1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年三月二十三日(木曜日)
午後一時九分開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
津島 文治君 船田 譲君
村上 春藏君 谷村 貞治君
松平 勇雄君 中津井 真君
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出席者は左のとおり。
委員長 鹿島 俊雄君
理 事
近藤英一郎君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
重政 庸徳君
船田 譲君
中津井 真君
宮崎 正雄君
谷村 貞治君
横井 太郎君
椿 繁夫君
鈴木 一弘君
国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 二階堂 進君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
公正取引委員会
委員長 北島 武雄君
経済企画政務次
官 金子 一平君
経済企画庁長官
官房長 鳩山威一郎君
経済企画庁長官
官房会計課長 財前 直方君
科学技術政務次
官 始関 伊平君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁長官
官房会計課長 藤井孝四郎君
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
通商産業大臣官
房長 大慈彌嘉久君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
中小企業庁長官 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(昭和四十二年度通商産業省の施策及び予算に
関する件)
(昭和四十二年度経済企画庁の施策及び予算に
関する件)
(昭和四十二年度科学技術庁の施策及び予算に
関する件)
(公正取引委員会の業務概況に関する件)
○プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/0
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001・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。
今期国会における当委員会の定例日につきましては、当分の間火曜日、木曜日とすることにいたしました。本日は、通産、経企、科学技術各大臣及び政務次官のあいさつの後、関係の大臣、公取委員長及び関係各省庁の政府委員から施策、業務概要及び予算についてそれぞれ説明を聴取いたし、次いで予備審査のため送付されております三法案の提案理由の説明を聴取することにいたしましたので、御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/1
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002・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、委員の変更について報告いたします。
本日、村上春藏君、松平勇雄君、津島文治君が辞任され、その補欠として、谷村貞治君、中津井真君、船田譲君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/2
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003・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、通商産業、経済企画、科学技術各大臣及び政務次官からあいさつのため、それぞれ発言を、求められておりまするので、順次これを許します。まず、菅野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/3
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004・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は、昨年十二月に通商産業大臣を拝命いたしました菅野であります。どうぞひとつよろしくお願いいいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/4
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005・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 宮澤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/5
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006・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、経済企画庁長官に任命されました。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/6
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007・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 二階堂科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/7
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008・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) 科学技術庁長官に任命されました二階堂でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/8
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009・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 栗原通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/9
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010・栗原祐幸
○政府委員(栗原祐幸君) 今度次官に任命されました栗原でございます。よろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/10
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011・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 金子経済企画政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/11
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012・金子一平
○政府委員(金子一平君) 金子一平でございますが、引き続いて経済企画庁の政務次官になりました。どうぞよろしく御指導願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/12
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013・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 始関科学技術政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/13
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014・始関伊平
○政府委員(始関伊平君) 昨年の八月以来、科学技術庁の政務次官をつとめております始関伊平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/14
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015・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、昭和四十二年度の通商産業省、経済企画庁、科学技術庁の施策及び公正取引委員会の業務概況について、説明を順次聴取いたします。
菅野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/15
