1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月二十五日(木曜日)
午前十時三十五分開会
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委員の異動
五月二十五日
辞任 補欠選任
宮崎 正義君 矢追 秀彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 鹿島 俊雄君
理 事
井川 伊平君
柳田桃太郎君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
津島 文治君
宮崎 正雄君
横井 太郎君
小柳 勇君
近藤 信一君
竹田 現照君
椿 繁夫君
鈴木 一弘君
国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 塚原 俊郎君
国 務 大 臣 二階堂 進君
政府委員
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁振興
局長 谷敷 寛君
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
通商産業省企業
局長 熊谷 典文君
中小企業庁次長 金井多喜男君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
参考人
理化学研究所理
事長 赤堀 四郎君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○理化学研究所法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣送付、予備審査)
○小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣送付、予備審
査)
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001・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について報告いたします。
去る二十三日、矢追秀彦君が辞任され、その補欠として宮崎正義君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/1
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002・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付の理化学研究所の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。
本案審査のため、参考人として理化学研究所理事長赤堀四郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/2
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003・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
それでは質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/3
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004・阿部竹松
○阿部竹松君 赤堀先生においでを願って、これから二、三点お尋ね申し上げるわけですが、その前に、今度の理化学研究所法の一部を改正する法律案というのが出てまいりまして、中身はきわめて簡単でございまして、東京都を埼玉県に、並びに監事の点に触れておるわけでございまして、法案そのものはきわめて簡単なものでございます。したがいまして、二階堂長官あるいは振興局長さんより法案の説明を承りました。法案そのものについては理解できるわけですが、いまやっておるお仕事について、技術庁の担当の方から聞けばわかるわけですが、なかなか技術庁としても、常時皆さん方と接触されたとしても現地におるわけでありませんし、どうも説明を聞いても、私の理解力が足りないためかもしれませんけれども、バルブがつっかえたようでなかなか理解できない点もあるわけです。非常にお忙しいところを恐縮なんですが、おいでを願ってひとつ実態をお聞かせ願いたい、こういうことでわざわざおいで願ったわけで、たいへん恐縮でございます。
まず、第一にお伺いしたいことは、東京都から埼玉県の大和町ですか、そこに行こうとなさっておるわけですが、現状はどの程度進捗しておるかという点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/4
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005・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) ただいまの御質問の移転の現状でございますが、研究本棟五千坪が完成いたしまして、現在研究者は大体半数ぐらいが移転いたしまして、研究をすでに開始しております。まだこの夏までに二、三十名は新しいほうへ移転することになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/5
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006・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで、前回も長官あるいは局長にお尋ねしたわけですが、もうすでに理事長のこの研究所からそれぞれ発行なさっておるものを読ませていただくと、半数以上も移動している、こういうような文献なんですね。にもかかわらず、今日ようやく東京都を埼玉県に変える、こういうことなんで、私どもとしては、これは法律のほうは詳しくないわけで、その点は御答弁願いたいわけですが、半数以上も移動してしまった今日、ようやく東京都を埼玉県に変えるということはなかなか理解しがたい、こういう点なんです。それともう一つは、いままで紆余曲折がございまして、まあ赤堀先生が理事長になられる前から、埼玉県へ移動要請をしておったわけですね。たとえば渋谷のワシントンハイツとか、あるいはいまの大和町の問題、アメリカさんがおるオリンピック村をつくらなければならぬ、ということで、紆余曲折いろいろあったわけです。昭和三十三年ごろからやりまして、三十八年に大体あそこへつくるという大方針を立てて、国から六万坪か七万坪の土地を払い下げて決定しておる。ところが今日まで、自来十年近く——とは申しませんけれども、そういう行動がきまっておって、十年たって工事が半分進捗して、仕事も半分行ってから法律を直しなさいと、こういうような今回の提案なんです。これは私どもと政府と話をして、国会で議決することですから、これは先生に直接関係ないと私は思います。しかしその担当者として、おそらく政府あるいは当該科学技術庁に何度か要請しておると思うのです。全然知らぬ存ぜぬで、一切あげて科学技術庁がおやりになったということであれば、それでけっこうですが、その間そういう紆余曲折を経ているのですね。これは決して先生の責任であるとはぼくは申しませんよ。国会で議決することであるし、政府が提案することですから。しかし政府の提案がきまって、七、八年も前にきまっているにかかわらず、移動してもう半分以上のお仕事をなさっている。そこから始まるというのですから、ぼくはやっぱり理解できない。それで現地でお仕事をなさっている先生の御心境を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/6
