1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十九日(水曜日)
午後十時二十五分開会
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委員の異動
七月十九日
辞任 補欠選任
廣瀬 久忠君 和田 鶴一君
山下 春江君 横井 太郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本伊三郎君
理 事
植木 光教君
土屋 義彦君
佐野 芳雄君
藤田藤太郎君
委 員
川野 三暁君
黒木 利克君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
丸茂 重貞君
山本 杉君
横井 太郎君
横山 フク君
和田 鶴一君
小柳 勇君
杉山善太郎君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
小平 芳平君
片山 武夫君
国務大臣
労 働 大 臣 早川 崇君
政府委員
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別
措置法案(内閣提出)
○炭鉱労働者の一酸化炭素中毒症に関する特別措
置法案(藤田藤太郎君外一名発議)
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001・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。本日、廣瀬久忠君及び山下春江君が委員を辞任され、その補欠として和田鶴一君及び横井太郎君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/1
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002・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案及び炭鉱労働者の一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/2
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003・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。藤田藤太郎君から委員長の手元に修正案が提出されております。この際、本修正案を議題といたします。藤田藤太郎君より修正案の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/3
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004・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、自民、社会、公明、民社各派の共同提案にかかる炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
修正点の第一は、使用者に対し一酸化炭素中毒症にかかった被災労働者の労働条件について、一酸化炭素中毒にかかったことを理由にして一切差別的な取り扱いをしてはならない旨を義務づけることとしたことであります。
第二は、使用者に対し、専門の医師の健康診断の結果に基づき、被災労働者の被害防止または健康保持のため、必要があるときは、労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の処置を講ずるべき旨を義務づけることとしたことであります。
第三に、長期療養中の患者に対しては、その希望に応じ、引き続き一定期間社宅等の福利厚生施設を利用させることとしたことであります。
最後に、一酸化炭素中毒症にかかった被災労働者のためのリハビリテーション施設を整備をすることについて、政府の努力義務を規定することにしたことであります。
以上の四点が修正案の内容であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/4
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005・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) それでは、これより修正案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/5
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006・小柳勇
○小柳勇君 私は、大臣に質問いたします。
第一点は、ただいまも、あの災害によりまして、二十六名の方がほとんど廃人同様で治療を続けておられるところであります。なおその他にも多数病院で治療、あるいは訓練所で訓練をされている方があるのであります。特にこの二十六名の方はほとんど治癒の見込みもないといわれておる。こういう方は、元気であれば、その職場において定年まで働ける方でありますが、このような方をあの災害によってかたわにしておる、絶対解雇などしてはならぬと思うが、これは会社のやることであります。大臣としては、この会社に対してどのような決意で行政指導をやられるか、見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/6
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007・早川崇
○国務大臣(早川崇君) これらの二十六人のような、まことに重症な方々につきましてはお気の毒にたえないところでございます。解雇の問題につきましても、誠意をもって善処するよう、会社側に対しまして要請いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/7
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008・小柳勇
○小柳勇君 ただいままでの会社のやり方に対する政府の行政指導が非常に手ぬるい、十分でないという批判もあるようでありますので、ただいまの大臣の決意を強く会社に働きかけて、絶対に定年まで解雇しないように十分努力してもらいたいと思います。
それから、第二点は、われわれはこの一酸化炭素中毒法は、解雇しないというのが生命であると考えております。しかし、法学者、あるいは労働省などの見解などによりまして、いまの資本主義社会で法文で一切労働者を解雇しないという法律はないということで、残念ながらこの修正案にはついに出ることができなかった、したがいまして、この修正の第四条に差別取り扱いの禁止条項が入りました。その中に労働条件ということばでその意味をあらわしておりますが、われわれは労働者の労働条件は解雇が一番重大な労働条件だと考えております。第四条の労働条件の中には解雇を含むかどうか、大臣の明らかな言明をここでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/8
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009・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 本修正案にありまする労働条件ということの解釈につきましては、私といたしましては、通常賃金、労働時間、休憩、休暇など、労働の提供にかかわる各種の要件を総称する意味で用いられておりますが、労働契約の終了に関する条件、言いかえれば解雇条件も労働条件に含まれるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/9
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010・小柳勇
