞭であります。そこで、この際、この四項目が決定上の上積みということになるわけでありますので、これが十五円だけ引かれたという決定上の経過について、これは数字にわたるわけですから、大臣から大綱的なお話を伺って、あとは食糧庁長官から細部の問題については説明を聞いてもよろしいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/74
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075・倉石忠雄
○倉石国務大臣 米審に出しましたのは、御指摘のように積み上げ方式のその一、その二とありますが、その二につきましても、米審の委員の各位から、こちらはああいう試算を出して答申を求めたのでありますが、それについてただいまお話のような地代あるいは土地資本利子または労働生産性のメリットをどのくらい生産者に還元すべきかといったような意見がいろいろ出てまいりました。したがって、政府は、そういう米審の委員の方々の御意見は取り入れるほうがよかろうということで、最初の試算に加えて取り入れたというような結果で、あれが出てまいったわけであります。詳細については政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/75
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076・大口駿一
○大口政府委員 今回の政府決定米価の算出に至りました経過について御説明をいたしたいと思います。
今回、米価審議会におきまして、指数化方式と並んで積み上げ計算方式の試算をお示しをいたしておるわけでございますが、この積み上げ計算方式の計算のしかたは、政府が四十年、四十一年と指数化方式によって米価を決定することになりました以前の、昭和三十九年産米を決定いたしましたときの積み上げの方式と、それからその中で、付帯労働の見方並びに地代の見方について両案をお示しして御審議の対象にいたしたのでございます。と申しますのは、付帯労働につきましては、最近の米作経営が逐次共同化の傾向が非常に強いということから、共同作業の打ち合わせ等にどの程度の時間が費やされておるかということを統計調査部の補完調査で取り調べた数字がございます。それから、最近農家が簿記をつけるのが非常に普及をしてまいりましたので、自分のうちで簿記をつけるためにどれだけの時間が一体費やされておるかというような問題も、あわせて調査をいたしたのでございます。それからさらに、農閑期等を利用して技術習得等の研修、講習に出席するための時間がどのくらいかかっておるかということ、並びに農協等に資金の借り入れに行きますための所要時間、これらについて補完調査を実施いたした結果があるのでございます。
〔委員長退席、高見委員長代理着席〕
このうち、前二者につきましては、その年の米の生産費として評価をすることが妥当であると思われるという考え方に基づきまして、この前二者の所要時間である一・五時間というものをもとにいたしまして、政府の試算の計算をいたしたのでございます。しかし、米価審議会を通じまして、この前二者だけを見るのは少ないので、そういう補完調査の結果があるのであれば、研修、講習に要する時間並びに資金調達に要する時間も、さらにつけ加えて評価の中に織り込むべきであるという御意見が非常に強かったのでございます。結局、結論におきましては、それらの時間数にさらに一・一時間を加えました二・六時間というものをその種の労働の時間数とみなしまして、これを評価額として米価算定の中に算入をするということにいたしたのでございます。
それから、第二番目の問題としましては地代でございますが、御承知のように、従来の米価算定の中における地代の計算のしかたは、全農地の約五%を占める小作地につきましては実際に支払っておる小作料を基準とし、それから残りの九五%の自作地につきましては近傍類地の小作地の実納小作料を基礎とするという計算方法をとってまいったのでございます。ところが、最近の小作料は、統制はされておりますけれども、この統制額が十数年据え置かれておるというようなことから、やはり実納小作料といいましても非常に統制小作料の金額に影響されるということから、とかく経済実勢と合わないという御議論が非常によくあったのでございます。そこで、私どもとしましては、自作地の地代の評価の方法として、理論的に考えられる方法といたしましては、小作料というものを使って自作地の地代の評価をするという方法が一つと、もう一つの方法としましては、土地資本利子という考え方を導入いたしまして、この考え方で計算する方法と、二つの考え方があり得るということで、米価審議会の試算にもその二つの考え方を並列的にお示しをして御審議を願ったのでございます。もちろん、小作料を自作地の地代の評価に使うということは、現在の統制小作料の計算方法が、粗収益から他の費用を全部差し引いた残りの金額を小作料として出すという計算方法をとっております関係上、米価算定の地代の基礎に小作料を取り入れるということは、どうしてもある程度循環が避けられないという理論的な問題がございます。それから、土地資本利子という考え方でこれを見る場合には、やはり土地の評価をいかにするかという非常に大きな問題があるわけでございます。御承知のように、農地の売買というのは、現在農場全体の単位で売買される例が比較的少なくて、やはり農地の切り売り、買い足しというかっこうで実際の取引が行なわれ、かつ、取引金額はそのような取引の実態に応じた価格が出されておるということでございますが、御案内のように、一定の地域に一定の規模の農地を持っておる農家が、さらにその上に農地を買い足します場合においては、大型機械等を取りかえる必要もないとか、あるいは面積が広がることによる収益が高まるということから、新しく買い足しをしました農地について生ずる収益というのは、既存の規模の上に生ずる収益よりも非常に高い収益が期待できますので、農家としては買い足しの場合には、その高い収益を頭に置いただけの高い価格で農地が買い得るということが言えると思います。そこで、現在の自治省の固定資産税の評価をいたします場合にも、農地の場合には、いま申しました高い限界収益と平均収益との比率というものを一応五五%ということに置きまして、実際の取引されておる全国平均価格を五五%に落としたものを評価の基礎にとっておるのでございまして、このような考え方は、やはり農地の取引の実態を正しく反映した考え方ではないかと思いますので、米価審議会に出しました試算には、固定資産税の評価の際に正常売買価格である九万四十四円という価格に五五%かけました四万九千何がしのものを土地の評価額といたしまして、これに五分五厘の金利ということで計算をした案をお示しをいたしたのでございます。しかしながら、そのような評価で織り込みまする地代の高さというものが、やはり現在の小作地における実際の小作料の水準よりもやや低いのではないかというような御意見等もいろいろございましたので、最終段階におきまして政府が決定をいたしまする際には、自作地の地代につきましても、実納小作料水準というものを使いまして、これで評価をすることにして最終的な決定をいたしたのでございます。