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016・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 昨年十二月に通商産業大臣に就任いたしましてより、この間御承知のように総選挙が行なわれまして、本日初めて皆さまにごあいさつを申し上げる機会を得た次第であります。この機会に、今後の通商産業政策の基本的方向と重点施策について御説明申し上げますと同時に、御理解と御協力をお願いするものであります。私も着任以来責任の重大さを痛感いたしており、今後とも全力をあげて努力いたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
最近のわが国経済の動向を見ますと、景気はきわめて順調に上昇を続けており、工業生産の伸びも引き続き高水準で推移しております。このような経済拡大の背景としては、個人消費の堅調や在庫投資に加えて、特に民間設備投資の急速な立ち直りを指摘することができますが、この経済の上昇基調は、昭和四十二年度にも引き継がれ、さらに拡大の方向をたどるものと考えられます。反面、卸売り物価は強含みに推移しており、消費者物価の騰勢には依然無視できないものがあります。また、貿易の動向を見ますと、輸出の伸びの鈍化、輸入の増加という最近の動きには注意を要します。
したがって、今後わが国経済が長期にわたり安定した発展成長を維持していくためには、国際収支及び物価の動向に細心の注意を払うとともに、情勢の推移に応じて適時適切な措置を講じ、経済がいたずらに拡大し、過熱の弊害を招くことのないようにすべきだと考えます。ただ、これに関連して申し上げたいのは、民間の設備投資は、操業度の現状から見て物価の騰勢を押え輸出余力を確保するため、また資本自由化を控え国際競争力を強化するため、さらには中小企業、流通機構の近代化をはかるために不可欠なものが少なくないので、これを一律に抑制するような措置はとるべきでないということであります。しかしながら、こう考えるだけには、なおさら民間経済界におかれましても、良識ある投資態度をとられるよう強く期待するものであります。このように経済が運営されることにより、わが国経済は引き続き順調な成長を遂げ、産業の長期的発展と国民生活の一そうの充実が実現することを確信するものであります。当面の経済情勢及びこれに対する考え方は以上のとおりでありますが、次に昭和四十二年度の通商産業政策について申し上げたいと存じます。
昭和四十二年度における通商産業政策は、激動する内外の経済情勢に対処し、特に資本取引の自由化をはじめとして一そうの進展が予想される開放経済体制下において、わが国経済の発展成長をはかるため、長期的な構想の上に立って産業発展の基礎を固め、国民生活の充実に資することをその基本方針として、各般にわたる施策を進めたいと考えております。このため、通商産業省の一般会計予算につきましては、四十一年度の約八百三億円に対し、昭和四十二年度におきましては、約四〇%増の約一千百二十五億円を計上するとともに、通商産業省関係の財政投融資計画につきましても、四十一年度当初計画に比べ約二三%増の約七千三百十五億円を計上することといたしました。また、所要の法律案を御審議いただくべく、すでに一部のものは国会に提出いたしており、その他のものにつきましても現在準備いたしております。
これらの施策によりまして、私はようやく長い不況を脱却して一そうの発展への段階にあるわが国経済の基盤を固めて、産業の国際競争力の強化につとめ、開放経済体制下において長期にわたる経済の発展成長を維持してまいる所存であります。また、これと同時に経済の発展に伴い、国民生活の一そうの充実をはかるべく、公害対策、流通、消費者行政等の充実にも力を注いでまいりたいと考えております。
それでは以下重点項目ごとに施策の概要について御説明申し上げます。重点の第一は、資本取引の自由化を控えていることでもありますし、産業の構造改善であると考えております。わが国産業の現状を見ますると、企業規模、設備規模、技術水準等の面において、欧米諸国に立ちおくれを示している分野が多く、また過当競争から設備能力の過剰、企業体質の弱体化を招く等の問題を内包しており、加えてわが国は、国際経済社会の一員として、経済の全面的な国際化に対応していかなければならない立場に置かれております。他方、最近の欧米諸国は、国際競争力の強化のため、産業の再編成、合理化投資、技術開発を広範かつ大規模に進めつつあります。このような内外の諸情勢に対処して、わが国経済が長期にわたり安定した発展成長を維持していくためには、産業全体の構造改善を積極的に促進し、わが国産業の国際競争力を格段に強化する必要があります。もちろん、構造改善を推進する主体は産業界自体でありますが、政府としても、国民経済的視野に立脚してその向かうべき方向を示すとともに、財政、金融等の面で、所要の促進措置を講ずるものとします。このため四十二年度におきましては、産業の構造改善に必要な資金を供給するため、乗用車工業、特殊鋼業、石油化学工業等につきまして、日本開発銀行融資の強化拡充をはかることといたしております。特に繊維工業につきましては、予算を大幅に増額するとともに、繊維工業整備促進協会を改組して、その組織、機能を強化し、その施策を統一的効果的に行なわしめることとする等、画期的な構造改善対策を講ずることといたしております。
重点の第二は、中小企業対策であります。わが国の中小企業は、国際的には発展途上国の激しい追い上げ、国内的には労働力需給の逼迫等、きびしい環境にさらされており、これに加えて消費者物価の安定のためにも強力な中小企業対策が望まれております。このため、従来の諸施策を一そう推進するとともに、新たに中小企業構造の高度化のための画期的施策を展開することといたしております。すなわち、現行の高度化資金特別会計と特殊法人日本中小企業指導センターを発展的に解消し、両者を統合して中小企業振興事業団を設立し、協業化、共同化を中心とする中小企業の構造改善事業に対し、啓蒙指導、資金助成等の措置を総合的に投入して、構造改善を強力に推進することといたしております。また、政府系中小企業金融機関に対する財政資金の大幅な投入、信用補完制度の整備充実、個人事業者における完全給与制の実施、協業組合制度の創設等、中小企業対策を画期的に拡充強化することといたしております。
重点の第三は、技術開発の問題であります。本格的な開放経済体制下において、産業の国際競争力の真の基盤をなすものは独創的な技術開発力であると信じます。欧米諸国はすでに第二、第三の技術革新を進めつつありますが、これに対処して、わが国産業の自主性を保持しつつ、その国際的地位を高めるためには、独自の技術開発力をつちかうことが何にも増して必要であります。このため四十二年度におきましては、四十一年度から発足した大型プロジェクト研究開発制度につきまして、予算規模を十億円から二十七億円に引き上げるとともに、新規テーマとしてオレフィン等の新製造法を追加するなど、これを拡充強化することといたしております。また、民間の試験研究を拡大するための新たな税制上の助成措置を講ずるとともに、国立試験研究機関を充実することとし、中でも自動車安全技術、産業公害防止技術等について特段の措置を講ずることといたしております。さらに、昨年来国際的な評価を得つつあるYS11の量産対策の推進、日本電子計算機株式会社に対する開銀融資の特利適用等を通じて、いわゆる技術的最先端産業の育成振興をはかる所存であります。
重点の第四は、貿易と経済協力であります。流動する国際経済環境のもとで、わが国経済が持続的発展を遂げるためには、貿易の振興により国際収支の天井を高めることがどうしても必要であります。特に最近の経済動向は、一段と輸出の伸長につとめる必要性を増大しております。先進国の一員としても、発展途上国側の片貿易是正及び援助の増大についての強い要請にこたえていかねばならないと考えます。
このような観点から、日本輸出入銀行資金の拡充、日本貿易振興会の事業の充実等により輸出の伸長につとめるとともに、新しい時代の世界貿易体制に即応する人材を養成するため、昭和四十三年十月開校を目途に貿易大学校の設立準備を推進することといたしております。また、経済協力につきましては、海外開発輸入促進事業の拡充をはじめ、引き続き施策の充実につとめたいと考えております。重点の第五は、産業立地、産業公害の問題であります。御承知のとおり、大気汚染や水質汚濁などの産業公害は、大都市や工業地帯を中心に大きな社会問題となっております。政府が公害対策基本法案をこの国会に提出することといたしておりますのも、公害問題の解決に本格的に乗り出そうとしているからにほかなりません。通産省としても、経済の発展と国民生活の調和をはかるという観点から、本法案の策定に積極的に参画してまいったところであります。公害対策を真に実効あらしめるため、産業界の実態を的確に把握した上で、必要な規則は行なうが、思い切った助成措置もあわせ講ずるという基本的態度で、今後とも積極的に公害防止のための施策を進める所存であります。公害問題と関連する重要な問題に工業立地の適正化があります。産業の特定地域への集中または無秩序な立地により生ずる過密、公害等の諸弊害を防止、解消し、国民生活と調和のとれた産業の発展を確保することを目的として、工業立地適正化法を制定することとし、現在関係各省との意見調整その他準備を進めております。また、工業用水道事業費の補助率の引き上げ、超先行的な水源確保に対する補助制度の新設等、立地環境の整備をはかることといたしております。