○小柳勇君 第四条の労働条件の中には解雇を含むということが明らかになりました。ところが、職場復帰いたしました被災者は身体的にも若干欠陥があります。精神的にも欠陥がありましょう。したがいまして、通常の人に比べて、あるいは欠勤も多いかもわからぬ、労働の能率も若干低下するかもわかりませんが、そういうものもそれを理由にして解雇をしない、労働条件に差別待遇しないことを確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/10
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011・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 労働契約の時間数、条件、いわゆる普通の意味での退職の条件というようなものも労働契約にかかわる条件ということになっておりまするが、そういう意味におきまして、この労働条件という修正案の中には解雇の条件も労働条件に含まれるものと私は考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/11
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012・小柳勇
○小柳勇君 いまの問題も、会社に対しまして行政指導を今後十分なしてもらわなければなりませんが、前段と同様に強い政府の態度をもって会社を行政指導し、ただいまの大臣の見解をそのまま実施してもらいまして、安心して労働者が働けるように指導してもらいたいと思います。
次の点は、医師の認定などによりまして、山の坑内で働けない、医師から認定されて、坑外に出て軽い仕事につかなければならぬ被災者も出てくると思う。そういう場合に、坑内夫で働けばたくさんの賃金がもらえるが、坑外に出たために、また、軽度の仕事であるために賃金は減収になる、こういう場合に補償しなければ、それはガス中毒になったための減収でありますから、労働者は生活できないのでありますけれども、その減収補償についてどのような措置をなさるか、見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/12
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013・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 障害補償の問題は、それによって喪失した労働能力に対する補償の問題でございまして、医学的判断に基づいて措置されるべきものでございまするが、一酸化炭素中毒症にかかった者については、その特殊性にかんがみ、障害等級の決定につきましては実情に沿うよう善処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/13
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014・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの大臣の答弁では、実情に沿うようにということでございますが、それはいままでの労災保険の条文なり規則で明らかであります。ここに特別に一酸化炭素中毒法が出たゆえんは、特に悲惨であるし、また、全体の治療の程度も非常に悪いということで特別に配慮されたものでありますが、ただいまの答弁では一体何級ぐらいになるのか見当がつきませんが、障害等級の何級ぐらいで減収補償をされることにするのか、もう一回明らかに見解をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/14
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015・早川崇
○国務大臣(早川崇君) もう少し具体的に申し上げまするならば、一酸化炭素中毒症により精神に障害を残し、あるいは神経に著しい障害を残し、そのために軽易な労務にしか従事できない者もあると考えられます。こういう人々に対しましては、健康診断の結果、このような中程度の障害のために軽易な労務に配置転換を余儀なくされる者につきましては、第七級の障害補償が支給されることといたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/15
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016・小柳勇
○小柳勇君 少し具体的になりますが、たとえば坑内で働いておって坑外に出る、もとの仕事に入れない、医師の診断によって軽易の仕事に配置転換をする、これもただいまいわれたような範疇に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/16
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017・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 逆に申しますと、労災保険制度によります障害補償の七等級というのは、ただいま大臣が申し上げましたとおり、二つの要件がございまして、精神に障害を残すというのと、軽易な労務にしか従事できない、この二つの条件があるわけでございます。そこで、いま先生が提起されました問題のように、一般的、抽象的にこれに対応するには、大臣が申されましたように、医学的な判断といったものを加えまして、この内容に適合するような判断が必要になるわけでございます。大臣のお答えに関連いたしまして、趣旨は変わらないのでございますけれども、補足的に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/17
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018・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの等級表では、精神障害、神経障害は一、三、七級でありますが、われわれは一、三、七というような、こういう大刻みなランクではいままでの被災者の区別はできぬと思う。したがって、一、三、七、十二、十四と、七から下は関係ありませんが、一、三、七の間の等級を神経及び精神障害の分も細分化していただきたいと思いますが、この作業について現状をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/18
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019・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 御指摘の点につきましては、確かに問題として意識されておるわけでございます。現に労働省におきまして障害等級専門家会議を設置いたしておりますが、特に神経障害、精神障害の障害補償の格づけにつきまして、現在のように非常に飛び離れておりますので、三級から七級に飛び、七級から一ぺんに十二級に飛ぶ、その中間段階がございませんので、これでいいのかどうか、こういった問題も専門家会議で鋭意御検討を願いたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/19
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020・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの問題は諮問してあるのですか、これからやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/20
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021・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) すでに諮問をいたしまして、相当作業が進行いたしておりますが、医学的な面からも専門的な研究と、法律的、社会学的見地からの評価の問題と、一部、二部に分けまして作業を進めておるわけでございまして、相当作業が進行してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/21
