1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
午後二時七分開会
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
鈴木 一弘君 白木義一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 鹿島 俊雄君
理 事
井川 伊平君
近藤英一郎君
柳田桃太郎君
阿部 竹松君
委 員
上原 正吉君
重政 庸徳君
津島 文治君
宮崎 正雄君
横井 太郎君
大矢 正君
小柳 勇君
近藤 信一君
竹田 現照君
椿 繁夫君
白木義一郎君
矢追 秀彦君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 菅野和太郎君
政府委員
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
中小企業庁長官 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/0
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001・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の変更について報告いたします。
昨日、鈴木一弘君が辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/1
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002・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付の中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
先般、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日は、まず補足説明を聴取いたします。影山中小企業庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/2
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003・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案につきまして、その補足説明を申し上げます。
御承知のどおり中小企業近代化促進法は、中小企業の業種別の近代化を促進し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として昭和三十八年に制定された法律であります。制定後四十一年度までにすでに八十余の業種が指定され、それぞれの業種ごとに実態調査、近代化計画の策定、その推進等がはかられておりまして、わが国中小企業の近代化に大きな役割りを果たしております。中小企業近代化計画の推進をはかるための措置といたしまして、中小企業近代化促進法上二つの課税の特例措置が設けられております。第一は企業規模の適正化等をはかるための合併、共同出資等の場合の課税の特例であります。また第二は、中小企業の自己資本充実のための割り増し償却の制度であります。
御審議をいただきます今回の改正点の第一は、本法第八条におきまして、合併、共同出資等の場合の課税の特例の適用が受けられる中小企業のうち、企業組合につきましては、出資の総額五千万円以下、またはその事業に従事する組合員の数が三百人以下のものに限定されておりますが、その限定を削除しようとするものであります。
また改正の第二点は、本法第九条におきまして、割り増し償却の適用が受けられる中小企業者は、一律に資本の額または出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人に限定されておりますが、元来この法律第二条第三号によりまして政令で中小企業者の定義の特例を定めることができるとされておりまして、現に陶磁器、ゴム製造業、工業等労働集約的な業種につきましては、従業員数の特例を定めておりますことにかんがみまして、政令規定の範囲にまで割り増し償却の適用を広げようとするものであります。以上の結果、中小企業近代化足進法の課税の特例措置は、本法上の中小企業者すべてに適用されることになり、中小企業の近代化は一そう強力に推進されることになるものと考えております。
また本改正法案の施行期日は、昭和四十二年六月一日となっておりますが、これは本改正法案に対応する租税特別措置法の改正法案が六月一日から施行されることとなっていることによるものでありますので、何とぞ御了承をお願いいたします。
以上がこの法律案の補足説明でございます。何とぞよろしく御審議くださいますよらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/3
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004・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/4
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005・近藤信一
○近藤信一君 まず、内容に入る前に若干質問をしておきたいと思うのですが、きょう大臣が、一時から委員会という公報でありましたけれども、それが理事会で二時になった。私のところには朝参事官が参りまして、内閣委員会が終わったらすぐこちらのほうに入るというお話でしたが、いま聞きますると、何か商工会の大会があったからそちらのほうへいらっしゃったので時間が一時間延長になったと私聞いておるんですが、それはいかがですか。ほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/5
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006・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/6
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007・近藤信一
○近藤信一君 大臣は、いま長官が補足説明の中でも言われましたように、六月一日からこの法律施行ということでございますが、この六月一日といいますると明後日でございます。委員会も、いま委員長の報告によりますと、あすも開かれるそうでございますが、きょうはこの法律案を何か上げるように理事会では御相談なさったようでございまするけれども、実際問題として、きょう本委員会でこれを審議して上がればよろしいんでございまするが、上がるとはこれ必ずしも決定したわけでございません。やはり上がらない場合もあるわけなんでございますが、六月一日までにこれがもし成立しなかった場合に、一体大臣はどのようにこの法律案の処理というものをやっていかれるか、その点をひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/7
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008・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほど私は全国商工会の大会に出たのでありますが、これは毎年やっておりますので、毎年通産大臣が出席して祝辞を述べることになっております。しかし、こちらのほうの委員会の都合で、もし出席ができなければ次官に出席してもらうというつもりにしておりましたが、何か話し合いができて出席してもいいということを承ったので商工会に行ったような次第でございます。一時が二時に商工委員会が延びたから、その間に商工会の総会に出てもよろしいということで参ったような次第でございます。
それからなお、この一部改正法律案は租税の特別措置法の関係もありますので、これは委員会でおきめになることでありますが、できればひとつすみやかにおきめ願えれば幸いだと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/8
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009・近藤信一
○近藤信一君 私も長年商工委員で本委員会でやっておるんですが、今度の近促法の問題は前からわかっておる問題である。また衆議院の審議もおくれておることは、政府もまた中小企業庁もよく御存じのことだと思うんです。それが中小企業庁からも何とも話がない。また政府からも何とも話がない。先週の木曜日に私も心配しまして、一体どうなっているんだ、これは政府のほうはそう重要でないのかな、こちらに審議促進も何もこないんだから、一体この点は六月一日という施行期日があるけれども、いまだに何にも話がないというところを見ると、これはそうたいしたことないだろう、こういうふうに私は考えておったんですが、先週の木曜日の午後に長官が来られて、こういうことだからというお話はございましたが、一体今度国会に出されましたこの近促法の改正は、大臣はどのように考えてみえますか。この点ちょっとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/9
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010・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) この法案は近藤委員も御承知のとおり、中小企業の近代化の意味において重要であるし、前から出しておる法案でありますので、私のほうもこの法案を重要に考えておりますし、ほかの中小企業に関するいろいろな法案と相まって、これは万全を期することのできる法案だと考えておる次第でございます。なお、連絡の点が十分でなかったことは、これは私からもおわびいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/10
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011・近藤信一
○近藤信一君 しかも、この法律はわが党といたしましても賛成の法律でございまするから、実を申しますると、私のほうが心配したいくらいなんです。一体政府や関係の中小企業庁も何とも言わないんだが、どうしているんか、さらにもう一つは、いつも差し迫った法律を、特に中小企業問題の法律になりますると、どうせ社会党もこれは賛成するのだからぎりぎりでいいと、こういうふうなお考えがあるかどうかしれませんけれども、いつも差し迫まってこういう問題がくるということはまことに私は遺憾だと思うのです。しかも、それはやはりあなたの立場からいけば、参議院の社会党はみなおとなしい連中ばかりだからという、あなたのほうで安易な考えがあるかもしれません。しかしそれでは困る。私は国民にとって、国会、参議院の軽視ということになるんじゃないか。審議もきょう上げるといたしますると、わずか三時間か四時間、こういうことでございまするから、これでは私は国民に対しても実際申しわけないので、そういう点、やはり私は従来もそうであったが、今後はもう少し審議の期間というものを十分に見ていただきたい。それでなければ、私どもといたしましても責任が持てぬじゃないか、理事が苦労するだけでございまして、ほんとうに私どもといたしましてはまことに遺憾だと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/11
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012・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 前はどうであったか知りませんが、今回御連絡が不十分であって、まぎわになって御審議をお願いするということになったことにつきましては、これはいろいろ手落ちがあったと思いまして、その点は先ほどもおわびしたように申しわけないと存じております。決して参議院を軽く見るとか大それた考えは持っておりませんから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/12
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013・近藤信一
○近藤信一君 誤解をしておるとかなんとかじゃないんですよ。これは基本的な問題だと思うのですよ。やはり衆議院では少なくとも三日ぐらいの審議をとっておるわけなんですよ。参議院はいつも半日か一日で何とかしてくれということで、あなた方は押し迫ってから言ってくるんですよ。これ自体が私は参議院の軽視ということに尽きるのじゃないかと思うので、そのことについて大臣どう考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/13
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014・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) そういう問題につきましては、これはあるいは参議院、衆議院の国対や何かの、幹事会か何かのいろいろ関係であると思うのでございまして、御趣旨の点は自民党の執行部のほうへよく連絡して、今後よく参議院と連絡して法案を進めるようにひとつ私からも伝えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/14
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015・近藤信一
○近藤信一君 ただこの法案だけでなくて、今度も中小企業の法案が五本商工委員会にかかっているわけですね。これは毎年中小企業の法案が国会に出る。中小企業の問題であり、また中小企業の当面しておる状況から判断いたしまして、私どもできるだけ何とかこれを早く通して、そして中小企業者の皆さんにこたえなきゃならぬ、こういうふうに思っておるわけですが、そういう点で私どもといたしましては、よけい心配するわけなんで、これはほんとうに私どもがよけいな心配することはないかもしれませんけれども、やはり中小企業が今日待っておるこの法案でございまするから、私どもは何とかこれに協力したい、こういうふうに考えていろいろと心配しておるわけなんで、何もいじわるく大臣をどうこうというわけじゃございません。ただ私どもといたしましては、法案の審議が非常に参議院においては、いままでもそうでございましたが、期間が短い。短くてはあまり十分な審議もできないから、もう少し幅をもって審議期間というものを見ていただかなければならぬ、これが私どもの希望でございますし、将来もひとつそういう面でもう少し当局も積極性を持ってもらいたいと私は思います。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/15
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016・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 近藤委員が中小企業の問題について熱意を持っておられるということを承って、私も非常に感激いたしておるのでありますが、中小企業の問題に限らず、すべて法案は参議院、衆議院ともにお互いが平等で法案を審議するのだというふうに考えておりますので、そういう点につきましては、執行部のほうへよく伝えて、参議院ともよく連絡して、すべての法案を審議するように私のほうからも伝えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/16
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017・近藤信一
○近藤信一君 過日の本会議で、私も中小企業白書について質問いたしましたように、いわゆる四十一年度の倒産件数というものが非常に多く出ている。そしてこれは戦後最高の記録だということが伝えられておりますし、また、特に中小企業の倒産が一昨年から昨年にかけて多くなったことは、大臣御承知のとおりだと思うのです。このことは、私がここ二、三年前の本委員会におきましても、倒産の傾向というものはやはりここ一、二年、中小企業、特に小零細企業の倒産も出てくるであろうから、これに対するところの体制というものを十分に整えていかないと、あとで政府当局としてもこれは何ともならぬのじゃないか、こういうことになるから、やはり中小企業の倒産の見通しの上に立って、いろいろと対策を立てなければならぬ、こういう私は発言をした記憶があるのですが、ちょうど昨年の倒産は、そういう傾向にあって、一昨年から昨年にかけてそういう傾向になってきておる。そういう倒産件数が、過般の白書におきましては、だんだんと生産も上向いてきて、倒産の件数はだんだん減っていくだろう、いわゆる中小企業の倒産はなくなっていくであろうということがあの報告書には書いてあったと思うのですが、そういう見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/17
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018・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 現在におきましても、景気の回復にもかかわりませず、中小企業の倒産は高水準で進んでおるわけでございますが、今後は私どもといたしましても、この倒産の数字は少なくしていきたいということで、努力をいたしていきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/18
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019・近藤信一
○近藤信一君 まあ倒産の件数は少なくしていく、こういう長官の御答弁でございましたが、そんなことは私が聞くまでもなく、倒産の件数を少なくしていくというのは当然のことであって、やはりそういう倒産の見通し——倒産の件数を少なくしていくことは当然でございまするから、そういう上に立って今度のいろいろな法律案が本国会に提案されたと私は思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/19
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020・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/20
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021・近藤信一
○近藤信一君 さらに、こういうな書類を見ましても、また出版物を見ましても、今年度の中小企業の一番大きな問題、それは何であるかというふうなことが述べられておるわけでございますが、それはやはり資本自由化に対するところの中小企業の被害、これが一番大きいだろうということがいろいろ出版物などにも、また新聞等にもこれが報道されておるわけでございますが、この中小企業が資本自由化に対して受ける影響といいますか、これについての見通しはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/21
