1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月一日(木曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
木島 義夫君 横山 フク君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
土屋 義彦君
佐野 芳雄君
藤田藤太郎君
委 員
紅露 みつ君
山本 杉君
大橋 和孝君
杉山善太郎君
藤原 道子君
小平 芳平君
国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
政府委員
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省婦人少年
局長 高橋 展子君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業訓練
局長 和田 勝美君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
文部省初等中等
教育局職業教育 望月哲太郎君
課長
厚生省社会局生
活課長 山下 眞臣君
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本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
(職業訓練に関する件)
(年少労働者の定着性に関する件)
(I・L・O百号条約及び婦人労働者の母性保
護問題に関する件)
(家内労働問題に関する件)
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/1
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002・佐野芳雄
○佐野芳雄君 この際、労働大臣が御出席になっておりますので、お答えをいただきたい問題があるのでありますが、この間委員会で身体障害者の就職促進の問題について藤田委員からいろいろ御質問がございました。それに関連いたしまして、柳岡委員、あるいは藤田君からも資料の要求があった。きょうその資料をいただきまして見ておるのですが、資料要求しました柳岡君がこれで納得されるかどうか知りませんが、まことに不親切な資料であると思うのです。その点はあとでまた少しく申し上げたいと思うのですが、そこで、柳岡君が要求いたしました資料は、身体障害者の就職状況、雇用条件、雇用率等であったと思うのですが、まことにこれは要領を得ているのかどうか別ですが、これで私たちの知りたいことはあまり触れていないようです。特に藤田君のいろいろの御質問の中で出ておったんですけれども、身体障害者が就職した場合の定着の状況、そういうことについての意見もあったように思うのですけれども、一体、身体障害者が就職した場合に、就職した率だけでなしに、定着状況もある程度満足をして労働に従事するようになっておるのかどうかという点が非常に大事なことではないかと思います。そういうようなことで将来身体障害者の就職条件の促進をする立場における大臣の御所信をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/2
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003・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 当方の資料にたいへんおほめのことばをいただきまして、ありがとうございます。
問題は、就職、定着の状況でございますが、いま御質問について、安定局関係がおりませんので、いずれ政府委員を呼んでおりますから、具体的に御説明させたいと思いますが、いずれにいたしましても、身体障害者の、特に官公庁関係の雇用促進につきましては、当委員会で問題になりまして以後、たとえば雇用率の少なかった電電公社関係、これを三カ年で一千名近く雇うということで、当委員会での身体障害者の就職促進の御意思を官公庁関係ではさらに一そう努力する態勢になっております。定着状況につきましては、後ほど政府委員から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/3
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004・佐野芳雄
○佐野芳雄君 きのういただきました資料の中で、身障、総合職業訓練所の修了者就職状況が報告されておるのですが、この報告によりますと、初給賃金が、四十二年度で、総合訓練所を出たものが、平均でしょうが、二万二千円、身障者は一万八千円ということで、非常な格差があるわけなんです。総合の場合、いろんな職種がありまするから、その職種によっては高い給料をもらうものもあると思うのですが、平均でみまして、総合訓練所を出たものは二万二千円、身障者一万八千円という、こういう格差があることを大体どのように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/4
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005・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) お答えいたします。
総合訓練所は、佐野先生御存じのように、二年間の訓練でございまして、身体障害者の訓練は原則として一年といたしておりますので、その一年間の格差が大体出ておるということが一番大きな原因ではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/5
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006・佐野芳雄
○佐野芳雄君 身障者の場合、確かに一年の修了期間なんですが、訓練期間を経ておるのですが、最近の高卒の初任給は大体一万七千円から一万八千円になっております。一年間の訓練を受けて、とにかくその仕事によっては仕事ができるのだという人たち、しかも、おそらく訓練所に入った人は高卒程度よりも年齢もある程度高いのではないかと思うのですが、それが新卒の高卒と同じ額に押えられていることについてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/6
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007・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 身体障害者の方は、平均年齢が、一般といたしましては、確かに御指摘のように、訓練所を卒業します者は、年齢の高い人もございますが、どちらかといえば若い人が多うございます。したがいまして、高卒程度ぐらいから二十ぐらいまでの年齢でございますので、片一方は高等学校三年間の教育を経ておる、片一方は大体中学を卒業した学歴の人を身体障害の訓練所のほうに収容しておりますので、両者の間に大体同じ給与が払われているということにつきましては、それほど大きな両者の間に差があるというようには私どもとしては考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/7
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008・佐野芳雄
○佐野芳雄君 健康な人と身体に障害のある人とにいろんな面でハンディキャップがあることは私も理解するのですが、しかし、その仕事によっては、そのハンディキャップは、むしろ逆に能率的に運用できるのじゃないかという気もするわけです。たとえば身体障害者のために行なわれておりまする訓練の中で、たとえば謄写であるとか、あるいはタイプであるとか印章をつくるとかは、足の不自由な人に足を動かさなくて仕事ができる、そういう条件を与えますると、おそらく普通人よりも熱心で、しかも、専心その仕事に打ち込みますから、むしろ健康人よりもその人たちのほうが仕事によっては能率があがる、こういうことが考えられるわけです。それをただ身体障害者であるからということだけでハンディキャップをつけるということになりますと、身体障害者の労働意欲を阻害することになるのですが、それじゃそういう点は具体的にどのように考えておるか。ただ、私は、経過的な話だけでなしに、具体的にそういう条件の者はよくしなければならぬ、してやるのだという考えがあって指導されているかどうかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/8
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009・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 身体障害者の就職の問題につきましては、訓練所といたしましては、身体障害者の持っておられる能力が普通の人と同じような能力を発揮できるような訓練をするというのがたてまえでございます。したがいまして、身体障害者の機能の中で一番有効なものについて訓練をいたしておるのですが、その目標は、いま申しましたように、正常な機能を持っている身体の者と同じような効果があがるような訓練でございます。特に雇用主側も、身体障害者であるがゆえに採るというよりも、経済的にペイをするということを一番大きな条件にしておられるようでございます。したがいまして、職種、たとえば謄写印刷なら謄写印刷ということ自体につきましては、身体障害者の訓練所を出た者と普通の一般訓練所を出た者との間の賃金格差は大体ないように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/9
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010・佐野芳雄
○佐野芳雄君 てこで、そういうふうな見方は少し甘いのではないか。もう少し具体的な事実について検討されて対策を立てていただかないと、せっかく訓練所をつくり、身体障害者の社会復帰と申しますか、仕事につくことについてのあっせんをされましても、最初からの出発点が間違いますとなかなか思うような成果をあげ得ないのではないか。この間の委員会で藤田委員も指摘されておりましたけれども、訓練を受けて仕事にすぐつきたい、その願いは、将来の自分の生活の根拠になる労働に従事できる条件がほしいということです。したがって、訓練所をおつくりになって訓練をされた場合には、そのことの前提として、終了した者が喜んで仕事につける条件と同時に、そういうふうな人たちの希望をかなえられるような賃金を保障してやるという心がまえがないと、せっかく訓練所をつくっても、訓練所をつくっただけになってしまうのではないか。特に定着の問題ですが、終了した者がどこかの仕事についた、そこまではいいんですが、賃金が安いために離れていく、あるいは定着せずに転々と変わっていくということになると、せっかくつくった訓練所が何にもならないことになるわけです。そういうことについて具体的にどうありたい、どうしているかということを教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/10
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011・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 身体障害者の訓練所の終了者は、大体終了時におきまして九割くらいは雇用労働者として就職しておられるわけです。その訓練所を出て就職された方の大体一年くらいは捕捉しておりますが、一年くらいの間には、ほとんどあまり移動というようなことはないように承知をいたしております。一年以上につきましては、ちょっと訓練所側で調査をしておりませんのではっきりいたしません。就労者につきましては、大体一年程度の範囲内ではほとんど定着をしていらっしゃる。一般的な身体障害者の定着状態はちょっと私ども承知しておりませんので、後ほど安定局長のほうからお答えいたします。
それから、先生がいまお述べいただきました身体障害者の賃金問題につきましても、先生のお話のとおりの考え方で、訓練所が安定所と協力をして、労働条件は普通の者とそんなに差のないようなあっせんをしておる。幸いにして訓練所終了者は、先ほど申し上げましたように、大体平均的には一万八千円でございますが、この賃金は普通の学卒者と比べてそれほど低い金額ではないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/11
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012・佐野芳雄
○佐野芳雄君 二、三日前に公共職業訓練所の終了者の就職状況の資料をもらったんですが、それによりますと、九つありまする訓練所の身障者の定員と入所者数の労働省のほうの資料によりますと、定員に対して八一%の入所者数になっておるわけです。ところが、実際にこれはどういうことで出た資料か知りませんけれども、九つありまする全体のおそらく平均だと思うんですけれども、その悪いところを見ますと、大阪の身障者の職業訓練所は現在七三・三%、それから、兵庫にありまする訓練所は六〇%、そういうふうな実情がありますると、他のところは一〇〇%入所しておると言えるかどうか、おそらくそういうことは困難ではないかと思うんですが、一体この資料は正確かどうかというのはちょっとおかしいんですが、正確なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/12
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013・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 佐野先生に御提出をいたしておりまする資料は、三十九年度と四十年度におきます資料を差し上げたのではないかと思います。これによりますと、先生のお手元にございますように、三十九年当時の一回の定員は千百五十人、それに対して応募者が千三百六十七人、実際に入所した者が千十三人、その年に就労したのが九百六十四人、こういうような数字が三十九年。四十年度は一回の定員が百人ふえておりまして千二百五十人、応募者が千四百七人、入所した者が千二十四人、それで就労した者が九百七十四人、全体で申しますとそういう数字の資料を差し上げておるんじゃないかと思いますが、四十二年のこの四月末で見ますと、実は、たとえば北海道あたりは、定員百二十人に対して、在所しておる者が百四十人、在所率が一一六%、こういうように多いところもあります。御指摘のありました大阪あたりは確かに在所率が四十二年四月三日で七五%、それから、兵庫の伊丹ですと六五%と低いところもございますが、全体としては九一%程度の在所率を本年度は示しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/13