重点の第六は、総合エネルギー政策であります。産業の発展と国民生活の向上のための基礎であるエネルギーにつきましては、その低廉かつ安定的な供給を確保するため、長期的、総合的観点に立った総合エネルギー政策を推進する必要があります。このため、先般の総合エネルギー調査会の答申の趣旨に沿って各般の施策を講ずることといたしております。まず石油につきましては、エネルギー供給の中で圧倒的地位を占めている事実と、そのほとんどすべてを海外に仰いでいる状況にかんがみまして、石油開発公団を設立して海外石油開発を強力に推進する方針であります。また、わが国石油産業の自主性を確保するための施策を充実させてまいる所在であります。石炭鉱業につきましては、その長期的安定をはかるため、昨年七月の石炭鉱業審議会の答申及びこれを受けた閣議決定に即して、新しく石炭対策特別会計を設けて、経営基盤の強化、安定需要の確保等につきまして、抜本的対策をとることといたしております。電子力につきましても、その準国産エネルギーとしての地位、最近における経済性の向上等から、その積極的な開発につとめる必要があると考えます。
重点の第七は、流通、消費者行政であります。さきにも申し上げましたように、国民生活を充実させるため、経済の発展と国民生活の調和をはかることは、通産商業政策の基本であります。来年度におきましても、物価対策の観点を中心として、流通部門の近代化等の施策を強力に推進するとともに、消費者保護のための行政をさらに拡充いたしたいと考えております。このため、流通機構の近代化、割賦販売制度の整備、商品取引所制度の改善等、流通、消費者行政を推進することといたしております。
最後に、日本万国博覧会について一言触れておきたいと存じます。御承知のように日本万国博覧会はアジアで初めて開催される文化的大事業として、ぜひとも成功させなければならない行事でありまして、政府としてもできるだけの協力をしたいと考えております。このため、会場建設の補助金として事業費の三分の二を計上いたしておりますほか、財政、税制面の措置をとることといたしております。この世界的行事をそれにふさわしい企画と規模で成功させるよう、関係各位の御協力をお願いする次第であります。
以上、今後における通商産業政策の重点事項を中心として私の考えを申し述べたのでありますが、今後とも、わが国の産業経済の発展と国民生活の充実のために全力を傾注する覚悟でございます。一そうの御協力、御援助を特にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/16
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017・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 宮澤経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/17
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018・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 最近の経済情勢並びに今後の経済運営につきましては、先般の経済演説において明らかにいたしたところでありますが、本委員会において、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
わが国経済は、昨年来、予想を上回る拡大を続けておりますが、昭和四十二年度におきましても、個人消費支出、民間設備投資、在庫投資など、国内需要の堅調が予想され、鉱工業生産もかなりの伸びが見込まれるなど、根強い上昇基調にあると考えます。今後の経済運営に当たりましては、物価及び国際収支の動向に細心の注意を払い、機を逸することなく、金融面、財政面その他の施策を講ずることにより、経済の過熱を未然に防止する考えでありますが、民間経済界においても、特に設備投資について、節度ある態度をとられるよう強く期待いたすものであります。このように経済が慎重に運営されるならば、四十二年度においても、実質九%程度の安定した成長を期待することができるものと存じます。
わが国の輸出は、近年目ざましい伸展を示し、いまや年間百億ドルの規模に達しました。しかし、四十二年度においては、世界貿易の拡大の鈍化、国際競争の一そうの激化などにより、従来のような輸出の伸びを期待することはなかなか困難であります。一方、国内経済の拡大に伴い、輸入は引き続き相当の増加が見込まれますので、国際収支の先行きには注意を要するものがあります。為替銀行の対外資産・負債の状況は、三十九年秋以来著しく改善されておりますので、今日の国際収支の問題には、数年前とは異なったものがあるということもできましょう。しかし、為替銀行はいまだ対外的には負債超過の状況にありますし、また、今後輸出延べ払い信用の増大が見込まれ、さらに、対外経済協力を積極的に推進していかなければならないことを考えますと、貿易収支では相当の黒字を継続的に確保していく必要があります。このような観点からみて、国内の景気動向に左右されず、安定した輸出市場を確保するよう、輸出の振興には今後とも格段の努力が必要と存じます。
当面、最も問題となっています消費者物価につきましては、本年度は、ほぼ五%の上昇にとどまる見込みでありますが、その上昇基調には依然根強いものがあります。四十二年度におきましては、物価対策を一そう強力に推進することにより四・五%程度の上昇にとどめたいと考えております。物価を安定させるためには、農業、中小企業など生産性の低い部門の生産性の向上、流通機構の改善、公正な価格形成のための競争条件の整備、労働力の有効利用など、各般の施策を総合的に実施する必要がございます。四十二年度予算においては、農業の生産基盤の整備と構造対策の拡充、中小企業の近代化、協業化の推進などの施策を充実するとともに、競争条件を整備するため、公正取引委員会の機構を拡充することといたしております。当面重要な農林水産物の価格安定につきましては、野菜の集団産地の育成、肉牛対策の拡充、中央卸売り市場及び公設小売り市場の整備、産地及び消費地向け流通情報の提供などの施策を推進することとしています。さらに、中央・地方を通じての消費者保護及び消費者教育を一そう充実したものにするため、消費生活モニターを設置することといたしております。卸売り物価につきましては、本年度は非鉄金属、木材等の値上がり、さらには景気上昇に伴う工業製品価格の値上がりなどにより、四%程度の上昇になると見込まれますが、四十二年度におきましては、供給力の増大等により、比較的安定した推移をたどるものと考えます。総理大臣は、先般の施政方針演説において、賃金と生産性、賃金と物価の関係についても真剣に考えるべき段階にあると申されましたが、名目賃金よりも実質賃金を重視し、国民経済的視点に立って、物価、賃金、所得の問題を考えることが必要になってきているのではないかと考えます。しかし、この問題はなかなかむずかしい問題でありますので、今後慎重に検討してまいる所存でございます。なお、政府は今般、各界の学識経験者からなる物価安定推進会議を設けまして、総理大臣を中心に関係大臣が一体となって、物価安定対策を強力に推進することといたしました。
次に、地域開発について申し上げます。国土の均衡ある発展と地域格差の是正をはかるため、政府は地域開発諸施策を総合的に進めております。特に、地方における工業拠点として新産業都市や工業整備特別地域の育成につとめていることは御承知のとおりでございますが、これらの地区の工業生産や施設整備などは、基本計画に示された線に沿って、おおむね順調に進んでいると存じます。一方、山村、離島などにつきましては、地域の特性に応じた産業の振興をはかるとともに、特に道路、漁港、国土保全施設、生活環境施設などの社会資本の充実に重点をおいて施策を進めております。しかしながら、これらの地域開発施策の基本となる全国総合開発計画は策定後五年を経、その後の地域経済の動向は計画策定時とかなり異なってきておりますので、長期的な視点に立って、新しい全国総合開発計画の策定を行なうとともに、地域開発制度の体系的な整備充実にもつとめてまいる考えであります。なお、産業の開発と人口の増加に伴い、水資源の確保並びに水質保全の必要性がますます高まってきている現状にありますが、今後特に重要河川における水資源の総合的な開発を積極的に推進するとともに、公共用水域における汚濁防止のために一そうの努力をいたす所存でございます。
政府はさる十三日、経済審議会の答申に基づき経済社会発展計画を決定いたしました。この計画は、昭和三十年代の成長過程において生じた各種の不均衡を是正しながら、経済の国際化、労働力不足の本格化、都市化の一そうの進展という四十年代の内外にわたる環境変化に適応して、経済の一そうの発展と国民生活の充実、向上を実現することを目的としています。この計画においては、昭和四十二年度から四十六年度までの五カ年間に年平均八%程度の経済成長を維持することとし、計画期間の終わりには消費者物価の上昇を年三%程度までに低下させるとともに、経済の効率化と社会開発の一そうの推進をはかることを重点政策課題としております。さらに、輸出の振興、自主技術の開発、人的能力の向上等の施策を推進し、経済の長期的成長条件の整備につとめることといたしております。政府は、この新しい計画を今後長期にわたる経済運営の指針とし、各界の理解と協力のもとに諸般の施策を進めてまいる所存であります。
以上、最近の経済情勢と今後の経済運営について所信の一端を申し述べました。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/18
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019・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 二階堂科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/19