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022・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 中小企業に対する資本の自由化の影響というものは、ほかの企業に比べて甚大であるというふうにわれわれ考えておるのでありまして、これは申すまでもないことでありますが、中小企業は技術的に見てもおくれておるし、資本力も弱いし、また販売力においても弱いということで、大資本が日本に入ってくれば、いきおい打撃を受けざるを得ないということで、したがいまして中小企業については、全般的に今度の資本自由化は認めないという方針でおるのであります。が、しかし、今後体質改善して中小企業が競争力を持つようになった場合には、中小企業の自由化は認めようということで、漸進的に行きたいという考えで、まず中小企業の体質改善、中小企業が国際競争力を持つという意味で、今度の中小企業の振興事業団なり、あるいは繊維産業の構造改善臨時措置法というようなものを設けて、国際競争力を持つように体質を改善せしめていく。いよいよ競争力を持つようになった場合には、自由化を認めるという方針で進んでおって、中小企業には打撃を与えないような方針で進んでいることをひとつはっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/22
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023・近藤信一
○近藤信一君 過日の私の本会議での質問に対して、大臣は、中小企業というものは大企業と持ちつ持たれつで、共存共栄をしていく、それから消費生活が向上すれば、中小企業というものはその消費生活に必要な物質をつくったりするから、これまた中小企業の発展というものはあり得るのだ、そういうふうにひとつ考えていただけばいいのだというふうに御答弁されたわけでございますが、私が判断するところによりますと、やはりこれとは若干私は違うと思うのです。特に国際競争、資本自由化に対する国際競争力が強化されてくれば、大企業というのはおおむねそのしわ寄せというものを中小企業のほうに持ってくる。中小企業を踏み台にして、自分たちが国際競争に勝たなければならんという考え方の独占資本、大企業というものが私は多いと思うのです。これがために、たとえば一つの例をとりますれば、日産自動車のごときはそれが明らかにあらわれていると思うのです。特に日産とプリンスとの合併によって大きな被害を受けたのは一体だれであるか。これは大臣はまだ当時通産大臣でなかったのでございますけれども、特に小零細企業というものがおおむね大きな被害を受けている。プリンスの下請の小零細企業が相当多くこれは切り離されたということで大きな被害を受けているのです。だから大臣がいわゆる大企業あって中小企業、その親子関係でいかなければならん、こう言われましても、自分たちが生きていくためには、親子関係でも子供を犠牲にする。こういうことでは私は今後の中小企業というものが、忙しいときにはやいやいといろいろ言われて、ひまになるとぽいっと捨てられる。これが小零細企業、中小企業が今日まで現実に見せつけられてきた経営の状態じゃないかと私は思うのですが、大臣は共存共栄みたいなことを言っておられるのですが、私はこの点は過去の実績から見て、若干の誤りがあるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/23
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024・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いま近藤委員がおっしゃったような事例もそれはあったと思います。しかし、また親企業が下請業者をはぐくむことによって、親子ともに栄えている企業の事例も多々あるのであります。でありますからして、私たちの考えとしては、親企業が盛んになるためには、やはり子供の子企業も、中小企業も盛んにしていくというようにやった会社が、私から見ると、それが長く繁栄しているように思うのでありまして、親企業はやはり自分の下請業者をはぐくむという精神でやってもらいたいというわれわれは考えをいたしているわけであります。中には下請業者を搾取する業者もあります。しかしそういう業者は、長い目で見ておりますと、私は繁栄してないような気がするのであります。しかし、いま近藤委員のおっしゃった事例もあるかとも思います。そういう場合には、われわれといたしましては下請業者をひとつかばうようにできるだけ努力したい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 大臣は、長い目で見ればとこう言われるけれども、いまの経済変動からいきますと、長い目で見ているうちに中小企業はどんどんと倒産をしていく。これがいまの経済の変動なんじゃないかと私は思うのですが、その長い目ばかりで見ておっても、経営がなくなれば何ともならんということになるわけなんで、特にこれは私どもが方々でお聞きする業界のことばというものは、やはりわれわれが——いまはどうか知りませんよ。昨年あたり私どもがいろいろと業界から聞くところでは、いろいろと仕事の意欲は自分たちは持っておるのだが、実際仕事がないのだと、やりたくて本仕事がない。そのことは、やはり機械の問題もあろうかとも思うのですが、だんだんと精密機械になってきた。それから特に自動車産業というようなものは、がたがたの機械ではこれはいけないので、やはり精密な機械が必要だ。そのときに、小零細企業の持っておるその作業能力というものは、それに追いついていけない。そこで今度の近代化促進法の法律の改正ということも必要であろうかと思うのですが、ところが、実際にこの近代化促進法で金を借りてひとつ新しく近代的な機械を入れようという会社は、自分の能力でも入るようなところも私は往々あると思うのです。私御相談を受けましても、そういうところは自分の資力でもできるけれども、若干足りないというところである。ところが、自分の資力もない、実際に金を借りようとする、金を借りてもあとの支払いというものに対して頭を痛めるという企業も、私は小零細企業としては多くあると思うのですよ。そういうことを考えますると、やはりそういうところには大企業はあえて仕事を発注しようとしない。そこが私は問題だと思うのですね。ある時期にはどんどんどんどんとやらして、それやれそれやれといって追いまくってやらせる。そうして若干余裕が出てくると、もう仕事をぴしゃっととめる。発注をしない。それで小零細企業の業者から何とか仕事をあっせんしてくれというふうな御相談を受けるわけなんですが、私どもといたしましては、大企業が発展するから小零細企業も中小企業も必ず発展するとばかりは私は考えていないのですが、この点は大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/25
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026・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、大企業が発展すれば中小企業が必ず発展するとはそれは限りません。まあ中には大企業と同時に中小企業も栄えるものもあるし、中小企業を搾取することによって大企業のほうもまた栄えるものもありますので、全部が全部と、そういういま近藤委員がおっしゃるようなことでは私はないと思います。そういう事例もあるということは確かだと思います。そこで、いまの最近の情勢から申しますというと、民間設備の拡張で、どっちかというといま下請業者のほうが強くなってきたようです。というのは、大企業が設備拡張や何かやりたいが、下請のほうが間に合わないというので、下請業者を奪い合う、と言うと語弊がありますが、多少そういういま情勢になっていると思うのです。私は下請業者がこの際ひとつ下請企業の組合というか団体をつくっていただいて、そうして抜けがけの功名をせずして、みんなが相互扶助の精神でやっていくという気持ちを持って親企業に対してもらえば、私は下請業者が長く繁栄するのじゃないかとこう思うのです。中には抜けがけの功名をして、そうして自分ばかり注文を取ろうとしていろいろ親企業に対して好条件を提供する、そうして親企業はそれに乗ると、それでほかの好条件を提供し得ない下請業者というものは注文が取れぬというようなこともあるかと思うのでありますが、結局は私は下請業者全体がひとつこの際団結して、そうして親企業に当たっていくというようなことをやってもらいたいと思うのであります。幸い各都道府県におきましても、そういう下請業者の協会をつくって、そうして下請業者の相談に応じ、また下請業者が団結してやっていくということに指導してもらうようなことも考えていただいておるそうでありまして、まあそういうことにおいて通産省としてもそういう指導を今後やっていきたいと、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/26
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027・近藤信一
○近藤信一君 いま一つですね、資本の自由化によって中小企業が大きな影響を受けるであろうということも大臣ももう知っておられる。過日の答弁にもそのことははっきり言っておられるのですが、だから体制を整備してそれから徐々に資本の自由化というものをはかっていくのだと、こういう御答弁でもあったわけでございますが、やはりその体制を整備していって、そして国際競争力で負けないようにしていくというのは、これは大企業のほうの方針で、大企業の体制さえできればそれによって中小企業のほうにも仕事がだんだんとふえてくるから、そうすれば中小企業もだんだんと大企業と同じように歩調を合わせていけるのではないか、こういうことだと私は思うのですが、やはり国際競争力というのをにしきの御旗にして、そして往々にして中小企業が犠牲になっていっておるのがいままでの動向であったと私は思うのであります。だから私はその大企業の体制を強化すると同時に、中小企業に対するところの体制も強化せなければならぬ、こういうことでいかなければ、何か中小企業が置き去りになるような傾向になるのではないかというふうに私たち考えるのです。そこで、やはり中小企業の体制を強化するために本法の改正ということにも私なったと思うのですけれども、だからこれはまああとで私内容についてもお尋ねするわけでございますけれども、一片の法律改正でそれじゃよくなるかというと、なかなかそれは今度は運用の面において壁に当たることが従来の法改正の上からいってもこれは考えられるわけでございますが、そういう点ですね、今後運用の面において通産省としては一体どのように考えておるか、こういう点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/27
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028・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いま近藤委員の述べられたとおり、結局は制度は、制度だけでは決してこれが運用はうまくいかない。活用しなければ、制度だけでは目的を達成できないと思うのです。問題は制度をつくり、どういうふうにその制度を活用するように指導するかということであって、そこがまあ有力な有能な指導者を見出し、また有能な指導者を育成するということ、それでいかなければ、ただ制度をつくったからもうこれで中小企業よくなるというふうな安易な考えはわれわれしていないのでありまして、この制度を活用するということに重点を持っていかなければならない。私から言うと、制度は死物で結局人の問題だと思うのであります。そういう意味におきまして、今度中小企業振興事業団法でも指導ということをやっぱり重点に置いておるのでありまして、ただ単に制度だけでは中小企業というものは振興できない、やはり指導ということでいきたいというので、今回振興事業団を設けて、そして指導あわせて同時に制度の活用ということでいきたいと、こういうことでいっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/28
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029・近藤信一
○近藤信一君 中小企業というこの範囲というものは、大臣も御承知のように非常に広範囲にわたっておるわけですね。通産省関係にもあり、農林省関係にもあり、さらに運輸省いろいろと広範囲にわたって中小企業の存在というものはある。いろいろといま新聞なんかにも出ておるように、一九七〇年の万博を目ざして、万博の事業は非常にこれから忙しくなるであろう、中小の建築屋はみな大阪のほうに吸収される、こういうようなことが新聞にも出ておるわけですよ。これは東京オリンピックの際にもございましたけれども、東京オリンピックだからといっていろいろと道路整備等々がございまして、多くの業者が東京に集中された。それでオリンピックが終わりました直後に建築業者の特に小建設といいますか、そういうのがつぶれたことは大臣御承知のとおりだと思うのですが、それと同じような傾向が一九七〇年の万博を目ざしていま建築業界ではゆれておるというふうに私新聞なんか見て思っておるんですが、万博は大臣の地元でございますし、大臣は万博を成功させるために大いに腕によりをかけていきたいと構想を練っておられると思いますが、その後における倒産問題、これの見通し、これに対する万全の措置というものはいまから私は講じていかなければ、対策は、倒産してからあれあれということでは、私は東京オリンピックの土建業者と同じようなことを繰り返すことになると思うのですが、これに対するところの大臣の所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/29
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030・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 東京のオリンピックのときには、やはり全国の土建業者が東京へ集まっていろいろ事業されたと思いますが、今度の万国博覧会におきましても、やはり万国博覧会自体並びにこれらに関連する公共事業というようなものが相当な金額にのぼりますので、したがって、全国の土建業者が勢い大阪へ集まらざるを得ない。私は全国の土建業者を総動員しなければ万博の準備ができないじゃないかということを私は心配いたしておるのでございますが、それで万博が終わったらあと困るじゃないかというお話ですが、東京のオリンピックのときには、ちょうどあのあとが日本の経済界が不景気になってきたのでその影響が相当私はあったと思うのでございます。したがって、土建業者の倒産者が相当あったと思うのでございますが、万国博覧会はオリンピックと違います。万国博覧会は博覧会自体もこれはもちろん外国からも人が来るし、日本人も三千万以上の人が集まって来たりしていろいろ金も動きますが、しかし私は博覧会のあと、これによって日本の産業なり他の文化を発展せしめる一つの動因にしなければならぬと考えておるし、また世界各国の万国博覧会のあとを見ましても、博覧会のあとのほうが繁栄しております。たとえば、近いところで昭和三十三年のブリュッセル博覧会は、あの博覧会のあとがベルギー全体の産業が発展しておるのであります。でありますからして、私はこの万国博覧会にまあ相当な金も使いますけれども、しかし私はこれで日本の産業が世界に紹介される、同時に世界の新しい産業界をわれわれが見ることによって、またわれわれが指導啓発されるということによって、私は日本の産業というものはこの万国博で一大飛躍してもらいたい、こう念願しておるのでありまして、そういう意味で私はむしろ博覧会のあとに日本の産業が発展するということにおいて、むしろ私は楽観論を持っておるのでありますが、その点においては土建業者もひとつ注意して、慎重に、また事業の拡張をやってもらいたいと思いますが、しかし私は博覧会には、どうしてもこれに間に合わすためには日本の土建業者を総動員して、またそういう労務者も総動員してひとつやらなければ間に合わないのじゃないかということを実は非常に心配いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/30
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031・近藤信一
○近藤信一君 大臣も言われておりますように、東京オリンピックの際にはその直後に周期的な不況の波があって、それは偶然こうあったのだ、万博は成功をしてそんなことはないだろうと、これは一つの見通しなんでございますが、たとえば万博は成功したが、やはりそのときにちょうど経済の変動の周期的な波がこの一九七〇年の直後にきた場合に、これまた同じような状態にぶつかるんじゃないかと私は思うんですが、大臣首を振っておられるから、そんなことは絶対ないという御自信満々なことだと私思うのですが、そういうことでなければ私は何も心配する必要はないと思いますが、やはり大きなああいう行事があったあとというものは、おおむね過去の歴史を見ても一応下降の波がちょうどそこへくるわけですね、私はそれを心配するわけなんですよ。特に大阪は商業の都市でもあり、また工業の都市でもある。大阪にも中小企業の業者も相当たくさんあるわけでございまして、まあ万博でひとつ大いに張り切ろうというのが大阪商人の動きじゃないかと思うのですが、やはり私はそういう大きな国際的な行事は成功したが、その直後に今度は国内に大きな変動があった、こういうことでまた倒産が出てくる、こういうことであっては私はならないと思うのです。そのときにやはり倒産のしないような対策というものが私は必要だと思う。まあ政府としては先の見通しの上に立って、こういうようなことをやっていかなければならぬ点じゃないかと思うのです。ところが、往々にして今日までの動きというものは、やはりいろいろ経済の変動があって倒産が出てくる、そうすると倒産対策といって何か法律の改正ということが出てくる、これではいつもあとを追いかけているということになって、先の対策じゃないと思うのですね。出てからの対策ならだれでもできるわけなんで、出ない前に対策を立てるというのが私は当局の立場じゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/31
