1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十一日(木曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 大坪 保雄君
理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君
理事 高橋 英吉君 理事 濱野 清吾君
理事 神近 市子君 理事 松前 重義君
橋口 隆君 藤波 孝生君
山下 元利君 西宮 弘君
三宅 正一君 横山 利秋君
沖本 泰幸君 松本 善明君
出席政府委員
法務政務次官 井原 岸高君
委員外の出席者
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
最高裁判所事務
総長 岸 盛一君
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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本日の会議に付した案件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/0
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001・大坪保雄
○大坪委員長 これより会議を開きます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行ないます。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/1
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002・横山利秋
○横山委員 きょうとこの間の理事会で、いわゆる飯守問題につきまして、理事諸君の御意見を伺ったわけであります。私としましては、先日予算委員会で、私の質問でなくて、ほかの人の質問に対しましてあなたが答弁せられたことにつきまして、率直に言えば、不愉快の念を禁じ得ないということでありまして、理事諸君には御報告はいたしましたけれども、あらためて私が不愉快の念を持ちました点を申し上げておきますと、本来、この飯守事件につきまして本委員会で取り上げまして、そこで私のほうは、これを執筆禁止を要望したわけでありますが、あなたのほうから善処する旨の答弁があり、そしてそれからしばらくたったあと、あなたと寺田総務局長が私を呼び出しまして、すぐお隣のコーヒー屋でコーヒーを飲みながら雑談をいたしました。これは議事録の問題でもなく、公式に委員会で取り上げられるべき筋合いの問題でもございません。しかしながら、院内で行なわれたことでありまして、あなた個人なり、私も政治家の一員として個人的な誠実さといいますか、責任というものにおいては、これはよくわかることであります。その際にあなたと私との、いかなる結末であったかについては、あなたはメモをあとで読み上げられました。私はコーヒー屋でメモを読み上げてもらった記憶はございませんから、まさに、てにをはでなくて、人間的な問題として、私はあなたが執筆禁止を善処をしたからというふうに理解をいたしました。あなたは予算委員会で、そうでなくして、内容的に善処をすることを要望したのだ、こういうお話であります。こえて、私が承知いたしておりますところは、前の事務総長の関根さんが、向こうの高裁の長をやってみえるのでありますが、飯守氏を呼んで、そしてかかることは適当でないということを言うたというふうに聞いておるわけであります。
つまり、あなたに不愉快な気持ちを持ちましたのは、そういうコーヒー屋で話し合ったようなことを予算委員会で、私が見もしないメモをあなたが麗々しく読み上げて、あたかも私とあなたがやみ取引をしたかのごとき印象を速記録に残されたということであります。しかも、そのやみ取引らしきものについては、私が関知をしないといいますか、内容的にさだかでない、また執筆禁止を了承した、いや、そうでない、内容的なものであるというような、私が確認をしないものを、私の質問でなくして人の質問に対して答えられたという点であります。そういうことをもしあなたがおやりになるならば、もうあなたとはこういう速記録を残す以外の場所においては会うわけにはいけない。そういうことをなさるようでは、私どもが軽軽しくあなたと個人的のおつき合いもできないというような感じすら抱くのでありまして、これはまことに残念なことだと思うのであります。
私はこういうことを申し上げたくはありませんけれども、少なくともあなたは最高裁判所の事務総長であります。世間が事務総長というものを見る目というものは、多くの最高裁判所の裁判官のもとにあって、全国の裁判所に対して適正な裁判機構が運営されるような、人格円満にして、そうして体験も豊かな人であるというふうに見ておるわけでありまして、そういう人と政治問題について個人的にもおつき合いができないじゃないか。そういう印象を私が持つ、またあなたが抱かせるということは、これはきわめて残念なことだと思うのであります。まず、そういう点につきまして、あなたの御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/2
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003・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 予算分科会で飯守問題が取り上げられまして、まず第一に、猪俣委員から御質問がございました。そして猪俣委員は、これまでの経過は御存じなかったわけです。それで、私に対して、裁判所が何らの措置もとらないのか、そういうお尋ねでありましたので、これまでの経過をお話しして、裁判所がこのような措置をとったということを説明いたしました。その説明の中に、いま横山委員が非常に不愉快だと言われる問題がからんでおるのでございます。問題の前提に間違いがありますと、議論はいつまでいっても平行線をたどりますので、それではこの際もう一度私が体験しております事実を申し上げたいと思います。これは、しかし、決して横山委員を傷つけるものでも何でもない、経過をそのままお聞きくだされば皆さま御了承願えるかと思います。
飯守問題が衆議院の法務委員会で取り上げられましたのは、七月二十一日でございます。もう会期もたぶん終わりに近づいてきたころだと思います。その際に、鹿児島地方裁判所で発行しております「裁判所広報」というごく薄っぺらなガリ版刷りの、何といいますか、パンフレット式のものがありまして、当時は七号まで出ておりましたが、その一号から七号までの間に非常に政治色の強い発言がある。その各号の要所要所をここで横山委員からお読み聞けいただいたわけです。私どもはそれまで、この「広報」というものは各地の裁判所で自主的に出しておりますので、鹿児島の裁判所でそういうものが出ておるということは十分承知しておりませんでした。それで、いずれ全部を検討した上でしかるべき処置をとりたい、そうお答えしたのが二十一日の委員会でございます。
次の委員会、二十八日に私の出席を要求になっておりました。それで私は、いつでも伺えるように待機いたしたわけでありますが、その間にさっそくそれを取り寄せまして、全部読みましたところ、全部が全部政治的な論説ではありませんが、しかし中には、何といいますか、表現上の問題等もありまして、あるいはその受け取り方いかんによっては、その論旨に賛成できないと思われる節もないでもない。しかしながら、部分的でなくて、全体を通じてその真意をくみ取りますと、やはりあの中に憲法の議会主義、民主主義、平和主義を守らなければならないということを強調しておられるのであります。しかし、その内容をどう受け取るかということは、各人各様の考え方でありますので、正しいとか、不当とか正当とかいうことはとやかく申せません。少なくとも裁判所長が「広報」の紙上をかりて、片寄った政治的教育を職員に施しておるというような印象を与えることは、これは妥当じゃない、そういう感じを持ったわけであります。そこで、その間に私から当時の福岡高裁長官である関根前事務総長に直接電話いたしまして、こういうことが国会でいま取り上げられておるんだけれども、よく飯守所長と話し合ってもらいたいということを頼んだわけです。その結果、今後はそういう職員に片寄った政治的印象を与えるような、そういうおそれのあるものは執筆しないことにする、そういうことでありました。
そういう事情でありましたので、そういう材料を用意して、二十八日、かねてから出席要求がありましたのでお待ちしていたわけでありますが、私のところへ横山委員から、あの問題について裁判所がどうしたろうか、その裁判所のとった措置次第によっては正式の委員会で答弁してもらわなくてもよろしいから、そういう連絡がございましたので、私と総務局長が、ちょうど委員会が開催中でございましたが、こちらへ参りまして、そして横山委員にお願いして、ちょっと席をはずしていただいて、院内の別室でお話ししたわけであります。私としましては、先ほど申しましたような経過でそういう措置をとっておりますので、それをメモにしておりまして、この正式の委員会でそのメモによって申し上げようと思っていたわけであります。ところが事情が変わりまして先ほどのような経過になりましたので、横山委員にお話するときに、そのメモに基づいて、つまり私としては委員会で説明するのと同じ心がまえで横山委員にお話したわけです。そのメモは、とった措置はこういう措置である。絶対今後執筆させないというのじゃなくて、少なくとも職員に片寄った政治的教育を施しておるというような疑いを持たれるようなものは、裁判所の政治的中立から申しましてもよくないことでありますので、それはやらない、そういう内容のものを、この間予算委員会でメモによって、つまり正確を期するために申し上げたわけです。決して私と横山委員とがやみ取引をしたわけでもなし、わずか十五分かそこいら、しかも委員会開催中のあわただしい間に、要領よくかいつまんでお話をして、決して暗い陰のもとにやみ取引をしたわけでもなく、どなたがそれをお聞きになっても、私と横山委員がやみ取引しておるというふうにはお考えにならないと思います。また私の真意も、前回申し上げましたが、他意はございません。委員会でそのメモに基づいて説明するその同じ心がまえで横山委員と別室でお話したわけでありますから、決して人の知らぬ間にメモをとって、それをあとで公表してどうのこうの、そういうような筋では絶対にないわけであります。そういうわけでありますので、もしその点に誤解がありましたら、横山委員もよくそれを御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/3
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004・横山利秋
○横山委員 事務総長は、まだ国会になれておみえにならぬということをつくづく痛感をいたします。かりに私があなたの立場であるとするならば、私は、他の委員の質問に対しまして――私があとから質問するということはあの場でわかっておるのですね。何か肩すかしを食わせるようなやり方で私を引用して、しかもあなたもおっしゃるように、私にメモを、別室でやりましたときに見せたわけでもない。自分のふところにあったメモを取り出して、他の委員の質問に答えるかのごときやり方は私はいたしませんね。
それから、あの場合でも私は言うたわけでありますけれども、とにかくこの問題について私も別室で、コーヒー屋でやったようなことをそんなに詳しく記憶しておりませんが、少なくとも私は、あの委員会の記録にも明らかなように、当然執筆を禁止をさるべきだ、禁止ということばが適当でなければ、じゅんじゅんと話して、納得して自発的にやめてもらうようにすべきだ。そのくらいのことができなくてはいかぬと言うたつもりであります。大体裁判所の「広報」の冒頭に、麗々しくそういうことを書く人の気が知れぬと私は思うわけであります。しかも飯守裁判官は、くどく言いますように、ソビエトへ行けばソビエトで赤に染まり、日本へ帰ってくれば、あれは早く帰らんがための偽りであったという声明書を出す。安保のときには、新聞記者を集めて、新聞記者をあきれ返らせるような発言をする、そういう前科のある人です。あのときも言ったのでありますが、いま飯守さんの人生観を奪おうとか、政治観を奪おうというわけではない。しかし、こういう前歴のある人が、一たんやめる、善処をすると言ったところで、それはもう身についたものであるから、これはなくするわけにはいかぬのだ、おそらくまた時期を得てそういうものが飛び出てくるから、本来からいうならば、裁判官として私は適当でないと思うのですね。さしあたり、これだけのことはやっておかなければいかぬと私は強く言うたわけであります。どういうことがコーヒー屋で行なわれた懇談の結末であったかは、水かけ論になるから言いませんけれども、あらためて私は執筆をやめさせるように善処をされたい。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/4
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005・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 執筆禁止させろということは正式にここで承ったわけであります。しかしこの前の一号から六、七号までの間に書かれたようなことと、その後の「広報」に登載されたものを見ますと、テーマもまるで違いますし、論調も違っておる。決してこの程度では特定の片寄った政治教育をしておるというふうには受け取れないわけであります。そういうものまで書くなということは、いかに裁判行政の監督者であっても、裁判所長に向かって言うことは、これはちょっと言いかねることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/5
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006・横山利秋
○横山委員 あなたは最近はそうじゃないとおっしゃるが、ここにありますが、四月二十日の「裁判所広報」、これをごらんになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/6
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007・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 読んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/7
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008・横山利秋
○横山委員 これを見ますと、「公務員は国民全体の奉仕者である、特定階級の奉仕者であってはならない」、このタイトルはまあまあとしましょう。たとえば二の、「公務員に任用されるときの宣誓の意義」「この宣誓書の文言の内容は、公務員の根本的心構えを規定したもので、通り一辺の訓示規定(任意規定)ではない。当然強行規定であることは疑いを容れない。従ってこの心構えがないにも拘らず偽わって宣誓をした場合は、その任命行為には当然無効などの法律問題が生ずるだろう。任命当時は宣誓書の要求するところと同じ心構えであった公務員でも、任命後この心構えが変り、一部の奉仕者即ち特定階級だけの排他的奉仕者としての心構えをもつようになった場合には、そのときから公務員としての適格性を欠くに至ったものと認めなければならない。このことは行為ないし状況により外部的に判断できるようになった場合に実際上の問題となる。」そうして三に、「階級闘争政党と公務員の地位」、まん中ごろから、「もっとも、国家公務員法第百二条第三項は、公務員が単なる政党員となることを一応原則的に認めてはいるが、その加入政党が特定階級にだけ排他的に奉仕する政綱をもっているものであれば、公務員たる地位とその政党員たる資格とは到底両立しえないだろう。ここに排他的と言ったのは、自己の奉仕、支持する階級に対立する階級を敵として、これと平和共存する余地を認めず、その敵階級を暴力をもって掃滅することを政綱とする場合である。つまりこのような意味の階級政党であって、国民政党でありえない場合のことである。もしこのような政党に加入した場合、例えば法律に、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党に加入した場合は、公務員としては当然失格として扱われることが規定されていることは注目に値する。」「四、公務員の適格性の調査と指導監督」、途中省略しまして、「それは、階級的独裁政治と異り、自由な民主主義政治を確保するために公務員には政治的中立性を要求するのである。公務員はその心構えをもっていることを任命されたとき宣誓しなければならない。従って任命時に、公務員がそのような心構えをもっていることを調査することは、任命者としての重要な義務であり、見そこなってはならない。任命後も、この心構えをもち続けているか否かを調査することも、管理者としての監督責任の重要な部分である。」「日本は世界一の、言論の自由がある国と言われているが、自由国家の民主主義的寛容性によるこの言論の自由を利用して、非自由国家的な各種の破壊活動が常時侵入してきていることを見逃すことはできない。」一番最後に、「終りに一言するが、すべての公務員は、もし別に団体に所属するならば、その所属団体の性格が上記の国民全体の奉仕者たるにふさわしく、一部の奉仕者ではないことを確認したうえ、自覚的に所属関係を継続するものでなければならない。」こうあるのであります。これは一体実体論に触れている話であると思いますか、それとも単なる架空の理論だとあなたはお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/8
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009・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは公務員は全体の奉仕者でなければならないという憲法の規定を受けまして、それと関連する国家公務員法の三十八条とか七十六条とか、そういうものについての抽象的な説明をしておるにすぎない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/9
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010・横山利秋
○横山委員 そうしますと、「階級斗争政党と公務員の地位」にございますいま読み上げましたようなことは、日本においてこの飯守裁判官が指摘しておる政党はない、こういうふうにあなたも御理解でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/10
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011・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 合法的なものとされている限りはそういうものはないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/11
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012・横山利秋
○横山委員 それから日本に非自由国家的な各種の破壊活動が常時侵入しておるという判断について適当だと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/12
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013・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 実はそこの個所はどうも何を言っておられるのか、読んでいて私にも理解できなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/13
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014・横山利秋
○横山委員 この個所が、現実問題として飯守裁判官はあると見て三の「階級斗争政党と公務員の地位」というものを議論しておる、こういうふうに判断するのが常識的、一般的な見方ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/14
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015・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 いろんな論説の読み方があろうと思いますけれども、私どもとしてはただ卒然と先ほどの法律解釈をやっておる、かようにしか理解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/15
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016・横山利秋
○横山委員 あなたも御指摘なさるように、何を言っておるかわからぬというようなことを土台にして、そうして読む人をして、明らかにこれは共産党のことであろう、あるいは場合によっては社会党のことであろうというふうに想像をさせる効果があることをあなたはお認めにならないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/16
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017・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 合法的な政党である限りは、そこに書かれているようなことはあり得ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/17
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018・横山利秋
○横山委員 あり得ないとおっしゃるけれども、重ねて言いますけれども、何を書いてあるかわからぬ、「非自由国家的な各種の破壊活動が常時侵入してきていることを見逃すことはできない。」という現実認識を持っておられて、そうして階級闘争政党をここに論述されておるということは、客観的にこれを見れば、これは共産党のことを暗に言っておる、場合によっては日本社会党のことを暗に言っておるという印象を読者に与えておることは疑いを入れないと思うのであります。あなたはそうでないと言うつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/18
