1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
午前十時四十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
土屋 義彦君
丸茂 重貞君
佐野 芳雄君
藤田藤太郎君
委 員
黒木 利克君
佐藤 芳男君
山下 春江君
山本 杉君
横山 フク君
大橋 和孝君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
小平 芳平君
衆議院議員
発 議 者 大原 亨君
国務大臣
厚 生 大 臣 坊 秀男君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省医務局長 若松 栄一君
厚生省社会局長 今村 譲君
厚生省児童家庭
局長 渥美 節夫君
厚生省援護局長 実本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案
(内閣提出、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(衆議院送付、予備審査)
○社会保障制度に関する調査
(筋ジストロフィー症対策に関する件)
○社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案並びに戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案、以上政府提出法案を一括して議題といたします。
まず、政府から両案に対する提案理由の説明を聴取いたします。坊厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/1
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002・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者等の遺族、未帰還者の留守家族及び戦傷病者の妻に対しては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、未帰還者留守家族等援護法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法等により、各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の一段の改善をはかることとし、この法律案を提案することといたした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。
第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正についてであります。
その改正の第一点は、款症程度の障害者に対して、障害年金または障害一時金を、受給者の選択により、支給することとしたことであります。すなわち、款症程度の障害者については、その不具廃疾の程度が変動しないと認められる場合には障害一時金が支給され、それ以外の場合には障害年金が支給されることになっていたのを改めて、受給者の選択により、一時金または年金のいずれかを支給することとしたことであります。なお、この措置は、すでに一時金の裁定を受けた者についても適用することといたしました。
改正の第二点は、別途今国会に提案されております恩給法の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金並びに特別項症から第二項症までの障害者に支給する障害年金についての加給金の額をそれぞれ増額することとしたものでありまして、増額の程度については、恩給法のそれにならっております。
改正の第三点は、軍人軍属が日華事変中、いわゆるみなし公務傷病により不具廃疾となりまたは死亡した場合に支給する障害年金及び遺族年金の額は、従来本来の公務傷病によるものの六割とされておりましたのを改め、本来の公務傷病によるものと同額とすることとしたことであります。
改正の第四点は、祖父母等に対する遺族年金及び遺族給与金について、その支給条件のうち、当該祖父母等を扶養することができる直系血族がないことという条件を撤廃することとしたことであります。
改正の第五点は、準軍属の後順位の遺族にも年額三千五百円の遺族給与金を支給することとしたことであります。すなわち、現行法では、軍人軍属の遺族については、後順位者にも遺族年金が支給されてますが、準軍属の遺族については先順位者に対してのみ遺族給与金が支給されているにすぎませんので、これを改めて、準軍属の遺族の処遇改善をはかったのであります。
改正の第六点は、事変または戦争に関する勤務に関する傷病による死亡を支給事由とする弔慰金について、在職期間経過後、一般傷病による場合は二年以内、結核、精神病による場合は六年以内に死亡した場合に支給することとなっているのを、在職期間経過後、一般傷病による場合は四年以内、結核、精神病による場合は十二年以内に死亡した場合にも支給することとしたことであります。
第二は、未帰還者留守家族援護法の一部改正についてであります。
改正点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金の額の引き上げに準じて、留守家族手当の額を引き上げることとしたことであります。
第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正についてであります。
改正点は、長期入院患者に支給する療養手当の月額現行三千円を三千四百円に引き上げることとしたことであります。
第四は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正についてであります。
改正点は、現在、恩給法による特別項症から第五項症までの障害を持つ戦傷病者の妻に対しまして支給することとしている特別給付金を、第六項症または第七項症程度の障害を持つ戦傷病者の妻にも支給することとしたことであります。
以上のほか、各法につき、所要の条文の整理を行なうことといたしております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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ただいま議題となりました戦没者の父母等に対する特別給付金支給法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
過ぐる大戦において、戦闘その他の公務によりなくなられた軍人軍属及び準軍属の御遺族に対しましては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法等により、公務扶助料または遺族年金を支給するなど、政府といたしましては、これまででき得る限りの措置を講じてきたところであります。しかしながら、この大戦により、すべての子または最後に残された子をなくされた戦没者の父母並びにこれらの父母と同様の立場にある孫をなくされた祖父母については、その最愛の子や孫を国にささげ、しかも、そのために子孫が絶えたという言いしれぬ寂蓼感や孤独感と戦って生きてこなければならなかったという特別の事情があるものと考えられます。したがって、この際、このような戦没者の父母及び祖父母の精神的痛苦に対して、国としても何らかの形において慰謝する必要があるものと考え、これらの方々に特別給付金を支給するため、ここに、この法案を提案する次第であります。
次に、この法案の概要について御説明いたします。
第一は、昭和十二年七月七日に勃発した日華事変以後に公務上負傷しまたは疾病にかかり、これにより死亡した軍人軍属、準軍属等の父母または祖父母として、本年四月一日において公務扶助料、遺族年金、遺族給与金等の年金給付を受ける権利または資格を有する者であって、その戦没者の死亡の当時他に子も孫もなく、その後本年三月三十一日までの間に子も孫も出生しなかった者に対し、十万円の特別給付金を支給することとしたことであります。
第二は、この特別給付金は、五年以内に償還すべき記名国債をもって交付いたしますとともに、この国債は無利子とし、昭和四十二年五月十六日をもって発行することとしたことであります。
なお、国債の償還金の支払いについては、来年五月十五日に第一回分として二万円を、その後毎年二万円ずつ、最終回は昭和四十七年五月十五日に二万円を支払うことといたしております。
第三は、特別給付金を受ける権利は、その譲渡を禁止しておりますが、相続についてはこれを無条件に認めますとともに、国債についての承継に関しても、民法の原則により相続人が受継することといたしております。
その他、特別給付金についての時効、差し押えの禁止、非課税、実施機関等、所要の事項を規定いたしております。
なお、この法案による特別給付金の支給件数は約一万件と見込んでおります。
以上がこの法案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/2
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003・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(衆第一四号)を議題といたします。
まず、提案者の衆議院議員大原亨君から提案理由の説明を聴取いたします。大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/3
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004・大原亨
○衆議院議員(大原亨君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
過ぐる大戦におきまして戦闘その他公務により死亡し、あるいは障害を受けた軍人軍属及び準軍属に対しましては、恩給法は別としまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法等により援護の措置がとられておるのでありますが、その援護の対象となる軍人軍属及び準軍属につきまして逐次その範囲が拡大されつつあるのであります。すなわち、昭和四十一年度の戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正案も、「満洲等において旧国家総動員法による総動員業務の協力者と同様の事情のもとに当該業務と同様の業務に協力した人」を準軍属として処遇するものであります。
しかるに、完全に戦争状態下に置かれていた内地において身命を賭して日夜防空業務に従事し、これにより倒れ、傷ついた者に対する援護の措置がなぜ講ぜられないのでありましょうか、理解に苦しむところであります。
もともと、防空業務に従事いたしました者は、旧防空法等によりまして危険をおかして防空業務に従事することを法律によって強制せられ、その違反につきましては、最高一年以下の懲役に処する刑罰をもってしたものでありまして、これは旧兵役法による兵役に服すること、また旧国家総動員法による総動員業務に服することなどと少しも変わるところがないのであります。
また、防空業務に従事しました者に対しましては、旧防空法第十二条及びこれに基づく旧防空従事者扶助令(昭和十六年勅令第二十二号)によりまして最低五百円から最高千五百円までの間の扶助金が支給せられ、死亡の場合には別に葬祭費が支給せられることになったのであります。これらの法令は昭和二十一年一月に廃止になったのでありますが、その附則におきまして本法廃止後も扶助金の請求はなお存置することとしながら、政府は何ら予算措置を講ぜず、また、旧内務省の解体等によりまして、請求の事務を処理する官署すら不明確で請求不能の状態に置かれておったのであります。まことに不法かつ不当の措置といわなければなりません。
特に敗戦まぎわの昭和二十年八月六日と八月九日に広島、長崎に原爆が投下され、同年八月十五日、無条件降状となったため、当時の防空従事者扶助令の適用は全く放置されたばかりでなく、引き続き米占領軍の上陸により防空関係者の戦争犯罪追及と内務省解体、隣組の解体、さらに防空関係資料の焼却措置などにより、防空関係犠牲者の救済は放任されたまま今日に至っているのであります。
防空法関係の業務は、政府も国会審議の過程で認めているように、明白に公務であって、本援護法にいう「公務上の負傷若しくは疾病又は死亡」に対して援護の対象となるものであることは明白であります。
昨年の六月二十一日政府提案にかかる本援護法改正案の審議にあたり、衆院社会労働委員会は全会一致をもって「政府は、わが国が世界唯一の原爆被爆国である事実にかんがみ、原爆被爆地において、旧防空法等による国家要請により、防空等の業務に従事中死亡又は身体に障害をこうむった者に対し、昭和四十二年度を目途として具体的な援護措置を講ずること。なお、被爆地以外の地域についても必要な措置につき検討すること。」という附帯決議を満場一致行なってきたことがあります。なお、同様な決議が参議院の社会労働委員会においてもなされました。本年も、衆議院におきまして、諸般の事情から、昭和四十三年を目途と、こういうことで附帯決議が満場一致採択されております。
なお、日本本土空襲による死亡者は五十万人内外、そのうち広島、長崎における被爆死亡者は三十万人と推定され、そのうち軍人軍属、準軍属及び公務員関係を除外すれば決して援護不可能な人数ではありません。また防空従事者扶助令の障害扶助の対象として「女子ニシテ其ノ外貌二醜痕ヲ残シタルモノ」という項目があり、原爆によるケロイドの外傷により結婚、就職など一生を犠牲にした者に対する救済は当然のことであります。
戦後二十年余を過ぎ、経済的にも社会的にも面目を一新しているとき、戦傷病者等の援護措置も拡充強化されただけでなく、二回にわたる地主報償や在外財産補償も実施された今日、これら防空業務に従事した者で死亡した者の遺族や、いまなお傷病に苦しむ傷病者に相当の処遇を与えることは当然のことといわなければなりません。
よって、これら防空法関係の犠牲者を準軍属として処遇するためこの法律案を提案することといたした次第であります。
以下、この法律案の概要について御説明いたします。
第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正して、「旧防空従事者扶助令第二条に規定する者で、旧防空法の規定に基づき、防空の実施若しくはその訓練に従事中又は応急防火若しくはその訓練に従事中若しくは協力中のもの」を準軍属として処遇しようとするものであります。ここで旧防空従事者扶助令第二条に規定する者とは、第一に防空監視隊員、第二に警防団員、第三に防空法第六条第一項に規定する防毒、救護等の特殊技能を有する者と同条第二項に規定する特別の教育訓練を受けた者、これは別紙の資料にございますが、医師、薬剤師、看護婦、助産婦、保健婦などをさすのであります。第四に防空法第九条第一項により緊急の必要ある場合に地方長官や市町村長から防空の実施に従事することを命ぜられた者、第五に第三と第四に掲ぐる者を除き地方官庁または市長村長のなす防空の実施または訓練に従事した者のうち内務大臣の指定するもの、第六に防空法第八条ノ七に規定する建築物の管理者、所有者、居住者などの応急防火もしくはその訓練をなし、また、これに協力した者、これは別紙の資料にありますように、いわゆる隣組の防空等の地域防空をさしておるのであります。第七に防空法第三条第一項の規定により、工場、学校等の防空計画の設定者の従事者等でその防空計画に基づいて防空の実施または訓練に従事したものであります。これはいわゆる職場防空といわれるものであります。以上述べました者に基づく防空の実施もしくはその訓練または応急防火もしくはその訓練に基づき死亡した場合または負傷しもしくは疾病にかかった場合には、その死亡した者の遺族には遺族給与金及び弔慰金が支給され、また、負傷しまたは疾病にかかってこれにより身体に障害がある者には障害年金が支給されることとなります。