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022・小柳勇
○小柳勇君 現在健康管理要綱というのがあって、これで患者の健康管理をしておるようでありますが、この修正を現地の患者の皆さんは希望しております。また、医療措置を希望しておりますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/22
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023・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 健康管理要綱は健康管理実施の要綱でございますが、三井三池の災害に関連いたしましてまとめたものでございます。しかし、その後政府といたしましても、一酸化炭素中毒に関する医療面につきまして委託研究をお願いするとか、いろいろな措置を講じておりますので、今後そういった成果を見ました上で検討すべきものはするということになるわけでございまして、そういった点につきましても今後努力をいたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/23
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024・小柳勇
○小柳勇君 次は、再発の場合でありますが、治癒と認定されまして仕事に入りましてまた再発する、そういう場合には希望する医者の診断で認定を行なってもらいたいという要望がございますが、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/24
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025・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) いろいろ御希望があると存じますが、再発であるかいなかということは純然たる、医学的な判断になってまいります。この点につきましては、かつて精神神経専門家の方々にいろいろ御検討願いましたときにおきましても、器質的病変の増強と医学的に認められ、かつ、臨床症状の発現したものに対しては、再発としてあらためて療養の対象にすべきである、こういう考え方が出ておりまして、再発そのことは認めておるのでありますが、そのような器質的病変の増強の医学的判断といったような問題があるわけでございまして、希望する医師と、こういうことでありますが、いわゆる専門家の医師でありまして適当な方にこのような判断を仰ぎたいと、かように存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/25
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026・小柳勇
○小柳勇君 きょうは時間がありませんから、詳細に論議できませんが、病人が自分の希望する医者、信頼する医者にかかりたいという、その一般的な人間的な希望というものを入れる方向で労働省も考えてもらいたいと思います。この問題はいまの答弁十分でありませんが、私に与えられた時間がありませんので、希望を述べて次の問題に入りますが、最後は、現在病院で治療中の方がたくさんおりますが、職場復帰が不可能な者については長期傷病給付に切りかえる、これは当然なことでありますが、こういうことも聞いておかなければならぬ情勢でありますが、いかがでございましょうか。——要点がわからぬようでありますから、もう一回言います。職場復帰が不可能な者については当然長期傷病給付に切りかえるべきであるが、こういうものもいまここで確認しておかなければならぬような情勢にありますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/26
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027・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) いわゆる経過観察の状態にある方々についての問題であろうと存じます。医学的にさらに経過を観察いたしまして、医学的判断に従いまして処置いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/27
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028・小柳勇
○小柳勇君 時間がありませんから、以上で私の質問を終わりますが、一番初めの長期療養の方の身分の扱い、それから解雇制限の問題、どうぞただいま政府のお述べになりました見解を十分にひとつ行政指導によって実施できますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/28
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029・小平芳平
○小平芳平君 いまの御答弁で私が御質問したいこともずっと出ておりますので、ダブっては申し上げませんが、治癒認定をめぐっていろいろと問題が起きているように聞いておりますが、この人たちの中毒患者の方々に対する労働条件、あるいは収入について、こういう点については先ほどの御答弁でよく承知いたしましたが、はたしてこの治癒認定というものをめぐっての問題点、また、現状、そういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/29
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030・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 労災法上治癒ということば使っておりますが、医学的には、端的に申しますれば一応平衡状態に達した、そうしてその後は薬物、理学療法その他の手段をもってしても、その手段を施すべき状態が経過した、いわゆる症状が平衡状態に達したといったような観点から、いわゆる治癒かいなかの判断をしているわけでございます。ただ、それにつきましては異議の申し立てがございまして、さらに十分な審査をするように、こういう要望がありまして、法的にも審査の請求という形で問題が取り扱われております。他の例よりもできるだけ手厚く、かつ、納得のいくような形でこの審査を進めたいと考えておりまして、現在も鋭意その審査の手続を進めているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/30
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031・小平芳平
○小平芳平君 したがいまして、その納得のいく、また、医学的な、客観的にこれでだいじょうぶという、そういう納得のいかれるような現状にあるかどうか、この点についてお尋ねをしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/31
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032・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 精神は納得のいくということでありますが、具体的に申しますと三段階に分けまして、三回にわたって専門医師の意見を聞きまして、いわば念には念を入れた審査を進めたい、こういうことでございます。三段階に分けて審査を進めておりまして、一般的に見ましても社会通念から見ましても、審査の手続としては手を尽くしているもの、かように私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/32
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033・小平芳平
