1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十二日(金曜日)
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昭和四十二年五月十二日
午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出)の趣旨説明及び質疑
住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
午後二時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/0
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001・園田直
○副議長(園田直君) これより会議を開きます。
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租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/1
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002・園田直
○副議長(園田直君) 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/2
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003・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
私は、さきに所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案について趣旨を御説明いたしました際に、昭和四十二年度の税制改正の基本的な考え方を申し述べたのであります。今回ここに提出いたします租税特別措置法の一部を改正する法律案は、その一環として、最近の経済情勢と当面の政策上の要請にこたえて、税制上の特別措置について新設あるいは整理合理化、適用期限の延長等を行なうものであります。
まず、特別措置を新設したもののうち、主要なものについて申し上げます。
初めに、企業の体質改善を促進するための措置として、資本の自由化に即応して、国内技術の開発の緊要性に顧み、試験研究費が増加した場合の税額控除制度を新設するほか、紡績業、織布業の構造改善対策及び石炭鉱業の再建整備対策の一環として、それぞれ所要の措置を講ずることといたしております。
次に、中小企業の体質強化という面におきましては、右の措置に加えて中小企業の協業化の促進、中小漁業の振興、肉用牛の緊急増産等の要請にこたえて、新たに特別の措置を講ずることとしております。
また、輸出の振興につきまして手続の簡素化による利用の促進等制度の充実をはかる一方、社会開発の促進をはかるため、公害防止施設、都市交通緩和のための私鉄の都心乗り入れ施設等について、特別償却制度を新設する等の措置を講ずることとし、土地対策及び住宅対策の関係におきましては、収用等の場合の譲渡所得課税について一千二百万円の特別控除を行なうこととするほか、住宅貯蓄控除の創設等の措置を講ずることとしております。
さらに、日本万国博覧会に出展する企業についての出展準備金、特定の森林施業計画に基づく山林の伐採等についての森林計画特別控除または計画造林準備金を新設する等の措置を講ずることとしております。
このほか、税制においても金融政策と並んで景気調整措置の採用が必要とされる状況に顧み、景気過熱の期間においては、一定の基準により法人税の延納利子税率の引き上げや合理化機械の特別償却の停止繰り越しを行ない得ることとしているのであります。
次に、特別措置の整理合理化、適用期限の延長等について申し上げます。
まず、利子所得及び配当所得に対する課税の特例につきましては、貯蓄へ及ぼす影響等を考慮しつつ漸進的な措置を講ずることとし、特例税率をそれぞれ五%引き上げて、その適用期限を三年間延長することとし、また、この改正と関連して、新たに割引債券の償還差益について発行時に五%の税率による所得税の源泉徴収を行なうこととしております。
また、交際費の節減をさらに進めるために、交際費の損金不算入制度につきまして、交際費が前年同期より増加した場合には一定部分につき課税を強化する一方、減少した場合には減少相当額を否認対象額から控除するという合理化を加えた上、その適用期限を二年間延長することとしております。
さらに、適用期限の到来するその他の特別措置については、新規の措置に吸収することにより、あるいはまた、航空機の国内乗客に対する通行税の軽減措置等、他の政策上の必要等に基づき廃止するものを除いて、実情に応じ簡素化ないしは合理的改定を加えた上、あるいは現行制度のまま、その適用期限を延長することとしております。
なお、以上のほか、利益処分による特別償却及び準備金の設定等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
以上が租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/3
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004・園田直
○副議長(園田直君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。村山喜一君。
〔村山喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/4
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005・村山喜一
○村山喜一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、佐藤総理及び関係閣僚に質疑を行ないたいと思います。