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014・佐野芳雄
○佐野芳雄君 そこで、いまお話しになりました兵庫の場合でございますけれども、現在の状況は、御承知のように、五二%、そうすると、半分施設があいているということになると思いますが、これは一つには、この伊丹の場合、結核患者を対象にしておるということが一つの条件だと思うんです。しかし、今日の結核は病院に入って治療して、そうして一応なおったということで外へ出ますと、もう普通人と変わらないということが考えられると思うんですが、そうすると、結核のあるこの施設に支障のない範囲において他の身障者を収容することができますならば、いまおっしゃるように、大阪の場合はちょっとよくないんですけれども、それもやり方によっては一〇〇%充足することができるようにすることは不可能ではないと思うんですが、こういうことについてどういうように労働省としては考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/14
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015・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 兵庫の伊丹にございます訓練所は、私どもの分類では一応身体障害者の訓練所の中に入れておりますが、公式に申しますと、あれは実は身体障害者の訓練所ではございませんで、兵庫職業訓練所と、こういうのを公式の名称にいたしております。それ以外のいわゆる身体障害者職業訓練所といっているものとは内容が違うわけでございます。それは昭和二十八年に、当時まだ非常に結核患者が多うございまして、成形をして肋骨を何本か取ったというような方の社会復帰のための、いわゆる病院生活を終わった、療養を終わった人の社会復帰のための訓練所をつくってくれという、要望が非常に強うございまして、そういう要望にこたえて、兵庫に特に結核回復者だけの訓練所を開設した、こういうのが設立のいきさつでございます。そういう事情がございますので、あの訓練所におきましては、結核の医者をあそこに置きまして、健康状態を見ながら訓練をする、こういうのをたてまえにいたしております。この医者の所見と実は事務職員の所見とは違いまして、お医者さんのほうがなおったといったといっても、まだまだ完全に菌が全くなくなったということが言いにくい状態であるので、普通の身体障害者の方は、実は正常人よりは結核にかかりやすい状態である、したがって、普通の身体障害者を訓練所に入れることについては、医者の立場からは反対である、こういうふうな意見が従来から出ておるわけであります。しかしながら、先生がいまお述べになりましたように、確かに結核回復者というのはだんだん減ってまいりまして、最近では、御指摘のように、非常に在所率も低率になってきておる、こういうことにかんがみまして、一般の身体障害者の方を入れたらいいじゃないかというのが私どもの意見でございますが、しかし、医者の立場からされる感染の問題も確かにあろうと思います。そういうような感染の心配というふうな手だてができるならば、せっかくの施設であるから、身体障害者のための訓練を始めたらいいじゃないかということで、ことしの一月二十八日付で私どものほうから兵庫県に対して、いま申しましたような趣旨をいいまして、結核回復者の職業訓練に支障のない措置ができるならば、一般身体障害者を入れて訓練をすることを行なうように、こういう趣旨の通達をいたしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/15
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016・佐野芳雄
○佐野芳雄君 おっしゃるとおり、設立当時の事情はわかるのですけれども、設立当時とは、時代の変遷とともに、結核という病気に対してのいろいろな施策も変わってきておりますし、それから、現実にいま入っておる人たちはそれほど心配のある条件ではないと私は判断しておるわけです。そうしますと、今日のままで推移いたしますと、おそらく現状からの好転はないと判断されます。したがって、この際、通達も出されたというのでありますが、前向きの姿勢で、せっかく労働省のほうでは今度身障者を対象とする雇用促進をやろうということで新しい法律を考えておられるのですから、それに見合うような、現実にあることを生かしていくことが必要だと思うのです。その点でもっと前向きに、単に通達を出したから、あと適当に地方でやるだろうということでなしに指導してもらいたいと思うのですが、そういうお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/16
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017・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 一月二十八日の通達の趣旨も、全く先生の御質問の趣旨と同じ方向でございますので、兵庫県当局とよく打ち合わせをしながら、前向きの姿勢で検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/17
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018・佐野芳雄
○佐野芳雄君 そこで、いろいろお尋ねいたしたいこと、お願いしたいことがあるのですが、これはまあこの間提案説明のありましたこの法律の問題を審議するときにいろいろ申し上げたいと思うのですが、そこで、私は、きょうはこの程度で質問を終わっておきたいと思うのですが、この際お願いしたいのですが、先ほどの訓練所を出ました人たちの就職状況、あるいは賃金状況については、一年の間はわかるけれども、それ以後はわからぬということですけれども、これはやはり御調査になればわかるのですから、資料として早急に、少なくとも三年ぐらいの推移はやはり出していただきたいと思うのです。皆さんのほうでは首をかしげていますけれども、訓練をして出したのですから、少なくともそれだけの責任を持っていただかなければならないのです。一番初めに申し上げましたように、訓練所はつくった、あとはあなたまかせだ、訓練所は関係ないということになりますと、身障者に対する職業の指導と申しますか、あるいは生活の安定をはかってやるという考え方からはずれることになる。一般の身障者の仕事の関係までいろいろ指導することは困難でしょうけれども、少なくとも訓練所に入った者に対しては、相当長期にわたって親切な手だてを考えてやることが必要ではないか。したがって、もし古い資料がなければ、氏名はわかっているのですから、お調べになればわかるはずですから、早急に私は出していただきたい。したがって、三年前に訓練所を出た、どこそこの職場に入った、そのときの賃金はこのくらいであって、現在定着して幾らになっておる、あるいはかわっておればどうなっておるということを資料として出してもらわないと、あとの身障者の関係します法律について私たちは審議しにくくなる、したがって、そういう資料を早急に出していただきますようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/18
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019・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 先ほど申し上げましたように、一年だけの資料しかいまございませんので、確かに三年前に終了した者がございます。大体先ほど申し上げましたように、九百何人であります。これから訓練所にいいまして手紙を出させましても、ちょっと時間がかかるように思いますので、早急にという点はひとつ御勘弁をいただきたいのでございます。まことに申しわけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/19
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020・佐野芳雄
○佐野芳雄君 この法律の審議のときに、皆さんのほうでそれはおくれてもいいということになれば、それは別ですけれども、この点ひとつくんでもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/20
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021・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) それでは、いずれにしましても、三年前のものにつきましては通信調査しかないと思います。通信の手続をとるようにいたしますが、時期をいつまでといいましても、ちょっといまのところここではっきりめどがつかないと思いますので、お含みいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/21
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022・佐野芳雄
○佐野芳雄君 いずれにいたしましても、訓練所を出た者がどこかの職場についた、その人間の三年くらいの定着しておる状況ですね、同時に、賃金の状況を、時間は切りませんが、早急に出していただきますということを希望いたしまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/22
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023・藤原道子
○藤原道子君 私は、この際、年少労働者の保護と、そして、やはり定着状況についてお伺いしたいと思います。
私は、最近地方の婦人団体等に参りまして、いろいろおかあさん方から悲惨な悩みを訴えられて、まことに心痛む思いをいたしております。ここに昨年十一月に行政管理庁から監察結果に基づく勧告が提出されております。この中でいろいろな問題がきびしく指摘されておりますけれども、最も保護の必要な年少労働者対策がきわめて不十分であるということが指摘されております。その中で重要と思われる二、三の点について労働省のこの行政指導の方針を伺い。さらに、勧告が出されて以後、どのように指導の方法をとられておるかという点についてまずお伺いをしたいと思います。公共職業安定所が新規卒業者を紹介するにあたって、事業場の調査が不十分ではないか、この点も私はいつも考えておりますし、行管からも指摘されております。その後その調査等はどのように行なわれておいでになるか、これをちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/23
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024・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 詳しくは政府委員からまたお答えいたしますけれども、年少労働者の定着促進のためには、この紹介いたしました事業場の労働条件その他にも問題が従来あったわけでございます。さらに、年少労働者に直接私も会いましていろいろお聞きしたところでは、職業紹介をするときには一万六千円とか一万七千円とかいう給料をはっきり示すわけでございます。その点間違いないのですけれども、ところが、年少労働者のほうは、東京へ来てそこにつとめると、条件が違うではないかと言うので、よく調べてみますと、たとえば寄宿舎の宿舎費、食費というのを引かれて手取りが八千円じゃないか、こういうところに行き違いがあることを発見いたしました。したがって、安定所の窓口で学校あたりに通知するのは、今後はもっとこまかいところまで、食費を引くと幾らだというようなところまで安定所はその会社にやらすということを徹底いたさせました。それから、労働条件の悪いところには、安定所はそういう悪い職場は一切受けつけないという措置をとりまして、そういった面は逐次改善されておるわけでございます。また、同時に、四月二十八日に労働省で「新規学校卒業者に対する職場適応指導要領」というのをつくりまして、従来、定着指導員とか年少労働者福祉員が一生懸命にやっていただいておりますけれども、そういった年少労働者を受け入れる受け入れ地区の安定所に新たに年少就職者相談室というものを設けまして、紹介所の手を通じて就職した少年のアフターケア、相談にまで乗ろうという措置を実施することにいたしまして、きょうから東京都はその相談室が発足する段取りになっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/24
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025・藤原道子
○藤原道子君 私は、中学校卒業で十五歳ですか、あれは、十五、十六の者が就職するときに一万八千円だというだけではそういうふうに考えるのはあたりまえだと思うのです。したがって、寄宿舎とか、あるいは食費とかというようなものまであたたかく指導すべきだと思いますのに、それができていなかったということは、それは不親切だと思うのです。ことに定着状態の悪い事業所、あるいは労働基準法違反が指摘されて、まだそれが改正されていない事業所、こういうものにも、さらに、募集に際してそれらが示した労働条件と実際が違うにもかかわらず、相変わらずそうした事業所に紹介されておる事実がある。それでは定着率が悪いのはあたりまえだ。したがいまして、そうした悪質の事業所、これらを排除した例、あるいは、また、今年の定着率というのはどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/25