第二点は、戦傷病者特別援護法を改正して、さきの戦傷病者戦没者遺族等援護法の「準軍属」として加えました防空の実施の業務に従事した者等を、この法律の「軍人軍属等」に加えて処遇しようとするものであります。これにより、防空の実施等の業務に従事中、その業務により負傷し、または疾病にかかり現在なお療養中の者は、療養の給付をはじめとして、この法律に規定する援護の措置を受けることができることになるわけであります。
なお、第三点といたしましては、戦没者等の妻に対する特別給付金または戦傷病者等の妻に対する特別給付金——その下に若干加えるのでありますが、つまり、「及び戦没者の父母等に対する特別給付金」、これは今国会の改正になっておるものを出したのでありますが、支給を受けることができるよう措置した次第であります。
最後に、社会党といたしましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきまして、軍人軍属と準軍属とを差別して取り扱っていることは賛成しかねるものでありますが、今回の改正では、この点は一応差しおいて、とりあえず、防空従事者を準軍属の範囲に加えて処遇するにとどめた次第であります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とど慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
このほか、私どもの提案の中に、原爆医療法を改正いたしまして援護法にするという別途の提案がございます。これをあわせまして御審議いただきまして御可決あらんことを重ねてお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/4
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005・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。
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006・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 次に、引き続き、社会保障制度に関する調査を議題といたし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/6
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007・大橋和孝
○大橋和孝君 本日は、筋ジストロフィーについて二、三点質問したいと思います。いろいろ前にジストロフィー協会のほうでも調査をされた調査資料をちょっと調べてみたわけでありますが、現在、筋ジストロフィーの患者で非常な重度のものもあり、しかも、数においては七千も八千も患者があるように、報告されております。そして、その中でも、発生率は非常に小さい子供さんたちに多くて、初めのうちには非常に、何と申しますか、診断のつきにくいような場合があり、適切な処置が講ぜられていないという向きも非常に多いのでありまして、私は、この筋ジストロフィーの患者に対しまして、厚生省のほうではいまどのように取り組んでおられ、そして、特にまた在宅患者の比率なんかを見ましても非常にまだ多いわけでありますが、現段階でこのジストロフィーに対して行なっておられる処置、あるいは、また、その現況について御説明をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/7
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008・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 国内における筋ジストロフィー患者が非常に大ぜいさんいらっしゃるということは、厚生省といたしましても非常に遺憾なことと存じまして、極力これに対する対症方策を考えておるわけでございます。先般も、私は、筋ジストロフィーの患者さん及びその関係の父兄、保護者といったような方々の大会が東京にございまして、私はその大会にも臨ましていただきまして、非常にお気の毒な、極端に言えば非常に悲惨な状態を私はその患者さんについてまざまざと見てまいったわけでございます。こういうような病気につきましては、現在のところ、なかなか根治という根本的なこれの方策がまだ立っていないかのように聞いておりますけれども、厚生省といたしましては、全力をあげましてこの患者の治療、また、こういう発生原因等を突きとめまして、有効にして適切なる手段を講じてまいりたいと鋭意研究を続けておりますが、なお、現在の実情等についての詳細の点は関係局長からお話を申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/8
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009・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) ただいま大臣からお答えを申し上げましたが、具体的な問題につきまして私からお答えを申し上げます。
進行性筋萎縮症の子供さん方に対しましては、この対策が比較的おくれておりましたが、昭和四十年の十月から、国立療養所におきまして、近隣の関係大学等の協力を得まして、筋ジストロフィー症の原因の追求とあわせまして、その治療方法なり、あるいは療育の方法等を確立するためにいろいろとそういった子供さん方を収容いたしまして治療するとともに、あわせまして、学校教育でありますとか、あるいは全般的な生活指導、収容を行なうとともに、こういった点につきまして実施をいたしておるわけでございます。
本年におきましては、こういったベッドが国立療養所におきまして十ヵ所、五百八十ベッドを持つに至ったのでございますが、先ほど先生お話のように、こういった子供さんが相当あると推定されております。私どもの推定によりますと、全国におきまして約五千人に達するのではないか、かように思っておりまして、いま申し上げまして五百八十ベッドでは何せまだ足りないわけでございまして、将来計画といたしましては、四十五年を目途といたしまして約二千床程度を確保いたしたい、かように思います。こういったいま申し上げました五百八十ベッドの療養所に収容された子供さん方に対しましては、公費をもちまして、その治療費あるいは教育費、そういった点につきまして負担をしておるわけでございます。昭和四十二年度の予算におきましては、この五百八十床分につきまして五千二百五十万程度を国の予算に計上いたしておるわけでございます。
なお、御指摘のように、この進行性筋萎縮症の原因の追求ということは非常に大きな問題でございます。したがいまして、昭和三十九年度より関係大学に対しまして研究者グループをつくっていただきまして、厚生省から医療研究助成費の補助を行なっておるわけでございます。この補助は三十九年以降毎年実施をしておるわけでございますが、なお、また、国立療養所自体におかれましてもいろいろと研究をされておるわけでございます。なお、文部省におきましても、こういった原因の追求、あるいは治療方法の確立、こういった点につきましても研究助成金を交付されているというふうに伺っておるわけでございます。
以上、簡単でございましたが、現状はそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/9
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010・大橋和孝
○大橋和孝君 第一番目に、厚生省のほうでは五千人とつかんでおられ、また、いろいろ調査の結果七千ないし八千あると、こういわれているわけですが、そこらの数は別といたしましても、非常に数が多い。そして、わずか前年度までは四百八十でしたか四百二十だったかで、今度初めて五百八十ベッドになったというわけでありますが、こういうようなもののベッドの足りないということ、また、非常に患者が多いという観点からして、この取り組みに対しては非常に熱意が欠けておるのではないか。特に、先ほどから申したように、非常に病気がどんぜんと進行いたしまして、なおりにくいという段階にあるし、特に子供の時代にパーセントも八〇何%も発生をするように発表になっておりますが、そういう形で非常に子供の発生率が多くて、そういう人たちを十分な施設に収容すると同時に、いまのように、義務教育も十分にできないわけでありますからして、これに対するのには、やはり施設がなければ教育ができないということになろうかと思うのでありますが、そういう観点で、私は、この施設の五百八十ぐらいではてんで問題にならない。相当こういうような非常に悲惨な人たちに対する厚生省の取り組み方は、非常に私は手ぬるいのではないかと考えるわけでありますが、この問題に対しまして、いまのような段階でどうされるのか。一体あなたのほうのおっしゃる五千としても、五千の人たちに対してどういうふうに取り組んでいこうという計画を持っておられるのか。もう少しその具体的な計画を進めていただかなければ、こういうふうな人たちに対してはほんとうに救われない状態じゃなかろうか。ことに教育の面もありましょうし、生活の面にも非常に大きな障害があろうと思うわけでありますが、そういうような現況を踏まえながら、わずか五百八十床ぐらいのものを持って、そうしてやっておりますと言っても、てんで話の数が合わないのでありますが、いま私が特に申し上げたいのは、教育とか生活ということについて非常な苦しい状態にある人たちに対して、いま現状はそうであろうが、今後どういうふうにしてそれを解消していくか、それに対処していくかということについての見通しをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/10
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011・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 先ほど御説明申し上げましたように、私ども昭和四十年からこの事業に取りかかったわけでございますが、それ以来、御指摘のような重要な問題でございますので、毎年毎年の予算編成におきましては、非常に大きな重点の一つといたしまして努力を重ねてきたわけでございます。この進行性筋萎縮症の子供さんの数の問題について触れるところがございましたけれども、新潟大学の椿教授の推定によりますと、大体三千人ないし四千人というふうにいわれております。諸外国の例を申し上げますと、イギリスでは人口百万について四〇・五人ということが報告されております。また、逆に、アメリカ等におきましては、やはり人口百万につきまして十四人と、非常にイギリスよりも少ない数が指摘されております。いずれにいたしましても、こういった数字から考えましても、こういった進行性筋萎縮症の子供さん方が四千ないし五千くらいじゃないか、かように思っております。
そこで、現在五百八十ベッドという非常に少ないベッドでございますが、昭和四十年までは、一般の肢体不自由児の施設でございますとか、一般の病院でございますとか、そういったところにほんとうに数少なくばらばらに収容され、治療されておったのでございますが、昭和四十年以降、国立療養所におきまして、近隣の関係大学の協力を得まして、集中的に収容治療を開始したばかりでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、まだベッド数が非常に少ないということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私ども、先ほど申し上げましたように、このベッド数を一刻も早く対象児童の数に近いまでふやしていくということを目途としております。したがいまして、昭和四十五年を目途といたしまして、この子供さん方の少なくとも半数は収容治療してあげたい、こういうふうなことでございます。現在こういった施設に入っていらっしゃる子供さんにつきましては、一応基礎となる治療費、あるいは学習品費あるいは日常諸費、こういうのを合わせまして、年間に三十五万七千円程度を基礎といたしまして公費負担を行なっているわけでございます。したがいまして、いまお話にありましたように、こういった子供さんはちょうど学齢期にもあられるわけでございますので、都道府県の教育委員会、あるいは市町村の教育委員会、こういったところと十分地元におきまして連絡をとっていただきまして、一般の学校教育、義務教育も、場合によりましてはその施設におきまして実施をするという体制をしいておるわけでございます。そういうふうな意味で、もちろん対策といたしましては、まだ始まったばかりでございまして、まだ十分とは言えません。したがいまして、今後御指摘のように、大きな問題の一つといたしまして、収容治療、あるいは教育、こういった点について十分な努力を重ねてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
なお、研究の問題につきましても、先ほど申し上げましたように、逐年その研究助成金を関係の学者グループの方々に支出いたしております。早くその成果が得られるように期待しておりますが、この研究費につきましても、なおまだ非常に不十分であるというふうに考えておりますので、今後こういった治療及び原因の追求の研究費はさらに支出をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/11
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012・大橋和孝
○大橋和孝君 施設のほうに対して、いまおっしゃったように、こういう患者さんを集めて収容されつつあるのが十一ヵ所であるわけでありますが、そして、しかも、そこで教育も併用されておるというのは、非常に私はこれは心配だと思うわけです。しかし、その中におきましても、私は、まだまだそのいまの状態では、先ほど御説明のように、四十年から手をつけたところだからまだよくいっていないということはよくわかるのでありますけれども、非常に苦しんでおられる人たちのことにもっと焦点を合わして考えるならば、私は、いまの施設の中で行われておるのも、そういう人たちが非常に将来の暗いのにかかわらず、もっと何と申しますか、教育の機会均等という意味からも、あるいは、また、いろいろな観点から考えましても、こういう人の施設をもっと充実したものにして、教育委員会でやっておられるといいますけれども、私どもちょっと実態を見せてもらってまいりましたが、非常にそれがほんとうに教育が十分入れられておるのかどうかということも非常に問題があります。