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019・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 私はそこまで深くといいますか、あるいは浅い見方と言われるかもしれませんが、そこまで勘ぐって読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/19
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020・横山利秋
○横山委員 あなたはいまこの文章全体を通じて、これを人が読んだ場合に、階級闘争政党というもの――私は日本社会党も理論的には階級政党だと思っているのです、はっきりしておきますけれども。理論的には思っているのだけれども、こういうような書き方をして、これを読んだ読者をして、ありもしない政党のことを書いて、これは社会党でもない、共産党でもないと書いてあるならともかく、書いてなくて、暗にこれは共産党であろう、社会党であろうということを印象づけるという効果については、あなたは全然そういうおそれはないと言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/20
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021・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 この論文の骨子は、公務員法の三十八条五号の団体をさしておるというふうに私は理解して読みました。ですから、現在合法的な政党とされているものについてそういうことを論及しているというふうには私は解釈いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/21
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022・横山利秋
○横山委員 しかしながら、あれ以降、つまりあなたや関根総長が言うた以降、一貫して労働組合の問題について掲げておる。完全なイデオロギー的な政治活動は別としても、憲法やあるいは労働組合法によって設立されておる労働組合にとって、一般的嫌悪感といいますか、本来的に労働組合というものはいかぬものだという考えで貫かれております。この問題についてもそうであります。社会主義政党というものに対しての一般的嫌悪感であります。もしもそうでないとするならば、明らかに誤解を与えるようなことについては、少なくとも今日このような政党はないけれども、というようなことでも書かれるならばともかくとして、どう考えたってこの文章というものは、今日の日本の革新政党ないし社会主義政党に対する誹謗ないしはこういうようなことになるおそれを多分に持っているものであり、しかも破壊活動がどんどんと常時侵入しておるという、わけのわからぬようなことを書くということ自身が適当でないとあなたはお思いにならないのでしょうか。こういうような論文が適当であり、裁判官として当然の論述であるというように、あなたはほんとうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/22
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023・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 この昨年の措置をとって以来一貫して組合を否定するような論説があるとおっしゃいましたが、それはおそらく十一号をさして言われたと思います。それ以外にはそういうものは書いておりませんです。この前も申し上げましたが、八号以下ですが、八号は音楽のことを取り上げております。これは抑留生活中に音楽で心を楽しませておったというようなことが中心になっております。それからその次では、「男女平等、夫妻不平等」という、これはちょっと逆説的なことを言っておりますが、これが九号と十号であります。これはいわば全く随筆風のもので、結婚式のときのスーピチにも出るようなものを書いております。十一号は先ほど御指摘の組合のことを書いておりますけれども、この書いておる趣旨は、裁判所は政治的に中立であれということを言っております。しかもこの中に、「私は、全司法組合員の絶対多数は思想的偏向もなく、中立の立場をとっている立派な裁判所職員であると確信している。」こういうことばもありまして、特に裁判所職員は政治的中立性を他から疑われるようなことがあってはならぬということを強調しておるものであります。十二号が、これはクリスマスのお祈りのことで、飯守所長はカソリックの信者ですからそういうことを書いたと思います。十三号が、これは「鹿児島復古と明治百年」、島津斉彬のおことばが書いてあります。これは鹿児島を中心に書いてあります。十四号は、これは撫順で抑留されたときの体験記が書いてあります。こういう種類のものはいろいろな雑誌等に見られるものだと思います。十五号が、「人が人を裁くことができるか」ということを主題にしておる。これはトルストイの例の考え方を記載していろいろなことを書いておりますが、被告の人権を擁護しなければならぬことは当然だけれども、やはり被害者、それから国家の基本的人権のあることを忘れてはいかぬ、要するに個人と国家との調和というものを十分に考えなければならぬという趣旨のことを記述いたしております。それから最後は、いままで出ましたのは、公務員は国民全体の奉仕者であるという、このなには前の書き出しにもありますとおり、国家公務員法の三十八条五号から、それをまず前提に置いて書いておりますので、合法的な政党をどうのこうのしようという趣旨のものとまでは実は私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/23
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024・横山利秋
○横山委員 あなたは私との質疑応答で、何とかここを切り抜けようという趣旨が働き過ぎているような気がするのです。私もベートーベンの文章を読みましたよ。ベートーベンのことを、抑留中のことを書いているときの筆者の気持ち、私はどういう気持であろうかと思うのです。その抑留中のときは、飯守裁判官は、彼の人生の中でぬぐうべからざる恥辱の時期である。つまり、早く帰らんがためにあとで言うことで言うならば、早く帰らんがために、一生懸命アクティブになり、共産主義を勉強し、うそを言い、信奉してもいない共産主義を、そしてほめるべきでないところをほめ、自分の信条を全く偽った、人生劇場の中で恥ずべきときのことではないか。そのときの、その抑留中のことを、べートーベンを書くときに筆がふるえなかったであろうかと私は疑うのであります。もしもそのときに、まじめにほんとうに共産主義が正しく、アクティブになったことが、自分が正しく、自分の信条に偽がないとするならば、帰ってきてから、あれは早く帰らんがための偽りであったという声明をした飯守裁判官は、最も恥ずべき人間だと私は思うのであります。だから、ベートーベンの文章を読みながら、この人は執筆するときにどういう気持ちで書いておったのか、私は疑うのであります。こういうことまで言いたくもありませんが、しかし、あなたの眼光紙背を徹する態度で、ベートーベンだからいいということでは読み方が足りませんよ。その点どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/24
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025・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 ベートーベンの記事のあったのは、この前問題になったときにもすでに出ておったものであります。その後八号からは論調が違っておる。だから、ベートーベンにつきましては、これはやはりそれぞれその人の受け取り方があると思いますので、あのベートーベンについての記事がそれほど政治的な含みを持って、何か隠しておるというふうには私は受け取れません。
それから、抑留中どうのこうのということがございましたが、これはやはり抑留中の異常心理というものも知りませんし、また、そういう点は、私どもとしても、心理的な経過というものを探ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/25
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026・横山利秋
○横山委員 私の言うことにまともにお答えにならないですね。まともにお答えにならないということは、ちょっと答弁ができない、私の言うことがある程度おわかりになっておるからまともに御答弁ができないというふうに考えざるを得ないのです。要するに、抑留中にあったいまわしい自分の体験、そうして自分の人生の中で、あるときには突っ走り、帰ってきたらあれはうそだったといういまわしい体験というものが、今日逆にこのようなことを書かせておる。逆に今度はイデオロギー的にも、感情的にも対ソべっ視感あるいは大東亜戦争に対し、あれは勝者の裁判であると言わせる、こういうような状況になっておる。この人は非常に感情的な人間だ、こういうことを考えるわけであります。これはあなたやあるいは関根さんから御注意があるだけに、この一部を読めば、あなたの御答弁になったように、なるほど国家公務員法三十八条五号、七十六条を引用しておる。ところが、衣の下からよろいが見える。こういうことを、ここがいいから、ここはわからぬけれども、まあいいじゃないかといったようなことをさせておいて、それでいいと思いますか。少なくともあなたは、ここまで各方面の問題になっておるならば、この際執筆を少し差し控えさせたらどうか。こういうことをなさっていいのではあるまいか。なぜそれがいけないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/26
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027・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 決してその後野放しにしておるわけではございません。これはもう前にも詳しく御説明いたしましたとおりで、よほど慎重な態度をもって臨んでもらいたいということを福岡の高裁長官を通じて十分注意しております。福岡の高裁長官はこのたびかわりましたけれども、前長官からも、また私からも新長官に、こういうことが国会で問題になっておるから、よほど気をつけてもらいたいということを言っております。この五月六日に福岡管内の裁判所長会同がありましたとき、その席でもやはりそういうものの執筆はよほど慎重に、あらぬ疑惑を持たせないようにしなければならないというふうに各所長にもいろいろお話し、また本人も十分その点は考えておる、そういうことを言っておりました。しばらく成り行きを見ることが現在としては適当だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/27
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028・高橋英吉
○高橋(英)委員 ちょっと関連して。裁判官としての適格性なんかの問題もいろいろ問題があるでしょうが、執筆の禁止ができるような法的な根拠がありますか。監督権といいますか、命令権というものがあるのですか、法律上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/28
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029・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは裁判官としてふさわしくないようなものを書くようなことになれば、そういうことはしちゃいけない。これは条文なんかございませんけれど、監督作用に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/29
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030・高橋英吉
○高橋(英)委員 監督的な意味であって、命令的なものでないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/30
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031・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 まあ、監督といいますか、命令といいますか、監督作用としてそういうものを書くなということは当然言えると思います。しかし、それは書くなということはできますが、非常にデリケートな問題であります。どこまで一体裁判官の口を封じていいかという問題になりますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/31
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032・高橋英吉
○高橋(英)委員 あまり厳重な監督をせられるということは、そんな禁止命令みたいなものと同様なものを出されるということになると、一般の人権じゅうりん的な問題にもなりましょうか、裁判官としても。裁判官がそれぞれ科罰を受ける場合、それぞれ罰せられる場合には、懲戒処分になる場合には法令の基準があるわけですから、それ以上をこえて監督されるというようなことになると、発表の自由とか、人権のじゅうりんとかいうように、基本的な人権の自由の侵害というようなことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/32
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033・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これはまことにおっしゃるとおりです。裁判官といえども、自由かつてなことを書いていいというわけのものではない。非常に社会に害毒を流すようなものをかりに書いたときには、もちろん禁止どころか、懲戒とか、そういう問題になりますけれども、やはり裁判官といえども、表現の自由は持っております。ただ裁判官の地位にふさわしくないようなことをやってはいかぬという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/33
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034・神近市子
○神近委員 関連して。この飯守という人はどのくらいの年代の人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/34
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035・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 昭和五年の卒業生だと思います。ですから、昭和六年に任官した戦前からの裁判官であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/35
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036・神近市子
○神近委員 この書いたものをいま全部私も読んでおりませんが、最終のものしか読んでおりませんが、問題になるのはこの表現の自由を禁止するという意味ではないのですよ。こういうような考え方を持って、幾ぶん偏見的なものを持っている人がする裁判というものは国民にどういうように反映するか、私どもは、横山さんの質問の趣旨はそこにあると思うのです。こういう頭を持っていて裁判をやるということは、非常に偏見に支配される。それを受ける人のことを考えれば、これは問題だと思うのですよ。それはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/36
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037・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 こういう人が裁判官をやっているのはよくないじゃないかということになるわけだと思いますが、裁判官の人間、思想を問題にすることになりますので、これはおのずから国法に従った手続においてやられるべきもので、こういう席で特定の裁判官の思想を論じ、その道義問題を論ずるということは、これは私としては慎みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/37
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038・神近市子
○神近委員 その不安ですね、みんな知らないからいいようなものですけれど、これが一般的に知られるというようなことになると、これは、裁判を受ける人が忌避するということは、私は当然のことだと思うのです。その点で、こういうような人を裁判官の中から排除しなければならないと言われるのは、私、当然のことだと思うのですけれど、それはあなたはどう考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/38
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039・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 飯守所長が鹿児島の所長になられましてから、二年半近くになると思いますが、その間、あの所長が行ったために鹿児島の裁判所の判決が変なものになったということは、いまだかつて聞いたことがございません。これはまあ別としまして、こういう人が裁判官になることはどうかという問題は、これは一般の国政調査の問題じゃなくて、やはり裁判官の適格を審査するその国法に従った手続がございます。そういう点で、これはやはり慎重に扱われなければならぬ問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/39
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040・神近市子
○神近委員 その二年半の裁判事件で、何件判決が出ているか知らないけれど、それをあなた方の立場から当然の判決だとおっしゃるのはわかりますよ。だけれども、それは受けた者の証言じゃないのですから、あなた方は監督官庁として、どんな不公平が行なわれて、どんな変な裁判があっても、これは当然だとおっしゃるのがあなた方の立場なんだから、だからそれはにわかに信用できない。ただ、いままでの行動が、裁判官がこういうような考え方でいるということを、自己表現しているわけですよね。だから、表現の自由は決して禁止はできないけれども、こういう考え方の人が裁判するということに横山君の抗議があると思うのですけれど、その点、いままでの裁判がちっとも間違いなかったなんというあなたのおっしゃったことは、それは監督者としての発言であって、真実の発言ではないと私は思います。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/40
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041・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 いままでの一つ一つの裁判が、どういう内容のものであったかということまでは、私ども承知しておりません。ただ、飯守所長があそこへ行って――つまり監督官として行ったわけです。行ったために、鹿児島地方裁判所全体としてそこの裁判がおかしい、そういうようなことを聞いたことがないという趣旨なんでございます。その点が、ちょっと先ほどの御答弁で私の申し上げたことが徹底しなかったかもしれません。
それからもう一つは、この裁判官が裁判官として適当かどうかという問題は、何度も申し上げておりますとおり、これはまた別の重要な問題で、簡単な資料でここで論議する問題じゃなくて、ちゃんとそのための手続があるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/41
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042・大坪保雄
○大坪委員長 関連して、松本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/42
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043・松本善明
○松本(善)委員 この問題は、司法行政上、飯守所長の執筆している内容が妥当かどうかという問題として出てきているわけで、いまもそういうこととして問題になっているわけです。先ほどの事務総長の答弁の中ではちょっとあいまいなことがあるように思う。疑いを持たせるようなことはよくないということを言われたけれども、これは司法行政上妥当なものであったという結論ですか、妥当でなかったという結論になっているのですか。その点をちょっとはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/43
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044・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 去年問題になりました一号から六号までの間には、受け取り方によってはそういう疑いを持たせるようなおそれなしとしないものがある、そういうことで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/44
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045・松本善明
○松本(善)委員 そこなんです。先ほども言うように、受け取り方によってはということで、しかし内容的にはいい、基本的にはいいけれども、受け取る人によってはよくない、これだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/45
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046・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 内容的にどうのこうのということをいま申しているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/46
