1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十日(水曜日)
午後一時四十五分開議
出席委員
委員長 床次 徳二君
理事 菊池 義郎君 理事 久保田藤麿君
理事 坂田 道太君 理事 中村庸一郎君
理事 八木 徹雄君 理事 長谷川正三君
久野 忠治君 竹下 登君
葉梨 信行君 広川シズエ君
三ツ林弥太郎君 渡辺 肇君
唐橋 東君 川村 継義君
平等 文成君 吉田 賢一君
有島 重武君 山田 太郎君
出席国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
出席政府委員
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局長 齋藤 正君
文部省大学学術
局長 天城 勲君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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四月二十日
委員折小野良一君辞任につき、その補欠として
西村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員稻葉修君、木村武雄君、河野洋平君、渡辺
肇君及び川村継義君辞任につき、その補欠とし
て灘尾弘吉君、江崎真澄君、山口喜久一郎君、
石田博英君及び江田三郎君が議長の指名で委員
に選任された。
同日
委員石田博英君、江崎真澄君、灘尾弘吉君、山
口喜久一郎君及び江田三郎君辞任につき、その
補欠として渡辺肇君、木村武雄君、稻葉修君、
河野洋平君及び川村継義君が議長の指名で委員
に選任された。
同月二十五日
委員三ツ林弥太郎君辞任につき、その補欠とし
て天野光晴君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員天野光晴君辞任につき、その補欠として三
ツ林弥太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員山崎始男君辞任につき、その補欠として大
原亨君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員大原亨君辞任につき、その補欠として山崎
始男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員河野洋平君、竹下登君及び三ツ林弥太郎君
辞任につき、その補欠として西村直己君、箕輪
登君及び福永一臣君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員西村直己君、福永一臣君及び箕輪登君辞任
につき、その補欠として河野洋平君、三ツ林弥
太郎君及び竹下登君が議長の指名で委員に選任
された。
同月二十八日
委員竹下登君及び西村榮一君辞任につき、その
補欠として黒金泰美君及び吉田賢一君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員黒金泰美君辞任につき、その補欠として竹
下登君が議長の指名で委員に選任された。
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四月二十一日
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第八九号)
五月九日
日本学術振興会法案(内閣提出第九〇号)
は本委員会に付託された。
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四月二十四日
在日朝鮮人の民族教育保障に関する陳情書外二
件(第一一
六号)
同外三十四件
(第一四八号)
山形県に医科大学設置に関する陳情書
(第一一七号)
小、中学校の給食完全実施等に関する陳情書
(第一四九号)
学校警備員配置の法制化に関する陳情書
(第一五〇号)
義務教育施設等の整備充実に関する陳情書外一
件
(第一五一号)
人口急増地域の教育施設整備に対する財政措置
に関する陳情書(
第一五二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第八九号)
日本学術振興会法案(内閣提出第九〇号)
オリンピック記念青少年総合センター法の一部
を改正する法律案(内閣提出第七一号)(予)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/0
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001・床次徳二
○床次委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案、同じく公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案、同じく日本学術振興会法案、同じくオリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。剱木文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/1
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002・剱木亨弘