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007・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 理研法案の条文の中に、「主たる事務所を東京都に置く」ということは、実は就任するまで存じませんでした。あとで聞いたわけでありますが、就任してまいりますと、いま半分もうすでに新しいほうに移転しておりますし、これからも引き続いて移転するわけであります。この際条文にあります「主たる事務所を東京都に置く」というのを埼玉県に置くとしたほうがすべての今後事務を進める上においても便利である、こう考えて賛成したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/7
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008・阿部竹松
○阿部竹松君 約百億になんなんとするお金で運営し、お仕事をなさっておるようですが、そのうち九五%は国のお金、あと五%に近い金額は一般寄付、その政府の九五%近い金額はこれは別ですが、残りの四億数千万円、五%に近いお金はどういう会社から寄付金としてもらっておるわけですか。詳細な点は別として、そういう点を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/8
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009・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 仰せのとおりでありまして、運営資金の九五%近く政府資金、政府出資ということになっておるというのは、私どもそういう財政面のことから考えまして、実はよくわからないのですけれでも、当局の御意見伺いますと、政府出資というものは補助金か、あるいは政府出資とこの二つになっておるんだそうでありまして、そのいずれかということは、理研の場合はその当時の事情で、これは政府出資だけでなく、民間からの出資もこれに加えるというたてまえで、やはり政府出資としたほうがいいということでそうなったのだそうでございます。法律的な根拠についてはまだよく知らないわけでありますが、実はこれは出資といいましても、普通の出資と違う、まあ研究出資、研究投資のような意味のものでありまして、やはり普通の意味とは違うのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/9
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010・阿部竹松
○阿部竹松君 私のお聞きする点が悪かったかもしれませんが、大正二年に高峰さんが運動の先端を切られて、このお仕事を始めたわけなんで、その当時は国とそれから一般民間と半々とまでいきませでしたが、とにかくそういうところから始まって、当時陛下から十万円の御下賜金までいただいて出発しておるわけです。しかしそれはそれとして、幾多の変遷を経ておるわけですから、その点は触れませんが、私の聞かんとするところは、国の九五%はここで論議するからよくわかるのですが、それで五%の分はわれわれはわからぬわけです。経済企画庁にたださなかった私どもが悪いのかもしれませんけれども、それはどことどこと、どういう会社から融資というか補助金というか、後援金といいますか、その金額はどういう会社からどういう方法で御協力をいただいておるかという名前をお聞きしたいわけであります。もし理事長さんはそういう細部の点まで一々おわかりになっておらぬ場合もあると思いますので、事務担当者でもけっこうですが、その点を御説明願いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/10
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011・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) その点は私も大体は聞いておりますが、民間の会社約三百社から出資ないし寄付金の形で援助等を仰いでいるようでありますが、いずれも少額でありまして、三百社を集めましても政府出資の五%ぐらいのようであります。なお詳細は事務当局のほうから御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/11
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012・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 事務的な問題でございますから私が補足してお答え申し上げますが、民間出資では約四億九千万円でございます。その中の一番大きい出資者はいわゆる科研化学でございまして、これが約一億一千七百万円ばかりは科研化学が持っております。これは科研化学と理化学研究所が分かれたときのいきさつで比較的科研化学が多額の出資をしておるということになります。残りの三億数千万円につきましては、いま理事長が申し上げましたが、広く産業界あるいは銀行等大体三百カ所ぐらいのところに一口大体二十万円くらいを毎年寄付金または出資金という形で出資をしていただいておりまして、それが累積しまして三億数千万円になっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/12
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013・阿部竹松
○阿部竹松君 わずか五%の金額を寄付していただいて、まさかその五%寄付をいただいたから特定産業、特定会社によりよき研究をしてあげるというようなことはなさっておるとは思いませんけれども、研究所の希望として全額政府から出資をしてもらったらいかがなものですか。そうでなければ五億などというみみっちいことを言わぬで、あらゆる産業からこの種の化学の発展のためになさっておる仕事ですから、もう少し膨大に堂々とおやりになったらどうなんですか。それはあまりみみっち過ぎるですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/13
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014・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 確かに政府出資に比べまして民間出資の額が非常に少ないのでありまして、この点は私ども努力して民間の援助を仰ぐ額を大幅に上げてもらうように努力したいと思うのでありますが、まだ理化学研究所が設置された当時はこういう本格的な理化学研究所というものはほかになかったわけでありまして、産業界も非常に大きな期待をかけて応援されたと思います。戦後この新しい第二次の理化学研究所が発走する当時は、民間の大会社はそれぞれにりっぱな研究所をおつくりになっておられまして、相当な高度の研究を各会社が始められるようになりましたために、なかなか高額の援助資金あるいは寄付というものを外に出してもらうということが困難な事情になったのであります。ただ今後はもっとわれわれも実際に産業界にお役に立つような問題をとらえまして研究してまいりたいと思います。実は私自身はそれほど自信は持てないわけでございますが、努力はするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/14
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015・阿部竹松