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026・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 求人条件が実際と違う、こういうことになりますと、これは非常にゆゆしい問題でございますので、私どもも、学卒の職業紹介については、この点を一番重視して関係者の指導をやっておるわけでございますが、まま御指摘のように、細部にわたっての食い違いというものが現実に出てきておりますことは非常に残念でございますが、この点につきましては、先ほど大臣からも答弁がありましたように、厳重に第一線を督励して、そういう食い違いのないようにということで、監督機関、あるいはその他の年少者の保護機関とも密接な連携体制を確立いたしております。ただ、私ども最近いろいろな事例にぶつかるのでございますが、学卒者の職業紹介にあたって、一つの抜け道といいますか、縁故就職というケースが相当ふえてきております。現実にこの前から事故を起こした事例について当たってみますと、安定所の公式ルートでなしに、縁故でまあ独自に就職をしておったというケースが事件を起こす可能性が非常に多いわけでございます。これにはいろいろな事情がありますが、やはりよく調べてみますと、学校の先生と事業主とが直接取引をするというふうなケースもございますので、今年の学卒の就職指導要領におきましては、その点の不明朗を徹底的に是正しようということで、学校側にも呼びかけておりますし、また、やむを得ず縁故で就職されたという場合におきましても、職業安定機関に、どういう事情でどこへ行ったということをはっきりさせるよう、そういった縁故就職者の場合におきましても、何か事件が起きれば、送出地の安定所に責任がかぶってくる、これは社会常識的にそうなります。県会等においても非常にやかましい問題になります。私どもとしましても、縁故就職なるがゆえにそれでいいのだというわけではございませんで、縁故の場合も含めて、そういった事故の起こらないようにということを徹底したいということで、ことしの通達要領は、先ほど出されました行政管理庁の監察の勧告を全面的に受け入れましてこの細目指導をやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/26
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027・藤原道子
○藤原道子君 私は、縁故募集その他が問題を起こす動機が多いということは私にもわかりますけれども、それを防ぐには、学校と労働省、そうして父兄が十分話し合っていかなきゃならないと思うのです。それがなかなか思うようになされていないという点ですね。
そこで、文部省にお伺いいたしたいのですが、この行管の指摘の中に、非行少年のうち、結局離職者ですか、これらの一年以内に事業所を離職した者で非行に落ちたというのが七〇%を占めているのですね、これではまことに困ると思う。そこで、文部省にお伺いしたいのは、中学や安定所の指導が不十分なためだと思いますが、中学には職業指導主事を置くことになっておりますね。ところが、この指摘されたときには全国公立中学校の五七%にはまだ置いてないということがいわれている。これは三十九年度の実情に基づいての行管の指摘でございますが、その後この職業指導主事はどの程度置かれているか。それから、就職希望者に対して適性検査もなされていないでそのまま就職に送り出しておるというような点も文部省としては考えなきゃならない、こういうことが指摘されているのですね。でございますから、文部省としては、今後都道府県教育委員会などを指導して就職の安定をはかるべきだと、こうなっておりますが、その後の指導、それから、指導主事の設置、これはどの程度に進んでおいでになるか、就職に際してどのような指導がなされておるか、これらもあわせお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/27
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028・望月哲太郎
○説明員(望月哲太郎君) お答え申し上げます。
中学校におきます職業指導主事の設置状況は、昭和四十一年五月一日現在の調査で、公立学校につきましては、学校数一万一千百五十九に対しまして、設置数が六千二百十六名でございます。大ざっぱに計算をいたしますと、五六%から五七%の間になっていると思います。それから、先ほど御指摘のございました、中学校を卒業して就職をいたしました子供の定着の問題でございますが、これは、一つは、就職いたしましたところの職場が自分の思っていたことと違うというようなことから離職をするケースがかなり多いのじゃないかと思います。ただ、それにもいろいろ要因がございまして、これは事業主側になおいろいろ改善をお願いしなければならない事由が多くあるということの場合と、それから、子供たちはやはり学校という特殊の恵まれた環境の中から新しい社会の生活に入りましたために、どうしてもそこにうまく適応できないというような面と、両方の要素があろうかと思います。学校におきますところの就職指導におきましても、やはりまず一つは、子供たちが自分の将来十分能力を発揮し、かつ、社会においてもりっぱな生活ができるような人間をつくる、また、そういうことを選んでいく能力を与えるということを中心に学校の職業指導というものは展開していかなければならないと思っておりますし、また、そういう趣旨で展開をしておるわけでございますが、まあその際、一つは、職場生活に対する適応力というものを与えるという面から、いろいろとやはり社会の実態等も十分学校の進路指導において指導する必要もあろうかと思います。ただ、一面、また、いろいろ職場の中におきましては、事業主のほうのことからもトラブルの起きる面もあろうかと思います。そこで、まず適応力を与えるということをわれわれは一つ考えておりますし、同時に、もっと幅広く、子供たちが定着できるようないろいろな御指導というものを、労働省側にもいろいろと御相談をしながらお願いをしていかなければならない面もあろうかと思っております。そこで、一つは、子供たちが離職する場合に、学校の先生方のあれでは、せめて一ぺん自分たちに電話をして連絡をしてくれれば、事業主のところへ自分が行っていろいろ話をして解決をしてやれる要素もずいぶんあるのだ。そこで、本来、まあ学校を卒業いたしますと、筋からいえば、それから先は学校の責任か、学校の仕事かということについては、必ずしもそうだと言い切れない面がございますけれども、やはり先生方は、自分たちの教えた子供に対する愛情という面から、やはりできるだけ将来自分の教えた子供たちがりっぱな社会生活ができるようにという趣旨から、そういうことについては、常に卒業して就職する子供たちには先生方も言っていらっしゃるようでございます。そこで、実際にそういう連絡があって、先生方が事業主の方とお話し合いになり、あるいは父兄なり本人とお話し合いになりますと、かなり歩どまりがやはりよくなってくるし、また、そのことで実際に話し合ってみて、ほかの職場に行くほうが適当だという場合には、これは必ずしも定着率が悪くても、そのこと自体は別段問題にならないと思いますが、学校に連絡なしに離職される人たちの中には、そのままいわゆる非行の方向に走っていくという子供さんもずいぶんあるようでございますので、そこらの点については、今後とも十分労働省のほうとも御連絡をとり、学校の先生方とも御相談、お話し合いをしながら、なお一そうできるだけ子供たちが間違った方向にいかないように、われわれとしても、進路指導の内容についても充実改善をはかるとともに、全般的にやはりそういう面におきましていろいろと方法の改善等を検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
それから、テストの問題でございますが、これはある程度多くの学校でもテストというものを使っております。ただ、これが有料でございますので、私どもといたしましても強制をするというわけにはまいりかねます。ただ、やはり学校ではそれぞれの子供たちの将来の大事な進路というものを選ばせるという趣旨から、やはりいろいろと希望なさってテストをなさっておりますが、われわれは、ただ同時に気をつけなければいけないのは、テストだけで一切のものがきまるというのではないという面も、やはり進路指導のときに十分考えていかなければなりませんので、われわれといたしましても、指導者養成講座、あるいは手引き書等で、テストの利用の方法、それから、また、それの限界というものを同時に明らかにするような指導をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/28
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029・藤原道子
○藤原道子君 私、このごろの中学の教育が進学のほうに重点が置かれて、就職する子供はどうしてもまま子扱いにされておるという卑屈な考えが絶えずつきまとっておる。ですから、ほんとうに先生を信頼しておれば、これは就職した後でも、困ったときには相談をすると思う。だけれども、おれたちはというみじめな劣等感を持って、やはり先生は心配していらっしゃるけれども、子供のほうから離れていく、ここにいま中学校教育の重大な問題点があると思うのです。実は私も、自分のことを言っちゃおかしいけれども、家庭の事情で小学校を中途で退学しております。私より成績の悪い子が女学校や中学へいく。私は印刷所の女工になりました。女工女工といわれながら、自分より成績の悪い子供が上の学校へいく。どんなにつらかったかわからない。親を恨み、時に私もまさに非行に走るような危険な時期でございました。けれども、学校の受持ちの先生が一時間ばかりかかる汽車に乗ってときどき訪問してくださいました。その先生のあたたかい指導がなかったらいまの私はなかったと思うのです。だから、落ちていく子供のみじめな気持ち、これは皆さんが想像以上なものがあるわけなんです。自分より成績が悪い子供もいっているのにという気持ちがいつもつきまとっているのですよね。そこで、私は、きょうはこの問題を取り上げる予定はなかったのですけれども、この間地方へ参りまして、おかあさんからいろいろ泣きつかれまして、やっと送り出して喜んでいたら帰ってきた。帰ってきたからよかった。ところが、それ以来明るさを全然失ってしまった。ものを言わなくなった。一体これではどうしたらよろしいでしょう、親がいくじがないためにと泣かれまして、それで私は、いろいろと自分のことも話したり、おかあさんを激励してきたのですれども、それがどうも忘れられないので、さらに非行少年等の問題を思いますときに、ぜひこの点は労働省でも、もっと年少労働者に対して、けなげにも中学だけで就職して家庭を助ける子供たちのために、もっと愛情ある指導をしてほしい、こういう気持ちで、きょうは急遽この問題を取り上げさしていただいたわけなんです。そこで、今後指導主事をふやしておいきになる方針であるか。進学率がだんだん高くなってくるので、こうした指導主事などは、もうあまり置こうとする熱意を持っていらっしゃらないのじゃないか、こういうひがみも起こるわけでございますが、その方法をどのように考えておいでになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/29
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030・望月哲太郎
○説明員(望月哲太郎君) まずお答えを申し上げるに先立ちまして、最初に進路指導というものの考え方でございますが、これは一応就職する子供に対する就職指導も、それから、進学する子供に対する進学指導も、やはり将来の進路なり適性を見きわめまして、しかるべき学校にいくことが一番その子供たちの能力を十分に展開させ、社会でも十分活躍させるというふうな観点から、やはり学校に進めさせる場合でも、どういうふうな学校に進めさせるのが一番その子供にとってしあわせかという意味から、やはり進学指導も進路指導の中に含めております。したがいまして、その意味におきましては、その進学率の上昇ということと、学校におきましての進路指導の位置づけというものは、それによって変わるというものではございません。ただ、先生のおっしゃるように、その際、やはり就職指導というものが、若干進学率のほうに気をとられて少し手薄になりゃしないか、あるいは学校のムード全体が、やはり先生のおっしゃるように、進学する子供が多くなれば、就職する子供が心理的にもたいへんではなかろうかという点でございますが、これはむしろ学校の先生から見れば、少数であろうとも、その子供たちというものについては、やはり強い関心と愛情を私はお持ちになっていると信じております。したがいまして、その点は進学率も上昇したことによって、特にその子供たちをあずかっていらっしゃる先生方が、そのことによって左右されるというようなことは、私はなかろうと思っておりますが、しかし、なおやはりそういうことが起りりませんように、われわれとしても十分今後とも適切な指導をして、あるいは、また、お話し合い等十分強めてまいりたいと思っております。
それから、現在中学校の教育課程につきましては、教育課程審議会において、いま改定の問題は御審議いただいております。その中でも、やはり今後におきますところの中学校の進路指導のあり方というか、あるいは学校教育における位置づけというものを、現在一つの重要な課題として慎重に御審議をいただておりますので、それらの点も含めまして、今後の措置につきましては十分慎重に検討をしてまいりたいと思っております。ただ、御承知のように、いわば学校教育全体が、進路指導といえば進路指導でございます。したがいまして、私は、学校教育全体の中で、進路指導というものを、単に職業指導主事だけが関心を持ち、責任を負うということでなくて、あげて、校長先生はじめ、すべての先生方がそういう気持ちで子供たちに接するということを前提にした上で、なお職業指導主事の充実というものについて十分配慮していくべきであろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/30
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031・藤原道子
○藤原道子君 私は学校の先生のお骨折りはわかるのです。先生は忙し過ぎるのです。定員が足りなさ過ぎるのです。しかも、家庭訪問もしたり、まるでオーバー労働ですよね。それで安上がりで大事な教育をやろうというところにいろいろの問題が起こると思うのです。私は先生方の御努力はよくわかる。けれども、七〇%、八〇%、東京あたりではもっとこしておりますね。進学は。そうすると、一つクラスの中で八〇%以上が進学するとなれば、職業指導主事ですか、やはりこういう者がいなければ、先生は進学する子供を一人でも多く合格者を出したい。この子供にもというとなかなかたいへんなんだ。ところが、これが必要であればこそ行管でも指摘されているというのに、三十九年度に公立学校の三七%が置いていない。ところが、いま伺えば、置いているところが五十……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/31
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032・望月哲太郎
○説明員(望月哲太郎君) 五七%。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/32
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033・藤原道子