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032・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、事が起こって後の対策というのはびほう策であって、これは大きい意味の私は対策でないということは近藤委員の御意見と同じことであります。そこで、政府としては、やはり大きい意味の対策を構ずることが政策だと私は考えております。できたことは、あとびほう策びほう策でやることは、これも行政だと私は考える。そういう意味において、まあ今後は政府としてはそういう国策を立てる場合には、先を見通して国策を立てるということで進むべきだというように考えておるのでありますが、それは先ほど経済の周期で、ちょうど万博が済んだあとは経済が不景気になるのじゃないかというお話がありましたが、最近の経済情勢としましては、経済周期ということが近ごろはあまり起こらないのでありまして、これは戦争前の資本主義時代は経済の周期があって、景気がよければあとは不景気がくるというような周期的な現象が生じておったのでありますが、それが最近においてはないのであります。やはり世界大勢全体の影響で経済がよくなったりなんかいたしますから……。しかし、日本ではアメリカが景気がいいにもかかわらず、日本の景気が最近悪くなったということで、これは過度の経済成長政策の私はひずみの結果だとこう思うので、あのときに経済成長がすべて平等に成長しておれば、こういう不景気はこなかったのではないか、こう私は考えておる。というのはアメリカでも景気がいいし、ほかも景気がよかったですから。したがって、その点においてわれわれ大いに反省させられておるのであります。まあ個々におきましても、やはりすべての経済活動が平等に発展していって、そしてひずみの起こらないような経済政策をとるということが私は肝心だと思うのでございます。そういう意味において、今後政府もそういう方針でひとつ経済政策を立てていくべきだと、こういうように私も考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/32
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033・近藤信一
○近藤信一君 わが国の産業というのは、おおむね多種小量生産でやっておる、幾つもこの業態が分かれておって、また、それに従って中小企業もいろいろな業種に分かれて、そして大量生産ということは中小企業ではできない。大量生産はおおむね大企業が手がけておるわけでございますけれども、ところが、流行を追っていろいろとやる職種なんかにおきますると、次から次に変わっていく、それに従って機械等々もかえていかなければならぬということが出てくるわけですね。特にそれは中小企業の分野のほうが多いのじゃないかと思うのです、大企業よりも。そのときにこの中小企業が近代化の波に乗れるかどうか。いま大臣も言われましたように、今度は中小企業振興事業団というものをつくって、そうした対策も立てられると私は思うのでございまするけれども、やはり多くある中小企業、先日も御答弁の中にございましたように、四百何十業種という中小企業があり、今日では二千四百万の従業員をかかえておる中小企業、これが政府の言っておられるように、近代化の波にすべてが乗っていけるかどうか。私はこの点に対して若干の疑問を持つわけでございまするが、これに対して大臣はどう考えておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/33
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034・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) お説のとおり中小企業が近代化するについては、自分の力がないとは言えないが弱い。大企業に比べたら弱いということは言える。大企業は大体政府がそれほど指導しなくてもみずからの力で近代化もやれますが、しかし中小企業はみずからの力でやることが非常に弱いからして、したがって中小企業という問題があるのだし、何とかしてわれわれも中小企業をできるだけ政府のほうでも援助したい、助力したいということでいろいろ法案をつくりまして、皆さま方の御審議をお願いしておるのでありまして、大企業は大体放っておけば自主的にやっていけるという能力を持っておるというように考えております。そこで問題は、中小企業では自力が弱いという点において、したがいまして、たとえば新しい機械を購入することができないという場合には、ひとつ機械を政府が買うて貸してやろうというような制度、あるいは中小企業が寄って協業でやっていく、協同組合でなくして協業でやっていくというようなことで、ひとつお互いの弱い力を合わせて一本になるというようなことを今後は極力指導していくべきではないかというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/34
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035・近藤信一
○近藤信一君 協業の問題につきましては、別の法案が出てまいりまするから、その際に私いろいろとまたお尋ねするといたしまするけれども、いま協業するように指導すると言われても、やはり親の代からずっと中小企業として生きてきて、そうして私どもは中小企業というものはいっぱしの経営者ではないのだとくどいても、いや、おれは経営者だ、一国一城のあるじだ、この概念というものは私はなかなか抜けないと思うんですよ。それを今度は無理にあなたのほうが法律をつくって、協業せい協業せいと言われましても、私はなかなかこの点は踏み切れないというのがいまの中小企業者の立場じゃないかと思うんですが、だから協業組合ができて協業さして、それによって近代化をしていくといっても、なかなかこれは大臣が考えておられるような、机上でプランを立てておられるようなぐあいには私はいかないのじゃないかというように思うのです。それと中小企業の近代化というものは、ここ三年や四年や五年ではなかなか近代化の方向には足並みがそろっていかぬ。そうすると、大企業は一方国際競争力と対抗していかなければならぬということで体質の改善をどんどんやっていく。そうするとますます中小企業部門がおくれていく。この格差というものは私はなお大きくなっていくのではないかというふうにも思うのです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/35
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036・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、中小企業のテンポはおそいし、大企業は早いということは事実でありますので、そこで中小企業という問題が、これはもう与党も野党も選挙のたびに、口を開けば中小企業の育成ということを言うておるけれども、中小企業の問題は決して消えていないのであります。それだけこれがむずかしいということです、お話のとおり。これは簡単なものであれば、中小企業の問題はとうに消えてしまったと思うのですが、それがますます中小企業の問題がやかましいというのは、これはそう簡単にはいかない。だからして、政府が指導するにしてもこれは普通の努力ではいかぬと思うのです。こちらも熱心にまあ説得するし、勧誘するしということで乗り出さなきゃならぬ。そういう意味では先ほど申し上げましたとおり、有能な指導者を選んで、献身的に中小企業のために働くという人、こういう人を私は見出したいと思うのです。そういう人にひとつ中小企業の指導をやってもらいたい。ただ事業団ができたから、それでもう中小企業の問題は、中小企業がよくなるというように私たちは安易に考えていないので、そういう有能な指導者をこれはもうわれわれに限らず、皆さん方もまた選んでいただいて、御推薦していただいて、そうしてひとつ有能な指導者によって指導してもらって、このむずかしい問題の解決に進んでいきたい、こう決意いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/36
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037・近藤信一
○近藤信一君 中小企業の指導者が非常に現在少ないということは私も認めるわけです。少ないから中小企業の運営というものがうまくいかぬ。まあそのためにいろいろと通産省としてもこれからあらゆる面において御努力をしていただくのは当然だと思うのですが、やはり中小企業の現状というものは、私はそう簡単には大臣が考えておられるようなうまいぐあいにはいかぬのじゃないか、やはりこれはいつまでたっても中小企業は中小企業として私は残っていくと思うのですよ。今度の協業組合によって協業させて、そうしてやるんだといわれるけれども、私は残っていく、依然としてまた競争をしなければならぬ面が出てくるのじゃないかと思うのですが、やはりそういうことを御心配になって、いろいろと政府としても今後法律の改正、また新しい法律を出して、何とか今日の中小企業の現状というものを打開していかなきゃならぬと努力しておられることは、これは私ども認めます。それがゆえに私どもはやはり中小企業に対するところの法律案の改正というものは重要であり、今度の近促法の改正というものもそういう意味において非常に重要な意義を持っておると思うのです。昨年もこれを改正されまして、そして企業組合が入ってきたというふうなこともございますし、今度の改正もやはりねらいというものはそこにある。そういう点で昨年の三月三十日の記録に出ておるんですが、当時豊田委員が質問されて、企業組合でほんとうの近代化の実というものが上がるかどうかという質問をされたわけなんで、そのときに、当時の御答弁は山本長官——いまの次官が答弁をされたわけですが、企業組合が現在まあ五千ほどあって、その中で積極的に活動しておるのは約三百だと、こういうふうな御答弁があったんです。指定を受ければ、その恩典を受けて相当な活動をするのが出てくるであろうと、こういうふうに山本長官は答弁をされたわけですが、一体現在どれくらい積極的に活動しておる企業組合というものがあるか、この点大臣では無理かもしれませんので、長官から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/37
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038・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 大体におきまして、先般山本前長官が答弁いたしましたように、数は三百程度ということでございますが、まあ近代化促進法のたとえば割り増し償却の適用を受けますところの業態を調べてみますというと、大体全般におきまして六〇%程度はその恩典に浴しておりますので、そういうことから昨年一年間で指定されまして、まだ実績が十分把握がされておりませんけれども、十分な効果をあげつつあるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/38
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039・近藤信一
○近藤信一君 いま長官六〇%と言われたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/39
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040・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 増り増し償却の利用状況、サンプリング調査をいたしました場合に、これは企業組合だけではございませんで、全般的に大体六〇%の企業が活用いたしておりますので、それを類推いたしまして、少なくとも六〇%ぐらいは企業組合においてもその恩典に浴しておるというふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/40
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041・近藤信一
○近藤信一君 昨年ですね、山木長官が五千のうちで三百ぐらいだということになると、これは一〇%にも達しないのですがね、そうでしょう。その後この一年間で積極的な活動をしておる企業組合、この数を私はいまお尋ねしたのですが、これは一体どのくらいになっておるかということなんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/41
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042・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) その後積極的に活動しております企業組合につきましては、まだ調査が十分行なわれておりません。ただ、このたび企業組合の税制の恩典を受ける範囲を拡大いたしますので、それは大体いまの五千の企業のうち積極的に活動している——大体大規模の企業組合ということになると思いますが、二十企業組合ぐらいは少なくともその恩典を積極的に活用しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/42
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043・近藤信一
○近藤信一君 昨年から指定されたのは一体どのくらいあるのですか。いわゆる去年山本長官が、指定されればもっと積極的な活動をするのはふえるだろうと、その恩典に浴してふえるだろうと、こういうふうに答弁しておられるのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/43
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044・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 昨年までは全部の企業組合には適用されていなかったわけでございます。その結果、現在五千企業組合あるわけでございますから、それが全体が租税の特別措置の恩典を受けるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/44
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045・近藤信一
○近藤信一君 これは近代化促進法の改正は、今度は特別課税措置を本法でいうところの中小企業者、これはすべてに今度は適用されると、こういうことでございまして、そうすると今度は多くふえてくるわけですね、数が。一体いまその数はどれくらいのあれになるか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/45
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046・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 今度の政令の対象になります、定義で例外を定めてございますところの業種につきまして一々当たってみたわけでございますが、大体五十から六十の企業がいままで当たったところではその範囲拡大の対象になると考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/46
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047・近藤信一
○近藤信一君 いままであなたのほうで、いまも長官御答弁になりましたように、いろいろと調査は進めておられるわけですね、調査を進めてきて、その中で五十か六十ぐらい、こんなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/47
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048・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 近代化促進法の対象になっておりますところの業種に属する企業は二十七万企業ございます。このたび政令の特例範囲まで広がる場合にさらに恩典を受ける企業数というものは、いままで調べた限りでは五十数企業ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/48
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049・近藤信一
○近藤信一君 指定業種として本年度新たに追加する業種としては一体どれくらいの数があるか、それから現在までの指定業種は大部分が製造業であったと私思うのですが、それを今度は商業部門までにこれを発展させる考えでおるのかどうか、そういう見通しでいろいろとまた問題が出てくると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/49
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050・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 昭和四十二年度におきましては、大体二十五程度の業種を指定いたしたいと思いまして、現在調査をいたしておるような段階でございます。四十二年度におきましては物価問題、あるいは外資の自由化対策等を考えまして、流通部門にもこの指定業種を及ぼしていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/50
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051・近藤信一
○近藤信一君 流通部門に対するところの指定をやるということになりますると、これはもう物価対策上からもいろいろ考えておやりになることだと思うのです。流通部門では一体率直に言ってどういうところが指定の対象になっていくか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/51
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052・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) まだただいま検討中でございますので、その詳細はまだ申し上げられないのでございますけれども、たとえば農機具の関係の販売業、これは農協等の関係でいろいろと流通部門で問題が出てきておりますので、そういうところは指定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/52
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053・近藤信一
○近藤信一君 現在のところでは農機具関係ということでございまするけれども、やはり流通部門での指定をするということになると、私は農機具だけでなくして、やはり都会においてもそういうような面があると思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/53
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054・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 都会におきましてもスーパーマーケットとの競合、あるいはコールドチェーン関係を進めていかなければならないというような関係から、いろいろと私どももたとえば食肉の小売り業というようなものも検討いたしておるわけでございますが、まだ食肉小売り業につきましては業界の体制等も整っておりませんので、しばらくもう少し実態の調査と、あるいは側面的指導というようなものもこれに伴わなければいけないということで、ただいま準備をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/54
