1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月十六日(金曜日)
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昭和四十二年六月十六日
午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、参議院回付)
ILO一〇五号条約批准に関する緊急質問(山
田耻目君提出)
船員災害防止協会等に関する法律案(内閣提出)
午後二時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/0
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001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
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厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/1
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002・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
参議院から、内閣提出、厚生省設置法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/2
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003・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。
厚生省設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/3
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004・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/4
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005・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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ILO一〇五号条約批准に関する緊急質問
(山田耻目君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/5
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006・亀岡高夫
○亀岡高夫君 緊急質問許可に関する緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、山田耻目君提出、ILO一
○五号条約批准に関する緊急質問を許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/6
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007・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/7
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008・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。
ILO一〇五号条約批准に関する緊急質問を許可いたします。山田耻目君。
〔山田耻目君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/8
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009・山田耻目
○山田耻目君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ILO一〇五号条約の批准促進につきまして、総理並びに関係閣僚に対し所見をただしたいと存じます。
一〇五号条約とは、一体どのような内容を持ち、どのようないきさつを経て採択されてきたものなのか、若干その沿革に触れなければなりません。
本条約は、一九五七年、いまから十年前に、ILO第四十回総会におきまして採択されたものであります。本条約を一口に申せば、強制労働禁止の条約であり、もっと日本的に申し上げますと、手錠をもって労働を強制してはならないという条約であります。したがいまして、一〇五号条約は、ILOで採択をいたしました数多くの条約の中でも、基本的人権を保障する数少ない条約の一つともいえるのであります。
本条約のいう強制労働禁止の対象として、五つの項目が明記されております。
その第一項は、政治的な圧制、教育の手段、既存の政治経済の制度に対して、思想的に反対する見解を抱き、もしくは発表することに対する制裁の禁止であります。これが、日本の国内法により、国家公務員、地方公務員、教育公務員が数多く制裁を受けている項目であります。
第二項は、経済発展のために労務を動員し、かつ使用する方法としての強制労働の禁止であります。
第三項は、労働規律を維持する手段としての強制労働の禁止であります。
第四項は、ストライキに参加し、関与したことによる制裁としての強制労働の禁止であります。
この三項と四項は、戦後日本の労働運動における国公、地公、教育公務員、三公社五現業の組合が、ぬぐい去ることのできないほど数多くの刑事罰の制裁を強制労働として受けているものであります。