それから、症状の重さによってやり方が変えられなければならないというような、なかなかむずかしい点もあろうと思いますけれども、これが十分にもっと配慮されるべきじゃないかという点が非常にあるわけでございます。そういう点から考えましても、私は、こういう人たちの現況は、非常にどんどんと症状は悪化し、しかも、なおらないという状態で、しかも、その人たちの状態を見てみますと、ひどい人はほんとうに身動きできないような状態になっている。しかも、意識的にはそんなに障害はされていないという、そこに人道上からいいましても、非常にそういう人たちの苦しみがあるわけでございまして、こういう点から考えて、私は、いろいろな教育とか、あるいは、また、その治療の施設に対しても段階を設けて、相当実態に即したいろいろな施策をもってこれにこたえなければならないと思うわけでございますが、そういう点をもう一つ十分配慮していただきたいと思います。これはもう私はやられつつある前向きの重点施策であることは承知の上ですが、私が特に申し上げたいのは、来年度の予算の前でもあるし、こういう人たちの問題に対しては、私は、特に厚生省としてはひとつ大きくやってもらいたい。その来年度の施策を拡大してもらって、より充実したものに大きく飛躍してもらいたいという意味で申し上げているわけでございますが、そういう点は特に配慮していただきたいと思う。
特にここでもう一つ問題にしなければならないのは在宅の患者です。といいますのは、もういまこうした施設が不十分でありますけれども、その施設に比べてもう一つこれが何もやられていないという状態の中で、こういう人があれば、その家庭はその人たちのために手がかかっているわけでございます。生活的にも非常に大きな影響を受け、ハンディキャップになるわけでございますが、同時に、また、こういう人たちの教育の面につきましても、あるいは、また、生活の保障の面につきましてもこれがなされていないわけでございますが、その問題に対してはどんなふうに考えられ、あるいは、また、どういうふうにこれからそれに対処されるのでありますか。四、五千人の半数まではこれを収容されるという気持ちはわかりますけれども、そういう段階においてまだ在宅のかなり重症の人がおられるわけでございますから、こういう者に対しては、どういうふうに処置されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/12
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013・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 御指摘のように、相当多数のこういった疾病にかかっていらっしゃる子供さんがいることは事実でございます。また、そのうちでまだ病院に収容されていらっしゃらない子供さんが相当いるということも御指摘のとおりでございますから、現在のところ、そういった家庭に対しましては、一般の家庭対策ということ以外に、実際問題といたしまして、現実にはあまり国の施策といたしましては浸透していないわけでございます。ただ、もちろん児童相談所等におきまして、関係の専門職員が問題のある子供さんの家庭を訪問いたしまして、いろいろと御相談に応ずるという程度でございますので、いま御指摘の問題、特に在宅の子供さんに対する問題に対しましては、今後十分その施策につきまして検討してまいりたいと、かように存じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/13
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014・大橋和孝
○大橋和孝君 特にその在宅の人たちのあれを見てみますと、医者にもかかっていないというのが七八%——八〇%近くあるわけですね、当初はびっくりしていろいろ診断を受けたでしょうけれども、治療効果もそうあがらないしということで、治療を受けていないという状態になっているのですが、こういうふうなことは、私は、非常に生活的といいますか、その経済的の圧迫と相まってそういう状態になっておるのでありますから、医療にもかかれないような状態であれば、もちろん教育の面は問題にならないという状態であります。私は厚生省のほうでは調査をされていると思うのでありますが、一体、在宅患者の中で重症度はどういうふうな分布状態になっているのか、そして、家庭の中には二人、三人という人もあるわけなんでありますし、もう一つここで問題になるのは、児童ばかりでなく、成人にもそれが非常に発病されてくるし、そういう人が進行していった場合に、そういう人たちが子供と同じようなぐあいに手がかかってくる。こういうような段階なんかも考えますと、在宅患者に対して調査は十分手元にでき上がっておって、そしてそれに対しては保健婦を回すなりどういうふうにするなり、指導なんかが十分に行き届いておるのかどうか。ある程度行き届いてないと私は思うのでありますが、そういうことならば、もっとそういうことについての具体的に、やろうと思うというおざなりのあれじゃなくて、明年度にはどれだけのことをするというくらいのことをいま厚生省のほうでは立案をして、もう予算に対してもそれを盛っていくというふうにして、それは一躍全部をやれといったってそれは無理だと思いますが、段階的にこういうふうにしてやっていくのだという姿勢がなければ、また、予算にそれを反映してもらうくらいのあれがなければ、こうした問題はなかなか先へ先へ延ばされていくという形になると思うのですが、その分布状態を一体どういうふうに把握して、それに対してここにどういうふうな指導をしていくのだという考え方についてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/14
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015・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 進行性筋萎縮症の子供さん方の把握の問題でございますが、現実問題といたしまして、御承知のように、やはりそういった方々の、特に下肢の、あるいは上肢の不自由というふうな点がまず注目されるわけでございます。したがいまして、その症状、あるいは病名が確定されるのが、学問的にも、あるいは専門の医療機関にかかってもなかなかむずかしいということも現実でございます。したがいまして、私どもが現在やっておりますのは、やはり一般の肢体不自由児に対しまする早期発見、あるいは療育の相談、あるいは登録の管理というふうな方式で進めておるわけでございます。御承知のように、乳幼児の三歳児の健康審査、あるいは療育指定保健所、これは全国で四百七十ヵ所ございますが、こういった保健所におきまする専門医によりまする療育の相談、こういうふうなことでいろいろと診断、治療、あるいは生活に関する指導を申し上げておるということになっております。そういったまあ肢体不自由の状態におきます進行性筋萎縮症の患者に対しましては、もちろん登録いたしまして、その登録されました子供さんに対しては、いろいろと保健所、あるいは児童相談所から訪問指導を行なって、いろいろと生活指導についての御相談を申し上げているというふうなかっこうになっておりまして、実際問題といたしまして、比較的小さい子供さん方に対して、手足が不自由であるといった場合に、それが進行性筋萎縮症であるかどうかということについてはなかなか判断がむずかしいわけでございます。したがいまして、どうしても、現在のところ、肢体不自由児という、外にあらわれましたいわゆる肢体不自由という症状によりまして、一般の肢体不自由児に対する施策と同様に取り扱わざるを得ないというのが現状でございます。もちろん、この肢体不自由児に対しまするいろいろな施策につきましては、今後とも充実してまいりたい、かように思っております。なお、この国会におきまして、児童福祉法を改正するように御審議を願う予定にしておりますけれども、こういった進行性筋萎縮症の子供さん方に対しましても、いま申し上げたような肢体不自由というような点に着目いたしまして、先ほど来申し上げましたいろいろな公費負担というものは、法律に基づかない、いわば省令補助的な問題でございましたので、こういった筋萎縮症の子供さんに対する公費負担も、児童福祉法上の制度として行なうというふうな内容のもので御審議をお願いしたい、かように存じておるところでございます。そういうことになりますれば、進行性筋萎縮症自体が法律上の制度といたしまして、その早期発見から入院治療、研究というふうなところまで一貫して行なわれるというふうになろうかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/15
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016・大橋和孝
○大橋和孝君 この筋萎縮症の患者は、比較的身体障害児としての取り扱いを受けておるわけでありますが、私は、これはもうむしろ重症度から見て重症心身障害児、あれは規定によりますとIQ五〇でしたか、それと同時に、また、身体障害の重症が加わっておる場合に重症心身障害児ということになるわけでありますので、私は、そういう観点には合わないにしても、このジストロフィーの患者というものは、相当もう重症度と同じような手もかかるし、金もかかるわけでありますから、私はこれと同じような取り扱いに踏み切っていくべきだと思うのでありますが、そういう観点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/16
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017・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 重症心身障害児の法律上の制度化ということにつきましても、いま申し上げました児童福祉法の改正の重要な問題点といたしまして御審議をわずらわすことに相なっておるわけでございますが、そこでいう重症心身障害児と申しますのは、いろいろ議論があろうかと思うのでありますが、現在の児童福祉法の体系から考えまして、やはり重度の精神薄弱と重度の肢体不自由を兼ねておるというものを重症心身障害児として把握して、それに対しまして特別の施策を講じたい、かように考えております。その点に関しましては、進行性筋萎縮症の子供さん方は、何といいましても知能はほとんど正常の方が多うございまして、取り扱いにつきましては、なるほど肢体不自由というふうな点につきましては非常に重いわけでございますけれども、知能は正常に近い、あるいは正常以上でございますので、多少やはりその取り扱いは異にいたしまして、肢体不自由というふうな点に着目いたしまして、その取り扱い、あるいは施策を講じてまいりたい、かように思っております。もちろん、非常に重度の方もいらっしゃるわけでございまして、その点につきましては医療面におきまして十分に看護なり介護なりをしてまいらなくちゃならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/17
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018・大橋和孝
○大橋和孝君 それで、看護の面から見ましても、重症心身障害児の場合になりますと、何か二人に対して一人というふうな規定になっておりますね。ところが、ジストロフィーの場合でしたら三対一、時によってはそれがもっと少ない。ところが、実際におきましては、はうこともできない、用便も足せない、何にもできないというようなことで、重症心身障害児とはちっとも変わらない状態である。それから知能はもちろんおかされておりませんが、いままでのような状態でいきますと、やはり何と申しますか、教育の面もほうってあるわけですから、そうした何といいますか、IQ的にはどうか知りませんけれども、実際、教育を受けてないのだから、それはもうだんだんと年並みの発達によっての知識の程度にならないわけであります。そうなってくると、何か実際問題としては重度の心身障害児と同じような状態になっておるわけでありますね。また、それ以上悲惨な人をたくさん見るわけであります。まだ、重度の身体障害児でも、何とか少しくらいのことはできる人があるが、こちらのほうでは全然やれない人というのをたくさんそれを私は実際見ておるわけでありますから、そういうようなところで考えますと、非常に私は不合理なような感じがするわけであります。特に千葉県の下志津病院でありますか、そこへ参りますと、各階に一人しかいないわけですね、看護婦が。そして十何人ずつ各階に収容されておる。あのような状態では、私は、体の動けないような人が万一火事でも起きた場合は、収容されておる人は焼け死んじゃうのじゃないかと思う。私はそういう例も知っている。そういうようなことを考えてみると、これらの問題に対しての取り組み方は、私は非常に重度の心身障害児と同じぐらいな程度でもってこれがなさるべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、こういうふうなところはあなた方はどういうふうな御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/18
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019・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) まあお話のように、非常に重篤の患者につきましては、むしろ重症心身障害児よりも濃厚な介護をしなければならないということもそのとおりだと思います。まあしかしながら、一般的に申し上げますと、やはり重度の精薄を兼ね持った重症心身障害児に対しまする処遇のほうは、一般的にいいますと、あるいは標準的にいいますと濃厚であるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、教育の問題につきましても、これも今後教育委員会等と十分な連絡のもとにこれを施していかなくちゃいけないということも御指摘のとおりと思いますが、いま具体的にお話の出ましたような施設につきましては、後ほど医務局長からその点につきまして十分御説明をいたすと存じますが、私どもといたしましては、やはり肢体不自由というふうな観点から施設に入れているわけでございます。この施設はやはりれっきとした病院でございまして、したがいまして、四人に一人の看護婦さんを置くとともに、その学習指導でありますとか、あるいは生活指導に保母さんでありますとか、そういった方もさらに指導陣営に加わっているわけでございまして、少なくとも、一般の病院以上の看護要員、あるいは指導要員を備えておるというふうに考えているわけでございます。なるほど重症心身障害児施設のように、二対一までにはいっておりませんが、一般の四対一という以上の、特に子供に対する配慮は施設におきましてはやっていただいていると、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/19
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020・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 筋ジストロフィーを収容しております国立の療養所の看護職員の問題でございますが、下志津では非常に不足しているのではないかという御指摘がございました。昨年度までに設置いたしました八ヵ所について見ますと、四十一年の十月の調査でございますが、収容患者数が五百五十六名でございまして、これに見合う三対一の看護婦の数は百八十五名でございます。これに対しまして現員が百八十一名でございますので、四名不足いたしている状態でございます。