日本の国内にはいろいろな所得階層の人たちがおります。佐藤内閣の閣僚でありました大正製薬の上原正吉さんのように、親子で九億一千八百万円も所得のある人も、佐藤総理のように九百五十万しか所得のないという政治家もあるかと思うと、(拍手)私の選挙区内で不幸にも春にそむき、生命をみずから絶った中学三年のA君のような事例もあります。A君は、日雇いで働く母親が本年三月突如として生活保護を打ち切られた母子家庭の子でありますが、修学旅行に行く旅費四千五百円をアルバイトで二千八百円はつくったものの、残り千七百円をつくれず、思案にくれ自殺をいたしたのであります。
今日、国民が佐藤内閣に持っている不満は数多くありますが、特に税金に対する制度なり運営については強い不満を持っております。税制が公平でなければ明るい政治も生活も望めません。それは生活費まで課税をしているという重税であるということもさることながら、日本の税制は資本主義的にも公平でないというのが最たるものであります。中でも総額六千二百七十億円にも及ぶと推計されます会社法人の交際費について特例措置をつくり、わずか四百六十三億しか課税されず、社用族たちが紅灯のちまたで遊興にふけることを国民の税金全体で助成している租税特別措置法や、外国には例を見ない法人の寄付限度額を二兆円も認め、政治献金については、八幡製鉄一社だけでも四億九千六百五十七万円までは課税をしないという法人税法が、政治を腐敗させていることを国民は知っているからであります。(拍手)
佐藤総理は、人間尊重を公約し、政治の姿勢のえりを正すことを言われる以上、税制についても真に国民のものにつくりかえるべきであると思いますが、所信を伺いたいのであります。(拍手)
今回提出されました租税特別措置法の改正案には、国税において三百十二億の整理合理化がなされてはいるものの、依然として、特定の政策目標を達成すると称して税制上の優遇措置を行ない、国税において二千四百十九億円、地方税において一千六百十六億円、実に四千億円をこえる免税がなされ、片一方では、国民大衆の生計費にまで課税が行なわれているのであります。
大蔵大臣にお伺いいたします。
昭和四十年度の税制調査会答申及び四十一年十二月の長期税制のあり方についての中間答申では、租税特別措置の新設は、負担の公平、租税の中立性を阻害する、納税道義に悪影響を及ぼすと述べ、整理縮小の方向に進むべきだと、基本的な考え方を述べておりますが、それに反して、準備金制度を四つも新しく発足をさせ、景気調整のための課税の特例を新設させるなどいたしておりますが、既得権化されているものをなぜ廃止しないのか。景気調整政策は、経済政策の中でやるべきではないか、政令に委任することによって、租税法定主義がさらにゆがめられてくるのではないか、行政権で税政策を左右することは認めるべきでないと思うが、どうか。
今日、流動的改廃を直ちに行なうべきものに、利子所得・配当所得の分離課税、軽減措置や非課税があります。個人の貯蓄は、可処分所得が伸びるにつれて増加するのであって、税制上の特別の助成措置との関連はほとんど認められないというのが経済学の常識でもあり、かつて税制調査会が出した結論でもあります。
大蔵大臣、利子・配当所得分離課税の問題で、金融機関や証券会社の陳情は聞きますが、預金者、株主から要請があった事実がありますか。
第二に、分離課税の方式をとってから逆に個人株主は減少しているではありませんか。
第三に、利子所得の分離課税の結果から金融機関は脱税資金の隠し場所になっているではありませんか。無記名のものは六千億円といわれております。架空名義預金はどのくらい預金をされておるのでありますか。昭和三十八年の犯則所得によりますと、告発件数四十八件で、預金にかかわる法人分で十二億円もあることがわかっています。一件当たり二千四百八十万にも達しているのであります。
さらに、日銀の国際比較統計によりますと、日本国の個人所得の貯蓄性向は二一・三%で、米国の八・五%、イギリス八・一%、西ドイツ一三・六%、フランス一一・八%等に比べて著しい高さであり、高過ぎるのであります。それにもかかわらず、なぜそれに拍車をかけるのでありますか。
さらに、現在の一人一口制限の少額貯蓄については、銀行も郵便局も、制限超過の管理は有名無実であるときに、百万円以下だったら何種類でも何店舗でもよいという改正をしたときに、ただでさえ忙しい税務署員が、非課税申告の名寄せなり金額限度のチェックができるはずがないじゃありませんか。(拍手)
さらに、配当所得・利子所得の大きい人は高額の資産所得者に限られているのであります。これらの人たちには二百二十六万円までは課税せず、給与所得者からは七十四万円以上は税金を取るというのは、幾ら大蔵大臣が法人擬制説をとって、株主の配当控除や法人の益金不算入の制度を力説されても、現実離れをした意見ですから、一般国民はもちろん、企業にも投資家たちにも税法上の恩典として受け取られているのであります。
この際、根本になっている現行の法人税制の基本的な仕組みを改めるべきであると思いますが、政府の見解をただしたいのであります。(拍手)
交際費について、総理及び大蔵大臣に答弁を願いたいのでありますが、最近大蔵省はゴルフ会費等は認めないことをきめたと聞きます。けっこうなことでございますが、赤坂や新橋で芸者をあげて遊ぶその花代や、バーやキャバレーのホステスのサービス代も、交際費からはずさしたらいかがでありましょうか。(拍手)
法案ができる途中で五%方式を導入して、規制によるデメリットを少なくしたために、初年度においては合理化されたのは二億円の増にすぎません。交際費を少なくしたら法人税をまけてあげますというメリットを与えようとしておりますが、費用が少なければ利益がふえるのでありますから、収入に対する費用という収益対応原則から見ても、所得のあるところに課税するという税法から見ても、あまりにも便宜主義的な考え方だといわれてもしかたがないではありませんか。それよりも、税法で損金の額に算入される交際費の限度額を国民が納得するところまで引き下げて、国民の期待にこたえるべきではありませんか。(拍手)
都市周辺地域においては、工場や住宅団地ができると、その付近の地価は急激に値上がりをし、追加拡張ができず、住宅や工場は地価の割り安な地点を求めて、農業地域の中に無秩序に散らばり、農地は虫に食われるように、転用された面積の何倍ものものが荒れ果てております。