○藤原道子君 五七%、ちょっぴりしかふえていないんですね。だから、これは熱意がないと私は思わざるを得ないわけでございます。この点は大臣とも御相談になりまして、これは至急に人間的な愛情の立場からも私はお考えを願いたい、強く要望いたしておきます。
そこで、労働省にお伺いしたいのでございますが、この中卒の就業しているところが、何としても中小企業が多いのでございますけれども、九人以下の事業所では年少労働者の勤務時間が非常に長いところが多いんですね。ところが、これらの中で、まあ商業とか接客、娯楽業とかいう事業所などについて、最低労働条件すらも守られていないし、また、労働省などでもその実態をつかむ監督指導が行なえるのに、ひがめば手抜きがあるんじゃないかと思うのです。したがって、定期監督を実施した率は、小規模事業に対してはたった六%にすぎない。中でも商業は一%、接客、娯楽業は〇・四%と指摘されているわけで、これでどうして実態がつかめるか。この指摘を受けまして以後、この監督が強化されておるかどうか。と同時に、監督官が少ないということも問題じゃないかと、まあ私はそういうふうにも思えるのですけれども、大臣、監督官少ないんでしょう、非常に。だから、少ないからといってこの定期監督の実態がわずか六%だとか〇・四%というようなことでは、私は黙っているわけにはいくまいと思う。これでは正しい労働者保護はできないと思いますが、この点についてちょっとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/33
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034・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 監督に関することでございますから、私から答弁をさせていただきます。
先生御指摘のように、年少労働者に対する監督につきまして、特に商業、サービス業等について監督実施率が低いという御指摘でございます。この点につきましては、従来労働基準監督の重点が工業的職種に置かれておりまして、工業的職種における労働時間とか、あるいは危険有害業務の就業制限といった点に過去の労働基準監督の重点が置かれておったわけでございます。しかるところ、最近におきましていろいろ御指摘のような問題が生じてまいりましたので、労働省といたしましては、特に年少労働者の監督につきましては、非工業的職種にあっても十分その監督を実施してまいりたいと、かような考え方を持ちまして、しかも、これは一年じゅう、まあ何と申しますか、まんべんなくと申すよりも、これを効果的にひとつ実施したいという観点から、いわゆる集団就職の直前の時期をねらいまして、本年二月に全国約四千の事業所を一斉監督いたしましたわけでございます。そのようなことで、従来の工業的職種重点を、非工業的職種であっても、商業、接客、娯楽業といったような特殊な問題業種につきましては、これは重点として取り上げる、そして監督も、ただいま申しましたような効果的な時期を選定いたしまして一斉監督を実施する、こういうような方法をとりまして御指摘のような問題にこたえたい、かように存じておる次第でございます。しかし、基本的に監督官の数が足らんから、そうは言ってもなかなか手は及ばぬだろうという御指摘は、私どもも、遺憾ながらそういった点はまあ同感でございます。まあそういった点につきましては、監督官の増員ということもはかりたい。四十二年度はごくわずかでございますが、三十名の監督官を増員した、こういうことでございますが、なおかつ不十分でございます。今後とも監督体制の整備強化という観点から、定員増という問題について積極的に取り組んでまいりたい、かように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/34
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035・藤原道子
○藤原道子君 私は大臣にお伺いしたい。監督官が足りないために、もうほとんど監督ができない、野放しの状態にある。このごろは零細企業でなくて、中小企業だってあまり監督が行き届いておりません。いろいろ指摘したい材料は持っておりますけれども、きょうは時間の関係もございますので、また次回に譲りますけれども、ともかく基準監督官もことしはどれだけ増員になったのか、今後どれだけ増員する予定であるか、もっと労働行政を血の通ったものにしてもらいたい。こうやりました、ああやっておりますという、木で鼻をくくったような考え方では問題だと思う。ことに年少労働者がだんだん減少してまいり、これらにつけて奪いだこで年少労働者を動員する傾向でございます。ところが、それが定着しない。そして非行に走る子供たちのうちには、一年以内に離職したという子供が七〇%も占めておるということは、これはたいへんな問題だと思う。したがって、今後労働省は、警察あるいは文部省とももっと緊密な連絡をとって、こうした子供の悲劇、即、これは親の悲劇です。人間的な悲劇、社会悲劇だと思います。これが少しでもなくなりますように、安心して子供が送り出せる、その子供が将来幸福をつかめるように、私はもっと身を入れた指導がほしいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/35
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036・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 私は、労働大臣としての根本理念は、自分の子供や娘が働いておる、そういう労働者という立場で労働行政をやるべきだという基本理念に立ちまして、いま御指摘のように、中小企業や、あるいはその他の年少労働者を自分の子供や娘のように考えろと申しておるわけでございます。ただ、一つのいまの労働基準法の違反の問題でございますが、こういう点が大きい問題があるのでございます。現在は、御承知のように、中卒者というものに対する求人が三倍あるのでございます。で、求職は三分の一でございまするので、いわば飛ぶように売れるわけなんです。こんな安定所にくる事業所というのは、たとえば女子労働の場合には繊維工業、そういうところへも非常に行きたがらない。それから、また、いわゆる縁故採用ということで接客業とか、いわゆる縁故のために二割程度が引き抜かれております。この人たちがむしろ非常に超過勤務、不当労働行為、基準法違反という事例が非常に多いわけでございまして、そういった点をどうしていくか、これは真剣に考えなければならないと思っておるわけでございます。もう一つは、離職率は、東京都の例では九カ月で一二%ということになっております。そこで、労働省と警視庁でその理由を調べたのでございます。その理由はこういうことになっておるのでありまして、まず、離職者の四八%までが家の都合等、個人的事情ということで、それから、事業所に不満があったからというのが三一%、その他はうんと下がってくるわけでございます。これは労働省の調査。それで、警視庁の調査では、いわゆる家庭の事情、個人的事情というものに相応するのは、まず第一にあげられるのはホームシック、これが一九・四%、上司にしかられた、上司と合わない、同僚と合わない、そういったいわゆる個人的、家庭的事情というのを合わせますと、ちょうどこの労働省の四八%に相応するわけでございます。それから、事業所に不満があったからという約三一%に相応ずるのが、仕事の内容が約束と違うとか、仕事が性格に合わないとか、将来性がないとか、仕事がつらいとか、こういったものが合わせまして三一%ぐらいになるわけでございます。賃金が安いというのは、われわれが調べましたところは、わずかに一・九%というわけでございまして、まず若年労働者が非常に不足してまいりまして、御承知のように賃金が上がっておりますが、この不満は別でございますけれども、そういった事情でございます。
こういった統計を踏まえてどう考えていくかと、これは若い子供のことでございますから、野心もありましょうし、最近飛行機で年少労働者を連れてきたり、奪い合いで過剰サービスで、行ってみたら夢破られたというような子供心を傷つけるということもあります。これは今度やめさせることにいたしましたけれども、こういったデータを踏まえまして、先ほどからいろいろ申し上げましたように、真剣にひとつこの年少労働者の問題を取り上げていこうというので相談室を設けました。定着指導員とか年少者福祉員とか、それよりも、何といいましても、やはり学校当局ですね、各県の学校並びに教育委員会も会議を設けまして、職場適応会議というものを設けることにいたしました。いままではどっちかといいますと、就職の世話をすればもうそこで切れたのでございますけれども、労働省といたしましては三カ月重点的に指導し、それから一年を限りまして、特に転職率の多い職場につきましては、一年間職場適応指導をやっていこう、そうして先ほど文部省からお答えされましたように、いろんな相談をして、とめられるものはとめていく。しかし、何といいますか、夢多い子供たちですから、どうしてもこの職場に居つかぬというのは、私はそういうものはどんどん転職していいと思うのです、まじめな意味の転職というものはですね。そうして自分の最も適した仕事を見出して、そこに定着していく、このこと自身は私は悪いことではございませんと思います。そうでない、いわゆるふらふらっと転職するということは最大限にひとつとどめていこうということを特に労働省としては取り上げていきたい。そこで、婦人少年局並びに安定局におきまして「職場適応指導要領」をつくりまして、先般関係各省の労働部長・課長会議を開きまして、その趣旨を徹底をいたさせた次第でございます。学校、文部省当局も非常に御協力を願わなければなりませんので、先生の御指摘、まことに私も同感でございます。労働行政の重点事項として真剣に取り組んで、これに対する措置をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/36
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037・藤原道子
○藤原道子君 私は、年少労働者は甘やかしてはならない、私は甘やかすことを主張してるんじゃない。うそを言わないようにして、子供の夢を破らないようにしてもらいたい。私は、仕事はきびしいものだということは、これはもう承知させなければいけないと思うと同時に、どんなにきびしくとも、そこに愛情が加わっておれば、それは子供はがまんするので、働くのです。ところが、それがそうでないところに問題がございます。で、転職しよう、この職場を離れようと思うときには、必ず先生なり親御さんなり、あるいは安定所なりに相談をするというふだんの指導がほしい。それから、悪質業者は摘発されまして、今後そういうところは一切あっせんをしないというふうに私は励行してほしいのです。絵に描いたぼたもちではだめでございます。それを実行してほしいということを強く要望いたしまして、またの機会に譲りたいと思います。
そこで、次に、年少労働者が少なくなってくる、これにつれまして婦人労働の問題が大きく取り上げられなければならない段階にまいっております。で、今度ILO百号条約が今度は批准されるというので、国会提案の運びと伺っておりますが、労働基準法等、日本の国内法でもこの条約に抵触することはないと思いますけれども、男女労働者の実情は同一に扱われているかどうか、法律的には男女同権になっておりますけれども、実際は扱われていると思っておいでになりますかどうか、そうして、また、さらに今後どのように行政指導していく予定であるか、これをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/37
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038・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 現在は九百三十万人も雇用女性が出てまいりました。日本経済の大きいこの重荷をになっていただいているわけであります。また、農村は、もう婦人労働が過半数を占めているという時代になっていることは御承知のとおりでございます。そこで、これは長年の日本の慣習から、初任給に関しましては、中卒高卒は全くもう差はございませんのでございます。ただ、その後の状況で、いろいろ職種が上がらないとか、いろいろな面で実際的には差別が多く存在していると私は思っております。
それから、労働基準局で基準法第四条の男女同一賃金の違反件数を調べたのでございます。で、これは氷山の一角ですから、出てきたところはむろん数少ないのでありますが、その内容はどういうところからきてどういう違反が多いかというと、たとえば超過勤務の場合、割り増し金の場合に男のほうが女より多かった。それから、同じ高等学校出の者の初任給で、そういう基準法を知らなかったので女のほうが低かったと、いろいろとそういった無知からくる差別もございます。しかし、このたびILO百号条約を批准しうといたしますのは、すでに労働基準法第四条の規定もございますから、国内法的には完備しているのですけれども、このILOの男女同一労働に対する同一賃金という大原則を批准することによりまして、いわゆる宣言的効果といいますか、日本の社会に長くくすぶっている差別的慣習を打破する一つの刺激剤にしようと、それを国会が批准することによって意思表示をする、それに最大のILO百号条約を批准する意義があろうかと思う次第でございます。そうすることによって、たとえば山梨県において学校の校長さんに婦人がなるのはけしからぬ、PTAでとうとうあれはつぶされてしまいました。また、郵政省では婦人だけの郵便局という、これは実現いたしました。その前者の例などを見ますと、いろいろ理由はありましょうけれども、長い社会的な一つの慣習というものが残っておることは否定できない。そういった事実をこの百号条約批准によりまして打開していって、特に今後若年労働力が不足してまいりますので、御婦人の方々にいわゆる雇用労働力という面で大いに働いてもらわなければならない情勢になってまいりました。その意味を含めましてILO百号条約を批准するということに踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/38
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039・藤原道子
○藤原道子君 私は、そういう意味で一番その精神が踏みにじられているのが官公庁だと思う。官公庁では初任給は同じですが、相当能力はあるけれども、女子は何というんですか、管理職というんですか、そういう方向への登用はまだ少ないと思います。またそれはそれとして、私は大臣のいまのおことばでございますが、女子は労働基準法の規定で、生理休暇と産前産後の休暇を認められておる。ところが、これを理由にして、使用者の中には、男女は同一労働ではないとして差別扱いをしておる傾向がありますが、労働省の考え方を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/39