なお、下志津につきましては、当時の収容患者数が九十七名でございまして、したがって、本来なれば三十二名の看護職員が必要でございますが、当時二十九名、三名だけ欠員があったという実情でございまして、著しく不足しているというような施設はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/20
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021・大橋和孝
○大橋和孝君 まあ私のほうのちょっと調査ではそういうふうになっているんですが、しかし、こういうふうな重度の人は全然一人一人動けない人でありますので、やはりよほどこうした看護の充実がはかられてないと、非常に不慮の場合にも心配であるし、家族のものも非常に心配であるということを聞いておりますので、特に私はそういう方面については注意をしていただきたいと思うわけであります。
むろん先ほどの答弁の中で、もう一つ明確じゃないと思うわけですが、来年度に関して、今度の予算の面で何かもう少し具体的にこういうことに対してこうやりたいというような計画はいまお持ちでないんですか。だんだんやっていくといういま大ざっぱな見通しだけですね、あれでなしに、来年度にはこれぐらいのことはひとつ手をつけたいということが具体的にもっと考えられなければならぬと思うんですが、そういう問題について十分配慮してもらいたいが、いまの現在の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/21
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022・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 四十三年度の、一体、予算上この筋ジストロフィー対策について何か具体的な構想を持っておるのかと、こういう御質問でございますが、私どもといたしましては、この筋ジストロフィーに対する対策といたしましては、まず第一には、これは研究いたしまして、そうしてその発生原因、これを突きとめて、これをなおすということがまず第一点。
それから、現にこの病気にかかっておられる患者さん、これに対する措置をどうしていくか、これも御指摘のとおり、五千人に対してその一割そこそこといったような病床では、これはまだ発足いたしまして日なお浅いとはいえども、とてもこれは少ないということも考えております。
そこで、しからば四十三年度の予算で一体幾ら要求してどうするかということにつきましては、今日まだそこまではいっておりませんけれども、いずれにいたしましても、これは厚生省の中における最重点の政策の一つであるということを考えまして、研究費等についても増額、それから、その病床についてできるだけスピードアップをしていって、そうして一ぺんにはまいりません、五千人に対して一ぺんにはまいりませんけれども、できるだけ病床をふやしていく。それから、その教育だ、やれ家庭における患者さんといったようなこういうのにつきましても、これは大蔵省はじめ関係各省と非常に相談もし、折衝もしなければならん問題でございますけれども、四十三年度における厚生省の重点政策の中の一つだと、こういう観念をもちまして鋭意努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/22
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023・大橋和孝
○大橋和孝君 いまちょっと研究費の話も出まして、先ほどからちょっと話を聞いたんですが、四十二年度はたぶん五千万円でしたかの何か要求されて、実際には四千五百万円か何かになった。こういうような研究費は一体配分をどうしておられるのか、それから、前年度まではどういうふうな金額をどういうふうに使われてきたか。それから、また、なかなかこの病気は解決に至っていないわけですね。一番不安なのは治療が確立していないということです。なおらないというくらいな状態になっておるわけでありますが、これらは非常になった患者さんにしてみれば、非常な不安な状態になっておる者に対して、もっと根本的に究明するような方向にこれが使われておるのかどうか。そういう観点から考えれば、私は、この研究費がわずか四千五百万円というようなわずかな金では問題にならんと思うのですね。ですから、私は、いまの予算の面についてでも、どう考えておられるかということを主体にして聞いたんですが、そういう観点から言っても、この研究費だけでも問題にならんと思うのです。私はそう思います。これだけ大きな問題に取り組んでいく、研究していくのに、わずか、五千万円程度では問題にならないと思うのですが、それは一ヵ所に重点的にそれをやるんではなくて、それを配分しておられると思うのですから、そんな観点ではもうお話にならんような気がするのですが、どういうふうに配分されて、いままでどういうふうに使われて、一体どのくらいなレポートが出ておるのだということについてひとつお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/23
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024・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 仰せのとおり、進行性筋萎縮症に対する原因の追求及び治療に関する研究、これは収容治療とあわせて、あるいはその前提として進めなければならないと、かように考えております。したがいまして、昭和三十九年からこういった研究につきましての助成を行なっております。先生は四千万円ないし五千万円というお話ございましたけれども、実はその程度の金は要ると考えておりましたが、現実問題として予算化されましたのはそれよりずっと少ないというようなことでございます。毎年毎年継続的に研究をいたしておるということでございます。その研究の方法につきましては、まあ予算の支出の方法からいいますと三つに大別されるわけでございます。第一は、医療研究助成補助金といいまして、厚生省におきましてこういった医療研究につきまして助成金を交付いたしまして研究をお願いしておる、こういった範疇でございますが、これらは、主として施設の近隣にございますところの大学の医学部、名前を申し上げますと、東京大学、札幌医大、東北大学、新潟大学、徳島大学、九州大学、その他虎の門病院、こういうふうな大学を中心といたしましたグループ、研究班によりましてお願いを申し上げているわけでございます。これが第一の範疇でございます。第二の範疇は、これは厚生省の国立療養所を中心といたしましてグループをつくっておりまして研究を実施しております。これらのグループにつきまして申し上げますと、刀根山病院、八雲療養所、西多賀、下志津、鈴鹿、兵庫、広島県の原、徳島、大分県の石垣原、こういった各療養所が、いま申し上げた東大なりあるいは徳島大学と一緒になりまして臨床研究を実施している、こういうことでございます。それから、第三の範疇は、これは私のほうからも文部省にお願いをいたしまして、主として九州大学の医学部のグループを中心といたしまして、これまた昭和三十九年、四十年と続けてこの研究をするというふうなことで、大学の医学部の研究班、それから実際患者を収容しておりますところの療養所におきます研究、こういうふうなことで進めておるというのが現状でございます。ただ、申し上げましたように、これだけのグループにおきましての研究もどんどん進んでまいっておりますが、なかなか世界の医学界におきましても、この進行性筋萎縮症につきましての研究というのは非常に重要な、しかも、また、追求が困難なテーマであるということも事実でございまして、さらにさらにこういった研究グループをふやすとともに、研究費の増額をはかっていかなくてはいけない、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/24
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025・大橋和孝
○大橋和孝君 一ぺんこの研究費につきまして、三十九年度、四十年度、金額何ぽでどこどこへどういうふうに配分したか、それから、それについての研究業績はどういうものが出たかということを、あとでちょっと資料としていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/25
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026・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 後刻資料といたしまして御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/26
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027・大橋和孝
○大橋和孝君 じゃ研究費のほうはひとつもっと積極的に、いま聞きましても非常にあちらこちらに配分されているわけでございますし、重点的には各大学あたりに置かれているから、進みつつはあると思いますけれども、私は、次の予算化に対しては、この研究費を大幅にできるように努力をしていただきたい、ひとつこれを要望したいと思います。
それから、もう一つ私はここで触れておきたいのは、いまいろいろお話を聞いた中で、在宅の患者に対しては、比較的保健所あたりからもいろいろさせたり、保健所の中でも、特にそういう医者がそういうふうな指導をされるということで配属されているようでありますけれども、私は、この住宅の人たちに対して取り組む取り組み方が、非常にいまのところではこういう患者さんたちに対して非常な不幸な状態に置かれていると思うわけです。これに対して何らかの措置を、経済的にも非常に逼迫をされて、医者にもかかれない、また、療養も受けられないという状態にあるわけでありますし、特にそういう人たちのために家庭の人が看護をしているという、看護に手がかかって仕事ができないというふうな状態もそこに出てきているわけでありますから、こういう問題に対して、もう少し積極的にこれを何らかの方法で取り組んでもらう必要があるのではないか、こう思うわけですが、私は、そうした意味で、近き将来にどうするというふうな見通し、そういうようなものを含めて大臣のほうからもお話を承りたい、かように思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/27
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028・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、在宅の患者御本人は、これはもう非常に病院にも入れないということで非常に不しあわせである。それから、また御本人以外に父兄、保護者、これも非常にお困りになっておるということは私もよくわかります。そういったようなことは、同様なことは重症心身障害者、障害児といったようなものにも私は大いにあろうかと思うのです。私といたしましては、それからの総合的に在宅患者といったようなものに対して、今後大いにこれは何とか措置をしていかなければならない、こういうことも考えられます。そこで、これは今後も前向きに検討を加えまして、何らかのそこに救済策といったようなものを考えてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/28
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029・大橋和孝
○大橋和孝君 どうかひとつよろしくその点はお願いしたいと思います。
同時に、もう一つ私はここで先ほどもちょっと触れてそのままになったわけですが、この筋ジストロフィー患者の重症なものは、私は、先ほど渥美局長の答弁では、やはり身体障害者、重症の身体障害者としての範疇に入れていくのであって、重度とは全然違うのだというような形で考えておられるわけですが、私はそうじゃなくて、やはりそれは重症の心身障害児の範囲は、やはりIQ三十五ですか、それに一、二級の身体障害があるわけですね。そういうふうになっておりますが、前に三十八年でしたか何かに次官通達が出ていますね。あれなんかの関連はどんなふうになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/29
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030・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 御指摘のように、たとえば精神薄弱児対策にいたしましても肢体不自由児対策にいたしましても、児童福祉法が昭和二十二年に公布いたされましてから逐次充実してまいったのでございまするけれども、充実してまいりますればまいるほど、やはりその子供さん方のハンディキャップの度に応じまして的確な指導をするという方向がとれてなければならないということになったわけでございます。したがいまして、昭和三十九年におきましては、肢体不自由児施設の中におられる子供さんにつきましても、特に重度の方につきましては重度棟という、特殊な管理を要する施設なりを設けまして、重度の方に対しまして対策を講じたわけです。これにつきましては、たとえば職員の数をふやすとか、あるいは、また、医療費等につきましては特別な配慮をする、こういうふうなことをしたわけでございます。精神薄弱児施設につきましても、昭和三十九年度におきましては、精神薄弱の程度の特に重いといった方に対しましては、やはり精神薄弱児施設におきまする重度棟という施設を設けまして、重点的に濃厚な指導を行なったのでございます。そういうふうな分類収容的な、あるいは分類指導的な考え方が最近になってはどんどん出てまいったのでございますが、いま申し上げました精神薄弱児施設の重度棟にも、あるいは、また、肢体不自由児施設の重度棟に入るにしてはさらにむずかしい、つまり両方がダブっておられる子供さんに対しまして、お話のように、重症心身障害児施設という新たな制度を設けたいということで、児童福祉法の改正をいま御審議をわずらわす段階になっておるわけでございます。したがいまして、進行性筋萎縮症の子供さんがどちらに属するかというふうな問題になるわけでございます、もちろん、進行性筋萎縮症の子供さんにつきましても、比較的まだ初期の方から重篤の方まであられるわけであります。したがって、当然重篤の方につきましては国立療養所でやっておりますけれども、今回の児童福祉法の改正につきましては、その肢体不自由児施設の中の特に重度棟に入れていろいろと指導をしてあげなくちゃならぬということにもなろうかと思います。そういう意味で新しい制度を設けたいと思っておりますし、それらの児童福祉法で定める年齢以上に超過してもその施設におられるというふうなことも法で新たに起こしたいと、かように考えております。一応はそういった意味で交通整理をいたしたわけでございますが、しかしながら、いずれにいたしましても、施設の数が、たとえば精神薄弱児施設の重度棟も、あるいは、また、肢体不自由児施設の重度棟も、重症心身障害児施設におきましても、施設の収容規模が少ないわけでございますので、そこらにつきましては多少弾力的な運営をいたしまして、子供さんの福祉が守られるように運営の点におきましてもやってみてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/30