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055・近藤信一
○近藤信一君 今回の改正によりまして、課税の特例を中小企業者全部にまでこれを適用する、こういうふうな改正になるわけでございますが、中小企業者の定義からいって、これが今度拡大されるわけでございますね。そうすると合併等が多く行なわれて、また割り増し償却制度の利用が従来よりも私ふえてくるというふうに考えるわけなんですが、この見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/55
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056・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 政令で指定をいたしております範囲内において拡大されるわけでございます。割り増し償却の対象になる企業もしたがいまして増加してくるものと考えておりますので、税金関係につきましては、先生御承知のようにワクがあるわけでございませんので、上のほうに拡大いたしましても、これは差しつかえないというぐあいに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/56
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057・近藤信一
○近藤信一君 中小企業の定義、いわゆる基本法にある五千万円、それから三百人、これがはずされるわけです。今度企業組合、そうでしょう。そうすると大きな企業組合ができるわけですね。それが今度適用されるということになると、下のほうでなくしてだんだん上へ上へと広がっていくというような傾向が見受けられる。そうすると、根本的にその中小企業基本法にある中小企業の定義というものは将来改正になるのではないかというふうに私思うのですが、この点はあなたのほうの考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/57
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058・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業の定義は、先生御承知のように昭和三十八年度におきまして、中小企業基本法を制定いたしました際にきまっておるわけでございますが、その後の経済情勢の変化等から、どうも資本の額、あるいは従業員の数等において、従来の中小企業の定義では不十分なのではないかというような声も非常に強くなってきておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、その点につきましては、いたずらに根本的な中小企業の定義の改正ということにつきましては、慎重でなければならないというように考えておりますが、ただ、このたび御提案御審議を願っておりますところの中小企業の範囲の拡大と申しますものは、現在中小企業近代化促進法上、すでに政令で指定の労働集約的な産業については例外を認めるというふうになっておりますので、その範囲内において拡大するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/58
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059・近藤信一
○近藤信一君 中小企業庁でもいろいろと意見があろうかと思う。ところが、私どもは、いつも中小企業の法律改正、法律の制定ということになると、どうも政府の考えは、中小の中のほうに重点が置かれて、小のほうはだんだんと見捨てられていく、こういうように私どもは、ひがみかもしれませんけれどもそういうように見るわけなんです。今度の近促法でも、従来それは政令で染色部門だとか、他のところが引き上げられておりますよ。これは私政令を見て思っておるのですが、どうも小のほうよりもだんだん中のほうにウエートが置かれていく。これを大企業に発展させるというあなたのほうの考え方でもあろうかと思うのですが、そうすると、将来いろいろなまた法律で小零細というものはだんだんと抹殺されていくというような危険が出てくるんじゃないかと私は心配するわけでございますが、この点のお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/59
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060・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 私どもといたしましては、基本的な観念といたしまして、考え方といたしまして、小規模零細企業対策をなおざりにするという考え方は毛頭持っていないわけでございます。定義の改正につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、たとえば資金の貸し付け等につきましては、資金量も限定されるところもありますので、そういう場合にはできるだけ範囲を上に持っていかないで、下のほうに均てんするようにという配慮をとらなければならないというふうに基本的に考えておるわけでございます。これは今度は税金の恩典でございますので、その点では多少楽になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/60
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061・近藤信一
○近藤信一君 近代化促進法の第八条に基づく合併等の課税の事例としてどのくらいの件数が一体承認されているのか。また第九条による割り増し償却制度についてはどれくらい利用されているものかどうか、この点ひとつ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/61
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062・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 第八条に基づきます合併、出資等の課税の特例の承認件数は、本法施行以後現在まで四十二件が承認されておるような状態でございます。それから第九条に基づきますところの割り増し償却の利用状況は、私どものほうで調査をいたしました結果によりますというと、対象企業の中の約六〇%の企業が活用をしておるというような数字が出ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/62
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063・近藤信一
○近藤信一君 そうすると、改正されまして将来の見通しはどうですか、これのふえ方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/63
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064・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 例外的な措置として中小企業の定義の範囲の拡大をいたすような次第でございますけれども、将来そうたくさんふえるというふうには考えておりませんけれども、ただこれは数は少のうございましても、その対象になります今度拡大されますような部分の企業は、たいていまあ中小企業業界の中では指導者に属する人たちが多いわけでございますので、そういうような中心になってくる指導的な企業が今度恩典に浴するということで、そういう意味での意義というものは非常に大きいのではないかと考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/64
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065・近藤信一
○近藤信一君 先ほども申しましたように、これは中小企業の定義のワクがはずされる。そういたしますると、いまも御説明ありましたようにふえてくるわけですね。それから今度は特別償却制度というものの対象というものもまたふえてくる。その特別償却の対象というものは一体今後どれぐらいになるのか、それからこれが改正になった暁にどれだけの影響というものを持つか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/65
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066・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) このたびの改正によりまして割り増し償却の対象範囲が拡大いたしますが、それにつきましては、私どものほうでいままで調べました限りにおきましては、各業種において五十二企業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/66
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067・近藤信一
○近藤信一君 それから今度の改正によりまして、中小企業の範囲を拡大して、中小企業者にとってどれぐらいの減税というものがなされてくるか。そういう点は御計算なさったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/67
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068・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 一億弱ということになっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/68
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069・近藤信一
○近藤信一君 大企業にとりましては特別措置法という法律があって大きな減税がはかられるのですが、中小企業の改正をやっても、いま御答弁がございましたようにわずか一億弱だと、こういうことでは先ほど大臣が言っておられましたような、大企業が発展してよくなっていけば中小企業もよくなっていくということに私ならぬのじゃないかと思うのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/69
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070・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業に対しますところの減税は、必ずしもこのたびの割り増し償却の対象範囲の拡大だけではございませんで、家族専従者につきましては完全給与制を実施いたしますし、あるいは割り増し償却の拡大はもちろんでございますが、企業体質の改善等、あるいは輸出振興その他におきましても、中小企業が相当程度の税制改正による恩典を受けるわけでございまして、私どものほうで試算いたしました結果によりますというと、中小企業者が四十二年度の税制改正におきまして、平年度ベースで約百五十億の減税を直接に受けるというふうな計算も出ておるような次第でございます。その一部分としまして一億わずかでございますけれども、中小企業対策にいろいろと、ちりも積もって山となるというような次第でございまして、その点で意義のあるものと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/70
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071・近藤信一
○近藤信一君 恩典恩典と言われるけれども、一億ぐらいなら何もそう恩典恩典と騒ぐほどのものはないのじゃないですか。私はもっとよくなると思うのだが、いまお聞きすると、まあ一億弱だろう、こういう話でございまするが、それであなた中小企業の対策だということには私どもとしてはどうも納得がいかぬと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/71
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072・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) このたび範囲を拡大いたしました結果の対象割り増し償却の拡大はわずかに一億でございますけれども、ここに至りますまでに、まあ私どもといたしましては、たいへんな事務的には苦労をいたしましたわけでございまして、先生御承知のように、昭和三十八年度におきまして近代化促進法が制定されましたときには、割り増し償却の対象になりますのは五千万円かつ三百人というふうな限定をされておった。それを逐次五千万円または三百人にいたし、それからこのたび政令で労働集約的な産業についての特例までこれを広げるというところまで逐次努力をいたした次第でございます。その点は御了承をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/72
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073・近藤信一
○近藤信一君 私が言うことは、わいわい言って中小企業の近促を改正して中小企業をよくするんだというふうにあなたが言っておられる。ところが、これは昨年改正になって本年は一年たってないですよね。それであなたのほうは、一ぺん試験的にこの程度でやってみようか、来年になったら来年になったでまたやればいいわいと、こういうふうなお考えであるとするならば、私はこんなもの改正しなくてもいいと思う。やるんだったらもっと一年や半年の見通しでなくして、将来の中小企業の展望の上に立って、そして長期的な対策というものを立てる、これが私はほんとうの中小企業の対策だと思うんですよ。それを半年や一年やって、これはいけなんだ、もう一ぺん変えようか、これでやっていけなんだらもう一ぺん変えようか、これでは私は中小企業にえさやって、えさでつっていくような、こういう動きになっていくんですよ。これでは私はほんとうの親切のある、通産省が方針を立てる政策とは違うんじゃないかと思うのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/73
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074・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおり、いろんな中小企業対策は長期的な見通しのもとにやるべきだと思うわけでありますが、このたびの税制の改正はきわめて技術的なものでございますので、そういうことになりますことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/74
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075・近藤信一
○近藤信一君 技術的な対策ということでございますが、いわゆる私が言うのは、今年改正法をまた出された、あなたのほうは今年これで出して、これで長期的な展望であるというふうに判断しておられるかどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/75
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076・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 差しあたりはもうこれ以上範囲の拡大等もない、こういうふうに考えておるわけでございますが、現在の中小企業の近代化促進法上の限度まで拡大をいたしたということになるわけでございます。ただ、先生御承知のように、これからまた御審議を願います協業組合につきましては、この近代化促進法の対策になるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/76
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077・近藤信一
○近藤信一君 私は中小企業が近代化されて、そうして先ほどもお話がございましたように、大企業の発展に伴って中小企業が発展していくという、このことは私も賛成なんです。大企業が発展して中小企業が置き去りになるということではいけないと思うんで、やはり大企業が発展して中小企業が発展するという——いままでの動きというものは、おこぼれをもらっておるというふうな発展のしかただったと思うのですよ。だから、それであってはいけないから、中小企業が独自に生きていける道を開拓していかなきゃならぬ、そのためにかくかくの法律が必要だ、そのために近代化促進法の改正が必要だ、こういうことであなたのほうはこの改正案というものを出されてこられたわけなんですよね。だから、私どもといたしましては、やはり日本の今日の産業構造からいって、中小企業を無視して日本の産業というものはあり得ないということは、長官も大臣も御承知のとおりだと思うんですが、それがために中小企業というものはまだまだ日本の産業で重要な役割りを果たしておると私は思うんですよ。将来もこの点はぬぐい去られないと思うんです。先日私が本会議でも言いましたように、なくなりました池田さんは大胆に、日本の経済を再建するためには若干の犠牲というものはどこかで出る、五人や十人の中小企業は倒れてもやむを得ない、大きな一つの目標に向かっていくためには、それらにも若干は犠牲が出るんだから、犠牲になってもらわなきゃならぬ、こういうことを言われたんです。あの二、三年後に池田さんば自信をもって、それ見ろと、私が言っておったとおりになってきたじゃないか、こう言われたわけですね。だからやはり一つの目標に向かって、今度あなた方が近代化促進法の改正によって中小企業をもっと近代化していこう、そのためにかくかくのものは必要だということでこれを出されてこられたんだから——これはいろいろと法律を出せばどこかで矛盾もあると思うし、それに対する批判というものはあると思うのですよ。だから、それをおそれておっては、私はほんとうに基本的な政策というものは立たないと思うのですよ。だからその点はもっと大胆に将来の長期展望に立って、通産省としては考えていくべきじゃないかと私は思うのですよ。それで私は先ほど来いろいろと長期展望の上に立ってどうするのだ、こういうことをお尋ねしておるわけなんですよ。長官はあと自分は半年ぐらいやれば長官をやめるに違いないと、こういう考えでは私はだめだと思う。あなたがやめれば、またあとの長官が苦労するのだから、長期展望の上に立っていろいろと法律審議をやっていただきたい、こういうふうに私は思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/77