○小平芳平君 私がお聞きした範囲では、これは個々のお話ですから、全体としてどうこうというふうに結論的に私は申し上げるわけにはいかないかとも思いますけれども、労働省、あるいは基準監督署、あるいは病院では純粋に医学的な立場から、はたしてこの方たちが職場復帰してよろしいものかどうか、あるいは病状の回復がいま局長説明されましたけれども、ほんとうに御本人も家族の方もよかったといわれるような、そういう段階を経て認定されていかれるものかどうか。そういうところが、ともすれば労使間の対立、あるいは組合のいろいろな現状、そういうようなものと病気の回復治療とは別個の問題であるはずです。しかも、労働省、あるいは監督署、あるいはお医者さんという方々が、ともすればそういう中に巻き込まれているようなうわさとか感じとか、そういうものは非常にマイナスになると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/33
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034・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) CO中毒患者の方々は症度がかなりいろいろな方がございまして、そして治癒と申しましても神経障害といったようなことから、通常の職業病に見られないような状態があるわけでございます。そういった点、できるだけいわばきめのこまかい措置が必要でありますが、いわゆる療養補償の段階のほかに、リハビリテーションの問題あるいは治癒したというあとでも健康管理の問題があるわけでございます。従来制度化されておりませんでした健康管理またはアフターケア的なものを、政府提案の法案におきましては、今度は制度化いたしたような次第であります。そこで、医学的な療養の段階、リハビリテーションの過程の問題、それから健康管理アフターケアの問題、こういった形で、態勢としてはCO中毒症にふさわしい態勢をとるようになったということが言えようかと思います。そういった態勢の上に今後いろいろな施策を進めていくわけでありますが、御指摘のようないろいろな関係につきましては、必ずしも医学的な問題ばかりではないかと思います。しかし、いろいろなCO中毒に特有な面があるわけでございますから、労働省といたしましては、できるだけ手を尽くしましてこれらの方々に施策を講じていきたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/34
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035・小平芳平
○小平芳平君 それでは、時間もおそいので、最後に労働大臣にお尋ねしますが、大多数の方々がもっと加療していけばなおるのだ、もっともっとよくなるのだという希望を持っていらっしゃる。そこでもって、先ほどの小柳委員の、希望するお医者さんの診断を受けてよろしいかという問題もありましたですが、大多数の方々がもっと治療をしていきたい、もっともっとよくなっていきたい、また、現にこういうふうにしていけばもっとこういうふうによくなるのだということもいわれておるときに、やはり労働省あるいはお医者さん、病院においては、ほんとうに純粋な医学的な立場からその患者の方を一日も早く健康体に復するように、これだけを第一として今後この法律が成立した場合にやっていかれるのが当然だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/35
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036・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 医療及びアフターケア、また、今回の修正案によるリハビリテーション等を十分活用して、特にお医者さんに対しましても、人道上の立場から、少しでも能力をよりよく回復するように、誠意を尽くすよう指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/36
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037・片山武夫
○片山武夫君 時間がありませんので、簡単に質問申し上げますが、いまも御質問がありましたように、昨年の十一月から労災法適用がなくなって、今日までいろいろこの患者の方の中に問題があるようであります。すでに治癒認定者が相当いるわけでありますけれども、その方々の中に、すでに訓練に入っている方もある、あるいは、また、病院に残っている方もある。これは何らかの工作が行なわれたのか、あるいは患者自身が自発的にそういうふうに分かれる形になったのか、この辺私は非常に問題が残されておるのでありますが、これらの問題を解決しないと、これからせっかくできたこの法案も、なかなか実施にあたっていろいろ問題が起きるのではないか、かように考えまして質問するのですが、まず、第一に、法は公平という原則の上に立って扱われなければならないことは当然のことだと思いますし、特に病人のことでありますから、人道上の問題として、これは公平にまた的確に処理されていかねばならぬ。そういう意味で、いままで労働省として行なわれなければならなかった責任の範囲というものはあるであろうし、同時に、また、会社自身行なわなければならなかった責任もある。また、労働組合が独自に行なってきたいろいろな問題があろうと思います。そういうものの責任の範囲が明らかでなかったためにいろいろ問題が起きて、特に中毒患者の方々はそういったような混乱に巻き込まれて、自分たちが知らないうちにいろいろなことが行なわれておる。迷惑しておるのは、これは患者自身だろうと思うのであります。そういう意味で、労働省としても相当強力な指導性を発揮しないと私はいけなかったのじゃないか。そういう点で、過去数カ月間にわたって、私は、労働省として何らか指導性に欠ける点があったのではないかと、かように思うのでありますが、そういう点について大臣は反省がありますかどうか、ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/37
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038・早川崇
○国務大臣(早川崇君) いろいろの経過がございまして、今日まで御指摘のように、治癒認定をめぐりましていろいろと問題が残っております。しかしながら、今回のこのCO立法の成立を契機といたしまして、御指摘の点につきましては十分誠意をもって指導し、また、だれが見ても公正、客観的なりっぱなCO患者に対する治癒、あるいは職場復帰等に善処をしてまいる決心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/38
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039・片山武夫
○片山武夫君 それから、先ほども質問があったと思います。その答えの中に、いわゆる就業場所の変更、配置転換、こういうものが健康診断の結果行なわれる、そういう人たち、いわゆる障害等級にあるいわゆる精神、神経系統の方で軽微の労務しかつけない者、これが大体七級に該当するのだということをいわれておりますが、そうすると、これは七級に適合しない人たちの扱いはどうなりますか。たとえばこれはこの以下で扱うということになると十一級か十二級になるのですか。そこまで飛んでしまうということになるわけでありますけれども、こういったような点についてはどういう配慮をなされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/39
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040・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 先ほど小柳先生に局長がお答えしましたように、七級から十二、十三というように飛ぶわけであります。その中間的な症状の人もあるわけでありまして、目下専門家会議でその穴埋めといいますか、ボーダーラインの人たちに対する補償の措置というものを検討中でございます。早急に結論を出していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/40