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031・大橋和孝
○大橋和孝君 大体御意見もわかります。
最後に、中央児童福祉審議会あたりから、重症の心身障害児と並列して、この問題の対策強化をせよという答申があったわけですが、いま局長からの話を聞けば、そういうふうな取り扱いにしてやっていきたいというふうに考えるのであって、まあ同じような程度に、非常に医学的に見ても、いまおっしゃったように、重症のものでありますから、それを同等に取り扱って、今後はすべての施策を強化していくという方向で特にやっていただきたい、こういうふうに私は考えるわけです。あるいは東大からの何か答申のあれもあったはずでありますし、いろんな面で、その施策についても、あるいは、また、治療についても、あるいは、また、研究についても、相当施策を強化するための具体的な取り組みを、重度の心身障害児と同じ程度に、同じ範疇に入れてこれと取り組んでいただきたいと思うわけです。その点についてお考えを聞いて、私の質問はきょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/31
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032・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) お話のように、昨年の暮れ、十二月に中央児童福祉審議会から心身障害児に対する総合的な御意見の具申をいただいたわけです。特に重度の症状を持っていらっしゃる子供さんに対する総合的な御意見の具申がありました。そういった観点では、その御意見に即しましていろいろと施策を講ずるのはわれわれとしては当然の責務だと思っておりますし、また、そういった意味で、今回におきましても重症心身障害児施設というものを法律上の制度といたしまして法律化する。それから、また、重篤な子供につきましては在床期間の延長をはかるというふうなことで、十分意見具申を尊重いたしまして今後の施策に努力してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/32
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033・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私はどうもしろうとでよくわからないのですけれども、いま大橋さんの質問を聞いて、御家族の皆さんのお話を聞いていると、私はちょうど昭和三十五年、六年、七年当時のポリオの問題と同じような感じを受けるわけです。それで、この病気はいつじぶんから始まってきたのか、それから、各国でこの病気対策をどうやってきているのか、そういったところを私はちょっと聞かしてもらいたい。私はあの当時のことを思い起こすのでありますけれども、その対策がないではないというかっこうでソークワクチンが出てきた。それからセービンに移っていくのでありますけれども、結局その米英が共同研究した薬があるのだと、最後にはなって、ここではどうにもならぬということで、予算委員会で私は総理と対決して、予備費を出さすというところまでいったことを思い起こすのです。ちょうど同じように、その当時、昭和三十六年は七千という小児麻痺が起きたわけですから、そこで初めて予備費から出して、生ワクチンを一週間のうちには子供にすべて与えておる。それでとまったということを思い起こすのです。私はその三年ほどの間にああいう現象が起きたということを思い起こすと、私は、長い歴史を持った病気ならばいろいろの対策が世界じゆうで行なわれておる。何か知らぬけれども、どこかにこだわって最終的なことに逡巡して、もしも、こんなことがあるかないか知りませんけれども、そういうことであのポリオ患者のようなかっこうになっておったとしたら、これまた私は国民に申しわけないし、残念なことだと思うので、そこらのことをまずひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/33
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034・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) 進行性筋萎縮症の原因なりその治療等につきましては、先ほど申しましたように、世界の学者の方々におきましても十分と研究は進められておりますが、なかなか現在の医学界におきましては、その原因は何であるかということにつきましては確定的な結論が出ていないと私は聞いております。ただ、そういった患者の血清中の酵素活性値が非常に上昇する。したがいまして、酵素が生まれる母体でありまする筋実質の崩壊が考えられる。したがいまして、それによって筋萎縮症が起こると異常栄養が起こるというふうなことは、一応の医学界の結論めいたものとしていわれておるわけでございます。したがいまして、こういうふうな観点から考えますると、どうもやはりこの疾病が遺伝的因子によるものではなかろうかというふうなことが相当程度いわれておるわけでございます。と申しますのは、患者のうちの四五%以上につきまして家族的罹患というふうな現象が見られております。また、男性に多くて、女性の約三倍というふうなことも報告されておるわけでございます。したがって、やはりそのいろいろ原因はこれから追求しなくてはいけないわけでございますが、やはり遺伝的な因子というものも相当重要なものとして今後研究されなくてはいけないのじゃないか、こういうふうにいわれておるわけでございます。したがいまして、藤田先生御指摘のソークワクチンの議論のそういった問題もあるかもしれませんけれども、そういった問題よりも、むしろいま申し上げましたような点に学界の追求のテーマがあるというふうに私どもは報告を受けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/34
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035・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 しかし、イギリスでは百万人に対して四十人、アメリカは十七人だというでしょう。イギリスの百万人に対する四十人というのは、日本の人口割りでいったら四千から五千だという、これだけ多くの数がジストロフィーですか、筋萎縮症の病気にかかっておって、イギリスといえば世界で医学の発展しているところであって、何の治療もしていないということは、私は、国の政治としては許せないことだから、何らかの手当てが打たれておることだと思う。アメリカにしてもそうだろうし、ドイツやフランスや、要するにもっと進歩的な国家においてそれがほうってあるということは、いま遺伝性やなんかのことがあるけれども、結論が出ていないとういようなことにはなり得ないのじゃないか。なり得ないとすれば、日本でいま五千からの患者が出ている。イギリスと同じ比率で患者が出ているのに、外国では長い歴史の間にあったというならば、ほうってある。ちょうどポリオの前段がそういうことだったと私記憶する。ようやくソークワクチン、注射ワクチンができまして、そうしてこれは確率は八〇%ぐらいだけれども、しかし、何らかの役に立つというのがあの当時の前段の議論だった。ところが、だんだんセービン博士の研究、あるいはアメリカとの間の共同研究からきて生ワクチンが出てきた。そうして確率一〇〇%の生ワクチンで日本の六千からのポリオ患者が一ぺんになくなったという歴史を持っているわけですよ。だから、私は、そういう点でも、振り返ってみて、あの当時の二年ほどの議論というものは、思い起こして、あれでよかったのかどうか、人間の生命を第一に守っていく国家体制の中でよかったのかということで、私自身がしろうとですから、学問的に病気のことはわからぬけれども、反省している。そういうものがあって処置されているということがいわれながら処置がおくれたと、だから、こういう問題も、あの当時のちょうど一番ピークが五千人だと私は聞いております。これが五千人にきているということですね、イギリスはそういわれているというなら、イギリスは何も処置していないのか、それは私は言い切れないのじゃないか。だから、外国はどういう処置をしてきたかということを考えてみれば、何らかの、私は前段においてお聞きしてきたソークワクチンのような処置がされるだろうし、もう一段ポリオのセービン博士のようなものがあればなおさらですけれども、そういうことを大体日本で研究して、さっき質疑にあったような四千五百万円ぐらいとえらい失礼な言い方ですけれども、とてもそれではあの生ワクチンをつくるための膨大な研究費と比べてみて、私はやっぱり足らな過ぎるのじゃないかということで、私は、人類の中の実態というものを、もっと前向きに世界じゅうの医学界との関係で十分に取り組んで、日本も研究の中に伍していくということにしていかなければ、これは悲惨じゃないですか。小児麻痺と同じですよ。それにようやく三十九年あたりからぼちぼち研究費を出して云々というだけの話を聞いておっても、私らにはそれがなかなか理解できないです。だから、そういう点はどうなんですかね、もっと真剣にという言い方は言い過ぎかもしれぬが、ちょうどポリオのことを繰り返さぬように私はしてもらいたいという感じを非常に持つのですが、もっとざっくばらんに言ってください、そこのところ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/35
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036・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) ざっくばらんという仰せでございますが、たとえばセービン博士によるワクチンの問題に触れられたわけですが、この疾病につきましては、先ほど申し上げましたように、どうもやはり遺伝的な原因のほうが強い、こういうようなことでございます。この疾病につきましては、世界の各学会におきましても、相当古いといいますか、歴史的にはずいぶん前から研究をされている疾病でございます。一昨年日本におきまして国際小児科学会というものが行なわれたわけでございますが、この国際小児科学会におきましても、進行性筋萎縮症の対策、治療研究というのが一つの大きなテーマになったことも事実でございます。しかしながら、やはりまだ現在におきましてはその原因が不明であるといったほうが正確であるわけであります。したがいまして、内科的に原因が不明でありますから、治療方法が確立していないというふうなことであります。しかしながら、治療は、現実におきましては、内科的におきましては、たとえばアミノ酸療法というようなことでその進行を食いとめる、進行の阻止をはかるということと、それから、外科的には、特に筋肉が廃用されるわけですが、廃用を阻止するとか、あるいは筋肉の変形の発生なり、あるいは増悪に対する防止というような機能訓練を行なっております現状でございます。わが国におきまする研究が少しおくれているのじゃないかというふうな御指摘、御批判もいただいたわけでございますが、先ほど御説明いたしました国際小児科学会におきましてはわが国のいろいろな報告も出されておりまして、国際的には相当高く評価されておるというふうに私は聞いております。特にその治療内容につきましては世界的水準に十分あるというふうなことも、その学会においてはいわれておるわけでございますが、いずれにいたしましても、御指摘のように、まだまだこれから研究を継続していくためには相当の研究費も出さなくちゃいけないということが現状であることは間違いないのでございまして、その点につきましては、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、私どももそういった点に力を傾けていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/36
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037・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 イギリスは百万人に四十人という相当大きな比率ですけれども、イギリスではどういう治療をやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/37
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038・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) これは先ほど御答弁申し上げましたが、これも学会において一応そういったデータが出ているというふうなことでございまして、それによりますれば、イギリスでは人口百万につきまして四〇・五人、アメリカにおきましては、やはり人口百万につきまして、これは非常に少ないのですが、十四人というふうなことになっております。これらの数字をわが国の人口約一億に当てはめてみますると、イギリスで報告された数字を使いますと三千九百八十人で四千人に近く、アメリカのデータを引用いたしますと約千四百人くらい、こういうふうなことでございます。もちろん、イギリスにおきまするこの数字なりアメリカにおきまする数字というものも一つのデータでございまして、たいへんわが国におきましては、そこらについての把握が、なかなかやはりこういった関係の学者、専門の医家等が比較的少ないわけでございまして、正確な数字をここで申し上げるわけにいかないというのは申しわけないことでございます。
なお、日本筋ジストロフィー協会におきまして、埼玉県におきましては百五十名程度、これは人口百万に対して五十くらいでございます。岐阜県におきましては八十二名、岐阜県の人口からいきますと、百万につきまして四十八人というふうな数字が出ております。大体イギリスの数字程度を当てはめればわが国の筋ジストロフィー患者の全数が推定されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/38
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039・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、私が言っているのは、社会保障の発達したイギリスで、ヨーロッパのほかの国は知りませんけれども、それだけ膨大な筋萎縮症の患者が出ているのに、レポートを見ただけではなしに、イギリスではどういう対策や治療をやっているかということを、外務省もあることだし、厚生省からも派遣をしていることですから、主要国には。だから、その実態をよく調べてやることが重要な要件ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/39
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040・渥美節夫