○剱木国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和四十二年度における国立大学の学部、大学院及び付置研究所、国立短期大学、国立高等軍門学校並びに国立養護教諭養成所の新設並びに昭和四十三年度における国立大学の新設等について規定しているものであります。
まず第一は、国立大学の学部の新設についてでありまして、北海道大学及び九州大学に歯学部を、山形大学及び茨城大学に人文学部及び理学部を、東京工業大学に理学部及び工学部を、横浜国立大学に経営学部をそれぞれ設置するものであります。一方、これは大学入学志願者の急増に対処する国立大学の拡充整備計画の一環ともなるものであります。
これらの学部増設のうち、山形大学及び茨城大学については既設の文理学部を、東京工業大学については既設の理工学部を、横浜国立大学については既設の経済学部を、それぞれ改組してその教育研究体制の整備をはかろうとするものであります。
第二は、国立大学の大学院の新設についてであります。
これまで大学院を置かなかった国立大学のうち、充実した学部を持つ三大学に修士課程を設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い職業人の養成に資するものであります。
ちなみに、新たに大学院を置きます大学は、帯広畜産大学、愛媛大学及び宮崎大学であります。
第三は、国立大学の付置研究所の新設及び名称、目的の変更についてであります。
最近、ますます重要となってきております脳及び脳疾患に関する研究を推進するため、脳研究所を新潟大学に、また近年急速に進展を見せております霊長類の研究を総合的に推進するため、共同利用の研究所として霊長類研究所を京都大学にそれぞれ設置するとともに、東京大学に付置されております伝染病研究所の名称を医科学研究所と改め、これに伴いその研究対象を拡大し、研究方法も新たな方法を取り入れることとするなど、四大学の四研究所の目的及び名称を改めようとするものであります。
第四は、大阪大学医療技術短期大学部の新設についてであります。
従来、看護婦、衛生検査技師、診療エックス線技師等の養成は、その大部分が各種学校において行なわれてきておりますが、最近の医学の進歩と医療技術の高度の専門化に伴い、これら技術者の資質の向上が関係各方面から強く要望されてまいったのでありまして、看護、衛生検査、診療放射線関係の学科をあわせて、大阪大学に併設の医療技術短期大学部として設置するものであります。
第五は、工業高等専門学校及び商船高等専門学校の新設についてであります。
まず、工業高等専門学校の新設についてでありますが、科学技術教育振興の一環としての専門的技術者の育成を一そう推進するため、地域社会の要望も考慮して木更津工業高等専門学校を設置するものであります。
次に、商船高等専門学校の新設についてでありますが、海運関係者等からの強い要望及び運輸省海技審議会からの建議もあり、慎重な検討の結果、外航船舶職員の資質の向上の見地から、現在の国立商船高等学校五校を転換し、その内容を充実して、新たに富山、鳥羽、広島、大島、弓削の五商船高等専門学校を設置するものであります。
第六は、国立養護教諭養成所の新設についてであります。
かねてから、文部省におきましては養護教諭の定員を拡充し、その充足のため努力をいたしております。養護教諭の確保につきましては、大学、短期大学、文部大臣の指定する養護教諭養成機関の卒業者等で資格を取得したものによるほか、養護教諭として充実した教育を施し、計画的にその養成をはかることを目的とした国立養護教諭養成所を設置する等の措置を講ずることとし、すでに五大学に養護教諭養成所を設置しておりますが、昭和四十二年度におきましても、これに加えて茨城大学、愛知教育大学及び徳島大学の三大学にそれぞれ付置するものであります。
第七は、昭和四十三年度における九州芸術工科大学の新設についてであります。
近年における科学技術の進展は目ざましいものがありますが、一方、科学技術をより人間生活に密着するものとするための高次の設計技術を要求しております。このためには、自然科学と人文社会科学の総合あるいは科学と芸術の総合が必要とされるのであります。このような新しい学問分野を開拓するため、学識経験者等による慎重な検討の結果をもととし、また、地域社会の強い要望をも考慮して、九州芸術工科大学を昭和四十三年度から設置するものであります。
第八は、大阪学芸大学を大阪教育大学に、同大学及び秋田大学の学芸学部を教育学部に、平工業高等専門学校を福島工業高等専門学校にそれぞれ名称を改めることについてであります。
学芸大学あるいは学芸学部の名称変更は、中央教育審議会の答申等に基づき学部の目的、性格を明らかにし、一そう整備充実をはかるため、大学の意向をも尊重しつつ昨年に引き続き行なうこととしたものであります。
次に、平工業高等専門学校につきましては、昨年十月における関係市町村の合併により市の名称が変更されたことに即応して校名変更を行なうものであります。
第九は、北見工業短期大学の廃止についてであります。
昭和四十一年度における北見工業大学の設置に伴い学位の募集を停止しておりました北見工業短期大学が、昭和四十一年度限りで学生を有しなくなることに伴い同短期大学を廃止するものであります。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
このたび政府から提出いたしました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