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041・片山武夫
○片山武夫君 もう少し具体的にお伺いいたしますが、七級以下に落ちるような人ですね、こういう人たちがどのくらいあるとお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/41
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042・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) それは個別に障害の程度を判断いたしませんと結論が出ませんので、何人おるかはちょっといまここで即答いたしかねる次第でありまして、それぞれ個別的に判断せざるを得ない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/42
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043・片山武夫
○片山武夫君 それはわかりましたが、結局この医師の認定ということが非常に大きなウエートになってくると思います。そこで、その診断の認定をするのは、これは基準局、署でやられると思うのでありますが、そういう段階で非常に重要な問題が私は起きてくると思いますが、何としても医師の公平な診断、これが一番大切なことだと思いますし、公平な診断が下せるような何らかの措置を考えていただかないと、また私は混乱が起きていくと思うのであります。そういう点について十分に配慮してもらえるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/43
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044・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 障害等級の医学的認定にあたりましては、もうすでに労災保険法施行以来二十年の経過をたどっておりまして、いわゆるルールがあるわけでございます。したがいまして、医学的判断をどうするかという場合についても、従来のルールを守りまして処理するわけでございますが、大臣が先ほど小柳先生の御質問にお答え申し上げましたように、一酸化炭素中毒症にかかった者については、その特殊性にかんがみ、障害等級の決定については実情に沿うように善処したい、かように申し述べたその大臣答弁の趣旨を十分生かしまして、実情に合うように処置いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/44
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045・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/45
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046・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/46
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047・片山武夫
○片山武夫君 先ほど、一酸化炭素中毒症にかかった者について、これを理由として一切の差別的取り扱いをしないこれについては、これは特に解雇の問題も労働協約上の問題としてあるのだ、こういうことでありましたが、それはむしろ逆に言えば、中毒患者としての優遇措置というもの、いわゆる既往症のある人の優遇措置というものはとられてしかるべきなわけでありまして、したがって、きめられた優遇措置以外の一切の差別取り扱いをしないと、こういうことだろうと思うのですが、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/47
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048・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 一般的に抽象的に申しますれば、差別待遇という場合は、ある者がある者に対して格別に不利な取り扱いをする、逆に、極端に有利な取り扱いをするという場合も文理上は含まれるわけでございます。しかし、おそらく、提案者の御説明にもございましたように、差別取り扱いの禁止というのは、CO中毒患者は、得てして精神障害がありますものですから、頭がどうとか、そういうことをいわれまして差別的取り扱いを受ける。そんなことのないように、人道主義的な見地から、また、労働者保護の見地からこういう規定を設けられたものと私どもは考える次第でございまして、その規定の趣旨に従いまして、この法案が成立いたしましたならば、私どもはこの法の運用に当たらなければならない、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/48
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049・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/49
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050・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより政府提出の炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案並びに修正案について討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/50
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051・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案について採決に入ります。
まず、藤田藤太郎君提出の修正案を問題に供します。藤田藤太郎君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/51
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052・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、藤田藤太郎君提出の修正案は可決せられました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/52
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053・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は全会一致をもって可決されました。
以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/53
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054・山本伊三郎
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後十一時五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514410X02419670719/54
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