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040・早川崇
○国務大臣(早川崇君) おことばを返すようでございますが、わが労働省に関する限りは、ここに局長もおられますし、課長もおりますし、男子と決して差別待遇をしておりません。りっぱに管理職の課長さんも御活躍いただいておりますので、労働省以外のことは存じませんけれども、その点はひとつ御理解を賜わりたいと思うわけでございます。
そこで、問題は生理休暇の制度、これは日本だけあるのですね。これは女子のことを思った一つの日本独特のいい面だと思います。ただ、産前産後のいわゆる十二週間は、ILO百三号の規定では産後五週間以内に働かす、一週間食い違っておる点は今後の検討問題だと思っております。また、その間は給料もらえないというような問題、これも現在は健康保険で給料の六割支給されておる。ILO百号条約では三分の二という規定がありまして、その点は少し婦人という立場をアンダレスティメートしているんじゃないかという御意見もあるかと思うのでございます。ILO百号条約というものが批准されることによりまして、直接その法律とは結びつきませんけれども、その精神でそういう面が逐次改められていくことをこの百号条約に期待するわけでございまするし、私は、総評の議長がこの間来ましたので、あなたのところでは三分の一以上婦人労働者、組合員がおるじゃないか。ところが、副議長一人も婦人がないのはどういうわけですか、役員が婦人を非常に阻害している、まず労働組合自身も婦人自身の地位をもう少し重視しなければだめじゃないかと申しましたら、まことに有力な御意見であるから、会議にはかってというお答えでありました。そういったことも含めまして、この百号条約が婦人の地位向上に大いに役立つ一つのよすがになればと、こう思っておりますので、いま申し上げました実際の先進国に比べましておくれておる面というのは、御指摘のとおり、たくさんございます。今後この条約批准を通じまして検討の対象にしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/40
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041・藤原道子
○藤原道子君 労働省には婦人の管理職、現にここにいるとおっしゃったけれども、これは婦人少年局があるからです。それと、もう一つは、婦人少年局長さえ、この前は男にしようとしてずいぶんもんちゃくがあったのですよ。やっと婦人少年局長は婦人の方でということで私たち闘争をしたのですよ、労働省で。そういう歴史があるのです。それから、事のついでに、しっぺい返しだろうと思うのですけれども、労働組合のことが言われた。これは労働組合にしろ政府にしろ、あるいは社会全般がまだ婦人蔑視の考え方がある。これは労働組合にないとは私は思わない。だから、その考えを漸次是正していこうと思う。だから、官公庁が率先してやってもらいたい。
そこで、私は、いまの母性保護の問題についてこの規定があるのは、産前産後五週間で、ちょっと上回っているというようなことをおっしゃるけれども、労働基準法は最低を規定していると思う。すべて法律は最低を規定している。だから、世界各国とも、産前産後の休暇は、あるいは八週間のところ、漸次これが拡大されつつあるということをひとつお考えになって御調査を願いたい。と同時に、こうした母性保護の問題は、労働基準法で特別の保護を女子に認めているのは、母となる女子が、次の世代に健康な人間を育てていかねばならない母としての使命を果たさせるために特別の保護があるのだと私は思う。これがあるから女は同一労働ではないというような考え方は、これは強く払拭してもらわなければ困る。こういうことを使用者が女子のハンディとして考えていてはならないということを労働省は使用者に確認させなければならないと思いますが、これはILO条約の百三号の精神でもあると私は考える。百号条約を批准するなら、百三号条約も私は批准しなければならぬと思うのですけれども、それはそれといたしまして、使用者側に母性保護の置かれている精神というものを十分徹底させてほしいと思いますが、労働省ではどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/41
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042・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 全くお説のとおりでございまして、最近は大企業では、お産のときに休む場合に、その奥さんにかわってだんなさんの炊事をやるホームヘルパーの制度もどんどん普及している会社もたいへん多いわけでございます。それから、また、社内で託児施設を設けているところもございますし、問題は、国のほうも、これから有夫の既婚の職業婦人にとって大きい問題は、かぎっ子の問題、それから託児所の問題等、たくさんございます。日本も、欧米式に、中年を過ぎた既婚婦人がどんどん職場に入ってくる時代になってきておりますので、これはいままでの政府の行政では考えつかなかったことで、新しい課題として取り組まなければならないわけでございます。もちろん各会社の指導にあたりましては、労働基準法第四条並びにILOが批准されましたならば、男女同一のことにつきましては役所といたしまして十分指導して、従来の慣習を打破して進んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/42
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043・藤原道子
○藤原道子君 これは最近特に生理休暇などが取りにくい条件になりつつある。それの一つの口実として男女同一労働というようなことが取り上げられて、その既得権さえ縮小されつつある、こうした傾向でございますので、ひとつお考えになっていただきたい。と同時に、いまでは悪質の妊娠中のつわり、どうしてもまあこれはいろいろ重い軽いの差はございますけれども、悪質のつわり、これに対するつわり休暇というような問題になっておりますが、大臣はどうお考えでしょうか。このごろは流れ作業になったり、労働密度が非常にきびしくなってきた今日では、悪質のつわりに悩みながら、しかも混雑な交通機関にゆられる、こういうことが母体に非常に影響している。最近学者の中でも、これは重大問題だと、つわり休暇は必要であると同時に、心身障害児の問題がいまや大きな政治的課題になっております、ところが、生まれた子供の保護はもとより国でやらなきゃなりません。ところが、心身障害児の生まれる原因が妊娠中にある。御案内のように、サリドマイドの、あの睡眠剤を飲んで、あれが五十三日以後に飲んだときには何ら影響しない、五十三日以内に飲んだ場合に手のない子、足の短い子、こういうものが生まれたということは御案内のとおりなんです。ですから、つわりの時期、胎生時が非常に重大なんです。ですから、特に脳性小児麻痺などが、その原因が胎生時と出産及びその周辺に八〇%原因がある、こういわれておる。ですから、このつわり休暇は、私はあらゆる意味からいって必要だと考えておりますが、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/43
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044・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 私は男性で、悪性つわりの経験を持ちませんので、幸い婦人少年局長が四人のお子さんのおかあさんでございますので、婦人少年局長から答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/44
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045・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) お答えいたします。
御指摘のとおり、つわりの問題につきましては、まあ妊娠二、三カ月日に起こるわけでございますが、大部分の妊婦と申しますか、婦人がこれを経験しているところだと思います。ただ、軽い重いというような差はあるようでございますが、重症の場合には、これはもう一つの病気というふうに診断されておるようでございます。いずれにいたしましても、この妊娠初期というものが、婦人にとってと申しましょうか、妊婦にとって非常に重大な時期であり、また、生まれてくる子供に対しても大きな影響があるということは、この点につきましては医学的にもしばしば指摘されておるところのように思われます。
それで、労働省といたしましては、従来から、このつわりの問題も含めまして、母性保護という点から、事業所が母性保護のためにどのような制度、措置をとっておるかというような点を明らかにする調査を連年行なってまいっております。これによりますと、たとえば特につわりの時期に対しまして、つわり休暇という制度を設けております事業所、これは非常に数が少のうございまして、一%をちょっと欠けるというような数字でございますが、設けているところもございます。もちろん御承知のように、このつわり休暇が基準法等によっても規定されているものではございませんので、労使の間で任意の契約でそのようなものを設ける措置をとっておるわけでございます。私どもといたしまして、今後既婚婦人が増加し、特に妊娠中も仕事を続けるものが増加する傾向を踏まえまして、この問題につきましても実態の把握並びに考え方についての検討を広範な見地から考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/45
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046・藤原道子
○藤原道子君 私は、そのつわり休暇の問題は非常に重大だと思っております。その対策よろしきを得れば、あの痛ましい心身障害児の出生も減ってくる。それから、最近日本では妊産婦の死亡率がヨーロッパあたりの二倍、三倍という高率を示しておる。これはその原因の主たるものが妊娠中毒、こういうことになっておりますので、母体の保護の問題は特別にひとつ検討して、前向きに進んでいただきたい、こう思います。
そこで、最近は育児休職、あるいは育児休暇というものが問題になっております。それで、全電通ではすでに育児休職が半年、一年、一年半、二年、希望によってこれが認められ、そうしてその期間を終わったらもとの職場に復帰できる、待遇もそのときに下回らない、そのもとのままで復職できるという制度が実施されております。それはていのいい首切りにつながりはせぬかという不安が労働者の中にもあったようでございますけれども、これはまことに好成績で、非常に喜ばれております。それから、教職員のほうでも、今度は育児休暇——全電通のほうは育児休職ですが、教組のほうでは育児休暇ということを主張いたしまして、今国会で議員提案で提出される、こういうところまできておりますが、母乳がいいとか、やはり母が新生児をずっと育てるほうが将来の人間形成の上に非常にプラスである、こういうこともいわれておりますが、この育児休暇、これに対してはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/46
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047・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 婦人が職場に出ております場合に子供ができた場合、それをどのように扱って仕事の責任と家庭の育児の責任を調和させるかということは非常に大きな問題でございまして、実は、従来からいろいろな試みがされてきたと思います。育児休職につきましては、私どもの聞いておりますところでは、電電公社と全電通との間に一昨年取りきめられた制度でございまして、最初試み的に行なわれていたと思いますが、先生御指摘のとおりの好成績をおさめて今日に至っているように考えております。教員組合のほうでは、最近この育児休職期間を有給にするというような条件を加えて法案をお進めになるというように伺っております。私どもの立場といたしましては、この育児期間中に家庭にあって子供を育てたい、特に子供の小さいときに母乳で育てたいという希望は、母親として、婦人としてきわめて自然にあるもののように思われます。しかし、現在の雇用慣行、労働市場の情勢等では、一たび職場を離れますと、再び戻るということが非常にむずかしい条件がございますために、家庭に入って育児に専念したいと思うものの、容易に職場を離れられないということもあるようでございます。それらの者、うちに帰って育児に専念したいと考える者につきましては、このように育児期間中の身分を保障して、家庭におることを可能にする制度というものはきわめて有効な試みであると思われます。しかし、一方、またいろいろな理由で、小さな子供がおりましても、なおかつ職場にそのまま続けていたいという者もいるわけでございますから、そのような方々のためには、やはり保育所等によってその仕事を継続したいという意思も尊重していくべきではないか。この両々相まって、子供を持つ職業婦人が、その選択によって、より自然な暮らし方をするようになることが望ましいのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/47
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048・藤原道子
○藤原道子君 私は、この問題はさらに前向きで検討してほしいと思います。つわりの問題は切実な問題でございまして、森山先生あたりもこれは非常に主張されております。私は、労働基準法の改正とまではいかなくても、基準局で積極的に行政指導をされるべきじゃないかと、こう思いますが、お考えを伺いたい、つわり休暇。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/48