高等学校は、後期中等教育を担当する学校として、中学校からの進学率も年々上昇し、わが国の学校教育においてまことに大きな役割りを果たしております。
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律は、このような高等学校教育の重要性にかんがみ昭和三十六年に制定されたのでありますが、この法律に定める学級編制及び教職員定数の標準並びにそれに基づく国の財源措置は、各都道府県における高等学校教育充実のためには重要な役割りを果たしてまいったのであります。
しかしながら、法律制定後、高等学校生徒の急増期も過ぎた今日におきましては、今後の生徒数の推移も勘案しつつさらに検討を加えてその改善をはかり、高等学校教育水準の一そうの向上を期する必要があると考えるのであります。
このたびの改正は、高等学校の学級編制の標準の改善をはかること及び教職員定数の標準について一そうの充実をはかることを主眼としており、なおこの際、特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数について、新しく法律上の規定を整備しようとするものであります。
高等学校の教職員定数の標準の充実につきましては、高等学校における職業教育の充実、勤労青少年教育の振興、学校の管理運営、生徒指導の充実、学校保健、学校図書館事務の強化、高等学校教育の多様化に伴う定数配置等について特に配慮しました。
盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数につきましては、従来、学級編制についてのみ文部省令による標準があるという実情でありましたので、この際、これら高等部の学級編制及び教職員定数の標準について法律上これを明定するとともに、あわせてその改善をはかり、これら特殊教育諸学校の高等部における教育水準の向上をはかることといたしました。
次に、この法律案の内容の概要を申し上げます。
まず第一は、公立高等学校の学級編制の標準の改善であります。すなわち、現行法によれば、普通科、商業科及び家庭科等の一学級の生徒の数は五十人を標準としておりますが、これを全日制の課程にあっては四十五人、定時制の課程にあっては四十人として、教育効果の一そうの徹底をはかることとしたのであります。
第二は、公立高等学校の教職員定数の標準について、職種別に標準となる数の改善をはかったことであります。
すなわち、その一は、農業、水産及び工業に関する学科における専用教育を充実するため、全日制課程に置かれるこれらの学科について、専門教科担当教員及び実習助手の定数の充実をはかるとともに、商業科及び家庭科についても同様の趣旨で実習助手の定数の充実をはかったことであります。
その二は、教頭及び定時制主事並びに生徒指導等を担当する教諭について、それぞれの職務の遂行をより容易ならしめることを考慮し、教員定数の算定について配慮したことであります。
その三は、通信教育の充実をはかるため、通信制の課程の教員定数を改善し、また通信制主事の定数を新たに加えたことであります。
その四は、高等学校における保健管理の充実のため、養護教員の定数を改善したことであります。
その五は、高等学校における学校図書館の事務量を考慮し、事務職員定数の改善を行なったことであります。
その六は、今後における後期中等教育の拡充に伴う高等学校の学科の多様化を考慮し、政令の定めるところにより、特定の学科については教職員の加算等が行なえるよう規定の整備をはかったことであります。
第三は、公立の書学校、ろう学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数の標準を新たに規定したことであります。
その一は、学級編制の標準について、小学部及び中学部のそれと同様標準となる数を十人としたことであります。
その二は、教職員定数の標準について、教員の基礎定数の算定方法を定めるとともに、専門の学科及び養護学校の機能訓練関係の教員等並びに実習助手、寮母及び事務職員の定数の算定方法について定めたことであります。
さらに、第四は経過措置についてであります。
この法律案は、昭和四十二年度から施行することといたしておりますが、その実施については、必要な経過措置を設けることといたしました。
まず、公立高等学校の学級編制の標準につきましては、今後の生徒数の減少及び学校施設の整備の状況等を考慮しつつ、昭和四十六年度を目途として新しい標準に達することができるよう、その間の必要な経過措置を政令で定めることといたしました。
また、公立高等学校の教職員定数の標準につきましても、今後の生徒数の減少及び公立高等学校に置かれている教職員の総数を考慮しつつ、原則として五カ年の年次計画により新標準を達成することができるよう、必要な経過措置を政令で定めることとした次第であります。
次に、盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制の標準につきましては、昭和四十二年度から新標準を実施することとし、一方、教職員定数の標準につきましては、高等学校におけるそれと同様の趣旨により、五カ年の年次計画による新標準の達成について必要な経過措置を設けることといたしたのであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
次に、このたび政府から提出いたしました日本学術振興会法案につきまして、提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