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020・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) 第五十五回国会におきまして、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。
科学技術の振興は、わが国発展の基礎をなすものであります。今後のわが国の経済、社会の発展は、一にかかって科学技術の振興にあると言っても過言ではなく、国家百年の大計を確立する大前提であると言わなければなりません。とりわけ、資本取引の自由化を目前に控え、本格的開放経済体制に向かわんとする今日、わが国が今後とも経済の発展、民生の向上をはかるとともに、国際的な地位を確立し、世界経済に貢献していくためには、何といってもわが国の技術的後進性を払拭し、わが国独自の自主的技術を開発、確立することがぜひとも必要であります。また、最近の科学技術は、一方におきまして細分化、専門化し、他方において大型化、総合化の傾向にあります。このような状況のもとにありまして、わが国の科学技術の振興をはかるためには、総合的な観点から、計画的、効率的に推進することが肝要でありまして、所要の体制の整備、諸施策等の強化、拡充等をはかるため、全力を傾注してまいりたいと存じます。このため、昭和四十二年度におきましては、次のような諸施策を講ずる所存であります。
第一に、科学技術振興の基盤の強化をはかるため、総合的、長期的な科学技術に関する基本的な計画の策定につとめますとともに、科学技術基本法案につきましても、現在関係各方面との密接な協力のもとに検討を進めております。また、試験研究機関の人づくりの推進はもちろんのこと、科学技術の振興は、国民一般の深い理解と熱意により初めて実るものであることに思いをいたしまして、その普及啓発活動には特に努力を注ぎたいと思います。
第二に、原子力平和利用につきましては、原子力の開発利用の現状にかんがみ、従来の長期計画を改定し、今後の情勢に対処するための原子力利用についてのビジョンを明確化しますとともに、わが国総合エネルギー対策の一環としまして、新型転換炉及び高速増殖炉等、動力炉の開発を推進するため、既存の原子燃料公社を改組し、新事業団を設立しまして、動力炉の研究開発を国のプロジェクトとして官民の総力を結集して強力に推進する所存であります。また、原子力第一船の建造につきましては、いよいよ昭和四十二年度からその建造に着手し、今後の造船、海運の発展における世界的趨勢におくれることなく、これに関連する国産技術の確立をはかっていく所存であります。このほか、原子力平和利用の総合的推進策といたしまして、使用済み燃料の再処理、放射線の利用、安全対策の強化等を行ないたいと考えます。
第三に、宇宙開発は、いまや一国の科学技術水準の指標ともいえるものでありますので、わが国におきましても、宇宙開発審議会の建議の線に沿って、昭和四十五年度に実用衛星を打ち上げることを目標として、人工衛星及びロケットの開発、沖繩等の人工衛星追跡施設の建設、種子島射場の整備等をはかりたいと考えております。
また、宇宙開発の一元化につきましては、さしあたり本年度東京大学の打ち上げる科学衛星の追跡は、当庁で一元的に行なうことになりましたが、今後も一元化については前向きに検討を続けてまいる所存であります。
第四に、社会開発の一環といたしまして、台風、豪雨、豪雪等の各種自然災害に対処する防災科学技術、大気汚染、水質汚濁、騒音振動等の公害を防止する公害防止技術、交通事故防止技術等の総合研究を推進する考えであります。また、国際化時代に対応した資源の総合的利用方策について調査を進めるとともに、食生活の改善及び生鮮食料品の流通の合理化に資するコールド・チェーンの調査実験を強力に推進いたす所存であります。
第五に、国産技術の開発を強力に推進することの重要性にかんがみ、新技術の開発、発明の実施化等を促進するとともに、試験研究費の増加に対する税額控除制度の新設等、税制上の優遇措置を強化拡充するなど民間における科学技術の振興をはかってまいる所存であります。また、国におきましても、無機材質研究所をはじめその他の研究所等による研究、技術開発を今後とも強力に推進していくほか、研究学園都市の建設を推進すること等により、国立試験研究機関の基盤強化を行なうつもりであります。
第六に、科学技術のあらゆる分野で国際協力の重要性が増大していることにかんがみ、対OECD活動の一そうの強化、二国間交流の拡充等を行なう所存であります。
以上、科学技術振興のための諸施策について申し述べましたが、現在ほど科学技術が国民生活のすみずみまで密接に結びつき、その水準の向上のため欠くべからざる要素となっている時期がかつてなかったことに思いをいたしまして、わが国科学技術の自主的、飛躍的な振興のために、最大の努力をいたしたいと考えます。委員各位の一そうの御支援によりまして、この重責を果たしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/20
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021・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 北島公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/21
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022・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 昭和四十一年におけるる公正取引委員会の業務の概略につきまして、お手元に資料をお届けいたしましたが、そのうちおもな点につきまして御説明いたします。
まず、昭和四十一年には、本委員会で御審議いただきました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律が施行され、広島地方事務所の設置、定員三十名の増加などにより公正取引委員会事務局の機構も漸次拡充されてまいりました。
次に、独占禁止法の施行に関する業務といたしましては、まず、国際契約等の届け出は、五百八十七件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術契約が大部分を占めております。会社の合併、営業譲り受け等の届け出は、それぞれ九百五十九件、二百三十八件となっており、前年に比較して届け出件数が増加しておりますが、その内訳を見ますと、中小規模の会社が近代化、合理化のために合併するケースが大部分であります。
再販売価格維持制度の規制につきましては、物価対策の見地から、その運用の強化をはかることとし、まず昭和四十一年二月公正取引委員会の指定する商品のうち雑酒、キャラメル、既製エリつきワイシャツにつきましては、その指定を取り消し、写真機につきましては、その範囲を海外旅行者向け免税品のみに限定いたしました。また、再販売価格維持契約の実施状況を的確に把握するための昭和四十一年七月、再販売価格維持契約の届け出に関する規則の一部改正を行ないました。さらに、再販売価格維持行為に対する規制を強化するためには立法措置によることを適当と認め、目下検討中でありまして、成案を得次第御審議を仰ぐ予定であります。なお、昭和四十一年における再販売価格維持契約の成立届け出は三十件、累計百三十九件であり、また新たに契約を実施した製造事業者は二十二社となっており、十二月末現在八十三社が契約を実施しております。
次に、昭和四十一年は、その前半においては前年に引き継ぎ不況カルテルの申請が多く、軸受鋼をはじめ十三品目につきまして不況カルテルを認可いたしましたが、公正取引委員会といたしましては、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害さないよう特に慎重な検討を加えた上、必要最小限度の範囲に限って認可をいたしました。その後景気の回復に伴ない不況カルテルも漸次廃止され、昭和四十一年十二月末現在では精製糖、外装用ライナー及び綿スフの三品目を残すのみとなりましたが、本年二月末には精製糖が期限切れとなり、三月六日には綿スフが期間の中途でカルテルを廃止し、残る外装用ライナーも三月末をもって終了する予定であります。
合理化カルテルにつきましては、自動車タイヤなど五品目につきまして、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み、両建て預金につきまして、昭和四十一年五月末及び十一月末の二回にわたり、貸し出し先の中小企業者を対象として、その実態を把握するためアンケート調査を実施いたしましたが、五月末現在においては、従前に比し相当改善のあとはうかがわれるものの、まだ十分満足すべき状態ではなく、また十一月末の結果につきましては、ただいま集計中でありまして、追って御報告できるものと考えております。公正取引委員会といたしましては、調査の結果を慎重に検討するとともに、大蔵省の行政指導の成果をも勘案した上、適切な措置をとってまいりたいと考えております。