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078・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/78
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079・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/79
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080・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業近代化促進法そのものが、そういう業種別に長期的な展望と近代的な基本計画をつくって近代化を進めていくという趣旨の法律でございます。私どもとしましては、それで今後先生御指摘の点をもちろん考えていくわけでございまして、業種別に長期的方針をもってやっていくというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/80
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081・近藤信一
○近藤信一君 最後にお尋ねしておきたいと思うのですが、私どもが昨年でしたか、東芝の下請の中小企業の皆さんと懇談したのですよ。そのときにちょうど——いま本委員会の委員じゃないが、豊田さんも出席しておられたし、その他赤間さんも出席しておられましたが、特に強い御要望がございましたのは、先ほど私が申し上げましたように仕事がない、何とか仕事をわれわれにつくってもらえぬかという、こういう無理な御要望だったのですよ。そのときに私が一応申し上げましたことは、だから社会党は中小企業の事業分野確保に関する法案というものを国会に提案しておるのだ、まず中小企業の事業分野というものを確保しなければ、中小企業の今日の生きていく道というものはあり得ないのだ、こういうふうに私ども考えて、そういう法律を社会党も十何回も国会に提案しておるわけでございますが、これは昨年の国会で通りました官公需の発注の問題、これも長い間私ども国会に提案してきたのです。昨年ついに政府も国会に提案しましたが、事業分野確保に関する問題について、通産省としては現在どういうふうに考えておられるか。それがなければ中小企業としては、大企業はどんどんと進出をしてくる、資本力に負けてしまう、資本力に負けるから中小企業というものは生産が成り立っていかない、だからどうしても事業というものを確保してもらいたい、こういう要望というものは強いわけなんです、これは業者の中から、ただ業者の中からこういう強い要望があるけれども、通産省はそんなことは全体的視野の上に立ってのことだから、ただ中小企業だけにそういう事業分野を確保するわけにはいかぬと、こういうふうに考えておられるのかどうか。この点は野党である社会党や民社党のほうは大いに熱意を持ってやっているわけなんですが、政府はこれに対して一向動こうとしないんですが、特に中小企業を担当しておられる中小企業庁の長官も、これに対して大臣と同じようにどんなような考えを持っておられるか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/81
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082・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業の事業分野を法律で確定をいたしますということにつきましては、これは経済の弾力性を害するおそれがあるということで、法律で確定をするということはできるだけ私どもは避けたいと思っておるわけでございます。ただ、現実の問題として、大企業が中小企業分野に入ってくる場合にどうするかということにつきましては、大企業が外資と提携をして入ってくる場合には、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、外資法上の認可権というものが残っておりますので、その認可の際に善処をいたすと、慎重な考慮を払うということをいたすわけでございます。また、大企業が国内分野だけで入ってくる場合におきましては、これは中小企業が商工組合を結成いたしております場合には、大企業と団体交渉ができる。それで交渉がつかない場合には中小企業調停審議会にかけて調停をする、あるいは通産大臣がそれに基づいて勧告をするというような制度があるわけでございます。そういう制度を十分活用して、今後中小企業者の迷惑をこうむらないように今後とも努力をしていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/82
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083・近藤信一
○近藤信一君 じゃこれがほんとの最後ですが、先日大臣も出席されたんじゃないかと思うんですが、中政連の大会がございまして、私おじゃましましたんですが、その中政連の今年度の運動方針の中にもその点ははっきりとうたってあるわけですね。中小企業の事業分野を確保せなきゃならぬと、それでなければ中小企業の生存というものはあり得ないと、こういう項目があるわけなんですよ。大臣、中政連の大会に行かれたかどうかしりませんが、きょうの大会は行かれたのだから、当然中政連の大会にも行かれてあいさつされたことだと思うんですが、大臣はどういうふうにこの点を受け取っておられるんですか。それをちょっとお尋ねいたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/83
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084・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 中小企業の業種をきめるということは、これはなかなか私は困難な問題だと思います。中小企業として存立し得る業種というものは相当あります。これは大企業ではとてもやれぬ業種があります。これは芸術的な、美術的な業種などは大企業ではとてもいかぬ。これは中小企業でなきゃいかぬ。そういう業種はおのずから中小企業として存立し得るものであります。またそれで発展、発達させるように努力する考えをしなきゃならぬと思うんです。その一般的なものについて中小企業の業種をきめるということは、これはなかなか実際にあたっては私はむずかしいことじゃないかと思うし、また実際われわれといたしましては、これはわれわれは自由競争の立場をとっておりますから、やはり業者のひとつ総意を動かしてやるという立場にいかぬと、あくまで業種をきめて、おまえはもうこれだけじゃというようなことをせずに、自分の好むところの業種を各人に選ばせてやらすということでいくほうが、結局全体の生産性が高くなるのじゃないかという考えを私はいたしておるのでありまして、そういう点においては自由主義の立場をとっておる私たちと近藤委員とはあるいは立場は違うかもしれませんが、私は中小企業の業種をきめるということは、これはなかなか困難なことであるし、かえってこれが国全体としていいことであるかどうか、もう少し私は研究しなきゃならぬものじゃないか、こう実は思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/84
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085・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま近藤委員からも相当長時間にわたって質問がありましたし、だいぶいろいろな問題点も出ておりますので、簡単に質問をさせていただきますが、
〔委員長退席、理事井川伊平君着席〕
この近代化促進法、特に中小企業の近代化という問題につきまして、この法律もつくられていろいろ仕事はやられてきたと思いますけれども、はたして実際その近代化がどのように行なわれているか、特にこの近代化が行なわれる場合は、その恩恵に浴するといいますか、それが非常に少ないと思うのです。特にこの法律の中にもありますように、「当該業種に属する中小企業の生産性の向上を図ることが産業構造の高度化又は産業の国際競争力の強化を促進し、国民経済の健全な発展に資するため特に必要であると認められること。」と、こうなっております。実際特に先ほどから問題になっておりました小企業といいますか、零細企業は、ここにある項目にかなり当てはまらないのが多いと思うわけです。その場合、この近代化をやることは、それはもちろん中小企業もある程度は浴することにはなるでしょうけれども、そのあるレベル以下の人は結局それによって、この促進法があるために、近代化ということをやるために、やはりそこにつぶされていくといいますか、かえって中小企業の人たちはこれに浴さないで、相も変わらずやはり困っておる。あるいは倒産をしたり、あるいは経営がうまくいかなかったりして悩んでおる、こういうことを私は特に感ずるわけです。だから近代化、近代化といいましても、その裏にはやはりある程度中小企業の中に犠牲者があるといいますか、出ていると思うわけです。結局それによって恩恵に浴しておるのは独占資本であり大企業ではないか、このように考えるのですが、その点について大臣並びに長官はどのようにお考えになっておるか。また、今後近代化をやっていく場合、どういう方向でやっていかれるのか、お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/85
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086・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業近代化促進法が制定されまして以後、私どもの考えている以上の実績をあげてきておるわけでございますが、生産額の目標あたりも、昭和四十年度におきましては、三十九年度に比べまして八〇%以上の業種はほぼ目標を達しておるというようになっておりますし、あるいは生産費あたりのコストダウンをはかっておる、目標もあるわけでございますが、昭和四十年度におきましては八〇%以上の業種が目標に達した、あるいは上回ったような実績も出ておる次第でございまして、私どもは特にこの近代化促進法に基づきまして、小規模事業者の端々に至るまで、これが近代化をいたします。またその近代化をいたす際に、過当競争を防止しながら近代化をいたすためには協業化が必要であるというようなことで、共同化、協業化というようなことも進めていくというようなこともやっておるような次第でございまして、いたずらに上のほうだけを対象にいたすというようなことは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/86
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087・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあ協業化の問題はまた次の機会に譲るといたしましても、実際近代化といいますと、やはり設備の問題、それからもう一つは環境の問題等ありますけれども、いま中小企業の人が特に悩んでおることは、いろいろ問題にされております労働力の不足だと思うのですが、この労働力の不足はやはり人が来ない。どうしても大企業等に行ってしまう。それはやはり中小企業の環境が非常に一面はよくない。まあ賃金の問題も一つありますし、働く環境が悪い。非常に残業等も多い。こういった原因をいろいろ見ていますと、やはり大企業からの圧力といいますか、しわ寄せというのが非常にあるわけです。納期をきめられておる、急がされておる、そのために相当無理をして仕事をしておる。特に零細企業になりますけれども、結局その零細企業の実態を見ておりますと、いまの状態ではお金の面、金融面はわりあいに緩和もされてきましたけれども、お金もわりあいに貸してもらえるように以前よりは少しはよくなっておる。景気も少しよくなってきましたから仕事もかなりある。だけれども、仕事をやるにはできない。近代化と言われますけれども、設備をよくしてかなり機械化をしてやるにはお金がない。まあ金は貸してもらってもその利息を払って、そうしてなおかつもうかるかというと、そうでもない。もちろん、中小企業の経営者のいろいろながんこさといいますか、一人でやっていくという、そういうふうな人もある関係もあるかと思いますけれども、そういうわけで、中小企業の工場等を見るときたないし、行かないわけです。このままいきますと、やはり、いま協業化ということも言われておりますけれども、相当そういった労働力を獲得するための処置といいますか、それも相当やらなければいけないと思うのです。近代化促進法というものもありますけれども、そういった問題をどう考えておられるか、ひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/87
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088・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 今後の中小企業対策といたしましては、労働問題をも重要視していかなければならぬと思うのです。いままでその点は、資本とか、あるいは税金を安くしてもらったらそれでいけるという考え方をしておったのですが、もう労力の不足という問題、これがやはり大きな中小企業の悩みになっておるのです。そこで、中小企業だけじゃなしに、私は、日本全体の労働体制というものをこの際再検討する必要があるという考えをいたしております。例を申し上げますと何ですが、たとえば今日一千億ドル以上の生産を持っている西ドイツと日本と比較いたしまして、本年度は日本が西ドイツ以上になると思うのでございますが、ところが、向こうは人口は日本の半分です。だからして、同じものをつくるのに、日本では二人かかって、向こうは一人、こういう勘定でありますから、これは日本の労働体制というものを根本的に考えていく必要がある。これは日本の産業全体の発展のために考えていく必要がある。そういう意味において、労働問題ということを、もう少し経営者もまた政府も重要視して、今後日本の産業の発展のために考えていかなければならぬのじゃないかと、私自身はそういう考え方をいたしております。
〔理事井川伊平君退席、委員長着席〕
そういう意味におきまして、ことに中小企業の問題も、いまの悩みは人手が足らぬということです。いままでは人手が何ぼでもあったのですが、いまでは人手が足らぬというところに中小企業の悩みがある。でありますから、その必要な労力をどうして中小企業に向けるか、これが今後の中小企業対策の根本問題だと、こう私は考えておるのであります。まあ、近代化促進におきましても、やはり労働ということをあわせて考えていくべきじゃないか、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/88
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089・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま大臣はけっこうなことを言っておられますけれども、じゃ、賃金の体制をどうするか、また工場の環境をどうするか。また、大企業においてはかなり残業がなくなってきておりますけれども——大きい会社では土曜も休んでおります。ところが中小企業においては、夜通し働いておるというところがあるわけです。それに対して、ただ考えなければいけないというのじゃなしに、やはりはっきりと政府として線を出せば、それに対してやはり若い人もそちらのほうへも行くと思うのです。やはり若い人の中には、独立して仕事をやりたい、商売をやりたいという人も非常に多いわけです。だけれども、いまのような答弁のままでは私はだめであると思います。もっと具体的に、賃金をどうするか、そういう点はどのようにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/89
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090・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業白書におきまして、労働力不足状況につきましていろいろと調査をいたしたわけでございますが、やはり中小企業者の一つの悩みは、労働力不足、しかも、これが定着率が低いということでございます。それに対する対策といたしましては、中小企業者の人たちも、次のような点で努力しておるわけでございます。一つは、賃金を上昇させていく。高賃金によって若い労働者を引きつけていくということ、これは将来ともこの傾向は続いてくると思うのですが、これは、高賃金をそれでは何によって吸収するかというと、生産性の向上ということで吸収をしていきたいという意欲を、小さい企業の人たちも持っているわけであります。その点につきましては、私どもも指導あるいは設備資金等の面でめんどうみていく。もう一つの対策といたしましては、福利厚生施設を充実するということでございます。小企業の人たちは、個別で福利厚生施設を充実するというわけにいきませんので、これは共同給食あるいは共同の工員宿舎というふうに、協同組合等を中心にいたしまして福利厚生施設を充実させるという方針で指導いたしておりまして、今度御審議願いますところの中小企業振興事業団あるいは厚生年金の関係等によりまして、共同施設としての福利厚生施設の建設をしていくということも考えております。また、就業規則の整備等労働環境、作業環境の改善につきましては、今後とも中小企業近代化促進法の一つの項目の中に、労務管理の合理化というような点もひとつ織り込みたい。あるいは従来からも織り込んでおりますが、今後ともそういう点について指導をしていく、作業環境の改善に努めていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/90
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091・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま言われましたのもわかりますけれども、結局仕事をたくさんやって、たとえ生産がふえたとしても、大体が大企業の下請ですから、そこら辺で結局もうけが少なくなってしまうわけです。どうしても高い賃金を払ったのでは経営が成り立たない。そこへ持ってきて、ちゃんと設備をよくしていかなければどうしようもない。それが中小企業のどの人に聞いても言うことです。これに対して何らかの強い措置を講じていかなければ、全然解決しない問題であると思うわけです。