学術の急速な進歩とその影響力の飛躍的な増大とは、現代世界の著しい特色であり、このような動向を反映して、諸外国は、学術の振興につき国として各種の方法手段を通じ、多角的かつ効率的な施策を請じつつあり、わが国においても、学術の振興をはかることは、今や国に課せられた重要な責務であると考えます。
一方、最近の学術研究の急送な進展に伴い、共同研究を通じての研究の組織化、国際化の傾向が強まるとともに、また研究の規模も拡大の一途をたどっております。
このような研究活動の態様の変化、発展に即応し、学術研究の助成、研究環境の整備、学術に関する国際協力の促進、研究者の養成確保等、各般にわたり国として一そう積極的に有効適切な施策を講じ、体制を整備して、学術振興に関する諸事業を推進することは、学界はじめ各方面から強く要請されているところであります。
ところで、これら学術振興に関する事業のうちには、弾力的に運営をはかる必要のあるものがあり、その性格にかんがみ、国が直接実施するよりも、むしろ法人等の団体にその実施をゆだねるほうが適切なものが実際上多いのでありまして、従来とも財団法人日本学術振興会にこの種の事業を行なわせてまいりました。
しかしながら、国の学術に関する施策と密接な関連を持ちながらこれらの事業を一そう拡充発展させるため、さらには国際的な信用を高める上からも、特殊法人が実施主体となることが最も適切浸出と考え、特殊法人日本学術振興会を設立することとし、この法案を提出いたした次第であります。
次に、この法案の内容を申し上げますと、特殊法人日本学術振興会設立の目的を定めるとともに、その組織、業務、財務、会計、監督等に関し所要の規定を設けております。
すなわち、第一に、日本学術振興会は法人といたしますとともに、学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に関する国際協力の実施の促進その他学術の振興に関する事業を行ない、もって学術の進展に寄与することをその目的とするものであります。
第二に、この法人の業務についてでありますが、その第一は、共同して行なわれる学術の研究に関し、研究者に研究活動を行なうために必要な資金を支給することであります。業務の第二は、学界と産業界との協力による学術の応用に関する研究に関し、資金の支給その他必要な援助を行なうことであります。業務の第三は、学術に関する国際協力に関し、海外への研究者の派遣、外国人研究者の受け入れその他国際協力による研究に必要な援助を行なうことであります。業務の第四は、優秀な学術の研究者の育成に関し、研究者に研究を奨励するための資金を支給することであります。業務の第五は、学術に関する情報資料について調査を行ない、その結果を利用に供し、及び学術に関する研究成果を普及することであります。
なお、この法人は、これらの業務を行なうほか、この法人の目的を達成するため必要な業務を行なうことができることといたしております。
第三に、この法人の役員としては、会長一人、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置くこととし、これらの役員は、文部大臣が任命することといたしております。
なお、この法人には、その運営の適正を期するため、会長の諮問機関として、評議員会を置くことといたしております。
第四に、この法人は、文部大臣の一般的監督を受けるほか、特にその業務の公共性にかんがみ、業務方法書、事業計画、予算、財務諸表等については、文部大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしております。
第五に、この法人の設立のための所定の準備手続について規定いたしております。なお、財団法人日本学術振興会は、この法人の設立の時において解放し、その権利義務はこの法人が承認することにいたしております。
以上が、この法案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
次に、このたび政府から提出いたしましたオリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
御承知のように、オリンピック東京大会の際使用された選手村の施設を青少年のために利用することを目的として設立されたオリンピック記念青少年総合センターは、昭和四十一年一月にその業務を開始して以来、青少年の宿泊研修の場としてその成果をあげつつありますが、今後ますます宿泊研修の需要が増大することが考えられ、さらに、本年八月に開催されるユニバーシアード東京大会の選手村として使用されることにもなっておりますので、施設、設備の拡充整備をはかる必要があります。そこで、この際、第四十八国会において同法案の御審議の際衆参両議院において付された決議に基づき、隣接の国有の建物六棟及びその敷地を同法人に出資することとし、オリンピック記念青少年総合センターの機能を一そう充実しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容であります。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/2
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003・床次徳二