○政府委員(渥美節夫君) この進行性筋萎縮症の研究されている各学者も、先ほど申し上げましたように、国際小児科学会におきましては非常に高く評価されておりまして、当然その学者間のいろいろな知識の交流というふうなことで、イギリスにおきまする治療研究方法なり、アメリカにおきまする治療研究方法なりも当然勉強をして治療に当たっていると思いますし、わが国におきまする治療内容につきましても、この間の学会におきましては世界的水準にあるというふうにいわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/40
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041・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ちょうど小児麻痺と同じような現象で出てきて、原因は何にあるか、私たちしろうとにはわかりませんけれども、しかし、もっと積極的に世界の学会に呼びかけて、これをやってもらわなければどうにもならぬ病気ではないかと、私は思うので、そういう点は、やはり大橋さんもさっき言われたように、積極的に対策を立ててもらいたい。何でしたら社労委員会で一日、病理学的な学問的な研究をしてみて、それに対する対策はどうか、特に研究費が、ここにこういう臨床的な治療法が出てくるとか、そういう問題にまで、私は、これは生命を託される問題である、そこまでいかなければならぬという感じをいま受け、ポリオのときもそれくらい熱心にやったと私は記憶しておるのですから、そういうひとつかまえを厚生省は持ってもらいたい、お願いしておきます。きょうはこれで終わります、関連ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/41
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042・藤原道子
○藤原道子君 私もいろいろ質問したい点があるし、御答弁も納得いかない点がございますが、時間の関係もございますので、次回に質問さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/42
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043・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本調査に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/43
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044・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより本案に対する質疑に入ります。御質疑のある方は、順次発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/44
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045・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 きょうは大臣もおられますので、まず、日本の社会福祉事業の基本問題についてお伺いしてまいりたいと思うのですが、日本の経済成長が非常な勢いでなされ、生産の面でも、あるいは所得の面でも急速に伸びてきておるわけです。こういう中で、私どもは一番取り残されている部面が、いわゆる社会の谷間に置かれておるといわれる人たちだと思うのですね。したがって、佐藤内閣も、人間尊重、社会開発、こういうことを政治のスローガンとして打ち出されてきたと思うわけです。そういう中にあって、一体、厚生大臣として、憲法二十五条にいう国の責務である社会福祉の増進、こういうものにどういう考えをもって今後取り組んでいこうとするのか、まずそういう基本的な考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/45
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046・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、いまの日本は、終戦後今日まで、経済の復興、経済の開発という面に非常に力を入れてまいった。入れざるを得ない点もあったわけでありますが、その反面におきまして社会保障、社会福祉と申しますか、そういったような点について経済に力を入れたほどは入れられなかったというようなことから、今日、経済開発に比べまして社会開発というものがたいへんこれはバランスがとれていないじゃないかということが今日まで述べられ、最近またそれが強く強調されておるということは、これは否定も否認もできない事実でございまして、佐藤内閣におきましては、総理大臣も社会開発に力を入れるんだ、人間尊重の理念に基づいて政策を遂行していくんだと、かようにしばしば述べております。私ども厚生省の仕事はたくさんの仕事を持っておりますけれども、社会福祉行政というものは、何と申しましても厚生省におきましては最も重大なる行政の一つであり、佐藤内閣の政策の線に沿いまして、厚生行政において社会福祉事業、社会福祉行政というもの、これを強化してまいらなければならない。今日まで、厚生省といたしましては、決してこれを粗略に扱ってきたものではございません。でき得る限りのことを考え、これを実現してまいりましたけれども、しかし、今日の状態がとうてい満足する域にはほど遠いものであろうと私は考えまして、この社会福祉各般の事業につきまして、今後とも鋭意これを充実いたすべく努力をいたしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/46
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047・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 憲法の二十五条に規定されたそうした国としての責務を忠実に果たすという立場からいくと、現在の社会福祉施設というものに対する国の、何と申しますか、積極的な取り組みというか、そういうものが、これはいまも厚生大臣がある程度肯定されましたように、非常に立ちおくれておる。最近この施設がふえておるようでございますけれども、しかし、約四割というのが民間の施設にたよっておる、こういうことは、はたして国としてどうなのか。本来、国が積極的に取り組んでいかなければならないものを、四割までも民間におんぶしていくということが、はたしてその憲法の理念からいってもいいのかどうか、その辺も私ちょっと疑問なんです。いま私どもに、あらゆる社会福祉施設からいろいろな陳情なり要望書が送られてきますけれども、それを見ますと、非常に金が足りない、運営が困難だというのが出てくるわけですね。で、私に最近来た手紙などによりましても、館山の今度新しくできた施設がありますね。あの売春婦の方々の更生施設ですか、あそこなんか見ましても、水道管も引けない、したがって、毎日一人バケツ一ぱいの水でがまんしているというような事態も、当初そういうことがあったということが訴えられてきているわけですね。そういうふうに、非常に民間人の善意にたよって、それにおんぶした形で日本の社会福祉事業というものが行なわれているということでは、本来の憲法の規定に忠実であるべき政府の態度としては、私はちょっと遺憾な点があるのじゃないかというように思うのですが、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/47
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048・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 国民のこの福祉生活というものは、これは国なり政府なりがその責任を持つということは申すまでもないことでございます。ところで、その国民の福祉生活につきまして、私は、ただ、そうだから国だけがやっていくということでなくして、民間の篤志の方々の協力をお願いするということが、これはもう国だけがやるのであって、民間のやる仕事ではないのだ、こういう態度では私はどうかと思います。これは、なるほど最後の責任はそれは国にあることでございますけれども、そういったような民間の社会事業と申しますか、そういったような一つの、非常に何と申しますか、きれいな奉仕をする、民間のそういったような意図というものをできるだけ、私はそれにたよるというわけではございませんけれども、これも民間のそういったような旺盛なる意図があり、政府は政府としてまた強い責任感を持っていくということが両々相まちまして、そうして社会福祉、福祉行政、福祉生活の実があがっていくものであろう、両者がお互いに唇歯輔車と申しますか、そういったような関係で社会福祉の実があがっていく。ただし、民間の善意なり、民間のそういったような強い意図に、これにたよって政府は自分の肩の荷をおろすといったような態度では絶対に私はいけない。ただ、そういった実際問題として事業をやっていく上におきましても、私はその民間でやっていただいたら——これはまあ役人を前に置いておいてたいへんおこるかもしれませんけれども、役人仕事というものは、得てして機動性がなかったり、あるいは積極性に欠けたりということも、これも否定できない問題でございます。そういったようなことから、私は、政府が直接やるものにはそれに応じたところの非常な長所もある、それから、民間でやっていただくということは、これは民間としてやっていただく非常に特性、長所もあるというようなことで、ただいたずらに民間でやっていただくことを、これをたよりにしまして、それを当てにして、そうして政府が肩の荷をおろすというようなことは、これは戒心すべきことではございますけれども、いまの実社会におきましては、両々相まってやっていただくということが非常に望ましい姿ではなかろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/48
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049・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 非常にそういうお考えも理解できるわけでございますが、しかし、二十九年にそういうような社会福祉事業の、より充実した施設をつくって、そして事業を進めていこうというためにこの社会福祉事業振興会というものもできたと思うのです。しかし、昭和二十九年にできて、今日もすでに十余年たつわけでございますけれども、ただいま依然として社会福祉事業の現状というものが、先ほど一、二訴えられるように、非常にお粗末だと申しますか、憲法に規定された社会福祉の増進というような、そういうものと非常に縁遠いような現状をつくり出しているということを考えますと、私は、この際、政府はこの社会福祉事業のあり方というものについて、やっぱり基本的な一つのまあ理念というのはもうできているのですから、そうでなくて、社会福祉施設をつくる一つの基本的な方針というか、そういうものをやっぱりつくる必要があるのじゃないかと思うのです。あるならいまそれをお聞きしたいのですけれども、たとえば先ほど申し上げましたように、施設の四割からが民間の施設になっているわけです。ですから、民間の施設ということになると、民間はやっぱり篤志家なり善意の方々がつくられるものですけれども、しかし、一面では、営利というものはないと思いますけれども、そういうものもあるかもしれぬ、あるいは設置する場所にしても、適正な配置ということでなしに、やはりそれぞれの施設する人によってその場所がきめられてしまう。そうすると、幾ら施設をつくっても、救われない人が片方には取り残されていくというようなこともあるのじゃないかと思うのですよ。これは国なり地方公共団体が全部やっていくのだということであれば、ある程度規制をして、これは公立病院と開業医のあれでもないでしょうけれども、ある程度全国的にそれぞれのバランスのとれた施設をつくっていくということもできるわけですね。しかしながら、いま民間に四割も依存している場合には、そうした計画的なと申しますか、全国の非常な不幸な人たちを、均てんした救済と申しますか、そういう人たちの施設をつくっていくというのが非常にいまの状態では妥当ではないというように私は考えるのですけれども、ですから、この際、そういうような社会福祉施設の、あるいは事業のあり方についての基本的な方針というものを私は樹立をする必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/49
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050・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 社会福祉施設につきましては、おっしゃるような傾向が私はあろうと思います。そこで、大体におきまして、政府の方針といたしましては、むろん民間の社会事業家がそろばんずくで金もうけをやろう、そういうつもりでやっておる方は私はないと思いますけれども、せっかくそういったような施設をつくっても、全然これは経営と言うとおかしゅうございますけれども、成り立たないといったような環境条件にあるというような所へは、これは社会福祉施設が非常に客観条件としては必要を告じておる場合にでも、これは民間にたよっておったら民間がそういうものをなかなかつくりにくいというような所、そういったような所で、しかも、社会福祉施設というものが非常に必要の度が高いといったような所へは、これは政府としてそういう所へは力を入れて施設をつくっていくというような、大体のそういうめどをもちまして今日までやってまいっておるのでございますが、なお、御質問の中で、一体、計画がどうなっておるか、こういうお話でございますが、福祉施設全般についての計画というものはまだ今日はでき上がっておりませんが、お説のとおり、そういったようなことも計画的に私はやっていかなければならぬ問題であり、今後検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/50
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051・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 社会福祉施設にはいろいろあるわけですよ。児童福祉法に基づくもの、あるいは身体障害者福祉法、あるいはその他の福祉法に基づくもの、大体四十種類ぐらいあるのじゃないですか。それで、現在まあこの資料によりましても約一万六千近い施設があるわけですよね。しかし、それだけの施設があってもまだまだ足りない。入りたくても入れない人がたくさんいるという現状です。たとえばこの間身体障害者の集まりがあったときもそうです。政府は五ヵ年間で幾らですか、八千の人を収容をするような計画をいわれておりますけれども、しかし、現状は八千どころじゃないですね、千ちょっとしか入っておらないというようなことを言われているわけですね。そうしますと、一万何千人かの政府の発表だけでも入れなければならない身体障害者の重症者がいる。それにもかかわらず、現在それが入らないでいるということは、それはやっぱりもっと社会福祉施設事業に対する総合的なこの計画というか、そういうものがなされてないところに私は問題があるんじゃないかと思うんですね。もう少しこの実態の把握、全国的にどういう収容しなければならない人たちがいるのかということを十分に把握をして、その上に立って適正な各施設の配置をしていく、こういうことが私はまずなされなければ、この民間事業が四割もできている、ウエートを占めているという現状では、これは適正な配置、あるいはそういう均てんした事業というものはできないんじゃないかと思うんですが、その辺は現在どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/51