第五項は、人種的、社会的、国民的または宗教的差別待遇の手段としての強制労働の禁止であります。
以上の五項目が一〇五号条約の核となるべき部分でありますだけに、それぞれの国の国内法に照らし、実行の可能性について、がくがくの議論が、一九五六年、一九五七年の二カ月にわたり展開されてまいったのであります。一九五七年の六月、第四十回ILO総会におきまして、五項目全部を含め、賛成二百四十、反対ゼロ、棄権一という、ほとんど満場一致に近い状態で採択されたのであります。そのとき、日本政府は、総会会場より退席をし、採決に加わらないという名誉ある立場をとり、世界の失笑を買ったことを皆さんとともに記憶しなければなりません。(拍手)
いま一つは、特に採択に至る過程の二年間、日本政府の代表はどのような態度に終始したかを明らかにしなければなりません。
一九五六年の会議において、日本政府代表は、インド政府の代表とともに、ストライキの制限禁止の第四項の削除の提案をいたしております。その趣旨は、国内法によって禁止されているストライキに参加したことを理由に、裁判所が有罪判決の結果として課せられる強制労働は、本条約によっても禁止されないものであるという主張を繰り返し述べておるのであります。
翌年、一九五七年の会議ではもっと具体的に述べております。第四項の存在は、日本政府が本条約を批准するにあたり技術的困難に帰するものである、法律で認めないストライキに参加したことにより処罰規定を設けている国内法との関係で、条約と国内法とが抵触し合い、批准は困難であるとの見解を明らかにいたしたのであります。まさに日本国民が憲法により保障されている、侵すことのできない固有の権利である基本的人権が、このような主張で葬り去られていきましたことは、許しがたい暴挙といわざるを得ません。(拍手)
ところが、取りまとめに当たった委員会副委員長のゲッデス・イギリス代表は、技術上困難ということに言及している国があるが、私は、国内法の制定にあたり、現実の法律の修正提案によって、政府の当面する困難を技術的困難と理解することはできない、全加盟国の理解と批准がなるかならぬかは、善意の有無に依存している、善意さえあれば、障害は克服され、批准は達成されるものであると述べて、取りまとめを終わっておるのであります。
以上、きわめて簡単に条約の内容、沿革を述べた次第でございますが、そこで佐藤総理にお伺いをいたします。
一九六六年、第二十一回国連総会は、一九四八年の国連総会において採択した世界人権宣言をより具体的に実現させるために、国際人権規約を満場一致で採択いたしました。もちろん、国連決議を尊重し、人権の尊重を機会あるごとに表明なさる総理並びに日本政府に異議のあろうはずはございません。この国際人権規約に基づき、一九六八年、来年を国際人権年と指定いたしておるのであります。そこで、国際人権年として、具体的に人権を保障する手段として、ILO一〇五号条約の批准を求めているのであります。
一方、本年一月十二日付で、ILOモース事務総長より外務大臣に対して、「人権関係の基本的文書に関する措置」としての公文書が届けられております。内容を要約いたしますと、ILOの総会においても、国連総会においても、一〇五号条約の批准に関して繰り返し緊急の要請が行なわれたことにかんがみ、私は、日本政府が一九六八年までに批准するためその権限内であらゆることをされるよう強く希望を表明する、かかる措置は、世界人権宣言実施への、また、そのゆえに一九六八年の国際人権年の目的への明白かつ不断の貢献となるのであると述べておるのであります。
本年二月六日付でも書面が外務大臣に届けられております。ILOジェンクス副事務総長よりであります。「未批准条約に関する報告」と題し、強制労働関係の一〇五号条約の批准と実施が、国連の決定した国際人権年の目的を具体的に実行に移す義務と措置に役立つものであることを明記して、注意を喚起してまいっておるのであります。
これらの文書提出の期限を、来月、七月一日に限って提出を求めておることも政府は御了解のはずでございます。
そこで、総理に具体的に伺います。
一九六八年までに一〇五号条約の批准を行なう意思がおありかどうか、この際、明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
もし批准ができないならば、国連総会決定の人権年に対して、加盟国である日本政府は、いかなる具体策をもってこれにこたえようとしておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
三つ目には、ILOモース事務総長、ジェンクス副事務総長よりの日本政府あての公文は、国際公文の慣例としてながめますと、かなりきびしい文句であります。これを軽率に取り扱うことは、ILOの常任理事国であり、議長国である日本は、国益の上からも、国際信用の上からも許されないと私は思いますが、どのような検討と指示を関係閣僚に与えられたのか、お示しを願いたいと思います。
次に、外務大臣にお伺いいたします。
ILOモース事務総長、ジェンクス副事務総長からの七月一日という期限つきの回答に対し、いかなる具体的内容の回答をなさるのか、抵触する国内法と対比してお答えをいただきたいと思います。特にこの問題については外交上の秘密ということで逃げるわけにはまいりませんよ。この回答の写しは労使団体に送付することに義務づけられておることを想起されまして、本会議で説明をいただきたいと思います。
もし回答が期限にも間に合わず、具体性も伴わないものであるとするならば、国連総会の決議に賛成した日本の立場上、また、ILOの最高機関よりの公文を二回にわたり受け、しかも理事国、議長国としての立場上、外交の責任者としていかなる責任をおとりになるのか、お伺いをしたいと思います。
総理府総務長官にお伺いいたします。