それに対してもう少し具体的に答弁を願いたいことと、もう一つは、最近非常に多いことは、いわゆる家内労働といいますか、大企業のいろいろな仕事を家庭でやっている人がふえています。特に家庭の主婦にそういう、たとえば弱電関係の仕事の下請を、中小企業としてちゃんと工場を持ったり商売をやっているような人がやるのじゃなしに、普通の家庭の中に持ち込んでやっているのが非常にふえてきております。最近も非常にふえまして、したがって、婦人で全然つとめない、いわゆる内職をしている人が急激にふえてきている。こういった点について、こういう現象は好ましいかどうか、これに対して今後どのようにお考えになっているか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/91
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092・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 第一点の下請関係の改善につきましては、先生御承知のように、下請代金支払い遅延防止法という法律がございますが、その運用の強化をはかっていきたい。現在におきましても、立ち入り検査等を地方の通産局でも親企業に対して行なっておりまして、相当きびしくなっております。あるいは手形サイトの基準等を設けるような指導をいたしているような次第でございます。その点につきましては、下請関係の近代化、合理化という点についても、今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
それから第二点の家内労働の増加でございますが、これは労働力不足解決策の一つの方向として、家内労働と申しますか、団地あたりの主婦の労働力も余暇利用として活用していくという傾向も出てきておりまして、この傾向もやむを得ない傾向ではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/92
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093・矢追秀彦
○矢追秀彦君 やむを得ないというのは、ちょっと長官としての答弁ではよくないのじゃないかと思うのですがね。こういうのがふえてくるとどうなるか。結局、働かなければならない、内職しなければならないというのは、主人の給料が安いからそういうことで補うという面もあるかもしれませんが、そういうのがどんどんふえてくると、今度はそういったことの影響が中小企業のほうにも出てくると私は思うのですけれども、そういう点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/93
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094・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 家内労働がふえてきたということについては、私はこれはもう自然の大勢だと思います。というのは、家庭労働の量が減ってきたわけです。電気洗たく機や炊飯器や何かで主婦の労働時間がだんだん減ってきましたから、したがって主婦として何か仕事をしたいということで、そこで、それに対して仕事があれば喜んで内職をするということになったのでありまして、これは家庭の婦人も労働するということは、私はもう自然の態勢だと思っております。でありますからして、そういうことによってまた日本全体の労働力を増すということでやってもらったらけっこうだと思います。ただ、そこで、いま中小企業の仕事を家庭内でやっているかどうか、私はそれははっきりいたしません。むしろ中小企業は家庭の労働を——家内工業でやっておるんじゃないかというように、私はそういうふうに考えておるのですけれども、大企業が直接家庭内に入っていって、そこまで労働さしておるかどうかということは、私自身もまだはっきり存じませんが、中小企業の人が家庭内に持っていって内職をさしておるということは、私は大阪ではよく実態を見ておりますけれども、そういう点について、もし大企業がそこまで、家庭内に直接入っているということについては、そういうことを教えていただければたいへんけっこうだと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/94
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095・矢追秀彦
○矢追秀彦君 ひとつこれは大きな問題としてぜひ調査をしてもらいたいと思います。実際大会社の仕事をやっているわけですよ。存じませんと言われますけれども、現実に大会社の、特に電気関係の大きい会社、大阪にも何社かありますけれども、そのルートは中小企業からきているかどうか。まあそっちのほうからで、大企業直接じゃないと言われますけれども、実際やっていることは大企業の仕事をやっているわけですから。みんなの仕事であなた何やっているのですか、内職をやっています、これは大企業のをやっていると言っておるわけです。おかしいと言われますけれども、やっておりますよ。現実だから調べてくださいと言っているわけです。非常にこれは実際ふえていることは事実なんです。非常にこうやっているわけですね。奥さん方はやむを得ないと言われますけれども、実際これからの社会というものは、現在の日本の国もこれだけ経済が成長して、環境もよくなってきて、かなり近代国家として、しかも一応は他の先進国に肩を並べる国でありながら、内職を奥さん方がどんどんやらなければならない、しかも、そのため昼間ちょっと一時間か二時間やるならこれは話はわかるとしても、相当夜おそくまでやっている人がいるわけです。それを大臣は自然だ、やむを得ないと言われるようであれば、これは私は問題だと思うのです。奥さんというのは、そんなことをしないで、子供の教育とか、または家庭をよくして、むしろ自分の、もちろん特技のある人は職業についてもいいでしょう。その人が電気の仕事が得意で、ある奥さんは電気の非常なエキスパートで、それを一生懸命好きでやっているのは、これは自然の成り行きでいいでしょうけれども、やむを得ずやっているわけです。しかも、お金をかせいでやらなければ、御主人だけの給料だけでは食べられない。だからそういう仕事があるからやるのです。大企業はそれが目のつけどころです。非常に安いわけだ。その工賃なんて知れたものです。それをちゃんとしだその大企業の内部でやれば、下請のほうでやればそれくらいでは済まないはずです。高い賃金、高い工賃でやらなければならない。それをどんどん、そうしてそれを大臣がいいと言われるならば、これはもうむしろ大企業のほうに大臣は肩を持って、そのために日本の主婦がどんどん、どんどんそういうのがふえて、そして、いわゆる家庭生活が破壊されて、そういうことになっていったら、ほんとうに何と言うか、これはちょっと私は問題だと思うのですけれども、その点、大臣はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/95
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096・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 私の御説明が不十分であったために、いろいろと御迷惑をかけておると思いますが、この家内労働力の社会問題あるいは労働問題としての問題点につきましては、ただいま労働省に家内労働審議会というのがございます。そこで実態の調査を行なっておりまして、中小企業庁からも参加をいたしております。そういうところを通じまして調べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/96
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097・矢追秀彦
○矢追秀彦君 ぜひこの問題、中小企業庁としても調査をせられまして、現在どのようになっているか、ほんとうに私は実態を知っているわけです。通産大臣も大阪で私も大阪に住んでいるわけですから、同じところを見ているのですけれども、だいぶ見方が違うようで残念に思うのです。特にそういう大企業の会社のある周辺に住んでいる住宅の主婦ではかなり多いわけです。もちろん金持ちの家庭ではやってないでしょうけれども、やはり困った人の家庭でやっておりますので、中小企業庁としても、これは見のがせない問題であると思います。中小企業の問題にやはりからんできますし、近代化ということを言われながらそれこそ近代化じゃないわけです。むしろ逆コースだと私は思うのです。でき上がった製品自体どうしてでき上がったか。内職でできた。たとえネジを締めること一つでありましても、そういうことがどんどんふえることは近代化じゃないと思います。そういった点、ひとつ真剣に調べていただいて、そういうことをなくしていく、そういうのはもっと機械化するか、あるいは大企業で全部やってしまうか、中小企業に出してもそれをどんどんやって、しかも、その中小企業も成長していく、そういうことをひとつ厳重に調査をし、それに関連する対策を、これはもちろん労働の問題でありますから、労働省と関係があると思いますが、関係機関と共同してぜひ善処していただきたいと思います。
それから、この間本会議の答弁で大臣が、中小企業から大企業に発展するということを言われましたが、これは近代化と関係すると思います。たしかそういうものがあるといたしますと、今後中小企業を全部そのように大企業へ、もちろん協業化ということも含めて大きな規模に、そういう方向に持っていかれるのか、いわゆるいまのままの中小企業の形で、それを一つ一つをよくして、そして中小企業を近代化していくのか、その点の方向をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/97
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098・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 中小企業のうち大企業になるものもあるということを申し上げたわけでございます。みんなそうなるということを申し上げておりません。たとえば松下電器もそうでありますが、これも中小企業でありましたが、今日あれだけの大企業になった。自分が中小企業をやったればこそなったのだということを彼自身が告白しておりますから、そこで大企業になる業種もある。また、人によってはそういう可能性もあるから、中小企業は斜陽産業だというふうには一口には言えないという例として申し上げたのであります。中小企業として大企業になり得ない業種も、これはたくさんあります。だからして中小企業としてもう一生——一生と言うと語弊があるが、中小企業として存在しなければならぬというものは、その中小企業として存在し得るように指導していくことが根本だと思います。これは何もわれわれは、大企業になれなれということを奨励するわけではないのであって、しかし、中小企業として存在するがためには、あまりにも過小資本であり、小規模であるために、どうしても自立ができないという場合には、協業をやるとか、あるいは近代化で新しい設備を設けさすとかいうことで、政府が助力をしてやっていくということで、中小企業として存在できるような道を開いてあげようということは、これは政治だと私は思うのです。そういう意味において、この近代化促進法なり、あるいはあとで御審議願う協業組合の問題にいたしましても、あるいは中小企業振興事業団にいたしましても、もう中小企業自体でひとつ存立のできるようにしたい、大企業との所得の格差のないようにしたいということで、われわれはそれをねらっておるので、何も中小企業が全部大企業にならなければならぬという考え方ではございません。資本が小さければ協業で資本を合わしてやっていくというようなことを今後指導していきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/98
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099・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあいま中小企業のままでやっていく、必ずしも大企業にならなければならぬという考えはないと、そうすれば、いまの中小企業でいままでのいろいろな対策を見ていますと、どうもあとからこう薬をはっておるというような感じが非常にするわけです。いろんな資金も出ておりますけれども、はたしてそれによってどれだけ中小企業の人が潤って、それが経営がいいほうに改善をしたか、前進をしたか、その点ははなはだ疑問の面があると思うのです。ざるに水をかけると言うとオーバーですけれども、そういう向きもなきにしもあらずだと思います。実際倒産もふえておるし、そういった金融公庫等の金を借りて助かるよりも、むしろ焼け石に水だという面もかなりあるわけです。これは中小企業の経営者の問題もありますけれども、いまのままでやるにはかなりいろいろな面で矛盾点といいますか、要するに中小企業を育てる、現状のままで何とか経営ができるようにすればいいというのか、やはり育てるとなれば協業化もし、近代化もしていかなければならぬ。それもやろうとしておられますけれども、それができない面もあるわけです。それはこわしてしまうのか、それを救おうとすれば、いま言った相当の協力をして政府が強い施策を講じてやらないとだめですよ。いまのままでいけば、できるものはよくなるけれども、それから下のものはやはりどうしてもつぶれてしまう、整理されてしまう。その点をどうされるかですね。それで、さっきお聞きしたように、中小企業をどういう方向に持っていかれるかということを聞いている。いまのままでやるとおっしゃるなら、こういうことで恵まれない人といいますか、どうしようもない産業もあるわけです、業種もあるわけです。それをどうしようとされているか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/99
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100・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 小規模事業者の近代化をはかりますためには、前提といたしまして、結局のところ、指導をいたしましてその経営状態等につきまして底上げをしてあげると、それによりまして私どもが用意しておるところの施策にも乗ってきてもらうというような啓蒙指導が必要であると思います。今度御審議を願います振興事業団におきましても、あるいは中小企業庁自体といたしましても、啓蒙指導のための予算というものを相当程度これは確保した次第でございますので、そういう点を中心にいたしまして、中小商工業者の近代化というものも進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/100
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101・矢追秀彦
○矢追秀彦君 その指導ですけれどもね、実際いまの中小企業の経営主の中には、なかなかそういう指導を受けない人がまだかなりいるわけです、自分の頭でやっておると。指導所等はありますけれども、その設備も少ないし、ただつくって、来い来いと言うのじゃなしに、もっと積極的にそこへ飛び込んでいってやらなければいけない。その点はちょっとまだ弱いように思うのです。その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/101
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102・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) その点は、先ほども近藤委員に申し上げましたが、やっぱり有能な指導者を選ぶということです、見つけるということです。指導者に熱心に指導してもらうということです。それで、なかなか近代化もしない、協業化もしないという人もありますから、そういう人には熱心にひとつ説得して、そうして協業化をやったほうが存在意義ができるし、発展ができるというようにやっぱり指導していくことが必要だと思うのです。そういう有能な指導者を見つけ、またそういう有能な指導者を育成していくというところに今度重点を置いていかなければならぬ、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/102
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103・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあその指導者が必要だと、見つけなければならぬとおっしゃいますが、どうして見つけるか。実際、政府として必ずしも当てがあるかどうか、その点を聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/103
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104・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) それは、私たち多くの人と話し合っておりますと、一般にりっぱに指導をしておる人があります。だからして、この協同組合や何かで成功しておるところはみんな指導者がいいです。そういうりっぱな指導者がおるのですから、だからして、そういう指導者をできるだけひとつ見つけるようにしていきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/104
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105・矢追秀彦
○矢追秀彦君 おるならおるで、全部にそういうのを利用させていく、指導者の教育をしていくと、これをしないと——さっきから話を聞いていると、いるとか、つくらなければならぬ、見つけなければならぬ、現実には話をしておりますと、おられると。確かにそれはおられると思います。それは、それを全部にというか、特に工業団地、中小企業団地あたりでは、そういう指導者の力が大きく影響していることはこれは事実です。そういういい指導者をつくる機関はもちろんあるでしょうけれども、もっともっと、そういった意味を大臣は強調されるなら、ただ見つければいいというそんな話ではなしに、具体的にその施策の上においてそれをやっていくようにしていくということを、やはり大臣の口から聞きたいわけです、答弁があいまいな感じを受けるわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/105
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106・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 政府がこういう方針をとっておるということをやはりPRする必要があると思います。こういう政府は近代化の方向をとっておるとか、そうすると業者の中でも、そういうふうにしてくれるのであればわれわれひとつやりますということを言われる。政府としては、いま指導者センターをつくろうとしておりますから、そこで指導者を養成して、そしてそういう人が、センターで訓練を受けた人が実際に各方面に活動するというようにやっていきたい、こう考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/106