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052・今村譲
○政府委員(今村譲君) お話のように、これは具体的に申しますと、たとえば老人福祉課関係の養老院でございますが、全国で明治以来営々としてつくったのが約八百、総収容人員が七万ということでございますが、たとえば六十五歳以上の老齢人口が七百七十万、そうしますと、七万といいますと〇・九%ぐらいのものです。ところが、いろいろ老人の自殺事件とか、いろんな問題がありまして、とにかく収容せにゃならぬという人が、外国並みに考えれば、まず三%ぐらいございましょうけれども、かりにそれを二%としましても、一挙に七万を十五万ぐらいにふやさなければならぬというふうなこと、それを一体五ヵ年でやり得るか十ヵ年でやり得るか。これは老人だけで申し上げましたけれども、収容施設のケースワーカーのやっているのだって、ある程度の限界はあるというふうな問題があります。これは保育所におきましても、いまお話になりました重症心身障害児の問題につきましても、すべて問題が共通でございます。実は老人とか子供とか、おのおのについていろいろかなり局内では計画をつくるわけなんです。ただ、問題は、それをいわゆる社会福祉事業全般の総合計画というふうに、先ほど申し上げたように、四十種類も母子寮とかいろいろある。それをまとめて一本の計画をして、これをいわゆる経済中期計画とか何年計画とかいうふうな国の大きな線に合わせて確立したいというのが実は私どものほうの念願なんです。ただ、その場合において、いまお話になりましたように、施設の偏在では困る。民間の社会事業が、私は、個々にがんばっただけでは解決つかないというので、これは県の民生部長会議、あるいはその他によりまして現実にやはりスポッティングをやりまして、県自体で養老院はどことどことどこ、それから、児童施設はどことどこというふうにスポッティングをやって、しかも、それを富裕府県がどんどんつくる。東北のような貧困府県では財源の関係であまりつくれないというようなアンバランスを是正するというふうな方向でやって、社会福祉何年計画というような全体計画をつくりたいということで、私ども、いま内部でありますけれども、いろいろ計画を練っておるわけでございます。個々についてはいろいろございますけれども、ただ、個個ではその年その年の予算の費目で終わってしまうということで、それでは非常に無意味に終わるというので、厚生省の中におきましてもそういう動きをまとめたい。しかし、できるならば、それに医療機関なり環境整備なり、全部ひっくるめたウエルフェアの全体計画というふうなものをやりたいという方向で、官房を中心にいろいろやっている、そういうふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/52
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053・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういうやはり総合的なものが確立をされないと、私は、ほんとうにこの経済の成長に見合った形での福祉の増進と申しますか、そういうものが、やはり着実にできないんじゃないかと思いますね、行き当たりばったりになって。しかも、それぞれの福祉法に基づいて、それぞれの課では一生懸命やっておるかもしれませんけれども、しかし、実情の把握というものが全体的に見てできない。これはマクロ的とかミクロ的とかということばが最近ありますけれども、そういうような形になって、やはり社会福祉の増進というものがなかなか期せられないというふうに思うので、ひとつそれは私は早急に総合的な社会福祉事業、いわゆる施設のあり方とその配置の計画ですね、こういうものをひとつ考えていただきたいと思います。
そこで、そういう国の責務から申しますと、今度の社会福祉事業振興会に対する国の助成と申しますか、国の援助、こういうものが非常に私は問題があるような気がするのですね。この振興会というのは、法文からいきますと国が出資をするということになっておると思うのですが、それは間違いないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/53
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054・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。
振興会法が二十九年にできました当時は、これは全額国が政府出資でいくと、こういうことでございました。二十九年に非常に少額でありますが、三十万、三十年から一億円一億円というふうに、年々一億円くらいが、貸し付け原資ですが、そして三十九年まで毎年大体一億ということで、三十九年までに大体十億五千万円という出資金がたまったわけでございます。その程度で貸し付けておったのでございますが、そういうことでは年々一億円くらいしか貸し付け原資ができてこない、そして若干の償還金ということで、私ども非常にあせっておりましたのと、それから、もう一つには、政府の財政面から、ともかく財投資金、一般会計資金の医療金融公庫に入れないで、財投資金を入れてその利差補給をするというかっこうに政府の方針として三十九年から変わってまいりました。三十九年は政府出資一億、そのほかに財投資金を初めて導入いたしまして三億円、四十年度からは財投資金を、政府出資が全部とまりまして、六億円、その次が十億円、ことしは二十二億円というふうに財投方式に切り変わったわけです。ただし、財投資金は六分五厘であり、貸すのは形式上は五分一厘でありますが、実際上は四分を切るわけであります。その差というものは全部国からもらう、いわゆる収支差し引いて赤字分は全部もらう、そのほかに事務経費も全部もらう、こういうしかけに変わってきたわけです。私のほうとしましては、理想を申しますならば、出資金を全部もらいたいということでございますけれども、各公庫、公団全部出資が打ちどめになって財投資金になって、とにかく赤字は国が一般会計から出すというかっこうになりましたので、ともかく資金量をふやすという面におきましては、この財投方式にするのはそれもやむなしというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/54
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055・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 政府のそういう方針で出資がとめられて、この財投で借りることになった、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/55
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056・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは方針といいますより、これは非常に大きな問題でありますので、ちょっと私から申し上げるのはどうかと思いますが、一般会計資金のほうで相当税収が多くて余裕がありますときには、各公社、公団、それから産投特会というところにどんどん数十億、数百億というものをいわゆる政府出資という形でやってきたわけであります、三十七、八年ころまでは景気上昇とか、いろいろありまして。ところが、三十九年から大体税収の伸びが相当とまり、一般会計規模が相当小さくなるということで、具体的には財投資金を入れて、その逆ざやなり何なりを一般会計で補てんすれば、一般会計の政府出資何十億というものを出すのと同じいわゆる経済効果ができるのではないかという方向で、これは振興会ばかりじゃございませんで、ほとんどの公庫、公団への出資がとまったわけです。これはいいか悪いかは、まだちょっともっと大きな問題だと思いますけれども、そういうふうな状況に相なっておりますが、少なくとも、私どもとしましては、まず資金量をふやしたい、一般会計一億くらいではどうにもならぬということで、ことしは二十二億ぐらい財投に一気に入れてもらう、そのかわり、逆ざや分は全部国からもらう、こういう方式になっておるわけであります。今後また財政事情が好転してまいりますならば、政府出資という形になる時期もあるのではないかというふうな気がしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/56
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057・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 借り入れよりも出資のほうがいいには違いないのですね。したがって、逆ざや的な現象が出たりして、財投からの借り入れというものが昭和四十年からそういうふうになってきたわけですね。そうすると、私は先ほど基本的な問題で大臣に質問して、いままでは経済偏重と申しますか、もう忘れられた人間尊重を、この際、社会開発ということで、政治の中心というものをそういうところに置くのだという佐藤内閣の姿勢からいけば、私は、当然こういう社会福祉事業に対するそうした資金的な面は一般のものとは区別をして、よりそういう事業団と申しますか、振興会なり施設が十分この機能を発揮できるような、健全に運営のできるような方向に持っていくのが先ほど大臣の言われた趣旨に沿うやり方じゃないかと思うのです。それを一般の公社、公団と同じように、政府出資というものを打ち切って財投に切りかえたということは、ちょっと問題があるような気がするんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/57
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058・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 先ほど来、柳岡委員の御指摘のように、今日の実情から見ますというと、各般の社会福祉施設というものがたいへんおくれておる。重症心身障害にいたしましても、その他の老人対策にしましても児童対策にいたしましても、対策を立てなければならぬ対象が非常にたくさんある。それに対して施設がまだ足りないんじゃないか、そのとおりでございます。そこで、今日はそういったような施設を私はできるだけすみやかにこれを充足していかなければならない。ところが、絶対数におきまして年々ふやしていっていることが、これで満足すべきものではもちろんございません。ございませんけれども、できるだけそういったような需要と申しますか、要請にこたえるべく施設をたくさんつくっていかなければならない。そういった事態におきまして一般会計の歳出に頼んでいるということは、なかなかこれは予算でほかの金を減らせばいいじゃないかという議論もございますけれども、一般会計の歳出で政府がこれを一般支出としてまいりますと、なかなか多くを期待できない、こういうようなことでございまして、そういったような事態に対処して財投の金を出していく、しかしながら、財投のお金には利子がかかる。しかし、その利子は、これはひとつ政府のほうで利子をみようじゃないか、こういうことでまいりますと、少なくとも、施設をつくっていくテンポというものが、一般会計でやっていくよりは、この財投資金というものでやっていくほうが、まあ年々のスピードと申しますか、そういったようなことが足並みが一般会計でやっていくよりも大またで歩いていけると、こういうようなことで財投に切りかえまして、切りかえると同時に、その資金というものが非常にふえてまいったと、こういうようなことでございまして、これはまあそれだけの金を財投よりも一般会計出資のほうがいいじゃないかと、もちろん、それは福祉にとりましてはそのほうがよろしいでございましょうけれども、それだけのなかなか財政の割り振りというものが困難である、しかし、できるだけすみやかに充足をしていきたい、かような要請のもとに財投に切りかえてまいったと、こういうふうに御理解を願いとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/58
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059・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま資本金は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/59
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060・今村譲
○政府委員(今村譲君) 本年の現状は十億五千万ちょっきりでございます。これは出資金でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/60
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061・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この法律上、政府が全額出資をする、こういうことになって、現在十億五千万出資金としてあるということでございますから、それで法文上違反はしていないということになるかもしれませんが、しかし、先ほどからのお話がありましたように、この立ちおくれている施設の整備をはかっていくためには、私はもっと振興会の発展を期していかなければならぬと思うんですよ。そうすれば、もしこの予算の関係、財源の関係で財投によらなければならないという事態があっても、少なくとも、出資を一億から二億にという形で毎年やっていって、足りない分は財投で補っていく、こういう方法も私はあるんじゃないかと思うんですが、そういう方法がなぜとれないのか。で、一般の政府関係機関と同じような取り扱いをしているというところに、私は、福祉事業なんというのは、先ほどの話じゃないが、営利事業じゃないと思うんですよ。独立採算的な事業にはできないと思うんですよ、この事業は。そうすれば、もっと政府が積極的に会の発展をはかっていくという方向で援助をしていかなければならないと思うんですが、その辺がどうも私には納得できないんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/61
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062・今村譲