もちろん、この小作料を地代の評価に使いますことについて、理論的に循環があるということは、先ほど申し上げたのでありますが、一方、小作料の実際に払われておる水準と違った水準の評価をいたしますと、同じ農地でありながら、小作地と自作地とで実際の評価水準が違うといろ点を通じまして、いろいろまた問題が起きるということから、そういう土地資本利子を使ってもやはり循環が避けられないという問題がありますので、最終的には、今後の統制小作料の水準をどのようにするかという農地制度の基本的な検討ともにらみ合わせることにいたしまして、実納小作料水準というものを自作地の評価に使うということにいたしたのでございます。
それから、資本利子でございますが、資本利子につきましては、ことに自己資本については、私どもの米価審議会でお示しをいたしておりました案の基礎においては、農家の資金運用がいろいろな方法でございますが、それらを平均をいたしました利率ということで、五分五厘ということでお示しをいたしたのでございますが、審議会におきましても、また与党のほうの御意見の中でも、農協の金利たる五分六厘を採用すべきであるという御意見が非常に多かったのでございまして、この点は、私どもも、その利率の問題についてはそのような利率に改めるということで、五分五厘で見ておりましたものを五分六厘に改めたのでございます。
それから最後に、生産性向上の利益を生産者に還元するという問題でございますが、現在の積み上げ計算方式におきましては、計算値の安定をはかるという趣旨から、それぞれ過去三年の生産費を平均いたしました数字を基礎にとって計算をいたすことにいたしておるわけでございます。これは指数化方式において計算する場合も、やはり三年平均という考え方を導入をいたしております。最近の農業の労働生産性の向上に伴いまして、労働時間は逐次減少いたしておりますが、私どもは、この逐次減少していることが直ちに米価を引き下げる要因として働くのはいけないので、むしろこれは若干緩和すべきであるという御意見は、非常に米価審議会等でも御議論になりまして、私どもこの問題を非常に慎重に取り扱うべき問題とは存じますが、やはり全部還元をするということであれば、生産政策、構造政策の意味がないという考え方もございましたので、二分の一だけ還元をするということで計算をいたしまして、最終的にはいま申しました考え方を積み上げまして、一万九千五百二十一円という数字を計算をいたしたのでございまして、先ほど芳賀先生がおっしゃいましたように、与党の数字の十五円をどうやって計算をして、十五円引くという、そういう過程でやったのではございませんので、十五円の説明を申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/76
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077・芳賀貢
○芳賀委員 それでは私が尋ねました地代、資本利子、生産性向上メリットの還元、付帯労働時間の説明の中で、資本利子については、ただいまの説明によりまして、最初の政府試算の五分五厘を五分六厘に改める、これは九円ということになるわけですね。それから第二点は、付帯労働時間については、当初の試案の一・五時間を二・六時間にして、その分でプラス八十八円になった。まず、この二つは金額において間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/77
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078・大口駿一
○大口政府委員 いま申されたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/78
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079・芳賀貢
○芳賀委員 第三の点の生産性向上メリット分の還元方式については、このように理解していいですか。昭和三十九年の農林省の米の生産費に基づく十アール当たりの投下労働時間から、三十九年、四十年、四十一年の三カ年の各年の投下労働時間、これを平均したものを三十九年の実績投下労働時間から引いたその残りの労働時間ですね、それを生産性向上とみなして、その二分の一の時間に対して評価を行なった金額、こういうふうなやり方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/79
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080・大口駿一
○大口政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/80
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081・芳賀貢
○芳賀委員 その金額は十アール当たりあるいはさらに百五十キロ当たり幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/81
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082・大口駿一
○大口政府委員 二百十九円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/82
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083・芳賀貢