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047・松本善明
○松本(善)委員 いや、そのことを言っているのです。あなたはそれをいいと思っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/47
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048・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 とにかく一号から六号までは、ああいうものは好ましくない、だからそれを改めてくれ、そういうことで改まりつつあるわけなんです。その点をとくと御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/48
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049・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、一号から四号までは、これは妥当でないという結論を出されたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/49
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050・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 一号から四号といいますか、つまり全部が全部とは申しません。一号から六号、七号ぐらいまで去年問題になったですが、その中に、やはりこういうことはなくもがなというものがあるので、その点で好ましくないものがある、そういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/50
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051・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、この司法行政上の責任といいますか、そういうことについては裁判所の中では考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/51
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052・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 この行政上の責任というのは、本人のことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/52
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053・松本善明
○松本(善)委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/53
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054・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 ですから、去年問題になったときに、高裁長官を通じて、本人にとくと注意しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/54
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055・大坪保雄
○大坪委員長 関連して、高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/55
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056・高橋英吉
○高橋(英)委員 そうしますと、飯守裁判所長の書いたものを私は見ていないのだが、結局不穏当というか、問題になるようなところもあったということが一つと、それからまた、問題になるべきであるかどうかという事務局長さんの主観は別問題として、現にこの法案を上げないぞというほど横山君が力んでいるような問題になっているわけですから、受け取り方によっては穏当でない節もあるものと思わなければいかぬと思うのですが、先ほど言われたのは、結局そういうふうなことを一つの問題材料として、飯守判事に勧告をするというふうなことをおっしゃったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/56
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057・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは問題になったときに――これはちょっとなにしますけれども、問題にされた当時、これはこんなことまで書かぬでもいいじゃないかという意味でのなにで、(「改悛の情がない」と呼ぶ者あり)思想がどうの、あれがどうのという、そこまでタッチしておるわけじゃございません。ただし、そういうことでいろいろ物議をかもすのは決して好ましくない。そこで、さっそく高裁長官から本人に注意をしてもらった、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/57
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058・高橋英吉
○高橋(英)委員 そうすると、どうも正式の発言はどうか知りませんけれども、いまの不規則発言によると、改悛の情がないんだ、したがって、ここで質問するんだというような話ですが、改悛の情があるかないか私は知りませんけれども、もしそういうようなことがここで問題になってまいるのでしたら、命令権はないと私は思いますが、もう一度やはり勧告してもらって、その模様でまたここでお互い御相談しようというようなことにしていただいて――勧告するぐらいなことはいいじゃないですか。それでひとつ終止符を打ってもらう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/58
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059・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 その点につきましては、去年一度注意をしたから、これでこっちはもう手をこまねいているというのではなくて、絶えず高裁長官によくめんどうを見てほしいということは言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/59
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060・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、事務総長の答弁は後退したような感じを受けるのでまた聞くのですけれども、なくもがなという程度の判断、たとえば四号で、戦争絶対反対というようなことを言うのはこりごりだというようなこと、あるいはむすこを絶対戦争に出しませんということをわめいてみても何の役にも立たぬ、そして大東亜戦争は正当に評価し直すべきだ、こういうような発言が、なくもがなということで済まされるのかどうか、事務総長の意見をはっきり聞きたいと思うのです。裁判官としてそういうことは認められるか。なくもがなという程度のものということでいいのかどうかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/60
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061・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 その個所だけをとらえますと、非常にどぎつくて妥当ではないという感じは抱きます。しかし、全体として見た場合には、憲法の平和主義、民主主義、議会主義というものを否定しておるのではなくて、むしろそれを守らなければならぬということを現在書いておるわけですから、全体としての真意をくみ取るべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/61
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062・松本善明
○松本(善)委員 四号は大東亜戦争を再評価すべきだという趣旨ですよ。事務総長、どういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/62
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063・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 しかし、その中に日本もあやまちをおかしたということばもどっかに出てきたはずであります。決して戦争を賛美しているわけじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/63
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064・横山利秋
○横山委員 高橋英吉委員が先ほど御質問されました趣旨は、何回も勧告したそうだけれども、ここまで問題になっておるのであるから、もう一ぺん最高裁事務総長としてきびしく善処させるようにということがその結語ですね。その趣旨について事務総長はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/64
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065・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 事態の推移がそれを必要とする場合は何どきでもいたします。しかし、前から御説明いたしておりますとおり、絶えずまず地元の直接の高裁長官がいろいろめんどうを見ておる。そして、現に五月六日、先週の土曜日に管内の所長会同が開かれまして、その席でも、各所長も一緒になって、こういうもののあり方といいますか、「広報」のあり方、書き方、そういうものを話し合って、飯守所長もその点は自分も今後十分気をつける、こういうことを申しておるということを、数日前、現在の高裁長官から私は電話で連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/65
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066・横山利秋
○横山委員 五月六日と申しますと、まだごく最近のことであります。もちろんそういう場合においては速記をおとりになったわけではありますまいけれども、どういうメンバーで集まり、だれがどういう発言をし、そしてどういう質疑応答があったかということを要点でもよろしいが、お出し願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/66
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067・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これは管内で、随時管内の行政について話していることで、いまの問題について議事録をとったかどうかということは知りませんけれども、その所長会同の席で、自分が新任の長官として初めて臨んだ会同ですから、そこでこの「広報」掲載のことを議題にしてよく話し合ったわけであります。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/67
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068・横山利秋
○横山委員 決してあなたの人格をそこまで疑うわけではございませんけれども、ここまで問題になりました一つの区切りとして、あなたがこういう委員会で、公式に五月六日の議題になった、だれそれがこういうことを戒めたからとおっしゃるのであれば、速記録でなくても、要点でもいいから、いつ、どこで、どういうふうな人たちに、この問題について善処をはかったかということについて、本委員会に提出されるようにお願いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/68
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069・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 どういう人が集まったかといいますと、集まった人は管内の全所長です、所長会同ですから。所長会同の席で、いろいろ管内の行政事務についての打ち合わせがいつもなされるわけであります。その席で、新長官として、その「広報」の問題を議題にして、そうして飯守判事にも説明して納得をしてもらった、飯守判事は、その点は十分気をつけるからという報告を受けておりますので、それ以上詳しいことはちょっと承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/69
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070・横山利秋
○横山委員 出していただきたいというのですが、いやですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/70
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071・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 普通われわれは、そういうのを管内ブロック会同と申しておりますけれども、そういう場合における所長の随時の会同までいかない集まりにつきましては、普通議事録はとらないのが慣例に相なっておるわけでございます。何か一つのテーマをとらえまして、たとえば公職選挙法違反事件の取り扱にについてとかいうようなことで、管内、管内で刑事裁判官会同、民事裁判官会同ということをやります場合には、議事録は普通つくるものでございますけれども、そういうような大まかな所長の集まりでは、議事録というものは普通つくられておらないのが慣例であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/71
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072・横山利秋
○横山委員 私は、議事録がないだろうと言っておるんですよ。しかし、事務総長は議題としてとおっしゃったんですから、要点でもいいから出してくれというのをどうしてそう抵抗するんですか。茶飲み話で、おい飯守君、ちょっと気をつけろよ、ああ、そうですかというようなことを、こういう速記録に載るような話にされたんでは困る。だから、もしそうであるならば要点でよろしいとくどく言っておるんですから、そのときの要点をここで出してもらいたい、こう言っておるのをどうしてそうためらうのですか。あまりためらうと、茶飲み話で言ったのを麗々しく事務総長がおっしゃったようにとりますよ、あなたは議題だとおっしゃったから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/72
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073・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 議題というか、集まった人の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/73
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074・横山利秋
○横山委員 じゃ、話題じゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/74
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075・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 しかし、所長の会同、集まりのものを、普通軽い意味での議題といっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/75
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076・横山利秋
○横山委員 議題ですか、話題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/76
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077・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 議題といっても話題といっても私は同じだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/77
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078・横山利秋
○横山委員 いいかげんなことを言ってもらっては困りますよ。伏せてなくて、出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/78
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079・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 「広報」の執筆問題が論議されたということは事実です。そうして長官としてもよく注意をし、本人も十分気をつけるという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/79
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080・横山利秋
○横山委員 それを出してくださいと言っておるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/80
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081・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは向こうに要求して、そのときの話の内容を取り寄せてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/81
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082・横山利秋
○横山委員 それなら初めから――私が遠慮しいしい速記録はなかろうけれども、要点でもいいから、一つの締めくくりになると思って、手助けの意味になると思って、出してくれと言っておるのを、議題じゃない、話題だ、何のかんの、そんな態度だから問題が片づかぬ。そういうようなあなた方の私どもに対する態度だから、何回も何回も同じような堂々めぐりを繰り返すのであります。十分折り目、切れ目をはっきりしてもらいたいと思うのであります。五月六日にほんとうにそういうことをやったのなら、大体冒頭からそういう話が出て、前から予算委員会でも議論になっているんだから、本件につきましては、五月六日何がしの場所におきまして、何がしが飯守にこういう措置をいたしました。冒頭それが出てくればもっと話は回転をしたかもしれない。最後になって議題としたとおっしゃるから、ほう、議題となさったのかと言えば、議題じゃない、話題なんだ、こういうぐるぐる舞いをなさるから、私どもあなた方のお話を信頼ができないのです。
それでは、その要点が本委員会に文書として出ましたならば、あらためてその場の事情、その他をお伺いいたしたいと思います。
そこで、与党からも、初めての人がその話を聞いてああいう質問が出るわけであります。私は、先ほどあなたのおっしゃったことを、そのことばじりをつかまえるんじゃないけれども、どうもきょうは開き直っていらっしゃるんじゃないかという感じがするわけであります。というのは、先ほど高橋委員の質問に対しまして、正確にあなたの言ったことを言い得ないんだけれども、要するに裁判官云々とするならば、場所が違う。また、あなた方がそこまで言われるなら、話が違うんじゃないか、場所が違うんじゃないかとでもおっしゃりそうな雰囲気がありました。本来、そういうことをほんとうにあなたがお考えであるとするならば、一号から六号までですか、これが内容的にいかぬというて注意をされたこと自身にまでさかのぼって問題が発展をし、矛盾が生じてくるわけでありまして、私どももその場所を承知をして、私は、前の速記録を読んでもらえばわかるんだけれども、本来的には裁判官として適格ではないと思うけれども、しかし、ここでそういう問題に発展さすべきではない。さしあたり、かかる文書を毎月毎月出しておるということは、適当ではない。だから、すみやかに善処されることを要望するということで一貫してきたわけであります。ほんとうにそれが、善処されるということが、突き詰めていえば――こういう人はある時期にはベートーベンになるけれども、ある時期になるとすぐにこういうようなところにまた一歩後退二歩前進してくる可能性がある。だから、こういうことで国会で問題になり、こういうことで、――本人もどういう心境だか知りませんけれども、こういうようなことが続くことが何の効果があるか。私は、本日の速記録を飯守さんに送って読んでもらいたいと思うんだけれども、飯守さんはこういうことを裁判所の、二百人だか三百人か、どのくらいいらっしゃるか知りませんけれども、ほんとうに裁判所の職員が、全くごもっともごもっともといって読んでおるとうぬぼれておるのかと言いたい、実際。うぬぼれもいいかげんにしたらどうだ。大東亜戦争は聖戦だとか、あるいは民族解放の戦いであったとか、極東裁判はけしからぬとか、こんなことを書いておったのでは、部下は心服しませんよ。そういうような総合的な判断をしてみたら、おやめになったほうがよろしいと私は速記録を通じて逆に飯守さんに言いたい。そういうことも含んで、裁判官として公正に信頼感を部下からも得、やっていくためには、どうあるべきかという点については、あなたから、また高い次元から見て、この際ひとつ執筆をしないほうがいいのじゃないか。むしろこういうようなことを書きたければ、別の場所をもって書くべきであって、裁判所の「広報」に書くべきものでない。ほんとうに自分がやりたければ、裁判官をやめて、どこへ行ってでもいいから、中央公論でも何でもいいから、もっと自分が、ほんとうにこういうことを言いたいなら、書きたいなら、世間に訴えたいなら、自由な身になっておやりなさいと私は言いたいのであります。しかも、何といっても一貫していることは、これは一つの政治活動だと私は思っておる。ある意味において政治治動ですよ。裁判官がそういう政治活動を――政治的なイデオロギーを宣伝し、そうしてやっておることは、私は決して妥当だとは思わないのです。ことばがいささか過ぎる点があったかもしれませんけれども、国会だから、私どもが言うからこういうふうに答弁するというような立場でなく、もう一歩高いところから見て、こういうような随筆が裁判所の「広報」の冒頭を飾る、そして国会の論争の焦点になるというようなことは、決して最高裁判所のためにもならなければ、裁判官のためにもならなければ、飯守さん個人のためにもならぬ。それともあなたは、こういうことを書いておることによって、たいへん有益である、部下職員のためにたいへん有益であるというふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/82