○政府委員(今村譲君) いまお話のとおりだと思います。ただ、三十九年から、三十九年は一般会計の出資が一億、それと同時に、合わせて財投の投入が三億というので、初めてそういう道ができたわけでありますが、私どもも、おっしゃるように、できれば自己資本金というもの、いわゆる政府出資というふうなものをふやしていきたいということでございますが、一方には、民間社会事業の大勢としましては、明治以来の養老院なんというのは非常に古ぼけておる、とにかくどんどん資金を出してもらって、建てかえるなら建てかえをしたい、借り入れもしたい、それには、まず一億や二億の金額ではどうにもならない。したがって、財投でどんどん貸してくれというふうな一方の要望がございます。それで、それを両立させますためには非常に苦しい点がございますのは、出資もしてもらいたい、財投もしてもらいたい、そうしますと財投のほうは六分五厘で借りてくるわけです、資金運用部資金から。そうすると、貸しますのが平均大体四分くらいになります、三分八厘とかいろいろありますけれども。そうしますと、その六分五厘との差というものは、どうせこっちのほうには金がありませんから、これもまるまる大蔵省のほうから補てんをしてもらいたい、出資もしてくれ、それから、財投による逆ざやの利子補てんもしてもらいたいという両建ての話になりますので、そこのところはどうしても非常につらいことは事実なんです。で、ただ一つ、まあ申しわけないのですが、積極的に資金量をふやすんだ、で、それの逆ざやは全部大蔵に持ってもらおうと、そうすれば民間社会事業も資金量がふえて得だ、そういう議論のほうが、結局いまの火急のせっぱ詰まった場合には一番早い、こういう気持ちでやってきたのでございますが、本心を申し上げますと、二本立ての説明は非常につらいのですが、出資も私どもはもっとふやしたいという気持ちはありますけれども、それでやりますと、そっちをふやしたから財投の十億円はかんべんしてくれというふうな議論になりますので、そこのところはいまはとにかく資金量を三十億、五十億というふうに持っていきたいという気持ちが強いものですから、ジレンマでございますけれども、そういう方向にやむを得ずいっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/62
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063・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 今度の国会ですか、中小企業振興事業団法案というものが出ていますね。あれなどを見ると無利子ですね、貸すのが。ところが、こういう社会福祉施設に対するやつは、やはり五分一厘だとか、あるいはいま言われた三分、とにかく低い利子ではあっても利子をとっておるんですよね。こういうところに私はやはり、中小企業はいかぬというわけじゃなくて、佐藤内閣の生産第一主義というのがやはり入っているような気がするんですが、これはどうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/63
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064・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のような意見も私はあろうと思います。あろうと思いますが、実はこの社会福祉という場合には、この施設をつくるということについての政府の融資——出資じゃなんですが、政府的融資ということになっております。で、中小企業に対しましては、これはそういったような施設をつくるということでなく、物をつくるというときの融資というものでありまして、補助金といったようなものは、こっちのほうは、片っ方はその補助金といったようなものも出て、しかも、融資と、こういうことでございまして、中小企業のほうは、これは補助金は出ておりません。無利子の融資と、こういうことでございますが、しかし、御意見のようなこともあろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/64
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065・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それはまあ横道にそれたかもしれませんけれども、しかし、どうせするなら、財投で全部やるなら、いま言ったように、全額利子補給を一般会計でしろと、こういうふうに持っていったらいいと思うんですよ。そういうくらいのやはり予算獲得のため努力というものが、私は、まあ厚生大臣や厚生省当局は一生懸命やっておると思うんですが、まあ佐藤内閣の姿勢が、やはりそういうようなものに対してはどうしても一歩おくれている。どうしても生産的なものに中心が置かれて、非生産的な金のかかることはあまりやりたがらないというのがこういうところにも私は出てきているような感じがするわけですね。ですから、まあ今度は財投で二十四億というような形で、非常にそういう資金は多くなったかもしれませんけれども、しかし、これはいずれ返さなくちゃならぬ金ですし、私は、会がもっと自主的と申しますか、会がより将来に向けて発展していくためには、いわゆる出資金をもっとふやすということが望ましいことであるというふうに思うわけですよね。まあこういう点は、もういま大臣の言われたように、ひとつ財政上どうのこうのということでなしに、もっと全体の姿勢の問題からひとつ政府に対して正していただくと、こういうことをひとつお願いしたわけです。
それから、次の問題としては、この資金の貸し付け状況を見ますと、非常にこの貸し付け件数にしても貸し付け金額にしても、率が非常に悪いのですね。これはどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/65
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066・今村譲
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。
たとえば昭和四十一年度の貸し付け実績を申し上げますと、借り入れの申し込みが全部で三百五十七件、申し込み金額が二十八億、それに対しまして、貸し付けたほうは三百五十七件に対して二百三件、五六%、貸し付け金額は申し込みの二十八億に対して十二億七千七百万ということで、ちょうどまあ半分くらい、半分よりちょっと下回るということでございますが、ほんとうを言えばこれはもっと貸したいわけです。貸したいわけでございますが、ちょうど四十一年度におきましては、財投が先ほど申し上げましたように十億、それから、償還金の部分が約二億幾らというのがありまして、貸し付けようにも貸し付ける原資全体が十二億何千万ということでございますので、涙をのんでそれを切ってしまった。これはそのうちで、たとえば四十一年度の実績でありますが、どうしても貸さにゃならぬというふうなものは内々の話だけしておきまして、四十二年度の新年度の部分について、また引き続いて新年度部分として財投が入ってきますと、その部分で資金を貸すと、去年のいわゆるまあ繰り延べみたいなかっこうになるが、そういうふうなことでやり繰りしておりますので、まあ中には非常に過大な要求というものもありますし、いろいろありますけれども、資金のほうの制約でやむを得ずそういうかっこうをしておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/66
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067・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうしますと、たとえば今度の予算で二十四億とかワクがありますね、それだけの金があれば大体希望は満たされるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/67
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068・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは、そうは残念ながらまいらないと思います。四十一年度でも二十八億の要求が出てまいりましたが、それに対して十二億しか貸さない。今度まあ二十二億の財投に、償還部分が約二億ありますから、貸し付け原資は二十四億でありますから、四十一年度並みなら二十八億より若干減るということでございますけれども、やはり最近相当老朽建物というふうなものの建てかえをしたいとか、いろいろございますので、やはり財投を今後ともふやしていく、貸し付け原資をふやすというかっこうで努力しなければならぬじゃないか、こういうふうに思っております。だいぶ楽にはなりますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/68
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069・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この借り入れ申し込みというのは、全体の福祉施設の数からすれば非常に少ないわけですね。これは何か基準とか、あるいは制限と申しますかね、何か申し込む場合の条件があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/69
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070・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは特に、たとえば収容定員何百人以上の大施設でなければならぬとかというふうな制限は加えてございません。ただ、最近、社会事業関係の資金としまして国庫補助、たええて申し上げますと、国庫補助が四十二年度で三十三億あるというふうなもの、それから、最近は自転車振興会とか、あるいは小型自動車振興会、それから船舶振興会というふうなものから、まあまるくいいますれば約二十億くらいのものが、まあいろいろ民間へというふうなかっこうできておるというものも出てまいりますし、それから、共同募金というふうなものもございますし、それから、国庫補助がつかない場合でも、県単で補助金を出すというふうなものもありますし、それから、振興会の借り入れもありまして、いろいろな資金がわりあいに幅が広くなってきておりますので、必ずしもこっちが受け付けないというふうな制限じゃなしに、現実に出てまいりますのが三百件、あるいは四百件というふうな形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/70
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071・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そうすると、資金上の問題だけで、申し込みがあった場合は、そういう別な条件でそれを受け付けないというようなことはないわけですか。資金上、この資金ワクがこれだけしかない、それ以上はもうだめだということの理由以外に、一定の基準なり、あるいは何かの条件があって融資はできない、こういう例はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/71
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072・今村譲
○政府委員(今村譲君) これは原則的に申し上げますと、たくさん出てまいりますときに、やはり昔からの非常に実績があがっているというふうなものとか、あるいは新しい試みであって、こういうふうな施設はぜひ必要だというふうな業務内容そのものについての評価、どれを優先せしめるかということは、もちろん理事会では大激論いたします。したがって、この法人がどうもできたばかりで、一年で実績がないとか何とかいう、何か形式論で落としてしまうということはございません。個々にやはり事業内容で緩急順位といいますか、どうしてもたいへんだというような地域地域の状況もよく調べまして、その上できめていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/72
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073・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 きょうは時間の関係もございますから、また後日に質問しますが、先ほど申されました自転車振興会なり、あるいは赤い羽根運動、あるいはその他ありましたね、先ほどいわれたような、これ以外に融資というか、助成をしていただいて整備をしている、そういうものの金額と、それから施設数、そういうものによって整備をしている施設数、そういうものがわかればひとつお知らせしていただきたいと思うのです。
まあきょうはこれで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/73
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074・今村譲
○政府委員(今村譲君) わかりました。たとえば国庫補助、県単の補助、振興会、大体の見当は全部ありますけれども、資料を手元に持っておりませんので、至急お届けいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/74
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075・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 ちょっと資料請求。その赤い羽根にも問題を起こしたり、年賀状の何をしたり、いろいろだくさんあるのですが、やはり厚生省が監督すべきところだと思うのですけれども、その実態と、それから、どういうものがどこへいっているかということを、いまの柳岡さんの資料を出してもらえないかな。たくさんあると思うけれども、できるだけ詳しく出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/75
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076・今村譲
○政府委員(今村譲君) わかりました。それから、そういうものの、先ほどお話がありましたお年玉、例の郵政省の。それから、自動車振興会その他のものについては、最終的に向こうがきめますときに、厚生大臣といいますか、厚生省の意見といいますか、それについていろいろ聞かれておりますので、私どももタッチはいたしております。そういう資料を至急まとめてお手元に差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X01619670620/76
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077・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十四分散会
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