○阿部竹松君 これは赤堀先生が理事長に御就任される前の話ですから、理事長にお尋ねするのは筋違いかもしれませんが、大和町に引っ越したあとの文京区駕籠町の千石一丁目のあたりのあの地域一帯、あれはもとは理研のものであったのですが、今日では全然地上権がないわけですね。そこであの土地の使途は、パチンコ屋ができようとトルコ風呂ができようと文句は言われぬことになっている、国の土地でもございませんし……。そこで私が調べてみたところが、終戦後三回ぐらい法人格をもう変えているわけですね。その間あの土地を売り食い、というとちょっとことばがえげつなくなりますが、あの土地を全部切り売りして、会社が一次二次三次とこう切り変えてきて、そうして何とかカムフラージュしてきたのではないか。最後に三十七年か三十八年か、私の読んだ文献が間違いかもしれませんけれども、時の科学技術庁長官三木武夫さんが発起人になっていますね。私は一国の大臣が皆さん方のような研究所の発起人になったということを、これは勉強不足なものですから、ちょっと文献を調べてみてもない。あるいは国会図書館へ頼めば出てくるかもしれませんが、その地上権、それは理事長のほうにはもう権限がないわけですから何ともならぬにしても、あの地域住民の人から見れば、これはたいへんなことになる。行かれるのはけっこうだが、あとにパチンコ屋やトルコ風呂が建って歓楽街になってはたまらぬということなので、したがってお立ちのきになるときに、いまの地上権を持っている人に注文をつけることができるかできぬか。一切法的には地上権者が違うわけです。国有財産でもありませんからなかなか困難な問題でありますが、移動する場合には、それぞれ上に借地権を持っている人に相当な権限があるはずなんです。これは個人と法人格と違うかもしれませんよ。ですが、そういうことで、自分の土地でないんだが、引っ越したあと始末を理事長の立場で何とかあの地域のために考慮を払ってお立ちのきになることでがきるものかできぬものか。機械的にいったらこれはできないでありましょうけれども、借地権を放棄する場合にはある程度の権限があろうかと私はこう考えるんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/15
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016・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 理化学研究所が科学研究所となりまして、会社組織になって、たぶん第二次株式会社科学研究所に移行するときだと思いますが、そのときにかなりな赤字がございまして、借金と土地をいまの科研化学株式会社が肩がわりした。そのかわり土地も科研化学のものになるということで現在のようになったわけでありまして、理研としては現在法的には何の権利もないわけでありますが、ただ御承知のように、日本の理化学研究の発祥の地として、日本の科学技術の進歩に大きく貢献した研究所の発祥の地として、何にか記念の施設は残したいという研究所員一同の念願でありまして、そういうわれわれの希望は会社のほうにももう伝えてございまして、われわれは科研化学のほうの好意ある処置等を期待しているわけでありますが、世話人の方々にもそれをお願いしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/16
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017・阿部竹松
○阿部竹松君 理事長も御承知のとおり、太平洋戦争が始まる前まではやはり一般の産業の研究もなさっておった。ところが太平洋戦争が始まって、いよいよ戦争が熾烈になって食うか食われるかというような激しい状態に追い込まれたときに、これはいまの研究所とは違うのですが、二千人、これは全部軍事兵器の研究ばかりやっておりました。ほかのものは何もやらぬ。軍事兵器の研究ばかりやっておった。ですからマッカーサーが日本に乗り込んできたときに、第一番にあそこのサイクロトロンを破壊したというようなそういうようなことで、今日のこの段階でそういうようなことが二度起こるとは思いませんけれども、一例をあげてみますと、新聞でお読みになったと思いますが、参議院の予算委員会で問題になったアメリカさんの軍用地図をつくっている。だんだん調べていったところが、輸入してくる農産物に関連があったり、あるいはほかのものに関連があったり、私ども野党ですから、はっきりその構想性はわかりませんが、まあ、そういう関連性がある。あるいは、先生御承知のとおり、各大学に対する研究ということでそれぞれアメリカから委託された。したがって赤堀理事長の統率されるこの理化学研究所に対し、アメリカから三千万ドル寄付いたしましょう、したがってこれこれを研究してくれませかという場合に、平和な研究であるから国境を越えてということで、四億五千万円じゃ足りないから、日本の商社はなかなか寄付してくれぬからということになるのですか。それとも外国との関係は一切シャットアウト、一切あげて国内関係だけの委託研究であり、外国品、外国関係は一切相手にせぬということになっておるのですか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/17
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018・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 理化研究所はもちろん平和的な自然科学の研究機関でありまして、しかも科学の国際協力はしなければならぬ学者の責務というものがあると思います。平和的な国際協力事業にはいろいろな学界活動を通じて協力しております。一つの例を申しますと、国際原子力機関からの要望によってそこの事業に協力しておるというようなことはございます。いままで軍関係のことで外国から研究費をもらったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/18
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019・阿部竹松
○阿部竹松君 軍事関係とか軍事兵器ということになると、これはまたいろいろ解釈で論争しなければならぬ、憲法第九条までまいらなければなりませんから、そういうことは赤堀理事長、一切抜きにいたしまして、外国資本ですね、一例をあげたのですが、アメリカと断定しません、イギリスの場合もありましょうし、西独、イタリア、フランスの場合もありましょうし、そういう他国から理事長のところに委託研究ということで持込まれたり、あるいは一切ひもはつきません、しかし日本で唯一無二の研究機関であるからということで寄付金があったりした場合にはどうなるのですか。こういうことで御心境を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/19
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020・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 外国の民間産業からの依頼というふうな場合には、これは個々の課題の内容によっていろいろな場合があると思いますので、それぞれ慎重に審議しなければならない。つまり表面民間産業であっても、それは将来日本にとって不利になるようなことが予想される場合には、これはやるべきではないと思いますが、しかし国際協力、あるいは各国、外国の場合でも、日本にもプラスになるというようなことは進んでやるべきではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/20
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021・阿部竹松