一つは、公務員の政治的目的のための禁止についてであります。このような定義は、公務員が政治的見解を表明する一切の機会を排除するものであるかどうなのか。
二つには、この禁止措置はあらゆる政治的見解に及ぶのか、あるいは、政府に反対をする見解のみを禁止するものかどうか。
三つ目には、公務員の職務遂行中のみなのか、私生活の面にまで及ぶものなのかどうなのか、明らかにしていただきたいと思います。
また、争議行為の禁止の規制についてでございますが、国家公務員法九十八条の二項、三項、百十条の十七号、人事院規則一四−七の検討などは、文書提出にあたっていかなる検討を加えられてまいったか、お答えをいただきたいと思います。
自治大臣も、地方公務員法三十七条一項、二項、六十一条四号について同様にお答えをいただきたいと思います。
労働大臣にお伺いいたします。
ただいまジュネーブにおいてILO五十一回総会が開かれております。日本政府代表として、労働省海部政務次官、現地の青木大使がその任に当たっております。日本政府の姿勢について、日本問題を取り扱った関係者の間に少なからず疑惑が今日生じておると伝えられております。問題の点は、四十一年四月二十六日の全逓中郵事件の上告審判決は、労働運動の刑事免責を明らかにし、刑事制裁の対象とならないことを決定いたしております。ILO当局は好意の意向を示したと聞き及んでおります。ところが、その後、日教組の人事院勧告完全実施の行動である一〇・二一の闘争に対しては、かつて見ない大量の刑事制裁、行政処分を行なっているのであります。同一国内におけるこのちぐはぐな制裁措置は、ILOにおいて問題視されたのは当然のことであります。現地代表にどのような指示を今日与えておるのか、労働大臣の答弁をお願いいたします。
特に、関係各省の連絡もなく、警察庁独自の行動であるという非難を聞き及んでおりますので、同時に、外務、文部、法務、自治各大臣の見解もあわせて伺いたいと思います。
次に、運輸、郵政の両大臣に伺いますが、あなた方の所管なさる諸機構におきまして、本条約が批准されないがために、きわめて多くの制裁処分を出しております。強制捜査を受けたものを含めてどれだけの件数にのぼるのか、重要な参考になりますので、この際明らかにしていただきたいと思います。
総理、最後にあなたにいま一度質問いたします。
戦後の日本は激しい荒廃とインフレの中から立ち上がり、今日では国民総所得三十六兆円、世界第四位の総生産を誇る国力を保持する国になりました。この力の背景には、二千八百九十万人に及ぶ生産労働者の生産意欲と、その創造性を無視するわけにはまいりません。優秀な公務員、現業職員の努力も決して過小評価してはならないのであります。私はあなたと町を同じくし、大先輩のあなたに対してはなはだ申し上げにくのでございますが、あなたは働く勤労諸国民をあまりにも軽べつ視しておられるのではないでしょうか。そのことは直ちに反作用となり、勤労者はあなたに憎しみを持つようになります。悲しい対立の現状ではございませんか。
エリック・ドライヤーが調査団長として来日いたしましたのは一昨年の一月十日でございます。初めて日本の政府と労働者の関係を調査した彼が、日本を去るにあたり、あなたと労働組合代表に示した勧告文は、政府と労働者の抜きがたい不信感を指摘しております。一刻も早くこの不信感を除去するために、総理大臣のイニシアチブにおいて労使の定期的会談を持つことを指摘いたし、双方受諾をいたしておるのであります。
その不信感除去のための定期的会談が何ゆえ今日中止をされておるのでありますか。その理由をお示しいただくとともに、今後開かれる用意があるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
次に、定期的会談はその結果と経過を国会に報告するよう明示されております。いまだ一度も報告を受けておりません。国会は、憲法第四十一条に明記するごとく、国の唯一の立法機関であります。こうした観点から見ますと、ドライヤーの考慮した不信感の起因は、国内法の改正に帰着するものと思考いたしたものと判断されます。総理のお考えはいかがでございましょうか。文部大臣と日教組の定期的会合にも同様のことが言えます。これらについても、文部大臣を含めて御答弁をいただきます。
最後に、八七号条約批准後、公務員などの労働基本権の検討と国内法の処理のために公務員制度審議会が設置されましたが、政府に都合のいい国内法の扱いのみを強引に押し切り、前田会長の辞表提出という演出のもとに食い逃げをいたしておるではございませんか。こうしたところに労働者側の不信感は抜きがたいものになっていくのでございます。公務員制度審議会の再開に対し、いかなる考慮を払われているのか、これから払われようとするのか、お答えをいただきたいと思います。この項については、総理府総務長官ともに御答弁をいただきます。
以上、時間がございませんので、はなはだ簡潔な質問になりましたけれども、ILO一〇五号条約の批准の時期は非常に成熟をいたしてまいっております。来年の国際人権年に向かって、ILO加盟国百余カ国のうち、七十四番目の批准国の光栄をぜひとも日本がになっていけますように、総理の決断を強く求めて、質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/9
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010・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
お話のうちにもありましたように、ただいまお尋ねになりました山田君と私は、同じ町の出身でございます。私の考え方は十分山田君も御承知のことだと思いますが、そのお話のうちに、私が勤労者を軽べつしておるとか、あるいはべっ視しておるとか、あるいは勤労自身を軽べつしておると、こういうようなお話がございましたが、同じ町の出身でありながら、かようなことを言われること、私はまことに残念に思います。(拍手)私は、絶えず、勤労こそこの世の中をよくするものだ、かように考えておりますし、勤労階級、その働きを絶えず高く評価しておるその一人でございます。どうか誤解のないようにお願いします。(拍手)