○床次委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由の補足説明を聴取いたします。齋藤初等中等教育局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/3
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004・齋藤正
○齋藤(正)政府委員 大臣の説明を補足して、法律案の内応について御説明申し上げます。
この法律案の内容の第一は、公立高等学校の学級編制の標準の改善についてであります。
学級編制の標準につきましては、現行法第六条において、全日制の課程及び定時制の課程を通じ、普通科及び商業または家庭に関する学科等は五十人、農業、水産または工業に関する学科等は四十人と定められておりますが、改正案におきましては、普通科及び商業または家庭に関する学科等について、全日制の課程にあっては四十五人、定時制の課程にあっては四十人といたしました。これは、教育効果の一そうの徹底をはかるためでありますが、定時制の課程については、生徒のほとんどが勤労青少年であること等の実情も考慮したものであります。
なお、農業、水産または工業に関する学科等につきましては、従来どおり四十人を標準としておりますが、これらの実験実習を伴う学科については、実験実習がより徹底できるよう教員や実習助手を配置することが肝要でありますので、この際、教員等の定数の充実をはかることといたしております。
この法律案の内容の第二は、公立高等学校の教職員定数の標準の改善についてであります。
まず、第九条関係、教諭等の数についてであります。
第九条第一号第一表中全日制の課程及び定時制の課程についての改正は、学級編制の標準の改善に伴い、生徒数に対する教員の数の比率の改善をはかったものであります。
同表中通信制の課程についての改正は、勤労青少年教育の充実の見地も考慮し、面接指導及び添削指導の充実を期するため、各学校において平均二人の教員増となるよう措置したものであります。
第九条第二号の改正は、農業、水産及び工業に関する学科にかかる専門教科担当教員の充実についてであります。これらの学科にあっては、現行法は、普通科等の場合に比し学科ごとに一人または二人の教員を加算することとなっておりますが、この改正案におきましては、これらの学科における実験実習の班別指導をより充実することを考慮し、全日制課程でその生徒数が一定規模以上となる学科については、教員一人をさらに増加することとし、また、工業に関する学科については、以上のほかさらに一人を加えることといたしました。
第九条第三号の改正は、小規模分校に対する教員加算の改正についてであります。生徒の数が百人に達しない小規模の分校であっても、地域の実情等により必要なものは、今後もこれを充実する必要がありますので、その教員の配置について、従来よりもさらに一人を増加することとしたものであります。
第九条第四号の改正は、教頭及び定時制主事並びに生徒指導等を担当する教員に関してであります。現行法においても、これらの管理的職務などを担当する教員についての定数算定上の配慮がなされているのでありますが、この改正案では、これらの職務の遂行をより容易ならしめるため、定数加算の改善を行ない、特に生徒指導担当の教員についても考慮いたしました。
なお、大規模学校について教員一人の加算を行なうこととしましたが、これは大規模学校における教員数の算定が、その授業時数から見て、他の場合よりもややゆとりが少ない状況でありましたので、均衡上その是正をはかったものであります。
第九条に新しく第五号を設けましたのは、通信制の課程の充実施策の一環として、第九条第一号による教員定数の改善に加えて通信制主事のための定数の加算を行なうこととしたものであります。
次に、第十条関係は、養護教諭等の定数標準の改善についてであります。学校の保健管理をさらに充実する見地から、このたびの改正案におきましては、養護教諭等を配置する学校の規模の下限を引き下げることとし、九学級程度から配置できるよう改善をはかることといたしております。
次に、第十一条関係は、実習助手の定数標準の改善についてであります。第十一条第一号の改正は、学級編制の改善に伴う措置であります。第二号の改正は、実験実習を伴う農業、水産及び工業に関する学科につきまして、実験実習に必要な授業時数の状況を考慮し、従来の実習助手の定数加算を増加するとともに、従来実習助手の定数加算のなかった商業及び家庭に関する学科についても、実習等の授業時数が多くなる十五学級程度以上の場合は、実習助手の加算を行なうことといたしました。これらは、いずれも実験実習における専門教育の充実のための措置であります。
次に、第十二条関係の事務職員定数の改善について申し上げます。第一号の改正は、学級編制の標準の改善に伴う措置でありますが、このたび新しく一号を設け、高等学校における学校図書館の機能の充実をはかるため、その事務量が相当多くなる十八学級以上の規模の学校に事務職員一人を加算することといたしました。
次に、第十三条関係は、教職員定数算定に関する特例規定の改正についてであります。この改正は、今後における後期中等教育の拡充整備に伴い、高等学校の学科の多様化を考慮したものであります。すなわち、今後、従来例を見ない新しい学科を設け、あるいは既存の学科でも教育課程の編成上従来とは異なる新しい分野の内容を盛る必要が生ずることも考えられるわけであります。このような場合、教職員定数につきましても、その算定上若干の特例が必要となってまいることが考えられますしこのような事態につきましては、現在の時点においてすべてを予定することは困難でありますので、教職員算定の特例を設けるべき学科の指定や特例の内容については、必要に応じ政令で定めることとする規定を設けたものであります。現在のところ、この場合に該当するものとしては衛生看護科を考慮しており、政令において、教員及び実習助手の必要な加算を行なうことを予定いたしております。