○阿部竹松君 これは赤堀理事長も同感していただけると思うのですが、外国ですと、お互いに産業は産業、会社は会社でお互いに研究費をたくさん出し合って、総合的な研究をなさるわけです。
日本は核物資、核燃料一つ取り上げてみましても、大学が各所でもってある程度の初歩的な核燃料の研究はけっこうだが、一つの産業をとってみても、三井、三菱、住友、日立、みなセクト的な防壁をつくって、自分のところで研究なさっている。お互いに金を出して、力を合わせて研究なさろうということはなかなかないわけですね。ですからそういうことを、こういうある程度国の機関であるような研究所の御指導がぼくはあってしかるべきと思う。これは科学的な知識がないものですから、ただ本を読んだものだけで私どもものごとを判断するのですが、そうすると赤堀理事長のところで研究なさっておるいろいろな文献と、それから工業技術院、あるいは電子研究所、こういうところで研究している同じダブったものがたくさんありますね。私はその中身は知りませんから、中身が違っても同じ表現であるかもしれません。しかし、私がしろうと的に考えてみて、こういう個人私企業、民間産業が一緒になれと言っても、島国根性が強いわが国ですから、これは五年も十年も二十年もかかるでしょう。しかし国の機関で同じ研究であれば一カ所に吸収してやるというようなことができないものかどうか。それくらいのやはり国の機関であれば一歩前進した総合的な、電子研究所も同じ、工業技術院も同じ、大和町の赤堀先生のところも同じということでなしに、縦割り的な交通整理ということはできないものか、私はこう思うわけです。ただ私のお尋ねが、本を読んだだけですから中身が違うかもしれませんが、同じ名称を使っておるから同じものだと断定してぼくもお尋ねしているのかもしれませんけれども、そういうような点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/21
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022・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) いまの御質問の内容は二点あると思いますが、政府の研究機関内部でも、あるいは公共的研究機関の中でも重複がありゃしないか、あるいは一つは民間の会社でお互いに競争だけで協力がないという点の御指摘がありましたが、まあ政府研究機関、あるいは公共的な研究機関の場合でも一見重複があるように見えることもあると思いますが、ただ現在の理化学の研究分野というのは非常に広く細分化されておりまして、ほんとうに一見課題としては同じ名前であっても、実際やっていることは非常に違っているというようなことがかなり多いわけでございます。たとえば高分子の研究というようなことは方々でやっておりますけれども、高分子といいましても非常にたくさんの種類がありまして、それぞれ研究者の創意に基づいて始めるものですから、たまに重複するということはありますけれども、またときにはその競争をすることによって非常に進歩が早くなるという場合もありまして、これはなかなかこまかいいろいろな分野にまでそういう全国的な統制というものはとりにくいと私は考えております。まあ非常に大きな問題ではそれは考えなくちゃならぬと思いますが。
それから民間でやっておられる研究には、私ども外からみましても確かに非常に重複している。これはまあ民間会社の場合にはつまりすぐに企業化されるようなことを対象にされるものですから、どうしても重複が起こりやすくなると思いますが、それは何とかもっと協力されればずっと効果があがるということを私ども考えるのでありますが、まあこれはわれわれの力の及ばない範囲でございまして、いまの御意見は賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/22
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023・阿部竹松
○阿部竹松君 理事長も御多忙中のお方でしょうから、私もう一点だけお尋ねしておきたいわけですが、電子研究所でも工業技術院においても官立、私立大学から優秀な研究員が入所する。しかし二年たち三年たっても、まあ国家公務員でございませんから、国家公務員よりはいささか給料がいいようには承っておりますが、しかしやはり公務員より膨大な給料をいただいているわけではないのですね、所員の皆さんが。したがって二年たち三年たって、もう終生学究の徒で研究に一生をささげるという方は別として、やはりいろいろな会社から誘惑されて、やはり生活も苦しいものですから、優秀な人が三年か四年たってよそにいかれてしまうということで、工業技術院あるいは電子研究所等においてもこれは何とかなりませんかというお話を何度も承ったことがあります。たとえば防衛庁の宮崎の航空大学、これは一人のパイロットをつくるために三千万円の金がかかる。三千万円かけて一人のパイロットをつくって二、三年自衛隊におったところが、あとは全部日本航空や全日本空輸に行ってしまうのです。広義に解釈しますと、日本に残っているパイロットですからいい理屈にはなるけれども、どうも一つの機関、一つの事業からみるととんでもない話になる。したがって理事長の前の前の理事長さんの当時か前かはっきり記憶しておりませんけれども、その当時いろいろと駕籠町に行ってお話も承って見学さしていただいたことが何度もございます。そのときもその理事長さんがいま私が申し上げたのに近いような話をなさっておられました。ですから、今度大和町に行ってりっぱな建物ができることですし、またそれぞれ研究施設はこれからだというふうにも理事長から承っておりますが、しかし、いかにりっぱな建物が建っても、りっぱな研究設備ができてもやはり要は人です、特に優秀な人材が心要である。そういうことで所員、研究員の職員の扱い方、これがやっぱり大問題になってくる。こういうことで、先生は大阪で総長さんとして世代の若い方を訓育指導なさって十分御承知おきだと思うのですが、そういうものの扱いについて最後に承っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/23
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024・赤堀四郎
○参考人(赤堀四郎君) 研究員の待遇につきましては、前々から非常に留意いたしておりまして、現在でも大学よりも幾分待遇はよくなっていると思います。しかし実は研究者というのはどうしても待遇と同時に研究施設のすぐれていることを望みますし、また研究費も潤沢であるということ、これが研究者にとっては最大の魅力でありまして、そういう点で理化学研究所はおかげさまで日本としては最も進んだ設備を持っておりますので、かなり優秀な人、若い研究者が次から次へと新しく入ってくる人がございます。われわれは今後もそういう研究者の交流はもっと活発にやるように、何かそういう制度、たとえば短期間若い科学者の留学のような形で実際に研究やってもらう、そういうような制度があればありがたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/24
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025・阿部竹松
○阿部竹松君 前回は二階堂長官はじめ局長さんからそれぞれ第一期の工事の内容について承りましたが、第二期の工事の概要についてひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/25