そこで本論に入りまして、ただいま一〇五号条約の批准についてるるお話がございました。その沿革、並びに一〇五号条約の第一条に詳しく書いてある事柄を読み上げられて、一〇五号条約の基幹をなす五項目、こういうように御説明になりました。この説明のとおりでございます。そして、この一〇五号条約を、モース事務総長が、早くひとつ批准してくれ、こういうような手紙をよこしておることも、ただいまお話にありましたとおりであります。
ただいま七つの条約の批准を勧告しておりますが、そのうち三つはすでに批准されております。残り四つのうち、まだ批准されないものの中に一
○五号があるわけであります。同時にまた、今回皆さん方に批准の手続をとっております。一〇〇号条約、これもその未批准の一つでございます。この一〇〇号条約をただいま皆さん方に批准の手続をお願いしておりますが、ただいま言われますように、常任理事国の一つである日本が、この一
○五号条約については、解釈の点につきましてこれをなお確かめたい、もっと明確にしたいというものがあるようでございます。私は一〇五号条約の批准を断わるのではございませんけれども、さらに慎重に前向きでこの問題と取り組んでいくつもりでございます。ただ、一九六八年までにこれができるか、こういうお話でございますが、私は、それはやや早急の無理な御注文ではないか、かように思います。
次に、来年の国際人権年についてのいろいろの行事でございます。私は、ILOの精神を十分理解し、同時に、これを尊重し、また、これに協力することが、当然私どものなすべきことだ、かように考えておりますので、この行事等につきまして、この上とも尊重し、これに協力するということに十分の努力を払うつもりでございます。
次に、ただいまお話しになりましたいわゆる定期会合の問題であります。定期会合が四十一年の一月以降行なわれておらない。私も、御指摘になりましたように、まことに残念に思っております。この会合が開かれなくなりましたのは、十分御承知のことだと思いますが、会合を持ちました当初の目的からだんだん離れてまいりましたし、また、会合の議題も、だんだん民間の問題等も広範にわたるようになってまいりました。また、会合に参加する者も非常に数がふえてまいりました。政府並びに組合側と両方から、こういうような会合についてはもっと改善すべきじゃないかというような批判がだんだん強くなりました。こういうような批判があり、双方においてどうもいまのような会合を続けていくことはおもしろくないというので、これは自然にやまった、かように私は理解しております。しかし、私は、労使双方が本来の信頼関係を樹立して、そうしてその信頼関係のもとにそれぞれ活動していくことが望ましいことだ、かように私いまなお考えておりますので、この定期会合の問題につきましては、ただいま考えられるところでは、このつくりました趣旨、それをもう一度思い起こして、双方でその趣旨に沿って会合を開くこと、これが望ましいのではないだろうか、かように私は思っております。ぜひそういう意味で御協力も得たいと思いますし、さらに再開できるような方向で努力したいと思います。
次に、公務員制度審議会のお話がございました。これがただいまのような状態でとまっていることは、これも私まことに残念に思います。本来、基本的な問題でございますから、これがいまのようなことでなしに、ぜひ再開されること、また、再開のために私自身も努力するつもりでございます。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
〔国務大臣早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/10
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011・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 全逓の中央郵便局の事件判決が、刑事責任を問わなかったという判決がジュネーブで非常に好感を持たれた。ところが、そのあと一〇・二一の日教組ストに対して処分が出たので、非常に失望を与えて、日本の代表が困った、こういう御質問でございますが、その真偽は存じませんが、全逓中郵事件の判決は、普通の公労法上の争議行為につきましては、平常のストライキ、こういう労組法第一条の目的のためのストライキ、それをやっただけでは刑事責任を問われないという判決でございます。しかし、これにも制限がございまして、政治目的のためのストライキ、それから、不当に長くストライキが続いて、国民に大きい影響を与えるようなストライキ、また、暴力を伴うようなストライキは、全逓労組の人でも刑事責任を免れることはできない、こういう判決でございまして、これは公労法上の争議行為に対する判決でございます。しかし、このことは、一歩大きい前進の判決だと私も評価をいたしておるわけであります。ただ、日教組のストライキは、これは別の法律でございまして、一般公務員は、国家公務員法、地方公務員法で争議を一切禁止されておるのでございます。それは憲法十五条による、一般公務員は国民全体の奉仕者であるという、こういう考え方で、三公社五現業とは少し違った扱いをしております。その結果、この争議に対して教唆、扇動したり共謀したりという首謀者は刑事責任を問われる、こういう法律になっておるのでありまして、この法律によりまして、一〇・二一ストの首謀者、教唆、扇動者が刑事責任に問われた。全然法律のたてまえは別個になっておりますので、この点がジュネーブで十分御理解なかったのではないか。やむを得ずこの刑事処分をせざるを得ない、こういう法律になっておることを御了解いただきたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣塚原俊郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/11