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083・大坪保雄
○大坪委員長 答弁を要しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/83
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084・横山利秋
○横山委員 要ります。今度はあなたの人生観を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/84
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085・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 まあ、ここは私の人生観を申し上げる場所じゃないと思いますが、いま横山委員がおっしゃった、はたしてどの程度の効果があるかどうか。そういうことは、私どもとしても、わずかそんなああいう方法でやったって、はたして効果があるかということは……(横山委員「逆効果ですよ」と呼ぶ)これは内々で言っております。しかし何ぶんにも、とにかく信念のかたい人で、そしてある限度を越えたことは書かぬと約束しておりますから、それすらも絶対書くなということは、いまの状況としては、そういうことはいかがかと思います。そういうことであります。
それから少し開き直っておるとおっしゃいましたけれども、決してそうではなくて、事柄が裁判官の適格の問題になった場合には、これはやはり厳密な手続で、厳密な証拠に基づいて論議されなければならない。ああいう人間だからどうということをここで論議されることは、ちょっと場所が違うのじゃないか、そういう意味で、これはこの前も私申し上げておることで、横山委員も、これは御了承になっておったことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/85
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086・横山利秋
○横山委員 それでは、その五月六日の要点の議事の内容が出ましたら、どういう措置がされたかということを確かめた上、さらに質問を続行いたしたいと思います。
お断わりしておきますけれども、本法案は、裁判官を含む定員の法案であります。裁判官というものが足りない。そうしたらば、どうしたら裁判官が充足をされ、そして裁判官として適正な仕事がやっていただけるかということが、審議の対象になっておるわけであります。したがいまして、本法案と飯守さんの問題とは、密接にして不可分、私どもはそう考えております。それを何か飯守さんの問題は別だとお考えになりましたのでは、私ども審議の趣旨に反しますから、この点は、いやなことを言うようですが、十分にひとつお含みおきを願いたいと思います。
これは「裁判所時報」であります。ここには随筆は書いてありません、幸いにも。これを拝見をいたしましたところ、裁判所予算額歴年比較表というもので目にとまりました。私は本法務委員会におきまして、及ばずながら同僚諸君とともに、この裁判所の予算の増額に高い次元からいささか微力を尽くしてまいったつもりでありますが、これによりますと、国の予算総額の中における裁判所の予算額は、年々どうも低下の傾向にある。一番高かったのが三十年の〇・九一八%、三十二年が〇・九三八%であります。それに比べますと、三十八年〇・七四四、三十九年〇・七三六、四十年が〇・七六一、四十一年〇・七三一、四十二年になりますと激減いたしまして〇・七〇四、こうなっておるわけであります。これは一体何たることかということであります。もちろん本表は当初予算に対する比較であって、補正予算等は含まってないのでありますが、いずれにいたしましても、本年度の予算の国の予算総額の中における地位が、歴年にない減額がされておるということは、一体どういうことからこういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/86
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087・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 予算関係のこまかい数字のことは局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/87
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088・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまの横山委員のお尋ねの点、一応数字的な点を私から申し上げまして、また大局的な見地はあとで事務総長に補足していただきたいと思います。
裁判所の国の予算総額に対する比率の問題は、いま横山委員から御指摘のございましたとおりでございます。実は私どもとしてはいささか情けない、申しわけない面もございますが、率直に「裁判所時報」に掲載いたしまして皆さまの御批判も得たい、こういう趣旨に考えたわけでございます。確かに御指摘のとおりパーセントが若干減っております。金額は相当ふえておるわけでございますが、国の予算総額が非常に大幅にふえておりますために、比率が減るという関係になるわけでございます。これは何と申しましても、国の財政全体が、大きな政策であるとか、あるいは事業であるとか、そういうふうな関係で非常に大幅な事業費あるいは政策費が組まれることになりますと、どうしても裁判所のようなじみな関係のものは、金額がふえましてもパーセントが減るというような結果になってまいるわけでございます。私どものほうとしては、金額の点では裁判所としてはある程度までの満足を得られるような数字になりましても、それが最後で見ますと総額との比率では減っているというような現状になるわけでございまして、この点は前々からいろいろ関係方面にも働きかけ、努力してまいっておるわけでございますが、御指摘のような数字になっておることは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/88
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089・横山利秋
○横山委員 金額がふえているのはあたりまえですよ。あたりまえだが、国の予算総額の中で年々、ここ十年来減っていくということは、私がもういつの予算のときでも言っておるように、この裁判所の予算というものは、特筆大書すべき大事件があるわけではない、経済の動きによってたいへんな問題があって増額要求が出るわけではない。しかも人件費関係がわりあい多いのだから、よほど腹を据えて交渉をしなければだめだ。裁判所はそのためにのみ財政法で特別な二重予算権というものがある。だからこの漸次低下のパーセントをとってくるような状況では、何かのときに、しっかり土性骨を据えて予算問題を議論をしなければだめだと言うておるわけでありますが、私はこの「時報」を見まして、うかつな話でありますが、こんなにことしは全体のパーセントから減っておるのかということを見まして、ますます私の平素の考えを強くしたわけであります。事務総長御就任以来激減をいたしておるわけであります。あなたはもうこれで二回予算編成をおやりになったのですか。――そうですね。あなたの時代になってから国の予算額に対して四十年は〇・七六一で、四十一年〇・七三一、四十二年〇・七〇四。何をしていたのですか。こんなことでは裁判所の運営ができないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/89
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090・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所の予算のことにつきましては、かねてから非常な御関心をいただいておることは私も承知しております。ここ二、三年、パーセンテージが減ったことは事実であります。まあ額が上がっておるということは、総務局長からお話ししたとおりであります。何ぶんにも裁判所というものは、事業というのを持っておりませんので、最近のような経済情勢のもとで、事業を持っている官庁が多くて、そこで、その予算がふえて全体がふえたからといって、裁判所がすぐそれにマッチしていくということもなかなか困難なことだと思います。そういう点でパーセンテージは減っておりますけれども、幸いにして営繕費だけは少しずつ毎年ふえてきておるわけです。あとは必要な人員の充実とか、あるいは機械器具の充実、そういう面については、今後十分心がけていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/90
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091・横山利秋
○横山委員 この間私が要求をいたしました、四月の定員配置の資料は、お出しくださいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/91
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092・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 事務局のほうへ提出いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/92
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093・横山利秋
○横山委員 ちょっとこれを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/93
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094・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 横山委員から前回御要求がございましたが、最近の部内の定員配置の改正に伴う現在の配置定員というものを出せというお話でございまして、それがいまお手元に出しました資料でございます。定員法の趣旨に基づきまして長官、判事、判事補、簡裁判事、その他の職員、かような分類にいたしたわけでございます。この御説明と申しましても特にこまかい点、ございませんが、要するに高裁、地裁、家裁というふうにいろいろ分かれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/94
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095・横山利秋
○横山委員 私の知りたいと思いましたのは、どこにどれだけの人数が増員されたかということはわからないのですか。これでは新定員の配置だから、どこへどういう職名でどういう個所に配置をされたというのか、これはわからないですね。そういう表ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/95
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096・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 前回のお話は、最近の配置定員表を出せというお話のように承りまして、その配置定員表そのものは、非常に複雑なものでございますので、それの要旨を出した、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/96
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097・横山利秋
○横山委員 それでは十分趣旨が徹底しなかったのでありますが、この総計は出ておらぬのでありますが、これはなにでございますか、この総計が新定員の全部の総計でありますか。それとも保留定員があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/97
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098・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは前回にも申し上げましたとおり、新定員というお話は、あるいは現在の職員定員法の御趣旨かと思いますが、現在の職員定員法は全然含まれておりません。これは国会を通過いたしまして、そのように増員になりますれば、その際しかるべくそれぞれ配置する予定でございますから、ここには全然織り込まれておりません。
このトータルが、結局現在の裁判所職員定員法の現行の定員法になるわけでございますが、ただこれには最高裁判所が載っておりませんので、この最高裁判所の分はこの中から除かれておる、そのような関係になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/98
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099・横山利秋
○横山委員 あなたのほうは定員を中央においてリザーブして、そして時々刻々必要なところへ配置するというような仕組みはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/99
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100・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 その点はややデリケートな関係ございまして、考えようによりますれば、リザーブというふうな見方も立つような関係になるわけございます。と申しますのは、結局、ある時点で急に人が必要であるという場合には、そこに回すことになるわけございますが、それはしかし、観念的には、どこかの裁判所の一応定員にある者が、それが要するに埋めない形で置いてある。それを回すということになれば、最高裁の留保ということにはならないわけでございます。そういうやりくりになるわけででございますから、そういうものを最高裁の留保というふうにお話しいただくとすれば、あるいはそういうふうな見方も立つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/100
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101・横山利秋
○横山委員 そうしますと、この定員が配置されると、あなたのほうから、どこそこの百何名のうち、何名はいつ採るかわからぬぞというようなしかけをしておくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/101
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102・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは、その点も裁判官の場合と一般の職員の場合とやや違うわけでございますが、裁判官の場合は、実はこういうことを私が申し上げるのもいかがと思いますが、この配置定員どおりに常にあるなどともいえない面があるわけでございます。と申しますのは、裁判官にはいろいろ身分保障等もございますので、かりにある裁判所が過員になりましても、それを強制的に異動させることが必ずしも当然にはできない。相当協力していただいておりますが、そういうような面もございます。あるいは、いろいろ途中で定年になられる方の補充の面があったりいたしまして、そこはこれを基本にして、人事局のほうでまた具体的な配置を考えるということにならざるを得ないわけでございます。
一般職のほうにつきましては、現地採用の者がかなりございますから、そういう問題はないわけでございますが、これまたかりに定員を削りましても、これは絶対に首切りというようなことはできませんし、それからまた、全国的な異動ということができませんので、そこはいわば過員のような形になって残るわけでございます。
それが、その過員を解消いたします場合でも、その職種によっては、たとえば電話交換手がやめたからといって、過員だから補充しないというわけにまいりませんから、そういう場合は過員であってもまた補充することになって、いわば定員と一致しない状態が続くような場合もあるわけでございます。しかし、そうでないような職種の場合には、過員になっておれば解消するようなことになりまして、そういう定員がまたほかのほうへ流用と申しますか回ることになる、こういうような関係になってまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/102
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103・横山利秋
○横山委員 わかりました。そうしますと、あなたのおっしゃるのによれば、中央においてリザーブしていくということは行なわない、地方においてある程度のリザーブを横へ動かす、こういうことなんですね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/103
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104・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 まあ結局そういうふうになるわけでございますが、しかし中央でひもがついておりますれば、中央でリザーブしている。結論においてあまり変わらないような意味を持つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/104
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105・横山利秋
○横山委員 次に、この前私が、おととしでございましたか、職業病について質問をしたことがあるわけでございますが、速記及びタイピスト等において、最近裁判所系統で腱鞘炎というものが相当ふえておるというふうに聞いておるわけでございますが、その事情をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/105
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106・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 前回の委員会でも委員から御質問がありまして、お答え申し上げたのでございますけれども、ただいま東京地裁から腱鞘炎等のいわゆる申請は五件、その他が二十六件、合計いたしまして三十一件の申請がありまして審査いたしておる段階でございまして、その一部につきましては、鑑定等に回して専門家の意見を求めているというようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/106
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107・横山利秋
○横山委員 腱鞘炎というのは、私、不敏にして十分わからないのですけれども、腱鞘炎の原因並びにその病状はどういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/107
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108・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは要するに、腱鞘と申しますか、ここに炎症を起こしまして、そしてタイプ等を打つことが非常に困難になるというような症状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/108
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109・横山利秋
○横山委員 三十一件の申請が出ているというのですが、これはあなたのほうは人事院の関係はないのだから、最高裁のあなたのほうの所管で公傷であるかいなかということをきめるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/109
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110・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/110
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111・横山利秋
○横山委員 その三十一件の処理がおくれておるという苦情が来ておるわけでありますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/111