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026・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 前回お答え申し上げましたように、第一期工事は一応昭和四十一年度で終わった形になっております。四十二年度から第二期の工事にかかるわけでございますが、四十二年度、四十三年度両年度におきまして、本館の建造等に約六千六百平米くらいの建物を増設いたします。これによりまして、いま駒込に残っております研究室は全部大和町のほうに移るということになるわけでございます。残りましたのは、いろんな研究に伴います実験を行なう設備がまだ相当駒込に残っているわけでございまして、そのうち四十二、四十三年の両年度には電気機械関係、放射線実験施設、農薬研究施設の一部を大和町に移す予定でございます。残った分は四十四年以降になるわけでございますが、私どもとしましては、四十四年、四十五年、四十六年、おそくとも四十六年一ぱいぐらいまでには残った実験設備等を大和町のほうに移したいというふうに考えておりますが、それは財政当局の了解も得る必要などがございますので、まだ確定はしておりませんけれども、計画としてはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/26
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027・阿部竹松
○阿部竹松君 御承知のとおり、わが国には百十八から百二十近い公団、公社、この種のあらゆるものがあるわけですね。そこで、私どもの委員会にも二十ほど関係ある公団、公社あるいは研究所あるわけですが、一番不明確なのは研究所ですね。これは一体どの部門に属するかわかりませんけれども、国で少なくとも九五%出資しているわけです。あと五%寄付によってまかなっておるわけですね。ですから、これは二階堂長官、一体どこまで国が責任を負って、どこまでどうなのかという、一般のたとえば電気研究所とか、あるいは工業技術院というのとどういう差があるものか、その性格、位置づけを承りたいんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/27
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028・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 特殊法人組織の研究所というものは、先ほど赤堀理事長からも答弁がございましたけれども、要するに、政府と民間と協力して研究を進めよう、そのために民間から相当な協力を得やすくしようということで特殊法人組織になっておるわけでございますが、理化学研究所につきましては、先ほどもお話もございましたとおり、民間側からの出資が必ずしも期待したほどいってないという点はあるわけでございます。ただ出資金につきましては、百億円のうちの五億円足らずでございますけれども、実際の理化学研究所の業務活動を見ますと、一年間に約二十億円ぐらいの活動をやっておるわけでございますが、そのうち民間の共同研究とかあるいは受託研究のような形で実際民間から金が出ておりますものは約二億円ぐらいでございまして、これは一割ぐらいは民間関係の研究活動をやっておるわけでございます。しかし、特殊法人として運営していきますためには、一割程度では私どももまだ不十分だと考えておりますので、今後さらに理研の運営なり研究の内容というものを改善いたしまして、さらに民間の協力を増大するようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/28
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029・阿部竹松
○阿部竹松君 一例をあげますと、これとは全然性格も違いますけれども、北海道地下資源開発株式会社という会社がある、国の金はもちろん出資されておるのですが、パーセンテージがこれと違うわけです。九五%も出資しているこの種の会社がわが国にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/29
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030・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 研究所というのは直接会社の事業活動のようなものに結びつく点が比較的少ないものでございますから、どうもこのぐらいの特殊法人で、民間の出資がもっと多いものというのはあまりないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/30
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031・阿部竹松
○阿部竹松君 あまりじゃなくて、たった一つでしょう。
そこで長官にお尋ねしますが、将来運営していくにあたりまして、この研究所の場合は、これからどんどん民間産業育成強化のためにも研究してやらなければならない、委託研究も引き受けるということになっておりますので、国の全額出資であればすっきりするわけですね。しかしなかなか財政措置上国としても全額出資というわけにはまいらぬということになると、民間のあらゆる産業に、研究機関に大いに協力せいという指示を出して、協力を求める方向でいくものか、いずれか、たった四%か五%協力いただいて、これ全体をあいまいもこにしておくということはどうもすっきりせぬわけです。ですから大方針を承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/31
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032・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) 先ほどからいろいろ御意見がございますが、この種の研究所は普通の民間の株式会社の運営などとはかなり趣を異にしておると思いますし、また理研のごときは従来の歴史的経過を見ましても、相当国策的な会社と申してもいいような性格を帯びてきておりますし、特に最近におきましては、純然たる国家の研究機関でありますと、ともすれば広く人材の参画を求めて研究が行なわれるということが非常に私はやりにくいように思っております。今後は官民一体となって技術の開発、科学の振興を行なうための研究を行なっていかなければならないということから考えてみましても、やはり民間の方々の参画を求め、あるいは大学の学者の研究の参加を求めるといったような形で運営していくことが一番いいのではないか、かように思います。お説のとおり、国が大部分を出資している会社でもございますので、そういう広く人材に官民一体となって、総力をあげて研究に参画をしてもらうというような方向から考えましても、国の持つべきウエートというものは重いわけでありますから、今日まで運営上にいろいろな問題があったという御指摘もございますので、そういう運営等につきましては、国が持つべき責任をもっと明確にいたしまして、もっと民間の方々あるいは学界の方々の御協力をいただいて、これが広く日本の産業、国民経済のために役立つような研究施設として責任を果たしていくような方向に指導してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/32
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033・阿部竹松