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107・矢追秀彦
○矢追秀彦君 そういうふうに言われますけれども、実際中小企業の人と話をしておって、政府のPRなり何なりがどれだけ行き届いているか疑問を持たざるを得ないわけです。私だって、いままで中小企業の人と会いますけれども、むしろその経営者には、昔の状態ではいかぬ、時代は変わってきているのだからと、やはり話をしているわけですよ。政府のほうから来たとか、そういう機関があるということは、実際は全然浸透していないわけですよ。だからいま言われますけれどもね、大臣は、その点をただすればいいとか、こういうふうにするとか、そういうことではなしに、具体的にこういうふうにやりますと、たとえば本年度においては上半期においてこのようにするとか、下半期はこういうふうに持っていくとか、そこはさっき近藤委員が言われた点に一つあると思うわけです。その点をもうちょっと具体的にこれからやるようにしてもらいたいと思います。
最後にもう一つだけ、時間もおそくなりましたのでこれで終わりますけれども、これから国際競争力ということがやかましく言われてまいります。日本において中小企業をもっと近代化するとともに、いまのままでもっとうまくやっていけば、まだまだ国際競争力に耐えて世界に優秀なものを出せるというように、輸出もし、それによって日本が利益を受け、それによって中小企業の人たちが潤うということもかなりあると思います。そういったものをもっともっと重点的にやらなければいけないと思うわけです。有名なドイツのゾーリンゲンにしても、中小企業でやっておるわけで、優秀な製品をつくって世界的なものにまでなっておるわけで、日本においてもあるはずだと思うのです。それもまだまだもっともっと押せばいいものができるし、よくなると思うのです。それに対する政府の指導等もまだまだ足りないし、もっと努力をすればかなり出ていく。それに、ただ中小企業の人もそういうような人にまかせっぱなしではなしに——いわゆる政府としての対策といいますか、政府の力というものを非常に感じないわけですよ。特に産業界においては、私は全般にそれを痛感します。一体日本の政府は何をやっているのか。極端に言って何もしていない。ただ財界等が自由にやって、それを適当に法律をつくり適当にやっておると、そういうふうな感を抱くわけです。極端に言えば、政府は不在でもやっていけるような、極論すればですね、私は日本の産業界であると思うのです。その問題ですね、特に中小企業で国際競争力に耐えていけるものはどれくらいあるか、こういうものを今後力を入れていきたいと、それに対する大臣の考えを伺いまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/107
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108・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いまの資本の自由化に対しまして、中小企業がどれだけ国際競争力を持っておるかということをいま通産省のほうでいろいろ研究中であります。それによって漸次国際競争力を持ち得るようになれば、自由化を認めようということでいま検討中であります。お話しのとおり、日本の中小企業でもけっこう私は世界的に活躍し得る中小企業はあると考えておりますから、そういうようなものはできるだけひとつ伸ばすようにやっていきたいと、こう考えておる次第でありまして、まあとにかく、この中小企業の問題については政府は何もしていないじゃないかというお話でありますが、まあ政府としてはこれでできるだけいろいろ今日まであれをやりこれをやりといってやってきたのでありますが、先ほども近藤委員のお話のとおり、なかなかむずかしい。このむずかしい問題を一つ一つ解決していきたい、こう考えてやってきておるのであって、ほっておいたら私はもっと中小企業は悪くなったと思います。だからここまで努力したので、中小企業という問題はここまでやってきたと私考えておるのであります。でありますからして、もちろん政府の力も及ばないことは、われわれ重々知っておりますが、今後はこの中小企業の伸展ということについては、通産省としては全力を注いでやっていきたいという決意を持っていることをはっきり申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/108
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109・矢追秀彦
○矢追秀彦君 どういうものを伸ばそうとするのですか、具体的に。具体的にどういうものを対外的に、国際競争力に耐え得るものとしていろいろありますと言われましたけれども、具体的に、たとえばこういうものということをあげていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/109
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110・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業は日本の経済の上におきまして輸出産業をになっておるような次第でございます。輸出産業自体はもちろん今後も伸ばしていきたいと思います。中小企業全体をひとつ伸ばしていくという意味におきまして、中小企業近代化促進法指定業種あたりは今後力を入れて伸ばしていく決心であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/110
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111・向井長年
○向井長年君 中小企業問題につきましては、特にいま当面する問題は、何といったって税制、金融、労働力、発注、こういう問題が中心ですが、これはまあ時間がございませんから私は後日に譲りますが、ただ一点だけ、この法案も課税の特例法ですね。したがって、税はあくまでも公平でなければならぬ、こういう立場で実は先般の予算委員会でも通産大臣にお聞きいたしましたが、不公平な税金をいま中小企業で取っていますね。それと同時に、政府の力で直ちにでも改正できるやつをしてないんですよ。もっと大きな問題は、税の公正から考えて、先般予算委員会で質問しました中小企業に対する電気ガス税はどうしようというのですか。大企業には免税をしておきながら、中小企業はこの法案が通りましても、先ほどの答弁見ますと、約一億程度だと、そこで、電気ガス税はどのくらいあると思うのですが、中小企業に。もちろん製造部門は動力を使っておるでしょう。これに対しては少なくとも五十馬力、六十馬力、小さいところでも五馬力、十馬力使っておるんですよ。毎月この税金がかかっておるんです。大企業は免税しておるんですよ。これに対して中小企業庁としても、通産省としても、大蔵省なり自治省にこれはやめなきゃならぬ、中小企業育成のためにやめなきゃならぬ、こういうことを一回でも出したことがありますか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/111
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112・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘になりまして、私ども反省しているわけですが、電気ガス税の問題自体については、特別に措置を講じてないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/112
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113・向井長年
○向井長年君 これこそ政府が直ちにできる問題ですよ。先ほど言った近代化、その他の問題については非常にむずかしい、むずかしいと大臣言われているけれども、こんなもの大企業は免税——通産省の所管じゃありませんか。それを免税して優遇措置をとっておいて、零細中小企業に対しましては、まるまるかかっておるんですよ。やかましく言って三%軽減しただけでしょう。現時点で一億や三億や五億の問題じゃないですよ。おそらく全部で六百億からの税金になっていますよ。中小企業は百億以上これで負担しているはずです。こういう税金を悪税とこの間言いましたね、佐藤総理が。こういう問題こそまず第一に取り組むべきじゃないですか。それにいまだ一回も折衝してないというようなことで中小企業育成強化だ、あるいは税の特例法だと、こんなわずか一億程度の問題じゃなくて、これほど大きな問題はないんですよ。これに対しては、大臣どういうふうに考えていますか。税の公正から考えてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/113
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114・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いままでそういう点において大蔵省と交渉しておったかどうかということは私存じませんが、いま、この間も向井委員のお話がありまして、私も教えられるところがあったんですが、これはやっぱり電気ガス税というようなこと自体は、これはもう廃止すべき問題だと、これは生活必需品とまあ言いたいんですが、これは全体的に廃止するというように私自身は考えておるのですけれども、そういう点から、特に中小企業については、特別なひとつ考慮をしてもらうということは、ひとつ今後の私の研究課題としていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/114
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115・向井長年
○向井長年君 研究じゃいけないですよ。この特例法がいま出されて、どうしても少しでも中小企業のあれを優遇するために拡大したんでしょう。そうなれば、いわゆる税金の公平から考えて、大企業を免税して、中小企業を育成強化しなければならぬと言いながら、それはそのままになっているんですよ。一般のいわゆる家庭ももちろんですけれども、それはまあ別としまして、中小企業の育成強化の立場から考えるならば、こんなものは一日も早くなくすことによって中小企業を強化しなければいかぬですよ。研究課題でなくて、直ちにこれはなくするように自治省なり、あるいは大蔵省と折衝を起こすと、こういう決意がなければ、あなた研究課題じゃ困る。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/115
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116・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いままでの経緯は私も存じませんから、自治省なり大蔵省にどういうふうに通産省がやっておったか、そこらを私は検討したいということを言っているので、いままでの経緯を知った上で自治省なりあるいは大蔵省にかけ合うべきだ、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/116
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117・向井長年
○向井長年君 経緯は私がいま言ったとおりです。何もないのです。財源を求めるためにこれにかけておるわけです。したがって、これは悪税だから撤廃しなければいかぬ、こう言っているわけですよ。各大臣がみな言っている。それでなくさない。先ほど言ったように、中小企業を近代化して製造部門に機械を入れるならば、何で機械を動かすんですか。電力かあるいは油でしょう。ほとんどが電力ですよ。そういうような中小企業、いわゆる資本の弱いところにそういう課題をするということは、これは非常に酷である。しかも大企業は優遇しておる。こんなアンバランスはないですよ。経過もくそもないですよ。現在私が言っていることが経過なんです。なくする、なくするといったって、検討の時期じゃなくて、直ちにこれはなくするために通産大臣も、あるいはまた中小企業庁長官もこれは立ち上がって直ちにやらなければならぬ問題だ。これは決意してください。ぼくの言うことが間違っておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/117
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118・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 向井委員の言うことは間違いじゃありません。そこで問題は、やっぱり自治省、大蔵省が相手であって、私が何ぼ決議しても実行するということを断言はできない。だからして今後は自治省なり大蔵省と折衝して、しかも、地方自治団体の財源の問題がありますから、そういう点においていろいろ、これが実現されなかったことだと思いますからして、そういう点についてよく検討して、また当たるべきことは当たる、そういうことをしなければ、私だけでできる問題じゃありませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/118
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119・向井長年
○向井長年君 大臣、それは大臣一人やれと言ったって無理ですから、それはわかるんですよ。ただ問題は、中小企業育成強化という立場に立っているでしょう。そういう立場に立ってやっぱり通産大臣なり長官は、これはかけ合わなければならぬ。その決意があるかないか、そういうことです。一般の例じゃなくて、中小企業育成強化という立場に立ってその決意をもって当たるかどうかということです。実現は、もちろん各省の折衝もありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/119
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120・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 私の決意をお尋ねであれば、それは実行するかどうかという先ほどのお話であったから、実行するとまではいかぬ。それはよく話を聞いて、その上でなにしなければならぬけれども、私としてはこの中小企業の問題については、そういう問題については特に交渉すべくいろいろ事情を研究した上でひとつ交渉するということだけははっきり申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/120
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121・向井長年
○向井長年君 長官どうですか。研究すると言っておりますけれども、これは研究する余地がないのです。これはもう皆さん知っているように、通産省所管の大企業は免税をしたのです、初めから。中小企業には何ら、どの業種にも免税してないのですよね。したがって分類して、この業種はこれは免税しよう、この業種はちょっと時期を待とうということはあるかもしれませんが、こういう悪税、不平等の税金はなくさなければならぬ。なくすには問題があるから、大蔵省、自治省と十分折衝しなければならぬ。これはいいですよ、折衝は。しかし、なくしよう、中小企業育成強化のためになくしようという決意をもって折衝しなければ、これは事情を聞いた上でということになったら、これはそういうことになったら中小企業育成にならぬ。この点の決意のほどを長官なり大臣に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/121
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122・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 通産大臣と同様の強い決意をもちまして、中小企業育成を強力に推進していきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/122
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123・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いまも中小企業の立場からこの問題についてはひとつ自治省なり大蔵省と折衝するという決意を持っておることだけははっきり言います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/123
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124・小柳勇
○小柳勇君 家内労働に対していままで大臣発言をしておるから、速記録に残りますから二、三発言したいと思いますが、家内労働というのは零細企業としてとらえておるのか、労働問題としてとらえておるのか。零細企業としてとらえておるなら、もっと詳しく実態を知っておらなければならぬ。労働問題としてとらえておるなら、もっとあたたかい思いやりのある発言があってしかるべきだ。それに電気洗たく機はあるし、レジャーがあるから好んでやっておるだろうという発言があるけれども、これは聞き捨てになりません。したがって、もう一回大臣はこの家内労働——いまわずかの賃金で家庭で一生懸命に下請のまた下請の仕事をしている人たちをどういうふうにとらえておるか聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/124
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125・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は、家内労働の量が減ってきたので、この主婦連中が何か仕事がないかということの相談はたびたび受けます。また、これはりっぱな相当な家庭でもそういうことを言っておる、相当な家庭のお嬢さんでも働きたいという考えをしておる。これは要するに、ひまな時間がたくさんでき過ぎたというところに家庭の人々のなにがある。そこで私は、日本の労働力の不足しておるという立場から見て、家庭の御婦人方連中が進んでこういうような適当な仕事があれば私はひとつなにしてもらいたい、そんな意味で先ほど私は労働体制というものを根本的に考えなければならぬということを申し上げておる。で、米国の例を申し上げれば、米国は奥さん連中が全部働いております。それは労働力が足らぬですから、だから奥さん連中がみな働いております。でありますからして、私はもう日本もだんだんと労働力不足ということになれば、家庭婦人がこれからも働くというような、だんだんとそういう習慣——習慣といいますか、生活方式になっていくんじゃないかと私は考えておるのであって、これを小企業とか零細企業とかいうことでなくして、私は、家庭婦人が自分の余った時間をいかに利用するかということ、で、今後はだんだんと私は関心を持っていくような世の中になっていく、こう私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/125