次に、独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十一年中に百八十一件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとったものは、審判開始決定六件、勧告二十件、審決十七件となっており、セメント、カラーテレビ、プロパンガス等の価格協定事件、粉ミルク等の再販売価格維持事件などがおもなものであります。
次に、下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務といたしましては、昭和四十一年中に下請け代金の支払い状況を中心に二千八百十五の親事業所の調査を行ない、そのうち十件につきまして、法第七条の規定に基づく勧告を行ない、二百六十七件につきまして行政指導による事態の改善措置をとりました。
また手形期限の短縮を促進するため、主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得てその周知徹底をはかりました。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する業務といたしましては、同法第三条に基づき即席めん類業における景品類の提供に関する事項の制限を告示し、また不当な景品類の提供を行なった販売業者五名及び不当な表示を行なった宅地建物取引業者十五名に対して排除命令を行ないました。そのほか観光土産品製造業並びに販売業、即席めん類製造業、写真機類卸売り業につきまして、公正競争規約を認定いたしました。また、同法の運用に資するため消費者モニターを選定し、景品付き販売、不当表示等についての意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、昭和四十一年における経済実態の調査といたしましては、企業間信用調査、鉄鋼業の系列化による生産集中の実態調査、管理価格の調査等がおもなものであります。
最後に、昭和四十二年度の公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会関係の予算は総額三億五千八百六十七万円でありまして、昭和四十一年度と比較いたしまして五千二百六十三万八千円の増額となっており、高松地方事務所の設置、事務局定員二十九名の増員がおもな内容となっております。機構、定員の拡充につきましては、独占禁止法の一部改正案を今国会にお願いいたしますので、よろして御審議をお願い申し上げます。
今後、公正取引委員会の業務は、従来にも増して繁忙の度を加えるとともに重要性を増すものと考えられますが、皆さま方各位の御支援を得まして、重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/22
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023・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、予備審査のために本委員会に付託されましたプラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。栗原通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/23
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024・栗原祐幸
○政府委員(栗原祐幸君) まず、プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を説明いたします。
最近における東南アジア諸国等のいわゆる発展途上国における経済開発計画の進展等に伴い、世界の貿易構造が重化学工業品の輸出にその重点を移しつつあることは、御承知のとおりであります。このような情勢に即応して、わが国の輸出を一そう拡大していくにあたって最も重要な役割りを演ずるものは、プラント類の輸出であることは申すまでもありません。すなわち、プラント類の輸出は一件当たりの契約金額が巨額であるのみならず、技術の輸出を伴うものとして外貨手取り率、付加価値率ともにきわめて高く、また、相手国に与える経済協力効果、市場開拓効果も、きわめて大きなものがあり、その意義ははなはだ重要であると申せます。
このようなプラント輸出の重要性にかんがみ、政府といたしましても、日本輸出入銀行による融資、輸出保険制度の活用、租税特別措置法による技術輸出所得の控除、延払い条件の緩和等の諸措置を講じ、その推進に努力しておる次第でありますが、ここにひとつ注目すべき点としてあげられるのは、プラント類の輸出につきましては、一般の商品の場合と異なり、いわゆるコンサルティング、すなわち工場の建設計画の立案、機械装置の設計などの業務が伴うものであるということでありまして、わが国のプラント輸出の本格的伸長をはかるためには、欧米諸国に比べて著しい立ちおくれを示しているわが国のコンサルティング体制を整備強化することが、不可欠の前提条件となるのであります。政府は、このような見地から昭和三十四年にプラント類輸出促進臨時措置法を制定し、プラント類の輸出者等がプラント類の輸出に関して性能等の保証を行なった場合、その計画、設計の欠陥によって相手方から違約金等を要求される事態に立ち至ったときには、その損失の一部を政府が補償するという制度を設け、わが国コンサルティング体制の不備を補強してまいった次第であります。
当初、本法は四年間の限時法として制定されましたが、昭和三十八年に同法による補償の対象となるプラント類輸出契約の範囲の拡大等を内容とする一部改正が行なわれるとともに、その有効期間が昭和四十二年までに延長され、プラント輸出の増大に寄与してまいったものであります。しかしながら、同法制定以来八年の歳月を経過した現在、わが国の技術水準ないしコンサルティングの体制は、次第に整備強化されてきているものの、なお、欧米諸国に比べて万全とは言いがたく、今後ますます激化するものと予想される国際競争場裏において新機種の開発、新市場の開拓につとめつつプラント輸出の伸長をはからねばならないわが国の立場を考えますと、その強化の必要性は従前にも増して強く感ぜられるのであります。
このため、政府といたしましては、わが国のコンサルティング体制が十分確立されるまでの間におきましては、なお本制度による補強措置の存続が必要であることから、この三月末をもって失効することになっております本法の有効期間をさらに四年間延長し、昭和四十六年三月三十一日までとすることといたしたく、ここに本法律案を提出いたした次第であります。
—————————————
次に、中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年の中小企業を取り巻く経済環境は、労働力需給の逼迫、技術革新の進展、市場条件の変化等により、一段ときびしさを増しつつあることは、すでに御承知のとおりであります。政府といたしましては、このような事態に対処するため、政府関係中小企業金融機関の資金量の確保、金利の引き下げ等につとめる一方、信用補完制度を充実して中小企業者向けの金融の円滑化を推進しているところであります。しかしながら、中小企業者は、物的担保に乏しく、金融機関からの借り入れを困難とするものが多く、また親企業等取引の相手方たる事業者の倒産等によって経営の安定に支障を生ずる場合も少なくない現状にあります。このため、四十年十二月に中小企業信用保険臨時措置法を制定し、物的担保を提供させないで行なう中小企業者の債務の保証にかかる無担保保険の制度、及び取引の相手方たる事業者の倒産等に伴い経営の安定に支障を生じている中小企業者の経営の安定に必要な資金にかかる保証についての保険特例措置を設けた次第でありますが、同法は限時立法で、昭和四十二年三月三十一日には失効することとなっております。このため、政府といたしましては、中小企業信用補完制度を整備し、中小企業者に対する資金の融通の円滑化をはかるため、無担保保険制度及び倒産関連保証の特例措置を恒久化することとし、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、その成立を期している次第でありますが、前述いたしましたように、臨時措置法は本年三月末をもって失効することとなっていることにかんがみまして、中小企業の信用補完に遺憾なきを期するため、中小企業信用保険臨時措置法の有効期限の延長を行なう必要があると考え、同法を三カ月延長するものであります。
次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
中小企業を取り巻くきびしい経済環境にかんがみ、昭和四十年十二月に、無担保保険の制度及び倒産関連保証の特例措置を主たる内容とする中小企業信用保険臨時措置法を制定したところでありますが、同法が本年三月三十一日限りで効力を失うこととなっております。しかしながら、今後とも中小企業者の経営の安定をはかりつつ事業の振興を促進するためには、この両制度を恒久的な制度とする必要があると考える次第であります。また、信用補完制度の拡充については、国はもとより、各地の信用保証協会においても逐年その強化につとめておりますが、中小企業者の信用補完制度に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府といたしましても、中小企業信用保険制度の整備拡充により、信用保証協会の保証機能を一段と強化する必要があると考える次第であります。このような趣旨に基づきまして、今回中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、無担保の保証をより一そう推進するため、無担保保険制度を恒久化するとともに、その付保限度額を二百万円から三百万円に引き上げることであります。