この法律案の内容の第三は、公立の盲学校、ろう学校及び養護学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数の標準の新設についてであります。
まず、高等部の学級編制の標準につきましては、従来学校教育法に基づく文部省令において一学級を十五人とする標準が規定されていたのでありますが、この改正案においては、高等部における教育効果の一そうの徹底を期するため、学級編制の標準となる生徒の数を十人と定めたものであります。
次に、高等部にかかる教職員定数の標準についてでありますが、まず、校長及び養護教諭等につきましては、小、中学部を置く特殊教育諸学校の場合は義務教育の標準法ですでに定数が算定されておりますので、この法律案では、高等部のみを置く特殊教育諸学校について定数を算定することといたしました。
次に、教諭等の定数につきましては、一等部の生徒数五人につき一人の教員を基礎教員数といたしましたが、特殊教育諸学校における専門教育の充実をはかるため、専門教育を主とする学科については、所要の教員定数の加算を行なうこととし、また、養護学校の高等部の普通科についても、商業及び家庭に関する教科を専門学科並みに行なっている実情にありますので、専門学科に準じ教員定数を加算することといたしております。なお、肢体不自由生徒を収容する養護学校の高等部については、特に機能訓練関係教員を配置することといたしました。
次に、実習助手につきましても、専門教育を主とする学科及び養護学校の一等部普通科については、教員の定数加算の趣旨と同様の趣旨により、所要の実習助手を置くことといたしました。
また、寮母の定数につきましては、寄宿舎の高等部の生徒数六人につき一人とし、義務教育の標準法における小、中学部にかかる寮母定数の算定と同様といたしております。
さらに、事務職員につきましては、高等部における事務量を考慮し、部ごとに二人の配置といたしました。
以上が公立の高等学校及び特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制及び教職員定数の標準等に関する本則規定の改正内容でありますが、なお、現行法制定時の附則規定につきましては、今回の改正に伴う所要の改正をいたしております。
次に、この法律案の附則中の経過措置について申し上げます。
まず、公立高等学校の学級編制の標準に関する経過措置につきましては、今後の生徒数の減少及び学校施設の整備の状況等を考慮しつつ、昭和四十六年度の入学者からは改正標準による学級編制とすることができるよう、その間は、この標準に漸次近づけることを旨として、毎年度標準となる数を政令で定めることといたしました。昭和四十二年度の入学者にかかる標準につきましては、生徒数が急激に減少する都道府県にあっては四十八人とし、それ以外の都道府県にあっては四十九人とする標準を政令で定める予定であります。
次に、公立高等学校の教職員定数につきましても、今後の生徒数の減少及び公立高等学校に置かれている教職員の総数を考慮しつつ、原則として昭和四十六年度までの五カ年の年次計画により新標準が達成できるよう、その間漸次改正標準に近づけることを旨として、毎年度標準となるべき数を政令で定めることといたしました。昭和四十二年度の定数標準につきましては、旧法による定数と改正法による定数との差の五分の一に相当する数の充足をはかる予定であります。なお、ここ一、二年は生徒数が増加する都道府県もあり、これらの都道府県につき議しては、教職員定数の改善が後年度にずれることが予想されますので、教職員定数の経過措置期間について、これら特別の事情のある都道府県につきましては、昭和四十六年度以降二カ年の延長を行なうことができるよう措置いたしました。
次に、公立特殊教育諸学校の高等部にかかる学級編制の標準につきましては、昭和四十二年度から直ちに実施することといたしますが、教職員定数の標準につきましては、五カ年の年次計画により昭和四十六年度から改正標準が完全に実施できるよう、その間は経過措置として毎年度政令で標準を定めることといたしました。昭和四十二年度の標準につきましては、昭和四十一年度の実数と昭和四十二年度の定数の差の五分の一に相当する数を充足するよう定数標準を定める予定であります。
以上、この法律案の内容について補足説明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/4
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005・床次徳二
○床次委員長 以上で補足説明は終わりました。
各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次会は、明後五月十二日、金曜日、午後二時三十分より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505077X00519670510/5
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