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049・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 実は、基準法の中で女子、年少者に関する事項は婦人少年局長がその解釈その他の権限を有しておりまして、私のほうは監督面を受け持っておるわけでございます。ただいまの御指摘の点は非常に困難な問題をはらんでおると思いますが、しかし、こういった母性保護に関する関心が民間におきましても徐々に高まりまして、そしていわゆる広く労働条件の問題として改善がはかられるということは、いわば労働条件行政をあずかっております私どもといたしましても、非常にこれは好ましいことであろうと思います。ただ、法律的にこれを規制する、あるいは何らかの制限を設けるということになりますと、その立法の趣旨なり、その及ぼす影響といったようなものも慎重に調査いたしましてこれは処理しなければならぬことだと思います。しかし、先生のおことばは、そういった点ばかりでなくて、いわゆる母性保護の観点から、もっとよき慣行を確立するということについて努力を払えという趣旨に私ども理解されるのでありますが、そういった方向におきましては、いま婦人少年局長が御答弁なさいましたように、さらに調査いたしまして、そういった資料をもとにいたしまして、こういった慣行もかなり普及してきたといったような事実を踏まえまして今後考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/49
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050・藤原道子
○藤原道子君 私は、命を大切にというのが政治の最も基本だと思いますので、いろいろな事例からそれがもう明らかになってきておりますとき、さらに調査を進められまして、私は法改正などとまではいかないと思いますけれども、そうした方向で指導が好ましいということを強く要望いたしておきます。と同時に、男女同一労働同一賃金とはいいましても、電話交換手であるとか看護婦であるとか、あるいは保母さんであるとか、その他キーパンチャーであるとか、そういうところに働く女性、こういうものは女性だけの職場なんですね、比較はできない女性だけの職場でございますから、非常に賃金の基準が低いところに押えられている。特に保母さん、看護婦さんに至ってはそれがはっきり言えると思う。この女性だけの職場の女性労働の、何といいますか、評価ですね、これはやはり女なるがゆえに低く押えられているんじゃないかと思いますが、それに対してはどうお考えでしょうか。百号条約との関連の通達などにおきましてもどのようにお考えでございますか。これはずいぶん職場などでも問題になっておりますし、私たちも不当に安い報酬で押えられている、こう考えております。女なるがゆえに、女の職場なるがゆえに、その仕事の価値に比較いたしまして賃金が非常に低い。これはどのように労働省では踏んまえておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/50
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051・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) たとえば毎月勤労統計などを見ますると、男女間格差が相当ございます。ただ、それには先生御承知のように、理由がございまして、勤続年数が短いとか年齢が低いとか、いろいろあるわけでございます。しかし、一般的にそのような風潮があるのじゃないかという先生の御指摘につきましては、傾向としては私どもそういった傾向にあることはいなめないと思います。ただ、考えてみまするに、これには歴史的な経過と、それからいろいろな理由があるわけでございます。特にこれは教育制度その他を背景にいたしまして、女子労働者の労働の価値をどのように認識するかという点につきまして、たとえば教育も男女平等になり、相当高い給与も受けるようになった。戦後そういった教育制度の改正を背景にいたしまして、女子労働者の質が非常に高められてきた、これは戦前と違う点だと思います。そのような条件変化を背景にいたしまして、今後どのように賃金の面に反映してまいるかということは、戦前の場合の考え方と違った観点で、今後推移を十分注視しなければならないと私ども存じております。その間におきましてILO百号条約の批准、それから、労働基準法第四条の厳正な実施と相まちまして、いろいろ問題をそういった面からてこ入れしてまいるという契機、モメントがあるわけでございます。私どもといたしましては、今後の問題として職務評価の問題がございまして、これが日本では十分確立されておりませんので、いつも職務評価の問題になりますと問題になり、しかも、それは女子だけじゃなくて、男子労働相互間におきましても職務の評価というものは適正になされていない。御承知のように、学歴だとか、そういった面で賃金が考えられるといったような状態が適当であるかどうか、これは賃金制度の問題とも関連する問題でございます。したがいまして、女子労働に対する賃金の問題という問題は、実はそういった職務給的な問題に関連してまいりますので、男子相互間における問題にも関連するという、非常に幅広い問題でございますけれども、私どもは、将来の方向としては、そういった点、従来の賃金に関する慣行などが改善されるものというふうに私どもは予測しておるわけでありまして、そういった点について、いわゆる法律の実施という面からではなくして、賃金の面からするいろいろな指導啓蒙といった観点から努力してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/51
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052・藤原道子
○藤原道子君 古い慣習があるということですけれども、看護婦なんかは、いま高校を卒業してあと三年学校へ通って、さらに国家試験を受けて初めて看護婦になるんですね。それで、また、看護業務というものがいま国際的にも高い評価をされておりますときに、その待遇等が女なるがゆえにやはり低く押えられているように考えられてなりませんので、いまお話のございましたように、職務評価の問題等は十分御検討願いまして、女なるがゆえの不利益がなくなりますように、女の職場、女だけの職場に働くこれらの人のために十分御検討願いたい。
さらに、いろいろ問題はございますけれども、時間の関係もございますので、次に進みたいと思います。私は、婦人労働の引き継ぎになるんですが、やはり妊娠すればやめてもらいたい、あるいは育児のためにやむを得ず職場を離れる、こういう人がたくさん出てまいりまして、非常に惜しいと思っておりますが、いまの状態では前向きにこれの是正につとめなければならないというところで、次に移りたいと思うのです。
最近、内職の問題でございますが、内職の問題は、御案内のように、このごろずいぶん質が変わってきていると思うのです。これがいろいろ問題になりまして、この前、ベンゾール中毒事件等で大きく問題になりました。その後四十一年の八月ですか、家内労働審議会というものができたはずなんですね。この家内労働審議会の答申はいつごろ提出される見込みであるか、そうして、また、現在の審議の状況はどうなっておりますか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/52
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053・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 最近、家内労働、内職というものが非常に重要になってまいりました。特にいわゆるほんとうの低賃金という階層は内職をやっておる方があることが世論の焦点になってまいりまして、したがって、先般、家内労働審議会は、四十四年度までという審議会の答申の期限でございましたが、しかしながら、四十四年度ではあまりにもいまの世論にこたえる道ではないと考えまして、家内労働審議会の会長の長沼弘毅さんをお呼びいたしまして、一年繰り上げて、昭和四十三年の三月末までに答申をお願いいたしたいということを要請いたしまして、その線に沿いまして、目下スピードアップして各内職の実態をどんどん調査を始めていただいておりますので、もし法案を立法する必要があるならば次の通常国会ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/53
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054・藤原道子
○藤原道子君 四十三年の三月までに答申する、一年繰り上げた。そこで、私、家内労働の対象をどこに置くかという問題が問題だと思います。これが重要な点でありますが、比較的つかみやすいのは専業家内労働ですね、専業的家内労働と申しましょうか。ところが、いまほんとうに問題になり、保護の必要な対象は内職的家内労働、都市の主婦家内労働、こういうところにあるのじゃないかと思います。つまり専業的家内労働、副業的家内労働、さらに都市における主婦を対象の家内労働、こう三つあるのですが、それらに対して最もつかみにくい面を除外しないような配慮が必要だと思いますが、それはどういうふうにされておるのでしょうか。専業的家内労働を主にやられているのか、副業的家内労働か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/54
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055・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 御指摘のように、家内労働にも三種類ありまして、専業的家内労働、たとえば香川県の手袋とか、あるいは奈良県のくつ下とか、こういう専業家内労働につきましては、一般の労働者とほとんど変わりません、賃金の形態も。したがって、これは比較的取り扱いやすい家内労働でございます。しかし、家内労働審議会で主としてこの対象にしており、また、しなければならないと考えておりますのは、いわゆる内職一時間当たり二十六円という安い賃金に追い込まれておる。ところが、労働力の移動の自由がない。そこで、仲買い人あるいは商人にたたかれる。ところが、労働力が移動できる人ならばいいんですが、そこの家におらなければならない、子供もかかえている、だんなさんの収入の手助けという場合にはいわゆるたたかれる、しかも、内職しなければ食っていけない、こういう内職が一番悪い労働条件に置かれておるわけですが、当然審議会といたしましては、この内職を主として答申をしていただくような御努力をお願いしたいと、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/55
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056・藤原道子
○藤原道子君 家内労働を保護する方法としましては、家内労働者を組織化するというのでしょうか、あるいは委託者、仲介者を十分に監督して、これに必要な規制を行ない、時間当たりの適正な工賃を設定するというようなことが重要ではなかろうかと、こう思いますが、家内労働法の制定までの間、労働省の指導方針はどのようにおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/56
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057・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 現在法律に基づいて行なっておりますものといたしましては、最低工賃の決定というのがございます。これはすでに三件設定されておりますが、それ以外に、行政指導といたしまして標準工賃を設定するという指導をいたしてまいりました。件数としては五十二件、八万四千四百人の家内労働者にこれが適用されておる。それから、家内労働手帳の手帳制度の実施、これは三十二件、二万七千三百人に対して行なっておるわけです。そこで、先生が御指摘の内職につきまして、これをいろいろ指導してまいります場合に一番基本になりますむずかしい問題は、委託流通機構の非常に流動性に富んでおるということでございます。締めつけをいたしますとほかに委託が逃げてしまう、こういうことになりまして、せっかく内職によってある程度の家計をささえておるというところに対しまして、締めつけの結果、注文がほかに回ってしまうということになりますと、これは結果的にかえって非常なマイナスをかける、こういう問題がございますので、そういった点からいたしまして、基本的には、一体流通機構というものをどう考えたらよいかといったような問題もあるわけでございます。
そこで、ただいま大臣がお答えになりましたように、当面もう何びとも考えられます重点は、問題は内職にあるということについては、これはもうほぼ異論がないと思いますけれども、その指導のしかたとしては先ほど言いましたようなものをやっておるわけでありますが、基本問題としては、一体流通機構に手をつけなければならない。しかし、これは手のつけ方によりましては、逆に妙な結果になってしまうというおそれがあるわけでありまして、そこで、これらの影響も十分考慮いたしまして今後の具体的指導を考えざるを得ない。しこうして、家内労働審議会で検討いたしております過程におきましても、こういった問題が非常に重要なファクターとして検討されておるわけでございます。幸い何と申しますか、その予算が若干四十二年度におきましては増額されましたので、労働省といたしましては、モデル地区と申しますか、家内労働のモデル地区を設定いたしまして指導に当たりたい、かように考えております。
そこで、組織化の問題もあるわけでございますが、そういった一つのまとまりをみせて、それが恒久性があるという場合には、もちろんその組織化の問題は十分考えられるわけであります。ただ、いわゆる締めつけ方いかんによりまして注文がほかに逃げてしまいまして、せっかくの配慮があだになるということも十分これは考慮に入れておかなければいけないと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/57
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058・藤原道子
○藤原道子君 最近家内労働もいろいろ質が変わってきている。ところが、その保護の状態は放置されているのです。この前問題にしましたときに、ベンゾール中毒は、これはあのとき問題でなくなっているはずなんです。ところが、最近やはりベンゾール、ベンゼン中毒ですか、これが起きている。陶磁器の絵付けの鉛中毒がある、あるいは花火工場の火災がある、あるいは洋食器の粉じん、これによる中毒、こういう問題が随所に起きておる実態を調査いたしましたが、これらに対してはどういう保護の指導がなされておるのか、そういうところを調査しておいでになるのか、これらの点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/58