第二は、無担保保険の恒久化及び付保限度額の引き上げに伴い、第一種保険を廃止し、もって保険体系の整備をはかるとともに、第二種保険を普通保険と改称し、その付保限度額を中小企業者については一千万円から一千五百万円に、中小企業者団体については二千万円から三千万円にそれぞれ引き上げ、中小企業者一人当たりの借り入れ規模の増大に対処せんとするものであります。
第三は、不測の事態に備えて倒産関連保証の特例措置を随時機動的に発動し得るよう同措置を恒久化し、中小企業の連鎖倒産の防止等に遺憾なきを期そうとするものであります。
第四は、中小企業構造の高度化に資するため、近代化関係中小企業者の定義を拡大し、中小企業高度化資金の貸し付けを受けた者すべて、及び中小企業共同工場の貸与を受けた者を近代化保険の適用対象に追加するものであります。
以上がこの法律案を提案する理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/24
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025・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 以上で三案の提案理由の説明は終了いたしました。三案の以後の審査は、これを後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/25
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026・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、昭和四十二年度の通商産業省、経済企画庁及び科学技術庁の予算について、説明を順次聴取いたします。
まず大慈彌通商産業大臣官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/26
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027・大慈彌嘉久
○政府委員(大慈彌嘉久君) 昭和四十二年度の通商産業省関係の予算要求について御説明申し上げます。
お手元までお届けしてございます昭和四十二年度一般会計予算要求重要事項表に即して説明をさせていただきたいと思います。
通商産業省関係の予算要求の総額は、前年度を約三百二十三億円上回ります千百二十五億四千六百万円でございます。第一の産業構造の改善促進関係でございますが、四十二年度の要求額は、前年度を七一%上回ります二十三億二千二百万円でございます。特に重要なものといたしましては、繊維工業の構造改善関係といたしまして、繊維工業転廃業者設備買収費補助四億二千万円、織布業産地構造改革事業費八億八千四百万円等がございます。また鉱業につきましては、探鉱促進が体質強化のきめ手であることにかんがみまして、金属鉱床の広域調査費以下が拡充をされております。
一ページの第二の中小企業対策の画期的拡充強化でございますが、まず中小企業振興事業団の事業運営費といたしまして百七億九千七百万円が計上してあります。中小企業高度化資金融通特別会計は、前記のただいま申し上げました振興事業団の創設に伴い廃止することとなっておりますが、事業団の創設までの必要資金として十億円計上されております。中小企業指導事業費以下中小企業対策費はごらんのとおりでございますが、中小企業対策費を合計いたしますと、二百四十億四千万円でございまして、ほかに中小企業信用保険公庫の出資九十五億円が大蔵省に計上されております。
第三の技術開発力の培養と技術的最先端産業の振興でありますが、大型工業技術研究開発費、いわゆる大型プロジェクトでございますが、前年に比較いたしまして大幅にふやしまして、二十七億四千万円となっております。そのほか特許行政強化費、それからYS11の量産対策費等を含めまして、技術関係としまして百四十六億三百万円でございます。
第四の貿易の振興と発展途上国に対する経済協力の推進でございますが、日本貿易振興会事業費の補助は四十三億一千七百万円、それから開発輸入促進事業費として三億九百万円でございます。また新しい貿易人を養成するため、貿易大学校を設立する予定でございますが、同大学への交付金としまして一億円が計上されております。さらに万国博覧会開催準備費といたしまして五十三億六千九百万が計上され、同博覧会の開催準備を積極的に行なうこととしております。以上、貿易振興、経済協力としまして百三十五億百万円が計上されております。
第五が産業立地の適正化と立地環境の整備でございますが、工業用水道事業費としまして六十一億八千六百万円がございます。これは工業用水道事業に対する助成の充実をはかるものであります。このほか公害対策等含めまして、立地関係の合計で六十四億五千三百万円がございます。
次に第六の総合エネルギー政策の推進でありますが、まず石炭につきましては、抜本的な施策を推進するものといたしまして、石炭対策特別会計が設置されることになっております。石炭関係の当省関係の予算要求は四百二十一億六千万円でございまして、項目としましても、炭層探査及び坑道掘進費であるとか、元利均等償還補給金、安定補給金等、重要な項目が含まれております。
鉱山保安関係は四億五千万円でございまして、鉱山保安センター建設費がございます。以下、石油及び天然ガス関係、それから電力関係を含めまして、エネルギー関係の合計は四百三十九億七千万円でございまして、前年度に比較をいたしますと倍以上という増加になっております。
第七が流通消費者行政の拡充でございますが、物価安定に資するため流通機構の改善合理化をはかるとともに、消費生活の改善をはかることにしておりまして、LPGの対策費も含めまして九千六百万円が計上されております。
第八のその他の項目も含めまして、通産省関係の合計は千百二十五億四千六百万円でございますが、石炭対策特別会計への移行予定額が四百二十三億九千八百万円ございまして、それを差し引きました七百一億四千八百万というのが一般会計でございます。
それから引き続きまして昭和四十二年度の通商産業省関係の財政投融資計画について御説明をさせていただきます。
四十二年度の通商産業省関係の財政投融資計画は七千三百十五億円でございまして、前年度比二三%強の増加となっております。輸出振興、中小企業対策等に大幅の伸びが予定をされております。
お手元の資料中、最初の日本輸出入銀行につきましては、貸し出し規模三千億円としてございます。四十一年度当初計画と比較をいたしますと、二八%強の増加となっておりまして、出資は四百三十億円を予定しております。
次に中小企業金融三機関でございますが、融資規模におきましては、前年度の一八%増を見込んでおりまして、所要資金の確保をはかりますとともに、中小企業金融公庫の近代化促進貸し付けについては、貸し付け金利を従来の七・九%から七・七%へ引き下げることといたしております。
それから次のページの日本開発銀行につきましては、融資規模は約八%の増加になっておりまして、伸び率はゆるやかでありますが、産業構造改善の金融ワクを設定いたしますのをはじめとしまして、機械工業等当省関係の重点項目につきましては、融資額の増大をはかっております。
それから電源開発株式会社以下の項目につきましては、一般会計予算の御説明と若干重複もいたしますので、省略をさせていただきまして、四ページの第十六に過剰紡機一括処理特別金融措置ということで四十八億円がございます。これは紡績業の構造改善計画の一環としまして、過剰紡機の買い上げの計画をしておりますが、買い上げ資金を残存業者から納付させるまでのつなぎ資金としまして、資金運用部が興長銀債を引き受けまして、それによりまして四十八億円の調達を行なおうとするものでございます。
次は、中小企業振興事業団でありますが、従来の高度化資金にかわる一般会計からの出資が百二十億円でありまして、公募債借り入れ金等五十八億円、合計しまして、事業規模としては百七十八億円であります。これに府県の提供する資金と合わせまして、中小企業の構造改善のための事業に長期低利の資金を融資することといたしております。
次の石油開発公団でございますが、四十二年度から発足の予定でございまして、四十億円の財政出資をしまして、海外探鉱事業の飛躍的な発展をはかることにしております。
以上はなはだ簡単でございますが、四十二年度の通商産業省関係の一般会計予算要求と財政投融資計画のあらましを御説明をいたしました。何とぞよろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/27
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028・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、小林科学技術庁長官官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/28
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029・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) お手元に資料が二つ予算関係が行っておりますが、数字の分じゃでございませんで、縦書きの分によって御説明をさしていただきたいと思います。