公共投資等によって社会開発が進むと、その利益は国民のものにならず、一部の地主、不動産業者だけが恩恵をひとり占めにいたしております。農地転用は地価の騰貴をもたらし、それがまた農地の転用を増大させ、地価騰貴に伴って相続税は高くなり、農業をやりたい農民が農地を売り払ってつとめに出るというありさまであります。このことは、土地利用計画を持たず、土地の私権をやたらに保護し過ぎた歴代の自民党政府、佐藤内閣の責任であります。(拍手)
建設省は、四十一年以降五ヵ年間に四万九千ヘクタールの宅地を造成し、六百七十万戸の住宅を建設する方針だと聞きます。それを達成する手段として、土地収用法等を改正し、ごね得を封ずる措置をとろうとしておりますが、開発に伴う周辺地価上昇分についての増税措置は、経営者団体等の圧力で見送り、そのしわ寄せを租税特別措置にかぶせようとしております。おのれの無策を国民の血税でカバーすることは許せません。佐藤総理は、土地利用計画について、宅地、住宅政策について抜本的な改革をすべきだと思いますが、いかがでございますか。
西村建設大臣、宅地がなければ家は建てられないのであります。大きな期待で出発した住宅公団の宅地債券は、地価の値上がり、造成費の高騰で九割も発行できずじまいになっていることを考えていただきたいのであります。宅地を半分、住宅は六割を民間にまかせる計画をつくりながら、財政金融面の措置をなさずに、宅地政策を租税特別措置法だけで進めようとは、よもや考えられるはずはないと思いますので、庶民の夢を実現させる具体策を示していただきたいのであります。
自治大臣に質問いたします。
長期税制のあり方についての中間答申によりますと、税制調査会は、国の租税措置が自動的に地方税に影響することは避けるようにすべきであると述べております。現在国税の特別措置の影響を受けているものが七百八十七億円もあるといわれます。ことし、税額控除方式等によりまして、地方税にはね返らないような措置をとって百三億円は解消したと聞きますが、今後の長期的な改善策を示されたいのであります。
最後に、資本の内部留保の充実、技術の振興及び設備の近代化、産業の助成等によって、至れり尽くせりの恩恵を受けてきました大企業は、国債租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する村山喜一君の質疑発行政策によってさらに力をたくわえ、設備投資に対する自己金融力は七割に達する力を持ち、内部留保五兆円といわれており、一連の特別サービスを必要としなくなったと思われます。これに比べて、中小企業の倒産は月を追うて記録更新をいたしております。農業は兼業化の方向に衰退の席を深めております。中小企業や農業対策上ある程度の特別措置は認められますが、今日の経済の実情を顧みて、抜本的な改正を行なうべきときを迎えたというべきであります。
総理は、勇気をもって措置法を全面的に改正する決意はないかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/5
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006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 村山君にお答えいたします。
税制のあり方、お説のとおり、これは公正で、また公平でなければならない。税そのものは中立性が保たれなければならない、同時に、民主的にこれが決定されなければならない、かように私は考えております。各国の議会史をひもときましても、この税の問題が中心であることは御存じのとおりであります。
次に、交際費についてのお尋ねであります。交際費は、これは私が申し上げるまでもなく、いわゆる事業遂行上必要な経費でございます。したがいまして、お説のように遊興に使われているというだけのものではございません。問題は、この交際費を、どういうように節度あり、また良識のある使い方をするか、これが経営の問題だと思います。
次に、土地政策の基本についてのお尋ねでございます。詳細につきましては、もちろんそれぞれの担当大臣からお答えさすつもりでございますが、申すまでもなく、土地政策、この基本の問題は、土地を有効に利用し、かつ、地価を安定させることにあると思います。それぞれ具体的な対策を立てておりますから、建設大臣からお聞き取りをいただきたい。
最後に、租税特別措置についてこれを全面的にやめる考えはないかというお尋ねでございます。私は、ただいま、租税特別措置を全面的に停止する、あるいはやめるというような考え方は持っておりません。しかし、この租税特別措置ができましたゆえんのものは、経済政策的目的、同時にまた、税制の基本的な目的との調和によってできておるのでございますから、その効果を絶えず検討いたしまして、流動的にこれの改廃を行なうのが、これは当然でございます。本年もさような観点から租税特別措置につきまして処置をいたしましたが、今後ともこの立場におきまして十分検討してまいる考えでございます。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/6
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007・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 御質問が非常にたくさんの項目にわたっておりますので、順次お答えいたします。
まず、租税の特別措置についてでございますが、特別措置は政策上の必要から起こったものでございますので、したがって、もう政策的な効果を果たしておるものは廃止すべきであり、また、新たに政策上の要請を得て新設するものも当然あってしかるべきだと思います。常にこの制度を見直しながら改廃よろしきを得るのがこの租税特別措置の運用であろうと考えております。
まず、本日提案いたしました景気調整措置でございますが、これだけで効果を果たせるかというような御質問がございましたが、たとえば国が金融を引き締めて貸し付けを制限する、そうして投資を抑制するというような政策を通じて一般的な景気対策をとっているというときに、一方、税制のほうでは、逆に、法人税の納付を猶予するとか、あるいは特別償却を認めて投資を促進するというように、結果的にはこれと矛盾するような制度の適用を一時的に調整しようとするものでございまして、このことだけで単独に景気調整をしようとするものではございません。