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112・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 人事当局といたしましては、鋭意一生懸命やっているつもりでございますけれども、そういうような、早くしてほしいという希望ももちろんございます。できるだけそれに沿うように、すみやかにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/112
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113・横山利秋
○横山委員 腱鞘炎の申請が出て、三十一件、一番最初に申請が出たのはいつごろのやつで、そして三十一件のうちで、私の手元にはまだ一件も認定されておらないという苦情が来ておるわけでありますが、古いのでいつごろのやつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/113
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114・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 一番多いのは、昨年の十月二十八日に、速記官それからタイプをまぜまして、東京地裁から二十一名の申請がございまして、これについては現在鋭意やっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/114
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115・横山利秋
○横山委員 それからもう一つ、書痙というのですか、これはどういう病気で、どのくらいの件数があがっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/115
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116・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 書痙につきましては、これもやはり字が書けなくなる病気です。現在二件ございまして、審査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/116
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117・横山利秋
○横山委員 こういうのは、裁判所系統では、速記、タイピスト、書記、字を書くのが一番多いのでございますが、ほかの省と比べて特にやはり裁判所系統が多いのでございますか。ほかの省の厚生省を一ぺんたずねてみましたけれども、厚生省ではわりあいに早く認定をしておるというのでありますが、あなたのほうはそういう専門家がいないかどうか知りませんけれども、非常にピッチが上がっていないという苦情がきわめて強いのでありまするが、いつごろどういう判定をなさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/117
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118・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判所のほうに特別に非常に多いということもないようでございますけれども、しかしながら、御趣旨のようにできるだけすみやかに審査し、判定しなければならない、こう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/118
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119・横山利秋
○横山委員 同じようなことばかり言っておってもしかたがないのですが、できるだけ早く、できるだけ早くと言っておって、厚生省ではわりあいに早くやっておるのに、あなたのほうは、話によりますと、書痙の場合でも二、三件、腱鞘炎についてはまだ一件も認定していないというのは、いささか――おそらくそれは本人から地裁、高裁等を通ってくるわけですね。そういうきわめて事務能率が悪いというか、あなたのほうでこの問題についてむずかしい考えを持っておるかどうか知りませんけれども、少し仕事が手ぬるいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/119
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120・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 そのような御批判もあるものと存じます。できるだけすみやかに処理いたしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/120
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121・横山利秋
○横山委員 次の質問者も待っておりまして、飯守問題がかみ合わないのでだいぶ時間がたちましたのは、私の責任じゃありませんからごしんぼう願います。しかし、次に待っていらっしゃるから、最後に一つだけお話を、意見を含めて申し上げたいと思います。
裁判所へときどき行きますが、裁判所というものの仕事上やむを得ないというふうには感じますけれども、裁判所というものの中の雰囲気は冷たいもの、あるいはサービスがないのが普通というような感じがいたすわけで、裁判所の建物も、そうほかの役所と同じように改築をするわけにはいきますまいけれども、もう少し裁判所の雰囲気というものは、新しい社会、世の中になったのでありますから、雰囲気を少し変える必要がありゃせぬか。私は先般本委員会で取り上げて、少し改善をしていただいたことがありますけれども、それは出頭通知にしたところで、朝来いといっておいて、昼からしか開廷がされない。めし食べるところもありゃせぬ。コーヒー飲むところも、うろうろしていてその間に開廷されるということもあり得るから――裁判所の中でベンチもありゃせぬ。突っ立っておるか、表の広場の芝生に腰をおろしておるというように、国民に対する親切さが、裁判所は少し足らなさ過ぎる。足らぬどころか、裁判所はそういうところなんだというふうに思い過ぎておるのではあるまいかということが第一に痛感されることであります。また、たとえば先般来問題にいたしました執行官事務所につきましても、地下の穴ぐらみたいなところへ入れて、いつまでもそれでいいことだと思っておる。
それからもう一つの問題は職員及び職員団体との関係であります。どう考えてみましても、職員団体と裁判所の関係というものは、私はアブノーマルだと思っておるわけであります。どこに一体問題があるのか、それはものも言いようで、いろいろあるでありましょう。けれども、そこにはお互いを十分に信頼し合って、話し合いをする、交渉するという気風に乏しいのではあるまいか。また裁判所自身として職員の福祉厚生について、他の官庁と比べて非常に足らない点があるのではあるまいか、裁判所というものが、きわめて冷厳にして、きわめて峻厳にして、きわめて理屈のところであって、上下関係をきちんとしてという昔ながらの雰囲気を脱し切れないのではあるまいか、そういう点を私は痛感するのであります。それを是正すると、かえって何か裁判所の権威を薄めたり、あるいは庶民に対して誤解を生じさせたり、裁判所はサービスするところではないというような感じが、この根底にあるのではあるまいか、私はそう考えられてならないのであります。そういう点について、きわめて抽象的でありますが、具体的事例を引用しようとすれば幾らもあるのでありますが、事務総長はどういうふうにお考えになっておられるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/121
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122・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 全般的なことを私から申し上げますが、戦後の新しい制度の裁判所というものは、昔と違いまして、国民のための裁判所、裁判所に用のある人は、自由に楽な気持ちで入ってきなさい、そういう雰囲気でなければならぬわけであります。その点につきまして、かねてから窓口事務の改善とかいろいろやっておりますが、まだ不十分なところがあることによって、ただいまのようなお話が出たと思います。しかしわれわれとしては、裁判所に出入りする人たちの便宜をはかるということ、これは十分注意して、今後もやはり注意を続けていきたいと思っております。
呼び出し時間のような問題もございましたが、これはやはり民事、刑事、いろいろ事情によって違うと思いますけれども、それも午前と午後と分けて区別して、証人にむだな時間を使わせないように、そういう方向に次第に持っていきつつあるわけであります。しかし、現状をもって決して十分だというわけではございません。これは全国的な問題として、裁判所と国民、民衆の問題これを考え、また施策を講じていきたいと思っております。
こまかいことがございましたら局長からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/122
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123・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 職員組合との話し合いの問題がございましたけれども、これは先ほどから傍聴席に吉田委員長来てじっと聞いておられるようでありますが、申し入れがあれば必ず、いつも一ぺんも断わったことはない。実際に相交えまして、そして夜おそくまでお互いに話し合って、それはお互いの立場、立場がありますから、おのずから意見の一致しない場合ももちろんございますけれども、お互いの意見の交換は十分にいたしておるつもりでございますし、またこれからも十分いたしたい、こう存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/123
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124・横山利秋
○横山委員 長い間恐縮でございましたが、私も、おそらく同僚委員もそうでありますが、このほかの委員会をずっと回りまして、そして法務委員会へ来ますと、どうしてもくつの裏から足をかくような気持ちが法務委員会においては争われないのであります。それはどういうことかといいますと、それは法務委員会の審議の内容がそうではありますが、同時に法務省なりあるいは裁判所機構というものがきわめて弾力性に乏しい、動脈硬化とも言えますか、打てば響くというような、そういう雰囲気にきわめて乏しく、一国一城のあるじを気取っていらっしゃる方が多い。大体裁判官はそういうものではございましょうけれども、それにしても官庁機構として、きわめて弾力性といいますか、時勢に即応して、改善すべきところをどんどん思い切って改善していくというような雰囲気に乏しいということを、私は痛感をしておるわけであります。せっかくこのような状況を御反省くださいまして、裁判の促進や、あるいは庶民のサービスや、あるいは労使関係というようなものについて、もっと弾力性のある、打てば響くような改善をどんどんやれるような仕組みをつくっていただくように要望をいたしまして、あとの人も残っておりますから、私の質問は保留いたしまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/124
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125・大坪保雄
○大坪委員長 沖本泰幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/125
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126・沖本泰幸
○沖本委員 先ほどの質問に重複するところが出てくるかわかりませんが、よろしくお願いいたします。
前回の委員会で総務局長ですか、御答弁の中で、裁判官の負担になるものは道路交通問題、どれと指定するわけにはいかないけれども、非常に多いというような御答弁があって、それが裁判の進行をおくらしておる一つの原因になっておるようなお話がございました。そこでたとえば道路交通問題に関してでございますが、簡易裁判所等では罰金刑というようなものに関しては、交通裁判というような一つのあり方になっていって、どんどん進められていっておるわけですけれども、それに付随して損害賠償なんかの訴訟になってきて、だんだんと問題がふくそうしてきて、事件がたくさん重なってくる、それがあとへあとへ繰り越していって、事件件数が多くなっていって、結局その判決がおくれていき、ふくそうしていっている、こういうことになるのじゃないかとも考えるのですが、自治省のほうでも、この交通問題に関しては反則金の問題もあげてきて、いろいろと問題になってき、当委員会でも、この次は、こういう問題に関して、刑法の一部改正という問題にも変わっていくわけなんですが、その中にあって、そういう問題に対して、裁判所として、こういう影響がきておることに対して、何らかの統計表をおつくりになっていらっしゃるかどうか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/126
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127・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま沖本委員からお尋ねのございました点、前回私が松本委員のお尋ねに対しまして申し上げました点、やや、あるいは私の言いようが不正確であったのかもしれませんが、誤解を受けた面もあるかと思いますので、あらためてもう一度申し上げたいと存ずるわけでございますが、前回、私、松本委員のお尋ねを、裁判所の中で一番多い事件は何かというふうに、これは取り違えたのかと思いますが、いたしましたものですから、それはいわゆる交通事件であるというふうに申しました。昨年度、昭和四十一年度では、三百八十万件という交通事件があったわけでございます。
〔委員長退席、安倍委員長代理着席〕
もっとも、これも四十年度よりは若干減っておるわけでございます。交通事件は四十年度が四百十六万件ございましたのが、どういうものか四十一年度に三百八十万件と、三十万件余り減っておりして、ここの点はやや疑問でございますが、それにいたしましても、三百八十万件というばく大なる事件だという意味で申し上げたわけでございます。しかしながら、これは現在でもいろいろ、御承知と存じますが、交通切符制というようなものがございまして、東京でございますれば墨田の簡易裁判所へおいでいただけばよくおわかりいただけると思いますが、いろいろくふういたしまして、比較的簡易迅速にやる手続をとっておりますので、件数そのものは三百八十万件と申しましても、それが非常な裁判官の負担になって、ほかにしわ寄せがいっているとは必ずしも考えておらないわけでございます。むろんこれも相当な負担であることは間違いございません。実質的に見れば、やはり民事訴訟、刑事訴訟、たとえばいま御指摘の交通事件と申しましても、人身事故の事件、人が死んだというような事件にひまがかかるわけでございます。いわゆる交通事件の信号無視だとか、駐車違反というような事件は、数は非常に多いわけでございますが、それほどの負担になっておるわけではないわけでございます。しかし、全体として訴訟がおくれておるではないかというお話でございますが、確かに私どもも現在非常に不満に思っているわけではございますけれども、しかしながら、先国会、先々国会以来、逐次裁判官その他の職員を増員していただきました効果が、徐々にではございますが、あらわれてまいっておるわけでございまして、この定員法の参考資料として法務省を通じて提出いたしました資料の一二ページをごらんいただきますれば、高等裁判所につきましても、地方裁判所につきましても、平均審理期間が少しずつではございますが改善はされておるわけでございます。裁判所のことは非常にスローだとおっしゃられると、確かに改善そのものも非常にスローで、申しわけないのでございますけれども、しかし、ともかく改善の方向に向かっておることは、この統計資料でごらんいただけると思うわけでございます。
それからなお、交通事件の点についてお話がございました。警察庁なり法務省のほうで、いわゆる反則金という制度をお考えになって近く国会に御提出になるやに伺っておるわけでございます。私どもとしても、いろいろそれに対して意見は申し述べておるわけでございます。私ども、ああいう簡単な事件について比較的簡易な手続で進めていくという基本的な考え方そのものについては、少しも異存はございませんし、また、裁判所があらゆる事件に必ず最初からタッチしなければならぬというふうにも考えてはおりません。しかしながら、その手続のこまかい構成につきましては、まだ必ずしも裁判所の意見が十分にその法案の中に入っていない面もあるようには考えるわけでございます。今後その点はさらに十分申し上げたりお話し合いをしたいと考えておりますが、そういうような状況でございまして、この国会がどういうことになるか存じませんが、何らかの方法をもちまして、交通事件が十分な権利保護をもって円滑に処理されるということは、心から期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/127
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128・沖本泰幸
○沖本委員 それに関してですが、横の相談はいろいろある、こういうことなんですが、定期的に合同会議をお開きになっているとか、問題に対していろいろ科学的な分析をなさっていらっしゃるものか、あるいは裁判所として独自の立場であまりそういう問題に関連しない、こういう方向をとっていらっしゃるのか、どういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/128
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129・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま沖本委員のお話しの点は、裁判所としては非常に大事であり、しかもまたデリケートな点を含んだ問題でございます。つまり、個々の裁判官が裁判をしますにつきましては、一〇〇%独立でございまして、いやしくも最高裁判所といえどもそれに対して何らの意見なり注文をつけるわけにいかない、かようなことはいまさら申し上げるまでもないことでございます。しかしながら、同時にまた、それは独善であってはならないことも当然でございまして、やはり十分に意見を交換して、そしてなおかつその裁判官が信念を持ってかような裁判をするということであれば、これは最も好ましいわけでございます。そういう意味におきまして、私どものほうは、ほかの行政官庁のようにたとえばいろいろ通達を出して縛るとか、命令をするとかいうことは、一切いたしておりませんかわりに、会同という方法をとっておるわけでございます。
会同といたしましては、いわゆる中央会同と申しまして、全国のその関係の裁判官を東京に集めまして、大体六、七十人になりますが、それを十分討議をしてもらう場合、それから、各ブロック、高裁管内に集まってもらいまして、場合によりましては最高裁の事務総局から、たとえば民事局等で専門に研究しておるような者が出向きまして、そこで裁判官同士で十分に討論する、日報資料その他がございますればこちらから提供する、かような方法で十分な意思の疎通をはかり、その上に立って、それぞれ独立の意見で裁判をする、かような方法をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/129
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130・沖本泰幸
○沖本委員 いま、審理期間がずいぶん改善されてきた、こういう点について増員の効果があった、こう御発言なんですけれども、この審理の期間が改善してきたというのは、人員の増加によるものなんでしょうか。あるいは、各人の方々が自発的にそういう問題を早く解決しなければならない、こういうことから審理が早められていったか、こういうことになるわけなんですが、それにつきましては、いわゆる損害賠償の問題にしましても、判決がおくれたために被害者のほうが賠償を受けるまでにつぶれてしまっておるという事情とか、いろいろな内容がからんでくるわけなんですが、こういう点については、いままでのいろいろ新聞発表等でも、裁判所のほうもこういう交通問題に対しては早くから判決を出さなければならないというようなことも伺っているのですが、この問題に関して、どの辺が人員増によってそうなったのか、あるいは自発的な裁判官の意思によってそうなっていったのかということになるのですが、そうなってくると、一審でどれぐらい判決がかかっておるとか、件数が幾らであるとか、二審でどういうふうにかかっておるとか、そういう統計的な数字はないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/130
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131・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま最後にお話のございました統計的な数字でございますが、民事・刑事訴訟事件一般ということでございますれば、先ほども申し上げました、ただいま御審議いただいております定員法改正法律案参考資料の一二ページに、各審級に分けまして平均審理期間が出ておるわけでございます。ただ、あるいはお話はいわゆる交通関係の損害賠償事件ということになるかと存じますが、そうなりますと、これはあるいは十分にいろいろ資料をそろえまして調べますれば、出ないことはないかと思いますが、たまたま手元にはございませんし、ある程度の作業を伴うことではないかと考えておるわけでございます。
〔安倍委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点が増員によって改善されたのかどうかという点は、これは非常に複雑な要素があるわけでございまして、増員も確かに一要素であり、またわれわれが絶えず定員配置についていろいろな方策をとっておりますことも一つの要素であり、さらには補助機構、あるいは研究庁費その他の予算を入れていただいておること、そういうすべての施策が相まって幾らか改善されつつある、かように考えておるわけでございます。将来とも幅の広い施策でもって改善の努力を進めてまいりたい、かように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/131