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059・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 家内労働の問題の中で、家内労働者の生命、身体に危険を及ぼすという問題が最も重要であろうと思います。先生御指摘のように、かつてヘップサンダルに関連いたしまして、ベンゾールを使用するのりの制限をいたしたわけでございます。ところが、あの御承知の場合について見ましても、委託者のほうにそういった有害な材料の提供を規制いたしますと、今度は材料は自前持ちということで、結局家内労働者の材料持ちということで転嫁されてしまった。そこで、家内労働者がみずから求め、使用する材料に危険性、有害性がございますと、これはもうせっかくの法の規制が、何と申しますか、責任が委託者から家内労働者に転嫁されたというだけのことで、非常に重大な問題であるわけでございます。そこで、ごく最近におきましても、家内労働者がみずから求め、使用する材料のベンゾールを使用するのりによる有害性がないかどうかということが問題になりました。これは労働衛生研究所で試験をいたしましたところが、含有量が非常に少なくて、その有害性は少ないという判断が下されたようであります。しかし、個々の材料をとらまえてみますと、有害性の問題が存在することが十分考えられるわけでございます。そこで、現在、家内労働審議会で特に実地調査をやっております。その調査の過程においてあらわれた問題につきましては、ケース・バイ・ケースで検査をいたしまして有害性の判断をするといったようなことをいたしておりますが、しかし、全国的な家内労働については、そういった一、二の個別ケースの処理では間に合いませんので、昨年から設けられました労働衛生モニターという制度がございます。これは百人のお医者さんを全国的に選びまして、当初の目的は中小企業に対する労働衛生の指導ということでございましたけれども、本年度からはこの労働衛生モニターは、家内労働についても、有害な材料の使用による疾病の発生といったような問題について、モニターが一つの拠点になりまして検討していただくという制度を設けたわけでございます。数は百人でわずかでございますが、その選任にあたりましては、産地集団といったようなものも考慮に入れまして選任いたしておるようなわけでございます。現在法的な根拠はないわけでございますが、行政指導といたしまして、調査の際明らかになった問題はケース・バイ・ケースで処理していく、一般的な家内労働衛生問題につきましてはモニター制度を拠点にして考えていく、こういうような体制をとっておるわけであります。しかし、それにしても不十分でございます。そこで、先ほど申しましたように、モデル地区を設定いたしまして、そこで家内労働についての総合的な指導を加えたい、かように考えております。したがって、そういった地区につきましてはさらに指導が徹底するのではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/59
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060・藤原道子
○藤原道子君 大体この内職問題が大きくなってきたのは、三十五、六年ごろの高度経済成長を目ざして政策を立てられたそのときに、大企業はどんどんやるので、中小企業はやはりこれと対抗上、いままで雇用労働者にやらせていたものを、これを外注するようになったのですね、内職に。ところが、だんだん大企業までがそれをやるようになったのは昭和三十八年ごろからでしょうが、それで、いまではその内職の内容も多種多様になってきたわけです。いままで雇用労働者がその工場内でやっていた仕事が、これがパートタイマーであるとか、あるいは内職であるとか、こういうふうに変形してきたんですね。そうして何というんでしょうか、内職でも、一つの場所を借りて、流れ作業でやっているところがあるんですね。そうすると、雇用労働者の賃金より非常に格安で主婦労働を搾取することができる、そういうやり方がふえてまいりました。あるいはこのごろパートタイマーでは団地へ進出して、工場をわざわざ団地の付近に設けて、そこで主婦労働をやっておる。それがこのごろ週刊誌であるとか、あるいは婦人雑誌にパートタイマーのいいことだけが宣伝されているんですね。こういう状態は、それは眠っておる主婦労働を、これを労働戦線に参加させるということの意義はございますし、あるいは縛られないで働けるということもございます。ところが、いまのパートタイマーはそうではなくて、時間をきちんときめているんですね。大体四時間、五時間というのが多いんでしょうが、五時間、六時間、中には、工場によってはパートだけでやっている工場がある。管理者は、これは何というんですか、男の人で何人かおります。働いておる従業員は全部パート、それでもパートといえるんでしょうか。二交替制にして午前組、午後組、こういうふうにしてやっているんですが、そうしてパートだけでやっているけれども、賃金は大体百円、パートで一番多いのは、時間給で一時間六十円から八十円が一番多いように存じますが、こういうことでやっている。搾取されほうだいじゃないでしょうか。団地まで進出しております。これは、まず主婦がひまになったからといわれますが、それで、広告を見ますと高卒以上というのも相当ある。普通に評価するならば、高卒以上の年齢の主婦が時間給六十円から百円どまり、こういうことが妥当と思われるでしょうか。こういうことがどんどん行なわれるとすれば、雇用労働者の低賃金にも結びつくことになるんじゃないか、こう思いますので、そのパートに対するあなた方の見解をまず聞きたい。
それから、いま局長は、制限をすればこののりが個人持ちになる、文句を言えば発注してくれない、こういうことで、かえって縛ることが内職する人を縛ることになる、こういうことを言われた。それならば内職仲介人を取り締まったらどうだろうか。このごろでは事務所を持って電話一本で仕事を取って、それでそれをそこへ運ぶだけで、何にも家がなくても、電話とちょっとした事務所があれば堂々と仲介が行なわれておる。もしそういう悪質な仲介者でございましたら、登録制といいましょうか、仲介者のそういうものを設けて、それをどんどん取り締まっていったらどうでしょうか。いろいろな問題がある。それで内職している人たちがあまりにも安いということは、まあパートタイマーでさえそうなんです。それでも資本家はもうかるんですね。ところが、内職の中には、非常に安い、たたかれている、こういう例は申し上げれば切りのないほどあるんですね。このごろでは洋服なども、おもなところだけ工場で縫って、それでボタンづけであるとかベルト通しであるとか、そういうものだけを内職に出している。あるいはデパートで発送その他全部内職に出しておる、それで文句を言えばストップする。それならば婦人保護の制度がもし工場で行なわれておりましたならば、あるいは子供ができても育児時間、託児所、こういうものがやられておれば正当な労働の価値としての賃金を得ることができる。病気をしても、あるいは失業しても、労災等、全部適用を受けているんですね。働く権利があるはずなんです。ところが、それが二十五歳定年であるとか、あるいはお産をしたらやめてくれとか、こういうことで婦人の労働力をそこで切っておいて、高賃金になるときにストップをさせておいて、それで家庭へ入れば、いまは非常に物価高で生活が苦しい、職場へ入れない、こういう状態に置いておいて、一方、パートであるとか内職であるとかというようなことで安い労働力を個々に収奪している。こういうことに対して労働省はどうお考えになっておるでしょうか。雇用労働者とも結びつきまして、これは非常に重大な問題だと思いますが、ちょっとお考えを伺わしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/60
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061・早川崇
○国務大臣(早川崇君) こまかいことは政府委員からお答えさせますが、大筋を申しますと、結局労働力が非常に不足してまいりまして、これは単に中小企業のみならず、大企業しかりでございます。そこでパートタイマーの問題ですが、たとえば非常に成績もあがっている。たとえば千葉県に辰巳団地というのがございます。そこへ日立製作所が設備を持っていって、団地の奥さんが働いておるのが一つのモデルケースになるわけでございますが、したがって、家庭を持った、いわゆるまるまるフルタイムでいけない、また、移動性がないという中年をこえた婦人の場合には、私はパートタイムという方式、これはむしろ相当盛んになっていくのじゃないかと思います。問題はその場合の雇用条件、いわゆる労働条件、これがあまりにもひどい搾取賃金では困りますので、そういった点はよく指導してまいりまして、あるところでは最低賃金を設定しておるところもございます。そこで当然最賃の対象になるわけでございますから、そういった点はひとつ十分配慮してまいりたい。ただ、方向としては、労働力不足経済における中年婦人の職場進出のあり方の一つの私は有力な面でございますので、このこと自体は決して悪いことでもなければ、むしろ奨励してしかるべきものであります。それによってほかの労働者の賃金が非常に下げられるという御心配でございますけれども、これが大量に外国労働者が入ってくるとか、こういう場合なら別でございますが、いわゆるパートタイムでない雇用労働者はいまでも不足しておるわけでございます。そういう関係で、春闘でごらんのように、労働組合の力も十分強いですし、それによる賃下げ作用というものは、私は労働力不足経済下におきましてはないのではないか、かように思っておるわけでございます。パートタイムは、いわゆる家内労働、内職と区別された労働でございますが、内職の場合には、お説のように、非常につかみにくい、雇用関係があいまいであるという関係で、仲介人というものが三重、四重にございまして、労働関係が非常に複雑で、しかも、最低にたたかれておるという実情でございます。こういった問題は、先ほどから申しましたように、家内労働審議会でひとつ急いでくれと、たいへん小骨が多くてのどにつかえる部面が多々ありますけれども、先ほど基準局長が指摘されましたように、もうそんな態度でいるならほかへ頼むというと非常に困られる。それから、あまり労働基準監督署の職員が行きますと、プライバシーをおかして、内職でやっているのに税務署に入ってこられる、その心配までされるわけです。そういった特殊なむずかしい問題もございますけれども、この問題は非常に重要な課題でございます。家内労働審議会で真剣に早急に取り上げて結論を出してまいりたいと思います。それまでの期間は、先ほど局長がお答えいたしましたように、いろいろな方法で内職の労働条件の向上に労働省が現行法のもとでやっておるというのが実情でございます。残念ながら、パートタイムというこのやり方、先生はむしろ否定的でありますが、私は、家庭を持って移動できない、そういう特殊事情にある中年家庭婦人の職場としては積極的な意味を持っておるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/61
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062・藤原道子
○藤原道子君 私はパートタイマーは否定してはいない。いま看護婦が非常に少ない、だから優秀な眠れる看護力二十万、これをパートで吸収してやったらどうかということすら提案いたしました。ところが、ここに大きな問題が起こってきた。看護婦さんをパートでやる、パートは昼間だけで、そうすると、たださえ夜勤の多い看護婦さんの職場、昼はパートがやるけれども、夜勤は正規の看護婦さんがやらなければならぬ、そのために過労におちいってくる、こうした不平が職場から起こるのです。大臣、パートの必要性は私は認めているのです。けれども、余剰時間をというようなことで適正な賃金も払わないで、それで遊んでいるよりはいいでしょう、時間だけでけっこうですというようなことで、盛んに婦人雑誌なんかでも宣伝をしているのです。このソニーなどの例ですけれども、三歳までは託児所を設ける、それ以上は幼稚園がございます、それなら主婦は働けるのです。喜んでいるのです。それならば、問題になっております労働者のための保育所、ことに乳幼児の保育所が足りないということが、今日婦人労働者を非常に不自由にしておる。そういうことのために働けない婦人、しかも、優秀な労働力がパートというもので吸収されて、一時間五十円、七十円、賞与もございませんね、やっているところでも半年に六千円、勤務がよかったらやりましょう、それで皆勤であった場合には月に千円つける、二日休んだ場合には五百円つける、こういうことで生活苦に物価高で悩む婦人たちの労働力をどんどん吸収しているあり方が問題。それと、もう一つは、工場へ行って見たことありますか。局長、眠らないで聞いてよ。工場を視察したことございますか。行ってごらんなさい、常用の労働者とパートの人とが同じ仕事についている、それで流れ作業でどんどんそこでやっているのです。それで賃金は非常に格差がある、こういうことを私は問題にしている。ということになれば、パートが盛んになると常用労働者の賃金まで足を引っぱられる結果になりはせんか。婦人のパートもけっこうです、内職もけっこうです、仕事に見合う賃金が与えられ、そうして、また、労災等に対しましての適正な保護が加えられるようにと、それを心配して私は申し上げているのでございまして、パートに反対とは申しておりません。パートのあり方が問題です。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/62
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063・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) パートタイマー労働の実態につきまして、私どもで若干の調査をいたしておりますので、その結果を申し上げたいと思います。
近年パートタイマー雇用が増加しておるようでございますが、全体として見ますと、やはりまだ、たとえば欧米の工業国等と比べますと、パートタイム雇用の普及の状態はかなり差があるようでございます。パートタイムの雇用に従事しております婦人の実数はわからないのでございますが、事業場で押えますと、全事業所の約一割がパートタイム雇用を制度として採用しております。それらの事業所の中で、女子パートタイマーの配置されております職場と申しますものは、これはサービス職業の分野、あるいは、いわゆる工員でありますところの技能工、生産工程作業等の単純労働の分野、このようなところに多く女子のパートタイマーが働いているようでございます。
この場合の一日の労働時間でございますが、これが二時間未満という非常に短いものもあれば、八時間というものもございます。特に私ども特徴的に感じましたのは、パートタイマーと呼びながら七時間、八時間という長時間労働が非常に多い。長時間と申すにはあれでございますが、普通の労働時間と非常に近いものが多いのでございます。で、この場合、パートタイマーということばの使われ方にも問題があるようでございまして、本来的に所定の労働時間よりも短い労働時間のものをパートタイマーと呼ぶということがまだ確立しておりませんので、身分的に何か臨時の労働者のことを少し聞こえがよくパートタイマーと呼んだりしていることもあるようで、その辺から見まして、非常に労働時間の平均はパートタイムにふさわしくないような長いものを示しております。