また、租税法定主義に反するのではないかというお話でございましたが、今回の措置は、その措置が行なわれるべき要件をあらかじめ法律で規定しておく、そうしてその措置の範囲も法律で定めた狭い範囲に限られておりますので、政令に委任される事項もきわめて限定されたものでございまして、政府の裁量の余地というものは全く乏しい。政府はいわば要件が満たされたかどうかを確認する行為を行なうにすぎないという程度のものでございます。また、この既存の措置、それから特に恩典を与えた特典措置を一時制限しようとするものでございますので、いわゆる法律で基本的に規定しなければならないという事項を変更するものではない、こういうことでございますから、私は今回の措置が租税法定主義に違反するものであるというふうには考えません。
その次は、可処分所得に応じて個人の貯蓄高は変化するもので、税制に左右されるものではないというお話でございましたが、これは、そういう議論もございまして、学説的にも、調査会の答申でも、この問題について非常に論及しておることは確かでございます。しかし、何としてもこれは昭和二十八年以来もう十何年という長い間実施している措置でございますので、貯蓄奨励の方法として、もう国民の貯蓄心理に非常に食い込んでいるという面もございますので、これを一挙にやめるということは問題である。漸を追ってこれを改善するのがいいではないかということで、私どもも税制調査会の答申に従いまして、漸進的な改善策をとるということで今回提案した次第でございます。
それから、少額貯蓄についてのお話でございましたが、確かに調査の困難性も増す点はございますが、現行制度のように、一店舗一種類主義ということは、貯蓄の慣行から見ましても非常に無理がございますので、少額貯蓄として大部分の国民に利用できるように範囲を広げるということはいいことでございます。確かにいろいろな困難さはございますが、一店一種類に限る、これでは最初からの少額貯蓄を奨励する趣旨に反するところがございますので、改正をいたした次第でございます。
それから、配当分離課税をとってから個人株主の数が減ったのじゃないか、したがって、この効果はなかったのじゃないかというお話でございましたが、三十九年、四十年度は、個人株主の数が確かに減っておりますが、昨年の四十一年からまた株主数はふえております。いずれにしましても、この措置がすぐに個人株主の数の問題と結びつくかどうかは問題でございまして、いま発足したばかりでございますから、簡単に結論をつけるのは適当ではないと考えております。
それから、株式配当の問題でございましたが、これは法人税の性格をどう見るかということと関連していることは御承知のとおりでございます。これは法人擬制説に基づくというよりも、法人の実在説をとるべきが常識だという御意見でございましたが、やはり法人の実態に着目して解決するのが一番正しい方向であろう、私どもそういう方向で今後これは慎重に検討したいと考えております。
それから、交際費の問題で飲食費のことに触れられましたが、交際費のうちから、さっきおっしゃられましたように特定の項目を抽出して判断することは、実際問題としては困難でございますので、一定の限度を越える交際費の損金算入を否認するという形によって、行き過ぎた交際費の節約をはかることが一番いい方法であるというふうに考えておる次第でございます。それで、所得あるところ税ありという原則に、今度の交際費についての改正案が抵触するのではないかということでございますが、交際費が多くなるということは、生産のコストを上げることで、日本経済にとっては大きい影響のあることでございますので、これはできるだけ縮小すべきでございまして、縮小するためのインセンティブを与えるというために、節約した分だけについて税の優遇をするということは、大局的な大きい政策的な処置でございまして、少しも悪いことじゃないと私どもは考えております。
大体以上でございます。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/7
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008・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 地方税は特に地域内の負担の公平を第一義に考えなければならないものと考えております。したがいまして、一つの政策目的を達するために、国税、地方税を通じて特別措置をする必要のあるものを除いては、国税の特別措置が直ちに地方税に響かないようにすることが原則であり、そうしなければならないと思います。
すでに御承知のように、御指摘もありましたように、税額控除の制度などをやりまして、この間の関連性を断ち切るようにいたしておるわけで、この方針は今後も進めてまいりたいと思います。
なお、事業税につきましては、現在の所得課税方式に加えて、付加価値的な要素も加えたような、一種の外形標準を使うのがいいのではないかといわれておりまして、これは今後企業の負担ともにらみ合わせながら、その方向で進んでまいりたいと存じております。(拍手)
〔国務大臣西村英一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/8
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009・西村英一
○国務大臣(西村英一君) 土地問題につきましては、総理が根本的な問題はお述べになりましたが、村山さんの御質問を要約いたしますと、いろいろお話はございましたけれども、地価対策についてあまり政策がないのじゃないか、こういうお尋ねが第一点でございます。