○芳賀委員 それは百五十キロ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/83
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084・大口駿一
○大口政府委員 百五十キロでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/84
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085・芳賀貢
○芳賀委員 十アール当たりは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/85
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086・大口駿一
○大口政府委員 五百四十七円でございます。要素別の計算は、いま私どものほうとしては大体お尋ねに従ってお答えをいたしておりますが、一つの参考として積み上げ計算の要素計算をいたしておりますので、概数計算ということでございますが、一応いま先生がおっしゃいましたとおりの計算をいたしまして五百四十七円、これを百五十キログラム当たりに直して二百十九円という数字になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/86
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087・芳賀貢
○芳賀委員 以上で三点の内容がわかったわけです。
最後の地代について、いま長官から説明がありましたが、積み上げ方式第二案によりますと、これは自治省の調査による固定資産税の評価、正常売買価格の二分の一という額の四万九千五百二十四円、これに年五分五厘を乗じた金額ということになるわけでして、これは百五十キロ当たりにすれば八百七十八円ということになっておると思いますが、この点は間違いないですか、最初の積み上げ第二方式の場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/87
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088・大口駿一
○大口政府委員 八百七十八円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/88
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089・芳賀貢
○芳賀委員 それではこの八百七十八円に対して、今回の場合どれだけ地代分でプラスになったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/89
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090・大口駿一
○大口政府委員 いまの数字に五百二十九円をお足しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 これは自民党案によると、水田の正常売買価格に対して年五分五厘の利率を乗ずるということになっておるわけですが、いま長官の説明によると、そういう積み上げ第二方式によったのではない、この分だけに限っては、自作地については実納小作料主義によって評価した、そういうお話でありますが、その点もう一度、そこだけ明らかになればいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/91
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092・大口駿一
○大口政府委員 先ほど趣旨を長々と申し上げ過ぎまして、肝心のポイントのところをはしょり過ぎた傾向があるのでありますが、政府の出した積み上げ計算方式で試算でお示ししたのは、固定資産税評価額、すなわち、正常売買価格かける五五%を評価額といたしまして、これに五分五厘をかけたものでございます。それからただいま自民党の数字というふうに申されております数字は、この五五%をかける前の正常売買価格を土地評価額といたしまして、これに五分五厘をかけるという考え方であったように聞いております。そこで、私どもといたしましては、土地資本利子ということでものを評価する場合に、農地の売買の特性ということは先ほどいろいろ申し上げましたが、この特性からして五五%をかけない考え方には非常に問題があるということが第一点、さらに自民党の案と申されております数字を基礎にして地代をはじきますと、現在の実納小作料水準よりも相当程度高い数字になるということでございますので、私どもが地代について今回新たな方法を取り入れるということの基礎が、現在の統制小作料というものが経済の実勢に合わない部分を若干近づけようという趣旨ではありますけれども、それをさらに通り越すことは、今後の農地制度政策その他にいろいろ影響するところが大きいことを考えまして、最終的に実納小作料水準というものを自作地の地代の評価に用いたという経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/92
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093・芳賀貢
○芳賀委員 いまの説明によって計算しますと、百五十キロ当たりの地代分として千四百七円になるというふうに思いますが、その数字は間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/93
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094・大口駿一
○大口政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/94
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095・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、十アール当たりで地代幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/95