それから、賃金でございますが、これは傾向といたしましては、時間給が多いのでございますが、一時間当たりが、これは五十円から二百円以上というふうに、かなり広範囲な広がりがございます。その中位数と申しますか、大部分は六十円台から八十円というところに落ちついているわけでございます。この金額が非常に低いか高いかということはたいへんむずかしいのでございますが、御参考までに、ただいまの調査は四十年までの調査でございますが、その同じ時期には女子労働者の一時間当たりの平均賃金、これは毎勤から計算したものでございますが、これが八十一・二円というふうになっております。全産業の女子労働者の一時間当たりの平均賃金が八十一・二円というふうになっております。その同じ時期の私どものパートタイマーの調査が、約五割が六十円台から八十円台、このような数字が出ているところでございます。ただ、このパートタイマーの賃金につきましては、これはあらゆる職種のパートタイマーの賃金でございますので、これをやや詳しく見ますと、たとえば専門的、技術的な職業分野で働いておられますパートタイマーは、当然のことながら、非常に高くなっておりまして、それらの方々の半数近くは時間当たり二百円以上。ただし、反対に、いわゆる単純作業に従事しておられます方々の場合には、その圧倒的多数、九二%が百円未満というように、当然のことではございますが、職種によりまして非常に賃金の額に差があるわけでございます。以上が実態でございます。で、申し落とましたが、これらの私どもの調査の時点におきまして、これらのパートタイマーを採用しております事業所は、その約半数がこれをいわゆる臨時的なものとして雇用しておりまして、残りの半数がここを常用として雇用しておるというような実態でございます。私どもといたしましては、特に本年度の事業計画の中で、パートタイム雇用を、より適正な労働条件のもとに実現することができますように、その諸条件の整備をはかってまいりたい。そのために特に専門家による総合的な研究会議等を開催してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/63
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064・藤原道子
○藤原道子君 だから、私は、パートタイマーというのは、主婦のひまを利用して働ける、夫が出て働く、そして戻るまでには家事ができるというふうなことがパートタイマーの持っている意味だと思う。ところが、パートで一日八時間労働や、常用者と同じような時間で働かしておいて、それで平均賃金で百円未満が九〇%、これで正しい労働のあり方と言われますか。ここに問題があると言うのです。だから、私はパートに反対じゃないのです。パートならパートとしてのあり方があるということを申し上げているのです。いまパートの平均賃金は伺いました。内職の平均賃金、平均収入はどのくらいになっているか。それから、もう一つ、さっき内職手帳ということが出たのですけれども、どうもあれは評判があまりよくない。あれをしておれば税金の対象になるので、あまりうれしくないというようなことで、いまは個々の職業安定所ですか、そういうところで任意に出しておるところもあるという程度なんですね。そこで、内職の収入は平均どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/64
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065・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 私どもの調べましたところでは、昭和四十年でございますが、一時間当たりの内職の工賃の平均が二十五・八円というように出ております。これは職種によりまして、また、地域によって非常にこれもまた広がりの大きなものでございますが、平均的にいたしますと二十五・八円、四十年でございます。これは全国的なものでございますが、その後、部分的に数字など上がってまいっておりまして、それによりましてこの数字よりは、かなり高く最近はなっているように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/65
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066・藤原道子
○藤原道子君 時間も迫りましたので、もう終わりにしたいと思いますが、いずれまた日をあらためて内職問題ではやりたいと思います。
ただ、最後に一つ伺っておきたいのは、東京都は、何というのですか、労働省の関係でやっているのは内職補導所というのですか、それと厚生省では授産所としてやっているわけですね。ここで働いていらっしゃる人たちの状態を見ると、民生事業としてやっているところは生活保護とか、あるいはボーダーライン層、こういう人が主として働いておる。ところが、労働省のほうでやっているのは、何というのか、補導所ですか、職業補導所が中心なわけです。ですから、行って見ると働く人の層がはっきりわかるのですね。ところが、それがこのごろでは大企業の下請的性格になっているのじゃないか、こう思います。たとえば大阪あたりでも、補導するのに動力ミシンをお買いなさい、動力ミシンがあればこういう仕事がございます。動力ミシンというのは高いですよね、けっこう。こういうものを買ったところにはそういう指導がなされる。そういうものを買えない階層は指をくわえていなければならないという傾向も出てきております。
それから、厚生省のほうに伺いたいのですが、これはまたさらに問題がございまして、内職仲介あっせん人ですか、こういう人たちが電話一本でとってきて、それで授産所へ連絡をし、授産所から、そこからさらに出すのですね、内職に。そうすると、まるで授産所がそうした企業の倉庫のようになっているところがある。その仲介人というのは家がないのです。そこへ荷物を持ってきて内職をあっせんしているのじゃないのですよ。電話一本で、それで授産所と連絡をとり、それで不当な利得を得ている。しかも、これに対して置き場所がないのですから、授産所が倉庫がわりになっている、こういうあり方を調査したことございますか。私は本来の使命がだんだん薄れつつあるのじゃないかと、こういう気がしてならないのです。もし仲介人のそうした労働の搾取がなければ、これは一時間二十五円八銭ですか、こんなばかげたことにはならないでしょう。だから、こういう内職仲介人ですか、こういう者を登録制にするとか何とかして規制をしなければ内職問題は解決できないのじゃないかと、こう思うのですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/66
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067・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) お答えいたします。
労働省のほうで内職対策として進めておりますところは、内職公共職業補導所を都道府県に設置いたしまして、これを通じて内職を求める者に対しまして就業の機会を与えるとともに、その就業条件をなるべくよいものにしていくと、このような線で進めておりますので、現在全国に四十一カ所この公共職業補導所が設けられております。この職業補導所では、いわゆる委託者と、それから内職者と直結させまして、その間の仲介手数料というようなものを排除することによりまして内職者の利益をはかるということを行なっているわけでございます。現在このような職業補導所には約十三万人の主婦たちが登録されております。この補導所を利用する方たちに対しましては、内職手帳と申しましょうか、そのようなものを発行いたしまして、これはもちろん何も法的に強制力を持つものではございませんが、その手帳にいろいろと記載することによりまして委託契約の内容を明確なものにして、トラブルが起きないようにする一助になっているはずでございます。また、補導所は常時委託事業所の調査をいたしまして、不良な求人と申しますか、賃金不払いになるようなことの起きないような注意もいたしているわけでございます。そのような方法をもって内職者の保護をはかっているところでございます。先ほど御指摘の動力ミシンのことにつきましては、最近そのような求人と申しますか、委託企業がふえてまいってきておるようございますが、そのような作業を求めます事業所は、しばしば動力ミシンを貸与するというようなことを行なっているように私ども観察しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/67
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068・山下眞臣
○説明員(山下眞臣君) 私どものほうで所管をいたしております授産事業、これはお話がございましたように、生活保護の被保護者でありますとかボーダーライン階層に対しまして、技能就職の機会と、それから、就労の機会を与えることを目的として運営されております施設でございます。が、先ほど来お話のございましたようなことで、非常に人手不足になりまして労働力が足らないというような事情を反映いたしまして、御指摘のように、利用者の数も次第に減少してきておりまして、いま非常に本来の目的が薄れてきておるとおっしゃいましたけれども、そのような傾向にあることはいなめないと思っております。そこにまあ授産事業場を経営する人たちのいろいろな苦労もございますのですが、一番心配をしておりますのは、いい仕事、こげつきのない、なるだけ利用者に対して有利な工賃を与えられる仕事をとってくるということに非常な苦心を払っておるようでございます。なお、全国の数字をちょっと持ち合わせておりませんが、東京都の昭和四十年度の授産事業施設の工賃の状況は、大体一日六・九時間ぐらい働いておりまして、一時間当たりの工賃が五十八円ということでございます。したがいまして、一人一日四百円ということでございます。それらの人たちが大体月に十七日間働いておりまして、大体月収が六千九百四十九円程度の収入と、こういうことになっております。御指摘もございましたので、私どもといたしましては、なお授産事業施設の整備近代化、それから、それらの経営に当たる人たちの研究会等も催しまして、適正に運営されるように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/68
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069・藤原道子
○藤原道子君 私は、だんだん労働力の状態も流動いたしまして、なかなか労働省としてもつかみにくい点もあると思いますけれども、だからこそ皆さんにお願いしたいわけです。私は、いま婦人局長が言われましたように、動力ミシンですか、こういうものを使ってやるような仕事がどんどんふえてきたということは、大企業の合理化によるしわ寄せがそこにきていると思うのです。工場で働いている人は、非常に重労働に合理化によって追い立てられる。そうして能率のあがらないものはどんどん外注しちゃっているわけです。これがどんどんふえてきている。それで、私は内職している人をちょっと調べますと、大体授産所を経由していかれる方は二万円から、せいぜい二万五千円ぐらいの所得の人が非常に多いわけです。労働省のほうでは三万五千円から四万五千円、高きは五万円ぐらいの世帯主の収入のある人たちが多いわけです。労働者の賃金が物価に追いつかないために、ほとんどいま公務員でも労働者の相当なところの人も、調べてみますと七〇%ぐらいが家庭で奥さんが内職しているのですよ。内職しなければ家計がやれないというような低賃金も一つ問題がある。と同時に、そのために主婦が育児というものがありながら、さらに働かなければならない、その働きがさらに搾取に拍車をかける、こういう悪循環からどうして守っていくかという点が大きな問題だろうと思います。さらに内職で根をつめますために、非常にこのごろ病人がふえてきて、ことに農村に工場が進出いたしまして、農閑期が農村の主婦の骨休めでございましたのが、それを巧みに利用いたしましてそこに工場が進出して、あるいはパートタイマーであるとか内職とかいうことで農婦の休養が非常にそこなわれている。農婦病というようなものが非常に出ている、あるいは、また、職業病とも呼べるかと思いますが、腰の痛むヘルニアですか、こういう病気は、もとは年寄りに多かったのですが、ところが、このごろは若い層に腰椎間ヘルニア、こういう病気が非常にふえている。重大な問題だと思いますので、そういう点も十分調査し、指導していただきたい。それから、内職している人は先ほど申し上げましたような中毒症にかかる人が多いようでございますし、内職しているところへ行って見れば、非常に非衛生的なところで働いている。それは二万や二万五千の収入の家庭でございましたら住宅も悪いし、寝るところが、即、仕事場になって、それは惨たんたる状態でございます。こういう点についての衛生的な面が私には一番心配でございます。したがって、今度法案が提出されまして、労災保険でも失業保険でも、五人未満の仕事場にも適用するということになっているのですけれども、この中へ何とか、組織化とか何とかという方向で家内労働者も適用が受けられるようにはできないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/69
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070・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 家内労働者で雇用されている人は五人未満でも全面適用でありますので、一人でも二人でも適用されることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/70
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071・藤原道子
○藤原道子君 それでは、きょうはこの程度にしておきまして、またあらためて、この問題は私は重要だと思いますので、またお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01119670601/71
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072・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時九分散会
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