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132・沖本泰幸
○沖本委員 それに関しまして――当委員会の委員の方は、専門家の方々が多いわけでございます。私は、全然こういう問題はしろうとで、発言の中にも専門的なことばも出ないようなことで、そんな質問を、ということになるかもわかりませんけれども、国民の立場で伺っておると、こう了解してお答え願いたいのですが、私が知っておる中の一つの民事の事件で、第一審で七年かかった。その間に裁判官が八人かわっておる。それで、その八人の中には、一回も法廷を開かずにおかわりになった人もある。こういうはっきりした内容があるのです。これは私が知っているわけなんですけれども、そうなってくると、人員増とかという問題によって審理が進められていって改善されていくということでなくて、こういうふうな裁判官の異動によって裁判がおくれている、こういうことも言えるんじゃないかと思うのですが、この点がどう考えても私は納得のいかないのですけれども、いわゆる人員が増加されていって、裁判が早められていくのか、またその裁判所の内容によると、弁護士さんのお話ですと、あの裁判官の方は気性がこうだから、性格がこうだから、それに対する準備はこういうふうにしなければならないとかというような内容もいろいろあるわけです。そうすると、かわられると、初めからまた事件の内容について書類の準備をしなければならない。こんな点を私自身が経験したわけなんですけれども、そういう点と、裁判所の人員増というものと比べてみると、何かしっくりいかない感じを持つのですけれども、この点どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/132
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133・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま沖本委員のお話の点は、きわめて重要な点に触れておるわけでございまして、私どもも常にその点を慎重に検討し、また対処しておるわけでございます。私、全体の事件の総合的な平均審理期間という点では、増員によって改善の効果があがりつつあるというふうに先ほど申し上げましたけれども、個々の事件をとってみますと、これはいろいろな要素で非常に長期化しておるものがあることは御指摘のとおりでございます。交通事件で、損害賠償の関係が一審で七年かかったということ、私、具体的にはいま資料を持っておりませんけれども、あるいはそういうものもあろうと思います。(沖本委員「いや、いや、交通事件ではありません。民事事件です」と呼ぶ)失礼いたしました。では、一般の民事事件でそういうものもあろうかと思います。ただ、その場合に、民事事件の場合でございますと、まずそもそも原告の立証が非常に問題になるわけでございます。つまり、刑事事件でございますと、原告は検事、検察庁でございますから、これは何と申しますか、権力もあり、力もあり、知識もあり、非常な能力を持った方が原告になっておるわけでございますから、原告の力が足りないためにおくれるということはまあないといってよかろうと思います。これに対しまして、民事事件は、何と申しましても原告が私人でございます。場合によれば弁護士さんもついておらないわけでございます。したがって、裁判所へどういうふうな書類を出し、どういうふうな証拠を出せばいいかということ自体、十分御存じない方も多々おられるわけでございます。それからまた、弁護士さんがついておられましても、とにかく弁護士さんは、大部分はお一人ないしお二人ぐらいで、しかもいわば、その依頼人の費用でもって証拠をお集めになるわけでございますから、なかなかその資料の収集も十分いかないで、裁判所は受け身の立場で裁判をすることになりますので、原告から資料も出てこなければ、そう急にどんどん進行できないという面もございます。しかしながら、これは一要素だと申しておるだけでございまして、決してそれによって私ども裁判所の責任を回避しようということを申し上げるということでは毛頭ないわけでございます。特に、先ほど御指摘になりました裁判官の更送によって、裁判がおくれるということは、裁判所としては最も警戒しなければならない問題でございますが、同時にまた、ここに人事局長が来ておりますから、あるいは人事局長から御説明したほうが適当かとも思いますけれども、一応私から申し上げますれば、とにかく裁判所は、北は釧路から、南は鹿児島まで、しかも、地裁、家裁支部と、非常にたくさんの数の組織を持っているわけでございます。そして、そのすべての裁判所にはできる限り平等な力を入れたい。つまり、釧路の裁判は相当いいかげんでもいいというわけには決してまいりません。りっぱな裁判官を釧路にも配置しなければならないわけでございます。そうなりますと、また一面裁判官個人のほうから申しますと、釧路に十年間りっぱな裁判官におってくれということもなかなかむずかしいわけでございます。したがって、どうしてもある程度交流をいたしまして、そして全国の裁判所を均質化するとともに、各裁判官の、あまりに不利な扱いと申しますか、いなかに長く置かれないということを考えざるを得ない。その結果、かなり異動が行なわれるわけでございます。
そこで、その異動の際に非常に御迷惑をかけることになるわけでございますが、ただ、特殊の事件は、非常に顕著な例で申しますれば、たとえば東京のメーデー事件であるとか、あるいは大阪の吹田事件であるとか、こういうものを担当しております裁判官は、これは絶対に異動はいたしません。また、結審まぎわに重要な事件をかかえているというような場合には、その異動の時期をずらしたりいたしまして、できる限り、そういう具体的事件の処理と、裁判官の異動によってロスは生じないようにはいたしておるわけでございますけれども、しかしながら、何と申しましても、ともかく二千数百人の裁判官が千以上の組織に分かれるわけでございますので、その間の異動でいろいろな御迷惑をかけるという面が出てまいっておるわけでございます。しかし、こういう点は、しばしば弁護士会等から御注意もいただいておりますので、できる限りそういう点についての御迷惑をかけないようにという基本的な心がまえではやっておるわけでございますが、その点の至らない点はまだある、かように御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/133
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134・沖本泰幸
○沖本委員 いまのお話しの中で、裁判官の更迭でおくれるのは考えなければならないということでありますが、先ほど申し上げたのは、結局、更迭でおくれているといわざるを得ないわけです。交代して、審理を全然一回も開かずにまた次の方にかわっていった、またそのつど書類を準備しなければならない。また、いまの御発言では、原告の立証が問題になって、費用の点とかいろいろな問題があるということなんですが、そのために、先ほど申し上げましたとおりに、結局、ある裁判官は気性がこうだからというようなことで、まずその点をいろいろ弁護士さんが気を使って考えていらっしゃる。裁判についてそういう問題がからんではならないということなんですけれども、そういう問題がからんで、まぜこじゃ的なお話をしますけれども、たとえば書記官の方が要点速記をしていらっしゃるわけです。ところが、私どもが傍聴席で聞いておって、どういう意味かわからなかったり、ことばが聞き取れなかったりするものが記録になっておって、それをあとで裁判官はおとりになってお読みになる。そういう内容も見えるわけです。速記の方がついておれば別なんですけれども、そういう問題がからんできて、裁判官がおかわりになるということになるというと、前の記録を見せてみなさいということで、結局はっきりした審理が行なわれないのじゃないか。これは私のしろうと考えなんですが、そういうことがあるのじゃないか、こう考えるのですけれども、それにつきましては、先ほどの統計なんですが、五月十日という日にちが入っているわけです。これは横山さんの資料要求でおつくりになったものなんでしょうか。あるいは、前もってこういうものがあったのを、スライドしてこういうふうにお出しになったものなんでしょうか。どちらでしょうか。先ほどの質問とあわせてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/134
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135・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 先ほどの、と申しますと、どれでございますか。(沖本委員「原告の手続の問題ですね。」と呼ぶ)わかりました。
まず、初めの問題でございまが、確かに裁判官が更迭いたしますと、その前の書類を見て裁判することになりがちだという点は御指摘のとおりでございます。法律的には、その場合にはたとえば証人の再尋問を求めることができるというような規定がございまして、前の証人にもう一度新しい裁判官は直接に聞くということになっておりますけれども、しかし、そうすればまたますますおくれるというようなことがあったりいたしますから、なかなか実際はそうもいかない面もあろうと思います。そういう点はできるかぎり速記を利用する、あるいは録音を利用するということも考えておりますが、これも十分ではありません。しかしながら、そういう点はどうしても裁判官として書類上では納得がいかないという場合は、これは当然再尋問をして、もう一度その証人に来てもらって直接聞くという扱いにすべきだというふうにお互い申し合わせておるわけでございます。
それから、この資料の点でございますが、これはこの紙の形式のもの自体は、横山委員のお話に基づきまして新たにつくったものでございます。このもとになります配置定員というものは、これは既存のものがあるわけでございます。そのものの要旨をとりましてここで集計した、かようなことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/135
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136・沖本泰幸
○沖本委員 それで、先ほどからずっと質問してきている意味はどういうことかといいますと、結局ただこの定員に関するこういう基本的な資料だけでなくて、どこに欠員があり、どういうようなことで審理が行なわれていっている、どういう内容から事件の件数が詰まってきておるというような内容が、統計的にある程度お手元でわかるような仕組みになっていかないと、そういう問題は、適正配置されていって事件が解決していく、裁判が早くなっていくということにならないのじゃないかと思うのです。裁判の自主性というものは尊重していかなければならないわけですけれども、それはそれとして、そういう資料が、絶えず裁判を進めていく裁判官の方々に渡されていって、こういう問題は、こういうふうな影響力を得て長引いておると考えられるものがあるというものが、一つの参考資料になっていって裁判が早く進められていくということになるのではないか、かように考えるわけです。それについては、結局あらゆるところで電子計算機なり何なりを使って統計をとって、近代的にものごとを進めていくのに、いまの御発言ですと、横山さんの質問で準備されていっている。いつもお手元で人員の配置とか、いろいろなものが統計的に利用されていって、そして人事異動なり何なり事件の内容なんか行なわれていっているという中でこそ、初めて科学的にあるいは近代的に裁判が進められていくことになり、国民の満足するような裁判が行なわれていくということになるのではないか。ですから、いままでの御発言から伺いますと、そういう点はずいぶん裁判所はおくれているのではないかと感じるわけなんですけれども、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/136
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137・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 私の説明がまずいために、非常にそういう御印象を与えたとしますればまことに申しわけないわけでございまして、実はまさにおっしゃるとおりやっておるわけでございます。と申しますのは、まず、電子計算機のお話が出ましたが、実は裁判所でも最近電子計算機を備えつけております。これは統計を集計しておるわけでございます。ややてまえみそになるかと存じますが、日本の裁判所のいわゆる資料統計というものは、これはおそらくアメリカやドイツでも比較できないほどりっぱなものではないかというふうにいわれておるわけでございます。何でございましたらあとでお目にかけたいと存じますが、これは民事、刑事、家事、少年に分けまして、相当詳細な統計ができておるわけでございます。まずそれが一点でございます。
それから、その次に、それに基づいて常時定員の配置を考えるべきではないか、実はその点もまたまさにわれわれはそうやっておるわけでございます。そうやっておりますがために、つまり、たとえば横山委員からある配転表を出せとおっしゃっても、それはいわば極端に申せば時々刻々変わっておるわけであります。そういうもののいろいろそのつど変更いたしましたものを全部集計いたしまして出したこの紙そのものは、横山委員のお話でつくったということでございまして、そういう定員の配置の基礎資料というものは非常に膨大なものがございまして、とてもここでお目にかけることのできないほど膨大なものになるわけでございます。その中のほんの要旨をここへお目にかけておる、こういう関係になるわけでございまして、実際は非常に不十分ではございますけれどもやっておるわけであります。
なお、一言申し添えますれば、こういう配置をきめますのは職種によって少しは違いますが、たとえば裁判官の場合をとって考えますと、最近数年間の新受件数を基礎にしてかえるわけでございます。たとえば四十二年にかえるといたしますれば、大体三十九年、四十年、四十一年ぐらいからのその新受件数を基礎にいたしまして、今回は東京が非常にふえておるとかあるいは福岡は非常に減っておるとかというようなことをにらみましてこれを改めるわけであります。ただ、そうひんぱんに改めましてもなかなか人事異動が伴いませんから、そこである程度の期間ずつまとめてやる、こういうやり方をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/137
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138・沖本泰幸
○沖本委員 大体わかりましたけれども、資料の提出に関しては、むしろいまあなたがおっしゃったとおりのことがここに出されてきて、実はこういうことでここのところに欠員があるから、ここで定員を改正してもらうのだ、――法律で定められた定員法もあるでしょうけれども、実際問題として裁判所にはこういうふうな問題があるということを委員によくわかっていただくことも一つの方法ではないかと思う。そうすれば込み入った質問なんか出てこないと思う。そのために、われわれは一生懸命にこういうことはどうだろうかと考えなければならないわけです。そういうものは、そういう統計的なものを出していただければすぐに解消するわけですから、その点、説明が悪かったからそういう誤解をしたのではないかというような点は、むしろそういうような資料的な問題が弱くてそうなったのではないかと言わざるを得ないわけですけれども、その点もっとわかるようによろしくお願いしたいと思います。
それから、先ほどリザーブしてやっていらっしゃるということと、いまおっしゃったのとちょっと食い違うような感じもあるのですが、中央でリザーブしておって、地方でもやっておって食い違いがあるというような発言がさっきあったものですから、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/138
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139・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 まず欠員の点でございますが、欠員の点はお手元の法律案参考資料の六ページ、七ページ、裁判官につきましては三ページに提出いたしておるとおりでございます。これは二月一日現在でございますが、その時点においてかような欠員があったということを申し上げたわけでございます。
それからリザーブの点は、非常にデリケートなことを申しております。つまり中央でリザーブという表現が当たるかどうかは疑問というふうに申し上げましたのは、たとえばある裁判所の従来の定員がかりに十名なら十名といたしまして、これを八名にいたしたといたしますと、二名過員ということになるわけでございますけれども、やはり過員ならすぐそれはどこかに転任させてしまうか、あるいはむろん首切りということは考えられませんから、強制的に配置転換するかということになりますと、それはいたせないわけでありますから、そこにつまり二名が過員になっておるわけでございます。しかし、そうかといってその二名をすぐ別の裁判所に配ってしまうことは困るだろうし、予算定員をオーバーすることになりますから、それはできないわけであります。したがいまして、その過員が解消されますならば、それはいわば中央のほうに戻ってくるという勘定になりますから、それを中央でリザーブとおっしゃるならばそういうことになる、しかしそれは次のまた必要とする裁判所のほうに定員を配るというような関係になっておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/139
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140・沖本泰幸
○沖本委員 次に、先ほどちょっと質問したのですが、書記官がやはり筆記していらっしゃるけれども、その点については速記とかタイプとか、あるいは録音とかいうものを使ったほうがいい、徐々に改善していっている、こういうことですが、その点将来についてどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/140
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141・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 この点は、実は部内にもある程度までは両方の意見があるわけでございます。と申しますのは、何でもかんでも速記なり録音にすることが最も望ましいという意見も一方にございますが、また一方では、あまりにも膨大な書類ができるとかえって理解しにくい面がある。したがって、たとえば重要な証人だけは速記、録音等によるが、比較的重要でない証人――この重要でないという意味も少し詳しく申し上げませんとあるいは誤解を受けるかもしれぬと思いますけれども、ごく一例をあげれば、たとえば民事事件などで書証の成立だけが問題の証人というものは、そう詳しい調書をとる必要はないわけでございます。そこでその振り分けを、つまりどの程度までいわゆる逐語調書が必要かということが非常にむずかしい問題でございますが、いまのところ私どもとしては、ある程度のところまでは速記でまかなえておると考えるわけでございます。しかしながら、こういう問題は日進月歩でございますので、たとえば録音機というようなものの性能が非常に進んでまいれば、そういうもので代替する余地もできてまいりましようし、さらにしゃべったことがそのまま文章になってくるという機械も、発明されたとかされるとかいう話も聞いたわけでございまして、そういう近代的な設備を十分取り入れてまいりたい、こういう基本的な考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/141
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142・沖本泰幸
○沖本委員 私の経験した中にも、タイプやっている数字が出るやつがありますね。それで、結局、弁護士さんが次の公判までに記録がほしいといったところが、それが間に合わないわけです。しかたがないから裁判長の許可をもらってテープレコーダーを持ち込んで、それによって、こっちがそれを聞いて進めていったようなことがあるのですけれども、そういうようなことは、やはり裁判の遅延になるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/142
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143・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘のようなことのないように督励いたしておりますが、場合によるとそういうことになると思います。それは御指摘のとおり、裁判の遅延を導くものであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/143
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144・沖本泰幸
○沖本委員 それから、今度は突拍子もない質問をするわけですけれども、裁判官の方が夏休みがあるというのは、これはどういう制度なんですか。あるのでしょうか、ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/144
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145・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは一般的にいわゆる夏休みと称して休んでおります。これは各国の立法例ではほとんどどこの国にもあるようでございますし、日本でも裁判所構成法には規定があったようでございます。現在はそういう構成法的な規定はないようでございますが、しかしながら、裁判官もある程度公務員として休暇はとり得るものであろう。そういたします場合に、それぞれの者が個々にとりましたのではかえって御迷惑をかけることになるので、いろいろ申し合わせまして、つまり御迷惑をかけないような形で、半数は常にちゃんと出ておって、何どきでも受け付けられるようなそういう仕組みもありまして、そういうようなことが行なわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/145
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146・沖本泰幸
○沖本委員 そうすると、裁判官が夏休みで休暇をおとりになった場合の一般職員は、どういうことをやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/146