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096・大口駿一
○大口政府委員 四千二百二十一円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/96
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097・芳賀貢
○芳賀委員 以上で、今回の積み上げ方式第二案に基づいて政府が決定された経過というものは、各修正された要素の中で明らかになったわけですが、こういう経緯というものは、当委員会におきましても、私たちが要求しない限り国民の前にも明らかにされないわけです。ですから、冒頭に私が農林大臣にただしたわけでありますが、いま長官から詳しく説明されたような経緯、いわゆる決定米価算定上のそれぞれの内容については、進んで明らかにすべきだと思うのです。これが明らかになれば、たとえば、今回の米価も生産者の圧力に屈してきめたとか、けしからぬというような、マスコミを通じての悪意ある非難というものは解消すると思うわけです。しかも、こういう悪意ある非難というものは、われわれが納得できないことは、先般農林大臣が任命した米審の中の特に中立委員といわれる諸君が、悪意のある言辞を弄しておるということは明らかであります。ですから、国民の前に明らかにし、国会の中に明らかにすることはもちろんでありますが、そういう農林大臣が選んだ委員であって、特に悪意の宣伝とか非難をみずから吐いておる中立委員の諸君等についても、この内容というものがのみ込めるように農林省として努力すべきであると思いますが、その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/97
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098・大口駿一
○大口政府委員 米価審議会の委員が米価審議会の中において御発言になりました意見につきましては、私ども十分拝承いたしております。ただいま芳賀先生が申されたような角度での御意見は、少なくとも米価審議会の議場の中においては申されなかったというふうに私は記憶いたしております。もちろん、今度の米価の決定の経緯等につきましては、できるだけ資料を整え次第当委員会には御説明いたしますと同時に、米価審議会の委員にも後ほど十分その趣旨を理解していただくような措置をとるべきであると思いますし、またとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/98
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099・芳賀貢
○芳賀委員 特にここ一両日の代表的な各新聞の論説とか、あるいはNHKはじめテレビの米価決定に対する批判的な動向を見ると、それが全く公正なマスコミとしての立場に立ったその世論を逸脱しているというふうに私は考えておるわけです。たとえば中立委員の中には、読売新聞あるいは朝日新聞を代表して論説委員の諸君も出ておるわけです。この米審の委員が論陣を張ったかどうかということはわからぬが、巨大な新聞を代表をして数名の論説委員が米審に加わっていることは明らかであります。ですから、最近の代表的な新聞等の米価決定に至る社説あるいは論説というものを、この際農林大臣あるいは食糧庁長官もどういう考えで読んでおるかわかりませんが、これらは、決定米価というものはいかにも正当性を持たない状態の中できめられておるという非難が集中されておるわけですからして、今回のような決定については、これこれの要素を用いてあらゆる角度から検討した結果、このような決定米価というものが生まれましたということを確信を持って堂々と説明すべきであると思うわけです。この決定米価が高い安いという問題は別ですよ。この米価というものは、われわれ社会党の立場から見、あるいは生産者の立場から見た場合に、納得のできない低い米価であるということは、これは別の機会の議論に譲ることにしても、食管法に基づいて政府の責任で米価を決定する、生産者は生産した米については政府以外に売ってはならぬという法律に基づいて、農民に一方的な義務を背負わせているわけでありますからして、やはり決定の内容については、その金額の是非は別の機会に論ずるとしても、きめた米価に対しては、責任を持って国民を十分納得させるだけの自信を持って今後行動してもらいたい。
〔高見委員長代理退席、委員長着席〕
そうして明年の米価決定等については、この四十二年度にきめた米価の試算の内容というものを少なくとも基礎にして、そしてまた、来年度の経済事情、あるいは労賃の動向であるとか、物価の動向、あるいは日本の農業の発展の動向等についても十分政策等を加味して、これは当然政府の政治的責任においてきめるべきものであって、単に御用学者や御用的な論説委員の無責任な言動だけで米価をきめていいなんという問題ではない。当然これは国の政治の中の柱として、政治米価としてきめるということはあたりまえのことでありますからして、この点については、農林大臣退席されましたけれども、担当の食糧庁長官としては、責任を持って明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/99
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100・大口駿一
○大口政府委員 ただいまお述べになりましたことは、すべて米価決定の問題としてはきわめて基本的な重要な問題についての御意見でございますので、私自身はもちろんのこと、大臣にもよくただいまの御意見の趣旨はお伝えをいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/100
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101・本名武
○本名委員長 暫時休憩いたします。
午後五時三十七分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505007X03519670718/101
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