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012・塚原俊郎
○国務大臣(塚原俊郎君) 公務員制度審議会につきましては、総理からも御答弁がありましたが、公務員の労働の基本の問題について重要な諮問事項をたくさん持っておりますので、一日も早い再開を望んでおるわけであります。なお、ILO関係の法規の未施行規定について、昨年六月答申がありまして、これは同時に並行審査をお願いしたのでありますが、その後、今日開店休業の状態になっておることは、まことに遺憾にたえません。機会あるごとに関係者にいろいろと呼びかけまして再開を迫っておるわけであります。たとえば総評の方、同盟の方にもたびたびお会いして、そしてこの公務員制度審議会がすみやかに再開されるよう、諮問しておる事項が非常に重要であり、審議会の大事な性格から考えましても、政府としては一日も早い再開を望んでおる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/12
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013・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ILO事務総長の書簡、山田君御指摘のごとく、軽く取り扱うべき性質のものではないわけであります。したがって、期限である七月一日に間に合わすように鋭意回答を作成中でございます。目下回答を作成中でございますので、この段階で内容を申し上げるわけにはまいらぬということでございます。(拍手)
〔国務大臣剱木亨弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/13
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014・剱木亨弘
○国務大臣(剱木亨弘君) 昨年行なわれました二一ストの刑事訴追につきましては、いま労働大臣からお話があったとおりでございますが、これに対しまする教育委員会が行ないました行政処罰につきましては、強制労働には関係がないのでございますから、一〇五号条約とは何らの関係がないと存じます。
なお、日教組と私との話し合いの問題でございますが、日教組は地方公務員でございますので、勤務条件に対しまして交渉の当局になるのではないのでございます。しかし、私としましては、教育者の団体と話し合いをいたしまして、その意見、要望を聞くのはきわめて適当であると思いますが、日教組に対しましては、御承知のように、前の中村文部大臣のときに、話し合いの条件ではございませんけれども、実力行使の廃止その他の条件を提示いたしました。これに対しまして、私もまた、この三つは当然に教育者といたしまして日教組が守っていただくべき問題だと考えます。これに対して何らの誠意ある意思を示していないのでございますから、私は、ただいまの状況で日教組と話し合いをいたしますということは、教育上何らの効果ないものと認めまして、しばらくこの状況を注視してまいりたいと存じております。(拍手)
〔国務大臣藤枝泉介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/14
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015・藤枝泉介
○国務大臣(藤枝泉介君) 地方公務員法六十一条の、争議行為を共謀し、あおり、そそのかした者の罰則と、一〇五号条約との関係をお尋ねだと思いますが、一〇五号条約の取り扱いについては、先ほど総理がお答えしたとおりでございます。
昨年十月二十一日の闘争におきまして、公共部門が禁止された争議行為をするおそれがありましたので、閣議の了解を得て、政府を代表して総務長官が二回、その他各省大臣がそれぞれ警告を発したのでございまして、その間に不統一はございません。しかし、そういう警告にもかかわらず争議行為が行なわれましたので、警察は法に従って捜査を開始した次第でございます。(拍手)
〔国務大臣大橋武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/15
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016・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 国鉄公社発足以来本年四月までに労働刑事事件として起訴された件数は、百三十一件でありますが、そのうち、どれだけがILO一〇五号条約が批准されていないために起こったものであるかということになりますと、残念ながら区分ができておりません。(拍手)
〔国務大臣小林武治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/16
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017・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いま御指摘の条約の強制労働とは何か、こういうことについては公式な見解が出ていない、また、条約も現に批准されていないから、どの国内法がこれに該当するかわからない、こういう状態でありますので、この問題についてここで具体的にお答えを申し上げるような資料はない、かように御了承願います。(拍手)