○阿部竹松君 長官は参議院の予算委員会に連日御出席されておったわけですから、よく与野党あるいは政府の答弁、こういう点について知悉されておるわけですから、お尋ねしておきますが、アメリカさんの軍用地図をある省でつくっておる、あるいは日本の大学がですね、アメリカの軍用資金の一部を寄付を受けているとか、ここに列席している小柳委員等から発言がいろいろ予算委員会であったようです。この研究所そのものは、地図はまさかつくらぬでしょうけれども、その他一切の問題について、アメリカと断定しませんよ。外国から寄付を受けたりあるいは委託研究を受けたり、そういう場合には監督官庁である技術庁としてはどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/33
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034・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) 予算委員会で問題になりました研究費等アメリカの軍からもらっておるという問題がございましたが、私は今日科学技術全般の研究には相当国内、国外を問わず、人事の交流あるいは情報の交換ということもいたしております。そうしてこそ、またおくれを取り戻す面もあろうと思っておりますし、また進んだ面もさらに開発研究が進められる面もあろうかと思っておりますので、外国からすべてわが国の研究機関とか、あるいは大学の研究所とかいったようなものが寄付をもらうということについて一がいにこれはいけないと、こういうことにはならないのではないかと思っておりますが、ただ問題は、アメリカの軍の軍事費がひもつきでくるというような場合は、これは私は問題があろうかと思っておりますので、今後そういう国外から受ける寄付等については慎重に検討を加えて、もしひもつきで軍関係のものがあるとするならば、これは拒絶するということにいたしたほうがよろしいと、かように考えております。いずれにしましても、そういうわが国における研究費が足らないというところに問題があるんではないかと思っておりますので、政府といたしましても、今後こうした方面の研究費の増大につきましては格別の努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/34
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035・阿部竹松
○阿部竹松君 二階堂長官、予算委員会に出席要求されて最前から再三再四まいりますので、ここで私質問を打ち切りますが、最後に、いま御答弁あったようなことがそのまま実行されればいいわけですが、全部あなたは監督はできますけれども、しかし全部あなたの指令一下動くという組織にもなっておらぬのですから、あなたのいまお話しのあったようなことが起きた場合、どの程度まで規制できるのか、一〇〇%長官のお力によって、もし問題が起きた場合に規制できるものかどうか、それを最後にお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/35
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036・二階堂進
○国務大臣(二階堂進君) お説のとおり、私が全部監督するものでもございませんが、少なくとも私の役所に関連のある研究機関等に対するそうした研究行為に対する寄付等に関する問題がもしありました場合には、厳重に私は監督をして是非をきめたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/36
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037・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/37
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038・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
それでは本案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/38
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039・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
理化学研究所法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/39
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040・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもつて原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/40
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041・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/41
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042・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、予備審査の中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案及び小規模企業共済法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。菅野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/42
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043・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま御提案になりました中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
わが国の中小企業をとりまく諸情勢に対処するため、数年来中小企業の協業化の動きが多くの業種において活発に行なわれております。この動きは、個々の中小企業者の努力によっては達成が困難な生産性の向上を複数の事業者によって追求するものでありまして、中小企業の構造改善をはかるためには有効かつ適切なる方策であります。
従来から協業化の促進のため、政府としては金融、税制、指導等の施策を進めてまいりましたが、協業化のための組織のあり方については、過去三年間中小企業政策審議会において検討を重ねてまいりました結果、協業化を推進するための組織制度として、従前の組織のほか、協業組合制度を創設する必要があるという意見具申がなされたのであります。すなわち、現行組織制度のなかで、中小企業者が協業をはかるために利用し得る場としては、事業協同組合、企業組合及び会社がありますが、従来の組合制度にあっては加入脱退の自由、議決権の平等、配当方法の制限等があって事業経営上企業性の発揮が十分にできない面があるほか、事業協同組合には員外利用の制限や、いわゆる全部協業が行ない得ないこと、企業組合には従事に関する制限や法人が加入できないことなどの問題があり、また、会社制度にあっては、資本原理で割り切られ過ぎていることなどにより中小企業者の企業者感情にはそぐわないうらみがございます。
そこでこの際、中小企業者を中心とする事業活動の協業化という面に着目して、協業化をはかるために最も合理的な、そして中小企業者が最も利用しやすい機能と性格を持った組合制度すなわち協業組合制度を創設するため、ここに中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律を提案する次第であります。