昭和四十二年度政府予算案におきまして、科学技術庁の予算は、歳出予算額二百四十三億六千三百万円、国庫債務負担行為額七十三億百万円を計上いたしました。これを前年度の当初予算額に比較いたしますと、歳出予算額三十八億五千四百万円、国庫債務負担行為額三十七億八千五百万円の増額となっており、歳出予算の比率において約一九%増となっております。
次に、予算要求額のうちおもな経費につきまして、その大略を御説明いたします。第一に、科学技術振興の基盤の強化につきましては七億七百万円を計上いたしました。まず、科学技術に関する総合的、長期的な基本計画を策定するために必要な調査費及び科学技術会議の運営強化をはかるための経費等を含めて、二千万円を計上いたしました。
次に、科学技術研究基盤の強化対策の一環として、試験研究機関の研究公務員の資質向上をはかるため、国内及び海外へ留学研究に派遣する経費として、一億八千九百万円を計上いたしました。また、科学技術の普及啓発につきましては、地方における科学技術振興活動を強化するため、新たに地方科学技術振興費補助金を設けてこれを助成し、一そうの推進をはかることといたしました。このため前年度より九百万円増額し、総額三千七百万円を計上いたしました。
研究学園都市の建設に関連いたしましては、電子計算機等共同利用施設について、必要な調査を行なうための調査費を計上いたしております。
科学技術情報活動の強化につきましては、情報収集量の増加をはかるとともに、情報提供の迅速化と効率化を目的として、情報検索の機械化を実施する予定であります。このため日本科学技術情報センターに対しては、政府出資金及び補助金を合わせて四億五千五百万円を計上いたしました。
第二に、原子力平和利用の推進につきましては、歳出予算額百四十九億四千八百万円、国庫債務負担行為額五十五億八千三百万円を計上し、施策の拡充につとめることとしております。
〔委員長退席、理事近藤英一郎君着席〕
まず、動力炉の開発につきましては、その主体性を確立するために、新たに動力炉・核燃料開発事業団、仮称でございますが、を設立し、高速増殖炉及び新型転換炉の実用化をはかるための技術的研究を実施することにいたしております。このため十三億七千九百万円を計上いたしました。
次に、日本原子力船開発事業団につきましては、原子力第一船の船種船型等を一部変更し、四十六年度完成を目途としてその建造工事に着手するとともに、陸上付帯施設等の工事も開始する予定にいたしております。このため、七億五千二百万円を計上いたしました。
また、日本原子力研究所につきましては、政府出資金九十億三千八百万円を計上し、建造中の材料試験炉の臨界実験が年度内に行なわれるよう工事を進捗させるとともに、動力試験炉の出力上昇のための改造工事等を実施する計画でおります。
原子燃料公社につきましては、使用済み燃料の再処理施設の詳細設計とプルトニウム燃料の開発を前年度に引き続き実施することにいたしておりますが、さきに申し述べました動力炉・核燃料開発事業団が発足するに際しまして、この公社を発展的に解散し、その事業を同事業団が引き継ぐことといたしまして、関係法案を御審議願う予定にいたしております。このため原子燃料公社に対する政府出資金は、六カ月分の事業に必要な経費として十五億三千万円を計上いたしました。
放射能安全対策に関する経費は八億一千万円を計上いたしましたが、このうち放射線医学総合研究所につきましては、同研究所の行なう放射線安全対策及び放射線利用に関する試験研究の強化をはかるため、六億九千百万円を計上いたしました。
このほか、原子力平和利用の推進につきましては、国立機関及び民間企業の実施する原子力関係の試験研究がありますが、これに必要な経費は前年度とほぼ同額の九億七百万円を計上いたしました。
第三に、宇宙開発の推進につきましては、四十五年度に実用実験衛星を打ち上げるための諸般の準備に必要な経費として、前年度に比べ大幅な予算の増額をはかって十七億二百万円を計上いたしました。まず、宇宙開発推進本部におきましては、人工衛星及びロケット等の追跡施設の整備、鹿児島県種子島のロケット発射場の施設整備、並びにロケットの試作及び宇宙開発研究の委託等に必要な経費として、十一億八千六百万円を計上いたしました。
次に、航空宇宙技術研究所のロケット関係研究につきましては、前年度着工いたしました液体ロケット燃焼試験装置の完成をはかるとともに、ロケットの空気力学的研究に必要な設備等の整備を行なうため、五億九百万円を計上いたしました。
〔理事近藤英一郎君退席、委員長着席〕
第四に、重要総合研究等の推進につきましては、十一億八千六百万円を計上いたしました。まず、台風、豪雨、豪雪等各種の自然災害に対処する防災科学技術、大気汚染、水質汚濁、騒音振動等の公害防止科学技術、交通事故防止技術及び食品保管技術等の重要総合研究や緊急重要研究等、社会開発に資する試験研究を推進するため、特別研究促進調整費を五億八千万円計上いたしました。
次に、地震等の災害を予防するための、大型耐震実験装置を国立防災科学技術センターに新設するための経費及び海洋科学技術振興のため、潜水調査船の建造工事を継続するための経費等として四億二千万円を計上いたしました。また、四十一年度に計上いたしました生鮮食料品流通合理化に資するためのいわゆるコールドチェーンの推進につきましては、四十二年度も引き続きその事例的実験を実施することにいたしておりますほか、資源の総合的利用方策の調査につきましても、その強化推進をはかることにいたしております。このため一億六千百万円を計上いたしました。
第五に、国産新技術の開発につきましては、六億二千万円を計上いたしました。その内容といたしましては、まず最近国産新技術の開発規模が大型化の傾向にありますので、新技術開発事業団に五億八千八百万円の政府出資を行ない、その開発委託費の契約限度額を引き上げるほか、その調査機能を拡充強化して、未利用の国有特許等の活用を促進することにいたしました。
次に、国が個人または中小企業に交付する発明実施化促進のための補助金は三千二百万円を計上いたしました。
第六に、国際交流の促進につきましては、経済協力開発機構(OECD)活動に対する協力、欧州原子力機関(ENEA)の実施する共同事業への参加及び国際原子力機関(IAEA)が本邦において開催を希望している国際原子力専門家会議に対する協力、並びに第四回アジア・エレクトロニクス会議をわが国が主催する計画等、科学技術の国際協力に必要な経費として四千八百万円を計上いたしました。
最後に、所管試験研究機関の整備強化につきましては、四十四億五千二百万円を計上いたしました。これは無機材質研究所の研究体制の強化をはかるため一億六千七百万円、金属材料技術研究所における材料試験設備の整備等に必要な経費十一億四千四百万円、航空宇宙技術研究所の研究設備等を整備するための経費十八億二千八百万円、及び理化学研究所における研究本館の拡充、農薬研究棟の建設等、施設整備並びに特別研究等の実施に必要な政府出資金十八億二千二百万円等であります。
以上、簡単でありますが、昭和四十二年度の科学技術庁予算のうち重要項目についてその大略を御説明いたしましたが、このほか原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条による国の契約の限度額を、一般会計予算総則において六十五億円と定めることといたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/29
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030・阿部竹松
○阿部竹松君 ちょっと議事進行について。お尋ねいたしますが、いま御説明いただいておる予算は、昭和四十二年度の予算で、十二カ月分なんですか。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/30
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031・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 一年分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/31
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032・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、暫定予算というのは別個に出てくるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/32
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033・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) この中から別に取り出されるわけでございます、これが一年分でございますから。この中で一定の人件費とか何とかの二カ月分とか何とかいうものは別に抽出されるわけです。これは全体の予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/33