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147・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはあるいは人事局長から申し上げたほうが妥当かもわかりませんが、私、立ちましたのであれですが、これはいろいろなやり方があるようでございます。書記官などで、年次休暇をとらないでおいて、自分の担当しておる裁判官が休暇をとります場合に、いわゆる年次休暇をとるようなやり方をする方もおられますし、それから、どうしてもそういうわけにいかないような場合には、それは、その前に片づきました事件の調書をつくったり、記録の整理をやったりしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/147
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148・沖本泰幸
○沖本委員 それから、先ほど総務局長のお話で、裁判官の自主性というような問題がいろいろあったわけですけれども、これも変わった質問になるわけですけれども、これも私の経験した中で、たとえば法廷の中で証人が発言して、たとえばキャバレーでチップを払った。そのチップが、五千円から一万円払いましたと言ったところが、裁判官の方は、そんなに払うのかといって驚いておられたことがあるのですけれども、こういうのは裁判官の社会性がもう一つないということになるのじゃないでしょうか。それは閉じこもり過ぎているからわからないんじゃないかと思うのですが、こういう点はどうしていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/148
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149・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 裁判官が世間にうといということは、前から言われております。明治時代に化石というあだ名までもらったことがあって、大騒ぎになったこともあります。しかし、近ごろの裁判官は、決して化石化しておるわけではなくて、やはり広く世間を見、知識を集めておるわけでございます。いわゆる社交関係は非常に慎みますけれども、しかし決して閉鎖的じゃない。先ほどの五千円から一万円ということになりますと、これは裁判官のいまの俸給では、そういうところへは自分の金で行く人はまずありませんから、ちょっとびっくりしたのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/149
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150・沖本泰幸
○沖本委員 ところが一般社会では、会社なんかですと、そういうチップはあたりまえだというような考え方なんです。そういうものは、聞いておるほうが理解していて、結局裁判官のほうが、理解がないというので、これは実態調査しようという話が出ておりましたが、こういうのは聞いておるだけでナンセンスになるわけです。もう少し裁判官のほうも社会的な、つき合いはある程度別の面で、なさって、そういう教養を持っていただくのも一つの方法じゃないかと思うのです。そういう問題がやはり裁判所の中をかたくしてしまっておるということになるのじゃないかと思うのです。
先ほどの横山さんのお話に関連する話になるわけなんですけれども、先ほどは裁判官について問題になったわけですが、今度はそれより少し下がって、一般管理職の方々の中でそういう発言があった場合には、どういうことをなさっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/150
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151・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは実際行動としてあらわれた場合にどう処置するか、こういう御趣旨でございますね。――私ども、やはり職場規律を乱してはならぬ。これは厳としてやっております。しかし許された活動、組合活動なりというものは、これは御存じのとおりちゃんとした手続を踏めば、その規律の範囲内でやらしておるというよりも、むしろこれはそのまま許しておるといいますか、そういう状態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/151
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152・沖本泰幸
○沖本委員 ところが先ほどのような、一つの記事になった問題で論争したわけですけれども、たとえば長官の訓示であるとか、あるいは上級職の方の職場の訓示、そういうような中に、やはり同じような言動があるのじゃないか、あるいは政治上、宗教上の問題に関して、職場におる人たちに向かって、実際的な威圧でなくて、ことばの上の威圧があるのじゃないか、こう思うのですが、そういう点はありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/152
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153・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 日常の職場規律の維持、あるいは裁判所職員としての心がまえを説く際に、そういう問題に触れることはあろうと思います。しかし、裁判所は政治的中立が一番大事だ、その政治的中立を疑われないようにしてほしい、そういう趣旨の訓示といいますか、そういう話は、どこの裁判所の所長でもやっておるわけであります。そうしてそのために特に裁判所の長官なり、所長が、自分の考えを下級職員に押しつける、そういうことは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/153
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154・沖本泰幸
○沖本委員 そういう問題が少し逸脱したような、先ほどの逆ですね、先ほどは上だったわけですけれども、今度は下のほうの人に問題があったとして、そういうことが人事異動なんかの一つの条件になったりするようなことはないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/154
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155・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいまの御発言のようなことが、人事異動の条件とか参考になるということは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/155
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156・沖本泰幸
○沖本委員 よく見受けられるのですが、一般の職場ですと、働いていらっしゃる方は非常に明朗にやっていらっしゃるわけです。ところが、裁判所なんかになると、結局、出てこられるのに、一列に並んでお迎えしなければならないというようなことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/156
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157・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ちょっと御趣旨が必ずしもはっきりしなかったのでございますけれども、私ども取り扱います事件の性質とか出入する当事者等によりまして、これはほかの官庁に比べますと、若干暗いというか、そういう雰囲気はあると思いますけれども、しかし特に異なった事情というのはない、こういうように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/157
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158・沖本泰幸
○沖本委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/158
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159・大坪保雄
○大坪委員長 松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/159
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160・松本善明
○松本(善)委員 最初に先ほどの事務総長の答弁の中にありましたことでちょっとお聞きしておきたいのですけれども、飯守所長の問題ですが、身分保障の問題は、所長の地位についても適用があるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/160
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161・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 所長としての保障ということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/161
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162・松本善明
○松本(善)委員 ないですね。そうすると司法行政上の責任、飯守裁判官が地裁の所長としてやったことについての責任という問題、今度もここでもう一度勧告をするという問題がありました。こういう司法行政上の地位、そういうものについて責任をとらせる、そういうような考えは全くないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/162
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163・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 長官にせよ、所長にせよ、司法行政上の自己の責任を果たさなかった場合には、まず裁判所の内部の問題として分限の問題になることもありますし、あとから注意する、そういうことはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/163
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164・松本善明
○松本(善)委員 この飯守さんの場合にどうかということをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/164
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165・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 飯守所長の場合は、去年からの問題でして、前の経過を御存じないと、ちょっとすぐにはおわかりにくいと思います。大体例の一号から七号まで出ておりましたけれども、それが連載されたときに問題になった。そしてとにかくあの文章をどう受け取るかということは、人によってそれぞれ違いますけれども、少なくとも裁判所の職員に、政治教育を施しておるかのごとき印象を与えるようではよろしくない。だから、そういうことはやめるようにということを、直接の高裁長官から飯守所長に勧告した。そして今後はそういう疑いを持たれるようなものは書かないということで、八号以下は、現在十六号まで続いているわけですが、その際、今後は絶対執筆しないというのじゃなくて、そういう問題とされるようなものは書かない、そういう趣旨で福岡の高裁長官から飯守所長に対していろいろアドバイスをし、指示したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/165
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166・松本善明
○松本(善)委員 それはわかりますが、またここで問題になっているわけですし、それから与党の委員の中からも、もう一度やったほうがいいのじゃないかという話が出ておるわけです。今後の問題として、そういう司法行政上の地位に場合によっては及ぶということもあり得るのじゃないかと思うのですが、そういうことについては飯守さんの場合に一切考えていないのかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/166
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167・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これは将来の仮定の問題になりますが、そのときどういう事態が発生するか、その発生する事態によってそれぞれの適切な措置をとらなければならぬと思いますけれども、しかし現在そういうものを発動するという状況にはない。そしていまそれをやたらに振りかざしてやるということは、これは裁判所内部の行政としても決していいことではない、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/167
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168・松本善明
○松本(善)委員 こういう事態、いわば失態ですね。司法行政上の失態、こういうものが続く場合には、やはり所長としては適当でない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/168
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169・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 いま、こういうものがということが、去年のものと、それからそういうふうに自粛自戒した後のものとはテーマも違いますし、取り上げ方も違う。本人としても十分注意しておる。ですから、こういうものというそのなにがちょっと問題になりますけれども、これは裁判官として絶対に政治的発言をしてはならぬということはないと思ます。しかし御承知だと思いますが、ダグラス判事の「チャレンジド・アメリカ」、「試練に立つアメリカ」などは思い切ったことを書いております。これは外国のことですから別としまして、今後裁判官としての政治的な意味を持った発言をする場合に、その方法なりあるいは場所、時、そういうものについて遺憾な点があった場合には、これは行政上の責任を問わなければならぬ場合も起き得ると思います。それは飯守判事ばかりに限らず、すべての裁判官について同じことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/169
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170・松本善明
○松本(善)委員 それから、もうちょっといまの発言で確かめておきたいのですが、裁判官が政治的発言ができるというのは、どういう場合にできるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/170
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171・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 政治的発言というのは非常に含みのあることばで、裁判官たる地位とは別に、そのときの国際情勢を論じたり国内の政治情勢を論ずることは、裁判官としての一つのワクをはずれない限りは、これはできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/171
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172・松本善明
○松本(善)委員 そのワクの中で発言するというのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/172
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173・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これは具体的に説明することはなかなかむずかしいと思います。裁判官だから絶対政治的なことは言えないというものではないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/173
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174・松本善明
○松本(善)委員 その程度のものですか、いまのは。――けっこうです。
ちょっと別なことを尋ねます。
この裁判所職員の定員に関する法律は、司法行政の全体の考え方がどういう形であらわれてきているかということに関係をしているというふうに私たちは思うものですから、いろいろ聞くわけですけれども、いま裁判所の職員の中で、自分の給料だけでは食えないというので内職をしたり、あるいはビルの清掃に行ったり、そのほかいろいろの内職をしているということ、があると聞いておりますが、そのことを御存じですか。実態について話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/174
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175・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 どの職員がそういうことで内職をしているかということにつきましては、具体的にだれだれがどうこうということについては聞知いたしておりませんけれども、組合のいろいろの交渉等におきまして組合の方々から、こういうひどい現状にあるのだということはよく聞知いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/175
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176・松本善明
○松本(善)委員 それが相当広範囲であるということを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/176
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177・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/177
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178・松本善明
○松本(善)委員 どの程度のものだというふうに見ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/178
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179・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 具体的な数字を示されまして、そしてこれとこれとこれがそうだというような内職範囲について、組合のほうから私ども聞いたこともございませんけれども、相当多数の者がそれをやっているのだから、したがって十分給与の点で考えなければいけない。ベースアップのときには十分それを完全に履行されるように、人事当局としてはやってもらわなければ困るということはしょっちゅう組合の者からも聞いておりますし、また裁判所の職員の全体の給与のためには、やはり人事当局としても一生懸命やらなければならぬということは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/179
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180・松本善明
○松本(善)委員 そういうことについては、司法行政の当局として、やはり知っていなければならないことではないかというふうに思いますが、そういうことは、裁判所のほうではそれほどの関心事ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/180
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181・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 関心事でないといったらこれは間違いになるかもしれませんけれども、しかしながら、職員のだれだれが、どこどこで、どういう内職をしているかということについては、調査はいたしておらないのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/181
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182・松本善明
○松本(善)委員 だれだれがということはございませんけれども、司法府の職員の中でのどの程度の者がそういう状態におちいっているかというようなことについては、調査をしたことはいままでにないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/182
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183・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 結局、調査の正確な内容ということになりますと、だれが、どこで、どういうようにしているかということまでいかないと正確な資料になってこないわけけでございまして、そういう調査はいたしておらないわけでございまして、組合のほうからこの程度の人がやっているんだということは聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/183
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184・松本善明