この点につきましては、政府といたしましては、緊急対策といたしまして、第一に、やはり宅地を大量に供給するということ、それは公的機関により、また民間宅地造成によってやるということ、第二番には、既成市街地における再開発をやる、高度的に土地を使う、第三番には、やはり土地の取得制度を改善するために、今般土地収用法も提案をいたしまして、総合的な政策をやっておるわけでございます。しかしながら、やはり今日の大都市の周辺を見ますと、これだけでは十分でないのでございまして、先般宅地審議会等の答申もございましたので、やはり根本的には土地の利用計画をつくっていきたい、また、土地に対する税法上の問題も今後検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
第二番にお尋ねになりましたようなことを総合してみますと、住宅政策にしても、土地対策にしても、税制面以外にはあまり政策がないのではないかというふうに聞き取ったのでございますが、もちろん、税法上の問題で、今回特別措置法によって税法上の優遇を住宅政策にもとっていきます。しかしながら、それ以外にも、住宅の確保であるとか、住宅金融の促進であるとか、または建設費の安定というようないろいろな施策を政府はとっておるわけでございます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/9
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010・園田直
○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。
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住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内
閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/10
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011・亀岡高夫
○亀岡高夫君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/11
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012・園田直
○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/12
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013・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。
住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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014・園田直
○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。建設委員長森下國雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔森下國雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/14
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015・森下國雄
○森下國雄君 ただいま議題となりました住宅融資保険法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、
第一に、住宅融資保険法に基づいて住宅金融公庫との間に保険関係を結ぶことのできる金融機関の範囲を拡張し、農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫連合会並びに信用事業を行なう農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会を加えることとしたこと
第二に、保険料算定の基礎となる保険金額の保険価額に対する割合、及び保険事故が発生した場合のてん補率を、それぞれ現行の百分の八十から百分の九十に引き上げることとしたこと
第三に、保険事故発生後の金融機関が、保険金の支払いを請求することができない期間を、現行の三月より一月短縮して二月とすることとしたことであります。
本案は、去る三月二十五日本委員会に付託され、その間参考人の意見を聴取する等、慎重に審議いたしたのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
かくて、五月十二日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
右、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/15
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016・園田直
○副議長(園田直君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/16
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017・園田直
○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/17
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018・園田直
○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十二分散会
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
建 設 大 臣 西村 英一君
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X01219670512/18
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