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034・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、ちょっと理解できないわけなんだ。四十二年度の予算で、暫定予算以外だとぼくは理解している。しかし、額がどうもおかしいからね。そうすると、暫定二カ月分はこれこれで、残りの十カ月分はこれこれでという説明をいただかないと理解しにくい。国会で論議するのも、予算委員会で論議するのは、まさかこれ全額はあれでしょう、論議しないでしょう。暫定予算の分二カ月——二カ月になるか三カ月になるかわかりません。それから四十二年度本予算は、残った分が十カ月になるか九カ月になるかわかりません。まだ決定を見ておりませんが、これを説明いただくということは、暫定予算の分と本予算の分と一ぺんに説明をいただいておるのは、どうもちょっと理解できないのですが、もう少しわかるようにひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/34
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035・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) これはいま申し上げましたように、先ほど御説明申し上げました予算は、科学技術庁の昭和四十二年度全体の予算でございまして、いわゆる暫定予算で計上されますものは、そのうち二十七億円が暫定予算として計上されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/35
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036・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、暫定予算二カ月というように政府が言明しておるようですが、そうすると二十七億円だけがこの中からカットされて、二カ月分に該当して、あと残り全額は六月一日からと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/36
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037・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/37
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038・阿部竹松
○阿部竹松君 はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/38
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039・鈴木一弘
○鈴木一弘君 ちょっとこれは疑問なんですが、ミスプリントかと思いますがね。これはコールドチェーンについては一億六千百万円と、こう書いてあったのですが、九ページのところのコールド・チェーンの推進一億円になっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/39
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040・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) お説のとおり、コールドチェーンの推進そのものは一億でございますが、この説明では、そのほかに資源の総合的利用方策の調査の分も引っくるめまして一億六千百万円と、こういうふうに整理したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/40
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041・鈴木一弘
○鈴木一弘君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/41
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042・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) よろしゅうございますか。——それでは次に鳩山経済企画庁官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/42
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043・鳩山威一郎
○政府委員(鳩山威一郎君) お手もとに、経済企画庁の予算関係の書類二通りお届け申し上げてございます。一つが要求額の総括表でございまして、もう一つが重点項目表になってございますが、それらにつきまして、その主要な点について御説明申し上げたいと思います。
昭和四十二年度の経済企画庁の予定経費要求額は、総額で三百十七億四千四百万円でございまして、前年度予算額二百六十六億一千百万円に比較いたしますと五十一億三千三百万円の増加となっております。このうち、行政部費の要求額は二十七億八百万円でございまして、前年度予算額二十二億二千九百万円に比較いたしますると、四億七千八百万円の増額となっております。これに対しまして、公共事業費の要求額は二百九十億三千六百万円でございまして、前年度予算額二百四十三億八千二百万円に比較いたしますると、四十六億五千四百、万円の増額となっております。
まず、行政部費の増加額のうち、おもな施策となりまするものは、第一に、物価安定対策及び消費者行政をより強力に推進いたしますために、新たに物価安定推進会議を開催いたします経費及び地方公共団体の消費者行政を円滑に実施するための地方公共団体に対します補助金等四千五百万円を計上いたしております。
第二に、最近の地域経済社会の動向に対処して、地域開発対策を強化拡充いたしますために、全国総合開発計画の策定、地域開発制度の調査、離島振興の助成、豪雪山村地帯における総合センターの建設等に関します新規経費八千五百万円を含みます国土総合開発関係の経費として二億八千二百万円を計上いたしております。また、国土調査及び水資源開発経費、水質保全調査の強化促進をはかるための経費を前年度より二億三千三百万円増額いたしまして、十三億四百万円を計上いたしております。
次に、公共事業費のおもな増加内容について申しあげますと、第一に、国土総合開発事業調整費及び地域開発計画調査調整費の要求額は、両者を合わせて五十九億円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、七億円の増額となっております。
第二に、離島振興事業費の要求額は百三十六億四千六百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、二十二億三千七百万円の増額で、離島と本土との格差を是正するため、災害復旧等を除いた全国公共事業費の伸び率一七%に対して約二%の伸びとなっております。
第三に、水資源開発事業費の要求額は九十四億九千万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、十七億一千七百万円の増額となっております。この内容は、水資源開発公団が、利根川水系及び淀川水系における既着工継続事業を既定計画どおり実施するほか、新たに筑後川、木曽川及び吉野川の三水系における建設事業を同公団が施行するものであります。
最後に、当庁関係の財政投融資計画について御説明申しあげます。まず、海外経済協力基金につきましては、わが国対外経済協力政策の活発化に伴い、海外経済協力基金の業務は最近急激にその業績を高めつつありまして、四十二年度は韓国、台湾等への直接借款が増加いたします等のため、一般会計からの出資金九十億円のほか、同額の財政融資を計上して所要原資の確保をはかっております。
次に、東北開発株式会社につきましては、四十二年度におきましても、前年度に引き続き会社の再建をはかることに重点を置くことにいたしておりまして、事業資金の総額は三十六億五千万円といたし、産業投資特別会計からの出資金十六億円と公募債等二十億五千万円を計上しております。
次に、水資源開発公団につきましては、その事業の拡大に伴い、総事業費は前年度の二百五十四億円から、四十二年度は四十七億増の三百一億円を確保することにいたしております。
また、北海道東北開発公庫につきましては、北海道及び東北地方における産業の振興開発を一そう促進するため、運用資金は前年度の三百八十五億円に対しまして、四十二年度は十五億円増の四百億円を確保することといたしております。
以上はなはだ簡単でございますが、経済企画庁の一般会計及び財政投融資計画の御説明を終わります。
なお、暫定予算につきましては、経済企画庁の所管合計で四十八億九千二百万円の要求をいたしてございます。何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00219670323/43
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044・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 本日はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。
午後二時三十四分散会
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