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126・小柳勇
○小柳勇君 そうすると、あなたのほうは零細企業として、婦人労働力として、婦人がひまがあるから好んで仕事を求めてやっておるんだというようなとらえ方ですが、それでは、親企業が下請企業に単価をきめて発注する、下請企業はまたその家内工業に安い限られた賃金できめてそれを募集していまやっておるような零細企業であるから、そうするなら、零細企業についてもっと手厚い法律なりあるいは賃金形態なりきめなければならぬが、そういう体制をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/126
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127・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) それが安い賃金であるかどうかということは私も十分詳しいことは知りませんが、しかし、もしも下請業者が搾取するような場合であれば、これはやはり内職の賃金をどうするかということをきめていくべきだと思うのであって、大阪の例を申し上げますと、やはり一定の賃金で働く家庭の内職をするということ、大体これは労働省の労働紹介所の指導かどうか知りませんが、そういうことをやっておりまして、そしてりっぱなうちの奥さん連中でも、まあ時間つぶしにそういう労働に出ておられることを私たちよく見受けるのでありまして、まあそういうことで奥さん連中が喜んで働いていただけるのであれば、それだけでも私は日本の労働力を生ますということになると思うのでございまして、これを一がいに家庭の主婦はもう労働せぬでいいというようなわけにいかないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/127
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128・大矢正
○大矢正君 私は、この法案の審議について、先ほど来大臣の言うような発言のもとにこの委員会がおさまったということになると、われわれとしては重大な問題があとに残ると思う。私は、少なくとも今日の家内労働というものについての認識のしかたは、中小企業というものはできるならば若い労働力を得たいと思うが、しかし、なかなか条件が合わないためにそれができない。したがって、そういう中からも家内労働というものが生まれてきていると思うし、それから現にその労働に従事する人々の大多数というものは、一〇〇%とは申しませんが、大多数というのはみずからの生活の中から割り出してきた家内労働であって、経済的には何ら問題がないのだが、ひまがあって困るから働きに行くような認識が、今日この委員会でなされたということになりますと、われわれ重大な問題ですよ。もし大臣の考え方が変わらないなら、私はこの法律を通すことについて断固反対です。はっきりした答弁をしてもらわなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/128
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129・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いま言われたことも多数あるが、私の知っている範囲においてはこういう例があるという、私の知っている事例を申し上げたにすぎないのであって、だからして、全部が全部——安い賃金でも金もうけをしたいということで働いておられる方も相当あるということは知っております。だからして、中にはいま申し上げましたとおり、時間が余っておるので何か仕事がないかということで、大阪あたりの内職相談所でも、そういうりっぱな家庭の奥さん方が見えておられることも私は聞いておりますので、その一例を私は申し上げたので、労働力不足というような事態になってくると、もうアメリカと同じように家庭婦人が全部働かなければならぬような事態になってくると、先のことを申し上げたのでありますからして、そういうような事態になると、その意味で私は先ほど労働態勢を根本的に考え直さなければならぬのじゃないかということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/129
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130・小柳勇
○小柳勇君 大臣、私どもはいまの職業安定所などに、あるいはほかの会社なりに家庭の主婦が内職をさがしに参るのは、大多数は主人の給料だけでは子供の教育もできないから仕事をさがしているものと理解しているわけですよ。あなたのようなレジャーをもてあまして楽しみにやっている者はごく少数でしかないということ、それを一国の大臣が、この正式の委員会の場で、そのようなことで家内労働というものをとらえておるなら、私どもはほんとうにこの法律を通すわけにはまいりません。その実態を大臣はよくわかっていないから、長官のほうでわかっているなら実態を少し発表して、長官はどう考えておるか、あなたのお考えを聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/130
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131・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) いま尋ねられたことで、一応私の説に対して誤解があるようですから……、私は全部そうだとは言っていない。それはもちろん家内労働として働いておられる方が多数あることは知っております。また、御主人の収入だけでは足らぬからどうしても内職して、そうして収入を増したいということを考えておられる御婦人の方が大ぜいおられることも私は知っております。そして私が言ったのは、私の近所における事例を申し上げたので、こういう例もあるし、そういうような世の中にだんだんなっていくということを申し上げたのであって、先のことを申し上げた。だから長期的な意味で労働体制というものを考えてもらいたいということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/131
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132・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業者の声を中小企業白書等で調査いたしますというと、労働力の給源先といたしまして、パートタイムを使うとか、あるいは内職を利用したいということを非常に強く訴えておりますので、そういう点からの見地から御答弁申し上げたわけでございますが、その結果として、今度はそこで働く、あるいは内職をする家庭の主婦等につきまして、労働問題あるいは社会問題が起こってくることは、これは非常に問題なわけでございますので、それは先ほど御答弁申し上げましたように、労働省の家内労働審議会におきまして、中小企業庁のほうからも加わりまして、実態の調査をいたしておるような次第でございます。その結果に基づきまして、私どもといたしましても善処をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/132
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133・小柳勇
○小柳勇君 最後に。聞いても通告もない質問だからいろいろ勉強もしてないと思いますが、私は意見を言っておかなければなりませんが、親企業が一つの単価をきめて設計をして、そして競争入札をさせる、それがいまの中小企業の実態。したがって、もうけるさやはわずかしかない。その中で、金を長い手形で四苦八苦やっているのが中小企業の実態である。だからこういう法律が出てくる。だから中小企業それ自体はどうするかというと、パートタイムとか、あるいは家内の内職する人たちにある小さい部分を割り当てて、そしてその家族の人は月三千円なり五千円で手内職をやっておるわけですね。したがって、それで内職の賃金はどこできめるかというと、中小企業できめるのですよ。これは幾らですよ、いいですか、よろしゅうございますと言って、何も家内工賃の決定権はないのですよ。それが安い造花なら造花、部分品なら部分品、それが中小企業に集まってきて、わずかのさやで親企業を益金を納める、こういう実態ですよ。だから、最低の家内工賃がきまって、家内労働法を一生懸命つくりますけれども、家内労働法の中で家内工賃をきめて、それを積み上げて、これが中小企業の財政の基礎になって、それにアルファをつけて納めるようになりますと、下から順々にもうかっていくでしょう。その実態がないわけでしょう。大企業から中小企業、中小企業から下請、下請から家内労働となっているから、だから貧しい人はますます貧しくなる。そういう実態を十分とらえられまして、きょうは、中小企業、小規模企業の問題だけれども、もっとその下にそういう家内工賃などの問題がありますから、これは労働省だけでなくて、皆さんが十分この実態を把握しておかないと、これはほんとうに問題にならない。あなたが大臣でなければ、一自民党の議員なら言わないのですけれども、大臣であるから、長官であるからこういうふうに言っておるわけです。よく勉強してもらって、次の論議のときにその実態を報告してもらって、そういうことをどうするか、ひとつきめて話してください。きょうは、私の意見だけ言っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/133
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134・矢追秀彦
○矢追秀彦君 さっきから聞いておりますと、大臣のお考えというのは、今後家庭の主婦はアメリカのようにレジャーをもてあました人がふえてくるから仕事をしたほうがいい、こういうふうに聞き取れるわけですけれども、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/134
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135・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) これは私は長期の見方、観察であって、それは私は、日本も御承知のとおり労働力が不足しておりますし、そこで、この問題は労働の需給の関係が不均衡であるためにいろいろ中小企業も悩んでおられるわけであります。そこで、将来だんだん産業が発展してきますると、家庭の主婦も外で働くというようなことにならざるを得ないような時勢になってくると思うのです。そういうようなことで、まあそういうような世の中にだんだんなってくると、私はアメリカの実例も知っておりますから、それを申し上げるのであって、そこで、そういうことを私が申し上げたのでありますが、しかしいまの、先ほどからお話しのとおり、生活が苦しいために困っていろいろ内職をやっておられるという実情は、これも私も存じております。そういう点については、これは十分対策を講じて、労働省と相談して対策を講じていくべきだ、こう考えておるのでありますけれども、私は、ただそういうような時勢に将来なるということを申し上げただけであって、現在については、これはもうお話しのとおり、いま生活に苦しいために家庭内職をして、そして生活をしている人も相当あるということは、私もそれは存じております。その点について誤解がおありでしたら、ひとつ訂正していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/135
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136・矢追秀彦
○矢追秀彦君 質問に答えてもらいたいのですよ。そういうふうに職業婦人がふえる時代になると、それは好ましいかどうかと私は聞いているのです。どう思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/136
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137・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 好ましいかどうかは知りませんが、私は大勢だと思っております。好ましいということばは使ったらいいのか悪いのかわかりませんが、私はそういう態勢にならざるを得ないような態勢に世の中はなってくると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/137
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138・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/138
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139・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/139
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140・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 先ほどからのお話で、家庭の主婦が働くことがいいか悪いかというような御趣旨であったかと思うのですが、それは理想とすれば、主婦も働かずに、そして御主人の収入によって一家がみな円満にやってもらうということは、それはわれわれも理想だと考えております。そういうものであることが望ましいことは、これは申すまでもないと思います。何も私は無理に働けということを言うているわけじゃないのであって、そこで、中にはいま申し上げましたとおり、時間が余って何か仕事がないか仕事がないかということを言うてくる人が大ぜいありますから、そういう人たちが、そういうふうに内職を求める人々がいるということを申し上げたのであって、しかし、多くの人は賃金収入を増すために家庭内職をしておる。そこで搾取というような問題があるとすれば、これはひとつ労働省と相談して、これについては善後策を講じなければならぬということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/140
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141・矢追秀彦
○矢追秀彦君 結局これじゃ話になりませんから、もう一回やり直ししないとだめだと思うのです。こういうふうに聞き面すと、大臣はそういうふうに答えられるでしょう。私が聞いているのは、そういう職業婦人がふえることはいいのか悪いのか。それはいま大臣が言われたように、一家の主婦は家の中にいるのがいい。そういう社会をつくるために大臣として努力をするのか。こういう方法でやる、アメリカではふえてきた、日本もふえる傾向が出てくる可能性も十分ある、しかし理想的な社会ではない。それに対してはこういうふうにやるのだと、 こういうのが私は大臣の答弁だと思うのです。ふえるだろう、やむを得ない——そんなものだったら私だって答えられます。そんな傾向を言うのならそれは評論家ですよ。大臣じゃないんです、それは。だから、さっきから幾ら質問しても、それに対する答弁が出ないし、いまちょっと何か言われたことも、また戻せば戻る議論になりますから、これじゃ話になりませんから、先ほども言われたように、労働大臣を呼んで次の機会に問題をもう一度やり直したいと思います。それまでによく実態を調査していただきたいと思います。大臣の会われた人はひまが余っている人で、有産階級の有閑マダムをつかまえて聞いたかもしれませんけれども、私の知っている範囲では、全部困っている人ばかりです。それで、しかも日曜も遊ばないで夜おそくまで仕事をして安い工賃で働いている人もたくさん見ています。おそらく数の点じゃ大臣に負けないと思うが、有閑マダムのほうに対する困っている人のほうは。その点をこの次の機会に譲りたいと思いますから、この問題はこれで一応打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/141
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142・向井長年
○向井長年君 長官、先ほど私の質問の中で、中小企業の電気ガス税が相当部分あるわけです。いま大体六百億程度になるかと思うのです、月額。全部でですよ。その中で中小企業がどれくらい負担しているか、これをひとつ年間でなくて月額でけっこうです。これは月の税金ですからこれはひとつ調査して資料を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/142
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143・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/143
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144・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
それではこれより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います——。別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/144
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145・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/145
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146・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/146
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147・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514461X00719670530/147
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148・鹿島俊雄
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十分散会
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