次に、協業組合制度の概要について御説明申し上げます。まず第一に、協業組合は、組合員となる中小企業者等が加入前に営んでいた事業を統合して行なう事業、すなわち協業の対象事業及びその関連事業並びにこれらに付帯する事業を行なうことができます。
第二に、協業組合は、中小企業者のための組織でありますから、その組合員となる者は原則として中小企業者に限られますが、定款で特段の定めを置いた場合にのみ中小企業者以外の事業者の参加を一定の制約のもとに認めております。
第三に、組合員一人の出資限度を百分の五十未満として資本の充実をはかるとともに、一部の組合員の専横を防止することとしております。
第四に、加入及び脱退についてある程度の制限を付し得ることとして、組合事業の一体性と資本の維持とをはかります。
第五に、議決権は各組合員平等を原則としますが、定款により全体の議決権数の二分の一以下の範囲で出資割りの議決権を与えることとし、意思決定が機動的に行なわれるよう配慮しております。
第六に、組合員は、協業組合の行なう事業について競業禁止義務を負い、それにより事業の統合を保障することとしております。
第七に、剰余金の配当は、定款により別段の定めがないときは出資に応じて行なうこととします。
以上が協業組合制度の概要でありますが、この協業組合の創設は、中小企業の構造改善に大きく貢献し得るものと考えておりますので、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
次に、小規模企業共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
小規模企業共済制度は、小規模企業者が相互扶助の精神に基づいて退廃業後における生活の安定あるいは事業の再建、転業に備えて、その拠出による共済事業を行なうことに対し、国からも所要の助成措置を講じつつ、これを安全確実な制度として確立することを目的とし、昭和四十年に発足したものであります。
制度発足以来、加入者数も約一万五千人に達し、各種社会保険制度、労働保険制度の適用について、制度上十分な恩典を受けられない小規模企業者にとりましては、きわめて重要な制度となっておりますが、小規模企業者を取り巻く経済環境は、最近に至り、ますますきびしさを加えつつあります。今回の改正は、小規模企業者がこのようなきびしい環境のもとで安んじて近代化、協業化等をはかるための努力ができますよう、本制度発足後小規模企業者から提出されました要望に即しつつ、現行の小規模企業共済制度を拡充強化しようとするものであります。
改正の第一点は、新しい種類の共済制度を創設することであります。新たに設けます共済制度におきましては、現行の共済制度に比べまして、三十年満期の共済事由がなくなるなどその共済事由は若干限定されますが、やむを得ない事由による廃業が生じましたときの共済金は一割多額となります。また、掛金の税制上の取り扱いにつきましては、現行の共済制度は生命保険料控除のワク内で控除されるものとなっておりますが、新たに設けます共済制度の掛け金につきましては、現在国会に提出されております所得税法の一部を改正する法律案の成立を待って全額所得控除されることとなっております。この制度とともに現行の共済制度も存続させますので、小規模企業者はこれら二つの共済制度のうち、その希望する制度に加入することができることとなります。
改正の第二点は、個人事業者に対しまして共済契約の実質的な承継を認めようとするものであります。これは、個人事業者の家族で事業を譲り受けあるいは相続により承継した者が共済契約を締結しました場合におきまして、その者と譲渡人あるいは被相続人の共済契約につきまして、掛け金納付月数の通算を認めようとするものであります。
これが、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/43
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044・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、本院先議の商品取引所法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。菅野通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/44
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045・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま御提案になりました商品取引所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
商品取引所における売買取引の実態は、近年多数の大衆が商品取引に参加するようになったことに伴い、数年前に比べ相当の変化を来たしております。全国二十の商品取引所の総出来高が増加の一途をたどっていることもその一つでありますが、最近の事態で特に憂慮すべき点は、売買取引を委託する者とその委託を受ける商品仲買い人との間の紛議が頻発し、さらに商品仲買い人の倒産等により委託者が不測の損害をこうむる事例が増大していることであります。このような事態が生じた原因としては、現在三百二十にのぼる商品仲買い人の中には、資力に乏しく、あるいはその資質に欠け、大衆に対して過当な勧誘活動を行なう一方、委託者から取引の担保として預った委託証拠金を不当に流用する等によって放慢な経営を行なっている者もなしとしないことによるものと考えられます。これに対して、現行の商品取引所法は、商品仲買い人に対し登録制をとっているのをはじめとして、かかる事態を改善するためには必ずしも十分でないのが実情であり、委託者の保護の強化をはかる方向で法律改正を行なうことが必要と判断されたため、政府といたしましては、商品取引所審議会を中心として、鋭意その方策を検討してまいった次第であります。この法律案は、このような経緯のもとに、大衆参加に伴う弊害の防止、特に委託者の保護を強化するための措置として取りまとめたものであり、昨年十一月二十四日の商品取引所審議会の答申の趣旨に沿ったものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一は、商品取引の受託業務を許可制としたことであります。さきに申し上げましたとおり、現行法におきましては、主務省の登録を受ければ商品仲買い人として売買取引の委託を受けることができるわけでありますが、その資質の向上をはかるため登録制を許可制に改めるとともに、営業所の設置規制、資産要件の大幅強化、主務大臣の措置命令の充実等を行なうことにいたしました。なお、商品仲買い人の名称も商品取引員と改めております。
第二は、商品取引員に対する委託者の債権の保護を強化したことであります。すなわち、商品取引員は委託者のために取引所に対し受託業務保証金を預託しなければならないものとし、この保証金については、委託者は直接取引所に対してその請求権を行使することができることにいたしました。また、受託業務保証金の額は、委託者の債権の額に対応させるため、預かり委託証拠金の額の相当割合以上となるようにしております。
第三は、商品取引員の禁止行為を法令上明記する等により、その業務の適正化をはかったことであります。従来、委託者と商品仲買い人との紛議は、受託業務が不適正であったことに起因するものが大多数であったことにかんがみまして、行き過ぎた勧誘行為、取引内容を一任されての受託等を禁止するとともに、商品外務員に対する取引所の監督を強化しております。
以上のほか、この法律案では、今後の取引所制度の健全な運営に資するため、取引所の定める受託契約準則を届け出制から認可制に改め、また、取引所の理事長は定款に特別の定めがあるときはみずから理事の一部を選任するものとする等の改正を行なっており、なお、受託業務の許可制の実施に関し、既存の商品仲買い人に対して三年間の経過措置を講じております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/45