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船員災害防止協会等に関する法律案(内閣提
出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/17
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018・亀岡高夫
○亀岡高夫君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、船員災害防止協会等に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/18
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019・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/19
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020・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。
船員災害防止協会等に関する法律案を議題といたします。
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021・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長内藤隆君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔内藤隆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/21
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022・内藤隆
○内藤隆君 ただいま議題となりました船員災害防止協会等に関する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず、本案の趣旨を簡単に申し上げます。
本案は、年々増加の傾向にある船員災害を積極的に防止するため、船員法並びに船員労働安全衛生規則と相まって、総合的かつ計画的な対策を樹立するとともに、船員災害の防止を目的とする船舶所有者等の団体による自主的な活動を促進しようとするもので、そのおもな内容を申し述べますと、
まず第一は、運輸大臣が船員中央労働委員会の意見を聞いて、船員災害の防止に関する長期の基本計画並びに各年度の実施計画を作成することであります。
第二に、船舶所有者とその団体は、運輸大臣が作成した計画を推進するため、船員の安全及び船内衛生の向上をはかるための船員災害防止協会を設立することができることとし、協会の設立の認可、監督は、厚生大臣及び運輸大臣が行なうのであります。
第三に、協会は、計画に即応して、会員が行なう船員災害の防止活動の促進、船員災害防止規程の設定等の業務を行なうとともに、定款の定めるところにより、会員から会費を徴収することができることであります。
第四に、政府は、協会の活動を促進するため、船員保険特別会計から補助金を支出することができることとしたことであります。
本案は、去る四月二十八日、本委員会に付託され、次いで、五月十日政府より提案理由の説明を聴取し、六月七日、九日、十三日及び十六日質疑を行ない、その間、中央労働災害防止協会会長三村起一君及び専務理事大滝四士夫君を参考人として招致する等、慎重に審議をいたしましたが、その内容は会議録によって御承知を願います。
かくて、十六日、質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、本案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対して、政府は、中小船主の協会への加入、総トン数二十トン未満の漁船船員にかかる船員災害の防止について適切な指導並びに措置、さらに、従業制限の制度を漁船の安全性と漁業の実態に合致するよう改むべく努力すべき旨の附帯決議が付されております。
以上御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/22
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023・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/23
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024・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/24
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025・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十九分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
外 務 大 臣 三木 武夫君
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
厚 生 大 臣 坊 秀男君
運 輸 大 臣 大橋 武夫君
郵 政 大 臣 小林 武治君
労 働 大 臣 早川 崇君
自 治 大 臣 藤枝 泉介君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X02719670616/25
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