○松本(善)委員 組合のほうの言っていることが正しいかどうかということについて、調べたことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/184
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185・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは、先ほど申し上げましたように、内職ということになりますと、どうしてもその職員の一人一人につきまして調べてまいりませんと具本的な、正確なデータが出ないわけでございます。このような調査につきましては、いろいろな問題もあろうかと存じまして、いたしておらないのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/185
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186・松本善明
○松本(善)委員 それから職員の生計費が平均一日どのくらいであるか、食費がどれくらいであるかというようなことを調査したことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/186
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187・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは人事院のほうでも、政府職員については現在までは具体的に行なわれていないようでございますけれども、しかし、そういう調査をしたいということが、何か新聞に出ていたような記憶もいたします。裁判所のほうといたしまして、職員に対して、具体的に個々的にそういうような調査は現在までいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/187
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188・松本善明
○松本(善)委員 人事院ということを言われましたが、人事院と裁判所とは直接関係がないということはもちろん御存じでしょうね。――そうすると裁判所が、人事院のいかんにかかわらず、職員の生活については全責任を負わなければならない、そういう立場にあるということについてははっきりしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/188
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189・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判所の職員につきまして、最高裁判所が全責任を負うということは、もちろん承知いたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/189
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190・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、裁判所の職員の生活状態については、もう少し真剣な調査を――一人、一人、名前まであげてということを私は言っているのではありません。国会に報告できる程度に、どの程度の生活をしているか、内職をしているのがどの程度、どれくらいの人数になっているかということをやはり調べなければならないと思いますが、その点については事務総長いかがに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/190
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191・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 職員の待遇問題につきましては、これはもう絶えず、裁判官ばかりではなく、一般職員も含めて考えなければならない問題でありまして、その職員の生活の実態を、もう少し立ち入って調査して参考資料にするということは、これはむしろ非常にやるべきことではないか。まあそういうものは組合のほうからもいろいろ資料が出るでしょうから、そうたいして困難を伴うことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/191
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192・松本善明
○松本(善)委員 それから裁判所の職員が、そういうビルの清掃に行ったり何かをしなければ食えないという、そういうような実態についてはどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/192
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193・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 そういうことは、私いまここで承ってちょっとびっくりしたのですが、裁判所職員の待遇が他の一般行政官庁の待遇に比べて不利かどうかという問題もありますけれども、これは私どもとしてはできるだけの努力も続けますけれども、とにかく裁判所というところはなかなか上のほうがやめない、新陳代謝のないところで、それであとにずっと下へ下へと積み重なっていくという事情も加わって、だいぶいろいろ問題があろうと思います。しかし、そういう問題もまあいろいろ含めまして、これは実際に人事当局がふだんから非常に苦労をして、いかにしたらさらによい待遇ができるかということを苦心しておりますけれども、なお一そうこれは努力をしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/193
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194・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま事務総長から、裁判所職員が年齢的に相当上の者がいるという御説明もあったわけでございますが、しかしながら、裁判所職員と一般の政府職員の給与と比べまして、裁判所職員の給与が一般の政府職員の給与より低いということは、これは絶対にございません。したがいまして、かりにただいま御発言がございましたような内職の問題があるといたしますれば、それは裁判所職員のみの現象ではなくして、一般の政府職員についても同じような現象があるのであろうかとは思いますけれども、しかしながら、結論といたしましは、裁判所職員の給与が一般の政府職員より低いということは、これは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/194
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195・松本善明
○松本(善)委員 いまの事務総長の答弁あるいは人事局長の答弁でも出てきているのですけれども、ほかの公務員との比較で問題にするということであってはならないというふうに思うわけです。これは前の委員会でも、私最初に言いましたけれども、裁判所はほんとうに憲法を守り、人権を守り、司法の独立を守るという立場に立って、そういう立場でこれだけできるのかどうかということを真剣に考えて、予算の問題を提起すべきじゃないか。いやしくも裁判所の品位が害されるような、そういうような低い給与があるということについて、ほかのところも低いからよろしいのだというようなことでは、これは済まないと思う。だから、これは裁判所の職員は全部特別職になっているわけでして、人事院勧告とも関係がないわけです。それをほかのところがこうだからそれより低くないのだからということで、そういうような内職をされているのを放置されているということについては、そういう考えだから司法の独立ということが疑われるようになるのじゃないか。経済的にも政府に従属して、裁判所の役割りが非常に弱くなっているのじゃないかということを、まあ盛んに内外でも言われているわけでありますが、そういうことが経済的にもあるのじゃないか、その点について事務総長の考え方を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/195
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196・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 ほかのところと比較して、裁判所がいいからこれで満足するのだという考えは毛頭持っておりません。裁判所の職員には裁判所の職員にふさわしいような俸給表になっているのがいいと思います。しかし、それを実現するには非常にいろいろな問題が起こってくるわけです。裁判所だけでやれることではございませんが、今後ともその点については十分な努力を続ける、まあそういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/196
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197・松本善明
○松本(善)委員 それでは聞きますが、たとえば私の調べた範囲では、電話交換手は、和歌山地裁の場合には三台に三人しかいない、山形地裁の場合、これはいずれも本庁ですが、二台に二人しかいない、松江地裁の本庁には、やはり二台に二人しかいない。交換手で一人休んだ場合は、これはもうたいへんであって、便所にも行けないということになる。こういう事態が裁判所の中にもあるわけです。労働者の労働条件について、人権を守らなければいけない本拠であるはずの裁判所の中で、こういう人権無視が行なわれている、こういう事態についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/197
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198・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 電話交換手等の点につきまして、松本委員から座席数と定員数とを出せという御内意をいただきましてある程度のものは準備したわけでございますが、手元に全国の全部のものを持ってまいっておりませんので、一部のものは多分お手元にお届けしておると思います。ただいまお話しのございましたものにつきまして、手元にございませんので、そういうふうになっておりますかどうかちょっと即答いたしかねるわけでございますが、一般的に申しまして、座席数かける二より少ないところがあることは間違いございません。ただそういうところは、回線数の非常に少ないところでございまして、一座席で何回線というおのずからのなにがございますが、その回線数が非常に少なく、職員数が非常に少ないために、比較的その電話のかかる率が少ないというところから、そういう座席数かける二ということにならないような形になっておるわけでございます。お手元に出しましたところは比較的大都会でございますからそういうことになっておるので、小さなところはもう少し調べて十分申し上げたいと思いますが、実質上はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/198
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199・松本善明
○松本(善)委員 それではちょっと聞いておきますが、電話交換手二人しかいないところで一人休んだら、一体労働基準法上の休憩はとれるのですか。それはどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/199
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200・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これもまことに一般的なことを申し上げて恐縮でございますが、休むという中でも、たとえば私の承知しております範囲でも、産休というようなある程度の長期になります場合には、別に賃金の要員というものがあるわけでございます。その賃金はある程度予算に計上されておるわけでございますが、実際にはなかなか人が得られないわけでございます。これは従来裁判所に勤務しておっておやめになった方がたまたま同じところにおられたら、そういう方をお願いするというような形でまかなっておるようでございます。しかし突発的に一日お休みになったという場合でございますと、これはその一台ストップせざるを得ないことになるかと思いますが、私そこまで十分に承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/200
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201・松本善明
○松本(善)委員 それでは、このことはきょうは時間があまりございませんので詳しく聞けませんが、ちょっと材料だけ言っておきます。汽かん士の場合に、八王子支部に二基で一人、千葉地裁、長野地裁、鳥取地裁、島根地裁、岡山地裁、佐賀地裁が全部二基に一人だということです。一体電話交換手の問題、汽かん士の問題、こういうような状態でいいのかどうか。このことを調査の上この次お答えいただきたいと思います。
もう一つ、ぜひ事務総長にお聞きしたいのですが、この間人事局長が答弁されたのですが、管理職員の中には裁判官が入らないという答弁をされたのです。これは事務総長も同様に考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/201
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202・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/202
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203・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、司法行政というのは裁判所法によって裁判官がやるはずなんです。全部それは裁判官会議でやるべきことになっているはずであります。当然にこれが、人事であるとかそのほか職員の労働条件とか、そういうことについても全部責任を負わなければならない、こういうたてまえになっていると思いますが、それについては事務総長どう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/203
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204・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所内部における裁判行政の点については、これは裁判官会議がこれを行なうというのが御承知のとおりたてまえになっております。ただそのうちごく軽い、軽微なものは、これは所長にまかすあるいは何名かの常置委員でやる、これはそれぞれの裁判所の自治でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/204
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205・松本善明
○松本(善)委員 そうだとすれば、結局管理の仕事というのは裁判官の責任になっているのじゃないのですか。たとえば現実に職員の勤務評定をしたり人事に対する諸決定をするとかいうのは、裁判官会議でしょう。それは管理職ということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/205
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206・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 御承知のことと存じますけれども、裁判所の一般職員につきましての管理職につきましては、最高裁判所の規則で規定されておりまして、その管理職規則に規定されております管理職は、もちろん裁判官を除いておるわけてございます。要するに前回御説明申し上げましたように、また松本委員におかれても十分に御承知のように、事件に追われて非常に忙しく、いわゆるいま御質問のあったような意味での管理、一般職の管理は、一般職の中における管理職というものに十分執行させるというような趣旨のもとにおきまして、管理職の定めができておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/206
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207・松本善明
○松本(善)委員 私はいまの答弁の中でも、規則の問題ではなくて、裁判官を管理職と考えないということ、一般的に言ってですね、その中に一つの問題があるんじゃないかと思うのです。司法行政について、裁判官がほんとうに全体を責任を持つという考え方が非常に薄れてきているのではないかというふうに考えるわけですけれども、事務総長その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/207
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208・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 司法行政といっても非常に範囲の広いものでございまして、そして裁判官、裁判所にとって一番大事な司法行政は、やはり裁判の運営に関する問題であります。これにやはり裁判官は最も力を入れなければならない。一般職の人事については、決してこれは軽いものではありませんけれども、全体の職員について一人一人裁判官会議でやるということは、これは能率的でもなし、また的確なこともはたしてやれるかどうか。そこで人事局長から御説明しましたように、一般職については一般職の管理職がやる。つまり結局問題によっては、最後には裁判官会議の問題になるということもあり得るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/208
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209・松本善明
○松本(善)委員 最後に聞いておきますが、また詳しくはこの次の委員会で聞きますが、司法行政が、戦前のように裁判官の合議という体制から、所長などの独任制の行政という、そういう方向に動こうとしているのではないかという危険を感ずるのですけれども、そういうことはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/209
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210・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 新しい裁判所法を運用された何年かの経過にかんがみて、裁判官が司法行政の全部に取り組んでいたのは、肝心の裁判のほうができない、これではいけないというので、自然発生的に合理的な範囲内で裁判官会議の権限を所長なり長官なりに委譲する、そういう傾向にはあったと思います。しかし、これには限度がありまして、さらにこれ以上これが進んでいくというふうには絶対に考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/210
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211・松本善明
○松本(善)委員 そういう指導を最高裁としてはしているのですか。司法行政上の権限を、所長に委任をするというような指導はしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/211
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212・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 特にそのような指導はしておりませんけれども、長官所長会同の際に、むしろ現場の高裁長官の意見としてそういう意見が出ている。そこで論議されたことを参考にして、各庁が自主的にやっておるというのが実態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/212
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213・松本善明
○松本(善)委員 それは逆コースではないかというふうに考えるのです。最高裁としてはそれは望ましいというふうに考えてやっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/213
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214・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 せっかくの新しい制度の趣旨を没却して、昔のように返ってしまうという危険があるならば、それは決して望ましくはないと思います。現在のところでは多少の問題があるかもしれませんけれども、そこまでは立ち至ってはおらないと思います。それの問題についてはわれわれは十分な配慮を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/214
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215・松本善明
○松本(善)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/215
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216・大坪保雄
○大坪委員長 本日の議事は、この程度にとどめます。
次回は、明十二日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00719670511/216
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