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046・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ついで政府委員から補足説明を聴取いたします。熊谷企業局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/46
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047・熊谷典文
○政府委員(熊谷典文君) 商品取引所法の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申し上げますが、資料といたしましては、ただいまの提案理由の次に掲載してあります。
商品取引所法の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨については、さきに御説明申し上げたとおりでありますが、この法律案の概要につきまして、補足的に御説明申し上げます。
まず第一に、受託業務を許可制としたことであります。現行法におきましては、会員で資産上の要件その他の形式要件を満たしている者であれば、商品仲買い人の登録を受けることができたのでありますが、改正法では、その資質の向上をはかるため、主務大臣が許可基準により審査し、受託業務を行なう適格性を有すると認めた場合に限り許可を与えることといたしました。その許可の基準といたしましては、一、受託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該受託業務の収支の見込みが良好であること。二、受託業務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。三、営業所が設置される地域における当該商品の取引の状況、営業所の数等に照らし、当該受託業務が必要かつ適当であること。の三点によることといたしております。なお、許可は取引所の上場商品ごとに行ない、許可を受けた者を商品取引員と称することにいたしました。また、資産上の要件としての純資産額につきましては、従来はそれぞれの取引所においてその最低額を定めておりましたが、商品取引員が許可制になったことに伴いまして、上場商品ごとにその額を政令で定めることといたしました。この場合、二以上の上場商品について許可を受けた者につきましては、許可を受けた上場商品について、それぞれの政令額を合算し、営業の規模に応じた純資産額を確保することといたしております。さらに、商品取引員に対しましては、主務大臣が委託者保護のため必要かつ適当と認めるときは、その財産の状況、業務の運営につき改善を命ずることができるようにいたしました。
第二に、従来の仲買い保証金の制度を強化拡充し、商品取引員はその受託業務につき委託者のために、受託業務保証金を取引所に預託しなければならないことといたしました。受託業務保証金の額は、本店につき六十万円から九百万円、従たる営業所一カ所につき二十万円から三百万円の範囲内で商品ごとに政令で定める額を最低限とし、その額が預かり委託証拠金の相当割合を下るときは、その差額を追加することになっております。そしてこの受託業務保証金につきましては、商品取引員に対して債権を有する委託者は、その弁済を受けるため、いつでも直接取引所に対して払い渡しを請求することができるものといたしました。
第三に、受託業務の適正化をはかるため、必要な規定を設けることといたしました。すなわち、商品取引員に対して、利益保証等による不当な勧誘、一任売買その他委託者の保護に欠け、または取引の公正を害する行為を禁止し、また、商品外務員が委託の勧誘に関して著しく不適当な行為をしたときは、取引所はその登録を取り消し、またはその委託の勧誘を制限しなければならないものとしております。商品取引員が委託者から徴する委託証拠金の料率につきましては、従来取引所が定めておりましたが、受託業務の適正化の一環として、その基本料率は商品ごとに主務大臣が定めることにいたしました。
以上のほか、この法律案では、取引所の受託契約準則を届け出制から認可制にし、また、理事長が理事を選任する制度を設ける等の改正を行なっております。なお、既存の商品仲買い人に対する改正法の適用につきましては、三年間はなお登録制のままで受託業務を行ない得ることとしており、さらに純資産額、受託業務保証金の額等につきましても、三年の間に目標額に達するように、段階的に引き上げていく予定であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/47
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048・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、予備審査の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。塚原総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/48
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049・塚原俊郎
○国務大臣(塚原俊郎君) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
本改正案は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の運用を強化するため、公正取引委員会の事務局の機構を拡充し、定員を増加しようとするものでありまして、その内容は、第一に、公正取引委員会の事務局に地方支分部局として、新たに高松地方事務所を設置し、第二に、公正取引委員会の事務局の定員三百七人を三百三十六人に改めようとするものであります。
これらは、第五十一国会において私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が可決された際の附帯決議の御趣旨を尊重いたしたものでありますが、このように公正取引委員会の事務局の機構等を整備拡充することにより、違法な価格協定等の取り締り、違法な再販売価格維持行為の規制、管理価格の実態の調査、不当景品類及び不当表示の規制並びに下請代金支払い遅延等の防止に関する業務を充実し、もって物価対策、消費者行政及び中小企業対策の強力な推進をはかろうとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/49
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050・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいま説明を聴取いたしました四案の自後の審査は、これを後日に譲ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/50
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051・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいま委員の変更がございました。宮崎正義君が辞任をされ、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00619670525/51
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